SS速報VIP:【シュタゲSS】Mr.ブラウン「岡部、ちょっといいか?」
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1: ◆SUZUHAec1I 2014/04/01(火) 23:10:18.63 ID:sWkwXT7Jo

ブラウン「なんだ、岡部だけか……」


岡部「どうかしましたか、Mr.ブラウン」


ブラウン「だから天王寺さんと呼べといつも……まあいい、このあとヒマか?」


岡部「えぇ、予定は何もないですが……」


ブラウン「だったらちょっと付き合えや」


岡部「え?」

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2: ◆SUZUHAec1I 2014/04/01(火) 23:17:21.36 ID:sWkwXT7Jo

岡部「ここは……」


ブラウン「桜の穴場って奴だ」


岡部「たしかに見事ですね……」


ブラウン「ほう、おまえにも桜の良さがわかる頭があったんだな」


岡部「俺をなんだと……ところでこの場所は?」


ブラウン「俺の恩人に教わった場所さ」


岡部「そうですか……」


ブラウン「そこの芝生にでも座ろうや」


岡部「分かりました」



4: ◆SUZUHAec1I 2014/04/01(火) 23:18:02.88 ID:sWkwXT7Jo

ブラウン「おまえも飲むか?」


岡部「俺は未成年ですって」


ブラウン「まあ一杯くらいいいじゃねえか、大学生だろう?」


岡部「じゃあ一杯だけ……」


ブラウン「そうそう、世の中素直なのが一番だぜ?」


岡部「そうですか……」


ブラウン「まあいいじゃねえか、乾杯」


岡部「乾杯」



5: ◆SUZUHAec1I 2014/04/01(火) 23:18:57.39 ID:sWkwXT7Jo

ブラウン「どうだった?」


岡部「苦いだけです……」


ブラウン「はは、おまえにはまだビールははええみたいだな」


岡部「そうみたいですね」


ブラウン「大仰な口をきいても舌は子供並みってことだな」


岡部「……ほっといてください」


ブラウン「まあいいじゃねえか」


岡部「そういえば恩人にこの場所を教わったと言っておられましたが……」


ブラウン「なんだ、興味あるのか?」


岡部「いえ、別に」


ブラウン「ウソでも興味あるっていいやがれコノヤロー」


岡部「きゅ、急に撫でられたら、痛いですって」


ブラウン「まあいい、話してやるから心してきけよ?」


岡部「……はい」



7: ◆SUZUHAec1I 2014/04/01(火) 23:23:53.63 ID:sWkwXT7Jo

ブラウン「あれからもう何年になるのか……」


そういって俺はぽつぽつとあの人との思い出話を始める


妻と家をあの火事で失ったこと


すべてを失って路頭に迷った俺に救いの手を差し伸べてくれたこと


綯を加えた3人で一緒に暮らしていたこと


一緒にここに花見に来たこと


そして……


亡くなったこと……


岡部はただただ黙って聞いていた



8: ◆SUZUHAec1I 2014/04/01(火) 23:25:12.09 ID:sWkwXT7Jo

ブラウン「せっかくの酒が不味くなっちまったな……」


岡部「そんなことないですよ」


ブラウン「お前にはわかんねえだろうが!」


岡部「大切な人を失う悲しみは俺にだってわかります!」


ブラウン「なんだと……?」


岡部「俺の話を聞いてください」



9: ◆SUZUHAec1I 2014/04/01(火) 23:26:50.13 ID:sWkwXT7Jo

岡部「あれは去年の夏のことでした……」


そういって岡部は語り始める


一緒にいるあのねーちゃんが殺されたこと


去年からよく来るようになったあのねーちゃんが殺されたこと


他にも多くの人間が死んだこと


自分がタイムリープでそいつらの死に何度も触れたこと


中には俺が死んだなんてのもあったな……


所詮いつもの与太話だろう


まあ酒の肴にはちょうどいいか……


しかし岡部の目は冗談というにはあまりにも真剣な目をしていた


適当なところで冷やかしてやろう


そんなこともできないくらい岡部の顔は真剣だった


結局俺は最後まで聞き入ってしまっていた……



10: ◆SUZUHAec1I 2014/04/01(火) 23:27:33.66 ID:sWkwXT7Jo

ブラウン「おめえも大変だったんだな……」


岡部「はい……」


