関連
曜「善子ちゃんをくすぐり続けたら失禁した」

曜「善子ちゃんをくすぐり続けたら失禁した」善子ママ編~カミングアウト編



2: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 14:49:55.59 ID:UUQGlarc.net

>>1さんありがとうございます……)


おしっこ大好き曜ちゃんと、曜ちゃん大好き善子ちゃんのお話です。


↓前スレ(1さんが立て逃げしたネタスレを乗っ取りました)

曜「善子ちゃんをくすぐり続けたら失禁した」
(堕天)

↑の続きですが読んでなくても大丈夫です。
前回までのあらすじを短めに書きますので、興味ある方&どんな話だったっけ?という方はどうぞ。

本編だけ読みたい方は>>5から読めます。



3: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 14:50:41.20 ID:UUQGlarc.net

*くすぐり編

家が近いこともあって一緒に登下校する間に仲良くなった曜ちゃん善子ちゃん。

ある日、曜ちゃんがふざけて善子ちゃんをくすぐっていると興奮のあまり「曜ちゃんが」お漏らししてしまう。

曜ちゃんがトイレに間に合わずに時々(週三日くらい)漏らしてしまうことを知る善子ちゃん。

ペットボトルにおしっこする技を習得しようと決意する曜ちゃんに、善子ちゃんは嫌がりつつも付き合わされてしまう。


*善子ママ編

善子ちゃんの部屋でペットボトルおしっこを練習していた二人だが、善子ちゃんママにバレてしまう。

実は善子ちゃんママもボトラーで、それを知った曜ちゃんは弟子入りしようとするが断られる。

実は善子ちゃんママは曜ちゃんのお母さんと付き合っていて、全て曜ちゃんのお母さんから教えてもらったことが判明する。

曜ちゃんは善子ちゃんと二人でママに挑み、見事勝利する。


*お風呂&ご飯編

そのまま善子ちゃんの家に泊まることになった曜ちゃん。

善子ちゃんのお風呂に乱入し、ママに習った技で首尾よく善子ちゃんのおしっこをご馳走になる。

お風呂から出るとママが曜ちゃんの大好物のハンバーグを作っていてくれて、あろうことか曜ちゃんはママに「あーん」する。

それを見た善子ちゃんはヤキモチを妬いて、負けずに「あーん」するが……。


*おねしょ編

善子ちゃんの布団で一緒に寝ていた曜ちゃんは、夜中に善子ちゃんのおねしょで目を覚ます。

匂いを嗅いでいるうちに我慢できなくなり故意に漏らしてしまう曜ちゃん。

朝になり、ママにバレないようにこっそり布団を干そうとする二人だがベランダで騒ぎすぎてママに見つかってしまう。

善子ちゃんにおしっこをかけたことがバレてしまい、不純なことをしていたのではと疑ったママは曜ちゃんに個人授業(意味深)をする……。



4: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 14:51:09.31 ID:UUQGlarc.net

*バス編

朝から肉じゃがを振る舞って事なきを得た曜ちゃんは、善子ちゃんとショッピングデートをすることに。

バスの途中で寝てしまった二人が目覚めると、バスは見たことのない山奥を走っていた。

不安になって降りますボタンを押してしまう善子ちゃん、変なところで降ろされてしまい尿意を催すがトイレなどあるわけもなく……。

夢オチなので調子に乗りました。


*デート編 前編

怖い夢を見てバスの中でおねしょしてしまった善子ちゃんだが、曜ちゃんの機転で大惨事は免れる。

トイレで下着だけでも履き替えようとする善子ちゃん、しかし曜ちゃんが普通に履き替えさせてくれるはずもなく……。

と思いきや、それより先をしてくれないばかりか善子ちゃんママのことばかり気にする曜ちゃんに、ヤキモチ善子ちゃんもついに怒る。

デート編なのになかなかデートしない二人。後編へ続く。


*デート編 後編

曜ちゃんがデート中なのにスマホばかり弄っていることに腹を立てる善子ちゃん。

実は曜ちゃんは、善子ちゃんへのサプライズプレゼントを選びに来たという。

善子ちゃんは記念に写真屋さんで撮影してもらうことを提案するが……。

ヤキモチ善子ちゃんが面倒くさ善子ちゃんに変わり始めたのはこの辺りから。


*禁断の魔具(夢オチ)編

善子ちゃんが今夜は一人だということを知り、今度こそ二人きりでお泊り。

疲れて寝てしまった善子ちゃん(ダイエット中)に豆腐カツカレーを作る曜ちゃん。

善子ちゃんが目覚めると、なぜか曜ちゃんがほぼ裸エプロンで手料理を振る舞ってくれる夢みたいな展開で……。

私、犬になってるぅーーー!!?


*カミングアウト編

朝チュン。夜通しおしっこを味わった曜ちゃんと味わされた善子ちゃん。

善子ちゃんが寝ている間に曜ちゃんの嫁力が発揮して、朝から洗濯を済ませて手料理(意味深)を振る舞う。

以前から二人の関係をみんなに公表したかった曜ちゃんと、二人だけの秘密にしておきたかった善子ちゃん。

話し合いの末、Aqoursのみんなには付き合っていることを公表(当然おしっこは未公表)。みんな生温かい目で受け入れてくれてひとまずハッピーエンドね☆


【あらすじ終わり】


以下本編です。
お正月ネタなのですが、放置していたら一月も終わりになってしまいました。



5: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 14:53:06.48 ID:UUQGlarc.net

【おね正月編】

 学校 一年教室

ガラガラッ!

ダイヤ「善子さん!? 学校に犬を連れてくるなんて何を考えているのですか!?」

善子「わっ!? な、何言ってるのよ。犬なんてどこにも……」

曜「きゅーん」スリスリ

善子「こら! 曜さん、学校ではべたべたしないでって言ったじゃない」

ダイヤ「曜さん?」

善子「ほら、よく見なさい。曜さんが犬用の首輪してるだけよ」

ダイヤ「……はい?」

曜「わんわんっ」ハァハァ

ルビィ「ルビィ、このワンちゃんなら平気かも……♡」ナデナデ

善子「曜さんを撫で撫でしていいのは私だけ! 勝手に触らないで!」

花丸「犬にまで曜さんの名前つけちゃうなんて熱々ずら♡」ナデナデ

曜「くぅーん……♡」スリスリ

善子「だからやめなさいってば! 私の犬なんだからね!?」

ダイヤ「やはり善子さんの犬で間違いないのですね」

善子「えっ……そ、そうよ! でも確か校則には書いてなかったわよ。学校に犬を連れてきてはいけないなんて」

ダイヤ「校則になければ犬を連れてきてもよいと? 本気で思っているのですか」

善子「う……」

曜「ばうっ!」ダッ

ダイヤ「ひゃあっ!? 何ですのこの犬は!!」

善子「ぷっ。いいわ、そのままやってしまいなさい」クスクス

ルビィ「あはは、ワンちゃんもお姉ちゃんと遊びたくて仕方ないみたいだよ」

花丸「ダイヤさんずっと撫でたそうな顔してたから……」

ダイヤ「善子さん! この犬を何とかしなさい!」

曜「がうっ!」グイッ

ダイヤ「きゃああ!? 何するんですの!?」バタンッ

曜「はぁはぁ……♡」ペラッ

ダイヤ「ば、バカ……っ!! スカートを捲らないでくださいまし……♡」



6: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 14:53:49.37 ID:UUQGlarc.net

ルビィ「お姉ちゃん楽しそうだねぇ」アハハ

花丸「こ、これはいけない匂いがするね……」ドキドキ

曜「……」クルッ

善子「あー、もういいわ。そのくらいでやめてあげて」

曜「わん!」シュタッ

ダイヤ「くっ……犬に遅れをとるとは何たる恥……」

ルビィ「お姉ちゃん、パンツ丸見えだよ」

花丸「せくしーずらぁ……」ドキドキ

ダイヤ「善子さんの処分は後で伝えますわ!! そこの二人も!」

ルビィ「えっ何でルビィたちまで」

花丸「見てただけなのに……」

ダイヤ「ただで済むと思わないことですわね」スタスタ

善子「……」

曜「……」フリフリ

ルビィ「まあ、ワンちゃんが可愛いからいっか」ナデナデ

花丸「ダイヤさんのあんな姿も見られたことだし」ナデナデ

曜「くぅーん」スリスリ

善子「さすが曜さん。あのダイヤさんを追い返すなんてやるじゃない」ナデナデ

曜「……」プルプル

ルビィ「あれ? このワンちゃん……」

花丸「もしかしてトイレかな?」

善子「あっ、待って。えっと確か携帯トイレが……」ゴソゴソ

善子「ない。家に忘れてきたわ」

ルビィ「善子ちゃんどうするの!? このままじゃ……」

花丸「トイレに連れて行くずら!」ガシッ

善子「あっ」

曜「……」ブルッ

ショワァ

善子「きゃっ!!? こっちに向けないでよずら丸!!」

花丸「ど、どうしよ善子ちゃん……間に合わなかったずらぁ……」



7: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 14:54:31.72 ID:UUQGlarc.net

ジョボボ

善子「だからこっち向けないでってば!! さっきから全部私にかかってるわよ!」

ルビィ「善子ちゃん! 飼い主なんだから何とかしてよ! このままじゃ床まで濡れちゃう!!」

善子「う……。分かったわよ……」グイッ

ゴクッゴクッ

花丸「え……?」

ルビィ「よ、善子ちゃん!?」

善子「飼い主なんだもの……当然よ」ゴクッゴクッ

ルビィ「善子ちゃん……犬のおしっこを」

花丸「飲んでるずら……」

善子「曜さんまだ出るの? こんなの……飲みきれなくて溢しちゃいそうよ」ゴクッゴクッ

ルビィ「あわわ……花丸ちゃん、これって……」

花丸「善子ちゃんがおかしくなっちゃった……?」

善子「ぷはっ……。なかなか美味しかったわ」ナデナデ

曜「わんっ!」スリスリ

善子「でも私の制服がおしっこまみれじゃない」

曜「……」ペロペロ

善子「ひゃっ!? な、何よ、舐めて綺麗にしてくれるの?」

ルビィ「うぇ……。おしっこまみれの善子ちゃんの制服がワンちゃんの唾液まみれに……」

花丸「善子ちゃん嬉しそうだね……」

曜「くぅーん……」シュン

善子「気にしないで。私が携帯トイレ忘れたのが悪いんだから」ナデナデ

ルビィ「……」

花丸「……」

善子「二人も今度飲んでみる? 少しなら分けてあげてもいいわよ」

ルビィ「い、いや……ルビィはやめとこうかな」アハハ

花丸「マルも遠慮しとく……」ヒキ

善子「付き合い悪いわね」

曜「わん」



8: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 14:55:21.28 ID:UUQGlarc.net

ルビィ「ところで善子ちゃん、どうしてワンちゃんに曜さんの名前をつけたの?」

善子「そんなの決まってるでしょ。曜さんのことが大好きだから……」

花丸「善子ちゃんがここまで素直になるなんて……曜さんいったい何をしたのかな」

ルビィ「って言うかおかしくなったのって曜さんのせいだったりして」

善子「はぁ!!? もういっぺん曜さんの悪口言ってみなさい、その前歯へし折るわよ」

ルビィ「ひぃっ!!? ご、ごめんなさい……」

花丸「……」

曜「わふっ」フリフリ

花丸「この犬……本当に犬?」

ルビィ「何言ってるの花丸ちゃん。どう見ても犬だよ」

善子「そうよ。曜さんは私の大切なペット……。世界一可愛い私だけの犬なんだから」

花丸「……」カチャカチャ

ルビィ「ちょ、ちょっと花丸ちゃん? 首輪外してどうするの」

善子「あ、こら! それは私のリトルデーモンの証なんだから外したりしちゃ」

花丸「外れたずら」カチャンッ

曜「っふぅ……」

ルビィ「ピギィ!!?」

花丸「やっぱりおかしいと思った。犬にしては人に似すぎてるもん」

曜「ありがとう花丸ちゃん……。私、善子ちゃんに犬になる呪いをかけられて……」

善子「な、何言ってるのよ曜さん! ほら、ずら丸も早く首輪戻して」

ルビィ「ルビィの上着貸してあげる」サッ

曜「二人ともありがとう」ギュッ

ルビィ「わぁ……♡」

花丸「曜さん、裸で抱きつくのはやめるずら……♡」

善子「何よさっきまで汚そうに見てたくせに! 曜さんも曜さんよ! 私より二人を選ぶなんて最低!!」

曜「ごめん善子ちゃん、やっぱり私、善子ちゃんとは付き合えないよ……」

ルビィ「善子ちゃんこんなの犯罪だよ!? 分かってるの!?」

花丸「こんなことするなんて最低……」



9: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 14:56:03.87 ID:UUQGlarc.net

善子「……何なのよもう」

善子「せっかく拾ってあげたのに!! あんなに優しくしてあげたのにっ!!」

善子「こんな犬拾うんじゃなかった!! さっさと保健所に連れて行かれればよかったのよ……!」ダッ

ガラッ!

ドスンッ

善子「いったぁ……」

ダイヤ「警察の方をお連れしました」

警察1「あなたが津島善子さん? 詳しいことは署で聞くから」ガシッ

善子「えっ、えっ!?? 意味が分からないわ……」

警察2「あなた……辛い思いをしたでしょう。もう大丈夫よ」ナデナデ

曜「……♡」スリスリ

善子「私の曜さんに触らないで! 離しなさいってば!!」

ルビィ「何言ってるの善子ちゃん……」

警察1「かわいそうに……気が変になってしまったのね」

花丸「善子ちゃん、塀の中でも元気でね」ノシ

ルビィ「花丸ちゃん、檻だよ」

花丸「あっ……うん、檻の中でも元気で」ノシ

善子「くっ……! あんた達ねぇ!!」

曜「ねーねーおまわりさん! 今度ランチ行きませんか??」

警察2「あら……♡」

善子「こんのバカ犬! 覚えてなさいよーーーっ!!!」

警察1「ほら、大人しくして。後でドッグフードあげるから」グイグイ

善子「うぅ……どうして私がこんな目にぃ……」ズルズル

善子「誰か助けてよ……」グスッ



11: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 14:56:45.54 ID:UUQGlarc.net

……

……



12: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 14:57:38.94 ID:UUQGlarc.net

 善子の部屋

善子「うわぁぁあぁっ!!?」バサッ

善子「はぁ、はぁ……」

善子「何よ……夢だったの?」ホッ

コンコンッ

「善子ー? いつまで寝てるつもりなの?」

善子「……」

「善子、入るわよ」ガチャ

善子「何よ」

善子ママ「起きてたなら返事くらいしなさい」

善子「せっかくのお正月くらい休ませて」

善子ママ「新年早々おねしょなんて、先が思いやられるわね……」

善子「え……」グッショリ

善子ママ「ほら、片付けはしておいてあげるから。早くシャワー浴びてらっしゃい」

善子「うん……」

善子ママ「ずいぶん派手に漏らしたわね。布団乾くといいんだけど……」ハァ

ガチャ バタン

 お風呂

キュッ ザー

善子「冷たっ!!」

ザー

善子「うぅ……新年早々ついてないわね」ハァ

ザー バシャバシャ

善子「……」

バシャバシャ

善子(何だかすごく変な夢を見た気がする……)

キュッ

プシュッ モコモコ

善子(そういえば曜さん……お正月はパパの実家に行ってるのよね)



13: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 14:58:30.51 ID:UUQGlarc.net

善子(しばらく会えないのか……)

モコモコ

善子(寂しくなんてないんだから。メールも電話もくれるし、大好きって言ってくれる……)

善子「私も大好きよ」フフッ

善子「……」カァアア

キュッ ザー

善子(鏡に話しかけるなんてどうかしてるわ)

善子(……)

バシャバシャ

善子(会いたい……)

コンコンッ

「善子ー?」

善子「何よー」

「曜ちゃんから電話来てたわよ。後でかけ直すって言っておいたわ」

ガラッ!

善子「勝手に出たの!?」

善子ママ「ごめんなさい。でもずーっと鳴ってるんだもの」

善子「変なこと言わなかったでしょうね」

善子ママ「言うわけないじゃない。あ、でも……」

善子「何よ」

善子ママ「曜ちゃんったら私のことずっと善子だと思ってたみたいで、私が言うまで気づかなかったのよ」クスクス

善子「なっ……!? 絶対わざとだわ……」

善子ママ「それはそうと……相手が曜ちゃんとはいえあんまり変なことはしないように」

善子「何か変なこと言ったのね!?」

善子ママ「ううん。聞かなかったことにしておくわ」

善子「あぁ……」フラッ

善子ママ「大丈夫?」

善子「最悪だわ……」

善子ママ「シャワー浴び終わったら先に朝ごはん食べちゃってね。電話はその後でしなさい」

善子「はーい……」



14: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 14:59:17.04 ID:UUQGlarc.net

ガラッ バタン

「先にごはん食べるのよ? 善子ったら電話し出すと長いんだから」

善子「うるさいわね……」

ザー バシャバシャ

……

 リビング

善子ママ「やっと来たわね。早く食べちゃって」

善子「いただきます」パチン

善子ママ「食べ終わったら流しに持って行ってね」

善子「ママ、どこか行くの?」パクッ

善子ママ「ええ、ちょっとね」

善子「曜さんのママなら曜さんと実家よ」モグモグ

善子ママ「どうして曜ちゃんのお母さんが出てくるのよ」

善子「二人で一緒に初詣でも行こうとしてたんじゃない?」パクッ

善子ママ「……善子こそ曜ちゃんの着物姿見られなくて残念ね」

善子「べ、別に楽しみになんてしてないわよ」モグモグ

善子ママ「そうそう。年賀状届いてたから」サッ

善子「ありがと。後で読むわ」

善子ママ「曜ちゃん、よくこんなの送ってきたわね……」ペラッ

 曜『わん!』

善子「ぶぶーっ!!? げほっ、ごほっ!!」

善子ママ「裸で犬耳つけて首輪……? しかもメッセージが」

善子ママ「『曜ちゃんとお散歩なうに使っていいよ♡』」

善子「こんなの使えるわけないじゃない!」

善子ママ「大事なところは隠れてるみたいだけど、これ裸で撮ったことには変わりないわよね」

善子「ママ、勘違いしないでよね? 曜さんと私はそういう関係じゃ……」

善子ママ「お願いだから部屋の中だけにしてね」

善子「人の話を聞け! 曜さんも何て格好してんのよ!! こんなのハガキで送る!?」

善子ママ「あ、消印がないわ。もしかして自分で届けに来たのかしら」

善子「さすがにこんなの郵便局の人が見たら大変よね……」



15: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:00:56.24 ID:UUQGlarc.net

善子ママ「何と言うか……かなりきわどい衣装ね。こんなのどこで……」

善子「あれ……?」

善子ママ「そういえば曜ちゃんって衣装係なんだっけ? よくできてるわぁ」ジロジロ

善子「こんな感じの曜さん……どこかで見たような」

善子ママ「これは私も直接見てみたいかも……」ウーン

善子「どこで見たんだっけ……? ええと」

善子ママ「善子?」

善子「待って、もう少しで思い出せそうなの……!」

善子ママ「あっ、ルビィちゃんとダイヤちゃんは仲良く着物姿ね」ペラッ

善子ママ「花丸ちゃんは……山の上で初日の出をバックにハンバーガー食べてる」ペラッ

善子ママ「ん? でも今日が元旦だから……」

善子「あっ!!!」ガタッ

善子ママ「ど、どうしたのよ急に大声出して」

善子「今日の夢だわ!!」

善子ママ「夢? 初夢見たの? 私は疲れてたせいか何も見られなかったわ……」

善子「夢の中で曜さん、このハガキと同じ格好で私と散歩してて……いつの間にか学校についてて」

善子「『犬なんて連れてきて!』ってダイヤさんに怒られて、その後……」

善子「……」カァアア

善子ママ「善子?」

善子「何でもないわよ! 変なこと聞かないで!!」ダッ

善子ママ「ちょっと善子!?」

善子「あっ、ハガキは返して!」バッ

善子ママ「善子が勝手に話し始めたんじゃないの……」ハァ

……

 善子の部屋

ガチャ バタンッ!

善子「ふぅ……」

善子(そうだわ、今日の夢で見たのよ。犬コス曜さんと散歩する夢……)

善子(私がルビィとずら丸に見られながら曜さんのおしっこを飲んで……)

善子(……)カァアア



16: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:01:43.41 ID:UUQGlarc.net

善子(そういえば初夢って現実になるって聞くわよね)

善子(ってことはこの夢も? ううん、冗談じゃないわ!)

善子(犬コス曜さんを見たくないとは言わないけど、裸同然の姿で外を歩くなんてありえない!)

善子(しかも学校に行くなんて! 夢の中とはいえ何を考えていたのよ私は……)ハァ

善子(この夢が現実になるのを阻止するにはどうしたらいいのかしら?)

善子(……)

善子「まずは呪いをかけさせないようにしなきゃ」グッ

善子「えーと、犬になる呪いは……」ペラッペラッ

善子「……あった! これだわ」

善子「これを絶対にかけないようにしなきゃね……」メモメモ

善子(いい? 絶対にかけちゃだめよ? 何があってもこんな呪い、曜さんにかけちゃ……)

プルル

善子「ひゃあっ!?」ビクッ

善子(曜さんから電話だわ)スッ

善子「もしもし?」

『あっ、善子ちゃん? 中々掛かってこないからまた掛けちゃったよ。ごめんね』

善子「あっ、ううん。シャワー浴びて朝ごはん食べてたのよ。遅くなってごめんなさい」

『善子ちゃんと年を越せなくて寂しいよ……。本当はそっちに残りたかったんだけど』

善子「いいわよ、気を遣わなくても。曜さん、ずっとパパに会いたがってたじゃない」

『うっ……。善子ちゃんよりお父さんを取るなんて最低だよね私』

善子「お正月を逃したらまたしばらく会えないんでしょ? ゆっくりしてきなさい」

『あれ、善子ちゃんならもっとヤキモチ妬くと思ったのにな』

善子「何でよ。曜さんの気持ち、私にだって分かるわよ……」

『あ……善子ちゃんのお父さんって確か』

善子「……」

『ごめんね? 私そんなつもりで言ったんじゃなくてさ……』

善子「気にしなくていいわ。ずっと前からいないんだし、パパのことなんて覚えてないから寂しくないわよ」

『分かった、お父さんに善子ちゃんのパパにもなってくれるか頼んでみる』

善子「は?」



17: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:02:28.69 ID:UUQGlarc.net

『って言ってもほとんど会えないんだけどね。それでもいい?』

善子「いや、いいとか悪いとかじゃないでしょ」

『お父さんは優しいから、きっと善子ちゃんのことも可愛がってくれると思うよ』

善子「……」

『善子ちゃんも、私に遠慮しないで甘えていいんだからね?』

善子「……パパ」

『あっ、代わるね』サッ

善子「えっ!? ちょっ……」

『あー、どうもこんにちは。娘がいつもお世話になってます』

善子「あっ……い、いえ! こちらこそ曜さんにはいつもよくして頂いて……」

『曜と結婚するって聞いたんだけど……本当?』

善子「えっ……曜さんがそんなことを? その……」

『正直私もびっくりしているんだけどね、初めてできた彼氏だからってものすごく嬉しそうにしているんだ』フフッ

善子「あ……はい。えっ、『彼氏』?」

『津島君、今度挨拶に行ってもいいかな? 曜の選んだ相手がどんな人か見ておきたくてね……』

善子「えっと……」

『ところで明日は外出の予定はある?』

善子「いえ、明日は特に……」

『それじゃ、曜を連れてお邪魔してもいいかな。津島君のご両親にもご挨拶しておかないとだからね』

善子「えっ……その、こ、困ります」

『うん。それでは明日伺います。親御さんにもできれば同席して頂きたいのだが……まあ、無理にとは言わないよ。まずは津島君と話ができれば』

善子「すみません! これ全部曜さんの嘘です!! 私たち結婚するなんてまだ決めてないし……そもそも私女の子だしっ!!」

『あー、お父さんもういいよ。善子ちゃんごめんね? お父さんって一度言い出したら聞かないからさー』アハハ

善子「曜さん!? どうしてこんな嘘ついたのよ!!?」

『嘘なんてついてないよ。私は恋人ができたって話しただけだもん』

善子「じゃあ何で私が曜さんと結婚するなんて話になってるわけ!? しかも私のこと『彼氏』って!」

『ごめん、明日は男装して待っててくれないかな? お願い!』

善子「いやいやいやおかしいから! 誤解を解く努力をしなさいよ!」

『服はお父さんの服着るとかしてうまく誤魔化してよ。一度着るだけなのに新しく買うのももったいないしさ』

善子「……」



18: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:03:21.52 ID:UUQGlarc.net

『本当なら私が先に行って着替えもメイクもしてあげたいんだけど、私はお父さんと一緒に行かないとなんだ。ごめんね?』

善子「だから……私にはパパなんて」ボソッ

『あー、分かったから! もう少しで終わるから……ね?』

善子「……」

『ごめん、パパが『あの年賀状は何だ』ってうるさいんだ。うまく言い訳しないとだから、また明日ね!!』ピッ

善子「……」

ツーツー

善子「何よ……自分のことばかり好き勝手喋っただけじゃない」

善子「私には服を借りるパパなんていないってば……」グスッ

善子「……」

善子(明日、何時頃来るのかしら? きちんと説明すれば分かってくれるわよね……)

善子(とりあえず、シミュレーションだけでもしておきますか)フゥ

……

…………

【注:善子ちゃんの妄想です】

ピンポーン

善子『はーい! 今行きまーす』タッタッ

ガチャ

曜『善子ちゃーん♡ 会いたかったヨーソロー♡♡』ギュー

善子『わっ、曜さんいきなりくっつかないでよ』

『初めまして、曜の父です』

善子『あ……どうも、すみません上がってください』

『失礼します』

 リビング

善子『お茶……よかったら飲んでください』コトッ

『これはよくできた妹さんだ。ところで、津島君は……』キョロキョロ

曜『あー、お父さん。それなんだけど……』

善子『その「津島君」は私のことなんです』

『……はい?』



21: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:05:30.35 ID:UUQGlarc.net

曜『ごめんねお父さん。今日は普通の格好しておくようにお願いしたんだけどさ』

『何のことだい? 分かるように説明してくれないかな』

曜『善子ちゃ……津島君は、見ての通り女装趣味があるんだ』

善子『えっ』

『』ピキッ

曜『ね、すごく似合ってるでしょ?』

善子(ちょっと曜さん!? どういうこと!?)

