過去作
曜「メゾン・ド・モルゲンレーテ・日の出?」鞠莉「ひどいメドレーね」
鞠莉「そのメガネって度、入ってるやつ?」曜「うん、伊達じゃないよ」
曜「巷に雨の降るごとく」
曜「鞠莉ちゃんお味噌汁理論」
鞠莉「So Close, Yet So Far」
曜「メゾン・ド・モルゲンレーテ・日の出?」鞠莉「ひどいメドレーね」
鞠莉「そのメガネって度、入ってるやつ?」曜「うん、伊達じゃないよ」
曜「巷に雨の降るごとく」
曜「鞠莉ちゃんお味噌汁理論」
鞠莉「So Close, Yet So Far」
【ようまり】鞠莉「コーヒーに付き合ってほしい?」曜「うん!」
曜「鞠莉ちゃん家にお泊まり」
鞠莉「曜ってさ」曜「うん」
1: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:06:20.23 ID:OPeLjE80.net
ようまり。
2: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:07:14.32 ID:OPeLjE80.net
練習後、帰り道
鞠莉「お神輿を、曜が?」
曜「うん!週末のお祭りで担ぐことになってね」
鞠莉「へえ、凄いじゃない」
曜「規模は小さいんだけど、地元だから結構盛り上がるんだ。みんなで足袋を履いて、法被を着てさ!」
鞠莉「ふふっ。曜が着ると似合いそうね」
曜「えへへっ。それでね、よければ鞠莉ちゃんも一緒にやってみない?」
鞠莉「私も?」
曜「うん!ちょうど担ぎ手を募集してて。鞠莉ちゃんお祭りとか好きそうだし、どうかなって!」
鞠莉「そうねぇ…」
曜「あれ、気乗りしない?」
鞠莉「そういうわけじゃないわ。お祭りは好きだし、楽しそうだし」
曜「なら、どうして?」
鞠莉「お神輿を担ぐんでしょ」
曜「うん」
鞠莉「お神輿って、これまで見ることはあっても、担いだことは無かったから」
曜「心配ってこと?」
鞠莉「少し、ね」
曜「そこは大丈夫!初めて担ぐって人も結構多いし、私が鞠莉ちゃんをしっかりサポートするから!」
鞠莉「うーん…」
曜「何事もチャレンジだよ!見るお祭りも楽しいけど、参加するお祭りはもっと楽しいよ!」
鞠莉「今日の曜は、随分と積極的ね?」
曜「一緒の思い出を作りたいんだよ。法被姿の鞠莉ちゃん、絶対可愛いしね!」
鞠莉「色々言ってたけど、それが本当の狙いなんでしょ?」
曜「あ、わかっちゃった?」
鞠莉「バッチリお見通しデース」クスクス
曜「あははっ!」
鞠莉「ふふっ、わかったわ」
曜「!」
鞠莉「せっかくのお誘いだし、貴重な機会だし。頑張ってやらせてもらおうかな」
曜「本当に?やったぁ!」
鞠莉「その代わり、色々教えてね」
曜「もちろんだよ!よかったぁ、楽しみだね!」
鞠莉(無邪気に喜んじゃって)クス
曜「あっ、バス来てる!ごめん、夜また電話するね!」
鞠莉「ええ、また後でね」
曜「じゃあねー!」ダッ
鞠莉「ふふっ…お祭り、かぁ」
……………………………………
翌日、理事長室
鞠莉(昨日はああ言ったけど…お神輿、私に務まるのかしら)カタカタ
鞠莉(経験も無いし、力だって強いわけじゃない。そもそも、肩で何かを担いだこと自体ほとんど無い)ショーニン
鞠莉(せっかくのデート。カッコ悪いところは見せたくないし…ん?)
職員室行きの重い書類「…」ズッシリ
鞠莉「…ふむ」
……………………………………
廊下
果南「でね、その時…あれ?」
ダイヤ「どうかしましたか…あら?」
鞠莉「よいしょ、っと」フラフラ
果南「重そうな書類を肩に乗せて歩いてる。なに、あれ」
ダイヤ「私に聞かれましても…体幹やバランスを鍛えてるんでしょうか」
鞠莉(むぅ、肩乗せって安定しないのね)ヨロヨロ
果南「にしては、足取りがおぼつかないような」
ダイヤ「手伝った方がいいんでしょうか」
鞠莉(本番で足を引っ張らないように、少しでも練習しておかなくっちゃ!)
……………………………………
週末、渡辺家
鞠莉「いよいよね…よしっ」ピンポーン
『…はーい!』
鞠莉「チャオ!」
『チャオ!今行くね!』
ダダダ…ガチャ
曜「鞠莉ちゃん、いらっしゃい!」
鞠莉「ハァイ!って、もう着替えてたの?」
曜「お祭りだーって思ったら、居ても立っても居られなくて!」
鞠莉「ふふ、今日も元気いっぱいね」
曜「へへ、どうかな?」くるっ
鞠莉(…かわいい)
曜「鞠莉ちゃーん、感想が聞きたいなー?」フリフリ
鞠莉「あ…コホン。よく似合ってる。とってもチャーミングよ」
曜「そう?えへへっ!」
鞠莉「今日は色々とよろしくね」
曜「うん!さあ、上がって上がって!」
鞠莉「はいはい、お邪魔しまーす」
……………………………………
曜の部屋
曜「それじゃあ早速、鞠莉ちゃんをお祭りスタイルにしていくね!」
鞠莉「曜の腕、信用してるわ。それで、どうすればいいの?」
曜「まずは法被の着付けからやっていくよ。髪型とかはその後で!」
鞠莉「ん、わかったわ」
曜「はい、これが鞠莉ちゃんの法被だよ!借り物だけど、サイズに関しては大丈夫だと思う」
鞠莉「わあっ!こういうの初めてだからワクワクしちゃう!」
曜「まずはね、この股引から履いていくんだ」
鞠莉「この、白いハーフパンツみたいなものね」
曜「うん。履き終わったら教えてね」
鞠莉「はーい」
曜「あれ、団扇とかどこ置いたかなー」
鞠莉「よっ、と…思ったよりタイトなのね」
曜「ぶかぶかしてるとカッコ悪いし、事故のもとだからね」
鞠莉「なるほどね…はい、終わったわ」
曜「どれどれ。おっ、サイズはばっちりだね。少し整えるよ」ギュッ
鞠莉「んっ」
曜「よし、これでオーケー!」
鞠莉「うん、ジャストフィットね!」
