1: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 21:46:41.31 ID:Re51A3uW.net
ダイヤ「どうかなさいましたか?」ガラッ
曜「おっはよーっ!」ガラッ
ダイヤ「あら、曜さん」
『』ガラッ
ダイヤ「あなたも…と、いうことはもしかして」
曜「あぁ!宣材写真、今回はダイヤさんとなんだね!」
ダイヤ「なるほど…そういうことでしたか」
ダイヤ「よろしくお願いしますね、曜さん」
曜「お任せあれ!」
ダイヤ「それで?今月のテーマはなんですの?」
『』
ダイヤ「なるほど。バレンタインデー、ですか」
3: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 21:49:46.41 ID:Re51A3uW.net
曜「バレンタイン、一昨年もやったよね。鞠莉ちゃんと善子ちゃんだったっけ」
ダイヤ「今回は私たちでしたか」
曜「シチュエーションはどんな感じ?前はパティシエな感じだったけど…」
『』
ダイヤ「はぁ…」
曜「私とダイヤさんで?」
ダイヤ「曜さん、その…ポッキーゲーム?とは、なんですか?」
曜「えっ、知らないの?」
ダイヤ「知ってますの?」
曜「それは…もちろん」
ダイヤ「私、こういう事にはあまり詳しくなくて…」
曜「あぁ、ポッキーゲームっていうのはね――」
『』
曜「え?実演した方が早いって?」
ダイヤ「ゲーム…準備などは必要なのですか?」
曜「ポッキーが1本あれば大丈夫だよ♪じゃあダイヤさん、着替えてこよ!」
『』
曜「いってくるであります!」
ダイヤ「え、えぇ…着替えてきますわ」
― 明転 ―
曜「完成ー!へへっ、どう?いつもと違う髪型って言われたから、後ろで結んでみたよ!」ピョコン
『』
曜「えへへ、ありがとっ!」
曜「…あれ、ダイヤさん来ないなぁ」
ダイヤ「…あの」
曜「あぁもう、隠れちゃってー!可愛くて似合ってるって!」グイッ
ダイヤ「きゃっ…あ、え、っと…」モジモジ
曜「ダイヤさんはゆるふわカールにしてみました~」
ダイヤ「…あの…に、似合っていますか?」
『』
ダイヤ「…そう、ですか…ありがとう、ございます」
ダイヤ「ん、んんっ…それで、ポッキーゲーム…というのはどういうゲームなのですか?」
『』スッ
曜「ん、ありがと!じゃあダイヤさん、これ咥えて!」
ダイヤ「? はい…これでいいでしょうか?」
曜「オッケー!じゃあ、じっとしててね…」ズイッ
ダイヤ「…曜ひゃん?」
曜「んっ」パクッ
ダイヤ「?」
曜「へへへ」サク
ダイヤ「……???」
曜「んー」サクサク
ダイヤ「………!!」カァァ
ダイヤ「なっ、なな…」ポロッ
曜「あぁ、ダメだよダイヤさん!口離したらポッキーゲームにならないって」サクサクサク
ダイヤ「こ、これって、こんなの…破廉恥ですわ!」
曜「ハレンチ?」
ダイヤ「っていうか、平然と私が口を付けた方まで食べないでください!!」
曜「?」
ダイヤ「だ、だって、曜さん…これ、最後まで食べ進めたらどうなるか、わかってるんですの…?」
曜「?」
ダイヤ「で、ですから…」
ダイヤ「き、きすを……」カアァァァ
曜「鱚?」
『』
曜「そうそう!あなたの言う通りだよ~」
曜「ダイヤさん!ほら、他のみんなの撮影も詰まってるんだから、早く済ませちゃおうよ!」
曜「はーむっ」パクッ
曜「ん!」
ダイヤ「ぶ…」カアァ
曜「?」
ダイヤ「ぶっぶー、ですわ……」
『』パシャッ
ダイヤ「だ、だめですっ、曜さん…私、初めては大事に、したいのでっ…うぅ、勘弁してください……」
ダイヤ「あなたも…どうか、今回ばかりは…許してください…」
曜「…どうする?」
『』
曜「え?いい絵が撮れたからオッケー?」
ダイヤ「い、いつの間に…」
『』
曜「はいはーい、じゃあもうひとつの方に着替えてくるね!渡辺曜、覚醒~!」
ダイヤ「…行って参ります」ムスッ
『』
https://i.imgur.com/AZGygGb.jpg
※一応新URネタバレ注意
『』グッ
おわり
新URの推しカプがかわいかったので突貫工事
以下おまけ
2月14日――。
そう。
バレンタインデー。
浦女がミッションスクールだからって、特別イベントがあるわけでもないけれど――。
お祭りだとか、イベントごとに敏感な、うちの生徒たちは。
毎年、お互いにチョコを持ち寄って――交換しあう。
わたくしは、バレンタインデーなんて――時流に乗って騒ぐだけの、軽薄で真実のない物だと思っているのよ?