曜(いいから話合わせて)

『その……何だ、申し訳ないけど、どう見ても女の子だよね?』

曜『クオリティ高いよね! でもほら、男の子なんだよ! だって私が好きになるんだもん、男の子に決まってるよ!』

『……本当かい?』

曜『ちゃんと生えてるよ』

善子『余計なこと言わんでいい!!』バシッ!

曜『あいてっ!』ヒリヒリ

『津島君、今ウチの曜を叩いたね?』

善子『あっ……あの、これはその』

『こんな女装趣味のDV男にウチの娘はやらん!! 帰るぞ曜!!』ガタッ

曜『待ってよお父さん! 善子ちゃ……津島君はとってもいい人なんだよ!』

『やっぱり父さんが紹介した男と見合いしておけばよかったんだ!』グイグイ

曜『善子ちゃんのバカ! だから男装してって頼んだのにぃ……』ズルズル

ガチャッ バタンッ!

善子『……』

…………

……

善子「……」

善子「最悪だわ……」

善子(こんなんじゃ話を聞いてもらうどころじゃないわね)

善子(男装するしかない……か)ハァ



22: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:06:47.37 ID:UUQGlarc.net

……

 ショッピングモール

善子「えーと、メンズファッションのお店は……」キョロキョロ

「あら、あなたもしかして彼氏に似合う服を探しに来たんじゃない?」

善子「えっ」

「隠さなくてもいいのよ。彼氏はどんな服が好み?」

善子「ど、どういうのが好み? ちょっと聞いてみます」アハハ

スッ

善子「……」

 †堕天使ヨハネ†:どんな服が好み?

ピコンッ

善子「返信早っ」

 曜♡善子ちゃん:ん? 男装のことかな?

 曜♡善子ちゃん:善子ちゃんに似合いそうなのは……ゴシック系とか?

善子「それいつもの私じゃないの」

 †堕天使ヨハネ†:明日の私は曜さんの彼氏なんでしょ? もう少しちゃんとした服装がいいと思う

ピコンッ

 曜♡善子ちゃん:じゃあV系!

 †堕天使ヨハネ†:話聞いてた? 曜さんのパパが挨拶に来るのにチャラい格好はNGよ

ピコンッ

 曜♡善子ちゃん:うーん……

善子「……やっぱり男装なんてしないでちゃんと説明すべきかしらね」

ピコンッ

 曜♡善子ちゃん:もしかして今お店? だったらお店の人に代わって

善子「は? 電話じゃないんだから……」

 †堕天使ヨハネ†:お店の人と話したいの? なら電話にしてよ

 †堕天使ヨハネ†:こんなメッセージ見られたくないもの

ピコンッ

 曜♡善子ちゃん:何で女の子が電話に出るの? って怪しまれるよ

善子「それもそうね……」ウーン



23: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:07:52.15 ID:UUQGlarc.net

「あ、あの……彼氏さんの好み、分かりました?」

善子「あっ、ええと、綺麗めの格好でお願い!」

「綺麗めの格好ですか」

善子「たっ、例えば、彼女のパパと会っても恥ずかしくないような感じの!」

「ふふ、そういうことですか。分かりました、それでは……」スタスタ

ピコンッ

 曜♡善子ちゃん:まだー?

 †堕天使ヨハネ†:何とかなりそうだわ。曜さんのお父さんに会っても恥ずかしくないような格好にすればいいんでしょ

ピコンッ

 曜♡善子ちゃん:まあ、そうなんだけどさ……

「こんなのはいかがですか?」サッ

善子「あっ……いい感じね。これなら怒られることはなさそう」

「あとは、あなたがタイを選んであげたらいいと思うわ」

善子「え? タイって、ネクタイよね? どれがいいのかさっぱり……」

「私がプレゼントするわけじゃないのよ? 彼女のあなたが選んであげたらきっと喜ぶと思う」

善子「えっと……曜さんは」キョロキョロ

善子「これ! 水色の、爽やかな感じ」サッ

「ええ、彼氏さんにとってもお似合いですよ」

善子(私の彼氏見たことないくせによく言うわよ……)

「そうしますとお会計は……ええと、全部で三万五千円ですね」

善子「高っ!!」

「……から半額セールの値引きで一万七千五百円になります」

善子「ま、まあそのくらいするのかしらね……」

ピコンッ

 曜♡善子ちゃん:服決まった? 写真送って!

善子「え……?」

善子「あの、すみません。ちょっと彼氏に見せたいんですけど、写真いいですか?」

「ええ、もちろん」

善子「ありがとうございます」パシャッ



24: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:09:24.50 ID:UUQGlarc.net

 †堕天使ヨハネ†:こんな感じよ。どう?

ピコンッ

 曜♡善子ちゃん:おっ、いい感じ! 絶対似合うよ!

善子(あっ、着るの私だったんだっけ……)

ピコンッ

 曜♡善子ちゃん:あ、私が作るから買わなくていいよ

善子「え?」

ピコンッ

 曜♡善子ちゃん:いつもの衣装より簡単そうだからすぐ作れると思う

「どうでした?」

善子「あっ、あの……とても気に入ったみたいです」

「そうですか、それはよかったです。それでお会計の方ですが」

善子「すみません、ちょっとお腹が痛くて……失礼します!!」ダッ

「あら……気に入らなかったのかしら」シュン

……

 トイレ

ガチャ バタンッ

善子「ふぅ……」

善子(店員さんには悪いことしちゃったわね……)

善子(ほっとしたらおしっこしたくなってきたわ)スルッ

善子(……)

チョロロ

善子(曜さん、先に言ってくれればよかったのに。危うく買わされるとこだったわ)ハァ

プルル

善子(何よ、今おしっこしてるんだから後で)

プルル

善子(……)

プルル

善子「しつこいわね! 何よ!」スッ



25: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:10:05.68 ID:UUQGlarc.net

『あ、もしもし? 服買っちゃった!? すぐ返品して!!』

善子「買ってないわよ」

『よかった……。ごめん、先に言っておけばよかったね』

善子「そうよ。明日一日着るだけなのに……ん?」

『どうしたの?』

善子「明日着るのよね? 曜さんが今から作ったんじゃ間に合わないわよ」

『あー、大丈夫大丈夫。先に服渡すから急いで着替えて。五分くらいなら足止めしとくから』

善子「五分!? せめて十分ちょうだい」

『いいよ。そのくらいなら何とかなると思う』

善子「ほっ……」

チョロロ

『あれ? 今もしかして善子ちゃん、おしっこしてる?』

善子「し、してない!!」

チョロロ

『私と話してただけなのに我慢できなくなっちゃったの? 変態さんだねぇ』アハハ

善子「んなわけないでしょ!? おしっこしてたら曜さんから掛かってきたのよ!」

『大好きだよ♡』ボソッ

善子「ひゃんっ」

ジョボボ

『あはは、善子ちゃん面白いね』

善子「私で遊ばないでよ」

『もしかしてこういうの好きだったりする?』

善子「は、はぁ? 何が」

『電話しながらおしっこするの』ジョボボ

善子「えっ、この音……」

『ごめんね……善子ちゃんの声聞いてたら私もおしっこしたくなっちゃってさ』ジョボボ

善子「曜さんもトイレ? 気が合うんだかどうなんだか」フフッ

『ううん、外だよ』ジョボボ

善子「えっ!!?」ガタッ

善子「わっ、足にかかった」



26: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:10:49.53 ID:UUQGlarc.net

『大丈夫? 私はペットボトルにしてるから心配しないで』ジョボボ

善子「うぅ……もう最悪よ」フキフキ

『善子ちゃんもペットボトルにすればいいのに』チョロロ

善子「誰かに見られたらどうするのよ」

『誰かに見られたら……ふふ♡』

善子「ほ、本当に大丈夫でしょうね!?」

『大丈夫。私が見せるのは善子ちゃんだけだよ』

善子「だといいけど……って別によくないわよ。見せなくていいから」

『ふぅ……』キュッ

善子「ところで曜さん、ペットボトルにしたときってどうしてるの? その、ちゃんと拭いてる?」

『拭いてるよ! さすがに濡れたまま下着を履くのは気持ち悪いよ……』

善子「今拭いてる?」

『拭いてるよ。善子ちゃんは?』

善子「私も拭いてるわよ」

『これってさ……私が善子ちゃんの拭いてて善子ちゃんが私の拭いてるのと同じだよね』フフッ

善子「なっ……発想が気持ち悪いわね」

『あぁ……善子ちゃんの手……♡』

善子「ちょっと変な声出さないでよ!」

『どう? 私の手は』

善子「ど、どうって曜さんの手じゃないし」

『私の手だよ』

善子「よ、曜さんの手……」ドキドキ

『ここ? ここがいいのかな?』

善子「……♡」ドキドキ

『なーんて、これじゃ本当の変態みたいだね。善子ちゃんに嫌われたくないからやめとく』

善子「そう……」

『そういうのは明日会ってからしようよ』

善子「しないわよ」

『したくないの?』

善子「したい……けどしない! せっかく曜さんと久しぶりに会えるのに、いきなりそういうことするなんて」



27: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:11:36.54 ID:UUQGlarc.net

『嫌?』

善子「まるで私が……曜さんの体しか見てないみたいじゃない」カァアア

『……ふふ♡』

善子「曜さん、今絶対気持ち悪い笑い方してるわね」

『し、してないよ!』

善子「絶対してたわよ」

『酷いなぁもう。曜ちゃんの笑顔を気持ち悪いだなんて』

善子「早く会いたい……」ボソッ

『え?』

善子「何でもない! また後でね」ピッ

善子(……)

善子「はぁ……」フキフキ

ピコンッ

 曜♡善子ちゃん:私も会いたい♡

善子「聞こえてたんじゃない!!」

……

 夜 善子の家 リビング

善子ママ「そういえば、明日曜ちゃん来るんですって?」

善子「な、何でママが知ってるのよ」

善子ママ「曜ちゃんのお母さんが言ってたわ。曜ちゃん、早く善子に会いたくてトイレも行けてないって」

善子「トイレは行って」

善子ママ「それは冗談だと思うけど、私も曜ちゃんの顔を見るの久しぶりだから楽しみだわ」フフッ

善子「えっ、ママ明日家にいるの?」

善子ママ「あらやだ、私がいちゃ困るようなことでもするの?」

善子「しないわよ? しないけど……」

善子(明日は曜さんのパパが来るんだもの……ママがいたら話がややこしくなるわ)

善子ママ「善子がそこまで言うなら、気を利かせてどこか出かけてこようかしら?」

善子「そ、そうよ。曜さんのママと初詣でも行ってきたら? 一日遅れだけど」

善子ママ「あ、それいいわね。後で連絡してみるわ」

善子(ふぅ……)



30: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:15:29.18 ID:UUQGlarc.net

善子ママ「本当に大丈夫?」

善子「え、何が?」

善子ママ「善子、何か悩んでるように見えるから。私、ちょっと心配なのよ」

善子(鋭い……)

善子ママ「たぶん曜ちゃんとのことなんでしょうね。顔に書いてあるもの」

善子「ま、まぁそうよ」

善子ママ「えーと、『曜ちゃんと結婚したい』ですって?」

善子「言ってないわよ」

善子ママ「違ったか。じゃあ『曜ちゃんと駆け落ちしたい』」

善子「そんなお金ない」

善子ママ「『曜ちゃんのパパに挨拶したい』」

善子「」

善子ママ「ふふ、冗談よ。本気にしないでね」

善子「え、ええ……」

善子(何で今日のママはこんなに鋭いわけ? まさか曜さん、ママにまで言ったんじゃ……)

善子ママ「二人のことは私も応援してるけど、あまり心配かけるようなことはしないでね。もちろん、私だけじゃなくて曜ちゃんのお母さんにも」

善子「わ、分かってるわよ……」

善子ママ「それじゃ、おやすみなさい」ノシ

善子「え、もう寝るの?」

善子ママ「早く寝て、早く朝になってほしいもの」フフッ

善子「……」

ガチャ バタン

善子(私も早く寝て……明日に備えなきゃ)

善子(……)

……

 翌朝 リビング

善子ママ「それじゃ私は出かけるわね」スタッ

善子「お昼は?」

善子ママ「適当に食べて。何なら曜ちゃんに作ってもらったら?」



31: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:16:09.95 ID:UUQGlarc.net

善子「何で曜さんが」

善子ママ「どうせ呼ぶつもりなんでしょう? 今日帰ってくるみたいだし」

善子「……いつも作ってもらったら悪いわよ」

善子ママ「なら一緒に作ってみたら? 曜ちゃんも喜ぶ気がするけど……」

善子「また今度ね」

善子ママ「……。まあいいわ、行ってきます」ノシ

善子「行ってらっしゃい」ノシ

ガチャ バタン

善子「……」

善子(曜さんにメールしておこう)スッ

 †堕天使ヨハネ†:こっちの準備はOKよ。来るとき早めに連絡してね

善子(これでよし……)

善子(後はお茶の準備でもしておきましょうか)スタッ

ピコンッ

善子「ん……?」スッ

 曜♡善子ちゃん:来たよ。服だけ渡すからちょっとだけドア開けて

善子「ちょっと!? もう来たの!?」ダッ

ガチャ

「善子ちゃん久しぶり」ノシ

善子「お父さんも一緒に?」

「あー、ええと、とりあえず服」つ袋

善子「そうね、すぐ着替えるわ……」スッ

バタン

曜「……」

曜「ふふっ」

……

 リビング

善子「なかなかよくできてるじゃない」サッ

善子「お店のと違って細めだし」スルッ

善子「うん、いい感じだわ」



32: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:16:58.33 ID:UUQGlarc.net

善子「あとはウィッグ……」

善子「ウィッグは?」ガサコソ

善子「これじゃ女の子ってバレバレじゃない!」スッ

 †堕天使ヨハネ†:ウィッグはないの?

善子「帽子じゃ限界があるわよね……」サッ

善子「どう見ても女の子だわ」ハァ

ピコンッ

 曜♡善子ちゃん:ごめん、ウィッグは作れなかったの。でも帽子被れば誤魔化せるよ

 †堕天使ヨハネ†:部屋の中よ。お父さんに挨拶するのに帽子脱がないなんて失礼でしょ

 曜♡善子ちゃん:じゃ、じゃあ女装趣味の彼氏って設定で

 †堕天使ヨハネ†:曜さんってバカなの?

 曜♡善子ちゃん:とりあえず帽子で誤魔化して。ごめんね

善子「はぁ……」サッ

善子(髪を縛って帽子の中に押し込めば……)ゴソゴソ

善子「まあ、帽子さえ脱がなければ何とか」

善子「こんな感じで大丈夫かしら?」パシャッ

 †堕天使ヨハネ†:どう?

 曜♡善子ちゃん:かわいい

 曜♡善子ちゃん:間違えた、かっこいいよ

善子「……」



33: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:18:27.13 ID:UUQGlarc.net

善子「まあいいわ、あまり待たせたら悪いし行きましょう」スタッ

……

ガチャ

善子「どうぞ、中へ……」

曜「あっ……ど、どうも曜の父です」

善子「えっ!? 何その格好!」

曜「あなたが津島君かな?」アハハ

善子「何で着物なんて着てきたのよ……」

曜「似合ってるでしょ」

善子「まあね。それよりお父さんは? あまり待たせちゃ悪いわよ」

曜「お父さんは……」シュン

善子「え……?」

曜「ごめんなさい」ペコリ

善子「えっと……お父さん、もしかして来てないの?」

曜「お父さんは……いないんだ」グスッ

善子「実家に帰っちゃったってこと? それならむしろよかったわ」ホッ

曜「……」

善子「ちょ、ちょっと待って」

曜「お父さん、結局お正月も帰ってこれなかったんだ」

善子「でも電話の向こうで楽しそうだったじゃない」

曜「……」

善子「ま、まさか全部曜さんの一人芝居とか……」

曜「えへへ、声マネ似てたかな?」

善子「いや、曜さんのお父さんの声聞いたことないわよ」

曜「『本当に曜を愛してるならここで証明してみなさい』」

善子「似てる」クスクス

曜「はい、証明して」

善子「何でよ。お父さんいないじゃない」



34: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:19:06.88 ID:UUQGlarc.net

曜「見てるよ。あの海から……」スッ

善子「……」

曜「早く」

善子「え? うーん……」スッ

チュッ

曜「んっ……? 続きは?」

善子「ないわよ。こんなところ誰かに見られたら恥ずかしいもの」

曜「そうだね。お父さんもこれで分かってくれたかな」

善子「ね、ねぇ曜さんのお父さんって……」

曜「ヒント。お父さんは遠い遠いところにいる」

善子「え? クイズ?」

曜「ヒントそのニ。私がお父さんと最後に会ったのはお盆休み」

善子「お盆休み……」

曜「ヒントその三。お父さんとは夢の中でも会える」

善子「もういいわ、やめましょ」

曜「ヒントその四。舟で行けるけど帰れない場所……」

善子「もうやめてってば!」

曜「お父さんは……」

曜「私のお父さんはね……」グスッ

善子「……」ギュッ

曜「うぅっ……」

善子「ごめんなさい」

曜「でも私は泣かないよ」フキフキ

曜「もう子どもじゃないんだし」

曜「それに、今は善子ちゃんがいるからね」

善子「……」

曜「行こっか」スタッ

善子「え? どこ行くのよ」

曜「善子ちゃんを紹介したいんだ。会ってくれるよね?」

善子「……ええ、もちろん」



35: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:19:36.31 ID:UUQGlarc.net

……

……



36: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:20:27.86 ID:UUQGlarc.net

 神社

善子(そっか……曜さんのお父さんはここに)

曜「善子ちゃんはおみくじ引く?」

善子「え? いいわよ、まずは挨拶が先でしょ」

曜「そうだね」

チャリーン カランカラン

曜「善子ちゃんと結婚できますように」

善子「曜さんのお漏らしが治りますように……」

曜「……」シュン

善子「ごめんなさい、冗談のつもりだったんだけど」

曜「まあいいや。善子ちゃんと初詣に来られただけでもよかったと思わないとね」

善子「初詣? 今日はもう二日よ」

曜「善子ちゃんと年越したかったな……」

善子「……」

曜「お父さんにも会えなかったし……」シュン

善子「バカね。年なら越せるじゃない」

曜「えっ?」

善子「今年から来年にかけて。ちょっと長いけど曜さんと二人なら一瞬よ」

曜「珍しいね、善子ちゃんがそういうこと言うの」

善子「ちょっ、やめてよ! 私が変なこと言ったみたいになってるじゃない!」

曜「……今世から来世にかけて越してもいいんだよ?」

善子「そ、それって」

曜「さっ、おみくじ引こう? あれやんないと新年って感じがしないんだよねー」アハハ

善子「……」



38: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:22:20.87 ID:UUQGlarc.net

……

曜「おみくじ二本ください!」チャリン

「はい、二百円ちょうどね。ここから引いて」

曜「大吉こい!」ゴソゴソ

善子「……」ゴソゴソ

曜「これだ!」サッ

善子「私はこれ」スッ

曜「えー、なになに? 何だ、末吉か」ハァ

善子「私は大吉だったわ」

曜「えー? いいなぁ」

善子「えっと……『どんな願い事でも叶う一年になるでしょう』ですって? 胡散臭いわね」

曜「私のは……『待人:待てど暮らせど現れない。自分から会いに行くべし』だって!」

「読み終わったらあちらに結んでください。木の枝に結ぶのはやめてくださいね」

曜「はーい!」

善子「どんな願い事でも叶う……か」ボソッ

曜「ん?」

善子「何でもないわ、さっさと結んじゃいましょ」

曜「ところでお姉さん、その格好すごく似合ってますね!」

「え? あ、ありがと……」

曜「巫女さんはみんなバイトだって聞くけど、お姉さんは本物なんじゃないですか?」

「ごめんなさい、私もバイトなんです」

曜「えー? すごく似合ってるのに……」

「……そうかな」エヘヘ

曜「写真撮ってもいいですか?」

「あっ、写真は……恥ずかしいからダメです」

曜「そんなこと言わずにぃ」

善子「やめなさいよ。嫌がってるじゃない」

曜「じゃあお姉さんのスマホで撮ってあげます」

「え? じゃ、じゃあお願いしようかな……」スッ



39: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:23:02.86 ID:UUQGlarc.net

曜「撮りますよー。はいチーズ」パシャッ

善子「……っ」ビクッ

曜「善子ちゃんの方には向けてないのに」

善子「うるさいわね。苦手なんだもの、仕方ないでしょ」

曜「はい! いい感じに撮れました」

「これが私……」

曜「お姉さんもっと色んな格好してみたくないですか? 実は私、コスチューム作るのが趣味なんです」

善子「変なことに誘わなくていいから」

曜「あっ、私のアドレス教えるのでいつでも連絡ください!」

善子「教えなくていい! ナンパじゃないのそれ!」

曜「違うよ!」

「えーと、ごめんなさい」

曜「うぅ……振られた」シュン

善子「迷惑かけてすみません。ほら、曜さんも謝って」

曜「ごめんなさい……」

「あっ、あの……こちらこそ何かごめんなさい」ペコリ

曜「今度お昼食べませんか? 二人きりだとこの子がヤキモチ妬いちゃうから三人で」

善子「何で私まで」

曜「じゃあ二人きりでもいいの?」

善子「よくないわよ」

曜「ほらね。じゃあ三人だ」

「私、実は年末年始だけこっちに帰ってきてるだけなんです。人手が足りないから手伝うように頼まれてしまって……。だから明日にはもう東京に」

曜「え……」

善子「あなたも大変ね。せっかくのお休みなのに手伝いさせられるなんて……」

「そうだ、写真を撮ってもらったお礼にお二人の写真を撮ってあげますね」

曜「え? いいんですか?」

「はい。とってもお似合いですよ」

善子「お似合いって……」カァアア

曜「善子ちゃん、服のことだよ」

善子「言われなくても分かってるから!」



40: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:23:42.31 ID:UUQGlarc.net

