おしっこ大好き曜ちゃんと、曜ちゃん大好き善子ちゃんのお話です。

今回はおしっこ要素はそこまでないので苦手な人もぜひ。


*過去スレ

曜「善子ちゃんをくすぐり続けたら失禁した」
(堕天)

曜「善子ちゃんをくすぐり続けたら失禁した」その2
(堕天)

曜「善子ちゃんをくすぐり続けたら失禁した」その3
(堕天)

↑の続きですが読んでなくても大丈夫です。

(付き合いたてのようよしがイチャイチャしたりケンカしたりたまにおしっこするだけなので)



【前回のラブライブ!】


*不治の病編

ケンカした翌日、何とか仲直りした二人でしたが善子ちゃんが倒れてしまいます。

風邪っぽい症状で熱もあったためインフルエンザかも? と病院へ連れて行く曜ちゃんでしたが……。

やっぱりどうやらただの風邪ではないようでした。


*料理教室編

善子ちゃんが倒れたと聞いた曜ママは、善子ちゃんにいっぱい食べて元気になってもらおうと張り切って料理を振る舞うことに。

予想通り酷い出来でも気を遣う善子ちゃん。はっきりマズいと言う曜ちゃん。

大人版曜ちゃん(曜ママ)にドキドキする乙女善子ちゃん可愛い。


*お泊まり会編

曜ママと善子ちゃんがお風呂で思い出話をしている間、曜ちゃんは善子ママと……。

あろうことか現場を目撃されてしまい、善子ちゃんのビンタが炸裂。

曜ママと善子ちゃん、善子ママと曜ちゃんの親子じゃないのに親子っぽい関係が好き。




以下本編



2: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:18:40.92 ID:mc7jjdA4.net

【ダイエット編】



 朝

 善子の家 リビング

善子「ふわぁ……よく寝たわ」

曜「おはよう。今起こしに行こうと思ったところだよ」

善子「あれ、ママたちは?」

曜「仕事。私たちも今日から学校だからね?」

善子「そっか。今日は始業式だったわね」

曜「午後からはテストだよ」

善子「結局、冬期講習は半分くらいしか出られなかったわね」

曜「でも、その代わり一緒に勉強できたからよかったよ」アハハ

善子「私は教えてもらえてよかったけど……曜さんはよかったの?」

曜「んー?」

善子「自分の勉強は」

曜「あぁ……うん。徹夜でテキスト読み込んだから大丈夫だよ」

善子「テスト中寝落ちしても知らないわよ」

曜「それは嫌だな……」

善子「分かってるとは思うけれど、赤点だと補習で追試だから」

曜「うん……」

善子「一緒にいる時間が減っちゃうわ」ボソッ

曜「え?」

善子「何でもない。朝ごはん食べましょ」

曜「そうだね」

……

善子「……」モグモグ

曜「美味しい?」

善子「ええ」パクッ

曜「よかった」



3: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:19:16.28 ID:mc7jjdA4.net

善子「念のために聞いてもいいかしら」

曜「入ってないよ」

善子「……」モグモグ

曜「入ってたら匂いで気づくよね?」

善子「ほんの少しだけ入れたかも」モグモグ

曜「そんなことしないよ」アハハ

善子「どうかしら」パクッ

曜「それはそうと、結局ダイエットはしなかったね」

善子「え?」

曜「ウエスト。二センチ太ったままだよ」

善子「……」

曜「私のせいかな」シュン

善子「どうして?」

曜「毎日善子ちゃんに食べさせるから」

善子「栄養のある食事は大事でしょ。食べ過ぎはよくないけれど」パクッ

曜「そういえば善子ちゃん、私が来てからカップめん食べてないね」

善子「そうね。曜さんの料理の方が美味しいから」モグモグ

曜「ママの料理は食べてる?」

善子「食べてるわ。曜さんがいないときに」パクッ

曜「そっか」

善子「……」モグモグ

曜「……」

善子「曜さんは食べないの?」パクッ

曜「わ、私? 私は……」

善子「ママたちともう食べた?」

曜「ううん……」

善子「……」

曜「食べてない」

善子「あっ……そういうことね」

曜「?」



4: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:19:50.07 ID:mc7jjdA4.net

善子「はい」つ

曜「えっと……」

善子「あーん」つ

曜「ごめんなさい」

善子「えっ」カシャン

曜「実はさ、私……」

曜「ダイエット中なんだ」アハハ

善子「」

曜「こう見えて先月から一キロ太ってるの」カァアア

善子「いや、一キロなんて誤差でしょ」

曜「ううん。空腹時も満腹時も平均してだよ」

善子「……」

曜「ほら、お腹周りなんて少し」スルッ

善子「ぬ、脱がなくていいから!」カァアア

曜「ウエストは三センチも増えた」プニ

善子「私より……」

曜「だからあまり善子ちゃんのことは言えないんだ」アハハ

善子「曜さんも食べ過ぎて?」

曜「ううん。私は運動不足かな」

善子「運動不足……?」

曜「前までは毎日欠かさず筋トレしてたんだけど、最近はほとんどやってないから」

善子「あぁ、それで……」

曜「果南ちゃんとジョギングしたりもしてたんだけどね、最近はすっかりやってないの」

善子「果南さんと?」

曜「そうだよ。私が誘うとね」

曜「『夜中に二人きりで会うのはやめてあげたら?』アハハ」

曜「ってさ」

善子「何だか気を遣われてるような……」

曜「善子ちゃんといるときはもちろんだけど、いないときもね」

善子「……」



5: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:20:25.04 ID:mc7jjdA4.net

曜「私が他の人と二人きりなんて嫌かな?」

善子「ジョギングでしょ? そのくらいいいわよ」パクッ

曜「本当は嫌でしょ?」

善子「……そこまで気にしてたら何もできないじゃない」

曜「私は果南ちゃんとも一緒にジョギングしたいんだけどね」アハハ

善子「すればいいのに」

曜「やっぱりみんな何か気を遣ってるよねぇ」

善子「……まあ、正直やりづらい感じはするわね」

曜「どうしたらいいと思う?」

善子「うーん……」

曜「本当はさ、グループ内での恋愛はあんまりよくないんだよね」

善子「私たちのせいでAqoursがうまくいかなくなるって心配してる?」

曜「……少し」

善子「自意識過剰も程々にしなさいよ。みんなそこまで私たちのことなんて気にしてないんだから」

曜「そうかな」

善子「そうよ。そんなに心配ならみんなに聞いてみたら? たぶん笑われるわね」フフッ

曜「う……」

善子「まあ、ダイエットくらいなら一緒に……」

曜「今日は学校まで走って行こうよ」

善子「は? 嫌よ絶対遅刻するわ」

曜「今から出れば間に合うよ」

善子「曜さんはよくても私が間に合わないわ」

曜「じゃあバス停ひとつ分だけ走ろう」

善子「ひとつ分? そんなのでダイエットになるのかしら……」

曜「あー、うん、本当は軽めの運動を三十分くらい続けないと有酸素運動にならないんだけど」

善子「そうよ。でも三十分も走ってたら遅刻しちゃう」

曜「善子ちゃんとジョギングしたいな」

善子「……」

曜「ダメ?」

善子「食べた後で走ると気持ち悪くなるから嫌」



6: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:20:57.08 ID:mc7jjdA4.net

曜「……」シュン

善子「帰りなら付き合ってあげてもいい」

曜「本当!?」ガタッ

善子「バス停ひとつ分だけね。毎日やれば少しは効果あるでしょ」

曜「毎日やるの?」

善子「やらないの?」

曜「やる」

善子「仕方ないから付き合ってあげるわ」

曜「ありがと」エヘヘ

善子「じゃあ……」つ

曜「ん?」

善子「朝ごはん食べないとテスト中頭が働かないわよ」つ

曜「一口だけ……」パクッ

善子「どう?」

曜「美味しいよ」モグモグ

善子「でしょ。実はこれ、私の大好きな人が作った料理なの」つ

曜「……」カァアア

善子「いいから早く食べて」カァアア

曜「善子ちゃんは優しいね」パクッ

善子「食べてるときの曜さんが好きなだけよ」

曜「私も。食べてるときの善子ちゃん、好きだよ」モグモグ

善子「……」ドキドキ

曜「えへへ……」ニヤニヤ

善子「って! ダメよそんな考えしてたら!」

曜「え?」

善子「このままじゃ私たち、本当に太っちゃうわ……」

曜「確かに」

善子「今日からダイエットよ」

曜「分かった。食事もいつもよりヘルシーなものにするね」

善子「それと、あんまり美味しく作らないで」



7: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:21:29.16 ID:mc7jjdA4.net

曜「食べ過ぎちゃうから?」

善子「そうよ」

曜「量を少なめに作ればいいんじゃないかな?」

善子「……」

曜「それと、お代わり禁止で」

善子「そうね。そうしましょ」

曜「おやつも控えようね」

善子「当然よ」

曜「あと夜食も」

善子「食べてないわよ」

曜「私が」

善子「食べてるの!?」

曜「お腹空いちゃってさ」アハハ

善子「……」

曜「さ、食べ終わったなら片付けてきちゃうよ」スタッ

善子「え、もう食べないの?」

曜「ダイエット中だから」

善子「じゃあこれは?」

曜「捨てる」

善子「そんなもったいないことできるか!」ガツガツ

曜「太るよ?」

善子「曜さんの料理を捨てるくらいなら太った方がましよ」モグモグ

曜「……そんなこと言われたらもっと美味しく作らなきゃね」エヘヘ

善子「やめて。本当に太る」パクッ

曜「やっぱり私も食べるよ」

善子「太るわよ?」

曜「善子ちゃんだけ太らせるわけにはいかないよ」

善子「……」つ

曜「あむっ」パクッ

善子「おせちも食べてないのに正月太りなんて……」ハァ



10: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:24:07.00 ID:mc7jjdA4.net

曜「幸せ太りじゃない?」

善子「どっちでもいいわよ」パクッ

曜「……」

善子「ごちそうさま。美味しかったわ」

曜「それじゃ片付けてくるから、善子ちゃんは着替えて来なよ」

善子「いいわよ、たまには私が片付けるから」スタッ

曜「そう? じゃあお願いしようかな」

善子「食器が一人分だと片付けるのも楽よね」

曜「今日から二人で一つの食器で食べようか」

善子「えっと……二人だけのときならいいわよ」

曜「ダイエットにもなるしね!」

善子「そうね。二人で一人前を食べれば見た目は一人前でもカロリーは半分……」

曜「もしかして善子ちゃんって天才?」

善子「ええ。今頃気づいたの?」フフッ

曜「善子ちゃんとなら楽しくダイエットできそうだよ」アハハ

善子「私も。一人だとどうしても怠けそうになるもの」

曜「私は怠けたりしないけどね?」

善子「夜食」

曜「う……」

善子「いいから着替えて来なさい。私も片付け終わったら行くわ」

曜「絶対に覗かないでね?」スタッ

善子「曜さんじゃないんだから……」ハァ

……

 善子の部屋

ガチャ

曜「そういえば……前に善子ちゃんの制服を着たときはちょっとキツかったっけ」

曜「着てみようかな」スッ

スルスル

シュルッ

曜「……」



11: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:24:38.10 ID:mc7jjdA4.net

曜「ん? 太ったはずなのにキツくない……」

曜「そっか。筋肉が落ちたから細くなってるのかな」

曜「お腹周りは調整すれば大丈夫だし……」キュッ

曜「うん! いい感じ」フリフリ

曜「……」

曜「カバンも交換しないとだ」

曜「うわ、善子ちゃんのカバン重たいなぁ」ズシッ

曜「何が入ってるんだろ?」ガサゴソ

曜「……」ガサゴソ

曜「教科書ちゃんと持ち帰ってるんだね。真面目だなぁ」

曜「私は基本置きっぱなしだからねぇ」

曜「おっ、このポーチは……」サッ

曜「メイク道具?」

曜「善子ちゃん、いつもメイクなんてしてたんだ」

曜「そんなことしなくても可愛いのに」キュッ

曜「……」ヌリヌリ

曜「……」サッサッ

曜「……」ペタペタ

ガチャ

善子「お待たせ曜さん」フゥ

曜「あ」サッ

善子「何して……」

曜「な、何でもないよ。善子ちゃんの着替えはそこに用意しておいたから」

善子「気が利くわね。ありがとう」

曜「うん……」ドキドキ

善子「何?」

曜「あの……」

善子「こっち見ないで」

曜「え」

善子「見ないで!!」



12: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:25:11.98 ID:mc7jjdA4.net

曜「……」クルッ

善子「……」

曜「……」

善子「……」スルッ

スッ シュルッ

曜「……」

善子「……」

キュッ パチッ

曜「あ、あのさ……」クルッ

善子「こっち見るなって言ってんでしょうが!!」

曜「ひぃっ!!?」クルッ

善子「……」スッ

曜「……」ビクビク

善子「あれ……? 太った割には制服がキツくない……」

曜「よ、よかったねぇ」アハハ

善子「さてと。もういいわよ」

曜「……」

善子「着替え終わったわ」

曜「うん」

善子「こっち見ていいわよ」

曜「……」クルッ

善子「ん? 曜さんは少し太ったみたいね。私よりキツそうだわ」

曜「そ、そうなんだよー。ちょっと痩せないと危険かも」アハハ

善子「まあいいわ。行きましょ」スッ

曜「っと! カバンは私が持ってあげる!」サッ

善子「いいわよ、自分で持つわ」

曜「大丈夫だって! このくらい私に持たせてよ」

善子「……」

曜「そろそろ行かないとバスの時間が……」

善子「そうね。行きましょ」スタッ



16: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:29:23.29 ID:mc7jjdA4.net

曜「ふぅ……」

善子「?」

曜「あ、いや……何でもないよ」

善子「今のため息は何?」

曜「え、えっとね? ため息が出るほど可愛いなーって」エヘヘ

善子「私が?」

曜「そう! 着替えを見られなかったのは残念だけど……」

善子「変な曜さん」

……

 バス

曜「……」

善子「……」

曜(善子ちゃん、もしかして気づいてない?)

曜(それとも気づかないふりしてるだけ?)

曜「……」チラッ

善子「何?」

曜「えっ? 何も」

善子「そう……」

曜「……」

善子(曜さんの様子がおかしい……)

善子(ひょっとして)ジー

曜(う、うわ……すごい見られてる)ドキドキ

善子(んん……?)ジー

曜(バレませんように! いや、バレてもいいけど怒らないで!)

善子(気のせいかしら)ハァ

曜(……)ドキドキ

善子「あ、そういえば曜さん」

曜「何?」

善子「帰りはバス停ひとつ分走るのよね?」

曜「うん。だから少し早めに学校を出ないとね」



17: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:30:05.43 ID:mc7jjdA4.net

善子「今日は部活がないから、帰りは待ち合わせしないと」

曜「あっ、それなら私が教室まで迎えに行くよ」

善子「そう?」

曜「もちろん。できるだけ早く行くから待ってて」

善子「分かったわ。終わったらメールするわね」

曜「うん」

善子「……」ジー

曜「……」ドキドキ

善子「曜さん、いつもより可愛いわね」

曜「そ、そうかな!? 善子ちゃんがそんなこと言うなんて珍しいなぁ」アハハ

善子「もしかしてメイクしてる?」

曜「してないよ?」

善子「そう……」

曜「……」ドキドキ

善子「……」

曜(何だか善子ちゃんに悪いことしてる気がしてきた……)

曜(間接キス目的とはいえ勝手に口紅使われたら嫌だよね)

善子「分かったわ」

曜(素直に謝れば許してくれるかな? ちょっとした出来心だったんだし……)

善子「トイレ、行きたいんでしょう?」

曜「あ、あのね善子ちゃん!」

善子「学校までかなりあるわよ。我慢できそう?」

曜「私っ……」

善子「って言うか我慢してくれなきゃ困るわ。降りたら次のバスまで一時間以上待たなきゃだし」

曜「……」

善子「ペットボトルならあるから……」ガサゴソ

曜「ごめんなさい」

善子「いいわよ。家を出る前にトイレ行かなかったのは悪いけど」

曜「……」

善子「まあ、仕方ないわよね。そのときは行きたくなかったんだから」



18: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:30:42.12 ID:mc7jjdA4.net

曜「実は……」

善子「はい、ペットボトル。小さいのだけど足りる?」スッ

曜「……」

善子「私に飲めって言うの? さすがにお断りよ」

曜「……」シュン

善子「もしかして具合でも悪いの?」

曜「ううん、大丈夫……」

善子「無理はしないでね」

曜(とても言い出せる雰囲気じゃない……)

曜(善子ちゃんが珍しく私に優しくしてくれてるのにそんなこと言ったら)

曜(せっかく優しい善子ちゃんがいつもの鬼みたいな善子ちゃんに)

善子「……」ヌギッ

曜「え!?」

善子「上着で隠して」スッ

曜「う、うん……」

善子「他のお客さんが乗ってくる前に済ませちゃいなさい」

曜「……」

善子「早く」

曜「分かった」スルッ

善子「見ないであげるから」

曜「見てもいいよ」

善子「いいわよ。別に見たくない」

曜「……」スッ

曜(出るかな? いや、善子ちゃんがくれたペットボトルを空のまま返すなんてできない)

曜(……)

ショワァ

曜「あ……」ブルッ

善子「声出てるわよ」

曜「だって……」

ジョボボ



19: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:31:17.03 ID:mc7jjdA4.net

善子「手にかけたら怒るからね」

曜「うん……」

ジョボボ

善子「あと溢したら私たちタダでは済まないわよ」

曜「分かってるよ……」

ジョボボ

善子「もう少し?」

曜「もう少し」

ジョボボ

バス「ププー!」キキーッ!!

善子「え」

曜「嘘っ!?」

善子「溢れ……」

曜「うっ」グッ

バス「」ピタッ

善子「きゃっ!?」ゴチンッ!

曜「善子ちゃん大丈夫っ!?」バッ

善子「いったぁ……」ヒリヒリ

「猫が飛び出してきたため急停車になりました……お怪我はありませんでしょうか?」ハァ

善子「だ、大丈夫です!」

曜「私も大丈夫です!」

「よかった……」

ブロロ

善子「……」

曜「……」

善子「溢した?」

曜「ううん。何とか押さえたから……」

善子「そう……」ハァ

曜「でも」

善子「え?」



20: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:31:53.45 ID:mc7jjdA4.net

曜「善子ちゃんの上着に……」

善子「あっ!! 私の上着が」ベチャ

曜「ごめん」

善子「……」シュン

曜「ごめんって」

善子「き、気にしないで。もうボロボロだったし新しいの買おうと思ってたし……」

曜「洗えば落ちるよ! 私が責任持って綺麗にする!」

善子「……」グスッ

曜「わああ! 泣かないで!!」

善子「泣いてない!」

曜「善子ちゃん、これお気に入りの上着だったんだよね……」

善子「……」

曜「代わりにはならないけどさ、とりあえず今日は私ので我慢して」ヌギッ

善子「いいわよ、曜さん寒いでしょう」

曜「ううん。善子ちゃん着て」スッ

善子「いいってば。私なら平気だから……」

曜「……」

善子「仕方ないわよ、さっきのは不可抗力だもの……」

曜「ごめんなさい」ペコリ

善子「……」

曜「善子ちゃんのメイク道具勝手に使いました」

善子「え?」

曜「制服も交換しました」

善子「えっ、ちょっと何? 何の話?」

曜「カバンも……」

善子「……」

曜「善子ちゃんになりたくて」

善子「私に?」

曜「物を交換したくらいじゃなれないのは分かってるよ」

曜「それでもなりたかったんだ」グスッ



21: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:32:29.11 ID:mc7jjdA4.net

善子「……」

曜「ごめんね」スッ

善子「あっ、そのノート……」

曜「今日一日だけ代わって」ピラッ

善子「ダメっ! その呪いは!」

曜「『……』」ボソボソ

善子「あ……」

曜「『…………』」ボソボソ

善子「わた……し……」フラッ

……

……

ユサユサ

善子「ん……」

ユサユサ

善子「何よ……」

「お客さん」ユサユサ

善子「え?」ムクッ

運転手「学校、着きましたよ。降りないんですか?」

善子「あぁ!? す、すみません降ります!」

善子「ほら、曜さんも起き……」

??「……」

善子「あ、あれ? 私??」

??「……」

善子「ってことは……」

運転手「あの……降りないんですか?」

善子「お、降ります……」

善子「曜さん、ほら起きて」グイッ

??「……」

善子「嘘っ……軽い」ヒョイ

??「……」



22: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:33:01.23 ID:mc7jjdA4.net

善子「私の体ってこんなに軽いの?」

スタスタ

運転手「変な子ねぇ。さっき頭を打ったのかしら……」ハァ

……

 学校 一年教室

ガラッ

善子「……」

ルビィ「あっ、曜さん。おはようございます」

花丸「おは……え?」

善子「おはよう。善子ちゃんはちょっと寝ちゃってて……」

曜「」

花丸「それ寝てるの?」

善子「え? そうよ。バスの中でね」

ルビィ「善子ちゃん重かったでしょ? ご苦労様です」

善子「重くないわよ!」

花丸「『わよ』……?」

善子「お、重くないヨーソロー……」

ルビィ「ぷっ……」クスクス

花丸「ふふっ……」クスクス

善子「何で笑うのよ!? 変なこと言った?」

ルビィ「だって今日の曜さん、善子ちゃんみたいなんだもん」

花丸「可愛いずら」ニコニコ

善子「か、可愛いとか言うな」カァアア

ルビィ「あっ、照れてる? 曜さん可愛いー♡」ギュー

善子「えっ、ちょっ……」カァアア

ルビィ「おっと、善子ちゃんにバレたら怒られちゃうよね」パッ

善子「そ、そうよ。絶対怒るって」

花丸「ルビィちゃん、あんまり曜さんを困らせちゃだめだよ?」

ルビィ「えへへ……そうだよね。ごめんなさい」ペコッ

善子「……」



23: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:33:36.65 ID:mc7jjdA4.net

花丸「善子ちゃんは預かるね」サッ

善子「ええ」ストッ

曜「」ズルッ

善子「っと! いい加減に起きなさいよ。始業式の後はテストなんだから」グイッ

ルビィ「曜さんも教室に戻らないと遅刻しちゃいますよ」

善子「そ、そうね……」

曜「んん……」

花丸「善子ちゃん、やっと目が覚めた?」

曜「あれ、私だ」

善子「善子ちゃん、ちょっと」クイクイ

曜「……え?」

ガラッ

ストッ

 廊下

曜「私、だよね……?」ツンツン

善子「やめて」プニプニ

曜「だって……目の前に自分がいるんだよ?」ジー

善子「よりによって何でこんな日に入れ替わるわけ」

曜「善子ちゃん、あの呪い今までに使ったことある?」

善子「……」

善子「ないわよ」

曜「今の間は何」

善子「あるわ」

曜「あるんだ」

善子「寝てる曜さんと入れ替わった。三回くらいかしら」

曜「えぇ!!?」ガタッ

善子「私の経験上、この呪いは掛けた当日のみ有効で日付が変われば解けるはずよ」

曜「今はまだ八時すぎだから……」

善子「あと十五、六時間はあるわね」



24: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:34:09.21 ID:mc7jjdA4.net

曜「……」

善子「曜さん、まさか知ってて……」

曜「知ってるわけないよ! 本当に入れ替わるなんて思わなかったし……」

善子「私でさえ成功率はかなり低い呪いなのに、どうして初見で成功させちゃうのかしらね」ハァ

曜「天才なので」エヘヘ

善子「いい? 今日の曜さんは私なんだから、いつもみたいな変な行動は控えること」

曜「善子ちゃんみたいな?」

善子「曜さんみたいな! 私は変な行動はしてない!」

曜「あはは。善子ちゃんこそ気をつけてよ? 私の体で変なことしたりさ」

善子「変なことっ……」カァアア

曜「してもいいけど誰にもバレないようにね?」

善子「しないわよ! 曜さんこそ私の体で変なことしたらタダじゃおかないんだから」

曜「分かってる。私は善子ちゃんとだからそういうことするんだよ? 善子ちゃんの体だからするわけじゃないよ」

善子「……」ハァ

曜「それじゃ、テスト頑張ってね」ポンポン

善子「最初からそのつもりで……!」ギリッ

曜「私はそんな怖い顔しないよ。ほら、笑って笑って!」グイ

善子「ふんっ、こうなったら全教科白紙で出してやるわ」

曜「……」

善子「曜さんも白紙で出してくれたっていいわよ。アスリートとして恥ずかしくなければだけど」

曜「何でアスリート?」

善子「曜さん言ってたじゃない。手を抜くことは努力への裏切りだって」

曜「……」

善子「私はアスリートじゃないし? 手を抜いたってサボったって何ともないわ。だって私じゃないんだもの」

曜「善子ちゃんはそんなことしないよね」

善子「……」

曜「白紙で出すなんてそんな酷いことしないよね?」

善子「私、これでも一年生なんだけど? どうして二年生のテストで点が取れると思ったの?」

曜「えっ」

善子「ん?」



25: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:34:46.06 ID:mc7jjdA4.net

曜「善子ちゃん一年生だ!!」

善子「え!!? 忘れてたの!?」

曜「どうしてくれるの善子ちゃん! これじゃ赤点で補習確定だよ!」

善子「いや……」

曜「ねぇ、今すぐ元に戻して! どうせなら梨子ちゃんと入れ替わればよかった!」

善子「それはダメ!!」

曜「何で!?」

善子「絶対にダメ! 私以外と入れ替わるなんて絶対に認めないわ!」

曜「善子ちゃんと入れ替わったところで赤点だよ!」

善子「くっ……!」

曜「私のバカ! バカ!!」ゴッ!

