過去作
凛「あ、プロデューサーからメール…」
P「加蓮の親愛度がMAXになった」
フレデリカ「プロデューサー、甘々のフレデリカはいかが?」
モバP「ん、凛からメール…」
モバP「甘々フレデリカを頂いています」
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:13:50.04 ID:ce7+oxll0
凛「あ、プロデューサーからメール…」
P「加蓮の親愛度がMAXになった」
フレデリカ「プロデューサー、甘々のフレデリカはいかが?」
モバP「ん、凛からメール…」
モバP「甘々フレデリカを頂いています」
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:13:50.04 ID:ce7+oxll0
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:17:23.28 ID:ce7+oxll0
鍵括弧無しの文章は奏のセリフになります
読みづらかったらごめんね
書き溜めあります
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:19:55.33 ID:ce7+oxll0
Pさん、お疲れ様。
お酒とか、飲んでないよね?
うん、まぁ信用してるけど、一応。
楓さんとか、結構飲んでたみたいだったし。
……ね、車出す前に少しお話してもいい?
…………ふふっ、女がこういうこと言ったら、何かあるに決まってるでしょ?
うん。Pさんならそう言ってくれると思ってた。
えっと、私の宝物の話、かしら。
そう、宝物。
この話はPさん以外には絶対しないから、よーく聞いてよね?
え?ふふっ、意味は自分で考えて。
私の宝物はね、化粧ポーチの左のポケットの中。何だと思う?
あ、惜しい。正解はほら、これ。ただのリップスティック。
唇のケアは大切だしね。いつも最高の状態にしておきたいの。
ふふっ、Pさんも私の唇、好きよね?いつもチラッて見るでしょ。
ちゃんとその視線、気付いてるんだから。
……ね、今なら奪ってもいいよ?
あら、残念。
……で、このリップスティックの話。
これはちょっと特別でね。使うといつも失敗しちゃうの。
失敗しなかったこと、ないくらいかもしれない。
うん、それくらい私にとっては、ちょっと曰く付きのアイテム。
その、今日のLIVEは大成功だったから、私の失敗について話しても帳消しかな、って。
うん、ありがと。
まず私について、ね。
前にも言ったけど、学校では結構マジメで通ってるの。
うん。成績も上から数えたほうが早いし、素行も悪くないし。
三者面談の時なんて、先生に模範生だって言われたくらいなんだから。
そ、つまりいい子ちゃんなの。
え?ふふっ、ピアスなんて今時悪くもなんともないよ。
それにある程度は飾らないと、女の社会は大変なの。
はい、ここで問題。私の趣味は何でしょう?
ふふっ、簡単過ぎたね。
そ、映画鑑賞。じゃ、好きな映画のジャンルは?
………なんで当てちゃうかな。もう……
ううん、こっちの話。でも恋愛映画だけは苦手なの。恥ずかしくて見てらんない。
ほら、ベッドシーンとか濃厚な絡みとか多いでしょ?
歯の浮くような台詞が飛び交うし、ちょっと、ね。
さて、映画で私が一番好きなシーンと言えば?
ふふっ、そう。キスシーン。
彫刻みたいに整った顔の俳優と女優が、相手を世界で一番愛おしい存在みたいな目で見つめ合いながら、唇を重ねるのを見るの、大好き。
こんな光悦した顔で、お互いの視線がこう………
え、やめて欲しい?
ま、真面目ちゃんの速水奏の趣味は映画鑑賞。
特にキスシーンが好き。
夜、ベッドで思い出して、自分の唇とか、いろいろ弄っちゃうくらい……
え、これもダメ?
Pさんは私の一人遊び話には興味無し、かぁ。残念。
あ、ちなみにそのお陰で胸とかお尻とか、結構大きく……
ふふっ、ごめん、からかっただけ。
とにかく、昔からキスには興味津々だったってわけ。
で、このリップの話、ね。
何かの映画を見た帰りだったかな?
女優の唇がすごく艶やかで、キスシーンでは月光が唇を照らして揺らいでて。
青白い光が俳優さんの口元まで滑り込んでいくみたいで。
うん、今でもよく覚えてる。
私もあんな風に、みたいにちょっと思って、ほら、事務所の通りの雑貨屋さん。
あそこでリップ試してて、出会ったのがコレ。
ふふっ、この後はPさんも知ってるよね?
奏(……あの人、こっちチラチラ見てる……)
奏(………視線は、私の唇?)