曜「えへへ。それじゃあ」スッ

パシャッ

善子「きゃっ」ビクッ

「えっ、私が撮るんじゃ……」

曜「これはSNS映えしそうな一枚が撮れたぞ」

曜「『善子ちゃんと巫女さんなう』的な」

善子「変な書き方しないで」

「あの……SNSとか、そういうのはやめてください」

曜「あはは、分かってます。これは私と善子ちゃんの思い出にするだけです」

「それならいいんですけど……」

曜「せっかくなのでデータ要りますか?」

「あ、じゃあ……」

善子「おい」グイッ

曜「え?」

善子「何しれっとアドレス交換しようとしてるのよ」

曜「バレたか」アハハ

「……」

善子「お仕事中にごめんなさい。そろそろ私たちは失礼するわ」

曜「また来年会いましょう」ノシ

「あはは……」ノシ

……

曜「ぶー……」ムスッ

善子「どうしたのよへそ曲げて」

曜「善子ちゃんのせいでアドレス聞き損ねた」

善子「あのねぇ、どうやったら私の目の前で他の人をナンパできるわけ?」

曜「さっきの人は純粋に色んな衣装着てもらいたかっただけだもん……」

善子「……」

曜「別に善子ちゃんにヤキモチ妬かせようなんて思ってないよ」

善子「私じゃなくてもあれはダメだと思う」

曜「そうかなぁ……」



41: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:24:22.53 ID:UUQGlarc.net

善子「私がいなかったらアドレス交換どころかランチまで行ってそうね」

曜「かもね」

善子「それって浮気なんじゃないの」

曜「可愛い子とか綺麗な人は好きだけど、善子ちゃんへの好きとは違うよ」

善子「はいはい、どうせ『おしっこ飲ませ合うのは善子ちゃんだけだよ』とか言うんでしょ」

曜「あ、うん」

善子「いや……他になかったの? 一応恋人同士なのよ?」

曜「さっき神様にもお願いしたんだけど、聞いた? 『善子ちゃんと結婚できますように』って」

善子「口に出して言うところがわざとらしかったわね」

曜「そういう善子ちゃんこそ、何なの? 『曜さんのお漏らしが治りますように』って酷くない?」

善子「あれはわざと聞こえるように言ったのよ」

曜「善子ちゃん、自分のおみくじ思い出してよ。何て書いてあった?」

善子「え? えっと……大吉だったのは覚えてるわ。それがどうかしたの?」

曜「『どんな願い事でも叶う一年になるでしょう』だよ」

善子「あぁ、そうだったわ。胡散臭いけど、本当なら嬉しいわね」

曜「よりによって私のお漏らしが治りますようにだなんて……」

善子「いいじゃない、学校で漏らさなくなったら曜さんも嬉しいでしょう?」

曜「善子ちゃんとトイレ以外でおしっこできなくなっちゃう」

善子「一人でして。お願いだから」

曜「やめてよ!! そのお願いが叶っちゃったら私……」

善子「まさか。ただのおみくじでしょ」

曜「一人でトイレでしかおしっこできなくなるなんて……おしっこの楽しみがなくなっちゃうよ」

善子「おしっこに楽しみも何もないわよ」

曜「ここのおみくじは当たるんだよ。去年だって半信半疑だったけど結局全部的中したもん」

善子「おみくじなんてたいていの人に当てはまるような抽象的なことしか書いてないんだから」

曜「恋愛運が最高で、水難の相が出てた」

善子「ピンポイントすぎるわ」

曜「恋愛運は善子ちゃんに会えたこと、水難の相は……言わなくても分かるよね」

善子「まあ、ここのおみくじが本物だとして」

善子「本当に私はどんな願い事でも叶っちゃうの? そんなことあるわけないじゃない」



42: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:25:04.01 ID:UUQGlarc.net

曜「実際もう叶ってるよ」

善子「何よ、『曜さんと一緒にいられますように』なんてお願いしてないわよ」

曜「今ものすごくおしっこしたいのに全然出せないもん」

善子「え?」

曜「善子ちゃんが私にお漏らしさせないようにお願いしたからだよ!」プルプル

善子「よかったじゃない。本当ならトイレまで漏らさずに済むわね」

曜「今ここでしたいのにできないの! 善子ちゃんのせいだよ!!」

善子「今ここでしないで。トイレに行ってからして」

曜「苦しい……! 出したいのに出せないのがこんなに苦しいなんて」プルプル

善子「だから早くトイレに……」

曜「今すぐさっきのお願い取り消して! お願い!!」

善子「残念だけど曜さんのおみくじは大したこと書いてなかったわね。大人しくトイレまで行きなさい」

曜「苦しいよ……善子ちゃん助けて……」プルプル

善子「よ、曜さん顔色悪いわよ? 早くトイレに行かないと……」

曜「お願い! ここでさせてください……」

善子「私は神様じゃないから知らないってば」

曜「ねぇ本当に……あっ、もうダメ……」プルプル

善子「……」

曜「善子ちゃん!!」プルプル

善子「分かったわよ! ここでしていいわ!」

曜「あっ」

ショワァ

善子「バカっ! 着物が汚れちゃう……」パッ

曜「ありがと……」

ジョボボ

善子「ね、ねぇもしかして曜さん」

曜「あぁ……♡」

ジョボボ

善子「下着、してない?」



43: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:26:01.91 ID:UUQGlarc.net

曜「え? うん……」

ジョボボ

善子「寒くないの?」

曜「えへへ、ちょっとだけね」ズズッ

ジョボボ

善子「風邪引いても知らないわよ」

曜「うん……」

チョロロ

善子「終わり? ティッシュあげるからそれで拭いて」ガサゴソ

曜「えへへ。新年初お漏らしが善子ちゃんの前だなんて」

善子「昨日は漏らさなかったのね」

曜「実家にいたから」

善子「……」

曜「善子ちゃんの初お漏らしも見たいなぁ」

善子「言うと思った」

曜「したくなったら教えてね」

善子「……」

曜「善子ちゃん?」

善子「実はもう……昨日漏らしちゃったのよ」カァアア

曜「え」

善子「夢の中に曜さんが出てきて……それで」

曜「夢の中の私ずるい! 善子ちゃんの初お漏らしを見るのはこっちの私でしょ!?」

善子「みんなに嫌われちゃう夢だった」

曜「善子ちゃんの初お漏らし、私も見てみたかったなぁ」

善子「本当のことを知ったら、みんな嫌いになるかしら」

曜「ん? 何の話?」

善子「ううん、何でもないの。拭き終わったら行くわよ」

曜「あっまだ拭いてなかった……」フキフキ

善子(隠していてもいつかバレるときが来るかもしれない……)

曜「ってもうほとんど乾いちゃってるよ……」



44: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:26:41.48 ID:UUQGlarc.net

善子(恋人なのは認めてくれても、こんなことしてるなんて……)

曜「善子ちゃん、ウェットティッシュある?」

善子(やっぱり普通じゃないわよね)

曜「ねぇ、聞いてる? ウェットティッシュ!」

善子(……)グスッ

曜「えっ」

ギュッ

善子「もしみんなに嫌われても、曜さんのことは嫌いにならないから……」

曜「どうしたの急に」

善子「私のことも……その」

曜「ウェットティッシュ……」

善子「嫌いにならないでね……?」グスッ

曜「あーだめだ完全に乾いちゃった」

善子「ごめんなさい、変なこと言って」フキフキ

曜「ついでに私のも拭いてほしいな」

善子「もう乾いたんじゃなかったの」

曜「私の話聞いてたんだね」

善子「曜さんは私の話聞いてなかったわね」

曜「聞いてたよ? えーと、私のことは嫌いになってもおしっこのことは嫌いにならないで……みたいな感じ?」

善子「違うわよ」

曜「あっ、逆だね! おしっこのことは嫌いになっても、私のことは嫌いにならないでください!」

善子「もういいわ。乾いたならとりあえずそれで我慢しなさい。帰ったらシャワー浴びればいいでしょ」

曜「ウェットティッシュは?」

善子「ないわよ! 曜さんのおしっこで濡れたティッシュだけ!」

曜「そっか……善子ちゃんのおしっこでウェットティッシュを作ればいいんだ!」

善子「は?」

曜「どうして今まで思いつかなかったんだろう……? 私のバカ!」バシッ

善子「……新年早々ついていけないわ」ハァ

曜「今年も全速前進ヨーソロー! であります!!」ゞ

善子「はいはい」



46: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:28:48.41 ID:UUQGlarc.net

曜「もう、真面目に聞いてよ」

善子「私の話も聞いてくれたらね」

曜「聞いてるよ! 善子ちゃんがみんなに嫌われちゃったけど私だけは善子ちゃんのことを死ぬまで愛し続けたとかそんな話でしょ?」

善子「だったらいいんだけど」

曜「そんなに嫌な夢見たの?」

善子「嫌な夢よ。私たちのことがみんなにバレて……」

善子「……この際だから全部話すわ」

曜「……」

善子「夢の中で私は裸の曜さんを散歩させてて」

善子「学校に連れて行ったらダイヤさんに怒られて」

善子「曜さんがお漏らしするから私が仕方なく飲んであげて」

善子「それを見てたルビィとずら丸に嫌われちゃう話」

曜「……」

善子「しかも私はダイヤさんが呼んだ警察に捕まって終わり」

善子「嫌な初夢よ」

曜「善子ちゃん、新年からぶっ飛ばしてるね……」アハハ

善子「曜さんが引くのはおかしいと思う」

曜「私も似たような夢見たけどね。善子ちゃんが巫女服着て私のことお祓いしてくれる夢」

善子「何それ。だからさっき巫女さんに食いついてたの?」

曜「ううん、あの人はすごく似合ってたから」

善子「あっそ」

曜「お祓いの聖水を頭からかけてくれたんだけど……」

善子「まさかそれが私のおしっこだったとか」

曜「氷水で死にかけた」

善子「私のおしっこは?」

曜「善子ちゃんのおしっこは出てこなかったね」

善子「どこが私の夢と似てたのよ」

曜「お互いコスプレしてたでしょ? それにお正月っぽい夢だった」

善子「私のは特にお正月っぽくはなかったけど」

曜「ダイヤさんの誕生日」



47: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:29:17.32 ID:UUQGlarc.net

善子「あぁ、そういうこと……って関係ないでしょ」

曜「あとはお互い夢の中では会ってたってことくらいかな」アハハ

善子「それは……まあ」

曜「本当は一緒にいたかったよ」ギュッ

善子「……私もよ」

曜「久しぶりにお父さんに会えるって言うから実家に帰ったのに、やっぱり仕事で帰って来てないし」

善子「船長さんって大変ね」フフッ

曜「こんなことならお父さんなんて放っといて善子ちゃんとイチャイチャしてればよかった」

善子「ん? そういえば曜さんのお父さんって」

曜「あはは、死んでないよ」

善子「じゃあ朝の変なクイズは……」

曜「お父さんは遠いところにいるってやつ? 本当だよ」

善子「舟で行けるけど帰ってこれない場所とか」

曜「帰ってこれてないじゃん」

善子「そうね」

曜「お父さんと会えないのは善子ちゃんだけじゃないよ、って言いたかったの」

善子「え?」

曜「あっ、ううん! ええと、お父さんと会えなくても私がいるよ、かな?」

善子「そんなこと言うためにあんな芝居したわけ?」

曜「えへへ。普通に言っても嫌味になるだけかなって思って」

曜「私も同じくらいとは言わないけど、それなりに寂しい思いはしてるんだよって……善子ちゃんにも分かってほしかったかな」

善子「悪いけど全然分からなかったわ」

曜「できれば善子ちゃんに、『曜さんには私がいるわ』って言ってほしかった……」アハハ

善子「分からないわよそんなの! 服まで選びに行った私がバカみたいじゃない!」

曜「でもすごく似合ってる」

善子「男装までさせて! こんなところ誰かに見られたらどうするつもり!?」

曜「似合ってるよ」ギュッ

善子「抱きついたって誤魔化されないわよ」

曜「善子ちゃんが私の彼氏だったらどんな感じかなぁ、って思ってね」



49: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:31:32.77 ID:UUQGlarc.net

善子「何よ……私が女の子じゃ不満なの?」

曜「ううん。見てみたかっただけ……それに」

曜「どんな格好してても善子ちゃんは善子ちゃんなんだって分かったし」

善子「……もう少し彼氏っぽくしてあげればよかったかしら」

曜「してくれるの!?」

善子「しないわよ。もうネタばらしされたんだし」

曜「『津島君、曜を幸せにしてやってほしい』」

善子「誰?」

曜「お父さんのマネ」

善子「全然似てないわね」

曜「そっか、善子ちゃんは電話で話したんだったね」

善子「え?」

曜「電話は本当だよ」

善子「そうだったの? でも曜さん、お父さんとは会えなかったのよね?」

曜「家の電話でお父さんと国際電話が繋がってて、善子ちゃんとどうしても話したいって言うから受話器とスマホをくっつけたの」

善子「どうりで雑音が入るわけだわ……」ハァ

曜「しばらく会えなそうなんだけど、これならたぶん信じてくれたんじゃないかな?」

善子「この格好ならってこと? 私が曜さんの彼氏って言うのはさすがに冗談よね」

曜「あ、ううん。それ勝手にお父さんが彼氏だと思ってるだけだから」

善子「え……」

曜「恋人ができた、とは言ったんだけどね。女の子だとは言わなかったから」

善子「言いなさいよ! 私のこと本当に男の子だと思ってるじゃない!」

曜「面白いからそのままでもいいかなって」アハハ

善子「よくない! 私が男装趣味の女子なんて知られたら終わりよ!」

曜「あはは……うん??」

善子「あっ」

曜「善子ちゃん、男装好きなの?」

善子「べ、別に? 今回は曜さんに頼まれたから仕方なくやっただけで」

曜「普段からしてるの? どんな服が好み?」

善子「本当にしてないってば! 今回着てみて、たまにはこういうのもいいかな……なんてちょっとだけ思ったり思わなかったり……」カァアア



50: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:32:15.12 ID:UUQGlarc.net

曜「男装が?」

善子「曜さんの彼氏が!!」

曜「……やだ、恥ずかしい」カァアア

善子「だから恥ずかしがるポイントおかしくない!?」

曜「せっかくだからもっと彼氏っぽいことしてよ」

善子「は?」

曜「せっかく私が作ったんだよその服」

善子「こんなことのためによく作ったわね……」

曜「善子ちゃんが彼氏だったらどんな感じかなーって想像しながら作ってみました」エヘヘ

善子「曜さんって本当に男の人の服見たことある?」

曜「あるよ! 失礼な」

善子「男の人の服は胸のことなんて考えて作られてないわよ」

曜「そ、それはいいじゃん。着やすかったでしょ?」

善子「あとこんなにウエスト締まってない」

曜「善子ちゃん細いから……」

善子「それにこんなにお尻強調されてない!」

曜「善子ちゃんのお尻好きだもん」

善子「変態か! おかげでどう見ても男装してる女の子よ!」

曜「善子ちゃんの可愛さまでは隠せなかったね」アハハ

善子「そういう問題じゃないから……」

曜「でもほら、そのおかげで善子ちゃんが私の一日彼氏になってくれるって言ってくれたわけだし」

善子「一日署長みたいな言い方しないでよ……」

曜「さっきの巫女さんもお似合いだって言ってくれたよ?」

善子「あれは……どっちの意味なのかしら」

曜「たぶん両方だね。服がよく似合ってるってことと、私たちがお似合いってこと」

善子「曜さんと初詣に来るなら、私も着物が着たかったわ……」

曜「うん。じゃあ明日は私が彼氏役するから善子ちゃんは着物着てよ」

善子「は? 初詣って何度もしないんだけど? そもそも今日は一月二日じゃない!」

曜「だから昨日はごめんってば」

善子「いいわよもう。どうせ曜さんは私なんかよりお父さんを選ぶんだから」



51: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:32:55.30 ID:UUQGlarc.net

曜「えっ」

善子「どうせならそのまま海外まで会いに行けばよかったのに」

曜「……」

善子「何なら私じゃなくてお父さんと結婚したら? お父さんのこと大好きなんでしょ」

曜「お父さんはもうお母さんと結婚してるよ」

善子「してなかったらするの?」

曜「しないけど」

善子「はぁ……私にもパパがいたら曜さんにも同じ思いをさせてあげられるのに」

曜「まさか。善子ちゃんがパパに抱きついてもヤキモチ妬いたりしないよ」アハハ

善子「……」

曜「えっ!? 善子ちゃん、もし私がお父さんに抱きついてたらヤキモチ妬くの? お父さんだよ!?」

善子「妬くに決まってるでしょ!? 曜さんが他の人に抱きつくなんて! 他の人にあんな笑顔見せるなんて!!」

曜「お父さんなのになぁ」

善子「お父さんでもよ! あのね、曜さんはもう自分の歳を考えたほうがいいわよ? もう子どもじゃないんだから」

曜「何歳になっても親子は親子だよ」

善子「そうじゃなくて! その……曜さんの体で抱きつくなんて……」

曜「えっ」

善子「えっ、本当に抱きついてるの?」

曜「ううん。もう何年も抱きついてないけど」

善子「ならこれからも抱きつかないで! いくら好きでも抱きつくのはダメ!」

曜「お風呂は?」

善子「お風呂もよ!! まさか一緒に入ったりしてないでしょうね!?」

曜「入りたいけど……もう十年以上入ってないな」

善子「入りたいとか言わないで! あんまりお父さんを困らせるんじゃないわよ……」

曜「あのさ、もしかしてお父さんが私のことそういう目で見るとでも思ってる? 親子なんだけど」

善子「わ、分からないじゃないそんなこと!」

曜「私のお父さんを悪く言われてるみたいで何か嫌だな」

善子「それは……ごめんなさい」

曜「分かればいいよ」

善子「……」



53: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:34:52.50 ID:UUQGlarc.net

曜「なーんてね、本当はもうずーっと会ってないんだ。もし会っても、お風呂に入りたいとは思わないかなぁ」アハハ

善子「お盆に帰ってくるんじゃないの?」

曜「うん。いつの間にか部屋まで来てるんだよね」

善子「ね、ねぇそれって……」

曜「変だよね? お父さんは遠くの海の向こうにいるのに連絡もしないで帰ってくるんだよ」

善子「……」

曜「それに抱きつこうとしてもなぜかうまくかわされちゃうんだよね」アハハ

善子「こ、この話やめましょうか」

曜「気のせいか透けてるようにも見えたし……」

善子「やめましょ。ね?」

曜「……」

善子「お腹空いたわ! 屋台で何か食べない?」

曜「善子ちゃんは食べてばっかりだね」

善子「そんなに食べてばっかりのイメージないでしょ」

曜「私にはあるけど」

善子「やめなさいよ。食いしん坊キャラはずら丸一人で十分なんだから」

曜「私の料理もたくさん食べてくれるから嬉しいんだ」エヘヘ

善子「それは曜さんの料理だから……」

曜「私のせいで太ったらごめんね?」

善子「そのときは曜さんに責任取ってもらうだけよ」

曜「それって……善子ちゃんをお嫁に貰うってことかな」

善子「ダイエットに付き合うってことよ! お嫁に行けなくなるまで太るなんてさすがにあり得ないわよ」

曜「みんなそう思ってただろうね」

善子「え……」

曜「まあ、太ったせいにしておけばとりあえず安心できるだろうけど」

善子「な、何の話?」

曜「善子ちゃんは三桁になっても私がいるから大丈夫だね」

善子「いや、だから勝手にそういうキャラにしないでよ……」

曜「でも私としては今のスレンダーな善子ちゃんが好きだなぁ」チラッ



54: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:35:49.45 ID:UUQGlarc.net

善子「あ? 今のどこ見て言った?」

曜「ううん、何でもない! とにかく善子ちゃんが太らないように毎日スリーサイズを測らないとだね」

善子「ウエストだけでいいわよ」

曜「ウエストならいいんだ?」

善子「よくない! そもそも測らなくていいから」

曜「安心してね。どんな善子ちゃんでも私は好きだから」

善子「あっそう。気持ちだけ貰っておくわ」

曜「私も貰ってくれると嬉しいな」

善子「いつかね」

曜「待ってるよ」

善子「曜さんの方から来てくれないの?」

曜「私からのプロポーズはしたんだからさ、そのときは善子ちゃんからしてよ」

善子「さっきのおみくじ忘れたの?」

曜「え?」

善子「曜さんのおみくじよ」

曜「あぁ、『待人:待てど暮らせど現れない。自分から会いに行くべし』ってやつ?」

善子「そうよ。あれは曜さんの方から会いに来なさいってことでしょ」

曜「あ、そっか。そういうことだったんだ」

善子「待ってるから」

曜「うん。そういうことなら行くよ」

善子「約束だからね?」

曜「約束」スッ

善子「指切り? いいわよ」スッ

曜「と見せかけて恋人繋ぎ」ギュッ

善子「……今日だけだからね?」

曜「彼氏と恋人繋ぎなう……っと」パシャッ

善子「やめなさい」

曜「あ、でもこれだと本当に彼氏ができたんだと誤解されそうで嫌だなぁ」スッ

曜「彼氏(♀)と恋人繋ぎなう」スッ



55: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:36:45.02 ID:UUQGlarc.net

善子「まあ、それなら……」

曜「えへへ」

善子「後で私にも頂戴」

曜「うん」

善子「……」ギュッ

曜「善子ちゃんはアップしないの?」

善子「SNSに? しないわよ」

曜「してくれてもいいのに」

善子「こんなの他の人には見せたくないもの」

曜「ヤキモチかな?」フフッ

善子「ち、違っ……」

曜「大好きだよ」

善子「あっそ……」カァアア

曜「幸せすぎて死んじゃいそう」アハハ

善子「大げさなんだから」

曜「今日は付き合ってくれてありがとね」

善子「何言ってるのよ。これからもずっと付き合わせるんでしょう?」フフッ

曜「うん」

善子「仕方ないから付き合ってあげる」

曜「……」ギュッ

善子「……」

曜「今日の善子ちゃんは私の彼氏だからね」

善子「だから何よ」

曜「こういうとき、どうするか知らないの?」

善子「……」

曜「教えてあげようか」スッ

善子「……」チュッ

曜「んっ……」

善子「合ってた?」

曜「正解」



56: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 15:39:05.27 ID:UUQGlarc.net

善子「本当に今日だけだからね!? 明日から絶対やらないから!」カァアア

曜「今日はたくさん甘えなきゃかなー」

善子「……そうよ、今日だけなんだから」

曜「えへへ」


おね正月編・前編 終わり



60: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 16:53:45.77 ID:UUQGlarc.net

曜「それはそうと、ウェットティッシュは?」

善子「しつこいわね。自分で舐めて綺麗にしたら?」

曜「私、そんなに体柔らかくないよ……」

善子「柔らかかったら舐めるの?」

曜「善子ちゃんのお願いなら」

善子「……」

曜「この場合は善子ちゃんしか舐める人がいないから善子ちゃんだね」

善子「は?」

曜「善子ちゃんが綺麗にしてくれないとカブれちゃうかも……」

善子「いつもどうしてたのよ……」

曜「いつもは鞄にウェットティッシュがあるからね。でも今日は着物でしょ?」

善子「はぁ……仕方ない」

曜「本当に舐めてくれるの!? さすが私の彼氏、男前だねぇ」

善子「屋台で何か買ってウェットティッシュ貰ってくるわよ」

曜「舐めてくれないんだ……」シュン

善子「こんなところでやったら警察呼ばれるでしょうが!」

曜「家に帰ったら舐めてくれる? なら拭かないで我慢しようかな」

善子「嫌よ。曜さんだってこのまま帰るつもりないでしょ?」

曜「え、この後どこか行くの?」

善子「行かないの!?」

曜「どこ行きたいの」

善子「どこって……せっかくこんな格好してるんだもの、いいじゃないデートくらいしたって」

曜「そっかぁ」ニヤニヤ

善子「何よ気持ち悪い笑い方して」

曜「善子ちゃん、私とデートしたかったんだね」ニヤニヤ

善子「曜さんはしたくなかったの?」

曜「したかったよ。会えない間ずーっと善子ちゃんのこと考えてたもん」

善子「お父さんのことは」

曜「お父さんのことも少し考えたよ。九割くらいかな」

善子「ほとんどお父さんのことじゃない!」



61: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 16:54:32.67 ID:UUQGlarc.net

