1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:10:06.07 ID:GKMeh8Ec0


側近「えっ、魔王様……今何と?」

魔王「だから婚約指輪を渡すのだ」

側近「えっ…………えっ?」

魔王「エンゲージリングを女勇者にプレゼントするのだが」

側近「いや格好つけてもダメですから」

魔王「engage ring」

側近「いや発音良くしてもダメですから。……ってか魔王様、宿敵と恋仲だったのですか!?」

魔王「恋仲?」

側近「お付き合いしているということです」

魔王「えっ?」

側近「えっ?」




3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:10:59.44 ID:GKMeh8Ec0


側近「『お付き合い』です」

魔王「いいや全く」

側近「」

側近「付き合ってもいないのに結婚しようとしていたんですか?」

魔王「ダメなのか」

側近「そもそも、魔王様と女勇者が結婚ということ自体ありえませんから!」

側近「魔王様、何故そのようなことをお考えになられたのですか!」

魔王「世界征服めんどくさくなってきた」

側近「」




4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:12:13.61 ID:GKMeh8Ec0


側近「張り切って魔王様を復活させた私めは一体何だったのでしょうか」

魔王「知らん」

側近「うう……」

側近(勢いで負けてはダメだ! ここは、魔王様の考えを探るしか……)

側近「えっと、私たち側近はラスボス手前の敵としてやられてしまうので、復活する度に新たな側近になっているのですよね?」

魔王「そうだ」

側近「一応お聞きしておきますが……私は今、何代目の側近なのでしょうか?」

魔王「6954代目だ」

側近「!!」

魔王「この数は我の敗北の回数だ。女勇者も我に6954回敗北している」

側近「ええっ!? では女勇者とは五分五分の勝負なのですか!?」

魔王「そうだ」




5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:13:07.11 ID:GKMeh8Ec0


側近「っていうか13908回も戦っているんですか!? 魔王様と女勇者のタイマンで!?」

魔王「我と女勇者は同時にこの世に生まれたからな。勝負もなかなか決着がつかない」

側近「魔王様は23172歳ですよね。女勇者も同い年だと仰るのですか?」

魔王「当たり前だ。我と女勇者は不老不死だからな。子供の頃というのも無い。老いることも無い」

側近「お、お二人は似たもの同士なんですね」

魔王「我も女勇者を何度も封印しているからな」

側近「えっ」

魔王「えっ?」

側近「魔王様が勝ったら女勇者を封印してるんですか?」

魔王「うん」

側近「」




7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:14:12.27 ID:GKMeh8Ec0


魔王「当然だろう? 世界征服をするには邪魔だったからな。我も昔はやる気に溢れていたなあ……」シミジミ

側近「えっ、でも最近はやる気なくなっているんですよね。今でも封印しているんですか?」

魔王「うん」

側近「何故!?」

魔王「はっはっは」

側近(何だろう、もの凄くはぐらかされた感が……)

側近「で、では昔のやる気を今一度……!」

魔王「だから女勇者に婚約指輪を渡すのだと言っておるだろう」

側近「」

魔王「え? 何?」

側近「女勇者を封印して人間界で暴れまわったのに、婚約指輪を渡すんですか」

魔王「うん」

側近「」





8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:15:15.45 ID:GKMeh8Ec0


魔王「え? 何? 何?」

側近「結婚する気満々ですね」

魔王「子供も作る予定だ」

側近「子供作れるんですか!? ってか作る気なんですか!!?」

魔王「うん」

側近「でも魔王様は魔族ですよ? 見た目も明らかに人の姿ではないですよ?」

魔王「でも我はすっごく強いよ?」

側近「そんなアピールはいりませんから!」

側近(全く、魔王様は一体何を考えていらっしゃるのか……。魔王様の意図が全く読めない……ううぅ、頭が痛くなってきたぞ!)

側近「魔王様が結婚しちゃったら、世界が平和になっちゃうじゃないですか!!」

魔王「流石に戦うのは疲れたからな。これからは魔界でのんびりとした生活を……」

側近「ほのぼのライフじゃあ困りますから!! 私が困りますからーッ!!!」

側近(魔王様が世界征服をしてくれるとワクワクしていたのに……これじゃあ復活させた意味が無い!)




