SS速報VIP:岡部「交わした約束」ほむら『忘れないよ』
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1: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 01:57:57.92 ID:JKskC6Aqo



『……お前は、1年もしないうちに』


      『再びタイムトラベル理論と向き合うことになる』


       Prologue 希望と絶望のプロローグ


#################################
#######################1.130205
###############1.129848
#########################1.130212
#########1.048596
#################################



3: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:02:10.35 ID:JKskC6Aqo


「全話一挙配信キタァァァァァアアアアアア!!!!」

「フゴッ!?」


突然の大声がラボに鳴り響いた。

その声に体はビクンッと跳ね、
気持ちよく昼寝をしていた俺はその声に叩き起こされる。
直前に、何か夢を見ていた気がするんだが、もう思い出せない。

何事だ!?と辺りを見回すと、目に映るのは二つの光景。
一つは快晴による日の光が充分に射し込んだ綺麗なラボ。
もう一つは椅子がひっくりかえるんじゃないかと思うほど、
背を預け両手を掲げグルグルと椅子ごと回っている醜いダルの姿が映る。
ふざけんな。


岡部「おいダル!うるさいぞ!!
   我が眠りを妨げるとはどういう了見だ?静かにしろ!!!」

ダル「だが断る!これが静かにしてられるかお!!
   あの神アニメがニヤニヤで、
   全話一挙無料配信とか胸が熱くなりすぎて世界がヤバい!」


お前がヤバいだろ……。



4: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:05:22.92 ID:JKskC6Aqo

岡部「落ち着け!何をそんなに熱くなることがある?
   アニメが全話配信されるぐらいでそこまで大声を張り上げることか?

   わかったら静かにしてくれ……徹夜明けで俺は眠いんだよ。
   ……後、お前いつからニヤ厨になった?」


昨日と今日をまたいで、
新たな未来ガジェット制作に貴重な休みを使っている俺の苦労をわかってくれ。


ダル「オカリンはわかってないお!
   もはやアニメ史を超え、ネットを超え、社会現象になり、
   いずれは世界に羽ばたくこの神アニメをまた鑑賞できるなんて……。
   僕はニヤ厨になってでも見るのを止めない!!
   プレミアム会員にもなる覚悟が完了してるお!」

岡部「またと言うからには以前やったアニメなんだな?
   ということは事前に全話録画済みなんだろ?
   だったら家でもラボででも、いつでも見ればいいではないか。
   そんな騒ぐようなことか?」

ダル「駄目だぜ!全然駄目だオカリン!
   確かにいつでも録画したものは再生できるお……。
   でもな!みんなで一斉に見る時間は再生出来ないんだよ!」


つまり……どういうことだってばよ?


ダル「僕達には!また!
   感動をリアルタイムで共有できる時間が!与えられたんだ!
   こんなに嬉しいことはない!」

岡部「わかった!お前の気持ちはよーくわかった!だから少し静かにしてくれ……」

ダル「だーかーらー!この気持ちを共有しようぜ!なあ!オカリン!!!」


スイッチの入ったダルは止まらない。
思えば数か月前もこんなダルを見た気がする。
「きええええええ!!」とか叫んでたような?

あの時はテキトーに流したが、
今の寝ぼけ眼の俺には流す力が湧いてこない。


ダル「オカリン……僕と契約して、魔法少女になってよ!!」



5: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:07:14.01 ID:JKskC6Aqo

あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!
『理不尽に睡眠を妨害されたと思ったら、魔法少女になれと言われていた』
何を言ってるのかわからないが、俺も何が起きてるのかわからねえ。
催眠術とかそんなチャチなもんじゃねえ、
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。
ブン殴ってもいいだろうか。


岡部「ダル……貴様は我が――」


言葉を発するや否や、唐突にラボのドアが開いた。


まゆり「トゥットゥルー♪まゆしぃです☆
    ダルくん何してるのー?遠くまで声が響いてたよー?」

ダル「あ、おかえりまゆ氏。今オカリンと魔法少女について語ってるんだお」


いや、「と」じゃないだろ……。
ダルが一方的に語ってるというか騒いでるだけだ。


岡部「まゆり、学校はどうしたのだ?」

まゆり「今日はね、午前中で終わったの。だから早めに来れたんだー」


まゆりは高校生だ。
休みの日を除いて普段は昼過ぎまではラボに顔を出せない。



6: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:09:52.47 ID:JKskC6Aqo

まゆり「それよりも魔法少女って、
    アニメの『魔法少女まどか☆マギカ』ことー?
    オカリンもついに興味持ってくれたのかな?
    だとしたらまゆしぃは嬉しぃのです☆」

岡部「いや俺は魔法少女になんか興味もないし、
   アニメのことも全く知らん!
   さっきからダルが騒いでるだけなのだ。

   まゆり……なんとかしてくれ……」

まゆり「えー?そうなのー?
    オカリンもやっと興味を持ってくれたと思ったのにー?
    まゆしぃはがっかりなのです……」

ダル「だから今オカリンに魔法少女がなんたるかについて、
   レクチャーしようとしているところなんだお!」

まゆり「んーそれならまゆしぃも手伝うよ!
    まゆしぃもねーオカリンにも知ってもらいたいのです!」


さらば睡眠。俺の気持ちよく昼寝するという望みは絶たれた!


岡部「まゆり……お前は知っているはずだ。
   俺がそういうものには興味が湧かないことを!
   何故なら俺は狂気のマッドサイエン――」

まゆり「でもねーでもねー?すっごく面白いアニメなんだよー?
    オカリンも見たら絶対気に入ると思うなー」

岡部「いやだからな?
   俺は科学者であってだな……魔法何て非科学的な――」

ダル「奇跡も!魔法も!あるんだお!」


うるさい黙れ。
ダルはいつもおかしい奴だが、今日はさらに輪をかけておかしくなってるな。



7: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:12:06.99 ID:JKskC6Aqo

岡部「大体ダルよ。
   お前がたかがアニメにそこまで熱が入るなんて珍しいものだな?
   普段はエロゲー三昧のHENTAIの癖にどういう風の吹き回しだ?」

ダル「HENTAIじゃないよ!HENTAI紳士だよ!
   後、魔法少女はたかがアニメじゃない!」

岡部「じゃあなんだと言うのだ?」

ダル「人生……かな?」


そんな人生は死んでもゴメンである。
もうだめだこいつ……早くなんとかしないと。


ダル「そんじょそこらのアニメと一緒にされちゃ困るお。
   この僕ですら感動させるあのアニメは正に神!
   神は人生を僕達に見せてくれたんだ!これでもう何も恐くない!」

まゆり「あのねオカリン?ダルくんが言ってるのは嘘じゃないよ?
    まゆしぃもねー見てた時は、
    すっごい感動してねー?ボロボロ泣いちゃったのです;;」

岡部「しかしだな……さっきから聞いていれば、
   「感動した!」とか「泣いた!」とか平凡な感想ばかりではないか。
   これでは具体的な感動も伝わらなければ、
   何が神なのかも全然わからんぞ?」

まゆり「それはねーアニメを見ればわかるよオカリン☆」

ダル「この感動を教えたらネタバレになるしな。
   だからさオカリン。僕と契約して魔法少女を見ようよ!」


つまり、「感想を知りたいならアニメを見ろ」ということか?


岡部「だが断る。別に俺は元々興味も無いし、感想も聞きたいわけではないしな」


ただ静かに寝させて欲しかっただけだ。



8: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:14:57.63 ID:JKskC6Aqo

まゆり「えー?それじゃ興味持ってもらえないよー!
    一緒に見ようよオカリンー?」

ダル「あ、そうそう、まゆ氏まゆ氏!
   近々『魔法少女まどか☆マギカ』が、
   ニヤニヤで全話一挙配信するみたいなんだお。

   これはもうラボメン全員で見るしかないっしょ常考」


お前の常識はry


まゆり「わーすごいねー。これでオカリンも興味を持ってくれるよー♪」

岡部「って待て待て待て!何勝手に話を進めているのだ!?
   しかもラボメン全員でって……

   ここはアニメ鑑賞サークルではないんだぞ!?」

ダル「何だよオカリンー尻の穴がちっちぇなー。
   そんぐらい良いじゃんかねーまゆ氏?」

まゆり「ねー☆」

岡部「『ねー』じゃない!」


二人して「「ねー」」と首を傾げてる。
まゆりはともかく、ダルには殺意すら湧いてくるがそこはグッと抑えた。
そうこうしながら騒いでいると、再びラボのドアが開かれた。


「何騒いでるのよ?外まで聞こえてたわよー?魔法少女がどうだこうだって……」



9: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:17:32.06 ID:JKskC6Aqo

岡部「おお!いい所に来たクリスティーッナ!何とかしてくれ!」

紅莉栖「だから私はクリスティーナじゃないし、
    ティーナを強調して呼ぶな……」


ブツブツ言いながらラボに入ってくるのは、
我がラボの頭脳(マイブレイン)でもある助手ことクリスティーナ。

生粋の脳科学者であり、
今のこの状況を打開してくれる切り札がここで登場してくれた。
流石助手!そこに痺れる憧れる!


紅莉栖「で?さっきからいったい何を騒いでるのよ?」

岡部「聞いてくれ!こいつらが――」

まゆり「あのねー?

    今オカリンに『魔法少女まどか☆マギカ』っていうアニメを一緒に見よー?
    って話をしてるの」

紅莉栖「何?岡部ってそんなアニメに興味持つの?
    一体お前は幾つだよ……ホントHENTAIだな」

岡部「って話しを聞け!あのな――」

ダル「牧瀬氏牧瀬氏!「そんなアニメ」とは聞き捨てならんお!
   このアニメの素晴らしさも知らずに、
   「そんな」なんて枠組みに収めるのはやめてもらおうか!!」

紅莉栖「はいはいワロスワロス。橋田はいつでもキモオタ全開で逆に清々しいな」



10: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:19:52.86 ID:JKskC6Aqo

まゆり「でもねでもねクリスちゃん?

    『魔法少女まどか☆マギカ』ってすごい面白いアニメなんだよ?
    ダルくんだけじゃなくて、
    色んな人がおもしろいーって言っててね。
    まゆしぃはクリスちゃんにも見てもらいたいなー」

紅莉栖「へえーまゆりも見てるんだ?
    魔法ねぇ……私はあんまり興味ないけど、
    まゆりが面白いっていうなら見てみてもいいかな?

    っていうかまゆりはホント羨ましいくらい可愛いな」



ダル「……オカリン……僕とまゆ氏の何が違うって言うんだお……」

岡部「ここは俺に任せろダル……おい、クリスティーナ!
   お前は『魔法少女まどか☆マギカ』を絶賛したダルを「キモオタ」と言ったが、
   それでは『魔法少女まどか☆マギカ』を絶賛した、
   まゆりも「キモオタ」に部類されてしまうが、

   それでいいのか!?え?助手よ!」



11: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:22:25.87 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「ハァ?あんた何いってんの?
    まゆりは女の子なんだし、
    『魔法少女~』みたいな女の子向けアニメを見てても、
    気持ち悪くなんて見えないでしょ?
    それを橋田みたいなHENTAI男が鼻息を荒くして、
    女の子向けアニメの絶賛なんて気持ち悪いことこの上ないじゃない。
    それに私はオタクは別に良いことだと思ってるわよ?
    何かの趣味に対して熱を入れられることは素晴らしいことだもの。
    でも橋田の場合はその方向が間違ってるわけ。
    特に普段から女の子を変な目で見てる橋田が、
    『魔法少女~』なんて語ってたら誰だって「キモい」って思うわよ。
    ううん、「キモい」ですんでるだけまし。
    普段セクハラで通報されないだけ感謝してほしいくらいよ?」


容赦ないなこの助手。


岡部「でも……そ、それは偏見じゃあないか助手よ……」



12: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:23:47.63 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「そうよ?悪い?
    でも橋田を「キモオタ」として見るから、
    まゆりもそう見るなんてロジックにはならないでしょ?
    はい、論破。

    っで?
    岡部もついにその「キモオタ」への道を、
    突き進む気になっちゃったわけ?」

岡部「な!?誰がキモオタだ!一緒にするな!!
   俺はこいつらのせいで昼寝を妨害され精神攻撃を受けていた所なのだ!
   断じて興味があるわけではないぞ!勘違いするなよ!」

紅莉栖「ツンデレ乙。でもどーせ一緒に見る気だったんでしょ?
    だったらやっぱり突き進むんじゃない」

岡部「だから違うと――」

まゆり「あのね……まゆしぃは、
    オカリンとクリスちゃんにケンカしてほしいわけじゃないのです……」


ダル「……僕の体はボドボドだ……オカリンも牧瀬氏も酷すぐるお……」


仲裁してくれたまゆりによって、
ヒートアップしていたラボのふいんき(何故かry)は沈静化していった。
ついでにダルへも軽く謝り、
紅莉栖には今までの説明をして色々と納得?してもらった。



13: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:26:49.29 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「ふーん……つまりそのアニメが全話一挙配信するから、
    ラボのメンバー全員で見ようって話しなわけね?」

ダル「要約乙!牧瀬氏も見ればきっと気に入ると思うお」

紅莉栖「んー……まあいいんじゃないの?暇な研究所なんだしそんくらい」

ダル「うはwwwwww牧瀬氏の許可ktkr!もう何も恐くないwwwwww」

岡部「恐くないじゃない!まだ俺は許可してないぞ!?」

紅莉栖「岡部だっていつも暇してるんだから付き合ってあげれば?
    まゆりが喜ぶわよ?」

まゆり「そうだよー?一緒に見ようよオカリンー」

岡部「暇じゃない!

   今日だって貴重な休日を使って、未来ガジェット制作に力を入れていたのだ!
   そんなアニメを見る時間など、この狂気のマッドサイエンティスト!
   鳳凰院凶真にはないのだよフゥーハハハ!!」


紅莉栖「岡部の作る物なんかどうせガラクタでしょ?
    そんなことより普段まゆりに迷惑ばっかかけてるんだから、
    こんなときぐらいお願いを聞いてあげたらどうなの?

    器の小さい鳳凰院さん?」

岡部「ガ、ガラクタだと!?おのれ助手の分際で……というかクリティーナよ?
   やけにまゆりの肩を持つではないか?

   本当はお前がアニメを見たいだけなんじゃないのか?」

紅莉栖「な!?
    ……別に私は興味ないけどまゆりや……ついでに橋田もどうしてもって言うんだから、
    僅かな時間ぐらい付き合ってあげればって考えてるだけよ。
    第一、私は科学者なのよ?
    魔法になんか興味をもったら、自分で自分の存在を否定するようなものじゃない。」


ダル「奇跡も魔法もあるんだお!
   ……科学でしか自分を表現できないってんなら……!

   まずは、そのふざけた幻想をぶち[ピーーー]!」

紅莉栖「うるさい黙れ」

ダル「」



14: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:29:51.58 ID:JKskC6Aqo


バッサリと切られるダルに対してちょっと可哀想だなと思ってしまった。
しかしこの助手、俺と言っていることが被っているぞ。


岡部「しかし助手よ。お前カー・ブラックホールの説明の時に、
   ミクちゃんクロちゃんで魔法少女の擬人化説明をしてたではないか。
   口では興味ないといいつつ、体は正直なのではないか?」

紅莉栖「ちょ、捏造すんな捏造すんな!大事なことだから二回言いました!
    私はそんな説明したことないぞ!?」


あ、そういえばそうだった。


岡部「う、だが助手よ。お前夢の中では魔法使いキャラだったではないか?
   本当は魔法が使いたい願望とかあるんではないか?」

紅莉栖「さ、さっきから何をいっとるんだお前は!?
    そんなに私に魔法の興味を持たせたいのか!?

    ってゆーか、
    岡部の方こそそんな魔法魔法言って、見たがってるんじゃないの!?」


覚えてないというのは辛いな。しかし俺はしっかりと覚えてるぞ。
                          ――事実無根のラディカルメンバー。


紅莉栖「お、おい!その薄ら笑いを止めろ!なに目を細めてるんだ!?」

岡部「いいんだクリスティーナ……いや魔法少女くりす☆ティーナよ!
   何も言わずとも俺にはわかる、

   だからもっと裸の自分をさらけ出してかまわんぞ」

紅莉栖「よし、わかった。喧嘩だな?喧嘩売ってるんだな?
    とりあえず今すぐ警察に通報してセクハラ容疑で訴えてやるから覚悟しろ」


そういうとマジで携帯を取り出してボタン押そうとしだす。
流石にからかいすぎたか?と慌てて紅莉栖を(まゆりが)なだめる。



15: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:31:54.03 ID:JKskC6Aqo

まゆり「もーオカリン?あんまりひどいとまゆしぃも怒るよー?
    まゆしぃは、
    もっとクリスちゃんとオカリンには仲良くしてもらいたいのです」

岡部「……すまん」

紅莉栖「……ふん」

ダル「それで結局オカリンも上映会には賛成ってことでFA?答えは聞いてない」

岡部「って上映会って何だ上映会って?
   なんだかどんどんランクアップしてないか?」

ダル「いやいや、ラボメン全員で見るんだから必然っしょ?
   PCの画面なんかじゃ小さすぎて、全員でなんか見れないお。
   後、感動も薄れるし。

   ここはプロジェクター使ってドーンと上映会をだなー」

岡部「ドーンてお前……その機材はどっから持ってくるのだ?
   ラボにはないしそんなもん買う予算なんかないぞ??」

ダル「……こんなこともあろうかとぉ!自宅に機材一式配備してあるんだお!
   後はそれをラボに持ち込みさえすれば、

   未来ガジェット研究所は映画館に早変わりだお!」

まゆり「やったねダルくん!それはとっても嬉しいなって☆」

ダル「とっても嬉しいないただきましたー!
   うはwwwwwwそうと決まれば、みwwなwwぎwwっwwてwwきwwたwwおwwwwwwwwww!

   さあオカリン、運びにいこうぜ!」


おいマジかよ……夢なら覚め――

もはや流れ(ビッグウェーブ)に乗ってしまったダルを止めることができずに、
俺はダルと共に機材を運び込むことになるのだった。



16: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:33:24.04 ID:JKskC6Aqo


何も今日運び込むことはないんじゃないか?
と疑問を投げたのだが、ダル曰く――


ダル「今日やることから逃げたら、明日はもっと大きな勇気が必要になるお」キリッ


と聞く耳持たずの精神で、今のダルには何を言っても無駄のようだった。
そして、まゆりと紅莉栖はラボ待機。
正直まゆりぐらいは手伝ってくれてもいいんじゃないのかと思ったのだが、
紅莉栖が許可を出してくれなかった。理由は……言わなくてもわかるだろう。

そんなこんなで、
なんと、ダルの自宅を二回往復して機材をラボに持ち込んだ。
今日という時間はアッというまに過ぎ去り、
俺の貴重な休日は泡のように消えてしまったのである。

次の日から、俺とダルは大学へ行きながらバイトしつつ、
ラボの資金のためにコツコツと稼ぐ作業が始まり、
まゆりも学校とバイト、紅莉栖は日本の研究施設に籠りっきり。
各々次の休日までは忙しい毎日を過ごしていた。


その間に俺は他のラボメンに連絡を取り、
全員集まれる休日を決め、その日に円卓会議を開くことになるのだった。



17: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:35:14.09 ID:JKskC6Aqo

岡部「諸君!今日集まってもらったのは他でもない!
   例の作戦を実行するに当たっての、
   作戦概要についてを議題とする!」

ルカ子「まゆりちゃんから聞きました。

    皆さんで、アニメをみるんですよ…ね?」

フェイリス「ニャー凶真がアニメを見るのに、
      こんな作戦を立てるのなんて珍しいのニャー」

岡部「う、うーむ誠に不本意だが、
   今回はラボメンナンバー002まゆりと003ダルたっての願いでもあり、
   このような形の会議となった!

   しかぁし!取り組むからには、諸君らに全力で事に当たってもらいたい!
   そのために、まず、まゆり参謀本部長から意見があるそうだ。
   皆心して聞くように!」

まゆり「はいはーい!えーっとねぇ、まゆしぃはですねー?



           ――みんなにコスプレをしてもらいたいのでーす☆」



18: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:37:58.97 ID:JKskC6Aqo

萌郁「……コス……プレ……?」

ルカ子「え?……あのまゆりちゃん?
    コスプレとアニメを見るのにはどんな関係が?……」

まゆり「あのねー?

    まゆしぃはせっかくだから、
    みんなが魔法少女のキャラになりきりながら見たら、
    おもしろいんじゃないかなーって思ったの」

紅莉栖「まゆり?
    そ、それって、そのアニメの登場人物達が、
    〝『魔法少女』に変身した姿の〟コスプレをするってこと?」

まゆり「そうだよー」

紅莉栖「……ちなみにその登場人物達って何歳の設定なの?」

まゆり「んー?中学二年生ぐらいかなー?」

萌郁「……中学……生……」


紅莉栖「そ、まゆりそれはちょっと……何ていうか私達にはキツイんじゃないの?」

まゆり「?何でー?きっとみんな似合うと思うなー」

ルカ子「あのぉ……それってボクも入ってるの?……」

まゆり「もちろんだよー☆るかくんはねーさやかちゃんが似合うと思うな」

ルカ子「それってぇ……女の子だよね?……まゆりちゃぁん……」



19: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:39:41.49 ID:JKskC6Aqo

フェイリス「フェイリスは全然OKだニャー!……ニャフフ!!
      ついにフェイリスの魔法をお披露目する時が来るのかニャー?」

萌郁「……写真……撮らせてくれるのなら……やるわ……」

まゆり「いいよいいよーもえかさんもフェリスちゃんもOK貰えたし、
    これは期待してもいいのかなぁー☆えっへへ~っ」


紅莉栖「ちょ、ちょーっと待って!まだ私はやるなんて言ってないわよ!?」

ルカ子「ぁの……ボクも……コスプレは……」

フェイリス「じゃあここは多数決で決めるってのはどうかニャ?
      奇数で丁度いいし公平に決まるのニャ!」

岡部「よし!ならばコスプレをするのに賛成のものは挙手をしろ!」


結果は……。
ダル、萌郁、フェイリス、まゆり、そして俺の満場一致で――



20: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:41:43.26 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「――ちょぉおおおおおっと待ちなさいよ!何ぞこれ?どこが公平なのよ!」

岡部「うるさいぞ助手よぉ。
   多数決で決まったことにあれこれ言うのはマナー違反というもんだ!」

紅莉栖「ふ、ふざくんな!こんなの最初っから決まってたようなものじゃない!
    異議を申し立てるわ!」

岡部「その異議を、主催者権限により却下する!!」

紅莉栖「岡部ぇええ!
    ……大体あんたと橋田は男なんだからコスプレ関係ないじゃない!
    抜けなさいよ!」

岡部「おやぁ~?俺とダルが抜けても三対二でコスプレ賛成派の勝ちだが……?
   まだ何かあるのかなぁ~ん~助手よ?」

紅莉栖「ぅ……そ、そうだ!
    綯ちゃん!綯ちゃんも入れてもう一度多数決を取りましょう!?」

岡部「いや小動物はラボメンでもないし。
   ……そんなことしたらミスターブラウンが黙ってないわけで……」

紅莉栖「何言ってんの!
    ラボメンじゃないから入れてあげないなんて可哀想だと思わないの!?」


ダル「牧瀬氏牧瀬氏ぃ?一応『魔法少女まどか☆マギカ』って深夜アニメなんだよね?
   しかも配信されるのは夜からだから一緒に見るのは無理だと思われ」

紅莉栖「橋田は黙ってて」


フェイリス「ニャ~クリスティーニャンは往生際が悪いのニャ。
      観念してフェイリス達と一緒にコスプレするニャアン!」

紅莉栖「私はクリスティーニャンじゃない!私はもう19歳になるのよ!?
    それなのに魔法少女ってなんぞ……無理にきまっとろーが……」


萌郁「……私……21……」

ダル「牧瀬氏必死だな(笑)」



21: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:44:08.11 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「うるさい!……ねえ、漆原さんも嫌なのよね?
    何か言ってやってー!!」

ルカ子「ぁ……ボクも……その……コスプレは――」


岡部「ルカ子よ!鳳凰院凶真の名において命ずる!
   清心斬魔翌流の修行と思いコスプレせよ!!」

ルカ子「ぇ?……ぇええ!?岡部さ……でもぉボクぅ……」

岡部「鳳凰院凶真」

ルカ子「凶真さ」

まゆり「るかくんるかくん……オカリンはね~?
    きっとるかくんのコスプレ姿が見たいんだよー?」

ルカ子「え……そうなんですか?岡べ……凶真さん」

岡部「……え?……ぁ、ああ!そうだともルカ子よ!
   俺はお前のコスプレ姿が見たい!!!」

紅莉栖「お、お、おおおかべあんたおかおか岡部ぇぇええ!!!」

ルカ子「…………ボク……じゃぁ……ゃります」


岡部「よーし!これで決定だ!!もはや異論はあるまい助手ぅ?」

紅莉栖「……ゃ……やってられるかあああ!私は自分の部屋に帰らせてもらう!」

岡部「それは死亡フラグだぞ助手よ。
   それにお前にこの作戦への拒否権はない!
   何故ならばこの作戦はお前が、
   『まあいいんじゃないの?』とか言った所から始まってしまったのだ!

   今更逃げようたってそうはこの鳳凰院凶真は許さん!観念しろ!」

紅莉栖「……だ、だってぇ、どんな罰ゲームよこれぇ?馬鹿なの?死ぬの?」



22: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:47:37.44 ID:JKskC6Aqo

まゆり「クリスちゃんクリスちゃん?
    まゆしぃはね、クリスちゃんがコスプレしたらとってもかわいいと思うなぁ」

紅莉栖「そ、そんなの気休めよ……。
    まゆりやフェイリスさんは可愛いし、桐生さんは美人だし、
    漆原さんはこんなかわいい子が女の子のはずがないだし、私なんて……」

岡部「まあそう自分を卑下するな助手よ。
   その容姿を持ちながらコスプレが罰ゲームなどと言えば、
   世のコスプレイヤーが暴動を起こしかねんぞ?」

フェイリス「そうだニャー!クリスティーニャンはもっと自分に自信を持つべきだニャ!」

紅莉栖「コスプレは別にいいんだけど……でも魔法少女ー☆の格好なんて……。
    この歳で……」

萌郁「……私は……嫌じゃない」

紅莉栖「ぅぅぅ……」


まゆり「大丈夫大丈夫!クリスちゃんはねぇ~きっとほむらちゃんがピッタリだと思うな!」

フェイリス「あぁ~!わかる!わかるニャ!クリスティーニャンはほむほむがピッタリだニャ」

ルカ子「ぁ……ボクもそう思います……」

萌郁「……私も……そう……思う……」

岡部「ん?何だ?俺と助手以外は全員視聴済みなのか??」

フェイリス「もちろんニャ。魔法少女は見逃せないアニメだったのニャー」

ルカ子「ボクは……まゆりちゃんに進められて……」

萌郁「……私も」


つまりこの作戦は、
特に興味が無い俺と助手のためにあるようなものなのか?

まあダルも言っていたが、
皆で見ることが重要と言っていたし、気にするのはやめよう……。



23: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:48:47.11 ID:JKskC6Aqo

ダル「うへ……フェイリスたんの変身……バンク……全裸……うへへ」

岡部「ダルよ、目的を見失うなよ?
   この作戦はコスプレを披露するためにやるのではない!
   来たるべき「機関」との対話のために、
   我々ラボメンの視野を広げるための作戦なのだ!

   そう!科学と魔法が交差する時、物語は始まるのだッ!」


まゆり「紅莉栖ちゃんはほむらちゃんでー、るかくんはさやかちゃん!
    フェリスちゃんはまどかちゃんかなぁ?萌郁さんはぜーったいマミさん!
    そうなるとまゆしぃはあんこちゃん?
    えっへへ~もう楽しみすぎて待ちきれないよぉートゥットゥルー♪」

ダル「『あんこ』、じゃなくて『きょうこ』だお!そこを間違うのはまゆ氏でも許さない!」

フェイリス「フェイリスは、まどか役はマユシィがいいと思うのニャ。
      あの可愛さにマユシィはピッタリだと思うニャ?」

まゆり「えぇ~?そうかなあ?」

ルカ子「ボクも、まゆりちゃんがまどかちゃんになると似合ってると思うな?」

まゆり「え、えっへへ~何だか恥ずかしいのです」

フェイリス「フェイリスがあんこ役をやるのニャ。……食うかい?」

ダル「ありがとうございます!いただきます!!あんこちゃんはもう許した」キリッ


こうしてラボメンガールズはコスプレをしながら視聴することが決定した。
それに何の意味があるのか俺にはまったくわからないが、
我らがまゆりさんはとてもご満悦状態なので、もはや語るべきことはないだろう。



24: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:50:47.45 ID:JKskC6Aqo


すでにコスプレ衣装は三着は完成済みで、後の二着も時期に完成するとのこと。
……だったはずなのだが期間が押し迫っているらしく、
ラボメン総動員(各自時間が空いた後まゆりを手伝う)で制作することになった。

よって俺は、未来ガジェット制作を中断せざるを得ず、
当日までさらに険しく忙しい道のりになった。
思えば……こんなに忙しい毎日は初めてかもしれない……。

                              去年の今頃はどうだっただろうか?

俺にとっては、もはや思い出せないぐらいの遠い日の記憶とかしてしまっている。
夏休みに起こった大騒動は、それぐらいの衝撃を今だ俺に残していた。

そうだ、色々なことがあった……。

俺は今ある平穏に安心感を持つと共に、      ――過去の反芻
先の見えない不安を抱えて生きている。      ――未来の不安

それは誰にでもある価値観のひとつであるのだが、
俺はここに至るまで、それを常に意識せずにはいられなかった。
そんな中で「忙しさを感じる」というのは贅沢な気がしてならない。
今を一生懸命に生き、今だけを感じて生きる。   ――現在の渇望
俺にとってそれは尊いものであり、
こんな日常を過ごせるなんていうのは幸せの極みなのだ。

これも<シュタインズゲート>の選択か?
フッ……それも悪くない。ならば、この結果も受け入れようではないか。
                               ――エル・プサイ・コングルゥ。



25: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:51:47.71 ID:JKskC6Aqo

―――――――――――――――――

まゆり『オカリーンごめんねぇ今日はもうお外に出られないのです;;』

ダル『駄目だお……流石にこの雨と風の中ラボに行くのは不可能な件……』

ルカ子『ごめんなさい岡…凶真さん……お父さんが外は危険だって……』

フェイリス『ニャア~黒木が今日はもうお外に出ちゃダメだって言うのニャー……』

萌郁『……ごめんなさい……行けない……』


……これも<シュタインズゲート>の選択なのか?
配信日当日、嵐かと思われるほどの風と大雨が外を荒らしている。

俺は予めラボに寝泊まりをしていたため、被害に合うことはなかったが、
本日の作戦は中止にせざるを得ない状況に追い込まれた。
ラボメンは全員自宅待機を余儀なくされており、
本日の目玉であるアニメ鑑賞は各自自宅で行うしかなくなった。

ただし、一人を除いて――




紅莉栖「なんぞこれなんぞこれなんぞこれぇぇぇええええ!!」



26: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:52:52.24 ID:JKskC6Aqo

岡部「ちょ、おま……何故ラボに来た!?ずぶ濡れではないか!?」

紅莉栖「だって……今日はみんなで上映会……」

岡部「いやいや、そんなもん中止に決まっているだろう!?
   こんな中で外に出歩く馬鹿がどこにいる!?」

紅莉栖「な!?私には中止なんて連絡来てないわよ!?」

岡部「お前以外は全員俺に連絡を寄越してきたぞ?
   何故お前は無茶してここまで来た!?」

紅莉栖「ちょぉ……だったら私に連絡寄越しなさいよぉ。
    ……どーすんのよこれぇ……?
    傘は壊れちゃうし……どうしてこうなったどうしてこうなった」

岡部「来るだなんて思うわけないだろう!?

   ……あーちょっと待っていろ!今タオルを持ってくる」


タオルを取ってきて、紅莉栖を脱衣所まで連れて行く。
床がビショビショだ……どうしてこうなった?
焦ってタオルを床に敷くとかの思考も働かなかった。



27: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:54:31.66 ID:JKskC6Aqo

岡部「クリスティーナ……?何故連絡も寄越さずラボに来たのだ?」

紅莉栖「……何故私があんたに連絡を取らねばならないのか詳しく」

岡部「詳しくもなにも作戦指揮官は俺だ。
   その俺に連絡を寄越すのは当然だろう?」

紅莉栖「……うるさいなぁ……急いでたんだから仕方ないでしょ……」


いや、何が仕方ないというのだろうか?
別に今から配信まではまだ時間がある。ということは余裕があったんではないか?
脱衣所に背中を向けて話しをしているが、
何やら小声でブツブツ呟いているような感じがする……。


紅莉栖「ねえ?そんなことより着替えないの……?」

岡部「着替え……だと?そこに何かないのか??」

紅莉栖「……下着は……あるみたいなんだけど……服がないのよ」


服ねぇ……?

――とラボを見渡すとテーブルの上に、丁度良いものが乗っかっていた。
名指し付きで。


岡部「あるぞ助手よ。

   ……ここに、まゆりの作った、

             コスプレ衣装がNA!」

紅莉栖「……!?」



28: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:56:04.08 ID:JKskC6Aqo


まゆりの書いた名指しで―クリスちゃんの☆―置かれている衣装。
広げて見ると白と紫のシンプルなデザインの衣装のようだ。
その他小道具も上に置いてあり、俺はまとめてそれを助手に突き付けた。


紅莉栖「……着ろと、言うのか?これを?」

岡部「他にもあるが、どれもそれ以上に派手な衣装のようだぞ?
   よかったなー地味なデザインで(笑)」


ピンクに青に黄色と赤。どれも派手極まりない色合いだ。
特にピンクのは遠目から見ても目立つ。
いかにも魔法少女っぽいデザインなのがわかる。


岡部「それともぉ?白衣ならあるが、素肌に白衣でも着るかー?」

紅莉栖「……[ピーーー]!このHENTAI!」


その言葉を最後に、紅莉栖は衣装を引っ手繰って黙り込んでしまう。
どうやら観念して着ているらしいが、一向に脱衣所から出る気配はなかった。

その間に俺は、紅莉栖の、濡らした、床を拭いたりしながら時間を過ごす。
……何故かふと、ここにダルが居なくて良かったと思う。

しばらくすると脱衣所から紅莉栖が顔を出してきた。



29: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:57:18.39 ID:JKskC6Aqo


……カチューシャ付けてる……。


紅莉栖「oi ミス おい」

岡部「……何だ?」

紅莉栖「……笑うなよ?」


スッと現れた助手は、見事なまでにコスプレ衣装を着こなしている。
盾?みたいな小道具も腕に付け、
ストッキングとブーツが一体化しているようなモノ?も履いていた。


岡部「……中々似合っているではないか。助手よ」

紅莉栖「え?ホント??本当にそう思ってる?///」


うおっ!上目使いでこっち見んな!
これは予想以上の精神攻撃だ……落ち着け鳳凰院凶真!

俺は狂気のマッドサイエンティスト……魔法の衣装に身を包み、
科学者からオカルト信者に堕天した哀れな助手などに、
見惚れてしまうなどとはあってはならないことだ!
俺はマッドサイエンティスト俺はマッドマッドマッド……。


紅莉栖「……岡部?ちょっと?聞いてる?」



31: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 02:59:33.40 ID:JKskC6Aqo

岡部「ぅん!?ああ!!聞いてる。聞いているぞクリスティーニャ!」

紅莉栖「は?何テンパってるのあんた?……ははぁーん?
    さては私に見惚れてたんだな!?そうなんだな!?」

岡部「馬鹿を言うな!!
   俺は狂気のメァァァッドサイエンティスト!鳳凰院凶真だぞ!
   だ、大体俺のような科学者が魔法だ何だと浮かれているような愚かな助手風情に、
   見惚れるなどありえるはずがないだろう!?」

紅莉栖「こ、声が上ずってるわよ!?フ、フフフ……、
    何だかだんだんどうでもよくなってきたわ!もうどうにでもなぁ~れ!」


そういうと腕を回して魔法を使うポーズをとりだした。
……やっべぇ…こいつやべーわ。
マジっべー……何なのこの助手。抱きしめt……お、落ち着け、落ち着け岡部倫太郎。
……KOOLになれッ!
ここにいるのは<シュタインズゲート>の紅莉栖だ!KOOLになれッ岡部倫太郎!

……紅莉栖はクールダウンしたのか、
顔を真っ赤にしたまま(実際顔は見れなかったから憶測だが)冷蔵庫のドアを開け、
ドクぺを取り出して一気飲みをしている。

ヤバいなー気まずいなーと考えながら、無言で時間が流れるのを待っていると、
不意に携帯に着信が入った。――ダルからだ。


岡部「……もしもし?」

ダル『あ、オカリン?もうPCの電源はついてるかお?
   そろそろプロジェクターの準備をするお!』

岡部「……ん?ああ……そうだな」



32: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:01:39.84 ID:JKskC6Aqo


完全に上映会のことを忘れていたのだが、
今の気まずい空気の中、
やらなければならない目的ができるのは大歓迎だった。
いつもは空気が読めないくせに、たまにはダルもやるもんだ。

……いや、そもそもこの状況、元はと言えばダルのせいなんだっけ?
まあ今更どうでもいい事だから、一心不乱に機材の準備をすることにした。


ダル『おk。後はそのまま配信されるのを待つお』

岡部「わかった。ありがとなダル」

ダル『は?何が??もしかしてオカリン魔法少女そんな見たかったの?
  やっぱ持つべき物は友――ツーツーツー』


よし、これでいい。
後は無心でアニメを見て、見終わったら全てを忘れて眠ろうそうしよう。
設置したスクリーンに映る映像を透かして、俺はどこか遠くの方を見ていた。
そして時計の針は進む――


岡部「そろそろか?」

紅莉栖「ええ、もう準備できてるわよ」


ハ?貴方何もしてないじゃナイデスカー。
と思いきや、テーブルをこっちに運んでいたらしく
上にはお菓子類とドクぺ、あとカップ麺が置かれていた。
……流石この助手、ノリノリである。


紅莉栖「……何よ?」

岡部「いや?別に?」

紅莉栖「……何か言いたそうな目をしてる」

岡部「フッ……先ほどから自意識過剰はやめてもらおうか!」

紅莉栖「こ、こいつは~……」



33: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:03:18.96 ID:JKskC6Aqo


俺は紅莉栖を無視してPCを操作する。
そういえばこれ何時間やるんだ?今更何を考えても仕方ないのだが
アニメがやってる間コスプレイヤーくりす☆ティーナとずっと二人きり?