善子「それ私の体! 大切に扱ってよね!?」

曜「あ……そうだった」

善子「殴るならこっちの体にしなさい」

曜「じゃあ失礼して……」スッ

善子「ちょ、ちょっと! 本当に殴る気じゃ」

曜「私のバカ!」ブンッ

善子「ひぃっ!!?」

ペチッ

曜「っはぁ……」

善子「全然痛くないわ」

曜「けっこう強めにいったんだけどな」

善子「私の体ってそんなに力ない?」

曜「ないね」

善子「むぅ」

曜「すぐ疲れるし」

善子「悪かったわね……」

曜「……まあでも」ニヤニヤ

善子「わっ、私そんな気持ち悪い顔しないから!」

曜「いくら私の体とはいえ今は善子ちゃんだからね。本気で殴るわけないじゃん」アハハ



26: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:35:21.59 ID:mc7jjdA4.net

善子「そうよね……」

曜「逆に善子ちゃんは気をつけてよ。私の体なんだからうっかりいつもの勢いで引っ叩いたら最悪死ぬよ」

善子「その場合どうなるのかしら? 日付が変わったら元に戻って私が死ぬの?」

曜「うーん……」

善子「って、どうでもいいのよそんなことは。とにかく曜さんのせいでこうなったんだから責任持って私の振りしなさいよ」

曜「はーい」

善子「あと! ずら丸とルビィに変なことしたら本気で殺す」

曜「ひぇっ……」

善子「二人がベタベタしてきても、いつもの私みたいに嫌そうな顔して断るのよ」

曜「うん……」

善子「さっきみたいにデレデレするとすぐ調子に乗るんだから」カァアア

曜「?」

善子「な、何でもない! ほら、教室戻って!」グイッ

曜「あ、あのっ!」ガシッ

善子「何よ? 私、二年生の教室行かないとなんだけど」

曜「上着ごめん」

善子「え?」

曜「その……汚しちゃって本当に」

善子「いいわよもう。その代わり今度新しい上着買いに行きましょ」

曜「私のお金?」

善子「当たり前」

曜「そうだね」アハハ

善子「冗談よ。ママに汚しちゃったって言えば買ってもらえるわ。たぶんね」

曜「じゃあ今日私がお願いしてみるね」

善子「やめて。戻ってから私がお願いする」

曜「でも……」

善子「余計なこと言いそうだからよ」

曜「言わないよ。善子ちゃんと入れ替わったなんて言ったら私まで頭がおかしいと思われちゃう」

善子「私は思われてないわよ」

曜「あはは」



27: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:35:52.31 ID:mc7jjdA4.net

善子「いや、少なくとも私はね」

曜「……え?」

善子「そこに疑問の余地なくない? あるの?」

曜「いや……ないけど」

キーンコーン

善子「げっ、急がないと遅刻だわ! また後で!」ダッ

曜「廊下は走っちゃダメだよー!」

「何この体めっちゃ速い!」

曜「……」ハァ

曜「私も戻るか」

スタスタ

ガラッ

 一年教室

ルビィ「あっ、善子ちゃん戻ってきたよ」

花丸「……」ジー

曜「な、何かな」

ルビィ「今日ね、テストだから部活ないでしょ?」

曜「うん。そうだね」

ルビィ「たまには三人でお出かけしない?」

曜「……」

花丸「善子ちゃん、最近はずっと曜さんにべったりだから」

曜「そんなことないよ? 私はルビィちゃんも花丸ちゃんも好きだし」

ルビィ「え」

花丸「……」

曜「あっ……ええと、ルビィもずら丸も好きよ」

ルビィ「花丸ちゃん」トントン

花丸「何? ルビィちゃん」

ルビィ「この人誰?」

曜「えっ」

花丸「どう見ても善子ちゃんだけど……?」ジー



28: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:36:25.82 ID:mc7jjdA4.net

ルビィ「んん……?」ジー

曜(やば……)ドキドキ

花丸「あっ!」

ルビィ「でっかいタンコブ! きっとこれのせいだね!」サワッ

曜「いたっ!」ビクッ

ルビィ「あ……ごめんなさい」

花丸「どうしたの? どこかで頭ぶつけた?」

曜「えっと……そういえばバスの中で」

 善子『きゃっ!?』ゴチンッ!

曜「あのときのかな」

ルビィ「もう一度頭ぶつけたら治ると思う?」ヒソヒソ

花丸「却って酷くなるかも」ヒソヒソ

曜「何か物騒な話が聞こえてくる……」

ルビィ「えーい!」ブンッ

花丸「善子ちゃん覚悟!」グイッ

曜「わぁあ!!」

ペチッ

曜「え……?」

ルビィ「はい、あげる」つ

曜「えっと……これは?」

花丸「お菓子。どうせ善子ちゃんのことだもん、お正月太りで朝ごはん食べてこなかったでしょ」

曜「……」

花丸「お腹空きすぎて頭がおかしくなっちゃったんだね。よくあることずら」アハハ

曜「ないよ」

ルビィ「食べて。テスト中頭が働かないよ?」

曜「……」ゴクリ

曜(いや、間食はナシって決めたばっかりじゃん。ここで食べたら善子ちゃんが太っちゃう……)

花丸「ダイエットもいいけど、無理な食事制限は体を壊すからね」

ルビィ「善子ちゃんは十分すれんだー? だから大丈夫だよ」つ

曜「じゃあ……」アーン



30: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:38:07.17 ID:mc7jjdA4.net

ルビィ「え?」

曜「あむっ」パクッ

花丸「えぇ!!?」

曜「あ、これ美味しい」モグモグ

ルビィ「花丸ちゃん、今の見た?」

花丸「ルビィちゃんの『あーん』で食べたね」

曜「あれ? いつもはしないっけ」モグモグ

ルビィ「しないしない! 自分で食べるからいいって頑固だもん」

花丸「……頑固なのかな?」

曜「た、たまにはね? 私も素直なときもあるんだよ」アハハ

ルビィ「……」

花丸「素直すぎて気持ち悪いね」

ルビィ「ルビィはこっちの善子ちゃんも好きかも……♡」エヘヘ

曜「う……気に入られてしまった」ハァ

花丸「……」

……

 二年教室

善子(どうしよう……。本当にこのままテスト受けなきゃならないの?)

善子(いくら曜さんが悪いとは言え、赤点を取ったら曜さんガッカリするかしら)

善子(というより私のテストで赤点取ったりしないわよね? 二年生だものね?)

善子(不安だわ……)ハァ

「渡辺さん」

善子(あぁ……どうすれば)

「渡辺さん? 寝てるの?」

善子「へ?」

先生「渡辺さん。いつまでも冬休み気分でいたらダメよ。今日はテストもあるんだから」

善子「す、すみません……」

アハハ

……

千歌「曜ちゃん大丈夫?」



32: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:39:49.91 ID:mc7jjdA4.net

善子「ええ。たぶんね」

千歌「……」ジー

善子「な、何」

千歌「曜ちゃん?」

善子「私が何よ」

千歌「喋り方変じゃない?」

善子「えっ……あぁ、そうだよね!? 変だよね……」シュン

千歌「こんなのでテスト大丈夫なのかな」

善子「そういう千歌さ……千歌も平気なの? 赤点取ったら補習よ?」

千歌「ひゃっ……」

善子「?」

千歌「い、今私のこと何て」ドキドキ

善子「えっと……千歌さん? ううん、千歌ちゃんか」

千歌「……」

善子「ごめんね千歌ちゃん」

千歌「千歌でいいよ……」カァアア

善子(曜さんはみんなのことちゃん付けだったわね……気をつけないと)ハァ

梨子「……」

千歌「り、梨子ちゃん見てたの?」ドキドキ

梨子「ううん。曜ちゃんに全力ビンタ食らわせたの、どこの誰だったかしらと思って」

千歌「う……」

善子「ビンタ?」

梨子「まさか忘れたの?」

善子「えっと……」

善子(どうせ曜さんのことだから、どさくさに紛れて千歌さんの千歌さんを千歌さんしたとかなんでしょうね)

善子「ごめん。あのときは悪かったよ」

千歌「や、やめてよ。私の方こそ思ったより手首のスナップが効いちゃって……」

善子(曜さんってもしかしてしょっちゅう引っ叩かれてるの?)

梨子「……私も私だけどね」ハァ

善子「梨子さん?」



33: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:40:24.56 ID:mc7jjdA4.net

梨子「え?」

善子「あ、あぁ……梨子。じゃなかった、梨子ちゃん」

梨子「……」カァアア

千歌「ほら! 私の気持ち分かるでしょ!?」

梨子「……」コクコク

善子「??」

千歌「とにかく今日の曜ちゃん変だよ? 怪しいクスリとかやってないよね?」

善子「やってない!」

梨子「曜ちゃんが変なのはいつものことだから……」

善子「失礼ね」

千歌「ほらまた口調が変だ」

善子「あっ……」

善子(これ以上喋るとボロが出そうね。少し黙っておきましょうか)

梨子「……」

……

……

 始業式後

曜「ふわぁ……終わった終わった」

花丸「でっかい欠伸……」

ルビィ「女の子としてどうかなぁ」

曜「ん?」

花丸「この後テストだよ? 眠そうだけど大丈夫?」

曜「大丈夫。これでも勉強はしてきたから」

ルビィ「ルビィは心配かな……」

花丸「善子ちゃんのこと?」

ルビィ「ううん、ルビィ何でもっと勉強しとかなかったんだろ……」

曜「テストやる前から後悔してどうするの」

ルビィ「だって……」

曜「大丈夫。ルビィちゃんならきっとできるよ」ポンッ

花丸「ルビィ……ちゃん?」



34: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:41:03.68 ID:mc7jjdA4.net

曜「えーと、この私のリトルデーモンなんだから絶対に大丈夫! 自信を持ちなさい」

ルビィ「善子ちゃん……」ギュ

花丸「わぁ……」ドキドキ

曜(ルビィちゃんいい匂いするなぁ)ナデナデ

ルビィ「今日の善子ちゃん優しい……♡」スリスリ

花丸「気持ち悪いずら……」

「ちょっと!」グイッ

曜「わっ!?」

善子「ルビィちゃんとベタベタしないで」

ルビィ「曜さん?」

曜「し、してないよ?」

善子「その反応……やっぱり」

曜「違うよ! ルビィちゃんがテストを心配して元気なさそうだったから励ましただけで……」

善子「いくら同級生とはいえ過度にベタベタするのは良くないと思うわよ? ねぇ善子ちゃん」

曜「る、ルビィちゃんの方から抱きついてきたんだよ……」

ルビィ「もしかして今、ルビィのこと取り合ってケンカしてるの?」ヒソヒソ

花丸「新しい展開だね」ヒソヒソ

善子「とにかく! 二人も善子ちゃんにベタベタしないこと! 私の恋人なんだからねっ!」ダッ

ルビィ「……」

花丸「……」

曜「えっと……何かごめんね?」

ルビィ「曜さんってあんなにヤキモチ妬く人だった?」

花丸「善子ちゃん、曜さんと何かあったでしょ……」

曜「な、何のことかな」アハハ

……

 二年教室

善子「ったく、油断も隙もないわね……」ハァ

梨子「曜ちゃん?」

善子「あっ、ううん。ちょっとトイレに行ってくる」スタッ

梨子「私も行こうと思ってたの」スタッ



35: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:41:36.36 ID:mc7jjdA4.net

善子「え」

梨子「??」

善子「ちょっと待って。一緒に来るの?」

梨子「ダメ?」

善子「いや……」

梨子「いつもなら曜ちゃんの方から誘ってくるのに」

善子(何やってるのよ曜さん!)カァアア

「あっ、トイレなら私も行くよ!」

善子「千歌さんまで?」

千歌「さん付けはやめてほしいかな……」

善子「えっと、千歌ちゃんも?」

千歌「もしかして二人きりがよかった?」アハハ

梨子「ちょっと千歌ちゃん!」カァアア

善子「あの……私っていつもトイレ行くとき誘うの?」

千歌「え? うん。だいたいね」

梨子「私さっき行ったばかりなの、って言っても話し相手に連れて行かれるよね」

千歌「そうそう。善子ちゃんが聞いたら嫉妬しそうだなー」

善子「うっ……」

梨子「狭いところが苦手なんだよね。気持ちは分からないでもないかな」

千歌「一人だと寂しくなっちゃうなんて、曜ちゃんって子どもだよねぇ」

善子「うるさいわね。早く行くわよ」スタッ

……

 トイレ

善子「ふぅ……」カチャ

スルッ

善子(そっか……曜さんの体でおしっこするのは初めてなのよね)

善子(……)

チョロロ

善子(……)

チョロロ



36: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:42:10.83 ID:mc7jjdA4.net

善子(…………)

「曜ちゃん?」

善子「な、何よ千歌さ……ちゃん」

「紙貰っていいかな」

善子「え? もしかして確認しなかったの?」

「うん……我慢してたから」

善子「梨子ちゃんに貰いなさいよ」

「梨子ちゃん、くれる?」

「終わるまで待ってて。後でドアの上から渡してあげる」

「今欲しいんだけど」

「わがままね……」

善子「……」

チョロロ

ガチャ

「曜ちゃ……あっ」

善子「え?」クルッ

千歌「紙だけ貰っていくね」スッ

善子「ちょっ、何で!? 鍵閉まってなかった!?」

千歌「ここの鍵がユルユルなのは知ってるでしょ?」カチャカチャ

善子「し、知らないわよ……!」カァアア

千歌「じゃ」

バタン

善子(えぇ……!?)

「千歌ちゃん? あの……もしかして今、脱いだまま外出たの?」

「ちょっとだけ」アハハ

「もう! 誰かに見られたらどうするの!」

善子「そうよ! しかも他の人の個室に黙って入ってくるなんて!」

「曜ちゃんだってこの前入ってきたじゃん」

善子「えっ!?」

「そうなの?」



37: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:42:44.36 ID:mc7jjdA4.net

「あ、そのときは梨子ちゃんいなかったよね。っていうかもうちょっと紙置いといて欲しいよ」

「そうよね……スペアがないのはちょっと」

善子「無駄遣いする人がいるから、だったかしら」

「そうだよ。無駄遣いなんて、曜ちゃんくらいしかしないのにね」アハハ

善子「何で私」

「……」

「曜ちゃんが漏らすからだよ」

善子「……」

「拭くの私たちなんだからね? 私はまあいいけど梨子ちゃんなんていつも恥ずかしすぎて死にそうな顔してるよ」

「……」カァアア

善子「えぇ……」

「きっと今も恥ずか死寸前だよ」アハハ

「も、もう……!」

善子「えっと……いつもごめんなさい」

「いいっていいって! 生理現象だから仕方ないって曜ちゃんいつも言ってるじゃん」

「わ、私たちはともかく他の子に知られたら大変よ?」

「あー、特に善子ちゃんだけにはバレたくないよね。嫌われちゃうかも」アハハ

善子(いや、バレるも何も……)

善子(って曜さんいつも何させてるの? ううん、二人も二人よ! 私の曜さんに何して……)

ジャー

ガチャ

「ふぅ。スッキリしたぁ」

ジャー

ガチャ

「千歌ちゃん、あんまり大きな声でそういうこと言わないの」

「あはは。誰も気にしないよ」

「もう……」ハァ

「あれ? 曜ちゃんまだ?」コンコンッ

善子「な、何よ! まだ拭いてなかっただけ!」

「千歌ちゃん、行こうか」



38: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:43:19.57 ID:mc7jjdA4.net

「え? 待たないの?」

「テストの準備しないと。ね?」

「私は特に……」

「曜ちゃん、あんまり辛かったらメールしてね……」

善子「えっ?」

「あぁ、そういうこと! 曜ちゃんはうん……」

「千歌ちゃん?」ニコニコ

「テストのヤマも当たるといいね! 運だけに!」アハハ

「もう! 千歌ちゃん!」

ギィ

タッタッ

バタンッ

善子「何なの……」ハァ

善子(でも正直助かったわ。少し一人にしてほしかったし……)

善子(って、そろそろ拭かないと乾いちゃうわね)スッ

善子(……)

善子「こ、これは仕方ないのよ。そのままってわけにもいかないんだから」カァアア

フキフキ

善子(……)ドキドキ

フキフキ

善子(ん……)

フキフキ

ピロンッ

善子「メール? 誰からかしら……」スッ

 †堕天使ヨハネ†:善子ちゃんごめん

善子「何よ……また何かやらかしたの?」

 †堕天使ヨハネ†:間に合わなかった

 †堕天使ヨハネ†:(写真)

善子「わああ!!? 私のスカート!!」

 †堕天使ヨハネ†:さっきの上着といい本当にごめん



40: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:44:51.84 ID:mc7jjdA4.net

善子「……っ!」スッ

 曜♡善子ちゃん:今どこよ!? すぐ行くわ!

 †堕天使ヨハネ†:ううん。自分で何とかするから……

 曜♡善子ちゃん:曜さんいつもどうしてるの!? スカート濡らすなんて!

 †堕天使ヨハネ†:だって善子ちゃんタイツ履いてるんだもん

善子「あ……それでか」

 †堕天使ヨハネ†:タイツは新しいの買って返すね

 曜♡善子ちゃん:まさか脱ぐの?

 †堕天使ヨハネ†:脱ぐしかないでしょ?

 曜♡善子ちゃん:タイツの下履いてないんだけど!?

 †堕天使ヨハネ†:え

 曜♡善子ちゃん:違う! タイツ脱いだら下着になっちゃうってことよ!!

 †堕天使ヨハネ†:あぁ、スパッツ履いてないってことね

 曜♡善子ちゃん:そうよ。曜さんのことだもの、下着なんて気にするわけないし……

 †堕天使ヨハネ†:この下着は見られたら恥ずかしいよね

善子(ん……私どんな下着だったかしら)

 †堕天使ヨハネ†:うーん、セクシー♡♡

 †堕天使ヨハネ†:(画像)

善子「何してんのよ!! 下着姿で鏡……これってトイレ!?」

「え?」

善子(やば……外に人いたのね)カァアア

ガチャ

「あ、善子ちゃんここにいたんだ」

善子「まさか」クルッ

曜「善子ちゃんもトイレ? 気が合うね」アハハ

善子「ど、どうして曜さんがここに」

曜「とりあえず体操着に着替えなきゃかなって思ってさ」

善子「私の体で! そんな姿で歩かないでよ!!」バシッ!

曜「いてっ! だ、大丈夫だよ脱ぐのは中で脱いだから……」ヒリヒリ

善子「個室から出ないで!」



42: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:46:29.24 ID:mc7jjdA4.net

曜「誰も来ないよ」アハハ

善子「さっきまで千歌さんと梨子さんがいたし! って誰も来なければ出てもいいの!?」

曜「ところでもう終わった?」

善子「なーにがところでよ! 終わってない!!」

曜「じゃあ早めにね。テスト始まっちゃうよ」

善子「曜さんこそ、絶対に遅れないようにしなさいよ?」

曜「あっ、花丸ちゃんたちにメールしとこ」スッ

善子「余計なこと言わないでよね」

曜「ちょっとお腹痛いから何とか時間稼いでおいてっと」スッスッ

善子「だああ!!? お腹痛いとか言うな! 誤解されるでしょーが!」

曜「え? もしかして善子ちゃん、高校生にもなってまだ大きい方恥ずかしいの?」

善子「は、恥ずかしいわよ。恥ずかしいに決まってるじゃない」

曜「変に恥ずかしがってる方が恥ずかしい気がするなぁ」

善子「う……」

曜「授業中はどうしてるの? 我慢しきれないほど急に来たら?」

善子「そ、そんなこと滅多にないし……」

曜「いやー、夜中にアイス食べまくったりするとなるでしょ」

善子「私は食べまくらないわよ」

曜「今日は私の体なんだから、テスト中でも遠慮なく手を挙げなよ」

善子「え?」

曜「お腹痛いんでしょ。昨日アイス食べまくったからさ」

善子「食べまくったの?」

曜「何か無性に食べたくなってつい」アハハ

善子「バカ!! テスト中お腹痛くなったらどうするのよ!」

曜「だから、今日の善子ちゃんは私なんだからいつも通り普通に手を挙げて出てくればいいんだって」

善子「そういう問題じゃ……!」

曜「生理現象なんだから仕方ないよ」

善子「曜さん知らないの? テスト中にトイレに行くときはその時点で答案を回収されちゃうのよ」

曜「知ってるよ?」

善子「テストはいいの?」



44: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:47:08.00 ID:mc7jjdA4.net

曜「うーん、いつも半分以上時間余ってるからなぁ」

善子「それ、解き終えてじゃないわよね」

曜「分かる問題だけやったら十分か十五分で終わっちゃうよ」

善子「他の問題は?」

曜「やらないよ?」

善子「いや、テストなんだから努力しなさいよ」

曜「考えても分からないって分かりきってる問題に悩むなんて、それこそ時間の無駄じゃない?」

善子「無知の知みたいに言うわね」

曜「むち打ち?」

善子「何でもないわ。それよりアスリート精神はどうしたのよ。何事にも全力を尽くすんでしょ?」

曜「例えばさ、善子ちゃんは学校の屋上から飛び降りられる?」

善子「は? 無理に決まってるわ。死んじゃうわよ」

曜「何で?」

善子「『何で』? あんな高い所から落ちたら死ぬわ」

曜「何で死ぬの?」

善子「五秒もしないうちにコンクリートにぶつかって死ぬの! 想像つくでしょ?」

曜「そうじゃなくて。どうして空を飛べるかもって思わないの?」

善子「飛べるわけないでしょ!? 鳥じゃないんだから!」

曜「あ、そこは天使じゃないんだ……」

善子「どっちでもいいわよ。それに、堕天使は翼を折られてるから飛べないし……」

曜「そんな考え方で飛行機を発明できると思う? 無理だよね」

善子「……この話、テストに関係ある?」

曜「つまりさ」

曜「やってみるまで分からないことには全力を尽くすけど、やらなくても分かりきってることには無駄な労力を使いたくないの」

善子「歪んだアスリート精神ね」

曜「命は一つしかないんだから、大切にしないと」

善子「テストは努力しても死ぬことはないわよ」

曜「だから頭の中どれだけ探してもないんだって。空っぽの金庫をいつまでも漁る?」

善子「どこかにあるはずよ。授業で聞いてるんだもの」

曜「聞いてたらね」



46: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:48:46.28 ID:mc7jjdA4.net

善子「聞きなさいよ!」

曜「授業は貴重な睡眠時間なんだよ」

善子「そんなのでよく内申がどうのこうのって言えたわね!?」

曜「私そんなこと言ったっけ」

善子「言ったわよ! 内申に響くから赤点は取れないんじゃなかったの?」

曜「だからこうして入れ替わってもらってるわけですし」

善子「最低! こんなの替え玉受験じゃない」

曜「バレなきゃ犯罪じゃないんだよ? 知らなかった?」フフッ

善子「ねぇ曜さん、スポーツマンシップって知ってる?」

曜「もちろん。船長だからね」ゞ

善子「こんな人が選手宣誓したって説得力ないわね……」

曜「あのねぇ、昨日まで私と善子ちゃんはずっと一緒に勉強したよね?」

善子「したわよ」

曜「同じ内容が頭に入ってるよね?」

善子「えっ……私は一年生の内容しか」

曜「ううん、入ってるはずなんだよ。善子ちゃんは気づいてないかもしれないけど」

善子「……だから?」

曜「どっちが受けても同じだよ」

善子「なら自分でやりなさいよ」

曜「……」

善子「最初からそのつもりだったのね」

曜「え?」

善子「私に勉強を教えてくれたのは」

善子「自分の代わりにテストを受けさせて、いい点数を取らせるつもりだったのね」

曜「あ、違うよ?」

善子「最低よ!」

曜「だから違うってば」

善子「こんなの絶対に許されないわよ! いつか必ずバレるわ!」

曜「じゃあ私が二年生のテスト受けて、善子ちゃんは一年生のテスト受ける?」

善子「当たり前でしょ!? 明日になれば戻るんだから!」



47: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:49:30.92 ID:mc7jjdA4.net

曜「今日受けないの!?」

善子「私まで不正に巻き込まないで!」

曜「……」

善子「いいから出てってよ。まだ拭ききれてないんだから」シッシッ

バタンッ

善子(……)

「次の日受けると得点が半分になるの知ってるよね」

善子「ええ。先に受けた人に聞けば、事前にある程度問題を知ることは可能だから」

「せっかく勉強したのに」

善子「そう思うならこんなことしなければよかったでしょ?」

「……」

善子「どうして私まで半分にならなきゃいけないのよ……」

「今日受けようよ」

善子「は? 不正はしないって言ったわよね」

「だからさ、善子ちゃんは善子ちゃんとして受ければいいんだよ」

善子「無理よ! どう見たって曜さんじゃない! 誰が私だって信じてくれるの!?」

「私が本当のことを先生に話す……」

善子「やめて!! 私まで頭がおかしいと思われちゃう!」

「え……」

善子「どうしてこんなことしたのよ……」グスッ

「……」

善子「……」フキフキ

ガチャ

曜「あ、あのさ」

善子「入ってこないで」

曜「体調が悪いって言って保健室で受けさせてもらえないか頼んでみるよ」

善子「私は嫌よ。どうして嘘をつかなきゃいけないの」

曜「だから、私が保健室で受けさせてもらえるように頼むからさ」

曜「善子ちゃんは善子ちゃんとしてテストを受けてくれればいい」

善子「周りから見て替え玉には変わりないわ。バレるに決まってる」



48: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:50:04.59 ID:mc7jjdA4.net

