1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 21:08:04.45 ID:bcXDX/F20

『この山、立ち入り禁止』

ラウラ「ほう、立ち入り禁止と言われると登りたくなるのがこの私」

箒「やめなされお嬢さん」

ラウラ「む?この山の管理人か?」

箒「私は通りすがりの村民です。ほらあそこに村があるでしょう」

ラウラ「ほう、確かに」

箒「この山に入ったが最後、出てこれませぬ。そう言った言い伝えなのです」

ラウラ「なるほど、じゃあ私が最初に出てくる人間となればいい」

箒「やめなされ!やめなされ!」

ラウラ「邪魔をするなぁ!」バキ

箒「ぶべっ」



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 21:16:34.10 ID:bcXDX/F20

一合目

ラウラ「ふむ・・・わりと深い森だな。暗くて光が見にくい」

ラウラ「む?誰だ?」



あかんぼう「おぎゃああああああ」

シャルロット「ねんねんころりよー」

ラウラ「おい女。やかましくてかなわん。その赤ん坊を黙らせろ」

シャルロット「お嬢さん、勘弁してくださいな。この子は空腹で泣いているのです」

ラウラ「ふむ、それならこれを食え、祖国のチョコレートだ」

赤ん坊「きゃー♪」



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 21:20:12.67 ID:bcXDX/F20

シャルロット「ありがとうございます。この子も喜んでいますわ」

赤ん坊「きゃっきゃっ♪」

ラウラ「ふむ、ならよい。私は先に進む」

シャルロット「お待ちください」

ラウラ「む?なんだ?」

シャルロット「この先は未開の地。先に行きたければ、この子を連れいってください」

赤ん坊「あうー?」

ラウラ「何を言っている。あしでまといはごめんだ」

シャルロット「・・・」フッ

ラウラ「なに・・・消えた・・・」

赤ん坊「きゃー♪」



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 21:24:26.82 ID:bcXDX/F20

ラウラ「・・・ふむ仕方がない。この子供を方っておくわけにもいかん。連れて行くか」

赤ん坊「お姉さんいい人だね」

ラウラ「む?お前喋れるのか」

赤ん坊「そりゃそうさ。それに、お姉さんがあそこで僕を無視すれば、僕、お姉さんを殺してたしね」

ラウラ「は?私が赤ん坊に殺されるものか。冗談はよせ」

赤ん坊「お姉さんはいい人。だから大丈夫」

ラウラ「・・・・・・不気味なガキだな」



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 21:30:54.44 ID:bcXDX/F20

二合目

ラウラ「む・・・・・・?」

鈴「・・・困ったわ・・・困ったわ」

ラウラ「どうした女」

鈴「あら、珍しい。旅のお方なのね」

ラウラ「なにか困りごとか?」

鈴「ああそうなの。私の愛馬がどこかに消えちゃって、今探してる最中なの」

ラウラ「ふむ・・・生憎、来る途中で馬は見ていないな」

鈴「あらあら。どうしたものかしら」

ラウラ「・・・む?あそこに居るのはお前の馬ではないのか?」

鈴「え?どこですか?」

ラウラ「ほらあそこだあそこ。川で水を飲んでいるだろう」

鈴「はて・・・どこにもおりませぬが」

ラウラ「お前ふざけているのか」



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 21:35:34.22 ID:bcXDX/F20

鈴「はてはて、私の目が正しければ、そもそも川もございませぬ」

ラウラ「は?」

鈴「あなたの方が間違ったものを見ているのではないのですか?」

ラウラ「む?何を言っている?貴様盲目か?」

鈴「いえいえ、私の目は真実の眼。ほら、貴方の後ろにひたひたと、地に濡れた武者が」

ラウラ「っなに・・・?」クルッ

シーン

ラウラ「何もいないが・・・」

鈴「おやおや、いるではありませぬか、ようく見なさい」

ヒタ ヒタ



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 21:43:06.03 ID:bcXDX/F20

ラウラ「・・・・・・?」

鈴「ほらほら、今まさにあなたを睨んでいらっしゃいます。憎しみの眼。一体誰に殺されたのやら」

ラウラ「何を言っているんだお前は?」

鈴「ほらほら。こちらに寄ってまいりました。錆びた刀がじゃりじゃりと」

ジャリジャリ

ラウラ「・・・・・・」

?ち??「・・・・・・」

鈴「何か呪詛をおっしゃいます。現世への恨みつらみ。生き別れた女房への悔恨」

?ち?者「・・・・」

ラウラ「確かに何かがいるような気配が」



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 21:49:17.77 ID:bcXDX/F20

?ち武者「・・・・・・・・・」

ヒタヒタ

鈴「さぁ・・・殺されるのは私か貴方か。お決めするのは天の導きでしょうか、それともこの武者」

落ち武者「ぁ・・・・ぁ」

ラウ(確かに・・・男が・・・刀を振り上げ・・・)

