1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 00:42:19.35 ID:+1IcINyx0
お嬢様「あら、案外乗り気なのだと思ったのだけれど」
男「いやー、何か恥ずかしいじゃん?」
お嬢様「そんなこと心配しなくて良いのよ?」
男「だって、俺何もできないし……」
お嬢様「ふふっ、私はもうあなたにどれくらい助けてもらったことか……」
男「……」
お嬢様「だから、あなたは私とずっと、ずっと一緒に―――」
………
……
…
男「うわああああ!!」ガバッ
男「何だ夢か……」
男「……お嬢様……っ」ボロボロ
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 00:43:10.80 ID:+1IcINyx0
男「朝っぱらから何泣いてるんだろう……」
男「……気にしちゃだめなのに」
男「とりあえず下に行こう」
男「おはようございます」スタスタ
メイド「おはようございます、男様」ニコ
男「今日も笑顔が素敵ですね」
メイド「ふふふ。 あ、もう朝食の準備はできておりますよ」
男「ありがとうございます」
スタスタスタ
男「食べよう」
って感じで進めてってくださいお願いします
何か泣いてるのはヒモになって半年くらいたったんだけど
お嬢様が海外に研修に行っちゃってさびしいさびしいって感じでオナシャス!!
男「……美味しいけど……足りないんだよなぁ」モグモグ
男「うぅ……お嬢様ぁ……」ボロボロ
メイド「やはり男様も悲しいのでしょう」
冥土「ヒモは自分が相手に頼っていないように見せないといけないらしいですけどね」
メイド「人それぞれでしょう」
男「おはよう」
友「よう!ヒモ男!」
男「あ、うん……」スタスタ
友「あれぇ?元気ないな」
幼馴染「当たり前でしょ、お嬢様がいないんだし」
友「ああ、そうか」
幼馴染「……男、元気だして?」
男「うん……っ」ボロボr
幼馴染「あんた泣きすぎだから、多分朝も泣いてたよね?」
男「ごめん……うぅ……」ボロボロ
幼馴染「ここ教室だしこれじゃお嬢様にも悪い気がするけど……えいっ!」ギュ
男「!」
幼馴染「安心する?……今だけ、私をお嬢様だと思っても良いからね?」ナデナデ
男「うんっ」
―――放課後
男「幼馴染、本当いい奴だよな……それに比べて俺は……」ボロボロ
後輩「せーんぱいっ!」
男「! 後輩ちゃん……」ゴシゴシ
後輩「あれ?先輩泣いてました?」
男「いやっ、ちが」
後輩「へっへー、私に先輩の隠し事が通用すると思いますか?大方お嬢様先輩のことですよねー」
男「っ……」
後輩「もうっ、ここ半年で先輩、泣き虫になっちゃいましたよね」
男「ごめん」
後輩「謝らないでくださいっ!私は先輩を嫌いになりませんからっ!」ニコ
男「ありがと……っ」
後輩「さっ、帰りませんか?」
男「うん……」
男「それじゃ、後輩ちゃん」
後輩「はい、先輩ありがとうございましたっ」ノシ
男「うん」
スタスタスタ
………………
…………
……
…
ガチャ
男「ただいま」
スッ
メイド「お帰りなさいませ、男様」ニコ
男「ああ、ただいま」
メイド「お荷物、お預かりします」
男「ありがと」
メイド「男様」
男「ん?」
メイド「明日の朝、お嬢様がお帰りになられます」
男「嘘っ……だって、後半年は無理だって……」
メイド「私は男様のことを遂次報告しております」
メイド「お嬢様は流石に男様がかわいそうだということで研修を終了させるそうです」
男「そう、なんだ……また僕が迷惑をかけて……」
メイド「いえ、そういうわけではないですよ」
男「?」
メイド「お嬢様は口ではそういってますが自分も合いたいのでしょうね。男様に」
男「……」
メイド「とりあえず明日はお嬢様を迎えに行くので早く起きてくださいね」
男「うん」
チュンチュン
男「……寝れなかった」
男「顔洗ってくるかなぁ」
スタッ
スタスタ ガチャ
トテトテトテ
男「おはようございます」
メイド「おはようございます、後30分ほどしたら迎えにいきますので」
男「ありがと」
