SS速報VIP:麦野「私が暗部に落ちる前に」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1295266717/



2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:19:08.10 ID:PVxwcD5S0

麦野「はーーーーーーーーーまづらぁ、またあんたはつまらないミスして……死にたいわけかにゃーん?」

浜面「す……すまねぇ、麦野。き、気をつける」

麦野「’気をつける’だぁ?! 気をつけるで済んだら警備員はいらねぇんだよ! 今日こそてめえのその情けない×××を×××してやろうかコラァ!!」

バァン

浜面「ひ、ひぃ?! 麦野っ、ゆるしてくれーっ。命、命だけはっ」

麦野「ア”アァ?! だったらさっさと下部組織に召集かけてシコシコ後片付けでもやっとけや!!!!!」



3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:21:30.15 ID:PVxwcD5S0

フレンダ「き、今日の麦野……、いつにも増して怖い訳よ……」

滝壺「むぎの、こわい」

絹旗「さっきのは敵が超最期の足掻きで暴れただけで浜面のミスって訳でも無い気が……」

麦野「ほら、アンタらも無駄口たたいてないで、後片付けは下っ端に任せてさっさと退散するわよ」

絹旗「浜面は待たないんですか?」

麦野「なんで正規メンバーのアタシらが下っ端ごときを待ってなきゃいけないのよ」

絹旗「いや、だってほら。車が」

麦野「車だったら他の適当なヤツにでも運転させればいいじゃない。ほら、帰るわよ」

フレンダ「う、うん。まってむぎの」

麦野「はやくしなさい」

スタスタ



4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:22:32.52 ID:PVxwcD5S0

バタン

ブロロロロロロロロロロロロロロ……

麦野「揃ったわね」

滝壺「うん」

麦野「出して頂戴」

「へい」

フレンダ「……」

絹旗「……」

滝壺「……」

麦野「……」

滝壺「……」

フレンダ「……」

絹旗「……」

麦野「……」

絹旗「む、ぎの?」

麦野「なに?」

絹旗「いや、なんでも……」

麦野「そう」



5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:23:45.30 ID:PVxwcD5S0

フレンダ「(たきつぼ、たきつぼ)」

滝壺「(なに?)」

フレンダ「(なんかさぁ……ココ最近ずっと麦野の機嫌わるくない?)」

滝壺「(そうだね)」

フレンダ「(さっきからこの重たい空気、耐えられないのよ)」

滝壺「(べつに、私はへいきだけど)」

フレンダ「あたしが平気じゃないわけよっ」

麦野「どうしたの?」

フレンダ「ひゃっ?! い、いやべつになにも」

麦野「そう」

フレンダ「(ひゃ~……、何かあったなコレは絶対……)」



7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:27:47.64 ID:PVxwcD5S0

シーン……

麦野「……」

滝壺「……」ボー

フレンダ「……」そわそわ

絹旗「……」

シーン……

フレンダ「あ、あのさ」

麦野「うん?」

フレンダ「結局、さっきの浜面、最高にバカだったよね、あははー」

麦野「そうね」プイ

フレンダ「(はい原因特定っ……、はーまづらぁあああああっっ、アンタか、アンタのせいか!)」



8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:29:19.54 ID:PVxwcD5S0

ブロロロロロロロロロロロ……

麦野「止めて頂戴、あたしはここで良いから」

「はい」

麦野「それじゃあアンタ達も、いつまでも遊んでないでさっさと帰って寝なさいよ」

絹旗「超わかりました」

滝壺「うん」

フレンダ「了解」

麦野「それじゃあまた明日」

バタン

フレンダ「……」

絹旗「……っだぁ~、なんか超疲れました」

フレンダ「結局、仕事よりしんどかった訳よ……」



9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:30:25.72 ID:PVxwcD5S0

滝壺「二人ともへーき?」

絹旗「滝壺さんは超平気なんですか?」

滝壺「うん」

フレンダ「この子のマイペースさには感服ねー……」

絹旗「どうしたんでしょうね、超何かあったんですか麦野は」

フレンダ「何か知ってる?」

滝壺「ううん、何も」

絹旗「私も超知りませんよ、フレンダは?」

フレンダ「しらな~い」

絹旗「う~ん……」



10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:31:33.99 ID:PVxwcD5S0

フレンダ「麦野さーここ最近、ずっとこんな調子じゃない?」

絹旗「そうなんですか?」

フレンダ「あ、そっか。絹旗ってずっと個人任務行ってたんだっけ」

絹旗「1週間ほど超出てましたけど、ずっとこんな感じだったんですか……、超ご愁傷様です」

フレンダ「ほんとにもー、麦野がこんな時に限って浜面が火に油注ぐようなマネ繰り返すからずっとヒヤヒヤだった訳よ」

絹旗「浜面、超空気読めませんもんね」

フレンダ「っだー、疲れたから温泉でも行って帰ろうかな。二人とも行く?」

絹旗「滝壺さん、どうします?」

滝壺「二人が行くなら」

絹旗「ん~、それじゃあ行きましょうか」

フレンダ「行くいく~、レッツゴー。運転手さ~ん、隣の学区の温泉までお願いね~」

「わかりました」

ブロロロロロロロロロロ……



11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:33:23.20 ID:PVxwcD5S0

◇ ◇ ◇ ◇


「浜面さん、ココの片付け、あらかた終わりました」

浜面「わかった、いつもご苦労さんな。それじゃあ俺らもとっととずらかるか」

「あと……コレ、落ちてたんですけど。どうすればいいですか?」

キラッ

浜面「なんだこりゃ?」

「さぁ? 見た目がなんか綺麗だったんで拾ったんですけど、何かの部品みたいですね?」

浜面「まぁいい、俺が預かっとく」

「へい」

浜面「報酬はいつもの口座に振り込まれてるはずだから、確認しといてくれ」

「わかりました」

浜面「それじゃ俺も帰るか」



13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:35:37.49 ID:PVxwcD5S0

浜面「帰るか……って」

キョロキョロ

浜面「あれ」

キョロキョロ

浜面「……」

キョロキョロ

浜面「く……」

浜面「車が無えぇーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!」

♪トアルニチジョーハパラレルワールド♪

浜面「えぇぇぇ……ん? なんだ、メールか?」

From 絹旗
件名 三人で超温泉です
今日は超災難でしたねー
今フレンダと私と滝壺さんで温泉です
浜面はキッチンで水浴びでも
しといてください☆ミ
あ、後、浜面の車で皆超帰りましたから


浜面「犯人お前等かよ……思いっきり温泉自慢されてるし……」

浜面「温泉……いいなぁ、あいつら」

ヒュウウウウウウウ

浜面「うぅ……さむっ、はぁ……歩いて帰るか……」



15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:40:47.08 ID:PVxwcD5S0

浜面「こんな時、火の能力者だったらストーブ代わりに火を出して暖かくするんだろうなー?」

浜面「流行のエコだろそれ、エコロジーいっつイージーってか」

ヒュウウウウウ……

浜面「うぅっ……さみさみ、早く帰ろ」


黄泉川「おー? 誰かと思えば浜面じゃん」


浜面「げ」

黄泉川「ちょっと待つじゃん」

浜面「なんだよ! 俺はまだ何もしてねぇぞ!」

黄泉川「まだって事は何かするつもりじゃん?」

浜面「いや……ご心配なく、帰るとこだよ」

黄泉川「ふーん? 急に真面目になったじゃん? 感心感心」

浜面「真面目というか……はぁ」

黄泉川「どうした、元気ないじゃん?」

浜面「おめーにゃ関係ねぇよ」

黄泉川「ちょっと待つじゃん」

浜面「な、なんだよ」



16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:42:24.53 ID:PVxwcD5S0

キラッ

黄泉川「これ、落し物。ちゃんとポケットに入れとくじゃん」

浜面「お、おう。ありがとよ」

黄泉川「随分高そうなモノ持ってんじゃん」

浜面「うるせーな、関係ないだろ」

黄泉川「関係ない?」

ガシッ

浜面「いてっ」

黄泉川「浜面……まーた何か悪さしたら、すぐ捕まえるから覚悟するじゃん?」

浜面「してねーよ、いてーな。離せよっ!」

黄泉川「ちゃんと家に着くまで監視するじゃん」

浜面「はぁ?! なんでだよ!」

黄泉川「完全下校時刻はとっくの昔に過ぎてるじゃん」



17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:43:25.48 ID:PVxwcD5S0

テクテク

浜面「……」

テクテク

黄泉川「……」

テクテク

黄泉川「浜面、スキルアウトを抜けたらしいじゃん」

浜面「何でそんな事知ってるんだよ」

黄泉川「風の噂じゃん」

浜面「そーかよ」

黄泉川「なのに相変わらず学校には通ってないらしいじゃん」

浜面「何でそんな事知ってるんだよ」

黄泉川「浜面の学校の先生と知り合いじゃん」

浜面「……そーかい」



18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:45:16.01 ID:PVxwcD5S0

黄泉川「今からでも遅くない、ちゃんと学校に通って勉強するじゃん」

浜面「大人はすぐそれだな口あけたら、勉強・勉強ってさ」

黄泉川「聞いてるじゃんよ浜面、昔は真面目な生徒だったって、だから──」

浜面「昔の事は言うな!!!!」

黄泉川「っ」

浜面「俺らの事、何もしらねぇくせに大人面するんじゃねえよ!!」

黄泉川「…………………………」

浜面「……なんだよ」

黄泉川「……随分な口を利いてくれるじゃん、こっちは心配して言ってるのに」

浜面「うるせぇ!」

黄泉川「このチンピラが……痛い目みないとわかんないじゃん?」

浜面「いいぜ黄泉川……かかってこいよ」



19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:47:04.84 ID:PVxwcD5S0

黄泉川「今日こそその腐った根性、叩きなおしてやるじゃん!」

浜面「いくぜ黄泉川アァァァ!!!」

黄泉川「来るじゃん!」


浜面「必殺ッ・煙玉!」

ボワン


黄泉川「っ! 煙幕か!」

浜面「だっはっは! なーんてな! お前に腕力で勝てるわけねえだろ! 逃げるが勝ちなんだよ!」

黄泉川「待つじゃん! 浜面!」

浜面「誰が待つか!」

黄泉川「お前は! まだやりなおせる! だから!」

浜面「うるせえ! ばーか! おとといきやがれ」

タッタッタ……



21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:49:30.46 ID:PVxwcD5S0

──、走る。


──、走る。


──、走る、走る。


──、どこに。


──、……どこに。




22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:50:36.91 ID:PVxwcD5S0

────────

────

──

浜面「……はぁっ、はぁ……逃げ切ったか……?」

浜面「ったくよー……仕事上がりでこっちも疲れてんだよ……」

浜面「勘弁してくれよなホント」

浜面「……だいたいよ」

浜面「もう堕ちるとこまで堕ちきった俺が、今更戻れるワケねぇだろうが……」



23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:51:35.11 ID:PVxwcD5S0

──戻るって、どこに


浜面「あぁ? だからがっこ──」


──戻るって、どこによ?


浜面「……?」


──どこに戻るの?