曜「たまーにしか会えないお父さんに会いに行ってるのに善子ちゃんのことも一割考えてたんだよ? すごくない?」

善子「知らないわよそんなの。私にはお父さんなんて……」

曜「……そっか」

善子「そうよ」

曜「今更なんだけどさ、私がこういう冗談言うのって不謹慎かな?」

善子「他の人に言ったら間違いなく嫌われるわね」

曜「でも善子ちゃんは嫌いにならない?」

善子「私は……むしろ下手に気を遣われる方が嫌って言うか」

曜「でも会いたいでしょ?」

善子「それは……まあ、顔くらいは見てみたいかもね」

曜「私が善子ちゃんのお母さんと結婚すれば見せてあげられるかな」

善子「は?」

曜「お父さんの顔。何なら善子ちゃんに妹を……」

善子「本気で気持ち悪いからやめて」

曜「うぅ……」

善子「気を遣われるのは嫌いだけど、曜さんはもう少し遣ってもいいと思うわ」

曜「私がお父さんじゃ嫌?」

善子「そ、そんなこと言ってないけど」

曜「ほら善子おいで。パパが高い高いしてあげるぞー」

善子「……楽しい?」

曜「恥ずかしい」カァアア

善子「ならしなくていい」

曜「でも善子ちゃんのお母さんが私と結婚してくれるかは微妙だな」

善子「しないでしょ。娘の恋人となんか」

曜「娘にお父さんの顔を見せてあげたいとの一心でもしかしたら……」

善子「ないわよ」

曜「絶対に?」

善子「……ない、と思う」

曜「帰ったら聞いてみようよ。私はあると思うなー」



62: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 16:55:05.37 ID:UUQGlarc.net

善子「ダメだから。私には気を遣わなくていいけどママには遣ってあげて」

曜「前の旦那さんのことなら私が忘れさせてあげます……とか?」

善子「どんな気の遣い方よ!!」

曜「分かってるよ。私だってママに嫌われたくはないからね」

善子「冗談もほどほどにしなさいよ。特に私以外の相手には」

曜「善子ちゃんは何でも笑って許してくれそうだけどね」

善子「そんなに優しくないわよ」

曜「でも嫌いにならないでくれるんでしょ?」

善子「ならなくても笑って許すとは限らない」

曜「そっか、うん。じゃあどこまで笑って許してくれるか試さないとだ」

善子「試すのはいいけど本当に嫌いになるようなことはやめてよね」

曜「試すのはいいんだね」

善子「ダメって言っても絶対やるもの」

曜「さすが善子ちゃん、私のことは何でも知ってるね」

善子「誰だって分かるわよそのくらい」

曜「じゃあ私が何を食べたいか当ててみて」

善子「は? お昼にってこと?」

曜「そう。この後」

善子「ヒントちょうだい。今この神社にある?」

曜「うん」

善子「お金で買える?」

曜「えーと、うん。たぶん買える」

善子「何よそれ、普通に屋台で売ってるものじゃないの?」

曜「売ってたら買い占めたいね」

善子「私……とか言わないわよね?」

曜「い、言わないよ! さすがに他の人もいるし、そういうことは……」カァアア

善子「何だ、違うのね」

曜「そこは善子ちゃんって言ってほしかった?」

善子「次の質問。甘いもの? それとも辛いもの?」

曜「甘いもの……かな?」



63: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 16:55:47.45 ID:UUQGlarc.net

善子「冷たいもの? 温かいもの?」

曜「どうだろう? キンキンってことはないと思う」

善子「かき氷ではないみたいね」

曜「冬だよ? かき氷屋なんてあるわけ……」

曜「あった」

善子「季節感なんて関係ないのよ」

曜「全然売れてなさそうだけど」

善子「ふわふわしてる?」

曜「ふわふわ……うん、たぶんしてる」

善子「分かったわ、答えはわたあめね!!」

曜「ぶっぶーですわ!」

善子「……」

曜「あ、今のはダイヤさんのマネです」

善子「言われなくても分かるけど……」

曜「正解は……」

善子「待って。わたあめじゃないとしたら何? まさか『わたがし』とかそういうオチ?」

曜「そんないじわるしないよ。『からあげ』でも『げあらか』でも正解だよ」

善子「からあげだったの!? 全然ふわふわしてないけど!?」

曜「今のは例え」

善子「……ふわふわしてるからあげってどんなのか食べたくなったじゃない」

曜「今度作ってみる」

善子「無理しなくていいわよ」

曜「ベーキングパウダー入れたらふわふわになるかな?」

善子「いいから次。えーと、ここにあるのは……」

曜「屋台では売ってないよ」

善子「え? そうなの?」

曜「うん」

善子「じゃあ……それって食べ物じゃなかったり?」

曜「一般的には」



64: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 16:56:27.03 ID:UUQGlarc.net

善子「……私?」

曜「だから違うって」

善子「あっ! 分かったわ!!」

曜「ふむ」

善子「さっきの巫女さんね!? イエスだったら思いっ切り引っ叩く!!」

曜「あっ……それも悪くないかも」

善子「今のはどっちに対してよ……」

曜「両方だね」

善子「うぇ……」

曜「正解言ってもいいかな?」

善子「言わないで! 食べ物じゃないとしたら、飲み物?」

曜「ううん。おしっこじゃないよ」

善子「いや、おしっことは言ってないけど……」

曜「答え言ってもいいかなぁ」

善子「柔らかい? それとも硬い?」

曜「すごく柔らかそう」

善子「ここから手に届く範囲にある?」

曜「ある。いい質問だね」

善子「私でしょ」

曜「違うよ」

善子「私以外にないもの」

曜「違う」

善子「じゃあ何よ。逆にここまできて私じゃないとか意味が分からないわ」

曜「善子ちゃんの……」

善子「やっぱり私じゃない。答えがあまりにもすぐ出ちゃったからつまらなくて嘘ついたのね」

曜「っ……」

チュッ

善子「んっ……ちょっと、私じゃなかったんでしょ?」

曜「やっぱり善子ちゃんでいい」

善子「は? クイズの意味ないじゃない……」



65: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 16:57:08.73 ID:UUQGlarc.net

曜「善子ちゃん見てたらどうでもよくなっちゃった」

善子「真面目に考えた私がバカだったわ」

曜「ねぇ、他の人がみたら彼氏彼女に見えるかな?」

善子「さあね。男装が趣味の女の子とお漏らしが趣味の女の子にしか見えないかも」

曜「善子ちゃん、なにげにその格好気に入ってるでしょ」

善子「曜さんが私のために作ってくれた服だもの、当然よ」

曜「そのタイ……私の色でしょ」

善子「曜さんだったらこれを選ぶかなって思っただけよ」

曜「えへへ。今度はウェディングドレス作ろうかな」

善子「この前着て写真撮ったわ」

曜「あはは、写真も受け取りに行かないとだ」

善子「あんな恥ずかしい写真、絶対誰にも見せないでよね」

曜「特大ポスターは見られても仕方ないね」

善子「あっ……本当にあれ頼んだの? 置く場所に困るだけよね」

曜「それはもう決めてあるんだ」

善子「は? 私の家はやめてよ」

曜「あはは、それもいいけどさすがに恥ずかしいからね」

善子「まあ、変なところに貼らなければいいわ」

曜「うん」

善子「それで、お昼は何にする? チョコバナナでも食べる?」

曜「正解」

善子「は?」

曜「私の食べたい物。よく分かったね」

善子「ちょっと待って。ここから手に届くものって言わなかった?」

曜「言ったよ」

善子「屋台で売ってないとも言ったわね」

曜「うん」

善子「まさかとは思うけど下ネタだったら殺すわよ」

曜「え」ヒキ

善子「忘れて」



66: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 16:57:48.85 ID:UUQGlarc.net

曜「うん……」

善子「チョコバナナは屋台で売ってるしここからは手が届かないわ」

曜「もう売り切れてるから買えないの」

善子「あぁ、なるほど。それで、どうしてここから手が届くの?」

曜「目、瞑ってくれる?」

善子「え?」

曜「いいから」

善子「……」パチ

「口開けて」

善子「変なもの食べさせないでよね?」

「ちゃんと食べ物だよ」

善子「こっそり買っておいてくれたならそう言ってくれればいいのに」

「いいから口開けて」

善子「あーん……」

グイッ

善子「ん……」パクッ

善子「……」モグモグ

「美味しい?」

善子「美味しいけど……これ本当にチョコバナナ? ううん、確かに食感はチョコバナナなんだけど……」

「はぁぁ……善子ちゃんが私のチョコバナナを♡」ドキドキ

善子「え? 死にたいですって?」

「ごめん冗談……」

善子「……ねぇ、気のせいか曜さんの味がするんだけど」モグモグ

「善子ちゃんの方から下ネタは引くなぁ」

善子「理不尽ね。それに今のは下ネタじゃないし……」モグモグ

「私も食べたいから半分残しておいてね?」

善子「この匂い……紛れもなく曜さんの匂いだわ」クンクン

「実はさっきおしっこがかかっちゃってさ」

善子「ぶーっ!!? げほっ!!」ペッ!



68: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 16:59:53.71 ID:UUQGlarc.net

曜「汚いよ」

善子「変なもの食べさせないでって言ったじゃない!」

曜「善子ちゃんも気づいてたよね? 気づいて食べてたよね?」

善子「そんな気はしたけど! まさか本当に食べさせるとは思わなかったわ!!」

曜「この前おしっこ茶漬け食べたじゃん」

善子「あ……あれはたぶん朝で頭が回ってなかったのよ」

曜「でも美味しかったでしょ?」

善子「……まあね」

曜「というわけで正解は、『曜ちゃんのシロップつきチョコバナナ』でしたー」パチパチ

善子「シロップとか言わないで気持ち悪い」

曜「じゃあ、『曜ちゃんのおしっこかけチョコバナナ』?」

善子「もう食べ物ですらないわね」

曜「だから『食べ物じゃない?』って聞かれたとき『一般的には』って答えたじゃん」

善子「何よ、ちゃんと答えてたのね」

曜「善子ちゃんなら当ててくれると思ったのにな」

善子「おしっこかけチョコバナナなんて想像つくわけないじゃない……」

曜「一般的には食べ物じゃないってことは、少なくとも善子ちゃんにとっては食べ物ってことだよ」

善子「私にとっても食べ物じゃないわよ」

曜「じゃあ何? 飲み物?」

善子「飲み物でもない! 一般的には生ゴミで私にとっては曜さんの料理」

曜「生ゴミは酷くないかな……」

善子「私にとっては曜さんの料理って言ったんだけど?」

曜「まるで私のおしっこは生ゴミを料理に変えるみたいな言い方だね。どんなヤバい成分なの」

善子「食べ物を生ゴミに変えてるのよ……」

曜「それとも、善子ちゃんは私のおしっこをかければ何でも食べられるの? そんなに私のおしっこが好き?」

善子「私の話聞いてる?」

曜「じゃあさっきおしっこした地面の土食べられる? 私は無理だよ」

善子「私も無理よ」

曜「善子ちゃんのおしっこならギリギリいけるけど自分のは無理」

善子「私は誰のでも無理」



69: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:01:15.38 ID:UUQGlarc.net

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70: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:01:58.91 ID:UUQGlarc.net

曜「ならどこまで食べられるの? 今後の参考にしたいから教えて」

善子「普通に食べられるものしか食べられないわよ!」

曜「なーんだ」ハァ

善子「どんな期待してたのよ……」

曜「私のおしっこをかけた私とか食べてくれないの?」

善子「そ、それは……」カァアア

曜「それも一般的には生ゴミかな」シュン

善子「はぁ!? 曜さんのこと生ゴミなんて言ったら引っ叩くわよ!」

曜「あ、ありがと……冗談だからそんなに怒らないで」

善子「何だか曜さんと話してると疲れるわね」ハァ

曜「善子ちゃん嬉しそう」

善子「嬉しくないわよ。せっかくのお正月だってのにゆっくり休めないなんて」

曜「じゃあデートやめて家に帰る?」

善子「やめない」

曜「だよね」

善子「何日か会えなかっただけなのに、ずっと会えなかった気がする……」

曜「私も。世界一周して帰ってきたみたいな感じだよ」アハハ

善子「さすがに大げさ」

曜「だって善子ちゃん、いつの間にか男の子になってるし……」

善子「曜さんが着せたんじゃない!」

曜「あはは、でもすごく似合ってるよ? 私としてはたまにこういう善子ちゃんもいいかなって……」

善子「わ、私もたまーにならいいわよ?」カァアア

曜「えへへ」

善子「たまーーーにだからね? 毎回は嫌よ」

曜「うん」

善子「だから、今日だけは曜さんの彼氏でいてあげる」

曜「ありがと……」ギュッ

善子「お昼、せっかくだから屋台で色々買って食べましょ」

曜「ふわふわのからあげじゃないけどいいの?」

善子「そんなものないわよ」



71: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:02:29.74 ID:UUQGlarc.net

曜「ふわふわの私は?」

善子「それもない。食べたいけどないわ」

曜「じゃあ私のからあげは?」

善子「曜さんが作ったからあげなら食べる」

曜「おしっこはかける派? かけない派?」

善子「レモンみたいに言わないで。色は似てるけど」

曜「今のはレモンに失礼かな」

善子「私も思ったわ」

曜「間を取って別添えで」

善子「何の間よ」

曜「私も善子ちゃんのおしっこで食べたいから」

善子「曜さんが一人で食べ比べしたいだけじゃない……」

曜「善子ちゃんも食べていいんだよ」

善子「私は曜さんのだけでいい」

曜「私のは食べてくれるんだね」

善子「食べないって言ったら下味に使われてそうだもの」

曜「うん」

善子「最低よ」

曜「えへへ」

善子「褒めてない」

曜「今日は私が奢るから何でも好きなの食べてね」

善子「いや、いいわよ。自分のくらい自分で出すから」

曜「一緒に食べたいんだけど……ダメかな?」

善子「……でもお財布持ってきてないんでしょ?」

曜「あっ……」

善子「さっきのチョコバナナはどうやって手に入れたのよ」

曜「屋台のを見てたらお店の人がくれたんだ」

善子「えっ」

曜「そんなに見られたら恥ずかしいからあげるって」



72: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:03:07.72 ID:UUQGlarc.net

善子「何で恥ずかしいの?」

曜「さあ?」

善子「ちょっと屋台の人引っ叩いてきていいかしら」

曜「何で!? せっかくタダでくれたのに!」

善子「あのねぇ……。まあ、分からないなら分からなくてもいいわよ」

曜「善子ちゃん何か勘違いしてない? お店の人女の人だよ?」

善子「あっ、そうなの?」

曜「善子ちゃん昼間から飛ばしてるねー」アハハ

善子「もうっ……! 曜さんのバカ!」プイッ

曜「あらら。善子ちゃんがいじけちゃったぞ」

善子「からあげとわたあめ、どっちがいい?」

曜「何でその二択」

善子「ふわふわかサクサクか選んで」

曜「じゃあサクサクのわたあめ」

善子「それ一度湿気たやつ」

曜「両方買っちゃおうか」

善子「私のお金なんだけど……」

曜「後で半分返すよ」

善子「まあいいわ。わたあめとからあげね。買ってくる」スタッ

曜「私も行くよ」

善子「じゃあ……」スッ

曜「え?」

善子「勘違いしないで。階段で転んだら危ないでしょ」

曜「下駄って歩きにくいもんね」ギュ

善子「よく昔の人こんなの履いてたわね」

曜「そうだねぇ」

善子「昔の人ってバカだったのかしら」

曜「たぶんこうやって好きな人と手を繋ぐためだね」フフッ

善子「……」



73: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:03:55.58 ID:UUQGlarc.net

曜「あっ、滑っちゃった♡」サワッ

善子「ひゃあっ♡ どこ触ってんのよ!!」バシッ!

曜「……と、こんな感じに」ヒリヒリ

善子「だとしたら救いようがないわね」

曜「冗談だったのにけっこう強く叩いたね」ヒリヒリ

善子「もう少し他の人の目を気にして」

曜「今のは善子ちゃんのビンタのせいでしょ」

善子「DV彼氏とか思われてたら嫌だな……」

曜「それは困る」

善子「なら勘違いされるようなことしないでよ」

曜「うん……」

善子「……」ギュ

曜「でも手は繋いでくれるんだね。優しい」フフッ

善子「転んだら危ないでしょ。それだけよ」

曜「えへへ」

……

曜「さてと、わたあめもからあげも買えたことだし」

善子「よく考えたらわたあめを二人で食べるのってけっこう難しいわよね……」

曜「端っこから食べていってキスしたら負けなやつだね」

善子「何そのゲーム」

曜「知らないの? わたあめゲームだよ」

善子「ポッキーゲームじゃないんだから」

曜「私とキスしたくなってもギリギリで我慢してね」

善子「逆に恥ずかしい気がするわね」

曜「それじゃゲームスタートね」パクッ

善子「まあ、ここなら人通りも多くないし……いっか」パクッ

曜「……」ハムッ

善子「ちょっと曜さん早くない? 私の分がなくなっちゃう」ハムッ

曜「……」ハムッハムッ

善子「だから早いってば」ハムッ



74: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:04:35.53 ID:UUQGlarc.net

曜「あ、目を瞑ってやるゲームだった」パチ

善子「えぇ……」パチ

「善子ちゃん食べてる?」

善子「食べてるわよ」モグモグ

「負けたらおしっこだから覚悟してね」ハムッ

善子「おしっこをどうするのよ」

「からあげにかけて食べる」

善子「曜さんわざと負けるでしょ」

「おしっこアスリートとしてわざと負けるなんてことはしません」

善子「おしっこアスリートって何」

「善子ちゃん食べてる? 全然近づいてなくない?」

善子「食べてるわよ。曜さんこそさっきの勢いはどうしたの」

「……」

善子「はむっ……」

「……」

善子「曜さん?」

パシャッ

善子「わっ!? な、何よいきなり!」

曜「えへへー。善子ちゃんのわたあめ顔頂きました」

善子「ちょっと! わたあめゲームは!?」

曜「見てよこの顔。可愛すぎない?」

善子「くっ……最初からそのつもりで」

曜「『彼氏とわたあめなうに使っていいよ』っと……」スッスッ

善子「こら! どこに載せようとしてるのよ!」

曜「ん? 私のアカウントからなら相手が私って分かるから大丈夫でしょ」

善子「いや……そういうこと言ってるんじゃなくて」

曜「もしかして善子ちゃん、自分のアカウントでそういうことやっちゃう人? かなり痛いね」

善子「それ曜さんじゃない」

曜「私そんなことしたっけ」

善子「しょっちゅう自撮り載っけてるわよ」



75: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:06:08.46 ID:UUQGlarc.net

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76: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:06:37.27 ID:UUQGlarc.net

曜「うーん……もしかしてこれのこと?」スッ

善子「そう、これよ。こんなのばっかり」

曜「『善子ちゃんとデートなう』って書いてるよ」

善子「私その日、曜さんとデートしてないんだけど」

曜「妄想デートだね。あるある」

善子「ないわよ」

曜「でも、善子ちゃんと会えない日も善子ちゃんのこと考えてるんだって分かるでしょ?」

善子「分からないわよ。文字では私とって書いてあっても本当は他の子と撮ってるかも……」

善子「っていうかこれどうやって一人で撮るのよ! アングル的に誰かに撮ってもらわないと無理よね!?」

曜「それはお店の人に頼んだ」

善子「面倒くさいお客さんね……」

曜「常連だから平気だよ。いつも喜んで撮ってくれるし」

善子「そうなんだ……」

曜「そういえば、今度連れてきてねって言われてたんだった。これから行く?」

善子「え? 今から?」

曜「わたあめだけじゃ足りないでしょ? おしゃれなカフェだからきっと気に入るよ」

善子「まだからあげあるけど」スッ

曜「あー、じゃあ食べさせてあげる」つ

善子「えっ……いいわよ自分で」

曜「あーん」つ

善子「あーん……」

パクッ

曜「えへへ。残念!」モグモグ

善子「お返しよ」つ

曜「まだ食べてる」モグモグ

善子「いいからあーん」

曜「あーん……」

善子「ほら」グイッ

曜「もごっ……」



77: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:07:15.96 ID:UUQGlarc.net

善子「どう? 美味しい?」

曜「うん……美味しいけど一個ずつ食べたいな」モグモグ

善子「はい、もう一つ」つ

曜「いや、三つはさすがに苦しいっていうか……」

善子「何よ」パクッ

曜「善子ちゃんもけっこう無茶なこと言うね」モグモグ

善子「私も食べる曜さんの顔好きだから……」

曜「えっ?」

善子「今度、私が料理したら食べてくれる?」

曜「う、うーん……」

善子「嫌そうね」

曜「変なもの入れないでよ?」

善子「曜さんがその心配はおかしくない!?」

曜「私、辛いもの苦手なんだよね」

善子「堕天使の涙のこと? あれはある意味ネタ料理だから」

曜「私のために作るガチ料理なら期待していいのかな?」

善子「もちろんよ。曜さんみたいに完璧には作れないけど……食べてくれるでしょ?」

曜「うん。食べ物ならね」

善子「失礼ね! 誰かさんみたいにおしっこ入れたりしないわよ!」

曜「おしっこならいいんだけど」

善子「私はちゃんと『一般的な』食べ物を作るから大丈夫よ」

曜「なら安心かな」ホッ

善子「一般的には食べ物だけど、曜さんにとって食べ物かは……」

曜「やっぱりやめとく」

善子「何でよ。曜さんの嫌いなものをわざわざ入れたりはしないわよ」

曜「そう? お刺身とかパサパサしたもの入れない?」

善子「入れない」

曜「ありがと」

善子「今日の夕ごはん、ウチに食べに来なさい」

曜「いいの? ちょうどお母さんも出かけちゃってて一人だったんだ」



78: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:07:54.21 ID:UUQGlarc.net

善子「それたぶん私のママとね」

曜「早く結婚しないかなあの二人」

善子「さすがに無理でしょ」

曜「そうだね。二人が結婚しちゃったら私たちが姉妹になっちゃうもん」

善子「……」

曜「どっちがお姉さんだろう?」

善子「曜さんに決まってるでしょ。年上なんだから」

曜「うん? 家に入るほうが妹じゃないかな?」

善子「いや、子どもには適用されないから」

曜「善子ちゃんがお姉さんになったらみんなびっくりするだろうなぁ」

善子「絶対バカにされるわ……」

曜「あ、でも今はお兄さんか」

善子「今日はね」

曜「義理の妹ができるからって変なことしちゃだめだよ?」

善子「しないわよ。漫画の読みすぎ」

曜「あっ、ここ! さっき話してたカフェだよ」

善子「こんな場所あったんだ」

曜「見た目はあんまりカフェっぽくないよね」

善子「そうね。どちらかと言うと……定食屋みたいな見た目してる」

曜「いい? 今日は私の彼氏なんだからね」

善子「いや、それじゃ連れてきたことにならないでしょうが」

曜「あー……じゃあ善子ちゃんを連れてくるのはまた今度。今日は彼氏の紹介ね」

善子「何よそれ。次来たときも初見のリアクションしないといけなくなるじゃない」

曜「あはは。芸能人みたいだね」

ガラガラ

 カフェ

「いらっしゃいませー」

曜「おばさん! 今日はついに彼氏を連れてきちゃいましたー!」

善子「わっ、大きな声出さないで」

「その着物とっても似合ってるわね。まさか自分で?」



79: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:09:24.54 ID:UUQGlarc.net

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80: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:09:57.97 ID:UUQGlarc.net

曜「いえ、これは安売りしてた着物をアレンジしただけです」

「すごいわね。あ、お客さん?」

善子「あの、初めまして」ペコッ

曜「おばさん、この人彼氏だよ」

善子「そ、そうなんです……私が曜さんの彼氏の」

「曜ちゃん、もしかして善子ちゃんって男装が趣味なの?」ヒソヒソ

曜「バレるの早いなー」アハハ

善子「違う! 変な誤解された!」

曜「こう見えて中身は女の子なんです。一応胸もあるし」ムニッ

善子「やめなさいよ!!」バシッ!

