SS速報VIP:まどか「ほむらちゃん、君の名は。観に行こうよ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473700589/
1: ◆VXgvBvozh2 2016/09/13(火) 02:16:30.03 ID:EWP/cFsL0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473700589/
1: ◆VXgvBvozh2 2016/09/13(火) 02:16:30.03 ID:EWP/cFsL0
君の名は。のネタバレを含みますので、まだ観ていない方は見ないでください。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1473700589
2: ◆VXgvBvozh2 2016/09/13(火) 02:17:30.34 ID:EWP/cFsL0
学校 放課後
さやか「まどか、杏子、お待たせ。帰ろっか」
まどか「うん」
杏子「今日もどっか寄ってく?」
さやか「そうそう、まどかと話してたんだけどー」
まどか「杏子ちゃん、今から映画観に行こうよ」
杏子「えいがー?こないだシンゴジラ観たばっかじゃん」
まどか「それがね、今すっごく人気のがやってるんだって!」
さやか「連日満員で行列まで出来てるらしいよ!」
杏子「ふえー」
まどか「マミさんとほむらちゃんも誘って行こう?」ポチッ
さやか「マミさんはいいけど暁美さんも誘うの~?」
杏子「大勢で行った方が楽しいだろ」
まどか「…あ、ほむらちゃん?今日って用事ある?」
さやか「そんじゃあマミさんにはこちらから電話しときますか」ポチ
まどか「ないんだ!だったら、君の名は。観に行こうよ!」
マミ「今日はなぎさちゃんが来ない日だからちょうど良かったわ」
さやか「マミさん、ハンカチ多めに持って行った方がいいですよ」
マミ「あら、どうして?」
さやか「めちゃ泣けるらしいですよ!」
杏子「ほんとかよ~」
まどか「あ、ほむらちゃん!」
ほむら「まどか。誘ってくれてありがとう」
杏子「よーほむら」
マミ「暁美さんもアニメ好きなのね、意外だわ」
ほむら「好きというほどでは…」
さやか「あたしなんか今日のために新海監督の作品全部観てきたからね!」
杏子「ああ、あれがそうだったんだな」
まどか「でも、楽しみだなー」
映画館
さやか「うえ…すごい人」
マミ「これみんなアニメ映画を目的に来た人たちなの?」
杏子「席とれるのかよ」
まどか「難しそうだね…」
ほむら「ちょっと待ってて」
まどか「あ、ほむらちゃん」
マミ「あの掲示板見て…残りの公演、完売になったわ」
さやか「ええ!?そんなぁ…」
まどか「せっかく楽しみに…」
ほむら「まどか、お待たせ。五人分のチケットよ」
まどか「ほむらちゃんのおかげだね!ありがとう」
さやか「どんな手を使ったのやら」
杏子「なんにせよ入れたからいいじゃん」
マミ「それもこんな良い席なんて、恵まれすぎてるわ」
ほむら「映画は一番良い環境で観るに限るわ」
CM明け
マミ「始まったわ…ここからはお喋りは禁物よ」
さやか「集中集中」
杏子「…」ムギュムギュ
まどか「楽しみだねーほむらちゃん」
ほむら「そうね、まどか」
観賞後
さやか「ううう…」グスグス
杏子「ったく、どんだけ泣いてんだよ…ほら」
さやか「ありがと…」チーン
杏子「あ、こいつ!」
まどか「わたしも最後泣いちゃった…」グス
杏子「泣いてるヤツ多かったよな」
マミ「とても絵が綺麗だったわ」
さやか「話も曲も良かったです…」グスグス
ほむら「立ち話もなんだわ。どこかに寄りましょう?」
マミ「そうね、そこにカフェがあるわ」
カフェ
さやか「すっごく感動しました!」
まどか「最後、二人が声をかけたのが良かったね」
さやか「そう!秒速の時みたいに擦れ違いで終わるのかと思ってドキドキしたよ!」
