1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 17:58:59.48 ID:BZwcnOzA0

それは夏休みも終わり、ようやく少し涼しくなりはじめた頃。
でもまだ暑い日。

「うぅ、暑い。今年はこれでアイス何個目でしょうか」

木陰のベンチにすわりつつアイスを頬張る少女が一人。

「待ち合わせの時間は、っと。」

彼女は人を待っている、現在の時刻は10時17分。

「遅いなぁ、もう。待ち合わせは10時なのに。」

台詞と共に立ち上がり、携帯電話のメールの確認をする。
温厚そうな少女だが、苛立ちは隠せないようだ。
その背後からひっそり忍び寄る少女がもう1人。

「……おーーまーーたーーせーー!!」

後ろから現れた少女により、待ちぼうけを食らっていた少女のスカートが捲られた。



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 18:02:40.12 ID:BZwcnOzA0

「な、な、な、何するんですか!佐天さん!!」

「いやー、今日も絶景絶景!!初春おまたせー」

「遅れてきて何やってるんですか!もう!!」

「ごめんごめん、ちょっとあってさー。でもいい加減学習しなよー。」

「佐天さんこそいい加減子供っぽいことやめてください!」

ぴょんぴょん跳ねて怒りをあらわにしている少女の名前は、初春飾利。
学園都市の秩序を守る『風紀委員』の一人で、その頭には不自然なくらいの花が携えてある。
もう一方の少女の名は、佐天涙子。
初春とは同じ中学校に通っており二人とも一年生で親友同士。

佐天「あーー、一人でアイス食べてずるいー」

初春「佐天さんがこの暑い中、あんまり待たせるからですよ。」

佐天「ごめんねー、まあ早くいこーよ」

よくあることなのかさっきの出来事はお互いに気にしていないようだ。
突然のハプニングに周囲の人々もあっけをとられていたが、
(水玉かぁ)(朝からいいもん見た)などと思考した後、思い思いに動き始めた。




10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 18:04:54.71 ID:BZwcnOzA0

初春「で、どこに行くんでしたっけ?」

佐天「えっ?」

初春「えっじゃないですよ、佐天さんが『あの新しくオープンしたカフェに行きたい』って言ったんじゃないですか!」

佐天「あっ、そうだったねー」

初春「もしかしてお店の場所調べてないなんて事はないですよね?」

佐天「……まあ、大体の場所は分かるから適当に歩いていれば見つかるよー、あはははー。」

ぶつぶつ言いながらも二人の少女は歩きはじめた。




11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 18:09:07.24 ID:BZwcnOzA0

佐天「なんとか着いたねー」

初春「誰かさんが下調べしていたらもう少し早くついたと思いますけどね」

佐天「細かいことは気にしないのー、ささ早く入ろー」

街を彷徨い十数分、二人は目的地にようやくたどり着いた。
近代的でおしゃれなデザインの店で、いかにも女の子が好きそうな店だ。
しかし、入り口にはなんというか、特徴的なキャラクターが飾られている。
そして、これはどうやらこの店のマスコットキャラクターらしく、
机や壁など、いたるところに散りばめられている。
その存在が店の雰囲気を幼稚なものにしていた。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 18:12:30.25 ID:BZwcnOzA0

佐天・初春「……」

初春「なんだか」

佐天「誰かさんがすきそうなお店……」

初春「ですねぇ」

佐天「想像してたのとはちょっと違うかな」

初春「でもせっかくですし、入りましょうよ」

佐天「だねー」


二人の入店直後。また新たに少女が来店した。




15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 18:15:22.90 ID:BZwcnOzA0

「あったあった、ここよ!(わーーーー想像してたとおり可愛いーー//)」

「珍しく誘いを受けたかと思えば、またこんな子どもっぽい店、」

「いい加減に、このような趣味から卒業されたらいかがですの?」

「失礼ね!私はここのパフェを楽しみにしてたのよ(あっ、壁にゲ○太!!机にもーー///)」

先に到着した少女の名は『御坂美琴』学園都市の超能力者7人の内の第3位『超電磁砲』。可愛いものに目がない。中学二年生。
後着の少女の名は『白井黒子』初春飾利と同じく『風紀委員』であり『空間移動』の大能力者。変態。中学一年生。




16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 18:22:04.42 ID:BZwcnOzA0

御坂「意外と空いてるわね、オープンしたてなのに。」

白井(そりゃこんな子どもっぽいデザインばかりでしたら当たり前ですわ。子どもか物好きくらいしか来ませんわよ。)

その時、店内を見渡していた御坂が先ほどの二人に気付く。

御坂「んっ?と、あれは……初春さんと佐天さんだ!おーい」

白井「……!!」



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 18:28:31.82 ID:BZwcnOzA0

既に着席していた二人が気付く。

佐天・初春「あっ、御坂さん!!」「あっ、白井さん」

佐天「噂をすればなんとやら」ボソボソ

初春「ですね」ボソボソ

佐天「よかったらご一緒しませんか?」

白井「!!(こんな店でもお姉さまとのデートを邪魔されるわけにはいきませんの!!)」

白井「二人を邪魔しちゃ悪いですわ、ですのでお姉さm」

御坂「いいのー?ありがと。じゃ遠慮なく」

白井黒子の望みは儚く散った。




18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 18:40:47.16 ID:BZwcnOzA0

白井「コホン!ところで二人はどうしてこの店に?」

御坂「もしかしてとは思うけどゲ○太目当て?」

佐天「そんなわけないじゃないですか!」キッパリ

御坂「(ズキッ!)だ、だよねー。」

初春「あ、あははは……」

佐天「新規オープンだから来てみたんですよー」

御坂「私達も似たようなものよ、パフェがおいしいらしいの(あっここにもゲ○太////)」

三人(丸分かりだなー(ですの))



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 18:55:07.48 ID:BZwcnOzA0

女性が集まると、それだけで話が進む。
この日の彼女達も例外なくそうだった。
生憎、パフェは美味しくなく、御坂を中心に微妙な雰囲気が流れることもあったが

御坂(パフェの話、口からでまかせだったけど、ばれてないよね?)

他三人(ヒソヒソ~やっぱり、でたらめ……本人傷つくから触れないでおこう~ヒソヒソ)

という風に丸く収まっていた。
そして気付けば時刻は正午を回っている。

御坂「あら、もうお昼みたい。ぜんぜん気付かなかったわ」

初春「そうですね、そろそろでましょうか?」

佐天「だねー、でも出てからどうしよっかー?食べたばかりでお腹もすいてないし」

白井「(これ以上邪魔されてはたまりませんの!!)でしたら、今日は解散にしまs」

御坂「じゃあゲーセンでも行こっか?」

白井黒子の願いは再び散った。




28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 19:59:00.43 ID:BZwcnOzA0

ゲーセンで遊んだり買い物をしたりと、少女達の日常は過ぎていき、
日が傾き始めた。

白井「そろそろ帰りませんこと?門限もありますし。」

御坂「そうねー寮監怖いし」

初春「じゃあ、お開きにしましょうか。今日はおかげさまで楽しかったです。」

佐天「でもでも、途中まで帰り道一緒ですよね?一緒に帰りましょー」

御坂「だね、じゃあいきましょう!」

白井「……(もう、どうでもいいですわ)」

白井「っと?あれは……?」




31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 20:12:17.86 ID:BZwcnOzA0

白井の目に入ったのは前方から近寄る男子学生。
ボサボサの髪型と幸薄そうな外観。見覚えがあった。

白井(あれは!あの類人猿をこれ以上お姉さまに近寄らせるわけにはいきませんわ)

しかし白井が行動を起こす前に、双方の距離は既にお互いを十分認識出来るほど近づいており、

御坂・男子学生「あっ」

白井黒子の目論みは三度散った。



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 20:28:19.68 ID:BZwcnOzA0

男子学生の名は『上条当麻』その右手にあらゆる異能の力を打ち消す『幻想殺し』を持つ。その所為か不幸体質。高校一年生。

上条・御坂「あっ」

御坂「アンタ、なんでこんなところにいるのよ!?」

上条「なんでって、街歩くのに理由が要るのかよ」

御坂「いや、……そんなことは……ないんだけど……//」

白井(非常にまずいですわ、どうしましょう……イライラ)

