1: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:00:17.70 ID:EPy8DINb.net

/浦の星女学院


善子「お茶会? うちでやるの?」


ルビィが唐突に持ち出した話題に少し大袈裟に反応してしまう。


ルビィ「ずっと入荷待ちだったμ’sのDVDがやっと手に入ったの!」

善子「そういえば前に楽しみにしていたやつだっけ…」


最新のアイドル雑誌を眺めながら楽しそうなルビィ。
けれどそういうのってダイヤさんと一緒に騒いでいそうなイメージだけど…。


善子「で、それがどうしてお茶会になるのよ。女子会ならわからなくもないけど…」


えへへ、ちょっとね~と、何かを曖昧にする。
傍らで何か本を読んでいる花丸にも話を振り、できれば三人でやりたいと言い出す。
まぁいつもの調子でいけばそれは了承されることになるかな。
 



2: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:01:08.52 ID:EPy8DINb.net

花丸「いつやるずら?」

ルビィ「明日…はちょっと用事があるから、明後日はどう?」

善子「急なのね。日曜日か……まぁいいけど…」

花丸「まるも大丈夫ずら」

ルビィ「ホント? ありがと~」


言い終わると同時にルビィは教室をでようとカバンを手に取り走り出す。
どうやらもう決定となったようで、日曜日に私の家でお茶会という名のDVD鑑賞会が開かれる。


ルビィ「それじゃちょっと寄るところあるからお先に、また日曜にね~」パタパタ

善子「はいはい、またねー」

花丸「またずら~」パタパタ
 



3: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:02:20.37 ID:EPy8DINb.net

善子「まったく、いつもながら突然ね…」


いまに始まったわけじゃないしもう慣れたといえばそうだけど、あの行動力だけはたいしたものだわ。
横でかわらず本を睨みつけている花丸の様子を窺うも、この子もいつも通りだった。


善子「お茶会だなんて洒落た言い回しに意味あるのかしらね?」


そこに深い意図なんてないのだけど、花丸は私の言葉にわずかに表情を変化させた。
それがどういった心情かまでは到底理解できそうにないけれど…。


花丸「善子ちゃんは明後日、何の日か知ってるずら?」

善子「明後日?」


視線はかわらず本とにらめっこしながら花丸が言う。
明後日というと2月14日。それは私にとって愚問とも言うべき特別な日!
 



5: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:03:14.85 ID:EPy8DINb.net

善子「当然知ってるわよ、ミサミサの命日よ!」

花丸「ミサミサ?」


私の答えが予想と違ったのか、ここでようやく視線を本から私に移す花丸。
って、まさか知らないの!?


善子「ミサミサよ、弥 海砂。デスノート見てないの?」

花丸「知らないずら」

善子「あの漫画を知らないだなんて、人生の7割ほど損をしてるわよ?」

花丸「あ、漫画のキャラだったの…。てっきり善子ちゃんにとって大切な人の命日なのかと……」

善子「大切……そうね、とても好きなキャラだからあながち間違ってはいないわ……」


と、ここまで話したところで花丸が少し可哀想なものを見る目で私を見つめる。
わかってるわよ、本題とは別なのよね……えっと、14日というと…。
 



7: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:04:13.02 ID:EPy8DINb.net

善子「あー…」


花丸の言うのがそれとはわからないが、いちおうあるとすれば一つ…。
異国文化の屈折しまくったこじつけ的解釈の果てに出来上がった習慣。バレンタインというやつか。


花丸「おもしろい魔法ずら」

善子「バレンタインのこと?」


花丸がそうと頷く。なるほどたしかに意味合い的には魔法と言えなくもない。むしろちょっとカッコイイ。


花丸「まぁ、今の時点で善子ちゃんもその魔法にかかったわけだけどっ」


あ……してやられた?


