1: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 20:52:16.09 ID:pg6L7PDh.net

・anotherパロディ
(another見てなくても大丈夫です)

・キャラの死亡表現あり



2: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 20:53:18.56 ID:pg6L7PDh.net

~朝 梨子の家~


ピンポーン


梨子 「はいはーい、今出ます」ガチャ


ダイヤ 「初めまして、桜内さん」

千歌 「……」ペコリ

梨子 「えっと…その制服、もしかして浦女の?」

ダイヤ 「はい、私は生徒会長の黒澤ダイヤです。こちらは高海千歌さんです」

千歌 「よろしく」

梨子 「よ、よろしく…」



3: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 20:54:03.39 ID:pg6L7PDh.net

ダイヤ 「5月から我が校に転入されるということで、ご挨拶に伺いました」

梨子 「あぁ…わざわざありがとうございます」

千歌 「これ、ウチの学校の資料とか、4月分のノートとか色々。予め読んでおいて」

梨子 「あ、ありがとう」

ダイヤ 「前の学校と勉強の進み具合とか違うかもしれませんから、それも確認しておいてください」



4: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 20:54:48.35 ID:pg6L7PDh.net

千歌 「クラスは違うけど、私同じ学年だから、仲良くしてね!」

梨子 「う、うん。えっと…高海さん、よろしく」

千歌 「うん、よろしく! 桜内さん」

ダイヤ 「では、私たちはこれで。お邪魔しました」

梨子 「はい。5月から、よろしくお願いします」

千歌 「うん、じゃーね!」

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5: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 20:57:35.10 ID:pg6L7PDh.net

ダイヤ 「……彼女、何組の予定でしたっけ?」

千歌 「2組です。…2年2組」

ダイヤ 「2年2組…確かあのクラスだけ、特別補助委員が決まってませんでしたね」

千歌 「もしかしたら、桜内さんが…」

ダイヤ 「転入早々厄介事に巻き込みたくはないですが、そうなってしまうでしょう」

千歌 「…伝えるんですか? この委員会のこと…」

ダイヤ 「知らない方がいいこともあります。彼女は知らないままでいいでしょう」



6: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 20:58:14.46 ID:pg6L7PDh.net

ダイヤ 「…仕方ないでしょう、これも全て学校のためなのです」

千歌 「そうですけど…!」

ダイヤ 「ですが心配はいらないでしょう。今年の4月は“現象”は起きてないわけですし」

千歌 「そう…ですね…」

ダイヤ 「彼女には何も話さないように。…よろしいですね?」

千歌 「はい…」

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7: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 20:58:54.97 ID:pg6L7PDh.net

~朝 学校 2年2組~


梨子 「東京の、音ノ木坂という学校から転校してきました。桜内梨子です、よろしくお願いします」

パチパチパチパチ

先生 「はーい、みんな仲良くしてね。じゃああの空いてる席にお願い」

梨子 「はい」

先生 「あっ、それと…!」

梨子 「何でしょう?」

先生 「実はこの学校の生徒には、一人ひとつ何かしらの委員会に入ってもらうことになってるんだけど…」



8: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 20:59:54.53 ID:pg6L7PDh.net

「先生まじ…?」
「いきなり“あのこと”お願いする気…?」
「先生も必死なんでしょ…」ヒソヒソ

梨子 「…?」

先生 「実はこのクラスで空いてる委員会が、特別補助委員会っていうのしか無くて…大丈夫?」

梨子 「特別補助委員…? 大丈夫ですけど、その委員会ってどういう…」

先生 「本当!? よかった! じゃあお願いね!」

梨子 「えぇっ、あ、あのっ…」

先生 「委員会の紙は私が出しておくから。じゃあ、よろしくね!」

梨子 「は、はい…」



9: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:00:48.14 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「何だったんだろう…」

女生徒A 「えっと…桜内さん、だっけ?」

梨子 「うん、よろしくね」

女生徒A 「ごめんね、桜内さん。トクホー、誰もなろうとしなくて…」

梨子 「トクホー…あぁ、特別補助委員のこと…」



10: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:02:00.91 ID:pg6L7PDh.net

女生徒B 「…もしかして桜内さん、何も知らない?」

梨子 「知らないって…何を?」

女生徒B 「………。」

女生徒A 「でも、きっと今年も“ない年”だから! 安心して!」

女生徒B 「そうだよそうだよ! 4月は何も無かったし!」

梨子 「う、うん…」


梨子 (なんだろ…なんか、変な感じ…)

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11: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:02:56.80 ID:pg6L7PDh.net

~放課後 教室~


梨子 「さてと…今日はまっすぐ帰ろうかな」

女生徒A 「桜内さん、なんか呼ばれてるよ?」

梨子 「私が?」

女生徒A 「ほら、あの人…」


千歌 「桜内さーん、おーい!」


梨子 「高海さん…」



12: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:03:59.47 ID:pg6L7PDh.net

千歌 「どう? 楽しい?」

梨子 「うん。みんないい人ばかりだし、すぐに慣れそう」

千歌 「そっか…よかった」


千歌 「……何か委員会に入った?」

梨子 「うん、特別補助委員っていうのに…」

千歌 「…ッ! やっぱり…」



13: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:04:48.19 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「高海さん…? 何なの、特別補助委員って…。なんか、みんなの反応もよく分からなくて」

千歌 「う、ううん! 何でもないの。私もトクホーだから、同じだなーって」

梨子 「そうだったんだ…よろしくね高海さん」

千歌 「千歌でいいよ。同じ、トクホーの仲間なんだし。ね、梨子ちゃん」

梨子 「うん…よろしく、千歌ちゃん!」

千歌 「そうだ、この後って何か予定ある?」

梨子 「ううん、今日は帰るだけ」



14: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:05:40.51 ID:pg6L7PDh.net

千歌 「じゃあトクホーのとこに行こ。顔合わせもしておきたいし」

梨子 「毎日集まってるの?」

千歌 「うん、特に何か活動をするわけじゃないけど、顔だけは出すようにしてるよ」


千歌 「…無事を確認する意味でもね」ボソッ


梨子 「千歌ちゃん?」

千歌 「あっ…ごめんごめん! 何でもない!ほら、行こっ!」

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15: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:07:29.33 ID:pg6L7PDh.net

~特別補助委員用 会議室~


梨子 「ここって…会議室?」

千歌 「うん、ここが私達の部室…いや、委員会だから委員室…?」

梨子 「トクホーって、普段何をしてるの?」

千歌 「それも中で話そ。さ、行こう」


ガラガラ


曜 「あっ、千歌ちゃん! おはヨーソロー!」

千歌 「曜ちゃん、おはよーって…もう4時だよ?」

善子 「いつもの流れね…」



16: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:08:23.21 ID:pg6L7PDh.net

果南 「千歌…その人は?」

千歌 「新しいトクホーのメンバーだよ!」

ダイヤ 「やはりあなたが…」

ルビィ 「うゅ…綺麗な人…」


梨子 「この人達が、トクホーの…」

千歌 「そうだよ。…ようこそ、トクホーへ!」

梨子 「えっと、2年2組の桜内梨子です…よろしくお願いします!」

鞠莉 「2組…?」ピクッ



17: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:09:21.68 ID:pg6L7PDh.net

曜 「これで揃ったね」

梨子 「揃った…?」

果南 「トクホーは毎年、全学年全クラスからの1人ずつのメンバーで成り立ってるんだよ」

ダイヤ 「1.2.3年生の1組から3組…つまり毎年9人がトクホーとなるのです」

鞠莉 「でも今年は2年2組のトクホーが中々決まらなくてね…つまり、あなたが今年のlast memberってことね!」

梨子 「なるほど…」



18: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:10:31.42 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「それで、この委員会は何をするんですか?」

ダイヤ 「普段は特に何もありませんわ。たまに手伝いに呼ばれたりする以外は、基本暇な委員会です」

千歌 「梨子ちゃんちに挨拶しに行ったのも、トクホーの仕事だったんだよ」

梨子 「それでダイヤさんと千歌さんが…」

善子 「設置すること自体に意味があるわけだから、仕事なんてなくても…」

花丸 「善子ちゃん…?」ギロッ

善子 「ひっ…ご、ごめんなさい…」

梨子 「…?」



19: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:11:58.75 ID:pg6L7PDh.net