佐天「……」

初春「二人はお知り合いなんですか?」興味津々

御坂「ただの知り合いよ!そうよ、ただの知り合いなだけなんだから」

上条「なにムキになってるんだ?まあ上条さんにもいろいろあって知り合いなわけですよ。」

上条「ところで、君はなんか見覚えが」

初春「?」




35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 20:40:35.46 ID:BZwcnOzA0

上条「そうだ!その髪飾り、見覚えがっ!朝の水玉のパンツの……っ」

初春「え??え~~~////////」

上条「ってヤバッ!!!」

御坂「アンタ、初春さんに、」

白井「お姉さまだけでは飽き足らず、私の友人の初春にまで」

御坂・白井「なにやってんのよ!!!(ですの!!!)」

御坂の手から電撃が飛ばされ、白井は近くの石を空間移動した。
いずれも標的は上条当麻。彼は避ける間もなくそれらに直撃。

「とうま大丈夫?」

上条の隣にいたシスターが声をかける。
実は白井が上条を認識したときから隣にいたのだが、(作品的な)存在感がなかったので誰も気付かなかった。




37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 21:01:57.58 ID:BZwcnOzA0

「とうまになんてことするの!いきなりひどいんだよ」

そのシスターの名は、インジェクト?だか、インデペンデンス?だったか。とりあえずイン何とかであることは間違いない。

御坂「そ、ソイツが初春さんを襲ったんだから仕方ないじゃない!」

白井「『風紀委員』として犯罪行為を見逃すわけのはいきませんわ(今までの恨み、晴らさでおくべきですか)」

イン?「とーうーまーー?本当にそんなことしたの?本当だったら許さないんだよ!?」

上条「……(うっ、殺される。でもどう説明したものか……)ち、違うんだよ!!」

御坂・白井・イン?「問答無用(よ)(ですの)(なんだよ)!」

上条「や、辞m」

佐天「ままま、待ってください!!違うんです!//」

三人「っ?」

止めるのが少し遅かった。



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 21:20:57.33 ID:BZwcnOzA0

横たわる上条を尻目に、佐天が事情を説明する。

佐天「かくかくしかじか……で、私の……その、いつもの癖で(ry」

初春「////」

イン?「はやとちりしちゃったんだよ。でもトウマの普段の行動が悪いんだよ」

御坂「そうよ、まったくそのとおりだわ!」

白井「むしろ、このくらいで済んだことを喜ぶべきですわ。これを機会に反省なさいな」

上条「ふ、ふ、不幸だあぁぁぁぁぁぁぁーー」



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 21:29:41.52 ID:BZwcnOzA0

佐天「私のせいでこんなことになって……その、すみませんでした!」

上条「ああ、いいって。気にするなよ。いつもの事だから。」

イン?「とうまー、もう行くんだよ!今日は罰として豪勢なご飯にするんだよ」

上条「えっっちょっと待てって?わーーー」

御坂「行っちゃた……。」

白井「やれやれ、散々な一日ですの。全く。」

初春「佐天さんが悪いんですからね、もぅ」

佐天「……////」

白井「……(これは??もしかして)」




46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 21:41:47.85 ID:BZwcnOzA0

その日の夜。各人の部屋にて。

上条(疲れた。いつもながら不幸だーー)

御坂(アイツがこれ以上他の女の子に手を出す前に何とかしないと……)

イン?(今日も美味しいご飯で幸せなんだよ)

初春(うぅ、男の人に見られちゃった。佐天さんのばかぁ//)

白井(散々な一日でしたけど、最後の佐天さんの態度……あれは使えるかもしれませんわ)ニヤリ

佐天(……とうまセンパイ……かぁ。)

六者六様の想いが交差するとき、物語は始まる!!!




54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 22:59:00.85 ID:BZwcnOzA0

出会いの日から三日。

上条当麻は普段どおりの日常を謳歌していた。

謳歌しているとはいっても、彼の日常は普通の男子学生のものとは少々事情が違ったりする。

夏休み中にいろいろあって宿題が終わってなかったり、

ベランダに女の子が降ってきて、なんだかんだで記憶を失い居候されたりなど。

イン?「とうまー、お腹がすいたんだよ」

上条「一人暮らしの男子学生の家に女の子がいるなんて、普通じゃないよなあ」

夏休みが終わってふと考えてみると、自分がいかに『普通』と離れているか彼は改めて実感した。



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 23:05:52.51 ID:BZwcnOzA0

イン?「お腹がすいたって言ってるんだよ!!」

上条「普通の生活ってやつにあこがれるぜ。まったく」

上条(っていっても、『普通の生活』をしていたときの記憶が無いんだよな)

上条「上条さんの人生もつくづk」

イン?「お腹がすいたんだよ!!!無視しないでーー」ガブリ

上条「不幸だあぁぁぁあーー」




56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 23:10:37.43 ID:BZwcnOzA0

ところ変わって。

佐天「はぁ……」

初春「最近どうしたんですか?佐天さん、元気ないですよ」

佐天「え!?……元気ないって?アタシが?そんなこと無い無い、あるわけ無いってーー」

初春「そうですか?なんかどう見ても……」

佐天「しつこいなーー、えいっ!!」

初春のスカートが三日前と同じように捲られる。



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 23:19:05.39 ID:BZwcnOzA0

そのことを巡り同じやりとりの繰り返し。これが彼女達の日常だ。

初春「うぅ~~佐天さんひどいです。この前なんて男の人に見られたじゃないですか~」

初春(そういえば三日前。それからだよね、佐天さんが元気ないの……)

佐天「……細かいことは気にしないの!!」

佐天「それに、元気ないなんて気のせいだってー。あ、でもちょっと風邪気味かも。最近夜寒いしー」

初春「……それだけならいいんですけど」

初春(佐天さんの友達として、ここは私が何とかしないと!!でも原因が分からないことには……)

初春(原因は……まさかね。いや、でも、もしかして……)



60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 23:25:31.36 ID:BZwcnOzA0

さらに舞台は転換する。

白井「うーん…………うーーん」

白井黒子はうなり声を上げて悩んでいた。

普段なら『お姉さまをどう襲うか』とか『次はどの下着がいいか』とか、

そういういかがわしい事ばかりを考えているが、今は違う。

三日前の佐天涙子の態度の事だ。




61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 23:32:43.89 ID:BZwcnOzA0

白井(普段の佐天さんとは明らかに違っていましたわ。)

白井(やはりあれは……しかし確信もありませんし……)

白井(ここは初春と連絡を取って確認してみるしかありませんわね)

白井(すべては私とお姉さまのため!!!)

ルームメイトの御坂美琴は、そんな白井の様子をずっと眺めていた。

御坂(……またろくでもないこと考えてるわね。)

その予想は、まあ大体合っている。御坂美琴にとっては、だが。



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 23:41:29.83 ID:BZwcnOzA0

翌日。初春飾利は佐天涙子を映画に誘っていた。

普段は『風紀委員』の仕事もあるため、そういうイベントに誘うのは佐天のほうが多く、

当の誘われた佐天は驚きながらも二つ返事で了承した。

佐天「それにしても珍しいねー、初春から映画のお誘いなんて」

初春「ふふ~ん、たまにはそういうこともありますよ」

佐天「ところで、どんな映画なの?」

初春「佐天さん知ってるかなあ~?『アレ』なんですけど」

彼女の指差す先には映画のポスターがあった。

佐天「コテコテの恋愛物って前評判のアレだよね!?どうしたのよ、恋でもしてるの初春?!」

初春(それはこっちの台詞なんですが……)



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 23:50:15.50 ID:BZwcnOzA0

初春「『風紀委員』の間で噂になっていたんで、私も波に乗ろうかなって思ったんですよ~」

佐天「そうなんだ、噂になるくらい……ちょっと楽しみかも!!」

初春はなんとかごまかすことに成功し二人はポップコーン片手に映画館へ入っていった。

そこは、かなりの人だかり。

佐天「うわー、さすがは『噂』になっているだけあるねー」

初春は一瞬ドキッとしたが、

初春(これぞ、嘘から出た誠かな~。逆に良かったかも。)

好都合だった。



66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/18(月) 23:56:03.23 ID:BZwcnOzA0

白井「おかしいですわね」

白井黒子は携帯電話を片手に困惑していた。

白井「初春に全くつながりませんわ。どうしたことでしょう?一大事だというのに」

白井は知る由も無いがこの時、初春飾利は映画館の中。必死にスクリーンを眺めている。

御坂「そんなに大事な用なんなら直接会いに行けばいいじゃない?私も暇だし一緒に行くわよ」

白井(こういうときに限ってお姉さまは積極的ですのね。ついてこられては困りますのに)

白井(これも全部、あの類人猿のせいですわ)




67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 00:04:05.90 ID:Mrz5i9b+0

白井「いえいえ、少々プライベートな内容ですので折角ですがご遠慮させていただきます。」

白井「ですのでこの借りは、今夜私めのベッドにお姉さまを招待するという形でお返しさせていただきますわ。ホホホ」

御坂「っ!!アンタはほんとにっ!セクハラばっかりで、それでも女の子なの!?」

白井「ホホ、それではご機嫌麗しゅう」

御坂「あっちょっと!……行っちゃった。」

御坂(それにしても)

御坂美琴と白井黒子はルームメイトではあるが、そこまで長い間を一緒に過ごしているわけではない。

しかし、先輩として御坂は常に後輩の様子・態度は気にしていた。

ふざけ合いながらも、御坂は見逃さなかった。

御坂(あの子、何か隠してるわね。)

そうして、御坂も寮を出発した。




69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 00:10:32.78 ID:Mrz5i9b+0

イン?「とうまー、晩ごはんは何ー?」

上条「へ?あなたはもうお忘れですか?さっき昼ごはん食べたばかりじゃないですか?」

上条宅の時計がさす時間は十四時三十分。上条当麻の言うとおり、ついさっき昼食の片づけを終えたところだ。

イン?「とうまこそ何言ってるの?昼ごはんと晩ごはんは全く違う食べ物なんだよ。」

イン?「そこのところちゃんと理解してもらわないと困るよ!!」

上条「へいへい、わかってますよー。」

イン?「とうま!!生返事は腹が立つんだよ!!!」ガブリガブリ

上条「不幸d(ry」

この二人は今日は家から動きそうに、無い。



71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 00:17:37.19 ID:Mrz5i9b+0

初春「う~~久しぶりの映画で疲れました~。でもすごく面白かったですね。」

上映が終わって初春飾利は背筋を伸ばしながら話しかける。

しかし、話しかけた相手は一向に返事をする気配が無い。

初春「??さ、佐天さん?」

佐天「あ、あわ、初春?う、うん楽しかったねー」

初春「どうかしましたか?佐天さん?」

やはり、明らかにおかしい佐天涙子の態度に初春は問う。

佐天「私も久しぶりで疲れちゃった。ごめんけど先に帰るね。じゃあねーー」

初春「あ、っちょっと佐天さ!」

初春(行っちゃった。でも……これはやっぱり)

疑惑は確信に変わりつつある。



72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 00:22:53.48 ID:Mrz5i9b+0

白井「おかしいですわね、どこにもいませんの。」

初春飾利を探して彼女の自宅や『風紀委員』支部を尋ねたものの姿は見当たらず、日は既に暮れていた。

白井「まあいいですわ、明日学校が終わってからでも待ち合わせることにしましょう。」

その少し後ろで御坂美琴は白井黒子を尾行していた。

御坂「いったい何してるのよあの子は!?結局誰にも合わずに帰っちゃうみたいだけど……。」

御坂(なんだか、とてつもなく嫌な予感がするわ。)