曜「……とまあこんな感じにDVを受けてたり」ヒリヒリ

「あら……」

善子「どう見ても今のは曜さんのセクハラよね」

曜「でもおばさん、カッコいいでしょ?」

「なかなかイケメンさんねぇ」ウフフ

善子「う……何か恥ずかしい」カァアア

曜「私が男装してもここまでばっちり似合わないからなぁ」

「曜ちゃんの男装はいつも可愛らしさが残っちゃってるわね」

善子「えっ」

曜「あ、誤解しないでね? あくまでコスプレでしてるだけだから」

善子「誤解も何もないわよ。男装してるのは事実じゃない」

曜「明日は私が彼氏役で来ますんで!」

「明日も来てくれるの? 楽しみね」

善子「明日も来るの……?」

曜「ここのオムライス定食は毎日食べても飽きないくらい美味しいよ」

善子「カフェなのよね? メニューに『定食』とかつけちゃダメだと思う」

曜「まあまあ、見てみれば分かるって。おしゃれだから」

「それじゃあオムライスは作っちゃうけど、善子ちゃんも注文が決まったら教えてね」

善子「えっ、一緒に作ってくれないの……」

曜「ここはおばさん一人でやってるから順番にしか作れないんだ」



81: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:10:38.21 ID:UUQGlarc.net

善子「えーと、じゃあ私はパンケーキセットで」

「パンケーキ定食ね。ライス大盛り無料だけどしとく?」

善子「パンケーキなのにライスつくの!?」

曜「炭水化物被ってるよね」アハハ

善子「普通盛りでいいです」

「分かったわ。曜ちゃんはライス大盛りよね」

曜「はい! オムライスも大盛りで!」

善子「オムライスなのに別でライスもつくの!? どうなってるのよこの店」

曜「ライス定食にもライスがつくよ」

善子「もう訳がわからないわ……」ハァ

「オムライス定食とパンケーキ定食、ライスは大盛りと普通盛りが一つずつね?」

曜「はい! あ、飲み物何か頼む?」

善子「そうね……ってお金足りるかしら」

曜「おばさん、今度払うからツケといて」

「仕方ないわねぇ」

善子「いいんだ……」

曜「私はゆず蜜レモンソーダかな。お気に入りなんだ」エヘヘ

善子「えっと私は……ジンジャーエールで」

曜「ジンジャーハイ?」

善子「それお酒でしょ」

曜「えっ」

善子「えっ?」

曜「お酒だったんだ……」

善子「まさか飲んだの?」

曜「ううん。飲まなくてよかった」

善子「メニューにもお酒って書いときなさいよ」

「若い人は滅多に来ないし、駐車場がないから車で来る人もいないの」

善子「じゃあ誰がパンケーキ定食なんて頼むのよ」

曜「あはは。パンケーキが若い人だけのメニューだと思ってる?」

善子「あんまりお年寄りが食べるイメージないんだけど」



82: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:11:38.94 ID:UUQGlarc.net

「それが意外と人気なのよ。柔らかくて食べやすいからかしらね」

善子「ん、まあ確かにね」

曜「あんみつ添えだからかな?」

善子「それだわ」

「それじゃあ作り始めちゃうけどいいかしら」

曜「まだ作ってなかったのおばさん」

善子「酷いこと言うわね」

「曜ちゃん厳しい……」シュン

曜「こんなだからお客さん来ないんだよね」アハハ

善子「でも曜さんは来てるんでしょ?」

曜「おばさんがいい人だからかな」

「えへへ……」

曜「いいから早く作って」

「うん」

善子「ふふっ」クスクス

曜「ね、いいお店でしょ?」

善子「お店としてはアレだけど、雰囲気はね」

曜「善子ちゃんも言うねぇ」

善子「これでも褒めてるのよ」

曜「気に入ってくれてよかったよ」

善子「ええ」

……

「はーい、お待たせしました」

曜「わー、オムライス定食!」パァアア

「それとパンケーキ定食ね」コトッ

善子「わ……本当におしゃれね」

「それとライス二つ」ドンッ

曜「あれ? どっちが大盛りかな」

「どっちも同じよ」

善子「私、普通盛りって言いませんでした?」



83: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:12:18.54 ID:UUQGlarc.net

「どうせ食べさせ合いっこするんでしょう?」

曜「これはやられた」アハハ

善子「いや、忘れてただけでしょ」

「あと飲み物ね。ゆず蜜レモンソーダとジンジャーハイ、じゃなくてエールの方」コトッ

曜「わぁ! ハートのストロー!」

「彼氏連れてくるって言うから用意しておいたのよ。カフェっぽいでしょ?」

善子「えっ、ここ本当にカフェなの?」

曜「だからそう言ってるじゃん。メニューだっておしゃれじゃん」

善子「見た目はね。名前が悪いと思う」

「さあ、冷めないうちに食べて」

曜「いただきまーす♡」パクッ

「美味しい?」

曜「はい! いやー、私でもこの味は出せないなー」

善子「そんなに?」

曜「あっ、善子ちゃんにもはい」つ

善子「……」

「美味しいわよ?」

善子「いえ、見られてると食べづらいと言うか」

曜「でもスプーン一つしかないからなぁ」

善子「貸して。自分で食べる」パクッ

曜「……」ジロッ

「私のせい?」

曜「もういいよおばさん向こう行って」シッシッ

善子「そんな言い方しなくてもいいじゃない」

「善子ちゃん優しいのねぇ」フフッ

曜「こんなのいつものやり取りだから本気にしないでね」

善子「いつもどんな会話してんのよ。どうせ二人しかいないのに」

曜「おばさんと『あーん』してるよ」

善子「えぇ……」

「ふふ、でも今日は二人きりにしてあげようかしら」スタッ



84: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:12:55.58 ID:UUQGlarc.net

曜「えっ、行っちゃうの?」

善子「曜さんがあっち行けって言ったんじゃない」

「ちょっと買い出しに行かないとだから店番しててもらえる?」

曜「おっと、じゃあお代はいらないね」

「一人分だけなら」

曜「善子ちゃん、帰ろっか」スタッ

善子「えっ、まだ食べてない……」

「分かったわ。二人分ね」ハァ

善子「いえ、私は払うので大丈夫です」

曜「いいんだよ、毎回じゃないんだから」

善子「そんな、いくら何でもタダは悪いわよ」

曜「店番してるから行ってきていいよ」

「じゃあお願いね。もしお客さん来たらよろしく頼むわ」スタッ

曜「あー、うん。適当に作っとくよ」

善子「料理までさせるの!?」

曜「だからタダなんだよ」

善子「な、なるほど……。って納得していいのかしら」

ガラガラ

ストンッ

曜「……おばさん、気を遣ってくれたのかな」

善子「いや、どこに客を残して店を留守にする店主がいるのよ」

曜「私はよく店番してるけどね」

善子「初めて聞いたわよそんなの」

曜「みんなに来られたら困るから」

善子「何でよ」

曜「私がいる時間に来たら私が作らないとじゃん」

善子「まあ、そうよね」

曜「ここはおばさんのお店であって私のお店じゃないからね」

善子「曜さんもいつかお店出すの?」

曜「待って。私は料理人になんてならないよ」



85: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:14:15.40 ID:UUQGlarc.net

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86: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:14:48.96 ID:UUQGlarc.net

善子「今でもお店出せそうな腕前だけど」

曜「せいぜい旅館の料理人くらいかなぁ」

善子「それって千歌さんのところ?」

曜「あはは、小さい頃は千歌ちゃんと一緒に継いでなんて言われたりもしたっけ」

善子「……」

曜「今も期待されてたりするのかな?」

善子「千歌さんと本当に仲がいいものね」

曜「幼なじみだもん。でも、今はごめんなさいって感じかな」

善子「それって私のせい?」

曜「ん?」

善子「いえ、『私のため?』が正解かしら」

曜「水泳選手になりたいから」

善子「……」

曜「あー、ごめん! 空気読めてなかった! もちろん善子ちゃんと結婚するからだよ!」

善子「いいわよ、嘘つかなくても」

曜「千歌ちゃんと一緒に旅館を継ぐって言っても、別に千歌ちゃんと結婚するわけじゃないんだよ」

善子「は? 一緒に継ぐってのはそういうことよ」

曜「まさかぁ」アハハ

善子「……」

曜「え」

善子「こんな幼なじみを持って千歌さん可哀想……」ハァ

曜「そもそも千歌ちゃんは私のことなんてそんな風には見てないよ」

善子「でしょうね。曜さんのことは親友で、それ以上ではない感じがするわ」

曜「うっ……よく分かってるじゃん」

善子「そりゃあ見てたら分かるわよ。曜さんが千歌さんに片想いしてたことも」

曜「……この話やめない?」

善子「曜さんが私のところに来たとき、千歌さんに振られたからかと思ったわ」

曜「違うよ」

善子「それとも気が変わったのか」

曜「私だって千歌ちゃんのことは仲のいい幼なじみで……」



87: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:15:24.63 ID:UUQGlarc.net

善子「今は私のことを好きでいてくれるけど、いつか別の人を好きになるときがくるかもしれないわね」

曜「そんなこと言わないでよ。さっき神社でもお願いしたくらいなんだから」

善子「いつか私のことが重すぎて嫌になるかも」

曜「善子ちゃんは重くないよ。私より細いもん」アハハ

善子「はぁ……」

曜「ね、ねぇ。せっかくのデートなのにこういう話するのやめよう?」

善子「……そうよね。ごめんなさい」

曜「さっ、冷めないうちに食べようよ! パンケーキがパサパサになっちゃう」パクッ

善子「……」パクッ

曜「……」モグモグ

善子「……」モグモグ

曜「そ、そうだ。この後どうする? まだ家に帰るには早いでしょ」

善子「……」モグモグ

曜「……」

善子「……」パクッ

曜「私まで不安になるよ」グスッ

善子「何が」

曜「善子ちゃんが私のこと信じてくれてないのかなって……」

善子「信じてるわよ」モグモグ

曜「私は千歌ちゃんに振られたから善子ちゃんのところに来たわけじゃないよ」

善子「……」パクッ

曜「本当はね、千歌ちゃんに相談してたの」

善子「……」モグモグ

曜「善子ちゃんのことを好きになっちゃったんだけどどうしたらいいかなって……」

善子「……」モグモグ

曜「自分のことみたいに真剣に考えてくれて……すごく嬉しかった」

善子「いい幼なじみがいて幸せね」パクッ

曜「梨子ちゃんと二人で私に協力してくれてね。何度も相談に乗ってくれたんだよ」

善子「梨子さんが?」

曜「ほら、善子ちゃんって梨子ちゃんと仲良かったから」



88: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:16:42.86 ID:UUQGlarc.net

善子「まあね。ユニットも同じだし」

曜「私は、善子ちゃんが梨子ちゃんのこと好きなのかと思ってた」

善子「……梨子さんは、すごく頼りになる先輩よ」

曜「本当は梨子ちゃん、善子ちゃんからも相談受けてたんだよね」

善子「は!? 梨子さんまさかバラしたの!?」

曜「そんなわけないじゃん! 私と善子ちゃんが付き合うってみんなに言った日に聞いたんだよ!」

善子「千歌さんは知ってたのかしら……」

曜「ううん。千歌ちゃんもすごくびっくりしてた」

善子「梨子さんも人が悪いわね。曜さんから相談受けてたなら言ってくれればよかったのに」

善子「そうすればあんなに悩まなくて済んだじゃない……」

曜「あはは。梨子ちゃんはそういうところすごくしっかりしてるから」

曜「やっぱり私よりずっと大人なんだなって……」

善子「はぁ……」

曜「本当に私と同い年なのかな?」

善子「曜さんが子どもっぽいだけだと思うけど」

曜「千歌ちゃんほどじゃないよ」アハハ

善子「いや、私から見たら同じくらい子どもよ」

曜「むぅ……。後で千歌ちゃんに言いつけてやる」

善子「何でよ」

曜「善子ちゃんが千歌ちゃんのこと、私と同じくらい子どもだって言ってたよって」

善子「それは……悪口なのかしら」

曜「でも、二人のおかげで今こうして善子ちゃんと一緒にいられるんだよね」

善子「私も……梨子さんが相談に乗ってくれなかったら、分からないわね」

曜「善子ちゃんは絶対告白してくれなさそうだしなぁ」

善子「曜さんだって絶対言わないでしょ。私がAqoursに居づらくなったら可哀想とか、そんな風に考えるもの」

曜「私そこまで優しくないよ」

善子「ううん、曜さんなら絶対考えたはずだわ。だって……」

曜「私なら、それでも好きって気持ちを伝えちゃうと思う」

善子「……」

曜「そうだよね、もしかしたら善子ちゃんが嫌な思いしてたかもしれないんだよね……」



89: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:17:25.28 ID:UUQGlarc.net

善子「嫌な思いなんてしないわよ。もし断ったとしてもね」

曜「善子ちゃんに振られてたらどうなったのかなぁ」

善子「さぁ? 曜さんが『この話はなかったことに』とか言うかも」

曜「それはいくら何でも都合がよすぎるかな」アハハ

善子「それとも私が首を縦に振るまで帰らないとか?」

曜「それはますます嫌われそうだね……」

善子「曜さんならやりかねないわ」

曜「うーん、私なら……」

曜「『善子ちゃんが私のこと好きじゃなくても、私は善子ちゃんのこと大好きだから』……とかかなぁ」

善子「私にどうしろと」

曜「私のことを好きになってくれるように努力するよ」

善子「おしっこを飲ませたり?」

曜「そ、それは本気で嫌われそう……」

善子「分からないわよ。飲み物に少しずつ混ぜたりとか」

曜「それじゃまるでおしっこを飲んでもらうために善子ちゃんと付き合いたいみたいじゃん」

善子「あるいは私のおしっこを飲みたいがためにとか」

曜「どうしてそんなこと言うの……?」

善子「冗談よ。曜さんが私のことをそういうの抜きで好きでいてくれてるの、よく分かってるもの」

曜「本当? 伝わってるかな?」

善子「じゃなきゃここまで付き合ってない」

曜「そっか。うん……」

善子「曜さんはもともとおしっこ大好きだったかもしれないけど、私は嫌だったんだからね?」

曜「でも今は大好きだよね」アハハ

善子「嫌よ」

曜「私のでも?」

善子「曜さんのだから渋々飲んであげてるだけ」

曜「私のおしっこ、そんなに渋い味するかなぁ」

善子「他の人のなんて絶対に飲みたくないってことよ!」

曜「あはは。うん、分かってるよ」

善子「まさか曜さんがこんな趣味の人だとは思わなかったわ」



90: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:18:34.46 ID:UUQGlarc.net

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91: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:19:05.18 ID:UUQGlarc.net

曜「知ってたら断った?」

善子「断ったわね」

曜「で、でも善子ちゃんも私のこと気になってたんだよね?」

善子「曜さんが私の飲み物におしっこを入れてくるかもしれないって知ったら、もう学校来られなくなるかも」

曜「それイジメじゃん」

善子「そういうことを私にしてるのよ」

曜「でも善子ちゃん、気づいてて飲んでくれるよね」

善子「それは……飲まないと後で何されるか分からないもの」

曜「待って? それ他の人が聞いたら本当に私が善子ちゃんをイジメてるみたいじゃん!」

善子「誰もいないわよ」

曜「本当に嫌だったら言ってね?」

善子「嫌になったらやめてくれる?」

曜「……も、もちろん」

善子「即答して」

曜「そのときは、たぶん私のこと嫌いになるときだね」

善子「ええ」

曜「私が死ぬときだね」フフッ

善子「いや、万が一私が曜さんのこと嫌いになったとして、殺すまではしないわよ」

曜「善子ちゃんに嫌われたら生きてる意味なんてないよ」

善子「……」ヒキ

曜「さすがに重たいかな? 善子ちゃんならそう言うかなって思ったんだけど」

善子「えっと……」

曜「私は善子ちゃんと違ってそこそこあるから」チラッ

善子「何だ、体重の話だったのね」ホッ

曜「怒らないの?」チラッ

善子「あっ……まさか胸のこと!? もう!!」カァアア

曜「あはは。善子ちゃん真面目な話になると冗談通じなくなるよね」

善子「いつか友達失くすわよ」ムスッ

曜「気をつけるよ」



92: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:19:34.07 ID:UUQGlarc.net

善子「はぁ……どうしてこんな人が人気者なのかしら」

曜「善子ちゃんももっとみんなの前で素直にしてればいいのに」

善子「そういう問題じゃない気がする……」

曜「私はちゃんと人を選んで冗談飛ばしてるつもりだよ」

善子「選ばれたくなかったわ」

曜「ふふっ」チュル

曜「はぁ……ゆず蜜レモンソーダ美味しい」

善子「あっ、飲み物のことなんてすっかり忘れてたわ。薄くなってそう」チュル

善子「っかぁー! 辛っ!」

曜「ここのジンジャーエールは辛口で有名なんだ」

善子「まさか手作りなの? シロップを炭酸水で薄めて出してるんじゃないの?」

曜「市販のやつに生姜を足してるからね」

善子「これは何かで割らないとかなり辛いわ……」

曜「もともとお酒で割る用だからかな」

善子「水でも入れてこようかしら」スタッ

曜「ここはおしっこの出番だね」

善子「言うと思った」

曜「さっき神社で一度しちゃったけど、うん。今なら出せる気がする」

善子「いいわよ、出さなくて。お店の人が帰ってきたら困るし」

曜「そっか、善子ちゃんは今日はズボンだから下脱がないとなんだよね」

善子「どうして私が出す流れになってるのよ。しかもズボン脱いだら下半身露出してる変態じゃない」

曜「おしっこの時点で変態だよ」

善子「曜さんには言われたくないわね」

曜「でも大丈夫、このお店お客さん来ることないからさ。常連の私が言うんだから間違いないよ」エヘン

善子「嫌な自信ね……おばさんが聞いたら悲しむわ」

曜「さあ、脱いで脱いで!」スタッ

善子「嫌よ! 曜さんがするんじゃなかったの!?」

曜「着物は脱ぐと着るの大変だからさ」

善子「だからってそんなの……」

曜「ね、お願い♡」



93: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:20:18.88 ID:UUQGlarc.net

善子「ダメ」

曜「どうしてもダメ?」

善子「どうしてもよ」

曜「じゃあ無理やり脱がす」ガシッ

善子「こら! 本当に犯罪だからそれ!」

曜「私、善子ちゃんのせいで捕まっちゃうんだ……」

善子「誰が見ても自業自得ね」

曜「……」シュン

善子「分かったわよ、脱ぐから大人しくしてて」

曜「この席ならお店の入り口からは善子ちゃん見えないよ」

善子「本当でしょうね?」

曜「逆に私からは入り口が見えるから、もし誰か来たらすぐ止められるね」

善子「おしっこは途中で止められないわよ」

曜「そのときは責任持って私が飲むよ」

善子「……まあいいわ。おばさんが帰ってくる前に済ませましょ」カチャカチャ

スルッ

曜「あ、待って。全部脱がないで」

善子「え?」

曜「あとは私が」スッ

善子「えっ、ちょっ……」

曜「そうだ、テーブルに座ってよ」

善子「嫌よ、そんなお行儀の悪い……」

曜「飲み物におしっこ混ぜる時点で行儀も何もないよ」

善子「……」スタッ

曜「そう、そのまま……」スルッ

善子「うぅ……恥ずかしい」カァアア

曜「はい、善子ちゃんのおしっこドリンクバーの完成です」パチパチ

善子「いいから早くして!」

曜「えーと、今日はどのおしっこにしようかなぁ」ウーン



94: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:20:51.87 ID:UUQGlarc.net

曜「これ!」ポチッ

善子「ひゃあ♡」ビクッ

曜「あれ? 出てこないぞ? 壊れてるのかなぁ」ポチッポチッ

善子「やめてってば! 出すから待って!」

曜「うん」

善子「溢さないように気をつけなさいよ」

曜「そんなもったいないことしないよ」

善子「うぅ……」

チョロロ

曜「おー」

チョロロ

善子「こんなことしておばさんに申し訳ないと思わないの?」

チョロロ

曜「どの口が言うのかな? ここかな?」チュッ

善子「んぐっ……」

チョロロ

曜「あっ、一旦止めて」

善子「無理」

チョロロ

曜「入り切らないからグラス変えるよ」

善子「溢さないでよ」

チョロロ

曜「私のは半分くらい飲んでるし入り切るかな」スッ

善子「いける? 溢さないでね?」

チョロロ

曜「溢したら困るからちょっと栓しとこうか」チュッ

善子「きゃあ!? どこにキスしてんのよ!!」バシッ!

曜「あっ」

ジョボボ

善子「バカっ!」



95: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:21:25.37 ID:UUQGlarc.net

曜「んぐっ……」ゴクッゴクッ

善子「あぁ……♡」

曜「もうっ……本当に溢れるかと……思ったじゃん」ゴクッ

善子「いや、溢れてパンケーキにかかったわよ」

曜「そう? ファインプレーだね」

善子「畳を濡らさずに済んだからよかったけど……」ホッ

曜「さて、じゃあ早速飲んでみて」スッ

善子「えっ、嫌よ」

曜「善子ちゃんのジンジャーエールじゃん」

善子「私のおしっこでしょ? なら曜さんが飲みなさいよ」

曜「嫌だけど」

善子「何でよ! 私のおしっこが飲めないって言うの!?」

曜「そうじゃなくて……これ辛いんでしょ?」

善子「かなりの辛口だったわね」

曜「だから嫌」

善子「で、でもほら、私のおしっこで飲みやすくなってるかも……」

曜「まだ生姜の匂いがするよ」クンクン

善子「いいから飲みなさい」グイッ

曜「もごっ……」

善子「どう? 美味しいでしょ?」グイッ

曜「や、やめ……」ゴクッゴクッ

善子「曜さんの大好きな私のおしっこだもの、辛くたって飲めるはずよ」グイッ

曜「辛い……っ! こんなの、飲ませるなんて……」ゴクッゴクッ

善子「いいから飲んで! 責任持つって言ったでしょ?」グイッ

曜「ぷはぁっ……」ゲホッゴホッ

善子「まだ残ってるわよ」

曜「む、無理です……」

善子「は?」

曜「辛すぎて私には……」

善子「お代わりが欲しいの? まだ厨房にあるかしら……」スタッ



96: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:22:36.30 ID:UUQGlarc.net

曜「待って!」ガシッ

善子「ん?」

曜「飲むよ。飲むから……」

善子「じゃあ後は自分で飲みなさい」コトッ

曜「うぅ……口の中がヒリヒリするよ……」

善子「でしょうね」

曜「ここまで飲んだんだし、後は飲まなくても……」

善子「えっ? まだ生姜が足りない?」

曜「飲みます! 全部飲ませてください……」グイッ

曜「……」プルプル

善子「早く飲まないとおばさんが帰ってきてバレちゃうわよ」

曜「そ、そうだよね……」プルプル

善子「曜さんのこと信じて店番任せたのに、自分のお店でこんなことしてたなんて知ったら……」

曜「分かったからもうやめて」プルプル

善子「間違いなく出禁になるわね?」

曜「……っ!」グイッ

ゴクッゴクッ

曜「んっ……!」グイッ

ゴクッゴクッ

善子「ほら、あと少しよ。頑張って」グイッ

ゴクッ

曜「んぐっ」プルプル

善子「あとはそのまま飲み込むだけよ」

曜「生姜の塊が……」プルプル

善子「手作りだからそういうこともあるのね」

曜「無理……本当にもう無理です」プルプル

善子「それを飲み込めば終わりよ。ほら」

曜「……」ポロポロ

善子「えっ」

曜「本当に無理なんだってば……!」ポロポロ



97: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:23:12.14 ID:UUQGlarc.net

善子「ちょっと、えっ!? やめてよ」

曜「善子ちゃんは辛いの平気だからいいよ! でも私は……っ!」ポロポロ

善子「泣くほど? そんなに辛い?」

曜「ごめんなさい! 善子ちゃんのお願い聞けなくてごめんなさい……っ!」ポロポロ

善子「あ、いやそこまで本気のお願いじゃないんだけど……」

曜「善子ちゃんのおしっこなのに……! 飲めなくて本当にっ!!」ポロポロ

曜「私、恋人失格だよ……」ポロポロ

善子「もういいから。出して」

曜「善子ちゃんに嫌われちゃうよ……」ポロポロ

善子「ここまでよく飲んだわ。もういいわよ」ナデナデ

曜「飲むよ……私死んでも飲むから……」ポロポロ

曜「だから嫌いにならないでぇ……」

善子「……っ!」

チュゥゥ

曜「え……?」

善子「残りは私が飲むわ」

ゴクッ

曜「善子ちゃん……」

善子「うっ……! 最後のはさすがに辛かったわね」ハァハァ

曜「わ、私のこと……嫌いにならない?」

善子「なるわけないでしょ。たかが生姜くらいで大げさなのよ」

曜「……うわぁぁぁん!!」ダキッ

善子「あっ、待ってまだ私拭いてもいないのに」

曜「善子ちゃん大好き……!」ポロポロ

善子「しかも自分のおしっこ入りの飲み物なんて……」

曜「キスしていい? していい!?」ポロポロ

善子「え……あぁ、うん」

チュゥゥ

曜「私のこと嫌いにならないでね……?」チュゥゥ

善子「当たり前よ」



98: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:24:39.02 ID:UUQGlarc.net

.



