千歌「GANTZ?」【前編】

千歌「GANTZ?」【後編】



SS速報VIP:千歌「GANTZ?」
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149: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/17(木) 23:06:53.88 ID:pvRBcGWb0

五章

ガンツのミッションは基本的に人の少ない場所で夜に行われる
一般人への被害を最小限に抑えるためだが
星人の行動によっては夕方から始まったり夜でも人が多い街中になったりもする

時刻は夜8時、平日とはいえ秋葉原には多くの人が往来していた
そんな中、大量の星人出現
千歌達が転送された時にはすでに多数の死者が出ていた
警察や自衛隊も出動しているが事態は未だ終息していない





150: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/17(木) 23:07:24.69 ID:pvRBcGWb0




――
――――
――――――


千歌「こいつら! 一体ずつがかなり強い!!」キンッ! キンッ!


二人の前には四体の星人が立ちはだかっていた
大きさが3m弱で金棒を持っているのが二体
何も持っていないのが一体
その後ろに4mを超える星人があぐらをかいて座っている

全員鬼のような見た目であった


鬼の一体が雄叫びをあげながら千歌目がけて金棒を振り下ろす

――バックステップで回避
振り下ろされた場所には大穴が空いた


追撃を加えようとした鬼だが、曜の放ったYガンにより拘束された



ガンツの武器にはXガン、ガンツソードのような殺傷武器の他に
捕獲用の武器であるYガンが配備されている
3つの砲身がYの字に配置された外観をしているこの銃は
上下のトリガーを引くことで銃口から実弾式のアンカーボルトを発射する
目標付近でワイヤーを実体化させ対象を束縛
アンカーは地面や建物に固定することで拘束する
その後、上トリガーを引くことで星人を上へ転送する事ができる

曜はこのYガンを多用している




151: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/17(木) 23:07:59.31 ID:pvRBcGWb0



曜「よし捕らえた! これで……」


上トリガーを引こうとするが側方からの鬼の攻撃により妨害される
その隙に武器を持っているもう一体の鬼がアンカーを破壊し
拘束が解除される


千歌「この星人……沼津港で戦ったのに似てる。ちゃんと連携がとれている」

曜「だったらこっちも連携して戦うまで! 幼馴染の力の見せどころだね」ニヤ


千歌「――よし、曜ちゃんはその銃で動きを止めて! すぐに私が仕留める!!」

曜「任せて!!」カチャ




~~~~~~


鞠莉「――ったく、しつけのなってないワンちゃんね!」バキッ!

善子「速いなもう!」ギョーン!ギョーン!


神田明神の境内には数十匹のオオカミ型の星人が出現
全方位から絶妙なタイミングで襲ってくるので
決定的なダメージを与えられないでいた

二人は背中合わせで対峙している


鞠莉「善子! 何匹倒した!?」

善子「まだ一体も! 速すぎて当たんないのよ」ギョーン!ギョーン!ギョーン!




152: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/17(木) 23:08:40.28 ID:pvRBcGWb0




一匹一匹はそれほど強くは無い
一対一なら戦闘力の劣る花丸でも容易に倒せる

だが基本的に戦いは数が多い方が有利
徐々に二人を追い詰める


――不意に星人が善子の手首に噛みついた
弱いとはいえスーツを着ていなければ噛み千切られていただろう



――パキン!



何かが割れる音がした



――スーツの耐久性能には限界がある
一定量以上のダメージを受けるとスーツ各部にあるレンズ状のメーターから
ゲル状の物質が漏出し、全ての機能を失う

しかし、メーター自体を破壊された場合
受けたダメージに関係なくその部位のスーツの機能が無くなる


星人の牙は偶然にも手首にあるメーターを貫き
善子の手首を噛み砕いた




善子「―――っ!? がああああぁぁぁああ!!!?」ギョーン!ギョーン!

反射的に撃ったXガンは星人に直撃
爆発四散した




153: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/17(木) 23:09:09.88 ID:pvRBcGWb0



善子の手首の骨は完全に砕かれ
辛うじて一部の皮膚だけで繋がっていた

当然、女子高生が耐えられる痛みのハズが無いが
一度腕を切り落とされた善子は何とか意識を保っていた


善子「ふー……ふー……」ドバドバ

鞠莉「無事なの!? 善子!!?」


うずくまっている善子のケガを見て鞠莉は絶句する



鞠莉(出血がひどすぎる…このまま戦わせれば失血死しちゃう)


考えている間も星人は攻撃を仕掛けようとしている
迷っている場合ではない


鞠莉「――ごめん! 善子!」バキッ



鞠莉は善子を本殿まで蹴り飛ばした
一旦引かせるためとはいえ、今の一撃で今度こそ手首が千切れてしまった事に
罪悪感を覚える鞠莉



鞠莉「さて……正念場ってやつかな?」



善子によりやっと一匹倒したが
まだまだ数は多い


再び全方位から襲い掛かってくる――




154: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/17(木) 23:09:52.02 ID:pvRBcGWb0




~~~~~~


梨子「ハァー……ハァー…」ポタッ ポタッ


四体いた星人も梨子により半分に減っていた
ただ、その代償に左ひじを骨折していた

指先から血が滴る



花丸「さ…桜内さん……」ブルブル

梨子「ハァー……国木田さん、ちょっと一人でこの二体を倒すのは厳しそう。何とかして退路を作るから助けを呼んで欲しい」


花丸「え!? そんなケガなのに一人で戦うなんて無理だよ!」

梨子「…大丈夫、時間稼ぎなら……できる」ハァーハァー



実際には二人で戦っていない
花丸には下がるように命令し、梨子一人で戦っていた

花丸では相手にならないことを直感で分かっていたからだ



花丸「私だって…私だって戦えます! だから――」


梨子「黙って指示に従いなさい!! あなたじゃ無理なの、一瞬で殺されるの!!」

花丸「っ!?」ビクッ


梨子「…もう国木田さんを死なせるわけにはいかない。あなたをこの地獄から守り切る事が巻き込んでしまった私の責任であり使命なの」

梨子「その為なら……私の命だって賭ける覚悟よ」ハァーハァー




155: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/17(木) 23:10:31.54 ID:pvRBcGWb0



梨子は脅されていたとはいえ、自分の手で殺めてしまったメンバーに対し
強い罪悪感を持っていた
彼女達が生き残る為なら危険な囮役でも即死級の攻撃でも身を挺して庇うことも
命を捨てる覚悟があった

特に花丸は一度死なせてしまっている
これ以上繰り返すわけにはいかなかった




――星人が鎌を振りおろす

ガンツソードで防ぐが片手ではパワー不足だ
刀ごと近くの手すりに叩きつけられる


花丸「梨子さん!!」

梨子「――早く行きなさい……国木田 花丸!!!」グワッ





~~~~~~


ルビィ「――しっかりして!! 目を覚ましておねぇちゃん!!」


アルパカ小屋の裏側に二人は身を隠していた
頭から血を流し、意識は朦朧としているのはダイヤだった
スーツはすでに壊れている


退路を確保しつつ逃げながら戦っていた二人だったが
校舎に生徒が残っているのを見つけてしまったのだ

救出に向かったダイヤ
しかしその生徒は星人が化けていた偽物であった
不意の攻撃に受け、ダイヤは頭部に大きなダメージを受けたのだ

ルビィにより何とかその星人を撃破、ダイヤを救出し
今の場所まで逃げてきた




156: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/17(木) 23:11:27.76 ID:pvRBcGWb0



ダイヤ「……申し訳…ありません……完全に…油断しました……」ハァーハァー

ルビィ「おねぇちゃんは悪くない! 誰でも助けに行った、星人が卑怯だっただけだよ!」ポロポロ


ダイヤ「どうですかね……きちんとレーダーを見ていれば…」



星人はまだまだ残っている
頭をケガしている以上この場を動かすわけにはいかない

残された選択肢は
助けが来るまでここで待つ
ここの星人を全て倒す
後は……


ダイヤ「ルビィ……逃げなさい」

ルビィ「……え?」

ダイヤ「わたくしも…少し休んだら追います……ここに二人でいても仕方ありません」



ダイヤは分かっていた
この量の星人ではここが見つかるのも時間の問題

ここにいたら二人とも助からない
今のダイヤがルビィを守るために出来ることは
一刻も早くこの場から逃がす事だけであった



ダイヤ「心配しないで……必ず追いつきますから…」ニコッ


ルビィ「―――嫌だ、絶対に置いていかないよ」




157: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/17(木) 23:12:00.87 ID:pvRBcGWb0

ダイヤ「!? ル……ビィ?」


ルビィ「私だって見れば分かるよ…今のおねぇちゃんのケガは休んだくらいじゃ良くならない事くらい」

ダイヤ「っ!! でしたら、どうしてこんな事を言っているかも…理解しているでしょ!?」

ルビィ「うん……おねぇちゃんはルビィを逃がす為に自分を犠牲にしようとしてるんだよね?」


ダイヤ「なら―――」

ルビィ「でも、そんな事されて生き残っても嬉しくないよ」



ダイヤ「…仮にここで死んでも……100点を取れば生き返る」ハァーハァー

ルビィ「このミッションで全滅したら? それにおねぇちゃんを生き返らせてくれる人がこの先必ずしも生き残るとは限らない」

ルビィ「それに……もうおねぇちゃんが死ぬのはもう二度と見たくない」



ルビィの目がいつもとは違う事にダイヤは気が付いた
自信が無くおどおどとした目つきでは無く
戦う覚悟を決めた…あの時の鞠莉と同じ目をしていたのだ



ルビィ「――『黒澤家にふさわしいのは常に勝利のみ』」

ダイヤ「!?」

ルビィ「私だって黒澤家の人間だよ。いつまでも負け続けるわけにも、守られるだけの自分でいるわけにもいかない……」

ダイヤ「………」


ルビィ「――今度は私がおねぇちゃんを守る番。おねぇちゃんはここで待っててね」ニコッ



――ダメだ
このままルビィを行かせるわけにはいかない

ダイヤは引き留めようとするが
もう声を出すだけの気力は残っていなかった

意識を失う前に見たものは
戦場へ向かう大切な妹の後ろ姿だった




158: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/17(木) 23:12:30.04 ID:pvRBcGWb0






~~~~~~

辺り一面穴だらけになっていた
道も壁も止まっていたトラックも

千歌と曜が戦っている大型の星人によって開けられた穴である


二人のコンビネーションにより
三体の鬼星人の討伐、捕獲が完了済みである

最後に残った後ろの星人との戦闘に入っているが……


ガンツソードで切り付けるが余りの硬さに折れてしまう
Yガンでの拘束を試みるも、自力でワイヤーを引きちぎる
Xガンによる攻撃もダメージが薄い



千歌「まずいよ…攻撃が全然通じない」ゾワッ

曜「動きはそこまで早くない! とにかく手足を攻撃して逃げられないようにしよう!」



このタイプの星人は捕獲し転送するのが一番良いのは分かっていた
しかし撃っても撃っても
手足が落ちる事は無い




159: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/17(木) 23:13:00.40 ID:pvRBcGWb0




――ドゴ!



星人の拳が曜の腹部に直撃し後方へ吹き飛ばされる
建物を突き破り、かなり遠くまで飛ばされたようだ
曜の安否が確認できない

しかし、そんな事を星人は許さない
続けて千歌へ腕を薙ぎ払う

刀を盾にして防ぎ、踏ん張るが――


千歌「っ!!? 重い!?」グググ


スーツのパワーではこの星人と渡り合う事は出来なかった
側方の壁に叩きつけられる



千歌「――かはっ…」バタン


うつ伏せに倒れる千歌のもとへ
星人はゆっくりと近づく

早く逃げなくては……
しかし、想像以上のダメージにより思うように動かない



千歌(このっ! 動け! 動いてよ!!!)グググ


千歌は星人を睨み付けるが
その背後の景色が目に入り絶望する…

先ほど倒した星人と同じ姿をしたものが
続々と現れていたのだ




160: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/17(木) 23:13:56.94 ID:pvRBcGWb0




千歌(何で…何で今回に限ってバラバラに転送したの……? こんなの……無理だよぉ)ポロポロ



泣くなというのが
絶望するなというのが無理な話である

いくら戦いに慣れ始めたとはいえ、彼女達はまだ高校生だ
死の恐怖には抗えない

千歌にはもう立ち上がる気力は残っていなかった



千歌(ごめんね…みんな……もう疲れちゃったよ……)グタッ



星人はもう千歌の目の前まで近づいていた
あと数歩で拳が届く



――ズドン! ――ズドン!



圧倒的な――――――が
―――――を上から押しつぶした




164: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:02:11.10 ID:f/muyODb0






――
――――
――――――


人生は普通で満ち溢れている

朝寝坊した日、曲がり角で運命の人とぶつかる事は無い
強敵を前にして突然新しい力が目覚める事は無い
正義が悪に負けることなんてざらにあるし
主人公補正なんてものも無ければ
絶体絶命のピンチにライバルが助けに来るなんて事も無い

どんなに良い人間も
どんなに良い仲間に恵まれていても
死ぬときは案外あっさり死んでしまうものだ

私は少年漫画のような王道展開より
こういう現実味を帯びた邪道な展開の方が好みだ




――でも、彼女たちの人生は普通だろうか?
死んだと思ったら勝手に再生されて
訳のわからない宇宙人と殺し合いを強いられる

いくらなんでも可哀想だとは思わない?


そんな彼女たちをもし手を伸ばせば助けられるなら
こんな捻くれた私だって迷わず助けるよ




ああ、ちなみに王道な展開が嫌いなわけじゃないよ?
正義の味方には今でも憧れているし
あの熱い展開はやっぱり癖になるもんね!








――ねえ知ってる?
ヒーローは遅れてやってくるんだよ――




165: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:02:58.71 ID:f/muyODb0






――圧倒的な見えない何かが
星人の全てを上から押しつぶした




千歌には何が起きたのか分からなかった

星人がいた場所は大きな円柱状に削り取られた穴が二つ出来ていて
底に血の海が出来ていた


――目の前に黒いモノホイールバイクが止まった

千歌達の部屋にもあったバイクだったが
誰も運転できないので今まで使用しなかった


千歌(今回は誰かが持ってきたの……?)



バイクには二人、運転席と後ろに乗っており
どちらも千歌達と同じ黒いスーツを着ていた

後ろに乗っている人物が倒したようだが
持っている大きな黒い武器に見覚えが無いが

その持ち主の顔は確かに知っている
あの時とは違い、いつものサイドテールをしていた



???「ふー…何とか間に合ったみたいだね……」

穂乃果「……私が倒してくる。ことりちゃんはここで待ててね」ガチャ


千歌「ほ……穂乃果さん………」ポロポロ



千歌は涙する
だが今回は絶望したからではない

音の女神のリーダーは千歌の無事を確認し微笑んだ




穂乃果「―――もう大丈夫。後は任せて」ニコッ




166: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:03:30.98 ID:f/muyODb0






~~~~~~


鞠莉はボロボロだった

二人でギリギリ対処していた敵だ
いくら格闘に優れた鞠莉といえども相手にならなかった


スーツの耐久にはまだ余裕を残しているが
体力の限界が近かった


鞠莉(きっつ!? こいつら手首のレンズを狙ってくるから油断できない!)



疲労による一瞬の隙を付き星人は鞠莉の手足に噛みつく
じりじりとスーツにダメージが入る



鞠莉「このっ! 放しなさい!!」ブンブン


必死に振りほどこうとするが
噛みつく力は相当なもので銃以外では対処出来ない
急がないと鞠莉も、出血中の善子も危ない



――ダン! ダン!



――空から黒スーツを着た二人組が舞い降りた


???「うげ!? 数が多すぎでしょ!? こんなの一人で相手するのは無理ね」

???「あーあ……本堂も境内も滅茶苦茶やん。こりゃ、星人にはた~ぷりお仕置きせなあかなぁ?」



鞠莉(誰!? Xガンの二丁持ちに……あの武器は何?)


にこ「私はあの子に噛みついてる奴を撃つ! 希は周りをお願い!!」ギョーン!ギョーン!ギョーン!

希「了解や!!」ギョーン!ギョーン!ギョーン!


鞠莉に噛みつく星人は爆破
周囲30cmの星人は全て圧死した


鞠莉「うお!? 私ごと巻き込むつもり!?」ゾワッ




167: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:04:21.55 ID:f/muyODb0




~~~~~~

ルビィ「―――まだ増えるの?」



出来るだけダイヤから遠ざける為に戦場を校庭に移し
大小様々な星人の相手をしていた

それなりに訓練や実践を積んできたルビィではあるが
その戦闘力は花丸とほぼ同じ
恐怖を克服したとはいえ劇的に強くなった訳では無い

やっとの思いで倒しても次から次へと新手が現れる
強敵がいないのは不幸中の幸いだが
終わりの見えない戦いはルビィの精神力をごっそりと削り取る


倒した星人は七体
本来なら十分過ぎる成果だが今回に限ってはまだ足りない


ルビィ「まだ…まだ倒れるにはいかない……負けるわけには…」



大型の星人が棍棒は横に薙ぎ払う
予備動作もハッキリあり、速度も速くない



――ドゴッ!



避けるのが容易い攻撃でさえ彼女の脇腹に直撃する

……もう限界だった
誰が見てもルビィはよく戦ったと評価するだろう
倒した星人も普段の実力では倒せない強さだった
諦めても誰も文句は言わないだろう……



ルビィ「――うううぅぅぅ!!!!」グググ



――それでもルビィは立ち上がる



ルビィ「私は…負けない!! おねぇちゃんは……私が守るんだ!!!!」


ルビィの死はそのままダイヤの死に直結する
大好きな姉とこの戦いから解放されるまで
絶対に諦めるわけにはいかない




168: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:04:56.67 ID:f/muyODb0


しかし、もう立っているだけで精一杯

武器を構える事も出来ないルビィに対し
星人は容赦なく襲い掛かる


ルビィ「っ!! うわあああああ!!!」



――スパッ!



無残にも肩から腰にかけて切断される
だがそれはルビィでは無い

ルビィに襲い掛かった星人の一体が何者かに切られた


そのまま後ろに倒れそうになるルビィを誰かが抱える
増援は二人いたのだ
目の前にいる金髪の女性と抱えてくれた女性は
ルビィに優しい声で話しかける



???「…ハラショーよ。貴方の覚悟は痛いほど伝わったわ」

???「たった一人でこの数を……私があなたと同じ年齢の頃だったら逃げ出していたよ」


ルビィ「……え? この声は?? え?」


どちらの声も聞き覚えがあった

聞き間違えだと思ったがそんな事は無い


毎日彼女たちの歌声を聴いているし
姉とライブのDVDも数えきれないほど繰り返し観ていた

今、目の前にはダイヤが憧れていた人物が
後ろにはルビィが憧れていた人物がいるのだ



絵里「花陽、その子は任せたわよ? こいつらは私が始末する」チャキ


花陽「うん! 頼んだよ絵里ちゃん!」




169: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:08:04.75 ID:f/muyODb0





~~~~~~

壁に寄りかかっている梨子の意識は朦朧としていた
スーツはとっくに機能を停止しており戦闘不能になっていた


梨子(どうなったんだっけ? スーツが壊れるギリギリで一匹倒した事まで覚えてる……そうだ…花丸さんは上手く逃げたかな……)


意識が徐々にハッキリとしてくる
頭も段々回るようになってきたところで
一つの疑問が浮かんだ



梨子(――なんで私は生き残ってるの?)


星人は最初四匹いた
少なくとも一匹は確実に残っている
花丸が命令通り逃げてくれたのならとっくに自分は星人に止めを刺されているハズ

生き残っているということは……


完全に意識が覚醒した梨子の目の前では
花丸が残りの星人の攻撃を紙一重でかわし続けていた



梨子「んな!? どうして逃げてないの!!?」ゾワッ


梨子の声に気付いた花丸は一旦星人から離れ
梨子の近くまで来た



花丸「――よかった! 意識が戻ったずらね!!」ハァーハァー

梨子「そんな事はどうでもいいの!! 何でここにいるのか答えなさい!!」


花丸「……梨子さんの命令だったからだよ」

梨子「は?」

花丸「私は梨子さんが大嫌いずら。ルビィちゃんやマルをこんな地獄に突き落とした張本人なんだもん。今でも許せないし、仲良くなるつもりもない」


梨子「だったら、なおさら私なんか置いて逃げるべきでしょ!?」

花丸「……でも、梨子さんも責任を感じている事は伝わった。本当に命がけで守ってくれることも分かった」


花丸「――ただね、命を懸けるのは今じゃない。こんな敵、マル一人でも倒せる」



梨子はどうして花丸が守ろうとしているか理解できなかった
殺したくなるほど憎いはずの自分を何故見捨てないのか

今まで一度も目も合わせた事も無い
訓練中に殺意を感じた事も一回や二回ではなかった


そんな花丸が何故……





170: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:08:42.20 ID:f/muyODb0



梨子(―――そんな事はどうでもいい!! 早く行かなくちゃ!)ググッ



立ち上がろうとするが
足に力が入らない

その間にも花丸は再び星人の方へ向かっていく



梨子「ダメお願い!! お願いだから逃げて!!!」


梨子の叫びは花丸に届く事は無く――







???「―――うにゃああああ!!」バキッ


突如、奇声を上げながら星人の側方から飛び蹴りを食らわせる
謎の少女が現れた


花丸「ずら!?」ビクンッ

梨子(ガンツのスーツを着てる!? 誰なの!?)



茶色い髪でショートカットのその少女も
梨子たちと同様の格好をしていた


???「ヤレヤレ…昔は一人でガンガン点数稼いでた梨子さんもこんなにボロボロになっちゃって……私が死んでた間に弱くなったんじゃない?」クルクル



一人の女性が赤い髪を指で巻きつけながら梨子に近づいてきた



梨子「ま……真姫さん!? どうして……!?」

真姫「久しぶりね梨子さん。まさか、あなたがまたこの戦場にいるなんてね?」


真姫「色々と話したい事はあるけど手当が先ね……凛! 一人で大丈夫そう!?」



凛「うん! サクッと倒すから大丈夫にゃ!!」パシッ!


凛「さて……まずはその鎌から引き千切ろうかな」ニヤリ




171: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:09:13.54 ID:f/muyODb0





