SS速報VIP:美琴「週末は アイツの部屋で しっぽりと」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1295670473/



1: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 13:27:53.80 ID:SumbvhkS0

立ったら投下します

コンセプトは「上琴のポリネシアン的な一夜を考える」

作中で一部性描写があります
(内容的には至ってノーマルです)

投下中でも随時レス割り込みOKです



2: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 13:29:18.13 ID:SumbvhkSo


 二月初旬の、とある土曜日。

 暦の上では立春を迎える学園都市は、まだ寒風が肌を撫でていく真冬の只中にあった。
 この時期は受験や学期末試験といった、学生達の神経を擦り減らす行事を間近に控えており、
 街中ですれ違う若者達は誰もが冷えこむ気候に身を縮め、暗澹とした表情をして歩いている。
 
 しかし、買い物袋を携えた御坂美琴(みさか みこと)はその辛気臭い雰囲気を物ともせず、
 太陽のように燦々と輝く笑みを浮かべ、一人軽やかな足取りで歩いていた。
 午前中で授業を終えて昼食を食べ終えた頃から高ぶる気分を抑えきれず、
 今日の逢瀬に思いを巡らせてほんのりと惚けている。
 対向する者はその幸多そうな表情にあてられ、みな怪訝な顔をしながら道を譲っていく。

「アイツの家に泊まるのも、今日で五度目かぁ」

 小さなメモリアルが、心躍る美琴の高揚ぶりに拍車をかけている。
 手にした袋は食材でギチギチに満ち、少女の手に食い込むほどの重さだが、
 二人の幸せな食卓を作ることに思いを馳せると、羽が生えたように軽やかだった。


 御坂美琴が、上条当麻(かみじょう とうま)と恋仲になって早二ヶ月が経つ。



3: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 13:35:41.65 ID:SumbvhkSo

 両想いの恋を始めてから、美琴は自分の知らない一面を多く知り始めた。
 付き合い初めは上条と手を繋ぐ事すらおぼつかないほどウブだったのが、
 自分は尽くす事で幸せを感じるタイプなのだと知るや
 程なくして通い妻の真似事を始め、やがて週末に上条の部屋へ入り浸るようになる。
 寮監や同居者の目を避けながら、既に四度もの外泊を重ねていた。

 一度目の夜は二人が同じ部屋で一晩を過ごすだけで頬が赤くなり、
 二度目の夜は初めて同じベッドに枕を並べて一晩を過ごし、
 三度目の夜はお互いを抱きしめ口付けあいながら眠りに落ち、
 四度目の夜は―――

「……私、アイツと……しちゃっ、たんだよ、ね……。
 アイツったら逞しくて、優しくて、でも荒っぽくて……ああぁぁ」

 先週の夜の出来事を思い起こすと、美琴は熟したトマトのように顔を赤らめてしまい
 正常な思考ができなくなってしまう。
 男女の一線を越える事を受け入れたのに、心は生娘のままだ。

「また、するのかなぁ」

 憶測ではなく願望を口にしている事を自覚して、顔が赤らみのぼせてしまう。
 出立前にわざわざ下着を厳選してきた自分の心に嘘はつけない。

「……玄関前に茹でダコがいるぜよ」



4: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 13:43:35.90 ID:SumbvhkSo

 それが男子寮の前で惚けたまま立ちつくしている自分を指した声だと気付くと、
 美琴は慌てて体面を整え、声のする方へと振り返った。

「あ、つ、土御門のお兄さん……こんにちは」

「およっ、常盤台のお嬢さん。今週も来たのかい?」

「あ、え、えっと、はい。土御門さんはこれからお出掛けですか?」

「舞夏と待ち合わせて買い物に行くとこですたい」

「兄妹仲が良いんですね」

「そちらさんほどじゃないにゃあ~」

 美琴は恋人の友人であり、友人の兄でもあるこの男、
 土御門元春(つちみかど もとはる)がどうにも苦手だった。
 能天気な言動の裏側に、決して他人に心掴ませぬ刃を秘めているように見える。
 人を値踏みするような視線を隠すサングラスと、季節にそぐわないアロハシャツ、
 それに加えて気色の悪い口調―――その全てがうさん臭かった。



5: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 13:49:40.85 ID:SumbvhkSo

「ああ、カミやんなら今さっき禁書目録と一緒に出掛けたみたいぜよ」

「知っています。あの子の事、担任の先生に預けに行ったんですよね」

「小萌先生もつくづく面倒見のいいことだにゃあ」

 上条の同居人インデックスの存在は、美琴にとって一番デリケートな問題である。
 上条と恋仲になった今となっては彼女個人と確執を設けるつもりはないのだが、
 三人を取り巻く環境が危ういバランスの上にある事も理解していた。

「だから今はカミやんの部屋には誰もいないぜよ」

「大丈夫です、これを預かっていますから」

 美琴は懐から合鍵を取り出し、土御門に見せつけるようにかざす。
 本心としては、この鍵を使って一刻も早く上条の部屋に逃げ込みたかった。

「ぬかりないねぇ」

「それでは」

 早々に会話を切り上げると、美琴は駆け上がるようにして階段を上っていく。
 その背中を見送った土御門は、羨望に満ちた顔でいながら心は懸念に満ちていた。

「カミやんは幸せもんだにゃ~。
 それにしても……幻想殺しに禁書目録、そして妹達《シスターズ》の源、超電磁砲か。
 つくづく皮肉な巡り合わせだぜぃ」

---



6: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 13:55:38.22 ID:SumbvhkSo

 [13:18]

 先週、上条から部屋の合鍵を手渡された美琴は、この小さなアイテムに
 彼の信頼と愛情が詰まっている事にすっかり舞い上がっていた。
 恋人同士を象徴するやりとりに、美琴はおろか上条も顔を赤らめていた事を思い出す。
 美琴はこの鍵を一週間肌身離さず持っていたが、さっそく行使の好機を手に入れた。

(こういう時にこそ使っていいのよね)

 上条の部屋の前に辿り着いた美琴は、少しの背徳感と大きな期待感を胸にして
 鍵穴に恐る恐る鍵を差し込み、錠を開く。
 愛の巣。ふと如何わしい単語が思い浮かび、またも顔から熱気が吹き出そうになる。

「お、おじゃましまーす……」

 上条の在宅中なら何度か訪問経験はあったが、無人の家に上がるというのは緊張感が違う。
 美琴は後ろ手に内鍵を掛けると、落ち着かない心境を宥めるために
 家事の算段を思い巡らせた。



7: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 14:00:44.00 ID:SumbvhkSo

(まずは、アイツが帰ってくるまでに夕御飯の準備をしなくちゃ。
 鍋は火を通したらすぐ食べられるように仕込みしといて、炊飯もタイマーしといて、
 掃除と洗濯は明日するわけだから、料理の下仕込みさえ終わらせておけば……)

 買い物袋と一緒に手にしていたデイリーバッグを床に下ろすと、
 常盤台の制服姿を汚さないための、カエル柄のエプロンを取り出して身に着けた。
 丁寧に手と喉をゆすぎ、買い物袋の中身を台所に並べていく。
 材料を買う時から夕飯の主献立はクリームシチューと決めていた。

「ま、いっちょ腕を振るってやりますか!」

 自分の味を彼氏にインプリンティングする事に喜びを覚える美琴は、
 初々しい願望に頬を赤らめつつ、威勢よくジャガイモの皮を削ぎ始めた。

 ---



8: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 14:06:03.81 ID:SumbvhkSo


 [13:42]

 インデックスを飼い猫ごと月詠家に送り届け、帰り道にドラッグストアへ立ち寄った上条は
 コーナーの一角に大きく張り出されたポップの文字をまじまじと見つめていた。
 今日は美琴と外で待ち合わせをせず、先に家へ向かわせたのには理由がある。
 インデックスが不在の今しか入手できない、とある品物を購入するためだった。

『新発売! 極上の安心と快楽をあなたに!
 極薄0.01ミリ! サ○ミオリジナル 6つ入 税込¥1480』

 信頼と安心を標榜する避妊具の最新製品を前にして、上条は葛藤していた。
 記憶喪失に陥った直後の上条は、自分の財布にしまい込まれていた1枚のスキンの存在を
 本来の自分が持っていた虚栄心、或いは男子としてのエチケットと推測していた。
 今日に至るまで、かつての自分と肉体関係を結んでいた事を示唆する女性は現れておらず、
 上条当麻が童貞であった事に疑いは持っていない。
 しかしそのスキンも先週、己の目的を正しく果たし、その役目を終えていた。

(ううう、やはり男女のお付き合いは健全であらねばならぬと思うのですが、
 つい男の本能に従ってしまったばかりに、上条さんは遂に、遂にっ、
 女子中学生と身体を重ねたロリコン高校生になってしまったっっ。
 こんな事が青髪や土御門に知られようものなら、今度こそ上条さんはリンチ死ですよ!
 でもなぁ……あいつも嬉しそうだったしなぁ)



9: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 14:09:25.29 ID:SumbvhkSo

 性欲自体に抗うか否かの激しいジレンマは、先週の時点でとっくに通り過ぎていた。
 愛する恋人との逢瀬を再び求めるならば、せめて最上のスキンを用意するのが
 男子の器量だろうと上条は思い込んでいる。
 ポップから目を逸らせば求めやすい価格のスキンが幾つも棚にあるというのに、
 もはや上条の心には「極薄」の魅力的な二文字が力強く彫り刻まれていた。
 しかし己の財布を開くと、そこにあるのは千円札が一枚とわずかな小銭のみ。

「無い袖は振れないんだよな……はぁ、不幸だ」

 財布を振っても逆さにしても、どう合算しても1480円には届かない。
 謳い文句に惹かれる本能と健全な理性がせめぎあう戦場に、予算という名の
 絶対的な調停者が舞い降りたため、上条は心の中で両手を上げ降伏を決意した。

(『徳用スキン50枚入り980円』これならギリギリで……
 いやしかし安物をこんな大量に買い込んだらあいつに引かれそうだな、ってか俺も引く!)

 味気ないパッケージに手を伸ばそうとして、再びくだらない葛藤に束縛される。



10: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 14:15:50.27 ID:SumbvhkSo

 ふと悩める視線を横に向けると、ドラッグストアの法被を着た女性販促員が
 店内に黄色い声を響かせながら試供品を配布している光景に目を奪われた。
 試供とか試食とか、無料提供を連想させる言葉に惹かれがちなこの少年が
 ふらふらとキャンペーンコーナーに近付いて来る様子を見つけた女性販促員は、
 営業用のスマイルと共に、薄赤色のビニールで包装された試供品を彼に手渡した。

「よろしかったらどうぞお試しください! 彼女さんを大切にしてあげてくださいね!」

(なんで俺に彼女がいるって分かったんだ、この人?)

 店員が何を配っているのかも理解しないまま、庶民感覚だけで試供品を受け取った上条は、
 ビニールに包装されているそれの正体に気付くと細かいツバを噴き出した。

『極薄0.01ミリ! サ○ミオリジナルスキン 3つ入 ※これは試供品です』

「ブ―――ッ! こッ、これはッ、さっきのスキンではありませんかぁぁ!?」

 上条は慌てて店を出て、周囲の視線を気にしながらビニール袋を開梱すると
 そこには3枚の試供スキンと1冊の小冊子が入っていた。
 帰り道に足を向けると、スキンをこっそり懐に忍ばせつつ冊子を開く。
 その冊子のタイトルは、おおよそ公共の場で口外できる代物ではなかった。

『実践!メイクラブ完全マニュアル ~若い恋人達の幸せのために~』



11: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 14:21:23.64 ID:SumbvhkSo

「なにが実践だよ。学生だらけの学園都市でこんなもん配っていいのかあ?」

 上条は街のモラルを皮肉ったが、学園都市が抱える性問題は思いのほか根深い。
 この都市では学問と能力開発ばかりを熱心に教え、性に関わる情報は強く統制している。
 しかし、淫らなポルノを街から排除しても学生達を健全に育て上げるとは限らないらしく、
 冊子には近年の学生達の中絶率が上昇の一途である事がグラフデータで示されていた。
 避妊具や妊娠検査薬がストアで公然と売られている点を見るに、都市としても
 異性交遊の実情に対して妥協せざるを得ない部分があるのだろう。

「デートDV? そんなのがあるのかよ、恋愛相手に暴力とかありえないだろ。
 中絶の悲惨な実態? ……うげぇ、こんな生々しい写真は見たくないな」

 知識も心身も未熟な少年少女達に不可欠なバイブルを目指して作られているようだ。
 上条の性知識も決して豊かではなく、大切な恋人ができた以上、
 ポルノ以外の健全な教材があるのならば頼ってみたいという心理もある。
 いつの間にか冊子の記述にのめり込んでいた上条が特に目を惹かれたのは、
 冊子の最後に乗っていたセクシュアルな記事だった。



12: 誤爆してしまった… ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 14:27:09.75 ID:SumbvhkSo

『スローセックスとは―――射精や絶頂を目的とした男性本位のセックスに対し、
 ゆっくり時間をかけ、男女が互いをいたわりながら肌を重ねる時間を楽しむ性行為です。
 前戯10分・交接5分のインスタントセックス、欲望の処理を第一目的としたセックス、
 相手を無視した自分勝手なセックス、激しい運動に終始するセックス、
 これらは全てジャンクセックスと呼び、スローセックスはその対極をなすものです。
 セックスは神様からの最高のプレゼントであり、人生に喜びと幸福をもたらす崇高な行為。
 最高のエクスタシーを体感し、最高の喜びを共有し合うためには
 正しい性知識とテクニックをマスターしてこそ実現できるものなのです』

「……なんだか宗教じみてんなあ」

 故あって近頃、宗教間抗争に多く関わっている上条の第一印象だった。
 しかし学生向けに作られた記事は明快かつ明瞭で、知能指数の決して高くない
 上条にも読みやすい文章でまとめられていた。
 激しい動作とフェチズムばかりを重視し、売り上げを至上命題とするポルノとは
 一線を隔す現実的な情報が、上条の目には貴重かつ新鮮なものに映る。

「要するに、アレを突っ込んだら激しく腰を振るばかりじゃなくて、
 相手の様子を見ながら沢山触ったりキスしたりする方を重視しろって事か。
 ううっ、この間の事を考えると、俺にそんな冷静に対処できる自信はねえぞ」



13: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 14:29:44.81 ID:SumbvhkSo

 初体験の事を思い起こすと、上条は気恥ずかしいやら情けないやらで悲しくなる。
 一糸纏わぬ姿の美琴がいとおし過ぎて、スキンを身に着けて身体を重ねた後は
 一心不乱になってしまい、挿入から射精まで3分と持たなかったのだ。
 たった一枚のスキンを使い終えた直後に、激しい後悔に襲われた事を思い出す。

(あれがジャンクセックスってヤツか。確かにあんな行為じゃ相手にも良くねえよなぁ。
 初体験だから仕方ないって、心のどこかで言い訳していたのかもしれねえ。
 そういや美琴も初体験だって言ってたし……なんかすごく申し訳ない気がしてきたぞ。
 ……いいぜ、あんな体験を二度としたくないって思うのなら、まずはこの内容を記憶する!)

 紆余曲折を経て、御坂美琴という可憐な少女と恋仲になったのだ。
 自分がいくら不幸な男でも、そのために彼女まで不幸にする事は絶対にあってはならない。
 そう誓う上条は、帰寮するまでの道程に冊子を隅々まで熟読する事にしたのだが、
 途中で迂闊にも野良犬の尻尾を踏んでしまい、執拗に追いかけられる憂き目に遭った。

「ふっ……不幸だァ―――!!」

---



15: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 14:34:35.29 ID:SumbvhkSo


 [14:27]

「アイツ、遅いなぁ。また何かに巻き込まれてなきゃいいけど……」

 美琴は大鍋に仕込んだクリームシチューをかき混ぜながら、玄関と鍋に交互に視線を向けつつ
 新婚の夫を待つ新妻のように上条の帰宅を待ち焦がれていた。
 料理は一通り完成したのだが、これが夕食として口に入るのはだいぶあとになる。
 しかし調理を終えると無人の上条宅で手持ち無沙汰になってしまうため、
 なんとなくお玉から手を離せないでいた。

(も、もしアイツが帰ってきたら、やっぱりアレを言ってあげるべきなのかしら。
 お風呂にしますか? ご飯にしますか? そ、それとも―――)

 ガチャッ、ガタンッ!
 静寂を打ち破るようにドアノブを回す音が鳴り響くと、
 美琴は反射的に肩を震わせ、家主の帰還に戸惑った。



17: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 14:41:32.64 ID:SumbvhkSo

(か、帰ってきちゃったの!?
 だってお風呂なんてまだ沸かしてないし、夕ご飯には早すぎるし、だ、だからって
 こんな時間から「それとも……私?」なんて言えるわけないじゃないのよぉ!)

 開錠音と同時に、美琴は思わず玄関口に伏していた。
 戸を開いて現れた上条は、その異様な光景をどう受け取ってよいものか迷ったらしく、
 気まずい空気が玄関を取り巻く。

「ただいまーっと。……なにやってんだ、美琴?」

「おっ、おお、おか、おかえりなさい、あははは……!」

「お前、またなにかテンパってただろ。こんなメイドみたいな事しなくたっていいんだぞ」

「わ、私だって気が付いたらこんな姿勢だったのよ!」

「にしても、なんだかいい匂いがするな~」

「でしょ。夕ご飯はクリームシチューにしようと思って」

「そいつは夜が楽しみだ。美琴の料理は品が良くて旨いからなぁ」

「そ、そうね、夜はお楽しみよね、ね」



18: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 14:45:35.94 ID:SumbvhkSo

 正座姿勢のまま、赤面して慌てている美琴の様子を見て
 いつもの妄想癖がまた出たのかと思えるくらいには、彼女への理解も深まっている。
 美琴の手を取って立ち上がるのを支えると、玄関の段差で二人の身長差が埋まり、
 目線がちょうど水平に並んだ。

「あー、その、なんだ。お前のエプロン姿、可愛いな」

「あ、ありがと……そ、それとさ」

「なんだ?」

「こういう時に、する事があるでしょ」

「?」

「もうっ」

 とはいえ上条の勘が鈍いのは相変わらずで、美琴は溜め息をつきながらも
 自分からそっと上条に歩み寄り、顔を寄せて口付ける。

「……おかえりの、キスよ」

「あ、ああ」



19: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 14:50:47.38 ID:SumbvhkSo

「唇、冷たいね」

「外が寒かったからな。早く暖まりてえよ」

 土曜の日中はデートするのが習慣になっていたが、今日の寒さでは気が進まない。
 二人の思惑は細かい部分では異なるものの、家を出たくないという点は一致していた。

「夕ご飯まで時間あるけど、どうしよっか?」

「今日は寒いし、家でゆっくりしようぜ」

「そ、それがいいわね。とりあえず上がんなさいよ」

「ここは俺の家だぞ」

「分かってるわよ、玄関で突っ立ってるから気になっただけ」

「へいへい」

 美琴は台所に入って鍋の火を止めると、調理器具の洗い物を始める。
 ふと、リビングに入っていく上条の後ろポケットに折り畳まれた冊子を見つけると、
 夏休み最後の日に上条が握り締めていた宿題用紙を連想した。



20: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 14:56:05.85 ID:SumbvhkSo

「そういえば、アンタ今週も宿題って出たの?」

「ああ、今週もたーっぷりと出されましたよ。期末試験も近いしな。
 まぁそのお陰で小萌先生にインデックスの事をお願いできるんだけどさ」

 小さな身でありながら、愛する生徒に対して人一倍熱心な担任の顔を思い浮かべつつ
 上条は小さな溜め息をついた。愛の教鞭はいつだって彼に厳しい。

「あの子がいると勉強もはかどらなさそうよね」

「まぁな。二言目には『とうま、お腹減ったー!』だもんなぁ」

「分からないところは聞いてくれてもいいけど、なるべくは自分でやんなさいよ」

「ですよねー。こっちのセンセーも最近はすっかり厳しいこって」

「なによぅ、それがアンタのためなんだからね」

「嬉しくて上条さんは涙が出そうですよ」



21: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 15:01:57.16 ID:SumbvhkSo

 上条は制服からトレーナーに着替え、制服のポケットからスキンを抜き取ると
 堂々と美琴に見せる事のできないそれを、こっそり枕元に忍ばせる。
 次に粘着ローラーを手に取り、インデックスの外泊する日だけ
 家主が使うことの許されるベッドの上をコロコロと均していく。
 飼い猫スフィンクスの毛と、インデックスの体毛を取り払うエチケットだ。
 一通り掛け終えると、ちょうど台所の洗い物を終えた美琴も
 エプロンをほどきながらリビングに入ってきた。

「ちょろっとーアンタ、帰ってきてから手洗いちゃんとしたの?」

「してねえ」

「しなさいよ! 風邪の流行る季節なんだから、ちゃんとうがいもするのよ」

「母親みたいな小言言うんだな」

「ひどッ! そーいう言い方する!?」

「悪い悪い、美琴ママの優しさには感謝しきりですよ」

「茶化すなっつーの」



22: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 15:06:40.85 ID:SumbvhkSo

 美琴は尻を蹴飛ばす仕草で、上条を洗面所に送り出した。
 上条はハンドソープを手に取りながら、ついでに歯磨きもしようと思い立つ。
 美琴はベッドに腰掛けつつ待っていたが、ふと緊張で乾く口内を潤したいと思い
 友人から貰ったアメ玉を懐に見つけ、これ幸いと舐め始めた。

(だ、大丈夫よね。来る前に歯も磨いたし、シャワーだって浴びてきたし、
 私変な匂いとかしないわよね。し、下着だってちゃんと新品を下ろしてきたし……)

 上条は美琴のファンシー趣味に共感はしないが許容はしている。
 カエル柄の下着姿だって受け入れるだろうが、苦笑くらいはするだろう。
 先週の外泊のあと、彼に魅せる下着姿を強く意識するようになった美琴は
 年下の友人二人と相談のすえ、セクシーアピールできそうな下着を数点購入していた。
 やたらと官能的なルームメイトの趣味だけは参考にしなかったが、
 お陰で上条に笑われなくても済む自信はついたと美琴は考えている。
 アメ玉を舐め終えた頃になって、ようやく上条が戻ってきた。

「ずいぶん丹念に洗ってたのね」

「ま、まぁな」



23: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 15:10:43.78 ID:SumbvhkSo

 上条が美琴に寄り添うようにしてベッドに腰掛けると、室内に静寂が戻り
 カチコチと無機質な壁時計の音だけが空間を支配する。
 時刻は2時30分を回っていた。

「……明日のいつまでいられるんだ?」

「午後からは黒子達と遊びに行く予定があるの。だからお昼までかな」

「じゃあ昼飯はここで食べていけよ。多分インデックスもそれまでには帰ってくる」

「そうね、明日の分も作り置きしてあるから三人で食べましょ」

「ああ、助かる」

「そうすると、あと20時間くらいは二人でいられるのよね」

「そうだな」

「……」

 会話が止まると、二人はどちらともなくお互いを見つめあい、瞳を瞬かせる。
 美琴を求める事にまだ葛藤がある上条は、彼女の肩を抱き寄せようとする右手を
 わきわきと動かし、肩に触れるか触れないかのところで留めていた。



24: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 15:15:44.49 ID:SumbvhkSo

(いいのか俺、こんなガツガツしていていいのか俺っ)

 この一週間抑圧していた欲望が、上条のトレーナーの下腹部を
 突き破らんばかりの勢いで押し上げている。
 就寝の間際になだれ込んだ初体験とは違い、まだ日も明るい中で
 美琴にどういう形で求めればいいのか分からず、先走る欲望に必死で抗う。
 そんな上条の苦悶は、眼前の美琴にも丸分かりだった。
 
「あ、あのさ、多分だけどさ……同じ事考えてると思うの、私達」

「えっ?」

「私も……その、そうして欲しいから」

 美琴も彼女なりに、あと一歩踏み出せない臆病な自分自身と懸命に戦っている。
 上条に求められたい一心は強く持っているのだが、上手に表現する方法を持たず、
 爆発寸前で震える風船のようであった。