ブロロロロ
男「……」ソワソワ
メイド「落ち着きがありませんね」クスクス
男「っ……」
メイド「男様、お嬢様を迎えにあがったら抱きしめてあげてくださいね?」
男「うん……」
メイド「お嬢様はとても大喜びですから」
男「わかったよ」
お嬢様「男さんっ!!!!」トテトテトテ
男「お嬢様っ!」スタタタタ
ギュッ
お嬢様「わぷっ……きゅぅ~」テレテレ
男「お嬢様っ……会いたかったっ……会いたかったよっ……」ギュッー ボロボロ
お嬢様「んにゅ……ふにゃぁ……ちょっと痛いですよ……」
男「もっとっ!抱きしめたいっ」ギュー
お嬢様「うぅ……私も会いたかったですよ。だけど痛いです」ギュー
男「学校なんてどうでもいいっ!お嬢様っ!早く家に帰ってお話しましょう!!」
お嬢様「ふふっ、わかったわよー」ギュー
男「大好き大好き!!」チュッチュ
お嬢様「やっー!」ニコニコ
メイド「ほほえましいですねぇ……」
―――家
お嬢様「だからねー、セクハラっていってやったんだけど……」
男「そいつどこですか?ぶっ殺しますから」
お嬢様「大丈夫よ、私が一生勃たない体にしてあげたから」ニコニコ
男「それはよかったです」
―――――――
お嬢様「……それでですね」
男「はい」
お嬢様「あなたも後一月で18歳ですよね」
男「はい」
お嬢様「結婚しましょう」
男「っ!!」テレッ
お嬢様「いえ、別にいやならいいのだけれど……」チラッ
男「いえっ!断る理由はないですからっ!!」
――― 一月後、初夜
男「はぁ……はぁ……」
お嬢様「あら、どうしたの?緊張しちゃった?」
男「うん……何か凄く恥ずかしくなってきた」
お嬢様「ふふっ、可愛いわね」
男「ははっ」
お嬢様「……ついに結婚しちゃいましたね」
男「うん……」
お嬢様「あなたは私の高飛車な態度にいつも振り回されていたのよね」
男「そんなことは……」
お嬢様「いいのよ別に……」
男「いや、お嬢様は高飛車ってわけじゃないよ」
お嬢様「えっ?」
男「僕がお嬢様と最初にあったときはそうだったけど……それから話してるうちに凄く変わったよ」
男「僕が、世界で一番信用における人、背中を安心して預けられる人になってくれた」
お嬢様「! ……そんなに……」
お嬢様「……多分私が変われたのはあなたのおかげでしょうね」
男「……」
お嬢様「傲慢ですぐ人を嘲笑してしまうような人間だったのに」
お嬢様「あなたに助けられて……それから毎日あなたと話すようになって……」
お嬢様「……私は幸せなのよ。 あなたといれて」
お嬢様「『ヒモになりなさい』 なんていったけど、あれは照れ隠しなのよ」
男「ははっ、素直じゃないんだなぁ」
お嬢様「そうよ、乙女は好きな男に素直になれないの」
お嬢様「……それで、あの時断られるかと思ったわよ。 お金のことしか考えてない人なんだって」
男「……」
お嬢様「だけど……あなたは先まで見通して、私と一緒にいてくれて」
お嬢様「甘やかしすぎてしまったかもしれないけど」
男「ははっ!」
お嬢様「初夜だしまずは馴れ初めから語り合いましょう?」
男「うん」
お嬢様「忘れもしないあの日は―――」
その日は雨が振っていた。
陰鬱な空気が舞っていて、何かいやな予感がしたのだ。
だけどそんな事お構いなしに家を出た。
しかしおかしい、人が一人も歩いていないのだ。
そして自分が持っている知識を総動員し状況を把握する。
―――だが、何もわからない
街に入っても誰一人いない。
まるで、廃墟のように。
家のチャイムを鳴らす、誰も出ない。
店に入る、誰もいない。
電話をかける、誰も出ない。
恐怖で体が縮こまる、もしかしたら自分は異世界に来てしまったのではないかと。
そういえばそうだ、誰も家にいなかったではないか。
自分がそこまで馬鹿とは気づかなかった。
街を歩いていると突然目の前が真っ暗になった。
目を開けるとひとつの民家に来ていた。
誰かとたずねると名を男と言う。
あなたが墓地で倒れていたから連れてきた、と。
身が震えた。そして恐怖から男を責める。
やはり私はわがままだ。
部屋を見渡すと自分と同じ高校の生徒ではないかと思い、聞いてみる。