~~~~~~

果南「ふー……さすがに疲れたよ~」



一人敵の大群のど真ん中に転送された果南だが
完全に無双状態だった

決して星人が弱かった訳では無い
千歌達が相手をしていた鬼
鞠莉達のオオカミ
ルビィ達の大型妖怪
梨子達のヘビ

それらの個体より若干劣ってはいたものの
ほぼ同等の力と姿をした星人が入り乱れていたのだが
本気を出した果南の相手にはならなかった


大量にいた星人も今や残るは一体だけ
般若面を付けた人型の星人だ
腰には日本刀を携えている



果南(こいつだけ他の星人とは違う……放っているオーラが別格だね)ゾクゾク


ガンツソードを構える果南だが
彼女の直感が警告している

――こいつには勝てないかもしれない



だが逃げるわけにはいかない
こいつを倒さねば仲間に合流出来ないしミッションも成功しない



――覚悟を決める





???「――おや? もうあの星人しか残っていないのですね?」


果南の背後から誰か話しかけてくる
振り向くとそこには綺麗な長い黒髪の女性…
そう、まさしく大和撫子がそこにいた

彼女の両手にはそれぞれガンツソードが握られていた



???「貴方……かなりの実力者ですね。あれだけの星人をたった一人で…穂乃果と同じ強さかもしれませんね?」クスクス

果南「えっと……あなたは私の味方って判断していいの?」

???「ええもちろん。その為に私はここに来たのですから」



海未「――私の名前は園田 海未です。僭越ながら助太刀に参りました」カチャ




172: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:10:06.53 ID:f/muyODb0






~~~~~~

穂乃果「ことりちゃん、千歌ちゃんをお願い」


バイクの運転席に座っていたことりに穂乃果は指示を出す


ことり「千歌ちゃん! 穂乃果ちゃんから聞いてたけど……大きくなったね」ニコ

千歌「ことりさん!? どうして!?」

ことり「驚くよね? あの後、穂乃果ちゃんが“全員”再生してくれたの」



千歌は絶句した
昔、東京チームと合同で参加した新宿でのミッションの際
東京チームは穂乃果と梨子以外は全滅していたのだ

それから約三年
彼女は少なくとも八回は100点を取ったことになる



ことり「…よかった、スーツは壊れていないみたい」


曜「――千歌ちゃん!!」ガラ



建物の穴から吹き飛ばされた曜が戻って来た


千歌「曜ちゃん!! 無事だったんだね!」グスッ

曜「あれ!? その二人は誰なの?」


ことり「はじめまして♪ あなた達の味方だから安心してね」ニコニコ

曜「味方? あ…ここ東京だもんね。東京チームも来てたんだ……ってあの人、一人で戦ってるよ!? 加勢しなきゃ!!」ゾワッ


ことり「大丈夫、今はここで休んでいて」




173: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:11:29.48 ID:f/muyODb0



多数の星人からの攻撃を余裕を持ってかわす
隙を見ては撃つ

穂乃果は未知の武器を使用していた
グリップを間に挟んだ形状の双銃身の黒い大きな銃
Xガン同様タイムラグの後
円柱状に押しつぶす

威力は絶大で
Xガンやガンツソードで倒せなかった星人も一撃、多くとも三撃で仕留める



千歌「あれって…100点の武器なの?」

ことり「そうだよ。新宿のときから持ってたけど、狙いが定まらなくて使えなかったの…そのことで穂乃果ちゃん凄く後悔していたな」

千歌「確かに…あれだけの武器があったなら……」



――ズドン!



最後の一体を倒す
ダメージは一切食らっていない



穂乃果「――この武器で一撃で倒せない敵がいるなんてね……二人はよくこの星人と戦って生き残ったね?」


千歌「いえ…完全にお手上げでした。穂乃果さんが来てくれなければ今頃――」



千歌「……あっ!? 他のみんなは!? バラバラに転送されたんです!! 早く向かわなくちゃ!!」

ことり「慌てなくても大丈夫。そっちにも増援は向かっているよ! みんな強いから問題ないはずだよ」





174: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:12:01.85 ID:f/muyODb0




~~~~~~


希「――よし、ひとまずこれで大丈夫や」キュッ



神田明神に出現した星人を殲滅した三人は本殿に蹴りこまれた善子のもとへ
善子が自身である程度の止血はしていたが希がキチンと手当てする


善子「……ありがとう…助かったわ……」ハァーハァー

にこ「かなり衰弱しているわね…もう少し早く来ていればっ!」ギリッ

善子「いいんです……痛いのは慣れています…から……」



鞠莉「でもまあ、驚きました…まさかあなた方が生きているなんて……」

にこ「何? 私達のこと知ってたの?」

鞠莉「はい。あの部屋について調べていたときに知りました。その…穂乃果さん以外は三年前に……」


にこ「…穂乃果には悪い事をしたと思っているわ……先輩である私達が弱かったせいであの子に負担をかけてしまった…」

希「だから再生してもらったからには、穂乃果ちゃんを守れるくらい強くなる覚悟で今まで戦ってきたんや!」

鞠莉「ふふ……見た所何回か100点を取ったみたいですね」



にこ「―よし、一休みしたら他のメンバーの増援に向かうわよ! まだ鞠莉にも戦ってもらうからね?」


鞠莉「――ええ! もちろん!!」パシンッ




175: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:12:54.69 ID:f/muyODb0



~~~~~~


ダイヤ(……体が…動かない………ルビィは…どうなりましたの?)


「頭――血が!? ―丈夫な――すか!?」アワアワ

「まず――ね……意識がハッ――して――いわ」

「しっ―り―て!! お――ちゃん!!」



ダイヤ(誰…ですの? うまく……聞き取れない)



ダイヤ「……ル…ビィ………?」

ルビィ「おねぇちゃん! 良かった……気が付いた!!」グスッ


ダイヤ「一人で……倒したん……ですか?」

ルビィ「うんうん、絵里さんが助けに来てくれたの!! おねぇちゃんの大好きなエリーチカだよ!!」

絵里「あなたがダイヤさんね? ルビィちゃんから話は聞いたわ。妹にとっても愛されている素敵なお姉さんね?」


ダイヤ「絵里……さん…? あなたが……ルビィを…?」

絵里「私は少し手伝っただけよ。ほとんどの星人はルビィちゃんが倒していたわ。
あなたを守る為に」


ダイヤ「……そう……ですか……」



ダイヤ「ルビィ……気が付かないうちに…ずいぶん強く……なりましたね………安心…しました……」


ルビィ「………」

ダイヤ「…ふぅ……お姉ちゃん……少し……眠いん…です……ちょっとだけ……休んでも………よろしい……ですか……?」

ルビィ「……うん、大丈夫だよ。少し休んでね。しばらくしたらちゃんと起こすから安心して?」


ダイヤ「…少し……目を閉じるだけ…ですから………頼み……ま…し………たよ……」




ダイヤはそう告げて目を閉じた
その寝顔はとても安心しきった
安らかな表情であった




ルビィ「………」

花陽「ルビィちゃん………」


絵里「――レーダーに反応があるわ。こっちに近づいて来る」


ルビィ「……行きましょう。おねぇちゃんが休んでいる間に終わらせます」

絵里「……ええ、そうね。花陽はそこでダイヤさんを守っていてくれる?」


花陽「…はい! 任せてください」ウルッ



ルビィは再び戦場へ向かう

もう涙は流さなかった
覚悟は……とっくに出来ていた




176: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:13:54.12 ID:f/muyODb0






~~~~~~

真姫「見事に折れているわね。一応吊ってあげるから少し我慢しなさい」グイ

梨子「~~~っ!!?ズキンッ あ……ありがとうございます」


真姫「頭もケガをしているみたいだけど、意識もハッキリしているし問題は無さそうね。ただスーツは壊れているから大人しくしている事ね」


梨子「……穂乃果さんはミューズのメンバーを全員再生したんですね?」

真姫「…ええ、最初の方に再生したメンバーも途中で100点を取ったけど…結局は穂乃果が全員再生させたわね」

梨子「穂乃果さん……本当に一人で…」




凛「――真姫ちゃーん! 終わったよ!!」



話している間に凛はもう星人を片付けていた
星人は四肢を千切られており見るも無残な姿となっていた



真姫「……凛、素手で戦うのは構わないけど…もう少しその倒し方は何とかならないの?」

凛「えぇ!? だって鎌は危なかったし…そもそも仕留めるなら首から上を壊せばいいって言ったのは真姫ちゃんだよ?」

真姫「そうだけど……引き千切るってのはどうなの? 正直ドン引き…」

凛「武器で破裂させたり切り落としたりするのとどう違うのさ!?」


花丸「凄くどうでもいいずらぁ……」ヤレヤレ




177: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:14:54.92 ID:f/muyODb0





凛「――…それで、これからどうするにゃ?」

真姫「そうね…私はここで梨子さんと待機してる。レーダーを見て危なそうな場所に増援に向かう。二人はまだ星人が残っている花陽達の場所に向かって」

凛「了解!」ビシッ


梨子「わ…私の事はいいです! 真姫さんも…」

凛「大ケガしてスーツも壊れた人を一人にしておくと思う? いいからここで真姫ちゃんと待っててよ」

真姫「そうね…ここで昔話でもしながら待機している」


凛「そうそう! じゃあ行くよ花丸ちゃん!!」ダッ

花丸「ちょっ!? 待ってほしいずらぁ!!」ダッ



梨子「二人とも行っちゃいましたけど…凛さんは大丈夫なんですか?」

真姫「まあ…頭はそこまで良くないけど、私よりよっぽど強いから問題ないわ……多分」

梨子「あはは…」





――
――――
――――――

ミューズの参戦により戦況は大きく変わった
星人の数も激減している
ミッションももう少しで終わると誰もが思っていた

ただ、増援があるのは千歌達だけではない
本ミッションにおける最重要ターゲットの二体が
秋葉原の街に舞い降りようとしていた――




178: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:16:14.74 ID:f/muyODb0





~~~~~~


穂乃果「――さて、そろそろ二人とも体力も回復したよね?」


千歌「はい! 大丈夫です!!」

曜「同じく!」グッ


穂乃果「さっきは『任せて』って格好つけたけど、あなた達がここに来たって事は今回のミッション、東京チームだけでは足りないってガンツが判断したから。ここからは二人にも手伝ってもらうからね?」



ことり「――敵が近づいて来る! 構えて!!」




――ズシン!




空から星人が落ちてきた
ガンツに表示されていた奴と同じ顔
今回のボスである



天狗「ほほーう……この鬼どもを蹴散らすとはな。中々はやるではないか」ニヤリ



千歌「!? しゃべった!!?」

穂乃果「…中には私達の言葉を理解している星人もいる……そんな星人は例外なくかなり強いよ」



右手に長い棒を持つこの天狗は先ほど倒した鬼とは異なり
やや細身の体つきであった
身長も2m程であり見た目はそれほど強そうでは無い




179: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:17:03.38 ID:f/muyODb0




―――ギョーン! ギョーン!




穂乃果は引き金を引く
今まで多くの星人を倒したこの武器だ
当たればこの天狗も間違いなく死ぬ


――天狗は後ろに下がり攻撃をかわす



天狗「…その武器はもう知っている。隙を作らねば当たらんぞ?」


ことり「そうみたいだね? なら作るまでだよ!!」ダン!



ことりは天狗に向かって一気に距離を詰める
同時にホルスターに収めていた刀を展開、斬り付ける


キン! と金属がぶつかり合う高い音がした
天狗は右手の武器でことりの攻撃を防ぐ

タイミングをずらし千歌も斬りかかるが
それも容易く捌く


曜もYガンで拘束を試みるが当たらない



天狗「“その”武器も、もう知っているぞ! 見える分避けやすい!」



――瞬間
背後にことり、正面に千歌がまわる


ことり 千歌「「―――っ!!!」」シュッ


――同時に斬りつける




180: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:17:33.97 ID:f/muyODb0




天狗「―――甘い」


千歌の斬撃を武器で
ことりの斬撃は素手で受け止めた


――バキッ! ドゴッ!!



そのまま千歌を蹴り飛ばし
ことりの頭を鷲掴みにして地面に叩きつける



千歌「ことりさん!!」


しかし、ことりは抵抗する素振りは見せない
それどころか天狗の足を両手で力いっぱい掴む




―――ギョーン! ギョーン! ギョーン!




穂乃果は再び引き金を引く
近くに、ことりがいるにも関わらず――


千歌「――何やってるんですか!!!??」ゾワッ


千歌は穂乃果の行動に絶句した
あろう事か、ことりごと天狗を始末しようとしたのだ



千歌(ダメ! もう間に合わな……)


曜「―――ギリッ!!」ダンッ!



穂乃果が発砲した瞬間
曜は動きだしていた

天狗を完全に無視し
ことりを強引に引きはがす




181: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:18:15.17 ID:f/muyODb0




――ズドドドン!!



――刹那、天狗は見えない円盤に三度押しつぶされる
曜は直撃を避けられたものの
ことりの左足首は巻き込まれ、削り取られた



曜「っ!? 大丈夫ですかことりさん!?」

ことり「う……うん、大丈夫…」ズキッズキッ



千歌「穂乃果さんどうして!? もう少しで二人とも巻き込まれて死んでたんですよ!?」


穂乃果「――だからどうしたの? ことりちゃんを助けてっていつ頼んだ?」キョトン

千歌「……は?」


穂乃果「ことりちゃんが隙を作ってくれたから私が攻撃した。何か間違っている?」

千歌「…本気で言っているんですか?」


穂乃果「仮に巻き込んで殺しても、私が“再生”すれば問題ないでしょ? あなた達は自分の仲間だけを助ければいい。巻き込んでもそっちメンバーは私が再生できないからね」



曜「このっ!? あんたは自分の仲間を何だと……!!?」


激情し穂乃果に向かおうとする曜をことりは引き留める



ことり「いいの! 私は気にしてないから……」

曜「気にしてない!? あいつはことりさんを“モノ”と同じ扱いをしたんだよ!? なんでそんなに平気な顔をしていられるの!!」


ことり「それは……」




182: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/18(金) 21:19:49.24 ID:f/muyODb0




――グググッ




潰されたはずの天狗が再び立ち上がる


天狗「ハアアアア……こりゃ効くな! まさか仲間ごと撃つとは…やるな、女ぁ!!」


千歌「死んでない!? なんてタフなの!?」

穂乃果「………」


天狗「いいや? 確かに死んだぞ? だが一回殺したぐらいで、わしはくたばらん!!」



穂乃果は持っていた武器を放り投げ
手首に装着したコントローラーを操作した



穂乃果「……なら二度と立ち上がらなくなるまで殺してあげるよ」ピッピッピッ


コントローラーに入力したその直後
穂乃果の体に身の丈程の高さで大木のような太さの腕と
フルフェイスのマスクが転送・装備された



曜「あれは……スーツなの?」

穂乃果「千歌ちゃん…天狗の動きを止める事だけ考えて。決定打は私が与える」


千歌「……はい」



天狗「楽しませてもらおうか!! さあ、かかって来なぁ!!!」グワッ!




187: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:20:12.55 ID:SuvZJJS40



千歌「―――曜ちゃん! そのままことりさんをこの場から離して!」ダッ!



穂乃果と千歌は天狗との距離を詰める
曜は千歌の指示通り、ことりを担いで離れる


先ほど転送された装備によりかなり重厚な姿になった穂乃果だが
その見た目とは裏腹に、未着用時と全く変わらないスピードだった

千歌が天狗の初撃を刀で防ぎ
穂乃果が顔を地面に叩きつける



――ドゴ!!




通常のスーツでは考えられない威力だった
腕に付いたジェット噴射装置により加速されたパンチは
天狗の頭蓋骨をアスファルトごと粉砕する



一瞬の静寂――



しかし、頭部が破壊されたまま立ち上がる天狗
飛び散った頭部の破片が元の場所に集まり再構築されていく



天狗「いいパンチだ! まさか一撃で砕けるとはなぁ!!」


穂乃果「――再生するタイプか…厄介だな!!」ドゴッ! バキッ!



穂乃果は何度も拳を天狗の体に食らわせる




188: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:21:14.22 ID:SuvZJJS40

天狗の全身の骨はボロボロとなり
たまらずひざまずく

穂乃果は肘に付いた鋭利な刀で首を落とす
落ちた頭に手の平を向ける

そこには発射口があり対象を削り取る光線が発射される
光線により天狗の頭部は完全に消滅した



千歌(凄いな……私、必要無いじゃん)



千歌の言う通り、圧倒的な強さで天狗を追い詰める穂乃果に対し
加勢はむしろ邪魔になるだろう
穂乃果の方も、もはや千歌は意識の外にあるようだ


しかし、天狗はなおも立ち上がる
消滅した頭部も粉々となった全身の骨も治っている



天狗「面白い装備だな? 多用な武器が内蔵されているようだが……今ので全部か?」

穂乃果「…頭を潰しても消し去ってもダメ……なら全身を消滅させる!」



天狗と穂乃果は再び衝突する――





~~~~~~

学院の校庭ではルビィ、絵里と一体の星人が睨み合っていた
鷲のような風貌をした人型この星人は今回のボスでは無いが
それに近い強さを秘めているのは嫌でも感じ取れた


絵里「――ルビィさん…この星人を二人で倒すのは厳しいわ……増援が来るまで生き残る事だけ考えなさい」

ルビィ「………」ダッ!



絵里の指示を無視しルビィは犬神に突っ込む



――ビュオオォォ!!


辿り着く前に後ろに吹き飛ばされた




189: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:21:42.48 ID:SuvZJJS40


星人が手を横に薙ぎ払うことで生み出した風圧だけで
人が吹き飛ばされたのだ

余波で校舎の窓ガラスも全て割れる



絵里「くっ!!? ルビィ! 無事なの!?」

ルビィ「――大丈夫です! あの手には当たらない方がいいですね……」

絵里「…もう勝手に突っ込まない事。戦うなら二人でやる方がいい」

ルビィ「……増援が来るまで逃げるんじゃないんですか?」


絵里「そうしたいけどね……星人は私達を逃がさないでしょうね」



星人は二人に襲い掛かる
ルビィはXガンで応戦するもこのレベルとなると中々当たらない

絵里のガンツソードも全て回避される



「――――っ!!」シュッ!


星人の鋭い突きがルビィに突き刺さる
スーツの防御力により体に穴が開くことは無かったが
耐久値を一気に削り、無力化された

星人はトドメの手刀を繰り出すが絵里により防がれる
ルビィを担ぎ、一旦距離をとる



ルビィ「っ!! すいません……」ギリッ!

絵里「仕方ないわ…一撃でやられなかっただけ運がいい」



星人にはまだダメージは無い
絵里一人では手に余るが……




190: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:22:12.72 ID:SuvZJJS40





――ズドドドン!!



突如、星人が押しつぶされた
絵里が振り向くとそこには希達が増援に到着していたのだ



希「間に合ったみたいだね…ケガは無い、えりち?」

絵里「ええ…来てくれて助かったわ……」フゥー


善子「痛っ! とんでもなく痛いわ……」

鞠莉「ここにはルビィがいたのね……他に一緒にいたメンバーはいる?」

ルビィ「………っ」

鞠莉「ん? ルビィ??」


にこ「――にしても凄まじい威力ね? 見事にぺっちゃんこじゃない」スタスタ



にこは無意識の内に倒れた星人に近づいていく
いつもならあの銃を食らったほとんどの星人は死ぬ
希は念を入れて三発撃ち込んでいたので
間違いなく倒したと思っていた


――星人の指先がピクリと動いたのを善子は見逃さなかった


善子「――っ!!? 近づいちゃダメぇぇぇ!!!!?」


にこ「……は?」



善子は叫ぶがもう遅い
星人は右腕を振り上げ鋭い衝撃波を放つ

その威力はスーツの耐久を無視し
にこの左腕と少し離れていた希の右腕を肩から切り落とす




191: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:22:42.10 ID:SuvZJJS40




絵里「希!? にこ!!!?」ゾワッ


死んだと思った星人はよろよろと立ち上がる
全身血まみれとなっていたが
その表情は怒りに満ちている

あまりの激痛にうずくまる にこ
星人はもう一度右腕を振り下ろす――




――バキッ!




――凛の拳が星人の右腕をはじき、軌道をずらす
花丸がにこを抱えるのを確認し二人はみんなの所まで下がる



絵里「希! しっかりしなさい!! 今止血する!!」キュッ

希「うぅ……油断したわ……まさか生きてるなんて…」ドバドバ


にこ「全く……助けに来た二人が最初にやられるなんてね……」ハァーハァー

凛「花丸ちゃんも止血お願い!!」



怒り狂った星人は絵里達のもとへ襲い掛かる――




192: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:23:15.93 ID:SuvZJJS40






~~~~~~

曜はことりを建物の中に避難させた
消滅した足首の止血を済ませ、急いで戻ろうとする



ことり「――ちょっと待って! 曜ちゃんは誤解してるの!!」

曜「……誤解ですか?」


ことり「…穂乃果ちゃんは仲間を大切にしない人じゃない、むしろ凄く仲間思いな子なの
……」

曜「………」


ことり「昔の穂乃果ちゃんは凄く明るくて笑顔の素敵な子で……ミッションで誰かがケガをするたびに涙を流す優しい子だった」

ことり「でも…あるミッションで穂乃果ちゃん以外のメンバーが全滅したことがあったの……」


ことり「しばらくしてから私は穂乃果ちゃんに再生された。私は泣いて喜んだよ? また大好きな穂乃果ちゃんに会えたんだもん……でも穂乃果ちゃんは表情一つ変えなかった」


ことり「その後に再生したメンバーに対しても同じ……それどころか目つきも冷たくなっていた…」



ことり「――穂乃果ちゃんの心はあの時に壊れちゃったの……大好きだった人達を一度に全員失った悲しみに耐えられなくてね…」


曜「……だったら解放を選べば…部屋での記憶は消されるんでしょ?」

ことり「私達はあの部屋に行く前から友達だった。解放を選んでもメンバーを忘れることはできない……」

ことり「それに……穂乃果ちゃんの100点メニューに一番の選択肢が何故か無くなっていたの」


曜「選択肢が無い!? 人によっては無くなる選択肢があるんですか!?」




193: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:23:51.93 ID:SuvZJJS40


ことり「それは分からない……無くなっていたのはまだ穂乃果ちゃんだけだから。……あなたに想像できる? 大切な人を失い、この地獄からの解放も選べない……仲間が死んでは再生を繰り返していた穂乃果ちゃんの気持ちが…」


曜「………」

ことり「全部……私達が悪いの…私達が弱いばっかりに――」



曜「――だとしても、再生されるなら仲間ごと撃っていい理由にはならないし、そもそもそんなの仲間だとは思わない」

曜「穂乃果さんが辛い思いをしていたのは分かった。こんな地獄を五年間も経験していることも知ってる……」


ことり「よ……曜ちゃん?」

曜「本当に心が壊れたのなら今日まで生き残っていないし、そもそも仲間を再生したりしない……」


曜「――仲間ごと撃つように言ったのはあなた達ミューズのメンバーですね?」

ことり「!?」


曜「確かに穂乃果さんは強い、多少の犠牲を払ったとしても確実にミッションが成功するためには戦法として間違ってはいない……あの時は感情的に怒っちゃったけど、昔の穂乃果さんの性格からして最初から抵抗無しに仲間ごと撃つなんて出来るはずが無い」



曜「……本当に壊したのはあなた達だった、違いますか?」

ことり「それは……!」



曜「――まあいいです、私達には関係ないことですから。私は千歌ちゃんの所に行きます。ことりさんは待っていて下さい」

ことり「………」

曜「……穂乃果さんがどう思っているか、しっかり話し合ってください」



曜はそう告げ、建物を後にした




194: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:24:20.06 ID:SuvZJJS40







~~~~~~


真姫「――穂乃果から聞いたけど、私が死んだミッションの時に100点取ったらしいわね? あの戦いに生き残ったなんて流石ね」

梨子「…いえ、運が良かっただけです。あの時、皆さんがいなかったら今ここにいません」


真姫「私達もあれから色々あったわ……ずいぶんと長い事戦い続けてる。まあ穂乃果程ではないけどね?」

梨子「…私はあの時解放を選んで本当に良かったんでしょうか? 私が残っていれば……」


真姫「さあね? そもそも解放は穂乃果に勧められたんでしょ? ならあなたが気に病むことでは無い」

梨子「………」



真姫「あなたのチームの千歌ちゃん……少し気にかけた方がいいかもね?」

梨子「どういう意味ですか?」

真姫「あの子この前、穂乃果の所に行ったでしょ? 多分その時に何らかの重大な話を聞いているはずよ?」

真姫「――恐らく、今後あなた達も関係するであろう“何か”をね」


梨子「どうしてそう思うんですか?」

真姫「それは―――!?」ピピピッ



真姫の手首に付いた端末が鳴り出した



梨子「? それは何なの?」

真姫「ああ、ミッション中でも連絡が取れるように作った腕時計型の端末よ。いつも戦闘中に壊れちゃうからあんまり使えないんだけど……」


真姫「……梨子さん、ちょっとここにいて。今から建物の屋上に行ってくる」

梨子「屋上?」


真姫「―――援護要求がきたんでね?」カチャッ




195: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:24:48.97 ID:SuvZJJS40





~~~~~~

果南「――いやーー、あなた凄いね! 素人でも分かるくらい綺麗な剣術だったよ!!」

海未「いえ……むしろ、あなたの動きに驚かされました! 本当に我流なのですか?」



果南と海未により刀持ちの星人は倒されていた
海未の剣術と果南の圧倒的な運動神経の前に星人は太刀打ち出来なかった



果南「えへへ……取り敢えずここら一帯の星人は殲滅したけど…どうする?」

海未「……駅の方で大きな音がしていましたね。そちらには穂乃果とことりが向かっていましたが……私は一応そちらに向かいます」

果南「なら私も行くよ! あなたとは相性が良さそうだし」

海未「はい! では行きましょう!」ダッ!




196: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:25:18.18 ID:SuvZJJS40






~~~~~~


穂乃果「―――…ハァー……ハァー…ハァー…」


穂乃果は未だ天狗と交戦中であった
もう確実に十数回は殺しているが、その度に再生し立ち上がる
それどころか再生するたびに体はより筋肉質になり
今では出現当初より二回り大きくなっていた



天狗「うーむ……さすがに体力切れか? そろそろ刈り取ってもいいかのぉ?」

穂乃果「刈り取るだって? 散々私に殺されてるくせに……ずいぶんと上から目線じゃない?」イラッ


千歌(あれだけ倒しても復活する……再生制限は無いんだね)



千歌もただ二人の戦闘を見ていた訳では無い
天狗の攻撃パターンや再生速度等
様々な情報を分析し、撃退の手がかりを模索していた



千歌(急所への攻撃も、頭部の完全消滅も無意味……殺傷は無理って事?)



