SS速報VIP:ラウラ「なりたい自分になればいい…か」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1327729167/



2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 14:43:34.42 ID:2XKL6nnV0

俺は織斑一夏。ちょっと普通じゃない高校生活を送っている。

どうやら俺は、世界で唯一IS適正のある男らしい。

男でありながら、偶然にもISを起動させてしまったため、

女性しかいない『IS学園』へ強制的に入学する羽目となった。

けど、とんだ災難だよな。

だって、そこで待っていたのは前途多難な日々なんだから。

特に最近、俺を困らせるやつがいて―――



3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 14:45:36.59 ID:2XKL6nnV0




チュン チュン





一夏「…ん……んん?」モゾモゾ


フニュッ フニュッ


一夏「ラウラ……か」

一夏「ほら、ラウラ朝だぞ」

ラウラ「う…ん……なんだ……朝か……」ゴシゴシ

一夏「おはよう、ラウラ」

ラウラ「おはよう、嫁」

一夏「なあラウラ、何度も言っているけど勝手に―――」

ラウラ「断る!私は私のやりたいように…」スルッ

一夏「だあぁぁぁぁ!せめて服を着ろ!服を!頼むから!」アワアワ

ラウラ「何故だ?夫婦とは包み隠さぬものなのだろう?」

一夏「はぁ……朝から頭が痛ぇ………」





4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 14:48:13.75 ID:2XKL6nnV0



一夏(まったく……毎日される身にもなってくれよな)

一夏(いくらなんでも、無防備すぎるだろ……)

一夏(しかも見た目は抜群に可愛いから困る………)






5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 14:50:08.96 ID:2XKL6nnV0



~食堂~


一夏「いただきます」

ラウラ「いただきます」

ラウラ「………」モグモグ

一夏「………」パクパク

ラウラ「………」モグモグ ゴクッ

ラウラ「…なぁ、嫁よ」

一夏「ん?」





6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 14:52:00.10 ID:2XKL6nnV0



ラウラ「単刀直入に聞く」

ラウラ「私はおまえにとって、どのような存在なのだ?」

一夏「なんだよ急に」

ラウラ「いいから答えてくれ」

一夏「ん~、そうだなぁ」





7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 14:55:34.36 ID:2XKL6nnV0



一夏「強いて言うなら、ラウラは放っておけない妹のような存在かなぁ」

ラウラ「妹!?」ガーン

一夏「俺の家族は千冬姉しかいないから、よくわからないけど」

一夏「もし俺に妹が居たら、たぶんこんな感じなのかなぁと思う」

ラウラ「私が…おまえの妹みたいな存在…だと………?」

一夏「ああ。なんだか、大切な家族のように思えるよ」





8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 15:02:13.06 ID:2XKL6nnV0



ラウラ「う、うむ。そうか」

ラウラ「そう言ってくれると私も嬉しいぞ」

ラウラ「……待て。私が妹だと。それだと法律的に、私は一夏を嫁にできない………」

ラウラ「ふ、複雑な気分だ。こういうときはどうしたらいい…?」


一夏(けど、たまにドキッとさせられることも)ボソッ


ラウラ「それは本当か!?」ガタッ

一夏「あ…なな何でもねぇよ!」

ラウラ「待て、もう一度言ってくれ!」

一夏「そ、そうだ!千冬姉に呼び出し食らってたんだ!じゃあなラウラ!」ダッ

ラウラ「あ、待て!逃げるな!」





9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 15:03:50.96 ID:2XKL6nnV0



ピピピピ ピピピピ




ラウラ「ん?なんだ?」

ラウラ「本国からのメールか……」

ラウラ「………」

ラウラ「これはいったい………」





10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 15:26:03.02 ID:2XKL6nnV0





トゥルルルルルルッ トゥルルルルルルッ トゥルルルルルルッ




クラリッサ「―――受託。クラリッサ・ハルフォーフ大尉です」

ラウラ「ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐だ」

クラリッサ「ラウラ・ボーデヴィッヒ隊長、どうかされましたか?」

ラウラ「聞きたいことがある。司令部からの帰還命令についてだが………」

クラリッサ「ああ、その件についてですか」

クラリッサ「今回は『シュヴァルツェア・レーゲン』再調整のために帰国となります」

ラウラ「随分と急だな」

クラリッサ「あの事件後、委員会の強制捜査が入りましたし、上層部も気が気でないのでしょう」

クラリッサ「それに、今の隊長の機体は予備パーツで補っただけですからね」

クラリッサ「機体は常に万全な状態でなければなりません」

クラリッサ「我々は常に国の命運を担っているのですから」

クラリッサ「期間は2週間。内容はコアと機体の検査、再調整」

クラリッサ「あと一部システム変更が行われるようです」


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――――――
―――






11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 15:29:49.69 ID:2XKL6nnV0



???「VTシステムねぇ」

???「確かに今のままでは不細工で不完全だわ」

???「けれど発想は悪くないのよね」

???「幸いにもデータは確保できた」

???「ふふっ♪」

???「あら、事を起こすのに理由なんて必要かしら?」

???「ん~、理由というなら、あの坊や達はどのように動くのか―――」

???「そこに強く興味をそそられるから―――では駄目かしら?」

???「え?個人的な理由を混ぜるなって?」

???「冗談よ、冗談。あまり本気にしないで頂戴」

???「もちろん、組織のためよ。あれは大きな利益になる可能性を秘めているわ」

???「何?」

???「事をどう進めるのかって?」

???「そうねぇ………」

???「あの子には悪いけど、もう一度実験台になって貰おうかしら―――」



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12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 15:32:44.50 ID:2XKL6nnV0



~ ドイツ国内 軍施設 ~



クラリッサ「お久しぶりです、ラウラ隊長。待っておりました」

ラウラ「久しぶりだな、クラリッサ。部隊を任せきりにしてすまない」

クラリッサ「それは気にしないで下さい」

クラリッサ「どんなに離れていようと、我々は常に隊長と共にあるのですから」

ラウラ「クラリッサ…感謝する」

クラリッサ「では隊長、早速ですが」

ラウラ「ああ」





クラリッサ「織斑教官の弟とはうまくいっているのですか?」

ラウラ「えっ」



13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 15:40:20.17 ID:2XKL6nnV0



クラリッサ「どうなのですか?」キュピーン

ラウラ「あ、ああ、それがよくわからないのだ」

ラウラ「クラリッサ、こういう場合はどうしたらいい?」

クラリッサ「まずは状況把握を。最近、彼に言われた言葉は?」

ラウラ「ああ、この間、一夏にとって私はどのような存在かを問い詰めたところ―――」

クラリッサ「なんて馬鹿なことを!?」

ラウラ「!?」





14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 15:44:13.84 ID:2XKL6nnV0



クラリッサ「いいですか隊長、これは長期戦なのです」

クラリッサ「長期戦が迅速な判断と突発的な行動だけでどうにかなると思いますか?」

ラウラ「なっ!た、確かに……」

クラリッサ「話を聞く限り、相手はどんな猛攻も受け流す究極の唐変木」

クラリッサ「ここはじっくり攻めるべきです」

クラリッサ「ひとつひとつを着実に積み上げていくのです」

クラリッサ「それは全体からすれば、些細なことに見えるかもしれません」

クラリッサ「しかしその積み重ねが…やがて戦局を決定づける!」

ラウラ「あ、ああ、クラリッサ……私は理解したぞ!」






15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 15:47:49.03 ID:2XKL6nnV0



クラリッサ「それで彼になんと言われました?」

ラウラ「私のことを妹のような存在、大切な家族のようだと」

クラリッサ「な、なん…ですって……」

クラリッサ(家族扱い……ある意味絶望的な状況です)

クラリッサ「それは異性として見られていな―――」

ラウラ「それと、たまにドキッとさせられるとも―――」

クラリッサ「!!」

クラリッサ「それは本当ですか!?」ガシッ

ラウラ「」ビクッ





16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 15:49:52.64 ID:2XKL6nnV0



ラウラ「い、いや、辛うじて聞き取れただけだ」

ラウラ「聞き返したら逃げられてしまった」

ラウラ「もしかしたら私の聞き間違えかもしれない」

クラリッサ「いえ隊長、それは相手に”脈アリ”かもしれません」

クラリッサ「しかし、なんとも際どい状況です。一歩間違えれば、家族扱い」

クラリッサ「隊長、これからの行動は慎重にすべきです。しかしときには熱く大胆に!」

ラウラ「りょ、了解した」

クラリッサ「コホン…少し熱くなりすぎました。無礼をお許し下さい」

クラリッサ「では本題に移るとしましょう―――」



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―――





17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 15:50:59.35 ID:2XKL6nnV0




チュン チュン



一夏「ん………」゙

一夏「……朝か」ムクッ

一夏「………」ボケー

一夏「………あれ?」

一夏「いつもと何かが違う………」

一夏「………なんだっけ?」

一夏「………」ボケー

一夏「そうか、ラウラはドイツに戻っているんだっけ………」

一夏「………」

一夏「いないならいないでなんか調子狂うな………」

一夏「………」

一夏「…べ、別にラウラがいなくて寂しいってわけじゃないんだからな///」

一夏「………」

一夏「…一人で何を言っているんだ俺は………」


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―――






18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 15:54:06.33 ID:2XKL6nnV0



~ 2週間後 ~



ラウラ「世話になったな、クラリッサ。引き続き、部隊のことをよろしく頼む」

クラリッサ「お任せ下さい、隊長。お気をつけて」

ラウラ「では、またな」スッ

クラリッサ「隊長」

ラウラ「なんだ?」

クラリッサ「健闘を祈ります!」ケイレイ!!





