1: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:09:58.54 ID:9CwGJUFr.net

梨子「皆目検討もつかないですね」


鞠莉「いやこれよこれ同人誌、エロドージン!しらばっくれないの」


梨子「ああそれは聖書と普段呼んでいるので」


鞠莉「いや知らないけど!?」


鞠莉「…そうじゃなくてあの?流石に学校にエロドージンはやめなさい?壁クイとかアゴクイとかは貴女と私の仲だし別に構わないけど…流石に18禁は…」


梨子「…」机ドン!


鞠莉「ひっ…!な、何!?」


梨子「そんなにアゴクイしたかったの?欲しがりやさんだなマイハニー」クイ

鞠莉「…!!///」


梨子「だったら何度でもしてやんよマイハニー?ほらキスも…」ススッ


鞠莉「ち、ちが…そうじゃなくて!あーもー///誰がマイハニーよ!」

梨子「おいおいマイハニー?私のこと忘れちまったか!?」


鞠莉「うっざ!何そのキャラ!?それで通ると思ってるの!?」


梨子「マイハニー?思い出してくれ!あの素敵だった日々を!」


鞠莉「いや何も思い出せないわよ…だってあなたとそんな思い出ないもの」



2: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:10:37.40 ID:9CwGJUFr.net

梨子「…思い出すな…あの日のことを」


鞠莉「いやだからなんにも思い出ないって」


梨子「あれは寒さがきつい冬の日だったよな?」


鞠莉「いや知らん聞くな、というかいい加減にしなさいよ?退学にしてもいいんだからね」


梨子「…!…あのすみません…」


鞠莉「最初からそう言えばいいのに…じゃこれは没収ね没収…はい他のも全部出して?」


梨子「えぇっ!?そんな…」


鞠莉「そんなもこんなもないわ!…ったく貴女まだ17でしょ?18禁は流石に認めません」


梨子「…」パッ

【理事長…私、子供じゃないんです!】


鞠莉「何エロドージンのタイトルで反論してるのよ!?そんなピンポイントなタイトルよく持ってたわね!?はいそれ没収よ」パッ


梨子「…」パッ

【許して…マリー…】

鞠莉「だからエロ本のタイトルで反論しないでってば!…はいそれも没収よ」パッ


梨子「…」パッパッ

【認められないから燃えるのよ?】

【やめてよ…マリー!】

鞠莉「レパートリー多いなオイ!…はいはい聞き入れません没収です全没収」パッパットン!


梨子「あぁ…私の理事長コレクションと海外留学生マリーコレクションがぁ」


鞠莉「…全力で引くんだけど」


梨子「ドンドン引いて!蔑んで!」ハァハァ

鞠莉「うわぁ…」



4: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:11:34.66 ID:9CwGJUFr.net

梨子「あぁ…それ!そのゴミを見る目!それ最高です!…」ハァ…ハァ…

鞠莉「ダメだこいつ」


梨子「何がダメなんです!?私は純粋に鞠莉さんとセ○クスしたいだけなの!」

鞠莉「純粋じゃないわそれ、汚れきってるでしょ…」


梨子「大体その同人誌もどれだけ探すの苦労したと思ってるんですか?その理事長シリーズも女理事長×女学生ものなんて中々ないしそっから比較的に鞠莉さんに似てて金髪でっていう理事長ものを探すのなんてまさにレア物掘りなんですよ?」


鞠莉「あーそう…ゴクロウサマ」


梨子「しかも女理事長ものなんて大体熟女だし!ハーフじゃないし!貴女がどんだけ珍しい属性にいるか分かってるの!?鞠莉さん!」

鞠莉「いやなんで私が怒られてるのよ」


梨子「その点名前がマリとかは助かったわ、海外留学生ものを探せばマリーとか普通にあるし顔は金髪以外は…って感じだけどやっぱり名前が同じは捗りすぎてやばい」


鞠莉「ご勝手に…捗りなさいよ…まったくクレイジーレズなのも大概に…」


梨子「でもやっぱり!」机ドン!


鞠莉「ひっ…!な、何よ!」


梨子「本物には勝てないよ…鞠莉さん!好きです!私と…セ○クスを前提にエッチしてください」


鞠莉「いやセ○クスまみれじゃないそれ」


梨子「いやエッチはエッチです…一般的には前戯とも、あ、前戯というのは」


鞠莉「説明はいいわよ!…ったく私といると本当によくしゃべるわね貴女は」


梨子「私なりの求愛行動ですよ♪」


鞠莉「はいはい、言ってなさい」



5: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:12:32.10 ID:9CwGJUFr.net

鞠莉「ともかく、用は済んだからもういいわ…はいお帰りください」


梨子「……」


鞠莉「?…何まだ何か言いたいの?エロドージンなら学校持ってこないと約束してくれるんなら後で返すわ」


梨子「私は本気で鞠莉さんのこと好きですからね」


鞠莉「あっそ、なら少なくとも校則は破らないでちょーだい?それで考えるわ♪」


梨子「嘘だ…鞠莉さんはいつも答えをはぐらかしてどっちなんですか…嫌いなら嫌いって…」


鞠莉「……嫌いよ…貴女なんて」


梨子「っ!…そ、そうですか…そうですよね私…私…」プルプル


鞠莉「…!?…ちょ、ちょっと何も泣くことなんか…!?」


梨子「あはああああああ////いい、すごくいい///もっと嫌いって貰ってもい」


ドカッ!


鞠莉「」バタン!


梨子「あふん///部屋から放り出しての放置プレイですか?ねぇ?鞠莉さぁん///」


鞠莉「貴女は一回病院いってきなさい」


梨子「残念ですが恋の病は治りません♥」


鞠莉「やかましいわ!…ったく」



6: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:13:12.40 ID:9CwGJUFr.net

ダンス練習


梨子「千歌ちゃんそこステップが半音分遅れてるわ」キリッ


千歌「え?本当だ…ありがとう梨子ちゃん」


梨子「いいえ別に構わないわ、だけど癖になる前に直した方がいいわね」


鞠莉「……」


ユニット歌練習


梨子「ここはもうちょっとシャウト効かせた方がギルキスっぽくなるわよね…いやここは…」ブツブツ


鞠莉「……」


ユニットダンス練習


梨子「はい、よっちゃんそこ間違ってるわここの振り付けはこう…あと鞠莉さんも」


鞠莉「…え?あ…そう…」


梨子「ちょっとここをこういう風にした方がスムーズですし綺麗になります」


鞠莉「……」


作曲


梨子「ふーん、恋がテーマか…」


梨子「あまり重くしてもAqoursらしさはない、だからといって明るい恋というのも違う…」ブツブツ


鞠莉「……(私と二人きりじゃなければすごい真面目な美少女なのよねー)」


梨子「あ、鞠莉さん」


鞠莉「?」



7: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:13:52.80 ID:9CwGJUFr.net

梨子「鞠莉さんも恋曲について考えを…」


鞠莉「貴女ここ数日すごい真面目ね」


梨子「?…私はずっと大真面目ですよ?」


鞠莉「いや、この前貴女…なんでもない」


梨子「?」


鞠莉「(頭おかしかったのはあのときだけの一過性のものかしら…きっとドージンシを取られたのが色々頭のネジ外れたのね)」


梨子「それで…この恋の曲なんですが…」


鞠莉「え?私?」


梨子「私だけだとマンネリ化するんですよね、鞠莉さんも作曲ができるのならギルキスでは鞠莉さんの意見をと」


鞠莉「まあそうだけど…結局ギルキスはギルキスだし」


梨子「まあ結局いつも善子ちゃんに一番影響されるんですけど…なんとなく鞠莉さんに…」


鞠莉「…分かった…けど」


梨子「あ、理事長の仕事ですよね?いいですよそっち手伝いながら相談しましょう」


鞠莉「えーそれは悪いわよ」


梨子「大丈夫です!私のわがままで鞠莉さんに余計な仕事増やしてしまってますから…それくらい…同じギルキスとしてやらせてください」


鞠莉「う~ん…分かった、じゃあお願いしよっかな!」



梨子「…(計画…通り!)」



9: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:14:25.76 ID:9CwGJUFr.net

翌日

放課後、理事長室

梨子「で?ナニをすればいいですか?というかナニしていいですか?」ワキワキ


鞠莉「すみマセーン!昨日の分かったを返還していいデスカ」


梨子「もう無理ですよ?一回条約を結んだものはもう取り消せません」ニコッ


鞠莉「こんな不平等条約あってたまるかー!」


梨子「約150年前はそっちの国が不平等条約結んでたのでおあいこです」ニコッ


鞠莉「微妙に反応しづらい話題出すんじゃないわよ」


梨子「とりあえず不平等ではないはずですよ?鞠莉さんは理事長の仕事の負担を軽減できて、私は貴女へのこのなんとも形容しがたい極めて度しがたいムラムラを軽減できます…ようやくこれで…」キリッ


梨子「ということで始めましょう作曲作り(意味深)を」ジュル


鞠莉「するかー!」


梨子「あ、じゃあ理事長の仕事(意味深)の方から進めます?」ジュル


鞠莉「どちらにせよ結局貴女が両得じゃないのよ!」


梨子「…!」バァン!


鞠莉「ひっ…!な、何よ…」


梨子「閃いた!曲の構想が」


鞠莉「えぇ…今のどのタイミングで閃いてるのよ」

梨子「恋の曲なら私がこの鞠莉さんに恋してるこの気持ちを曲にすれば…!」

鞠莉「まだ言ってるの?片想いの恋の曲ならできるかもね」


梨子「またまたぁ~!鞠莉さんも私のこと好きな癖に♪」

鞠莉「いや嫌いだけど」



10: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:15:13.39 ID:9CwGJUFr.net

梨子「嘘つけ絶対好きだゾ」


鞠莉「どこで好きになる要素があるのよ!今までのこのクレイジーな流れで!」


梨子「じゃあ?嫌い中でどれくらいの嫌いですか?私はもはやまた一つない芸術品(ヴィーナス)のように貴女のことが大好きです」


鞠莉「ゴキブリと今の梨子を取るならゴキブリを取るくらい嫌い」


梨子「…なるほど、つまりゴキブリのように逞しく生きろと…そして鞠莉さんを愛せと」


鞠莉「貴女のそのポジティブシンキングさだけは誉めてあげるわ…変態だけどね」


梨子「ふっ愛に生きる者はみんな変さ」


鞠莉「うざ」


梨子「…では気をとり直してセ○クスしましょう」


鞠莉「しないです…!はいこれ手伝って!」書類パァン


梨子「うぐっ…わ、分かりました…」


鞠莉「…ったく…なんで貴女は私にだけこうなのよ」


梨子「ですから…!それは鞠莉さんが好きだから」


鞠莉「はいはい」


梨子「…本当に好きなのに…」



11: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:15:59.76 ID:9CwGJUFr.net

翌日

梨子「昨日の放課後はお楽しみでしたね」ニコッ


鞠莉「いや何もないから…!はい今日はこれ!」


翌日の翌日


梨子「三日目の放課後、二人きりの理事長室…何も起きないわけなく…?」


鞠莉「だから何もないから!はい今日は大分余裕できたから曲作りの方やるわよ!」


梨子「え?子作り?」

鞠莉「耳チェンジしてこい」


翌日の翌日の翌日


梨子「鞠莉さん///激しすぎですよ///」


鞠莉「意味深な言い方しないの!ヘビメタ調の曲流しただけでしょ!?」

梨子「…今日はナニをしますか?」


鞠莉「ナニはしないけどまた仕事が溜まってるわ…」


梨子「え?性欲が溜まってる?私もです///」


鞠莉「ファッキューリッコ」


梨子「いいですよフ○ックしてください鞠莉さん、本当に激しい人…!///」


鞠莉「もうやだこのクレイジーレズ」



12: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:16:28.75 ID:9CwGJUFr.net

鞠莉「はい、ふざけてないで今日はこの書類よ」ドサッ


梨子「こんなに!?…鞠莉さん(急に真面目なトーン)最近で大分片したのにまた書類がこんなに…」


鞠莉「…何?怖気ついた?これが理事長の仕事よ?嫌ならやめていいわよ別に私は一人で」


梨子「いえ!!約束ですからやります!」


鞠莉「っ!?…そ、そう、好きになさい」


梨子「…(…鞠莉ちゃんいつも一人でこんな仕事量…)」


鞠莉「……」カキカキ


梨子「…鞠莉さん、私決めましたよ」


鞠莉「?」


梨子「やっぱり鞠莉さんはバックかr」ドカッバタン!


鞠莉「馬鹿か!どこからその話になってるののよ!」


梨子「いや立ちバックした過ぎると思って、あ、そのブーツでされるのもアリ」←腕組みながら地面に仰向け


鞠莉「ドージンみたいに生えてるわけじゃないのにないのに何言ってんだこいつ」


梨子「女の子はみんな心にチ○コあるんですよ?」


鞠莉「あってたまるか」

梨子「じゃあ控えめにいってそのア○ルにディルド突っ込みたい」

鞠莉「うっわ…」

梨子「結構!そのどん引きご褒美よ」

鞠莉「無敵ね貴女」

梨子「愛は無敵ですよ」

鞠莉「はいはい」



13: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:17:36.86 ID:9CwGJUFr.net

…………


梨子「鞠莉さん…こっち終わりましたよ」


鞠莉「え…うん…ありがとう」ウトウト


梨子「鞠莉…さん?」


鞠莉「あ、ううんちょっと眠たいだけ…」


梨子「…寝てないんですか?」


鞠莉「昨日はちょっとね…」


梨子「…!?…懲りずになんでまた…」


鞠莉「い、いつもじゃないわよ!前みたいに倒れたりはしないから…大丈夫よ」


梨子「いや寝てください!いや性的な意味ではなくて寝てください!」


鞠莉「性的な意味だったら張っ倒すわよ!というか大丈夫だって」


梨子「ダメです!過労を舐めてはいけません!」


鞠莉「ダイヤみたいなこと言うようになったわね貴女…まあダイヤと違って貴女の場合」


梨子「…私は信用ならないと?」


鞠莉「今までの流れでどう信用しろというの?」


梨子「……」


鞠莉「な、何よ…」


梨子「…いえ、こうなれば紅茶に睡眠薬を」


鞠莉「ほらぁ!絶対私を睡眠姦するつもりじゃない!エロドージンみたいに!」



14: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:18:23.96 ID:9CwGJUFr.net

梨子「実力行使です」

鞠莉「最低ね貴女」

梨子「どうとでも言ってください」シュバ

鞠莉「何それ?」

梨子「クロロホルムハンカチィーーーーフ!たぁぁぁぁぁ!」

鞠莉「Oh!っとそうはいかないわよ…」シュ


梨子「ああもうそんな激しく動いたら余計疲労が溜まりますよ」


鞠莉「いやそう思うならやめなさいよ」


梨子「いや、絶対に寝てもらいます」


鞠莉「なんでよ!大丈夫だって言ってるでしょ!」


梨子「……」キッ


鞠莉「なっ!?あなたまさか…本当に…」


梨子「どうとでも捉えて、どうとでも言ってください…私は貴女を絶対に寝かせます!私の願望のために!」


鞠莉「最低…最低よ!貴女!」


梨子「それは誉め言葉ですよ!」シュバ

ハンカチガッ


鞠莉「あ、しま、んむっ…こ…の…絶対…あとで覚え…て」


ドサッ


梨子「……おやすみ…鞠莉ちゃん」



15: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:18:55.34 ID:9CwGJUFr.net

………


これは夢だ…こんな現実あってたまるか


きっとあいつが私の身体を弄んでいるからこんな夢を見ているんだ


鞠莉「梨子…その///デートいきましょ///私と///」


梨子「え?…」


鞠莉「あ、ごめん…忙しいよね梨子も…作曲とか」ガバッ


梨子「ううん…行く…グス、私鞠莉ちゃんとデート行く!」


鞠莉「もーなんで泣いてるのよ」


梨子「えへへだって、嬉しいんだもん」ニコッ


誰だ!?この美少女は!?絶対夢だこんなの

こんなのあの淫乱セクハラ梨頭じゃない

………



16: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:19:35.29 ID:9CwGJUFr.net

………

鞠莉「あ、あの///これ…」


梨子「え?///」


鞠莉「誕生日…でしょ?ぷ、プレゼント///」


梨子「鞠莉ちゃん…グス…ありがとう」


鞠莉「まーた貴女はすぐ泣く!プレゼント渡したのに泣くとはどういうことよ!ほらほら笑いナサーイ」ムニムニ


梨子「ひゃ、ひゃい…でも嬉しくて…胸が一杯で…」


鞠莉「こ、こんなの毎年あげるわよ、そう毎年貴女が喜ぶなら何度でも」


梨子「鞠莉ちゃん…!ありがとう…!本当に私今幸せだよ」ニッ


だから誰だああああああ!?


こんな美少女私は知らない…!こんな美少女私のAqoursにはいない…!


………



17: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:20:14.20 ID:9CwGJUFr.net

………


鞠莉「あ、あの…梨子?」


梨子「?」


鞠莉「…」スッ


梨子「!?」


鞠莉「えーコホン///…わ、私と結婚してください…!」ユビワ


梨子「…ま、鞠莉ちゃん…!グス…」


鞠莉「あらまーた泣いてる?もう泣き虫なしこねぇ…で?返事は」


梨子「グス…ごめん…ごめんね…でも嬉し過ぎて、勿論…私でよろしければ」


鞠莉「勿論貴女じゃないとね…いいわ貴女が卒業したら海外へいきましょう?二人で一緒に…」


ちょっと待てえええええええええええ!!


ウェイト!ウェェェェェェイト!


なんで夢とは言えあんな変態と結婚の約束違和感なくしてるの!?


私の夢はどうなってんの!?あいつに現実になんかされてるの!?


ま、まずいわ…!早く!早く起きなきゃ…!

………



18: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:21:03.79 ID:9CwGJUFr.net

鞠莉「…!」

梨子「あ、目が覚めました?顔が紆余曲折してましたけど」

鞠莉「どういう状態よそれ…badな夢を見てたのよ誰かさんのおかげでね」

梨子「あらら、どんな夢ですか?」

鞠莉「貴女と結婚の約束する夢」

梨子「やったぜ」


鞠莉「やったぜじゃないわよ!一体私が寝ている間にナニやっ…!?」


梨子「?」


鞠莉「貴女これ…」


梨子「布団だよ…保健室から借りてきた」


鞠莉「で?それは…」


梨子「ああ、書類ですか?全部やっておきました」 ニコッ


鞠莉「…どうして?」


梨子「?」

鞠莉「どうして貴女がこんな…」

梨子「決まってるじゃないですか私は鞠莉さんが好きだからです」

鞠莉「またそうやって!私は分からないわ貴女の気持ちが、貴女の本心が…」

梨子「冗談じゃないですよ、私は貴女が好きすぎて貴女のために役立つこと全て覚えました、ただそれだけです」

鞠莉「…そういうことを軽々しく言うのが嫌いなのよ」

梨子「あらら、そうですか」

鞠莉「…まあいいわ今日のところは助かったわ…あ、ありがとう」

梨子「!?…」ジワァ

鞠莉「な、何泣いてるのよ」

梨子「…いや鞠莉さんのツンデレ最高だなって」

鞠莉「…馬鹿」



20: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:22:02.53 ID:9CwGJUFr.net

翌日

梨子「皆おはよう!」

モブ「げ、レズだにげろー!オカサレルゾー」

梨子「ちょっと失礼な!私は鞠莉さん以外犯されも犯しもしないわ!私は鞠莉さんの性奴隷よアーハッハッ!…あて!」ペシン!