―――ゴシャ!




二人の拳が衝突する
ただ、まだ穂乃果の威力の方が強い
天狗の腕はグシャグシャになり後方に吹き飛ぶ


天狗「ほう! まだ力負けするのか」


穂乃果「――いい加減に倒されてよ!!!」ギョーン!ギョーン!ギョーン!



手の平から光線を連射する
星人はかわす素振りすら見せずに攻撃を食らう

光線は天狗の心臓や顔、腕を貫くがすぐに再生される




197: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:25:55.28 ID:SuvZJJS40





天狗「……さて、そろそろ頃合いかのう」



天狗は穂乃果に接近する



穂乃果「何度やったって同じだよ!!」


もう一度拳が激突する
…が、今度は穂乃果が力負けし腕がはじかれる



穂乃果「んな!?」

天狗「ほらほらぁ!! まだ終わらんぞぉぉ!!!」



チャンスとばかりに怒涛のラッシュ繰り出す

穂乃果の装備は通常のスーツより耐久性がはるかに高い
スーツでは一撃で機能が停止する攻撃もこの装備なら
余裕をもって耐えることが出来る

穂乃果も応戦するも徐々に装備の損傷が増す



――バキン!




穂乃果の顔を覆っていたマスクが壊される
その顔には多少の焦りの表情が浮かんでいた



天狗「―――トドメだ」



天狗の渾身のストレートを両腕でガードするも
耐久値の限界を超えた腕は崩壊し
穂乃果は後方の建物に突っ込んだ



千歌「穂乃果さん!!?」


天狗「……さて、次はお前なわけだが…あの女と同じ装備は無いのか?」

千歌「……生憎持ってないんでね。あるのはこれだよ」シュッ!



千歌はガンツソードを構える
天狗は少しがっかりした表情を見せた


天狗「やれやれ…せめて一瞬で倒され――!?」




198: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:26:38.10 ID:SuvZJJS40




突如、Yガンによるワイヤーにより拘束される


曜「よし!! このまま……」



しかしそう簡単にはいかない
力を込めた天狗は自力でワイヤーを千切り
拘束から解放される


天狗「ハァ!! 惜しかった――!?」


この一瞬を突き、千歌は天狗の右腕を切り落とす
天狗の蹴りは食らったものの
まだ無事である



曜「ごめん千歌ちゃん!! 少し遅くなった…」

千歌「大丈夫……それよりも穂乃果さんがやられた!」


曜「!? 死んだの!!?」

千歌「分からない……あの装備ごと中のスーツも壊れてた…あいつの本気パンチを食らった終わりだよ!!」


天狗「…さっきいた女か……逃げずに帰ってきたことは誉めてやろう」ニヤリ


曜「それはどうも! 絶対に逃げないから安心し……?」

千歌「――!?」



千歌と曜はある違和感に気付いた
穂乃果が強すぎるが故に見落としていた天狗の特徴
二人は目を合わせる



曜「……千歌ちゃん、あいつって再生する星人なんだよね?」ボソッ

千歌「そうだよ…曜ちゃんも気が付いた?」ボソッ


曜「だよね? なら確かめる必要がありそうだね!」

千歌「うん! 曜ちゃんは足止めお願い!!」ダッ!




199: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:27:18.97 ID:SuvZJJS40






~~~~~~


絵里「――さて、どうやって戦いましょうかね……?」シュッ!


鞠莉「銃なんか使わないでぶん殴って倒す!!」パシンッ

凛「あの羽……引き千切ってやるにゃ!!」


絵里「……見事に脳筋しか残ってないわね…」ヤレヤレ



先ほどの攻撃で腕ごと希の持っていた銃は壊されてしまった
三人の両足のホルスターにはガンツソードとXガンが入っており
絵里はガンツソードによる戦闘が得意だが
残りの二人はスーツによる格闘を得意とする


絵里「いい? あいつはかなり動きが早いわ。私の攻撃がかすりもしなかった……手刀による攻撃には気を付け――」



絵里が話し終わる前に二人は飛び出した
腕による攻撃に注意し
足や胴に少しずつダメージを与えていく

遅れて絵里も参戦
星人にとって打撃よりも刀の攻撃の方が致命傷となる
絵里の攻撃が二人の格闘攻撃をより生かす


――星人の裏拳が凛の顔面を捕らえた


凛「――っ!!!?」


大きく吹き飛ばされる凛



鞠莉「―――っ!!」バギッ!


鞠莉は凛を吹き飛ばした方の腕をへし折る

星人は一旦距離をとった




絵里「凛! 無事なの!?」

凛「ぐうぅぅ……大…丈夫……スーツは壊れちゃった…」



これで残るは二人
徐々に追い込まれていく……

――星人は翼を広げ鞠莉と絵里の頭上を越えていく




200: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:27:47.85 ID:SuvZJJS40




絵里「え!? なんで!?」ゾワッ

鞠莉「花丸! 善子! 気を付けて!!!」



星人は後ろにいる負傷者を先に仕留める事にした
そもそもこの星人にとって絵里達はどうでもよかった
ターゲットはただ一人
自分に大ダメージを与えた希だけだった



花丸「き…きたずら!!?」

ルビィ「花丸ちゃん! 武器を構えて!!」

希「あいつの狙いは多分うちや!! ケガ人連れて早く逃げて!!!」




「――大丈夫です。任せてください」




背後から声が聞こえてくる
振り返るとそこには――


ルビィ「――花陽さん!?」



花陽は腰のホルスターに手を置いている
まるで居合斬りのような構えで星人を待つ

星人との距離が2mを切ったとき――
星人は花陽から放たれる殺気に気付く



花陽「―――っ!!!!」シュッ!!!



目にも止まらぬスピードで繰り出された花陽の抜刀は
星人の両足を切り落とす
あと一瞬、感じ取るのが遅れていたら胴体が真っ二つにされていただろう

Xガンで追撃するも射程よりもはるか高い所まで飛んでしまった
どうやら上空で回復を待つらしい


鞠莉「あんな高さまで!? どうすんのよ!?」

花陽「………」

絵里「とにかく構えておきなさい! 次こそ仕留めるわ!!」スチャ




花陽「――もう大丈夫です。もう倒しましたよ」

鞠莉「……へ?」キョトン


花陽「10秒…経ちましたから」ニコ



上空で星人の頭部が破裂する音が校庭に響いた――




201: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:28:26.34 ID:SuvZJJS40





~~~~~~


真姫「――ふぅ、何とか当たったわね」



真姫はビルの屋上に立っていた
構えていた武器はXショットガンである

以前、善子が遠距離からの狙撃に使用したこの銃は
遮蔽物が無い限り着弾までに時間はかかるが数キロ先まで狙撃が可能である
真姫が立っているこの場所は校庭の上空を飛ぶ星人をギリギリ狙える
ただ一つの場所であった


花陽から連絡を受けた真姫はすぐさま狙撃ポイントに急ぎ
ひたすらその時を待っていたのだ

そして星人の姿がスコープに映った瞬間に狙撃
見事頭を撃ちぬいたのだ



真姫「多分誰かの手柄を横取りした形になったかもしれないけど……ま、いいか」



一仕事終えた真姫は梨子のもとへ戻る――




202: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:29:00.86 ID:SuvZJJS40






~~~~~~


絵里「――なるほど、真姫に連絡して狙撃してもらったわけか」フゥー

鞠莉「狙撃!? どっから狙ったっていうの!?」キョロキョロ

花陽「真姫ちゃんは凄いからね! 止まってる“的”なら数キロ先からでも狙い撃ち出来るんだ!」エッヘン


凛「何でかよちんが自慢してるのー?」アハハ

ルビィ「……おねぇちゃんはどうしたんですか? そばにいるって言ってたじゃないですか!」

花陽「ルビィちゃん……あのね――」




再び校庭に星人の群れが出現した
数はどんどん増えていく


絵里「……話は後ね。もうひと踏ん張りよ!!」




203: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:29:45.32 ID:SuvZJJS40




~~~~~~

穂乃果(体が……動かない…)


天狗によって吹き飛ばされた穂乃果は全身打撲と両腕の粉砕骨折という重症を負っていた
このミッションで再び戦うのはもう不可能であった


穂乃果(倒されれば倒された分だけ強くなるタイプだったか……多分倒そうとして戦うと一生勝てない)

穂乃果(私達のチームに“あの銃”を持っている人はいない…頼んだよ……千歌ちゃん――)






千歌「―――はああ!!!」ズバッ!



千歌はもう片方の腕を切り落とそうと刀を振る
しかし天狗は刀の軌道に自らの急所をねじ込んだ

当然、天狗は死ぬが―――



天狗「いかんいかん……つい足を滑らした。死なないと分かっていると動きが雑になる」


すぐさま再生
千歌の与えたダメージは全て治る

だが、今の再生で二人の違和感は確信に変わった



曜「―――千歌ちゃん!!」

千歌「うん! もう大丈夫……次で終わらせるよ!」


天狗「ほほーう…終わらせるか? 言っておくが、今のわしの攻撃を一発でも食らえば即死だが……分かっているのか?」ニヤリ


千歌「…そうだね。また再生させちゃったからより強力になったもんね……でも、当たらなければ問題無いよね?」フフ




天狗は二人との距離を一瞬で詰める
パワーだけでなく当然スピードも強化されている

――が、このスピードは想定内
二人は初撃をかわす


曜は後ろに下がりつつYガンを連射
今の天狗にはすぐさま壊される事は分かっていたが
少しでも動きが止められれば良かった

一発だけ命中
ワイヤーが天狗の体に巻き付く




204: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:30:49.59 ID:SuvZJJS40





曜「――そんな!?」ゾワッ



天狗は腕に少し力を込めただけでワイヤーを破壊した
もはや一瞬の足止めにすら役に立たない




天狗「――まずは一人」グワッ!


天狗に斬りかかろうとした千歌の刀を弾き
拳を千歌の腹に叩きこむ――


千歌はそのまま後方に吹き飛んだ



千歌「―――まだだ!!」ビュン!



後ろに飛ばされながらも持っていた刀を天狗の太もも目がけ投げつける



――グサッ!




見事命中、左の太ももを貫通した


天狗「はっ! ギリギリで後ろに飛んで威力を殺したかぁ!! だが、手応えはあったぞ!!!」



天狗の手応えは正しかった
即死は回避したものの、スーツの防御力を大きく上回る攻撃は
千歌の内臓に深刻なダメージを与えていた



千歌「ぐふっ! まだスーツは壊れて無い…まだ戦え――」ボタボタ



――グサ!



――天狗の右足の甲にガンツソードが投げつけられ
深々と突き刺さり地面と固定する
完全に不意攻撃にさすがの天狗も一瞬硬直した

千歌の背後から二人が猛スピードで駆け抜けた




205: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:31:35.09 ID:SuvZJJS40





果南・海未「「――――っシュ!!!」」



二人は天狗とすれ違いざまに両腕を切断
勢いそのまま、地面に体を引きずった


果南「――今だ! 撃って曜!!!!」


曜は二人が両腕を切断すると同時に発射していた
もうワイヤーを壊す腕は無い


天狗「!? この女どもがぁぁぁ!!!!」



千歌(穂乃果さんが……すぐにトドメを刺しちゃうから気が付かなかったけど…あいつの再生には特徴があった)ハァーハァー

穂乃果(恐らく…あいつに再生回数に限界は無い。何度だって生き返るだろう……倒すにはYガンによる転送しか方法は残っていなかった)



曜「――あんたが再生出来るのは“死んだ時”だけ。だから邪魔な腕は先に落とさせてもらったよ?」ニヤリ


曜は今度こそYガンの上トリガーを引く
断末魔と共に天狗の転送が始まった



海未「どうやら…役に立てたようですね?」

果南「着いたと途端、凄い形相で腕を斬ってって言われた時は何事かと思ったよ」フー


海未「――っ! 果南! もう一人の仲間の様子が!!?」





曜「――千歌ちゃん! もう倒したよ!! しっかりして!!」

千歌「……ハァー…ゴホッ! よ…曜ちゃん……やった……ね…」ニコ


曜「どうして転送が始まらないの!? 早くしないと千歌ちゃんが!!」ポロポロ

果南「千歌!? そんな……!?」ゾワッ


海未「……すいません、私は穂乃果とことりは……どうなったのですか…?」

千歌「大丈夫です……二人とも無事です……うぅ…」

曜「もうしゃべらないで! ガンツ!! 早く始めてよ!!!」





206: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:32:04.37 ID:SuvZJJS40





――ジジジジジ



果南「よし! 始まった!」

曜「!? 千歌ちゃん! 私達は先に帰るね! 待ってるから絶対に帰ってきてね!!!」ポロポロ


千歌「………う……ん」ニコ



手を握っていた曜が転送され
支えを失った千歌の手は力なく地面に落下した――




207: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:32:34.00 ID:SuvZJJS40






――
――――
――――――


~ガンツの部屋~


絵里「――今回はかなりの強敵だったわね…まさかZガンで倒せない敵がいるなんてね?」

希「まったくや……武器の過信は命とりやね」

にこ「ハァー…もうあの痛みは味わいたく無いわ…」



花陽「真姫ちゃん! 助けてくれてありがとう!」ニコ

凛「真姫ちゃんお手柄にゃ~」スリスリ

真姫「ウエェェ!? ま……私にかかれば何て事ないわ!」プイ



海未「二人共無事でしたか! 駆け付けた時にいなかったので心配しました…」

穂乃果「そっか……あの二人が倒してくれたんだね」

ことり「………」



曜『――だとしても、再生されるなら仲間ごと撃っていい理由にはならないし、そもそもそんなの仲間だとは思わない』

曜『……穂乃果さんがどう思っているか、しっかり話し合ってください』




ことり「――ねえ、穂乃果ちゃん…」

穂乃果「ん? どうしたの?」




208: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:33:03.54 ID:SuvZJJS40



ことり「――私と組んだ時に強い星人と戦う事になったら私ごと撃ってもいいよって提案したよね? あの提案…聞いた時に穂乃果ちゃんはどう思った?」

穂乃果「………」

海未「ことり!? あなたはそんな提案を出していたのですか!?」


穂乃果「――…別に、いい案だと思ったよ? じゃなかったらあの時撃ってないよ」

絵里「ちょっ…撃ったの!? ことりごと!?」

穂乃果「うん。だってことりちゃんが命懸けで作ったチャンスだったんだよ? あそこでためらったら…ただの犬死になってた」

穂乃果「それにもし…もしことりちゃんが私のせいで死んでも私が再生すれば問題ないよね。今までだってそうしてきたわけだし」


希「穂乃果ちゃん……」ゾッ

凛「確かにそうだけど……それって…」

真姫「………」



穂乃果「星人を倒さなきゃミッションは成功しない。その為にはどんな手段を用いても倒すしかないんだよ! ……だからことりちゃんの提案を採用した、それだけだよ」


ことり「……わかった、ならもう一つ聞くね?」



ことり「――穂乃果ちゃんが私に向けて撃った時、どう思った?」




209: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:33:32.56 ID:SuvZJJS40


穂乃果「は?」


ことり「私ね…穂乃果ちゃんに再生してもらった時、凄く嬉しかったの。穂乃果ちゃんの為なら、穂乃果ちゃんの役に立つなら自分の命を捧げてもいいと思ってた。だからあんな提案をしたの」

ことり「穂乃果ちゃんの心を壊したのは……私だったんだよ」


穂乃果「な…何を言ってるの? さっき言ったよね? ミッションの為ならどんな手段も……」

ことり「今はミッションとか義務感とか全部考えないで答えてほしい……穂乃果ちゃんの“こころ”を教えて欲しいの」




今まで見た事のない真剣な眼差しで見つめることり


穂乃果「それは……だから…――」


にこ「正直に答えなさい。隠さないで……全部しゃべっちゃいなさい」

真姫「そうよ。穂乃果は自分の気持ちを抑えすぎなの…このままだと本当に壊れて廃人になっちゃうわ!」


穂乃果「…いや……だからね……」


凛「教えてほしいにゃ! 穂乃果ちゃんの本当の気持ちを!!」

花陽「お願い穂乃果ちゃん!!」




穂乃果「………だから……」


希「…私達は仲間でしょ?」

海未「聞かせて下さい……あなたの心を」




210: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:34:17.00 ID:SuvZJJS40









穂乃果「―――――――――…いじゃん」







穂乃果「―――撃ちたいなんて思うわけないじゃん!!!」

穂乃果「だってことりちゃんは穂乃果の大切な親友だよ!? 生き返るからって自分の手で殺せるはずが無い!! 他のみんなだってそう! 撃てるはずが無いんだよでも仕方ないじゃん!!! 誰かがやらなきゃいけないんだもん!!倒さなきゃ終わらないんだもん!!! ほかに手が無いならやるしかないんだよ!!! だって穂乃果が……穂乃果がこのメンバーで一番強いんだから!! だから!!! ……だからぁ………」グスッ






穂乃果「――――――――――…穂乃果もう……戦いたくないよぉ……」ポロポロ



ことり「………」

海未「穂乃果……」


絵里「私達は…穂乃果に頼り過ぎていたのかも……ね?」

希「そうやね…何度も100点を取っているから慣れてると思い込んでた」

花陽「穂乃果ちゃんには……お休みが必要だと思う」



凛「あ! 穂乃果ちゃんの採点が始まっているよ!!」




211: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/22(火) 21:35:48.84 ID:SuvZJJS40




ガンツ『ほのか 75点 TOTAL155点』


100点メニュー
1.記憶を消されて解放される
2.より強力な武器を与えられる
3.メモリーの中から人間を再生する



穂乃果「え? どうして……」


海未「今まで消えていた一番が復活してます! 穂乃果…分かっていますね?」

ことり「一番だよ……穂乃果ちゃんはもう戦わなくていいんだよ…」


にこ「あんたがいなくてもこのメンバーなら大丈夫よ。…長い事地獄に拘束して悪かったわね……」

絵里「私達も今回のミッションで100点を取っているハズだから、穂乃果も一緒に解放されましょ?」


穂乃果「………ふふ、みんな…ありがとう」






穂乃果「―――二番、今すぐに用意しておいてね?」

ことり「穂乃果ちゃん!? どうして二番なの!!?」


穂乃果「……私は戦わなくちゃいけないの…」

真姫「説明してくれるわよね?」


穂乃果「この話をしたら……みんなも一番を選べなくなるかもしれない」

穂乃果「―――その覚悟があるの?」




――静寂が続く
穂乃果は全員がその覚悟があると理解した


穂乃果「わかった……これから話すのは近い将来起こる『カタストロフィ』についてだよ」




218: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/24(木) 22:01:06.82 ID:Weg88UqZ0

最終章 エピローグ



~GANTZの部屋~


鞠莉「――ふぅー…今回も生き残れたわね♪」

善子「最後の怒涛の星人ラッシュは冷や汗ものだったわ……ケガした手が片方だけで良かった」

花丸「でも! あの数ならもしかしたら100点まで行ったかも!?」



梨子「――花丸さん…無事だったのね」

花丸「あ……梨子さん…戻って来たずらか」


梨子「教えて欲しい! どうしてあの時私を助けたの?」

花丸「……別に…ただの気まぐれだy―――」


善子「ああ、私が頼んだのよ。梨子さんがピンチの時は助けてあげてってね?」

梨子「ど……どうして!?」

善子「前にも言ったでしょ? この部屋に来た人は全員仲間だって。花丸に仲間を見殺しにするような事をして欲しくなかったから言っておいたの」

花丸「……納得は出来なかったけど、確かに生き残るには梨子さんの力は必要だった。マルやルビィちゃんが解放されるまでは責任もって守ってもらうから覚悟するずら!!」プイッ

梨子「花丸さん……」




219: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/24(木) 22:01:41.39 ID:Weg88UqZ0





――ジジジジジ




鞠莉「あら? 果南と曜も帰ってk――」


果南「鞠莉!! 千歌は!!? まだ転送されて無いの!!!?」グワッ

曜「千歌ちゃん!?」ゾワッ


善子「まさか千歌さん……そういえばダイヤさんもいないじゃん!?」

ルビィ「………っ!!」ギリッ


花丸「る……ルビィちゃん?」

ルビィ「お……おねぇちゃんは…少し休んでるだけです…! る、ルビィが絶対に起こしに行くから……だから…!!」ジワッ

鞠莉「う……ウソでしょ…? ダイヤが……」


曜「お願い……お願いだから………帰ってきてよ!!」ポロポロ








――ジジジジジ





「あれ? みんなどうしたの!?」アセアセ

「どうやら……わたくし達が最後だったようですね?」




220: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/24(木) 22:02:18.38 ID:Weg88UqZ0




ルビィ「―――お…おねぇ……!! うわあああああ!!!」ダキッ

ダイヤ「心配かけましたね…よく頑張りました……」ナデナデ

鞠莉「ダイヤったら全く……心配させてもう!!」



曜「千歌ちゃん……良かったぁ…」ペタン

千歌「あはは……凄く心配させちゃったみたいだね?」

曜「本当だよ!! もうダメかと思ったんだからね!?」

果南「まあまあ、みんな無事だったんだからそれでいいじゃない?」




全員の転送が完了し採点が始まった




221: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/24(木) 22:04:48.09 ID:Weg88UqZ0



善子「――私からね?」


GANTZ『堕天使(笑) 95点 TOTAL100点』



善子「そっか……また取れたのね」


ルビィ「おめでとう善子ちゃん!!」

花丸「これで卒業出来るずら!」


善子「ルビィ…ズラ丸……」ジワッ



画面が切り替わる

    100点メニュー
1.記憶を消されて解放される
2.より強力な武器を与えられる
3.メモリーの中から人間を再生する



善子「―――…一番、私を解放しなさい!」



――ジジジジジ



善子の体が足元から転送され始めた



善子「……皆さん! 今まで本当にありがとうございました!! みんなの事は忘れてしまうけど……きっとまた友達になってください!!」ペコ

花丸「当たり前ずら! ……あの時約束したもんね?」ニコ

ルビィ「また教室でね!」


善子「……ええ! 二人とも頼んだわよ!」ウルッ


善子「千歌さん! 最初あなたと二人になった時は正直もうダメだと思っていたわ! でも違った…ここまで来れたのは千歌さんのおかげよ!! ……本当にありがとうございました!!」ポロポロ