奏(もしかしていい感じ、なのかしら)
奏(ふふっ、これ買っちゃおうかな)
奏(あ、でもこっちのも……)
P「あの、君、ちょっといいかな?」
奏(………話しかけてきた)
奏(ナンパ……にしてはやる気ないわよね)
奏「はい?何か?」
P「うん。えっと、アイドルとか興味無い、かな?」
奏「…………え?」
P「こういう者です。ほら、そこの角のアイドル事務所、あそこでプロデューサーやってるんだけど……」
奏「あ、スカウト?」
P「ま、そういうこと。興味があれば是非、話だけでも」
奏「え、そんな急に言われても……」
P「あ、いや、別に急がないよ、大丈夫」
P「名刺の裏にQRコードとかあるから、うちのこと調べてからでもいいし」
奏「シンデレラガールズプロジェクト……ふーん」
P「うん。気が向いたらここの番号に…」
奏「ね、なんで私に?」
P「え?あぁ、鏡を覗き込む感じとか、すごく様になってたからさ。顔立ちも綺麗だし……」
奏「ダウト」
P「へ?」
奏「お兄さんが見てたのは、私の唇、よね?」
P「……ああ、口元が際立って魅力的だと思う。女優かと思ったくらいだよ」
奏「…魅力的ってどんな感じで?」
P「うーん、こう吸い寄せられるような感じ、かな」
奏「つまり、キスしたくなるような、ってこと?」
P「ま、まぁそうとも言うな。自然と目が唇を追っちゃう、と言うか」
奏「ふーん……」
奏「お兄さん、私とキスしたい?」
P「え、あ、いや、それくらい魅力的ってだけで俺は」
奏「ふふっ、冗談よ。このリップのお陰かしらね」
奏「でもこれ、近くで見ると光り方がイマイチな気がするんだけど」
P「ん、そうかな?よく合ってると思うけど」
奏「そう?じゃ、ちょっと近くで見てみてよ」
P「え、ああ……」
P「うん、そんなことないと思う。いい感じだよ」
奏「ならいいかな」
P「うん、よく似合って……」
グイッ
P「え?」
奏「捕まえた」
ちゅっ
P「………え」
P「な、な、な、」
奏「ん、いいかも。じゃ会計してこよっと」
奏「お兄さん、アイドルの件は考えとくね、前向きに」ヒラヒラ
ふふっ、あの時のPさん可愛かったよ?
顔真っ赤で、口パクパクさせちゃって。
ね、Pさんってもしかして童貞?
え、いいじゃないそれくらい。ケチ。
そうなんだ。
ううん、いいと思う。真面目で誠実なPさんだもん。
逆に遊んでたりしたら、ガッカリだったかも。
じゃ、私からも。
その、次に言うこと、嘘じゃないから。
信じてくれる?
ふふっ、ありがと。
ふぅ……えっとね。
実はアレ、私も初めてのキスだったのよ。
あ、ほら信じてない。
うん、彼氏、いたことはあるよ。
ちょっと恋人ごっこみたいなこと、してみたかった時期もあったし。
でも手繋いで、なんとなく雰囲気ができてきて、いざキスってなると、なんかね。
自分で理想上げすぎたのかな。なんか自分の唇が勿体無いって思っちゃって。
そんなこんなでそれ以上先までは行けなかったの。
だから、私もPさんと一緒。
んー、なんであんなことしたのかって聞かれると、私もちょっとよくわからないの。
衝動的、うん、それかもね。
なんか覗き込まれた時、あ、この人ならって思えて。
欲しくなっちゃったのよ。
あ、ちなみにそのとき以来、しばらくはPさんの唇を思い出しながら夜は一人遊びして……
ふふっ、ホントからかい甲斐あるんだから。
これが、最初の失敗。
二度目は……事務所で面接したとき、ね。
………えっと、あのときは、ごめんね?
社長「なるほど。学業との兼ね合いは大丈夫かい?」
奏「学校はなんとかなると思います。今も成績はいいですし、覚えるのは得意なんです」
社長「そうかそうか。まぁ君がやりたいというなら大歓迎だ」
社長「決して楽ではないとは思うが、是非、トップアイドルを目指してみて欲しい」
社長「どれ、そろそろP君が戻って………」
P「只今戻りました。……あ、この間の」
社長「お、丁度良い所に。こちらがうちのプロデューサーのP君」
社長「スカウトは彼だったよね?P君、速水奏君だ」
P「えっと、どうも、Pです」
社長「ほらシャキッとしたまえ。速水君、君がもしうちの事務所に入れば、彼が君のプロデューサーになるよ」
奏「あなたが私の……?」
社長「ほら、君からも何か」
P「は、はい。えっと、君ならトップアイドル、目指せる素質があると思う」
P「君さえよければ是非、俺の見込みを信じてプロデュースさせて欲しいんだ」
奏「……うーん、どうしようかなぁ」
P「一緒にアイドル、やってみないか?シンデレラストーリー、作ってみよう」
奏「そうねぇ…」
奏「じゃあ…今、この間みたいにキスしてくれたらなってもいいよ。どう?」
P「………………あ、え?ええ!?」
社長「………P君、少し話を」
P「え、いや誤解です誤解です、ちょっと……」
奏「…なんてね。冗談です。ふふっ! 」
社長「P君、本当に……」
P「だからほら社長、冗談だって………」
奏「ごめんなさい。私、アイドルやってみようと思います」
P「ホ、ホントか!?」
奏「はい。宜しくお願いします、社長さん、プロデューサーさん」
社長「おお、そうかそうか!」
社長「それじゃあ………あ、ちひろ君は今日は流通か」
社長「P君、ちょっと事務所を案内してあげてくれ」
社長「私は局の方に用があるから外すが、くれぐれも変な事はしないように……」
P「し、しませんってば!」
社長「まぁそれは後でまた話そうじゃないか。さて、それでは頼んだよ」
P「はい、行ってらっしゃい………はぁ………」
P「えっと、それじゃあ速水、よろしくな」
奏「奏でいいよ。なんか『速水』って呼ばれると学校みたいで嫌」
P「わかった。よろしくな、奏。まぁ俺の事は好きに呼んでくれ」