浜面「さっきから……なんだ……? どっから声が……?」



24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:52:15.61 ID:PVxwcD5S0

浜面「おい! そこに誰か居るのか!」

「……」

浜面「……(スキルアウトか? こんな狭いビルの間の空き地で集団だったらめんどくせえぞ)」ゴクリ

「……」

浜面「出てこいよ! 居るんだろ!」

ジリッ……

ジリッ……

「……」

……ゴクリ

浜面「……、来るっ!」



25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:56:34.39 ID:PVxwcD5S0

麦野「大きな声出さなくても聞こえてるわよ、はーーまづらぁ」


浜面「っ、麦野っ?! なんでこんなトコに」

麦野「なに、私がこんなとこに居ちゃ悪いわけ? なんでいちいち浜面の許可もらわなきゃいけないのよ」

浜面「いや……何も悪いなんて言ってねぇけどよ」

麦野「ふぅ~ん? それで、浜面はこ~んな寂れた場所に何の用かにゃ~ん?」

浜面「……知り合いの警備員から逃げてきた」

麦野「警備員?」

浜面「なんていうか……、まぁ、ゴリラみたいなやつ?」

麦野「なによそれ、人間?」

浜面「いやはは、本当、なんなんだろうな」

麦野「ま、逃げてきたってのが浜面らしいわね。あんたがマトモに戦ってる姿なんか想像できないし」

浜面「うおい! 俺だって男らしく戦っただろうが今日!」

麦野「あれで?」

浜面「あれで……です」



26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 21:59:33.26 ID:PVxwcD5S0

麦野「あんたは別に大人しくしてれば良いのよ、戦闘員で雇ってるわけじゃないんだから」

浜面「はぁ……でもよ」

麦野「うん?」

浜面「本当にお前等が危ないとおもったから突っ込んでいったんだよ」

麦野「あー、はいはい。それで死んでりゃ世話ないわよ」

浜面「……御尤もです、はい」

麦野「次は知らないからね、最低限自分の身くらいは自分で守りなさいよ」

浜面「了解……です」




27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 22:04:40.59 ID:PVxwcD5S0

麦野「で? その死にかけた浜面は、こんなとこになんの用事よ?」

浜面「いや、用事というか……適当に逃げ回ってたらココに来たんだけどよ、お前こそこんな所でなにやってんだ?」

麦野「私がこんな所にいたらヘン?」

浜面「いや、ヘンというか。スキルアウトかと思ってビビったぞ」

麦野「スキルアウト如きでビビってんじゃないわよ」

浜面「いや、お前はそうかもしれないけどさ」

麦野「はいはい」

浜面「それより俺は麦野がこんなとこに居たのがびっくりでよ、何かしてたのか?」

麦野「ふーん? じゃあ浜面はどこだったら私に似合うと思うの?」

浜面「どこって……お屋敷とかじゃねえの?」

麦野「お屋敷?」

浜面「そ、お屋敷。しかも金持ちのお屋敷で執事とかつけちゃうお嬢様ってとこじゃね? わかんねーけどさ」

麦野「……ぷ」

浜面「あん?」

麦野「あはははははははははははははは! 私が? お嬢様? ……ククク……あははははは、笑える、サイッコーに笑えるわ、それ」

浜面「そーかよ」



28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 22:05:51.60 ID:PVxwcD5S0

麦野「はーまづらぁ。浜面はそんな妄想を繰り広げて毎晩×××を上下させてるわけ? あー、幻滅だわ」

浜面「なんでそうなるんだよ!」

麦野「ま、育ちが良いのは否定しないけどね」

浜面「否定せんのかい」

麦野「……あんまり覚えてないのよねー昔の事って。能力開発していた事くらいしか覚えてないかも」

浜面「あぁ、そりゃ学園都市に七人しか居ないレベル五の第四位だからな。やっぱり小さい頃から実験漬けだったんだろうな」

麦野「なーに? 浜面のくせに知った風な口利いてくれるじゃない」

浜面「ひっ?! べ、別にイヤミとかじゃねえぞ」

麦野「当たり前でしょ。浜面は無能力者、私は超能力者なんだから」

浜面「はぁ……そうだな」



29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 22:12:39.75 ID:PVxwcD5S0

麦野「浜面は覚えてる? 昔の事」

浜面「昔?」

麦野「そ、むかし」

浜面「べつに、普通の子供だったよ。普通に学校いって、普通に友達つくって、普通に……普通にスキルアウトに入ってたな」

麦野「なにそれ、つまんなーい」

浜面「ひでぇ」

麦野「なんかないの? 見知らぬ女の子をその身一つで救ったとか、銀行強盗を捕まえたとか、国際指名テロリストをぶん殴ったとかさ」

浜面「んなコトできてたらスキルアウトに流れてねぇよ!!」

麦野「そうよねー」

浜面「ったくよー俺に何期待してんだよ」

麦野「それじゃあ、学園都市に来る前の事は?」



30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 22:14:10.07 ID:PVxwcD5S0

浜面「別に、普通だろ」

麦野「もっと具体的に」

浜面「はぁ?」

麦野「いいから、教えなさいよ。この第四位の麦野沈利様が興味を持って聞いているのよ。光栄に思いなさい」

浜面「まぁいいけどよ……」

麦野「うん」

浜面「学園都市に来る前は、……そうだな、こう見えて結構真面目な子供だったな」

麦野「この見るからに頭悪そうなチンピラ風情が?」

浜面「おおい! 過去の俺に謝れ!」

麦野「ふん、いいから続けなさいよ」

浜面「無茶苦茶だなオイ……」



31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 22:14:37.68 ID:PVxwcD5S0

浜面「小学校じゃ学級委員とかやってたし、放課後行ってた野球チームじゃエースで四番のキャプテンだったよ」

麦野「全然そんな風には見えないわよね、今」

浜面「うるせー」

麦野「で、何でここに来たわけ?」

浜面「そりゃあ子供が学園都市に来る理由なんか一つだろ」

麦野「一つ?」

浜面「超能力に憧れてたんだよ、こう、能力をばーーーーーーっと使って、ごわーーーーーーーっと相手をやっつけて、正義のヒーローになるんだーーーーってな」

麦野「浜面が? 正義のヒーロー?」

浜面「そーだよ、悪いか」

麦野「いや、いいんじゃない? 私には良さがわかんないけど」

浜面「お前さ、テレビとかアニメとか見てなかったワケ?」

麦野「見てないわよ。それに戦隊モノなんてどれも同じじゃない、飽きるわよ」

浜面「わかってねぇ! お前は戦隊ヒーローの良さがわかってねぇなぁ、麦野」



32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 22:15:35.85 ID:PVxwcD5S0

浜面「いいかぁ! まずはなぁ!」

浜面「────────で、────────な、──────だろ!」

浜面「────が出てきたら3分で──────で!」

浜面「──────────敵も──────そこはお約束で────────」

浜面「────がピンチになったら────────でよ!」

浜面「────────だろ!」

浜面「──────なんだよ!」

浜面「わかったか!」


麦野「──ふにゃ? もう、終わった?」


浜面「寝てたとか……ひどい……」



33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 22:31:29.09 ID:PVxwcD5S0

浜面「まぁいい、とにかくそんな風だ」

麦野「ふーん」

浜面「?」

麦野「浜面もやっぱ、そういうのに憧れてたんだ」

浜面「まぁ……大抵のヤツはそうじゃないの?」

麦野「わっかんないなー、そういう憧れるっていう感情は」

浜面「そりゃ最初から上に居たからだろ。勝手に憧れて、勝手に堕ちてった、そんだけだよ」

麦野「憧れ、ねぇ」

浜面「憧れるのは自由だろ?」



35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 22:32:13.96 ID:PVxwcD5S0

麦野「という事は、浜面はこんな学園都市の最底辺まで堕ちてきといて勝手な妄想を抱きながら毎晩[田島「チ○コ破裂するっ!」]してるのかにゃーん?」

浜面「いつもそうやって茶化すのな、オマエさ」

麦野「は?」

浜面「別に」

麦野「……浜面の癖に」

浜面「悪かったよ、気に障ったなら謝る」

麦野「謝罪なんかいらないわよ」

浜面「そうかよ」

麦野「そ、……その代わりもっと話しなさいよ」



36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 22:32:43.21 ID:PVxwcD5S0

浜面「何を」

麦野「浜面の小さい頃の話」

浜面「はぁ? なんで」

麦野「いいから!」

浜面「……ん~?」

麦野「例えばホラ! 学園都市に来た時の話とか!」

浜面「ここに来た時? ん~?」

麦野「そう、来たとき」

浜面「……来たとき……来たとき……?」

麦野「うん」

浜面「あー……、そういえばここに初めて来た時──」



37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 22:34:24.61 ID:PVxwcD5S0

◇ ◇ ◇ ◇


カポーン……


絹旗「超極楽です」

滝壺「良い湯だね」

フレンダ「極楽極楽……」

絹旗「日々の疲れが超癒されていく気がします」

フレンダ「む~」

ジー

滝壺「ふれんだ、なに?」

フレンダ「麦野もカナリ大きいけど、滝壺も結構大きいね」

モミモミ

滝壺「ひゃっ」

フレンダ「待て、たきつぼっ」

滝壺「やだ」

フレンダ「ま~て~」

絹旗「やれやれ……二人とも超子供なんですから……」



39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 22:40:49.76 ID:PVxwcD5S0

モミモミ

滝壺「ふえぇ……」

フレンダ「きひひっ」

絹旗「あーもー、二人とも、そこらへんにしといてくださいね」

フレンダ「わかってるって」

滝壺「……もー」

フレンダ「めんごめんご、後で牛乳奢ってあげるから許してね」

滝壺「……」

フレンダ「?」

滝壺「二本、ね」どーん

絹旗「勝利のブイサインっ?!」



40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 22:42:21.94 ID:PVxwcD5S0


滝壺「……ごくごく」

絹旗「それにしても、今日の依頼は超ヘンでしたね」

フレンダ「そう? 適当に暴れただけで終わっちゃったから歯ごたえがなかったと思うけど」

絹旗「いつも爆弾で超ドカーンで終わらせてますもんね」

フレンダ「ふふ新種も開発中よ」

滝壺「……ごくごく」

絹旗「研究所を襲うのは超わかるんですけれど、暴れるだけで目的物の回収とかは依頼内容に含まれてなかったじゃないですか?」

フレンダ「ん、そういえばそうね」



41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 22:42:54.90 ID:PVxwcD5S0

絹旗「それに、最期浜面と超殴り合いになってたあの研究員、やたらと好戦的というか、何かを守ろうと必死でしたし」

フレンダ「そりゃ、自分が殺されそうになるってなったら必死にもなるでしょ?」

絹旗「んー、そうでしょうか」

フレンダ「ま。あそこでどんな研究があったとか、何に応用されるとか私達には関係ないって」

滝壺「……ぷはー」

絹旗「そうですね」

フレンダ「さ、絹旗も飲む飲む。こうやって腰に手をあてて……」

滝壺「もう一本」

フレンダ「プハー! 結局、風呂上りの一杯は格別な訳よ!」



42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 22:44:26.61 ID:PVxwcD5S0

絹旗「私も牛乳、超おかわりです」

フレンダ「あ、待ってよ絹旗」


────────

────

──


黄泉川「ちょっと待つじゃん! ……切れた」


鉄装「どうしたんですか?」

黄泉川「匿名のタレコミじゃん」

鉄装「匿名で?」

黄泉川「子供に大切なものを奪われた、取り返して欲しいって」

鉄装「大切な物って……?」

黄泉川「さあ? それを聞こうとしたら切れたじゃん」

鉄装「イタズラ電話ですかー?」

黄泉川「だと良いじゃん」




43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 22:45:12.44 ID:PVxwcD5S0

鉄装「んーそうですね、最近。私達の出動回数も減ってますもんね」

黄泉川「なんだ鉄装、出動がないからって怠けるつもりじゃん?」

鉄装「そ、そんな訳じゃないですよ!」

黄泉川「ほー……?」

鉄装「バリバリ頑張りますよ!」

黄泉川「頼もしい頼もしい」

鉄装「はい!」

黄泉川「それじゃあ、今日も一杯やるじゃん!」

鉄装「えぇぇ……今日も、ですか」

黄泉川「ホラホラ、今日はもう終わりの時間じゃん! 行くじゃん行くじゃん!」

鉄装「ふえぇ~い」



45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:02:12.92 ID:PVxwcD5S0

鉄装「そういえば、あの彼どうなりました?」

黄泉川「ん? あの彼?」

鉄装「はま……なんとか、くん。でしたっけ?」

黄泉川「浜面じゃん?」

鉄装「ああ、そうその子」

黄泉川「浜面がどうかしたじゃん?」

鉄装「いや、黄泉川先生の机の上に資料が置いてあったから……」

黄泉川「鉄装~……盗み見とは良い度胸じゃん?」

鉄装「そ、そんなぁ。別に盗み見たわけでは……、その、ちょっと好奇心で」

黄泉川「まぁいいじゃん、浜面は元々どこだかのスキルアウトでチンピラで過去14回留置場にぶち込んだじゃん」

鉄装「じゅ、14回って……」

黄泉川「絵に描いた様なチンピラで、困ったもんだったんだ……けど」

鉄装「けど?」

黄泉川「その浜面がどうやらスキルアウトを抜けたみたいじゃん」



46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:03:11.01 ID:PVxwcD5S0

鉄装「え? じゃあ更正したんですか?」

黄泉川「わからん」

鉄装「わからん……って」

黄泉川「今日見てきたが相変わらず学校にも通わずフラフラしてるみたいじゃん」

鉄装「そうなんですか……」

黄泉川「……鉄装、どう思う?」

鉄装「どう、って?」

黄泉川「スキルアウトはそんな簡単に一言『辞めます』って辞められる様な組織じゃないじゃんよ」

鉄装「はぁ……それが?」

黄泉川「あそこのリーダー、駒場の姿もある日を境にぱったり見なくなった。一体何が起こってるじゃん?」

鉄装「仲間割れ、とか?」



47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:03:58.64 ID:PVxwcD5S0

黄泉川「だったらまだいいんだけど……最近、街がやけに静かじゃんよ。何かが起こる前兆じゃなければ良いけど」

鉄装「もー、心配しすぎですよ、黄泉川先生」


────────

────

──


浜面「そんで、心配して探しに行ったら半蔵の野郎が郭とイチャイチャしててよ、さすがに頭に来たな」

麦野「……わかった」

浜面「あん?」

麦野「あんたのとこのスキルアウト? だっけ」

浜面「おう」

麦野「あんた含めて、バカばっかりだったって訳ね」

浜面「おーい!」



48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:04:49.44 ID:PVxwcD5S0

浜面「まぁ……否定はできねぇけどよ」

麦野「ほらね」

浜面「それでも」

麦野「うん?」

浜面「俺らには俺らで、目的があったんだよ。組織としても、そしてたぶん、個人としても」

麦野「ふーん、目的ね」

浜面「おう」

麦野「ATM強奪したり、無駄に武装したりする事?」

浜面「いや、それはあくまで手段であってだな……少なくとも暗部組織とは違うぞ」

麦野「何が違うのよ、殺し……盗み……監視、観測、ハッキング、ピッキング、追跡……やってる事は一緒じゃない」

浜面「まぁ……そう考えるならそれでもいいけどよ……、それにもう俺はあそこを出た人間だからな」

麦野「哀愁漂わせちゃって、似合わないわよ」

浜面「うるせー」



49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:06:37.82 ID:PVxwcD5S0

麦野「はー、なんか浜面の話聞いてたら私の悩み事なんか消えちゃいそう」

浜面「悩みだ? お前に悩みなんかあんのかよ」

麦野「失礼ね」

浜面「う、わりぃ」

麦野「だいたい誰のせいだと思って…………………………」

浜面「あん?」

麦野「……なんでもない」

浜面「そーかよ」

麦野「バカだから許してあげる、バカだから」

浜面「二回繰り返さんでもええわい!」

麦野「あははっ」

浜面「あー……なんかいつもこんな感じだな、俺。損な役回りというか……」



51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:08:02.86 ID:PVxwcD5S0

浜面「……」

麦野「……」

浜面「……あー」

麦野「……」

浜面「……」

麦野「……」

浜面「……」

麦野「……なんか喋りなさいよ、はーまづらぁ」

浜面「お、おう」

麦野「……」

浜面「あ、あのさ」

麦野「うん?」

浜面「……えーっと……(やべ、なんか何喋っていいかわかんねぇ)」



52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:09:03.44 ID:PVxwcD5S0

浜面「……」

麦野「……」

浜面「え……っと」

麦野「はーまづらぁ?」

浜面「……(つーかよぉ、よくみると麦野って結構美人?)」

麦野「?」

浜面「……(いや、結構っていうか、かなりというか……少なくとも俺の知ってる奴等と比べたら……)」

麦野「どーしたのよ、固まっちゃって」

浜面「……い、いや。別に」

麦野「?」

浜面「……(く……、顔! 顔! ちかいっての!)」

浜面「いや、ははは。そ、そうだ。上見てみるよ上」

麦野「上?」



53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:09:56.42 ID:PVxwcD5S0

浜面「……(よ、よっしゃ、ナイス俺! とりあえず顔を離す事に成功したぜ!)」

麦野「はーまづらぁ? 上になんかあるの?」

浜面「……(し、しまった! 顔を離す事だけしか考えてなくてこの後の展開なんて何も考えてなかった!)」

麦野「はー……、それにしても、夜なのに星一つ無いわね」

浜面「そ、そうだな」

麦野「声裏返ってるわよ?」

浜面「そ、そうか? コホン、あーあー、うん。ゴホゴホ」

麦野「ヘンな浜面?」

浜面「(っだあああああああああああ!!! 近い! だから近いって! 顔! あたる! 顔が! 息が!)」

麦野「何よ鼻息荒くして、どうせエロい事でも考えてたんでしょ?」

浜面「な、ななななななんでだよ! はっ、アホな事いうなよ!」

麦野「だーれがアホだって……?」

浜面「いや! これは顔が! 顔じゃない! その、息じゃなくて! 近いのは! えっと!」

麦野「はーーーーーーーーまづらぁ……」

浜面「そ、そうだ! 麦野!」



54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:11:02.30 ID:PVxwcD5S0

麦野「なーにかにゃーん?」

浜面「月だ!」

麦野「月がどうしたって?」

浜面「月が綺麗だな、なーんつって、ははは」


麦野「………………………………………………………………」


浜面「ほら、月が……」

麦野「どこ? 月なんか出てないじゃないのさ」

浜面「うぐっ?! なんだって!」

麦野「ほら、見てみなさいよ、どこに月があるって?」

浜面「……なん……だと」

麦野「あはは、バーカ面、浜面のバーカ」

浜面「う……ぐ(しかしなんか知らんが機嫌よくなったみたいで良かった……)」



55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:12:09.05 ID:PVxwcD5S0

麦野「……ぷ」

浜面「?」

麦野「……あはは、あんた、さっきからなんて顔してんのよ」

浜面「は?」

麦野「くく……あはは、笑いすぎてお腹痛い……」

浜面「なんだよ……そんな笑う事かよ」

麦野「うん」

浜面「ああもう死んでもいいよ、畜生……」


麦野「………………………………………………………………」


浜面「え? 何この間」

麦野「はーーーーーまづらぁ」

浜面「え?」

麦野「私以外の女の前でこの台詞禁止な」

浜面「え? なんで?」

麦野「なんでって……なんでも」

浜面「なんか知らんが、わかったよ」



57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:13:02.40 ID:PVxwcD5S0

浜面「あ、そうだ。麦野」

麦野「ん? 何?」

浜面「いや。大した事じゃないかもしれないんだが」

麦野「今気分良いから特別に聞いてあげてもいいけど」

浜面「そうか、なら言うが。フレンダや絹旗、怖がってたぞ。お前が不機嫌だーってな」

麦野「あらそう? それならもう治ったから大丈夫よ」

浜面「は?」

麦野「だーかーら、もう大・丈・夫・だ・っつってんの!」

浜面「お、おう。さんきゅな、伝えとくよ」

麦野「フン、用が済んだら帰るわよ」

浜面「あ、おい。待てよ」

麦野「ついてくんな!」

浜面「待てよ! 麦野!」


──、……ありがとう



58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:16:33.83 ID:PVxwcD5S0

◇ ◇ ◇ ◇

スタスタ

スタスタ

浜面「お、絹旗じゃん」

絹旗「……超おはようございます」

浜面「どしたん? なんか暗いぞ?」

絹旗「朝一番で超バカの浜面の顔みたからじゃないですか?」

浜面「ひどい! ……ひどすぎるっ!」



59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:18:50.81 ID:PVxwcD5S0

浜面「ってかお前等温泉行ってたらしいな」

絹旗「そうですよー、超楽しかったです、浜面も来ればよかったのに」

浜面「誘う気なかったくせによく言うぜー」

絹旗「当たり前じゃないですか、温泉ですよ? 浜面だったら絶対覗くに決まってるじゃないですか」

浜面「しねえよ! んなこと!」

絹旗「そうでしょうか……」

浜面「絹旗さーん? その可哀想なものを見る目やめてもらいますー?」



60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:21:44.17 ID:PVxwcD5S0

絹旗「それにしても」

浜面「ナンだよ」

絹旗「昨日の麦野、超こわかったですね」

浜面「あいつはいつもあんな感じだろ?」

絹旗「いやー、いつもの3割増くらいでブチ切れてましたよ」

浜面「……そうかも」

絹旗「何が原因なんでしょうね」

浜面「さあなー、あの日じゃね?」

絹旗「最悪、超[ピーーー]、女の敵」

浜面「ひでぇ……」



61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:23:52.95 ID:PVxwcD5S0

絹旗「で、何があったか知りませんか?」

浜面「ああ、その件だけどよ」

絹旗「?」

浜面「昨日お前等が帰ったあと、麦野と会ったんだよ」

絹旗「超殺されませんでしたか?」

浜面「だったら今ココにいねえよ!」

絹旗「それで?」

浜面「昨日あいつ自分で言ってたけどさ、なんかもう機嫌治ったらしいぞ」

絹旗「超怪しいですね……」

浜面「あん? 何がだよ」

絹旗「麦野は私が仕事で居なかった一週間前から機嫌が超悪くなったんですね?」

浜面「あ? あぁ、そうだと思うけど」

絹旗「その一週間前。浜面、プライベートでどこか行きました?」

浜面「はぁ? なんでそんな事言わなきゃいけないんだよ」

絹旗「窒素装甲・展開」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

浜面「ちょ! 待て! その車を下ろせ! 街中だぞここ!」

絹旗「超話す気になりましたか?」

浜面「なった! なったから!」



62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:24:22.10 ID:PVxwcD5S0

浜面「一週間前っつたらアレだな、なんかよ修道服着たシスター道端で倒れててがハラヘッタっつうからファミレスにつれてってやったんだよ」

絹旗「はぁ? シスターが道端でお腹を空かせて倒れてたぁ? もっと超マシな嘘はつけないんですか、浜面?」

浜面「いやだから本当なんだって!」

絹旗「はぁ……まぁいいでしょう、それで?」

浜面「それで、ファミレスに行ったのはいいんだけどよ。そのシスターの食欲がすごくてよ、店のメニュー殆ど一人で食いやがるんだ」

絹旗「超暴飲暴食シスターですか」

浜面「いやだからマジなんだって! 俺も一食くらいなら別に……って思ってたんだけどよ、これじゃさすがにやべーって思ってさ」

絹旗「財布が軽くなりそうですもんね」

浜面「軽くなるどころかマイナスなんだよ……」

絹旗「超ご愁傷様です、それで?」



63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:25:01.43 ID:PVxwcD5S0

浜面「そんな所に麦野がやってきたんだよ」

絹旗「……他の女性と一緒に居るところを超見られたわけですね……」

浜面「おー、丁度いいところに! って思ってさ」

絹旗「修羅場的な意味でですか?」

浜面「ちげーよ、さすがに持ち合わせがなかったから金貸してくれーって言ったら財布投げられて走って帰っていっちゃったんだよな。何か機嫌悪かったのかな、ははは」

絹旗「お前が超原因です!」



65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:35:19.38 ID:PVxwcD5S0

浜面「なんだ俺が原因……、俺っ?!」

絹旗「どう考えても浜面しか居ないじゃないですか!」

浜面「なんでそうなるんだよ!」

絹旗「なんでって……はぁ、それ本気で言ってるんですか……」

浜面「……わっかんねーな」

絹旗「超浜面ですね……」

浜面「って、おーい。どこ行くんだよ、路地裏だぞそっち」

絹旗「こっちのが超近道なんですよ、ボヤボヤしてると先行きますよ」



66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:39:00.64 ID:PVxwcD5S0

浜面「おーい、待てよ……って行っちまった」

ポロッ

浜面「っとっと、また落としちまった、コレ」

キラッ

浜面「何なんだろうな、一体」


──、オマエさ。結局どこの誰なんだー?


浜面「……?」

浜面「まただ。……また、なんか聞こえたな……」

浜面「まさか俺、なんかの能力に目覚めたのか?」

浜面「ははっ、まさかな」

浜面「あんなに望んだって手に入らなかったんだ、今更手に入ってたまるかってんだ」



67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:41:29.18 ID:PVxwcD5S0

浜面「空耳だろ空耳」

浜面「だいたい心理系の能力ってどうなのよ」

浜面「どうせならこう、わかりやすく火とか出てくれたらいいのにな」

浜面「リーダーのレッドっつたら、赤だから火だろ、イメージ的に」

浜面「……ま、うちのリーダーは火というか炎というか……まんま自然災害みたいなもんだけどな」

浜面「……能力、ねぇ」

浜面「まったく、無能力者の俺には関係のねー話だな」



68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:43:17.17 ID:PVxwcD5S0

浜面「な、そう思うだろ絹旗……って,あれ? 絹旗ー? おーい」

浜面「……あいつ俺置いてとっとと行きやがった……」

浜面「ひでぇ……」

浜面「うぅっ、俺、アイテム入ってからずっとこんな扱いばっかり……」

浜面「スキルアウト時代が懐かしいなぁ、チクショウ」



69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:50:16.31 ID:PVxwcD5S0

浜面「あの頃は適当に集まって、適当にバカやって適当に……」

浜面「駒場さん」

浜面「俺は、あんたみたいにはなれなかったよ」

浜面「あー、ほんっと。ツイてたなぁ俺は」

浜面「……つーかよ」

浜面「昔と違って、リーダーが怒りっぽくてな。遅刻するとすげー怒られるんだよ、出てくるならさっさとしてくれねーか?」


「浜面仕上だな?」


浜面「その浜面仕上に何の用だってんだよ、そんなゾロゾロと大人数でさ」

「悪いが一緒に来てもらおう」

浜面「お前らどこの組織だ」

「答える義理は無い」



70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:53:53.90 ID:PVxwcD5S0

浜面「そーかよ……」

「大人しく従えば命までは奪わない」

浜面「随分高圧的だなおい」

「無駄な抵抗はしない事だ」

浜面「……(正面に3人、後ろに2人。やれるか? ……いや、無理だな。かと言って逃げ道は奴等が塞いでる……)」

「一緒に来てもらおうか」

浜面「万事休す、か」

ゴソッ

浜面「……(ん……ポケットの中に……、昨日のアレか)」

「さあ」

浜面「……(なんとか、なるんじゃねーか……やってみるか)」



71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:56:36.61 ID:PVxwcD5S0

「答えは決まったか」

浜面「……へっ、そんなの答えは最初っから決まってんだろ!」

「そうか、それなら」

浜面「答えは、NOだ! 必殺! 煙玉っ!」

ボワン

「なんだこの煙はっ?!」

「く……子供だましが!」

浜面「っらあああああああああああああああああああ!!!!」

ドガッ

「ぐあっ……」



72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/17(月) 23:59:59.80 ID:PVxwcD5S0

浜面「(とにかく、後ろのあと一人ぶっ倒して逃げるっ!)」

浜面「(武器……武器……何か適当にぶん殴れるもん、落ちてないか……)」

浜面「!」

浜面「鉄パイプ! みーっけ!」

ガン!

浜面「なははははは!! 後は逃げるだけ──っ」

ガシッ

「捕まえたぞ、クソが、てこずらせやがって。オイ、上に連絡だ」

浜面「……あれ? 絶対絶命?」



73: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:04:17.79 ID:P7Kj2VIn0

「よくもブン殴ってくれたなガキが……」

「おい、一発くらいいいだろ?」

「死なない程度にな」

ドゴッ!

浜面「……ぐあっ?!」

「あーあーあーあー、情けねえなおい。地面の味はどうだ? あ? このバカ野郎が」

浜面「……バカはお前等だ」

「あん?」

浜面「あれがただの煙幕だと思ったか……信号弾なんだよ……」


絹旗「浜面! 超大丈夫ですか!!」


浜面「絹旗! ……っだああああ!! 車、車はやめろ!」

絹旗「えいっ」



74: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:06:39.04 ID:P7Kj2VIn0

絹旗「必殺・車投げ」


ぽいっ



浜面「……死ぬかと思った」

絹旗「何勝手にヘンな奴等に殺されかけてるんですか、浜面」

浜面「お前にだよ!」



75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:08:24.00 ID:P7Kj2VIn0

「くそ……新手か!」

絹旗「なかなか来ないから超心配しましたよ」

浜面「……そりゃどーも、やれるか?」

絹旗「心配超ご無用ですよ!」

ドガッ

「ぐあっ」

絹旗「窒素装甲の前では銃弾も無力ですから!」

バキッ

「く……」



76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:09:25.66 ID:P7Kj2VIn0

絹旗「あと3人!」

ガッ

「く……くそ!」

絹旗「後2人!」

ドゴッ

「っ!」

絹旗「残るは……!」

「く……来るなァァ!」

絹旗「銃ですか……」

「一歩でも動いてみろ! う……う、撃つからな!」

絹旗「どうぞ、超ご勝手に」

「は?」

絹旗「だから、どうぞご勝手に」



77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:11:14.55 ID:P7Kj2VIn0

「な……何を言っているんだ、怖くないのか? 命がどうなってもいいのか?」

絹旗「怖い? 何を言っているんですかアナタ? そんな甘っちょろい事言ってるから命を落とすんですよ」

「ひ……」

絹旗「ほら、撃ちたきゃ撃てばいいじゃないですか」

「く! くるな!」

絹旗「ほら、ここが心臓ですよ。よく狙ってください」

「く……!」

絹旗「一歩」

「っ」

絹旗「二歩……三歩……」

「来るな……来るなよぉ……!」

パァン!

「……こ、殺した……殺しちまったアアァァァァ!!!!」

絹旗「……勝手に殺されるのは超不快ですね」

「……なっ」

絹旗「だから私には効かないって言ってるじゃないですか。ほら、今逃げたら私は超許してあげますよ」

「ひ……、ひ……、銃が効かない? ば……化け物!」



78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:13:52.87 ID:P7Kj2VIn0

タッタッタ


絹旗「超逃げましたか」

浜面「……みたいだな」

絹旗「とんだ腰抜けですね」

浜面「逃がしちまっていいのか?」

絹旗「私は許すっていいましたけど」

浜面「でもよ」

絹旗「私がそうでも、麦野がどういうつもりかは、超わかりませんけどね」

浜面「……ご愁傷様……、って、いててて」

絹旗「超大丈夫ですか?」

グイッ

浜面「ギャース! ひっぱんな! 患部を刺激してんじゃねええええ!!」

絹旗「それだけ大声だせたら超大丈夫ですね」



79: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:14:43.72 ID:P7Kj2VIn0

────────

────

──

「はぁ……はぁ……、ここまで逃げてきたら平気だろう……」

「くそっ、なんだってんだ。無能力者のガキ一つさらってくるだけじゃなかったのか!」

「なんであんな強い女が一緒に居るんだよ! くそ!」

「とにかく連絡を……」

「あ……? あれ? 携帯電話がない?」



麦野「探してるのはコレの事かにゃーん?」



80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:21:50.45 ID:P7Kj2VIn0

「あ、あ。あぁ……(なんだこの女……)」


麦野「さっき、そ・こ・で、拾ったのよーん」


「そ、そうか。ありがとう。それを返してくれないか? 大事なものなんだ」


麦野「ふふ、お兄さん? そんなコトよりわたしとイ・イ・コ・ト・してかない?」


「いぃいいい? いいこと?」


麦野「ふふ、赤くなっちゃって可愛い。そんな下半身おったちゃって、早漏なのかにゃーん?」


「な、なにを……」



81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:24:03.82 ID:P7Kj2VIn0

麦野「ねぇ~? お兄さん」

「……?」

麦野「これ、返して欲しい?」

「あ、あぁ。返してくれないか?」

麦野「ふふ、いいわよ」

バキィィ

「なっ?!」

麦野「あ、ごめんなさ~い? 手が滑っちゃったぁ♪」



82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:28:34.18 ID:P7Kj2VIn0

「手が滑っただぁ?!」

麦野「……りねぇ……」

「(こ、こいつ……笑ってやがる……)」

麦野「足りねぇ……足りねぇなぁ……こんなんじゃあよぉ……」

「なに……を……」

麦野「私はさぁ……別にいいんだよ、あのバカがどこで何してようが誰と居ようが何喋ってようが誰と一緒に食事してようがさぁ……」

「……?」

麦野「でもさぁ……アレはだめだ、お前……あいつの事蹴っただろ……アレはだめだなぁ……」



83: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:33:52.92 ID:P7Kj2VIn0

カツン

「ひっ」

カツン

麦野「大事な大事な身体なんだよ……傷がついたらどう落とし前つけるつもりなんだよ……なぁオイ」

カツン

「ひっ、ひぃいい……」

カツン

麦野「あいつをどうにかしていいのはなぁ、私。……私だけなんだ、それを何でどこの馬の骨とも知れない輩がよぉ……よくもでしゃばってくれたもんだ……」

カツン

麦野「ね? おにーさん?」ニコッ

カツン



84: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:34:40.86 ID:P7Kj2VIn0

カツン

カツン

麦野「そう、動かないで。いい子だから動かないで、そのまま」

カツン

カツン

「は? はい?」

麦野「だから、動くなっつーの。脳味噌まで×××なのかっつーの。大人しくしてたら逝かしてやるからよ」

「え、ええと……」

カツン

カツン

麦野「逝かしてやるって言ってんだろ? 聞こえなかった?」



85: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:36:33.57 ID:P7Kj2VIn0

「あ……ぁ……あぁ……」


麦野「クソが! どこの犬かしらねぇけどよぉおおお!」


「あ……あ……まさか……まさか……」


麦野「てめぇの所有物に手ぇ出されて黙ってられる程、お人良しじゃねえええええええんだよ私はアアァァァァ!!!!」


「まさか……まさか……原子崩し……」


麦野「人の事を能力名で呼ぶんじゃねえよ。私には、私にはなぁ……ちゃあああああんと麦野沈利って名前があるんだよおぉ、覚えとけクズがアァァァ!!!!!」


キュイイイイイイイイイイイイイィィィィィン……


「ゆ、ゆるし……」

麦野「──ま、最も。もう二度と喋れないだろうけどなァァァァァァァァアアアア!!!!!!」


ドッ



86: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:38:07.97 ID:P7Kj2VIn0

麦野「……ちっ、胸糞わりぃな」

麦野「二度とアイテムに手を出すんじゃねーぞ」

麦野「……」

麦野「原子崩し……か」

麦野「どいつもこいつも畏怖、畏怖、畏怖……レベル五だから、当たり前といえば当たり前か……」

麦野「歩く自然災害……か、私にぴったりじゃねぇか」

麦野「……はぁ」

麦野「なんか疲れちゃった……」

くたっ



88: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:41:46.45 ID:P7Kj2VIn0

──、麦野!