曜「保健室に誰もいなかったら?」

善子「は? 誰も監督の人がいないなんてありえないわ」

曜「ふふ。どうかな」

善子「待って。テストの日だって保健の先生は来てるわよね?」

曜「まあ私に任せて」

善子「嫌よ! どうして訳も分からないまま任せなきゃならないの?」

善子「第一、監督の先生がいないんじゃそんなの……」

曜「教科書もスマホも見放題だね」

善子「……そうよ」

曜「でも善子ちゃんは不正はしないんでしょ?」

善子「……」

曜「私はしちゃうかもなぁ」アハハ

善子「曜さんだってしないわよ」

曜「赤点は取りたくないし」

善子「腐ってもアスリートだもの」

曜「そんなに腐ってるかな」

善子「目も耳も頭もね。性格だって相当腐ってるわ。それでも……」

曜「嫌いにならないでくれるんでしょ?」

善子「……私の台詞取らないで」カァアア

曜「善子ちゃんに不正の片棒を担がせるなんて……私ってバカだよね」フフッ

善子「……」

曜「善子ちゃんは私と違って……まともな生徒だもんね」

善子「……」

……

……

 保健室

ガラッ

曜「あー、げほっごほっ! 体調悪いわー」

先生「あら、大丈夫?」

曜「え」



49: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:50:43.38 ID:mc7jjdA4.net

善子「……」ジロッ

先生「えっと……津島さんもここで受けるの?」

曜「そ、そうですけど……」

先生「渡辺さんも、やっぱり少し頑張って受けたら?」

善子「いえ、私は……」

先生「もちろん無理してほしいわけじゃないの。でも……明日受けるとなると得点は半分よ」

善子「そんなの、分かってるわよ……」

先生「お腹が痛いのよね? トイレには行っていいから、ちょっとだけ頑張ってみない?」

曜「……」

先生「もちろん、トイレに行ったからってそこで試験終了にはしないわ」

先生「ただし、教科書やノート、スマホは預からせてもらうけどね」

善子「でも私……本当に」

曜「そ、そうですよ。渡辺さんはこう見えて体調悪そうだし……帰らせてあげても」

先生「替え玉しようったってそうはいかないわよ」

善子「え?」

曜「はは……何のことでしょうか」アハハ

先生「一度ね、その手を使われたことがあるから分かるのよ」

善子「……」

先生「と言っても、もう二十年くらい昔の話なんだけど」

先生「私だって養護教諭だから、生徒を疑うなんてしちゃいけないと思ってるわ」

先生「見た目で体調を判断するなんてね」

先生「だから津島さん、あなたがもし仮病だとしてもここで受けることは認めてあげるつもりよ」

曜「け、仮病なんてそんな」

先生「渡辺さんの方は平気そうな顔してるけど本当にお腹が痛そうね」

善子「はい……」

曜「……」

先生「さ、二人分の問題と答案を貰って来ないとだから」スタッ

先生「他には来ないでしょうね? さすがに三人も見るのは大変だわ……」ガラッ

ストンッ

善子「……」



50: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:51:22.27 ID:mc7jjdA4.net

曜「……」

善子「どうするのよこれ」

曜「どうって……」

善子「先生、いないんじゃなかったの」

曜「……」

善子「このままじゃ本当に」

曜「分かってる。何とかするから……」

善子「無理よ。私たちはそこのついたてで仕切られて、この椅子で先生に見られながら試験を受けるのよ?」

善子「曜さんが何をしたってすぐバレるわ」

曜「途中で私が吐きそうになるから、その間に答案を交換するとか」

善子「それも不正よね」

曜「……」

善子「もう無理よ。諦めて帰りましょう」

曜「待ってよ……それじゃ本当に赤点だ」

善子「いい加減にしなさいよ」

曜「明日になれば得点は半分! インフルエンザでもない限り……」

善子「まだ自分の心配してるの!? 曜さんって本当に、どうしようもなく最低ね」

曜「私は……善子ちゃんのために」ボソッ

善子「は?」

曜「善子ちゃんに赤点取ってほしくないから」

善子「もう一度言ってみなさい……」ガシッ

曜「知ってるよ。善子ちゃんの成績が本当に危なくて……りゅ、留年スレスレだってこと」

善子「……」

曜「ごめん。善子ちゃんの通知表見ちゃったんだ」

善子「そう……」パッ

ドサッ

曜「だから一緒に勉強して、こんな私でも教えてあげられればいいかなって思ったの」

曜「でも無理だよ……。善子ちゃん、頭悪すぎて私には」

善子「……」イラッ

曜「私ですらあそこまで酷くないよ!? こんな言い方しちゃいけないのかもしれないけど……」



51: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:51:58.77 ID:mc7jjdA4.net

曜「どうやって高校入ったの?」

善子「どうって……入学試験を受けて合格したのよ」

曜「嘘。あんな成績で受かるわけがない」

善子「本当よ」

曜「裏口だよね」

善子「は? そんなお金ないしあったとしてもやらないから」

曜「……」

善子「別に信じてくれなくてもいいわ」

曜「今日のテスト、私が代わりに受ければ……」

曜「これでも二年生だからさ、一年生の問題くらい赤点取らずに済むだろうって」

曜「……」

善子「それで私と」

曜「うん……。留年した子、だいたいみんな学校やめちゃうから」

善子「そうなの」

曜「一年かけて分からなかったことを、もう一年かけて分かるようになれるかな?」

曜「その自信が持てるくらいなら……最初から留年なんてしてない」

善子「……」

曜「ほら、浦女ってこう見えてそこそこ頭いい学校でしょ? 偏差値だってかなり上位だし」

善子「……入るまで知らなかったのよ」

曜「入学試験をたまたまパスしちゃったのは私も同じだよ」

善子「え……?」

曜「絶対受かるわけないって思ってた。それでもみんなと同じ高校に行きたくて」

曜「必死で勉強して、気づいたらさ」

曜「この制服を着てたんだよね」

善子「それは……たまたまなんかじゃないわ。曜さんが努力したからよ」

曜「合格点ギリギリだったよ」

善子「それでも合格は合格よ。私もね」

曜「そんな努力、三年間もずっとやらなきゃいけないのかな」

曜「そう思うとね……いっそ留年してやめちゃった方が楽なのかも」

曜「まあ、そんな勇気なくて進級はしたけどさ」



53: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:52:36.50 ID:mc7jjdA4.net

善子「曜さんはもうあと半分ないじゃない。その調子で頑張りなさいよ」

曜「善子ちゃんこそ! まだ諦めちゃダメだよ!!」

善子「……」

曜「大丈夫だよ……まだ一年生なんだから」

曜「進級さえできれば、別の学校に転校したって……」

善子「え?」

曜「私と転校しようか」

善子「何言ってるの?」

曜「私はもう二年生だから……この時期に転校なんてバカみたいだと思われるだろうけど」

曜「善子ちゃんと一緒ならもう一度二年生をやってもいい」

善子「……」

曜「無理せず新しい学校で頑張ればそれで……」

善子「冗談? 悪いけど全然面白くないわよ」

曜「本気だよ」

善子「は……? じゃ、じゃあAqoursは? やめるの?」

曜「同じ学校の生徒じゃないとダメかな?」

善子「そんなの……」

曜「他の学校に移ってもさ、やめろなんて言わないよ。みんな優しいから」

善子「それは……そうかもしれないけど」

曜「今みたいに勉強に時間取られなくて済めばもっと練習できるし……」

曜「衣装だってもっと締め切りに余裕持って作れるし、その分もっといいものにできるはず」

曜「善子ちゃんとも遊べるしね」アハハ

善子「そんなの願い下げだわ」

曜「え?」

善子「私はこの学校をそこそこ気に入ってるつもりよ。だからやめる気なんてない」

曜「……」

善子「もし留年したって、絶対に卒業してみせるわ」

曜「留年したことがないから言えるんだよ」

善子「曜さんだってないくせに。してから言いなさいよ」

曜「ないよ。ないけどさ」



54: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:53:18.40 ID:mc7jjdA4.net

善子「何?」

曜「留年が決まってやめてっちゃった子、どうなったと思う?」

善子「知らないわよそんなの。勝手にやめたんでしょ」

曜「……」

善子「曜さんは転校したいならすればいいし、やめたいならやめればいい」

善子「まあ、本当のことを言えば一緒にいたいのは確かだけれど」

善子「曜さんは勉強なんかに時間を取られたくないものね?」

曜「みんなは知らないんだ」

善子「……」

曜「ここをやめた後、しばらくは地元で働いてたんだけど」

曜「高校をやめたのがバレてクビになって、仕事を探しに東京に行って、一年もしないうちに……」グスッ

善子「し、知らない! 曜さんはそんなことにはならないでしょ?」

曜「ならないよ。善子ちゃんと一緒なら」

善子「私と一緒じゃなくてもよ」

曜「……」

善子「曜さんさえよければ、今のまま恋人で……」

曜「絶対嘘だよ」

善子「どうしてよ。曜さんは私を嫌いになるの?」

曜「留年してやめるような子だよ? そんな子と一緒にいたら善子ちゃんが恥ずかしい思いするだけだよ」

善子「あのねぇ」

曜「善子ちゃんには迷惑かけたくないよ……」グスッ

善子「本当にそう思ってるならこんなことしないわよね」

曜「うん……そうだね……」

善子「って、過ぎたことをあれこれ言っても仕方ないか」スタッ

曜「……」

善子「今日は帰るわ。朝まで本気で勉強すれば、例え半分でも赤点は避けられるはず」

曜「本気で言ってるの?」

善子「そこまでバカに見える?」

曜「見える……って言ったら怒るかな」

善子「やってみなきゃ分からないじゃない」



56: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:54:56.18 ID:mc7jjdA4.net

曜「……」

善子「曜さんは? 私のために替え玉で受けるなんてやめてよね」

曜「バレないと思うけどな」

善子「私が嫌なのよ」

曜「……分かったよ」

善子「はぁ……」

曜「ごめんなさい……私のせいで得点が半分になっちゃって」

善子「謝って許されるとでも思ってるの?」

曜「ううん……」

善子「もういいわよ」

ガラッ

先生「……」

善子「先生あの……」

先生「ごめんなさい。聞いちゃったわ」

曜「え……」

先生「あなた達……もしかして」

善子「すみません。体調が悪いので帰ります」スタッ

曜「待ってよ善子ちゃん!」ガシッ

先生「……やっぱり」

曜「あっ……待ってよ曜ちゃん」

先生「いいから、早く席につきなさい」

善子「明日受けるので……その、得点は半分でいいですから」

曜「ダメだよ曜ちゃん! 自分がどれだけ頭が悪いか分かってないの!?」

善子「曜さんに頭が悪いなんて言われたくない!」

曜「わ、私も悪いよ? あと私は善子ちゃん……」

善子「私は頭が悪いかもしれないけどね、曜さんは頭がおかしいのよ。だから平気であんなこと言えるの! 私の気持ちも考えないで!!」

曜「だ、だから私が善子ちゃんで善子ちゃんは私……あれ?」

善子「曜さんとだから頑張れたのに」ボソッ

曜「え?」

善子「勉強よ! 曜さんとだから頑張れたの!!」



57: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:55:40.69 ID:mc7jjdA4.net

曜「私だって同じだよ……」

善子「でももういいわ。私一人でも頑張ってみせる。だって曜さんは留年して転校しちゃうんだものね?」

曜「っ……」

善子「新しい学校で頑張ってね。応援はしてあげる……これでも恋人だから」

曜「……やだ」

善子「さよなら。それと先生、うるさくしてごめんなさい」ペコッ

先生「……」

ガラッ

ストンッ

曜「……」

先生「はぁ……」

曜「ごめんなさい」グスッ

先生「あなたたち、どこかで見たことがあると思ったら……そういうことだったのね」

曜「え……?」

先生「二十年前の替え玉事件」

曜「わ、私たちは替え玉なんて……」

先生「正確には替え玉未遂事件なんだけど」

曜「……」

先生「まあいいわ、とりあえず追いかけてあげなさい」

曜「私は……」

先生「いいから追いかけなさい」

曜「そんな資格ないです」

先生「早く! じゃないと半分どころかゼロにするわよ!」

曜「……」

先生「渡辺さん!!」

曜「っ!!」ダッ

ガラッ! バタンッ!!

ダッダッ

先生「ふぅ……手のかかる親子だこと」ハァ

……



58: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:56:19.41 ID:mc7jjdA4.net

 玄関

善子「靴がキツい……」

善子「あっ、今の私は曜さんだったわね」

善子「……」

ダッダッ

「善子ちゃん!」

善子「何? 私は曜さんだけど」

曜「先生、テスト受けさせてくれるって!」

善子「は? 不正ならしないわよ」

曜「だから、私が二年生のテストを受けて、善子ちゃんは一年生のテストを受けていいって!」

善子「……え?」

曜「私たちが入れ替わってること、何でバレたんだろう?」

善子「曜さんが私のこと『善子ちゃん』って呼ぶからでしょう!?」

曜「いや、善子ちゃんの方が……」

善子「って、そういう問題じゃないわね」

曜「普通は信じないよね」

善子「信じるわけがないわ」

曜「でも信じてくれたよ」

善子「……」

曜「私、本当は浦女やめたくない」

善子「そう」

曜「みんなと一緒に卒業したい!」

善子「その成績で?」

曜「こ、これから頑張る……」

善子「……」

曜「だから、その……」

善子「仕方ないわね。私も付き合ってあげるわよ」

曜「本当?」

善子「当たり前でしょ。私は曜さんの恋人なんだから」

曜「留年しても嫌いにならないでくれる?」



59: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:56:50.19 ID:mc7jjdA4.net

善子「留年したら別れる」

曜「えぇ!? 今よりもっと一緒にいられるのに!」

善子「そこまで曜さんが最低だったら付き合える自信がないわね」

曜「でも……」

善子「それとも、もう一回二年生しないと私の気持ちなんて分からない?」

曜「分からないよ」

善子「本当に?」

曜「……」

善子「とりあえず、保健室に戻りましょうか」

曜「善子ちゃんが頑張るって言ってるのに、私だけ頑張らないわけにはいかないよね」

善子「別に私のためにじゃないでしょう」

曜「一緒に進級しよう。それで一緒に……」

善子「卒業は別々」

曜「あ、そっか……」

善子「はぁ……」

曜「テスト、本当はもう始まっちゃってるよね」

善子「まだみんな解き終えてないもの。ネタバレはされようがないわ」

曜「途中でトイレに行った子がいるかも」

善子「まだ開始十分よ。そんな子いるわけ……」

ギュル

曜「?」

善子「う……」

曜「どうしたの?」

善子「夜中にアイス食べまくるのはやめなさい……」

曜「え、もしかして」

善子「いいから……トイレに連れて行きなさいよ」

曜「善子ちゃん、漏れそう?」

善子「早く……」プルプル

曜「分かった! 私もさすがにそっちの趣味はないからね!」ガシッ

ダッ



61: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:58:20.69 ID:mc7jjdA4.net

……

……

 保健室

先生「もうそろそろ時間ね。解き終えたかしら?」

曜「もう少し」

善子「さっきから一ミリも動いてないわよ」

曜「まだ考えてるんだよ」

善子「そう……」

先生「津島さんの方は回収しても?」

善子「あ、はい」つ

先生「どれどれ……? うん、赤点は免れそうね」

曜「本当ですかっ!!?」ガタッ

善子「わっ、何よ急に」

先生「採点はしてないから正確な点数までは分からないけど……」

先生「これは確実に合ってるし、ここも……あとここも」

先生「間違いなく半分以上正解してるわね」

曜「そっかぁ……」ホッ

ピピピ

先生「あ、時間ね。渡辺さんもペンを置いて」

曜「はーい……」コロンッ

先生「えーと、渡辺さんは……」ジー

曜「私も半分以上取れるかな。けっこう埋まったし」

先生「ここは不正解、ここも……あっ、ここは合ってるわ。ここは間違いね……」

善子「何だか怪しい感じね」

曜「そんなに間違ってないよね!?」

先生「うーん、どうかしら……」ハァ

曜「えっ、ちゃんと採点して! 赤点だったら大変だ!」

先生「いいけど、模範解答があるわけじゃないから誤差は許してね?」

善子「解答がないのに採点できるんですか?」

曜「あっ、それ聞いたことあるよ。学校の先生って偉そうなこと言ってるくせに、生徒と同じテスト解かせたら全然取れないって」



62: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:59:00.78 ID:mc7jjdA4.net

先生「そういう先生もいることは確かね……」

曜「自分が解けないような問題作るのっておかしくない?」

善子「って言われてもこれ、業者が作ったテストだから」

曜「うっ……」

先生「これはギリギリかもしれないわ……」

善子「そんなに間違ってるの?」ペラッ

曜「あっ、ダメだよ他の人の答案見ちゃ!」

善子「解き終えたとはいえ不正になるのかしら」

先生「ならないわよ。幸い、今日は欠席の生徒はいないようだし」

善子「それなら問題ないわね。どれどれ……?」

曜「見ないでぇー!」

善子「んん?」

先生「あ……これはギリギリセーフ? いやアウト……」

曜「やめて! 実況しないでぇ!」

善子「ねぇ、私の答案見せてくれる?」

先生「いいわよ」サッ

善子「問題用紙も。大丈夫、書き加えたりはしないので」

先生「見るだけなら」サッ

曜「あぁ……」

善子「これ、半分くらい同じ問題じゃない?」

曜「え?」

先生「ええ、そうよ。半分は一年生から三年生まで共通」

先生「残りの半分が学年に応じた内容になってるわ」

善子「」

曜「そうだったんですか!?」ガタッ

先生「渡辺さんは去年も受けたでしょうに」クスクス

曜「そうだっけ?」アハハ

善子「ねぇ曜さん」

曜「ん?」

善子「これ、替え玉しなくても同じじゃない?」



63: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 15:59:31.60 ID:mc7jjdA4.net

曜「同じじゃないよ。私の名前で善子ちゃんが解いてくれれば……」

善子「さっき私のことバカにしてなかった?」

曜「し、してないよ?」

善子「私がバカ過ぎて、教えても無駄だとか何とか」

曜「そんな言い方はしてない! 私の教え方が悪いだけだし……」

善子「……」

曜「さっきはごめん。いくら焦ってたとはいえ、酷いことたくさん言っちゃったよね」

善子「許さないわよ」

曜「善子ちゃんは頭はよくないけど、バカなんかじゃないよ」

善子「頭が悪い方は否定しないのね……」

曜「だって善子ちゃんだよ? 私なんかを好きになっちゃうような人だよ??」

善子「曜さんは間違いなくバカだし頭も悪いどころかおかしいわ」

曜「う……」

善子「でも好きでいてあげる」

曜「ありがと」

先生「うっ……何だか胸焼けが」

曜「二日酔いかな? 保健の先生なんだからまずは自分の体をね」

善子「それより、採点はどう?」

先生「まあ、赤点は避けられそうよ。と言ってもかなりギリギリなんだけど」

曜「っし!」グッ

先生「津島さんの方は頑張ったわね。平均点超えてくると思うわ」

善子「嘘っ!?」

先生「ざっと見積もって八十点……。よくあの成績からこの数字を出したものだわ」

曜「私の脳みそだからだね」

善子「いや、関係ないでしょ」

曜「私だってそっちの頭なら取れたもん……」

善子「一緒に勉強したら同じ内容が入ってるんじゃなかった?」

曜「そ、それは善子ちゃんを励ますための方便というか」

善子「曜さんこそ、私の頭を使っておいてその点数はないんじゃない?」

曜「だってこの体全然思うように動いてくれないし……」



64: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:00:02.06 ID:mc7jjdA4.net

善子「むっ……体力ないのは認めるわ」

曜「でも、何だか元気が出てきたよ」

善子「え?」

曜「私の頭でも頑張ればそのくらい取れるんだって分かったし」

善子「これは私の努力だから」

曜「いや、私の頭だね」

善子「……」

曜「私も同じくらい努力したよね!?」

善子「心構えが違うのよ。曜さんはやる前から諦めてたじゃない」

曜「う……」

善子「って言うか私と半分同じテスト受けて私の半分しか取れないって……」

曜「向き不向きがあるから仕方ないよ」

善子「曜さんこそよく進級できたわね」

曜「死ぬほど頑張ったから」

善子「あと一年ちょっとだもの、死なない程度に頑張りなさい」

曜「一緒に頑張ってくれる?」

善子「ええ。もちろんよ」

曜「えへへ。持つべきものは善子ちゃんだね」

善子「私も曜さんのおかげで頑張れたし……」ボソボソ

先生「あー、盛り上がってるところ悪いんだけど」

曜「はい?」

先生「まだ一教科しか終わってないわよ」

曜「」

善子「知ってるわ」

先生「どうする? 津島さんはともかく、渡辺さんは教室に戻ってもらっても……」

曜「善子ちゃんと一緒じゃなきゃ嫌です」

善子「……」カァアア

曜「次こそ高得点取ってギャフンと言わせてやる」

善子「これで赤点だったら本当に恥ずかしいわよ」

曜「くっ……」



65: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:00:34.64 ID:mc7jjdA4.net

先生「ほら、休憩してらっしゃい」

善子「ええ」

曜「はーい……」

……

……

 テスト終了後

曜「終わったぁ……」

善子「中々いい感じだったわ」

先生「見た感じ、二人とも赤点は回避できそうね」

曜「本当によかったよ」

善子「私のおかげじゃない」

曜「そうだね」

善子「ううん、曜さんが頑張ったからよ」

曜「……そうだね」フフッ

善子「って、ちょっと上から目線かしら?」

曜「実際あの点数見たら反論できないよ」

先生「津島さん、どうして今までこんな成績だったのかしら……」

善子「そりゃ死ぬほど努力したもの。でももう二度とごめんだわ」

曜「私となのに?」

善子「曜さんも。これからは毎日少しずつやりましょ」

曜「うん」

先生「そういえば生徒会長の黒澤さんは毎日三時間欠かさずに勉強されてるそうよ」

曜「あ、無理です」

善子「一緒に付き合わされてるルビィはそこまでよくないみたいだけど……」

曜「ダイヤさんどんな教え方してるんだろ? 今度教わってみたいなぁ」

善子「たぶん曜さんが想像してるような甘いものじゃないと思うわよ」

曜「って言うかママに教わればよくない? 先生じゃん」

善子「ママにだけは教わりたくないわね……」

曜「私は教わりたいな」

善子「絶対にダメ」



67: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:02:13.65 ID:mc7jjdA4.net

曜「……」

善子「曜さんのお母さんは? 成績良かったんじゃないの?」

曜「……あれで?」

善子「それは私も思うけど可哀想だから言わないであげて」

先生「……」

曜「さてと、そろそろ帰らないとかな」スタッ

善子「あぁ、帰りは家まで走って帰るんだっけ」

曜「えぇ!? 疲れたしバスで帰ろうよ」

善子「何だか座ってばかりで体がムズムズするのよ」

曜「私の体だもんね」

善子「そうだわ、今夜果南さんと走らない?」

曜「日付変わってからならいいよ」

善子「嫌よ。この体のうちにしかできないことをしておかなきゃ」

曜「あっ……それで朝トイレで」

善子「ち、違うし! 曜さんこそ私の体で変なことしないでよ!?」

曜「してないよ」

善子「スカートは?」

曜「……」シュン

善子「さっき気づいたんだけど、制服交換してあったのね」

曜「うん。言わなかったっけ?」

善子「曜さんが汚したのは自分のスカートね。タイツは私のだけどそんなに高くないからいいわ」

曜「大切にするね」

善子「やっぱり返して」

曜「新品で返すよ」

善子「……」

先生「さ、そろそろ帰りなさい。私も答案を担任の先生に渡しに行かなきゃだから」

曜「ありがとうございました」

善子「本当に助かったわ」

先生「私は何もしてないわよ。各自自分の名前を書いて解答しただけでしょう?」

曜「おまけに速報まで頂いてしまって」



68: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:02:53.66 ID:mc7jjdA4.net

善子「不安なまま家に帰らずに済んだのはよかったわね」

先生「二度と替え玉なんてバカなことはしちゃダメよ」

曜「やだなぁ、未遂じゃないですか」アハハ

善子「未遂でも不正をしようとしたのは事実でしょ」

曜「不正……不正なのかな?」

善子「不正よ」

曜「私が善子ちゃんじゃないってどうやって証明できる?」

善子「は? 私が曜さんの中にいるんだもの、私の中に曜さんがいるに決まってるじゃない」

曜「そりゃ私たちは当事者だからね? でも他の人からは分からないよ」

善子「……」

曜「私が渡辺曜として解答したことの方が不正だったりして」

善子「そ、それは……」

曜「まあ、バレずに済んだからいいけど」

先生「……」

善子「そういえば、私たちが入れ替わってることどうして信じてくれたのよ?」

先生「生徒を信じるのが先生の仕事だから」

曜「私たちが入れ替わってるって嘘ついて替え玉したかもよ?」

先生「あ」

善子「え? って言うか普通そっちを疑わない?」

先生「ううん、そんなはずないわ。こんなに綺麗な目をしている子たちが嘘をつくなんてあるわけない」

曜「ごめんなさい。ちょっと先生とは歳が離れすぎてるかな」

善子「口説いたわけじゃないわよ」

先生「ちょっと待って。本当はどっちなの?」

曜「どっち? 何が」

善子「私が津島善子です。今は曜さんの体だけど……」

曜「私も善子ちゃんだよ。中身は私だけど」

先生「???」

善子「やめなさいよ。先生困ってるわ」

曜「私たちのこと信じてくれたわけじゃなかったんだね……」

先生「あなた達のことは信じてるわよ? でも、本当に入れ替わって……??」



69: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:03:27.01 ID:mc7jjdA4.net

先生「ううん、そんなことあるわけない」

善子「生徒を信じるのが先生の仕事なんじゃなかったの」

先生「ごめんなさい、頭が痛くなってきたわ……」ハァ

曜「あはは。先生面白いね」

先生「一応確認しておくけれど、替え玉はしてないのよね?」

善子「してないわ。ちゃんと私は私として解いたもの」

曜「私も。筆跡見てもらえば分かって貰えるかな」

先生「私は何も聞かなかったわ。体調の優れない生徒二人をここで受けさせただけ」

先生「とりあえずカンニングはしてなかったからこの答案は有効よ」

善子「……」

曜「大丈夫ですか? 顔色悪いですけど」

先生「答案届けたら休む……」フラッ

ガラッ スタスタ

善子「何だか申し訳ないことをしたわね」

曜「やけに物分りがいいって思ったんだよねぇ」

善子「本当は分かってなかったのね」

曜「普通は信じられないよね、こんなこと」

善子「はぁ……私までフラフラしてきたわ」フラッ

曜「おっと」ガシッ

善子「テスト中は何とか耐えたけど……これも入れ替わりの副作用?」

曜「完徹したからかな」

善子「あっ……そういえば教科書を読み漁ったって言ってたわね」

曜「よくその頭であの点数出したね」

善子「……」フラッ

曜「大丈夫? ちょっと休んでから帰ろうか」

善子「ええ、そうするわ」

曜「それじゃ、ベッドまで」ガシッ

善子「わっ」

曜「うぅ……! 重たい!!」ツルッ

ズテッ



70: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:03:58.31 ID:mc7jjdA4.net

善子「いったた……」

曜「ごめん」

善子「無理しなくていいわよ。曜さんは重いんだから」

曜「重くないよ!」

善子「私に比べてよ。太ってるって意味じゃないわ」

曜「この体が力ないだけだもん!」

善子「どっちでもいいわよ……」スタッ

ギシ

善子「少し寝るわ。曜さんは先に帰ってていいから……」バサッ

曜「何言ってるの。私もいるよ」

善子「好きにしなさい……」スゥ

曜「うん」

善子「すぅ……」

曜「早い! さすが私!」

善子「……」

曜(寝てる自分を眺めるのも変な気持ちだな……)

曜(……)

曜「私って意外と……」スッ

善子「ん……」ムニャ

曜「可愛い?」

善子「すー……」

曜(ううん。中身が善子ちゃんだからだよね)

曜(それと、今日は薄くだけどメイクもしてるし)

曜(今度からメイクしてみようかな……)

曜(善子ちゃん喜ぶかな)エヘヘ

スッ

曜「ごめんね。私のせいで……」

善子「……」

曜「目が覚めたら戻ってるから」スタッ

……



71: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:04:31.25 ID:mc7jjdA4.net

……

 ???