……余計なことを考えるのを止めよう。
俺は目を閉じ、大きく深呼吸した。
ゆっくりと右手を掲げた。
ピンと人差し指を立てる。


岡部「作戦開始の時はきたッ!」

紅莉栖「ビクッ」

岡部「この俺はあらゆる陰謀に屈せず、
                己の信念を貫き、
                   ついに魔女の誘惑から戦い抜いたのだ!」

岡部「この勝利のため、我が手足となって戦ってくれた仲間たちに感謝を!」


今はいないラボメンたちが走馬灯のように頭を過る。


岡部「訪れるのは、俺が望んだ世界なり!」


別に望んじゃいなかったのだが、ここはその場のノリで乗り切ろう。


岡部「すべては<シュタインズゲート>の選択である!」


     「世界は、再構成される――!」



34: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:04:30.30 ID:JKskC6Aqo


掲げた指を勢いよく振りおろし、
チラリと横目で紅莉栖を見る。


紅莉栖「……」


おい、何か言えよ。
やめろォ!!そんな目で俺を見るなッ!
――かくして、作戦は開始される。


俺と、
    紅莉栖と、
           『魔法少女まどか☆マギカ』による、

     長い夜の幕が開けるのだった。



35: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:06:42.82 ID:JKskC6Aqo

#################################
#################################
#################################

岡部「……なんだ、夢オチか」


……去年の夏、俺は大切な人を失い、大事な人を救った。

仲間の想いを犠牲にし、
大切な人の命を差し出し、俺はここまでたどり着いた。



     だが、その結果、俺に待っていたのは……。
     世界の絶望と、大事な人までもの喪失だった。



36: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:08:35.33 ID:JKskC6Aqo

‐‐--―――――――――――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
     ‐‐--―――――--‐‐

岡部「ほっといてくれ……俺のことなんか……ッ!
   何度やったって結果は同じだ」

鈴羽「何言ってんの!?諦めるつもりッ!?
   オカリンおじさんの肩にはさ、
   何十億人っていう人の命がかかってるんだよ?
   たった一回の失敗が、なんだっていうん」

岡部「紅莉栖はどうやったって助けられない!!
   世界線の収束には逆らえない……」

鈴羽「こうなったら、ビンタしてでも気合を入れなおして……!」

まゆり「ダメだよっ!無理強いするのは……良くないよ――」

     ‐‐--―――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
‐‐--―――――――――――――--‐‐


たどり着いた先には、絶望の未来が待っていた。     ――第三次世界大戦。
希望を祈り、そのために全てをかけた俺の計画は、   ――最終聖戦。
音もなく忍び寄った、絶望に塗り替えられる。       ――世界線の収束。

――紅莉栖。
去年の夏、世界線を越えた出会いによって、三週間を共に過ごした人。
ラボメンナンバー004、俺と張り合い、俺と対話し、俺を助け、
俺の想いに応えてくれた、ラボの大切な仲間。
俺にとって大切な人、何よりも、誰よりも大切な女。
絶対に忘れられない存在……。
そんな彼女を、犠牲してまでたどり着いたのがこの世界だ。

ここは、β世界線。
紅莉栖が生きていたα世界線を越え、
ダイバージェンス1%オーバーの結果。

     俺が殺した、紅莉栖のいた場所。



37: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:11:04.84 ID:JKskC6Aqo

もう沢山だった。
神は、俺を散々弄んで、ボロ雑巾のように捨てさった。  ――タイムマシン。
希望を与えては、絶望の底へと突き落す。         ――過去と未来。
そうして、俺の心は死んでいった。              ――確定した結果。

それでもここまで生きていけたのは、
俺が救った、大事な人がいたからだ。
たったひとつだけ、残されていた希望。
こんな歪んだ世界で、俺を支えてくれてきた。

だが、彼女ももう、ここにはいない。
行ってしまった……跳んでしまった……。


‐‐--―――――――――――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
     ‐‐--―――――--‐‐

岡部「待て!待ってくれッ!まゆり行くなッ!!」

まゆり「ごめんね、オカリン。でも、決めたの」

岡部「クソ、クソォ!!なんでだよ、なぁ、鈴羽!?
   なんでお前はあの時、俺の前に現れたんだよ!!
   俺はこの結末を、受け入れようとしていたのに……。
   なんで中途半端に希望を与えたんだよ……。
   その上、今度はまゆりまで連れて行くのか!?

   ……なぁまゆり?お前は何もしなくていい。何かしたらダメなんだよ?
   でないと、みんなの想いを犠牲にしたことが無駄になる。
   ……紅莉栖の死が、無駄になってしまう……そんなの俺は……」

まゆり「だからってね?〝なかったこと〟にしたらダメだよ」

岡部「まゆり……」

まゆり「雨が降っても、星は、世界から消えちゃうわけじゃないもん――」

     ‐‐--―――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
‐‐--―――――――――――――--‐‐



38: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:12:01.61 ID:JKskC6Aqo


「オカリン……」


誰かが、俺を呼んでいる。
だがそれも、今となってはどうでもいいことだ。
俺という存在の価値は、消えたに等しい。


「オカリン……おい、オカリン」


やめてくれ、俺の名前を呼ばないでくれ……。
許してくれ、紅莉栖。
……まゆり。


ダル「オカリンッ!しっかりしろよオカリン!!」

岡部「……ダル……」


名前を呼んでいたのは、ダルだった。
……俺を、責めにきたのか?


岡部「……なんの用だ?」

ダル「オカリン……いつまでそうしているつもりなんだお?」

岡部「……ほっといてくれ。……独りになりたいんだ」

ダル「……みんな、心配してるお?……るか氏も、フェイリスたんだって」

岡部「いいから!ほっといてくれって言ってるだろ!?
   ……もう何も考えたくないんだ……」

ダル「オカリン……」



39: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:12:35.85 ID:JKskC6Aqo


心配なんてしなくていい。
俺のことなんか……放っておいてくれていい……。
もう嫌なんだ、これ以上何かを考えるのが……。
俺の行動は、世界を歪ませる。

もういいだろ、俺は良くやったろ?
たかが大学生が、人の命を救うだの、世界を救うだの、
頑張ってきたんだぞ?
結果は全て失敗、それだけだ。
俺に任せたのがダメだったんだよ。

そうさ、俺はただの厨二病患者で、
ただ世界に対して息巻いて、遊んでただけの子供だったんだ。
そんな俺に、本当の救世主になれだとか、間違ってたんだよ。

なんだよ、リーディングシュタイナーって?
なんでこんな能力が、俺にだけあるんだよ。
おかしいだろ?ふざけているのにもほどがある。
いい加減にしてくれよ、これ以上俺に何も求めないでくれ……。


ダル「なぁ、オカリン」

岡部「……」

ダル「……このままで、いいのかお?」



40: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:13:26.56 ID:JKskC6Aqo

岡部「どういう意味だ」

ダル「鈴羽も、まゆ氏も、未来のために頑張ってるんだお?」

岡部「……だから?」

ダル「オカリンは、このままで」

     岡部「だから、なんだよ!?」

ダル「……」

岡部「だから俺にも未来を背負えとでも言うつもりか?
   ……お前に、お前に何がわかる!?

   無駄なんだよ、全部、無駄なんだ!
   何をやっても未来は変わらないし、世界は救えない。
   俺にはわかるんだ、お前にはわからないだろうけどな!!」

ダル「そ、そんなこと」

岡部「鈴羽もまゆりもどうかしてる!
   ……俺が、ここまでどんな思いでたどり着いたのか、何もわかってない!
   ……どこに跳んでも無駄だ……。
   世界は歪んだ方向にしかいかないんだよ……」

ダル「やってみなくちゃ、わからないお」

岡部「わかるさ!……俺は観測してきたんだ!この目で!!

   ……ここは元々俺がいた世界線だ。
   未来は決まっていた。
   俺たちはそれに従って生きていくしかなかったんだ……。

   それが世界の選択。
   余計なことをすれば、新たな歪みを生むだけなんだよ……」



41: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:14:10.52 ID:JKskC6Aqo




ダル「でも、僕は、僕たちは、タイムマシンを作れる」

岡部「……」


ダル「世界に干渉できる……未来の可能性を作れるんだお」




岡部「……可能性?
   ……何が可能性だ、馬鹿馬鹿しい」

ダル「……っ!」

岡部「その可能性を観測出来ない人間たちが、
   いくら未来を作り替えようとしたって無意味だ。

   ……どうせ世界の未来が変わった所で、
   お前らにはわからないんだぞ?
   そのために、自分を犠牲にして、
   世界に抗うなどと行動した所で、
   それはただの自己満足に過ぎない!」



42: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:14:55.21 ID:JKskC6Aqo

ダル「……それでも!未来を変えることはできるんだから、
   何かしてみることに意味はある!それをオカリンは知ってるんだろ!?
   だから僕は鈴羽を行かせた、行かせられたんだ!
   まゆ氏だって、オカリンのために――」

岡部「そのたびに辛い思いをするのは俺だ!
   ……もうダメなんだよ……なんでわかってくれないんだ……?
   俺に押し付けるなよ……。
   押し付けるんだったら、俺の言うことを聞けよ……」





ダル「……いい加減にしろよ、オカリン」



43: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:15:27.99 ID:JKskC6Aqo

岡部「……何をしても無駄なんだ、
   だったら俺は何もしない。……もうほっとい――」






ダル「――オカリン!歯ぁくいしばれ!!」

岡部「……ッ!?」


途端に、俺の頬が熱くなる。
何が起きた?いや、殴られたのか……。
わかってる、俺は殴られても仕方ない。

ダルとって、俺が世界を諦めることは、
鈴羽の想いも犠牲にすること他ならない。
父親からすれば、俺は仇のようなものだ。
それぐらいの責任感は、あったということだ。

あの時、力さえあれば……。
鈴羽も、まゆりも、止められなかったのは俺に力がなかったせいだ。
俺に力があれば、二人を止めることも出来た……。
こんなことなら、鍛えておくんだったな。
そしてわからせるべきだったんだ、何をしても無駄だ、と。

……いや、この考えも無駄だな。
おそらく世界は、同じことが起こるように収束を起こす。
あの時、などということを考えても無駄だ、無駄だ、無駄だ。



44: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:16:14.23 ID:JKskC6Aqo

岡部「……グッ」

ダル「オカリン、明日、僕はもう一度ここにくる」

岡部「……どうした、もういいのか?
   もっと殴ってくれてかまわんぞ?」

ダル「……今のオカリンをどんなに殴った所で、
   お前の考えは改まりそうにないお」


じゃあなんで殴ったんだよ。


ダル「でも、これで少しは目を覚ませたろ?
   その痛みは、明日まで取っておいてくれお」


何言ってんだ、こいつは……。
そういうと、ダルは翻ってラボから出て行った。
いつ来たって無駄だ、俺はもう動けない。
今のこの痛みだって、どうせすぐに忘れるんだよ。
だから――


岡部「……全部、世界の選択だ。運命は変えられない」



45: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:17:14.49 ID:JKskC6Aqo


――次の日。


ダル「オカリン、これを見るお」

岡部「……は?」


と言って手渡されたのは、なんかのアニメのパッケージ。
なんだ……?


岡部「魔法……少女?」

ダル「そう、これこそが僕たちの神!」


いや、いやいやいやいや!
待て待て待て、どういうつもりだ?


岡部「おいダル、これはなんの真似だ?」

ダル「なんのって、
   だからオカリンに明日を戦ってもらうためのやる気をだな――」

岡部「ふざけるなッ!」


馬鹿にするのもいい加減にしろ!
なんだよこれ、なんだよこれ?
魔法少女って、おま、どうみても幼児向け……。
いや、それも女児向けのアニメじゃないか!!



46: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:18:43.15 ID:JKskC6Aqo

ダル「ふざけてなんかないお。
   ……これを見て、オカリンにはもう一度良く考えてもらいたい」

岡部「……そんな気分になんかなれない。アニメ?
   ……悠長にアニメを見て、俺に元気を出せとでも?
   まゆりだったら喜んだだろうな。
   ……まゆりもいないのに、俺がこんなアニメ見てなんになる!?

   責めているのか?
   
   『お前のせいでまゆりは、鈴羽は、アニメすら見れないでいるぞ。
   世界は、アニメすら見れない未来になるぞ』と」

ダル「言いたいことはそれだけ?
   ……うし、準備完了。後は順次再生するだけだお」


岡部「俺の話しはまだ終わって――」

ダル「いいから見ろっつってんだろ!
   話しは見終わった後に聞くから、それじゃ」


と言うと、そそくさとラボから出て行ってしまった。
どうすんだ、これ。


岡部「なんなんだよ、一体」



47: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:19:30.86 ID:JKskC6Aqo


俺はアニメのパッケージを手に取る。
『魔法少女 まどか☆マギカ』……?
キラキラしたデザインで、
おおよそ朝のアニメ番組として放送されてそうな勢いが伺える。
これを、見ろと?


岡部「……冗談じゃない。
   こんなものを見て、何になるって言うんだ……」


俺はパッケージを投げ捨――


ダル「絶対、今日中に見てくれお?」

岡部「!?」

ダル「じゃ」


またダルが現れ、また去って行った。
監視でもしてるのか、あいつは。


岡部「……クソッ」



48: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:20:54.62 ID:JKskC6Aqo


ダルがセッティングした機材に、俺は手を伸ばす。
そして、俺は、パッケージからディスクを取り出し、
起動させた。


岡部「見ればいいんだろ、見るだけな」


――かくして、ダルが計画した作戦は開始される。

俺と、
    『魔法少女まどか☆マギカ』による、

     長い夜の幕が開けるのだった。



49: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:21:32.25 ID:JKskC6Aqo

another-004502-049
 



50: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:23:35.16 ID:JKskC6Aqo


――第一話 夢の中で逢った、ような……――


???『そんな……あんまりだよ。こんなのってないよ……!』

?????『まどか、運命を変えたいかい?』

???『え……』

?????『避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい。
       そのための力が、君には備わっているんだから』

???『本当なの?私なんかでも、本当に何かできるの?
    こんな結末を変えられるの?』

?????『もちろんさ。だから僕と契約して、魔法少女になってよ!』


岡部「お、今出てきたのが『ほむら』じゃないか?」

紅莉栖「な……あ、あれは……!」


スクリーンには、大きい怪物?と戦ってる少女。
それを見ている少女と小さくてファンシーな動物との会話が行われていた。
戦ってる少女はその会話を見ている…のか?何か叫んでるようにも見える。
で、その戦っている少女がまゆりの言っていた『ほむら』、
即ち紅莉栖がコスプレしているキャラにそっくりだった。
主に、一体、どこが!?とは、言わないがな!


紅莉栖「そうか……そういうことか……」



51: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:24:52.14 ID:JKskC6Aqo


フフフ、と笑っている助手。ちょっと怖い。


紅莉栖「絶対に許さない。絶対にだ……」


何をだ?とは口が裂けても言えないでござる!
しばらく見てると場面は一転する。
どうやら夢オチ?だったようだ。
ほのぼのとした空気を醸し出している。
うん、実にその手のアニメっぽいな!


???『まどか、おそーい』

???『相変わらずまどかのママはカッコいいなあ。美人だしバリキャリだし』

???『可愛いやつめ!でも男子にモテようなんて許さんぞー!
    まどかは私の嫁になるのだー!』


青い髪の女が映っている。
青、こいつが『さやか』か?ルカ子が変身する予定だった魔法少女の。
ボーイッシュな感じだな、ルカ子には似合いそうだ。あいつは本物の男だけど。


先生『転校生を紹介しまーす』

ほむら『暁美ほむらです。よろしくお願いします。』

ほむら『ごめんなさい。何だか緊張しすぎたみたいで、ちょっと、気分が。
    保健室に行かせて貰えるかしら』

ほむら『鹿目まどかさん。貴女がこのクラスの保健係よね』

まどか『え?えっと……あの……』

ほむら『連れてって貰える?保健室』


紅莉栖もイメージはピッタリだな。色々と。
チラ見したら睨まれた。



52: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:27:13.25 ID:JKskC6Aqo

まどか『あ……暁美さん?』

ほむら『ほむらでいいわ』

まどか『ほむら……ちゃん』

ほむら『何かしら?』

まどか『あぁ、えっと……その……変わった名前だよね』

                            ――ギリッ

まどか『い、いや……だから……あのね。
    変な意味じゃなくてね。その……カ、カッコいいなぁなんて』

ほむら『鹿目まどか。貴女は自分の人生が、貴いと思う?
    家族や友達を、大切にしてる?』

まどか『え……えっと……わ、私は……。大切……だよ。
    家族も、友達のみんなも。大好きで、とっても大事な人達だよ』

ほむら『本当に?』

まどか『本当だよ。嘘なわけないよ』

ほむら『そう。もしそれが本当なら、

    今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね』

まどか『え……』


     ほむら『さもなければ、全てを失うことになる』

     ほむら『貴女は、
             鹿目まどかのままでいればいい。
                    今までどおり、これからも』



53: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:28:07.47 ID:JKskC6Aqo



――ん?何かこの会話、この忠告、既視感があるようなないような……
しかし、今はそれより隣りにいる助手が怖くて、どうでもよくなった。
何か助手の背後に ゴゴゴゴゴゴッ って字が浮かんでるような、そんな感じ。

場面は進んで喫茶店。
主人公まどかと愉快な仲間たちはガールズトークに花を咲かせている。
うむ、実にスイーツ(笑)だな。特にこの青いのは妙にうざい感じがするZO!

さらに物語が進むと何だか不穏な空気になってきた。
冒頭に出てきた小動物ピンチッ助けてッどこにいるの?
あなた……誰?――
――暗がりから出てくる転校生、まどか、こっち!さやかちゃん!
不思議な空間に迷い込むッ!私達ピンチッ誰かー!
ドドドドドッ!ピカーッ!


??『危なかったわね。でももう大丈夫』キリッ

??『ちょっと一仕事、片付けちゃっていいかしら』キリリッ

??『魔女は逃げたわ。仕留めたいならすぐに追いかけなさい』キリリリッ

??『今回はあなたに譲ってあげる』キリッキリリッ

??『飲み込みが悪いのね。見逃してあげるって言ってるの』キリッキッキリ

??『お互い、余計なトラブルとは無縁でいたいと思わない?」ドヤッ



54: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:29:07.57 ID:JKskC6Aqo



うーん実に王道な展開だ。
先輩魔法少女みたいなのが表れて、場を収めていく。
黄色いからこれが『マミ』なんだろうか?
確かに、これは、閃光の指圧師にうってつけのキャラだな。けしからん。

あれ?
っべー、何か助手が睨んでる気がするぞ……気のせいであってくれ!チラッ


紅莉栖「……」

岡部「……」


キュゥべえ『どうもありがとう。僕の名前はキュゥべえ』

キュゥべえ『そうだよ、鹿目まどか、それと美樹さやか』

キュゥべえ『僕、君たちにお願いがあって来たんだ』

キュゥべえ『僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ』


あ、一話が終わった。
うむ、実に王道でハートフルな魔法少女アニメだな。
朝にやっていれば小さい子供は大喜びだ!

……これを後何話見ればいいのだ?早くも不安の色が隠せない。
紅莉栖さんは先ほどから機嫌がよろしくないし、誰か何とかしてくれ。
渋い顔をしていると、続けて次の話しに移る。



55: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:29:53.71 ID:JKskC6Aqo

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うむ、アニメだこれ。
軽快に話しが進んで行く。
実に王道でハートフルな魔法少女アニメだな。
朝にやっていれば小さい子供は大喜びだ!

……これを後何話見ればいいのだ?
早くも不安の色が隠せない。

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56: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:31:16.36 ID:JKskC6Aqo

――第二話 それはとっても嬉しいなって――


マミ『私は巴マミ。あなたたちと同じ、見滝原中の3年生。
  そして、キュゥべえと契約した、魔法少女よ』

マミ『これがソウルジェム。
  キュゥべえに選ばれた女の子が、契約によって生み出す宝石よ。
  魔力の源であり、魔法少女であることの証でもあるの』

マミ『理由のはっきりしない自殺や殺人事件は、
  かなりの確率で魔女の呪いが原因なのよ。
  形のない悪意となって、人間を内側から蝕んでゆくの。
  結構、危ないところだったのよ?
  あれに飲み込まれた人間は、普通は生きて帰れないから』

マミ『そう、命懸けよ。だからあなたたちも、慎重に選んだ方がいい。
  キュゥべえに選ばれたあなたたちには、どんな願いでも叶えられるチャンスがある!
  でもそれは、死と隣り合わせなの』

マミ『そこで提案なんだけど、二人ともしばらく私の魔女退治に付き合ってみない?
  魔女との戦いがどういうものか、その目で確かめてみればいいわ!
  そのうえで、危険を冒してまで叶えたい願いがあるのかどうか、
  じっくり考えてみるべきだと思うの』


三行でおk。
じゃなくて、見事な説明口調だ。ダルだったら「説明乙!」と言っているだろう。
キュゥべえとかいう生物と巴マミからの説明、うん、見事な魔法少女設定だな。



57: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:33:30.15 ID:JKskC6Aqo


学校へと移ると、暁美ほむらを警戒する主人公一向。

この暁美ほむらとかいうのは、
特撮戦隊物でいう『ブラック』の立ち位置なんだろうか?
鹿目まどかは『レッド』、いや『ピンク』か?
さやかは『ブルー』で、巴マミは『イエロー』?
『イエロー』な立ち位置ってことは、カレー好きなんだろうか?
それとも大食いキャラ??まあどうでもいいか。

いずれ和解して巨大な魔女に立ち向かう!!
                 ――みたいな展開が待ってそうだな。

主人公一向は、巴マミと共に魔女退治の作戦会議を立てている。
……まどかはまゆりにそっくりだな。
いや、まゆりのがもう少しアホの子っぽいか。
女の子らしい部分では、隣りの助手と月とスッポンの違いだな。


マミ『魔女の口づけ……やっぱりね』

マミ『大丈夫。気を失っているだけ。行くわよ』

マミ『今日こそ逃がさないわよ』

マミ『絶対に私の傍を離れないでね』

マミ『どう?怖い?二人とも』

マミ『見て。あれが魔女よ』

マミ『大丈夫。負けるもんですか』

マミ『大丈夫。未来の後輩に、あんまり格好悪いところ見せられないものね』キリッ

マミ『惜しかったわね』ドヤッ

     マミ『ティロ・フィナーレ!!』



58: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:34:24.45 ID:JKskC6Aqo



紅莉栖「相手は死ぬ」

岡部「ブフッ!?」


噴いた。
突然何を言い出すんだこの助手は……?
今の一言のせいで、マミさんが痛い子にしか見えなくなってきたぞ……?

実際こんな奴がいたらどうなんだろうか?
魔法少女なんてものが現実にいるはずはないが、
設定を作るのは容易いことだ。

世界を守るために、悪い魔女と日夜戦う正義の味方!
必殺技はティロ・フィナーレ!!悪い魔女にはお仕置きよ!!

うん、どうみても厨二病です。本当にありがとうございました。

このキャラは中学生なんだっけか?
ホントに若干厨二病なのかもしれないな。
でも魔女とは戦ってるし、力も持っているんだから、
そうなっても仕方ないのか?



ちょっとだけ羨ま……いや、この俺は狂気のマッドサイエンティスト!
科学の力で世界を混沌に貶める俺とは相反する存在だなッ!



59: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:36:30.01 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「……なぁーんかこの子、岡部に似た空気を感じるわね」

岡部「!?何を言っているのだクリスティーナ!?
   俺をこんな痛い子と一緒にするな!」

紅莉栖「別に痛い子じゃないだろ?実際に魔女と戦って人助けしてるんだし。
    ねー?日夜、「機関」と戦っている鳳凰院凶真さん?www」

岡部「ぬぐっ……!?」


くそッ!やられた!!
助手の癖に調子に乗りおって……俺はすかさず携帯を取り出した。


岡部「ああ、そうだ、俺だ。……我がラボの助手は俺についてのことを知りすぎた。
   ……ああ、そうすることもやむを得ないだろうな。
   ……何、気にするな。いつものことさ。
   俺はこんなところで立ち止まるわけにはいかないからな。
   それもシュタインズゲートの選択だ。
                       ――エル・プサイ・コングルゥ」

紅莉栖「言われたそばからこれって……どんな判断だ」


マミ『でも、グリーフシードを使えば、ほら』

マミ『ね。これで消耗した私の魔力も元通り。
  前に話した魔女退治の見返りっていうのが、これ』

マミ『あと一度くらいは使えるはずよ 』

マミ『あなたにあげるわ』

マミ『暁美ほむらさん』

マミ『それとも、人と分け合うんじゃ不服かしら?』

ほむら『……』

マミ『そう。それがあなたの答えね』



60: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:37:29.08 ID:JKskC6Aqo



これは敵対フラグのようだな。
クールなキャラは、一度は仲間と敵対すると相場は決まっている。
何だか段々展開が読めてきたぞ……?


まどか『叶えたい願いごととか、私には難しすぎて、
    すぐには決められないけれど、
    でも、人助けのためにがんばるマミさんの姿は、
    とても素敵で、こんな私でも、あんな風に誰かの役に立てるとしたら、
    それはとっても嬉しいなって、思ってしまうのでした』


気が付くと二話が終わっていた。
見終わるたびに、俺のライフポイントがどんどん削られているような気がするが
気のせいだろうか?気のせいだよな?



61: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:38:31.51 ID:JKskC6Aqo

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それは嬉しいだろうな。
……人助け、か……。誰かの役に、か……。
……余計なお世話だ。

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62: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:42:09.87 ID:JKskC6Aqo


――第三話 もう何も恐くない――


さやか『はい、これ』

??『うわぁ……。いつも本当にありがとう。さやかはレアなCDを見つける天才だね』

さやか『そんな、運がいいだけだよ。きっと』

さやか『う。い、いいのかな?』


病室のワンシーン。
ハハッスイーツ(笑)。このさやかとかいう娘は実にスイーツ(笑)だな!
健気なもんじゃないか!好きな男のために貢物とは。
もっとも、相手の男は何やら不穏な空気になっているがなっ!

健気な娘か……。             ――凶真さん。
現実こんな風にちやほやされたら、   ――今日はクッキーを焼いてきました。
どんなに空気が読めない奴でも、    ――うむ、美味いぞルカ子よ!
その好意には負けてしまうだろうな。  ――良かった……。


……空気の読めない女の!話だ!俺は何も考えていない!!
アニメをしっかり見よう……。



63: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:43:08.71 ID:JKskC6Aqo


何やら魔法少女体験コースは続いているらしいな。
巴マミがしっかりとレクチャーを続けている。

ふーん、使い魔なんてのもいるのか?
魔女の使い魔、つまりはRPGでいう雑魚敵役ということだな。
自動エンカウントで鬱陶しいことこの上ない。
しかし、あんまり逃げて放置しとくと強い魔女になって襲ってくるぞ!?
レベルを上げて魔女を倒すためには倒さねばならない。
魔女を倒せばMP回復、ステージクリア!

ゲーム化決定も夢じゃない設定だな。


さやか『ねえ、マミさん。願い事って自分の為の事柄でなきゃダメなのかな?
    例えば、例えばの話なんだけどさ、私なんかより余程困っている人が居て、
    その人の為に願い事をするのは……』

まどか『それって上条君のこと?』

マミ『でもあまり関心できた話じゃないわ。他人の願いを叶えるのなら、
   なおのこと自分の望みをはっきりさせておかないと』

マミ『美樹さん、あなたは彼に夢を叶えてほしいの?それとも彼の夢を叶えた恩人になりたいの?』

マミ『同じようでも全然違うことよ。これ』

マミ『ごめんね。でも今のうちに言っておかないと。
   そこを履き違えたまま先に進んだら、あなたきっと後悔するから』


難しい話だな。
他人のためと願い起こした行動が、その結果誰かを傷つける結果になる。
独善的で、迂闊な真似がどれだけ後悔するようなことになるのか、

俺はそれをよく知っている。



64: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:45:43.31 ID:JKskC6Aqo


気が付くと、隣りの助手は真剣な眼差しでアニメを鑑賞している。
場面はキュゥべえとまどかの会話を過ぎ、病院帰りのシーンに変わっている。
しかもさやかのボーイフレンドのいる病院に、
グリーフシードと呼ばれる魔女の卵があるときた。
大変っマミさんを呼ばなきゃ!ここは私に任せて先に呼んできてっ!

そろそろまどか、それかさやかの変身がくるのだろうか?

予想的には、マミさんが救助に間に合わず、
ボーイフレンドのために力を解放するッ!     ――凶真さんのためなら
みたいなのかと思われるが?            ――ボクは、後悔しません!

いや、うん。何かが頭を過るのだが、なんだろうな……?

まどかはマミを呼んでくるのに間に合った。
俺の予想はハズレか?あるいはまどかの変身展開なんだろうか?


ほむら『今回の獲物は私が狩る。貴女達は手を引いて』

ほむら『その二人の安全は保証するわ」

ほむら『ば、馬鹿。こんなことやってる場合じゃ』

ほむら『今度の魔女は、これまでの奴らとはわけが違う』

ほむら『待っ……くっ』


ついに仲間割れ。
しかし空気を読む分には今度の魔女はそうとう強いらしい。
やっぱりまどかが変身するのか?
もう三話だしそろそろ主人公が変身してもおかしくはないな。
何でもこの主人公、とんでもなく強い力を持っているらしい。

マミさんのピンチに颯爽登場!

         ――魔法少女まどか☆マギカ――!!

これはあり得そうだ、何だかふいんき(ry)もそれっぽくなってきている。



65: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:47:22.47 ID:JKskC6Aqo


まどか『でも、あの……もしかしたら、マミさんには考え方が甘いって怒られそうで』

まどか『私って、昔から得意な学科とか、人に自慢できる才能とか何もなくて』

まどか『きっとこれから先ずっと、誰の役にも立てないまま迷惑ばかりかけていくのかなって』

まどか『それが嫌でしょうがなかったんです』

まどか『でもマミさんと会って、誰かを助けるために戦ってるの、見せてもらって』

まどか『同じことが、私にもできるかもしれないって言われて』

まどか『何よりも嬉しかったのはそのことで』

まどか『だから私、魔法少女になれたらそれで願いごとは叶っちゃうんです』

まどか『こんな自分でも、誰かの役に立てるんだって、胸を張って生きていけたら、
    それが一番の夢だから』


マミ『憧れるほどのものじゃないわよ、私……無理してカッコつけてるだけで、
  怖くても辛くても、誰にも相談できないし、一人ぼっちで泣いてばかり』

マミ『いいものじゃないわよ。魔法少女なんて』

まどか『でも、それでもがんばってるマミさんに、私、憧れてるんです』

マミ『本当に、これから私と一緒に戦ってくれるの?傍にいてくれるの?』

マミ『参ったなぁ。まだまだちゃんと先輩ぶってなきゃいけないのになぁ。
  やっぱり私ダメな子だ』

マミ『でもさ。せっかくなんだし、願いごとは何か考えておきなさい。
  契約は契約なんだから、ものはついでと思っておこうよ。
  億万長者とか、素敵な彼氏とか。何だっていいじゃない』

マミ『じゃあ、こうしましょう。
  この魔女をやっつけるまでに願いごとが決まらなかったら、
  その時はキュゥべえにご馳走とケーキを頼みましょう』

マミ『そう。最高におっきくて贅沢なお祝いのケーキ」

マミ『それで、みんなでパーティするの。
                     ――私と鹿目さんの、魔法少女コンビ結成記念よ!』



66: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:48:31.56 ID:JKskC6Aqo



うーんもう先が読めたも同然だな……。
それよりこのマミさん、やはり大食いキャラなのかそうなのか?


紅莉栖「そろそろ主人公が変身するわね」

岡部「ん?何だ、流石助手だな。その展開が読めるとは……やはり天才」

紅莉栖「こんなもん誰だって読めるわよ!大方、このマミさんが魔女に負けそうになって、
    友達のさやかさんがピンチになって、
    そこを主人公が圧倒的な力で仲間を助ける……ありがちでチープな展開じゃない」

岡部「チープとはよく言ってくれるな?仮にもこれはまゆりの進めてたアニメだぞ?
   それを小馬鹿にするとは、見損なったぞ助手よ」

紅莉栖「べ、別にそういう意味じゃないわよ!
    ただ、いかにも魔法少女っぽい展開だなーとか、
    まゆりはこういうの好きそうだなーとか、
    そういう風に思っているだけなんだから!勘違いしないで!
    ただ、私にはこういうのは合わないだけよ……」


それはどうなんだ?
まゆりは子供アニメを好んでみる女子高生と思うのは、
馬鹿にしていることになるんじゃないのか?違うのか?
まあ、確かに否定はできないがな。



67: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:49:05.29 ID:JKskC6Aqo



マミ『体が軽い……。こんな幸せな気持ちで戦うなんて初めて』


まゆりはこういう感じのアニメは確かに好きそうだ。


マミ『もう何も怖くない!!』


たまには、まゆりに付き合って、こんなアニメを見るのも悪くはなかっただろう。


マミ『私、一人ぼっちじゃないもの』


この場にまゆりがいたら、助手や俺に反発してそうだ。


マミ『せっかくのとこ悪いけど、一気に決めさせて…もらうわよ!』


まゆりも、こういう明るいアニメをみんなで見たかったんだろうな。


マミ『ティロ・フィナーレ!!』


俺もそういう幸せを、共有してみるのも悪くないと思う。


さやか『やったぁ!』

マミ『ドヤッ』




68: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:49:49.48 ID:JKskC6Aqo


まどか『あっ』


       モゴモゴっと揺れる敵。

                      グニューンと中から現れる何か。

 あ、これはピンチだー(棒)






                  ――俺はバカだった。


ほむら『まさか』



69: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:51:49.13 ID:JKskC6Aqo



……不意に雷が落ちた。

ラボは電気を消して、
暗がりにスクリーンの光だけが映る映画館風状態だったのだが、
ピカッと一瞬だけ辺りが光に照らされた。
音は後からやってくるのだが、その音は俺と紅莉栖の耳には入らない。


目の前で、何が起こっているのかもわからない。
俺は今どんな顔をしているのかも……わからない。



ただ、わかるのは、



     首を、

                         喰われた、

             巴マミの、

  体が、

                   落ちて、


 怪物に、

           ――ムシャムシャって……?



70: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:53:36.79 ID:JKskC6Aqo



さやか『……』

まどか『……』


紅莉栖「( д)゜゜」

岡部「( A)゜゜」


キュゥべえ『二人とも!今すぐ僕と契約を!
      まどか!さやか!願い事を決めるんだ、早く!』


ほむら『その必要はないわ、こいつを仕留めるのは、私』


敵はあっけなく爆散する。


ほむら『命拾いしたわね、貴女達。
    ――目に焼き付けておきなさい。魔法少女になるって、そういうことよ』


さやか『返してよ。返せよ!!
    それは……それは……マミさんのものだ!返せって言ってるだろ!マミさんに!』

ほむら『そうよ。これは魔法少女のためのもの。貴女達には、触る資格なんてない』


そして、エンディングテーマが流れる。

俺も、
    紅莉栖も、
           言葉を発することはなく……

     三話は終息していくのであった。



71: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:54:21.99 ID:JKskC6Aqo

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雰囲気が、変わった。
俺は、この辺りから、このアニメの認識が変わることになる。

ど、どういうことだ?
今首が、主要キャラの首が……。

重苦しい雰囲気は、ここから全体へと広がって行った。

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72: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:56:07.57 ID:JKskC6Aqo


――第四話 奇跡も、魔法も、あるんだよ――


まどか『ううん、美味しいの。すごく美味しい』

まどか『生きてると、パパのご飯が……こんなに美味しい』


主人公の涙が流れる。
一体何が起こったというのか?
俺は、俺たちは楽しい魔法少女アニメを見ていたんだじゃないのか?
グロ注意何てレベルじゃねーぞ?天才助手の予測はどうなってるんだ!
紅莉栖もショックだったのか、口を開けながら画面に見入っている。


キュゥべえ『長らくここはマミのテリトリーだったけど、
      空席になれば他の魔法少女が黙ってないよ』

キュゥべえ『すぐにも他の子が魔女狩りのためにやってくる』

さやか『まどかはさ、今でもまだ魔法少女になりたいって思ってる?』

まどか『ずるいってわかってるのに……今さら虫が良すぎだよね」

まどか『でも……無理……』

まどか『あたし、あんな死に方、今思い出しただけで息が出来なくなっちゃうの』

まどか『怖いよ……嫌だよぅ」

さやか『……そうだよね。うん、仕方ないよ』

キュゥべえ『君たちの気持ちは分かった。
      残念だけど、僕だって無理強いはできない』

キュゥべえ『お別れだね。
      僕はまた、僕との契約を必要としてる子を探しに行かないと』



73: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 03:58:23.16 ID:JKskC6Aqo



な、何だこの展開は……!?
え?マミさんさっきので退場?退場なの?
本当に?本当に死んだのか!?
無理やり納得するとすれば、流石は深夜アニメだな!
朝ちびっ子たちのが見る番組では出来ないことを平然とやってのける!
そこに痺れる憧れ――


紅莉栖「嘘でしょ……これはきっと何かのフラグね」

岡部「は?フラグ?どうみても死んでいたが、死亡フラグのことか?」

紅莉栖「違う!っていうか死んでるんなら「死亡フラグ」何て言わないでしょ?
    これは、主人公の願い事フラグよ!」

岡部「願い事フラグ?……ハッ!なるほど、わかったぞ。
   その願いで変身する、ということか!」

紅莉栖「そうよ、……ふーん、結構面白いわね、このアニメ。
    ちょっと馬鹿にしてたけど、考えを改めないといけないわね」


やっぱり馬鹿にしてたんじゃないか……。


紅莉栖「うん、誰かのための願い事には覚悟云々な展開だったけど、
    これは伏線ね。
    きっとこの後、魔法少女同士の絆を深めるイベントがあるんだわ」


確かに、そんな気もしてきた。


紅莉栖「よくよく考えてみれば、これも王道的な展開じゃない?
    先輩ヒーローが退場して、後輩の引き立て役になるって感じ。
    その後奇跡的な復活を遂げて、巨大な悪に立ち向かうっていうストーリー」



74: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:00:18.08 ID:JKskC6Aqo


つまり、こういうことだ。

マミさん退場!  →  まどか『マミさんを生き返らせて!』  →マミさん復活!
ヽ(  )ノ タベラレター                           ヽ(*゚д゚)ノヤッター


だが何だ?やたらと物知り顔で語るじゃないか、このクリスティーナは。


岡部「……やけに詳しいじゃないか助手よ?お前さてはそういう番組、
   いや、そういうアニメが好きなんじゃないのか?」

紅莉栖「え!?違うわよっ!?別にまゆりに色んなアニメを進められて、
    見ている内に自分でも気になって色んなアニメを見たとか、
    全然そういうんじゃないんだからね!?」


あーこの助手は本当に楽しいな。
いつもどこでもこの調子だ。扱いに苦労しないから助かるぞ。

というか、こいつやっぱり、本当はこのアニメが見たかったんじゃないのか?