麦野「麦野沈利……」


──、麦野! 麦野!


麦野「ちゃーんと……名前、あるのになぁ……」



89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:44:30.06 ID:P7Kj2VIn0

──ナ……マエ……。


──、そう。


──、伝えなきゃ。


──、私。私の、私のナマエは……。



91: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:56:45.49 ID:P7Kj2VIn0

浜面「麦野!」

麦野「……あぁ?」

浜面「麦野! あぁよかった、気がついたか」
 
麦野「なんだ、浜面か……」

浜面「なんだじゃねぇだろうが麦野……何回呼んでも返事しねぇし、心配したんだぞ?」

麦野「はっ、無能力者の浜面が超能力者のこの私を心配? はーまづらぁ、腹で茶ァ沸かせるつもりかよ」

浜面「ほんとに心配したんだって、無事そうでなによりだ。ったく麦野よぉ、お前は一人で突っ走るから追っかけるのも大変だったぞ」

麦野「追いかけてきてくれたの?」

浜面「当たり前だろうが」

麦野「……あ、そ」



92: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:57:36.75 ID:P7Kj2VIn0

浜面「ったく麦野よぉー」

麦野「むぎの」

浜面「あん?」

麦野「ねー、浜面」

浜面「なんだよ」

麦野「名前、呼んで」

浜面「はぁ? なんで」

麦野「いいから」



93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:58:25.56 ID:P7Kj2VIn0

浜面「麦野」

麦野「苗字じゃなくてちゃんと名前も」

浜面「……は、はぁ?(なんでそんなこと……)」

麦野「はーまづらぁ」

浜面「……っ(なんだ、どうしたんだ麦野? さっきから様子が変だぞ?)」

麦野「……おねがい」

浜面「なにこの麦野、可愛すぎだろ……(どうしたんだ麦野……)」

麦野「私、そんなに可愛い?」

浜面「し! まった! 心の声がっ!」

麦野「心の声? 浜面は心の中でどんな妄想を繰り広げていたのかにゃーん?」



94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:59:02.47 ID:P7Kj2VIn0

浜面「ドチクショウ……なんたる失態……」

麦野「はーまづらぁ?」

浜面「ああもう煮るなり焼くなり好きにしろぃ!」

麦野「あんたなんか煮たところで出汁なんか出ないわよ」

浜面「ひでぇ……」

麦野「それより、さっきの」

浜面「お? おおう……」

麦野「はやく」

浜面「ええい! ままよ!」



95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:59:30.77 ID:P7Kj2VIn0

浜面「沈利、麦野沈利」

麦野「ん、もっかい」

浜面「しずり」

麦野「もっかい」

浜面「もっかいだぁ?」

麦野「文句いわない」

浜面「……沈利」

麦野「……うん」

浜面「沈利」

麦野「……」

浜面「麦野沈利」

麦野「……うん……」



96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 00:59:57.36 ID:P7Kj2VIn0

浜面「も、もういいか」

麦野「……うん」

浜面「……なぁ、なんかあったのか?」

麦野「べつにー」

浜面「そぉかよ」

麦野「……」

浜面「まぁ、無理にはきかねェよ」

麦野「そ」

浜面「……」

麦野「それじゃあ私から一つ聞いてもいいかな」

浜面「あん?」



97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:06:12.12 ID:P7Kj2VIn0

麦野「浜面と、アイテムで会ったときから、ずっと聞こうと思ってたんだけどさ」

浜面「なんだよ」

麦野「……あー、やっぱりいいわ。気のせいかもしれないし」

浜面「らしくねーな、いいから話せよ」

麦野「そう? じゃあ聞くけど……」

浜面「おう」


麦野「……私とあんた、ずっと、どこか、ずっと前に会ってない?」


────────

────

──

絹旗「ちょっとフレンダ! 押さないでください!」

フレンダ「絹旗こそ! ちょっと下がるわけよ!」

滝壺「北北西から電波きてる……」

絹旗「っだあー、ここからだと声が聞こえませんね」

フレンダ「でも感じるのよ……あの辺り一帯に広がるピンク色のオーラを!」

絹旗「ピンク色って……なんだか超いやらしいですね」

フレンダ「ピンク色、もとい、バニー色な訳よ」

絹旗「あー、なんかそれ聞いて隠れてるの超アホらしくなってきましたよ……」

フレンダ「!」

絹旗「どうしました!」



98: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:06:53.84 ID:P7Kj2VIn0

フレンダ「あ……あ……」

絹旗「フレンダ……?」

フレンダ「とある魔術の禁書目録、録画するの忘れてたーーーーっ!!!」

ズコー

絹旗「な……なんですか?」

フレンダ「ごめん、先帰るね」

絹旗「帰るって、ちょ……」

滝壺「きぬはた、かえろ?」

絹旗「滝壺さんまで」

滝壺「いいから、ね?」

絹旗「むー」



99: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:07:50.20 ID:P7Kj2VIn0



黄泉川「そこの3人、ちょっと待つじゃん」


フレンダ「……(い、今、気配なんかなかった訳よ!)」

絹旗「……(……おそらく相当のやり手ですね、どうします?)」

フレンダ「……(まだ麦野と浜面が中に居るし、事は荒立てない方が良さそうな訳よ)」

滝壺「なんですか?」

黄泉川「お? さっきの奴等と違ってちゃんとお話できるじゃん、偉い偉い」

フレンダ「さっきの?」

黄泉川「なんか4人くらい静止を振り切ってここの廃工場に振り切って入ろうとしたから成敗したじゃん」

絹旗「そうなんですか、それじゃあ私達は超失礼しますね」

黄泉川「まーまー、待つじゃん」



100: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:08:28.16 ID:P7Kj2VIn0

絹旗「何でしょうか?」

黄泉川「この顔に見覚えあるじゃん?」

滝壺「だれ?」

黄泉川「昔、この辺りを根城にしてたスキルアウトの一員じゃん、名前は浜面仕上、こっちは駒場利徳」

滝壺「しらない」

黄泉川「そっか、ありがとじゃん」

滝壺「お役に立てなくてごめんなさい」

黄泉川「いいじゃん、それよりこんな古い工場で遊んでるといつ崩れてくるかわからないし危ないじゃん。早く帰るじゃん」

フレンダ「それじゃあお言葉に甘えてそうさせてもらう訳よ」



101: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:10:21.87 ID:P7Kj2VIn0

黄泉川「ここには居ないか……ほかを当たるじゃんよ」



スタスタ

フレンダ「……」

スタスタ

絹旗「……」

スタスタ

滝壺「……」

スタスタ

フレンダ「行った?」

絹旗「みたいですね。……っだぁ~、超疲れました」

フレンダ「何なのよあの警備員、絶対タダ者じゃない訳よ」

滝壺「はまづらを探してたね」

絹旗「滝壺さん……、’知らない’って嘘つくのに超微動だにしませんでしたね」

フレンダ「世界最高の嘘発見器があったとしても感知できなさそうね」

絹旗「超すごかったですよ」

滝壺「それほどでも」

フレンダ「照れちゃっても~、かわいいっ」



102: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:11:29.30 ID:P7Kj2VIn0

フレンダ「それよりあの写真の人、駒場っつったかしら?」

絹旗「駒場、駒場利徳でしたっけ?」

フレンダ「結局、誰なのよ?」

滝壺「しらない」

絹旗「誰なんでしょうね」

フレンダ「浜面に関係ある人なのかな」

絹旗「今度機会があったら聞いてみましょうか」

滝壺「……」

フレンダ「そういえば浜面の過去って、あたし等、なーんも知らないのよね」

絹旗「それはお互い様では……?」

フレンダ「まっ、一緒に働くからには、興味が無いわけじゃないのよね」



103: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:12:32.46 ID:P7Kj2VIn0

フレンダ「浜面だってほら、ひょっとしたらどこかの国の王子様かもしれないし」

滝壺「はまづらが王子様?」

絹旗「なんですかそれ、どこの超アホアホキングダムですか」

フレンダ「わっかんないわよ~、だいたい、ここに来る前どうしてたかなんて本人以外わかんないもんね」

絹旗「なんか超興味沸いてきましたよ」

滝壺「南南西から電波きてる……」

フレンダ「今度皆の前で吐かせるわけよ、きひひっ」

絹旗「超罰ゲームでもやりますか」

フレンダ「浜面限定罰ゲーム大会? いいねいいね」

絹旗「超かわいそうですけど、超お似合いなのが悲しいですね」

滝壺「お似合い」

フレンダ「そんじゃもう解散って事でいいかな? あたし先帰るね」

絹旗「あ、待ってくださいよ」

滝壺「どこいくのフレンダ」

フレンダ「サバ缶」

絹旗「昨日超勝ってたじゃないですか」

フレンダ「昨日とは違う味が新発売な訳よ、全国を代表するコレクターとしては抑えときたいアイテムなのっ」

絹旗「サバ缶コレクターって全国に何人居るんですか……」



104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:14:01.32 ID:P7Kj2VIn0

────────

────

──


「……浜面仕上の捕獲に失敗した?」

「は、はいっ」

「どういう事だ、きちんと現状を報告しろ」

「それが……」



105: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:15:22.95 ID:P7Kj2VIn0

「……なるほどな、あの原子崩しが関与しているのか」

「どうしましょう」

「アレはまだ浜面仕上が所持している、間違いないな?」

「は、はい」

「ふむ……やぶへびだったか、どうしたものか……」



106: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:15:48.57 ID:P7Kj2VIn0

「社長、しかしアレには我が社の命運が……」

「わかっている」

「社長」

「ここは学園都市……、これ以上騒ぎを大きくして他の組織から目をつけられるのは得策ではない……静観する他あるまい」

「しかし!」

「なぁに、ただ何もせず待つと言っているわけじゃない」

「?」

「果報は寝て待て……ここには金で動く連中なら五万といるだろうさ」



107: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:18:12.40 ID:P7Kj2VIn0

◇ ◇ ◇ ◇




──あんまり覚えてないのよねー昔の事って。能力開発していた事くらいしか覚えてないかも。





──というのは嘘だ、本当は全部覚えている。

──ただ、思い出すにはあまりに無味乾燥で、

──黒と灰色しかない世界の事ばかりが支配していて、

──夜な夜な、それが私の心をチクチクと刺すように音も無くやってくるんだ。



108: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:21:49.63 ID:P7Kj2VIn0






──、沈利。

──、麦野沈利。

──、しずり、なんて。我ながら変わった名前だと思う。

──、それが申し訳程度につけられた名前だという事は子供ながらに理解していたけれど。

『アレが……原子崩し』

──そこでは誰も私の名前を呼んではくれなかったから。

『やあ、原子崩し。今日から僕が君の能力開発を担当する事になった』

──白衣を着た男が私の前にやってきて薄っぺらい顔で笑う。

『今日からよろしく頼むよ、原子崩し』

──毎回繰り返される意味の無い遣り取り、これで一体何人目なのだろうか。



109: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:25:15.63 ID:P7Kj2VIn0

──、白色の部屋。

──、何も無い部屋。

──これも、私の能力開発を促すための部屋らしい。

──原子崩し

──それがあの白衣の男によってつけられた、私の呼び名。

──、反芻してみる。

──、メルトダウナー。

──、私の能力名。

──、誰も呼んでくれない名前。

──、むぎの、しずり。



110: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:28:55.24 ID:P7Kj2VIn0

──振り返るとつまらない毎日だったと思う。

──研究室で見る0と1の繰り返しが面白いとは思えず

──インストールされるプログラムを横目に座りながら足をプラプラさせてみた。

──きっと彼らが興味あるのは私個人ではなくて、私個人から採取される0と1の世界なのだろう。

──、数値の変化に一喜一憂する彼らを見る事さえ、いつしか飽き始めて、やがて何も思わなくなった。

──ただ促されるまま

──0と1を吐き出す。



111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:30:06.34 ID:P7Kj2VIn0

──朝が来る。

──足音が聞こえて、起床を促される。

──窓すらない研究施設の隅の部屋で与えられた物と言えば、研究者の男が趣味で読んでいるという本くらいだった

『おはよう、原子崩し』

──特徴の無い声が抜けていく。

──ああ、今日もあのつまらない時間が始まるのか。

──そう考えるとほんの少しだけ億劫になる。

『どうした? 行くぞ』

──いっそ目の前の男を殺してしまえばこの意味の無い日々に終わりがくるのだろうかと思って

──白衣を赤色で染め上げた事もあった。



112: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:31:33.22 ID:P7Kj2VIn0

──人を殺したという実感は無かった。

──なんだ、こんなものか。

──かんたんじゃないか。

──簡単なことじゃないか。

──いつも通り、普段やっている実験の通りに照準を合わせて、能力を解放する

──それだけで目の前の男は動かなくなってしまった。

──本当に。

──息をするのと同じ感覚で能力を解放しただけ

──たったそれだけの事だったんだ。

──何も生み出さない

──恐らくは、ただ、奪うだけ。

──ただ、壊すだけ。

──それが原子崩しだという事に

──私は気がつかないフリをした。



113: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:32:29.85 ID:P7Kj2VIn0

──騒ぎを聞きつけた警備員が私の部屋に集まってきた。

──なのに誰一人として私を咎める物は居ず

──ただ、畏怖

──そして、無関心

──淡々と、業務的に遺体を回収して消えていった。

『素晴らしい……素晴らしい力だ、原子崩し』

──おかしいな

──悪い事をした子供は怒られるんじゃないのか

──少なくとも本で読んだ世界では、そうなっていたのに。

『これは実験の計画を少し前倒しにしてもいいかもしれないな、ははははは』



114: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:34:30.49 ID:P7Kj2VIn0

──白衣が一つ消えて

──部屋に残ったのは何冊かの本だけ。

──そしてまた繰り返される。

『やあ、原子崩し。今日から新しく君の担当になった者だ、よろしく頼むよ』

──また。

──また、白衣を着た男が私の前にやってきて薄っぺらい顔で笑う。

──同じ顔で。




115: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:35:01.98 ID:P7Kj2VIn0

──実験

──実験

──実験実験

──被検体番号4

──能力名

──原子崩し

──実験

──実験



116: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:39:06.17 ID:P7Kj2VIn0

──ねぇ。

『何だ、原子崩し』

──こんな実験繰り返して、何になるの?

『いつも言っているだろう、お前は将来莫大な利益を生み出すんだよ』

──将来って、いつ?

『明日の明日の、もっと先だよ』

──その日が来たらどうなるの?


──答えは、無かった。



117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:40:53.06 ID:P7Kj2VIn0

──捲ったカレンダーの数は覚えていないけれど。

──そんな日が、ぐるぐると続いた。

──窓の無い、白い部屋。

──寒暖の差など無く、空調で色を消された季節の無い部屋。

──最初の白衣が残していった本だけを読んで過ごしていた。



118: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:41:37.64 ID:P7Kj2VIn0

──やがて私はある一つの事に興味を持ち始めた。

──研究所の外

──この外側の世界はどうなっているのだろう。

──24時間をこの研究所の中で生きていた私が始めて関心を抱いた事柄だ。

──きっと、私の知らない不思議な出来事が沢山待っているに違いない。

──だったら。

──とっととこんな所、抜け出してしまおう。



119: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:48:40.11 ID:P7Kj2VIn0

──思い立ったが吉日。

──味気ない金属製のドアを原子崩しでぶち破った。

──警告音が鳴るが、気にしない。

──迷路の様な研究施設。だけど道筋は覚えている。

──途中、私を制止する大人達を何人か能力で黙らせた。

──大人達が後ろで何か叫んでいたけど聞こえない。

──行くんだ。

──外へ

──帰るんだ。

──外へ。



120: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:50:05.66 ID:P7Kj2VIn0

──右。

──右、

──ひだり

──階段を上がって

──長い廊下をぬけて

──いつも自分の実験が行われていた部屋を横目に私は走った

──銃を持った大人が立ちふさがる

──気にしない。

──能力を解放して駆けた

──皮肉なものだと思う

──壊す事にしか使えない私の能力が

──今、私の願いをかなえようとしている。



121: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:51:06.80 ID:P7Kj2VIn0

──息があがる。

──肺がつぶれそうだ。

──だけど、代償と思えば安いもの、

──今までの過去を清算するための。

──思い返せばつまらない毎日だった

──朝起きて一番に色々なプラグが取り付けられた服を着せられ

──その後いくつかの栄養を摂取し

──パラメーターの変化を測定

──それに従って白衣の男が指示する通りに原子崩しを発動させる。

──薄気味悪い笑い顔が浮かんだ

──それを、おもいっきり、右足でふみつけるようにして

──私は走る。



122: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:51:58.89 ID:P7Kj2VIn0

──外に出たら

──なにをしようか

──あの本で読んだ

──おしゃれ、というものにも興味があるし

──しゃけという魚にも興味がある

──やってみたいこと、みてみたいこと

──たくさんありすぎてどれをしようなんて選べない

──ああ

──ああ

──なんて、

──なんて楽しいんだろうか



123: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:52:27.96 ID:P7Kj2VIn0

──あと少しで

──あと少し

──あと少しで、

『め、原子崩し! 待て!』

──うるさい

──ジャマスルナ

『原子崩し!』

──私はそんな名前じゃない

──私は、私の名前は!



124: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:53:26.10 ID:P7Kj2VIn0

──

──

──

──

──

──

──

──、

──、これが、外の世界。

──思っていた程も、

──、いや、想像以上に

──、何も無かった。



125: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:54:16.64 ID:P7Kj2VIn0

──結論から言うと、何も変わらなかった。

──これが世界。

──これが世界か。



──でも、次にやってきたあの感覚は例えようの無い興奮・快楽の類で

──風・音・光・温度・匂い・声・人の気配・町並み・ビル・雲・車・建物・ガラス・木・道・煙突・煙・騒音……エトセトラエトセトラエトセトラ……

──同時にあまりに多数の情報が脳に入ってきて

──私の頭はどうにかなってしまいそうだった

──

──、……まぶしい

──これが日の光というものだろうか

──うん、……悪くない。



126: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:54:59.81 ID:P7Kj2VIn0

──感動と呼べばいいのだろうか。

──あるいは。

──だがその一時の感動はすぐに不快な声でかき消される。

『ばか! お前等撃つな! 撃つな! 当たったらどうするんだ! あいつは金の成る木なんだぞ!』

──振り返ると銃を構えた大人達が追いかけてくる

──オマケにあの耳障りな声だ。

──私はまた、走った。

──威嚇で何回か能力を解放すると、奴等の動きが止まる。

──追いかけてこないでよ

──私、帰るんだから。



127: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:55:45.65 ID:P7Kj2VIn0

『原子崩し!』

──声が聞こえる。

『原子崩し! どこにいくつもりだ!』

──私は答えない。

『お前は、お前は俺の元でしか生きていけない! 一人で生きていけると思ったのか!』

──そんなの、知らない。

『原子崩し!』

──、うるさい

『……く』

──、ジャマ、しないでよ!



128: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:56:38.11 ID:P7Kj2VIn0

『くそ……まだ実験段階だが、アレを使うか』

──白衣が携帯電話越しに何か指示を出した直後

──不快な音が私を襲う。

──とたんに演算に集中できなくなった。

──私の能力はその特性上「照準」が最も重要な要素であるらしい

──あの白衣の男が言っていた事だ

──「照準」が狂うと能力が暴発してしまうかもしれない、と

──最悪自分を傷つけてしまうかもしれない。

──、……だとするとこの状況で能力を発動させるわけにはいかない……っ

──大人たちの足音が大きくなる。

──私は、



129: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:57:26.04 ID:P7Kj2VIn0

──逃げる

──息があがる

──でも、逃げる

──だめ。

──だめ、捕まったら。

──私は、私は外の世界に行くんだから。

──白い部屋なんかじゃない、薄暗い研究所なんかじゃない太陽の世界に。

──、一度手に入れたんだ。

──離して、たまるか……っ



130: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:58:01.88 ID:P7Kj2VIn0

──、でも

──、……だめ

──、耳が痛い、頭が痛い。

──もう

──もう、何も考えられない。

──ああ

──そうか

──だめなんだ

──私は、私には

──この世界には

──私の場所なんて……



『おい! こっちだ!』



131: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:58:33.45 ID:P7Kj2VIn0

──その声は耳を塞いでいても聞こえたし


『こっちだ! はやく!』


──この、不快な音に支配された世界でも、はっきりと私に届いた



132: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 01:59:41.93 ID:P7Kj2VIn0

──男の子だった。

──年は同じくらいだろうか?

──背は私と同じくらい、髪はボサボサ、なぜか土色に汚れた半そで半パン。

『逃げるぞ!』

──手を掴まれて、ぐいぐいと引っ張られる

──痛いくらいに強く引っ張られて、私は思わず手を引っ込めた。

『なにやってんだよ! 追われてんだろ!』

──、え……あ

『いいから!』

──、また、手を引っ張られる。



133: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:02:51.48 ID:P7Kj2VIn0






──その手は今まで差し伸べられたどの手よりも汚れていて




──その手は今まで差し伸べられたどの手よりも暖かかった








134: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:03:53.92 ID:P7Kj2VIn0

────────

────

──



『……ふぃー、逃げ切ったか?』

──、

『なんだよ、せっかく助けてやったのにお礼もねえのかよ』

──え、あ、……

『どうしたんだ?』

──う、あ……

『なんだオマエ、喋れねえのか?』

──何かを伝えようとするほど、私の喉は枯れていった。



135: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:04:48.95 ID:P7Kj2VIn0

『んー、ま、いいや。無理に喋んなくてもいいよ。あいつらに何か怖い事されたんだろ?』

──、ん……

『さ、これからどうするか。それよりオマエ、腹へってないか?』

──、……おなか? そういえば今日はまだ何も……

ぐるるるるる

『そっか、じゃあ俺の家に来いよ! なんかレーゾーコの中にあったと思うから』

──、言葉を介さなくても、なんとか空腹の意思は伝わった様だ。



136: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:05:25.73 ID:P7Kj2VIn0

『つーかよ、最近この辺りも色々工事中ですげーよな、ビルとかいっぱい立つのかな?』

『学園都市ってさ、すげーよなぁ。俺の居た地元じゃこんないっぱい人いなかったしさ!』

『あーもうなんかワクワクするなー!』

『来週からさ! 俺! 学校なんだ! どんな能力に目覚めて、どんな事ができるか、今から考えたらワクワクするぜ!』

『っと、話してる間に着いたな。このマンションが俺の部屋、狭いけどゆっくりしてけよ!』

──、こくり

『って、オイオイオイ、靴脱げ靴!』

──、?

『ハテナ? じゃねえよまったく、欧米か』

──オーベイ?

