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SS速報VIP:美琴「一日でいいの」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1320745318/



1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) 2011/11/08(火) 18:41:58.33 ID:vKEitTMY0

――――注意!!!18禁!!!――――



このSSには過激な性的描写があります。また、残酷な描写、グロテスクな描写が含まれています。

「とある魔術の禁書目録」「とある科学の超電磁砲」
シリーズ全ての既刊内容、放映内容、出版物内容に触れられています。

それを踏まえ、独自解釈、独自設定、原作と明確な矛盾がある点をご了承の上お読みください。



某スレに投下した前作『美琴「AV体験?」』の直前までの話になります。
前作は読まなくとも楽しめる内容になっております。


――――NTR注意!!!―――――

いわゆる「寝取られ」といった表現方法が出てまいります。

この表現が苦手な方は特にご注意ください。




2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) 2011/11/08(火) 18:42:32.35 ID:vKEitTMY0


あの日、あの時からわたしの世界から色が消えてしまった。

ロシアの上空の巨大な要塞。
能力の手を伸ばして、やっと捕まえたと思ったのに。
アイツは「まだやることがある」とその手を払ってしまった。
悲しげな笑みを浮かべ、要塞と共に北極海へ消えていったアイツ。
あの悲しい笑顔と一緒に私の心は凍り付いてしまった。
まるで私の心がアイツと一緒に北極海に落ちて行ってしまったように。




3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) 2011/11/08(火) 18:43:18.31 ID:vKEitTMY0


「いやぁっ!」

自分の叫び声で飛び起きた。

(夢か……)

嫌な夢。アイツが私の能力の手を振り払う夢。
アイツは何をやり残してあの手を払ったんだろう。
守るべき人がまだあの要塞の中にいたのか?
あの要塞が落ちるのを止めたかったのか?
アイツが見つからない今となっては謎は謎のままだ。

「大丈夫ですか、お姉様」

黒子が心配そうに声を掛ける。
うん、ちょっとね、と俯くと涙がこぼれた。
泣いていたのか。

「お姉様……」

「大丈夫よ。心配掛けてごめんね」

全然大丈夫じゃないわよね、これ。

「そうですの。気が向いたらで結構ですから、黒子にもお姉様の悩みをお聞かせください。
 お役に立てるかどうかは分かりませんが、話すだけでも気分は楽になるかもしれないんですの」

ありがと。あんたはホントに優しい子ね。
話せる時が来たらお願いね。
でも今は何も聞かないでちょうだい、と少し突き放した言い方をしてしまった。

今は……まだダメだ。ダメじゃなくなる日が来るのかどうかも分からない。




4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) 2011/11/08(火) 18:44:52.70 ID:vKEitTMY0


ロシアの北の果てで学園都市に回収された私は、破格の扱いで帰ってきた。
もちろん、アイツを見つけ出すまでは帰る気なんてさらさら無かったけど。
レベル4クラスの群れが私を取り囲んだが、その力は脅威と思わなかった。
でも、あそこで協力してくれた妹を含めた全妹達《シスターズ》の安全を保障されては是非もない。
帰れば安全は保障する、とは、帰らねば安全は保障しないという事だ。


あの子達が虐殺されていた事件を黙認していた学園都市。
そのくせ、生き残った子達を人質にとる学園都市。
アイツを回収するのに手段を選ばないと命令していた学園都市。
この街の闇は深い。
妹達を守るには私はもっと強くならなくては。
アイツのいない学園都市で……

(――結局は学園都市の思惑通り、かもね)

妹達を守る、そしてその為に頑張るという事は学園都市を守るという事に他ならない。

(冗談じゃない。私や妹達の人生はあいつ等の為のものじゃない)

強くなろう。せめて全世界に散らばった妹達を一人で守りきれるくらいには。
帰りの飛行機でそう誓った。




5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) 2011/11/08(火) 18:45:46.26 ID:vKEitTMY0


寮には数名の男達に連れられて帰ってきた。
拘束に来た若い発電能力者も一名混じっている。この男は私を舐めるように見るから嫌いだ。
同じ系統の能力者だからだろうか。
男達は寮監に今後の対処を説明して帰った。
内容は一切のお咎めなし。学校にも説明済み、と。
行方不明時は戦争に使用する電子機器の調整の為に学園都市の研究機関の協力をしていた事になっていた。
精神的な動揺が無くなるまでは行動は自由。学校の出席も任意。
後日、学園都市の協力の要請があった時にはそれに応えるように、という若い男との口約束だけで開放された。
寮に帰った日は丸一日泣き続けた。


そして翌日はこの夢だ。
そりゃ黒子も心配するだろう。
アイツの存在がこんなにも私の中で大きかったとは。
悩んでいる暇はない。妹達を守るために強くならなくてはならない。
なのに、なのに……

その日も何もできず、夕方になってふらふらと外に出た。
アイツを探すように。居もしないアイツを。

「とーま……」

えっ?
聞き覚えのある名のつぶやきが聞こえた気がする。
振り返るとやはり「とーま」と聞こえるつぶやき。
そこには見覚えのある白いちびっこシスターが歩いていた。

「ちょっとあんた!待ちなさいよ!」

肩を掴んで振り返させる。
顔色が青い。生気が無い。
出かけるときに鏡で見た顔とそっくりな顔色。
ああ、この子もアイツを心配しているんだ。
そしてアイツはこの子のところにも帰ってない、と理解した。

「アイツは?」

シスターはふるふると首を振り

「とうまの事?まだ帰って来ないんだよ」

と泣きそうな顔を更に歪ませて力なく言った。

「あんたもロシアにいたの?」

「ううん、いたけどいなかったんだよ」

どういう事?意味不明な回答。
とにかく情報が欲しい。

「ねぇ、何があったのか聞かせて欲しいの。私もロシアにいたから、あんたの知らない事は話すから」

ちょっと強引だが、この際そんな事は言っていられない。
落ち着ける場所でこの子の知っている事を聞かなきゃ。
どんな手がかりでも今は見逃せない。




6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) 2011/11/08(火) 18:46:24.18 ID:vKEitTMY0


「じゃ、短髪、わたしの家に来る?」

「いいの?」

「うん。短髪もとうまが心配なんでしょ。一緒に待とうよ」

は?一緒に待つ?あんたの家で?
どういう意味かわかんないけど、この際そんなのはどうでもいい。

「私の名前は御坂美琴。よろしくね」

「わたしの名前はIndex-Librorum-Prohibitorumっていうんだよ。インデックスって呼んでくれるといいかも」

目次?変な名前だ。あだ名なんだろうか。

「そういえば、いつもみことと一緒にいるツインテールの女の子も来たんだよ」

黒子か。風紀委員の活動中かな?
でも何でこのシスターの家に用事があったんだろう。

私は彼女に手を引かれて、とある寮まで連れて行かれた。
そしてとある部屋の前で彼女は鍵を差し込む。
表札には『上条当麻』の文字。

顔から血の気が引いていくのがわかった。
この子は「わたしの家」と言った。
この子はアイツと同居していた?
この子がアイツの恋人?

なんだ、独り相撲だったのか。横恋慕だったのか。
そう思ったら勝手に涙が溢れてきて視界が曇った。
この子に泣き顔を見られたくない。
咄嗟に踵を返して走り出した。

一緒に一端覧祭をまわりたかった。
普通に男友達、女友達として遊びまわりたかった。
そうして、男として、女として、少しづつ近づいて。
デートとかしてみたかった。手を繋いで歩いたりしてみたかった。
そして、そして……いつかは恋人同士になれたらいいなって夢見た。
もう叶わない。アイツが生きて帰ってきたとしても。

寮の外まで飛び出して涙をぬぐう。
ここで逃げてどうするっていうんだこの馬鹿。
あの子がアイツの恋人だからって、アイツが私の大事な人だという事に変わりはないのに。
今、一番重要なのはアイツの情報、安否の確認作業だって分かってるはずなのに。
でも、でも。絶対に何があっても報われる事の無い恋は今の私には重過ぎる。

こんな事なら。こんなに悲しいなら。
あの時あの要塞に飛び移ってたら良かった。
アイツと一緒に落ちていくなら怖くない。
近くに居れば助けられたかも、助かったかもしれない。
二人でならば助からなくても後悔しない。
あの時呆然と落ちていく要塞を見送っていた自分を殴ってやりたい。
涙が流れて止まらない。

「みこと。過去には『もしも』は起こらないんだよ。でも、未来ならば『もしも』は起こせるかも」

その声の方向にはインデックスが立っていた。
追いかけてくれてたみたい。
涙を見て何を察したのだろうか、慰めの言葉を聞いた。
見られたくなかったのにな。





7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) 2011/11/08(火) 18:47:09.93 ID:vKEitTMY0


「あーあ、何だかなぁ。わたしは恋のライバルですら無いのかなぁ」

恋敵に慰められちゃったわよ。情けないわね、と嘆いてみせた。

「みことはとうまの事が好きなんだね」

あんただってそうでしょうに。
いつだったか、とうまは絶対に帰ってきてくれる、みたいな事言ってたもん。
忘れてないぞコラ。
でもありがとう。優しいのね、インデックスは。
そう言って抱きついてしまった。

「わたしにはまだ恋とかっていうのはよくわからないかも」

生まれて一年ちょっとしか生きていないようなものだから。
でも、地下街でみことに会った時は「この人をとうまに近づけちゃダメ」って神の声がしたんだよ。
他にもとうまの周りにはいつもいつも女の子がいるけど、みことだけは危険なにおいがしたかも。
とうまを取られちゃう、ってね。
そう言ってインデックスははにかむ。
 
「えっ?生まれて一年ってどういう意味?まさかあんたも記憶喪失?
 それに買いかぶりすぎよ、それは」

そう言った時、背後から声を掛けられた。

「あれ、御坂じゃないかー。どうしたんだーこんなところでー」

聞き覚えのある声。土御門舞夏。
いつものメイド服で食料品がいっぱい詰まったエコバッグを両手に下げている。
今日は掃除ロボに乗ってないのね。

「シスターに抱きついてるっていうのはどういう状況なんだー? 
 恋の鞘当てってわけでもなさそうだなー」

「こら、あんた何言ってんのよ。こ、こ、恋って」

なんでここで噛むんだ私は。
それよりあんたこそここで何やってるのって聞いた。

「御坂がココの寮の住人に恋してるなんて学園中が知ってる事なんだぞー」

舞夏はおどけて、大覇星祭の時は真っ赤な御坂の顔が全世界に中継されてたしなー、とニヤけた。
私はそこにいる「御坂の想い人の同居人」の食事の世話をしに来たんだー。
兄貴に頼まれちゃーしょーがないからなー、と説明する。

「わ、わ、わ、忘れなさい舞夏!」

なんであんたの兄貴がこのシスターの面倒を頼むのよ!
わからない事だらけで混乱するわよ。
両手を顔の前でわたわた振ってがおーっと吼えた。

右手で舞夏の持っていたエコバックのうちの一つをひったくった。
左手でインデックスの手を掴んで今駆け降りて来た階段を引き返す事にした。





8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) 2011/11/08(火) 18:47:45.12 ID:vKEitTMY0





「お、おじゃまします」

初めて入るアイツの部屋。こんな形で入る事になるとはね。
インデックスはぱたぱたと中に走っていき、テーブルの前にぺたんと座った。
きっとあそこがあの子の定位置なんだろう。
猫を抱いている。可愛いなぁ。私も抱きたいけど、無理なんだよなぁ。

「御坂もそこに座ってればいいんだなー。食事は私が作るのだー。
 シスターと話があるんだろー?兄貴と上条当麻の関係は後で話してやるぞー」

そう言って舞夏はそそくさと台所に立っていった。悪いわね。
さて、と。聞きたい事も言いたい事もてんこ盛りだ。
何から話していいのやら。
口ごもっていると先にインデックスが口を開いた。

「だいじょうぶだよ、みこと。とうまは絶対に生きて帰ってきてくれるから。
 とうまはいつもいつも危ない事に顔を突っ込むけど、怪我したって絶対帰ってきてくれたもん。
 だから今回もきっとけろっとした顔で帰ってきてくれるんだよ」

それより……みこともとうまが記憶を失ってるって知ってるんだね。
インデックスは少し悲しそうに言った。

ああ、しまった。さっき、あんた『も』って言っちゃった。
でもこの子もみこと『も』って言ったからいいのかな。

「うん。いつからかは知らないけどね」

そう私が言うと、彼女はぽつりぽつりと語りだした。
ちゃんと薄く笑顔を作って、私の目を優しく見つめながら。
台所の舞夏には聞こえないような小さな声で。

一年に一度、記憶を奪われ続けた事。完全記憶能力で十万三千冊の魔道書を覚えている事。
身を守っていた霊装をアイツの能力で壊されて真っ裸を見られた事。
毎年記憶を奪われ続ける運命をアイツが救った事。多分その時アイツが記憶を失った事。
ステイルさんとか神裂さんとかの魔術師の話。
それ以来、居候のようにアイツに面倒見てもらってる事。
アイツが学校帰りにたまに一緒にいる黒髪の美少女もアイツが救った人だという事。
それ以来アイツに襲い掛かる数々の面倒事。
学園に現れた天使。インデックスの科学の知識を求める電話。
まさかとは思ったが、その時インデックスはなんと一方通行と出会っていた。
私によく似た少女を救ったという。妹のうちの一人だろうか。
そして囚われたインデックスを助けるためにアイツはロシアにいた、という事。
インデックスの実体はイギリスにいて、遠隔操作霊装とやらであの要塞に囚われていた事。
そこでアイツの記憶の喪失を知った事。
そんな話を語って聞かせた。
「いたけどいなかった」とはそういう意味か。




9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) 2011/11/08(火) 18:48:16.75 ID:vKEitTMY0


とにかく突拍子も無さ過ぎてどこから突っ込んでいいか分からない。
それに、彼女の言ったとおりの時期にアイツが記憶を無くしていたとしたら……
あの寮の盛夏祭の時が記憶を失った直後か。
そして自動販売機でアイツが二千円札を飲まれて、妹に会って……

――なんだって?アイツはほぼ初対面の私を命がけで?

記憶を失うって事はそれまでの自分が死んでしまう事に等しい。
この子だって毎年殺され続けたようなもんだ。
しかし、アイツはそれを周りに気付かせまいとした。
自分を親しく思っている人が悲しまないように。
なんて優しいペテン師なんだろう。
そしてなんて悲しいヒーロー。
アイツはほとんど見ず知らずの私を命がけで救ってくれた。
もちろん感謝したし、惚れた。
自分を命がけで助けてくれるヒーローに惚れない女がいたらお目にかかりたい。
それが恋だと気が付いたのは最近だけど。
しかし……それは死んでしまう前のアイツに。
私の記憶の中のアイツに。
一晩中追いかけっこをしたアイツに、だ。
もちろん、私にとっては今のアイツとどこが違うって訳じゃないけど。
でもアイツにとっては違うだろう。
インデックスだって私だって、死ぬ前のアイツに感謝して懐いて。
アイツは私達がそれを知ると悲しんだり責任感を感じたりするだろうと思って隠し通した。
助けても救っても、感謝されるのは死ぬ前のアイツ。
生きているはずの今のアイツは救われない。
死んでしまった事すら隠して死に続けるようなもんだ。
あまりにも酷い。可哀相過ぎる。
浮かぶ涙をまた彼女には見せるわけにはいかない。
この子も不幸せな自分を見せずに笑顔で頑張って話してくれたんだ。
無言で洗面所に立ち去った。

顔を洗ってタオルを借りて拭いて、両手で頬を叩いて気合を入れる。
今度は自分が語る番だ。インデックスの前に戻る。

「いろいろ聞きたい事はあるけど、まずは私の事を話すわね」




10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) 2011/11/08(火) 18:49:03.40 ID:vKEitTMY0



能力の事から話す。どうやってレベル5に辿りついたか、どんな事ができるのか。
そして、アイツとの出会い。最低な出会いだったけど。
真夜中の追いかけっこや橋の下での勝負。
そして妹達と一方通行。
大覇星祭や罰ゲーム。
フランスから掛かってきた電話で知った記憶喪失。
二十二学区での出会い。ぼろぼろのアイツを見送る事しかできなかった事。
恋心に気がついた事。
イギリスからの電話、そしてテレビで見かけたロシアのアイツ。
それを追って戦争に介入した事。
あの巨大な要塞の上で見つけたアイツに手を払われた事。
全部話して押し黙った。
一言、アイツを守りきれなくてごめん、と言うと

「そろそろ一区切りついたかー。食事の用意ができたぞー」

舞夏が声を掛けてきた。猫には別に皿をあげてた。
一服しようか。頭の中を整理させたいし。
今までの話では、アイツの生存に関しての有力な情報は無い。
ただ、この子の敵だけははっきりわかった。
この子の保護者であるイギリス清教、その統括者こそがこの子の本当の敵。
アイツが守ろうとしていたこの子。
なんとかこの子だけでもそいつらから守る力が欲しい。

三人で食卓を囲みながらいろいろおしゃべりした。
舞夏のお兄さんはこの部屋の隣に住んでいるそうだ。
元春という名で、インデックスの保護者とも知り合いらしく、世話を頼まれたみたい。
アイツとは親友なんだって。
たまに食事を作りに来ていた舞夏は、この部屋におすそ分けをしてたりもしたらしい。
アイツは、甲斐甲斐しくインデックスの世話をしていたそうな。
いいなぁ、ちくしょー。分けてください、少しでいいから。

「しかし、一緒に寝てて何にもないって、アイツは男の子じゃなかったりする訳?」

はっきり言ってインデックスは可愛い。
綺麗な銀髪、透き通った碧眼、整った小さな顔。まるでお人形さんのよう。
私が男なら絶対惚れる。
こんな子とずっと一緒にいて変な気にならないなんておかしくない?

「とうまはね、仙人なんだよ。いろいろえっちなハプニングがあっても、ふこーだーで済ませちゃう。
 わたしだって一緒に寝られるようにベッドは半分空けて寝てるのに、絶対一緒に寝ないし。
 偶然の事故で真っ裸を見られてもスルーされると、さすがに自信を無くすかも」

なんだそりゃ。仙人とは言い得て妙だけど。
私だって、それなりにアピールしてたんだけどなぁ。
そりゃね、この子に比べりゃ気がつけって言っても無理なくらいだけど。
偶然の事故とはいえ、こんなに綺麗な子の裸を見て、更にその子と一緒に住んでて。
それで何も無いとか。変でしょ、それ。




11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) 2011/11/08(火) 18:49:43.06 ID:vKEitTMY0


「とうまはね、自分に幸せがやってくる事を否定しているきらいがあるんだよ」

アイツの身体には『幻想殺し《イマジンブレーカー》』という能力が宿っている。
その力は神のご加護すら打ち消すらしい。神がいれば、の話だが。
インデックスの持つ十万三千冊の魔道書にすら記載されていない不明な能力。
そんなアイツは自分の不幸と引き換えに他人を救い続ける。
それを運命のように自然と受け入れているそうだ。

「とうまの力は人間がりんごを食べる前の平和な時代に持っていたものかもしれないと思うんだよ」

要するに、神というものは決して平等ではない。
信じる者は救われると言いながら、信じない者の命はあっさり奪う。
偏った神の正義は時に大戦争を引き起こす。
科学もそうだ。科学の力を持った学園都市の唱える正義と平和は、単に武力による脅しに過ぎない。
そういう偏った正義を許さない力。偏った異能を全て打ち消す力。
それがアイツの身体に宿ったもの。
だから、自分に個人的に向けられる『恋』というような強い思いに気がつかない。
恋も偏った想いだから。惜しみなく奪うものだから。
そんな仮定をインデックスは語ってみせた。

「そういう意味ではみことも神様と同等になれるんだよ」

どういう意味か?
こんな幼稚で欲望にまみれた、アイツを守りきる事すらできない非力な女が?

「みことはとうまを守りたいって言ってたよね?わたしは大賛成かも。
 だって、とうまに襲い掛かってくるのはほとんどが魔術師なんだよ。
 魔術師は信じる神に従い、その力を分けて貰って魔術を行使するんだよ。
 みことの力に雷があるよね?雷はほとんどどの宗教でも神様そのものの力なんだよ。
 神の怒り、とか、そういうものは雷で現れる事が多いと言えばわかりやすいかも。
 そんな神様そのものの力を打ち払う魔術なんて存在しないんだよ。
 それをすると信じる神に逆らう事になるからね。だからみことは魔術師には無敵かも」

無理だ。あの巨大な要塞を浮かべるような力。
あの全世界の空の色をすっかり見たことも無いような色に変えてしまう力。
あれに雷なんかで立ち向かえるとは思えない。

「どんな強力な魔術も、行使しているのは人間だから。みことはその人間に対しては無敵かも。
 でも……みことには……」

敵を殺すくらいの覚悟が必要だと言いたいのか。確かに殺人なんてできない。
殺さずに無力化するには雷の威力は強すぎる。
電撃ではダメで雷撃じゃないとって意味なら、コントロールするには力不足かもしれない。
もっともっと強くならないと。




12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) 2011/11/08(火) 18:50:22.21 ID:vKEitTMY0



「おー、御坂が神かー。雷神様だなー。怒るとすぐにゴロゴロしそうだなー」

ホントに偏った神だなー、と舞夏はけらけら笑う。
茶化すな、こらー。
ふと見ると、お膳の上のおかず類がほとんど消え去ってた。
え?すごくいっぱいあったじゃない?三人では食べきれないと思ったのに。
インデックスは食べながら喋ってたけど、いったいいつの間にこんなに平らげたのか?

「おー、今日もシスターの食いっぷりは健在だなー」

うーん、喋りながらこんなに食べたらしい。
どんな食欲なんだろ。

「貪るっていうのはシスターには禁忌なんじゃなかったかしら?」

そう言うと

「わたしは特別なんだよ。完全記憶能力は頭に栄養を欲しがるんだからね」

なーるほどー。わかった。アイツがいっつも貧乏だって言ってた意味が。
この子のお腹の中に消えていったわけね。

「ねえ、あんた今の食費とかどうしてるわけ?」

「あ、それは兄貴からマネーカードを預かってるから心配ないぞー」

ふーん、それはまた面倒見のいい事で。
でも何でマネーカード持ってて自炊しないわけ?
それにマネーカードだけじゃチャージできるお金が少ないでしょ。
暗証番号が必要でない分、落としたら大変だし。
キャッシュカードとかは無いの?
そう聞くとインデックスは気まずそうに

「料理は苦手かも。キャッシュカードも機械が苦手、ついでに自動販売機とか洗濯機とかも苦手かも」

「なんだそりゃ。完全記憶能力があればどんな取説でも一瞬で覚えられるだろうに。
 料理だってレシピ覚えてその通り作るだけじゃない。
 あんたの頭は入力が出来ても出力装置が壊れてるんじゃないの?」

そこまで言ってハッと気がつく。
ホントに出力が支配されているのかもしれない。
使えば世界の理を悉く捻じ曲げる事ができるほどの魔道書の数々。
これを行使できる出力装置が壊されている。
この子の世界のお得意の魔術か何かで。
そのせいで取説を暗記しても機械が使えない。
そう考えると自然だと思えることが多い。
一年ごとにこの子の心を壊していたのは、この子がその事に気がつかないように。
今、放置されているのは学園都市ならそれに気がついても解除できる魔術を行使できる者がいないから。
きっと魔術はアイツの力の及ばない場所に施術されているんだろう。
身体の中とか脳みそとか。
そしてこの子は幻想殺しの足枷にされている。いざという時はアイツの力を好きに使えるように。
学園都市にとってはイギリスの教会に対しての人質。
イギリスの教会にとっては不明な力を持つ幻想殺しの監視役。
そう考えるとすっきりする。
これは言えない。この子が傷つく。
アイツがもし帰ってきたら相談すればいい。ここは黙っていよう。

「ごちそうさまなんだよ。舞夏、とっても美味しかった」

考え事をしている間に平らげられてしまった。凄い食欲ね。

「舞夏、毎日じゃ大変でしょ?私も料理を作りに来るわよ」

えー、みことがー?ご飯作れるの?なんて言いやがる。インデックスめ。
馬鹿にすんな、お嬢様舐めんな、と吼える。
ま、レパートリーの半分は舞夏様に教えていただいたモノだけど、それは内緒ね。




13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) 2011/11/08(火) 18:51:00.44 ID:vKEitTMY0



「そうそう、インデックスの持ってる魔道書には超能力の伸ばし方とかは書いて無いの?」

そういうものは無いと言う。

「でも、魔術のそれだったらあるかも」

一応聞いておこう。どっちも異能の力だ。
伸ばし方があるなら参考になるかもしれない。

「まずは今できる魔術の種類、効果を知って、それの届く範囲とか強さを把握する事が大事かも。あと方向も」

例えば、炎を作る魔術という種類、炎の及ぼす効果、どの範囲まで炎が届くか、炎の温度はどれほどか。
そういう事を把握した上で、炎を作れるならばそれで何かを蒸発させて違った種類の力を使えないか?
炎で焼く尽くすだけではなくて、何かを溶かしたりして違う効果が得られないか?
範囲は広く出来ないか?逆にピンポイントにできないか?
炎の強さを変えたりする事ができたら何が出来るようになるのか?
外向きじゃなくて内向きに炎の力を使って何か出来ないか?
そういう事を考えて、いちいち実行して結果を考察してそれを踏まえてまた実行して。
そういう鍛錬が必要だと教えてくれた。

なるほど、能力開発に似ている。
私はレベル5に到達した時点でこれが頂点かと思っていた。
まだまだ出来る事がありそうだ。
電磁の力は考えれば効果の種類はまだまだ増えるかもしれない。
電撃の範囲は広げられるかも。逆に範囲を絞って、撒き散らす事で他人に迷惑かける事無く撃てるかも。
威力も今が破壊力が強すぎて全力が出せなかったけど、出し切ればもっと強く出せるかも。
方向か。例えば、磁力でビルの壁にくっつく能力。
これを反対の向きで使えば浮く事ができないか?
うーん、参考になるわね。

「あとね、魔力には自分で精錬するものと元々そこにあるものがあるんだよ。
 風水で言う龍脈とか、十字教で言うテレズマっていうものがね」

そして、魔術師はその力を四つの方法で使う事を考える。
自分の魔力を外に解放する。外の魔力を自分に取り込む。
自分の魔力を自分に行使する。外の魔力を使って外に効果を求める。
内から外へ。外から内へ。内から内へ。外から外へ。
なるほど。自分に当てはめると分かりやすい。
自分で発電して雷撃の槍を作る。これが内から外。
砂鉄の剣もジャミングも。
外から内ってなんだろう?ハッキングとかかな?
ハッキングも情報量が多すぎて処理に困ってPDAに一旦出力させてるけど、これを頭の中だけでやるとか。
そういえば木山春生の記憶が流れてきたことがあった。
あれも外から内ってヤツか。
意識して行えば誰の記憶でも読み取れるって?何だか悪趣味な能力ね。

これ以外はあまり使った事が無い。
内から内。自分の生体電流の操作で何かできるか?
代謝を早めてやって、自己回復力を促進させたら傷の回復とかに使えるかも。
外から外。うーん、イオン化してる質量のある物質を集めて超電磁砲とか?
どっかのマンガで読んだような力ね。気を集めるってやつ?

ちょっと考えただけでも、いろいろ出来そうな気がしてきた。
ありがとうインデックス。
これで少しは目標もできた。
泣いてるだけの毎日とはおさらばだ。




14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) 2011/11/08(火) 18:51:43.99 ID:vKEitTMY0


舞夏が洗い物をしている間に洗濯してお風呂場を洗って湯を入れた。
三人で洗濯物を干してからアイツの寮を後にした。
今、学校はどうでもいい私が朝と昼、舞夏が夕食の担当と決めた。
アイツの生存に関しての情報の収穫は無かったが、楽しかった。
魔力開発の情報は役に立ちそうだ。
何より精神的に少し落ち着いた。さすがシスターだ。
あの子がアイツの帰還を絶対に信じている事が私にとっても意味が深い。
保護欲を刺激される子だし、明日からおさんどんに通ってやろう。
帰りに洋裁店でストラップ用の紐を買って帰った。
色がいっぱいあったけど、紫を選んだ。

すっかり遅くなったが、今は統括理事会からの免罪符が交付されてるから気が楽だ。
寮に帰ると寮監が、他の寮生に示しがつかなくなるようなことは控えろと言ってきたけど。

部屋には黒子が戻っていた。

「くーろこー、ただいまー」

あらお姉様、少しお元気になられましたの、と言って飛びついてくる。
相変わらずね。
引き剥がして机に向かう。引き出しを開けて仕舞ってあるアイツのストラップを出す。
北極海で拾ったアイツの落し物。
形見になるかもしれないと思ってそのまま取ってあった。
でも、帰ってくるなら修理しておかなくっちゃね。
切れた紐を外して買ってきた紫の紐を付ける。
ゲコ太は少し傷ついているけど、仕方ないか。
外した紐は財布に入れた。アイツの持っていたものを身に着けるのは嬉しい。

「お姉様、そのストラップって……」

鋭いわね。そうよ、アイツの。
千切れて落としていったから拾って修理したの。
そう言うと怪訝そうな顔して黙ってしまった。
アイツに振られたとでも思ってるのだろうか。
ならば逆に喜びそうなもんだけど。
いやいや、なんだかんだ言って黒子は私の幸せを祈ってくれている。
心配なんだろうな。ごめんね、黒子。




15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) 2011/11/08(火) 18:52:20.59 ID:vKEitTMY0



――――――――――――――――――――

白井黒子は悩んでいる。

愛しのお姉様の様子がおかしい。
お姉様があんなに思い悩む姿は見たことが無い。
結標淡希と自分が戦った、あの戦場にいた時もこんな顔を見せなかった。
あの時は怒りの顔だった。
その前の、無断外泊を繰り返して自分がフォローに躍起になっていた時も怒りの表情だった。
こんなに弱った顔のお姉様は初めてだ。

という事は、やはりあの殿方が関わっているのだろうか。
愛しのお姉様を悩ませるなんて、ふざけた類人猿だ。

そう思って一発説教でも食らわせてやろうかと今日、居所を調べた。
風紀委員《ジャッジメント》の第一七七支部で友人の初春飾利と一緒に。
住所はすぐに割れたが、訪問したらいつぞや見かけたことのある白いシスターが出てきた。
あら、同棲?あの殿方にこんなに可愛い彼女が?と思った。お姉様の想いは届かないかもしれない。
あの殿方の事を問うと、何日も留守にしているという。
彼女を置いて、ですか。まさかお姉様が行方不明だった時ご一緒していたのでは?
いやおかしい。お姉様が行方不明になっていた時、一緒に居たのだとしても。
お姉様が帰ってきているのだ。あの殿方が帰ってないのは変だ。

仕方がないから、空いた時間は支部に籠もって監視カメラとにらめっこしましょう。
あの殿方を何としても見つけて、お姉様の憂鬱の原因を聞き出さねば。

そう心に決めた頃、愛しのお姉様が帰ってきた。
少し機嫌がよさそうでほっと胸を撫で下ろす。
しかし、そそくさと机に向かって修理を始めたのは、お姉様の携帯にぶら下がってるストラップの色違い。
あの殿方とぺアだと簡単に推測できるそれを愛おしそうに。
やっぱり表情がおかしい。不安定すぎる。
問うとやはりあの殿方のものだとおっしゃる。

「お姉様、黒子はこれから風紀委員で残業ですの。遅くなりますので先に休んでいてくださいな」

そう言って、昼間の監視カメラの画像で見逃しがないか確かめに支部に向かった。
早くあの殿方を見つけないと、お姉様が壊れそうだ。




21: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:22:48.43 ID:LHYqPlFG0



――――――――――――――――――――

黒子は出かけてしまった。遅くなるのか、そうか。
ならば早速できる事をやろう。

寮内で派手な能力を使う訳にはいかない。
まずは内から内、ってヤツを試してみよう。

自分の身体を流れる生体電流を観察する。
乱れは無い。脳波も正常。健康そのものだ。
こんなに辛い思いしているのに、皮肉なもんだ。

すこしだけ乱してみる。おお、すごい、身体が混乱している。
すぐに戻す。これは酷い。心臓なんて一発で止めてしまえそうだ。
他人に向かって使ったら、完全犯罪が可能よね。
なーんて。やるわけないけど。

代謝を上げてみる。身体が熱っぽくなる。
ふと思い立った。黒子もいないし。

カッターナイフを取り出し、腕の筋肉に沿って傷を付ける。
この切り方なら傷跡は残らないだろう。
黒子に見つかったら大変だ。リストカットしているのかと勘違いされちゃう。
ちくっと痛みが走り血が流れる。

さて、と。能力で代謝機能を高める。ぐーんと能力を込めると体温が急上昇した。
しゅうしゅうと出た汗がすぐに乾いて湯気が出る。するとみるみる傷が治っていった。
三十秒もたたずに、傷口は完璧に癒えてしまった。すごいじゃん、私って。

と、お腹がぐうと鳴った。
あれ?ほとんどインデックスが食べたとはいえ、夕食はちゃんと摂ったのに。
あ、なるほど。代謝速度を上げて細胞分裂まで早くさせたからエネルギーが不足したんだ。
我慢できないほどじゃないから、冷蔵庫からオレンジジュースを出して飲んでごまかした。

ということは。自分が大怪我をしてこの能力を使うとエネルギー不足で倒れちゃうかもしれないって事か。
最低限の治療だけして医者に駆け込むって方法が最善かもね。
でも、これって成長を早めているようなもんよね?
二年分くらい早めたら胸とか大きくならないかしら?
なーんてねっ。そんなに早く年を取りたくないっつーの。寿命を縮めてるだけじゃん、と言い訳。

他人が怪我して治す時も、やり過ぎないように気をつけなくちゃね。
アイツには……効かないか。幻想殺しだもんなぁ。

しかし、自分の能力の可能性を寝転びながら探れるとは思いもしなかった。
十万三千冊は伊達じゃないわね。インデックスには感謝しないと。

次に外から内にってのも試してみた。
電子機器は全て電磁波を出している。
生命は全て脳波を出している。
自分の出した電波の反射以外の方法で、そこに何があるか探る作業をしてみる。

これがなかなかうまくいかない。
電子機器や地中の電線ケーブルからの電磁波が強すぎて微弱な電波が検知できない。
特訓して、感知する電磁波を選択できるようにならないとね。

そうこうしているうちにかなり疲れてしまった。
シャワーを浴びて今日は寝よう。





22: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:23:38.29 ID:LHYqPlFG0


パジャマに着替えて横になる。掛け布団を抱っこしながらぼんやりと考える。

(自分の脳波も操れるのならば、アイツの思い出もはっきり写したりできるのかしら?)

目を瞑ってアイツの顔を思い出す。
一番印象に残ってるのは、わたしの手を振り払った時の少し悲しげな顔。

生体電流を操作して、視神経からの情報のように見せかける。
おお!すごい!見える見える!静止画だ。
覚えている過去のアイツの行動を写して見る。
おおおおお!こいつ動くぞ!
まるで今目の前にいるように網膜に映し出される。
嬉しい。幻想だけど。ビデオを見てるようなものだけど。

一晩中追いかけっこしていた時のアイツ。

橋の下で決闘した時のアイツ。

自販機にお金を飲まれてげんなりしていたアイツ。

鉄橋の上、私を絶望の淵から救いに来てくれたアイツ。

恋人ごっこの時には抱きついちゃったっけ。
大覇星祭の時は手を掴んで走ったり、押し倒されたりしちゃったなぁ。
罰ゲームでは肩を抱かれたんだっけ。

そして、自分の恋心をはっきりと自覚した二十二学区で出合った時のふらふらのアイツ。

私の能力の手を振り払って悲しげな顔を浮かべたアイツ。
全部はっきり見える。はっきり感じる。嬉しい、嬉しい、嬉しい。

ふいに身体がぶるぶるっと震えて能力を切った。
少し息が荒くて、顔が熱い気がする。
初めての感覚。性的に興奮していた、ってヤツかな。
やーだー、えっちー。べ、べつにアイツとえっちな事したいって訳じゃないんだから。

んー、でもなー、と思って今度は触覚を再現。
肩を抱かれてるところを思い出して、能力を込める。
おおー!抱かれてる抱かれてる!いやーん、恥ずかしい。

手を繋ぐ。うひゃー、ちゃんと繋げてる。

押し倒された時の事を思い出す。
抱かれてる感触。真っ赤になった。息が荒い。
ちょと怖くなって能力を切る。
ふー、すごいな。ホントに抱かれてるみたいだった。

今度は声。おい、ビリビリ、って。うん、聞こえる。
いつもは御坂って呼ばれるかな。たまに美琴って。
美琴がいいな、と思って再現。耳元で「美琴」って声。
きゃー!きゃー!たーまんなーい!