曜「それでね、次はいよいよ上を着付けていくんだけど、その…」ソワソワ
鞠莉「どうしたの、急にソワソワしだして」
曜「えっとね、少し言いにくいんだけど…」
鞠莉「うん」
曜「服を脱いで、ブラも、外してもらえるかな…?」
鞠莉「なんだぁ、そんなことくらい…えっ?」
曜「あの、ほら…法被の下には、サラシを巻くものだから…」
鞠莉「あ、ああ…そうなんだ」
曜「う、うん」ソワソワ
鞠莉「…っ」モジモジ
曜「…」ソワソワ
鞠莉「…あの」
曜「は、はいっ!?」
鞠莉「脱ぐから、反対側を向いてもらえると嬉しいんだけど…」
曜「あ、ああっ!ごめんねっ!」クルッ
鞠莉「もう…」クスッ
パサッ プチッ
鞠莉「…はい、準備できたよ」
曜「う、うんっ」
曜「それじゃあ、これから巻いていきますので…よろしくお願いします」
鞠莉「そんなに緊張しなくたって。いつも見てるでしょ?」クスクス
曜「あはは、改まるとね…じゃ、お腹から巻いていくから、サラシを脇腹に当ててみて」
鞠莉「この辺りでいい?」
曜「うん、大丈夫。これを下から上に巻き上げていくんだけど、鞠莉ちゃん、その場でくるくるって回ってもらえるかな」
鞠莉「Oh!あーれー、ってやつ?」
曜「まあ、その逆パターンって思ってくれればいいかな」
鞠莉「ということは…外す時はお楽しみね?」クスッ
曜「もう、そんなことばっかり言って…」
鞠莉「はいはい、ちゃんとやるって」クルクル
曜「そうそう、いい感じ。あ、引っ張るから一旦待って」
鞠莉「はーい」
曜「よっ」グイ
鞠莉「んっ」
曜「よし、いいよー」
鞠莉「あーれー」クルクル
曜「ふざけないの」
鞠莉「ふふっ♪お代官様、お主も悪よのぉう」
曜「混ざってるよ、それ」
鞠莉「そうなの?正解を教えて。後で曜に試すから」
曜「なら黙ってることにする。あ、ストップ」
鞠莉「ケチー」
曜「ケチとか言わない。はい、いいよー」
鞠莉「…」フム
鞠莉(せっかくだから、少しからかってみようかな?)
曜『それじゃ、いよいよ胸を巻いていくから…』
鞠莉『優しく、お願いね?』
曜『うん、行くよ…』
ギュ
鞠莉『Oh!』
曜『あっ!ご、ごめん!キツかった?』
鞠莉『ううん。ただ、曜の手つきが柔らかかったなって』
曜『うええっ!?』
鞠莉『ふふっ。もしかして、お祭りに誘ってくれたのはこのためだった、とか?』
曜『そ、そんなわけ!ほ、ほら途中だよ、ちゃんと巻かなきゃ』
鞠莉『はーい…んあっ!』
曜『ま、鞠莉ちゃんっ!』カァァ
鞠莉(うふふっ♪なーんて具合に、オーバーリアクションでドキドキさせちゃったり?)
曜「それじゃ、胸を巻いていくよー」
鞠莉「はーい♪」
ギュギュッ!
鞠莉「んっ!?」
曜「大丈夫、キツくない?」
鞠莉「え、ええ。問題ないわ」
鞠莉(思ったよりも強くて、リアクションが取れなかった…)
曜「なら、もう少し締めていくね」
鞠莉「えっ!まだ締めるの?」
曜「そりゃもちろん。緩んで外れたら、大変なことになっちゃうからね」グイー
鞠莉「んんっ!?」
曜「こーら。変な声ださないの」
鞠莉「い、今のはわざとじゃ、んあっ!」
曜「具合はどうですかー?」グッ
鞠莉「す、少しキツいかも…」
曜「ふむ。巻きすぎも良くないし、加減が難しいんだよねぇ…これならどう?」
鞠莉「ん、大丈夫…」
曜「よし!じゃあ固定するね」グイ
鞠莉「…むー」
曜「ん、どうかしたの?」
鞠莉「べっつにー」プィ
曜「そう?…よし、出来た!鏡で確認してみて」
鞠莉「ふーんだ…わ、すごく綺麗に巻けてる!」
曜「これなら途中ではだける心配もないし、苦しくて動きづらいってこともないはずだよ」
曜「あとは法被を着てもらって、帯を締めたら…よし、完成!」
鞠莉「わあ…素敵!」
曜「法被って、ビシッとするから気分が引き締まるよね!」
鞠莉「何より、曜とお揃いなのが嬉しいわ」
曜「えへへっ。続いて髪型の方、セットしていきまーす」
鞠莉「はーい」
曜「動くことを考えて、アップにしちゃうね」
鞠莉「お任せするわ」
曜「んー。高さはこの辺りでいいかな」スッ
鞠莉「スクールアイドルの衣装から、法被の着付け、それにヘアセットまで。流石Aqoursのスタイリストさんね」
曜「あはは、恐れ入ります」
鞠莉「ん?そういえば、曜はどうやって自分のを着付けたの?」
曜「ママに手伝ってもらったんだ。一人じゃできない作業だからねー」
鞠莉「なるほどねぇ」
曜「――よしっ!最後にねじりハチマキを巻いてもらえば…」ギュ
曜「これで完成!お祭り鞠莉ちゃんの出来上がり!」
鞠莉「ありがとう!ふふ、これで準備万端ね!」くるっ
曜「わぁ…」
鞠莉「ん?」
曜「あ、法被姿が似合ってて、すごく可愛いなって思って!」
鞠莉「あら、お上手ね」
曜「いやいや。前から思ってたけど、鞠莉ちゃんって着こなせない服は無いんじゃないかな?」
鞠莉「どうやら今日は絶好調みたいですねぇ。お祭りだから?」クスクス
曜「素直な感想なんだけどねー」
……………………………………
鞠莉「足袋って初めてだけど、地面の感触が足に伝わって面白いわね」
曜「石とか踏むと痛いんだ。気をつけてね」
鞠莉「ふふっ」ニコニコ
曜「どうかした?」
鞠莉「こういうの、なんだか嬉しくって」
曜「わかるよ。お祭りってワクワクするもんね!」
鞠莉(んー、そういうのとは少し違うんだけどなぁ)
ドン、ドンドンドン…
鞠莉「あ、太鼓の音?」
曜「時間の合図だね。広場はこの先だよ!」ギュ
鞠莉「!」
鞠莉(手、握ってくれた…)
曜「今日はめいっぱい盛り上げちゃおうね!」
鞠莉(道行く人も増えて来た。みんな法被姿で、キラキラしてて嬉しそうで)
鞠莉(私たちも、そう見えてるのかな?)