鈴「若い女の血飛沫を浴びて、この武者、果たして恨みは晴れましょうか。お試しあれあれ生き地獄」

落ち武者「・・・ぁ・・・ぁ・・・ぁ」

ラウラ(・・・・・・私は・・・死ぬのか?)

赤ん坊「騙されるな」

フッ



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 21:53:55.75 ID:bcXDX/F20

ラウラ「・・・意識をそらした途端消えたな」

鈴「あらあら残念」

ラウラ「今のはなんだ。答えろ」

赤ん坊「言霊だ。此奴の」

鈴「おほほ。手厳しい」

ラウラ「ふむ、この女。何者だ?返事次第では・・・」

鈴「ほほほほ・・・ではまた後日。たった一つの廻る世界。またいつか会えるでしょう」フッ


ラウラ「ちっ・・・消えたか」

赤ん坊「嫌な女だ」

ラウラ「むっ?」

馬「・・・・・・」チャプチャプ

ラウラ「・・・・・・」



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 21:59:19.69 ID:bcXDX/F20

ラウラ「・・・・・・」

馬「ヒヒーン」

赤ん坊「いいのかい?こんな馬」

ラウラ「旅は道連れ。世は情け。この馬も一人では寂しかろう」

馬「ヒヒーん」パカラ パカラ

赤ん坊「優しいねぇ」



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 22:05:22.59 ID:bcXDX/F20

3合目

ラウラ「・・・・・・む?」

セシリア「あぁ・・・あぁ・・・お助けください」

弾「はっはぁー!あんたが悪いんだよあんたがぁ!」

セシリア「いやぁ!離してっ!」

ラウラ「何をしている。離してやれ」

弾「おやおや、旅のお方かい?その願いは聞き入れられないなぁ」

セシリア「たすけてぇ!たすけてぇ!」

ラウラ「なにを言っている?私にはお前がこの女を蹂躙しているようにしか見えん」

弾「おやぁ!見かけに騙されるのかい!」

ラウラ「む?」



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 22:09:16.77 ID:bcXDX/F20

弾「この女はねぇ。うちの家財を全部もって言った挙句、家畜を全部殺していきやがったんだ!」

セシリア「おたすけぇ・・・」

ラウラ「む?それは本当なのか?」

セシリア「・・・そ、それは・・・」

弾「動物の、命だけは助けてと言った俺の願いは、無残無残。あぁこの女。殺してやりてぇ」

セシリア「ひぃ・・!」

ラウラ「ふむ、そうだとしたらこの女が悪い。しかし、殺すのはいただけんな」

弾「おや??この女の肩を持つのかい?動物の命はもう戻ってこないんだぜ?」

ラウラ「むぅ」

弾「人の命と家畜の命は等価ではないってかい?人間様が一番ってかい?」



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 22:14:15.58 ID:bcXDX/F20

ラウラ「・・・・・・」

弾「おやおや。じゃあ選ばせよう。この女。あんたが殺すか。俺が殺すか」

セシリア「い、いやぁあ!」

ラウラ「・・・その選択肢おかしくはないか?」

弾「へぇ!?確かに!?それじゃあこうしよう。あんたが死ぬか、この女が死ぬのか」

ラウラ「・・・何?」

弾「あんたが死ぬならこの女、見逃してやってもいいんだぜ」

ラウラ「本当に意味不明だなお前は」

弾「おやぁ!あんたの人助けの線引きもここまでって訳だ!人の命を助けたい。しかし、自分の命を捨ててまでそれはしたくない」

ラウラ「・・・・・・」



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 22:20:58.71 ID:bcXDX/F20

ラウラ「・・・・・・」

弾「所詮人間は自分本位ってわけだぁ!殺された動物も浮かばれねぇ!」

ラウラ「・・・・・・詭弁だな。お前のペースには乗らない」

弾「おんやぁ?それじゃあこの女、見殺しにするのかい?」

セシリア「お願い・・・私を助けてぁ!」

弾「いいんだぜ?この女を殺したのはあんたでもある。そんな罪悪感に苛まれつつ、生きていくのもまた人生」

ラウラ「ふん・・・いつのまにか、悪いのはお前ではなく、私、であるように誘導されているようだな」