匂いはどうかな。
……
…………
………………
ダメこれ。男の子の匂い。汗の混じった男のフェロモン。
初めて、自分が女という生き物だと理解した。

頭の芯がとろりと蕩ける。
はっきりと好きだと自覚してからこの匂いを嗅いだのは初めてかも。
息が荒くなりすぎてやっぱり怖くなって能力を切った。





23: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:24:29.26 ID:LHYqPlFG0


切なくなってお布団をぎゅーっと抱きしめる。
やっぱり顔だけにしておこう。刺激が強すぎる。

顔を映し出す。あの要塞の上で見た顔。
近づける。愛しい。愛しい。
ドキドキする。優しくて悲しげな、大好きな人の顔。
抱きしめたい。捕まえたい。この人が欲しい!
布団を抱きしめる手足に力がこもる。

どうしても捕まえたくなって、押し倒された時の感覚にスイッチを入れる。
聴覚のスイッチを入れて耳元で「美琴」って囁いて貰う。
嗅覚のスイッチを入れてアイツの匂いで満たされる。
ああ、嬉しくて泣けてきちゃう。愛してる、愛してる、愛してる。

すると、お腹の中がぎゅーんと縮んだ感触がして全身が痙攣した。
布団を抱きしめた背が反る。
「ひゃうっ」と声が出て初めての感覚に翻弄される。

そんな私をアイツの優しくて、でも少し悲しげな顔が見つめている。
頭の中で白い火花がスパークしている。
アイツに見つめられながらわたしは初めての絶頂を味わった。


波が去って能力を切り、体中を襲っていた緊張を解く。
びっくりした。今も息が荒い。こんな感覚が自分の中に潜んでいたとは。

えっちな気分になったのすら初めてだったのに、ちゃんとわかる。
今のが「イク」って感覚だ。
それほど強烈な刺激だった。初めてだからかもしれないけど。
さっきはこの感覚が来る事が怖かったんだと理解した。

女という生き物は愛しい相手の位牌を抱いても気を遣ってしまうもの、なんて台詞をどこかで読んだ覚えがある。
まさにそれだ。ホントだったんだ。愛しい相手、か。なんだか嬉しくなる。


もっと感じたいなー、なんてはしたない事を考えちゃう。
もじもじと足を動かすと、股間に濡れた感触がした。

興味本位でパンツの中に右手を突っ込んでみる。
濡れている。どろどろだ。パンツの中じゅうがぬるぬるしている。
はしたないなー、と思いながら初めて興奮している自分の性器をなぞってみる。
すると、性器の上の部分の少し尖ったところに指が触れて鋭い感覚がした。
これは知っている。陰核という部分だ。触っていると硬く大きく尖ってくる。
敏感で苦しいくらいの感触。痛みすら感じる。

指先にぬるぬるの体液をつけ優しく撫でてみると、瞼の裏に星が散る。
これは、やはり「気持ちいい」って感覚なんだろう。
ぬるぬるの指先から陰核が逃げる。指が追いかける。
自分でいじってるのに、勝手に快感を求めて指が動く。
最適な強さで。一番気持ちいいように。

(わたし、オナニーしてるんだ)

と自覚する。オナニーという言葉を知っている事がなんとも恥ずかしい。
今は能力を使っていない。能力開発の特訓って言い訳はできない。

今、私は快感が欲しくてオナニーしているんだ。いやらしいな。

そんなふうに思うとなんだか興奮が増した気がした。
逃げる陰核を追いかけて往復する中指のスピードが早くなって、先ほど感じた絶頂が近い事を知る。
ピークが来て身体が痙攣を始める。

あー、と甲高い声が聞こえて「ハッ」として指を外した。





24: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:25:22.81 ID:LHYqPlFG0


びっくりした。えっちの時、女の人があーんって喘ぐ事は知っていた。
でも、それは男性を悦ばせる演技みたいなものだと決め付けていた。
まさか自分がそんな声を出すとは。しかもえっちじゃなくてオナニーだし。勝手に声出たし。

とにかく、こんな声は誰かに聞かれちゃ大変だ。気をつけよう。
やめようと思わない自分に笑いがこぼれた。だってはじめての感じがすごく良かったんだもん。

布団をかぶりなおして寝る体制に入る。
能力を使ってアイツの顔を映し出す。
さらに、アイツに触ってもらってるって想像しながら先ほどの陰核での感覚を思い出す。

生体電流を操作して、覚えたばかりの感覚を再現して直接脳に送る。
すぐに快感に流されるが、集中が途切れると感覚が逃げる。
そのもどかしさがなんだか嬉しくなる。えっちだな。

映像の方に意識を集め、陰核は撫でる感覚だけを追い続ける事にした。
強弱をつけたり、追い回したりした感覚を追求すると集中が途切れる。
うーん、えっちな事なのに、これならなんだか訓練してるみたいで自分に言い訳できていい。

アイツの顔がわたしを見つめる。陰核には一定の刺激。強くも弱くもならない。
なのに、お尻なのか膣なのか分からないがきゅっきゅっと締まる反応をする。
気持ちいい。愛する人に見つめられて気持ちよくなっていく。

なんだかこの数十分で急激に大人の女になった気がした。
陰核への一定の刺激だけなのに、どんどん気持ちよさが増す。
膣のぴくぴく締まる運動の周期が早くなる。

ピークが近い事を予感して、声が出ないように注意する。
先ほどはピークの瞬間に快感を放棄してしまった。
今度はもうちょっとしてやりたい、なんて。やーらしーなー。

息が荒くなり、我慢していた声が少しだけ「ひっひっ」と漏れる。
お腹の奥、子宮だろうか、ぐーんと上に上がるような、締まるような感覚がしてピークを迎えた。

アイツが見つめている。
背中が反り、全身が痙攣する。
首が勝手にいやいやをする。何が嫌なんだろう。

足の先がピーンと伸び、三十秒くらいの痙攣の後でゆっくり山から降りてきた。

「ふー、すごいな。ホントにオナニーって気持ちがいいもんなんだ」

呟くととても恥ずかしくなってきた。

でも、落ち着くとまたアイツの顔を映して見て。
そしたらまたしたくなっちゃったりして、結局それから二度イッて眠りについた。
最後の絶頂はかなり深く、抑えていた声が出てしまった。止めなかったけど。

黒子は私が眠るまで帰ってこなかった。




25: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:25:57.46 ID:LHYqPlFG0


――――――――――――――――――――

「お姉様、お休みですか?」

黒子は声を掛けたが返事が無い。愛しのお姉様はお休みのようだ。
寮に帰ると複数の寮生に取り囲まれた。

「御坂様、大声で泣いてみえたみたいです。白井さん、事情はご存知ですか?」

そう尋ねられた。

いえ、事情は存じませんが……帰ってみえてからお元気が無いようですの。
そっとしておいてあげてくださいな、と言って部屋に戻ったのだ。

安らかそうな寝息、お顔も穏やかだ。
さっきまで泣いてみえたのか、と思うと黒子の心は締め付けられる。
そっと頬に口付けて、明日もあの殿方を探そうと心に決めた。





26: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:26:47.92 ID:LHYqPlFG0



――――――――――――――――――――

朝の目覚めは久しぶりに爽やかだった。身体が満足したからだろうか。
下着を汚したまま寝てしまったのでシャワーを浴びる。
黒子はまだ寝ている。遅くまでご苦労様。

昨日はいやらしい事しちゃったけど、収穫も大きかった。
なんだか試せば何でも出来るような気がしてきた。
そういえば快感に流された時、能力の方向がずれたりした。
これは修正せねばならない。

元々、能力者は感情などを感じる部分と演算をする部分を切り離すようなクセがついている。
そうでないと、例えば怪我をして痛みに囚われると能力が使えなくなる。
それでは危機に対処できないので、痛い自分を俯瞰して眺める自分をもう一人中に飼っている。

そういうクセが快感だとかで流されるのは困る。
普段の私と演算する私をもっと切り離せば、どんな時でも冷静に演算して能力が使えるようになる。
なんだか二重人格みたいで嫌だけどさ。


ジャワーを浴びながら目の前の鏡を見る。
昨日、すこし大人の女になった裸の少女。
胸は決して大きくはないけど、均整の取れたスレンダーなボディ。
ほどんど無毛の股間には縦の筋が見て取れる。
ここは子供っぽくて嫌だな、と思う。

シャワーヘッドを壁に掛け、まじまじと眺める。
両手を頭の上で組んでポーズを取ってみたりして。
うーん、結構イケてるじゃん?なんて思う。
後ろ向きになって振り向くと、背中から形のいいヒップへの流れるようなラインが美しい。
ほーら、カッコいいじゃん。

「これ、全部アンタのもんなんだから。早く帰ってらっしゃい」

言って顔を赤くする。あははー、アンタのものだってさー。
インデックスをアイツの恋人だと思ったときはあんなに絶望したくせにねぇ。

鏡に正面を向いて立ち、胸を揉んでみる。
もうちょっと大きい方が女らしくていいのに。
アイツも胸が大きい方が好きなのかな。
乳首が尖る。

手を外して頭からシャワーを浴びながら、能力の手で触ってみる。
乳房と乳首と陰核の感覚しか知らないから、それらを一辺にくすぐる。
すぐに気持ちよくなってくるが、流されないように演算部分を切り離す。
昨日よりは上手くできてる気がする。
陰核や乳房を撫でる能力の手の強さや撫で方をいろいろ変えてみる。
快感が深くなるけど、能力の手の感触は逃げずにコントロールできてる。

すごいじゃん、昨日の今日で思いついたことはすぐに修正できる。
さすがレベル5、なんて自画自賛。

でも、快感に流されてる方の自分は、自由自在な能力の手の動きに翻弄されて切羽詰る。
そのまま快感の波に飲まれるに任せ、立ったまま絶頂した。


「うー気持ちよかった。絶対クセになるよね、これって」

醒めてきたわたしが言い訳っぽく呟く。
でも、ホントにクセになりそうな予感がする。

しかし、感じた事がある感覚しか再現できないと飽きるかも???
一度、身体のどこをどう自分で触ったらどんな反応をするのか実験してみなきゃね。

なーんてすっごいエッチな事考えて、シャワーのお湯を水に切り替える。
何を馬鹿な事を考えてるんだ私は。頭を冷やすために冷たい罰を与えて目を覚まさせた。





27: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:27:39.32 ID:LHYqPlFG0


制服に着替え黒子を起こしてから寮を出てアイツの寮に向かう。
インデックスに朝ごはんとお昼ご飯を振舞うために。
途中コンビニに寄って食材を調えて急ぐ。

歩いている間も特訓は欠かさない。
二人の自分を常に意識する訓練。それが当たり前になるようにしないとね。

昨夜、アイツの事を思い出してあんなに乱れてしまった。
アイツはもはや私にとっては無くてはならないものになっている。
居なくなってからこんなに重要な事に気がつくなんて、馬鹿にもほどがある。

私の半分はアイツでできている。
それを失ってしまった残り半分の自分を更に半分にする特訓をしている。
なんだかどんどん自分が小さくなっていくよう。
いや、強くなるためだ、と自分に言い含める。

電磁波を読み取る訓練。昨日は強い電磁波にかき乱された。
だから、強い電磁波の出先を特定して必要ないものは自分で出した同一波長の電磁波で打ち消す。
そうすると、網から漏れた微弱な電波も少しづつ拾えるようになった。

人間の脳波だけ拾えれば、これは戦いでも有効だ。
自分の出した電磁波の反射で敵の動きを特定するだけでは、物体の陰に隠れられると分かり辛いし。
脳波の出す内容までは特定する必要がない。

そう思って、脳波以外の電磁波を片っ端から消していった。
人の脳波だけが私に届くが、感情は分からない。
きっと触れて読むくらいの事をしないと分からないだろう。
覗き見みたいな事はしないけどね。でもいざとなったら役に立つかもしれないし。


感情までは分からない脳波も、あまりに指向性が高いと識別できてしまう事に気がついた。

殺意と怒り。

これは一番激しい感情なんだろう。

しかし、こんな朝っぱらから殺意を抱く人がいるとは。
自分に向けられたものではないし、行動に移すわけでもなかろう。
でも何かあったら大変だ。殺意の出ているほうに近づく。急いでるのにな。
すると、カップル一組と女が一人。殺意は女からカップルの女に向けられている。
おおかた浮気現場にでも出くわしたのだろう。
カップルの男が女をなだめ出し、浮気相手は醒めた目で去ろうとしていたからもう多分平気。
こんなんにいちいち出会いに行かなくちゃならないなんて、この能力も考え物ね。

そしてもう一つの勝手に流れてくる脳波が性的興奮。
いやだなー、こんな朝っぱらから誰かがえっちしてるって事よね。

なーんて、ついさっきオナニーしちゃった自分が言う事じゃないわね。
顔を赤くしてそそくさと足を速めた。





28: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:30:01.71 ID:LHYqPlFG0


昨日、朝昼は私がインデックスの世話をする約束をしたので、舞夏は学校に行っていていない。
インデックスはごっはんっごっはんっと鼻歌を歌いながら定位置に座っている。
私の今の性欲並にこの子の食欲はすごいわね。
なんて思ってそんなに私の性欲はすごくないわよと否定する。

覚えたてはクセになるもんよね、うん。


猫に餌をあげてから、インデックスに尋ねる。

「ね、この子紹介して貰ってないんだけど」

「あ、その子はスフィンクスっていうんだよ。抱いてみたらいいかも」

できないのよ、それが。
電撃使い《エレクトロマスター》の私からは常に微弱な電磁波が出ている。
動物はその電磁波を嫌って寄って来ない。
猫好きな私にとっては拷問みたいな自分の特性だ。
そう説明すると、インデックスにたしなめられた。

「なら、修行してそれが出なくなるようにすればいいかも。
 どういう原理でそれが出てどうしたら出なくなるか、そういうのも鍛錬法じゃないのかな」

いい事言うじゃないのインデックス!
そうね、能力を大きくするだけが修行じゃないもんね。
頑張ってみるって言ったらにぱっと笑ってくれた。この笑顔は百万ドルだ。
アイツもこれにはイチコロに……ならなかったのか。仙人め。

朝ごはんをテーブルに並べると、いただきますの言葉と同時にみるみる食材が吸い込まれていく。
うーん、壮観ね。気持ちいいくらいの食べっぷり。
アイツに作ってあげたらこんな風に食べてくれるのかな、なんて思うと少しニヤけちゃう。

「みこと、わたしの顔に何かついてるかな?ニヤけっぷりが気持ち悪いかも」

「悪かったわね。アイツにもご飯作ってあげたいなって思ってただけよ」

ふーん、とうまが帰って来たらやっぱりここに通うつもりなんだね、なんてジト目で言う。
何よ、悪い?
別に取って食うわけじゃないわよ、がおー。吼えてやる。

「ううん、みことは絶対取って食うつもりだね。そういう風だからわたしが警戒するんだよ」

どーゆー意味だコラ!
ぎゃははは、とお互いはしゃぐ。

なんだかんだ言って元気付けてくれているんだろうな。
アイツの周りにはこんなに優しい人ばかりなんだろうか。
私も少しは爪の垢煎じて飲まなきゃね。





29: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:31:00.79 ID:LHYqPlFG0


「私も魔術っていうの、使えるようになれないかな?」

電磁力を操作するだけでは賄えない事もあるだろう。
そういうものを補完できるならば何でもしてやる。

そう思って尋ねたが、能力者は魔術は使えないらしい。
魔術師も超能力は使えない。
なんでも拒否反応が出て自滅するんだとか。
かつてロシアで、レッサーに超能力者は魔術を使えないと言われた事を思い出した。

じゃぁ仕方がないわね。

この世の力は重力と電磁力に支配されている。
極小の原子核の世界には大きな力と小さな力というものがあるが、小さな閉じた系でしか発揮されない力は支配しようが無い。
重力には重力子《グラビトン》というゲージ粒子が関わっていて、コレに直接干渉できる能力者は少ない。
以前起こったグラビトン事件の犯人も、極めたら凄い事ができるだろう。
私も重力子には直接干渉ができない。

では、何ができるか。
電磁力には光子《フォトン》というゲージ粒子が関わっている。
この粒子に関わる全ての事象を網羅して支配できれば、ニュートン力学以外のほぼ全ての物理現象を支配したも同じだ。
光子使いと呼ばれるくらいまでこの力を極めるしかないか。


掃除などの家事をしながら昼までおしゃべりをした。
魔術の話は何を聞いても新鮮だし、私では絶対対処できないだろうと思えるものもいっぱいあって興味深い。
アイツの話は彼女の方が一緒にいる時間が長い分話題が豊富だ。ちょっと悔しい。
超能力や学校、友達の話はインデックスには新鮮みたいだ。

その間も能力の特訓は継続中。
内から内、外から内、ってのは周りに迷惑かけずにできるのがいい。
昼ごはんを作って食べて片付けるまでそうして過ごした。

「夜は舞夏が来てくれるから、今日は帰るわね」

えー、みこと行っちゃうの?一緒にとうまを待とうよ。
今日にでも帰ってくるかもしれないんだよ、と言うけど遠慮した。
内から外、外から外、って訓練は屋外の人のいない場所でしかできないから、と説明して。





30: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:31:44.19 ID:LHYqPlFG0



アイツと決闘をした橋の下の広場にやってきた。
まだ学校のやってる時間だからか、人影は無い。
一応能力で周りに人がいないか確かめて、どんな強い力を試すか考える。

結論から言えば、三時間で飛べるようになった。
磁力を使ってリニアモーターカーの原理で浮いて走る。
ただし、自分の周りのAIM拡散力場に沿って電子を塊のように集めるので青白く光ってしまう。
前方から後ろに流れていく自分の出す強力な力場に沿って浮かぶ電子の光。
これを纏って飛んだら、まるで光る大きな鳥みたいだ。
目立つ事甚だしい。めったな事では使えないわね。

めちゃくちゃ大きな力を使おうとするとこの姿になるようだ。
力をコントロールして必要な分を必要なだけ作り必要なだけ集めて必要なだけ出力する事を覚えた。
以前なら、こういう姿にならずに周りに放電していただろう。

元々イオン化している物質を集めに集め、ついでに自分で物質をイオン化させて固める。
電磁の力で圧縮を重ねていくと、ものすごいエネルギーの塊ができた。
質量がある分、エネルギーもでかい。

光る鳥の上に光の玉。シュールな絵面だなぁ。
これを打ち出したりしたら、ビルの一つでは済まない被害がでそうだ。
ゆっくりゆっくり圧縮を解いてエネルギーを拡散させていく。
爆発したら大変だし、こんな力は使わずに済むならそれに越した事はない。


過去に犯した失敗を思い出す。
キャパシティーダウン。特定の音波で能力を奪う装置。
今ならこれは問題なく対処できるだろう。
音波の波長は身体が覚えている。
耳の神経からその音波を拾う信号をカットしてしまえばいい。
あの不快な音は聞きたくもないから、予めデフォルトでカットさせておいてもいいかも。
あんな子供だましに三度も引っかかった自分が恥ずかしい。

似た機械にAIMジャマーがある。AIM拡散力場を乱反射させ自滅させる機械。
コイツは一回体験しておいた方がいいかもしれない。

少しでも能力が使えるのならば、電子機器なんて刹那に破壊できる。
使えないというならば、大きな施設に侵入する前に探索して予め壊してしまうとか。
こういった能力者対策の機械は多量の電力を必要とするはず。
そういうのを探したり壊したりするのは私の元々の守備範囲だし。

インデックスの言っていた、電磁波を出さなくする特訓をしたらいいかもしれない。
AIM拡散力場を引っ込める特訓か。考えた事もなかったな。
うん、だんだん無敵に近づいてく実感。悪くないわね。
さ、くたびれたし帰ろう。
たまには黒子とも遊んであげなくっちゃ。





31: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:32:48.46 ID:LHYqPlFG0


帰ると黒子が出かけるところだった。
なーんだ、遊んであげようと思って早帰りしたのに、って言うと抱きついてきた。

「こら!耳に息吹きかけんな!首筋舐めんな!」

振りほどくと、残念ですわお姉様、黒子は今夜も残業なんですの、だってさ。
遅くなるから先に休めとのお言葉。へーへー、分かりましたよっ、と。

夕食を食べたら身体がかなり疲れているのが分かった。
シャワーを軽く浴びて身体を拭き、裸のままベッドに寝転んで今日の復習をした。

ベッドの上にゆっくり浮かぶ。うーん、完璧だ。

建物全体に能力の手を伸ばしてみる。
これは……全力を込めたら、建物を引きちぎって浮かび上がらせることができるかもしれない。
こんなの絶対に試せないなぁ。

でも、もしもあの要塞に辿りついた時この力があることを理解していて試せたら。
幻想殺しがある以上、アイツの手を取って浮かぶのは無理だろう。
ならば土台ごと引きちぎって浮かせたら?

できたかもしれないな。そうすりゃ助けられたのに。
はぁ、と溜息をつきながらアイツの顔を映し出す。
何度見てもいいなぁ。素敵よ、アンタ。

う。いけない、発情してきた。またオナニーしたくなってきちゃった。
まるで猿ね。確か猿にオナニー教えると倒れるまで続けるんだったっけ?
迷信かな。
朝もしたのになー。昨日から発情しっぱなしだぁ。

ふと今朝を思い出す。感触を確かめる実験しようって思ってなかったか。
そうそう、どうせ猿なんだし、実験してみよう。





32: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:33:23.29 ID:LHYqPlFG0


自分の身体がどんな反応をするのか試したくなったんだからしょうがない。
そう、これは実験だ。

全裸のままでベッドの上に横たわった自分の身体をいろいろと触ってみる。

耳や首筋は黒子が抱きついてきてたまに唇を寄せたりする。
その時は不覚にもゾクッとしたりしたけど、自分で触っても余り感じない。
腋も自分ではくすぐったくもない。
脇腹はちょっとイイ感じ。
乳房は揉んでも押しつぶしてもイイ感じ。

ふーん、自分で触ってもイイ場所とそうでもない場所があんのね。
お尻は揉むと性器まで刺激が伝わって気持ちいい。
内腿は撫でるとゾクッとする。

両手でゾクッとする場所を集中的になぞる。
ため息が漏れる。
乳首は摘むと少し刺激が強い。刺激を与える前から期待と興奮で立っている。

乳房を手のひら全体で揉んで、たまにその尖った場所を撫でるくらいがちょうどいい。

左手で右半身を抱くように撫で、右胸と脇腹をねっとりと往復させる。
右手で内腿を撫でる。一番触りたい場所が触って欲しいとおねだりを始める。
その場所を避けて大陰唇の外側を円を描くように指でなぞる。
会陰部に溢れてきていた粘性の体液で指が濡れる。

欲求に従って、触って欲しいと涎を流しておねだりしている場所に指を伸ばす。
そっと会陰部から小陰唇を掻き分けてなぞり、陰核まで指を這わせる。
右手の指が陰核まで伸びた時「うっ」と声が漏れた。
触ると陰核はその存在を主張させるように尖る。

私のそれは小指の先くらいの大きさまで育って硬くなる。
比べたことは無いけれど、多分私のそれは他人より大きい気がする。

言い表せない感覚が私を襲う。あえて言えば「とても気持ちいい」かな。
くちゅくちゅと数度往復させる。陰核に指が当ると鋭い感覚が私を高みに連れて行こうとする。

このまま果ててしまうのはもったいない気がした。





33: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:33:58.85 ID:LHYqPlFG0


濡れた指を鼻先に持っていく。
発情した女の子の匂いと少しの尿の臭いがして興奮する。

薬指と中指が濡れていた。閉じていたその指をV字に開くと、透明な液体が糸を引いた。
とてもいやらしい光景。

そのまま口に含む。少し塩味、かな。
自分のしている行為がとても淫靡なもののような気がして、余計に性感が高まる。


右手を性器に伸ばし、左手を身体のあちこちに這わせる。
膣の入り口で愛液を補給させた指で陰核を擦る。
ぬるぬるの指を優しく這わせると瞼の裏に火花が散るくらい気持ちいい。

体中を這っていた左手はお尻を揉み、後ろから臀部の狭間に侵入してきた。
禁断の穴に触れると、そこは溢れてきた体液で既にぬるぬるになってた。
ここも敏感な場所。でも、指を入れる気にはなれないし臭いを嗅ぐ気にもならない。
こちょこちょと指先でくすぐってやると、侵入を拒んでひくひくする。

アナルに当てた左の中指はあまり動かせなくなってきた。
陰核をいじる右手の指の動きが激しくなってきたから。
右手の中指の動きに合わせてお尻の穴がぴくぴく反応する。

ふとアイツの顔を思い浮かべてしまった。アイツの顔が映像で浮かび上がる。
すると、いじっていた両手が急にアイツのもののように思えてきた。

一気に高まる性感。

もっとじらしてあげたいのに。膣の中にも刺激が欲しいのに。
もう我慢ができなくなってきた。

小指大に膨らんでいた陰核が奥に引っ張られるみたいに縮む。
それを追うように押して激しく中指が動き、私は果てた。

身体全体が痙攣する。
中指の動きを止めてぐっと陰核を押し潰す。
イッてる感じが止まらず、痙攣し続けた。
つま先がピンと伸び、背筋が反る。
息が荒い。声が出ないように気をつけてしていたのにア行の短い音が細かく漏れる。





34: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:34:35.78 ID:LHYqPlFG0


かなり長い間のように思えた絶頂がゆっくり下がる。

アイツの顔を想うだけでこんなにアッという間に来てしまうなんて。
アイツの指で撫でて貰っていると思うだけでこんなに高く登るなんて。

会いたい。もう一度。
会えたら絶対、今度こそ素直になろう。
そうして、そうして……抱いて貰えるように頑張ろう。
生きていて。お願い。生きて帰ってきてください。
切なくて涙が出てきた。


性感が戻りきる前に、アイツの指(仮)を一本、膣に挿入する。
初めての感覚にとまどうが、痛くはない。
陰核のように特に気持ちいいという訳でもないが、充足感がある。

出し入れしてみる。一番奥まで入れても突き当りまでは届かないみたいだ。
指を二本に増やしてみる。充足感が増す。
三本に増やしてみる。入れるときピリッとした痛みが走った。破れちゃったかな。
でも、いかにも処女膜が破れましたよっていう痛みじゃない。
よく見る小説やマンガの処女喪失シーンでは、ビックリするほど痛むと書いてあったのに。
たぶん、そういう膜のようなものは運動かなんかで破れてしまっていたのだろう。

三本の指で中をかき回してみる。ちょっときつい。
引き抜いて匂いを嗅ぐ。さっきとは違う匂い。
少し生臭い、女の発情そのものの匂い。
見ると、少し白く濁っている。
かき回した時粘膜でも剥がれたのか、それとも泡立ったのか。もしかしたら中の体液はそういう色なのかも。
三本の指を開いたり閉じたりしてみると、やはり糸を引いたが粘性は同じじゃないみたい。
口に含む。自分のモノなのになんでこんなに興奮するんだろう。
味もさっきと違う。少し酸味のある塩味ってところか。





35: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:35:11.84 ID:LHYqPlFG0


指は二本が私の膣にはちょうどいいサイズのようだ。
アイツの指(仮)が、もう既にどろどろになって形もよく判らなくなった襞を掻き分けて二本入ってくる。

充足感がすごい。満たされる世界。
アイツを失った心まで満たされる感覚。

出し入れすると、奥まで入った時に手のひらが陰核に当って身体が反る。
それに反応して膣が指をきゅっと締め付ける。

この気持ちよさは今は不要だ。
中の感覚を探るように、手のひらが陰核を撫でないように注意しながらいろいろいじる。

指を曲げるように膣の上部を掻き出していると、とてもいい場所に出会った。
ちょうど陰核の裏側あたりか。感覚が繋がってるのかな?
少し膨らんで少しざらついて。ぬめるだけの中の感触とは少し違う触覚のする場所。
そこを集中的に責めてみると、どんどん性感が高まってきた。

膣口がきゅっきゅっと締まる。もうちょっとするとイクかもしれない。
すると、膣口がきつく感じるほど締まるのに反して膣内の壁が硬く広くなった。
曲げ伸ばしする指が動きやすい。
動きやすくなった分だけ激しく早く強くなる指の掻き出し。
快感を求めて貪欲に動く指。いやらしい。

快感の曲線はグーンと上に登って、私はてっぺんに放り投げられた。
陰核で絶頂するのとは違った感じのエクスタシー。
お腹を中心として身体全体が幸福感に満たされる。
指はあの一番いい場所にぐーっと押し付けたまま動かせない。
なかなか降りてこない快感に揺られて、どこかから聞こえてくる高い音を聞いていた。

快感が徐々に去っていきかけた時、あの音が自分の出しているものだと気づいた。

(声、外に漏れてないわよね)

声を出さないように気をつけていたのに、陰核の時とは違った絶頂感に我を忘れてしまった。

当麻の手(仮)を引き抜いてタオルでぬぐう。
股間もどろどろになってるし、シーツには染みができていた。
シャワーを浴びてシーツを換えないとね。
寮はリネン室に換えのシーツやタオル類が常備してある。
汚れたシーツは汚れ物入れに入れておけばクリーニングして貰える。

今日の実験はおしまい。私の身体はいやらしい、という事がはっきりわかった。
この感覚を忘れないようにして今度は能力を使って再現してみよう。
二度も絶頂したばかりだというのに次のオナニーの事を考えるあたり、身体だけじゃなくて私自身がいやらしいみたいね。
心も身体も、か。

でも、無意識に声が出るのは困り物だ。
今は黒子こそ風紀委員《ジャッジメント》の用事で出かけていないけど、他の寮生がいる。
絶頂している時に「どうしました御坂さん」なんて入って来られたらたまらない。
今度からは昼間、他の寮生がいない時にしようと決めてシャワーに向かった。

やめようと思わないところがいかにも猿ね、と苦笑いする。





36: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:35:46.21 ID:LHYqPlFG0


シャワールームの扉を開ける時、ふと洗面所に置いてあるヘアブラシに目が留まった。
柄の長いタイプのヘアブラシ。持ち手の先は丸い。

(そういえばさっき、一番奥までは届かなかったのよね)

シャワールームに持ち込んで、ブラシを石鹸で洗う。
頭からシャワーを浴び、シャンプーしてリンスする。
身体も石鹸で洗ってそれをシャワーで流しながらヘアブラシを見る。

入れてみようかしら?手にとって眺めた。
長さは十分届きそうだ。太さも指二本分くらいでちょうどいいんじゃないかな。
いやいやいやいや、さすがに何だか淫乱っぽくない?道具を使うとかさ。
まださっきのほてりが身体の中に残り火みたいに残っていて、思考がすぐにそっちに向いてしまう。

そんな事を考えながらシャワーを股間に当てたとき「きゃっ」と声が出てしまった。
びっくりした。普段股間にシャワー当ててもそんなに違和感は無かったのに。
身体が敏感になってるせいか、驚くほど気持ちがいい。
シャワーを敏感な場所から外して陰核を触ってみると、もう既に硬く尖っていた。

正面の鏡に映った少女の表情は、発情しきってとろんとしている。
二度も昇り詰めたくせにまだシ足りないのか。なんだこの淫乱女は。

もう一度シャワーを当ててみる。気持ちがいいどころの騒ぎじゃない。
こんなの当て続けたら、一分ももたずに昇天しちゃう。
当てたり外したりして身悶えながら手に持ったブラシを眺める。

やっぱり入れてみよう。奥の感じも知りたいし。





37: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:36:17.53 ID:LHYqPlFG0


シャワーを流しっぱなしのまま壁に掛け、立ったままで少し足を開き陰部に触れてみる。
今の刺激に負けて新たに湧いてきた蜜でそこはぬるぬるになっていた。
これならすんなり入りそう、と、ヘアブラシの柄を膣口に当てて目を瞑る。

固い感触にとまどったが、少し先っぽが入ったら覚悟ができた。
ぐうっと一気に奥まで入れる。
柄とブラシの境までもうちょっと、という位置まで入ったところが私の突き当たりのようだ。
今、ブラシの柄の先が触れているところが子宮口って場所か。

目を開けると、鏡にはその身体を興奮で赤く染めて足を少し開いて立つ全裸の少女。
ほとんど陰毛の生えていない股間は、陰部に向かって食い込む縦割れを全く隠せていない。
その奥には尖った陰核の先が見えた。
そして、陰核の向こうに生えたヘアブラシのブラシ部分。
決してそんな場所に入り込むものではない物体が少女の中心を穿っている。

なんというあさましい姿なんだろう。
そう思うと発情してぼやけた頭は余計に興奮する。
わたしは変態だ、そう思うこと自体が催淫剤。

鏡の中の少女は嬉しそうに微笑む。
その右手で、異物でしかないモノを彼女の中心に差し込みながら。





38: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:37:07.15 ID:LHYqPlFG0


立ったまま身体の中心に刺さったヘアブラシを出し入れしてみる。
指と違って圧倒的な異物感。
角度を少し変えるだけで、出す時も入れる時も違う場所を刺激できる。
どこに当っても、股間の異物はその存在を激しく主張する。

(SEXの時ってこういう感じかもしれない)

した事も無いくせにそんな風に思う。
私はヘアブラシとSEXしてる訳か、と思うと自虐的な笑みがこぼれる。

中のイイ場所は指でした時に一番感じた場所と同じみたいだ。
それではさっきと同じだ。違う感覚が欲しい。
せっかく奥まで届いているんだから、奥だけの感覚を味わおう。
変態的なことをしているくせに求める事は贅沢だ。

奥まで差し込んだ異物を前後左右に回転させる。
異物の先に当ってる子宮口がくりくりと逃げ回るのがわかる。
内臓が揺さぶられるような変な感じだ。

ブラシを左手に持ち替えて奥まで入れ、右手でブラシをとんとんと叩く。
お腹の奥だけに与えられる刺激。子宮が振動する。
これは意外な気持ちよさだ。一気に高まるようなものではないけど、じわっじわっと。
そう、これはきっとアイツとのセックスの気持ちよさだ、と勝手に思い込む。
とてもいい。止められない。続けたい。

鏡の中の少女の顔が興奮で真っ赤に染まっていて、それを見ると気持ちよさが伝わって。
そうして少しずつ子袋へだけの刺激で高まっていく。

とんとんとんとん、と軽く叩き続けた右手がぬるっとしてきた。
私のはしたない体液がブラシを伝わって流れて濡らしてしまったんだろう。
恥ずかしい女だ、とわざと自分を貶めるように考えると余計に興奮するから不思議だ。
わたしってMだったんだなぁ、なんてぼんやりと思っているとだんだん切羽詰ってきた。

立っていられないくらいに感じてきちゃって膝をつく。
アイツの顔を映し出しながら、愛してると呟く。

両手でブラシを掴んでぐんぐん突くと、子宮からお腹全体に、そして身体全部に快感が広がる。
高い声が出る。お風呂場なので響いて、感じてる間でもはっきり声が出てるのが分かった。
でも、もう止まらない。止められない。

じゅぶじゅぶとはしたない音を立てて激しく出入りさせ、絶叫しながらわたしは果てた。

身体を支えられなくて前のめりに倒れそうになって、壁を右手で押さえて身体を支えた。
その時、左手がぐいっと後ろにブラシを押してしまった。
柄の先っぽが中の一番イイ場所に偶然当って、そこを激しい強さで押した。

「あ、だめ、出ちゃ、うっ」

おしっこが出そうな感覚がして両手でブラシを押したら、余計にあのイイ場所を押す結果になってしまった。
まだ絶頂している身体には強すぎる刺激。
身体を丸めてブラシを押さえながら痙攣し続けた。
視線の先に、下腹部を中から押し出すように膨らむブラシの先のレリーフが見え、それを撫でた。

おしっこ出ちゃったかもしれないな、なんてぼんやり考えながら風呂場に響く声を聞いていた。





39: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:37:54.68 ID:LHYqPlFG0



「あー、気持ちよかった」

波が去って立ち上がった時、ついそんな言葉が漏れてまた恥ずかしくなった。
ヘアブラシを引き抜き、白い体液が絡みついたままのそれを洗う。

ブラシでの絶頂の時、多分立て続けに二度か三度イッてしまった。
私をそんなにさせたブラシがなんとなく愛おしく見えてくるから不思議。
ブラシの柄にちゅっと口付けして顔を赤くさせる鏡の中の少女。
咥える。舐める。飲み込む。入れすぎて「げっ」ってなって我に返る。
馬鹿みたい。というか、ホントに馬鹿な女。

身体をざっと流してから、どろどろに溶けている股間の体液を洗い流す。
その刺激でびくっと身体が跳ねて、つくづくいやらしい身体だとひとりごちる。
さんざん中を弄んだせいか、シャワーの刺激のせいか、急に尿意が高まってきた。
頭からシャワーを浴びながら

「お風呂場だからいいよね」

そのまま放尿した。
風呂場に尿の臭いがこもる。尿の臭いってなんだか淫靡な感じがする。
へーんーたーいーだー、なんて呟いてふと思いつく。
お風呂場だもんね、すぐ洗えるしね、と自分で自分に言い訳。

えいっと中指を一本、膣に差し込む。
案の定、中はまだ体液でぬめっていた。
引き抜いてぬるぬるの指を確認して、その指をつぷっと後ろの禁断の穴に差し込んだ。
中指の第二関節まで一気に差し込む。変な感じだ。
ゆっくり引き抜くと「ひゃっ」と声が出た。
便が出るときの感触にそっくり。そりゃそうか。
出し入れしてみる。入れる時の感触よりも出す時のそれの方が刺激が強い。
気持ちがいいのかどうかはよくわかんないな。

ぐーっと中指全部を差し込んだとき……固いものが触れた。
ぎゃー!変なもん触った!あうううう。

慌てて指を引き抜き、無言で石鹸で洗う。
身体ももう一度丁寧に石鹸で洗い、なんとなくお風呂場も綺麗に掃除してしまった。
バスタオルで身体を拭きながら、もう絶対お尻はいじらないぞ、と誓った。





40: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/09(水) 14:38:56.02 ID:LHYqPlFG0


シーツを交換し終わった頃、黒子が戻ってきた。
疲れた顔をしている。

「お姉様、大丈夫ですの?」

「はい?どういう意味?あんたのほうが酷い顔色してるわよ」

「いえ、昨日も今日も大声で泣いてみえたと、寮生たちが心配しておりましたの」

ぎょっ!