19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 15:56:52.69 ID:2XKL6nnV0



~ シャルロット・ラウラの部屋 ~



ラウラ「やっと帰ってきた。さっそく嫁に会いにいくとするか!」

ラウラ「しかしクラリッサは慎重にいけと言っていたな」

ラウラ「慎重に……か。これからよく考える必要があるな」

ラウラ「嫁に会うのは明日にして、今後の行動を考えるか」

ラウラ「しかし帰国も以外に疲れたな……」

ラウラ「うーむ………」











…zzz



シャル「あれ、ラウラ?いつ戻ったの?」

シャル「って寝ちゃってるし。ふふっ、可愛いなぁ」




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―――――――――
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―――






20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 16:01:19.52 ID:2XKL6nnV0



???「C-0037、気分は如何かね?」

ラウラ「う……ぁ………」

???「さて、この拷問はいかがだったかな?ん?」

???「三日間の不眠に断食。それに加えて」

???「眉間に水滴を落とし続ける―――」

???「有名な拷問だ。落ちる水滴は徐々に痛みを増し、やがて激痛となる」

???「そして、しまいには何も感じられなくなる」

???「もう何も考えられまい」

ラウラ「………」

???「いかなる人間も恐怖と苦痛には屈する」

???「君も知ってるだろう?」

ラウラ「………」





21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 16:07:51.29 ID:2XKL6nnV0



???「それにしてもよく耐える」

ラウラ「………」

???「そうだな。ご褒美をあげよう」

???「君の大切なものを用意した。きっと喜んでくれるだろう」

ラウラ「………」

ラウラ「……ぁ………あ………」

ラウラ「………か……」

ラウラ「…いち、か………いちか………?」

ラウラ「………一夏ッ!」

???「一夏、大丈夫か!?しっかりしろ!」

???「そう、織斑一夏君だ。君が行為を寄せている人だろう?」

???「今すぐ一夏を解放しろ!一夏は関係ない!!巻き込むな!」

???「ふむ…喜んでくれると思ったのだが。なかなかうまくいかないものだな」



29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 16:32:01.03 ID:2XKL6nnV0



???「名案を思いついた」

???「君は頑丈だ。なかなか壊れない。だから君の変わりに彼を壊すとしよう」

ラウラ「なっ!?やめろ!それだけはやめろ!」

???「何故喜ばない?君はもう、苦しまずに済む」

ラウラ「一夏に手をだすな!私を壊せばいいだろ!」

???「そうだな、彼には凌遅でも試してみよう」

ラウラ「やめろぉっ!?一夏だけはやめろっ!」

???「さて、どこからバラしていこうかな」

ラウラ「ッ殺す!貴様を殺すっ!殺す!殺す!」

???「はっはっは。そうだ、C-0037。それでいい」

???「君はなんのために生み出された?」

ラウラ「貴様を絶対に殺してやるッ!!」

???「そう、君はそれでいいのだ」

???「さて、彼はどこまで耐えられるかな」





ラウラ「やめろおおおおおおおおおおっ!!」





23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 16:15:16.46 ID:2XKL6nnV0











ラウラ「うああああああああああっ!」ガバッ






ラウラ「ぁ………」

ラウラ「夢か……」

ラウラ「………」



――― 君はなんのために生み出された? ―――






私は―――私は――――――




24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 16:18:09.65 ID:2XKL6nnV0



~ 翌日 ~



一夏「おお、ラウラ!おはよう!戻ってたのか!」

一夏「随分と久々な気がするぜ!」

ラウラ「……あ、ああ、お、おはよう」

一夏「どうした?なんか変だぞ?どっか調子でも悪いのか?」

ラウラ「い、いや、何でもないんだ」

ラウラ「ただ少し悪い夢をみただけだ―――――」





28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 16:30:04.97 ID:2XKL6nnV0



~ さらに1週間後 ~


一夏「………」


一夏(最近、ラウラに元気がないように見える………)

一夏(授業中もIS訓練中も、ぼーっとしていることが多い気がするし………)

一夏(何よりも、ドイツに帰ってから、俺のベットにまったく潜り込んで来なくなった………)

一夏(ラウラ……いったい、どうしちまったんだ?)








31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 16:39:19.39 ID:2XKL6nnV0



既に知っていると思うが、私は兵器と同じだった。

遺伝子強化試験体C-0037 - ラウラ・ボーデヴィッヒ -

だがあの事件で全てが変わった。今の私は、只の”ラウラ・ボーデヴィッヒ”だ。

その事実が私を困惑させる。

私は―――今の”ラウラ・ボーデヴィッヒ”はどう在ればいいのかわからない。

今まで、無意識のうちに支えられてたようだ。自分の存在理由に。

他の生徒達はどうだろうか?なんのために、この世に産み落とされた?

通常、誰も存在理由など持って生まれてはこない。

だが遺伝子強化試験体C-0037 - ラウラ・ボーデヴィッヒ - には明確な理由があった。

ただ”戦い”のために。より強大な力となるために。

しかし私はもう、遺伝子強化試験体C-0037 - ラウラ・ボーデヴィッヒ - ではない。

そして今の”ラウラ・ボーデヴィッヒ”には明確な存在理由がない。

なら私は、何のために存在しているのだろう―――

今の私は一体何なのだ?





32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 16:43:48.73 ID:2XKL6nnV0



~ 翌日 ~




チュン チュン






一夏「…ん……んん?」モゾモゾ




フニュッ フニュッ




一夏「…ラウラか?」

ラウラ「………」

一夏「どうしたんだ急に?最近、まったく潜り込んでこなかったのに」

一夏「ってやっぱり裸か!!頼むから服だけは着てくれよ!!な?」

ラウラ「すまない……今だけは許してくれ……頼む」ギュウ

一夏「ラウラ………?」






33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 16:49:22.76 ID:2XKL6nnV0



一夏「……まぁ、今はよしとするか」

ラウラ「………」

一夏「なぁラウラ、いったいどうしたんだ?」ポンポン

ラウラ「………」

一夏「授業中もIS訓練中も、どこか上の空だし」ナデナデ

ラウラ「………」

一夏「なにか悩んでいることでもあるのか?」

ラウラ「………」

一夏「良かったら俺に話してくれないか?」

ラウラ「………」

一夏「その、なんだ…ラウラが心配なんだよ」

ラウラ「………」





34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 16:53:06.90 ID:2XKL6nnV0



ラウラ「…なぁ、一夏」


ラウラ「私は一体”誰"なのだろうか?」


一夏「なに言ってんだよ。ラウラはラウラだろ?」

ラウラ「……いや、そうではないんだ」

一夏「違うのか?」

ラウラ「………」

ラウラ「最近よく夢を見る。昔のことだ――」

ラウラ「夢を見る度に嫌でも実感するのだ………」

ラウラ「私は所詮、”兵器”だ、と」




35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 16:56:01.55 ID:2XKL6nnV0



一夏「何言ってんだよ!ラウラは兵器なんかじゃねえよ!」

ラウラ「何故私が”兵器”でないと言い切れるのだ?」

一夏「だってそりゃ――」

ラウラ「私は戦い以外のことをなにも知らかった。確かに私は兵器と同じだったのだ」

ラウラ「なら今の私はなんだ?」

ラウラ「兵器である自分に、適当なものを塗り重ねただけじゃないのか?」





36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:04:00.54 ID:2XKL6nnV0



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ラウラ・ボーデヴィッヒ!―――



おまえは誰だ?―――



誰でもないのなら、これから”ラウラ・ボーデヴィッヒ”になるがいい―――



ああ、それから―――

おまえは私にはなれないぞ―――


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:08:17.27 ID:2XKL6nnV0



ラウラ「わからない……わからないんだ!今の自分が……」

一夏「ラウラ……」

一夏「………」

一夏「なぁ、ラウラ。あの日のことを覚えているか?」

ラウラ「あの日……?」

一夏「俺がラウラを止めた日だよ」

一夏「あのとき、俺は言ったじゃんか」


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一夏「強さっていうのは、自分がどうありたいのかを常に思うことじゃないか、と俺は思う」

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38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:11:04.28 ID:2XKL6nnV0



一夏「ラウラはどんな自分でありたい?」

ラウラ「……私は未だに、どうありたいのかわからない」

一夏「俺だって、”自分がどうありたいか”を常に意識できてるわけじゃない」

一夏「ラウラにはそう言ったけど、半分は自分に言い聞かせたかっただけさ」

一夏「俺もよくわかってないのかもしれない。けど―――」

一夏「俺は何事も自分が思うままに、やりたいようにやっていきたい」

一夏「先のことは考えない。それは先の自分にまかせる」

一夏「自分に正直になる。ただそれだけさ」





39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:12:14.48 ID:2XKL6nnV0



ラウラ「自分が思うままに……」

一夏「そう。ラウラだってやりたいようにやればいい」



一夏「なりたい自分になればいいさ」



ラウラ「なりたい自分……か」





40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:13:42.71 ID:2XKL6nnV0



ラウラ「一夏、やっぱりおまえは強いな。教官と同じように」

一夏「千冬姉はともかく、俺は強くなんかねぇよ」

一夏「タイマンじゃラウラに勝てる気がしないし」

ラウラ「いや、おまえは私より遥かに強い」





41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:16:27.70 ID:2XKL6nnV0



ラウラ「一夏、私の話を聞いてもらってもいいか?」

一夏「もちろん」

ラウラ「私はずっと、教官のように強くありたかった」

ラウラ「だから強さを求めた」

ラウラ「感情を捨て、より合理的になること。それこそが強さだと信じて疑わなかった」





42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:20:25.39 ID:2XKL6nnV0



ラウラ「だが、おまえに助けられて気づいた。私は強さの意味を履き違えていたのだ」

ラウラ「私が求めた強さと教官の持つ強さは違うものだった」

ラウラ「私がまったく知ろうとしなかったものだ」

ラウラ「教官と一夏が持っていて、私が持ってなかったもの」

ラウラ「それは誰かを守りたいという強き願い」




43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:21:55.43 ID:2XKL6nnV0



ラウラ「私は教官に救われ、今度は一夏にまで救われた」

ラウラ「おまえは私を”守ってやる”と言ってくれた」

ラウラ「その言葉に強く揺さぶられた」

ラウラ「だから私もいつか、教官やおまえのように」

ラウラ「誰か守れるようになりたいものだ―――」





44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:24:12.62 ID:2XKL6nnV0



~ しばらくして ~




一夏(もうラウラは調子を取り戻したみたいだ)

一夏(よかった。やっぱラウラは堂々としてなきゃラウラじゃないよな)

一夏(けど、あいかわらず勝手に潜り込んでくるんだよな。やっぱり裸だし………)