87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 12:36:59.33 ID:Mrz5i9b+0

その日の夜

佐天「……アタシ…………どうしたんだろ……」

佐天涙子は戸惑いを隠せなかった。

数日前から(何か変だ)とは思っていたが、胸の高鳴りや緊張感がずっと続いている。

時間が経てば和らぐだろう。そう考えていたが一向におさまる気配は無い。

それどころか、強くなっている気もする。

佐天「風邪なんかじゃ、…………ないよね。」

佐天「まさか……やっぱし、これって…………」

本当は、彼女自身その原因らしきものは分かっているのだが、

佐天「でもでも、…………アタシが……。」

佐天「そんな訳……ないよね。」

認めるのが怖かった。




88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 12:43:58.00 ID:Mrz5i9b+0

翌日。

初春飾利は白井黒子に呼び出されていた。

というより、今日は二人とも『風紀委員』の当番であり、

彼女達が合流したのはむしろ日々のルーティン通りの結果だ。

街をパトロールする最中。

初春(今日も佐天さん、様子がおかしかったです。考え込んだり、ボーっとしたり。)

昨日の映画終了後から佐天涙子の態度はさらに妙になったいた。

初春(私はどうしてあげたらいいのかな?う~~)

白井「気が抜けていますわよ!初春!!」

白井の檄が飛んだ。

白井「街で何かあっても、それを即座に見つけ対応できなければ『風紀委員』失格ですわよ。」

白井「しゃんとなさいな」

初春「す、すみません白井さん。」

初春(いろいろ考えるのは、とりあえず後にしよう。いまは仕事仕事。)

初春は気持ちを切り替えた。



89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 12:54:30.32 ID:Mrz5i9b+0

白井「それにしても、初春。パトロール中に気を抜くなんて、いったいどうかしましたの?」

パトロールが終わって休憩中に白井黒子は切り出した。

初春「いえ、その……別になんでもないっていうか、でも、なんでもなくも無くって……」

初春飾利は言葉に詰まる。

白井「私でよければ相談に乗りますわよ?」

初春「い、良いんですか?」

白井「もちろんですの。貴女と私は『風紀委員』の仲間ですし、何より友人同士ですのよ。」

白井「遠慮など、必要ありませんわ。」

初春「ありがとうございますっ。えっと、実は……わたしの事じゃなくて……」

再び言葉に詰まる。自身でもまとめきれない疑問。そして、それは大切な友人の事。

もし自分の勘違いなら、白井にも佐天にも迷惑をかけることになる。

白井「なんですの?はっきりなさいな!」

初春(白井さんなら、大丈夫だよね!)

初春「えっと、佐天……さんの事なんですけど」

そして今日までの佐天涙子の様子について話し始める。




90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 13:02:52.13 ID:Mrz5i9b+0

白井「……」

意外だった。初春の悩みとは、てっきり

『勉強のこと』とか『風紀委員としてのこと』とばかり思っていたためだ。

白井(まさか、このような形になるとは……)

白井(でも、チャンスですわ)

実際、白井黒子は話を切り出すタイミングをうかがっていた。

昨日からずっと話したかった事だが、『風紀委員』の仕事中に第三者の話題を出すのは気が引けた所為だ。

白井「あら、そんなことがあったんですの?初春・佐天さん双方の友人として全力で協力させていただきますわ」

初春の疑問と白井の利害が、一致した。



92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 13:15:07.78 ID:Mrz5i9b+0

その頃。上条当麻は御坂美琴と一緒にいた。

別に待ち合わせなどをしていたわけではないが、公園の自販機前で偶然出会ったのだ。

お互い、ジュースでも飲んで一服。と思っていたのでとりあえず同席している。

御坂「…………」

一つのベンチに座りながらも、二人の距離は離れている。

上条は特に意識していないが、御坂は違う。

御坂(これって///まるで、デートじゃないのよ//うぅぅー。)

御坂(だったら。ここはもっと近づいても//いいのかな?/////)

そうは思っているが、裏腹に彼女の位置はベンチの端っこ。お尻が半分くらいしか乗っていなかったりする。




95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 13:46:14.84 ID:Mrz5i9b+0

御坂(せっかくだし、何か話さなくちゃ////でも何話そ…?)

そのとき、ジュースを飲み干した上条当麻が立ち上がる。

上条「じゃ、おれ行くわ。またな」

去ろうとする彼を御坂は必死に呼び止めた。

その口から飛び出た言葉は……



97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 13:56:35.64 ID:Mrz5i9b+0

御坂「あんたって!!…………こ、ここ恋、とか……したこと、ある……の?///」

御坂美琴は自分でも何を言っているか分からないが、その疑問は彼女の本心だ。

(アイツが他の女の子と仲良くしているのはなんかイヤ)

(どうしたら……いいんだろう……)

(彼女とか、いるのかな??いる訳無いよね。……でも…………)

などなど、普段思っていることがつい出てしまった。

上条「はあ?いきなり何言ってんだ、おまえ?」

御坂「な、な、なんでもないわよ!!ただの世間話。//で……どうなの?」

上条「……」

少しの間、沈黙があった。それはほんの数秒だったが、御坂美琴には何倍にも感じられ、

御坂「あっ!私、急に急用をオモイダシチャッタ!!//////」

終には耐えかね逃げ出してしまう。




98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 14:07:11.63 ID:Mrz5i9b+0

上条「おっ、おいっっ!!…………なんなんだよ、あいつは」

上条当麻は一人公園に残された。

道行く人間の視線が冷たい気もする。

そんな中で彼は考えていた。

上条(恋、かあ……)

上条(していたこともあるのかも知れねえ、けど。)

そんなこと知る由も無い。

彼には記憶が無いのだから。



99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 14:15:08.05 ID:Mrz5i9b+0

一方。上条宅では

イン?「とうまーーー遅いよーー。いったいどこにいるの?おなかがすいたんだよ」

白い修道服に身を包んだシスターが上条当麻の帰りを待ちわびていた。

イン?「うーーーおなかすいt!!」

と、彼女はある事に気付き、台詞が中断される。

イン?「私、このSS中で『おなかがすいた』くらいしか言ってないんだよ!!」




118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 23:14:17.56 ID:Mrz5i9b+0

舞台は再び、『風紀委員』支部の二人へ。

白井(このような方向に進むとは、思いませんでしたわ)

初春飾利からここ二、三日の佐天涙子の様子を聞き白井は思っていた。

白井(私とお姉さまとの間を邪魔するあの『類人猿』)

白井(いつかどうにかしなければと思っていましたが、)

白井(利用しない手はありませんわね。)

そして自身の恋路の障害となる『上条当麻』を御坂美琴の周りから排除できうる一世一代のチャンスに白井は歓喜していた。




119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 23:22:52.53 ID:Mrz5i9b+0

白井「なんにしても、佐天さんの気持ちを確かめる必要がありますわね。」

初春「そう簡単にいくものなんでしょうか?」

初春は不安げにたずねる。

白井「私にお任せなさいな!」

いくら、稀代の機会とはいえ、友人の相談に真摯に対応することも忘れない。

彼女の言葉には、そんな優しさも詰まっていた。




120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 23:34:37.74 ID:Mrz5i9b+0

翌日の放課後、白井黒子は佐天涙子と会うことになった。

喫茶店や公園ではなく初春飾利の自宅で。

白井「佐天さんと二人きりというのもなんだか珍しいですわね」

佐天「そ、そーですねー、白井さん。」

佐天「それにしても初春、急に用事なんてどうしたんだろう?」

佐天「しかも人に留守番まかすなんて、明日アイス奢らせてやるんだから」

白井「ですわね、ホホホ。でももう夏も終わりですし、風邪などひかぬ様お気をつけあそばせ」

佐天「わかってますってー。でもでも私、風邪なんて引かないですよー元気が取り柄なんですから!!」

友人になってそこまで長い期間が経っているわけでもなく、ちょっとぎこちない会話が続く。




122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 23:40:59.11 ID:Mrz5i9b+0

初春飾利の家であるのに家主がいないのは白井の配慮によるものだ。

それは昨日、初春飾利と相談しているときに遡る。

白井「私が直接あって確かめようと思いますの」

初春「じゃあ私も一緒に確かめます!!」

白井「それはダメですの!」

初春「何でですか!?」

初春は不満そうに問う。当然の疑問だ。

白井「初春はそういう話に慣れていますの?」

初春「!」

初春はたじろいだ。当人も自覚しているが、実際この手の話は苦手だ。

だからこそ、流れではあったが白井に相談したのだから。



123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 23:47:54.91 ID:Mrz5i9b+0

白井が続ける。

白井「それに、このような話は、仲が良すぎる相手に話すのはかえって恥ずかしく感じるものですわ。」

白井「ですので、初春には場所を提供してもらいたいと思っていますの」

白井「もちろん、話した結果は伝えます故」

最初は自分がのけ者にされるのかと初春は思ったが、白井の思慮に二つ返事で了承した。

初春「そういうことなら大丈夫です。」

初春「でも、その間私どこにいましょう?」

白井「それは自分で考えなさいな」

初春「……」




124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/19(火) 23:57:19.95 ID:Mrz5i9b+0

時間を元に戻し、初春飾利の家。

白井「それはそうと、初春が気にしておりましたわよ」

家主が不在の部屋で世間話を続けていた白井だったが、ようやく切り出す。

佐天「え、?なにをですか?」

白井「まさか、気付いて無いとでもお思いで?」

佐天「……」

白井「最近の佐天さんの態度についてですわ。数日前、そうあの類人e……」

白井「ではなく、ウニ頭の殿方にお会いした日からですわ!」

佐天「っっ!!!」

数秒の沈黙。空気が重くなる。




126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 00:08:18.68 ID:7vAGr8XA0

