1: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 13:21:05.44 ID:/nz3PqAP.net
紆余曲折あって一緒に住むことになった2人がただわちゃわちゃするだけの短編集
2: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 13:22:54.05 ID:/nz3PqAP.net
不動産屋
アリガトウゴザイマシター
曜「住む所決まってよかったねー!」
鞠莉「ええ。駅近、築浅、オートロック、セパレートタイプで、部屋の広さもそれなり」
曜「家賃も2人ならどうにかなる金額だし、言うことないね!」
鞠莉「ただ、このネーミングはちょっといただけないというか…」
曜「マンション名の、メゾン・ド・モルゲンレーテ・日の出、のこと?」
鞠莉「フランス語、ドイツ語、日本語…しかもモルゲンレーテって日の出って意味よ」
鞠莉「ひどいメドレー。名前じゃないわ」コレガジュウショニナルノ…
曜「ふぅん…でも、私はいいと思うな」
鞠莉「曜?」
曜「ほら、鞠莉ちゃんがよく言うけど、私の名前って光り輝くって意味でしょ?鞠莉ちゃんもシャイニー☆に定評があるし、きらきらな私たちが住むにはぴったりな名前じゃないかな!」ニコッ
鞠莉「!…ふふっ、そうかもね。ここなら私たちらしい暮らしができるかも、なんてね」
鞠莉(年下なのに、いつも曜にはかなわないなあ)
鞠莉(でも、なにかの意図を…メタ的な意味があるような気がしてならないのは何故?)
◆肩こり
曜「…」トントントン
ガチャ
鞠莉「ふぁ…おはよう、曜」
曜「あ、おはよう鞠莉ちゃ…」クルッ
ビシッ
曜「うあっ!?あたたたた…」
鞠莉「な、なによ人を見るなり痛がって。大丈夫?」
曜「ああ、うん…ちょっと肩っていうか、背中全体が痛いっていうか…」
鞠莉「うん?ちょっと触るわね…」 スッ
曜「いたっ!」
鞠莉「あら、肩っていうか、首から背中までカチコチになってるわよ!痛みの正体はこのコリね!」
曜「ああ、これが肩こりなの?今までなったことないからわからなかったよ…」イタイヨー
鞠莉「肩どころか背中ごと固まってる感じだけど…どうしちゃったの、いきなり肩こりなんて。何かした?」
曜「わかんない…どうしてかな、鞠莉ちゃん…」グスッ
鞠莉「曜…」
ダイヤ『はぁ。曜さんが肩こりがひどい、と』
鞠莉「ひどいなんてもんじゃないわ。背中全体が固まって、首を回すのも腕を使うのも辛いみたいなの」
鞠莉「何かいい方法はないのダイヤ!?曜の肩こりを取り除く健康法とか魔法とか!」
ダイヤ『何かといっても…原因に心当たりはないのですね?』マホウッテ
鞠莉「わかったら対処してるわ、だから困ってるの」
ダイヤ『ふむ…一般的に、肩のコリは体の姿勢、生活リズムの変化、ストレスなどが原因とされていますが』
鞠莉「どれも当てはまらない、と思う」
ダイヤ『新生活、新年度で多忙と聞いています。運動不足などは?』
鞠莉「そりゃあ運動する時間と場所は減ったけど、時間があれば曜を誘って走ったり、ヨガしたりしてるし」
ダイヤ『鞠莉さんは凝っていないのですか?』
鞠莉「ええ。困ってないわ」
ダイヤ(ふむ…お2人が一緒に暮らし始めて2週間…やはり、2人で暮らすようになった生活習慣の変化が原因?)
ダイヤ(でも、そうだとしたら鞠莉さんの肩がこらないのはおかしい。2人にとって条件は同じはずなのですから…ん、2人で?)
ダイヤ『…そういえば、お2人は寝るときはどうされているのですか?』
鞠莉「Oh!?やだなあダイヤちゃんてば、いきなりそんなこと聞いて。気になる?ねぇ2人の夜が気になるの?」
ダイヤ『ふざけるなら切りますよ、では』
鞠莉「ああっ、ごめんごめん!寝るときは一緒のベッドに寝てるよ」
ダイヤ『ふむ。ベッドは2人で寝られる大きさなのですか?』
鞠莉「うーん、少し手狭だけど、2人でくっつけば余裕がないわけじゃないと思うわ。私はよく寝れるし」
ダイヤ『ん、くっついて…ああ…』
鞠莉「何かわかったの?」
ダイヤ『…なんとなく』
数日後
鞠莉「ありがとうダイヤ!ダイヤが送ってくれた入浴剤のおかげで、曜の肩こりがすっかり治ったわ!」
鞠莉「さすが黒澤家御用達の入浴剤ね!お風呂に関しては私もこだわりがあるけど、こんなspecialなものがあるなんて!持つべきはかしこいかわいい幼なじみ!」
鞠莉「ええ、必ずお礼するから!こっちに来たら絶対寄ってね!じゃあ!」ピッ
曜「いまの、ダイヤさんに電話?」
鞠莉「あら曜。ええ、肩こりを治してくれたお礼を。よかったね、治って」
曜「うん。でも、ダイヤさんって本当に凄いなあ。私たちの事、よくわかってくれてるみたい」
鞠莉「ん?わかってるって何が?」
曜「ああ、いや…いつも助けてくれてるってこと」
鞠莉「そうよね、本当に持つべきは親友よね!」
鞠莉「近頃は寝るときに曜がぎゅってさせてくれるし、本当に良いことばかり!クワバラ、クワバラね!」
曜「えっと、最後のは用法が違うと思うよ?」
………………
曜『えっ!?う、うん…そうなんだ。やっぱり一緒に寝るようになったのが原因かなって』