『いやそんなキョトンとされてもだな……』



137: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:06:05.06 ID:P7Kj2VIn0

ガチャ

『あー……』

パタン

『おーい、コンビニで買ってきた鮭弁当しかないけど、食べるか?』

──、こくり。

『ん、ちょっとまってろ。暖めてくるから、えーっと、確か電子レンジはこのボタンで……』



138: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:06:40.29 ID:P7Kj2VIn0

──、そわそわ。

『なんだよ、なんか珍しいモンでもあったか?』

──、?

『テレビに机にポスター、あとタンス……雑誌、別に普通のモンばっかだけどよ』

──、じー

『あぁこれか? 昨日ゲーセンで取ったカエルのストラップだけど、欲しいのか?』

──、こくり。

『ま、いいぜ。俺は別にいらなかったし、欲しい人に持っててもらえるならそいつも幸せだろ』



139: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:07:12.68 ID:P7Kj2VIn0

──、じー

『それはダメ』

──、?

『いや、だってそのヌイグルミ取るのにすげー金つかったんだよ、でかいし重いしクレーン甘いしで大変だったんだからよ』

──、じー

『……そ』

──、じー?

『……そんな目で見てもだめなもんはだめだああああああああああああああああっ!!』

チーン

『あぁぁぁああああって、出来たみたいだな』



140: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:07:41.88 ID:P7Kj2VIn0

──、?

『ホレ、熱いから注意しろよ』

──、っ!

『あーもー、そんながっつくなって……ってオイ! 手で食べるな手で! 箸をつかえ! ギャグか? 身体を張ったギャグなのか!』

──?

『お箸だよ、お・は・し! 日本語アンダスタン? チョップスティーック!』

──、?

『この顔はマジでわかんねーって顔だな……』



141: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:08:07.70 ID:P7Kj2VIn0

『いいか? こうやって右手で……こう、わかるか?』

──、こくり。

『お、そうそう。そうやって掴むんだ』

──、こくり。

『おー、上手い上手い。そのまま食べちまえ』

──、もぐもぐ。

『どうだ? 美味いか?』

──、こくこく。

『そっか、鮭好きなんだなオマエ。コンビニ弁当くらいしかなくてすまねぇな』

──、ふるふる。



142: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:08:37.84 ID:P7Kj2VIn0

『そういえば、オマエ、名前は何て言うんだ?』

──、

『ナマエだよナマエ、いつまでもオマエのままじゃ嫌だろ?』

──、ナ、……マエ……

『そうだよ、名前、なんだよ喋れるんじゃん!』

『あ? あ、あぁそっか。人に名前を聞くときはまず自分からだよな』

『俺な、俺の名前は──』

────────

────

──

麦野「……私とあんた、ずっと、どこか、ずっと前に会ってない?」



143: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:09:10.50 ID:P7Kj2VIn0

浜面「俺と麦野が?」

麦野「うん」

浜面「さあなー、誰かと勘違いしてねーか?」

麦野「そうかな」

浜面「だいたいよー、俺は女の知り合いっつったらスキルアウト繋がりで数人居る程度だしよ」

麦野「……それじゃああの修道服の娘は一体何だったのよ」

浜面「っだあ! かあ! らぁ! あの娘は道端で倒れてたんだって何度も説明しただろぉ!?」



144: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:09:52.60 ID:P7Kj2VIn0

麦野「ふつーさぁ、今日日の日本で道端に倒れてる修道服の女の子って居ると思う?」

浜面「いや、ベランダに引っかかっててもおかしくねぇんじゃねぇの?」

麦野「……むぎのびーむ」

浜面「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッ?!」

麦野「ち、はずしたか」

浜面「い、いま! 髪! チリって! チリっていった! 髪! チリ! 当たるトコだったぞ! 麦野!」

麦野「当たり前じゃない、当てる気だったんだから」

浜面「さらっと恐ろしい事を言ってくれるな麦野は……」

麦野「浜面の分際で私に口ごたえしようなんて態度が気に入らなかったのよ」

浜面「ひでぇ……」



145: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:10:32.57 ID:P7Kj2VIn0

麦野「ま、いいわ。今日はもう帰りましょう」

浜面「ん。そうだな」

麦野「ここの後片付けよろしくね」

浜面「っておい! 俺一人でっ?!」

麦野「当たり前じゃない、正規の依頼でもないんだから下部組織使うわけにもいかないでしょ?」

浜面「いや俺所属は下部組織なんだけど……」

麦野「はーまづらぁ? あんたのせいで今日は休日出勤なんだからね」

浜面「う……」

麦野「……ま、どうしてもっていうなら手伝ってあげてもいいけど」

浜面「ほ、本当かっ?!」

麦野「その代わり……、か、買い物、付き合いなさいよ」



146: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:11:08.80 ID:P7Kj2VIn0

『買い物だよ、か・い・も・の、わかる?』

──、?

『なんつったらいいか……、食べ物、無くなったから買ってくるんだよ。わかるか?』

──、こくり

『よっしゃ通じた、そんじゃ俺は行ってくるから』

──、ふるふる

『ん?』

──、とことこ。

『一緒にってか?』

──、こくこく

『はぁ……、ま、いっか。夜は冷えるからほらコレ、着てけよ』



147: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:11:45.83 ID:P7Kj2VIn0

『そんじゃあ、行くか』

──、こくり。

『戸締りして……と。まーったくよ、オマエさ。結局どこの誰なんだー?』

──、?

『迷子の迷子の子猫ちゃん、あなたのおうちはどこですかーってか……結局名前も聞けなかったしさ』

──?

『まぁ、誰だって言いたくない事の一つや二つあるもんだしな、気にすんな』

──、……こくり。



148: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:12:21.98 ID:P7Kj2VIn0

『さー着いた着いた、おい勝手に行くなよー』

──、?

『あぁ? これか? これはサバ缶っつってな、サバの缶詰だよ』

──?

『缶詰がわかんねーのか、缶詰ってのはまぁ、保存食みたいなもんか?』

──、こくり

『保存食って言葉はわかるんだな~?』

──、こくこく



149: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:12:56.97 ID:P7Kj2VIn0

『……ま、インスタントの麺類何個か買ってりゃ当分は大丈夫だろ』

──?

『ソレ、お湯入れたら食えるんだよ、うめーぞ』

──、っ

『あー……鮭味のラーメンは無い……かな』

──、……

『あからさまに落ち込んでるな……喋れねえのにナンつーわかりやすさだオイ』



150: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:13:22.93 ID:P7Kj2VIn0

『……あー、ちょっと来い』

グイ

──?

『魚のコーナーは、っと。ここか』

──!

『おお……目が輝いてるぜオマエ……』

──っ! っ!

『あーはい、はいはい。買う、買うから。ったくよーグリルなんて使った事ねーから焦げてもしらねーぞ?』



151: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:13:52.83 ID:P7Kj2VIn0

浜面「ったくよー、絶対コレ焦げてるって髪の毛さ」

麦野「さっきからグチグチと、女々しいのよ」

浜面「そりゃ女々しくもなるわい!」

麦野「はーまづらぁ」

浜面「なんだよ麦野」

麦野「……」

浜面「なんだよー?」

麦野「べつにー」

浜面「なんだぁ? ヘンな麦野だな」

麦野「ヘンはヘンでもヘンタイの浜面にだけは言われたくないわよ」

浜面「ははっ、負け犬上等ォ~……」



152: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:14:26.39 ID:P7Kj2VIn0

麦野「あった」

浜面「何買うかと思ったら弁当かよ」

麦野「明日の朝用よ。ここの鮭弁、好きなのよね」

浜面「ふ~ん」

麦野「なによ」

浜面「いや……意外っつーか、麦野がこんな庶民派スーパーを使ってるなんて思わなかったからさ」

麦野「なによー、人がどこで何買おうと勝手でしょ」

浜面「ちげぇねえ」

麦野「浜面は何買うの?」

浜面「そうだな……今日の晩飯、何にすっかなぁ」



153: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:14:53.51 ID:P7Kj2VIn0

浜面「……、あ」

麦野「うん? どうしたの?」

浜面「……麦野」

麦野「なに?」

浜面「……大変悲しいお話だ」

麦野「だからなによ」

浜面「金、ない」

麦野「……さー、かえろっと」

浜面「まままま、待って! 待ってよ~! 麦の~ん!」

麦野「誰が麦のんだ! ×されてぇのか浜面ァ!」

浜面「む、麦野! ビームはやめろ! 公共の場! 公共の場だって!」

麦野「……フン、なによ。お金が無いのってあのせいでしょ? 自業自得じゃない」



154: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:15:20.38 ID:P7Kj2VIn0

浜面「頼むよ~、腹が減って死にそうなんだ」

麦野「勝手に飢え死にしてれば?」

浜面「ひでぇ……」

麦野「フン」

浜面「俺がオマエの立場だったら絶対手を差し伸べるぞ麦野! 間違いなく! どこの誰であっても!」


『……オマエさ。結局どこの誰なんだー? 』


麦野「……」

浜面「あん? どうしたよ麦野?」

麦野「……なんでもないわよ」

ぐるるるるるるるるる……

浜面「は……はらへった……」



155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:15:53.25 ID:P7Kj2VIn0

麦野「あーもう、わかった。わかったからそんな子猫みたいな目でみないでよ」

浜面「……麦野っ!」

麦野「そのかわり!」

浜面「?」

麦野「食材は買ってあげるわ。でも料理は浜面がすること、いい?」

浜面「お、おう! もちろんだぜ! 俺のスーパーでスペシャルな料理で麦野のほっぺた落としてやるから覚悟しとけよ!」



156: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:16:20.71 ID:P7Kj2VIn0

『っだああああああああああああああ!!!! 煙が! 煙が出てるっ?!』

──、けほ、けほ

『おい! ちょっとトイレ行ってくるから見ててくれって頼んだじゃねーか!』

──、?

『いや、見てたけど? って感じで顔をかしげられてもだな……』

──、ふるふる

ポン

『慰めてくれるのか、オマエ……』

──、こく

『そっか、優しいんだな』

──、……

『でも、晩飯は残念ながらカップラーメンだ』



157: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:16:47.25 ID:P7Kj2VIn0

──、ずるずる

『うまいか?』

──、こくり

『そっか』

──、ずるずる

『今度鮭味のラーメン、探してみるか?』

──!

『ここは学園都市なんだし、商品も変わったもの置いてたりするかもな』

──っ!

『あー、はいはい。また明日な、今日はもう遅いから』



158: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:17:14.16 ID:P7Kj2VIn0

『オマエ、布団つかっていいぞ』

──、?

『俺、ソファーで寝るから』

──、……?

『布団だよ、布団、ワカル? これを、こう、被ってねるの』

──こく

『お、そっか。じゃあ電気けすぞ、おやすみなー』

カチ

──、……。



159: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:17:40.35 ID:P7Kj2VIn0

──、……。

──、……。

スー

スー

スー

Zzz……。



161: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:18:08.34 ID:P7Kj2VIn0

『ふあぁ……よく寝た』

『って、うおお!!』

──、すー……すー……

『なんでオマエがソファーに……、ベッドで寝てたはずじゃ……』

──、すー……すー……

『ま、いっか。気持ち良さそうに寝てるし』

──、すー……すー……

『ほんっと、幸せそうに寝てるなー』

──、すー……すー……

『それにしても、誰なんだろこの子』

『やっぱ、誰か大人に相談した方がいいのかな』



162: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:18:36.00 ID:P7Kj2VIn0

『つっても、俺ここらへんの事まだよくわかんねーんだよな』

『こんな時どうすればいいんだっけ……』

『たしかこのガイドには……ええっと? こまった事は風紀委員か警備員にご相談って書いてあるな』

『これ、地図か』

『んー、ここからだと警備員の詰め所が近いのかな』

『んじゃ、買い物のついでに寄っていくとするかな』

──、ぱちり

『お? おはよ、おきたか?』



163: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:19:03.06 ID:P7Kj2VIn0

──、……ぼー

『おーい?』

──、びくっ

『そんな警戒すんなよ、俺だ俺。昨日の事は覚えてるよな?』

──……こくり

『そりゃ良かった、シャワーでも浴びて来いよ』

──、?

『買い物、いくんだろ?』

──!



164: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:19:34.46 ID:P7Kj2VIn0

『シャワーわかるか? お湯が出てくるんだぞ?』

──こくこく

『へ~、オマエでも知ってるのあるんだな』

──こく

ヌギヌギ

『って、うおお! バカ! こんなとこで脱ぐんじゃねえ!』

──?

『だから何? って顔してんじゃねえええええええええ!!!!』



165: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:20:05.34 ID:P7Kj2VIn0

シャーーーーーーーーーーーーー

──♪

『ったく、脱ぎ散らかすんじゃねーっての……、うへぇ……生暖かい……』

──♪

『ち、ちがう。これは別にやましい気持ちなんかじゃなくて、その! ちらかってるのはダメだろうどうかんがえても!』

──、♪

『ってかこいつ、服コレしかないんじゃ……』

──♪

『ついでに服屋にも寄ってくか? 金は親から振り込んでもらったのがまだたんまりあるし、大丈夫だろ』

──♪

『あいつ……結構胸、大きかったな……ってそうじゃねええええ!!!!!』



166: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:20:36.88 ID:P7Kj2VIn0

キュ

ポタポタ

ガチャ

──♪

『……』

──、?

ポタポタ

『……』

──?

『……タオルでふけー……』

──こく



167: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:21:08.20 ID:P7Kj2VIn0

カシャン

浜面「もー、なにやってんだよ。麦野が動いたから醤油倒れただろ? ホラ、これで拭けよ」

麦野「あんたが押すからよ!」

浜面「ただでさえキッチン狭いんだから、二人も入ったらそりゃキュウキュウだっての!」

麦野「何よ! せっかく手伝ってあげてるのに!」

フキフキ

フキフキ

浜面「……ん」

麦野「どうしたのよ」

浜面「このニオイ……」

麦野「あ?」

浜面「麦野! 火! 止めろ!」

麦野「火?」

浜面「魚! 焦げてる!」



168: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:21:34.62 ID:P7Kj2VIn0

麦野「……」

浜面「ま、焦げちまったもんはしゃーねー」

麦野「そうね」

浜面「責任の所在は一先ず置いといて……だ」

麦野「そ、そうね」

浜面「晩飯……どうするよ……、シャケしか買ってこなかったじゃねーか……」

麦野「なんとかするわよ」

浜面「なんとかってったって……」

麦野「ったく、しゃーないわね。アレを出すか」

浜面「あれ?」

麦野「鮭味のカップラーメン。あんまり売ってないから大事にとってたんだけど特別だからね」

浜面「どんだけ鮭好きなんだよ!」



169: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:22:02.24 ID:P7Kj2VIn0

◇ ◇ ◇ ◇


海原「お疲れ様でした」

一方通行「あー疲れた疲れた疲れた疲れたァ……、ほんっと、マジで疲れたわァ」

結標「っていうか……今日の依頼って、本当に四人で行く意味あったの? 三件とも全部瞬殺だったじゃない」

土御門「にゃー。依頼は完遂、何事もなく終わったんだから文句言わないにゃー」

海原「そういえばあの噂、聞きましたか?」

一方通行「何だァ?」

海原「なんでも人の記憶を自由自在に操るデバイスの研究が、とある施設で行われていたそうですよ」



170: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:22:34.22 ID:P7Kj2VIn0

結標「また悪趣味な研究をしていたものね」

一方通行「記憶だァ? ンなもんいじくってどうしよってンだ?」

海原「さぁ……そこまでは、ただ裏でその研究に不釣合いな程莫大な資金が動いていたとか何とか。噂じゃ子供の記憶の改変に用いられたらしいですけど」

一方通行「子供のねェ……」

結標「許せないわね、遺憾の意を表明するわ」

一歩通行「全くだァ」

海原「そうですね、でもまぁ統括理事会の意向に背いたとか何とかで封殺されたらしいですけどね」

土御門「おー、こわいこわい」

海原「ま、何かと尤もらしい理由をつけて、後は僕らみたいな組織が力づくで黙らせる。それが彼らのベーシックなスタンスですけどね」

土御門「さわらぬ神にたたりなしって事だにゃー」

海原「さて。与太話もこれくらいにして……、今日はもう解散ですかね?」

土御門「そうだにゃー、もう今日はアジトに残っててもやることがないにゃー。解散ですたい」

Prrrrrrrrrrrrrrrrrrrr.......

土御門「っと、電話か……」



171: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:23:40.01 ID:P7Kj2VIn0

結標「何の仕事?」

土御門「’メモリー’の回収だにゃー」

一方通行「’メモリー’?」

海原「その’メモリー’とは?」

土御門「詳しい事はわからないにゃー。ただ、……」



172: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:24:40.67 ID:P7Kj2VIn0

─────────────

────────

────


浜面「タダより高いものはねぇ!」

フレンダ「なによ」

絹旗「超大声だしてどうしたんですか?」

滝壺「耳……きーんってする」

浜面「いや、何故か叫ばなくちゃいけない衝動に駆られてよ」

フレンダ「バカなの?」

浜面「うるせーやい。それよりフレンダ、この前頼まれてた品できたぞ」

フレンダ「え?」

浜面「なんだ忘れちまったのか? これだよコレ」

ゴトリ

フレンダ「あ、靴と……えーっとなんだっけ?」

浜面「イグニスだろ? 中身はただの窒素ガスだけどよ」

フレンダ「あー、そうそう。イグニスよイグニス、ありがと」

浜面「大事に使えよな」

フレンダ「結局、フェイクの爆弾なんて使う場面が限られすぎてて使いにくい訳よ、発想が逃げ腰の浜面らしいというかさ」

浜面「おおい! 人に作らせといてそれかよ!」



173: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:25:33.81 ID:P7Kj2VIn0

浜面「あと絹旗、窒素のビン、お前にもだ」

絹旗「私にもですか?」

浜面「お前さ、窒素装甲使ってる時は殆ど無敵みたいなもんだけど、窒素なくなったらやべーんじゃねーか? クリボーみたいに踏み潰されちまうかもしれねーだろ?」

絹旗「は……浜面には超言われたくないです!」

浜面「へーへー、いいからほら、持っとけ。持ってりゃいつか使うだろ」

絹旗「あ、……ありがとうございます」

浜面「おう。それにしてもフレンダさー。靴に仕込みのナイフなんてよ、なんかスペツナズみたいだな」

フレンダ「憧れてたのよね」

浜面「映画の見すぎじゃね?」

フレンダ「ちょっと浜面さー、あたしの故郷バカにしないでくれる?」

浜面「え? フレンダってロシア人だったの?」

フレンダ「ぜんっぜん、縁もゆかりもないけど」

浜面「なんだそりゃあ……」

フレンダ「とりあえず、ありがと」



174: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:26:10.90 ID:P7Kj2VIn0

滝壺「はまづら」

浜面「ん、どした?」

滝壺「むぎのは?」

浜面「あと30分くらいしたら来るんじゃね?」

フレンダ「……なーんで麦野が来る時間を浜面は知ってるわけなの?」ニヤニヤ

絹旗「超謎ですね」ニヤニヤ

浜面「な……なんだよお前ら」

フレンダ「さぁねーはーまづらぁ」ニヤニヤ

浜面「なんだよ麦野のマネかフレンダ」

絹旗「昨日麦野の家に泊まったんですよね」ニヤニヤ

浜面「な”ぁ?!」

フレンダ「とぼけても無駄よ、浜面の靴にGPSチップを設置していたからねー」ニヤニヤ

浜面「お……お前らっ?!」

絹旗「で」

フレンダ「ぶっちゃけ、シたの?」



175: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:26:39.12 ID:P7Kj2VIn0

浜面「はぁぁぁぁぁぁああッ?! な、な、な、何を言ってるんだよ!」

フレンダ「何って、ナニでしょ」

絹旗「超ナニですよね」

滝壺「なに」

浜面「ナニとかさらっと言うんじゃねええええええ!!!!! だ……だいたいっ! 麦野は俺の事なんか全然好きでもなんでもねーよ!!」


絹旗「そうでしょうか?」ニヤニヤ

フレンダ「なんでそんな風に言い切れるのかにゃーん?」ニヤニヤ


浜面「あいつはベッドで寝たけど俺は廊下だぜ?! この扱いからわかるだろーが!」


フレンダ「という事はつまり」

絹旗「麦野の家に泊まった事実は認めるんですね?」




176: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:27:05.86 ID:P7Kj2VIn0

浜面「はぁ? 認めるも何もそれはお前等が俺の靴に細工して……」


フレンダ「あたしら、何も細工なんかしてないよ」

絹旗「まさかこんな簡単な誘導尋問にひっかかるなんて……浜面はやっぱり超浜面ですね……」

滝壺「たんじゅん」


浜面「なん……だと……」

フレンダ「(きひひっ、これから罰ゲームのはじまりはじまりよ!)」

絹旗「(フレンダ……悪魔の尻尾がでてますよ)」

フレンダ「(気のせい気のせい)」

絹旗「(超ワルですね。まぁこのノリ、嫌いじゃありませんよ)」

フレンダ「(さーさー、尋問開始よ!)」



177: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:27:32.19 ID:P7Kj2VIn0

フレンダ「ネタは上がってんだよにーちゃんよぉ」

浜面「何のネタだ何の」

フレンダ「……吐いてラクになってまえよ……カツ丼くうか?」

浜面「いらねーよ!!」

絹旗「ずばり、麦野のどこに惚れたんですか?」

浜面「はぁ?! なんで俺が麦野に惚れなくちゃいけないんだよ」

フレンダ「……」

絹旗「……なんで、って」

フレンダ「自覚なし?」

絹旗「ファミレスの件といい……きっと超自覚無しなんでしょうね……」

フレンダ「むぎの……不憫……」



178: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:28:21.30 ID:P7Kj2VIn0

フレンダ「浜面はさー、麦野の事どう思ってるの?」

浜面「どう……って」

絹旗「超好きだーーーー!! とか。超愛してるーーーー!! とか」

浜面「だからぁなあ、そんなんじゃねえんだよ」

フレンダ「婚前宿泊までしておいてっ?!」

浜面「婚前って……久々に聞いたぞそんな言葉、お前やっぱり日本人なんじゃ……」

フレンダ「今私の国籍の話なんかどうでもいいの」

浜面「はぁ……」

絹旗「昨日、麦野の様子はどうでしたか? 何か変わった様子は超ありませんでしたか?」

浜面「変わった……? 変わった様子って言われてもなぁ……」



179: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:28:54.22 ID:P7Kj2VIn0

浜面「あ」

絹旗「何か超おもいだしましたか?」

浜面「昨日夜さ、晩メシ作ってたんだよ」

フレンダ「どっちが! どっちに!」

浜面「どっちが……って別に、二人で、だけどよ」

絹旗「愛の共同作業ですねこれは……」

フレンダ「OH……LOVELY WORKS……トゥギャザー……」

浜面「いや、フレンダ意味わからんから」

フレンダ「それで、料理した。はい終わり。って訳じゃないんでしょ?」

浜面「あー、それでよ。狭いんだ麦野の部屋のリビング、二人入ったらもうキュウキュウでさ」

絹旗「つまりスキンシップも自然と増えるっていう超寸法ですね」

フレンダ「麦野……涙ぐましい努力……」

浜面「そしたらあいつさ、醤油とか零しやがってよ」

フレンダ「ドジっ娘アピールっ?!」

絹旗「なんか麦野のイメージが超崩れていきます……」

浜面「ったくしゃーねーなって感じで拭いてたら、鮭を焦がしちまってさ」

フレンダ「そこで更にワンモアパンチを重ねにいったのね麦野……」

絹旗「二重の仕掛けですか、超ハイレベルです」

フレンダ「上級者向けよ上級者向け」

絹旗「なるほど、超参考になりますね」

メモメモ

フレンダ「参考になるな……ならねーよ」

メモメモ



180: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:29:21.02 ID:P7Kj2VIn0

フレンダ「で、お風呂は当然一緒に入ったんでしょ?」

浜面「は……はぁ?!」

絹旗「超エロ面ですね」

浜面「あのなぁ……んな事してたら命がいくつあってもたりねーよ!」

フレンダ「3つくらい命、ありそうじゃない?」

絹旗「浜面でひとつ、エロ面でひとつ、バカ面でひとつですか?」

フレンダ「絹旗、上手いこというじゃない。ザブトン進呈よ」

絹旗「超ありがとうございます」

浜面「ったくよー、麦野が俺の事好きとかありえないからさ。お前等だけで盛り上がってんじゃねーぞ」

絹旗「それじゃー、昨日浜面が襲われた時の事はどうやって説明するんですか?」

浜面「昨日?」

フレンダ「結局、麦野ったらスゴい形相で逃げた一人を追っかけていった訳よ、あんな小物ほっといても別に大丈夫そうなものを。私が走っても追いつけなかったんだから」

絹旗「そうですよ、あんな小物」

浜面「その小物に追い詰められた俺の立場はっ?」

フレンダ「なし」

絹旗「超ありませんね」

フレンダ「でも浜面、よっく考えなよ」

浜面「あん?」

フレンダ「麦野の気持ちよ」



181: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:29:54.39 ID:P7Kj2VIn0

浜面「だから昨日のアレはアイテムのリーダーとして……」

絹旗「ここまでとなると……超呆れたものですね」

フレンダ「天然記念物クラスな訳よ、どっかの博物館に展示すればいいのに」

浜面「はぁ?」

絹旗「たぶん……超アレじゃないですかね」

フレンダ「アレだよね」

浜面「アレってなんだよ」

絹旗「アレはアレしかないです」

フレンダ「うん、アレしかない」

浜面「アレ?」

フレンダ「アレはアレよ」

浜面「アレってなんだよ」

絹旗「浜面だって自分の持ち物を勝手に取られたら超怒るでしょう? 例えば、お金を奪われたりしたら」

浜面「当たり前だろ」

フレンダ「麦野も一緒ってコト」

浜面「……そうだったのか」

絹旗「やっと気づきましたか」

フレンダ「鈍感」

絹旗「超鈍感」

滝壺「どんかん」


浜面「やっぱ麦野……ファミレスで金借りたコト怒ってるのか……?」



182: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:30:30.94 ID:P7Kj2VIn0

滝壺「」

絹旗「」

フレ ンダ「」

浜面「しかも昨日もお金無いって言ったらすげー怒られたし……金の切れ目が縁の切れ目って言うしなぁ……、次金が入ったら一番に謝りにいくよ……って、なんで三人ともずっこけてるんだ?」