……………………………………
広場
ワイワイ ガヤガヤ
鞠莉「わあ…笛や太鼓のリズムに合わせて、会場が一つになってる!」
曜「この熱さ、このワクワク感!お祭りって感じがするよー!」
鞠莉「そして、正面のあれがお神輿ね」
曜「見た感じはどう?」
鞠莉「んー。大きくてパワフルな印象だったけど…むしろディテールが繊細なのね」
曜「キラキラしてて綺麗だよね!」
鞠莉「持ち上げるとなると、また見方が変わっちゃいそうだけどね」
曜「ああ、そうだった。お神輿を担ぐにあたって、一つだけお願いがあるんだけど」
鞠莉「うん」
曜「絶対に頑張りすぎないこと」
鞠莉「あら、そんなこと?」
曜「大事なことだよ。暑いなかでのハードワークだし、鞠莉ちゃんの場合は背が高いからさ」
鞠莉「と、言うと?」
曜「身長が高い人だと、担いだ時に重さがかかるんだよ。かと言ってかがむと、今度は足や腰に負担が行っちゃうから」
鞠莉「なるほどね」
曜「担ぎ手さんも沢山いるし、辛くなったら途中で抜けても大丈夫だからね」
鞠莉「わかったわ。セーフティ・ファーストで無理はしない。約束よ」
曜「うん!さ、スタンバイだね!」
「担ぎ手の人はお神輿の準備の方お願いしまーす!」ワイワイ ガヤガヤ
曜「鞠莉ちゃん、前の方が空いてるよ!」
鞠莉「いきなり前で大丈夫なの?」
曜「一番前は慣れた人がやるから、その後ろに居れば大丈夫!先頭はお神輿の醍醐味だよ!」
鞠莉「なるほど、お祭りの特等席ってわけね」
曜「鞠莉ちゃんはこっちで、私は隣の担ぎ棒。これなら二人並んで担げるよ!」グッ
鞠莉(これもまた特等席、ね)グッ
「ここ、誰か入って!」「準備はいいー!?」
曜「人も行き渡ったし、そろそろスタートだよ」
鞠莉「この緊張感。ライブ前に似てるわね」
曜「高飛び込みの直前にもね。へへ、頑張ろうね!」
鞠莉「ええ!」
「行くぞーっ!!」
ようまり「おおー!」
カン、カンカンッ!
曜「上げるよ!せーのっ!」ググ
鞠莉「せっ!」ググ
「おおーっ!」パチパチパチ
鞠莉「あがっ、たぁ!」ググ
曜「よし、移動開始だよ!」
ドンドンドン、ピーヒャララ…
「わっしょい、わっしょい!」
鞠莉(凄い…お神輿を中心にして、この場にいるみんなが一つになってる)
鞠莉(これがお祭り…みんなで力を合わせると、こんなこともできちゃうのね!)
曜「鞠莉ちゃん!調子はどう?」
鞠莉「見ての通りよ!笛も太鼓も掛け声も、最高にバーニング!」
曜「あはは、元気一杯だね!」
鞠莉「この熱さと一体感!シャイニーっ!」
曜「ヨーソロー!」
鞠莉「頑張って、二人でゴールしましょうね!」
曜「うんっ!」
「わっしょい、わっしょい!」
……………………………………
ドン、ドンドンドン、ピーヒャララ…
「わっしょい、わっしょい!」
鞠莉「はぁ、はぁっ」
曜「鞠莉ちゃん、大丈夫?」
鞠莉「はぁっ、ええ、まだまだ平気よ」
曜「どうもね、例年よりも進むペースが早いみたいなんだ」
曜「つまり、休憩ポイントに早く着いて、その分休みを多く取るって作戦なわけだけど」
鞠莉「道中はノンストップでハード、というわけね」
曜「そうなるね。無理はダメだよ」
鞠莉「わかってるわ、大丈夫っ!」
鞠莉(お神輿って…楽しいけど、なかなか大変ね…)
「わっしょい、わっしょい!」「ほら右側、下がってるよ!」
鞠莉(さっきより重く感じるのは、疲れのせいだけじゃない…抜ける人が多増えたけど、代わりの人が入ってこない)
鞠莉(みんな、疲れてきてるんだ…)
「おい、落ちるよ!」「誰かこっちに回れる!?」
鞠莉(今は右側が手薄なのね。お神輿もそちら側に傾いてるみたいだし…)
曜「鞠莉ちゃん。右の方、ちょっと手を貸しに行きたいんだけど…」
鞠莉「そうね…前の方は人も多いし、きっとなんとかなるわ。助けに行ってあげて」
曜「ごめんね、立て直したらすぐ戻るから!」
鞠莉「無理はダメよ?」
曜「鞠莉ちゃんもね!ここ抜けまーす!」バッ
鞠莉「任せてっ!」グッ
鞠莉(曜の前では、強がってみたけど…)
鞠莉(棒が肩に食い込むし、肩をかばうと腰が痛い…体力的には限界…カッコつけちゃったかしら…)
「はぁ、はぁっ…」
鞠莉(前の人もかなり辛そう…でも、引き受けたからには…!)
「頑張って!あと少し!」「わっしょい、わっしょい!」
鞠莉(もうちょっとでゴール…頑張る!)ハァハァ
「よっしゃあ、揉むよー!」「おーっ!」
ユッサ ユッサ カラーン カラーン
鞠莉(っ!?こんなタイミングで揺らすなんて…!)ググ
「はぁ、うあっ…も、もうダメっ!」バッ
鞠莉「あっ…ぐっ!?」ズシッ
鞠莉(前の人が抜けて、一気に重さが…!)ミシミシ
「そりゃ、そりゃ!」「そりゃ、そりゃあ!」
鞠莉(これじゃ支えきれない…でも、私が抜けたらお神輿が…!)グググ
「まだまだー!」「それーっ!」
鞠莉「ぐっ、ううっ!」ググ…
鞠莉(揺れが激しくて…もう…もたない…!)
鞠莉(曜、ごめん…)フラ
曜「鞠莉ちゃんっ!!」
ぐいっ!