ほむら『貴女は自分を責めすぎているわ。鹿目まどか』

ほむら『貴女を非難できる者なんて、誰もいない。いたら、私が許さない』

ほむら『忠告、聞き入れてくれたのね」

ほむら『それで、巴マミの運命が変わったわけじゃないわ』

ほむら『でも、貴女の運命は変えられた。一人が救われただけでも、私は嬉しい』

ほむら『巴マミには、遠い親戚しか身寄りがいないわ。
    失踪届けが出るのは、まだ当分先でしょうね』

ほむら『仕方ないわ。向こう側で死ねば、死体だって残らない』

ほむら『こちらの世界では、彼女は永遠に行方不明者のまま』

ほむら『魔法少女の最期なんてそういうものよ』

ほむら『そういう契約で、私達はこの力を手に入れたの』

ほむら『誰のためでもない。自分自身の祈りのために戦い続けるのよ』

ほむら『誰にも気づかれなくても、忘れ去られても、それは仕方のないことだわ』

ほむら『そう。そう言ってもらえるだけ、巴マミは幸せよ。羨ましい程だわ』


助手と話していたら、半分ぐらい物語が進んでいた。



75: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:04:28.35 ID:JKskC6Aqo


このほむらの喋り方、いや語り方か?
何か引っかかる気がするんだが、
俺は三話のインパクトが強すぎたせいかあまり頭が回らない。


まどか『ほむらちゃんだって、ほむらちゃんのことだって、私は忘れないもん!
    昨日助けてくれたこと、絶対忘れたりしないもん!』  
                             ――忘れたくない、忘れたくないよ……。

――ギリィッ                       ――ボク、忘れたくないです……。

ほむら『貴女は優し過ぎる』            ――君ってさ、いい奴なんだね。

ほむら『忘れないで、その優しさが、
    もっと大きな悲しみを呼び寄せることもあるのよ』   
                             ――すまない……。


話しはどんどん進んでいき、病院のシーンに変わっている。



さやか『ああ、ドビュッシー?素敵な曲だよね』

さやか『あ、あたしってほら、こんなだからさ、
    クラシックなんて聴く柄じゃないだろってみんなが思うみたいでさ。
    たまに曲名とか言い当てたら、すごい驚かれるんだよね。
    意外すぎて尊敬されたりしてさ。恭介が教えてくれたから、
    でなきゃ私、こういう音楽ちゃんと聴こうと思うきっかけなんて、
    多分一生なかったと思うし』

恭介『さやかは、僕を苛めてるのかい?』

さやか『え?』



恭介『何で今でもまだ、僕に音楽なんか聴かせるんだ。嫌がらせのつもりなのか?』

さやか『だって恭介、音楽好きだから……』

恭介『動かないんだ……もう、痛みさえ感じない。こんな手なんてっ』

恭介『諦めろって言われたのさ』 

恭介『もう演奏は諦めろってさ。先生から直々に言われたよ。今の医学じゃ無理だって』

恭介『僕の手はもう二度と動かない。奇跡か、魔法でもない限り治らない』

さやか『大丈夫だよ。きっと何とかなるよ。諦めなければきっと、いつか……』

さやか『あるよ』

     さやか『奇跡も、魔法も、あるんだよ』


うわぁ……修羅場ってるぞ。
妙に生々しさを感じる演出だな。
いや、俺は三話を見てからこのアニメの認識の仕方が変わってきている、のか?



76: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:08:12.91 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「この上条って男、最低ね。
    ここまで好意を持って接してくれる女の子に、
    こんな酷い言葉を投げつけるなんて。

    確かに境遇には同情するけど、
    何も今まで付き添ってくれた子にまで、
    それを押し付けるような真似するなんて、最悪極まりない」


情ってもんがないのかしら、とブツブツ呟いている助手。
情なんて言葉を使うなどとは、科学者らしくないな!
……紅莉栖、お前はわかってない。



度の過ぎた好意は、相手も自分の身も滅ぼす。     ――話しがあるの。

                                  ――それは、なんだ?

それを、お前は一番知っているんじゃないのか?    ――私も考えてみたの。

自分では良かれと思って行動した結果が、        ――……マシンは作れるのかどうか。

相手にとって良い結果になるとは限らないということ。 ――お前がいたせいで……お前のせいで……!

それを知っているのは、他ならぬお前だろう?      ――ずっと……認められ……たかった……。



77: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:09:20.22 ID:JKskC6Aqo


と、言いたい所だが、そんな言葉を投げた暁には、
紅莉栖は泣き出しかねない、多分。
流石にそんな空気でアニメを見るわけにもいかないしな、
ここは言葉をグッと飲んで静観していた。


紅莉栖「とりあえず、これでさやかのフラグはたったわね」

岡部「う、うむ。どうやらズバリそういう展開になるようだぞ?」


話しは進んで、どうやら今度はまどかたちの友達がピンチのようだ。
危機を知ったまどかは、友達の赴く場所へとついていってしまう。


まどか『ダメ……それはダメっ!』

まどか『だって、あれ、危ないんだよ?ここにいる人達、みんな死んじゃうよ!』

まどか『放してっ!!』

まどか『……ど、どうしようっ……どうしようっ』

まどか『や、やだっ……こんな……』

まどか『いやだっ、助けてっ……誰かあぁぁ!』

まどか『罰なのかな……これって?』

     まどか『きっと私が、弱虫で、嘘つきだったから……バチが、当たっちゃったんだ』


あれ?ちょっと待って、ちょっと待って、ウェイウェイウェーイ!
まさかこの子も退場とかないよな?主人公だよな??

おい、体がふにゃふにゃになってるぞ!?  ――ゼリーマン
え、ちぎれるちぎれるヤバいって!



78: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:10:49.45 ID:JKskC6Aqo



              ――ズバァッ!


    バッ               バッ
            バッ                   バッ!!


     『これでぇえええっ!!!とどめだぁああああああ!!』
              
              ザァアアアアンッ!!



間一髪の所を助ける、
魔法少女となったさやかがいた。



79: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:12:29.75 ID:JKskC6Aqo




さやか『いやーゴメンゴメン。危機一髪ってとこだったね』

さやか『ん?あー、んーまあ何、心境の変化って言うのかな?』

さやか『ん?あ、大丈夫だって!初めてにしちゃあ、上手くやったでしょ?私』



紅莉栖「ど、どう?やっぱり私の予測は当たってたようね?」

岡部「あ、ああ、それはそうだろう。
   うむ、この青い魔法少女……かっこいいではないか」


ふー、びっくりした。
何ていうか考えすぎだな、俺は。
狂気のマッドサイエンティスト的には、
あそこで主人公が死んでいても世界が混沌として面白いとは思うのだが、
やはり王道的な展開は逃せないな!魔法少女アニメだし!



80: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:13:26.37 ID:JKskC6Aqo



??『マミの奴がくたばったって聞いたからさぁ、
   ……わざわざ出向いてやったっていうのに』

??『何なのよっ!?ちょっと話が違うんじゃない?』

??『何ソレ?超ムカつく』

??『でもさあ、こんな絶好の縄張り、
   みすみすルーキーのヒヨッ子にくれてやるってのも癪だよねぇ』


キュゥべえ『どうするつもりだい? 杏子』

杏子『決まってんじゃん』

杏子『要するに、ぶっ潰しちゃえばいいんでしょう?』

杏子『……その子』


おや?話の最後に新しい魔法少女っぽい奴が出てきたぞ?



81: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:15:03.77 ID:JKskC6Aqo


しかも、敵役の魔法少女になりそうな雰囲気だ。

これは主人公も次回か、次々回あたりで変身して、
二対二の魔法少女対決!みたいな展開になるんだろうか??

……ふぅ、もう二時間経過か、流石に疲れてきたな。
紅莉栖も疲れてきているようだ。
腕を交差し、伸びをしてブルブル振るえている。
これ全何話なんだ?そんなに多くは無い気がするが……。



この時に気付くべきだった、
本当に俺は、
         ――バカだった。



82: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:15:49.41 ID:JKskC6Aqo

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楽しい魔法少女アニメでは、なかった。
ダルが俺に見せるだけはある、ということなのか?

気になるのは『暁美ほむら』。
そう呼ばれた彼女は、主人公に対して冷たくあたる。
いや、冷たい、のか?
こいつが言っていることは、まるで……。

話しはどんどん進む。
俺はボーっとその光景を眺める。
これに、なんの意味があるんだ?

……俺に、何を思えというんだ?

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83: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:16:45.26 ID:JKskC6Aqo


――第五話 後悔なんて、あるわけない――


紅莉栖「やっぱり、さやかの願い事はあの男のために使ったみたいね」

岡部「次は今度こそまどかの番か?となるとマミ復活も後少しということか?」

紅莉栖「そうかもしれないわね。あの赤い髪の女がキーになるんじゃない?
    いかにも敵ですぅってふいんきを出してたし」

岡部「……なあ、クリスティーナよ。そこは雰囲気って普通に言えばいいんじゃないか?」

紅莉栖「ちょ、変な所に突っ込みを入れるな!ちゃんと雰囲気っていいました!!
    雰囲気雰囲気雰囲気っ!これで満足?」


大分調子が戻ってきたな。
三話のせいで若干テンションを下げられたりしたが、
これでもう少しはモチベーションを保っていられそうだ。



84: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:18:20.31 ID:JKskC6Aqo


さやか『久々に気分良いわー。爽快爽快』

さやか『ん?そりゃあちょっとは怖いけど……昨日の奴にはあっさり勝てたし。
    もしかしたらまどかと仁美、友達二人も同時に亡くしてかもしれないって。
    そっちの方がよっぽど怖いよね』

さやか『だーかーら、何つーかな。自信?安心感?
    ちょっと自分を褒めちゃいたい気分っつーかね』

さやか『まー、舞い上がっちゃってますね、私。
    これからのミタキハラ市の平和はこの魔法少女さやかちゃんが、
    ガンガン守りまくっちゃいますからねー!』

さやか『そうねー。後悔って言えば、迷ってたことが後悔かな。
    どうせだったらもうちょっと早く心を決めるべきだったなって。

    あのときの魔女、私と二人がかりで戦ってたら、
    マミさんも死なないで済んだかもしれない』

さやか『さーてーは、何か変な事考えてるなー?』

さやか『なっちゃった後だから言えるの、こういう事は。
    どうせならって言うのがミソなのよ。私はさ、
    成るべくして魔法少女になったわけ』

さやか『願い事、見つけたんだもの。命懸けで戦うハメになったって構わないって、
    そう思えるだけの理由があったの。
    そう気付くのが遅すぎたって言うのがちょっと悔しいだけでさ。
    だから引け目なんて感じなくていいんだよ。

    まどかは魔法少女にならずに済んだって言う、ただそれだけの事なんだから』

さやか『さてと、じゃあ私はそろそろ行かないと』


俺にはわかる、わかるぞ!
こいつは絶対危機に陥る!
それも、多分あの赤い奴、杏子との戦いで!
調子に乗るとろくなことがない、それを体現するかのような存在だ。

そして、どうやら魔法少女さやかちゃんの願い事は無事叶ったようだ。



85: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:19:06.77 ID:JKskC6Aqo


後悔なんて、あるわけない。
自分に言い聞かせるように思案するこのさやかという存在には、
どんな試練が待ち受けているのだろうな?


杏子『ふぅん……。あれがこの街の新しい魔法少女ねぇ……」

杏子『だってチョロそうじゃん。瞬殺っしょ、あんな奴。それとも何?』

杏子『はあ?どういうことさ。
   そいつだってアンタと契約して魔法少女になったんでしょ?』

杏子『へっ、上等じゃないの。退屈過ぎてもなんだしさ。ちっとは面白味もないとね』


おー……こいつは見るからにもそうだが、
そうとうアグレッシブなキャラのようだな。
そういえば、こいつがフェイリスがなると言っていた『あんこちゃん』なのか?
キュゥべえは『杏子』といっていたが?
まゆりの作った衣装は五人分、これで全員分の魔法少女が揃ったということか。

……衣装で思い出した。
確かまゆりはあんなことを言っていた――



86: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:19:41.37 ID:JKskC6Aqo

――――――――――――――――――――

まゆり「オカリンとダルくんにも何か着てもらいたいなー?」

まゆり「そうだ!キュゥべえの衣装も作ればいいんだー」

まゆり「あ、でもでもオカリンはきょーすけくんの衣装もいいかもー」

ルカ子「岡部さんが……恭介さん役……」

まゆり「じゃあそうなると~?ダルくんがキュゥべえ?
   うわ~大きな衣装にしなきゃあー。キグルミでもありかなぁ?」

―――――――――――――――――――――



87: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:21:03.81 ID:JKskC6Aqo


……ヤバい、想像しかけた。
ダルのマスコットキャラとか誰得ってレベルじゃねーぞ?冗談じゃない。
まあ、予算と時間の都合上、男組の衣装は用意できなかったわけだが。

気が付くと、まどかとさやかで魔女退治に行くという流れになっていた。
その間にあった、ほむらとの喫茶店のシーンでは、
とりあえず、ほむらとさやかは気が合わないんだということだけわかった。
いずれは和解するのか?


さやか『ここだ……』

さやか『楽に越した事ないよ。こちとらまだ初心者なんだし!』

さやか『あれが!?』


どうやら、さやかとまどかは使い魔を見つけたらしい。


さやか『任せて!!』

         ――ガキンッ

杏子『ちょっとちょっと。何やってんのさ、アンタたち』

杏子『見てわかんないの?ありゃ魔女じゃなくて使い魔だよ。
   グリーフシードを持ってるわけないじゃん』

杏子『だからさぁ、4~5人ばかり食って魔女になるまで待てっての。
   そうすりゃちゃんとグリーフシードも孕むんだからさ』

さやか『な……。
    魔女に襲われる人たちを……あんた、見殺しにするって言うの?』

さやか『あんたはぁぁぁ……!!』

杏子『ちょっとさ、やめてくれない?』

杏子『遊び半分で首突っ込まれるのってさ、ホントムカつくんだわ』

       ――グシャァッ

杏子『ふん、トーシロが。ちっとは頭冷やせっての』



88: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:22:18.28 ID:JKskC6Aqo



Oh……見事なバトルだ。
それにしてもこのあんこ?とか言う奴、
中々に独善的タイプの考えの持ち主ではないか!
クククッ……その考え、嫌いじゃないぞ。

クククッ、と陰をこめた笑い方をしていると、助手が口を挟んできた。


紅莉栖「独善的な考え、嫌いじゃないーとか考えてるんですね?わかります。」

岡部「!――クリスティーッナッツよ!
   人の心を読もうとするのは止めてもらおうか!
   この鳳凰院凶真!貴様ごときに思考を読まれるほど愚かではない!」

紅莉栖「ちょ、おま、誰がティーナッツだ!お菓子みたいに呼ぶな!
    ……図星なくせに、恥ずかしくなったからって、
    人にあたるのはやめてもらえない?」

岡部「うるさい!だから口を挟むな!」


ふんっと言ったっきり助手は押し黙った。
魔法少女のバトルはすでにクライマックス。いよいよ主人公の変身か!?


     『それには及ばないわ』


お?……という所で次回に続く。



89: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:23:30.53 ID:JKskC6Aqo

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時間は流れる。
俺の不満は積もる。

こんなことなら、殴られる方がよっぽどマシだ……。

まゆりもいないのに、
              まゆりもいないのに。

     ……まゆり……。

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90: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:25:17.80 ID:JKskC6Aqo


――第六話 こんなの絶対おかしいよ――


杏子『何しやがったテメェ!……なっ』

杏子『そうか、アンタが噂のイレギュラーってやつか。妙な技を使いやがる』

杏子『何なんだアンタ?一体誰の味方だ?』

杏子『な……どこかで会ったか?』

杏子『手札がまるで見えないとあっちゃね。今日のところは降りさせてもらうよ』


突如現れる、魔法少女ほむら。
圧倒的な力?で杏子、さやかを無力化していく。


ほむら『一体何度忠告させるの。どこまで貴女は愚かなの』

ほむら『貴女は関わり合いを持つべきじゃないと、
    もう散々言って聞かせたわよね?』

ほむら『愚か者が相手なら、私は手段を選ばない』

まどか『ほむらちゃん……どうして』


うーん、よくわからないが、この暁美ほむらという娘……。

何か、知っている。
何かを知っているようだ、そんな気がする。何かはわからない。
必死になって、まどかを、魔法少女になろうとするのを、
止めているのはわかる、わかるが……?

その理由が、喉の奥に詰まっているかのような、
違和感を俺にもたらす。うーん、わからん!



91: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:26:13.55 ID:JKskC6Aqo


キュゥべえ『でも、また次にソウルジェムを浄化するためには、
      早く新しいグリーフシードを手に入れないと』

キュゥべえ『佐倉杏子は強かっただろう?』

キュゥべえ『余分なソウルジェムがあれば、魔法を出し惜しみせずに、
      無駄使いすることだって出来る。それが杏子の強みだ』

キュゥべえ『魔力を使えば使うほど、ソウルジェムには穢れが溜まるんだ』

キュゥべえ『さやか、君がグリーフシードを集められない限り、
      杏子と戦っても、勝ち目は無いと思っていい』


なるほどなるほど、そうかそうか。
言うなれば、杏子はMP回復アイテム持ちの対戦相手ということだ。

いや、格ゲーで例えた方がわかりやすいか?
杏子は初めからゲージが満タンで、
大技を使っても、超秘を使っても、息切れすることなく次の大技に繋げられる。
そりゃあ勝てるわけないな。最初から百八拾弐式を使われるようなものだ。



92: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:27:21.50 ID:JKskC6Aqo


ボーっと次の展開を見ていると――


『よう、今度は何さ』
   
        ――この街を、貴女に預けたい。

『どういう風の吹き回しよ」

         ――魔法少女には、貴女みたいな子が相応しいわ。

『ふん、元よりそのつもりだけどさ。そのさやかって奴、
どうする?ほっときゃまた突っかかってくるよ』

        ――貴女は手を出さないで。私が対処する。

『まだ肝心なところを聞いてない』

『アンタ何者だ?』

『一体何が狙いなのさ』

        ――二週間後、この街にワルプルギスの夜が来る

『ふぅん…。ワルプルギスの夜ね。確かに一人じゃ手強いが、
二人がかりなら勝てるかもなぁ』

     杏子『食うかい?』


おお、やっぱりこの二人手を組んだぞ!


紅莉栖「魔法少女同士の対立、ねえ……?」



94: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:29:10.84 ID:JKskC6Aqo

岡部「ん?何だぁ助手はこうなることが予測出来ていなかったのか?
   フゥー……まだまだだな、助手も。いかに天才と言えども、
   このIQ170の灰色の脳細胞を持った狂気のマッドサイエンティスト!
   鳳凰院凶真ほどの推察力は持ち合わせていなかったようだな!!
   フゥーハハハハハ」

紅莉栖「鳳凰院さんは楽しそうで何よりですねー。
    そんなもん、誰が、どう見ても、わかるような、ことだろうが。
    私が考えてるのは、ここからまどかがどう変身するのかについてよ!」

岡部「ぅ……だから、マミを生き返らせるために願いを使ってだな……?」

紅莉栖「話の流れを見てないのかッ?
    どう見ても、もうそんな事態じゃないでしょーが!
    ほら、アレを見ろ!」


そう言ってスクリーンを指さす助手。


さやか『喧嘩ねえ。夕べのあれが、まどかにはただの喧嘩に見えたの?』

さやか『あれはねえ、正真正銘、殺し合いだったよ。
    お互いナメてかかってたのは最初だけ。途中からは、
    アイツも私も本気で相手を終わらせようとしてた』

さやか『だから話し合えって?バカ言わないで。
   相手はGSの為に人間をえさにしようって奴なんだよ?
    どうやって折り合いつけろって言うの?』

さやか『そんなわけない!まどかだって見てたでしょ?
    あの時あいつはマミさんがやられるのを待ってから魔女を倒しに来た。
    あいつはGS欲しさにマミさんを見殺しにしたんだ!』

さやか『あの転校生も、昨日の杏子って奴と同類なんだ。
   自分の都合しか考えてない!
   今なら分かるよ。マミさんだけが特別だったんだ。
   他の魔法少女なんて、あんな奴らばっかりなんだよ』

さやか『私はね、ただ魔女と戦うだけじゃなくて、
    大切な人を守るためにこの力を望んだの。
    だから、もし魔女より悪い人間がいれば、私は戦うよ。
    例えそれが、魔法少女でも』


あ、あれ?何か主人公チームが険悪になってきてないか?



95: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:32:20.32 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「いい?まどかは魔法少女同士で戦うことを望んでない。
    それなのに、こんな場面で魔法少女になろうだなんて、
    考えると思う?」

岡部「しかし友達のためなら――」

紅莉栖「そう、魔法少女としての願い事を使うでしょうね、友達のために」

岡部「……あ」

紅莉栖「結果、マミは生き返らないわ……生き返らせて一緒に戦ってもらう、
    何てことも考えられるんだろうけど、話の脈絡からしてそれはない。
    そんな考えに至るぐらいなら、さやかとの対立なんて起こさないでしょ?

    だから、私は彼女がどんな願いでこれから魔法少女になるのか考えてた、
    ってわけ。わかる?鳳凰院凶真さん。」


なるほどー流石だなー紅莉栖さんマジかっけぇんすよ。

考えてみれば、まどかが魔法少女にならなければ、
望んだようなハッピーエンドには持っていけない。
しかし、杏子を倒すためにマミを生き返らせるんだとしたら、
全員和解、という道もなくなる。
ほむらもまどかの敵に回るだろう。あれだけ魔法少女になるなと言っているし。

これは、一体どういう展開に持っていくんだ??

そうこうしながら考えていると、話はどんどん進んでいく。
まどかはついに親に相談しているようだ。



96: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:35:05.63 ID:JKskC6Aqo


まどか母『悔しいけどね。正しいことだけ積み上げてけば、
     ハッピーエンドが手に入るってわけじゃない』

まどか母『むしろみんながみんな、
     自分の正しさを信じ込んで意固地になるほどに、
     幸せって遠ざかってくもんだよ』

まどか母『たとえきれいじゃない方法だとしても、解決したいかい?』

                ――……殺した。

まどか母『なら間違えればいいさ』

                ――俺が……殺した。

まどか母『正し過ぎるその子の分まで、誰かが間違えてあげればいい』

                ――……殺したのは。

まどか母『ずるい嘘ついたり、怖いものから逃げ出したり。
     でもそれが、後になってみたら正解だったってわかることがある』

                ――俺だった。

まどか母『本当に他にどうしようもないほどどん詰まりになったら、
     いっそ、思い切って間違えちゃうのも手なんだよ』 



97: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:35:42.06 ID:JKskC6Aqo

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岡部「黙れッ!」


間違えた先には、何もなかった!
……あ……。


岡部「何してんだ……俺」

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98: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:37:05.75 ID:JKskC6Aqo


ズシリときた。
俺には、この言葉がよくわかる。

間違えればいい、か。
確かに、間違えて、間違えて間違えて間違えて、俺はこの幸せをの中にいる。

俺も大人になれたということなのか?


まどか母『まどか、アンタはいい子に育った。
     嘘もつかないし、悪いこともしない。
     いつだって正しくあろうとしてがんばってる』

まどか母『子どもとしてはもう合格だ』

まどか母『だからさ。大人になる前に、今度は間違え方もちゃんと勉強しときな』

まどか母『大人になっちゃうとね。どんどん間違うのが難しくなっちゃうんだ。
     背負ったものが増えるほど、下手を打てなくなってく』

まどか母『大人は誰だって辛いのさ』

                ――〝なかったこと〟に、してはいけない。


背負ったもの、大事な仲間、大切な人。
確かに、俺はもう間違えられない。間違ってはいけない。
それを知ってしまった俺は、もう大人なんだろうか?

実感がわかないな。



99: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:39:04.46 ID:JKskC6Aqo


考えている内に、場面は移っていて、
さやかは不穏な空気に包まれていた。
そして、呼びかけられる――


杏子『会いもしないで帰るのかい?今日一日追いかけ回したくせに』

杏子『知ってるよ。この家の坊やなんだろ?
   アンタがキュゥべえと契約した理由って』

杏子『まったく。
   たった一度の奇跡のチャンスをくっだらねぇことに使い潰しやがって』

杏子『わかってねえのはそっちだ、バカ』

杏子『魔法ってのはね、徹頭徹尾自分だけの望みを叶えるためのもんなんだよ』

杏子『他人のために使ったところで、ロクなことにはならないのさ』

杏子『巴マミはそんなことも教えてくれなかったのかい?』

杏子『惚れた男をモノにするならもっと冴えた手があるじゃない。
   せっかく手に入れた魔法でさぁ』

杏子『今すぐ乗り込んでいって、
   坊やの手も足も二度と使えないぐらいに潰してやりな』

杏子『アンタなしでは何もできない体にしてやるんだよ』


え、えげつねぇ!
何というマッドな考え方だ!賞賛に値する!

今思ったが、
これはもう朝ちびっ子たちに人気な魔法少女モノなんてもんじゃない。
確実に大人向けの大きなお友達用アニメだ。



100: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:40:29.10 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「挑発してるんだろうけど、なんだかこの子は説得力がある気がする……。
    なんていうか、まるで自分に言い聞かせているみたいな……?」

岡部「ただマッドなだけなんじゃないのか?」

紅莉栖「はいはい、それは鳳凰院凶真さんだけでお腹いっぱいです。

    ……そうじゃなくて、何か深みがあるのよね?
    共感できるってわけじゃないんだけど」


うーんと唸っている紅莉栖。
紅莉栖がいうと、言われてみればそんな気もするような?
という気分になるから困る。

そして展開はクライマックスに移行する……のか?
橋で対立する二人。


さやか『絶対に……お前だけは絶対に許さない。今度こそ必ず……!』

杏子『ここなら遠慮はいらないよね。いっちょ派手にいこうじゃない』

まどか『待って、さやかちゃん!』

まどか『ダメだよこんなの、絶対おかしいよ』

さやか『まどか。邪魔しないで!そもそもまどかは関係ないんだから!』


杏子『ふん、ウザい奴にはウザい仲間がいるもんだねぇ』

ほむら『じゃあ、貴女の仲間はどうなのかしら?
    話が違うわ。美樹さやかには手を出すなと言ったはずよ』


おおお、ついに役者が揃ったぞ!




101: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:42:06.06 ID:JKskC6Aqo


さあ、ここからどうなるんだ?まどかはどんな願いをみせる?


杏子『アンタのやり方じゃ手ぬる過ぎるんだよ。
   どの道向こうはやる気だぜ』

ほむら『なら、私が相手をする。手出ししないで』

さやか『ナメるんじゃないわよ!』




変身しようとするさやか――

              ――を横切るまどか。




     まどか『さやかちゃん、ゴメン!』



102: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:44:02.57 ID:JKskC6Aqo



そして、

     さやかの手から、

                ソウルジェムを引っ手繰り、

          ポイッと、

        橋の下へ投げた。


さやか『まどか!あんたなんて事を!』
                 ――フッ





紅莉栖「?」

岡部「?」






     『今のはマズかったよ、まどか』

     『よりにもよって、友達を放り投げるなんて、どうかしてるよ』



103: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:45:58.16 ID:JKskC6Aqo



ん?
何だ?何を言っているんだ??


動かない美樹さやか。

                シュンッと消える暁美ほむら。
呆然とする鹿目まどか。
             そして、近寄る佐倉杏子。


杏子『どういうことだオイ……。コイツ死んでるじゃねぇかよ』

     杏子『何がどうなってやがんだ……オイッ』


え?
今なんて言った?死んでる?さやかが?
何で?


キュゥべえ『君たち魔法少女が身体をコントロールできるのは、
      せいぜい100m圏内が限度だからね』



104: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:47:30.17 ID:JKskC6Aqo


                       ――さやかちゃん?……ね?さやかちゃん?

キュゥべえ『普段は当然肌身離さず持ち歩いてるんだから、
      こういう事故は滅多にあることじゃないんだけど』

                       ――起きて……ねぇ、ねぇちょっと、どうしたの?
                          ねぇ!嫌だよこんなの、さやかちゃん!!

キュゥべえ『はあ……まどか、そっちはさやかじゃなくて、ただの抜け殻なんだって。

      さやかはさっき、君が投げて、捨てちゃったじゃないか』


な?
    え?
 何?

何を言っているんだこいつは?投げ捨てた???
投げたのは変身アイテムだろ?それがさやか?

ん?
    え?


紅莉栖「嘘……そんな……」



105: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:49:48.47 ID:JKskC6Aqo


キュゥべえ『ただの人間と同じ、壊れやすい身体のままで、
      魔女と戦ってくれなんて、とてもお願い出来ないよ』


                       ――走るほむら。


キュゥべえ『君たち魔法少女にとって、元の身体なんていうのは、
      外付けのハードウェアでしかないんだ』

キュゥべえ『君たちの本体としての魂には、魔力をより効率よく運用できる、
      コンパクトで、安全な姿が与えられているんだ』

キュゥべえ『魔法少女との契約を取り結ぶ、
      僕の役目はね。君たちの魂を抜き取って、

      ソウルジェムに変える事なのさ』

キュゥべえ『ソウルジェムさえ砕かれない限り、君たちは無敵だよ』


                       ――さやかを、


キュゥべえ『弱点だらけの人体よりも、余程戦いでは有利じゃないか』


                       ――取り戻すほむら。


杏子『な……なんだと?」



106: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:51:54.63 ID:JKskC6Aqo


杏子『テメェは……何てことを……。ふざけんじゃねぇ!!
   それじゃアタシたち、ゾンビにされたようなもんじゃないか!!』

                         ――ひどいよ……そんなのあんまりだよ……。

キュゥべえ『君たちはいつもそうだね。
      事実をありのままに伝えると、決まって同じ反応をする』

キュゥべえ『訳が分からないよ。

      どうして人間はそんなに、魂の在処にこだわるんだい?』


俺は、勘違いをしていた。
俺は、魔法少女という色眼鏡で、
このアニメを見ていた。

最初から、
       気付くべきだったんだ。

「契約」という、
         言葉そのものに。

何もわかってなかった。



さやかの手に戻る、さやか。


     さやか『何?何なの?』



107: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:52:36.97 ID:JKskC6Aqo

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不穏な空気と、明かされる真実。
ダークな世界感なわけだ。
なるほど、面白いアニメだな。


だがそれだけだ、俺にとっては暇つぶしでしかない。
スクリーンの光によって、俺は孤独に照らされ続ける。

独りでいるラボの、寂しさを知る。

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108: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:54:21.75 ID:JKskC6Aqo


――第七話 本当の気持ちと向き合えますか?――


キュゥべえ『僕は魔法少女になってくれって、きちんとお願いしたはずだよ?』

キュゥべえ『実際の姿がどういうものか、説明を省略したけれど』

キュゥべえ『訊かれなかったからさ。
      知らなければ知らないままで、何の不都合もないからね』

キュゥべえ『事実、あのマミでさえ最後まで気づかなかった』


キュゥべえ『そもそも君たち人間は、
      魂の存在なんて、最初から自覚できてないんだろう?』

キュゥべえ『そこは神経細胞の集まりでしかないし、
      そこは、循環器系の中枢があるだけだ』

キュゥべえ『そのくせ、生命が維持できなくなると、
      人間は精神まで消滅してしまう』


キュゥべえ『そうならないよう、僕は君たちの魂を実体化し、
      手に取ってきちんと守れる形にしてあげた』

キュゥべえ『少しでも安全に、魔女と戦えるようにね』


紅莉栖「何よそれ……そんな方法で……」

岡部「ソウル……ジェム……その名の通り魂の宝石だということか……」

紅莉栖「ファッキンシット!
    ……確かにこいつの言ってることは筋が通ってる……、
    でもそんなのって……あ、ちょっ、何やって――」



109: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:55:49.72 ID:JKskC6Aqo


紅莉栖は画面に語りかける。
その中では、キュゥべえが「痛み」についてをレクチャーしていた。
……実践的な意味で。

突然苦しみだすさやか……の入れ物。

何でも、今までの戦いでは強すぎる「痛み」をセーブしていたらしい。
「本物の痛み」による攻撃は、さやかを一歩も動かすことを出来なくしていた。
キュゥべえがソウルジェムから足を退かすと、「痛み」も引いたみたいだ。
だが、さやかは動くことが出来ない。


キュゥべえ『おかげで君は、あの戦闘を生き延びることができた』

キュゥべえ『慣れてくれば、完全に痛みを遮断することもできるよ』

キュゥべえ『もっとも、それはそれで動きが鈍るから、あまりオススメはしないけど』

キュゥべえ『戦いの運命を受け入れてまで、君には叶えたい望みがあったんだろう?』

キュゥべえ『それは間違いなく実現したじゃないか』


あまりにも感情の無い、優しい声が響く――



110: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:56:50.15 ID:JKskC6Aqo


ほむら『前もって話しても、
    信じてくれた人は今まで一人もいなかったわ』

ほむら『あいつは酷いとさえ思っていない。
    人間の価値観が通用しない生き物だから』

ほむら『何もかも奇跡の正当な対価だと、そう言い張るだけよ』

ほむら『奇跡であることに違いはないわ。不可能を可能にしたんだから』

ほむら『美樹さやかが一生を費やして介護しても、
    あの少年が再び演奏できるようになる日は来なかった』

ほむら『奇跡はね、本当なら人の命でさえ購えるものじゃないのよ。
    それを売って歩いているのがあいつ』

ほむら『感謝と責任を混同しては駄目よ。貴女には彼女を救う手立てなんてない』

ほむら『引け目を感じたくないからって、借りを返そうだなんて、
    そんな出過ぎた考えは捨てなさい』

ほむら『そうね……きっともう人間じゃないから、かもね』


学校の屋上、まどかはほむらに疑問をぶつけていた。
その応答もまた、理論的で、理知的で、隙のない言葉で埋め尽くされる。

そこに、人間としての感情があるか、ないか、それは置いといてだ。
あるいは、紅莉栖なら……何か別の解を導き出せるか?
見ると、何やら考え込んでる様子である。
がんばれ紅莉栖!こうなったらお前だけが頼りだ!



111: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 04:58:05.13 ID:JKskC6Aqo


俺の願いは虚しく流れ、
展開は次なるシーンへと移行する。

さやかは、杏子に呼び出されていた。


杏子『ここはね、アタシの親父の教会だった。
   正直過ぎて、優し過ぎる人だった。毎朝新聞を読む度に涙を浮かべて、
   真剣に悩んでるような人でさ』

杏子『新しい時代を救うには、新しい信仰が必要だって、
   それが親父の言い分だった』

杏子『だからある時、教義にないことまで信者に説教するようになった』

杏子『もちろん、信者の足はパッタリ途絶えたよ。本部からも破門された。
   誰も親父の話を聞こうとしなかった』


う、おお……やはりこいつ、ヘビィな過去を背負ってるのか。

これはありがちな展開だ、気の強い娘というのは、
気を強くしていなきゃいけない理由を持っているからだ。
少なくとも、そういう女は過去に沢山(ダルが)見てきた。
こいつのトラウマは、家族か。


気が強くて、家族がトラウマ……?



112: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:02:42.80 ID:JKskC6Aqo


杏子『だから、キュゥべえに頼んだんだよ。みんなが親父の話を、
   真面目に聞いてくれますように、って』


――まるで自分に言い聞かせているみたいな……?

流石は我がラボの助手。よもや勘も鋭いとは、やはり天才!
結局こいつも誰かのために願い事を使った、
つまりはさやかと同じ境遇だったということか。


杏子『翌朝には、親父の教会は押しかける人でごった返していた』

杏子『毎日おっかなくなるほどの勢いで信者は増えていった』

杏子『アタシはアタシで、晴れて魔法少女の仲間入りさ』

杏子『いくら親父の説法が正しくったって、それで魔女が退治できるわけじゃない』

杏子『だからそこはアタシの出番だって、バカみたいに意気込んでいたよ』

杏子『アタシと親父で、表と裏からこの世界を救うんだって』

杏子『……でもね、ある時カラクリが親父にバレた』


これは、家族も崩壊フラグ……!
などとはふざけてられず、俺は多分、この時相当渋い顔をしていた。


こいつは、こいつのトラウマは、被ってるんだよ……。



113: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:05:16.54 ID:JKskC6Aqo


杏子『大勢の信者が、ただ信仰のためじゃなく、
   魔法の力で集まってきたんだと知った時、親父はブチ切れたよ』

                     ――ふざけるなぁ!!

杏子『娘のアタシを、人の心を惑わす魔女だって罵った』

                     ――どこまで親をバカにすれば気が済むのだ!

杏子『笑っちゃうよね。アタシは毎晩、本物の魔女と戦い続けてたってのに』

杏子『それで親父は壊れちまった』    ――何故お前はそんなに優秀なのだ!
                          
杏子『最後は惨めだったよ』        ――私を、バカにするなぁぁ!!