絹旗「あの~、浜面? お金の事はものの例えで、実際麦野はそういう事で怒ってたわけじゃないと思うんです」

浜面「そうなのか?」

絹旗「え、えぇ。そうですよ」

フレンダ「こ……ここまでとは……」

絹旗「浜面仕上……超侮りがたし……」



183: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:30:59.02 ID:P7Kj2VIn0

麦野「随分楽しそうな話してるじゃない? 私も混ぜなさいよ」



フレンダ「む、むぎの」

絹旗「い、いつから居たんですか?」

麦野「いつ? 今きたとこだけど?」

フレンダ「そ、そう。なははー、なんか喉渇いちゃったなー、ドリンクバーでも行ってこようかなー」

麦野「あら? そんなの浜面に任せとけばいいじゃない」

フレンダ「な、なんだか今日は自分で入れに行きたい気分なのよ、そう! たまには自分で動かないとねー」

麦野「あ、そ。いってらっしゃーい」

滝壺「(にげた)」

絹旗「(超逃げましたね)」



184: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 02:31:25.77 ID:P7Kj2VIn0

浜面「お前等は何にする?」

絹旗「コーラ」

滝壺「かるぴす」

浜面「麦野は、いつものでいいな」

麦野「うん」

浜面「じゃ、行ってくるわ」



192: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 19:36:17.03 ID:P7Kj2VIn0

フレンダ「(きゃ~! むぎのにバレた? 聞こえてた? それとも聞こえなかった?!)」

フレンダ「(……でも、なんかいつもと同じ風だし……別に大丈夫だよね)」

フレンダ「(それにしても、あ~、浜面、ほんとに麦野のコト、なんとも思ってないのかな)」

フレンダ「(麦野は麦野で、浜面のコト、どー思ってるんだか……)」

フレンダ「(でも正直、浜面に麦野はもったいないと思うわけよ)」

フレンダ「あれ、レモンティーが無い?」

フレンダ「むー、ツイてないな」



193: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 19:39:36.45 ID:P7Kj2VIn0

フレンダ「だったらこの特製のサバフレークをミックスして……」

浜面「やめんか」

ひょい

フレンダ「ちょ、返せバカ!」

浜面「あのなぁ、どこの世界にドリンクバーに持ち込みのフレークをミックスするヤツがいるんだよ」

フレンダ「ここに居るわよ」

浜面「アホか」

フレンダ「むきー!」

浜面「こういう時はな~。すみませ~ん店員さん。レモンティー切れてるみたいなんですけど」

「わかりました、少々お待ちください」



194: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 19:42:28.29 ID:P7Kj2VIn0

浜面「な? ホラこう言えばいいんだよ。ほれ、ティーパック」

フレンダ「……」

浜面「えーっと、何だっけ。滝壺がカルピスで絹旗がコーラで麦野が紅茶だったか」

フレンダ「あ、あのさ」

浜面「ん?」

フレンダ「ありがと」

浜面「あいよ」



195: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 19:47:39.57 ID:P7Kj2VIn0

麦野「~~♪」


絹旗「(滝壺さん、滝壺さん)」

滝壺「(きぬはた、なに?)」

絹旗「(さっきから麦野、超ゴキゲンじゃないですか?)」

滝壺「(そうね)」

絹旗「(……誰かさんの行動一つで機嫌が超良くなったり超悪くなったり……恋する乙女ですか)」

滝壺「(麦野も女の子だもの)」


麦野「~~♪」



196: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 19:51:36.95 ID:P7Kj2VIn0

浜面「ところでさっきの話だけどさ」

フレンダ「ん?」

浜面「その……マジな訳?」

フレンダ「何が?」

浜面「麦野が俺の事……その、なんだ、ほら」

フレンダ「さ~ね~」

浜面「はぁ?」

フレンダ「気になるなら自分で確かめたらぁ?」

浜面「で……できる訳ねぇだろんな事!」

フレンダ「そうだよね~、結局、浜面ヘタレだし」



197: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 19:55:18.24 ID:P7Kj2VIn0

浜面「……う」

フレンダ「ヘタレの浜面、略してヘタ面ね。お似合いじゃない」

浜面「うるせー」

フレンダ「……(なにこの浜面、ちょっと可愛い訳よ。こんな顔されたら母性本能くすぐられるわよね……、あ、それで堕ちたのか麦野)」

浜面「……で、どうなんだよ」

フレンダ「し~らないっと」

浜面「おい?! 待てよフレンダっ」

フレンダ「結局、外野がどうこう言う話でもないからね~」




198: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 19:59:33.76 ID:P7Kj2VIn0

浜面「お待たせ」

麦野「ん」

浜面「ほれ、紅茶」

麦野「ありがと」

浜面「お前等も、カルピスとコーラな」

麦野「さて、全員揃った所で作戦会議を始めましょうか」

フレンダ「作戦?」

麦野「依頼よ」

絹旗「内容は?」

麦野「詳細はもうすぐ届くと思うわ、浜面、あんたのとこにメールが届くはずだから全員に転送して頂戴」

浜面「あ? あぁ、わかった」



199: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 20:05:06.09 ID:P7Kj2VIn0

♪マヨエー ソノテーヲ ヒクモーノナ-ドイナイ♪

浜面「お、来たな」

コロン……コロッ、コロッ

麦野「浜面、ポケットから何か落ちたわよ」

浜面「ん、あぁ。すまんな」

ひょい

麦野「なにそれ?」

浜面「さあ?」

麦野「さあ……って。綺麗ね、パズルのピースみたい」

浜面「全員、転送したぞー」



200: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 20:09:51.04 ID:P7Kj2VIn0

滝壺「……聞こえる」

絹旗「……? 滝壺さん?」

滝壺「……声、聞こえる」

フレンダ「どーしたの?」

滝壺「……わからない、けど。悲しい声が、そこから」

麦野「ここから?」

浜面「あー、そういえば持ってて何か聞こえたな、俺も」

麦野「ふーん?」



201: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 20:12:59.77 ID:P7Kj2VIn0

麦野「ま、いいわ。それより浜面、大切なものならちゃんと持っておきなさいよ」

浜面「お? おう」

フレンダ「結局、麦野はモノは大切にする派な訳よ」

浜面「ほう?」

フレンダ「だってボロボロのヌイグルミ抱いてないと眠r」

浜面「ヌイグルミ?」

麦野「フーーーー……レー……ン、ダァ?」

フレンダ「ひぃっ?! な、なんでもない、なんでもないっ」



202: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 20:17:55.67 ID:P7Kj2VIn0

────────

────

──


「報告します。’メモリー’の件に関して依頼をしたところ『グループ』という組織とコンタクトがとれました」

「ふむ、ウデは確かなのか?」

「噂では学園都市でもかなり上級に位置する能力者が在籍しているとか」

「それは頼もしい」

「’メモリー’について情報を要求されていますが如何しましょう?」

「任せる」

「承知致しました」



203: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 20:28:02.87 ID:P7Kj2VIn0

◇ ◇ ◇ ◇


麦野「それじゃあ、今日は解散ね。各自そのデータを叩き込んでおくこと、いいわね?」

滝壺「うん」

絹旗「超お疲れ様でした」

フレンダ「は~帰って新しいサバ缶た~べよっと」

浜面「ほんと、サバ缶好きだよなぁ」

フレンダ「きひひっ」



204: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 20:32:38.32 ID:P7Kj2VIn0

絹旗「それじゃあ私はお先に超失礼しますね」

滝壺「ばいばい」

フレンダ「サバ缶サバ缶っと~♪」

麦野「はいはい」

浜面「おーう、またな」

麦野「ったく、サバ缶のどこがいいのやら」

浜面「ははは」



205: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/18(火) 20:35:14.37 ID:P7Kj2VIn0

麦野「……」

浜面「……え、っと」

麦野「ん?」

浜面「お、俺らも帰るか」

麦野「そうね」

浜面「それじゃあお先に」

麦野「待ちなさいよ」

浜面「……え?」

麦野「女の子を一人で帰す気?」

浜面「あ、いや」

麦野「イヤならいいけどー?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

浜面「お供させていただきます麦野さん」

麦野「うん、よろしい」

浜面「ははは……(こんなとこでビームだされたら死ぬだろーが!)」



216: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 06:10:37.45 ID:MVKsivV40

スタスタ

浜面「で、──────昨日のサッカーがな──」

スタスタ

浜面「────岡崎が──────ハットトリックで──────」

スタスタ

浜面「決勝──────リーグに────────」

麦野「……」

スタスタ

浜面「────おーい……麦野ぉー?」

麦野「なによ」

浜面「オレノ、ハナシ、キイテマスカ」

麦野「聞いてるわよ、岡崎がハットトトリックして勝ったんでしょ」

浜面「あと、前田も2ゴールな」

麦野「はいはい、聞いてた聞いてた」

浜面「そーかよ、ならいいけどさ」




217: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 06:15:20.67 ID:MVKsivV40

浜面「でよ、次は開催国のカタールと試合なんだとさー。勝つと思うか?」

麦野「私サッカーなんかあんま見ないから」

浜面「そ、そうか…………(あー……スポーツの話題はNGだったか……)」

麦野「……」

浜面「……(気まずい沈黙だな……)」

麦野「……」

浜面「……(な、なんかないか話題、話題っ?!)」

麦野「ど……」

浜面「……?」

麦野「どっちかと言えば……」

浜面「……どっちかと言えば……?」

麦野「どっちかといえば、野球かなー……なんて」

浜面「は?」



218: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 06:18:20.84 ID:MVKsivV40

麦野「だから、どっちかって言えば野球かなって言ってんのよ!」

浜面「あ? あぁ……そ、そうか。お前でもナイターとか見るんだな」

麦野「何よ! おかしい!」

浜面「いや、別に。最近じゃ女も野球見るのは普通だろ」

麦野「フン」

浜面「なんだ麦野も野球好きだったのかー、どこのファンなんだ?」

麦野「あ、あんたはどこが好きなのよ」

浜面「あ? あー、どこって……強いて挙げるなら京浜アスレチックスとか?」

麦野「じゃあ私もそこ」

浜面「私も、って……」

麦野「何よ! おかしい?!」



219: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 06:20:29.77 ID:MVKsivV40

浜面「おかしくはねーけどさ」

麦野「ならいいじゃない、私がどこのファンだろうとさ」

浜面「いや、そうか。漫画が好きなんだな」

麦野「?」

浜面「?」

麦野「何?」

浜面「い……いや、べつに?」

麦野「そ」

浜面「……?」



220: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 06:27:17.00 ID:MVKsivV40

麦野「それじゃ、ここでいいから」

浜面「おう」

麦野「次は遅刻すんじゃないわよ」

浜面「しねーよ!」

麦野「はいはい」

浜面「またな」

麦野「また、ね」


────────

────

──



♪ハナテココロニキザンダユメヲーミライサエオーキーザーリーニシーテー♪

絹旗「超限界など~♪ しらない~♪ 超意味ない~♪」

絹旗「この力が~♪ 超光散らす~♪ その先に超遥かな思いを~♪」


ピ


絹旗「はい、絹旗です」

麦野『出るの遅い』

絹旗「はい、すみません。何か超緊急の用事ですか?」

麦野『……ちょっと、聞きたいんだけど、いいかしら?』

絹旗「は?」

麦野『だーかーら、聞きたい事があるんだけど』

絹旗「はぁ……私でわかる範囲なら超答えますけど」



221: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 06:32:36.49 ID:MVKsivV40

絹旗「ナイターのチケットぉ? 麦野、野球はとっくに超シーズンオフですよ?」

麦野『え? そうなの?』

絹旗「そうですよ」

麦野『でも、サッカーは試合あったんじゃないの?』

絹旗「いや、そもそも種目が超違いますし……」

麦野『そ、そうだったの……』



222: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 06:36:46.25 ID:MVKsivV40

絹旗「そうですよ」

麦野『まぁそんな事はと、当然、知ってたけどね。確認よ確認』

絹旗「はぁ……そうですか」

麦野『それじゃあもう一つ確認していいかしら』

絹旗「はい?」

麦野『京浜アスレチックスって何県の球団なの?』

絹旗「京浜? 超聞いたことありませんね」

麦野『え?』

絹旗「その京浜アスレチックスが超どうかしたんですか?」

麦野『いや、浜面が好きって言うから……どんなチームなのか気になって……』

絹旗「ちょっと待ってください、ネットで超調べますから」



223: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 06:38:35.39 ID:MVKsivV40

麦野『あ、ありがと……』

絹旗「お?」

麦野『みつかった?』

絹旗「あー……」

麦野『どうしたの?』

絹旗「漫画で出てくるチームみたいですね、実在しない架空の球団だそうですよ」

麦野『』

絹旗「むぎの、超どうかしましたか?」



224: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 06:45:18.99 ID:MVKsivV40

絹旗「……大体事情は把握しましたよ。浜面が昔野球やってたから? 野球好きをアピールしたと思ったら? 好きだって言った球団が架空の球団で?」

麦野『だ、だって。そんな事しらなかったんだから』

絹旗「どんだけ健気なんですか麦野」

麦野『し、仕方ないじゃない』

絹旗「っていうか麦野って、そんなキャラでしたっけ」

麦野『なによ、私にどんなキャラ期待してんのよ』

絹旗「いやいや、あえて無知な所を無知なりにがんばってみた感じの会話ってのがひょっとしていいかもしれませんよ?」

麦野『そ、そうかしら』

絹旗「っていうか、別に気にする事でもないと思いますよ。浜面ですし」

麦野『な……なんで浜面の事だって……』

絹旗「いや、さっきから自分で超言ってますよ、麦野」

麦野『はっ』

絹旗「超落ち着いてください」



225: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 06:49:36.00 ID:MVKsivV40

絹旗「超深呼吸ですよ」

麦野『スーーーー……ハーーーー……』

絹旗「落ち着きました?」

麦野『……おかげさまで』

絹旗「超良かったです」

麦野『で、どうしよう絹旗ァ……』

絹旗「はー……恋する乙女みたいですね、麦野」

麦野『みたいじゃなくて、してんのよ!』



226: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 06:50:11.34 ID:MVKsivV40

絹旗「そーですか」

麦野『そうなの』

絹旗「……」

麦野『……』

絹旗「……?」

麦野『いまの、きいた?』

絹旗「ええ、超聞きましたよ」

麦野『超・ブ・ッ・殺・す!』



228: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 06:52:39.21 ID:MVKsivV40

絹旗「麦野っ?! 麦野、落ち着いてください!! 麦野!」

麦野『あーーーあーーーー、聞こえない何も聞こえない!』 


────────

────

──


ピンポーン

ガチャ

オジャマシマース

絹旗「と、とりあえず。お茶でもどうぞ」

麦野「あら、悪いわね」

絹旗「なぜこんな展開に……」

麦野「私の秘密、知ったんだから当然よ」

絹旗「ある意味超不可抗力ですけどね」



229: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 06:58:33.27 ID:MVKsivV40

麦野「……で、相談なんだけど。用件はもう言わなくていいわよね?」

絹旗「ええまぁ……だいたいは」

麦野「そう、じゃあ言わせてもらうけど」

絹旗「けど?」

麦野「どーしてこいつ等がいるのよ!」


滝壺「……お茶、おいしい」

ズズズ

フレンダ「なははー、面白そうじゃない。私も混ぜなさいっての。あれ? お茶菓子おいしいわね」

モグモグ



230: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 06:59:44.09 ID:MVKsivV40

絹旗「いや、なんか超面白そうでしたし」

麦野「そう……絹旗……あんたやっぱり……」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


絹旗「い、いやほら! 滝壺さんもフレンダも経験豊富というか! 私一人より大勢いたほうが客観的なアドバイスもできるかとおもいまして!」

滝壺「そうだよ麦野(けーけん?)」

フレンダ「そ、そうよ麦野。落ち着いて(だーれが経験豊富よきぬはたぁっ! 彼氏なんか居たことねーっつの!)」

麦野「そう……、ありがとね」

しゅん

フレンダ「小動物みたいなむぎの! たまらーん!」

麦野「っだあ! 寄るなフレンダ! 暑苦しい!」



240: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 21:20:08.79 ID:MVKsivV40

────────

────

──


黄泉川「やっと見つけたじゃん、浜面」

浜面「……また黄泉川かよ」

黄泉川「まーまー、そんな顔しないしない」

浜面「何か用かよ」

黄泉川「用って程でもないじゃん、聞きたい事があって」

浜面「お前が俺に聞きたい事だぁ?」

黄泉川「お前がスキルアウトを抜けた事は把握してるんだけどね」

浜面「なんだ、そんな事かよ」

黄泉川「駒場はそれを許したのか?」



241: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 21:20:50.93 ID:MVKsivV40

浜面「……」

黄泉川「駒場じゃん、駒場利徳。お前んとこのリーダー」

浜面「……なんでお前がそんな事気にするんだよ、関係ねーだろ」

黄泉川「ある」

浜面「ないだろ」

黄泉川「関係ある」

浜面「ねぇよ!」

黄泉川「心配してんじゃん!」

浜面「……」

黄泉川「スキルアウトって組織はさぁ、そんな簡単に抜ける事ができる組織じゃないのはよくわかってんじゃんよ。なのに浜面はスキルアウトを抜けた、それ以降駒場の目撃情報は無い、心配するなっていう方が無理な注文じゃんよ!」

浜面「……いいだろ、そんなに知りたきゃ教えてやるよ……駒場の旦那は死んだよ」



242: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 21:21:16.86 ID:MVKsivV40

黄泉川「……っ」

浜面「……死んだんだ」

黄泉川「どうして……」

浜面「詳しい事は知らないし、知ってても教える義理はねぇよ、ただ……」

黄泉川「……」

浜面「駒場利徳っていう人間はもうこの世に存在しねぇ、それだけだ」

黄泉川「……墓、教えるじゃんよ」

浜面「あぁっ?!」

黄泉川「墓参りくらい、私にもさせてもらう権利があるじゃん」



243: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 21:21:52.68 ID:MVKsivV40

浜面「やなこった! だいたいお前が居なかったら……っ! お前が居なかったら……、お前が……クソッ」

黄泉川「頼む」

浜面「……っ」

黄泉川「頼むよ、浜面。私にとっては……誰であろうが大切な教え子なんだ」

浜面「……」

黄泉川「……頼む」

浜面「わかったよ……わかったから顔あげてくれよ黄泉川」

黄泉川「教えてくれるじゃん?」

浜面「……、第七学区の──────、通りを抜けて────」

黄泉川「連れていくじゃんよ、浜面」

浜面「……いいのかよ警備員、完全下校時刻はとっくに過ぎてるんじゃねーのかよ」

黄泉川「時と場合によるじゃん」

浜面「そーかよ」



244: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 21:27:10.44 ID:MVKsivV40



浜面「……ここだよ」


黄泉川「ここが……」

浜面「今日も誰か来てたみたいだな、花が添えてある」

黄泉川「随分慕われてたみたいじゃん」

浜面「たりめーだろ、駒場さんだぞ」

黄泉川「私にとっては……手のかかる子供だったけど、そうか、そうだったのか……」

浜面「……」

黄泉川「なぁ駒場よ」

浜面「……」

黄泉川「すまなかったな……」



245: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 21:31:37.12 ID:MVKsivV40

浜面「……」

黄泉川「本来、お前や浜面みたいにドロップアウトする生徒が出ないようにするのが私の、教師の仕事じゃん」

浜面「……」

黄泉川「なのに私ときたらお前等と顔を合わせるのはいつも、いつもいつもいつも事件の現場じゃんよ」

浜面「……」

黄泉川「そりゃいつも面倒事を起こしてくれて、腹が立った事もあるじゃん。クレーン車でATM強奪した時は怒り心頭だったじゃんよ」

黄泉川「でもそれは、お前達だけに怒りの矛先を向けるのは間違っていた事じゃないかって、最近そう思うじゃん」

黄泉川「お前達をそうさせてしまう、その前に、何か出来たんじゃないか……私の本来の仕事は、そこなんじゃないかって」

黄泉川「……なあ駒場よ」

黄泉川「お前は一体この学園都市で、何を見て、何を感じたんだ」

黄泉川「……ちょっとで良いから、教えてほしいじゃんよ……」



246: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 21:37:36.70 ID:MVKsivV40

『あのー……すみません、警備員の詰め所ってここで合ってますか?』

『いかにも。少年、警備員に何か用じゃん?』

『この子、迷子みたいなんですけど』

『迷子?』

『あー、えー。はい』

『よしよし、そんなに怖がらなくてもいいじゃんよ。ちょっとで良いから、知ってる事をおねーさんに教えて欲しいじゃん?』

──?