鞠莉「あっ…」
曜「うわっ、重っ!」ググッ
鞠莉「よ、曜…!」
曜「へへ、頑張ったね。交代っ!交代お願いしまーす!」
「私、入る!」「代わるよ!」ぐっ
曜「お願いします!鞠莉ちゃん、少し休もう?」ギュ
鞠莉「…うん」ギュ
鞠莉「はぁ、はぁっ…」
曜「遅くなってごめんね…大丈夫?」
鞠莉「なんともないわ、このくらい…」
曜「そうは見えないよ…ごめんね、頑張らせちゃって」
鞠莉「曜が謝ることじゃないわ、心配ない」
曜「私、これ以上無理して欲しくないよ…よく頑張ったし、ここで終わりに…」
鞠莉「ノー。それは一番イヤよ」
曜「だけど、もしケガでもしちゃったら…」
鞠莉「そうならないように、曜が助けてくれたでしょ?」
鞠莉「さっきの曜、カッコよかった。曜が居てくれるから、私でもここまで来れた」
鞠莉「ゴールまではあと少し。二人でその時を迎えたいの」
曜「けど…」
鞠莉「…一緒がいい。曜と一緒に思い出を作りたいの」
曜「!」
鞠莉「だから、お願い」
曜「…わかった。今日は二人でやり遂げよう!」
鞠莉「…ありがとう」
曜「ふふっ、じゃあラストスパートにいくよ!全速前進!」
鞠莉「ヨーソロー!」
「わっしょい、わっしょい…」
……………………………………
夕方、曜の部屋
曜「うっかりお風呂の予約を忘れちゃうなんて…疲れてるのにごめんね?」
鞠莉「いいのよ。おかげでやっと一息つけるし。ふぅ…」
曜「お祭り、盛り上がったね!どうだった、初めてのお神輿は」
鞠莉「そうねぇ。思った以上にハードだけど、思った以上に楽しかった、かな?」
曜「本当?」
鞠莉「ええ。今でもお神輿とお囃子のリズムが体に残ってるくらいよ」
曜「よかった!無理して付き合わせちゃったんじゃないかなって、心配だったんだ。途中、辛そうだったし…」
鞠莉「それは私が不慣れなせいだもの。一緒にお神輿を担いで、一緒にゴールして…本当に嬉しかった」
鞠莉「素敵な曜も見れたし、ね」
曜「えへへ、鞠莉ちゃんもカッコよかったよ!」
鞠莉「そういえば、ごめんね。団扇も手ぬぐいも、いつのまにか無くしちゃってて…」
曜「担いでるときは夢中だもん、気にしないで。あ、代わりに扇いであげるね!」パタパタ
鞠莉「んー、いい風…」
曜「やっと涼しくなってきたって感じだねー。最近暑すぎでしょ、本当に」パタパタ
鞠莉「…!」ドキッ
鞠莉(曜の胸元、すこしはだけてる…)
曜「ふぅ…」フキフキ
鞠莉(汗を拭う仕草も…火照った顔と、法被姿、日焼けの跡…)
鞠莉(いつもと違って…なんか、すごく…)ドキドキ
曜「あ。そろそろお風呂が沸く頃だから、一緒に――」スッ
グイ
曜「――えっ?」
鞠莉「はぁ、はぁ…よう…」
曜「え、えっと、鞠莉ちゃ――んあっ!?」ビクッ
鞠莉「ん、ん…」チュ
曜「首に…!ど、どうしたのいきなり…んんっ!」
鞠莉「んっ。だって、曜、可愛くて、カッコイイから…んっ」チュ チュ
曜「やあっ!だめ、んっ…!」
鞠莉「曜、よう…!」チュ
曜(ま、鞠莉ちゃんっ…!)ドキドキ
鞠莉「曜…わたし…」ウルウル
曜「!」
鞠莉「わたし、もう…!」グッ
曜「わっ…!」ドサ
曜(鞠莉ちゃんに、押し倒されて…!)ドキドキ
鞠莉「はぁ、はぁっ…もう…!」
曜「ん…」メツムリ
鞠莉「もう、ダメ…」
曜「…え?」
鞠莉「つかれて、ちから入らない…」くたっ
曜「わっ」
鞠莉「もう、うごけない…」
曜「あ…」ポカーン
鞠莉「うぅ…」
曜「…ふふっ、あはははっ!そりゃそうだよ、お祭りで全力を出し切ったんだもん」
曜「なのに、『別のこと』まで頑張っちゃおうなんてさ。鞠莉ちゃんのえっち」
鞠莉「だ、だってぇ…」
曜「…まぁ、色々とドキッとしちゃう気持ちはわかるけどね」
鞠莉「え…?」
曜「私も、そうだから」ギュ
鞠莉「!」
曜「今日の鞠莉ちゃん、キラキラしてて、すっごく可愛くて。私、ずっとドキドキしてたんだよ?」
鞠莉「曜…」
曜「人をその気にさせといて、鞠莉ちゃんは悪い子だね」ナデナデ
鞠莉「んぅ…」
曜「今日の所は『あーれー』も、その先もおあずけだからね」
鞠莉(そんな…)
曜「でも、そんな鞠莉ちゃんに朗報です!なんと私たち、明日は練習お休みです!」
鞠莉「…えっ?」
曜「へへ、段取りいいでしょ?お祭りでヘトヘトになっちゃうなーって思ったから、事前に連絡入れておいたんだ」ホラ
鞠莉「本当だ。いつの間に…」
曜「だからさ、今日と明日はゆっくりしようよ。二人っきりで、さ」
鞠莉「…うんっ」
曜「えへへっ!さ、風邪ひかないうちにお風呂入ろっ。動けないなら、お神輿みたいに担いじゃうからね?」
終わり
全弾撃ち尽くしました。お祭りようまりでした。
なかよしマッチおめでとうございます。本当にありがとうございます。
↓は前に書いたものです。よろしければ併せてお願いします。
鞠莉「わたし、マリーさん!」
ありがとうございました。
いつも乙です
元スレ
練習後、帰り道
鞠莉「お神輿を、曜が?」
曜「うん!週末のお祭りで担ぐことになってね」
鞠莉「へえ、凄いじゃない」
曜「規模は小さいんだけど、地元だから結構盛り上がるんだ。みんなで足袋を履いて、法被を着てさ!」
鞠莉「ふふっ。曜が着ると似合いそうね」
曜「えへへっ。それでね、よければ鞠莉ちゃんも一緒にやってみない?」
鞠莉「私も?」
3: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:07:50.07 ID:OPeLjE80.net
曜「うん!ちょうど担ぎ手を募集してて。鞠莉ちゃんお祭りとか好きそうだし、どうかなって!」
鞠莉「そうねぇ…」
曜「あれ、気乗りしない?」
鞠莉「そういうわけじゃないわ。お祭りは好きだし、楽しそうだし」
曜「なら、どうして?」
鞠莉「お神輿を担ぐんでしょ」
曜「うん」
鞠莉「お神輿って、これまで見ることはあっても、担いだことは無かったから」
曜「心配ってこと?」
鞠莉「少し、ね」
4: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:08:49.49 ID:OPeLjE80.net
曜「そこは大丈夫!初めて担ぐって人も結構多いし、私が鞠莉ちゃんをしっかりサポートするから!」
鞠莉「うーん…」
曜「何事もチャレンジだよ!見るお祭りも楽しいけど、参加するお祭りはもっと楽しいよ!」
鞠莉「今日の曜は、随分と積極的ね?」
曜「一緒の思い出を作りたいんだよ。法被姿の鞠莉ちゃん、絶対可愛いしね!」
鞠莉「色々言ってたけど、それが本当の狙いなんでしょ?」
曜「あ、わかっちゃった?」
鞠莉「バッチリお見通しデース」クスクス
曜「あははっ!」
5: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:09:39.22 ID:OPeLjE80.net
鞠莉「ふふっ、わかったわ」
曜「!」
鞠莉「せっかくのお誘いだし、貴重な機会だし。頑張ってやらせてもらおうかな」
曜「本当に?やったぁ!」
鞠莉「その代わり、色々教えてね」