99: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:25:19.58 ID:UUQGlarc.net

曜「絶対だよ?」チュゥゥ

善子「ええ」

曜「……」チュゥゥ

善子「……」

曜「……」チュゥゥ

善子「ね、ねぇまだ?」

曜「まだ」チュゥゥ

善子「私拭きたいんだけど」

曜「私が舐めるから拭かないで」チュゥゥ

善子「えぇ……」

曜「……」レロッ

善子「んぐ……!?」

曜「えへへ、舌入れちゃった」チュルッ

善子「や、やめて……」

曜「自分のおしっこ飲んだ人とキスしてるんだよ?」チュルッ

善子「頭が……変になっちゃう……♡」

曜「ふふ……」パッ

善子「はぁ、はぁ……♡」

曜「ごめん、ちょっとやりすぎたね」

善子「いいわよ……お互い様でしょ」

曜「拭いてあげるから貸して」

善子「自分で拭くからいい」サッ

曜「……」ジー

善子「あんまり見ないでくれる? 恥ずかしいから」

曜「それもお願い? 分かった」

善子「……」フキフキ

曜「拭き終わったら貸してね」

善子「は?」

曜「そのティッシュ」

善子「あぁ、捨ててくれるの? ありがと」



100: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:25:49.21 ID:UUQGlarc.net

曜「善子ちゃんのウェットティッシュ……」

善子「えっ」

曜「後で使わせてもらうね」

善子「気持ち悪い」

曜「やっぱり生姜が辛かった?」

善子「曜さんが気持ち悪いの! わ、私の使ったティッシュなんて欲しがるから……」

曜「善子ちゃんのなら何でも欲しいよ」

善子「ジンジャーエールは?」

曜「それだけは勘弁して」

善子「はぁ……」

曜「おしっこパンケーキ定食、食べちゃおうか」

善子「『パンケーキ定食』ね。おしっこはついてないから」

曜「後のせだね」

善子「そうね」

曜「あーん」つ

善子「だから何で自分のを食べなきゃならないのよ」

曜「いいから」つ

善子「あーん……」パクッ

曜「美味しい?」

善子「まあまあ、ってとこ。時間が経って少しパサついてるのが残念」

曜「それじゃあ私はこっち側の派手にかかった方を食べるよ」ヒョイ

パクッ

曜「……」モグモグ

善子「ベチャベチャしてそう……」

曜「美味しい……♡」ウットリ

善子「そ、そう……よかったわね」

曜「やっぱり善子ちゃんのおしっこって最高だよ」パクッ

善子「生姜は?」

曜「……」フルフル

善子「冗談よ」フフッ



101: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:26:30.27 ID:UUQGlarc.net

曜「善子ちゃんも冗談キツいね」モグモグ

善子「いや……私に嫌われたら死ぬって、本気で焦ったわよ」

曜「……」パクッ

善子「冗談よね……?」

曜「はぁぁ……♡」ウットリ

善子「……」ゴソゴソ

パシャッ

曜「わっ!?」ビクッ

善子「ふふ、いい表情してるわ」

曜「えっ、私の顔勝手に撮ったの?」

善子「まさかおしっこパンケーキなんて食べてるとは思わないでしょうね」クスクス

曜「すごく幸せそうな顔してるね」

善子「曜さんにも送っておくわ」スッ

曜「ありがと。代わりに神社で撮った写真送るよ」

善子「ええ」

ピロリンッ

曜「あ、来た来た」スッ

善子「私も来たわ」スッ

曜「『曜ちゃんとおしっこパンケーキなう by善子ちゃん』っと」スッスッ

善子「おしっこはやめて!」

曜「おっと、そうだった」スッスッ

曜「『曜ちゃんとおしっこなう by善子ちゃん』」スッスッ

善子「パンケーキ!」

曜「もう面倒だからこれでいいや」スッスッ

善子「ちょっと!?」ガシッ

『曜ちゃんなう by善子ちゃん』

曜「大丈夫でしょ? 見てる人はパンケーキ食べてるんだなって思うよ」

善子「まあ、これなら……」

曜「そして分かる人が見ればおしっこだとひと目で分かる」

善子「分からないわよ」



102: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:27:09.74 ID:UUQGlarc.net

曜「私と善子ちゃんだけ分かればいいよ」

善子「そ、そうね……」

曜「えへへ。善子ちゃんも私の写真載せていいからね?」

善子「え? んー、そうね」スッスッ

善子「これでいいかしら?」

曜「んー? 『パンケーキを食べる曜さん』? フツーだね」

善子「普通でいいじゃない」

曜「せっかくデートで来てるんだよ? もっとさ……」ヒョイ

善子「あっ、私のスマホ返して!」

曜「こんな風に……」スッスッ

善子「変なこと書かないでよね!? 返してってば!」

曜「投稿っと」スッ

善子「嘘っ!? 待って、どんなこと書いて……」

『私もパンケーキになりたい♡♡♡』

曜「このくらいならいいでしょ」

善子「削除! こんなのダメ!!」スッスッ

『削除しました』

曜「えー。もしかして善子ちゃん、私のこと全然書いてない?」

善子「書いてないわよ。一応私じゃなくてヨハネのアカウントなんだから」

曜「そうなんだ……」

善子「曜さんは私のこと書きすぎ」スッ

曜「そうかな?」

善子「でも全部私の顔隠してくれてるのよね」スッスッ

曜「善子ちゃんそういうの嫌かなって」

善子「曜さんのそういうところ……」チラ

曜「?」

善子「な、何でもない!」

曜「そういうところが何なの? キュンと来ちゃう?」ニヤニヤ

善子「本当は優しいのに、どうして私にはいじわるするのかしら」



103: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:28:04.53 ID:UUQGlarc.net

曜「色んな善子ちゃんが見たいから……かな?」

善子「……」

曜「さっきのドS善子ちゃんも、たぶんそのうち受け入れられるよ」

善子「受け入れなくていいわよ」

曜「私、これから毎日ちょっとずつ生姜を食べる練習するから」

善子「しなくていいってば」

曜「私、悔しいんだよ」

善子「何が」

曜「善子ちゃんのためなら何でもできるつもりだったのに、そうじゃないって分かってすっごく悔しいの」

善子「さっきのは私が悪かったわよ。まさかあんな塊で下に溜まってるなんて思わなかったもの」

曜「神社のおみくじも何でも叶うわけじゃなかったね」

善子「え?」

曜「善子ちゃんのおみくじ、願い事が何でも叶うって書いてあったでしょ? なのにさっき私最後まで飲めなかったもん」

善子「さっきのは本気でお願いしたわけじゃないから……」

曜「それともあれかな? 生姜だからかな?」

善子「は?」

曜「ジンジャーだけにしょうがないね、って」

善子「……」

曜「真顔やめて」

善子「全然上手くないし滑ってるわよ」

曜「あっ、今のは『神社』と『ジンジャー』、『生姜』と『しょうがない』をかけた……」アハハ

善子「……」

曜「ごめん千歌ちゃん。私には無理だ」

善子「千歌さんの凄さが分かったわ。こんなのを恥ずかしげもなく言えるんだもの」

曜「そうだね……」

善子「人のキャラを取ろうとするからこうなるのよ」

曜「厳しいなぁ」アハハ

善子「自分が何でもできるなんて思ったら大間違いなんだからね」

曜「え?」

善子「できることとできないことがあるんだから、できないことはできないって言わなきゃ」



104: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:28:46.71 ID:UUQGlarc.net

曜「だって何でもできるし」エヘン

善子「生姜」

曜「苦手だけど努力します」

善子「そういうの。私のために無理しなくていいのよ」

曜「無理じゃないよ。善子ちゃんのためだもん」

善子「私のために色々してくれるのは嬉しいけど、そのうちそれが辛くなってくるかもしれない」

曜「ならないよ。だって」

善子「いつか私といることが辛くなって、『私のために』私といてくれるだけになって……」

曜「……」

善子「それが怖いの。曜さんの優しさで本当の曜さんが見えなくなることが」

善子「私が欲しいのは何でもお願いを聞いてくれる人じゃないのよ」

善子「私が好きなのは曜さんなんだから」

善子「だから……できないことはできないって言ってよ」

曜「……」

善子「お願い」

曜「……悔しいけど、お願いされたら仕方ないね」アハハ

善子「約束だからね? 破ったら曜さんのこと嫌いになるかも」

曜「私が想像もしてなかったところで善子ちゃんを困らせてたなんてね……」

曜「本当に恋人失格だなぁ」

善子「……わがまま言ってごめんなさい」

曜「ううん。思ってることは何でも言ってよ。私もそうするから」

善子「できないことはできないって言うのよ? 私も言う」

曜「うん。分かったよ」

善子「ありがとう」

曜「私の方こそ、話してくれてありがとう」

善子「こんなの恥ずかしくて中々言えないんだからね」カァアア

曜「善子ちゃんって私が思ってたよりずっと大人だね」

善子「はぁ? 私そんなに子どもっぽく見える?」

曜「顔立ちとかは大人っぽいけど、中身は子どもっぽいところもあって、そこがまた可愛いって言うかさ」

善子「……」



105: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:29:49.08 ID:UUQGlarc.net

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106: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:31:02.93 ID:UUQGlarc.net

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107: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:31:33.62 ID:UUQGlarc.net

曜「そんな風に思ってたんだけど……」

善子「それ、私の顔が老けてるって言いたいの?」

曜「何でそうなるの」

善子「冗談」フフッ

曜「もしかしたら私よりも大人かもなぁ」アハハ

善子「あ、それは間違いないわね」

曜「酷い」

善子「たぶんみんな思ってるわよ」

曜「今のは傷ついたよーそろなぁ……」

善子「もしかして本気で凹んでる?」

曜「今日は凹みっぱなしだよ……」

善子「たまにはそういう日があってもいいんじゃない」

曜「そうかなぁ。あんまりかっこ悪いところ見せたくないんだけど」

善子「私にも見せられない?」

曜「うっ……それもお願いなの?」

善子「ううん。曜さんが見せたくないなら見せなくてもいい」

曜「じゃあ見せない」

善子「私はどんな曜さんでも絶対にバカにしたりしないからね」

曜「うん……」

善子「みんなの前では見せられなくても、私には見せていいんだから」

曜「やっぱり善子ちゃんがお姉さんかな」

善子「え?」

曜「私のお母さんと善子ちゃんのママが結婚したら、って話」

善子「まだそんな話してたの」

曜「義理の姉妹なら結婚できるよね?」

善子「ええと、もし本気で言ってたら申し訳ないんだけど……」

善子「そもそも女の子同士では結婚できないのよ」

曜「……」

善子「さすがに知ってるわよね?」



108: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:32:55.10 ID:UUQGlarc.net

曜「でも、今日みたいにどっちかが男の子になればさ」

善子「戸籍ってのがあるから無理よ」

曜「女の子同士でも手術しないとなんだっけ」

善子「確かそうよ。私はしたくないし曜さんにもしてほしくない」

曜「……」

善子「私のためならできるなんて言わないでよ」

曜「……言わない」

善子「結婚なんてできなくても一緒にいられるじゃない」

曜「そうだよね」

善子「それに……式くらいは挙げたって……」ボソボソ

曜「ん?」

善子「まあ、まだ先の話よね」

曜「そうだ。この間の写真、受け取りに行こうか」

善子「え?」

曜「この前のデートのときに撮った写真。もう出来てるみたいだから」

善子「ええ。いいわよ」

曜「よし! じゃあ……」スタッ

曜「っと、おばさんまだ戻ってきてないのかぁ」

善子「そう言えばあれからしばらく経つわね」

曜「ごめんね? 飽きたら先に帰っていいから」

善子「何言ってるのよ。今はデート中でしょ」

曜「こんなデートでごめんなさい」

善子「曜さんとたくさん話せてよかったわ。普段言えないことも言えたし」

曜「そう言ってくれると嬉しいよ」

善子「さてと、ただ待ってるのも暇だし、後片付けでもしましょうか」スタッ

曜「私たちお客さんなのに?」

善子「お金、払わないんでしょ」

曜「それは店番代だよ」

善子「ただいるだけじゃない。無銭飲食には変わりないわ」

曜「変なところ真面目だね」



109: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:33:35.30 ID:UUQGlarc.net

善子「いいから手伝って」

ガラガラ

「ただいまー」

善子「わっ、誰か来たわよ。どうする?」

曜「いらっしゃいませー。お客様は何名様で……」

「一人です」

曜「あっ」

善子「さっきの巫女さん?」

「あなたたち……もしかしてお客さんかな?」

曜「ん?」

「あ、ごめんなさい。うちのお母さん、またお客さんいるのに出て行っちゃったのね」

善子「もしかして、ここあなたの家ですか」

「ええ、そうよ。お客さんが二人もいるなんて珍しいわね」

曜「図らずも自宅まで押しかけてしまうとは……」ドキドキ

善子「やめなさい」ペチッ

曜「いてっ」

「ん? ということは……あなたが曜ちゃん?」

曜「はい……そうですけど」

「お母さんから話は聞いてるわ。よく来てくれてるだけじゃなくて店番までしてもらってるみたいじゃない」

曜「その代わりタダで食べさせてもらったりしてます」アハハ

善子「お店にとってはマイナスでしかないわね」

「あら? あなた……」ジッ

善子「な、何ですか」

「よく見たら女の子じゃないの」

曜「あはは、この子は善子ちゃんって言って私の彼氏なんですけど、女装癖があるんです」

「そ、そうなの……大変ね」

善子「違うわよ。今日はたまたま男の子の格好してるだけ。普段から女の子です」

「えっと、男装が趣味の女の子でいいのかな?」

曜「はい」

善子「違います!」



110: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:34:20.43 ID:UUQGlarc.net

「??」

曜「善子ちゃん、お姉さん困ってるよ」

善子「いや、曜さんのせいでしょうが……」

「恋人?」

曜「はい!」

善子「ええ、まあ……」

「そっか。デートでランチに来てくれたのね」

曜「そうなんです。善子ちゃんも気に入ってくれたみたいでよかった」

善子「とても美味しかったです」

「ふふ。うちのお母さん、料理だけは上手なの。他はまるでダメなんだけど」

曜「これは私たちがお店を継ぐしかないかななんて話してたんですよ」アハハ

善子「初めて聞いたわよ」

曜「私もこう見えて料理は得意な方で……。あ、こっちの善子ちゃんはダメダメなんですけど」

善子「悪かったわね」

曜「娘がいるなんて初めて知りました。確か、子どもはいないと聞いていたような気がしたんですが」

「あ……。お母さん、まだ根に持ってたんだ」ハァ

善子「ケンカでもしてるの?」

「地元を離れて東京に行くって言ったときにね、ちょっと揉めちゃって」

曜「それは……お母さんにとっては辛いだろうなぁ」

「あんたなんかウチの娘じゃない! なんて言われちゃって」

善子「大人げないわね……」

曜「いつかお店を継いだりするんですか?」

「え? しないわよ。こんなお店、ちっともお客さん来てないし」

曜「こんなに美味しいのに……」

善子「美味しいだけじゃやっていけないでしょう。商売なんだから」

「ええ。お母さんも去年肩を痛めてからはもうお店を閉じようかって考えてるみたい」

曜「えぇ!? そんな……」

「いい機会だと思うわ。お父さんが死んでからはずっとこんな調子だったし」

曜「そうですか……寂しくなります」



111: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:35:02.01 ID:UUQGlarc.net

「本当は去年いっぱいで閉めるって聞いてたんだけど」

善子「年明けてるわね」

曜「やっぱり気が変わったのかな?」

「あ、分かった。きっと曜ちゃんに食べてほしかったのね」

曜「え?」

「ほら、曜ちゃんってこのお店の数少ない常連さんだから」

曜「そうでしょうか……」

善子「店番を任せるくらいだもの、気に入られてたんじゃない?」

「きっとお母さん、それで暖簾も掛けてないのよ」

善子「えっ? それじゃお客さんなんて来るわけないじゃないの」

曜「そう言えば掛かってなかった気がする」

「でもこれで満足したでしょう。やっとお店を閉められるんじゃないかしら」

曜「……」

善子「本当に無銭飲食だったわね」

曜「店番しておいて、なんて言ってたけど何だったのかな」

「え? お母さんに店番頼まれたの?」

曜「はい。ちょっと買い出しに行くからって」

善子「営業していないなら頼む必要なかったんじゃない?」

「何考えてるんだか。ちょっと電話してみる」スッ

プルル

曜「今更なんだけどさ、善子ちゃん」ヒソヒソ

善子「何?」

曜「料理にあんなことして本当に申し訳ないね」ヒソヒソ

善子「あっ! 知らなかったとはいえ何てことを……」

曜「もう食べられないなんて思わなかったんだよ……」

「あっ、お母さん? 今どこにいるのよ」

『あら、神社の手伝いは? 終わったの?』

「それよりお母さん!? また曜ちゃんに店番なんてさせて!」

『今店にいるの? それなら……』

「あっ、二人とももう帰って大丈夫よ。店番……誰も来ないけど私が引き継ぐわ」



112: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:35:47.56 ID:UUQGlarc.net

曜「えっ、でも……」

「デートの途中なんでしょう?」フフッ

善子「じゃ、じゃあせめて食器だけでも洗ってから帰ります」

曜「そうだよね。最後くらい恩返ししてかなきゃ」

「あ、いいっていいって。そんなのお客さんにやらせることじゃないんだからさ」

『あと三十分くらいで帰るから、もう少し待っててもらって。冷蔵庫のデザート出していいから』

「三十分も!? ダメに決まってるでしょ!」

曜「デザート貰えるなら余裕です」ガチャ

善子「少しは遠慮しなさいよ」

曜「うわぁ……焼きプリン♡」

善子「美味しそうね……」

「早く帰ってきなよ。二人はデート中なんだからね」

『はいはい……』

ピッ

「ふぅ……ごめんなさいね、お母さんのわがままに付き合わせちゃって」

曜「私は全然いいんですけど」

善子「私も……何かこのまま帰ったら色々申し訳ないので」

曜「本当にね」

「私、上で着替えてきてもいいかしら? できればシャワーも浴びたいんだけど……」

曜「あっ、任せてください! お着替え手伝います」

善子「手伝わなくていいから!」

「プリン、全部食べちゃっていいからね」

曜「はーい……」

善子「何で不満そうなのよ」

曜「どうせならお姉さんのプリンがよかった」

善子「は??」

「あ、あはは……」

……



113: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:36:33.22 ID:UUQGlarc.net

キュッ ザー

ゴシゴシ

ゴシゴシ

善子「ねぇ曜さん」

ゴシゴシ

曜「何?」

善子「このお店、いつから来てるの?」

曜「ん? 先月くらいかな」

善子「割りと最近ね」

曜「でも毎週来てるよ」

善子「まだ十回も来てないじゃない!」

曜「それでも常連なんだね」

善子「どれだけお客さん来ないのよここ」

曜「私だけってことはないと思うよ。私が店番してるとき一度だけお客さんが来たことがあったから」

善子「そのお客さんは初見の人?」

曜「ううん。前に一度だけ来たことがあるって言ってたよ」

善子「曜さんが料理出したの?」

曜「そうだよ。レシピが分からなかったから、思い出しながらだいたいこんな感じかなって作ったんだけど……」

曜「お客さんの口に合わなかったみたいで帰っちゃったんだよね」アハハ

善子「それはかなり嫌な思いをしたわね」

曜「後でおばさんに聞いたら、レシピなんてないんだってさ」

善子「何それ。全部勘で作ってるってこと?」

曜「みたいだね。作ってる様子見たら分かるけど、はかりも大さじ小さじも使わないんだ」

善子「えっ」

曜「何ならタイマーだって使わないよ。全部『適当』なんだ」

善子「それであの味が出せるなんて、ある意味天才かもしれないわね」

曜「私もそこそこ天才だけどさすがに真似できないや」アハハ

善子「曜さんは天才というより秀才だと思うけど」

曜「褒めてくれてる? 善子ちゃんにしては珍しいね」

善子「みんなの知らないところで努力してるでしょ?」



114: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:37:46.27 ID:UUQGlarc.net

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115: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:38:14.28 ID:UUQGlarc.net

曜「それなりには」アハハ

善子「私も頑張らなきゃね」

曜「善子ちゃんは今のままでいいと思うけど」

善子「そうもいかないわよ」

曜「何で?」

善子「曜さんと一緒にいるとね、元気をもらえるっていうか……もっと頑張らなきゃって思うのよ」

曜「私も善子ちゃんといると色々元気になるよ」

善子「色々って何よ」

曜「『もっと頑張って出さなきゃ』とか?」

善子「おしっこの話はしてないんだけど」

曜「私もしてないよ」

善子「じゃあ何を頑張って出すの」

曜「えっと、それは……夏休みの宿題とか」

善子「おしっこよね」

曜「はい」

善子「他にないの? 私のこと本当にドリンクバーとしか思ってなかったりして」

曜「善子ちゃんがそこにいてくれるだけで幸せだよ」

善子「ふーん? おしっこも飲まなくていいしキスもしなくていいのね」

曜「善子ちゃんが嫌ならやめるよ」

善子「おしっこはともかく、キスまでやめなくてもいいんじゃないかしら。一応その
、恋人なんだし?」

曜「おしっこは?」

善子「本当におしっこの話ばっかりね」ハァ

曜「するのも飲むのも大好きだからね」エヘン

善子「まあ、たまにならいいわよ」

曜「うん」

善子「たまによ? 毎日は嫌」

曜「キスは?」

善子「それは……毎日でも」ボソボソ

曜「一日一回だけ?」

善子「何回でもいいわよ!」



116: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:39:27.64 ID:UUQGlarc.net

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117: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:39:57.45 ID:UUQGlarc.net

曜「えへへ」

善子「人前では嫌だからね」

曜「分かったよ。みんなといるときは『キスするから席外して』ってお願いする」

善子「……」

曜「さすがに私もみんなの前では恥ずかしいな」

善子「みんなもいつまで気を遣うのかしら……」

曜「あー、二人でいるとなぜかみんな距離を取るよね」

善子「どうしたらいいのかしらね」

曜「堂々とみんなの前でもイチャつけばいいんじゃないかな? 二人のときしかやらないから気を遣わせちゃうんだよ」

善子「いや、そんなの見たくないでしょ……」

曜「それかみんなも付き合えばいいんじゃない? そうすれば私たちだけに気を遣うことはないよね」

善子「うーん……」

曜「まあいいや。明日みんなに聞いてみよう」

善子「直接聞くの? 大胆なことするわね」

曜「お互いに気を遣うのは疲れるからね」

善子「そうだけど……」

ガラガラ

「曜ちゃん、善子ちゃん。店番ご苦労様」

善子「あっ、お帰りなさい」

曜「おばさんお帰り」

「あら? もしかして食器片付けてくれたの? お客さんなのにごめんなさいね」

善子「いえ、私はいいんですけど……」

曜「少しでも恩返ししようと思って」

「恩返し? 急にどうしたの曜ちゃん」

曜「……」

善子「……」

「あっ……あの子が話したのね」

曜「はい……」

善子「えっと、お店を閉めるんですってね」

「ええ。もう歳だからいいかなってね」



118: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:40:28.44 ID:UUQGlarc.net

曜「もうおばさんの料理が食べられないと思うと……」

「曜ちゃんにならいつでも作ってあげるわよ」

曜「え、本当に?」

「いつでも食べにいらっしゃい。もちろん善子ちゃんもね」

善子「私も?」

「当たり前でしょう。曜ちゃんの彼氏なんだもの、私の息子みたいなものだわ」フフッ

善子「気持ちは嬉しいけど……。いや、嬉しいのかしら?」

曜「お店、本当に閉めちゃうんですか」

善子「曜さん、そんなこと言ったら悪いわよ」

「善子ちゃんは優しいのね……」

曜「むっ。まるで私が優しくないみたいな言い方」

善子「優しくないでしょ。おばさんにすごく厳しいこと言うし」

曜「それはこのお店がもっといいお店になってくれたらいいなって……」

「そこまで言うなら曜ちゃんに継いでもらおうかしら? そこそこ料理は上手なんでしょ?」

曜「善子ちゃんと二人で頑張ります」

善子「ちょっと! できもしない約束しないで!」

曜「ごめん」

「デートの邪魔をして悪かったわね。それと店番ありがとう」

善子「え……」

曜「じゃあまた」ノシ

「気をつけてね」ノシ

ガラガラ

ストン

 店の前

善子「……」

曜「どうしたの善子ちゃん」

善子「私たち、店番してた意味あったかしら……」

曜「何言ってるの、もしかしたらお客さんが来るかもしれなかったじゃん。たぶん絶対ありえないけど」

善子「あの巫女さんが帰ってきて私たちに『あとは私が引き継ぐから帰っていいよ』って言ったじゃない?」

曜「あ、そういえば何でおばさん私たちを待たせたんだろう?」



119: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:41:06.74 ID:UUQGlarc.net

善子「どうしても顔を見たかったのかしら?」

曜「うーん……」

ガラガラッ!