白井「初春から相談を受けて、私も考えてみたんですけども」

白井「佐天さん。あの殿方に恋をなされているのではありませんの?」

とうとう白井が核心に触れる。

佐天「……や、やだなー白井さん。そんなのあるわけ無いじゃないですかー」

佐天「わたしが?恋??ないない、絶っっ対!!そんなの無いですって、は……はは……」

なんでもないように振舞う佐天だが、白井の言葉に明らかに動揺している。

白井「……本当ですの??」

ジトリと見つめる白井黒子。思わず佐天涙子は目をそらす。

佐天「あったりまえですよー、白井さんも初春も何言ってんだか……」

白井「それでは。」

白井「ここ最近の妙な態度はどう説明されるおつもりですの?」

白井が佐天の目を一転に捉え、力強く聞く。




127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 00:17:19.72 ID:7vAGr8XA0

佐天「さ、最近ちょっと寒いから風邪でもひいたかなーって思ってたんですよねー」

佐天「そーですそーです、きっとそのせいですって!」

白井「今さっき、自分は風邪などひかないと申されていたではありませんの!おかしいですわよ?」

どんどん追い詰められ、佐天の焦りもピークに達する。

佐天「白井さん!からかうのもいい加減にしてください!!怒りますよ!!!」

声のトーンが下がっている。

それに対し白井は、一瞬表情を厳しくしたものの、普段どおりの口調で応える。

白井「からかうつもりなど、ありませんわ」

白井「むしろ、お手伝い差し上げようって思っておりますの。」



129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 00:28:55.83 ID:7vAGr8XA0

数時間後。

佐天「…………」

佐天涙子は自分の部屋で今日の出来事について考え直していた。

佐天(まさか態度で二人に気付かれるなんて)

彼女自身は自分がポーカーフェイスを貫いているという自信があったようだが、

それが全くできていなかったということを知った。

佐天(でも、初春はともかく。白井さんが手伝うなんて言ってくれるとは思わなかったなー)

佐天(知り合いだって言ってたし……アタシ一体どーしたらいいんだろう)

ベッドに寝転び枕を抱き、時折顔をうずめジタバタしながら、

佐天(名前もちゃんと聞いちゃった///)

佐天(……当麻センパイ……かあ。)

佐天涙子は想い人の名をそっと口にし、また枕を抱いた。



130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 00:47:51.51 ID:7vAGr8XA0

数日後。

佐天「よーし、今日こそは!!」

佐天涙子は燃えていた。

白井黒子が協力すると伝えた次の日から、佐天は放課後街をぶらついていた。

目的はもちろん『とうまセンパイ』を見つけるためだ。

佐天「あの辺りを歩いていれば、いつかきっと会えるよね!!」

自分に言い聞かせるように、彼女は言い、外へ出て行く。




132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 01:03:34.25 ID:7vAGr8XA0

佐天「着いたけど……どうしよっかな?」

辺りを見渡すが、知っている顔は誰も来る気配が無い。佐天涙子はとりあえず木陰に入る。 

佐天「うぅーー、暑いなー今日も。」

夏休みは終わったものの、まだまだ夏の日が続いている、

加えて彼女は日が傾いても捜索を続けようと思っていたため、温度差対策で少し厚着をしている。

そのため、余計に暑かった。




133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 01:11:50.85 ID:7vAGr8XA0

佐天(こんな時……)

佐天「私にも能力があったらなぁ……」

ポロリと思っていたことが声となる。

彼女は『無能力者』。何の能力も持っていない。

そのコンプレックス故、事件に巻き込まれることもあった。

佐天「別に、ずるしてまで能力が欲しいとは思わないけど……」

佐天「人探しに便利な能力が私にあったらなー」

口にせずには、いられなかった。



134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 01:20:15.80 ID:7vAGr8XA0

そんなこんな考えている時、ふと肩をたたかれた。

振り返ると、いかにも怪しげな青年が数人。

佐天(うーー、こんなときに)

佐天涙子は中学一年生ではあるが、そのルックス・雰囲気により、

このように声をかけられることが少なからずあった。

怪青A「ねぇねぇ、よかったらぁ?俺達とぉお茶しないぃ?」

佐天「すみません、遠慮しときます!!」

怪青B「まあそんなこといわずに。さ?」

次はどう返してかわそう。そう考えた刹那。

「おい!!やめろよ!彼女、嫌がってるだろ!」

そこには捜し求めた人物がいた。



135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 01:31:46.27 ID:7vAGr8XA0

怪青B「なんだよ。おまえ?」

怪青C「そうだ!俺達が最初に声かけたんだぜ!邪魔すんじゃねえよ!」

上条「その子と待ち合わせしてたんだよ!だからさっさと諦めな!!」

佐天「!!!」

予期せぬ言葉に驚く。考える間も無く上条当麻は佐天涙子の手をとって走り出した。

上条「待たせて悪かったな。じゃ、いくぞ!!」

佐天(え……ええぇぇぇぇえーーーー!!!???////////)




137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 01:40:10.59 ID:7vAGr8XA0

青年達をなんとか振り切り、息を切らしながら歩く二人。

佐天(こんな運命的に助けてくれるなんて/////)

佐天涙子のなかで上条当麻の株が上昇する。

彼女の目に映る上条はまさに、『白馬に乗った王子様』そのものだった。

少し経って、ようやく二人はようやく息が落ち着き

佐天(とりあえず、お礼言わなきゃ)

発声しようとしたとき、上条もまた、同時に話し始める。




140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 01:51:34.41 ID:7vAGr8XA0

佐天「助けてもらってありがとうございます!!!それに、一回会っただけなのに、覚えてもらってて嬉しいです//!!」

上条「ふうー、なんとかなってよかったぜ!!一人で歩くときは注意するんだぞ!じゃあな!!」

佐天涙子は知り合いに向けての話し方。

上条当麻は他人に向けての話し方でそれぞれ話す。

佐天・上条「!!!?????」

数秒の沈黙後。

佐天「……お、……覚えてなかったですか?」

上条「……どなた……でしたっけ?」

疑問が交わされた。



141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 01:59:05.28 ID:7vAGr8XA0

二人はお互いを確認しあう。

上条「じゃあ君はあの時の、水玉のパンt!!じゃなくて、ええーっと」

佐天「そうです、その水玉パンツの友達です!!」

佐天「でも、なんで助けてくれたんですか?知り合いだとは思わなかったのに?」

上条「癖みたいなもんだよ。癖」

数回の会話を経て、疑問が解消される。

佐天(覚えてないわけじゃなかったんだ、よかったー。それに、)

佐天(危険を冒してまで見ず知らずの人を助けようとする正義感も素敵ーー////)

佐天涙子は安堵した。同時にさらに上条当麻の株がどんどん上がっていく。

一方の上条はというと、

上条(良かった。記憶失う前の知り合いじゃなくて……)

同様に安堵していた。




143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 02:06:38.46 ID:7vAGr8XA0

上条「それにしても、君はどうしてあんなところに一人で?」

佐天「それはですねーー!!センパイを待ってたんですよ!!」

佐天涙子はストレートに本音をぶつける。

本当は緊張や恥ずかしさで胸がいっぱいなのだが、それらを押し殺すため、あえての行為だ。

上条「またまたご冗談を。上条さんはそんなモテモテじゃありませんって」

居候のシスターをはじめ、世の男性が見たら恵まれた環境にいる、

というよりうらやましい環境にいる上条当麻。

だが上条自身はそれらを不幸と感じることが多い。それ故の言葉。




144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 02:13:19.63 ID:7vAGr8XA0

佐天「ってか疲れましたね。助けてもらったお礼に奢りますから、ジュースでも飲みましょうよ!!」

上条「ああ、いいぜ。でも悪いから自分の分は払うよ」

佐天「奢らせてくださいっ!!人の親切は受け取らないと、逆に失礼ですよっ」

上条当麻は素直に従うことにした。

佐天涙子が、ジュースを買ってきて近くのベンチに座る。

佐天「くーーーっ!!冷たくておいしーー!!」

佐天がまず一口。

上条「ふう、生き返るぜ!!」

上条も続けて口をつけた。



145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 02:18:25.55 ID:7vAGr8XA0

ジュースを飲みながら話すものの、一言交わしては会話が途切れ、また交わしては……

の繰り返しで長く話が続かない。

ほとんど初対面なのだからそれは当然の結果。

しかし、佐天涙子は焦っていた。

佐天(どうしよう、折角のチャンスなのに話が続かないよ……)

佐天(なにか話題無いかな、話題…………)

佐天(あっ……。ある。気になること。……今聞くべきかな……)

佐天(聞いたら変な風に思われないかな?……うーん)

佐天(でも!!聞くなら早いほうがいいよね!!うん、絶対そう!!)

佐天涙子は意を決して言葉にした。



147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 02:24:36.33 ID:7vAGr8XA0

佐天「センパイってあの…………」

上条「ん?」

佐天「カノジョとか……い、いるんですか!?」

口にしてしまったからにはもう後には引けない。

恥ずかしいけど聞く。

逃げ出したいけど聞く。

そうしたら前に進めるから!!

そうしないと、前に進めなくなるからっ!!

佐天涙子は顔を真っ赤にし、思い、待つ。



148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 02:29:56.16 ID:7vAGr8XA0

上条「そういうことを聞かれると、上条さんは深く傷つくのですよ。」

佐天「……いないって、事ですか?」

はっきりしない答えに思わず問い直す。

上条「なんと!あえて言わせますか?えぇ、そうですとも、彼女なんていませんとも!!うぅ……」

佐天(っっ!!!!)