曜「もちろんだよ!よかったぁ、楽しみだね!」
鞠莉(無邪気に喜んじゃって)クス
曜「あっ、バス来てる!ごめん、夜また電話するね!」
鞠莉「ええ、また後でね」
曜「じゃあねー!」ダッ
鞠莉「ふふっ…お祭り、かぁ」
6: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:11:54.24 ID:OPeLjE80.net
……………………………………
翌日、理事長室
鞠莉(昨日はああ言ったけど…お神輿、私に務まるのかしら)カタカタ
鞠莉(経験も無いし、力だって強いわけじゃない。そもそも、肩で何かを担いだこと自体ほとんど無い)ショーニン
鞠莉(せっかくのデート。カッコ悪いところは見せたくないし…ん?)
職員室行きの重い書類「…」ズッシリ
鞠莉「…ふむ」
7: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:12:35.76 ID:OPeLjE80.net
……………………………………
廊下
果南「でね、その時…あれ?」
ダイヤ「どうかしましたか…あら?」
鞠莉「よいしょ、っと」フラフラ
果南「重そうな書類を肩に乗せて歩いてる。なに、あれ」
ダイヤ「私に聞かれましても…体幹やバランスを鍛えてるんでしょうか」
鞠莉(むぅ、肩乗せって安定しないのね)ヨロヨロ
果南「にしては、足取りがおぼつかないような」
ダイヤ「手伝った方がいいんでしょうか」
鞠莉(本番で足を引っ張らないように、少しでも練習しておかなくっちゃ!)
8: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:15:13.74 ID:OPeLjE80.net
……………………………………
週末、渡辺家
鞠莉「いよいよね…よしっ」ピンポーン
『…はーい!』
鞠莉「チャオ!」
『チャオ!今行くね!』
ダダダ…ガチャ
曜「鞠莉ちゃん、いらっしゃい!」
鞠莉「ハァイ!って、もう着替えてたの?」
曜「お祭りだーって思ったら、居ても立っても居られなくて!」
鞠莉「ふふ、今日も元気いっぱいね」
曜「へへ、どうかな?」くるっ
鞠莉(…かわいい)
9: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:15:47.57 ID:OPeLjE80.net
曜「鞠莉ちゃーん、感想が聞きたいなー?」フリフリ
鞠莉「あ…コホン。よく似合ってる。とってもチャーミングよ」
曜「そう?えへへっ!」
鞠莉「今日は色々とよろしくね」
曜「うん!さあ、上がって上がって!」
鞠莉「はいはい、お邪魔しまーす」
10: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:16:49.19 ID:OPeLjE80.net
……………………………………
曜の部屋
曜「それじゃあ早速、鞠莉ちゃんをお祭りスタイルにしていくね!」
鞠莉「曜の腕、信用してるわ。それで、どうすればいいの?」
曜「まずは法被の着付けからやっていくよ。髪型とかはその後で!」
鞠莉「ん、わかったわ」
曜「はい、これが鞠莉ちゃんの法被だよ!借り物だけど、サイズに関しては大丈夫だと思う」
鞠莉「わあっ!こういうの初めてだからワクワクしちゃう!」
11: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:17:17.18 ID:OPeLjE80.net
曜「まずはね、この股引から履いていくんだ」
鞠莉「この、白いハーフパンツみたいなものね」
曜「うん。履き終わったら教えてね」
鞠莉「はーい」
曜「あれ、団扇とかどこ置いたかなー」
鞠莉「よっ、と…思ったよりタイトなのね」
曜「ぶかぶかしてるとカッコ悪いし、事故のもとだからね」
鞠莉「なるほどね…はい、終わったわ」
曜「どれどれ。おっ、サイズはばっちりだね。少し整えるよ」ギュッ
鞠莉「んっ」
曜「よし、これでオーケー!」
鞠莉「うん、ジャストフィットね!」
12: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:18:22.14 ID:OPeLjE80.net
曜「それでね、次はいよいよ上を着付けていくんだけど、その…」ソワソワ
鞠莉「どうしたの、急にソワソワしだして」
曜「えっとね、少し言いにくいんだけど…」
鞠莉「うん」
曜「服を脱いで、ブラも、外してもらえるかな…?」
鞠莉「なんだぁ、そんなことくらい…えっ?」
曜「あの、ほら…法被の下には、サラシを巻くものだから…」
鞠莉「あ、ああ…そうなんだ」
曜「う、うん」ソワソワ
鞠莉「…っ」モジモジ
13: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:18:48.58 ID:OPeLjE80.net
曜「…」ソワソワ
鞠莉「…あの」
曜「は、はいっ!?」
鞠莉「脱ぐから、反対側を向いてもらえると嬉しいんだけど…」
曜「あ、ああっ!ごめんねっ!」クルッ
鞠莉「もう…」クスッ
パサッ プチッ
鞠莉「…はい、準備できたよ」
曜「う、うんっ」
14: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:19:37.57 ID:OPeLjE80.net
曜「それじゃあ、これから巻いていきますので…よろしくお願いします」
鞠莉「そんなに緊張しなくたって。いつも見てるでしょ?」クスクス
曜「あはは、改まるとね…じゃ、お腹から巻いていくから、サラシを脇腹に当ててみて」
鞠莉「この辺りでいい?」
曜「うん、大丈夫。これを下から上に巻き上げていくんだけど、鞠莉ちゃん、その場でくるくるって回ってもらえるかな」
鞠莉「Oh!あーれー、ってやつ?」
曜「まあ、その逆パターンって思ってくれればいいかな」
鞠莉「ということは…外す時はお楽しみね?」クスッ
曜「もう、そんなことばっかり言って…」
15: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:20:21.33 ID:OPeLjE80.net
鞠莉「はいはい、ちゃんとやるって」クルクル
曜「そうそう、いい感じ。あ、引っ張るから一旦待って」
鞠莉「はーい」
曜「よっ」グイ
鞠莉「んっ」
曜「よし、いいよー」
鞠莉「あーれー」クルクル
曜「ふざけないの」
16: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:20:53.30 ID:OPeLjE80.net
鞠莉「ふふっ♪お代官様、お主も悪よのぉう」
曜「混ざってるよ、それ」
鞠莉「そうなの?正解を教えて。後で曜に試すから」
曜「なら黙ってることにする。あ、ストップ」
鞠莉「ケチー」
曜「ケチとか言わない。はい、いいよー」
鞠莉「…」フム
鞠莉(せっかくだから、少しからかってみようかな?)