杏子『酒に溺れて、頭がイカれて。
   とうとう家族を道連れに、無理心中さ』

杏子『アタシ一人を、置き去りにしてね』

                     ――ダメぇ!やめて!

杏子『アタシの祈りが、家族を壊しちまったんだ』

                     ――ずっと……認められ……たかった……。
                        パパに……だから……いつも、勉強……。



114: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:06:37.59 ID:JKskC6Aqo


ああああああああああああやばいやばいやばい!
これは非常にまずい!由々しき事態だ!
緊急コードCSG発令を許可する!プランBだ!
隣の助手は今どんな顔している?


紅莉栖「……´A`゚」


わかってた、わかってたさ。
さあ、どうする岡部倫太郎!今こそ選択の時だ!
ねえ今どんな気持ち?ねえねえ今どんな気持ち?
と捲し立てるか?いや、ダメだ!アホか俺はっ!!


杏子『他人の都合を知りもせず、
   勝手な願いごとをしたせいで、結局誰もが不幸になった』

杏子『その時心に誓ったんだよ。
   もう二度と他人のために魔法を使ったりしない、
   この力は、全て自分のためだけに使い切るって』

杏子『奇跡ってのはタダじゃないんだ』

杏子『希望を祈れば、それと同じ分だけの絶望が撒き散らされる』

杏子『そうやって差し引きをゼロにして、
   世の中のバランスは成り立ってるんだよ』


スタアアアアアアップ!!放送を止めろ!放送事故だ!
馬鹿野郎ォ!杏子、誰に言ってるッ!?
わかった、お前の辛さはよーくわかった!俺にもわかる!
だからもうやめてくれ……。どうすればいいかわからなくなるだろ……。



115: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:07:43.62 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「ねぇ……ぉかべ……?」

岡部「ひゃい!何だクリスティイイイイッナ!?」

紅莉栖「岡部も……そう思う?」

岡部「な、何をだ……?」

紅莉栖「岡部も……私が――」


杏子『アンタも開き直って好き勝手にやればいい。自業自得の人生をさ』

杏子『アンタもアタシと同じ間違いから始まった』

杏子『これ以上後悔するような生き方を続けるべきじゃない』

杏子『アンタはもう対価としては高過ぎるもんを支払っちまってるんだ』

杏子『だからさ、これからは釣り銭を取り戻すことを考えなよ』

杏子『そうさ。アタシはそれを弁えてるが、アンタは今も間違い続けてる。
   見てられないんだよ、そいつが』


紅莉栖「……」


おぉ、……この杏子というのはやはり独善的な思考の人間だ。
しかし、今はそれが心地いい。

よし、決めた。
今日からこいつは狂気のマッドサイエンティスト、
            ――鳳凰院凶子の名を授けようではないか!



116: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:08:46.97 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「岡部……やっぱり何でもないわ」

岡部「ぅ、うん?そうか」

紅莉栖「過去に縛られ続けるのは、良くないしね……」

……紅莉栖は勝手に納得してしまった。
ふぅー、助かった。

あのままでは、
俺が、
何を喋ってしまうかわからない状況に、陥る危機だったからな。

今はまだ、この雰囲気が俺にとっては幸せなんだ。
それを壊すようなことは、まだしたくない。
いずれは、全てを思い出してしまうのかもしれないけど……

今はまだな。


しかし、スクリーン画面の中のさやかは納得出来てないご様子だ。
いつの間にやらまどかとの共通の友達、
以前魔女に誘惑された友達の、仁美と喫茶店で会話している。


仁美『ずっと前から……私……上条恭介君のこと、お慕いしてましたの』

仁美『さやかさんは、上条君とは幼馴染でしたわね』

仁美『本当にそれだけ?』

仁美『私、決めたんですの。もう自分に嘘はつかないって』

仁美『あなたはどうですか?さやかさん。
   あなた自身の本当の気持ちと向き合えますか?』

仁美『あなたは私の大切なお友達ですわ。
   だから、抜け駆けも横取りするようなこともしたくないんですの』

仁美『上条君のことを見つめていた時間は、
   私よりさやかさんの方が上ですわ』

仁美『だから、あなたには私の先を越す権利があるべきです』

仁美『私、明日の放課後に上条君に告白します』



117: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:10:49.29 ID:JKskC6Aqo



ま た 修 羅 場 か っ !
ダルだったらここで、「NTRktkr!」と叫んでるだろうな。
何かどんどん追い詰められてないか?
正義の魔法少女さやかちゃんよ?

あ、ああー……ついに泣き出しちゃったよ?どうすんだこれ?
まどかが慰めてる。まゆり、みたい、だな。


さやか『仁美に恭介を取られちゃうよ…。
    でも私、何も出来ない。だって私、もう死んでるもん。
    ゾンビだもん。こんな身体で抱き締めてなんて言えない。
    キスしてなんて言えないよ…』


――岡部さんを取られちゃうよ……。
  でもボク、何も出来ない。だってボク、想いを封印したんだもん。
  男の子だもん。こんな身体で抱き締めてなんて言えない。
  キスしてなんて言えないよ……――


うおおおおおお!?なんだこの精神攻撃は!
脳内変換が突然巻き起こる。


岡部「もしもし俺だ!!今、「機関」による精神攻撃を受けている!
   早くなんとかしろーッ!間に合わなくなっても知らんぞーッ!!

                        ――エル・プサイ・コングルゥ」

紅莉栖「いきなりなんなんだ……?一体何と戦ってるんだよ……」


よし、落ち着いた。



118: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:16:11.66 ID:JKskC6Aqo


何か気が付くと、さやかが魔女相手に苦戦している。
お、これは杏子仲間フラグがたったみたいだぞ!


杏子『まったく。見てらんねぇっつうの。
   いいからもうすっこんでなよ。手本を見せてやるからさ』

さやか『邪魔しないで。一人でやれるわ』


突撃していくさやか。
っておい。なんかやられまくってないか?



ちょ、喰われてる喰われて……。



119: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:18:27.37 ID:JKskC6Aqo



――心臓が破れても、ありったけの血を抜かれても、
  その身体は魔力で修理すれば、すぐまた動くようになる――

――ソウルジェムさえ砕かれない限り、君たちは無敵だよ――

  さやか『あはははははは!!ホントだぁ?
      その気になれば痛みなんて……あはは。完全に消しちゃえるんだ!!』


まどか『やめて……もう……やめて』

     『あはははははははははははははは』


まどかの声は虚しく。


俺はその悲惨な姿と笑い声に、
どこかで聞いたような、         ――アハハハハ
そんな思いが巡るのだった。      ――十五年後ヲ待ッテイロ!



120: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:18:59.97 ID:JKskC6Aqo

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希望、希望か……。
そうだな、杏子の言う通りだ。

俺も、あいつみたいに独善的でいられたら……どんなに……。
鳳凰院の名は、あいつにこそ相応しいのかもしれない。

そして、痛み……。
痛みを消せたら……俺も……。

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121: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:20:31.01 ID:JKskC6Aqo


――第八話 あたしって、ほんとバカ――


さやか『やり方さえ分かっちゃえば簡単なもんだね。これなら負ける気がしないわ』

さやか『あげるよ。そいつが目当てなんでしょ?』

さやか『あんたに借りは作らないから。これでチャラ。いいわね』

さやか『さ、帰ろう。まどか』


さ、さやかェ……。
何かヤバいぞ?
どんどん暗黒面に落ちていってないか?


まどか『さやかちゃん……あんな戦い方、ないよ』

まどか『痛くないなんて嘘だよ。見てるだけで痛かったもん。
    感じないから傷ついてもいいなんて、そんなのダメだよ』

まどか『あんなやり方で戦ってたら、勝てたとしても、
    さやかちゃんのためにならないよ』

さやか『あたしの為にって何よ』

さやか『こんな姿にされた後で、何が私の為になるって言うの?』

さやか『今の私はね、魔女を殺す、ただそれしかだけ意味がない石ころなのよ。
    死んだ身体を動かして生きてるフリをしてるだけ。そんな私の為に、
    誰が何をしてくれるって言うの?考えるだけ無意味じゃん』



122: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:21:40.67 ID:JKskC6Aqo




     さやか『だったらあんたが戦ってよ』



紅莉栖「ちょ、おま……」


さやか『キュウべえから聞いたわよ。あんた誰よりも才能あるんでしょ?
    私みたいな苦労をしなくても簡単に魔女をやっつけられるんでしょ?』

さやか『私の為に何かしようって言うんなら、
    まず私と同じ立場になってみなさいよ。無理でしょ。
    当然だよね。ただの同情で人間やめらるわけないもんね?』

さやか『何でも出来るくせに何もしないあんたの代わりに、
    あたしがこんな目に遭ってるの。それを棚に上げて、

                  知ったような事言わないで!!』


なん……だと……?
もうヤバい何てレベルを超え、
完全にダークサイドに行ってしまっている。

やっていることは正義の味方のはずなのに、何だこの仕打ち?
おい、助手、何か言ってやれ。
と横目で見ても口を開けたまま微動だにしない助手。



123: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:23:13.82 ID:JKskC6Aqo


……恭介の時はあれほど、
境遇を押し付けるな云々、
と言っていながらこの様である。
まあ気持ちはわからんでもないが。


さやか『バカだよ私。何て事言ってんのよ……。もう救いようがないよ……』


ほむらと杏子が作戦会議をしている。
ワルプルギスの夜?という魔女を倒すための作戦会議。
いいネーミングセンスだな、「機関」のブラックリストに入れて置こう。


キュゥべえ『美樹さやかの消耗が予想以上に早い。
      魔力を使うだけでなく、彼女自身が呪いを生み始めた』

キュゥべえ『このままだと、ワルプルギスの夜が来るより先に、
      厄介なことになるかもしれない』


またお前か。
いい加減にしろ。
当初の予想の遥か斜め上のマスコットキャラになりつつある、
人気者キュゥべえは、意味深なことを言い残して去っていく。

そんな中、さらに闇へと潜る、Diverさやか。


ほむら『彼女のソウルジェムは、穢れを溜め込み過ぎたのよ』

ほむら『早く浄化しないと、取り返しのつかないことになる』

ほむら『どうして分からないの。ただでさえ余裕がないのだから、
    魔女だけを狙いなさい』

ほむら『もうソウルジェムも限界のはずよ。
    今すぐ浄化しないと、使いなさい』

ほむら『いい加減にして。もう人を疑ってる場合じゃないでしょう』

ほむら『そんなに助けられるのが嫌なの?』

ほむら『あなた、死ぬわよ』

ほむら『ねえどうして。貴女を助けたいだけなの。
                    どうして信じてくれないの?』


そんなさやかを説得する、ほむら。
ついに、ついに人間らしい部分を見せるのか!?




124: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:24:06.84 ID:JKskC6Aqo


いや、今までもたびたび人間らしい表情をしていた時もあったが、
それは全てまど――


さやか『どうしてかな。ただ何となく分かっちゃうんだよね。
    あんたが嘘つきだって事』

さやか『あんた、何もかも諦めた目をしてる。
    いつも空っぽな言葉を喋ってる。今だってそう。
    あたしの為とか言いながら、ホントは全然別な事を考えてるんでしょ?
    ごまかし切れるもんじゃないよ、そういうの』


もう何でも疑う黒い子になってる。
ミタキハラ市の平和を守る正義の魔法少女は、
もはや名前だけが浮いてしまっている。

どうしてこうなった……どうしてこうなった……?



125: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:25:13.85 ID:JKskC6Aqo


ほむら『貴女って鋭いわ。ええ、図星よ』

ほむら『私は貴女を助けたい訳じゃない。
    貴女が破滅していく姿を、まどかに見せたくないだけ』

ほむら『ここで私を拒むなら、どうせ貴女は死ぬしかない』

ほむら『これ以上、まどかを悲しませるくらいなら』



ほむら『いっそ私が、この手で、今すぐ殺してあげるわ。
                             美樹さやか』



こっちはもっと黒かった。
何だこれは、どこを向いても明るい話が何ひとつないとは。
えーっと?これは何のアニメだった?


紅莉栖「このほむらって子、すごいまどかに執着してるのね
    異様なほどに」


気が付くと、真剣な眼差しで紅莉栖は考察している。



126: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:27:14.63 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「ほむらとまどかは、初対面……なのよね?
    あの最初に見た夢が関係しているのかしら」

岡部「……実はただのストーカーだったという線はどうだ?」

紅莉栖「何その設定……最低にもほどがあるだろ」 

岡部「しかし、否定はできまい?

   もうここまでとんでも展開できたんだ、
   ただのストーカーだったと言われても何の違和感もないぞ」

紅莉栖「う、……でもそれはない!
    だったらもっと直接的な行動に出てるでしょ?」

岡部「まあそうなんだがな。
   以外にもう願いは叶ってるんじゃないのか?

   まどかのパンティーおくれー!とかな」

紅莉栖「こ、の、HENTAI!

    ああ、そうだったよ!あんたも橋田と同じHENTAIだったよ!」


一緒にするな、奴はHANTAI紳士だ。



127: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:28:14.54 ID:JKskC6Aqo


ワーワーしている内に、
さやかはさらにとんでもないことをしだす。
何と一般人にからみははじめたのだ!
まあ一般人と言っても夜のお仕事の人みたいだが。



さやか『ねえ、その人のこと、聞かせてよ』

さやか『今あんた達が話してた女の人のこと、もっとよく聞かせてよ』



さやか『その人、あんたの事が大事で、喜ばせたくて頑張ってたんでしょ?
    あんたにもそれが分かってたんでしょ?なのに犬と同じなの?
    ありがとうって言わないの?役に立たなきゃ捨てちゃうの?』



さやか『ねえ、この世界って守る価値あるの?
    あたし何の為に戦ってたの?教えてよ。今すぐあんたが教えてよ。






    でないとあたし……』

              <●>   <●>



128: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:29:53.43 ID:JKskC6Aqo



さらに進んで、噂のまどか嬢が顔を出す。
セットでキュゥべえ付きだ。


まどか『あなたを恨んだら、さやかちゃんを元に戻してくれる?』

まどか『ねえ、いつか言ってた、
    私がすごい魔法少女になれるって話、あれは……本当なの?』

まどか『私は…自分なんて何の取り柄もない人間だと思ってた。
    ずっとこのまま、誰のためになることも、何の役に立つこともできずに、
    最後までただ何となく生きていくだけなのかなって』

まどか『それは悔しいし、寂しいことだけど、でも仕方ないよねって、
    思ってたの』

まどか『私なら……。キュゥべえにできないことでも、私ならできるのかな?』

まどか『私があなたと契約したら、さやかちゃんの体を元に戻せる?』




キュゥべえ『その願いは君にとって、魂を差し出すに足る物かい?』



129: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:32:09.89 ID:JKskC6Aqo




まどか『さやかちゃんのためなら……いいよ。私、魔法少女に……!』

     ――スパパパパパンッ――



乾いた銃声が鳴り響く。俺は少しだけブルッとした……。
黒光りする、どこかで見た俺のトラウマ。



130: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:33:49.40 ID:JKskC6Aqo



ほむら『貴女は、……なんで貴女は!

    いつだって!そうやって自分を犠牲にしてっ!!』

                     ――役に……立て……たよ。

ほむら『役に立たないとか、意味がないとか、
              勝手に自分を祖末にしないでっ!!!』

                     ――まゆしぃのこと……重荷に感じてたら、言ってね?

ほむら『貴女を大切に思う人のことも考えて……!』 

                     ――あいつ、なにが……なにが〝重荷〟だよ……!!

          ほむら『いい加減にしてよ!』

                     ――まゆりを助けて。

ほむら『貴女を失えば!
           それを悲しむ人がいるって!
                    どうしてそれに気づかないの!?』

                     ――お前は、ここに、いるのに……!

      ほむら『貴女を守ろうとしてた人はどうなるの!?』

                     ――相対的判断などクソ喰らえだ!!

まどか『ほむらちゃん……?』



131: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:34:51.25 ID:JKskC6Aqo



まどか『私たちはどこかで……』

まどか『どこかで会ったことあるの?私と』

                 ほむら『そ、それは……』


まどか『ごめん。私、さやかちゃんを探さないと』

ほむら『待って!……美樹さやかは、もう」

まどか『ごめんね』

ほむら『待って』



      ほむら『まどかぁ!!!』



132: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:35:40.19 ID:JKskC6Aqo

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      岡部「やめろォ!!」

俺の声が、ラボに虚しく響く。

気が付くと、俺はこのアニメに魅入っていた。
なんだ……これ……。
誰に言ってるんだ?何を言ってるんだ?

これがダルの狙いだったのか?
だとしたら、これ以上の責めはないな……。

犠牲にするだけ犠牲にして、結局俺は、この様だ。

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133: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:38:17.31 ID:JKskC6Aqo


引っかかる。
ほむらの言葉に、思いに、執着心に。

俺が歩んできた道、歩くような速さで、進んできた時間。
人生で、もっとも長い三週間……。
たどり着くまでの長い長い道のりを、俺は感じていた。
それだけの言霊が宿っていた。
俺は――


     『無駄な事だって知ってるくせに。懲りないんだなあ、君も』


キュゥべえ『代わりはいくらでもあるけど、
      無意味に潰されるのは困るんだよね』

キュゥべえ『勿体ないじゃないか?』

キュゥべえ『君に殺されたのは、これで二度目だけれど、
                  ――おかげで攻撃の特性も見えてきた』

キュゥべえ『時間操作の魔術だろう?さっきのは』


           ――時間……操作……?


キュゥべえ『やっぱりね。何となく察しはついてたけれど、
      君はこの時間軸の人間じゃないね』


           ――この時間軸の……人間じゃない?



134: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:40:02.33 ID:JKskC6Aqo


キュゥべえ『なるほどね』

                        ――俺は、……死なない!

キュゥべえ『だからこんなにしつこく僕の邪魔をするわけだ』

                        ――……時間を跳び越えてやる!

キュゥべえ『そうまでして、鹿目まどかの運命を変えたいのかい?』

                        ――お前を助けるために!!

ほむら『ええ、
   絶対にお前の思い通りにはさせない。
        キュゥべえ……、
           いいえ、インキュベーターッ!』


岡部「ゥゥ……」
          ――……ッ!


今、完全に意識が跳んでいた。画面の向こうに……。
少し動悸、息切れがする。



135: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:41:11.76 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「岡部……?大丈夫?」


気が付くと紅莉栖がこっちを向いて、心配そうに覗き込んでいる。
ちょっと、涙が零れそうになった。


岡部「大丈夫だ、問題ない……」

紅莉栖「ほんとに?……ならいいんだけど……」


納得がいかないという顔をしているが、
それ以上紅莉栖は追及してこなかった。

やはりまた、そうこうしてる内に物語は進んでいて、
さやかと杏子で会話していた。


さやか『悪いね、手間かけさせちゃって』

さやか『うん。別にもう、どうでも良くなっちゃったからね』

さやか『結局私は、一体何が大切で何を守ろうとしてたのか、
    もう何もかも、わけ分かんなくなっちゃった……』



136: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:42:26.70 ID:JKskC6Aqo


さやか『希望と絶望のバランスは差し引きゼロだって、
    いつだったかあんた言ってたよね。今ならそれ、よく分かるよ?』

さやか『確かに私は何人か救いもしたけどさ、だけどその分、
    心には恨みや妬みが溜まって。一番大切な友達さえ傷付けて』

さやか『誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪わずにはいられない。
    私達魔法少女って、そう言う仕組みだったんだね……っ!』








     『あたしって、ほんとバカ』


    ――ヒビ割れるソウルジェム――――――
    ――その中からは―――――――――――
    ――人と似つかぬ化け物が飛び出した――


  杏子『さやかあああああああああああああああああああ!!!!!!』


聞こえてくる、絶望の声。



137: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:43:48.93 ID:JKskC6Aqo



聞こえてくる、絶望の声。




インキュベーター『この国では、成長途中の女性のことを、
         少女って呼ぶんだろう?』

インキュベータ―『だったら、やがて魔女になる君たちのことは、




         魔法少女と呼ぶべきだよね?』




――魔女……だと?



138: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:45:06.32 ID:JKskC6Aqo

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岡部「誰かの幸せを祈った分、
   他の誰かを呪わずにはいられない。

   ……ハハッ……今の俺そのものじゃないか……!」


どうして、仲間を犠牲にしてまでたどり着いた先が、こんな結末を迎えるんだ?
どうして、大切な人を失ってまで、世界に翻弄されなければならないんだ?
どうして、俺がただひとつ救った命でさえ、俺から離れていってしまうんだ?
どうして、どうして、どうして!!

何が悪かった、誰のせいなんだ?
未来が悲惨な結果を迎えるからか?紅莉栖が死ぬからか?
世界の収束のせいか?それとも神のせいか?
俺から全てを奪い、何が目的なんだ?たかが大学生に、こんな仕打ちを行って、
一体何が面白いんだよッ!クソッ!!

わかってる。全ては俺の、責任だ……。
希望と絶望のバランスは差し引きゼロだ。
……まゆりのために、
全てを忘れて生きていこうとした結果がこれなんだ。

希望の分だけ、絶望も降りかかる。

忘れようとするべきじゃなかった……俺は……紅莉栖を……。
鈴羽と共に、もう一度跳ぶべきだったんだ!
結果がわかっていたとしても……。
俺は、逃げた。もう絶望したくなんてなかった!

二度と見たくなかったんだ……仕方ないだろ……?
大切な人を、この手で……あんなこと……ッ!!
それでも行くべきだった。
そしたらまゆりも、鈴羽も、諦めて未来を受け入れるはずだった……。
全て、俺の責任だ……。

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139: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:46:24.12 ID:JKskC6Aqo


――第九話 そんなの、あたしが許さない――


今、何時頃だ?
途中から時間の概念を忘れていた。
外はまだ大雨なんだろうか?
喉が渇いたので、俺は立ち上がって冷蔵庫を開けに行く。


紅莉栖「岡部、私にもドクぺ」


こいつ、顔も目も画面に向いてるくせに、
しっかりと、俺が何をしようとしているか観察してやがる。
俺の助手はお前なんだから、本来逆の立場でないとおかしいのに……。
とは言えずー、静かに冷蔵庫からドクぺを取り出し、
紅莉栖の元に持っていく。


紅莉栖「サンクス」


目を見て言え、目を。こっち見ろ。
まあ、目が離せない理由が理由だから何も言えないんだけど。
そうだな、何から考えようか。

画面に映るのは、
           かつて、
                人間だったケモノ。


魔女。



140: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:48:33.63 ID:JKskC6Aqo


杏子『さやかっ!』

杏子『何なんだよ、テメェ一体何なんだ!?
   さやかに何をしやがった!?』

ほむら『下がって』

杏子『何を!?』

ほむら『掴まって、私から手を離したら、
    貴女の時間も止まってしまう。気をつけて』

杏子『どうなってるんだよ、
   あの魔女は何なんだよ!?』


ああ、そうそう。魔女だ魔女。
やがて魔女になるから、魔法少女なんだってね。

その発想は無かった。

あれ?これって悪の魔女を倒す、正義の味方!
魔法少女が世界の平和を守る!
っていう番組なんではなかったのか?

オープニング何てキラキラしてるし、
一話のふいんき(何故ry)はどこにいった?



141: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:50:41.02 ID:JKskC6Aqo


紅莉栖「魔法少女が、魔女を生むなら……」


この世には、目には見えない闇の住人たちがいて、
奴らは時として牙を剥き、俺たちを襲ってくる。


紅莉栖「魔女を倒す、魔法少女は……?」


そこで、地獄より現れた正義の使者、
キュゥべえ~が女の子に力を与えて、それを成す!


紅莉栖「インキュベーター……一体何者なの?」


どこかに忘れた設定が、俺の頭で一人歩きする。
現実は、そんなに、甘くはなかった。


まどか『さやかちゃん!?さやかちゃん、どうしたの?』

まどか『ね、ソウルジェムは?
    さやかちゃんはどうしたの!?』

ほむら『彼女のソウルジェムは、
    グリーフシードに変化した後、魔女を生んで消滅したわ』


突き付けられる、現実。



142: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:52:07.92 ID:JKskC6Aqo


まどか『嘘……だよね?』

ほむら『事実よ。それがソウルジェムの、最後の秘密』

ほむら『この宝石が濁りきって黒く染まる時、
    私達はグリーフシードになり、魔女として生まれ変わる』

ほむら『それが、魔法少女になった者の、逃れられない運命』

まどか『そんな……どうして……?さやかちゃん、魔女から人を守りたいって、
    正義の味方になりたいって、そう思って魔法少女になったんだよ?
    なのに……』

ほむら『その祈りに見合うだけの呪いを、背負い込んだまでのこと』



ほむら『あの子は誰かを救った分だけ、
    これからは誰かを祟りながら生きていく』



143: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:52:42.74 ID:JKskC6Aqo


杏子『テメェは……。何様のつもりだ。事情通ですって自慢したいのか?』

杏子『何でそう得意げに喋ってられるんだ。
   コイツはさやかの…。さやかの親友なんだぞ』

ほむら『今度こそ理解できたわね。
    貴女が憧れていたものの正体が、どういうものか』

ほむら『わざわざ死体を持って来た以上、扱いには気をつけて』

ほむら『迂闊な場所に置き去りにすると、後々厄介な事になるわよ?』

杏子『テメェそれでも人間かっ!?』

ほむら『もちろん違うわ。貴女もね』

                  ――ぅぅぅぅぅうううぅうう


お、お、お、……オェーー!!!
俺はいつから、魔法少女が正義の味方だと錯覚していた……?

つまり、どういうことだっ!



144: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:53:58.70 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「……インキュベーターの犠牲になった、
    ってことなの?」


そうか、犠牲になったのか。
犠牲、犠牲?つまり、どういうことなんだ?


インキュベーター『入っていいかい? 話があるんだ』

まどか『生きてたのね、
    ほむらちゃんが言ってたこと、本当なの?』

インキュベーター『訂正するほど間違ってはいないね』

インキュベーター『勘違いしないで欲しいんだが、
          僕らは何も、人類に対して悪意を持っている訳じゃない』

インキュベーター『全ては、この宇宙の寿命を伸ばすためなんだ』


インキュベーター『まどか、君はエントロピーっていう言葉を知ってるかい?』


インキュベーター『簡単に例えると、焚き火で得られる熱エネルギーは、
          木を育てる労力と釣り合わないってことさ』

インキュベーター『エネルギーは形を変換する毎にロスが生じる』

インキュベーター『宇宙全体のエネルギーは、目減りしていく一方なんだ』



145: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:55:31.35 ID:JKskC6Aqo


インキュベーター『だから僕たちは、
          熱力学の法則に縛られないエネルギーを探し求めて来た』


インキュベーター『そうして見つけたのが、魔法少女の魔力だよ』


インキュベーター『僕たちの文明は、知的生命体の感情を、
          エネルギーに変換するテクノロジーを発明した』

インキュベーター『ところが生憎、当の僕らが感情というものを、
          持ち合わせていなかった』

インキュベーター『そこで、この宇宙の様々な異種族を調査し、
          君たち人類を見出したんだ』

インキュベーター『人類の個体数と繁殖力を鑑みれば、
          一人の人間が生み出す感情エネルギーは、
          その個体が誕生し、
          成長するまでに要したエネルギーを凌駕する』


インキュベーター『君たちの魂は、エントロピーを覆す、
          エネルギー源たりうるんだよ』



146: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:56:33.81 ID:JKskC6Aqo


インキュベーター『とりわけ最も効率がいいのは、第二次性徴期の少女の、
          希望と絶望の相転移だ』

インキュベーター『ソウルジェムになった君たちの魂は、
          燃え尽きてグリーフシードへと変わるその瞬間に、
          膨大なエネルギーを発生させる』

インキュベーター『それを回収するのが、僕たち、
          インキュベーターの役割だ』


噴いた。

え、え、エントロピー……だと?
熱力学……だと?
いきなり学術的な話になってきて、展開についていけん!
うわっ隣の助手すごいよっ!目がキラキラしてるよっ!
流石、天才脳科学者!

展開に、ついてはいけない、
いけないが言ってる意味は理解できる。

宇宙のエネルギーが無くなる、ヤバい!
感情をエネルギーに変える方法発見したよ!
でも僕ら感情ないから、人類を代わりに使うよ!

ということだろう。
その方法が、第二次性徴期の少女の、希望と絶望の相転移。



147: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:57:04.20 ID:JKskC6Aqo

――――――――――――――――――――――

『誰かの幸せを祈った分、
他の誰かを呪わずにはいられない。
私達魔法少女って、そう言う仕組みだったんだね』


『あたしって、ほんとバカ』

――――――――――――――――――――――



148: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 05:58:21.35 ID:JKskC6Aqo


その方法が、魔法少女の存在理由。
夢もキボーもない話しだ、ふざけているにもほどがある。


インキュベーター『この宇宙にどれだけの文明がひしめき合い、
          一瞬ごとにどれ程のエネルギーを消耗しているのか分かるかい?』

インキュベーター『君たち人類だって、いずれはこの星を離れて、
          僕たちの仲間入りをするだろう』

インキュベーター『その時になって、枯れ果てた宇宙を引き渡されても困るよね?』

インキュベーター『長い目で見れば、これは君たちにとっても、
          得になる取引のはずだよ?』


黙れ、黙れよ。
人を消耗品みたいに扱って、それで何が仲間入りするだ、
ふざけるな。


インキュベーター『僕たちはあくまで、
          君たちの合意を前提に契約しているんだよ?』



149: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 06:01:33.32 ID:JKskC6Aqo


インキュベーター『それだけでも充分に良心的なはずなんだが』

インキュベーター『騙すという行為自体、
          僕たちには理解できない』


感情が……ない。


インキュベーター『認識の相違から生じた判断ミスを後悔する時、
          何故か人間は、他者を憎悪するんだよね』

インキュベーター『君たち人類の価値基準こそ、
          僕らは理解に苦しむなあ』

インキュベーター『今現在で69億人、
          しかも、4秒に10人づつ増え続けている君たちが、
          どうして単一個体の生き死にに、
          そこまで大騒ぎするんだい?』


          ――57億人死ぬのと、
             世界中がディストピアになるのとどっちがいいかなんて、
             そんなの俺の知ったことじゃない!!


インキュベーター『これでも弁解に来たつもりだったんだよ?』

インキュベーター『君たちの犠牲が、どれだけ素晴らしい物をもたらすか、
          理解して貰いたかったんだが、どうやら無理みたいだね』


          ――あいつの……紅莉栖の犠牲を無駄になんか、させないからな!!


インキュベーター『まどか。いつか君は、

         最高の魔法少女になり、そして最悪の魔女になるだろう』



150: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 06:04:32.39 ID:JKskC6Aqo


インキュベーター『その時僕らは、
          かつて無い程大量のエネルギーを手に入れるはずだ』

インキュベーター『この宇宙のために死んでくれる気になったら、
          いつでも声をかけて。待ってるからね』


これは酷い。
つまり、間接的にも直接的にも、
早くお前死ねって言っているようなもんだ。


紅莉栖「悔しいけど、
    こいつの言ってることは方程式が用意されていて、
    解もちゃんと出てる」

岡部「な!?お前はこいつの意見を肯定する気なのか!?」

紅莉栖「反論の余地が無いってだけ。
    まあ、アニメなんだから辻褄を合わせた設定ありきで作られてるんだし、
    ……なんでもありなんでしょうけど……」


俺は、お前の口からそんなことは聞きたくない


紅莉栖「でも、私は、――魔法少女なんて、認めない」



151: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 06:05:58.94 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「私が文明の科学者なら、
    もっと別の、エネルギー変換装置を作り出してみせる」

紅莉栖「もしも、私たちの宇宙が危ないって言うのならば、
    誰も犠牲にならない、そういうテクノロジーを発見する!

    たとえ、一生かかってもね」


何言ってんだこいつ?
と普通なら考えるが、紅莉栖だったらやりかねない。
この実験大好きっ子はただものじゃない。
何故なら、俺はそれを知っている。


人間の英知を超えた発明品、その存在の可能性を。


とにかく、こいつが出来ると言ったら出来るのだ。
いや、出来るとは言ってないか。

本来こいつは、憶測で物を語る人間じゃなかったはずなんだが、
この一年近くで、思考に変化が生じたのか?
それでもやる、といったらやりそうだなこの助手は。

俺はそんな助手が好きだ。



152: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 06:07:42.71 ID:JKskC6Aqo


……いや、性的な意味でじゃないぞ!?か、勘違いするなよ!!
……誰に弁解してるんだ、俺……少し落ち着こう。
ちょっとインキュベーターさんのインパクトが強すぎた。

――エル・プサイ・コングルゥ。

よし、これでいつもの俺だ。
隣の助手なんて見ても――


紅莉栖「……何?何か文句ある?」


キュンと来た。
ほむほむ、かわいいなほむほむ!!
……落ち着こう、岡部倫太郎。
今日の俺は何かおかしい、
やっぱり疲れが溜まっているんだろうか。

考えている合間にまどかと杏子が合流していた。



153: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 06:08:28.42 ID:JKskC6Aqo


杏子『美樹さやか。助けたいと思わない?』

杏子『アイツは魔女になっちまったけど、
   友達の声ぐらいは覚えてるかもしれない。呼びかけたら、
   人間だった頃の記憶を取り戻すかもしれない。
   それができるとしたら、たぶん、アンタだ』

杏子『わかんないからやるんだよ。もしかして、
   あの魔女を真っ二つにしてやったらさ、
   中からグリーフシードの代わりに、
   さやかのソウルジェムがポロッと落ちてくるとかさ』

杏子『そういうもんじゃん?最後に愛と勇気が勝つストーリー、
   ってのはw』


杏子『アタシだって、考えてみたらそういうのに憧れて、
   魔法少女になったんだよね』

杏子『付き合いきれねぇってんなら、無理強いはしない。
   結構、危ない橋を渡るわけだしね』

まどか『ううん、手伝う。手伝わせてほしい』

まどか『私、鹿目まどか』

杏子『佐倉杏子だ。よろしくね』⊃クウカイッ



154: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 06:09:35.19 ID:JKskC6Aqo



イイハナシダナー!!
何かやっと希望が見えてきたんじゃないか!?
仮にも『魔法少女アニメ』なんだから、
そろそろ明るい話しがきてもいい頃合いだろ!

そんな希望が生まれるから、絶望も生まれることになる。
俺って、ほんとバカ。


杏子『いいな、打ち合わせ通りに!』


まどか『さやかちゃん。私だよ。まどかだよ。
    ね、聞こえる?私の声がわかる!?』

まどか『さやかちゃん。やめて!お願い、思い出して。
    こんなこと、さやかちゃんだって嫌だったはずだよ!?
    さやかちゃん、正義の味方になるんでしょ?
    ねえお願い、元のさやかちゃんに戻って!』


杏子『怯むな。呼び続けろっ!』

杏子『聞き分けがねぇにも、程があるぜ、さやか!』


魔女さやかとの対話に挑むまどかと杏子。
そうだ!がんばれ!!
俺たちは変わる、変わるんだ!!
希望を捨ててはいけない!!
俺だって救えたんだ!お前にだって出来る!!



155: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 06:10:51.22 ID:JKskC6Aqo



杏子『生温いって、あの時アタシがもっとぶちのめしても、
  アンタは立ち上がってきたじゃんかよ』

杏子『怒ってんだろ?何もかも許せないんだろ?』

杏子『わかるよ……それで気が済んだら目ェ覚ましなよ、
  なぁ?』


魔女の魔の手は、まどかに伸びる。


まどか『さやかちゃん……おねがいだから……』


杏子『さやかぁぁああっ!!』

杏子『アンタ、信じてるって言ってたじゃないか!
   この力で、人を幸せにできるって!』

杏子『――頼むよ神様、こんな人生だったんだ。
               せめて一度ぐらい、幸せな夢を見させて……』


暗闇の底に落ちていく二人。



156: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 06:12:05.27 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「……人魚姫」

岡部「ん?……何?」

紅莉栖「魔女のモチーフよ、見て上半身が騎士、
    下半身が魚」


言われてみればそうだ。


紅莉栖「人魚姫って……魔女と契約して人間になるのよね……

    その代わりに声を失う。王子を助けたのは自分だと明かせず、
    王子は別の人間と結婚する。失恋して泡となって消える。
    だったわよね?確か」

岡部「……さやかは人魚姫だとでもいうのか?」

紅莉栖「そういう意味……何じゃないの?
    救いがないお話ってこと……」


救いがないとか、言うなよ……。



157: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 06:13:14.80 ID:JKskC6Aqo


杏子『…よう』

ほむら『杏子』

杏子『その子を頼む。
   アタシのバカに付き合わせちまった……』

杏子『足手まといを連れたまま戦わない主義だろ?
   いいんだよ、それが正解さ』

杏子『ただ一つだけ、
   守りたいものを最後まで守り通せばいい』

杏子『ハハハ、何だかなぁ。
   アタシだって今までずっとそうしてきたはずだったのに』

杏子『行きな。コイツはアタシが引き受ける』


紅莉栖「あ……フラ……」





    杏子『心配すんなよさやか。

       ひとりぼっちは、寂しいもんな?

       いいよ、一緒にいてやるよ。さやか』




自分のソウルジェムと引き換えに、とてつもない光が全てを飲み込んだ。



158: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 06:13:52.96 ID:JKskC6Aqo



―――食うかいw?

            ―――……w

‐‐‐―マッテェ、キョーコ!!






159: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 06:14:43.43 ID:JKskC6Aqo


そして流れる、エンディングテーマ。
重苦しい空気が流れる。


紅莉栖「……」

岡部「……」


ほむら『佐倉杏子には、
    本当に美樹さやかを救える望みがあったの?』

インキュベータ『まさか、そんなの不可能に決まってるじゃないか』

ほむら『なら、どうしてあの子を止めなかった』

インキュベーター『もちろん、無駄な犠牲だったら止めただろうさ』

インキュベーター『でも今回、彼女の脱落には、
          大きな意味があったからね』


インキュベーター『これでもう、
          ワルプルギスの夜に立ち向かえる魔法少女は、
          君だけしか居なくなった』

インキュベーター『もちろん、一人では勝ち目なんてない』

インキュベーター『この街を守るためには、
          まどかが魔法少女になるしかない訳だ』


ほむら『やらせないわ。絶対に』


まだまだ長い夜は続く。
俺は……耐えられるのだろうか?