曜『…うん。どうしても隣にいる鞠莉ちゃんを意識しちゃうせいか、寝返りも打てないし、鞠莉ちゃん寝てる時も抱きつき魔で近づいてくるから、いつもベッドの隅に追い込まれてそれでおそらく…』
曜『…ええっ!?で、でもっ』
曜『…うん、鞠莉ちゃんを悲しませたくない…やってみるよ、ダイヤさんありがとう』
………………
曜(ダイヤさんのアドバイス通り、私は思い切って、鞠莉ちゃんに体を寄せて寝るようにした)
曜(肩こりの原因は、ダイヤさんが看破した通り、私が鞠莉ちゃんに遠慮してベッドの上でのびのびと寝られなかったから)
ダイヤ『鞠莉さんには肩こりによく効く入浴剤を送ると伝えてあります。曜さんからは、鞠莉さんが原因とは口が裂けても言えないでしょうから、今日からは遠慮を捨てて、鞠莉さんと仲良く寝てあげてくださいね』
曜(…いやほんと、よくわかったなぁダイヤさん。凄いとしか言いようがないよ)
曜(恥ずかしかったけど、肩こりも治るし、鞠莉ちゃんともさらに距離が縮まった気がする…本当にありがとう、ダイヤさん)
◆嫌いなもの
鞠莉「さーて、今日は何を作ろうかなっと」冷蔵庫ガチャ
鞠莉「…げっ」
ドタドタ
鞠莉「曜!よーう!ちょっと何よこれ!」
曜「うわっ、いきなりどうしたの」
鞠莉「これよこれ!冷蔵庫に入ってたわ!」
曜「ああ、納豆ね。安かったし、久しぶりに食べたくなったから買っておいたんだよ」
鞠莉「私は嫌いなの!納豆、嫌いなの!知ってるでしょ!」
曜「別に無理に食べなくて大丈夫だよ」
鞠莉「近くで誰かが食べてるのもダメなの!あのニオイ、あのネバネバが目の前で…うっ、想像しただけで気分が」
曜「大げさすぎるでしょ、納豆くらいで」
鞠莉「曜から納豆のニオイが仄かにするのも我慢ならないの!」
曜「食べたあとは歯磨きするし、よっぽど近寄らないとニオイなんてわからないと思うけど…」
鞠莉「よっぽど近寄りたいの!言わせないでよ鈍感!おバカ!」
曜「なっ!?」
ワーワーギャーギャー
…………………
数日後
曜「さーて、今日は何を作ろうかな」冷蔵庫ガチャ
曜「…げっ」
ドタドタ
曜「鞠莉ちゃん!まーりちゃーん!何これ!」
鞠莉「もう、どうしたのよ慌てて」
曜「これだよ!冷蔵庫に入ってたよ!なにこれ!」
鞠莉「ああ、お刺身ね。久しぶりに食べたくなって、買っておいたの」
鞠莉(ふふ、この前のお返しね。嫌いなものが冷蔵庫に入っている恐怖を味わうがいいわ、曜!)
曜「買っておいたの、じゃないよ!今月の家計がピンチなのわかってるでしょ!?」
鞠莉「あれ?」
曜「食べたいなら食べさせてあげたいよ!私だって鞠莉ちゃんに我慢させたくないよ!」
曜「だけどね、お金が厳しいから今週は少し我慢してやりくりしなきゃねって、こないだ決めたばかりなのに!」
鞠莉(あっ、やばい)
曜「買いたいものだって我慢してるし、家の事も私なりに一生懸命やりくりしてるつもりなのに、それなのにこんな…」グスッ
曜「ひどいよ、鞠莉ちゃん!」ウエーン
鞠莉「あ、あれー?」
◆単位
曜「…うーん」カタカタ
鞠莉「ねー曜。よーうー」ギュ
曜「おっと、ごめんね鞠莉ちゃん。今レポート書いてるからもう少し…」
鞠莉「やだ」
曜「ん?」
鞠莉「かまってくれないの、やだ」
曜(かわいい)
曜「はいはい、しょうがないなー」ギュ
鞠莉「ん…私のこと、どれくらい好き?」
曜「どれくらいって言われても…」
曜「言葉にするのは、難しいよ」ポンポン
鞠莉「ハンバーグに換算したら何個分?」
曜「うん、質問の意図がわからないなあ」
曜「それ、チーズは上に乗ってる?」
鞠莉「乗ってない」
曜「うーん、じゃあ100個分くらいかなー」
鞠莉「…思ったより少ないわね。じゃあチーズが乗ってたら?」
曜「うーん、なら30個分かなー」
鞠莉「チーズのレートおかしくない!?」
曜「なら聞くけどさ。鞠莉ちゃんは『私は鞠莉ちゃんのこと、コーヒー150杯分くらい好きだよ』とか言われて嬉しいの?」
鞠莉「正直、微妙ね」
曜「でしょ?っていうかじゃあなんでハンバーグに例えたの」
鞠莉「ハンバーグじゃなくてもよかったの。むしろ失敗ね。単に、私って曜にとってどんな存在なのかなって、確かめたくなって」
曜「あー、そういうことか。普段から大事に思ってるの、わかんないかなー」ギュ
鞠莉「言葉で確かめたくなる事もあるの。察してよ」
曜「はいはい。甘えんぼさんめー」
鞠莉「普段甘えさせてあげてるんだから、たまにはいいじゃないの。曜のケチんぼ」
曜「あはは」
曜(レポート明日締め切り…ま、いいや)カタン
◆金銭感覚矯正中
曜「私も鞠莉ちゃんも、親元から離れてだいぶ自立できた気がするね」
鞠莉「一番の成長は、お金の貴重さがわかってきたことだと思うけど、曜はどう?」
曜「あ、同じこと考えてた。自分で言うのもなんだけど、大きな変化だよね」
鞠莉「一緒に住むのが決まった頃を思い出すわ。みんなに報告しに行った時…」
……………
ダイヤ「曜さん!貴女だけが頼りですの!この世間知らずのお嬢様がお金にものを言わせて道を違えないように、監督の程よろしくお願いしますわ!」
果南「いい、鞠莉。内浦の格言にある。【いつまでも、あると思うな、親と金】。自立する以上は、退路を断つ覚悟でね。まともな金銭感覚を身につけて、大人の女になるんだよ」