千歌「善子ちゃん……こちらこそありがとう! お疲れさま!!」




222: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/24(木) 22:06:14.54 ID:Weg88UqZ0




善子の体の転送は完了した
続いては花丸の採点



GANTZ『ズラ丸 100点 TOTAL101点』




花丸「――…一番をお願いするずら」



転送が始まる



花丸「弱かったマルがここまで来れたのはみんなのおかげです! また仲良くしてくれると嬉しいずら」ニコ

ルビィ「また明日ね! 花丸ちゃん!!」

花丸「うん! ……梨子さん、もしルビィちゃんも今回解放されるなら……もうお役御免ずら。あなたもこんな部屋から解放された方がいいよ」

梨子「……でもそれは…」


花丸「私がいいって言ってるんだからいいの! 次に会う時は……仲のいい友達になりたいずらね?」ジジジジジ

梨子「っ! ……ええ、よろしくね!」ニコ




GANTZ『ピギィ 85点 TOTAL101点』




ルビィ「やった! おねぇちゃんやったよ!! ルビィが100点を超えたんだよ!」

ダイヤ「ふふ……本当に強くなりましたね? お姉ちゃんもすぐに行きますから家で待っていてください」ニコ

ルビィ「うん! みなさんもまた明日、学校で会いましょう!」ジジジジジ




223: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/24(木) 22:07:19.91 ID:Weg88UqZ0






鞠莉「一年生メンバーが全員解放されたわね? あの子達が100点なら私達も大丈夫でしょうね」

ダイヤ「どうでしょうか…私はギリギリの可能性が――」



GANTZ『硬度10  87点 TOTAL100点』



ダイヤ「ふぅー…最後に倒せた星人が高得点で助かりました。姉が100点を取れなかった、なんてカッコ悪すぎですもの」

千歌「お疲れ様です、ダイヤさん…」

ダイヤ「ええ…千歌さんには大変お世話になりました。私達を導いていただき感謝していますわ!」ジジジジジ





GANTZ『小原家 90点 TOTAL119点』



鞠莉「…ま、私は果南に会うためにこの部屋にきたわけだから……目的が達成出来て満足よ♪」

果南「全く…相変わらず鞠莉は無茶するよね」ジトッ

鞠莉「……この部屋のメンバーで過ごした日々はとても楽しかった…今度はこのメンバーで別の活動をしてみたいものね! μ’sみたいなシャイニーなスクールアイドルとかね♪」ジジジジジ




GANTZ『かなん 100点 TOTAL125点』




果南「……あれだけ倒したんだから当然かな? 私もここを卒業かー」

果南「最初に千歌が来たときは本当に驚いた……あの時死んじゃってごめんね。千歌に辛い思いさせちゃってさ…」


千歌「大丈夫だよ! ……果南のあのノートが無かったら生き残れなかった…ありがとうね!!」

果南「そっか…役に立てて良かった!……それじゃ、またね」ジジジジジ




224: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/24(木) 22:08:49.22 ID:Weg88UqZ0






残るは二年生だけとなった
採点は続く




GANTZ『なしこちゃん 85点 TOTAL120点』




千歌「おめでとう梨子ちゃん…今度こそ自由になれるといいね」

梨子「……そうね…」


曜「―――あー…その前に梨子ちゃん、ちょっといいかな?」

梨子「ん? 曜ちゃん?」





曜「―――歯、食いしばれぇぇ!!!!」バキッ!


梨子「――っ!!!?」ドサッ



曜の渾身のストレートパンチが梨子の頬に直撃
スーツを着ているはずの梨子の顔には激痛が走り
鼻血も出ている



千歌「ちょっ!!? 曜ちゃん何やってるの!?」

曜「あぁ~~~~っ!! スッキリしたぁ!!」

梨子「ハァー…ハァー……ハァー…?」ドクドク



曜「千歌ちゃんは気にして無いみたいだから今まで黙っていたけど、せっかくこの部屋から解放されたのにまた連れ戻したあなたを本当は許せなかった…殺してやろうとも思ったよ? 仲良くしないと千歌ちゃんが悲しむから表には出さなかったけどね…」

梨子「……っ!」

曜「でもね……梨子ちゃんが千歌ちゃんを連れ戻してくれなかったら…私はここにいないのも事実。だから今のでチャラにする。いきなり殴ってごめんね?」


梨子「……本当に私は多くのメンバーに嫌われていたのね…覚悟はしてたけどやっぱりショックね…」シュン

曜「花丸ちゃんも言ってたじゃん! 今度は仲のいい友達になろうって! 今ので私も許したんだしもう嫌いじゃないよ?」


梨子「ふふ……ありがとう…曜ちゃんのパンチ、この部屋に来てから一番痛かったわ」ジジジジジ




225: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/24(木) 22:09:55.10 ID:Weg88UqZ0





千歌「曜ちゃん……理由は分かったけど、やり過ぎじゃない? 絶対に奥歯も折れてたよ?」ジトッ

曜「……いや、スーツ着てるから大丈夫だと思って…意外と効いちゃったみたい」アハハ



千歌「――あれだけいたメンバーも二人だけになっちゃったね?」

曜「そうだね……次は私みたい…」




GANTZ『ヨーソロー 91点 TOTAL109点』




曜「そういえば…千歌ちゃんにまだ謝ってないことがあったね?」

千歌「ほぇ? 何かあったっけ??」キョトン



曜「―――…あの日、一緒に登校する約束破っちゃってごめんね?」



千歌「……ぷっ…あはははは!! 何かと思えばそんな事か!」ケラケラ

曜「むっ! そんな事とはひどくない!? 私があの時どんな覚悟で―――」



千歌は曜を抱きしめた
突然のことで曜は驚くがすぐに優しく千歌の体に腕を回す



千歌「――曜ちゃんにまた会えて本当に良かった…もういなくならないでね?」グスッ

曜「……うん、もう千歌ちゃんを悲しませるような事はしないよ…じゃあ、先に待ってるね?」ジジジジジ





――こうして部屋には千歌だけが残った
九人もいたこの部屋も今はガンツと千歌しかいない
これがどういう意味なのか千歌にはもう分かっていた



千歌「……良かった、私の順番が最後で……まあ、今回私はそもそも選べないもんね? そうでしょ? ガンツ」




そして、千歌の採点が始まる





GANTZ『ちかっち 65点 TOTAL78点』








231: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/25(金) 20:35:18.59 ID:TcpJvvs60






――
――――
――――――

~四か月後 浦の星女学院~


曜(季節はもう冬、内浦も今のも雪が降りそうなくらい寒い日が続いているよ)

曜(理由は分からないけど、わたくし渡辺曜は高校入学前から今年の夏休み前までの記憶がすっぽり無くなってしまっているのであります…)

曜(なんでも、私は春先に行方不明になっていたり静岡駅や秋葉原で大事件が発生していたりと、とんでもない事が起きていたらしい)

曜(そして、私にはいつの間にか学年をまたいで多くの友達が出来ていたのだ! どうやって友達になったのかはみんな分からないんだけど…細かい事はどうでもいいよね!)

曜(今は授業も終わって放課後になったんだけど……)



善子「――曜さん! リリー! 迎えにきたわよ!!」ガラガラ

梨子「よっちゃん! 廊下を走ってきたわね? ケガしたらどうするの…」ヤレヤレ


花丸「……梨子さんの言う通り…ずら……追いかけるマル達の事も考えて欲しいずらぁ…」ゼェーゼェー

ルビィ「い……息が出来ない……」フューフュー

曜「あはは……みんな走ってきたんだね…」


善子「だってこれからみんなで今日からオープンするカフェに行くのよ!? 楽しみ過ぎて走るなってのが無理なのよ!」ウキウキ

梨子「はいはい、今から準備するから少し待っててね?」

善子「はーやーくー! リリィー!!」


曜「あれ? 果南ちゃん達はどうしたの?」

ルビィ「おねぇちゃんと果南さんは鞠莉さんのお手伝いをしています。少し時間がかかるらしいので先に行っててと言ってました」

梨子「そっか、なら行こうか!」



花丸「――今日も高海さん来ていないんですね?」

曜「……うん」




曜の後ろの千歌の席は夏休み明けからずっと空いていた
夏休み中、一度も連絡が取れなかった千歌は曜達の知らない間に休学届を提出

それ以来、誰一人連絡が取れない状況が続いていた
千歌の家族に尋ねてもダメだった


善子「…曜さんと果南さんの幼馴染なんですよね? どうして突然いなくなったんだろう……」

曜「それが分かればね……何も覚えて無いから困ってるんだよね」

梨子「……早く連絡が欲しいわね…」


曜「――千歌ちゃん……」ボソッ




232: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/25(金) 20:36:19.93 ID:TcpJvvs60




~夜 曜の自室~

曜はベッドに寝転んでいた
みんなと遊びに行ったのは楽しかったが……
やはり千歌の事が気になってしまった


曜「千歌ちゃん…どうしていなくなったの? ひどいよ……」グスッ



曜にとって千歌は家族同然だった
そんな千歌が行方不明となったのだ、ショックは大きい



――ゴトッ



曜「――ん? 何の音?」



机の方から何かが落ちた音がした
目を向けると、そこには見覚えのない物が置いてあったのだ

それは過去に梨子の家に送り付けられたものと同じ物なのだが
当然、曜はこれが一体何なのか知る由も無かった――





曜「――――この黒い球は……なに?」







233: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/25(金) 20:37:57.27 ID:TcpJvvs60





――
――――
――――――

~某日とあるマンションの一室~



――ジジジジジ



「――お! 新しいメンバーだね? ああ、取り敢えず落ち着いてよ!」


「――うん、ここは天国でも地獄でも……いや、どちらかと言えば地獄なのか…とにかく、まだあなたは死んでは無いよ」


「――うーん…ちょっと違うかな? 正確にはまだ生き返ったわけでは無いよ。その一歩手前って感じだね」


「信じられないと思うけど、これから私達は宇宙人と戦うの。――あはは…変な事言ってるように聞こえるでしょ? 私も最初はそう思っていたよ」


「しばらくしたら、あそこにある黒い球が開くから自分の名前が書いてあるケースを見つけて? 私が着ているスーツが入っているからこれだけは必ず着て! あなたの命を守ってくれるからさ」


「今回は初めてだから見ているだけでいいよ! まずはこの部屋のルールを覚えてもらわないとね!」ニコ


「――なんでもう着てるのか? それは私がもう何回もこの部屋で戦い続けているからだよ! 自分で言うのもなんだけど、結構強いんだよ!」エッヘン


「――何者って言われても……ただの女子高生だよ? ――もう! 大丈夫だってば!! ……え? 別に怪しんでいるわけじゃないの?? ならいいや」エヘヘ


「あ! まだ名前を聞いていなかったね? あなたの名前は? ――分かった、――ちゃんだね! これからよろしく!!」




「私の名前はね――――――」








千歌「……GANTZ?」 完




234: ◆ddl1yAxPyU 2016/11/25(金) 20:39:48.55 ID:TcpJvvs60

ここまで読んで頂きありがとうございます!
原作のキャラの登場やストーリーをなぞる展開等を極力避けて
書いてみたのですが、GANTZの雰囲気は出ていましたでしょうか?
ぜひ、感想や指摘などお願いします


千歌を主人公としたこの作品はここで終わりですが
まだ回収していないものがありましたね…




246: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/19(月) 23:50:47.51 ID:YAHPW/ib0




~10月下旬 夜~


『――もしもし? こんな時間にどうしたの? ――そう…あなたのところにも送り付けられたのね』


『そもそもおかしな話よね…解放されたっていうのに私達だけ全く記憶が消されていないんですもの。完全に自由にさせる気はさらさら無いって事か』


『――ええ、あの子達の記憶は消えている。つい最近梨子と花丸が一緒に出掛けているのを見かけたわ。どうやって知り合ったのかは分からないけど、あの二人が仲良くしているって事はそういう事でしょ?』クスクス


『――そっか、あの部屋に戻るのね…なら私も戻るわ♪ ――そんなに怒らないでよ。親友がもう一度あの地獄に戻ろうとしているのを放っておけると思う? 一人より二人、二人より三人の方がいいに決まっているでしょ』


『――え、知らなかったの? ダイヤにも届いてるのよ。すでに決心はついてるみたい。まあ、今回は何故か梨子の時と違って他人を巻き込まないであの部屋に行けるのだから良心的よね…』


『――それは私にも分からない。ただあの子に何かがあったことは間違いないと思う……それじゃあ、休学届を出したっきり音信不通のちかっちをお迎えに行きましょうか♪』








~12月初旬 昼休み 中庭~


梨子「――あれ? 曜ちゃんその黒い球は何?」

曜「なんか…昨日の夜いつの間にか机の上に置いてあったんだよね。みんな分かる?」

善子「キレイな球ね…魔術の儀式とかに使えそうね!」

花丸「文鎮…にしては丸すぎるね。使い道が全く分からないずら」ムムム



曜はいつの間にか机に置いてあった黒い球をみんなに見せた
梨子、花丸、善子は見当もつかないようだったが…



ルビィ「あ…それ見た事あります」

曜「そうなの!? どこで見た?」


ルビィ「ええっと……確かおねぇちゃんの部屋で見ました! 誰かと電話をしながら手の上でコロコロしてて…電話の相手とその球の話をしている雰囲気でした!」

曜「なるほど…ならダイヤさんに聞いてみればいいって事か!」


梨子「そう言えば三年生達はどうしたの? 最近お昼を一緒に食べられてないけど…」


ルビィ「鞠莉さんは理事長のお仕事で忙しいみたいで…おねぇちゃんと果南さんは新生徒会長と書類の作成お手伝いをしています」

善子「あの生徒会長、ダイヤさんが選んだのよね? 確かにリーダーシップはあるけど…ちょっとポンコツな所が多いわよね」ヤレヤレ

曜「まあ……隣のクラスあの子だからね…大目に見てよ」アハハ…







247: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/19(月) 23:51:37.49 ID:YAHPW/ib0



花丸「ねえねえ、今日のニュースはみんな見た? あの三津シーパラダイスであった事件」

梨子「ああ見たよー。昨日の夜に水族館にいた生き物が何匹か殺されちゃったんだよね……イルカも全滅したみたいだし…酷いことする人がこの内浦にいるなんてね」

善子「建物も結構壊されたから営業再開まで時間かかりそうね。下手したらこのまま潰れるんじゃない?」

ルビィ「それは大丈夫みたいだよ。鞠莉さんの家が全面的に援助するから直ぐに再開するって言ってたよ!」

曜「流石だね……いくらかかったんだろう?」ムムム



梨子「そろそろ昼休みも終わる時間ね。放課後はどうする?」

花丸「マルは昨日本を買っちゃったからお小遣いが尽きちゃって…今月は厳しいずらぁ」ズーン

ルビィ「同じく……」

善子「私も今日はまっすぐ帰るわ」

梨子「そっか、仕方ないね」




――キーンコーンカーンコーン




曜「おっと予冷だ。早く戻ろっか!」



その日は三年生と一度も会うことなく放課後になり
各々真っすぐ帰宅した




248: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/19(月) 23:54:31.20 ID:YAHPW/ib0


――――――
――――
――



~夜 曜自室~


夕食を済ませ、自室に戻った曜
すると、スマホが鳴り出した
画面を確認すると相手はルビィであった



曜「――もしもし? どうしたの?」

ルビィ『あ、曜さん夜遅くにごめんなさい…あの、曜さんの家におねぇちゃんいませんか?』

曜『ダイヤさん? 来て無いけど…何かあったの?』

ルビィ『そうですか…晩御飯を食べた後に突然いなくなっちゃって……鞠莉さんや果南さんにも連絡したんですけど、二人とも電話に出てくれないんです』

曜「その二人も連絡が取れないって…ちょっと心配だね」

ルビィ『はい…もう何回か電話してみます。曜さんも何か分かったら連絡お願いいします』

曜「分かったよ。私も近くを探して――」

ルビィ『い…いえ大丈夫ですアセアセ こんな夜遅くに外に出ちゃ危ないですよ! 曜さんの家に来たら教えてください。外に出ちゃダメですよ?』

曜「そ……そっか、出ないから安心して? それじゃまたね」

ルビィ『はい、また明日です――』プツン




それっきりルビィから連絡がくることは無かった
ダイヤの安否が気になった曜はその晩一睡も出来ず朝を迎えた

翌朝、学校に行く準備をしているとダイヤからメールが届いた
内容は「心配をかけて申し訳ないです」という簡単なものであった


曜「――それだけ? こっちは眠れないほど心配してたのに…会ったら一言言わないとね……」ゴゴゴ



曜はダイヤに今日の昼休みに屋上に来るよう返信し
学校へ向かった




――――――
――――
――


昼休み屋上には約束通りにダイヤは来ていた
ただそこには何故か鞠莉と果南の姿もあった
連絡の取れなかったメンバーが全員いたので曜にとっても好都合だった


ダイヤ「――何の用ですの?」

曜「…昨日の夜遅くはどこに行っていたんですか?」

ダイヤ「……鞠莉さんの自宅に行っていたんです。ルビィに連絡したつもりが忘れていたようで皆さんにはご心配おかけしたと思っていますわ」

曜「その鞠莉さんとも連絡が取れなかったのは?」


鞠莉「それは近くにスマホが無かったのよ。ごめんなさいね?」

曜「………」



曜は三人から得体の知れない圧力を感じた
言葉にはしていないが、それぞれの表情や口調から
まるで「これ以上何も聞くな」と言っているようだった




249: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/19(月) 23:56:25.61 ID:YAHPW/ib0



曜「んー…何か納得いかないんだけど…まあいいや。ダイヤさんに他に聞きたい事があるんです」

ダイヤ「ああ、そう言えばルビィもそんな事を言っていましたね。何ですか?」



曜「――この黒い球って何だか分かります? ダイヤさんも同じようなモノを持っているんですよね?」



ポケットから例の黒い球を取り出し、三人に見せる
――その瞬間、三人の顔が青ざめた



果南「そ…それ!? どうして持ってるの!?」グワッ

曜「え!? いや…一昨日部屋も机の上にいつの間にかあったんだけど、果南ちゃんも持ってるの?」



先ほどまでの雰囲気とは一変
三人とも激しく動揺したのだ
果南の取り乱し方は正直異常だった



鞠莉「果南、落ち着いて……曜、この黒い球に何かおかしな事って起きなかった?」


曜「おかしな事? 特に何も無いよ。…なんか三人とも持ってるみたいだけど、何なの?」


ダイヤ「……それは――」




――ギャアアアアアァ!!!!



――突如、校内に悲鳴が響く
誰かとふざけている時のものでは無い
身の危険を感じた時に発せられるタイプの悲鳴であった



果南「!? 今のは何!!?」ゾワッ

ダイヤ「中庭の方で聞こえましたが…――っ!? あれは昨日の星人ではありませんか!」

果南「どうして…昨日のミッションでは全滅させたじゃん!」

鞠莉「そんな事は後でいい!! 二人ともスーツは――……!?」ゾクゾクッ

ダイヤ「ウソ…でしょ? こんな時間に呼び出し……!? スーツを取りに行きます!」ダッ






250: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/19(月) 23:56:58.79 ID:YAHPW/ib0



曜「え……えっ? 何が起きているの?」アセアセ

果南「ごめん説明する時間がない! 曜はみんなを連れて早くこの場から逃げて!!」

曜「逃げる? 意味がわか――……果南ちゃん!?」



曜の目の前で果南の頭が徐々に消えて行く
隣にいた鞠莉も同様にだ



鞠莉「早くない!? 転送前に倒すなって事!!?」ジジジジジ

果南「ダイヤは間に合ったのかな……」ジジジジジ



――完全に無意識だった
幼馴染がいきなり消えていく様を見ていた曜は
果南の体に触れたのだ

その瞬間、曜にも果南達と同様の変化が始まったのだ



曜「うお!? 私も消えてる!?」ジジジジジ

果南「何してるの! 早く離して!!」

曜「そんな事言ったって…体が動かないよ!」







251: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/20(火) 00:03:33.18 ID:PejFsKFp0

――――――
――――
――



~GANTZの部屋~



ダイヤ「――…申し訳ありません、間に合いませんでした」ズーン

鞠莉「仕方ないわよ…知らせから転送までほとんど間隔が無かったもの。今回は曜ちゃんと一緒見学ね」


曜「あれ? どこ、ここ……?」キョロキョロ

鞠莉「ああ、ここは……」




果南「――さっさと学校に転送しろ!! あれが今回のターゲット何でしょ!!?」ドゴッ

曜「!?」ビクッ



果南は部屋の奥にある黒い球を殴りつけていた
今の曜にはこの球が何なのか
何故、果南がこの球に怒りをぶつけているのか分からなかった



鞠莉「――果南、落ち着いてってば」

果南「落ち着け? こうしている間にも学校では犠牲者が増えてるんだよ! 殺されてる子もいるかもしれない!! あの子達だって危ないんだよ!!」イライラ

鞠莉「………」


曜「か…かなn」




252: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/20(火) 00:04:27.99 ID:PejFsKFp0


果南「むしろ鞠莉がこんなに落ち着いている方が不思議だよ! 仮にもあの学校の理事長でしょ? 生徒に対して何も思わないわけ!?」



――パシン!



