20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 16:48:49.81 ID:dcROd38L0

イリヤ「……ねえ、セイバー」

セイバー「……なんでしょうか、イリヤスフィール」

イリヤ「一体どうしてこんな状況になっちゃったの?」

セイバー「いえ……それが私にもさっぱりで。今朝には既にこうなっていて」

イリヤ「貴女、それでもシロウのサーヴァントなの? わざわざ隣の部屋に陣取っておいてこの体たらくだなんて、最優が聞いて呆れるわ」

セイバー「ぐぅっ……返す言葉もありません……」

イリヤ「まあいいわ。今は貴女を責めてる場合じゃないもの」

セイバー「そうですね、今は……」

士郎(ショタ)「…………」

イリヤ「どうやってシロウを元に戻すかが先決よね」

セイバー「はい」



こうですかわかりません



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 17:14:56.06 ID:dcROd38L0

イリヤ「シロウがこうなったことはまだ皆には知らせてないのよね?」

セイバー「ええ。無用な混乱を避けるために、シロウは疲れて眠りこんでいるということでゴリ押ししました」

セイバー「本来なら貴女にも黙っておこうと思ったのですが……」

イリヤ「シロウを起こそうと思って突入しちゃったしねー。……ん?」

セイバー「どうしました?」

イリヤ「んー……。シロウがこうなったのを知って、皆には伝えなかったのよね?」

セイバー「ええ、先ほど言ったとおりですが」

イリヤ「リンにも伝えなかったのよね? セイバー一人でこの状況を何とかできたのかしら?」

セイバー「えっと……それは……」

イリヤ「魔術的なものが関わっていることは間違いないでしょうから、タイガがいなくなってからでもリンに伝えるのが道理じゃないかしら。セイバーは魔術の心得なんて無いでしょう?」