マミ「とても綺麗な映像だったわ。今頃のアニメ映画ってみんなそうなの?」
さやか「新海誠監督作品は全部、めっちゃ絵が綺麗なんです!特に今回は神がかってました!」
マミ「そうなの…彗星のシーンなんて美しくて見惚れてしまったわ」
さやか「ですよね!ぶっちゃけ震えました!」
ほむら「…」ポチポチ
杏子「アクションシーンがなくて退屈だったけど、巫女さんの所なんか面白かったよな」
まどか「お酒ってあんな風に作ってたんだね、勉強になったよ」
さやか「その口噛み酒ってのが後に重要になってくるんだから!」
ほむら「…」
まどか「三葉ちゃんが3年前に亡くなってたのが衝撃的だったね…」
さやか「そうそう!二人が入れ替わるのはCMなんかで知ってたけど、その間が3年間ずれてたってのがガーンって!」
マミ「あれはやられたって思ったわ」
さやか「あの話の持って行き方が斬新だった~今まで観たことのない素晴らしい話だね」
ほむら「…」
杏子「大絶賛だな」
さやか「だって、絵は凄く綺麗だし、挿入歌も感動するし、話も凝ってて今までにない新しいストーリー展開だったし、泣けるし…今世紀最大の映画でしょ!これ!」
まどか「さやかちゃん、それはちょっと言い過ぎじゃあ…」
さやか「間違いない!あたしが今まで観た映画の中では最高だね」
ほむら「ふふふ…」
まどか「ほむらちゃん」
さやか「むっ」
さやか「暁美さん、何か言いたいことがあるのかな」
ほむら「いえ、ちょっと可笑しくて」
さやか「どういうこと!?」ダンッ
まどか「さやかちゃん…っ!」
マミ「二人とも、喧嘩はだめよ!」
杏子「そうだ、ちょっと落ち着けよ」
さやか「あ…みんな、ごめん」
ほむら「ごめんなさい…言い方が悪かったわね」
さやか「変に突っかかってごめん。でもさ、言いたいことがあったら言ってよ」
ほむら「そうね、美樹さん…あなたは先程『今まで観た映画の中ではベスト』って言ったけど、あなたは今までどれだけの作品を観てきたのかしら」
さやか「え。それは…ディズニーとかシンゴジラとか色々…」
ほむら「映画だけではないわ。本とか小説とか漫画とか…世の中にはたくさんの『作品』があるわ。あなたはどれだけそれに精通しているのかしら」
さやか「う…いや、そんなに観てないかもしれないけど!でも、傑作なのは間違いないよ」
ほむら「そうね、絵はとても素敵だった。それだけで映画館に足を運んだ価値があったわ」
さやか「絵…だけなの?」
ほむら「音楽は人それぞれだと思う。でも、私は挿入歌が多すぎた様に感じたわ。映画でクライマックスのシーンにあんな歌が入るのは邪道よ。主張しすぎ。ジブリの久石譲さんを見習うべきだわ」
マミ「それは私も思ったわ…ちょっと煩かったものね」
さやか「う…あたしは良いと思ったんだけど…」
ほむら「でも一番肝心なのはストーリーよ」
さやか「ストーリー、良かったじゃない。入れ替わりも面白かったし、三年のズレがあったのなんて尚更!」
ほむら「二人が入れ替わってそうそう、全く異なる環境での生活に馴染めるなんておかしい、というのは野暮なツッコミよ。だって、そういうものだと思って観るしかないんだから」
さやか「そ、そうだよ!」
ほむら「全然経験したことがないであろう都会の飲食店のバイトを初めてでそれなりにやってのけたり、そもそも『昨日のお前おかしかった』で済まされるレベルでジェンダーの転換を抑えられるのも、所詮リアリティの無いアニメだからと無理やり自分を納得させることが出来るわ」
さやか「え。あ…」
マミ「暁美さん…」
杏子「すげー」
ほむら「納得できないほど酷かったのは、3年のズレの部分よ」
さやか「え?なんで?」
ほむら「だいたい、3年間ズレてて何で気づかないの?」
さやか「え、そんなの、普通に生活してたら気づかないでしょ。夢の中で入れ替わってる、てのもあるし」