善子「うぅ……寒い」ガタガタ

善子「ここどこ?」キョロキョロ

善子「そっか……夢の中ね」

善子「……」スタスタ

善子「お風呂発見」

善子「早く温まりたいわ……」タッタッ

タッタッ

曜「えへへ」

善子「あ、曜さん……」

曜「え?」クルッ

善子「私も入っていいかしら?」

曜「私はいいけど……ヨハネちゃんは?」

ヨハネ「誰あなた」

善子「はい?」

ヨハネ「名前。私はヨハネ、見ての通り天使よ。こっちは下僕の曜ちゃん」

曜「えっとね、ヨハネちゃんは私の恋人なの……♡」カァアア

善子「えっ」

ヨハネ「ちょっと、恥ずかしいから言わなくていいわよ」カァアア

曜「どうぞ。寒かったでしょ?」

善子「ええ、まあ……」

ヨハネ「……」ジー

善子「な、何よ」

ヨハネ「あなたどこかで……」

曜「あっ、ヨハネちゃんだめだよ? 可愛いからって手を出しちゃ!」

ヨハネ「出さないわよバカ!」

曜「ねぇねぇ! 名前何ていうの?」

善子「私は……」

善子「……」



72: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:05:04.50 ID:mc7jjdA4.net

ヨハネ「??」

善子「あれ、私……」

曜「とりあえず入ったら? 寒いでしょ」

ヨハネ「服は脱いで入ってよね」

善子「わ、分かってるわよ……」スルッ

曜「……」ジー

ヨハネ「ちょっと曜ちゃん?」

曜「えっ? 見てないよ」

ヨハネ「いや、完全に見惚れてたわよね」

善子「……」シュルッ

曜「……」ジー

善子「わっ!? な、何よ曜さん」

曜「ヨハネちゃんに似てる?」

ヨハネ「は? こんな地味な子と一緒にしないで」

善子「うっ……」

曜「ヨハネちゃん? 相手は一般人だよ」

ヨハネ「あ、そっか……よく見たら羽も生えてないみたいだし」

善子「羽?」

ヨハネ「これよ。背中に生えてるの」ファサッ

曜「ヨハネちゃんは黒くてシュッとしててカッコいい羽だよね。私のは白くてフワフワしてて何だか子どもっぽい」フワッ

善子「曜さんにまで……」

ヨハネ「見たところただの人間ね。どうしてこんなところに来たの?」

善子「保健室で寝てたらいつの間にか夢の中で……」

曜「あはは。変な子」

ヨハネ「まあいいわ。入ってもいいけど曜ちゃんには近づかないでよね」

曜「何で?」

ヨハネ「あなたが人間で汚れたら困るもの」ナデナデ

曜「ヨハネちゃん……♡」ウットリ

善子「……」イラッ

ヨハネ「どうしたの? 入らないの?」



75: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:07:44.05 ID:mc7jjdA4.net

善子「入るわよ。端っこの方でね」チャプ

曜「……」

善子(温かい……)フゥ

曜「ねぇ、名前教えてくれないの?」

善子「な、名前ね。名前……」

ヨハネ「言いたくないならいいわよ」

善子「待って。どうして思い出せないの……」

曜「名無しのなし子ちゃん」

善子「それは梨子さんに悪いからダメ」

ヨハネ「梨子さん?」

善子「りこ、よ。なしこじゃないわ」

ヨハネ「ふーん……」

曜「本当に思い出せないの?」

善子「梨子さんのことも、曜さんのことも、そこにいる……ヨハネのことも知ってるわ。なのに私」

善子「私って誰だっけ……」

ヨハネ「ヨハネたちのこと知ってるの? 人間のくせに博識ね」

曜「どこかで会ったかな?」

善子(私の恋人よ……)

ヨハネ「え?」

曜「私の恋人はヨハネちゃんだけだよ」アハハ

善子「何で聞こえてるのよ! 声に出してないんだけど!?」カァアア

ヨハネ「……あなた曜ちゃんのこと知ってるのね?」

善子「ええ。あなたと同じくらいには」

ヨハネ「……」ジー

曜「えっと……私のこと知ってるの?」

善子「知ってるわ。曜さんが浮気性なことも」

ヨハネ「浮気?」ジロッ

曜「いや、この子が勝手に言ってるだけだから……」

ヨハネ「まさかヨハネとの契約を忘れたわけじゃないでしょうね?」

曜「忘れるわけないよ。私は一生ヨハネちゃんに尽くす下僕だよ?」



76: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:08:19.99 ID:mc7jjdA4.net

ヨハネ「どさくさに紛れてちゃん付けで呼ぶな! ヨハネ『様』でしょ?」

曜「ずっと呼んでたけどな……」

ヨハネ「ヨハネ『様』よ。はい呼んで」

曜「ヨハネ……様」

ヨハネ「ふんっ。油断も隙もないわね……」

善子「えっと……」

曜「あなたが変なこと言うせいでヨハネちゃ……ヨハネ様の機嫌を損ねたじゃん」

善子「ご、ごめんなさい。でも私、本当に曜さんのこと知ってるんだもの」

曜「全く、冗談は善子ちゃんだよ」

善子「善子……?」

ヨハネ「だっさい名前ね。あなたにお似合いだわ」クスクス

曜「そんな言い方ないんじゃない?」

ヨハネ「は? 何よ、この子のこと好きなの? ヨハネよりもこの地味で羽もない人間がいいってわけ?」

曜「そ、そうは言ってないけど」

善子(私、夢の中でも面倒くさいわね……)ハァ

善子「ん? 私??」

曜「善子ちゃん、何だか記憶が曖昧みたいだし……きっと人間界からこっちに来て困ってるんだよ」

ヨハネ「だから何よ。戻りたいならそこから飛び降りればいいじゃない」

善子「私……ヨハネ? ヨハネなの?」

曜「え?」

ヨハネ「あなたもブツブツ言ってないで早く帰りなさい」

善子「そう……私なのね? あなたは私、そうでしょ?」

ヨハネ「は……? 何この子頭大丈夫?」

曜「ヨハネちゃん、そんな言い方」

善子「あなただったのね」

ヨハネ「バカなこと言ってないで早く帰りなさい。もう温まったでしょう」

曜「まだ五分も入ってないけどな」

善子「あのとき私の頭に話しかけてきてたのはヨハネ」

善子「もうひとりの私」

ヨハネ「曜ちゃん、この子本当にヤバいわよ」



77: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:08:56.80 ID:mc7jjdA4.net

曜「……」

善子「曜さんの恋人は私よ。あなたじゃないわ」

ヨハネ「な、何言ってるのよ!? どうして人間なんかが曜ちゃんと!」

曜「善子ちゃん……?」

善子「私……」

曜「善子ちゃん、だね?」

善子「ええ」

曜「そっか」

ヨハネ「曜ちゃん近づきすぎよ! その子……そいつは人間なの! 離れて!!」グイッ

曜「わっ」

ザブン

善子「私の名前は善子……」

ヨハネ「あなたも! 名前がわかったならもういいでしょ? さっさと帰りなさい!」

曜「ごぼごぼ」

善子「帰るって……どこに?」

ヨハネ「『どこに』?? 人間界から来たんでしょう!? そもそも何しに来たのよ!」

善子「曜さん、大丈夫?」グイッ

ザパァ

曜「ぷはっ……。それが分からないから困ってるんだよね?」ケホッ

善子「ええ」

ヨハネ「あなたが言う『夢の中』なら、そこから飛び降りれば戻れるんじゃない?」クスクス

善子「そこ……」スタッ

ヨハネ「下、見える? 人間界よ」

善子「高っ!!」

ヨハネ「さあ、行きなさい。もう二度と来ないでね」フフッ

善子「ここから降りれば……」ゴクリ

曜「待って!!」

善子「え?」

ヨハネ「何よ、邪魔しないで」

曜「羽もないのにこんなところから落ちたら死んじゃうよ!!」



78: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:09:32.38 ID:mc7jjdA4.net

善子「ゆ、夢の中だもの……」

曜「ヨハネちゃん! 善子ちゃんに羽がないの知ってて飛ばせようとしたね!?」

ヨハネ「ええ。だってこんな子」トンッ

善子「きゃっ……!?」

曜「危ないっ!」ガシッ

善子「曜さんっ!」ギュッ

ストンッ

曜「ふぅ……」

ヨハネ「何よ……ヨハネよりそっちの人間がいいわけ?」

曜「どうしてこんなことするの」

ヨハネ「そいつはここに相応しくない。曜ちゃんにも相応しくないの」

曜「……」

善子「私……」

ヨハネ「曜ちゃんは天使らしくヨハネの恋人でいるべきだわ。ううん、ヨハネ様の下僕で!」

曜「さっきの聞いたでしょ。この子……善子ちゃんはヨハネちゃんなんだよ」

ヨハネ「は!? 何言い出すのよ! これだから人間と関わるとろくなことが……」

善子「……」

ヨハネ「あんたのせいよ! あんたが来たせいで曜ちゃんは!」ガシッ

曜「やめなよ! やめっ……やめて!!」グイッ

ヨハネ「きゃあっ!?」

ドシンッ

曜「はぁ、はぁ……」

善子「曜さん……」

ヨハネ「……」

曜「私……天使なんかじゃないよ」

曜「この羽、偽物だよね」ブチッ

ファサッ

ヨハネ「っ!! 何てことを! 私がせっかくつけてあげたのに!!」

曜「私は人間だよ」ブチッ

ヨハネ「いいえ! あなたは天使! ヨハネと同じ!!」



79: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:10:27.90 ID:mc7jjdA4.net

曜「人間だよ」ブチッ

ファサッ

ヨハネ「っ……」

曜「さっ、善子ちゃん体拭こう? いつまでも裸じゃ……目のやり場に困るよ」カァアア

善子「曜さんも裸よね!?」

曜「私は……半分天使だから?」

ヨハネ「このヨハネ様に選ばれたというのに不満なのね」

曜「……」

善子「……」

ヨハネ「そう。さよなら。二人ともお幸せに」スタッ

善子「ちょっ、まさか死ぬ気じゃ……」

曜「ヨハネちゃんは天使だから。飛べるから心配しないで」

ヨハネ「……」スッ

バキッ!

善子「え!?」

曜「ヨハネちゃん!?」

ヨハネ「こんな羽! こんな羽があるから!!」ボキッ!

曜「やめなよヨハネちゃん!」

ヨハネ「近づかないで! それ以上来たら飛び降りるわ!」

善子「……」

曜「どうして……」グスッ

ヨハネ「ヨハネが天使だから……曜ちゃんは人間だから……」ボキッ

ヨハネ「どうせあんたもそうでしょ!? ヨハネなんていなければいいって思ってた!!」

善子「わ、わた……」

ヨハネ「あなたのこと知ってるのよ? ヨハネになりたがってたくせに、今はヨハネより『善子』がいいんでしょう!?」



80: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:11:18.80 ID:mc7jjdA4.net

ヨハネ「そのだっさい名前が! 地味な体が! 羽もないくせに!!」

善子「だって……」

善子「曜さんが好きになってくれたのは私だもの」グスッ

曜「……」

ヨハネ「曜ちゃんも否定してくれないのね。もういいわ」クルッ

ヨハネ「二人で人間界に帰りなさい。大丈夫、地面にぶつかる前に目が覚めるわよ」

善子「あなたは……」

ヨハネ「ヨハネは一人で天界を彷徨うことにするわ」

ヨハネ「どこかに曜ちゃんよりももっと優秀な下僕がいるかもしれないし……」

曜「ヨハネちゃん……」

ヨハネ「もっとも……こんな折れた羽の私を天使って認めてくれるかは分からないけれど」

ヨハネ「さっ、二人ともさよなら。目が覚めたら私のことなんて忘れてるから」

善子「……」

ヨハネ「必ず曜ちゃんを幸せにしなさいよ」ボソッ

善子「え?」

ヨハネ「何でもないわ」トンッ

曜「わっ……」

善子「きゃっ……!?」

ヨハネ「さよなら」

曜「落ちるぅぅ!!!?」

善子「……っ!!」ガシッ

ヨハネ「きゃっ!? は、離しなさいよ!」

善子「あんたも一緒に堕ちるのよ!」グイッ

ヨハネ「私は天使なんだから! 人間界へは行けないの!」

善子「そんな折れた羽で! 何が天使よ!!」

ヨハネ「うっさい! こんなの放っとけばまた生えて……」

善子「バカね。あなたも私じゃない」フフッ

ヨハネ「えっ……」ズルッ

ヨハネ「きゃああ!!? 堕ちる! 死ぬぅぅ!!」

善子「うるさい! 落ちる前に目が覚めるんでしょ!?」



81: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:11:58.18 ID:mc7jjdA4.net

ヨハネ「死ぬわよ! この勢いで地面にぶつかったら!」

善子「えええ!!? あんた嘘ついたの!?」

ヨハネ「今ごろ曜ちゃんは……」グスッ

善子「嘘! 嘘よ!! 曜さんがこんなことで死ぬわけ……」グスッ

ヨハネ「ヨハネたちもすぐ追いつくわ……」

善子「勝手に殺さないで! ってか曜さんも勝手に死ぬな!!」

ヨハネ「あぁ……もう地面が……」

善子「曜さん助けて!! お願い!!!」

……

ショワァ

「わっ」

ショワァ……

「善子ちゃんおねしょ?」

ユサユサ

「善子ちゃん」

ユサユサ

「善子ちゃん起きて」

善子「はっ!!?」バサッ

曜「大丈夫? すごい汗だよ?」

善子「私……死んで」

善子「ないわね」ホッ

曜「怖い夢でも見た?」

善子「ええ、少し……」

曜「私たち、戻れたね」

善子「え? あぁ、本当だわ」

曜「さっき日付変わったから」

善子「えっ……それじゃ今」

曜「夜中だね」

善子「ええ!? ここ保健室よね!? 何で誰も起こしてくれないのよ!」



83: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:13:29.34 ID:mc7jjdA4.net

曜「学校の鍵は預かったよ」チャリンッ

善子「そういうの、生徒に預ける……?」ハァ

曜「鞠莉さんに頼んで貸してもらったの」

善子「鞠莉さんに?」

曜「そう。事情を話したら信じてくれて……優しいよね」アハハ

善子「……」

曜「『変なことしちゃだめよ?』ってニヤニヤしながら貸してくれたよ」

善子「鞠莉さん……」ハァ

曜「それにしても……自分の体に戻るとき変な感覚だったな」

善子「そう」

曜「まるでもう一人私がいるみたいな……って、訳わかんないよねごめん」

善子「ヨハネは……」

曜「え?」

善子「ヨハネは!? 死んだの!?」ガシッ

曜「えっと……善子ちゃん大丈夫?」

善子「ヨハネよ! 一緒に堕ちて……」

曜「ヨハネちゃん」

善子「へ?」

曜「珍しいね。私の前でヨハネちゃんが出てくるの」

善子「わ、私……」カァアア

曜「これも浮気かな」ギュッ

善子「浮気……じゃないわ」グスッ

曜「ヨハネちゃん」ギュ

善子「善子よ……」

曜「私もね、変な夢見ちゃったんだ。ヨハネちゃんと浮気する夢……」

曜「天国みたいなところでお風呂に入ってたら善子ちゃんが来てね」

曜「……」グスッ

善子「待って、その夢」

曜「最後は地面に叩きつけられて死んだんだけどさ」アハハ

善子「うわ……」



84: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:14:01.14 ID:mc7jjdA4.net

曜「全身の骨が砕ける感覚は新鮮だったなぁ」

善子「だ、大丈夫だった?」

曜「二人の裸が見られたからいいよ」フフッ

善子「っ……!」ブンッ

パーン

曜「うわっ! 顎の骨折れてるからっ!!」ヒリヒリ

善子「ヨハネと浮気したわね!? 絶対に許さない!」

曜「浮気したからあんな目にあったんじゃないかな」アハハ

善子「言ったわよね? 私以外の私と浮気したら殺すって!」ガシッ

曜「いや、だから一回死んで……」

善子「このバカ! 私だから好きなんじゃなかったの!?」グイッ

曜「苦しっ……」

善子「本当は誰でもよかったの??」ググッ

曜「ね、ねぇ本当に死んじゃう……」ピクピク

善子「曜さんなんてっ……!」グッ

曜「ぐっ……」

善子「……」

曜「……」

善子「それでも好き」グスッ

曜「私も……好きだよ」

善子「私に殺されても?」

曜「善子ちゃんは……そんなことしないって信じてる」

善子「どうかしらね」グイッ

曜「善子ちゃんは優しいから」フフッ

善子「……っ」パッ

ドサッ

曜「げほっ!! ごほっ!」ゼェゼェ

善子「これで三回目ね」

曜「夢の中で……ヨハネちゃんのこと助けてたよね」ハァハァ

善子「えっ」



85: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:14:32.81 ID:mc7jjdA4.net

曜「善子ちゃん優しいな、って思った瞬間に死んだの」

善子「何で知ってるのよ!!」バシッ!

曜「だから顎! 折れてる!!」ヒリヒリ

善子「んなわけあるか! 夢の中でしょうが!」

曜「あれ……本当だ」サワッ

善子「折れてたら喋れないから……」ハァ

曜「それと、四回目だよ」

善子「は?」

曜「善子ちゃんに殺されかけるの」

善子「夢の中のは私じゃないでしょ」

曜「ヨハネちゃんも善子ちゃんだよね?」

善子「なっ……」

曜「あっと、ヨハネ様?」

善子「曜さんのバカ! 夢の中まで入ってくるなんて!」カァアア

曜「そんな。寝てたら呼ばれたんだよ」

善子「誰によ!」

曜「ヨハネちゃんに。『空を飛びたいって思ったことない?』って誘われて」

善子「飛びたかったの?」

曜「ヨハネちゃんが可愛かったからつい……」エヘヘ

善子「浮気! それ本当に浮気だから!!」

曜「ん……? ってことはあそこ、本当に天国?」

善子「え」

曜「本当に死ぬところだったね」アハハ

善子「笑いごとじゃないわよ」

曜「入れ替わりの魔術、あれはかなり危険だってことか」

善子「……そうみたいね」

曜「そんなもの三回も私に使ったの?」

善子「使ったわよ」

曜「よく死ななかったね」

善子「私は今のところ死んでないわね」



86: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:15:01.90 ID:mc7jjdA4.net

曜「もしかして、私だけ何回も死んでる?」

善子「まさか。落ちるのは今回が初めてよ」

曜「いつもはどうやって帰ってきてたの」

善子「忘れたわ」

曜「えぇ……」

善子「どうせ朝になったらまた忘れるもの」

曜「私は忘れないよ」

善子「忘れて。お願いだから」

曜「絶対に忘れない。ヨハネちゃんとお風呂入ったこと……」

善子「忘れて!!」

曜「あはは。じゃあおやすみ」

善子「いや、待ちなさいよ」

曜「え?」

善子「片付けないの?」

曜「朝やればよくないかな。徹夜のせいかすごくだるくて……」

善子「私だって何でか分からないけど足とか肩とか痛いのよ!」

曜「……」

善子「一つ聞いてもいい?」

曜「何?」

善子「これ、私がやったの?」

曜「ん?」

善子「おねしょよ」

曜「そうだよ。って言うかそのときもう起きてなかった?」

善子「そう……地面にぶつかりそうになって、それで」

曜「善子ちゃんってビビリなんだね」アハハ

善子「誰だってあんなの漏らすわよ」

曜「私は漏らしてないよ?」

善子「そういえば……」

曜「善子ちゃんと違ってモロに地面にぶつかったけどね」

善子「よく平気だったわね」



87: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:15:34.56 ID:mc7jjdA4.net

曜「実は高いところ好きなんだ」

善子「関係なくない?」

曜「飛び込み台の上とかすごく興奮するの。もっと高ければいいのに、っていつも思ってた」

善子「えーと、それは何と言うか……変態ね」

曜「……」エヘヘ

善子「褒めてない」

曜「でもさ、私が先に死んだおかげで善子ちゃんを死ぬ前に助けられたんだよ?」

善子「あ、地面にぶつかる前に目が覚めたのって、曜さんが起こしてくれたから?」

曜「あの痛みはさすがに可哀想だから」アハハ

善子「……どんな痛みだったのかしら」

曜「興味あるの? 善子ちゃんも私に負けず劣らず変態さんだね」

善子「味わいたいわけじゃないわよ」

曜「イメージとしては……そうだね、スカイダイビングでパラシュートつけるの忘れちゃった感じかな」

善子「うん、例えがズバリすぎて全くイメージが沸かないわ」

曜「死んだほうがまし、ってああいうときに使う言葉だね」

善子「そ、そんなに……」

曜「善子ちゃんが言う通り……善子ちゃんとヨハネちゃんが別人なんだとしたらさ」

曜「やっぱり私、浮気したことになるのかな?」

善子「さっきからそう言ってるじゃない」

曜「……」

善子「何よ。曜さんから見たらどっちも私?」

曜「うん……」

善子「そうよね。見た目は私だもの」

曜「善子ちゃんもそう言ってた」

善子「……」

曜「ヨハネちゃんを助け……ううん、道連れにしたとき」

善子「何でわざわざ言い直したの」

曜「『あなたも私じゃない』って」

善子「……」

曜「私はヨハネちゃんも好きだよ」



89: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 16:17:01.73 ID:mc7jjdA4.net

善子「それ、思ってたとしても私の前で言う?」

曜「言う」

善子「……」

曜「善子ちゃんに隠しごとはしたくないんだ」

善子「言ってることは立派だけどやってることは最低」

曜「でも、私の恋人は善子ちゃんだからね」

善子「ええ」

曜「どっちかしか選べないなら私は善子ちゃんを選ぶよ」

善子「いや、両方選べたとしても私だけを選びなさいよ」

曜「うーん……」

善子「悩まないで」

曜「……たまにはヨハネちゃんでもいいよ?」

善子「は? 死にたいの?」

曜「あっ、そうじゃなくて。私の前だからってヨハネちゃんを封印しなくてもいいんだよ、ってこと」

善子「……」

曜「ごめん、喋りすぎたね。おやすみ」

善子「おやすみなさい」

……

……



97: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:23:32.73 ID:mc7jjdA4.net

……

……

 翌朝 保健室

「な、何と破廉恥な……」カァアア

「よく見なよ。抱き合って寝てるだけじゃん」

「ふふっ。変なことしないように釘を刺しておいたんだけれど」

「そういう問題ですか……?」

善子「ん……」

「気持ちよさそうに寝ちゃってさぁ」ツンッ

善子「きゃあっ!!?」バサッ

果南「おっと、ごめん。起こしちゃったかな」

鞠莉「大丈夫? 曜に変なことされなかった?」

善子「えっと……」

ダイヤ「まさか保健室に泊まるとは……。寒くありませんでしたか?」

善子「ええ。曜さんのおかげで……」

果南「それはよかった。曜も今回は役に立ったね」アハハ

鞠莉「体調はもういいの?」

善子「あ……ええと、徹夜したせいでフラフラしたけどもう平気よ」

鞠莉「ノンノン! 寝不足はお肌の敵なんだからね?」

ダイヤ「そうですわ。ニキビができても知りませんわよ」

善子「まあ私じゃないんだけどね」ボソッ

曜「すー……」

果南「そうだ。善子、足とか痛くない?」

善子「え? そうね、起きたときから太ももとか肩とか……少しね」

果南「あれだけ走っておいて少し? こう見えて普段からトレーニングしてたりする?」

善子「トレーニング? 何のこと?」

果南「いや、頼んできたのそっちだよね? ダイエットしたいからみっちりトレーニングしてって」

善子「言ってないわよ」

果南「これ見てよ」スッ

 †堕天使ヨハネ†:お願い! 今からトレーニングに付き合って!