「我慢しなくて……いいよ」

 理性の糸が断ち切れる音を聞くより早く、上条は美琴の肩を抱き寄せて口付けていた。
 柔らかい唇から、ほんのりと甘いレモンの香りと味が伝わってくる。



25: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 15:20:11.44 ID:SumbvhkSo

「なんだか甘い……」

「あ、アンタが手を洗っている間にアメ舐めてたの」

「だからか。もっと、味わってもいいか?」

「うん、いいよ……んふっ」

 三度目のキスは、お互い待ちきれなかった舌を突き出し、絡み合わせる。
 生暖かくて柔らかい舌の感触と、かかる鼻息のこそばゆさが心地よくて、
 上条の意識がたちまち打ちのめされる。
 不器用な少年も数度の経験を経て、美琴の好むついばみ方を覚えつつあるのか
 上条は五感の全てを駆使して美琴を求めた。

(やーらけぇー、あったけぇー、いい匂いがする……)

(とうま……キス、うまくなってるぅ)

 甘美な感触が、美琴の理性もとろとろ溶かしていく。
 わずかに漂ってくる歯磨き粉の薬味も厭わず、上条を吸い求める。
 告白を受けた日にファーストキスを交わして以来、美琴はこの行為にすっかり溺れていた。
 これほど手軽に快感と幸福を味わえるのなら、もっと早くこの快楽に侵されたかったと本気で考えている。



26: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 15:25:40.31 ID:SumbvhkSo

「あぅん……もっとちゅーしてぇ、とうまぁ……」

「ああ、もっとしてやるよ、美琴」

 舌を入れてキスを続けると、美琴の中にある「何か」のスイッチが切り替わることを
 上条は経験上から確信していた。
 スイッチが入ると美琴はツンケンとする自分を脱ぎ捨て、"少女"から"女"へと変態する。
 声が一オクターブ上がって艶を増し、上条を下の名前で愛らしく呼ぶようになる。
 学園都市で最高峰に君臨する超能力者《レベル5》として、気丈に振舞う姿の裏側に
 こんなにも惚けた女の表情を持っている事を知っているのは上条だけだ。
 分身にたちまち血が溜まって剛直するが、押し倒さんとする己の衝動はグッとこらえる。

(今日はまだまだ我慢だ、我慢。時間をかけて美琴に沢山触れてあげないとな)

『まずは、たっぷりと時間を掛けてディープキスをしましょう。
 女性は性交以上にキスを好みます。ゆっくり時間を掛けて相手の心の扉を開くのです』

 冊子の記述内容を思い起こしつつ、レモン味が消え果てるまで舌を絡め続けた。
 抱きしめる腕の力を強めると、美琴からも求めてくる抱擁の力強さが愛おしい。
 その瞳はトロリと潤み、上条にすっかり身も心も任せていた。

「なぁ、美琴」

「なにぃ?」

 美琴の甘ったるい言葉には、上条がキスを中断した事への不満と、
 続きをせがむ期待が合い混ざっていた。
 上条とて、ここで止めるのは全く本心ではない。



27: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 15:30:42.73 ID:SumbvhkSo

「持ってるアメ玉って一個だけなのか?」

「ううん、初春さんから沢山貰ってるから、まだ5つくらいあるわよ」

 美琴はいったん上条から身を離すと、ポケットから全てのアメ玉を取り出した。
 上条はその隙に空調機のリモコンに手を伸ばし、設定温度を22度に設定し直す。
 いささか肌寒い数値だが、身体を求め合うにはいい具合だろう。

「リンゴ味、パイナップル味、イチゴ味、オレンジ味、ブドウ味……ねっ、どれにする?」

「全部」

「ぜ、せんぶ舐めるの? 一個ずつ?」

「……ダメか?」

「ダメじゃない」

 魅力的な提案に逆らう理由など何もない。
 美琴はまずイチゴ味の包装を破ってアメ玉を口に入れ、目を閉じる。
 イチゴ味の美琴も美味しそうだなと呟くと、上条は美琴の唇に強く吸い付いた。

---



28: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 15:36:20.07 ID:SumbvhkSo


 [14:46]

 アメ玉を二人で舐めると1つ当たり3分で消え果てる事を知った上条は、
 美琴をベッドに押し倒しつつ、またしても舌を絡め続けていた。
 唇以外を舐めようとするとアメの糖分でベタつくため、
 二人は糖分が完全に磨滅するまで互いの口内をむさぼっている。

「……制服、シワになっちまうな」

「なんでもいいからぁ、続きしてぇ」

 会話で意思の疎通を図るにはどうしても口を離さなければならないのだが、
 美琴はほんの一瞬でも恋人の体温が離れる事に耐えられないらしい。
 上条は唇が触れるか触れないかの位置まで口を寄せると、
 小さな口をぱくっと開いて、餌をせがむ小鳥のように唇をついばんでくる。

「お前、キス好きだよな」

「すきぃ、とうまが好きぃ」

「スイッチが入ると急に素直になりやがるし」

「んふっ」



29: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 15:40:27.99 ID:SumbvhkSo

 劣情にまみれた鼻息が扇情的で、背筋にゾクリとくる。
 口内を舌でねぶられるのが余程やみつきになったのか、美琴の惚けた表情を見ていると
 こんちくしょう今すぐ突っ込んでやりたいのを我慢してるのに、と思う上条は
 自分が焦らしているのか焦らされているのかも分からなくなっていた。
 唇でついばむキスを続けながら、上条は美琴へ完全に体重を預け、空いた手で美琴の耳たぶに触れる。
 ビクリと身体を震わせる様子を見て、このままいじくり倒すのも面白いと思いつく。

「重くないか?」

「らいじょうぶぅ、口離しちゃやらぁ」

(完全にハマってるな。えーと、次は確か……)

『女性の肌に触れる時は「1秒間に3センチ」を意識しましょう。激しくこするのは禁物です。
 優しくゆっくり撫でる事で、相手は貴方の存在を強く意識します』

 冊子に記されたガイドのまま、上条は美琴の耳たぶをこすり始めた。
 口付ける事と、性器をこすり合わせる以外の性交渉を知らない上条にとって
 これが本当に快楽と直結するのかという不安はあったが、

「ふっ、ふぁぁっ、にゃあっ、うにゃあ!」

(なんつう声出すんだよ)

 美琴には思いのほか効果があるようだ。



30: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 15:45:22.17 ID:SumbvhkSo

 上条自身はまだ自覚していないが、美琴の嬌声を聞くたびに
 下半身に血が滾っていくのも立派な前戯になっている。
 潤んだ瞳と目が合うと、貪欲に求める女の本性が垣間見えた。

「それ、きもちいい……」

「美琴は耳も弱いのか」

「しら…なぁい…」

「もっと弱点探してやるよ」

「してぇ……」

 左手は耳を撫で続け、右手をうなじに伸ばす。
 こうして美琴に触れるのは、前戯のほかにも能力漏れを防ぐ意味合いもあった。
 ペッティング中に感電したのでは笑い種にもならない。
 美琴は顎を上げて手を受け入れ、後頭部の生え際をさすると、また舌を突き入れて絡める。
 おとがいが唾でベトベトに濡れるのも気にせず、二人はすっかり行為に没頭していた。

「んふぅ、んふっ、んっふーっ、ふぅーっ、んっ、んっ、んふぁ…っ…」

(どこでも感じるんじゃねーか)



31: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 15:50:25.69 ID:SumbvhkSo

 徐々に荒くなっていく美琴の呼吸に漂うアメの香りが
 シャンプーの香料と混濁して、上条の鼻腔を執拗にくすぐる。
 射精感がぞわぞわと湧き上がってくるが、心を無にして必死に抗った。

(3センチ、3センチ、3センチっと)

「んーっ、んぅーっ、とーまぁ……」

(あー、やべー、これだけで俺出ちまいそうだ。こいつ可愛いなー)

 美琴の蕩けた思考には、もう上条と性感以外は何の情報も入ってこない。
 一週間逢えなかった切なさや寂しさも、明け方の霧のように立ち消えていた。
 好きな男に口内を、そして肌を撫でまわされ続け、淫らな一面を開発されていくことに
 戸惑いも恐怖も感じず、ひたすら悦楽だけを感受していた。
 
(私……やっぱり当麻が大好き……)

 その本心を認めるまでに掛かった月日、そして上条と恋仲になるまでの経緯の中で
 二人は数々の苦難と試練に立ち向かってきた。
 一つ間違えば命を落しかねない危機とて幾度もあった。
 ほんの少しでも運命が不運に傾けば、二人は今頃冷たい骸になっていただろう。
 今こうして生きて愛を育む事ができるのが、美琴にとっては何より幸せだった。



32: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 15:55:13.07 ID:SumbvhkSo


 ゲコッ、ゲコッ、ゲコッ♪ ゲコッ、ゲコッ、ゲコッ♪

 桃色の嬌声で満たされていた室内に、頓狂な着信音が鳴り響く。
 唇を重ねたまま二人は目だけで意思疎通した。

(なんだ?)

(ごめん、私の携帯メール)

 なんなのよもぅ、と愚痴をはばからず、美琴が身体をくねらせてポケットを探ると
 上条は美琴に預けていた体重を取り戻し、いったん離れた。
 相手の体温を喪い、一抹の寂しさが二人を襲う。

「……黒子からのメールだわ」

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【From】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 ピンチですわ!
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 お姉様、まさか今宵もお泊まりですの!?
 寮監が勘付いてカンカンですのよ(ToT)
 門限をごまかすにも限度があります、
 せめて今宵は寮に戻ってくださいまし!
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33: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 16:00:51.86 ID:SumbvhkSo

 無粋ながらも必然の成り行きであった。
 美琴は憮然とした表情で、素早く返信を打つ。
 上条はその間に自分の携帯を確認し、着信履歴がない事に安堵すると
 サイレントモードに設定して卓上に戻した。
 もし急用があれば固定電話に掛かるか、隣室の土御門が直接掛けつけて来るはずだ。
 今日一日はなるべく誰の介入もなく二人だけの世界でいたかったのだが、
 己の不幸な体質を考えると大きな期待を持ちづらい。

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【To】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 Re:ピンチですわ!
---------------------------------------
 無理! なんとかごまかして!
 明日なんでも奢ってあげるから!
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【From】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 Re:Re:ピンチですわ!
---------------------------------------
 お姉様ぁ~(ToT)
 このままでは黒子の首が270度回ります!
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34: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 16:05:29.84 ID:SumbvhkSo

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【To】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 Re:Re:Re:ピンチですわ!
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 あと90度回してもらえれば元通りよ
 頑張って
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【From】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 首がちぎれますわっ!(ノД`)
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 居場所は分かってますのよ!
 どうせあの殿方のところでしょう!
 お姉様、くれぐれも学生としての節度を!
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【To】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 アンタなら大丈夫な気がするわ
---------------------------------------
 そ、そんな事あるわけないでしょ!
 今夜は佐天さんの所に泊めてもらうのよ。
 来週はちゃんと寮に居るようにするから。
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【From】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 メールでどもってどうしますの…
---------------------------------------
 佐天さんと口裏を合わせてる事なんて
 とっくにバレてますわよ!ヽ(`Д´)ノ
 先週は固法先輩と、その前は初春とも!
 四週に一度寮で大人しくされているのは
 月のモノがあるからってだけでしょう!
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35: また誤爆した、死にたい… ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 16:11:32.02 ID:SumbvhkSo

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【To】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 なんで私の周期を知ってんのよ!
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 とにかく、これ以上は詮索しないで
 じゃあまた明日ね
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【From】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 (´;ω;`)ウッ…
---------------------------------------
 お姉様はもうあの類人猿に
 身も心も委ねてしまわれるのですね。
 今夜は下ろしたての下着を身に着けて
 きっと一晩中エロエロなのですわね。
 ああさようならお姉様の貞操、
 黒子は無念ですわぁぁぁぁぁ!!
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---------------------------------------
【To】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 無題
---------------------------------------
 バカッ!
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36: 今日は絶対他のスレ開くのやめよう… ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 16:15:02.04 ID:SumbvhkSo

 ふうと一息ついて、美琴はルームメイトとの不毛なメール合戦を終えた。
 カエル型の携帯をサイレントモードに設定し、上条の携帯の横に置くと
 二人の携帯電話に結ばれているストラップのゲコ太とピョン子が並んで
 微笑ましく感じられる。
 自分と上条もそうありたいと美琴は願っていた。

「なぁ」

「なによ」

「白井がなにか言ってきたのか?」

「別に、いつもの通りよ」

「つーか外泊したらマズイんだよな、常盤台の寮って。
 おっかない寮監がいるって言ってたじゃねーか」

「なによ今更。……帰ってほしいの?」

「そんな事は思ってねえけど」

「じゃあいいじゃない」



37: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 16:20:09.03 ID:SumbvhkSo

 黒子と諍いしている間にスイッチがまた切り替わったらしく、
 ツンケンとしたいつもの態度に戻っている。
 ほんの15分前の、舌を突き出して絡みついてきた姿とのギャップが
 上条の不純な心を惹きつけた。

「今夜もし帰ったら、きっと白井がイチャイチャしてくるんだろな」

「嫌よそんなの! あの子の事は好きだけど、そういうんじゃないんだから!」

「じゃあ、帰らないんだな?」

「いじわるっ」

 美琴はブレザーを脱ぎ捨てると、上条の懐に飛び込み猫のように擦り付く。
 気丈な少女は自ら本性を晒し、甘えまくる所存になったらしい。

「……実は分かりやすいヤツなんだな、お前って」

「今頃気付いたの? 鈍感なやつ」

 今度は美琴が上に覆いかぶさって、上条の唇を奪う。
 上条はなすがまま押し倒されながらも、淡い優越感を感じていた。

 ---



40: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 16:25:52.91 ID:SumbvhkSo


 [15:24]

「ん…んふ、ちう…れろっ…ぷちゅ…ちゅ…とーまぁ……」

「んっ、れろれろ…んっんっ…ちゅっ…はぁ…みことっ……」

 二人はベッドの上でお互いの身体を抱きしめながら
 幾度もお互いの位置を入れ替えつつ、延々とカクテルキスに興じていた。
 意識が溶けかけている美琴に比べ、襲い来る衝動に耐えている上条は
 まだ幾分理性が働いているが、このままでは下着の中で射精しかねないほど
 自制心が崩壊しかけている。
 ちらりと壁時計に視線を移すと、優に1時間はキスだけで過ごしていた。
 そろそろキスを止めて次のステップに移ろうと考えるが、
 すかさず美琴が口寂しそうな表情で訴えかけてくる。

「……やめちゃうの?」

「やめねーよ」

 かくいう上条も欲望が切迫しているのだが、美琴にもっと尽くしたい気持ちもある。
 上条は唇をそっと美琴の頬に押し付け、次に鼻、額、瞼へと優しく口付け始めた。

「んっ、なっ、なに?」

「気持ちわりいか?」

「そんなことない……」



43: >>39 本当にすみません…;; ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 16:30:26.95 ID:SumbvhkSo

 上条も美琴も口唇と乳房、性器以外の場所に触れる愛撫を詳しく知らない。
 らしからぬ繊細なアプローチに最初こそ戸惑ったが、
 いとおしそうに口で触れてくる上条の様子に、美琴の顔もつい綻んだ。

「これ、なんだか幸せかもしれない」

「そう言ってもらえると上条さんは頑張りますよ」

 探りを入れるように唇を這わせていく上条にとって、
 美琴が好意的に受け止めてくれているなら喜ばしいことだ。
 化粧っ気のない歳相応の柔肌は、唇とは違った意味で
 吸い付いて離れたくなくなる魅力を秘めていた。

「ぷるぷるしてるよな、お前の顔って。男にはヒゲとかニキビとかあるからなぁ」

「女にだってヒゲもニキビもあるわよ」

「お前そういうの全然ねーじゃんか」

「日頃のケアの賜物ってやつじゃない?」

「そういうところはしっかり女してるんだなぁ」

「当たり前でしょ。……吹き出物なんて作って、好きな人に嫌われたくないもん」



44: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 16:35:48.15 ID:SumbvhkSo

 至近距離で見つめあいながら言うには恥ずかしすぎるのか、
 美琴はそっぽを向きながら上条への好意を口にする。
 形のいい左耳が目に飛び込んできて、上条の興味はそこに移行した。

「そんな事しねーよ」

「ひぁっ……!」

 耳たぶを舐められた驚きと感触に、思わず美琴の身体が跳ねる。
 耳穴に吐息が吹き込まれ、舐める舌の熱い感触に耳朶を侵されて
 美琴はふるふると身を震わせた。
 
「やだぁ、くすぐったいよぉ!」

「嫌か? やめるか?」

「やめちゃやだぁ……」

 美琴のこういうところがわかりにくいんだよなぁ、と上条は心の中で呟いたが
 わからないからわかろうと挑む事を交際と呼ぶのかも知れない。
 まずは、今腕の中でなすがままにしている少女の身体を知る事に専念する。

(左耳に10分、右耳に10分くらい掛けてやるか。
 ……3センチだの1時間だのと結構頭使うんだな、セックスって)

 数字を意識して頭を働かせると、暴走的になりがちな性衝動を少し押さえ込めるので
 これはこれで理に適っているのかもしれないと上条は結論付けた。

 ---



46: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 16:40:13.68 ID:SumbvhkSo


 [15:51]

「れろっ、れろれろっ、かぷっ、れろっ、れろんっ、ちゅっ、ちぅぅ、はむっ……」

「やぁー…ーっ…とーまぁー…ーっ…」

 たっぷり時間を掛けて、耳がふやけるほど舐めつくすと
 美琴は身悶えしつつ、間延びした嬌声をあげ続けていた。
 上条は、美琴の耳が右と左で感度が違う事と、耳の味は少し粉っぽい事を知る。
 後者は瑣末な情報だが、右の耳は息を吹きかけるだけでも
 身をよじらせる事が分かったので、今後もたくさんいじくり倒してやろうと画策した。

「あ、アンタやりすぎなのよっ! ちょっと出そうになったじゃない!」

「出るってなにが?」

「い、言えるわけないでしょっ!」

「……ああ、おしっk」

「言うなぁぁーーーーーーッ!!」

「うるせえっての。隣に聞こえるぞ」

 上条は慌てて美琴の口を右手で塞ぎ、はしたない怒声に制止を掛けた。
 こんな声がうっかり土御門兄妹の耳にでも入ろうものなら、不埒な噂の流布に怯えて
 二人の週明けは気が重いものになるだろう。
 血は繋がっていなくとも、あの兄妹の性質は実によく似ている。



47: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 16:45:16.75 ID:SumbvhkSo

「ああ、土御門のお兄さんならさっき玄関で会ったわよ。今日は出掛けるんだって」

「だったら少しは安心なんだけどな。
 でも隣の部屋からも、それっぽい声が聞こえてきた事は何度かあるんだぜ」

「え、あの二人ってそうなの!?」

「たぶん……」

 美琴は相当面食らった。舞夏が近親関係をネタにした漫画を好むのは知っていたが、
 実践行為までしているとなると今後の接し方も少し考え直さなくてはならない。

「まぁ、あんまり深くは意識しないようにしてるけどな」

「私もそうしよっかな……」

 窓から差し込む光が緋に染まり、外の世界は早くも夕暮れが訪れていた。
 気が付けば1時間半も睦み合っていたにも関わらず、お互いまだ
 服も着たままで、汗ばんだ身体を持て余している。
 美琴の携帯のLEDがチカチカと点滅していたが、二人して黙殺していた。



51: しまった、時刻表示おかしいですね ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 16:49:14.17 ID:SumbvhkSo

「……時間が経つのって早いわね」

「まだまだ沢山あるさ。ブラウス、脱がせていいか?」

「うん」

 上条は美琴の上半身だけ抱え起こすと、彼女の背に回り込んで
 抱え込むようにして抱きしめながら、ブラウスのボタンに手を掛けた。
 後ろから抱き寄ると、鼻腔をくすぐる洗髪料の匂いが甘ったるくて仕方がない。

「美琴って、何処のブランドのシャンプー使ってんの?」

「ブランドっていうか、その……」

「甘いミルクっていうか、まるで赤ちゃんみたいないい匂いがするんだよ」

「そ、そうなのかな」

 上条が女性の身だしなみについて訊ねること自体が珍事なのだが、
 ケロヨン型の小児用シャンプーを使っているという真実はつい言い淀んでしまう。
 せっかく下着は決めてきたのに、こういう部分で美琴は己の本質を変えられない。
 もっとも上条とて、その甘い香りに性欲がそそられるなどと直言はできないのだが。



52: 何度も見返したのにどうしてこうポカミスを… ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 16:56:34.97 ID:SumbvhkSo

 ブラウスのボタンを3つ外したところで、美琴の控えめな膨らみを包む
 白いレースのブラが露わになった。

「あっ」

「……可愛らしいの着けてるんだな」

「あ、アンタに多分見られるだろうと思って、その……ありがと」

 美琴としてはパッドで押し上げて、エアで膨らませた補正下着との組み合わせで
 外勢を張りたい気持ちもあったが、それは友人達に強く反対されていた。

『ダメです御坂さん、勝負下着は男の人が喜ぶものを着けるべきなんですっ。
 押し上げて見栄を張ったって、脱いだら絶対バレちゃうんですから!』

『そうですよ、その慎ましい胸のままだっていいじゃないですか!
 御坂さんの彼氏さんならきっと受け入れてくれます!』

(佐天さんも初春さんも、なんであんなに熱心だったんだろ……。
 まぁ、スケスケ趣味の黒子よりかは役に立つアドバイスだったけど)

 女の友情は時に厚く、時に薄く、時には興味本位が全てである。
 だが友人達の真意は、美琴の下着趣味が小児向きから脱した時点で半分達成されていた。



53: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 17:00:17.00 ID:SumbvhkSo

 一方の上条は、女性の下着の色や柄形に対するこだわりは薄いものの、
 見られる事を意識して下着を身に着けてきた美琴の性格が愛しいと感じている。
 ブラウスから手を離し、両手で下着の上から乳房をそっと包み込んだ。

「こうすると手の平にちょうど納まるな」

「う……」

 胸のサイズの事を言われると、美琴としては羞恥より面目のなさが先に立つ。
 上条としてはなんら含みのない言葉であり、むしろ自分の掌にちょうど納まる感触に満足していた。
 手に余るサイズを揉むのは男の夢だが、今こうして愛しい彼女の胸に触れている事は
 夢にも願望にも勝る現実だ。

「ごめん……私の胸、やっぱ小さいよね」

「? なんで謝るんだ? なにも悪くねえよ」

「だって、アンタの周りには大きい人たくさん居るじゃない」

「いや、いるにはいるけどさ」

 女性の身体的な特徴に対して執着の薄い上条には、話の本質が全く見えてこない。
 上条から伺えない美琴の表情は、いつからか翳りを帯びていた。



54: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 17:05:17.35 ID:SumbvhkSo

「……どうして私を選んでくれたの?」

「だから、なんの話なんだよ」

 美琴は上条の手に自らの手をそっと添え、自身の体温と心を伝えようとする。
 その手は小さく震えていた。

「だって、告白してくれたのはアンタの方だもん。
 私、結局自分からは踏み出せなかったから、あの時はすごく、すごく嬉しかった。
 寮に帰ってから一晩中喜び悶えて、黒子に不審な顔されたって気にならなかった。
 それだけ嬉しかったけど……理由が全然わかんなかったの」

「……」

「だってアンタの傍にはいつもあの子がいるし、他にも修道女とか巫女さんとか
 包容力の豊かそうな人が回りにたくさんいて、私から見ても魅力的な人達だもの」

「あー、姫神は別に巫女さんってわけじゃないぞ」

「まぜっ返さないで。……だからさ、どうして私だったのかなって。
 私より綺麗な人だって、スタイルのいい人だって、料理の上手な人だって、
 優しい人だって、強い人だって、積極的な人だっているじゃない。
 私はスタイル良くないし怒りっぽいし優しくないし年下だし素直じゃないし……
 アンタの好みと掛け離れてるって事くらい、自分でもよくわかってるのよ」