セイバー「あの……その……」

イリヤ「ねえ、セイバー。貴女もしかして、小さくなったシロウを皆に黙って手篭にしようとしてたんじゃ――」

セイバー「違います!」



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 17:28:10.93 ID:dcROd38L0

セイバー「ありえません! そもそも私はシロウのサーヴァントであって、主を騙してそんな真似をするわけが……!」

イリヤ「へえ。じゃあセイバーはどうやって解決しようとしたのか、具体的な解決策を聞かせて貰おうじゃない」

セイバー「そ、それはですね……、シロウにルールブレイカーを投影して貰って……」

イリヤ「シロウがこうなった以上、これまでみたいに投影が出来るのかしら? 可能性は無いわけじゃないけど、絶対が保障されるわけでもないわ」

セイバー「で、でしたらアーチャーに……」

イリヤ「アーチャーがシロウを嫌っているのは周知の事でしょう? リンが令呪でも使わない限り、協力するとは思えないけど」

セイバー「……キャスターに……」

イリヤ「あの女は可愛いのとか好きだから、今のシロウを見せたら鬼の首取ったようにはしゃぐんじゃないかしら」

セイバー「…………」



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 17:42:30.35 ID:dcROd38L0

セイバー「認めます……私はシロウを一人占めしようとしていました」

イリヤ「あら、自分から罪を認めるなんて殊勝ね。もっとも、散々誤魔化そうとしてからじゃ手遅れだけれど」

セイバー「しかし! 私はそこに一片も不純な動機は持ち込んではいません!」

イリヤ「あら、言うじゃないの。だったらどういうつもりだったのかしら?」

セイバー「私は……私は……!」

イリヤ「どうしたかったの?」

セイバー「私はただ、弟というものが欲しかっただけなのです……! 一日だけでも構わない。他には何もいらない。ただ私のことを姉と慕ってくれる存在が――!」

イリヤ「とりあえずリンに連絡入れるわねー」

セイバー「そんな酷い!」



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 18:02:11.62 ID:dcROd38L0

――――

凛「士郎ったらまーた面倒な事に巻き込まれたわね。この世の不幸を一身に背負ってるんじゃないかしら」

桜「小さい先輩、可愛い……」

イリヤ「ほら、喋ってないでさっさと働きなさいな。何のために呼んだと思ってるのよ」

凛「うっさいわね、言われなくてもわかってるわよ。……それにしても……」

桜「はい……」

セイバー「……弟……お姉ちゃんって……ショタ……」

凛「どうしてセイバーは部屋の隅っこで膝抱えてるわけ?」

桜「何だか不適切な言葉も混ざってますけど……」

イリヤ「気にする必要はないわ。あれはただのしかばねだから」



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 18:12:33.02 ID:dcROd38L0

凛「それにしても、よく眠ってるわね。全然起きやしないわ」

イリヤ「一度起きそうになったから、咄嗟に魔術使って眠らせたのよ。シロウは魔術抵抗低いしね」

桜「わあ……すごく柔らかい……」

イリヤ「サクラ、いくら起きないからってほっぺたぷにぷにしないの。後にしなさい」

セイバー「ああっ、ずるいです桜! 私もまだしてないのに!」

イリヤ「あら、もう復活したの。とりあえずちょっと黙ってなさい」



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 18:33:28.87 ID:dcROd38L0

――――

イリヤ「で、どうだったのかしら?」

凛「胃に魔力の残滓が残ってたわ。口から取り込んだんでしょうね。肉体への溶け込み具合から見て、おそらくは昨日の午後二時から午後五時ってところかしら」

イリヤ「そう。サクラ、シロウは昨日の昼間に何をしてたの?」

桜「えっと、昨日は夕方からバイトが入ってたはずです。それ以前はわたしも部活があったのでちょっと……」

イリヤ「セイバーは知ってる?」

セイバー「昨日は朝から私と剣の鍛練を。昼食を作ってからは食べるものも食べずに何処かへ出かけましたね」

イリヤ「じゃあここに居る全員知らないってことね……」

セイバー「……そういえば、出かける直前に電話がかかってきました。それからバタバタと用意をしていたはずです」

イリヤ「多分犯人はそいつね。問題は誰なのか全く手掛かりがないってことだけど……」



54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 18:46:58.39 ID:dcROd38L0

凛「ねえ、一旦士郎を起こさない? いっそ本人から直接訊くのが早いんじゃないかしら」

イリヤ「そうね。シロウが気付かないうちに全部解決するつもりだったけど、ここまで手詰まりじゃ仕方ないわ」

桜「あ、だったら先輩が着れそうな服探してきますね。もしかしたらまだ残ってるかも」

セイバー「そ、そんな! もう起こすのですか!? 私はまだシロウのほっぺたをぷにぷにしていません!」

イリヤ「セイバー、わたしの中で貴女の株が下落し続けてるわよ」

凛「はいはい、コントやってないで早く催眠解きなさいな」

イリヤ「わかってるわよ、セイバーと一緒にしないで」

セイバー「なっ、どういうことですかイリヤスフィール!」

イリヤ「貴女マジでちょっと黙ってなさい。――それじゃ……」

士郎「――――ん」



56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 18:54:50.21 ID:dcROd38L0

凛「お、起きた起きた」

セイバー「シロウ! 私がお姉ちゃんですよ! わかりますか!?」

イリヤ「いい加減バーサーカー呼ぼうかしら……。おはようシロウ、意識ははっきりしてるかしら?」

士郎「…………え?」

凛「しっかりしなさいよね。わたしと違って朝には強いんでしょ」

セイバー「シロウー! シロウー!」

イリヤ「……待って、様子が変だわ」

凛「は? 変って……」

士郎「――姉ちゃん達、誰?」



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 19:09:57.03 ID:dcROd38L0

凛「……は? ちょ、何言って……」

桜「服見つかりましたー。ちょっと防虫剤臭いですけど……」

士郎「え、何で俺の部屋に? ていうか何で俺こんなブカブカの服着てんだ? 親父、親父はどうしたんだ!?」

イリヤ「これは……リン」

凛「ええ」

士郎「あれ、あれ? 何で知らない人がうちに……」

凛「せいっ!」

士郎「げふぉおっ!?」

セイバー「シロウー!?」

桜「先輩!?」

凛「心配しなくても、丹田をちょっとアレしただけよ。士郎ぐらい丈夫ならすぐに起きるわ。それじゃ、暗示をかけましょうか」

イリヤ「そうね」

セイバー(鬼が……鬼がいます……!)



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 19:22:56.26 ID:dcROd38L0

――――

士郎「お茶ぐらい一人で煎れられるのに……」

桜「駄目ですよ、まだ子どもなんだから大人を頼らないと」

士郎「む……、俺だって子どもじゃないぞ。友達と比べたら低い方だけど、背だってまだこれから……」

桜「ふふ……」

士郎「な、なに笑ってるんだよ……」

桜「何でもないですよー? ただ可愛いなーって思っただけですよー」

士郎「な――!?」

桜「うふふ……」

士郎「うー……。桜姉ちゃんなんて嫌いだ……」

桜(赤くなっちゃって、先輩かーわいいなー)



76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 19:41:05.04 ID:dcROd38L0

凛「……何とかなったみたいね」

セイバー「うう……そのポジションには私が就くはずだったのに……」

イリヤ「いつまで女々しいこと言ってるのよ……。それじゃ、情報をまとめましょうか」

凛「まず、士郎がああなった原因は口から何らかの魔力が込められたものを摂取したこと。時刻は午後二時から午後五時」

セイバー「口から摂取するものといえば英雄王の若返りの薬が思い浮かびますが、シロウに私達の記憶が無いということはその線は消えますね」

イリヤ「タイガにアルバムを見せて貰ったっていうサクラの証言によると、シロウの今の姿はキリツグに引き取られた時と同じ容姿らしいわね」

凛「何にしても、地道に解決策を探すしかないってわけか……」



78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 19:53:00.63 ID:dcROd38L0

士郎「お茶出来たぞー」

イリヤ「ま、お茶を飲んでからでも遅くはないわ。ゆっくり考えましょ」

凛「そうね」

士郎「はい、イリヤ姉ちゃん」

イリヤ「ありがとう、シロウ。イリヤ姉ちゃんじゃなくて、お姉ちゃんって呼んでも良いのよ?」

士郎「は、恥ずかしいからやめとく……。はい、凛姉ちゃん」

凛「ありがと、頂くわ」

士郎「これは桜姉ちゃんな」

桜「ふふ、ありがとうございます」

士郎「そんでこれがセイバーの分」

セイバー「ありがとうございま……え?」



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 20:05:05.08 ID:dcROd38L0

セイバー「シ、シロウ? 私の事もお姉ちゃんって呼んでくれても良いんですよ?」

士郎「いや、なんて言うか……セイバーはそういうのとは違うかなって。なんとなくだけど」

セイバー「そ、そんなー!?」

凛「起きぬけの士郎に変なこと言って迫ってたからじゃない?」

イリヤ「自業自得ね」

桜「あはは……」

セイバー「うう……こんなにも過去を変えたいと思ったのは聖杯に望みを託してた時以来です……」

イリヤ(――とは言ってみたけど、これはシロウの記憶にセイバーとの関係が根強く残ってるってことかしら?)