ほむら「いえいえ。考えてごらんなさい。普通に生活を送っていたら、テレビや新聞で年は確認できるでしょう。それに好きな音楽グループやアイドルの曲もタキは懐メロになるし、ミツハは知らない新曲が数曲。買い集めてる漫画や雑誌はどうかしら。見てるドラマやテレビ番組は」
さやか「…あ」
ほむら「あの二人はそういう『一般の高校生が持っているべき趣味』というものに全然興味を持っていないのかしら」
杏子「ありえねーな。あたしでも気づきそうだ」
マミ「そうよね、おかしいわね」
ほむら「それに、もし貴女が他の誰かと体が入れ替わるという超常現象に遭遇してごらんなさい。貴女ならどうする?」
さやか「どうする…状況を確認するかな…」
ほむら「そうよ。それから何度となく入れ替わる相手が『どこに住んでる誰なのか』を調べるのが普通でしょう。携帯電話にどうでも良い情報を入れたり日記につまらないことを書いたりする前に、お互いの情報交換をするでしょう」
杏子「そりゃそうだ」
まどか「言われてみればそうだね…」
マミ「あの二人の行動は不自然すぎるわ」
ほむら「登場人物の行動原理が全く理解できない。というより、この映画を作った人間は、作中の人物を『駒』としか見てないのよ。破綻したストーリーを進ませるだけの役しか与えられてないから、極端に頭が悪い行動しかしない。リアリティの欠片もない。私達が感情移入するなんて無理よ」
さやか「う…で、でも!アニメだし、現実じゃあないし、少しぐらいの無茶は…」
ほむら「リアルとリアリティは全く違うものよ。ドラゴンボールに『空なんて飛べない』『かめはめ破なんて撃てない』と批判する人は居ないわ。でも、スラムダンクのキャラが作中で空を飛んだらどうかしら」
マミ「つまりは作品ごとの決められたリアリティがあるってことね」
まどか「ルールとかハードルみたいなものかな…」
ほむら「そう。この君の名は。はあくまでも現実世界をベースに作られた作品ね。その中で起きる入れ替わりや彗星落下なんてのは、そういうファンタジー設定だと容認できる。でも、キャラクターの行動や心情の変化、物理法則などは現実に即したものであるべきよ」
杏子「あたしはタキが先輩とデートすることになって、ミツハが泣いたの所が意味分かんなかったなー」
マミ「私も唐突すぎて分からなかったわ。後で好きになってから流した涙と分かっても釈然としなかったわね」
ほむら「ご都合主義の連続は最後まで続くわ…もうイチイチ突っ込むのが嫌になるくらい脚本がお粗末なのだけれど」
さやか「…」ズーン
ほむら「このままでは帰れなくなるから、細かい所は…いえ、それは「普通の映画作品」なら致命的な部分なのだけれど、この作品レベルで細かい所は端折るわ」
まどか「そんなに酷かったんだね…」
ほむら「クライマックスに差し掛かると更に現実感の喪失は加速するわ。ミツハの友人はミツハが好き過ぎるが故に、全く説得力のない彗星の落下による町の滅亡というストーリーを何の疑いもなく受け入れてしまうの」
マミ「それで変電所を爆薬で爆破しちゃったのね」
杏子「あれって立派なテロだよなー」
マミ「もし彗星が落ちなかったら、彼の人生はどうなっていたのかしら…」
ほむら「彼が「ミツハが見たであろう未来」を共有するシーンが欲しい所ね。ミツハが知りえた未来を予言し、それが現実のものになるとか…でも、この監督と脚本家はよほど恋愛脳なのね。「好きならテロ行為もオールオッケー!」で突き進んだわ」
さやか「まどかー次はなんの映画観に行く?」
まどか「さやかちゃん、現実逃避しちゃダメだよ」
ほむら「まあ、私が言いたいのはこんなところよ」
マミ「あら、最後の二人が逢うシーンはいいのかしら」
ほむら「ええ、今までの酷い所に比べたらまだ可愛いものよ。どうでもいいわ」
まどか「あはは…」
ほむら「結論として、この映画は中学生ぐらいが観るには丁度いいくらいよ。本を殆ど読まない子供向けね」
まどか「すごいねーほむらちゃん」パチパチ
マミ(あなたも中学生でしょ!?)
さやか・杏子(あんたも中学生だろ!!)