「美琴、おまえ……」



55: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 17:10:35.83 ID:SumbvhkSo

 美琴は今、背反する二つの感情に苛まれていた。
 最上級の幸福と同時に手に入れた最大級の恐怖。
 それはようやく両想いになれた上条との仲を喪う事に他ならない。
 しかし美琴の言葉は止まらず、自身の幸福感を自らおびやかしていく。

「それに、妹達だって私と同じ姿かたちをしてるのに、私よりおしとやかだし素直だし、
 私みたいに嫉妬やワガママのためにビリビリもしないから、ずっと接しやすいじゃない。
 私……自分自身のクローンにも劣等感を感じるこの性格が、時々すごく嫌になるの……。
 せっかく恋が叶ったのに、あれから毎日のように見えない不安に怯えてるのよ。
 だからせめて胸が大きくなって、料理がもっと上手くなって、怒る事をしなくなれば
 アンタの好みに少しは近付けるんじゃないかって思ったから……」

 名門校の模範生であり、学園都市きっての能力者という高みにありながら、
 美琴は誰よりも大きなコンプレックスを抱えていた。
 それは時に孤独、劣等感、嫉妬といった形となって彼女を苦しめている。



57: メルアドのドメインが間違ってました… ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 17:16:19.22 ID:SumbvhkSo

 上条は美琴の吐露を聞きながら、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていたが、
 自分を追い詰めて身を震わせている美琴を強く抱きしめた。
 そして、己の中に生まれた爆発的な感情を整理しつつ、ゆっくり言葉に表す。

「それは……なんか色々と違うだろ。お前はお前だからこそいいんじゃねえか。
 自分を作り変えちまったら、お前は御坂美琴じゃなくなっちまう」

「えっ?」

「お前……3つほど誤解してるみたいだから、この際ハッキリ言うぞ。
 まず1つ、俺は俺の周りにいる人達をより取りできるような立場なんかじゃねえ」

「勘違いなんかじゃないわよ、みんなアンタに好意を寄せてる女の人ばかりじゃない。
 あ、アンタがその気にさえなれば、交際してくれるって人は山程いるわよ」

「青髪や土御門じゃあるまいし、お前まで俺の事をフラグ建築士とか思ってるクチか!?」

「思ってる。しかも父親譲りの遺伝能力よね」

「かーっ! あのなぁ、それは俺が『上条当麻』らしく行動した結果の一つであってだな」

「確かにアンタの信念は老若男女関係ないみたいだけどさ。でもさ」



58: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 17:20:30.76 ID:SumbvhkSo

 上条の正義感は美琴のみならず美琴の父母や友人にも働き、
 また様々な局面で多くの人を不幸から救い、その生き様は影響を広げている。
 そんな上条の周囲を囲う人の輪の中には、彼を男性として恋い慕う女性達も多い。

「それを言ったら、お前だって色んな人達に囲まれて、その人達に慕われてるだろ?
 それはお前が、みんなを守りたいって信念を持って戦ってきたからじゃねーのかよ。
 白井は一際変わり者だけど、あいつだってお前の事を慕ってるからああなんだろうし」

「そうだけど、恋愛は別だもん。私はずっとアンタだけを見てた」

「……そうストレートに言われちゃうと、グゥの音も出ないな」

「それを素直に言えなかったのは、私が全面的に悪いんだけどさ……」

「いや、俺もあとから聞くと相当鈍かったみたいだし、お互い様だろ」

 上条が美琴の不器用なアプローチの正体に気が付いたのは、交際を始めてからだ。
 だからこそ自分達には、向かい合って本音を晒す勇気が必要なのだと考えている。
 上条は抱きしめる力をいっそう強めて話を続けた。



59: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 17:25:30.05 ID:SumbvhkSo

「そりゃまあお前が言うように、普通は顔とかスタイルとか趣味とか、
 料理上手だとか、話してて面白いとか、そういうのが恋人を選ぶ条件かもしれねえ。
 でもそういう基準で相手をえり好みできるような上等な人間じゃねーよ、俺は。
 右手以外にはなんの取り柄もねえ、学の低い無能力者だしな」

「そんな事ないわよ……」

「それに、俺はみんなの中から一番魅力的な人を選んで、お前に告白したってわけじゃない。
 いや、あの、別にお前が魅力的じゃないとかそういうんじゃなくてだな、その」

「……そこは気にしないから、続けて」

 上条の口から恋愛感情に関わる言葉を聞く事は少ない。
 これは希少な機会(チャンス)なのだと美琴は察知し、身体の震えを押さえて話の続きをせがんだ。

「俺は、お前を選んだんじゃない。……初めからお前だけしかいないと感じてた」

「それって、どういう……?」

 身体の震えがぴたりと止まり、美琴の胸の中に暖かい期待が生まれた。
 鼓動が高鳴り、頬が赤らむ。



61: >>60 今日はもう恥ずかしくて行けない… ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 17:31:12.88 ID:SumbvhkSo

「小萌先生が前に授業で言ってたんだけど……すまん、ちょっと話が飛ぶかもしれねえ。
 先生が言うには『常盤台中学の御坂美琴は、幼少の頃からのたゆまぬ努力によって
 レベル1からレベル5に上り詰めた、学園都市きっての模範生』なんだってさ。
 でも俺はそれを聞いた時、つい鼻で笑っちまったんだ。
 自販機に回し蹴りを入れるような、あのふざけたお嬢様が学園一の模範生なのかよ、ってな」

「わ、悪かったわね!」

「でも、この街の多くの人にとってはそういう特別な存在らしいんだよな、お前って。
 だけど俺の中で、お前のことを特別とはどうしても思えないんだ。
 普通とか平凡ってのとも違うけど……なんていうか、一緒なのかなって」

「いっしょ?」

「そう、俺とお前は一緒なんだって思えるんだ。
 超能力者と無能力者が一緒だなんて聞いたら、おかしいか?」

「ううん、笑わないわ。私もその言葉がしっくり来るって思うもの」

 能力の発現過程から養育状況に至るまで、二人の育ってきた境遇は大きく異なる。
 上条が体質にかこつけてカリキュラムにあがく一方、美琴は必死に努力を重ねてきた。
 そんな二人に共通する点は、誰よりも義に厚く情に脆い性格にある。
 それは二人が上条当麻と御坂美琴で在り続けるために
 絶対に曲げる事のできない、唯一最大のアイデンティティだ。



62: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 17:36:01.58 ID:SumbvhkSo

 たとえ上条の右手から幻想殺し《イマジンブレイカー》の力が奪われても、
 美琴から電撃使い《エレクトロマスター》の能力が失われたとしても、
 二人は信念に基づいて戦う事を絶対に諦めはしない。
 その真理に気付いた日、美琴は上条に愛という感情を初めて自覚した。

「それが……十月のいつだったかな。瀕死なアンタの姿を見て、私は私の本心に気付いたの。
 あの時、止める事だって一緒に戦う事だってできたのに、私はどちらもできなかった。
 アンタが貫こうとした思いも、自分の中に生まれた想いも抑えられなかったから……」

(もしかして、アックアと戦った時の事かな)

「……でもホントはね、もっと前からアンタの事、気になってた。
 初対面の時だってアンタは、見て見ぬ振りをしてる学生達をかき分けてやって来て、
 か弱く見えたらしい私を庇いながらスキルアウト達に突っ張ってたもん。
 頼みもしないのに渦中に突っ込んできて、助けるために力を振るうアンタの姿を見た
 あの時から多分、私は独りじゃないんだって思えたのよ」

「……あーすまん、その時の事は」

「そうよねぇ、覚えてないのよねアンタってば」



64: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 17:40:25.85 ID:SumbvhkSo

「俺の記憶だと、自販機を蹴っ飛ばすハチャメチャなお嬢様と、
 そのお嬢様と瓜二つの双子が現れたって印象が強かったんだよなー。
 ちょうど、一方通行(アクセラレータ)と殴り合った日の前日だったっけ」

 軍隊すら蹂躙する最強の能力者との、操車場を血に染めた死闘を
 「殴り合った」で済ませてしまう上条の感性に呆れて嘆息する。
 しかしそのような度量の持ち主だからこそ、どんな大きな脅威にも立ち向かえるのだろう。
 妹達《シスターズ》と自分を救ってくれた事は、美琴にとって大恩の一つだ。

「アンタに出会ってなかったら私は今頃、物言わぬ死体になってた。
 妹達と見分けも付けずに投げ捨てられて、死んだ事にすら気付かれてなかったと思う」

「そんなもしも話はやめようぜ。お前も妹達も、しっかり今を生きてるんだからさ」

「うん……」

「だから涙ぐむんじゃねーよ。お前は、笑ってていいんだ」

「ありがとう。私が今笑っていられるのは、アンタのお陰よ……」

 上条は美琴の顎に左手を添え、右に振り向くよう誘導する。
 涙で溢れた瞳と視線が重なると、少しの罪悪感と大きな愛情を込めて唇にそっと口付ける。
 美琴は目を閉じてそれを受け入れ、涙を零れ落とした。

(……底抜けに優しいとこも、好き……)



65: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 17:45:26.51 ID:SumbvhkSo

 もっと受け入れたい、求めたいと思い直した美琴は
 上条の腕の中で強引に姿勢を変え、彼に向き直った。
 上条は美琴の両脚を腰に回させると、対面座位の姿勢を取ってギュウと抱きしめる。
 身体の触れ合う部分の全てが、熱を帯びて汗ばんでいく。

「それと2つ目。あの時もそうだったけど、
 お前、切羽詰ると自分の価値を貶めるような事言うの、やめろよな」

「あ、あの時はあれしか妹達を助ける手がないと思ったからだし、それに今のは……」

「御坂美琴は俺の大切な恋人なんだよ。その悪口を言うヤツは、たとえお前自身でも許さねえ」

「あ、アンタ……!」

「お前は可愛いし強いし賢いし料理もこなすし、それに本当は
 誰よりも優しくて面倒見がいいんだって、白井のヤツも鼻を高くして言ってたぞ。
 今はもう俺の方が沢山魅力を知っちまってるけどな。だから自分を恥じるなって」

 告白やピロートークとは別の意味で恥ずかしい台詞を
 力いっぱい抱きしめられながら耳元で語られ、美琴は顔が熱くなる。
 心の不安はすっかり吹き飛び去っていた。



67: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 17:50:34.05 ID:SumbvhkSo

「最後に3つ目。俺は……お前みたいに小ぶりでも、か、形のいい胸が一番好みなんだ」

「なんかどもってるんだけど」

「ちょっと大っぴらに言いづらいだけだっ」

「そんな優しいウソ言わないでよ……男はみんな大きい方が好きって言うじゃない」

「男にだって色々いるのですよ。俺は、お前のがいい」

「ふふっ、ホントに?」

「ホントだって」

「じゃあ……触ってみる?」

「……みる」

「なら……、……いいよ」

 上条の愚直な言葉につい笑いを誘われた美琴は、身体半分ほど後ろに下がって
 ブラウスの残りのボタンを自ら外し、脱ぎ捨てた。
 手を背に回してブラを外すと、上条の言う小ぶりなバストが姿を現す。
 夕暮れの室内でも端正な体つきが見て取れた。



69: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 17:55:17.07 ID:SumbvhkSo

「こ、こう見えても、付き合い始めてからちょっとは大きくなったんだからっ!」

「だからそこは気にするなっての。つーか、実際目の前にすると、なんていうか」

「なんていうか?」

「……止まんなくなりそうだ」

「痛くさえしなかったら……あ、アンタのしたいようにして、いいわよ」

「美琴っっ」

 上条は衝動のタガが外れそうになる前になんとか踏みとどまり、冊子の存在を思い出す。
 美琴と唇を重ねつつ、慎ましくも張りのある双丘にそっと両手を添えた。

『成長期の女性の胸はデリケートに扱ってください。乳首をつねるなど論外です。
 乳房全体を手の平全体を使ってゆっくりと揉み、先端は撫でるように触れましょう』

(真面目な話でテンション下がっちゃったからな。またスイッチ入れてやるか)

「んふっ、れろ、ちゅっ、ちゅるっ、れろっ、ちゅぱっ、ちゅっ……」

(今日はねちっこいくらい、一杯キスしてくれる……)

 美琴の口内を舌で堪能し終えた後、上条はもう一度問いかけた。

「もっと沢山触っても、いいか?」

「うん……なにしてもいいよぉ、とうまぁ……」

 愛ゆえに全てを許した女の微笑みが、そこにあった。

 ---



71: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 18:00:58.54 ID:SumbvhkSo


 [16:58]

 科学技術の先端を行く学園都市でも、冬の落陽は暦通りに訪れる。
 上条の部屋も夜の暗闇に包まれつつあったが、二人のほてる感情は燻り続けていた。
 上条は美琴をベッドに組み敷いて、まるで味の違いをテイストするかのように
 左右の乳房を交互に、そして入念に舐めつくしている。
 ツンと自己主張する先端はすっかりふやけ、美琴の荒い呼吸に合わせて浮沈していた。

「あ、アンタ……やっぱり、胸が好き、なんじゃない……!」

「美琴が好きなんだよ」

「今日のアンタ、ちょっと、大胆すぎ、でしょ……!」

「聞こえねーな。ちゅ」

「ひゃっ!」

 右の乳首を口に含み、吸ったり舐め転がしたりと小技を駆使しながらも、
 空いた左の乳首を右手で優しく撫でる事も忘れない。
 二つの愛撫を同時にこなすのは存外難しいが、労苦を掛けて上条は体得していく。
 感度のいい美琴の喘ぎ声が、カンフル剤となって彼の心を盛り上げる。

「あぁっ…ひゃっ、ひぅっ……やらぁ、いじりすぎぃ……んぅっ、んああっ」

(さすがに時間掛けすぎたかなぁ。もうじき夜じゃねーか)



72: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 18:05:04.77 ID:SumbvhkSo

 官能に正直な本能と、時間経過を冷静に判断する理性を両立させ続けるのも難しい。
 舌を駆使しすぎたせいか緊張のためか、ツバの渇きを感じ始めた。
 ここで休憩を取ると、盛り上がりに水を指す気がするので止められないが
 どのみち夕食の時間までには一区切りをつけなくてはならない。
 美琴の愛情がこもったシチューも、今日の楽しみの一つなのだから。

「美琴」

「なに?」

「暗くなってきたし、電気付けてもいいか?」

「えっ、あっ、明るくするの?」

「だってもう暗いぜ」

「は、恥ずかしいし、眩しいからいい!」

 組み敷かれる女にとって天井灯は眩しすぎるが、かと言って上条の部屋に
 サイドランプのような小洒落た品物はない。
 暗闇に包まれた室内で、二人の携帯のLEDだけが存在を過度に主張していた。
 いつまでも着信を無視するのは気が引けるが、今はまだ手を伸ばせない。

「暗いと色々困るだろ。明かり、付けるぞー」

「……わかった」



73: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 18:10:48.55 ID:SumbvhkSo

 ベッドから降りて電灯のスイッチを入れると、二人はベッドの縁に座りながら
 眩しさに慣れるまで幾ばくの間、目を瞑った。
 上条がちらりと横目で伺うと、桜色に染まった美琴の肌と、
 Bカップの慎ましい胸が明かりの元に晒される。
 暗闇の中でまさぐるのとはまた別の興奮が芽生えた。

「ちょ、ちょっと、なにそれ!」

 明かりに慣れた美琴が、上条の下腹部を見て恐れおののく。
 いきり立った怒張がトレーナーを突き上げ、その先端部分には先走った腺液が染み出していた。

「や、これは、なんていうか、その」

「……ひょっとして、だ、出しちゃったの?」

「違う、まだ出してない! これは違うんだっての、ああもうっ」

 ここでカウパー腺液の性質を詳しく語るのは恥を上塗る気がしたが、
 男も女と同じように濡れるのだと、淡い性知識に基づいて簡潔な説明をする。
 初体験を暗闇の中で行ったためか、お互いに新発見な事が数多くあった。



75: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 18:15:32.44 ID:SumbvhkSo

「もう俺も脱いじまうからさ、お互い全部脱ごうぜ」

「ぬ、脱いじゃうのっ? 全部っ?」

「ああ」

 既にスカート一枚のあられもない姿でありながら、美琴はその言葉に狼狽した。
 一度は許した身体であるし、今日は彼に全て許容しようと心では思っているのだが、
 スイッチが戻るとどうしても恥じらいの感情が強く現れてしまう。
 そんな美琴を促す意味も含めて、上条は悠々とトレーナーを脱ぎ捨てる。
 下着を脱ぎ捨てると、天に向かって突き伸びる男のシンボルが顕現した。

(あ、あわわわっ……初めて見ちゃった! 遂に見ちゃった!
 男のあそこってあんな形なのね……)

(うう、見られてちょっと硬さを増してる上条さんは、人としてどうなのでせう)

 ギンギンに張り詰め、臨戦態勢を整えている代物を見た美琴は
 それが上条の欲望の正体だと知るや、グルグルと目を回し始めた。

(でもこれって、私のこと強く求めてくれてるって事なのよね。
 私、さっきからアイツに一方的にしてもらってばっかりだし、
 あんなに沢山愛してくれたんだから、私もなにかしてあげなくっちゃ。
 で、でもナニかって……たとえば手とか口とか、あとは……あうううう)

(……さてはまたテンパってるな)



76: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 18:20:57.51 ID:SumbvhkSo

「あ、あのその、それっておち……」

「ん?」

「おち……んち……ん……なのよね?」

「ぶぷっ、カワイイ言い方するんだな」

「え、言わないの?」

「言わなくもないけど、どっちかってと子供向きの言葉じゃねえか?」

「そうなの? アンタはなんて呼んでるの?」

「うーん、男同士だとチンポって言うのかな。普段はそんな単語滅多に口に出さねえけど」

「ち、ちんぽ!?」

(ビクンッ)

 淫猥な単語が美琴の口から飛び出たのに合わせ、上条のシンボルがいっそう反り上がった。
 知る限りで最も卑猥な口調の金髪女を思い出したが、彼女の言葉を聞いても
 今の美琴に感じたような気持ちには少しもならなかったものだ。
 性欲は愛と累乗されるものだと実感する。



77: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 18:25:14.68 ID:SumbvhkSo

「そ、それってさ……もし私が口とか手で刺激したら嬉しいものなの?」

「ああ、きっとメチャクチャ気持ちいいと思う。
 でも今それを美琴にされたら、多分カミジョーさんジュニアは一瞬で昇天してしまいますっ」

「えええ!?」

「……色々ギリギリなんだよ、言わせんな、恥ずかしいから」

(そっか、当麻ったら我慢してるんだ)

 未知なる器官を目撃した事により、脱ぐ話題をすっかり忘却してしまった美琴を促すため
 上条はそっと彼女に近寄りベッドから立つように促す。
 美琴はなすがまま立ち上がり、上条と並び立った。

「つーか俺だけ脱がせる気かぁ? 早くしないと俺が脱がせちまうぞー」

「わ、わかったわよ!」

 つい気を張った美琴は、慌ててプリーツスカートに手を掛けて脱ぎ取った。
 幸か不幸か、女子の脱衣シーンに遭遇してしまった事は幾度もあるが、
 それを本人公認のもとでガンと見つめていられるのは初めてだ。
 本能的にどうしても胸や下腹部へ目が行ってしまう。
 右腕で胸を隠そうして、全く隠しきれていない美琴の恥じらい方も可愛いが、
 スカートの下に短パンを残してる辺りもまた彼女らしいと上条は思った。



78: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 18:30:21.76 ID:SumbvhkSo

「……ぷっ」

「なっ、なにがおかしいのよっ!」

「いや、その、美琴らしいよなぁって思ってな」

「だって、その、無いとどうしても落ち着かないし、
 彼氏ができたって思ったらなんかますます脱げなくなって……
 ねぇ、こういうのってやっぱり履かない方がいいと思う?」

「そのままでいいと思うぜ。脱がせる物が一枚増えるくらいどうってことねえし。
 この時期だとあれだ、毛糸のパンツみたいなものだと思えば」

「やっぱりアンタ、バカにしてんでしょーっ!」

「だから騒ぐなっつうの。また口塞ぐぞ?」

「……その右手で?」

「手以外になにで塞ぐんだよ」

「……」

「?」



79: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 18:35:11.14 ID:SumbvhkSo

 美琴は短パン姿のまま上条に近付いておとがいを上げる。
 表情はしっかり怒っているが、瞳はキラキラと輝いて期待に満ちていた。
 上条は苦笑しながら左腕で美琴を抱き寄せ、鼻がぶつからないよう首を傾けて口付ける。

(ほら、これでいいのか?)

(うん……)

 超至近距離で見つめあう視線だけで思慕を交わし、どちらともなく舌を絡め始める。
 上条は美琴の目を見つめたまま、右手で短パンのジッパーに手を掛けると
 いやに湿っぽい感触が指先に触れた。

「おまえ……ひょっとして」

「なっ、なによっ」

「やっぱり漏らs」

「しっっ、してないわよっっ!」

「それにしては随分とだなぁ」

「だって……アンタが沢山してくれたから……私……」

(だーっ、クソ可愛いなぁこいつ)



81: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 18:40:23.15 ID:SumbvhkSo

 湿り気の正体が、先程の自分のそれと同じである事に気付いた上条は
 ニヤニヤと厭らしい笑みを隠す事ができないでいる。
 時間を掛けて美琴を慈しんだ甲斐はあったのだ。
 一方で、男としての欲望はいよいよ我慢ならないところまで昇ってきている。

(もっと美琴に感じてほしい)
(今すぐ美琴の中で射精したい)

 両立しがたいこの欲情になんとかして折り合いをつけなければ、
 どちらも叶わないうちに美琴の眼前で放出してしまいそうだった。
 頭の中に、欲に忠実な悪魔と、愛を尊ぶ天使の言い争う光景が浮かんでくる。

(ゴムは3つもあるんだし、ここでまず一回出したっていいと思うにゃー)

(いや待てダメだァ、まずは恋人の身体をいたわってやンねェとなァ)

(あのお嬢さんの顔を見てみろよ、もう今すぐにでもブチ込まれたがってるぜい)

(ここまで丁寧に愛撫したってのによォ、慌てるソーローは女を傷つけるぜェ)

 何故か悪魔は土御門元春の、天使は一方通行の口調なのが気になって仕方がない。

(お前らどっちも悪魔じゃねえか! 俺はやっぱり欲に負けそうですトホホ……)



82: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 18:45:29.10 ID:SumbvhkSo

 いずれにしても短パンを脱がさない事には状況が進まない。
 上条はジッパーを下まで落とすと、腰から削ぎ落とすようにして脱がせる。
 またぞろカエル柄の下着が現れると思っていたが、短パンの下では
 ブラに合わせた純白色の紐パンツが、美琴の愛液でぐっしょりと濡れていた。

「ごめん、我慢しようと思ったんだけど、自分じゃどうにもならなくて……」

「いや……むしろ嬉しいかも」

 小用や射精と違い、女性の身体構造で押さえ込める代物でない事は上条も知っている。
 だからこそ美琴の本音がダイレクトに伝わってくる。
 セックスは終始上条のリードで続いているのだから
 この状況をいっそう盛り上げるのも、盛り下げるのも全ては上条次第だ。

(俺はまだ我慢できる。もっと美琴に触れていたいんだ!)

(それでいいンだよ上条ォォォ!)