果南 「さてと! みんな梨子ちゃんとは初めましてな訳だし、学年毎に自己紹介でもしよ?」

曜 「じゃあ私達から! 私は渡辺曜。千歌ちゃんと果南ちゃんは幼なじみなんだ。ちなみに同じ2年生だよ、よろしく!」

千歌 「同じく2年生の…って、もう挨拶したし分かるか。よろしくね」


善子 「津島善子…1年生よ、よろしく」

花丸 「同じく1年生の国木田花丸ずら。よろしくお願いします」

ルビィ 「えと…その…く、黒澤ルビィ…です」


ダイヤ 「私は黒澤ダイヤ。生徒会長も兼任しております。ちなみに、ルビィは私の妹です」

果南 「松浦果南、3年生だよ。さっきも言った通り、曜と千歌とは幼なじみ。それに、ダイヤと鞠莉もね」

鞠莉 「Yes! 私達は小さい頃からいつも一緒なのデース! ちなみに名前は小原鞠莉、よろしく」



20: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:13:46.72 ID:pg6L7PDh.net

千歌 「覚えたー?」

梨子 「ちょっとまだ自信は…」

曜 「そう言うと思って…はい! 今年のトクホーのメンバー表だよ」

梨子 「あ、ありがとう!」

果南 「後で梨子ちゃんの名前も入れないとね」


善子 「これで今年の現象の対策も出来たって訳ね…なんで私がこんな目に…」

ダイヤ 「…!」ピクッ

千歌 「善子ちゃん…!」



21: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:14:33.74 ID:pg6L7PDh.net

善子 「えっ…あれっ…もしかして、梨子先輩…知らないの…?」

果南 「……。」

梨子 「えっと…現象、対策って…?」

鞠莉 「さ、さぁ! 今日は仕事もないし、解散しましょ! みんな気をつけて帰ってね、バーイ!」

ダイヤ 「あっ、お待ちなさい鞠莉さん!」

ルビィ 「ま、待ってよお姉ちゃぁん!」



22: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:16:47.44 ID:pg6L7PDh.net

善子 「わ、私も帰る…」
花丸 「善子ちゃん…」


千歌 「えっと…みんな帰っちゃったね」

梨子 「私、何かマズイこと聞いたかな?」

千歌 「ううん、梨子ちゃんは悪くないの!」

梨子 「千歌ちゃん…何か、隠してない?」

千歌 「何も! 何も隠してないよ!」

梨子 「現象って何なの? この委員会で何かあるの? 対策って? 」

千歌 「梨子ちゃんっ!!」

梨子 「…!?」ビクッ



23: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:17:36.36 ID:pg6L7PDh.net

千歌 「あっ…ごめん、梨子ちゃん…」

梨子 「う、ううん…こっちこそ…」

千歌 「私だって…ギリギリなんだよ…! いつ爆発しちゃうか分からないくらい不安で…!」

梨子 「千歌ちゃん…」

千歌 「ごめん、トクホーに関する話はあまりしないようにしよう? お互いのために…」

梨子 「うん…ごめん」

千歌 「謝らなくていいよ! さ、一緒に帰ろ?」

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24: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:18:28.49 ID:pg6L7PDh.net

~夜 梨子の家~


梨子 「特別補助委員…絶対に何かある…」


浦の星女学院 特別補助委員 | 検索 |


梨子 「うーん…とくに怪しいことは何も…」


「おーい! 梨子ちゃーん!」


梨子 「あっ…千歌ちゃん」



25: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:19:29.15 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「なーに千歌ちゃん?」ガララッ

千歌 「なんか、話したくなっちゃって」

梨子 「私は構わないけど…」

千歌 「いやー、お家が隣同士だと、こうやって夜も話せていいね」

梨子 「ちょっと寒いけど…うん、悪くないかも」


千歌 「梨子ちゃん…ごめんね、今日は」

梨子 「ううん、私も余計なこと聞いちゃったみたいで…」



26: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:20:31.28 ID:pg6L7PDh.net

千歌 「もし始まったら…」

梨子 「千歌ちゃん?」

千歌 「もし今年が“ある年”で、現象が始まっちゃったら…その時は全部教える。トクホーが、何のためにある委員会なのか」

梨子 「ある年…。私のクラスの人も、ある年だとかない年だとか…」

千歌 「だから今は我慢して。もし何もなければ、梨子ちゃんは何も知らずに済む。何も、悩む必要もなくなる」

梨子 「悩む…?」

千歌 「ごめん、今日はそれだけ。付き合ってくれてありがとう、おやすみ」

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27: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:22:06.52 ID:pg6L7PDh.net

~次の日 放課後~


梨子 (トクホー…千歌ちゃんもあれだけ怯えてたし、他の子にも、うかつに聞いたりしない方がいいのかな…)

梨子 「あれっ…あの子って確か、花丸ちゃん?」

花丸 「あっ、梨子先輩、こんにちは」

梨子 「こんにちは。どこいくの?」

花丸 「トクホーに顔も見せたし、図書室に行ってみようかなあと…」

梨子 「そうなんだ…私も行っていい?」

花丸 「はい、是非」



28: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:23:00.81 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「…本、好きなの?」

花丸 「はい。暇なときとかは、いつも本を読んでいます」

花丸 「不安なことがあっても、本を読んでいたら少しは楽になれるというか…自分を忘れて、お話の世界に身を預けられて、すごく気持ちがいいんです」

梨子 「……今も、不安なの?」

花丸 「それは勿論。…こんな立場になっちゃったら、尚更」

梨子 「花丸ちゃん…」



29: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:24:13.48 ID:pg6L7PDh.net

花丸 「マル、本当は図書委員になりたかったんです。でも、じゃんけんに負けちゃって」

梨子 「そうだったんだ…それで、トクホーに?」

花丸 「ついてなかったんです。みんな、トクホーにならないようにと必死で…」

花丸 「4月はずっと不安で、本を読む気にもなれなくて。でも、みんなと過ごしてて、ちょっとずつ楽になってきて」

花丸 「今日、やっと初めて図書室に行こうと思えたんです」

梨子 「…そっか。よかったね、花丸ちゃん」

花丸 「ずらっ!」



30: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:25:23.57 ID:pg6L7PDh.net

~図書室~


花丸 「す、すごいずらー!!」キラキラ

花丸 「マルの知らない本も沢山! あっ、宗方一恵先生の最新作、『海辺の林』もあるずら!」

梨子 「ほ、本当に本が好きなんだね」

花丸 「先月この本を買って…でも結局読めずにまだ家に置いてあるずら。早く読まなきゃ…」


善子 「あれっ、ずら丸じゃない」

花丸 「善子ちゃん!」



31: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:26:03.79 ID:pg6L7PDh.net

善子 「よしこゆーな! 私はヨハネよ!」

花丸 「善子ちゃん、図書室では静かにするずら」

梨子 「よ、善子ちゃん?」

善子 「あれっ…桜内先輩もいらしたんですね」

梨子 「ずら丸…って、花丸ちゃんのこと? 仲いいんだね」

花丸 「幼稚園が一緒だったんです。ここで久しぶりに再会して…」

善子 「まさに運命の会合…私達はお互いに惹かれ合う運命…」



32: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:27:00.86 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「善子ちゃんって、昨日もこんな感じだったっけ…」

花丸 「緊張してたんだと思います…多分」

善子 「だ、堕天使は緊張なんてしないっ!」

花丸 「ところで、善子ちゃんはここで何をしてるずら?」

善子 「何って、図書室でやることなんて、読書以外にないでしょ。ほら」スッ

花丸 「あー…いかにも善子ちゃんって感じの本ずらね」

善子 「な、何よ! 黒魔術だって立派な本よ!」



33: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:28:32.76 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「…そういえばさ、善子ちゃんはどうしてトクホーに入ったの?」

善子 「…ずら丸と同じよ。単に不運だっただけ」

花丸 「不運…?」

善子 「まぁ、私の不幸体質は今に始まったことじゃないから、気になんてしてないわ」

梨子 「不幸…ってことは、やっぱりトクホーに入ることはいいことじゃないんだね…」

善子 「…先輩、本当に何も知らないんですか?」

梨子 「ごめんね、全く」

善子 「知らないままの方が、幸せかもね」



34: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:29:28.20 ID:pg6L7PDh.net

花丸 「善子ちゃん、どこいくの?」

善子 「帰るのよ。風も強いし、酷くならないうちに家に帰るわ」

梨子 「本当…いつの間にこんなに強く…」


外では木が強く揺れ、窓はガタガタと強く音を鳴らしていた


善子 「…桜内先輩、トクホーの秘密については、知るべきタイミングが来るまで、あまり探らない方がいいですよ」

善子 「変に目立って、現象の対象になってしまうことだって、あるかもしれない…」

梨子 「善子ちゃん…。分かった、ありがと」

善子 「じゃあ、さよなら」



35: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:30:26.19 ID:pg6L7PDh.net

花丸 「じゃあオラも帰るずら。雨まで降っちゃいそうですし…」

梨子 「そうだね、そうしよ。あっ…でも私、まだ教室に用があるから、先に帰っていいよ」

花丸 「そうなんですか? じゃあ、お先に…」

梨子 「うん、じゃあね」

花丸 「さようなら、先輩」

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36: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:31:11.48 ID:pg6L7PDh.net

~その後 校門前~


鞠莉 「Hey! 梨子、今帰り?」

梨子 「小原先輩! はい、ちょうど今…」

鞠莉 「帰る方向同じみたいだね。よし、一緒に帰ろー!」ダッ!

