――某ジャンクフードショップ――

北条加蓮「……んー……さすがにどう取り繕っても、藍子にここはちょっと似合わないなぁ……」

高森藍子「人の出入りがすごく早いんですね。なんだか、目が回りそう」

加蓮「早さが売りのジャンクフードだからね。店内でのんびり、なんて普通はやらないよ」

藍子「いろんな人が来るんですね……あっ、あの子ども、楽しそうっ♪」

加蓮「こういうお店が好きだよね、子供って。ちっちゃい頃は連れてってもらうだけでワクワクしてたなぁ」

藍子「そんなにお好きだったんですか?」

加蓮「っていうより、なんか特別感があってね。今にして思えば、何がそんなに楽しみだったんだろって」


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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:33:12.55 ID:yOadCbcP0

3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:33:44.70 ID:yOadCbcP0

藍子「ふふっ。加蓮ちゃんの言う通り、ハンバーガーやポテトを持って帰る人が多いみたいですね」

加蓮「車の中で食べたりするかな……電車に持ち込むのは厳禁だよ。白い目で見られちゃうから」

藍子「行儀の悪いことは、あんまりしたくないです」

加蓮「こうして座ってぼんやり眺めるのも、なかなかに面白いかな」

藍子「私に気を遣ってくれたんですか?」

加蓮「……真顔で頷いたら、藍子はどこまで重荷に思ってくれる?」

藍子「もうっ。すぐにそういうことを言うんですから!」

加蓮「そういう時にさ、いや、加蓮ちゃんは冗談を言っているんだ、って見抜けるようになってみたら?」




4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:34:44.60 ID:yOadCbcP0

藍子「うぅ……だって、もしそれで、加蓮ちゃんが本気だったらって思うと」

加蓮「そっか。ふふっ、じゃあもうしばらく藍子のことを騙し続けちゃおう」

藍子「『じゃあやめよう』ってなってくれないんですね……」

加蓮「はい、ポテト。あーん」

藍子「あーん。わっ、しょっぱいっ」

加蓮「私はこれでも足りないな。舌が慣れすぎてるのかなぁ……」

藍子「ケチャップがついているんですね」

加蓮「つけたらちょっとは甘くなるかもよ?」

藍子「そうしますっ」モグモグ



5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:35:44.53 ID:yOadCbcP0

加蓮「……仕事をするとしてさ。大変な仕事と楽な仕事、どっちがいい?」

敦子「んぐっ……急にどうしたんですか?」

加蓮「とりあえず答えてよ」

藍子「そうですね……私、モバP(以下「P」)さんや加蓮ちゃんみたいにてきぱきするのは苦手ですから……」

藍子「楽なお仕事の方がいい……のかもしれません」

加蓮「アイドルってだいぶ大変な仕事だと思うけど」

藍子「それは、Pさんやみなさんがフォローしてくれるからですよ。私1人じゃなんにもできませんから……」




6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:36:45.09 ID:yOadCbcP0

加蓮「……そろそろその過小評価にどつきたくなるなぁ」

藍子「えっ」

加蓮「ほら、よくあるじゃん。これだけは言われたら許せないって奴。あれってさ、本人が言っても同じだと思うんだよね」

加蓮「ん……分かりやすく言うと、例えば藍子のことを『何もできない子』って言われるのがどうしても許せないとして」

加蓮「それを藍子自身が言った時も、同じように許せないなってこと」

藍子「なるほど……あれ、だったらもしかして、私、いつの間にか加蓮ちゃんが許せないことを何回も……!?」

加蓮「うん、そうなるね?」ニコッ




7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:37:44.75 ID:yOadCbcP0

藍子「え、えええっ!? もっと早く言ってくださいよそういうの……!」

加蓮「くくっ」

藍子「あ! ……あの、もしかして、また冗談――」

加蓮「ううん。今回は半分くらい本気……私、冗談は撒き散らすけど、嘘って嫌いなんだよね。嘘つきの大人ばっかりだったから」

藍子「うそつきの大人?」

加蓮「昔さ、ホントにガチに……ベッドの上でしか行動できなかった時にね。看護婦、あ、看護師だっけ、がたまに言うんだ」

加蓮「天国はいいところだよ、美味しい食べ物がいっぱいあるよ、って。わざわざ絵本まで持ってきて」




8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:38:44.65 ID:yOadCbcP0

加蓮「それってつまり、私の容態がヤバイってことだよね。……ちゃんと教えてくれないんだ」

加蓮「嘘つきばっか」

藍子「……小さい子には、やっぱり、正直に言えないと思います。決まりとか、ルールとかじゃなくて……」