P「じゃ、事務所だけどまずこっちに……」
・・・
P「…こんなとこかな。どうだ?」
奏「うん、大丈夫。ちょっと座ってもいい?緊張して疲れちゃったみたい」
P「ははは、いいぞ。意外だな、もっと飄々としてるのかと」
奏「……見えないかもしれないけど、私だって緊張くらいするわよ」
奏「ね、Pさんも座って?質問もあるし、これからのこと、少し話したいの」
P「おう。なんでも答えるよ」
奏「…うん、こんなものかしら」
P「よし。それじゃあ奏、これから一緒に頑張っていこう」
奏「……一緒に、ってどれくらい一緒に仕事することになるの?」
P「うーん、具体的には言い辛いけど、うちはマネージャー業務も殆どプロデューサーがやったりするからなぁ」
P「レッスン日以外は割と付きっきりかもな」
奏「ふーん、そっか………」
奏「あ、Pさん襟元になんか付いてる」
P「え?………よっ、よっ……取れた?」
奏「全然。取ってあげるからこっち来て?」
P「お、おう……なぁ、何が付いてるんだ?」
奏「何も?」
P「……へ?」
奏「でも、ほら、捕まえた」
P「………え、お、おい奏、この間みたいなのはもう……」
奏「うん、あれはしない」
奏「ね、Pさん」
P「ん、ん?な、なんだ?」
奏「私、舌長いの」
P「?」
奏「多分、すごいよ」
ちゅっ
奏「………んっ」
ちゅるっ
れろっ、じゅるぅっ
じゅぱっ
P「っ、ちょ、ちょ」
奏「……いいね、これ」
れろぉ、ちゅっ
ちゅぅっ、れろっ、じゅぷっ
奏「すっごい。病みつきになりそう」
ちゅぅ、ちゅぅぅぅ
じゅぷ、れろ、れろっ
ちゅるっ
奏「ね、Pさんも舌………」
奏「あれ?」
P「」
あ、あの時の感想聞いてなかったよね。どうだった?
いいじゃない、良かったでしょ?
そう?私はもう、あの日の夜は布団にすぐ潜って一晩中………
ふふっ♪
実はPさんも思い出してしてたりして?
……あら、図星、だったりする?
え、そんなわけないでしょ。男はPさんとしかキスしたことないよ。
あ、あはは……まぁその、法子ちゃんとか、口元にチョコとかつけてると、その、ね?
そうそう。
実はあの時もこのリップしてたの。
あ、わかってきた?
で、えっと、三回目………
ごめん、この後は多すぎて私も覚えてないわね。
奏「ね、Pさん」
P「んー?」
奏「アイドルがキスマークつけて出勤したらどうなるの?」
P「は、はぁ!?お前、アイドルなんだからそんな……」
奏「あ、こうなるのね。ふふっ」
ちひろ「あの、スキャンダルは本当にやめてね?お金、飛んで行っちゃうから」
奏「大丈夫。ちひろさん、じゃあプロデューサーがキスマークつけて出勤してきたら?」
ちひろ「まぁ、アイドルに比べたら全然セーフだけど……ちょっと荒れる、かな?」
奏「ふーん………」
奏「一回やってみよっか」
P「は?」
奏「Pさん、首元失礼するね?」
ちゅぅっ
P「っ、え、おい」
ちゅぅっ
ちゅぅっ
ちゅぅっ
奏「ん、できた。あ、口元がお留守」
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ
P「んっ、んんっ!?」
奏「っぷはっ、ごちそうさま。じゃ、後は待つだけね」
ちひろ(………………銭の匂いだ………!)
・・・
みく「おっはよー!」
P「おう、おはようみく」
みく「Pチャン、今日もかわいいみくのために頑張って…」
みく「……………」
みく「に゛ゃ!!!???」
みく「ぴ、Pチャンがマーキングされとる!?」
みく「誰!?Pチャン、相手ァ誰や!!」
P「……………」
ちひろ(……………)プルプル
・・・
留美「おはようございます」
P「和久井さん、おはようございます」
留美「もう、留美でいいって言ってるのに」
留美「ねぇP君?今日のブラウス、少し変わったのを選んでみたんだけどどうかしら?」
留美「近づくとわかるけどほら、この襟のボタンが……」
留美「」
留美「」
留美「」
留美「あ、あの、P君?」
留美「その、あなたも、しゃ、社会人、なんだから、ね?」
留美「じょ、女性と、関係を、持つこと自体は、ひ、否定、しないけど、その、そういうのは、しっかりと、みえないように、ね」
留美「その、先輩としての、アドバイスというか、なんというか、」
P「………………」
ちひろ(やばい苦しい)プルプル
・・・・・
ゆかり「プロデューサーさん、この台本なんですけど…」
P「ん?………ああ、これな。ちょっと役に入り辛いか」
ゆかり「はい、その、『最愛の人が奪われるのを見つめる』なんて経験ないですし」
ゆかり「ちょっと想像がつかないというか…」
P「うーん、演技レッスンの時にベテトレさんに相談してみるか。あとはそうだなぁ………」
ガチャ
奏「おはようごさいます」
ゆかり「あ、おはようございます」
P「うーん………映画とか本を通じて………いや、でも……」
奏「Pさん、おはよう」
P「そういや明後日のレッスンの夕枠に………よし、それで……」
奏「………………」
奏「………………」
スタスタ
グイッ
P「あ」
ちゅぅぅぅぅぅぅっ
P「っぷはっ、おいこら奏!」
奏「挨拶はちゃんとしないとだめよ?」
ちゅっ
奏「ね?」
奏「あ、ちひろさんこの間の………」
スタスタ
P「………で、演技レッスンでだな」
ゆかり「いえ、もう結構です。また何かあれば聞きますので」
スタスタ
P「………………」
・・・・・
小梅「それで………後ろから…………ネズミが……………」
薫「」ガタガタガタガタ
珠美「」ガタガタガタガタ
P(ちびっこ怪談会……怯える幼女………)
P(いいゾー、これ)
P(………うーん、何か企画に………)
ちゅっ
P「っ!?」
P(く、首筋に……)
P(か、奏か?というか奏しかありえん!)