梨子 「わわっ! ちょっと待ってくださいー!」



37: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:32:05.47 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「あー…やっぱり降ってきちゃいましたね」

鞠莉 「傘ないの? じゃ、私のに入りなさい」

梨子 「えっ、でもそんな…悪いですし…」

鞠莉 「遠慮しなーいの! さ、入って入って!」

梨子 「それじゃあ…すいません」

鞠莉 「相合い傘デスねー!」

梨子 「恥ずかしいから口に出して言わないでください!」



38: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:32:56.26 ID:pg6L7PDh.net

鞠莉 「うーん、本当に風が強いデスね。傘が壊れちゃいそう」

梨子 「私がちゃんと天気予報見ていれば…すいません」

鞠莉 「何度も謝らないの。謝罪よりお礼の方が嬉しいものだよ?」

梨子 「はい…ありがとうございます」


鞠莉 「それにしても、本当に風が強い…。なんだか不気味なくらい…」



39: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:33:46.44 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「千歌ちゃんとか大丈夫かな…きゃぁっ!?」


その時、特に強い風が2人を襲った。
鞠莉の傘は、その風に耐えきれず裏返ってしまった


鞠莉 「うわぁっ!?」

梨子 「あぁっ…傘が…」

鞠莉 「あー、いいのいいの。この傘も長いこと使ってたし…」


ドゴンッドゴンッ!


梨子 「……何、この音?」



40: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:35:25.20 ID:pg6L7PDh.net

鞠莉 「なんだろう…あれ…」

梨子 「何か…向かってくる?」


鞠莉 「もしかして、あれって看板…」

ズガガッ!!! ガガッ!ギギギッ!


目の前に迫ってきた看板は、耳を塞ぎたくなるような金属音をあげながら通り過ぎていった


梨子 「きゃぁっ!?」



41: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:35:58.66 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「だ、大丈夫ですか…鞠莉さ…」


梨子 「……鞠莉さん? どこに…」


ふと足元を見ると、看板が通り過ぎたところに、赤いシミがついていて、それの伸びた先には、大きな看板が倒れていた


梨子 「鞠莉さん…! まさかっ…!!?」


体が、中々息を吐かせてくれない。息を吸うことだけを、体が繰り返そうとする

…呼吸が止まった。
看板の下から伸びる、白く綺麗な肌をした腕を見た瞬間に。

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46: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:56:40.54 ID:pg6L7PDh.net

~次の日 教室~

「ねぇ…聞いた? トクホーの人が…」
「死んだんでしょ? じゃあ今年は…」
「“ある年”だったってこと…?」


梨子 「………。」

女生徒A 「梨子さん? 梨子さーん…?」

梨子 「……あっ、ごめん……何?」

女生徒A 「また呼んでるよ、あの人…」


千歌 「……。」

梨子 「千歌ちゃん…」



47: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:57:44.18 ID:pg6L7PDh.net

千歌 「梨子ちゃん、今日放課後、会議室に来て」

梨子 「トクホーの集まり…だよね」

千歌 「うん。…辛いとは思うけど、よろしく」

梨子 「千歌ちゃん!」

千歌 「何…?」

梨子 「…ごめん、私のせいで……」

千歌 「梨子ちゃんのせいじゃないよ。これは全部…」

梨子 「全部…?」



48: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:58:41.84 ID:pg6L7PDh.net

千歌 「……ううん、今はいいや。後で、ね」

梨子 「うん…分かった」

千歌 「じゃあね、梨子ちゃん」

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49: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 21:59:35.94 ID:pg6L7PDh.net

~放課後 会議室~


ダイヤ 「…もうみなさん、話は聞いていますよね?」

曜 「……。」

ルビィ 「……。」

果南 「なんで…なんで鞠莉がこんな目に会わなきゃいけないのさっ!?」ガンッ!

千歌 「……!」ビクッ

果南 「………ごめん」



50: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:00:30.49 ID:pg6L7PDh.net

曜 「今年は…“ある年”だったってことですか?」

ダイヤ 「それは…まだ分かりません。本当に、不幸な事故だということも考えられます」

善子 「そんな訳ないじゃないっ!」

花丸 「善子ちゃん…」

善子 「看板に潰された…!? そんな事故が、こんなに都合よく起こるわけないじゃないっ! これは絶対…“呪い”よっ!!」


梨子 「呪い…?」


善子 「もうダメよ…私達もいずれすぐ死ぬのよ! 嫌だ嫌だ死にたくない死にたくないっ!」

ルビィ 「善子ちゃんっ!!」



51: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:01:19.69 ID:pg6L7PDh.net

善子 「ルビィ…?」

ルビィ 「やめてよ…不安なのはみんな同じなんだよ…? ルビィだって怖くて…怖くて…っ!」

曜 「私だって…こんなに怖くなったことなんて無いよ…」

善子 「…ッ! ……ごめん」


果南 「…現象が始まった以上、梨子ちゃんにも教えなきゃいけないね。浦女に伝わる、“呪い”のこと」

梨子 「呪い…やっぱり、この委員会には何かあったんですね」



52: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:01:57.08 ID:pg6L7PDh.net

ダイヤ 「……浦女には、ごく稀に、“死者”が生徒の中に混ざりこんでしまう、という言い伝えがあるのです」

梨子 「死者…?」

ダイヤ 「文字通り、既に死んでいる者のことです。そして、その死者が混ざりこんでしまった年は、毎月、人が死ぬのです」

梨子 「毎月…人が死ぬ!? それが、呪い?」

ダイヤ 「この現象が始まったのは、今から26年前のことです」



53: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:03:23.65 ID:pg6L7PDh.net

ダイヤ 「27年前、2年生のとある生徒が事故で亡くなりました。大変優秀な生徒で、人望も厚かったと聞いています」

ダイヤ 「しかし翌年、その生徒は何食わぬ顔で3年生のクラスに、生徒として現れました」


梨子 「そんな…!」


ダイヤ 「そしてその年、3年生のみならず、1.2年生の生徒、そしてその親族が、次々に亡くなっていきました」

ダイヤ 「その年は、実に30人もの人間が亡くなったそうです。そしてその次の年、その“死者”は、姿を消しました」

果南 「消えた…と言うより、元通り、死人に戻ったって言った方が正しいかな」



54: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:04:23.29 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「誰も気付かなかったんですか…? その生徒が生き返っているって…」

ダイヤ 「死者が現れると、その者に関する記録、人々の中の記憶がすべて書き換えられるのです」

梨子 「書き換えられる…?」

ダイヤ 「その者が死んだという事実、果てはその者が存在したという事実さえ書き換えられてしまうのです。ですから、気付くことはまず不可能です」

ダイヤ 「それから、ここ浦の星女学院には、ごく稀に死者が紛れ込んでしまうようになってしまったのです」



55: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:05:10.49 ID:pg6L7PDh.net

ダイヤ 「死者が混ざり込むことにより、その年に多くの人が亡くなる…。そしてその亡くなった生徒が、またいつかの年に死者として紛れ込む…」

ダイヤ 「この負の連鎖を断ち切る…もしくは被害を最小限に抑えるために、学校ぐるみで幾つも対策を出しました」

ダイヤ 「そして遂に…有効な対策が見つかったのです」


梨子 「それって…もしかして…!」


ダイヤ 「各クラスから1人ずつ、生贄を差し出す…。そう、この特別補助委員会です」

ダイヤ 「こうすることで、もし現象が発生しても、死ぬのはこのトクホーのメンバーのみ…被害を最小限に食い止められる、画期的な対策でした」



56: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:06:01.40 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「そんな…」

ダイヤ 「酷い…と思いますか? ですが何十人と死人が出るより、最大で8人しか死なないこの対策の方がいいと考えるのが普通でしょう」

梨子 「8人…? 9人じゃなくて…?」

ダイヤ 「それがこの対策の素晴らしいところの一つです。実はこの対策が始まってから、ある法則が発見されたのです」

梨子 「法則?」

ダイヤ 「その年の死者は必ず、トクホーのメンバーになるのです」



57: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:06:45.22 ID:pg6L7PDh.net