それっきりお互いに黙り込んでしまう


気まずい沈黙だ……


何か話題はないか……


そして俺は心にある決意を固める


岡部を呼び出した本当の目的だ



11: ◆SUZUHAec1I 2014/04/01(火) 23:28:21.64 ID:sWkwXT7Jo

ブラウン「なんで俺があのバイトを雇ったか知ってるか?」


岡部「バイト戦士をですか?」


ブラウン「そうだ」


岡部「ブラウン管が好きだからなんじゃ……」


ブラウン「そんなわけねえだろ」


岡部「え?」


ブラウン「似てるんだよ、あの人に……」


岡部「そうなんですか?」


ブラウン「人の心配はするくせに自分の心配事は最後まで心にしまっておく」


ブラウン「それこそ墓の下までな……」


岡部「はあ……」



12: ◆SUZUHAec1I 2014/04/01(火) 23:30:42.67 ID:sWkwXT7Jo

ブラウン「だからあの嬢ちゃんをの力になってやってくれねえか?」


岡部「え?」


ブラウン「俺が言うのもおかしいかもしれねえけどよ……」


ブラウン「なんだかその……娘みてえなもんでよ……」


岡部「ふふ……」


ブラウン「てめえ今笑いやがったろ?」


岡部「そ、そんなめっそうもない!」


ブラウン「まあいいか……」


ブラウン「とにかくあいつの力になってやってくれねえか?」


ブラウン「おまえの方が話しやすいだろうしな……」


岡部「……わかりました」


ブラウン「じゃあよろしく頼むぜ?」


岡部「ええ……」



14: ◆SUZUHAec1I 2014/04/01(火) 23:33:52.00 ID:sWkwXT7Jo

ブラウン「よし、そうと決まったら祝杯だな!」


岡部「え?」


ブラウン「とっておきの日本酒に山菜の天ぷらもあるから飲もうぜ!」


岡部「だ、だから俺は未成年だと……」


ブラウン「俺の酒が飲めねえってのか?」


ブラウン「どうなんだ、おう!?」


岡部「謹んでお受けいたします……」


ブラウン「そうそう、若いうちは素直な方がいいよな!」


岡部「はい……」


ブラウン「じゃあ改めて乾杯!」


岡部「乾杯……」



15: ◆SUZUHAec1I 2014/04/01(火) 23:36:56.00 ID:sWkwXT7Jo

ブラウン「どうだ、美味いか?」


岡部「ええ、すごく!」


ブラウン「ほう、この酒と天ぷらの美味さが分かるとはな……」


岡部「な、なんですか……?」


ブラウン「お前も日本人なんだと思ってよお」


岡部「な、何を当たり前のことを……」


ブラウン「まあまあ、今夜は二人で差し向かいでのんびりいこうぜ」


岡部「そうですね、月も出てきましたし……」


ブラウン「月見酒に雪見酒とは風流の極みじゃねえか」


岡部「そうですね」


ブラウン「また付き合ってくれるよな」


岡部「ええ、適度な範囲でですが……」



16: ◆SUZUHAec1I 2014/04/01(火) 23:37:27.03 ID:sWkwXT7Jo




「桜、綺麗だな……」



「そうですね……」






おわり



22: ◆SUZUHAec1I 2014/04/05(土) 00:08:02.51 ID:TXtqd9VZo

岡部「そういえば……」


ブラウン「どうかしたのか?」


岡部「どうして日本酒なのかと思いまして……」


ブラウン「なんだ……そんなことか」


岡部「え?」


ブラウン「さっきの天ぷらをまず食ってみな」


岡部「はい」


ブラウン「次にビールを一口」


岡部「はあ……」


ブラウン「どうだ?」



23: ◆SUZUHAec1I 2014/04/05(土) 00:13:57.25 ID:TXtqd9VZo

岡部「な、なんとも独創的で……」


ブラウン「ものすごく苦いだろ?」


岡部「……はい」


ブラウン「それが普通の味覚だ」


岡部「そうなんですか?」


ブラウン「『春には苦みを盛れ』って言葉を知ってるか?」


岡部「いえ……」


ブラウン「冬に溜め込んだ老廃物を排出する作用が山菜にはあるんだ」


ブラウン「特にさっき食べた天ぷらのふきのとうなんかはその最たるもんだな」


岡部「そうなんですか?」


ブラウン「そのままでは苦くて食べにくい山菜を天ぷらにして苦みを和らげて食べやすくしてるんだよ」


ブラウン「それを苦みのあるビールと合わせたらどうなった?」


岡部「苦かったです」


ブラウン「そうだな」