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 22:30:44.93 ID:bcXDX/F20

弾「はっはっは。いい気分だ。俺が殺してもお前のせい。この女を殺すのは俺ではなくお前。罪悪感の欠片もないぜ」

弾「さぁ・・・あんたは偽善者かい?ほらほら自分の命を投げ打って人を助ける。そんな英雄になればいいじゃねえか」

ラウラ「・・・そうやって、本来あるべき真実から人の目を背け、新しい悪を創りだす。結構なことだ。お前が国の指導者であったなら、民をたばかるのも容易であったろうに」

弾「ぁあ?」

ラウラ「私は知っているさ。この女を殺せば悪いのはお前、それ以上も以下もない」

弾「・・・・・・」

ラウラ「この馬をやろう。それで手を打ってくれ」

弾「あん?へぇ・・・その馬くれんのかい。なかなかいい馬じゃねぇか」

ラウラ「その女を殺すな」

弾「へん・・・いいだろう。お買い得だ。この女を殺すか、馬をもらうか選ぶなら、後者を選ばないやつァいねぇ」



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 22:40:54.62 ID:bcXDX/F20

ラウラ「・・・・・・ふん。この女は連れて行く。あとでお前に殺されては適わん」

弾「いいのかい?その女は犬畜生にも劣るぜ・・・騙されんようにしな」

ラウラ「ふん・・・お前の性根には劣る」

セシリア「あ、ありごとうございます。旅のお方」

赤ん坊「おねぇちゃん。抱っこしてくれ」

セシリア「あらかわいい」

赤ん坊「へへ」



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 22:52:39.34 ID:bcXDX/F20

4合目


セシリア「助けていただきありがとうございます」

ラウラ「ふむ、礼はいらん。人死にはみたくないんでな」

セシリア「何かお礼をさせてください」

ラウラ「なんだ?」

セシリア「そうですね。あそこに一つの小屋があります」

ラウラ「む?確かにあるな。で、どうするんだ?」

セシリア「あの部屋で幡を折らせてください。その幡を差し上げます」

ラウラ「・・・・・・鶴の恩返しでもするつもりか?いいだろう」

セシリア「あら、ご存知ですか。それではわかっているでしょう。決して覗いてはなりません」

ラウラ「ほう?そんなところまで伝承一緒にする意味は何だ?」

セシリア「お願いします。決して覗いてはならぬのです」

ラウラ「返答なしか。いいだろう。待ってやる」



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 22:58:14.44 ID:bcXDX/F20

ラウラ「・・・遅いな」

赤ん坊「短気だねあんた」

ラウラ「例え短気でなくてもこの遅さは我慢ならん」

赤ん坊「覗くのかい?ダメと言われたろう」

ラウラ「ふん。おいて先に行くかな」

赤ん坊「おやおや。お優しいあんたらしくない」

ラウラ「・・・・・・」



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 23:03:36.91 ID:bcXDX/F20

ラウラ「・・・・・・もう限界だ」

赤ん坊「・・・確かに遅いねぇ」

ラウラ「壁に耳を当ててみるか」

ラウラ「どれどれ」

シーーン

ラウラ「む?何も聞こえないぞ?」

ラウラ「あいつ・・・小屋に入るフリして逃げたんじゃないか?それとも穴掘って逃げたか」

赤ん坊「開けて確かめてみればいいじゃないか」

ラウラ「それもそうだ・・・な。いや、私は開けない」

赤ん坊「へぇ」

ラウラ「あいつとの約束だ」

赤ん坊「おやおや」



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 23:08:48.34 ID:bcXDX/F20

ラウラ「・・・・・・」

赤ん坊「もう数日たつねぇ」

ラウラ「・・・・・・」

赤ん坊「いいのかい。本当に確認しなくて」

ラウラ「大丈夫だ」

赤ん坊「腹減ってないかい?」

ラウラ「そのへんの木の実でしのいでるさ」

赤ん坊「本当に逃げている可能性もある。こんな山だ。あんたを飢えで殺そうって魂胆かもしれない」

ラウラ「・・・・・・」