花丸「ルビィちゃんももう魔法にかかってるよ。少し前にそんな話をしていたから」

善子「そ、そうなんだ…」


それでお茶会を14日にしたのかな?
まったく面倒といえば面倒だけど、かかってしまったからには仕方がない。
 



8: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:04:58.66 ID:EPy8DINb.net

-バレンタイン。面倒だから由来や伝承は置いておくとして、ここ日本においてはなかなかやっかいなイベントである。


善子「……ん?」


ふと頭に過る。ルビィは14日にお茶会なんて開いて、何か目的があるのかな?
日にち的に単なるDVD鑑賞会だけではなさそうだし…。


花丸「悩んだって無駄ずら。もうみんな魔法にかかってる。まるや善子ちゃん、ルビィちゃん以外にもね」

善子「え、それって……」

花丸「魔法にかけるのは簡単。バレンタインの時期だというのを教えるだけ。どういう日なのかも合わせてね」


えらく強調して話す花丸だけど、この子にもしっかりかかっているのよね、この魔法というべき習慣に。
 



10: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:05:57.29 ID:EPy8DINb.net

好きな相手にチョコレートを渡して好意を伝える。他にも細かい部分があるけれど要約すればそういうこと。
地域特有のものもあるらしいけど、日頃お世話になっている相手にも贈ったりするらしい。

しかしこれにはやっかいなカラクリが隠されている。チョコを渡す理由が一面性しか持ち合わせていないという意味で、
好き=チョコなわけだが、それはそうしないと逆という意味合いも含んでしまう。
勿論バレンタイン自体を知らなかったりすればかわってくるだろうが、知ってしまった以上、特有の魔法にかかってしまう。

集団総意識の改定。これほど隣人の行動が気になる日もないだろう。
なにしろ貰えなかったらそれは相手にとっての自分の位置関係を明確に露呈することになるのだから。

チョコが嫌いだから渡さないという受ける側だけの事情もこの日に限って言えば変わってくる。なぜなら…。


善子「クッキーとか、そういったもので代用するんだっけ?」

花丸「いきなり何かわからないけど、まぁバレンタインの事を言っているのならたぶんそうずら」
 



12: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:06:41.22 ID:EPy8DINb.net

私の考えていることがわかるのかしら?
まぁいいわ。とにかくバレンタイン最大の魔法として、

― 好意のある相手に何か贈らないといけない日 ―

とまあ、見事なまでの集団催眠がかかるわけ。勿論それを知った上で贈らないという事もある。
だけどその場合のなんとも重苦しい空気は対人関係においてきついものがあるそうな。

つまり、知ってしまった以上確実に効果がでるということで、例えとして魔法のようだと花丸は言う。
そこには同意しておく。カッコイイし!


善子「しかし、それはそれで困ったわ…」

花丸「ん?」
 



14: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:07:38.36 ID:EPy8DINb.net

正直魔法にかからなければ問題はなかったのだけど、私の家にそういった貯蔵はなし。
なにしろ高校で花丸と再会するまでずっと孤高の存在、堕天使ヨハネで通してきたので無縁だったのだ。


善子「作んないとダメかなぁ…?」

花丸「チョコレート作るずら?」

善子「それなりの量を用意する時って、無理に買うよりまとめて作ったほうが楽でしょ」


漫画とかで見た感じだと、この場合お世話になってる人達…Aqoursのみんなとかも入るのか…。
面倒だけど安物を買ってくばるより、手作りでちょっと頑張った感を演出したほうが収まりはいいわよね。
あれ、でも14日は日曜だから無理に全員にくばらなくてもいいのかな? 翌日に渡す流れでいいのかしら?


花丸「…………」

善子「ま、いちおう対処しとくか」

花丸「がんばるずら~♪」パタパタ
 



16: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:08:30.78 ID:EPy8DINb.net

/次の日 善子ちゃん家


善子「ふぅ…とりあえずこれだけ材料あればなんとかなるかな」

善子ママ「あら善子、彼氏にチョコでも作ってあげるの?」

善子「ちょ、ママ! 覗かないでっていったじゃない! あと彼氏じゃない!」

善子ママ「これから彼氏になる子かなー?」ニヨニヨ

善子「そんなんじゃないったら、もうあっちいっててっ!」グイグイ

善子ママ「はいはい、わかったわよ。ま、がんばりなさい」

善子「むぅ……」


なんとか台所から追い出したけど、あれは絶対誤解してるわね。
まぁ今はいいか、それよりも……。


善子「えっと…この前ニコ生で使った魔女っぽい鍋に…っと、湯煎だから先に……」


善子ママ(うふふ、我が娘ながらなんて可愛いんでしょっ)ジー
 



19: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:09:16.75 ID:EPy8DINb.net