17: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:22:04.11 ID:OPeLjE80.net
曜『それじゃ、いよいよ胸を巻いていくから…』
鞠莉『優しく、お願いね?』
曜『うん、行くよ…』
ギュ
鞠莉『Oh!』
曜『あっ!ご、ごめん!キツかった?』
鞠莉『ううん。ただ、曜の手つきが柔らかかったなって』
曜『うええっ!?』
鞠莉『ふふっ。もしかして、お祭りに誘ってくれたのはこのためだった、とか?』
曜『そ、そんなわけ!ほ、ほら途中だよ、ちゃんと巻かなきゃ』
鞠莉『はーい…んあっ!』
曜『ま、鞠莉ちゃんっ!』カァァ
鞠莉(うふふっ♪なーんて具合に、オーバーリアクションでドキドキさせちゃったり?)
18: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:22:52.56 ID:OPeLjE80.net
曜「それじゃ、胸を巻いていくよー」
鞠莉「はーい♪」
ギュギュッ!
鞠莉「んっ!?」
曜「大丈夫、キツくない?」
鞠莉「え、ええ。問題ないわ」
鞠莉(思ったよりも強くて、リアクションが取れなかった…)
曜「なら、もう少し締めていくね」
鞠莉「えっ!まだ締めるの?」
曜「そりゃもちろん。緩んで外れたら、大変なことになっちゃうからね」グイー
鞠莉「んんっ!?」
19: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:23:20.26 ID:OPeLjE80.net
曜「こーら。変な声ださないの」
鞠莉「い、今のはわざとじゃ、んあっ!」
曜「具合はどうですかー?」グッ
鞠莉「す、少しキツいかも…」
曜「ふむ。巻きすぎも良くないし、加減が難しいんだよねぇ…これならどう?」
鞠莉「ん、大丈夫…」
曜「よし!じゃあ固定するね」グイ
鞠莉「…むー」
曜「ん、どうかしたの?」
鞠莉「べっつにー」プィ
曜「そう?…よし、出来た!鏡で確認してみて」
鞠莉「ふーんだ…わ、すごく綺麗に巻けてる!」
曜「これなら途中ではだける心配もないし、苦しくて動きづらいってこともないはずだよ」
20: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:23:46.21 ID:OPeLjE80.net
曜「あとは法被を着てもらって、帯を締めたら…よし、完成!」
鞠莉「わあ…素敵!」
曜「法被って、ビシッとするから気分が引き締まるよね!」
鞠莉「何より、曜とお揃いなのが嬉しいわ」
曜「えへへっ。続いて髪型の方、セットしていきまーす」
鞠莉「はーい」
曜「動くことを考えて、アップにしちゃうね」
鞠莉「お任せするわ」
21: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:24:40.92 ID:OPeLjE80.net
曜「んー。高さはこの辺りでいいかな」スッ
鞠莉「スクールアイドルの衣装から、法被の着付け、それにヘアセットまで。流石Aqoursのスタイリストさんね」
曜「あはは、恐れ入ります」
鞠莉「ん?そういえば、曜はどうやって自分のを着付けたの?」
曜「ママに手伝ってもらったんだ。一人じゃできない作業だからねー」
鞠莉「なるほどねぇ」
曜「――よしっ!最後にねじりハチマキを巻いてもらえば…」ギュ
22: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:27:31.57 ID:OPeLjE80.net
曜「これで完成!お祭り鞠莉ちゃんの出来上がり!」
鞠莉「ありがとう!ふふ、これで準備万端ね!」くるっ
曜「わぁ…」
鞠莉「ん?」
曜「あ、法被姿が似合ってて、すごく可愛いなって思って!」
鞠莉「あら、お上手ね」
曜「いやいや。前から思ってたけど、鞠莉ちゃんって着こなせない服は無いんじゃないかな?」
鞠莉「どうやら今日は絶好調みたいですねぇ。お祭りだから?」クスクス
曜「素直な感想なんだけどねー」
23: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:28:06.85 ID:OPeLjE80.net
……………………………………
鞠莉「足袋って初めてだけど、地面の感触が足に伝わって面白いわね」
曜「石とか踏むと痛いんだ。気をつけてね」
鞠莉「ふふっ」ニコニコ
曜「どうかした?」
鞠莉「こういうの、なんだか嬉しくって」
曜「わかるよ。お祭りってワクワクするもんね!」
鞠莉(んー、そういうのとは少し違うんだけどなぁ)
24: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:28:40.59 ID:OPeLjE80.net
ドン、ドンドンドン…
鞠莉「あ、太鼓の音?」
曜「時間の合図だね。広場はこの先だよ!」ギュ
鞠莉「!」
鞠莉(手、握ってくれた…)
曜「今日はめいっぱい盛り上げちゃおうね!」
鞠莉(道行く人も増えて来た。みんな法被姿で、キラキラしてて嬉しそうで)
鞠莉(私たちも、そう見えてるのかな?)