98: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:24:07.20 ID:mc7jjdA4.net

善子「これ私じゃないわ」

果南「善子のアカウントから来てるよ?」

善子「……」

鞠莉「まさか、アカウント乗っ取られたの?」

ダイヤ「いけませんわ! 善子さんのことですから、パスワードは曜さんの誕生日とかなのでしょう?」

善子「曜さんじゃあるまいし……」

果南「そういえば曜は誘わなくてよかったのかな」

善子「曜さんが勝手に私のスマホで送ったのね」ハァ

鞠莉「そうなの?」

善子「ええ」

果南「善子もノリノリだったけどな」

善子「え?」

果南「実は私、善子が最近ちょっと太ったなって思ってたんだ」

善子「……」カァアア

鞠莉「果南……」ハァ

ダイヤ「よく気づきましたわね。私ですら微妙なラインでしたのに」

果南「ちゃんと測ってないから分かんないけど、たぶん二センチくらい……かな?」

善子「な、何でそこまで……」カァアア

鞠莉「今度は曜を誘ってあげたら? きっと喜ぶわよ」フフッ

果南「あー、実は曜から善子を誘うように言われてたんだ」

善子「どうして果南さんが」

果南「何でだろう? 自分で誘えばいいのに」

鞠莉「善子に気を遣ったんじゃない? 恋人に『太った?』って指摘されるなんて、やっぱり気にしちゃうよね」

ダイヤ「ふふっ。曜さん、本当に善子さんのことが大好きですのね」

善子「そうかしら……」

鞠莉「曜ったらすぐ他の子にデレデレするものね」

果南「曜は昔からそういう子だよ」

善子「いや、曜さんも太ってたわよね。他人のこと言えないじゃない」

ダイヤ「曜さんが?」

善子「ええ。私が二センチなところ曜さんは三センチも太ってたわ」



99: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:24:44.33 ID:mc7jjdA4.net

果南「曜がそんなことするかなぁ……」

ダイヤ「まさか、善子さんと一緒にダイエットするためにわざと太ったとか?」

鞠莉「それは……かなり重たいわね。体重だけに」

果南「考えすぎかな」アハハ

善子「曜さんならやりかねないわね……」ハァ

ダイヤ「それはそうと、お二人は青少年健全育成条例を知らないわけではありませんよね?」

果南「ん? 早口言葉かな」

鞠莉「夜十時から翌朝四時にかけての外出は禁止……とんだ悪法ね」

ダイヤ「なぜです。普通の子どもはそんな夜中に外出などしませんわ」

果南「大丈夫。善子をいかがわしい場所に連れてくわけないじゃん」

鞠莉「いかがわしい場所……?」

果南「えっと、ゲームセンターとか?」

ダイヤ「果南さんにはもっと浦女の生徒として自覚を持って頂きたいですわね」

果南「室内で筋トレしただけだよ」

ダイヤ「先ほど『あれだけ走っておいて』とか何とか聞こえましたが? 果南さんの家にルームランナーなどありませんでしたわよね?」

果南「……外でちょっと走った」

ダイヤ「まあ! 不審者に襲われていたかもしれませんのよ!?」

鞠莉「ダイヤ、この辺りにそんな人出ないと思うわよ?」

ダイヤ「分かりませんわ。もしもそういうことがあってからでは……」

鞠莉「大丈夫。果南ならワンパンチノックアウトよ」

果南「いや、見ず知らずの人にパンチはしないよ……」

ダイヤ「果南さんは平気でも善子さんは! 必ず守り切れるという確証はありまして?」

果南「う……」

鞠莉「いくら果南とはいえ屈強なマッチョが五、六人でハイエースしにきたら勝てないわよね」

果南「全員黒帯だったら負けるかも」アハハ

ダイヤ「善子さんを人質にとられでもしたら尚更ですわ」

果南「……ごめんなさい」

善子「あ、あの……もしかして」

鞠莉「ん?」

善子「昨日の夜、私……果南さんとトレーニングしたの?」



100: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:25:20.17 ID:mc7jjdA4.net

果南「えっ、忘れたの?」

善子「……」

ダイヤ「覚えていないのですか? いえ、私も見てはいないのですが……」

鞠莉「何よ、記憶が飛んじゃうようなことしたの? ねぇ?」

果南「し、してないよ……」カァアア

善子「……」スタッ

トコトコ

体重計「やぁ」

善子「……」スタッ

鞠莉「善子?」

善子「一キロも減ってる……」

ダイヤ「果南さん、無理なトレーニングは体を痛めますわよ」

果南「そんなの分かってるって。善子も体を痛めないように気を遣ってたみたいだよ」

善子「私が?」

果南「慣れてない人だとつい張り切りすぎて体を痛めがちなんだけどね。善子はそんなことなかったよね」

鞠莉「いつもこっそりトレーニングしてるの? それでそのスリムな体型を」

ダイヤ「善子さん、見直しましたわ」

善子「そっか……私が寝てる間に」

曜「すー……」

善子「何よ、一緒に誘ってくれればいつでも」グスッ

果南「え!? 何で泣くの? やっぱり筋肉痛?」

善子「少しね」フフッ

鞠莉「私たちもトレーニング始めようかしら。ねぇダイヤ?」

ダイヤ「私は結構ですわ。自分の体の管理はしておりますので」

鞠莉「嘘ね。ダイヤの家、お正月はすごい料理が出るじゃない」

ダイヤ「鞠莉さんみたいに好きなだけ食べて飲んで寝てはいません」

鞠莉「わ、私だってこれでも抑えたし……」

果南「鞠莉は二キロ太ったね」

ダイヤ「やはりそうですか。私の目でも分かりましたわ」

鞠莉「太ってない! しかもダイヤと違って『ここ』に行ってるから」ムニッ



101: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:25:59.09 ID:mc7jjdA4.net

ダイヤ「いえ、お腹周りが」

果南「……」ジー

鞠莉「何よもう!」カァアア

善子「曜さん、そろそろ起きなさいよ」トントン

曜「うぅ……」

果南「ほら、いつまでも寝てないで……ん?」バサッ

ダイヤ「どうかしたのですか?」

果南「この匂い……あぁ」ハァ

鞠莉「おねしょ?」クンクン

ダイヤ「高校生にもなって……」ハァ

曜「ふわぁ……よく寝た」

善子「曜さん。早くシーツを洗って布団を干しましょ」

曜「え?」

果南「曜、まだおねしょ治ってなかったんだ?」クスクス

鞠莉「大丈夫よ。誰にも言わないから」

曜「よ、善子ちゃん……」

善子「全く、高校生にもなって恥ずかしくないの? 私じゃなかったら絶対嫌いになってるわよ」

曜「えぇ!!?」

善子「な、何よ。どう見ても曜さんの匂いでしょうが」

曜「そうだけど……」

ダイヤ「善子さん、匂いで分かるのですか?」

善子「えっ、わ、分からないわよ……」カァアア

鞠莉「善子、赤くない?」

果南「まさか善子が? なわけないよね」フフッ

善子「見て分かるでしょ? 私の服はそこまで濡れてないわ。曜さんのはびっしょり」

曜「みんなに見られるなんて……もう生きていけないよ」グスッ

果南「あはは。生理現象だからね、仕方ないよ」

鞠莉「大丈夫よ。曜も可愛いところあるじゃない♡」

ダイヤ「可愛いのでしょうか……」



102: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:26:34.02 ID:mc7jjdA4.net

曜「善子ちゃんひどいよ」グスッ

善子「し、知らないわよ! 起きたらもう三人がいたんだもの」

果南「学校に泊まったって聞いたから様子を見に来たんだよ。あと善子の筋肉痛が心配で」

善子「ありがとう」

鞠莉「変なことしてないでしょうね?」フフッ

曜「……」グスッ

ダイヤ「え、まさか……」

善子「いや、してないわよ。大丈夫だから」

ダイヤ「ほっ……。お二人は健全なお付き合いをしていると信じていますからね」

果南「一瞬疑ったよね」

ダイヤ「せ、生徒会長は疑うのが仕事ですの!」

鞠莉「ポリスメン?」

曜「このことは誰にも言わないでください……」ペコ

果南「だから言わないって」

鞠莉「もちろんよ」

ダイヤ「分かっています。それより早く片付けてしまいましょう」スタッ

曜「えっ、手伝ってくれるんですか?」

ダイヤ「え? 仕方ないでしょう。濡れた布団は意外と重たいですし……」

曜「だ、ダイヤさん……」ドキドキ

善子「ちょっと」ガシッ

果南「ダイヤはルビィの片付けで慣れてるからね」アハハ

鞠莉「そういうダイヤもなかなかおねしょ治らなかったわよね?」クスクス

ダイヤ「はい? お二人もばかなことを言っていないで手伝ってくださいまし」

曜「いいよ、自分でやるから……」

善子「ええ。曜さんはもう慣れてるもの」フフッ

曜「……」ジロッ

善子「えぇと、たぶんね」

鞠莉「とりあえずシャワー浴びましょ? 服は……ジャージなら私のを貸すわよ」

果南「じゃあ善子には私のを」

善子「私はいいわよ」



105: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:29:15.10 ID:mc7jjdA4.net

ダイヤ「いえ……その、着替えたほうがよろしいかと」

善子「じゃなくて。自分のがあるから大丈夫ってことよ」

果南「そう? ならいいんだけどさ」

鞠莉「果南の汗臭いジャージなんて嫌よね? 借りるならダイヤにしたら」

果南「臭くないし! ってかまだ着てないやつだよ!」

ダイヤ「私のでよかったら言ってくださいね」

善子「気持ちは嬉しいわ。ありがとう」

曜「もう嫌……」グスッ

善子「曜さんも! 早く片付けてシャワー浴びに行くわよ」

鞠莉「今から洗って干せば……放課後には乾いてるわよね?」

ダイヤ「ええ。今日は晴れると予報が出ていましたからね」

果南「ほら、脱いで」グイッ

曜「や、やだよ!」

果南「いつまでもそれ着てるつもり?」グイッ

曜「善子ちゃん助けてぇ!」

果南「おねしょなんかしてると善子に嫌われちゃうぞー?」

善子「そうよ。気をつけなさい」

曜「なるの……?」

善子「ならない……けど」カァアア

曜「私のことずっと好きでいてくれる?」

善子「ええ」

ダイヤ「……」カァアア

鞠莉「朝から見せてくれるわね……」フゥ

果南「ほら、早く脱ぎなよ」

曜「うん……」ヌギ

善子「も、もういいから! 片付けは自分でやらせるし三人は帰って……」

鞠莉「ん? いいわよ、手伝ってあげる」

曜「私、みんなの前で裸にされちゃうんだね……」ドキドキ

果南「何言ってんの。曜の裸なんて小さい頃から見慣れてるよ」アハハ

ダイヤ「私は初めて見ますわ……」カァアア



106: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:29:47.89 ID:mc7jjdA4.net

鞠莉「見たいの?」

ダイヤ「い、いえ! そんなわけないでしょう!? そもそも合宿のときに一度……」クルッ

果南「早く脱ぎな」

曜「善子ちゃん……嫌いにならないでね」ドキドキ

善子「ストップ! 何しようとしてるの!?」

果南「何って、着替えだよ?」

善子「それは見れば分かるわよ」カァアア

果南「ほら、濡れた服って一人だと脱ぎづらいし……昨日善子の着替えも手伝ってあげたじゃん?」

善子「え」

鞠莉「ちょっと果南? 善子に変なことしてないでしょうね……」

果南「してないよ! そりゃ少しは私もドキドキしたけどさ……」カァアア

ダイヤ「やっぱり不健全なことをしていたのですね!? 条例違反ですわ!」

果南「だからしてないって! そもそも何で私が善子の裸なんか見て興奮しなきゃいけないの」

善子「っ……」

鞠莉「今のは善子、傷ついたわよ」

果南「あっ、そういう意味じゃないんだよ? まるで私が善子をそういう目で見てるみたいな言い方をするから……」

ダイヤ「見ていたら大変なことですわ」

曜「私は見てるからね。心配しないで」

善子「そんな心配はしてないわ」

果南「善子だって私の裸見たもんね? お互い様だよ」アハハ

曜「え?」

善子「何が『え?』よ!」

曜「あ、私か」

鞠莉「果南、いつも曜とそんなことしてたの?」

果南「言い方! トレーニングした後は汗かくでしょ? そしたらシャワー浴びるよね??」

ダイヤ「汗をそのままにしておくと風邪を引きますからね」

果南「そう。体を洗いっこするくらい普通のことだよ」

善子「洗いっこ!?」

曜「いや、そういう意味じゃないから」

善子「確認しておくけどまさか果南さんと……」



107: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:30:20.21 ID:mc7jjdA4.net

曜「え? 本当に疑ってる?」

果南「曜が私と浮気してると思ってるの? 可愛いね」アハハ

善子「か、かわ……」カァアア

ダイヤ「果南さん? あまり善子さんをからかうのは……」

果南「善子、また一緒にトレーニングしようね。二人きりでさ」フフッ

善子「嫌! 絶対にしないわ!」カァアア

曜「果南ちゃんは本当にそういう目では見てないよ」

善子「そんなの分からないじゃない!」

果南「えぇ……」

鞠莉「また一つ、果南は信用を失ったわね」

ダイヤ「私たちはともかく、善子さんや花丸さんをからかうのはやめなさい」

果南「マルも面白いよねぇ」アハハ

善子「ずら丸に何したのよ! 言ってみなさい!」

果南「だから何もしてないって……」

曜「花丸ちゃんにもヤキモチ? 善子ちゃんは忙しいね」

善子「もう! 果南さんがそんな人だとは思わなかったわ!」プイッ

果南「嫌われちゃったよ」

ダイヤ「まあ、当然ですわね……」

鞠莉「それでも反省しないのが果南の悪いところよ」

果南「……本当に冗談だからね?」

善子「分かってるわよ……」

曜「で、どうするの? 手伝ってくれるの? くれないの?」

果南「それは善子に聞いて」

曜「……」

善子「私が手伝うからいいわ。だって恋人だもの」

鞠莉「言うじゃない♡」

ダイヤ「曜さん、くれぐれも……」

曜「分かってます。善子ちゃんとは健全にお付き合いさせてもらってるからね」

善子(どこがよ)チラッ

曜「と、とにかく! ここは私と善子ちゃんで片付けるから三人は」



109: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:31:51.13 ID:mc7jjdA4.net

果南「はいはい。私も二人の邪魔をしたくないし行くよ」

鞠莉「誰かが来ちゃう前に片付けるのよ?」

善子「分かってる。ありがと」

ダイヤ「……善子さんも。曜さんに変なことをされたらすぐ私たちに言うのですよ」

善子「ええ。って言わないわよ!」

ダイヤ「大丈夫です。心配しなくとも殺しはしませんから」ニコッ

曜「ひぃっ!?」ビクッ

鞠莉「じゃ、私たちはこれで。後はよろしくね♡」

果南「またねー」ノシ

善子「みんなありがと。助かったわ」ノシ

曜「ダイヤさん何で怒ってたんだろ……」ビクビク

善子「さあ? 学校で変なことしようとするからじゃない?」

曜「してないよ」

善子「この前ここで私におしっこさせて飲んだわよね」

曜「そうだっけ? もう一度飲めば思い出すかも」アハハ

善子「しっかり覚えてるじゃない」

曜「善子ちゃんのために私がお漏らししてあげたんだからね? 感謝してよ」

善子「え?」

曜「いや、あのまま善子ちゃんのおねしょがみんなにバレたら可哀想だから」

善子「もしかして……私の匂いを消すためにわざと?」

曜「当たり前でしょ。善子ちゃんに恥をかかせるわけにはいかないからね」

善子「本当?」

曜「私はこんなの慣れてるからいいけど、善子ちゃんは気にするかと思って」

善子「……」

曜「それともみんなに知ってほしかった?」

善子「そんなわけないでしょ」

曜「だよね。だから寝てる善子ちゃんにおしっこかけておいたの。感謝して」

善子「自分がしたかっただけじゃないの?」

曜「そうとも言うね」アハハ

善子「はぁ……」



110: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:32:21.11 ID:mc7jjdA4.net

曜「あと……ごめんね? 果南ちゃんの前で裸になったりして」

善子「何?」

曜「善子ちゃんに内緒で果南ちゃんに付き合ってもらったんだ。太っちゃったのは私のせいでもあるわけだし……私が戻しておかないとだから」

善子「私が寝てる間に頑張ってくれたのね」

曜「うん。善子ちゃん、ダイエットするなんて言ったら絶対無理な食事制限するもん」

善子「しないわよ」

曜「じゃあトレーニングする?」

善子「……しなそうね」

曜「だよね」アハハ

善子「いや、するわよ。曜さんも誘ってくれればよかったじゃない」

曜「だって……」

善子「私に気を遣ってくれたの?」

曜「私とだと痩せられない気がして」

善子「何でよ」

曜「ほら……私って善子ちゃんに甘々だし?」

善子「それは、まあ」

曜「それに、どんな善子ちゃんでも善子ちゃんだから」

善子「……」カァアア

曜「元々痩せてるもん、少しくらいは太ってもね?」

善子「嫌よ」

曜「ほら、胸ももう少し大きくなるかも……」

善子「……」ゴクリ

曜「今のは冗談」アハハ

善子「もう!」

曜「でも、本当にどんな善子ちゃんでも好きだからね?」

善子「曜さんが好きになったのは私でしょ?」

曜「……そうだよ?」

善子「太った私じゃないわよね」

曜「今のところは」

善子「この先もよ」



111: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:32:53.32 ID:mc7jjdA4.net

曜「それは善子ちゃん次第かな」

善子「そういう曜さんこそ太りすぎないように気をつけなさいよ」

曜「太ったら嫌われちゃう?」

善子「アイドルとしてどうかと思うわ」

曜「気をつけなきゃね」アハハ

善子「仕方ないから付き合ってあげるわよ。曜さんのダイエットに」

曜「ありがと」

善子「私ももう少し体力つけないとって思ってたから」

曜「そうだね。もう少し体力がつけば疲れにくくなるしダンスにもキレが出るよ」

善子「ええ。曜さんの体になってみてよく分かったわ」

曜「それとおしっこのキレもね?」

善子「は?」

曜「今のは冗談」

善子「今でも十分キレてるわよ」

曜「キレッキレだったね」

善子「見たの?」

曜「見たっていうか、したっていうか……」

善子「……」

曜「善子ちゃんも私でしたじゃん。お互い様だよ」

善子「そ、そうね……」

曜「善子ちゃん、おしっこだけじゃなくて私の体でえっちなことしたでしょ?」

善子「してないわよ!!」

曜「そうかな。下着がカピカピしてたから」

善子「し、してな……」カァアア

曜「してもいいんだよ?」

善子「……そ、そういう曜さんこそ私の体で変なこと」

曜「こっそり果南ちゃんとトレーニングしたくらいかな」

善子「果南さんの前で裸になるなんて……」

曜「だから果南ちゃんはそういう目で見ないって」

善子「本当に?」



112: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:33:23.79 ID:mc7jjdA4.net

曜「本当。じゃなかったら脱ぐわけないじゃん」

善子「どうかしらね。曜さんのことだからむしろ喜んで裸になりそう」

曜「私の恋人だよ? 他の人に好きにされるなんて……」ボソボソ

善子「え?」

曜「何でもない! それより、お腹周り締まってるでしょ?」ムニュ

善子「ひゃああ!?」ビクッ

曜「ウエスト採寸だね! えっと巻き尺は……」ガサゴソ

善子「な、何よもう……」

曜「あった! 二センチダウンしてるかな? どうかな?」シュルッ

スッ

善子「……」

曜「……」スッ

善子「ど、どう?」

曜「お腹凹ますのはずるいよ」

善子「凹ませてないわよ」

曜「そう。なら達成だね」

善子「本当?」

曜「本当」

善子「やった……」グッ

曜「うん!」

善子「曜さん大好き」ギュッ

曜「え? 私も好き!」ギュ

善子「私のこと、こんなに大切にしてくれて……」

曜「大切だよ」

善子「私も、曜さんのこと大切にするわ」

曜「うん。大切にしてあげてね」

善子「……」フフッ

曜「えへへ」

善子「とりあえず片付けましょうか」

曜「もう少し」ギュッ



115: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:35:31.31 ID:mc7jjdA4.net

善子「シャワーも浴びないとよ?」

曜「私は善子ちゃんのシャワーが浴びたいな」

善子「え……」

曜「私のは浴びせてあげたでしょ?」

善子「どうしてこの流れで気持ち悪いこと言えるのかしら……」

曜「気持ちよかったよ」

善子「聞いてないわよ!」

曜「善子ちゃんも気持ちよさそうな顔してたけどな」

善子「してない! ……たぶん」

曜「えへへ。シャワーのときにたっぷり浴びさせてね?」

善子「嫌よ。そもそも学校のシャワーは一人用でしょうが」

曜「プールのシャワーなら二人でも余裕だよ」

善子「あっ……でも冬は使えないわよね」

曜「ふふん」チャリン

善子「え?」

曜「鍵。借りてあるから」

善子「保健室の鍵だけじゃなかったの?」

曜「それじゃシャワー浴びれないでしょ?」

善子「まあ、そうだけど……」

曜「『二人でも余裕だからって変なことしちゃダメよ?』って鞠莉さんが」

善子「変なことさせる気満々じゃない!」

曜「あはは。私のこと信用してくれてるんだね」

善子「その信用を裏切らないように気をつけなさい」

曜「……」

善子「返事は?」

曜「いや、鞠莉さんの場合本当に振りだったりして……」

善子「ないわよ」

曜「だっていつも善子ちゃんと二人でいられるように便宜を図ってくれるよ?」

善子「それは気を遣わせてしまっているのね。何だか悪いわ」



116: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:36:05.81 ID:mc7jjdA4.net

曜「今日から部活あるよね」

善子「あるけど」

曜「みんなに聞いてみようかな」

善子「何をよ」

曜「私と善子ちゃんが付き合うこと、どう思ってるか」

善子「そりゃみんな応援するって言ってくれるわよ。優しいもの」

曜「ならこれまで通り普通にしてほしいな」

善子「そう言ってみる?」

曜「わがままだと思われちゃうかな?」

善子「元々曜さんはわがままよ。みんな知ってるわ」

曜「そんなぁ。みんなの前ではこんなにわがままじゃないよ」

善子「どうかしら。私には付き合い始めてから急にわがままになった気がするけれど」

曜「うっ……気をつけないとね」

善子「もう少しわがままになってもいいと思う」

曜「本当!? それじゃあ」

善子「みんなといるときの話よ。二人きりのときはもう少し抑えて」

曜「うん……」

善子「あ、言っておくけど私にじゃないわよ? みんなに対して曜さんがわがままになってもいいんじゃないかしら、って言ったの」

曜「わがまま……」

善子「困らせない程度にね」

曜「おしっ」

善子「困らせない程度に! 聞こえなかった?」

曜「分かったよ。それを言うなら善子ちゃんもだよ?」

善子「私?」

曜「みんなの前だからって我慢しなくていいんだよ」

善子「私、そんなに遠慮して見えるかしら」

曜「みんなの前でも私に抱きついてくれていいんだよ?」

善子「いや……それは逆に気を遣わせてしまうような」

曜「ううん。みんな善子ちゃんがもっと私に甘えたいのに我慢してるの気づいてるから」

善子「……」



117: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:36:35.95 ID:mc7jjdA4.net

曜「だってみんなの前だと急に私に対して冷たくなるよね? 分かりやすすぎだよ」

善子「そういえば、この前ルビィに聞かれたわ」

善子「『善子ちゃん、曜さんのこと嫌いなの?』って」

曜「それはいけないね」

善子「ルビィにまで心配されるなんて……」

曜「ルビィちゃんは私たちと違って純粋な目をしてるんだね」アハハ

善子「そうかしら? ううん、そうなのよね……」ハァ

曜「じゃあこうしよう」

善子「却下」

曜「聞いてよ!」

善子「曜さんのことだもの、私がみんなの前で曜さんにキスするとかそういうのでしょ」

曜「何で分かったの?」

善子「はぁ……」

曜「私からしたんじゃあまり意味ないしなぁ」

善子「もっと他にいい方法はないの?」

曜「うーん」

善子「まあいいわ。とりあえず片付けましょ。本当に誰か来ちゃうわよ」

曜「そうだね」

……

……

 プール シャワー室

ガチャ

曜「ここに来るのも久しぶりだな」

善子「そっか、曜さんスクールアイドル始めてから水泳部は……」

曜「最初の頃は掛け持ちでときどき練習にも出てたんだけどね。今はすっかり行ってないや」

善子「本当はやりたい?」

曜「善子ちゃんと?」

善子「は? 殺すわよ」

曜「違う、水泳をだよ。何だと思ったの」

善子「あ……」カァアア



118: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:37:08.61 ID:mc7jjdA4.net