鞠莉「誤解を招くようなこと言うな!!」


梨子「あれ?なんで鞠莉さんが2年の教室に」


鞠莉「…昨日の借りよほら…同人誌返す」


梨子「え?同人誌のようにマ○グリ返す?」


鞠莉「くたばれ…二度と学校に持ってきたらダメよ?じゃあそれだけ」


梨子「そんなこと心配するなら…放課後に返せば良かったのに」


鞠莉「んなもの持ってもし見付かったら私が変な勘違いされるでしょーが…じゃあね」


梨子「ええ、ではまた放課後に愛し合いましょう」


鞠莉「本当にくたばれ」


梨子「ツンデレ鞠莉さんもいいなぁ…」


曜「あ、あの梨子ちゃん?」


梨子「ん?どうしたの?」


曜「もうやめなよ…」


梨子「んん?何を…かな?曜ちゃん」



21: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:23:35.84 ID:9CwGJUFr.net

曜「またしらばっくれて…今までの行動だよ」


梨子「……やめないよ」


曜「なんで!?ただ鞠莉ちゃんに嫌われるだけなのになんでやめないの!?」


梨子「相手に嫌われても私は好きでいることはできる、求愛することはできる」


曜「それはもうストーカーだよ」


梨子「ええ、ストーカーでいいわ」


曜「いやよくないよ、やめなよ本当に嫌われるよ!」


梨子「いずれ報われるかもしれないでしょ?」ニコッ


曜「いや無理だと思うけど…!だってこの前」

………


梨子「ま、鞠莉さんは女の子同士で付き合うとか…」


鞠莉「いやレズとかちょっとね…ないわ」


………


曜「引き気味に言われてたじゃん…」


梨子「…そんなものは無理矢理押し通せば価値観は変わるものよ」


曜「いやそれただのレ○プと変わらないから」



22: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:24:34.29 ID:9CwGJUFr.net

梨子「いいじゃない?私はレズなら純愛には拘らないわ」


キーンコーン

曜「……」

梨子「言いたいことはそれだけ?じゃ授業始まるから」


スタスタ…


曜「嘘ばっか…その同人誌全部純愛物ばっかじゃん」


………


鞠莉「……はぁ…」


ダイヤ「貴女がため息ですか…嫌ですわね、また仕事でも溜まってますの?」


鞠莉「それは大丈夫よ…馬鹿な後輩が手伝ってくれてるから」


ダイヤ「梨子さんですか…」


鞠莉「…問題はその梨子よ」


ダイヤ「大体察しはつきますが…」


鞠莉「ねぇ、あの子ってあんな子だっけ?私の記憶ではもうちょっとおしとやかで真面目で私にあんなベタベタするような子じゃなかったはずなんだけど」


ダイヤ「今でもわたくしたちの前では真面目でおしとやかでクールですわ…」


鞠莉「じゃあやっぱり私の前だけ?なんで?」

ダイヤ「それは貴女が好きだからでしょう」


鞠莉「もうまたそれ、ばっかみたい!そんなの本心じゃないのなんて本人見てれば分かるわ、だからこそ分からなくてあの子をみるとイライラするのよ」


ダイヤ「じゃあ貴女は嫌いなのですか?」

鞠莉「嫌いよ、大嫌い」



23: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:25:42.71 ID:9CwGJUFr.net

鞠莉「何度も言うけど私はレズじゃないし」

ダイヤ「……」

鞠莉「変態じみたことを惜しげも恥ずかしげもなく言う癖、いざその隙ができたときには何もせず、優しく紳士的に対応して私に借りだけ作っていく…本当に意味がわからなくてばっかみたいな後輩」


ダイヤ「これがテンプレのツンデレですか?」


鞠莉「違うわよ!」


ダイヤ「ふっ…梨子さんの本心ですか、それを貴女が知るのはいつになりますかね」


鞠莉「え?何?ダイヤは知ってるの?教えてよ!」


ダイヤ「いいえ、教えませんわ♪それに嫌いな相手の本心なんて知らなくていいでしょう?」


鞠莉「…ダイヤまで意地悪ね」


ダイヤ「わたくしが言うことではないので」


鞠莉「Sit!」


ダイヤ「女性がはしたないですわよ」


鞠莉「知らないわよ!それこそ梨子に言いなさいよ…見てなさい絶対暴いてやる」


ダイヤ「あらら…ま、頑張ってくださいな」


鞠莉「キー!むかつく!…まずはそうね同じ二年で仲の良い事情知ってそうな千歌っちと曜よ!」



25: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:27:10.55 ID:9CwGJUFr.net

放課後

曜「もう!梨子ちゃんったらそんなに鞠莉ちゃん好きならもうちょっと考えたらいいのに」


千歌「あはは、仕方ないよ梨子ちゃんも色々あるんだよ」


曜「でもこんなの…間違ってるよ」


千歌「うんまぁ…ちょっとやり過ぎではあるよね」


鞠莉「やぁ!お二人さん事情を知ってそうね」


ようちか「!?」


鞠莉「梨子があんなことになったわけ…教えてもらえる?」


曜「い、いや~それはもう愛だよ愛」


鞠莉「そんな適当な答えは聞いてないわ…ねぇ千歌っち?」


千歌「適当な答えじゃないよ…梨子ちゃんは本当に鞠莉ちゃんが好きで」


鞠莉「みんな嘘ばっかり…何?、私の知らないところでサプライズでも企んでるの?それとも今がサプライズの最中?」


千歌「違うよ、サプライズでもなんでもない梨子ちゃんのやってることは鞠莉ちゃんのためだよ」


鞠莉「だったら!それを何のためにやってるのか言ってよ!それに千歌っちだってさっき言ってたじゃない!?」


千歌「!?…」


鞠莉「流石にやり過ぎだって!一体彼女は私をどうしたいの!?何が彼女をやり過ぎにさせてるの!?何を思い、何を考えているのよ!」


曜「ま、鞠莉ちゃん落ち着いて…」


鞠莉「落ち着いてられますか!毎日毎日私に気持ち悪いくらいベタベタベタベタ!セクハラ発言!石ころより軽い愛の言葉!そうかと思えば私が落ち込んでたら笑わせたり困ってたら優しく手伝ってくれたり…なんなのよ…あの子は…一体…私のなんなのよ!?」

曜「…鞠莉ちゃん…」



26: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:28:19.96 ID:9CwGJUFr.net

鞠莉「私ももう分からないのよ!彼女が嫌いなのか?好きなのか?私の中での彼女への気持ちは一体なんなのか…!?」ポロポロ


曜「…鞠莉ちゃん…泣いてるよ?」


鞠莉「あ、あれ…なんで私…」


千歌「…それが答えじゃない?きっとその気持ちは嫌いとか好きとかで収まるもんじゃないんだよ、鞠莉ちゃんが梨子ちゃんだけに向けた何にも形容できないし何にも言い表せない出来ない気持ち」


鞠莉「だから…だから!彼女は一体私の…!」


曜「っ!?…梨子ちゃん悪い…もう言うね」


千歌「!?…ダメ!曜ちゃん」


曜「いや言うよ、私も…今の梨子ちゃんのやりたいこと意味が分からないのは同じなんだ…」


鞠莉「?」


曜「鞠莉ちゃん?よく聞いて?」


鞠莉「…」コクリ


曜「鞠莉ちゃんさ?前過労で倒れたのは覚えてる?」


鞠莉「ええ…」


曜「じゃあ?それより前何があったかは覚えてる」


鞠莉「そんなの覚えてるわよ…いつも通りAqoursと練習したり、理事長の仕事溜まっててダイヤやお父様に怒られたり」


曜「ううん、それは目覚めたあとにみんなから聞いてそうだと納得して勝手に目覚めた記憶…」


鞠莉「???…どういうこと」


曜「鞠莉ちゃんは…まだ思い出してない記憶もたっくさんあるんだよ…いやというより一番大事な忘れてはいけない記憶を、鞠莉ちゃんはまだ思い出してない」

鞠莉「!?」



27: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:29:57.41 ID:9CwGJUFr.net

鞠莉「な、何よ…その記憶って」


曜「それは…!」


千歌「ダメ!!曜ちゃん!!それ以上…!」


曜「ううん、梨子ちゃんも本当はこうしたいはずなんだ…だけどしなかった…!何故かは私にも分からない…けど」


曜「今のこの関係は間違ってるよ…鞠莉ちゃん?覚悟して聞いてね?」


鞠莉「…ええ…分かったわ」


曜「鞠莉ちゃんは恋人がいたんだ」


鞠莉「!?!?…ホワッツ!?私に!?恋人!?」

千歌「…あっちゃー」

曜「そう、結婚まで約束したほどの仲の恋人がね」

鞠莉「え…うそ…え…ま、まさか…」

……

鞠莉「えーコホン///…梨子、わ、私と結婚してください…!」

梨子「…ま、鞠莉ちゃん…!グス…」


……

曜「そのまさかだよ…鞠莉ちゃん…」

鞠莉「嘘よ!そんな!なんで…!私が!あの子と!?」

曜「鞠莉ちゃんは…」

鞠莉「わ、分かった…これもサプライズ…私の問い詰めから言い逃れるための…」

曜「鞠莉ちゃんは!!恋人だったんだよ!梨子ちゃんと!」

鞠莉「嘘よ!そんなこと!だって私そんなこと身に覚え」

曜「嘘じゃない!!…覚えてないのはあの倒れた日に全て忘れたからだよ…梨子ちゃんにプロポーズしたこともデートしたことも付き合っていたことですら全て鞠莉ちゃんが忘れてしまったから!!」

鞠莉「!?(そ、そんな…そんなことって…)」



29: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:31:09.04 ID:9CwGJUFr.net

鞠莉「(嘘よ…嘘、嘘嘘嘘嘘…そんなこと!?そんなこと…!だってそんなこと本当だとしたら…!)」


千歌「あーあ…曜ちゃんどうするの?これ鞠莉ちゃんショックでまた倒れるよ?」ジト目


曜「このままだと私が気にしすぎで倒れるよ…それにいずれこうなってた…梨子ちゃんがあんな調子を続けるならこうね…」


鞠莉「私はまだ認めないわ…よ…」


曜「鞠莉ちゃん!」


鞠莉「だって…私、女同士で付き合うなんて有り得ないって思ってるのよ?そんな私が梨子と付き合うだなんて」

曜「それも忘れてしまったんだね…うん…付き合う前の鞠莉ちゃんと同じになってる」


鞠莉「!?…そんなわけ…」


千歌「…あるよ?鞠莉ちゃん?実際倒れる前に具体的に何をしたか覚えている日はある?」


鞠莉「っ!?……」


千歌「覚えてないよね?…そう鞠莉ちゃんは綺麗に忘れたんだよ、ここ約半年間の出来事をね」


鞠莉「その…半年間に私はこんなふざけたことになってたってわけ?」


千歌「うん」


鞠莉「冗談じゃない!!…私が?記憶喪失?だったら普通にAqoursの練習にも支障があるはずよ!もう最後のライブよ!それを記憶喪失のままで来れるはずがないわ…理事長の仕事だって!」


千歌「そうだね…でも鞠莉ちゃん余程Aqoursは大切だったのか…Aqoursのことそしてこの学校の状況のこと自体はすぐに思い出したんだ」


鞠莉「…!?…なによそれ…じゃあまるで私その梨子との思い出は大切じゃないみたいな」


千歌「そうだったんだろうね…実際」


曜「ち、千歌ちゃん!?」


鞠莉「ふざけないで千歌っち…私が恋人との思い出は学校、Aqoursの二の次にするような最低なやつだって言いたいの?」



30: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:32:16.10 ID:9CwGJUFr.net

千歌「そこまでは言わないけど…でも梨子ちゃんのことは忘れた…これは事実」


鞠莉「…」


千歌「誰かのデタラメでもなく事実だよ」


鞠莉「…そんな…」


千歌「まだ疑う?…あのとき夜な夜な隣の窓から毎日誰かのすすり泣き聞こえてたから録音してたんだけど聞く?」


曜「千歌ちゃん!」


鞠莉「…やめて」

千歌「…ごめん…でももう分かったでしょ?鞠莉ちゃんと梨子ちゃんがどういう関係だったかって」


鞠莉「……ええ、十分にね」


千歌「聞いて後悔してる?」


鞠莉「しそうになったわ…でもね」


千歌、曜「?」


鞠莉「聞かなかったままだったら余計に後悔してたわ…」


千歌「そっか…流石鞠莉ちゃんは強いね」


鞠莉「強い?図太いだけよ…恋人を忘れるような薄情な私はね」


曜「ま、鞠莉ちゃん…あんまり思い詰めるのは……」


鞠莉「ごめん、それは無理よ…どう考えでもこんなの考え込んでしまうわ…」スタッ


曜「ま、鞠莉ちゃん!?」


鞠莉「…帰るわ、今日はごめん練習休ませて…」



31: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:33:22.28 ID:9CwGJUFr.net

千歌「あーあ、これ梨子ちゃんにどう説明しようかなぁ」


曜「千歌ちゃん!梨子ちゃんの泣き声録音してるとかちょっとやり過ぎじゃ…」


千歌「んー…あれね鞠莉ちゃんに風に言うとイッツジョークだよ」


曜「へ?」


千歌「そんなもの…録ってるわけないよ…録れるわけないよ…あんな声を押し殺して悲しみ抑え込んで泣いてる声なんて…悲痛すぎて」

曜「そっか…」


千歌「きっと梨子ちゃんは気づいてしまうよ今日鞠莉ちゃんが練習こないって…たったそれだけでね…梨子ちゃん本当にそういうところ…鋭いから」


曜「うん…でもいいよ…私が怒られる、怒られる代わりに聞きたいんだ…梨子ちゃんが今何をしたいのか、何がしたかったのか」


千歌「…何がしたかったのか…多分ね…何となくだけど鞠莉ちゃんを守りたいのには変わらないよ」


曜「…うん、何となくそれは分かる」


千歌、曜「なんであんな変態になったのかは意味分からないけど…」



32: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:34:21.92 ID:S2fWsI0s.net

鞠莉「……とは言ったものの」


ドォン!


鞠莉「簡単に受け入れられるわけないじゃない!」


鞠莉「(私が…梨子と…?正直これがない記憶をあったように思わせる洗脳だって言われたら即信じるレベルよ…)」


鞠莉「(それほど…梨子と私が付き合っていただなんてビジョンがまるで見えない…)」


鞠莉「(でも…私が何をしていたか…記憶を辿るとふわふわしたところが多いのも事実)」


鞠莉「(くそ…!全く思い出せない!…なんで!?こんなことになんで私は倒れたりなんか…!)」


鞠莉「(でもこれが本当に…本当に…私の記憶喪失なら…)」


………


梨子「鞠莉さん、いやー今日も美しい!お顔なめ回してもいいですか?」


鞠莉「気持ち悪いデース」


………


鞠莉「なんであの子は…はぐらかすような真似だけして私に近づきたいふりをして遠ざけるような物言いして…!」


鞠莉「そんなに好きなら!私に最初からそうだって言えばいいじゃない!……!?」


鞠莉「な…に…怒ってるんだろ…私…」


鞠莉「どの面下げてまだ…あの子に怒れるんだろう…何被害者面で悲しんでいるんだろう」


鞠莉「一番怒りたいのも…悲しいのも…」

………



33: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 00:35:10.45 ID:S2fWsI0s.net

梨子じゃない…!


梨子が私に何も言わないわけ、


梨子が私に何もしないわけ、


それが答えじゃない


記憶が不安定な私を混乱させないように彼女は自分の過去を、自分が私と築いた居場所を消して私に接した


そうまでして無理矢理接してきたのはまた私が倒れないため、

私を守るため、


昨日だって私を無理矢理にでも寝かせたのは…

私の体を気遣って


梨子「どうとでも捉えて、どうとでも言ってください…私は貴女を絶対に寝かせます!私の願望のために!」


鞠莉「最低…最低よ!貴女!」


違う…


最低なのは


………


鞠莉「私だ…!!」ポロポロ



53: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 05:35:34.29 ID:S2fWsI0s.net

翌日


いつもと変わらない日常がそこにあった


いや鞠莉、彼女にとってはたった一つだけ


大きな日常の変化がある


鞠莉「…梨子…」


彼女の姿が見当たらない

どんな時でも姿を見せていたうざったらしく毎日その姿を己に焼き付けてきた彼女の姿がなかった


どういう心境の変化だろうか


決まっている


鞠莉「私が気づいたことに気づいたのね…」


改めてこれでお互いが恋仲だと理解する


理解しすぎるほどに理解する


ただ彼女の場合、理解するほど自覚はできなかった


到底、梨子を元恋人だなんて思えなかった


その恋ごと忘れた鞠莉に残されたのは梨子への罪悪感だけ


事実を知っても尚、梨子へ欠片も愛情が沸かない自分に罪悪感、嫌悪感をさらに積み重ねるだけ


鞠莉「今日、ギルキスで作曲の話し合いあるじゃないの…どうすんのよ…」


彼女が一番の癒しと思っていたAqoursとの練習

この日憂鬱へと変わる



54: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 05:36:46.79 ID:S2fWsI0s.net

梨子「ドーモ鞠莉サン」


鞠莉「ドーモ梨子サン」


善子「どこのスレイヤーよ!?あれ?いつもみたいに痴話喧嘩?いちゃつき漫才しないの?」


鞠莉「…んなこと一度もしたことないわよ」


梨子「…そんなことしないよ」


善子「あららこりゃ二人とも重症だ…もしや倦怠期?」



善子はどこまで知っているのだろう?と鞠莉は疑問を問いかけそうになった


たしか自分が倒れて記憶喪失になったところまで事情を知っているはず…と


梨子「よっちゃん?倦怠期も何ももう別れたっていったじゃない」


善子「そうだっけ?いやでも一昨日くらいまで普通に痴話喧嘩してるカップルに見えたんだけど」


鞠莉「(もう別れたってことにはなってるのね…じゃあみんな知ってて…梨子だけじゃなく他のみんなにも気使わせちゃってたのね…)」


梨子「…!」

曇る鞠莉の顔を察するに早かったのは梨子


どことなく重苦しい雰囲気を変えるトリガーを引く役を進み出ることに戸惑いがない


梨子「さあさあ、無駄話はあとにしてギルキスの次の曲について話し合いましょう!粗方形はできてるから…あとはそれぞれの個性をいれるだけよ」

善子「おお!じゃあこのヨハネの闇の魔r」


梨子「はいはい考えます考えます」


善子「まだ何も言ってないわよ!」

いつものギルキス…

それに戻してくれたのは全てを知って尚まだ知らないふりをしてくれる彼女



55: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 05:39:03.25 ID:S2fWsI0s.net

風、鳥の囀り、鍵盤そして心臓

その四つの音が合わさる

この音楽室で梨子はピアノを弾いていた

作曲テーマはいつぞやと同じ恋、恋か…

その胸中は何を思い、何を願い

曲を奏でているのか

……

あれは今のようこの音楽室でピアノを弾いているときだった

今のように憂鬱な気分でピアノを弾いていいた


梨子「……(この言い様のないスランプ…)」


梨子は手が震えていた


弾きたいのに弾けないという恐怖からだ


梨子「はぁ…」


鞠莉「行き詰まり?」


梨子「…?…ま、鞠莉さん」


鞠莉「行き詰まったときはね…」


梨子の後ろから優しく包むように梨子の震える手を握って囁く


鞠莉「こうやって寄り添っていればいい…この私とね」


梨子「!?…」


バタン!


梨子はピアノの鍵盤蓋を閉め、席から立ち上がる


梨子「そういう軽口あまり好きじゃないでしす」

そそくさと梨子は立ち去っていく

鞠莉「あらら…ふられちゃった」



56: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 05:40:55.53 ID:S2fWsI0s.net

また別の日


Aqoursと掛け持ちでピアノコンクールに出場


その帰り、銀賞の盾を抱え歩いているときに


ファサ!