赤ん坊「あの男同様、女に騙されたんじゃないかい」

ラウラ「・・・・・・」



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 23:13:40.04 ID:bcXDX/F20

赤ん坊「こういう話もある」

ラウラ「なんだ?」

赤ん坊「ある地方では、人間の皮を服の一部に使うそうだ」

ラウラ「それがどうした」

赤ん坊「いやいや、聞き流してくれて構わない」

ラウラ「・・・・・・あの女が自分で皮を剥いだというのか」

赤ん坊「それでもう死んでしまったとも」

ラウラ「くだらん。覗いではならぬと言っているのに、死んでしまっては矛盾するじゃないか。覗く以外に服を得る方法がない」

赤ん坊「だから与太話さ」

ラウラ「ふっ・・・」



48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 23:17:02.54 ID:bcXDX/F20

ラウラ「なぁ」

赤ん坊「なんだい」

ラウラ「覗かなければいいんだろ」

赤ん坊「へぇ」

ラウラ「なんだ」

赤ん坊「ついに行く気になったかい」

ラウラ「・・・・・まだ決心がついてないが・・・」

ラウラ「覗くというのは、隙間から見たり、こっそり様子を伺ったりすることだろ」

赤ん坊「言葉遊びだとでも言うのかい。覗くという意味以外で小屋の中を知ればいいと」

ラウラ「・・・そうする以外に方法がない」



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 23:22:02.99 ID:bcXDX/F20

赤ん坊「どうするんだい」

ラウラ「例えば、小屋の戸を後ろを向きながら開ける。後ろ向きに小屋に入る。そうすれば覗いたことにはならない」

赤ん坊「頭がいいね。でも、戸を開けたとたん、首を頭越しに掻っ切られたらどうするんだい」

ラウラ「・・・・・・あいつは武器を持ってなかった」

赤ん坊「隠し持ってたとしたら?」

ラウラ「大丈夫だ。私は殺気ならすぐにわかる」

赤ん坊「へぇ。楽しみだ」



52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 23:26:39.17 ID:bcXDX/F20

小屋の前

ラウラ「それでは行くぞ」クルッ

赤ん坊「おや、私はここで待っていればいいのかい」

ラウラ「万一のためだ」

赤ん坊「やさしいね」 

ラウラ「・・・・・・」

ガラッ

ラウラ「おい!中にいるんだろ!」

シーン

ラウラ「・・・・・・」

赤ん坊「後ろ向きに歩いてつまづかないようにな」

ラウラ「ああ」テクテク



54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 23:31:58.70 ID:bcXDX/F20

ラウラ「・・・・・・」テクテク

ラウラ(ふむ・・・小屋の真ん中あたりまで来たか・・・あの女はいないようだな)テクテク

ラウラ(こうやって後ろ向き歩いて、小屋の端っこまでいけば、小屋の全貌が見渡せ・・・)

ラウラ「・・・・・・」テクテク

ラウラ「おかしい


















      いつまで歩いても、端っこにたどり着かない」



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 23:39:08.90 ID:bcXDX/F20

ラウラ「・・・・・・」タラ

ラウラ(おかしい・・・こんなに小屋は広くないはずだ・・・)

ラウラ「どうなっているんだこの小屋は・・・」

ラウラ(いやそれでも後ろを振り向いていいのか?)

ラウラ(既に小屋には入っている。別に振り返っても覗いたことには・・・)

ラウラ(違う・・・前を覗くという言葉もある・・・それに・・・なんだか、後ろを振り返ってはならない気がする)

ラウラ「なあ!いないのか!」

シーン

ラウラ「幡は織ったのかい!?」

シーン

ラウラ(くっ・・・どうする・・・)



60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 23:53:58.00 ID:bcXDX/F20

ラウラ(後ろ向きに歩いているから、たどり着かないのかもしれない・・・)

ラウラ(例えばそう、目をつむって、前を向いて歩けば・・・)

