1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 23:18:31.39 ID:UXxGrO7X0
P「すいませーん……誰かいますか?」
凛「いらっしゃ……あれ? プロデューサー?」
P「凛じゃないか。 バイトか?」
凛「ううん。 ここは私の家だよ」
P「そうだったのか。 いやー、実家が花屋だなんて知らなかったわ」
凛「言ってなかったからね」
P「まあ、言う必要も無いからな」
凛「うん」
※悲しくなるからネタバレはしないでね
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 23:22:44.38 ID:UXxGrO7X0
P「参ったな……」
凛「私じゃマズいのかな」
P「んー、今までもここ利用してたけど、知ってる人となったらね」
凛「秘密はバラさないよ」
P「秘密ってほどでもないんだけど、買いにくいというか」
凛「……そんな花なんてあった?」
P「誰にも言わないでくれよ?」
凛「……わかった」
P「それじゃあ、紫苑と女郎花、あと蛇結茨」
凛「それって…………わかった。 誰にも言わないよ」
P「俺用に頼んであったはずだから、予約品に無いかな?」
凛「ちょっと探してみる……あったよ」
P「ありがとう、凛」
凛「ううん……はい。 1600円ね」
P「ありがとう。 それじゃ、また明日な!」
凛「うん」
加蓮「お客さんだったの?」
凛「うん。 プロデューサーだった」
奈緒「へー、あのプロデューサーが花ねー?」
凛「…………」
加蓮「凛?」
凛「……うん、何でもないよ?」
奈緒「じゃあハナコちゃん貸して!」
凛「……ねえ、2人とも」
加蓮「何?」
凛「調べないといけないことが出来たから、手伝って」
アイドルマスター シンデレラガールズSS
『kaleidoscope』
.
ちひろ「プロデューサーさんの履歴書?」
凛「うん。 見ることって出来ないかな」
ちひろ「重要書類だし、ちょっと難しいかも知れないよ?」
凛「そっか……ごめんなさい」
ちひろ「プロデューサーさんに許可取ってみる?」
凛「うーん……ちょっとそれはいいかな……」
ちひろ「あれ? プロデューサーさん、どうしたんですか?」
凛「え?」
凛「え?」
P「ごめんなさいちひろさん、明日の引継ぎをしておこうと思いまして」
ちひろ「今からですか? 大丈夫ですよ」
P「凛? どうしたんだ?」
凛「ううん。 プロデュサーって明日オフだよね?」
P「我侭言って取らせてもらったんだ」
凛「そっか……」
ちひろ「プロデューサーさん? じゃあ始めましょうか」
P「わかりました。 というわけで凛、また後でな」
凛「うん」
――――――
―――
―
凛「明日なんだけどさ」
奈緒「何だ藪から棒に」
凛「予定何かある?」
加蓮「明日はオフだよ」
奈緒「アタシも」
凛「じゃあ、9時に○○駅前集合ね」
加蓮「調べることの件?」
凛「うん。 プロデューサーを尾けるよ」
奈緒「はあ?」
凛「乗る?」
加蓮「うーん……気にならないって訳でもないし……」
奈緒「乗った!」
加蓮「えー……じゃあ、私も行くかな」
凛「わかった。 お金は多めに用意しておいてね」
奈緒「ところで、プロデューサーの家わかってるのか?」
凛「エナドリ10で手を打ったよ」
加蓮「えっ」
つぎのひ
凛「おはよう」
加蓮「おはよー」
奈緒「おっす」
凛「じゃあ、行こうか」
加蓮「探偵ごっこみたいだね」
奈緒「そんな高尚なもんじゃないと思うけどなー?」
凛「いいから。 行くよ」
加蓮「うん」
――――――
――――
――
凛「ここだよ」
奈緒「ふっつーのマンションだな」
加蓮「まだそんなに事務所も大きいわけじゃないし、仕方ないんじゃない?」
凛「そろそろ出てくると思う」
加蓮「何でそんなことわかるの?」
凛「勘」
奈緒「勘ってねぇ……」
P「…………」
加蓮「あ、本当に出てきた」
奈緒「嘘っ! 手に持ってるのは……花束?」
凛「そうだと思う。 うちで買ったやつだよ」
加蓮「じゃあ凛は何の花を買ったか知ってるんだ?」
凛「うん。 でも、それはいいじゃない」
奈緒「まあいいか。 見失っちまうぞ?」
凛「急ごう」
・
・
・
凛「駅?」
奈緒「電車かー、切符をよく見てないと買うの間違えたら大変だぞ」
加蓮「でも今の時間なら××行きと環状線しかないよ?」
凛「多分××行きだと思う。 環状線で行ける範囲なら一日休みいらないと思うし」
奈緒「××って……」
凛「乗り換え、か」
P「…………」
奈緒「あまり近くに座らないほうがいいよな」
凛「そうだね」
加蓮「ちょっと目的地に着いたら起こしてね……」
奈緒「おいい?」
凛「ちょっと私も寝るね、降りそうになったら起こして」
奈緒「凛まで……ったく」
『終点××~ ××です。 △△線へのお乗換えは3番ホームです』
奈緒「起きろって! もう!」
凛「ごめん……」
加蓮「……Pさんは?」
奈緒「もう降りたよ! 早く追うぞ」
凛「うん……」
加蓮「乗り換えて……」
凛「やっぱり△△に行くんだ……」
加蓮「やっぱり?」
凛「うん、プロデューサーの履歴書見たらさ、出身地が××だったんだよ。 だから、その先の△△って可能性もあるんだ」
奈緒「あれ? でも△△って」
凛「そうなんだよね」
奈緒「調べてみたけど、とっくに廃村になってるよな?」
加蓮「廃村?」
凛「うん。 私も調べてみたんだけどね、15年前に廃村というか、ダムの下になってるんだ」
奈緒「てことは……プロデューサーはダムを見に行ったのか?」
凛「そうじゃないと思う」
加蓮「とりあえず△△駅はこの路線の終点だから、ゆっくり出来るね」
奈緒「それもそうだな、じゃあ寝るぞ」
加蓮「お菓子でも食べようか」
凛「そうだね」
奈緒「アタシも食べる」
凛「寝ないの?」
奈緒「食べる」
『終点△△~ △△~』
凛「着いた」
奈緒「空気がおいしいなー、流石田舎は違う」
加蓮「療養で来たことある所に似てる雰囲気だなぁ」
P「…………」
奈緒「無人駅を出て、ダムの方か?」
凛「うん、あっちのほうが△△村の方みたい」
加蓮「ねえ、凛?」
凛「何?」
加蓮「もしかして、結構歩く?」
奈緒「あー……加蓮はまだ体力が充分じゃないからな……」
加蓮「いざとなったら休むから大丈夫だよ」
凛「辛くなる前に言ってよ?」
加蓮「うん……よし、行こう」
・
・
・
加蓮「△△霊園?」
凛「やっぱり……」
奈緒「墓参りか?」
凛「そうみたいだね」
加蓮「これは邪魔したらだめでしょ……」
奈緒「同じく」
凛「出来る限り近くまで行くよ」
奈緒「本気か!?」
凛「うん」
加蓮「どうしてそこまでするのさ?」
凛「プロデューサーさ、去年も同じ日に休みを取ってるんだ」
奈緒「だから?」
凛「もしかしたら、とても大事な日なのかもしれないと思って」
奈緒「や、だからってさ」
加蓮「ああ……そうこういってる間に着いちゃった……」
P「…………」
凛「花を添えた……」
加蓮「何しゃべってるのかな……聞き取れないや」
奈緒「押すな押すな頼むから」
ぱき
P「!?」
奈緒「あ」
加蓮「~~~!」
凛「はぁ……」
P「お前ら……こんなところで何してる……いやわかるけども」
凛「ごめん、プロデューサー」
P「尾けてきたか……」
奈緒「こんなことだとは思わなかったよ」
加蓮「なんというか……ごめん」
P「まぁいいや……さ、帰ろう」
凛「もういいの?」
P「ああ……いいんだ」
凛「プロデューサー……」
P「さ、駅に戻ろう。 次を逃すと3時間後だぞ?」
加蓮「え」
奈緒「3時間は勘弁! さっさと戻ろう」
凛「…………」
奈緒「りーんー?」
凛「ごめん、すぐ行くよ」
・
・
・
凛「ねえ、プロデューサー」
P「なんだ?」
凛「あの花は、誰に向けたものなの?」
加蓮「凛!」
奈緒「お前何馬鹿聞いてんだ!」
P「…………」
凛「私は花屋の娘だよ? 花言葉くらい知ってる」
P「…………はぁ……」
加蓮「いや、言わなくていいからね?」
奈緒「そうだぞ? いくら凛に聞かれたからって、言う必要は」
凛「あるよ」
加蓮「凛……一体どうしたのさ……」
凛「誰に当てたものなの? 家族?」
P「わかったわかった……仕方ないな……」
奈緒「Pさん、いいのか?」
P「いいよ……」
凛「…………」
P「ふう……じゃあ、少し昔話をしようか」
~15年前 1月25日~
p「え? おひっこし?」
母「そうなのよ。 国の方針でね、村が無くなっちゃうの」
p「えー? ぼく、ここすきだよ?」
父「パパもこの村は好きだよ。 でも決まっちゃったことなんだ」
p「ねーねー、おひっこしするのはわかったけど、ここにはいつまでいるの?」
父「ギリギリまでいるさ、そうだな……3月20日までかな」
p「さんがつはつかだね! わかった!」
父「うんうん、いい子だな」
p「にへへー」
~△△公園~
p「……おひっこしかぁ……」
「…………」
p「××村におひっこししたら、おともだちいっぱいできるかな……」
「…………」
p「あれ?」
「……なに……?」
p「こんにちは!」
「……こんにちは……」
p「あそんでるの?」
「……ううん……」
p「じゃあ、何をしてるの?」
「……そらを……みてるの……」
p「おそら?」
「……うん……」
p「うわぁ! きれいだね!」
「……そうね……」
p「ぼくはpっていうんだ! きみは?」
「……わたしは……―――……」
・
・
・
p「じゃあぼく、きょうはかえるね!」
「……ええ……」
p「あしたもここにいる?」