なんと同級生だった、ただそのことに感嘆した。
理由はこの男には勉強ができるとは思わなかったからだ。
言うに男は昔から勉強だけは得意なんです、と。
話してみると優男のようだった。
しかしいつまでも話している暇はなく私は礼も述べず家を後にした。
数日後、街を歩いていると不良たちに絡まれ、さらわれた。
GPSでメイドたちが助けてくれると思ったが携帯を忘れていた。
嗚呼、このまま犯されるのか。もうあきらめていたその時―――
―――男は颯爽と現れ、5人ほどいた不良たちを一斉に薙ぎ倒した。
勉強以外はできないのではなかったのか。
倒した後、追いかけられるからとお姫様抱っこをされながら街を駆け周る羽目に合った。
犯されるよりはマシなのだが、礼を言うのが照れくさく、この日も礼を言わずに誹謗中傷。
本当に申し訳ないと思う。
男は私の心中を察したのか笑顔で謝る。
惚れてしまったかもしれない。
私は早い段階で男に好意をもった。―――そのことは表には出さなかったが。
学校に着くと毎日彼を探すのが日課になった。
ストーカー紛いの事もした。
仲のいい男友達が一人。
幼稚園児から一緒の幼馴染、それに生徒会長とも仲がいい。
ほかにも沢山の友人がいた。
私は彼を羨ましくも思った。
―――どうして自分には友人がいないのだろうと。
好意と憧れ、二つが胸中で入り乱れ葛藤が起こる。
…妬む事は決していい訳ではない、ただ不平不満を漏らさずにはいられなかった。
私は男に八つ当たりをした。
二度も助けてもらったのに関わらず。
そして男は言う。
「ねぇ、僕達、友達にならないかな」
唖然としてしまった。
どうして私みたいな人間と友達になりたいのか、と。
友達になっても迷惑じゃないかと。
だけど、私は顔をほころばせずにはいられなかった。
体は正直。
私は二つ返事で承諾した。
心中は「私にはじめての友達ができたっ!」 そのことで一杯一杯。
だからその日はベッドではしゃぎまくった。
それからというもの、毎日毎日彼とお話をした。
そして彼の友人とも仲がよくなり、私も友達が大勢。
休みの日は一緒に買い物にもいったりする。
とても、充実した日々になった。
―――だが、そういうものに限って上手くは続いていかない。
彼の両親が他界。
両親が居なくなる、その苦しみは私にもわかる。
私も母が亡くなったから。
しかし彼の場合はそれ以上だ。
自分を今まで愛でてくれていた親、そのどちらもが一斉に居なくなったのだ。
拠り所がなくなる、自分に一番近いものがなくなる。
それからというもの彼は学校に来なくなった。
私は幼馴染さんや友さんたちと彼の家に向かう。
幼馴染さん、友さんは中にいれてもらえる。
だけど、私は入れてはもらえない。
それくらい少しはわかっていた、自分がまだ信用に置けない人間だと。
だけど、それを信じることができない私は毎日、毎日、雨が降っても彼の家に向かった。
風邪が引いても彼の家に向かう。
メイドたちが心配をする。
だけど、一人でいかないといけないのだ。理由は―――
もしかしたら自分が彼をどれほど思っているか、知ってほしかったのかもしれない。
一月が過ぎる。
今日も彼に会いに道を歩く。
もう、風景も覚えてしまって新鮮味がない。
ドカッ
お嬢様「痛いっ」
あれ、なんだろう。どんどん気が遠く―――
―――起きたら監禁されていた。
まただ。
あの時みたいに攫われてしまったようだ。
そして、同じように携帯も忘れていた。
いつもの道、いつもの目的地。
安心しきっていた。
もしかしたら犯人は私があそこを通るのを知っていたのかもしれない。
あの時みたいに、助けてくれないかなぁ……。
…………だけど、いくらまってもこない。
誰もこない、私を攫った人も。
ピンポーン
男「はい……」
ガチャッ
友「大変だっ!お嬢様が!!」
男「あわててどうしたんだよ……」
友「お嬢様が!誘拐されたっ!!」
男「は……?」
友「いつもどおり、お前の家に向かう途中に攫われたみたいだ!携帯はおいていっていたみたいだ」
男「そんな……」
友「警察にも連絡はした、兎に角一緒に探すぞ」