き、き、き、聞かれてた!声が漏れてたんだ!

「な、な、なんでもないって。ちょ、ちょっと戦争の時の事で情緒不安定になってるだけよ」

「――そうですの……あの、その……」

どうしたの黒子?
声について突っ込まれるのを嫌って、逆に黒子に尋ねた。

「あの、と、殿方さんと何かおありになったんですの?」

そっか。やっぱりそう考えるわよね。

「ううん。何かあったなら良かったんだけど。今、アイツ、どこにいるのか分からないのよ」

言うと胸がツキンと痛んだ。
インデックスの「絶対帰ってくる」の言葉で、救われた気になってたけど。
やはり心のどこかには絶望している自分がいる。

アイツの寮まで押しかけて、インデックスという少女と一緒に待ってるところだと話した。

「そうでしたか。実は、わたくしも上条さんのお宅にお邪魔したんですの」

黒子は、わたしの落ち込みにはアイツが絡んでいると踏んで探し回っていてくれたらしい。
支部の監視カメラでは見つからず、アイツの寮にも押しかけたそうだ。
そこにいた少女がアイツの彼女かと思い、その事でわたしが沈んでいるのかもと疑ってた。
でも、アイツに会って真相を聞いてみないといけないと思って遅くまで探していた、と言った。

そうか。インデックスも黒子が来たって言ってたわね。
ごめんね、心配掛けてばかりね。

黒子は泣いていた(と思っている)理由は深くは聞かずに

「いつでも頼ってください、お姉様。できることは何でもいたしますの」

と言ってシャワールームに消えた。
詳しく聞いてこないのはわたしへの労わりなんだろう。
いつかちゃんと話すからね、優しい黒子。
出てきた黒子に見つかったら教えてくれるようにお願いしたら、また飛びついてきた。
もー、可愛いったらないわね。


眠る前に、PDAを起動させて回線に繋ぎ、ハッキングの特訓をした。
世界中を見て回るも、アイツの情報は得られなかった。
PDA無しで回線にハッキングできるようにしたいと思ってやってみた。
情報の海の流れの速さと霞むほどの広さにくらくらする。
情報を特定して検索しないと、全部見て有用な情報だけ選ぶというのは至難だ。
電脳の海は広く深い。操るなんて不可能だ。
だがそこまでできるようになってこその光子使い。
また一つやる事が増えた。





46: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:13:52.43 ID:C3mZKs4F0


次の朝、インデックスとおしゃべりしながらいろんな電磁波の識別訓練をしていた時、妙な物を見つけた。
目に見えないような微細な機械が電磁波を出している。
アイツの部屋の中に二個見つかった。

何だろうと思って不用意に探りを入れたら壊れてしまった。
良くないもののような予感がする。
インデックスにちょっと買い物に行ってくると言ってエコバックを持って外に出た。

その微細な機械の出ている電磁波を特定して探すと、街中には無数に漂っていた。
この密度だと、学園都市内だけにあるとしたら四~六千万個くらいは漂っていると思われる。
今度は脳波の内容を探るくらいの慎重さで調べてみる。
どうも、これは個体同士で電子ビームをやり取りしてネットワークを作っているようだ。

ネットワーク内には大量の情報が詰まっていたし、現状もどんどん増えている。
監視カメラの役割もしているようだし、こんなに大量の情報を全部俯瞰できる個人がいるはずがない。
いたとしたら超人だ。

とてつもない危険を感じてネットワークから抜け出した。
情報が多すぎて目的がないとあそこにいても意味が無い。
しかも情報に鍵がかかっていないので、危険な情報も入り込んでしまう。
よほど特殊な人物しか見ることができないもののようだ。

情報量は以前ハッキングした書庫の内容の数百倍、いや数千倍はあるかも。
これを統べるものは数千万の目を持つものに等しい。
その目から得られる情報を全て解析し自在に操る。
人間を越える何者か。それがこの街の統括者に違いない。

とりあえずは「こんなものがある」と認識しておこう。
深入りはこの街の闇の淵に落ちることのような気がして意識を切り替えた。

何も買わずにインデックスの元に帰って、今日は一緒に買い物しようと誘った。
いつも同じ服は飽きるでしょ、お洋服買ってあげるから、と言って連れ出した。





47: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:14:45.96 ID:C3mZKs4F0


楽しい時間はあっという間に過ぎる。
インデックスを着せ替え人形にして遊んでいたら、すぐにお昼になった。

しかしこの子は何を着せても似合うし可愛い。
二着ほど誂えて一着を着せたまま、荷物は私が抱えて帰路につく。
白に近い水色のワンピースドレス。季節はずれだけど麦わらの帽子を合わせた。
めっちゃくちゃ可愛い。買ってあげた服が気に入ってるのか、笑顔で鼻歌歌ってたりなんかして。
みこと、ありがとう、なんて上目遣いにニコッとされたらたまんない。
アイツが帰って来たら本格的に惚れちゃうんじゃないかしら。

うーん、それは困る、かな。

インデックスと買って帰ったお昼を食べて片付けてから、今日は寮に戻った。
ハッキングの特訓だ。
ものすごく集中力を必要とするのですぐに疲れる。

一昨日から、疲れるとアイツの顔を映し出すクセがついてしまった。
これのおかげで何とかやっていける。精神安定剤。
ただ、時々催淫剤にもなるのが困りモノ。
困らないか別に。しちゃえばいいんだし。

今朝も、黒子がいるというのにトイレで能力の手で撫で回してしまった。
初めて身体中を一辺に撫で回す感覚を味わった。
あっという間に高ぶり、すぐに果てたし声も我慢できたから気付かれていないだろう。

この能力を使えば、たとえ外出中でも我慢できなくなったらしちゃえるな。
イク時、身体がぶるぶるっと震えるのは堪えられないからバレるかな?
なーんて馬鹿な事も考えた。やってないけど。

ふと思い立ってPCの電源を入れる。
私っておちんちんが想像できない。
どんなもんなのか一度見てみよう。

学園都市には性器がはっきり映るようなビデオの映像は入って来ないようになっている。
でもそんなフィルタなんて私にかかれば有って無いようなもの。
音声をカットして、サムネイルからちょっとアイツに似た男優の出てるものを選ぶ。
黒髪と目だけが何となくアイツっぽい。

映像を流し始める。結構ドキドキする。
音声が切ってあるから当たり前だが、無言で女優が服を脱いでいく。
結構若くて綺麗な女優さんだ。なんでAVなんかに出てるんだろう。

全裸になって男優の前で足を開く。少し濡れて光る陰部が丸見えだ。
私と違ってしっかり陰毛が生え揃っている。

あれ?
陰核の大きさがやっぱり小さい。これが標準なんだろうか?
だとしたら私のは一回り以上大きい。
なんだかなー、いやらしい子みたいで嫌だなー。
実際つい最近いやらしい子に変身したんだけどさ。


結構興奮するかも。





48: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:16:14.26 ID:C3mZKs4F0


女優は男優の服を脱がし始める。
上半身裸になった男優は、筋肉質でお臍から下に向かって剛毛が生えていた。
下も脱がすと、陰毛までそれは繋がっていた。
気持ち悪い。
女優を見てた時の方がずっとドキドキした。

全裸の男優の陰茎は巨大で、天に向かってそそり立っていた。
女優はそれに頬ずりをし、陰毛に顔を埋めて匂いを嗅ぐそぶりをする。
それを両手で捧げ持ち、先にキスをした。
舌を出して舐め、呑み込んでいくところで気持ちの悪さが頂点に達して映像を切った。

やっぱり見るんじゃなかった。
なんだか他の男のアレを見た事がアイツへの裏切りのような気がして辛い。


振り払うように能力を込めて全身を撫で回してみたがちっとも良くならない。
いろいろ触ってみたけど全く高まらずに諦めた。



何だかインデックスに会いたくなって、寮を出て夕食の材料を買った。
舞夏が作ってるだろうけど、沢山あってもあの子なら食べちゃうよね。
なんだか嫌な事があるとインデックスに逃避しちゃうな。
今回は自業自得なんだけどさ。

あの子の顔を見てると落ち着く。
シスターってみんなあんなに心休まる人達ばかりなんだろうか。
さすが神に身を捧げた人、ね。さ、急ごう。





49: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:16:50.72 ID:C3mZKs4F0


呼び鈴を押すとインデックスは頬を食材でふくらませたままドアを開けてくれた。
昼間買ってあげた服をそのまま着ている。
舞夏は夕食を作ると帰って行ってしまったらしい。

「みこと、一人分しか食事はないんだよ」

「別に分けてくれなんて言わないってば」

そう言って上がりこむ。
舞夏も似合うって言ってくれたんだよ、みことありがとう、とにっこり。
もー、可愛いんだから。そう言ってくしゃっと頭を撫でてやった。
買ってきた食材は明日使おう。

まだ日も落ちきっていないのに夕食を食べてしまったインデックスの為に夜食を用意した。
ついでに明日の朝用におにぎりを握る。それを一個、夕食代わりにいただいた。
残った食材を冷蔵庫にしまってインデックスとおしゃべりを始めた。
今夜はこの子が出合った時の一方通行の話。

私にとっては悪魔でしかないあの憎い男。
でも、インデックスの印象は違うようだ。
ご飯を奢って貰ったりもしたらしい。
想像がつかない。
いったいあの悪魔に何が起こったというのか。
何が起こったとしても許せる訳ではないけど。



日もすっかり落ちて夜の帳が街を包む。
インデックスは携帯電話を0円携帯しか持っていないそうだ。
女の子だし、もうちょっとおしゃれなヤツ持っててもいいわよね。
今度一緒に買いに行きましょうと約束した。

相変わらず、おしゃべりしてても脳波を捉える特訓は欠かしていない。
かなり精度も上がってきた。
そろそろ帰るわね、と腰を上げかけた時に特別な脳波を捉えた。

これは妹だ。私とそっくりな脳波。

ね、あなたは何号の妹なの?
こんな時間に外を歩いていて大丈夫?

そう考えて能力の脳波で彼女の脳波の肩をとんとんと叩いた。
別に悪戯する気があった訳じゃない。
もう帰るから、一緒に歩こうと思っただけ。
彼女に能力の脳波で話しかけたその時――


ばちん、と脳内に音がして猛烈な頭痛と共に情報の渦に包まれた。




50: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:17:47.77 ID:C3mZKs4F0




一方通行《アクセラレーター》が1人目の妹と実験を始めている。

やめなさい。人間に戻れなくなるわよ!
人は人を殺してはいけない。殺せばその瞬間に悪魔に変わる。

お父さんが、まだ小さい頃の私に教えてくれた。
一つだけ約束を守れば人生はどんなに失敗しても取り返せる。
だから何にチャレンジしてもいいよ、って。
人を殺すな、殺されるな、自ら死ぬな。
コレさえ守れば美琴の人生は大丈夫だ、って。

だから殺してはダメ!やめなさい!




過去に『もしも』は起こらない。私の声は届かない。

一方通行は次々に妹を殺していく。

ある妹は心臓を撃ち抜かれ。

ある妹は半身を潰され。

ある妹は頭を潰され。

ある妹は全身を裏返され。

ある妹は身体を上下に引き千切られ。

ある妹は身体を左右に引き裂かれ。

血を吐き、内臓を、脳みそを、骨片を撒き散らし。

身体の中身を全部肛門から吐き出し、口から吐き出し。





一方通行の目は狂人のそれにだんだんと変貌していく。

吐き出す叫びは聞き覚えのある狂人のそれ。

とうとう缶バッチをつけてあげた、初めて仲良くなった妹に手を出そうとする。





51: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:18:45.67 ID:C3mZKs4F0




妹達のネットワークに接続してしまった事を理解した。

瞬時に昨日危険視した微細な機械のネットワークに接続して、一方通行の情報を拾い出す。
そしてこんな鬼畜な事が平気でできるこの学園の深遠。
そこに居るはずの統括者を洗い出す。

妹達のネットワークに繋がっていたのは二秒か三秒か。
機械のネットワークで一方通行と統括者の情報を拾ったのは五秒くらいか。
猛烈な頭痛の中、知り得る情報を全て自分の脳にインプットしてしまった。
知りたくも無かった情報を。



私が一方通行に対峙している。
止めるために必死だ。

一方通行には私の力では敵わなかった。
私は懇願する。

知り合ったばかりだけど。
猫を助けるような優しい妹。

アイスを一緒に食べた初めて仲良くなった妹。

意外と口の悪い、ホントに私の遺伝子なのかよと思った妹。

私のセンスの幼さをあざ笑った妹。

ゲコ太の缶バッジを大事そうにさすった妹。

大事な大事な私の妹。
ちゃんと生きてるの、その子。
実験動物なんかじゃない、ちゃんと感情もあるの。

だから

殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで







初めて仲良くなった妹は目の前でぺちゃんこになっていた。







52: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:19:46.90 ID:C3mZKs4F0


10031通りの殺し方で10031人の妹達を惨殺した一方通行。

無能力者に打ち砕かれる。
あの、偏った能力を打ち砕く拳は一方通行を救ったのだろうか。
一方通行はどう変わったのだろうか。



20001人目の妹が一方通行に近づく。

やめてよ。あんたは私を頼んなさいよ。
そんな鬼畜に近づかないで。


一方通行が20001人目の妹と一緒に寝る。

やめてよ。初めて無邪気な笑顔に接したからって和まないでよ。
アンタが10031回殺した子の姉妹をそんな目で見る資格なんて無い。


20001人目の妹が一方通行に言う。
あなたは止めて欲しかったんじゃないかと。
止めてあげられなくてごめんなさい、と。

やめてよ。私が止めに行ったじゃない。
あんたたちと同じ顔をした私が。力ずくで。泣いて頼んで。
それでも目の前で殺そうとしたそいつを庇わないでよ。


一方通行が20001人目の妹を救う。

やめてよ。それは私の役割なのよ。
それでアンタは死ねば本望でしょう。
でも、それじゃ誰も救われないのよ。
私に救わせてよ、その子だけは。
アンタの自己満足の為に妹を利用しないでよ。


壊れた一方通行をリアルゲコ太が救う。

やめてよ。これ以上妹達を巻き込まないでよ。
10031人の妹達を惨殺した悪魔を救うために残った9970人の妹達を使わないで。
あの子達の人生はこれからはあの子達の為だけにあるの。
その悪魔をそこに混ぜないで。





53: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:20:51.37 ID:C3mZKs4F0




救われた20001人目の妹が一方通行に懐く。

やめてよやめてよやめてよ。
あんた達は私の大事な妹。
今の私はあんた達を守る事だけがレゾンデートルなの。
そんな私の生きがいが。

揃いも揃って全員で一方通行を庇わないで!

命と引き換えに助けようとした命。
命よりも大事な人に助けられた大切な命。

そんな命で

     そんな大切な命で

             そんな大切な命を使って




  わ  た  し  を  こ  わ  さ  な  い  で








54: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:21:39.73 ID:C3mZKs4F0



一方通行は打ち止め《ラストオーダー》と呼ばれる20001人目の妹の為に生きる。
危機に落ちた打ち止めを助ける為に走る。

そして。そして。
勝手に悪人と決め付けた敵を。


殺す。殺す。殺す。


やめなさい!全然分かってない!
全く変わってない!

その人たちも生きているの!
感情もあれば家族もいるの!
妹達と一緒なの!

アンタの救いたい打ち止めが、自分の為に犠牲になった命の事を知ったらどうするの?
アンタが救いたい打ち止めの為に、アンタが殺しまくってる事を知ったらどうするの?

やめなさい!
その人を殺さないで!
その能力者を殺さないで!
その超能力者を殺さないで!

それを知った打ち止めは自ら命を絶つかもしれない!


私だって!
私さえ生まれてこなければこんな悲劇は生まれなかった!

私のDNAのせいで。
沢山の命が奪われていく。

やめて。ころさないで。ころさないで。



  わ  た  し  を  こ  ろ  さ  な  い  で







55: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:22:54.43 ID:C3mZKs4F0



一方通行は打ち止めを救う為にロシアにやってきていた。

第三次製造計画なんてふざけた計画で作られた20002番目の妹も助けた。

血を吐きながら打ち止めを救った。

そして天使の様な姿になって世界を救った。


何故?どうして?

偶然あの姿になったの?

打ち止めを助けたのも偶然?

いや、もっと前の。

妹達が作られて始まった実験も。
途中で中止になったことも。
打ち止めがわざわざ一方通行を頼ったのも。
そして打ち止めに愛情を注ぐようになった事も。

全てが布石。計画されたものなんじゃないか?

この街の統括者。
先ほど知ったばかりの名前。

『アレイスター=クロウリー』

超能力者達に降り掛かる苦難はコイツの仕業なんじゃなかろうか。

そう、一方通行に天使のような姿と力を与えたような遠大な計画。

あの街に現れた天使を作り出したような遠大な計画。

あれもこれも、みんな計画。



   わたしがいまくるいかけているのも






56: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:23:37.91 ID:C3mZKs4F0



「みこと!みこと!大丈夫?」

インデックスに肩を揺すられて正気に戻った。

私は屈み込んで頭を抑え、瘧(おこり)を起こしたようにガタガタ震えていたそうだ。
心配そうにインデックスが覗き込む。
ごめんなさい、もう大丈夫と言って立ち上がった。


「ねえインデックス。アレイスター=クロウリーって知ってる?」

インデックスは目を丸くして驚いていた。

彼女は説明した。
アレイスター=クロウリー。
最大にして最強、そして最悪の魔術師。
彼はどこにもいないしどこにでもいる。
一瞬で世界の裏側の人間の首をはねる事ができる人物。
千数百年生き、そして死んだと思われている人物。

「そう。そんな怪物がいるのね」

そんな怪物がこの街の支配者。
そりゃ数千万の目を操れるはずだ。

でも、そんな力を持った人間が私のネットワークの侵入を見逃している。
気がついていない訳は無い。
私みたいな小物の動きなんてどうでもいいという事か。

少し落ち着いてきたので、完全に半分に割れてしまいそうだった自分を意識して元に戻した。
アイツを失って空ろになった半分に人格を持った演算部分がすっぽりと嵌り込む感触。
狂う自分と自己防衛で切り離す自分。
ホントに二人の自分が出来上がってしまいそうだった。

インデックスに水を貰って喉を潤した時、ピンポンとインターホンが鳴った。





57: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:24:37.07 ID:C3mZKs4F0



訪れたのは妹のうちの一人だった。

「あ、クールビューティーだね。いらっしゃい」

インデックスは妹をクールビューティーと呼んだ。
過去に面識があるようだ。

「あんたは何番目の妹?」

さっきはごめんね。なんか訳のわからない内に取り込まれちゃった。
プライバシーを覗き見するつもりじゃなかったのよ、と謝った。

妹は10032号と名乗った。アイツが御坂妹と呼んでいる子だ。
ロシアの妹に聞いて、不安定な私を心配して外に出るときはそっと様子を窺ってたらしい。

守るなんて偉そうな事を言ってるくせに、心配掛けて見守らせて。
ダメな姉で本当にごめん、と更に頭を深くしてもう一度謝った。

「お姉さまはミサカネットワークの事をご存知なんですか、とミサカは率直に尋ねます」

いや、でもさっきのがあんた達の意識の輪だってのは分かる。
そして、その輪の中でそのネットワークの事は理解した。
知ってて入ったんではなく、偶然繋がってしまった事を話した。

「先ほどのお姉さまの侵入でミサカネットワークが大混乱を起こしています、と上位個体を気遣いつつお教えします」

うん、ごめんなさい。とまた謝った。

じゃ、あの時混乱して心で叫んでいた内容も筒抜けだったわけね。
どこまで知られちゃったんだろう。
打ち止めを責めるような事も考えた気がする。伝わってなければいいけど。

一方通行が打ち止めの為に殺して回っていた情報は機械のネットワークの方に仕舞ってあった。
あれは妹達のネットワークを切ってから見たから、打ち止めには伝わっていないだろう。



今、私はちょっと精神的に不安定であんな考え方をしてしまったけど本心ではない。
一方通行とあんた達がどういう関係であろうとそれは関係が無い。
私の祈りはあんた達の幸せその一点に尽きる、自分のことは二の次だ、そう語った。

その答えはネットワークによって全ての妹達に届いたようで、10032号は礼を述べた。
私が超能力者としてワンランク上の力を手に入れてる事はネットワーク侵入時に理解できたらしい。
レベル5のパーソナルリアリティーと演算方法を体験した妹達は、その進歩に驚いたと言った。

そして、いつでもネットワークに招待すると言ってくれた。



「でもね。いずれはそのネットワークは破壊しなきゃならないわよ」






58: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:26:29.65 ID:C3mZKs4F0


「ネットワークで一方通行の演算補助をしてるのは分かってるけどね」

そう言って説明を始めた。

この子達は生きている。
成長したら個性も今よりはっきり出るだろう。
そうなった時にネットワークが自然と壊れてしまうならば問題は無い。

でも、この子達の認識では、最後の一個体が消滅するまではネットワークは消えないらしい。
ならば、個体としての成長は無理だという事になる。
恋をして悩んで、手に入れて嬉しくて、抱かれて安心する。
そんなもんを共有できるはずが無いし、してはいけない。
だからそれを壊さなくてはならない。

一人ひとりが幸せになるために、ちゃんと別々の人生を歩けるようにしなくては。

例えそれが一方通行を見捨てる事に繋がろうとも。
そう言った時、10032号はびくっと飛び上がった。

またまたネットワークは混乱中らしい。
主に打ち止めが混乱しているそうだ。

「まあ、今すぐって訳ではないし、それまでにはリアルゲコ太が何か方法を考えてくれるわよ」

私も考えるし、方法が見つかったら協力する、と言ってなだめた。

「それではお姉さまは一方通行と和解できるのでしょうか、とミサカは上位個体を代弁します」

悪いけど、それは無理ね。
私はあの行為を許せない。
あなた達の中ではあれは身体の一部が怪我をした程度の認識なんでしょうけど。
私にとってはあれは目の前で妹が惨殺された認識でしかない。

あんた達が幸せになる為にアイツとつるもうがどうしようが構わないし干渉しない。
でも、それが私と一方通行の関係を変えるものにはならない。

打ち止めにとっては辛い事かもしれないけど、別に打ち止めの事が嫌いって訳ではないし。
むしろ一方通行に嫉妬するくらい大事に思っている。
ただ右手に一方通行、左手に私っていう構図で歩いたりする事は絶対起こり得ないというだけ。
今度一緒に遊びましょう、と言った。

打ち止めはぐずついているらしい。
でもこればっかりは譲れない。
いくら妹第一、自分は二の次と言ったとしても、だ。

別に一方通行に会って話すくらいは構わない。
場合によっては治療に協力してもいい。
私にしか治せないなら私が治してもいい。
そう言って納得して貰った。

だがあの男と分り合うことはできないだろう。
私も一方通行もまだまだ精神的に子供なんだから。
大人になった時に理解しあえるかどうかは未知だけど多分無理。
被害者と加害者の関係はそう簡単に割り切れるものではない。
全ての人間がそれをできるならば、世界から戦争はとっくの昔に無くなっている。
その事は口に出さなかった。

私達は心配するインデックスに礼を言い、手を繋いでアイツの部屋を出た。
10032号を病院まで送ってから寮に帰った。

別れ際に、お姉さまはエッチなんですね、と言われてしまった。
そんな事まで漏れてしまっていたのか。
もう絶対あのネットワークには侵入しないぞ。





59: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:27:21.23 ID:C3mZKs4F0



寮に帰っても黒子はいなかった。
今日もアイツを探し回ってくれているのだろうか。
電話をすると、今夜も遅くなりそうだから先に休んでいてくれと言われた。



「御坂、速達だ」

寮監が手紙を持ってきた。この街で速達とは珍しい。
差出人は統括理事会。
ああ、ロシアからの帰りに言っていた「協力要請」ってやつか、と察した。
今日はいろいろあって疲れた。
手紙を机の上に放ってシャワーに向かう。
少し考えたい。幸い黒子も出かけているし。

妹達と一方通行の関係。
私は永遠に彼と分かり合える日は来ないと思う。
でも、実際に彼はわたしの大事な妹のうちの一人を保護している。
命を賭けて打ち止め《ラストオーダー》という名の妹を救ったのは事実。
ロシアでは番外個体《ミサカワースト》という名の新たな妹を救ったらしい。
第三次製造計画なんてふざけた計画はすぐにでも潰さなきゃならない。
やる事が増えるのは歓迎だ。大暴れしてやる。

だが、あの男は人殺しだ。人間の本質なんてそう簡単に変わらない。
あの男は守ると決めたなら守るだろう。襲ってくる敵を皆殺しにしてでも。

ホンモノの悪人なんているのだろうか。守るために殺さなきゃならないのだろうか。
私だって一方通行を殺そうとした。歯牙にもかけられなかったけど。
妹達を守るためには仕方がない、とその時は思った。

だが、結果的にぶん殴るだけで済ませたアイツは一方通行を救う事になった。
アイツならばどんな人だって殺さずに更正させる道を選ぶのだろう。

どんな悪人だって親も兄弟も、愛する人も愛される人も多分いる。
その人は悪い事をしているのだから自業自得な部分もあろう。
でも、その人に関わる、その人を大事に思う人は別だ。
その人たちは愛する人を殺された怒りと恨みに苛まれるだろう。

でも、やらなきゃやられるならば……うーん、難しい。
この哲学が解決されたら、きっと世界から戦争は無くなるだろうな、と改めて思った。


打ち止めが言った「あなたがいたから生まれることが出来た」の意味も分からない。

同じような事をアイツに言われた。
私がDNAマップを提供さえしなえれば一万人を越える妹達が殺される事は無かった。
その原罪に悩む私を救う言葉でもあった。
つまり、例えば二十人の子供を産んで。
その子達が不運な運命を辿って半分が殺されたとしても、生んだ事を罪と思う必要は無いという事だろう。

では一方通行はどうか。
二十人の子供を作って。
不幸にも自らの手で半分の子供を殺す運命を背負って、でも自分の意思で次々に殺して。
姉妹が惨殺されるのを見ていた残り半分の子供が「あなたがいたから生まれることが出来た」と言えるのだろうか。
母親がやめて殺さないでと懇願した事を知っているのに。

分からない。理解できない。
幼い自分ではこの混乱からは抜け出せないかもしれない。


本質は変わらない、か。ならば私の本質はエロ女か。
別れ際に10032号の言った言葉が思い出される。
一万人の頭の中で公開オナニーしちゃったようなものだ。死ねるわね。

ふっと苦笑い。いけない、混乱している。
手紙の内容はどうせろくな事じゃないだろう。
慌てて読むようなもんじゃない、と意識をそこから切り離して服を脱いだ。





60: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:29:44.24 ID:C3mZKs4F0



シャワーから出てバスタオルを巻いたまま手紙を取る。
ベッドに腰掛けて開封した。


手紙を読んだ私は、余りの衝撃にそれを取り落とした。
床に手紙がばら撒かれるが、拾う気にすらなれない。
動揺が広がり、そのままベッドに突っ伏した。

「どうしてよ。どうして……」

内容は口に出すのもバカバカしいものだった。
統括理事会はわたしの恋心すら把握していた。
知っていて、それを「望ましいもの」と捉えていた。
つまり、レベル5と幻想殺し、その子孫を渇望していた。

その♂の遺伝子の喪失で、代わりの遺伝子をリストにして送りつけてきた。
そして、成人するまでに最低一人は産め、との御達しだ。
しかも自然交配で自然分娩が望ましい、との御指定で。
倫理的に問題の無い十六歳という年齢になったら交配開始、だってさ。

例によって、あのロシアで回収された時の言葉が添えてある。
家族の身の安全は保障する、と。


馬鹿にするのも大概にして欲しい。
私は実験動物か。

そして代わりの遺伝子のリストの最上位に「第一位」の、あのいまいましい男の名が。

信じられない。
学園都市はあの妹達《シスターズ》の事件を知っていて。
それで更に第一位?
しかも妹達を人質に取って。
第一位がこれに従うとも思えないけど。

私を拘束に来て寮まで送り届けた男の名も上位にある。
レベル5の次だ。
あの男はやはり大能力者だったんだろう。

この街は狂ってる。
学園都市は最高の科学技術を持ち、快適な生活のできる環境と学習施設を持つ。
そんなわたし達の最高の居場所。
でもそこを統べる人間達は狂人だった。
「学生はモルモットだ」とほざいていた馬鹿な研究者がいたけど、今なら理解できる。

「二年、か」

二年だ。いや実際にはもっと短い。
それまでに学園都市全体を敵に回して妹達やお父さんお母さんを守りきる力が必要だ。
第三次世界大戦を終結させるような力に、たった一人で戦いを挑む。

絶望的な計画よね……

しかも、あの手紙はアイツの生存を否定していた。
最高の科学力を持つ学園都市が、アイツの確保を諦めた。
インデックスは絶対帰ってくると言っていた。
でも……でも……

身体から力が抜けていく感覚。疲れ果てた。
私が分裂していく感じがする。狂いかけの私を切り離そうとするもう一人の私。
激しい怒りと無力感に苛まれて、ベッドの中の私は身体の欲求のまま眠りに落ちていった。





61: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:30:39.76 ID:C3mZKs4F0




男達に追いかけられている。
あいつらはスキルアウトか。
それ以外もいるようだ。高位の能力者も混ざっている。

「逃げても無駄だぜ、第三位。能力使ってみろよ。使えないだろ?
 今日の食事にAIMジャマーの機能があるナノマシンが入ってたんだ。
 排泄されるまでは能力は使えないぜ」

なんですって?今日は寮でしか食事を摂ってない。
という事は学校もグルなのか。学園都市のこれが意思か。
絶望感に足が止まる。
あっという間にスキルアウトに囲まれる私。
そうか。そういう事か。今日は一番の危険日だ。
妊娠させる気なんだ。あそこにいる高位の能力者のうちの一人の遺伝子で。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!

暴れると一発ぶん殴られた。何故か痛くないが吹っ飛んだ。

「抵抗するなよ。お前が逃げても死んでもお前の大事な人々の命の保障はできないんだとよ」

それが学園都市の闇の出した答え。
妹達や両親までも人質って事。
私は完全に抵抗する気を失った。

「脱ぎな」

リーダーらしい男が命令する。どこかで見た顔。
この前見たアダルトビデオに出てた男に似てるんだ。
黒髪と目だけが何となくアイツっぽいな、と思ったあの男。

こんな場所で、こんな時間に、こんな衆人環視で、か。
実験動物が生殖行為をする場所にふさわしい、か。
ビルに囲まれた裏路地、まだ日も暮れていなくて明るい。
こんな酷い事があるのか。

(助けてよ……)

ヒーローはもういない。絶対に助けは来ない。
あまりの絶望に涙も出ず、自棄になって無言で脱ぎ始めた。
全部脱いで裸になった私は、前も隠さずに呆然と立ちつくした。
私をぐるりと取り囲んでいた数十人のスキルアウトのうち五、六人が近づく。
掛けた歯のように空いた隙間から一般人が見て見ぬ振りをして通り過ぎていくのが見える。

あんたたち、見なさいよ。この街のトップの女の末路はこんなもんよ。
実験動物としてこんな風に扱われて。
狂った私は無表情になってそう思う。狂わなきゃやってられない。

集まってきた男達がべたべたとわたしの身体を触る。気持ち悪い。
気持ち悪いはず。気持ちいい訳がない……はず……なのに……





62: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:31:44.85 ID:C3mZKs4F0



(何よ。気持ちいいじゃない)


私は完全に狂ったようだ。冷静な部分の自分が狂った部分の自分を外から眺めているような感じ。
まとわりつくスキルアウトたちを払いのけてリーダーのところに向かう。
にやにやと勝ち誇ったように笑う顔が悔しい。
言われもしないのに、無言で男の服を脱がせていった。

全裸になったリーダーの男の身体はビデオの男そのままだった。
そそり立つ巨大な陰茎、腹までびっしり生えた陰毛。
その陰茎を握る。硬い。あのヘアブラシのようだ。
跪いて頬ずりしてみるが温かみは感じない。

男は足を伸ばして座り、私は土下座するような格好で顔を男の股間に埋める。
陰毛に顔を埋めて匂いを嗅ぐが、無臭だ。
男の匂いを期待している自分があさましい。
陰茎をしゃぶる。舐める。味はしない。喉の奥まで入れる。「げっ」ってなる。

集まってきた他の男達が身体を触る。気持ちいい。
立ち上がって足を開いて両手の指で陰部を掻き分け、全裸で足を投げ出して座っているリーダーの男に見せる。

「なんだ、濡れてるじゃねぇか」

当たり前よ、気持ちいいんだもの、と答えて後ろ向きになって男の上に跨る。
顔を見合わせてSEXしたくない。
手で男の剛直を持って濡れている部分に擦りつけ、たっぷり濡らしてから腰を沈める。

子宮まで届く男のモノが下から突き上げて暴れる。
気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい。

他の男が乳房を揉む。気持ちいい。

他の男が乳首を摘む。気持ちいい。

他の男が脇腹を撫でる。気持ちいい。

他の男が内腿を撫でる。気持ちいい。

他の男は下半身丸出しで陰茎を顔に近づける。
リーダーの男と同じ形のそれを口に含む。興奮する。

私は自ら陰核の上を右手で引っ張り、飛び出した尖ったそれを舐めてくれるよう他の男にねだる。
舐められると目の裏に火花が飛び散るような鋭い気持ちよさが走る。

絶頂が近くなって終わりが惜しくなり、一旦はずして立ち上がる。


座っている男を押し倒し、跨って挿入する。

男の胸に自分の胸を押し付け、男の顔を見ないように顔を前に向ける。

後ろに回した両の手でお尻を広げて肛門を見せつける。
そうして「こっちにも入れて」と、他の男に後ろの穴に挿入して貰うようにねだる。

両方の穴に挿入されたモノが動くたびに愉悦の涙が溢れる。
気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい。

目の前を通り過ぎる人たちが私の痴態をちらちらと眺めて行く。
興奮する、興奮する、興奮する、興奮する。

もはや何もかもがどうでもよくなって果てようとしたその時。

通行人を掻き分けてアイツが走ってきた。

生きていた!良かった!

でも……ちょっと遅かったみたい。私はもうおしまい。
ごめんね、イクから見ててね、と言って、アイツの少し悲しそうな顔を見ながら絶頂した。





63: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:32:58.04 ID:C3mZKs4F0



絶頂の痙攣で目が覚めた。見覚えのある天井が見える。
夢か。そうよね。さすがにあんな事がある訳ない。
能力が暴走している。まだ全身が快感に震えている。

なるほどねー。
道理で見たことある顔とか感じた事ある感触とかしか出て来なかった訳だ。
殴られても痛くなかったし。
あの陰茎も匂いも味も無かったし。あれの硬さはヘアブラシのそれ、映像はAVで見たそれか。
あの忌まわしい男達に触られて感じちゃったのも能力で愛撫していたからか。
絶頂の時にアイツが出てきたのは、アイツをそれほど欲してるからなんだろうな。
なんてあさましい。悔しいなぁ。

隣を見るとまだ黒子は帰ってない。遅くなるって言ってたもんね。
生体電流は微細な電力だ。観察するだけならばともかく、操作するには微妙な力加減が必要。
無意識下では暴走も頷ける。

でも、目が覚めた今なら別にコントロールできる。
抑えようと思えば抑えられる能力の暴走を敢えて放っておいて目を閉じた。
能力を使う自分が善がる自分をいじめる。
次々に襲いかかってくる男達に身を任せるのを想像しながらわざわざ能力を強める。

目の前にはアイツの顔。
アイツ以外の手や陰茎が私の身体の全てを犯す。
感触はヘアブラシのそれだったり自分の指のそれだったりしたけど、性感を高めるには充分だった。

あっという間に絶頂を迎えるけど止めてあげない。
膣も陰核も子宮もアナルも身体の表面も内面も全てが気持ちよさに翻弄されて気が狂いそうになる。
明確なピークが訪れるのに、ほとんど下がらずにまたピークが来る。
次々に襲い来る絶頂感。聞こえるア行の甲高い音。

こんなあさましい女は狂ってしまえばいい。
そう思う私を能力を行使する私が眺めている。
アイツは優しくて少し悲しそうな顔で眺めている。
どんなに狂っても。どんなに乱れても。いつまでも。


これは逃避。
今、私の頭は混乱している。
色を失った世界で、生きる事も死ぬ事も選択できないジレンマ。
そこから目を背けるようにわかりやすい「快感」というものに逃げている。

(それにしても私は最低だ)

これが本来の私の性癖なんだろうか。
いじめられて悦ぶ身体。
こういうのをドMっていうんだっけ。

悔しい。認めたくない。抗いたい。
いや、絶対こうならないように抗ってやる。

理性の部分が叫ぶ。すぐに快感にかき消される。
絶え間なく訪れる快感のピークに仰向けの身体が反って戻らなくなる。

何十回イッたか分からなくなって体力が尽きて失神した。





64: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:34:58.24 ID:C3mZKs4F0


――――――――――――――――――――


「お姉様、お休みですの?」

白井黒子が部屋に入ると、電気を点けたままバスタオルを巻いてベッドに横たわる美琴が見えた。
あらあら、手紙も床に散らかしたままお休みですの、と思いつつベッドに近づく。

「あら?お小水の臭い?」

なにやらかすかにおしっこの臭いが漂っている。
お姉様がお漏らし?寝たまま?おねしょ?
まさか、と思い散らばった手紙を集める。

見るともなしに飛び込んできた内容に目を見張った。

あの殿方さんはもうこの世にはいない。
これだけでもお姉様にとっては失神するくらいの内容だろう。
しかし、その後にはお姉様の人権も人格も全て無視するような内容が書かれていた。

「――お姉様」

近寄ってバスタオルの下半身部分に触れると、やはりぐっしょり濡れていた。
あまりの衝撃的な内容に、気を失って失禁してしまったのだろう。
おいたわしや。

「でも、こんな人権を無視した内容を証拠の残る手紙などで送りつけるとは思えないんですの――」

統括理事会と銘打ってある。この街のトップがそんなに迂闊とは思えない。
これは今、精神的に不安定なお姉様を更に追い込む陰謀みたいな物ではなかろうか?