「……いるわよ……」
p「あしたもくるから、いっしょにあそぼうね!」
「……いいわ……」
p「じゃあね!」
「……さようなら……」
~1月31日~
「…………」
p「こんにちは!」
「……こんにちは……」
p「きょうもさむいね!」
「……ふふ……そうね……」
p「なにしてあそぶ?」
「……おそらを……みましょう……」
p「うん!」
・
・
・
p「じゃあまたね!」
「……ええ……」
p「こんどはあさってにくるね!」
「……わかった……」
p「ばいばい!」
「……さようなら……」
~2月10日~
p「――ちゃんは、どうしておそらをみてるの?」
「……ほんとうは……おほしさまをみるのがすき……」
p「おほしさまはよるじゃないとみられないよ?」
「……だから……おひるは……おそらをみてるの……ほら……」
p「あ! うっすらおつきさまがみえる!」
「……うん……」
p「おひるにおほしさまをみるにはどうしたらいいのかな?」
「……あるわよ……」
p「ふぇ?」
「……こんど……もってくるわ……」
~2月12日~
p「なにそれ?」
「……やくそく……」
p「あ! おほしさまがみられるやつ?」
「……はい……」
p「うわぁ! きれい!」
「……ふふ……」
p「おほしさまみたい!」
「……よかった……ふふ……」
p「これ、なんていうの?」
「……万華鏡……よ……」
p「まんげきょう?」
「……そう……よ……」
p「こんなきれいなのしってるなんて――ちゃんすごいね!」
「……ふふ……」
・
・
・
p「じゃあ、またね!」
「……さよなら……」
~3月1日~
p「え、さきにおひっこししちゃうの?」
「……ええ……」
p「そっかぁ……さみしいなぁ……」
「……わたしも……さみしい……」
p「じゃあ、こんどあったときにたからものをこうかんしよう!」
「……いいわ……」
p「またあした!」
「……ばい、ばい……」
~3月3日~
p「はい! これ!」
「……これは……?」
p「えっとね、『すてんどぐらす』っていうんだ!」
「……?」
p「たいようさんに、すかしてみて!」
「……きれい……」
p「せろはんを、いろんなかたちにきりとってペタペタはるんだよ!」
「……ありがとう……だいじに……するね……」
p「うん!」
「……わたしからは……これ……」
p「あ! まんげきょうだ!」
「……うん……あげる……」
p「ありがとう!――ちゃん!」
~3月9日~
p「――ちゃん、あしたおひっこしなの?」
「……うん……あした……」
p「いっしょにあそぶのはさいごなんだね……」
「……うん……」
p「きょうはなにをしてあそぼう?」
「……いっしょに……おそらをみましょう……」
p「うん!」
・
・
・
p「ねえ、――ちゃんのたんじょうびっていつ?」
「……3がつ25にち……」
p「そっかぁ」
「……ねえ……たんじょうびのおはながあるの……しってる……?」
p「たんじょうびのおはな?」
「……うん……いちにちいちにちに……それぞれおはながあるの……」
p「へぇ! ――ちゃんのおはなは?」
「……じゃけついばら……」
p「え? じゃけつ……?」
「……じゃけつ……いばら……」
p「じゃけついばら? むずかしいおなまえだね」
「……おぼえててね……おねがいだから……」
p「うん!」
「……もう……かえらなきゃ……」
p「そっかぁ……また! あおうね!」
「……うん……また……ね……」
~現在~
P「こんな感じかな……」
凛「……」
P「それから毎年、蛇結茨を花屋さんに無理言って取り寄せて貰っては、あそこに手向けてたんだよ」
凛「いつか、会えるように?」
P「それもあるけど、約束を覚えててくれたらいいなって」
奈緒「会えなくても、いいのか?」
P「うーん……会えるなら会いたいけど。 名前覚えてないんだよなぁ……」
加蓮「それ大失態だよね……」
P「言うなよ……」
奈緒「またどうしてお墓なんだ? もっと解りやすいところないか?」
P「元村にいた人間が、一番用事があるのはお墓だと思ってね」
加蓮「なるほど……じゃあ、あれは誰のお墓なの?」
P「あれは、記念碑だよ?」
凛「そっか……だから手も合わせてなかったんだね」
P「そういうことだ。 うちは墓も引っ越しちゃったからね」
凛「……プロデューサー」
P「何だ?」
凛「会えるよ、きっと」
P「……だと、いいよな」
――――――
――――
――
~同日夜 △△霊園~
「……あった……」
「ふふ……今年も……よかった……」
「……名前は……やっぱり思い出せないわね」
「でも……今年は……蛇結茨だけじゃない」
「……この花は……?」
「……帰ったら……調べましょう」
「……いつか……会えるかしら」
数日後
P「只今もどりましたー」
ちひろ「お帰りなさい」
P「今日は大収穫ですよ!」
ちひろ「ティンとくる子がいましたか!」
P「はい! 明日皆に紹介します!」
凛「新しい人?」
P「ああ! お前らよりは年上だけどな」
奈緒「先輩なのに年下って……不思議な感じだな」
P「美人さんだぞー?」
加蓮「美人じゃなくて悪かったねー」
P「いやいや! お前らは可愛いし!」
凛「そういうことにしといてあげるよ」
P「信用されてねぇ!」
奈緒「あはははは!」
~次の日~
P「おはよいーす」
凛「朝の挨拶くらいちゃんとしようよ……おはよう」
加蓮「おはよう」
奈緒「おはよう、Pさん」
P「早速だが、今日から所属のアイドル候補生を紹介する!」
凛「来たね」
加蓮「さてどんな人が来るのかな」
奈緒「検討がつかないな……」
P「どうぞ」
「…………」
加蓮「うわ何あの人……めっちゃ美人……」
凛「強敵が……」
奈緒「すごい雰囲気の人が来たな……」
P「あ、自己紹介お願いします」
のあ「……高峯のあよ……よろしくね……」
凛「私は渋谷凛。 よろしく、高峯……さん?」
加蓮「私は北条加蓮」
奈緒「神谷奈緒。 よろしく」
のあ「……私の事は……名前呼びで構わないわ……敬語も必要ない」
P「というわけで、高峯のあさんだ。 仲良くしろよ?」
奈緒「言われなくても仲良くするって」
のあ「……ふふ……楽しそうな人たちね……P?」
P「はい。 いい子達ばかりなんですよ」
のあ「……あなたが……スカウトしたの?」
P「そうですね、シンデレラガールズプロジェクトがそういう企画なので。 他薦も可能ですよ」
のあ「……そう……それで、私はどうしたら」
P「さすがに初日からレッスンというわけにもいきません。 凛達のレッスン見学します?」
奈緒「んな!?」
凛「いやちょっとプロデューサー……私達まだ見せられるレベルじゃないけど?」
P「いいんだって、ただ見てもらうだけなんだから」
加蓮「えー」
P「えーじゃない。 んじゃ移動ー」
・
・
・
凛「うーん……動きが合わない……」
奈緒「加蓮、足が逆だよ。 右足から下がるんだ」
加蓮「うわ、ごめん」
トレーナー「それじゃ、もう一回通してみましょうか」
P「今日はダンスレッスンですね。 グループでのダンス指導です」
のあ「……ハードね……」
P「いきなりこのレベルはさせませんよ? まずは柔軟や体操から、基本ステップですね」
のあ「……足を引っ張るつもりは無いわ」
P「頼もしいです」
・
・
・
加蓮「流石に……体力が持たない……」
P「加蓮はここから休憩な。 凛と奈緒は引き続き頼みます」
トレーナー「わかりました」
凛「いいな、私も休憩したい」
奈緒「同じく」
トレーナー「はいはい! 愚痴は終わってからね!」
奈緒「やるしかないかー」
凛「うん」
加蓮「ぜー……はー……」
P「お疲れ」
加蓮「うーん……中々思う通りにはいかないね……」
P「仕方ないだろ? これでも先月より持つようになってるよ」
加蓮「そっか……よかった……ふぅ……」
のあ「……ねえ……」
加蓮「……はー……はい?」
のあ「……あなたは……体力が無いの……?」
加蓮「うぐ……ずばりくるね……」
P「加蓮は元々からだが弱いんですよ。 なので基礎体力が低いのは仕方ないんです」
のあ「……そう……」
加蓮「だから足引っ張っちゃうんだよね……悔しいな……」
P「でも柔軟性と研究力は一番ですね」
加蓮「体を激しく動かすことは出来ないから、映像を見ていることが多くて。 ベッドの上でなら柔軟くらいは出来るから」
のあ「……あなたは……」
加蓮「はい?」
のあ「……強いわね」
加蓮「……は?」
のあ「……ハンディキャップにも真正面から立ち向かう……そういう子は好きよ」
加蓮「……あはは……」
P「褒められたんだから素直に受け取っておけよー?」
加蓮「真正面から褒められるのは慣れないよ……」
のあ「……ふふ……」
P「……え……?」
のあ「……何?」
『……ふふ……』
P「いえ……」
のあ「……そう」
凛「……」
トレーナー「凛ちゃん! 余所見しない!」
凛「……ごめんなさい」
加蓮「……凛……?」
・
・
・
P「只今戻りましたー」
奈緒「やっと座れるー」
P「三人ともお疲れ様」
奈緒「今日はちょっとハードじゃなかったか?」
P「厳しくするように頼んでおいたからなー」
奈緒「うわー……」
P「ほらほら、後輩の前でヘタるのかー?」
奈緒「後輩ったってさー、年上じゃんか」
P「だから何だってんだ?」
奈緒「ぐ……」
凛「…………」
加蓮「凛?」
凛「…………」
加蓮「凛ってば!」
凛「……ごめん、聞いてなかった」
加蓮「別に何の話もしてないけどね」
凛「そう……」
加蓮「どうしたんさー、レッスンも途中から集中してなかったでしょ」
凛「うん……」
加蓮「プロデューサーばかり見ちゃって……」