ダイヤ 「普通なら全校生徒の中から死者を見つけ出さなくてはいけないところを、これなら9分の1まで減らせる…どうです?」

梨子 「どうです…って…。死者を見つけて、どうするんですか?」

ダイヤ 「…死に還す。つまり、殺すのです」

梨子 「そんな…っ!?」

ダイヤ 「でなければ、多くの人が死ぬのです! 死者は元々死んだ者…何も気に病むことはありません」

果南 「死者を死に還せば、その年の現象はそこで止まるんだよ。つまり、それがこの現象を食い止める、唯一の方法なんだ」


梨子 「死者は…自分が死者だって、分かっているんですか?」

ダイヤ 「いいえ、本人の記憶すら書き換えられているので、本人にすらわかりません」



58: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:07:41.84 ID:pg6L7PDh.net

ダイヤ 「周りにいる者の記憶も、それに合わせて書き換えられるので、小さい頃からその者を知っていたとしても、その者が死者でないとは限らないのです」

梨子 「てことは…もしかして…」

果南 「…この中にいる全員に、死者である可能性があるってことだよ」

果南 「…もちろん、梨子ちゃんが死者だって可能性もある。…自分が気付いてないだけで」

梨子 「そんな…」


梨子 (この中に…死者が1人…? 一体誰が…)

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59: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:08:22.36 ID:pg6L7PDh.net

~夜 梨子の家~


「おーい、梨子ちゃーん」


梨子 「この声…千歌ちゃん…」ガララッ

千歌 「梨子ちゃん! よかった、寝ちゃってたのかと…」

梨子 「ううん、大丈夫。で、何?」

千歌 「いやぁ、特に用って訳じゃないんだけど…大丈夫かなって…」



60: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:09:09.40 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「心配してくれてたんだ…ありがとう」

千歌 「目の前で…だったんだよね。辛かったよね…」

梨子 「あの時…もし私が一緒に帰るのを断ってたら…」

千歌 「考えちゃダメだよ、梨子ちゃん。梨子ちゃんは何も悪くないよ」

梨子 「ありがとう、千歌ちゃん」


梨子 「…ねぇ、千歌ちゃん」

千歌 「何?」



61: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:10:10.10 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「千歌ちゃんはさ…私が死者だって思う?」

千歌 「…何で?」

梨子 「小原先輩が、今年の最初の被害者だったんでしょ? …それって、4月は誰も死ななかったってことだよね?」

千歌 「うん…多分」

梨子 「5月、私が来た瞬間に、あの事故があって…。てことは私が死者…」

千歌 「……違うよ」

梨子 「えっ…?」



62: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:10:47.97 ID:pg6L7PDh.net

千歌 「ちがう…梨子ちゃんは死者じゃない!」

梨子 「千歌ちゃん…」

千歌 「梨子ちゃんは生きてるよ。今ちゃんと、ここにいるよ」

梨子 「どうして、そう思うの?」

千歌 「……勘、かな」

梨子 「えっ…?」

千歌 「確かな保証なんて無いよ、でも、私はそう信じたい。ただ、それだけ」

梨子 「…変な人ね」



63: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:11:40.81 ID:pg6L7PDh.net

千歌 「それに…ほら、手伸ばして」

梨子 「千歌ちゃん! 危ないよ、そんなに身を乗り出してっ…!」

千歌 「大丈夫…ほらっ…! うぅっ…!」

梨子 「千歌ちゃん…くぅっ…!」


梨子 「…! 繋げた!」

千歌 「ほら…こんなに暖かいんだもん、梨子ちゃんの手。これで死者なんて、信じられないよ」

梨子 「千歌ちゃんも暖かいよ、手」



64: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:12:31.39 ID:pg6L7PDh.net

千歌 「えへへ、ありがとう」

梨子 「…千歌ちゃん、私、他の方法がないか探してみるよ」

千歌 「他の方法…?」

梨子 「誰も殺さずに、この現象を止めてみせる。きっと小原先輩も、それを望んでる」

千歌 「…そうだよね、死者の人も、悪気があるわけじゃないもんね」


千歌 「やろう、梨子ちゃん!」

梨子 「うんっ…!」

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65: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:13:04.59 ID:pg6L7PDh.net

~その頃 黒澤家~


ルビィ 「うぅ…夜にお水飲みすぎちゃった…」

ルビィ 「早くおトイレ行って寝なきゃ……ん?」


ルビィ 「……お姉ちゃん?」

ダイヤ 「…ッ!? る、ルビィ!?」サッ

ルビィ 「何してるの? 台所で…」

ダイヤ 「い、いえ…喉が渇きまして…」

ルビィ 「珍しいね、お姉ちゃん深夜に何かを食べたり飲んだりしないのに…」



66: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:13:33.52 ID:pg6L7PDh.net

ダイヤ 「す、すぐに寝ますわ…おやすみなさい」

ルビィ 「うん…おやすみ、お姉ちゃん」


ダイヤ (私が…やるしかないのです…)

ダイヤ (鞠莉さん、見ていてください。私がこの手で…死者をっ!)

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67: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:19:00.08 ID:pg6L7PDh.net

~放課後 会議室~


梨子 「委員会とか部活動の生徒名簿の作成…こんなのもトクホーがやるんですね」

ダイヤ 「そ、そうですわよ…」

果南 「嘘は良くないよダイヤ。本当は生徒会の仕事が溜まりすぎてるから、ここに持ち込んだんで手伝ってもらってるんでしょ?」

ダイヤ 「そ、そんなこと! ありますけど…」

曜 「まぁ、こういうのもたまには悪くないよね」

善子 「もともとトクホーなんて、ほかの委員会のサポートとかをする委員会だし、いつものことでしょ」

梨子 「こんな忙しい時に千歌ちゃんはいないし…もう…」



68: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:19:41.51 ID:pg6L7PDh.net

花丸 「うぅ…パソコンは苦手ずら…」

ルビィ 「花丸ちゃん、機械あまり得意じゃないもんね…ルビィもだけど」

善子 「…って、あぁー! もうこんな時間!? 早く帰らないと今日の放送が…」

ダイヤ 「放送…?」

善子 「あっ…違…! えと…用事というかなんというか…」

ダイヤ 「用事があるのでしたら、先に帰られても結構ですよ。元々私が勝手に持ち込んだ仕事ですから」

善子 「そう…じゃあ悪いけどお先に…」



69: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:20:51.58 ID:pg6L7PDh.net

曜 「実は私も水泳部に顔出したくて…大丈夫ですか?」

ダイヤ 「えぇ。…確か、花丸さんも読みたい本があるとか仰ってませんでしたか?」

花丸 「はい…でもまだ仕事もちょっと残ってますし…」

ダイヤ 「大丈夫ですわよ、とても助かりました。ルビィももう遅いですから先に帰ってしまいなさい」

ルビィ 「うん、分かった。お母さんには伝えておくね」

果南 「じゃあ私と梨子ちゃんで残って手伝おうか。大丈夫?」

梨子 「はい、大丈夫ですよ」

ルビィ 「……。」



70: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:21:33.21 ID:pg6L7PDh.net

~2時間後~


果南 「うーん…意外とかかるね…」

梨子 「なかなか終わりが見えませんね」

ダイヤ 「申し訳ありません、私が不甲斐ないばかりに…」

果南 「ねぇ2人とも、悪いんだけど、今日家の手伝いがあってそろそろ…」

ダイヤ 「それは仕方ないですね…梨子さん、あともう少しだけよろしいですか?」

梨子 「はい、果南さんもお構いなく、どうぞ」

果南 「ごめん、じゃ、よろしくね」ガチャ



71: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:22:09.43 ID:pg6L7PDh.net

果南 「さて…早く帰らないと…」

ルビィ 「……。」

果南 「あれっ、ルビィちゃん? 先に帰ったんじゃなかったの?」

ルビィ 「はい…ちょっと、気になることがあって…」

果南 「気になること?」

ルビィ 「実は…」

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72: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:22:46.92 ID:pg6L7PDh.net

~1時間後~


梨子 「お、終わったぁ…」

ダイヤ 「お手伝いありがとうございました。さて、帰りましょうか。何か奢りますよ」

梨子 「いえそんな…お構いなく」

ダイヤ 「こういうときは遠慮するものではないですよ。さ、行きましょう」

梨子 「じゃあ、お言葉に甘えて…」

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73: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:23:35.99 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「オススメのお店がある…って、ここにですか? なんか、人気がないと言うか…」

ダイヤ 「……。」

梨子 「ダイヤさん、普段こんな路地裏みたいな所に行くんですね…なんか意外です」

ダイヤ 「…来ませんわよ、普段こんなところに」

梨子 「えっ…でもオススメのお店があるって…」

ダイヤ 「……。」

梨子 「ダイヤさん? …あのー」


ダイヤ 「…ごちゃごちゃうるさいですわっ!」ブンッ

梨子 「ひぃっ…!?」



74: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:24:21.38 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「ほ…包丁…!? なんで…」

ダイヤ 「人気の無いところに来たのもこの為ですわ…。あなたは、ここで死ぬのですっ!」

梨子 「ひぃっ! や、やめてくださいダイヤさん!」

ダイヤ 「死者に遠慮なんてしませんわっ!」ブンッ

梨子 「死者…? 私が!?」

ダイヤ 「あなた以外に誰を疑えと言うんですの!? あなたが来た瞬間にあの事故…どう考えてもあなたが怪しいですわ!」

梨子 「そんな…」


ダイヤ 「あなたさえいなければ…鞠莉さんはっ!」ブンッ!