ほむら「でも、世間の評論家様達も右に倣えというか、いい加減なものよ」
まどか「誰が、なんて言ってるの?」
ほむら「例えばグループSNE、SF作家の山○弘なんか、「ティアマト彗星の軌道が間違ってるよ」としか言えないなんて、SF作家の看板を今すぐ降ろすべきよ」
まみ「あらあら」
ほむら「山本○は今までトンデモ本の世界などで色んな作家をコケ降ろして笑いものにしてきたのに、この新海監督にはいやに優しいのね…彼の言うセンス・オブ・ワンダーもたかが知れてるわ」
杏子「ずいぶんと辛らつだな…」
ほむら「まあ所詮、山本某などは長いものにはまかれろの紛い物よ。それがハッキリしただけでも収穫だったわね」
ほむら「とにかく、こんなものが評価されてる今の日本はおかしいわ…」ブツブツ
まどか「あはは…ほむらちゃん?」
マミ「暁美さん?」
さやか「あーこんだけ言われても言い返せないあたしってホント馬鹿…」
杏子「さやかがどこで感動したのか全く分からないけど、一緒に居てやるよ。ひとりぼっちは寂しいからな…」
ほむら「決めた。この作品を根本から作り直してくるわ。まどか、力をちょうだい」グイッ
まどか「ほむらちゃ…ひゃいっ?」
さやか「あ!こらこのバカ悪魔!」ダッ
まどか「あれ?ほむらちゃん…」
マミ「暁美さんが消えた…?」
杏子「どうなってんだ」
さやか「遅かった…っ!」
ほむら「というわけでこの「君の名は。」という駄作を書き換えに来たわ」
ほむら「タイムパラドックスも解決させて…ストーリーの整合性もとって…」
ほむら「あら、この話、どこかで見たことあるわね」
ほむら「まあ良いわ。だって、先程のストーリーはあまりにも酷過ぎて鼻血が出そうだったもの…」
ほむら「ちょいちょい…これは今日は徹夜ね」
改変後
まどか「うーん、どうだった?」
さやか「なーんか退屈過ぎて、途中で寝ちゃったよ」
杏子「あたしら以外人居なかったし、これやばいんじゃねーの?」
マミ「全然売れてないみたい、やっぱり新海誠監督らしいわね」
ほむら「…」
ほむら(おかしいわ、これで更に大ヒット間違いなしのはずだったのに)
ほむら(公開2週目で興行収入1億円行くか行かないかくらい)
ほむら(人の世は…何がウケるのか分からないわね)
ほむら「もう映画はこりごりよ…」
まどか「ほむらちゃん、次は何観に行く?」
ほむら「まどかが観るものなら何でもいいわ!」
おしまい
これでこの話は終わりです。最後まで付き合っていただいた皆さん、誠にありがとうございました!
私は新海監督作品は今まで殆ど観てきていますが、今回はお話があまりにも酷かったので、勢いで書いてしまいました。
あまり名作と言われる作品を見てきていない若い人に受けているんだと思いますが、やはりこれだけ絶大な評価を与える人が多いというのは少し異常だと感じてしまい、怖くなってしまいました。
まあ、自分の感性が一般人とかけ離れているのかも知れません。
では、また別のSSでお会いできればと思います。ありがとうございました。
元スレ
SS速報VIP:まどか「ほむらちゃん、君の名は。観に行こうよ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473700589/
学校 放課後
さやか「まどか、杏子、お待たせ。帰ろっか」
まどか「うん」
杏子「今日もどっか寄ってく?」
さやか「そうそう、まどかと話してたんだけどー」
まどか「杏子ちゃん、今から映画観に行こうよ」
杏子「えいがー?こないだシンゴジラ観たばっかじゃん」
まどか「それがね、今すっごく人気のがやってるんだって!」
さやか「連日満員で行列まで出来てるらしいよ!」
杏子「ふえー」
まどか「マミさんとほむらちゃんも誘って行こう?」ポチッ
3: ◆VXgvBvozh2 2016/09/13(火) 02:18:07.54 ID:EWP/cFsL0
さやか「マミさんはいいけど暁美さんも誘うの~?」