善子「ふう、いい感じにラッピングできたわ!」ドン


日頃ネットの生配信などで使う小道具づくりがここで活きてくるとは思わなかったわ。
でもまぁ、なかなかの出来栄えよ。


善子「えっと、あとは念のためお茶会とやらの紅茶に別のお菓子も用意しとこうか」

善子ママ「それなら買い置きのおやつ、食べていいわよ」

善子「ありがとうっ! って、またー!」

善子ママ「あら、可愛くできてるわねー」ヒョイ

善子「見ないでっ、あっちいっててー!」ゲシ

善子ママ「はいはい、思春期は複雑ね~」

善子「違うからっ!」グイグイ
 



21: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:10:12.74 ID:EPy8DINb.net

取り敢えず準備はできた。あとは明日の本番を迎えるだけ。
だけどこういうのは初めてで、やっぱりわからない事がいくつか残ってる。


善子「ど、どういうタイミングで渡せばいいの?」


漫画やアニメにあるような、好きな子に告白というシチュエーションではないのは確か…。
これはいわゆる「友チョコ」の部類だ。特になんの前ふりもなくあげればいいの?


善子「そ、そうだ…誰かに聞いて……ハッ」


ってダメよ、考えたら渡す相手にどうやって渡すか聞くなんてマヌケもいいとこだわ。
となると、ヨハネのリトルデーモン達に……いやまてよ…。
 



23: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:11:16.55 ID:EPy8DINb.net

ヨハネ『誰かー、チョコレートの渡し方ってどうすればいいかな?』

リスナー『え、ヨハネ様がチョコを!? 誰に!?』

リスナー『裏山けしからんヤツね、炙り出して1キルゲットするわ』

リスナー『ヨハネ様も普通の女の子だったんですね……ショックで死にそうです…』


ってなるわよね当然。これはダメか……。


ヨハネ『チョコっていっても「友チョコ」よ、勘違いするんじゃないわよ!』

リスナー『ヨハネ様が友チョコ!?』

リスナー『友チョコの渡し方知らないだなんて、今までどういう……ハッスイマセン……』

リスナー『ヨハネ様も普通の女の子だったんですね……ショックで死にそうです…』


っく、これもダメね……。思った以上に難題なの……?
 



25: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:12:44.10 ID:EPy8DINb.net

/2月14日


結局具体的な事もわからないまま当日を迎えてしまった。
ま、ここまできたら後は出たとこ勝負よ!


善子「いらっしゃーい」

花丸「おじゃましますずら~」


お昼前に花丸が先に到着。ルビィは少し家の用事で遅れるとメールがあったから二人で待つことになる。
出会いがしらにチョコどうぞーなんて渡されたらこっちも綺麗なカウンターを出せたんだけど、花丸にその気配は無し…。

これはタイミング的にまだという事でいいのよね?


花丸「ルビィちゃん来るまでなにするずら?」

善子「メインのDVDがまだ来ないんじゃ意味ないからね、適当に時間潰してましょ」
 



27: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:13:34.85 ID:EPy8DINb.net

結局花丸が持参してきた本を読んでるというので私は私でネットサーフィンで時間を潰す。

少し前はパソコンを見るだけで騒いでいた花丸もすっかり慣れたのか、部室でもよく弄っているのを見かける。
その時、大好きな読書を蔑ろにしていた自分への戒めなのか、最近は何かと読んでいる事が多い。


善子「ねえ、今日はそれ、何読んでるの?」

花丸「んー?」


別に興味があるわけじゃないけどなんとなく聞いてみた。


花丸「交流時における相手との対話、駆け引きの温度差による低確率である場合の目的への対処法、それに対する相手との距離等の参考資料ずら」

善子「??」

花丸「解り易い言い方をすると……」


唐突になにやら語りだした花丸がバンっと本を閉じると、その表紙を私の前にずずいと差し出す。そこにはこう書かれていた。
 



29: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:14:31.75 ID:EPy8DINb.net

善子「恋愛マジック、これで判る異性の気持ち100の方法…?」

花丸「哲学文献ずらっ」

善子「どこがよ…」


どうやら外出時にまで難しい文学書を読んでいるのかと思っていたのは私だけで、たんに何か読んでいるのが好きなのかな?
そう考えると花丸がちょっと可愛らしく見えた。


善子「つまりは何が書いてあるわけ?」

花丸「まだ全部読んでないけど概ね理解できる範囲で言えば、異性に対する好意の伝え方や状況による手法、それに関する手引書といったところずら」

善子「はぁ……」


つまりは、そういったお年頃の子が読むような本なわけね。
……ん、花丸ってば好きな男でもいるというの?