曜「善子ちゃんと水泳かぁ……」

善子「い、いや私とじゃなくて。水泳部としてよ」

曜「うーん。たまには泳ぎたくもなるけどね」

善子「競技に出たいとか」

曜「もう出ても大した成績は残せないよ」

善子「できるわよ。曜さんなら」

曜「どうかな。もう何ヶ月もやってないからね」

善子「私、知ってるわよ。曜さんが大学から誘われてるの」

曜「え?」

善子「スポーツ推薦で来ないかって誘われてるんでしょ」

曜「……」

善子「それで内申点のこと気にしてたのよね。推薦を貰うには基準に達してないとだから」

曜「そうだよ」

善子「いいんじゃない? 大学でも頑張ったら」

曜「……」

善子「どうせ曜さんの頭じゃまともな大学なんて入れないわよ。かなり有名なところから誘われてるんでしょう? 行ったらいいじゃない」

曜「うん……」

善子「スクールアイドルもいいけど、水泳をやめちゃうなんて勿体ないわ」

曜「そうかな……」

善子「私、水泳とか飛び込みやってる曜さんが好きだもの」

曜「え?」

善子「私、本当はAqoursに入る前から曜さんのこと知ってたのよ」

曜「そうなの?」

善子「曜さん、中学のときから大会でも活躍してたじゃない」

曜「まあね。そのときは水泳しかなかったから」

善子「私、大会に応援しに行ったこともあるのよ」

曜「本当?」

善子「ええ。カッコいいなってずっと……思っ」チラ

曜「ぐへへ……」ニヤニヤ

善子「思ってない。むしろ気持ち悪いなって思ってた」



119: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:37:39.76 ID:mc7jjdA4.net

曜「はっ!? 私変な顔してた?」

善子「無自覚? 気持ち悪いわね……」ハァ

曜「気をつける」シュン

善子「浦女に行こうって決めたのだって……曜さんが」

曜「私?」

善子「曜さんと同じ学校に行きたかったからよ」

曜「あはは、嘘でも嬉しいよ」

善子「本当よ。でも入ってみたら曜さんはすっかり落ちこぼれてるし」

曜「むっ」

善子「水泳よりもスクールアイドルなんて始めちゃってるし」

曜「……」

善子「私の好きだった曜さんはいないんだ……ってガッカリしたわ」

曜「それは……申し訳ないことをしたね」

善子「いいのよ。私がよく知りもしないくせに勝手な想像してただけだもの」

曜「……」

善子「でも安心して。今は曜さんのことが好きだから」

曜「私のことなんて何とも思ってなかったんじゃなかったの」

善子「そのときは何とも思ってなかったわ」

曜「……」

善子「Aqoursに誘われたときだって、私がどんな気持ちでいたかなんて気づいてなかったんでしょうね」

曜「ずっと私のこと好きでいてくれたなら言ってほしかったな」

善子「……」

曜「私は善子ちゃんのこと何も知らないで……木から落ちてきたときも『この子頭大丈夫かな?』って思ったくらいだし」

善子「悪かったわね……」

曜「正直、スクールアイドルに向いてるとは思えなかったよ」

善子「うっ」

曜「あ、そのときはね? 今は違うから」

善子「分かってる」

曜「私自身、本当はアイドルなんて向いてないと思ってたし」

善子「やっぱり」フフッ



121: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:39:35.26 ID:mc7jjdA4.net

曜「『やっぱり』?」

善子「千歌さんの思いつきに振り回されてるだけに見えたわ」

曜「あはは。そう見えた?」

善子「余計なことしないで、って思ってた」

善子「曜さんはそんな遊びに付き合ってる場合じゃないの。水泳で忙しいんだから……」

曜「そのときは私も……ちょっとスランプだったしね」アハハ

善子「……でしょうね」

曜「え? 善子ちゃんったら私のこと何でも知ってるの?」

善子「そんなの見てたら分かるわよ! 記録が伸びなくて悩んでたんでしょ?」

曜「まあね。大会で優勝はしてたけど……いくら努力しても記録が伸びていかなかった」

曜「そんなときに大学から声がかかって」

曜「ウチで練習してみないか……って誘われたんだ」

善子「高校生なのに?」

曜「『あなたはもっと高いところに行くべきだわ』って言われて」

善子「見る人は見てるのね」

曜「それで飛び込みに興味を持ったの」

善子「え?」

曜「高いところ……つまり飛び込み台だよね。それで飛び込みを始めたんだよ」

善子「違うと思うわよ」

曜「とにかく誘われたの。あ、でも結局練習は一度しか行かなかったんだけど……」

善子「どうして?」

曜「飛び込みかぁ……ってウキウキしながら行ったら普通のプールだった」

善子「そんなことで!?」

曜「冗談。本当はあまりのレベルの差に圧倒されたんだ」

曜「その大学、水泳で何度も日本一になってるところだから。日本代表も何人も出してる」

曜「大学生だからって身長とかはそんなに変わらないはずなのに……すごく大きく見えてさ」

曜「私が本気を出しても勝てない相手がいるんだなって……」

善子「……」

曜「悔しかったね」アハハ

善子「それでやめちゃったの? 曜さんらしくないわね」



122: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:40:16.68 ID:mc7jjdA4.net

曜「ううん。コーチに感想を聞かれたときにね」

曜「飛び込みをやってみたいって言ったんだ」

善子「あ、まだ興味はなくしてなかったのね」

曜「そうしたらね……」

善子「……」

曜「……」

善子「何よ」

曜「私の話はいいよ。シャワー浴びよう」

善子「え? その先聞かせてくれないの?」

曜「私の過去なんて聞いたってつまらないでしょ。これからの未来の話をしようよ」

善子「……」

曜「善子ちゃんとのね」フフッ

善子「私は聞きたい」

曜「……」

善子「曜さんのこともっと知りたいもの」

曜「私は……」

善子「水泳、本当は続けたいんでしょう」

曜「……」

善子「曜さんがAqoursのためにしてくれてることは分かってるつもりよ」

善子「毎回ものすごく手の込んだ衣装を作ってくれて」

善子「最近は私にも色んなことしてくれて、それこそ寝る間もないくらい忙しいの知ってるわ」

善子「毎日欠かさなかったトレーニングもできてなくて、それで少し太ったりもして」

善子「私のために……なんて出過ぎたことは言わないけれど」

善子「Aqoursのために曜さんが本当にやりたいことをできなくなっているのだとしたら」

善子「それはちょっと違うと思うわ」

曜「待って。私は本当にアイドルをやりたくてやってるんだよ。みんなのために我慢してるみたいな言い方はやめてよ」

善子「欲張りな曜さんのことだもの、水泳だってやりたいんじゃない?」

曜「……」

善子「私となんて一緒にいる時間ないんじゃないの」



124: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:41:51.86 ID:mc7jjdA4.net

曜「何でそんなこと言うかなぁ」グスッ

善子「ごめんなさい。今のはいじわるだったわね」

曜「……」

善子「シャワー、浴びましょうか」

曜「うん……」

……

ザー

バシャバシャ

善子「ふぅ……」

曜「……」

ザー

善子「気持ちいいわね……」

曜「……」

バシャ

善子「曜さん」

曜「な、何?」

善子「体、洗ってあげるわよ」

曜「え?」

善子「あっち向いて」

曜「……」クルッ

ザー

ゴシゴシ

善子「大きな背中ね……」

曜「そうかな」

善子「男の子みたい」フフッ

曜「むっ」

善子「あ……ごめんなさい」

曜「善子ちゃんと違って筋肉質だから」

善子「何よ、私は太ってるって言いたいわけ?」

曜「善子ちゃんみたいに女の子らしくないってこと」



125: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:42:30.65 ID:mc7jjdA4.net

善子「……女の子よ」

曜「当たり前」

善子「女の子よね」

曜「そうだよ。そこそこ胸もあるし」ムニッ

善子「そういうことを言ってるんじゃないの」

曜「アレもないしね」アハハ

善子「は?」

曜「ごめん」

善子「……」

ザー

曜「……」

善子「私もどんな曜さんでも好きよ」

曜「どうしたの急に」

善子「ううん。言ってなかった気がして」

曜「……ありがと」

善子「でも、自分の好きなことしてる曜さんがいちばん好き」

曜「好きな子としてるよ」エヘヘ

善子「あのねぇ……」ハァ

曜「嘘。今はアイドルが好きだもん」

善子「水泳は?」

曜「好きだよ」

善子「しないの?」

曜「……欲しいって言えば何でも手に入るわけじゃないよ」

善子「時間のこと?」

曜「時間もそうだし……」

善子「……」

曜「時間かな。何でもできる私でも時計の針は巻き戻せない」

善子「何だか意味ありげなことを言うのね」

曜「そうかな? そんなつもりはないんだけど」アハハ

善子「……」



126: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:43:05.43 ID:mc7jjdA4.net

曜「何でもできる、は言い過ぎだね。勉強はできないし」

善子「ええ」

曜「善子ちゃんが何を言いたいのかも……分からないし」

善子「分かってるくせに」

曜「分からないよ」

善子「じゃあ言うわ。もう一度……」

曜「やめて」ピトッ

善子「何よ。言わせなさいよ」

曜「もう決めたことだから」

善子「……」

曜「私はスクールアイドルをやるって決めたの。だから水泳はやらない」

善子「どうして……」

曜「全くやらないって言うと語弊があるかな。競技としてはやらないだけ」

善子「……」

曜「大学の推薦は……頑張ればスクールアイドルでも取れるかな?」

善子「そんなわけないでしょ」

曜「だよね……」

善子「ねぇ本当に」

曜「死ぬ気で勉強すれば推薦なんてなくても行けるよ」

善子「……私は大学の心配なんてしてないわ」

曜「……」

善子「もう一度水泳を本気でやってほしい。ただそれだけよ」

曜「っ……」

善子「もちろん飛び込みでもいいわ。飛び込みやってる曜さんもすごく輝いてたし……」

曜「今は輝いてないみたいな言い方だね」フフッ

善子「ごめんなさい。今も十分輝いてるわ」

曜「ありがと」エヘヘ

善子「でも、本当はもっと輝ける」

曜「……」

善子「大学でもやったらいいじゃない。日本代表だって目指せるわ」



127: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:43:39.44 ID:mc7jjdA4.net

善子「ううん。オリンピックで金メダルだってきっと取れるわよ」

曜「……」

善子「曜さんならできるわ」

曜「嬉しくないよ」

善子「嬉しいでしょ? 私がここまで言ってるのよ」

曜「……嬉しくない」

善子「泳いだり飛び込んでる曜さんが大好きなの。だからお願い」

曜「ごめん」

善子「もっと曜さんを見たくて浦女に来たのよ」

曜「……」

善子「私は曜さんのマネージャーにでもなれたら……幸せだなって」

善子「なーんて、他の子が許さないでしょうけど」フフッ

曜「……」

善子「ね、ちょっとこの後泳いでみない?」

曜「嫌」

善子「私にも教えてよ。あんまり泳げないのよね」

曜「嫌だよ」

善子「じゃあ見てるだけでもいいわ」スタッ

曜「……」

善子「そういえば水着がないわね」

善子「明日休みでしょ。教えてくれる?」

曜「教えない」

善子「私の水着姿見られるわよ」

曜「それは見たいけど教えない」

善子「何でよ! タダで見せるわけないじゃない」

曜「いくら?」

善子「お金!?」

曜「冗談。こんな時期に温水でもないプールに入ったら風邪引いちゃうよ」

善子「じゃ、じゃあ沼津の温水プールに行きましょ」



128: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:44:12.24 ID:mc7jjdA4.net

曜「……」

善子「飛び込み用のプールもあったはずだわ。久しぶりに見たいわね」

曜「どうしても見たい?」

善子「どうしても」

曜「……分かったよ。善子ちゃんのお願いなら」

善子「……」

曜「体拭かないと。また授業に遅れちゃう」スタッ

善子「そうね。じゃあ私が……」

曜「いいよ、自分で拭けるから」

善子「そう……」

……

……

 二年教室

ガラガラッ

先生「みんなおはよう」

千歌「うぅ……赤点だけは勘弁してください……」

梨子「大丈夫よ。あれだけ頑張ったんだもの」

千歌「でも不安だよー!」

先生「ふふ。人数が少ないと次の日には返ってくるからいいわよね」

千歌「よくないよ! そのまま返ってこなくていいのに……」

先生「大丈夫よ。今回は赤点は一人もいなかったわ」

千歌「本当ですかっ!!?」ガタッ

梨子「落ち着こうか」グイ

先生「みんなよく頑張ったわね」フフッ

千歌「ってことは曜ちゃんも赤点回避? やったね!」

曜「……」

千歌「嬉しくないの?」

曜「えっ? ごめん、聞いてなかった」

千歌「昨日から変だけど大丈夫かな……」ハァ

先生「……」ジー



129: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:44:49.51 ID:mc7jjdA4.net

曜「な、何ですか先生」

先生「ううん。渡辺さんもよく頑張ったわ」

梨子「ほっ……」

千歌「梨子ちゃんはね、私だけじゃなくて曜ちゃんにも教えてあげればよかったってずっと言ってたんだよ」

梨子「余計なこと言わないで」

曜「そうなの? ありがと」

千歌「でもすごいじゃん! 自力で赤点回避するなんてさ」

曜「まあ私が本気を出せばね?」

先生「じゃあ早速テスト返すわね」

梨子「あれ? 教科の担当の先生が返すんじゃ……」

先生「業者さんのテストだからね。全教科まとめて評価やアドバイスがついてるのよ」

千歌「そっか、梨子ちゃんは年明けのテスト受けるの初めてなんだ」

梨子「ええ」

千歌「きっと今回も余計なお世話なこと書かれてるんだろうなー」

……

先生「はい。それじゃ各自復習して今後の学習に活かすこと」

千歌「ゴミ箱行きだよこんなもの」グスッ

梨子「どんなこと書かれたんだろう……?」

先生「分からないことはそのままにしないでね。先生に聞いてもいいし、桜内さんに聞いてもいいのよ」

梨子「どうして私に」

先生「全教科満点だから」

千歌「……」

曜「……」

みんな「「……」」

梨子「何で言うんですかぁ」

先生「えーと、何かごめん。それじゃホームルーム終わり! 解散!」

……

 一年教室

先生「はい、よかった人も悪かった人もよく反省してこれから頑張ってね」

ルビィ「またお姉ちゃんをガッカリさせちゃうよ……」



130: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:45:21.42 ID:mc7jjdA4.net

花丸「マルは思ったより取れててよかった」ホッ

善子「くく……やればできるじゃない私!」ニヤニヤ

ルビィ「善子ちゃんも赤点? 一緒だね……」

善子「見なさい。この点数を」ペラッ

花丸「えぇ!!?」

ルビィ「嘘っ……!? 善子ちゃんが八十点って」

花丸「どんな勉強したの? マルにも教えてほしいな」

善子「それは秘密よ。ヨハネが本気を出せば満点だって余裕なんだから」

ルビィ「善子ちゃんですら八十点……。ルビィは、ルビィは……」

花丸「元気出してルビィちゃん。次また頑張れば大丈夫だよ」ポンポン

ルビィ「そういう花丸ちゃんは何点だったの」

善子「そうよ。偉そうに言ってルビィと大して変わらなかったりして……」

花丸「それはないね」

善子「ないわね」

ルビィ「酷いよ!」

花丸「そこそこいい点数は取れたけど満点は一つも取れなくて……」ペラッ

ルビィ「全教科九十点台……」

善子「くっ……やるじゃない」

ルビィ「ルビィ、生きてる価値あるのかな……」シュン

花丸「わぁあ!? ごめんねルビィちゃん。マルがもっとうまく教えてあげられてたら……」

ルビィ「ううん。正直に言っていいんだよ。ルビィには無理だからさっさとやめたほうがいいって」グスッ

花丸「や、やめるだなんて」

ルビィ「これじゃまた最下位だよー!」

善子「ダイヤさんに教わっててその点数……」

ルビィ「お姉ちゃんにも花丸ちゃんにも、鞠莉さんにも果南さんにも教わってるよ! この前は千歌さんにも教わったし……」

花丸「そんなに?」

ルビィ「本当は梨子さんにも教わりたかったんだけど忙しそうだったから……」

善子「それだけ色んな人に教わったら逆効果なような……」

花丸「みんな教え方が違うだろうし……同じところ教えたり逆に誰も教えないところがあったりしそう」

ルビィ「みんなは悪くないよ! ルビィの頭が悪いからこんなことに……」グスッ



131: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:45:55.12 ID:mc7jjdA4.net

善子「はぁ……。私がこの点数を取れたのはね」

ルビィ「曜さんがマンツーマンで教えてくれたからでしょ? 知ってるよ」

善子「あ、うん」

ルビィ「悔しいよぅ……ルビィも曜さんが欲しいよぅ……」グスッ

花丸「曜さんは二人もいないから……」アハハ

善子「誰か一人に絞って教わった方がいいかもね。ダイヤさんはほとんど満点取っていたはずだし……」

ルビィ「お姉ちゃんだけはないかな」

花丸「ダイヤさん厳しいもんねぇ」

ルビィ「ルビィいつも泣きながら勉強させられてるよ」

善子「うわ……」

ルビィ「涙でほとんど教科書が見えないんだ」エヘヘ

花丸「マルでよければまた教えてあげるよ」

ルビィ「……」

花丸「嫌かな」

ルビィ「花丸ちゃんに先生ヅラされるのムカつく……」

花丸「えぇ!?」

ルビィ「ルビィも曜さんに教わろうかな。曜さんって何でもできるしきっと今回も満点なんだろうなぁ」

善子「ダメよ!」

ルビィ「勉強を教わるだけだよ?」

善子「それでもダメ」

花丸「善子ちゃんヤキモチ?」

善子「それもあるけどとにかくダメなものはダメ」

ルビィ「ルビィが善子ちゃんよりいい点数取るのが嫌なんでしょ」

善子「それはあり得ないわね」フフッ

ルビィ「むかっ! こうなったらどんな手を使ってでも曜さんに教わるもん」

花丸「ルビィちゃんまさか……」

ルビィ「うふふ」ニヤニヤ

善子「やめて。お願いだから」

……



133: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:47:28.18 ID:mc7jjdA4.net

 放課後 二年教室

先生「渡辺さん、ちょっといいかしら」

曜「はい?」

先生「ちょっと話があるの」

曜「……」

先生「大切な話よ」

梨子「えっと……じゃあ私たちは先に行くから」

先生「悪いわね」

千歌「先生、あんまり曜ちゃんをいじめないであげてね」

先生「いじめないわよ」

梨子「曜ちゃん、本当に赤点じゃなかったのよね? 結局見せてくれなかったけど……」

曜「あはは、大丈夫だよ。追試も補習もないからさ」

先生「……」

千歌「早く来ないと練習はじめちゃうよ?」

梨子「千歌ちゃん。行こう」グイ

ガラガラッ

ストンッ

曜「……」

先生「ふぅ……」

曜「えっと……何でしょうか? 赤点なら一つも取ってませんけど」

先生「そうね。いつもの渡辺さんからは想像できないような点数ね」

曜「カンニングもしてないですよ!?」

先生「知ってるわよ。保健の先生に目の前で見られながら受けたって聞いたもの」

曜「ええ。少しドキドキしました……」カァアア

先生「……」ハァ

曜「いや、冗談なので突っ込んでくれないと」

先生「え? あぁ、冗談だったのね」

曜「さすがに自分の親より年上は……ちょっとね」アハハ

先生「……」

曜「ほとんどの教科がピッタリ五十点なのは私も驚きました」



134: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:47:59.32 ID:mc7jjdA4.net

先生「このテスト、半分は一年生の内容なのよ。渡辺さんは一年生の部分は満点だった」

曜「きっと去年までは優等生だったのかな」アハハ

先生「逆に言うと二年生の範囲はほとんど全問不正解。あなたこの約一年何してたの?」

曜「えっと……」

先生「……」

曜「ほ、ほら。まずは一年生の内容から復習しようと思って」

先生「まあ、基本を振り返るのは大切なことだわ。センター試験だって七割近くは一年生の内容だし」

曜「私でも七十点取れるのかぁ」

先生「えーと、七割取ってね」

曜「??」

先生「まあいいわ。そんなことより大切なお話があります」

曜「そんなことより!?」

先生「いえ、テストもすごく大切なんだけれど、その先の話ね」

曜「何ですか」

先生「進路のことよ」

曜「あー、えっとまだ考え中なのでまた今度に」

先生「もう二年生も終わって三年生よ。これ以上先延ばしにはできないわ」

曜「……」

先生「自分の中ではどうしたいと思ってるの?」

曜「ええと……まだ何も」

先生「何もってことはないでしょう。実現できるかどうかは置いといて、まずは希望を話してみて」

曜「……本当に何も決まってないんです」

先生「……」

曜「先生も知っての通り、今はスクールアイドルとして頑張ってるところで……」

曜「だから進路のことなんて全然」

先生「スクールアイドルでは食べて行けないわよ」

曜「……知ってますよ」

先生「もしかして、プロのアイドルを目指したいとか?」

曜「いえ」

先生「どうして。好きなんでしょう」



135: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:48:32.48 ID:mc7jjdA4.net

曜「私は……Aqoursだから好きなんです。みんなと一緒だから」

先生「そう……」

曜「もうすぐ三年生も卒業しちゃうから……今はライブのことで精一杯なので。進路の話はその後でも」

先生「もう少し先のことを考えなさい」

曜「……」

先生「実はね、大学から推薦のオファーがきてるの」

曜「はは……」

先生「前にもきたけれど、またよ。よほど渡辺さんに来てもらいたいのね」

曜「お断りしたじゃないですか」

先生「……」

曜「私はもう、水泳も飛び込みもやりません」

先生「そう」

曜「はい。今度はきちんと断っておいてください」

先生「……」

曜「私へのオファーですよ。先生へのじゃありません」

先生「そうよ。だから言ってるの」

曜「……」

先生「今回の点数には正直私もホッとしてる……でもね」

先生「このままじゃ進級の要件は満たさないの。分かってるとは思うけれど」

曜「留年ですか」

先生「今回だって……どのくらい勉強したの?」

曜「それはもう、死ぬ程勉強しましたよ」

先生「……」

曜「ええ。それでこの点数です」

先生「天は二物を与えずって言うけれど……本当ね」

曜「……」

先生「ごめんなさい。今回は渡辺さんも頑張ったと思うわ。だっていつもの点数からは想像できない伸び幅だもの」

曜「あれだけ頑張って最下位ですよ」

先生「……」

曜「でも見てください。五十点超えた科目もあります」ペラッ



137: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:50:04.77 ID:mc7jjdA4.net

先生「頑張ったわね」

曜「はい!」

先生「残り二回のテスト、今回以上の成績を残せる?」

曜「残せなかったら留年ですか」

先生「今のままではね」

曜「……」

先生「でも、渡辺さんには水泳があるじゃない。そっちでいい成績を出せば進級できるわよ」

先生「ウチも推薦決まってる子を留年させたくはないから……」

曜「それはずるくないですかね」

先生「ずるくはないわよ。推薦は渡辺さんの努力で勝ち取ったものなんだから」

曜「私、何もしてない……」

先生「……このまま留年してもいいことなんてないわよ」

曜「……」

先生「渡辺さん、同じグループの後輩の子と付き合ってるんですってね」

曜「あ……はい」

先生「その子、今回はものすごくいい点数を取ったみたいじゃない」

曜「そうですけど……どうして」

先生「渡辺さんが教えてあげたの?」

曜「まさか。こんな点数の私が教えられるわけないです」

先生「でも渡辺さん、一年生の範囲は満点だったわ」

曜「……」

先生「もしかして、最初から二年生の範囲は捨てて……」

曜「そ、そんなことして私に何の得があるんですか」

先生「……」

曜「私は二年生ですよ? 一年生のテストだったらほとんど満点取れたかもしれないけど……」

先生「渡辺さん、教え方だけは上手よね」

曜「『だけ』って……」シュン

先生「あ、ごめんね? 今のは悪く言うつもりじゃなくて」

先生「渡辺さん、先生に向いてるんじゃないかしら?」

曜「あはは。面白い冗談ですね」



138: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:50:42.63 ID:mc7jjdA4.net

先生「本当は分かってるのにテストだと解けないのは不思議だけど……」

曜「本番に弱いんです」

先生「勉強ではそうみたいね」

曜「勉強じゃなくても、ですよ」

先生「……」

曜「私、本当に大事なときに何もできないんです」

曜「この前善子ちゃんが倒れたときも……何の役にも立てなくて」グスッ

先生「あれは……仕方ないわよ。私も後から聞いたんだけれど、彼女、心にその……障害があるそうじゃない」

曜「善子ちゃんをそんなふうに言わないで!!」バンッ!