でも――。
「え~~~!?お姉ちゃんだって、スクールアイドルなんだから――バレンタインのチョコくらい作ろうよ~~!!」
ルビィが騒ぎ立てるから、仕方なく――手作りチョコを作ることにしたの。
まあ――。
世間に流されて告白をするわけでもないし――と、心の中で言い訳をして。
チョコレートを作りました。
味には自信があってよ?
ただ――いくつもばらまいては、ありがたみが無くなってしまうでしょう?
ウフフ♡
だから、ルビィとは違ってひとつだけ。
我ながら、やたらと凝ってしまったチョコレートを――ひとつだけ、準備したの。
♡♡♡♡♡♡
持ってきてみたはいいものの、これ、誰にあげようかしら――。
わたくしは、その答えを出せないまま――気づけば、学校までの坂道を登り終えていました。
妙に、考え込んでしまったわ。
まあ――。
どうせなら、一番最初にチョコレートをくれた子に、お返しとして渡そうかしら。
あぁ、こんなに考えることになるなら――意地を張らずに、
せめてAqoursの7人に配るくらいは作るべきだったわね(わざわざ人前でルビィにまであげる必要はないわ)
校舎には、まだ人の気配が少ない。
わたくしは、生徒会の仕事や朝の放送の準備があるから――いつも、少し早く登校するの。
この、ただでさえ人のいない浦女が――さらに静かになるひととき。
そこから、だんだんにぎやかになっていく――この朝の時間が。
わたくしは結構、気に入っていてよ♡
玄関で靴を履き替えていると――すごい勢いで走り寄ってくる足音が、背後から聞こえました。
「ダイヤちゃーんっ!!」
振り返ると、この時間にはあまりにも意外な――曜ちゃんの顔が、目の前にあった。
「おっとと――勢いあまり過ぎちゃった♪」
いつも始業ギリギリに教室に駆け込んでくる遅刻魔の曜が、こんな時間に学校に来るなんて――。
「いったいどうしたの?始業まではまだ30分以上あるのに――」
「いや~、みんなのチョコを楽しみにしてたら、早起きしちゃって!」
曜ちゃんはへらへら笑って、わたくしに向けて両方の手のひらを差し出してきました。
「ってことで――ダイヤちゃん、チョコちょうだい♡」
まあ――そんなことだろうと、思ったわ。
半分呆れながらも、鞄の中のチョコに手をかけたところで――。
あることを懸念して、曜に声をかけました。
「曜ちゃん、あなた――チョコは持っているのよね?」
「え?」
予感的中――。
浦女のヒーロー、渡辺曜ちゃんは――チョコレートはもらうものとして、認識しているみたい。
別に、誰にあげるとか決めていたわけじゃないし――。
素直にあげてしまってもよかったんだけれど――。
ひとつしかないチョコレートを、この子に渡すのを――躊躇ってしまったの。
「あ――そういうことか」
ひとりで納得して――曜ちゃんは、おもむろに鞄をがさごそ漁り始めました。
そうして、ポッキーの箱を取り出したと思ったら――。
「みんなへのお返しに、ポッキー持ってきたんだ~♪ はい!」
わたくしに、1本のポッキーを向けてきたわ。
……。
これだけ?