鞠莉「銀賞おめでとう!梨子…貴女はこの学校の…そしてAqoursの誇りよ」


梨子「なんですか…これ」


鞠莉「愛しい貴女へ私からの花束デース」


梨子「また軽口…私はそれ嫌いって言ったじゃないですか…」


鞠莉「あらら…でもこういう台詞好きなんでしょ?ほらこのドージンにも」


鞠莉はどこから見つけたのか壁クイ雑誌をぶらぶらさせて梨子の目線に掲げる


梨子「なっ!?///」


鞠莉「この本、付箋つけてるとこにある台詞いってみたんだけどなー」


梨子「か、返して!…ふんだ!そのキャラと鞠莉さんじゃ全然敵いませんよーだ///」


サッと取り返した梨子は子供のようにべーだと舌を出しながら

しかし照れながら立ち去っていった


鞠莉「クスクス…ツンデレも可愛いわねぇ」



57: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 05:44:23.81 ID:S2fWsI0s.net

また違う日


暑くなってきて海満開の季節日、海の家で買った棒アイスをバルコニーから肘をかけて垂らしたまま

内浦湾に沈む夕日を見て黄昏ていた


この日も彼女は行き詰まっていた


Aqoursの曲は合同だからなんとか出来ていた

けどいざ自分の曲、コンクール用となると何も弾けなかった、何もイメージできなかった

ピアノ以外なにもない自分がピアノを無くしてしまったらいけないというのに


このままじゃいけない


梨子「あの前のコンクールだって…金賞が欲しかった…」


鞠莉「そうだったんだ?理想が高くて感心する梨子は」


梨子「なっ!?///」


鞠莉「曲なら梨子ほどじゃないけど私もできるよ?だから悩んでるなら相談してみない?」


梨子「いつも貴女は…いきなり…もう構わないでください」


鞠莉「連れないなぁ梨子は…ギルキスでも夏の扉でも一緒なのに」


梨子「それは勝手に貴女が!…もういいです…!」


鞠莉「夏の扉いい曲じゃない?あれじゃダメなの?」


梨子「あれはでも花丸ちゃんや鞠莉さんの意見もありますから…」


梨子「それにあんな明るいPOPな曲はコンクールでは不向きなんです」

鞠莉「だよね…classicとかjazzだらけだもんね」

梨子「?…よくご存じで」

鞠莉「一応お嬢様ですから?それなりにはああいう堅っくるしいコンクールは行ってるわよ私」



58: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 05:45:45.53 ID:S2fWsI0s.net

梨子「何を!コンクールを馬鹿にしないでくだむにゅ」


鞠莉「してませんってばぁ!…梨子は真面目で可愛いなぁもう」


梨子「んんー!///は、離してください!///」


鞠莉は梨子ぎゅっと抱き締めた


しかしすぐ梨子にはね除けられる


鞠莉「…私は好きだよ梨子のピアノ演奏」


梨子「なっ!?///また貴女はそうやって軽口を///」

鞠莉「軽口じゃなくてveryveryheavyなんだけどなぁ私の梨子への気持ち」


梨子「…本心が見えません…なんで私なんか」


鞠莉「なんで私なんかなんて言わないの…梨子はとっても素敵ガールです」


梨子「そんなこと…」


鞠莉「そんなこんなもないの、私の一目惚れに間違いはありません」


梨子「またそれ…誰にでもいってそうな言葉…鞠莉さんはそういうとこ信用…できない…」


鞠莉「酷いなぁ…私そんな軽い女じゃないわ」


梨子「じゃあ証明できるものありますか?」


鞠莉「ん?あるわよ…」

梨子「!?」

鞠莉は梨子にぐっと近づいて



チュ


これが思えばお互いファーストキスだった



59: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 05:47:55.24 ID:S2fWsI0s.net

梨子「なっ!?なああああああああ///////」


鞠莉「ね?本気でしょ?私は本気で貴女をすk」


パシィーン!


梨子「さ、最低!///」


茹でダコのような顔になった梨子は思いっきりビンタしダッシュでどこかへ立ち去った


鞠莉「いてて…意外と気も強いと…ますます惚れちゃった」


鞠莉は赤くなった頬を擦りながら呟く


目線の下には梨子が持っていた溶けかけていたアイスが地面に寂しく散らばっていた



60: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 05:49:13.34 ID:S2fWsI0s.net

梨子「…」


夏休みも半ばくらいか…


梨子は二度目のコンクールで金賞に輝く


鞠莉「今度こそおめでとう!梨子!金賞だよゴールデンだよ」


梨子「うるさい!ゴールデンじゃなくてゴールドでしょそれを言うなら、というか鞠莉さんは近寄らないでください」


鞠莉「がーん!なんでー!」


梨子「不埒なことしてくるからでしょ!?」


鞠莉「あら?私が?いつそんなことした?覚えてないわね~、まあ梨子と不埒なことしたいのはしたいけど♪」


梨子「本当に嫌い」


鞠莉「あらら、私はこんなに好きなのになぁ」


梨子「はいはい…」


鞠莉「で?なんで金賞取ったのにそんな不機嫌そうなの?」


梨子「…腑に落ちません」


鞠莉「?どういうことよ」



61: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 05:51:06.35 ID:S2fWsI0s.net

梨子「ずっと恋する少女のように弾けとのテーマが出てたんです…でもそのテーマの感覚が分からなくて…ずっとモヤモヤしてたんです」


鞠莉「ふむ…」


梨子「それなりに恋をする少女のように…は自信がありました…同人誌や少女漫画をたいりょ…嗜む程度には持っているので」


鞠莉「ほうほう」


梨子「けれどその感覚で弾くと少女の恋にしては綺麗すぎるって言われてずっと…ずっとスランプでした…」


鞠莉「……」


梨子「所詮は絵空事の恋…いや他人事の恋だから弾くときに適当な感情になってしまうんだと気づいたとき私は絶望してました」


梨子「けど…今回は…その///」


鞠莉「?」


梨子「すんなり感覚が入ってきて弾けたんです」


鞠莉「…何故?」


梨子「うぅ…意地悪///そんなの決まってるじゃないですか、あ、貴女が…///」


梨子「わ、私にキスなんかするからです///」


鞠莉「…ふふ、そう…あのキスが忘れられなかったの?可愛いなぁ梨子は」


梨子「ち、違います!///わ、忘れようとはしました///だけど忘れよう!忘れよう!そうするとするほどにあのキスが脳裏に巡って…また思い出して///…ああもう!」


鞠莉「?」


梨子「そうですよ!ファーストキスだったんですから!忘れられるわけないです///」


鞠莉「そう、それは良かった…だって私もファーストキスだったからね」



62: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 05:53:26.99 ID:S2fWsI0s.net

梨子「はい?…貴女…ファーストキスを私に…私なんかに」


鞠莉「私なんかは禁止、梨子はなんかじゃない私のファーストキスを捧げるに相応しいガール…いや女よ」


梨子「っ!?////ま、また…軽口…!」


鞠莉「軽口じゃない…上辺でもない私は好きなのよ!貴女が!誰よりも何よりも好き!一目貴女の演奏をコンクールでみたときから貴女に釘付け…大好き!」


いつになく真剣な言葉、表情


それに心うたれた少女がここにいた


梨子「っ!?///」


梨子「嘘、嘘だよ嘘…そんなの///」


鞠莉「嘘じゃないわ…この心音聞いてみて?」


鞠莉はいつぞやと同じようにぎゅっと梨子を抱き締めた


あのときはすぐにはね除けられてしまったが

梨子「きゃ!?///」


今回は違った


ドクドクと心音を聞けと言われては見ても自分の心臓もドクドクとうるさいのでよくわからない


鞠莉「ど、どう///私も結構ドキドキしてるでしょ///」


心音では分からない、けれどいつも余裕の顔の彼女が真っ赤に顔を染めてるのを見て確信した

この告白は本心だと


梨子「ふ、ふふっ…そうですね顔真っ赤です」

鞠莉「あ、あんまり顔は見ないで///今回こそは結構マジな告白だったんだけど…」

梨子「じゃあやっぱり今までのはやっぱり軽口だったんですね」

鞠莉「だからそれもマジだって!梨子が気づいてくれないから…」

梨子「照れ隠しで茶化して誤魔化してたと?」



63: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 05:54:26.94 ID:S2fWsI0s.net

鞠莉「き、嫌いって言われた誰でも凹む///…だから誤魔化すに決まってるでしょ…」


梨子「…そうですか…?」


鞠莉「で?返事は?」


梨子「返事?…あ///ああ…そんなの分からないです///だって私まだ恋というものを知らない…好きって言葉を知らない」


鞠莉「うん」


梨子「偉そうに漫画読んだって…所詮恋愛なんか他人事だったし…よくよく考えたら女同士だし…全てが新鮮ではあってドキドキはするけど全てがわからなくて不安」


鞠莉「うん…うん…」


鞠莉も共感して何度も頷いた


きっと鞠莉も鞠莉で梨子に一目惚れして告白しようとするときまで似たようなことを思っていたのだろう


梨子「本当に本当に不安だらけ…だからね?」


鞠莉「うん」


梨子「も、もう一度キス…してくれませんか?///」

この日より二人は恋を知った



64: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 05:58:54.87 ID:S2fWsI0s.net

………

ピアノの演奏ピタッと止まった


静寂の中、梨子が呟く


梨子「覗き見?いや覗き聞き?…なんてよくないですよ?鞠莉さん?」


鞠莉「…今日は来なかったのね?理事長室」


梨子「行ってももう意味がないでしょう?」


鞠莉「……」


梨子「仕事も順調、作曲も大方OK…すこぶる体調も良さそうだし同人誌も返して貰った…もう私と貴女で集まる理由なんて」


鞠莉「ないわね…だけど話す必要はあるわ」


梨子「……何もありませんよ」


鞠莉「あるわ…私と貴女の問題でしょう?」


梨子「問題はありました…でももう終わった話です」


鞠莉「終わってないわ!だって貴女はまだ私のこと…!」


梨子「終わりなんだよ!鞠莉ちゃん!」


鞠莉「!?」


梨子「終わりなんだ…鞠莉ちゃん…今さっき聞いてた曲で何も思い出さない?」


梨子がつい恋を知った思い出を甦らせながら一緒に流した曲


鞠莉「…いや何も…」

鞠莉は何も覚えてなかった

梨子「!?!?……じゃあもう本当に終わりだよ」



65: 名無しで叶える物語 2018/03/05(月) 06:03:37.94 ID:S2fWsI0s.net

鞠莉「一体何が…!じゃあ一昨日までの貴女の好きは一体!?」


梨子「…ふ…だよ」

ギリッと梨子は歯を噛み締める


梨子「それはこっちの台詞だよ!鞠莉ちゃん!」


鞠莉「!?」


梨子「貴女が一目惚れしたって私の姿を!私の曲を!それを弾いたのに!一番好きだって言ってくれた私を見せたのに!貴女はまだ何も!何一つも!思い出してぐれない!貴女の私に大じでの好ぎは一体何だっだの!?」


鞠莉「……(あのさっきの曲が私の初恋…じゃあそれが私が忘れた恋のきっかけ…それを聞いて思い出せないなんて…)」

確かにもう詰んでいた

恋は鞠莉の中から完全に亡きものとなっていた

それがたった今確定した

つまり、今いる小原鞠莉は桜内梨子にとってはただの残り香…

過去の彼女の形をしただけの人形だ


桜内梨子にとって小原鞠莉は死んだも等しい

鞠莉「ごめん…何も思い出せなくて…けどそれでも話してくれないかしら?彼女(鞠莉)と貴女(梨子)の恋物語の続きを…」


梨子「!?」


鞠莉「思い出せるかも知れないなんて無責任なこと今更言わない…!いやどうせもう思い出せやしない…!ならせめて貴女が全て吐き出して楽になる空っぽのバケツくらいの役割はやらせて…!ただのそっくりさんの第三者として確かにいた過去の私をこの耳に刻むから…!」


梨子「グス…貴女を語るのは簡単だよ貴女は本当にひどい人…そしてずるい人…それが貴女の全てで私の全てだよ…」ニコッ



88: 名無しで叶える物語 2018/03/06(火) 21:03:58.94 ID:hA4i/dQv.net

夏休み明け、恋人同士になった二人


鞠莉「り、梨子…その…あの///」


梨子「えっと///な、何?///」


ぎこちなかった

いざ付き合ってみると二人は純情過ぎた


鞠莉「梨子…その///デートいきましょ///私と///」


付き合う前はあれだけ押していた鞠莉も付き合ってからは奥手の極みだった


デートの誘いですら振り絞って言わないと言葉に詰まる有様


梨子「え?///」


鞠莉「あ、ごめん…忙しいよね梨子も…作曲とか」


ガッ


鞠莉「!?///」


梨子「ううん…行く…グス、私鞠莉ちゃんとデート行く!」


鞠莉「…もーなんで泣いてるのよ」

梨子「えへへだって、嬉しいんだもん」

鞠莉「で、デートくらい恋人同士なら普通でしょ///」

梨子「むーその初デートを誘うのに何週間も掛かってるようなヘタレさんには言われたくない」

鞠莉「うぐっ…でも貴女だって…さ、誘ってくれれば///」

梨子「うっ…そ、それは///」

鞠莉「プッ…私と一緒じゃない」

梨子「プッ…ほんとだ…」

あははと二人で笑う二人

二人のデートはこうしては始まった



89: 名無しで叶える物語 2018/03/06(火) 21:05:00.18 ID:hA4i/dQv.net

そこからやっとエンジンがかかったのか色んなところに繰り出す二人

水族館やら公園やら浜辺やら沼津、内浦ででき得ること、行けるとこはかなりデートしにいった

中には、

鞠莉「ヘリコプターデートデース」


バタバタバタバタバタバタ

梨子「うわあああああ!ちょ、これどこ行くのー!」

鞠莉「地平線見えるとこまで♪」



梨子「ひぃぃぃぃぃぃ!?そ、それって」


鞠莉「さあ!レッツゴー!」

梨子「いやぁぁぁぁぁぁ!」

鞠莉のヘリで辿り着く高さの限界まで登っていった


梨子「綺麗…」


上空1000メートル辺り梨子は地平線に消えていく太陽を眺めて呟いた


鞠莉「そうね本当に綺麗…地平線も貴女のその地平線を見つめる横顔も♪」


梨子「…もう///また気障なこと言って…」


鞠莉「ごめんごめん♪…でも本当に綺麗だよ梨子?」


梨子「…もうその顔…ずるい…///」

梨子は鞠莉のふと変わる真剣な表情に弱かった

雰囲気にながされるまま

チュ

二人は富士山をバックにキス

こういう鞠莉にしかできないデートも数々やった



91: 名無しで叶える物語 2018/03/06(火) 21:40:31.12 ID:X+mzUHvL.net

秋…この間に色んなデートをしてまた二人の距離が変わろうとしていたとき

鞠莉「あ、あの///これ…」


梨子「え?///」

鞠莉「誕生日…でしょ?ぷ、プレゼント///」

梨子は誕生日を迎える

鞠莉「き、気に入ってくれたらいいんだけど」



93: 名無しで叶える物語 2018/03/06(火) 21:52:47.13 ID:X+mzUHvL.net

自信がなさげの鞠莉

それも梨子は愛しくて仕方なかった

プレゼントなんてなんでも良かった

彼女のプレゼントそれだけで胸が一杯だった



94: 名無しで叶える物語 2018/03/06(火) 21:53:31.64 ID:X+mzUHvL.net

梨子「鞠莉ちゃん、グス…」

鞠莉「まーた貴女はすぐ泣く!プレゼント渡したのに

泣くとはどういうことよ!

ほらほら笑いなサーイ」

梨子のほっぺをムニムニと引っ張る



95: 名無しで叶える物語 2018/03/06(火) 21:54:00.93 ID:X+mzUHvL.net

鞠莉は本当に梨子の笑顔が見たかった

鞠莉「私は貴女の笑顔が見たくてこういうことしてるのよ?泣かないで?」

逆に泣き顔は見るに堪えなかった

梨子「ひゃ、ひゃい…でも嬉しくて…胸が一杯で…」

そういうこともあるのかと鞠莉は驚いた

嬉しければ大袈裟なほど大いに笑う

それが当然だと思っていて少し思考がアメリカンだったと鞠莉は思い直していたが

鞠莉「こ、こんなの毎年あげるわよ、そう毎年貴女が喜ぶなら何度でも」

梨子「鞠莉ちゃん!ありがとう…!本当に私今幸せだよ」ニッ

鞠莉「!?」

すぐさま撤回する

やはり彼女の笑顔が鞠莉にはよく刺さった



96: 名無しで叶える物語 2018/03/06(火) 21:55:40.22 ID:X+mzUHvL.net

こうだと決めたら早いのが彼女だった


冬間近となった季節

鞠莉「あ、あの…梨子?」

梨子「?」

鞠莉「…」


鞠莉は膝を立てて、指輪を差し出した


梨子「!?」

鞠莉「えーコホン///…わ、私と結婚してください…!」

ストレートなプロポーズを彼女は行った

梨子「…ま、鞠莉ちゃん…!グス…」


鞠莉「あらまーた泣いてる?もう泣き虫なしこねぇ…で?返事は」

梨子「グス…ごめん…ごめんね…でも嬉し過ぎて、勿論…私でよろしければ」

梨子は指輪を受取りその入れ物ごと胸にぎゅっと抱き締め噛み締めるように目を閉じる

鞠莉「勿論貴女じゃないとね?…いいわ貴女が卒業したら海外へいきましょう?二人で一緒に…!」

梨子「鞠莉ちゃん…!うん行く!私行く!」

鞠莉「おっと!」

鞠莉の胸に飛び込む梨子


鞠莉「ふふふ、絶対貴女を幸せにするからね」

梨子「もう私は幸せだよ…?鞠莉ちゃん」


鞠莉「ダーメ!貴女はもっと幸せになれる、私が絶対にする」

梨子「鞠莉ちゃん…!」

鞠莉「ずっと一緒よ?梨子」

梨子「うん、ずっと一緒」



97: 名無しで叶える物語 2018/03/06(火) 21:56:54.57 ID:X+mzUHvL.net

しかし、プロポーズから一ヶ月以上

鞠莉と梨子はAqoursの練習外で会える日が減っていたというか一切会えてなかった

梨子「あの鞠莉ちゃん…最近どうしたの?」

鞠莉「…少し忙しくてねごめんね梨子?最近余り構ってやれなくて」

梨子「ううん、全然大丈夫だよ」

鞠莉「明後日は時間取れそうだからデート行きましょうか」


梨子「…え!本当?」


鞠莉「大丈夫!大丈夫!目一杯デートしましょう?」

然り気無く笑う彼女

梨子「やった…!ありがとう鞠莉ちゃん」

鞠莉「私にかかればお安いご用よ」

梨子の笑顔、それをみるのが鞠莉の幸せだった



98: 名無しで叶える物語 2018/03/06(火) 21:59:53.45 ID:X+mzUHvL.net

梨子「遅いよ!鞠莉ちゃん!」


鞠莉「ソーリーソーリー!ちょっと野暮用がね」

梨子「野暮用なのに一時間も遅れるの?」


プクッと頬を膨らませプイッと後ろに背ける梨子


鞠莉「ああもうごめんなさいってほらほら拗ねないで?ね?今日は一杯愛してあげるから♪」


それを後ろから飛びかかるように抱きつき


愛してあげるからと耳元で囁く


梨子「っ!?//////」


鞠莉「ふふ、顔真っ赤よ?大丈夫?不意討ち台詞にキュンときた?」


梨子「し、知らない!///」


鞠莉「こういう台詞も好きなのよね貴女は♪」


梨子「だ、だから!知らない!///」


鞠莉「ああもう本当可愛いなぁ!流石私のヴィーナス!愛してるわ大好きよ梨子!」


梨子「ああもうやめてよ///そんな恥ずかしい台詞大声で言うの///」


鞠莉「その恥ずかしい台詞大好きな子はだれよ」

梨子「し、知りません!」


鞠莉「私は貴女のドージンの台詞にいずれ勝つつもりだからね?貴女への愛の言葉では誰にも負ける訳にはいかないから…」

梨子「っ!?///」

鞠莉「絶対勝ってみせるからね」

眩しい彼女らしいシャイニーな笑顔

梨子も彼女のいつも元気とときめきをくれる笑顔には弱い

梨子「…(もう…勝ってるよ///)」



99: 名無しで叶える物語 2018/03/06(火) 22:00:47.39 ID:X+mzUHvL.net

そして…

鞠莉「もうすぐ沼津ね、いやー今日は混んでたわね東京…ドライブデートなんていきなりやめときゃ良かったかしら」


梨子「そんなことないよ…楽しかった」


鞠莉「そりゃ良かったわ」


梨子「……」

梨子「ね、ねぇ…鞠莉ちゃん?」


鞠莉「んー?」

再びデートとして鞠莉と会えたのはもうクリスマスの夜で

その東京までの鞠莉の運転でのドライブデートのかえり道

つまり東京から沼津に車で帰る途中の梨子を送っている最中の時

梨子はこのとき助手席でモジモジしながら鞠莉に話しかける

梨子「あの…///その…」

鞠莉「どうしたの?大丈夫よ必ず家に送り届けるわ」

梨子「そうじゃなくてね///あ、あの…///」

そこまでで梨子は顔赤らめてずっとモジモジ

ただ鞠莉の横顔を見つめるだけ

鞠莉「?」

梨子「…きょ、今日は鞠莉ちゃんのホテルに泊まりたいなぁって///」

鞠莉「」

ズキューーーンと心が鳴るのを鞠莉は感じた

恥ずかしがり屋の割りにたまに大胆なそんなギャップが極まれりの梨子の台詞

鞠莉「…貴女?本気で言ってるの?私のホテルってラブホじゃないけど…そ、その///私の部屋みたいなものよ?だからその…つ、つまり///」

梨子「うん…///したい…///鞠莉ちゃんとそういうことシたい///…ダメかな?」

鞠莉「」プツン

助手席からの上目遣いの梨子、鞠莉の理性が弾けとんだ

梨子「わわっ!」

鞠莉「ダメなわきゃあるかぁぁぁ!」

車の時速が跳ね上がった



100: 名無しで叶える物語 2018/03/06(火) 22:02:18.20 ID:X+mzUHvL.net

鞠莉「…」

梨子「きゃ!」

鞠莉は速攻でホテルにチェックイン(顔パス)