9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:16:05.10 ID:GKMeh8Ec0


魔王「それにな、側近よ……。女勇者と我で子供を作れば、とんでもなく強い子が生まれるとは思わぬか?」

側近「はっ――――あっ、なるほど! その子を次期魔王に育て上げるのですね!!」

魔王「いや?」

側近「」

魔王「だから言っただろう、我は不老不死だぞ。我が子を魔王にしなくとも我がいる」

側近「そ、そうでしたね……。いやだからと言って結婚や子作りは流石にn」


バンッ


魔物「魔王様、女勇者が城の近くへやってきました!」

魔王「む、そうか」

側近「来たか女勇者め! 魔王様、城にトラップを仕掛けてまいります!」

魔王「えっ」

側近「えっ」




10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:17:02.03 ID:GKMeh8Ec0


魔王「トラップはいらぬ。丁重にお出迎えするのだ」

側近「えっ」

魔王「えっ? 妃となる者に失礼は許さんぞ」

側近「えっ」

魔王「えっ」

側近「本当に本気だったんですか!!?」

魔王「当然だろう!!」

側近「」

側近(あたまいてぇ……)




11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:18:03.62 ID:GKMeh8Ec0




側近「……連れてまいりました」シブシブ

女勇者「やあ魔王、久方ぶりかな」

魔王「100年ぶりか」

女勇者「君が人間界の水道水を全てうどんつゆに変えてしまったから、倒しに来たよ」

魔王「そういえばそんなことをしていたな」

女勇者「戻してくれないと、私もおいしい水が飲めないじゃないか」

側近(魔王様そんな小規模な悪戯してたのか……)

女勇者「ところで童貞は捨てたかい?」

魔王「処女は捨てたか?」

魔王・女勇者「…………」

側近(20000年も生きてて、二人ともしたことないのかよ……)




12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:19:07.47 ID:GKMeh8Ec0


魔王「……ごほん。そんなことよりも女勇者、話がある」

女勇者「? 何かな」

魔王「ここに婚約指輪がある」

女勇者「そうだね」

魔王「この婚約指輪を」テクテク

女勇者「うん」

魔王「左手にはめる」スッ

女勇者「それは私の薬指だね」

魔王「結婚してはくれないか」

女勇者「これまた突然だね」

側近(すげぇ……女勇者全く動じてないぞ!)




13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:20:00.76 ID:GKMeh8Ec0


魔王「ダメか?」

女勇者「うーん……結婚しちゃったら私、ケモナーってことになっちゃうな」

魔王「……ケモナーって何だ?」ヒソヒソ

側近「獣人を愛する人々のことです」ヒソヒソ

魔王「我はその獣人なのか?」ヒソヒソ

側近「獣人というよりも、魔物が人に近い形をしているだけですから」ヒソヒソ

魔王「ごほん……魔界では他の種族同士が結婚することも珍しくないぞ?」

女勇者「でも、何で今になって結婚なんて言い出したのかな。私達は宿敵だよ」

魔王「うむ、少し真面目な話になるのだが――」

女勇者「?」




14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:21:13.69 ID:GKMeh8Ec0


魔王「――女勇者よ。聞けばお前は我が封印されている間、宿に泊まれる金も無く、野宿をしているそうではないか」

女勇者「野宿はいいものだよ。夜空を眺めながら寝ることが出来るなんて、最高じゃないか」

側近(女の人なら普通、野宿は危ないはず……いや魔王様と互角の女勇者だから大丈夫なのか?)

魔王「我が封印されている間、ずっとだぞ。23172年間のどれくらいを一人で過ごしてきたのだ?」

女勇者「……ふふ。魔王がいなくなれば私の役目も終わるのだから、当然のことだよ」

魔王「我はお前がいなくなっても役目は終わらない。我は王だからな、勇者とは勝手が違う。我には部下も沢山いる」

女勇者「慕われているみたいだね」

魔王「世界征服を目論んでいた時は、お前を封印した後に人間界で暴れまわった」

女勇者「片付けが大変だったよ」

魔王「しかしお前はどうだ。人間なんて100年生きていれば良いほうだ」

女勇者「……」

魔王「お前は我と同じ不老不死……お前と仲良くなった者達は、必ず死んでいく。お前は一人、取り残される」




15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:22:15.27 ID:GKMeh8Ec0


側近(そうか――だから魔王様は今でも女勇者を封印していたのか。一人でも寂しくないように……)