わたくしが読んでしまった事はお知らせするわけにはまいりませんの、と呟き手紙を床に落とす。

とりあえずリネン室から新しいシーツとバスタオルを持ってきた。
濡れたバスタオルをテレポートで飛ばし、下半身が濡れていないか確かめる。
全裸のお姉様が横たわる姿にドキッとするが頭を振って邪念を払う。
さすがに陰部に直接触れる訳にはいかないので、お尻がベッドに触れているあたりを触る。
既に水分はバスタオルとシーツに吸われているようだ。

美琴を自分のベッドに飛ばし、シーツを張り替えて綺麗なバスタオルを敷く。
その上にもう一度美琴を飛ばし、敷いたバスタオルでくるんで掛け布団を掛けて部屋を出た。



白井黒子は汚れたシーツとバスタオルをリネン室の汚れ物入れに突っ込んで手を洗い、談話室に向かった。

もうすぐ消灯時間だというのに、数人の寮生が寮監と話していた。
その輪と離れて腰掛けると、すぐに寮生に呼ばれた。

「白井さん、御坂さまのお具合はいがかですか?」

「電気を点けたままでしたが、ぐっすりお休みでしたの」

そうですか、と言って寄って来たその寮生に手を引っ張られて輪の中に連れて行かれてしまった。

輪の中では、毎晩大声で泣いている御坂美琴の話題でもちきりだった。
そうだろうと思って輪を外れていたというのに。

寮監が詰め寄られて困っている。

「何故泣いてみえるのに様子を見に行ってくださらないんですか?」

「寮監は御坂さまが心配では無いんですか?」

寮監は困りきって、統括理事会がそっとして置くように言っているだとか
精神的な不安定時はそっとしておくのが一番だとかごにょごにょ言っている。

「明日から風紀委員の残業はございませんの。わたくしが見ますのでご安心くださいな」

白井黒子はそう言って宥めた。
そう、もしあの殿方が亡くなっているのであれば残業の必要など無いのだ。





65: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/10(木) 11:36:51.94 ID:C3mZKs4F0


――――――――――――――――――――

目が覚めると電気が点けっぱなしだった事に気がついた。
黒子はまだ帰ってない。

苛められすぎてふらふらになった身体を起こしてシャワーを浴びに立ち上がった。
足元がふらつく。イキすぎて腰が抜けたってやつだろうか。
床に散らばった手紙を集めて能力を使って一瞬で灰にした。

あれ?と違和感を感じる。
お布団をかぶって寝ていた。
バスタオルが新しい。
シーツもパリッとしている。
かすかに尿の臭いがする。

シャワーを浴びながら考える。
あんな真似が出来るのは黒子しかいない。寮監ならば持ち上げられた時に目が覚めるだろうし。
顔が赤くなる。かすかに尿の臭いの残る部屋でああされていたって事は、ちびってしまっていたのだろう。
濡れたバスタオルとシーツを私にバレないように交換してお布団をかけてくれたんだ。

という事は、あの手紙も読んでしまったのだろうと推察する。
優しい子だから、元あった様にしておいてくれたのだろう。

ありがとうね、黒子。気を使わせてばかりでごめんなさい。
そう心の中で謝りながら、シャワーを済ませパジャマに着替えて部屋を出た。
寮内のどこかにいるだろう黒子を探しに。

談話室で机に突っ伏してうとうとしている黒子を見つけた。
くしゃっと頭を撫でながら、ごめん、と呟く。

起こさないように気をつけてお姫様抱っこで部屋に運ぼうとした。
でも、抱き上げた時にふらついて起こしてしまった。

「お、お姉様!わ、わ、わたくしをお姫様抱っこしていただけるなんて!
 この上も無い幸せに黒子は、黒子は卒倒してしまいそうですの」

首っ玉にしがみついて来る。

「こら黒子!倒れる!倒れるから暴れないで!」

そう言いながら降ろすと、もうおしまいですの?と拗ねてみせる。
気を使ってはしゃぐ黒子に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

黒子がしてくれた事に私が気が付いたってのは黙っておこう。





72: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/11(金) 11:57:42.05 ID:ILDCgO940



朝早く目覚め、少し寝不足気味の身体にシャワーを当てて起こす。

昨日の手紙の事を考える。
どうも妹達のネットワークに入った事で動揺していたようだ。
あんなの、きっといたずらだ。統括理事会が手紙なんて出す訳が無い。
用事があるなら呼び出されるだろう。直接伝えた方が余程効果的だ。
もしかしたら、あのレベル5の次点に名を連ねていた男の陰謀かもしれない。

気にしたら負けのような気分になってきた。
燃やしてしまったし、忘れてしまおう。

身なりを整え黒子を起こすと抱きついてきたので、昨夜のお礼に「ありがとね」って言って頬にキスした。

「お姉様、どうなさったんですのー!黒子は天にも昇る心地ですのー!」

と大騒ぎしたのには辟易したけど。



買い物をしてインデックスの元へ。少し時間が早いかな。

途中で、いつもアイツと縁のあった壊れかけの自販機のある公園に寄った。
大人しくコインを投入してヤシの実サイダーを買い、ベンチに腰を下ろし一口飲む。

昨日はいろいろあった。あのナノサイズの機械のネットワーク、侵入してしまったが何も無いのが不思議だ。
いつかは一方通行とも決着をつけなくてはならないだろう。
やることだらけだ。はぁ、アイツが帰って来てくれたらなぁ、悩みなんて全部吹っ飛ぶのに。

アイツの顔でも見ていようかな、と思っていたら携帯電話がメールの着信を知らせた。
何だろう、こんな朝っぱらから。
見ると見覚えの無いアドレス。本文に『滞空回線《アンダーライン》に接続したまえ 』の文字。
即座に昨日のネットワークの名前であると察して接続した。





73: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/11(金) 11:58:27.54 ID:ILDCgO940


電脳の海の中に潜る。情報だらけで広すぎるし深すぎる。
さて、呼び出し人を探しましょうかと思っていると目の前に人間が現れた。

それは男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見え、不気味な緑の手術着を着ていた。

『はじめまして超電磁砲《レールガン》、私がアレイスター=クロウリーだ』

地の底から聞こえるような天から聞こえるような、正体不明の醜いとも美しいともつかない声。

その通り名で呼ばれるのは久しぶりだ。
昨夜は悪かったわね。何の用よ、と尋ねた。

『性急だな。普通は挨拶から入るものじゃないかね』

「煩いわね。どうせろくな用じゃないんでしょ」

『そうでもない。昨夜このネットワークに接続しただろう。今後は鍵のついた場所には入らぬように。
 それ以外であればどう使っても構わんよ』

「鍵?そんなもの昨夜は見当たらなかったわよ?」

『君が探した場所には無かっただけだ。そこに入ると君にとっても良くない事が起こるのでね。忠告だよ』

「ご丁寧にありがとう。入らないからちょっと聞きたい事があるんだけどいいかしら?」

『暇潰し程度ならば付き合おう。何かね?』

「上条当麻の生死、昨夜の手紙の真偽、一方通行を天使の姿に変えた計画の真意、ってとこかしらね」

『ほう。まずは上条当麻の生死についてだが、それは分からない。』

「なんでよ。アンタはどこにでもいてどこにもいないんでしょ。世界の裏側の事でも分かるって言ってたわよ」

『よく知っているな。だが分からないのだ。死んで消滅したのか、魔術師に助けられて結界の中に匿われているのか。
 そのどちらかには違いない。手紙の事だが、それは偽物だ。君と幻想殺しの子供に興味がある事は確かだがね。
 そして、計画については言えない。鍵の中の事だと言えば頭のいい君には理解できるかな』

「分かったわ。ありがとう。死んでない可能性もあるのならばそれでいいわ」

『よし、では礼をいただこうか』

「何よ。幻想殺しの子供だったら生きてりゃいくらでも産んであげるわよ。あげないけど」

『ははは、それは君の願望だろう。だがそれにも関係がある。君は今日、冥土帰し《ヘヴンキャンセラー》を尋ねたまえ』

天からとも地からともとれる不気味な笑い声でアレイスターが要求する。
冥土帰しをネットワークから探し出すと、あのリアルゲコ太の先生だった。

『君が壊れてしまうのは面白くないのでね。誰が生きようが死のうが構わないが、面白くないのは困る』

「分かったわ。要するに今の私は病気ってことね」

『一歩手前と言ったところか。治療したまえ。では、そろそろ出て行ってくれ』

「待って!第三次製造計画ってアンタの差し金なの?」

『今やそれもどうでもいい事だ』

「潰していい訳ね」

『好きにしたまえ』

「分かったわ。でもあんまり調子に乗ってると、幻想殺しがアンタの幻想を殺しに来るわよ」

『楽しみに待っているよ。その言葉を聞いたのは二度目だがね』

そこまで話した時に強制的にネットワークから弾き出されてしまった。
まぁいい。いつでも入れるし許可も出た。飲みかけのサイダーをゴミ箱に放り込んでアイツの寮に急いだ。





74: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/11(金) 12:00:16.67 ID:ILDCgO940




慌ててインデックスに会いに行き、朝を一緒に食べてお昼用にサンドイッチを作った。
医者に行って来るから、ちょっと出てくるねとインデックスに断って冥土帰しの病院に向かった。

アレイスターから連絡でもあったのか、待たずに診察室に通された。

「御坂美琴君、だね? 今日はどういった件かな?」

「ええ、ちょっと精神的に不安定で。ある人に先生にかかるように勧められまして」

医者に嘘をついても仕方がないので、ロシアから帰ってきてからの事を全て話した。
さすがに性的な事は言わなかったけど。

「解離性同一性障害の可能性が高いね? これは聞いた事があるかね?」

「いえ、二重人格の事ですか?」

「似ているけど少し違うんだね? 強い心的外傷から逃れようとした結果だね?
 解離により一人の人間に二つ以上の同一性または人格状態が入れ替わって現れるんだね?
 自我の同一性が損なわれる疾患で、記憶障害を伴う事が多いんだね?」

「でも、私は入れ替わってはいませんが」

「そうだね、君は強力なパーソナルリアリティを持つレベル5だね? その強さが入れ替わりを抑えているんだね?
 同時に二人の自分が存在できてしまうから、記憶障害が出ないんだね? 普通は記憶を消して苦痛から逃げるんだね?」

「そうですか。治るんでしょうか」

アイツの記憶が消えてしまうなんて耐えられない。

「一番は苦痛の元を断つ事なんだね? それは彼が戻る事か忘れる事しかないから、とりあえずお薬で治療するんだね?」

「はい。でも、どこら辺が障害があるのか分からないんですけど」

「自傷して治療していたりしてるね? 自分でもう一つの人格を作ろうとしてるね?
 その行為を変だと思わないところが病気なんだね?
 あと、君は本来消してしまわなければ個体が維持できないはずの心的外傷が消せずにいるね?
 そうすると、その外傷を自分で正当化させる逃避行動が出る可能性があるね?」

なるほど。そう言えばそんな事もあった。
傷もつけたし、演算部分に人格を持たせようとしたりもした。
演算部分は切り離すだけでそこに人格なんて必要無いんだった。
そんな事にも気がつかない状態だった訳だ。

「先生、具体的にはどんな逃避に出るんでしょうか」

「始めは過剰な飲酒、ドラッグ、過激な性行為などだね? 戦争帰りの兵士などに良く見られるね?
 他には、外傷を正当化させるために宗教に逃げたりするね? 痛みは神が与えた試練、という訳だね?
 酷いのになると、死を『良いもの』と信じて、次々に殺人を犯したりした人もいるね?
 そうならない為にも治療は必要なんだね?」

さすがにそんな事にはならないだろうけど。オナニーもそうなんだろうか。聞けない。





75: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/11(金) 12:01:37.14 ID:ILDCgO940


この医者は一方通行の治療もした。先ほど妹のネットワークの話もしたのでここで聞いておこう。

「分かりました。あと、先生、ミサカネットワークと一方通行を切り離す方法は無いんですか?
 あの子達が死ぬまで一方通行に縛り付けられているのは可哀相です」

リアルゲコ太は難しそうな顔で、一方通行の病状を語った。
本来は秘守義務があるはずだが、妹達の事だからと特別に話してくれた。

一方通行は前頭葉の一部に損傷があって、それは前頭前野という脳の司令塔のような部分だそうだ。
普通は脳は多少の損傷を受けてもリハビリテーションである程度は回復する。
しかし、司令塔の部分が壊れているのでリハビリのしようが無いという事だ。
ただし、一部だけが損傷しているので、前頭葉の使っていない部分の脳に司令塔の役割を植えつければ可能性がある。
しかしその方法が今のところ無い、という事だった。

「私、生体電流の操作や脳波の操作ができるようになったんですが、役に立ちませんか?」

例えば、一方通行に能力を切って貰って私が脳の壊れている領域と使ってなくて代替できる領域を調べる。
次に妹達のネットワークに入り、一方通行に能力使用状態になってもらって代理演算で何をしているか調べる。
そうしておいて、代替可能領域に妹達のネットワークで調べた情報を書き込む。
そんな事ができないだろうか。そう相談してみた。

「できるかもしれないね。心理掌握とも違って物理的に強制インストールする治療だからね?
 そういう能力者は初めてだからなんとも言えないけど、失敗しても同じ事だから試す価値はあるね?」

そうか。なら妹達をネットワークから解放できる日が来るかもしれないわね。

「あとね? 君は月経は順調に来ているかね?」

「へ? ああ、まだ十回そこそこしか来てませんが、まぁ有ったり無かったりです」

「月経の周期も精神に負担をかけるからね? 急がないから婦人科にかかってみるといいね?
 女医を紹介するから、一度訪ねてみるといいね?」

「分かりました。ありがとうございます」

「お薬を出しておくね? 精神安定剤と思えばいいね?飲む時間だけは絶対に守るように、いいね?」

「はい、分かりました。あ、あと、能力で治療すると激しくエネルギーを消耗するんですけど。
 いい対策はありますか?」

「即効性の栄養剤くらいしか思いつかないね? ハンコ注射みたいな形で静脈のある腕とか手首に押し付けるだけだね?
 そうすれば正確に痛みもほとんど無く静脈に栄養剤が注入されるね? 常備していないから必要なら作っておくね?」

「ありがとうございます。二、三十本くらいお願いします」

「たくさんだね? 夜までに用意しておくから、薬局まで取りに来るといいね?」

「はい、ではまた夜にまいります」

礼を言って診察室を出て、朝六時と正午に飲む弱い薬、夕方六時に飲む強い薬を出されて病院を後にした。





76: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/11(金) 12:02:24.40 ID:ILDCgO940




お昼前にはインデックスの元に戻り、一緒にサンドイッチを食べた。
そして十二時きっかりに薬を飲み、今後の計画を考える。

滞空回線の使用を許可されたから、第三次製造計画の現場はすぐに見つかるだろう。
明日乗り込もう。
自分が怪我するかもしれないし、間違って相手を傷つけるかもしれない。
今夜栄養剤を受け取ってから出かけたほうが良さそうだ。

人のDNAマップを使って人殺しの道具として私そっくりな人間を作る。
馬鹿にするんじゃないわよ。
徹底的にぶっ潰してやる。

「みこと、病院ってどこか悪いの?」

インデックスが心配そうに顔を覗き込む。
何だか周りの人全員に心配かけてるわね。
まさか統括理事長にまで心配されてるとは思わなかったけど。

「うん、ちょっと精神的に不安定で。精神安定剤貰ってきたの。大げさな話じゃないから心配要らないわ」

「そう。あんまり自分を責めちゃだめなんだよ。とうまは帰ってくるから大丈夫」

うん、そうね、ありがとうと言ってくしゃっと頭を撫でてやった。
むー、子ども扱いはひどいかも、と拗ねる顔がとても可愛い。
キスしてやろうかしら、なんちゃって。

薬はすぐに効いてきて、二人目の自分がいなくなるのを実感した。
さすがリアルゲコ太だ。
でも二人目の自分を実感したおかげで、演算部分を完全に切り離せるようになっていた。
災い転じて福となす、ね。

昼を過ぎて、例の橋の下の広場でATM拡散力場をコントロールする特訓をした。
二人の自分を意識しないでも良くなったのは大きい。

能力を使う自分は悩む自分を切り離そうとする傾向がある。
悩む自分が苛められると、逃げ場を探すようになるのが困る。
快感に逃げたくなるし、能力を使う自分も逃げるのを助ける方向に向いて歪な力の使い方をする。
薬が効いてきて、やっとその異常さが分かった。

ただ、薬の影響だろう、やたら眠くなるのが困る。特訓中に集中力が散漫になるのだ。

夕方まで頑張って、やっと皮膚の下くらいまで力場を押さえ込むことができるようになった。
集中力を必要とするけど、こうすると外に電磁波を撒き散らさずに済む。
眠くなければもうちょっと簡単にできるかもしれない。
猫に触れるかも、と思ったら嬉しくなった。





77: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/11(金) 12:04:14.89 ID:ILDCgO940



夕方の五時を過ぎて寮に帰ろうとした時、えっちな脳波が飛び込んできた。
脳波を拾える半径には建物が無い。
やだなぁ、どっか物陰でえっちしてるのね。明るいうちからやーらしい。

逃げ出そうと河原から土手に向かって歩き出すと、身体の異常に気が付いた。
やたら火照っている。鼓動が早くなっている。
アイツの顔を映して見ている時にしたくなる、あの感じがやってきた。
唐突に、いったいどうしたのだろう。

二人目の自分が私の欲情を後押しし始めたのを自覚して、薬が切れた事に気が付いた。
眠気は醒めて、猛烈な情欲が襲ってくる。
薬で抑えていた反動だろうか、したくてしたくてしょうがない。困った。どうしよう。

土手に座り込んで耐えていたが、まぁいいか、しちゃえば、って思ってしまった。
こう思うのが病気なんだよね、と開き直る。

土手に寝転んで、まだ帰宅していない子供達の遊ぶ声が聞こえる中、能力の手で弄り始めてしまった。
アイツに胸を撫でてもらって感じる。
アイツに乳首を摘んでもらって感じる。
陰核を弄って貰い、中に指を入れてもらう。
気持ちが高ぶってきて、欲しいなって呟いて挿入を促す。
アイツがおちんちんを入れてくれる。

ところが。入った感触がへアブラシのそれで、急に醒めてしまった。
なんだか、アイツのおちんちんの感触をヘアブラシのそれで代替するのが凄く申し訳ない気分になる。
陰鬱な気持ちになって、少し泣いた。

アイツの顔を思い浮かべる。映し出して謝る。
ごめんね、って呟いたら少し気が晴れた。

コイツが欲しい。コイツに抱かれたい。
オナニーは欲望を発散させる手段にならず、すればするほどコイツが欲しくなる。
男の子はそれで発散できるって聞いた。女の子は違うのかもしれない。

アイツの顔を眺めてうっとりしていると、能力の手が勝手に身体を触ってきた。
アイツに見られながら誰かに弄られている感触に、急に猛烈に興奮してきた。
昨日、自棄になって自分を苛めた時の感触に近い。

急激に高まり、挿入を促す。

誰かのおちんちんが膣に挿入される。へアブラシの感触。でも全然平気。どうせアイツのじゃないし。

誰かのおちんちんがアナルに挿入される。自分の指の感触。でも全然平気。どうせアイツのじゃないし。

誰かに胸を摘まれ、陰核を撫でられる。自分で触った時の感触。でも全然平気。どうせアイツの指じゃないし。

声が出ないように意識して耐えた。
そうして、子供達の声のする野外の土手で背を反らせて絶頂した。
声は我慢できたみたい。

その時から、薬が切れると誰かに犯されてアイツが眺めている場面を想像してオナニーするのが癖になった。

携帯の時計を見ると、六時五分前だった。
六時まで待って薬を飲んでリアルゲコ太の病院に向かった。






78: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/11(金) 12:05:11.95 ID:ILDCgO940




リアルゲコ太に会って、薬が時間内に切れると訴えた。
しかし、夜に飲む薬が強いものだからこのままの方が良いと言われてしまった。
確かに、今は昼間よりもかなり眠い。

朝、過激な性行為に逃げると言っていた。やっぱり私のオナニーもそれの一種じゃないんだろうか。
思い切って聞いてみた。
すると、私くらいの年齢で自慰をする事は全く正常で、気にしなくていいと言われてしまった。
恥を忍んで聞いたのに。言うんじゃなかった。

これ以上強い薬を飲むと、治療が終わって薬を止めた時に長く不眠症に悩まされる危険があるそうだ。
薬が切れそうな時間帯は、できるだけ一人でいることを避けて友達とかと一緒にいる事を勧められた。

帰りに薬局に寄って、簡易式の栄養剤ボトルを三十本受け取った。
外でオナニーして下着を汚してしまったのを思い出して、ついでにおりものシートを買って帰った。
もしもの時の為に、外に出るときはこれを着けておこう。
あの状態になると我慢できないし、我慢しようとする気も無くなるから。


寮で久しぶりに黒子と一緒に食事を摂った。
薬が効いてむちゃくちゃ眠いけど、二人目の自分がいなくて気が楽だ。
黒子にも私の調子良さが伝わってるのか、かなり明るくはしゃいでくる。

「お姉様、今日からは残業はございませんの。
 ですから黒子とのプライベートタイムはたっぷりご用意できるんですの~」

だそうだ。はいはい。
でも、アイツを探して残業をしていたのを止めたという事は、やはりあの手紙を見ちゃったのだろう。

一緒におしゃべりしていたが、眠気が激しく九時には活動限界が来てしまった。
今夜は第三次製造計画の拠点を調べようと思ったのに、全く集中力が欠けていて無理だ。
シャワーを浴びるのも億劫で、汚れた下着が気になったがパジャマに着替えてベッドに入ってしまった。

もうお休みになってしまうんですのー? と嘆く黒子の声が遠くなっていった。





79: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/11(金) 12:06:05.59 ID:ILDCgO940




朝五時半に目が覚めた。まだ暗い部屋でベッドを抜け出し、シャワーを浴びに行った。
薬は切れていないようだ。やはり夜飲んだ薬は強いみたい。

今後の計画を練る。
この後六時に飲む薬は、多分十一時過ぎには切れるだろう。
その頃はインデックスと一緒だから淫乱な私が顔を出す事も無かろう。
夕方は五時までに帰れば大丈夫。黒子が絡んでくるだろうし。
待てよ、黒子に抱きつかれてエッチな事されたら流されちゃったりして?
いやいや、私はストレートだし、それだけは大丈夫だろう。

さて、昼まではインデックスと過ごすとして、昼からあの腐った計画を潰しに行かなくては。
滞空回線に潜る為には集中力が必要だ。昼前の薬の切れた時が最適だろう。
その時に探して速攻で潰しに行こう。

六時まで待って薬を飲み、少し早いが黒子を起こして寮を出た。
念の為おりものシートを着けておいた。
コンビニで食材を調達して、自販機の公園で一服。まだインデックスを起こすには早い。

さっき薬を飲んだのに眠くならない。
多分、夜に充分睡眠を取って間もないから、昼間の弱い薬では眠気が来ないのだろう。
午後は眠くなったから、多分そういう事だ。
ならばと思って滞空回線に繋ぐ。

目的の計画はすぐに見つかった。
第三次製造計画は統括理事会の手からは既に離れていて、他に移された後だった。
一方通行が番外個体を撃破したので、その研究の意味が薄れたのだろう。
研究成果は生かされる事は無く、研究者の手元を離れるはずだった。
しかし、研究の成果に利益を求める研究者たちによって引き継がれた。
引き継がれたと言うか、勝手に持ち出されて第十九学区に研究所を作って再開していた。

こういう馬鹿者共を駆逐する機関も存在していたみたいだが、最近それが悉く解散させられていた。
警備員《アンチスキル》に取り締まらせる事はできないんだろうか。

第十九学区には行った事も調べた事もないので、後で探ってみよう。
そろそろインデックスに朝ごはんを作ってあげなくちゃ。





80: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/11(金) 12:06:47.73 ID:ILDCgO940



スフィンクスに触れるようになった私は大はしゃぎだった。

「みこと、スフィンクスも取って食っちゃいけないんだよ」

「だーかーらー、食わないって言ってんじゃない!」

きゃーきゃー騒ぐこの午前中の時間がホントに癒される。

「もういい加減、とうまも帰って来ないと。せっかくみことやまいかの美味しいご飯が食べられるのにね」

食い物中心ですか、そうですか。
でも、ホントに早く帰ってきてよね。
私が壊れてアイツを忘れちゃったりしたら死ぬより辛いよ。

インデックスと携帯を買いに行き、持たせた。
使い方が分からないとか前に持ってたのはすぐに真っ暗になって使えなかったとかぎゃーぎゃー言ってる。
もうね、充電器に繋ぎっぱなしにしておきなさい。
どうせ持ち歩いたって充電するの忘れてただの箱になっちゃうんだから。
そう言うと、みことは馬鹿にしすぎなんだよ、とむくれる。
短縮番号の一番に私の携帯を登録してやった。

「ほらここ。①を押して通話ボタンを押すと私に繋がるから」

やってごらん、と言って渡すと怪訝そうに受け取り試そうとして格闘している。
うーん、ホントに出力が壊れてるのね、と苦笑い。
でも、ちゃんと私の携帯が鳴って「わーできたできた」とはしゃいでいる。
可愛いやっちゃ。

十一時を過ぎると、確かに薬は切れてきた。
でも、インデックスとはしゃいでるともう一人の自分も大人しくしていてくれる。
これで夕方の時間をクリアすれば、もうあの妄想に悩まされずに済みそうだ。

第十九学区について調べる。
学園都市で一番寂れた学区だ。この第七学区からは電車で四十分くらいかかる。
蒸気機関や真空管なんかの、もう既に時代遅れになったものを調べる研究機関が存在しているようだ。
どうも実験場として使う為に人気の無い場所にされているきらいもある。

暴れるには打ってつけだ。
昼から乗り込んでやろう。
デイバッグに栄養剤を詰め込んできたし、多少暴れても平気だろう。

たまには午後も一緒に遊ぼうよ、とインデックスがぐずった。
もー、行けなくなっちゃいそう。よしよししてあげる。

薬を飲んでから、今日は運動しに行くと言って出かけた。





81: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/11(金) 12:07:33.83 ID:ILDCgO940



第十九学区の研究所の前までやってきた。
さびれた学区だ。こんなに人気の無い場所が学園都市内にあったとは驚きだ。

しかし、研究者もアホ揃いだと思う。
こんなさびれた場所に大量の物資を運び込んだり、大量の電力を消費したりしたら目立つ事この上ない。
やはりアレイスターがどうでもいいと言ったように、既に学園都市の意思から切り離された計画なのだろう。

ビルに手を触れ、中の電子機器の種類を特定していく。
意外と迎撃システムは整っている。
キャパシティーダウンもAIMジャマーもある。稼働中のようだ。
他にも何やら巨大な見覚えの無い攻撃システムがある。
全部壊してやってもいいけど、育成中の妹達がいるとしたらその子を壊す結果になりかねない。
放っておいても対処できそうだ。侵入時にAIMジャマーだけ壊せば充分だろう。

さーて大暴れしてやりましょうか、と手を揉むと突然話しかけられた。

「――御坂さん、何故ここに?」

「海原さんじゃないの。アンタは本物?偽者?」

「偽者の方です。もう一度聞きます。何故ここに?」

こいつは何の為にここにいるのだろうか。
第三次製造計画に関わるようなタイプの人間じゃない。
用心棒として雇われたとか?ならば撃破せねばならない。

「ここで私のDNAマップを使ったくだらない研究をしているらしくてね。潰しに来たの」

そう言うと彼は目を丸くして驚いた。

「それは我々の仕事です。御坂さんのような表の世界の住人の来る場所じゃありません。
 引いてください。そして見なかった事にしてください」

は?何言ってるんだ。
こいつが計画を潰しに来た?何の為に?
それに、我々と言った。仲間がいるのだろうか。

すると研究所の中から激しい銃声と爆発音が聞こえてきた。
咄嗟に入り口に向かって走る。

「御坂さん、危険です! 引き返してください!」

そういう声が後ろから聞こえてきたが、無視して私は光る鳥の姿になった。

「光子使いを舐めんな」

そう言って飛び込もうとしたその時、建物の入り口から半径5mくらいがバラバラになって戸を塞いだ。

「アンタの仕業?」

「はい。留まってください。今、仲間が仕事中です」

今の攻撃の原理が分からない。
手には黒いナイフのようなものが握られている。
危険なものである、と第六感が知らせてくる。

一瞬で回り込んで、触れて意識を刈り取るべきか。
それとも高電圧低電流の電撃で意識を刈り取るべきか。

だが、この馬鹿らしい計画を止めようとしているこいつは敵ではなさそうだ。
傷をつけたくない。
迷っているうちに銃撃音が止んだ。

「終わったようです。さあ、御坂さん、立ち去ってください」

「何言ってるの。確認してくるわ。ホントに終わってるかどうかね」

そう言って海原の偽者に背を見せずに壊れた入り口に近付いていった。





82: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/11(金) 12:08:30.75 ID:ILDCgO940



「なンでこンな所にいやがンだ、超電磁砲《オリジナル》」

聞き覚えのある声が背中から聞こえてきた。
忘れられない声。悪魔のような声。
振り向くと、あの白い悪魔がいた。

一方通行!

一方通行!!!

一方通行ァァァアアアアアアァァァァァァ!!!

なんでアンタはいつも妹達の事件の現場に居んのよ!
妹達に関わんな!!!

私の目の前は怒りで真っ赤に染まり、大きな光る鳥の姿になって瞬時に一方通行の周りに電磁の壁を展開した。

殺す! ここで殺す! この悪魔は妹達にもう近づけさせない!
猛烈な殺意が私を覆い尽くそうとする。

「やめてください御坂さん! 一方通行は敵じゃありません! 殺しをするつもりですか!」

違うだろう。殺されるのは多分私だ。
しかし、この言葉は私に響いた。
殺してはいけない。絶対に殺しはダメだ。
妹達のネットワークでも自分でそう叫んだはずだ。
一方通行に向かって泣いて頼んだ事を自分が反故にしてどうする。

急激に冷静になった私は鳥の姿から元に戻り、一方通行の周りの壁も消え去った。


「オイ、オマエ、今何をしようとしやがった」

一方通行が近付いてくる。

「必殺技よ」

今、一方通行を殺そうとしたのは電磁の太陽。
太陽はその巨大な質量で縮んでいく重力と、その内部で展開される核融合の力でバランスをとってその身体を支えている。
さっきの電磁の壁は、打ち込まれるイオン化した物質が内向きに縮む力と反射で起こる外向きの力のバランスが一定量になる技だ。
猛烈な電磁攻撃が反射され、反射された電磁攻撃を押さえつけて更に縮む。
圧縮と反射で一定の大きさに安定した時、一方通行の周りを囲むように太陽が出来、その中は猛烈な高温になる。
一方通行は熱はどう反射するのか知らないが、一瞬で酸素も燃え尽きるから死しかないだろう。
しかし、一方通行が死んだ瞬間に太陽は爆縮して大爆発が起こるはず。
禁忌の技だ。

「いつからそンなに化けやがったンだ」

「化けもんに化けもん扱いされたくないわね。今のは悪かったわ」

落ち着いた私は、どうしてくれようか迷う。
コイツは許せる相手ではない。
しかし、今も新たに不幸な妹達を作らせない為にここに居るのは分かる。
コイツの決心だけは本物のようだ。

ならば私はどうする。
コイツと和解して一緒に妹達を守る?
無理だ。
どこまで行ってもコイツは目の前で妹を殺したヤツでしかない。
コインの裏と表。
幼い自分に結論が出るとは思えなかった。





83: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/11(金) 12:09:14.73 ID:ILDCgO940



「アンタ、殺してないでしょうね」

「死なない程度にはしてある。新たな個体はまだ作られてなかったンで、壊すだけ壊したがな」

「キャパシティーダウンもAIMジャマーも稼動してたけど、アンタ何とも無かったの?」

「反射を舐めンじゃねェよ」

ふん、効かないって。コイツも万能な超能力者だ。
コイツの死なない程度は信じられない。
壊したとコイツが言う以上は計画のデータが外に出たとも思えないが、確認は必要だ。
私は一方通行に背を向けて、瓦礫を退けて建物の中に入って行った。

中は地獄絵図だった。建物の中心部に向かうほど怪我人が増え、うめき声が渦巻く。
痛みに苦しむ人々の意識を刈って苦痛から開放してやる。
ひどい損傷の人は代謝を上げて治療し、デイバッグから栄養剤を出して打ち込んだ。
大きな怪我の無い人は後だ。

海原の偽者がついてきて様子を窺っている。
うまく死角に隠れ、特訓前の私なら気がつかないと思える技術で尾行してくる。
探偵にでもなればいいのに。


中心部で倒れていたのは駆動鎧を着込んだテレスティーナ=木原=ライフラインだった。
懲りないヤツだが、何故コイツが外にいるんだろう。
あれだけの事をしても、学園都市にとって有益な研究に従事する者は開放されるのだろうか。

既に意識の無いテレスティーナの記憶を読み、能力体結晶と妹達の計画の記憶を削除した。
ごめんなさい、殺すような真似よね。
でも、アンタは捕まってもまたこういう事をするでしょう。
頭はいいんだから、もっと違う研究をしてちょうだい。
そう懺悔しながら傷を治し、栄養剤を打ってから情報の流出が無いか確認し、今来た道を引き返した。

帰り際に一人ひとり記憶を読み、重要な部分に携わった人の記憶を削除し、怪我を治して栄養剤を打って周った。
全部で二十一人しか居なかったが、かなりの時間がかかってしまった。
偽海原は最後の一人を治療する前に消えた。ついて来てるなら手伝えっつーの。

外に出て警備員に連絡しようとしていたら、金髪サングラスの男に声を掛けられた。

「警備員と救急車には連絡が済んでるにゃー。こっちに車があるから送って行くぜい」

「誰よアンタ。一方通行の友達?」

「仕事仲間だにゃー。あっちに一方通行も待ってるぜい」

「にゃーにゃー煩い。黙れ。そして腐れ」

「酷い言われようだにゃー。自己紹介しとくぜい。俺は土御門元春」

「えっ? 土御門元春? アンタが舞夏のお兄さん?」

土御門元春と名乗った男は苦々しい顔をしたと思った瞬間、真剣な顔に変わってこっちの顔を見て来た。

「そういう事だ、超電磁砲《レールガン》。お前、滞空回線に侵入したそうだな。
 知られたくは無かったが、いずれ知れるならこの機会にと思ってな。
 あっちに、お前にここに来て欲しくなかった連中が揃ってる。挨拶しておくといい」

ちゃんと喋れるならそうすりゃいいのに。





84: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/11(金) 12:10:44.96 ID:ILDCgO940