さっさと鞠莉特別ルームに入ってベッドに梨子を押し倒す

梨子「ま、鞠莉ちゃん?待って…まだシャワー浴び…んん!?」

鞠莉「んむっ…んちゅ…」

梨子の言葉が言い終わる前に梨子の身体に覆い被さり唇を唇で塞ぐ

梨子「くふぁ…鞠莉ちゃん待って///私こんな汚いまま…やだよ…」


鞠莉「んはぁ…はぁ…ごめん無理よ…そんな時間すら待てない…今すぐ貴女とシたい…!それに梨子はいつだって綺麗じゃない…?」

梨子「ま、待って…ま、りちゃぁ…んん///」

まだ心の準備が…と切なそうな梨子の顔

だがそれは鞠莉の心をさらに焚き付けるだけだった

軽く再びキスで喋る梨子の口を塞ぐ

鞠莉「んふ…りこ?…その表情ダメ…もう我慢できない…!…あむ…!んちゅ…!」

ダメと言いつつ、紅潮し今すぐにでも欲しそうなそんな梨子の表情は鞠莉をさらに興奮させゾクゾクさせるだけだった

梨子「んん…!」


再び鞠莉は梨子を両手で頬を包み容赦さえなく強いキス…

長い深いキス

舌を絡ませ啄ばむ

梨子「ん…ちゅぷ…ちゅぱ…んんっ///…っんあ///…ちゅ…んん…くふぁっ…」

鞠莉「んふっ…ちゅる…じゅる…っぁむ…!…ちゅる…んひゅ…」

唇と唇に糸が紡がれる

梨子「んっふ…っはぁ…はぁ…ま、鞠莉ちゃん///」

鞠莉「っぷはぁ…!…はぁ…梨子…///」

もう言葉など発する時間も無駄だった

一刻も早く愛し合う!愛し合いたい!

二人にはその思考しか浮かばなくなっていた



101: 名無しで叶える物語 2018/03/06(火) 22:02:56.86 ID:X+mzUHvL.net

鞠莉「んん…っんちゅ…」

梨子「んむっ…ちゅる…」

鞠莉「んふぁ…っはぁ…ほぉら…もっと…んふ…ひただして?♥」

梨子「…んふぅ…こ、こう…?///」


鞠莉「ふふ…そうよ♪…よくできました…はぁんちゅるるる…」

梨子「んんっ!?///」

鞠莉「じゅる…じゅる…んちゅぷ…れろぉ…はぁむ…れる…ちゅぷ…くちゅ…んっふ…ん…じゅるるるるる…!」

鞠莉「ぷはぁ…っはぁ…」

梨子「あっはぁぁ…///」

鞠莉は梨子の舌を吸い付くした、口の中を舐め回した

ツーと離した舌と舌から垂れる唾糸

鞠莉「じゅる…ふふ…やっぱり最っ高の味ね…貴女の味は…」

梨子「はぁ…はぁ…///鞠莉ちゃぁん…///」

鞠莉「分かってるわ…ふふ次の段階いく?」

梨子「…///」

梨子は顔を手で覆いながら顔を真っ赤にしてコクリと頷く

鞠莉「素直で可愛い…本当今日の貴女はいつもよりそそるわ…梨子!…はぁむ!」

梨子「んっ///」

鞠莉「んふ…いいよ?一杯一杯可愛がってあげる♥」

二人はキスを行いながらお互いを弄りはじる

鞠莉「ごめん、また買ってあげるから…ね?」

梨子「え///?」

バサッ!

上着はお互いにベッドしたへと脱ぎ捨てる

そして…そこから

梨子の胸元から下腹部までブチブチと音が鳴る、ボタンが強引に外されていく音だ

鞠莉は梨子の服を強引に引っ張るように脱がしていった

ギギッ…

梨子「いやぁ///ちょ、ちょっと鞠莉ちゃん///なにやって///」

鞠莉「ふふ何って?一度やってみたかったのよ強引に服を破って脱がしていくの」



102: 名無しで叶える物語 2018/03/06(火) 22:03:42.48 ID:X+mzUHvL.net

梨子「やぁだ…やめ…て…恥ずかしい///」

鞠莉「だからそんな顔見せられてダメだって!」

ビリリととうとう衣が破れる音が聞こえた

梨子の来ていたブラウスが無惨な布切れと化す

梨子「ダメだっていったのに…///」


鞠莉「興奮するのよ…貴女の表情一つ一つが」

ムニュ

梨子「あんっ///」


鞠莉「そして貴女の今の姿もね…へー今日は桜色のブラ…いや下もかしら?ふふ、自分の名前のカラーってことは勝負下着か何か?」

梨子「や、やめてよ///そういうこと聞くの///恥ずかしいじゃない!///」

鞠莉「いいじゃない?似合ってるわよとてもセクシーでキュートよ?」


梨子「…っ///そんなこと囁かないで…ずるい…///」

鞠莉「今日は私に抱かれるつもりでこんなえっろい下着なんて着けてくる方が悪い…」

ムニュ…ムニュ…

鞠莉は梨子を抱きよせて背後から胸へと両手を包みブラの上から梨子の乳房を揉む

梨子「んあっ///んん…///」

鞠莉「っ!?///…どんだけえっろいのよ貴女!」

ガッと今度はブラの中に手を突っこみ突起している乳首を刺激しながら揉みしだく

梨子「ひゃ///やめ、そこ今か、感じやすくなって///」

鞠莉「だから無理よ、そんな声出されたら…何?こんなに乳首立たせて?まさかさっきのキスでそんなに興奮してたの?」


鞠莉は親指と人さし指で梨子の乳首をつまみ上げ刺激しつつ、残りの指で乳房自体も揉みくちゃに揉みしだく


梨子「んぁ…///やだぁ…///言わないでぇ///」

鞠莉「可愛い…本当に可愛いわ貴女…」

鞠莉の手が激しくなる

梨子の乳首をつまみ上げてブラの衣と擦らせる

梨子「ひゃん///やぁ…それだめぇ///」

鞠莉「ふふ♥貴女本当に乳首敏感ね」



103: 名無しで叶える物語 2018/03/06(火) 22:04:24.13 ID:X+mzUHvL.net

梨子「そ、それは///鞠莉ちゃんの手つきがいやらしいから…///」

鞠莉「そう?これくらい普通だと思うけどぉ?」

ムニュムニュムニュムニュムニュ

梨子「あっ…///あっ…///だ、たから…///それがっ♥…んっ♥…」

鞠莉「言葉になってないわよ?なぁに?私は乳首で感じる淫乱ですって?」

鞠莉は揉みしだくのと同時に耳元で囁く言葉責めを開始

梨子「ちがっ♥んぁ…ああっ♥」

鞠莉「ふふ、やっぱり淫乱じゃない…」

梨子「はぁ…♥ちがっう…のぉ///♥」

鞠莉「そう?じゃあここは?」

また耳元で囁く

鞠莉は乳房からツーと下腹部からゆっくりと指をおろして梨子のスカート中パンツの中に手を突っ込んだ

梨子「!?!?///や、やめて!そこは///あっん♥」


くちゅっと軽く指を突っ込む


鞠莉「ふふ♥ちゅる…愛液ですでにぐちょぐちょじゃない…このビッチエッチ桜内」

再び耳元で囁く

梨子「んっ///////」

鞠莉「…貴女耳で囁かれるのも弱いの?」


梨子「ち、違う…」


鞠莉「何が違うのぉ?」

耳元での囁き

梨子「んんっ♥ /////」

鞠莉「ビンゴ♪…貴女多分ドMね」

梨子「やぁ///違っ///んあっ♥あんっ♥ダメ激しっ♥」


くちゅくちゅと梨子のを弄くりだす



104: 名無しで叶える物語 2018/03/06(火) 22:05:05.72 ID:X+mzUHvL.net

鞠莉「このままイク…?イッちゃう?」

耳元で囁く、くちゅくちゅくちゅくちゅと弄くられた膣は愛液をたれ流しはじめ

鞠莉の手をいやらしい滑りをおっていく


そしてそれが指の動きをよくする潤滑油となりさらに激しくさせた

梨子「いやぁ///♥らめっ///♥私ぃ…///イクっ///♥ああああ///////」

くちゅくちゅくちゅくちゅ

鞠莉「いいよ?梨子?派手に私の前でイッてみせて?」

梨子「いやぁ////恥ずかしっ////んっ♥ダメ♥激しっ♥あああああ///きちゃう…きちゃうううう!」

くちゅくちゅくちゅくちゅ

鞠莉「ふふ…愛してるよ梨子」

ドドメの囁き

くちゅくちゅくちゅっ!

梨子「!?!?///あっあああああああああ゛あ!!!!!///////♥♥」


ビクンビクンと跳ねると膣から勢いよく

……

梨子「…私は梨汁ブッシャーしちゃいました///」

鞠莉「はいはい!ストオオオオップ!///////」

梨子「え?」

鞠莉「恋物語聞かせてっいったのにエロパート長くない!?」

梨子「そりゃあ婚約後のクリスマス聖夜初エッチですから詳しく話さないと♥あの激しい夜…あぁもう思い出しただけでまた梨汁が出そう」


鞠莉「梨汁言うのやめて!というかそんなこと詳しく話さないで…どういう性癖してるの貴女!?」

梨子「貴女がそういう性癖を開花させたんですよ?…それを忘れるなんて本当にひどい人です鞠莉さんは…」


鞠莉「性癖開花させたの私ぃ!?」


梨子「そうですよ?私をムッツリからオープンスケベにしたのもドMにしたのも貴女です」

鞠莉「それでも元々ムッツリだったんかい…」

梨子「ふふ、でも貴女が開花しなければここまで拗らせることはなかった…どう責任とってくれるんですか?」

鞠莉「ぐ…それに関してはぐうの音もでない…」



106: 名無しで叶える物語 2018/03/06(火) 22:08:46.48 ID:aTf1umUM.net

梨子「冗談です♪…私はもう責任なんて貴女に求めません」

鞠莉「…でも…婚約までした仲なのに…」


梨子「いいんです、そこに縛られていてはきっと昔の鞠莉ちゃんも可哀相だから」

鞠莉「…?…どういうこと」

梨子「ここからは…貴女が記憶を失うまでどういう経緯かお話しします…」

鞠莉「…ええ…お願い…」


………

鞠莉の様子が変わり始めたのはクリスマスから進み年始の頃


鞠莉「……」


鞠莉と梨子は同棲を開始していた

同棲と言ってもあのクリスマスに愛し合った部屋で休みの日に泊まるくらいのものだったが


梨子「鞠莉ちゃん…あ、あの///今日はどうする?///」


冬休み中は毎日のように会っていた二人はほぼ毎日愛し合ってたのだが…


鞠莉「ごめんなさい…梨子今日はちょっとそそういう気分じゃないの…」


この日は珍しく鞠莉のテンションが若干低く乗り気ではなかった


梨子「!?っ…!…あ、あ…そうなんだ///…わ、わかった…」

鞠莉「ふふ、そんなにシュンとしないで?ちょっと今立て込んでて余裕がないだけよ、別に貴女とのエッチが飽きたわけじゃないわ?安心して」

梨子「なっ!?///別にそんな心配してないよ!?もうー馬鹿ー!!」


鞠莉「クスクス…ごめんなさい?でも貴女があまりにも残念そうな顔するから…ちょっと申し訳なくって…」

そうやって鞠莉は笑った

そう彼女は自分がどんな状態でいようとも梨子の前では笑っていた



107: 名無しで叶える物語 2018/03/06(火) 22:09:19.81 ID:aTf1umUM.net

鞠莉「ふふ…」


梨子「ん……」

一月も後半に差し掛かっていた

鞠莉はこのときより、目眩に悩まされていた

梨子と鞠莉はこの日も服を乱れさせてそういう雰囲気になっていたのだが

鞠莉「!?……くっ…」


ガッ…急な目眩に襲われ壁によろけた

梨子「鞠莉ちゃん?」

鞠莉「だ、大丈夫よ…ちょっと目眩が…さぁ梨子?服全部脱いで…?」


梨子「…大丈夫じゃないよ…!鞠莉ちゃん目の焦点が合ってない…」

鞠莉「大丈夫!大丈夫!ちょっと寝不足なだけ♪」

また彼女は辛いのに笑った

梨子「じゃあ寝て?もう夜中だし…寝ないとまた寝不足になるよ」

鞠莉「だ、ダメよ…!…貴女との時間が疎かになっていいはずが…」


梨子「私のことはいいから…鞠莉ちゃんは家柄上忙しいの知ってるし、こればかりはしょうがないよ」

鞠莉「もう3週間近くもそういうことお預けにしてるのに…梨子は優しいのね…ごめん…お言葉に甘え…」

バァン!

梨子「鞠莉ちゃん!?」

鞠莉は限界のようにそのままベッドに突っ付して倒れ込み眠った

梨子「…馬鹿…こんなに疲れてるのに…私なんかを優先させて」

いつぞやの鞠莉に怒られる台詞を梨子は呟く

私なんかじゃない…私だからだと梨子を常に優先してきた彼女

梨子「よいしょ…っと…か、軽!?…嘘でしょ…鞠莉ちゃん…痩せすぎだよ…」

いや痩せすぎというよりかはやつれていた

私だから何よりも優先…

この鞠莉の行動原理が鞠莉の現状の仇となっているのでは?と不安が募り出す

そんな不安な目でやつれた鞠莉を抱き上げ、梨子は鞠莉をしっかりとベッドに入らせて寝かせ呟く

梨子「…おやすみ…鞠莉ちゃん…」



136: 名無しで叶える物語 2018/03/09(金) 03:21:45.61 ID:XwI2WGbO.net

しかし、状況は悪化する

月は2月に入り、とうとう

鞠莉が倒れて記憶を失うその日

梨子「今日も来ない…」

梨子は自宅にて返事を待つ

鞠莉「ごめんなさい…梨子もうこの部屋使えなくなった…」

別れ話ではなかった…しかし何かの圧力が鞠莉にかかり

あのホテルの部屋での逢瀬を禁止されたと見える

しばらく恋人として接することもできなかったがとうとう会うことも厳しくなってきていた

鞠莉「本当にごめんなさい…でも絶対にこの埋め合わせはするわ!…だからこの日、メールを待っていて頂戴…その日は二人の時間を作りましょう…約束する」

その約束の日、約束の時間だった


梨子「メールが入らない…おかしい…」


梨子はこのときからすでに嫌な予感がしていた

鞠莉はデートがダメになったって時間通りにメールくらいくれる

なのに来ない

これは何かがあったんだと予感が告げていた

その予感に呼応するように

prrrrrrrr

ずっと待ち構えて持っていた携帯電話がなる…

それに照らし写し出された名前は高海千歌

このとき、梨子の中の嫌な予感が確信に変わる

梨子「もしもし、千歌ちゃん?」



137: 名無しで叶える物語 2018/03/09(金) 03:23:43.28 ID:XwI2WGbO.net

梨子「ま…り…ちゃん…」

病室、頭にまだ血が滲む包帯を巻き意識を失っている鞠莉がそこにいた

千歌「道端に倒れてたんだ…」

梨子「倒れてた?なんで…?それに頭から…!血が…!」

ダイヤ「倒れてた原因は極度の疲労、頭の出出血はその倒れたときに頭を打ってのようです」

梨子「!?…だ、大丈夫なの…!?ま、鞠莉ちゃんは…!」

気づけば…いや当然かそこにはAqours全員が集まっていた

駆けつけたのは梨子が最後だったらしい

梨子「ね…ねぇ…!?鞠莉ちゃんは…?」


「……」

梨子の悲痛な問いかけに皆は沈黙する

誤魔化したいわけじゃないが梨子の前では

言い出し辛かったのだろう

梨子「な、何よ…なんとか言ってよ…なんとか言ってよ゛ぉ!みんな!」

「……」

涙ながらに激昂してもずっと沈黙のAqours

優しい子しかいないAqoursが言えるわけがなかった

もう鞠莉が目覚めないかも知れないだなんて

鞠莉と梨子の関係を密接に知るメンバーだからこそそんなこと到底言えるはずがなかった

梨子「グス…なんとか言ってってばぁ!」

梨子もすでに察しはついていた…けれどそれに甘えて叫んでしまっているだけだった


梨子「ヒッグ…なんとが…なんとが…いっでよ゛ぉ…ヒッグ…大丈夫だっでいっでよ゛…ヒッグ…」

果南「梨子ちゃん…!」

ギュ

今にでも泣き崩れそうな梨子に駆け寄り抱き締めるのは果南

果南「大丈夫…!大丈夫…!鞠莉はね…こんなことで…死んだりしない…!」



138: 名無しで叶える物語 2018/03/09(金) 03:24:59.63 ID:XwI2WGbO.net

果南「こんなことで…梨子ちゃんを置いてったりしない…!」


泣きながら言う果南のこの無責任に見える言葉…

しかし果南だからこそ言えた

果南だからこそ信じられた

梨子「グス…!…うん…」

梨子だけじゃない…そこにいたAqoursメンバー皆がその果南の言葉で鞠莉の復活を信じ始めた

千歌「うん…そうだよ…!最後のライブ、鞠莉ちゃんが一番楽しみにしてたんだ…すぐ起きるよ」

ダイヤ「ふ、そうですわね…少しお寝坊さんが過ぎると叩き起こしても良いでしょう」


善子「ギルキスがここで終わるわけないわよね?マリー?」

次々と声をかけるメンバー

ただ現状は厳しかった


鞠莉のこのときの状態は生死を彷徨うくらいの重症

その峠を越えてももう目覚めることはないと

そう言われている状態だった

梨子「鞠莉ちゃん…お願い…戻ってきて…」

梨子は鞠莉の手を自分の頬に当て祈るように握る

梨子「どうしてそんな状態で出掛けたりしたの…バカ…」


ダイヤ「きっと鞠莉さんは約束を守ろうとしたのでしょう…過労で辛くても貴女だけは裏切れない、そう思ったからですわ」

梨子「…なんで…そんな…」


ダイヤ「まあバカはバカですわね…わたくしたちにでさえ家であんなことになってるとは誰にも何にも言わなかった…」

梨子「家?…鞠莉ちゃんの家でどうかしたの?」

果南「梨子ちゃん、鞠莉のお父さんさ…厳しいんだ…その同性恋愛とかね」

梨子「!?」



139: 名無しで叶える物語 2018/03/09(金) 03:26:12.48 ID:XwI2WGbO.net

梨子「…そっか…そうだよね…うん、普通そうだよ」


同性愛など認める親がいる方が珍しい、特に鞠莉のような家系なら尚更難しいことだ

そんなこと梨子には分かりきっていた

考えないようにしていた

梨子「それで鞠莉ちゃんは今…?」

ダイヤ「…勘当されています」

梨子「!?…勘…当…!?そんな…じゃあ」


ダイヤ「恐らくその前からお父様と言い争いをして険悪な状態だったのでしょう…貴女と逢瀬を繰り返している…そう聞いた鞠莉さんのお父様は鞠莉さんの家での用事を増やし縛りつけようとした」