凛「っ……そういうのじゃ、ないから」
加蓮「そういうのって?」
凛「……なんでもない」
加蓮「ふーん」
凛「何?」
加蓮「悩んでるなら、相談してね?」
奈緒「そうだぞー? アタシらは友達じゃんか」
凛「奈緒? プロデューサーと話てたんじゃ?」
奈緒「Pさんなら、のあさんと話してるよ」
P「……!……?」
のあ「……。……」
凛「……そっか」
奈緒「本当にどうしたんだー? らしくないぞ?」
凛「大丈夫、何でもない……うん……」
それから少しして
加蓮「のあさーん」
のあ「……何?」
加蓮「これから凛奈緒とお茶しに行くんだけど、のあさんもどう?」
のあ「…………」
加蓮「あ、予定があるなら別にいいんだ」
のあ「……無いわ、一緒させてもらうわ」
加蓮「んじゃ、行こう」
のあ「……ええ」
・
・
・
加蓮「のあさんの誕生日って3月25日なんだ?」
凛(3月25日の誕生花って……)
のあ「……ええ……過ぎたばかりね……」
凛「もうちょっと前に会ってたら、事務所でパーティーでも出来たのにね」
のあ「……そんなことまでするのね」
加蓮「あの事務所は本当にアイドルを大切にしてくれるよ」
奈緒「無理してる時もある気がするけどなー」
のあ「……Pは、いつも遅くまで?」
凛「うん……無理して欲しくは無いんだけどな……」
のあ「そう……」
奈緒「のあさんって、オフの日とか何をしてすごしてるの?」
のあ「……家にいることが多いわ」
奈緒「そっかー」
のあ「……後は、星を見るのが好きね」
凛「星?」
のあ「……ええ……夜に、星を眺めるのが好き」
凛「へぇ……」
のあ「……昼でも……星は見えるのだけど」
凛「……どういうことか良くわからないのだけど……」
のあ「……陽の光に負けているだけという話よ」
凛「ああ……そういう……」
のあ「今度……あなた達にも見せてあげるわ」
加蓮「へ? 何を?」
のあ「……ふふ……」
凛(蛇結茨? まさかね……)
~しばらくして~
P「のあさん、雑誌のモデルのオファーが来てますよ」
のあ「……どんな?」
P「なんでもヘッドホンのモデルだとか……どうします?」
のあ「……受けるわ」
P「わかりました」
のあ「……P……」
P「はい?」
のあ「……私は……Pの獲ってきた仕事なら信用するわ」
P「あはは……じゃあ、のあさんに似合うような仕事も沢山取ってきます!」
のあ「……ふふ……」
ばたん
のあ(……P……貴方は……貴方は私の力を引き出し、アイドルとして完璧にプロデュースし、そして……そして私の心を……)
別の日
のあ「……今日の仕事は?」
P「ひな祭りのモデルですよ……季節はずれですね」
のあ「……そうね。 でも、貴方の持ってきた仕事なら構わないわ」
P「そうですか……? 助かります」
のあ「……衣装に着替えてくるわ」
P「はい」
――――――
――――
――
のあ「……お待たせ」
P「のあさんは相変わらずサイバーな雰囲気が似合いますね」
のあ「……サイバーとひな祭りはかけ離れていると思うけど」
P「そこの違和感を無くすのが今回ののあさんの仕事です」
のあ「……私の事を買ってくれてるのね」
P「これがオファー先からのあさんが指名された理由なんですよ」
のあ「……Pは、どう思うの?」
P「俺は、のあさんなら出来ると思いますよ」
のあ「……Pがそういうなら良いわ……これは……?」
P「さげもんっていうみたいですよ? 俺も詳しくは知らないですけど」
のあ「そう……知らなかったわ……地上にも美しい星があったみたい、なんてね……」
P「……詩人ですね」
のあ「……P……」
P「はい?」
のあ「……例えば貴方が輝く星を手に入れたいのならば、私の力できっと叶えてみせるわ」
P「のあさん……?」
のあ「……それが、私の……」
スタッフ「すいませーん! 高峯さんスタンバイお願いします!」
のあ「…………」
P「あはは……」
のあ「……行ってくるわ」
P「……はい」
――――――
――――
――
凛「来たよ、プロデューサー」
P「待ってたぞ」
奈緒「あれ? のあさんは?」
P「今前半の撮影終わって衣装替えだよ」
加蓮「あちゃー、タイミング悪かったかな」
P「静かにしろよ?」
凛「わかってるよ」
奈緒「のあさんモデルの仕事多いなー、美人だもんなー……」
加蓮「それだけじゃないよ。 スタイルもいいし、誰にも真似出来ない雰囲気を出してる」
P「相変わらず加蓮の観察眼はすごいな」
奈緒「アタシたちももっと頑張らないと、後輩に示しがつかないなー」
凛「そうだね……うん」
加蓮「あ、のあさんいた」
のあ「……凛、奈緒に加蓮……どうして?」
P「こいつらも一緒に見学させてもらいますね」
のあ「……構わないわ」
奈緒「すごい格好……これって何?」
凛「さあ……? 着物ってことしかわからないけど」
P「あれ、カラコンも入れてるんですね」
のあ「……ええ……衣装に合うでしょう?」
加蓮「センスがすごい……真似できないよこんなの。 のあさんにしか似合わない」
のあ「……ひな祭りには、虹色が合う」
P「どうしてですか?」
のあ「……また今度話すわ……もう時間ね」
奈緒「のあさん、頑張って」
のあ「……ええ……」
凛「のあさん……綺麗だな……」
P「いや、本当に凄いのはここからだ」
奈緒「……へ?」
カメラマン「それじゃ、一発で決めちゃおうか」
のあ「……はい……」
加蓮「……!?」
凛「何これ……すごい緊張感……」
P「のあさんの凄い所は、周りを全て飲み込んでしまう所だ。 スタッフの人たちの表情見てみろ」
奈緒「アタシ達もそこまで余裕無いんだけど……」
加蓮「それ以上に雰囲気に飲まれちゃってるね」
P「決して生半可な仕事は許さない……いや、許されない雰囲気っていうのかな」
加蓮「……そっか、だからのあさんはすごいんだ」
P「ああ。 天性のルックス、周りを飲むほどの存在感、唯一無二の雰囲気……」
凛「……」
P「のあさんにビジュアル方面で勝てる人なんて、そういないんじゃないかな」
加蓮「……そう思う」
奈緒「……凛? どした?」
凛「……勝てないよ……こんなの……」
それより後の日
がちゃ
凛「おはようプロデューサー……何してるの?」
P「おはよう凛。 これだよこれ」
凛「万華鏡……」
P「ああ。 こうすれば名前を思い出すかも知れないからな」
凛「……そっか」
P「凛、見てみるか?」
凛「うん」
P「どうよ?」
凛「すごい……本当に綺麗……」
P「だろー? 虜になっちまうってもんだ」
凛「…………」
P「熱中しちゃったな……あ、おはようございます」
のあ「……おはよう」
凛「…………」
のあ「……万華鏡……?」
P「ええ……のあさんもどうです?」
のあ「……奇遇ね……私も持ってきているのよ……」
P「本当ですか? 綺麗ですよね」
のあ「……ええ……」
がちゃり
加蓮「眠い……」
奈緒「アタシだって眠いけど」
加蓮「はいはい、Pさんに会いたいから早起きだもんね」
奈緒「あのな……」
P「おっすお前ら」
のあ「……おはよう……」
加蓮「おはよう、Pさん。 のあさん」
奈緒「おはよーす……凛?」
凛「……おはよう。 これ、ありがとうね」
P「ああ、良かったろ?」
凛「うん、綺麗だった」
奈緒「何してたんだ?」
P「万華鏡だよ。 お前らも見るか?」
のあ「……約束してたから……」
加蓮「ありがとう、のあさん」
奈緒「お? どれどれ」
P「今の子って万華鏡見たこと無いんですかね?」
のあ「……年を取ったわ」
P「ですよね……」
奈緒「おぅ!? 何これ……」
加蓮「すごい……」
のあ「……ふふ……」
P「こうすれば、昼間も星が見られるからな」
のあ「……え?」
加蓮「……あ」
凛「……」
奈緒「……」
P「何か、おかしい事言ったか?」
のあ「……今……何て……」
P「はい?」
のあ「……先の台詞をもう一度言いなさい」
P「え、あ? のあさん、どうしたですか?」
のあ「……もう一度」
P「ええと……『昼間でも星がみられるから』……ですか?」
のあ「……」
P「のあ……さん?」
のあ「……その万華鏡を見せて……」
加蓮「え? はい」
のあ「……これは……そう……そうだったの」
P「えーと、のあさん?」
のあ「……P……」
P「はい?」
のあ「明日はオフよね」
P「ええ、のあさんもですね」
のあ「……蛇結茨を手向けていた……あの場所で待ってるわ」
P「え……まさか」
のあ「……仕事に行くわ……直帰するから……」
P「わかりました……」
凛「……」
加蓮「……」
奈緒「……」
P「……嘘だろ……?」
凛「嘘じゃないよ」
P「え?」
凛「のあさんが、Pさんの探してた人だよ」
P「マジでか……」
凛「……明日……行くの?」
P「ああ……」
凛「……そうだよね」
P「凛?」
凛「ううん、なんでもない……さ、レッスン行こう?」
加蓮「う、うん」
奈緒「わかった……」
P「……凛……」
・
・
・
奈緒「良かったのか?」
凛「うん、邪魔なんて出来ないし」
加蓮「そっか……よく我慢したね」
凛「うん……わかってたんだ」
奈緒「何が?」
凛「勝てない……って」
加蓮「凛……」
凛「さ、ビジュアルでは勝てないけど歌ならのあさんに勝てるよ、頑張ろう」
奈緒「そうだな、後輩に負けたまんまじゃ夢見が悪い!」
加蓮「うん、行こう!」
凛「プロデューサー……おめでとう……」
翌日
『終点△△~ △△~』
P「ふぅ……来ちゃったよ……」
P(蛇結茨の事を知ってたってことは、のあさんで確定だよな)
(15年ぶりか……やっと、会える……会ってるから会えるってのは変か?)