「おみやげ! おみやげ渡すの忘れてた!」

曜「おみやげ?」

「はい、ウチのレシピよ。もしよかったら使って」つ

善子「え、レシピなんてないとか言ってなかった?」

曜「そうだよ。前に聞いたときおばさん、全部勘で作ってるって言ってたじゃん」

「本当は紙にも残しておいたのよ。いつかあの子が継ぐかと思って……」

「でももういいの。せっかくだから曜ちゃんにあげる」つ

曜「……」

善子「どうするの?」

曜「ごめんなさい」ペコッ

「そう……」

曜「善子ちゃんと二人でおばさんのオムライス定食を超えてみせます。だからレシピなんていりません」

善子「えっ」

「……」

曜「協力してくれるよね?」

善子「アレ以外なら」

曜「ということなので、これはそのまま取っておいてください。もしかしたらあの人が継いでくれる気になるかもしれませんし……」

「あの子にそんな気一切ないわよ。東京に行ったっきり何してるのかさえ教えてくれないんだから」

曜「そうですかね? 料理の勉強してるみたいですけど」

善子「何でそんなこと分かるのよ」

曜「前に東京に行ったとき会ったからね」

善子「はぁ!!? いつ!? どこで!?」ガシッ

曜「えっ……ちょっと待って。善子ちゃん怖い」

「ふふっ」クスクス

善子「あっ、いや……その」パッ

曜「有名なレストランで働いてるの。まだ見習いみたいだったけどね」

善子「何だ、そういうことね」



120: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:41:41.62 ID:UUQGlarc.net

「そう……。あの子が東京のレストランで……」

曜「いつか一人前になったら、そのレシピが役に立つときが来るかもしれません」

善子「……」

「今度食べに行ってみようかしら?」フフッ

曜「それじゃ、失礼します」ペコッ

善子「ごちそうさまでした」ペコリ

「またいつでも来てね。私の料理でよければいつでも作ってあげるから」

曜「タダで!? 来ます! 絶対来ます!!」

善子「いや、お金は払いなさいよ……」

曜「もうお店じゃないからね」

「うっ……。まあいいわ、今度ゆっくり話を聞かせてくれれば」

曜「何の?」

「決まってるでしょ。そこの彼氏とのことよ」ヒソヒソ

善子「……」カァアア

曜「はい!」

「それじゃまたね。あと半日しかないけどデート楽しんで」ノシ

曜「うん」ノシ

善子「ええ」ノシ

……

 ショッピングセンター

曜「なかなかお腹膨れたね」ポンポン

善子「大盛りだったものね」フゥ

曜「これは週一くらいにしとかないと太っちゃうね」

善子「それで週一?」

曜「そうだよ。体脂肪率一桁はキープしないと」

善子「一桁!? それって大丈夫なの?」

曜「あはは、無理なダイエットはしてないから」

善子「……どう見ても一桁には見えないんだけど」ジッ

曜「善子ちゃんこそ一桁くらいじゃない?」アハハ

善子「悪かったわね、スレンダーで」



121: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:42:12.15 ID:UUQGlarc.net

曜「善子ちゃんは十三くらいかなぁ」

善子「測ったことないから分からないわね」

曜「このぷにぷに感は十三」グイ

善子「ほっへたひっはらはいへ」

曜「至って健康的だね。あとはもう少し胸が大きくなると嬉しいんじゃない?」

善子「別に。曜さんは大きい方が好きなわけ?」

曜「ううん。善子ちゃんのならどんな大きさでも好きだよ」

善子「そうじゃなくて。好みの話」

曜「あんまり考えたことないかなぁ」アハハ

善子「その割にはよく人の胸見てるわよね」

曜「これでも衣装係だからね。あの大きさなら胸周りはあのくらいかなぁ、とか考えちゃうんだよ」

善子「嫌な職業病」

曜「決して変な目で見てるわけじゃないからね?」

善子「相手は曜さんが変な目で見てると思ってるかも」

曜「それは困る」

善子「なら気をつけなさい」

曜「そうだね。今度からちゃんと言ってから見るようにするよ」

善子「いや、そういうことじゃ……」

曜「私、善子ちゃんが思ってるほど胸大好きなわけじゃないんだけどな」

善子「そうなの? おしっこの次に好きそうなイメージあるわね」

曜「私ってそんなに変態に見える?」

善子「おしっこが好きな時点で確定じゃないの」

曜「ううん、周りの人の体ばかり見てるように見える? ってこと」

善子「え? どうなのかしら……」

曜「むしろ善子ちゃんの方が体ばっかり見てないかな?」

善子「何で私が」

曜「だってデートすると絶対私の体欲しがるでしょ」

善子「誤解されるような言い方はやめて!」

曜「一緒の布団で寝ないと機嫌悪くなるし」

善子「嫌なの?」



122: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:42:45.20 ID:UUQGlarc.net

曜「善子ちゃん寝てるとき自分が何してるか知らないの? 毎日されたら寝不足になっちゃうんだけど」

善子「だから誤解されるような言い方……」

曜「今度、等身大の私のぬいぐるみ作るからそれで我慢して」

善子「作れるの?」

曜「えっ、欲しいの?」

善子「ほ、欲しいわよ? 曜さんだって等身大の私がいたら欲しいでしょ」

曜「私は本物の善子ちゃんがいればそれでいいよ」

善子「私だって……」

曜「でも夜は寝たいって言うかさ……善子ちゃんの期待に沿えなくて本当に申し訳ない」

善子「私、普通に寝てるわよね? 寝ぼけて曜さんに変なことしてる?」

曜「隣でおねしょされたら、いい匂い過ぎて寝られないよ」

善子「毎日はしてないわよ」

曜「あとは寝相が悪いのも問題かなぁ」

善子「それは……認めるわ」カァアア

曜「寝返り打つときに私の顔にラリアットするのやめて」

善子「そんなことしてるの!? ごめんなさい……」

曜「あと脇腹蹴るのも地味に効く」

善子「痛そうね……」

曜「寝相の悪さはママ譲りかな?」アハハ

善子「あぁ、ママも酷いわね」

曜「この前なんてその……み、見えちゃって」ボソボソ

善子「え?」

曜「何でもない! とにかく気をつけてよね!」

善子「でも寝てるときなのよね? わざとじゃないんだし……」

曜「布団で巻いて縛っておこうかな」

善子「やめてよ」

曜「じゃあ私を巻いてから寝て」

善子「……分かったわ。寝るときは別の布団にしましょう」

曜「うん」

善子「……」シュン



123: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:43:40.29 ID:UUQGlarc.net

曜「……」

善子「ごめんなさい」

曜「ぷっ……」クスクス

善子「何よ。悪かったってば」

曜「何でもないよ」クスクス

善子「何か腹立つわね」

……

 写真屋

曜「楽しみだなぁ」ワクワク

善子「確か特大ポスターも頼んだんだっけ」

曜「うん」

「いらっしゃいませー」

曜「先週撮ってもらった渡辺ですが」

「あっ……」

善子「あ、あなたこの前の」

「……」カァアア

曜「あの時はごめんなさい」ペコッ

「い、いえ……。お写真持ってきます」タッ

タッタッ

善子「……」

曜「何かよそよそしい感じだね」

善子「そりゃあんなことしたらね……」

タッタッ

「はい、お待たせしました! 見開き三枚のアルバムと、特大ポスターですね」サッ

曜「すごくよく撮れてる! やっぱりプロは違うなー」

善子「こ、これ……本当に私?」カァアア

曜「善子ちゃん似合ってるね。天使みたい」アハハ

善子「こんな恥ずかしい写真を撮ってたのね……」カァアア

曜「恥ずかしくないよ! これは早速帰ってママに見せてあげなきゃ」

善子「見せないで!」



124: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:44:52.48 ID:UUQGlarc.net

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125: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:46:36.96 ID:UUQGlarc.net

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126: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:47:42.00 ID:UUQGlarc.net

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127: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:48:09.51 ID:UUQGlarc.net

曜「あっ、このこと誰にも言ってませんよね?」

「もちろん言ってませんよ。守秘義務があるので」

曜「それと……できればこれからもファンでいてくれると嬉しいな」

「え? そんなの当たり前です」

善子「……」

「一つだけ聞いてもいいですか?」

曜「何?」

「どうして恋人がいるのに……私にその、キスなんて」

曜「え? あぁ……ええと、あの時はああするしか思いつかなくて」

善子「キスしたかっただけじゃないの?」

曜「違うよ!」

「……」

曜「あっ、違わないよ? 私もちょっとだけドキドキしちゃったし……」

「あなたも……あんなの見て平気なんですか?」

善子「私が誰と付き合おうと私の自由でしょ?」

曜「……」

「本当に好きなんだ……」ハァ

善子「え?」

「曜さんにキスされるとき、あなたを見たらすごい顔してました」

曜「あはは。たぶん泣きそうな顔してただろうね」

善子「笑い事じゃないわよ」

「本当に曜さんのことが好きなら、嘘なんてつかないで堂々としていればいいと思います」

善子「あ、あなたには関係ないし……」

曜「それは私からもお願いしたいかな」

善子「え?」

曜「私が善子ちゃんのこと、ただの知り合いですって言ったら嫌じゃない?」

善子「……相手によるわよそんなの」

曜「私はちょっと傷つく」

善子「……」

「曜さんに選んでもらえたんだもの、もっと胸を張って……ああ、ごめんなさい。今のは深い意味はないんですけど」



128: 名無しで叶える物語 2018/01/28(日) 17:49:21.66 ID:UUQGlarc.net

善子「は?」

曜「やめなよ、善子ちゃんがいじけちゃうよ」クスクス

善子「何笑ってんのよ」ペチッ

「曜さんがあなたを選んだ理由、ちょっと分かる気がします」

善子「えっ? ちょ、何言ってんの」カァアア

曜「善子ちゃんをからかうの上手だね? 弟子入りしていい?」

善子「しなくていいから……」

「はい、ポスターです。額に入ってるのでかなり大きいですけど」ゴトッ

善子「うわ、本当に大きいわね」

曜「バスの中でこれは目立ちそうだね」

善子「これ、家まで配送とかしてもらえないの?」

「できますよ。別料金にはなりますが……」

曜「善子ちゃんの家、大丈夫?」

善子「何で私の家なのよ。曜さんの家でいいでしょ」

曜「お母さんに見られたくないからなぁ」

善子「私だって嫌よ!」

曜「あっ……そうだ」

善子「ん?」

曜「すみません、配送してください」

「それではこちらの紙に書いてください」スッ

善子「私の家は絶対にやめてよね」

曜「分かってるよ」カキカキ

「……」

曜「はい、書けました」スッ

善子「どれどれ」

曜「だーめ。善子ちゃんの家じゃないのは確かだから心配しないで」

善子「何でよ。本当かどうか分からないじゃない」

曜「私のこと信じられない?」

善子「そ、そうは言ってないけど……」

「えっと……」



144: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:43:25.12 ID:/T4OrUS6.net

(写真屋から続き)

曜「あ、これでお願いします」スッ

「はい、料金もちょうどですね」

善子「何よもう……」

曜「じゃあアルバムだけ持って帰ります」サッ

「ありがとうございましたー」

善子「……」

……

曜「お昼何食べようか? この前はお蕎麦食べたから……えっと」

善子「お昼さっき食べたわよ」

曜「あ、そういえばそうだった」

善子「私を太らせようとするのやめてよ」

曜「今のは本当に忘れてたんだってば」

善子「そもそももう三時過ぎじゃない。食べるとしてデザートでしょ」

曜「あー、でもお金ないからなぁ」

善子「私もそんなに持ってこなかったからあと少ししか……」

曜「どうする? このまま帰る?」

善子「うーん……」

「あっ……いたよ」

「本当だ! バレないように隠れよう」

曜「ん?」

善子「どうかした?」

曜「今ね、梨子ちゃんと千歌ちゃんの声がしたような……」キョロキョロ

善子「まさか。ずら丸とルビィじゃあるまいし、尾行なんて……」クルッ

千歌「げっ」

「千歌ちゃん隠れて」グイッ

善子「何してるのよこんなところで」

千歌「えっと……私たちはその、普通に買い物に」

「……」



145: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:44:07.26 ID:/T4OrUS6.net

曜「そっかー! こんなところで会うなんて偶然だね!」

善子「どうして梨子さん、隠れたままなのよ」

「だって曜ちゃん、彼氏がいるなんて聞いてない……」

千歌「ん? 善子ちゃんが男装してるだけだよ?」

曜「あはは、私が浮気でもしてると思った?」

梨子「……善子ちゃんなの?」スタッ

善子「今日は訳あってこんな格好だけど、私だから心配しないで」

梨子「……」カァアア

曜「どうしたの梨子ちゃん。変だよ?」

千歌「あー、たぶん善子ちゃんがイケメンすぎて直視できないんだね」

善子「は?」

曜「なるほどね。すごくよく似合ってるから」

梨子「本当に善子ちゃん……?」チラ

善子「だから私だってば」

千歌「曜ちゃんはどうしたの? 着物なんか着てさ」

曜「あぁ、うん。初詣に行ってきたんだ。さっき二人で」

千歌「そっか。曜ちゃん昨日は実家の方に帰ってたんだもんね」

曜「そうそう。今朝いちばんの電車で帰ってきたんだ」

千歌「私もお墓参り行かなきゃなー」

曜「ん?」

善子「ちょっと千歌さん、その話は」

梨子「善子ちゃんどうやったらそんなにカッコよくなれるの……?」カァアア

曜「えっ、もしかして梨子ちゃんも男装に興味あるの!? いいね!」

千歌「絶対似合う!!」

梨子「無理無理! 私はそんなの絶対……」

曜「そんなこと言わずにさ、一回だけ着てみようよ」

千歌「梨子ちゃんもすらっとしてるから絶対イケメンになれるよ」

梨子「絶対嫌だよ……」カァアア

善子「やめなさいって。梨子さん困ってるでしょうが」



146: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:44:46.00 ID:/T4OrUS6.net

梨子「よ、善子ちゃん?」ドキドキ

千歌「あれ?」

曜「あっ、梨子ちゃんダメだよ? 善子ちゃんは私の彼氏なんだから好きになったりしちゃ」アハハ

梨子「わ、分かってるよ」

善子「……」ニヤリ

善子「梨子さん、私と手を繋いでみない?」スッ

梨子「え……」スッ

曜「?」

善子「ほら」ギュッ

千歌「こ、恋人繋ぎだと……っ!?」

曜「善子ちゃん大胆だね」フフッ

梨子「……」カァアア

善子「曜さん私、梨子さんと恋人繋ぎしてるのよ」ギュッ

曜「見ればわかるけど」

善子「何とも思わないの?」

曜「え? 恥ずかしがる梨子ちゃんが可愛いなってこと?」

梨子「え、え……?」ドキドキ

千歌「はぁ……」

善子「梨子さん、ちょっといい?」グイ

梨子「きゃっ……」

善子「こんな風に抱きついても、本当に何とも思わないわけ?」

曜「梨子ちゃん可愛いなぁ」

善子「は?」

千歌「だめだこの曜ちゃん」

梨子「えっと……曜ちゃんに申し訳ないから、離してくれると嬉しいかな」カァアア

曜「え? いいよいいよ、遠慮しないで抱きついても」

善子「あっそう」ギュッ

梨子「わ……」

千歌「……」

曜「今度梨子ちゃんと二人で写真撮ってみない? あ、私も善子ちゃんと撮ったんだけどさ……」スッ



147: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:45:59.47 ID:/T4OrUS6.net

善子「わぁあ!!? それは見せない約束でしょう!?」

千歌「わぁ……」

梨子「これ曜ちゃんと善子ちゃん……??」

曜「梨子ちゃんも似合うんじゃないかな、ウェディングドレス」

梨子「わ、私……」

善子「そうね。何なら曜さんが撮ってくれてもいいわよ」

曜「いいのっ!!?」ガタッ

千歌「曜ちゃんさぁ……」

曜「楽しみだなぁ」ニコニコ

千歌「本当にいいの? 梨子ちゃん、曜ちゃんと違ってお淑やかだし頭いいから勉強だって教えてくれるし」

千歌「善子ちゃんが梨子ちゃんのこと好きになったら……曜ちゃんなんて捨てられちゃうかもよ」

曜「あはは、それはないよ」

善子「本当に?」

曜「ないね」

善子「どうかしら」ギュ

梨子「千歌ちゃん助けてぇ……」カァアア

千歌「後で泣いても知らないからね」

曜「善子ちゃんは私の恋人だよ。絶対ありえないよ」

善子「……少しは疑いなさいよ」ボソッ

曜「ん?」

善子「曜さんにも私の気持ちが分かってくれるんじゃないかって……ちょっとでも思った私がバカだったわ」グスッ

曜「何で善子ちゃん泣いてるの?」

善子「今ここで私が梨子さんにキスしても何とも思わないんでしょうね」

梨子「き、キス……」

曜「思わないよ」

善子「いいのね?」

曜「善子ちゃんがしたいなら、どうぞ」

善子「梨子さんごめん」スッ

梨子「え……」ドキドキ

千歌「もうやめようよ」ガシッ



148: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:46:48.10 ID:/T4OrUS6.net

善子「……」

曜「何で? したいならすればいいじゃん」

千歌「私の手が曜ちゃんを引っ叩く前に謝った方がいいんじゃないかな」プルプル

曜「私、何か悪いことした?」

千歌「こんの……!!」

善子「いいわよ、私のために怒ってくれなくても」

曜「……」

梨子「……」

善子「曜さんはこういう人なんだもの。よく分かったわ」

曜「私は……」

千歌「こんな恋人で可哀想だね」

善子「千歌さん……その、私のために怒ってくれるのは嬉しいんだけど」

千歌「あ、ごめん……そんなつもりじゃ」

梨子「曜ちゃんって変なところ意地っ張りだよね」

曜「だって……善子ちゃんは絶対そんなことしないもん……」

曜「本当は私のこと好きでいてくれてるもん……」グスッ

善子「だから他の子と何してもいいってわけ?」

曜「そんなこと言ってない!」

善子「自分はしてるじゃない」

曜「わ、私は善子ちゃんと違ってヤキモチ妬いたりしないもん。善子ちゃんが誰とご飯食べても、キスしても、私のこと好きでいてくれるならそれで……」

善子「……」

曜「私のところに戻ってきてくれるなら、それでいいよ……」

千歌「……」

曜「本当だよ?」

善子「そう……」スッ

チュッ

梨子「う、嘘……」

千歌「善子ちゃん!?」

曜「……」

善子「これでも?」



149: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:47:25.03 ID:/T4OrUS6.net

曜「う……」グスッ

善子「どうして本当のことを言ってくれないのよ」

曜「言ってるもん……」

善子「他の人にはしないでってどうして言わないの?」

曜「そんなこと……思ってないよ」

善子「ならどうしてわざわざ写真なんか見せたのよ」

曜「それは、よく撮れてるから二人にも見てほしくて」

善子「私は曜さんのものだからって言いたかったんじゃないの?」

曜「……」

善子「ヤキモチ妬くのってそんなに悪いこと? 重いとダメなの? じゃあ私は??」

曜「善子ちゃんと私は……違うよ」グスッ

善子「曜さんだって泣いてるじゃない」

曜「泣いてないもん」フキフキ

善子「……」

曜「梨子ちゃんだって……善子ちゃんのこと好きなら付き合ってもいいよ」グスッ

梨子「えっ……」

曜「善子ちゃんカッコいいもんね? 好きになっちゃうよね?」ポロポロ

善子「もういいわ。帰る」スタッ

スタスタ

曜「……」グスッ

梨子「追いかけないの……?」

曜「私は……善子ちゃんの重荷にはなりたくないよ」

千歌「曜ちゃんのバカ!」ブンッ

パーン

曜「……」ヒリヒリ

千歌「私たちの前だから強がってるだけかと思ってたけど……そうじゃないんだね」

千歌「本当に……善子ちゃんの気持ちが分かってなかったんだ」

千歌「少しは分かろうとした? 恋人なんだよね?」

曜「……」



150: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:49:02.44 ID:/T4OrUS6.net

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151: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:50:06.00 ID:/T4OrUS6.net

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153: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:50:34.49 ID:/T4OrUS6.net

梨子「曜ちゃん……キスされた私が言うことじゃないかもしれないけど」

梨子「さっきの曜ちゃんは最低だと思う……」

曜「あはは……そうかな」

千歌「自分はどんな善子ちゃんでも好きって言いながらさ」

千歌「善子ちゃんには本当の自分を見せないんだね」

千歌「善子ちゃん……本当に曜ちゃんのこと嫌いになるかもよ」

曜「ありえないよ」

千歌「あるよ」

曜「絶対にない」

千歌「どうして言い切れるの?」

曜「善子ちゃんは私の恋人だから」

千歌「今はね……」

曜「約束したよ? ずっと好きでいてくれるって……」

千歌「本当に重いのは曜ちゃんの方か」

曜「……」

千歌「行こう、梨子ちゃん」グイッ

梨子「えっ……で、でも」

千歌「いいから」グイッ

梨子「曜ちゃんが……」

曜「……」

千歌「こんな人知らないよもう」グイ

梨子「……」

スタスタ

曜「……」グスッ

曜「こんな私でも好きでいてくれるかな」

曜「ねぇ」

……

……



154: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:51:29.55 ID:/T4OrUS6.net

 翌朝

 屋上

千歌「……」ムスッ

果南「えっと……何かあった?」

梨子「……」

ダイヤ「もしかしてケンカでもしましたの?」

千歌「別に。何でもないです」

ダイヤ「もしかして曲作りのことで揉めて……」

鞠莉「はぁ……。ダイヤって本当、頭硬すぎるよね?」

果南「ケンカしたのは千歌と梨子じゃないと思うけど?」

ダイヤ「へ?」

梨子「心配かけてごめんなさい。昨日……ちょっとあったんです」

花丸「善子ちゃん遅いなぁ……」

ルビィ「いつもなら誰よりも先に来て曜さんとイチャイチャしてるのに」

ダイヤ「そういえば、お二人の姿が見えませんね。これでは練習が始められません」

鞠莉「面白いジョークね」

果南「鞠莉、目が笑ってないよ……」

ガチャ

善子「……」フラッ

ルビィ「善子ちゃん!!」ダッ

花丸「ど、どうしたのその目!」

善子「え? あぁ、えっと……ちょっと徹夜でゲームしちゃってね」

ダイヤ「善子さん? こんな大事な時期に夜更かしなど……」

果南「ダイヤ、ちょっと黙ってて」

善子「遅れてごめんなさい。早く練習始めましょ」

鞠莉「曜は?」

善子「誰?」

鞠莉「曜。今日は一緒のバスじゃなかった?」

善子「そんな人知らない」

梨子「善子ちゃん……」



155: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:52:09.79 ID:/T4OrUS6.net

善子「梨子さん、もしよかったらなんだけど」

善子「私と付き合う気ない?」

ルビィ「え!!?」

花丸「よ、善子ちゃん何言って……!?」

梨子「……ごめんなさい」ペコッ

善子「あ……今日の私は男の子じゃないからか」

梨子「そうじゃなくて……」

千歌「練習、始めよっか」スタッ

善子「私じゃ嫌?」

梨子「えっと……」

果南「誰か、曜から連絡来てる?」

シーン

ダイヤ「まさか……何かあったのですか」

鞠莉「少なくともインフルエンザじゃないと思うわよ?」

ダイヤ「当たり前です。それならとっくに学校へ連絡が来ているはずですから……」

鞠莉「もう少し待ってみる? それとも……」

千歌「練習しようよ。私たちもライブ近いんだから」

ルビィ「ぅゅ……」

花丸「ちょっと心配ずら……」

……

 朝練後

梨子「ね、ねぇ善子ちゃん」

善子「何?」

梨子「さっきの話なんだけど……」

善子「私と付き合ってくれる気になった?」

梨子「……」

善子「ごめんなさい、困らせるようなこと言って」

梨子「ううん……」

千歌「善子ちゃん、フラフラしてるけど大丈夫? 顔色も良くないし……」

善子「心配してくれてありがとう。優しいのね……」



156: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:52:48.36 ID:/T4OrUS6.net