『?』

『すみませんこの子、喋れないみたいなんですよ』



247: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 21:40:08.38 ID:MVKsivV40

『んー、参ったじゃんよ。学生証は持ってるじゃん?』

『えっと、俺来週入学で、まだ発行してもらってないんです。たぶんこの子もそうだと思います』

『そうか。だったらとりあえず詳しい話を……』

──?

『そっか、話せないのか』

『あの……この子、ちゃんと戻れますか?』

『安心するじゃん、おねーさんに任せとくじゃんよ。ちゃーんとお家に戻してあげるじゃん』

『だってよ! オマエ、よかったな!』



248: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 21:42:31.86 ID:MVKsivV40

──、ふるふる。

『なんだ? 帰りたくないのか?』

──、こくり。

『んー……、そういう訳にはいかないじゃんよ』

──、……。

『あ、あの。この子の身元がわかるまでしばらく俺の家で預かっていてもいいですか? なんつーか、俺に懐いているというか、その』

『この子が良いなら構わないけど、どうするじゃん?』

──、こく

『ん、わかったじゃん。とりあえずいくつか質問するから、答えてほしいじゃん』



249: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 21:45:14.40 ID:MVKsivV40

『ありがとうございました』

『なんのなんの、困った事があったらいつでも相談にくるじゃん』

『はいっ』

『ん、良い返事じゃん。これから入学となると、身体検査が楽しみじゃん?』

『へへっ』

『勉学に励むじゃんよ、少年』

『わかった!』

『何かわかったら連絡するじゃん』



250: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 21:50:47.26 ID:MVKsivV40

カタカタ

『えーっと……身長約140センチ程の少女、迷子……』

カタカタ

『白色ワンピース……ロングヘアで栗色の髪』

カタカタ

『身元、捜査……願い……○月○日……』

カタカタ

『浜面仕上……家で……保護』

カタッ

『黄泉川! 出動だ!』

『わかったじゃん! すぐ行くじゃん!』

パタン



251: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 21:58:06.32 ID:MVKsivV40

────────

────

──


──、!

『……嘘……だろ……』

──、!!

『鮭味の……カップラーメン……だと……?』

──、こくこく

『シーフード味じゃなくて、なぜ鮭味のピンポイントなんだ…………』

──、きらきら

『すげー目輝いてんなオマエさ、そんなに心配せんでも買うからよ、安心しとけ』

──!

『っだあ! 抱きつくなコラ!』

──、しゅん

『あ……その、すまん……ほら、2個買ってあげるから』

──!

『喜怒哀楽がわかりやすすぎだろ……』



252: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:08:09.17 ID:MVKsivV40

『まーいっか、ほれ、カゴん中入れとけ』

──こくり

『おし、後ほしい食べ物あるか?』

──?

『なんでもいいんだぞー、ただし食べ物なー?』

──……

『いやー……、そんな真剣に悩まなくてもいい気が……』

──!

『ん? 何指差してんだ……?』

──じー……

『……』

──じー……

『いやアレ、この店のマスコットだから。いくら鮭のキャラクターだからってくえねえから』

──、ガーン



253: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:10:39.62 ID:MVKsivV40

『お買い上げありがとうございましたー』

『さて、食料も買ったし……次は服だな』

──?

『服だよ服、オマエそれしか着るもんねーだろ?』

──?

『別に困らないけど? みたいな感じで首を傾げられても……こっちが困るんだよ』

──こくり

『わかったら行くぞー、たしかセブンスミストっていう店があったはずだから』



254: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:16:43.92 ID:MVKsivV40

『さて……来たはいいが……よく考えたら俺、女の服の事なんてわかんねーぞ……』

──!

『お? 気に入ったのあったか?』

──!

『っだあ! こんなキワドイ水着選ぶやつがあるか! それに普通に着る服を選んでんだよ今は!』

クスクス

兄妹カシラー?

カワイイー

『ぐ……何故か周囲から白い目で見られてる気が……』

──?



255: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:20:11.59 ID:MVKsivV40

『ん?』

──?

『これなんかいいんじゃねーの?』

──……!

『向日葵柄のワンピース、どうだ?』

──、こく

『なんつーか、今着てるからかもしれねーけどよ』

──?

『ワンピースが似合う気がするんだよオマエには』

──?

『あー、とにかく試着してこい。って、まさか試着も一人でできないっていうオチじゃあないよな?』

──……

『さ、さすがに服くらいは一人で……』

──?



256: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:21:58.46 ID:MVKsivV40

『お買い上げありがとうございましたー』

──♪

『おー? 似合う似合う』

──ぺこり

『……ん? お礼のつもりか?』

──こくこく

『どーいたしまして』

──♪

『はは、子供みてぇにはしゃいでるな』



257: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:24:25.25 ID:MVKsivV40

ドン

不良A『……いてーな、このクソガキ』

──……!

不良A『あぁ?! 人にぶつかっておいてごめんなさいも言えねぇのかてめぇは!』

──ふるふる

不良A『なんだテメェ……おい、ふざけてんのか!』

──、ビクッ

不良A『あぁーん? よく見たら可愛い顔してんじゃねーか、おい、ちょっと来いよ』

『おい、待てよ』



258: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:27:12.42 ID:MVKsivV40

不良A『んだてめぇ!』

『この子の保護者……というか、まぁ、そんな感じだけどさ』

不良A『保護者だぁ?! ……だったらてめーが責任とるんかよ』

『責任だ?』

不良A『おー、いてえいてえ。こりゃ骨が折れてるな、おいニーちゃんよ、入院費と治療費寄越せや』

『どう見ても折れてるようにはみえねぇけどな』

不良A『はー? だから病院に行って検査してもらうんだろーが、頭沸いてんのか、あ?』

『……話し合いは無駄な様だな』



259: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:29:44.65 ID:MVKsivV40

『おい、荷物もってどっか隠れてろ』

──!

『いいから、どっか安全な所で、な?』

──、ふるふる

『良い子だから、言う事聞いてくれ』

──……

『ちょっとしたら戻ってきてくれ、待ってるからよ』

──、こくり

不良A『話し合いは終わったかよ、ええ? ニーちゃんよぉ』

『ああ』

不良A『だったら……とっとと死ねや!』

ゴッ



260: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:30:50.59 ID:MVKsivV40

──、おろおろ

──、あたふた

──、きょろきょろ

──、!

『何かしら? あの子』

『さー、行こう行こう。約束の時間に遅れちゃうよ』



261: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:32:22.95 ID:MVKsivV40

──!

──とてとて

『おー? お嬢ちゃんじゃん、どうしたじゃん?』

──!

『そんなに慌てなくても、ちゃんと見つけてあげるじゃん』

『おい黄泉川! また出動だ!』

『わかったじゃん! お嬢ちゃん、おねーちゃんはちょっとお仕事いってくるじゃんよ!』

──、……。




262: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:35:11.26 ID:MVKsivV40

──、とぼとぼ。

──、とぼとぼ。

──。

『よぉ……、無事だったかァ?』

──……

『ったくよー、最初は……いてて、最初は勝ってたんだけどな、チクショー、後でぞろぞろ4人も5人も出てきやがってよ、はは』

──……

『負けちまったー、あー、よわっちいな俺、ったくよー』

──……



263: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:38:16.48 ID:MVKsivV40

『なんか身体がふわっと浮いたり、鉄がぐにゃんて曲がったり、あれが能力ってやつなのかな?』

──、

『まぁオマエが無事でよかった』

──!

『はは、せっかく買った服、キレーなままで、良かったな?』

──……。

『おーい?』

──、

『どうした?』

──、くるっ

『おい、どこ行くんだよ! 待っ……いててて』



264: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:42:53.58 ID:MVKsivV40

ドクン

──、ハァッ

ドクン

ドクン

──、ハアッ

ドクン

──、ハァッ……ハア……ハ……ア……

──、……ロス……コ…………

──、ス………………

────、コロ………………ス……



265: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:44:06.09 ID:MVKsivV40

不良A『カカカカ、サイコーだったなオイ』

不良B『てんで弱っちいのによ、倒しても倒しても起き上がってきて笑えたな』

不良C『能力者に立ち向かう無能力者カッコイイ! ってかぁ?』

不良D『ま、あんだけやられたらもう立ち向かってこねーだろ』

不良A『あーあー、しかも全然金もってなかったしよぉ。働き損だっての』

不良B『ちげーねー』




266: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:46:47.06 ID:MVKsivV40

不良A『ったくよー、こんなんじゃ全然たりねえよ、あと2.3人狩ってくか?』

不良B『この時期だと新入生のガキが多くて簡単だしなぁ』

不良C『こっちのサイフが潤ってしゃーねーよ』

不良D『風紀委員も警備員も最近出てる事多いしな、こっちまで手がまわんねーのよ』

不良A『まさに俺らへの追い風だなオイ』

不良B『ははっ』


──、ミ……ツ……ケタ……



267: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:50:24.51 ID:MVKsivV40

不良A『あん?』

不良B『どうしたよ?』

不良A『なんか言ったか?』

不良C『いや?』

不良A『なんだ? 空耳か?』

不良D『おいおい、脅かすなっての』

不良A『ははっ、すまねえすまねえ』


──ミツ……ケタ


不良D『ああ? なんだぁ? このガキ』



268: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:52:18.43 ID:MVKsivV40

不良C『ガキ?』

不良A『さっきのガキの連れじゃねーか、なんだ? せっかく見逃してやったってのにまた来ちまったのか? ああ?』

不良B『げへへ、どーする? やっちまう?』

不良D『お前は女とか子供でも手加減なしだからな』

不良B『げへへ、げへ……げへ、いいだろ?』

不良A『程々にな』

不良B『いっただっきまーすっ!』

キュイイイイイイイイイイイイイイイィィィィィィン……

ドッ

不良A『……?』



269: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:54:11.68 ID:MVKsivV40

不良C『お、おい、あいつは?』

不良D『き……消えちまった?』

不良A『っ、何の能力だ!』


キュイイイイイイィィィン……


不良A『やべぇ……何か知らんがやべぇぞ!』

不良D『に……逃げろぉおおお!!』

不良C『おい、待てよ!』



270: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:56:48.14 ID:MVKsivV40

────────

────

──



──、とぼとぼ

──、とぼとぼ。

『お、いたいた! おーい!』

──!

『ったくよー、どこ行ってたんだー? 探したぞオイ』

──……

『ん?』

──くるっ

『あ、おい! 待てって!』

グイッ

──あ……

『どこ行くんだよ』



271: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 22:59:06.69 ID:MVKsivV40

──、どこ……

『はぁ……行く当てもなく走り出したんか? アホかオマエ、心配したんだぞー?』

──、うん……

『さ、かえろーぜ』

──、かえ……る?

『俺ん家だよ』

──、家?

『そ、いえ』

──、うん……。

『……』

──、?

『あれ……? ってか今喋って……?』



272: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 23:02:25.68 ID:MVKsivV40

黄泉川「できれば、もっとお前と喋ってみたかったじゃんよ駒場」

黄泉川「……また来るじゃん」


浜面「……」


黄泉川「ありがとう」

浜面「何を」

黄泉川「元々お前は迷子の女の子を届けてくれるような心優しい少年だったなって思い出しただけじゃん」

浜面「あ? 迷子だ?」

黄泉川「そうじゃん?」



273: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/19(水) 23:04:45.11 ID:MVKsivV40

浜面「何で俺がそんなめんどくせー事しなきゃいけねぇんだよ」

黄泉川「……男にツンデレは似合わないじゃん?」

浜面「ちげぇよ!」

黄泉川「まあいいじゃん、今日はもう遅いから、まっすぐ家に帰るじゃんよ」

浜面「前みたく、ついてこねーのかよ」

黄泉川「浜面のこと、信じてるから」

浜面「そーかよ」

黄泉川「浜面はまっすぐ家に帰るはずじゃん」

浜面「けっ」



279: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/20(木) 02:10:53.58 ID:5bVEXwja0

黄泉川「それじゃあ」

浜面「……待てよ、クソババア」

黄泉川「失礼なヤツめ、やっぱ手錠つけて留置場にぶち込んでやるじゃん?」

浜面「俺は学園都市のゴミクズだ、それは認めるよ」

黄泉川「……?」

浜面「けどな、そんなゴミクズにも、ひょっとしたら、守りたいものの一つくらいあったかもしれねーだろ」

黄泉川「何の話じゃん」

浜面「俺にもわかんねーよ、……ただ」

黄泉川「ただ?」

浜面「なーんか、大事なモン、忘れちまってる気がするんだよな」

黄泉川「……ま、せいぜい悩むといいじゃん、少年」

────────

────

──

フレンダ「悩み事?」

麦野「悩み事」




280: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/20(木) 02:14:36.13 ID:5bVEXwja0

絹旗「お茶どうぞ」

フレンダ「ありがと」

ズズズ

絹旗「麦野も」

麦野「ありがとう」

ズズズ

絹旗「滝壺さんも」

滝壺「……ん」

モグモグ

滝壺「ありがと」

ズズズ



281: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/20(木) 02:17:27.46 ID:5bVEXwja0

フレンダ「く~、お茶がおいし~」

麦野「そうね」

絹旗「お茶の国・静岡から超取り寄せましたからね」

滝壺「そうなの?」

絹旗「最近お茶に超凝ってるんですよ、このお茶菓子も美味しいでしょ?」

麦野「そうね」

モグモグ

フレンダ「ん~、サバ缶があれば文句なしね。カレー味、カレー味」

滝壺「お茶にカレー……」

フレンダ「意外とイケるかもしれないわよ」

麦野「あはは、そんなわけないでしょー」



282: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/20(木) 02:19:43.71 ID:5bVEXwja0

絹旗「このお茶に超含まれるカテキンが血圧とかコステロールとか血糖値……アレルギー等に超効果テキメンらしいですよ」

フレンダ「ほ~」

ズズズ

滝壺「おいしいね」

麦野「本当ね」

ズズズ

麦野「そんじゃ、お茶も頂いたし帰るわ」

フレンダ「は~い、またね~ん」

絹旗「超おつかれさまでした」

滝壺「ばいばい」

麦野「……あれ?」



283: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/20(木) 02:22:00.30 ID:5bVEXwja0

麦野「危うくいつも通り帰る所だったわ」

フレンダ「いや、やっぱりこう。お約束は一度はやっとかないと」

滝壺「おやくそく」

絹旗「超お約束です」

麦野「……で」

フレンダ「うん」

麦野「……あの」

絹旗「はい」

麦野「……その」

滝壺「うん」

麦野「……………………………………………………」

麦野「っだあ! やっぱりだめ、いえないっ!」



284: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/20(木) 02:24:45.40 ID:5bVEXwja0

滝壺「大丈夫、そんな乙女ちっくなむぎのを私は応援してる」

麦野「滝壺……あんた……」

フレンダ「で、浜面がどうしたって?」

麦野「……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

フレンダ「へ? え?」

麦野「フー……レ、ン、ダァ……」

フレンダ「な、なになになになに?!」

麦野「人が今から言おうとしていた事をサラっといってんじゃないわよ~~~~~!!!!!!!」

フレンダ「きゃ~~~~~!! 麦野! 落ち着いて! 殿中! 殿中でござるっ!!!」

麦野「あんたそんなナリして忠臣蔵?! やっぱり日本人でしょ!」

フレンダ「今ソレは関係ないでしょ~~!!!」




285: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/20(木) 02:26:59.32 ID:5bVEXwja0

絹旗「私の家……超終わった……」

滝壺「大丈夫」

絹旗「ふえぇ~、たきつぼさぁあ~ん」

滝壺「ほらむぎの、フレンダ、きぬはたが泣いちゃったよ」

麦野・フレンダ「ご……ごめんなさい……」

絹旗「……(超計画通り)」



286: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/20(木) 02:30:02.94 ID:5bVEXwja0

麦野「……で、その……浜面の事なんだけどさ……」

フレンダ「うんうん、浜面がどうしたわけ?」

麦野「……その」

絹旗「はい」

麦野「……ええっと……」

滝壺「うん」

麦野「……その、えーっと。浜面の事が、気になってるというか……」



287: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/20(木) 02:30:51.10 ID:5bVEXwja0

フレンダ「……」

絹旗「……」

滝壺「……むぎの」

麦野「うん?」

フレンダ「結局、アタシらは麦野の事を応援してるわけよ」

絹旗「敵は超強敵ですが、めげない事が超重要だと思います」

滝壺「がんばって」

麦野「え? あ、うん。やけに話が早いわね……」



288: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/20(木) 02:32:26.02 ID:5bVEXwja0

フレンダ「だって~ね~?」ニヤニヤ

絹旗「ね~、ですよね~?」ニヤニヤ

滝壺「ね~?」

麦野「?」

フレンダ「結局、アタシらの目に曇りはないってワケよ」

絹旗「ですね」

滝壺「うん」

麦野「そ、そう……」




289: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/20(木) 02:34:40.67 ID:5bVEXwja0

フレンダ「でも正直、なんで浜面?」

麦野「え?」

絹旗「この際超ハッキリ言わせてもらいますけど、麦野と浜面じゃ超お似合いじゃないですよ」

麦野「そ……それは……」

滝壺「ワケアリ?」

麦野「う」

フレンダ「ワケアリなのね……」

絹旗「超ワケアリですか……」

麦野「べ、別に大したことじゃないんだけど、本当に、全然大したことじゃないのよ?」



297: 22巻後アイテム 2011/01/20(木) 23:58:22.03 ID:5bVEXwja0

麦野「どこから話せばいいかしら……」


────────

────

──


──、む、ぎの

『麦野? お前麦野っていうのか?』

──、……うん。

『なんだよハハハ、良かったなおい、話せる様になったんだな!』

──、うん。

『あ、そうだ。まだちゃんと名乗ってなかったな。俺は浜面仕上、よろしくな、麦野……麦野……えーっと?』

──、なに?

『下は何て言うんだ?』

──、した?

『苗字じゃなくて、ナマエの方だよ』

──しずり。むぎのしずり。

『しずりかー、どんな字書くんだ?』




299: 22巻後アイテム 2011/01/21(金) 00:03:30.91 ID:zFlo3s+x0

──沈利。

『へー、かわいいナマエだな、沈利か』

──、うん。

『沈利はどっから来たんだ? なんであんなトコに居たんだ?』

──、……。

『ま、言いたくなければそれでもいいけどさ』

──、うん。

『とにかく喋れる様になったみたいでよかったよ』

──、はまづら。

『あん?』

──、はまづら、しあげ?

『そーだよ、浜面だよ』



300: 22巻後アイテム 2011/01/21(金) 00:07:48.23 ID:zFlo3s+x0

──、クスクス

『あー? 何が面白いんだよ?』

──、ヘンなナマエ。

『ぬわぁんだとぉう! 沈利っ! てめー飯抜きにすんぞ!』

──、キャー

『待てこのやろー!』

──、野郎じゃないもーん、女の子だもーん。

『あいつ……実は結構ポギャブラリー豊富なんじゃねえか? 常識知らずなのに……』

──、おーい、先行っちゃうよー?



301: 22巻後アイテム 2011/01/21(金) 00:10:34.98 ID:zFlo3s+x0

『あーもー、こら。勝手に行くと迷うぞ、お前ただでさえ迷子なのにこれ以上迷子になってどーすんだ』

──、はまづら。

『なんだ?』

──、ふく、ありがと。

『あん?』

──、おしゃれ、してみたかったの。

『そーかよ』

──、怪我、大丈夫?

『全然、喧嘩なんか慣れっこだしよ』

グイ

『いてててててててててててて!!! バカ! 内出血してんだよ! ひっぱんな!』

──、いたいのいたいの、とんでけー。



302: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 00:13:03.58 ID:zFlo3s+x0

『お前……』

──、どう? 治った?

『……ん、あぁ。なんか治った気がする』

──、そ。良かった。

『ありがとな』

──ん?

『これで服とチャラだな』

──、えへへ。



304: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 00:16:18.34 ID:zFlo3s+x0

『……ま、とにかく。そろそろ帰るか』

──うんっ

『ハラも減っただろ?』

──はやく鮭味食べたい。

『お前、どんだけシャケ好きなんだよ』



305: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 00:19:36.46 ID:zFlo3s+x0

──だって、今まで食べた事なかったから。

『そうなのか?』

──、うん。

『何食ってたんだよ今まで……』

──、さあ? 学園都市で独自に開発したサプリメントとか、栄養はドリンクか点滴で……

『待てまてまてまてえぇぇぇぇぇえ~~~~い!!! なんの話だよそりゃ!!』

──、え?

『独自に開発したサプリメントだぁ?』

──、うん。能力開発を促す薬みたいなものらしいけれど……。

『……ほー……』

──、私、レベル五候補だから。



306: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 00:23:46.71 ID:zFlo3s+x0

『はぇっ?! レベル五候補っ?!』

──、え? うん。

『……すげー』

──、はまづら?

『すげー! すげーよ沈利っ! 何の能力なんだっ!?』

──、えっと。原子崩しって言って……

『メルトダウナー?! く~、なんだそのカッコイイネーミングっ! あぁずりーなぁ、いいなぁ、俺も早く能力開発受けてみたいぜー』

──、ははは。

『俺とお前、友達な』

──、ともだち?

『おう、学園都市に来て最初にできた友達』

──、うんっ



308: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 00:27:24.16 ID:zFlo3s+x0

──、でも

『あん?』

──、友達って、何するの?

『いや、別に普通だろ?』

──、普通って何?

『んー……? 普通にしゃべったり、普通に遊んだり、普通に笑ったり喧嘩したり……? そういえば普通って何だろうな』

──はまづら

『ん?』

──わかんない、ちゃんとわかるように話して。

『……ガーン』

──……プ

『……あん?』

──、アハハハハ……ククク……アハハハハ、はまづら。へんな顔~



309: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 00:34:00.94 ID:zFlo3s+x0

ガチャ

『ただいまー』

──ただいまー。

パタン

『さて、と。今日野球やってたっけかな……』

ピ

──はまづら、鮭味!

『おいおいおいおいおいおい、待て待て、まずは手洗いだろうが!』

──洗ったよ!

『うそつけっ! ずっとその箱握ってただろうが!』

──むー……。



310: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 00:37:21.66 ID:zFlo3s+x0

『ごちそうさまでした』

──ごちそうさまでした。

『……なぁ』

──うん?

『……いくら好きだからって二箱も食うか?』

──いいじゃない

『まぁお前用に買ったんだからいいけどさ、明日の分ないぞ?』

──……

『……?』

──ジワッ……

『っだああああ!!! 泣くな! そんな事で!!』



311: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 00:40:11.96 ID:zFlo3s+x0

──、だって……だって……

『何も泣く事ないだろ?』

──、だって……美味しくて……

『あーはいはい、そうだな、すげー美味そうに食ってたな』

──、……ごめんなさい……

『そこまで真剣に謝られると何か罪悪感が……』

──、はまづら……

『ん?』

──、また、買っても……良い?