(どうにせよ、この先で結果は待ってる)
(…………いた)
のあ「…………」
P「やっぱり……のあさんだったんですね……」
のあ「……ええ……」
P「いいや……違うか」
のあ「…………」
P「15年振りだね、のあちゃん」
のあ「……15年振りね……P……」
――――――
――――
――
P「え、毎年来てたの!?」
のあ「……夜に来てたから……会えなくても不思議ではないわ」
P「俺だけ来てるの知らなかったってことじゃん……」
のあ「……毎年蛇結茨が添えてあったのは嬉しかったわ」
P「それだけは、忘れてなかったんだよ」
のあ「……それが無ければ、ここに毎年来ることも無かったわ」
P「でも、名前は忘れちゃってたんだ、ごめん」
のあ「私もよ……ごめんなさい」
P「あはははは」
のあ「……ふふ……」
P「イメージ合うわけないよ、俺の知ってるのあちゃんは茶髪だったもの」
のあ「……あれは染めてたのよ、銀髪のままだと外出は許されなかったわ」
P「道理で気付かないわけだ」
のあ「……貴方は」
P「ん?」
のあ「……昔から、変わらない」
P「そう言われると傷つくなぁ」
のあ「……褒めてるのよ」
P「そう?」
のあ「……誰とも打ち解けられずに1人でいた私は、空を見てるしかなかったから」
P「でも、楽しそうだったよ」
のあ「……今でも、空を見るのは好きよ」
P「今でも、万華鏡を見るのが好きだよ」
のあ「……何も、変わってないのね」
P「……うん」
のあ「……少し、変わったわ」
P「あの時のステンドグラス……まだ持ってたんだ」
のあ「……ええ……ずっと、持ってたわ」
P「俺も……のあちゃんから貰った万華鏡、ずっと持ってるよ」
のあ「……知ってるわ」
P「昨日見てるもんね……」
のあ「……ふふ……」
P「……ふぅ……」
のあ「……今も……そのステンドグラスから見る思い出は変わらないわ」
P「万華鏡は、いつも違うよ」
のあ「……貴方は……このステンドグラスから何が見える?」
P「15年振りか……どれどれ」
のあ「……P……」
P「何? のあちゃん」
のあ「……ん……」
P「……え」
のあ「……ふふ……」
P「……のあちゃん?」
のあ「……Pの前では……メイクをを落として、カラコンも外して、衣装も脱いだ素の私で居られるわ」
P「え? ちょっと?」
のあ「それを知るのは、貴方だけ……」
のあ「……その呼び方は……二人の時だけ……」
P「……うん」
のあ「……さあ、帰るわよ……あの子達と一緒の場所へ」
P「のあちゃん」
のあ「……何?」
P「俺も、言っておかないといけない事があるんだ」
そのまた翌日
P「おはようございます」
凛「おはよう、プロデューサー」
加蓮「おはよう、Pさん」
奈緒「おっす」
P「……凛」
凛「なに?」
P「一昨日は、済まなかった」
凛「なんで謝るの?」
P「背中を押してもらってさ」
凛「それなら、普通お礼を言うんじゃないの?」
P「……その内わかるよ……」
凛「……どういうこと?」
のあ「……おはよう……」
凛「おはようございます」
加蓮「おはようございます、のあさん」
奈緒「おはよう、のあさん」
P「おはようございます、のあさん」
奈緒「……のあ」
加蓮「「さん」?」
凛「ちょっとプロデューサー」
P「何だ何だ」
凛「付き合ってるのに「さん」付けってどういうこと?」
のあ「……付き合っている……?」
加蓮「え?」
奈緒「……嘘でしょPさん?」
P「だから謝ったじゃないか……」
凛「付き合ってないの?」
P「俺は、皆を立派なアイドルにするまでは誰とも付き合わないよ」
加蓮「え゛……」
奈緒「何それ? 何それ?」
P「そう決めたんだよ、お互い私情で仕事に力が入らないとか馬鹿らしいじゃないか」
加蓮「あきれた……」
凛「……のあさんは、それでいいの?」
のあ「……凛は、それでよかったの?」
凛「……え?」
のあ「……ばればれよ」
凛「―――!!」
P「あー、凛」
凛「な、何?」
P「知ってた」
凛「……嘘でしょ……」
P「凛に告白されてたとしても、同じ事を言ってたよ……ずるいだろうけどね」
凛「……じゃあ私は、1人で空回りしてたってこと?」
加蓮「折角いっぱい泣いて諦めたのにね?」
凛「そんなこと言わなくていい」
奈緒「あの時の凛はひどかったなー……全然泣き止まないの」
凛「奈緒……!」
のあ「……ふふ……」
奈緒「え……? 何?」
のあ「……貴女もなのね……」
奈緒「うぇ!? 違う違う!」
P「そっかー、俺は奈緒に嫌われてるのか……」
奈緒「いや嫌ってないぞ!?」
P「じゃあどうなんだ?」
奈緒「ふん!」
P「あーあ……さ、仕事に行きましょうか、のあさん」
のあ「……ええ……P……」
凛「のあさん……」
のあ「……何?」
凛「今度さ……万華鏡の作り方、教えてくれない?」
のあ「……いいわよ」
凛「わ……私も昼に、星が見たいし……」
のあ「……ふふ……」
『万華鏡ってさ、絶対に同じ模様にならないんだよ』
『だから、見てて飽きないんだよなぁ』
『のあさんが教えてくれたってのもあるけどね』
『……虹色がひな祭りに合う理由?』
『……貴方がステンドグラスをくれた日だからよ』
『……私の、宝物だから……』
.
『君を忘れない』
『3月25日に』
『約束を、守る』
.
アイドルマスター シンデレラガールズSS
『kaleidoscope』
end
終わりです
自分の中では最長記録となる長さ……
書き込みつつ読み返してたけど、設定にブレがあるね
花言葉をバラされるとオチないわけで
SRのあさんが格好良すぎて気付いたらSS書いてた
読んでくれてありがとうございました
追伸:長時間お付き合いいただきありがとうございます
長時間の支援ありがとうございました
元スレ
モバマスP「今日は花屋に行く日だった」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1350397111/
P「参ったな……」
凛「私じゃマズいのかな」
P「んー、今までもここ利用してたけど、知ってる人となったらね」
凛「秘密はバラさないよ」
P「秘密ってほどでもないんだけど、買いにくいというか」
凛「……そんな花なんてあった?」
P「誰にも言わないでくれよ?」
凛「……わかった」
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 23:26:08.18 ID:UXxGrO7X0
P「それじゃあ、紫苑と女郎花、あと蛇結茨」
凛「それって…………わかった。 誰にも言わないよ」
P「俺用に頼んであったはずだから、予約品に無いかな?」
凛「ちょっと探してみる……あったよ」
P「ありがとう、凛」
凛「ううん……はい。 1600円ね」
P「ありがとう。 それじゃ、また明日な!」
凛「うん」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 23:30:05.25 ID:UXxGrO7X0
加蓮「お客さんだったの?」
凛「うん。 プロデューサーだった」
奈緒「へー、あのプロデューサーが花ねー?」
凛「…………」
加蓮「凛?」
凛「……うん、何でもないよ?」
奈緒「じゃあハナコちゃん貸して!」
凛「……ねえ、2人とも」
加蓮「何?」
凛「調べないといけないことが出来たから、手伝って」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 23:34:29.41 ID:UXxGrO7X0
アイドルマスター シンデレラガールズSS
『kaleidoscope』
.