男「だけど……」
友「いいからこいっ!」ドンッ
男「! わかった」
男(嘘だ……俺のせいだ。俺が引き篭もらなければ……)
スタタタタ
男「クソッ……」ボロボロ
男「……泣いてちゃ駄目なのに……っ」ゴシゴシ
………………
…………
……
…
カツカツカツ
お嬢様「!? んっー!んっー!」モゾモゾ
誘拐犯「おーいお嬢ちゃん。騒ぐなよ、騒いだら……」ドンッ
お嬢様「!」ブルブル
誘拐犯「よーしよーし、そこでまってろよ」
男「どこにいるんだよ……くそっ……」タッタッタ
男「もうこうなれば裏路地くらいしか……」
スタタタタタ
<ソウソウ イイトコノオジョウサマミタイダゼ
<ハハハ、アイツモウマクヤッタナァ
男「!?」
男「……ここか」
男「今から電話しても危ないかもしれない、俺が一人で助けなければ……」
スタスタスタ
不良A「あ?」
ドガッ
不良A「うぐっ…」
不良B「おいA、おいてm」
ドボッ
バキィ
男「……早く、早くいかなきゃ」
スタスタスタ
―――廃墟っぽいところ
男「……」チラッ
誘拐犯「まだかねぇ……そろそろ誰か来る頃だと思うけど……」
男(あいつ一人か、誰かを待っているのか……?)
タッタッタ
チャラ男「うーっす。 おっ、上玉じゃん、よくやったな」
誘拐犯「おう、ようやく来たか」
男(! まさか、犯す気じゃ……。 とりあえず隙を見て攻撃しないと……)
誘拐犯「よっし、それじゃ猿轡はずすか」
男「!(チャンス!あっちを向いたっ!)」
タッタッタ
バキャァァァ
ドサァ
誘拐犯「は……」
チャラ男「だれだてめぇ」
ドンッ
チャラ男「うぼぉっ……」
チャラ男「糞がっ!舐めてんじゃね」
バキィ
ドン
チャラ男「やめ、やめ」
グチャ
男「お前も……っ」
誘拐犯「!」
バキィ
男「はぁ……はぁ……」
男「とりあえず、警察に……っ」
ドサッ
男「うん……?」
お嬢様「大丈夫なの?」
男「あ、れ……?」
お嬢様「何か案外簡単に鍵が取れたわ」
男「そっか……よかった……」ボロボロ
お嬢様「えっ……泣いてるの?あなた」
男「あっ、ごめん……嬉しくて、さ」ボロボロ
お嬢様「何が……?」
男「ははっ……っ……お嬢様が無事で、ね?」
お嬢様「な、何よ……私がいけないのに……心配なんてしないでよ……」
男「……ごめんね?」
お嬢様「何が?」
男「僕が、お嬢様を拒んでいたから……」
お嬢様「っ……」
お嬢様「それは、私が信用できないからでしょ?」
男「えっ? 違うよ……だって……」
お嬢様「……?」
男「お嬢様を見ていると胸が苦しくなるから……」
お嬢様「えっ……」
男「お嬢様を見てると辛いこと、全部忘れることができるんだ」
男「……だから、両親が死んだこと、忘れないようにって……」
お嬢様「……そう、だったの」
男「うん、ごめん、ごめんね……?」
お嬢様「いいわよ、別に……っ」
それからというもの彼は学校に来るようになった。
私とも前以上に話してくれるようになった。
私の、最高の、最愛の人。
そして今も、大好きです。
お嬢様「男さん、ずっと、ずっと一緒に居ましょうね」
男「うん? それは当たり前だろう」
お嬢様「……それに、あなたは働かなくてもいいわよ?」
男「えー」
お嬢様「でも―――」
お嬢様「あなたは私の夫になるべきです!」
男「もちろん!」
The End
元スレ
男「朝っぱらから何泣いてるんだろう……」
男「……気にしちゃだめなのに」
男「とりあえず下に行こう」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 00:45:26.29 ID:+1IcINyx0
男「おはようございます」スタスタ
メイド「おはようございます、男様」ニコ
男「今日も笑顔が素敵ですね」
メイド「ふふふ。 あ、もう朝食の準備はできておりますよ」
男「ありがとうございます」
スタスタスタ
男「食べよう」
って感じで進めてってくださいお願いします
何か泣いてるのはヒモになって半年くらいたったんだけど
お嬢様が海外に研修に行っちゃってさびしいさびしいって感じでオナシャス!!