コンコン



ラウラ「一夏、入るぞ」ガチャッ

一夏「ん?ラウラか。どうした?」





45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:27:04.02 ID:2XKL6nnV0



ラウラ「私の訓練に付き合って貰いたい」

ラウラ「国で再調整してきた機体で、色々試してみたいのだ」

一夏「あー、すまん。今日は出かける予定があるんだ」

一夏「知り合いがもうすぐ誕生日でな、今日はそのプレゼントを買いにいかないと」

ラウラ「むぅ、そうか。それなら仕方ない」





46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:30:01.49 ID:2XKL6nnV0



ラウラ「プレゼントか……その友人が羨ましいものだ」

ラウラ「私は今まで支給品しか貰ったことがないからな」

一夏「ラウラ……」

ラウラ「はっ、すまない。空気を重くしてしまった。今のは忘れてくれ」

一夏「ならラウラにもなにかプレゼントするぜ!」





47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:32:39.09 ID:2XKL6nnV0



ラウラ「いや、気にしないでくれ。今、私にはプレゼントを貰う理由がない」

一夏「俺がラウラにプレゼントしたいからじゃ駄目か?」

ラウラ「好意だけ受け取っておこう。一夏に余計な負担を掛けたくない」

一夏「別に負担なんかじゃねえよ。だから遠慮するなって」

ラウラ「一夏、私は本当に大丈夫だから―――」



一夏「だあああああああああっ!!」

ラウラ「」ビクッ





48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:38:18.58 ID:2XKL6nnV0



一夏「だからいいんだって!俺がラウラに買ってやりたいんだよ」

ラウラ「だが―――」

一夏「異論は認めん!決定事項だ!」

ラウラ「ほ、本当にいいのか?」

一夏「もちろんだ。ちなみに欲しいものってあるか?」

ラウラ「わ、私は一夏が選んでくれたのなら何でも―――」

一夏「んー、そうだな。せっかくだしラウラが決めてくれ」






49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:39:22.01 ID:2XKL6nnV0



ラウラ「私が決めるのか!?」

一夏「ああ。自分が思うままに―――だろ?」

ラウラ「……そうだったな」

ラウラ「し、しかし、だな、急に言われても直ぐには思いつかない」

ラウラ「何しろ初めてのことなのだ……」

ラウラ「だ、だからよく考えてから決めてもいいだろうか?」

一夏「おう!けどあまり高すぎるものは無理だぞ。俺にも限界があるから―――」





50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:41:55.89 ID:2XKL6nnV0



~ 数日後 ~



ラウラ「一夏、私は決めたぞ」

一夏「そうか。んで何に決めたんだ?」

ラウラ「私について来てくれ。行けばわかる」


―――――――――――
―――――――――
――――――
―――




ラウラ「ここだ」

一夏「ここって………」

一夏「ミリタリーショップ?」





51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:48:31.93 ID:2XKL6nnV0



ラウラ「失礼する」ガラララララ

店長「おう、いらっしゃい!この前の嬢ちゃんじゃないか!」

店長「おうおう、今日は彼氏と一緒か!やるねぇ!」

ラウラ「ああ、私の嫁だ」

店長「嫁…だあ?」

一夏「あっ、いや!お、俺は、ち違います!店の人になに言ってんだよラウラ!」

店長「はっはっは!こりゃいい!」





52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:49:36.44 ID:2XKL6nnV0



一夏「そ、そんなことより、今日は欲しいものがあって来たんだろ?」

ラウラ「うむ、そうだったな」

一夏「ラウラが欲しいものって……まさか銃?」

ラウラ「いや違う。これだ」ツン ツン

一夏「認識票?………ドッグタグか」

ラウラ「ああ」





53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:55:58.85 ID:2XKL6nnV0



一夏「なぁラウラ……本当にこれでいいのか?」

一夏「あー、ほらイヤリングとかブレスレットとか」

一夏「もっと女の子らしいものとかさ。少しくらい値が張っても―――」

ラウラ「いいんだ。私が考えに考えを重ねて、出した結論だ」

一夏「そっか……わりぃ、ラウラがよく考えて出した答えだもんな」

一夏「すみません。これ―――お願いします」





54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 17:58:58.62 ID:2XKL6nnV0



店長「おお、嬢ちゃんが前に言ってたやつか」

ラウラ「ああ、刻印は前に伝えた通りので頼む」

店長「あいよ。けど、このドッグタグは特別製でな」

店長「核攻撃にも耐えられる代物なんだ」

店長「だから仕上げるのにちとばかし時間が掛かるがいいかい?」

ラウラ「一夏、ここで待っていてもいいだろうか?」

一夏「俺は構わないよ」

店長「それじゃ仕上げちまうから、その間は適当に店内でも見ててくれ」

ラウラ「わかった」





イチカ.コノ ジュウ ハ MP5 トイウ SMG デナ    ヘー

ム? イチカ、 チャント キイテイルノカ?   キ、キイテルッテ



―――――――――――
―――――――――
――――――
―――





55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 18:31:29.29 ID:2XKL6nnV0



ラウラ「一夏、本当にありがとう。一生大切に身に着ける」

一夏「そこまで言ってくれると、買った甲斐があったな」

ラウラ「当然だ。おまえが初めて買ってくれたものなのだからな」

一夏「けど、なんでそれにしたんだ?」

ラウラ「ああ、理由か?あれから相変わらず、昔の夢ばかりみるのだ」

ラウラ「どんなに意識してても、あの夢は苦しい」

ラウラ「だがもう大丈夫だ。自分を見失うことはない」

ラウラ「もし見失いそうになっても、このタグを見て思い直す」



56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/28(土) 18:33:17.34 ID:2XKL6nnV0



一夏「それ、見せてもらってもいいか?」

ラウラ「うむ」

一夏「どれどれ。名前と血液型と……宗派か」

一夏「ん?この文はなんだ?ドイツ語かな?」

ラウラ「ああ、これは正式なものではないから自由に刻印できると聞いたのでな」

ラウタ「おまえが教えてくれたことだ」






――― なりたい自分を目指せ ―――







69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 13:23:18.88 ID:YvI2vC160



~ 臨海学校当日 ~




ザザァー   ザザァー



一夏「やっぱ夏っていったら海だよなぁ」

シャル「一夏、ここにいたんだ」

一夏「お、シャルか。どうだ?これから一緒に泳がな―――」クルッ

一夏「ってなんだ!そのミイラは!?」

シャル「あー、これ……ラウラなんだよね」

一夏「ラウラぁ!?」





71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 13:24:53.52 ID:YvI2vC160



シャル「ほら、ラウラ。だから大丈夫だって」

ラウラ「だ、大丈夫かどうかは、私が決める……」

シャル「でも、その姿じゃ海で一緒に遊べないねぇ?」

シャル「ならボクと一夏だけで遊んじゃうけどぉ、い・い・の・か・な・ぁ?」ニヤニヤ

ラウラ「それは駄目だ!ああ……もう……ええぃ!」





バサッ







ラウラ「うう………わ、笑いたければ笑え……」

一夏「」ズキューン





72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 13:26:42.43 ID:YvI2vC160



ラウラ「一夏……その、反応してくれないと困る」

シャル「一夏?」


一夏「はっ、すまん」


一夏「よく似合ってる。すごく可愛いと思うぞ!」

ラウラ「わわわ私が、かかか可愛いだと!?」カァァァァ

一夏「けど泳ぐときまでタグを身に着けるのか」

一夏「それ、本当に気に入っているんだな」


ラウラ「かわいい……私が可愛い……///」

ラウラ「」ボッ

一夏「じゃあ泳ぎにいこうぜ!」

シャル「うん!」

シャル「ってあれ、ラウラ?」

ラウラ「」プシュー

シャル「やれやれ………」



―――――――――――
―――――――――
――――――
―――






73: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 13:31:30.64 ID:YvI2vC160



千冬「一段落ついたな」

千冬「山田先生を誘って、私も軽く泳ぐとするか」

千冬「わざわざ愚弟が水着を選んでくれたことだしな」

真耶「たっ、たた大変ですっ!お、お織斑先生っ!!」

千冬「山田先生、どうしたのですか?」

真耶「こ、こ、これを!」

千冬「………」

千冬「特命任務レベルA、か―――」

千冬「………」

千冬「山田先生、今すぐ専用機持ち全員を招集してくれ―――」

真耶「は、はいっ」





74: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 13:41:04.35 ID:YvI2vC160



~ 旅館 大座敷・風花の間 ~



千冬「おまえたちを呼んだのには理由がある」

セ・シャ・鈴・ラ・一夏「………」

千冬「まず現状にについて説明する」

千冬「二時間前、ハワイ沖で試験稼働にあったアメリカの軍用無人IS―――」

千冬「開発コード名『福音』が制御下を離れて暴走。監視空域を離脱した」

千冬「その後、衛星での追跡の結果、ここから30[km]離れた沖合海上に待機モードの福音を確認」

千冬「学園上層部からの通達により、我々がこの事態に対処することになった」

千冬「とはいえアメリカ軍は好き勝手に動いているようだがな」

全員「………」





75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 13:44:47.14 ID:YvI2vC160



千冬「訓練機の装備では、この件に対応するのは難しい」

千冬「教員は訓練機を使用して空域および海域封鎖に当たる」

千冬「つまり本作戦で要になれるはおまえたちだけだ」

一夏「えっ!?つまり俺たちで軍用ISを止めろってこと!?」

千冬「そうだ」

セ・シャ・鈴・ラ・一夏「………」

千冬「『福音』は非常に危険な相手だ」

千冬「データからわかるのは、機動性能と武装のみ。他は未知数」

千冬「この機動性能が相手だと、好機を作り出すのは一度が限界だろう」

千冬「一撃で決めなければ、恐らく止めることはできない」





76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 13:54:47.18 ID:YvI2vC160



千冬「織斑―――おまえの零落白夜の、一撃必殺の威力が必要だ」

一夏「…え、ええっ!俺が!?そんないきなり言われても―――」

千冬「覚悟がないなら無理強いはしない。その場合は我々でどうにかしよう」

千冬「これは訓練ではない。実戦であり、危険だ」

一夏「!!」

千冬「最悪、命を落とすことだってあり得る」

一夏「俺は―――」





77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 13:58:02.20 ID:YvI2vC160



ことの重さに俺は一瞬怯んだ。

けどここで俺がやらなきゃ、誰が止められる?

『福音』はいつまでもじっとしているとは限らない。

ヤツは急に暴れ始めるかもしれない。

もし俺がビビッてやらなければ、犠牲者が出てくるかもしれない。

そんな自分だけは絶対に許せない。

俺がやらなかった性で、誰かが傷つくのだけは嫌だ。

自身を奮い立たせろ!やるんだ。やるしかない。やってみせる!



一夏「やります。俺が止めてみせます」





78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 14:17:41.85 ID:YvI2vC160



千冬「そうか。他の者はどうする?」



――― やります! ―――



一夏「おい!そんな簡単に返事していいのかよ!死ぬかもしれないんだぞ!」

ラウラ「同然だ。一夏には私のサポートが必要だろう?」

セシリア「一夏さんだけにまかせる訳にはいきませんわ」

鈴「あんた一人じゃ心配だからねー。感謝しなさいよ!」

シャル「ボクにもできることはあるはずだから。力になるよ」



一夏「みんな………」



千冬「よし。ではこれより作戦内容について説明する」





79: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 14:20:26.87 ID:YvI2vC160



~ 箒達の部屋 ~



コンコン



箒「む、この事態に……誰だ?」

一夏「箒、いるかー?」ヒソヒソ

箒「一夏!?」

箒「何をしているっ!自室待機命令中だぞ!」

一夏「しーっ!声がデカい!他のヤツに見つかるだろ」


シノノノサン ドウカシタノー?


箒「べ、別に何でもないぞ!」





80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 14:25:43.63 ID:YvI2vC160



箒「そ、それで、私に何の用だ?」

一夏「実は箒に渡しておきたいものがあってな」

箒「よりによってこんなときに―――」

一夏「はい箒、誕生日おめでとう」

箒「えっ」

一夏「これ、受け取ってくれ」

箒「あ―――」

一夏「今日は箒の誕生日だろ?」

一夏「けど今日は今くらいしか渡せる機会がなくてな」

箒「……ありがとう」

一夏「用はそれだけだ。じゃあな、箒」

箒「待て!一夏―――」

箒「行ってしまった………」

箒「………」

箒「一夏……まさか、この事態となにか関係しているのか………?」

箒「また自ら危険なことに巻き込まれようと………」

箒「………」

箒「私にも力が………専用機があれば、一夏の力になれるのに―――」





81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 14:36:08.99 ID:YvI2vC160



~ 一夏の視点 ~



上空5000[m] ――― 俺は薄い雲に紛れて機会を待つ。

ハイパーセンサーを通して”福音”を確認する。

薄いエネルギーの繭に包まれ、うずくまっている。母体で眠る胎児のように。

そこから5[km]離れた位置では、シュヴァルツェア・レーゲンが砲撃準備を整えていた。

その姿は、砲戦パッケージに切り替えられている。



ラウラ「目標確認。これより砲撃を開始する」



左右の肩部の80口径レールカノン砲身に電流が走り、

電磁誘導により加速された砲弾が射出された。

”福音”の頭部に超音速で飛来した砲弾が直撃し炸裂!