24: ◆SUZUHAec1I 2014/04/05(土) 00:17:32.90 ID:TXtqd9VZo

ブラウン「じゃあ次は同じことを日本酒でやってみな」


岡部「はあ……」


ブラウン「どうだ?」


岡部「なんだかすっきりして……」


ブラウン「無理に言葉にする必要はねえんだ」


ブラウン「ただお前が美味いと感じたらそれでいい」


岡部「美味かったです」


ブラウン「お、ならいいじゃねえか」


岡部「そうですね」



25: ◆SUZUHAec1I 2014/04/05(土) 00:20:32.22 ID:TXtqd9VZo

岡部「でもなんでこっちは美味かったんですか?」


ブラウン「酒にも相性ってもんがあるんだよ」


岡部「酒に相性ですか?」


ブラウン「たとえば寿司を食うときにワインを飲む奴がいたらどう思う?」


岡部「ちょっと合わなそうな……」


ブラウン「俺も試したことはあるがあれは絶望的だったな」 ※あくまで>>1の友人の感想です


岡部「そうなんですか?」


ブラウン「ああ、魚の生臭さが強くなってな……」


岡部「なるほど……」



26: ◆SUZUHAec1I 2014/04/05(土) 00:23:33.57 ID:TXtqd9VZo

ブラウン「逆にチーズなんかにはワインとかの方が合うぜ?」  ※あくまで>>1の(ry


岡部「つまり料理によって合う合わないがあると?」


ブラウン「まあそういうこった」


ブラウン「それぞれの料理にはそれぞれに合う酒がある」


ブラウン「それでいいと俺は思うぞ?」


岡部「俺もそう思います」


ブラウン「とは言っても今日初めて飲んだようなお前には分からないだろうがな!」


岡部「うぐ……」


ブラウン「まあいいじゃねえか!まだまだ人生は長いんだしだんだん学んでいけばよ?」


岡部「そうですね」



27: ◆SUZUHAec1I 2014/04/05(土) 00:28:12.43 ID:TXtqd9VZo

岡部「でもあなたがそんなことを知ってるとは思いませんでした」


ブラウン「俺だって最初から知ってたわけじゃないさ」


岡部「そうなんですか?」


ブラウン「俺には優秀な先生がいたからな」


岡部「先生?」


ブラウン「さっき話しただろう?」


岡部「あ……」


ブラウン「その人に色々習ったんだよ」


岡部「そうでしたか……」


ブラウン「おいおい、そんな顔すんじゃねえよ、酒が不味くなるしよ」


岡部「はい……」



28: ◆SUZUHAec1I 2014/04/05(土) 00:33:15.45 ID:TXtqd9VZo

ブラウン「いいか?人間てのはいつか死ぬもんだ」


ブラウン「それはどうあがいても揺るぎようのない事実だ」


ブラウン「そうだな?」


岡部「はい……」


ブラウン「願わくば桜の木の下で死にたいって思う奴もいる」


ブラウン「願わくば海を見ながら死にたいって思う奴もいる」


ブラウン「願わくば家族に見守られて死にたいって奴もいる」


ブラウン「だけど俺はあの人みたいに幸せそうに亡くなった人は知らない」


ブラウン「だからお前も幸せに死ねるように生きればいいじゃねえか」


ブラウン「少なくとも俺はそう生きてるぜ?」


岡部「はい」



29: ◆SUZUHAec1I 2014/04/05(土) 00:36:24.30 ID:TXtqd9VZo

ブラウン「だいたい一緒にバカみてえに騒げる仲間がいるんだろ?」


ブラウン「それは大事にしろよ?」


岡部「はい」


ブラウン「とまあ説教くさくなっちまったわけだが……」


ブラウン「どうも年を取ると説教くさくなっていけねえ……」


岡部「い、いえ!」


ブラウン「まあこんなバカ話は散り行く桜とともに忘れてしまおうや」


岡部「でも……」


ブラウン「だったら心の中に酒と一緒に流しこんじまいな」


岡部「そうですね」


ブラウン「じゃあ改めて乾杯するか」


岡部「はい」



30: ◆SUZUHAec1I 2014/04/05(土) 00:36:53.38 ID:TXtqd9VZo




「「乾杯」」







34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/07(月) 15:54:15.35 ID:/NGLhrJBo


ブラウンとオカリンの相性いいね
連日の雨と風でだいぶ桜散って悲しい


元スレ
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