75: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:25:23.49 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「ひぃっ…はぁっ…はぁっ…」

ダイヤ 「随分と避けるのが上手い様で…ですがこれで終わりですわっ…! この現象も…あなたの命もっ!」


果南 「ダイヤッ!!」


ダイヤ 「……っ!?」

梨子 「か、果南さん…!?」

ダイヤ 「どうしてここに…」



76: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:26:27.34 ID:pg6L7PDh.net

ルビィ 「お姉ちゃん…」

ダイヤ 「ルビィ…!? まさか…」

果南 「昨日、ダイヤの様子がおかしかったって、ルビィちゃんが教えてくれたんだよ」

ルビィ 「昨日台所にいたのは、その包丁のためだったんだね、お姉ちゃん…」

果南 「みんなを執拗に帰そうとしたのも、このためだったんだね。ねぇダイヤ、もうやめようよこんなこと…」

ダイヤ 「どうしてですの!? この人を殺せば、この現象は止まるのです! 私も、ルビィも、果南さんも死なずに済む…」

果南 「そんな保証、ないでしょ?」



77: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:27:38.73 ID:pg6L7PDh.net

果南 「梨子ちゃんが死者だって確証はどこにもないんでしょ? そんな状態で人を殺すなんて…ダイヤらしくないよ」

ダイヤ 「私は…ただこれ以上の被害を…」

果南 「目を覚ましなよっ! ダイヤ…あんたがしようとしてること、もう一度よく考えてみなよ」

ダイヤ 「私は…私は間違ってなんていません…! これで鞠莉さんの敵をッ!」ダッ!

梨子 「…! ひぃっ…!」

果南 「…っ! ダイヤ、ダメっ!」


ダイヤ 「これで…全部終わるんですッ!」

グサッ!



78: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:28:24.74 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「………。………っ!」

ダイヤ 「………果南…さん…?」


果南 「……だめ…だよ……ダイヤ」ポタポタ


梨子 「果南さんっ…血が…!」


果南 「あんたが人殺しになるなんて、見過ごせるわけないじゃん…」

ダイヤ 「果南さん…果南さんッ!!!」


ルビィ 「い、今救急車を…!」

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79: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:36:40.43 ID:pg6L7PDh.net

~病室~


千歌 「果南ちゃんっ!」

果南 「千歌…病院だよ、静かに」

千歌 「大丈夫なの…!? 刺されたって…」

果南 「傷も浅かったし、大丈夫だよ。心配してくれてありがと」

ダイヤ 「果南さん……」

果南 「ダイヤ、気にすることないってさっきから言ってるじゃん。これで少しは頭冷えたでしょ?」

ダイヤ 「ごめんなさいごめんなさい…!」ポロポロ

果南 「ほらまた泣いて…」



80: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:37:18.76 ID:pg6L7PDh.net

曜 「でもよかった、誰も死ぬことなくて…。ダイヤさん、もうこんなことやめましょう?」

ダイヤ 「ですが、死者を死に還さない限り、この現象は…!」

曜 「そうですけど、こんなやり方は絶対に間違ってます。梨子ちゃんが死者だって確証はどこにもなかった訳だし…」

千歌 「きっと、死者が誰か分かる時が必ず来ますよ。だから、無闇に人を殺したり、怪しんだりはもう…」

ダイヤ 「………はい、申し訳ありませんでした。梨子さんにも、本当に失礼なことを…」

梨子 「頭あげてください! 私は大丈夫ですから…」



81: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:37:55.45 ID:pg6L7PDh.net

果南 「ほら、もうしんみりした空気はおしまい。私の怪我もすぐ治りそうだし、大丈夫だよ」

千歌 「あっ、果南ちゃん喉渇かない? 何か買ってくるよ!」

果南 「そうだね、ちょっと渇いたかも。ダイヤもそんだけ泣いたんだったら喉渇いたんじゃない?」

ダイヤ 「からかわないで下さいっ! …まぁ、少しは…」

曜 「じゃあ私買ってくるよ! ちょっと待っててー!」ダッ

果南 「曜はいつも通りだね…。なんか安心するよ」



82: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:38:36.87 ID:pg6L7PDh.net

果南 「…でも、確かに問題ではあるよね」

千歌 「なんのこと?」

果南 「この現象のことだよ。死者を殺さない限り、この現象は止まらない…。なら、一刻も早く見つけないと、どんどん被害者が増える一方だよ」

ルビィ 「善子ちゃんと花丸ちゃんも、2人なりに色々考えてるみたいだけど、やっぱり全然…」

梨子 「本人にもわからないみたいだから、私たちが探したところで…ってことなのかもね」

果南 「何か…手がかりさえあれば…」



83: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:39:19.80 ID:pg6L7PDh.net

ダイヤ 「…過去に現象を止めることを成功させた代のトクホーは、どのようにして死者を特定したのでしょうか」

千歌 「そういえば、過去に何度があるんですよね。現象が止まったこと…」

ダイヤ 「明日、色々調べてみましょう。過去の生徒名簿などから、わかることが何かあるかもしれません」

果南 「そうだね…私はこの状態だから、悪いけど色々お願いね」

千歌 「うん、任せて! 私たちが絶対に…」


ドゴォォォォンッ!!!


果南 「……何、今の音?」



84: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:39:57.45 ID:pg6L7PDh.net

千歌 「ちょっと私、見てくる」タタッ

梨子 「じゃあ私も…エレベーターの方かな?」


ザワザワ ザワザワ…


千歌 「………えっ…」

梨子 「何……コレ……」

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85: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:40:42.63 ID:pg6L7PDh.net

~病院 1F~


警備員 「近づかないでー! 危ないですよ!」

「何…事故…?」
「エレベーターが落ちたんですって…」
「古くなってたから…でもこんなことって…」


千歌 「嘘でしょ…さっき私も乗ってたエレベーターだ…」

梨子 「…! 曜ちゃんは!? どこに!?」

千歌 「確か、ジュースを買いに行って…」

梨子 「もし…エレベーターを使ってたら…」



86: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:41:21.28 ID:pg6L7PDh.net

千歌 「嘘…曜ちゃんっ! 曜ちゃんっ!?」

警備員 「ちょっ…ちょっと! 危ないから!」


梨子 「千歌ちゃん、電話! 電話すれば…」

千歌 「…! そうだ、それだよ!」


プルルルル…


千歌 「……お願い、曜ちゃん……お願い…!」

梨子 「……は………あ…あぁ……」ガタガタ

千歌 「どうしたの、梨子ちゃん?」

梨子 「あ………あれ……」



87: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:42:09.30 ID:pg6L7PDh.net

梨子は震えながら、エレベーターを指さしていた。落下し、瓦礫まみれになったエレベーターの中が、微かに規則的に光っていた

…千歌の手から、携帯がするりと抜け落ちる

エレベーターの中で光っていたそれは、携帯電話の光だった。そして、その着信音は、千歌にとっては聞きなれたものであった


千歌 「…………嫌だ……嘘だ………」


千歌 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

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91: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:58:09.38 ID:pg6L7PDh.net

~数日後 会議室~


ダイヤ 「…エレベーターが老朽化していて、ワイヤーが切れたようです。普通なら、絶対に有り得ない事故だったようです」

梨子 「これって…やっぱり…」

善子 「もう確定ね。今年は“ある年”…って訳ね」

ルビィ 「ひぐっ……ぐすっ……」

花丸 「ルビィちゃん、泣かないで…」

ダイヤ 「千歌さんは…今日も休みですわね」

梨子 「当然ですよ…。幼なじみがあんな風になって、正気でいられる方が…」



92: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:58:49.51 ID:pg6L7PDh.net