(お前が天使配役は無理があるだろ……)



83: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 18:50:19.32 ID:SumbvhkSo

 鉄の芯がこもったように硬く、我慢の限界に耐えているペニスからはいったん意識を離し、
 上条は下着の上からそっと下腹部に触れ、濡れそぼる部分に優しく指を押し付ける。
 同時にくふっ、と美琴の口から小さな吐息が漏れた。

(3センチ3センチ3センチ……ふにふにしてやわらけえな、美琴のここ)

「くっ…ふぅっ…んっ…」

 指の腹を使って、上下にゆっくりと擦る。
 行為自体は二度目なのだが、一度目のそれは激しく余裕がないさまだった事を思い出す。
 美琴を愛するがための所作ではなく、挿入ありきの準備行為だったのではないか。

(それじゃ足りねえんだ。どこをどう触れば美琴が悦ぶのか、覚えなきゃな)

 にちゃにちゃと小さな水音を立てて、美琴の秘部が優しく蹂躙されていく。
 未成熟な少女の性器にとって、上条の愛撫は限りなく正解に近い感覚だった。

(今日はすごく丁寧に触ってくれてる……。気持ちいいけど、優しすぎて怖いかも)



85: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 18:55:32.32 ID:SumbvhkSo

 上条の性格はオンオフが激しく、良くも悪くも一直線に進むのが持ち味である。
 普段は少女のナイーブな心の機微を拾い上げられるような性分ではないのだが、
 今日は御坂美琴の肉体を知り、悦ばせる事にひたすら没頭している。

(右手で触ってるから……幻想じゃ、ないのよね)

 熱でどろどろに崩れ落ちているはずの、美琴の理性の最後の一欠片。
 それを維持していられるのは、優しすぎる態度にほんの少しだけ違和感を覚えているからだ。

「みこと……」

「とうまぁ……」

 お互いの名を呟きながら唇を重ね、擦り合わせる。
 唇というのは内胚葉、つまりは内臓の一種に当たるのだが
 同時に性的なシンボルの一つでもある。
 無意識にそれを擦り合わせ、真に求めている行為の予兆を示す。

「これも、脱がすぞ」

「……うん」

 上条は美琴の瞳を見つめたまま、両手で同時に下着の両端の紐を引っ張り上げると
 愛液の重さを抱えてべちゃりと床に落下した。
 これでお互い一糸纏わぬ姿となり、身も心も裸に成り果てる。

 可憐な少女の裸身を見つめながら、上条は過酷な試練が始まる事を予感していた。

 ---



91: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 20:00:45.33 ID:SumbvhkSo


 [17:20]

 普段ならそろそろ空腹感が脳裏を支配し始める時刻なのだが、
 今の上条と美琴の頭を占めているのは、飢餓にも似た性欲だけである。
 しかし、理性の衣の最後の一枚を脱ぐまいとあがいている上条と
 最後の一枚を脱げないでいる美琴は、似て異なる状態であった。
 今お互いに慌てて衣を脱ぎ捨ててしまえば、全てが破綻しかねない。
 ゆっくりと優しく、お互いの手でお互いの衣を脱ぎ取る必要があった。

「美琴、ベッドの上に座ってくれるか?」

「い、いいけど……」

 いつだって自分はされるかままだ。
 声をかけど気をかけどスルーされ続けていた時期を思えば
 上条が自分を構ってくれる今は幸せに違いないのだが、
 未知の領域、いや既に一度踏み込んだはずの領域に再度大きく踏み出す事に
 美琴はかすかな不安があった。

(どうして……今日はそんなにも優しいの?)



92: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 20:06:53.08 ID:SumbvhkSo

 上条当麻が優しくない人間などとは微塵も思っていない。
 不器用で鈍感ながらも優しすぎる少年であり、美琴もその部分を強く愛している。
 しかし上条当麻は男であり、男とは性に対して貪欲で獰猛な生き物という思い込みがあった。
 身体を許すと男は豹変するという噂も聞いたし、実際初体験の時の上条はあらぶる獣に似ていた。
 故に今日も少し強引なセックスを想像していたのだが、随分と落ち着き払っているように見える。
 美琴は上条に誘導されるままベッドに腰掛け、両足を閉じたまま身を乗り上げると同時に
 上条はベッドの横で膝を立てて座り、美琴の両膝に手を置く。
 室内灯に照らされた状況で、両足を開いて美琴の性器を直視しようとしているのは明白だった。

「……あんまりジロジロ見ないで」

「いや、見る」

「バカァ、こういう時だけは正直なんだからぁ!」

 今日の上条は何かがおかしい。それを内心悦んでいる自分も同じくおかしい。
 そう思い美琴は紅顔しながらも、足を閉じる力を徐々に抜いていく。
 合わせて上条が膝を持ち上げるように足を開くため、バランスを崩した美琴は
 とっさに両手を後ろにつき、分娩台に乗せられた産婦のように大きく股を開いた。



93: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 20:10:25.52 ID:SumbvhkSo

(はっ、恥ずかしすぎて死にそうッ!
 こんな格好させられて……アンタじゃなかったら絶対殺してるッ!
 でも……アンタだから許しちゃってるんだよ、私……)

(……ゴクリ……!)

 上条は初めて、女性の性器を目の当たりにした。
 衣服の上からでも大きさが分かる胸と違い、他人と比較できる知識をまったく持たず、
 それが一般的にどのような形状なのかは知らなかったが、美琴のそれは端整だと感じた。
 うぶ毛のように薄く生え揃った陰毛、桃のようにぷっくりと膨らんだ大陰部、
 桜色に輝く小陰部、小指の先のようなサイズで自己主張している陰核、
 そういった未知の情報が次々と脳裏に刻み込まれていく。
 未通の処女のように端麗で、少しでも乱暴に扱ったら美のバランスが崩れそうだと思ってしまう。

「だからジロジロ見んなぁぁぁ!」

「……大丈夫、綺麗だから」

「あ、あああぁぁぁ……」



94: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 20:15:20.22 ID:SumbvhkSo

 美琴は恥ずかしさのあまり、もはやまともな言葉を紡ぎ出せなかった。
 美琴自身も他の誰かと自らの性器を見比べた事がある訳ではない。
 男と違い、女は自分自身の性器の形状には左程興味が無いものだ。
 白井黒子なら喜んで見せてくるかも知れないが、色々弊害も生じそうで御免こうむる。
 胸のように、上条が誰かと見比べて落胆する事があったら
 どうしようかという不安もあったが、上条は綺麗と言ってくれた。
 世辞でも嬉しいが、彼は小器用な気遣いのできる男でもない。
 バカ正直な男の、正直な感情だった。

「きれい……?」

「ああ」

「他の人より?」

「他は見たことねーよ」

「なのに?」

「綺麗だよ、そう思う」

 じわり、とお腹の奥で何かが染み出した。
 美琴は真っ赤に染めた表情で、自分の秘部をまじまじと見つめる上条の様子を伺う。
 嬉しそうで、愛おしそうな彼の表情は美琴を安心させた。
 男性器の進入を赦すのとはまた異なる悦びが、美琴の心を包み込む。



95: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 20:20:29.39 ID:SumbvhkSo

「……さっきの質問のお返しだけど、女の子はココのことなんて呼ぶんだ?」

「え、えっと……どうだろ」

「常盤台のオジョーサマはそんな事も知らないのかぁ?」

「知らないわよっ! 黒子みたいなのをスタンダードと思わないでよね!」

 男と違って、女は性について話題に上がる事が極端に少ない。
 猥談という文化もあるが、美琴はその話の輪に気軽に入っていけるような立場でもない。
 とどのつまり、本当に知らないのだ。

「じゃあ男はなんて呼ぶのよぅ」

「マンコとか、おまんことか、関西だとオメコ、九州だとボボとか言うらしいぜ」

「なんでそんなに詳しいのよ! ヘンな記憶だけ残ってんじゃないわよ!」

「俺が学んだわけじゃねえ! 身の回りにこういうのに異常に詳しいのが一人いるんだよ!」

「それ誰よ……ま、まさかあの子なの!?」

「違う違う、青髪っていうアホな友達のことだ」

「ああ、土御門のお兄さんとアンタといつも一緒にいる……類は友を呼ぶのね」

「どーいう意味だっ」



96: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 20:25:22.98 ID:SumbvhkSo

 時々気の抜ける話題を挟む上条のせいで、室内の雰囲気がエロス一辺倒にはならない。
 それは二人の心に適度な緊張と緩和を生み出して、美琴の張り詰めた心にも余裕を生む。
 睦言とは質が違うが、これはこれで楽しい会話に思えた。

「……舐めても、いいか?」

「えっ、ウソっ、やだっ! そんな事されたら……」

「イヤか?」

「イヤじゃないけど……おかしくなりそう」

「なっちまえよ。見てみたい」

「あ、アンタ自分は断っておきながら……!」

「なるべく優しくするから」

 その言葉は信用できる。信頼もしている。しかしそれでは断る理由がなくなってしまう。
 どうして今日の上条はこうも奉仕的なのか、一物をギンギンにしながらも
 必死に我慢しているらしき理由が美琴にはまだ分からない。
 己の陰部に顔を寄せようとするツンツン頭を制止できず、美琴はそっと目を閉じた。



97: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 20:30:29.84 ID:SumbvhkSo

「ちゅ」

「ふ、ふああっ!?」

 性器に直接作用した刺激は、唇や胸から感じる感覚とは一線を画していた。
 陰核に軽く口付けられただけで、美琴は反射的に仰け反ってしまう。
 そして、自分の最もデリケートな身体の一部に口付けてくれる上条が
 誰よりも特別な存在だという事を改めて思い知る。
 この少年で良かったのだと心から思う。

(ちょっとしょっぱいんだな)

 上条にとって、愛液の味は濃い汗のようだと感じた。
 興奮した荒い吐息が美琴の敏感な部分をかすめ、ゾクゾクと鳥肌を立たせた。

「だめ……そこ綺麗じゃないから……」

 遠慮がちな声で伝えても今の上条には届かない。
 いかにして美琴の小さな蕾を、舌で優しくなぶってやろうかと算段している。
 押し付けるのか、撫で回すのか、包み込むのか、吸うのか、それとも―――



98: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 20:35:27.93 ID:SumbvhkSo

(迷うくらいなら全部試せばいいじゃねーか)

 聞いただけで美琴が達しそうな決意を込めて、上条はもう一度口を押し当てた。
 美琴の視点では、黒いツンツン頭が自分の股間を陵辱しているようにも見える。
 それを望んでいる自分を、あと少しで全てさらけ出せそうだった。

(お願い、私の本当の姿を見つけ出して……なにしてもいいからぁ……)

『クンニリングスの注意点は舌の使い方です。
 舌は柔軟に硬度を変えられるため、力を入れすぎると相手の性器にとって凶器と化します。
 絶対に舌を堅くせず、軟らかい状態を維持したまま触れてあげましょう』

 上条の決して賢くない記憶能力は、冊子の肝要な部分をまだ忘れてはいない。
 帰り際に、凶暴な野良犬に追いかけながらも暗唱した甲斐がなくては困る。
 とにかく舌を堅くしなければいいと強く意識し、上条は舌を駆使し始めた。
 
「くっ、くふっ…んふ、ふぁっ…いぅんっ…あは…ん―――っ」

 口の周囲を美琴の愛液でベタベタに濡らしながら、陰核と小陰部を慎重に舐め上げ、
 いたわるように美琴への愛撫に専念する。
 腰をヒクヒクと動かす仕草と、脳髄に突き刺さる甘美な嬌声が
 上条の理性を打ちのめすが、つたない技巧に打ち込む事で耐え忍ぶ。
 時折、焦らすように太腿を舐め上げ、臀部を舐め回す。



99: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 20:40:34.49 ID:SumbvhkSo

「こんなに細くても太腿って言うんだな」

「んぅっ……アンタなに言ってんのよぉ」

「いや、単にしょーもない疑問が浮かんで」

「細いのって、おかしいと思う?」

「いんや、美琴たんは健康的でスレンダーなのがいいんじゃないか」

「たんとか言うな、ひゃぁんっ!」

 膣の入り口に舌を突き入れられ、美琴の声が一段と高く跳ねた。
 上条の顔に小飛沫が散ったが、それが潮だと認識できる知識は彼にない。
 ただ、美琴の悦ぶ声が嬉しかった。

「んふっ! アンタあとで、覚えといてひぃっ! んくぅ……ふひゃぁぁ」

「今はお前が気持ちよくなる番だ。それしか考えてねえ」

「ばかぁ……いつからそんなに尽くすタイプになったのよぉ」

「上条さんだってこのくらいの事はできるんですよ」



100: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 20:45:33.22 ID:SumbvhkSo

 男としての矜持か、上条は頑として自分のリードを譲ろうとしない。
 それは、射精という一線を越える事で自分の欲望が変貌する事と、
 美琴のほてりを冷ましてしまう事を危惧しているからだ。
 現状を維持するためには攻めの姿勢を崩す事ができない。
 一方で、美琴が口で慰めてくれると言った言葉も脳に焼きついて離れない。
 ちょうど、ドラッグストアで極薄の文字を見た時のように。

(本気で欲丸出しになったら、美琴を傷つけちまうだろ……。
 今こうしてるだけでも信じられねえくらいなのに)

 恋人を大切にしたいのも本心であり、そこに抵触する欲望は抱きたくない。
 許容できるギリギリのラインが極薄の避妊具であり、週一のお泊まりだった。
 これを破る事は避妊の放棄を意味するうえ、
 インデックスから御坂美琴との関係を疑われる事態になりかねない。
 それでは幻想ではなく現実を破壊してしまう。上条にとって最も恐れる事だ。
 淫靡な舌使いをしながらも、タガをはずし切れない。

「ぷちゅっ、ちゅう、れろっ、ずずっ、ぺろっ、れろっ、ちゅ……」

「いやあぁぁ、あ、アンタ今すすったでしょっ!?」

「……しょっぱいけど、お前のだから飲める」

「ばかぁあぁ!」



101: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 20:50:10.61 ID:SumbvhkSo

 美琴は身体を支えていた両手で顔を隠し、背中をベッドに預けた。
 その勢いを借り、上条が美琴の両腿をぐいっと持ち上げて屈脚させると
 秘部はおろか臀部まで丸見えになる。
 股をはしたなくM字に広げられた美琴の姿が、加虐心を強く煽った。

「ひっ!?」

「こうすると、美琴のが全部見えるな」

「もうやだぁぁぁぁばかぁぁぁぁ!」

 上条の進入を待ち焦がれてひくつく秘裂を見て、腰を押し込まずにいられようか。
 愛しい彼女のあられもない姿に、上条の屈強な理性もいよいよ侵食されていく。
 美琴も口から出る言葉こそ罵倒しているが、上条が自分の身体に行う行為に対して
 なんら拒否行動を示していない。
 むしろ、その手で理性の衣を剥ぎ取ってもらう事を待ち望んでいる美琴は
 心の中でようやく半歩踏み出して、両手を使って膝を抱え上げた。
 ツンと険しい表情でそっぽを向いているが、身体は受け入れる準備をありありと見せている。

「お願い……あんまり焦らさないで」

「美琴……」

「……もう、入れていいよ」



102: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 20:55:12.07 ID:SumbvhkSo

 頭が煮えたぎりそうなほどの恥辱に、美琴の顔が赤らむ。
 恋仲になってからというもの、彼女のリアクションは一々明瞭すぎて
 他人の心の機微にうとい上条にも伝わりやすい。
 美琴の言葉は、ときに本心と裏腹の表現を示す事はあるが、行動で嘘をつく事は皆無だ。
 恥ずかしがりながらも膝を抱いて上条を受け入れようと望むその姿は
 あらゆるポルノより刺激的で、魅惑的だった。

「……じゃあ、入れる、ぞ」

「うん」

 美琴の双眼がうるっと潤み、願望が満たされる瞬間を待ちわびている。
 上条はいよいよ出番を迎えたスキンの存在を思い出し、そっと枕の下に手を伸ばすが
 上条をまっすぐ見つめている美琴には一目瞭然の動作だった。

「……それって、避妊具?」

「あ、ああ。つけなきゃな」

「だ、だよね……」



103: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 21:00:39.14 ID:SumbvhkSo

 上条が不慣れな手つきで、自身にスキンを取り付けるのをぼんやりと見つめながら、
 美琴は先週の夜、彼が暗闇の中でモゾモゾしていたのはこれだったのかと思い至る。
 どことなく残念な表情を浮かべるが、上条はスキンの開封に気を取られて気付いていない。
 美琴とて避妊が不要と考えている訳ではないのだが、スキンの装着は雰囲気を盛り上げないし
 双方の快楽を多少なり阻害する要因ではないかと疑うのだ。
 避妊方法について一定の知識を持っていれば、多少なり選択肢も広がる。

「でもそれってゴム臭くなったりしない?」

「いや、これはゴムじゃなくてポリエステルで作ったものらしいぞ。
 ゴムより薄くて頑丈で、体熱を伝えやすい素材なんだとさ」

「……やけに詳しいし」

「全部添付の説明書に書いてあったんだっつーの」

「そういうのにはちゃんと目を通してるのね、偉い偉い」

「そいつは上条さんをバカにしすぎじゃありませんか?」

「ごめんごめん」

 予習という概念が彼にあったのかと感心するが、さすがに上条の自尊心を少し傷つけたようだ。
 装着が済むと、上条はゴクリとツバを飲む。ここからが正念場だ。



104: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 21:06:20.77 ID:SumbvhkSo

(このまま突っ込んで腰を動かしたら、たちまちイッちまいそうだな。
 ……したいけど、むしろ超してえけど、それじゃ美琴が満たされないだろ)

 自分の射精感を満たすためだけに動いたのでは、冊子に書かれていた
 “ジャンクセックス”そのものに該当してしまう。
 辛辣なニュアンスを含んだこの言葉は、上条の大切な恋人を
 粗末に扱っているかのように響き、どうしても許容しがたい。
 身をもって美琴に幸せを与えようとする、上条なりの必死の体現だった。

「……する、ぞ」

「う、うん……」

 極度の緊張と期待を込めて、上条は己を美琴の小陰部に押し付け、少しずつ挿入した。
 熱を帯びつつねっとりと濡れる膣は、いきり立つペニスをギチギチと締め付けつつも
 しなやかな柔軟性を持ち、進入の阻害はしてこない。
 七割ほど入ったところで上条は挿入を止めた。



105: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 21:10:21.67 ID:SumbvhkSo

「……ぜんぶ、入った……の?」

「いや、全部は入れねえ。それより痛くないか、美琴」

「ちょっと異物感みたいなのはあるけど、痛くはないわ」

「そっか。この間は少し痛がってたもんな」

 処女喪失の痛みの個人差は大きい。美琴の場合は出血がほとんどなく、
 また挿入に極度の困難があった訳でもない、穏やかな通過儀礼だった。
 肉体的な充足は少なかったが、思い慕っていた少年と一つになれたという
 精神的充足で満ち足りていたため、美琴にとって不満の残る結果ではなかった。
 むしろ肉体の快楽など二次的で、上条が自分一人にかまける部分を好ましく思っている。

「もう大丈夫だから……いっぱい動いてもいいよ」

「でもその体勢のままだと辛いだろ? ちょっと姿勢変えようぜ」

「えっ?」

「ほら、俺の首に腕を回せ」

「えっ、えっ!?」



107: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 21:15:07.76 ID:SumbvhkSo

 このまま激しく挿入を繰り返されるものと身構えていたところで、
 上条は美琴の腕を自分の首に回すように誘導した。
 すると上条は左手でベッドに手を付き、右腕一本で美琴を背中から持ち上げる。
 身体が浮く感覚に戸惑っている間に、上条もベッドに乗り上がった。

「えっ、ど、どうするの?」

「俺と向かい合わせになって座れるか?」

「やってみるけど……」

 対面座位を取ろうとして、体躯のわりに身軽な美琴を誘導する。
 ますがまま、美琴は上条と向かい合うようにして彼の両腿に座した。
 両脚を上条の腰に回すと、ペニスがいっそう深く挿入されていく。
 最後に上条が美琴を抱き寄せ、四肢を使ってお互いに抱きしめあう体勢になった。



109: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 21:20:26.07 ID:SumbvhkSo

「これだと辛くないだろ?」

「う、うん……でもアンタ動きにくくならない?」

「いや、密着できる方がいい」

「そうなんだ」

「あとはこうやって……っと」

 情事の勢いでベッドの隅に追いやられていた掛け毛布をたぐり寄せると、
 抱きしめあった自身と美琴をちまきのように見立て、全身を包んだ。
 少しばかり室温が肌寒いと感じていた美琴にとっては実に心地よい気配りだ。

(今日のコイツ本当になんなのよおぉーーー!?)

(よし、これで体勢は取れたと。……気を抜くとホントに出しちまいそうだ)

 毛布に包まって暖を取るのはロシアでの経験以来だが、あの時は
 こうして美琴と懇親を深めるために行う事になるとは想像だにしていなかった。
 じんわりと汗を帯びた彼女と密着すると、性感とは異なる満足感がもたらされる。



110: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 21:25:09.65 ID:SumbvhkSo

(すごく華奢で痩せ身なのに、体つきは柔らかくてフニフニで、
 そっと抱きしめていたら離れていきそうで、でも強く抱きしめたら折れそうで。
 御坂美琴はこんなにもデリケートだったんだな)

(あったかい……当麻の優しさが、あったかいよぉ……)

 無言のまま目を瞑り、お互いに抱きしめあう力を同時に強める。
 心の奥で願っているものが一緒だと知り、二人は破顔一笑した。

「……きもちいい」

「俺もだ」

 愛しい人との抱擁に愉悦を覚えながら、美琴はくらくらと陶酔している。
 体勢が整ったので、上条は冊子の内容を今一度暗唱した。

『前戯に最低1時間以上掛け、また陰茎を膣へ挿入したあと最低30分はピストン運動を行わず、
 恋人への抱擁や愛撫だけに留めましょう。
 ただし男性側に勃起力がなくなりそうな時、女性に性感がなくなる時だけ動きが必要です』

(さて、どこまで耐えられんのかなー俺)

 上条の行動は、俗に言う”ポリネシアンセックス”の実践に限りなく近い。
 激しいピストン運動がセックスの象徴とばかり思い込んでいる二人にとって、
 ここからは未踏の領域へ踏み込んでいく事になる。

---



114: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 21:31:35.17 ID:SumbvhkSo


 [18:14]

 都市の完全下校時刻を過ぎ、善良な学生達の姿は街から消えていた。
 冬の静かな一夜が過ぎていこうとする中、上条の部屋だけは甘美な嬌声に溢れている。

 上条は美琴の眼前にいながら、その唇にはキスをせず
 頬や額、首筋への口付けに留めていた。
 もちろん美琴は幾度も舌でのキスをねだったが、上条は有耶無耶にかわしつつ
 美琴の上半身のあらゆる部分に唇と手を這わせていく。

「やぁん…んくぅ…んぁ―――っ! ……キス、してよぉぉ」

「まだまだ、上条さんのターンは終わりませんの事よ」

「アンタ…じらし…すぎぃ…おかしくっ、なるぅぅ……ひぃん!」

 今のところ一から十まで上条のなすがままになっている美琴は、
 一転して技巧的になった彼のテクニックに翻弄され続けていた。
 上条はかれこれ4時間近くも集中して触れ続けていたため、美琴自身も知らない
 彼女のウィークポイントを幾つも発見する事ができた。
 右耳、喉、左鎖骨、うなじ、両瞼、肩甲骨の裏筋、左乳首、へそ、そして陰核。
 いずれも、今後も沢山触れる機会があればいいと願ってやまない。
 一見余裕で攻めている上条も、きゅうきゅうと締め付けてくる膣の刺激と
 美琴が耳元で囁く甘い嬌声には相当心狂わされている。
 客観的にはイーブンと言ってもいい。



115: >>112 SS全体の前半分に多いのです ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 21:35:18.31 ID:SumbvhkSo