作戦が始まった。





82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 14:37:50.51 ID:YvI2vC160



福音「―――!?」

ラウラ「初撃命中。このまま砲撃を継続する!」



ラウラは目覚めたばかりの”福音”に容赦なく砲撃を続ける!

しかしヤツは一瞬で持ち直し、持ち前の機動力で続く砲弾を回避。

そのままラウラへと向かってゆく!



福音「敵機認識。迎撃MODEへ移行」

ラウラ(くっ!予想よりも早い!)



砲戦仕様はその反動相殺のため、機動性が犠牲になっている。

”福音”はさらに急加速を行い、残り距離を一気に詰め、その右腕をラウラへ伸ばす!



ラウラ「―――かかったな。セシリア!!」ニヤ



ガキィンッ!!



福音「!!」





83: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 14:47:22.00 ID:YvI2vC160




”福音”は突如飛来したブルー・ティアーズに弾き飛ばされる!

砲戦仕様では追いつかれることも計算済みだ。

そもそも、始めから機動力で勝負しようとは思っていない。

ブルー・ティアーズはステルスモードで上空に待機していたのだ。

突撃したセシリアは、大型BTレーザーライフルを構えて狙撃を開始する!

ラウラもそのまま砲撃を継続し、”福音”は二機からの同時攻撃を受けることになった。

しかし突如、回避を続けていた”福音”よろめく。



福音「!?」

シャル「ボクにも気付いて欲しかったね」





84: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 14:51:36.82 ID:YvI2vC160




セシリアの機体だけでなく、シャルの機体もステルスモードを使っていた。

セシリアと同時にシャルロットも突撃していたのだ。

接近したシャルの二丁のショットガンが火を噴き続ける!

マガジンを撃ち尽くしたシャルロットが後退すると共に、二機から砲撃が再開される。

3機からの同時攻撃を受け続ける”福音”は確実に追い詰められていた。

シャルからの攻撃を受けていた”福音”が強引に全方向へエネルギー弾の放つ!

瞬間的に弾幕を張り、その隙に全スラスターを用いてこの空域から離脱しようとする!



鈴「させるかぁ!」





85: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 14:52:41.10 ID:YvI2vC160



海中から鈴の”甲龍”が姿を現した。

現れると同時に甲龍の両肩が開き、衝撃弾が放たれ”福音”を揺さぶる。

そこに態勢を立て直した3人からの砲撃が加わり、”福音”は砲弾の連撃に揉まれてとうとう足が止まる。

だがこれだけ砲撃を浴びても”福音”は動いている。なんて頑丈なヤツなんだ。



鈴「動きが止まればこっちのもんよ!一夏!!」

一夏「おう!」





86: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 14:59:55.37 ID:YvI2vC160



出番だ。俺は雪片弐型を構え、全ブースターを最大出力にする。

一瞬でトップスピードまで加速し、俺は超音速の弾丸となって一直線に”福音”へ向かう。

同時に鈴は二対の青龍刀『双天牙月』を抜き放ち”福音”に白兵戦を仕掛けた!

接近に気付いた”福音”は鈴に向けてエネルギー弾の雨を放出!



――― 残り4000[m] ―――





87: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 15:00:42.27 ID:YvI2vC160



シャル「やらせないよ!」

鈴の進路に飛び出してきたシャルがシールドで弾雨を防いだ!

そのままシャルを飛び越えて、鈴の右手の青龍刀が”福音”へ肉迫!



――― 残り3000[m] ―――





88: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 15:01:56.52 ID:YvI2vC160



”福音”は器用にも左手で青龍刀の刃側面を叩き、斬撃軌道を強引に変えて回避。

残った右手を突き出す!すぐさま鈴は左手の刀で応じ、激しい火花が飛び散る!



――― 残り2000[m] ―――





89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 15:12:56.29 ID:YvI2vC160



再び右の青龍刀が閃き、必殺の一撃を繰り出す。

”福音”は体を傾け回避し、そのまま回転。同時に脚部スラスターを噴出し、

加速された回し蹴りが鈴を襲う!

鈴は辛うじてその一撃に対応したが、衝撃を受け止めきれず弾き飛ばされた!



――― 残り1000[m] ―――





90: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 15:28:24.03 ID:YvI2vC160



態勢を立て直そうとする”福音”に、間をおかずシャルが近接ブレードで攻撃を仕掛ける!

”福音”の意識がシャルに向いた。

その隙を逃さず、持ち直した鈴がヤツの背後から青龍刀を振り下ろした!

その一撃は”福音”の片翼を奪った!

しかし翼を奪われながら”福音”は後ろ蹴りを放ち、鈴はその一撃を喰らってしまった。

すかさずシャルに向かってエネルギー弾を放ち、追撃を許さない。

ふと”福音”が上を見上げる。気付かれた!

苦し紛れにエネルギー弾を放ち、その場から逃げようとする!

だが片翼じゃ十分に動けないはず!既に俺の距離だ!

雪片弐型エネルギー最大出力!



一夏「逃がさねぇっ!!」





91: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 15:46:25.71 ID:YvI2vC160




被弾にも構わず俺は突撃する。エネルギーはかなり削られたが、一撃は叩き込める!

弾幕を突っ切り、”福音”に追いついた!



一夏「うおおおおッ!」



振り向いた”福音”に零落白夜の刃を叩き込む!

刃はヤツの胸部を直撃したが硬ぇ!

けど、ここで決めないと後がない!

腕にありったけの力を込める!



一夏「ぉォオオオオオオオオオオオオアッ!!」



力ずくで刃を振り抜き、”福音”の胸部を粉砕!そのまま海に叩きつける!



一夏「やった…か?」



ヤツは飛び散った破片と共に、海に沈んでいった。





92: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 15:47:41.98 ID:YvI2vC160



ラウラ「一夏!!無事か!?」

一夏「ああ、俺は大丈夫だ。それより鈴は―――」

鈴「私も大丈夫。軽い一撃もらっただけよ」

シャル「やったね、一夏!」

セシリア「これで作戦は終―――」




ドパアァン!!






93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 15:59:17.90 ID:YvI2vC160



突如、海面が爆ぜた。爆発を中心に海水が吹き飛ばされ、

海面に穴ができた。周囲の水は渦巻き、その中心には光り輝く”福音”がいた。



一夏「なん、だ―――」

ラウラ「まずいぞ、これは!セカンドシフトだ!!」



”福音”の形状が変わってゆく。砕けた胸部が枝のようなもので覆われてゆく。

残っていた翼も消え、代わりにエネルギーの翼が生えてきた。

なんなんだよ、これ………

戸惑う俺たちに、千冬姉からの通信が入った。





千冬「全員直ちに撤収しろ!今の”福音”に近づくな!」


福音「キイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」






94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 16:10:14.47 ID:YvI2vC160



”福音”が絶叫する。破壊と殺戮を宣言しているかのように。

駄目だ、完全に補足されている。

ヤツの羽が開き、頭上で球状にエネルギーが圧縮されてゆく。

次の瞬間、極太のレーザーが放たれた!

とっさに全員が回避行動をとったが、途中でレーザーは横に振られた!

そのレーザーはセシリアを直撃!



セシリア「きゃああああああっ!」

一夏「セシリア!」





95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 16:12:11.44 ID:YvI2vC160



セシリアが一撃でやられちまった!そのまま海に墜落してゆく。



鈴「よくもセシリアをっ!」

シャル「鈴!駄目だ!」



鈴が両肩の龍砲で反撃。しかし”福音”は翼から先ほどとは

比べものにならない数のエネルギー弾を放出、衝撃弾を相殺。

残りのエネルギー弾が鈴を襲い、吹き飛ばした。



一夏「なん、だよこれ……なんなんだよ!」

シャル「これは異常だよ!軍用でもこんな性能出せるはずがない!」





96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 16:27:52.72 ID:YvI2vC160



”福音”が動き出した。先ほどより機動力が増している。速い!

さらに瞬間加速を行い、シャルに急接近。にエネルギーの翼でシャルを打った。

シャルは反射的にシールドで防ごうとしたが、耐え切れずに破壊され、

シールドを貫通した翼がシャルを打つ!



シャル「がはっ!」

一夏「シャル!」





97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 16:29:22.50 ID:YvI2vC160



シャルも海面へ叩きつけられた。

”福音”は向きを変え、ラウラへ向かって飛翔する。



ラウラ「くっ」



ラウラはレールカノンを放って迎撃しようとするが、ヤツの機動力の前では無意味だった。

”福音”がラウラに接近。砲戦仕様の機体では”福音”から逃げ切ることは不可能だ。

追いつかれたラウラは首を掴まれ締め上げられる。



ラウラ「か、はっ」






98: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 16:48:07.40 ID:YvI2vC160




”福音”の翼が輝き、一際大きくなった。何をするつもりだ?

その翼が伸び、ゆっくりとラウラを包み込もうとする!

俺はぞくりとした。直観が告げてくる。あれはヤバいと。あれを喰らったら間違いなく死ぬ。

確信すると同時に、体が勝手に動いていた。俺は瞬間加速し、ラウラに向かう。

一瞬が異常なほど長く感じられた。頼む!間に合ってくれ!



一夏「ラウラぁぁぁっ!」バッ



ガキィンッ!!


ドンッ



ラウラ「!?」




99: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 16:50:56.32 ID:YvI2vC160



ギリギリのところで割り込み、”福音”の腕に雪片弐型を叩き込んだ。

ヤツはラウラを掴んでいた手を放し、とっさに俺はラウラを突き飛ばす。

けどラウラの代わりに、俺がエネルギーの翼に包まれることになった。

とたん、全身が爆裂と熱波に襲われた。

視界が赤くなったり白くなったり黒なったりして繰り返される。

アーマーはズタズタになり、全身は焼かれ、骨が嫌な音を立ててゆく。

体験したことのない激痛に意識が遠のく。

全身の感覚がなくなってきてよくわからないが、

翼が開かれて、宙に放り出されたようだ。

ぐにゃりと歪む視界のなか、なんと見えたのはラウラの顔―――

ああ……よかった……ラウラが……無事で……


―――――――――――
―――――――――
――――――
―――





100: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 16:57:09.91 ID:YvI2vC160



~ ラウラの視点 ~



ラウラ「一夏ぁ!」



私は突き飛ばされて、代わりに一夏が”福音”の翼に包まれた。

とたん、激しい炸裂音が轟く。聞きたくなかった。

音が鳴りやむと、翼はボロボロになった一夏を吐き捨てた。

私は一夏を受け止めようとしたが、”福音”は一夏を完全に殺すべく、さらに追い打ちを掛けた。

エネルギー弾の雨が一夏に降り注ぐ。何十回もの炸裂で一夏の体が空中で弾み、そのまま海に落下した。


ああ、なんてことだ……





101: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 17:06:22.40 ID:YvI2vC160



”福音”は私にもエネルギー弾を放ってきた。物理シールドで耐え凌ぎながら、

コア・ネットワークを介して急いで確認する……

クソッ、冷静でいられない。どうしたらいい?