ダイヤ 「果南さんも、自分を責め続けていました。あの時自分が、喉が渇いたなんて言わなければと…」

花丸 「誰も悪くないずら。これは全部…」

善子 「呪いのせい…でしょ。早くなんとかしないと…」

梨子 「ダイヤさんが前に言ってた、過去に現象が止まった例って…」

ダイヤ 「はい、やはり何度があるようです。過去の現象の被害者、そしてその年の死者もしっかりと学校で記録されているようです」

花丸 「過去の生徒名簿なら、確か図書室にあったずら」

ダイヤ 「行ってみましょう。…何かわかるかも知れません」

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93: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 22:59:26.55 ID:pg6L7PDh.net

~図書室~


梨子 「これが生徒名簿…こんなに沢山…」

ダイヤ 「現象が始まった26年前から、今年にかけての全生徒がここに載っています。…まず最初がこの年、1990年」

善子 「この年が初めての現象が起こった年…。対策も何も出来なくて、親族含めて30人も死んだのよね」

花丸 「そして次の現象が1994年。そして1997年、2001年…」


ダイヤ 「そしてこの年…2006年から、特別補助委員が誕生していますね」



94: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:00:17.41 ID:pg6L7PDh.net

ルビィ 「でもこの年は死者を発見できなかったんだよね…次の年になって、やっと分かって…」

ダイヤ 「この丸印…杉崎凜音さんがこの年の死者ですね」

花丸 「次が2009年…この年は犠牲者が4人にとどまってる…」

善子 「つまり、この年は現象を食い止めることに成功したのね。一体どうやって死者を…」


?? 「君達、もしかしてトクホーの…?」


梨子 「えっ…はい…今年度の」

?? 「そうか…私はここの司書の金木だ。よろしく」



95: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:00:58.44 ID:pg6L7PDh.net

金木 「なんでも、今年は“ある年”のようだね。君たちも辛いだろうね…」

ダイヤ 「…何か用でしょうか?」

金木 「その年の事について知りたいんだろう? 私の知ってる限りのことなら、教えられるが?」

梨子 「ほ…本当ですか!?」

金木 「まぁ、人伝えに聞いた話だから、信用しすぎないように…ね」


金木 「まず、死者の見分け方…についてだが」



96: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:02:06.56 ID:pg6L7PDh.net

金木 「確たる見分け方、というのは無い。しかし、わかっていることが一つだけある」

ルビィ 「わかっていること…?」

金木 「…死者の復活は、完全ではないということだ」

ダイヤ 「完全でない…?」


金木 「死者は、過去の現象の犠牲者が復活した存在…その時の人格の記憶は消え、新たな記憶が作られる。それに合わせて周りの記憶も書き換えられる」

金木 「だが、それは完全ではないのだ。本人に限ってね」



97: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:02:51.56 ID:pg6L7PDh.net

金木 「その者にとって強く残っている記憶…その記憶は残ってしまうことがあるのだ」

善子 「記憶が…残る?」

金木 「勿論、完全に残っている訳では無い。新たに作られる記憶の中に、微かに組み込まれる…と言った方が正しいだろう」


金木 「つまり、そこに関する記憶には、周りと矛盾が生まれてしまうのだ」

ダイヤ 「なるほど…失われたはずの記憶が存在することで、周りと食い違いが生まれるのですね」

金木 「それを見つけ出し、本人に死者であることを思い出させる。それが死者を見つけ出す唯一の方法だ」



98: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:03:33.86 ID:pg6L7PDh.net

善子 「……なるほどね」

花丸 「結局、みんなを疑わなくちゃいけないってことは、変わりそうにないずらね…」

梨子 「そんな…」

ダイヤ 「ですが、少し希望は見えましたわ。…その矛盾とやらが見つかるまで、みなさん、余計な動きはしないように」

ダイヤ 「私が言えたことでは無いですが…」

梨子 「……。」


梨子 (死者…この中に絶対いるんだ…。一体誰が…)

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99: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:04:31.58 ID:pg6L7PDh.net

~1週間後 病院~


梨子 (手作りクッキー…喜んでくれるかな?)

梨子 (もうすぐ退院って言ってたけど、やっぱり心配だもんね)

梨子 「果南さーん、お見舞いに…」


ダイヤ 「…で、果南さんはどう思ってますの?」


梨子 「…! ダイヤさん…?」ササッ

梨子 (つい隠れちゃった…)



100: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:05:29.07 ID:pg6L7PDh.net

果南 「どうって…死者が誰かってこと?」

ダイヤ 「はい…」

果南 「…正直、梨子ちゃんは怪しいと思う」


梨子 (えっ…果南さん…?)


果南 「疑いたくはないけど、やっぱり、そう考えるのが一番自然というか」

ダイヤ 「転入生…というところもどうも怪しいものです。やはり彼女が…」

果南 「断定するのは早いよ。でも、注意はした方がいいかもね」


梨子 (そんな…そんな…!)



101: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:06:07.48 ID:pg6L7PDh.net

梨子 (やっぱり…私が…?)

梨子 (嫌だ…そんなの…! それじゃあ曜ちゃんや、鞠莉さんは私が…!)


梨子 「……嘘よ。嘘よ嘘よ嘘よっ!」ダッ!


果南 「……?」

ダイヤ 「どうかしましたか?」

果南 「いや…今そこに誰かいたような…」

ーーーーーー
ーーーー
ーー



102: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:06:51.70 ID:pg6L7PDh.net

~夜 梨子の部屋~


梨子 「…結局クッキー、渡せなかった…」ガサッ

梨子 「やっぱり私が死者で…。それなら、わたしが死ねばみんなは…」


ピロリンッ


梨子 「…? 誰からだろう…」


千歌 < 梨子ちゃん、起きてる?


梨子 「…! 千歌ちゃんっ!」


千歌 < ベランダに出て



103: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:07:26.55 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「千歌ちゃん! 千歌ちゃん!」ガララッ!

千歌 「あっ、梨子ちゃん。よかった、起きてた」

梨子 「…大丈夫なの?」

千歌 「うん、大分落ち着いた。…まだちょっと、ごちゃごちゃしてるけど」

梨子 「そう…心配したんだよ? みんなも…」

千歌 「ごめんね…もう大丈夫だから」



104: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:07:58.27 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「…ごめんなさい、千歌ちゃん」

千歌 「何が?」

梨子 「……曜ちゃんを」


梨子 「曜ちゃんを殺したのは、私かもしれない」


千歌 「……なるほど。そういうことか」

梨子 「千歌ちゃん…?」



105: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:08:47.25 ID:pg6L7PDh.net

千歌 「ダイヤさんに言われたこと、まだ気にしてるの?」

梨子 「何度も夢に見るの。あのとき言われたこと…私が死者かもしれないって」

梨子 「その考えが、頭から離れなくて…もう、自分でも否定しきれなくなって…」

千歌 「梨子ちゃん…」

梨子 「自分でもわからないのっ! 二人を殺したのは…災厄を持ち込んだのは、私かもしれないって…ずっとずっと考えて…考えてっ!!」


梨子 「もう私…どうしたらいいか…」

千歌 「……。」



106: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:09:26.09 ID:pg6L7PDh.net

千歌 「…ねぇ、あのクッキー、もしかして梨子ちゃんの手作り?」

梨子 「あぁ…うん。果南さんのお見舞いにと思ったんだけど、渡しそびれちゃって」

千歌 「貰っていい? 私が」

梨子 「いいけど…じゃあ投げるね?」


千歌 「……よっ…と。えへへ、ナイスパス」

千歌 「…うーん! 美味しい!」



107: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:09:55.30 ID:pg6L7PDh.net

千歌 「……前にも1度、こうやってお話したことあったよね」

梨子 「確か、転入してすぐの時だよね」

千歌 「うん。あの時、私言ったでしょ? 梨子ちゃんは死者じゃないと思うって」

梨子 「うん…」

千歌 「あの時の考え、今も変わってないよ」

梨子 「えっ…」



108: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:10:43.82 ID:pg6L7PDh.net

千歌 「今だって私は、梨子ちゃんが死者だなんて思ってない」

梨子 「……どうして」

千歌 「…?」

梨子 「どうして私をそんなに信じられるのっ!? 何が千歌ちゃんをそうさせるの!?」

千歌 「…前も言ったでしょ。“勘”だよ」

梨子 「勘…?」


千歌 「それにね、私は梨子ちゃんを信じたいの。ただそれだけ」



109: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:11:36.44 ID:pg6L7PDh.net

千歌 「みんながどれだけ梨子ちゃんを疑っても…私は最後まで梨子ちゃんを信じたい」

千歌 「梨子ちゃんは私に、そう思わせてくれるんだよ」

梨子 「千歌ちゃん…」

千歌 「だから梨子ちゃん、自信を持ってよ。自分は死者じゃないって、自信を持って言っていいんだよ」

梨子 「千歌ちゃん…! …うんっ!」

千歌 「約束だよ。…もう自分を疑ったりしないって」



110: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:12:44.78 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「約束する! 絶対に!」