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 00:48:53.54 ID:+1IcINyx0
男「……美味しいけど……足りないんだよなぁ」モグモグ
男「うぅ……お嬢様ぁ……」ボロボロ
メイド「やはり男様も悲しいのでしょう」
冥土「ヒモは自分が相手に頼っていないように見せないといけないらしいですけどね」
メイド「人それぞれでしょう」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 01:00:07.81 ID:+1IcINyx0
男「おはよう」
友「よう!ヒモ男!」
男「あ、うん……」スタスタ
友「あれぇ?元気ないな」
幼馴染「当たり前でしょ、お嬢様がいないんだし」
友「ああ、そうか」
幼馴染「……男、元気だして?」
男「うん……っ」ボロボr
幼馴染「あんた泣きすぎだから、多分朝も泣いてたよね?」
男「ごめん……うぅ……」ボロボロ
幼馴染「ここ教室だしこれじゃお嬢様にも悪い気がするけど……えいっ!」ギュ
男「!」
幼馴染「安心する?……今だけ、私をお嬢様だと思っても良いからね?」ナデナデ
男「うんっ」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 01:02:59.08 ID:+1IcINyx0
―――放課後
男「幼馴染、本当いい奴だよな……それに比べて俺は……」ボロボロ
後輩「せーんぱいっ!」
男「! 後輩ちゃん……」ゴシゴシ
後輩「あれ?先輩泣いてました?」
男「いやっ、ちが」
後輩「へっへー、私に先輩の隠し事が通用すると思いますか?大方お嬢様先輩のことですよねー」
男「っ……」
後輩「もうっ、ここ半年で先輩、泣き虫になっちゃいましたよね」
男「ごめん」
後輩「謝らないでくださいっ!私は先輩を嫌いになりませんからっ!」ニコ
男「ありがと……っ」
後輩「さっ、帰りませんか?」
男「うん……」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 01:04:48.44 ID:+1IcINyx0
男「それじゃ、後輩ちゃん」
後輩「はい、先輩ありがとうございましたっ」ノシ
男「うん」
スタスタスタ
………………
…………
……
…
ガチャ
男「ただいま」
スッ
メイド「お帰りなさいませ、男様」ニコ
男「ああ、ただいま」
メイド「お荷物、お預かりします」
男「ありがと」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 01:12:53.62 ID:+1IcINyx0
メイド「男様」
男「ん?」
メイド「明日の朝、お嬢様がお帰りになられます」
男「嘘っ……だって、後半年は無理だって……」
メイド「私は男様のことを遂次報告しております」
メイド「お嬢様は流石に男様がかわいそうだということで研修を終了させるそうです」
男「そう、なんだ……また僕が迷惑をかけて……」
メイド「いえ、そういうわけではないですよ」
男「?」
メイド「お嬢様は口ではそういってますが自分も合いたいのでしょうね。男様に」
男「……」
メイド「とりあえず明日はお嬢様を迎えに行くので早く起きてくださいね」
男「うん」
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 01:14:05.61 ID:+1IcINyx0
チュンチュン
男「……寝れなかった」
男「顔洗ってくるかなぁ」
スタッ
スタスタ ガチャ
トテトテトテ
男「おはようございます」
メイド「おはようございます、後30分ほどしたら迎えにいきますので」
男「ありがと」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 01:15:38.81 ID:+1IcINyx0
ブロロロロ
男「……」ソワソワ
メイド「落ち着きがありませんね」クスクス
男「っ……」
メイド「男様、お嬢様を迎えにあがったら抱きしめてあげてくださいね?」
男「うん……」
メイド「お嬢様はとても大喜びですから」
男「わかったよ」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 01:18:12.02 ID:+1IcINyx0
お嬢様「男さんっ!!!!」トテトテトテ
男「お嬢様っ!」スタタタタ
ギュッ
お嬢様「わぷっ……きゅぅ~」テレテレ
男「お嬢様っ……会いたかったっ……会いたかったよっ……」ギュッー ボロボロ
お嬢様「んにゅ……ふにゃぁ……ちょっと痛いですよ……」
男「もっとっ!抱きしめたいっ」ギュー
お嬢様「うぅ……私も会いたかったですよ。だけど痛いです」ギュー
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 01:19:34.76 ID:+1IcINyx0
男「学校なんてどうでもいいっ!お嬢様っ!早く家に帰ってお話しましょう!!」