舞夏のお兄さんについて行くと、ワゴン車の前に三人の男女が佇んでいた。

「結標淡希じゃない。まだ悪さしてるわけ?」

ついそう悪態をついてしまった。

「今日は特別よ。まさか顔を合わせるとは思わなかったわ、御坂美琴」

そういえばこいつらは見覚えがある。
一方通行の情報を滞空回線で調べた時に見た、一緒に人殺しをしていた仲間だ。
確か「グループ」だったか。そんな名前の地下組織。

「あんた達みたいな組織って、最近悉く解散させられたみたいだけど。なんで集まってるの?」

「話は後にして車に乗るんだにゃー。警備員が到着すると鬱陶しいにゃー。
 組織が健在だった頃は後始末をする奴もいたんだけどにゃー」

土御門兄がまたにゃーにゃー言い出した。
仕方がないから一番最初に私が車に乗り込んだ。

車で数百メートル走って、破壊した研究所が視界から外れたところで一旦停止した。

「オイ、オマエどこまで知ってやがンだ」

一方通行が口を開く。

「妹達とアンタと統括理事長の情報、それと第三次製造計画。滞空回線から得た情報はそんなとこよ。
 アンタを調べてたら、何やら地下組織の名前とかも出てきたけどさ」

「垣根帝督については?」

「アンタが殺したんでしょ」

「何故戦ってたかは?」

「そんなの知らないわよ」

「もうオマエはアレに入ンな。表の世界の住人の来るところじゃねェ」

ふん、表も裏も無いわよ。

「ならばまだ間に合うかもしれませんね」

海原が口を挟んだ。何が間に合うって?
いったいコイツらは何が言いたいんだ。

「御坂さん、こういう汚れ仕事は我々のような裏の人間の仕事です。関わると戻れなくなりますよ。
 わざわざ落ちてくる必要はありません。心配要りません、仕事はきっちりこなします」

「だから、なんで自分達だけが裏だって決め付けてんのよ。私だって裏の世界は充分眺めてきた。
 そのせいで絶望もしたし死のうともした。善人でも無いし神様でもない」

「我々の仕事は戦時の傭兵のようなものです。怪我した敵をいちいち治して回るような優しい人の来る場所じゃないんです。
 敵のボスを治療する時に泣きそうな顔をしている、御坂さんのような善人には似合わない場所なんです」

だから善人でもなんでもないって言ってるじゃない。あれは記憶を殺した懺悔の顔よ。
でも、そんな事は重要じゃない。もっと言いたい事がある。





85: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/11(金) 12:12:21.03 ID:ILDCgO940




「なんでアンタ達はあんなに殺して回ってたのよ。一方通行が打ち止めを守ろうとしていたのは知ってるけど」

「同じですよ、御坂さん。みんな守るべき者を守る為に、仕方なくこの道を選んだんです」

海原の偽者の言う事は何となく分かる。
私がここに来たのと同じ理由で、それをする為には裏の世界に身を置かなきゃならなかったんだろう。
でも、守られている人は?守られている人だってこの人達が大事なはずだ。

「ふん。その大事な人が、自分が守られる為に無関係の人の命が奪われてるのを知ったらどう思うかしらね。
 その人にとって大事な人であるあんた達が、自分を守る為に人殺しをしてるのを知って嬉しいと思う?」

「綺麗事だ。そんな事ァ分かってる。綺麗事だけじゃ世の中回っていかねェンだ」

「一方通行!打ち止めがアンタがまだ人殺しだって知っても平気な訳?
 土御門のお兄さん、舞夏がそれを知っても、あなたはそれでいいの?
 海原さん、あ、偽者か。それと結標さん、あんたたちはどうなの?」

「俺達は俺達の道を信じてココに居る。少なくとも御坂美琴、お前の居場所はココじゃない」

土御門兄は静かにそう言った。

「平行線ね。でも、アンタ達が何故か私を気遣ってくれてる事だけは分かったわ。
 気を遣わせて悪かったわね。でも、やっぱり妹達を守る為なら何でもやるわよ」

「私は超電磁砲がどうなろうと知ったこっちゃないけどね」

結標はやはり以前の敵対を忘れてはいないのだろう。

「オマエの妹達の居場所はどォする。オマエは光の当る場所でアイツ等を守るべきなンじゃねェのか」

「妹達を縛り付けてるアンタに言われるとゾッとするわね。でも、それは……考えとく」

でも、私の光はアイツを失ったときに消えちゃってるんだけどね。
どうあってもコイツ等とは分かり合えそうに無い。

「まぁ、忠告だけは承っておくわ。駅まででいいから出して頂戴」

不毛な会話はいつまでたっても不毛なままな気がして、そう促した。
早く帰らないと薬も切れる。





86: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/11(金) 12:13:02.36 ID:ILDCgO940



駅までの車内で一方通行に語りかけた。

「アンタ、そんな電子機器が無くても生きていけるようにしてあげようか」

「俺にできねェのに、オマエができるわけねェだろ」

「できるわよ。だから光子使いを舐めんなつってんの。
 だいたい、アンタが怪我したのは前頭葉でしょ。 意欲、創造、実行を司ってる部分。
 演算を司る部分が壊されてたなら、アンタはもう能力者じゃなくなってるわよ。
 演算しなさいって命令が出来ない状態ならば、使ってない部分の脳を使えばいいのよ。
 前頭葉全部が吹っ飛ばされてたら、アンタはもう人間じゃなくなってるんだし。
 脳みそなんて、ほとんどが使われていない部分なんだからさ。
 リハビリって知ってるでしょ? 脳出血で脳細胞が壊れて半身不随になったりするじゃない。
 あれを訓練で動かせるようにする、これは脳の壊れてない部分に代理演算をさせるってこと。
 私がアンタの前頭葉の使ってない部分に壊れた脳の機能を強制的にインストールしてあげるわよ」

「余計なお世話だ。オマエに頼るほど落ちぶれちゃいねェ」

まぁそう来るわね。

「必要になったら言いなさい。アンタのその凶暴な性格を作ってる脳細胞もついでに壊してあげるから。」

そう吐き捨ててやった。

チッ、と舌打ちをして一方通行は沈黙した。


「アンタがどうしてもそれをしなきゃならないって気がついた時、やっと人間になったって言えるんだけどね。
 怪物のままで妹達の人生を食い潰す事だけは許さないわよ」

「アイツはアンタを救ったみたいだけど、私はアンタを許すつもりはない。
 アンタは打ち止めや番外個体を救ったみたいだけど、私はアンタを信用できない」

「ガキだって自覚がある私よりももっとガキよね、アンタは。
 もう少し大人になって私が言ってる事が理解できるようになったら人間に戻してあげるわ。
 他でもない、妹達の将来のためにね」

そう言って駅前で車を降りた。





87: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/11(金) 12:13:48.09 ID:ILDCgO940



奇しくもいつかは話し合わなくてはと思っていた一方通行に出会ってしまった。
全くお話にはならなかったけど。
光の当る場所で守れ、か。
その言葉だけが強く心に残った。

しかし、第十九学区は人気が無くて訓練にはもってこいの場所だった。
明日から通ってやろう。
駅で電車を待っていると五時を知らせる時計が鳴った。

「遅くなっちゃったわね」

早く帰ろうと思っていたのに、予想よりかなり遅くなってしまった。
午後五時。もうすぐ薬が切れる。

切れた先の自分に嫌気が差して、意識を薬の事から切り離して思考する。
先程、一方通行は綺麗事だと言った。
しかし、その綺麗事を成す事ができる実力があるならばそうするべきだろう。

上条当麻ならばそうする。
アイツの場合はそうする道しか見えていない気がするけど。
ああ、会いたいな。ホントに生きてるのかな。
生きているなら早く帰ってきて。もう私はいっぱいいっぱいだ。


帰りの電車に乗ったとたんに薬が切れてきた事を悟った。
すぐに快感に逃避する淫乱な私と、それを苛める能力の私が顔を出して困惑する。

空いているとはいえ、車内にそこそこ人はいるし。
先程あんな事があったばかりなのに、身体がざわざわと騒ぎ出す。
車両の端の席まで歩き、そこに座り込んで身体を小さくした。

(どうでもいいじゃない。どうせアンタの事なんて誰も分かっちゃくれないわよ)

能力を使う私が私を苛め始める。
小さく震えながら、既に頭の中ではどうやってオナニーしようかという事しか考えていなかった。

興奮でぶるりと身体が震える。
胎内から期待で温かい体液がどろりと溢れ出る感触がする。

朝、なんとなくおりものシートを着けてきてよかった。
何もしていないうちからもう濡らしている。
期待しすぎよ。いやらしい身体ね、
おりものシートから溢れたりしないかしら。
スカートにまで染みができたら嫌だな、とぼんやり思う。





88: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/11(金) 12:14:41.44 ID:ILDCgO940


ふらふらと立ち上がって、車内の真ん中あたりの吊り革につかまって目を閉じる。
さあ、淫乱な私の独り芝居の始まりだ。
快感への期待でぞくぞくしてくる。


ここは満員電車。
ぎゅうぎゅう詰めの車内で身動きできない自分、周りには男だけ。
感覚を再生させ、閉じた瞼の裏に映像を展開させる。
少し離れたところにアイツの姿を見つける。

声を掛けようかな、どうしようかな、スルーされたら嫌だな。
そう考えて身体をくねくねさせる自分をわざと想像する。

ふと、お尻を揉む感触にびくっとする。痴漢だ。
両手で両のお尻をもみもみと揉む。
やめて、気持ち悪い、と、嬉しいくせに心の中でそう言う。

どうしよう、どうしよう、アイツに助けを求めようか。
こんな満員電車の中で電撃飛ばしたら大変な事になる。
でも、痴漢されているところなんて知られたくないな、と迷う。

どうしようか迷っているうちに違う手が胸を鷲づかみにしてきた。
いい加減にしなさいよ、この馬鹿。二人がかりでこんな事したらみんなが気付いて取り押さえられるわよ。
ま、それも自業自得ね、と思っている間にまた手が増えて、今度は太腿を撫でられた。
冗談じゃないぞ、と思っていよいよ電撃を飛ばそうと思ったその時、違う手が股間を押さえつけた。
陰部全体を押す手が、あちこち弄られて勝手に反応した身体に快感を自覚させる。
ぶるりと身体を震わせて背を伸ばした私を、観念したと思ったのか沢山の手が大胆に襲ってくる。

制服の前のボタンが外されて、ブラをずらされ胸を直接触ってくる。
揉まれ、撫でられ、期待で尖った先を摘んで捩る。
どろりと身体の中心から溢れ出る体液の感触に興奮する。

ブレザーを脱がされシャツを脱がされブラジャーを外される。
満員電車の中で上半身裸にされて周りに鑑賞される。
沢山の手が伸びて上半身をくまなく撫でられ、男達の興奮した吐息がかかる。
あまりの羞恥で頭がくらくらしてくる。身体を縮めてしまいたいが身動きがとれない。

気が付くとスカートもパンツも取り払われ、全裸で弄ばれていた。
満員電車の中で全裸の中学生が喘ぐ姿。淫靡な図柄だ。

男達は乳首を摘み、吸い、陰核を弄び、膣に何本も指を挿入して掻き出す。
アナルにも指が入り、抜かれる時に便が出る感覚がして身を捩る。

くちゅくちゅと満員電車にいやらしい音が響く。

絶頂が近くなった頃、弄んでいた手たちが去り、立ったまま片足をつかんで持ち上げられる。
前から挿入されて突かれる。硬い感触。後ろからも誰かがアナルに挿入して来た。細い感触。
突き上げられ、掻きまわされ、翻弄される。
快感の波が大きく揺れ、いよいよ差し迫ってきた時に違う手が陰核を押しつぶす。

ふと見上げると、犯されて感じている私をアイツが見つけ、群衆を掻き分けて寄って来ようとしている。

「イクところなの。イクところ、見ててね」

そう吐き捨てて、堪らずに立ったままアイツに見つめられて絶頂した。


現実の私は吊り皮を右手でつかみ、左手で右腕の中程にしがみ付いてぶら下がっていた。
そして少し俯いて背中を丸め、がくがくと身体を痙攣させて激しい絶頂に耐えていた。
声を出さずにイケたのは僥倖だ。河原で声を出さない訓練した甲斐があった。

おりものシートから溢れた淫液がパンツの脇から垂れ、右腿の内側を伝って足元の靴下に吸い込まれていった。





94: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 09:09:09.15 ID:VcmqNxaW0



この時から、第十九学区からの帰りの電車内がオナニーのフィールドに指定された。
昼過ぎまではアイツの寮にいるし、帰れば黒子とじゃれるし、しないでも済む手段はちゃんと用意されているのに。
電車に乗っている四十分という時間が、妄想して興奮して達するまでに丁度いい時間だったっていうのもある。
人前でするオナニーの興奮が物凄いものであったのは確かだが。


それから三日間、午前中はインデックスと平和に過ごし、病院にいる妹達や打ち止めに会いに行ったりもした。
午後は第十九学区まで電車で行き、大きな力を使う訓練をした。
わざわざ五時まで訓練し、帰りの電車内で妄想しながら一人で身体を震わせた。

一日目はアダルトビデオに出演してやった。

二日目は学校で襲われ、知り合いたちの前で犯された。

三日目は映画館で襲われ、何故か同時上映された。

イク時はいつもアイツに見つめられながらイッた。

終わって薬を飲んで我に返ると、最低の気分になる。
陰鬱な気分の自分を、お似合いだな、なんて思う。
症状が悪化してきたのかもしれない。

そして今日、訓練を頑張り過ぎ、駅に行こうとする前に五時を過ぎてしまってどうしようかと迷っている。
薬が切れかかると、これからの行為を期待する自分が現れてくる。
まだ二人目の自分が顔を出していないにも関わらず、だ。

しばらくすると薬が切れた事を自覚し、淫乱な私が顔を出してきたのを嬉しく思った。
今日はどこでどうやってオナニーしようかと場所を物色する。
ふと、周りの建物よりも頭一つ大きい廃ビルが目に付いた。
人気の無いそのビルの屋上に飛び移って、半径三百メートル以内に人がいないことを確かめた。

「オナニーしたいな」

わざと呟く。

そして全裸になり、制服を畳んでフロアーの端に置きその上に下着と短パンを乗せる。
フロアーの真ん中まで離れてから能力を使って横たわった状態で浮き上がる。

誰も見る人はいない。アレイスターは見てるかもしれないが、あんなヤツはどうでもいい。
アレを気にしていたらトイレにも行けやしない。

「第三位のオナニーよ。誰か見なさいよ」

そう言って、能力で撫で回すのではなくてわざわざ自分の指を使ってオナニーを始める。

両手で胸をまさぐる。快感への期待からか、裸では寒い気温のせいか、乳首は既に尖っている。
摘んで引っ張ると、乳房ごと伸びた。

「かっこわるい」

伸びた乳房を上から見ると三角形になっていた。その歪な形が今の自分のように見えて笑える。
右手で既に飛び出ている陰核を摘んで擦り、濡れている蜜壷には左手の中指を突っ込む。

段々と気持ちよくなっていき、蜜壷から溢れた蜜が片方の臀部まで伝わる。
ぽたぽたと糸を引いて廃ビルの屋上に落ちて染みを作るまでイかないように弄り続ける。
寒さで鳥肌が立っていた身体が、興奮で火照って赤く染まってきたと実感した。





95: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 09:10:04.74 ID:VcmqNxaW0


屋上に続いているドアは一箇所。
そこから次々に研究者の男達が現れる想像をする。
最近見た知らない男達の顔を思い出し映像化して、オナニーを見られてしまった場面を作り出す。

研究者の中にはアイツが混じっている。

能力で浮いたまま、みて、と言って映像の男達に陰部を両手で開いて見せつける。
きて、と言って男達を呼び寄せ、身体を開く。
浮いている足をつかんで開かれ、股間に顔を埋められる。
複数の研究者達に胸も腹も背中も臀部も揉みしだかれ、アナルには指を入れられる。
あまりの気持ちよさに声をあげる。わざと実際に大きい声を出して自分を高める。

「第三位の善がり声よ。興奮する?」

そう言って男達を煽る。
アイツは手を出さずに遠巻きに眺めている。
陰核を舐められながら指を三本入れられてGスポットを掻き出される。
我慢を重ねてきた身体はすぐに絶頂を迎え、全身を痙攣させながら嬌声をあげる。
アイツを手招いて呼び寄せ

「イッてるの。見てて」

そう言いながら背を反らせ、廃ビル群に響き渡るようにわざと大声でいくいくと叫んで果てた。

自虐的なオナニーは絶頂が去ろうとしても続けられ、おしっこが出そうな感覚がしてきた。
男達の映像を排除して、指と舌で膣と陰核を犯している男と見てるアイツだけを残す。
そうして能力を使う私は善がる私をいじめ、淫乱な私はいじめられて悦び二度目の絶頂をする。

痙攣しているとおしっこが出そうな感じが強くなり、わざと緩めて男の顔に放尿する。
出始めたらアイツ以外の男達を全員排除して浮きながら足を開いて座った。
両手でお皿を作ってそれを溜め、顔にかける。身体にかける。頭にかける。
尿の臭いに塗れる。

「おしっこまみれになっちゃった」

と微笑みながらアイツに訴える。
最後の尿を両手で作った皿に溜めて口に含み、飲み込む。

「酷い味。臭いは好きなのにな」

アイツの悲しげな顔に向かって呟く。
初めて飲んだ尿はいがいがと喉に引っかかる最低の味がした。
している行為のあさましさにぶるりと身体を震わせ、男達の映像を呼び寄せる。

次々に寄って来る男達に犯される。
膣を犯され、アナルを犯され、口を犯される。
イクから見ててとアイツに懇願する。
何度も繰り返し訪れる絶頂。故意に大きくした嬌声が死にかけている街へと響き渡る。
顔や身体や髪の毛にかかった尿が乾いてしまうまで絶頂し続け、粘性の高い淫液の染みだけが屋上に残った。

イキ過ぎて疲れ果て、能力を切って立ち上がる。
今日はいろんな初めてを経験した。

初めて野外で全裸になってオナニーした。

初めて我慢抜きの大声を出して絶頂した。

初めておしっこを浴びたり飲んだりした。



初めての記念に、屋上に残る淫液の染みの脇にブラと短パンをお供えした。

「ばかみたい」

あたりは既に薄暗い。時間だ。薬を飲む。
陰部や臀部、太腿をどろどろに濡らしている愛液を拭わずに、下着を着けて制服を着る。
せっかく畳んでおいたのに、制服は積もった埃で真っ黒になっていた。

薄い尿の香りと淫液の臭いを漂わせながら駅に行き電車に乗った。
薬が効いて二人だった自分が一人に戻り、酷い臭いの自分に「お似合いね」と呟いた。

私を病気と言うならオナニー依存症だ。
逃避行動がこんな風に出るなんて、元々そういう資質があったんだろうか。考えてもしょうがないけど。
着いた駅のトイレで汚れた下着を脱ぎ、それで陰部を拭ってゴミ箱に捨てて寮に戻った。





96: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 09:10:44.39 ID:VcmqNxaW0



寮に戻って、酷い姿になってる私に寄ってくる黒子を遠ざけて風呂場に飛び込んだ、
制服を着たまま頭からシャワーを浴びて、馬鹿な女だとひとりごちる。

こんな短いスカートでパンツも穿かずに歩いてきてしまった。
短パンは屋上に置いて来ちゃったし。

湯に当ると乾いた尿が溶け出すみたいで、臭いが籠もる。
泣き出しそうな惨めな気分になってきた。
やはり病状は悪くなってる気がする。

他人の怪我が治せて、自分の精神的な病が治せないなんて。
いや、治せる。方法は一つだけ。
アイツの記憶を削除してしまえば私は治る。
それは死ぬよりももっと辛い事。それだけは自分ではできない。

明日は病院に行こう。

濡れた制服は大きなビニール袋に入れて捨ててしまった。
身体も頭も綺麗に洗って、少し気分が晴れてきた。
バスタオルを巻いたまま髪の毛を乾かしていると、黒子が心配そうに顔を出した。

「大丈夫ですの、お姉様。とてもお疲れのご様子ですが……」

変態行為で疲れ果ててます、とは言えないわね。
苦笑いがこぼれる。

「うん、薬飲んで落ち着いてきたから。いつも心配かけるわね。ホントごめん」

「そうですの……。黒子がお力添えのできるほど頼りがいがあれば良かったんですのに……」

「ううん、黒子にはいつも元気付けられてるわ。感謝してるのよ、これでも」

そう言うとテレポートで突撃してきた。相変わらずで和む。
抱きしめて持ち上げ、ベッドに放り投げて押さえ込み

「うふふー、襲っちゃおうかしら」

なーんて言ってバスタオルだけの半裸状態で微笑んでやる。
えっ! まさか! お姉様、わたくしを受け入れてくださるんですの? もういつでも黒子は大歓迎ですのー! って。
もー。冗談よ。頬にキスして下着を出して洗面所に引っ込んだ。

お姉様、下着の趣味は相変わらずですのね、なんて声が後ろから聞こえてくる。
煩いわよ。アイツが帰って来たら考えるわ、と言ってやったら何やらワナワナ震えていた。

ベッドに転がってぼんやりと明日の予定を考える。
明日はリアルゲコ太にかかろう。
朝、インデックスとご飯を食べたら一緒に病院に行こう。
診療中は打ち止め達と遊んでいてもらって。
そして、たまには外でお食事して帰ろう。打ち止め達も一緒に行けたらいいな。

楽しい事を考えてないと気が滅入る。
眠くなってもいいから、少し強いお薬出して欲しいな、なんて考えてたら眠気で意識が薄くなってきた。
まだ夕食も食べてないのにな。





97: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 09:11:35.94 ID:VcmqNxaW0




翌朝、インデックスと食事をしてから一緒に病院に向かった。
昨夜は夕食を食べ損ねてしまったので少し多めに作ったんだが、結局はいつも通りしか私の口には入らなかった。
朝っぱらから彼女の食欲は旺盛だ。

連れ立って病院まで歩く。
道すがら、今日は帰ってくる気がするんだよ、だから午後も一緒にいようと言うインデックス。
そうね。昨日は酷かったし、今日は一緒にいようか、などとぼんやり考えているうちに病院に着いた。

ロシアから帰ってきた打ち止めは、体調が完全に戻るまではこの病院に入院するそうだ。
妹のうちの一人にそれを聞いて、一昨日初めて話した。
以前、地下街で会った事を私が失念していてすごく憤慨された。

打ち止めは一方通行との和解を望んでいた。
駄々をこねる訳ではないけど、言下にそれを感じさせる。
難しい話よね。この前だって殺しかけたしさ。

「打ち止めいるー?」

病室を訪れると、そこにはもう一人の妹が一緒に居た。
アイツに御坂妹と呼ばれていた子だと思う。
尋ねると、10032号だと言う。やっぱり。
私に見分ける事ができる日が来るのかな?
でも、番号で呼ぶっていうのもなんだかな。
名前をつけなきゃね、いずれは。

「あー、クールビューティーだね! 入院してるの?」

インデックスは彼女の事も心配してくれてる。優しいね。

「はい。個体の調整が終わるまではこの病院でお世話になります、とミサカは懇切丁寧に説明します」

相変わらず回りくどい口調ね。
直した方がいいわよそれ、と言ってインデックスを預けて診察に向かった。

診察では、やはり薬を変える事は避けたいと言われた。
その代わり、切れたらすぐに次の薬を飲んでもいいと言われホッとした。
でも、それでもいいならそう言っておいて欲しかった。
時間は絶対に守れって言われたから従っていたのに。

婦人科にかかったか聞かれ、まだと答えると明日予約しておくから朝来なさいと言われた。
婦人科か。最初は月経も来たり来なかったりだったけど、ここ数回は安定してきてるんだけどな。
ま、いいか。

打ち止めの病室に戻ると、一方通行が居た。
一瞬、ギクッとして頭に血が登りかけたが、先日の事があったせいかすぐに冷静になれた。
打ち止めはハラハラしていたみたい。
でも、インデックスがいたのは大きかった。
別にアイツと話す事なんてなかったし、実際ほとんど話さなかったが何とか切れずに過ごす事ができた。

一緒にお昼をどうかと打ち止めを誘った。少しなら出てもいいそうだ。
10032号はこれから調整で無理だって。残念そうにしていた。
打ち止めが一方通行を誘って、私はちょっと怯んだが「行って来い、用事がある」と素っ気無く断った。
正直ホッとした。

打ち止めと手を繋いで病室を出ようとした時に一方通行が呼び止めた。ちょっと来いと言う。

「この前言っていた治療、全てが片付いたら頼むかもしれねェ」

打ち止めから離れたところでそう耳打ちしてきた。
ふーん。少しは聞く耳もあるみたい。
それまでに身を清めておきなさい、と言って病室を後にした。





98: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 09:12:20.02 ID:VcmqNxaW0



昼を三人でイタリアンレストランで摂った。
インデックスも打ち止めも、いたく感動してくれた。
おいしいねー、初めて食べたねー、と騒がしい。
インデックスは二人前を平らげた上にデザートのケーキも二個食べた。
打ち止めはお昼を食べたらお腹いっぱいになっちゃって、ケーキが入らなくて悔しそうだった。
私のケーキとインデックスの二つのケーキを少しづつかじっただけで我慢していた。

「あの人はね、ホントはお姉様に謝りたいと思ってると思うの、ってミサカはミサカは想像してみる」

今、思ってるを三回言ったわよ。
でも、謝られても対応に困るしね、まぁなるようになるわよ、と頭を撫でてやる。
この子は本当に一方通行が好きみたい。
一方通行め。ちょっと妬けちゃうな。

打ち止めを病院まで送り届け、今日はアイツの寮で過ごそうと帰途に着く。
調子が良かったから薬を飲むのを忘れていた。一時を過ぎたけど飲んでおいた。


三時を過ぎたら舞夏が食材を抱えてやってきた。
今日はロールキャベツがメインなんだって。

私は寮で食べるからいいわよ、と言ったら、みことの分で分け前が減るかと思ったってぬかすやつが一人。
このー! さんざんイタリアン食ったくせに! がおー、とはしゃぐ。
少し眠くなってきた。最近、この時間は暴れるように能力使って鍛えてたから昼過ぎの眠気は忘れてた。

今夜の薬が切れるのは六時過ぎ。
それまで三人ではしゃぎましょ。そうすれば眠気も飛ぶでしょう。





99: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 09:13:22.27 ID:VcmqNxaW0



アイツの寮を後にして、なんとなく街をぶらついた。
インデックスは今日こそとうまが帰って来そうな気がするからと引き止めたけど。

今日はちょっと調子がいい。
もう薬が切れたけど、いつもの期待感が上がってこないし。
切れた感じがしたら飲めって言われたし、まだ大丈夫かもしれない。

いつもは映像で映し出すアイツの顔。
今、映し出すとまた変な気分になるかもしれない。

久しぶりに携帯に保存してあるアイツの写真を見る。
罰ゲームで携帯のペア契約をした時の写真。二人とも固い顔してるわね。
目じりが下がってニヤケちゃう。
コイツ、ホントに帰って来るんだろうか。
帰って来なかったら私はどうなっちゃうんだろう。
これから私はどの方向を向いて歩けばいいのよ……

「ふぅ。ぼちぼち帰ろ」

そう独り言を呟き踵を返す。
帰り着くまで、入るなって言われたけど滞空回線に入ってアイツの情報でも探るかな。
そう思ったとき、背後から信じられない声が聞こえた。

「そこにいるのはミコっちゃんじゃなーい?」

え!?

なに!?

願望が勝手に映像を作り出した?

アイツ酔っ払ってる? 酔っ払ったアイツなんて見たこと無いわよ?

「ア、ア、アンタ! 死んだはずじゃなかったの!?」

心にも無い言葉が出た。

本物のアイツだ! やっと帰ってきた!

一気に世界に色が戻る。
引き裂かれた半身が元に戻り、そこに巣食っていた能力の自分が追い出される。
演算部分は区切られてかっちりとあるべき場所に収まり、二人の自分がぴったりと一人に戻る。

アイツが帰ってきて、私も帰ってこれた。
薬は切れているはずなのに、あの状態にはもう絶対戻らない事がはっきりと自覚できる。
やった! やった! アイツさえ戻れば私は何とかなる!

あいつは酔っ払ってて、何を質問してもはぐらかしやがる。
ムカついて、つい無意識に電撃の槍を放ってしまった。

懐かしい感触。
アイツが消える以前に戻った、確かに!

アイツは電撃を打ち消すでもなく避けやがった。何だアレ。
戦争に行ってますます強くなって帰って来やがった。

ちょと待て、話を聞け、話を聞かせろとぎゃーぎゃー言ってるうちに、何故か女の子に囲まれるアイツ。


しーんーじーらーれーなーいー!!!!!


結標淡希までいるじゃない! インデックスに言いつけてやる!
早速インデックスに電話をかける。

『もしもしみこと、インデックスなんだよ』

「帰ってきた! アイツが帰ってきた! 今寮に向かってる! 女の子がぞろぞろついてってるし!
 私も一緒に向かうから! ついたら一緒に引っ叩いてやりましょう!」

女の子をぞろぞろ連れて去って行くアイツを慌てて追いかけた。





100: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 09:14:07.80 ID:VcmqNxaW0


――――――――――――――――――――

白井黒子は切羽詰っている。

最近のお姉様は益々おかしい。
余りにも早くお休みになるので、理由を聞いたら精神科にかかって精神安定剤を飲んでいるそうだ。
あの殿方が亡くなってからというもの、お姉様の落ち込みようは酷く、立ち直る気配が無い。

朝早くにお出かけになり、夕方遅くまでお帰りにならない。
インデックスさんと一緒にあの殿方のお帰りを待ってるとおっしゃってるが。
あの手紙が本物ならばあの殿方は既にこの世にいない。
死人を待ってるなんて相当重症だ。

しかも、第十九学区の駅の監視カメラに時々お姉様が映る。
ふらふらと居もしない人を探して回っておみえなのだろうか。

最近は初春飾利と一緒に第十九学区の監視カメラでお姉様を探すようになってしまった。
あの学区は監視カメラの数が極端に少ない。
街中ではなかなかお姉様の姿を捉えられないが、たまに映るとご無事を確認できて安心する。

それにつけても、お帰りになった時のお疲れの表情は目を覆う。
朝はそれなりにお元気だし、夕食を食べて寝るまでもそんなに酷い表情じゃないのに。

昨夜なんて、帰られたと思ったら服のままシャワーを浴びてみえた。
顔色も悪かったし、身なりもぼろぼろだった。
御髪は乱れ、お洋服も汚れ、ゴミ箱にでも突っ込まれたのか異臭さえした。
お風呂から出てみえてからはいつものお姉様ではあったのだが……

今日も学校帰り、第十九学区の監視カメラを眺めながら風紀委員の支部で過ごした。
残業のある初春を残して寮に帰ってきたけど、まだお姉様はお帰りじゃない。
また酷く疲れた顔で帰ってみえるのだろうか。

頭を抱え込んで机に突っ伏していると電話が掛かってきた。

「もしもし白井さん、大変です!」

「なんですの初春、騒々しい」

「上条さんです! 上条さんが第十九学区にいるんですよ! ずっと探していましたよね?
 大規模な戦闘がそこであって、監視してたら現れたんですよ」

「なんですって! すぐに向かいますから初春はそこでサポートお願いしますの!」

いつもは監視区域から外れている第十九学区。
お姉様を見つけてからは、ずっと最重要地点と設定して監視してきた。
普段ならば多少の事があっても第十九学区なんて見なかったに違いない。
日頃のお姉様ストーカーが役に立った。良かった。

「お姉様、もう大丈夫ですの」

白井黒子はテレポートを駆使して現場に飛んで行った。





101: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 09:14:47.45 ID:VcmqNxaW0



しばらく後、現場に着くと果たして上条当麻の姿がそこにあった。

「殿方さん、少しよろしいですの?」

周りには彼の知り合いがいたが、ちょっとスマンと言ってこちらへ歩んできた。

「お姉様にお会いになりまして?」

「いや、まだだけど」

そう言いながら近くに寄ってきた彼に、いきなりビンタを一発くれてやった。

「男が一度誓った約束を破るとは、どういう了見ですの!」

頬を押さえてきょとんとしている彼に、彼が居なくなってからのお姉様の惨状を聞かせてやる。

毎晩のように泣いていた事。

いつもふらふらと彼を探すように出掛けていた事。

彼の死を知らせ、お姉様に人権を無視したような要求を突きつけた手紙の事。

とうとう精神科にかかるようになってしまったお姉様。

「貴方はお姉様の世界をちっとも守れておりませんの!」

そう言うと彼の顔色は青ざめ、すまんと一言謝った。

「わたくしに謝ってどうするんですの! お姉様をお救いできる方は、殿方さんを置いて他に居られませんの!
 お願いですから、すぐにお姉様に会って無事をお知らせください」

彼は今日中に会って何とかすると誓った。
本来ならば鉄針の何本かでも打ち込んでやりたいところだが、知り合いも居るようだしそこで引き下がって帰途についた。





102: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 09:15:28.66 ID:VcmqNxaW0


――――――――――――――――――――

寮に戻るとまだ黒子は帰っていなかった。

ふざけた事に、アイツの部屋に着くと黒服の男に追い返されてしまった。
冗談じゃないぞ。一人アフロにしてやったが、それにしてもあんまりだ。

だいたい、酔って帰るとは何事だ。高校一年生のクセに。
ならば明日、襲い掛かってやろうかバカヤロー。中学生を抱かせてやるぞ。ロリコンと呼ばせてやる。

憤っていると間もなく黒子が帰って来た。

「お姉様! あの殿方さまが!」

顔を見るなり叫んだ。
うん、知ってる。さっき会った。
酔ってたけどね、と言うと

「酔ってたですって!? あの類人猿はやはり鉄針の錆にしてやらないといけないようですの!」

黒い怪気炎をあげていた。
でも良かったですわね、と言う黒子に抱きついて、しばらく二人してわんわん泣き合ってしまった。

しかしなぁ。酔ってるとはなぁ。またムカついてきた。
あんまりムカついたので、もう一度インデックスに電話をかけて『明日昼に行くから二人で説教よ!』と怒鳴ってしまった。

でも、帰って来た。帰って来たんだ。
帰って来て、一瞬で私の色は戻った。
もうアイツを失いたくない。絶対失わない。もう失敗しない。
近くにいられる手段を考えなくては。


問題はアイツがどう考えてるか、よね。
アイツ……
アイツの望みは?
アイツはアイツの知り合いみんなが幸せに笑って過ごせるようにする為に戦ってる、のよね、多分。
妹達《シスターズ》の事件の時も、私の泣き顔を見なくて済むようにって感じだったし。

インデックスも、アイツは自分の不幸と引き換えにしてでも人を救うって言ってた。
という事は、自分自身が幸せになろうって気が無いって事か。
いっつも「不幸だー」って言ってたし。

他人の不幸を自分が背負ってでも他人を幸せにするのが望み、か。
何だその聖人君子は。

美人さんたちにいつも囲まれてるくせに「モテない」とかほざいてたのもマジ反応。
自分がモテるとか、そういう幸せになる方向のベクトルはハナから全否定?
なんだかそんな事あの子が言ってた気がするわね。

恋愛すると、自分と相手は幸せになれるかもしれない。
けど、自分を想ってくれている他の人とか、相手を想ってる他の人とかを傷つける行為だもんね。
自分に関わる全ての人を不幸にしたくないってのが理想のアイツには、恋愛自体が禁忌なのか。

放っておくとアイツは誰も選ばない?
てか、選べない、か。





103: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 09:16:05.85 ID:VcmqNxaW0


じゃ、私はどうしたい?
アイツの理想は崇高だし壊したくない。
でも選んで欲しいし愛されたい。我侭さんね。

(これは押しかけ女房しか手は無いわね)

選んで貰うっていうのは無理そうだ。
欲しいと思っても手に入らない。

ならば私がアイツのものになっちゃえばいい。
どのみち私はアイツのいない世界では生きていく事すら辛い。

あの子が意識無く座っているあのポジション、あそこに割り入れさせて貰う。

(そりゃ、私だけを愛して欲しいし、私だけを見て欲しいけど)

それは無理、か。

でも、そんな事は些細な事だ。
アイツをこの世界から失う事に比べたらどうって事ない。
私はアイツだけしか見えないしアイツだけを愛し続けるだろう。
ならばそれに従うしかない。

(これってストーカーって言うんじゃないかな)

まぁいい。
TVで見かけただけでロシアまで追いかけていくストーカーだ。
自覚はある。

アイツはきっとこれからも誰かを守るんだろう。
そうしてきっとまた自分が傷を負う。
そんな理不尽って無い。

ならば私はアイツがアイツの理想の世界を作る手伝いをさせてもらおう。
アイツが誰かを守る為に傷つくならば、私はアイツを全力で守ろう。
絶対に傷つかないように。絶対に死なせないように。
そして、アイツが守りたい世界ごと私は守ろう。

アイツとアイツの守りたい世界、そして妹達を含む私が守りたいと思っていた世界。
守るべき世界が一気に広がった。これは幸せな事だ。
世界に色が戻った。その事だけで私の世界がこんなに広いのを認識できて嬉しい。

(問題はその守るっていうポジションをどう手に入れるか、よね)

どうしたらいいか分からない。
色仕掛けが通用するとも思えないしなぁ。
て言うか、そんな色仕掛けのような真似が私に出来るかどうか。
悩むところだ。

その夜、久しぶりに能力も使わずに普通にアイツでオナニーして眠りについた。





104: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 09:16:56.94 ID:VcmqNxaW0



翌朝一番でインデックスに電話をかけた。
病院の往復をしてから昼過ぎに行く、ご飯はアイツに面倒見てもらいなさいと言って切った。

あれから薬は飲んでいない。病気の原因が消えて、すっかり良くなったみたい。
でも、これで治ってるのかは分からないから一度受診しないと。
婦人科の予約も入っていたし。

リアルゲコ太からはもう大丈夫だろうとお墨付きを頂いた。
やはりアイツが帰ってきてくれたのが特効薬だったみたい。
ただし、様子を見るためにちゃんと週一回受診するように言われてしまった。
妹達もいるから通うのはいいんだけどね。

診察室を出て婦人科に向かった。

婦人科でいろいろと月経について聞かれた。
ここ二回は普通に来ているけど、まぁせっかくリアルゲコ太の紹介だし、不順って事にしておいた。
すると、内診を受けた。
なるほど、女医を紹介するって意味が分かった。
うーん、女の先生とはいえ……突っ込まれるとは思ってなかった。

すっごく落ち込んで先生の説明を聞いていた。
今は別に放っておいてもいいけど、生理痛が酷いのならばピルで調整する手があると言う。
正しく飲めば、最低でも一ヵ月後には周期的に来る様になるそうだ。
避妊にも役に立つと聞いて、耳が大きくなった。

昨夜、大胆にも抱かせてやるとか思った。
押しかけ女房になってやると思った。
そういう風になるチャンスがあるならば、絶対逃さない。
チャンスがあるとは思えないけど。

詳しく聞くと、今から飲み始めてもすぐに避妊できそうだ。
私の周期がそういう時期だ。
ふんふん、と興味深そうに聞いていたら、予定があるのかと聞かれてしまった。
顔を真っ赤にしてぶんぶんと首を振って否定したが、ニヤニヤと笑われちゃった。
薬を受け取る薬局にコンドームの試供品があるから貰って行きなさいと言われた。

果たして薬局にはその避妊具が試供品として飾ってあった。
二個入りの箱が籠に入って積んであって、使い方の説明が壁に貼ってある。
誰もいなかったし、じーっと見つめてしまった。
すると、お持ちになっていいですよと声を掛けられ飛び上がった。

もー、恥ずかしい。

調合して貰ったピルを受け取り、二個入りの箱を一個ポケットに突っ込んでそそくさと薬局を後にした。

寮に帰ってシャワーを浴び、新品の下着に着替えて新しい制服を着た。
久しぶりにちゃんと会うんだし、少しは身奇麗にしておかないとね。
チャンスがあったら襲うんだしね、えへへ。

早速ピルの説明書を読み、一錠飲んで、と。
制服のポケットに、一応あの二個入りを忍ばせて寮を出た。





112: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 15:31:22.49 ID:VcmqNxaW0



「ようビリビリ」


寮の外に出たところでアイツに呼び止められた。
ビリビリってあだ名で呼ばれたのは久しぶりだ。
コイツなりの親しみを込めた呼び名なんだろうか。

私には御坂美琴っていう名前があるんだっつーの!
と言いかけて違和感を感じる。
あれ? なんでコイツがこんなところで?
まさか私を迎えに来て待ってたって事?