鞠莉「2人ともひどくない!?私これでも経済・経営専攻よ!?」
ダイヤ「学術分野と生活感覚は違うのです!」
果南「一杯10万円のスープを海の家で売った前科があるからね」
果南「鞠莉が都会で正しい金銭感覚を身につけられるかは、曜にかかってる。頼んだよ」
曜「えっと、責任重大…」アハハ
千歌「うーん。でもさー、果南ちゃん」
梨子「しっかり者の曜ちゃんだけど、意外にもお金遣いはその限りでないってこと、忘れてませんか?」
ダイかな「…あっ」
曜「…お金遣い荒くてすみません」
鞠莉「前途多難ね…」
千歌「まー、2人ならなんとかなるって!」
梨子「どちらかに頼りきりじゃなくて、お互いに支えあって暮らさないと、だね」
ダイヤ「むぅ…見習う相手が居ないと大変でしょうが…」
果南「何かあれば力になるから。頑張ってね!」
……………
曜「懐かしいね!これから送り出してもらうってときに、いきなりお金遣いの話になったから驚いたよ」
鞠莉「みんなからあんなに心配されて、ようやく自覚できたわ。私、ズレてたんだって」
鞠莉「実際、暮らし始めてからは大変だった。自分の中の物差しが役に立たないのを痛感したわ」
曜「私も家にいた頃は、欲しいものがあるとつい買っちゃってたからなぁ。お年玉は冬休み中に使い切ってたし…」
曜「今でも購買意欲が疼く時はあるけど…2人のことだと思えば、ぐっとこらえられるよ」
鞠莉「私も少しずつだけど、お金とかものの価値とかがわかってきた気がする。自分で出し入れを管理しないと、わからないものなのね…」
曜「これもまた、経済や経営の勉強になるってことかな」
鞠莉「ちょっとミクロすぎるけど、ね。ところで、曜」
曜「はい」
鞠莉「バイトのお給料日まであと1週間…」
鞠莉「全財産1,562円で、どうやってしのぎましょうか…」コゼニトニラメッコー
曜「…うん」ニラメッコー
◆充電
曜「鞠莉ちゃん遅いなあ。ゼミが長引くかもって聞いてたけど、ラインにも既読が付かないし大丈夫かなー」
曜「ここ最近は、お互い忙しくてゆっくりできなかったしなー。よし、明日は休みだし、お昼は曜ちゃん特製のハンバーグでも作っちゃいますか」
ガチャ
鞠莉「ただいま…」
曜「あ!帰ってきた。おかえりなさい」
曜「ご飯にする?お風呂にする?それとも…」ニシシ
バッ グッ
曜「うあっ!?」
曜(いきなりハグされた!?)
鞠莉「よう…」グッ
曜「ま、鞠莉ちゃん、帰ってきていきなりだし、こんなところじゃご近所さんのご迷惑に」
鞠莉「充電」
曜「えっ?」
鞠莉「充電よ…今日は朝から頑張ってすっかりempty…曜分充電させて…」ギュ
曜「…はいはい、お疲れ様」ナデナデ
曜「玄関だと寒いから、中入ろうね」
鞠莉「んー」ギュ
曜(珍しく甘えたさんモードだ…頑張ったんだね)ナデナデ
鞠莉「…ふぅ。ありがと、落ち着いたわ」
曜「ご堪能いただけたようで。でも、帰る前に連絡欲しかったな。ラインしたのに返事が来なくて心配したんだよ」
鞠莉「そっちは本当に電池切れ。曜が昨日、私の充電器使ったせいよ?」
曜「ああ…」
鞠莉「ああじゃなくて、ごめんでしょ?」
曜「はいはい、ごめんごめん。ご飯は?」
鞠莉「まだ食べてない」
曜「あらら、じゃあ簡単なものでよければ作ってくるから、少し待ってて」
鞠莉「やだ。まだ離れたくない」ギュ
曜「おっと、今日はやけに素直だね」
鞠莉「もっと一緒にいるの」ギュ
曜「はいはい」
◆専用湯たんぽ
曜「へくしゅっ!」
鞠莉「ほら、もっとこっちきて。ただでさえ曜は寒がりなんだから、遠慮しないの」
曜「ダメだよ。近くに居たら鞠莉ちゃんに風邪感染しちゃう…私、やっぱり今日はソファーで寝るよ」
鞠莉「ソファーじゃ落ち着いて寝れないし、向こうの部屋は寒いわ」
鞠莉「どうせ一つ屋根の下で逃げ場はないんだから、気にせずこっち来てよ」
曜「う…ごめん」
鞠莉「念のため私も風邪薬飲んだし、マスクもして寝るから」ギュ
曜「…ありがと。鞠莉ちゃんあったかいよ」
鞠莉「うん、曜も今日はちょっぴりホットだね」ナデナデ
鞠莉「はやく良くなりますように」ギュ
曜(へへ、幸せ…)ポー
曜(でも、風邪薬って予防効果は無いような…)ウツラウツラ
◆看病
曜「ごほっ、ごほっ…う、ぁぁぁ…」グッタリ
鞠莉「よ、曜…」オロオロ
曜「ご、ごめんね、鞠莉ちゃん…」
曜「今日は私がごみ当番の日だけど、できそうにないや…」ゼーゼー
鞠莉「こんな状態で何言ってるの!そんなのなんか!」
曜「こんなことになると思わなかったから、ご、ご飯も用意してない…なにか食べるもの、あったかなぁ…」
鞠莉「曜!怒るよ!」
鞠莉「いつも言ってるけど、遠慮しないで頼ってよ!これでも私の方がお姉さんなんだから!」
曜「…うん、ごめんね鞠莉ちゃん…ありがとう」ゼーゼー
鞠莉「もう…えっと、こういう時は水分補給が大切よ。ポカリもってきたから、からだ起こせる?」ストローツキ
曜「う…ちょっと、つらい」
鞠莉「待って、曜はそのままでいいわ。さあ、起こすわね…!?」グイ
鞠莉(凄く熱い…!大丈夫なの、これ…)
曜「鞠莉、ちゃん?」
鞠莉「…はい、ポカリ。飲めそう?」
曜「う、んー…」ゴクリ
曜(! ポカリが、熱くなった身体の中を駆け抜けていく感覚…!)