お嬢様「ふふっ、わかったわよー」ギュー
男「大好き大好き!!」チュッチュ
お嬢様「やっー!」ニコニコ
メイド「ほほえましいですねぇ……」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 01:22:58.76 ID:+1IcINyx0
―――家
お嬢様「だからねー、セクハラっていってやったんだけど……」
男「そいつどこですか?ぶっ殺しますから」
お嬢様「大丈夫よ、私が一生勃たない体にしてあげたから」ニコニコ
男「それはよかったです」
―――――――
お嬢様「……それでですね」
男「はい」
お嬢様「あなたも後一月で18歳ですよね」
男「はい」
お嬢様「結婚しましょう」
男「っ!!」テレッ
お嬢様「いえ、別にいやならいいのだけれど……」チラッ
男「いえっ!断る理由はないですからっ!!」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 01:28:39.16 ID:+1IcINyx0
――― 一月後、初夜
男「はぁ……はぁ……」
お嬢様「あら、どうしたの?緊張しちゃった?」
男「うん……何か凄く恥ずかしくなってきた」
お嬢様「ふふっ、可愛いわね」
男「ははっ」
お嬢様「……ついに結婚しちゃいましたね」
男「うん……」
お嬢様「あなたは私の高飛車な態度にいつも振り回されていたのよね」
男「そんなことは……」
お嬢様「いいのよ別に……」
男「いや、お嬢様は高飛車ってわけじゃないよ」
お嬢様「えっ?」
男「僕がお嬢様と最初にあったときはそうだったけど……それから話してるうちに凄く変わったよ」
男「僕が、世界で一番信用における人、背中を安心して預けられる人になってくれた」
お嬢様「! ……そんなに……」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 01:36:07.39 ID:+1IcINyx0
お嬢様「……多分私が変われたのはあなたのおかげでしょうね」
男「……」
お嬢様「傲慢ですぐ人を嘲笑してしまうような人間だったのに」
お嬢様「あなたに助けられて……それから毎日あなたと話すようになって……」
お嬢様「……私は幸せなのよ。 あなたといれて」
お嬢様「『ヒモになりなさい』 なんていったけど、あれは照れ隠しなのよ」
男「ははっ、素直じゃないんだなぁ」
お嬢様「そうよ、乙女は好きな男に素直になれないの」
お嬢様「……それで、あの時断られるかと思ったわよ。 お金のことしか考えてない人なんだって」
男「……」
お嬢様「だけど……あなたは先まで見通して、私と一緒にいてくれて」
お嬢様「甘やかしすぎてしまったかもしれないけど」
男「ははっ!」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 01:38:38.31 ID:+1IcINyx0
お嬢様「初夜だしまずは馴れ初めから語り合いましょう?」
男「うん」
お嬢様「忘れもしないあの日は―――」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 01:44:40.68 ID:+1IcINyx0
その日は雨が振っていた。
陰鬱な空気が舞っていて、何かいやな予感がしたのだ。
だけどそんな事お構いなしに家を出た。
しかしおかしい、人が一人も歩いていないのだ。
そして自分が持っている知識を総動員し状況を把握する。
―――だが、何もわからない
街に入っても誰一人いない。
まるで、廃墟のように。
家のチャイムを鳴らす、誰も出ない。
店に入る、誰もいない。
電話をかける、誰も出ない。
恐怖で体が縮こまる、もしかしたら自分は異世界に来てしまったのではないかと。
そういえばそうだ、誰も家にいなかったではないか。
自分がそこまで馬鹿とは気づかなかった。
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 01:49:41.72 ID:+1IcINyx0
街を歩いていると突然目の前が真っ暗になった。
目を開けるとひとつの民家に来ていた。
誰かとたずねると名を男と言う。
あなたが墓地で倒れていたから連れてきた、と。
身が震えた。そして恐怖から男を責める。
やはり私はわがままだ。
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 01:52:35.91 ID:+1IcINyx0
部屋を見渡すと自分と同じ高校の生徒ではないかと思い、聞いてみる。
なんと同級生だった、ただそのことに感嘆した。
理由はこの男には勉強ができるとは思わなかったからだ。
言うに男は昔から勉強だけは得意なんです、と。
話してみると優男のようだった。
しかしいつまでも話している暇はなく私は礼も述べず家を後にした。
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 01:58:19.52 ID:+1IcINyx0