ちゅるっ
P「ひゃっ!?」
P(み、耳!?)
薫「せ、せんせぇ?どうしたの?」
P「あ、いや、なんでもないぞ、ははは」
ちゅっ
P「っ」
P(っ、く、暗くて見えない……ど、どこだ?)
ちゅっ
P(いや、そんなに早く動けるわけじゃない)
P(感触があったらすぐ振り向けば………)
ちゅっ
P(今だ!)
バッ
P「…………………」
奏「……………」
P(あっ)
奏「あら、いい男」
ちゅぅぅぅぅぅぅぅぅ
ちゅぱっ
P「お、おい、やめ」
奏「ふふっ、終わってから言われてもねー♪」ヒラヒラ
P「お、おい!!」
薫「ひゃっ!?せ、せんせぇ?」
P「あ……ご、ごめんな、続けてくれ」
珠美(は、はわ、はわわわわわわわわわわわ)
・・・・・
ねぇ、Pさんは私のこと、どんな子だと思ってる?
………ま、そうよね。
私も、客観的に見たらそうだと思う。
…こんなはずじゃ、なかったのに。
うん。
失敗、ね。
このリップスティックには、失敗の歴史しかないの。
毎回、私に失敗させてくれる。
なんでかしらね。
私、進んで失敗してたのかも。
やだ、泣いてないってば。
……優しいんだから。それで傷付く人もいるのに。
………一般論よ。今はそれが心地良いし。
………もう、鈍感ねぇ。
全部言わないとわからない、のよね。
ううん。今日は失敗しないって、決めたから。
純真な乙女の気持ち、全部受け取って?
まず、ごめんなさい。
いつもPさんが何も言わないのをいいことに、勝手にキスしたりして。
うーん、なんで、ねぇ。
さっきも言ったけど、一回目は衝動的な感じだったの。
……それ以降は、なんて言うのかしら。
私からのメッセージ、かな。
いつも、気持ちをいっぱい込めてしてたの。
伝わってた?
………うん。
ほら、失敗だらけ。
……………もう。
優しくされたらこれでいいって思っちゃうじゃない。
大丈夫。最後まで言わせて?
私はね。
きっとPさんが思ってるより、ずっと弱いのよ。
………ううん、Pさんのせいじゃない。
私が、失敗を受け入れちゃったから。
失敗すること、望んでたから。私の、せい。
私が知ってる速水奏はね。
真面目で、一途で、夢見がちな女の子なのよ。
でも、Pさんに、あなたに会えて。
初めて、私の目を見て、私が勝手に気にして、気に入ってたとこ、褒めてくれて。
勇気、貰っちゃったの。
だからって、ふしだらな女みたいになっちゃったのは、その、アレだけど。
キスする度、失敗して。
失敗して、失敗して、失敗して。
その積み重ねばっかりで。
でも失敗する度に、気持ちが強くなって。
失敗の数だけ伝えられなかった思いがあって。
失敗が、ちゃんと私の本当の気持ち、教えてくれたから。
今日の勇気はリップスティック抜き。
処女のくせに強がって、女の心なんて語ったりして、
これみよがしにキスするバカな私は、ちょっとお休み。
ちゃんと、私の知ってる速水奏になる。
……いいの。
お願い。最後まで、言わせて。
うん。
ごめんなさい。
あなたが見込んでくれて。
いっぱい、期待してくれて。
それに応えたくて、アイドルになって。
ちゃんと、なれたのに。
アイドルなのに。
プロデューサーのこと。
Pさんのこと。
あなたのこと。
きっと、初めて会ったあのときから。
ずっと、ずっと。もっと、もっと。
大好き、なんです。
おわり
最高です
乙
元スレ
速水奏「失敗だらけのリップスティック」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1350774491/
Pさん、お疲れ様。
お酒とか、飲んでないよね?
うん、まぁ信用してるけど、一応。
楓さんとか、結構飲んでたみたいだったし。
……ね、車出す前に少しお話してもいい?
…………ふふっ、女がこういうこと言ったら、何かあるに決まってるでしょ?
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:22:13.26 ID:ce7+oxll0
うん。Pさんならそう言ってくれると思ってた。
えっと、私の宝物の話、かしら。
そう、宝物。
この話はPさん以外には絶対しないから、よーく聞いてよね?
え?ふふっ、意味は自分で考えて。
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:25:13.95 ID:ce7+oxll0
私の宝物はね、化粧ポーチの左のポケットの中。何だと思う?
あ、惜しい。正解はほら、これ。ただのリップスティック。
唇のケアは大切だしね。いつも最高の状態にしておきたいの。
ふふっ、Pさんも私の唇、好きよね?いつもチラッて見るでしょ。
ちゃんとその視線、気付いてるんだから。
……ね、今なら奪ってもいいよ?