曜「ああ…素敵…」フゥ…
鞠莉「…飲めそうね。薬もってくるから、ポカリ飲んでゆっくり待ってて…」
鞠莉「あっ、薬の前にはご飯食べないと、よね?」
曜「食欲ないから…食べるものもなかったと思うし…」
鞠莉「ダメよそんなの、食べなきゃ体力が戻らないわ」
鞠莉「なにか食べれそうなもの用意するから。少し待ってて」
鞠莉「…とは言ったものの」
鞠莉「正直、料理は曜に任せっきりだったし、一緒に暮らすまでは外食専門だった…」
鞠莉「さっきはお姉さんぶったけど、曜が元気ないってだけでこんなに動揺して…我ながらダメね」
鞠莉「いつも曜には支えてもらってる。こんな時だからこそ、しっかりお返ししないとね!」シャイニー
鞠莉「よし、じゃあ気を取り直して曜のご飯づくりね。私にも作れそうで、病気の時の定番メニューといえば…」スマホスッスッ
鞠莉「お粥よね!食べやすくて胃に優しい、ジャパニーズスタイルでシンプルなものにしましょう」
鞠莉「リンゴも見つけたから、これだけあれば充分ね。私でもなんとかなりそう」
鞠莉「さて、と。まずはリンゴを食べやすくカットして」サクサク
鞠莉「次はお粥ね。えーと、お鍋にご飯と水を入れて…」ブンリョウハカリーノ
鞠莉「弱火で煮る」グツグツ
鞠莉「そして最後に塩で味を整えて完成!簡単ね!」
鞠莉「えっと塩の量は…少々?お好みで??」
鞠莉「な、なによそれ。塩といえばお粥の味の要。その肝心なところがどうしてフィーリングなの!?」
鞠莉「もし入れすぎちゃったら、後戻りはできない…とはいえ、付け合わせもないから薄味すぎると誤魔化しがきかない」
鞠莉「ど、どこかに正解は載ってないのかしら」スマホスッスッスッ
お粥「…」グツグツ
………………
曜「うぅ…」アツイー
曜(すっかり鞠莉ちゃんに迷惑かけちゃった、な…)
曜(風邪なんて、しばらくかかったことなかったのに。これが新生活疲れってやつなのかなぁ。もうちょっと丈夫なつもりだったんだけど)
曜(…久々に病気になったせいか、無性に心細い)
曜(鞠莉ちゃん、早くこないかな…ご飯作るって言ったけど、大丈夫かな)
ガーン
アーウチ!ノオオオオ!!
曜「!? 鞠莉ちゃん!」
………………
鞠莉「…」ズーン
曜「おお…」ヨタヨタ
曜(底が焦げたお鍋、飛び散るお米、なんか黒いものが混じったお粥、変色したリンゴ…)
曜(察するに、お粥を焦がしたことに驚いて、お鍋をひっくり返しちゃって…リンゴは塩水につけずに放置しちゃったんだね)
曜(そして、ちょっとした大惨事の中心で三角座りする鞠莉ちゃん)
曜「あの、鞠莉ちゃん?」
鞠莉「! 曜、大丈夫なの!」
曜「うん、なんとか…鞠莉ちゃんは大丈夫…そうじゃないね。火傷とか怪我とかしてない?」
鞠莉「…ごめんなさい。私、その…こんな時だから、少しでも曜の役に立ちたいって、思ったのに…」ウルッ
曜「わわっ、大丈夫だよ。わかってるよ。私のために頑張ってくれたんだよね?」アセアセ
鞠莉「病気で辛いのは曜の方なのに…なんで優しくするのぉ」シクシク
曜「大丈夫、大丈夫だから」サスサス
鞠莉「曜…!しっ、塩加減がー!」ウエーン
曜(ああ、もう…ハグしてあげたいけど、今やると風邪がうつっちゃう…早く治さないとなぁ)シオカゲン?
………………
曜「うん、美味しいよ。ありがとう。塩加減もちょうど好みだし」
鞠莉「でも、焦がしちゃったから…なるべく焦げてないところを集めたつもりだけど」
曜「まあ、これはこれで…苦味のあるお粥も悪くないよ。でも、焦がしてひっくり返してで、よく食べるだけのお粥が残ってたね」
鞠莉「私も一緒に食べようと思って、2人前の分量で作ったから…」
曜「えっ、それじゃ鞠莉ちゃんが食べる分がないんじゃ?」
鞠莉「リンゴがあるから…色悪いリンゴが。塩水につけないと、こうなっちゃうのね…」ハァ
曜「お粥といいリンゴといあ、今日は塩に振り回されたってとこかな。まあ、勉強になったってことにしようよ」
鞠莉「ん…」シャク
曜「鞠莉ちゃんは、リンゴはカリッとした硬めのやつと、そうじゃないやつ、どっちが好き?」
鞠莉「カリッとした方、かな」
曜「あっ、おんなじだ!一緒に暮らすと好みも似るんだねーやっぱり」
鞠莉「このリンゴは、柔らかめだけどね…」シャク
曜「治ったら、私たち好みの硬さのを買いに行こうね」
鞠莉「うん…」
鞠莉(って、一体どっちが面倒見てるのかしらね、この状況は)
曜「ふふっ」ニコニコ
鞠莉(…料理頑張ろう)
控えめに言って最高
これは素晴らしい
ありがとう…
ありがとう…!!
元スレ
曜「メゾン・ド・モルゲンレーテ・日の出?」鞠莉「ひどいメドレーね」
http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1489897265/
不動産屋
アリガトウゴザイマシター
曜「住む所決まってよかったねー!」
鞠莉「ええ。駅近、築浅、オートロック、セパレートタイプで、部屋の広さもそれなり」
曜「家賃も2人ならどうにかなる金額だし、言うことないね!」
鞠莉「ただ、このネーミングはちょっといただけないというか…」
曜「マンション名の、メゾン・ド・モルゲンレーテ・日の出、のこと?」
鞠莉「フランス語、ドイツ語、日本語…しかもモルゲンレーテって日の出って意味よ」
鞠莉「ひどいメドレー。名前じゃないわ」コレガジュウショニナルノ…
5: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 13:24:37.12 ID:/nz3PqAP.net
曜「ふぅん…でも、私はいいと思うな」
鞠莉「曜?」
曜「ほら、鞠莉ちゃんがよく言うけど、私の名前って光り輝くって意味でしょ?鞠莉ちゃんもシャイニー☆に定評があるし、きらきらな私たちが住むにはぴったりな名前じゃないかな!」ニコッ
鞠莉「!…ふふっ、そうかもね。ここなら私たちらしい暮らしができるかも、なんてね」
鞠莉(年下なのに、いつも曜にはかなわないなあ)
鞠莉(でも、なにかの意図を…メタ的な意味があるような気がしてならないのは何故?)