「む――もしかしてダイヤちゃん、チョコ持ってない?」
流石の曜ちゃんでも、わたくしが顔をしかめたのを察したみたい。
わたくしに向けたポッキーをさくさくと食べて、口を尖らせました。
「持ってはいるのだけれど――」
どう説明したものかしら。
「もしかして、ポッキーじゃダメだった?じゃあホワイトデーにお返しするから!」
「ホワイトデーには、もう浦女も無いし――わたくしも卒業しているわよ」
「あ――そっか」
少ししょんぼりしたように見える曜ちゃんにかける言葉を探していると――。
別に落ち込んでいたわけではなかったみたい。
曜ちゃんから、ある提案を受けたわ。
「じゃあ、曜がゲームで勝ったらそのチョコをちょうだい!」
「ゲーム?」
しまった――。
つい、乗ってしまったわ――。
何をするのかと思えば、またポッキーを取り出してわたくしに向けて、にしし――と笑った曜ちゃん。
「ポッキーゲームっていうんだけど――知ってる?」
わたくし、ゲームとか、女子高生の流行――みたいな分野には疎いから――。
「曜も昨日テレビで知ったんだけど――」
♡♡♡♡♡♡
曜ちゃんから説明を受けて、わたくしのチョコを賭けてポッキーゲームが始まった。
の、だけれど――。
これ、女の子同士でやるゲームじゃ――ないんじゃない?
もしこのまま、2人とも負けを認めずにポッキーを食べ進めていったら――。
……。
「っ――!」
目線の端に、玄関に近づいてくる生徒の影が見えた。
そういえば――まったく気にしていなかったけれど、玄関でこんなことをしているのよね。
……。
そんなことを考えているうちに――いつのまにか、鼻と鼻が触れるような距離にまで。
曜ちゃんと近づいていた。
さくさくと何も考えずにポッキーを食べ進める曜ちゃん。
ちょっと――どうしてそんなに、遠慮が無いのよ――!
唇と唇が触れ合う、その寸前――。
わたくしはポッキーを噛み折って、のけぞった。
「あ――やったぁ~~~!! 曜の勝ちだね!」
いつもと変わらない、満面の笑みを浮かべる曜ちゃんが恨めしい。
わたくしが――どれだけドキドキしていたかも知らないで。
「はぁ――約束は約束よね」
鞄から包みを取り出す。
「はい、これ――あげるわ」
なんだか、素直に渡すのが気恥ずかしくて――顔を逸らしてしまった。
「わぁ~~~い、ありがとぉ~~~♡♡ 大切に食べさせていただくであります! ヨ~ソロ♪」
そんなわたくしのことは気にせず――ご機嫌な曜ちゃんは、
ホップステップジャンプで――廊下を走り抜けていったのでした。
♡♡♡♡♡♡
わたくしはモヤモヤとした気持ちのまま――生徒会室で仕事を進めていました。
まったく――。
曜ちゃんってああいう子だとはわかっていても――誰にあげるかも決めていなかったチョコレートだとしても。
せっかく、わたくしのたったひとつの、手作りチョコレートなのよ?
もう少し、なにかあってもよかったんじゃないの――?
まあ――曜ちゃんにはそんな事情、話していないんだから――知る由もないんだけれど。
ふと、さっきのポッキーゲームのことを思い出しました。
目前に迫る、曜ちゃんの顔。
……。
一部では浦女のヒーロー、だなんて呼ばれていて、女子人気の高い曜ちゃんだけれど。
まあ――その。
なんとなく――その理由が、わかった気がするわ。
って、わたくし――恋する乙女、みたいになってない?