160: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 06:15:27.17 ID:JKskC6Aqo

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岡部「……ハァ……ハァ……ハァ……ッ」


息が苦しい。視界が定まらない。
なんだこれ、なんだこれ、なんだこれ。
なんでこんな、なんで、なんで。
どうして犠牲になれるんだ?
誰かのために、なんで、どうして?

わかってる。俺が一番わかってる……。
犠牲になってみんなが救われるなら、俺は……。
それは叶わない希望。
俺の運命は、どう足掻こうと決められている。      ――2025年。

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161: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 06:16:20.57 ID:JKskC6Aqo

ダル「うはwwwww三話テラやwwばwwwwすwwwww」

ダル「オカリン今頃驚いてるおwwwwwww」



まゆり「マミさん……どうして食べられるん?」

まゆり「まゆしぃは、いつ見ても悲しいのです……」



ダル「マミさんマミマミwwwwww」

ダル「ああああオカリンの顔が見てええええ」

ダル「魔法少女を馬鹿にした報いを受けるといいお!」



まゆり「オカリン……寂しい思いしてないかな?」

まゆり「あ、紅莉栖ちゃんからメールだー!」

まゆり「んー……?」



162: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 06:18:10.86 ID:JKskC6Aqo


件名:まゆりへ
魔法少女すごく面白い
じゃない!!
この先どうなるか気に
なって眠れなった。

後、岡部www顔がヤバ
いwwwwワロスwww
写メ撮れば良かったww

まゆり「えー!紅莉栖ちゃん、
    オカリンと一緒に見てるのー?ずるいよ~!」



るか「……今日雨降らなかったら…、
   岡部さんと一晩、
   ずっと一緒に居られたのかな……」



萌郁「綯ちゃん……面白いね」

綯「あはははっさやかちゃんカッコイー!」

天王寺「おい、
    そのアニメは教育上に良いアニメか?
    さっき人が死んでなかったか?」

萌郁「大……丈夫……、
   人は死んでない……です」



163: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 06:20:06.44 ID:JKskC6Aqo


ダル「あーあ、
   今頃はフェイリスたんとの素敵な夜が、
   待ってたはずだったんだけどなー。
   つらいわー、マジつらいわー」

ダル「『キャー!ダルニャーンフェイリスコワーイ』」

ダル「君は僕が、必ず守ってみせるキリッ」

ダル「『ダルニャン、素敵!結婚して!』」

ダル「うへ……へへ」


――……父さん……未来で待ってるからね。


ダル「うおっ!僕の脳内に毒電波がっ!」



164: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 06:22:27.44 ID:JKskC6Aqo


まゆり「ああぁ~……さやかちゃん……;;」

まゆり「イタイタしすぎて、見てられないよ……」



るか「……ボクは、ボクの願いは……。
   岡部さん……ボクは、この気持ち、
   ……封印してなきゃダメですか?」



ダル「青い子息してないwwwwwwww」



フェイリス「出番が少ないのニャ。
      これは闇の「機関」の仕業、
      コーシキー・シリョ・ウシュウの仕業に違いないのニャ」



ダル「ほむほむマジほむほむ!!」

ダル「ん?まゆ氏からメールだお」



165: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 06:23:54.98 ID:JKskC6Aqo


件名:いちゃいちゃ♪
オカリンとクリスちゃん
で一緒にアニメ見てる
みたい☆
ラボがこれから暑くな
るねぇ~☆

ダル「なん……だと……?」パリンッ



ダル「一緒……だと……?」

ダル「僕の推理が正しければ、
   二人は今ラボの中で二人きり……」

ダル「昨日は牧瀬氏はラボにいなかった。
   よって牧瀬氏は、この雨の中ラボまで、
   移動してきた」

ダル「カッパだろうが、傘だろうが、
   濡れ濡れになるのは想定の範囲内……」

ダル「つまり、これは、濡れ濡れの牧瀬氏と、
   オカリンの、二人きりなわけで……」ドドドドド



ダル「……許せん、許せんすなぁ……!!」ガタッ



166: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 06:34:18.49 ID:JKskC6Aqo


――次回予告――


another-004502-166
 

『……違う時間を生きてるんだもの!!』

            「……を見て。目を逸らさないで」

『……私ね、未来から来たんだよ?』

         「……前のあなたと、……後のあなた」

『……わけわかんないよね…気持ち悪いよね?』

            「教えてよ……わからないの」

『わからなくてもいい。何も伝わらなくてもいい。
     それでもどうか、お願いだから、
             あなたを私に守らせて……!』

     わたしの、最高の友達

                        ――12時間後の未来で――



171: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:29:01.10 ID:JKskC6Aqo


――第十話 もう誰にも頼らない――


紅莉栖「ねえ、岡部」

岡部「どうした?」

紅莉栖「私たち……」

紅莉栖「『私たちはどこかで……』」

紅莉栖「『どこかで会ったことあるの?私と』」

岡部「ブゥーッ!!」


噴いッゲホゲホゲホ!!!
ドクぺが噴き零れる。
何だ!?突然どうした!?


紅莉栖「ちょ!汚っ!」

岡部「お前こそ、何の、真似だっ!」

紅莉栖「……モノマネよ」



172: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:30:44.15 ID:JKskC6Aqo

岡部「……そ、それは『まどか』の言葉だ。
   お前がコスプレしているキャラじゃない」

紅莉栖「うん……言ってみただけよ……
    そ、それとも何?
    鳳凰院さんは『ほむら』のキャラで罵られたいの?

    『愚か者が相手なら、私は手段を選ばない』」

岡部「誰が愚かものかっ!
   俺は別にキャラを真似ろとは一言も言ってない!!」


最初にコスプレの衣装を渡しただけだッ!
俺のせいじゃないのに、色々根に持ってるのか?


紅莉栖「そう?本当は少し嬉しいんじゃない?
    私に見惚れてた鳳凰院さん」

岡部「勝手なことを言うんじゃないっ!
   まったく、突然何だと言うんだ……」


ビックリしたじゃないか。
アニメの言葉をしっかり覚えているあたり、
よく見ているな。



173: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:35:08.33 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「ほら、次の話し始まるわよ。

    ……今のはちょっとした空気の入れ替え。
    ずーっと見てたら肩凝っちゃった。
    空気は重いし、
    アニメを見てるだけなのに、
    何でこんな気持ちにならなきゃなんないんだか」


お前と俺が会ったのは、去年の夏が、初めてだよ。
俺は、忘れない、忘れてないから安心しろ。


              ――……岡部は私のこと、覚えてて……くれる?


絶対に、忘れない。



先生『はーい、それじゃあ自己紹介いってみよー』

ほむら『あ、あの……あ、暁美……ほ、ほむらです。
    ……その、ええと……どうか、よろしく、お願いします……』


お、ん?んんん??
何だこれは?どうしちゃったんだ??

……何て思えたら、良かったんだろうな。
それが狙いだったのかもしれないし。
だが、俺はもうこの時点で、ひとつの確信がある。


ほむら『あの、わ、私、その……』

まどか『暁美さん?』

まどか『保健室、行かなきゃいけないんでしょ?場所、わかる?』

まどか『じゃあ案内してあげる。私、保健係なんだ』

まどか『みんな、ごめんね。
    暁美さんって、休み時間には、
    保健室でお薬飲まないといけないの』


転校生として、生徒に珍しがられるほむらに、ピンク色の髪をした女の子が話しかける。
転校生として、戸惑うほむらに対しての助け舟のようだ。



174: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:36:47.95 ID:JKskC6Aqo


まどか『ごめんね。
    みんな悪気はないんだけど、
    転校生なんて珍しいから、はしゃいじゃってw』

ほむら『いえ、その……ありがとうございます』

まどか『そんな緊張しなくていいよ、
    クラスメイトなんだから』

まどか『私、鹿目まどか。まどかって呼んで』

        ――……暁美さん?

まどか『いいって。だから、私もほむらちゃん、
    って呼んでいいかな?』

       ――ほむらでいいわ。

ほむら『え?そんな……私、
    その……あんまり名前で呼ばれたことって、無くて……。
    すごく、変な名前だし……』

       ――ほむら……ちゃん。

まどか『えー?そんなことないよ。
    何かさ、燃え上がれーって感じでカッコいいと思うなぁ』

       ――あぁ、えっと……その……変わった名前だよね?

ほむら『名前負け、してます』

       ――ギリッ

まどか『うん?そんなのもったいないよ。
    せっかく素敵な名前なんだから、
    ほむらちゃんもカッコよくなっちゃえばいいんだよ』

――い、いや……だから……あのね。変な意味じゃなくてね。
                   その……カ、カッコいいなぁなんて。



175: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:39:42.80 ID:JKskC6Aqo



頭の中に会話が思い浮かぶ。
どうして、気付けなかったんだ。
思えば、こいつの行動は、そっくりだったじゃないか。


    ――……あの時の俺に言ってやりたい!

    ――……迂闊な真似をするなと!

    ――……軽率な真似をするなと!

    ――……見て見ぬフリをするなと!

    ――……もっと注意を払えと!


    ――『さもなければ、全てを失うことになる』――


あの忠告も、執着心も、
どうして魔法少女になることを妨害してたのかも、
全てが、繋がった気がした。

そうだ、

     こいつは、

            暁美ほむらは……!


――『君はこの時間軸の人間じゃないね』


タイムトラベラーだ。



176: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:41:30.63 ID:JKskC6Aqo



――無理だよ……私、何にもできない。
   人に迷惑ばっかり掛けて、恥かいて。どうしてなの……?
   私、これからも、ずっとこのままなの?

――死んだ方が良いかな……?
  『だったらいっそ、死んだ方がいいよね』

――死んで……しまえば……。
  『死んじゃえばいいんだよ……』


ほむら『……えっ!?なにっ……?」

ほむら『ど……どこなの、ここ……?』

ほむら『何?何なの!?』

ほむら『え?いやっ!あぁっ!』


魔女の結界……か。
おそらく次に現れるのは――


     ビュンッ! バンッ! ビュンッ!



177: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:42:49.90 ID:JKskC6Aqo


??『間一髪、ってところね』
???『もう大丈夫だよ、ほむらちゃん』

ほむら『あ、あなたたちは……?』

?????『彼女たちは、魔法少女。
      魔女を狩る者たちさ』

まどか『いきなり秘密がバレちゃったね』

まどか『クラスのみんなには、内緒だよっ☆』


これが、
今まで俺たちが観測してきた、
暁美ほむらの、本来居た、時間。
やり直して、なかったことにした、時間と空間。


                  ――世界線。


だとしたら、やり直してでも、
〝なかったこと〟にしたかった、
その理由は?

     ――ああ、君たちからしたら未来になるのかな?

わかっている。
認められない結末、
何をしてでも、変えなければならない結果。

     ――そんな未来を変えるため。

ほむらが魔法少女になる理由。



178: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:43:41.91 ID:JKskC6Aqo


まどか『私なんて、
    先週キュゥべえと契約したばっかりだし』


まどかに、あれだけ執着した、その理由は……!




まどか『じゃ、いってくるね』

ほむら『えっ……そんな……巴さん、死んじゃっ、たのに……』

まどか『だからだよ。
    もうワルプルギスの夜を止められるのは、
    私だけしかいないから』

ほむら『無理よ!一人だけであんなのに勝てっこない!
    鹿目さんまで死んじゃうよ?』


崩れた世界で、語り合う二人。
その二人の間には、巴マミの体が仰向けに倒れていた。



179: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:44:42.26 ID:JKskC6Aqo


ほむら『ねぇ……逃げようよ……だって、
    仕方ないよ……?
    誰も、鹿目さんを恨んだりしないよ……』

まどか『それでも、私は魔法少女だから。
    みんなのこと、守らなきゃいけないから』

まどか『ほむらちゃん。私ね、あなたと友達になれて嬉しかった。
    あなたが魔女に襲われた時、間に合って。
    今でもそれが自慢なの』

まどか『だから、魔法少女になって、
    本当によかったって。そう思うんだ』



まどか『さよなら。ほむらちゃん。元気でね』

ほむら『いや!行かないで……鹿目さぁぁぁん!!』



収束していく結果。確定した未来。
これが、ほむらが過去を変えてでも、
取り戻したかった現在の理由。



180: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:46:26.68 ID:JKskC6Aqo


ほむら『どうして……?死んじゃうって、わかってたのに……。
    私なんか助けるよりも、
    あなたに……生きててほしかったのに……』

キュゥべえ『その言葉は本当かい?暁美ほむら。

      君のその祈りの為に、魂を賭けられるかい?
      戦いの定めを受け入れてまで、
      叶えたい望みがあるなら、
      僕が力になってあげられるよ』


ほむら『あなたと契約すれば、どんな願いも叶えられるの?』

キュゥべえ『そうとも。君にはその資格がありそうだ。
      教えてごらん。

      君はどんな祈りで、ソウルジェムを輝かせるのかい?』


未来を変えるために、神をも冒涜する12番目の理論。



181: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:47:34.96 ID:JKskC6Aqo




ほむら『私は……。私は、鹿目さんとの出会いをやり直したい。

    彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたいっ!!』


キュゥべえ『契約は成立だ。

      君の祈りは、エントロピーを凌駕した。

      さあ、解き放ってごらん。その新しい力を!』



時間を跳び越える。
彼女を助けるために。
彼女が死んでしまう未来を、変えるために。


紅莉栖「タイムトラベル……」



182: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:48:17.27 ID:JKskC6Aqo

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岡部「タイムトラベル……」


ダル、お前が見せたかったものがわかったよ。
つまり、そういうことなんだろ?

俺はこの流れを知っている。
何度やっても、変わらなかった結果を。
過程は違えども、結果は収束する。

どれだけもがいても、
もがいても、もがいてもっ、もがいてもっ!!
どれだけ過去に逃げても変わらなかった、世界の意思。


                 ――……世界が、まゆりの死を望んでる?


認められるわけがない。

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#################################



183: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:49:29.86 ID:JKskC6Aqo


――――――カチャッ ギュゥゥゥウウウン

ほむら『はっ?ここは……。私、まだ退院してない……。
    はっ!?夢じゃ、ない…』


跳んだ。
ほむらも、跳んだ。
これがほむらの〝してきたこと〟だったのか。

俺は気付くべきだった。
いや、気付かなくて良かったのか?
もしも、最初から全て知っていて、このアニメを見ていたら、
俺はどんな顔して見ていればいいか、わからなくなってたと思う。


ほむら『暁美ほむらです。よろしくお願いします!』

ほむら『鹿目さん、私も魔法少女になったんだよ☆
    これから一緒に頑張ろうね!』

まどか『え?……えぇと……ぅぅん……///』



184: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:51:06.21 ID:JKskC6Aqo


紅莉栖「こんな風に繋がるのね……」

岡部「正に魔法の成せる業だな!
   アニメらしいじゃないかフゥーハハハ!!」

紅莉栖「え?……う、うん。
    ……そうね、魔法よね」


そうだ、これは魔法だ。
奇跡の力だ。
タイムトラベルが出来る……。
そんなことは、もう現実にはあってはならない。

俺が許さない。


ほむら『それじゃ、行きます!』


――――――カチャッ


時間が止まる。
ほむらの目の前にはドラム缶。
手に持ってるのはゴルフクラブ。


ほむら『わぁああああああ!
    あちょっ?とっとっ』スカッ

ほむら『えいっ』ボコッ

ほむら『は、ふぃ……』ボコボコボコッ

――――――チキチキチキッガチャン


時間が動きだす。



185: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:52:11.21 ID:JKskC6Aqo


ほむら以外の、
二人の目の前には、ボコボコになったドラム缶
息切れするほむら。


まどか『どう思う?マミさん』

マミ『うーん、時間停止ねぇ?
 確かにすごいけれど、使い方が問題よねぇ』


仲間たちは、時間干渉能力に戸惑っているようだ。
そりゃそうだろう。
時間干渉を観測出来るのは当事者だけ。
他の者からしたら、何が起こったか何てわからないし、
それがどれだけ悪魔の力を持つかなど、予測もつかないだろう。
わかるのは、観測者だけ。
実験して起こった出来事の過程を理解できるのは、

観測者だけなんだ。



186: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:53:31.34 ID:JKskC6Aqo


ほむらはその力を理解したのか、危険そうなもの作ってる。
暗い雰囲気で、若干病んでる感じがするぞ?
何かこういう場面は、紅莉栖を思い出してならない。
この実験大好きっ子も、未来ガジェットを作っている時こんな感じだからな!

紅莉栖はもうちょっとマッドっぽいけどな!


まどか『マミさん!今だよ!』

マミ『オッケー』

ほむら『ふぁあぁあ!ひぃぃぃ!』

マミ『暁美さん、おねがい』

ほむら『は、はい!』


おお、綺麗な風景だ。いや結界だ。
魔女と戦う魔法少女。
すごく……魔法少女アニメみたいです。
いやそのものズバリ何だけど、過程が過程だけに忘れがちになる。


――わ~~~~~ ポイッ!!
――ズドオオオオオオオオオン!!
――そして時は動き出す――

ほむら『やった?やっ――』 
     まどか『やったぁ~!すごい、すごいよほむらちゃん!』

マミ『お見事ね』


ほむらちゃん大勝利!
魔法少女は今日も平和を守りましたっ!
何て新鮮な光景!これだよっ!こういうのだよ!



187: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:54:52.35 ID:JKskC6Aqo


紅莉栖「ま、まどか……、ソゥキュート……」

岡部「これはいいな、こういうのが本来の魔法少女アニメだな」

紅莉栖「魔法少女同士で共闘してるのって、
    これが初めてなんじゃない?」


確かにそうだ。
結局俺たちの予想はハズレにハズレて、
当初考えてたアニメとは、別なものを見ていたからな。

マミ復活とか、さやかとまどかのコンビとか、
他の魔法少女と和解とか。
全部水の泡となって消えていった。
共闘とか見てるだけで胸熱だ。

……ダルの顔が浮かんできて、少し腹が立った。



188: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:56:35.12 ID:JKskC6Aqo


しかし、この新鮮な光景は続かないんだろうな……。

何故なら、
この、
世界線は変わっていない。
未来のほむらが変えたかった、過去が変わっていない。
収束からは、逃れられない。


ほむら『どうしたの?ねぇ、鹿目さん?しっかりして!』

まどか『どうして?ィッ!あああぁぁぁぁああああああっ』


ソウルジェム、いやグリーフシードが割れる。
さやかと同じ、そこからは魔女が具現化する。


――ゥボァァァァァァァァァァァッ


ほむら『何……?どうして……?なんで、こんな……?』


――彼女のソウルジェムは、
  グリーフシードに変化した後、魔女を生んで消滅したわ。


――――――カチャッ ギュゥゥゥウウウン


ほむら『伝えなきゃ……みんなキュゥべえに騙されてる!』


――だったら、やがて魔女になる君たちのことは、
  魔法少女と呼ぶべきだよね?



189: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:58:36.63 ID:JKskC6Aqo



何度も時間を跳ぶ、ほむら。
俺はこの流れを知っている。
何度やっても、変わらなかった結果を。
過程は違えども、結果は収束する。
どれだけもがいても、
もがいても、もがいてもっ、もがいてもっ!!
どれだけ過去に逃げても変わらなかった、世界の意思。


                 ――……世界が、まゆりの死を望んでる?


認められるわけがない。



さやか『あのさあ、キュウべえがそんな嘘ついて、
    一体何の得があるわけ?』

さやか『私達に妙な事吹き込んで、
    仲間割れでもさせたいの?』

さやか『まさかあんた、
    ホントはあの杏子とか言う奴とグルなんじゃないでしょうね?』

さやか『はあ、どっちにしろ私この子とチーム組むの反対だわ。
    まどかやマミさんは飛び道具だから平気だろうけど、
    いきなり目の前で爆発とか、ちょっと勘弁して欲しいんだよね。
    何度巻き込まれそうになった事か』



紅莉栖「なんだ、こいつは」



190: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 18:59:21.55 ID:JKskC6Aqo


まったくだ、これはウザい。
美樹さやかは実にバカだなッ!
紅莉栖を見習え!
こいつは一発で信じてくれたぞ?
その後、疑われたりもして、苦労したこともあるがな。

……ちょっと感情的になったかな……?
ほむらを見てると色々思い出してしまうからか、
今まで俺が観測してきた、
アニメなんだという過程を忘れてしまうな。
すまない、さやか。
お前の最後に、俺は泣いたのに。


紅莉栖「何か性格変わってない?この子」

岡部「これはもしかしたら、バタフライ効果じゃないのか?
   仲間思いの良い奴、
   って設定がほむらの告白で微量の変化を及ぼしたと。
   しかし、人の性格も変わるものなのかどうか」

紅莉栖「性格じゃないとしたら、
    映されてない所で何かあったのかも。
    それでほむらを嫌ってるからとか、
    まあ過程が映されない限り、
    解はでないんだけど……」


前回が前回だけに、あんまりこの過程は認めたくないな。



191: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:00:29.25 ID:JKskC6Aqo


忠告されたほむらは、暴力団のアジトみたいな所に潜入している。
これは便利な魔法だな。

しかも、紅莉栖も付けているあの盾?
四次元ポケットそのものじゃないか。
入れてるモノはめちゃくちゃ現実的なブツだがな。
我がラボに来たら、未来ガジェットを奢ってやろう。


                    ――……いらねー。


杏子『テメェ、一体何なんだ!?
   さやかに何しやがった!?』

まどか『さやかちゃん、やめて!
    お願い、思い出して。こんなこと、
    さやかちゃんだって嫌だったはずだよ!?』


どこかで聞いたセリフ。
踊る使い魔、ライトアップされるアイドル。
戦う相手は人魚姫の魔女。


紅莉栖「あの使い魔、仁美って子にそっくり」

岡部「あ、轢かれた」

紅莉栖「何かのメタファーかしら」

     ――まゆりおねえちゃーん!

轢かれ……。
ダメダメそれはダメ、
思い出したらダメいや俺は何も見てない知らない。


ほむら『ごめん……美樹さん……』



192: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:01:23.78 ID:JKskC6Aqo



時間停止、時間進行。
爆発するさや……いや、魔女。

世界の意思は、
さやかも悲劇に巻き込んでいるのかもな。


杏子『さやか……。チクショウッ……。こんなことって……』

まどか『ひどいよ……こんなのあんまりだよ……』




ほむらの体に縛り付く黄色い帯。


バンッ


黄色い閃光が走る。
杏子のソウルジェムが砕かれる。



193: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:02:24.56 ID:JKskC6Aqo




ほむら『……はっ!?巴さん!?』

マミ『ヒクッゥ……っ!

    ソウルジェムが魔女を産むなら……!
    みんな死ぬしかないじゃないっ!?

         あなたも!?私もっ!!』

ほむら『やめてっ――』



ビュンッ



194: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:07:10.58 ID:JKskC6Aqo



桜色の光が貫く。
マミのソウルジェムが砕かれる。
ほむらの横をそれる銃弾。


まどか『嫌だぁ…もう嫌だよぉ…ッ…ッ…こんなのぉ…
    ぁぁぁ……あああ゛あ゛あ゛あ゛ン……

ほむら『大丈夫だよ。二人で頑張ろ?
    一緒にワルプルギスの夜を倒そう?』

まどか『うん……』


くそッ!何だよこれは……。
わかってる、まどかが魔法少女である限り、
俺たちは悲惨な結果を見るしかない、なんてことはッ!

でも、こんなのって酷い。アニメ酷い。
中学生だろこいつら……?あんまりじゃないか。



195: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:08:24.96 ID:JKskC6Aqo



まどか『私たちも、もうおしまいだね』

ほむら『グリーフシードは……?』


質問には答えない。


ほむら『そう……。ねぇ……私たち、このまま二人で、
    怪物になって…こんな世界、
    何もかもメチャクチャにしちゃおっか?
    嫌なことも、悲しいことも、全部無かったことにしちゃえるぐらい、
    壊して、壊して、壊しまくってさ……。

    それはそれで、良いと思わない?』


     ――……無駄だった……なにをやっても、無駄だ……!


カツンッ


まどか『さっきのは嘘。1個だけ取っておいたんだ』


グリーフシードが、その手に握られている。
ほむらの手と交差した、右手とは別の左手で、
左手に添えられていた。



196: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:09:39.87 ID:JKskC6Aqo



ほむら『そんな……!何で私に!?』


――わかってる……わかってたんだぁ?
         ……こうなるって、予想してたんだ……!


まどか『私にはできなくて、
    ほむらちゃんにできること、お願いしたいから』


――オカリン!


まどか『ほむらちゃん、過去に戻れるんだよね?
    こんな終わり方にならないように、
    歴史を変えられるって、言ってたよね?』


――オカリン……は、途中で諦める人じゃないよ!


まどか『キュゥべえに騙される前のバカな私を、
    助けてあげてくれないかな?』


――最後の最後まで食いついたまま離れないんだよ……?



197: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:10:09.19 ID:JKskC6Aqo




ほむら『約束するわ!絶対にあなたを救ってみせる。

         何度繰り返すことになっても、

        必ずあなたを守ってみせる!!!』


――諦めちゃ、ダメだよ……!






198: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:10:52.55 ID:JKskC6Aqo

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――雲の向こうで、変わらずに輝き続けてるんだもん。

     ――というわけで!私が、オカリンの空を覆っている雨雲を、取り払ってくる♪
       ちょっとだけ、待ってて?


岡部「まゆりぃ……なんで帰ってこないんだよ。
   ……お前は、この世界線では生きているはずだろう……?」


俺のリーディングシュタイナーは反応しなかった。
あの二人は、未来を変えられなかった。

過去へ跳んでも、結果は同じ。世界の収束からは逃れられない。
だから、何も変わらない、変わらないはずなんだ。
それなのに……まゆりは、帰ってこない。
まゆりは、死んだ。


岡部「まゆりの生死は、この世界にとって重要な意味を、持たない……」


自問自答。
いや、これは紅莉栖の……。          ――まゆりが死ぬ本当の原因。

俺は二人が、タイムマシンに乗って再び過去に遡ってから、
ひたすらそのことについて考えていた。



199: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:11:21.97 ID:JKskC6Aqo


α世界線において、まゆりが悪夢の三週間を生き残ることは出来なかった。
そして、まゆりが生き残ることは、そのままそこがβ世界線だという証明にもなった、
はずだったんだ。

だがまゆりは、この世界の未来で生き残ることが確定しているのに、
再び俺の前からいなくなった。
もしかしたら帰ってくる可能性もあるかもしれない。
それでも、あれから何日過ぎても、帰ってくることはなかった。
それが意味するものは、存在的な死ではなく、社会的な死。
まゆりは、社会的に、死んだ……。
それでもリーディングシュタイナーは発動しない、まゆりがいないのにぃッ!

α世界線では、まゆりの生死が世界線変動率に影響するものではなく、
重要な過程の中で、まゆりが死ななければならないという結果が確定しているだけだった。
まゆりが死ぬ原因が、まゆりを殺していたんだ。

ここでは、どうだ?何が起こっている?

β世界線では、まゆりの生死が世界線変動率に影響するものではなく、
重要な過程の中で、紅莉栖が死ななければならないという結果が確定しているだけだった。
そう、まゆりは関係ない。

つまりこの世界では、まゆりが生きていても、死んでいても、
世界にとってそれは些細な出来事に過ぎないのかもしれない、ということだ。

世界線変動率は、人類のたかが一人が死んだからといって、
大幅に変わることはない。
そして、大幅に変わるとされた、2010年はもう過ぎ去った。
因果は、収束は、まゆりがいようがいまいが、もう揺るぎはしない。

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200: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:12:36.59 ID:JKskC6Aqo



まどか『よかった……』

まどか『もう一つ、頼んでいい…?』

まどか『私、魔女にはなりたくない……!
    嫌なことも、悲しいこともあったけど、
    守りたいものだって、たくさん、
    この世界にはあったから』


――俺が、殺してしまったんだ……!


ほむら『まどかぁ……!』

まどか『ほむらちゃん、やっと名前で呼んでくれたね。
    嬉しい……な』







ほむら『はっ……ぅ、ぬぐっ……うぅ……うう゛ううううう゛うう゛うう゛う!!』チャキッ


――ぁぁあああぁあぁあああ、ぁああぁあぁああぁぁあああぁ――!!


――――――カチャッ ギュゥゥゥウウウン



201: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:15:07.11 ID:JKskC6Aqo



紅莉栖「お、岡部?」

岡部「ハァハァハァッゴク、ハーハーハー……」

紅莉栖「ねえ?岡部、本当に大丈夫なの?」

岡部「……紅莉栖」


俺は紅莉栖に、手を伸ばしていた。


紅莉栖「え?何、ちょっ!」


指先が、その髪に触れた。
サラサラしてるな。

雨に濡れたくせに、
最初の頃と何も変わらない。

頬に触れる、何てやわらかい感触、懐かしい感触。


              ――おのれは、警察に突き出されたいのか?


紅莉栖「お、おかべ??///」

岡部「お前は、ここにいる、いるんだよな……」


              ――ありがとう。私のために、そこまで苦しんでくれて。


紅莉栖「な、何言ってんの?
    当たり前でしょ……?
    ねえ……恥ずかしいんだけど///」


              ――このHENTAI!頭おかしいんじゃないの!?
                馬鹿なの?死ぬの?


岡部「あ、……すっすまん!つい……」


なんなのよっもぅ……と、
顔を赤らめて髪を指で弄りだす紅莉栖。
フ、フハ、フハハ……初々しいじゃないか。
最初に会った頃とは大違いだな!
洋書(は手元にはないから、付けている盾?)で、
殴られるかと思ったぞ!



202: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:16:36.01 ID:JKskC6Aqo



ほむら『――誰も、未来を信じない。

    誰も、未来を受け止められない。

    だったら、私は……――』


メガネを外し、髪を解き、目に力を使うほむら。
目つきが変わり、そこからは、覚悟の違いが見えた。


まどか『ハッ……誰?』

ほむら『まどか。あなたに奇跡を約束して、
    取り入ろうとする者が現れても、
    決して言いなりになっては駄目』

まどか『え?あの……?』


まどかの前に再び舞い戻る。
その手には、悪魔を持つ。




ほむら『もう、誰にも頼らない。
    誰にわかってもらう必要もない』

ほむら『もう、まどかには戦わせない。
    全ての魔女は、私一人で片付ける。
    そして今度こそ、ワルプルギスの夜を、

         この手で!』


その姿は――



203: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:17:41.85 ID:JKskC6Aqo



―――いつか君が、瞳に灯す、愛の光が、時を越えて―――


紅莉栖「これ、冒頭の……!」


―――滅び、急ぐ。世界の夢を。確かに、ひとつ、壊すだろう―――


まどか『ひどい……!』

キュゥべえ『仕方ないよ。彼女一人では荷が重すぎた』


―――躊躇いも、飲み干して、君が望むモノは何?―――


まどか『そんな……あんまりだよ。こんなのってないよ……!』


―――こんな、欲深い憧れの、
        行方に、儚い明日はあるの?―――


キュゥべえ『諦めたらそれまでだ。でも、
     君なら運命を変えられる。避けようのない滅びも、
     嘆きも、全て君が覆せばいい。
     その為の力が、君には備わっているんだから』



204: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:19:11.74 ID:JKskC6Aqo



―――子供の頃、夢に見てた、古の魔法のように―――


ほむら『まどか、そいつの言葉に、
             耳を貸しちゃダメぇええええ!!』



スクリーンには、大きい怪物?と戦ってる少女。

     ――魔女。

それを見ている少女と小さくてファンシーな動物との会話が行われていた。

     ――インキュベーター。

戦ってる少女はその会話を見ている…のか?何か叫んでるようにも見える。

     ――届かない言葉。

で、その戦っている少女がまゆりの言っていた『ほむら』、

     ――未来から来た、タイムトラベラー。

即ち紅莉栖がコスプレしているキャラにそっくりだった。

     ――世界線の収束。

主に、一体、どこが!?とは、言わないがな!

     ――確定した、未来を変える。

紅莉栖「そうか……そういうことか……」



―――闇さえ砕く、力で、微笑む君に、会いたい!―――


まどか『本当なの?私なんかでも、
    本当に何かできるの?
    こんな結末を変えられるの?』



205: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:19:54.07 ID:JKskC6Aqo



―――怯える、この手の中には―――


ほむら『騙されないで!そいつの思う壺よ!!』


―――手折られた花の、勇気―――


インキュベーター『もちろんさ。

          だから僕と契約して、魔法少女になってよ!』


―――想いだけが、頼る全て、光を、呼び覚ます願い!―――


ほむら『ダメぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』


輝く願いの光。
悲痛な叫びは、虚空の中に消える。



206: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:21:56.54 ID:JKskC6Aqo



インキュベーター『本当にもの凄かったね、変身したまどかは。
          彼女なら、
          最強の魔法少女になるだろうと予測していたけれど……。

          まさかあのワルプルギスの夜を、一撃で倒すとはね』

ほむら『その結果どうなるかも、見越した上だったの?』

インキュベーター『遅かれ早かれ、
          結末は一緒だよ。彼女は最強の魔法少女として、
          最大の敵を倒してしまったんだ。

          もちろん後は、最悪の魔女になるしかない。

          今のまどかなら、おそらく十日かそこいらで、
          この星を壊滅させてしまうんじゃないかな?

          ま、後は君たち人類の問題だ。
          僕らのエネルギー回収ノルマは、
          おおむね達成できたしね』


最強の魔女とは、別の場所を向くほむら。


インキュベーター『あ……戦わないのかい?』

ほむら『いいえ。私の戦場はここじゃない』


――――――カチャッ ギュゥゥゥウウウン


            スカイクラッド
――その姿は、まるで孤独の観測者。




207: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:22:49.95 ID:JKskC6Aqo

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ほむら『繰り返す。私は何度でも繰り返す』


―――過去は、離れて行き。
         未来は近づくの?―――


ほむら『同じ時間を何度も巡り、
         たった一つの出口を探る』


―――観測者はいつか、矛盾に気づく!―――


ほむら『あなたを、
        絶望の運命から救い出す道を』


―――神の創り出した世界は、
              完全なるもので―――


???『何度繰り返したの?あと何度繰り返すの?』


―――絶対の均衡―――


???『貴女が歩いた昏い道に、望んだものに似た景色はあった?』

ほむら『黙りなさい……黙れッ』



208: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:24:14.07 ID:JKskC6Aqo



―――それは、折り重なる偶然。
               宇宙規模の奇跡―――


マミ『いつか私たちはその魔女になるのよ?』

??『いつかはいまじゃないよ』


―――守られてきた、ゲート―――


杏子『ったく!ガキに説教されるなんて、あたしもヤキが回ったかな。
  らしくないね』


―――規制は終わった―――


     『みんな……聞いて欲しいことがあるの』


           『キャアアァアッ』
『まどか!まどか!!』
                   『返事してよ!』
『うわああああああああああ』


     『……』


    ―――Open The Eyes―――



209: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:24:56.10 ID:JKskC6Aqo



―――0が過去で、1が未来、
            今は何処にもない―――


ほむら『まどか……たった一人の、私の友達……』


―――背く事の出来ぬ、ロジック―――


    ―――Open The Eyes―――


まどか『ほむらちゃん……?』


―――並行する、無数の線。
             選択は冒涜へ―――


ほむら『あなたの……あなたの為なら』


―――僕らの存在さえ、疑う。
      その目に映る景色は、収束をする!―――


岡部「う、ああ……あああ……」


ほむら『私は永遠の迷路に閉じ込められても、
                   ――構わない』



210: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:26:24.02 ID:JKskC6Aqo



岡部「無駄だぁぁああ!!無駄なんだよッ!?」

頭が、頭が痛い……。かゆい。
でもこの痛みは、タイムリープした時のものでもないし、
リーディングシュタイナーによるものでもない。


岡部「クソッ!クソォォォオオオ!!ちくしょぉぉぉおおおおお!!!」


俺は、我慢できずに暴れまわる。
それでも、アニメは再生され続ける。
もう、最終話まで止まらない。

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211: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:27:23.77 ID:JKskC6Aqo



―――交わした約束、忘れないよ、
               目を閉じ確かめる―――


     『絶対にあなたを!救ってみせる!』


―――押し寄せた闇、振り払って、進むよ―――


     『〝なかったこと〟にしてはいけない』



212: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:28:13.91 ID:JKskC6Aqo



―――いつになったら、無くした未来を―――


     『だって、お友達たっくさんできたもん』


―――私、ここでまた見ること、できるの?―――


     『もう、大丈夫だね。まゆしぃが、人質じゃなくても』


―――溢れ出した不安の影を―――


     『岡部っ!本当にいいのっ!?
       タイムリープしてもいいのっ!?ねえっ!?』


―――何度でも裂いて、この世界、歩んで行こう―――


     『やれ、紅莉栖!マシンを動かせっ!!』



213: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:28:56.54 ID:JKskC6Aqo



―――とめどなく、刻まれた―――


     『貴女を失えば、それを悲しむ人がいるって、
             どうしてそれに気づかないの!』


―――時は、今、始まり告げ―――


     『……成功、したのか?……』


―――変わらない、思いをのせ―――


     『いくつもの世界線を旅してきたからこそ……』


―――閉ざされた、扉開けよう!―――


     『跳べよぉおおおおおおおおおっっ!!!』



214: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:29:57.14 ID:JKskC6Aqo



―――目覚めた心は走り出した、
                未来を描くため―――


     『貴女は、鹿目まどかのままでいればいい。
                 今までどおり、これからも』


―――難しい道で、立ち止まっても、空は―――


     『私は、いつだってあんたの味方よ』



215: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:30:49.09 ID:JKskC6Aqo



―――綺麗な青さで、いつも待っててくれる―――


     『すべて、意味があったことなんだよ』


―――だから怖くない、もう何があっても―――


     『〝最初のお前〟騙せ!
               世界を騙せ!』


     ―――挫けない!―――


     『エル・プサイ・コングルゥ』



216: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:31:25.18 ID:JKskC6Aqo



「――‐‐……べ!!」

岡部「俺は、俺は……!」

「…ぉ……!」

岡部「辿りついて……全部あったことで……」

「…かべ!!」

岡部「だから、俺は覚えてるから……!」

紅莉栖「岡部ッ!!!」


ハッと振り向くと、
目に涙を溜めた紅莉栖が、
俺を呼んでいた。
あれ?俺何やって……?