あら、残念。
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:27:48.00 ID:ce7+oxll0
……で、このリップスティックの話。
これはちょっと特別でね。使うといつも失敗しちゃうの。
失敗しなかったこと、ないくらいかもしれない。
うん、それくらい私にとっては、ちょっと曰く付きのアイテム。
その、今日のLIVEは大成功だったから、私の失敗について話しても帳消しかな、って。
うん、ありがと。
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:30:58.32 ID:ce7+oxll0
まず私について、ね。
前にも言ったけど、学校では結構マジメで通ってるの。
うん。成績も上から数えたほうが早いし、素行も悪くないし。
三者面談の時なんて、先生に模範生だって言われたくらいなんだから。
そ、つまりいい子ちゃんなの。
え?ふふっ、ピアスなんて今時悪くもなんともないよ。
それにある程度は飾らないと、女の社会は大変なの。
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:34:01.82 ID:ce7+oxll0
はい、ここで問題。私の趣味は何でしょう?
ふふっ、簡単過ぎたね。
そ、映画鑑賞。じゃ、好きな映画のジャンルは?
………なんで当てちゃうかな。もう……
ううん、こっちの話。でも恋愛映画だけは苦手なの。恥ずかしくて見てらんない。
ほら、ベッドシーンとか濃厚な絡みとか多いでしょ?
歯の浮くような台詞が飛び交うし、ちょっと、ね。
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:36:16.10 ID:ce7+oxll0
さて、映画で私が一番好きなシーンと言えば?
ふふっ、そう。キスシーン。
彫刻みたいに整った顔の俳優と女優が、相手を世界で一番愛おしい存在みたいな目で見つめ合いながら、唇を重ねるのを見るの、大好き。
こんな光悦した顔で、お互いの視線がこう………
え、やめて欲しい?
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:38:22.15 ID:ce7+oxll0
ま、真面目ちゃんの速水奏の趣味は映画鑑賞。
特にキスシーンが好き。
夜、ベッドで思い出して、自分の唇とか、いろいろ弄っちゃうくらい……
え、これもダメ?
Pさんは私の一人遊び話には興味無し、かぁ。残念。
あ、ちなみにそのお陰で胸とかお尻とか、結構大きく……
ふふっ、ごめん、からかっただけ。
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:42:29.93 ID:ce7+oxll0
とにかく、昔からキスには興味津々だったってわけ。
で、このリップの話、ね。
何かの映画を見た帰りだったかな?
女優の唇がすごく艶やかで、キスシーンでは月光が唇を照らして揺らいでて。
青白い光が俳優さんの口元まで滑り込んでいくみたいで。
うん、今でもよく覚えてる。
20: パンツは履こう!風邪をひくぞ! 2012/10/21(日) 08:49:18.36 ID:ce7+oxll0
私もあんな風に、みたいにちょっと思って、ほら、事務所の通りの雑貨屋さん。
あそこでリップ試してて、出会ったのがコレ。
ふふっ、この後はPさんも知ってるよね?
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:52:19.56 ID:ce7+oxll0
奏(……あの人、こっちチラチラ見てる……)
奏(………視線は、私の唇?)
奏(もしかしていい感じ、なのかしら)
奏(ふふっ、これ買っちゃおうかな)
奏(あ、でもこっちのも……)
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:55:21.35 ID:ce7+oxll0
P「あの、君、ちょっといいかな?」
奏(………話しかけてきた)
奏(ナンパ……にしてはやる気ないわよね)
奏「はい?何か?」
P「うん。えっと、アイドルとか興味無い、かな?」
奏「…………え?」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:00:06.24 ID:ce7+oxll0
P「こういう者です。ほら、そこの角のアイドル事務所、あそこでプロデューサーやってるんだけど……」
奏「あ、スカウト?」
P「ま、そういうこと。興味があれば是非、話だけでも」
奏「え、そんな急に言われても……」
P「あ、いや、別に急がないよ、大丈夫」
P「名刺の裏にQRコードとかあるから、うちのこと調べてからでもいいし」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:03:37.67 ID:ce7+oxll0
奏「シンデレラガールズプロジェクト……ふーん」
P「うん。気が向いたらここの番号に…」
奏「ね、なんで私に?」
P「え?あぁ、鏡を覗き込む感じとか、すごく様になってたからさ。顔立ちも綺麗だし……」
奏「ダウト」
P「へ?」
奏「お兄さんが見てたのは、私の唇、よね?」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:11:38.79 ID:ce7+oxll0
P「……ああ、口元が際立って魅力的だと思う。女優かと思ったくらいだよ」
奏「…魅力的ってどんな感じで?」
P「うーん、こう吸い寄せられるような感じ、かな」
奏「つまり、キスしたくなるような、ってこと?」
P「ま、まぁそうとも言うな。自然と目が唇を追っちゃう、と言うか」
奏「ふーん……」
奏「お兄さん、私とキスしたい?」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:14:40.51 ID:ce7+oxll0
P「え、あ、いや、それくらい魅力的ってだけで俺は」
奏「ふふっ、冗談よ。このリップのお陰かしらね」
奏「でもこれ、近くで見ると光り方がイマイチな気がするんだけど」
P「ん、そうかな?よく合ってると思うけど」
奏「そう?じゃ、ちょっと近くで見てみてよ」
P「え、ああ……」
P「うん、そんなことないと思う。いい感じだよ」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:17:03.28 ID:ce7+oxll0
奏「ならいいかな」
P「うん、よく似合って……」
グイッ
P「え?」
奏「捕まえた」
ちゅっ
P「………え」
P「な、な、な、」
奏「ん、いいかも。じゃ会計してこよっと」
奏「お兄さん、アイドルの件は考えとくね、前向きに」ヒラヒラ
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:20:21.26 ID:ce7+oxll0
ふふっ、あの時のPさん可愛かったよ?