数日後、街を歩いていると不良たちに絡まれ、さらわれた。
GPSでメイドたちが助けてくれると思ったが携帯を忘れていた。
嗚呼、このまま犯されるのか。もうあきらめていたその時―――
―――男は颯爽と現れ、5人ほどいた不良たちを一斉に薙ぎ倒した。
勉強以外はできないのではなかったのか。
倒した後、追いかけられるからとお姫様抱っこをされながら街を駆け周る羽目に合った。
犯されるよりはマシなのだが、礼を言うのが照れくさく、この日も礼を言わずに誹謗中傷。
本当に申し訳ないと思う。
男は私の心中を察したのか笑顔で謝る。
惚れてしまったかもしれない。
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 02:05:44.47 ID:+1IcINyx0
私は早い段階で男に好意をもった。―――そのことは表には出さなかったが。
学校に着くと毎日彼を探すのが日課になった。
ストーカー紛いの事もした。
仲のいい男友達が一人。
幼稚園児から一緒の幼馴染、それに生徒会長とも仲がいい。
ほかにも沢山の友人がいた。
私は彼を羨ましくも思った。
―――どうして自分には友人がいないのだろうと。
好意と憧れ、二つが胸中で入り乱れ葛藤が起こる。
…妬む事は決していい訳ではない、ただ不平不満を漏らさずにはいられなかった。
私は男に八つ当たりをした。
二度も助けてもらったのに関わらず。
そして男は言う。
「ねぇ、僕達、友達にならないかな」
唖然としてしまった。
どうして私みたいな人間と友達になりたいのか、と。
友達になっても迷惑じゃないかと。
だけど、私は顔をほころばせずにはいられなかった。
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 02:10:10.30 ID:+1IcINyx0
体は正直。
私は二つ返事で承諾した。
心中は「私にはじめての友達ができたっ!」 そのことで一杯一杯。
だからその日はベッドではしゃぎまくった。
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 02:15:34.39 ID:+1IcINyx0
それからというもの、毎日毎日彼とお話をした。
そして彼の友人とも仲がよくなり、私も友達が大勢。
休みの日は一緒に買い物にもいったりする。
とても、充実した日々になった。
―――だが、そういうものに限って上手くは続いていかない。
彼の両親が他界。
両親が居なくなる、その苦しみは私にもわかる。
私も母が亡くなったから。
しかし彼の場合はそれ以上だ。
自分を今まで愛でてくれていた親、そのどちらもが一斉に居なくなったのだ。
拠り所がなくなる、自分に一番近いものがなくなる。
それからというもの彼は学校に来なくなった。
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 02:19:40.41 ID:+1IcINyx0
私は幼馴染さんや友さんたちと彼の家に向かう。
幼馴染さん、友さんは中にいれてもらえる。
だけど、私は入れてはもらえない。
それくらい少しはわかっていた、自分がまだ信用に置けない人間だと。
だけど、それを信じることができない私は毎日、毎日、雨が降っても彼の家に向かった。
風邪が引いても彼の家に向かう。
メイドたちが心配をする。
だけど、一人でいかないといけないのだ。理由は―――
もしかしたら自分が彼をどれほど思っているか、知ってほしかったのかもしれない。
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 02:26:04.81 ID:+1IcINyx0
一月が過ぎる。
今日も彼に会いに道を歩く。
もう、風景も覚えてしまって新鮮味がない。
ドカッ
お嬢様「痛いっ」
あれ、なんだろう。どんどん気が遠く―――
―――起きたら監禁されていた。
まただ。
あの時みたいに攫われてしまったようだ。
そして、同じように携帯も忘れていた。
いつもの道、いつもの目的地。
安心しきっていた。
もしかしたら犯人は私があそこを通るのを知っていたのかもしれない。
あの時みたいに、助けてくれないかなぁ……。
…………だけど、いくらまってもこない。
誰もこない、私を攫った人も。
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 02:28:51.17 ID:+1IcINyx0
ピンポーン
男「はい……」
ガチャッ
友「大変だっ!お嬢様が!!」
男「あわててどうしたんだよ……」
友「お嬢様が!誘拐されたっ!!」
男「は……?」
友「いつもどおり、お前の家に向かう途中に攫われたみたいだ!携帯はおいていっていたみたいだ」
男「そんな……」
友「警察にも連絡はした、兎に角一緒に探すぞ」
男「だけど……」
友「いいからこいっ!」ドンッ
男「! わかった」