梨子「ひどい…!」

ダイヤ「ええ…お前が見ているのは幻想だと、恋愛ごっこだと…現実を見て小原家のためだけに尽くせと」

梨子「…幻想?恋愛ごっこ?…そんなはずない…!」

ダイヤ「ええ…だから鞠莉さんも自分のお父様に…いや小原家全体に啖呵を切ったんです…幻想じゃないことを証明してみせる!って」


梨子「それでさらに増えた家での用事、理事長の仕事、Aqoursの練習、そして私との時間…それを両立させようとしたわけか…」


ダイヤ「その通り、当然身体が持つわけありません…家でも当然まともな働きが出来るわけではありません、だからとうとう勘当までされたという訳ですわ」


梨子「…つまり鞠莉ちゃんが倒れたのは…私のせいってことね」


ダイヤ「……」

曜「!?…違うよ!?梨子ちゃんと鞠莉ちゃんはそのままでいいんだよ!」

ここまで黙り込んでいた曜が梨子の言葉聞いて否定する


梨子「違わないよ、私がいなければ鞠莉ちゃんは…」

千歌「本気でそう思ってる?」

梨子「!?」

今度は千歌、少し強張った顔で梨子に問う



140: 名無しで叶える物語 2018/03/09(金) 03:27:55.98 ID:XwI2WGbO.net

千歌「本気でそう思ってるなら軽蔑するよ?」

梨子「思ってる訳…ないじゃない…思いたくもない…だけどその為に鞠莉ちゃんは…」

千歌「たしかに鞠莉ちゃんは梨子ちゃんのために無理していたかも知れない…でも鞠莉ちゃんも梨子ちゃんに会いたいのは変わらない、鞠莉ちゃんも好きで無理をしていたのは変わらない…それを自分の責任するのはそれこそ鞠莉ちゃんが可哀相だよ」

曜「悪いのはどちらでもない…悪いのは二人を認めない環境…」

ダイヤ「そうですわね…どちらかと言うと貴女方の恋が悪かったのではなく、その恋の在り方がまずかったというか」


本当にそうだろうかと梨子は考える

私達の恋は恋をする…たったそれだけで否定されるものではなかったのか

愛し合う

ただそれだけで不正解なんではないかと

二人が出会い、恋に落ちたのも偶然でないというなら

この結末も必然ではなかったのか


梨子「……」


花丸「梨子ちゃん?あまり深く考えちゃダメだよ?」

ルビィ「うん…梨子ちゃんたちならきっと最善策見つかると思うよ」

梨子「最善策…か…」

いや最善策なんて多分ない…

あるとしたら…

千歌「!?…ま、鞠莉ちゃん…!」

鞠莉の目が開いていた

最初に見たのは千歌

鞠莉「あ…れ……私…」

梨子「!?……ま、鞠莉ちゃん!」

その声に即座に反応したのは梨子

千歌「鞠莉ちゃん!鞠莉ちゃん!大丈夫分かる?私達いるよ?ほらここにいるよ」

曜「やった…!鞠莉ちゃん!…グス」

ダイヤ「鞠莉さん…!良かった…」

目覚めたことに気づいた他メンバーが次々と駆け寄る



141: 名無しで叶える物語 2018/03/09(金) 03:28:50.71 ID:XwI2WGbO.net

「鞠莉ちゃん!(マリー)(鞠莉さん)」

鞠莉「え…え…」

8人の声を聞いて困惑する鞠莉

梨子「鞠莉ちゃん…?」


様子がおかしいことに梨子が気づく

ダイヤ「鞠莉さん?どうしたのですか?…まだ具合が悪いのでしたら無理せず」

違う…

心の中でダイヤの言葉を否定した梨子はそこで気づく


あの目は、困惑と恐怖

目覚めた瞬間に状況が分からずこれだけの人に囲まれていたらそれは動揺するだろう

だがそれだけじゃない

鞠莉「貴女たち…誰?」

曜「え…?」

果南「鞠莉…?何言って…」

鞠莉「鞠莉?…あぁ私の名前か…あれここは一体…あれ私なんで包帯なんか…」

梨子「!?」

ダイヤ「そんな…まさか…貴女…」


奇跡だった…生死がかかった状態で生き延びたこと自体は

奇跡だった…もう目覚めないと言われていたのにすぐに目覚めたこと自体は

だけど奇跡には代償がつきまとう

その代償が…

千歌「も、もう一度聞くよ?鞠莉ちゃん?私達のこと…分かる?」

鞠莉「ごめん…なさい…私…何も思い出せなくて…」

「!?!?」

曜「そんな…そんな…!」

梨子「ま…り…ちゃん…」

全ての記憶喪失だった



143: 名無しで叶える物語 2018/03/09(金) 03:31:33.62 ID:XwI2WGbO.net

あれから3日経過

見舞いはダイヤ、果南、梨子だけでまだ続けられていた

ガチャ

ダイヤが鞠莉の病室から出てくる

果南「どうだった?」

ダイヤ「少しは記憶が復活してきています…家のことそしてわたくしたち幼馴染との昔のこと」

果南「それ以外は?」

ダイヤは首を横に振る

果南「そっかでもこの調子なら…」

ダイヤ「ええ…大丈夫だと思います…しかしAqoursのライブは…」


果南「うん、鞠莉抜きで考えないとね」

梨子「!?…そんな…そんなこと」

果南「仕方ないよ…こんな事態になってしまったなら…鞠莉ももうライブどころじゃ」

梨子「…鞠莉ちゃん…最後のライブだってたのに…そんなの…」

ダイヤ「梨子さん?また貴女自分のせいだと思ってません?違いますからね?」

梨子「そんなこと言われたって…こんなのどう考えたって…」

果南「やめなよ梨子ちゃん?そんなこと考えたって鞠莉は喜ばない…梨子ちゃんはこれから鞠莉との将来があるんだから」

梨子「……」

将来?その将来を潰したのも自分じゃないか…と梨子は考えてしまう

自分のせいで大切な鞠莉の過去の思い出も鞠莉のこれから作る思い出もぶち壊してしまった

梨子「私が取り戻します」

ダイヤ「?」

果南「梨子ちゃん?何て?」

梨子「私が記憶を取り戻します!」

こうして梨子の鞠莉の記憶を取り戻す戦いが始まったのだが

……

梨子「まあその後はなんやかんやで鞠莉ちゃんは私との記憶以外は大体を取り戻しラストライブこうやって間に合うようになりましためでたしめでたし」

鞠莉「…いや…待って」



144: 名無しで叶える物語 2018/03/09(金) 03:33:42.95 ID:XwI2WGbO.net

梨子「?」

鞠莉「…?…じゃないわ!めでたしでもない!」

梨子「何がですか?鞠莉さんは生活に困らないくらいの記憶をもう維持しています…これ以上は後遺症ってことで仕方ないですよ」

鞠莉「バカ言わないで!私が今ここで立っているのも貴女が記憶を取り戻したおかげってことよね?」

梨子「私が取り戻したわけじゃないですよ…鞠莉さん貴女自身が取り戻したんです…私はその手助けをさせて貰っただけ」


鞠莉「一体何をしたの?」

梨子「……何も」

鞠莉「嘘…!2月って今月よ?こんな短期間で私の記憶が突然ピンポイントで一気に回復するわけ」

梨子「奇跡でも起きたんでしょうよ」

鞠莉「奇跡は何度もこんな形で起きないわ、私は生死をさ迷っていた…それが目覚めたそれは紛れもない奇跡」


鞠莉「だったら私の記憶が消えたのはその奇跡の代償」

梨子「……」

鞠莉「だとしたらその私の記憶が蘇ったのはそれも奇跡?馬鹿馬鹿しい…梨子貴女…」


梨子「何ですか?」

鞠莉「まだ何か隠してるでしょう?そもそもさっきの話を聞いて疑問だったのよ…私は勘当されたはずよね?」

梨子「…ええ…私との恋人関係が家に認められなくて勘当されました」

鞠莉「だったらなんで私が今普通に家に帰れていてなんで普通に理事長を出来ているのよ…!」

梨子「…そりゃあ記憶喪失までになったら流石に鞠莉さんの家も」

鞠莉「そんな親父じゃないわよあのクソ親父はね」

梨子「そんなにお父さんのこと言わないでも」

鞠莉「いーやあのクソ親父は娘でも使えないと判断したら切り捨てる冷めたいやつ…一度捨てた駒は二度と拾わないのよ?余程のメリットでもないとね」

梨子「……」

鞠莉「貴女が何かしたわね?梨子…?」

梨子「何でもいいじゃない?鞠莉さんが元気で幸せなら」

鞠莉「何でも良くないわよ!!」

梨子「!?」



145: 名無しで叶える物語 2018/03/09(金) 03:35:51.41 ID:XwI2WGbO.net

鞠莉「貴女が不幸になっていても?少なくとも記憶の中の私は貴女の不幸を願っていない…!そして借りを作られたままの今の私も願っていないわ!」

梨子「借りなんて感じなくていいですよ…さあもう最後のライブまで近いですから切り替えていきまし…んむ!?///」

後ろを振り向き音楽室から出ていこうとした梨子をひき止め振り向かせ様にキスする鞠莉

梨子「ぷは…ちょっと何やっ///んん…///」

鞠莉「んん…んく…ぷはぁ…///」

梨子「…はぁ…何のつもり?///…まだ記憶も戻ってない癖に…」

鞠莉「ええ残念ながらそうね///」

梨子「じゃあ私のこと好きじゃない癖に…」

鞠莉「ええ好きじゃないわ」

梨子「だったら…やめた方がいいですよ?こういうことするの…私が勘違いするんで」

鞠莉「それはいつもセクハラしてくるからその仕返しよ…それに借りがある…だから貴女の恋人になった方が…いやなるべきね…それが元鞘なんだから」

梨子「お断りします」

鞠莉「は?バカ言わないで!私と貴女は恋人同士…それにこうなることを貴女も望んでいたんじゃ…」

梨子「望んでいましたよ…貴女が本当に私のことを好きでいてくれるならね」

鞠莉「それはこれから好きになるよう努力するわ…今すぐには無理かもしれないでも必ず…貴女と恋人という時間を取り戻すと約束する」

梨子「…本当に貴女はひどい人…そしてずるい人…」

鞠莉「?」

梨子「そんな約束、また貴女の負担になる、また貴女の足枷になる…やめた方がいい」

鞠莉「そんなの分からないじゃない!」

梨子「分かるんですよ…私は貴女より貴女を知ってる…貴女はそういう人なんです…重荷を背負っても私の前では気丈に振る舞おうとする人…私ごと背負おうとする人」

鞠莉「そんなの当たり前…」

梨子「記憶が消えてもその信念だけは変わらない…だったらきっと貴女はまた躓く、貴女はまた壊れる」

鞠莉「……」

梨子「そんな…貴女もう見たくないの…」

鞠莉「…でも…私は!貴女を愛してみたい
の!貴女が愛した私のように私も貴女を!」

梨子「ふ…だったら…キスくらいまともに出来るようになってください」

鞠莉「!?///」

梨子「強引さがあの人に遠く及ばない…そんなキスじゃ私をあの人からはNTRれませんよ♪」

梨子は笑顔でそう立ち去った



146: 名無しで叶える物語 2018/03/09(金) 03:37:41.13 ID:XwI2WGbO.net

翌日

鞠莉「……」

ダイヤ「今度はなんですか…」

鞠莉「梨子にフラれた」

ダイヤ「…またそれですか…耳タコ案件ですわよ」

鞠莉「違うわよ…そりゃ昔本当に付き合う前にも多分お世話になったと思うけど…今回は昔の私から梨子を寝取る方法を…」

ダイヤ「なんですのそれ新手の惚気話のスタイルですか?」

鞠莉「違うのよ!梨子が昔の私の方がキスが上手かったとか言って!なんか悔しいじゃない?」

ダイヤ「やっぱりただの惚気話じゃないですか」

鞠莉「違うってば!昔の関係戻りたいだけよ…なんか恋人同士って聞いたら今のこの訳のわからない関係嫌じゃない?」

ダイヤ「嫌ですわよ…私と果南さんの胃にどれだけ穴空いたと思ってますの?」

鞠莉「うぐ…ご、ごめん…だからやっぱり元鞘に収まりたいなって」

ダイヤ「はいはい…でもいざ戻ろうっていったら拒否されたと」

鞠莉「うん…あんなにアタックしてきてた癖に…」

ダイヤ「それは貴女がまだ好きという感情が芽ばえないからではないですか?」

鞠莉「…正直分からないわ…でも好きになる努力は」

ダイヤ「そんな状態でまたそんな難しいこと考えてたらまた貴女倒れそうですわね」

鞠莉「それも言われた…だから私はずっと考えてるのよ」

ダイヤ「?」

鞠莉「好きってなんだ?って」

鞠莉「でもね…全然分からない…梨子のこと昔恋人だったとか言われても全然何も思わない…女同士なのに…って思ってね」

ダイヤ「それが普通ですわ…そもそも完全に梨子さんとの記憶がないのに好きになれる方がおかしいです」

鞠莉「それじゃ困るのよ…私は梨子に幸せになって貰いたい…あんな悲しい笑顔をする子にはなって貰いたくない…」

ダイヤ「…その考えは喪失前とそっくりなのね…いや…ニュアンスが違うか…でも本当に貴女は変わってませんね…ま、記憶が1回リセットされたくらいじゃ人の本質は変わりませんか」

鞠莉「?」

ダイヤ「いいですか?鞠莉さん?」



147: 名無しで叶える物語 2018/03/09(金) 03:39:30.67 ID:XwI2WGbO.net

鞠莉「?」

ダイヤ「貴女が好きになりたいって思うのはなんでなのですか?」

鞠莉「…そ、そんなのだから梨子には幸せになって貰いたいから」

ダイヤ「違う…前提が逆、それは貴女の梨子さんへ感じてる感謝や罪悪感からの義務感…貴女が梨子さんを好きになる理由には到底ならない」

鞠莉「!?」

ダイヤ「昔の彼女と付き合ったあとの鞠莉さんにもたしかにそうした義務感はありましたわ…ですが」

鞠莉「……」

ダイヤ「人を好きになることなんて理由なんてない…自然に好きになっているものですから」

鞠莉「そんなこと言われてもよく分からないわよ」

ダイヤ「そーですねぇ…じゃあまず貴女と私は幼馴染で親友ですが…何故貴女は私を親友だと思ってるのですか?」

鞠莉「そ、それは…そんなの幼馴染だから……あ、あれ……!?」

ダイヤ「気づきました?幼馴染だから?昔からよくつるんでたから?違いますわよね?それは皆付き合ってみてからついてくる理由」

ダイヤ「幼馴染であろうがなかろうが人と人には必ず出会いがある…その出会いが幼馴染だと後に親友や恋人になる確率は高くはなるかも知れないけれど最初の出会いでその人にそんな理由で好きになって付き合い始める人はいない」

ダイヤ「つまり…最初の出会いに関しては理由なんてないんですわよ…鞠莉さん?貴女の梨子さんとの最初の出会い自体がもう貴女の好きの理由なんですよ」

鞠莉「!?…私と梨子の出会い…」


そういえばと鞠莉は頭を抱えた

梨子とはいつ出会った?浦女に転校してきたとき?

いや…それよりも前にコンクールで…

その時一体何があったっけ?

…ダメだ思い出せない


ダイヤ「まあ、もうそういうことではないんでしょうがね…梨子さんの本心は」

鞠莉「…?…どういうこと?」

ダイヤ「それは言えないと前も言ってますでしょう?」

鞠莉「…何なの…梨子は一体まだ何を私に隠してるって言うのよ…」

ダイヤ「さあ、梨子さんとの約束なので死んでも言えません」

鞠莉「…意地悪」

ダイヤ「…まあ…」

鞠莉「?」



148: 名無しで叶える物語 2018/03/09(金) 03:40:56.52 ID:XwI2WGbO.net

ダイヤ「一つ語れることがあるとしたならば…梨子さんは一つの賭けに出ているということですかね」

鞠莉「賭け?…あーもうそんなの分からないわよ…」


ダイヤ「だから貴女はそのまんま無理をせずにいればいいんですのよ?」

鞠莉「無理、私が無理をしないのが無理」

ダイヤ「もう病気ですわね」

鞠莉「と・い・う・よ・り・!人の不幸中に自分だけのうのうとはしてられないわ」

鞠莉「見てなさい?私は絶対梨子に惚れる!…また惚れさせる!」

鞠莉はこうしては居れないと立ち上がる

ダイヤ「貴女らしいというか…なんというか…ただ梨子さんの意志も強固なものですから…って!?」

鞠莉「ということでダイヤ?キス…しよ?んー!」

パシィーン!

ダイヤ「ば、バカですの///貴女はぁ!///」

鞠莉「いった何すんのよ?」

ダイヤ「こっちの台詞ですわこの痴れもの!何でわたくしと貴女がき、キス///なんてしないといけないんですか!」

鞠莉「だってキスの練習相手がいなくって…梨子を惚れさせるにはキスをもっと上手く…」

ダイヤ「練習相手にわたくしを使うな!というかしたらわたくし梨子さんに殺されますわよ!」

鞠莉「えーでもそれじゃ誰にキスすれば」


ダイヤ「誰ともしないでください!梨子さん以外に!」

鞠莉「…とまぁ冗談はおいといてどうしようかなぁ…とりあえず」

ダイヤ「貴女本当に質が悪いですわね」

鞠莉「クソ親父には話があるわ」

ダイヤ「やめなさい…それは…また勘当されますわよ」

鞠莉「…構わない」



187: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 04:32:10.54 ID:ys1KzXyX.net

小原家のある日

偉大なホテルのオーナーの書斎に大きな声がする

「ほう…鞠莉…君は自らまた自分は捨て駒だと喚きにきたのかね?…あーいや思い出したというところかな?自分がすでに捨てられたという存在ということに」

鞠莉「どっちでもないわよクソfather!」

「信じがたいがね…いらぬ記憶消えて少しはお嬢様らしからぬお転婆が消えたと思っていたが…まるで記憶が戻ったかのように口が悪い」

鞠莉「何もかも貴女のせいでしょ!それに貴女みたいな冷血親父何度記憶が消えようが嫌いなものは嫌いよ!」

「言ってくれるじゃないか好きな女を今まで忘れていたような哀れな娘が」

鞠莉「るっさい!関係ないでしょ!そもそもなんで貴女が私と梨子の関係に関与したのよ!」

「…私が君の恋路の邪魔をしたとでも?邪魔をしたのは君の方だろう?鞠莉?」

鞠莉「?」

「それも忘れたのか君は…どうやら本当に使えない娘のようだ…」

鞠莉「私が邪魔した…?どういうことよ?」

「君が彼女(梨子)にどれだけ入れ込んでいたかは知らないがね…君はいささか仕事をしなさすぎた…」

鞠莉「そ、それは…で、でも明らかにオーバーワークで」

「オーバーワーク?…ああそうか君はいつもそうだな…自分からやりはじめたことに後で難癖をつけてくる、そのことに限りは典型的でお手本のようなわがままお嬢様と言ってもいい」


鞠莉「な、なによ」


「スクールアイドルをやりたいって言い出したのは誰だ?学校の理事長をやりたいって言い出したのは誰だ?浦女の廃校期限を伸ばして欲しいだ無理難題、わがままにも等しいことを駄々を捏ねてきたのは誰だ?」


鞠莉「っ!?…そ、それは…でも」


「こうなるとは思わなかったから…かね?…甘いな君は…だから全て上手くいかないんだ…世の中こうなるとは思わなかったで済まされることなんてないんだぞ?」


鞠莉「だ、だからって娘が過労するまで…!倒れるまで…!仕事を押し付けたままにするようなこと…」

「そうしなきゃ分からんだろう?…痛い目みないと分からないタイプだからな君は」

鞠莉「なによ…酷い親父には変わらないじゃない…」

「やれやれそう思いたいならそう思えばいいが私としては君のわがままには随分付き合ってきたいい父親とは思うがね…」



188: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 04:33:38.21 ID:ys1KzXyX.net