ダイヤは果南の頬をビンタした
突然の事で鞠莉も叩かれた果南も呆気にとられる

ダイヤは落ち着いた低いトーンで果南を問いただす



ダイヤ「果南、いい加減にしなさい…あなただって鞠莉の気持ぐらい簡単に分かるはずです。鞠莉の学校やメンバーに対する想いはあなたと同じかそれ以上のはずです」

果南「………っ!?」ヒリヒリ

ダイヤ「それに、冷静さを欠いた今のあなたがこのままミッションが始まれば命を落とす可能性が高い。今までの点数のほとんどを果南さんに託しているのですよ?」


鞠莉「……今回はダイヤが戦えない。脳筋バカの二人で全員倒すんだから、迅速に終わらせる為にもいつも通りの果南に戻ってもらわなくちゃダメなの」

鞠莉「いい? この中で果南が一番強い。だから貴方にはみんなの命を多く救って欲しいの…浦女の理事長としてお願い……」



ダイヤのビンタで冷静になった果南は鞠莉を見つめる
そして、自分がいかに愚かな発言をしたのか痛感した



果南「……ふぅ、ダイヤの言う通り、ちゃんと鞠莉の顔見れば“どう思っているか”なんてすぐ分かるね」


ダイヤ「果南さん……」



果南「――…もう大丈夫、二人ともありがとう」





253: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/20(火) 00:05:00.43 ID:PejFsKFp0




GANTZ『あ~た~~らし~い~あ~さがっ来た』


曜「何? ラジオ体操??」

果南「…曜、今は説明している時間が無いの。これからこの球から武器とスーツが出てくるからスーツは必ず着てね」




果南の言っていた通り、音楽が鳴り終わった後に画面が切り替わり
球が勢いよく開いた

果南は慣れた手つきで黒い球から
武器とアタッシュケースを曜の前に持て来た



果南「この中にあるスーツに今すぐ着替えてね。武器はこれ、確か曜はYガンをよく使ってたよね?」

曜(“よく使ってた”? 何を言ってるの…)


ダイヤ「やはり昨日の星人ですね…昨日あの場にいなかった残党が暴れているというわけですか」

鞠莉「ダイヤもXガンだけでも持って行ってね?」

ダイヤ「当然持ってきます。…ただ小さいものしか使えませんね。他のはスーツのアシスト無しで扱うには少々重すぎますし……」


曜「何? 武器とかスーツが守るとか……これから戦いにでも行くの? いい加減きちんと説明してよ!!」イライラ


ダイヤ「……これから別の場所に転送されます。先ほど二人が言ったように、わたくしは今回戦えないので転送先で説明いたします」



果南「――転送が始まったね。鞠莉、頼んだよ!」ジジジジジ

鞠莉「ええ!」ジジジジジ






254: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/20(火) 00:05:32.31 ID:PejFsKFp0



~~~~~~


曜「――あれ? 外に出てきたよ…本当に転送なんて出来るんだね」



曜達は見覚えのある場所に転送されて来た
目の前には校門があるので学校の前であるのは間違いない
ただ――


鞠莉「――ここ…浦女じゃ……無い!?」ゾワッ


果南「どうして!? 浦女にいたのもあの星人だったじゃん!」


曜「ここ沼津市の高校だよね? ならここから浦女に向かえば…」

果南「ミッションのエリア外には出られない…ここにいる敵を全員倒さないとダメなの!」


ダイヤ「…どうやら多少リスクが高くてもわたくし達も戦う必要がありますわね」カチャ

ダイヤ「曜さんもお願いします! 武器の説明などは戦いながら説明します!」


曜「…よく分からないけど、緊急事態なのは分かった!」


果南「私達は数の多い校舎内の星人を倒す! 二人は校庭や中庭の星人をお願い!」

鞠莉「曜とダイヤは絶対に無理しないでね! 特にダイヤ!!」ビシッ




二人はこう言い残して校舎内に向かった
何が起きているか、ほとんど把握できていない曜だが
今、何をすべきかは理解していた




曜「――待ってて…みんな!」






261: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/20(火) 23:54:37.66 ID:PejFsKFp0

――
――――
――――――


~三人が転送される少し前 中庭~


花丸「――今日も三年生はいないの?」

ルビィ「うん…昨日の夜おねぇちゃんがいなくなったって言ったでしょ? その事で曜さんに呼び出されたんだって」

花丸「ああ……昨日の事ね。結局、鞠莉さんの家に行ってたんでしょ? 全く迷惑な話ずら」モグモグ

ルビィ「あはは…心配かけてごめんね?」




善子「――遅くなったわね?」ストン

花丸「善子ちゃん! 話は無事済んだんだね」モグモグ

善子「ええ……授業中に少しくらい寝てたくらいでわざわざ昼休みに呼び出す? 本当にめんどくさい」プンプン


ルビィ「今日のあの先生の機嫌、凄く悪かったもんね。運が悪かったんだよ」






生徒A「――ねえ、あそこにいるの何?」

生徒B「人……じゃないね。着ぐるみ?」




この二人が話しているのは
いつの間にか中庭に現れた生き物のことだった

どう見ても人では無いがその生き物は
二足歩行おしており、イルカのような外見をしていた
パッと見ではクオリティの高い着ぐるみであった



ルビィ「あれ? さっきまでいなかったよね? 今日って校内でイベントでもあったっけ…」

花丸「うーん…無かったはずだよ」


善子「……っ!」ズキン


花丸「善子ちゃん? どうしたの、頭痛いずらか?」

善子「ちょっとね……さっきまでは何とも無かったんだけど…」ズキン…ズキン

ルビィ「大丈夫? 保健室行こうか」

善子「ええ、そうすr……」



三人が保健室に向かおうとした瞬間
先ほどの生徒の一人が悲鳴を上げた

すぐさまその方向を見ると
着ぐるみと生徒が血まみれになっていた
叫んだ生徒の足元には誰か倒れている
ここからでは生きているのかどうか分からない




262: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/20(火) 23:55:15.51 ID:PejFsKFp0




花丸「――……え? 何が……?」

善子「ぐっ…ぐうううぅぅ!!!」ズキズキズキ



頭が割れるような凄まじい激痛に善子は頭を抱えてその場にうずくまる

その間にも着ぐるみは叫んだ生徒にも襲い掛かり
周囲は大パニックとなっていた



ルビィ「善子ちゃん!? しっかりして!! 早く逃げるよ!」

善子「ぐううぅ…私は……いい…二人は逃げて……」ズキズキズキ

花丸「何言ってるの!? ルビィちゃん、手を貸して! 担いで逃げるずら!!」



二人は両側から善子の体を持ち上げる
しかし、着ぐるみは周囲の生徒を全て倒していた
中庭に残っているのはもう善子達のみである
つまり――



善子「――…ルビィ!!」ドン



着ぐるみがルビィに襲い掛かってくる事を察知した善子は
ルビィを押し飛ばす
反動で三人とも倒れるが、間一髪で着ぐるみの攻撃を回避した



善子「は……早く…にげ……」ガクン

花丸「善子ちゃん!? しっかりして!!」ユサユサ



着ぐるみ…星人は腕から生えたヒレで多くの生徒を切り裂いていた
そのヒレを大きく振り上げる



ルビィ「善子ちゃん、花丸ちゃん!! 危ない!!」グワッ

花丸「――っ!?」




――ズシャ!




無残にもその首は鋭い刃物により
切り落とされた――








263: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/20(火) 23:57:26.21 ID:PejFsKFp0

~~~~~~

~校内~


梨子「――何? さっきから凄い悲鳴が続いているけど…」キョロキョロ



曜を探しに廊下をウロウロしていた梨子
そんな梨子にクラスメイトが真っ青な顔で駆け付けた



クラスメイトA「梨子ちゃん! 不審者が出たらしい!! 中庭でも校内でも何人も襲われてる!! ここにいたらヤバイ!!」ゾワッ

梨子「不審者?」

クラスメイトA「そう! だから梨子ちゃんも――」


梨子「曜ちゃんは? 曜ちゃんを見なかった!?」

クラスメイトA「えっ……確か屋上の方に行ってたのを見たけど…」

梨子「屋上ね? ありがとう!」ダッ



走り出した梨子にクラスメイトは何か叫んでいたが梨子には届かなかった
早く曜にこの事を伝えなければならない
その一心で階段へ走る



梨子(左に曲がれば階段! 曜ちゃん――…!?)



そこには善子達を襲った星人と同タイプの奴がいたのだ
あの子が叫んだのはこの事を伝える為だった

星人は梨子に襲い掛かって来た――





~~~~~~


果南「――ぅりゃあ!!」スパッ

鞠莉「―――ふっ!!」バキッ!



果南と鞠莉は校内に侵入している星人を次々に倒す
残党狩りに位置する今回のミッションなので星人は大した強さではない

ただ、校内という特殊な環境が星人の撃退するテンポに影響を与える
星人が上下のフロアに多数存在するので、レーダーで確認するも正確な位置を瞬時に判断出来ないのだ


果南「鞠莉! この階の星人はこれだけ!?」

鞠莉「確認する――。よし、今ので最後よ! 後は三階と四階に三体いる!」


果南「よし、鞠莉は三階をお願い!! 私は四階に行く!」ダッ

鞠莉「了解よ!!」ダッ








264: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/21(水) 00:00:39.22 ID:2GchPtQi0

~~~~~~



~中庭~

ダイヤ「――曜さん! そのまま上トリガーを引いて下さい!!」ギョーン!ギョーン!



ダイヤの指示通りにトリガーを引き、拘束した星人を上へ転送する

中庭には6体の星人が暴れまわっていた
曜とダイヤが着いた時には生徒が至る所に倒れていた

奇襲攻撃によりダイヤが二体、曜が一体撃退している



曜「ダイヤさん! 伏せて!!」ギョーン!

ダイヤ「?!」バッ


ダイヤの背後から襲ってきた星人を察知した曜

その後も次々にYガンのワイヤーを命中させ周囲の全星人を転送する



曜「ふぅー…これで全部だね?」

ダイヤ「…さすが曜さんですね。ブランクあるとは思えない腕でした」


曜「ブランクか…果南ちゃんが渡してくれたこの銃……凄くしっくりきたんだよね。それにあの化け物…襲い掛かってきても全然怖くなかったのも“そういう事”なの?」

ダイヤ「思い出したのですか?」

曜「全部じゃないよ? ただ、戦いながら色々頭の中に流れてきてね…最近までこんな戦いを続けていたって事だけは思い出した」


曜「後で全部話してもらいますからね?」

ダイヤ「もちろんです。校舎に入って果南さん達の増援に行きましょう!」

曜「このスーツ…ジャンプ力も上がっていますよね?」

ダイヤ「その通りですけど…」


曜「――このままジャンプして屋上まで行きます! 担がせてもらいますね」ガシ

ダイヤ「ちょっ、担ぐって肩にですか!? せめて背中に――ピギャアアァァ!!」




~~~~~~


梨子「――ッ!」サッ



星人の攻撃を身を屈めて回避
すぐさま距離をとる



梨子(危なかった! 何なのあの化け物!?)



星人の攻撃は終わらない
すぐさま追撃が来る



梨子「――!? うわっ!」クルン



次の攻撃を右側へ回転するように回避
星人は素早い動きで連続して襲い掛かってくる
梨子はこれを紙一重で回避し続ける



265: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/21(水) 00:01:48.32 ID:2GchPtQi0


梨子(―――何これ…なんで私は攻撃を回避出来るの? どうすればいいか頭に浮かんでくる……)

梨子(化け物に襲われているのに不思議と落ち着いてる…私にこんな特技があったなんて――くっ!?ズキン 頭が…ズキンズキン)



突然の頭痛により怯んだ隙に星人は梨子へタックル
後方へ少し吹き飛ばされた


梨子(痛い…何なの……頭に流れてくるイメージ……これは…黒い球? この黒い服は…?)ズキン…ズキン



星人は口を大きく開き
梨子の頭を噛みつく――





~~~~~~


屋上まで飛び上がった曜はその光景に絶句した
そこにはいつものようにお弁当を食べていたであろう少女達が倒れていた
ケガの具合はそれぞれ異なるがまだ全員生きているのは確認できた

出入り口付近には今まで倒してきた星人より一回り大きい個体が居座っていた
口元にべっとりと鮮血がへばり付いていた



ダイヤ「曜さん……見た限りこの星人は強いですよ?」

曜「はい…私が陽動を――」



星人は曜目がけて勢いよく突っ込んできた
これまでの個体よりはるかに速いスピードに驚愕する曜
ギリギリでガードする



曜「速い!? ダイヤさん!!」


ダイヤ「この!」ギョーン!ギョーン!ギョーン!




ダイヤと曜は銃を連射するも全く当たらない
曜はなんとか目で追えるものの、ダイヤは徐々に見失う事が多くなっている




ダイヤ「くっ! マズイ!?」ゾワッ

曜「?! ダイヤさん後ろ!!」




――ドゴ!




そのスピードで背後から勢いよく衝突される
スーツ未着用のダイヤの体はミシミシと軋む

星人は衝撃で吹き飛ぶダイヤの腕をつかみ
そのまま投げ飛ばした

――ここは屋上である
投げ飛ばされたダイヤはフェンスの上を越えていった




266: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/21(水) 00:04:49.08 ID:2GchPtQi0

曜「ダイヤさん!!!!」ゾワッ




真っ逆さまに落下するダイヤを助けに走る曜
しかし、星人の攻撃はやむことは無い
行く手を完全に塞がれる

そのままダイヤの姿は完全に見えなくなってしまった



曜「くそ! 邪魔するな!! ダイヤさんが……ダイヤさんがぁぁ!!!」ギョーン!ギョーン!



撃っても撃っても当たらない
それどころか懐に潜り込まれ、重い一撃を喰らう

以前の曜ならば対処できるはずのタイプの星人だが
4か月のブランクは想像以上に影響していた




曜(ヤバイ…このままじゃジリ貧だよ)ドガッ! ドガッ!




なんとか攻撃をガードする曜

――…そんな時、星人が奇妙な動きをし始めた
曜が何もしていないのに攻撃を回避するような行動をとったのだ

それも何度も何度も



曜「な……何? どうしたの?」ハァハァ




そう、まるで星人は“見えない誰か”と戦っているようだった




――ブシャ!!




星人の体が肩から斜めに切り裂かれ赤い血が噴出した
間違いない、この場にもう一人誰かいる

そんな考えが浮かんだと同時に星人の死体の正面の空間にバチバチと電気が発生した
すると何も見えなかったその場に一人の人間の後ろ姿が現れた

後ろ姿でフードを被っていたので誰だかは分からないが
身長は曜とほぼ同じで体つきから見て女性である事は分かった
右手には星人を斬ったと思われる刀が握られていた




267: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/21(水) 00:05:30.98 ID:2GchPtQi0



???「……ケガは無い?」

曜「は? あ……はい、おかげさまで。……声が変ですけど、それ地声なんですか?」

???「え? ま…まあ、風邪気味ですね」


曜(何だこの人……妙にたどたどしいぞ? 声も誰かに似ている気がするし)ムムム


???「――さっき落下したダイヤさんなら無事だよ。下で私がしっかり受け止めたからね。大ケガして意識は無かったけど息はしてたから、ミッションが終われば治るはず」

曜「!? ダイヤさん無事なんですね! ……んん? でも何で――」




――ジジジジジ




???「私が倒した星人で最後だったみたいだね。転送が始まったよ」

曜「ホントだ……え? なんであなたの転送が始まらないの?」

???「そりゃ、私はもうそこの部屋の住人じゃないから当然だよ」

曜「じゃあ……あなたは一体……?」



???「――…そうだなー、“通りすがりの普通怪獣”とでも名乗っておこうかな?」クスクス





~~~~~~


~GANTZの部屋~


4人全員が無事転送されてきた
ダイヤは酷く落ち込み、果南はイライラした様子でガンツをゲシゲシと蹴り続け、鞠莉は曜とダイヤが帰還したことに喜んでいる


曜「――…あの人は何だったんだろう」ボソッ

ダイヤ「私とした事が……油断しましたわ」ズーン

曜「ダイヤさん!! 良かった……」ホッ



鞠莉「曜、ダイヤ! 二人とも無事だったのね!!」

果南「ガンツ! 早く採点を始めて!!」イライラ



果南はガンツに催促する
採点まで終わらなければこの部屋から出る事は出来ない
焦るのも無理はない




268: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/21(水) 00:06:24.55 ID:2GchPtQi0


ダイヤ「曜さん、ご心配かけました……採点が終わり次第すぐに戻ります。曜さんも今のうちに準備しておいてください」

曜「はい! 取り敢えず制服を上から着て…ってどうやって戻るんですか? バス? タクシー? それとも…ヘリコプター??」

鞠莉「うちのヘリが呼べればその方が早いけど…今から呼び出すよりスーツの力で走った方が早く着くわ」

曜「コントローラーのステルス機能を使うんですね! でもダイヤさんは?」

ダイヤ「ステルス使用者に触れていれば問題なく透明になります。以前試したので安心してください」



そうこうしているうちに、ガンツの採点が始まっていた



GANTZ『ヨーソロー 15点』

GANTZ『硬度10 5点 TOTAL21点』

GANTZ『小原家 10点 TOTAL15点』

GANTZ『果南ちゃん 30点 TOTAL88点』



曜「果南ちゃん凄い! 100点まであと少しなんだね」

鞠莉「今までのミッションは出来る限り果南に点数が集まるようにしていたからね。恐らく次には100点まで行きそうね」


果南「――よし! もう終わった! 曜はダイヤをお願い。ダイヤは移動しながらこれまでの経緯を曜に説明してね!」







269: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/21(水) 00:07:03.62 ID:2GchPtQi0

――――――
――――
――


屋根から屋根、屋上から屋上へジャンプしながら移動する
曜はダイヤを背負い、果南と鞠莉の後を追う



ダイヤ「――…まず、私達がどうしてこの部屋に戻って来たかについて、ですわね」

曜「確かあの部屋に行くには死なないといけないんだよね? でも死ねば確実に行けるわけでも無いんじゃ…?」

ダイヤ「その通りです。本来、死なないとあの部屋には行けません。しかし、生きたまま確実にあの部屋に行く方法があります。梨子さんがあの部屋に来た経緯を覚えていますか?」

曜「梨子ちゃん? ええっと……」


ダイヤ「黒い小さい球から指示された人物を殺害することで命を落とすことなくあの部屋に行くことが可能なのです。曜さんも持っていたあの球です」

曜「――あっ! あの球か……ちょっと待ってよ、それが条件なら――」

ダイヤ「この黒い球が私達三人に送り付けられました。ただ、曜さんに話した指示は出されず“戻る”か“辞退”かの選択を迫られました」


曜「どうして…梨子ちゃんの時より簡単過ぎない?」

ダイヤ「理由は分かりませんが、梨子さんの時とは状況が大きく異なります」

曜「状況?」

ダイヤ「曜さんは4ヶ月前まであの部屋のメンバーでした。100点を取って解放を選択するとそれまでの記憶は消されます」

曜「そうですね…私もついさっきまで忘れてましたし」

ダイヤ「ただ、私達三年生は全員記憶が消されていなかったのです。何故かは全く見当は付きませんが」


曜「記憶が残っていた……でも私は覚えていませんでしたよ?」

ダイヤ「曜さんは恐らく梨子さんと同じ条件であの部屋に呼び出す予定だったのでしょう。
私達の時は球が届いた直後に選択を迫られましたからね。ガンツとしてもあの行き方はイレギュラーだったのでしょう」

曜「……結果的には誰も殺さずに済んでラッキーだったって事ですね」ゾッ



ダイヤ「ここからが私達が部屋に戻った理由です。曜さんはまだ断片的にしか思い出していないようですが、私達が一緒に戦っていた時のメンバーは全員覚えていますか?」

曜「今思い出しているのは…ダイヤさん、鞠莉ちゃん、果南ちゃんと梨子ちゃんですね。梨子ちゃんに関しては今の会話で思い出しました」


ダイヤ「そうですか……他にもメンバーはいました。一年生の花丸さん、善子さん、妹のルビィ、そして……千歌さんです」

曜「……え?」

ダイヤ「私達はあの時全員が100点を取っていたとばかり思っていました…でも千歌さんだけは取っていなかったのです」

曜「どうして……どうしてダイヤさんは知っているの?」

ダイヤ「千歌さんが休学届を理事長に提出した際に鞠莉さんが聞いたのです。どうやら千歌さんは仮に100点を取っても解放は選択しないつもりだったようですが」


曜「そんな…じゃあ千歌ちゃんは今も……――…あれ? 千歌ちゃんはあの部屋に残っているハズじゃ……」

ダイヤ「……私達が戻って来た時には、他にメンバーはいませんでした。つまり千歌さんはもう………」


鞠莉「――…だから果南に点数を集めてちかっちを連れ戻そうってわけ!」



前を走っていた鞠莉がいつの間にか曜の隣まで戻ってきていた
ダイヤの発言を遮るように割って入って来たのは曜を思っての事だろう




270: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/21(水) 00:08:00.47 ID:2GchPtQi0

曜「鞠莉ちゃん……」

鞠莉「私はちかっちが戦い続ける理由がどうしても知りたいし…曜もこんな大切な事を親友に内緒にされててムカつくでしょ? 今のうちに言いたい事整理して次に会った時にガツンと言ってやって♪」

曜「ふふ……内緒にしてたのは鞠莉さん達も一緒でしょ? ならガツンと文句言ってもいいんですよね?」ニヤッ

鞠莉「あはは……後で聞くわね…」




果南「――…見えた! もうすぐ浦女だよ!!」

曜「凄い数のパトカーと救急車だね……」



いきなり姿を現すと面倒な事になるので少し離れた所でステルスを解除する
校門の前には曜の言う通りパトカーと救急車で埋め尽くされていた



警官「こら! 危ないから関係者以外入ったらダメだ!!」

鞠莉「私達はこの学校の生徒です! もっと言えば私は理事長です!! 関係者なんですから入ります」スタスタ

警官「ちょっ…何をわけのわからない事を!」




――「しっかりして善子ちゃん!」「よっちゃん! 目を覚まして!」「善子ちゃん! 善子ちゃん!!」




ダイヤ「あれは……!? 曜さん! あそこの救急車に向かってください!」

曜「!? みんながいる!! 梨子ちゃーん!!」オーイ


梨子「曜ちゃん!? それに三年生も…良かった無事だったのね」ウルッ


ルビィ「おねぇちゃん! 怖かったよぉ!!」ポロポロ

ダイヤ「ルビィ…! ごめんなさい、すぐに駆け付けられなくて」ダキッ


果南「マル! 善子はどこをケガしたの!? 大丈夫なんだよね!!?」

花丸「わ……分からないよ。いきなり頭が痛くなったみたいで、そのまま気絶しちゃったんだよ…」

梨子「………」


果南「頭痛…みんなはあの星人に襲われなかったの?」

花丸「マル達は中庭で襲われたけど……いきなり怪物の首が切り落とされたよ…」

果南「いきなり?」

ルビィ「花丸ちゃんと善子ちゃんに襲い掛かった瞬間に、スパッて…長い刃物か何かで切ったみたいだった」


梨子「私も廊下で襲われた…その星人は斬られたっていうか破裂したわね……校内に入って来た他の星人もいきなり斬られるか破裂して死んでいたみたい」

ダイヤ「破裂に斬殺……それって――」


花丸「なんか、まるで見えない誰かが戦っていたみたいだったずら」

曜「!?」

花丸「あと、変な声も聞こえたよ。女の人の声で『お前じゃない、私の獲物だ』って」

果南「『私の獲物』か――」






271: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/21(水) 00:09:44.51 ID:2GchPtQi0

――――――
――――
――



~数日後~


曜(内浦や沼津周辺で発生した星人による高校襲撃事件は死傷者50人以上の大事件となった。テレビのニュースはその話題で持ち切りとなり、内浦は悪い意味で有名になってしまった)

曜(学校はしばらくの間は休校で自宅待機になっている)

曜(病院に運ばれた善子ちゃんは意識を取り戻したけれど、つい最近まで面会謝絶で会うことが出来なかった)

曜(ただ、今日から面会が許されたみたいでみんなでお見舞いに行こうとしたんだけど……鞠莉さんは理事長として今回の事件の対処で忙しく、ダイヤさんと私は何故かそのお手伝いをさせられている)

曜(だからお見舞いには梨子ちゃん、果南ちゃん、花丸ちゃん、ルビィちゃんが行っている。私も行きたかったな……)




~沼津中央病院 病棟~


善子「――…みんなごめんなさい、心配かけたわね」

花丸「頭を押さえながら倒れた時は心臓が止まるかと思ったよ。しかもあの状況だったし…」

ルビィ「目を覚ましてくれて本当に良かったぁ」ウルッ

果南「無事でなによりだったよ」


善子「……あの星人に何人くらいやられたの?」

梨子「正確な人数は分からない…ここに入院いてる同い年の子はだいたい襲われた子だと思う」

花丸「うちのクラスでも何人か亡くなったらしい…」




272: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/21(水) 00:15:23.07 ID:2GchPtQi0

善子「……そう」



――ジリリリリ、ジリリリリ



果南「あ……ごめん、電話かかって来たからちょっと席外すね?」ガラガラ


ルビィ「そういえば、頭痛の原因って何だったの? 検査して分かったんだよね?」

善子「……」

花丸「善子ちゃん?」



善子「――…あなた達、“ガンツ”って知ってる?」


梨子「!!?」ビクッ

花丸「がんつ? ルビィちゃん知ってるずら??」

ルビィ「知らないよ? それが病名なの?」


善子「……ルビィ、ずら丸、折角来てもらって悪いんだけどリリーと二人にしてもらえる? 果南さんにもそう伝えて欲しい」

花丸「ええ? どうして?」

善子「お願い……後で説明するから」



花丸は善子の目を見つめる
善子から重々しい雰囲気を感じ取り
どうしてもこの場から出なければならない事を理解した


ルビィ「……行こう花丸ちゃん。何か事情があるんだよ」

花丸「………うん」

善子「本当にごめんなさい…」

花丸「絶対話してもらうからね? 約束ずら」ガラガラ



梨子「――…もしかしてとは思っていたけど善子ちゃんも思い出したのね」

善子「ええ、ガンツって単語に反応したのは梨子さんだけだったからあの二人は忘れたままみたいね」

梨子「浦女を襲った星人を倒したのって……ガンツのメンバーだよね?」

善子「ずら丸が見えない何かがいたって言ってたなら多分そうでしょうね…そしてその人物は――」



梨子「千歌ちゃん…って事だよね?」

善子「……あのバカ、どうして解放されなかったのよ! みんなであの部屋から出ようって約束したじゃない…」ギリッ

梨子「会って話を聞くしかないわね。問題はどうやって会うか……」

善子「あの部屋に行くには一回死なないといけないけど…」




273: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/21(水) 00:16:52.38 ID:2GchPtQi0



梨子「あぁ! 曜ちゃん確か黒い球持っていたよね!?」

善子「あれか! あれなら確実に行けるわね」


梨子「ただ……問題はあれにどうやってターゲットにされて、曜ちゃんに実行してもらうかだよね」

善子「かなり難易度高いわね……どうするか――」






「――――別にそんな事考えなくてもいいんじゃない? なんなら私が殺してあげるよ♪ 運が良ければあの部屋に行けるかもね」クスッ




いつの間にか病室の扉の前に女の子が立っていた
その顔を見た二人の思考は完全に停止した




善子「――は?」


梨子「え? どう……して……?」



――ギョーン! ギョーン! ギョーン!








277: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/23(金) 22:13:08.99 ID:72JYTQh80

――
――――
――――――


ルビィ「梨子さんと二人で話したい事って何だろうね?」

花丸「別に何だっていいずら。後で話してくれるって言ってたけど内緒話はなんかモヤモヤするな……痛い!」ドン!

ルビィ「花丸ちゃん!?」



向かいから急ぎ足で歩いてきた人とぶつかってしまった
花丸達と同じくらいの年齢であろうその女の子は
慌てて尻餅をついた花丸に手を伸ばす



女の子「ああ! ごめんなさい。よそ見してたよ…ケガは無い?」

花丸「だ、大丈夫です。こちらこそごめんなさ……い?」

女の子「ん? どうかしたの?」

花丸「いや…何でもないですよ」

女の子「そっか、本当にごめんね? それじゃ」スタスタ


花丸「………」

ルビィ「どうしたの? 知り合いだった?」キョトン

花丸「そうじゃないんだけど……聞き覚えのある声だなって思って」



花丸とぶつかった、白い髪色にアホ毛の生えたその女の子は
足早に歩いて行ったのだ―――




278: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/23(金) 22:22:53.67 ID:72JYTQh80