なんだか、目の前の想い人は悲しそうだが、

カノジョがいない!!そう分かっただけで佐天涙子は嬉しかった。



149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 02:37:27.70 ID:7vAGr8XA0

その後もまた、途切れながらの会話をしていたが

佐天涙子の表情がさっきより一段と明るく、その所為か上条当麻もさっきより話しやすく感じた。

不意に、佐天の携帯が鳴る。どうやらメールのようだ。

送り主だけをさっと確認する。

佐天「ん?」

何か意外なことでもあったのか一瞬顔をしかめる。

だがすぐもとの表情に戻り。

佐天「せっかくですし、携帯教えてくださいよ!?」

上条「ああ、了解。」

断る理由など無いが、花のような笑顔で言われては了承するしかない。



151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 02:44:56.98 ID:7vAGr8XA0

番号を交換し終え気付くと、時間がかなり経過していた。

楽しい時間は早いというが、本当にそのとおりだった。

佐天「じゃあ、アタシそろそろ帰りますね。」

佐天「お話できてすごく楽しかったです。また会いましょう!!さようなら!」

上条「おお、じゃあまたな」

駆け足で去っていく彼女を見送りながら上条当麻は違和感を感じていた。



152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 02:53:34.56 ID:7vAGr8XA0

上条(これは、デジャブか…………?)

そして気付く。

上条「あ、そういえばこの前もここで御坂と似たような話をしたような……」

上条「たしか恋がなんとかっていってたけど……まあいいや。俺も帰ろっと。」

上条は同じベンチで彼女たちと話をしていた。

そしてベンチ上での距離は、今日の佐天涙子の方がほんの少しだけ、近かった。



184: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 21:57:25.50 ID:7vAGr8XA0

モノローグ3

佐天涙子は駆け足で移動しながら、思い返していた。

佐天(うぅー……き、緊張したよ)

無理も無い。あまりにも突然、想い人が彼女の前に現れたのだから。

いくら探していたとはいえ、あのような再会をしては戸惑わない方がおかしい。

佐天(アタシ、へんなこと話してなかったかな?)

一通りの会話を思い出そうとするも、高揚が収まらずなかなか思い出せない、





185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 22:02:53.39 ID:7vAGr8XA0

思い出せるのは一つ。

佐天(カノジョ……いないんだ!!)

その事実は佐天の胸を希望で満たし、足取りも自然と軽くなる。

佐天(……当麻センパイっ……明日も会えるかな?)

彼女は帰路を急ぐ。

そんな中、ふと思い出す。

佐天(あ、そういえばメールメール……っと。)

佐天(ん?……一体なんなんだろ?)

佐天涙子はいったん足を止め、また歩き出した。





186: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 22:09:15.26 ID:7vAGr8XA0

第四部 (翻弄)

翌日。日曜日。

白井黒子は待ち合わせをしていた。

待っているのは、初春飾利と佐天涙子の二人。

白井(佐天さんからの呼び出し……ということは……あの殿方の事と見て間違いなさそうですわね。)

『あの殿方』というのはいうまでもなく『上条当麻』の事である。

白井はよく彼を『類人猿』と言っていたが、その呼び名はやめた。

『お姉さま』にちょっかいを出す邪魔な人物である事は間違いないが、

大切な友人の想い人でもあるからだ。

白井(それにしても、こんな時間に待ち合わせとは……)

時間は夕方の四時をまわっている。




187: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 22:12:35.47 ID:7vAGr8XA0

「あ、白井さ~ん。」

遠くから少女が声をかける。

白井「あら初春。……っと?お一人ですの?」

白井の疑問。佐天涙子と初春飾利は一緒に来ると思っていたので思わず聞く。

初春「佐天さんが待ち合わせにきちんと来るなんてめったにないですよ~」

初春飾利は胸を張って答える。

白井(そこは胸を張るところではないと思いますけれど……)

白井「では、もう少し待つといたしましょうか。」




188: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 22:17:12.95 ID:7vAGr8XA0

初春「それにしても……」

白井「??どうしましたの?」

初春「私、白井さんに佐天さんの事相談してよかったです!」

初春「私一人じゃきっと、何にもできなかっただろうって思いますから!!」

白井「いえいえ、そんな事。実際私は特に何もしておりませんわよ」

初春「ふぇ?」

白井「私は、佐天さんが自分の気持ちに気付くよう。素直になれるようちょっと発破をかけただけですの」

実際彼女がしたのはそれだけだ。少々乱暴な言い方ではあったが、それが佐天涙子が自分の気持ちと向き合うきっかけになった。

しかし『お手伝い』といっても彼女は、佐天に上条の名前など、基本的な情報を教えただけに過ぎない。

佐天涙子が行動を起こしたのは、自身が元から持っている行動力による。




189: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 22:22:01.01 ID:7vAGr8XA0

「お待たせしましたーー」

ようやく、彼女たちを呼び出した張本人がやってくる。

白井「佐天さん。遅いですわよ」

佐天「いやー、すみませんすみません」

初春「そうですよ~いつもいつm」

ハッと思い出す。

初春(このままだとスカート捲られる!!私だって学習しているんだから!!)

佐天涙子がどのようなモーションをかけてもいいように初春飾利は待ち構える。

しかし、彼女のスカートは捲くられなかった。




190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 22:26:38.82 ID:7vAGr8XA0

初春(……こんな日もあるよね。)

初春(あっ、佐天さんもしかして、恋したせいでちょっと悔い改めたのかも)

初春(……でも、捲られないのも、なんか寂しい気がする……って、私何考えてんでしょうか!!)

初春飾利が我に帰ると同時に、

白井「佐天さん。ご用件はなんですの?こんな中途半端な時間に」

佐天「……いやーちょっと相談したい事がありまして。ってかてか、立ち話もなんなんでどっか入りましょうよ!」

三人は考える。



191: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 22:32:31.79 ID:7vAGr8XA0

白井「どこか。と言ってもどこに行きますの?」

初春「そうですね~……」

佐天「じゃあ、いつものあの店。行きません?」

いつものあの店、というのは彼女たちがよく行くお店で、

メニューも豊富。営業時間も長いためお客の多い非常に人気の店だ。

そこに向かって三人は歩き出した。




192: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 22:40:22.50 ID:7vAGr8XA0

歩いて数分。もうすぐ到着という周辺でのこと

道路の向かいに見知った人物が二人歩いている。

最初に気付いたのは佐天涙子だった。

佐天涙子「っと。あれは?…………!!」

佐天の視線の先を初春飾利が確かめる。

初春「どうしたんですか?佐天さん…………えっ、どうして!!??」

二人の様子に気付き、最後に白井黒子がその方向を見る。

白井「おねえさま!?」

佐天「っ!!!!!」

佐天涙子は無言で今来た道を逆へ走り出す。

見知った人物の一人は彼女の想い人、『上条当麻』。

そしてもう一人は、『御坂美琴』。

二人は恋人のように腕を組んで、歩いていた。





193: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 22:45:56.87 ID:7vAGr8XA0

白井黒子は呆然としていた。

白井(朝早くから外出していたかと思えば。お、お姉さま……なんでそんな……)

確かに、御坂美琴が上条当麻に少なからずの好意を持っていることは分かっていた。

だがなぜ急にこんなことになっているのか、目の前の光景が信じられない。

しかし、それよりも隣で中空を見ながらつぶやいている少女のことが気にかかる。

走り出した佐天涙子。想い人が女性と仲良さそうに歩いていたら逃げ出したくなるのも分かる。

だが、その走り出した彼女を追うのは、普段なら隣の少女の役目のはずだ。

その少女。初春飾利は動かない。

ただ焦点の定まらない目をしながら囁いている。

初春「なんで……?」




195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 22:51:39.43 ID:7vAGr8XA0

初春「……なんで…………なんで?」

うわごとのように繰り返す初春飾利。

白井「初春っ!!」

呼びかけても返事は無い。

初春「……なんで?…………だって、御坂さん……あの時……」

白井「初春っ!!しっかりなさい!!一体どうしたというんですの!!!」

白井が初春の体を激しく揺さぶる。

ようやく初春は正気に戻る。

初春「……あ、しらいさん……」

白井「どうしたんですのいったい!?」

問いかける白井。

初春「うっ……うぅ白井さん……。」

しばらく後、初春飾利は話しはじめた。




196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 23:19:17.97 ID:7vAGr8XA0

白井「そんな事が……ありましたの……」

話は数日前に遡る。


初春飾利は自宅前にいた。

初春(わたくしに任せなさい!!って。白井さん心強いのは良いんですけど)

初春(私、この時間一体どこにいたらいいんでしょうか……)

初春(非番の日に支部に行くのも気が引けますし……)

彼女は友人二人のために自室を提供していた。

居場所がなかった。



197: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 23:31:42.20 ID:7vAGr8XA0

初春(う~ん。どうしたものしょうか)

初春(白井さんが私の家を使うんだから、私にもその間家を貸してくれればいいのに…………。!!)

初春飾利の顔色が変わる。

初春(閃きましたよ~)

初春(白井さん家に行くついでに、御坂さんにも相談しよう!!)