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 02:32:29.64 ID:+1IcINyx0
男(嘘だ……俺のせいだ。俺が引き篭もらなければ……)
スタタタタ
男「クソッ……」ボロボロ
男「……泣いてちゃ駄目なのに……っ」ゴシゴシ
………………
…………
……
…
カツカツカツ
お嬢様「!? んっー!んっー!」モゾモゾ
誘拐犯「おーいお嬢ちゃん。騒ぐなよ、騒いだら……」ドンッ
お嬢様「!」ブルブル
誘拐犯「よーしよーし、そこでまってろよ」
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 02:34:29.38 ID:+1IcINyx0
男「どこにいるんだよ……くそっ……」タッタッタ
男「もうこうなれば裏路地くらいしか……」
スタタタタタ
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 02:36:39.14 ID:+1IcINyx0
<ソウソウ イイトコノオジョウサマミタイダゼ
<ハハハ、アイツモウマクヤッタナァ
男「!?」
男「……ここか」
男「今から電話しても危ないかもしれない、俺が一人で助けなければ……」
スタスタスタ
不良A「あ?」
ドガッ
不良A「うぐっ…」
不良B「おいA、おいてm」
ドボッ
バキィ
男「……早く、早くいかなきゃ」
スタスタスタ
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 02:39:22.12 ID:+1IcINyx0
―――廃墟っぽいところ
男「……」チラッ
誘拐犯「まだかねぇ……そろそろ誰か来る頃だと思うけど……」
男(あいつ一人か、誰かを待っているのか……?)
タッタッタ
チャラ男「うーっす。 おっ、上玉じゃん、よくやったな」
誘拐犯「おう、ようやく来たか」
男(! まさか、犯す気じゃ……。 とりあえず隙を見て攻撃しないと……)
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 02:42:26.61 ID:+1IcINyx0
誘拐犯「よっし、それじゃ猿轡はずすか」
男「!(チャンス!あっちを向いたっ!)」
タッタッタ
バキャァァァ
ドサァ
誘拐犯「は……」
チャラ男「だれだてめぇ」
ドンッ
チャラ男「うぼぉっ……」
チャラ男「糞がっ!舐めてんじゃね」
バキィ
ドン
チャラ男「やめ、やめ」
グチャ
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 02:43:23.53 ID:+1IcINyx0
男「お前も……っ」
誘拐犯「!」
バキィ
男「はぁ……はぁ……」
男「とりあえず、警察に……っ」
ドサッ
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 02:46:50.77 ID:+1IcINyx0
男「うん……?」
お嬢様「大丈夫なの?」
男「あ、れ……?」
お嬢様「何か案外簡単に鍵が取れたわ」
男「そっか……よかった……」ボロボロ
お嬢様「えっ……泣いてるの?あなた」
男「あっ、ごめん……嬉しくて、さ」ボロボロ
お嬢様「何が……?」
男「ははっ……っ……お嬢様が無事で、ね?」
お嬢様「な、何よ……私がいけないのに……心配なんてしないでよ……」
男「……ごめんね?」
お嬢様「何が?」
男「僕が、お嬢様を拒んでいたから……」
お嬢様「っ……」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 02:51:24.77 ID:+1IcINyx0
お嬢様「それは、私が信用できないからでしょ?」
男「えっ? 違うよ……だって……」
お嬢様「……?」
男「お嬢様を見ていると胸が苦しくなるから……」
お嬢様「えっ……」
男「お嬢様を見てると辛いこと、全部忘れることができるんだ」
男「……だから、両親が死んだこと、忘れないようにって……」
お嬢様「……そう、だったの」
男「うん、ごめん、ごめんね……?」
お嬢様「いいわよ、別に……っ」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 02:54:41.19 ID:+1IcINyx0
それからというもの彼は学校に来るようになった。
私とも前以上に話してくれるようになった。
私の、最高の、最愛の人。
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/04(日) 02:57:20.26 ID:+1IcINyx0
そして今も、大好きです。
お嬢様「男さん、ずっと、ずっと一緒に居ましょうね」
男「うん? それは当たり前だろう」
お嬢様「……それに、あなたは働かなくてもいいわよ?」
男「えー」
お嬢様「でも―――」
お嬢様「あなたは私の夫になるべきです!」
男「もちろん!」
The End
お嬢様「あなたは私のヒモになるべきです」男「えー」