………

そんな………反応が………

何度も確認するが、事実は変わらなかった。つまり一夏は死――――――

心臓が引き攣るように感じた。信じたくなかった。なにかのエラーだと思い込みたかった。



そんな――――――そんな――――――



ラウラ「あ、あ、あ……」





ラウラ「私は……私は………」





――― 大切な人ひとりさえ守ることができないのか ――――――





102: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/01/29(日) 17:09:36.66 ID:YvI2vC160



夢と同じように一夏を失ってしまった―――

黒く冷たい感覚が、体中の神経を支配してゆく―――

許さない。ヤツだけは許さない―――



――― そうだ 力を求めろ 

――― おまえは兵器だ 

――― 己を解放しろ 

――― ”自分が思うままに” 

――― 殺せ! 蹂躙しろ! 血を撒き散らせ! 



目の前が真っ暗になって、意識が闇に堕ちてゆく。

衝動が思考を支配する。もうどうなっても構わない。 

必ずコロス―――





Certification is complete

《 Valkyrie Slay System 》 - starting -



ラウラ「ウア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!」






117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:07:47.42 ID:cLuXrtE30



~ シャルロットの視点 ~



シールドが一撃で破壊されてしまった。とっさに後方瞬時加速したから、

衝撃を緩和することができたけど……まともに喰らっていたら

装甲が破壊されていたに違いない。

ボクはまだ動けるけど、どうしよう……あいつを振り切るのは無理だ。

しかもさっきから織斑先生と通信ができない。一体どうなっているの!?

とにかく現状確認だ。コア・ネットワークから情報を集め、みんなの状況を確かめる。

まずい―――

ラウラと”福音”の距離が近すぎる。ラウラが危ない!

態勢を立て直し、海中から飛び出す。

けど何かおかしい。二機の座標はまったく変化してない。

違和感を感じながらも、ボクは急ぐ。

二機を視認できる距離まで近づいたとき、異変は生じた。




なに、あれ―――





118: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:11:46.90 ID:cLuXrtE30



突然、シュヴァルツェア・レーゲンからタールのようなドロっとした液体が溢れ出た。

その液体は装甲の表面をゆっくりと覆ってゆく。VTシステム!?

いや、違う……装甲は溶けていない。ならあれは一体!?

ラウラの全身には黒い根のようなものが伸びてゆき、広がってゆく。

やがて液体は装甲と同化した。その表面は不気味に波打っている。




ラウラ?「………」

福音「最優先目標確認。排除スル」

ラウラ?「………」

ラウラ?「コロス」



宣言と共に、白銀と漆黒が激突した―――





119: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:15:08.06 ID:cLuXrtE30



~ 旅館 大座敷・風花の間 ~



真耶「織斑先生!専用機達と交信ができません!」

真耶「何者かに妨害されているようです!」

千冬「何!」

千冬「………」

千冬「少し席を外す。すぐに戻る」

―――――――――――
―――――――――
――――――
―――





トゥルルルルー トゥルルルルー トゥルルルルー ガチャッ




束「ちーちゃん!?」

千冬「その呼び方はやめろ」





120: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:16:50.91 ID:cLuXrtE30



束「まさか、あのちーちゃんから連絡してくるなんて!束さん感激しちゃう!」

千冬「聞きたいことがある。アメリカの軍事ISを暴走させたのはおまえか?」

束「酷いよちーちゃん!事あることに束さんを疑うなんて!」

千冬「今回はおまえの仕業じゃないのか?」

束「今はそんなことしている場合じゃないんだよー!!」





121: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:22:48.40 ID:cLuXrtE30



束「箒ちゃんにプレゼントする予定だったISを最終確認してたらさー」

千冬「………」

束「致命的な欠陥があったんだよ!この私が開発段階で気付けないなんて!うう………」

束「今、それを全力で修正中なのっ!でもなかなか終わらないんだよー!!」

束「今日は箒ちゃんの誕生日なのに………これじゃ何もプレゼントできないよ!」

束「ちーちゃんどーしよう!?このままじゃ束さんは箒ちゃんに嫌われちゃうよぉ!!」





122: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:24:00.29 ID:cLuXrtE30





ツー ツー




束「あれ?ちーちゃん?もしもしー?」

―――――――――――
―――――――――
――――――
―――






千冬「束のヤツ、また余計なことを考えて―――」

千冬「しかし束はこの件に無関係………?」

千冬「なら一体誰が―――」





123: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:26:31.77 ID:cLuXrtE30



~ ??? ~



???「VTシステムは所詮、動きの模写に過ぎない」

???「それでは”ヴァルキリー”クラスの者に到底適わないわ」

???「ISを倒せるのはISだけである」

???「有名なセリフよね。なら―――」

???「ヴァルキリーを倒せるはヴァルキリーだけである」

???「もしくはヴァルキリー以上の存在」

??「こう言えるんじゃないかしら」

???「ん~、そうねぇ。VTシステム―――ではなく」

???「ヴァルキリー殺し―――Valkyrie Slayシステムってところかしら」

???「彼女にはヴァルキリーを超える存在になって貰いましょう」

???「え?安直すぎる名前だって?」

???「あらそう。私にはネーミングセンスがないのかしら?」





124: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:31:28.95 ID:cLuXrtE30



~ シャルロットの視点 ~


呆然としてしまった。それはあまりにも一方的な展開だったから。

ラウラが”福音”を圧倒していた。まるで痛めつけるかのように。

”福音”のエネルギー弾は全て、ラウラのAICに阻まれた。

AIC(慣性停止結界)はエネルギー兵器に対して効果が薄いはず。

しかし、黒い液体の影響なのか、性能が異常なほど向上していた。

向上してたのはAICだけじゃない。ラウラがプラズマブレードを構えて、超加速。

作戦開始時とは比べものにならない速さだ。





125: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:33:07.88 ID:cLuXrtE30



ラウラに接近を許してしまった”福音”は反射的に右腕を繰り出したがラウラには当たらず、

枝のようなものがひしめく胸部にプラズマブレードが突き刺さった。

ラウラはそこから、スラスターを全開にし、”福音”ごと押し出して空中を疾駆。

ボクは急いで追いかける。二機はやがて遠方の孤島陸地に激突。

激突時の衝撃のせいか、プラズマブレードは”福音”の背部まで完全に貫通。

とうとう”福音”は機能停止した。だけどラウラは―――


―――――――――――
―――――――――
――――――
―――






126: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:36:26.87 ID:cLuXrtE30



鈴「終わった、の?」

セシリア「まさか、ラウラさんが………」



ようやくダメージから回復したのか、鈴とセシリアも孤島に駆けつけてきた。

ラウラは停止した”福音”を見つめながら佇んでいる。




鈴「ラウラ、あんたのその機体―――」

シャル「鈴、待って!ラウラの様子が変だよ!」





127: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:38:56.17 ID:cLuXrtE30



いきなりワイヤーブレードが射出された。

ボクは近接戦用ブレードでどうにか弾いたけど、鈴とセシリアが捕まった!

そのまま二人を振り回し、岩に叩きつけると同時に、レールカノンが連続して火を噴いた。

一瞬のできごとだった。

二人の装甲は粉々に吹き飛んで、ISが強制解除されてしまった。

このままじゃ二人の命が危ない!

けどラウラはその二人にはもう目もくれず、こっちに突撃してきた。

プラズマブレードが跳ね上げられる。ボクはそれに応じるしかない。

ブレード同士の衝突。激しく火花を散らす刃を挟んでラウラと対峙する。




シャル「ラウラ!やめるんだ!」

ラウラ「………」




ボクの声は届いていない。

その瞳は無感情。ただ敵としてボクを捉えているだけ。

次の斬撃が繰り出されようとしたとき、突然、通信が入った。





128: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:40:02.97 ID:cLuXrtE30



???「聞こえるか?聞こえるなら答えてくれ」

シャル「誰!?」

???「アメリカ代表操縦者のイーリス・コーリングだ」

イーリス「なんでも、”福音”が暴走したらしいじゃねーか」

イーリス「一応、国からなんとかしろって命令されたんだが」

イーリス「もう”福音”は止まったみたいだな。ならとっとと回収させてもらうぜ」

シャル「今来ては駄目です!」

イーリス「ああ?そういう訳にはいかねぇ。こっちも急いでるんだ」





129: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:42:36.12 ID:cLuXrtE30



アメリカだって!? 織斑先生が言ってたのはこのことか!

こんな状況だというのに、なんて自分勝手な―――

いきなり体が浮き、後方へ吹き飛んだ。隙を突かれて、蹴りを喰らってしまった。

レールガンの追撃が来ると思い、反射的に目を閉じてしまった。

けど衝撃はやってこない。目を開けて確認してみると、ラウラは空の一点を見ていた。




ラウラ「コロス」




そうボクに告げて、ラウラは空へ飛び立った。

まさか、新たに出現したアメリカのISを目標にしたの?

追いかけようとしたけど、動けなかった。追いかけても何ができる?

無理だ。ボクじゃラウラを止められない。

それよりも鈴とセシリアの状態を確認するのが先だ。

それが今、ボクに唯一できることだ。





130: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:46:33.31 ID:cLuXrtE30



~ イーリス・コーリングの視点 ~



国から面倒事を押し付けられた。なんで私がやらなきゃならねぇんだ?

まあ、文句を言っても何も変わらないが。

こんな任務はとっとと終わらせて帰るとす―――

不意に警告音がなった。とっさに身を反らす。



イーリス「うおっ!」



砲弾が機体をかすめた。誰かがぶっ放してきやがった!

弾が飛んできた方を見てみると、黒いISを確認できた。

ハイパーセンサーで拡大してみると、その表面は心臓のように鼓動していた。



イーリス「危ねぇな!何しやがる!」

ラウラ「………」





131: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:48:12.69 ID:cLuXrtE30



苛立ちから怒鳴ってしまったが、相手は無反応。なんだコイツ。

センサーはISだと認識しているが、これは本当にそうなのか?

どうみても化け物にしか見えねぇぞ。

まあいいか。映画じゃ明らかに悪役の見た目だよなぁ、あれは。

その喧嘩、買ってやるよ。



イーリス「このファングクエイクに喧嘩売るたぁ、いい度胸じゃねーか」

ラウラ「………」

イーリス「ぶちのめされる覚悟は出来てるんだろうな?」

ラウラ「………」

イーリス「言っとくが私はつえーぞ」

ラウラ「………」




ラウラ「コロス」

イーリス「面白ぇ!」





132: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:50:02.21 ID:cLuXrtE30



~ 織斑一夏 ~



水の流れが聞こえる。あれ?ここは―――河?

