1: 超短編(しまむら)@\(^o^)/ 2017/01/02(月) 22:15:20.45 ID:4ewWnaN6.net

私は夢を見る。

怖くて恐ろしい悪夢。



2: 名無しで叶える物語(図書館の中の街)@\(^o^)/ 2017/01/02(月) 22:16:34.84 ID:4ewWnaN6.net

「海未っ」

「はい」

「うーみっ」

「なんですか?」

「なんでもなーい」

「はあ」



3: 名無しで叶える物語(図書館の中の街)@\(^o^)/ 2017/01/02(月) 22:17:28.68 ID:4ewWnaN6.net

「ねえ海未」

「どうして呼ぶのです?」

「ぎゅってして」

「ぎゅっ、て、してほしいのですね」

「はやく!」

「まったく、絵里は甘えん坊です」



4: 名無しで叶える物語(図書館の中の街)@\(^o^)/ 2017/01/02(月) 22:18:10.53 ID:4ewWnaN6.net

海未は私のことを抱き締めてくれる。

優しい。力強い。あたたかい。柔らかい。

触れる腕。触れる吐息。触れる胸。触れる脚。触れる髪。触れる熱。

触れる海未のすべてを私は感じることができる。

私と海未の距離なら。



5: 名無しで叶える物語(図書館の中の街)@\(^o^)/ 2017/01/02(月) 22:19:03.52 ID:4ewWnaN6.net

海未と絵里の距離なら。

全部。

全部。

全部。全部。

目を開けなくても、海未はそこにいた。
 
 
気が付けば、私は、ひとりぼっちだった。



6: 名無しで叶える物語(図書館の中の街)@\(^o^)/ 2017/01/02(月) 22:19:47.50 ID:4ewWnaN6.net

体は酷く凍りつき、あの人を抱き締めた形のまま動かすことができない。

もう声を出すことすら、名前を呼ぶことも。

全身を包み込んでいた水はひたすら境界線の向こうまで続いて、私を置き去った。

鉛の体は海底まで沈み、ただ私を圧迫し続けた。

果てしなく広がるその暗闇の中で、美しいと愛でてくれた瞳や髪は輝きを失い、何かが入り込んできて、何かが私を殺す。



7: 名無しで叶える物語(図書館の中の街)@\(^o^)/ 2017/01/02(月) 22:20:32.82 ID:4ewWnaN6.net

 
 
私は死んだ。
 
 



8: 名無しで叶える物語(図書館の中の街)@\(^o^)/ 2017/01/02(月) 22:21:16.93 ID:4ewWnaN6.net

「絵里」

「…」

「絵里、絵里」

「…っ」

「朝食、食べますよ。起きてください」

「うみ、うみっ、」

「はい、おはようございます」

「…うみ?」

「なんですか?」



9: 名無しで叶える物語(図書館の中の街)@\(^o^)/ 2017/01/02(月) 22:22:02.92 ID:4ewWnaN6.net

「海未」

「?」

「ねえ海未」

「どうして呼ぶのです?」

「ぎゅてして」

「ぎゅっ、ですか」

「はやく!」



10: 名無しで叶える物語(図書館の中の街)@\(^o^)/ 2017/01/02(月) 22:22:46.75 ID:4ewWnaN6.net

いつか来るその時を、心のどこかで恐れている。

どうしようもないそれが、何よりも、死ぬよりも怖くて、私は夢を見る。

唯一できることは、なるべく目を逸らすことだけ。

この毎日を思い切り楽しむためには、その方法以外、私は知らないから。

私が海未の側に居られて、海未が私の側に居てくれる世界以外考えられないもの。



11: 名無しで叶える物語(図書館の中の街)@\(^o^)/ 2017/01/02(月) 22:23:29.75 ID:4ewWnaN6.net

海未のいない世界なんて、知らなくていい。

全部今に捧げたい。

海未に。

そう、海未に。



12: 名無しで叶える物語(図書館の中の街)@\(^o^)/ 2017/01/02(月) 22:24:10.60 ID:4ewWnaN6.net

私は夢を見る。

それは永遠の夢。

朝日の入るこの部屋はあたたかくて、海未は、冷え切った私を抱き締めてくれている。



13: 名無しで叶える物語(図書館の中の街)@\(^o^)/ 2017/01/02(月) 22:24:48.65 ID:4ewWnaN6.net




元スレ
絵里「海未夢」
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