先生「……ごめんなさい。そんなつもりは」

曜「善子ちゃんは普通の女の子です……」

先生「ええ。そうよね」

曜「こんな私でも好きって言ってくれるんです」グスッ

先生「……」

曜「だから私……何でもしますよ」

先生「え?」

曜「善子ちゃんにはこんなこと言ったら怒られちゃいますけど……」

曜「私、善子ちゃんのためなら死ねます」

先生「……」

曜「私たち、遊びで付き合ってるわけじゃないので」

先生「誰もそんなこと言ってないわよ」

曜「だから……もし善子ちゃんが望むなら」

曜「水泳だって飛び込みだって、大学にだって行きます」

曜「……」

先生「私は、あなたの考えを聞きたいんだけどな」

曜「推薦、今からでも間に合いますか?」

先生「え?」

曜「オファー、来てるんですよね?」

先生「ええ、来てるわよ。でも……」

曜「私、それ受けます。大会にも出ます。スクールアイドルは絶対にやめませんけど」



139: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:51:14.03 ID:mc7jjdA4.net

先生「その大学、名門中の名門よ。いくらスポーツ推薦とはいえ入ったら勉強はやらなくちゃ」

曜「……さっき先生から勧めてきませんでした?」

先生「そうだけど。最後まで聞いて」

先生「次回のテストで今回以上の点数を取ること。渡辺さんはまだまだこれから伸びるってことを誰が見てもわかる形にするの」

先生「それと大会で少なくとも表彰台には上ること。最低でも地元の新聞に載るくらいじゃないと見てもらえないわ」

先生「そうすれば何とか進級はできるはずよ。あとは三年生になってもっと頑張ればいい」

曜「簡単に言ってくれますね」フフッ

先生「それかもう一度二年生をやり直すのね」

曜「……」

先生「もう一度聞くわね。進路はどうしたいと思ってる?」

曜「……少し考えさせてください」

先生「いつまで?」

曜「私の気持ちが決まるまで」

先生「先に留年が決まらないといいわね」

曜「……」

先生「ごめんなさい。言い過ぎたわ」

曜「大学からのオファーは保留でお願いします」

先生「分かったわ。今週中に返事をちょうだい」

曜「……来週で」

先生「仕方ないわね。来週中よ」

曜「ありがとうございます」ペコッ

先生「この後練習?」

曜「はい」

先生「そう……頑張って」

曜「先生も、今度のライブ見に来てくださいね」エヘヘ

先生「ええ。もちろん」

ガラッ

曜「それでは失礼します」

ストンッ

先生「……」



141: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:52:42.71 ID:mc7jjdA4.net

先生「高海さんですら七十点……まあ、あれだけ熱心にやってたしあの桜内さんが教えたなら当然か」

先生「死ぬ気で頑張ってこの点数はちょっとね……」

先生「……」

先生「補習、やらなきゃダメかしら」

……

……

 善子の家 リビング

曜「……」

善子「どうしたのよ。さっきからボーッとしちゃって」

曜「え? ううん。何でもないよ」

善子「さっき走ってるときも何だか心ここにあらずって感じだったわね」

曜「……」

善子「バス停ひとつ分じゃなくてもう少し走りたかった?」

曜「ううん。元からひとつ分の予定だったからね」

善子「そう? 曜さんはまだまだ走り足りなそうだったわ」

曜「距離は慣れてきたら伸ばしていけばいいよ」

善子「そうね」

曜「それより善子ちゃん、筋肉痛は大丈夫?」

善子「え? 全然痛くないわよ。さすが曜さんよね」

曜「やる前にもやった後にもみっちりストレッチをしておいたから」

善子「私の体、固かったでしょう」

曜「柔らかかったよ?」

善子「……変な意味じゃないわよね?」

曜「変な意味って?」

善子「えーと……だから、その」ボソボソ

曜「お腹はちょっとぷにぷにしてたかなぁ」

善子「うぅ……」カァアア

曜「ね、私の体は?」

善子「曜さんの体……」

曜「変な意味じゃなくてね」フフッ



142: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:53:11.86 ID:mc7jjdA4.net

善子「通じてたんじゃない!」

曜「あはは。私の体は好きに使っていいって言ったよ?」

善子「何もしてないわよ」

曜「もったいない」

善子「えぇ!?」

曜「嘘嘘。下着がカピカピしてたのは私の気のせいかもしれないし」

善子「……」カァアア

曜「私もおしっこ飲んどけばよかったかなぁ」ハァ

善子「飲んだに決まってるわ」

曜「飲んでないよ。善子ちゃんに飲んでいいって聞いたら絶対ダメって言うでしょ」

善子「もちろん」

曜「だから飲んでない」

善子「本当かしら?」

曜「まあいいよ。信じてくれなくても」

善子「……」ジー

曜「本当だって。こっそり飲まなくたってちゃんとお願いすれば飲ませてくれるでしょ?」

善子「いや、飲ませないわよ」

曜「しゅん」

善子「バカなこと言ってないで、自分の家に帰りなさいよ」

曜「えっ」

善子「昨日も泊まったじゃない」

曜「うん……」

善子「また今度ね」

曜「じゃあ帰るけど……その前に」

善子「?」

曜「バス停まで競争して勝ったら飲ませてくれるって約束だよね」

善子「は? してないわよそんな約束」

曜「したよ。覚えてないの?」

善子「嘘ね。しかも勝ったの私だし」

曜「あれは善子ちゃんに勝たせてあげたんだって。実質私の勝ちだよ」



143: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:53:41.50 ID:mc7jjdA4.net

善子「めちゃくちゃね……」ハァ

曜「善子ちゃんが本気の私に勝てるとでも思ってる?」

善子「何かムカつく」

曜「今だって私が本気を出せば善子ちゃんから無理やり飲ませてもらうことだって……」

善子「やってみなさいよ」

曜「いいの?」

善子「できるものならね」

曜「……」ゴクリ

善子「言っておくけれど、曜さんのこと嫌いにならないって保証はできないわよ」

曜「それはずるいな」

善子「私と私のおしっこよ。好きな方を選んでいいわ」

曜「……」

善子「さ、今日はもう帰りなさい。また明日ね」

曜「待って」ギュ

善子「何よ。今日も泊まるとか言い出さないでよ」

曜「飲ませて」

善子「は?」

曜「飲みたいの。お願い」

善子「嫌よ。何度も言わせないで」

曜「明日の水泳教室の授業料だよ」

善子「え……」

曜「善子ちゃんの気が済むまで教えてあげる。だからお願い」

善子「明日だけ?」

曜「……何日?」

善子「私の好きなときに好きなだけ」

曜「……」

善子「そのくらいの価値はあると思うけど?」

曜「あるね。分かったよ」

善子「あるのね……」

曜「早く。ママが帰ってきちゃう」



144: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:54:18.04 ID:mc7jjdA4.net

善子「ここで!? 匂いでバレるわよ!」

曜「じゃあお風呂でする?」

善子「トイレでなら」

曜「善子ちゃんの家のトイレ一人用だからなぁ」

善子「トイレって普通は一人用よ。多目的トイレでもない限り」

曜「多目的……」

善子「おむつ替えとかそういうのね」

曜「今度善子ちゃんのおむつ替えてあげるね」

善子「いや、いいから……」

曜「私のを替えたかったかな? でもごめん。私もうおむつは卒業したから」

善子「お漏らしは治ってないわよ」

曜「それは治らなくてもいいかな」

善子「今日三年組に見られて恥ずかしがってたのは誰だったかしら」

曜「あれは……事故だよ」

善子「曜さんがお漏らしするってバレちゃったわね」

曜「うん……」ドキドキ

善子「心なしか嬉しそうに見えるんだけど」

曜「みんな嫌な顔一つしないで手伝うって言ってくれたよね」

善子「嫌に決まってるわよ。顔に出さなかっただけで」

曜「そうかな……」

善子「当たり前でしょ。曜さんだって私じゃなかったらおねしょシーツなんて触りたくもないでしょう」

曜「匂いによるね」

善子「うぇ……」

曜「でもでも、善子ちゃんのおねしょシーツほどいい匂いのするシーツは世界中どこを探しても見つからないよ。私が保証する」

善子「そんな保証いらない」

曜「って、善子ちゃんのしかきちんと嗅いだことはないんだけど」アハハ

善子「曜さんって私のよりいい匂いのシーツ見つけたらその子を好きになりそうね」

曜「その子のおしっこは好きになるかもね。本人まで好きになるかは分からないな」

善子「否定しないの?」

曜「私、嘘をつくのは苦手なんだ」



145: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:54:45.68 ID:mc7jjdA4.net

善子「あっそ。用が済んだら帰ってよね」

曜「一応飲ませてはくれるんだね」

善子「飲ませるまで帰らないつもりでしょ」

曜「もしかして、私にずっと側にいてほしいから飲ませないの?」

善子「……」

曜「側にいてって言えばいいのに」

善子「言わない」

曜「何で?」

善子「言わないといてくれないの?」

曜「いるよ」

善子「そう。これからもいて頂戴」

曜「うん」エヘヘ

善子「えっと……紙コップはあったかしらね」スタッ

曜「心配しなくても直接飲むよ」

「嫌よ」ガサゴソ

曜「我慢できなくなっちゃう?」

「曜さんがね」

曜「私はおしっこさえ飲ませてくれれば大人しく帰るよ」

「なら大人しく帰って」

曜「うん」

善子「あったわ。一杯だけだからね」

曜「うん……」

……

 トイレ

バタン

曜「二人だとちょっと狭いね」フフッ

善子「鍵、掛けた?」

曜「誰もいないのに」

善子「いいから掛けて」

ガチャリ



147: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:56:15.17 ID:mc7jjdA4.net

曜「掛けたよ」

善子「それじゃするから……あっち向いてて」

曜「見せてくれないの?」

善子「見せないわよ」

曜「……」クルッ

善子「こっち向いたら即流すからね」

曜「分かったよ。信用ないなぁ私」

善子「……」

スルッ

シュッ

曜「……」

善子「……」

チョロ

曜「あのさ」

善子「何」

チョロロ

曜「わた……」

善子「私が終わってからにして」

曜「……」

チョロロ

曜「コップで飲ませるだけなら私は外で待たせておいてもよかったのに」

善子「あ、そういえばそうね。出ていっていいわよ」

曜「本当に?」

善子「何よ、出ていきたいの?」

曜「ううん。鍵開けちゃうよ? ドアも開けちゃうよ??」

善子「……」

曜「たまたまママが帰ってきたら私と善子ちゃんが変なことしてたと思われちゃうね」

善子「……確かに」

曜「ねっ、やっぱり私と……」クルッ

善子「こっち見ないで!」



148: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:56:52.87 ID:mc7jjdA4.net

曜「ごめん」クルッ

チョロロ

善子「……こんなものかしら」スッ

曜「飲ませて!」

善子「終わってからでいいでしょ」

曜「うぅ……」

善子「まだ曜さんが変なことしないとも限らないし」

曜「しないってば」

善子「……」

ジョボボ

曜「いくらいい匂いで気が変になりそうだからって、善子ちゃんを襲ったりとかそういうのはね?」

善子「曜さんってそういうところはしっかりしてるのね」

曜「あ、もちろん善子ちゃんが襲ってほしいなら別だよ?」

善子「……」

曜「もしかして期待してた?」

善子「何を」

曜「鍵まで締めさせてさ。私がドアの前にいるから善子ちゃんは逃げられないし」

善子「……」

曜「私がもし……その」

曜「善子ちゃんの……」

善子「……」

曜「……」

善子「何よ」

曜「な、何でもない……」カァアア

善子「そう」

ジョボボ

曜「……」

善子「曜さんってこういう話題苦手よね。いかにも好きそうなのに」

曜「その、善子ちゃんとしたいとか?」

善子「私とじゃなくてもよ」



149: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:57:25.62 ID:mc7jjdA4.net

曜「ママと?」

善子「そういうことを聞いてるんじゃないの。一般的によ」

曜「あぁ、例えばコンビニのそういう雑誌を立ち読みしてもトイレに駆け込みたくならないかってこと」

善子「やけに具体的ね……」

曜「何でトイレの側に置いてあるんだろうね?」

善子「知らないわよ」

曜「やっぱりそういうことするためなのかなぁ」

善子「さあ?」

曜「私も立ち読みしたことあるけど、そこまで面白くはなかったよ」

善子「あるの!?」ガタッ

ジョボボ

曜「な、ないよ……」

善子「うわ……曜さんのせいで手にかかったわ」

曜「舐めてあげようか」

善子「洗うからいいわよ……」フキフキ

曜「……」

チョロ……

善子「ふぅ……」スッ

ガラガラ

フキフキ

曜「善子ちゃんもそういう雑誌読んだりする?」

善子「エロ雑誌のこと?」

曜「そ、そんな言い方は……」カァアア

善子「読んだことないわね。読みたいとも思わないわ」

曜「善子ちゃんが見たのはどんな内容だった?」

善子「だから読んでない」

曜「参考に……してあげなくもないよ?」ドキドキ

善子「い、いいわよそんなの! 曜さんとは……その、普通に」

曜「……」カァアア

善子「どうして自分で恥ずかしがるのよ」



150: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 19:58:05.85 ID:mc7jjdA4.net

曜「だって恥ずかしいもん……」

善子「前に映画見たときも曜さん、顔真っ赤にして泣きそうだったわね」

曜「あのときの……。でも善子ちゃんが見たいって言うから」

善子「初デートで映画って言ったら普通は恋愛映画よ。ゾンビ映画じゃないわ」

曜「私も別にゾンビ映画を見たかったわけじゃないよ」

善子「……」

曜「善子ちゃんこそ、ゾンビとかホラーとか好きそうなのに苦手なんだね」

善子「映画館は迫力が違うもの」

曜「うん……アレなシーンも迫力がね」ドキドキ

善子「って言ってもR15だから」

曜「私がそういうの苦手だって知っててわざわざ見せてくるなんて、善子ちゃんって変態さんかな? って思っちゃったよ」

善子「知るわけないじゃない。そのときは曜さんのこと何も知らなかったし」

曜「何もってことはないよね」

善子「みんなが知ってる程度にしか知らなかったわ」

曜「……」

善子「あ、曜さんと話してたら拭くの忘れてたわ。また乾いちゃう」

曜「善子ちゃんって拭かないでパンツ履いちゃったりする?」

善子「しないわよ」

曜「私はたまにあるんだけど……そのときってやっぱり匂いで気づかれるものかな」

善子「汚い! ちゃんと拭いて!」

曜「基本は拭くよ。でも急いでるときとか、何かが後ろにいるときとか……ね?」

善子「急いでても拭いて。あと後ろに何がいるのよ」

曜「分からないよ。分からないから怖いんだって」

善子「ホラー映画、平気なんじゃなかった?」

曜「自分で経験するってなるとね……できれば遠慮したいかな」

善子「曜さん、狭いところ苦手だものね」

曜「そうだよ。トイレするときもついドアを開けたままにしたくなるし」

善子「学校でも?」

曜「うん」

善子「やめなさいよ。誰かが来たら大変よ」



152: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:00:02.81 ID:mc7jjdA4.net

曜「みんなもう慣れてるから気にしないよ」

善子「見られてるの!?」

曜「『渡辺さんまたドア閉め忘れてるよ』ってそっと締めてくれるよ」

善子「……」

曜「私としてはそのまま開けておいてほしいんだけど……」

善子「今のこの状況も本当は怖い?」

曜「え? あぁ、狭いところに閉じ込められてるってこと?」

善子「ええ。鍵までかけられてて……もし何かあってもすぐには逃げられないわよ」

曜「何かあるの?」

善子「曜さんの後ろ……」スッ

曜「な、何もいないよね……? っていうか私の後ろドアだよね?」

善子「ドアの向こうから……足音が近づいてきてるわ」

曜「私を怖がらせようって言ったってそうはいかないよ」ガクガク

善子「聞こえるわ。ほら……」

トン…… トン……

曜「ききき聞こえない! 足音なんて何も!」

善子「しっ! 静かに」ピトッ

トン…… トン……

曜「んんーー!!」モゴモゴ

善子(ママが帰ってきたのかしら)

曜(もう無理! このままドアごと私はエイリアンに食べられて……)プルプル

善子(ママのことだから玄関に靴があるのにいないってなったらトイレを疑うわ……)

善子(私と曜さんが変なことしてたと思われちゃう)

善子(どう誤魔化すべきかしら……)ハァ

コンコンッ

曜「嫌あああ!!」

善子「わっ」グイッ

「曜ちゃん? ごめんね、トイレ中に」

曜「ママ!? 何だ、驚かさないでよ……」

「ごめんなさい。善子がいないみたいだけど……知ってる?」



153: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:00:34.65 ID:mc7jjdA4.net

曜「はい。善子ちゃんなら……もごっ」

善子(余計なこと言わないで!)

曜(だって、ママ心配してるんだよ? 靴があるのにいないなんて幽霊にでもなっちゃったんじゃないかって)

善子(そんな心配はしてないわよ)

曜(それか、裸足のまま急に走り出したくなっちゃったとか)

善子(それ、私ただの頭おかしい人……)

「曜ちゃん?」

曜「え? あぁ、えっと……善子ちゃんは」

善子(コンビニに行ったって言いなさい)

曜(靴も履かずに?)

善子(他にも持ってるから……)

「大丈夫? お腹痛いの?」

曜「善子ちゃんはコンビニに……行きました」

「そう。珍しいわね」

曜「雑誌を立ち読みに……あ、決して変な雑誌ではもご」

善子(だから余計なこと言うな!)

曜(ごめん)

「帰ってきたらちょっとお話があるの。曜ちゃんは……悪いんだけど今日は」

善子(え?)

曜「そ、そうなんですか。ちなみに何の話でしょう……」

「進路のことでね」

善子(いや、まだ一年生よ私)

曜「さすが善子ちゃん。一年生なのに進路? 私ですら未定なのに」アハハ

「曜ちゃんも、お母さんから話があるんじゃないかしらね」

曜「え?」

「ほら、来週は三者面談があるでしょう?」

善子(そういえばそんなようなものが……)

曜「あー、家庭訪問の代わりでしたっけ」

「ええ。今は家に上がり込まれるのを嫌がる家庭も多いから」

曜「ママになら好きなだけ上がり込んで貰っていいんですけど」



154: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:01:06.76 ID:mc7jjdA4.net

「……」

曜「中学のとき、私の部屋まで見ましたよね」

善子(そうなの?)

曜「うん。と言ってもそのときの私の部屋は普通だったよ」

「ん?」

善子(ほら! 私はいない振りしてくれなきゃ!)

曜「あー、そっか。今のは独り言です」

「そう……」

曜「トイレって狭いから誰かと喋っていないと落ち着かないんです」

「狭いところ苦手なの?」

曜「ほら、私って将来は世界に羽ばたく人じゃないですか」アハハ

善子(世界に羽ばたく……)

「曜ちゃんは将来、何になりたいの?」

曜「私? 私は……」

「って、トイレ中に聞くようなことじゃなかったわね」

曜「善子ちゃんのお嫁さん、かな」

善子(……)カァアア

「ふふっ。楽しみね」

曜「本当ですよ?」

「この前の写真、よく撮れていたわ」

曜「私も今度ウエディングドレス着たいな……」

「確か曜ちゃんのお母さん、昔のを取ってあるはずよ」

曜「え? レンタルじゃないんですか?」

「曜ちゃんのお母さん、海外で式を挙げたからレンタルの手配ができなかったみたいでね」

善子(どんな業者よ。騙されて買わされたんじゃないの)

曜(あれ、一着いくらするんだろうね……)

「曜ちゃんのお父さんがプレゼントしてくれたって言ってたわ」

曜「お父さんが?」

「レンタルの手配ができなかったなんてただの口実よ。買うなんて言ったら絶対反対されると思ったんでしょう」クスクス

曜「それで嘘を」



156: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:02:44.13 ID:mc7jjdA4.net

「そうみたいよ。曜ちゃんのお母さんが着たいって言っていたドレス、オーダーメイドだからレンタルはなかったの」

曜「たった一回着るだけなのに……」

善子(前撮り合わせても二回か三回でしょうね)

「羨ましいわね」フフッ

曜「ママは……」

「私? 私は式なんて挙げてないわよ」

曜「そうなんですか? ママのウエディングドレス姿、見たかったな」

「結婚式って挙げるだけでもものすごくお金がかかるから」

善子(相場は三百万円だったかしら)

曜(詳しいね。そんなに私と挙げたい?)

善子(あ、挙げたい……)カァアア

曜「今度私と挙げよっか」

「えっ?」

善子(ママには言ってない!)

曜「三百万円なんて大金は持ってないけどさ、そこはみんなに協力してもらって身内でやるの」

「えっと……」

曜「衣装は私が作るし、料理は私が作るから」

善子(忙しそうね)

曜「会場は学校の講堂でさ。うまく飾り付けすればそれっぽくなると思うし」

曜「梨子ちゃんにピアノ弾いてもらって、ほら……」

「……」

曜「誓いのキスとかしちゃったりして」エヘヘ

「曜ちゃん……」カァアア

善子(だからママじゃないわよ! 曜さんも否定して!)

曜「好きだよ」ギュ

善子「あ……」ドキドキ

「あ、ありがとう……」カァアア

曜「私のことは?」

善子(それはもちろん……)ドキドキ

「好きよ。ありがとう、気持ちだけ貰っておくわね」



157: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:03:13.25 ID:mc7jjdA4.net

善子(私より先に返事しないで!!)

曜「あはは。ヤキモチかな?」

「何言ってるの。曜ちゃんには善子がいるでしょ?」

善子(だからママには話してないんだってば!)

曜「そんなの関係ないよ。好きなんだもん」ギュ

「……」カァアア

善子(あぁ……)

曜「約束だよ」

「や、約束……」

善子(どんどん私の目の前で話が進んでいくわ……)

曜「ふぅ……」

「曜ちゃん、誰にでもそんなこと言ってるの?」フフッ

曜「え?」

「好きって言ったり」

曜「……」

善子(あのね、ママはさっきの話、自分に対しての話だと思ってるのよ)

曜(えっ)

善子(だってここに私がいること知らないもの)

曜(えええ!!?)

善子(だから言ったのに……)ハァ

曜(どうしよう!? 私ママのことは好きだけど結婚式はさすがに!)

善子(今すぐ否定しなさい。じゃないと後々面倒よ)

曜(善子ちゃんがここにいるってバラしていい?)

善子(それはダメ!)

曜(えぇ……)

「あのね、曜ちゃん」

曜「は、はいっ」

「そういうのは本当に好きな人だけに言ってあげなさい」

曜「私は……」

善子(さすがにママも勘違いしてなかったか……)ホッ



158: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:03:42.57 ID:mc7jjdA4.net

曜「ママのことも好きです」

善子(おいぃ!!?)