イリヤ(何にしても、本来の記憶が完全に無くなったと判断するには早そうね……)



83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 20:17:15.74 ID:dcROd38L0

ライダー「ただいま帰りました」

桜「あ、ライダー。バイト終わったんだ……って姉さん、暗示は……」

凛「心配しなくても、ここに住んでる面子の事は刷り込み済みよ」

桜「そ、そうですか。良かった……」

イリヤ「珍しくうっかりは発動しなかったわね。成長したのかしら?」

凛「余計なお世話よ。大体、このわたしがそう何度も失敗するわけがないでしょう? 『常に余裕を持って優雅たれ』。遠坂の魔術師をあまり馬鹿にしないことね」

士郎「お帰り、ライダー姉さん」

ライダー「…………え?」

士郎「? どうしたのさ、ライダー姉さん」

ライダー「士、郎? そ、その姿は……?」

凛「……あ」

イリヤ「ねえ、リン? 常に余裕を持って……何だったかしら?」

凛「ライダーに連絡するのを忘れてた……」



88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 20:26:44.82 ID:dcROd38L0

ライダー「…………」

士郎「ラ、ライダー姉さん? どうして無言で近づいてくるんだ? ちょっと怖いんだけど……」

ライダー「……士郎、失礼します」

士郎「ど、どうして俺を抱きかかえるんだ? 苦しいんだけど……」

ライダー「…………」

士郎「いだっ、いだだだだだだ! 痛い痛いライダー姉さんそんなに強く抱きしめないだだだだ!」

桜「ラ、ライダー! 先輩を離してー!」

凛「……どうしてこうなったんだろ」

イリヤ「あれでしょ。ライダーは末女だから、自分より下の存在に憧れる的な」

凛「ああ……自分には姉二人だから、弟とか欲しかったんでしょうね……」



93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 20:40:36.69 ID:dcROd38L0

ライダー「ふふふふふふ……」

士郎「あのー、いい加減離してほしいなー、なんて……」

ライダー「駄目です」

士郎「そっかー……」

ライダー「ふふ、恥ずかしいのですか士郎? 私は姉なんですから、甘えてくださって結構なのですよ?」

士郎「そ、そんなんじゃない!」

セイバー「ライダー! 我がマスターへの狼藉、そこまでにして貰おうか!」

士郎「セ、セイバー」

ライダー「どうしましたか、セイバー? 大方、私が姉と呼ばれているのに自分だけ違うことに嫉妬でもしたのでしょうが」

セイバー「ちちちちちち違います! わ、私はそんな不埒なおおお思いなどしておりません!」

ライダー「ふふ……小さな女の子は未だ慣れませんが、男の子、それも士郎というのなら話は別です……」

セイバー「無視しないでください!」



97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 20:50:15.81 ID:dcROd38L0

凛「ほら、馬鹿やってないで外に出るわよ。いい加減原因探しに行かないと、藤村先生がいつ帰ってくるかもわからないんだから」

桜「そうですね。ほら、ライダーも」

ライダー「士郎、お姉ちゃんが抱っこしてあげますからねー」

士郎「いい! いいから! 一人で歩けるから離してくれ!」

セイバー「ぐぬぬぬぬ……」

イリヤ「はあ……先が思いやられるわ」



153: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 23:03:08.97 ID:dcROd38L0

――――

凛「まずは柳洞寺よね。キャスターなら上手く解呪できるかもしれないし」

ライダー「ええっ!? そんな、もう元に戻すんですか!?」

凛「何でそんなに残念そうなのよ……。心配しなくても、あくまで可能性の話よ」

ライダー「そうですか……良かった」

桜「ライダー……貴女って人は……」

イリヤ「セイバーも大概だけど、ライダーも似たようなものね」

セイバー「人聞きの悪いことを言わないでください! 私はシロウの身を案じています!」

イリヤ「でもお姉ちゃんって呼ばれたいんでしょ?」

セイバー「はい!」



160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 23:15:03.12 ID:dcROd38L0

アサシン「待て、そこの女人ら」

イリヤ「あら、いたのねアサシン」

アサシン「何しろこの山門から動けぬ身なのでな。いないとしたらそれは死んでいるのだろうよ」

アサシン「ともかく、そんなに大勢で押しかけられては困る。こちらも厄介事は御免だ」

凛「心配しなくても昼間からドンパチやるほど落ちぶれちゃいないわよ。キャスターに訊きたいことがあるだけ。もっとも、返答次第ではわからないけどね」

アサシン「女狐がどうなろうと知ったことではないが、仕事なのでな。悪いが出直して――」

士郎「…………」

アサシン「――む? この童は……」



168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 23:36:35.77 ID:dcROd38L0

士郎「なあなあ、ロン毛の兄ちゃん。これって本物か?」

アサシン「この刀か? 無論、伊達や酔狂で剣客を名乗っているわけではないのでな。当然本物だ」

士郎「すげー! こんなに長い刀使えるなんて、兄ちゃんすごい侍なんなんだな!」

アサシン「ほう。小僧、お主なかなか見る目があるようだな」

士郎「やっぱり刀ってかっこいいよな。俺好きだよ」

セイバー「シ、シロウ! 刀ではありませんが、私も剣を持っていますよ! その美しさと言えば星の輝きに例えられるほどで……」

士郎「んー……。なんか違う」

セイバー「シロウ!?」

イリヤ「シロウってセイバーの剣好きじゃなかったのかしら?」

凛「単に嗜好が変わったってだけじゃないかしら? あの年頃だと刀とか好きそうだし」



171: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/06(日) 23:49:17.52 ID:dcROd38L0

凛「アサシンの相手は士郎とセイバーに任せとけば大丈夫でしょ。行くわよ」

イリヤ「はーい」

桜「それじゃあお邪魔しますね」

ライダー「アサシン、士郎に傷を付けたら石化しますからね」

アサシン「好きにしろ。今からこの小僧に刀の素晴らしさを徹底的に教え込むところなのでな」

セイバー「そうはさせません! ただでさえアーチャー寄りの型になってきているというのに、これ以上他の剣技を教えるわけにはいかない!」

イリヤ「それじゃ、ほっといて先行きましょ」



175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 00:06:22.51 ID:jLEEvnCG0