顔真っ赤で、口パクパクさせちゃって。
ね、Pさんってもしかして童貞?
え、いいじゃないそれくらい。ケチ。
そうなんだ。
ううん、いいと思う。真面目で誠実なPさんだもん。
逆に遊んでたりしたら、ガッカリだったかも。
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:23:49.52 ID:ce7+oxll0
じゃ、私からも。
その、次に言うこと、嘘じゃないから。
信じてくれる?
ふふっ、ありがと。
ふぅ……えっとね。
実はアレ、私も初めてのキスだったのよ。
あ、ほら信じてない。
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:26:51.54 ID:ce7+oxll0
うん、彼氏、いたことはあるよ。
ちょっと恋人ごっこみたいなこと、してみたかった時期もあったし。
でも手繋いで、なんとなく雰囲気ができてきて、いざキスってなると、なんかね。
自分で理想上げすぎたのかな。なんか自分の唇が勿体無いって思っちゃって。
そんなこんなでそれ以上先までは行けなかったの。
だから、私もPさんと一緒。
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:30:13.25 ID:ce7+oxll0
んー、なんであんなことしたのかって聞かれると、私もちょっとよくわからないの。
衝動的、うん、それかもね。
なんか覗き込まれた時、あ、この人ならって思えて。
欲しくなっちゃったのよ。
あ、ちなみにそのとき以来、しばらくはPさんの唇を思い出しながら夜は一人遊びして……
ふふっ、ホントからかい甲斐あるんだから。
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:33:33.25 ID:ce7+oxll0
これが、最初の失敗。
二度目は……事務所で面接したとき、ね。
………えっと、あのときは、ごめんね?
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:39:41.44 ID:ce7+oxll0
社長「なるほど。学業との兼ね合いは大丈夫かい?」
奏「学校はなんとかなると思います。今も成績はいいですし、覚えるのは得意なんです」
社長「そうかそうか。まぁ君がやりたいというなら大歓迎だ」
社長「決して楽ではないとは思うが、是非、トップアイドルを目指してみて欲しい」
社長「どれ、そろそろP君が戻って………」
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:42:42.58 ID:ce7+oxll0
P「只今戻りました。……あ、この間の」
社長「お、丁度良い所に。こちらがうちのプロデューサーのP君」
社長「スカウトは彼だったよね?P君、速水奏君だ」
P「えっと、どうも、Pです」
社長「ほらシャキッとしたまえ。速水君、君がもしうちの事務所に入れば、彼が君のプロデューサーになるよ」
奏「あなたが私の……?」
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:46:01.50 ID:ce7+oxll0
社長「ほら、君からも何か」
P「は、はい。えっと、君ならトップアイドル、目指せる素質があると思う」
P「君さえよければ是非、俺の見込みを信じてプロデュースさせて欲しいんだ」
奏「……うーん、どうしようかなぁ」
P「一緒にアイドル、やってみないか?シンデレラストーリー、作ってみよう」
奏「そうねぇ…」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:49:19.67 ID:ce7+oxll0
奏「じゃあ…今、この間みたいにキスしてくれたらなってもいいよ。どう?」
P「………………あ、え?ええ!?」
社長「………P君、少し話を」
P「え、いや誤解です誤解です、ちょっと……」
奏「…なんてね。冗談です。ふふっ! 」
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:52:20.53 ID:ce7+oxll0
社長「P君、本当に……」
P「だからほら社長、冗談だって………」
奏「ごめんなさい。私、アイドルやってみようと思います」
P「ホ、ホントか!?」
奏「はい。宜しくお願いします、社長さん、プロデューサーさん」
社長「おお、そうかそうか!」
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:55:54.53 ID:ce7+oxll0
社長「それじゃあ………あ、ちひろ君は今日は流通か」
社長「P君、ちょっと事務所を案内してあげてくれ」
社長「私は局の方に用があるから外すが、くれぐれも変な事はしないように……」
P「し、しませんってば!」
社長「まぁそれは後でまた話そうじゃないか。さて、それでは頼んだよ」
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:58:01.75 ID:ce7+oxll0
P「はい、行ってらっしゃい………はぁ………」
P「えっと、それじゃあ速水、よろしくな」
奏「奏でいいよ。なんか『速水』って呼ばれると学校みたいで嫌」
P「わかった。よろしくな、奏。まぁ俺の事は好きに呼んでくれ」
P「じゃ、事務所だけどまずこっちに……」
・・・
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:03:11.53 ID:ce7+oxll0
P「…こんなとこかな。どうだ?」
奏「うん、大丈夫。ちょっと座ってもいい?緊張して疲れちゃったみたい」
P「ははは、いいぞ。意外だな、もっと飄々としてるのかと」
奏「……見えないかもしれないけど、私だって緊張くらいするわよ」
奏「ね、Pさんも座って?質問もあるし、これからのこと、少し話したいの」
P「おう。なんでも答えるよ」
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:06:15.35 ID:ce7+oxll0
奏「…うん、こんなものかしら」
P「よし。それじゃあ奏、これから一緒に頑張っていこう」
奏「……一緒に、ってどれくらい一緒に仕事することになるの?」
P「うーん、具体的には言い辛いけど、うちはマネージャー業務も殆どプロデューサーがやったりするからなぁ」
P「レッスン日以外は割と付きっきりかもな」
奏「ふーん、そっか………」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:08:56.17 ID:ce7+oxll0
奏「あ、Pさん襟元になんか付いてる」
P「え?………よっ、よっ……取れた?」
奏「全然。取ってあげるからこっち来て?」
P「お、おう……なぁ、何が付いてるんだ?」
奏「何も?」
P「……へ?」
奏「でも、ほら、捕まえた」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:12:49.16 ID:ce7+oxll0
P「………え、お、おい奏、この間みたいなのはもう……」
奏「うん、あれはしない」
奏「ね、Pさん」
P「ん、ん?な、なんだ?」
奏「私、舌長いの」
P「?」
奏「多分、すごいよ」
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:16:17.88 ID:ce7+oxll0
ちゅっ
奏「………んっ」
ちゅるっ
れろっ、じゅるぅっ
じゅぱっ
P「っ、ちょ、ちょ」
奏「……いいね、これ」
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:19:32.56 ID:ce7+oxll0
れろぉ、ちゅっ
ちゅぅっ、れろっ、じゅぷっ
奏「すっごい。病みつきになりそう」
ちゅぅ、ちゅぅぅぅ
じゅぷ、れろ、れろっ
ちゅるっ
奏「ね、Pさんも舌………」
奏「あれ?」
P「」
57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:22:43.55 ID:ce7+oxll0
あ、あの時の感想聞いてなかったよね。どうだった?