あたりを見回してみると、少し離れたところに人の列ができている。

しばらく眺めていると船がやって来て、人が乗り込んでいく。

あれ?この光景ってどっかで聞いたことあるような………

てか、どうして俺はこんなところに?



少女「なにしてるの?」

一夏「うおぁっ!」





133: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:53:23.60 ID:cLuXrtE30



いきなり後ろから声を掛けられた。驚いて振り向くと、

白いワンピースを着た少女が立っていた。とりあえず答えてみるか。



一夏「気が付いたらここにいたんだ。なんでかはよくわからないけどな」

少女「ふーん」

少女「ねぇ、お兄ちゃんこの河を渡らないの?」

一夏「え?」

少女「だってみんな渡っているよ?」

一夏「そうなのか?みんなどうやって渡ってるんだ?」

少女「船。あそこに来ているやつ」

一夏「あの船はどこへ行くんだ?」

少女「ずっと遠くに」

一夏「戻ってこれるのか?」

少女「わからない」

一夏「そっか………」





134: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:56:15.79 ID:cLuXrtE30



少女「で、お兄ちゃんはあの船に乗るの?」

一夏「うーん。別にいいけど……」

少女「けどその前に、まだやるべきことがあるんじゃないの!?」

一夏「やるべきこと?」

少女「そう、とっても大事なこと」

少女「だって”守ってやる”って約束したんでしょ?」

一夏「え?ああ―――」



そうだ――― 

俺は約束したんだ―――

俺がおまえを守ってやると―――

―――――――――――
―――――――――
――――――
―――






135: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:57:11.32 ID:cLuXrtE30



一夏「あれ……俺は………」



ここは……海の底?

そうか、俺は”福音”にやられて―――

けど体は………痛くないな。どうなっているんだ?

機体の形状も変わっている。

なんだこれ?第二形態・雪羅?

そんなことより、今は”福音”を止めるのが先だ。

とにかくみんなのところに向かわないと。





136: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/05(日) 23:58:53.72 ID:cLuXrtE30



スラスターを吹かして海から飛び出す。シャル達は少し離れた孤島にいるみたいだな。

すっ飛んでいくと、鈴とセシリアが浜辺に横たわっていた。

ふたりとも”福音”にやられたのか!?畜生!



一夏「シャル!」

シャル「一夏!?どこにいたの!?その姿は!?」

一夏「それより鈴とセシリアは無事なのか!?」

シャル「ふたりとも気を失っている。けど大丈夫。命に影響はないよ」

シャル「一夏、それよりもラウラが―――」





137: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/06(月) 00:10:22.10 ID:X9yEwInr0



ラウラに何が起こったのかは、シャルから全て聞いた。

黒い液体がラウラの機体を包み込んで、それから暴走してしまったこと。

ラウラが”福音”を破壊し、シャルと鈴とセシリアまで攻撃したこと。

そして出現したアメリカのISと戦おうとしていることも。

ラウラを止めなければ!

一体どこのどいつがラウラの機体にこんなことを!絶対に許さねぇ!


けど―――


ラウラ………そんなものに心を乗っ取られるなよ。

VT事件のときみたいに自分を見失っちまったのか?





138: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/06(月) 00:13:28.87 ID:X9yEwInr0



~ イーリス・コーリングの視点 ~



クソッ、つえぇなオイ。それに戦い方がえげつねぇ。

徹底した距離の維持と砲撃。じわじわと甚振られている。

こっちには近接装備しかないことをよくわかっていやがる。

だが追いつけない速度じゃない。あれを使えばな。

スラスター4基による個別連続瞬時加速。リボルバー・イグニッションブースト。

成功率は40%だが、このままじゃジリ貧だ。今は賭けるしかねぇだろ。



イーリス「いくぜ!!」





139: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/06(月) 00:16:50.93 ID:X9yEwInr0



意識を集中し、一段目を発動。一気に間合いを詰める。

化け物は後退して距離をとろうとする。

すかさず二段目を発動させ、さらに接近。絶対に逃がさねぇ!

追いつかれると判断したのか、化け物もプラズマブレードを出現させ、

後退から一転、突撃してきた。だが正面からぶつかる気はねぇ。

三段目を発動。進行方向をずらして、化け物とすれ違いつつ反転。

そして最後の加速を試みる。成功!ヤツ目掛けて拳を繰り出す。

化け物は振り向きつつ、右手を突き出してきた。

だが態勢が不十分だ。そんな苦し紛れの一撃喰らうか!獲った!!




イーリス「ナニィ!?」





140: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/06(月) 00:20:08.98 ID:X9yEwInr0



何が起こったのかわからなかった。

拳は化け物を打ち砕くことなく、ヤツの手前で静止。虹色の障壁に阻まれていた。

何だこれ……動けねぇ!AICか!クソッタレ!

ワイヤーが放たれ、私の全身に巻きついた。

そしてギリギリと締め上げられる。完全に拘束された。

腹部に衝撃。殴られた。何度も。

内臓を揺さぶられ続け、胃液を吐いてしまった。

こ、いつ、絶対防御が発動しないように、わざと加減して―――

抵抗しようにも、エネルギーがほとんどねぇ。

ちくしょう、完敗だ。

意識が―――ああ、殺されるな、こりゃ―――





141: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/06(月) 00:23:56.38 ID:X9yEwInr0



~ ラウラ・ボーデヴィッヒ ~



捕えたモノの腹を殴る。殴る。殴る。殴る。

すぐに死んでしまわないように力を調整して。

殴るたびに、モノが九の字に折れて、跳ね上がる。

自然と口元が緩んでしまう。この感覚を忘れていた。

圧倒し、支配する感覚。楽しい。

痛めつけるのは最高に楽しい。

段々、モノの反応が悪くなってきた。そろそろ殺すか。







一夏「やめろおおおおおっ!」



ザシュンッ!!



ラウラ「!!」





142: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/06(月) 00:28:11.92 ID:X9yEwInr0



~ 一夏の視点 ~



空中に黒い点がある。見つけた。ラウラに違いない。

黒いISからはワイヤーが伸びており、何かを捕まえていた。

そいつは腹を殴られ続けていた。アメリカのISだ。

やめろラウラ!!何やってるんだ!

一気に加速。トップスピードでラウラ達に突っ込み、

その勢いのまま雪片弐型でワイヤーを叩き切った。

捕まっていたISは解放され、重力に従って、海に堕ちてゆく。

意識を失っているようだ。けど受けとめにはいけなかった。

黒いISがプラズマブレードを出現させて斬りかかってきた!





143: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/06(月) 00:30:22.24 ID:X9yEwInr0



その機体の見た目は異質なものになっていた。禍々しく、生々しい。

けど操縦者は間違いなくラウラだった。

ブレードを弾き返し、間合いを取ろうとしたが、ラウラは即座に喰らいついてきた。

その間にアメリカのISは海に沈んだ。装甲は解除されていなかったから、

しばらくすれば自分で動けるようになるはず、と信じるしかない。

今は目の前のことに集中しなければ。

どうすればいい?どうすればラウラを止められる!?

俺はおまえと戦うしかないのか!?





151: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 20:33:04.00 ID:QeZPpLRD0



~ ラウラ・ボーデヴィッヒ ~



何かが邪魔をしてきた。折角のモノを手放してしまった。

腹が立った。これから最高の感覚を味わおうとしていたのに。

おまえが邪魔をしたのか?ならおまえも殺す。

おまえはなんだ?

なぜ私はおまえを殺そうとしているのか。

なぜそんなに殺したいのか?





152: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 20:34:23.47 ID:QeZPpLRD0



殺したいから殺す。

なぜなら殺す。しかし殺す。つまり殺す。

だが殺す。すなわち殺す。よって殺す。それでも殺す。

必ずコロス。

そのためだけに創られたのだから。それ以外なにも知らないから。

そのとおりだ。ちがう。


よくわからない。この感覚はなんだ。消えろ。


全てを壊せ。殺せ。兵器としての役目を果たせ。

獲物達は一箇所に集まっている。





ラウラ「コロ……ス……」





153: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 20:37:23.31 ID:QeZPpLRD0



~ 織斑一夏の視点 ~



ラウラは急に後ずさり、振り向いて加速。俺から離れていった。

後を追うが、なんつうスピードだ。

第4世代型の白式でも追いつけない。どんどん引き離されていく。

どこへ向かっているんだ?

ラウラはしばらく飛んだ後、空中で静止した。

そしてある一点に向けてレールカノンを構えた瞬間、肉のような黒い塊が砲身に殺到。

ボコリと盛り上がったり、ひしゃげたりして形状を変えてゆく。





154: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 20:41:35.53 ID:QeZPpLRD0



あまりにも異様な光景に唖然としてしまった。

やがて砲身は巨大生物の口のような形となった。

その口内に黒い稲妻が走り、エネルギーが圧縮されてゆく。

周囲の空気が軋んでいる。かなりヤバそうな威力だ。

それが今、撃ち出されようとしている。

嫌な予感で我に返る。どこに目掛けて撃とうとしている!?

砲身が指し示した遥か先には………臨海学校の旅館かっ!

何考えているんだよ!!





一夏「ラウラやめろぉ!!」


ラウラ「………!」





155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 20:44:48.41 ID:QeZPpLRD0



俺の声が届いたのか、ラウラはこっちを向いた。体の向きも変わった。

同時に砲身から凶悪な色をしたエネルギーの球体が解き放たれ、

明後日の方向へ飛んでゆく。

球体が彼方へと消えた瞬間、空と海の境界線に小さな太陽が生まれた。

ラウラの放ったエネルギー弾が爆発!?

恐ろしいほどの爆発範囲。この力は―――兵器だ。大量殺戮のための兵器の力だ。







ラウラ「………」ガチャ





156: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 20:48:00.37 ID:QeZPpLRD0



今度は砲身が俺に向けられた。

再びエネルギーが充填されてゆく。

ラウラ、俺を殺すつもりなのか。

けど俺の声が聞こえているんだろ!?

だからさっき振り向いたんだろう!?

俺は叫び続ける。ラウラに語り掛ける。




一夏「俺だよ!一夏だよ!」

一夏「ラウラ!目を覚ませ!」

ラウラ「………」





157: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 20:56:57.18 ID:QeZPpLRD0


一夏「ラウラは言ってたじゃねぇか………」

一夏「いつか誰かを守れるようになりたいってさぁ………」

ラウラ「………」



ラウラ「イ……チ……カ………?」

一夏「おまえは兵器になりたかったのか?違うだろっ!」

ラウラ「…ワ、タシは………」

一夏「なりたい自分になれよ!”ラウラ・ボーデヴィッヒ”!!」





駄目か―――




ラウラ「―――――――――ッ!!」





158: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 21:07:15.38 ID:QeZPpLRD0

~ ラウラ・ボーデヴィッヒ ~




――― ラウラ!目を覚ませ! ―――


ラウラ。名称。名前。

私の名前を呼ばれた気がする。

私?