『……』

──?

『……(あれ? なにこの子、こんなに可愛かったっけ)』

──どうしたの?

『ゴホゴホ、いや、ん~? なんでもない』




312: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 00:43:13.53 ID:zFlo3s+x0

『ま、いいや。また買いに行けば済む話だしな』

──、やったあ!

『ただし、次からは一個だからな』

──、えー、ケチ。

『ケチじゃねえよ! 俺の金だろうが!』

──、お金にうるさい男はモテないらしいよ?

『どこで覚えたんだそんな知識』

──、小説。

『なんの小説だ……』



313: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 00:44:39.55 ID:zFlo3s+x0

『そんじゃ片付けやっとくからよ、先に風呂入ってこいよ』

──、うん、わかった。

『おう』

──、……。

『……?』

──、……。

『どうしたんだ?』

──、覗くなよ、はーまづらぁ。

『覗くかよ!』

──、あははっ。

『ったくどこでそんな言葉覚えてきたんだか……』



314: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 00:47:06.47 ID:zFlo3s+x0

『歯も磨いたし、寝るか』

──うん。

『じゃ……お前布団使っていいからな?』

──、はまづらは?

『ソファーで寝るよ』

──、……ね?

『あん?』

──、一緒じゃ、だめ?

『ナンデストー』



315: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 00:49:17.58 ID:zFlo3s+x0

『いや、俺はいいんだけどさ、お前はいいのかよ?』

──なんで?

『疑問に質問で返球されたっ?!』

──はまづらならいいよ?

『無防備すぎんだろうが……』

──なんで?

『なんでって……はぁ、まぁ、沈利が良いってんだから良いんだろうけどよ……』

──、ほらココ、ココ。

『あーもー、わかったよ』



316: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 00:49:54.17 ID:zFlo3s+x0

『じゃー、電気けすぞー』

パチッ

──おやすみ。

『ん、おやすみ』



317: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 00:51:06.27 ID:zFlo3s+x0

──、ね。はまづら。寝た?

『俺の鼻つまみながら言う台詞かそれ』

──、あははっ。

『はな、いたい』

──ごめんごめん。



318: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 00:53:09.62 ID:zFlo3s+x0

──ねー。

『なんだよ』

──、何かお話してよ。

『はぁ?』

──、こういう時ってさ、昔話とかしてくれるんじゃないの?

『俺はオカンか!』

──、悪寒?

『字面的に間違ってますそれ……』

──わかんないよ?




319: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 00:54:10.03 ID:zFlo3s+x0

──、ねぇ。はまづら。

『あん?』

──、あの時はまづら。私の事、助けてくれたよね。

『あぁ、あの事か』

──、ありがとう。

『別にいいって、たいした事じゃねーし』

──ううん。

『?』

──、私にとっては、すごく、大きな事だから。

『そーかよ』

──はまづらは、私の救世主だよ。

『オーゲサだなオイ』

──ううん、本当に。



320: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 00:55:20.80 ID:zFlo3s+x0

──、だから。

『ん?』

──私、私ね、あのね?

『なんだよ』

──はまづらの事、守ってあげるね。

『はは、ありがとよ』

──うんっ

『さ、もう寝ようぜ』



330: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 22:02:57.19 ID:zFlo3s+x0

────────

────

──


『博士! 見つけました!』

『ふむ、情報元はどこだ』

『警備員の書庫です』

『警備員の?』

『迷子の名簿に登録が、……髪型や身長や着ていた服など身体的特徴が一致します』

『それはそれは……善良な学園都市の一般市民に感謝しなくてはな……はははは』



331: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 22:03:50.04 ID:zFlo3s+x0

『現在一般人の下で保護されているようですが……』

『構わん、すぐにつれて来い。最悪アレを使っても良い』

『はぁ……しかしアレはまだ開発途中では』

『なに、レベル五のデータが取れると思えば良い』

『わかりました』

『良い報告を待っている』



332: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 22:06:45.48 ID:zFlo3s+x0

『逃げられんぞ……原子崩し……私からはな……くくく』


────────

────

──


『逃げんじゃねーよ!』

──、やだ!

『てめー! 俺が隠しておいたお菓子食べやがって! ゆるせーーん!』

──、だからさっきから謝ってるじゃない

『ふんぬー! 理解は出来ても納得できーーーーん!!!』

──、つかまんないよーだ、べー。

『あ、てめー、こら! まちやがれ!』



333: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 22:10:10.67 ID:zFlo3s+x0

ピタッ

──、……。

『へへっ、とうとう観念したか』

──、……。

『食べ物の恨みは恐ろしい、くらえーーー!』

──、静かに。

『……どした?』

──、はまづら。

『あん?』

──、そのまま。動かないで

『は? なんで』

──、いいから。

『沈利?』



334: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 22:12:43.47 ID:zFlo3s+x0

──、今。隣のビルの屋上から一瞬だけ反射光が見えた。

『反射光?』

──、たぶん、双眼鏡か何かの。

『新手の覗きか?』

──、はまづら。カーテン閉めて、なるべく自然な動作で

『お? おう』

──、……まさか。まさかね。



335: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 22:20:35.63 ID:zFlo3s+x0

『ふふふふん♪ ふふん♪ ふふふふん♪ ふふん♪ 星屑ロンリネス♪』

──朝からジョーキゲンね。

『あったりまえだろー? 明日からついに学校なんだからよ』

──ふーん?

『夢にまでみた学園都市の学校……あー、はやく明日にならねーかなー』

──ふーん……はまづらは私より学校の方が楽しみなんだ……

『……へ?』

──、いいんだ、どうせ私なんか……

『お、おい沈利?』

──、……

『す、すまん、傷つけたなら謝る。な? このとおりだ』



336: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 22:24:35.38 ID:zFlo3s+x0

──、……

『すまなかった』

──、……プ

『……え?』

──、あはははは、こんなタンジュンな手に引っかかるなんて、ばっかみたい

『ぬわぁんだとぅおおおおおお!!!』

──、べー

『沈利っ! てめー!!』

──、はまづら、やさしいね。

『は?』



337: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 22:27:13.77 ID:zFlo3s+x0

──、服、かったくれたし

──、シャケも買ってくれるし

──、面白くないけどバカだし

『おい』

──、私の事、……名前で呼んでくれるし

『それはまぁ、当たり前だろ。友達なんだし』

──、……うん。



338: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/21(金) 22:44:10.03 ID:zFlo3s+x0

『それより俺さ、いまから学校に手続きいかないといけないから留守番しててくれるか?』

──留守番?

『おう、2時間くらいで帰って来れると思うんだけど』

──、やだ、はまづらと一緒にいる。

『だーめ、関係者以外入っちゃいけないんだぞ?』

──、はまづらの友達だもん

『おいおい、我侭言う子はダメだぜ~?』

──、ワガママじゃないもん

『ちゃーんと留守番できてたら、シャケ弁買ってきてやるから、おとなしくまってろい』

──、……う、わかった……。

『あれ……? 冷静に考えたら 俺<シャケ弁 ってこと……?』



343: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 03:18:51.92 ID:sK0txke00

──、でも。気をつけてね

『迷子にならないようにか?』

──、違う。

『へいへい、すぐ帰ってくるから待っててくれ』



344: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 03:21:27.62 ID:sK0txke00

ガチャ

『じゃ、いってきまーす』

パタン


──、心配だ。

──、さっきのアレが私の勘違いだといいのだけれど。

──、……もし、あいつらがこの場所を特定してるとしたら絶対私を連れ戻しにくる。

──、はまづらにも危険があるかもしれない。

──、……だったら、私とはまづらとは別行動の方が……?

──、……。

──、いや、あいつらがはまづらに手出しするかもしれない。

──、でも……。

──、……よし、尾行だ。

──、むかし、推理小説とかで読んだ、大丈夫、やり方はわかる。



345: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 03:24:59.82 ID:sK0txke00

──、だったら準備だ。

──、必要なモノは?

──、ええっと……。

──、これと、これと。

──、それから、地図と

──、あとは、水筒と……お菓子ももっていこう。冷蔵庫のうえ、お菓子の隠し場所はもう覚えた。

──、それから、このぬいぐるみも。

──、あ、しまった

──、リュックに入らない。

──、はやくしないとはまづらが見えないところまで行ってしまう。

──、なんとか全部を詰め込んで、私は外に出た。



346: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 03:28:39.58 ID:sK0txke00

────────

────

──


『おい』

『なんだ』

『例の少年が家を出たぞ』

『原子崩しは?』

『いない、恐らくまだ家の中だ』

『キャパシティダウンの準備は?』

『いつでもイケる』

『だったら突入だ、原子崩しを確保する。突入と同時にキャパシティダウンを起動しろ。捕獲はなるべく人目につかないようにな』




347: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 03:31:43.11 ID:sK0txke00

『……待て、ターゲットが家を出た』

『何?』

『リュックサックに水筒……はっ、ピクニックにでも行くつもりか』

『どこに向かっている?』

『わからん……だが人の目の多い場所だろうな』

『……今日の捕獲は諦めるか?』

『いや、博士の堪忍袋が切れる前に仕事を終わらせたい。尾行を継続する』

『わかったよ、上司がアレだと部下は大変だな』

『気遣い感謝するよ』



348: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 03:35:51.06 ID:sK0txke00

『……に、しても。まだガキじゃねえか、本当にあんな子供一人捕まえるのにこんな仰々しい機械が必要なのかね』

『相手はレベル五候補だ、ただの子供……いや、人間とは思わない方が良い』

『鬼だねぇ』

『それが科学だよ』

『俺に子供が居たら絶対こんなところには遣りたくねぇな』

『バカバカしいほど正しい判断だと思うよ』

『皮肉だねぇ、研究者さん』

『……気にしないでくれ』

『はいよ』



349: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 03:43:31.99 ID:sK0txke00

『それと後一つ質問なんだけどいいか?』

『何だい?』

『キャパシティダウンは原子崩しの能力を封じる、それはわかるんだけどな』

『けど?』

『もうひとつ、この小さいのは?』

『そのデバイスを僕たちは’メモリー’と呼んでいる』

『’メモリー’?』



351: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 03:58:01.23 ID:sK0txke00

『僕はつい半年前、原子崩しの担当になったんだ』

『おい、質問の答えになってねーぞ』

『聞けよ、内部の人間にはこんな話できないんだからさ』

『あーはいはい。聞くよ、聞けばいいんだろ』

『さっきの君の、子供が居たらこんなところに遣りたくないって言ったろ?』

『ああ言ったさ』

『僕もそう思うよ』

『へぇ、科学の鬼でもそう思うのかい?』

『全員が全員鬼なワケじゃないさ、博士の心は100%鬼だけどね』

『ははっ』

『……僕には子供が居てね』

『ほー? いくつだ?』

『3歳』

『一番可愛い時だな』

『その一番可愛い時に、死んだよ』



352: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 04:04:41.46 ID:sK0txke00

『……っと、わりぃな』

『いや、……いいんだ』

『また……なんでだ? 3歳っつたら……病気か?』

『娘は学園都市の犠牲になったんだ、とある研究の犠牲にね』

『研究ってまさか』

『ああ、僕も携わっていたさ。もちろん、あの博士もね』



353: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 04:10:01.30 ID:sK0txke00

『ある日、原子崩しの素養を持った女の子を博士がどこからか持ってきてね。脳にとあるデータを焼き付ける作業を行う必要があったのさ、それによって演算能力を飛躍的に向上させる事ができるんだ』

『狂ってやがるな』

『そうとも、狂った研究さ。でもさらに狂ってるのはその手術の予行演習を’生きた子供の脳’で行う必要があったって事さ』

『……まさか』

『万全に万全を期したさ』

『そりゃそうだ、自分の娘なんだからよ』

『結果は……、さっき言った通りだ』



354: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 04:16:40.08 ID:sK0txke00

『表向きには交通事故という形で処理されている、新聞の記事にもならない事件としてね』

『恨みはねぇのか?』

『自分の無力さを死ぬほど恨んだよ』

『……、救えねぇ話だ。娘が死んでなお研究を続ける父親……ねぇ』

『生きてるんだ』

『あん?』

『確かに娘は死んだ、けどその時に採取された娘のデータが原子崩しの一部になって今も生きているんだ』

『……よくデキた考え方だな、否定はしないがよ』

『だから正直、こんな実験なんか無くなれば良いと思ってる。原子崩しにはあんな暗い研究所なんかじゃなくて明るい世界で生きて欲しい……ってのが、本音といえば本音かな』

『たしかに、あの博士の耳には入れられない話だな。だが俺の仕事は、お前が言うその真っ暗な研究所にあのガキをお届けする仕事だぜ?』



355: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 04:18:15.84 ID:sK0txke00

『……あの原子崩しが逃げおおせたところで、博士はきっとたぶん別の子供で研究を始めるに違いない』

『あの博士ならそうするだろうな』

『その度に娘の様に犠牲になる子供が増えてしまう……』

『……だろうな』

『だからそこでこの’メモリー’の出番なんだよ』

『あん?』

『’メモリー’は人の記憶を一時的に預かっておく事ができる、そしていつでも他の媒体への保存・再生が可能になるのさ』

『へぇ……この小さいのがね』

『まだ研究途中だからね、保存できる容量には限りがある。けれど、ここ数日間のデータなら可能さ』



356: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 04:19:42.68 ID:sK0txke00

『はっはーん? わかったぜ、研究員。お前の考えてること』

『うん?』

『消したいんだろ? 外での記憶を。戻ってから憧れない様に、研究所での生活に疑問を抱かせない様に、希望を根こそぎ奪うつもりだろ。娘さんみたいな犠牲を出したくないが故に、あの博士に原子崩しを縛り付けておく為に、原子崩し一人苦しめばいい、そうだろ?』

『……逆さ、僕は原子崩しを救いたい』

『救う、ねぇ』

『そうさ、苦しまなくていいようにね。希望は堕落だ、だったらそんな希望、最初からなかった事にすればいい』

『俺には、お前自身が誰かに救ってもらいたい、……そう聞こえるけどね』

『解釈は自由だ』

『そうかい』

『とにかくこのメモリーで、原子崩しの記憶を奪う』

『わかったよ』



358: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 04:53:14.49 ID:sK0txke00

『与太話はこれくらいしにて、尾行を続けよう』


────────

────

──


──、尾行って楽しい!

──、お菓子美味しいし

──、ジュース美味しいし

──、このふく、おしゃれだし。

『ん……あれ? こっちで合ってるのかな?』

──、でもはまづら、さっきからきょろきょろしてばっかりだよね

『くそ……地図、やっぱり持ってきた方が良かったか?』

──、あれ、地図って確か……

『ちくしょー、でも時間が……』

──、……私、もってるーーー!!



359: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 05:01:45.28 ID:sK0txke00

──、どうしよう、どうしよう。

『どうしよう……』

──、渡しにいく……? でもはまづらには黙って出てきちゃったし……

『うーん……』

──、そうだ! この方法なら……



360: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 05:03:13.96 ID:sK0txke00

『困った……』


──、他人のフリ他人のフリ他人のフリ他人のフリ他人のフリ他人のフリ……

──、あー……コホン、そこの少年や


『……なぁっ?! し……沈利っ?!』


──、他人のフリ他人のフリ他人のフリ他人のフリ他人のフリ……

──、わ、我輩は麦野沈利ではない


『はぁ……? なに言ってんだ?』



361: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 05:03:59.51 ID:sK0txke00

──、他人のフリ他人のフリ他人のフリ他人のフリ……

──、こ……困っているのじゃろ、この地図を持っていくといい


『お前……まさかこれを届けに……』


──、他人のフリ他人のフリ……

──、さ、さきほどこれを君に渡す様に頼まれてだな……それでは私は忙しいからコレで失礼


タッタッタ


『あ、おい! 待てよ!』


──、他人のフリ……ふふふ、完璧だ、完璧な他人のフリ……ふふふ……


『……ありがとよ、沈利』



362: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 05:20:48.27 ID:sK0txke00

『よっしゃ、コレで間に合うぜぇぇぇぇ!!!!』

──、はーまづらぁ、間に合うかなぁ。

『くっそおおお!! 走れぇぇぇぇえええ!!』

──、あ、コケた。




363: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 06:26:18.16 ID:sK0txke00

────────

────

──



『というわけで』

──、ガッコ。間に合った?

『おかげさまで』

──、そ、よかった。

『で、なんで沈利がここにいるんだ?』

──、だってしょうがないじゃない、地図なしで帰れないし。

『やっぱさっきのお前だったんじゃねーか!』

──、し、しーらないっ

『おいぃ?!』



364: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 06:26:57.57 ID:sK0txke00

──、どうでもいいじゃない! 間に合ったんだからっ!

『……まぁ確かに』

──、さ、行くわよ

『おーい? どこいくんだー?』

──、どこって

『あん?』

──、シャケ弁、買いにいくの。

『誰が買うの?』

──、はまづらが、私に。

『なん……だと……?』



365: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 06:30:41.73 ID:sK0txke00

ありがとうございましたー


『……結局買ってしまうという』

──、わーい。

パカッ

『わかったからせめて家に帰ってから食べよう、な?』

──、ちぇ

『ちぇって何っ?! ってかそのリュックなに! なんかお菓子の袋いっぱい入ってるんですけどおおお!』

──、こ、これは……

『あ、てめー。このヌイグルミはダメって言っただろー?』

──、べ、べつに、いいじゃない!

『ダメダメ、これは俺のソウルそのものなんだからよっ! ああ懐かしいぜ……あのクレーンとの格闘……壮絶だったなぁ……』

──、ちょっとくらいいいじゃない、ケチ!

『ガーン』



366: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 06:37:56.75 ID:sK0txke00

──、んー、かわいい。これ何て生物?

『クマもしらんのかい!』

──、クマ? クマっていうの?

『そだよ、クマだよ』

──クマっ♪ クマっ♪

『ははは、そんなに気に入ってるのか?』

──うんっ





『でもあげねーーー!!!! ははははは!!!!!』

──、えーーー!!!!



367: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 06:40:28.63 ID:sK0txke00

『あのさー、そのシャケ弁10個分くらいあるんだぜこのクマ』

──、じゃ、じゃあシャケ弁10個分がまんする!

『あー……やっぱ12個分くらいだったかな?』

──じゃあ12個がまんする!

『いやー……? やっぱり15個だった気がする』

──15個! がまん!

『ははは、ごめんごめん。20個だった、うん、20個もなー、多いなー、我慢するのは大変だなー?』

──、何個でもがまんするもん!

──、する……もん

──、ジワッ

『だあああ!!! 泣くな! わかったから!』



368: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 06:42:48.54 ID:sK0txke00

──、~~♪ ~~♪

『よかったなぁ……』

──、うんっ!

『ははは、そーかい……』

──、クマさん♪ クマさん♪

『たははー……また取りにいくか……』

──、また取ってくれるのっ?!

『いつの間にか沈利の為にっていう前提になってる……』

──、ねぇねぇ。取ってくれるの?

キラキラッ

『く……まぶしい! 目が! 目がぁぁぁあああ!!!!』



369: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 06:46:00.57 ID:sK0txke00

『結局、来てしまった……ゲーセン……』

──、ね。アレ! アレとって

『どれだよ?』

──、あの奥の

『アレか? よーし、ちょっと待ってろ』

チャリン

ピ

ウィィィィィィィーーーン



370: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 06:46:30.06 ID:sK0txke00

──ねぇ

『ん?』

──このボタン押したら取れるの?

『そーだよ』

──ふーん。

ピ

『……』

ウィィィィィィィーーーン

『ってあああああああああ?! 勝手に押すんじゃねええええええええええええ!!!!!』



371: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 06:49:29.69 ID:sK0txke00

スカッ

ザンネンデシター

マタドウゾー

──、ちょっと。何も出てこないけど?

『たりめーだ、何も取れなかったんだからよ』

──、えぇ?!

『沈利が! へんなとこで! ボタン! おすから!』

──、はまづらが! 押したら! 取れるって! 言ったじゃない!

『いや、そりゃ言ったけどさ……物事にはタイミングってもんが……』

──、もう一回よ! もう一回!

『もう金ねーよ』

──、なんで?!

『今日は弁当も買ったし、もーすっからかんだよ』

──、……むー。



372: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 06:51:54.72 ID:sK0txke00

『また今度に取ってやるから、そんな落ち込むなって』

──、ほんとっ?!

『おう』

──、あのね! あのね! あの大きいのがいい!

『お、おう? あれだな?』

──、うん!

『わかったよ』

──、いつ?!

『い、……いつ?』

──、明日? あさって? しあさって?

『はは……いつだろうなー』

──、はまづら、約束して!

『あーもー、わかったよ。明日、明日また来ような?』

──、うん!

『ったくよー、その笑顔は反則だぜー……ははは』



373: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 06:56:38.08 ID:sK0txke00

『沈利』

──うん?

『なんでもねー、呼んでみただけ』

──なにそれー?

『はははっ』

──……むー

『ごめんごめん』

──はまづらだけ楽しそうにしてて、つまんない。

『ごめんって』



374: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/22(土) 06:57:21.12 ID:sK0txke00

──はーまづらぁ?

『なんだー?』

──、呼んだだけー?

『なんで疑問系なんだよ』

──、さー? ふふふっ。

『まあいいや、もう遅いしそろそろ帰ろうぜ』

──、うんっ




383: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 13:52:20.91 ID:vWq3dp/r0

◇ ◇ ◇ ◇


『んー。結構遅くなっちまったな』

──、そうだね。

『暗いから足元、気をつけろよ』

──……ねえ?

『なんだよ』

──、道、あってるの?

『……』

──?



384: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 13:53:43.19 ID:vWq3dp/r0

『アッテル』

──、ねぇもしかして

『アッテル』

──、はまづら、ねぇ

『……』

──、いんてる?

『ハイッテル』



385: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 13:55:15.76 ID:vWq3dp/r0

──迷った?

『迷ってねえよ! この裏道抜けるほうがちけーんだよ!』

──、ほんとに?

『地図だとそうなってる』

──、……

『っだああ!! そんな目でみんな!!』

──、バカ面

『誰がバカ面だ! 俺は浜面だっての!』



386: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 13:57:06.30 ID:vWq3dp/r0

──、……はまづら。

『そうそう、俺は浜面だ』

──、囲まれてる。

『あん?』

──、私が合図したら、すぐに走って。

『なんで?』

──、いいから。

『だからなん──』

──、いいから、行けっ!