紅莉栖「岡部、ねえ岡部?」



217: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:32:39.65 ID:JKskC6Aqo

岡部「な、何だ?クリスティーナよっ。
   酷い顔ではないか!」

紅莉栖「……自分の顔、鏡で見てきてから言ったら?」


え?
と思う前に気付いた。

俺、めちゃくちゃ泣いてる。
頬がビショビショになってる。
紅莉栖どころのレベルじゃない……。

ああ、感情移入しすぎたな、と冷静に後悔した。
これはアニメだ。アニメの話しだ。
あの悪夢の、
人生でもっとも長い三週間のことを、言ってるんじゃない。


紅莉栖「岡部、あんた自分でわかってる?
    岡部の顔……急に老けたように見える……」

岡部「だ、黙れクリスティーナよ!
   俺は元からこの顔だっ!」

紅莉栖「強がってるの、見え見えだぞ?」


うるさいっ!
こうでもしてないと、
お前の顔何てまともに見れるか!



218: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:33:34.85 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「岡部……」

岡部「岡部岡部と何だ、
   そんなに構ってほしいのか!
   この構ってちゃんめ!」

紅莉栖「……辛いならね、
      『無理しなくていいんだよ?』」

岡部「!?」

      ――まゆしぃは大丈夫だから。


バッおまっ、その台詞は……。

何故お前がその言葉を……。
今その言葉は反則だろ……ふざけんな。


紅莉栖「『なにがあったのかは、わからないけど……』」

岡部「あ……ぁ」

紅莉栖「岡部は、岡部のために……」

紅莉栖「泣いて、いいと思うの」

岡部「ぐ……ぅ」


こいつらは……揃って卑怯だ。



219: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:34:38.23 ID:JKskC6Aqo


そんなこと言われたら、泣くしかないじゃないか!
むしろ泣かなかったら、
空気嫁判定をくらう勢いだ。

紅莉栖は俺の頭に手を伸ばして、頭を撫でてくれた。
被るんだよ、お前らは……。


岡部「か、勘違いするなよ!
   これは汗だっ!
   目から汗が出ているだけだからなっ」

紅莉栖「ツンデレのテンプレ乙。
    慣れないことしてるんだから、素直になれば?」


お前が言うな。

紅莉栖が居てくれてよかったと思う。
紅莉栖とこのアニメを見れて良かったと思う。

もしもここに居なかったら、俺は泣くどころではなく、
何をしていたかわからない。



220: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:35:51.86 ID:JKskC6Aqo


俺には未来があるから、安心できる。
確定してない、無限の可能性が溢れている、

<シュタインズゲート>の選択なんだからな!
フゥーハハハ!!!

           ――エル・プサイ・コングルゥ。


紅莉栖「落ち着いた?」

岡部「ああ、流石は俺の、助手だな。クリスティーナ……」

紅莉栖「だから私は助手でも、
        クリスティーナでもないと言っとろーが!」


目に涙を溜めた紅莉栖は言い切った。



221: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:37:12.73 ID:JKskC6Aqo


――第十一話 最後に残った道しるべ――


インキュベーター『時間遡行者、暁美ほむら』

インキュベーター『過去の可能性を切り替えることで、
          幾多の平行世界を横断し、
          君が望む結末を求めて、
          この一ヶ月間を繰り返してきたんだね』

インキュベーター『君の存在が、
          一つの疑問に答えを出してくれた

          「何故、鹿目まどかが、魔法少女として、
          あれほど破格の素質を備えていたのか?」』
 
インキュベーター『今なら納得いく仮説が立てられる』

インキュベーター『魔法少女としての潜在力はね、
          背負い込んだ因果の量で決まってくる』

インキュベータ―『一国の女王や救世主なら兎も角、
          ごく平凡な人生だけを与えられてきたまどかに、
          どうしてあれほど膨大な、
          因果の糸が集中してしまったのか不可解だった』


インキュベーター『だが――ねえ、ほむら?』

インキュベーター『ひょっとしてまどかは、
          君が同じ時間を繰り返す毎に、
          強力な魔法少女になっていったんじゃないのかい?』

ほむら『……ッ!?』



222: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:38:21.62 ID:JKskC6Aqo

インキュベーター『やっぱりね、原因は君にあったんだ!』

インキュベーター『正しくは、
          君の魔法の副作用――と言うべきかな?』

ほむら『……どういうことよ?』

インキュベーター『君が時間を、
          巻き戻してきた理由はただ一つ。

          ――鹿目まどかの安否だ』

インキュベーター『同じ理由と目的で、
          何度も時間を遡るうちに、
          君は幾つもの並行世界を、
          螺旋状に束ねてしまったんだろう。

          ――鹿目まどかの存在を中心軸にしてね』

インキュベーター『その結果、決して絡まるはずのなかった、
          平行世界の因果線が、
          全て今の時間軸のまどかに連結されてしまったとしたら?
          彼女の、あの途方もない魔力係数にも納得がいく』

インキュベーター『君が繰り返してきた時間。

          ――その中で循環した因果の全てが、
          巡り巡って、
          鹿目まどかに繋がってしまったんだ。
          あらゆる出来事の元凶としてね』



223: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:39:14.52 ID:JKskC6Aqo



紅莉栖「……因果律の収束だとでも言うの?」

岡部「因果の輪から外れたことで、
   その代償に因果の輪に絡まったのが、
   ……鹿目まどか……?」


いつか言っていた言葉を思い出す。


――時間の輪、つまり因果律から外れるかもしれない。

――SF小説によくあるでしょ?
         閉じた時間の輪の中で、永遠にさまよい続ける。


それが、暁美ほむら。
そして、その希望の代償になったのが、

鹿目まどか。

ほむらが、絶望する理由。
希望と絶望は差し引きゼロで、
世界はそういう風に出来ている。



……こんな話しがあるかよ……!



224: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:40:48.85 ID:JKskC6Aqo


結果的にほむらは、
自分で自分の首を、
延々と絞め続けていたということだ。


  ――時間を跳び越えることは、それだけ危険なのよ。


インキュベーター『お手柄だよ、ほむら。
          君がまどかを最強の魔女に育ててくれたんだ』


  ―――あんたは、それでももがくの……?



225: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:51:48.72 ID:JKskC6Aqo


誰かの葬式会場。
それはまどかの友達で、親友で、かけがえのない仲間。

まどかの顔には生気がない、まるで魔法少女のようだ。
本当は何も知らないはずなのに、
全てを知ってしまった存在。


まどか『さやかちゃんも、杏子ちゃんも死んじゃった』

インキュベーター『意外な展開ではないよ?
          予兆は随分前からあった』

まどか『どうでもいいって言うの?
    みんなあなたのせいで死んだようなものなのに!』

インキュベーター『例えば君は、
          家畜に対して引け目を感じたりするかい?』

インキュベーター『彼らがどういうプロセスで、
          君たちの食卓に並ぶのか』


意識が幻界へ。



226: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:52:48.37 ID:JKskC6Aqo


まどか『あっ……やめてよ!』

インキュベーター『その反応は理不尽だ』

インキュベーター『この光景を残酷と思うなら、
          君には本質が全く見えていない』

インキュベーター『彼らは人間の糧になることを前提に、
          生存競争から保護され、
          淘汰されることなく繁殖している』

インキュベーター『牛も豚も鶏も、
          他の野生動物に比べれば、
          種としての繁殖ぶりは圧倒的だ』

インキュベーター『君たちは皆、
          理想的な共栄関係にあるじゃないか?』

まどか『同じだって言いたいの?』

インキュベーター『寧ろ僕らは、
          人類が家畜を扱うよりも、
          ずっと君たちに対して譲歩しているよ?』

インキュベーター『曲がりなりにも、
          知的生命体と認めた上で、
          交渉しているんだしね。
          信じられないのかい?』

インキュベーター『それなら、見せてあげようか。

          ――インキュベーターと人類が、
          共に歩んできた歴史を』


フラッシュバックする記憶と意識の世界。
まどかの脳裏に様々な世界線の記憶が映る。



227: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:55:24.38 ID:JKskC6Aqo


インキュベーター『僕たちはね、
          有史以前から君たちの文明に干渉してきた』

インキュベーター『数え切れないほど大勢の少女が、
          インキュベーターと契約し、
          希望を叶え、
          そして絶望に身を委ねていった。
          祈りから始まり、呪いで終わる。

          ――これまで、数多の魔法少女たちが、
          繰り返してきたサイクルだ。
          中には、歴史に転機をもたらし、
          社会を新しいステージへと導いた娘もいた。


まどか『もうやめて…!
    みんな、みんな信じてたの。信じてたのに裏切られたの』


インキュベーター『彼女たちを裏切ったのは僕たちではなく、
          寧ろ自分自身の祈りだよ?

          どんな希望も、
          それが条理にそぐわないものである限り、
          必ず何らかの歪みを生み出すことになる』

インキュベーター『やがてそこから、
          災厄が生じるのは当然の節理だ。
          そんな当たり前の結末を裏切りだと言うなら、

          そもそも、願い事なんてすること自体が間違いなのさ。
          でも、愚かとは言わないよ?
          彼女たちの犠牲によって、
          人の歴史が紡がれてきたことも、また事実だし』


紅莉栖「解説乙。死ね、氏ねじゃなくて死ね!」


@ちゃんねらークリスティーナの反撃。


インキュベーター『そうやって過去に流された、
          全ての涙を礎にして、
          今の君たちの暮らしは成り立っているんだよ?

          それを正しく認識するなら、
          どうして今更、
          たかだか数人の運命だけを、
          特別視できるんだい?』



228: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:57:08.72 ID:JKskC6Aqo


まどか『ずっとあの子たちを見守りながら、
    あなたは何も感じなかったの?
    みんながどんなに辛かったか、
    わかってあげようとしなかったの?』

インキュベーター『それが僕たちに理解できたなら、
          わざわざこんな惑星まで、
          来なくても済んだんだけどね。

          僕たちの文明では、
          感情という現象は、
          極めて稀な精神疾患でしかなかった』

インキュベーター『だから、
          君たち人類を発見した時は驚いたよ!
          全ての個体が、
          別個に感情を持ちながら、
          共存している世界なんて、
          想像だにしなかったからね!』
 
まどか『もしも……、
    あなたたちがこの星に来てなかったら……?』

インキュベーター『君たちは今でも、
          裸で洞穴に住んでたんじゃないかな?』


紅莉栖「あああっ!!何なのよこいつ!?
    まるで自分が、
    私たち人類にとっての神みたいな視点で語って!
    バカなの?死ぬの!?
    今すぐこいつを論破してやりたい!

    ……でもこいつの言ってることは間違ってない。
    ……ああああもうっ!
    まともな反論出来ない自分に腹が立つ!」

岡部「お、おちけつクリスティーナよ。
   ……相手はアニメのキャラだぞ?」



229: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:58:22.19 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「これが落ち着いていられるかっ!
    私はすぐにでも研究室に戻って、
    こいつを論破する論文を作らせてもらうっ!」


だからそれは死亡フラグだって。
どうにか助手をなだめながら、
俺たちはさらに鑑賞していく。

ハァ……もう今何時だ?
時間と空間の概念がここにはないかのような、
そんな感覚。

いや、違うな。
そう、ここは小さなブラックホールだ。
      イベントホライゾン
これは、事象の地平線の向こう側。
時間と空間の役割が入れ替わる場所。
永遠に引き延ばされた時間。


     ――振り返ってはいけない。


なんてな。そんな大層なものではないか。


     ――永遠は無限ではない。


お先真っ暗、って点ではあってるけど。



230: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 19:59:53.48 ID:JKskC6Aqo


あ、そういえばミクちゃんクロちゃんの、
魔法少女擬人化もそんな話ししてて生まれたんだっけ?
やっぱ紅莉栖は魔法少女アニメにはまるような乙女(笑)、
なんじゃないか?

ダル、ミクちゃんクロちゃんではないが、
お前の魔法少女云々もあながち間違いじゃなかったぞ。


    ――そして裸の特異点の存在は、
       一般相対性理論と因果律を破綻させるわ。

    ――宇宙の 法則が 乱れるのよ。


頭に過る言葉。
紅莉栖はある意味で実証しているんだよな……。
こいつの天才っぷりは、因果律もなんのそのだ。
……マジでインキュベーターを論破することも、
紅莉栖には可能なんじゃないか?
こいつの探究心は半端ない。
甘く見てると、人格を崩壊させられるほど論破されるしね!
紅莉栖、恐ろしい子!


      ――前を向いて、たどり着いて。



231: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:00:45.93 ID:JKskC6Aqo



まどか『入っていいかな?』

まどか『これが……「ワルプルギスの夜」?
    杏子ちゃんが言ってた……』


まどか『一人で倒せないほど、
    強い魔女をやっつけるために、
    ほむらちゃんと二人で戦うんだって。
    ずっとここで準備してたのね?
    街中が危ないの?』

ほむら『今までの魔女と違って、
    コイツは結界に隠れて身を守る必要なんてない。
    ただ一度具現しただけでも、
    何千人という人が犠牲になるわ』


まどか『なら、絶対にやっつけなきゃ、ダメだよね?』

まどか『杏子ちゃんも、死んじゃって……、
    戦える魔法少女は、
    もうほむらちゃんだけしか残ってない。
    だったら……!』

ほむら『一人で十分よ!』



232: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:02:30.58 ID:JKskC6Aqo


ほむら『佐倉杏子には無理でも、
    私なら一人でワルプルギスの夜を撃退できる。
    杏子の援護も、本当は必要なかったの。
    ただ彼女の顔を立ててあげただけ』

まどか『ホントに?』


涙に濡れた頬。


まどか『何でだろ、私、ほむらちゃんのこと信じたいのに、
    嘘つきだなんて思いたくないのに。
    ……全然大丈夫だって気持ちになれない。

    ほむらちゃんの言ってることが本当だって思えない』









ほむら『本当の気持ちなんて、伝えられるわけないのよ』

まどか『ほむらちゃん……?』



233: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:04:31.84 ID:JKskC6Aqo




ほむら『だって、私は……私はまどかとは、

         ――違う時間を生きてるんだもの!!』



紅莉栖「ビクッ」


横にいる紅莉栖が反応した、気がした。
俺はスクリーン画面を見ていて、よくわからない。


ほむら『……私ね、未来から来たんだよ?

    何度も何度もまどかと出会って、
    それと同じ回数だけ、
    あなたが死ぬところを見てきたの』


いくつもの世界線の収束を観測した、
過去のほむらの映像が漂う。


ほむら『どうすればあなたが助かるのか、
    どうすれば運命を変えられるのか、
    その答えだけを探して、
    何度も始めからやり直して……!』

まどか『ほむら……ちゃん……?』



234: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:06:15.15 ID:JKskC6Aqo


ほむら『ごめんね。
    わけわかんないよね……気持ち悪いよね?』


    ――さっき、……何を言おうとしたんですか?


ほむら『まどかにとっての私は、
    出会ってからまだ1ヶ月も経ってない、
    転校生でしかないものね』


    ――……前にあなたと会ったことありますか?


ほむら『だけど私は……私にとってのあなたは……』


    ――……俺は、お前を助ける。


ほむら『繰り返せば繰り返すほど、
    あなたと私が過ごした時間はずれていく。

    気持ちもずれて、言葉も通じなくなっていく。

    たぶん私は、
    もうとっくに迷子になっちゃってたんだと思う』



235: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:08:43.65 ID:JKskC6Aqo



ほむら『あなたを救う。
    それが私の最初の気持ち。

    今となっては、

    ……たった一つだけ、

    最後に残った道しるべ』


――痛かったか……?
  すまなかった……。
  だが、お前を……救うためだったんだ……!


ほむら『わからなくてもいい。
    何も伝わらなくてもいい。
    それでもどうか、お願いだから、
    あなたを私に守らせて……ッ!』


――……お前に、生きていてほしかったから。




……ヤバい、泣きそう。
今泣いたら絶対ダメだ。
俺はきっと、我慢できなくなるだろう。
俺は横目で紅莉栖を見――


     紅莉栖「<◎> <◎>」



236: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:09:50.77 ID:JKskC6Aqo


見てる。俺を見てる。
顔をこっちに向けて、ガン見している。
一瞬目があった……ヤバい。


紅莉栖「岡部」


いかんッ!
緊急シークエンスCSG発令確認!
鳳凰院凶真、出動を許可する!!


岡部「な、何かね?クリスッティーナ」


ヤバい……声が上ずった。


紅莉栖「こっち向いて」

岡部「だが断る!」

紅莉栖「私を見て。目を逸らさないで」


          ――目を閉じろっ!


何だよこいつ、
目を閉じろとか見ろとかどっちだよ。

俺の記憶が混乱する。



237: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:10:44.87 ID:JKskC6Aqo

岡部「……何故だ?」

紅莉栖「教えて、ほしいことがある」


シュタインズゲェェェェエェェエエット!!


紅莉栖「こっちを向けっ!」


うわっ!
俺の胸ぐらをつかみあげ、ぐいっと引き寄せた。


          ――いいから、閉じなさいよ!!


岡部「な、何をする!?
   ついに、反逆のクリィースティーナか!?」

紅莉栖「私の質問に、答えて」


真剣な眼差しで、俺を、瞳に映してる。


紅莉栖「なんだかね、思い出したの……あの時を」



238: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:12:20.37 ID:JKskC6Aqo

岡部「あ、あの時?」

紅莉栖「私と、初めて会った……十五分前のあなたと、
                    十五分後のあなた」

岡部「!!」

紅莉栖「何が、違うの……?
        教えてよ……わからないの」


フゥーハハハ!
天才の癖にそんなことを聞いてくるとはな!
大違いだよバカ野郎。

でもそんなの、言えるわけ、ないだろ。

俺はこの選択を選んだんだ。
もう二度と間違ったことをしてはいけないんだ。
だから、お前にそれを喋るわけには、
いかないんだよ……。


紅莉栖「答えて、くれないの?」

岡部「……」



239: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:13:40.88 ID:JKskC6Aqo


わからないの?
じゃなく、俺がすでに悟っていることを前提に、
喋りかける。

ひどい。紅莉栖ひどい。
いきなり追い詰めてくるとは、
やはり天才の名は伊達じゃない。


紅莉栖「答えてよ……答えなさいよ……」


    ――あなたを、ずっと捜していました。

    ――どうしても、あなたに会いたくて。

    ――あなたが、無事でよかった。


もう全部喋ってしまおうか?
何もかも喋って、
ネタバレして、
スッキリしてもいいんだろうか。

……もう、ゴールしてもいいよね?


岡部「く、紅莉栖?」



240: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:14:36.45 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「グスッ……うん」

岡部「答えてやる」

紅莉栖「ぅん……えっ!?」


紅莉栖が驚いた顔をしている。










……よし、今だ!!

岡部「答える、答えるがっ!今回、
   まだ、その時と場所の指定まではしていない!
   つまり、俺がその気になれば、
   答えるのは10年後、
   20年後ということも可能だろう……!
   ということだッフゥーハハハ!!」


決まったー!ゴォォォオォォオオルッ!!
フフフ、フゥーハハハ!
紅莉栖は肩を振るわせてブルブルしているっ!
俺の、勝ちだ!



241: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:16:25.82 ID:JKskC6Aqo

紅莉栖「おのれと……おのれという奴は」


所詮、助手は助手!
この灰色の脳細胞を持つ狂気のマッドサイエンティスト!
フェニックスの鳳凰に、院、凶悪なる真実と書いて、
鳳凰院凶真の!足元にも及ばないということをっ!!


紅莉栖「……目を閉じろ」

岡部「え?なぜ、目を……?」

紅莉栖「いいから、閉じなさいよ!!」


あれ?俺いつの間にかフラグ立ってたのか?
俺はおとなしく目を閉じる。






wktkと、考えた次の瞬間!鳳凰院凶真の頭に衝撃走る!


「おのれの頭を開頭して、海馬に電極ぶっ刺してやるッ!!」


ついに盾?で殴られた。
驚異の魔法テクノロジーが鈍器とは、
流石、紅莉……栖。
目の付け所が違う。

見事……だ。



242: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:17:20.26 ID:JKskC6Aqo


タツヤ『今日はお泊り~?キャンプなの~?』

まどか父『ああ、そうだよ。
     今日はみんなで一緒にキャンプだぁ~』

まどか『ほむらちゃん……』


激痛のする頭で、何とか理解しようとする。
とりあえず、紅莉栖は落ち着いた。
まだぷりぷりしてるけど。
まどか家族、町の住民は避難所にいる、のか?
ものすごい空気だ。




ほむらが立ちつくしている。
何かゲームのラスボス戦みたいだ。
仲間の居ない、ソロプレイだけど。


     ほむら『来る!!』



243: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:19:34.21 ID:JKskC6Aqo




――進む、ほむら――――――

――移り変わる異様な景色――

――使い魔の行進、パレード―

――さあ、ショータイムだ――!



   ⑤

     ④

       ③

         ②

           ①



ほむら『今度こそ……決着をつけてやる!!』



244: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:20:30.22 ID:JKskC6Aqo



紅莉栖「( д)゜゜」

岡部「RPG!!!」


時間干渉能力をフルに使った攻撃!
奇跡のカーニバルの開幕だッ!
紅莉栖も俺も、
先ほどのことも忘れてスタンディングオベーション。
意味はまったく違うが、そんなの関係ねぇ。
響きが大事なんだ、響きが。


紅莉栖「いけぇぇぇぇえええ!!!」

岡部「ヒョォォォー!!」


撃つ、放つ、撃つ!
怒涛の攻撃の嵐!


ワルプルギスの夜『アハハハハハハハハハ!』



245: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:21:15.78 ID:JKskC6Aqo



しかし、無傷の魔女、ワルプルギスの夜。


紅莉栖「汚物は消毒だァーッ!」

岡部「ヒャッハー!」


外が大雨で良かった。
これじゃ俺らはただの基地外だ。


紅莉栖「タンクローリーだッ!!」

岡部「WRYYYYYYYYYY!!!!!」


どんどん魔女を追い込むほむら。
しかし、無傷。


岡部「ワルプルギスの夜メェ!」

紅莉栖「シネェ!」


クレイモアのバーゲンセールだぜ!
爆発する地形。





紅莉栖「やったか!?」


おま、それフラグ……。



246: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:23:31.16 ID:JKskC6Aqo



ワルプルギスの夜『アハハハハハハハハハハハ!!』


追い詰められたのは、ほむらだった。






まどか『ほむらちゃんが、
    一人でも勝てるっていうのは、ホント?』

インキュベーター『それを否定したとして、
          君は僕の言葉を信じるかい?
          今更言葉にして説くまでもない。
          その目で見届けてあげるといい。

          ――「ワルプルギス」を前にして、
          暁美ほむらがどこまでやれるか』

まどか『どうしてそうまでして戦うの?』

インキュベーター『彼女がまだ、
          希望を求めているからさ。
          いざとなれば、
          この時間軸もまた無為にして、
          ほむらは戦い続けるだろう。
 
          何度でも性懲りもなく、
          この無意味な連鎖を、
          繰り返すんだろうね?

          最早今の彼女にとって、
          立ち止まることと、
          諦めることは同義だ。

          ――何もかもが無駄だったと、
          決してまどかの運命を変えられない、
          と確信したその瞬間に、
          暁美ほむらは絶望に負けて、
          グリーフシードへと変わるだろう』



247: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:24:07.94 ID:JKskC6Aqo


まどか『希望を持つ限り、救われないって言うの?』

インキュベーター『そうさ、
         過去の全ての魔法少女たちと同じだよ。
         まどか、君だって一緒に視ただろう?』

まどか『うぅ……でも、でも。でも!』


覚悟を決める、まどか。






まどか母『どこ行こうってんだ?オイ』ガシッ

まどか『ママ……私、友達を助けに行かないと、
    私でなきゃダメなの!!』

まどか母『テメェ一人のための命じゃねぇんだ!
     あのなぁ、そういう勝手やらかして、
     周りがどれだけ…ッ』



248: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:25:06.68 ID:JKskC6Aqo


まどか『わかってる。私にもよくわかる。
    私だってママのことパパのこと、大好きだから。
    どんなに大切にしてもらってるか知ってるから。
    自分を粗末にしちゃいけないの、わかる』

まどか『だから違うの。みんな大事で、
    絶対に守らなきゃいけないから。
    そのためにも……!

    私、今すぐ行かなきゃいけないところがあるの!』

まどか母『なら、アタシも連れていけ』

まどか『ダメ。
    ママはパパやタツヤの傍にいて、
    二人を安心させてあげて?』

まどか『ママはさ、私がいい子に育ったって、
    言ってくれたよね。嘘もつかない、
    悪いこともしないって。
    今でもそう信じてくれる?
    私を正しいと思ってくれる?』

まどか母『絶対に下手打ったりしないな?
     誰かの嘘に踊らされてねぇな?』

まどか『うん、ありがとう!ママ!』


一方ほむらは?――



249: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:25:37.96 ID:JKskC6Aqo



ほむら『これ以上先に進まれたら……ッ!
   どうにかして……ここで食い止めないと……』


時間干渉を行おうとするほむら。
しかし、彼女の時間は、砂時計の砂の如く、
使い切っていた。

      ――そう、塵一つ、誤算も許さぬ必然。


ほむら『そんな……ハッ』


攻撃を避けられない。


ほむら『どうして?……どうしてなの?
    何度やっても、アイツに勝てないッ』


――世界の結果は、
     ある一定範囲に収束する。



250: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:27:00.26 ID:JKskC6Aqo



ほむら『繰り返せば…ッ、
    それだけまどかの因果が増える。
    私のやってきたこと、結局……』


――まどかは、
   どの時間でも魔法少女になる。

   絶望の時、彼女のソウルジェムは――


紅莉栖「ぁ……ダメ……」


    ――零れ落ちる、涙――




パシッ

         手を掴む音。


   『もういい。もういいんだよ、ほむらちゃん』



251: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:31:10.20 ID:JKskC6Aqo

―――――――――――――――――

ダル「あ、もしもしまゆ氏?やっと繋がったお。
   ……え?何?寝てた!?
   ちょwww寝オチwwwとかwwwwバロスwwwww」

ダル「え?うるさい?これはすまんこ。
   ……それでさ、実はね――」



まゆり「もしもーし、るかくん?
    トゥットゥルー♪まゆしぃです☆
    ……ん?こんな時間にどうしたの?
    あのねぇ、実はですね~――」



萌郁「椎名さんから……メール……」

萌郁「え……今からみんなで……ラボに……?」

綯「Zzz......」

天王寺「Zzz......」



フェイリス「ダルニャンダルニャン、話しは聞いたのニャ。
      それはいい考えニャ!凶真とクーニャン、
      希望と絶望の相転移を教えてあげるのニャーン……。

      移動手段はフェイリスに任せるニャ!」



252: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:32:55.18 ID:JKskC6Aqo

ダル「流石フェイリスたん!そこに痺れる憧れるぅ!!
   雨も弱くなってきたし、逝くならいましかないお!」

るか「い、いいんでじょうか……?
   突然そんなことして、
   岡部……凶真さんが怒らないでしょうか?」

ダル「いいんだお。
   つーか、オカリンのくせに美人な助手と一晩二人きりとか、
   うらや……いや、けしからんでしょ。

   そんなリア充共をラボに置いておくのは、
   僕が絶対に許さない、絶対にだ!」

フェイリス「何と言う妬みだニャ……。
      ダルニャンもついに覚醒の時が、
      近づいてきたのかニャン?」

ダル「リア充には爆発してもらう。
   こっそり入って、一部始終をたっぷりと拝んでから、
   いい所で凸するお。

   大体るか氏だってさ、
   オカリンが牧瀬氏とくっついちゃったら嫌なんじゃないの?」

るか「え!?な、なんで……ボクは……あの……」

萌郁「私も、
   [二人がいちゃいちゃしてるシーン撮りたい!><]」ピロンッ

まゆり「えっへへ~……今ね、
    クリスちゃんは『ほむらちゃん』の格好してるんだって♪
    ……それで、オカリンと二人で……、
    トゥットゥルー……トゥットゥルー」



253: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 20:34:43.87 ID:JKskC6Aqo

ダル「牧瀬氏の暁美ほむら……ブヒ、ブヒィィィィイイ!!!

   後たぶん、まゆ氏の目が笑ってない件について。
   マジでオカリンは爆発しろ」

フェイリス「準備が出来たニャ!
      ニャフフ、ルシフェルの宴を始めるのニャア!」


ダル「待ってろよオカリン。
   二人きりで良い思いができると思ったら大間違いだ。

   お前がそんな卑怯な行動に出るなら、
   まずは、僕がその幻想をぶち殺す!

   僕と一緒に、魔法使いになってよ!」

フェイリス「すごいニャ……!
      ダルニャンの戦闘力が五万、七万、八万!
      まだ上がるのニャ!?」


るか(ボク……ボク……ごめんなさい凶真さん……!)

まゆり「即興でドッキリ板を作ったよ☆
               リア充は爆発しろー♪」

ダル「今日のまゆ氏は本気と書いてマジ。
               これは歴史に残る」キリッ


フェイリス「いざ、出発ニャー!――」

―――――――――――――――――



254: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 22:35:06.61 ID:JKskC6Aqo



ほむら『まどか……?』

まどか『ほむらちゃん、ごめんね』

ほむら『まどか……まさか……!?』


いよいよ、最後の時間が迫る。


まどか『ほむらちゃん、ごめんね。
    私、魔法少女になる』

ほむら『まどか……そんな……』


     ――これは、世界線の!?


まどか『私、やっとわかったの。
    叶えたい願いごと見つけたの。
    だからそのために、この命を使うね』


     ――抗えない、結末、収束。



255: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 22:38:48.57 ID:JKskC6Aqo



ほむら『やめて!
    それじゃ…それじゃ私は、
    何のために……!』


               アトラクタフィールド
――世界は、世界線と世界線収束範囲で、
              できてるっていう解釈だよ。


まどか『ごめん。ほんとにごめん。
    これまでずっと、ずっとずっと、
    ほむらちゃんに守られて、望まれてきたから、
    今の私があるんだと思う。
                ほんとにごめん』


――だから……確実に、……!


まどか『そんな私が、やっと見つけ出した答えなの。

               信じて。

    絶対に、今日までのほむらちゃんを無駄にしたりしないから』

ほむら『まどか……』


――でもそれは、お前を犠牲に……。



256: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 22:40:10.94 ID:JKskC6Aqo


インキュベーター『数多の世界の運命を束ね、
          因果の特異点となった君なら、
          どんな途方もない望みだろうと、
          叶えられるだろう』

まどか『本当だね?』

インキュベーター『さあ、鹿目まどか?

          ――その魂を代価にして、君は何を願う?』



まどか『私……。


               はぁ…ふぅ…』




紅莉栖「……ムムッ」

岡部「……ゴクッ」



257: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 22:41:18.53 ID:JKskC6Aqo




まどか『全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい。


    全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、


                 この手で!』




インキュベーター『――!?その祈りは、
          そんな祈りが叶うとすれば、
          それは時間干渉なんてレベルじゃない!
          因果律そのものに対する反逆だ!


          ハッ――君は、本当に神になるつもりかい?』

まどか『神様でも何でもいい。
    今日まで魔女と戦ってきたみんなを、
    希望を信じた魔法少女を、
    私は泣かせたくない。

    最後まで笑顔でいてほしい』


まどか『それを邪魔するルールなんて、壊してみせる、
    変えてみせる』


まどか『これが私の祈り、私の願い!!』


     まどか『さあ!叶えてよ、インキュベーター!!』



258: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 22:43:46.88 ID:JKskC6Aqo

/////////////////////////////////////////////////////

今ではない、何処か別の世界。


マミ『鹿目さん。
  それがどんなに恐ろしい願いかわかっているの?』

まどか『……たぶん』

マミ『未来と過去と、全ての時間で、
  あなたは永遠に戦い続けることになるのよ。
  そうなればきっと、あなたはあなたという個体を保てなくなる。
  死ぬなんて生易しいものじゃない。
  未来永劫に終わりなく、
  魔女を滅ぼす概念として、この宇宙に固定されてしまうわ』


まどか『いいんです。そのつもりです』

まどか『希望を抱くのが間違いだなんて言われたら、
    私、そんなのは違うって、何度でもそう言い返せます。
    きっといつまでも言い張れます』


杏子『いいんじゃねぇの?やれるもんならやってみなよ!
   戦う理由、見つけたんだろ?
   逃げないって自分で決めたんだろ?
   なら仕方ないじゃんw。
   後はもう、とことん突っ走るしかねぇんだからさ!』

まどか『うん。ありがとう杏子ちゃん』


マミ『じゃあ、預かっていた物を返さないとね!はいコレ』


手渡される、いつか描いたノート。


マミ『あなたは希望を叶えるんじゃない。
  あなた自身が希望になるのよ。私達、全ての希望に――』

/////////////////////////////////////////////////////



259: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 22:45:11.67 ID:JKskC6Aqo



自分を、犠牲にして。
いつか描いた、魔法少女になる。
まどかは矢を放つ。
数多の世界線に降り注ぐ、希望の矢を。
過去も、未来も、全ての〝確定した結果〟に干渉する。
魔法少女の運命を、魔女の存在を、絶望の行方を。

       世界を変えるために。


まどか『あなた達の祈りを、絶望で終わらせたりしない』

まどか『あなた達は、誰も呪わない、祟らない。
    因果はすべて、私が受け止める。
    だからお願い、最後まで、自分を信じて』


跳んで行く、願いと、祈りと、希望を乗せて。


ほむら『何が……起きてるの……?』

インキュベーター『全宇宙、全ての時間軸、
          全ての並行世界のグリーフシードが、
          彼女に浄化されているんだ……』


―――アハハハハハハッハアッハッハハハハハ―――


まどか『もういいの、もう、いいんだよ?』

まどか『もう誰も恨まなくていいの。
    誰も、呪わなくていいんだよ。

    そんな姿になる前に、
    あなたは、私が受け止めてあげるから!』



全てを包みこむ光。



260: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 22:47:40.42 ID:JKskC6Aqo



そして、裸の特異点の存在は、一般相対性理論と因果律を破綻させる。

宇宙の、法則が、乱れる。


ほむら『ここは……?』

インキュベーター『まどかがもたらした新しい法則に基づいて、
          宇宙が再編されているんだよ。

          ――そうか、君もまた、
          時間を越える魔法の使い手だったね?
          じゃあ一緒に見届けようか?

          ――鹿目まどかという、存在の結末を。

          あれが、彼女の祈りがもたらしたソウルジェムだ』


ほむら『そんな……ッ』

インキュベーター『その壮大過ぎる祈りを叶えた対価に、
          まどかが背負うことになる呪いの量が分かるかい?

          一つの宇宙を作り出すに等しい希望が遂げられた』




『それは即ち、

  一つの宇宙を終わらせるほどの絶望をもたらすことを意味する、

                                  当然だよね?』



261: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 22:48:12.66 ID:JKskC6Aqo



惑星を飲み込み、宇宙を包み込む絶望。
究極のエネルギー体、救済の魔女。


―――ウフフ、アハハハハ、ハハハハハハ―――


ほむら『ぁぁ……ゥゥッ!!』








まどか『ううん。大丈夫』


岡部「!?」

紅莉栖「!?」



262: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 22:49:08.65 ID:JKskC6Aqo





まどか『私の願いは、全ての魔女を消し去ること!』

まどか『本当にそれが叶ったんだとしたら、

    私だって、もう絶望する必要なんて、ない!!』




全てを、〝なかったこと〟にする、究極の選択。
自分を犠牲にして、犠牲になって。
世界と他者を繋ぎ、希望を救う、愛の光が絶望を貫く!

そして――



263: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 22:50:04.00 ID:JKskC6Aqo

#################################
#################################
#################################

何もかも、無駄になる。
よくわかってるじゃないか。
凄いな、このアニメは。
まるで、この世界の未来を見てきたような――


岡部「鹿目まどかの、選択……」


思い出す、思い出される。
もう思い出したくもないのに……あの時の気持ちが……。
全てを、〝なかったこと〟にする、究極の選択。
自分を犠牲にして、犠牲になって。

犠牲になった先に、何があるんだ?

俺は、
犠牲にした先には、
歪んだ世界の絶望が待っていた。

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#################################



264: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 22:52:04.33 ID:JKskC6Aqo


インキュベーター『まどか、これで君の人生は、
          始まりも、終わりもなくなった。

          この世界に生きた証も、その記憶も、
          もう何処にも残されていない。
          君という存在は、一つ上の領域にシフトして、
          ただの概念に成り果ててしまった。

          もう誰も君を認識できないし、君もまた、
          誰にも干渉できない。

          君はこの宇宙の一員では、なくなった』


漂う無数の鹿目まどか。
それぞれが世界に溶け込み、やがてひとつに収束する。





ほむら『何よ……それ……!』

ほむら『これがまどかの望んだ結末だって言うの!?
    こんな終わり方で、まどかは報われるの!?
    冗談じゃないわ!!』

ほむら『これじゃ、死ぬよりも……、
    もっとひどい……ひどい……ッ』





まどか『ううん。違うよ?ほむらちゃん』

ほむら『ッ!!』



265: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 22:53:55.69 ID:JKskC6Aqo


まどか『今の私にはね、過去と未来の全てが見えるの』

まどか『かつてあった宇宙も、
    いつかあり得るかもしれない宇宙も、みんな。
    だからね、全部わかったよ?