いいじゃない、良かったでしょ?
そう?私はもう、あの日の夜は布団にすぐ潜って一晩中………
ふふっ♪
実はPさんも思い出してしてたりして?
……あら、図星、だったりする?
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:26:01.83 ID:ce7+oxll0
え、そんなわけないでしょ。男はPさんとしかキスしたことないよ。
あ、あはは……まぁその、法子ちゃんとか、口元にチョコとかつけてると、その、ね?
そうそう。
実はあの時もこのリップしてたの。
あ、わかってきた?
で、えっと、三回目………
ごめん、この後は多すぎて私も覚えてないわね。
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:28:08.57 ID:ce7+oxll0
奏「ね、Pさん」
P「んー?」
奏「アイドルがキスマークつけて出勤したらどうなるの?」
P「は、はぁ!?お前、アイドルなんだからそんな……」
奏「あ、こうなるのね。ふふっ」
ちひろ「あの、スキャンダルは本当にやめてね?お金、飛んで行っちゃうから」
62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:31:10.34 ID:ce7+oxll0
奏「大丈夫。ちひろさん、じゃあプロデューサーがキスマークつけて出勤してきたら?」
ちひろ「まぁ、アイドルに比べたら全然セーフだけど……ちょっと荒れる、かな?」
奏「ふーん………」
奏「一回やってみよっか」
P「は?」
奏「Pさん、首元失礼するね?」
63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:34:13.83 ID:ce7+oxll0
ちゅぅっ
P「っ、え、おい」
ちゅぅっ
ちゅぅっ
ちゅぅっ
奏「ん、できた。あ、口元がお留守」
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ
P「んっ、んんっ!?」
奏「っぷはっ、ごちそうさま。じゃ、後は待つだけね」
ちひろ(………………銭の匂いだ………!)
64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:37:48.39 ID:ce7+oxll0
・・・
みく「おっはよー!」
P「おう、おはようみく」
みく「Pチャン、今日もかわいいみくのために頑張って…」
みく「……………」
みく「に゛ゃ!!!???」
みく「ぴ、Pチャンがマーキングされとる!?」
みく「誰!?Pチャン、相手ァ誰や!!」
P「……………」
ちひろ(……………)プルプル
66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:39:56.69 ID:ce7+oxll0
・・・
留美「おはようございます」
P「和久井さん、おはようございます」
留美「もう、留美でいいって言ってるのに」
留美「ねぇP君?今日のブラウス、少し変わったのを選んでみたんだけどどうかしら?」
留美「近づくとわかるけどほら、この襟のボタンが……」
留美「」
留美「」
留美「」
67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:43:11.49 ID:ce7+oxll0
留美「あ、あの、P君?」
留美「その、あなたも、しゃ、社会人、なんだから、ね?」
留美「じょ、女性と、関係を、持つこと自体は、ひ、否定、しないけど、その、そういうのは、しっかりと、みえないように、ね」
留美「その、先輩としての、アドバイスというか、なんというか、」
P「………………」
ちひろ(やばい苦しい)プルプル
68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:46:14.40 ID:ce7+oxll0
・・・・・
ゆかり「プロデューサーさん、この台本なんですけど…」
P「ん?………ああ、これな。ちょっと役に入り辛いか」
ゆかり「はい、その、『最愛の人が奪われるのを見つめる』なんて経験ないですし」
ゆかり「ちょっと想像がつかないというか…」
P「うーん、演技レッスンの時にベテトレさんに相談してみるか。あとはそうだなぁ………」
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:49:17.44 ID:ce7+oxll0
ガチャ
奏「おはようごさいます」
ゆかり「あ、おはようございます」
P「うーん………映画とか本を通じて………いや、でも……」
奏「Pさん、おはよう」
P「そういや明後日のレッスンの夕枠に………よし、それで……」
奏「………………」
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:51:19.83 ID:ce7+oxll0
奏「………………」
スタスタ
グイッ
P「あ」
ちゅぅぅぅぅぅぅっ
P「っぷはっ、おいこら奏!」
奏「挨拶はちゃんとしないとだめよ?」
ちゅっ
奏「ね?」
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:54:27.41 ID:ce7+oxll0
奏「あ、ちひろさんこの間の………」
スタスタ
P「………で、演技レッスンでだな」
ゆかり「いえ、もう結構です。また何かあれば聞きますので」
スタスタ
P「………………」
73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:56:58.59 ID:ce7+oxll0
・・・・・
小梅「それで………後ろから…………ネズミが……………」
薫「」ガタガタガタガタ
珠美「」ガタガタガタガタ
P(ちびっこ怪談会……怯える幼女………)
P(いいゾー、これ)
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:00:15.27 ID:ce7+oxll0
P(………うーん、何か企画に………)
ちゅっ
P「っ!?」
P(く、首筋に……)
P(か、奏か?というか奏しかありえん!)