凛「で、貴女は知らないの?」

キャスター「知らないわね。そもそもあの坊やにはあまり興味がないわ。精々杖にしてもいいって程度ね」

ライダー「でしょうね。貴女の興味はセイバーの方に注がれていますし」

キャスター「当然よ。私ならセイバーの方を小さくするわね」

凛「そういうのはまた今度やってくれない? とりあえず士郎の体を調べてほしいんだけど。貴女程の魔術師ならどうすれば元に戻るかわかるでしょ」

キャスター「まあ構わないけど。当然対価は頂けるんでしょうね?」

イリヤ「今度セイバーを好きにしていいわよ。セイバーにはこっちから言っておくから」

キャスター「乗ったわ」

凛「良い返事ね。それじゃ、士郎を呼んでくるわ」



182: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 00:22:00.53 ID:jLEEvnCG0

キャスター「これは……」

士郎「?」

ライダー「素晴らしいでしょう?」

キャスター「ええ……想定外だったわ。これはなかなか……」

士郎「イリヤ姉ちゃん、このおばムグッ!?」

イリヤ「シロウ、長生きしたかったら口には気をつけた方が良いわよ。相手次第じゃ洒落にならないから」

桜「ほ、ほらキャスターさん! 早く調べましょう」

キャスター「まあ落ちつきなさいな桜さん。物事には順序というものがあるわ。まずは……」

桜「まずは?」



192: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 00:37:42.14 ID:jLEEvnCG0

キャスター「ほら坊や! 次はこれを着ましょう!」

士郎「まだやるのー? 俺は着てきたので良いんだけど……」

キャスター「何言ってるのよ、あんな古い服なんかより私の作った服の方が良いに決まってるわ。ほら、まだまだこんなにあるわよ」

士郎「うぇー……」

イリヤ「いつまでやってんのよ……。もう一時間は経ってるわよ?」

キャスター「まだやるに決まってるじゃない! ふふふふふ……宗一郎様との子どもが出来たときのために男の子用の服も作っておいて良かったわ。やっぱり女の子もいいけど、男の子も捨てがたいわね……」

凛「子どもが出来たときのためって、今の士郎七歳ぐらいよ? どんだけ先見てんのよ……」

キャスター「女はいつだって夢に生きてるのよ!」

イリヤ「よくやるわ……」



200: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 00:53:39.18 ID:jLEEvnCG0

キャスター「ふう……満足したわ」

士郎「やっと終わった……」

凛「お疲れ様、ちょっと休んでなさい。……それでキャスター、熱中しすぎて本題を忘れてないでしょうね?」

キャスター「あまり舐めないでちょうだい。そんなものはとっくに終わらせてあるわ」

凛「だったら早く切り上げなさいよね……。で、結果は?」

キャスター「坊やが体内に取り込んだものはもともとは強力な効果を持っていたようだけど、今回使われたのは大分希釈されてるみたいね」

キャスター「心配しなくても、早ければ明日の朝には勝手に元に戻ってるわよ」

凛「そう、なら良かったわ」

ライダー「そ、そんな! 私の姉ライフはもう終わりなのですか!?」

イリヤ「……サーヴァントはこんなのばっかなのかしら」



206: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 01:07:01.92 ID:jLEEvnCG0

――――

イリヤ「これからどうするの? とりあえず当面の安全は確保されたわけだけど」

凛「帰ってもいいけど、藤村先生と出くわしたらと思うと怖いわね……。今日はわたしの家に泊らせる?」

イリヤ「却下。リンに預けたらシロウがどうなるかわかったもんじゃないわ」

凛「どういう意味よそれは!?」

イリヤ「冗談よ。どちらかと言うとリンよりアーチャーの方が気がかりね。どんなアクションを起こすかが全く分からないわ」

桜「あー、そうですね。いろいろ世話を焼いてきそうな気もしますけど」

ライダー「ではどうします? 間桐邸はあまりお勧めできませんが……」

イリヤ「つまりー、必然的にわたしのお城にご招待ってことになるのでした―!」

凛「それこそ却下よ却下!」

イリヤ「ちぇー」



211: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 01:18:15.64 ID:jLEEvnCG0

セイバー「シロウはこれからどうしたいですか? 日はまだ高いですが」

士郎「んー……遊びたいんだけど、駄目かな?」

凛「駄目ってことはないけど……」

ライダー「この状態の士郎を魔術と関係ない人間と関わらせるのはあまり旨くないですね。何かの拍子に元に戻る可能性も否定できませんし」

イリヤ「ま、その辺はキャスターを信じれば良いんじゃない? いくら魔女でも、散々好き勝手やって嘘の情報を対価として渡す女じゃないでしょうし」

凛「それもそうね。じゃあ適当にブラつきましょうか」

士郎「やった!」



219: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 01:39:42.27 ID:jLEEvnCG0

――――

凛「なんで港なのかしらね……」

イリヤ「知らないわよ。男って言うのは海に惹かれるものなんじゃないの。この前テレビで言ってたわ」

セイバー「そういうものなのでしょうか? シロウはご機嫌のようですが」

ライダー「男女の感性の差は一生埋まらないものですよ、セイバー」

セイバー「やけに訳知り顔ですね……む? あれは……ランサー?」



223: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 01:51:54.19 ID:jLEEvnCG0