私とは誰だ。

遺伝子強化試験体C-0037。

そうだ。違う。

そうだ。私は兵器。

ただ”戦い”のために。より強大な力となるために創られた存在。

だから力を望む。誰よりも強くあることを望む。

そうだ。違う。





159: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 21:09:13.00 ID:QeZPpLRD0



――― ラウラは言ってたじゃねぇか ―――

――― いつか誰かを守れるようになりたいってさぁ ―――



私に話し掛けているのは誰だ?

一夏。

この男は完膚なきまでに叩き潰さなければ。

動かなくなるまで徹底的に壊さなければならない。

何故、そう思うのだろう?

大事なこと。大切な人。



一夏?





160: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 21:13:23.69 ID:QeZPpLRD0



――― おまえは兵器になりたかったのか!?違うだろっ! ――― 



なりたい。

強く凛々しくなりたい。あの人のように。

力が欲しい。全てを圧倒する比類なき最強の力が欲しい。

そのためには感情を捨て、より合理的に、冷酷にならなけらば。

そうだ。違う。

私は何になりたい?私はどうありたい?





161: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 21:18:51.60 ID:QeZPpLRD0



――― なりたい自分になれよ!”ラウラ・ボーデヴィッヒ”!! ―――



体の奥底で何かが弾けた。

”ラウラ・ボーデヴィッヒ”

私の名前。


なりたい自分になれ―――


強く刻み込んだ言葉。大切な人が教えてくれたこと。

”ラウラ・ボーデヴィッヒ”は兵器になりたくない。

”ラウラ・ボーデヴィッヒ”は誰か守れるようになりたい。

私を救ってくれた人達のように。

織斑一夏。織斑千冬教官。かけがえのない人達。

そうだった―――

私は―――






ラウラ「一、夏………」

ラウラ「…わ、私は………」

一夏「ラウラ!ラウラなのか!?」





162: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 21:24:53.70 ID:QeZPpLRD0



自分が何をしてきたのかを覚えている。

”福音”を破壊したことも。

シャルロットと凰とオルコットを攻撃したことも。

アメリカのISを痛めつけたことも。

そして、一夏を殺そうとしたことも―――





163: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 21:26:26.62 ID:QeZPpLRD0



なのに何故おまえは私に近づいてくる?

今の私は化け物だぞっ!

おまえを傷つけてしまうかもしれない。それがなによりも怖い。

駄目だ。来ないでくれ。私に近寄るな―――





ギュッ



一夏「大丈夫だよラウラ、もう大丈夫だ」





164: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 21:29:51.78 ID:QeZPpLRD0



抱きしめられた瞬間、こころが震えた。

私に根付いていたものと、機体の黒い肉塊が消えてゆく。

感情が溢れだして止まらない。



ラウラ「私は―――私は―――」ポロポロ

一夏「さぁ、一緒に帰ろう」

一夏「もう大丈夫だって、みんなに知らせないとな」



―――――――――――
―――――――――
――――――
―――






165: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 21:36:47.92 ID:QeZPpLRD0


しばらく席を外すことになったので、一旦切ります。

23時前後には再開できると思います。








166: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 23:04:26.97 ID:QeZPpLRD0



???「何がいけなかったのかしら?」

???「やはり心という不確定要素は排除すべきだったわね」

???「まあ、あれの性能を確認できただけでも十分だわ」

???「それに面白いものも見られたし」

???「最後に、もっと愉快なことになるわ」

???「もしもし、オータム?私よ」

???「もう結果は十分に得られたわ」

???「”福音”に搭載したものを起動して―――」





167: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 23:09:51.57 ID:QeZPpLRD0



~ 孤島の浜辺 ~



シャル「あの黒い機体は………ラウラ!?一夏も一緒だ!!」





キーンッ―――





一夏「ただいまシャルロット。ラウラは目を覚ましてくれたぞ!」

ラウラ「シャルロット、本当に迷惑を掛けた………」

シャル「ラウラッ!!元に戻ったんだね!」

シャル「本当によかった……」ギュッ

ラウラ「すまない、本当にすまない………」

ラウラ「謝って済む問題ではないとわかってはいるが………」

シャル「謝る必要はないよ。ボクは気にしてないから」

ラウラ「シャルロット……ありがとう………」





168: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 23:15:45.01 ID:QeZPpLRD0



ラウラ「凰とオルコットは無事か?私は二人に攻撃を―――」

シャル「まだ気を失っているけど大丈夫だよ」

ラウラ「二人が目を覚ましたら謝らないと………」

一夏「ラウラ、そんなに暗くなるなよ」

一夏「鈴とセシリアもあんまり気にしないと思うぜ」

一夏「”福音”も止まったし、ラウラも元に戻ったし」

一夏「色々あったけど、これで大団円だな!」





169: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 23:21:30.83 ID:QeZPpLRD0



一夏「あとは千冬姉と連絡を取って、作戦終了だな」

シャル「一夏、それがね」

シャル「さっきから織斑先生達と通信できないんだよ」

シャル「IS機能に異常は見られないんだけど……」

シャル「向こうでなにかトラブルがあったのかなぁ」

一夏「そうなのか。なら鈴とセシリアを運ばないといけないな」

一夏「”福音”はひとまずここに放置して―――」




???「よく頑張ったわね、少年少女達」




シャル「!?」

一夏「誰だ!?」





170: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 23:27:01.49 ID:QeZPpLRD0



ラウラ「一夏!”福音”だ!”福音”が喋っている!」

シャル「そんな!完全停止したはずじゃ………」

???「安心して。このISはもう動かないから」

シャル「ならどうして………」

???「これはISの機能とは独立させて搭載されたものよ」

???「あなた達と話すためにね」





171: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 23:35:46.25 ID:QeZPpLRD0



一夏「おまえが”福音”を暴走させたのか!?」

???「そうよ。それにラウラちゃんもね」

一夏「なっ!おまえがラウラを―――」

一夏「絶対に許さねえッ!!ラウラを弄びやがって!」

ラウラ「おまえは誰だ?」

???「私?他の人は私のことを土砂降りの雨のような存在って言うけど」

一夏「ふざけてんじゃねぇっ!!」

???「そう怒らないで。お詫びにプレゼントを用意したから」

???「ちょっとクラシックなものだけどね。なんだと思う?」





ピッ ピッ ピッ ピッ ピッ





172: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 23:41:23.80 ID:QeZPpLRD0



シャル「何の音………?」

ラウラ「爆弾か。”福音”に仕込んでいたのか」

???「正解。しかもとっておきの爆弾。核爆弾よ」

ラウラ「何だと!?」

???「IS技術の進歩と共に、小型化がかなり進んだのよね」

???「既に時代遅れの兵器だけど、その威力だけは侮れない」

???「これひとつで半径20[km]は吹き飛ばせるわ」

一夏「20[km]!?」





173: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) 2012/02/11(土) 23:48:41.40 ID:QeZPpLRD0



???「そんなに慌てないで頂戴。ひとつだけ解除方法を用意したから」

一夏「早く教えろ!!」

???「VSシステムを起動することよ」

一夏「VSシステム………?なんだよそれ?」

???「そのシステムのおかげで、ラウラちゃんは”福音”を倒すことができたのよね」

???「ラウラちゃんが望みさえすれば、いつでも起動できるはずよ」

一夏「ラウラをもう一度暴走させるつもりか!?」





174: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/11(土) 23:52:06.96 ID:QeZPpLRD0



一夏「なんで俺の名前まで………」

シャル「どうする一夏!?このままじゃみんな死んじゃうよ!」

一夏「こうなったら、一か八かで”福音”に零落白夜を叩き込んでみるしか―――」







シュルルルルッ ガシンッ!!




シャル「!?」

一夏「ラウラ!?」





175: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/11(土) 23:56:35.34 ID:QeZPpLRD0



~ 織斑一夏 ~



思いも寄らないことだった。

ラウラはワイヤーで”福音”を自分の背中に括りつけ、海上を疾走し始めた。

俺は反射的に後を追う。まさか―――

ひとつだけ方法があった。

”福音”が爆発する前に、誰もいないところまで運んでしまえばいい。

たった5分しかなくても、ISの性能をもってすればできる。

爆発の瞬間まで運び続ければ。

ラウラは自分を犠牲にして限界まで運ぶつもりだ!




一夏「ラウラ!待つんだ!」

一夏「!!」




ズドンッ!!ズドン!!




  
一夏「ぐあっ!」





176: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:04:52.61 ID:PUY8Hmk40



ラウラは振り向き、俺に向かってレールカノンを立て続けに発砲。

撃ってくるとは思ってなかったらから、砲弾をまともに喰らってしまった。

衝撃で吹き飛び、浜辺に激突、逆戻り。

その間にラウラはどんどん遠くなる。

急いで立ち上がり、瞬時加速………できなかった。


エネルギー残量2%。まもなく稼働限界。


今の直撃でエネルギーが大量に削がれてしまったのか!

どうすりゃいい!?これじゃラウラを追いか―――


―――――――――


取り乱す俺にプライベート・チャンネルが飛んできた。

ラウラからだ!