初春(相談相手は多い方がいいですしね)

そうして初春は常盤台女子寮へ向かった。



198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 23:43:05.45 ID:7vAGr8XA0

初春飾利は恐る恐る呼び鈴を鳴らす。

ピンポーン……沈黙。

もう一度繰り返す。今度は返事がある。

御坂「はい!!なんですか!?」

明らかに不機嫌な返答。

初春「う、う初春です!!こんにちは!!」

御坂「初春さんっ!?どうしたの急に?あ、とりあえずあがって」

部屋へ通される。




199: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 23:49:08.02 ID:7vAGr8XA0

御坂「とりあえず、コーヒーでも入れるわね。」

初春「あ、どうもすみません」

御坂美琴はコーヒーを淹れ、初春飾利に手渡す。

初春「わ~!美味しいです~!!さすがは常盤台のお嬢様ですね!!!」

御坂「いやいや、そんなことないって。ところで。」

御坂「今日はどうしたの?さっき黒子が初春さんの家に行ったと思ったんだけど」

いつか聞かれるであろう疑問だったので初春は返答を用意していたが、いざとなると少しどもってしまう。

初春「えっと、その。今日はちょっと相談……がありまして……さ、佐天さんの事、何ですけど……。」

白井に話したのと同じように、初春は御坂に話し始めた。




200: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/20(水) 23:58:16.25 ID:7vAGr8XA0

御坂(なるほど、これではっきりしたわ)

白井黒子が何か隠している、と悟っていたがそれが何だったか判明し、考える。

御坂(嫌な予感が的中しちゃったわね……どうしたものかしら)

そこへ

初春「というわけなんですけど、御坂さんも協力してくれますよね!!」

御坂美琴はしばし考え、そして言う。

御坂「悪いけど、私は協力できないわ」

初春飾利にとって、予想外の返答だった。



201: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 00:08:18.23 ID:84wic5V40

初春「どど、どうしてですか?」

御坂「だって、まだ本当に佐天さんが好意を持っているのかも分からないでしょ?」

初春「ですけど……」

御坂「それに、そういうのって、外野がいちいち口出すようなことじゃないと思うの」

御坂「だから、わかって!お願い。」

初春飾利は微妙な表情をしている。

目の前の人物なら快諾してもらえると思っていただけに、なかなか次の言葉が出ない。

御坂「でも。」

御坂「応援はしてあげられるわ。だから、あなた達でしっかり佐天さんを助けてあげてね」

初春「は、はい!ありがとうございます!!」

初春(御坂さんは御坂さんなりに佐天さんの事を考えてくれてるんだよね)

そう考える事で初春は思考を終決させた。



203: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 00:15:12.97 ID:84wic5V40

その後は普通に世間話をして盛り上がった二人だったが、

気付けば時間も経っていて、そのうち初春飾利は帰っていった。

白井黒子はまだ帰ってこない。

一人っきりの部屋で御坂美琴は思考を巡らせる。



204: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 00:22:54.59 ID:84wic5V40

舞台は一旦現在へ。

道端で話しているのは、初春飾利と白井黒子。

初春「御坂さん……応援してくれるって言ってたんですよ……」

初春「なのに……。なのに、あんなのってひどいです!!」

初春「まるで見せ付けるみたいに……佐天さんが可哀想ですよ」

また泣き出す初春。

白井黒子は彼女の背中をなでてやるものの、何も言えないでいた。



205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 00:28:33.82 ID:84wic5V40

白井(お姉さま……そんなことを言っておきながらどうしてこのような行動に……)

白井(そこまで真剣に、あの殿方の事を想っていたというのですの?)

白井(そうなのでしたら私、どうしたらよいのですの?)

御坂美琴を慕っている白井黒子だが、その『お姉さま』の幸せを常に願っている。

若し御坂美琴が上条当麻と結ばれる事を望むのであれば。応援しなければいけない。という気持ちは心のどこかにあった。

白井(そうだとしたら。佐天さんのお手伝いをしても、お姉さまのお手伝いをしてもどちらかが傷つく。)

白井(そんなのは、耐えられませんの。)



206: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 00:34:35.79 ID:84wic5V40

舞台は再び過去へ。初春飾利が御坂美琴に相談した数日後。

御坂美琴は街を歩いていた。特に行くあても無くぶらぶらしていた。

御坂(うーん……なんとかしないと。とは言っても)

御坂(本当にどうしたらいいのかしら)

どうにかしないといけないという危機感はあるものの、

彼女は特に何もできないでいた。

御坂(と、?あれは?)

見知った少女の姿。

御坂(佐、天さん……)




207: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 00:40:22.97 ID:84wic5V40

御坂(いい機会だし、直接確かめてみるか)

声をかけようとしたとき、御坂美琴より先に行動する数人の青年。

明らかにナンパだ。

御坂(あ、助けないと)

動こうとしたとき、また御坂より先に動く人物がいた。

その人物は佐天涙子の手をとり、そのまま走り出す。それを追いかける青年達。

御坂(えっ!?あ、ちょ、ちょっと!!……追わないと!!!)

御坂美琴は必死で追いかける。




208: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 00:47:05.51 ID:84wic5V40

御坂(っく!!見失ったわね!)

目の前にはゼーゼー言いながら悔しがっている青年達。彼らもまた先ほどの少年少女を見失っていた。

御坂(どうしようかしら)

と、考えていると。青年達が気付く。

怪青A「おい今度はあの子にしようぜぇ?」

怪青C「お!いいじゃねえか!」

怪青B「ねえ。君。僕らとお茶でもどう?」

御坂「……うっさいのよ!!!」

怒りがそのまま電撃となって青年達に浴びせられた。




210: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 00:55:18.92 ID:84wic5V40

御坂「全く。ホント完璧に見失っちゃたじゃないのよ」

愚痴をこぼす。

御坂(ちょっと疲れたし、喉も渇いたなー)

休憩する事にした御坂美琴は近くの自販機を探す。

御坂(あったあったっ、と。……!!あれは!!)

ベンチに先ほどの二人を見つける。

あわてて近くの茂みに隠れ、様子をうかがう。




211: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 01:05:12.86 ID:84wic5V40

会話は聞こえないものの、二人の表情は見える。

楽しそうに話す二人を見て御坂美琴は戸惑っていた。

御坂(ちょっと……本当にこんなことになるなんて……)

上条当麻が、よく修道服を着ているシスターといるのは知っている。

自分と同等に。もしくは自分より彼と仲がいいのかもしれないと考えると胸が痛い。

目の前の状況を見ているのもまた、御坂美琴を同じ気持ちにさせた。

御坂(何とかしないと……なんとかしないと……ナントカシナイト……!!そうだ!!)

御坂美琴は携帯電話を取り出し、メールを打ち出す。

送信先は、佐天涙子。

『急にごめんね、ちょっと話したい事があるんだけど……。』



212: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 01:11:57.52 ID:84wic5V40

その夜。

佐天「急にどーしたんですか?御坂さん」

待ち合わせしていた二人が話し始める。

御坂「んーとねーー…………」

御坂美琴は少し考えてから

御坂「率直に言うわ。」

佐天「は、はいっ」

御坂「初春さんから聞いたんだけど、佐天さん。恋してるんですって?」



213: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 01:18:15.38 ID:84wic5V40

佐天「え、えぇ!?何で御坂さんがそんな事…………って。初春か……」

佐天「は、はい。なんか恥ずかしいんですけど、そうです。」

御坂「その事なんだけどね。」

御坂「諦めたほうがいいわよ」

佐天「え?」

予想だにしていなかった言葉が告げられる。



215: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 01:26:40.69 ID:84wic5V40

自身の体験談も踏まえ、御坂美琴の口からは様々な事が語られた。それらを要約すると。

・上条当麻は、厄介ごとに自ら足を突っ込まなくては気が済まないような人物だという事。

これは、佐天涙子自身が経験したので特にこれといった新事実というわけではない。

問題なのは以下だった。

・その厄介ごととは、自身を始め、能力者同士の争いなど、危険なものが多い事。

・能力者の自分などなら、もし関わっても不本意ながら何とかなるが、無能力者の佐天が関わっては、迷惑をかけるだけになるだろうという事。

だった。




216: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 01:34:19.56 ID:84wic5V40

自分は上条当麻なんかに興味はないが、成り行き上関わることが多いのだと御坂美琴は話す。

御坂「別に、アイツのことなんて私には関係ないんだけどね」

その口調はものすごく嘘っぽいのだが、このときの佐天涙子は動揺していて見抜くことができなかった。

何よりも『無能力者の自分は迷惑』その言葉が深く胸に刺さる。

佐天「あ、アドバイスありがとうございます……。アタシ……忙しいんで帰りますね。では」

御坂「う、うん。じゃあね」

御坂(こんなので、よかったかな。)

御坂はなるべく佐天を傷付け無いように。しかし諦めさせるように言葉を選んだつもりだった。

他意はない。

少々の嘘、というか誇張表現はあるものの佐天を騙してまで自分が上条と居たい。などとは思っていない。

それが周りを巻き込むことになるなんて、思ってもいなかった。


第四部 (翻弄) 終わり。



217: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 01:42:21.46 ID:84wic5V40

モノローグ4

佐天涙子は走っている。ただひたすら走っている。

何度も人や物にぶつかっているが、走るのをやめない。

佐天(御坂さん…………)

佐天(当麻センパイ…………)

目に浮かぶのは先ほどの光景。

『無能力者は迷惑をかけるだけ。』

思い出すのは御坂美琴の言葉。

走り続けて、自分を痛めつける。

それでしか、彼女は自分と向き合うことができなかった。



248: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 22:50:04.99 ID:84wic5V40

第五部 (雨中)


同日。佐天涙子が走り出してから数分後。

白井黒子と初春飾利の両名は道端にうずくまり、思考を巡らせている。

白井(もう、なにがなんだか……黒子はどうしたらよいのですの?)

初春(御坂さん…………佐、天さん…………)

この状況を打開するために話し合い協力する必要がある。とはお互い思っているものの

それでも、自分達に一体何ができるのか?

