1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/03(金) 17:15:22 ID:Hyl6lB4k

サル「よう、カニ」

カニ「サルじゃないか。やけに頬がこけてるけど、どうしたんだい?」

サル「実はオイラ……最近あまりメシ食えてなくてさ」

サル「お前の持ってるおむすびと、この柿の種を交換してくれないか?」

カニ「もちろんいいよ!」

サル「サンキュー! 恩に着るぜ!」



2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/03(金) 17:18:02 ID:Hyl6lB4k

カニ「早く芽を出せ、柿の種、出さなきゃハサミでちょんぎるぞ~♪」

カニ「なぁ~んてね。ちょん切るわけないけどね」

サル「よう! こないだはありがとな!」

カニ「なぁ~に、困った時はお互いさまさ」

サル「ところでさ、いい肥料を見つけたから、これ使ってくれよ」

カニ「ありがとう! これでむくむく木が育つよ!」



3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/03(金) 17:22:09 ID:Hyl6lB4k

カニ「やったぁ、ついに柿がなったぞ!」

カニ「だけど……このハサミじゃ木に登れないや」チョキチョキ…

カニ「いったいどうすればいいんだろう?」

サル「お、ついにあの種が実ったか!」

カニ「あ、サル! いいところに来てくれたね!」

カニ「頼みがあるんだけど──」



4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/03(金) 17:25:15 ID:Hyl6lB4k

サル「オイラが木に登って、柿を取ってくりゃいいんだな? お安い御用だ!」

カニ「ありがとう。お礼に、先に柿を食べてくれてもかまわないから」

サル「バカ、そんなことするわけないだろ? お前にはおむすびの恩があるしよ」

カニ「あんなこと、まだ覚えてたのかい」

サル「ったりめーだろ! あのおむすびがなきゃ、オイラ本当に危なかったからな」

サル「んじゃ、おしゃべりはこの辺にして柿を取ってきちまおう!」ヒョイッ



5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/03(金) 17:28:17 ID:Hyl6lB4k

サル「よっしゃ、どっさり取れたぜ! どれもよく熟れててウマそうだ!」ドサッ…

カニ「わぁっ、ありがとう!」

サル「さ、食おうぜ」

カニ「……うっ!」

サル「?」

カニ「ううっ……!」ドサッ…

サル「ど、どうした!? しっかりしろ!」

カニ「う、産まれる……! 赤ちゃん……!」

サル「ええっ!? ──ってか、お前メスだったのかよ!」



6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/03(金) 17:30:24 ID:Hyl6lB4k

カニ「大丈夫……。気にしないで、柿を食べて……」

サル「気にしないでって、そんなことできるかよ!」

サル「柿食ってる場合じゃねえ! とにかく……産むしかねえな!」

サル「オイラも他の猿の出産を見てたことがあるし、きっとなんとかなる!」

サル「えぇと……ヒッヒッフーって呼吸するんだ!」

カニ「ひっ、ひっ、ふぅぅ……っ!」

サル「いいぞ、その調子だ! がんばれよ!」



7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/03(金) 17:33:24 ID:Hyl6lB4k

サル「ふぅ……なんとか取り出せたな」

子ガニA「おぎゃあ、おぎゃあ……!」

子ガニB「ふえぇ~……!」

子ガニC「びえぇ~ん……!」

サル「よくがんばったな! 三匹とも元気だ!」

カニ「……うん、手伝ってくれてありがとう」

サル「気にすんな! これもおむすびをもらった礼さ!」



8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/03(金) 17:37:14 ID:Hyl6lB4k

サル「どうだ、柿はうまいか? ってオイラの柿ってわけじゃないけどな」

子ガニA「おいし~!」パクパク…

子ガニB「おいち~!」シャクシャク…

子ガニC「うまい、うまい」モグモグ…

サル「ハッハッハ、産まれたばかりなのによく食いやがる」

サル「しっかし、柿はまだまだあるな……とても食い切れねえぞ」

サル「──そうだ!」



10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/03(金) 17:40:32 ID:Hyl6lB4k

サル「なぁ! この柿、とてもオイラたちだけじゃ食いきれないだろうし」

サル「出産と誕生祝いに、柿パーティーでも開かないか! 他にもだれか呼んでさ!」

カニ「それはいいね、ぜひやろう!」

子ガニA「じゃあ、ぼくたちがあつめる~」

子ガニB「あたしも~」

子ガニC「うまい、うまい」モグモグ…

サル「お、やってくれるか!? じゃあ、四人ほど集めてきてくれ!」



11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/03(金) 17:43:53 ID:Hyl6lB4k

クリ「柿パーティー!? へへっ、喜んで参加させてもらうぜ!」



ハチ「今は女王様から休暇をもらっているのでな……よかろう」



フン「よろしいのですか? 牛のフンである私などが食事会に行っても……」



ウス「ウッス! ありがたくご馳走になるでごわす!」



12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/03(金) 17:46:19 ID:Hyl6lB4k

クリ「ちいっす!」

ハチ「……お邪魔させてもらう」

フン「こんにちは……。なるべくニオイを発しないようにしますので……」

ウス「ウッス、ご相伴にあずかるでごわす!」

サル(……こりゃまた珍妙なメンバーを集めてきたな)

カニ「それじゃ、柿パーティーを始めよう!」

子ガニA&B&C「いっただっきま~す!」



13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/03(金) 17:50:08 ID:Hyl6lB4k

クリ「うん、こりゃうめぇぜ!」シャクシャク…

クリ「甘いし、汁気もあるし、歯ごたえもあるしよぉ!」

クリ「栗が柿食うっつうのも妙なハナシだけどな! もし桃がありゃ完璧だったぜ!」



ハチ「……ふむ」モグモグ…

ハチ「なかなかの味だ」

ハチ「一つ分けてもらい、女王様へ献上すれば、きっとお喜びになろう」



14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/03(金) 17:52:13 ID:Hyl6lB4k

フン「落ちついた甘味で、とてもおいしいです……」モグモグ…

フン「しかし、気になることが一点……」

フン「私は食べたものを排泄できるのでしょうか……。していいのでしょうか……」



ウス「うまいでごわす! おいしいでごわす! いけるでごわす!」ガツガツ…

ウス「美味でごわす! クセになるでごわす! デリシャスでごわす!」ガツガツ…

ウス「おかわりでごわぁ~~~~~す!」



15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/03(金) 17:56:38 ID:Hyl6lB4k

サル「この分じゃ、すぐ柿がなくなっちゃいそうだな」

カニ「なぁに、あの木は元気だから、またすぐ新しい実をつけてくれるさ」

子ガニA「ぼく、たのしい~」

子ガニB「あたしも~」

子ガニC「うまい、うまい」モグモグ…

ハッハッハッハッハ……



16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/03(金) 18:01:28 ID:Hyl6lB4k

おいしく熟した柿に舌鼓を打ちながらも、
柿パーティー参加者の誰かが──いや、誰もが思っていた。

何かが違う、どこか物足りない、本当にこれでいいのか、と。



こんなにも平和で、柿は美味で、誰も傷ついてないのに、いったい何が不満なのだろう。
その答えを得る術を彼らは持たない。

きっと気のせいさ、何かの勘違いさ、と心の中で自身を説得しながらも、
どこかもやもやした気持ちを抱えながら、仲良く柿を頬張り続けるのであった。





~ おしまい ~



17: ◆IWpDk5awhU 2014/10/03(金) 18:02:02 ID:Hyl6lB4k

ありがとうございました



元スレ:サル「おむすびと柿の種を交換してくれないか?」カニ「いいよ!」
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