藍子「私がもしナースさんだったら、ちゃんと伝えられる自信はないです」

加蓮「藍子は優しいからね……病院の人達なんてどいつもこいつもさ、ってこれは前にも話したかな」

藍子「はい。だからもう、嫌な思い出はお話ししなくていいんですよ」

加蓮「ん……」




9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:39:44.64 ID:yOadCbcP0

藍子「もちろん、加蓮ちゃんがお話ししたいなら……私は聞きますけれど、でも……」

藍子「自分の心に自分でナイフを刺すなんて、見ているだけでも痛々しいですから……」

加蓮「……うん」

藍子「あの、どうしてもナイフが手放せないなら、私を刺しちゃってください!」

加蓮「へ? …………ぶっ、くくっ、う、うくくっ、なにそれ、なにそれっ……!!」

藍子「そ、そんなに笑わなくていいと思いますっ」

加蓮「あははっ、おかしい……もう。何か買って欲しい物でもあるの?」

藍子「そんなんじゃないですよ……もうっ……」




10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:40:44.73 ID:yOadCbcP0

加蓮「あははははっ……分かった。じゃあ、どうしても手の力が抜けなかったら、藍子に痛い目に遭ってもらうね?」

藍子「…………で、できれば、お手柔らかに」

加蓮「いいんだよ。そこで頷けないことを悔やまなくても。どうせ藍子を殺したりしたら、私が死ぬほど後悔するだけだから」

藍子「…………」

加蓮「…………」

加蓮「っていう演劇の話ね? フィクションの話だよ? うん。マンガとか小説とかそういう話」

藍子「そうしちゃいましょうっ」




11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:41:45.36 ID:yOadCbcP0

加蓮「脚本をやるとかは……うん、私には無理だな」

藍子「私だったら、キャラクターみんなが幸せになるお話を描きたいですっ」

加蓮「童話なんていいんじゃない?」

藍子「あはっ。まずは絵を描くところからですね」

加蓮「藍子はヒロインっていうより主人公だね。いろんなことに悩んじゃう主人公。あ、ハンバーガー食べる?」

藍子「どうせだから頂きますね。うーん……どれがいいかな……」

加蓮「ほら、ハンバーガー1つでもこんなに悩む」

藍子「あうっ」




12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:42:45.40 ID:yOadCbcP0

加蓮「ゆっくり選びなさい。決まったら私が注文しにいくから。ね?」

藍子「はぁい……」

加蓮「ふふっ……」ホオヅエ


藍子「決まりましたっ! 私、エッグバーガーにしますね」

加蓮「じゃ、ポテトの分まで注文に行ってくるね。ちょっと待ってて」

藍子「はいっ」

加蓮「……」テクテク

加蓮「……はい。エッグバーガーとポテト1つずつ。塩辛にしてね」



13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:43:45.54 ID:yOadCbcP0

加蓮「……」ウーン

加蓮「……」チラッ

藍子「~~~♪」ニコニコ

藍子「~~~!」アッ

藍子「~~~♪」テヲフル

加蓮「もう……」ニガワライ

加蓮「うん、ありがと。……ただいま、藍子」

藍子「はい、お帰りなさい」




14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:44:44.85 ID:yOadCbcP0

加蓮「落ち着かないなぁ……私、こういう雰囲気は結構好きだけど、藍子といるとすごく落ち着かないよ」

藍子「あむっ……んぐ?」

加蓮「食べ終わってからでいいよ。つまんないことを言ってるだけだから」

藍子「んぐ」コクン

加蓮「……」ホオヅエ

加蓮「新しいこととか、新しい発想とか、大切だってよく言うけど……藍子は、ずっとそこにいてほしいな」

加蓮「って、それじゃアイドルとして前に進めないっか……難しいなぁ。ふふっ、アイドルに向いてないって言ってるの、なんだか意味が分かった気がする」

藍子「…………」ゴクン




15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:45:44.89 ID:yOadCbcP0

藍子「私、やっぱり、色々な意味でアイドルに向いていないって思います……もし、加蓮ちゃんがそれで怒っちゃったとしても」

藍子「すぐには、考え直すのは難しいです」

加蓮「そうだね……しょうがないな。じゃあずっと、藍子に文句を言い続けようか」

藍子「きっと、私にはそれくらいがちょうどいいです」

加蓮「あれ? 今、私って藍子にプロポーズしちゃった?」

藍子「ふふっ、そうかもしれませんね」

加蓮「よし、今度これPさんに言ってみよう。Pさんは私が見張っていないと……ううん違うな。ずっと近くで見ていたいです……そこまで言うと変な物食べたかって言われそう?」