それが分からない。

そして、雨が降り出した。



249: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 22:56:49.97 ID:84wic5V40

白井「雨……ですの」

頭上から落下する冷たい雫に、白井黒子が気付く。

白井「初春。雨が降ってきましたわ、とりあえず屋根のあるところにいきますわよ」

返事は無い。

白井「初春!!ほら……いきますわよ」

強い口調ながらも、気遣いをもってもう一度呼びかける。

初春「あ……そうですね……。雨宿り…………濡れちゃいます……もんね」

白井が初春の手をとって歩き出した時、雷鳴とともにいっそう激しく雨が降り出した。

初春「っ!!!!」

目にようやく光が戻る。



250: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 23:00:21.64 ID:84wic5V40

初春飾利は白井の手を解き、走り始める。

白井「う、初春!?」

あわてて後を追い、もう一度手をつかみ白井黒子は声をかける。

白井「初春!!どうしたんですの?濡れてしまいますわ!!今はとりあえず」

そんな白井の言葉を打ち消すように、初春は叫ぶ。





251: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 23:06:08.05 ID:84wic5V40

初春「離してください白井さん!!」

初春「佐天さん……きっと一人で苦しんでます。」

初春「だからっ!!!だから私、行かないと!!!」

再度強引に手を払い、駆け出す。濡れることも構わずただ、友人のもとへ。

白井「うい…………はる……」

白井「!!」

白井(ありがとうですの、初春。私、簡単な事さえも忘れてしまっていましたわ)

白井「考えるよりもまず、行動!!ですわね」

頭に浮かぶのは御坂美琴と佐天涙子の顔。どちらを手助けするべきか、白井黒子にはもう分からない。

だから今は。目の前を走っていく初春飾利という少女。彼女を手伝うために走り出す。

雨などもはや、障害ではない。



253: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 23:10:47.61 ID:84wic5V40

御坂美琴の胸は、爆発寸前だった。

彼女の隣にいるのは上条当麻。

いつもなら、少々意識してしまう程度だ。だが今日は事情が違う。

二人の腕はしっかりと組まれている。

上条「……あ、あの?いい加減慣れてくれませんかね……」

上条「そ、その……コイビト同士……なんだし……よ」

御坂「わ、私だって!!わかってるわよ!!」

御坂美琴は強がる。

御坂(なんでいきなりこんなことになったのかしら////)

御坂(でも、今私。なんかすごく……幸せかも//)




254: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 23:15:41.77 ID:84wic5V40

御坂「あの……さ?」

御坂美琴は問いかける。

上条「ん?どした?」

御坂「この後……どうすんのよ?」

上条当麻は暫し考え、返事をする。

上条「そうだなー……コイビト同士……なんだからよ、カフェでお茶でもするのが普通じゃないのか?」

上条「雨も降ってきたしよ」

先ほど振り出した雨が気にかかる。

上条(大降りにならなきゃいいけどな)




255: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 23:21:16.84 ID:84wic5V40

その時、遠くで雷が落ちる。

その雷鳴から目をそらすように、上条当麻は路地裏に目をやる。

走っている少女がいる。

この雨の中。少女はひたすら走っている。

雷を、それどころか、ますます強くなる雨さえも気にせず走っているその少女に、

上条当麻は、見覚えがあった。

たまらず走り出す。

御坂「ちょっと!一体どうしたのよ!?」

上条「わりぃ、ちょっと用事ができた!!じゃあ風邪ひく前に帰るんだぞ!!」

御坂「えっ!?何よ!!まだ日は落ちてないわよ!?……もう、なにがどうなってるのよ!!!???」

不意の雷で目を固く閉じていたため、御坂美琴は状況が全く分からない。

御坂「アンタが言い出したことじゃないのよ……」

ポツリと口にする。




256: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 23:26:47.13 ID:84wic5V40

御坂「でも。雨も強くなってきたし、帰ろうかな」

どんどん強くなっていく雨脚に、急かされるように御坂美琴は帰路を急ぐ。

その時。

ドンッという衝撃とともに彼女は一人の少女とぶつかった。

御坂「あいたたた……ちょっと!!もうちょっと気をつけなさいよ!!」

少女「すみません、急いでいたもので!!」

御坂・少女「って……ええ!?」

少女は、初春飾利だった。遅れて白井黒子が駆けつける。

白井「お……ねえさま??」

今、最も会いたくない人物がそこにいる。

白井(うぅ、上手く話せる自信がありませんの)

刹那。悲鳴にも似た言葉が彼女の耳を裂く。

初春「見損ないました!!!!!御坂さんは…………最低です!!!!」




257: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 23:30:59.47 ID:84wic5V40

初春飾利は精一杯の声で怒りをぶちまけた。

この数分、思っていたことが、御坂美琴本人を目の当たりにして抑えきれず爆発してしまった。

そして、今にも飛び掛ろうとする初春。

白井黒子がすんでのところで制止した。

白井「おやめなさい!!初春っ!!」

初春「はなして!!離してください白井さんっ!!!」

雨が降っているとはいえ、通りにはそれなりの人間がいる。

周囲の視線が痛く突き刺さる。




258: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 23:35:56.82 ID:84wic5V40

御坂「あんたたち??いったいどうしたのよ?」

初春「それはこっちの台詞です!!!なんで……あんなことしたんですか!!!???」

御坂「あんなこと??」

唐突に言われ、御坂美琴は何のことか分からない。

白井「私達、見てしまいましたの……お姉さまが、あの殿方と腕を組んで歩いているところを……」

白井「そのこと……ですの……」

白井黒子の言葉にようやく御坂は気付く。

御坂「あ、あんた達……!?み、みてたの??」

初春「見ちゃまずかったんですか!?御坂さんっ!!私、返答しだいでは御坂さんの事……許しませんから!!!」

初春「佐天さんの事……応援するって言ってたのに…………どうしてこんなことするんですか!!??」

初春「私達!!三人で見てたんですから、言い逃れはさせませんよ!!」




259: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 23:39:13.42 ID:84wic5V40

御坂「……あれは」

御坂(佐天さんも見てたのか……拙かったわね……)

そう思いながら言葉を続ける。

御坂「……違う……のよ」

初春「何が違うって言うんですか!!!まるで、佐天さんに見せ付ける様な真似して!!卑怯です!!!」

目の前の御坂美琴の態度に、初春飾利の怒りは止まらない。

御坂「あれは……その……成り行きで仕方なく……ね?」

初春「成り行きで男の人と手を組むんですか!!!御坂さんって、そんなに軽い女だったんですね!!」



260: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/21(木) 23:44:08.94 ID:84wic5V40

初春飾利は、怒りと軽蔑の視線を御坂美琴にぶつける。

白井「初春!!今のはいくらなんでも失礼ですわよ!!」

白井黒子が割って入る。

初春「だって。本当のことじゃないですか!?御坂さんも返す言葉。ないみたいですし」

御坂「…………」

御坂美琴は沈黙している。

白井「お姉さま?黙っていらしては分かりませんの」

白井「お願いですから、何か話してくださいまし」

優しい問いかけに御坂美琴は、語り始めた。




262: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 00:00:21.03 ID:shtGgzJ+0

御坂「実はね……私この前アイツにあったときに『用事がある』って言われて」

御坂「それで今日の朝、待ち合わせしてたの」

(回想)



御坂「で、アンタ何の用なのよ?」

上条「簡潔にいうぞ!!頼むっ!!俺とコイビトになってくれ!!」

御坂「え!?えぇえぇえぇえぇええ!!??」




263: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 00:04:11.28 ID:shtGgzJ+0

御坂「なな、なんで私とアンタが、こ……コイビトになんて……」

御坂(いったいなんなのよーーーーー/////)

御坂(うれしいけど///急すぎて何も考えられないよ)

上条「お、俺とじゃ、イヤか?」

御坂「そそそ、そんなことないけど……」

上条「じゃあいいんだな!!??」

御坂(うそうそうそ???こんなのって、こんなのって////)




264: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 00:08:34.80 ID:shtGgzJ+0

御坂「……うん」

上条「よっしゃああああーーーーー」

御坂(私も嬉しいよ。当麻////)

上条「これで、『魚沼産コシヒカリ一俵』の希望が見えたぜーーー」

御坂「はっ!?」

御坂美琴は何のことか分からない。



266: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 00:14:18.67 ID:shtGgzJ+0

上条「おうっ。事情を一から説明しよう」

上条の口から語られたのはこういうことだった。

・実は今、学園都市のとある雑誌で『制服カップルコンテスト』というものをやっている。

・それは、夏休み明けの第二日曜(つまり今日)実施される。時間は日没まで。

・街を制服で歩いているカップルを対象に、各編集者が『ルックス』『ラブラブ度』等々の基準で順位付けをする。

・そして、見事一位に輝いたカップルには、賞品として『魚沼産コシヒカリ一俵』が与えられる。

というものだった。

電撃が上条当麻を襲う。




269: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 00:22:06.66 ID:shtGgzJ+0

『幻想殺し』で電撃を防いだ上条当麻に、御坂美琴は言う。

御坂「アンタねえぇ!!馬鹿にするのもいい加減にしなさいよ!!」

上条「馬鹿になんてしてねえ!!上条さんにとっては死活問題なんだ!!」

上条「お嬢様には分からないだろうさ!!けどな!!」

上条「米が一俵有るか無いかってのは、貧乏学生にとっては何よりも大事なんだよ!!」

上条「日本人なら米食ってなんぼだろうが!!銀シャリ万歳だろうが!!」

上条「お前も日本人だろ!?だったらわかるよな、この気持ち!!」

上条「もし、お嬢様生活で洋食にかぶれちまって日本人の米を愛する心を忘れ、パンとか麺とかそういうものを主食にしようってんなら!!!」

上条「まずは、その幻想をぶち殺す!!!」



271: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 00:26:16.05 ID:shtGgzJ+0

御坂(//////)

御坂「わかったわよ……あんたがそんなにお願いするってんなら……」

御坂「今日一日は、その……コイビトになってもいいんだからね」

(回想終わり)

初春「……」

白井「……」

沈黙が続く。

御坂「本当なのよ!!信じて頂戴!お願いだからっ」




272: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 00:31:02.68 ID:shtGgzJ+0