鞠莉「……」

「思えば小さい頃からそうか?君はよくこの部屋から脱出していたな…こんな快適な環境に身を起きながらつまらないくだらないと宣って…」

鞠莉「つまんないわよ…こんな着飾っただけで何もない場所…小さい頃から私の下らない未来を指し示すようなところで嫌気がさしていた」

「レールに敷かれた人生が嫌いか?だがレールに敷かれもしない体たらく人生よりは余程ましだと思うがね」

鞠莉「私は嫌よ!」

「そうか、まあそれはいい…そのおかげでいい友人には恵まれたようだからね…だがね何があろうと」

鞠莉「……」

「今回ばかりは間違いだったと言わざる負えないな」

鞠莉「なにがよ…」

「薄々気づいていたんじゃないのか?この恋は成立しないと…いくら君がレールに外れたのが好きとは言え…この恋だけは私としては認めるわけにはいかなかったのだよ」

鞠莉「バカ言ってんじゃないわよ!娘の恋ならなんであれ全力で応援しなさいよバカ!」

「バカで結構、何を喚こうともう無理だ…君の声は聞き入れられない、君は失敗し過ぎだ」

鞠莉「?」

「それも忘れているみたいだから話してあげよう…一から話そうかまずはそうだなぁ…初めて君が私にカミングアウトしたときか」

……

鞠莉「私と梨子とケッコンシマース」


「ぶふぅー!」

鞠莉の父は飲んでいた紅茶を吹く


鞠莉「ちょ、いきなり何よ汚いわね」


「いやぁファッキン娘よ?今回のジョークは少しばかりきついね?え?ケッコン?しかも梨子君?梨子君と言えば…」

鞠莉「美人でピアニストでスタイルも良くて秀才で性格もシャイで可愛くって私の大切なマイハニーよ♡」

「マイダーリンではないのか!?いやダーリンでも許さん!というか認めるわけにはいかないぞ!そんなこと!」

鞠莉「絶対そうくると思ってた…でも残念…もう婚約指輪まで渡しちゃった♪」

「!?…くっ…バカ娘はぁ…!…これは頭が痛い案件だぞ…」

鞠莉「どうせお堅いパパだと反対されるだろうから私の本気度を見せておこうと思って」



189: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 04:34:08.67 ID:ys1KzXyX.net

「そんなことで本気度を見せたことになると思ってるのか?決してならないが」

「こらママ!そこでてっきり松浦さんのとこか黒澤さんとこかと思ったとか呟かない!別の候補ですら女ってどういうことだ全く!怖いぞ私は!」

鞠莉「ということで私達、結婚を前提で付き合ってます♪また梨子は紹介するね」

「い、いや勝手に許さないぞ馬鹿者!…今回ばかりのわがままだけは聞けん」

鞠莉「何?…まさかパパ、女同士だなんて…つまらないこと言うつもりじゃないわよね?」

「ああ、つまらないことかも知れないが言わせて貰う、現実で考えてみろ女同士だなんて絶対に長続きしない、君が見てるのは恋のまやかしだよ」

鞠莉「ふざけないで!私の恋心はあの頃から本気!まやかしなんかじゃない!高校入学したての時東京のピアノコンクールで聞いたときからずっと…」

……

「梨子君が好きだったんだとね?覚えてないかい?」

鞠莉「そんなことを…」


「呆れたね…あれだけ好き好き言っていた相手を頭を打った程度で忘れるかね」

鞠莉「るっさいわよ!それに関しては死ぬ間際にまで私を追い詰めた貴女が…」

「はぁその調子じゃ…本当に私が悪者のような扱いだな」

鞠莉「悪者でしょ!大体!勘当しなければこんなこと…」

「その勘当の件に関してもだ…君が勝手に決めたことだ」

鞠莉「!?」



190: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 04:35:08.39 ID:ys1KzXyX.net

「ダメだ認めない!まだ段階が早すぎる」

鞠莉「なんでよ!いいでしょ!梨子は優秀なんだし海外支社で私と二人きりで!」

「大学卒業すればもう支社の社長気取りか?バカを言うんじゃない…!…いいか?まだ私は君たちの交際を認めた訳じゃないしそもそもそんな状態で本気でわが社の一員なるつもりか?本当にわがままを越してイカれてるな君は」

鞠莉「イカれてるのは現実保守主義の貴女の方でしょパパ!若い女が二人社長と社長秘書でやるの何がいけないのよ!」

「いいやイカれてるね…現実を全く見れていない所詮女子高生同士のママゴトレベルの未来のヴィジョンだ」

鞠莉「なんですって…」

「いいか?会社のオーナーは私だ…私がいる限り我が社に入社すれば一先ずは私の駒なんだ…その駒が私の方針に合わない勝手な行動を取るようなときはいくら娘であろうと恋人友人であろうと」

鞠莉「……!」

「捨て駒として斬り捨てなきゃならないんだよ…今の君達はまさにその捨て駒だ…いや正しくは捨て駒に成りに行っている駒ですらない物というべきかな」

鞠莉「未来の捨て駒?…ふざけんじゃないわよ…だったら今から捨てられてやるわ…貴女なんか…」

「…やれやれ本気か?それは私に勘当される宣言でいいのかね?」

鞠莉「違う!私が勘当してやるんだよこのクソ親父!」

バァン!

……


「こういって出ていった間抜け娘はしばらくしたら道端で倒れていたというわけだ」

鞠莉「っ!?…」

「分かったかな?勘当の煽りこそしたものの勘当したのは私ではなく君だよ鞠莉…私は君に勘当された方の身だ」

鞠莉「……死にかけの娘の見舞いにも来なかったくせに…」

「言いたいことはそれだけかね?そうだねいかなかった…だが勘当された親父にはお似合いの行動だと思うがね」

鞠莉「こんの皮肉屋…!…じゃあなんで私がまたここに戻って来てるのよ」

「そうだね…基本的に私にも勘当された意地があるし君にも勘当した意地がある…それを尊重し私も君を娘と思うことは一切辞めようと思ったがそれを許してくれない子が一人いてね」

鞠莉「!?」

「桜内梨子君だ、ああそうだこの際一つだけ君に謝っておこうか…彼女はたしかに素敵な子ではあるということはね、君が惹かれたのも分かるほどだ…まあもっともその君自身が彼女に惹かれた気持ちをもう思い出すことがないんだろうけどね」

鞠莉「…やっぱり梨子が何かしたのね」

「何かした?そういう類いのものじゃない…梨子君の覚悟はすごいものだったよ」



191: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 04:35:59.62 ID:ys1KzXyX.net

……

「やぁ…君がうちの娘をタブらかし人生を目茶苦茶にしたにっくき奴かな?…不細工なクソ野郎であれば穏やかな私でも一発くらい手が出ている案件だが…」

梨子「本当に申し訳ございません」

「ここまでの美女でここまで誠意があると流石に気が引ける」

梨子「それも申し訳ございません」

「待て待て…頭を下げればいいという訳ではない、そして許すわけでもない…それは分かっていてここに来たのではないかな?鞠莉の話では君は中々の鮮明な女性と聞いている…無意味な謝罪だけしに来た訳じゃあるまい?」

梨子「では単刀直入に言っていいということでよろしいでしょうか?」

「そうだな、私は回りくどいのは嫌いだ…お願いするよ」

梨子「…ふふ、流石鞠莉ちゃんのお父さんですね」

「君が似ているというのならそうなんだろう」

梨子「…一つ提案があります、鞠莉ちゃんの記憶回復治療の提案です」

「!?…記憶回復?…聞き慣れない治療だな…しかしこの状況下でそれが何の意味にある?」

梨子「分かっています、彼女はもうここの人間ではないことは…ですから…まず彼女をこの家の人間に戻しに来るとこからですね」

「それは無理だ…例え私が折れても君が折れてもあの鞠莉だけは折れない…良く分かっているだろう?」

梨子「そこで幸か不幸か鞠莉ちゃんは記憶が消えてます…今小原家に戻してしまえばいいでしょう」

「?…話が見えないな…君の最終的な願いはその記憶回復治療だろう?その場合だと結局鞠莉は記憶を取り戻した後家出をしてしまうが」

梨子「その記憶回復に関しては大丈夫ですよ」

「…どういうことだ?」

梨子は何かの書類をさっと鞠莉の父に渡す

「!?」

梨子「どうです?」

「これはたしかに…だがこんなこと…」

梨子「可能性はあると思います、これなら鞠莉ちゃんの短期で瞬時の記憶回復が見込めます」

「どうしてそこまでする?自然回復で良くはないか」

梨子「ダメなんです…それだと2月最後のライブに鞠莉ちゃんが間に合いません」

「…だとしても娘の自業自得だ…それにリスクもない訳じゃない…それに見合うメリットがあるようには見えないが」



192: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 04:37:18.58 ID:ys1KzXyX.net

梨子「メリットならあるじゃないですか…元の邪魔な女に惚れていないいつもの鞠莉ちゃんが貴方の元には帰ってくる」

邪魔なというところに語気を強めて言った気がした

自虐か、嫌味か…いや両方だろう

「…たしかに私にはメリットだ…だが君にメリットは?」

梨子「私のメリット?そんなの鞠莉ちゃんの幸せな未来ですよ…少なくとも今よりは幸せになるなら私は…」

「…なるほど君は何かを覚悟の上のようだが…そもそもこのレポートは?」

梨子「私が東京で出会った昔の知り合いにいるんですよピアニストで医学に詳しい人がその人に聞いて私なりにまとめたのがそれです」

「!?」

梨子「やはり素人のレポートでは信用できませんか?」

「いやそういうわけじゃない…何故そこまでする?」

梨子「本気で鞠莉ちゃんを救いたいからです」

「呆れたね…本気だと言うのにこんな真似をするのか理解しがたい、なぜ忘れ去られようとする?」

梨子「元々貴方には理解しがたい恋でしょう?」

これは完全に嫌味

梨子のレポートには確かに梨子にメリットが無かった

というより梨子自身が提案をしてくる自体がおかしかった

レポートにはまず最優先として身体が覚えている記憶

Aqoursとの練習の日々からAqoursを思い出すこと

次にそこから引き出して理事長としての記憶、小原家ご令嬢としての記憶を思い出すこと

それが短期間で脳波治療で戻る手立てを丁寧に書かれていた

が梨子としては一番大切である恋人としての記憶の呼び起こしについては一切書かれていなかった

むしろまるでわざとかのように思い出しそうになれば他の優先すべき記憶に上書きという形で消去とまで


「本気で理解しがたい、そこまで犠牲にして鞠莉を私の元に戻したいかね…まぁ君がいいならそして可能な話ならたしかに私にとっては願ってもない話ではあるが…いいのか?君はもう彼女とは恋人には戻れないぞ」

梨子「えぇその代わり、二度と私達の恋がごっこ遊びだったなんて言わないでください」

「……」

梨子「誰からも理解しがたい恋だったかもしれないけど私達は本気だった…!それを言われちゃ鞠莉ちゃんだって家出したくなります…そこだけは訂正してください」



193: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 04:40:10.15 ID:ys1KzXyX.net

「たしかに君の本気さ、娘の本気さは分かった…だがねまだ解せない」

梨子「?」

「そんなに本気なら何故諦めた?」

梨子「恋の記憶は…まるでキャッシュデータ…修復不可能で消すしかない記憶なんだそうです」

「!?…なのにか…なのに君はそれでもあの恋を嘘とはしないで受け入れるのか…夢だと思った方が楽だろう思い違いだったと思った方が楽だろう…そしてそれでありながら自分の恋を茶番だとは思わないのかね」


梨子「いえ誰の中から消えても夢の中に消えたとしても私には唯一無二の恋でした」

梨子「だから…その恋を嘘だなんて言わないでください」

……

鞠莉「(何よ…それ…何よそれ…何よそれ!何よそれ!)」

「あの瞳は覚悟していたね…そしてあのときに彼女の恋は終わっていたようにも見える」

鞠莉「…終わっていた?…違うわ!彼女が勝手に諦めただけ…私はまだ!」

「いい加減見苦しいぞ鞠莉…」

鞠莉「!?」

「分かっただろう?今君があるのは…今ここにいるのは…梨子君のおかげだ」

鞠莉「…そんな、何よ恋は忘れるしかないって…本当にそんなこと…」

「あるんだろう…少なくとも今の君が自分を好きになるような女になるとは思わなかったんだろう」

鞠莉「……」

「君はいつもの鞠莉だがやはりあのときの鞠莉とは違う…梨子君にとってはあのときの鞠莉がいつもの君なんだろうが…まあ結局だ

…記憶が消えた時点で別人格

別人格の時点で恋も感性も違っている可能性はたしかにある」


そう鞠莉の父は続けていった

それでもまだ諦めない鞠莉はまだ父に食ってかかるが

「梨子君の気持ちを無駄にする気か…それに今まで失敗しかしてない君に何が出来る?」

この言葉で胸ぐらを掴んだ手を緩める



195: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 04:46:31.88 ID:ys1KzXyX.net

そう、全て父が言う通りだった

環境が梨子との関係を壊した?

違う元ある環境に私が耐えられずにいただけ

彼女との時間が作れなかったのも記憶が消えたのも自分勝手さから、己の未熟さからだ

今の環境だって梨子が与えてくれた環境だ

自分の立場を犠牲に与えてくれた…

自分の大切な恋でありながらそれを諦めて私に使ってくれた

失敗だらけの私、失敗しかしていない私

そんな私なんかが何を今更足掻けるんだろう

ここでまだ親に歯向かうとしたらただの大馬鹿ものだ

ここでライブを台無しにするようなことをすればそれこそ何の意地張りだ

そもそも彼女も最後の可能性をかけて私に初恋したコンクールの曲を聞かせた

あれこそが最後の可能性賭けた私への治療

でもダメだった

彼女も流石に諦めるはずよ

それなのに何も知らない私がまだ恋人をしようだなんて

間抜けの発言

そりゃあ彼女も許してはくれるはずないわよね

消えたのは記憶だけじゃなく思いやりの心もだったらしい…最低ね本当に

だけどだからこそ私は梨子に伝えないといけないことがある

彼女が与えてくれた未来

それを見据えた上で私はまだ伝えないといけないことがある

……

時は最後のライブ

全てが終わり迎えた閉校式と卒業式

あの音楽室で話を聞いた以来まともな口を聞いていない二人は再び対面する

鞠莉「最後に貴女には御礼を言いたい」

梨子「ううん御礼を言いたいのは私」

鞠莉「ふふ、じゃあ同時にいいましょうか」

鞠莉、梨子「今までありがとう楽しかった」



196: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 04:47:50.12 ID:ys1KzXyX.net

恋が終わった…

いやもうあのときから終わっていたはずだけど

私だけのものにするといいつつもまだ未練がましく残っていた

鞠莉ちゃんなら私との思い出をいつか…

という都合のいい妄想

何を自分が勝手に可能性を潰しておいて見苦しい

そう記憶治療では徹底的に私との記憶は消した

消えて貰った

それを対価にして得たはずよ

鞠莉ちゃんがしっかりと卒業できるという未来を

今更支払った対価を取り戻すだなんて

なんて馬鹿な未練

だけどやはり

彼女が私の音を聞いて何も響かない別人のようなものになっていたことにショックを受けた

何で!?あれだけ好きだった癖に

何で!?あれだけ毎日聞いてた癖に

ああダメだ未練がましいったらありゃしない

そりゃそうだよ

私は治療に置いて

彼女が思い出しそうなときに私は別の曲を弾いた

そんな真似をして今更あのとき鞠莉ちゃんが私を好きになってくれた曲を弾いたって思い出すわけない

それを彼女に八つ当りして

本当に最低ね

鞠莉ちゃんがこうなったのも全て弱い私のせいだというのに…

果南「本当にこれで良かったの?」

梨子「いきなり何?果南ちゃん?」

果南「お互いが自分自身のこと最低だって思って自責の念を持った状態でこれでいいんだよなんて言われてもね」



197: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 04:51:41.02 ID:28YHNsUq.net

季節は3月を飛び越え6月

梨子はもう3年生だ

果南は一回こちらに帰ってきて久々の内浦

梨子も内浦は久々だった

久々に海の音を聞きに来ていたというところか

二人で潜っていた

梨子「鞠莉ちゃんはまだしも私の本音なんかどこで聞いたのやら」

果南「私も顔が広いからね…といってもまぁようちかコンビにだけどね…あの二人がお節介なのは置いといても顔に漏れすぎじゃない?」

梨子「……」

果南「はぁ結局時間じゃ解決してくれなかったみたいだね」

梨子「…じゃあ果南ちゃんが私を慰めてよ♪」

悪戯にギュと果南を抱き締める梨子

果南「馬鹿言わないで…よっと!」

ザブーン

果南は梨子を抱えて船へとあがる

果南「鞠莉が慰めれなかった女が私に慰められるかっての」

梨子「そんなめんどくさい女かな私」

果南「そういう意味じゃないよ…」

梨子「……」

果南「明日の誕生日パーティー来なよ、元Aqoursメンバーみんなに招待状は来てるはずだよ?」

梨子「私が行っても鞠莉ちゃんに余計な考えさせて迷わせるだけだよ」

果南「これから先もAqoursの集まりか何かあっても全部そうやって断るつもり?」

梨子「……」

果南「せっかく鞠莉のAqoursの思い出を守ったんならさ?Aqoursメンバーとしては鞠莉に会ってあげて?これからのAqoursとしての絆も思い出の一つになるんだから」

着替え終わり

招待状を受けとる梨子



198: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 04:53:01.82 ID:28YHNsUq.net

貴女とは色々あったわね

でももう遠回しなことは言わない

お互いそういうめんどくさいのはもうたくさんでしょ?

あのとき私達は私達に決別したよね?梨子

だからもう一度友人として私の誕生パーティーを祝って欲しい

梨子「……」

そう鞠莉の招待状には書いてあった

きっとAqoursメンバーそれぞれに違う文が書かれているだろう

だがきっとこの梨子宛の招待状は並々ならぬ思いで書いたのだろうと見てとれた

文章から伝わる決意があった

梨子「そうか、行かない方が野暮ってこともあるんだね」

果南「そういうこと、ただ普通にしてればいいんだよ」

梨子「うん」

果南「じゃあまた明日ね…今日は付き合いありがとう」

梨子「ううんこちらこそ」

なんの気まぐれかすっかり寄ることのなくなったこの内浦の海に黄昏ていたところ

果南に背中をポンッと叩かれ

あのときのように海の音聞いてみる?