ランサー「……お? 誰かと思えばセイバー達じゃねえか。全員揃ってこんなところにまで来るなんて珍しいな」

セイバー「少し用事がありまして。ランサーは今日も釣りですか。調子はどうです?」

ランサー「見てのとおりだ。今日は入れ食いでよ、釣れるのなんのって」

凛「羨ましい限りね」

ランサー「なんだったら今度干物にでもして持って行ってやるよ。調子に乗って釣ったはいいが、これだけの量は一度に食いきれないだろうしな」

セイバー「それは楽しみですね」

ランサー「お前んとこの坊主には世話になってるしな。その礼だ。……そういえば坊主はいないのか?」

凛「あー……何というか……」

士郎「…………」

ランサー「……あん?」



227: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 02:02:55.75 ID:jLEEvnCG0

ランサー「はっはっは! なるほどね、相変わらず坊主は苦労してるってわけだ!」

凛「笑い事じゃないわよ。一時は本気で頭抱えてたんだから」

ランサー「違いねえ。ま、何とかなるってんなら大丈夫だろ。坊主の生き汚さは俺のお墨付きだ」

イリヤ「それは褒めてるのかしら……」

士郎「桜姉ちゃん! ほらこれ! 魚が一杯いる!」

桜「そうですねー、どれも美味しそうですね」

士郎「うん!」



232: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 02:17:48.88 ID:jLEEvnCG0

ランサー「坊主、試しにお前も釣ってみるか?」

士郎「いいの?」

ランサー「おう、構わねえぜ」

士郎「ありがとう兄ちゃん!」

イリヤ「……すっかり懐いちゃってるわね」

凛「アウトドア派の子どもには好かれるタイプなんじゃない? キャンプの時なんかテントを一人で組み立てそうだし」

桜「そんな感じはしますね」

ライダー「うう……士郎を取られてしまいました……。姉としての時間がどんどん削られていく……」

セイバー「その思いをしているのは貴女だけではありませんよ、ライダー。私もシロウの姉として限りある時間を有効に使いたいと……」

ライダー「いえ、そもそもセイバーは姉と呼ばれていないと思いますが」

セイバー「言わないでください……!」



239: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 02:52:45.04 ID:jLEEvnCG0

凛「どうかしら? 兄貴分としての感想は」

ランサー「おう、悪くはねえな。こうして素直に慕ってくる分には可愛いもんだからな」

凛「それは良かったわ。……で、なんで時々微妙な顔して士郎を見てるわけ?」

ランサー「いや、な。今の坊主も、元の捻くれたところはあるが芯はまっすぐな坊主も嫌いじゃねえんだが……」

ランサー「これが将来あの赤いのになるのかと思うと、時の流れって奴を感じちまってよ……」

凛「あー……」

ランサー「しかもこの坊主、釣りに興味持ってんだぜ? あいつと同一人物だとつくづく思わされるっていうかよ……」

凛「…………」

ランサー「せめて将来この釣り場を荒らさないでくれるよう祈るばかりだぜ……」



243: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 03:12:50.74 ID:jLEEvnCG0

凛「結構時間経ったわね……そろそろ帰りましょうか」

桜「あ、そういえば先輩に今晩どこに泊まってもらうか決めてないままでしたね。どうします?」

ランサー「なんだ、泊まる場所探してんのか? だったらオレんとこに来るか?」

凛「却下に決まってるでしょ。カレンに何されるか分かったもんじゃないっての」

ランサー「はは、違いねえや。んじゃ、オレは帰るぜ」

凛「あ、そうだランサー。忘れてたけど、一つだけ質問をいいかしら?」

ランサー「おう? いいぜ、言ってみな」

凛「貴方、昨日士郎が昼に何してたか知ってる?」

ランサー「ああ、坊主なら昨日うちで昼飯食ってたぜ。カレンの奴に呼び出されたんだとよ」



249: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 03:27:27.55 ID:jLEEvnCG0

イリヤ「……どういうことかしら。カレンにそれだけの効果のある品を用意できるコネがあるとは思えないわ」

凛「てっきり今回の件にあの金ピカは絡んでいないと思ってたけど、その前提自体が間違ってたってことかしら。一気に黒幕疑惑が浮上してきたわね」

桜「とりあえず、教会に向かいましょう。直接会って話を聞くべきだと思います」

セイバー「ランサー、よろしいですね?」

ランサー「いや、構わねえけどよ……オレを巻き込むなよ? 絶対だぞ?」

ライダー「貴方次第といったところではないでしょうか」

ランサー「マジでやめろよそういうの! 最近オレの幸運ランク下がりっぱなしな気がするんだよ!」



254: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 03:44:29.63 ID:jLEEvnCG0

――――

ランサー「んじゃ、オレはここらで退散させてもらうぜ。厄介事に巻き込まれたくないんでな」

士郎「じゃあな兄ちゃん。釣り、楽しかったよ」

ランサー「おう。暇だったらまた来な。今度は素潜りのコツを教えてやるよ」

イリヤ「ほら、さっさと行きなさい。素直に答えてくれたお礼に今回は見逃してあげるわ」

ランサー「オレ今回マジで何にも知らねえんだけど、何でそこまで言われなくちゃならねえんだ……まあいいけどよ。んじゃ、あばよ!」

セイバー「……行ったようですね。では私たちも」

ギルガメッシュ「そこまでだ雑種共!」



261: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 03:55:22.09 ID:jLEEvnCG0