ああ、もう――。
これだからバレンタインなんて――と、もやもやと色々考えているうちに。
きーん、こーん、かーん、こーん。
いけない――もうこんな時間?
ろくに手がつけられなかった書類をまとめて、ドアに手をかける。
……。
廊下がちょっと騒がしいわね。
いったい、なにかしら――。
生徒会室を出た途端、目が合ったひとりの生徒が駆け寄ってきて――。
「生徒会長、曜ちゃんと両思いって本当ですか――!?」
「は――はい?」
思わず聞き返してしまった。
「朝、ポッキーゲームしてチョコ渡してたって――噂になってますよ!」
「え――」
もしかして――見られてた?
「違うわ、それは誤解で――」
「あ、ダイヤ!」
「鞠莉――」
背後から近寄ってきた鞠莉が、わたくしの耳元でささやきます。
「ダイヤ、まさか曜とデキてたなんて思わなかったよ~♪」
「なっ――」
まさか――。
朝の、あの人影――。
よりにもよって、鞠莉だったの――?
「マリーは別にいいと思うけど――グループ内恋愛はスキャンダルの元だってルビィも言ってたよ? Be careful♪」
あっけに取られるわたくしをよそに、肩をポンと叩いて歩き去る鞠莉。
あぁ、やっぱり――。
チョコなんて、作ってくるんじゃなかったわ――。
おわり
URダイヤさんあたれ
元スレ
【SS】ようダイポッキーゲエエエエエエエエエエエエエエエム
http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1518612401/
曜「バレンタイン、一昨年もやったよね。鞠莉ちゃんと善子ちゃんだったっけ」
ダイヤ「今回は私たちでしたか」
曜「シチュエーションはどんな感じ?前はパティシエな感じだったけど…」
『』
ダイヤ「はぁ…」
曜「私とダイヤさんで?」
ダイヤ「曜さん、その…ポッキーゲーム?とは、なんですか?」
曜「えっ、知らないの?」
ダイヤ「知ってますの?」
曜「それは…もちろん」
4: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 21:52:10.72 ID:Re51A3uW.net
ダイヤ「私、こういう事にはあまり詳しくなくて…」
曜「あぁ、ポッキーゲームっていうのはね――」
『』
曜「え?実演した方が早いって?」
ダイヤ「ゲーム…準備などは必要なのですか?」
曜「ポッキーが1本あれば大丈夫だよ♪じゃあダイヤさん、着替えてこよ!」
『』
曜「いってくるであります!」
ダイヤ「え、えぇ…着替えてきますわ」
5: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 21:53:50.23 ID:Re51A3uW.net
― 明転 ―
6: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 21:55:54.47 ID:Re51A3uW.net
曜「完成ー!へへっ、どう?いつもと違う髪型って言われたから、後ろで結んでみたよ!」ピョコン
『』
曜「えへへ、ありがとっ!」
曜「…あれ、ダイヤさん来ないなぁ」
ダイヤ「…あの」
曜「あぁもう、隠れちゃってー!可愛くて似合ってるって!」グイッ
ダイヤ「きゃっ…あ、え、っと…」モジモジ
曜「ダイヤさんはゆるふわカールにしてみました~」
ダイヤ「…あの…に、似合っていますか?」
『』
ダイヤ「…そう、ですか…ありがとう、ございます」
8: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 21:58:28.37 ID:Re51A3uW.net
ダイヤ「ん、んんっ…それで、ポッキーゲーム…というのはどういうゲームなのですか?」
『』スッ
曜「ん、ありがと!じゃあダイヤさん、これ咥えて!」
ダイヤ「? はい…これでいいでしょうか?」