千歌 「じゃあ…指切り。しよ?」

梨子 「えぇっ…届くかな…?」

千歌 「大丈夫、あの時だって届いたんだもん!」

梨子 「そうだね…うん! しよう、指切り」


……あと少しのところだった

千歌が手をかけていた柵が、音を立てて壊れた。体重をかけていた千歌は、柵とともに下へと落ちていく

必死になって手を伸ばした。千歌もその手を取ろうと手を伸ばした。
…しかし、あの時のように手と手が触れることは、叶わなかった

ーーーーーー
ーーーー
ーー



112: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:13:59.39 ID:pg6L7PDh.net

~その頃 病室~


果南 「……うぐっ…ぐぅぅっ…!!?」

看護師 「ま、松浦さん!? 大丈夫!?」

果南 「傷が…急にっ…!!」

看護師 「待ってて、今先生を!」


果南 「これも……呪い、なのかな…?」

果南 (もし…このまま私が死んだら、ダイヤはどう思うかな)



113: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:15:03.34 ID:pg6L7PDh.net

多分、自分を責めるだろう
「私が殺したも同然だ」って…

それは…ダイヤに悪いよね


果南 「大丈夫…ダイヤにそんな思いはさせないから…っ」ガサッ

果南 「…6階、ここからなら流石に…」

果南 「…ダイヤ、あとは頼んだよ……」



114: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:15:36.46 ID:pg6L7PDh.net

医者 「松浦さん! 大丈……」

看護師 「……松浦…さん?」

医者 「どこに行ったんだ…?」

看護師 「窓が…開いて…」


医者 「…まさか!?」

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115: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:16:30.27 ID:pg6L7PDh.net

『昨夜起きた、女子高生の飛び降り事件の続報です。死亡した松浦果南さんは、直前に体の痛みを訴え………』

『次のニュースです。先日起きた旅館での事故で、その旅館に住んでいた高海千歌さんが亡くなった事件。死因はコンクリートに強く頭を打ち付けたことによる……』


「ねぇ、聞いた…? トクホーの人が…」
「今回は2人同時にでしょ? 流石にやばいって」
「現象が起きた年は毎月人が死ぬって…でもこんなになんて思ってなかった…」


梨子 「……………。」


夢じゃないか、と何度も考えた



116: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:17:10.44 ID:pg6L7PDh.net

目の前で起きたあの事故も、全部夢の中の出来事で…朝起きたら全部無かったことになる

そんな僅かな希望に賭けて、涙を必死に抑えながら眠りについた

でも結局、こうなってしまった。


梨子 「……………。」

金木 「…大丈夫かい、桜内さん」



117: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:18:17.40 ID:pg6L7PDh.net

~図書室~


梨子 「はい……いや、いえ……全然」

金木 「そうか…。でも、よく学校に来たね」

梨子 「家にいると、先週の出来事を思い出しちゃいそうで…。もう、あの場所にいたくなくて」

金木 「………そうか」

梨子 「千歌ちゃんは…最後まで私を信じてくれていたんです! こんな私のことを…千歌ちゃんだって、死者のことが憎くて仕方なかったはずなのにっ!」


梨子 「千歌ちゃん…なんで…なんでなんでっ!」



119: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:19:13.96 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「どうして千歌ちゃんが死ななくちゃいけなかったの!? どうせ死ぬなら…私が死ねばよかったのにっ…!!」

金木 「桜内さん…それは違う」

梨子 「違くないっ…何も違くないっ!!」


梨子 「……もう許さないっ! こんな理不尽、私が絶対に許さないっ!!」

梨子 「果南さんや鞠莉さん…千歌ちゃんも曜ちゃんも、死ななくちゃいけない理由なんてない!」

梨子 「絶対に死者を探し出して…私がこの現象を終わらせるっ!!!」


金木 「桜内さん…」



120: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:19:53.09 ID:pg6L7PDh.net

金木 「……これでも読んで落ち着きなさい」スッ

梨子 「これは…?」

金木 「私のオススメの本だ。3ヶ月ほど前に出た新しいものだよ」

梨子 「どうして今…」

金木 「今だからこそだよ。こんな時だからこそ、読書は大切なものだ」

金木 「…私は、その作者が大好きでね。いつも読む者の心を落ち着かせてくれる」



121: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:20:52.36 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「宗方一恵…ですか」

金木 「実に2年ぶりの再新作、『黒煙』だ。彼の書く本はどれも短めで読みやすいから、初心者でもオススメだ」

梨子 「………どうも」

金木 「しばらく、学校は休むといい。トクホーのこともあるから、学校側も登校を無理強いすることはないだろう」

梨子 「はい…」

金木 「…辛いだろうが、今は落ち着くことだ。きっと高海さんも、今のような桜内さんを望んではいない」

梨子 「………。」

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122: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:21:40.76 ID:pg6L7PDh.net

男は煙に魅せられた
彼にはその景色が幻想的に感じ取れ、何度もその光景を目にしたいと思うようになった

以来、男は放火魔となる。彼に罪の意識はなく、ただ立ち篭める“黒煙”を見たいだけだった

ある日、男は黒煙の中に幻を見る
それは言葉では形容しがたい、美しい女性だった。男は黒煙に魅せられていた理由が、その女性であるとようやく理解した

男は遂に自身の体を焼き、その女性と一心同体になろうと試みる…


梨子 「………。」パタン



123: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:22:24.49 ID:pg6L7PDh.net

~4日後~


梨子 「……本当にすぐ読み終わった。なんだろう…すごくすっきりする…」

梨子 「この人の他の作品…読んでみたいな…」


宗方一恵 作品 |検索|


梨子 「……ん? 何これ…」


梨子 「………っ!!」


梨子はすぐに支度をし、学校へと向かった

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124: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:23:20.31 ID:pg6L7PDh.net

~学校 図書室~


金木 「…やぁ、桜内さん。どうだい、調子は」

梨子 「お蔭さまで、大分…。この本、読ませていただきました」

金木 「もう読み終わったのか…どうだった?」

梨子 「なんか…すごくスッキリしたというか。不思議な感じでした」

金木 「ふふっ、そうだろう。私はその作者が本当に…」


梨子 「先生! …聞きたいことが、あるんです」



125: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:23:58.49 ID:pg6L7PDh.net

金木 「聞きたいこと…?」

梨子 「確かこの辺に……。……あった」

金木 「それは…『海辺の林』?」

梨子 「ご存知ですか? この本」

金木 「知ってるも何も、本好きの中では有名な本だ。…いい意味での方では無いかもしれないが」


金木 「『海辺の林』…。10年前に宗方一恵が出した本だ」



126: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:24:39.58 ID:pg6L7PDh.net

金木 「当時宗方一恵も名前が売れ始めた頃でね。出たばかりの時、それは注目を集めたものさ」

金木 「しかし、その本には問題があってね…。一部、他作者の作品の表現の流用があったんだ」

金木 「本人は否定していたが、世論には勝てなくてね。…結局、発売から1ヶ月もしない内に自主回収に追い込まれた」

金木 「それ以来、その本は再販もかからなくてね。今では幻の本となっている。ここにあるのも、私の趣味といったところだ」


梨子 「……そうですか。やっぱり…」

金木 「桜内さん…?」



127: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:25:10.61 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「…ありがとうございます、先生。これで全部分かりました」

金木 「分かった…? 何が?」

梨子 「いえ…。ただ、ここからは私の仕事です」

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128: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:26:09.02 ID:pg6L7PDh.net

~会議室~


善子 「…あんた、本当に本好きよね。こんな状況でよく本なんて読む気になるわ…」

花丸 「こうしてる方が落ち着くんだもん。マルだって、余裕があるわけじゃ…」


ヒラリ…


善子 「…? なんか落ちたわよ?」

花丸 「? 栞かな?」


善子 「…これ、手紙じゃない」



129: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:26:54.91 ID:pg6L7PDh.net

ーーー

花丸ちゃんへ

話があります。放課後、屋上で待ってます
必ず、一人で来てください

桜内梨子より

ーーー

善子 「こ、ここここここれって…!」

善子 「こ、告白ぅっ!?」


花丸 「どうしてそうなるずらっ!?」

善子 「だ、だって一人で来てって…!」

花丸 「別に普通にお話があるだけかもしれないでしょ…」

善子 「そんな訳ないじゃない! こんなまわりくどいやり方…」



130: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:27:35.63 ID:pg6L7PDh.net