16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:46:45.04 ID:yOadCbcP0

藍子「毎朝のお味噌汁を作れるように、練習してみるのはどうでしょうか」

加蓮「わ、私だって味噌汁くらい作れるし」

藍子「……」

加蓮「作れるし」

藍子「……3日前、食べたことがないくらい塩辛いお味噌汁を飲みました♪」

加蓮「うっさい!」

藍子「ふふっ」




17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:47:45.05 ID:yOadCbcP0

藍子「はいっ、加蓮ちゃん。あーん」

加蓮「んー。あれ、思ったより美味しいね、エッグバーガー」

藍子「私、こういうところにあんまり来ないので……でも加蓮ちゃんとなら、来てみるのもいいですねっ」

加蓮「やめときなさいやめときなさい、似合わない似合わない」

藍子「そんなこと言って、美味しいハンバーガーを独り占めしたいだけじゃないですか?」

加蓮「お、言うようになったね? でもこれはホントだよ。やっぱり藍子はカフェにいる方が似合う」

藍子「ありがとうございます♪ でもたまには食べてみたいから、その時は加蓮ちゃんにも買ってきますね」




18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:48:44.99 ID:yOadCbcP0

加蓮「いやいや。それなら私に頼んでよ。私が買ってくるから」

藍子「そんなっ、悪いですよ」

加蓮「たまには私にもそーいうことさせてよ」

藍子「お散歩ついでですから!」

加蓮「たまにはこういうところに来たいの!」

藍子「……むー」

加蓮「もう」




19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:49:44.93 ID:yOadCbcP0

藍子「加蓮ちゃんはカフェもハンバーガーショップも、どっちも似合いますよ?」

加蓮「オシャレで静かなカフェに行った時は、ちょっとお嬢様っぽく振る舞ってみるとか」

藍子「ロングスカートを履いてみたり?」

加蓮「両手を前にして、深々とお辞儀してみたり」

藍子「まるでドラマの撮影ですね」

加蓮「あんまり入れ込みすぎると、普段の生活にまで侵食してくるんだよね」

藍子「つい『ごきげんよう』って言っちゃったり!」

加蓮「Pさんのことお父さんって言った時にはマジで死にたくなった」

藍子「学校でありそうなお話ですよね」



20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:50:45.26 ID:yOadCbcP0

加蓮「むしろPさんの反応がなー。あそこまで大笑いされるか」

藍子「それだけ加蓮ちゃんが可愛かったんですよ」

加蓮「『ごきげんよう』も、Pさんに言った日には大笑いされるね。気をつけなきゃ」

藍子「加蓮ちゃんなら、イタズラでやっちゃうんじゃないですか?」

加蓮「間違って言って、笑われるより前にイタズラだって取り繕うとか」

藍子「私だったら、言った瞬間に『あ……!』ってなって、何もできなくなっちゃうかも」

加蓮「私が、あれ? もしかして5年後の藍子? って言えば綺麗に流れるよ」




21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:51:45.22 ID:yOadCbcP0

藍子「頑張れば通じてしまいそうですよね、私たちの事務所」

加蓮「超常現象が普通に起きるからね。昨日は誰のひいばあちゃんが化けて出たんだっけ?」

藍子「そんなことがあったんですか……?」

加蓮「お盆だからね。私の大好きだったおじいちゃんはいつ出てきてくれるの?」

藍子「さ、さあ?」

加蓮「ハンバーガー、もうちょっとちょうだい」

藍子「はいっ。あーん♪」




22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:52:45.36 ID:yOadCbcP0

加蓮「んー。飲み物がほしいな。何か飲む?」

藍子「うーん……なんだか、味が強そうな物ばっかりで……炭酸じゃない飲み物ってありますか?」

加蓮「シェイクかなぁ。いや、あれはねっとりしててむしろ喉に悪いかな……アイドルになってからは飲んでないや」

藍子「もうお水でもいいかも……」

加蓮「カルピスなら大丈夫だと思うよ? 飲んでみる?」