ラウラ「いや・・・それだとだめだ・・・目を開けた時にまぶたのあいだを『覗いた』ことになる」

ラウラ「鏡を・・・いや・・・『鏡を覗く』・・・だめだ」

ラウラ「どうすればいい・・・どうすれば・・・」

ラウラ「・・・いやしかし、これではっきりした。私にどうにか覗かせようとしているということをな」

ラウラ「・・・・・・そもそも覗く覗かないというのが間違いだ」

ラウラ「私の目的はあの女がいるかいないか。確認することだ」

ラウラ「さて・・・・・・」



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/15(木) 23:59:04.10 ID:bcXDX/F20

赤ん坊「おや・・・出てきたのかい?」

ラウラ「ああ」

赤ん坊「でどうだった?幡は手に入れたのかい?」

ラウラ「いや、ダメだった。そもそもあの女がいるかどうかがわからない」

赤ん坊「ふぅん」

ラウラ「あの女がいるかどうか・・・それが問題だ」

赤ん坊「じゃあどうするんだい」

ラウラ「私に策がある」



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 00:00:46.99 ID:JXwiN0Ad0

赤ん坊「・・・・・・小屋の裏に回って何をしているかと思えば、ナイフで穴を開けて覗こうってのかい?」

ラウラ「いや・・・これは覗くための穴ではない」

赤ん坊「・・・じゃあなんの穴だい」

ラウラ「この小屋の大きさはおそらく中に入っても変わっていないはずだ」

ラウラ「なにか妖術めいたもので私が後ろを振り向かせるようにさせている」

ラウラ「だがこちらの目的は女の有無。あいつがいるかどうかわかればいい」

ラウラ「いるなら待つ。いないなら先に行く」

赤ん坊「・・・・・・」



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 00:03:49.05 ID:JXwiN0Ad0

ラウラ「よっと・・・中を覗かないように気をつけて、板を外す・・・と」

赤ん坊「へぇ・・・あんたのやりたいことが読めたよ」

ラウラ「ああ・・・もう一度小屋に入るよ」

赤ん坊「・・・頑張りな」



65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 00:06:54.40 ID:JXwiN0Ad0

小屋の中

ラウラ「・・・・・・」テクテク

ラウラ「相変わず・・・後ろ向きでは小屋の端までたどり着けないか」

ラウラ「・・・・・・よし・・・ここで待たせてもらう」ドカッ

ラウラ「果報は寝て待て。まあ寝てはならぬがな、座って待たせてもらう














この壁の穴、私が空けた穴から覗く光が、お前の影を浮き彫りにさせる」



68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 00:11:33.16 ID:JXwiN0Ad0

ラウラ「後ろを覗かずして、お前の影の有無で場所を教えてもらう」

ラウラ「今は・・・朝の6時頃か・・・太陽が登って間もないな」

ラウラ「ふむ・・・とりあえず東の太陽から臨む、小屋の西側には影は無し・・・」

ラウラ「寝比べと行こうか・・・なぁ」



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 00:13:40.74 ID:JXwiN0Ad0

ラウラ「ふむ・・・二時頃か・・・ちょうど太陽が南中する時間だな」

ラウラ「そして・・・部屋の中央に伸びる光・・・影はない・・・か」

ラウラ「なぁ・・・やっぱりいないのか・・・」

シーン



71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 00:17:20.54 ID:JXwiN0Ad0

ラウラ「・・・・・・」

ラウラ「・・・・・・午後五時」

ラウラ「日が沈む時間帯か・・・」

ラウラ「・・・・・・へぇ・・・この影は・・・私のではないな」

ラウラ「居るのか。正直、諦めていたよ」

セシリア「・・・・・・」

ラウラ「・・・・・・幡・・・くれるか?」

セシリア「・・・・・・私の負けですね」

ラウラ「・・・・・・・・・」

セシリア「差し上げましょう」

ラウラ「おや・・・肩にかけてくれたこれか?」

セシリア「約束です。ではまた」

ラウラ「・・・・・・」

ラウラ「影が消えたか」



73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 00:25:34.19 ID:JXwiN0Ad0

五合目


赤ん坊「・・・その布・・・似合ってるぜ」

ラウラ「お世辞はいい」

赤ん坊「・・・本心さ」

ラウラ「それより・・・」

赤ん坊「ああ・・・最後かな」


看板『・・・・・・一人が通りたくば、一人がこの谷から身を投げよ、さすればこの扉は開かれん』

ラウラ「・・・ちっ・・・」

赤ん坊「・・・・・・」



75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 00:27:57.74 ID:p2OpH1n90

寓話めいてるな
元ネタがあるのか?