7: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 13:27:51.82 ID:/nz3PqAP.net
◆肩こり
曜「…」トントントン
ガチャ
鞠莉「ふぁ…おはよう、曜」
曜「あ、おはよう鞠莉ちゃ…」クルッ
ビシッ
曜「うあっ!?あたたたた…」
鞠莉「な、なによ人を見るなり痛がって。大丈夫?」
曜「ああ、うん…ちょっと肩っていうか、背中全体が痛いっていうか…」
鞠莉「うん?ちょっと触るわね…」 スッ
曜「いたっ!」
鞠莉「あら、肩っていうか、首から背中までカチコチになってるわよ!痛みの正体はこのコリね!」
曜「ああ、これが肩こりなの?今までなったことないからわからなかったよ…」イタイヨー
鞠莉「肩どころか背中ごと固まってる感じだけど…どうしちゃったの、いきなり肩こりなんて。何かした?」
曜「わかんない…どうしてかな、鞠莉ちゃん…」グスッ
鞠莉「曜…」
8: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 13:31:42.81 ID:/nz3PqAP.net
ダイヤ『はぁ。曜さんが肩こりがひどい、と』
鞠莉「ひどいなんてもんじゃないわ。背中全体が固まって、首を回すのも腕を使うのも辛いみたいなの」
鞠莉「何かいい方法はないのダイヤ!?曜の肩こりを取り除く健康法とか魔法とか!」
ダイヤ『何かといっても…原因に心当たりはないのですね?』マホウッテ
鞠莉「わかったら対処してるわ、だから困ってるの」
ダイヤ『ふむ…一般的に、肩のコリは体の姿勢、生活リズムの変化、ストレスなどが原因とされていますが』
鞠莉「どれも当てはまらない、と思う」
ダイヤ『新生活、新年度で多忙と聞いています。運動不足などは?』
鞠莉「そりゃあ運動する時間と場所は減ったけど、時間があれば曜を誘って走ったり、ヨガしたりしてるし」
ダイヤ『鞠莉さんは凝っていないのですか?』
鞠莉「ええ。困ってないわ」
ダイヤ(ふむ…お2人が一緒に暮らし始めて2週間…やはり、2人で暮らすようになった生活習慣の変化が原因?)
ダイヤ(でも、そうだとしたら鞠莉さんの肩がこらないのはおかしい。2人にとって条件は同じはずなのですから…ん、2人で?)
9: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 13:33:37.30 ID:/nz3PqAP.net
ダイヤ『…そういえば、お2人は寝るときはどうされているのですか?』
鞠莉「Oh!?やだなあダイヤちゃんてば、いきなりそんなこと聞いて。気になる?ねぇ2人の夜が気になるの?」
ダイヤ『ふざけるなら切りますよ、では』
鞠莉「ああっ、ごめんごめん!寝るときは一緒のベッドに寝てるよ」
ダイヤ『ふむ。ベッドは2人で寝られる大きさなのですか?』
鞠莉「うーん、少し手狭だけど、2人でくっつけば余裕がないわけじゃないと思うわ。私はよく寝れるし」
ダイヤ『ん、くっついて…ああ…』
鞠莉「何かわかったの?」
ダイヤ『…なんとなく』
10: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 13:35:41.35 ID:/nz3PqAP.net
数日後
鞠莉「ありがとうダイヤ!ダイヤが送ってくれた入浴剤のおかげで、曜の肩こりがすっかり治ったわ!」
鞠莉「さすが黒澤家御用達の入浴剤ね!お風呂に関しては私もこだわりがあるけど、こんなspecialなものがあるなんて!持つべきはかしこいかわいい幼なじみ!」
鞠莉「ええ、必ずお礼するから!こっちに来たら絶対寄ってね!じゃあ!」ピッ
曜「いまの、ダイヤさんに電話?」
鞠莉「あら曜。ええ、肩こりを治してくれたお礼を。よかったね、治って」
曜「うん。でも、ダイヤさんって本当に凄いなあ。私たちの事、よくわかってくれてるみたい」
鞠莉「ん?わかってるって何が?」
曜「ああ、いや…いつも助けてくれてるってこと」
鞠莉「そうよね、本当に持つべきは親友よね!」
鞠莉「近頃は寝るときに曜がぎゅってさせてくれるし、本当に良いことばかり!クワバラ、クワバラね!」
曜「えっと、最後のは用法が違うと思うよ?」
………………
曜『えっ!?う、うん…そうなんだ。やっぱり一緒に寝るようになったのが原因かなって』
11: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 13:37:47.07 ID:/nz3PqAP.net
曜『…うん。どうしても隣にいる鞠莉ちゃんを意識しちゃうせいか、寝返りも打てないし、鞠莉ちゃん寝てる時も抱きつき魔で近づいてくるから、いつもベッドの隅に追い込まれてそれでおそらく…』
曜『…ええっ!?で、でもっ』
曜『…うん、鞠莉ちゃんを悲しませたくない…やってみるよ、ダイヤさんありがとう』
………………
曜(ダイヤさんのアドバイス通り、私は思い切って、鞠莉ちゃんに体を寄せて寝るようにした)
曜(肩こりの原因は、ダイヤさんが看破した通り、私が鞠莉ちゃんに遠慮してベッドの上でのびのびと寝られなかったから)
ダイヤ『鞠莉さんには肩こりによく効く入浴剤を送ると伝えてあります。曜さんからは、鞠莉さんが原因とは口が裂けても言えないでしょうから、今日からは遠慮を捨てて、鞠莉さんと仲良く寝てあげてくださいね』
曜(…いやほんと、よくわかったなぁダイヤさん。凄いとしか言いようがないよ)
曜(恥ずかしかったけど、肩こりも治るし、鞠莉ちゃんともさらに距離が縮まった気がする…本当にありがとう、ダイヤさん)
12: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 13:40:32.75 ID:/nz3PqAP.net
◆嫌いなもの
鞠莉「さーて、今日は何を作ろうかなっと」冷蔵庫ガチャ
鞠莉「…げっ」
ドタドタ
鞠莉「曜!よーう!ちょっと何よこれ!」
曜「うわっ、いきなりどうしたの」