ギルガメッシュ「ここは我の庭だ。セイバー以外の者は即刻立ち去って貰おうか」

セイバー「ギルガメッシュ……!」

ギルガメッシュ「よく来たなセイバー。ようやく贋作者から離れ、我に下る気になったか。我も財を消費した甲斐があったというものだ」

凛「ということは、やっぱりアンタが士郎に何かしたってことね?」

ギルガメッシュ「その通りだ。我が財宝の一つを使ってな。贋作者には過ぎた物だが、セイバーを手に入れるためなら惜しくはない」

ライダー「しかし、貴方が以前自分に使った物では自分の記憶も保持していたはずです。これはどういうことですか?」

ギルガメッシュ「別の財を使ったに決まっているだろう。我が宝物庫は広大故にな、似たような結果をもたらす物も自然と集まるというわけよ」

凛「マジで後出し何でもありねこの金ピカ……」



265: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 04:15:43.08 ID:jLEEvnCG0

ギルガメッシュ「だがあれと全く同じというわけでもない。此度使った物は、若返ったまま完全に固定化する効果を持つ」

ギルガメッシュ「つまり、歳を取ることも無く永遠にそのままの姿というわけだ!」

セイバー「な――っ!?」

イリヤ「嘘……!?」

イリヤ(キャスターは確かに明日には元に戻ると言った。それは嘘だったっていうの……? ううん、キャスターは生粋の魔術師。基本原則である等価交換を守らないはずがないわ)

イリヤ「……リン、サクラ」

凛「ええ、キャスターが嘘をついているってことはないでしょうね。対価が足りなかったってことも無いと思う」

桜「こちら側の対価が対価とはいえ、キャスターさんはセイバーさんに随分と入れ込んでますからね」

イリヤ「かといって、あいつが嘘をついているってこともないでしょうね」

凛「あの金ピカ、プライドだけは高いもの。あれだけ自慢しといて全部嘘でしたっていう線はないわね」

桜「どういうことなんでしょうか……」



268: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 04:24:23.90 ID:jLEEvnCG0

ギルガメッシュ「更に教えてやろう。あの薬、少しばかり効きすぎるきらいがあってな。飲んだ者の生まれた頃の姿まで遡るという厄介極まりない代物なのだ!」

イリヤ「……ん?」

セイバー「……は?」

凛「……へ?」

桜「えっ」

ライダー「はい?」

ギルガメッシュ「ふはははは! 我が財の前にひれ伏すが良い、雑種共よ!」



274: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 04:40:50.81 ID:jLEEvnCG0

凛「……ちょっと待って、今アンタが言ったことって本当?」

ギルガメッシュ「何を言う。雑種如きを謀る必要などない。我は英雄王、全ての人類の頂点に立つ男だぞ。虚言なぞとっくに捨てたわ」

桜「えーっと……」

ギルガメッシュ「そもそも貴様等はそうなった贋作者を見つけてここまでぞろぞろと来たのではないのか?」

ライダー「なんて言えば良いんでしょうね……」

ギルガメッシュ「赤子になった雑種にセイバーは手に余る。捨てられたセイバーを拾うことで、晴れてセイバーは我の物になるというわけだ!」

イリヤ「うっわぁ、穴だらけ……」

ギルガメッシュ「さあセイバーよ、我に下れ! そうすれば他の雑種共は見逃してやらんでもないぞ」

士郎「……なんだあの金ピカ」

ギルガメッシュ「……うん?」



276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 04:56:52.48 ID:jLEEvnCG0

ギルガメッシュ「見ない顔だな小僧。だが今の我は気分が良い。そら、今週号のジャンプをくれてやろう。我はもう読み終わったのでな」

士郎「……いらない。俺、あんまり漫画読まないし」

ギルガメッシュ「ぬう……ではガリガリさんだ。嬉しいだろう? 心して食すが良い」

士郎「いらない。ここに来る途中で大判焼き食べたし」

ギルガメッシュ「ぐぬう……!? な、ならば金だ! これで喜ばないはずがなかろう!」

士郎「金をチラつかせるような大人に付いて行ったら駄目だって親父に言われた」

ギルガメッシュ「なにい……!?」

士郎「俺、アンタの事嫌いだ」

ギルガメッシュ「ごはあ!?」




280: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 05:14:49.41 ID:jLEEvnCG0

セイバー「随分と効いてますね」

凛「大方、子どもに正面から嫌いだって言われたことなかったんでしょ。近所じゃ子どもたちのヒーローとして有名だってアーチャーが言ってたわ」

ライダー「まさにお山の大将気どりだったというわけですね」

桜「ラ、ライダー。大体合ってるけど、そういうのは口に出しちゃ駄目よ」

ギルガメッシュ「おのれ、おのれおのれおのれおのれおのれ! 我が威光に唾を吐き捨てる者などいらぬ! 後ろの雑種諸共消し飛ばしてくれる!」

凛「あー、セイバー。そろそろオチが見えたんで、好きにしていいわよー。魔力はわたしのラインから引っ張っていいから」

セイバー「はい、それでは――」

ギルガメッシュ「あっ――――」



285: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 05:52:05.15 ID:jLEEvnCG0

――――

セイバー「ただいま戻りました、シロウ」

士郎「ああ。お疲れ様、セイバー」

セイバー「いえ、弟を守るのは姉として当然の責務ですから」

士郎「セイバー……」

セイバー「ですからシロウ、一度だけでいいんです。どうか、どうか私のことをお姉ちゃんと……!」

士郎「ありがとうセイバー。これからも頼りにしてる」

セイバー「うわああああああああん!」



287: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 06:05:06.28 ID:jLEEvnCG0

凛「ようやく片付いたけど……」

イリヤ「お互いの情報で食い違いが激しかったわね」

桜「効果が弱まっているのは、キャスターさんの希釈されたって発言を信じるならそれの影響なんでしょうけど……」

ライダー「ギルガメッシュはそのようなことはしていないでしょう」

凛「つまり、士郎に飲ませた犯人は別にいるってことね。そして残っている人間でそれが可能なのは……」

カレン「そこから先はわたしが説明しましょう」

士郎「うわっ!?」



293: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 06:45:28.44 ID:jLEEvnCG0