なななななな、何の用なのよ、まままままま、まさか告白とか?
きゃー!!!



なんてはずはないわね。

「こっちから行くって言っておいたのに、何の用よこんな所で」

警備員に職質されるわよ、と付け加える。
なんでこういう言い方しかできないかな、私は。

「おう、悪いな。昨日、詳しく事情を聞かせろって言ってただろ。インデックスも待ってるから俺の寮で話さないか」

そう言うと踵を返してアイツは歩き始めた。
だからあの子に行くって言っておいたっつーの。聞いてないのかしら。
とととっと走ってアイツの左隣を確保して歩く。

「インデックスの世話してくれてたんだって? ありがとうな」

チクッと心が痛む。やっぱり一番はあの子の事か。
意識してる訳じゃないんだろうけどさ。

「ううん。アンタがふらふらしてる間に私たち仲良しになったのよ」

どうも棘のある言い方しかできない。
おっかしいなぁ。
あんなに会いたくて会いたくて仕方がなくて。
会えたら絶対、絶対素直になろうって心に決めてたのに。
こんなんじゃ逆に、絶対告白なんて無理よねぇ。困ったなぁ。

「インデックスと言えばさ」

そうだ。帰って来たら相談しようと思っていた事がある。

「アンタ、また外に出る予定とかある訳?」

「いや、無い」

嘘っぽーい。まぁいい。

「出る時、インデックスがついて行くって言ったらどうするの?」

「そりゃー危ないなら連れては行けないだろ」

まぁそうよね。アンタならそう言うはず。





113: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 15:34:21.71 ID:VcmqNxaW0


仕方がない。私の想像を話そう。

インデックスは遠隔操作霊装とやらで外部からコントロールできる魔術にかかっている。
その霊装が単体で動作するものなら、どんな魔術師でも操れてしまう。
だから、インデックスそのものにも魔術が施されていると言っていいだろう。
その魔術はインデックスを縛っている。

コイツならばそれから開放してやりたいと思うだろう。
それを解除したらどうなるか?

もしかしたら、インデックスの出力そのものを縛る魔術かもしれない。
携帯電話も使えない。料理もできない。洗濯機も自販機もダメ。
完全記憶能力者がそんなに何もできないはずは無い。

で、解除したら出力装置も元に戻ると思われる。
今まで使え無かった物が使えるようになる。

魔術も。

それが使えるようになったら、インデックスは十万三千冊の魔道書を従える魔神になってしまう。

そうなればインデックスはコイツの足手まといになる事なくついて行く事ができるだろう。
それはインデックスの望みを叶える物になるかもしれない。
だが、それをコイツが望むかどうかは甚だ疑問だ。
こんな予想を話して聞かせた。

魔術を解くのもイバラの道。解かないのもしかり、だ。
どうするの?って聞いてみた。




114: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 15:35:17.10 ID:VcmqNxaW0


「うーん、様子を見るしかねぇかなぁ」

アイツはそう言って考え込んだ。

「実際、今その遠隔操作霊装ってのはイギリス清教の保護下にあって安全なんだしさ」

「馬鹿ね。インデックスの本来の敵はそのイギリスの保護者よ。
 誰がそんなくだらない魔術をインデックスに施したと思ってるのよ」

そう言うとアイツは

「でも、実際にイギリスの十字教をまとめている事は確かだろ。引きずり降ろす訳にもいかねーし」

まぁそうなんだけどさ。

「じゃ、この街をまとめている統括理事長って知ってる?」

そう。妹達の事件やら一方通行やら、何もかもアレイスターの仕業。
私達の本当の敵。
その事を伝えた。

「ま、そっちも今は静観しか無いかな。排除すれば学園都市がどうなるか分かんねーし」

アイツが言うにはこうだ。
どちらも最高権力者で、そのおかげでイギリス清教も学園都市も成り立っている。
だからそれを壊す訳にはいかない。
過去に「もしも」は起こらない。未来には「もしも」は起こせるかもしれない。
間違ってしまった事は戻せないから償わせる。間違えそうだったら正す。
ちゃんと自分達はそれを目を逸らさずに見て、間違いを犯しそうな時に正しに行けば良い、と。

単純。でも正しい気がする。
私と一方通行もそう。
別にいがみ合う事も無ければ避けあう事もない。
無理に歩みあう必要も無いし普通にしていればいい。
過去に「もしも」が起こらないのならば、過去に起こした過ちを償って過ごせばいい。
償いきれない罪ならば、死ぬまで償い続ければいい。
未来に「もしも」が起こせるのならば、目を逸らさずにそれを目指せばいい。
そうしてお互いが間違えそうな時はぶん殴って正してやればいい。

コイツが言うと説得力がある。


「でもまあ、インデックスを泣かせたローラ=スチュアートと、お前を泣かせたアレイスター=クロウリー。
 こいつらは一発ぶん殴ってやらないといけないけどな」

そう言った。単純なヤツ。
でもなんだか笑えて来ちゃった。ふふっ。


「アレイスター!!! 聞いてるでしょー!!! 幻想殺しがぶん殴りに行くってー!!!」


大声で叫んでやった。
すると即座に携帯にメールが。

『楽しみに待っている』

アイツに見せ、二人で腹を抱えて笑い合った。





115: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 15:36:32.53 ID:VcmqNxaW0



笑い合う私達に向かって、強烈な殺意が突き刺さった。
アイツはまだ笑っているが私は緊張して臨戦態勢に入る。
すぐにアイツに向かって弾丸が放たれた。

私は即座に光る鳥の姿になって前面に電磁の壁を展開する。
能力の手は放たれた二発の弾丸を消し飛ばす。

「アンタは隠れて!」

放たれた方向に一瞬で飛び立ち、150mほど先の敵を捕らえて電撃の槍を放った。
敵は電撃を打ち払って逃走体制に入る。
おかしい。生身の人間っぽいのに、あれを打ち払った。

刹那に近付くと、微弱な電波が出ていて発電能力者であると知れた。
残念ね。私は光子使い。アンタは狙った相手が悪すぎた。
逃げる相手に踵を返す暇も与えず、即座に意識を刈り取った。

転がってる武器はコイルガンだった。
発射も狙いも能力を使ってしたのだろう、正確すぎた。
うつ伏せにひっくり返っている男を仰向けにして顔を見る。
やはり。手紙の犯人と思われる大能力者。
何故こいつがアイツの命を狙うんだろう。

アイツが走り寄ろうとしている。
馬鹿ね、殺したりしてないわよ。
そう思って男の額に手を当てて記憶を読み取った。




116: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 15:37:19.31 ID:VcmqNxaW0



アイツが走り寄って来た時、私は男の近くで膝を抱えて座り込んでいた。

「どうした。殺してないよな」

「殺すわけ無いじゃない。意識を奪っただけ」

そうか、と近寄るアイツを見る目に涙が浮かんで流れる。止められない。

「どうしたんだ? 怪我でもしたか?」

「ううん、ううん、ただね、この男、私と同じだったの」

そう言って泣きついてしまった。


この男は、発電能力者でレベル5の私に憧れと尊敬の念を抱いていた。
発電能力者である己の利便さから、統括理事会のお抱え能力者にまでなった。
その関係で私を見る機会が増え、恋心が芽生えた。

しかし、私が上条当麻に惹かれているのも知っていた。
アレイスターが上条当麻と私の子供に興味があるというのも、統括理事会では周知の事実だったようだ。

遠くから眺めるだけの淡い恋、それが、ロシアで私と対峙した時に極大まで膨らんだ。
もう私の愛する男は死んでいるかもしれない。
チャンスが転がってきた。
だからと言ってここで自分がパートナーになれるとは限らない。

そこで考え付いたのがあの手紙。

レベル5があの計画に賛同するはずが無いと予想させて、次点の自分が近付く。
手を出すのは二年後でも、近付くならばすぐでも良かろうと踏んだ二年がかりの気の長い計画。
それをしてでも、統括理事会を裏切ってでも私の事が欲しいと思うくらい好きだった。

しかし、昨日上条当麻の帰還を知る。
全ての計画が水泡に帰し、殺意だけが沸く。
そして、自分の地位なんて省みずに犯行に及んだ。
馬鹿な男。

でも、私も一緒だ。

そう言うと、何故一緒なんだと問う。
お前は何もやってないじゃないか、と。

「ううん、違うの。私もね、私も上条当麻が大好きなの。あの子を排除したいと思う訳じゃないけど。
 でも、何としても一緒にいたいと思うくらいアンタが好き。
 いなくなったアンタが戻ってきてくれるならば、この命を捧げても構わないと思ったくらいアンタが好き。
 この男が私を好きなのと同じように、私はアンタが大好きなの」

涙と共に、絶対言えないと思っていた言葉が絞り出された。
アイツは、ありがとうとだけ言って、すがる私の肩を抱いてくれた。

「ごめんね、好きになってくれたけど。恋心を殺すのは死ぬほど辛い事だろうけど。
 でも、私には上条当麻が必要なの。生きていてくれないと私が死んじゃうの。
 だからごめんなさい。コイツを殺そうとするあんたの恋心は、ここで殺すわ」

そう言って懺悔の涙を流しながら男の恋心を刈り取った。






117: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 15:38:02.43 ID:VcmqNxaW0



起きたらこの男は、何故私をあんなに好きだったのか分からなくなっているだろう。

「お前は優しい女の子だな」

そういうアイツに涙を浮かべた笑顔で言った。

「ううん、我侭なだけよ」

さぁ、もうこの男は放っておいても大丈夫。
遅くなったし、インデックスがお腹を空かして待ってるわ。
お弁当買って帰りましょ。
そう言ってアイツの寮に足を向けた。


インデックスも食べるけど、コイツも男の子だしそれなりに食べるだろう。
お弁当屋さんで五個お弁当を買った。
隣の果物屋さんに大振りで真っ赤な美味しそうなりんごを見つけ、それも五個買って帰った。

部屋に入ると、インデックスがいきなり

「遅いんだよ! お腹減ったんだよ! あ、みことも一緒だったんだね。
 で、とうまはロシアでの事、みことにありがとうって言ったのかな?」

と、わめいて来た。

まだ、と言うアイツの頭に噛み付いてぎゃーぎゃー言ってる。
私はその姿を目を細めて眺め、お茶を沸かしに台所に向かった。

お弁当を並べてお茶を入れ、二人を呼んだ。
三人並んで食べるお昼ご飯。
こんなに平和な光景があるのか、って言うほど充実した風景。
この風景が続くのなら、恋が実らなくても大した事ではないんじゃなかろうか。

「あー、さっきインデックスに叱られた後で言うのもなんだけど」

ロシアまで迎えに来てくれてありがとう、手を払って済まなかったとアイツが頭を下げた。

「いいの。帰って来てくれたから。逆に、力不足で助けられなくてごめん」

そう言うと、何も言えないアイツにまたインデックスが噛み付いた。
もう既に三個のお弁当は空っぽになっていた。私達はまだ半分しか食べてないのに。
相変わらずね。

「ねぇ、私が昼に来るってコイツに言ってなかったの?」

親指でアイツを指差しながら彼女に聞いた。

「あ、お客さんが来るって言っておいたけど、みことが来るとは言ってなかったかも」

へぇ。じゃ、コイツの意思で迎えに来てくれたんだ。ちょっと、いや、かなり嬉しい。


「だいたいとうまはいつもいつも心配かけて、しかも酔って帰るとはゆるせないんだよ!」

インデックスのお説教が始まったので、台所に立ってりんごを剥いた。
延々とお説教が続き、アイツは頭を垂れてしゅんとしている。
微笑ましいなぁ。




118: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 15:40:14.47 ID:VcmqNxaW0


みんなでりんごを食べ終わり、どうしても聞きたい事があるんだけどと切り出した。

「ねえ、アンタっていつから記憶が無いの?インデックスも私も、記憶が無いのは知ってるから教えて欲しいの」

アイツはびくっとして、少し悲しげな顔をした。

「インデックスを縛ってた首輪から助けた時、だな。黙っててごめん」

「ううん、謝る事なんて全然ない」

そう言ってアイツの右側に擦り寄って手を取った。
インデックスも左側に擦り寄って手を取る。

「ありがとうとうま。もう涙を堪えて生きていかなくてもいいんだよ」

「うん、自分を殺していたんだもの。辛かったね。ありがとう」

「でもとうま、これからは一人で辛い思いしていて欲しくないかも」

「私達も力になれる。辛い思いも分け合えば少しは軽くなるわ。私達はアンタの辛さを分けて貰える人間になりたい。
 アンタの不幸は私達で打ち消してあげる。だから一人で抱え込まないで」

「とうまはね、人を大事にする事ばかりに目を向けないで、自分が大事に思われてるって事にも目を向けたほうがいいかも。
 とうまは自分が幸せになるって考えてないけど、とうまを幸せにしたいって思ってる人はいっぱいいるんだよ」

「そう。アンタの幸せが私の幸せ。インデックスの幸せ。愛されている事を忘れないようにしなさい」

そう二人に言われたアイツは、少し涙を浮かべたような赤い目で「ありがとう」を繰り返していた。






119: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/12(土) 15:41:58.91 ID:VcmqNxaW0



「あ。そうだ、今日はこもえと会う約束だったかも。少し出てくるから、二人で積もる話をしてればいいかも」

インデックスは唐突にそう言って立ち上がり、私が買ってあげた携帯を持って玄関まで歩いていった。
ちょいちょいと手招きするので寄って行くと、お話が済んだら電話で呼び出してくれという。

「みこと、がんばって」

そう言って出て行った。気を遣ってくれたんだ。
でも、もう告白しちゃったんだけどな。
返事は貰ってないけど、好きだって知ってさえいてくれたらそれでいい。
告白できただけで大成果だし。

「ごめん、気を遣わせたみたい」

そう言って頭を掻きながらアイツの元へ戻る。

「そっか。でも、迎えに来てくれて本当にありがとう。まさかお前が来てくれるなんて思ってもみなかった」

それで、さっきの返事なんだが、と切り出す。
いいのに。断られたらどういう顔していればいいか分かんなくなっちゃうし。

「俺はさっき言ったように生まれたばかりなんだ。お前の事は大事だと思うし好きだと思う。
 ただ、それが恋愛感情なのかは良く分からないんだ」

インデックスと同じような事を言うのね。
でも、それが記憶を失った人の姿なのかもしれないわね。
大事だって、好きだって思ってくれてるだけで充分だ。
胸が熱くなる。

「でもな、女の子として意識して無い訳じゃねぇぞ。お前の髪の匂い嗅いだだけでドキンとしたこともあるし」

えっ?
ちょ、ちょっと。

胸がドキンと跳ねる。
期待しちゃうじゃない、そんな風に言われるとさ。

「私もね、アンタが男として好きって気がついたのは、ほら、アンタに記憶を失ってるでしょって言った、あの時。
 でも、気が付いてしまえばさ、もっとずっと前、アンタが記憶を失うよりも前から好きだったって事が分かったの」

「そうか。俺もそれに気が付いたら、ずっと前から好きだったって思うんだろうな」

ちょっと待ってよ!
反則よ。
期待しちゃうどころの騒ぎじゃない。
勘違いさせんじゃないわよ、この天然フラグメーカーめ!
そういう風だから次から次に……

次から次にか。嫌だな。
何とかならないかしら、この旗男体質。




128: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:43:50.97 ID:jllgfrxv0


「じゃぁさ、いつかは私達が恋人同士になれるって事はあるのかな」

「分かんねーなー。その時までお前がそう思ってくれてるかどうか。案外あっさりと呆れられるかもしんねーしな」

馬鹿な事を言ってんじゃないわよ!!!

私の中で激情が沸き起こる。
私は一生アンタだけを愛し続ける。そう、間違いなくそうなるって確信してる。
アンタに愛される事がなくても、見守る事しかできなくても。
絶対そうなる。

どうやって分からせてやろうか。

「ちょっとお手洗い借りるわね」

そう言って洗面所までやってきた。

みさかみこと。
今こそ、アイツに私を見せる時。
私がどれだけアイツを愛しているか分からせる時が来たのよ。

心臓が爆発しそうだったが、決心は固い。
私は服を脱ぎだした。




「あ、アンタ、悪いけどちょっと向こう向いててくれない?」

全裸になった私が、洗面所から顔だけ出して声を掛ける。
胡坐をかいて座っていたアイツは、何の疑問も持たずにお尻で器用に向こう向きに回転した。

私はダッシュでアイツに駆け寄り、広い背中に抱きついてやった。

「おいおい、どうしたんだよ。ちょ、ちょっとおい、待て、待てって! 胸、胸が当ってるって!」

そう言って振り向いたアイツは完全に固まっていた。






129: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:44:48.28 ID:jllgfrxv0



「どう? これでも私の気が変わるって言う訳?」


アイツは慌てている。こちらを向いて足を少し開いて投げ出した格好でずざざざっとお尻で後ずさった。
器用ね。

少し後ろに傾いた上半身を後ろ手で支え、片手で目を塞いで

「分かった! 分かったから服を着ろ! いや着てくださいお願いします御坂さん」

そう言って顔を赤くしている。

「いーやー。私の愛を馬鹿にした罰よ。もうこうなったら止まんないわよ」

この想いは幻想なんかじゃない。コイツの幻想殺しをもってしても殺せるモノなんかじゃない。
自分が魔女の微笑を浮かべているのが分かる。にじり寄ってやる。

「馬鹿、お前、中学生がナニ言ってやがるんですか! そういう事は、ほら、大人になってからですね!」

「高校一年で酔っ払ってた人に言われたくないわね。それにね、アンタがいない間に私は成長したのよ。
 女としてアンタが欲しいって思えるくらいには、ね」

コイツを取り込んでぴたりと合わさって取り戻した自分は、女になっていた。


地獄を見てきた。

一万人の妹達が次々に殺されていく地獄。

目の前で愛する人が消えていく地獄。

愛する人を失って、自分が壊れていくのを眺めている地獄。

それなのに。




今、コイツに抱いてもらえるなら……


「地獄に堕ちてもいい」


不意にそんな言葉が漏れてしまった。

そんな風に思うくらい欲しくなってくる。
裸で迫っているせいだろうか。
私は知らぬ間に大人の女になっていた。

「だからって、お前いきなり、どうしたって言うんだよ、上条さんの理性が崩壊する前に服を、ね、ほら着てくださいって」

「いーやー。だってアンタ、どうせまたどっか行っちゃうじゃない」

にじり寄って首に手をかけ、肩に頭を乗せて胸を押し付けてやった。

「だからさ。証が欲しい。この前起こった、その前の世界大戦の映画でもやってた。
 戦争に出る前の愛する男に、情けをねだるのは当然の事よ」

そう、コイツは絶対にどこかに行ってしまう。
どんなに言葉を尽くしてあの子や私が説得したとしても。
コイツの信念が、生き方が、安穏とした日々を許さない。

ならば私は強引について行ってやる。
身体で契って、黙って出て行けないようにしてやる。





130: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:45:30.97 ID:jllgfrxv0



「なぁ、美琴」

「ひゃ、ひゃいっ」

名前で呼ばれて声が裏返ってしまった。
時々急に名前で呼ぶけど、なんだか反則。
びっくりしすぎて焦っちゃう。
しかも真面目な声だし。

「なんだかいろいろ手順をすっ飛ばしてる気がするぞ」

「どういう意味?」

ここまで来て、やっぱりはぐらかされちゃうんだろうか。
もう二度とこんな大胆な真似はできないんだけどな。

「えー、あー、だからさ。あれだよ、ほら」

「何よ。はっきり言いなさいよ、男の子でしょ」

「うー、だからな、これからは恋人同士、って事でいいんだよな」

「ひぇい」

ま、まさか!
えっ!
ちょっ!

声が出ない。うまく応えられない。

え? 恋人同士?

私を受け入れてくれるの?

ホントに? ホントに?

そこまで望んで迫った訳じゃないのに?

いっぱい言いたい事があるのに何も言えない。

うん、うん、と頷く事しかできなかった。

「んじゃ、これからは恋人同士で。末永くよろしくな、美琴」

胸の中に飛び込んでいる私は、頭をアイツの肩にぶつけるように頷くだけだった。

アダムがりんごを食べたらこんな言葉を吐くようになるんだろうか。

嬉しい。嬉しすぎる。
コイツは優しさで受け入れてくれただけかもしれない。
インデックスが恋に目覚めたら受け入れちゃうかもしれない。

でも、でも、それでも今、私の恋は叶った。
涙が溢れて止まらない。涙がコイツの胸を濡らしちゃう。






131: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:46:16.88 ID:jllgfrxv0


逃げるように仰け反り気味だった身体を起こして、裸の背中をそっと抱いてくれた。
口から飛び出しそうに心臓がドキドキと鼓動する。
死ぬかもしれない、と思うくらい飛び跳ねる。

顔を上げる。見上げると、優しいアイツの顔。
本物のアイツの顔。
吐息がかかる。本物のアイツの吐息。
ああ、神様ありがとう。
今、死んでしまってもいい。

これ以上近づけないと感じたアイツの顔が更に近づく。
目を瞑るとそれはゼロ距離になった。
初めてのキス。溢れる涙。跳ねる心臓。

無意識に少し舌先を出してアイツの唇をペロリと舐めてしまった。
りんご味の初めてのキス。
脳みそが蕩けて何も考えられなくなる。
あ、もう死んだ。

新たに構成されるパーソナルリアリティー。
コイツを取り込んで私は生まれ変わる。
色を取り戻した世界がピンク色に染まる。
触れるだけの優しいキスで、身体が震え出してしまった。

唇を外してアイツが囁く。

「怖いか?」

ううん、ううん、とっても嬉しいの。
もっとキスして、と言ってアイツの右手を取って胸に導いた。

「ほら、こんなにドキドキしてる」

「えーっと、これは揉んでもいいものなのでせうか?」

「うん、うん、好きにしていいの。全部アンタの物だから。だからもっとキスして」

小さくてごめんね、って言ったら、俺はこの胸が好きだなって言ってくれた。
アイツは恐る恐る、って感じでやわやわと胸を揉みながら耳元に唇をつけて囁く。

「名前で呼んでくれないか」






132: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:47:00.33 ID:jllgfrxv0


どっきーんと一発大きく胸が弾けた。
嬉しい。嬉しすぎるよ、アンタ。

「と、ととととととおと、とう、ま?」

あはは、疑問系かよ、と笑いながらキスしてきた。
左の胸に当てられたアイツの右手。暖かい、生きている右手。
やわやわと揉まれるだけで天国に登りそう。

薄く開いた唇から舌を差し入れてやった。
アイツからはきっとこういう風に大胆な事はして来ないだろうし。
心臓は飛び出しそうだけど。はしたない子って思われるかもしれないけど。
裸で抱きついちゃってるんだから、いいよね。

ねっとりと絡みつく舌と舌。やっぱりアイツは恐る恐るって感じで。
あー、嬉しい。ずっとキスしていたい。りんご味のキス。
でも、今日は私がリードしちゃうんだからね。覚悟しとけ。
リード、か。できるかな……。

息苦しくなったのか、アイツは唇を外す。
離れ際に薄く開かれた唇と唇の間に銀の糸のブリッジが架かって切れた。そして

「と、尖ってきたな」

と言う。
ち、ちちち、ちくびの事よね。言わないで恥ずかしい。
吸っていいかと問われて赤くなる。

「うん、吸って、と、とう、当麻」

どうしても名前を呼ぶのに照れる。もっと恥ずかしい事してるのに。なんでだろ。
アイツの唇が首筋を這う。肩から胸のラインをなぞり左胸の頂点に辿り着いた。

ああ、と声が漏れる。びっくりするほど気持ちいい。
舌先が突起を捉えると、身体が、腰がくねくねと動き出す。
足を少し開いて膝立ちになって支えている膝から上の全部がうねる。

アイツの右手をそっと取る。躊躇ったけど、勇気を出して股間に導く。
導かれる先を悟ったのか、アイツの身体がびくっと跳ねた。

「い、いいのか」

「うん、うん、触って。と、当麻に触って欲しいの」

やっぱり恐る恐る、でもちゃんとアイツの意思で右手を伸ばしてくれた。

「――濡れてる」

言わないで。さっきから腿まで溢れる感触があったのに。
きっとそこは蕩けちゃってる。

「恥ずかしい……はしたない子でごめんね」

いや、俺でこうなってくれてるなんて感動するよ、だって。
どこまでも優しいやつ。もう当麻無しでは生きていけない。




133: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:47:48.35 ID:jllgfrxv0



ぎゅーってしがみ付くと、優しく優しく濡れているところを撫でてくれた。
ものすごい性感が私を襲う。
自分で触ってる時と全く違う快感の種類と大きさ。

愛されていると思うだけで、愛する人に触ってもらってるだけでこうも違うものなんだろうか。

ゆっくりと優しく、触れるか触れないかの強さで触っていたアイツの指が、ふいに尖った陰核に触れた。
びくん、と飛び上がる身体。

「痛かったか?」

と指を外して聞いてくる。ホントに優しいのね。大好き。

「ううん。そこがね、女の子の一番感じる場所なの」

そ、そうか、と言ってまた触ってくれる。ゆっくりと、優しく。

あー、と声が漏れて快感を訴える。
時折陰核に触れて身体が跳ねる。あっ、と声も跳ねる。でも、気持ちいいと知って貰ったから続けてくれた。

ゆっくりと陰部を撫でるにゅるにゅるになった指が何度目かに陰核に触れたとき、私は弾けた。
ほとんど何もしていないくらいなのに。ちょっと触ってもらっただけなのに高みに連れて行かれた。
ア行の高い声が糸を引くように聞こえる。

「ちょっと、ま、まって」

両手で股間にあるアイツの右手を押さえつけてしまった。
がくがくと震える身体が、アイツに絶頂を訴える。
甲高い声がアイツにピークを知らせる。

アイツの手は、私に押さえつけられて動けない。
でも、その圧力だけで次の高みが来て仰け反る。
痙攣しながら絶叫し、胸にもたれかかってしまった。






134: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:48:33.54 ID:jllgfrxv0



「どうした? やっぱり痛かったか? 怖くなったとかか?」

とことん優しいのね。ゆっくり山を降りてきている最中で応えられない。
息が荒い。身体が熱い。鼓動が激しい。

ようやく山から降りてきて、どう言ったらいいか迷う。
顔が真っ赤になる。

「えっとね、エクスタシーとかオーガズムって知ってる?」

アイツはきょとんとしている。分かってよ、もう。
もっと赤くなってきた。顔が熱い。耳まで赤いぞ、きっと。

「じゃあね、『イク』って分かる?」

ああ! と、やっと理解してくれたようだ。

「えーっと、じ、じゃ、今、美琴はそうなったって事か?」

言わせんじゃないわよ恥ずかしい!
でも、なんかこんな会話って恋人同士しかできないよね。
嬉しくなっちゃう。

「うん。今、二回そうなっちゃったの。えっちな子でごめんね」

「いや、俺は記憶を失う前はどうだったか分かんねーけど、こういう事するのは初めてだと思う。
 そんな俺でそうなってくれて、すっげー嬉しいぞ」

「うん、私も初めて触って貰った。こんなに気持ち良くなっちゃって恥ずかしい」

アイツは優しく、でも力強く、ぎゅーっと抱きしめてくれた。
アイツの伸ばした両腿の付け根に、両足を開いて女の子座りで跨った格好でぺたんと座り込んでしまう。
ズボンが汚れちゃうな、と思ったけど言えない。

「イクとね、動かされると感じすぎて辛くなっちゃうの。イッたらじっとしてくれたら嬉しいな」

「でも、俺には何時イッたかなんて分かんねぇぞ。イク時は教えてくれねぇと」

「うん、わかった。ちゃんと教えるから、ね」

ふと、全身で抱きついてぴったりアイツに重なった私の下半身が硬いものに触れているのに気がついた。
あっ、これって!
コイツ、興奮してくれているんだ!
ちゃんと私を女として見てくれているんだ。





135: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:49:29.75 ID:jllgfrxv0



愛しさが込み上げてきて、つい腰を浮かしてそっとその硬いものを右手で撫でてしまった。

「うおっ」と言って腰を引くアイツ。

「ごめん、びっくりさせちゃった?」

「いや、まぁ、ちょっと驚いたけど。大胆だな、お前」

そう言って立ち上がり、私の腕を引っ張って立たせた。
両脇に後ろから腕を回して、もう一方の腕で膝を後ろから支えて私を持ち上げた。

うひゃー、お姫様抱っこだー。
全裸でお姫様抱っこされてる。恥ずかしいし嬉しいし、もう頭がパニック。

「お前、軽いなぁ」

そのままベッドに連れて行かれて降ろされた。

「もう止まんねーぞ。いいのか?」

「うん、うん、でもね、カーテンだけ閉めて。明るすぎて恥ずかしい。
 あとね、シーツ汚しちゃう。濡れ過ぎてるからタオルとバスタオルがあったら欲しいな」

ちょっと待ってろ、と歩き出しカーテンを閉める。部屋が薄暗くなって少しだけ羞恥が減る。
「ほれ」とバスタオルとタオルを放って寄こした。
タオルで股間を拭い、バスタオルは四つに畳んでお尻に敷いた。

アイツは何故かズボンのお尻のポッケから財布を取り出した。
そこを探って何かを見つけ出すと

「これは必要だよな」

と言って私がしている枕の隣に薄っぺらい物を置いた。
手にとって見ると、それは今朝薬局で受け取った避妊具と同じものだった。

コンドーム。
何故コイツがこんな物を財布に常備しているんだろう?
問い詰めてやると

「土御門っていう隣に住んでる友達がな『上やんはいつ必要になるか分からんから常備しておくといいんだにゃー』
 とか言って大分前に無理やり俺の財布に入れたんだよ。 まさか使う日が来るとは思ってなかったけどな」

そう言ってにぱっと笑った。
素敵な笑顔。
しかし、土御門兄か。

舞夏のお兄さんはアンタがモテてるのを分かってた訳ね。
それ、使うのが私に対してで良かった。
他の人に、だったりしたら恨んじゃうとこだったわよ。
そう言うと、俺は別にモテねーって、と返す。
分かってないのね、相変わらず。





136: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:50:15.98 ID:jllgfrxv0



アイツがベッドの端に腰掛ける。
私は起き上がって、アイツに擦り寄りシャツのボタンに手を掛けた。
ずっと私だけ裸ってのは不公平だ。

なかなか上手くいかない。手が震える。
ベッドの横に立って貰い、私は膝立ちをして正面を向き合ってもう一度チャレンジ。

シャツを脱がせて下着も剥がす。
広い胸板が現れた。ずいぶん分厚い。傷跡もある。歴戦の勇者って感じ。
初めて触れる男の子の裸に何だかドキドキして、胸にキスしちゃった。

胸のあちこちをぺろぺろ舐めながら手探りでベルトを外す。
乳首を舐めると硬くなった。男の人も硬くなるのね。めちゃくちゃ興奮しちゃう。

ズボンのホックを外してジッパーを下ろす時が一番勇気がいった。手が震えた。
ズボンを下ろし、パンツに手を掛けたら止められ、そのままベッドに上がってきた。
パンツは大きく膨らんでいて、下ろすときに引っかかった瞬間に止められた。
ずるい。私はずっと裸なのに。

横にされて、アイツは覆い被さってきて毛布を掛ける。
私は自分でバスタオルの位置をお尻の下に整えた。
ごそごそと動いているな、と思ったら抱きしめられた。
下半身に硬くなった生のアイツのモノが当っている。
今、脱いだんだ。
そっと手を伸ばして確かめてみた。

大きい。凄い存在感。太い。私の手首くらいありそうな気がした。
そして熱い。灼熱と言えるくらいたぎって、私の脳みそを蕩かせる。
そして先っぽはぬるぬると濡れていた。
出ちゃったんだろうか。

「ね、どうしたらいい? 教えて欲しいんだけど」

「いやもう、そうしているだけで凄く気持ちいいぞ。好きに触ってくれていいから」

「難しい注文ね。あ、あの、これ濡れてるんだけど、出ちゃったりしたの、かな」

「いや、これはお前が濡れたのと同じでな。男も興奮すると先から濡れてくるんだ」

そうか。納得。コイツが興奮してくれている事が分かってほっとする。
嬉しさと恥ずかしさと気持ちよさが混じって、心臓の速さはとんでもない事になってる。
でもお互い裸だと結構大胆になれる。
まぁずっと大胆なんだけどさ。





137: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:51:12.47 ID:jllgfrxv0


そっと触れていた手を二つに増やして、包み込むように持って撫でてみる。
アイツは「うっ」と言って腰を引くけど逃がしてあげない。
根元から先っぽまですりすりと撫で回すと、アイツの出した体液で手がぬるぬるになった。

と、アイツは頬に右手を当てキスしてきた。
今度はアイツからの大人のキス。

手の動きが止まる。心臓が跳ねる。
くちゅくちゅとお互いの口内を舐め合う音が部屋に響く。
舌が絡み合って、お互いを求め合う。

目を瞑った私の瞼の裏がピンク色になる。
キスってすごい。二人が一つに溶けて混ざる。
とてつもない気持ち良さに息苦しくなる。

「大好き、当麻」

口を外して囁くと、俺もだ、って。
ホントに!? 嬉しい! もしも嘘だとしてもとても嬉しい。

今度はキスしながら、頬を撫でていた手で胸を撫でてきた。
凄く気持ちいいけど、されっぱなしは悔しい。
動きの止まっていた両手でアイツのおちんちんを撫でる。
なんだかどんどん硬く熱くなるみたい。

時々ぴくってアイツの身体が跳ねる。気持ちいいのかな。そうだったら嬉しいな。
口を外すとお互いの呼吸の激しさが分かる。
どっちも興奮してんのね。

「おい美琴、そんなにしたらもう出ちまうぞ」

わー。気持ちいいんだ。私が当麻を気持ち良くさせてるんだ。
うん、すごく興奮するし私も気持ちいい。

さっきイカされちゃったし、今度はイカせちゃえ。
そう思って両手で掴んだ腕のピストン運動を早くした。
痛いかもしれないと思って強くは握れない。





138: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:52:09.58 ID:jllgfrxv0


アイツは胸を揉みながら顔をもたれ掛けさせ、耳元で囁いた。

「ごめん、もうイッちまう」

お腹がきゅーんとする。出るんだ。凄い。
大きなおちんちんが一瞬もっと大きくなり、アイツは「うっ」と声を出してびくびくっと跳ねた。
おちんちんがびくびくと爆ぜて、温かな塊が私のお腹の上に落ちる。