善子「そういうのを読んでるって事は、気になる男でもいるの?」

花丸「え? 急になに?」

善子「いや、流れ的に私の質問は自然よね?」

花丸「わかんないけど、そういうのはいないよ」

善子「少なからずその本に興味があって持ってきてたんでしょ? 何か知りたいことでもあったんじゃないの?」

花丸「ああ、これは別の用途に必要だったからずら」


どうにも言ってる事の要領を得ないのだけど、深く追及する前に私の携帯が着信を知らせる。
 



32: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:15:28.99 ID:EPy8DINb.net

ルビィ「ごめんねー、おまたせっ」

善子「そんなに待ってないから平気よ」

花丸「やっほールビィちゃん」


時間にすれば30分ほどの遅れだけど、ルビィ主催の「DVD鑑賞会」という名のお茶会が始まった。
 



35: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:16:28.81 ID:EPy8DINb.net

ルビィ「じゃーん! μ’s密着24時!」

花丸「おー、よくわかんないけどレアっぽい?」

善子「ライブDVDじゃないの?」

ルビィ「これはその裏側に密着したドキュメンタリー映画のDVDだよ善子ちゃん!」


ルビィほどμ’sに詳しくないから、そうなんだーと相槌を打つしかない。
それより「友チョコ」の受け渡しとかはまだかな?


ルビィ「あ、そうだ善子ちゃんこれ…」ゴソゴソ

善子(きたっ!?)


ルビィがバックから何かを取り出す。これがチョコなら私も用意したチョコを……!


ルビィ「はいこれ、頂きものなんだけど外国の紅茶なんだって」

善子「え…紅茶?」

ルビィ「今日はお茶会だからね、これに会う洋菓子も持ってきたんだ~」

花丸【興味があります】ヌッ

ルビィ「あはは、そんな定型文で言わなくてもちゃんと花丸ちゃんのもあるよっ」
 



37: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:17:32.59 ID:EPy8DINb.net

ち、違うのね……チョコの交換はまだ後っていうこと?
んー……気になるからこっちから出すっていうのも……はっ!?

そうだ、考えてみれば……。


ルビィ「これとか食べた事ないけど、どんな味するかな?」

花丸「挑戦してみるずら♪」

善子「……………」


バレンタインを知ってるからって……私にチョコをくれるかなんて、わからないよね…。
なんで私、貰える事を前提にしてたの……。

好意を持つ相手に贈り物をする日……。だけど絶対じゃないし、そもそも私がそんな風に…。


ルビィ「善子ちゃん~」

善子「っ!? な、なに?」

ルビィ「紅茶~、お願いしても言い?」

花丸「まるはお砂糖1つずら!」

善子「あ……こ、紅茶ね……うん……」
 



39: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:18:11.39 ID:EPy8DINb.net

ルビィから受け取った缶には英語で何か書いてある。正確にはわからないけど、茶葉なのねこれ…。
はぁ……なんだか一人で浮足立って……バカみたい……。


善子「淹れてくるから……先にDVD見てていいわよ…」スッ

ルビィ「えー、ちゃんと最初から一緒に見ようよ、ねっ?」

善子「う………ん……」


いつもと変わらないルビィの笑顔。去年一緒にスクールアイドルを始めた頃と変わらない…。
だけどこの笑顔は……私が勝手に勘違いしていただけなの……?