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 23:38:45.97 ID:UXxGrO7X0
ちひろ「プロデューサーさんの履歴書?」
凛「うん。 見ることって出来ないかな」
ちひろ「重要書類だし、ちょっと難しいかも知れないよ?」
凛「そっか……ごめんなさい」
ちひろ「プロデューサーさんに許可取ってみる?」
凛「うーん……ちょっとそれはいいかな……」
ちひろ「あれ? プロデューサーさん、どうしたんですか?」
凛「え?」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 23:42:11.58 ID:UXxGrO7X0
凛「え?」
P「ごめんなさいちひろさん、明日の引継ぎをしておこうと思いまして」
ちひろ「今からですか? 大丈夫ですよ」
P「凛? どうしたんだ?」
凛「ううん。 プロデュサーって明日オフだよね?」
P「我侭言って取らせてもらったんだ」
凛「そっか……」
ちひろ「プロデューサーさん? じゃあ始めましょうか」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 23:46:17.76 ID:UXxGrO7X0
P「わかりました。 というわけで凛、また後でな」
凛「うん」
――――――
―――
―
凛「明日なんだけどさ」
奈緒「何だ藪から棒に」
凛「予定何かある?」
加蓮「明日はオフだよ」
奈緒「アタシも」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 23:50:54.43 ID:UXxGrO7X0
凛「じゃあ、9時に○○駅前集合ね」
加蓮「調べることの件?」
凛「うん。 プロデューサーを尾けるよ」
奈緒「はあ?」
凛「乗る?」
加蓮「うーん……気にならないって訳でもないし……」
奈緒「乗った!」
加蓮「えー……じゃあ、私も行くかな」
凛「わかった。 お金は多めに用意しておいてね」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 23:53:47.35 ID:UXxGrO7X0
奈緒「ところで、プロデューサーの家わかってるのか?」
凛「エナドリ10で手を打ったよ」
加蓮「えっ」
つぎのひ
凛「おはよう」
加蓮「おはよー」
奈緒「おっす」
凛「じゃあ、行こうか」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 23:58:22.13 ID:UXxGrO7X0
加蓮「探偵ごっこみたいだね」
奈緒「そんな高尚なもんじゃないと思うけどなー?」
凛「いいから。 行くよ」
加蓮「うん」
――――――
――――
――
凛「ここだよ」
奈緒「ふっつーのマンションだな」
20: >>19 の1行目は脳内”削除”してね>< 2012/10/17(水) 00:01:08.23 ID:gWDvd4SR0
加蓮「まだそんなに事務所も大きいわけじゃないし、仕方ないんじゃない?」
凛「そろそろ出てくると思う」
加蓮「何でそんなことわかるの?」
凛「勘」
奈緒「勘ってねぇ……」
P「…………」
加蓮「あ、本当に出てきた」
奈緒「嘘っ! 手に持ってるのは……花束?」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 00:05:15.70 ID:gWDvd4SR0
凛「そうだと思う。 うちで買ったやつだよ」
加蓮「じゃあ凛は何の花を買ったか知ってるんだ?」
凛「うん。 でも、それはいいじゃない」
奈緒「まあいいか。 見失っちまうぞ?」
凛「急ごう」
・
・
・
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 00:09:10.91 ID:gWDvd4SR0
凛「駅?」
奈緒「電車かー、切符をよく見てないと買うの間違えたら大変だぞ」
加蓮「でも今の時間なら××行きと環状線しかないよ?」
凛「多分××行きだと思う。 環状線で行ける範囲なら一日休みいらないと思うし」
奈緒「××って……」
凛「乗り換え、か」
P「…………」
奈緒「あまり近くに座らないほうがいいよな」
凛「そうだね」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 00:12:53.36 ID:gWDvd4SR0
加蓮「ちょっと目的地に着いたら起こしてね……」
奈緒「おいい?」
凛「ちょっと私も寝るね、降りそうになったら起こして」
奈緒「凛まで……ったく」
『終点××~ ××です。 △△線へのお乗換えは3番ホームです』
奈緒「起きろって! もう!」
凛「ごめん……」
加蓮「……Pさんは?」
奈緒「もう降りたよ! 早く追うぞ」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 00:18:20.40 ID:gWDvd4SR0
凛「うん……」
加蓮「乗り換えて……」
凛「やっぱり△△に行くんだ……」
加蓮「やっぱり?」
凛「うん、プロデューサーの履歴書見たらさ、出身地が××だったんだよ。 だから、その先の△△って可能性もあるんだ」
奈緒「あれ? でも△△って」
凛「そうなんだよね」
奈緒「調べてみたけど、とっくに廃村になってるよな?」
加蓮「廃村?」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 00:21:20.36 ID:gWDvd4SR0
凛「うん。 私も調べてみたんだけどね、15年前に廃村というか、ダムの下になってるんだ」
奈緒「てことは……プロデューサーはダムを見に行ったのか?」
凛「そうじゃないと思う」
加蓮「とりあえず△△駅はこの路線の終点だから、ゆっくり出来るね」
奈緒「それもそうだな、じゃあ寝るぞ」
加蓮「お菓子でも食べようか」
凛「そうだね」
奈緒「アタシも食べる」
凛「寝ないの?」
奈緒「食べる」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 00:24:25.86 ID:gWDvd4SR0
『終点△△~ △△~』
凛「着いた」
奈緒「空気がおいしいなー、流石田舎は違う」
加蓮「療養で来たことある所に似てる雰囲気だなぁ」
P「…………」
奈緒「無人駅を出て、ダムの方か?」
凛「うん、あっちのほうが△△村の方みたい」
加蓮「ねえ、凛?」
凛「何?」
加蓮「もしかして、結構歩く?」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 00:28:12.74 ID:gWDvd4SR0
奈緒「あー……加蓮はまだ体力が充分じゃないからな……」
加蓮「いざとなったら休むから大丈夫だよ」
凛「辛くなる前に言ってよ?」
加蓮「うん……よし、行こう」
・
・
・
加蓮「△△霊園?」
凛「やっぱり……」
奈緒「墓参りか?」
凛「そうみたいだね」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 00:32:11.00 ID:gWDvd4SR0
加蓮「これは邪魔したらだめでしょ……」
奈緒「同じく」
凛「出来る限り近くまで行くよ」
奈緒「本気か!?」
凛「うん」
加蓮「どうしてそこまでするのさ?」
凛「プロデューサーさ、去年も同じ日に休みを取ってるんだ」
奈緒「だから?」
凛「もしかしたら、とても大事な日なのかもしれないと思って」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 00:35:33.76 ID:gWDvd4SR0
奈緒「や、だからってさ」
加蓮「ああ……そうこういってる間に着いちゃった……」
P「…………」
凛「花を添えた……」
加蓮「何しゃべってるのかな……聞き取れないや」
奈緒「押すな押すな頼むから」
ぱき
P「!?」
奈緒「あ」
加蓮「~~~!」
凛「はぁ……」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 00:39:14.94 ID:gWDvd4SR0
P「お前ら……こんなところで何してる……いやわかるけども」
凛「ごめん、プロデューサー」
P「尾けてきたか……」
奈緒「こんなことだとは思わなかったよ」
加蓮「なんというか……ごめん」
P「まぁいいや……さ、帰ろう」
凛「もういいの?」
P「ああ……いいんだ」
凛「プロデューサー……」
P「さ、駅に戻ろう。 次を逃すと3時間後だぞ?」
加蓮「え」
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 00:42:36.15 ID:gWDvd4SR0
奈緒「3時間は勘弁! さっさと戻ろう」
凛「…………」
奈緒「りーんー?」
凛「ごめん、すぐ行くよ」
・
・
・
凛「ねえ、プロデューサー」
P「なんだ?」
凛「あの花は、誰に向けたものなの?」
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 00:46:04.21 ID:gWDvd4SR0
加蓮「凛!」
奈緒「お前何馬鹿聞いてんだ!」
P「…………」
凛「私は花屋の娘だよ? 花言葉くらい知ってる」
P「…………はぁ……」
加蓮「いや、言わなくていいからね?」
奈緒「そうだぞ? いくら凛に聞かれたからって、言う必要は」
凛「あるよ」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 00:49:52.15 ID:gWDvd4SR0
加蓮「凛……一体どうしたのさ……」
凛「誰に当てたものなの? 家族?」
P「わかったわかった……仕方ないな……」
奈緒「Pさん、いいのか?」
P「いいよ……」
凛「…………」
P「ふう……じゃあ、少し昔話をしようか」
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 00:53:03.85 ID:gWDvd4SR0
~15年前 1月25日~
p「え? おひっこし?」
母「そうなのよ。 国の方針でね、村が無くなっちゃうの」
p「えー? ぼく、ここすきだよ?」
父「パパもこの村は好きだよ。 でも決まっちゃったことなんだ」
p「ねーねー、おひっこしするのはわかったけど、ここにはいつまでいるの?」
父「ギリギリまでいるさ、そうだな……3月20日までかな」
p「さんがつはつかだね! わかった!」
父「うんうん、いい子だな」
p「にへへー」
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 00:57:32.36 ID:gWDvd4SR0
~△△公園~
p「……おひっこしかぁ……」
「…………」
p「××村におひっこししたら、おともだちいっぱいできるかな……」
「…………」
p「あれ?」
「……なに……?」
p「こんにちは!」
「……こんにちは……」
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 01:02:21.54 ID:gWDvd4SR0
p「あそんでるの?」
「……ううん……」
p「じゃあ、何をしてるの?」
「……そらを……みてるの……」
p「おそら?」
「……うん……」
p「うわぁ! きれいだね!」
「……そうね……」
p「ぼくはpっていうんだ! きみは?」
「……わたしは……―――……」
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 01:06:44.66 ID:gWDvd4SR0
・
・
・
p「じゃあぼく、きょうはかえるね!」
「……ええ……」
p「あしたもここにいる?」
「……いるわよ……」
p「あしたもくるから、いっしょにあそぼうね!」
「……いいわ……」
p「じゃあね!」
「……さようなら……」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 01:10:27.49 ID:gWDvd4SR0
~1月31日~
「…………」
p「こんにちは!」
「……こんにちは……」
p「きょうもさむいね!」
「……ふふ……そうね……」
p「なにしてあそぶ?」
「……おそらを……みましょう……」
p「うん!」
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 01:13:48.98 ID:gWDvd4SR0
・
・
・
p「じゃあまたね!」
「……ええ……」
p「こんどはあさってにくるね!」
「……わかった……」
p「ばいばい!」
「……さようなら……」
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 01:18:11.45 ID:gWDvd4SR0
~2月10日~
p「――ちゃんは、どうしておそらをみてるの?」