ああ、当麻がイッてる、そう思って顔を見た。目を瞑って何かに耐えるような顔。
これが当麻のイッてる顔か。すっごく感動しちゃう。

その時、胸を揉んでいた手が乳首を摘んだ。
嬉しさと興奮と感動にまみれていた私の頭が蕩ける。
お腹の中が勝手にきゅーんと締まって絶頂を迎えた。

「あ、と、うま、私も、イッちゃう!」

胸を摘まれただけなのに、私も激しくイッてしまった。
でも、一緒にイケて凄く嬉しい。あーいくーいってるー、と高い声が出る。
感動が快感を持続させ、お腹の上の液体の暖かさを悦びながら痙攣し続けた。


アイツはおちんちんのびくびくに合わせて十回くらい精液を吐き出した。
私は一緒に頭の中をスパークさせて、アイツよりもずっと長くイッてたみたい。

「一緒にイッっちゃったね」

そう言ってまだ硬さの残るおちんちんを撫でる。

「ちょっと待った! 男もイッたばっかは敏感なんだ。ちょっとタイム」

そう言って腰を引っ込めた。

毛布が剥がされ、薄暗い中お腹の上の液体がぼんやり見える。
手にも少しかかってる。
お腹の液体を少しすくって舐めてみた。
変な味。ニガシオ味。でも、これが当麻の男の子の味なんだね。悪くないな。
もう一度すくって匂いを嗅ぐ。
うーん、漂白剤みたいな匂い? 人体からこんな匂いのモノが出てくるのか。不思議だ。
でも、これが当麻の匂いなんだよね。なんだか嬉しくて涙が滲んできちゃう。

「おーい、こらこら、それは綺麗なもんじゃありません、舐めるんじゃない、嗅ぐんじゃない」

と言って、ティッシュで拭われてしまった。お腹も両手も綺麗にされちゃった。
もうちょっと見たかったし味わいたかったし嗅ぎたかったのになぁ。

でも、いつでもチャンスはあるよね、ね? なーんちゃって。
今度はごっくんしちゃうんだから。うわーえっち。





139: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:53:02.10 ID:jllgfrxv0



アイツは裸のまま台所に立って行き、冷蔵庫から出したペットボトルの冷たい水をコップに注いで持って来てくれた。
お尻にタオルを敷いてベッドの端に腰掛けてそれを受け取る。
お互い一口づつ飲んで潤す。ふと、悪戯心が沸いた。

一口だけ口に含んでキスしてやった。
そうして、ゆっくりとアイツの喉に流し込む。
私の口の中の液体がアイツの身体に流れ込む。
なんだかとっても興奮しちゃう。
今度はアイツが口に含んで流し込む。
こくこくと飲むと、アイツの体液そのものが身体の中に入ってくるような気がして眩暈がするほど感じてしまった。

「ね、入れて欲しいな。当麻をちゃんと感じたい」

そう言って、奪い取ったコップをテーブルに置いてベッドに戻った。

「あー、ここまでにしとくって手もあるけどな」

まーだそんな事言ってんのか。
だーめ、今ちゃんとしないと一生してもらえない気がするもん、と言って拗ねてみせた。

「いや、そんな事はねーけど」

と言ってベッドに戻って来たアイツに抱きついて唇を奪う。
お互い膝立ちで唇を貪り、舌を絡め合わせて唾液を交換する。
大人のキス。これって一番好き。一番興奮する。一生していたい。

お互い左手で抱き合って身体を支え合いながら右手で陰部をまさぐる。
アイツのおちんちんはすぐに大きくなったし、私の陰部は既にとろとろだ。

「ね、指入れてみて」

言わなきゃ絶対してくれないだろうから催促してやる。
今日はリードするんだもん。

恐る恐る濡れたところを彷徨っていた指が身体の中心の穴に差し込まれた。
うっ、と声が漏れるとアイツもびくっとする。
大丈夫、痛い訳じゃ無いからと続きを催促。
私っていんらーん。こんなに大胆になれるとはね。

もう一本入れても大丈夫だから、と催促してみた。
一度抜いた指を二本に増やして、ゆっくり濡れたところを撫でてから入れてきた。
すごい充足感! 私の二本とは全然違う!
おっかなびっくり入ってくるけど、ちゃんと一番奥まで入れたときは突き当りまで届く。
太さも私の二本とは全然違うし、異物感も全く別物だ。
満たされる世界。私の空白の壷が満ちて蜜が溢れる。
余りの気持ちよさ、というか満足感に我を忘れて大きな声が出ていた。

ゆっくりと出し入れされているだけなのに、奥に入ったときは子宮を揺さぶる。
手のひらに陰核が当って身体が跳ねる。
私のおちんちんを握る手は、全く動かせずにただ握るだけになってしまった。

このままでも達してしまいそうだけど、キスしてから教えてあげる。

「ね、入れたまま指を曲げてみて。うん、そう、そこ、ちょっと硬くなってるでしょ」

曲げられた指が的確に中の一番いい場所を押す。

「そう、そこが、ね、中で一番、いい場所。すぐに、イッちゃう、かも」

「み、こと、大胆だな」

息を荒くしてそう言う。私もだけど、アイツも興奮してくれているのが伝わってきて嬉しい。
気持ちいいけど頑張っておちんちんを擦ってやる。
アイツも気持ちよさそうに目を細める。
ちゃんと教えた通りに一番いい場所に指が当るように出し入れされ、切羽詰ってくる。

「ね、ね、イキそう、目、見せて、目、見てて」

そう言ってアイツの目を見つめながら天辺にきた。
薄暗くてはっきりアイツの黒目が見えないのが難点だ。
大きなアの声が糸を引く。いくー、と言って絶頂を教えてあげる。
がくがくと身体を痙攣させ、たまらずに顔をアイツの肩に押し付けて大波に飲まれていった。

ちゃんとアイツは止まって、あのいい場所をぐっと押さえるのみにしてくれた。
センスあるじゃない、なんてのは後で思った事。押さえられて堪らずそのまま痙攣を繰り返した。





140: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:53:51.29 ID:jllgfrxv0




波が引いてきて恥ずかしくなる。
今、一番いいところを指で強く押されて何度か繰り返し果ててしまった。
噛み付いちゃったみたいで、うっすらと肩に歯型がついてる。
薄暗いのにこんなにはっきり見えるなんて、もしかしたらかなり強く噛んじゃたかも。

アイツは一回イッただけだと思ってるかな?

「ね、つけてあげよーか?」

枕の横にあったコンドームを摘んでひらひらさせる。

「ああ、俺も付けた事ないし、失敗したらそれ一枚きりだしな」

「私だってつけた事ないわよ。それに、私も二枚持ってるし」

えっ? という顔をされて慌てる。

「あ、ち、ちがう、ちがくて、えっとね、今朝薬局に寄った時に試供品で手渡されたの。
 なんとなくね、こういう日が来るかなって思って貰ってきちゃったの」

言い訳っぽい? かな?

「んー、ミコっちゃんは本日ヤル気満々だったっつー事かな?」

ミコっちゃんゆーな、ニヤニヤすんな!
ヤル気は……満々だったわよ、悪かったわね。
ここを逃すとまた遠くに逃げられちゃうと思ってたし。
拗ねた目でそう吼えた。なんて恥ずかしい事を言わせるヤツだ。

「逃げやしねーって。じゃ、お願いしようかな」

うん。頑張る。と言って袋を破る。

でも、逃げないってのは嘘よね。きっと放っとくとまた危ない所へ行っちゃうもん。
そう思いながら手にとって眺める。暗くてよく判らない。

朝にまじまじと見た説明書の絵を思い出しながら試してみる。
確か、大きくなったおちんちんに当てて、飛び出てる先っぽ摘んでくるくるっと被せるんだったわよね。

おー、できた! 完璧、ほら、とはしゃぐと笑われてしまった。
ちんこ摘んではしゃぐ処女ってどーかと思うぞ、と言われて真っ赤になった。
うー、ごめんなさい。

「可愛いやつめ」

そう言って唇を奪われた。
えっ、えっ、か、かわいいって?
そう言ったの?
きゃー、もう、今日は何度も死んじゃう!
蕩けるようなキスにすぐに頭が朦朧としてしまう。





141: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:54:47.23 ID:jllgfrxv0



「ね、もうね、私は準備できてるから、ね、お願い」


お尻にバスタオルを敷きなおしておねだり。
アイツは無言で私の足を開いてその間に擦り寄ってきた。

いよいよだ。緊張する。

アイツが、自分の右手を添えたおちんちんをあそこにあてがう。
私も一緒に右手を添えて導き、濡れているそこをおちんちんでこちょこちょと撫でる。
上まで滑った時に陰核に触れてあっと声が漏れる。

ドキドキが半端無く激しくなってきた。
入る場所に当てて、少しだけ私が腰を押して先を沈め「きて」と言うと、ぐうっと腰を沈めてきた。

押し広げられる感覚。とうとうアイツのモノになれる嬉しさ。


ものすごい、これは凄い事だ。


完璧に隙間無く埋め尽くされて、私は歓喜の声をあげる。
充足感に身体も心も震え、堪らず涙が零れ落ちる。

「どうした。痛かったか?」

優しい当麻。大好きな当麻。
ちゃんとこんな時でも気遣ってくれる。
なんだかいっつもスルーされてた人とは別人のよう。
入ったまま動かずにじっとしてくれてるからお話もできる。

「ううん、痛くない。あんまり嬉しすぎて泣けてきちゃったの。
 ありがとう、初めてを貰ってくれて。ありがとう、私の好きな人でいてくれて。
 ありがとう、帰ってきてくれて。もうね、今死んでもいいくらい幸せ」

そう言って抱きついてキスした。
アイツは優しく頭を撫でながら、俺も幸せだって言ってくれた。
嬉しい。嘘でもいい。嘘ならずーっと騙していてくれたらそれでいい。

コイツがいない世界は色を失った灰色の世界だった。
いなくなるまでは、いない世界がこんなにも辛いとは思ってもみなかった。
帰って来てさえくれたら、きっと世界は生き返ると思った。

でも、再会できてこうやって抱かれてみると、生き返るどころじゃなかった。
こんなに満たされた幸せな世界があるなんて思ってもみなかった。


世界は極彩色で溢れ、完璧な幸福が私を包み込む。
今、私の世界は完全なものになった。





142: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:55:35.42 ID:jllgfrxv0



「ね、動いてもいいよ」

「大丈夫か?痛くねえか?」

「うん、大丈夫、痛くないから。多分ね、私って激しい運動する方だから。
 膜みたいのは破れて無くなってるみたい。少しも痛くないよ」

そう言って促した。オナニーしてました、なんて言えないしね。
実際、最初に指入れた時も痛くなかったし、嘘じゃないよね。

「だからね、当麻の気持ちいいように好きに動いて」

分かった、優しくするから、と言ってゆっくり動き出す。
コイツは飽くまでも私の事を気遣ってくれる。

私で気持ち良くなって欲しいのに。

今までスルーしてきた分を取り返すかのように優しくしてくれる。
そんな優しさに私の心は蕩けだす。もう戻れない。
ぐーっと奥まで入ってゆっくり抜き出す。
ただそれだけの動きに、世界中の幸せが集まってきて膨らむ。

ゆっくり動くおちんちんと、柔らかく包み込んで時々きゅっと締まる膣。
快感で揺れる腰を追いかける腰の動き。
二人の揺れ方が完璧に一致する。

感じ方が激しくなると膣が強く締まる。そうするとおちんちんを奥まで入れてじっとしてくれる。
陰核が根元に当って腰が回ると、それに合わせて前後に擦る。
私がしたいようにするとそれに合わせるように動いてくれる。
世界中の幸せがどんどん集まって膨らみ、大きくなった幸せ風船は弾けそうになる。

「ね、ね、もう、イキそう、もうちょっとしたら、イッちゃうかもしれない」

そう訴えたとたんに大きく膨らんだ風船は弾けた。

「あ、イク、イッちゃうから、じっとしてぇ」

弾けた幸せは身体全体に広がり、私に歓喜の高い声をあげさせる。
あまりの悦びに今日何度目かの涙が溢れ、動きの止まったアイツの腰に両足を絡めてしがみついた。
抱きつき、背が反り、泣き叫ぶ。
今まで感じた事の無い強烈な絶頂感に完全に意識は宙に浮いたまま、なかなか戻ってこれなかった。





143: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:56:29.20 ID:jllgfrxv0



私がしがみ付いているせいか、降りてくるまでアイツは動かずに優しく抱きしめていてくれた。
腰に巻いていた足をゆっくり解く。

「美琴、すごいなお前。ちょっとびっくりした」

言わないで恥ずかしい。
こんなに感じちゃうなんて自分でもびっくりしてるわよ。
そう言うと、アイツは腰を引いて抜こうとする。

「ダメ! 抜いちゃやだ。今度はね、と、当麻が良くなるまで動いて」

コイツは自分の事はいつまでたっても二の次なんだろうか。
私が満足したとみて去ろうとしやがった。

許せない。
アンタの幸せが私の幸せなんだっつーの。

当麻もイッてくれないと自信が無くなっちゃう、と言って拗ねて見せると

「いいのか?疲れてないか?」

などと気を遣う。
いいの、もっとして、もっと気持ちよくなりたい、とわざと淫らに誘う。
こうでも言わないとしてくれないもんね。

「だから、激しく、して」

ここまで言ってやっと、よし、わかった、と腰を突き出し始めてくれた。
さんざんイッた私の身体はすぐに反応して高ぶる。
激しさを求めているのが分かるように腰を回す。
徐々に腰を打つ速さが増してくる。それに釣られて性感も高まる。

時折アイツは角度を変えて、学習しているのだろうか、中の一番いい場所を突いてくる。
たまらずに高い声が出て、まただんだんと世界中の幸せが集まって膨らんでくる。
イキそうな予感がするけど、今度は訴えない。
知らせると止まっちゃうもん。

(でも、もうイキそう)

そう思った途端、風船は弾けた。
襲い掛かる猛烈な絶頂感に出す声が更に高くなる。
腰に絡めたい両足を我慢したら、足がピンと伸びてつま先まで反った。
背中が反って全身が痙攣する。

イッてるのに、おちんちんの動きは止まらず、逆に激しくなってくる。
こんなに反応してるのに、言わなきゃイッてるのが分からないみたい。

弾けて全身を満たす幸せが、すぐにまた世界中から集まってくる。
今度の風船はさっきよりも少し大きい。そうしてまたすぐに弾ける。
翻弄される、激情の波。

浚われて流される間もなく集まってくる幸せ、またより大きくなる風船。
何度目かの風船が弾けた時、アイツが叫ぶ。

「もう、イキそうだ、いいか、美琴」

「うん、うん、私も来ちゃう。一緒に、ね、一緒に、き、て」

もういつ来て貰っても一緒にイケる。
私は今、天国にいる。
股の部分が温かくなってる。お漏らししちゃったかも。
バスタオルを敷いておいてよかった。

動きは一段と激しくなり、ぐっと中に突き刺さってきた時に止まった。
中に入っているモノが一回り大きくなった感じがして、当麻は弾けた。
「クッ」とアイツの声が聞こえる。今、当麻がイッている。

その嬉しさに、やはり一回り大きくなった幸せ風船が弾けて意識が飛んだ。





144: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:57:18.81 ID:jllgfrxv0




目覚めた時、アイツの胸に頭をもたせ掛けて左側に抱かれていた。
すっかり部屋は暗くなっている。

「ね、すごいね、えっちって。もう、何が何だかわかんなくなっちゃった」

「そうだな。でも、美琴があんな風になるなんてな。ちょっと嬉しいな」

「どういう意味? えっち過ぎて引いちゃった?」

そう言うと、馬鹿だな、嬉しいって言ってるだろ、と抱く手を強めてくれる。
幸せ過ぎる。

アイツの心臓の音が聞こえる。
能力で生体電流の流れを観察する。
健康そのものの流れ。強い男の生体電流。これがコイツの生きている証。

そこまで考えて飛び上がった。

「あ、あ、アンタ、能力が通ってる!」

「あ? ああ、俺の幻想殺しは右手だけだからな」

えっ? まさか?
右手を握って能力を込めてみる。使えない。本当みたい。

「じゃ、右手だけで私の電撃を捌いていたって事?」

信じられない。電撃の槍は光速だ。
光速に対応できる動物はいない。
視覚が脳に届いて理解するよりも速いのだ。
一秒間に地球を七回半回る速度の攻撃。
それを右手だけで捌ききるなんて人間業じゃない。

「いや、俺はあの橋の上以外でお前に電撃を受けた覚えは無いんだけどな」

昨日の電撃は酔ってて覚えてない訳ね。

「あ、そうだったわね。でも、確かにそれ以前に追っかけっこしていた事があったのよ。
 決闘したりしたしね。アンタは後ろ向きで逃げながらでも私の電撃を捌いていたわ。
 全身能力が通らないものだとばっかり思ってた。当ってたら大変だったわ」

ごめんなさい、大事な人を殺すところだった。
馬鹿な過去の自分に今日何度目かの涙がまた出てきた。
なんだか泣き虫になっちゃったわね。

「まぁ、当ってないから大丈夫だろ。避けたのだって勘だな。そういうのには優れているんだ、俺」

お前とのその戦闘のおかげで、勘が磨かれて今も生き残ってるのかもな。
逆に感謝しねーと、なんて言って笑う。

ここにも超人がいた。
この世に光よりも速いものは存在しない。
勘とはいえ、百発百中でその光速を捌ききる天才。
私が好きになった男は、やっぱり只者ではなかったのだ。
コイツとの子供は、やっぱり産んでみたいな、なんて思っちゃった。





145: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:57:56.98 ID:jllgfrxv0


でも、右手以外に能力が通るならば。
もしも当麻が戦闘で怪我をしても右手以外なら治せるっていう事だ。

私の能力がコイツの役に立つ。
それは歓迎しなきゃ。
今日の収穫はとてつもなく大きい。

コイツが急に優しくなって、愛を囁いたり抱いてくれたりしたのはなんだか変だってのは分かってるつもり。
いきなり裸になって迫った私が、どこかおかしいと思ったのかもしれない。
インデックスに、最近変だったって聞いていたのかもしれない。
いい加減な気持ちで手を出すようなヤツじゃないから、惚れて抱いてくれたんじゃなかったら救う為だったのかもしれない。
でもいいんだ、ちゃんと私はコイツの隣に居場所を確保した。
ずっと隣にいて、心底惚れさせてやる。


と、私の携帯が鳴った。開くとインデックスの文字。
出ると、恨めしそうな声が聞こえてきた。

「みーこーとー、もう帰ってもいいかな。自分達だけで楽しみすーぎーかーもー」

「ちょ、ちょ、ちょっと待って! あと十分、十分後に戻ってきて!」

そう言って電話を切り、慌てて飛び起きてアイツの汚れたズボンとバスタオルとタオルを掻き集めてお風呂場に向かう。
汚れたタオルとバスタオルをざざっと水で濯いで、ズボンと他の洗い物も一緒に洗濯機に放り込み洗剤を入れて稼動させて叫ぶ。

「あ、アンタも服着て! ズボンは新しいの出してね!
 インデックスが十分後に帰ってくるわよ! ベッドは調えておいてね!」

そう言い捨てて、お風呂場でどろどろの部分を洗い流して身なりを整えた。





146: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:58:36.48 ID:jllgfrxv0



――――――――――――――――――――

インデックスは戸惑っている。

みことの背中を押して部屋を出たところで、食材を抱えて帰ってきたまいかと出合った。
今、とうまとみことが話をしているから遠慮して出てきた事を話すと、一緒に待とうと誘われた。
これからビーフシチューを作るから、部屋においでと言われて土御門家にお邪魔した。

二人きりにさせたほうが良かったのか悪かったのか。
けし掛けたのは自分だ。スフィンクスを抱きながら考える。
どうせ背中を押してやらなきゃみことは告白なんてできっこない。
とうまは優しいから、それにみことの事は守る対象だから、きっと告白さえできたら受け入れて貰えるだろう。

がんばれ、みこと。
わたし達が家族になれるのは嬉しい事だ。


まいかに引っ張られて、土御門家、と言ってもお兄さんの部屋に連れて来られたのが三時くらい。

「みこと、うまくやれてるかな? 頑張ってくれたら嬉しいかも」

「御坂は強ツンデレだからなー。告白とかできたら驚いてしまうぞー」

まー、今日の晩御飯はビーフシチューだしなー。
煮込むのにも時間がかかるから出来上がったら持って様子を見に行けばいいぞー。
そう言うまいかはなんだか楽観的そうだ。
心配だなー、見に行こうかなー、なんて考えていたらおやつが出てきた。
さっきりんごを食べたばかりだけど、シュークリームは別腹。ありがたくいただいた。

そうこうしていたら時間は四時。
そろそろ呼び出しの電話のある頃かな? なんて思っていたら、猫の鳴声が聞こえてきた。
あれ? スフィンクスはここにいるのに。

「うおー!!! みーさかー! これは驚きだぞー」

「なになに、まいか、みことがどうしたの」

「シスターは知らない方がいいけど教えちゃうのだー。これはえっちな声なんだぞー」

えっ? えっ? まさかとうまがみことを襲っちゃった?
止めに行かなきゃ!
こら、まいか、止めないで!

「馬に蹴られて死んでしまうぞー。二人とも無理やりそういう事するタイプじゃないだろー。
 合意の上なら我々が干渉してはダメだぞー」

そんな事言ったって!
みことは中学生なんだよ?
してもいい事と悪い事があるのに。

「まーまー。今時、合意なら中学生も高校生も無いと思うぞー。あの御坂がここまでしてるんだー。
 これはお隣で鑑賞するしかないと思うぞー。兄貴がいないのが可哀相だけどなー」

こらまいか! 聴衆が足りないってニヤついてる場合じゃないんだよ!
とうまが理性を飛ばしてたら、傷つくのはみことなんだよ!

「シスターは御坂の強さを疑ってるのかー? 御坂が嫌だったら、この寮ごと電撃で吹っ飛ばす事もできるんだぞー。
 御坂が望んでこうなっているんだから、見守ってあげるといいと思うんだぞー」

むー。そりゃそうだけど。そうなんだけど。
納得いかない。
「あー」とか「いい」とか「うぅ」とか「おぉ」とか。
「あいうえお」か! って突っ込みたくなる声が途切れ途切れに聞こえてくる。
そうこうしているうちに声は止んだ。





147: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 08:59:25.82 ID:jllgfrxv0


「まいか、どう思うかな? わたしはちょっとやりすぎだと思うかも」

「いいんじゃないかー。まー、ここですると筒抜けなのはどうかと思うけどなー」

「そういう意味じゃなくて。姦淫は罪なんだよ」

そう言って十字を切ると、暴食はどうなるのかってまいかがいじめてきた。

「まーあれだなー。男と女の愛は最終的にはここに行き着くから仕方がないんだなー」

「だから、まだ早いって言ってるんだよ!」

ぎゃーぎゃー言い合ってると、また猫の鳴声が。
今度はかなり激しい声。

「おおおおー! いくー、だってー! みーさかー、どえっちだなー」

「え? なに? どういう意味?」

「それはなー、えっちで一番気持ちよくなっちゃったって時に言う言葉なんだぞー。
 シスターに教えてしまっていいのかどうかは知らないけどなー」

「要するに、わたしをのけ者にして二人で楽しんでいるわけだね。許せないかも。
 あとで二人ともお仕置きが必要かも」

「おー、またいくーってー、すげー、盛ってるなー御坂はー」

笑い事じゃないかも。

「みこと、やりすぎなんだよ」

頬を引き攣らせて吐き捨てる。

「頑張ってとは言ったけど、ここまで頑張るとは予想外だったんだよ」

「いやー、御坂は淫乱だったんだなー。これはいい質草を押さえたぞー。今度ナニを要求しようかなー」

これ聞いて脅迫を考えるなんて余裕があり過ぎかも。
激しい喘ぎ声が長いこと続いて、やっと静かになった時には日が沈みかけていた。

「まいか、ちょっといいかな」

「なんだーシスター。言いたいことはわかるけどなー」

まいかも少しげんなりしてるみたい。




「もうね――砂吐きそうかも」








148: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 09:01:15.70 ID:jllgfrxv0



――――――――――――――――――――


インデックスがスフィンクスを抱いて、舞夏とビーフシチューを連れて帰ってきた。

「みーさーかー、お楽しみだったなー」

「とうま! みこと! やり過ぎかも!」

え? え? どういうこと?
隣に声が筒抜けだった?
インデックスは? 隣にいたの? 聞いていたの?
当麻が一緒だからどうせ効かないと思って、能力を切っていたから気が付かなかった?

ぎゃー! 恥ずかしい! 恥ずかしすぎる! 死ぬ、死ねる!

「あんなに激しい喘ぎ声を聞いたのは初めてだったぞー」

あ、死んだ。

舞夏はへらへら笑いながら台所へビーフシチューを温めに行った。

「とうま、みこと、そこに並んで座ると い い か も ! 」






149: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 09:02:02.96 ID:jllgfrxv0



晩御飯がテーブルに並ぶまで、インデックスのありがたーいお説教が続いた。
私達はちっちゃくなって頭を垂れているしかなかった。
時々、舞夏のへらへら笑う声がその場の雰囲気を壊すのがありがたかった。

完全に私が悪い。抜け駆けどころの騒ぎじゃない。
告白できて、当麻の気持ちを聞いて、拒否されてなくて、大事だって、好きだって言ってくれただけで満足したはずなのに。
私の愛をバカにされた気がして切れてしまった。
裸になってからはもう抱いて貰う事しか考えてなかった。
背中を押してくれたはずのインデックスの事は、頭の中から飛んで行ってしまっていた。



「みこと、ほんとに取って食うとは思わなかったんだよ」

食事が始まってもインデックスのお怒りは収まらなかった。
頬を膨らませながらお説教は続く。

「みこと。とりあえずはおめでとうと言っておくんだよ。でも、でも、でも!
 過ぎたるは及ばざるが如しって言葉も覚えておくといいかも。
 で、これでわたしを仲間はずれにするような事があったら許さないんだからね」

はい、肝に銘じておきますし、インデックスさんをハブるような真似はいたしません。
ビーフシチューの味が分からない。

「とうま、みこととこんな事になったんだから、男の子なら責任って物も考えなくちゃいけないんだよ。
 明日にでもみことのご両親にお付き合いさせて貰ってますってご挨拶に行くといいかも!
 みことを捨てたり、一人で危険なところに行っちゃったりしたら許さないかも!」

ええ、ちょ、ちょっと、ご両親って。
それは早過ぎない?
そう言って慌てる私。
アイツは頬をぽりぽり掻きながら、大事にするから大丈夫だって言ってる。

嬉しいけど、インデックスも大事にして欲しいって思ってるはず。
その辺は分かってるのかな、この朴念仁は。

「みことはとうまのご両親にご挨拶するんだよ。わかってるね!」

ぎゃー! こっちにきたー!
うん、ちゃんとする。ちゃんとするけど、あんたはそれでいいの?
耳打ちすると、

「あれだけの事をしておいて、いーまーさーらー何を言ってるんだよ!
 そう思うなら告白くらいに留めておけばよかったかも!
 いいのも何もないんだよ! 二人とも子供じゃないつもりでしたのなら、ちゃんと責任は果たすべきかも!」

がおー、って叱られてしまった。
返す言葉もございません。

すっかり遅くなって、インデックスが眠くなる頃にお説教は終わった。
私達はグッタリと疲れ果ててしまった。
自業自得なんだけどさ。

「とうまはちゃんとみことを送っていくんだよ。わたしはお風呂に入って寝るけど、みことは明日もここに来る事!
 お説教はまだ終わっていないんだよ!」

終わっていないそうだ。はい、おっしゃる通りに致します。

舞夏は終始ニタニタしていた。





150: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 09:03:05.90 ID:jllgfrxv0



私達は三人で当麻の部屋を後にした。
舞夏には、これから立ち読みしに行く時には指定したマンガを買って帰るという約束をさせられてしまった。
部屋の前で舞夏と別れ、私達は手を繋いで私の寮に向かった。

「送って貰わなくても平気だったけど、手を繋いで歩けて嬉しいな」

そう言うと、これからはいつでも、な、と言ってくれる。
じわーっと幸せが繋いだ手から染み渡ってくる。

手を繋いで歩いていると、沈黙の道も悪くない。
無言で歩いていても、繋いだ手と手で会話してる気分になる。

ぽつぽつと私が話しかける。

今度、インデックスも一緒に遊びに行きたいなー。
スフィンクスも連れてピクニックとかしたいなー。
黒子も誘ってあげたら喜んで……くれるかな?
二人っきりでデートもして欲しいなー。
またえっちな事も少しはしてね、なーんて。

アイツはうん、とか分かった、とかしか言わないけど、充分会話が成り立ってる。
スルーされ続けた日々が嘘のよう。

ね、今度どこか危険なところに行く時は連れて行ってね。
私も修行して強くなってるし、役に立つと思う。
アンタは何も聞かないけど、光る鳥になって飛べるようにもなった。
これからも修行は欠かさないし、絶対ジャマしない。
そう言って握った手に力を込めた。

ああ、分かってる、って言うけどさ。
アンタ、絶対大事な人を危険なところに連れて行けない人じゃない。
ま、強引について行くしかないのよね、なんて考えているうちにもう寮の前だ。



「あのね、一つだけお願いがあるの」

アイツの目を見て言う。
アイツは、上条さんにできることなら何でもしますよー、なんておどけて言う。


「たった一日だけでいいの。一日だけでいいから私より長生きして。
 もう当麻のいない世界は考えられない。当麻のいない世界をもう二度と経験したくない。
 死が二人を分かつのが人の生きる定めなら、最期はアンタの腕の中で眠りたい」

そうしてくれたら、その日が来るまでの人生をアンタにあげる。
そう付け加えると、アイツはそっと左手で私の頭を撫でた。

「約束するよ。俺は死なない」

真剣な顔つきに戻ってアイツは誓った。

うん、これで私はアンタのモノなんだからね。
もう絶対離れてやんない。覚悟しときなさい。
頭を撫でるアイツの腕を取って下ろし、両腕を絡めてその腕にぎゅーっと抱きついた。

「えー、美琴さん? む、胸が当ってますって。もう寮の前ですよ? 上条さんも男の子ですからね。
 そんなにされたら抱きしめてちゅーしたくなっちゃいますよ?」

照れた表情でそう言うアイツ。
やってみればー。寮の前でそんな事する度胸があるなら。

そんな事したらねー

アイツの耳元で囁く





   「ちょー悦んでやる」




fin



151: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/13(日) 09:04:00.59 ID:jllgfrxv0

終わったー、くたびれたー

読んでくださった方、ありがとうございました

ガチNTRを期待していた方はごめんなさい
作者は上琴病患者でした、というオチ
いちゃエロさせたかっただけなんです、スマン

上条さんに美琴ちゃんを抱かせる為に苦労いたしました

蛇足は書くかどうか分かりません。書けなかったらHTML化依頼します

お付き合い頂いた方々に感謝しつつ、またお会いできる日を楽しみにしてます




193: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:45:32.37 ID:ZT28//0P0


寮に戻ると、寮監が立ち塞がっていた。仁王立ちってやつ?
うわー、こえー。一方通行より迫力があるんじゃないかしら。

「御坂、話がある。部屋で話そう」

ぐえー。お説教だ。
さんざんインデックスにお説教されてきて、明日も続きがあるっていうのになぁ。





194: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:46:15.82 ID:ZT28//0P0



「紅茶でいいか?」

意外と優しげな声。いったいどうしたんだろう?
寮監は私を座らせると、淹れたての紅茶の入った二つのカップを目の前のテーブルに置いた。

「あの少年が帰って来たそうだな。良かったな、御坂」

えっ? なんで知ってる訳?

「あの、寮監、何故その事を」

「当たり前だ。寮生が行方不明、帰って来たら沈み込んでで学校に行かなくてもいい。
 そんな事を言われて、はいそうですかと納得できるわけが無かろう」

寮監は、事情を詳しく聞かない以上は指示に従うわけにはいかないと統括理事会に怒鳴り込んだそうだ。
怒鳴り込んで事情を聞き出して来るあたり、この人も並みの人間では無かったという訳か。
そして、状況の変化も逐一報告させていたそうだ。

「それで御坂、明日から通常通り学校に通う、でいいんだな」

「いえ、もう少し今のまま様子を見ようと思ってます」

寮監の顔が少し険しくなった。

「何故だ。お前の心配事が消えたというのに無為にこのまま過ごすなんて認められん」

「分かってます。もちろん無為に、という訳ではありません」

先だって終結したように見える第三次世界大戦。
首謀者は、学園都市に住む自称無能力者に撃破された。
だが、世界は魔術と科学の間のしこりを残したまま混沌としている。
実際にアレイスター=クロウリーとローラ=スチュアートが健在な今、何も起こらない筈が無い。
当麻に外に出るのかと聞いた時に、目を逸らしたのも見逃してない。
であれば、私はその時に備えて鍛え上げていきたい。
そう語って聞かせた。

「しかし、それは大人のする仕事だ。学生のお前の出る幕じゃないのではないか」

「いえ。少し前、私の事を『綺麗事を言う奴』と言った男がいました。
 しかし、綺麗事ってのは正しい事ではないかと思うんです。
 その綺麗事を成す事ができる実力のある者が、何も成さずに手をこまねいているのは罪だと思います」

少し考え込むような素振りを見せて、寮監は一口紅茶を啜った。

「言いたい事は分かった。お前は頭が良くて真っ直ぐで正義感が強い。
 しかし、まだ子供だ。その正義は偏った正義かもしれん。
 そういう間違いを正してやるのは我々大人の仕事だ。
 お前は今までのように一人で何もかも抱え込まず、信頼できる大人を作って相談するようにしろ」

そうでなければ簡単にお前の言う事を認めるわけにはいかん、と付け加えた。
もっともだな、と思った。
アイツに何もかも抱え込むなって言った私が、その言葉を無視する訳にもいかないだろう。

「はい、それも分かってるつもりなんです。一人だったら私は間違えてしまうかもしれない。
 でも私の好きになった男は、偏った正義を正すような、そんな男なんです。
 もし私が間違えそうになっても、アイツがいる限り正してくれると思ってます。
 でも、これからは寮監にも相談するようにします。ありがとうございます」

そうか、あの少年も信頼されてるな。お前の期待を裏切らない男なんだろう。
自分もそういう男に巡り会ってみたい、と目を細めた。
間違いは起こすなよ、と言われて大丈夫だと胸を張った。





195: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:47:06.25 ID:ZT28//0P0



「大丈夫、か。ならば問おうか。お前、自分を苛めるように自慰に耽っていただろう」

口に含んでいた紅茶をぶーっと吹き出してしまった。
ぎゃー! 何を言い出すんだこの人は!