花丸もいつもと変わらない。一昨日話をした時は今日という日を知っていたのに……。
 



40: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:18:58.45 ID:EPy8DINb.net

ルビィ「ああ、やっぱりみんな可愛いねー」

花丸「凛ちゃんの口調可愛いずらにゃ~」

善子「…………」


結局何も頭にはいらないまま、ただ画面に映し出される映像を眺めている。
高級なのかどうかもわからない紅茶の味も曖昧……。

魔法になんてかかってしまった私が、一人ではしゃいで……初めての事にちょっとドキドキしたりもして…、
それでもきっと嬉しくなって、いつもみたいに照れ隠しに堕天使を降臨させて……花丸がつっこんで……。


ルビィ「ね、善子ちゃん! みんなほんとに仲がいいよね」

善子「そうね……」


ルビィが画面から視線を外さないまま私に語り掛ける。スクールアイドルの裏側なんて興味はないのだけど、
画面の中で楽しそうにしている彼女達は輝いている。それは認める…だけど、それだったら私達だって…。


ルビィ「でも、ルビィ達も同じくらい仲いいよね?」

花丸「勿論ずら!」

善子「っ!」
 



42: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:19:30.50 ID:EPy8DINb.net

ルビィ「まだまだルビィ達はパフォーマンスの部分で遠く及ばないかもしれないけど…」

花丸「チームワークは最強ずら!」

ルビィ「だよね、善子ちゃん!」クルッ

善子「っ………」


二人とも、ホントにいい笑顔。うじうじ悩んでる私を笑い飛ばすかのよう…。


善子「と、当然よ!」

ルビィ「どうかしたの?」

善子「なんでもないわよ、いいから画面に集中してなさい」

ルビィ「うん…」
 



45: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:20:38.34 ID:EPy8DINb.net

そうだ、ほんとに何をうじうじ悩んでるんだ私は……今日という日をこんな形で終わらせるつもり?
中学時代もずっとぼっちだった私を……高校でもいきなり不登校になった私なんかと一緒にいてくれるこの子達に伝えたい。


ルビィ「おー、すごい精神論!」

花丸「にこちゃんの言う事は深いねー」


貰えないからあげないなんて考えは無し。交換じゃない、あげたいんだ…こんな私と一緒にいてくれてありがとうって。
感謝の気持ちと共に、伝えたい。今日という日を利用しないなんて、それこそ愚の骨頂だ。


ルビィ「ぅゅ…終わっちゃった……」

花丸「おもしろかったずら、これは定期的に見たくなるね」


いつの間にかDVDは終わっていた。それは同時のこのお茶会の終わりも意味している。
今しかない……タイミングがどうとかもう知らない。


善子「ふ、二人ともちょっといい?」
 



47: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:21:24.69 ID:EPy8DINb.net

後ろの戸棚に隠してあったチョコを取り出して二人の前に差し出した。
気合のはいった包装してるけど、今日が何の日なのかわかるなら、気づくよね?


ルビィ「善子ちゃん……これって?」

花丸「わー…可愛い包み紙ずら」

善子「ち、チョコよ……あげる…」

ルビィ「おぉー…」


興味深そうに手に取って眺めている花丸と、ちょっと驚いた感じのルビィ。
意味合いとしてちゃんと伝わるか少し不安だったけど、それを払拭するように今度はルビィがバッグから箱を取り出す。


ルビィ「えっと…DVD見終わったら出そうと思ってたの、ルビィも…」

善子「え……これ、チョコ?」

ルビィ「うん、今日は…そういう日だし……」

花丸「おー、ルビィちゃんのも可愛いー」


な、なんだ……私が勝手に勘違いしてただけか……はは、そっか……。
 



50: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:22:21.86 ID:EPy8DINb.net

ルビィ「実はさっきの紅茶も、これに合うようにって選んだんだ、貰いものじゃなくて…」

善子「そ、そうだったんだ……じゃあお茶会っていうのも…」

ルビィ「ホントはね、こっちに合わせようと思って…その、お姉ちゃんのおすすめで」


チョコの箱で顔を隠すようにして照れているルビィはほんと可愛い。
取り越し苦労だった問題も無くなったんなら、あらためてお茶を入れなおさないとね。


花丸「わぁ、善子ちゃんほんとに手作りしたんだね、おいしそうずらー」

善子「ま、まあね……」


花丸に渡した分がすでに開封されていた。気が早いなとも思うけど、話が早くて助かる場合もある。
その流れで私もルビィがくれたチョコの箱を開封。中を見てすぐにわかった。


善子「ルビィも手作りなの?」

ルビィ「昨日お姉ちゃんに手伝ってもらって作ったんだ」

花丸「ルビィちゃんは毎年手作りずら♪」

善子「へー」

ルビィ「///」


花丸「あ、善子ちゃん、お茶のおかわり欲しい~」

善子「…………」
 



52: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:23:16.61 ID:EPy8DINb.net