「……ほんとうは……おほしさまをみるのがすき……」
p「おほしさまはよるじゃないとみられないよ?」
「……だから……おひるは……おそらをみてるの……ほら……」
p「あ! うっすらおつきさまがみえる!」
「……うん……」
p「おひるにおほしさまをみるにはどうしたらいいのかな?」
「……あるわよ……」
p「ふぇ?」
「……こんど……もってくるわ……」
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 01:22:05.92 ID:gWDvd4SR0
~2月12日~
p「なにそれ?」
「……やくそく……」
p「あ! おほしさまがみられるやつ?」
「……はい……」
p「うわぁ! きれい!」
「……ふふ……」
p「おほしさまみたい!」
「……よかった……ふふ……」
p「これ、なんていうの?」
「……万華鏡……よ……」
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 01:25:34.27 ID:gWDvd4SR0
p「まんげきょう?」
「……そう……よ……」
p「こんなきれいなのしってるなんて――ちゃんすごいね!」
「……ふふ……」
・
・
・
p「じゃあ、またね!」
「……さよなら……」
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 01:31:19.34 ID:gWDvd4SR0
~3月1日~
p「え、さきにおひっこししちゃうの?」
「……ええ……」
p「そっかぁ……さみしいなぁ……」
「……わたしも……さみしい……」
p「じゃあ、こんどあったときにたからものをこうかんしよう!」
「……いいわ……」
p「またあした!」
「……ばい、ばい……」
62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 01:34:59.78 ID:gWDvd4SR0
~3月3日~
p「はい! これ!」
「……これは……?」
p「えっとね、『すてんどぐらす』っていうんだ!」
「……?」
p「たいようさんに、すかしてみて!」
「……きれい……」
p「せろはんを、いろんなかたちにきりとってペタペタはるんだよ!」
「……ありがとう……だいじに……するね……」
p「うん!」
「……わたしからは……これ……」
p「あ! まんげきょうだ!」
「……うん……あげる……」
p「ありがとう!――ちゃん!」
63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 01:38:57.92 ID:gWDvd4SR0
~3月9日~
p「――ちゃん、あしたおひっこしなの?」
「……うん……あした……」
p「いっしょにあそぶのはさいごなんだね……」
「……うん……」
p「きょうはなにをしてあそぼう?」
「……いっしょに……おそらをみましょう……」
p「うん!」
・
・
・
64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 01:42:01.64 ID:gWDvd4SR0
p「ねえ、――ちゃんのたんじょうびっていつ?」
「……3がつ25にち……」
p「そっかぁ」
「……ねえ……たんじょうびのおはながあるの……しってる……?」
p「たんじょうびのおはな?」
「……うん……いちにちいちにちに……それぞれおはながあるの……」
p「へぇ! ――ちゃんのおはなは?」
「……じゃけついばら……」
66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 01:47:30.54 ID:gWDvd4SR0
p「え? じゃけつ……?」
「……じゃけつ……いばら……」
p「じゃけついばら? むずかしいおなまえだね」
「……おぼえててね……おねがいだから……」
p「うん!」
「……もう……かえらなきゃ……」
p「そっかぁ……また! あおうね!」
「……うん……また……ね……」
68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 01:52:35.88 ID:gWDvd4SR0
~現在~
P「こんな感じかな……」
凛「……」
P「それから毎年、蛇結茨を花屋さんに無理言って取り寄せて貰っては、あそこに手向けてたんだよ」
凛「いつか、会えるように?」
P「それもあるけど、約束を覚えててくれたらいいなって」
奈緒「会えなくても、いいのか?」
P「うーん……会えるなら会いたいけど。 名前覚えてないんだよなぁ……」
加蓮「それ大失態だよね……」
P「言うなよ……」
奈緒「またどうしてお墓なんだ? もっと解りやすいところないか?」
73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 01:58:58.92 ID:gWDvd4SR0
P「元村にいた人間が、一番用事があるのはお墓だと思ってね」
加蓮「なるほど……じゃあ、あれは誰のお墓なの?」
P「あれは、記念碑だよ?」
凛「そっか……だから手も合わせてなかったんだね」
P「そういうことだ。 うちは墓も引っ越しちゃったからね」
凛「……プロデューサー」
P「何だ?」
凛「会えるよ、きっと」
P「……だと、いいよな」
78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 02:03:33.09 ID:gWDvd4SR0
――――――
――――
――
~同日夜 △△霊園~
「……あった……」
「ふふ……今年も……よかった……」
「……名前は……やっぱり思い出せないわね」
「でも……今年は……蛇結茨だけじゃない」
「……この花は……?」
「……帰ったら……調べましょう」
「……いつか……会えるかしら」
83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 02:10:06.08 ID:gWDvd4SR0
数日後
P「只今もどりましたー」
ちひろ「お帰りなさい」
P「今日は大収穫ですよ!」
ちひろ「ティンとくる子がいましたか!」
P「はい! 明日皆に紹介します!」
凛「新しい人?」
P「ああ! お前らよりは年上だけどな」
85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 02:13:46.00 ID:gWDvd4SR0
奈緒「先輩なのに年下って……不思議な感じだな」
P「美人さんだぞー?」
加蓮「美人じゃなくて悪かったねー」
P「いやいや! お前らは可愛いし!」
凛「そういうことにしといてあげるよ」
P「信用されてねぇ!」
奈緒「あはははは!」
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 02:19:05.38 ID:gWDvd4SR0
~次の日~
P「おはよいーす」
凛「朝の挨拶くらいちゃんとしようよ……おはよう」
加蓮「おはよう」
奈緒「おはよう、Pさん」
P「早速だが、今日から所属のアイドル候補生を紹介する!」
凛「来たね」
加蓮「さてどんな人が来るのかな」
奈緒「検討がつかないな……」
P「どうぞ」
「…………」
87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 02:22:35.82 ID:gWDvd4SR0
加蓮「うわ何あの人……めっちゃ美人……」
凛「強敵が……」
奈緒「すごい雰囲気の人が来たな……」
P「あ、自己紹介お願いします」
のあ「……高峯のあよ……よろしくね……」
凛「私は渋谷凛。 よろしく、高峯……さん?」
加蓮「私は北条加蓮」
奈緒「神谷奈緒。 よろしく」
のあ「……私の事は……名前呼びで構わないわ……敬語も必要ない」
P「というわけで、高峯のあさんだ。 仲良くしろよ?」
92: 画像貼れる人はお願いします、何せ貼り方を知らないもんで。 2012/10/17(水) 02:27:10.45 ID:gWDvd4SR0
奈緒「言われなくても仲良くするって」
のあ「……ふふ……楽しそうな人たちね……P?」
P「はい。 いい子達ばかりなんですよ」
のあ「……あなたが……スカウトしたの?」
P「そうですね、シンデレラガールズプロジェクトがそういう企画なので。 他薦も可能ですよ」
のあ「……そう……それで、私はどうしたら」
P「さすがに初日からレッスンというわけにもいきません。 凛達のレッスン見学します?」
奈緒「んな!?」
凛「いやちょっとプロデューサー……私達まだ見せられるレベルじゃないけど?」
P「いいんだって、ただ見てもらうだけなんだから」
加蓮「えー」
P「えーじゃない。 んじゃ移動ー」
94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 02:31:09.20 ID:gWDvd4SR0
・
・
・
凛「うーん……動きが合わない……」
奈緒「加蓮、足が逆だよ。 右足から下がるんだ」
加蓮「うわ、ごめん」
トレーナー「それじゃ、もう一回通してみましょうか」
P「今日はダンスレッスンですね。 グループでのダンス指導です」
のあ「……ハードね……」
P「いきなりこのレベルはさせませんよ? まずは柔軟や体操から、基本ステップですね」
のあ「……足を引っ張るつもりは無いわ」
P「頼もしいです」
96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 02:34:55.90 ID:gWDvd4SR0
・
・
・
加蓮「流石に……体力が持たない……」
P「加蓮はここから休憩な。 凛と奈緒は引き続き頼みます」
トレーナー「わかりました」
凛「いいな、私も休憩したい」
奈緒「同じく」
トレーナー「はいはい! 愚痴は終わってからね!」
奈緒「やるしかないかー」
凛「うん」
99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 02:39:16.91 ID:gWDvd4SR0
加蓮「ぜー……はー……」
P「お疲れ」
加蓮「うーん……中々思う通りにはいかないね……」
P「仕方ないだろ? これでも先月より持つようになってるよ」
加蓮「そっか……よかった……ふぅ……」
のあ「……ねえ……」
加蓮「……はー……はい?」
のあ「……あなたは……体力が無いの……?」
加蓮「うぐ……ずばりくるね……」
P「加蓮は元々からだが弱いんですよ。 なので基礎体力が低いのは仕方ないんです」
のあ「……そう……」
加蓮「だから足引っ張っちゃうんだよね……悔しいな……」
105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 02:43:04.09 ID:gWDvd4SR0
P「でも柔軟性と研究力は一番ですね」
加蓮「体を激しく動かすことは出来ないから、映像を見ていることが多くて。 ベッドの上でなら柔軟くらいは出来るから」
のあ「……あなたは……」
加蓮「はい?」
のあ「……強いわね」
加蓮「……は?」
のあ「……ハンディキャップにも真正面から立ち向かう……そういう子は好きよ」
加蓮「……あはは……」
P「褒められたんだから素直に受け取っておけよー?」
加蓮「真正面から褒められるのは慣れないよ……」
109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 02:46:15.80 ID:gWDvd4SR0
のあ「……ふふ……」
P「……え……?」
のあ「……何?」
『……ふふ……』
P「いえ……」
のあ「……そう」
凛「……」
トレーナー「凛ちゃん! 余所見しない!」
凛「……ごめんなさい」
加蓮「……凛……?」
110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 02:50:02.54 ID:gWDvd4SR0
・
・
・
P「只今戻りましたー」
奈緒「やっと座れるー」
P「三人ともお疲れ様」
奈緒「今日はちょっとハードじゃなかったか?」
P「厳しくするように頼んでおいたからなー」
奈緒「うわー……」
P「ほらほら、後輩の前でヘタるのかー?」
奈緒「後輩ったってさー、年上じゃんか」
P「だから何だってんだ?」
奈緒「ぐ……」
111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 02:53:50.93 ID:gWDvd4SR0
凛「…………」
加蓮「凛?」
凛「…………」
加蓮「凛ってば!」
凛「……ごめん、聞いてなかった」
加蓮「別に何の話もしてないけどね」
凛「そう……」
加蓮「どうしたんさー、レッスンも途中から集中してなかったでしょ」
凛「うん……」
加蓮「プロデューサーばかり見ちゃって……」
凛「っ……そういうのじゃ、ないから」
加蓮「そういうのって?」
112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 02:58:17.95 ID:gWDvd4SR0