善子 「とにかく、早く行きなさいよ!」

花丸 「う、うん…じゃあ、行ってくるずら…」タタッ


善子 「はぁ…あの純粋無垢なズラ丸が遂に…!」

ダイヤ 「…善子さん? 今日はあなただけですのね」ガチャッ

善子 「ダイヤさん! 聞いてくださいよ、実は…」


ダイヤ 「………それって…」

ーーーーーー
ーーーー
ーー



131: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:28:05.19 ID:pg6L7PDh.net

~屋上~


ガチャッ

梨子 「……!」


花丸 「あのー…呼んだずら?」

梨子 「…待ってたわよ、花丸ちゃん」



133: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:35:59.41 ID:pg6L7PDh.net

花丸 「屋上って入れたんずらね。柵もないしなんか怖いずら…」

梨子 「そうね…確かに」

花丸 「それで、話ってなんずら?」


梨子 「…これについて、聞きたかったの」

花丸 「それは…本? 『海辺の林』?」

梨子 「花丸ちゃん、正直に答えてね」


梨子 「この本、花丸ちゃんはいつ買った?」



134: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:36:38.00 ID:pg6L7PDh.net

花丸 「えっ…確か2ヶ月前…4月だったずら」

梨子 「…やっぱり」

花丸 「で、それがどうしたんですか?」

梨子 「花丸ちゃん、よく思い出して。この本を買った時のこと」

花丸 「この本を買った時…?」

梨子 「この本はね、10年前に発売されたものなの。でも花丸ちゃん、この本を図書室で見た時、こう言ったよね?」


花丸 『マルの知らない本も沢山! あっ、宗方一恵先生の最新作、『海辺の林』もあるずら!』



135: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:37:18.80 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「この人はこの作品以降、3作品出している。でも、花丸ちゃんは確かにこの本を最新作だって言ったよね?」

花丸 「あっ……」

梨子 「それにね、この本は発売されてすぐに自主回収されて、以降再販はされてないんだよ」

花丸 「そんな…」

梨子 「だから、花丸ちゃんの2ヶ月前に買ったっていう発言も…最新作だっていう発言も全ておかしい…事実に矛盾している」

花丸 「あ……あぁ……」

梨子 「思い出して、花丸ちゃん。あなたは…」


梨子 「あなたは、“死者”なの?」


花丸 「あ、あぁ…あぁぁぁ!!!」

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ーー



136: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:37:58.38 ID:pg6L7PDh.net

………思い出した。
全部、思い出した

マルは、10年前の…2006年度のトクホーだったんだ。

あの日、宗方一恵先生の最新作を買いに、本屋さんに向かったんだ。…タイトルは、『海辺の林』


花丸 『えへへー、買えたずら…宗方先生の最新作!』

花丸 『楽しみずらー、早く読みたいなぁー』

花丸 『……?』



137: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:38:30.69 ID:pg6L7PDh.net

花丸 『あの車…なんかフラフラしてるずら』

花丸 『えっ…こっちに向かってくる…?』


花丸 『ず、ずらぁぁぁぁっ!!?』

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138: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:39:08.56 ID:pg6L7PDh.net

花丸 「………。」

梨子 「…思い出した?」


花丸 「…マルは、死んでた」


梨子 「…やっぱり」

花丸 「そっか…マルが、死者だったんだね」

梨子 「花丸ちゃん…」

花丸 「みんな…マルが殺したんだ…。マルが、生き返っちゃったせいで…」



139: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:39:43.93 ID:pg6L7PDh.net

花丸 「でもありがとう、梨子さん。これで全部、終われるね」

梨子 「……うん」

花丸 「……じゃあ、さよなら」


花丸は屋上の淵に登り、空を見上げた


花丸 「………。」


善子 「ずら丸っ!!!」バタンッ!

花丸 「…っ!?」



140: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:40:22.23 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「善子ちゃん、なんで…」

ダイヤ 「…想像通りでしたわね。梨子さん、ひとりで勝手に何を…」

梨子 「ダイヤさん…そういうことですか」

善子 「ずら丸、何してるのよ…危ないから早く降りて…」


花丸 「来ちゃダメずらっ!!!」


善子 「……ずら丸?」



141: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:41:03.74 ID:pg6L7PDh.net

花丸 「来ちゃだめずら…善子ちゃんまで死んじゃうかもしれない…」

善子 「ずら丸…」

花丸 「マルは、死者だったずら。オラが今年の災厄の原因…もう、ここにはいれないずら」


花丸 「復活した死者の記憶は作られた記憶…つまり、善子ちゃんと過ごした時間も、全部嘘だったんだよ」

花丸 「悲しいけど、善子ちゃんは悲しむ必要は無いよ。だって、オラはもともといなかったんだもん!」

善子 「そんなこと……」

花丸 「あの思い出も、全部偽物…だから全部…」


善子 「ふざけないでっ!!!!」



142: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:41:42.22 ID:pg6L7PDh.net

花丸 「……善子ちゃん?」

善子 「ふざけないでっ…ふざけないでっ!! 作られた記憶? ずら丸は本当はいなかった? そんな訳ないじゃない!」

善子 「だって、あなたは確かにそこにいるじゃないっ! 私の思い出の中にも、確かにいるもんっ!」

花丸 「善子ちゃん…」

善子 「私の…」


善子 「私の大切な思い出を…勝手に無かったことにしないでっ!!!」

花丸 「……なんでそんなこと…言うずら…?」

花丸 「うぅっ…そんな事言われたら…ズズッ…楽に逝けないじゃんっ!!!」



143: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:42:13.97 ID:pg6L7PDh.net

花丸 「でもっ…ありがとう。善子ちゃん、楽しかったよ、この15年…すごく」

善子 「ずら丸…」

花丸 「…最後に一つだけ、お願いしていいずら?」

善子 「……うん。何?」

花丸 「みんなの目に、オラの死を残したくない…だから、逝く時は、1人で逝かせてほしいずら」


ダイヤ 「………行きましょう」

梨子 「……はい」



144: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:42:44.63 ID:pg6L7PDh.net

善子 「………。」

ダイヤ 「善子さん、辛いでしょうが…」

善子 「……うん、分かってる…けど…っ!」


善子 「………ずら丸っ!」

花丸 「…なぁに、善子ちゃん」

善子 「………ありがとう」

花丸 「………うん」



145: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:44:31.86 ID:pg6L7PDh.net

ダイヤ 「…さぁ、行きましょう」

善子 「はい…」

梨子 「…さよなら、花丸ちゃん」


…違う。誰も悪くない
花丸ちゃんだって、悪気があったわけじゃない

そもそも花丸ちゃんが死んでしまったのだって、この理不尽な呪いのせいだ

この呪いが…現象が…起きてしまう前に。
そうすれば誰も傷つかずに…


梨子 「花丸ちゃん! ………!」


梨子が振り向いた先に、花丸の姿は無かった


梨子 「………ひぐっ……ぐすっ………うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー




146: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:45:17.56 ID:pg6L7PDh.net

~1週間後~


ダイヤ 「…誰も覚えていませんでしたわ、花丸さんのこと」

善子 「あの時屋上に居なかったルビィも、ずら丸のこと覚えてなかったわね」パラパラ

梨子 「善子ちゃん、その本…」

善子 「アイツ、まだ途中だったからね。私が読んで、結末教えてあげないと…」

梨子 「……そっか」



147: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:45:48.79 ID:pg6L7PDh.net

梨子 「……ねぇ、2人とも」

ダイヤ 「なんです?」

梨子 「私、この学校に残ろうと思います」

善子 「残る?」

梨子 「将来、教師としてこの学校に就こうと思います。そして、この現象の経験者として、この学校で探し続けます」


梨子 「この現象が起きる前に止める方法を」



148: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:46:18.51 ID:pg6L7PDh.net

ダイヤ 「…危険ですわよ」

梨子 「承知の上です」

善子 「……桜内先輩なら出来ますよ、きっと」

梨子 「ありがとう、善子ちゃん」


梨子 「誰も間違っていない…だからこそ」

梨子 「この理不尽に屈しちゃいけない。そう思うから」

ーーーーーー
ーーーー
ーー



150: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:46:45.68 ID:pg6L7PDh.net

~数年後~

「ねぇねぇ、担任の先生見た?」
「見た見た。ちらっと覗いた程度だけど…」
「すっごい綺麗な人だったよね…」

ガララッ!

「………はじめまして!」


梨子 「このクラスの担任になりました、桜内梨子です!」

ーーーー




152: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:47:33.54 ID:pg6L7PDh.net

金木 「………ふん」

金木 「流石にあの年は…ヒントを与えすぎたか」



155: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2017/03/22(水) 23:50:48.81 ID:BjRls1Pz.net


意外なキャラが死者だった
そして意外に生き残ったな


元スレ
【SS】梨子 「浦女に伝わる呪い…?」 千歌 「毎月人が死ぬの」
http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1490183536/