藍子「じゃあ、それでっ」

加蓮「行ってくるね」




23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:53:45.24 ID:yOadCbcP0

加蓮「ただいま」

藍子「おかえりなさい。あれ、1人分だけですか?」

加蓮「もし藍子が飲めなかった時のことを考えて。Lサイズにしといたから、これなら2人で飲んでも大丈夫でしょ」

藍子「……え、でも、それじゃ私が飲めなかった時に、加蓮ちゃんがぜんぶ飲むことになるんじゃ……」

加蓮「2人分ならキツイけど、Lサイズ1つならなんとか。はい、藍子。何事も挑戦だよ」

藍子「はいっ! えいっ」ゴクゴク

藍子「……うん、これくらいなら大丈夫、かな……? 私が知ってるカルピスより、ちょっとねっとりしてる気もするけれど……」




24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:54:45.48 ID:yOadCbcP0

加蓮「よかった。私もちょっと頂戴。……んっ……ふうっ。んー、ポテトうまー」

藍子「ごくごく……」

加蓮「……よくカフェに行くから余計に思うのかな。なんか藍子が近い」

藍子「え? ……言われてみれば、加蓮ちゃんがちょっと近いです」

加蓮「変な感じだな。それだけカフェに行き慣れてるってことかも」

藍子「にらめっこをしたら、加蓮ちゃんには負けちゃいそう」

加蓮「そんなに強くないし、これだけ近いとさすがに照れちゃうよ。それに、ここ、人も多いから」

藍子「変に思われちゃうかもしれませんねっ」




25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:55:45.48 ID:yOadCbcP0

加蓮「もしアイドルだってバレたら、どういう風に週刊誌にすっぱ抜かれるかな」

藍子「スキャンダルにはならないと思いますよ?」

加蓮「甘い。甘いって藍子。なんだってネタにする連中だよ? 遊び半分で記事にされるからね」

藍子「くすっ、それは大変ですね」

加蓮「ぜんぜん大変だって思ってない顔」

藍子「加蓮ちゃんとなら、それでもいいかなって」

加蓮「えー。私に迷惑がかかるのに?」




26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:56:46.09 ID:yOadCbcP0

藍子「………………えっと……さすがに、はっきり言うのは、ちょっと勇気がいるけれど……」

藍子「加蓮ちゃんなら………………許してくれそう、だから…………」

加蓮「……! ……ふふっ、そっか!」

藍子「あ、あのぅ……」ウワメヅカイ

加蓮「それでいいよ。それでいいって言ったじゃん!」

加蓮「そうだ。もしホントにすっぱ抜かれたらなんてタイトルになるか、ちょっと考えてみよう」




27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:57:45.87 ID:yOadCbcP0

藍子「えっと、密会とか、熱愛とか? ……あ、私たち女の子同士でした」テヘ

加蓮「男の気がないから同性に!? レズビアン疑惑! ……あれ、おかしいな、藍子が相手なら別にいいやってなりそう」

藍子「あははっ、私もです♪」

加蓮「よし、それを防ぐ為にPさんとデートしよう」

藍子「なるほど、その手――それ余計に駄目になっちゃいますよね!?」

加蓮「あははっ。週刊誌の疑惑なんてもんはさ、開き直ってりゃ勝てるのよ、こういうのは」

藍子「加蓮ちゃんは、こういうお話に強いですよね」




28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:58:46.17 ID:yOadCbcP0

加蓮「藍子のところに下衆いインタビュアーが向かったら私がまとめてなぎ倒してさ、文句ある!? って怒鳴ってみたい」

藍子「途中から加蓮ちゃんのやりたいことになっていませんか?」

加蓮「ほら、あるじゃん。一生のうち1度は言いたい言葉って」

藍子「『ここは俺に任せて先に行け』とかですか?」

加蓮「おお、意外と過激なのが。『前の車を追って!』」

藍子「『ここからここまで全部くださいっ』」

加蓮「『別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?』」

藍子「『犯人はあなたです!』」