~~~~~~


~沼津中央病院 ロビー~

果南「――だから友達のお見舞いだってば! 昨日も話したでしょ? ――…ハイハイすぐに帰るからさ、じゃあね」ピッ

果南「全く…心配なのは分かるけど、30分で帰れるわけないじゃん。まあ、仕方ないからそろそろ帰るかな」ヤレヤレ



患者A「ん? なんか聞こえない?」

患者B「何が?」

患者A「いや…なんか悲鳴みたいな声が……」


果南(いやいや……物騒な事言わないでよ――)



――キャアアアァァァ!!!!



患者A「!? ほらやっぱり!!」ガタッ

果南(ウソでしょ!? また星人が現れたっていうの!)ゾワッ




果南はもしもの事態に備え既に制服の下にスーツを着用し
鞄の中にはXガンとガンツソードを持ち歩いている


ステルスモードを起動し、武器を構えて悲鳴の聞こえた方向へ急ぐ
曲がり角で一度身を隠して廊下をのぞき込む




――ギョーン!ギョーン!ギョーン!




果南(この音は……Xガン? 一体誰が――…っ!!?)



果南は誰がXガンを使い、何を撃っていたのか理解できなかった

銃の効果により爆発した人物は二人
一人は頭が吹き飛び、判別不可能であった
そしてもう一人は胸部から破裂、間違いなく即死だ

“ツインテールをした赤い髪”の少女はそのまま倒れこむ



女の子「あーあ……せっかく見逃してあげたのにさ、戻って来なければ今日死ぬことは無かったんだけどな~~」


女の子「まさかバッテリー切れでステルスが解除されてたなんてね……いやーうっかりだよ」ニヤニヤ



果南「――……ルビィ…? なら……あれは………マル?」ゾワッ


女の子「……あれ? 病室にいなかったからてっきり帰ったかと思ったよ。――果南ちゃん♪」




279: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/23(金) 22:58:24.27 ID:72JYTQh80




~~~~~~


~鞠莉自室~


曜「鞠莉ちゃん、この資料はもう要らないの?」

鞠莉「そうね、一応シュレッターにかけておいて」


ダイヤ「全く……どうしてわたくし達が理事長の仕事を手伝わなくてはならないのですか?」ヤレヤレ

鞠莉「別に一人でも良かったんだけどね、なんか寂しいから呼んじゃった♪」

ダイヤ「………」ピキッ

曜「だったら果南ちゃんを呼ばなかったのは何で?」

鞠莉「まあ……万が一に備えてかな。スーツ持ちが一人でも側にいた方が安全でしょ? それもチーム最強の果南ならね」


ダイヤ「……ミッション外でも星人が暴れる可能性があるのは大問題ですわね。ただ四六時中警戒するのは無理なのでは?」

曜「確かにね…今後の課題だよ」ムムム


鞠莉「それは追々考えましょう。今はこの仕事を片付けましょ~う」キラン

ダイヤ「…一人で出来るんですよね?」ジトッ




――プルルルル、プルルルル




曜「あ、電話だ。ええっと……梨子ちゃん?」ピッ


曜「もしもし? どうしたの?」

梨子『………ハァ……ハァ…曜……ちゃん……?』

曜「梨子ちゃん?」

梨子『……善子…ちゃんが……ハァ……殺され……た…ハァ』

曜「殺された!? 何言ってるの!!?」

鞠莉・ダイヤ「「!?」」


梨子『みんな……が危ない……ハァ だから………ハァ』

曜「直ぐに行く!! 誰がやったの!?」

梨子『……ハァ………ち……ハァ………ビシャ』


曜「もしもし!! もしもし梨子ちゃん!?」

ダイヤ「殺されたってどういう事ですの!? 果南さんはどうしたのですか!?」


鞠莉「――…ダメ、電話が繋がらない。急いで向かった方がいいわね……二人ともスーツは?」

曜「大丈夫だよ!」

ダイヤ「同じく」


鞠莉「よし、すぐにヘリを用意する!! 準備して!」




280: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/23(金) 23:00:29.81 ID:72JYTQh80

~~~~~~


女の子「ふふ……さすがに強いね…一対一の近接戦ならあの穂乃果と張り合えるんじゃないかな? ステルスモードで見えないと思ったんだろうけど、私の目には見えるんだな~凄いでしょ」

果南「………」

女の子「戦闘スタイルを二刀流にしたのはいい判断だと思うよ。じゃなければ一瞬で決着がついてたね」

果南「………」

女の子「それにしても遅いなぁ……梨子はちゃんと電話したかな? 何の為に急所を外したと思ってんだよ。……まあ、死んじゃって連絡出来て無かったら明日にでも行けばいいか」

果南「………」

女の子「取り敢えずあと5分は待とうかな。院内の人間は全滅させたし、機動隊が来るまでまだかかるからね~~」

果南「………」

女の子「それまでは果南には私の独り言に付き合ってもらうね! その為に顔はキレイなままにしたんだからさ」ニコニコ

果南「………」









281: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/23(金) 23:02:32.17 ID:72JYTQh80

~~~~~~

~沼津 上空 ヘリ内~


鞠莉「いい? 病院に着いたら屋上と正面エントランスの二か所から入るわよ」

曜「私は屋上から入って善子ちゃんの病室に向かう。多分梨子ちゃんもその付近にいると思うから」

ダイヤ「わたくしも屋上から行きますわ」

鞠莉「なら私は正面エントランスね。恐らく院内には星人がいるはずよ。誰かが戦闘を始めたらすぐに向かう事、ケガ人の救助は後回しにする事、いいわね?」



パイロット「お嬢、屋上の真上まで着きましたが……着陸できる場所が…」



鞠莉「ここでいいわ! 飛び降りるよ!!」バッ

パイロット「お嬢!?」


ダイヤ「待ってください!」バッ

曜(梨子ちゃん、果南ちゃん……無事でいて!)バッ








282: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/23(金) 23:05:36.88 ID:72JYTQh80

~~~~~~


ダイヤ「私はこのフロアのロビーに行きます。曜さんは病室の方を」

曜「分かりました。……気を付けてくださいね」

ダイヤ「ええ、お互い様にね」



ダイヤと別れた曜は一人で善子のいる病室に向かった
院内は恐ろしく静かだ
人の気配がまるでしない
病室が並ぶ廊下に行くとそこにはおぞましい程の血の海で覆われていた
ある者は頭が、ある者は下半身が破裂したような痕跡が残っている
余りにも惨い死体があちらこちらに倒れていた



曜「……どうして…どうしてこんな事が出来るんだ……」ギリッ



曜は善子の病室の前まで来た
ドアは半開きで中の様子がうかがえたが、生きている人の気配は無い
覚悟を決めてドアを開くが――




曜「―――……あ……ああ…」ポロポロ




ベットの上には首から上が無い善子が、梨子はベットの側面に寄りかかるように倒れていた
梨子の左半身は廊下の遺体同様に破裂しており、足元の血だまりには携帯が浸かっていた



曜「梨子ちゃん!! 善子ちゃん!! なんで……何でよ!!! どうしてさ!!」ポロポロ




「ルビィ!!!!!」




廊下から大声が聞こえた
この声は間違いなくダイヤの声だ


曜「ダイヤさん!? ルビィちゃんにも何かあったの……」ゾワッ



急いでダイヤの元へ向かう
廊下を走り抜けロビーに続く渡り廊下に差し掛かった




曜「――…は?」




曜は目の前の光景が理解できなかった
そこには血塗れになって倒れているルビィ、頭の無い遺体
そして、左手にガンツソード、右手にダイヤの頭を鷲掴みにしている少女が立っていた

ダイヤの体はその少女の足元に転がってる
間違いない、この少女がみんなを殺した犯人だ
ただ、この少女は曜が良く知る……いや、曜にとって最も大切な人物だった





曜「何を……やってるの…? 千歌ちゃん……?」


チカ「あは♪ 遅かったじゃん、よーちゃん」ニコニコ



283: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/23(金) 23:10:27.24 ID:72JYTQh80

~~~~~~


~エントランスホール~


鞠莉「ひどい……一体何人が犠牲になったの?」

鞠莉「子どもにご老人まで……虐殺とはまさにこの事ね…」



辺りは鉄のニオイが漂い、ピシャ…ピシャと歩く度に水溜りを踏む様な音が響く
鞠莉は出来るだけ遺体をまたがないように移動し、果南を探す



鞠莉(果南……どこにいるのよ…? 何で見つからないの…)



上のフロアに続く階段に辿り着いた時
胸の中央に刀が突き刺さった少女を発見した

浦女の制服を着たポニーテールの少女の瞳には光は無く
胸に刺さった刀は貫通し壁まで到達していた

その人物が誰なのか、鞠莉には一目で分かってしまった―――




鞠莉「―――…果南…なの?」ドクン…ドクン


鞠莉「ウソよね……果南のはずが無い。だって果南は……果南はあんなにも強いのよ?」ドクンドクン


鞠莉「いやでも……へ? 冗談でしょ? いい加減に目を覚ましてよ果南」ユサユサ



鞠莉は果南を起こそうと揺するが目覚めない
誰が見たって起きるはずが無い
今の鞠莉はそんな当たり前の現実を受け入れる事が出来ない

“松浦 果南の死”という現実を……




鞠莉「いや……イヤアアアアァァァ!!!!!」ボロボロ









284: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/23(金) 23:14:46.84 ID:72JYTQh80

~~~~~~


曜はすぐさまYガンを彼女に構える
彼女は灰色のパーカーを着ているが首元や手袋からリング状のメーターが見える
ガンツのスーツを装備しているのは間違いない

Yガンのワイヤー、Xガンの弾はスーツを着用している者には効果が無い
Xガンを当て続けるか、他の手段でスーツを無力化する必要があるのだ




曜(でも、上に服を着ていればワイヤーは無効にされない! もう少し近づいて確実に…)



チカ「――…相変わらずその銃を使うんだね? 星人には有効でも対人にはイマイチだと思うよ?」

曜「っ!? うるさい!! 千歌ちゃんの姿なんかして……悪趣味だよ!!」


チカ「何言ってるのさ? この身体は紛れもない、本物の高海 千歌だよ」ニヤニヤ

曜「適当な事言うな! 千歌ちゃんがこんな事するもんか!!」ギロッ

チカ「はぁ……別に信じ無くてもいいけどさ!!」ブン




彼女は持っていたダイヤの頭部を勢いよく投げつけた
曜はその狂気染みた攻撃にギョッとする
回避出来ないスピードではないが、そのまま直撃してしまう



曜「ぐふ! ダイヤさ――」

チカ「バーカ! 今のは避けるか、弾かなきゃダメでしょ!!」



投げるのと同時に彼女は曜との距離を一瞬で詰めていた
曜の肩から腰を切り落とすように刀を振り下ろす




――ガキン!!




曜はYガンで攻撃を防ぐ
構造上、衝撃に耐えられるはずもなく
Yガンはすでに使い物にならなくなっていた



285: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/23(金) 23:17:11.35 ID:72JYTQh80



曜「くっ……よく平気な顔で投げられるね!!」グググ

チカ「甘いね、これは殺し合いだよ? 手段なんか選ぶと思ってるの!!」ドガ!

曜「ぐうわ!!」ドサッ



彼女の蹴りが曜の腹部に直撃し後方へ吹き飛ぶ



チカ「あらら? 動きにキレが無いね~。あの時の方が断然強かったよ」

曜「何のことだよ!」

チカ「やっぱりブランクのせいかな……このままじゃ果南より早く終わりそうだよ」フフ

曜「!? どういう事!! 果南ちゃんをどうした!!」

チカ「どうしたって…そりゃもちろん―――っ!!」パシッ



彼女の後方から頭目がけて一直線に刀が飛んできた
その気配を察知し、片手でキャッチする

彼女の視線の先には今まで見た事の無い、怒りの表情を浮かべた鞠莉の姿があった




鞠莉「――…あんたが……あんたが果南を殺したのか………?」

チカ「そうだよー。でもいいの? そこの曜は信じてくれなかったけど、一応この身体はあんた達の仲間だった千歌の物だけど」ヘラヘラ

鞠莉「……あんたが千歌だろうが誰でも関係ない…よくも果南を……果南を!!」


チカ「おー怖い怖い。ついでに伝えておくけど、そこで倒れてるこれ、あんたの大好きなダイヤちゃんなんだ♪ いや~隙だらけだったから一瞬で終わっちゃったからつまらなかったよー」ケラケラ





鞠莉「言 い た い こ と は そ れ だ け か?」

チカ「……ああ、かかってきなよ」ニヤリ




鞠莉「――――……ブッコロス!!!」ダッ




291: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/27(火) 23:32:57.44 ID:L1chR4wx0

鞠莉は彼女に向かって駆け出した
鞠莉の戦闘スタイルは格闘術だ、基本的に武器は使わない
対する彼女は鞠莉が先ほど投げつけたガンツソードも合せて二刀流
一見鞠莉が不利な状況に見える

彼女は左右の刀を自在に操り鞠莉を攻撃する
剣術について全く知識のない曜でさえ彼女の凄さは感じ取れた

対する鞠莉はその剣筋を見極め、ほとんどの斬撃を回避していた
激情していると思っていたが頭は冷静さを保っている




――バシ!!




鞠莉の回し蹴りが手首に直撃
持っていた刀は弾き飛ばされ、宙を舞った
続けて二発の突きが腹部にヒットする




チカ「おお! 案外やるね」ヒュン!ヒュン!

鞠莉(このまま押し切る! スーツさえ壊せば勝ちよ!!)シュッ!シュッ!




――バキ!




今度は鞠莉の拳が顔面に直撃
彼女は大きく体勢を崩した



鞠莉「よし! もらったぁ!!!」

チカ「………ニヤリ」スゥゥ



鞠莉が畳みかけようとしたその時、彼女の姿が突然消えた



鞠莉「何!? どうして!!?」キョロキョロ



チカ「――…ねえ、スーツの弱点って知ってる?」

鞠莉「!?」

チカ「顎の下と耳の下にあるメーターを四か所同時に壊すと、耐久値に関係なくスーツを無力化出来るんだ。――こんな風にね」




――パキン




鞠莉のスーツのメーターがいきなり破壊された
背後には消えた彼女の姿があった




292: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/27(火) 23:35:44.15 ID:L1chR4wx0

鞠莉「なん……で…?」ゾワッ

チカ「果南が持ってたコントローラーを使ったんだよ。バッテリーが少なかったから数秒しか使えなかったけど、十分だったね」ニヤニヤ



鞠莉のスーツにある全メーターからゲル状物質が流れ出る
スーツが無力化されたのだ

彼女は鞠莉の背骨に拳を叩きつける
骨が砕ける音が少し離れた曜の耳にも届いた




鞠莉「ぐ、ああああぁぁぁあああ!!!!!?」

チカ「あはははははは!! これでもう半身不随で一生車いす生活だ! 残念だったねぇ!」

曜「鞠莉ちゃん!!」



その場に崩れ落ちる鞠莉
そんな鞠莉の頭を彼女は踏みつける



チカ「ほらほら、抵抗しなくちゃこのまま踏み潰しちゃうよ?」グリグリ

鞠莉「う……ぐうううぅ……」


曜「やめろ!! 今行く――…」

チカ「動くな、動いたら今すぐ踏み潰す」グググ

鞠莉「がああああ!!!」ギリギリ

曜「っ!?」



チカ「くくく…いいうめき声を出してくれるね。“千歌”の心もかなり痛んできてるだろうな」

曜「何を…言っている?」

チカ「苦労したんだよ? “高海 千歌の精神”を殺さず体の主導権を完全に乗っ取るのにさ!! おかげで4か月もかかったよ」

曜「…精神を乗っ取る?」

チカ「そうさ! 私は“チカ”であって“千歌”では無い。同じ景色を見ているが千歌の方は自由に動けない。千歌の意思とは無関係にこんな事をしているわけ!」

チカ「高海 千歌は今どんな気持ちだろうねぇ。無関係の人間や大切なお友達をこの手で何人も殺してさぁ」ニヤニヤ


曜「お前は……一体誰なんだ!? 何の為にこんな事を!!」




チカ「――…復讐だよ。私を、ワシを殺したお前たちをぶっ殺す。覚えているか? あの時、貴様らはワシの腕を切り落としてさっき壊した銃で転送したよなぁ」

曜「!? まさかあんたは…!」



チカ「そうだ。私はあの時の天狗だ――」







293: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/27(火) 23:38:39.10 ID:L1chR4wx0

――
――――
――――――


千歌(自分の異変に気が付いたのはみんなが解放されて数日経ってからだ。ボーっとする事が多くなって、気が付くと覚えの無い場所に立ちすくんでいる)

千歌(どうやって来たのか道のりは覚えている。しかし、何故来たのかが分からない。まるで自分の意識とは無関係に体が勝手に動いたような…そんな気がした)



千歌(暫くしてまたガンツに呼び出された。追加のメンバーは3人、この部屋のルールを説明して生き残る為に必要な情報は全て伝えた)

千歌(転送が始まった……と思ったら再び部屋に戻って来た。そしてすぐにガンツは私の採点を始めた)

千歌(ミッション中の記憶が全くない。誰が星人を倒したのか、どんな星人だったのか、新しいメンバーが何故一人いないのか…すっぽり抜けていた)




千歌(それからというもの、自分の体が勝手に動く事が多くなった。今はただ町を徘徊するだけ…でも、そのうち自分が何をしでかすか分かったものじゃ無い…)

千歌(私は迷惑がかからないよう夏休みが終わる前に休学届を提出した。鞠莉さんがガンツの事を覚えていたのは驚いたけど…今はそれどころでは無い)



千歌(その日を境に意識と体が別々になる頻度が劇的に多くなった。前までは勝手に動いているときの意識はおぼろげだったけど、今はハッキリわかる)

千歌(私は家に帰らなくなった。正確には帰れなくなった。自分の意思で動けるときに帰ろうとしても体がいう事を聞かないのだ)



千歌(――そんなある日、私はついに取り返しのつかない事をしたのだ)






294: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/27(火) 23:41:13.44 ID:L1chR4wx0

――――――
――――
――


曜「――どうしてお前が…でもどうやって!?」


チカ「方法なんて聞いてどうする? ただ、高海 千歌の精神が戻る可能性は限りなくゼロに近い事だけは教えておくよ」

曜「……?」

チカ「私の精神を千歌と完璧に融合させた。完全に乗っ取れば可能性を消す事も可能だが……それじゃこいつを苦しめる事が出来ないからねぇ」ニコニコ


曜「外道が…っ!!」ギロッ


チカ「あんたが千歌に出来る事は一つだけ、私の精神ごとこの体の生命活動を停止させる…つまり“高海 千歌を殺す”事だけ。まあ、無理だろうけど」ニヤニヤ



鞠莉「どう…かしらね……? ちかっちは強い…まだ精神が死んで無い……なら、もう一度戻ってくるわ…!」ハァ…ハァ…

チカ「ああ?」ギロッ

曜「鞠莉ちゃん…そうだ! 千歌ちゃんはあんたなんかに絶対に負けない!」



チカ「………」ギョーン!



チカはホルスターから銃を抜き、何の躊躇いもなく鞠莉に向けて発砲した
ヘラヘラしていた時とは一変、ひどく冷徹な顔となっていた



曜「!?」ゾワッ







295: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/27(火) 23:41:45.72 ID:L1chR4wx0


鞠莉「…え? ……え?」

チカ「ほら、もうすぐ死ぬけど言い残す事は無いの?」


鞠莉「死ぬ? 私が……? い……嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だあああ――!!!!」




――バン!