千歌「あ、当たり前だよ! これでもAqoursのリーダーなんだから、メンバーの体調管理も仕事のうちだし……」

花丸「善子ちゃん、聞いていいのか分かんないんだけど……」

ルビィ「曜さんと何かあった?」

善子「そんな人知らないってば」

ルビィ「で、でもっ……! 昨日はあんなにラブラブで、ルビィもちょっぴり羨ましいなって思ったりして……」

善子「あんまりしつこいと怒るわよ」キッ

ルビィ「ひっ……」ビクッ

花丸「ルビィちゃん、大丈夫だよ」ナデナデ

ルビィ「ぅゅ……」

ダイヤ「……結局、曜さんから連絡はありませんでしたね」

果南「今日、学校来ないつもりなのかな」

ダイヤ「もしかしたら朝練のことを忘れているだけかもしれませんわね」

鞠莉「もう少し様子を見ましょ。私も、職員室に連絡が来てないか聞いてみるわ」

……

 一年教室

善子「……」フラッ

花丸「わっ、善子ちゃん大丈夫? 本当に顔色悪いけど」

ルビィ「カンテツ? は体によくないよ……」

花丸「変な言葉知ってるね」

善子「保健室で寝てくる……」フラッ

ルビィ「ルビィも一緒に行くよ!」

善子「いいわよ、一人で行けるから……」

ルビィ「でも……!」

善子「本当に……大丈夫だから……」

花丸「……」

ガラガラ

フラッ

ルビィ「行っちゃった」

花丸「今はそっとしておいてあげよう」



157: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:53:26.30 ID:/T4OrUS6.net

ルビィ「善子ちゃん……本当はゲームなんてしてないよね」

花丸「たぶんね」

ルビィ「ルビィたち、何かしてあげられないかな?」

花丸「悔しいけど……マルたちにはどうにもできないよ」

ルビィ「そんな……」

花丸「詳しい事情も知らないんだし……。無理やり聞こうとしたって絶対教えてくれないよ」

ルビィ「うん……」

……

 二年教室

梨子「曜ちゃん、来ないね」

千歌「……」

梨子「冬季講習だから欠席にはならないけど……それでも無断で休むなんてしないよね」

千歌「……」

梨子「電話しても出ないし……心配だな」ハァ

千歌「私、今日は帰るね」スタッ

梨子「え? もう先生来るよ?」

千歌「体調が悪くて帰ったって言っといて」スタスタ

ガラッ

梨子「えっ、ちょっと……」

ピシャッ

梨子「えぇ……」

……

 校門前 バス停

千歌「バス遅いなぁ」イライラ

千歌「……」

千歌「あーもう! これだから田舎は!」

タッタッ

「はぁ、はぁ……!」

千歌「梨子ちゃん? 何で……」

梨子「待ってよ……」



158: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:53:59.93 ID:/T4OrUS6.net

千歌「曜ちゃんのところに行くなんて言ってないけど」

梨子「行かないの?」

千歌「……」

梨子「私は行くよ」

千歌「行くの?」

梨子「千歌ちゃんは行かないの?」

千歌「行く……」

梨子「なら私も行くよ」

千歌「……梨子ちゃんが来たら絶対止めそうだなぁ」

梨子「曜ちゃんに何するつもり?」

千歌「決まってるでしょ。無理やりにでも連れてきて善子ちゃんに会わせるんだよ」

梨子「そんなことして解決すると思ってる?」

千歌「放っといても解決しないよ」

梨子「それは……うん、たぶんね」

千歌「曜ちゃんは拗らせちゃうと面倒だから」

梨子「何だか曜ちゃんらしくないね」

千歌「曜ちゃんがどれだけ善子ちゃんのことを好きか……梨子ちゃんも知ってるでしょ」

梨子「うん……一応相談も受けてたし」

千歌「善子ちゃんのことになると、曜ちゃんはもういつもの曜ちゃんじゃない」

梨子「善子ちゃんもそうだね……。曜ちゃんのことになると」

千歌「本当に面倒くさいんだから」フフッ

梨子「本当にね」クスクス

千歌「あーあ、何だかバカらしくなってきちゃった」

梨子「ん?」

千歌「何で曜ちゃんなんかのために私がムカムカしなきゃならないんだろ?」



159: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:55:07.61 ID:/T4OrUS6.net

梨子「曜ちゃんなんかって」

千歌「仕方ない、梨子ちゃんもいることだし無理やり連れ出すのはやめるよ」

梨子「でも行くんだよね?」

千歌「うん。きちんと話せばたぶん、聞いてくれると思うし」

梨子「そっか。よかった」ホッ

千歌「私が本当に殴りに行くと思ったの?」

梨子「千歌ちゃんならやりかねないと思う」

千歌「昨日のことは謝らないとね……」

梨子「けっこう強めにいったもんね」

千歌「まあ、曜ちゃんなら許してくれるよ。優しいから」

梨子「うん」

……

 保健室

善子「……」

善子「私……バカみたい」

善子「一人でヤキモチ妬いて……梨子さんまで巻き込んで」

善子「あのとき追いかけて来てくれるなんて期待して……何度も後ろを振り返ったりして」

善子「でも曜さんは来なかった」

善子「私……本当に嫌われちゃったんだ……」

善子「……」

善子「でもね……まだ好きなの」グスッ

善子「曜さんのことが好き……」

善子「会いたいよ……」ポロポロ

善子「私のこと嫌いでもいいから……曜さんに会いたい……」

善子「学校に来れば会えると思ったのに……」

善子「曜さんに会えるから来たのに……」

善子「曜さんは来ないんだ」グスッ

善子「……」

善子「私に会いたくないから……?」

善子「私が来なければ……曜さんは学校に来られるのかしら」



160: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:56:36.58 ID:/T4OrUS6.net

.



161: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:57:05.69 ID:/T4OrUS6.net

善子「なら私は……」

善子「私なんていなくても……曜さんがいればAqoursは回るもの」

ガラガラ

善子「……」スゥ

「寝たふりするの下手ずら」

「だねぇ」クスクス

善子「何よ、あんたたち?」

花丸「曜さんかと思った? 残念でした」

ルビィ「曜さんに会いに行こうよ」

善子「え……?」

ルビィ「学校で会えないなら、家まで行けばいいんだよ」

花丸「歩ける?」

善子「わ、私はもう……」

ルビィ「あー、そういうのいいから。曜さんのこと好きなんでしょ?」

花丸「ごめんね。盗み聞きするつもりはなかったんだけど……」

善子「さっきの独り言聞いてたの?」

ルビィ「よかった。善子ちゃん、本当に曜さんのこと嫌いになったのかと思っちゃったよ」

花丸「無理に忘れようとしてたんだね。だから知らないふりしたんだ?」

善子「……」

ルビィ「それとね、善子ちゃんがAqoursに必要ないなんて、そんなこと二度と言わないでよ」

花丸「善子ちゃんがAqoursのこと大好きなの、よく分かるもん……」

善子「何があったのか、聞かないのね」

ルビィ「聞いてもいいの?」

善子「……」

花丸「話したくないかなと思って聞かなかったのに……聞いてほしかったならそう言ってよ」

善子「別に。話したいわけじゃないけど」

花丸「なら聞かないよ」

ルビィ「ルビィは気になるなぁ……なんて」エヘヘ

善子「曜さんって誰にでもベタベタするじゃない?」



162: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:58:08.44 ID:/T4OrUS6.net

.



163: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:58:40.17 ID:/T4OrUS6.net

花丸「えっと……頭撫でたりとか?」

ルビィ「ちょっとドキドキしちゃうよね」

善子「平気で他の女の子に抱きついたりするのよ」

花丸「善子ちゃんの前ではしないでしょ」

善子「するわよ。何の悪びれもなく堂々とね」

ルビィ「あっ、それで善子ちゃんがヤキモチ妬いちゃったんだね」

善子「……」

花丸「でも……曜さんが本当に好きなのは善子ちゃんだけだと思うな」

善子「やめてよ。慰めてるつもり?」

花丸「え? 善子ちゃんを見るときの曜さんの目、すごく優しい目をしてるよ」

ルビィ「あー、何かね、本当に特別なんだなって思っちゃう」

善子「街で可愛い子を見かけるたびにニヤついてるけど?」

ルビィ「それは……曜さんが悪いね」

花丸「こっちの気も知らないで……」ボソッ

善子「曜さんが誰かに『大好き』って言うたびに私……すごく苦しくなるのよ」

ルビィ「善子ちゃん泣きそうな顔してるもんね」

善子「してないわよ」

花丸「してるよ」

善子「曜さんは私がヤキモチ妬いてることすら楽しんでるのよ。酷いわよね」

ルビィ「それはルビィでも怒るかなぁ」

花丸「善子ちゃんに甘えてるんだね」

善子「え?」

花丸「善子ちゃんは優しいから絶対笑って許してくれる……。それが分かってるから、ちょっとやりすぎちゃうのかも」

ルビィ「善子ちゃんのことだから、ただでは許さないと思うけどねぇ」

花丸「許してほしかったらアレしなさいコレしなさいって無茶なこと言いそう」

善子「曜さんはね、よく私のためなら何でもするって言うの……」

ルビィ「何でも?」

善子「何でもよ。さすがに激辛生姜は食べられなかったみたいだけど」

花丸「そんなの食べさせたの? 善子ちゃんもなかなか酷いね」

善子「いや、あれは……」



164: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:59:09.18 ID:/T4OrUS6.net

善子「って、さすがに言えないわよね」ボソッ

ルビィ「そっか。曜さんは、善子ちゃんに何かお願いされるのが大好きなんだね」

善子「そのくせ、他の人にベタベタしないでって言ってもやめてくれないの」

花丸「うーん……」

善子「私が本当に嫌なことはしないって言ってるけど……。なら、やめてくれたっていいんじゃない?」

ルビィ「曜さんって、好きな子はいじめたくなっちゃうタイプなのかな?」

花丸「それは……何と言うか、子どもっぽいね」

善子「そう! 私より年上で背も高くて胸もあるくせに子どもなの!」

ルビィ「胸?」

善子「あ、いや何でもない」

花丸「マルたちから見ると大人っぽく見えるけどな」

ルビィ「善子ちゃんにだけ見せてるのかも?」

善子「……それは嬉しいけど、もっと他に見せ方あるんじゃない?」

花丸「例えば?」

善子「えーと……」

 曜『善子ちゃんのことお姉ちゃんって呼んでもいい?』

善子「うん、ろくでもないことしか思い浮かばないわね」

ルビィ「ちなみに今、どんなこと想像したの?」

善子「別に」カァアア

花丸「……まあ、善子ちゃんもそれなりに面倒くさいところあるしね」

善子「何でよ」

ルビィ「曜さんのスマホチェックしたんだってね」

善子「あ……あれは曜さんが変なメール送ってるから……」

善子「ってどうしてルビィが知ってるのよ」

ルビィ「あの時見てたから」

花丸「ほら、マルとルビィちゃんでショッピングモールに行ったときに偶然二人を見かけて……」

善子「そんなところから見てたの!?」

ルビィ「そう言えば、犬飼うの?」

善子「ん?」

ルビィ「首輪選んでたから」



165: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 00:59:59.02 ID:/T4OrUS6.net

花丸「しかも、かなりゴツいやつだった気が……」

善子「あれは新しい衣装の参考にと思って」

ルビィ「衣装って、まさかルビィたちも着る衣装!?」

花丸「犬の首輪……ええと、冗談だよね?」

善子「いや、たぶん却下されるから心配しないでいいわ」

ルビィ「……」

花丸「着たいの?」

ルビィ「えっ!? べ、別に!」

善子「仕方ない、待っていてもいつまでも来なそうだし」スタッ

花丸「曜さんの家?」

善子「ええ」

ルビィ「一人で行くの?」

善子「大丈夫。二人はちゃんと講習出ないとダメよ」フラッ

花丸「あっ……」ガシッ

善子「おっと、ごめんなさい。寝不足なの忘れてたわ」

ルビィ「ルビィも行くよ」

花丸「マルも行く。でも、曜さんとは一人でお話してね?」

善子「分かってる。これは私と曜さんの問題だもの……」

ルビィ「えっと……次のバスはね、十分後! ナイスタイミングだね」

花丸「これもおみくじの効果なのかな」

善子「えっ……何でそんなことまで」

ルビィ「花丸ちゃんのおみくじ、大吉だったんだよ! しかも、お願い事が何でも叶うの!」

花丸「ちょっと嘘くさいけど……」アハハ

善子「……」ハァ

ルビィ「それでね、何てお願いしたと思う? 善子ちゃんと……」

善子「それ、私も同じの引いたわ」

花丸「そうなの?」

善子「でもありがと。おかげでちょっと元気が出た」

ルビィ「うん! 善子ちゃんなら絶対大丈夫だよ!」

花丸「ふふ」



166: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 01:00:34.53 ID:/T4OrUS6.net

善子「大丈夫……曜さんの家までくらい、何とか」フラッ

……

 校門前 バス停

ブロロ……

千歌「あ、やっとバス来たよ。あれはここで折り返しだから沼津駅行きになるはず……」

梨子「あれ?」

千歌「ん? どうかした?」

梨子「曜ちゃんじゃない?」

千歌「あっ……」

プシュー ガラガラ

曜「……」スタッ

千歌「遅かったじゃん。朝練終わっちゃったよ」

梨子「おはよう」

プシュー

ブロロ……

曜「おはよう……」

千歌「今から梨子ちゃんとぶん殴りに行こうと思ってたところだよ」

梨子「ぶん……!? わ、私はそんなことしないよ!」

曜「善子ちゃんは来てる……?」

千歌「来てるよ。目を真っ赤にして、フラフラなのに朝練もサボらず出たしね」

梨子「曜ちゃんと違って頑張り屋さんだね」

曜「そっか……うん」

千歌「酷い髪型」

梨子「寝ぐせ? 曜ちゃんにしては珍しい」

曜「……」

千歌「まあいいや、行こうか」グイッ

曜「わっ、ちょっと……」

梨子「善子ちゃんは教室かな? もう講習始まってるから……終わるまで待った方がいいかもね」

千歌「何言ってるの、途中だってそんなの知らないよ」

梨子「えぇ……」



167: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 01:01:17.32 ID:/T4OrUS6.net

……

 学校 玄関

善子「ごめん……ちょっと休ませて」ハァハァ

ルビィ「だ、大丈夫? 汗すごいよ」

花丸「もしかして風邪引いてる……?」

善子「そうかも……何だか寒気もするし」ブルッ

ルビィ「……やっぱり無理はよくないよね」

花丸「うん……。もう少し休んで、帰りに寄ればいいんじゃないかな」

善子「ダメよ。今行きたいの」

ルビィ「気持ちは分かるけど……こんなフラフラなのにお話なんてできないよ」

花丸「朝練だって無理に出なくてもよかったのに」

善子「曜さんが来るかと思って……それで」

ルビィ「え? でも善子ちゃん、曜さんの名前も忘れちゃってなかった?」

善子「あ、あれはその……」

花丸「善子ちゃん、本当に素直じゃないんだから」

善子「放っといて」

「はぁ……本当に曜ちゃんって素直じゃないよね」

「うるさいなぁ……」

「もう少し素直になってもいいんじゃないかな……?」

ルビィ「ん?」

花丸「千歌さんと梨子さん……それに曜さんも」

善子「え……」

ルビィ「善子ちゃん、行ける?」

善子「行くわよ」グッ

花丸「行ってらっしゃい」トンッ

善子「曜さん!」

千歌「善子ちゃん!? どうしたのこんなところで」

梨子「すごい汗……。顔色悪いよ? 大丈夫?」

善子「ええ……。何とか」

曜「……」



168: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 01:01:50.40 ID:/T4OrUS6.net

善子「朝練サボるなんていい度胸してるじゃない」

曜「だって……」

善子「そんなに私と会うのが嫌だったの?」

曜「何て謝ったらいいか……分からなくて」

善子「……」

曜「ごめんなさい」ペコッ

善子「何に対して?」

曜「善子ちゃんの気持ち……本当は分かってたのに」

曜「嘘ついてごめんなさい」

善子「……」

曜「善子ちゃんが梨子ちゃんにキスしたとき……もう嫌われたなって思ったよ」

善子「思ってくれたのね」

曜「まさか本当にするなんて……絶対しないと思ってたから」

善子「私だってやるときはやるのよ」

曜「恋人だから大丈夫って、甘えすぎてたよね……」

善子「……」

曜「善子ちゃんにつらい思いさせて……本当に」

曜「ごめんなさい!!」ペコッ

善子「バカね……」グスッ

曜「許してくれるなんて思ってないよ」

曜「でも……私にできることなら何でもするから」

善子「だからその『何でも』ってやつ」

曜「あっ……ごめん」

善子「大丈夫よ。許さないから」

曜「……え?」

善子「許さない」

曜「……」

善子「だから私の言うことなんて聞かなくていいわ」

曜「ま、待ってよ! 酷いことしたとは思ってる……だけどさ」

善子「……」



169: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 01:03:15.41 ID:/T4OrUS6.net

.



170: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 01:04:18.05 ID:/T4OrUS6.net

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171: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 01:04:46.38 ID:/T4OrUS6.net

曜「こんなこと言うのずるいって分かってる……」

曜「でもやっぱり私……善子ちゃんのこと大好きなんだよ!!」

善子「そう……」

曜「善子ちゃんが私のこと嫌いでもいいよ……」

曜「それでも私は……善子ちゃんのことが大好きだから」グスッ

曜「ごめんね、自分勝手で」フキフキ

善子「私は曜さんのこと許さないけど……それでも好きって言ってくれるなら」

善子「これからも私のそばに……」

善子「いてほしい……と思う」

曜「許してはくれないの……?」

善子「許さないから、私の言うことなんて聞かないで」

曜「えっと……」

善子「私がお願いしたからじゃなくて!!」

善子「曜さんが自分の意志で……決めてほしいの」

善子「その……私のそばにいてくれるかどうか」

善子「私の、恋人でいてくれるのかを……」

曜「……っ!!」ダッ

ギュッ

曜「もう善子ちゃんのお願いは聞かないよ」

曜「私は……善子ちゃんのそばにいたい」

曜「だから……私の恋人でいてください!!」

善子「……」

曜「だめ……かな?」

善子「それはお願い?」

曜「ううん。善子ちゃんが決めていいよ」

善子「そう……」

曜「……」

善子「じゃあ、私は曜さんの恋人でいるわ」

曜「えへへ。私も」

善子「やっと曜さんの本当の気持ちを聞けた気がする……」



173: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 01:05:15.12 ID:/T4OrUS6.net

曜「そうかな? 私はずっと本当のことを言ってたつもりだけど」

善子「どこがよ」

曜「おしっこ飲みたいとか」

善子「……は??」

曜「ごめん、今のは冗談」

善子「空気読めなさすぎでしょ」

曜「うん、反省してる……」

善子「本当に反省してる?」

曜「してるよ」

善子「どうやって信じればいいのかしら」

曜「えっと……お願い聞くのもダメなんだから……どうやって信じてもらえばいいんだろ?」

善子「……」

曜「うーん……土下座?」

善子「あのねぇ……」ハァ

曜「違ったか。ううん、そうだよね。ええと……」

善子「恋人なんでしょ? 他に気持ちの伝え方とかないの?」

曜「あっ……」

善子「……」

曜「キス、してもいい?」

善子「黙ってしなさいよバカ」



174: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 01:06:06.88 ID:/T4OrUS6.net

チュッ

曜「んっ……」

善子「……」

曜「ねぇ」

善子「何?」

曜「善子ちゃん、もしかして風邪引いてる?」

善子「え? 熱っぽくてフラフラするけど……たぶん寝不足だと思うわよ」

曜「風邪が移ったら善子ちゃんのせいだね……」チュッ

善子「だ、誰のせいで寝不足になったと……思ってるのよ」

曜「私に移して善子ちゃんの風邪が治るならいいよ」

善子「……」

曜「って、前の私なら言ったかもなぁ」アハハ

善子「言わないの?」

曜「一緒に引いてあげるよ」

善子「う、うーん……」

曜「善子ちゃんと少しでも同じ気持ちになれるように……」

善子「何よ、風邪引かないと私の気持ち分からないの?」

曜「飲ませてくれたら一瞬で分かると思う」

善子「何をよ。言っとくけどおしっことか言ったら引っ叩くわよ」

曜「善子ちゃんのおしっこが飲みたい」

善子「聞こえなかったの? 引っ叩くって言ったんだけど」

曜「いいよ」

善子「えっ……まさか叩かれたいの?」ヒキ

曜「あっ、ちょっと待って。何か誤解してない?」

善子「叩かれたいわけじゃないのね……」ホッ

曜「叩かれたいけど、そういう意味でじゃないよ」

善子「他にどんな意味があるのよ」

曜「もう嘘はつかないから、善子ちゃんも嘘はつかないで」

善子「……叩きたければ叩けってこと?」

曜「そう」



175: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 01:06:40.78 ID:/T4OrUS6.net

善子「えぇ……」

曜「私に飲ませたくなったら、飲ませてくれればいいよ」

善子「たぶん一生ならないと思うわよ」

曜「訂正。飲ませてもいいかなってほんの少しでも思ってくれたら、飲ませてくれると嬉しいな」

善子「何それ」フフッ

曜「飲ませて」

善子「嫌」

曜「お願い」

善子「お願いは禁止でしょ?」

曜「善子ちゃんのお願いは聞かないけど、私はお願いしないなんて言ってない」

善子「めちゃくちゃね」

曜「それとも……飲ませたいから飲ませてくれるの?」

善子「……」

曜「本当に嫌?」

善子「……今日だけだからね?」

曜「本当!!?」ガシッ

善子「わっ、ちょっと……」

曜「善子ちゃんから飲ませたいなんて! 夢みたいだよ……」スルッ

善子「バカっ! みんな見てるわよ!?」

曜「え? もうみんないないけど」

善子「あれっ!? 確かそこに……」

曜「みんな私と違って空気読めるからなぁ」アハハ

善子「でもダメ! こんなところ、誰が来るか分からないじゃない!」

曜「そこがまたいいんでしょ?」

善子「変態か! んなわけないでしょ」



176: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 01:07:15.86 ID:/T4OrUS6.net

曜「じゃあ……」

善子「私、熱っぽくてフラフラするんだけど」

曜「なるほど。それじゃ保健室に連れて行かなきゃね」ガシッ

善子「ひゃっ!?」

曜「歩くの大変でしょ? 私が連れて行ってあげる」

善子「だからってこれ! お姫様抱っこはやめなさい!!」

曜「善子ちゃんのお願いは聞きませーん」

善子「くっ……!」

曜「本当に嫌だったら言ってね?」

善子「こ、この……」

曜「やめる?」

善子「バカぁ!!」

パーン

曜「えへへ」ヒリヒリ

善子「何笑ってんのよ気持ち悪い!」

曜「大好きだよ」

善子「わ、私もよ」

曜「うん」

善子「……」カァアア

曜「おっと、本当に熱っぽい感じだね」ピトッ

善子「いいから……早く連れていきなさいってば……」

曜「ふふ」



おね正月編 終わり



177: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 01:30:05.57 ID:/T4OrUS6.net

昨日中に投下する予定だったのですが、最後の最後まで路線が決まらず遅くなりました
(待っていてくださった方には申し訳ない……)

当初の予定ではちょっと重たいシリアスやって終わり(完結)にしようかなと思ったのですが、
やっぱりまだ書きたいこともあるし、撒いただけで回収してない伏線(というほどのものでもないですが)もあるので続く形にしました

相変わらず(善子ちゃんからしてみれば)浮気性な曜ちゃんだったので、こうなることは若干予測できたかなと思います
誰がどう見ても相思相愛なのに、関係が進むほどに「好き」が重くなってすれ違いも目立つようになっていましたが、
ここにきてやっと二人の溝が埋まる方向に進んだかなという感じはします

読んでて「これでいいのか?」と思った方もいるかもしれませんが
そこまで完全に解決しちゃうと書くことなくなっちゃいますので、ひとまずこの辺で落としてみました

前スレから読んでくださってる方には「この台詞、前にも見たぞ?」というところがあるかと思います
気づいてもらえると嬉しいです


あと、最後のおしっこシーンはご想像にお任せします
(さすがに蛇足かなと思いました)



178: 名無しで叶える物語 2018/01/30(火) 04:07:18.44 ID:eFPc6lLH.net

一旦乙
めんどくさいのを拗らせてきて心配したけどちゃんと気持ちが伝わって良かった…
普段はオープンな感じの曜ちゃんが、恋人との話になると仮面を被って、
善子ちゃんはその逆だったりで対比になってるのホントすち…


元スレ
曜「善子ちゃんをくすぐり続けたら失禁した」その2
http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1517118470/