「ちょ、え? えっと、その、そんな事は、あの」

「分かってる。お前が苦しんでて、自分の身の置き場が無かった事もな。
 だからそっとしておいた。介入してどうにか出来るのならば即介入したが」

泣いている私を見に行けと、何度も寮生に詰め寄られたと言って苦笑していた。
そして、以前お前や白井が何度も夜に抜け出していた事も知ってて、見逃していたとも言った。

子供が間違いを犯しそうならば殴ってでも正す。
しかし、やんごとなき理由があって、それは自分達で解決せねばならぬ事である場合は見守るのが大人の務めだ。
でも助けを求めて縋って来るならば全力で助ける。
これからはちゃんと言え、言わなければ助けの手も伸ばせん、とたしなめられた。

自慰に耽って大声を出していたのを知られていたのは恥ずかしかったが、大人の本気の優しさに触れて少し目頭が熱くなった。
が、それからは苛めのようにズバリと私の行動を読まれて絶句した。

「お前、あれだけ求めていた男が帰ってきて、自分が間違いを犯さずにいられる人間だと思ってるのか?
 堂々と大丈夫ですなどと言って胸を張るんじゃない。
 あんなになってたお前の事だ、好いた男が戻ってきたら何が何でも手に入れようとするだろうが」

うう、ごめんなさい、既に間違いを犯した後なんです。
何も言えずに俯いてしまった。
しかし、何も言わない私を見て全て察してしまったみたい。
寮監はこめかみに指を当てて首を数回振った。

「今のお前にそれを止めろと言っても絶対聞かない事は分かってるつもりだったが。
 もう既に、か。遅かったかもしれんな。しかし昨日の今日とは。
 御坂、避妊はちゃんとするように。
 妊娠してはお前の望む正義を振りかざすチャンスは失われるぞ。
 それに、お前の歳ではまだ妊娠、出産は危険だ。それは分かるな?」

勘弁してください、寮監。
性行為を推奨? されても困りますって。してないか。
なんだか何でもお見通しだって言われてるみたいで、やりにくくなっちゃう。
私は顔を真っ赤にして俯いているだけだった。

「言いたいことはそれだけだ、さがっていいぞ。 こちらでも世界の動向と学園都市の出方は探っておく。
 問題が無くなった時は速やかに復学するように。いいな、御坂」

もちろんです、よろしくお願いしますと言って退室した。
自分の部屋についても耳まで染まった赤は醒めなかった。





196: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:47:49.16 ID:ZT28//0P0



おっねえっさまー♪


相変わらずの黒子が首っ玉に飛びついてきた。
お風呂上りなのか、髪も結ってなくて少し湿っている。

「まぁお姉様! まぁまぁお姉様! いったいその真っ赤なお顔はどうなさったんですの?
 ま、まさかあの類人猿がお姉様に不埒な事を? 許すまじ類人猿、やはりこの鉄針の錆に!」

違うってば、と言って宥めた。
不埒な事を仕掛けたのは私だしさ。

「えーっとね、私、アイツとお付き合いする事になったの」

えっ? と言ったきり、劇画調の姿になって口に手を当て震えてる。
うーん、いきなりすぎたか。

「ままま、まぁ、そ、それはそれでお姉様がお元気になられるのでしたらこの黒子、いささかも異を唱えるものではございません。
 とーーーーーっても不本意ではございますけどっ。
 しかし、お姉様、今夜の匂いはいつものお姉様の匂いとは違う気がいたしますの。
 あ、ま、ま、ま、まさかそんな、再会したばかりでそんな淫らな、違うと、違うとおっしゃってくださいお姉様!」

「ばばばばば、馬鹿な事口走ってるんじゃないわよ。きき、き、キス、そう、キスだけよ、うん」

「キスですってぇぇっぇぇぇえええ? もはやそこまで? お姉様の貞操は風前の灯になってしまいましたの!
 早速今から殿方のお宅に怒鳴り込んで釘を刺して来なくてはなりませんのっ」

ちょ、待ちなさい黒子、ね、ほらそんな事はしない、うん、大人になったら考えるっていうか、ね?
しどろもどろになって、シャワー浴びてくるわね、とお風呂場に引っ込んだ。

「くーろこー、テレポートで突撃してこないでよー、来たらビリビリパンチだからねー」

そう釘を刺したが、大人しくしていてくれるかな?
もー、寮監といい黒子といい、なんであんなに勘が鋭いのかしら。





197: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:48:33.98 ID:ZT28//0P0



お風呂場は、黒子が入ったばかりだからか温かかった。
曇り止めのきいた鏡の前には先程大人の女になったばかりの全裸の少女。

「見た目じゃさっぱり分からないもんね」

そりゃそうだ。いきなり胸がでかくなったり毛が生えたりしたら驚くって。
肩までのシャンパンゴールドの髪から曲線で作られた流れるような体つき、そして細く伸びた足。
これが全部アイツのモノになった。

「すごかったな」

呟いて真っ赤になる。
ホントに凄かった。
あんなに乱れちゃうなんて。
嬉しいって言ってくれたけど、やっぱり少しは引かれたかもしれないな。

この唇にキスしてもらった。
この胸を揉んでもらった。
この先っぽも吸ってもらった。
この子供っぽい股間にも手を伸ばしてもらった。
初めて触ってもらったのに、もう既にとろとろに濡らしていたんだっけ。
指も入れてもらったし、そうして、そうして。

素晴らしい瞬間だった。
瞬間が永遠に感じた。
もう手放せない。

両の頬に当てた手が熱さを感じる。
思い出すと顔が火照っちゃう。

そのまま両手が首筋を撫でながら降り、胸を揉み、乳首を摘む。
ほぉっと溜息が漏れる。
そのまま両手は脇腹を撫でながら下がって、ついには尖った陰核を捉えた。

鏡に映った少女は我ながら美しいし艶かしい。
やはり、こう見ると少し変わったかもしれない。
濡れた陰核を両手の指で弄びながら、そのまま高みに登っていった。

降りてきてから見た少女の顔は、目が潤んですっかり大人の女の顔になっていた。

「もー。あんなに乱れた後だっていうのに。いやらしい子ね、アンタは」

鏡の中の少女にそう言ってやる。
抱かれて帰ってきたばかりなのに、もう抱かれたくなってる。
でも、アイツの隣に居場所は確保したし。
きっとまたすぐに抱いてもらえるわよ、と鏡の中の少女を説得してシャワーのコックを捻った。






198: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:49:11.04 ID:ZT28//0P0

 
――――――――――――――――――――
――――――――――



アイツと抱きあってから二日が過ぎた。

毎日アイツの寮に通っておさんどんしようと思っていたのに、ここ二日間は振られっぱなしだ。
あの私を追い払った黒服の仲間達が、昼から晩まで押しかけているみたい。

朝ごはんだけしか作らせてもらってないし、お昼前には追い返されちゃう。
アイツ、学校はどうするつもりなんだろう。まぁ私もサボりっぱなしなんだけど。
インデックスはいつ両親に会いに行くのかってうるさいけど、これじゃあ行けないわよねぇ。
朝ごはん食べて彼女のお説教を聞いてるだけで午前中が終わっちゃうし。

今日は珍しく、帰り際にアイツの寮の外までインデックスが送ってくれた。
二人きりになってから、アイツがまた外に出るかもしれないと言った。
押しかけている連中との話の流れがそうなんだそうだ。
アイツを狙って魔術師が攻めて来る、か。アイツなら放っては置けないでしょうね。

アイツは私にちゃんと話してくれるだろうか。
言えない気がする。
言わないっていう事は置いて行くつもりだって事だ。
ふん、そうはいかないわよ。
ま、言わなかったら問い詰めるだけね。

いざその時が来て足手まといにならないようにしておかなくっちゃ。

あの子はどうするんだろうか。
ついて行くのか残るのか。
一緒に行きたいだろうけど、アイツが連れて行くとも思えないし。
アイツが言わない以上、私からインデックスに掛かっているであろう魔術の話を切り出すわけにはいかない。
でも、あの子を置いて私だけが無理やりついて行くっていうのもなんだか。
また抜け駆けするみたいで嫌だなぁ。悩むところだ。





199: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:49:49.45 ID:ZT28//0P0



ここ二日は午前中にインデックスのお説教を二人して頭を垂れて聞いているだけだった。
夜、寝る前に少し電話でお話するけど、ちょっと寂しいな。

けど、明日はデートしてくれるって。
インデックスが当麻の担任の先生に焼肉パーティへ誘われてお出かけなんだそうだ。

実は私と当麻も一緒に行きたいって言ったんだが、先生の部屋は先約の人達だけで満員になる狭さだそうだ。
外の焼肉屋さんでやろうよって言ったんだけどなぁ。

「満足するまでお肉を外で食べられるようなブルジョアばかりだと思ったら大間違いなんだよ。
 お家でやれば、そんなにはお金はかからないかも」

と叱られてしまった。まぁ、あんたが満足できるほど食ったらそりゃ大金が必要でしょうけど。
先生が一緒なので「奢ってあげるわよ」とは言えないし。

そういった事情で、ぽっかり空いた明日の昼から夜までの時間帯。
なんとアイツからデートに誘ってくれたのだ。

何して過ごそうかなー。お昼を外で食べて、街をぶらついてショッピングなんかしたりして。
映画なんかもいいわね。夜もムーディなレストランとかでお食事して、その後、むふふな展開が待ってたらいいな。
もー、やーらしー子。えへへ。





200: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:50:26.92 ID:ZT28//0P0



そんな訳で、昨日と今日の空いたお昼の時間帯。
能力の開発訓練の他に、ちょっとした思い付きで日記をつけることにした。

アイツがいなくなってから帰るまでの私は酷かった。

でも、そんな私をアイツは優しく抱いてくれた。
初めてだっていうのにあんなに乱れてしまって。恥ずかしいなぁ。
でも、あれって経験者だって勘違いされちゃうんじゃないかしら?
それは困る、本気で困る。

やはり、どうしてあんなに感じる身体になってしまっていたのかを説明しなきゃならない時が来るわね。
アイツがいない間に何をしてたか、忘れないようにしなきゃ。





201: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:51:04.76 ID:ZT28//0P0



そう思い立ったのがアイツに抱かれて帰ってきた翌日、つまり昨日だ。
早速PCを立ち上げて日記を書き始めた。
ウェブ上に書いたりして、誰かに見られたら大変だ。
メモ帳に書いて鍵をかけたフォルダの中に入れておけば、黒子でも見ることは出来ないだろう。
アイツにあの惨状を告白しなきゃならなくなったら、これを見せよう。
口で言うのは恥ずかし過ぎるし。

日記と言っても、アイツがいなくなってから帰るまでにしてしまったオナニーの告白だ。
書いてる時はそうでもないけど、読み返すと耳まで赤くなるほど恥ずかしい。
昨日は、初めて電車の中で「痴漢をされてる所を設定」してイッた所までを書いた。

読み返していると、恥ずかしいのも恥ずかしいけどなんだか興奮してきちゃう。
アイツが帰ってきて以来、二人目の自分は完全に引っ込んでいる。
だから、他人に犯される妄想なんかもしなくなった。
そして、日記を読んでもその妄想自体では興奮する事もない。

じゃ、何に興奮するのか。
そう、苛められて人前でオナニーしちゃった自分自身の行為に興奮するのだ。
それと、誰かに見られてる自分に興奮する。
ホントに見られたい訳じゃなくって、見られちゃったらどうしようっていうのが催淫剤になるようだ。
確かに、誰にも見られないことを確認して外で全部脱いだ事もあった。
自分自身が二人だった時も思ったけど、私ってかなりのMだ。

ナルシストってのも混じってるかもしれない。
自虐的な行いは最も醜い自惚れである、という言葉を聞いた事がある。
あの時は平常な私ではなかったとはいえ、ぴったりくる言葉のような気がする。

このメモ帳をアイツに見せたら、自虐心と羞恥心に煽られてとても興奮するんだろうなと思える。
見せるの止めようかしら。
でも見せて苛めて欲しい気もする。淫らすぎるわよ、御坂美琴。

アイツはすっごく優しいけれど、苛められたら私は滅茶苦茶になっちゃうんじゃなかろうか。
初めての時も、イクと動きを止めてしまうアイツに故意にイクと告げずに責め続けさせた。
そうして苛められてるような状況を、わざわざ自分で作って失神するまでイキ続けたんだった。

だいたい、イクとその後は敏感になりすぎて辛い感じがしてくるのに続けるところも被虐的だ。
辛いし苦しいのに、続けるとすぐにやって来るより大きい絶頂感を期待して無理やり続けちゃうし。
苛められるのが大好きなんだなーって自覚する。

アイツに苛めて欲しいかもしれない。
とはいえアイツの性格からすると、絶対苛めてくるような真似はできないと思う。
苛める事で私が悦ぶって知ってくれたらしてくれるかも。
その為には、私がドMですって教えなくっちゃならない。言える? 無理かも。

でも、抱かれてたら言っちゃうかもしれないな。つくづくいやらしい子になっちゃった。
アイツに抱かれてるところをちらっとでも思い出すと、すぐに身体が疼くようになっちゃったし。
まーあれだ、私はアイツ専用淫乱娘になってしまった訳だ。





202: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:52:45.04 ID:ZT28//0P0





そんな淫乱娘ってば、アイツに受け入れて貰って抱いて貰って大満足なくせに、あれから毎日欠かさずオナニーしてる。
アイツに抱かれて帰ってきた後にしちゃうんだから重症ね。

そして昨日、日記を読み返して興奮して、アイツに抱かれた時の事を思い出して我慢できなくなった。

それで大失敗してしまったのだ。



「御坂、出掛けないなら午後から留守番を頼めないか?」

朝、訪ねてきた寮監がそう言ってきた。

「昼前に帰るかどうか分からないんですけど。どうしてもですか?」

寮監は、そうか、ならいいと言って去っていった。
一人風邪をひいて休んでる寮生がいたからあいつに頼むか、とかぶつぶつ言っていた。

ところが残念な事に昼前にはアイツの寮を追い出されて帰ってきてしまった。
寮監がまだ出掛けてない事を確認し、留守番を引き受けた。

そして日記を書くことを思いついて、初めて自慰をした時の事から初めて電車内でした事までを書いたのだった。

その後に日記を読み返し、アイツを思い出してしたくなったのはまだ昼の二時だった。
寮には誰もいないはず。能力を使って調べた。やはり誰もいない。
私は全部脱いでベッドに潜り込み、布団をかけて能力の手でアイツにしてもらったようにしてみた。
めちゃくちゃ興奮したけど、やはり実際に抱かれてる感じの半分くらいの興奮度。
でも、それでもやっぱり気持ちいい。今までのオナニーの中では一番だ。

指でイカされ、入れて貰ってイカされ。
そうして、失神するまで突かれた時を再現してまたイッた。
快感は失神するほどではなかったけど、背が反って声が我慢できない。
反った背が戻ると、布団の中に籠もったいやらしい匂いがふわっと顔にかかって興奮が増した。
誰もいないからいいか、と、寮にア行の高い声をいろいろ変えて響かせながら繰り返し果て続けた。

気持ち良すぎて涙が溢れ、反った背が元に戻らない。
身体が揺すられる感触がする。
誰かが遠くで私の名を呼ぶ。
気持ちいい、気持ちいい、もっと突いて、当麻、大好き、愛してる。


あれ?

身体が揺すられてる? 名前を呼ばれてる?


「御坂さま! 御坂さま! 大丈夫ですか!?」

げぇっ!

なんで? どうして? 

完全に覚醒した私は、布団を剥がれたら大変だとそれの上の部分を鷲づかみにして焦る。

「先程からノックして、悲鳴が聞こえたけど大丈夫ですか? 泣いてみえるんですか? 
 そう声を掛けたんですが、お返事が無くてずっと泣いてみえたものですから、心配になってしまって」

「だ、だだだだだだ、大丈夫、大丈夫。ちょ、ちょっと悪い夢見てただけだから」

そう言ってぶるぶる震えていた。

気持ちよすぎて涙が出ていたのと、震えていたのとが幸いした。
そうですか、安心しましたとあっさり引き下がってもらえた。

よかったー。イク、とか叫んでなかったわよね。
布団めくられたら裸だし、シーツには染みができてるし、言い訳のしようがなかった。

能力の手で弄る事ばかりに集中しすぎて、他に全く能力を回していなかった。
大失態だ。
そう言えば休んでる子がいるって寮監が呟いた気もする。
私が調べた時はお出かけしていたのだろう。
どこに行ってたのかなと思ったが、問う気も失せてシャワーを浴びた。

これじゃ留守番になってないじゃないの。
もう二度と寮で全精力を使って自慰に耽るのは止めようと誓った。





203: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:53:28.83 ID:ZT28//0P0



さて、今日は朝からのお説教の後にデートの約束を取り付けたし、とっても気分がいい。
日記の続きを書こうかな。

そう思って、書き始めたんだが何か違和感。
AVに出演したのを想像したところまで書いた。

次は学校だったっけ。



授業中、突然講堂に全校生徒が招集された。
集まると、壇上に二十人ほどの男達が生徒数人と先生、それに何故かアイツに拳銃を突き付けて上がってきた。

「御坂美琴、壇上に上がれ」

そう命令されて、人質の救助と犯人の目的を知る手段をあれこれ考えながら指示に従った。

「学園都市の広告塔が地に落ちる瞬間を中継させていただこうと思ってな」

なるほど、学園都市を貶める事が目的か。
でも人質が多すぎて反撃の機会が掴めない。

壇上に上がらされて、脱げ、と命令された。
私は手を震わせながらシャツのボタンに手をかける。
ぐずぐずしていたら、早くしろと急かされた。

シャツを脱ぐ時は羞恥で手が震えたがブラを外したら開き直った。
スカートを落とし、パンツを抜いて靴下だけの姿で全校生徒の前で直立した。

友人達の哀れむ目が突き刺さって痛い。
男達は寄って来ず、アイツを含めた人質達を羽交い絞めにして頭に拳銃を突きつけたままだ。

「そのままいつもやってるようにオナニーして見せろ。
 こっちのカメラでちゃんと撮って中継してやるからよ」

私は羞恥で赤くなった身体が、これから来るめくるめく快感への期待で震えてくるのが分かった。


と、ここまで書いて違和感の原因に気がついた。
次は映画館で襲われて生上映されるシーンだ。
やっぱり私って全部「誰かに見られる」妄想をしてる。
そして、一番あさましい自分を必ずアイツに見てもらってる。
絶対に見られたくない、けど見て欲しい、いや、見られちゃったらどうしようって羞恥で興奮する訳だ。

なーるほどねー。恥ずかしいのが大好きっ子なんだ。
羞恥系Mってヤツ?
なんだかなー。

そっか、じゃぁこのメモ帳はいらないや。
直接アイツに話した方が、絶対恥ずかしいはずだもん。
いつかアイツにこれを言葉に出して伝えるのか……
身体がぞくっと震えた。





204: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:54:07.14 ID:ZT28//0P0


メモ帳をフォルダごと削除してから、PCの電源を落とした。
真っ黒になった画面に自分の顔が映る。

「アイツにあれを話すのか・・・・・・」

呟くとさっきのぞくぞくがあわ立つように全身に広がる。
机の上のPCに映った自分の顔を見ながらパンツの中に右手を突っ込んでしまった。

少し弄っただけで、陰核が期待して膨らんでくる。
若干濡れた中心部から体液を指に補給させて転がす。
硬くなった陰核は指から逃げ回り、追いかける中指がせわしなく動く。

ふっ、と声が出そうになって、左手で口を塞ぐ。
PCの画面に映るその姿がなんだか淫靡に感じて興奮が増した。
やっぱりナルシストなのかな。

十分も転がしていたら、切羽詰ってきた。
パンツの中はどろどろになってる。
もうすぐ来ちゃいそう、と思って指の動きを止めた。

指を引き抜いて見ると、てらてらと濡れて光っていた。
臭いを嗅ぐと、興奮でぶるりと身体が震えた。

黒に映った自分の顔が、もっとしてって言ってるように見える。
そうだ。前にオナニーしてる時、果てるのが惜しくなって絶頂を引き伸ばした事があった。
ちょっとやってみよう。

もう一度、指で陰核を転がす。
もう既に頂点手前まで届きそうになっていた身体は、一直線に天辺を目指す。
届きそうになる瞬間に指を外すと、あそこが名残惜しそうにひくひくと動く。
黒い画面に映った、左手で口を覆った顔がいやいやをしてる。面白い。

イキそうになって引き返す、そんな事を一時間も続けていたら、もうどうにも我慢ができなくなってきた。
目の前にアイツの顔を映し出す。この前見た、アイツのイッてる顔。
やっぱりこの瞬間はアイツの顔を見ていたいし、見ていて欲しい。
とうとう我慢するのを放棄して、陰核を押しつぶしながら頂点に登った。

山から降りてきて、パンツの中がすごい事になってるのに気がついた。
立って確かめてみると、スカートにも染みができていた。

「うわー、いやらしい」

もー、またしちゃった。
でも、焦らして焦らして、そうしてから来た頂点はかなり高いところだった。
我慢するってのもいいかもしれないなー、なんて思いながらシャワーを浴びに行った。





205: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:54:43.84 ID:ZT28//0P0


――――――――――――――――――――

白井黒子は嫉妬している

お姉様ったら、あの殿方が帰ってみえてからというもの、目の玉ハートマーク、頬はピンク色。
彼の帰ってみえた翌日には交際宣言なさるし、キ、キスなんて事まで……きーっ!
思い出したくも御座いませんのっ!

しかしまぁ、あのお姉様がここまでデレデレになってしまわれるとは。
惚気っぷりは目も当てられないほどだし、頬を赤くして思い出し笑い、と言うか思い出しニヤケが気味悪いくらい。
まさかとは思うけど、もうすること済ましちゃってるんではないんですの、と言いたくなるほどのニヤケっぷり。

「お姉様の素肌に触れるのは、電撃パンチと引き換えに得られるわたくしの特権でしたのに」

もう、悔しいと言うか切ないと言うか、この心のもやもやをどうにかしてくださいませお姉様!
しかも、しかも! お姉様の貞操の危機がすぐそこまで近付いてきてる気がする。

昨日、お買い物デートしましょ、と放課後に誘われた先はランジェリーショップだった。
そして、上下お揃いのピンクとか白とかのレースのついた、今までのお姉様では考えられないような下着を!
なんと十着も購入されて、またニヤニヤ。
わたくしから言わせれば、まだまだお子様な下着と言えるのですが、それにしても。
両側を紐で止めるようなタイプのストリングビキニが三着も混じってたのは見逃してはおりませんの。

だーれーにーそーのーひーもーをー解かせようと言うんですの、お姉様!

お姉様ったら

「なーに言ってんのよくーろこー、あんたが私に下着の趣味を考えろって言ったんじゃなーい」

と取り合っても貰えない始末。
しかも終始頬をピンクに染めてのニヤケ顔。
バレバレですわよ、お姉様。

はー。もう学校も風紀委員もブッチして監視していたい気分になってきましたの。





206: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:55:24.63 ID:ZT28//0P0



――――――――――――――――――――


さぁ、今日は待ちに待った初デートだ。
昨夜からウキウキワクワクドキドキしてあんまり眠れなかった。

途中のベーカリーで朝一番焼きたてのバケットを二本買って、と。
お野菜たっぷりとベーコンにソーセージ、ツナ缶にパスタを買ったら結構な大荷物になってしまった。
インデックスがお出掛けするまではいつも通りだし、今朝もごはん作りに行かなくっちゃ。

昨日は黒子と新しい下着も買いに行ったし。
万が一むふふな展開が待ってたって大丈夫! なーんちゃって、えへへ。

でも、デートする暇があったら両親に挨拶に行けってインデックスに言われちゃうかな。
別に行くのはいいんだけど、絶対いじられそうな気がするしなぁ。あの母だけはなぁ。
それに、戦争後のゴタゴタが終わらないと落ち着かないし。

ゴタゴタか。
この混沌とした世界の紛争の結末はどう付くんだろう。
全てが終わったらインデックスはどうするんだろう。
アイツが、彼女の敵であるはずのイギリスに帰すとは思えないし。
あの狭い寮で若い男女が二人暮らし、っていうのも何だかなぁ。


そうだ! お互いの両親に挨拶に行く時、インデックスも一緒に行って貰おう。
そうして、アイツと私とインデックスの関係とか事情とか説明して分かって貰って。
卒業したら三人で住むことを了承して貰おう。

まずはアイツとインデックスを説得するのが先よね。
バラ色の未来に期待を寄せて、アイツの部屋の呼び鈴を押した。





207: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:56:06.72 ID:ZT28//0P0


「おっはよー」

扉を開けてくれたアイツに荷物を預けて、背を向けて部屋に入るアイツの背中に顔を埋めて匂いを嗅いでやる。
うーん、いい匂い。幸せ匂い。

「こーらー、みこと、人前でいちゃつくなんてどういう了見かな」

「えへへー、ごめんごめん、すぐ朝ごはん作るから待っててね」

「いったいぜんたい、みことは毎朝のお説教をどう聞いているのかな」

だからごめんってばー、と言いながら台所に引っ込んだ。
だってさ、アイツの近くに居られるだけで嬉しくってしょーがないんだもん、とは言わなかったけど。

今朝のメニューはたっぷり野菜のシーザーサラダ、カリカリベーコンにポーチドエッグとバケットのトースト。
塩コショウで炒めたソーセージ、それとツナとスライスオニオンのパスタ。
そしてポットにたっぷりのロイヤルミルクティー。
ゆうに六人前はあるかな。

「ねー、インデックスは何時に出かけるのー?」

「二時過ぎにこもえのアパートに集合なんだよ。その後みんなでお買い物に行くんだって」

そっか、じゃあお昼をレストランでっていうのはキャンセルね。
ツナと玉ねぎ、レタスとトマトとベーコンを残して、と。後は卵は買い置きがまだあるしミルクもある。
お昼はBLTサンドとツナサンド、ふわふわオムレツサンドにでもしましょうか。

アイツに手伝って貰って、出来上がったごはんをテーブルに運んで貰う。
いやん、新婚さんみたい。きゃー。

いただきますがつがつがつ、って感じの相変わらずなインデックス。
美味いな、いい嫁さんになるぞなんてアイツに言われて真っ赤になる。
相変わらずの旗男。旗は回収して貰ったって考えていいのかしらねー。





208: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:57:57.52 ID:ZT28//0P0



「そういえば、とうまとみことはいつご両親にお付き合いの報告に行くのかな」

やっぱり来たか。

「あ、その事なんだけどさ」

今のゴタゴタが済んだら、一緒に行かないかって彼女を誘った。
きょとんとして「なんで?」と小首を傾げる姿がたまらなく可愛い。
アイツも目を細めているし、ちょっと妬けちゃうかも。

当麻もちょっと聞いてくれる? と話を切り出した。

「あのさ、インデックスにとって私ってどういう人間? 友達?」

「家族、かな」

即答。まだ恋敵って認識ではないみたい。でもそう言ってくれると嬉しいし、先の話もしやすい。

「当麻はどう?」

「恋人、じゃないのか? そう思ってるけど」

そこは家族って言いなさいよ。
ほら、彼女の目が少し険しくなってる。

「ありがと。で、当麻とインデックスはお互いどう思ってる?」

「家族、だな」

「うん、家族かも」

ですよね。

「ならさ、インデックスもそう思ってくれてるんだし、その家族の中に私も混ぜて欲しいのよ」

そして、今すぐは無理としても、卒業したら一緒に住みたい。
その為にも、お互いの家族にインデックスを紹介したい。
そう思ってるんだけど、と言って二人の顔を上目遣いに窺った。





209: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:58:43.06 ID:ZT28//0P0



「わたしは賛成かも。みことのごはんは美味しいし」

ごはんですか、やっぱりそこかよ。

「うーん、でも色々と問題があるんじゃねぇか?」

「例えば?」

「まずは未婚の男女が、しかも高校生同士で一緒に住むってヤバくないか」

却下。じゃ、インデックスと同居してるのはどう言い訳するのよ。

「それに、そうなると結局家事とかお前に押し付ける形になりそうで。お前だって学校その他で忙しいだろうし」

却下。家事は手伝ってくれたらいいし、一人暮らししてたって家事はやらなきゃならない事だし。

「家賃はどうするんだ。俺には学生寮以外で生活できる甲斐性はないしな」

「そんなのルームシェアと一緒で出し合えばいいのよ。家族って言うなら財布は一つでもいいし。
 収入に比例して出し合うって形でもいいわ」

「そうすると、お前に頼る割合が増えるしなぁ。そこを頼るっていうのは男としてどうかと思うぞ」

み-ずくさーい。よし。

「ねー、私達ってずーっと一緒にいるのよね? そこを借りだと思うなら将来返してくれればいいじゃない。
 私はもう既にアンタ達に幸せってものを貰ってるから、借りなんて思って欲しくもないけど。
 それか、家族だって認めてくれるなら財布は一つ、でいいと思うんだけどな」

アイツは「でも」とか「しかし」とか、煮え切らない態度。
これは卒業するまで説得し続けるしかないかなぁ。

「まぁさ、どっちにしたって将来の話なんだし、今すぐに結論出そうって話でもないしね。
 でも、インデックスの事は両親にも知って貰っておいた方が良くない?
 アンタのご両親が突然この寮に訪れる事だってあるかもしれないんだし、その時に言い訳を考えたってしどろもどろになるわよ。
 だったら全部事情を知ってもらっておいた方がお得よ」

「あー、まぁそれはそうかもしれないな。インデックスはそれでいいか?」

「わたしは構わないかも。わたしには両親の記憶が無いから、そういうのにはあこがれるし」

あ、しまった。そうだった。
アイツも両親との記憶が消えてる。
迂闊だった。二人を傷つけたかも。

「そうだな。うちの両親や御坂の両親がインデックスの親になる訳か。いい話じゃないか」

助け舟が出てほっとする。
コイツ、私が一瞬ひるんだのが分かったのかしら。

「じゃ、決定ね。今のゴタゴタが済んだらみんなで出かけましょう」

自分で振った話題だけど、微妙な問題に気が付いて打ち切ってしまった。
当麻の機転に感謝する。
こういう機転が利く人じゃなかったはずなんだけど、どうしちゃったんだろ。
この前から、私にだけは気が利くし優しい。
愛されてるから? だけどそれだけじゃない気がするな。

でも、とりあえずは今日ここを出る事は無くなった訳だし。
デートの事に頭を切り替えましょう。





210: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:59:22.77 ID:ZT28//0P0




お昼を食べて片付けて、朝干した布団を取り込んでからアイツの先生のアパートに三人揃って向かった。
アパートに着くと、玄関先で灰皿を抱えた幼女がタバコをふかしていた。

「あ、小萌先生、今日はよろしくお願いします」

アイツが幼女に声を掛けた。
え? 先生? どう見ても小学生だけど?
学園都市には謎が多い。

「そちらにみえるのが御坂美琴さんですかー? 先生にも上条ちゃんの初めての彼女さんを紹介して欲しいのですよー」

「御坂美琴です、はじめまして」

え?
なんか彼女って言わなかった?

「あー、すまん御坂。昨日電話で焼肉パーティーに彼女と参加したいって言っちゃったんだ」

ひゃー! か、彼女って紹介されちゃった!
うー、嬉し恥かし、ね。ううん、すごく嬉しい。

「上条ちゃん、御坂さんと言えば常盤台の超電磁砲と呼ばれるくらいの凄い人じゃないですかー。
 いったいどうやってたぶらかしたのですかー?」

「あ、いえ先生、私がコイツに先に惚れて追っかけてたんです」

そう私が口を挟んだ。

「え? そうなのですかー。こう言ってはなんですが、上条ちゃんって結構なおバカさんなのですよー。
 御坂さんに釣り合うとは思えないのですけどねー」

あれ? ちょっと棘がある?

「あら、御坂美琴じゃない。この前の険しい顔とは大違いね。乙女な顔もできるんじゃない」

「あの上条君を。篭絡するとは。独占は許さない」

あれ? あれ? 囲まれた?
なんで? 結標淡希? こっちの人はたまに当麻と一緒にいる黒髪美人じゃない。

「上条ちゃんはこう見えて人気者なのですよー。みんな御坂さんのライバルなんですねー。
 油断大敵なのですー」

はー。旗男体質の犠牲者どもだったか。

「負けませんから」

天使の笑みを返してやる。

「おいおい、先生まで、そんなにからかわないでくださいよ。さぁ、挨拶が済んだら行こうぜ」

アイツが割って入ったのを期にインデックスの傍まで逃げた。
こっそりと「ライバルがいっぱいね」と囁くと、とうまは気がつかないから大丈夫と言われた。
ふーん、気がついたらどうなるんでしょーねー。

「これ、持って行きなさい。自分の食べる分くらいは払うのよ」

影でこっそりマネーカードを渡して、アイツの元に駆け寄り、二人して頭を下げてそこを辞した。





211: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 10:59:58.76 ID:ZT28//0P0



「モテモテじゃないの、やっぱし」

「ちげーよ。からかって喜んでただけだって」

相変わらず女心の欠片もわかんないヤツ。
でも私には優しいよね。
少し顔を曇らせるだけで気がついてくれるし。
どうしちゃったのよ、アンタ。


それから、街をぶらついて時間を潰した。
というか、手を繋いでうろうろしているだけで楽しすぎて、時間の過ぎるのを忘れてしまった。
アクセサリーとかの小物を売ってるお店では、髪留めをプレゼントしてくれた。
アイツからの初めてのプレゼント。
小躍りするくらい嬉しくて、少し涙が滲んできちゃった。
アイツにお願いして付けて貰った時は、ホントに一筋涙が溢れてしまった。

「夕食、どうしようか。美味しいお店、知ってるけど」

「あー、俺にはそんなに高いお店は似合わないしなぁ。それに、予算もさ」

いいのに、そんなの。財布は一緒、じゃなかったの?
そう拗ねてみせても、でもなー、やっぱりなー、とぶつぶつ言ってる。

「じゃ、当麻の良く行くお店に行きたいな。外のどこにいつも行ってるのか知りたいし」

「ええっ? でも俺の行く店なんてお嬢様の出入りするような場所じゃねえぞ」

「いいの。それに私はお嬢様なんかじゃないし。私はね、当麻のか、彼女なんだから、ね」

「お、おお、そうだな。ちょっと歩くけど、学生の晩飯を安く出す店があるんだ。
 焼肉定食五百円、御飯と味噌汁おかわり自由、って店なんだけど行ってみるか?」

「うん、行ってみたい!」

そう言って腕を取って、街中を歩く。端から見たら恋人同士っぽいかな。
我ながらだらしない顔してるのが分かる。ずっとこうしていたい。
でも、きっとコイツは行ってしまう。やっぱり連れて行かないつもりなのかなぁ。





212: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 11:01:48.72 ID:ZT28//0P0



「ところでさ、インデックスにかかってる魔術、どうする事にしたの?」

思い切って聞いてみた。
これを聞けば、もしかしたら外に戦闘に出るかもって教えてくれるかもしれない。

「いろいろ考えたんだけどな。完全に平和になるまでは今のままがいいと思う」

「でも、あの子だって、知ったらきっと力になりたいって言うわ」

「まずは聞いてくれ」

とりあえず、魔術がかかってるかどうかも分からない。
解いたらどうなるのかも分からない。
調べる為には、強力な魔術師の協力が必要だが、自分の知り得る協力してくれそうな魔術師はイギリス所属だ。
もしも魔術が使えるようになったら、引き戻されるだろう。

それに、そんな強大な力を持った魔術師が生まれたらどうなるか。
もしかしたらインデックスは世界中の魔術師を敵に回してしまうかもしれない。
科学側も黙ってないかもしれない。
現状でそんな危険な賭けは犯せない。

真剣な顔でそう語った。

理解できる。コイツは大事な人を危険に晒す事を一番嫌う。

私もそうかもしれない。
戦場に行けば、個人戦なら絶大な能力を持つテレポーターである黒子。
連れて行けるか、と問われたら行けないだろう。
以前ハッキングした時に私を撃退した守護神。
あれは多分、初春さんだろう。
戦場の情報戦では、私と並んで強力な武器になる。
連れて行けるか? 行ける訳ない。

コイツに連れて行って欲しいと思ってる自分は、コイツと同じように連れて行けない人だった。
やっぱりコイツに連れて行けというのは我侭なんだろうか。
戦場に送り出して、無事を祈って待ってるのが正解なんだろうか。

それは無理ね。
守るって決めたんだし、こいつの傍からはもう離れられない。

「そう、分かった。それが一番かもしれないわね。
 でもさ、もしも戦いに出るならちゃんと私には言ってよね」

ちゃんと言うから大丈夫、と笑うけど。
嘘吐きめ。
言えないでしょ、アンタは。
私と一緒だもん。

夫婦は長く一緒にいると似てくるって言うけど、私達はもう既に似てるわね。
そう思ったらなんだか今は許せる気がした。





213: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 11:02:33.52 ID:ZT28//0P0



「ずっと三人でいられたらいいね」

そう言ってアイツの先を歩く。ああ、そうだなと言うアイツが愛しい。
でも、どれだけ頑張ってもあと百年も一緒にいられない。
人生って長いように今は見えるけど、歴史の流れの中ではほんの一瞬。
なんだかそう考えると少し寂しくなる。


「アンタは最後なんだからね。私達は絶対アンタのいない世界をもう二度と経験したくない」

頑張って生きてね、と笑いながら振り向きざまにアイツの胸にパンチ一発。

分かってるって、と言うあいつの胸に飛び込んでぎゅーっと抱きつく。
安心するなあ、この厚くて広い胸。
いい匂いがする。ちゅーしたくなっちゃう。

「お、お、ねえ、さま? まー! お姉様! 往来のど真ん中でなんてふしだらな!」

きゃっ! 黒子だ!

逃げるわよ、とアイツの手をつかんで走り出す。

「くーろこー、テレポートで追いかけて来たら電撃だからねー。寮監にはもう少し遅くなるって言っておいてねー」

「お姉様ー! わたくしの顔を見て逃げるなんてあんまりですのー!」

ごめんねー、今度埋め合わせするからー、そう言って後ろに向かってひらひらと手を振る。
くすっ。遅くなるんだってさ。ね、アンタ、どうして遅くなるって言ったか分かってる?

私達は笑いあいながら手を繋いで走り、夕闇の迫りつつある街に消えていった。





214: ◆lCKg0rpFuc 2011/11/23(水) 11:03:21.48 ID:ZT28//0P0


おしまいです
なんとか前作に続く流れができたかな

読んでくださった皆様に感謝しつつ、HTML化依頼を出してきます
もしかしたら新約三巻が出た後に何か考えて投下するかもしれません
その時は別スレ立てますので、またお会いできたら幸いです



216: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 14:28:51.75 ID:tf/ptPIMo

読みきって、そのまま前作見に行って堪能してきた
素晴らしいものをありがとうございました



223: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/24(木) 00:06:56.01 ID:6uYwaEFDO



良いスレだった


元スレ
SS速報VIP:美琴「一日でいいの」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1320745318/