鞠莉は右足が吹き飛ぶ
傷口からおびただしい量の血吹き出す



鞠莉「あがああああぁぁぁ!!!!」ジタバタ

チカ「くふっ…くはははははは!! いいよ、凄くいい悲鳴だよぉ! いくら100点を取った実力者でも死ぬのは怖いもんねぇ?」ニタァ


曜「鞠莉ちゃん! 貴様ぁぁ!!!」


チカ「この出血量ならほっといても死ぬでしょ。曜ちゃーん、もう動いてもいいからねー」

曜「………っ」ギリギリッ

チカ「どうした? かかって来なよ。早くしないと鞠莉が死んじゃうよ? これ、ミッション外だって事忘れてなーい??」



曜「――…黙れよ」

チカ「ん?」


曜「もうその顔で、声で喋るな」シュ




曜は左足のホルスターからガンツソードを掴み、展開する
チカも鞠莉の頭に乗せていた足を下し、臨戦態勢に入る



チカ「…残るはお前だけだ。私を仕留めたお前には苦しみながら死んでもらうから覚悟しな」

曜「出来るもんならやってみろ……返り討ちにしてやる!!」








296: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/28(水) 00:05:04.37 ID:jQ5+oZaO0

――
――――
――――――


「――…千歌さん?」

「本当だ! 千歌さんだよ!」


千歌「あなた達は……新しいメンバーの子だね。久しぶり」

「良かった……前回のミッションの時に来なかったからてっきり亡くなったのかと思いましたよ…」

千歌「…前回? いつの話……?」

「ええ、昨日に2ヶ月ぶりにミッションがありましたよ? ミッションによっては呼び出されないメンバーもいるんですね」



千歌「(あり得ない……ミッションは必ず全員参加のハズ!?)」

千歌「あの……!?(え? 声が出ない!?)」

「ん? どうしました千歌さん??」キョトン


チカ「……ねえ、二人とも今スーツは着てる?」
千歌「(ウソ!? 身体だけじゃなくて声も勝手に!!?)」


「はい…私は今着てますけど……どうかしましたか?」


チカ「そっかそっか~…じゃあさ、そのまま後ろ向いてよ♪」
千歌「(何をするつもりなの…)」




297: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/28(水) 00:06:07.43 ID:jQ5+oZaO0

「いいですけど…変な千歌さん」クル



チカ「ええーと、例の吸血鬼の話が正しければ……」




――パキン




「……は?」

チカ「おお! 本当に一瞬でスーツが壊れた。じゃあ、この銃も問題なく効くよね?」カチャ
千歌「(!? ダメだよ!! そんなことしたら!!!)」


「ちょっ……千歌さん…? 冗談…ですよね?」ガクガク

チカ「あは♪ 笑えるギャグでしょ?」ギョーン!ギョーン!
千歌「(だめえええええ!!!!!)」




――ババン!!




チカ「あはははははは! 最高だよぉ!! やっと本人の意識を殺さずに乗っ取ることに成功した! 今、どんな気分だい?」
千歌「(乗っ取る? あなたは誰なの?)」


チカ「ああ……名乗っていなかったね。人間の表し方だと天狗って言えば分かるかな?」
千歌「(秋葉原で戦ったやつか!?)」

チカ「そうそう、あの時君の腹に一撃喰らわせたでしょ? 一緒に精神の一部を流し込んでおいたわけさ。保険を掛けたのは少々癪だったが…ただ死ぬよりはマシだからね」
千歌「(そんな……バカな)」


チカ「ただまぁ…動きがまだぎこちないな。慣れるのにもう少し時間が掛かりそうだ。もう何人か手頃な強さの奴と戦ってみるか」
千歌「(……私の体を奪って何がしたいの?)」

チカ「そうだなー…まずはお前の仲間を全員殺す。仲良く同じ場所で仕留められればベストだね」
千歌「(………っ)」

チカ「次はあの……ゴツイ鎧を着たあの女、ホノカだっけ? あいつもあいつの仲間も殺す」
千歌「(素直にやらせると思う!!?)」


チカ「無駄だよ、もうお前の意思でこの身体を動かすことは出来ないよ。……くそ、この口調は何とかならないか。女っぽい喋り方にも慣れなきゃならんのか」




チカ「――…まあそういう事だから、これからよろしくね♪」ニタァ




301: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/29(木) 20:45:30.58 ID:4L6UzsT20

――――――
――――
――


曜は非常に優れた運動神経を持っている
どのスポーツをやっても人並み以上に出来る
戦闘においてもその才能により数々の星人を撃退してきた

しかし、今回は星人ではなく人間
相手は自分の大切な人と同じ姿をしており、最も使いこなせる武器も破壊されている
仲間も全員戦闘不能で今使える武器は最も不得意なガンツソードのみ
これ程まで最悪な状況は経験がない曜だったが――




チカ「おお! 意外に動きが様になってるじゃん。こいつの記憶によれば、この武器は苦手じゃなかった?」キン!キン!


曜「そうだっけ? 器用さが持ち味なんでね!!」キン!キン!




巧みな剣捌きで翻弄してくるチカの攻撃を何とか防ぐ
そんなチカは曜の動きに見覚えがあった




チカ「……なるほど、果南の動きをイメージしているのか。でもそれじゃ勝てないよ!」

曜「くっ!!」



チカは曜のガンツソードを弾き飛ばした
丸腰となった曜に怒涛の斬撃を繰り出す

スーツの防御機能により斬り落とされはしないものの耐久値はどんどん減っている



チカ「ほらほらぁ!! 壊れちゃうよおお!!!」ドスドスドス

曜「調子に……乗るなああ!!」バキッ!



回し蹴りを手首に直撃させ、チカから刀を落とさせる
先ほど鞠莉がやった事と同じ事をしたのだ
ガンツソードを失った二人は格闘戦に突入した



曜「(鞠莉さんの動きを死ぬ気でイメージしろ! スーツさえ壊せばいいんだから!!)」

チカ「格闘は鞠莉か! 真似だけで勝てると思うなよ!!」バキッ!


曜「ぐっ! この!!」ドゴッ




302: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/29(木) 20:49:54.13 ID:4L6UzsT20

曜の動きは決して悪くは無い
キレもスピードも以前の曜に匹敵するところまで戻っている
しかし、それでも“高海 千歌”には届かない
自らを普通怪獣と表現していた彼女にはこの世界で輝く圧倒的な才能を持っている
“千歌”はその才能に気付いていなかったのだ
敵を殺す為の最善の動きを彼女は瞬時に判断でき
その為の動きを再現する身体能力があり
行動に移す精神力もあった

潜在的に眠っていた才能はスーツと憑依した天狗が開花させ曜を圧倒する




曜「っ!!!」キュウゥゥゥゥン……


チカ「――…壊れたな」ニヤリ



チカは頭部目がけて蹴りこむ
咄嗟に左腕でガードするも機能を失ったスーツでは防ぎきれない
ボキボキと鈍い音を立てながらそのまま側面の壁に叩きつけられる



曜「がはっ…!(マズ…意識が……)」バタッ

チカ「あーあ、防がなきゃ楽に死ねたのに。でも、衝撃で意識ハッキリしないでしょ?」

曜「が……わた…あが……」

チカ「苦しそうだね。安心してよ、もっと苦しい事になるよー」ニタァ


曜「(動け……お願いだから動いて!!!)」グググ




304: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/29(木) 20:52:49.75 ID:4L6UzsT20





――ギョーン!ギョーン!ギョーン!




チカ「……は?」キュウゥゥゥゥン…


鞠莉「――へへへ…さっさとトドメを刺さないから……私に撃たれるのよ」ハァハァ

曜「ま……り…ちゃん?」


鞠莉「立ち…なさい……曜! あなたが倒れたら…誰がみんなを……生き返らせるの!?」

曜「く……くううう……」グググ



鞠莉「立て……立てえええええ!!!!」


曜「お…おおおおおおお」グググググ



チカ「うるさい。もう死んじゃえよ」ギョーン!ギョーン!ギョーン!



鞠莉「……っ(ダイヤ、果南…私もそっちに行くね……)」フフ




――ババン!!




チカ「――黙って寝てればもう少し生きていられたのに…バカな奴だ」

チカ「さて…威勢のいい声出してたけど……」クル



曜「うおおお!!!」ブンッ

チカ「っ!!」バキッ!




305: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/29(木) 20:57:35.75 ID:4L6UzsT20




曜は残った右手で顔面を思い切り殴りつける
いくら潜在的な身体能力が高いと言っても、それはスーツのアシストが大きい
スーツが壊れた今、基本的な身体能力の高い曜が一枚上手である



曜「お前がぁ! この!! ……どうしてぇ!!!」ドゴ!バキッ!

チカ「ぐふっ! ぐはぁ!」ベチャ



何度も何度も何度も何度も何度も殴りつける
チカの顔は大きく腫れあがり、片目は腫れた瞼で潰れていた
口から歯を吐き出し仰向けに倒れるチカに曜は馬乗りになる

それでも曜は殴り続ける
病院の廊下には肉を打ち付ける鈍い音が響いていた



曜「ハァ…ハァ……どうして…私が……ヒック 千歌ちゃんを殴らなきゃ……」ポロポロ

チカ「ヒュー……ヒュー………」


曜「いい加減……気絶してよぉ!!!」グワッ!




千歌「――…曜ちゃん」


曜「っ!!!?」ピタッ




曜はギリギリで拳を止めた、止めてしまった
名前を呼ぶその声色は間違いなく千歌のものだった




306: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/29(木) 21:05:57.52 ID:4L6UzsT20


――その隙をチカは待っていた
曜の右目に指を突き刺す
激痛に怯み、悲鳴を上げる暇すら与えずそのまま曜を仰向けに蹴り倒した
さらに右手を踏み潰し使い物にならないものにした




曜「あがっ……あがああああぁぁぁ!!!!」

チカ「フゥー…危なかった……一瞬だけ戻さなかったらあのまま殴り殺されるところだったよ」ハァハァ

チカ「痛っ…これだから人間の体は……まあいい、まずは脚から弾くかな」カチャ


曜「ハァ…ハァ……」

チカ「一応、遺言を聞いておこうかな? 千歌に言いたい事とかあるでしょー?」ニコ


曜「………」

チカ「いいの? 撃っちゃうよ??」

曜「――…ち………」


チカ「はは♪ 聞くわけねぇだろバーカ!!!」ギョーン!ギョーン!



曜「…だろうね。ごめんみんな……私に千歌ちゃんは倒せなかったよ…」




――バン!







307: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/29(木) 21:10:42.86 ID:4L6UzsT20

――
――――
――――――


千歌「(ねぇ、どうして梨子ちゃん達を助けたの?)」

チカ「ああ? 別にあの場で殺すべきじゃないと思っただけだよ」


チカ「屋上に転送されていた奴が見えた。校内を探しても三年生と曜が見当たらなかったから多分あの部屋に呼ばれたんだろうね」

千歌「(それが理由?)」

チカ「腕を斬り落とした果南、止めを刺した曜にも出来るだけ絶望を与えたいからね…タイミングが重要なんだよ」

千歌「(………)」


チカ「でも安心したよ。最近反応が無かったからてっきり死んじゃったと思った♪ 全員仕留めるまで勝手にくたばらないでよー」

千歌「(必ずお前から私の身体を取り戻して見せるから…)」


チカ「へぇー…ま、頑張ってよ~」ヘラヘラ




308: ◆ddl1yAxPyU 2016/12/29(木) 21:13:01.88 ID:4L6UzsT20

――――――
――――
――


曜「ハァー…ハァー……?」

チカ「あ? この距離で……外した?」




チカの放ったXガンは曜の脚を大きく外した床に被弾した
銃を扱った事の無い人でも外す方が難しい至近距離にも関わらず

理由は一つしかない――



チカ「…まさか!? 貴様ぁ!!? グあああああ!!!」

曜「な……なに…どうしたの?」



「ぐううぅううぅ……ハァ、ハァ…よ……曜…ちゃん」

曜「っ!? 千歌ちゃんなの!!?」


千歌「へへ…久しぶり……だね」

曜「やった……天狗に打ち勝ったんだね!!」



千歌「――…違うんだよ。多分戻れるのは一時的だけ…すぐにまた乗っ取られる」

曜「そんな事無い!! 千歌ちゃんなら絶対勝てるよ!」


千歌「私の事は…私が一番よく分かってる。このままもう一度乗っ取られるくらいなら…」カチャ…

曜「待ってよ…何で自分の頭に銃を向けるのさ! 他に方法があるって!! だからっ!!」


千歌「もうこれしか無いんだよ…みんなを殺したこのチカを道ずれにして死ぬしか!!」

曜「嫌だ…お願いだから待って……――」


千歌「………っ」ギョーン!




曜「千歌ちゃん!!? 嫌だ……嫌だああああ!!!」ポロポロ




千歌「ごめんね曜ちゃん………バイバイ」ニコッ




――…直後、千歌の頭部はXガンにより跡形も無くはじけ飛ぶ
曜の意識はそのまま深い深い闇の中に落ちていった




311: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/03(火) 16:36:39.89 ID:eJBTRb3p0

――――――――――――
――――――――――
――――――――
――――――
――――
――


~???~


「………ちゃん?」

「…おーい、よーうちゃん」



曜「ん…んん……あれ…ここは……教室?」キョロキョロ


千歌「やっと起きた。返事がないから心配したよ?」


曜「……千歌ちゃん? …そっか、私も……」

曜「他のみんなはいないの?」


千歌「うん…ここにはいないよ」

曜「じゃあ、今は千歌ちゃんと二人きりなんだ。なんか二人でいるのも久しぶりだね」

千歌「確かに。前まではみんなと一緒にいる事が多かったもんねー」





312: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/03(火) 16:44:30.42 ID:eJBTRb3p0



曜「――…あのさ、どうしてあの時何も話してくれなかったの? 言ってくれれば私達――」

千歌「残ってくれたんだよね? 多分みんな優しいから同じことを言ってくれると思う」

千歌「でもね、あの部屋には誰か一人は残らないといけない…そういうルールがあるんだよ」

曜「ルール?」


千歌「曜ちゃんにはもう全部伝えるよ。私達があの部屋で戦わされていた本当の理由、この先に起こるカタストロフィについてね――」




――――――――――――




曜「――…そんな事が……だったら尚更話すべきだったじゃん!」


千歌「こんないつ起こるか分からない日の為に残ってなんて言えないよ…解放を目標に戦ってたメンバーの気持ちを考えたらさ」

曜「それは……そうだけど…」


千歌「まあ、こんな事になるんだったら話せばよかったよね……」

曜「………」


千歌「私が弱いばっかりにみんなを…みんなを死なせて……自分で責任が取れないのが本当に悔しいよ……」

曜「千歌ちゃん……」

千歌「だからね、これは私のワガママなんだけど……曜ちゃんにはみんなをもう一度生き返らせて欲しいの」


曜「え? でも私は……」

千歌「大丈夫、曜ちゃんはまだ生きてる。ここは曜ちゃんの心の中って言うか…夢の中?」ウーン




313: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/03(火) 17:06:20.32 ID:eJBTRb3p0


曜「いやいや…さすがに千歌ちゃんにそんな事出来ないでしょ?」

千歌「ほら、最後の最後で取り返したじゃん? あの時よく分からないけどこの能力の一部が使えるようになんたんだよね。まあ、天狗みたいに乗っ取る事は出来ないけど」

曜「……マジか」


曜「でもだったら、千歌ちゃんも生き返らせれば――」


千歌「それはダメなんだ…」

曜「え? なんでさ!?」

千歌「ガンツはメモリーに保存された人間を再生させるの。メモリー内にいる私は天狗がすでに寄生している…そんな私を再生させたら今回みたいな事を同じことを繰り返すことになる」

曜「でも! 今度は分かってるんだから何とでも対応出来るでしょ!?」

千歌「その場合、強制的に乗っ取られるだけだよ。あいつも言ってたでしょ? 私の精神を殺さずに乗っ取るのに苦労したって」

曜「そんな…だったら千歌ちゃんはもう……」ウルッ

千歌「……ごめんね」



曜「――…ヤダ、だったら私はこのままずっとここにいる! ずっと千歌ちゃんと一緒に…!」

千歌「曜ちゃん……」

曜「だって……だってもう二度と千歌ちゃんに会えないんだよ! そんなの耐えられない……」




314: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/03(火) 17:24:36.19 ID:eJBTRb3p0




千歌「…あのね、この空間を作っているのは私の精神力なの。でも天狗にほとんど食われちゃってるからほとんど残っていないんだ…だからこのまま維持し続ければ、私は完全に消滅しちゃうの」

曜「っ!?」


千歌「それに、私は曜ちゃんにこの先も生きて欲しいと思ってる。見えるところに私はいないけど…ずっと傍にいるからさ」ニコッ


曜「……グス 本当?」ジワッ

千歌「うん! ここはもう無くなるけど、消滅さえしなければ曜ちゃんの心の中にはいるから…もしかしたら夢の中とかなら会えるんじゃないかな?」ヘヘ

曜「…はは、それなら嬉しいな」





曜「ふぅ…もう大丈夫だよ。私はどうすればいいの?」

千歌「――じゃあ…外に出よっか」





~~~~~~



千歌「この校門から出れば、曜ちゃんは目を覚ますよ」

曜「へぇー、校門の外は真っ白だ。まさに異空間って感じだね」



曜「――それじゃ、行くね」

千歌「うん……」




――ジジジジジ




曜「あぁ、転送されるみたいに消えるのか」

千歌「ふふ…なんかデジャヴだね」




315: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/03(火) 17:35:00.14 ID:eJBTRb3p0




千歌「暫くの間は大変だと思う。でも曜ちゃんならきっと大丈夫! 最初に生き返らせるメンバーには悩むとは思うけど…その時は相談に乗るからね!!」

曜「うん」

千歌「家族には詳しく説明しなくていいからね! 遺体もきっと残ってるから私が死んだことは分かるはずだから…」

曜「…うん」


千歌「生き返ったみんなにも私が謝ってたって伝えて欲しい。自分で言うべきなのは分かってるけど出来ないからさ…お願いね?」


曜「……うん」



千歌「――あと…あとはね! えっと……ヒック その…ね!! あ…あれぇ……?」ポロポロ

曜「………うん」


千歌「お…おかしいなぁ……グスッ とっくに覚悟は……出来てたはずなのに…うぅ」


曜「千歌ちゃん…」


千歌「嫌だよぉ……離れたくない…曜ちゃんと……みんなとずっと一緒に居たかったよぉ……!」ポロポロ


曜「ふふ……ちゃんと本心が聞けてよかった」ニコ


千歌「……う、ううっ」ポロポロ



曜「あのね…」


千歌「…曜ちゃん?」


曜「私は千歌ちゃんと出会えて幸せだった! 私と友達になってくれて本当にありがとう」

曜「それと最後はさ…やっぱり千歌ちゃんの泣き顔じゃなくて笑った顔が見たいな」ニコ


千歌「……グスッ、……うん!」ニコ


曜「そうそう! 千歌ちゃんはやっぱり笑顔が可愛いよ♪」


千歌「…へへっ、ありがとう」フフ



曜「あー…私の身体、ほとんど消えちゃったね」

千歌「うん…もう言い残した事は無い?」

曜「そうだねぇ……じゃあ、一言だけ言うね?」


曜「―――大好きだよ、千歌ちゃん……ニコ」ジジジジジ





千歌「……行っちゃったか。最後の一言はずるいなぁ…」グスッ

千歌「ありがとう曜ちゃん…私も大好き」スゥゥゥ…











316: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/03(火) 18:02:40.67 ID:eJBTRb3p0

――――――――――――
――――――――――
――――――――
――――――
――――
――


曜「――…っ」パチッ


曜母「曜!? 良かった目を覚ましたのね! ……ここが何処か分かる?」

曜「大丈夫……病院だよね。どのくらい眠っていたの?」

曜母「二週間よ。本当に心配したんだから!」ウルウル


曜「ごめんね……私のケガはどうなってるの?」

曜母「……落ち着いて聞いてね?」

曜「…分かってる」



曜母「比較的軽いケガは右手首と頭蓋骨のヒビね」

曜母「ただ…右目の眼球は破裂、左腕は骨折の度合いが酷過ぎるらしくて……後遺症が残るそうよ。飛び込みをやるにはもう厳しいみたい……」

曜「……そっか」フゥ



曜「みんなは……どうなった?」

曜母「……っ」ギリッ


曜「だよね……ごめん分かってた」

曜母「曜……」



曜「あのさ、私が下に来ていた黒い服はどこにある?」

曜母「え? あぁ……あれならここにあるわよ。変な服でボロボロだったけど、一応取っておいたわ」

曜「ありがとう……その服はみんなとお揃いのモノなの。だからさ……今は握らせてほしいな」


曜母「……ええ、しっかり持っていなさい」

曜「へへ…ありがと」ギュッ



曜母「じゃあママはお父さんを呼びに行ってくるわね? 曜ちゃんが目を覚ましたって知らせないと」

曜「うん…またね」




――ガラガラ




曜「……行ったね」

曜「ごめんママ…また勝手に居なくなるけど、すぐに戻るからね――」ジジジジジ







317: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/03(火) 18:41:36.13 ID:eJBTRb3p0

~~~~~~


~GANTZの部屋~


曜「うーん…どれどれ?」ペタペタ

曜「はは、後遺症が残るはずの左腕も潰れた右目もすっかり治ってるや」

曜「でも…意識取り戻してすぐ転送されるなんて……ほんっっとに勝手なんだからさ」



曜「………」キョロキョロ

曜「独りぼっち……なんだよね。分かってはいたけどキツイなぁ…」


曜「でも! やるしかないんだ!! ……そうだよね、千歌ちゃん」ジワツ





――ジジジジジ




曜「っ!?」グシグシ

曜「そうだったね、新しいメンバーの追加があるんだったよ」

曜「先輩がめそめそしていたらダメだね! 新入りを勇気づけなきゃ」




318: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/03(火) 18:42:41.57 ID:eJBTRb3p0




「あれ……ここは…? 私は確かに死んだはずじゃ!?」


曜「お! 新しいメンバーだね? ああ、取り敢えず落ち着いてよ!」


「え? あなたは……て言うかここはどこなの…天国? 私は生きているの??」


曜「うん、ここは天国でも地獄でも……いや、どちらかと言えば地獄なのか…とにかく、まだあなたは死んでは無いよ」


「はあ…でも確かに死んだはず……なら生き返ったの?」


曜「うーん…ちょっと違うかな? 正確にはまだ生き返ったわけでは無いよ。その一歩手前って感じだね」

曜「信じられないと思うけど、これから私達は宇宙人と戦うの」


「…何を言っているの?」


曜「あはは…変な事言ってるように聞こえるでしょ? 私も最初はそう思っていたよ」

曜「暫くしたら、あそこにある黒い球が開くから自分の名前が書いてあるケースを見つけて? 私が着ているスーツが入っているからこれだけは必ず着て! あなたの命を守ってくれるからさ」

曜「今回は初めてだから見ているだけでいいよ! まずはこの部屋のルールを覚えてもらわないとね!」ニコ


「スーツ…あなたの着ているそれの事なの? でも何故もう着てるの?」


曜「なんでもう着てるのか? それは私がもう何回もこの部屋で戦い続けているからだよ! 自分で言うのもなんだけど、結構強いんだよ!」エッヘン


「一体あなたは何者なの?」


曜「何者って言われても……ただの女子高生だよ?」


「………」


曜「もう! 大丈夫だってば!!」


「あ、いや……別にそういう事では」アセアセ


曜「……え? 別に怪しんでいるわけじゃないの?? ならいいや」エヘヘ

曜「あ! まだ名前を聞いていなかったね? あなたの名前は?」


理亞「そう言えば名乗ってませんでした…私の名前は“鹿角 理亞”です」


曜「分かった、理亞ちゃんだね! これからよろしく!!」


曜「私の名前はね、“渡辺 曜”だよ!」




319: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/03(火) 18:43:51.38 ID:eJBTRb3p0

理亞「曜さん、ですか」




――ジジジジジ




曜「今回はまだ追加メンバーがいるんだね、どんな子か――………っ!?」



「曜ちゃん!? 意識を取り戻したのね!」ホッ


「意識不明だとこの部屋に転送されない仕様だったのが助かったわね。流石に重体の曜さんを守りながら戦うのは厳しいからね」ヤレヤレ


理亞「この人達も…曜さんと同じ服を着てますね?」

曜「――…へへっ」グスッ


理亞「曜さん?」


曜「そっか…私はまだ独りぼっちじゃなかったんだね……」


「曜ちゃんには聞きたい事が山ほどあるんだからね?」

「まぁ、取り敢えず今回のミッションを生き残らないとねー」ポキポキ


曜「そうだね……よろしく頼むよ!――…梨子ちゃん、善子ちゃん!」








325: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 12:03:59.16 ID:5nMzG2ev0

――――――
――――
――


~三年後 沼津 マンション屋上~


「――…なーんか、重要な事を任されちゃったね」

「私達二人でマンション周辺の巨人を退けろ、なんて…曜も無茶言うよ」アハハ…


梨子「確かに、まあこのマンションが壊されたら今後が厳しくなりますからね」


「さて、どうしよっか?」


梨子「曜ちゃんからの連絡では巨人の装甲はZガンで無力化出来るそうです」


「なるほど……なら、梨子は飛行ユニットに乗って空からZガンで無力化していってよ」

「私は丸裸になった奴から片っ端からぶった斬っていくからさ」シャキッ


梨子「分かりました。ただし、無理だけはしないでくださいね?」


「分かってるって、じゃあ行こうか――」




326: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 12:20:34.66 ID:5nMzG2ev0



~静岡駅周辺~


イザベラ「――…ハァ……ハァ…ハァ」

エマ「もう無理だよ!! 私達じゃ守り切れないって!」




建物の陰に隠れている二人と一般人6人
そして唯一の出口周辺には巨人7体が徘徊している

巨人の持っている銃からは円盤状のカッターが射出される
この武器により多くの人々が斬殺され、スーツ組も一撃で倒されていった
彼女達のチームも何度も100点を取った猛者達が揃っていたが
今はもう二人しかいない




エマ「強かった皆も死んじゃったんだよ!? 誰かを助ける力なんて私達には無いんだよ!!」

イザベラ「ハァ…ハァ……確かにそうかもな」

エマ「だったら――」



イザベラ「それでも…それでも私はこの人達を見捨てたくない」

エマ「っ!? どうして…カッコつける場合じゃ無いでしょ!!?」




327: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 12:53:17.78 ID:5nMzG2ev0


イザベラ「今、この人達を救えるのは私達しかいない。救う力を持っているのにそれを使わないわけにはいかない」

イザベラ「誰かがやらなきゃいけない…やるしかないんだ!!」


エマ「…でも」

イザベラ「――…この場は私が囮になる」

エマ「!?」

イザベラ「安心しろ…死ぬつもりなんてさらさら無い。隙をみてすぐに追いかける」ニコ


エマ「そんな事出来るわけないじゃん! そんな約束信じろって言うの!?」

イザベラ「おや? 私が今までウソをついた事があったか?」



レベッカ「だけど……」


イザベラ「――じゃあ、頼んだぞ!」ダッ

エマ「イザベラ!!」




勢いよく飛び出したイザベラ
Xショットガンで内部からダメージを与える
奇襲で一体は倒したが、一斉に銃口を向けられる




イザベラ「おらぁ!! こっちだ!!!」ギョーン!ギョーン!ギョーン!