杏子「大勢で行った方が楽しいだろ」
まどか「…あ、ほむらちゃん?今日って用事ある?」
さやか「そんじゃあマミさんにはこちらから電話しときますか」ポチ
まどか「ないんだ!だったら、君の名は。観に行こうよ!」
4: ◆VXgvBvozh2 2016/09/13(火) 02:19:13.59 ID:EWP/cFsL0
マミ「今日はなぎさちゃんが来ない日だからちょうど良かったわ」
さやか「マミさん、ハンカチ多めに持って行った方がいいですよ」
マミ「あら、どうして?」
さやか「めちゃ泣けるらしいですよ!」
杏子「ほんとかよ~」
まどか「あ、ほむらちゃん!」
ほむら「まどか。誘ってくれてありがとう」
杏子「よーほむら」
マミ「暁美さんもアニメ好きなのね、意外だわ」
ほむら「好きというほどでは…」
さやか「あたしなんか今日のために新海監督の作品全部観てきたからね!」
杏子「ああ、あれがそうだったんだな」
まどか「でも、楽しみだなー」
5: ◆VXgvBvozh2 2016/09/13(火) 02:19:46.97 ID:EWP/cFsL0
映画館
さやか「うえ…すごい人」
マミ「これみんなアニメ映画を目的に来た人たちなの?」
杏子「席とれるのかよ」
まどか「難しそうだね…」
ほむら「ちょっと待ってて」
まどか「あ、ほむらちゃん」
マミ「あの掲示板見て…残りの公演、完売になったわ」
さやか「ええ!?そんなぁ…」
まどか「せっかく楽しみに…」
ほむら「まどか、お待たせ。五人分のチケットよ」
6: ◆VXgvBvozh2 2016/09/13(火) 02:20:20.57 ID:EWP/cFsL0
まどか「ほむらちゃんのおかげだね!ありがとう」
さやか「どんな手を使ったのやら」
杏子「なんにせよ入れたからいいじゃん」
マミ「それもこんな良い席なんて、恵まれすぎてるわ」
ほむら「映画は一番良い環境で観るに限るわ」
CM明け
マミ「始まったわ…ここからはお喋りは禁物よ」
さやか「集中集中」
杏子「…」ムギュムギュ
まどか「楽しみだねーほむらちゃん」
ほむら「そうね、まどか」
7: ◆VXgvBvozh2 2016/09/13(火) 02:20:52.55 ID:EWP/cFsL0
観賞後
さやか「ううう…」グスグス
杏子「ったく、どんだけ泣いてんだよ…ほら」
さやか「ありがと…」チーン
杏子「あ、こいつ!」
まどか「わたしも最後泣いちゃった…」グス
杏子「泣いてるヤツ多かったよな」
マミ「とても絵が綺麗だったわ」
さやか「話も曲も良かったです…」グスグス
ほむら「立ち話もなんだわ。どこかに寄りましょう?」
マミ「そうね、そこにカフェがあるわ」
8: ◆VXgvBvozh2 2016/09/13(火) 02:22:14.13 ID:EWP/cFsL0
カフェ
さやか「すっごく感動しました!」
まどか「最後、二人が声をかけたのが良かったね」
さやか「そう!秒速の時みたいに擦れ違いで終わるのかと思ってドキドキしたよ!」
マミ「とても綺麗な映像だったわ。今頃のアニメ映画ってみんなそうなの?」
さやか「新海誠監督作品は全部、めっちゃ絵が綺麗なんです!特に今回は神がかってました!」
マミ「そうなの…彗星のシーンなんて美しくて見惚れてしまったわ」
さやか「ですよね!ぶっちゃけ震えました!」
ほむら「…」ポチポチ
9: ◆VXgvBvozh2 2016/09/13(火) 02:23:41.59 ID:EWP/cFsL0
杏子「アクションシーンがなくて退屈だったけど、巫女さんの所なんか面白かったよな」
まどか「お酒ってあんな風に作ってたんだね、勉強になったよ」
さやか「その口噛み酒ってのが後に重要になってくるんだから!」
ほむら「…」
まどか「三葉ちゃんが3年前に亡くなってたのが衝撃的だったね…」
さやか「そうそう!二人が入れ替わるのはCMなんかで知ってたけど、その間が3年間ずれてたってのがガーンって!」