『ッ!!』



387: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 13:58:10.79 ID:vWq3dp/r0




研究者『キャパシティダウン、起動しろ』


ィィィィィィィィイィイイィィィン………………………………



388: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 13:58:57.52 ID:vWq3dp/r0

──っ?! あ……ぐ……頭が……っ

『沈利っ?! おい、どうした?!』

──、いたい……

『おい?! 大丈夫かっ?!』

──、はまづら、だめ、……逃げて……

『バカ! お前も一緒にくるんだよ!』



389: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:01:28.29 ID:vWq3dp/r0

傭兵『ヘイヘイ、どーこ行くんだよお二人さん。ちょっと待ちなよ』

チャキ

──、……く……完全に囲まれた……。

傭兵『よう? お嬢さん。いや……原子崩しよぉ。あんたに用事があって来たんだぜ? 何の用かは……わかるだろ?』

スッ

『沈利に何の用だッ!』

傭兵『おお? この状況で女の子を守るたぁ殊勝な心がけだ、良い男になるぜ少年。だがおじさん達はその子の、まぁ、なんというか、保護者でね。迷子のお嬢さんを捜してたんだよ』

『嘘つけっ!』

傭兵『嘘じゃないさ、だいたい君は知っているのかい? そこに居るお嬢さんが何かを』

『麦野沈利、俺の友達だ』

傭兵『友達……友達ねぇ、ははは、友達? まるで普通の人間みたいだなぁ。なぁ? 原子崩しよぉ』

『帰れよ、お前ら!』

傭兵『そうはいかねぇ、お嬢さんをつれて帰るのがおじさんの仕事だからねぇ』



390: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:02:48.90 ID:vWq3dp/r0

──……。ブルッ

『……沈利?』

──、……やだ、かえりたくない……。

『大丈夫、大丈夫だからな?』

傭兵『へぇ、妬けるねぇ。こんな状況で励まし合いってか?』

『……』

傭兵『辞めとけ辞めとけ、これが見えるだろ? 銃だよ、本物だぞ? 当たったら痛いぞー、当たり所によっちゃ死んじまうかもな』

『……く』

傭兵『あんま抵抗すんなよー? あんまり反抗的だとお前もこわーーーいおじさんがいっぱいいる施設で脳みそいじられておかしくなっちゃうからなー?』

『くっそおおおおッ!!!!』

傭兵『丸腰で突っ込んでくるとは……バカがっ』

ガン



391: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:04:11.43 ID:vWq3dp/r0

『がはっ……』

──、はまづら!

傭兵『バカだなーお前さ。この体格差考えろよな。でもお前みたいなバカは嫌いじゃないぜ。ははは。おいお前ら、抑えとけ』

ボカッ

『ぐあぁ!!』

傭兵『でもよーあーあー、だめだこりゃ。あの世行き決定だなおい、まだ抵抗しないってんなら俺は見逃してやってもいいと思ってたんだぜ? 本当だぜ?』

ドガッ

『……っ!』

傭兵『何も抵抗せず、この場の事は忘れる約束をしてくれたらよぉ……誰も殺さず済んだのによ』

『沈利をどうするつもりだ!』

傭兵『うるせーよ。黙りな、浜面仕上クン?』

『沈利に何かしてみろ! ぶん殴ってやるからな!』

傭兵『おーおー、そうかいそうかい。そりゃ楽しみ……だっ!』

ガン!

『ぐは……っ』



393: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:06:47.93 ID:vWq3dp/r0



傭兵『あのさー……俺も子供をいたぶる趣味はさすがに持ち合わせてねーんだ。だからもうこれ以上俺に殴らせんなよ、楽に死んどけ』


────、パァン…………。






394: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:08:11.07 ID:vWq3dp/r0

傭兵『……よう。そっちのほうは、いいのかよ?』

研究員『いま起動させたよ’メモリー’』

傭兵『そーかい』

研究員『引き上げだ』

傭兵『了解』

研究員『……』



395: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:09:30.77 ID:vWq3dp/r0

────────

────

──



あれ

わたし

なにしてるんだろう

はまづらは?

あれ?

はまづらってだれ?

え?

ここどこ?

わたし、なにしてるの?

なにを、していたの?



396: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:09:56.86 ID:vWq3dp/r0

えっと

今日は

朝からいつもの研究で

あれ

いつもの研究?

美味しかった

あれ?

何が美味しかったんだろう?



397: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:10:38.31 ID:vWq3dp/r0

目の前には大勢の大人

いつもどおり白衣を着ている

あれ?

でも、今日は皆、ヘンな服きてる

まるで

まるで、軍隊みたい?

軍隊?

あれ? なんで?

ここは?

いつもの研究所じゃ、ない?



398: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:12:07.70 ID:vWq3dp/r0

着ている服もいつもと違う

違う

何かが違う

何が違う?

わからない

けど、何かが

何かが違う

……気がする



399: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:13:26.68 ID:vWq3dp/r0

目の前の景色は見える

見えるけど理解できない

何か

すべての輪郭が曖昧で

ぼんやりとしていて

とけてしまいそうで

音が

音が一切聞こえない

私の耳はどうなってしまっているんだろう



400: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:13:56.66 ID:vWq3dp/r0

『沈利っ!』

……だれだろう

誰かから名前を呼ばれている気がする。

音は聞こえないはずなのに

……やさしい声だなあ。

『沈利っ!』

……こんなやさしい声、いままで聞いた事ない。

……ああ、ずっと聞いていたいなぁ。

『沈利っ!』


『うるせーよ。黙りな、浜面仕上クン?』



401: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:14:40.73 ID:vWq3dp/r0

……あれ?

はまづら?

はまづら……?

はまづら……

浜面?

浜面……

浜面、仕上

浜面仕上

……とても

……とても、やさしいなまえ。



402: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:15:18.40 ID:vWq3dp/r0

この服を選んでくれたのは誰?

私を助けてくれたのは誰?

鮭味を教えてくれたのは誰?

名前を呼んでくれたのは誰?

やさしくしてくれたのは誰?

私を友達って言ってくれた人は誰?

私が、守りたい人は、誰?



403: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:15:47.33 ID:vWq3dp/r0



はまづら。

浜面、仕上。


そう!


はまづら!

はまづらだ!


……はまづら、なんだ!



────、パァン…………。






404: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:19:46.80 ID:vWq3dp/r0

────────

────

──


傭兵『で、その’メモリー’で記憶とやらは回収できたのかよ?』

研究者『ああ、おそらく。反応があったからね』

傭兵『……ふーん』

研究者『興味なさそうだね』

傭兵『俺としてはもうこの都市からの仕事を遠慮させてもらいたいところだよ』

研究者『ははは』

傭兵『笑い事じゃねーよ。それじゃさっさとお嬢さんを回収して帰るか』



405: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:22:31.27 ID:vWq3dp/r0

──、……ロ……ス



傭兵『あん?』



──、…………コ……………ロ……


ヨロッ


傭兵『お、おい? 起き上がったぞ、あいつ?』

研究員『大丈夫、キャパシティダウンが起動しているから演算には集中できないはずだよ。何もできやしない』

傭兵『そうか?』



──、……コロス……


ドッ


傭兵『あん?』



406: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:23:22.44 ID:vWq3dp/r0

傭兵『ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!』



研究員『め……原子崩し……ッ?! まさか、キャパシティダウンが効かない……だと……ッ?!』



──、コロ……ス……コ……ロ……スッ


ドッ



──、コロス……



──、コロス


ドッ




コロス



コロス




コロス



407: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:24:59.31 ID:vWq3dp/r0

────────

────

──


私が正気に戻ると、目の前には誰も居なかった。

ただ、はっきりと覚えているのは

うざったい周波数をまきちらす車を爆発させた事

襲い掛かってくる男たちを能力を解放して爆ぜた事

浜面の体からとめどなく出る赤い液体。



408: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:26:53.56 ID:vWq3dp/r0

結論から言うと、私は逃げた。

その場から。そして、浜面から。

逃げた。

こわくなったのかもしれない。

何もしゃべらない浜面を見ているのが

うつ伏せで動かなくなってしまった浜面を見ているのが

とても、

こわ……かった……から。



409: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:28:47.42 ID:vWq3dp/r0

その後も何回か襲撃を受けた。

恐らくあの博士が寄越したんだろうと思う。

その度に能力を開放して蹴散らした。

四六時中命を狙われる生活は、相当のストレスだったけど。

その頃はただ生きているだけで、死んでいるのと何も変わらなかったと思う。

そんな時、薄汚れた路地裏で私はあいつと出会う。

最高で最低な、本当にクソッタレな出会いだった。



410: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:31:33.70 ID:vWq3dp/r0

『こいつときたら、本当に壊すことでしか生きられないのね』

──、誰よ、アンタ。

『こいつときたらーー! 年上に対する礼儀ってのがなってないわよ!!』

──……フン

『あー、気に入った。その態度が気に入ったわ。あんた、ウチで雇ってあげるわ、感謝しなさい』

──、は?

『あたしの所に来るってんなら、今あんたにちょっかい出してる組織の一つや二つ、潰してあげるわよー? それにアンタ、どこにも行くところ、ないんでしょ?』

──、そうだけど……



411: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:32:15.49 ID:vWq3dp/r0

『だったら交渉成立ね、あたしは働き手が欲しい、あんたは居場所が欲しい。そうじゃない?』

──……。

『さっそくだけど仕事、お願いしたいのよね。ちょっとしたゴロツキなんだけど、5.6人シメてきてくれない? 方法は任せるから』

──、ち、わかったわよ。

『あーそーそー、アンタのコードネームだけど、しばらく’アイテム’って呼ぶからそのつもりで』

──、アイテム?

『そ、アイテムね。そのうち人数が増えたらそれを組織名にでもしようと思ってるから。それじゃよろしくねーん』



412: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:34:08.09 ID:vWq3dp/r0

◇ ◇ ◇ ◇


麦野「……という、ワケなのよ」

フレンダ「……」

滝壺「……」

絹旗「……え……?」

フレンダ「え?」

滝壺「……」

フレンダ「えぇえっ?! け、結局。ど、どいう事なの?! 浜面! 死んじゃったのっ?!」



413: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:41:29.21 ID:vWq3dp/r0

滝壺「死んでたら、いま生きてないよ。フレンダ」

フレンダ「むむむ……、昔死んでたと思った浜面がひょっこり実は生きてましたーって、どこのドラマよそれ」

麦野「ほんとにね。だから最初にアイテムで浜面に会った時は心臓がどうにかなるんじゃないかと思ったくらいなんだから」

絹旗「はぁ……まさか二人の間にそんな超エピソードがあったなんて」

フレンダ「人に歴史アリって訳よ」

滝壺「それで、麦野の悩み事は?」

麦野「そう。それなのよねぇ……」

絹旗「それ、といいますと?」



414: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:45:04.35 ID:vWq3dp/r0

麦野「それとなく昔の事を聞いてみても私とは会ったこと無いって言うし……」

フレンダ「その浜面と、この浜面が別人だっていうの?」

滝壺「他人のそらに?」

麦野「でも、別人と言うにはあまりに似すぎてるのよね」

絹旗「私としては浜面超サイボーグ説を推しますね」

麦野「それはないわ、ちゃんと心臓がドキドキしてたから」

滝壺「まるで確認したみたい」

麦野「確認したもの、あいつが居眠りしてる最中に」

フレンダ「え?」

絹旗「え?」

滝壺「え?」

麦野「?」



415: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 14:47:52.45 ID:vWq3dp/r0

麦野「まだ他にもいろいろ確認したわよ、あいつが眠ってる間に──」

フレンダ「あーーーーー!!!!!」

麦野「なによ、もう、フレンダ」

フレンダ「それ以上は、……ストップよ麦野。……刺激が強い」

麦野「そう?」

絹旗「(超鼻血でるとこでした)」

滝壺「……」ボー



416: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 15:00:52.81 ID:vWq3dp/r0

フレンダ「……ん?」

絹旗「どうしました?」

フレンダ「ねー、むぎの?」

麦野「なに?」

フレンダ「あのさー、さっきの話で一つ質問なんだけど」

麦野「うん」

フレンダ「むぎのが毎晩抱いて寝てるヌイグルミってまさか、そのときの……?」

麦野「フーーーーーー……レ、ン、ダァ…………」

フレンダ「え? え? そうじゃないのっ?! ねぇ?! ねぇむぎのっ!」

麦野「後でお仕置きね」

チーン

フレンダ「なんでっ?!」



417: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 15:10:04.18 ID:vWq3dp/r0

絹旗「麦野。私からも質問、超いいですか?」

麦野「うん」

絹旗「私は浜面が過去何をやってたか、なんて超知らないですけど。それでもなんとなくそんなに超悪いヤツでは無いと思うんです。バカですけど、超バカですけど」

麦野「バカなのは否定しないわ」

フレンダ「バカを否定されない浜面、バカ面ね」

麦野「……お仕置き追加ね、フレンダ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

フレンダ「なんでっ?!」

滝壺「一言余計」

フレンダ「うぅ……」

絹旗「それで、麦野はどうしたいんですか?」

麦野「私は……」



418: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/23(日) 15:11:23.38 ID:vWq3dp/r0

麦野「私、……浜面の事、好き、なんだと思う」

フレンダ「ついに言ったわね、麦野」

絹旗「なんとなく超そんな気はしてましたけど」

滝壺「うん」

麦野「でも……、その。ね? なんとなく、この気持ちそのものに自信が持てないというか……。昔の浜面を勝手に今の浜面に投影してるだけなんじゃないかなって、もし別人だったらどうしよう……って」

フレンダ「そりゃまぁ、何年も前に居なくなってたと思った人がひょっこりでてきたらねぇ」

絹旗「しかもそれが同じ浜面かどうかわからない状況じゃ、超しょうがないですよね」

麦野「……うん」

フレンダ「っだあぁ、それにしてもアノ浜面がねぇ~……」



439: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/24(月) 00:55:19.50 ID:dCZT4GL20

麦野「……あー……、どうすればいいんだろー……」

絹旗「どうするって……」

フレンダ「どうすればいいのかな……」

滝壺「……」

麦野「それを相談しに来たんじゃない」

絹旗「正直チケットの取り方とか聞かれたから、超そっち方向の相談だと思ってたんですけど」

フレンダ「予想の斜め上をはるかに超えてヘビーだったわけよ」

麦野「……やっぱり、私、重いかなあ……?」



440: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/24(月) 00:56:13.63 ID:dCZT4GL20

絹旗「うむむ……」

フレンダ「絹旗、例えば私がいきなり’絹旗っ、実は私はあんたの事が、あんたが死ぬ前から好きだった’とか言ってきたらどう思う?」

絹旗「超びびりますよそれ、どんなホラーですか」

フレンダ「そうよねぇ……」

麦野「……むー……」



442: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/24(月) 01:01:42.19 ID:dCZT4GL20

フレンダ「でもこれ、考え方によっちゃとってもロマンチックな話じゃない? だって、死に別れた二人が奇跡の再開を果たすのよ? オペラや小説じゃハッピーエンドな訳よ」

絹旗「でもあの浜面がその浜面じゃない可能性もあるんですよね?」

フレンダ「あの浜面とかその浜面とか……浜面のくせにややこしいわね……」

滝壺「……」ボー

フレンダ「そうねー……、でもまあ麦野の話を聞く限り要点は一つよね」

麦野「うん?」

フレンダ「要するに、過去面と今面が同一人物ならすべて丸くおさまるわけよ」

麦野「それはまぁ……そうだけど」

絹旗「過去面に今面って、どんな呼称ですか」

フレンダ「ややこしいからそう呼んだ」

滝壺「真東から電波きてる……」



443: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/24(月) 01:11:47.21 ID:dCZT4GL20

フレンダ「過去面が今面だって証明できれば、麦野は後ろめたい気持ちなんてなく今面の事を好きになれるって寸法よ!」

絹旗「でもそれ、どーやって確かめるんですか? 麦野が今面に聞いても超ダメだったんでしょ?」

麦野「そうね、あれは’昔の事を忘れてる’っていうより単純に’知らない’っていう感じだったから……はは、あの時は結構キツかったなぁ……」

フレンダ「あ~、も~。そこ! ウジウジしないっ!」

絹旗「過去面が今面だって証明できる何か超良い方法があるんですか? フレンダ」

フレンダ「ふふふ。結局、私に策がある訳よ」

絹旗「へぇ、どんなですか?」



444: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/24(月) 01:13:16.82 ID:dCZT4GL20

フレンダ『はーまづらー』

浜面『なんだ?』

フレンダ『ちょっと後ろ向いてて、あと、目つむってて』

浜面『はぁ? なんで俺がそんな事……』

フレンダ『……ばか、恥ずかしいからに決まってるでしょ……』

浜面『は? はぁああ?! おい、フレンダ何をっ、なんでバニーの衣装なんか持ってッ?!』

フレンダ『浜面のえっち……はやく後ろ向いてよ……』

浜面『わ、わかった! わかったから!』

フレンダ『絶対こっち見ないでよ?』

浜面『お、おう? おう!』

フレンダ『……』

浜面『……』



フレンダ「そこで背後からこの新開発のハンマーで思いっきり今面の頭をぶんなぐるッッッ!!!!」

絹旗「殺人だーーーーーーーっ?!」



445: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/24(月) 01:16:57.20 ID:dCZT4GL20

フレンダ「頭部へのショックを与えて過去の記憶を取り戻す訳よ」

絹旗「どんな理論ですか」


麦野「それ、やってみたけどダメだったわ」


フレンダ「……」

滝壺「……」

絹旗「……」

麦野「なに? 皆黙っちゃって?」

フレンダ「……やったんだ」

絹旗「……超実行済みでしたか」

麦野「ダメよ、その手は効かないわ。何回やっても絶対避けるからアイツ」

フレンダ「今面よ……安らかに……眠れ……」

絹旗「まだ死んでませんってフレンダ」

滝壺「……」ボー



446: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/24(月) 01:20:37.57 ID:dCZT4GL20

絹旗「ゴキブリ並の超回避ですよね、さすが浜面」

フレンダ「浜面じゃないわ絹旗、今面よ」

滝壺「いまづら」

絹旗「……なんだか超めんどくさいですね」

麦野「……はー……」

フレンダ「!」

絹旗「何か良い手、思いつきました?」

フレンダ「これだ……これしかない!」

絹旗「……超いちおう聞いてみますから、言ってみてください」



447: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/24(月) 01:28:12.26 ID:dCZT4GL20

フレンダ『浜面』

チャキ

浜面『なんだフレンダ? 銃なんか構えて刑事ゴッコか?』

フレンダ『うるせーよ。黙りな、浜面仕上クン?』

浜面『あん?』

ガン!

浜面『ぐは……っ?!』

フレンダ『ふん、結局、あんた下っ端のくせに生意気な訳よ』

浜面『フレンダ……何をッ?!』

フレンダ『うるさい!』

ドガッ!

浜面『……っ!』

フレンダ『変態っ! 変態っ! 変態っ!!!』

ドガ バキ ドゴ

フレンダ『あのさー……俺も子供をいたぶる趣味はさすがに持ち合わせてねーんだ。だからもうこれ以上俺に殴らせんなよ、楽に死んどけ』


────、パァン…………。



448: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/24(月) 01:29:00.04 ID:dCZT4GL20

フレンダ「とまぁ、こんな感じで当時を再現すれば何か思い出すんじゃない?」

絹旗「一理ありますね」

麦野「……」

フレンダ「ね? どう? 麦野」

麦野「……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

フレンダ「え? なに? なんで無言で? え? え?」

麦野「ふ、レ、ン、ダぁ……、……アイツを傷つけるのはいくらお前でも容赦しないよ……?」

フレンダ「むぎの! むぎのおちついて! これはあくまで仮定の話であって! きゃー!!!」


────────

────

──


絹旗「おーい、生きてますかー?」

滝壺「ご臨終です」

チーン

フレンダ「生きてる! 生きてるから!」



450: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/24(月) 01:34:10.04 ID:dCZT4GL20

◇ ◇ ◇ ◇

フレンダ「でも結局、ハッキリしないのは麦野よ」

麦野「……ん?」

フレンダ「過去面と今面のどっちが好きなのさ?」

麦野「どっちって……そんなの選べない……」

フレンダ「仮によ? 過去面と今面が同一人物だとするじゃない? それだったら良いよ、でも違った時に麦野はどうするのさ?」

麦野「……」

フレンダ「麦野は過去面の事が好きだったかもしれない、でもそれは過去面が今面だったらっていう前提のもとでしょ?」

麦野「それは……」

フレンダ「もしさ、過去面と今面が全然関係ない赤の他人で、それでも好きって、浜面の事が好きって麦野は断言できるわけ?」

麦野「……」

絹旗「フレンダ、だから今それを相談して」

フレンダ「絹旗は黙ってて、私は今麦野と話してるんだから」



451: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/24(月) 01:44:59.30 ID:dCZT4GL20

絹旗「なっ」

フレンダ「いいから黙っててよ!」

絹旗「っ」ビクッ

フレンダ「むぎの、よく聞いて」

麦野「……うん?」

フレンダ「仮にこの告白が成功してアイツが麦野と付き合ったとするじゃない?」




452: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/24(月) 01:46:20.89 ID:dCZT4GL20

フレンダ「そりゃ幸せだろうさ、幸せだろうね。見てるコッチが嫌になるくらい幸せになるだろうさ」

麦野「……」

フレンダ「でもある日、ふとした事から過去面と今面が別人だって知ってしまうの」

麦野「……」

フレンダ「しかも最悪な事に、それが浜面に知られてしまうの」

麦野「……」

フレンダ「自分の愛する人が、本当に好きだったのは’自分に良く似た他人だった’なんて事知ったらさ、その時浜面、どんな顔すると思う?」

麦野「どんな……って」

フレンダ「ああもうハッキリしないなあ!」



453: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/24(月) 01:48:38.23 ID:dCZT4GL20

フレンダ「あたしがイライラしてるのはね、麦野」

グイッ

麦野「……え?」

フレンダ「煮え切らない麦野に、じゃない。その煮え切らない麦野に! あたしが浜面を好きって気持ちが! 負けそうだって事に! イライラしてんのよ!」

麦野「……フレ、ンダ?」

フレンダ「むぎの、歯ァ食いしばりな!」

パン



454: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/24(月) 01:57:15.91 ID:dCZT4GL20




フレンダ「あたしだってねぇ!」




フレンダ「あたしだって浜面の事が好きだよ! ああそうさ! あのバカの事が好きなんだ!」







455: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/24(月) 02:00:27.57 ID:dCZT4GL20

フレンダ「そりゃ救えない程バカで! 変態で! おっちょこちょいで調子乗りだけどさ! あたしの事……ちゃんと、ちゃんとあたしの事を見ててくれるんだ……」

フレンダ「ファ……ファミレスで困ってたら助けてくれたり……、ちょっとお願いしたらすぐなんでも作ってくれたり……、いろいろ知らない事教えてくれたり……」

フレンダ「ああこの人ならひょっとして! って思ってたけど、けど……けどさ……」

フレンダ「あんな話聞いた後にそんな事言えるわけないじゃない!」

フレンダ「あたしには、昔の浜面の事なんかわかんない! どこで何してたかも知らないし!」

フレンダ「でも……でもさ……」

フレンダ「昔の事なんか関係ないって、これから知っていけばいいって思ってたところなのに……」



456: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/24(月) 02:01:18.16 ID:dCZT4GL20

フレンダ「ずるいよ……」

フレンダ「麦野がどれだけ浜面の事思ってるか! 知っちゃったからには何もできないじゃない!」

フレンダ「二人にそんな過去があったなんて事言われたらさ……何もできないじゃない……」

フレンダ「勝てる訳……ないじゃない……」

フレンダ「……ずるいよ、むぎの……」

フレンダ「……ずるい、よ……」





麦野「私が暗部に落ちる前に」【後編】に続く



元スレ
SS速報VIP:麦野「私が暗部に落ちる前に」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1295266717/