25: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:29:49.43 ID:OPeLjE80.net
……………………………………
広場
ワイワイ ガヤガヤ
鞠莉「わあ…笛や太鼓のリズムに合わせて、会場が一つになってる!」
曜「この熱さ、このワクワク感!お祭りって感じがするよー!」
鞠莉「そして、正面のあれがお神輿ね」
曜「見た感じはどう?」
鞠莉「んー。大きくてパワフルな印象だったけど…むしろディテールが繊細なのね」
曜「キラキラしてて綺麗だよね!」
鞠莉「持ち上げるとなると、また見方が変わっちゃいそうだけどね」
26: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:30:38.37 ID:OPeLjE80.net
曜「ああ、そうだった。お神輿を担ぐにあたって、一つだけお願いがあるんだけど」
鞠莉「うん」
曜「絶対に頑張りすぎないこと」
鞠莉「あら、そんなこと?」
曜「大事なことだよ。暑いなかでのハードワークだし、鞠莉ちゃんの場合は背が高いからさ」
鞠莉「と、言うと?」
曜「身長が高い人だと、担いだ時に重さがかかるんだよ。かと言ってかがむと、今度は足や腰に負担が行っちゃうから」
鞠莉「なるほどね」
曜「担ぎ手さんも沢山いるし、辛くなったら途中で抜けても大丈夫だからね」
鞠莉「わかったわ。セーフティ・ファーストで無理はしない。約束よ」
曜「うん!さ、スタンバイだね!」
27: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:32:34.88 ID:OPeLjE80.net
「担ぎ手の人はお神輿の準備の方お願いしまーす!」ワイワイ ガヤガヤ
曜「鞠莉ちゃん、前の方が空いてるよ!」
鞠莉「いきなり前で大丈夫なの?」
曜「一番前は慣れた人がやるから、その後ろに居れば大丈夫!先頭はお神輿の醍醐味だよ!」
鞠莉「なるほど、お祭りの特等席ってわけね」
曜「鞠莉ちゃんはこっちで、私は隣の担ぎ棒。これなら二人並んで担げるよ!」グッ
鞠莉(これもまた特等席、ね)グッ
「ここ、誰か入って!」「準備はいいー!?」
28: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:35:29.99 ID:OPeLjE80.net
曜「人も行き渡ったし、そろそろスタートだよ」
鞠莉「この緊張感。ライブ前に似てるわね」
曜「高飛び込みの直前にもね。へへ、頑張ろうね!」
鞠莉「ええ!」
「行くぞーっ!!」
ようまり「おおー!」
カン、カンカンッ!
曜「上げるよ!せーのっ!」ググ
鞠莉「せっ!」ググ
「おおーっ!」パチパチパチ
鞠莉「あがっ、たぁ!」ググ
曜「よし、移動開始だよ!」
29: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:38:11.05 ID:OPeLjE80.net
ドンドンドン、ピーヒャララ…
「わっしょい、わっしょい!」
鞠莉(凄い…お神輿を中心にして、この場にいるみんなが一つになってる)
鞠莉(これがお祭り…みんなで力を合わせると、こんなこともできちゃうのね!)
曜「鞠莉ちゃん!調子はどう?」
鞠莉「見ての通りよ!笛も太鼓も掛け声も、最高にバーニング!」
曜「あはは、元気一杯だね!」
鞠莉「この熱さと一体感!シャイニーっ!」
曜「ヨーソロー!」
鞠莉「頑張って、二人でゴールしましょうね!」
曜「うんっ!」
「わっしょい、わっしょい!」
30: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:40:18.27 ID:OPeLjE80.net
……………………………………
ドン、ドンドンドン、ピーヒャララ…
「わっしょい、わっしょい!」
鞠莉「はぁ、はぁっ」
曜「鞠莉ちゃん、大丈夫?」
鞠莉「はぁっ、ええ、まだまだ平気よ」
曜「どうもね、例年よりも進むペースが早いみたいなんだ」
曜「つまり、休憩ポイントに早く着いて、その分休みを多く取るって作戦なわけだけど」
鞠莉「道中はノンストップでハード、というわけね」
曜「そうなるね。無理はダメだよ」
鞠莉「わかってるわ、大丈夫っ!」
鞠莉(お神輿って…楽しいけど、なかなか大変ね…)
32: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:45:40.36 ID:OPeLjE80.net
「わっしょい、わっしょい!」「ほら右側、下がってるよ!」
鞠莉(さっきより重く感じるのは、疲れのせいだけじゃない…抜ける人が多増えたけど、代わりの人が入ってこない)
鞠莉(みんな、疲れてきてるんだ…)
「おい、落ちるよ!」「誰かこっちに回れる!?」
鞠莉(今は右側が手薄なのね。お神輿もそちら側に傾いてるみたいだし…)
曜「鞠莉ちゃん。右の方、ちょっと手を貸しに行きたいんだけど…」
鞠莉「そうね…前の方は人も多いし、きっとなんとかなるわ。助けに行ってあげて」
曜「ごめんね、立て直したらすぐ戻るから!」
鞠莉「無理はダメよ?」
曜「鞠莉ちゃんもね!ここ抜けまーす!」バッ
鞠莉「任せてっ!」グッ
33: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:47:13.26 ID:OPeLjE80.net
鞠莉(曜の前では、強がってみたけど…)
鞠莉(棒が肩に食い込むし、肩をかばうと腰が痛い…体力的には限界…カッコつけちゃったかしら…)
「はぁ、はぁっ…」
鞠莉(前の人もかなり辛そう…でも、引き受けたからには…!)
「頑張って!あと少し!」「わっしょい、わっしょい!」
鞠莉(もうちょっとでゴール…頑張る!)ハァハァ
「よっしゃあ、揉むよー!」「おーっ!」
ユッサ ユッサ カラーン カラーン
鞠莉(っ!?こんなタイミングで揺らすなんて…!)ググ
34: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:50:40.24 ID:OPeLjE80.net
「はぁ、うあっ…も、もうダメっ!」バッ
鞠莉「あっ…ぐっ!?」ズシッ
鞠莉(前の人が抜けて、一気に重さが…!)ミシミシ
「そりゃ、そりゃ!」「そりゃ、そりゃあ!」
鞠莉(これじゃ支えきれない…でも、私が抜けたらお神輿が…!)グググ
「まだまだー!」「それーっ!」
鞠莉「ぐっ、ううっ!」ググ…
鞠莉(揺れが激しくて…もう…もたない…!)
鞠莉(曜、ごめん…)フラ
曜「鞠莉ちゃんっ!!」
36: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:52:36.12 ID:OPeLjE80.net
ぐいっ!