四方八方からカッターが飛び交う中、紙一重で避け続ける
当たれば即死
そんな恐怖がイザベラの心を蝕む



イザベラ「(恐れるな!! 私なら出来る! 自分の事くらい信じられなくてどうするんだああ!!)」ギョーン!ギョーン!







328: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 13:56:37.91 ID:5nMzG2ev0




――…気を抜いたわけでは無い
カッターの一発がイザベラの右側をかすめた
撃ち返そうと右手に握った銃を構える




イザベラ「――ああ?」




イザベラの右腕は肘から先が無くなっていた
傷口からは血液が噴水のように噴出している

膝から崩れ散るイザベラ
そんな彼女に対しても、巨人は無慈悲にも銃口を向ける




イザベラ「(フッ…、すまんなレベッカ…カッコつけた癖に情けないな……)」




――ズドドドドドドン




イザベラを取り囲んでいた巨人全員が見えない円盤によって押し潰された
突然の現象にイザベラは困惑する




イザベラ「は? これって一体……」






329: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 15:18:08.42 ID:5nMzG2ev0

「ふぅ…どうやらギリギリ間に合ったようですね」

善子「すぐに止血するわ! 動かないで待っていて」


イザベラ「あ…あんた達は?」


「わたくし達は沼津チームの者ですわ。貴方は…他県のチームですわね?」


イザベラ「ああ、隣の県から来たが…」


「お姉ちゃん! 巨人が立ち上がったよ!!」

善子「曜さんの言っていた通り、Zガンで装甲は無力化出来たわね」カチャ

「そうですか…貴方は一旦私達の部屋に転送します。ガンツ! 頼みましたわ!!」



イザベラ「え? ……ええ?」ジジジジジ


善子「安心しなさい、もう一人の子にも増援が向かってるわ」

イザベラ「っ!?」ジジジジ…



「――…さてと、気を抜かずに行きますわよ!!」









330: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 15:18:49.97 ID:5nMzG2ev0

~~~~~~


エマ「――…もう! どうしてここにもいるのよ!?」ギョーン!ギョーン!




イザベラと別れ、一般人を連れて逃げるレベッカだが
不幸にも逃げた先には大量の猟獣やキマイラが待ち受けていた
一匹一匹は大した強さでは無いが如何せん数が多い
更に丸腰の人間を守りながらとなると状況は極めて厳しい

Xガンとガンツソードで対抗するレベッカだが
徐々に押され始めている




エマ「(ヤバイ…このままじゃ守り切るどころか私も死ぬ! 今ならステルスモードで――)」



イザベラ『それでも…それでも私はこの人達を見捨てたくないっ!――― 今、この人達を救えるのは私達しかいない。救う力を持っているのにそれを使わないわけにはいかない――― 誰かがやらなきゃいけないんだ―― じゃあ、頼んだぞ!』



エマ「――…ああもうっ!! ここで見捨てて生き残ってもイザベラに嫌われるんだったら意味無いんだよぉ!!」

エマ「あんた達もビビッて突っ立ってるだけじゃなくて、生き残る最大限の努力はしなさい!」

エマ「目の前の敵は…全員私が――」







331: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 17:45:24.65 ID:5nMzG2ev0




「――シャイニィィィーー!!!」ブウゥゥン!!!




揺らいでいた心に自ら喝を入れ、奮い立たせたレベッカの前に
一台のモノホイールバイクが猛スピードで突っ込んできた
その勢いはそこにいた猟獣とキマイラ数匹をミンチにする程だった




「あら……結構轢いちゃったけど、人は巻き込んで無い…わよね?」ダラダラ

「運転が雑すぎずら! 本来な免停ものだよ!!」ガミガミ

「し、仕方ないじゃない! 急いでたんだしー。そもそも私は免許を持っていないので免停にはなりませーん」ニヤリ

「むむう…なら、無免許運転で実刑判決ずら!」



エマ「んな……いきなり現れた挙句、訳わからない事で言い争うな!」ドッ

エマ「ここにはまだ一般人が……ってあれ?」キョロキョロ


「安心して? 私達が来た時、全員ガンツに安全な場所に転送してもらったから♪」


エマ「ガンツ? 転送??」キョトン


「あれ? あの黒い球の名前なんだけど…正式名称じゃないの?」

エマ「ああ、あの球の事ですか……んん!? あの球の操作が出来るんですか!!?」



「イエ~ス♪ ただ、あなたにはまだ一緒に戦ってもらうわ。力を貸して頂戴」カチャ

「あなたの仲間も無事ずら!」


エマ「ホント!? 良かった…」ホッ




「――それじゃ、さっさと片付けちゃいましょ~う」パシンッ









332: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 18:43:34.36 ID:5nMzG2ev0

~千歌実家前の砂浜~



曜「――…やっぱり、空が赤いって何だか変な感じだね」ボーッ

曜「まさか千歌ちゃんの言ってたカタストロフィが異文明との全面戦争だったとはね…巨人との戦闘も楽じゃないよ」チラッ




曜はZガンに座りボーっと空を見上げている
砂浜の周辺や道路には10mを超える異星人や大型の猟獣の遺体が大量に転がっていた

その数、合計20体
彼らの使用する武器は全てスーツの耐久値を無視する程の威力を持っているが、それも当たらなければ意味が無い
以前までの曜ならばこれだけの敵を一人で撃退する事は不可能だっただろう
今までの膨大な戦闘経験が今の曜を支える




聖良「――さすが曜さん、これだけの数も余裕そうですね」フフ

理亞「リーダー……こんな時にボケーっと黄昏ないで下さい」ヤレヤレ


曜「おぉー、二人とも早いね!」

聖良「こっち側の人々は全員、小原家が用意したシェルターに避難させました。何体か巨人が襲ってきましたが私達で撃退したので犠牲者はいません」

理亞「全部任せろって言っていたのに…普通に取りこぼしてるんだもの」ジトー

曜「あはは…申し訳ない」シュン



聖良「曜さんは悪くないですよ。それで、これからどうしますか?」

曜「内浦一帯の巨人は殲滅出来たからね…それに避難も完了した事だし、沼津の方に行こうか」


曜「――ガンツ! 私達を部屋に転送して!」




――ジジジジジ









334: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 19:47:38.32 ID:5nMzG2ev0

~~~~~~


~GANTZの部屋~


イザベラ「お! レベッカもこの人達に助けられたんだな。無事で何よりだ」エヘヘ

エマ「ちょっ…あんた右腕!? 何でそんなにお気楽でいるのさ!」

イザベラ「大丈夫だ。この通り輸血もしているし手当はしっかりとやって貰ったからな」

イザベラ「……まあ、生きてるだけ良かった。またレベッカに逢えたことだしな」ニコ


エマ「……バカ」グスッ




イザベラ「――…にしても、この部屋の人達って滅茶苦茶強くないか?」

エマ「確かに、さっきまで一緒に戦っていたけど…安心感って言えばいいのかな? 上手く言えないけど私達のチームには無い強さがあったよ」


イザベラ「まだこのチームのリーダーが戻ってないらしい」

エマ「これ程のメンバーが揃ったチームのリーダーか…一体どんな人なんだろう?」

イザベラ「――…帰って来たみたいだぞ?」




335: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 20:55:36.26 ID:5nMzG2ev0





――ジジジジジ




梨子「あ、曜ちゃん! 帰って来たね!」パァ

「ちょっと遅いですよ…心配しました」フゥ

「だから言ったじゃん、心配ないってさ」

「そうそう♪」


「理亞ちゃんと聖良ちゃんもお疲れ!」ニコ

「良かったぁ、これでみんな無事だね」

善子「当たり前でしょ? 私達なんかよりずっと強いんだから。寧ろここでやられていたら困るわ」




内浦から帰って来た曜と鹿角姉妹
部屋には既に仲間達が帰還していた

曜は千歌との約束通り全員を生き返らせた
新たな仲間と共にメンバーの再生、装備の強化を行い
この日に備えて着々と準備をしてきた




曜「ふふ、ただいま…みんなも無事で良かったよ」


果南「この日の為に戦ってきたんだよ? 当然だよ」

梨子「私と果南さんでこのマンション周辺はきっちり死守したよ!」


花丸「見つけた人々は転送したけど…巨人とロボットの増援が来たからガンツから強制転送されちゃったずら」


曜「そっか、私がそう設定したから仕方ないよ」




336: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 21:34:54.47 ID:5nMzG2ev0



ルビィ「私達も頑張ったけど…小さい飛行船みたいのにいっぱい連れて行かれちゃった」シュン

善子「倒せる敵は大体やったけど、デカいロボットみたいなのもは無理だった。あれはここにある武器だけじゃ太刀打ち出来ないわね」


理亞「連れて行かれた? あのデカい宇宙船にって事よね?」

ルビィ「うん…全部同じ方向に飛んで行ったから間違いないよ」

聖良「だとしたら、あの宇宙船に潜入する必要がありますね……」


ダイヤ「それなら大丈夫ですわ。先ほど東京チームの穂乃果さんから通信がありました」

曜「穂乃果さんから?」

鞠莉「アメリカチームから宇宙船の地図を貰ったみたいでね、私達にもそれを送ってくれたってワケ」

果南「どの場所に人が連れて行かれたかも分かったよ。ガンツでそこに直接転送も出来るってさ」


ダイヤ「穂乃果さん達は一度救出に向かったそうですよ。…何でも連れ去られ人は血抜きされ食用に加工されているとの事ですわ」ギリッ



理亞「――…どうする、リーダー?」

曜「………」


梨子「…私はいつでも行けるよ」

花丸「ずらっ!」

ルビィ「ルビィ行けますっ!!」グッ

善子「さっさと決めちゃいなさい?」




曜「――…みんなは怖くないの? これから行く場所は敵の本拠地、何が起こるか分からないんだよ?」




337: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 21:55:19.08 ID:5nMzG2ev0

果南「そりゃ……当然怖いよ。だよね、鞠莉?」

鞠莉「ええ、“一人”だったら絶対に行かないわ」


ダイヤ「私達には仲間がいます。一人では無理でも、仲間と一緒なら…いえ、このメンバーならどんな困難でも乗り越えられますわ。私達“11人”なら絶対に」


曜「!!」




善子「って言うか、今さら怖いか聞かれてもねー」

花丸「確かに」クスクス

ルビィ「怖い思いは散々してきたからねぇ……」


曜「………」



果南「――…じゃあ、やめる?」

曜「え?」ピクッ

理亞「そうですね、リーダーの判断なら仕方ないですから」チラッ

聖良「! まあ、このデータを他のチームにも流せば誰かがやってくれますよ。無理して私達がやる必要性はありませんからね」

果南「そうそう、だから止め――」

曜「『――やめない!!』……あっ」



果南「ふふふ、久々に“千歌”が出てきたね?」

梨子「全く…最初から決まってるんだったら曜ちゃんの意思で言ってよね」

善子「変なところで優柔不断なのは変わらないんだから」ヤレヤレ

花丸「千歌さんもまだ元気そうで良かったずら♪」



曜「あ、あはは…。ゴホン、変な心配かけてごめんね」




338: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 22:27:57.58 ID:5nMzG2ev0

曜「…じゃあ、これから敵の本拠地に潜入しよう。今回は敵との戦闘はほとんど無いと思う。もし遭遇したら“勝つ戦い”では無くて“生き残る戦い”をすること。絶対に無理はしないでね」



鞠莉「無理はするな、だってさ……」チラッ

果南「な、なに?」ジトッ




曜「危ないと思ったらすぐに転送してもらう事。その時間は私が稼ぐ」

善子「はぁ? 無理するなって言っておいてそれは無いでしょ?」

梨子「よっちゃん、曜ちゃんの事はよく分かってるはずよ?」

善子「リリー……」




エマ「――…あ、あの!!」

曜「ん? そう言えばあなた達は…?」

ダイヤ「紹介が遅れましたわね、この方々は富山チームのイザベラさんとエマさんです。静岡で戦闘中だったところに私達が合流、その後私達と一緒にこの部屋に来て頂きました」



曜「なるほどね……どうしたの、エマさん?」

エマ「私も一緒に連れて行ってもらえますか?」

曜「私達と? 富山に帰らなくていいの?」


エマ「あの宇宙船には私の友人がいるんです…自分が非力なばっかりに目の前で連れて行かれました」ギリッ

曜「………」


エマ「一緒に探してくれ、なんて言いません。せめて宇宙船の中にだけでも連れて行ってください…お願いします」


曜「その子は静岡で連れ去られたの?」


エマ「そうです」




339: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 22:32:32.41 ID:5nMzG2ev0

曜「…ならまだ間に合うかもね」

曜「エマさんも連れて行こうと思うけど、いい?」



理亞「構わないわー、もう早く行きましょうよリーダー」

聖良「連れ去らわれた方を助ける為にも早く行くべきですね」




再び全員の顔を確認する曜
皆それぞれ違った表情をしているが
恐怖、悲観、不安など負の感情を出した表情の者はいなかった




曜「(ふふ…私にも表情を見るだけで覚悟が出来ているかどうか分かるようになっちゃったわけか)」

曜「――…よし、ガンツ! 今すぐ転送して!!」




――ジジジジジ




転送が始まり、各々身体が足元や頭の先から消え始めた

武器の最終確認をする者
隣の仲間と手を取り合う者
目を閉じ再び精神統一する者
部屋に残る者と会話する者
意味の分からない詠唱を唱える者
それを隣で聞きながら苦笑する者

これから敵の本拠地に向かうとは思えない
緊張感に欠ける雰囲気であった
ただ、曜にはこの雰囲気がとても心地よかった

――…曜は静かに目を閉じた




340: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 22:47:01.21 ID:5nMzG2ev0




『――みんな相変わらずだね、高校時代と全然変わらないや』

曜「(千歌ちゃん…久々に出てきてくれたね? 花丸ちゃん達を生き返らせたとき以来だから……2年半ぶり?)」

千歌『えへへ……夢に出るって言ったけど、そこまでの力は残って無かったみたい』

曜「(………)」

千歌『……こうして話せるのも、これで最後になると思う』

曜「(…そっか、だからこのタイミングにしたんだね?)」

千歌『まあね、もう一度曜ちゃんやみんなの顔や声が聴けて良かったよ…』


曜「(なーんか不思議な感じ。今度こそ本当にお別れなのに、また逢える気がする)」

千歌『曜ちゃん……』

曜「(――…あの時、伝えたい事は全部伝えたから……今回は何も言わないよ)」

千歌『分かってる、同じ事言われても感動半減だもんね』



千歌『じゃあ、気を付けてね! 絶対にみんなと一緒に帰ってくるんだよ――』スウゥゥ







341: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 23:03:20.59 ID:5nMzG2ev0




曜「―――っ」パチッ




目を開くとそこは巨大な流れるプールのような施設があった
いくつものレーンで区切られており
丸裸にされた人々が激流に流されている

奥の方では胸に穴を空けられ逆さ吊にされた大量の人間が流されていた
今流されている人々がこのままではどうなるのか
誰が見ても明らかであった


既に梨子と善子がZガンを使用し水流の制御装置を破壊
他のメンバーも水中にいる人々の救出に向かっていた




果南「曜! 早く行くよ!!」

梨子「ぼーっとしている暇なんて無いよ!」

善子「頼むわよ、リーダー」




曜「――…うん、今行くよ!」ダッ





千歌「GANTZ?」追加ストーリー ~終~




342: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 23:13:22.93 ID:5nMzG2ev0

ここまで読んで頂きありがとうございました

このストーリーは前作で考案していたもう一つのエンディングをベースに作成しました
原案ではラストミッションで千歌以外が全滅
誰か一人しか再生出来ない状況で誰を再生するか…

これをそのまま曜に置き換えて展開しようとしましたが、全く別の話になっちゃいました



343: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 23:16:27.46 ID:5nMzG2ev0

カタストロフィ編は物語の着地点が全く思いつかないので
申し訳ないですが書くことは無いと思います




345: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/05(木) 23:48:34.12 ID:5nMzG2ev0

(おまけ)

――
――――
――――――
――――――――
――――――――――
――――――――――――


~ガンツの部屋~




――ジジジジジ




凛「にゃあぁぁ……久々のミッションだね! テンション上がるにゃあ!!」

絵里「り~ん! 元気なのはいいけど、勝手に暴れまわらないでよ」

真姫「そうよ、援護する身にもなりなさいよね」ジトッ

花陽「凛ちゃん……」ハァ…



希「おぉ! にこっちはお仕事無かったんやな。随分ラフな格好で転送されてるやん」ニシシ

にこ「まあね、折角のオフだったのに…ホント迷惑よ!」プンプン



海未「穂乃果、ことり、お久しぶりです」ペコッ

ことり「久しぶり! 元気だったぁ?」

穂乃果「うん、いつもと変わらず元気にやってたよ」

ことり「海未ちゃんは……前よりちょっと変わった?」




346: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/06(金) 00:47:17.69 ID:t3zcj1eY0

海未「ええ、カタストロフィ事を話してもらってから日々の鍛錬にもより真剣に取り組めるようになりましてね…ここで100点をより多く取る為の備えは万全ですよ」ニコ

穂乃果「おぉ…こりゃ、もう私より断然強くなっちゃったんだろうな」アハハ…

海未「どうですかね? 強さには色々ありますから。そうだ、今度手合わせしませんか? 無論、スーツは無しで」

穂乃果「い、いやー…さすがにそれじゃ私に勝ち目が無いなぁ」ビクビク




――ジジジジジ




「――…あれ? もしかして私が最後ですか??」


凛「あ! 普通怪獣ちゃんだ!!」パァ

「ちょっと凛さん! ガンツが付けたあだ名で呼ばないで下さいよぉ」プンプン

花陽「そうだよ、前から嫌がってるでしょ?」

凛「えー…可愛いあだ名だと思うんだけどなぁ」シュン

「あ、いや…そんなに落ち込まないで下さい」アセアセ


にこ「年下困らせてどうすんのよ…」

真姫「気にしなくていいわよー」ヤレヤレ

「は、はぁ…」







347: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/06(金) 01:03:16.76 ID:t3zcj1eY0


絵里「確か今日は…まだ静岡のはずよね?」

「はい、明日の朝に帰る予定でした」

希「そっか~、なら帰りの交通費が浮いてラッキーやな♪」

「え? まあ、そうなりましたね……ん? なんかデジャヴ……」ムムム



ことり「それでどうだった? “年上の同級生”に会って来た感想は?」


「――…そうですね、まさか曜ちゃんが今も戦ってるなんて…それも果南ちゃんも一緒だったのは驚きましたね」

「そう言えば、穂乃果さんから教えてもらったメンバーのほとんどは卒業したみたいでしたよ? あの場にいませんでした」



穂乃果「そうなの? 千歌ちゃんじゃなくて曜ちゃんが残ったって事なのかな……」

「そこまでは分かりませんが…とにかく、曜ちゃんに気付かれなかったのはラッキーでした」フゥ

穂乃果「そうだよ! 仕方のない状況だったとしても、何でステルスを解いちゃうのさ!? 危うくバレちゃうところだったんだよ!?」

「うぅ……ごめんなさいぃ」グスン

海未「まぁ、電話で知らされた時は焦りましたが、バレなくて本当に良かったですね」

ことり「でも災難だったね? お忍びで帰ったのに星人との戦闘に遭遇しちゃうなんてね」


「……でも、曜ちゃんの姿や声が聴けて良かったです。きっと“未来”の千歌とも仲良くやってるはずです」

穂乃果「ねぇ、やっぱり私の事恨んでる?」

「まさか! 穂乃果さんが情けをかけてくれなかったら、今生きていません。法律上存在しない私を養ってくれている穂乃果さんには感謝していますよ」

穂乃果「でも…」


「その時が来たら私から打ち明けます。私の存在は曜ちゃんと“私”にしっかり決めてもらいますから」ニコ

穂乃果「そっか……」



「――…さあ、もうすぐ今夜のミッションが始まります。今回も気合い入れていきましょう!」

穂乃果「……うん! よろしく頼むよ!!――――…“千歌”ちゃん!!!」



千歌「――――はい!」




348: ◆ddl1yAxPyU 2017/01/06(金) 01:09:25.14 ID:t3zcj1eY0

今度こそ終わり
沼津の高校で曜とダイヤを助けた人物が未回収だったので追加しました

今度は何故こうなったのかをμ'sをサイドの話を書いてみたいですね…
それでは失礼いたします。



349: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/06(金) 01:27:27.05 ID:JRqiTFPe0

乙!
面白かったよ!
また1の書く作品読みたいです



352: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/06(金) 07:58:48.36 ID:KnAnOgPzO

そういうことだったのか…乙!


元スレ
SS速報VIP:千歌「GANTZ?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1477559947/