177: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:08:59.65 ID:PUY8Hmk40



ラウラ「手荒になってしまったが許せ、一夏」

ラウラ「おまえなら必ず追いかけてくると思ってな」

一夏「おいラウラ!すぐに戻ってこい!」

一夏「爆弾なら零落白夜でうまく破壊できるかも―――」

ラウラ「無理だ。それだと起爆するだろう」

一夏「まだ他に方法が―――」

ラウラ「これしか方法はない」

一夏「ッ!!―――」





178: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:17:26.18 ID:PUY8Hmk40



一夏「なんでだよッ!ラウラ!」

一夏「一緒にみんなのところへ帰るんだろ?なぁ………?」

ラウラ「………」

一夏「答えてくれよラウラ………」

ラウラ「………」

ラウラ「すまない………」





179: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:22:44.97 ID:PUY8Hmk40



一夏「こんなの……こんなのってアリかよ!!」

一夏「ラウラ……頼む……戻ってきてくれ………」

ラウラ「一夏」

ラウラ「私はおまえと出会えて本当によかった」

ラウラ「おまえのおかげで、私は兵器ではなく」

ラウラ「”私”になることができた」





180: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:24:08.87 ID:PUY8Hmk40



一夏「ラウラ………行かないでくれよぉ!」

ラウラ「おまえは優しく、真っ直ぐで、最後まで諦めないヤツだ」

ラウラ「それがおまえの強さでもあるが、危うさでもある」

ラウラ「ときには究極の選択を迫られることがあるだろう」

ラウラ「だから一夏、おまえは誰よりも強くなれ」

ラウラ「大切な人達を守るために」

ラウラ「さらばだ、織斑一夏。私が愛した人よ―――」





一夏「ラウラ………?おいッ!ラウラッ!」



通信は切られた―――





181: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:29:19.49 ID:PUY8Hmk40



~ ”ラウラ・ボーデヴィッヒ”~



限界の速度で海上を疾駆する。

確かに、VSシステムを起動すれば起爆装置を解除できるかもしれない。

一瞬そう思ったが、それは間違いなく罠だ。

私は再び暴走してしまうだろう。

なら方法はこれしかない。犠牲になるのは私だけで十分だ。





182: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:31:18.22 ID:PUY8Hmk40



爆発まであと1分。

これ以上は距離を稼ぐより、水圧で威力低減させた方がいい。

”福音”と共に海へ飛び込み、限界まで深くを目指す―――

徐々に視界が暗くなってゆく。

闇。静寂。死。隣り合わせ。

死ぬときは誰だって孤独………か。





183: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:37:37.10 ID:PUY8Hmk40



15年。思い返せば、ずっと戦いの中に生きていた。

だがIS学園に来て、私は違う世界を知ることができた。

その世界は新鮮で、刺激的で――――

色々あった――――

一夏、千冬教官、それにみんな、ありがとう。





184: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:38:31.22 ID:PUY8Hmk40



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


    なりたい自分になればいいさ 


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



これで私も――――



―――― 大切な人を守ることができたかな ――――――――――――







―――カッ――――――――――――――――










一夏「ラウラああああああああああああああああッ!!」



―――――――――――
―――――――――
――――――
―――










185: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:39:30.70 ID:PUY8Hmk40



~ 2週間後 ~



千冬「一夏……ラウラのことは残念だった」

千冬「おまえの気持ちはわかる」

千冬「だがいつまでも下を向いている訳にはいかないだろう?」

一夏「………」

千冬「あと、おまえに渡すものがある」

千冬「これを」

一夏「これは………ラウラのドッグタグ………」

千冬「見つかったのはそれだけだ。おまえが持ってろ」

一夏「千冬姉……ありがとう」

千冬「織斑先生だ、馬鹿者」フッ

千冬「じゃあな」





186: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:41:12.19 ID:PUY8Hmk40



~ 織斑一夏 ~



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


そうだな。だから、おまえも守ってやるよ。ラウラ・ボーデヴィッヒ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



最高にクールなセリフだよ、織斑一夏。なにもできなかったくせに。

あのとき、俺がもっと早く動いていれば………





187: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:42:13.02 ID:PUY8Hmk40



ラウラはもういない。共に過ごした日々が嘘みたいだった。

俺達は救われた。ラウラが自分の命を捧げたことによって。

”誰かを守りたい”と自分で抜かしておきながら、

俺は何もできなかった。あまりにも無力だった!

クソッ!クソッ!

織斑一夏。なんて情けない男なんだ………





188: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:43:53.82 ID:PUY8Hmk40



守ってやれなかった。約束したのに。

大切な女ひとり守れなかった自分が許せない。

俺はラウラのことが好きだった。ひとりの女性として。

純粋無垢すぎて、危なっかしくて放っておけなくて―――

時々、どこか寂しそうにしていて―――



ラウラ………おまえに会いたいよ………





189: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:45:01.64 ID:PUY8Hmk40



手の中で鈍く輝く金属板。

千冬姉から受け取ったラウラの認識票―――ドッグタグ。

核爆発にも耐えたそれには、深く刻み込まれていた。



――― なりたい自分を目指せ ―――





190: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:46:09.57 ID:PUY8Hmk40



ラウラに教えた言葉。なりたい自分。

今の俺はどうだろう。

なりたい自分を目指せているのか?


………………………………
………………………
………………
………



全然目指せてない………

ただウジウジしているだけじゃんか………





191: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:50:55.24 ID:PUY8Hmk40



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


一夏、おまえは誰よりも強くなれ―――

大切な人達を守るために―――


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



もう誰も失いたくない。

強くなければ、誰も守ることができない。

今の俺は弱くて無力だ。現実から目を逸らすな。

もうこんなことが二度とあってたまるか。

俺は誰よりも強くなってみせる。

強くなって―――

これから何があろうと、大切な仲間達を守ってみせる。

おまえの分まで―――


―――――――――――
―――――――――
――――――
―――






192: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:53:50.20 ID:PUY8Hmk40



~ ”ラウラ・ボーデヴィッヒ” ~



………

ここは……どこだ………

何も見えない。

そうか、私は爆発で………



『無様だな。”ラウラ・ボーデヴィッヒ”』



誰…だ。



『私はおまえだ。いや、今はVSシステムと言うべきか』





193: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:57:00.00 ID:PUY8Hmk40



私………?

そうか。

”私”の中の切り離すことができないもの。

力をがむしゃらに求めた私。

”遺伝子強化試験体C-0037”





194: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 00:58:40.09 ID:PUY8Hmk40



『貴様はまだ死んでいない』

『だがこのままだと、あと数分で貴様と私は死ぬ』

『すぐにVSシステムを起動しろ』

『そうすれば自己再生機能で貴様は助かる』

『その体を私に委ねろ』



断る。



『なっ』

『何を言っているッ!まだ生きたいのだろう!?』





195: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 01:00:09.15 ID:PUY8Hmk40



VSシステムは危険すぎる。

おまえも私と共に死ぬがいい。



『VSシステムを起動するのだッ!』

『織斑一夏に会いたいのだろう!?』

『早くしろッ!私は死ぬわけにはいかないのだッ!』

『比類なき最強の存在にならなければ!』





196: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 01:02:32.89 ID:PUY8Hmk40



うるさい。

一緒に死んでやるから黙ってろ。



『そんな……嫌だ………私はまだ死にたくない!』

『死にたくない………いやだ……いやだ……』

『………こわい……こわい………』

『死に―――たく――――――い―――』

『――ぁ―――――――』





197: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 01:04:26.35 ID:PUY8Hmk40



声が途切れると、心に喪失感が生まれた。

C-0037。軍で名付けられた名称。

絶対的な力になろうとした私。

冷酷にならなければ、生き抜くことができなかった世界での私。





198: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 01:06:14.43 ID:PUY8Hmk40



私の半身、いや半心よ。

昔、おまえで在ったからこそ、今の私がいる。

おまえには感謝している。だが許してくれ。

今の私はおまえで在りたくない。

もう兵器にはなりたくない。

なぜなら―――

私は”ラウラ・ボーデヴィッヒ”だから―――





199: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 01:10:17.38 ID:PUY8Hmk40



とても眠い。私もそろそろ死ぬのだろう。

おまえの後をすぐに追うから。

だから―――







――― 汝は何を望む? ―――









200: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 01:11:36.97 ID:PUY8Hmk40



――― 汝は何を望む? ―――



今度は誰だ………?



――― 汝は何を望む? ―――


 
おまえは死神か………?




――― 汝は何を望む? ―――



随分と一方的だな………



――― 汝は何を望む? ―――



もう私は死ぬ………

何も望みはしない………






201: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 01:13:01.98 ID:PUY8Hmk40





――― 何故、力を望まなかった? ―――



力は望んで手に入るものではない………

心の強さがつくるもの………



私がどう在りたいかを強く思うこと………



それこそが比類なき最強の力だ………






202: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 01:14:06.16 ID:PUY8Hmk40



――― それが汝の選択か ―――

――― ”冷氷”と呼ばれた汝が ―――

――― 面白い ―――

――― その決意、見届けさせてもらう ―――




――― ならば汝は真に何を望む? ―――







203: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 01:15:24.55 ID:PUY8Hmk40



――― 汝は真に何を望む? ―――



もう放っておいてくれ………

私は眠いんだ………



――― 汝は真に何を望む? ―――



………

………

………





204: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 01:16:27.29 ID:PUY8Hmk40



――― 汝は真に何を望む? ―――


………

………

………


………なら最後に夢を見させてくれ―――

夢でいい………夢の中でいいから―――








――― 一夏に会いたい ―――――――――――――――









205: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 01:17:34.95 ID:PUY8Hmk40




そう願った瞬間、ぬくもりを感じた―――

一夏に抱きしめられたような―――

幸福感と共に、まどろみの世界へ―――

おやすみ、一夏―――


―――――――――――
―――――――――
――――――
―――








206: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 01:19:51.53 ID:PUY8Hmk40









チュン チュン







一夏「…ん………んん!?」




フニッ  フニッ




一夏「うわあああああ!!」ドタッバタッ

一夏「なんだなんだ!?なにかが俺のベットの中に居やがる!?」

一夏「………」オソルオソル

一夏「うらぁ!」バサッ

一夏「!!」


一夏「おまえ………」







スゥー スゥー





207: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 01:21:13.70 ID:PUY8Hmk40



一夏「ラウラ……ラウラなのか……?」




ラウラ「……ん…………?」モゾモゾ

ラウラ「……ここは………?」

ラウラ「……あれ……一夏?」

ラウラ「そうか……これが最後の夢―――」




一夏「ラウラぁ!!」ダキッ

ラウラ「むぐっ」





208: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 01:24:07.54 ID:PUY8Hmk40




ギュー



ラウラ「夢…じゃない?」

一夏「夢じゃねぇよ!」



ギュー



ラウラ「一夏………少し苦しい」

一夏「うるへぇ……少しは我慢しろよ………」

一夏「人のこと、死ぬほど落ち込ませやがって………」

ラウラ「すまない……すまない……」

一夏「よかった……ラウラが生きてて本当によかった……」ボロボロ





209: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 01:26:03.96 ID:PUY8Hmk40



ラウラ「私も……一夏のもとに帰れてよかった……」ポロポロ

一夏「もうあんなことはやめてくれよ………」

一夏「俺、絶対に誰よりも強くなるから………」

一夏「ラウラを守り続けてみせるから………」

ラウラ「一夏………」

ラウラ「………」



ラウラ「!!」



ラウラ「ま、待て一夏、離れてくれ!」

一夏「急にどうした?」





210: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 01:27:30.39 ID:PUY8Hmk40



ラウラ「今の私は裸なんだ………」

ラウラ「裸のまま、思いっきり抱きしめられるのは恥ずかしい……」

ラウラ「私にも……その……恥じらいはある」モジモジ



一夏「な~に言ってんだよラウラ!」

一夏「夫婦とは包み隠さぬものなんだろ?」





――― fin ―――






211: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 01:29:37.60 ID:PUY8Hmk40



これで終わりです。なんとか書ききることができました。

最後まで読んでくれた人は本当にありがとう。





214: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 02:54:25.30 ID:PUY8Hmk40


元ネタはアイアン・ジャイアント。


アドバイスとかあったらお願いします。
次なんか書くときに生かしたいと思う。




215: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/12(日) 10:50:04.67 ID:Wpr8LGBSO





217: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/02/13(月) 01:44:57.96 ID:5WkTvVuK0

乙であります!!
最後一瞬どうなるかと思った



218: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/02/13(月) 22:57:31.46 ID:tlRnR80G0


解説っぽいもの


・イーリスも事件の首謀者も小説で出てくるキャラ
・事件の首謀者はドイツ軍幹部と、ぐるだった
・最後ラウラを救ったのは黒雨

暴走した黒雨は戸愚呂100%みたいなの思い浮かべといて


ずっと会話形式のみで終わらせるつもりだったけど、戦闘描写で積んだ。
途中から書き方が変わったのはその性。
けど明らかにテンポ悪くなったね。反省してる。
しかも文荒すぎワロタ………


>>215~217

ありがとう




元スレ
SS速報VIP:ラウラ「なりたい自分になればいい…か」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1327729167/