女勇者「世界征服ではなく、君が小さな悪戯しかしない今となっては、封印はありがたかったよ。お腹が空かなくて済むからね」

魔王「我を倒せば一人になると分かっていながら、お前は私に立ち向かってきた。国の問題を解決するためにな」

女勇者「…………」

魔王「そろそろ我もお前も限界だろう?」

女勇者「――うん、言われてみれば確かにそうだね。衣食住あるなら、結婚も悪くないかも……」

側近「ええっ!!?」

魔王「そ、それでは――」

女勇者「うん、結婚するよ」

側近「ええええっ!!!??」


神様「ちょーっと待った」モクモクモク

側近「誰」




17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:23:12.58 ID:GKMeh8Ec0


魔王・女勇者「あっ、神様」

側近「ああ、神様…………かっ、かみさま!!?」

神様「うーんとね、君達に結婚されるとかなり困るんだよね」

側近「……かなりカジュアルな神様ですね」

神様「いやあそれほどでも」

側近「褒めていません。っていうかお二方、神様を知っているんですか!?」

女勇者「この神様が私達の始まりだからね」

魔王「我々を生んだのはこいつだ」

側近「そ、そうですか……」

神様「それにしても、結婚はマズいよ。善と悪の境界として女勇者と魔王を生んだんだから」

側近「一体どういうことですか?」




18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:24:06.16 ID:GKMeh8Ec0


神様「うん。話せば長くなるけど、僕はこの世界以外にもいくつか世界を作っているんだ」

側近「そうなんですか!?」

神様「そうそう。その世界では、魔王や勇者なんて存在しないんだよね。原始的な世界やら科学の発達した世界やら、色々あるわけよ」

側近「……ふむふむ」

神様「でもね、いつか必ずとんでもない戦争が起こって、壊滅し、その世界は終わっちゃう」

側近「この世界も終わる可能性はある、と」

神様「そう。それは人間がいて、感情がある限り、避けられないことなんだけどさ」

側近「……」

神様「やっぱり一つの世界が長く続いてくれれば、作った本人としては嬉しいじゃん?」

側近「……」




19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:25:00.13 ID:GKMeh8Ec0


神様「だからさ、分けたのよ。人間の理に通った存在と、非人間的な存在にね」

側近「それが魔界と人間界、魔王様と女勇者……」

神様「そゆこと」

魔王「照れるなぁ」

女勇者「照れるねぇ」

側近「照れるところじゃないですよここ」

神様「んでね、二つに分けたらアラ不思議、今までで一番長く世界が続いたのよ」

魔王「我々が頑張ってきたからな」

神様「争いはあるんだけど、その争いの元は大抵女勇者か魔王だからねぇ」

女勇者「大抵は魔王らしく魔王から吹っかけてくるけどね」

神様「周りはそれを応援する側になっちゃうから、自分達の争いなんてどうでもよくなる」

側近「……なるほど」

神様「それが一番長く続いた理由なんだよ。だから結婚なんてとんでもない! 仲良くなっちゃったら、また世界が終わってしまうよ」




21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:26:01.90 ID:GKMeh8Ec0


魔王「なあ、一つ聞いてもいいか?」

神様「何?」

魔王「結婚してほしくないのであれば、何故我々を異性に生んだ?」

神様「えー、だって一人くらい女の子がほしいじゃん」

魔王「」

女勇者「」

側近「」

神様「しかもまさか魔王が女勇者と結婚しようとするなんて思わないじゃん」

魔王「」

女勇者「」

側近「」

神様「でしょ?」




22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:27:02.35 ID:GKMeh8Ec0


魔王「……それだけの理由か?」

神様「そーそー。もしかしたら二人の性別が逆になっていたかもね」

魔王「」

女勇者「」

神様「頼むよー、いつも通り争っててくれないと困るの! 世界記録更新するのー!」

側近(この神様ダメだ……)