タイミング的には割と今しかない感じなんだけど、花丸はそういうの……。
あ、ルビィも気になったのかはしゃぐ花丸をじっと見てる。


花丸「ん、どうしたの?」

ルビィ「えぇっ、んと……」

善子「あんたはチョコとか持ってきてないの?」

ルビィ「直球!?」


こんなとこで回りくどい言い回しも必要ないでしょ。
てっきりこういえば花丸もバッグから取り出してくるかと思ったけど、取り出したのは…。


花丸「ふふふ、まるはすごい事に気づいたずら…」

善子「それってさっき読んでた恋愛マジック?」

花丸「の、後ろの方にあった特集コーナーでおそるべしカラクリを知ってしまいました」

ルビィ「カラクリ?」


本を片手に得意気に語る花丸は、この魔法ともいうべき日本のバレンタイン独特の文化に内包するものを示した。
 



54: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:24:11.58 ID:EPy8DINb.net

花丸「善子ちゃんもルビィちゃんも、この魔法によっておいしいチョコを作ってきてくれたずら」

ルビィ「それはまぁ……って魔法のくだり、善子ちゃんにもしてたんだ」

善子「あんたもその魔法にかかってるって言ってたわよね?」

花丸「まるは二人からチョコを頂いてご満悦ずら」

善子「それだけ?」

花丸「そう、ここで一つ大事な要素を今日はまる自身が体現してみせるずら!」

ルビィ「どういうこと?」


手にしていた本「恋愛マジック」(550円)をズイっと見せつけ、花丸は高らかに宣言する。


花丸「今日はまるが受け取る側になるずら!」

ルビィ「ん?」

善子「受け取る側?」
 



56: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:25:02.55 ID:EPy8DINb.net

花丸「バレンタインには渡す側と、受け取る側というのが存在するずら」

ルビィ「ん……それはまぁわかるけど……?」

善子「…………」

花丸「そしてこの場においてその役を担うのが、今日はまるずら!」

ルビィ「え、じゃあチョコは?」

善子「…………」

花丸「まるがおいしく頂くずら♪」


ようは取り敢えずチョコが食べたいという欲求だけでその役を名乗り出たのか?
しかしそのカラクリはもう一つ大きな要因を含んでいるのをこの子はきっと知らないのだろう…。


善子「ふむ、まあいいわ」

ルビィ「あれ、いいんだ」

花丸「早く食べたいのでお茶を所望します」ズイ

善子「だけど、いいのかしら?」クスッ


花丸がそれを魔法というのなら、その魔法をあやつるのは、そう……魔女よ。
 



57: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:26:10.39 ID:EPy8DINb.net

花丸「ん、なんずら?」

善子「バレンタインという特別な日にその役回りを敢えて受けると言うのなら、花丸……」ジー

花丸「う……な、なに?」

善子「あなたはもう一つ、その身に大きな烙印を刻む事になる……」

ルビィ「………」ゴクリ

花丸「もう一つ……?」


そう、バレンタインを魔法と言うのなら、こっちはその因果で生まれる、呪いよ。
魔女の施しを受けし者が背負うことになる、ギルティ……。


善子「親しき仲同士での交換。これがいわゆる友チョコと言われるもので、私とルビィが意識していたもの…」

ルビィ「そうだね」

花丸「?」

善子「互いにその想いを交換する事でこの契約はここで終わる。その先はない…だけど…」

ルビィ「あっ…なるほど……」
 



60: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:27:26.96 ID:EPy8DINb.net