鞠莉「これよこれ!冷蔵庫に入ってたわ!」
曜「ああ、納豆ね。安かったし、久しぶりに食べたくなったから買っておいたんだよ」
鞠莉「私は嫌いなの!納豆、嫌いなの!知ってるでしょ!」
曜「別に無理に食べなくて大丈夫だよ」
鞠莉「近くで誰かが食べてるのもダメなの!あのニオイ、あのネバネバが目の前で…うっ、想像しただけで気分が」
13: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 13:42:08.94 ID:/nz3PqAP.net
曜「大げさすぎるでしょ、納豆くらいで」
鞠莉「曜から納豆のニオイが仄かにするのも我慢ならないの!」
曜「食べたあとは歯磨きするし、よっぽど近寄らないとニオイなんてわからないと思うけど…」
鞠莉「よっぽど近寄りたいの!言わせないでよ鈍感!おバカ!」
曜「なっ!?」
ワーワーギャーギャー
…………………
数日後
曜「さーて、今日は何を作ろうかな」冷蔵庫ガチャ
曜「…げっ」
ドタドタ
曜「鞠莉ちゃん!まーりちゃーん!何これ!」
鞠莉「もう、どうしたのよ慌てて」
曜「これだよ!冷蔵庫に入ってたよ!なにこれ!」
鞠莉「ああ、お刺身ね。久しぶりに食べたくなって、買っておいたの」
15: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 13:52:46.42 ID:/nz3PqAP.net
鞠莉(ふふ、この前のお返しね。嫌いなものが冷蔵庫に入っている恐怖を味わうがいいわ、曜!)
曜「買っておいたの、じゃないよ!今月の家計がピンチなのわかってるでしょ!?」
鞠莉「あれ?」
曜「食べたいなら食べさせてあげたいよ!私だって鞠莉ちゃんに我慢させたくないよ!」
曜「だけどね、お金が厳しいから今週は少し我慢してやりくりしなきゃねって、こないだ決めたばかりなのに!」
鞠莉(あっ、やばい)
曜「買いたいものだって我慢してるし、家の事も私なりに一生懸命やりくりしてるつもりなのに、それなのにこんな…」グスッ
曜「ひどいよ、鞠莉ちゃん!」ウエーン
鞠莉「あ、あれー?」
17: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 13:56:33.59 ID:/nz3PqAP.net
◆単位
曜「…うーん」カタカタ
鞠莉「ねー曜。よーうー」ギュ
曜「おっと、ごめんね鞠莉ちゃん。今レポート書いてるからもう少し…」
鞠莉「やだ」
曜「ん?」
鞠莉「かまってくれないの、やだ」
曜(かわいい)
曜「はいはい、しょうがないなー」ギュ
鞠莉「ん…私のこと、どれくらい好き?」
19: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 13:59:34.70 ID:/nz3PqAP.net
曜「どれくらいって言われても…」
曜「言葉にするのは、難しいよ」ポンポン
鞠莉「ハンバーグに換算したら何個分?」
曜「うん、質問の意図がわからないなあ」
曜「それ、チーズは上に乗ってる?」
鞠莉「乗ってない」
曜「うーん、じゃあ100個分くらいかなー」
鞠莉「…思ったより少ないわね。じゃあチーズが乗ってたら?」
曜「うーん、なら30個分かなー」
鞠莉「チーズのレートおかしくない!?」
22: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 14:06:41.72 ID:/nz3PqAP.net
曜「なら聞くけどさ。鞠莉ちゃんは『私は鞠莉ちゃんのこと、コーヒー150杯分くらい好きだよ』とか言われて嬉しいの?」
鞠莉「正直、微妙ね」
曜「でしょ?っていうかじゃあなんでハンバーグに例えたの」
鞠莉「ハンバーグじゃなくてもよかったの。むしろ失敗ね。単に、私って曜にとってどんな存在なのかなって、確かめたくなって」
曜「あー、そういうことか。普段から大事に思ってるの、わかんないかなー」ギュ
鞠莉「言葉で確かめたくなる事もあるの。察してよ」
曜「はいはい。甘えんぼさんめー」
鞠莉「普段甘えさせてあげてるんだから、たまにはいいじゃないの。曜のケチんぼ」
曜「あはは」
曜(レポート明日締め切り…ま、いいや)カタン
23: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 14:10:22.98 ID:/nz3PqAP.net
◆金銭感覚矯正中
曜「私も鞠莉ちゃんも、親元から離れてだいぶ自立できた気がするね」
鞠莉「一番の成長は、お金の貴重さがわかってきたことだと思うけど、曜はどう?」
曜「あ、同じこと考えてた。自分で言うのもなんだけど、大きな変化だよね」
鞠莉「一緒に住むのが決まった頃を思い出すわ。みんなに報告しに行った時…」
……………
ダイヤ「曜さん!貴女だけが頼りですの!この世間知らずのお嬢様がお金にものを言わせて道を違えないように、監督の程よろしくお願いしますわ!」
果南「いい、鞠莉。内浦の格言にある。【いつまでも、あると思うな、親と金】。自立する以上は、退路を断つ覚悟でね。まともな金銭感覚を身につけて、大人の女になるんだよ」
鞠莉「2人ともひどくない!?私これでも経済・経営専攻よ!?」
ダイヤ「学術分野と生活感覚は違うのです!」
果南「一杯10万円のスープを海の家で売った前科があるからね」
果南「鞠莉が都会で正しい金銭感覚を身につけられるかは、曜にかかってる。頼んだよ」
26: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 14:13:19.28 ID:/nz3PqAP.net
曜「えっと、責任重大…」アハハ
千歌「うーん。でもさー、果南ちゃん」
梨子「しっかり者の曜ちゃんだけど、意外にもお金遣いはその限りでないってこと、忘れてませんか?」
ダイかな「…あっ」
曜「…お金遣い荒くてすみません」
鞠莉「前途多難ね…」