と誘われたのがきっかけだが

付き合ってくれたのはどっちなのか

捨てるようにこの浜辺に置いた招待状も再び果南により渡された

自分の心を察してくれる仲間がいる

梨子「悲劇のヒロイン気取りはもう卒業かな…」

梨子はそう呟いた

その顔にはうっすらと笑みが溢れていた



199: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 04:54:15.69 ID:28YHNsUq.net

船上のパーティー会場は流石小原家といったところか

大きな会場だった

洋画の客船でしか見たことのない

と思いたいところだが梨子は何度か彼女に連れられてそういうデートもしていたたがためにそんな驚くほどでもない

しかし、一緒に梨子と会場へと来たこの二人と来た今日のこの日はまた格別違った

千歌「相変わらずすごいね」

曜「おっきい船だなぁすごいなぁ格好いいなぁ」

千歌「曜ちゃん食い付くところが男の子みたいだよ」

曜「えー!だって私もこういう船動かしてみたいんだもん」

千歌「もう飛びこみの選手か船の船長か将来の夢はどっちにするの?」

曜「えー…うーんどうしよっかなぁ…迷うなぁ…」

千歌「そこ迷うんだ…大丈夫?もう私達も高校3年生だよ?早く決めないと」

曜「そういう千歌ちゃんは決めてるの?」

千歌「うぐ…わ、私はー旅館の後継ぎかなぁ…」

梨子「それ本当にやりたいこと?なあなあで決めてない?」

千歌「な、なあなあじゃないよ!ちゃんと決めてるよ!」

曜、梨子「……」

千歌「うぅ…///ごめんなさい…なんも決めてません」

梨子「もー千歌ちゃんったら」

曜「ふふふ、じゃあ私達みんな決めないとね」

曜が梨子の肩をポンッと叩く

梨子「?」

曜「梨子ちゃんもまだ決まってないんでしょ?」

梨子「まあね、一度白紙に戻っちゃったから…ピアニストは何があっても続けたいとは思うけど」

千歌「…梨子ちゃん後悔は…してる?」

梨子「してないよ、私が選んだ道だもん…今日ここに来たのも新たな一歩のため…輝かしいAqoursの思い出を汚さないためだから」

曜「そっか…ならいいや私達はゆっくり考えていこうよ、後悔してなければいくらでも未来に歩いていけるから」



201: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 04:57:37.67 ID:1GOu6T5i.net

千歌「Aqoursが終わってもね…私は一緒に悩んであげることしかできないけど二人の力になるよ」

梨子「そんなこと…十分だよ私も同じ絶対二人の力になる」

曜「うん、これからもどこまでも力合わせていこう!」


三人は仲良く梨子、千歌、曜の順で船の手すりにもたれ海を眺めていた


曜「それにしてもいい景色だね」

お゛え゛~

千歌「うん、やっぱり内浦は最高だよ」

お゛え゛ぼぉうふ゛ぁ

梨子「私も忘れないこの内浦で過ごした日々と景色だけは」

千歌、曜、梨子「……(うっとり)」

げぼろろろろろろ

千歌「っておい!誰ださっきから!その綺麗な内浦の海にリバースしまくってるの!いい雰囲気になるパターンだろこれぇ!船酔い酷いなら船上パーティーなんか来たらダメでしょ!」


ダイヤ「あ゛ー…はぁ…はぁ…す、すいません…」

ルビィ「お姉ちゃん大丈夫?」サスサス

千歌「いやダイヤちゃんかーい!」

梨子「だ、ダイヤさん!?」

曜「い、いつからそこに」

ダイヤ「…はぁ…はぁ…曜さんが船おっきいねとか言ってる辺りから」

千歌「ほぼ最初からじゃん!なんかこっぱずかしいよそれはそれで!」

ダイヤ「…いいじゃないですか…現三年生の絆再確認わたくしはとっても癒されまし…お゛え゛げぼろろろろろろ」

ルビィ「お姉ちゃん!」サスサスサス

千歌「いや癒されてないよそれ…というかきついなら無理しないでダイヤちゃん」

ダイヤ「本当に…す、すみません…」

果南「昔からダイヤは三半規管弱いねぇ」

ダイヤ「うるさいですわ…いつもこうではありません」

果南「馬が合わないというより船が合わないって感じかな」



203: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 05:00:20.39 ID:1GOu6T5i.net

梨子「果南ちゃんも…昨日はありがとう」


果南「いいって…逆に来てくれてありがとうかな…迷惑ばっかかけるうちの幼馴染のためにさ」

梨子「そんなこと…迷惑ばっかりはかけられたかも知れない…だけどそれを差し引いても足してもかけがえのない大切な人…それに果南ちゃんからお願いされたらね」

千歌「えー何々?今はそんな感じなの?梨子ちゃんと果南ちゃんまさかの恋び…いて!」

果南「ち、違うよ///馬鹿千歌///」

千歌「ぶつことないじゃん!」

果南「ぶつよ!梨子ちゃんの前で無神経なこといってー!」

千歌「ただのジョークじゃんかぁー!」

梨子「ふふ」

曜「梨子ちゃんよく笑うよね最近」

ダイヤ「…結局梨子さんを泣かせるのも笑顔にするのもここなんです…だから彼女も未来を賭してAqoursとしての思い出を守ったのでしょう」

ルビィ「でも梨子ちゃんはそのために自分の恋を…」

ダイヤ「もうやめましょう外野が兎や角言うのは…少なくともこれで良かったわけではありませんが悪かった訳でもありません」

ダイヤ「いらぬことは考えず今はこのパーティーを楽しみましょう…彼女も卒業してからの初パーティーど派手にやるといってました」

曜「そっか…楽しみだね」

ダイヤ「ええ本当に…わたくしたちにも隠してましたからね…何が来るのか楽しみでsお゛え゛…オボロロロロロ」

ルビィ「お姉ちゃあん!」サスサス

曜「ダイヤちゃんそんな調子で楽しめるの?」

ルビィ「た、多分…」



204: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 05:02:02.23 ID:1GOu6T5i.net

そのあと着々とパーティー本開始の時刻が迫る

まだ会場には現れていない花丸と善子も含めAqoursメンバーはみな船内にはいた

いかにも貴婦人や社長みたいな人で溢れ各船内でバイキングも開始される

鞠莉の誕生日パーティー本開始はそのあとで会場にもあらかたの料理と飲み物は用意された

そのためぎりぎりに会場に来たのは善子と花丸


善子「ぜぇ…はぁ…ぜぇ…はぁ…」

花丸「も、もう…歩けないずらぁ…」

ルビィ「花丸ちゃん!善子ちゃん!どうしてそんなクタクタに」

花丸「善子ちゃんと一緒にバイキングとか船内見回ってたら迷子になっちゃって…もう誕生日会始まる時間だと思って焦って焦って」

ルビィ「そっか善子ちゃんいるし不運だったね」

善子「まてー!不運=私のせいとはどういうことよ!迷子って大体食い意地張ったずら丸のせいじゃない!」

花丸「船内色々見て回ってたのは善子ちゃんずら」

善子「うぐっ…だけどあんとき貴女が走らなければ」

梨子「あーもう喧嘩はやめやめ、鞠莉ちゃんの誕生日会で揉めるなんて鞠莉ちゃん悲しむよ?」

花丸「ほら善子ちゃんのせいで怒られるずら、だから鞠莉ちゃん誕生日会はちゃんとしなきゃって言ったのに梨子ちゃん鞠莉ちゃん関係だと怒らせるの怖いんだから」

善子「だから!マリーとリリーがそれくらいで怒るかってのギルキスで一緒にいるから分かるのよ二人は寛大な心を持ってるの素晴しいカップルなのよ」

花丸「そんなことは分かってるずら!夏への扉のときなんかこの二人…」

梨子「い、いや///あのもう彼女ではないんだけど///その話やめてくれない!?」

千歌、曜、果南「……」ニヤニヤ

梨子「ギロ…」

千歌、曜、果南「ピギャア」

ルビィ「ルビィかな?」

ダイヤ「お゛ぼぼぼぼぼぼ」

鞠莉「今貴女たちを呼んだことを後悔しそうになったわ…まあいいやさっさと始めましょう」

なんやかんやでいつも通りのAqoursだった



205: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 05:04:00.27 ID:1GOu6T5i.net

こちらは会場のステージ

パーティーでの出し物をするとき披露するところで流石にAqoursが踊る用に向いているステージではなかったが

船についているステージとしては立派なものだろう

しっかりピアノもある

その控え室


鞠莉「ふぅ…」

「珍しいな…緊張か…」

鞠莉「当たり前でしょ…今から柄にもないことするんだから…」

「たしかにな…君が人前でピアノか…いつ以来かな」

鞠莉「さあね…いやその久々だからではないのよ」

「あの子に聞かせるのがか?」

鞠莉「そうよ、私のピアノをピアノを本気でやってる子に…そしてましてやあの子の曲を…」


「なぁ鞠莉?記憶のない君に聞いても詮無きことだが」

鞠莉「?」

「何故君はピアノを弾く?」

鞠莉「本当に無駄なこと聞くわねパパは…」

「あーしまったな…質問変えよう…じゃあ何故今弾こうと思った」

鞠莉「記憶を取り戻せるかもと思ったのが第一」

鞠莉「第二に梨子との決別、Aqoursとの決別にはこれが一番だと思ったから」

鞠莉「第三は…」

「第三は?」

鞠莉「ただ単に弾きたいと思ったからよ」

「そうか…ならそれを胸に弾いてくればいい…きっと上手くいく」

鞠莉「えらそーに…私は一生パパは許さないから」

「私も一生許されるつもりはない」

鞠莉「…だけど…ありがとう」

「ああ…」



206: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 05:05:07.92 ID:1GOu6T5i.net

こうして鞠莉はステージの脇から現れる

ステージに現れた主役の登場に拍手が起こった

鞠莉はにこやかに会釈しながらも緊張した面持ちでピアノへと向かう

その格好は白く美しいドレスを着ていてそのドレスの上品さを失わないようなアクセサリーもいくつかつけて…そう

まるでそれは…

梨子「っ!?…」

コンクールのときの梨子のよう

いつもは見せない鞠莉のお嬢様な部分…それを見た気がした

いや梨子にとっては久方ぶりの鞠莉のそういった一面だったろう

その姿を見ただけで鞠莉がピアノを弾くという状況だけですでに梨子は息を飲んで魅入った

梨子「鞠莉…ちゃん…」

そして、鞠莉はピアノの前に座ると進行役からマイクを受けとり

ゆっくりと喋りだした

今日は私の誕生日会によく来ていただきました、心から感謝いたします

…えーでは些細なお返しとはなりますが私の趣味であるピアノで私の大好きな曲を一曲弾かせて頂く機会を頂きましたのでこの場で弾かせて頂きます

この曲は恐らくほとんどの方が知らない曲だとは思います

…というのも私がアマチュアのピアノコンクールを観賞していたとき一人の少女が弾いてたのを見て聞き惚れた曲でありまして

プロの方の曲ではないからです

ですがその少女も今プロを目指して必死で未来を歩んでいます

そんな彼女に負けたくないという対抗心と強い意志で進む彼女に尊敬の念を込めて私は偽物ではありますが

弾かせて頂きます

鞠莉「聞いてください…」


梨子「!?…ま…り…ちゃ…ん…まさか…」



207: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 05:06:14.26 ID:1GOu6T5i.net

旋律が始まった途端に理解した…自分の曲だと

理解して疑念した…何故だと

何故だと疑念して嘆いた…なんでと

嘆いて感無量で泣いた

それは貴女が好きな曲

そして私が貴女に好きだと言われて好きになった曲

でも何故貴女が…

まさか…まさか…まさか…鞠莉ちゃん…貴女…

梨子「うぐぁ…グス…ああああ…!!」

花丸「わわっ!梨子ちゃんどうしたの?お腹でも痛いの?」

善子「どう見ても違うでしょ!」

花丸「でも…」

善子「よく聞いて?…これ…似てない?」

花丸「え?似てる?何に?」

善子「だからあれよあれよ!」

花丸「あれじゃ分からないずらー!」

………

果南「悪い女だねぇ…」

ダイヤ「せめて粋な女と呼んであげなさいな…彼女は記憶がなくてもたどり着いたんですわ」


ルビィ「…これギルキスの曲だ」

……

曜「今いる鞠莉ちゃんは偽物なんかじゃないよ」


千歌「うん、やっぱり本物だ…」


鞠莉「~♪」

……

善子「だぁかぁらぁ!コワレヤスキよコワレヤスキ!あれをバラードっぽくしてる感じじゃないこれ」

花丸「はっ!?…言われてみれば…」



208: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 05:07:37.93 ID:1GOu6T5i.net

善子「ほらほら~…やっぱりギルキスは最強ユニットなのよ…」

花丸「え~でも完全にコワレヤスキって訳じゃなさそうずら…」

善子「何よ!サビの部分とか完全にコワレヤスキじゃない」

花丸「でもこれは鞠莉ちゃんの新しい曲ずら」

善子「それじゃそのマリーが感銘受けた少女ってのが私達パクったってことになるじゃない」

花丸「パクリじゃないずら言われなければこの曲は別の曲に聞こえるし」

善子「何を…」

梨子「グス…ふふ、合ってるよこれはコワレヤスキで」

善子、花丸「!?」

花丸「梨子ちゃん大丈夫ずらか?急に泣きだしたから心配したずら」

梨子「大丈夫、ありがとうね花丸ちゃん」

善子「あ、あのリリー?それでやっぱりこれコワレヤスキなの?」

梨子「うん、コワレヤスキと元は同じ間違いないよ」

花丸「え、なんでそうはっきり言えるの?」

善子「バカねずら丸は…そんなのリリーがスーパーピアニスト!魔の耳を持ってるからに決まっ」

梨子「私が作った曲だから」

善子、花丸「へ?」

梨子「昔の私がね…恋する乙女ってどうなんだろうって考えて作った曲の一つ…でもあんまり評価は良くなかったのよ」

善子「え?だってまぁ元々過激過ぎる歌だしね?」

梨子「そう、壊れるほど君が好きってそういう曲だから…大袈裟過ぎるって言われて…」


花丸「そう…だったんだ…」

梨子「でもね、一人だけ本当にこの曲を本当にこの私をずっと好きでいてくれた人がいた…それが…」


善子「マリーってこと?」

梨子「うん…始めてこの曲を披露したコンクール…そうあれはまだ私が東京にいるときかな…そのとき一人だけスタンディングオベーションで恥ずかしいほど私を讃えてる人がいてね」

花丸「クス…鞠莉ちゃんらしいずら」

梨子「そう、鞠莉ちゃんはいつもこの曲が好きだった」

だから…



209: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 05:09:02.09 ID:1GOu6T5i.net

だから私もこの曲を弾いた

どんなときも…

鞠莉ちゃんが笑ってられるように

鞠莉「~♪」

「…覚束無い弾きね…でも綺麗な曲…」

「お?ピアノを弾くと美周医が振り向くの人が珍しいなぁそんな評価」

「馬鹿にしてるの?良いもの良いものってちゃんと評価するわよ…ったく大体なんで貴女までいるのよ」

「うちもありがたいことに色々と顔が広くてなぁ…呼ばれたんよ…でも…」

「私は…何故か呼ばれたのよ、ここの娘さんが私のアドバイスを元に作られたレポートで障害が緩和されて大変助かったんだって」

「へぇ、そりゃすごいやん」

「別に…アドバイスしただけでそのレポートにまとめた子がすごいだけだし」

「相変わらず素直やないなぁ…嬉しいくせに」

「嬉しくないわよ!…と言いたいところだけど…初めてパ…お父さんに認められたから嬉しかったわ」


「そっか…良かったね」

「ふん、医者になったらこんなもんじゃないわよ…もっと認めさせてやるんだから私のこと」

「頑張ってな…」

prrrrrrrr

「おっと電話や」

「?…誰からよ」

「キューバの寺院から」


「はぁ!?」

「ちょっとごめん!」

タッタッタッ


「イミワカンナイ…しかし本当にいい曲…久々に私も弾こうかしら」

Aqoursの思い、様々な思いを流し鞠莉の演奏は拍手喝采に終わる



211: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 05:12:36.07 ID:1GOu6T5i.net

鞠莉「///」

梨子「あ、あの鞠莉ちゃん?」

鞠莉「嫌だこっち見ないで///」

梨子「いやでも…」

鞠莉「でもも糸瓜もシチリアレモンもない!こっち見ないで!は、恥ずかしいから///」

梨子「な、なんでそんな恥ずかしいのに弾いたの?」

鞠莉「まず最初は思い出すと思ったから…」


梨子「…思い出せたの?」

鞠莉「ううん…やっぱりダメだった」

梨子「そっか」

鞠莉「でもね、楽しかった…身体が覚えていた、耳が覚えていたっていうのかな…ともかく…余程この曲が好きなことが伝わってきたの…だから弾きたいと思った」

梨子「そうだったんだ…あのねだから私からの感想は」

鞠莉「嫌だ」

梨子「だからなんで!私の感想聞いてよ」

鞠莉「嫌です///だって実は弾いてるときミスったし…明らかに勝手なアレンジ加えたし…ピアノガチ勢の梨子の感想なんて何言われるか…」

梨子「そんな私鞠莉ちゃんにそこまで求めてないから」

鞠莉「でも最初泣いてくれてたのに私が明らかに失敗したとき笑ってたじゃん」

梨子「そ、そんなことないって」

鞠莉「そんなことありますー!私ずっと見てたんだから!」

梨子「なっ!?そんなこと気にするから失敗するんでしょ!あのねまずピアノを弾くというのはね?」

鞠莉「うわっきたピアノガチ勢からの説教」

梨子「そのピアノガチ勢言うのやめて!」

ワイワイガヤガヤ

ダイヤ「これは一件落着ですかね」

果南「多分ね、きっとこれである意味は後腐れなく…」

ドクンドクン



212: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 05:14:05.82 ID:1GOu6T5i.net

果南「っ……!!!!?」

そう、これで一件落着のはずだった

二人には恋とは別の絆が芽ばえAqoursの終焉としては大団円のはずだった

その未来を誰もが見ていた

果南もそれを目の前で見るまでそう夢に見ていた

ダイヤ「ん?果南さんどうかしま」

果南「鞠莉!逃げて!!!!」

果南の焦りからの叫び


ダイヤ「か、果南さん!?…!?ま、鞠莉さん!?危ない!!!」

果南の叫びから続いて気づいたダイヤの叫び

梨子「えっ!?」

鞠莉「……!?」

他の客から紛れて鞠莉の後ろからずれて重なるように梨子の瞳に現れたのは銀色輝く


ナイフを持った覆面の男


そこで会場全体に悲鳴が轟く


「小原鞠莉…小原家の娘…復讐…」


男の目は血走っており、手に持つナイフはぶるぶる震えている

もう今にもしようとしていることが読み取れた


男はそして駆け出す

勿論その血走った眼には鞠莉しか見えていなかった

「復讐!!」

鞠莉「ひっ…!」

振り向いた鞠莉だがもう目の前には覆面の男

避けることなんて出来やしなかった…

果南「くっ…!間に合え…!」

ダイヤ「鞠莉さああああああん!」

ダイヤは叫び果南は駆け出す



213: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 05:15:11.67 ID:1GOu6T5i.net

グサリ…!