ちゅるっ
P「ひゃっ!?」
P(み、耳!?)
75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:03:16.99 ID:ce7+oxll0
薫「せ、せんせぇ?どうしたの?」
P「あ、いや、なんでもないぞ、ははは」
ちゅっ
P「っ」
P(っ、く、暗くて見えない……ど、どこだ?)
ちゅっ
P(いや、そんなに早く動けるわけじゃない)
P(感触があったらすぐ振り向けば………)
ちゅっ
P(今だ!)
76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:05:41.35 ID:ce7+oxll0
バッ
P「…………………」
奏「……………」
P(あっ)
奏「あら、いい男」
ちゅぅぅぅぅぅぅぅぅ
ちゅぱっ
P「お、おい、やめ」
奏「ふふっ、終わってから言われてもねー♪」ヒラヒラ
77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:09:56.28 ID:ce7+oxll0
P「お、おい!!」
薫「ひゃっ!?せ、せんせぇ?」
P「あ……ご、ごめんな、続けてくれ」
珠美(は、はわ、はわわわわわわわわわわわ)
78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:12:58.70 ID:ce7+oxll0
・・・・・
ねぇ、Pさんは私のこと、どんな子だと思ってる?
………ま、そうよね。
私も、客観的に見たらそうだと思う。
…こんなはずじゃ、なかったのに。
うん。
失敗、ね。
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:16:04.66 ID:ce7+oxll0
このリップスティックには、失敗の歴史しかないの。
毎回、私に失敗させてくれる。
なんでかしらね。
私、進んで失敗してたのかも。
やだ、泣いてないってば。
……優しいんだから。それで傷付く人もいるのに。
………一般論よ。今はそれが心地良いし。
81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:19:58.82 ID:ce7+oxll0
………もう、鈍感ねぇ。
全部言わないとわからない、のよね。
ううん。今日は失敗しないって、決めたから。
純真な乙女の気持ち、全部受け取って?
83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:22:16.74 ID:ce7+oxll0
まず、ごめんなさい。
いつもPさんが何も言わないのをいいことに、勝手にキスしたりして。
うーん、なんで、ねぇ。
さっきも言ったけど、一回目は衝動的な感じだったの。
……それ以降は、なんて言うのかしら。
私からのメッセージ、かな。
いつも、気持ちをいっぱい込めてしてたの。
伝わってた?
85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:24:19.55 ID:ce7+oxll0
………うん。
ほら、失敗だらけ。
……………もう。
優しくされたらこれでいいって思っちゃうじゃない。
大丈夫。最後まで言わせて?
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:30:06.83 ID:ce7+oxll0
私はね。
きっとPさんが思ってるより、ずっと弱いのよ。
………ううん、Pさんのせいじゃない。
私が、失敗を受け入れちゃったから。
失敗すること、望んでたから。私の、せい。
私が知ってる速水奏はね。
真面目で、一途で、夢見がちな女の子なのよ。
87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:33:17.56 ID:ce7+oxll0
でも、Pさんに、あなたに会えて。
初めて、私の目を見て、私が勝手に気にして、気に入ってたとこ、褒めてくれて。
勇気、貰っちゃったの。
だからって、ふしだらな女みたいになっちゃったのは、その、アレだけど。
89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:36:19.46 ID:ce7+oxll0
キスする度、失敗して。
失敗して、失敗して、失敗して。
その積み重ねばっかりで。
でも失敗する度に、気持ちが強くなって。
失敗の数だけ伝えられなかった思いがあって。
失敗が、ちゃんと私の本当の気持ち、教えてくれたから。
90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:39:20.50 ID:ce7+oxll0
今日の勇気はリップスティック抜き。
処女のくせに強がって、女の心なんて語ったりして、
これみよがしにキスするバカな私は、ちょっとお休み。
ちゃんと、私の知ってる速水奏になる。
……いいの。
お願い。最後まで、言わせて。
うん。
91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:42:49.65 ID:ce7+oxll0
ごめんなさい。
あなたが見込んでくれて。
いっぱい、期待してくれて。
それに応えたくて、アイドルになって。
ちゃんと、なれたのに。
92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:45:50.54 ID:ce7+oxll0
アイドルなのに。
プロデューサーのこと。
Pさんのこと。
あなたのこと。
きっと、初めて会ったあのときから。
ずっと、ずっと。もっと、もっと。
93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:47:51.59 ID:ce7+oxll0
大好き、なんです。
94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:51:44.43 ID:ce7+oxll0
おわり
95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:52:00.61 ID:yrD2Kthr0
最高です
101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 12:06:56.17 ID:aErgRyZP0
乙
速水奏「失敗だらけのリップスティック」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1350774491/