曜「オッケー!じゃあ、じっとしててね…」ズイッ
ダイヤ「…曜ひゃん?」
曜「んっ」パクッ
ダイヤ「?」
曜「へへへ」サク
ダイヤ「……???」
曜「んー」サクサク
ダイヤ「………!!」カァァ
ダイヤ「なっ、なな…」ポロッ
9: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 21:59:52.88 ID:Re51A3uW.net
曜「あぁ、ダメだよダイヤさん!口離したらポッキーゲームにならないって」サクサクサク
ダイヤ「こ、これって、こんなの…破廉恥ですわ!」
曜「ハレンチ?」
ダイヤ「っていうか、平然と私が口を付けた方まで食べないでください!!」
曜「?」
ダイヤ「だ、だって、曜さん…これ、最後まで食べ進めたらどうなるか、わかってるんですの…?」
曜「?」
ダイヤ「で、ですから…」
ダイヤ「き、きすを……」カアァァァ
曜「鱚?」
10: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 22:01:47.44 ID:Re51A3uW.net
『』
曜「そうそう!あなたの言う通りだよ~」
曜「ダイヤさん!ほら、他のみんなの撮影も詰まってるんだから、早く済ませちゃおうよ!」
曜「はーむっ」パクッ
曜「ん!」
ダイヤ「ぶ…」カアァ
曜「?」
ダイヤ「ぶっぶー、ですわ……」
『』パシャッ
ダイヤ「だ、だめですっ、曜さん…私、初めては大事に、したいのでっ…うぅ、勘弁してください……」
ダイヤ「あなたも…どうか、今回ばかりは…許してください…」
11: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 22:05:57.21 ID:Re51A3uW.net
曜「…どうする?」
『』
曜「え?いい絵が撮れたからオッケー?」
ダイヤ「い、いつの間に…」
『』
曜「はいはーい、じゃあもうひとつの方に着替えてくるね!渡辺曜、覚醒~!」
ダイヤ「…行って参ります」ムスッ
『』
https://i.imgur.com/AZGygGb.jpg
※一応新URネタバレ注意
『』グッ
12: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 22:06:44.04 ID:Re51A3uW.net
おわり
新URの推しカプがかわいかったので突貫工事
15: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 22:12:35.60 ID:Re51A3uW.net
以下おまけ
17: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 22:18:27.90 ID:Re51A3uW.net
2月14日――。
そう。
バレンタインデー。
浦女がミッションスクールだからって、特別イベントがあるわけでもないけれど――。
お祭りだとか、イベントごとに敏感な、うちの生徒たちは。
毎年、お互いにチョコを持ち寄って――交換しあう。
わたくしは、バレンタインデーなんて――時流に乗って騒ぐだけの、軽薄で真実のない物だと思っているのよ?
でも――。
「え~~~!?お姉ちゃんだって、スクールアイドルなんだから――バレンタインのチョコくらい作ろうよ~~!!」
ルビィが騒ぎ立てるから、仕方なく――手作りチョコを作ることにしたの。
18: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 22:22:24.34 ID:Re51A3uW.net
まあ――。
世間に流されて告白をするわけでもないし――と、心の中で言い訳をして。
チョコレートを作りました。
味には自信があってよ?
ただ――いくつもばらまいては、ありがたみが無くなってしまうでしょう?