「美琴は首周りが特に弱いんだなー」

「アンタ、舐め過ぎなのよぉ……ひぁっ!」

「手だって沢山使ってるだろ?」

「手は…んぅーっ…ずっと胸ばっかり触ってるじゃない!」

「だって離したらお前寂しがるじゃねーか」

「さ、寂しがるとかありえないわよ!」

「あっそう、じゃあもう触んない」

「あっ、やだっ……ごめん……」

「素直じゃねえなぁー美琴さんは」

「ん……っ、んふっ……」

 上条が優しく揉みしだく手を離すだけで、美琴は憂き目に遭ったような表情を浮かべ、
 再び手の温もりを伝えると安心して身を委ねてくる。
 美琴もまた感情のオンオフが激しく、その様子が愉快で、愛おしく感じられる。
 自分が鈍い事を百も承知だからこそ、美琴の喜怒哀楽はっきりとした性格が好きなのだ。



118: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 21:40:53.14 ID:SumbvhkSo

「くぅんっ……あ、アンタがいっぱい揉んでくれたら、もっと大きくなるのかなぁ」

「美琴さーん、それまだ諦めてなかったんですかー? ってか俗説だろ、それって」

「本当は性的な興奮によってホルモンバランスが刺激されて、
 女性的な部分の成長促進に繋がるんだって。
 だから、直接胸を揉むのも選択肢としてはあながち間違ってないけど、
 好きな人にあれやこれやされてるのを想像するだけでも効果はあるって聞いたわ」

「好きな人にあれやこれやを想像、ねえ……それが本当なら白井なんて今頃は」

「言わないであげて。女にも色々とあるの、色々」

「お、おう……こ、個人差ってあるもんな」

 普段は適当にあしらっている子だが、AAカップである事を気にしている部分は
 先輩としてしっかり擁護してあげなければと美琴は思う。
 かく言う自分も、せめて年下の佐天涙子(さてん るいこ)は超えたいとは願っているが。
 上条は、ふくよかな胸を持つ周囲の女性達が皆そうだとは思いたくないので、
 やはり俗説は俗説のまま埋没していくべきだと感じていた。



119: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 21:45:23.81 ID:SumbvhkSo

「それとも、同性同士だと効果ないもんなのかな」

「だから言わないであげてってばぁー!」

 睦言を楽しむのも情事の一部分だが、こうして雰囲気がコミカルに振れていくと
 上条はほんの少しだけ腰を動かして美琴に注挿する。
 快活な少女の面影が、一瞬で淫靡な女のそれになった。

「あんっ、んぅっ…は…あっ……また、ちょっとだけなの?」

「ああ、少しだけだ」

「どうして? キスもしてくれないし、意地悪してるの?」

「違うって」

「もう……私のカラダに飽きた、の?」

「全然違うっての。むしろ魅力的過ぎて勿体ぶってるんですよ」

「ホントに……?」



120: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 21:50:17.52 ID:SumbvhkSo

「本当だから、小動物みたいな顔して泣きそうになるなって。
 女の身体にも色々あるように、男の身体も色々あるんだよ。
 お前は心も身体も魅力的だから。それは間違いないから」

「散々焦らしてる癖に、言葉だけはド直球なんだからもう……」

 でも嬉しい、と耳元で小さく呟き、美琴は抱きつく四肢の力を強めた。
 毛布に包まれた二人の身体は汗で蒸れていたが、それを脱ぎたいとは考えなかった。
 むしろこのまま一つになって融けていくのではないかと思える程に心地が良い。
 誰も邪魔しない、何も意図しない、時間も気にしない、二人だけの空間。
 しんと静まり返った室内で、快楽に溺れた吐息だけが時を刻んでいく。

「キス、したいか?」

「したいのっ、トロトロになるまでしてぇ」

 唇が触れないうちに、美琴のスイッチが入りかけている。
 或いはまた別のスイッチがあるのかも知れない。
 どちらにしても、美琴の小さな口からちろちろと突き出されて
 魅惑してくる舌は、上条の理性のスイッチにも直結している。
 もう一度舌を絡めたら、二人の欲望は臨界に達するだろうと予感した
 上条はようやくここで布石を明かす。



123: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 21:55:48.84 ID:SumbvhkSo

「じゃあ、これからキスするからさ、そしたら二人でイこうぜ」

「えっ?」

「意味、わかるだろ?」

「ぜ、絶頂に達するって意味でしょ? エクスタシーとか、オーガズムとか」

「なんか医学的だな」

「違うの?」

「違わねえけど、一般的にはイクって方がわかりやすいな」

「でも……私イッた事ないからどういう感覚かわかんないかも」

「わかるさ。今日はずっと時間を掛けて美琴を観察してたからな。
 なんていうか、確信があるんだよ。美琴をそういう風に導けるって」

(なんで凛々しい顔でそんな事言うのよぉコイツ~ッ!)



124: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 22:00:21.56 ID:SumbvhkSo

 上条の真顔が、美琴の期待に膨らんだ心をいっそう刺激した。
 本心を強引にあばかれる事を望む、マゾヒスティックな願望で満ち満ちていく。
 愛されたい、犯されたい、弄られたい、尽くされたい、求められたい、感じたい……
 内側に有り余っていた感情の全てを吐き出すように、美琴は懇願した。

「うん……キスしてくれたら絶対イクからぁ……だからぁ……!」

「わかった。俺も、もう限界が近いんだ」

「いいよっ、当麻のせーえきぃ、一杯出していいからぁ!」

(焦らしすぎてエロくなっちゃったなぁ……俺もなんかスイッチ入っちまいそうだ)

 いよいよ激しく動くのだと予期して、美琴は期待に身を震わせたが
 反して上条は少しも腰を動かさず、最後の一滴まで忍耐を搾り出す。
 美琴の裸身をぐぐっと力強く抱き寄せ、唇ではなく左耳に口を寄せると
 ありったけの想いを込めて告白した。

「……美琴。俺、お前に出会えて本当に良かったよ」

「え……えっ?」



125: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 22:05:13.87 ID:SumbvhkSo

 完全に意表を突かれた美琴は、つい間の抜けた声が出てしまう。
 上条の声色は落ち着き払っていた。

「俺は、自分が記憶を喪った事を誰にも気付かれたくなくて、
 できるだけ『上条当麻』っぽく振舞ってきた。
 不幸だってよく口走ってるけど、それは『上条当麻』がそういう口癖だったから
 それっぽく振舞おうとしてるだけで、ホントは少し無理してたのかもしれねえ」

「え……なに!?」

 それはよりによって今のタイミングで言うべき事なのだろうか。
 美琴には状況が理解できていない。
 だが上条の姿勢は真剣そのもので、絶対に聞き逃してはならないと直感した。

「でも……不幸ってなんだろうって時々考えるんだ。
 確かにこの半年間、とんでもない災難にばかり巻き込まれてきたけど
 いつもなんだかんだ言いながらも結果オーライに纏まってさ、
 不幸にならないで済んだ人の顔を沢山見ることができたんだよ。
 今の状況から逃げたいとも思わないから、結局俺には
 『上条当麻』の生き方が性に合っちまってるんだな」

「……」



126: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 22:10:34.57 ID:SumbvhkSo

「だから俺は、『上条当麻』らしさを貫く事しかできない。
 それしか自分が満たされるやり方を知らないのかもしれねえ。
 正直、普通の恋愛に憧れるところもあったんだけど、
 俺みたいな無謀で夢見がちなヤツには縁遠いものだと思ってしまってたんだな。
 ……でもそんな俺のことを、ずっとずっと懸命に追いかけてくれてた女の子が居た。
 ちょっと口やかましいけど、本当は誰より強くて優しくて素直で真剣な……
 俺、そいつと結ばれたいって願望を持っちまったんだよ」

「あ……!」

「それが、美琴、お前なんだ」

 ゾクリゾクリと、美琴の背筋に強烈な快感が走った。
 一瞬、己の超能力が逆流したかと誤認するほどの絶大な刺激だったが、
 それすらも大きな到来物の余波でしかないように思えた。
 頭の中でチカチカと眩しい光が弾けはじめる。
 能力の発現とは異なる、まったく見知らぬ感覚だった。



127: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 22:15:58.70 ID:SumbvhkSo

「ひょっとしてお前となら、俺の甘っちょろい夢を叶えるために
 同じ歩調で歩いていけるんじゃないかって、そう思っちまったんだよ」

「アンタの夢って……あの時の……?」


『誰一人欠ける事なく、何一つ失う事なく帰るってのは、俺の夢だ。
 だからそれが叶うように協力してくれよ』


「ああ。夢なんて言葉、普段は恥ずかしくて絶対言わねえけど、
 あの時、死ぬしかないと言ったお前をほっとけなくて、つい言っちまったっけ。
 でも『上条当麻』でいようとする俺にとってその夢は、どうしても必要なものなんだよ。
 俺は誰も失いたくないし、みんなに笑っていて欲しい……それだけなんだ」

「うん、私も……私もアンタと同じ夢をずっと見ていたい。
 誰も傷つかないで、みんなで笑っていられる世界がそこにあるなら、それが一番いいことじゃない。
 どんなに現実が厳しくたって、甘っちょろい夢見たっていいじゃない!」

「……そんな風に言ってくれるのはお前だけだよ。
 他のみんなは、立場とか任務とか使命とか信心とか教義とか、他に立派なものを沢山持ってる。
 だからみんな俺に忠告してくるんだ。現実は甘くない、ド素人が勇気と無謀を履き違えるなって。
 俺だって怖くないわけじゃない。戦う時はいつだって足が震えるし、怖気づいちまう。
 ……でも夢を語り合えるお前となら、どんな時も一緒に立ち向かっていける気がするんだ」



129: >>128 今3/10くらいです ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 22:21:26.30 ID:SumbvhkSo

 美琴の頭の中で弾ける光がいっそう力強くなる。もう光などという生易しい代物ではない。
 ダイナマイトのように強烈で、高電離気体《プラズマ》のように甚大で、
 美琴の強固な”自分だけの現実《パーソナルリアリティ》”を完全に破壊するかのように。
 二人の想いが、爆ぜた。

「美琴……愛してる!」

「わっ、わたしもっ、私もっ……んむぅっ!
 ……ひあっ……! ……ああっ! あああぁぁぁァァァッッッッ!!!
 イくっ、イクゥゥゥゥゥッッッッッッッ―――!!!」

 上条が赤心を推して、勇気を振り絞った告白の言葉。
 愛する者と一体感を得られる甘美な恍惚を覚え、上条と唇を重ねた途端、
 美琴は狂気にも似た歓喜の声を放ちながら、熾烈なオーガズムに到達した。
 性器だけではなく身体中を突き刺すような快楽が襲い来る。
 電気にうたれたように全身を震わせ、だらしなく涎をたらし、声にもならない嬌声をあげる。



130: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 22:25:13.95 ID:SumbvhkSo

「みっ、美琴っ、くっ、くぅぅぅ~~~ッッッ!」

 およそ平常ではない美琴の様子を気遣う暇もなく、上条にも強烈なオーガズムが訪れる。
 それは瞬間的な射精感ではなく、失禁にも似た開放感だった。

「やぁぁっ、ふぁぁぁッッ、ふにゃあぁッ、アアアアアァァァァ―――ッッ!!!!!」

「ぐっ、ぐぅぅっ、うあああ―――っっ!」

(うああっっ、すごすぎるだろコレ……!
 精液がおしっこみたいにびゅるびゅる出てやがる……!)

(とーまぁ、とーまぁ、とーまぁ、とーまぁぁぁ……やぁぁぁァァァアアァァ!)

 注挿などしなくとも、既に二人は強烈な絶頂に達していた。
 上条は粒感のある精液が、尿道をこじ開いて込み上げてくる感覚に痺れあがる。
 びゅるるると擬音が聞こえるほどの放出は、スキンを突き破るかと思う程の勢いに達していた。



131: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 22:30:33.25 ID:SumbvhkSo

「ううっ……すげぇ出た……」

 上条の射精は30秒ほど続き、果てしないほどの放出がようやく終わる。
 初体験の時以上の、常識を飛び越えたと断言できる程の快楽は
 これで全て終わった訳ではないことにふと気付いた。

(やべえ、ちょっと姿勢動かしただけでもまたイキそうだ……!)

「やァ――――――……ううゥ――――――……いぃ……ーっ……あは……っ!」

 反して美琴は、弓なりに背を曲げながら震え、いまだ絶頂感に支配されている。
 オーガズムの最高潮に達した彼女は、ポルノビデオの女優などとは全く違う様相を晒していた。
 どこか遠くの空を漂っているらしい今の美琴にそれをするのは気が引けたが
 絶頂に達した上条にはもはや、本能を止める理性など残っていない。
 動かさないと決めていたはずの腰を動かし、激しい注挿を始めた。

「やぁっ、ふぁっ、あっ、アアアァァァァァァアアアアアアッッッッ!!」

「みことッ、みことッ、みこうああぁぁおああアアああっッっっッ!!」

 キュンキュンと力強く締め上げてくる膣の感触に翻弄され、
 上条は野獣のように吠えながら、全身を使って美琴を突き上げる。
 射精を終えた直後の、じんわりとした快感を残した亀頭が刺激されると
 再びペニスが剛直し、美琴の子宮を求めて新たな射精が始まった。
 美琴はもはや現状を理解できず、惚けたままイキ狂ってしまっている。



132: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 22:35:36.04 ID:SumbvhkSo

「うヴ――――――ッ―――! イぐううぅぅ―――ゥ―――……―――ッッッ!!」

「ああっ、ううッッ、美琴ォ、みことォォッ! うあああっ!」

「トッ、うう―――ぅヴぅ、とぅっ、イクぅぅッ、とうまっぁ、アアァァァアア―――ッッ!!」

「すまねえッ、でもッッ、すげえッ、気持ちいいンだッッッ!」

「ああ゛あああ゛あ゛ああ゛ぁぁッッ、うンッ、んゥッッ、ンクゥ―――ッッ!!」

 快楽に犯されて狂乱しながらも、美琴は上条の腰に回した足をいっそう強く絡め、
 上条の吐き出す欲望の全てを受け入れようとしていた。
 同時に、上条の下腹部にじんわりと生暖かい感触が広がる。
 おそらく美琴が失禁したのだろうと頭の片隅で認識はしていたが、
 この破壊的なエクスタシーの真っ只中においては、限りなく瑣末な出来事だった。

 終末の様相をみせた絶頂劇によって、御坂美琴が築き上げてきた強固な
 “自分だけの現実《パーソナルリアリティ》」”は完膚なきまでに破壊されたが、
 それに代わる新たな世界が、美琴の中で急速に再構築されていった。

(あ―――……。……わたし……本当の自分……見つけちゃっ、たぁ……)

---



133: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 22:40:17.28 ID:SumbvhkSo


 [19:18]

 二人の世界観を変えるほどの快楽の奔流は、数分ののちようやく治まった。
 上条は失神した美琴と結合したままベッドに倒れ、心配そうに体調を伺っているが
 呆けていた美琴の意識は徐々に現世へと戻ってきたらしく、
 上条と目を合わせると無垢な笑顔を浮かべた。

「大丈夫か!?」

「……めちゃくちゃイッちゃったぁ。当麻ったら、張り切りすぎぃ……」

「すまねえ……最後の最後に全部ブっ飛んじまった。辛くなかったか?」

「ううん、大丈夫。でも腰が抜けたかも……」

「すまねえ……」

 二言目にはすまねえと口走りながら、右手で美琴の頭を何度も撫でる。
 怒った美琴をなだめ落ち着かせる時の癖だ。
 その優しさが心地よくて、美琴は喉を鳴らして甘えた。

「ふにゃー……」

「ははっ、無事そうで良かった」

「当麻こそ、ちゃんと気持ちよくなれた?」

「なりすぎてちょいと大変なことになりました……」



138: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 22:46:06.49 ID:SumbvhkSo

 上条は欲望を吐き出しすぎて、膣内でスキンを破っている可能性だけが気掛かりだった。
 美琴の呼吸が落ち着いたのを見計らって、そっと美琴から身を離し
 濡れそぼった膣からしおれた陰茎を抜き取る。
 その先端には、小さな水風船のように膨らんだスキンが装着されたままだった。
 どうやら損傷はないらしい。液がこぼれないようにスキンを取り外そうとするが
 美琴のとろとろとした愛液で包まれていて、手が滑ってしまい思うように取れない。

「あはは、ちっちゃくなってるー。かわいー」

「可愛いとか言われるとそれはそれで情けない……」

「ずいぶん一杯出たのね」

「上条さんは摩訶不思議な人体の神秘にオドロキですよ。
 これって4、5回分くらいの量はあるんじゃねえかな」

「それだけ気持ちよかったってこと?」

「正直、病み付きになりそうだよ」

「んふふー」

 スキンの口を縛る作業をぼんやりと眺めながら、美琴は妖しく笑った。
 それは母の御坂美鈴が酔って絡み付いてくる時の表情によく似ていて、
 親子なんだな、と上条は苦笑する。

---



140: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 22:50:22.03 ID:SumbvhkSo


 [19:26]

 美琴は上条に指摘されるまで、自分が失禁した失態にまるで気付いていなかった。
 上条の身体とベッドを汚してしまった事を平謝りしたが、染みた部分からは
 アンモニアの匂いが少しもせず、二人は再び人体の神秘を垣間見てしまう。
 首を捻っていると不意に、ググゥと上条のお腹から大きな音が鳴る。
 同じ人体の神秘でも、こちらはだいぶ明け透けな願望だ。

「アンタ欲望に正直すぎよ」

「いや、その、この時間になったら当然の事だろ」

「そうね、すっかり食事の事忘れてたわ」

 美琴は小さく笑いながら、空腹感という感覚を思い出していた。
 時計を見上げた美琴は、かれこれ5時間近くも情事にふけっていたのだと知る。
 時間を忘れて没頭するとはまさにこの事だ。
 生涯忘れられない記憶の一つになるかも知れないし、
 ひょっとすると毎週の恒例になるのかも知れない。
 どちらにしても頬が緩むほど嬉しい美琴は、
 両頬を平手の指先で持ち上げながら妄想の世界に浸っていた。



143: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 22:55:10.30 ID:SumbvhkSo

「よし、じゃあご飯にしましょうかね。
 俺はシーツ替えておくから、美琴は今のうち風呂入ってきた方がいいぞ」

「う、うん、わかった」

 バスタオルは上条宅の品を借りているが、自身の着替えやバスアメニティは
 持ち込んだデイリーバッグに一通り収めている。
 上条は裸身のまま室内の整頓を始め、美琴も同じく裸身のままバッグを開き、
 就寝用のゆったりした下着を選び出す。
 お互いが裸でいることに対する抵抗感は、いくらか薄くなっていた。

 風呂場に入ると、美琴は湯沸かし器を点火する。
 常盤台の施設と違って電化されていない古い機構にもようやく慣れ、
 少しずつ彼に近付いている事を実感できる部分の一つだ。

(汗と、大事な部分だけ軽く洗い流しとこっと。
 それ以外はあとで、アイツと二人で一緒に入ってから洗えばいいわよね。
 あれだけ愛してもらったんだから、今度は私が沢山してあげなくっちゃ)

 美琴は二人きりの今夜だけは、本心をツンとした態度で照れ隠す事をやめ、
 上条に尽くす女になりたい、いやなってみせるのだと決心を固めていた。



145: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 23:00:22.74 ID:SumbvhkSo

 一方、上条はベッドのシーツを替える前に、先程からチカチカと明滅して
 気を散らしてくる携帯のLEDを見過ごせず、ようやく自分の携帯を開いた。
 入っていたのはメールが3件。友人の青髪ピアスから2件と、土御門元春からだ。
 青髪はともかく土御門の連絡は、時に見過ごせない大事の場合がある。
 メールの着信はいずれも16時台。だいぶ時間経過している事が気になった。

(まさか、必要悪の協会《ネセサリウス》絡みじゃないだろうな……)

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【From】Aogami-all-attribute@toaru-hs.ed.jp
【To】 Motoharu-Tuchimikado@toaru-hs.ed.jp
【Sub】 ビッグニュースや!
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 遂に例の裏ビデオが手に入ったんやぁ~!
 今度こそ無修正でアハンウフンが満載やで!
 巫女さんパツキン、そして巨乳のOLまで!
 ここだけの話、二人にこっそり見せまっせ~!
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(はぁ、一瞬スパムメールかと思ったぞ……
 まぁこいつの場合こんな話題ばかりだけど。しかも土御門にも一緒に送ってるのか)



146: >>144 どこで切るか悩んでます ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 23:05:29.04 ID:SumbvhkSo

 クラスメイトには普段から3バカと揶揄されているが
 こんな連帯感を持っていればさもありなんと、上条は肩を落とした。
 今となってはポルノなど歯牙にも掛からないはずなのだが、一昔前の自分なら
 巨乳OLの響きに多少興味を抱いたかもしれない手前のサガが悲しい。
 こんな事だから美琴が事あるたび胸の発育を気にするのだろうと、上条は自省した。

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【From】Motoharu-Tuchimikado@toaru-hs.ed.jp
【To】 Aogami-all-attribute@toaru-hs.ed.jp
【Sub】 Re:ビッグニュースや!
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 今俺はそれどころじゃないんだぜぃ~!
「事実は創作より奇なり」ってことだにゃ~
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【From】Aogami-all-attribute@toaru-hs.ed.jp
【To】 Motoharu-Tuchimikado@toaru-hs.ed.jp
【Sub】 なんやそれ~!
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 土御門クン随分な事言うてくれますな~。
 この大ニュースを無視するほどの
 なにがあるんか是非教えてえな~!
 ところでカミやんはどないや? いる?
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147: 明日中には投下完了したい ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 23:11:21.22 ID:SumbvhkSo

(なんだ? 意味のわからないやりとりだな……。
 舞夏と外出してるらしいけど、あいつなにかやってるのかな。
 まさか、あいつも舞夏と……いやそこは考えない事にしよう、うん)

 そっけないように取れる土御門の返信には理解が及ばなかったが、
 いずれにしても緊急性のある用件ではなさそうなので
 捨て置いていいだろうと判断し、片付け途中のベッドに意識を戻す。
 今しがた無修正のアハンウフンをたっぷり堪能していた舞台は
 汗と体液にまみれ、爛れきった情交の様をまざまさと示している。
 心底、あの二人にだけは知られたくない様相だった。
 まずは大量の汗を吸った毛布を洗濯網に入れて籠に投げ入れ、
 次に枕を上げると下に敷いてあった残りのスキンが姿を現す。

「あー……あと2枚もありましたか」

 帰宅した時は3枚とも使いたいと内心息巻いていたが、
 いったん射精してしまうとどうしても性欲は減退してしまう。
 一度目の行為で十分に満たされ、疲弊していた上条は
 性交は数を撃てばいいものではないなと痛感する。
 余ったならまた財布にでも入れておけばいいと軽く考え、
 シーツを手早く取り替えると、再びスキンを枕の下に戻した。
 次に自分の脱ぎ捨てたトレーナーを回収して身に着け、美琴の制服を拾い上げると
 形崩れしないようハンガーに掛け、自分の制服の隣に吊り下げる。
 恋人の制服に当たり前のように触れられる関係になったとはいえ、
 濡れた下着と短パンはなるべく見ないようにして洗濯籠に投げ入れた。

---



148: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 23:15:25.29 ID:SumbvhkSo


 [19:37]

 洗濯機の蓋を閉じた上条は、わずか数分で風呂場から出てきた美琴の姿に驚く。
 髪を洗った様子もないし、身体も十分温まってないように見えたからだ。
 だがバスタオルを胸に巻いている艶姿は、裸身とは違った情欲を醸して上条を惑わせる。
 いつもなら痛烈なしっぺ返しが飛んでくるアンラッキーイベントに成り果てるはずなのだが、
 身も心も受け入れあった少女からそのような脅威は何一つ襲来してこない。
 来るはずが、ない。

(そういや俺、美琴の裸を見て殴られた!なんて経験はないような気が……)

「あ、あれ!? もう終わったのか美琴? 早くないか?」

「うん、軽く流しとくだけにしようと思って。アンタもそうしなさいよ」

「あぁそっか、ご飯食べた後にまたゆっくり入りたいってことか」

「そういうこと。私だってお腹空いてるんだから。
 その間に鍋温めておくから、長風呂なんてするんじゃないわよ」

「へいへい」



149: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 23:20:25.87 ID:SumbvhkSo