千歌「まー、2人ならなんとかなるって!」
梨子「どちらかに頼りきりじゃなくて、お互いに支えあって暮らさないと、だね」
ダイヤ「むぅ…見習う相手が居ないと大変でしょうが…」
果南「何かあれば力になるから。頑張ってね!」
……………
29: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 14:19:15.99 ID:/nz3PqAP.net
曜「懐かしいね!これから送り出してもらうってときに、いきなりお金遣いの話になったから驚いたよ」
鞠莉「みんなからあんなに心配されて、ようやく自覚できたわ。私、ズレてたんだって」
鞠莉「実際、暮らし始めてからは大変だった。自分の中の物差しが役に立たないのを痛感したわ」
曜「私も家にいた頃は、欲しいものがあるとつい買っちゃってたからなぁ。お年玉は冬休み中に使い切ってたし…」
曜「今でも購買意欲が疼く時はあるけど…2人のことだと思えば、ぐっとこらえられるよ」
鞠莉「私も少しずつだけど、お金とかものの価値とかがわかってきた気がする。自分で出し入れを管理しないと、わからないものなのね…」
曜「これもまた、経済や経営の勉強になるってことかな」
鞠莉「ちょっとミクロすぎるけど、ね。ところで、曜」
曜「はい」
鞠莉「バイトのお給料日まであと1週間…」
鞠莉「全財産1,562円で、どうやってしのぎましょうか…」コゼニトニラメッコー
曜「…うん」ニラメッコー
30: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 14:21:46.78 ID:/nz3PqAP.net
◆充電
曜「鞠莉ちゃん遅いなあ。ゼミが長引くかもって聞いてたけど、ラインにも既読が付かないし大丈夫かなー」
曜「ここ最近は、お互い忙しくてゆっくりできなかったしなー。よし、明日は休みだし、お昼は曜ちゃん特製のハンバーグでも作っちゃいますか」
ガチャ
鞠莉「ただいま…」
曜「あ!帰ってきた。おかえりなさい」
曜「ご飯にする?お風呂にする?それとも…」ニシシ
バッ グッ
曜「うあっ!?」
曜(いきなりハグされた!?)
31: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 14:23:39.31 ID:/nz3PqAP.net
鞠莉「よう…」グッ
曜「ま、鞠莉ちゃん、帰ってきていきなりだし、こんなところじゃご近所さんのご迷惑に」
鞠莉「充電」
曜「えっ?」
鞠莉「充電よ…今日は朝から頑張ってすっかりempty…曜分充電させて…」ギュ
曜「…はいはい、お疲れ様」ナデナデ
曜「玄関だと寒いから、中入ろうね」
鞠莉「んー」ギュ
曜(珍しく甘えたさんモードだ…頑張ったんだね)ナデナデ
33: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 14:25:55.83 ID:/nz3PqAP.net
鞠莉「…ふぅ。ありがと、落ち着いたわ」
曜「ご堪能いただけたようで。でも、帰る前に連絡欲しかったな。ラインしたのに返事が来なくて心配したんだよ」
鞠莉「そっちは本当に電池切れ。曜が昨日、私の充電器使ったせいよ?」
曜「ああ…」
鞠莉「ああじゃなくて、ごめんでしょ?」
曜「はいはい、ごめんごめん。ご飯は?」
鞠莉「まだ食べてない」
曜「あらら、じゃあ簡単なものでよければ作ってくるから、少し待ってて」
鞠莉「やだ。まだ離れたくない」ギュ
曜「おっと、今日はやけに素直だね」
鞠莉「もっと一緒にいるの」ギュ
曜「はいはい」
35: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 14:30:23.53 ID:/nz3PqAP.net
◆専用湯たんぽ
曜「へくしゅっ!」
鞠莉「ほら、もっとこっちきて。ただでさえ曜は寒がりなんだから、遠慮しないの」
曜「ダメだよ。近くに居たら鞠莉ちゃんに風邪感染しちゃう…私、やっぱり今日はソファーで寝るよ」
鞠莉「ソファーじゃ落ち着いて寝れないし、向こうの部屋は寒いわ」
鞠莉「どうせ一つ屋根の下で逃げ場はないんだから、気にせずこっち来てよ」
曜「う…ごめん」
鞠莉「念のため私も風邪薬飲んだし、マスクもして寝るから」ギュ
曜「…ありがと。鞠莉ちゃんあったかいよ」
鞠莉「うん、曜も今日はちょっぴりホットだね」ナデナデ
鞠莉「はやく良くなりますように」ギュ
曜(へへ、幸せ…)ポー
曜(でも、風邪薬って予防効果は無いような…)ウツラウツラ
57: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 21:12:16.94 ID:u6wEyq00.net
◆看病
曜「ごほっ、ごほっ…う、ぁぁぁ…」グッタリ
鞠莉「よ、曜…」オロオロ
曜「ご、ごめんね、鞠莉ちゃん…」
曜「今日は私がごみ当番の日だけど、できそうにないや…」ゼーゼー
鞠莉「こんな状態で何言ってるの!そんなのなんか!」
曜「こんなことになると思わなかったから、ご、ご飯も用意してない…なにか食べるもの、あったかなぁ…」
鞠莉「曜!怒るよ!」
鞠莉「いつも言ってるけど、遠慮しないで頼ってよ!これでも私の方がお姉さんなんだから!」
58: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 21:14:44.57 ID:u6wEyq00.net
曜「…うん、ごめんね鞠莉ちゃん…ありがとう」ゼーゼー
鞠莉「もう…えっと、こういう時は水分補給が大切よ。ポカリもってきたから、からだ起こせる?」ストローツキ
曜「う…ちょっと、つらい」
鞠莉「待って、曜はそのままでいいわ。さあ、起こすわね…!?」グイ
鞠莉(凄く熱い…!大丈夫なの、これ…)
曜「鞠莉、ちゃん?」
鞠莉「…はい、ポカリ。飲めそう?」
曜「う、んー…」ゴクリ
曜(! ポカリが、熱くなった身体の中を駆け抜けていく感覚…!)