善子「交換ではなく、渡す側と受け取る側、この二面性をここで持ち出すのなら、受け取る側の者には魔法以上の呪いがかかるのよ」

花丸「の、のの、呪いずらぁ!?」ビク

善子「本来それは男女間で行われる儀式。ここでその男役をやるという花丸にも当然この流れにそって、約束してもらうことがあるわ」

ルビィ「そうだね、しかもそれは一つじゃない…」


お、ルビィも乗ってきたじゃない♪
状況を楽しもうと思ったのか、ルビィも私の横にさっと移動すると、怪しげに微笑む。この子こういうの似合うのよね。


ルビィ「ふふ、花丸ちゃんはルビィとよし……ヨハネ様、二人分の呪いを受けてしまうんだね…」

花丸「い、一体何の事ずら?」

善子「交換ではなく一方的に受けると言うのなら……花丸、あなたは来月の3月14日に今日以上のお返しが要求されるのよ!」ビシ

ルビィ「それはホワイトデー。チョコを受け取った人が贈ってくれた人に御返しとして贈り物をする日……」

花丸「はっ!?」

善子「そして今花丸はその日の存在を知った……認識した。これは魔法以上の強制力を持つ、本当の意味での、呪いなのよ」クスクス

ルビィ「もう受け取っちゃったもんね、花丸ちゃん」クスクス

花丸「あ、あわわ……」
 



61: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:28:12.48 ID:EPy8DINb.net

ルビィ「花丸ちゃんはもうこの呪い……えっと、白き……んと、マシュマロの呪いにかかったんだよ!」

善子「もうちょっとカッコ良くなんなかったの?」

ルビィ「ぅゅ…ごめん、あでも、ルビィはクッキーとかアイスでもいいよ?」

善子「ちなみに世の常として、ホワイトデーの御返しは3倍返しが基本よ」

花丸「さ、3倍!?」

ルビィ「ヨハネ様に3倍、ルビィにも3倍……ふふ、来月が待ち遠しいな~♪」


花丸「…………う…」

善子「う?」


花丸「嘘ずらっ! ち、ちゃんとまるもチョコ持ってきてるんだよ、ちょっと悪ふざけしただけずら~~」ガサガサ

ルビィ「うん、知ってるよー」

善子「知ってたんかい!」
 



62: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:28:58.47 ID:EPy8DINb.net

なんのことはない、みんながみんなチョコレートを持参していて、花丸だけがこの流れになったら悪ふざけしようと構えていた。
たったそれだけの事。

勿論この場にあるチョコは友チョコのそれで、お互いがお互いに日頃の感謝を容として相手に贈る。それだけの日。
魔法だとか呪いだとか大袈裟な事を言ったところで結局私達のこのノリはいつも通りだったわけだ。


ルビィ「去年まで普通にチョコの渡し合いっこしてたのに今年はどうしたのかなって思ったよ」

花丸「本の中でバレンタイン特集やってたの見てたらちょっとおもしろそうだなって…」

ルビィ「そのまま受け取っただけで終わってたら、チョコ独り占め?」

花丸「そ、そんな事はしないよ…ただちょっと、善子ちゃんならこういうノリも付き合ってくれるかなって」

ルビィ「そうだねぇ、去年までは特に何の変哲もない日だったからねぇ…」


善子「お茶がはいったわよー」

ルビィ「わーい」

花丸「頂きますっ」
 



63: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:30:05.81 ID:EPy8DINb.net

聞こえてきたルビィと花丸の会話。
去年の話は私にはできない。それ以前に、二人には言ってないけどバレンタインを意識したのも今年が初めて。
今まではただミサミサの命日としての認識だった。けど今日からは違う……。


善子「チョコだけじゃ口が甘々になるだろうから、こっちも持ってきたわ」

るびまる「「意義なーし」」


去年の話に私はまだ加われない。だけど来年、同じようにそこへ私も入りたいと思った。
そして次のバレンタインに向けて、私は今さらだけど言っておくことがあるのを思い出す。

本当ならチョコと一緒に言うつもりだった言葉……。


善子「その……こ、今年もよろしくねっ……」

ルビィ「ふぇ…」

花丸「………」

善子「///」

花丸「善子ちゃん、顔真っ赤ずらっ」

ルビィ「おー」

善子「う、うるさいわね、形式よ形式!」


ルビィ「ふふ、それならこちらこそ……」

花丸「よろしくずら♪」


 


 SS 魔女たちのお茶会 ~ おわりずら ~
 



64: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 14:30:32.01 ID:EPy8DINb.net

ちな今年の14日は火曜日
ミサミサとウァレンティヌスさんの命日もこの日ずらー



67: 名無しで叶える物語(玉音放送)@\(^o^)/ 2017/02/12(日) 15:36:09.11 ID:SaCMrq5S.net

乙です


元スレ
【ラブライブ!サンシャイン!!SS】 魔女たちのお茶会 【バレンタイン】
http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1486875617/