ウフフ♡
だから、ルビィとは違ってひとつだけ。
我ながら、やたらと凝ってしまったチョコレートを――ひとつだけ、準備したの。
♡♡♡♡♡♡
19: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 22:25:19.19 ID:Re51A3uW.net
持ってきてみたはいいものの、これ、誰にあげようかしら――。
わたくしは、その答えを出せないまま――気づけば、学校までの坂道を登り終えていました。
妙に、考え込んでしまったわ。
まあ――。
どうせなら、一番最初にチョコレートをくれた子に、お返しとして渡そうかしら。
あぁ、こんなに考えることになるなら――意地を張らずに、
せめてAqoursの7人に配るくらいは作るべきだったわね(わざわざ人前でルビィにまであげる必要はないわ)
校舎には、まだ人の気配が少ない。
わたくしは、生徒会の仕事や朝の放送の準備があるから――いつも、少し早く登校するの。
この、ただでさえ人のいない浦女が――さらに静かになるひととき。
そこから、だんだんにぎやかになっていく――この朝の時間が。
わたくしは結構、気に入っていてよ♡
20: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 22:26:54.73 ID:Re51A3uW.net
玄関で靴を履き替えていると――すごい勢いで走り寄ってくる足音が、背後から聞こえました。
「ダイヤちゃーんっ!!」
振り返ると、この時間にはあまりにも意外な――曜ちゃんの顔が、目の前にあった。
「おっとと――勢いあまり過ぎちゃった♪」
いつも始業ギリギリに教室に駆け込んでくる遅刻魔の曜が、こんな時間に学校に来るなんて――。
「いったいどうしたの?始業まではまだ30分以上あるのに――」
「いや~、みんなのチョコを楽しみにしてたら、早起きしちゃって!」
曜ちゃんはへらへら笑って、わたくしに向けて両方の手のひらを差し出してきました。
「ってことで――ダイヤちゃん、チョコちょうだい♡」
まあ――そんなことだろうと、思ったわ。
半分呆れながらも、鞄の中のチョコに手をかけたところで――。
あることを懸念して、曜に声をかけました。
「曜ちゃん、あなた――チョコは持っているのよね?」
「え?」
21: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 22:29:25.46 ID:Re51A3uW.net
予感的中――。
浦女のヒーロー、渡辺曜ちゃんは――チョコレートはもらうものとして、認識しているみたい。
別に、誰にあげるとか決めていたわけじゃないし――。
素直にあげてしまってもよかったんだけれど――。
ひとつしかないチョコレートを、この子に渡すのを――躊躇ってしまったの。
「あ――そういうことか」
ひとりで納得して――曜ちゃんは、おもむろに鞄をがさごそ漁り始めました。
そうして、ポッキーの箱を取り出したと思ったら――。
「みんなへのお返しに、ポッキー持ってきたんだ~♪ はい!」
わたくしに、1本のポッキーを向けてきたわ。
……。
これだけ?
22: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 22:31:11.85 ID:Re51A3uW.net
「む――もしかしてダイヤちゃん、チョコ持ってない?」
流石の曜ちゃんでも、わたくしが顔をしかめたのを察したみたい。
わたくしに向けたポッキーをさくさくと食べて、口を尖らせました。
「持ってはいるのだけれど――」
どう説明したものかしら。
「もしかして、ポッキーじゃダメだった?じゃあホワイトデーにお返しするから!」
「ホワイトデーには、もう浦女も無いし――わたくしも卒業しているわよ」
「あ――そっか」
少ししょんぼりしたように見える曜ちゃんにかける言葉を探していると――。
別に落ち込んでいたわけではなかったみたい。
曜ちゃんから、ある提案を受けたわ。
「じゃあ、曜がゲームで勝ったらそのチョコをちょうだい!」
「ゲーム?」
しまった――。
つい、乗ってしまったわ――。
23: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 22:32:51.24 ID:Re51A3uW.net
何をするのかと思えば、またポッキーを取り出してわたくしに向けて、にしし――と笑った曜ちゃん。
「ポッキーゲームっていうんだけど――知ってる?」
わたくし、ゲームとか、女子高生の流行――みたいな分野には疎いから――。
「曜も昨日テレビで知ったんだけど――」
♡♡♡♡♡♡
24: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 22:35:13.02 ID:Re51A3uW.net
曜ちゃんから説明を受けて、わたくしのチョコを賭けてポッキーゲームが始まった。
の、だけれど――。
これ、女の子同士でやるゲームじゃ――ないんじゃない?