白井「……ということは」

初春「私たちが早とちりして、略奪愛だなんて勘違いしただけ……って事ですか?」

御坂「そうそう!!もう、やだなー勘違いしちゃって」

御坂「だいたい私は……あんなバカに興味なんてないんだから!!」

恥ずかしそうに御坂美琴は言う。

初春「本当に興味なんてないんですね!!!」

初春飾利が確かめる。

白井黒子は聞き耳を立てている。

御坂「そうよ……」

ばつが悪そうに御坂美琴は答えた。




273: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 00:35:59.33 ID:shtGgzJ+0

初春「すみませんでした!!!御坂さん!!」

御坂「いいのよいいのよ、紛らわしいことしちゃったのが悪いんだし……」

白井「そうですわよ、お姉さま。これからはもっと自分の身を大事に扱ってくださいまし!!」

三人は何とか和解する。

初春「それより、問題なのは……佐天さんですよ」

初春「はやく見つけて安心させてあげなくっちゃ!!」

白井「そうですわね」

二人が再び駆け出そうとする。

御坂「私も行くわ。今日説明しとかないとなんか、気まずくなりそうだしさ……」

走り出そうとしていた二人がコクリとうなずくと同時に、今度は三人で走り出す。。




274: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 00:41:49.38 ID:shtGgzJ+0

佐天涙子は壁にもたれ、うつむいていた。

走り続けていた彼女の体には、いたるところに擦り傷がある。

長く冷たい雨に打たれた所為で身体の芯まで冷え切っている、

しかしそれよりも、彼女の心は氷のように冷たい。

佐天(アタシが『無能力者』だから)

佐天(だからセンパイは御坂さんを選んだんだ……)

ずっと、この事ばかりを考えている。

疲れと冷えで身体はもう、言うことを聞かない。

雨はさらに容赦なく彼女の身体を打ち付ける。

佐天(このまま、死んじゃうのかな?)

生まれて初めて、死を意識する。今ならそれもいいかもしれない、そう思った。

佐天「アタシなんか必要ない人間だもんね」

雷鳴が響く。



277: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 00:46:31.57 ID:shtGgzJ+0

「いま、なんて言った!?」

雷が収まった瞬間。近くで声が聞こえる。

「なんて言ったって聞いてるんだ!!??」

声が近づく。

その方向にいたのは頭の中で考えている人物と同一人物だった。

佐天(いやだ……なんでこんなところに)

佐天(あいたくない、みられたくない、はなしたく……ない)

本当は話したい。話して、確かめたい事がある。

だけど怖い。逃げだしたい。うん、逃げよう。

この場を離れようと決意する。

しかし彼女の心と裏腹に身体は言う事を聞かない。

そして、声の主が目の前に立ちふさがった。




280: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 01:03:24.32 ID:shtGgzJ+0

上条「必要ない。だなんて、どうしてそんなこと言うんだ!?」

上条「昨日の明るさはどこ行っちまったんだよ!?」

上条当麻は問う。

佐天「センパイにはっ!!!関係のないことです!!!!」

恥ずかしさや情けなさが入り混じり、佐天涙子は思ってもいないことを口にする。

上条「関係ないなんて事は無いだろ!!」

上条「今だって、俺のことを『センパイ』って呼んでくれてる」

上条「確かに付き合いは短いけど、でもな、関係ないなんて言われる関係じゃねぇんだよ!!!」

佐天「ほっといてください!!私にだっていろいろあるんです!!」

もうこれ以上は、話せない。話すのが怖い。

話したくないのになぜか、口からは言葉が溢れる。




281: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 01:09:38.15 ID:shtGgzJ+0

佐天「好きな人ができたんです……」

佐天「はじめて好きな人ができたんです……」

佐天「一目惚れだったけど、今もその人のことをあまり知らないけど」

佐天「でも!!大好きだったんです!!」

佐天「友達も、協力してくれるって言ってくれて、アタシ頑張ろうって思ったんです」

佐天「……でも……その人のことをよく知っている人から聞いたんです」

佐天「その人にとって……」

佐天「アタシみたいな『無能力者』は迷惑だって!!!!!!」

佐天涙子の目からは本人も気付かないうちに涙が流れている。

佐天「だからもう……諦めようって思うんです……」

佐天「だから!!!……だから……もう、私に構わないでください!!!」

満身創痍の身体を震わせながら、彼女は叫んだ。



282: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 01:14:28.41 ID:shtGgzJ+0

上条「言いたいことは……それで終いかよ!?」

上条「黙って聞いてりゃ、人に言われたことを必要以上に気にして、『自分のことは必要ない』って勝手に思い込んでるだけじゃねえかよ!!!」

上条「もしかしたら、そいつの言うように、お前の好きな相手ってのが本当に『無能力者』を迷惑って思ってるかもしれねえ!!!」

上条「だけど!!てめえはそれを鵜呑みにして、自分の中で完結させちまってそれでいいのかよ!!!」

上条「自分で直接確かめようとは思わねえのかよ!!」

上条「確かに、それでハッピーエンドにはならないかもしれねえ!!」

上条「でも!!自分で確かめるからこそ、自分が納得できる結末ってもんが存在するんじゃねえのか!!??」

上条「それに!!てめえがそんなに簡単に諦めるって言うことはよ、てめえに協力すると言った友達を裏切ることになるんだ!!!」

上条「その友達の気持ちをっ!!!なによりも自分の気持ちを裏切って、てめえはそれで満足なのかよ!!!」

上条「いいぜ。てめえが自分の気持ちを偽ってまで、そいつのことを諦めようってんなら」

上条「まずは、そのふざけた幻想をぶち殺す!!!」



285: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 01:20:07.45 ID:shtGgzJ+0

涙が止まらない。

佐天涙子は、とめどなくあふれる涙を、抑えることができない。

声にもならない声で囁く。

佐天「あ……の……それじゃあ……」

佐天「聞いても……いいですか?」

佐天「センパイは……センパイにとって……」

勇気を振り絞って、口に出す。

佐天「『無能力者』って……迷惑ですか?」

上条「―――――」

上条当麻の答えで、佐天涙子の冷えた心に再び、暖かさが戻っていった。


第五部 (雨中)

終わり




286: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 01:28:53.07 ID:shtGgzJ+0

エピローグ

佐天「じゃあ、三人ともあの場にいたって言うんですか!?」

佐天「それなら声かけてくれればよかったのに」

昨日の雨がまるで嘘のように、今日は晴れている。

白井黒子の呼びかけで、いつもの四人が集まり話している。

最初は佐天涙子と御坂美琴の間に、ピリピリした空気が流れていたが、

数回の会話で誤解は解けた。

初春「だって……」

三人が目を合わせる。

白井「とても声をかけられるような雰囲気ではございませんでしたわ」

御坂「そうよそうよ……(うらやましいって言うかなんと言うか)……はあ」

初春「まあ、とにかく」

初春・白井・御坂「佐天さん!!おめでとう!!」



287: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 01:35:01.57 ID:shtGgzJ+0

実は三人は昨日。佐天涙子の後を追い、そして見つけたのだが

彼女たちの言うように、声をかけられず帰ってしまっていた。

もちろん一部始終は立ち聞きした後で。

なので、佐天涙子がいちいち報告する前に、全員が昨日の出来事を把握していた。

佐天「……なんか、照れますね」

佐天「でも……なんかあんまり実感ないんですよ。カレシカノジョっていうのに」

初春「ま~ま~佐天さん。最初はそんなもんですって」

御坂「そうそう、きっとそんなもんよ」

御坂美琴はどことなく悔しそうに言う。それに気付いた白井黒子が

白井「お姉さまも、いつか私と結ばれる時がくればわかりますわよ~~ん」

得意の変態行動を見せる。

彼女たちに、いつもの日常が帰ってきた。



291: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 01:41:14.83 ID:shtGgzJ+0

そんな彼女たちに気付いてか気付かずか、話題の『上条当麻』が近づいてくる。

佐天「あ、当麻さーーーーーん!!!」

佐天涙子が走り出す。

それを三人は温かく見守りながら。ついて行く。

上条「おー、昨日ぶり。風邪とかひいてないか?」

佐天「ええ、全然!!アタシ、元気なのが取り柄ですから!!」

白井「元気な彼女ができてよかったですわね、上条当麻?」

上条「……え?彼女!?」

御坂「は!?アンタ何言ってんのよ?佐天さんはアンタの彼女でしょうが?」

初春「私達聞いてたんですからね、昨日の会話!!」

上条「……えっ!??ええ??つまり…………??どういうことでせうか?」

上条当麻は全く気付いていなかった。

昨日の、佐天涙子の話の中の『好きな人』が自分であることに。



293: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 01:47:22.59 ID:shtGgzJ+0

白井「つまり、こういうことですわ。佐天さんのすk」

白井黒子が説明しようとしたとき、制止が入る。

佐天「わーわーわーーーー。も、もういいじゃないですかー。あ、それよりみんなで、ジュースでも飲みましょうよ!!!」

顔を真っ赤にしながら、必死に白井の口を押さえる佐天涙子。

白井「モガモガ、でも、いいんですの?あの様子だと、全く気付いてないみたいですが……」

初春「そうですよ~~佐天さん!!」

佐天「まーまー、いいから二人とも!!下手にぶり返すとさ、恥ずかしいだけだし!!」

もめている三人を尻目に、御坂美琴はどこか嬉しそうだ。

御坂(私にも……まだチャンスあるってこと??)

そんな彼女たちを眺めながら、一人状況を理解していない上条当麻。

彼を見ながら佐天涙子は思う。

佐天(当麻センパイっ!!!アタシ、絶対諦めませんからっ!!!!)


とある魔術の禁書目録 SS
佐天(……とうまセンパイ……かあ。)
おわり。



310: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/10/22(金) 15:56:27.24 ID:vY+mO0HK0

面白かった。乙


元スレ
佐天(……とうまセンパイ……かあ。)
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1287392339/