凛「……なんでもない」
加蓮「ふーん」
凛「何?」
加蓮「悩んでるなら、相談してね?」
奈緒「そうだぞー? アタシらは友達じゃんか」
凛「奈緒? プロデューサーと話てたんじゃ?」
奈緒「Pさんなら、のあさんと話してるよ」
P「……!……?」
のあ「……。……」
凛「……そっか」
奈緒「本当にどうしたんだー? らしくないぞ?」
凛「大丈夫、何でもない……うん……」
114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 03:02:15.92 ID:gWDvd4SR0
それから少しして
加蓮「のあさーん」
のあ「……何?」
加蓮「これから凛奈緒とお茶しに行くんだけど、のあさんもどう?」
のあ「…………」
加蓮「あ、予定があるなら別にいいんだ」
のあ「……無いわ、一緒させてもらうわ」
加蓮「んじゃ、行こう」
のあ「……ええ」
・
・
・
115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 03:06:27.66 ID:gWDvd4SR0
加蓮「のあさんの誕生日って3月25日なんだ?」
凛(3月25日の誕生花って……)
のあ「……ええ……過ぎたばかりね……」
凛「もうちょっと前に会ってたら、事務所でパーティーでも出来たのにね」
のあ「……そんなことまでするのね」
加蓮「あの事務所は本当にアイドルを大切にしてくれるよ」
奈緒「無理してる時もある気がするけどなー」
のあ「……Pは、いつも遅くまで?」
凛「うん……無理して欲しくは無いんだけどな……」
のあ「そう……」
奈緒「のあさんって、オフの日とか何をしてすごしてるの?」
のあ「……家にいることが多いわ」
116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 03:10:47.96 ID:gWDvd4SR0
奈緒「そっかー」
のあ「……後は、星を見るのが好きね」
凛「星?」
のあ「……ええ……夜に、星を眺めるのが好き」
凛「へぇ……」
のあ「……昼でも……星は見えるのだけど」
凛「……どういうことか良くわからないのだけど……」
のあ「……陽の光に負けているだけという話よ」
凛「ああ……そういう……」
のあ「今度……あなた達にも見せてあげるわ」
加蓮「へ? 何を?」
のあ「……ふふ……」
凛(蛇結茨? まさかね……)
117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 03:14:43.11 ID:gWDvd4SR0
~しばらくして~
P「のあさん、雑誌のモデルのオファーが来てますよ」
のあ「……どんな?」
P「なんでもヘッドホンのモデルだとか……どうします?」
のあ「……受けるわ」
P「わかりました」
のあ「……P……」
P「はい?」
のあ「……私は……Pの獲ってきた仕事なら信用するわ」
P「あはは……じゃあ、のあさんに似合うような仕事も沢山取ってきます!」
のあ「……ふふ……」
ばたん
のあ(……P……貴方は……貴方は私の力を引き出し、アイドルとして完璧にプロデュースし、そして……そして私の心を……)
118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 03:18:43.38 ID:gWDvd4SR0
別の日
のあ「……今日の仕事は?」
P「ひな祭りのモデルですよ……季節はずれですね」
のあ「……そうね。 でも、貴方の持ってきた仕事なら構わないわ」
P「そうですか……? 助かります」
のあ「……衣装に着替えてくるわ」
P「はい」
――――――
――――
――
119: えっと、さるがこわいかなって 2012/10/17(水) 03:23:33.81 ID:gWDvd4SR0
のあ「……お待たせ」
P「のあさんは相変わらずサイバーな雰囲気が似合いますね」
のあ「……サイバーとひな祭りはかけ離れていると思うけど」
P「そこの違和感を無くすのが今回ののあさんの仕事です」
のあ「……私の事を買ってくれてるのね」
P「これがオファー先からのあさんが指名された理由なんですよ」
のあ「……Pは、どう思うの?」
P「俺は、のあさんなら出来ると思いますよ」
のあ「……Pがそういうなら良いわ……これは……?」
P「さげもんっていうみたいですよ? 俺も詳しくは知らないですけど」
のあ「そう……知らなかったわ……地上にも美しい星があったみたい、なんてね……」
122: 貼りきったら寝る 2012/10/17(水) 03:28:10.84 ID:gWDvd4SR0
P「……詩人ですね」
のあ「……P……」
P「はい?」
のあ「……例えば貴方が輝く星を手に入れたいのならば、私の力できっと叶えてみせるわ」
P「のあさん……?」
のあ「……それが、私の……」
スタッフ「すいませーん! 高峯さんスタンバイお願いします!」
のあ「…………」
P「あはは……」
のあ「……行ってくるわ」
P「……はい」
――――――
――――
――
124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 03:32:01.14 ID:gWDvd4SR0
凛「来たよ、プロデューサー」
P「待ってたぞ」
奈緒「あれ? のあさんは?」
P「今前半の撮影終わって衣装替えだよ」
加蓮「あちゃー、タイミング悪かったかな」
P「静かにしろよ?」
凛「わかってるよ」
奈緒「のあさんモデルの仕事多いなー、美人だもんなー……」
加蓮「それだけじゃないよ。 スタイルもいいし、誰にも真似出来ない雰囲気を出してる」
P「相変わらず加蓮の観察眼はすごいな」
奈緒「アタシたちももっと頑張らないと、後輩に示しがつかないなー」
凛「そうだね……うん」
加蓮「あ、のあさんいた」
126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 03:36:49.09 ID:gWDvd4SR0
のあ「……凛、奈緒に加蓮……どうして?」
P「こいつらも一緒に見学させてもらいますね」
のあ「……構わないわ」
奈緒「すごい格好……これって何?」
凛「さあ……? 着物ってことしかわからないけど」
P「あれ、カラコンも入れてるんですね」
のあ「……ええ……衣装に合うでしょう?」
加蓮「センスがすごい……真似できないよこんなの。 のあさんにしか似合わない」
のあ「……ひな祭りには、虹色が合う」
P「どうしてですか?」
のあ「……また今度話すわ……もう時間ね」
奈緒「のあさん、頑張って」
のあ「……ええ……」
129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 03:40:49.87 ID:gWDvd4SR0
凛「のあさん……綺麗だな……」
P「いや、本当に凄いのはここからだ」
奈緒「……へ?」
カメラマン「それじゃ、一発で決めちゃおうか」
のあ「……はい……」
加蓮「……!?」
凛「何これ……すごい緊張感……」
P「のあさんの凄い所は、周りを全て飲み込んでしまう所だ。 スタッフの人たちの表情見てみろ」
奈緒「アタシ達もそこまで余裕無いんだけど……」
131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 03:45:31.55 ID:gWDvd4SR0
加蓮「それ以上に雰囲気に飲まれちゃってるね」
P「決して生半可な仕事は許さない……いや、許されない雰囲気っていうのかな」
加蓮「……そっか、だからのあさんはすごいんだ」
P「ああ。 天性のルックス、周りを飲むほどの存在感、唯一無二の雰囲気……」
凛「……」
P「のあさんにビジュアル方面で勝てる人なんて、そういないんじゃないかな」
加蓮「……そう思う」
奈緒「……凛? どした?」
凛「……勝てないよ……こんなの……」
133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 03:51:06.51 ID:gWDvd4SR0
それより後の日
がちゃ
凛「おはようプロデューサー……何してるの?」
P「おはよう凛。 これだよこれ」
凛「万華鏡……」
P「ああ。 こうすれば名前を思い出すかも知れないからな」
凛「……そっか」
P「凛、見てみるか?」
凛「うん」
P「どうよ?」
凛「すごい……本当に綺麗……」
P「だろー? 虜になっちまうってもんだ」
134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 03:55:31.37 ID:gWDvd4SR0
凛「…………」
P「熱中しちゃったな……あ、おはようございます」
のあ「……おはよう」
凛「…………」
のあ「……万華鏡……?」
P「ええ……のあさんもどうです?」
のあ「……奇遇ね……私も持ってきているのよ……」
P「本当ですか? 綺麗ですよね」
のあ「……ええ……」
がちゃり
加蓮「眠い……」
奈緒「アタシだって眠いけど」
加蓮「はいはい、Pさんに会いたいから早起きだもんね」
奈緒「あのな……」
136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 04:00:49.09 ID:gWDvd4SR0
P「おっすお前ら」
のあ「……おはよう……」
加蓮「おはよう、Pさん。 のあさん」
奈緒「おはよーす……凛?」
凛「……おはよう。 これ、ありがとうね」
P「ああ、良かったろ?」
凛「うん、綺麗だった」
奈緒「何してたんだ?」
P「万華鏡だよ。 お前らも見るか?」
のあ「……約束してたから……」
加蓮「ありがとう、のあさん」
奈緒「お? どれどれ」
P「今の子って万華鏡見たこと無いんですかね?」
137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 04:04:32.36 ID:gWDvd4SR0
のあ「……年を取ったわ」
P「ですよね……」
奈緒「おぅ!? 何これ……」
加蓮「すごい……」
のあ「……ふふ……」
P「こうすれば、昼間も星が見られるからな」
のあ「……え?」
加蓮「……あ」
凛「……」
奈緒「……」
P「何か、おかしい事言ったか?」
のあ「……今……何て……」
141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 04:08:22.64 ID:gWDvd4SR0
P「はい?」
のあ「……先の台詞をもう一度言いなさい」
P「え、あ? のあさん、どうしたですか?」
のあ「……もう一度」
P「ええと……『昼間でも星がみられるから』……ですか?」
のあ「……」
P「のあ……さん?」
のあ「……その万華鏡を見せて……」
加蓮「え? はい」
のあ「……これは……そう……そうだったの」
P「えーと、のあさん?」
のあ「……P……」
143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 04:13:36.14 ID:gWDvd4SR0
P「はい?」
のあ「明日はオフよね」
P「ええ、のあさんもですね」
のあ「……蛇結茨を手向けていた……あの場所で待ってるわ」
P「え……まさか」
のあ「……仕事に行くわ……直帰するから……」
P「わかりました……」
凛「……」
加蓮「……」
奈緒「……」
P「……嘘だろ……?」
凛「嘘じゃないよ」
146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 04:17:29.62 ID:gWDvd4SR0
P「え?」
凛「のあさんが、Pさんの探してた人だよ」
P「マジでか……」
凛「……明日……行くの?」
P「ああ……」
凛「……そうだよね」
P「凛?」
凛「ううん、なんでもない……さ、レッスン行こう?」
加蓮「う、うん」
奈緒「わかった……」
P「……凛……」
147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 04:21:16.80 ID:gWDvd4SR0
・
・
・
奈緒「良かったのか?」
凛「うん、邪魔なんて出来ないし」
加蓮「そっか……よく我慢したね」
凛「うん……わかってたんだ」
奈緒「何が?」
凛「勝てない……って」
加蓮「凛……」
凛「さ、ビジュアルでは勝てないけど歌ならのあさんに勝てるよ、頑張ろう」
奈緒「そうだな、後輩に負けたまんまじゃ夢見が悪い!」
加蓮「うん、行こう!」
凛「プロデューサー……おめでとう……」
151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 04:30:35.87 ID:gWDvd4SR0
翌日
『終点△△~ △△~』
P「ふぅ……来ちゃったよ……」
P(蛇結茨の事を知ってたってことは、のあさんで確定だよな)
(15年ぶりか……やっと、会える……会ってるから会えるってのは変か?)