29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 18:59:46.31 ID:yOadCbcP0

加蓮「『闇に飲まれよ!』」

藍子「それは言おうと思えば言えるのでは……?」

加蓮「『大丈夫、貴方が育てたアイドルだよ』」

藍子「実際に言ってますよね!?」

加蓮「『あ・ら・もー」

藍子「ニヤニヤしながら言わないでくださいっ!」




30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:00:45.91 ID:yOadCbcP0

加蓮「週刊誌のタイトルだっけ。プロダクション離反の会議!? とか」

藍子「もしそんなお話になったら、さすがに思いっきり首を振っちゃいますっ」

加蓮「縦に?」

藍子「横に!」

加蓮「そこでこう言うの。アシスタントに言われてやりました」

藍子「そ、それだと今度はちひろさんが危ないですっ……!」




31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:01:45.89 ID:yOadCbcP0

加蓮「あの人なら放っといてもいい気がする」

藍子「…………………………あ、あはは」

加蓮「んー? なんで今の否定しなかったのかなー? 藍子ー? んー?」

藍子「も、もう、いじわるはやめてくださいっ」




32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:02:45.96 ID:yOadCbcP0

加蓮「うちの事務所ってそういうのないよね。週刊誌で誰かが蹴落とされるとか」

藍子「そうですね……。きっと事務所のプロデューサーさん皆さんが、私たちを守ってくれているんですよ」

加蓮「まあ一部、変なキャラ付けされてるのはいるけど。あのね、言っとくけど私はそんなすぐに死んだりしないからね?」

藍子「あはっ、誰に向かって言っているんですか~」

加蓮「え? やたら世話を焼きたがるお節介な誰かさんに向けて」

藍子「………………」ジトー

加蓮「疲れることはあっても死ぬことはないし」

藍子「週刊誌が大げさな物だとしたら、書かれていること、嘘ではありませんよね」

加蓮「むぅ」




33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:03:46.22 ID:yOadCbcP0

藍子「ハンバーガー、ごちそうさまでした」

加蓮「ん。ポテト食べる?」

藍子「もうお腹いっぱいですから……」アハハ

加蓮「そっか。じゃあ自分で食べよ」パク

藍子「……」ゴクゴク

加蓮「……」ングング

藍子「……」フウッ



34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:04:46.29 ID:yOadCbcP0

加蓮「あ、なんか急にここの店の制服が着たくなった」

藍子「ホントに急ですね」

加蓮「そういうことってない?」

藍子「うーん……学校が違う子の制服を見た時に、少しだけ? ほら、電車に乗ると、色々な学校の学生がいますから」

加蓮「あるある。セーラー服とかちょっと憧れてるんだよね……うぁ、ちょっと思い出したくない思い出が」

藍子「???」

加蓮「昔の話」




35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:05:45.91 ID:yOadCbcP0

藍子「加蓮ちゃんは、お嬢様学校の制服なんかが似合うかな……?」

加蓮「初日から改造して登校する」

藍子「入学式を迎える前に生徒指導室行きになっちゃいますよ!?」

加蓮「風紀委員の藍子とかどう? 学校じゃそういうのないの?」

藍子「ありますけれど、漫画みたいなのじゃないですよ?」

加蓮「さすがにね。藍子が風紀委員だったら、いたずらっ子の私に振り回されてそう」

藍子「……風紀委員じゃなくても、そうなってます」ムゥ




36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:06:46.11 ID:yOadCbcP0

加蓮「じゃあ生徒会とか」

藍子「生徒会ですか?」

加蓮「漫画で大きく取り上げられる筆頭の。この学校は私のだー、はははははー! って……お、ちょっと似合いそうじゃない?」

藍子「……加蓮ちゃん、私に似合わないキャラをやらせたいだけですよね」