76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 00:31:37.47 ID:JXwiN0Ad0

>>鶴の恩返し以外は特にない


ラウラ「・・・意地の悪い看板だ。確かにこの扉・・・ビクともしない」

赤ん坊「・・・・・・僕は別にいいんだぜ」

ラウラ「・・・どう言う意味だ」

赤ん坊「通りたければ、僕が身を投げる。すでにあんたには救われた身だ。惜しくはない」

ラウラ「・・・・・・」

赤ん坊「・・・優柔不断は時に毒だ」

ラウラ「・・・・・・馬鹿か」

ラウラ「・・・・・・・」サラサラ

赤ん坊「おや?木片に何を書いているんだい」

ラウラ「・・・『一人』と・・・」

赤ん坊「やめときなよ」



77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 00:37:37.77 ID:JXwiN0Ad0

ラウラ「・・・・・・やってみなければわからんだろう」スッ

ヒュー カラン カラン

赤ん坊「・・・・・・ほらね。何も起きない」

ラウラ「・・・無駄か。扉は開かない」

赤ん坊「・・・・・・」ヨタヨタ

ラウラ「何をやっている。やめろ」

赤ん坊「・・・なぜだい?僕が身を投げれば済む話さ。それに、僕はもともとこの山の者だ」

ラウラ「・・・・・・貸し借りはなしだ。すでにお前には落ち武者の時に救われている」

赤ん坊「あああれかい?気にしなくていいのに」

ラウラ「・・・お前が死ぬ必要は無い」

赤ん坊「じゃあどうするんだい」



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 00:50:08.93 ID:JXwiN0Ad0

ラウラ「・・・」スッ

赤ん坊「ナイフなんか取り出してどうするんだい」

ラウラ「・・・・・・自分の指を切り落とす」

赤ん坊「阿呆なのか」

ラウラ「体の一部が谷に落ちれば、この山も誤認してくれるかもしれない」

赤ん坊「無駄だ。悪戯に身を傷つけるな」

ラウラ「・・・はぁ・・・」

ラウラ「仕方がない。帰るか」



82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 00:58:52.76 ID:JXwiN0Ad0

赤ん坊「・・・・・・」

ラウラ「人の生き死には変えられない。山などいくらでもある。また冒険するさ」

赤ん坊「本当にあんた、それでいいのかい」

ラウラ「無論だ」

赤ん坊「あんなに殺されそうになったのに?」

ラウラ「あんなもの、殺されそうになったうちに入らん」

赤ん坊「・・・そんな才能があるんだ。勿体無いよ」

ラウラ「ふむ、勿体無いとはどういうことだ。この先には何がある。知っているんじゃないか?お前」

赤ん坊「ああ。知ってるよ。この山の頂上に行くとね。すごい力が手に入る。この世のものならなんでも手に入れられる、すごい力だ」

ラウラ「へぇ・・・そいつはすごいな」

赤ん坊「他にも、有り余るほどの金銀財宝がある。全て売れば、一国を買える所の話じゃすまない」

ラウラ「そんな金あったら、さぞいい暮らしができそうだな」



84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 01:07:35.74 ID:JXwiN0Ad0

赤ん坊「そんなすごい物をさ、みすみす見逃すのかい」

ラウラ「ああ見逃すね」

赤ん坊「なぜだい」

ラウラ「人一人の命の方が、そんな力や財宝より重いと思っているからだ」

赤ん坊「例えそれが罪人の命でもかい」

ラウラ「罪人の命でもだ」

赤ん坊「たくさんの人間を殺した、殺人鬼の命でもかい」

ラウラ「殺人鬼の命でもだ」

赤ん坊「戦争を是とし、若い民を無意味に、際限なく殺した独裁者でもかい」

ラウラ「そんな指導者の命でもだ」

赤ん坊「それが僕の前の姿だったとしてもかい」

ラウラ「・・・・・・」



85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 01:13:29.43 ID:JXwiN0Ad0

赤ん坊「僕はね。今はこんなんだけどさ。以前はそれはそれは悪い独裁者さ」

ラウラ「へぇ」

赤ん坊「政敵を殺し、兄弟を殺し、国のトップになった」

ラウラ「そいつは非道いな」

赤ん坊「国民の機嫌取りのために、なんでもやったさ。戦争。征服。少数民族の差別。弾圧」

ラウラ「そいつは野蛮だな」

赤ん坊「反逆者は即処刑さ。それはそれは、酷い恐怖政治だった」

ラウラ「そいつは悪い事だな」

赤ん坊「史上で一番人を殺したかもしれない。そんなある時、僕は殺された」

ラウラ「へぇ」

赤ん坊「なんてことはない。クーデターさ。一番僕の側近であった男によるね」

ラウラ「へぇ」