    いくつもの時間で、ほむらちゃんが、
    私のためにがんばってくれたこと、
    何もかも。何度も泣いて、
    傷だらけになりながら、それでも私のために』


まどか『ずっと気づけなくてごめん……ごめんね?』

ほむら『ゥゥゥ……ウウウウウウッヴゥゥヴゥヴヴヴッ』



まどか『今の私になったから、
    本当のあなたを知ることができた。
    私には、こんなにも大切な友達がいてくれたんだって。

                   ――だから嬉しいよ』


まどか『ほむらちゃん、ありがとう。あなたは――



266: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 22:54:40.24 ID:JKskC6Aqo




――最終話 わたしの、最高の友達――






267: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 22:56:47.25 ID:JKskC6Aqo

                     ――だったんだね』


ほむら『だからって、あなたはこのまま、帰る場所もなくなって、
    大好きな人たちとも離れ離れになって、
    こんな場所に、独りぼっちで永遠に取り残されるって言うの?』


まどか『独りじゃないよ?みんな、みんないつまでも私と一緒だよ。
    これからの私はね、いつでもどこにでもいるの。
    だから見えなくても聞こえなくても、

    私はほむらちゃんの傍にいるよ?』

ほむら『まどかは…それでもいいの?
    私はあなたを忘れちゃうのに?
    まどかのこと、

    もう二度と感じ取ることさえできなくなっちゃうのに!?』



268: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 22:58:19.32 ID:JKskC6Aqo



まどk...『ううん。諦めるのはまだ早いよ。
    ほむらちゃんはこんな場所まで付いて来てくれたんだもん!
    だから、元の世界に戻っても、もしかしたら私のこと、
    忘れずにいてくれるかも。

    大丈夫、きっと大丈夫。信じようよ!』

ほむら『まどか……』



まd......『だって魔法少女はさ、夢と希望を叶えるんだから。
    きっとほんの少しなら、
    本当の奇跡があるかもしれない。

    そうでしょ?』

ほむら『まどか……行かないで……ッ!』



ま.........『ごめんね。私、みんなを迎えに行かないと』


ほむら『……ッ!!』



m............『いつかまた――』



269: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 22:59:02.77 ID:JKskC6Aqo

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#################################
#################################

     『――もう一度ほむらちゃんとも会えるから。
     それまでは、ほんのちょっとだけお別れだね』


ほむら『まどかぁぁぁぁぁぁああああッ!!』



光と影が揺れる。
ほむらの意識が遠く引き延ばされる。
そして、

     ――世界は、再構成される!――


岡部「まゆり……紅莉栖……」


俺は、全てを失った。
もはや、この世界にはなんの価値もない。

それを再認識させられて、俺は――



270: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 22:59:49.91 ID:JKskC6Aqo



ほむら『……!?』

マミ『逝ってしまったわ……円環の理に導かれて』

杏子『バカ野郎……惚れた男のためだからって、
   自分が消えちまってどうするんだよ……』

マミ『希望を求めた因果が、この世に呪いをもたらす前に、
   私達はああやって、消え去るしかないのよ』



ほむら『まどか……』

マミ『暁美さん……?まどかって……』

杏子『誰だよ?』



まるで、世界線を越えた時のようだな。
暁美ほむらは、俺と同じだ……。

そうやって、
大切な人がいなくなった世界で、
生きて行かなければならない。



271: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:00:50.38 ID:JKskC6Aqo

/////////////////////////////////////////////////////

まどか『さやかちゃんが祈ったことも、
    そのために頑張ってきたことも、
    とっても大切で、絶対、無意味じゃなかったと思うの』

さやか『そうだよ。私はただ、
    もう一度、アイツの演奏が聴きたかっただけなんだ。
    あのヴァイオリンを、もっともっと大勢の人に聴いてほしかった。
    それを思い出せただけで、十分だよ。
    もう何の後悔もない』

/////////////////////////////////////////////////////


残された人の悲しみはどうなる?
無意味じゃなくても、残された人は何を思って生きればいい?



272: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:02:54.06 ID:JKskC6Aqo


キュゥべえ『君が言うように、
       宇宙のルールが書き換えられてしまったのだとすれば、
       今の僕らにそれを確かめる手段なんてない訳だし』

キュゥべえ『君だけがその記憶を持ち越しているのだとしても、
       それは、君の頭の中にしかない夢物語と区別がつかない』

キュゥべえ『まあ確かに、浄化しきれなくなったソウルジェムが、
       何故消滅してしまうのか?

       ――その原理は僕たちでも解明できてない』

キュゥべえ『そんな上手い方法があるなら、
       僕たちインキュベイターの戦略も、

       もっと違ったものになっただろうね』

キュゥべえ『君が言う、『魔女』のいた世界では、
       今僕らが戦っているような『魔獣』なんて、

       存在しなかったんだろう?』


『魔獣』……だと?

やっぱりな。
何をしても、どうせ世界は歪んでいる。



273: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:03:55.58 ID:JKskC6Aqo


キュゥべえ『呪いを集める方法としては、余程手っ取り早いじゃないか』

ほむら『そう簡単じゃなかったわ。
    あなたたちとの関係だって、かなり険悪だったし』


では何故、この暁美ほむらは平気な顔をして生きていられるんだ?
お前だって、一番大切な人と離れて――



――たとえ、魔女が生まれなくなった世界でも、
   それで人の世の呪いが消え失せるわけではない。


――世界の歪みは形を変えて、今も闇の底から人々を狙っている。


ほむら『ボヤいたって仕方ないわ。さあ、行くわよ』


――悲しみと憎しみばかりを繰り返す、救いようのない世界だけれど。



岡部「そうだ、この世界は――」



274: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:04:44.88 ID:JKskC6Aqo



――だとしてもここは、かつてあの子が守ろうとした場所なんだ。



 『岡部も、がんばって』

                  『オカリン』



――それを、覚えてる。
   決して、忘れたりしない。



     「……っ……」



――だから私は、戦い続ける。



275: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:05:55.60 ID:JKskC6Aqo

‐‐--―――――――――――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
     ‐‐--―――――--‐‐

荒野。
沢山の魔獣が、溢れかえる。
独り立ち歩く、暁美ほむら。
その背中には、禍々しい翼。



     『がんばって』



翼の闇は、広がって……。





岡部「これで、終わり……なのか?」

俺と、『魔法少女まどか☆マギカ』による長い夜の幕は閉じた。

だが、なんだ、この言いようのない気持ちは?
この結末は、つまりバッドエンドだとでもいうのか?

世界はやがて荒廃し、魔獣が蔓延る未来が待っている、と?
大切な人を犠牲にし、辿り着いた結末は望んだ形にもならない。



――Beginning of fight――



278: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:19:52.24 ID:JKskC6Aqo


不意に、携帯電話が鳴る。
……ダルか。


岡部「もしもし」

ダル『……そろそろ見終わったかお?』

岡部「ああ」

ダル『……それで、どう?まだオカリンは、このまま終わりたい?
   それとも、アニメみたいに立ち向かう?』

岡部「そうだな」


立ち向かうことに、意味は無い。

この世界で、俺の運命は決められている。

俺は、
     〝この〟俺は、全てを失った。

もはや、〝この〟世界にはなんの価値もない。

そうだ、思い出した……!
俺の、想いを、願いを。世界のためじゃない、俺自身の……。

だから俺は――


岡部「ダル」



279: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:21:12.53 ID:JKskC6Aqo


ダル『うん』



    オペレーション・スクルド
岡部「『未来を司る女神』」作戦だ」

ダル『は?』

岡部「やることは決まっている、俺は、俺たちは……」





鳳凰院凶真「世界の歪みを、破壊する」

ダル『……オーキードーキー』




世界の選択を、破壊する。
そういうことなんだろ?

俺は、認めない。
俺は暁美ほむらじゃない。

認めない……この結末を。世界も、アニメも、全て。
こんな世界は、破壊してやる。


全ては、この俺!
            鳳凰院凶真の願いによってな!!



280: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:22:18.04 ID:JKskC6Aqo

‐‐--―――――――――――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
     ‐‐--―――――--‐‐


―――夢を繋いだ、時の誘惑―――


クルーカットの男「岡部倫太郎だな!?
           両手を上げこちらを向け」


―――嵐の後の、青空が沁みる―――


鳳凰院凶真「フ、フフ……フゥーハハハ!!」

「「「「「!?」」」」」


―――幸せに何故、隠れているの?―――


鳳凰院凶真「長かった、ようやくこの時が来た」

クルーカットの男「なんだ、何を言っている!?」


―――悲しみの種、僕らを試すよ―――


鳳凰院凶真「今日ここで、世界は終わる」



281: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:24:39.39 ID:JKskC6Aqo



―――すれ違う、優しさ、持て余し夜の、闇に震えてた―――


鳳凰院凶真「そして、未知なる世界への扉が開かれるだろう」

クルーカットの男「あ、頭がいかれてやがる……」


―――遠回りした、道で気づいた―――


                     シュタインズゲート
鳳凰院凶真「世界の選択ではない、運命石の扉の選択だ!」


―――失くせない、モノがなんだか―――


鳳凰院凶真「俺は……まゆり、紅莉栖……ッ!!」

     『まどか』



282: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:25:08.38 ID:JKskC6Aqo



―――切なさを、越えて、今呼び合う瞳―――


鳳凰院凶真「間違ってるとは思ってない」

     『だとしてもここは、
     かつてあの子が守ろうとした場所なんだ』


―――運命が見つけた絆―――


鳳凰院凶真「だがそれでも、認められなかった」

     『それを、覚えてる。決して、忘れたりしない。』



283: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:30:02.83 ID:JKskC6Aqo



―――壊れそうなもの、溢れてる世界で―――


鳳凰院凶真「今ここに、世界は再構成される!

       数多の世界線の俺が、
       たった一つの執念で作りあげた計画が、
       ただ独りの俺に託されるのだ!!」

クルーカットの男「何を言ってるんだ!?
          いいから大人しくこっちへ――」



     『だから私は、戦い続ける』



―――永遠と呼びたい、君に―――


   「オカリン♪」

             「オカリン!」

   「岡部!」

             「……岡部君……!」

   「凶真さん!」

                「凶真!」

「岡部倫太郎!」「オカリンおじさん!」


     『がんばって』



284: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:31:11.38 ID:JKskC6Aqo



―――出逢えた、ことだけは―――


     「――エル・プサイ・コングルゥ!!」



     ――メールを送信しました――



「『シュタインズゲート』は、無限の可能性に溢れている――」

#################################
#################################
#################################



285: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:31:53.54 ID:JKskC6Aqo


――最終話 わたしの、最高の友達――





                    イイカゲンニ……










――最終話 わ//しの、最//の友達――



   ほむら『……いい加減に……してよッ!!!』



286: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:33:40.82 ID:JKskC6Aqo

another-004502-286
   



287: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:34:16.30 ID:JKskC6Aqo




――最終話 交わした約束、忘れないよ――






288: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:35:09.58 ID:JKskC6Aqo



ほむら『私が叶えて欲しいのは、そんな夢でも、希望でもないっ!!』

ほむら『あなたの居ない未来で、あなたのことを覚えている私がいても!』

ほむら『そんなの奇跡なんて言えないわ!!残酷なだけよっ!!!』

ほむら『どうして!?どうしてなのっ!?』

ほむら『あなたは、なんであなたは、いつだって、そうやって自分を犠牲にして!』

ほむら『私の前から居なくなっちゃうのっ!?』

ほむら『あなたを、大切に思う人のことも考えて……!考えなさいよ……!』

ほむら『あなたを失えば、それを悲しむ人がいるって、
      どうしてそれに気づかないの!?ねえ、答えてよ!まどかァ!!』

ほむら『まどかを守ろうとしてた人はどうなるの!?まだ、私は答えを聞いてない!』

ほむら『私の希望はどうなるの?まどかの居ない世界で、

      まどかを覚えている私がいるとして、

         それで私の希望は守られると思ってるの!?』

ほむら『ふざけないでよっ!!
    まどかの居ない世界何て、私が見ることのできない、
    まどか何て!そんなのは絶望と一緒だわ!!!!』



289: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:36:14.69 ID:JKskC6Aqo


ほむら『私は……ッ!!私は、魔法少女何てどうでもいいのッ!!!』

ほむら『みんなの願い?みんなの祈り?そんなのどうでもいいわっ!!』

ほむら『私はただ、まどかに生きていて欲しかっただけ……、
    私の知ってる鹿目まどかのままでいい……今でどおり、
    これからも。

    ……ただそれだけだったの』


ほむら『ねえ、まどか?どうするの?まどかがこのままじゃ、
    私は絶望するわ!全ての魔法少女を呪うわ!!祟るわ!!!』


ほむら『まどかにこんな祈りをさせた魔法少女を恨むわ……。
    魔法少女を呪い続けるわ……。

    私だけが、まどかの居ない世界で絶望するのよ……?』



290: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:37:19.21 ID:JKskC6Aqo


ほむら『当たり前よ……、だって私は、まどかと約束したんだものっ!』



――ほむらちゃん、過去に戻れるんだよね?
         こんな終わり方にならないように、
    歴史を変えられるって、言ってたよね。

   キュゥべえに騙される前のバカな私を、
                      助けてあげてくれないかな――



ほむら『約束するわ!絶対にあなたを救ってみせる。
         何度繰り返すことになっても、
        必ずあなたを守ってみせる!!!』



ほむら『それが出来なかった世界何てっ!糞喰らえよ!!』

ほむら『まどか?このままじゃ、まどかの祈りは叶わない!


         まどかの願いは、報われない!!


     私という魔法少女を絶望させて……ッ!


          まどかはそれでもいいの!?』



291: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:38:02.61 ID:JKskC6Aqo



ほむら『ねぇ……答えて……答えてまどか……』


ほむらの言葉は、世界に溶けて行く。










ほむら『答えて……答えて……』


ほむら『……答えなさいよ、インキュベーター』




ほむら『居るんでしょ!?お前はまだ、
    世界の概念になったわけじゃない!』

ほむら『私の願いが、祈りが!叶ってない!
    奇跡が起こってないのよインキュベーター!』



292: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:38:59.10 ID:JKskC6Aqo


ほむら『まどかの願いも、祈りも、私が居る限り叶わないの!』

ほむら『このままだと矛盾を孕んだ宇宙が、再構成を許さないのよ!?』

ほむら『ずっとこのまま!!
    ここには何もない、宇宙も、世界も、再構成されない狭間の中で、

         私は永遠に抗い続けるから!!!』

ほむら『お前の望みは違うでしょ!?
    お前の目的は宇宙の寿命を延ばすこと!
    その願いも叶わないのよ!!!!』




ほむら『だから、私の願いを叶えてよ……』

ほむら『私の願いは!まどかとの出会いをやり直したい!!

         彼女に守られる私じゃなくて、

         彼女を守る私になりたい!!!』




ほむら『さあ、叶えて!!お前の力で奇跡を起こしてみせて!!!』

ほむら『叶えてよ!!!インキュベーターーーー!!!!!』




響く声。



293: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:40:09.06 ID:JKskC6Aqo





     『まったく、訳がわからないよ』




インキュベーター『どうして君たち人類は、
          君の人類の価値基準こそ、
          僕らは理解に苦しむなあ。
          本当に意味がわからない』

インキュベーター『せっかくまどかが、
          その価値基準を最大限に生かして、
          宇宙を再構成してくれる、
          って言ってるのに』

インキュベーター『今現在で69億人、そのほぼ全てを救うって、
          言ってるのと同じ何だよ?
          それをどうして、単一個体の生き死にで、
          そこまで大騒ぎするんだい?』



ほむら『69億人の命も、

    宇宙の再構成も、

    そんなの私にとっては知らないことよ!』

ほむら『私はッ!!私はわたしの、最高の友達を守りたいだけ!!

    助けたいだけなの!!それの何が悪いの!?

    私の願いはただそれだけなのよ……』



294: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:40:43.04 ID:JKskC6Aqo

インキュベーター『……いいのかい?君が望む世界は、

         〝魔法少女のいない〟世界だ。

          そこでは誰も魔法少女にならないし、

          もしかしたら人類の繁栄もされないかもしれない。

          でも、確かにその時間軸にまどかが居れば、

          その世界に居続けることもできるかもしれない、

          かもしれない、かもしれない。君が望んでいるのは、

          そんな世界何だよ?

          もちろん、エネルギーだって僕らは得られなくなるわけだから、

          宇宙そのものが危ないかもしれない。そんな世界何だ』


ほむら『それでもいいわ。それでも、まどかが生きててくれるなら、

    その可能性があるのなら!!今の、この世界よりずっとマシよ!!

    そして、まどかの命は、必ず私が守ってみせる。

    宇宙を救うことになっても、まどかは私が守ってみせる!!!』



295: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:41:12.43 ID:JKskC6Aqo


インキュベーター『……暁美ほむら、

         君は本当に面白いね。どこに行っても、

         どこで逢ってもその信念は揺るがない。

         僕にとっては興味深いよ』

インキュベーター『もうどの道今の僕らは、

         この世界から消えるしかないんだ。

         今まで得てきたエネルギー源も全部パーさ』









インキュベーター『……だから、叶えてあげるよその願い』



296: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:42:14.35 ID:JKskC6Aqo



ほむら『!?……ほ、本当に?本当に叶えられるの!?』

インキュベーター『今更聞き返すのかい?

          人類の感情は本当によくわからないな。

          理解に苦しむよ。

          でも本当のことだよ、暁美ほむら』



インキュベーター『君の願いは、エントロピーを凌駕した』



インキュベーター『君の意識は、

          無限の可能性に溢れた世界へと導かれるだろう』


インキュベーター『……これで、僕は君たちとお別れ、というわけさ』



297: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:43:28.53 ID:JKskC6Aqo



インキュベーター『……ねえ、聞こえてるかい?鹿目まどか!』

インキュベーター『……僕らは君たちを理解できないし、

          感情もよくわからないけど』

インキュベーター『僕は、僕たちはもっと早く、

          君たちに会いたかったよ』


     ――僕たちの文明では、感情という現象は、
               極めて稀な精神疾患でしかなかった。


インキュベーター『そうしたら、僕たちインキュベーターの戦略も、
          もっと違ったものになっただろうからね』

ほむら『インキュベーター……?』



インキュベーター『まどかと過ごした時間は、
          とっても有意義なものだった』

インキュベーター『まどかと居た時間は楽しかったし、
          まどかのくれた卵焼きは美味しかった!』


キュゥべえ『僕の、その時の気持ちは、本当だと思うから』

     ――キュゥべえ!!


何処からか、聞こえた気がした。



298: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:44:27.66 ID:JKskC6Aqo



インキュベーター『さあ、解き放ってごらん!
          君たちの、無限の可能性を!!』

インキュベーター『さようなら、鹿目まどか、暁美ほむら』

ほむら『インキュベーター……お前は……』





インキュベーター『そうだ、最後に一つ、
          大事なことを言い忘れてたよ!』

インキュベーター『またいつか、何処か無限の可能性が、
          僕たちと君たちを結び繋いだときはさ!!』






キュゥべえ『またっ!

      僕と契約して、魔法少女に、なってよ!!!』

ほむら『キュゥ……べえ……!』


光と影が揺れる。
ほむらの意識が遠く引き延ばされる。
世界の狭間へ、運命石の扉の向こう側へ。



299: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:45:43.13 ID:JKskC6Aqo



ほむら『――まどか……まどかっ!!』


     ――世界は、再構成される!――





紅莉栖「うおっまぶしっ」

岡部「これが、暁美ほむらの選択――」


視界が、再生する。



300: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:46:12.94 ID:JKskC6Aqo


























マミ『逝ってしまったわ、円環の理に導かれて……』



301: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:48:25.56 ID:JKskC6Aqo



―――振り返れば、仲間がいて―――


さやか『マミさんの演技!超カッコイー!!』

まどか『マミさん、素敵です!』


―――気がつけば、優しく、包まれてた―――


先生『転校生を紹介しまーす』

ほむら『暁美ほむらです。よろしくお願いします』


―――何も、かもが、歪んだ世界で―――


まどか『私、鹿目まどか。まどかって呼んで』

ほむら『私も、ほむらでいいわ』

まどか『うん、ほむらちゃん!』


―――唯一信じれる、ここが救いだった―――


さやか『転校生―っ!あんまりまどかにベタベタすんなー!』

ほむら『何を言ってるの?まどかは貴方のモノじゃないわ』

まどか『さやかちゃん……ほむらちゃんも、仲良くしようよ』

仁美『禁断の愛ですわっ!』



302: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:48:59.81 ID:JKskC6Aqo



―――喜びも、悲しみも―――


ほむら『この世界は、無限の可能性に溢れている』


―――わけあえば、強まる想い―――


ほむら『私は、この世界と、まどかを守るためならば』


―――この声が、届くのなら―――


ほむら『どんなことをしてでも、諦めることはしない』


―――きっと奇跡は、起こせるだろう―――


ほむら『――だからね、まどか?』



303: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:51:54.99 ID:JKskC6Aqo

ほむら『交わ

               忘れないよ』 



   ほむら『交わした約束、忘れないよ』岡部「(´;ω;`)ブワァッ」




        した約束、         紅莉栖「(´;ω;`)ブワァッ」



304: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:52:25.60 ID:JKskC6Aqo



―――目を閉じ、確かめる―――


まどか『え?何?約束??』


―――押し寄せた闇、振り払って進むよ―――


ほむら『何でもないわ』



305: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:53:05.98 ID:JKskC6Aqo



―――どんなに大きな、壁があっても―――


まどか『えー?約束って何のこと??
    教えてよ、ほむらちゃん!』


―――越えて、みせるからきっと―――


ほむら『秘密よ』


―――明日信じて、祈って―――


ほむら『私だけの、秘密』



306: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:53:57.41 ID:JKskC6Aqo



ほむらが歩んできた、世界線のビジョン。
俺が観測してきた、時間軸の流れ。
全てが、一瞬に過ぎ去って行く。


岡部「ああ、ああ!うああ!!」

紅莉栖「岡部、ちょっとうるさい」




―――壊れた世界で彷徨って私は―――


さやか『あーまたいちゃいちゃしてる!!』


―――引き寄せられる、ように―――


ほむら『貴方には杏子がいるでしょう?』


―――辿り、着いた―――


さやか『あいつはあいつ!!
    ってゆーかそんなんじゃないし!あんな不良娘』

ほむら『そんなこと言って、杏子が泣くわよ?』

杏子『……泣かねーよ……』



307: ◆4soo/UO.k6 2011/09/16(金) 23:54:42.39 ID:JKskC6Aqo



―――目覚めた心は走り出した、未来を描くため―――


マミ『ねえ、みんなで写真撮らない?』

杏子『ハァ?写真?お断りだね』


―――難しい道で、立ち止まっても、空は―――


さやか『ほらー不良娘ー?
    このさやかちゃんが逃がすとでも思ってるのかー?』


―――綺麗な青さで、いつも待っててくれる―――


まどか『ほむらちゃん!一緒に映ろう!』


―――だから怖くない、もう何があっても―――


ほむら『ええ、わかったわ、まどか。
    これからも、いつまでも』



308: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:06:17.13 ID:MTnjOSI4o



―――挫けない!―――


ほむら『ずっとね!』

マミ『撮るわよー?はい、

        ティロ・フィナーレッ!』カシャッ




―――ずっと、明日、待って―――


ほむら『――悲しみと憎しみばかりを繰り返す、
    救いようのない世界だけれど。だとしてもここは、
    かつてあの子が守ろうとした場所なんだ。それを、覚えてる。

    決して、忘れたりしない。だから私は、戦い続ける――』


『魔法少女 まどか☆マギカ ――交わした約束、忘れないよ――』



309: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:09:10.07 ID:MTnjOSI4o




紅莉栖「ブラボー!!!!」

岡部「うおおおおお!!!!」


感動した!全俺が泣いた!!
紅莉栖も素直になったようだ、涙を拭う仕草をしない。



こうして俺と、
         紅莉栖と、
                『魔法少女まどか☆マギカ』による、

     長い夜の幕は閉じるのだった。



310: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:09:59.34 ID:MTnjOSI4o

――――――――――――――――――――――――――

……。

興奮冷め止まぬまま、
俺たちの時間は過ぎていく。

いや、実はもう俺は疲れ切ってしまっていて、
完全に意気消沈しているわけだが、
隣りの助手が、それを許してくれなかった。


紅莉栖「――……であって!エントロピーの熱力学を応用してるのが、
    インキュベーターの役割何だから、
    その存在に矛盾が生じるってことでしょ?
    だから最後は矛盾の無いように、
    世界は『鹿目まどか』によって再構成されるはずだった、
    ってところね」

岡部「そうだな」


紅莉栖「――……でその先は、
    人類の繁栄している世界があった。
    つまり、魔法少女が居ても居なくても、
    人類の未来は、
    しっかり定まっていた――確定した未来――ということ。
    そうなると、『暁美ほむら』が元居た世界は何だったのか?
    『鹿目まどか』の再構成される世界には、
    魔法少女はいるのか?
    という疑問にぶつかるわけ」

岡部「そうだな」



311: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:10:52.61 ID:MTnjOSI4o


紅莉栖「――……でも待って。
    『鹿目まどか』の願いの要点は、現在居る世界の宇宙、過去と未来、
    「全ての魔女を消し去る」こと、「全ての魔法少女の魔女化を防ぐ」こと、
    それによって導き出される「希望を絶望で終わらせない」という解がある。
    これを方程式で導くとすれば、
    「魔女が世界には居たけど、『鹿目まどか』という魔法少女の概念が全て倒した」、
    と言う公式を使うことになる。
    つまり、
    『鹿目まどか』が再構成する世界には、
    魔女が居た=魔法少女も居るということになるわ。
    あのまま、『鹿目まどか』が概念になって終わっていたとして、
    もしかしたら、
    魔法少女がいる「理由が作られる」こともある可能性があった、
    ってことね」

岡部「そうだな」


紅莉栖「――……でもそうなると、魔法少女になった娘は、
    最終的にはソウルジェムが穢れて、
    グリーフシードになるわけでしょ?
    あ、いや、ならないのか。
    そもそもその前に概念が現れて、
    ……何て言ったらいいかしら、
    円環の理?
    それで最後は消えて逝っちゃうのよね……。それってどうなの?
    安らかに消えて逝くシーンはあるけど、
    自分の存在が消えるのよ?
    それって本当に希望のある終わりなのかしら。
    それとも、「希望を絶望で終わらせない」だけであって、
    希望を守る、
    という解には繋がらないから?」

岡部「そうだな」



312: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:11:33.53 ID:MTnjOSI4o



紅莉栖「――……ちょっと岡部!聞いてんの!?
    今は大事な、

    「魔法少女のエントロピー」について、

    のディスカッションの時間よ!?
    あんたさっきから「そうだな」って、
    聞いてるだけじゃない!何か言えよ!!」

岡部「そうだな」


紅莉栖「――……岡部は、魔法少女みたいな、
    かわいい中学生女の子に欲情する、
    HENTAIロリコン童貞です」

岡部「そうだな……って違うわ!

   いい加減にしろクリスティーナ!!」


この調子で、
『魔法少女 まどか☆マギカ』が終わってからというものの、
延々と続いているのである。



313: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:12:49.41 ID:MTnjOSI4o


紅莉栖「何ぃ?話しを聞かない岡部が悪いんでしょ!?
    女の人の話しを聞かない男の人って、
    ……最低よ岡部!」

岡部「お前との会話は会話と呼べないんだよ!
   何か喋れば最後、

   お前は延々と俺を論破し続ける気であろう!?

   この論破癖の天才HENTAI処女めがっ!!」


これで論破なんてされようものなら、
俺はラボから出てくぞー!助手ー!!


紅莉栖「な、な、なぁーーー!?

    だだだだ誰がHENTAI処女だっ!?
    私は岡部にそんなことを言った覚えないぞっ!?///」

                 サイズハング
岡部「バカめッ!今のは<カマかけ>だッ!!

   それにHENTAIも否定しないとは、
   ……落ちるとこまで落ちたな助手ぅ?」

紅莉栖「お、岡部、テメェ……許さない!
    絶対に許さない!絶対にだ!」



314: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:13:46.22 ID:MTnjOSI4o


岡部「わっ!?止めろクリスティーナ!
   それは鈍器でも凶器でもないぞ!?

   神聖なる魔法力の宿りし盾、
     ノスタルジアドライブ
  <失われた過去の郷愁>!

   お前が扱えるような品物ではないっ!」


紅莉栖「黙れこの厨二病患が!
    お前の敗因を教えてやる。
    お前は、私を、怒らせたッ!!」


ブンッと言う擬音が聞こえたかと思うと、
          ノスタルジアドライブ
俺の横を過ぎ去る<失われた過去の郷愁>。

正に、ノスタルジアドライブゥッ!!
ちょ、こいつ投げやがった!?もはや鈍器ですらない。


岡部「あ、危ねっ……助手!!俺を殺す気か!?」

紅莉栖「たかが玩具がぶつかったくらいで人が氏ぬか!
    いや死ね!氏ねじゃなくて死ね!」


直後にガチャーンという音が開発室から聞こえた。


岡部「――!?何に当たった!?」



315: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:14:22.91 ID:MTnjOSI4o


見に行くと、そこには壊れ果てた未来ガジェット4号機、
モアッド・スネーク(使い捨て、特価7,800円)の姿がっ!


岡部「モアッド・スネーク……?
   おい、嘘だろスネーク?返事をしてくれっ!!
   スネェェェェエエエエェェェェクッ!!!」


返事がない。ただの屍のようだ……。
俺は白衣から素早く携帯を取り出す。


岡部「もしもし俺だ、大佐!……スネークがやられた……。
   助手が裏切ったのだ……ッ!あいつは俺のことを庇って、
   ……あいつには何度も助けられたのにっ!
   俺は、守れなかった……許してくれスネーク……。
   お前のことは忘れない……!
   何故ならこれも<シュタインズゲート>の選択!
   通信を切る、次の連絡の時……その時俺は……!
   いや、何でもない。
   これが終わったら一杯やろう、大佐。
                 ――エル・プサイ・コングルゥ」

紅莉栖「おい、遺言は済んだか?」


振り向くと、紅莉栖が仁王立ちしてた。
こわい。



316: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:15:07.96 ID:MTnjOSI4o

岡部「貴様ァあああ!!
   俺の歴戦の勇士をよくもっ、よくも!

   その罪、万死に値する!!」

紅莉栖「ほう、で具体的にはどうなるんだ?」


いつの間にやら、
どこからか洋書を手に入れた助手は、
ニヤァと笑ってこっちを見ていた。こっち見んな!

その姿は、
どう見てもマジカルマッドサイエンティストです。
本当にありがとうございました。


岡部「クッ……しかし、いいのかな?助手よ?」

紅莉栖「どういう意味だ?」

岡部「ククク……実はな、
   この部屋は盗撮されているのだッ!」

紅莉栖「ハ?」


岡部「つまり!

   貴様が視聴中に見せた醜態が録画されている、

   ということだ!!」

紅莉栖「なん……だと……?」



317: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:15:51.67 ID:MTnjOSI4o


……まあ、もちろんハッタリである。
盗撮とか、
そもそもそんな機材買う資金ラボにはない。
しかしここは、ハッタリでも乗り切らねばならない場所!
ダル、俺のために犠牲になれッ!!


岡部「フゥーハハハ!ダルが言っていたのだ!

   紅莉栖の泣き顔が見たいから、
   このカメラを仕掛けておいてくれ!

   となァ!!」

紅莉栖「橋田ァ……!!
    このラボにはまともな男が居ないようね!###」ビキビキッ


おい助手、ルカ子ry。


紅莉栖「……でもいいの?
    それだと私以上に酷かった、

    鳳凰院凶真の醜態まで晒すことになるんじゃないの?」


あ、しまった。やっちまったわ。っべー、俺ヤッベー……。


岡部「ぐぬぬ……。だがしかし助手!
   こうなれば死なば諸共だ!
   お前が俺に手を出したら、
   ダルがネットに全世界配信を行うぞっ!
   それでもいいのかな?んー?」


頼む!俺が悪かったからこれで引き下がってくれ!



318: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:16:46.72 ID:MTnjOSI4o

紅莉栖「ぁ……」


何故か紅莉栖は、
足を絡めてもじもじ仕出した。


紅莉栖「……///」


何だー?どういうことだー?
今度は顔を赤らめ出したぞ!?
精神攻撃にシフトしたのか!?
理性を保て!岡部倫太郎!!


岡部「ど、どうしたクリスティーナ?
   調子でも悪くなったか?
   ……生理か?」

紅莉栖「HENTAIは自重しろ!
    ……別に、何でもないわよ……」


と言うと、しずしずとソファーに座りこむ助手。
やっぱこいつ構ってちゃんだな。

構ってオーラを出しながら、
チラッチラッとこちらを見ている。


紅莉栖「……ねえ、岡部」

岡部「何だよ……何か言いたいことがあるなら言え」

紅莉栖「岡部は、あのアニメについて、どう思ってるの?」



319: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:17:41.59 ID:MTnjOSI4o


あ、そう来たか。
どうやら今までのやりとりで、

視聴中の出来事を思い出したらしいな。

そりゃあ顔も赤くなるわけだ、
あんだけ基地外っぷりを晒してたらな!


  ――いけぇぇぇぇえええ!!!

            ――汚物は消毒だァーッ!

  ――タンクローリーだッ!!


……冗談は置いといて。

実際、かなりの精神攻撃を受けたのは確かだ。

一話~三話で始まり、
四話~六話で崩壊し、
七話~九話で追い打ちをかける。
十話に至っては、
ピンポイント攻撃をしてくるという始末で、
十一話は本当に危なかった。
最終話は驚きと感動で、
セルフエコノミー状態にさせられる結末。

おまけに助手の本能を刺激し、
我がラボの家族問題まで乱してくるあたり手におえない。

約六時間の世界線争を、
俺は、俺たちは、戦い抜いてきたのだ!

どうもなにも、
もはや言葉では語りつくせないくらいの、
記憶に残るアニメとなってしまった。



320: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:18:37.84 ID:MTnjOSI4o



――あの神アニメが、
 ニコニコで全話一挙無料配信とか胸が熱くなりすぎて世界がヤバい!

――お前がヤバいだろ……。


ダルの計画通りっ!ということか?
くそっ!やられた!!
でも後悔なんてあるわけない。
……俺って、ほんとバカ。


岡部「……お前は、
   その、どう思ってるんだ?」

紅莉栖「え?それはさっきから説明して――」

岡部「学術的なことはどうでもいい!
   ……お前が見た時の、気持ちだ」

紅莉栖「わ、私は……」


紅莉栖は言葉に詰まる。
と同時に、電話がなった。


――Beginning of fight――


岡部「……って誰だこんな時間にッ。
   ん?ダルからだと?」


黙っていても仕方がないので、俺は着信に出た。



321: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:19:26.42 ID:MTnjOSI4o

岡部「……俺だ」

ダル『あ、お、もすもすオカリン?
   ……えーと、今何してるお?』

岡部「……別に、アニメを見終わって休憩していたところだ。
   それで?
   こんな時間に何の要件で電話をかけてきた?」

ダル『え?あ、いやー……その、……そうそうっ!
   アニメの感想!どうだったお?
   まど☆マギは面白かったお?』

岡部「……悔しいが同意せざるを得なかった。
   あのアニメは神だな」

ダル『ッシャァ!!オカリンにそこまで言わせてしまう神アニメ!!
   その瞳は何を見る!!』

岡部「は?
   ……で、要件はそれだけか?なら切るぞ?」

ダル『……エ?イマハヒマカキケ?……あっ!

   ちょちょちょ、待って欲しいお!!要件はそれだけじゃなくて、
   ……オカリン?今は暇でつか?』

岡部「え?……いや、少し取り込み中だ。
   あのアニメの感想について議論している所なのだ」

ダル『へぇー……オカリン、それ誰と?』


ピクッ、と俺の耳が反応した。
俺は考える。
正直に、紅莉栖と夜中に二人きりで会話してます、
何て情報を伝えてしまって良いものか?
しかも今、
彼女は顔赤らめてもじもじこちらを見ています、
何て教えたら、
ダルが何を言い出すかわかったもんじゃない。

ここは、うまく話を合わすべきだと判断した。



322: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:21:10.69 ID:MTnjOSI4o

岡部「……ぁあ、何、@ちゃんでのことだよ。
   今はアニメの関連スレをチェックしていた所だったのだ」

ダル『ふーん……なあ、オカリン?
   今は、独りでラボにいるのか……お?』


何だこいつ、やけに喰いつくな?


岡部「……そうだが?それがどうかしたのか?」

ダル『オカリン、僕たちってさ……、
   僕たちって友達だよ……な?』

岡部「……ああ、もちろん。
   お前はラボメンナンバー003にして驚異のスーパーハカーッ!
   マイフェイバリットアーム
   我がラボの右腕ことダルだっ!
   そして俺の、かけがえのない友人でもあるっ!
   光栄に思え!」


ここまで言っとけば引き下がるだろう。


ダル『……そうだよな、僕もそう思ってる……お?』


あれ?いつもならここで、
僕はスーパーハカーじゃなくて、スーパーハッカー!!
とか何とか横やりを入れてくるものを、
今日はやけに大人しいではないか?
どういうことだ?


ダル『オカリン、友達のさ、友達の言葉にはさ、
   ……嘘はないよな?』


むっ!?どういう意味だ?
まさか助手のことを言ってるのか?

だが助手がこの場にいることは誰にも喋って、
いや、連絡してないはずだ……となると?
助手の声が耳に入ったか?
いやそれもない。
さっきから奴はこっちをじーっと見てる。

ん?あれ?もしかして睨んでるの、あれ?
それは置いてといて、助手のことでも無いとしたら、
つまり……どういうことだ?


ダル『オカリン、僕はオカリンを信じてるお!プツッ』

岡部「え?おい、ちょ、ダル?ダルー!?」


一方的に切りやがった。
何だったんだあいつは?
フーと溜息をつき、携帯を白衣のポケットにしまう。


紅莉栖「……おい、岡部」



323: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:22:12.38 ID:MTnjOSI4o

岡部「ッ!?……はい、何でしょうか?」


ま、また威圧感を放ったクリスティーナが帰ってキター!!
やばい、殺気放ってるよ。紅莉栖やぁばい。

そういえば紅莉栖は……。


紅莉栖「あんた、
    人と会話してる時に電話とは、
    良い身分だな?」

岡部「はい」


紅莉栖「……しかも、
    そっちから質問をぶつけておいて、だ?」

岡部「はい」


紅莉栖「私に何か、
    言うことはないのかな?
    鳳凰院凶真さん?###」

岡部「すみませんでした」


紅莉栖「で?
    どう責任を取るつもりなんだ?え?」



324: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:23:06.79 ID:MTnjOSI4o


何だよっ!
たかが携帯に出たぐらいで、
そこまで怒る必要もないだろ!?
全部ダルが悪いんだ!
俺は悪くねぇ!俺は悪くねぇッ!!