加蓮「違う違う。ホントだって」

藍子「ううん……ならせめて、皆さんが楽しく暮らせる学校にできるなら、生徒会もいいかもしれませんね」

加蓮「でしょ?」




37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:07:46.12 ID:yOadCbcP0

藍子「加蓮ちゃんが生徒会長になったら、どんな学校にしたいですか?」

加蓮「さー? まあそもそも、アイドルやってるとどうも学校って場所が遠くて」

藍子「あはは……ちょっぴり、分かっちゃいます」

加蓮「壁っていうのかな。違う世界って感じがしちゃうんだよね。なんか浮くっていうか」

藍子「友達、ちゃんといますか?」

加蓮「ぼっちでいいやってなりそう」

藍子「寂しいですよ。1人じゃ寂しいです」

加蓮「だって事務所に行けば誰かいるしー」

藍子「そうですけど……」




38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:08:46.23 ID:yOadCbcP0

加蓮「藍子とクラスメイトなら面白そうだけどね。今から藍子の学校に転入しちゃおっかな」

藍子「また急なことを言うんですから。理由はどうするんですか?」

加蓮「うーん。学校の空気と立地がどうしても体に良くないので、とか」

藍子「そんなこと言われたらみんな困っちゃいます」

加蓮「転校を認めさせるのが目的でしょ? ならいいじゃん」

藍子「じゃあ、もしもそれで、泣いてお別れする人がいたりしたら」

加蓮「それでも藍子を優先する」

藍子「ちょっとくらいは悩んであげてください……」




39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:09:46.25 ID:yOadCbcP0

加蓮「学校の去り際に涙を拭う演技を見せれば綺麗なハッピーエンドになるかな?」

藍子「なんだか学園ドラマみたい」

加蓮「いっそうちの事務所で1つの学校を作ればいいのに。人はメチャクチャ多いんだし」

藍子「あっ、それ面白そうです!」

加蓮「小学校から高校、ううん、大学までか。ぜんぶを事務所に入れちゃって、先生はプロデューサーさん達と大人組で」

藍子「授業でアイドルのことをやったりするんでしょうか」

加蓮「それなら学校も退屈しそうにないのに」

藍子「みんなでテスト勉強をするとか、すごく面白そう……!」




40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:10:46.31 ID:yOadCbcP0

加蓮「制服もみんなで作っちゃおっか。アイドルが着る物だもん、そこらへんの市販品じゃダメだよね」

藍子「LIVEの衣装を、そのまま制服にしちゃいましょう!」

加蓮「いいねそれ。2週間おきくらいに制服が変わりそう」

藍子「学校の規則が大変なことになっちゃいます」

加蓮「テレビとかでも話題になるよ。見る度に制服が違う学校! って」

藍子「そうしたら、入りたくなる人も増えちゃうかもしれませんね」




41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:11:46.22 ID:yOadCbcP0

加蓮「アイドルのことは先輩アイドルが教えるんだ。私、ちゃんと教えられるかな?」

藍子「加蓮ちゃんなら大丈夫ですよ。やっている姿を見せるだけでも、きっと分かってくれます」

加蓮「体力のつけかたなんかは逆に教えてほしいね」

藍子「基本トレーニングからですねっ。懐かしいなぁ……」

加蓮「ふふっ」

藍子「あはっ」




42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:12:46.28 ID:yOadCbcP0

加蓮「……」

藍子「……」

加蓮「……で、さ」

藍子「はい」

加蓮「妄想とか想像とか、話すじゃん」

藍子「お話ししますね」

加蓮「じゃあ実行しよう、ってなっちゃうよねぇ……」

藍子「あはっ、私もかなり具体的に考えちゃいました。……アイドルのお仕事って、そういう風に生まれていってる感じがします」




43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:13:46.18 ID:yOadCbcP0

加蓮「イメージを形にするのもアイドルの仕事……だって、Pさんが言ってたっけ」