「善子が聞いたら怒るわよ?」

善子(聞いてるわ)

曜「善子ちゃんの目の前でも言えます。ママのことも好き」

善子(……)

曜「それで私のことを嫌いになるようなら……それは仕方ないです」

「そんなこと言わないであげて」

曜「本当のことだから」

善子(……)

「善子が聞いたら泣くわね」

曜「泣いてる?」

「私? 泣いてないわ」

善子(泣きたいわよ)

曜「ごめんなさい」

「もう少し、大切にしてあげてね」フフッ

曜「大切にします! するけど……」

「それにしても善子遅いわね。様子を見てこようかしら」スタッ

スタスタ……

曜「……」

善子「やっと行ったわね。トイレ中なのに遠慮ないんだから」ハァ

曜「やっぱり分かってもらえないか……」

善子「は?」

曜「私が悪いのかな」

善子「何が」

曜「善子ちゃん以外にも好きって言うの、変かな」

善子「変かどうかは知らない。私はあんまりいい気持ちはしないってだけよ」

曜「嫌いになんてなれないよ」

善子「思ったことを口に出さずにはいられないのね。曜さんの悪いところだわ」

曜「うん……」



159: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:04:13.73 ID:mc7jjdA4.net

善子「私がいなかったらママとキスだってしてそう」

曜「それはママが許さないよ」

善子「私も許さないわよ」

曜「……」

善子「寝てるときにとかやめなさいよ?」

曜「あっ」

善子「『その手があったか』みたいな顔しないで」

曜「ううん。寝てるときにするのは反則だね」

善子「変なフェアプレー精神」

曜「アスリートだから」アハハ

善子「アスリートのくせに自分の体重も管理できてないわよね」

曜「うっ……」

善子「ボクシングなら失格よ」

曜「私はボクサーじゃないよ」

善子「例えばの話」

曜「私がボクサーだったら……?」

善子「いや、わざわざ想像しなくても……」

……

…………

実況『さぁ始まりました! 女子フェザー級世界タイトルマッチ、チャンピオンの松浦選手に挑むのは期待の新人』

曜『善子ちゃんを貰うのは私だよーー!!』

 善子「何で私が賞品なの」

実況『期待の新人、渡辺選手! 高校生にして日本大会を制した天才ボクサーです!』

果南『ふふん。善子は私のものだからね。絶対に譲らないよ』

曜『何をーっ!?』ブンッ

果南『止まって見えるね』シュッ

曜『そ、そんな……私のパンチはマッハ四なのに』

果南『たったの四……ゴミめ』フフッ

 善子「果南さんはゴミとか言わないわ」

曜『くっ……負けました』ペコッ



160: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:04:42.19 ID:mc7jjdA4.net

 善子「諦めるの早すぎ!」

実況『おーっと渡辺選手?? まさかの降参かぁ!!?』

曜『高二です』

 善子「聞いてない」

果南『ふふっ。そうだね、曜は来年も高二だった』クスクス

曜『むっ』

果南『留年なんかして可哀想に。パンチ食らいすぎて頭が……』

曜『元々だもん!!』

 善子「そんなこと胸張って言わないで……」

果南『じゃあ善子は今年も私が好きなように使わせてもらうね』

 善子「使うって何!? 私どんなことされちゃうのよ」

曜『善子ちゃんに何を!? 私も混ぜて!』

 善子「ちょっと!」

果南『嫌だね。善子が欲しかったら私を倒してからにしな』

曜『私も果南ちゃんのものになるから……』

果南『本当?』

曜『この体……果南ちゃんの好きに使ってくれていいから』カァアア

果南『……』ドキドキ

実況『えっと……』

 善子「実況、諦めたわね」

果南『負けました』ペコッ

実況『勝負あり!! 世界タイトルを制したのは渡辺選手! 金メダルおめでとう! 世界新記録だーーー!!!』

曜『みんなありがとう! 果南ちゃんのペットになってもボトルにはならないから!』アハハ

…………

……

曜「えへへ」

善子「……」

曜「ってボトルにされちゃうんだよね」

善子「知らないわよ」

曜「二人分も飲みきれるかなぁ」



161: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:05:15.85 ID:mc7jjdA4.net

善子「結局私は誰のものになったの」

曜「果南ちゃんのものだよ。私は間借りしてるだけ」

善子「間借りの使い方間違ってるわ」

曜「曲がりなりにも恋人だからね」フフッ

善子「それは……合ってる」カァアア

曜「うん」

善子「いや、合ってないわよ。私の恋人なら正々堂々と奪い返しなさい」

曜「善子ちゃん、果南ちゃんにもドキドキしてたよね」

善子「はい?」

曜「朝、保健室で。果南ちゃんはからかっただけなのに赤くなっちゃってさ」フフッ

善子「あ、あれは……」

曜「善子ちゃんって、ああいうカッコいい人がタイプなの?」

善子「えっ?」

曜「ほら、私のお母さんにもドキドキしてたじゃん? 娘の私が言うのもアレだけど、お母さんってカッコいい方だし」

善子「……」

曜「去年の私もカッコよく見えたかな?」

善子「見えた……わよ?」チラ

曜「そっか」エヘヘ

善子「今はそうでもないわね」

曜「そっか……」シュン

善子「冗談よ」

曜「ううん。私ですら果南ちゃんはカッコいいと思うもん」

善子「……」

曜「私が女の子だったら惚れてたかもなぁ」アハハ

善子「……そうね」

曜「いや、そこは『曜さんも女の子じゃん!』って突っ込んでよ」

善子「果南さんを男の子みたいに言った方じゃなくて?」

曜「あ、そっち……」

善子「ああ見えて可愛いところもあるのよ」

曜「それは私も知ってるよ。ご当地キティちゃんのキーホルダー集めてたりね」



163: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:06:57.16 ID:mc7jjdA4.net

善子「可愛いわね」フフッ

曜「同じのばっかり何個もあるんだよ」アハハ

善子「果南さんらしいかも」

曜「私、果南ちゃんのお店手伝おうかな」

善子「え?」

曜「果南ちゃんも私とならいいよって言ってくれるんじゃないかな」

善子「……」

曜「あ、善子ちゃんもやる? 私は大歓迎だよ」

善子「いいわよ、私は」

曜「そっか……。じゃあ遊びに来てね」

善子「……」

曜「さてと。いつになったら飲ませてくれるのかな」

善子「あ、すっかり忘れてたわ」

曜「せったくの出来立てが冷めちゃうよ」

善子「出来立てとか言わないで」

曜「飲んでいい? 飲んでいい??」

善子「いいわよ」スッ

曜「ありがと! 善子ちゃん大好き!」チュル

善子「……」

チュルッ

曜「あぁ……」

善子「早く飲みなさいよ」

曜「ゆっくり味わってるんだよ」

チュルッ

善子「そんなに美味しい?」

曜「善子ちゃんも飲む?」

善子「飲まない」

曜「そう……」

チュルッ

善子「本当に好きなのね」



164: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:07:30.89 ID:mc7jjdA4.net

曜「好きだよ」

チュルッ

善子「私よりも」

曜「その質問はいじわるかな」

チュルッ

善子「……」

曜「心配しなくても善子ちゃんのことは」

チュルッ

曜「大好きだからね」フフッ

善子「おしっこ飲みながら言われてもね……」ハァ

ゴクッ ゴクッ

曜「ぷっはぁー! 美味しいよ善子ちゃん!」

善子「ど、どうも……」

曜「キスしてもいい?」

善子「嫌よ!! 何で私のおしっこ飲んだばっかりの曜さんと!」

曜「そんなこと言わずにさぁ」グイ

善子「本当に嫌!」バシッ

曜「っ……」

善子「ご、ごめんなさい。そんなに強く叩いたかしら」

曜「善子ちゃん、自分がどういう状況か分かってないみたい」

善子「は?」

曜「ここは密室だよ。ドアには鍵も掛かってて逃げる場所なんてどこにもない……」

曜「こんな狭い空間に二人きりにして、こんないい匂い嗅がせてさぁ」

曜「おまけにおしっこまで飲ませちゃうんだよ……?」

善子「えっと……曜さん?」

曜「我慢できなくなっても仕方ないよね……」スッ

善子「ひゃっ……」ビクッ

曜「こんなの善子ちゃんの方から誘ってるのと同じだよね?」サワッ

善子「わ、私……」



165: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:08:06.49 ID:mc7jjdA4.net

曜「……」

善子「……」ドキドキ

曜「なーんてね! ごちそうさま」ガチャ

善子「え……?」

曜「もし本当に襲ったらどうするの?」アハハ

善子「……」

曜「今日はもう帰るよ。ママはまだ戻ってきてないみたいだけど……」

曜「あっ、メールしとこうかな。善子ちゃんなら戻ってきましたよって」スッ

善子「……」

曜「アドレス聞いてなかった。電話にしよう」スッ

プルル

善子ママ『もしもし、曜ちゃん?』

曜「はい。善子ちゃん帰ってきましたよ」

善子ママ『そう? 私も買い物したら帰るわね』

曜「お買い物してたんですか」

善子ママ『ええ。晩ごはんの材料を買いに』

曜「私も行きたかったな」

善子ママ『曜ちゃん、お腹の調子は大丈夫?』

曜「大丈夫です。すみません心配かけて」

善子ママ『ううん。あまり冷たいものを食べ過ぎちゃダメよ』

曜「何でそのことを」

善子ママ『冷凍庫に買った覚えのないアイスがたくさんあったから』

曜「勝手に食べてませんよね?」

善子ママ『食べないわよ。善子じゃないんだから』

曜「えっ」チラッ

善子「食べてないわよ。そもそもアイスがあったことすら知らないもの」

善子ママ『善子、そこにいるの? ちょっと代わって貰ってもいいかしら』

曜「私とお喋りするより娘の方がいいんですね。ふーん?」

善子ママ『いじわる言わないで』

曜「えへへ。冗談です」スッ



166: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:08:35.51 ID:mc7jjdA4.net

善子「……」

善子ママ『善子?』

善子「何よ」

善子ママ『今日、テストが返ってきたんでしょう。ちゃんと復習しておくのよ』

善子「……そんなことわざわざ言いに?」

善子ママ『そんなことって……。どうせ善子のことだもの、今回も悲惨な点数だったんでしょう。毎回同じことを繰り返してたら本当に留年しちゃうわよ』

善子「うっ……」

善子ママ『曜ちゃんにだって嫌われちゃうかも』フフッ

善子「……」

曜「ならないよ」

善子ママ『曜ちゃんもよ。あんまり善子を甘やかさないであげて』

曜「で、でも今回は善子ちゃん、点数よかったし……」

善子ママ『あら、何点くらい取れたの?』

善子「……」

曜「えっとね、確か……」ガサゴソ

善子「また後で」ピッ

ツーツー

曜「あれ? どうして電話切っちゃったの」

善子「別にいいでしょ。電話で話さなくても」

曜「せっかく今回はいい点数だったのに」

善子「……」

曜「不正なんかじゃないよ。善子ちゃんが努力した結果なんだから」

善子「そういうことじゃないわ」

曜「どういうこと?」

善子「……」

曜「もしかしてこの点数じゃ不満?」ペラッ

善子「……」

曜「総合評価は『A+』。『S』よりは下だけど十分いい成績だと思うよ」

曜「見てよ私なんて」ペラッ

善子「『D―』ね。まあ、そんなものだわ」



168: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:10:06.48 ID:mc7jjdA4.net

曜「いつもは『F』だからこれでもかなりいい方だね」

善子「私も似たようなものよ。たまに『E』が間違って入ってるくらいで」

曜「ねぇ知ってる? 『F』が何のFなのか」

善子「え? アルファベット順に『E』の下だからでしょ」

曜「不合格のFだよ」

善子「ん?」

曜「『ふ』のFだよ」

善子「FaultのFね」

曜「ふぉる……何だって?」

善子「フォルトよ。意味は短所、欠陥、誤り、過失、罪」

曜「私ってそんなにダメ人間かな」シュン

善子「違うわよ。単語としての意味を言っただけ」

曜「善子ちゃん、英語できたっけ? そんなにスラスラ単語の意味言えた?」

善子「曜さんのおかげでね」

曜「あぁ、私と勉強したんだっけ」

善子「英語の問題にも出てきてたわ……ほら」ペラッ

曜「えーなになに?」ジー

善子「英文和訳問題に使われてる」

曜「読める?」

善子「読めないの? これ一年生の範囲よ」

曜「『It's your fault.』意味は……」

曜「『善子ちゃんが悪いんだよ? 私におしっこなんて飲ませるから……♡』ドキドキ」

善子「……」

曜「正解?」

善子「曜さんの答案見せなさい」サッ

曜「突っ込んでよ」

善子「変なこと書いてないでしょうね……?」ジー

善子「『それはあなたの欠点ですね』か。まあ直訳すればそんなものよね」

曜「よく見て。端っこに小さく続きが書いてある」スッ

善子「ん……?」ジー



169: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:10:55.58 ID:mc7jjdA4.net

曜「『でも私はそんなところも好きです』」

善子「何これ」

曜「いや、いくら何でも酷い例文だなって思ってさ」

善子「余計なこと書くと不正解にされるわよ」

曜「だって……」

善子「変なところ優しいんだから」フフッ

曜「でも善子ちゃんはそんなところも好きでしょ?」

善子「ええ」

曜「ありがと」エヘヘ

善子「……」

曜「ドヤ顔善子ちゃんを見ておいて悪いんだけど、FはたぶんFailureのFだね」

善子「何?」

曜「フェイラー。……で合ってるかな? 発音には自信がないからごめんね」

善子「失敗とか落第ね。もちろん知ってるわよ」

曜「またまたー。後から実は知ってましたって言うのはいちばん恥ずかしいパターンだよ」アハハ

善子「このテスト、評価と一緒にコメントがついてるじゃない?」

曜「え? うん。善子ちゃんはどんなこと書かれたの?」

善子「私が曜さんにF評価をつけるなら、意味はフォルトにするわ」

曜「私ってそんなに罪深いかな」

善子「ちゃんとコメントに書いてあげるわよ」

善子「『そんなところも好き』って」

曜「……」

善子「何よ」カァアア

曜「私だったら善子ちゃんには文句なしのS評価をつけちゃうよ」

善子「特別のS?」

曜「好きのS」

善子「頭悪そう」

曜「酷い」

善子「ちなみに曜さんはどんなこと書かれたのよ」

曜「『去年の復習はしっかりできていますね。この調子で頑張りましょう』だってさ」



170: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:11:31.25 ID:mc7jjdA4.net

善子「よくその点数でここまでポジティブなコメントが書けるものだわ」

曜「褒めて伸ばすタイプなんだね」

善子「私は……『素晴らしい! かなり高得点です。次は必ず満点を取れますよ』だって。無責任ね」

曜「かなりこ?」

善子「は?」

曜「何でもない。べた褒めだね」

善子「これでも精一杯頑張ったのにさらに頑張れって? 勘弁してよね」

曜「……」

善子「って、ごめんなさい。私がこんなこと言ったらダメか」

曜「今回は業者のテストだったけど、次はまたいつもの中間期末だよね」

善子「そうね。半分も内容が同じなんてことはないから」

曜「今回ほどは取れないかもね」アハハ

善子「ええ。今回はたまたまよ」

曜「私も次回は……」

善子「私のことなんて気にせず自分の範囲を勉強してね」

曜「一人で?」

善子「一緒にするだけならいいわよ」

曜「内容は別々なのか……」

善子「それは仕方ないわね。学年が違うんだもの」

曜「ま、まあ来年は私が留年してるかもしれないしね?」

善子「それを言ったら私だってしてるかも」

曜「……」

善子「曜さん、私のために自分の勉強捨てたでしょう」

曜「そんなことないよ。善子ちゃんと一緒だから頑張れただけで」

善子「次はそんなことしないでよね」

曜「善子ちゃんが知らないだけで、去年の私は優等生だったんだから」

善子「……」

曜「本当だよ?」

善子「本当に嘘が下手ね」ハァ

曜「赤点回避が目的だったんだよ。それは十分達成できたじゃん」



171: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:12:12.47 ID:mc7jjdA4.net

善子「曜さん、本当は頭がいいんでしょう」

曜「そうだよ。善子ちゃんを好きになるくらいには」

善子「……」

曜「もっと自信を持って」

善子「いや、曜さんの話をしてるんだけどね?」

曜「私は……」

善子「どうしていつも本気でやらないのかしら」ハァ

曜「本気だよ。好きなことに対しては」

善子「何に対してもよ」

曜「……」

善子「どうしてやる前から諦めちゃうのよ」

曜「無駄な努力はしたくないんだ」

善子「無駄なの?」

曜「赤点さえ取らなければそれでいいよ」

善子「……」

曜「今はもっとやりたいことがたくさんあるからね」

善子「例えば?」

曜「それはもちろん善子ちゃんでしょ? あとはスクールアイドルでしょ? それから……」

善子「もう少し自分のことも考えなさいよ」

曜「……」

善子「ごめんなさい。偉そうなことを言って」

曜「先生みたいなことを言うんだね」

善子「先生にも言われたの?」

曜「うん……」

善子「私以外から見てもそうってことは、たぶん本当にそうなのよ」

曜「みたいだね」アハハ

善子「自己犠牲も程々にしないと、いつか本当にダメになっちゃうわよ」

曜「前にも言ったでしょ。ただの自己満足なんだから放っといてよ」

善子「自己満足で体まで入れ替わる?」

曜「それは自分欲求を満たしたくて……つい」



173: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:13:49.66 ID:mc7jjdA4.net

善子「……」ジー

曜「飲んだよ!」

善子「飲んだの!?」

曜「……」チラ

善子「まあ、どうせそんなことだろうと思ったわ」ハァ

曜「美味しくなかったよ」

善子「聞いてないわよ」

曜「ううん。美味しかったけど、いつもよりは美味しくなかった」

善子「あっそ」

曜「善子ちゃんのおしっこなのに、いつものとろけちゃいそうな深みがなくて……」

善子「うぇ……」

曜「やっぱり私、善子ちゃんじゃなきゃダメなんだよ」

善子「その言葉、おしっこのくだり以外で聞きたかったわ」

曜「え? いつでも言ってあげるよ。善子ちゃんじゃなきゃダメ」

善子「もういいわよ」

曜「信じてないなー?」

善子「本当、曜さんって私のおしっこのためなら何でもしそうね」

曜「するよ」

善子「お願いだからやめてよね」

曜「私だって嫌がる善子ちゃんから無理やり飲ませてもらうつもりはないよ」

善子「そう。それを聞いて安心したわ」

曜「ただの一度だって私が善子ちゃんの嫌がることしたっけ?」

善子「ん??」

曜「しました」

善子「そうよね。反省してもらわないと困るわ」

曜「むしろ嫌なことばっかりしてるよね私」

善子「自覚があるならやめてくれない?」

曜「うん……」

善子「……」

曜「ごめんね?」



174: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:14:38.24 ID:mc7jjdA4.net

善子「本当に悪いと思ってる?」

曜「思ってるよ。善子ちゃんは私なんかにおしっこを飲ませたくないんだよね」

善子「曜さんだから飲ませたくないわけじゃないわよ」

曜「おやすみのキスもしたくないよね」

善子「それは別に」

曜「お風呂も一緒に入りたくないよね……」

善子「……」

曜「毎日のように家に押し掛けられるのも嫌かな」

善子「来月から曜さんのお母さん、帰りが早くなるんでしょう? お母さんのためにも家に居てあげなさいよ」

曜「お母さんもこっちへ帰ってくればいいんじゃないかな?」

善子「住まないで」

曜「今度さ、善子ちゃんとママで泊まりにおいでよ。きっとお母さんも喜ぶと思うな」

善子「そうね、考えておくわ」

曜「じゃあ今日はこれで。たまには私のいない寂しい夜を過ごすのもいいかもね」アハハ

善子「曜さんこそ一人じゃトイレ行けないんじゃない?」フフッ

曜「寂しかったらいつでも電話していいから」

善子「ええ」

曜「じゃ、ママによろしく」ノシ

善子「気をつけて帰るのよ」ノシ

ガチャ

バタン

善子(……)

善子(思ったより素直に帰っていったわね)

善子(お母さんが帰ってくるの、実は嬉しかったりして)フフッ

……

……

 夜

 曜の家

ガチャ

曜ママ「ただいまー」



175: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:15:13.49 ID:mc7jjdA4.net

「お帰り」

曜ママ「ごめんごめん。結局帰らせてもらえなくてさ」

曜「日付が変わる前だもん、早い方だよ」

曜ママ「こんな時間まで起きて待っててくれなくても」

曜「……」

曜ママ「ううん。ありがとね」

曜「別にお母さんの帰りを待ってたわけじゃないよ」

曜ママ「あはは、そっか。たまたま起きてただけか……」

曜「お風呂、追い焚きしてくるね。疲れたでしょ?」スタッ

曜ママ「うん……」

曜ママ(曜、眠そうな顔してた……)

曜ママ(……)

曜ママ(でも、来月からはもう少し早く帰れるし……そうしたら)

曜ママ(……)

曜ママ(曜も喜ぶかな)フフッ

「何一人で笑ってるの。気持ち悪いな」

曜ママ「ううん。さて、今日のご飯は何かなー?」

曜「食べてばっかりだね」フフッ

曜ママ「曜の料理は美味しいもの」

曜「太ったらごめんなさい」

曜ママ「善子ちゃんと付き合い始めてからますます上手になったよね?」

曜「そうかな? だといいんだけど……」

曜ママ「本当、いつかお店出したら? 私なら毎日でも通っちゃうけどなー」

曜「ありがと。考えておくね」

曜ママ「私も少しは頑張らないとかな」

曜「料理以外でお願いね」

曜ママ「どうして? 私の料理が美味しくなったら嬉しくない?」

曜「また引っ越しは嫌だよ」

曜ママ「……」

曜「ごめん」



177: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:16:55.94 ID:mc7jjdA4.net

曜ママ「じゃ、じゃあ料理は曜に任せるとして。私は何を頑張ろうかな」

曜「十分頑張ってくれてるよ」

曜ママ「家に帰ったら食べて飲んで寝るだけだよ? 料理も洗濯も掃除もみんな曜にやらせてさ」

曜「私にはこれくらいしかできないもん」

曜ママ「私にだって……仕事くらいしかできないよ」

曜「いいじゃん。私はお母さんと違って勉強できないからきっと仕事も」

曜ママ「曜はいいお嫁さんになれるよ」

曜「お嫁さんかぁ」

曜ママ「ま、そのうちいい人が必ず現れるから……それまでは一人で頑張るんだね」ポンポン

曜「お母さんはどうしてお父さんと結婚したの?」

曜ママ「え? 何でかな。忘れちゃった」アハハ

曜「真面目に答えてよ」

曜ママ「……」

曜「ほとんど家に帰ってこないし……私なんて顔もはっきり思い出せないくらいなのに」

曜ママ「そっか……曜はまだ」

曜「お母さん、今でもお父さんのこと好き?」

曜ママ「何言ってるの。そんなの当たり前じゃない」

曜「……」

曜ママ「きっとお父さんも、私や曜のこと大切に思ってくれてるはずよ」

曜「そうかな」

曜ママ「どうしてそんなこと急に?」

曜「お母さん、指輪してないなって」

曜ママ「……」

曜「仕事で邪魔なのかな」

曜ママ「そ、そうね。書類に引っかかったりして困るから外してるの」

曜「そっか。てっきりお父さんのこと嫌いになったのかと思ったよ」アハハ

曜ママ「今でも大好きよ」

曜「それなのにママと浮気してるんだね」

曜ママ「え?」

曜「善子ちゃんのお母さんと」



178: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:17:30.05 ID:mc7jjdA4.net

曜ママ「……」

曜「お父さんが聞いたら悲しむんじゃないかな」

曜ママ「曜は私と善子ちゃんのお母さんが付き合うこと、反対?」

曜「ううん」

曜ママ「ならいいじゃない」

曜「私もね、善子ちゃんのことは世界でいちばん大好きだよ。でもみんなのことも好き」

曜「って言うとね、善子ちゃん嫌な顔するの」

曜「何でだろう? 善子ちゃんがいちばんなのは本当なのに」

曜ママ「……」

曜「お母さんは誰がいちばん好きなの?」

曜ママ「わ、私は……」

曜「お父さん? 善子ちゃんのママ?」

曜ママ「……」

曜「それとも……私?」

曜ママ「曜かな」フフッ

曜「真面目に答えて」

曜ママ「冗談のつもりはなかったんだけど。曜のたった一人の親として私は大切に……」

曜「え?」

曜ママ「だから、いちばん大切なのは曜。娘だもの、当然でしょ?」

曜「……」

曜ママ「どうしたの? 急にそんなこと聞くなんて。善子ちゃんと何かあった?」

曜「善子ちゃんはね、私に善子ちゃんだけを見てほしいって思ってるみたい」

曜ママ「そうよね。曜が善子ちゃんのお母さんに抱きつくと目を逸らすもの」

曜「たぶん本当に嫌なんだね」

曜ママ「他の人に抱きつくのやめてあげたら?」

曜「善子ちゃん以外を嫌いになれって?」

曜ママ「何でそうなるの。抱きつくのをやめればそれでいいじゃない」

曜「抱きつかなくてもだよ。私が誰かと笑うだけで、善子ちゃんは寂しそうな顔するし」

曜「私のこと好きでいてくれるのは嬉しいよ? でもさ」

曜「私は善子ちゃんだけじゃなくて、みんなのことも好きなんだよ」



179: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:18:25.01 ID:mc7jjdA4.net

曜ママ「……」

曜「これってそんなにおかしいことかな?」

曜ママ「曜は優しい子に育ったわね」

曜「きっとお父さんに似たんだね」アハハ

曜ママ「何よ、私は優しくない?」

曜「もっと優しくしてくれてもいいよ?」

曜ママ「……曜って甘やかすとすぐ調子に乗るから」

曜「むぅ」

曜ママ「お腹空いちゃった。まだ食べさせてくれないの?」

曜「私に『あーん』してほしいの?」

曜ママ「違うわよ。してくれてもいいけど」

曜「そういうのは好きな人としてね」

曜ママ「曜ってどうしてこんないじわるな子に育っちゃったのかしら」ハァ

曜「お母さんに似たんだね」

曜ママ「うっ」

曜「今用意するから待ってて」スタッ

曜ママ「……」

……

……



180: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:19:46.58 ID:mc7jjdA4.net

 翌朝

 曜ママの部屋

コンコンッ

「入るね……」

ガチャ

曜「うわ、またお母さんったら……」

曜ママ「ぐぅ……」

曜(まあ、休みの日くらい寝かせてあげようっと)

曜「風邪引くよ? ちゃんと布団かけてね」ファサッ

曜ママ「むにゃ……」

曜「私は出かけちゃうけど、ご飯机の上にあるから食べてね」

曜ママ「すや……」

曜「お疲れ様」ナデナデ

曜ママ「う……」

曜「私も大きくなったらお母さんみたいになれるかな」

曜ママ「……」スー

曜「お母さんみたいに……」

曜「……」

曜「行ってきます」

……


ダイエット編 終わり



182: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 20:32:33.04 ID:nVN7MwRb.net

おつおつ
溜めに溜めたおしっこみたいな量のボリュームに毎回圧倒される



184: 名無しで叶える物語 2018/03/10(土) 21:13:12.62 ID:mc7jjdA4.net

レズありがとうごさいます

ようよし→ママたちの呼称について混乱している人もいそうなのでまとめておきます

曜→曜ママ お母さん

曜→善子ママ ママ、善子ちゃんのママ、善子ちゃんのお母さん

善子→曜ママ 曜さんのお母さん、曜さんのママ

善子→善子ママ ママ、私のお母さん、私のママ

善子ちゃんは元々善子ママのことをあまり良く思っていなかったのでお母さん呼びでしたが、曜ちゃんのおかげで打ち解けてから(かなり序盤の方、たぶん最初のスレ)ママ呼びになっています

曜ちゃんは善子ちゃんが善子ママのことをママと呼ぶので自分もそう呼んでいます
(本当のママのように慕っているというのもあります)
自分のお母さんのことは恥ずかしいからかややこしくなるからかお母さん呼びです

善子ちゃんは「私の」「曜さんの」と区別して呼んでくれますが曜ちゃんは「ママ」「お母さん」で呼び分けているので分かりにくいかもしれません



元スレ
曜「善子ちゃんをくすぐり続けたら失禁した」その4
http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1520662630/