女勇者「――神様」

神様「?」

女勇者「ここまで続いた世界だ。これから先、この秩序が保たれるとも限らない。それに私達も随分と疲れた」

魔王「……」コクコク

女勇者「今度は新しい方法で、世界を長続きさせてみてはいかがでしょうか?」

神様「…………」

女勇者「…………」

神様「それはつまり、結婚をするということかい?」




23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:28:00.50 ID:GKMeh8Ec0


女勇者「同じ時を生きられるは、魔王だけだからね。不老不死だから、結婚なんて考えてもいなかったよ」

神様「魔王も女勇者も、結婚したいと……。側近はどう思ってる?」

側近「ええっ!? 私に振るんですか!?」

神様「だって世界制服楽しみにしていたんでしょ?」

側近「そ、そりゃあすっごくすっごく楽しみにしていましたよ! でも……」

神様「でも?」

側近「二方のお気持ちを知ると、反対しようにも出来ないですよ」

魔王「側近……すまないな」

神様「――――はあーもー、しょーがないなあ。今回だけ、特別サービスだから!」

魔王「では、我と女勇者は結婚をしても良いのだな!?」




24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:28:58.77 ID:GKMeh8Ec0


神様「うん。で結婚式いつ?」

魔王・女勇者・側近(気が早いな)

神様「最後まで反対してた神様が祝わないとでも思ったの? バーカ! それが祝っちゃうんだよね!」

魔王「ああ、それは有難いことd」

神様「と思った? 本当は祝わないよ」

魔王「」

女勇者「」

神様「とでも言うと思った? ビックリした? うそうそ、ちゃんと祝うって」

側近(何なんだよこの人)

神様「それじゃ、結婚式には呼んでね! プレゼント用意しとくから」ボンッ

側近「……嵐のような人だった」

魔王「我々が初めて会ったときもこのような性格だったからな」

女勇者「いつものことだからね」

側近「それにしても、プレゼントって一体何なのでしょうか……?」




25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:30:00.60 ID:GKMeh8Ec0



――数年後――


ワーワー オメデトーオメデトー

女勇者「ふふ……。今でも信じられないよ、20000年生きた私達が結婚だなんて」

魔王「我は何度も結婚シュミレーションをしていたからな、驚きはしないぞ」

女勇者「ちょっと引いた」

側近「私も引いた」

魔王「」ショボン

神様「やあやあお二方!」モクモクモク

魔王「神様か」

神様「祝いに来てあげたよ! プレゼント持ってきたよ! とーっておきのプレゼントだよ!!」

側近「分かりましたから落ち着いてください」

神様「プレゼントが何か知りたい? 知りたい? 知りたいよねぇ? じゃあ教えてあげよう!」

側近(だんだんこの人がウザくなってきた)




26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:31:03.96 ID:GKMeh8Ec0


神様「じゃっじゃーん! 子供が出来たとき、神様が名付け親になってあげましょう!」

魔王「」

女勇者「」

側近「お二方が遠慮したいという顔をしています」

神様「まあまあそんなこと言わずにさぁ。後々僕に名付けてもらった特権もあるんだから!」

側近「特権?」

神様「それはね――」








27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:32:12.24 ID:GKMeh8Ec0



――数百年後――


「おーいX、お前本当に神様になったんだって?」

神様X「うん、そうだよ」

「神様に名付けれられた特別な子供は、後々神様になることを許されるって言ってたよな? まさか本当になっちまうとはなー」

神様X「えへへ……」

「歴代の神様の中で一番力が強いんだろ?」

神様X「父さんと母さんのお陰だよ」

「あの二人めちゃくちゃ強いもんな。まあ頑張れよ! じゃあな!」

神様X「ありがとう!」

神様X「神様になってまだ1年ちょっとか……。まだまだがんばらないとな」

神様X「そういえば、父さんと母さんを生んだ神様は今どこにいるんだろう?」

神様X「……いつか僕も、父さんと母さんのいる世界のような世界を作ってやるぞ!」



おわり



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 04:54:16.22 ID:hm8t8Nh60

面白かったよ



元スレ
魔王「女勇者が来たら婚約指輪を渡す」