藍子「なんだか、思ったことを簡単に口に出せなくなっちゃう気がします……」

加蓮「だからこうやってプライベートでやるんだよ。話をして、家に帰ったら、もう忘れてる」

加蓮「そういうところでは、アイドルじゃない部分も覚えておきたいかな」

藍子「なんだか難しいですね、アイドルって……」




44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:14:46.56 ID:yOadCbcP0

加蓮「藍子」

藍子「はい」

加蓮「ほっぺた。塩がついてる」スッ

藍子「わっ。えっ、もしかしてずっとついていましたか!?」

加蓮「最初にポテトを食べた時からずっとなんだ、実は」ジー

藍子「も、もうっ、気付いたんなら言ってくださいよー」

加蓮「ふふっ、ごめんごめん」




45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:15:46.22 ID:yOadCbcP0

加蓮「えいっ」ユビサシダシ

藍子「むぐっ」ユビクワエ

加蓮「しょっぱい?」

藍子「……」コクコク

藍子「ちゅぱっ……加蓮ちゃんの指も、しょっぱいです」

加蓮「ポテトの味がする?」

藍子「ちょっぴり。ポテトのにおいが」




46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:16:46.76 ID:yOadCbcP0

加蓮「あはは、ちょっとお得な気分? ……ゃっ、くすぐったいっ。こらっ、藍子、指と爪の間はくすぐったっ、もうっ」

藍子「れろっ……あれ……? なんだか、これ、落ち着く……」

加蓮「そ、そう? 私はなんか変な感じなんだけど」

藍子「んぐんぐ……」

加蓮「ま、落ち着くんなら満足するまでやればいいよ」

藍子「ふぁい……」

加蓮「へんなの。お腹もいっぱいだし、そろそろ出よっかなぁ」




47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:17:46.50 ID:yOadCbcP0

藍子「れろっ……あ、もう、ポテトの味がしなくなっちゃいました」

加蓮「指1本じゃ、ついてる塩もたかがしれて……」

藍子「えいっ」パクッ

加蓮「わっ。あ、そう。別の指を舐めるんだね」

藍子「……おいしい」

加蓮「噛まないでね? 舐めるくらいなら、まあ、いいけど。……それ楽しい?」

藍子「ポテトの味と、しょっぱい味と……加蓮ちゃんの味」




48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:18:46.34 ID:yOadCbcP0

加蓮「私の味? どんなの、それ」

藍子「分かんないです……でも、加蓮ちゃんの味です」

加蓮「噛み付いたら分かるかな。……うん、やめとこ。腕も手首も汗っぽいし」

藍子「あむっ……」

加蓮「変な癖がついてもしらないよ?」

藍子「加蓮ひゃんなら、それでもいいかな……♪」

加蓮「……猫にでもなつかれた気分」




49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:19:46.36 ID:yOadCbcP0

――帰り道――

加蓮「1時間かけて10本ぜんぶの指を舐めた訳だけど、ちょっとは満足した?」

藍子「はいっ」

加蓮「私はいいんだけどね……てっきり、終わった後に恥ずかしがるかと」

藍子「ちょっとだけ恥ずかしいですけど、あの……よかったら、またお願いしてもいいですか?」

加蓮「ハマっちゃった?」

藍子「ちょっぴり」アハハ




50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:20:46.36 ID:yOadCbcP0

加蓮「それこそ週刊誌にすっぱ抜かれるよ? 変にいやらしく書かれてさ」

藍子「そうしたら、加蓮ちゃんがなぎ倒してくれるんでしょ?」

加蓮「これを機に加蓮ちゃん無双を発売して病弱イメージをふっ飛ばそう」

藍子「すごく体力がないキャラクターができちゃいそうです」

加蓮「ぐぬぬ……」ジトー

藍子「あはっ。ごめんなさい~」

加蓮「もう。ま、別に私の指を舐めようと顔を舐めようといいんだけどさ。あんまり人前でやらないでよ? それこそ変な噂になるんだから」

藍子「分かりましたっ。気をつけますね」