(どうにせよ、この先で結果は待ってる)
(…………いた)
のあ「…………」
P「やっぱり……のあさんだったんですね……」
のあ「……ええ……」
P「いいや……違うか」
のあ「…………」
P「15年振りだね、のあちゃん」
のあ「……15年振りね……P……」
152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 04:34:13.65 ID:gWDvd4SR0
――――――
――――
――
P「え、毎年来てたの!?」
のあ「……夜に来てたから……会えなくても不思議ではないわ」
P「俺だけ来てるの知らなかったってことじゃん……」
のあ「……毎年蛇結茨が添えてあったのは嬉しかったわ」
P「それだけは、忘れてなかったんだよ」
のあ「……それが無ければ、ここに毎年来ることも無かったわ」
P「でも、名前は忘れちゃってたんだ、ごめん」
のあ「私もよ……ごめんなさい」
P「あはははは」
のあ「……ふふ……」
155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 04:38:11.31 ID:gWDvd4SR0
P「イメージ合うわけないよ、俺の知ってるのあちゃんは茶髪だったもの」
のあ「……あれは染めてたのよ、銀髪のままだと外出は許されなかったわ」
P「道理で気付かないわけだ」
のあ「……貴方は」
P「ん?」
のあ「……昔から、変わらない」
P「そう言われると傷つくなぁ」
のあ「……褒めてるのよ」
P「そう?」
のあ「……誰とも打ち解けられずに1人でいた私は、空を見てるしかなかったから」
P「でも、楽しそうだったよ」
のあ「……今でも、空を見るのは好きよ」
P「今でも、万華鏡を見るのが好きだよ」
のあ「……何も、変わってないのね」
157: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 04:44:25.23 ID:gWDvd4SR0
P「……うん」
のあ「……少し、変わったわ」
P「あの時のステンドグラス……まだ持ってたんだ」
のあ「……ええ……ずっと、持ってたわ」
P「俺も……のあちゃんから貰った万華鏡、ずっと持ってるよ」
のあ「……知ってるわ」
P「昨日見てるもんね……」
のあ「……ふふ……」
P「……ふぅ……」
のあ「……今も……そのステンドグラスから見る思い出は変わらないわ」
P「万華鏡は、いつも違うよ」
のあ「……貴方は……このステンドグラスから何が見える?」
P「15年振りか……どれどれ」
158: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 04:51:42.05 ID:gWDvd4SR0
のあ「……P……」
P「何? のあちゃん」
のあ「……ん……」
P「……え」
のあ「……ふふ……」
P「……のあちゃん?」
のあ「……Pの前では……メイクをを落として、カラコンも外して、衣装も脱いだ素の私で居られるわ」
P「え? ちょっと?」
のあ「それを知るのは、貴方だけ……」
160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 04:55:27.82 ID:gWDvd4SR0
のあ「……その呼び方は……二人の時だけ……」
P「……うん」
のあ「……さあ、帰るわよ……あの子達と一緒の場所へ」
P「のあちゃん」
のあ「……何?」
P「俺も、言っておかないといけない事があるんだ」
161: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 05:01:59.98 ID:gWDvd4SR0
そのまた翌日
P「おはようございます」
凛「おはよう、プロデューサー」
加蓮「おはよう、Pさん」
奈緒「おっす」
P「……凛」
凛「なに?」
P「一昨日は、済まなかった」
凛「なんで謝るの?」
P「背中を押してもらってさ」
凛「それなら、普通お礼を言うんじゃないの?」
P「……その内わかるよ……」
163: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 05:08:35.15 ID:gWDvd4SR0
凛「……どういうこと?」
のあ「……おはよう……」
凛「おはようございます」
加蓮「おはようございます、のあさん」
奈緒「おはよう、のあさん」
P「おはようございます、のあさん」
奈緒「……のあ」
加蓮「「さん」?」
凛「ちょっとプロデューサー」
P「何だ何だ」
凛「付き合ってるのに「さん」付けってどういうこと?」
のあ「……付き合っている……?」
加蓮「え?」
164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 05:12:23.78 ID:gWDvd4SR0
奈緒「……嘘でしょPさん?」
P「だから謝ったじゃないか……」
凛「付き合ってないの?」
P「俺は、皆を立派なアイドルにするまでは誰とも付き合わないよ」
加蓮「え゛……」
奈緒「何それ? 何それ?」
P「そう決めたんだよ、お互い私情で仕事に力が入らないとか馬鹿らしいじゃないか」
加蓮「あきれた……」
凛「……のあさんは、それでいいの?」
のあ「……凛は、それでよかったの?」
凛「……え?」
のあ「……ばればれよ」
凛「―――!!」
166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 05:16:07.62 ID:gWDvd4SR0
P「あー、凛」
凛「な、何?」
P「知ってた」
凛「……嘘でしょ……」
P「凛に告白されてたとしても、同じ事を言ってたよ……ずるいだろうけどね」
凛「……じゃあ私は、1人で空回りしてたってこと?」
加蓮「折角いっぱい泣いて諦めたのにね?」
凛「そんなこと言わなくていい」
奈緒「あの時の凛はひどかったなー……全然泣き止まないの」
凛「奈緒……!」
のあ「……ふふ……」
奈緒「え……? 何?」
169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 05:21:49.36 ID:gWDvd4SR0
のあ「……貴女もなのね……」
奈緒「うぇ!? 違う違う!」
P「そっかー、俺は奈緒に嫌われてるのか……」
奈緒「いや嫌ってないぞ!?」
P「じゃあどうなんだ?」
奈緒「ふん!」
P「あーあ……さ、仕事に行きましょうか、のあさん」
のあ「……ええ……P……」
凛「のあさん……」
のあ「……何?」
凛「今度さ……万華鏡の作り方、教えてくれない?」
のあ「……いいわよ」
凛「わ……私も昼に、星が見たいし……」
のあ「……ふふ……」
171: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 05:25:19.97 ID:gWDvd4SR0
『万華鏡ってさ、絶対に同じ模様にならないんだよ』
『だから、見てて飽きないんだよなぁ』
『のあさんが教えてくれたってのもあるけどね』
『……虹色がひな祭りに合う理由?』
『……貴方がステンドグラスをくれた日だからよ』
『……私の、宝物だから……』
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172: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 05:29:10.97 ID:gWDvd4SR0
『君を忘れない』
『3月25日に』
『約束を、守る』
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175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 05:33:02.58 ID:gWDvd4SR0
アイドルマスター シンデレラガールズSS
『kaleidoscope』
end
179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 05:36:03.79 ID:gWDvd4SR0
終わりです
自分の中では最長記録となる長さ……
書き込みつつ読み返してたけど、設定にブレがあるね
花言葉をバラされるとオチないわけで
SRのあさんが格好良すぎて気付いたらSS書いてた
読んでくれてありがとうございました
181: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 05:40:49.55 ID:gWDvd4SR0
追伸:長時間お付き合いいただきありがとうございます
長時間の支援ありがとうございました
モバマスP「今日は花屋に行く日だった」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1350397111/