赤ん坊「人を殺しすぎたんだって。それが最後に彼に言われたことだね」

赤ん坊「気づいたら、僕の魂はこんな山。体は赤ん坊さ」



87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 01:31:15.77 ID:JXwiN0Ad0

赤ん坊「なぁ・・・僕は死んだほうがいいと思わないかい?」

ラウラ「いや思わないな」

赤ん坊「殺されても文句は言えないと思わなかい」

ラウラ「いや思わないな」

赤ん坊「君はおかしいね」

ラウラ「別におかしくはないさ」

赤ん坊「殺しても誰も文句は言わない。望まれていることだよ」

ラウラ「少なくとも私は望んじゃいないさ」

赤ん坊「ふぅん。変わってるな」



89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 01:37:22.95 ID:JXwiN0Ad0

ラウラ「何を言う、必要のない犠牲がなくなるなら、そうするだけだ。なんの疑問の余地もない」

赤ん坊「君は優しいね」

ラウラ「臆病なだけさ」

赤ん坊「それじゃあ臆病な君にいい物をあげるよ」

ラウラ「なんだ?」

赤ん坊「目を閉じて・・・」

ラウラ「・・・・・・」

ラウラ「・・・・・・」

ラウラ「・・・・・・・・・・・・おい、どうした」

ガタン キィー

ラウラ「・・・・・・・あの馬鹿」



91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 01:44:48.13 ID:JXwiN0Ad0

ラウラ「・・・・・・」

「おめでとう」

ラウラ「お前がこの山の主か」

「そうだ。よくここまでたどり着いた」

ラウラ「・・・・・・」

「ほしいものをやろう」

「この世を蹂躙する力か」

「有り余るほどの財力か」

「誰にも妨げられぬ地位か」

「一生老いることのない体か」




ラウラ「そんなものいらぬ」



94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 01:53:07.16 ID:JXwiN0Ad0

ラウラ「そんなものいらぬ」

「ほう。いらぬと申すか」

ラウラ「願うなら、一人の命を取り戻したい」

「それは私ではできない」

ラウラ「できんのか」

「人の命は私では復活させられない」

ラウラ「・・・・・・今、『私では』と言ったな・・・どういうことだ」

「東の山の頂きに、命を恢復することのできる主がいる」

ラウラ「なるほど、良いことを聞いた」

「帰るのか」

ラウラ「ああ帰る」

「力はいらぬのか」

ラウラ「ああいらない」

「なぜだ」

ラウラ「そんなものあっては、この人生、ただただ、退屈となるだけだ」



97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 02:05:11.09 ID:JXwiN0Ad0

「友を黄泉から取り戻すのか」

ラウラ「ああ。そんな冒険も楽しいだろう」

「ならば行くがよい」

ラウラ「言われなくてもな」

「死んだらどうする」

ラウラ「その時はその時さ。終わりがわからないから楽しいんだろう」

「おかしな女だ」



98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 02:05:59.15 ID:JXwiN0Ad0

ラウラ「さて・・・次の山は・・・」

箒「おや旅の方。戻ってきたのかい」

ラウラ「ああ、また山に上りに」

箒「あの山に登るのですか!やめなされ!」

ラウラ「なぜだ」

箒「あの山は入っては誰も帰って来れないという言い伝えがあるのです」

箒「やめなされ!やめなされ!」

ラウラ「邪魔をするな!」バキッ

箒「ぐべっ」





101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 02:09:33.87 ID:JXwiN0Ad0

なんの脈略もない話ですまぬ・・・
ラウラがかっこいい話を書きたかっただけなの
ポカーンの人勘弁



99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 02:08:21.76 ID:Fxo6zqjW0

乙!ラウラが凄く漢らしくて良かった



102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/16(金) 02:14:06.30 ID:5dOPCEHJ0

中国あたりの昔話にありそうな雰囲気
おもしろかった乙


元スレ
ラウラ「この山の上には何があるんだ?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1352981284/