51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:21:46.34 ID:yOadCbcP0

加蓮「はいはい。……そのうち私の指を食べたいとか言うようにならないでね?」

藍子「そっ、そこまでは言わないですよっ」

加蓮「藍子がいつもの笑顔で猟奇的なことしてたら、さすがに私でも引くよ」

藍子「やりませんってばっ」

加蓮「どうだか。藍子みたいな真面目な子の方が危ういってよく言うし」

藍子「加蓮ちゃんだって真面目じゃないですか」

加蓮「私は発散できてるからね。こうやって、藍子をからかって」




52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:22:46.58 ID:yOadCbcP0

藍子「……どこからが冗談ですか?」

加蓮「マジシャンがタネ明しをしないっていうのと同じだよ」

藍子「もぅ……。指、がじがじって噛み付いちゃいますよ」

加蓮「ネイルしている時なんかは変な味がするのかな。なら、しばらくはマニキュア抜きにしとこ」

藍子「あ、事務所が見えてきました!」

加蓮「ホントだー。はー、まだまだ暑いね。戻ったらシャワーでも浴びよっかな」




53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:23:46.52 ID:yOadCbcP0

藍子「着替え、持ってきているんですか?」

加蓮「無かった。貸してよ藍子」

藍子「制服の衣装でいいなら……」

加蓮「そうしたらどこかに出かけてみよっか。名前も知らない先生に呼び止められたりして」

藍子「そうなっても、加蓮ちゃんなら平気で対応できそうですよね」

加蓮「うーん。『あれ、先生じゃん。外で会うなんて偶然だね~』」

藍子「すごくそれっぽいっ」




54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:24:46.63 ID:yOadCbcP0

加蓮「『ところで何を買ってるの? うわー、先生がこういう物を買っていいのかな? 黙っててほしい? ふふっ、どうしよっかなー』」

藍子「……加蓮ちゃん、もしかして普段もそういうことしてるんじゃ」

加蓮「やだな、そんなことをするのはPさんか藍子にだけだよ」

藍子「私もですか!?」

加蓮「藍子の弱みってなかなか見つけられないんだよねー。ね、ちょっとスマホ貸してよ」

藍子「嫌ですよっ!?」サッ




55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:25:46.46 ID:yOadCbcP0

藍子「それに、別にスマホを見られても何もないですしっ」

加蓮「えー? ホントに? Pさんの隠し撮りとかないの?」

藍子「ありませんっ」

加蓮「じゃあ私の寝顔とか着替えとか」

藍子「………………」アッ

藍子「な、ないですよ?」




56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:26:46.47 ID:yOadCbcP0

加蓮「え?」

藍子「え?」

加蓮「…………」

藍子「…………」


<待てコラァ!! 撮るなって言ったでしょうがああああああああああああ!!
<ひゃ~~~~~っ! ち、違うんです、ホントにないんです~~~~~っ!!



57: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:27:26.96 ID:yOadCbcP0



おしまい。





59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 19:43:19.78 ID:qMly6vvy0

更新速度がゆるふわしてない(褒め)



63: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/26(水) 21:55:22.30 ID:CWwS+9kHO

おつ



元スレ
SS速報VIP:高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「たまにはジャンクフードでも」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1440581550/



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