 ほんの少し機転を働かせれば、鈍い上条が美琴の算段に気付く道理はないらしい。
 上条と入れ違いに脱衣場を出た美琴は、バスタオル姿のまま台所に入ると
 シチューを作った大鍋を温め直し、副菜として作ったサラダと冷奴を
 冷蔵庫から取り出してラップを剥がす。
 18時にタイマーセットしていた炊飯器も程よい具合に炊き上がっている。
 下仕込みが功を奏して、手際よく夕食にありつけそうだ。

「あとは、シチューが温まるのを待つだけね。
 ……アイツの口に合うといいなぁ」

 何もしなくとも三食満たされる常盤台の寮生活は気楽で贅沢だが、
 自分で作り出す行為も食べてくれる人がいると幸福に感じられる。
 リビングに戻った美琴は、ベッドと自身の着替えが片付られている事を確認すると、
 バッグから花柄の寝間着を取り出した。
 夏頃に一目惚れして購入したのだが、ルームメイトには鼻で笑われたため
 ならば彼氏とのお泊まりにと持ちだしてきた珠玉の一着だ。

(アイツなら笑わないでくれるわよね。ってか気付いてくれるかな……。
 覚えてないかも知れないけど、買う前に身体に合わせたのを目撃されてたっけ)

 普段は微細な変化にうとい男だが、今日の彼にはかすかな期待を持ってしまう。
 寝間着に着替える途中、ふと壁に掛けられていた上条の制服を見上げると
 スラックスのポケットに刺さっている冊子が目に留まった。



152: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 23:25:37.09 ID:SumbvhkSo

「なにこれ?」

 昼に目撃した時には気に留めなかったが、どうにも勉学用のテキストには見えない。
 興味に釣られて冊子を抜き取ると、表紙に踊る強烈なタイトルに目を奪われた。

『実践!メイクラブ完全マニュアル ~若い恋人達の幸せのために~』

「なっ…なっ…ナニよコレぇぇ!?」

 既に実践済みとはいえ、こうして字面にされると改めて小恥ずかしさに見舞われる。
 美琴は慌てふためきながらも、パラパラとめくってその内容を覗き見た。

「あのバカ、道理でなんだか不自然だと思ってたけど、
 はっはーん、つまりそーいうことですかぁ。ふぅん、へえぇ、ほほぉ……」

 美琴は電撃使い《エレクトロマスター》として最高位の能力を持ち、
 あらゆる演算を高速に処理する思考能力の一環として、高い洞察性と記憶力を持っている。
 冊子にほんの十数秒目を通しただけで、美琴は状況の全てを理解した。

(要するに、今日のアイツの行動はこの冊子の影響ってわけか。
 なんかこう、ある種の安心感というか、やっぱりこんなオチかー的な落胆も感じるけど、
 でもちゃんと避妊してくれているし、行為中に告白しろなんてここには書いてないから
 あの言葉はアイツの本心に間違いないよね……。
 多分アイツの事だから、実技部分だけを参考にしたってくらいの動機なのかな)



154: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 23:31:49.74 ID:SumbvhkSo

 およそ的確な憶測に辿り着き、美琴は朗笑した。
 上条とて徹頭徹尾この記述に従った訳ではなく、自己流アレンジは利かせている。

「ま、別に怒るようなことでもないのよね。
 『若い恋人達の幸せのために』って書いてあるから見たんだろうし、さ。
 アイツもちゃんと、二人で幸せになる事を意識してくれてるんだ……ふふっ」

 冊子には男子だけでなく女子の技法についても詳しいガイドが載っている。
 マンガ本やファッション誌を起源とした、偏った情報しか知らない
 美琴にとっても一助となりえる内容だった。
 行為のハウツーに限れば、美琴とて知識量はそう豊かではなく、
 正しい性知識を補うための冊子として有益なことは認めざるを得ない。
 しかも上条は男子側のテキストを熟読するのが精一杯で、女子側には全く目を通していない。
 美琴は格好の好機を得て艶かしい笑顔を浮かべた。

「尽くされるだけなんてかっこ悪いもの。何事も対等でなきゃ、ね」

---



157: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 23:35:30.35 ID:SumbvhkSo


 [19:49]

 上条が風呂場から上がると、寝間着姿の美琴が食卓に食器を並べていた。
 シチュー鍋はまだ温まりきっていないが、それ以外の配膳は済ませてある。
 相変わらず手際がテキパキしているなと上条は感心した。

「おっ、今日はまたずいぶんキュートなパジャマ着てるんだな」

 まさかの第一声で食いついてくると思わなかった美琴は、
 くるりと首だけ振り返って、つい上ずった声で歓喜を表した。

「ほ、ホント!? 可愛いって思う!?」

「そういうパジャマを選んで着てるお前が可愛いよ」

「……ちょろっとニュアンスが違うじゃないのよー」

「えッ、上条さん褒め方間違えましたか!?」

「まぁいいわ。ちゃんと気付いてくれただけでも嬉しいし。
 黒子なんて一目見て『まぁ~相変わらず幼児趣味ですのねお姉様ホホホホ』と来たもんよ。
 あの子、私の事どう思ってるのやら時々疑問だわ……」

「パジャマくらい好きなの着たらいいじゃねーか。
 白井も少し言い過ぎだけど、お前もしょげるなって。
 それよりなにか飲もうぜ。喉がカラカラだ」

「そうね。ホワイトソース用に買ってきた牛乳と水くらいしかないけど、いい?」



159: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 23:40:07.72 ID:SumbvhkSo

 正直牛乳と水だけでは物足りないが、風呂上がりの身体で寒中に買出しに行くのも億劫だ。
 何より食事を並べて待っている恋人を置いて行くのは気が引ける。
 上条は冷蔵庫を開けて牛乳パックを取り出し、二人分のグラスを食器棚から取り出して
 それぞれに注いでいると、美琴も鍋の様子を伺うため台所に入ってきた。

「つくづくムサシノ牛乳が好きだよなお前……」

「わ、悪かったわね!」

「鍋の方はもう少し掛かるのか?」

「んー、もうそろそろオッケーかな。アンタは先座ってていいわよ」

「おう」

 冷蔵庫にペットボトルを戻し、二つのグラスを持ってリビングに戻る。
 食卓のベッド側が上条の席、その向かい側が美琴の席だ。
 それぞれにグラスを並べるとベッドに背もたれて一息つく。



160: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 23:45:27.00 ID:SumbvhkSo

「もうじき8時かぁ。道理でお腹ぺっこぺこだぁ」

「はいはい、お待たせしたわね」

 美琴が二人分のスープ皿を食卓に置くと、ようやく夕食が全て並んだ。
 クリームシチューのふんわりとしたミルクの香りが上条の食欲をそそる。

「久しぶりに作ったからちょっと不安なんだけど」

「そこは美琴ママの腕を信用しているのでございますよ~」

「美琴ママって言うな! それ誰の口癖よ、まったく……」

 上条の身の回りには変わった語尾で話す人間が多いのか、いらぬ影響を発揮している。
 さておき二人は掌を合わせ、食事の挨拶と感謝の心を欠かさない。

「んでは、いっただきま~す!」

「どうぞ召し上がれ」

 上条は早速スプーンを手に取りシチューに挿し入れ、最初に食べる具材を選定している。
 美琴は涼しい表情でグラスに口をつけつつ、上条の反応を伺っていた。
 スプーンは鶏肉とジャガイモを掬い上げ、上条の口の中に入っていく。

(……どきどき……)



161: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 23:50:17.79 ID:SumbvhkSo

「お! 美味しいなーコレ!」

「ほ、ホント!?」

「ソフトでミルキィな口当たりに上条さんは大満足です」

 柔らかく煮込まれたジャガイモは歯の上でたやすく崩れ、
 味の染みた鶏肉は舌の上でホワイトソースの味と共に解け果てていく。
 専門料理店が繰り出してくるような本格的な出来栄えには一歩及ばないが、
 上条の貧乏舌でも分かるほど品が良くて味わい深かった。
 そして、手料理の評価を気にして胸躍らせている彼女が可愛らしくも思う。
 上条の評価に気を良くして、ようやく美琴もシチューの味にありついた。

「ブロッコリー、にんじん、玉葱、マッシュルーム、あと鮭と白菜も入ってるのか」

「冬の料理には白菜が欠かせないわよね。鍋料理向きって感じだし」

「鍋もいいなぁ。良かったら来週にリクエストしてもいいか?」

「そうそう、来週の事を話しておかなきゃなんだけど……私来週は泊まらないから」

「あ、そ、そうなのか……」



162: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/22(土) 23:55:42.92 ID:SumbvhkSo

 美味によって盛り上がった雰囲気がたちまち急降下してしまう。
 上条が激しく落胆している様子は、期待の裏返しとも取れて喜ばしくもあった。

「遊びに来ることはできるけど、来週は門限前には帰るわね。ごめん」

「仕方ねえさ。いつも無理して来てもらってるようなもんだからな。
 そう何度も外泊してると寮監さんにも厳しく目を付けられちまうだろうし」

「でも、その……」

 美琴の願望を阻む要素は多角的に存在している。それが口惜しい。
 スプーンを握り締めたまま、何か言いたそうに逡巡していた。

「泊まってもいいんだけど……来週はきっと女の子の日だと思うの」

 吹寄制理(ふきよせ せいり)がどうかしたか?と尋ねられて拳骨を食らわせた思い出があるため、
 上条にはこのような表現で月経の周期を教える事にしている。

「あ、ああ、あー……そういうことでしたか。
 でも美琴、別にそういう事するだけが付き合い方ってわけじゃねえしさ。
 天気が良かったら街に出て、そうじゃなかったら家で遊んでもいいじゃねえか」

「でも来週の週末はアンタの誕生日に一番近いじゃない。だから気になってて……」



163: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/23(日) 00:00:09.72 ID:BNP9SmHwo

「……そういう日の存在をすっかり忘れてました」

「アンタねえ!」

 水瓶座であるところの上条当麻の誕生日は、バレンタインデーの直前にある。
 非常に祝いにくい"不幸な"タイミングだが、もちろん無視するつもりはない。
 また恋人として、バレンタインもしっかり祝ってあげたいと美琴は画策していた。

「世間ではバレンタインデーってのも間近に控えてるんだけど、その辺はご承知?」

「そういうのもあるのか。どっちもまだ迎えた事ないからなぁ、当日はなにがあるのやら」

「あ、そ、そっか、そうよね……」

 上条にとって、知識があることと経験があることは全く別の事象だ。
 記憶喪失を煩っている彼に迂闊な発言をしてしまったと美琴は悔いてしまう。
 しかしそんな事情は露知らず、誕生日に上条を祝いたいとか
 チョコを送りたいと願う人は少なからず彼の周辺に現れるだろう。
 各自バラバラに動かれるよりは、いっそ自ら場を設けて律した方が恋人として安心できる。



164: >>138で切れば良かったかな ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/23(日) 00:05:44.68 ID:BNP9SmHwo

「だ、だったらさ、来週はアンタの誕生会にしましょうよ!
 鍋とかケーキを用意してさ、アンタのクラスメイトとかあの子と一緒になって、
 みんなでお祝いしてあげるわよ!」

「え、いや、それって……いいのか?」

「いいに決まってるじゃない。それだったらみんな一斉に帰れるわけだし。
 私達、クリスマスは二人きりで過ごせたし、年末年始は家族ぐるみで一緒だったし、
 なら誕生日は友達みんなと一緒に過ごしてもいいんじゃない?」

「じゃあ、話の流れ的には美琴にお願いすることになるのかな」

「任せておきなさいって! アンタは親しい友達に声掛けしといてね」

 二人きりの一夜は諦めざるを得ないが、決まった以上は会として盛り上げたいとも思う。
 しかしこの時美琴は、寮部屋に入りきらないほどの大人数が誕生会への
 参加希望を求めてくる事態になろうとは想像だにしていなかった。

「誕生日ねえ……あまり喜ばしい実感はないんだけどな」

「なに言ってるの。アンタの誕生日はアンタが喜ぶためにあるんじゃないわ」



165: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/23(日) 00:10:27.08 ID:BNP9SmHwo

「え!? 上条さんには歳を重ねる自分を喜ぶ権利もないってのかぁ!?」

「アンタが生まれてきたことに『みんなが』感謝するための日なのよ、当然でしょ」

「俺が生まれてきたことに、みんなが感謝……?」

 誕生日とは自分が歳を重ねる事に一喜一憂する日だと思っていた上条には、
 全く考えの及ばない解釈だった。

「アンタが生まれてきてくれてありがとうって感謝してる人達が、自分達の幸せを祝う日なのよ。
 生まれつき異能を打ち消す特別な力があるとか、別にそういうんじゃなくて、
 アンタみたいな鈍感でドジでスケベで要領の悪いやつでも、みんな大切に思ってるの」

「ドジでスケベは少し言い過ぎではないでせうか」

「あはは、ごめんして。もちろん私にとっても幸せだからさ……祝わせて」

「美琴……」

「その後にはバレンタインもちゃんと実施するわよ。
 アンタのためだけに、気合の入った本命手作りチョコを作ってあげるんだから!」

「う……!」



166: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/23(日) 00:16:06.31 ID:BNP9SmHwo

 ここまでストレートに言われては、流石の上条でも誤解を挟み込む余地がない。
 美琴とて交際する前にはとても彼の目を見て言えるような台詞ではなかったのだが、
 今はスルーも曲解もされないよう、明確で大胆なアプローチを強く意識していた。

「だから、ちゃんと受け取ってくれると嬉しい」

「ああ、いいぜ。でもなんかむず痒いな、本命チョコが貰えるって前もってわかるのは」

「付き合ってる恋人同士なら当たり前の事でしょ?」

「そっか。そうかもな」

 上条は無意識に微笑みを浮かべていた。
 その時感じた内なる感情がなんなのか、彼にはまだ自覚が薄かったが
 不幸とは縁遠いものであるという事だけはおぼろげに理解している。

「ところで美琴」

「なに?」

「シチュー、おかわり」

「えっ!? アンタもう食べちゃったの?」



168: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/23(日) 00:20:33.38 ID:BNP9SmHwo

「もうって……お前がずっと手止まっちゃってるだけだろ。
 あ、やっぱりいいや自分でよそってくる。美味すぎて待ちきれねえ。
 せっかく美味しいんだから、お前も冷めないうちに食べちまえよ」

(口に合ってよかった。美味しいって言ってもらえるの、すごく嬉しい……)

 言うな否や、上条は自分のスープ皿を手にとって立ち上がり台所へ向かう。
 美琴は冷めかけていた自分のシチューに口をつけつつ、不思議と身体が熱く感じられた。
 正直な言葉で語る事はできるようになったが、聞かされるとなるとまた別の恥じらいが生まれる。
 先程の情交のほてりが、再び肢体の中で燻りだした。

「ふにゃー」

「ぎゃ―――!!」

 リビングでバヂバヂバッヂィィンという心臓に悪い音が炸裂したため、
 慌てて上条は踵を返し、右手を突き出して美琴に触れた。

---



170: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/23(日) 00:25:09.85 ID:BNP9SmHwo


 [20:31]

「ごちそうさまでした」

「どういたしまして」

 動転するような事態が一つあった事を除けば、とても満喫できたと上条は思う。
 シチューは美味しかったし、熱くほてる舌を冷ますサラダや冷奴の付け合せ方も良かった。
 残りはまだまだ大鍋に余っているので明日も味わう事ができる。
 週末様々、美琴様々だ。

「ねえー、そろそろお風呂入れといてくれるー?」

「そうでしたそうでした、沸かしておかないとな」

 美琴は洗い物をしながら、タイミング的には今が頃合だろうと
 首だけを振り返って上条にお願いを掛けた。
 普段は先に入る美琴のためにぬるめに入れ、あとに入る上条が5分追い炊きしている。
 満腹感で落ち着いている彼に、美琴の小さな企みに気付く様子はない。

「ところでさ、さっき冷蔵庫に見慣れないヨーグルト瓶が一つ入ってたけど、
 あれってお前が買ってきたのか?」

「そうよー。学舎の園の中だけで売ってる、特製ホワイトミルクプリン。
 ヨーグルトとプリンの中間みたいな食感と味がすんごく美味しいの」

「ふーん」



174: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/23(日) 00:30:37.08 ID:BNP9SmHwo

 上条はベッドにだらりと背もたれ、性と食の欲に満ちた身体を休ませている。
 一瓶しかないので美琴の取り分と思い、関心がいま一つ薄いらしい。

「このプリンの原料って、ムサシノ牛乳と同じ生産地の生乳から作ってるんだって」

「またムサシノ牛乳……お前どれだけ豊胸説信じてるんだよ」

「ぐ、偶然よ、偶然ッ! 偶然に決まってんじゃない!」

「お前の偶然は計算づくなことが多いじゃねーか」

「っさいわねえ! 美味しいんだからそこはいいでしょ!?」

「はいはい、そーですねー」

「せっかくアンタにも食べさせてあげようと思って買ってきたのにぃ」

「それ一瓶だけだろ? お前は食べないのか?」

「? 私も食べるわよ」

「じゃあ食べたらいいじゃねえか」

 洗い物を終えた美琴が、陽気な笑顔と共にその瓶を持ちリビングに戻ってくると、
 上条の口調が拗ねているように感じられた。
 美琴は上条の足の間に割り込んでいき、彼に背を向けてもたれ掛かる。



176: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/23(日) 00:35:28.59 ID:BNP9SmHwo

「こらー」

「なによぉ。甘えたいからこうさせて」

「いいけど……」

 やけに素直な物言いだと上条は思ったが、この位置では美琴の表情を伺う事ができない。
 甘い物を食べる時のホクホクとした表情も好きなのに、どこか行き違いの感があった。
 美琴は瓶の蓋を開くと、何故か左手にスプーンを持って中味を掬う。

「ほーら、あーん」

「え?」

「これ、すごい人気商品でさ。これが最後の一瓶だったの。
 今度見つけたら二瓶、ううん三瓶買ってきてみせるから、今日はこれで許してよ」

 美琴が右肩に顔を置いている上条の口に向かってスプーンを差し出してきて、
 ようやく上条にも話の合点がいった。
 三瓶目とはインデックスの取り分の事だろう。
 美琴の優しい気遣いを知り、デザート一つに大人気なかった自分を恥じた。
 口を突き出して一口頂くと、艶やかなプリンの触感が舌の上で踊り、
 上品なヨーグルトの甘味と酸味が口の中にふわりと広がる。

「……うまい!!」

「でしょっ」



177: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/23(日) 00:40:09.49 ID:BNP9SmHwo

「さすがお嬢様達は舌が肥えてらっしゃいますな」

「授業が終わった直後に行っても、いつも完売しちゃってる人気商品なのよねえコレ。
 買ってる子達、みんなちゃんと授業受けてんのかしら……」

 優秀な女生徒達だけが買い占め、男子は滅多に口にする事のできない
 レア商品を入手するために美琴は骨を折ったのだろうか。
 こう見えて甲斐甲斐しいところがあるからそうかも知れない。
 そんな思いが募ってくると、自分の足の間に座っている少女が益々愛おしく感じる。
 ふた口目は自分で口にした美琴を、後ろからそっと抱き寄せた。

「んーおいし……ひゃっ!」

「イヤか?」

「全然。でも脇の下は触っちゃダメよ、私そこ弱いんだから」

「じゃあこうしようぜ」

 美琴から小瓶とスプーンを取り上げると、掬って彼女に差し与えた。
 美琴も素直に口を差し出し、プリンの味と上条の奉仕を堪能する。



178: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/23(日) 00:45:19.41 ID:BNP9SmHwo

「半分食べたら交代しような」

「うん」

 後ろから抱き寄せられて餌付けされる奇妙な感覚にも、美琴はすぐに慣れた。
 しかしこれでは先程から尽くされ通しになってしまう。
 そろそろ反転攻勢を掛けたい美琴にとってこのプリンは橋頭堡だ。
 半分を食べ終えたところで180度身体の向きを変え、餌付け役に向き合う。

「じゃあ、今度は私が食べさせてあげる」

「あ、ああ」

 一度受け入れた事に二度目で逆らう理由はない。
 上条は違和感なくそれを受け入れ、美琴の差し出すがままプリンを味わった。
 次の一口を待つ上条のしおらしい態度が、雛鳥のようで可愛いらしい。
 食べさせ合いを楽しむうち、小さな小瓶の中味はあっという間に無くなり果てた。

「美味かったー。買ってきてくださってありがとうな、上条さんはこれも大満足です」

「味わってもらえてよかった」



180: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/23(日) 00:50:40.83 ID:BNP9SmHwo

「やっぱりコンビニのプリンやヨーグルトとは味のランクが違うよな。
 でも……お高いんでしょうなぁ」

「全然。ホットドッグより安いくらいよ」

「2000円の品と比較されても……」

 文字通り、美琴の金銭感覚はケタが一つずれている。
 もっとも美琴は生来世間知らずのお嬢様などではなく、高所得層の家に生まれた娘であり、
 今は超能力者《レベル5》の奨学金ランクに見合った浪費をしているに過ぎない。

 贅沢なデザートを食べ終えると、上条は再び美琴を抱き寄せた。
 カチコチと鳴り響く時計の秒針と、風呂場から湯を張る水音だけが聞こえる。
 時間はまだ21時前。寝間着ごしにほんのりと伝わってくる体温を感じながら、
 二人はまだ逢瀬の楽しみが時半ばである事を再認識していた。

「ねえ、ご飯食べたんだから歯を磨きましょ」

「え、あ、そうだな……」

 美琴の方から味気ない提案を受けて上条は戸惑ったが、
 躾に厳しい部分はブレていないんだなと、妙な感心を寄せる。
 上条がのっそり立ち上がって洗面台に入って行くのを見届けながら、
 美琴は彼に悟られないよう、そっと枕の下に手を伸ばした。

---



183: >>181 本人もタイミング失いました ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/23(日) 00:55:27.83 ID:BNP9SmHwo


 [20:51]

 二人揃って洗面台に向かうと、風呂場の水音がいっそう大きく聞こえてくる。
 歯を磨き終える頃には程よい水位まで溜まるだろう。
 上条は自分の歯ブラシを、美琴はアメニティバッグから取り出した愛用の
 カエル形歯ブラシを手に取り、二人で鏡台に向かい合って磨きだした。

「シャカシャカシャカ……おはへはほんほふへはいほふぁー」

「……なに言ってるかわかんないわよ」

「ガラガラッ、ペッ!……お前はほんとブレないよなぁ」

「カエルグッズに満たされてて悪かったわねっ!」

「そこじゃねーよ。内側の話」

「シャカシャカシャカ……ふひははー(うちがわー)?」

「改めてさ、お前はしっかり者だなーって思って。
 ご飯の事とか生活態度の事とか、お前がいると俺もしっかりできるんだよ」

「シャカシャカ……ほんはほ、ほーへんのほほへひょーふぁ(そんなの当然の事でしょうが)」

「確かに当然の事なんだけどさ。なんかこう……」

「シャカシャカシャカ……」



184: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/23(日) 01:00:00.91 ID:BNP9SmHwo

「きっと同棲生活ってこんな感じなんだろうな」

「ぶぶほぉぉっっっ!? ごほっごほっ、ごほっ!」

 はしたなくも、美琴は鏡台に向かって盛大に泡を噴出した。
 しかも泡の一部が器官に入ったらしくむせ込んでしまう。
 上条は自分の発言が起因である事を理解せず、慌てて美琴の背中を擦る。

「おいおい、大丈夫か」

「あ、あ、あっ……アンタがこっ恥ずかしい事言うからでしょおお!?」

「俺のせいですかぁ!?」

「どっ、どどどっ、同棲とか言うからぁ!」

「あー」

 美琴の心境にこういう初々しさが残っている事がどうにも嬉しい。
 スイッチが戻り、こうして素の姿に戻っても彼女は魅力に満ちていた。



185: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/23(日) 01:05:17.77 ID:BNP9SmHwo