曜「ああ…素敵…」フゥ…
鞠莉「…飲めそうね。薬もってくるから、ポカリ飲んでゆっくり待ってて…」
鞠莉「あっ、薬の前にはご飯食べないと、よね?」
曜「食欲ないから…食べるものもなかったと思うし…」
鞠莉「ダメよそんなの、食べなきゃ体力が戻らないわ」
鞠莉「なにか食べれそうなもの用意するから。少し待ってて」
59: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 21:17:58.50 ID:u6wEyq00.net
鞠莉「…とは言ったものの」
鞠莉「正直、料理は曜に任せっきりだったし、一緒に暮らすまでは外食専門だった…」
鞠莉「さっきはお姉さんぶったけど、曜が元気ないってだけでこんなに動揺して…我ながらダメね」
鞠莉「いつも曜には支えてもらってる。こんな時だからこそ、しっかりお返ししないとね!」シャイニー
鞠莉「よし、じゃあ気を取り直して曜のご飯づくりね。私にも作れそうで、病気の時の定番メニューといえば…」スマホスッスッ
鞠莉「お粥よね!食べやすくて胃に優しい、ジャパニーズスタイルでシンプルなものにしましょう」
鞠莉「リンゴも見つけたから、これだけあれば充分ね。私でもなんとかなりそう」
鞠莉「さて、と。まずはリンゴを食べやすくカットして」サクサク
鞠莉「次はお粥ね。えーと、お鍋にご飯と水を入れて…」ブンリョウハカリーノ
鞠莉「弱火で煮る」グツグツ
鞠莉「そして最後に塩で味を整えて完成!簡単ね!」
鞠莉「えっと塩の量は…少々?お好みで??」
鞠莉「な、なによそれ。塩といえばお粥の味の要。その肝心なところがどうしてフィーリングなの!?」
鞠莉「もし入れすぎちゃったら、後戻りはできない…とはいえ、付け合わせもないから薄味すぎると誤魔化しがきかない」
鞠莉「ど、どこかに正解は載ってないのかしら」スマホスッスッスッ
お粥「…」グツグツ
60: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 21:20:46.76 ID:u6wEyq00.net
………………
曜「うぅ…」アツイー
曜(すっかり鞠莉ちゃんに迷惑かけちゃった、な…)
曜(風邪なんて、しばらくかかったことなかったのに。これが新生活疲れってやつなのかなぁ。もうちょっと丈夫なつもりだったんだけど)
曜(…久々に病気になったせいか、無性に心細い)
曜(鞠莉ちゃん、早くこないかな…ご飯作るって言ったけど、大丈夫かな)
ガーン
アーウチ!ノオオオオ!!
曜「!? 鞠莉ちゃん!」
………………
鞠莉「…」ズーン
曜「おお…」ヨタヨタ
曜(底が焦げたお鍋、飛び散るお米、なんか黒いものが混じったお粥、変色したリンゴ…)
曜(察するに、お粥を焦がしたことに驚いて、お鍋をひっくり返しちゃって…リンゴは塩水につけずに放置しちゃったんだね)
曜(そして、ちょっとした大惨事の中心で三角座りする鞠莉ちゃん)
曜「あの、鞠莉ちゃん?」
61: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 21:23:09.83 ID:u6wEyq00.net
鞠莉「! 曜、大丈夫なの!」
曜「うん、なんとか…鞠莉ちゃんは大丈夫…そうじゃないね。火傷とか怪我とかしてない?」
鞠莉「…ごめんなさい。私、その…こんな時だから、少しでも曜の役に立ちたいって、思ったのに…」ウルッ
曜「わわっ、大丈夫だよ。わかってるよ。私のために頑張ってくれたんだよね?」アセアセ
鞠莉「病気で辛いのは曜の方なのに…なんで優しくするのぉ」シクシク
曜「大丈夫、大丈夫だから」サスサス
鞠莉「曜…!しっ、塩加減がー!」ウエーン
曜(ああ、もう…ハグしてあげたいけど、今やると風邪がうつっちゃう…早く治さないとなぁ)シオカゲン?
62: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 21:26:29.81 ID:u6wEyq00.net
………………
曜「うん、美味しいよ。ありがとう。塩加減もちょうど好みだし」
鞠莉「でも、焦がしちゃったから…なるべく焦げてないところを集めたつもりだけど」
曜「まあ、これはこれで…苦味のあるお粥も悪くないよ。でも、焦がしてひっくり返してで、よく食べるだけのお粥が残ってたね」
鞠莉「私も一緒に食べようと思って、2人前の分量で作ったから…」
曜「えっ、それじゃ鞠莉ちゃんが食べる分がないんじゃ?」
鞠莉「リンゴがあるから…色悪いリンゴが。塩水につけないと、こうなっちゃうのね…」ハァ
曜「お粥といいリンゴといあ、今日は塩に振り回されたってとこかな。まあ、勉強になったってことにしようよ」
鞠莉「ん…」シャク
曜「鞠莉ちゃんは、リンゴはカリッとした硬めのやつと、そうじゃないやつ、どっちが好き?」
鞠莉「カリッとした方、かな」
曜「あっ、おんなじだ!一緒に暮らすと好みも似るんだねーやっぱり」
鞠莉「このリンゴは、柔らかめだけどね…」シャク
曜「治ったら、私たち好みの硬さのを買いに行こうね」
鞠莉「うん…」
鞠莉(って、一体どっちが面倒見てるのかしらね、この状況は)
曜「ふふっ」ニコニコ
鞠莉(…料理頑張ろう)
64: 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 21:45:05.74 ID:msP0z0dJ.net
控えめに言って最高
65: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/03/19(日) 21:46:43.47 ID:9zQdtl3C.net
これは素晴らしい
67: 名無しで叶える物語(プーアル茶)@\(^o^)/ 2017/03/20(月) 01:42:29.56 ID:YzLiQJNj.net
ありがとう…
ありがとう…!!
曜「メゾン・ド・モルゲンレーテ・日の出?」鞠莉「ひどいメドレーね」
http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1489897265/