マミ「あれはやられたって思ったわ」
さやか「あの話の持って行き方が斬新だった~今まで観たことのない素晴らしい話だね」
ほむら「…」
杏子「大絶賛だな」
さやか「だって、絵は凄く綺麗だし、挿入歌も感動するし、話も凝ってて今までにない新しいストーリー展開だったし、泣けるし…今世紀最大の映画でしょ!これ!」
まどか「さやかちゃん、それはちょっと言い過ぎじゃあ…」
さやか「間違いない!あたしが今まで観た映画の中では最高だね」
ほむら「ふふふ…」
まどか「ほむらちゃん」
さやか「むっ」
13: ◆VXgvBvozh2 2016/09/13(火) 23:40:53.35 ID:EWP/cFsL0
さやか「暁美さん、何か言いたいことがあるのかな」
ほむら「いえ、ちょっと可笑しくて」
さやか「どういうこと!?」ダンッ
まどか「さやかちゃん…っ!」
マミ「二人とも、喧嘩はだめよ!」
杏子「そうだ、ちょっと落ち着けよ」
さやか「あ…みんな、ごめん」
ほむら「ごめんなさい…言い方が悪かったわね」
さやか「変に突っかかってごめん。でもさ、言いたいことがあったら言ってよ」
ほむら「そうね、美樹さん…あなたは先程『今まで観た映画の中ではベスト』って言ったけど、あなたは今までどれだけの作品を観てきたのかしら」
さやか「え。それは…ディズニーとかシンゴジラとか色々…」
ほむら「映画だけではないわ。本とか小説とか漫画とか…世の中にはたくさんの『作品』があるわ。あなたはどれだけそれに精通しているのかしら」
さやか「う…いや、そんなに観てないかもしれないけど!でも、傑作なのは間違いないよ」
ほむら「そうね、絵はとても素敵だった。それだけで映画館に足を運んだ価値があったわ」
さやか「絵…だけなの?」
ほむら「音楽は人それぞれだと思う。でも、私は挿入歌が多すぎた様に感じたわ。映画でクライマックスのシーンにあんな歌が入るのは邪道よ。主張しすぎ。ジブリの久石譲さんを見習うべきだわ」
マミ「それは私も思ったわ…ちょっと煩かったものね」
さやか「う…あたしは良いと思ったんだけど…」
14: ◆VXgvBvozh2 2016/09/13(火) 23:45:00.07 ID:EWP/cFsL0
ほむら「でも一番肝心なのはストーリーよ」
さやか「ストーリー、良かったじゃない。入れ替わりも面白かったし、三年のズレがあったのなんて尚更!」
ほむら「二人が入れ替わってそうそう、全く異なる環境での生活に馴染めるなんておかしい、というのは野暮なツッコミよ。だって、そういうものだと思って観るしかないんだから」
さやか「そ、そうだよ!」
ほむら「全然経験したことがないであろう都会の飲食店のバイトを初めてでそれなりにやってのけたり、そもそも『昨日のお前おかしかった』で済まされるレベルでジェンダーの転換を抑えられるのも、所詮リアリティの無いアニメだからと無理やり自分を納得させることが出来るわ」
さやか「え。あ…」
マミ「暁美さん…」
杏子「すげー」
ほむら「納得できないほど酷かったのは、3年のズレの部分よ」
26: ◆VXgvBvozh2 2016/09/13(火) 23:50:35.59 ID:EWP/cFsL0
さやか「え?なんで?」
ほむら「だいたい、3年間ズレてて何で気づかないの?」
さやか「え、そんなの、普通に生活してたら気づかないでしょ。夢の中で入れ替わってる、てのもあるし」
ほむら「いえいえ。考えてごらんなさい。普通に生活を送っていたら、テレビや新聞で年は確認できるでしょう。それに好きな音楽グループやアイドルの曲もタキは懐メロになるし、ミツハは知らない新曲が数曲。買い集めてる漫画や雑誌はどうかしら。見てるドラマやテレビ番組は」
さやか「…あ」
ほむら「あの二人はそういう『一般の高校生が持っているべき趣味』というものに全然興味を持っていないのかしら」
杏子「ありえねーな。あたしでも気づきそうだ」
マミ「そうよね、おかしいわね」