凛「出たわね、黒幕」

カレン「黒幕とは失礼ですね。わたしは少しばかりギルガメッシュの後押しをしてあげただけですよ」

凛「どうだか。どうせ作戦の立案はアンタでしょ」

カレン「さあ……なんとなく口に出したような記憶はあるような気はしますが」

ライダー「そ、それよりもカレン! 士郎を離してください! ハグして良いのは姉だけの特権ですよ!」

桜「ライダー、まだ姉ポジに拘ってたのね……」

カレン「ふふふ、それなら本人に訊いてみては良いではないですか」

ライダー「な……!?」



294: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 06:58:56.37 ID:jLEEvnCG0

カレン「ねえ、衛宮士郎? わたしに抱きしめられるのは嫌ですか?」

士郎「嫌って言うか、と、とりあえず離して」

カレン「わたしは嫌かと訊いているんですよ? ほら、どうですか?」

士郎「えと、その……」

カレン「わたしからはどんな匂いがしますか」

士郎「……消毒薬の、匂い」

カレン「そうですか。あまり健康的とは言えない匂いでしょうが……貴方は、この匂いはお嫌いですか?」

士郎「……別に、嫌いじゃない、けど……」



298: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 07:15:29.71 ID:jLEEvnCG0

カレン「だそうですよ?」

ライダー「ひ、卑怯です! そんな方面からの攻めは反則です!」

セイバー「そうです! 私なんて碌に姉として振舞えてないんですよ!?」

イリヤ「セイバー。貴女はいい加減諦めた方が良いと思うわ……」

桜「というか、セイバーさんとライダーは同レベルな気がします」

凛「もう面倒だから先に進みましょう」



302: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 07:33:33.73 ID:jLEEvnCG0

凛「昨日の昼、士郎を電話で呼び出したのはアンタね?」

カレン「ええ。教会に不審者が入り込んでいると言ったらすぐに来てくれました。まあ、不審者というのはランサーのことなのですが」

凛「ランサー、そのうち家出するわよ……。その後士郎に昼食を食べさせたわけ?」

カレン「ええ。昼食も食べずに教会まで来てくれたお礼にと。まあ、その時間帯を狙って電話したわけですが」

桜「その昼食に薬を混ぜたってことで間違いないですか?」

カレン「その通りです。ちなみにメニューは激辛マーボーでした」

桜「容赦なく先輩のトラウマを突きますね……」

カレン「好きですので」



304: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 07:50:06.87 ID:jLEEvnCG0

凛「なら金ピカご自慢の薬を希釈したのもアンタってことになるけど……」

イリヤ「でもカレンにあの薬を希釈する技術があるとは思えないわ。あれは仮にもアイツの宝物庫に収められてたマジックアイテム。通常の手段でどうにか出来るとは思えないわ」

イリヤ「ねえカレン、貴女には共犯者がいるわね?」

カレン「ええ、いますよ。良き理解者でした。口止めもされてませんから言いましょうか」

カレン「今回の協力者は、キャスターです」



307: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 08:01:32.74 ID:jLEEvnCG0

カレン「まずはギルガメッシュから薬を貰い、それを機会を待って仕込んでおくと伝えました。自分で仕込もうなんて考えないでしょうからね」

カレン「その後キャスターに連絡を取り、薬の希釈を依頼しました。協力とは言っても、直接的な事はこの程度ですね」

カレン「後は皆さんの予想道理ですね。おめでとうございます」

凛「……一応聞いておくけど、何を対価に差し出したのかしら?」

カレン「この計画が上手くいけば十中八九キャスターを頼るでしょうから、その時に上手く吹っ掛けるように言っておきました」

凛「わたしたちを借金のカタみたいにしてんじゃないわよ!」



310: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 08:15:12.54 ID:jLEEvnCG0

イリヤ「なるほどね、わたしたちからの要求はどうすれば元に戻るかという事。その原因である薬品はキャスターが調整したんだから、ほっといても大丈夫って答えは当然知ってるわよね……」

ライダー「ギルガメッシュはそのことを知らないから、二度と元に戻らないと思い込んでいた、というわけですか……」

セイバー「あれ? ということは私を一日自由にしていいって権利も実質詐欺で得たものだから無効ですか!? やったー!」

凛「いや、それとこれとは別でしょ。わたし達の要求には応えてるんだから、こっちも応じないと」

セイバー「結局こうなるんじゃないですか! やだー!」

カレン「憐れですね」

ライダー「貴女がそもそもの原因だと思うのですが……」



313: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 08:33:59.68 ID:jLEEvnCG0

桜「ちなみに動機は何ですか?」

カレン「衛宮士郎を小さくしたらおもしろ……報われぬ恋慕に生きるギルガメッシュがあまりに不憫でしたので、マスターとしてその後押しをしてあげようと」

凛「……なんかもういいわ、疲れた……」

カレン「そうそう。子どもになった記憶は、元に戻った時には引き継がれませんのでご注意ください」

イリヤ「でしょうね。もともと元に戻ることなんか想定してないだろうし」

桜「とにかく、これでようやく全部終わりですね!」

凛「無駄に歩き回った気しかしないわ。……それにしてもキャスターの腕前はやっぱりおかしいわ。強力なマジックアイテムを効果時間だけでなく年齢まで細かく調整できるなんてね……」

カレン「……なんだか勘違いされてるようなので言っておきますが、キャスターが行ったのは液体の希釈ではなく、マジックアイテムの効果の希釈です」

カレン「つまり全体を希釈したわけではなく、特定の効果を選択して希釈したわけですが……今回わたしが依頼したのは、効果時間の希釈のみですよ?」



316: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 08:46:46.64 ID:jLEEvnCG0