鞠莉「あっ…」
曜「うわっ、重っ!」ググッ
鞠莉「よ、曜…!」
曜「へへ、頑張ったね。交代っ!交代お願いしまーす!」
「私、入る!」「代わるよ!」ぐっ
曜「お願いします!鞠莉ちゃん、少し休もう?」ギュ
鞠莉「…うん」ギュ
37: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 06:57:24.18 ID:OPeLjE80.net
鞠莉「はぁ、はぁっ…」
曜「遅くなってごめんね…大丈夫?」
鞠莉「なんともないわ、このくらい…」
曜「そうは見えないよ…ごめんね、頑張らせちゃって」
鞠莉「曜が謝ることじゃないわ、心配ない」
曜「私、これ以上無理して欲しくないよ…よく頑張ったし、ここで終わりに…」
鞠莉「ノー。それは一番イヤよ」
曜「だけど、もしケガでもしちゃったら…」
鞠莉「そうならないように、曜が助けてくれたでしょ?」
38: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 07:04:37.72 ID:OPeLjE80.net
鞠莉「さっきの曜、カッコよかった。曜が居てくれるから、私でもここまで来れた」
鞠莉「ゴールまではあと少し。二人でその時を迎えたいの」
曜「けど…」
鞠莉「…一緒がいい。曜と一緒に思い出を作りたいの」
曜「!」
鞠莉「だから、お願い」
曜「…わかった。今日は二人でやり遂げよう!」
鞠莉「…ありがとう」
曜「ふふっ、じゃあラストスパートにいくよ!全速前進!」
鞠莉「ヨーソロー!」
「わっしょい、わっしょい…」
39: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 07:05:24.55 ID:OPeLjE80.net
……………………………………
夕方、曜の部屋
曜「うっかりお風呂の予約を忘れちゃうなんて…疲れてるのにごめんね?」
鞠莉「いいのよ。おかげでやっと一息つけるし。ふぅ…」
曜「お祭り、盛り上がったね!どうだった、初めてのお神輿は」
鞠莉「そうねぇ。思った以上にハードだけど、思った以上に楽しかった、かな?」
曜「本当?」
鞠莉「ええ。今でもお神輿とお囃子のリズムが体に残ってるくらいよ」
曜「よかった!無理して付き合わせちゃったんじゃないかなって、心配だったんだ。途中、辛そうだったし…」
鞠莉「それは私が不慣れなせいだもの。一緒にお神輿を担いで、一緒にゴールして…本当に嬉しかった」
鞠莉「素敵な曜も見れたし、ね」
曜「えへへ、鞠莉ちゃんもカッコよかったよ!」
40: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 07:06:15.93 ID:OPeLjE80.net
鞠莉「そういえば、ごめんね。団扇も手ぬぐいも、いつのまにか無くしちゃってて…」
曜「担いでるときは夢中だもん、気にしないで。あ、代わりに扇いであげるね!」パタパタ
鞠莉「んー、いい風…」
曜「やっと涼しくなってきたって感じだねー。最近暑すぎでしょ、本当に」パタパタ
鞠莉「…!」ドキッ
鞠莉(曜の胸元、すこしはだけてる…)
曜「ふぅ…」フキフキ
鞠莉(汗を拭う仕草も…火照った顔と、法被姿、日焼けの跡…)
鞠莉(いつもと違って…なんか、すごく…)ドキドキ
曜「あ。そろそろお風呂が沸く頃だから、一緒に――」スッ
グイ
曜「――えっ?」
41: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 07:06:49.66 ID:OPeLjE80.net
鞠莉「はぁ、はぁ…よう…」
曜「え、えっと、鞠莉ちゃ――んあっ!?」ビクッ
鞠莉「ん、ん…」チュ
曜「首に…!ど、どうしたのいきなり…んんっ!」
鞠莉「んっ。だって、曜、可愛くて、カッコイイから…んっ」チュ チュ
曜「やあっ!だめ、んっ…!」
鞠莉「曜、よう…!」チュ
曜(ま、鞠莉ちゃんっ…!)ドキドキ
42: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 07:07:32.58 ID:OPeLjE80.net
鞠莉「曜…わたし…」ウルウル
曜「!」
鞠莉「わたし、もう…!」グッ
曜「わっ…!」ドサ
曜(鞠莉ちゃんに、押し倒されて…!)ドキドキ
鞠莉「はぁ、はぁっ…もう…!」
曜「ん…」メツムリ
鞠莉「もう、ダメ…」
曜「…え?」
43: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 07:07:58.81 ID:OPeLjE80.net
鞠莉「つかれて、ちから入らない…」くたっ
曜「わっ」
鞠莉「もう、うごけない…」
曜「あ…」ポカーン
鞠莉「うぅ…」
曜「…ふふっ、あはははっ!そりゃそうだよ、お祭りで全力を出し切ったんだもん」
曜「なのに、『別のこと』まで頑張っちゃおうなんてさ。鞠莉ちゃんのえっち」
鞠莉「だ、だってぇ…」
44: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 07:09:26.13 ID:OPeLjE80.net
曜「…まぁ、色々とドキッとしちゃう気持ちはわかるけどね」
鞠莉「え…?」
曜「私も、そうだから」ギュ
鞠莉「!」
曜「今日の鞠莉ちゃん、キラキラしてて、すっごく可愛くて。私、ずっとドキドキしてたんだよ?」
鞠莉「曜…」
曜「人をその気にさせといて、鞠莉ちゃんは悪い子だね」ナデナデ
鞠莉「んぅ…」
45: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 07:10:15.98 ID:OPeLjE80.net
曜「今日の所は『あーれー』も、その先もおあずけだからね」
鞠莉(そんな…)
曜「でも、そんな鞠莉ちゃんに朗報です!なんと私たち、明日は練習お休みです!」
鞠莉「…えっ?」
曜「へへ、段取りいいでしょ?お祭りでヘトヘトになっちゃうなーって思ったから、事前に連絡入れておいたんだ」ホラ
鞠莉「本当だ。いつの間に…」
曜「だからさ、今日と明日はゆっくりしようよ。二人っきりで、さ」
鞠莉「…うんっ」
曜「えへへっ!さ、風邪ひかないうちにお風呂入ろっ。動けないなら、お神輿みたいに担いじゃうからね?」
終わり
46: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 07:10:43.60 ID:OPeLjE80.net
全弾撃ち尽くしました。お祭りようまりでした。
なかよしマッチおめでとうございます。本当にありがとうございます。
↓は前に書いたものです。よろしければ併せてお願いします。
鞠莉「わたし、マリーさん!」
ありがとうございました。
47: 名無しで叶える物語 2018/08/30(木) 07:12:41.02 ID:KhAcXJyR.net
いつも乙です
曜「夏の誘い」