27: ◆VXgvBvozh2 2016/09/13(火) 23:54:35.57 ID:EWP/cFsL0
ほむら「それに、もし貴女が他の誰かと体が入れ替わるという超常現象に遭遇してごらんなさい。貴女ならどうする?」
さやか「どうする…状況を確認するかな…」
ほむら「そうよ。それから何度となく入れ替わる相手が『どこに住んでる誰なのか』を調べるのが普通でしょう。携帯電話にどうでも良い情報を入れたり日記につまらないことを書いたりする前に、お互いの情報交換をするでしょう」
杏子「そりゃそうだ」
まどか「言われてみればそうだね…」
マミ「あの二人の行動は不自然すぎるわ」
ほむら「登場人物の行動原理が全く理解できない。というより、この映画を作った人間は、作中の人物を『駒』としか見てないのよ。破綻したストーリーを進ませるだけの役しか与えられてないから、極端に頭が悪い行動しかしない。リアリティの欠片もない。私達が感情移入するなんて無理よ」
さやか「う…で、でも!アニメだし、現実じゃあないし、少しぐらいの無茶は…」
ほむら「リアルとリアリティは全く違うものよ。ドラゴンボールに『空なんて飛べない』『かめはめ破なんて撃てない』と批判する人は居ないわ。でも、スラムダンクのキャラが作中で空を飛んだらどうかしら」
28: ◆VXgvBvozh2 2016/09/13(火) 23:57:13.16 ID:EWP/cFsL0
マミ「つまりは作品ごとの決められたリアリティがあるってことね」
まどか「ルールとかハードルみたいなものかな…」
ほむら「そう。この君の名は。はあくまでも現実世界をベースに作られた作品ね。その中で起きる入れ替わりや彗星落下なんてのは、そういうファンタジー設定だと容認できる。でも、キャラクターの行動や心情の変化、物理法則などは現実に即したものであるべきよ」
杏子「あたしはタキが先輩とデートすることになって、ミツハが泣いたの所が意味分かんなかったなー」
マミ「私も唐突すぎて分からなかったわ。後で好きになってから流した涙と分かっても釈然としなかったわね」
ほむら「ご都合主義の連続は最後まで続くわ…もうイチイチ突っ込むのが嫌になるくらい脚本がお粗末なのだけれど」
さやか「…」ズーン
37: ◆VXgvBvozh2 2016/09/16(金) 23:40:27.30 ID:5ko0P1FT0
ほむら「このままでは帰れなくなるから、細かい所は…いえ、それは「普通の映画作品」なら致命的な部分なのだけれど、この作品レベルで細かい所は端折るわ」
まどか「そんなに酷かったんだね…」
ほむら「クライマックスに差し掛かると更に現実感の喪失は加速するわ。ミツハの友人はミツハが好き過ぎるが故に、全く説得力のない彗星の落下による町の滅亡というストーリーを何の疑いもなく受け入れてしまうの」
マミ「それで変電所を爆薬で爆破しちゃったのね」
杏子「あれって立派なテロだよなー」
マミ「もし彗星が落ちなかったら、彼の人生はどうなっていたのかしら…」
ほむら「彼が「ミツハが見たであろう未来」を共有するシーンが欲しい所ね。ミツハが知りえた未来を予言し、それが現実のものになるとか…でも、この監督と脚本家はよほど恋愛脳なのね。「好きならテロ行為もオールオッケー!」で突き進んだわ」
さやか「まどかー次はなんの映画観に行く?」
まどか「さやかちゃん、現実逃避しちゃダメだよ」
38: ◆VXgvBvozh2 2016/09/16(金) 23:41:24.59 ID:5ko0P1FT0
ほむら「まあ、私が言いたいのはこんなところよ」
マミ「あら、最後の二人が逢うシーンはいいのかしら」
ほむら「ええ、今までの酷い所に比べたらまだ可愛いものよ。どうでもいいわ」
まどか「あはは…」
ほむら「結論として、この映画は中学生ぐらいが観るには丁度いいくらいよ。本を殆ど読まない子供向けね」
まどか「すごいねーほむらちゃん」パチパチ
マミ(あなたも中学生でしょ!?)