――――

その後、わたし達は衛宮邸に戻ることになった。

幸いにも、今日はタイガが家の事情で離れられないらしく、衛宮邸に現れることはなかった。

小さくなったシロウを可愛がるように、皆が思い思いの姉を演じる。

……それが、一夜の幻想を精一杯楽しもうとしている姿に見えたとしてもおかしくはないだろう。

このシロウは、今日限りで消えるのだ。




319: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 09:00:28.64 ID:jLEEvnCG0

イリヤ「シロウ、一緒に寝ましょう」

士郎「えー……、一人でも大丈夫なんだけど」

イリヤ「お姉ちゃんの言うことは素直に聞くものよ。それが良い姉弟関係を築くコツなんだから」

士郎「初めて聞いたよ。……うん、わかった。一緒に寝よう」

イリヤ「わーい!」



320: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 09:07:31.94 ID:jLEEvnCG0

イリヤ「……静かね」

士郎「皆いないからな」

イリヤ「セイバーとライダーをリンとサクラに引っ張って帰って貰って正解だったわ。碌な事にならないだろうし」

士郎「何で?」

イリヤ「シロウは知らなくても良いのよ。……それにしてもセイバーには妬けるわ。マジックアイテムの影響を受けておいてなおその関係性が強く根付いているなんてね。本人は複雑でしょうけど」

士郎「?」

イリヤ「なんでもないわよ。なんでもない」



323: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 09:23:16.61 ID:jLEEvnCG0

イリヤ「シロウはキリツグの息子になって、一度生まれ変わったんでしょうね」

士郎「生まれ変わったって……俺は死んでないぞ?」

イリヤ「それだけの衝撃的な経験をしたってことよ。それこそ外部からの影響を歪めちゃうほどのね。……シロウ、キリツグのことばっかり追いかけてるでしょ?」

士郎「そりゃあ切嗣には感謝してるけど……切嗣ばっかり追いかけてるってわけじゃないと思うぞ」

イリヤ「ふーん?」

士郎「何でニヤニヤしてるんだよ……」

イリヤ「別にー? 早くキリツグが帰ってくるといいねー」

士郎「なんかムカつくな……。いいさ、切嗣が海外から帰ってきたら教えて貰うこともあるんだ」



330: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 09:52:22.71 ID:jLEEvnCG0

イリヤ「ねえシロウ、まだ起きてる?」

士郎「……んー……?」

イリヤ「わたしね、いつもシロウに甘えっぱなしだけど……本当は、わたしがシロウのお世話をしたいんだよ?」

イリヤ「だから、だからね。名前も知らない誰かのために自分の身を投げ出すのはやめてほしいの。わたしの手の届かない所でシロウが死んじゃうのだけは嫌だから……」

イリヤ「もう二度と、大切な人に置いて行かれたくないの……だから……」

士郎「……大丈……だから……」

イリヤ「え……?」

士郎「……お姉ちゃ……俺が守る……ら……」

イリヤ「――ふふ、寝ぼけてまともに返事出来てないわね。会話にもなってないし」

イリヤ「仕方ないから、情けない弟のためにこれからもわたしがお世話してあげる。だって、弟を守るのが――」



333: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 09:58:44.83 ID:jLEEvnCG0

――――

士郎「朝飯出来たぞー」

大河「はーい、待ってました―」

士郎「待ってるだけじゃなくて少しは手伝ってくれ。桜は配膳を頼む」

桜「わかりました」

士郎「遠坂はまだ寝てるのか……。ライダー、悪いけど遠坂を起こしてきてくれ」

ライダー「はい」

イリヤ「……ようやく通常運転ってところかしら」

セイバー「そうですね」



335: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 10:07:39.05 ID:jLEEvnCG0

イリヤ「ごちそうさまー」

士郎「おそまつさま。皿は置いてていいぞ。後でまとめて運んでおく」

イリヤ「ありがと」

士郎「……なあ、イリヤ」

イリヤ「なあに、シロウ?」

士郎「最近セイバーからやたらと見られてる気がするんだけど、気のせいかな」

イリヤ「気のせい気のせい。あんまり気にするとハゲちゃうよー?」

士郎「ハゲるのか……。でもやたらと視線感じるんだよなあ。なんだか悔しさを多く含んだ感じのが……」

イリヤ「ま、もしもの時はわたしに相談なさいな。わたしがシロウを守ってあげるから」

士郎「はは、期待しとくよ」

イリヤ「むー、信じてないでしょ? いいわ、ここらでわたしのありがたみってやつを教えてあげる。なんたって……」

イリヤ「――わたしは、シロウのお姉ちゃんなんだから」



おしまい



343: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 10:16:18.55 ID:jLEEvnCG0

というわけで終了です。長く苦しい戦いだった…
士郎の性格が終始安定しなくてごめん。苦しいのは俺も一緒なんだ! イメージ的には>>64の時が一番近かった
一応矛盾とか気を遣ったつもりだけど、ずっと眠かったんで大量発生してるかも
セイバーの扱いが酷かったのは、序盤で完全に役割のイメージが固定化されたからで、嫌いというわけじゃないです。黒セイバーの方が好きだけど

というか俺が今まで書いたSSが全部乗っ取りスタートってどういうことだよ…



348: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 11:04:36.22 ID:apiadIos0

眠い中乙~
よく完結した



354: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/07(月) 11:49:23.46 ID:zS20Sc0h0

よく最後まで書ききってくれた
本当に乙


元スレ
士郎(ショタ)「おねえちゃん、だあれ?」イリヤ(か、可愛い!!)
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1336288468/