「ズルいのよあんたは。……あの子とだって毎日歯は磨いてるでしょ?」

「いつもは俺がお前みたいに口うるさく言ってる感じかな。
 だから誰かにこうして気遣われるのが新鮮なのかもしれねえ。
 なんていうか、嫁さん的な部分持ってるんだよなー美琴は」

「あ、ああぁ……!」

 これ以上乙女に対して過激な発言は控えて欲しいと切に思うのだが、
 その破壊力を無意識に繰り出している上条には被害の程が伝わらない。
 ただ錯乱している様子は伝わっているのか、右手で背中を擦られているので
 能力が迸るような事態にはならないで済んでいる。
 学園都市の学生として、能力を制御できず放出してしまうだけでも恥ずかしいものを、
 痴話に舞い上がって恋人を感電させたなどと噂が立とうものなら
 超能力者《レベル5》にとっては恥辱の極みだ。

「私、能力を打ち消せるアンタ以外とは付き合えない体質なのかも……」

「かもな、ははっ。でも言うじゃねえか、割れ鍋に綴じ蓋ってさ」

「それあんまりいい言葉じゃないと思うんだけど」

「そうか?」



187: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/23(日) 01:10:16.67 ID:BNP9SmHwo

「でもそれでいいわ、もうアンタの傍から離れる気にはなれないもの。
 こうなったら二人でグツグツ温まってやろーじゃない!」

「美琴……」

 吹っ切りの良さも美琴の魅力の一つだと上条は思う。
 あらゆる幸運や加護を打ち消し、運命の赤い糸すら断ち切ると伝えられる
 幻想殺し《イマジンブレイカー》ですらも、この想いを断ち切りはしないらしい。
 神なんて得体の知れない者が授ける幸運よりも、美琴の笑顔を守るための道を選ぶ。
 上条にとっては比べるまでもない選択だ。

「ねえ、お風呂のお湯もう溜まったんじゃない?」

 美琴が口を濯ぎながら促すと、上条が風呂場の扉を開いて中を伺う。
 湯は浴槽の7分目の水位まで満ちていた。肩まで湯に漬かるにはいい具合だが、
 浴室を覗いた美琴はほんの少しアテの外れた表情をしている。

「お、ちょうどいい頃合だぜ」

「んー、ちょっと時間経ちすぎたかも。二人で入るにはちょっと多めじゃない?」

「いっ?」



188: 一旦切るならここしかない ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/23(日) 01:15:24.29 ID:BNP9SmHwo

 上条は一瞬の空耳だと思った。同時にとても魅惑的な幻想だと感じた。
 慌てて右手を振りかざし、自分の勘違いを正そうとする。
 猜疑心が働いた時の悪い癖だ。

「いやいや違う違う、どうせ俺のいつもの勘違いだ、カンチガイ……」

「なにも勘違いじゃないわよ。このまま二人で入りましょ」

「ええっ!?」

「当麻の身体、私が洗ってあげるからさ」

(……ゴクリっ)

 無邪気な笑顔で提案してくる美琴は、どう見ても幻想ではなく現実だ。
 既に美琴は自らの意思で、自分の中にあるスイッチを切り替えている。
 照れ隠しに電撃を発する性質に辟易していた美琴自身が、新たに身に着けた適応術だった。

「な、なんだ!? ナニが起きているんでせう!?
 美琴サンちょっとアナタなにをおっしっているんでしょうかァァァ!?」

「私も、当麻の手で洗ってほしいなぁ」

 美琴の突拍子もない提案に激しく心揺さぶられながらも、
 上条は素直に首肯を示していた。

---



226: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 01:15:08.24 ID:2TbwG8yRo


 [21:03]

 白磁の陶器のようになめらかな美尻を手前に向けながら、
 浴槽に入浴剤を入れてかき混ぜる美琴の後ろ姿をじぃと見ていた上条は、
 ベッドの上で肌を重ね合わせる事と、風呂場で裸身を晒しあう事は
 似て異なるのだなとぼんやり考えていた。
 もっとも普段の上条にとっては、風呂場こそが寝床でもあるのだが。

「当麻は、先に身体洗うタイプ? それとも湯船で温まってから洗う方?」

「俺は先に洗う方だな」

「あ、一緒いっしょー、えへへ」

 こんな些細な事でも、二人で一致する点が見つかれば無邪気に笑う。
 二人で余分な湯量を減らすために掛け湯をすると、美琴は洗面器で浴槽の湯を少量だけ掬い直し、
 そこにボディソープを数回押し込み指先で軽快に泡立てていく。

「え、お前ってそんな風にして洗うの?」

「これが普通でしょ? 当麻はどうしてるの?」

「いや、濡らしたボディタオルに直接ソープをかけて、わしゃわしゃーって」

「へえ~」

 浴場という、生活観を丸晒しにする場所で交わす会話もまた新鮮だ。
 美琴がテキパキと手際よく動いているので、上条は椅子に座ったまま待ち呆けている。
 しかし食事時にはなりを潜めていた下腹部が、ギンギンになって臨戦態勢を整えていた。



227: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 01:20:11.70 ID:2TbwG8yRo

「ほら、まずは当麻から洗ってあげる。背中からでいい?」

「え、あ、ああ」

 人に背中を流してもらった経験のない上条は、美琴の言うがまま背を向けた。
 美琴がアメニティグッズから取り出したボディスポンジを洗面器に浸しつける様子を見て、
 ああなるほど便利な方法かもしれない、と新たに学ぶ。
 スポンジが背中に押し付けられる感触をじっと待っていたが、
 代わりに柔らかく小さな唇の感触が押し付けられた。

「み、美琴サン!?」

「当麻の背中……たくましくて、大きくて、細かい傷跡が沢山あるのね……
 私を守ってくれた背中だし、今度は私が守るって決めた背中だから、
 優しく丁寧に洗ってあげなきゃって思って」

「よ、宜しくどうぞ」

 気持ちのこもった告白と共に、美琴は床に膝立ちになって
 泡をたっぷりと含ませたボディスポンジで上条の背をこすり始めた。
 友人や父親の背を流した経験があるためか、力加減も十分で心地よい。



230: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 01:25:07.95 ID:2TbwG8yRo

「ねえ、正月に二人で実家に帰った時の事だけどさ」

「ああ……まさかあんなにご近所様だとは思わなかったよ」

「なんかちょっと運命めいたものを感じたわよね」

「違いねえ」

「その時に、久しぶりに帰ってきた父さんの背中をこうやって洗ってあげたの」

「そうだったのか。……え、それって、旅掛さんと一緒にお風呂に入ったってことか?」

「ないない、ちゃんとこっちは服着てたわよ」

「そ、そっか、そうだよなアハハハ……!」

「あれぇ、当麻はひょっとして父さんに妬いたのかなぁ?」

「そ、そんなわけねーだろ!」

「わかってるわかってる、当麻はこう見えて意外とジェラシィな人なのよねー」

「違うって!」

「はいはい。ふふっ」

 交際を始めてから美琴が最も驚いたのは、上条が存外嫉妬深いという事だった。
 男女関係には比較的ドライなのではないかと決め付ける先入観があったのも事実だが、
 しかし上条は美琴の想像以上に、美琴に近付く異性の影を気にしている節がある。
 ただその感情が美琴のみならず、もう一人にも向いている点が事態を複雑にしているのだが。



232: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 01:30:29.84 ID:2TbwG8yRo

「当麻は、父さんが苦手?」

「そういう訳じゃないんだが、あの人カタギらしからぬ威圧感があるからさ」

「ふふっ、わからないでもないけど」

「なのにお前との交際は拍子抜けするほどあっさり許してもらえたんだよなぁ。
 なんかこう、激しい殴り合いみたいなのを予期してたんだけど」

「愛憎ドラマじゃあるまいし、当麻が殴るような相手でもないでしょ。
 母さんが言うにはむしろ喜んでたらしいわよ。あ、両腕を横に伸ばして」

「こうか? ……にしても、美鈴さんも変わった人だよな。
 最初見た時はお前の姉かと思ったけど、今でも時々そう感じるぞ」

「あの人は25歳くらいで色々と止まっちゃってるのよ、きっと」

「それはうちもだな」

「詩菜さんも不思議な人よね。おっとりしてるのに妙に鋭くて」

「自分の母親のはずなんだが、なんだろうあの違和感は」

「刀夜さんは……まんま当麻の将来の姿なんだなぁって感じる」

「俺って将来あんなんかぁ!?」

 両家公認の仲になった事を考えれば、こんな同棲的な生活も夢見てしまう。
 互いの両親談義に花を咲かせながら、美琴はリズムに乗って楽しそうに
 背中と両腕を洗いあげていった。



233: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 01:35:04.00 ID:2TbwG8yRo

「はい、じゃあ次は前ね」

「い、いや、前は上条さんが自分でやりますの事よ!?」

「なに今更恥ずかしがってるのよ」

「や、なんかこう、別物の恥ずかしさがありましてですね」

「聞こえませーん」

「あうう、ふこ……ではないか」

 いつもの口癖を今の美琴に向けるのは違うと思い直し、慌てて打ち消した。
 上条が渋々正面に向き直ると、期待に満ちて膨張しているペニスが美琴の眼前に現れる。
 美琴はそれを見て恥じらうどころか無邪気な笑みを浮かべたままだ。
 先程は大きく取り乱していた少女も、今やすっかりこの状況に適応している。

「やん、元気なんだからもう」

(美琴さんマジでどうしちゃったのぉぉ!?)

「でもまだダメよ、最初は首筋からね。ほら上向いて」

「……なんだか不思議な感じだな、人に身体を洗ってもらうのって」

「私だってそうよ」



235: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 01:40:12.25 ID:2TbwG8yRo

 他人の前半身を洗う経験は初なのだが、美琴の手つきは戸惑いがなく手際も良い。
 ボディスポンジを一度洗面器に付け直し、上条の顎下から洗い出す。
 首筋は弱めに、胸元は強く、そして脇や腹はまた弱めに力を入れて洗い流していく。
 下腹部に意識を集中すると、美琴の手はその部分をさらりと通過し太股に達する。
 焦らされた気分だが、考えてみれば自分も最後に洗う部分だったと思い直した。

「男って足にもこんなに毛が生えるのね」

「その点女はいいよなぁ。ムダ毛がなさそうで」

「女はボディシェーバーとか除毛クリームとか色々使うのよ」

「あ、やっぱめんどくさそうだな」

 足は強めに力を入れて洗い、足裏を擦られると身をよじらせて必死に耐える。
 股間部を除いて全身を泡に包まれると、上条にも奇妙な満足感がこみ上げてきた。

「痛くなかった?」

「ああ。気持ちよかった」

「良かったぁ。今度からお泊りの時はいつでもしてあげる」

「それはつまり、馬の鼻先のニンジン状態ということでしょうか……」

 来週は泊まれないと言ったばかりなのに、官能的な予告を残していく残酷さが痛かった。
 期待する本心を隠すようにおどけてみせたが。美琴は笑うだけで取り合う様子もない。
 再度洗面器にボディスポンジを浸し、まだ一部分洗っていない箇所を目掛けて
 美琴の白い腕がそっと伸びた。



236: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 01:45:44.90 ID:2TbwG8yRo

「ホントにやるのか? 俺さっきそこは洗ったんだけど」

「じゃあしないでいいのね?」

「……」

「しなくても……いいのね?」

「……是非お願いします」

「んふふ、いいわよ、美琴センセーに任せてっ」

(なんでしょう、この敗北感と満足感のせめぎあいは……)

 上条は、いつの間にか美琴がアドバンテージを握っている事に気が付いた。
 先程はあれほど、欲望に正直になれと言葉攻めしていたはずの自分が
 仕返しを受けているように感じられてしまう。

「カミジョーさんジュニアの扱いは、できるだーけお手柔らかに……」

「じゃあ手で直接洗った方がいいのかな。そうね、そうしましょ」

「なんですかその即断即決ぅ!?
 あの美琴さんが小悪魔の笑みを浮かべていらっしゃるぅ!」
 
 美琴はボディソープを直接手に取り、白魚のような手で怒張の先端に触れた瞬間
 上条は反射的に腰を引いた。
 怖がらないの、と美琴は優しくも蟲惑的な声でなだめてくる。



238: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 01:50:30.37 ID:2TbwG8yRo

「突き出ているから洗いやすいような、洗いにくいような……」

「まぁ男も普段そんな気分です……うっ!」

「わ、先っぽってこんなプニプニしてるんだ。おもしろーい!」

「う……く、そこは特に刺激が強いから」

「そうなんだ。あとで沢山触ってあげるからね」

「この娘サン、俺をもてあそんでますかそうですね!?」

 男性器の洗い方をしばし勘考していた美琴は、ペニスの先端を左手で包みながら
 右手で竿や睾丸に優しく這わせる事を思いついた。
 しかし亀頭部分に美琴の手が触れただけで、上条は男らしからぬ嬌声をあげてしまう。

「ふぅっ、くぅぅ、はぁっ……集中できねえ」

「まだ触っただけなのに、当麻ったら感じすぎぃ」

「お前俺の身体で遊んでるだろ」

「面白い反応するからついつい」

 自分の身体にはない器官の反応が面白いようだ。
 特に睾丸という器官は、美琴のような年頃の少女にとっては謎に満ちている。



239: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 01:56:06.82 ID:2TbwG8yRo

「これって中に精子が沢山入ってるところなんでしょ?」

「そ、そうであります」

「この中のコロコロしたの、もし潰したらどうなるの? 袋が破けたらどうなるの?」

「無邪気な笑顔でデンジャラスなことを口走るんじゃありません!
 もしそんな事になったらカミジョーさん親子は悶絶死すると思います……」

「あはは、ごめん。当麻のとっても大切なところなのね」

「俺の身体で破けていい場所なんて一つもねーよ!」

「私のマクは破ったくせにー」

「下ネタですか!?」

 おかしいな、アルコールでも入ってるのか?と上条の謎は深まる一方だった。
 もともとはウブな性格で、性の話題にはいつも真っ赤になって戸惑うはず。
 しかし今は自ら理性のタガを外し開放的になっているらしい。
 美琴の手は股間から先、いよいよ上条の臀部に伸びる。



240: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 02:00:17.46 ID:2TbwG8yRo

「いやいや待て待て、そこはジュニアさんより恥ずかしい!」

「なによぅ、さっきは私のココだって見てたじゃない」

「見てたけど、綺麗だったけど、俺自身はそんなんじゃありませんからぁぁ!」

「き、綺麗とか言ってんじゃないわよばかばかぁぁぁ!」

(あ、いつもの反応だ)

 肛門は自分自身で直接目視する事の叶わない部位の一つである。
 まして排泄を専門とする器官であり、たとえ身体の全てを許しあった男女でも
 不浄の部分として存在を黙殺される事は多い。
 しかし風呂場という場所では例外なく洗浄されるべきであり、
 上条はお互い触れ合う事に対してまだ少し覚悟が足りなかったと痛感した。

「いいから立って、ほら。座ってるとソコ洗えないの」

「美琴サマ、ここだけはなにとぞご容赦を!」

「洗わないでいいの?」

「はい、自分で洗いますから」

「……洗わないでいいの?」

「もうその手は通用しません!」

「……私のも、触れない?」

「いや、美琴のはできると思う」



241: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 02:05:32.35 ID:2TbwG8yRo

「じゃあ、私のも洗ってくれる?」

「ああ、美琴のなら」

「それなら先にお返しするね」

「容易に罠に落ちましたぁぁ!!」

 上条の驚嘆はさしおき、美琴は臀部の溝に沿ってゴシゴシとスポンジを這わせていく。
 くすぐったい感触がゾワゾワと下半身に広がり、上条の足が震えた。

「もう上条さんはお婿にいけません……シクシク」

「なんでそんなに嘆いてんのよ」

「お前が大胆すぎてすごいわ」

「身体洗ってるだけでしょーが」

「そうですか……」

 ボティスポンジを洗面器の中で激しくすすぎ洗い、また新しいお湯を汲む。
 二度目の洗浄用意をすると、今度は用具ごと上条の前に差し出した。

「私も、洗ってくれる?」

「……ああいいぜー、お返ししてやるよぉ」

 美琴が押しに弱い事は熟知しており、少し積極的に攻め立てれば
 攻守を逆転するのはたやすいと上条は踏んでいた。
 とはいえ他人の身体を流すのは全くの初体験である。



243: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 02:10:16.39 ID:2TbwG8yRo

「お前って身体はどこから洗うんだ?」

「私は足からお腹を伝って上に洗うタイプ」

「左腕から洗う俺は邪道かなぁ?」

「いいんじゃない別に。いきなり股間洗う人だっているかもよ?」

「はは、それはねーよ多分。じゃ、今度は美琴が椅子に座ってくれ」

 雑談に見せかけて洗い始める部位のヒントを美琴自身から得ると
 細くしなやかな美琴のアスリート体型を支える、スレンダーな足から手掛け始めた。
 恐る恐る足の甲にスポンジを当てて慎重に擦り上げていく。

「ん……もっと力入れてもいいわよ」

「お前の肌めちゃくちゃ滑々なんだけど、傷ついちまわねーか?」

「このスポンジ肌に優しいから大丈夫よ」

「ならもうちょっとだけ力を入れて……結構気を遣うなコレ」

「んふふっ」

 恋人の身体を傷つけまいとする上条の繊細な気遣いが伝わって嬉しいのか、
 足の甲から裏まで丹念に洗う上条の甲斐甲斐しい姿を見下ろしていると
 美琴も幸福感で心が満たされていく。



244: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 02:15:41.67 ID:2TbwG8yRo

「足ほっそいよなーお前。確かに男とは構造が違うよ」

「もっと細い子もいるわよ、歩いてる途中に折れるんじゃないかってくらい」

「ああ、いるいる、見てて不安になるくらい足首の細いヤツっているよな。
 ま、お前の足は自動販売機を蹴っても平気なくらい頑丈なんだろうけど」

「それは最近自重してるわよ!
 とっ、当麻が言ったんじゃない! 蹴ると太腿まで見えてるからやめろって」

「まぁ言ったけど……」

「言った本人がさっきは太腿舐めてきたくせに~」

「……お前ひょっとしてさっきのを根に持ってるのか?」

「そんなんじゃないわ、むしろ逆。嬉しいの」

 内腿に伸びてきた上条の手が彷徨っている。
 どうやら足の付け根と臀部をどうしようかと迷っているらしいが
 上条と同じく、一度は自身で手早く洗っている場所だ。

「そこは飛ばして、先にお腹と背中洗ってよ」

「へいへいっと。……人のお腹って、どう力入れていいか迷うな」

「普通でいいわよ」



246: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 02:20:38.65 ID:2TbwG8yRo

 上条は自分の体格より明らかに一回り、いや二回りも細い美琴の体躯を
 細心の注意を払って擦り上げていく。
 白く小さな背中に正義感を背負い、上条とは違う立場で戦い続けてきた少女。
 彼女にも伝えていない戦いがあるように、美琴もまた上条の知らない戦いを経ている。
 お腹から背、そして両腕を洗う頃には徐々に力加減のコツを掴んでいた。

「なんかいいな、こうして洗ってあげるのも」

「でしょ。相手に尽くされてると幸せな気持ちになるのよ」

「される嬉しさと、する嬉しさはどっちが大きいもんなんだ?」

「今は、する方かな」

「今は?」

「うん。だって私、今日はこれから当麻に沢山お返ししてあげたいの」

「へっ?」

「あ、もうスポンジはいいわ。あとは当麻の手で洗って」

「はいいい!?」

 まだ胸部と臀部、下腹部を残しているのだが、
 美琴はスポンジを使わないで洗うよう懇願してくる。
 上条は美琴らしからぬ積極性に混乱していた。



248: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 02:25:39.21 ID:2TbwG8yRo

「さっきしてくれたみたいに、一杯触っていいよ」

「いや、その、愛撫と洗浄は別物と思うのですが」

「同じ要領でいいじゃない」

「美琴ぉぉぉ、どうしてそんなに吹っ切れてんだお前ぇぇぇ!?」

「ほーら、手で泡をすくって……そう……」

 上条の手を取って洗面器にひたすと、自分の慎ましい胸に押し付けるよう誘導した。
 表情は戸惑っているが、彼に嫌がるそぶりがない事は伝わってくる。

「わかった、でも一度触ったらもう止まらねーぞ」

「いいよ……くふっ、んぅっ、あっ、あはっ……!」

 泡にまみれた大きな手で、小さな膨らみを揉みしだく。
 先端がポチリと小さく突き出て、彼の愛撫を待ち焦がれていた事を示している。
 そのまま右手をそっと下腹部に滑り込ませ、熱くたぎる秘部に中指を割り入れた。



249: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 02:30:17.87 ID:2TbwG8yRo

「んっ……あんっ、嬉しい……!」

(すっかりエロい子になってしまった。ってか俺がそうしたのかっ)

 性を知らない一人の少女に、自分という男の欲を教え込んでしまったのだろうか。
 その美態が少しずつ上条の性癖に馴染んでいくとしたら満悦ではある。
 美琴は両手を上条の背中に回し、背中をさすって身体の泡をこそぎ落とすと
 そのままペニスに触れ、優しく包むように洗い出す。

「んくっ……美琴ッ……!」

「触って、もっと触っていいよ……」

 求められるがまま、右手で秘裂をこすりあげ、左手を尻に回して臀部の間に潜り入れる。
 お互いに五指を使って下半身の熱い粘膜をまさぐりあうと、惚けた表情の距離がゼロになる。
 唇も舌も視線も絡み合い、自分と相手の境界を曖昧にしていく。

「もうダメだっ、俺、欲求丸出しになって美琴に溺れてしまいそうになる……」

「そうなっちゃっていいんだよ……私が全部受け止めてあげる」

「傷つけちまわないように、ずっと我慢してたのに」

「もう我慢しなくていいの。いっぱい触って、動いて、出していいから。
 愛し合うってそういうことでしょ。気遣いも嬉しいけど、私は……そうして欲しいの」

「……美琴っ!」



251: >>249 ×まざくり ○まさぐり ですね ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 02:35:34.97 ID:2TbwG8yRo

 恋人の愛おしい提案が理性の殻を叩き壊していく。
 美琴の優しい手の中でぶちまけたくなる衝動を堪えつつも、
 上条はスキンを持ちこんでいない風呂場の中で何ができるかを考えた。

 まず性交はできない。膣外射精は避妊にならないと冊子に書いてあったからだ。
 胸で挟んでもらうのもできない。美琴がまた胸の大きさに悩み出すだけだ。
 だがフェラチオなら願望が叶うかもしれない。
 美琴の柔らかい舌と唇がペニスを這う光景を想像すると、身震いするような興奮が込み上げてきた。

「じゃあ……美琴にしてもらいたいことがあるんだ」

「んふ、なんでもしてあげる。でもその前に身体流してお風呂入りましょ」

「あ、ああ、そうだな。……ハァ」

 甘美な許容を得た矢先に、現実的な提案を被せてくるところが小憎らしい。
 顔で笑って心で半泣きになりながら、上条はシャワーヘッドを手に取り
 湯が美琴と自分の両方に掛かるようにして泡を洗い流した。

(クスッ、まだまだ焦らしてあげるんだから。
 私がさっき感じた気持ちよさと幸せは、こんなもんじゃないんだから……)

---



268: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 19:53:10.86 ID:2TbwG8yRo


 [21:22]

 湯船にはまず上条が入り、足を伸ばして体勢を座椅子のように形作ると
 次に美琴が入り、上条に背を預けて座る。
 愛撫を心待ちにしている剛直が美琴の背部に当たっているが、
 彼女は薄く微笑んだだけで平穏に振舞っている。
 湯船の中で美琴を後ろから抱きしめると、湯とは異なる暖かさが二人を包んだ。