岡部「し、しかし助手よ?
   こんな時間に電話が鳴るんだ。
   普通何かあったのか?
   と心配になるはずだろう?」

紅莉栖「着信履歴は橋田、
    外は大雨、
    奴は家でアニメを見てた。あとはわかるな?」

岡部「……すみません」


すると、またも唐突に携帯が震え出した。
今度はメールか?
一体誰だっ!この非常時に!!

反射的に、俺は携帯を取り出し、メールの内容を確認する。


件名:お前を見ているぞ
 がんばって♪v≧∀≦v

           萌郁。


誤送信、かッ!

俺は携帯を叩きつけるような仕草で、
白衣のポケットに戻す。



325: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:24:25.53 ID:MTnjOSI4o


俺は携帯を叩きつけるような仕草で、
白衣のポケットに戻す。

お前を見ているぞ♪じゃない!
こんな時間に、どこで何してるんだあいつはっ!
ストーカー、かっ!

安易に想像できるから困る。
送り主は可哀想に……。

あんなメール魔に目をつけられるとは。
ご冥福をお祈りします。


「岡部」



326: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:24:58.54 ID:MTnjOSI4o


背筋が凍る、声。
圧迫感。何かがいる、後ろに、確実に。
助手だけど、助手じゃない何かが。
今、振り向いてはいけない。頭の中で声が響く。
前を向いて、岡部。うん、そうだよな?

振り向いたらいけないよな、人間前を向いてないと。


「岡部」


ダメだッ!冷や汗で背中がビショビショだ!
あ、そういえば「背筋が凍る」って、
広辞苑では、「背筋が寒くなる」としか乗ってないんだよな。
とか、まったく関係がないことを考えながら、
俺は現実逃避を行う。

今、岡部ピンチ、なう。


「岡部、こっちを向いて?」


あまりにも感情の無い、優しい声が響く――

そうだ、逃げるのは止めよう。
向き合おうじゃないか、現実と。
今の俺は、現実と向き合って、
向き合い続けたからこそ、ここにいるんだっ!
そう、それが<シュタインズゲート>の選択!
     ――エル!プサイ!!コングルゥ!!!


岡部「クリスティー……いえ、紅莉栖さん」



327: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:25:46.53 ID:MTnjOSI4o


俺は、指を鳴らす。


岡部「話しをしよう」パチンッ


俺は綺麗な顔で振り向いた。

待っていたのは、
洋書を片手に振り上げた助手の姿だった。
もうだめ、NOW。


岡部「クリスティーナ、そんな装備で大丈夫か……?」

紅莉栖「大丈夫よ?……問題ッない!!」


             ――本日二度目の衝撃走る。


ああ、俺はどこで選択を間違えたというのだ。
選択、と言う言葉の大切さに気付かされる。

些細な選択でも、大きな被害に繋がることを、
……俺は去年、散々学んできたじゃないか。
自分の軽率な行動に、後悔をしてしまいそうになる。
残念、岡部倫太郎の冒険はここで終わってしまった!

薄れゆく意識の中で、そんな声が頭に響いた。



328: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:26:21.08 ID:MTnjOSI4o

岡部「おい、クリスティーナ?……助手?……紅莉栖?」

紅莉栖「……ムスッ」


現在、時刻は深夜二時。
アニメが終わってから、約一時間が経過している。
洋書でぶん殴られた俺は、一瞬意識を失っていたが、
何とか再び復帰し、今に至る。


岡部「おーい、紅莉栖さーん?
   もしもーし?臀部に蒙古斑のある助手ー?」

紅莉栖「……ギロッ」


おうっ……!今のはアウトか。
あれからと言うものの、紅莉栖はまともに口を聞いてくれない。
いや、むしろ口を聞いてくれないだけならいいのだが、
ソファーに座ったままこちらを向いて、
俺を今だに睨み、もとい見つめ続けているのである。

……あぁ、これはキツイぞ。
気まずいなんてレベルじゃない。

うーぱのぬいぐるみを抱きかかえたまま、
こちらを何も言わずに見つめ続けられるのだ。
何考えてんの、この助手……。
耐えかねて、話しかけてはみたものの、
普通にシカトされてしまっている。
シカト?シカトデスカー?モォウ、クチヲキイテクダサイヨーッ!

ダメだこいつ、早く何とかしないと。
俺の精神力が持たん!



329: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:27:18.00 ID:MTnjOSI4o

岡部「……そろそろ、
   機嫌を直してくれないか?クリスティーナよ」

紅莉栖「……ジーッ」


……何が何だかわからない。
そんなに俺が悪いことをしたか?
携帯に出ただけだぞ!?

……とは思うものの、
俺には、世界線を越えた記憶のせいで、
助手が怒ってる気持ちが半分わからんでもないので、
余計、罪悪感と共に気まずい空気を作ってしまうのだ。

だからって、こんなに怒るなよなー、と思いつつ、
もう素直にジャンピング土下座でもして、
許してもらおうかな、などと考える。


岡部「く、紅莉栖!……申し訳ありませんでしたー!」ズサーッ

紅莉栖「……ツーン」


こ、これでもダメなのか!?
何が気に入らないんだよ!
もういい、気に入らないなら帰ればいいじゃないか!
タクシーでも拾えば帰れるだろ?
秋葉原駅くらいまでは付き添ってやるから!
という思いを顔に出しつつ、紅莉栖の様子を伺う。


岡部「……」

紅莉栖「……」


あ、ダメだわ。伝わってないわ。



330: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:27:57.39 ID:MTnjOSI4o


最初からダメだったんだ!
この、天才HENTAI処女の助手、
クリスティーナの思考に合わせるのなんて!

うう……息をするのも苦しくなってきた。

俺が悪かった、悪かったから、


『いい加減にしてよ!』


とは言えず、カチコチと時計の音だけがラボに鳴り響く。

もう、ストレートに「帰れ」、と伝えてしまおうか?
いや、そんなことを言えば、三度目の衝撃が来かねない。
俺にはわかる。

この神聖構ってちゃんが、
何もせずにこの気まずい空気の中、
帰りたがりもせず、こちらをジッと見つめてるということは、
俺のリアクションを待っているということに他ならない。



331: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:29:24.39 ID:MTnjOSI4o


ここで間違った選択をすれば、
取り返しのつかないことになるであろうということが、
俺には空気で感じ取れる。
……BADENDは絶対に避けなければ……な。


       ――岡部さん……。


頭に何かが浮かんでくる。
これと似たような空気が、あったような……?


       ――ボクと……コ……ト……に。


考えろ、考えるんだ!
こういう時はどうしたらいいのか!


       ――……ビトに……って…くださぃ。


アッ―!
しっかりしろ俺の灰色の脳細胞よ!混乱するな!!
あれは〝なかったこと〟になったはずだ!!



       ――〝なかったこと〟にしてはいけない。

うるせぇ!
こまけぇこたぁいいんだよ!!
よし、それとなく帰れば?と言おう。



332: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:30:02.89 ID:MTnjOSI4o


大丈夫、自分を信じろ岡部倫太郎。
鳳凰院凶真を信じる、岡部倫太郎を信じろ!
俺を誰だと思っている!?


岡部「あー、紅莉栖?
   ……その、そろそろ帰らないのか?」

紅莉栖「……岡部は、私に帰って欲しいのか?」


ワットゥ?何?何で?
どういうことなの?どうしたらいいの?
そんなこと俺に言われても、どうしようもないだろう。
そもそもお前がシカトするから、
俺はこの気まずい空気に耐えられなくなってるわけで、
そんなこと言われる筋合い無いぞ?

あー、なんかだんだん腹が立ってきた。
ここはビシッと言ってやろう。


岡部「……だがな、助手よ。
   そこでジーっとこちらを見ながら、
   話しかけてもシカトされるわ、
   土下座してもシカトされるわじゃ、
   いい加減こちらも居心地が悪いわけだが……?」

紅莉栖「……」


またシカトされた。
もういっそ俺が出ていくべきか?
そう考えてると、突然空気が変わることになる。


紅莉栖「……ジワッ」



333: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:30:46.81 ID:MTnjOSI4o


なん……だと……?
助手がちょっと涙目になってないか?

俺、何か悪いことしたっけ?
携帯のことは全力で謝っているのに、
何が悪いんだ?
どうしてこうなった!どうしてこうなった!


岡部「え、あ、いや、あの?
   ……紅莉栖さん?」

紅莉栖「……ナイテ……ナンカナイカラナ」


ボソボソ喋ってる。
あーあー聞こえない聞こえない。

……本当にどうしたらいいんだ……。
仕方ない。
ここは恥を被ってでも、聞き出すしかないか。


岡部「……わかった、わかったよ。
   俺が全て悪かった。
   だから、
   何がそんなに気に入らないのか教えてくれないか?」

紅莉栖「……それは――」



――Beginning of fight――



334: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:31:26.35 ID:MTnjOSI4o


――Beginning of fight――

――Beginning of fight――

――Beginning of fight――


またかよっ!
今何時だと思ってるんだ!
何で今日に限って、こんなに携帯が鳴るんだっ!


――Beginning of fight――


紅莉栖「……出ないの?」

岡部「え?」

紅莉栖「……出れば、いいじゃない……」


いや、そんな顔されたら出れるわけないだろう。
わざとやってんのか?


――Beginning of fight――


岡部「ええい!うるさい!」

紅莉栖「ビクッ」


俺は携帯を取り出し、
ピッピッとボタンを操作する。
そして、音は鳴り止んだ。



335: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:32:18.26 ID:MTnjOSI4o

岡部「助手よ!これで満足かっ!」

紅莉栖「ジー」


俺は、電源を切った携帯の画面を助手に突き付けた。
ちなみにこの時、着信が誰だったのかが見えたのだが、
何とこんな時間に、ルカ子からの電話だった。
強引に切ってしまったから、後で泣かれるかもしれない。
泣かれる理由には、心当たりがない。
うん、俺は知らない。
すまんなルカ子よ、今はそれどころではないのだ。


紅莉栖「……何で?」

岡部「は?っや、何でってお前、
   俺が携帯に出てるから怒っているのだろう?
   流石の俺でも空気は読むぞ」

紅莉栖「……別に、怒ってなんかないわよ……」


どう見ても怒っていたじゃないですかと、
頭に出来たコブが自己主張を続けている。


紅莉栖「……ただ、岡部は……私と会話するより、
    電話に出たほうが気楽なんでしょ?

    だったら出ればいいじゃない。
    私のことは放っておいて……」


と言うと、
うーぱのクッションに顔を埋めてしまった。

え?



336: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:32:51.33 ID:MTnjOSI4o

まさか、今まで黙ってシカトしてたのって、
それが理由?
それだけ?

紅莉栖が、俺と会話したくなかったんじゃなくて、
俺が、紅莉栖とまともに会話しなかったから黙ってた、
とでも言うのか?

う、うわぁ……この助手……。
めんどくSEEEEEE!!!!

あれ?
それよりこれってもしかして……?
嫉妬か?嫉妬なのか?
oh shit!

俺が紅莉栖と喋らないで電話してたから、
その電話相手に嫉妬して怒ってた。
とかそういうことなのか??
いや、この場合は電話相手ではなく、
携帯電話そのものに、か?
そう考えると辻褄が合うような気がしてきた。



337: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:33:25.67 ID:MTnjOSI4o


最初は、
紅莉栖のディベート――しかし、口を挟むことは許されない――を、
聞き流しているから、
自分と会話しようともしない姿勢に、
怒った。  ――相互干渉の嫉妬。

次に、
俺がやっと会話しようと話しかけた所を、
ダルからの電話で遮られ、
自分との会話よりも、
電話での会話の方を優先したことに、
怒った。  ――優先順位の嫉妬。

最後に、
それに対して注意をしているにも関わらず、
俺がそっちのけで携帯のメールを見だしたことにより、
自分との会話は、
他のことよりも重要性が低い内容である、
と勝手に解釈し、
そこに対して、
怒った。  ――価値判断の嫉妬。



338: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:34:13.06 ID:MTnjOSI4o


結果、
紅莉栖の中で導き出される解は、
自分と会話するよりも、
電話と会話している方が気楽なんだから、
自分は会話しない方が、
良いのだろう。  ――天才少女のメランコリィ。


ハハッワロス。
それで俺がいくら謝っても、
シカトしてたとか?

俺の行動で、
〝機嫌が悪くなったこと〟に謝ってても、
意味がないから?


そしてあまつさえ、
遠回しに「帰れ」って言ってしまった俺に、
さらなる怒りと、
〝自分の存在はいらない〟んだと仮定してしまうことによる、
哀しみの心象を抱いたとか?
            ――哀心迷図のバベル。



339: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:35:16.52 ID:MTnjOSI4o


で、俺が痺れを切らして、
お前と居ると居心地悪いんだよ、
って言ってしまったことから、
仮定が確定に変わってしまった、と?


       ――ねえっ!聞こえないの!?
              私……ここにいるんだよ!?


おお、何か繋がってきた気がしたぞ!
流石は俺の、IQ170の怜悧なる頭脳だ!
これは完全に、
天才魔法HENTAI少女くりす☆ティーナ、
の思考を暴きだしたZO!
フゥーハハハ!!

ついにこの俺にもフェイリスの特殊能力!
 チェシャー・ブレイク
チェシャ猫の微笑が目覚めたということか!
フゥー……自分の才能が恐ろしいな……。



340: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:35:57.63 ID:MTnjOSI4o


ああー、それでか。
それで哀しくなって涙目になっちゃった、
ってか?
はいはいワロスワロス。


紅莉栖「……グスッ」


そういえば、これと同じようなことがあったような……。


     ――おい、クリスティーナ。

     ――うるさい。話しかけるな!


あの時俺は、
なんて言ってこいつを慰めたんだっけ?

大体、紅莉栖も紅莉栖だ!
お前はこんなに心根の弱い奴だったか?

お前はどんなことがあっても、
自分の存在が消えることを知っても、
平然としていようと、
そういう姿勢を貫こうとしていたじゃないか?



341: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:36:36.06 ID:MTnjOSI4o



――……怖くないかって訊いた……?
            怖いに決まってるでしょ!


――……〝なかったこと〟になるかもしれない。


――……かもしれない。
            かもしれないっ。
                    かもしれないっ!


――……こんなの全然論理的じゃない。
                 仮説にすらなってない。


――……妄想を垂れ流す脳の機能なんか、
                 全面カットしてやりたい!


失われた記憶が。
俺の頭に蘇る。

そうだ、そうだったな。



342: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:37:25.75 ID:MTnjOSI4o


こいつは天才で、
黙っていれば美人で、
でも粘着の@ちゃんねらーで、
ただただ純粋に科学と実験が好きな十八歳の女の子。

そして、過去の失敗により、
大事な人との絆をなくしてしまった、
希望と絶望のパンドラ。

論破癖持ちで、
人格無視なマッドサイエンティストで、


      ――俺は――お前に憧れていた。


俺は、
いつだって紅莉栖の動きを目で追っていた。
いつだって、紅莉栖の言葉を胸に刻みこんでいた。
いつだって、紅莉栖の語る理論に痺れていた。
本物の科学者で、本物の天才で、
世界を変える発明をするような、


      ――そんな奴がこの世に実在した。


そして、
俺はどうしようもなく憧れてたんだ。
その憧れを悟られたくなかった。

まともに名前を呼べなかったのだって、
結局のところ、照れくさかっただけだ。


      ――『本当の気持ちなんて、
              伝えられるわけないのよ』



343: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:38:12.56 ID:MTnjOSI4o



俺にとっては、
俺にとっては……。
紅莉栖は単なる仲間じゃない。


岡部「紅莉栖、いいか?
   話さなくていいから黙って聞け」

紅莉栖「……」


俺は、無視されても喋り続ける。


岡部「お前はすでに我がラボの大切な仲間だ。
   お前にやったラボメンナンバー004バッチはダテではない。
   俺たち、いや俺はお前を頼りにしている。
   だから、お前はいらない存在なんかじゃない」

               ――今となってはもっと大きな存在だ。



344: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:39:26.11 ID:MTnjOSI4o

岡部「だから、気楽だとか、気楽じゃないとか、
   そんなものはどうでもいいことなんだよ。
   紅莉栖は紅莉栖らしくあればいい」

紅莉栖「……でも、私は私らしくしていたら、
    大事な人を失った……」

岡部「だが、
   お前は間違ったことは言ってはいなかったはずだ。

   どんな時でも論理的で、思ったことは何でも言う。
   友達の少ない実験大好きっ娘、
   ロンリーナを貫き通してきたんじゃないのか?」

紅莉栖「……大事な人を失うのは、もう嫌なの……」


           ――『アタシの祈りが、
                   家族を壊しちまったんだ』


今だそのトラウマは心に強く残っているのか。
仕方がない、
こういう時こそ鳳凰院凶真の出番だな。


岡部「ク、ククク……フゥーハハハ!!  
   なぁにが、大事な人を失うのは~、だ!

   いつもお前は、
   俺を論破しては勝ち誇ったような顔をして、
   見下しながらほくそ笑み、
   バーカ!と言いたげな顔して、
   はい論破ー☆顔洗って出直してきなさい♪

   と俺を蔑んでいるではないか!?」

紅莉栖「ぅ……きょ、今日は、
    ……そういう気分じゃないの……」



345: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:40:32.90 ID:MTnjOSI4o

岡部「お前がいつ、どういう気分であろうとなっ!

   俺が見ているいつもの助手は、
   俺に対して向けられる言葉の数々は、
   自信満々でマッドなサイエンティスト!
   牧瀬紅莉栖、本人のものなんだよ!

   どこでも、いつでもだ!」

紅莉栖「……今日は、私だって理解できないのよ!
    あのアニメを見てから、
    ……アニメ自体は素晴らしい作品だった!
    不覚にも感動してしまったわ!

    でもそれだけじゃないのっ!
    ……心に、引っかかるのよ!
    彼女たちの言葉が……岡部の存在が……」


――『だって、私は……私はまどかとは、
         ――違う時間を生きてるんだもの!!』


――『…私ね、未来から来たんだよ?
        何度も何度もまどかと出会って、
          それと同じ回数だけ、
      あなたが死ぬところを見てきたの』


――『どうすればあなたが助かるのか、
      どうすれば運命を変えられるのか、
       その答えだけを探して、

      何度も始めからやり直して……!』


――『ごめんね。
       わけわかんないよね…気持ち悪いよね?』


      ――……俺は、お前を助ける!



346: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:41:09.53 ID:MTnjOSI4o

紅莉栖「何だか、些細なことでも気になって!
    イライラして、
    そのわけのわからない感情にまたイラついて、

    方程式も、解もない。
    ……ただ、頭の何処かに引っかかる……、
    脳科学者なのにそんなことも解明できないの……」

岡部「それがどうした!?
   俺は俺、いつでも、どこであろうとも!

   狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真そのものだ!」

紅莉栖「……」


紅莉栖は、
何か苦虫を噛んだような顔をする。


紅莉栖「……岡部、覚えてる?
    私とあなたが初めて会った日のこと。

    私があの時持っていた封筒、
    あれの中身の内容を」

岡部「……ッ!」



347: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:42:13.18 ID:MTnjOSI4o

紅莉栖「……十五分前に出会ったあなたは、
    私を助けるって言った。
    あの時は何のことだか全然わからなかった。

    次に会ったあなたは、「機関」だ何だといって、
    電源の入ってない携帯に語りかける、
    HENTAI厨二病患者になってた、
    まるで十五分前の人間とは別の存在のような、
    私は狐につままれた気分だった」


――『まどかにとっての私は、
        出会ってからまだ1ヶ月も経ってない、
                転校生でしかないものね』


紅莉栖「そして最後にあなたは、
    本当に私を助けてくれた!
    救ってくれた……。
    まるで十五分前のあなたに、
   〝戻った〟ように……」


――『繰り返せば繰り返すほど、
       あなたと私が過ごした時間はずれていく。

        気持ちもずれて、
      言葉も通じなくなっていく。

         たぶん私は、
    もうとっくに迷子になっちゃってたんだと思う』



348: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:43:14.87 ID:MTnjOSI4o



紅莉栖「……どうして?
    私はずっとわからなかった……。
    だから、あなたを捜していたの!
    一言でもお礼が言いたくて、
    自分の気持ちを確かめたくて、
    どうしても、あなたに会いたくて……」


――『あなたを救う。
       それが私の最初の気持ち。

     今となっては……たった一つだけ、
        最後に残った道しるべ』


紅莉栖「再会した岡部は、
    また変な厨二病患者になっちゃってたけど、

    でもどこか懐かしい感じがして、
    でも心当たりはなくて……」


――なに!?俺が守れだと!?


紅莉栖「……それでも今日、
    私はひとつの仮説を立てられた」


――『わからなくてもいい。
       何も伝わらなくてもいい。
         それでもどうか、お願いだから、
     あなたを私に守らせて……ッ!』


紅莉栖「岡部、……十五分前のあなたと、
            十五分後のあなた」

岡部「紅莉――」

紅莉栖「何が、違うの!?教えてよ……」

岡部「それは――」



349: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:43:54.06 ID:MTnjOSI4o


紅莉栖「答えられないんでしょ?
    だったら私が言ってあげる。

    〝あの論文〟を書いた私がっ!岡部……」


紅莉栖は一旦間をあけて、
俺をしっかりと瞳に捉え、口を開く。


紅莉栖「岡部!あなたは――」


――『そうまでして、
   鹿目まどかの運命を変えたいのかい?』


岡部「紅莉栖ッ!!!」


俺は紅莉栖の言葉を遮った。
その言葉は、ダメだ……。



350: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:44:29.40 ID:MTnjOSI4o


世界線の未来を、
無限の可能性をこのまま保つためには、
どんな障害も存在してはいけないんだ。

そのためにも俺は、
どんな犠牲を被ってでも隠し通さねばならない。
例え気付かれても、言葉にさせてはいけない、
その存在を許してはいけない。

俺は、俺だ。

一人の人間で、

学生で、

狂気のマッドサイエンティストで、

鳳凰院凶真であり、岡部倫太郎でもあるんだ。
それ以上でも、それ以下でもない。


紅莉栖「どうして!?
    何で言わせてくれないの!?
    やっぱりあなたは――ッ!?」




俺は紅莉栖を抱きしめていた。



351: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:45:08.79 ID:MTnjOSI4o

紅莉栖「……岡……部……?」

岡部「……お前が何を喋っても、
   俺を論破しても、
   俺の存在が変わったことがあったか?

   どんなことがあっても、
   俺は変わらない。
   〝なかったこと〟にしたことはない。

   お前の話しを聞かなくても、
   お前に無視されても、
   俺は俺、鳳凰院凶真であり、
   岡部倫太郎なんだよ……」

紅莉栖「……岡部」

岡部「だから、
   お前はイラつく必要もないし、
   方程式も、解もいらない。

   わからなくてもいい、
   何も伝わらなくてもいい。
   紅莉栖は紅莉栖らしくていい。
         ――他には何も考えるな」



352: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:46:14.69 ID:MTnjOSI4o

紅莉栖「……うん」


岡部「お前はここに居ていいんだ!

   俺も、

   ダルも、まゆりも、萌郁も、

   ルカ子も、フェイリスも!

   そして、今は居ないラボメンナンバー008も!

   お前の存在を望んでる!
          ――紅莉栖じゃなきゃダメなんだ!!」

紅莉栖「……うん」


岡部「だから、心配するな。

   俺は、
   俺たちはお前をいらないなんて思ってない。
   ここにいてくれれば、それだけでいい。
          ――余計なことは考えなくていい」

紅莉栖「……うん」



353: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:46:45.27 ID:MTnjOSI4o



岡部「わかったな?わかったら、
   いつものクリスティーナに戻るのだな!

   お前がそんな調子だと、
   俺の調子が狂うんだ。
   居心地が悪いんだよ。

   だから、紅莉栖は助手として、我がラボの頭脳!
   クリティーナとして存在し続けろ!

   これは俺との、『約束』だぁッ!!

               ――フゥーハハハ!!!」

紅莉栖「うん……岡部、あのね?」


紅莉栖が、優しく語りかける。



354: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:47:50.98 ID:MTnjOSI4o

紅莉栖「私、岡部に伝えなきゃいけない言葉があるの」


……あれ、ちょっと待って。
これ何か、
良いふいんき(何故かry)なんじゃね?


紅莉栖「岡部に逢えたら……伝えられなかった言葉を言うんだって……」


俺は今更、
自分が今している行動に対しての、
自覚が芽生える。


紅莉栖「いつも、夢で見る……私の大切な想い」


   ――これは、未来へのタイムトラベル!!

   ――さよなら。私も、岡部のことが……。





紅莉栖「私もっ!岡部のことがっ!!……大――」
        ――バタンッ!



355: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:48:32.43 ID:MTnjOSI4o



急に、ラボのドアが開け放たれた。
俺と、紅莉栖の顔がそちらへ向く。


ダル「イイハナシダナー!!!;;」


は?


まゆり「ダ、ダルくーん!!
    ダメだよぉ~……とってもいい所だったのにぃ」


ダルと、
何か板持ったまゆりがラボに入ってくる。
え?


フェイリス「もー!
      ダルニャンは、せっかちなのニャ!」


聞きなれた声がどんどん増えていく。
カシャッ!というシャッター音も聞こえた。


萌郁「……惜しい……」


ちょっと展開についていけない。


ルカ子「ごめんなさい……ごめんなさい岡部さん……」


何か涙目のルカ子も来た、
ってこれでラボメン全員か。



356: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:49:42.78 ID:MTnjOSI4o

ダル「数多のエロゲーをやった僕でも感動した!
   オカリンは人生!」

まゆり「あのね、
    ごめんねオカリン?……これー」


板を掲げるまゆり。
その手には、


 ―――――――――――――
|   ドッキリ大成功       |
|リア中\(^o^)/爆発しろー☆|
 ―――――――――――――


と書かれた板が高らかに挙げられていた。


岡部「どういう……ことだ……助手よ?」

紅莉栖「え、え、え?何??何なの???」


俺が聞きたい。


フェイリス「そういうことニャのニャン」

ルカ子「すみません、
    岡……凶真さん。ボクたち、その……」

ダル「みんなは悪くないお!
   これは僕が発案したことッ。
   フェイリスたん、
   君は僕が必ず守ってみせる」キリッ


は、発案……だと?
それはつまり、どういうことだ?



357: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:51:01.32 ID:MTnjOSI4o

まゆり「あ、あのね~、まゆしぃがね、
    ダルくんに、
    『オカリンと紅莉栖ちゃんが一緒にアニメ見てるみたい☆』って、
    メールを送ったのです」


ダル「それで、オカリンの野望を察知した僕が、
   その野望を阻止すべく、立ち上がったというわけ」


全然わかりません。


フェイリス「雨も弱くニャってきたし、
      ラボに行くニャら今しかニャい!
      ってことで、
      みんなを拾って移動してきたのニャ!」

岡部「お、お前たち……アニメは?
   『まど☆マギ』見てたんじゃないのか?」

ダル「まあ、みんな視聴済みだったし。

   それよりも、
   オカリンと牧瀬氏の行方のが気になるっつーか、
   許せないっつーか?」


だんだん、話しが見えてきた。


ダル「で、僕がオカリンと牧瀬氏が良い雰囲気になったら、
   凸しようってことでみんなラボの前で張ってたんだお」


ああ、そういう、ことか。
このラボは、声が外によく漏れる。



358: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:51:49.47 ID:MTnjOSI4o

岡部「どこから、聞いていたのだ?」

ダル「牧瀬氏が、
   オカリンに無視されてた所から」


ほぼ全部じゃねーか。

俺は他のラボメンの目を一人一人見渡す。
まゆり以外は全員目を逸らした。


ダル「でも聞いてる内に、
   牧瀬氏があまりにもクァイイくなってしまいましてね。
   ……ちょっと我慢出来なくなったってゆーか……」

フェイリス「結果的に妨害しちゃったのニャ。
      残念だったニャー」

まゆり「ごめんねオカリン、クリスちゃん……」


まゆりが悲しそうな顔をする。
俺はもっと悲しい顔をする。


萌郁「……二人とも、
   こっちを向いて……?」カシャッ





俺は気付いた、
紅莉栖抱きしめたままだと。



359: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:52:39.02 ID:MTnjOSI4o


慌てて離すも、もう遅い。
この現象、何て言うんだろうか。

エターナルフォースブリザード、紅莉栖は死ぬ。
え?ちょ、紅莉栖さん倒れ――



岡部「お、おい!
   クリスティーナ?クリスティーーーーッナ!!」

紅莉栖「……キュー」

―――――――――――――――――
   ―――――――――――――
     ――――――――――
       ―――――――



360: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:53:12.22 ID:MTnjOSI4o


それから俺たちは、
ぶっ倒れた紅莉栖を介抱して、
その日は解散となった。


夜中、勝手に家を出たまゆりやルカ子は、
家族に怒られて、
一週間は学校以外、外出禁止になったりしたという。

もちろんフェイリスも、執事に絞られてしまったそうだ。


ダルは、
何故かあれから鬱になったとかで、
ラボに一週間は顔を出さ無かった。
リア充は氏ね!と言う言葉を残して。


萌郁は、
シスターブラウンが魔法少女にはまってしまったらしく、
それが、ミスターブラウンにバレて、
しばらく怒られっぱなしだったそうな。
まあ、あんなアニメにはまれば、
そうなるのもやぶさかではないか。



361: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:53:43.52 ID:MTnjOSI4o


ぶっ倒れた紅莉栖は、
しばらく口も聞いてくれなかった。
電話もメールも完全無視。
ラボにも顔出さないし、
ほとぼりが冷めるまでは、
もうダメそうだ。


最後に、

あいつは何を言いかけたんだろう?

この世界線でも、

紅莉栖の言葉は最後まで聞けないんだな。

これも収束か?違うか。



362: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:55:03.54 ID:MTnjOSI4o




これは俺たちの、選択の結果だ。

まあ、これから時間はたくさんある。

ゆっくりと、いつかまた聞けばいいさ。



     「この世界は、無限の可能性に溢れている」
     『この世界は、無限の可能性に溢れている』




     『私は、この世界と、まどかを守るためならば』

     『どんなことをしてでも、諦めることはしない』




     「だから――」
     『――だからね、まどか?』



363: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:56:48.44 ID:MTnjOSI4o




another-004502-363
 



364: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:57:48.12 ID:MTnjOSI4o



―――命の主張と、無意味な証明―――


まゆり「わー☆みんなカワイイよぉ~」

ルカ子「ボク……恥ずかしいぃ……」

ダル「うはwwwwおkwwww」

萌郁「……円環の……断り?」


―――あなたには、退屈しのぎに、足らぬ滑稽―――


フェイリス「ニャーン!フェイリスの魔法!

     チェシャー・テンプテーション
     チェシャ猫の誘惑ニャ!……食うかい?」

ダル「ありがとうございます、ありがとうございます!
   その槍で僕を貫いてください!お願いします!」

紅莉栖「HENTAI自重しろ」

岡部「あまり騒ぐなお前たち!外に聞こえるぞ!」



365: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:58:52.95 ID:MTnjOSI4o



―――支配者きどりの、愚かな種族は―――


まゆり「みんながコスプレしてくれて~、
    まゆしぃはとっても嬉しいなって♪」

紅莉栖「……まゆりのために着てるんだからなっ!
    岡部!勘違いしないでよ!」

岡部「まだ、何も言ってないわけだが」

ダル「オカリン、言い忘れてたことがあるお。
              ――今すぐ爆発しろ」


―――うぬぼれた、稚拙な定理を、並べた―――


岡部「ダル、その言葉、
   いつかそっくりそのまま返してやるから覚えてろ?」

ダル「どういう意味だお?
   ……まさか、
   僕とフェイリスたんの仲を取り持って!?」

岡部「あ、それはない」

ダル「――リア充……氏ね」



366: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:59:27.71 ID:MTnjOSI4o



―――『無限』と、信じた愛も―――


ルカ子「ボク、おかb……凶真さん!」

岡部「な、何だルカ子?」

ルカ子「ボクは……ボクは……!
   ――後悔したくありません!!」

岡部「!?」

ダル「ちょwwwwこの展開wwww」


―――空の彼方も―――


紅莉栖「まさか、これは……」

まゆり「トゥッ?……トゥルー!……トットゥルー♪」

萌郁「……禁断の……愛……デスワ」


―――僕たちに、示された、仮想の自由―――


岡部「落ち着けルカ子!
   後悔なんてあるわけない!!」

ルカ子「ボクと、ボクと……」

ダル「ハァハァ、僕的にはこの展開、
   全然有りな件」



367: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 00:59:59.38 ID:MTnjOSI4o



―――『有限』それは、無慈悲に、時を刻み―――


紅莉栖「あ!岡部が逃げた!!」

ルカ子「ぁ……待ってぇ!岡部さん!!」


―――明日さえも、否定する、選択へ―――


岡部「その未来は嫌だあああああアッー!」


    ―――Hacking to the Gate―――



368: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 01:00:43.80 ID:MTnjOSI4o



―――いくつもの、輝ける日々、仲間との約束―――


岡部「俺は今日も生きる」

ほむら『――悲しみと憎しみばかりを繰り返す、
    救いようのない世界だけれど』


―――〝なかったことには〟、してはいけない―――


岡部「この世界で、無限の可能性を観測し続ける」

ほむら『だとしてもここは、
    かつてあの子が守ろうとした場所なんだ』



369: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 01:01:49.45 ID:MTnjOSI4o




―――そのために、時を欺く、残された仕掛けに―――



岡部「仲間との約束を守り、犠牲は無駄にはしない」

ほむら『それを、覚えてる。決して、忘れたりしない』



―――もう迷いはない、孤独の観測者―――



  岡部「だから俺は、戦い続ける――」
 ほむら『だから私は、戦い続ける――』







370: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 01:02:48.51 ID:MTnjOSI4o

まゆり「オカリン屋上にいるよー!」

ダル「逃げ場はないお!」

紅莉栖「待ちなさい!岡部」

萌郁「……みんなで……写真……ティロ……フィナーレ♪」

ルカ子「聞いてください!凶真さーん!!」

フェイリス「逃がさないニャアー!!」

岡部「フ、フフ、フゥーハハハ!
          
   聞けぇ!今ここにワルプルギスの夜は決した!」



岡部「『魔法少女まどか☆マギカ』とこの俺、
   狂気のマッドサイエンティストである鳳凰院凶真は、
   そのアインシュタインにも匹敵するIQ170の怜悧なる頭脳により!
   ――〝機関〟及びインキュベーターのあらゆる攻撃に対して、  
   時空を操ることで完全に勝利した!

   我らは神に等しき存在になったのだ!
   そして!たどり着いたこの大いなる地平こそ、
   我らが野望の叶う世界!世界の支配構造はリセットされ、
   混沌の未来が待つであろう!

   そうっ、まさにっ、これこそがシュタインズ――」

紅莉栖「岡部」


ふいに。
宣言を続けている最中なのに、紅莉栖の声で遮られた。
なんだか、この展開覚えがあるぞ――



371: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 01:03:31.56 ID:MTnjOSI4o


     紅莉栖「厨二病乙」


くそっ!!やっぱり助手は助手!!
しおらしかったのはあの時だけかよっ!


そう考えていると、ラボメン全員が俺を見て、
何かを待っている。


紅莉栖「……やっぱり、続き……聞かせて?



             ――今の言葉の、続きっ!」



372: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 01:05:09.97 ID:MTnjOSI4o



―――だから今、1秒ごとに、世界線を越えて―――


まゆり「オカリン♪」

                  ダル「オカリン!」


―――君のその笑顔、守りたいのさ―――


紅莉栖「岡部!」

                  萌郁「……岡部君……!」


―――そしてまた、悲しみの無い―――


ルカ子「凶真さん!」

                  フェイリス「凶真!」


―――時間のループへと―――


    鈴羽『岡部倫太郎!オカリンおじさん!』



373: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 01:06:20.06 ID:MTnjOSI4o





―――飲み込まれてゆく―――




岡部「フ、フハハ!
   ……そうっ、まさにっ、これこそが――」




―――孤独の観測者―――




      シュタインズ・ゲート
     「『Steins;Gate』の選択だよ」



374: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 01:07:22.34 ID:MTnjOSI4o

There is no end though there is a start in space.
--- Infinity.
宇宙に始まりはあるが、終わりはない。
―― 無限

It has own power, it ruins, and it goes though there is a start also in the star.
--- Finite.
星にもまた始まりはあるが、自らの力を持って滅びゆく。
―― 有限

Only the person who was wisdom can read the most foolish one from the history.
英知を持つ者こそ、もっとも愚かであることが、歴史からも読み取れる。

The fish that lives in the sea dosen't know the world in the land.
It also ruins and goes if they have wisdom.
海に生ける魚は、陸の世界を知らない。
彼等が英知を持てば、それもまた滅びゆく。

It is funnier that man exceeds the speed of light than fish start living in the land.
人間が光の速さを超えるのは、魚達が陸で生活を始めるよりも滑稽。

It can be said that this is an final ultimatum from the god to the people who can fight.
これは、抗える者達に対する、神からの最後通告と言えよう。



375: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 01:08:42.55 ID:MTnjOSI4o




another-004502-375
 





376: ◆4soo/UO.k6 2011/09/17(土) 01:18:17.35 ID:MTnjOSI4o

以上で終了です。

元ネタ ほむら『交わした約束、忘れないよ』岡部「(´;ω;`)ブワァッ」
の三分割を、一つにまとめて、再編集しながら部分部分の修正を加えました。
シュタゲの途中でやった時と、シュタゲの終わった今を見計らって、
せっかくなので、また見て貰いたかったという気持ちです。

実は、この後に設定として、
「いたずら誕生日」を岡部が企画したり、「星を見に行ったり」するという裏設定。

新作をやる時は、また↓で告知します。
http://twitter.com/siatusi_finger

後、一番最初の絵師さん重ね重ねありがとう。忘れないよ。

それでは、また別の世界線でお会いしましょう。



379: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/09/17(土) 03:11:59.28 ID:wQbGBqwe0

乙!
シュタゲ見終わった後だからさらに楽しめたよ!
ここまで来ると本が1冊できるんじゃないかと思えるほどの内容と文量
というか本で欲しいくらいだ



381: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) 2011/09/17(土) 06:48:39.11 ID:lpJ7/qyAO

初見だがこれはすげぇ。
ていうかこれは大作。


元スレ
SS速報VIP:岡部「交わした約束」ほむら『忘れないよ』