最悪な音が会場に響く


やられた…

刺されてしまった

果南「ああああああああああ!!」

鞠莉「あ…あ…」

「ふー…ふー…」

ダイヤ「そんな…何故…!…何故!?!?」


場内は騒然…


「……わああああああああ!!!」

ザッブーン

刺した男は海へと逃げ出した

何やってる!?追えー!との声

きっと小原家の警備員か何かだろう

果南は思った今更遅いと

曜「はぁ…はぁ…すごい悲鳴だったけど何ご…!?…え…え…」

千歌「何…これ…冗談だよね…」

会場から離れていた曜たち5人も現れ事態を見て唖然

ダイヤは思う貴女たちは来ないで欲しかったと

鞠莉「あ…あが…あ…」

鞠莉は顔が青ざめるもう言葉を発することもできなかった

とうとう身体が横に倒れてくる

それをガッシリとぐしゃぐしゃの顔で受け止めるのは

鞠莉


鞠莉「梨子おおおおおおおおおおお!」



214: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 05:16:28.79 ID:1GOu6T5i.net

そう刺されたのは鞠莉ではない

咄嗟に庇って出てきた梨子…

梨子「ぐふぁ…」

口から血を吐く梨子

鞠莉「いや…いや…いやぁぁぁぁ!梨子お゛お゛お゛お゛お゛」


梨子「…なかないで…ま……りちゃん…私は…大丈夫…」

鞠莉「大丈夫じゃない!貴女ナイフを胸に刺されて…私を庇って…なんで…なんでなんで…なんでなんでなんで…なんで私なんか!」

梨子「鞠莉ちゃん…?ダメだよ…?…私なんかなんて言っちゃ?…私は鞠莉ちゃんだから…助けた…鞠莉ちゃんを好きだから…」

鞠莉「まだ…そんなこと言って…馬鹿…!」

前にもこんなやり取りをしたような気がする…だけど思い出せなかった

思い出せない自分が腹立たしい

あと少しで…そうあと少しで思い出せるとこまで来てるのに

鞠莉は逸る気持ちで一杯だった


果南「ぎゅ、救助隊!!誰がぁ救助隊呼んで!!」

ダイヤ「今応急手当をできる方もいましたらお願いじま゛ず!!!!」

近くに寄ってきているはずの果南やダイヤの声が遠くに聞こえた

そう全てがスローモーションのよう

鞠莉と梨子だけはこのときばかり完全に時空が分離していたようにみえる

鞠莉「っ!?…梨子…!梨子…!」

梨子「なあに…鞠莉ちゃん…私は…大丈…がはっ…あぁ…」

鞠莉「梨子ぉ!いやよ…死んじゃダメ!…生きて…生きて」

梨子「それは…無理かも……結構…これ…やばい…みたい」

鞠莉「ふざけないで…!死なせないから!まだ貴女に借りを返せてない!ううんこんなの一生返せない!だから生きて!じゃないと承知しないわ!」

梨子「…どう…承知…しないの…?…」


鞠莉「黙れ!とにかく生きて!私なんかのために死ぬ必要…」

梨子「…また…言った…」

鞠莉「え?」

梨子「…私…なんか…じゃないよ…」



215: 名無しで叶える物語 2018/03/14(水) 05:22:22.91 ID:1GOu6T5i.net

梨子「ごほっ…ごほっ…はぁ…はぁ…ぜぇ…ぜぇ…ま、鞠莉ちゃんは…はぁ…はぁ…私の命を捧げるのに…がはっ…お゛お゛…相応しい女だよ…♪…」

鞠莉「もういい加減黙りなさい!そんな下らない軽口…もう喋るのも苦しいのに…」

梨子「下らなくなんかない…軽口なんかじゃない…私は…鞠莉ちゃんを…誰…より…何…より…も…好き…鞠莉ちゃんに…そう…言われてから…壊れるほど…貴女に…釘つけ……鞠莉ちゃん…」

……

鞠莉「軽口じゃない…上辺でもない私は好きなのよ!貴女が!誰よりも何よりも好き!一目貴女の演奏をコンクールでみたときから貴女に釘付け…大好き!」

……

鞠莉「!?!?」

この言葉で脳に衝撃が走った

なんてタイミング…神様いるなら恨んでやる

いやでも感謝もしてやる

このタイミングだからこそできないこともある

このタイミングだからこそ思い出せたこともある

梨子「…大…好…き…」

梨子は目を閉じガクッと項垂れた

鞠莉「えぇ…そうね…私もようやく…言えるよ…梨子…」

今までと違う涙をボロボロと動かなくなった梨子の頬に垂らし

それを拭いは垂らし拭いを垂らしを繰り返しながら抱えあげて

愛しい表情で髪を撫で掻き整えてあげた

そして

鞠莉「大好き…ん」

チュ

ようやく二人は再会

お帰りのキスをしたのであった…



246: 名無しで叶える物語 2018/03/17(土) 16:17:11.48 ID:KFrIsQKW.net

「男は捕まえたかね?」

はい、今警察に明け渡しところです…と答えた警備員

思い浮かぶは騒然となった船の会場、その会場を取り仕切っていた男は頭を抱えた


「その男の動機は?」

聞くが喚くだけで何も…とのこと

警察の取り調べを待つしかないかと鞠莉の父は思ったが

大方の予想はついていた

きっといくつも切り捨ててきた我がグループの元社員だろうと考えていた

元々冷酷な支配者と知られる彼は自分への殺害予告、妻や娘への殺害予告など送られることはそうも珍しくはない

勿論、今回そういった私怨に駈られた復讐鬼を船上へ侵入を許したことは一生の不覚ではあるが

あのパーティーでの襲撃を選んだのも大方の説明はつく

わが社への復讐

誰を刺そうが刺すこと自体に失敗しようがしまいが我がグループへの不信感を募らせることは成功しよう

してやられたなと彼は呟いた

「で?梨子君の現状の方は…?」

今緊急搬送中です

「そうか…あの傷で緊急搬送までよく持った方といったところか」

ナイフが完全に心臓のがある胸の位置に深く刺されていた

凶器はバイキングのところの食事どころにあった調理場の果物ナイフ

刃渡りそんなに大きくはないが深く刺されており心臓に刺さってないとも言い切れない

それに船上での出来事でヘリでの搬送

唐突な要請にヘリ到着も随分と遅れた

出血量においては死ぬかもしれない

そもそも刺されたショックというのもある

先に心臓が止まってる可能性すらあった

「いずれにせよ責は私にある…マスコミにいずれ会見でもインタビューでもするとでもいっといてくれ」

それは彼なりの覚悟だった



247: 名無しで叶える物語 2018/03/17(土) 16:17:50.42 ID:KFrIsQKW.net

緊急治療室

持ちこたえたというべきか…

とりあえずここまでのバイタルはギリギリで安定

あの船上は様々な人間が居たが医者だけは見つからなかった

結局処置をしたのは医大生の女性だったらしいがその手当が完璧なおかげで搬送先までの命は繋いだ

だがかなりの重傷なことには変わりはない

いつ死んでもおかしくない

緊急治療室前で待つ8人のムードはすでに葬式をしている気分だった

生きた心地がしなかっただろう

鞠莉はそんな状態でようやく覚醒した自分の記憶

先程の懐かしい唇の感覚が頭を巡っていた


こんな状況で戻った記憶に喜んでいる自分がいた



248: 名無しで叶える物語 2018/03/17(土) 16:18:49.47 ID:KFrIsQKW.net

貴女とのこと思い出した

貴女との思い出、貴女への思い

思えば何故に惚れたのか…

ずっと思い出せずにいたそのことも思い出したわ

あれは全く人生がつまらないと感じていた

私が気まぐれでいったピアノコンクールの観覧に出席したときだった

どれもお手本のようなクラシックやジャズを弾いて極めてプロの技術近い迫力を魅せるお嬢様ばかりいたが私には全く響かなかった

そもそもそんなもので私の心が癒されるならばプロの曲を聴いている時点で私はとうに心を救われているはず

本当につまらなかった

パパに態度が悪いと窘められるほど頬杖をついたり欠伸したりたしかにお嬢様の端くれとしてもはしたなかった

けどそれは演奏自体じゃない、私の人生自体が本当につまらなかった

そう、あの娘のピアノを聴くまで…

今思えばあの娘がステージに出てきた時点で私は魅入られていたのかもしれない

しっかりとしたお辞儀をする彼女

その手は震え、顔はにこやかに取り繕ってはいたけど私には憂鬱げに映る

そのときの顔がとても印象的でその時点で貴女に釘付けだった

曲が始まった

その曲の拙さったらなかった

貴女が弾いていなければ聞いてられないほどに不安定な旋律だった

他の演奏者と比べても明らかに貴女が劣ってはいただろう

明らかに実力不足だっただろう

でも曲を弾く貴女の姿は、ただただ美しかった

真摯にそのピアノに向かい、真剣に鍵盤を叩いていた貴女の旋律は私の燻っていた魂を揺さぶり、汚れを叩き落とした

気づいたときには涙を流し、曲が終わり

立ち上がって拍手を送っていた

ほとんど一目惚れだったのかもしれない



249: 名無しで叶える物語 2018/03/17(土) 16:20:51.99 ID:KFrIsQKW.net

だからこそあのときの衝撃、感動は思い出せるものではなかったのかもしれない

記憶が蘇ったとして恋に落ちるときの同じ衝撃は同じと限らない

だからこそ

そんな恋の堕ちかただったからこそ

唯一無二の衝撃だったんだ

今更分かる、今更理解する

ただあのときの衝撃を無しと考えて

あのときの一目惚れに理由を敢えてつけるなら


梨子はずっと儚げだった…

そうお辞儀をして見上げた顔は儚げで放っておけば消えていきそうな

私の全てで守ってあげたくなるくらい儚げだった

だからかな…

だからきっと私は彼女を放ってはおけなかった…力になりたいと支えてあげたいと思ったんだ

きっと戻らないと思っていた記憶が戻ったのも

あのときの彼女が本当に消え入りそうな儚げであったから

皮肉なものだ

彼女が好きな理由が理由なだけに彼女を失いそうなそのときにしか

彼女を再び好きになる衝撃は現れなかった

きっと今の私は彼女とのあのときの記憶が戻った訳じゃない

再び儚げな表情をする彼女を見て一目に惚れてそれに呼応するように記憶が付いてきた

二度目の初恋でようやく私の好きが頭を浸透した

それは壊れていくもの壊れやすいもの

彼女は放っておけばその表情をすぐに憂鬱に変える

ひねくれているがそういう儚さを持つ彼女を笑顔にすることが何よりも愛おしくて堪らない

彼女の笑顔を見ることが何よりも喜びだ

だが皮肉なことにそれを思い出した日は…



250: 名無しで叶える物語 2018/03/17(土) 16:23:23.58 ID:KFrIsQKW.net

ピーーーーーーーー


千歌「こ、この音…ま、まさか…そんな…」

曜「い、いや…梨子ちゃん…梨子ちゃあん…!」

ダイヤ「まさか…梨子さんの心電図が……どうして…!どうしてこうなるんですの!」

善子「馬鹿言ってんじゃないわよ!何かの…何かの…聞き間違い…よ…」

鞠莉「……」


もう二度と君が戻ってこない日

馬鹿な私はそんな日に君のことが好きだと

目が覚めるように思い出す、好きがはねっ返りするように甦る

脳は君との楽しい記憶を思い出してお祭り騒ぎだ

良かった良かったと騒いでいる

だけど現実は…表の私は…涙が止まらない

記憶さえ、記憶さえ戻らなければ

記憶さえ、記憶さえなかったならば

記憶さえ、記憶さえ消えていなければ

君はこんなことにはならなかったに違いない…

私は一生この日のことを後悔し続けるだろう

そして一生君を愛する糧として背負っていくだろう

ガタン

手術室の証明が消える音

手術が終わったようだ

扉をあけて治療に当たっていた医師が出てくる

結果は聞くのが怖いが聞かなければならない

今こそ忘れたい事実かもしれないが私は涙を拭い覚悟を決める

それは他の7人も一緒らしい

そんな覚悟を決めた8人の代表の私は

鞠莉「梨子はどうなりましたか…?」

二度と梨子を忘れないために二度と離さないために

医師の言葉を受け止めるためそう言った…



251: 名無しで叶える物語 2018/03/17(土) 16:24:49.70 ID:KFrIsQKW.net

10年後

鞠莉「なんで呼び出されたかわかる?」

部下「いやー皆目検討もつかないです」

鞠莉「いやしらばっくれないこれよこれエロドージン!会社にこんなもの持ってこないの!」

部下「いやこれ結構レアモノなんですよ?なんたって美人社長と美人社長秘書の百合物…」

鞠莉「あーもう聞きたくない聞きたくない…セクハラで訴えるわよ」

部下「それもその発言自体がご褒美です♪」

鞠莉「じゃあ減給にしよ」

部下「すみません!それだけは…!」

鞠莉「…ったく…懐かしいやり取りさせるんじゃないわよ…じゃあとは頼んだわよ部下君」

部下「え?…小原社長どこに?」

鞠莉「墓参り」

部下「墓参り?…あぁあの人のですか…」

鞠莉「そ、悪い?」

部下「いえいえ…でもまたなんで今日いきなり」

鞠莉「…全然いけてなかったからね…たまには顔出さないと…私すぐ忘れちゃうから」


部下「その自虐ネタは重すぎるから突っこみ不可能ですって…!」

鞠莉「あははははは!ごめんごめんってじゃまぁそういうことで…今日は早退するわね」

部下「了解しました…!」

……

鞠莉「さてと…」

prrrrrrrr

鞠莉「あ、もしもし?お願いがあるんだけど…」



252: 名無しで叶える物語 2018/03/17(土) 16:25:49.32 ID:KFrIsQKW.net

綺麗な墓園

鞠莉はそこにスーツを着て花束を持って現れる

鞠莉「…久しぶり、どうこの私には似合わないほど立派な姿は?…少しは見直してくれた?」

鞠莉はそう一つのでっかな墓に話しかけると花束を捧げた

鞠莉「んーなんで花束なのかは…気まぐれかな……というか久々にきたのに喋ることなんもなくてごめんなさい」


鞠莉「やっぱり、まだ辛いのかな…なんてね今のは冗談…私は絶対にもうこの墓の前では喚かない泣き言言わないって決めてるから安心して」

鞠莉「じゃあ見守ってるか分からないけど私は元気です!以上…え?短いって?…ごめんなさい、やっぱり何も語ることがないのよ…だから今は…」

トプトプトプトプ

鞠莉「この酒でも一緒に呑み交わしましょ?」

鞠莉「っぷはー!…ふふ、一度でいいから生前にあなたと呑み交わしたかったわね…それが唯一今言えるあなたへのわがままかな…」

それ以上は何も語らず鞠莉は酒瓶をそこに置いて墓を後にした

電車に乗り墓参りをしていたとはいえ早めの帰宅


あれから社長となった鞠莉の家は昔も随分豪華だったが今ではさらに豪華になっていた

高級マンション住まいで58階ほぼ最上階に位置していた

鞠莉「ただいま…って誰もいないんだけど」

夕暮れの光に照らされ寂しく輝く鞠莉のマンションのリビング

一人では広すぎるリビングにいると余計に憂鬱が襲う

鞠莉「あ゛~~~~柄にもないことすると疲れるわね~」

独り言…今日はたまに来るセンチメンタルになる日かなと鞠莉は自分自身で思った

スーツを着替えないままそのままソファーへうつ伏せでダイブ

リモコンを手に取りまたまた50inch越えてそうなテレビの電源をつけて夕刻にしているニュースを見る

小原グループの信頼回復がどうの現社長の活躍についてなど

ああこの前の取材のときのかとどうでもよさげに流しながらニュースを見ていた

そしてその怠惰な見方は次第に再びネガティブ思考に変わる

鞠莉「信頼回復、経済的には右肩上がりなのはいいけどね~それをいくらしたって今のこの部屋の虚しさは変わらないわね…つまりそのあれよあれ…」

鞠莉「寂しい…」

まーた始まったと自分でもうんざりするセンチメンタルタイムが始まった

これが始まると考え込む前に泣き寝入りを決めるしか方法はない

鞠莉「はぁ…寝よ…」



253: 名無しで叶える物語 2018/03/17(土) 16:27:26.91 ID:KFrIsQKW.net

??「り…ちゃん?」



??「鞠莉ちゃん?」

誰かが鞠莉を呼ぶ声がした

この声はまさか…と思う

いやあり得ない…だって彼女は…とすぐに否定する

梨子「もー鞠莉ちゃんったら!またスーツのまま不貞寝してる!すーぐ一人にするとそうなんだからぁ」

鞠莉「へ?…梨子…なんで…あなたが…」

梨子「なんでって…!貴女が心配だから早めに帰ってきたの!」

鞠莉「嘘…だってまだ帰ってくるって言ってた1週間も前なのよ…?」

梨子「1週間も引き延ばしにしてたら今日この有様なのに鞠莉ちゃん死んじゃうでしょ?」

鞠莉「うん、寂しくて死にかけだった」

梨子「そこは否定して欲しかったんだけど」

鞠莉「ほ、本当に梨子?」

梨子「はいはい私は梨子ですよ…ほらさっさと起きて?…お夕飯できたから」

鞠莉「グス…梨子…梨子おおおおおお!」

ダキッ…ギュー!

梨子「キャッ/// ちょ、ちょっと急に何?///」

鞠莉「梨子ぉ!寂しかったよおおおおお!」

梨子「2週間旅行行ってたくらいで泣くほどか!もう鞠莉ちゃん大袈裟なんだから」

鞠莉「大袈裟じゃないもん!…梨子が居ないと私無理だもん!」

梨子「ちょ///恥ずかしいって///ほらほらお夕飯が冷めるから…放して?」

鞠莉「じゃあキスして?1週間ぶりのキス」

梨子「いやもうそういうこと平気でする年齢じゃないし///」

鞠莉「嫌だ!梨子とキスするまで夕飯食べない!」

梨子「子供か!本当にこの人億万長者のやり手女社長なのかなぁ…」

鞠莉「梨子ぉ早くキス///ん…」

梨子「ああもう///」

チュ

鞠莉「///////」



254: 名無しで叶える物語 2018/03/17(土) 16:29:43.97 ID:KFrIsQKW.net

梨子「いい年してお帰りのキスなんて恥ずかしいよまったく////」

鞠莉「でもしてくれるのよね優しいキスを///」

梨子「い、いいから///夕飯食べるの!馬鹿///」

鞠莉「はい」

……

梨子「それで?行ってきたの?」

鞠莉「ん?ええ…まぁ…ね」

梨子「お父さんが亡くなってから初だから8年ぶりか…」

鞠莉「ええ…本当に私には言わないで働きづめ体に悪いことばっかして懲りないやつ」

梨子「人のこと言えるの?似た者親子でしょ?ふふ」

鞠莉「私はできればやりたくなかったわよ!でもあいつが押し付けるから」

梨子「鞠莉ちゃんのお父さんは鞠莉ちゃんに押し付けたことなんてなかったでしょ?本当は分かってるはずよ?」

鞠莉「…はぁ梨子には敵わないわ…そうね結局はこの小原家を継ぐって目標も今のところ順調で…貴女との関係もそう諦めていればこんなに大変ではなかった…」

梨子「…鞠莉ちゃんのお父さんは死期を悟って私達の結婚を許してくれたのかな…」

鞠莉「違うわ…結婚を許してくれたのは10年前の貴女が死にかける前に既にもうあいつは貴女を認めていた」

梨子「え?」

鞠莉「あいつに認められてなかったのはいつだって私だけよ…私が認められたのは一度は心臓が止まり死を宣告された貴女を諦めずに呼び続けたあのときの行動だけ」

梨子「…あのときか」

鞠莉「私はただ必死なだけだったけどね…初めて君の本気が見えたなんて言い出して…当たり前じゃない…!最愛の人が死の淵さ迷ってんだから私だって必死になるわっての」

梨子「ふふ、あのときはありがとうね?聞こえたよ鞠莉ちゃんの必死な声…やっと思い出したんだ梨子のこと…いや記憶のことなんか知るか!もうクソ親父なんか知るか!家なんて知るか!貴女が生きてさえいてくれればもう全部捨ててやる!だからお願い目を覚まして…って」

鞠莉「は、はっず///そんな必死だった私?」

梨子「うん…でもおかけで戻ってこれた」

鞠莉「いや私は本当に必死なだけよ…どんなときも右も左も分からず貴女を守れているのかも分からず…」

梨子「そんなの私も一緒よ?鞠莉ちゃんの隣が私なんかで…」

鞠莉「おっとそれは禁句でしょ?いいのよお互い私達なんかじゃなく私達だから一緒に居る…これで」

梨子「うん…」

鞠莉「よし!じゃあさてと…梨子?❤(囁き)」

梨子「え?な、何…?」

鞠莉「…久しぶりにエッチしよ?❤」

梨子「なっ///////」



256: 名無しで叶える物語 2018/03/17(土) 16:32:27.08 ID:swD5JGjk.net

パシィーン!

鞠莉「あ、あれ?」


梨子「さ、最低////」


鞠莉「ちょっと…ここはいい雰囲気でヤるパターンでしょ!」

梨子「なにがよ!せ、せっかくいい雰囲気になってたのにいきなり////馬鹿///」

鞠莉「そんなこと言わずにさあマイハニー?」

梨子「あ、アゴクイしてもダメです!///」

鞠莉「あらあら学習したわね?…でも…」

ドォン!

鞠莉「これにはまだ弱いよね?マイハニー❤」


梨子「!?!?っ/////」

梨子「ば///馬鹿///」

このあと滅茶苦茶セッ(以下略)


おわり



257: 名無しで叶える物語 2018/03/17(土) 16:34:51.05 ID:swD5JGjk.net

これにて終わりです
今まで保守ありがとう



260: 名無しで叶える物語 2018/03/17(土) 17:39:32.85 ID:69wGLnYX.net

ハッピーエンドは良いものだ



261: 名無しで叶える物語 2018/03/17(土) 20:59:29.51 ID:MKV/y65z.net

梨子ちゃん無事だったし2人が結ばれて良かった
まりりこはもう少し流行ってもいい


元スレ
鞠莉「なんで呼び出されたかわかる?」梨子「……」
http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1520176198/