さやか・杏子(あんたも中学生だろ!!)
39: ◆VXgvBvozh2 2016/09/16(金) 23:42:09.23 ID:5ko0P1FT0
ほむら「でも、世間の評論家様達も右に倣えというか、いい加減なものよ」
まどか「誰が、なんて言ってるの?」
ほむら「例えばグループSNE、SF作家の山○弘なんか、「ティアマト彗星の軌道が間違ってるよ」としか言えないなんて、SF作家の看板を今すぐ降ろすべきよ」
まみ「あらあら」
ほむら「山本○は今までトンデモ本の世界などで色んな作家をコケ降ろして笑いものにしてきたのに、この新海監督にはいやに優しいのね…彼の言うセンス・オブ・ワンダーもたかが知れてるわ」
杏子「ずいぶんと辛らつだな…」
ほむら「まあ所詮、山本某などは長いものにはまかれろの紛い物よ。それがハッキリしただけでも収穫だったわね」
40: ◆VXgvBvozh2 2016/09/16(金) 23:43:03.77 ID:5ko0P1FT0
ほむら「とにかく、こんなものが評価されてる今の日本はおかしいわ…」ブツブツ
まどか「あはは…ほむらちゃん?」
マミ「暁美さん?」
さやか「あーこんだけ言われても言い返せないあたしってホント馬鹿…」
杏子「さやかがどこで感動したのか全く分からないけど、一緒に居てやるよ。ひとりぼっちは寂しいからな…」
ほむら「決めた。この作品を根本から作り直してくるわ。まどか、力をちょうだい」グイッ
まどか「ほむらちゃ…ひゃいっ?」
さやか「あ!こらこのバカ悪魔!」ダッ
まどか「あれ?ほむらちゃん…」
マミ「暁美さんが消えた…?」
杏子「どうなってんだ」
さやか「遅かった…っ!」
41: ◆VXgvBvozh2 2016/09/16(金) 23:43:47.23 ID:5ko0P1FT0
ほむら「というわけでこの「君の名は。」という駄作を書き換えに来たわ」
ほむら「タイムパラドックスも解決させて…ストーリーの整合性もとって…」
ほむら「あら、この話、どこかで見たことあるわね」
ほむら「まあ良いわ。だって、先程のストーリーはあまりにも酷過ぎて鼻血が出そうだったもの…」
ほむら「ちょいちょい…これは今日は徹夜ね」
42: ◆VXgvBvozh2 2016/09/16(金) 23:44:52.86 ID:5ko0P1FT0
改変後
まどか「うーん、どうだった?」
さやか「なーんか退屈過ぎて、途中で寝ちゃったよ」
杏子「あたしら以外人居なかったし、これやばいんじゃねーの?」
マミ「全然売れてないみたい、やっぱり新海誠監督らしいわね」
ほむら「…」
ほむら(おかしいわ、これで更に大ヒット間違いなしのはずだったのに)
ほむら(公開2週目で興行収入1億円行くか行かないかくらい)
ほむら(人の世は…何がウケるのか分からないわね)
ほむら「もう映画はこりごりよ…」
まどか「ほむらちゃん、次は何観に行く?」
ほむら「まどかが観るものなら何でもいいわ!」
おしまい
43: ◆VXgvBvozh2 2016/09/16(金) 23:46:33.53 ID:5ko0P1FT0
これでこの話は終わりです。最後まで付き合っていただいた皆さん、誠にありがとうございました!
44: ◆VXgvBvozh2 2016/09/16(金) 23:55:52.50 ID:5ko0P1FT0
私は新海監督作品は今まで殆ど観てきていますが、今回はお話があまりにも酷かったので、勢いで書いてしまいました。
あまり名作と言われる作品を見てきていない若い人に受けているんだと思いますが、やはりこれだけ絶大な評価を与える人が多いというのは少し異常だと感じてしまい、怖くなってしまいました。
まあ、自分の感性が一般人とかけ離れているのかも知れません。
では、また別のSSでお会いできればと思います。ありがとうございました。
SS速報VIP:まどか「ほむらちゃん、君の名は。観に行こうよ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473700589/