もしこのまま、2人とも負けを認めずにポッキーを食べ進めていったら――。
……。
「っ――!」
目線の端に、玄関に近づいてくる生徒の影が見えた。
そういえば――まったく気にしていなかったけれど、玄関でこんなことをしているのよね。
……。
そんなことを考えているうちに――いつのまにか、鼻と鼻が触れるような距離にまで。
曜ちゃんと近づいていた。
さくさくと何も考えずにポッキーを食べ進める曜ちゃん。
ちょっと――どうしてそんなに、遠慮が無いのよ――!
唇と唇が触れ合う、その寸前――。
25: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 22:37:41.22 ID:Re51A3uW.net
わたくしはポッキーを噛み折って、のけぞった。
「あ――やったぁ~~~!! 曜の勝ちだね!」
いつもと変わらない、満面の笑みを浮かべる曜ちゃんが恨めしい。
わたくしが――どれだけドキドキしていたかも知らないで。
「はぁ――約束は約束よね」
鞄から包みを取り出す。
「はい、これ――あげるわ」
なんだか、素直に渡すのが気恥ずかしくて――顔を逸らしてしまった。
「わぁ~~~い、ありがとぉ~~~♡♡ 大切に食べさせていただくであります! ヨ~ソロ♪」
そんなわたくしのことは気にせず――ご機嫌な曜ちゃんは、
ホップステップジャンプで――廊下を走り抜けていったのでした。
♡♡♡♡♡♡
26: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 22:42:06.18 ID:Re51A3uW.net
わたくしはモヤモヤとした気持ちのまま――生徒会室で仕事を進めていました。
まったく――。
曜ちゃんってああいう子だとはわかっていても――誰にあげるかも決めていなかったチョコレートだとしても。
せっかく、わたくしのたったひとつの、手作りチョコレートなのよ?
もう少し、なにかあってもよかったんじゃないの――?
まあ――曜ちゃんにはそんな事情、話していないんだから――知る由もないんだけれど。
ふと、さっきのポッキーゲームのことを思い出しました。
目前に迫る、曜ちゃんの顔。
……。
一部では浦女のヒーロー、だなんて呼ばれていて、女子人気の高い曜ちゃんだけれど。
まあ――その。
なんとなく――その理由が、わかった気がするわ。
27: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 22:43:05.25 ID:Re51A3uW.net
って、わたくし――恋する乙女、みたいになってない?
ああ、もう――。
これだからバレンタインなんて――と、もやもやと色々考えているうちに。
きーん、こーん、かーん、こーん。
いけない――もうこんな時間?
ろくに手がつけられなかった書類をまとめて、ドアに手をかける。
……。
廊下がちょっと騒がしいわね。
いったい、なにかしら――。
生徒会室を出た途端、目が合ったひとりの生徒が駆け寄ってきて――。
「生徒会長、曜ちゃんと両思いって本当ですか――!?」
「は――はい?」
思わず聞き返してしまった。
「朝、ポッキーゲームしてチョコ渡してたって――噂になってますよ!」
「え――」
28: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 22:44:31.20 ID:Re51A3uW.net
もしかして――見られてた?
「違うわ、それは誤解で――」
「あ、ダイヤ!」
「鞠莉――」
背後から近寄ってきた鞠莉が、わたくしの耳元でささやきます。
「ダイヤ、まさか曜とデキてたなんて思わなかったよ~♪」
「なっ――」
まさか――。
朝の、あの人影――。
よりにもよって、鞠莉だったの――?
「マリーは別にいいと思うけど――グループ内恋愛はスキャンダルの元だってルビィも言ってたよ? Be careful♪」
あっけに取られるわたくしをよそに、肩をポンと叩いて歩き去る鞠莉。
あぁ、やっぱり――。
チョコなんて、作ってくるんじゃなかったわ――。
29: 名無しで叶える物語 2018/02/14(水) 22:45:37.22 ID:Re51A3uW.net
おわり
URダイヤさんあたれ
【SS】ようダイポッキーゲエエエエエエエエエエエエエエエム
http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1518612401/