「はぁ……不思議な気持ち。お風呂に入りながら抱きしめてもらえるなんて」

「俺もだよ。熱くないか?」

「大丈夫、ちょうどいいわ」

 上条が美琴の右後ろから表情を伺うと、美琴は目を閉じて上条に身体を委ねる。
 身を預けてくる美琴の重さが心地よくて、上条もそのまま浴槽に体重を預ける。
 二人が今感じている感情を端的に言えば、安寧だった。

「……この体勢が好きなの、安らぐから」

「そうなのか」

「うん。当麻の腕の中にいると、居心地が良くてふにゃふにゃになりそう。
 右手で触られるとうまく思考が働かなくなっちゃうけど、その代わりに
 陶酔感みたいなものが出てくるのかも」

「あぁ、俺も同じかもしれねえ。美琴に触れると少しドキドキするけど、
 ドキドキしすぎなくてぼうっとする。お前って暖かいんだな」

「当麻もあったかいよ」

 何も包み隠さず、曖昧な心境すらも全て晒して語り合うと
 心身が融合していくような一体感が生み出されていく。



269: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 20:01:11.31 ID:2TbwG8yRo

「……あのさ、学校であった話をしてもいいかな」

「ああ、聞かせてくれよ」

「あのね……火曜日の出来事だったんだけどさ。
 私のクラスメイトが一人、放校処分になったの」

「放校ってことは、退学ってことか?
 常盤台でもそんな事があるんだな……」

「あるわよ。他よりちょっと上に扱われてても、結局中身は中学生だもの。
 外からはお嬢様学校とか言われてるけど、陰湿ないじめや派閥争いだってあるし」

「んー、そういうもんか」

「でね。その子がどうして放校になったかって言うと、
 長点上機(ながてんじょうき)学園に在籍してる男子高校生との間に、子供ができたらしいの」

「なっ……ち、中学生なんだろ!?」

「あくまで表向きは噂よ。学校側が直接発表したわけじゃないもの。
 でも、異性交遊だって規則スレスレなのに、妊娠なんて事になったら
 能力開発とブランドイメージの著しい妨げになるから、うちの学校的には許されない事なのよ」

「そっか……。だとしても中学生なのに退学だなんてなぁ」

「実際は転校だけど、少なくとも学舎の園の中では受け入れられないわね。
 一般の中学校に移されると思うわ」



270: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 20:07:39.41 ID:2TbwG8yRo

 エリート学校の厳しい現実を耳にして、凡庸な学生たる上条は複雑な心境だった。
 ただ普通の学校に通うだけの事が、突き落とされた結果のように聞こえてしまう。
 語る美琴に悪意はないのだが、高レベル校の気風はやはり異質に感じられた。
 男は上淫を好み、女は下淫を好む性情があると言われるが、
 二人の過ごしている学習環境には大きな隔たりがある事と、
 それを乗り越えて今の関係がある事を二人は改めて実感していた。

「一つ気になるんだが、その子の彼氏はどうなったんだ?」

「それがさ……別に彼氏でもなんでもなかったらしいの。火遊びってヤツみたい。
 学舎の園の外側を知らない、無菌状態で育った生まれつきのお嬢様が
 能力が高くて口の巧い男子生徒の食い物にされたってのが真相に近いと思う。
 実際、向こうの生徒にはなんの咎めもないらしいし。
 ウチや霧が丘はそういうところ厳しいんだけど、長点上機はどうも見境がないわ」

「エリート校の考えることはわからんなぁ」

「でもあの子、泣いてたの。自分の身を守る方法を知らなかったのも悪いけど、
 泣いてた本当の理由は、その男子生徒の事を信じてたからだと思う。
 だけどその男子は認知もしないどころか、身に覚えがないってすっ呆けたらしくてさ」

「なんだよそれ……男らしくねえヤツだな」

「うん……なんだか嫌じゃない、そんなヤリ逃げみたいな事許すなんて。
 私が代わりにブッ飛ばしたかったけど、私が怒るのもお門違いなのよね……」

「それはそうだろうけど……その子はこれからどうなるんだろうな」

「お腹の子を産むにしても堕ろすにしても、辛すぎる選択になると思うわ。
 それを自分一人だけで決断しなくちゃならないところまで含めて……」



271: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 20:13:12.50 ID:2TbwG8yRo

 義憤で怒る美琴の気持ちが、背中越しにも痛いほど伝わってくる。
 しかし、限りなく真実に近いとはいえ確証を得ない話に踏み込んでいくのは躊躇われ、
 結局美琴は何もできぬまま傷ついた級友を一人失ったのだ。
 その喪失感を共有するように、上条は腕に込める力を強める。

「でね、金曜日にちょっとした特別授業があったの。いわゆる保健体育よ。
 妊娠の仕組みとか避妊の方法とか、女子が自分の身を守るための授業ね。
 こんな事例を二つも三つも出したくないってことで、急遽設定したんだと思う」

「女子中学校の保健授業……上条さんちょっと興味がありま、いてて足つねるな!」

「黙れバカぁぁ! ……それでね、避妊方法の事も幾つか講義を受けたんだけどさ、
 スキン以外にもピルとかリングとか、女性側で用心するための物もあるわけ」

「ふむふむ」

「学校側も事態が事態だからって、中学生でも避妊薬を処方してもらえるように
 学舎の園の中にある婦人科病院に働きかけたんだってさ」

「へえ……」

 女子学生の話題は、得てして結論に辿り着かず散漫になりがちである。
 美琴の話の着地点がよく見えず、茶化す作戦も失敗した上条は聞くがままになっていた。



272: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 20:24:08.59 ID:2TbwG8yRo

「ピルって昔は女性の身体に悪影響があったりしたらしいけど、
 学園都市製の低容量ピルなら、副作用もかなり少ないらしいの」

「だとしても、中学生のうちからそういうのを飲用するのはいかがなものかと……」

「あら、避妊だけがピルの効能じゃないわよ。
 女の子の日を調整したり、一部の病気の予防になったり、ニキビ治療になったり、
 色々役立つのもあるんだから。あ、あとはバストアップ効果があるって噂も……」

「だから、お前のバストアップ情報網はどんだけアンテナ張ってるんだ!」

「あ、あはは……えーとっ」

「どっちにしても、そんなのは男がちゃんとゴムをつけりゃ済む話じゃないのか?」

「そうね、当麻の事は信頼してるわ。だけど女の子にだって自分を守る手段はあるの。
 恋仲ならちゃんとスキンをつけてくれるかも知れないけど、強姦に対しては無力だもの」

「そこは否定しねえけど……」

 冊子に、近年の中絶率データが示されていた事を思い出す。
 無知な学生達の火遊びのみならず、不届きなスキルアウト達の所業も一因なのだろう。



276: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 20:36:11.74 ID:2TbwG8yRo

「それで、お前はそのピルってヤツを服用したいって思うのか?」

「うん……正直今考えてる。
 医師に掛かりながら処方してもらえば副作用の心配は低いらしいし、
 胸の事は置いといても、色々利点もあるらしいのよね」

「ホンットーに胸の事は意識してないんだろうな!?」

「……」

「美琴さーん!」

「な、なによう!?」

「牛乳がぶ飲みするのとはわけが違うんです。ピルは豊胸剤じゃありませんよー」

「んなことわかってるわよぉ! ふ、副次的に働けばいいなーって思っただけよ」

「まったく……」

 豊胸に関する噂話に食いつきやすいところは、油断も隙もあったものでない。
 そうさせているのは自分かもしれないという責任も感じてはいるのだが、
 先程あれほど大きさにはこだわらないと語って聞かせたはずだ。
 そろそろしっかり伝わって欲しいとも思う。



277: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 20:40:05.35 ID:2TbwG8yRo

「俺は男だから、服用に対しての心境はよくわかんねえ。
 ただ、俺が信用できないとか、万一にもレイプみたいなものを用心してるのなら、
 俺がお前の希望を遮るようなことは言わねーよ。
 胸の事を考えて服用するのは不純だけど、それ以外の理由ならいいんじゃねえか?」

「さっきも言ったけど、当麻の事は信頼してるの。そこは誤解しないでね。
 ただ、スキンと併用すれば限りなく避妊の安全性が高まるってデータもあるし、
 それに……その……」

「どうした?」

「……ナマでした方が気持ち良くなれるのかな、ってちょっと考えちゃって」

 その誘惑は脳天をしたたかに打ちのめしたが、即座に飛びつく事には躊躇われる。
 否定しなくてはならない向きだと上条は感じた。

「いや、それはどうなんだ!?」

「どうって……もともと避妊目的の物なんだし、そういう使い方でいいんじゃない?」

「でもスキンは性感染症を防ぐのにも有効だって本に書いてあったし」

 上条はついボロを出したのだが、何処に書いてあったのかは聞くまでもなかった。
 美琴はあの冊子の知識を逆活用し、彼の反応を楽しんでいる。



278: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 20:45:15.21 ID:2TbwG8yRo

「感染症って……当麻は変な性病でもうつされてるの?」

「身に覚えはないけど、過去を通じて絶対無いと言える確証もない……」

「記憶を失う前から女の子をとっかえひっかえHしてたってんなら気をつけるけど」

「それは天地神明にかけてありえないと思います」

「まったく……言ったでしょ、信頼してるって。
 もちろん私だってそんなモノ持ってないって誓って言えるわ。
 だから、私達二人だけで愛し合うなら、そこは心配いらないんじゃない?」

「まぁ……なぁ」

「それとも、他の女の子もスキンなしで抱きたいの?」

「そういうんじゃねえ! あーもうわかったよ、大丈夫だ、俺は大丈夫ッ!」

 スキンをつけず、妊娠の心配もなく美琴の胎内に射精できるとしたら
 先程よりさらに上の快感と一体感を得られるかもしれない。
 ろくな反論材料も持たない上条は、甘美な提案にようやく折れた。
 お互いを強く信じるからこそ踏み出せる特別な領域に、二人は踏み出そうとしている。

「うう、上条さんは膨れ上がった欲望にもはや抗いきれません」

「それを言ったら私だって……その……こんな事言っちゃって良かったのかな」

「俺には一生出ない発想だったろうし、気にしてねえよ」

 右腕を浴槽から出し、手の水滴を振り払ってから美琴の頭を撫でる。
 美琴を慰めるための癖は、同時に上条が落ち着くための癖でもあった。



279: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 20:50:26.73 ID:2TbwG8yRo

「あ、でも実現するのはしばらく先だからね」

「へ!?」

「ピルって、最低でも2サイクル目からじゃないと避妊効果が見込めないらしいの。
 だからえーと、女の子の日があと2・3回来た後ならいいと思う」

「そこは美琴に任せるけど、もし体調が悪くなったらすぐに服用は止めろよ。
 一番大切なのはお前自身なんだからな。それだけは約束してくれ」

「うん……ありがと、約束する。週明けにでも産婦人科に行ってみよっと」

「それって、俺も彼氏として一緒に同行した方がいいのか?」

「妊娠検査じゃないんだからそれはいいの。一人で行っても処方してもらえるから」

「そ、そうなのか」

「子供扱いしてくれちゃって」

(でもちゃんと彼氏の責任を感じてくれてる気持ちは嬉しい……
 あの子には悪いけど、私達はああならなくても済むのかな)

 上条という逞しい恋人の存在が、いつでも美琴の支えになっている。
 美琴は明るく微笑み、心の中で抱えていた不安を自ら払拭する。
 ぬるめに入れた湯の中で、長時間抱き合っている二人の額からは
 玉のような汗がじわりと浮かび始めていた。



280: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 20:55:15.07 ID:2TbwG8yRo

「ふうっ、かなり温まってきたわね」

「そうだな」

「いったんあがろうかしら」

 美琴は脛から下だけを湯の中に残して湯船から上がると、
 上条に向かい合うようにして浴槽の縁に座り、ほてった身体を冷ます。
 その姿態は桃色に染まり、腿は閉じているがアンダーヘアまで丸見えの体勢だ。
 上条は慌てて視線を逸らしたが、それこそ眼前の裸体を意識している証左である。

「どうしたの? 照れちゃって」

「いや、その……お前、さっきから大胆だな」

「さっきはそっちからガッツリ見てきたくせに、今更なんなのよ」

「……そういやそうだった」

 上条自身も、何が妥当で何が逸脱なのか曖昧になりはじめていた。
 いずれにしても、美琴の魅力的な身体はいつ見ても惹かれてしまう。



281: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 21:00:15.35 ID:2TbwG8yRo

「アンタは銭湯に行くことってあるの?」

「時々あるぞ。美琴こそどういう場所か知ってるのか?」

「当たり前でしょ、世間知らずのお嬢様みたいに言わないでよ。
 ジャッジメントの知り合いの人や友達と一緒に行った事もあるし。
 でもあの時はちょっと嫌な思い出があったのよね……」

「白井にでもおちょくられたか?」

「それもあったんだけど……『誰かが見てた』のよ」

「は?」

「まぁ、あの時の事件はすぐ解決したから良かったんだけどさ」

「お前も色々災難に見舞われてるんだな」

「まぁね」

 さすがの上条も女風呂内の事件に首を突っ込むことはできないが、
 安らぐはずの場所で惨事が彼女を襲った点には同情を感じた。
 実際女風呂で執拗に見張っていたのは白井の仕業ではあったのだが、
 その件の制裁はとっくに済んでいるため美琴の中で引きずってはいない。
 ただ、長点上機学園に抱くイメージだけは重ねて悪化していた。



284: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 21:05:45.52 ID:2TbwG8yRo

「それにしても、白井の話題には事欠かないな」

「あの子はちょっとアレなところと、アレなところと、すごくアレなところさえなかったら……」

「アレだらけじゃねえか」

「ホント、アレなのよ」

「ははは、どれだよ!」

「あはははは……!」

 白井の暴走ぶりを面白おかしく話す美琴の話に、絶妙に笑いを誘われる。
 話の端に上るだけでも笑顔が漏れるためか、二人の話題には彼女の存在が欠かせない。
 しかし彼女は、二人の恋愛関係に揺らぎをもたらす一番のトラブルメーカーでもある。

「でも私も悪いことしちゃってるから、トントンなのかなぁ」

「なにが?」



285: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 21:10:24.15 ID:2TbwG8yRo

「私達が付き合ってること、黒子には内緒にしてるもの。
 もし言ったら『おっ、おっ、おっ、おねぇぇぇさばぁぁぁぁ―――!!!???
 あの類人猿めェェ、コッコッコロスゥゥ!!』とか言いながら取り乱しそうでさ。
 ……まぁ殆どバレかけてはいるんだけど」

「俺が言うのもなんだけど、ここに泊まりに来てることは隠しきれてねえんだろ?」

「そうなのよね……さっきのメールでもバレてたわ」

「はぁ……あまり気は進まないが、白井にもちゃんと話すべきじゃねえか?」

「私はそれでもいいんだけど、だったら当麻はどうなのよ」

「俺か……。俺はどうするべきだろうな」

 隠しておきたい理由は数え切れないほどあった。
 騒ぎかねない同居人、寮則に厳しい監督者、やっかみがちなクラスメイト、
 そして根掘り葉掘り訊ねてきそうな友人達に、どこまで説明するべきか悩ましい。
 だが二人の逢瀬も五度を数え、もはや周囲に隠し通す事に限界を感じていた。
 自分が幸せを得る代わりに誰かが困るような行動は極力取りたくないが、
 二人で絶頂に達した時に感じた、幸福に満ちたあの一体感は誰にも阻んで欲しくはない。
 非常に難しい判断をこれ以上先延ばしできないと考え、二人は腹を括る事を決心した。



286: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 21:15:52.75 ID:2TbwG8yRo

「……俺もしっかりしなきゃならないんだろな。
 でも今の暮らしは変えたくねえんだ。美琴には嫌な思いをさせるかもしれねえけど」

「ううん、私は一週間に一度でも、こうして二人きりで会えるだけで満足。
 正直妬く気持ちもあるけど、あの子を追い出して解決して欲しい訳でもないし」

「そっか……みんな笑って治まれば一番いいのにな。やっぱ難しいのかな」

「そうね……」

 湯気に満ちた風呂場を、神妙な空気が包む。
 誰かを守るための行動は即決できるが、
 誰かが傷付くかもしれない行動には気が重くなってしまう。
 白井に打ち明けた際の反応は大体予測できるが、
 インデックスに打ち明けた際の反応は上条にすら予想が付かない。
 噛みつかれるならまだ良いが、泣かせるか、最悪はこの家を出ようとするのか……
 上条の想像は悪い方向にばかり向いていた。



287: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 21:20:53.31 ID:2TbwG8yRo

「ねえ、一つだけ言っておくけど、私はあの子が嫌いなわけじゃないわよ」

「でもお前ら会うたびにギスギスしてるじゃねえか」

「それは……最初一目見た時すぐわかったの。あの子が当麻の特別な存在なんだってことが。
 多分きっと、あの子にも私の事がそう見えたんだと思う。これってうぬぼれかしら?」

「……いや、合ってる」

「ふふっ、この鈍感大魔人の口からそんな風に言ってもらえるなんてね」

「だって気付いちまったからな」

「なにに?」

「お前と俺は、もう一心同体なんだってことにさ」

「ばっ、ばかぁぁ! そういうの、殺し文句って言うのよぉぉぉ!!」

 打算に裏打ちされていない真正面からの告白に、
 湯で温まった美琴の肌がますます赤くなり、熱気を帯びていく。



288: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 21:25:29.50 ID:2TbwG8yRo

「ったく、そういう事も平然と言える性格だからモテるのよねぇ……この女殺しッ」

「んなっ!? 上条さんにはそんな能力ありません!」

「遺伝レベルで持ってるって言ってんでしょーが!」

「親子で濡れ衣だぁぁ! わぷっ!」

「あはははっ! ごっめーん、顔面直撃しちゃった」

「このヤロ……あはははっ」

 理不尽な物言いに猛り立った上条の顔に、美琴はバタ足で湯を掛けた。
 こんにゃろめと怒る一方で、上条も美琴の照れ隠しがいつも過激だと熟知している。
 だから上条も笑って収められた。

「はぁ……騒いでるうちに俺ものぼせてきたぞ」

「じゃ、いったんあがりましょっか」

「あ、ああ……」

 上条が湯船から身を乗り出した瞬間、美琴の視界に
 期待感を抱いたまま湯の中で雌伏していたペニスが現れた。
 常にふぬけている表情の裏に、押さえがたい強烈な肉欲を秘めている彼の本心を
 もっとさらけ出して欲しいと美琴は願ってしまう。



289: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 21:30:07.28 ID:2TbwG8yRo

(よしっ、いよいよあの冊子の内容を実践してやるんだからっ)

「ねえ当麻、そこの床に座ってくれる?」

「へ? いいけど……」

 美琴に指示されるまま、上条は立て膝を両腕で抱え込んで座った。

「ぷぷっ、なんで体育座りなのよ」

「なんでって、特に座り方までは言われてないだろ」

「足を伸ばしていいのよ。あ、こっちを向いてここに座って」

「細かいな……なにがしたいんだ?」

 上条は背に浴槽を、右手側に浴壁が迫る位置に足を伸ばした状態で座らされる。
 いきり立った下半身が丸見えなのが恥ずかしいのか、膝が浮つく。
 美琴も床に座り込み、そのまま身体を横たわらせると上条の太股に頭を乗せ、
 いわゆる膝枕の体勢を取った。

「なんだ……膝枕して欲しかったのか」

「ううん、この体勢だとちゃんと見えるでしょ?」

「なにが?」



290: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 21:35:55.83 ID:2TbwG8yRo

 美琴はその問いに答える代わりに、上条の上半身に向けて身体を倒すと
 眼前にそびえ立つペニスに優しく口付けた。
 ほんの一瞬触れた唇の刺激に、思わず腰を引いてしまう。

「み、美琴っ!?」

「この体勢だと……ぺろぺろしてる様子が当麻にもちゃんと見えるわよね」

(やっぱりオカシイですよこの子ォォ!)

 上条の性知識におけるフェラチオとは、男が立って女が立て膝の体勢で行うか
 ベッドに寝そべったところに女が乗りかかってくるものと考えていた。
 どちらも男が女の頭頂部を眺める姿勢になり、口に含んでいる様相は見づらい。
 しかし美琴の言う通り、この体勢なら美琴がペニスを口に含んでいる様子が
 上条からもありありと見える。

「ああ、なんかこう……視覚的にグッとクるな」

「ふふっ、喜んでもらえて嬉しい。それじゃ、一杯してあげる」

「ああ……頼む」

 言葉は平静を装っているが、美少女が恍惚とした表情で自分のペニスに
 顔を寄せている事に並々ならぬ興奮を感じていた。



291: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 21:42:04.85 ID:2TbwG8yRo

『フェラチオとは、男性に快楽を与えると同時に、征服心を強く煽る行為です。
 女性が積極的に舌と唇を使って奉仕を行う姿を見て、男性はあなたに対する愛情を強めます。
 視覚的に彼の気持ちを盛り上げれば、激しい行為に頼らずとも十分な快感を得られます。
 しかしフェラチオは女性が尽くすための愛撫であり、男性にとっての手軽な性処理方法では
 ない事を彼に教示する事も大切です。二人で愛のある前戯を学び、体験していきましょう』

(絶対上手にしてみせるから……だから私を見てて、当麻)

 反り上がるペニスに顔を寄せると、ボディソープの香料に混じって牡の匂いが香る。
 処女を捧げ、エクスタシーを教えこまれた上条のシンボルに嫌悪感は少しも浮かばず、
 彼の本能そのものと思えば限りなく愛おしい存在だった。
 右手で竿の部分をそっと握り締め、亀頭の裏側にゆっくりと口付ける。
 なんておそろしく淫靡な光景なのだろうと上条は思った。

「……ちゅっ」

「うくっ」

「あはっ、なんか今ピクピクって動いたわよ」

「男は勃つとちょっとだけ動かせるんだよ」

「なによそれー」

 扇情的すぎる光景と柔らかい感触に心を揺り動かされ、思わずペニスに力を込めると
 美琴は興味津々とばかり見つめてくる。凶悪にもファンシーにも受け取れる形らしい。



292: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 21:46:08.62 ID:2TbwG8yRo

『まずは口にたっぷりと唾を含み、最初から深く飲み込もうとはせず
 唇と舌だけで先端部の膨らみに優しく触れてください。
 慣れないうちから激しく口を動かすと、歯で陰茎を傷つけてしまう恐れがあります』

(こう……でいいのかな?)

 赤く膨れ上がった柔らかい先端部を唇で包まれ、舌先でちろちろと舐め弄られると
 ペニスの先端にぼんやりとした温感と快楽が疼き始めた。
 開かれた美琴の口唇が、自ら望んでペニスを飲み込んでいく光景に魅入ってしまい、
 妙に楽しげな美琴の表情はどうしたものかと思う。

「美琴、それエロすぎだろ……」

「気持ちいい?」

「ああ……」

「じゃあもっとしてあげる」

「う、ああっ」

 美琴と目を合わせて喋るつもりが、どうしても口元へ視線が惹かれてしまう。
 しかし目に視線を戻しても、トロンと潤んだ瞳が妖艶すぎて
 どうあがいても上条の性欲を押し上げてくるばかりだ。
 美琴にとっては、10億ボルトの電撃はおろか音速を超える超電磁砲すら打ち消す非常識な男を
 寝転がったまま少し舌先を動かすだけで翻弄できるのだから楽しくて仕方がない。
 恋仲となり、昔のように上条を負かす事にこだわる理由もなくなった今になって、
 彼の優位に立てる行為を見つけてしまったのだ。



294: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 21:50:54.45 ID:2TbwG8yRo

(買い与えられたアイスキャンディを舐めている子供みたいに無邪気な笑顔なのに、
 行為は実にエロそのもの……あああ上条さんにはナニやら新境地が見えてきましたよ)

「ねぇ、当麻はどうされると悦ぶの? どうされたら気持ちイイ?」

「くっ……どうと言われても、全部よすぎて……!」

「じゃあ、どこにせーえき出したい?」

「!?」

 快感に塗り潰されていく意識のなか、上条は促されるまま欲望の放出先を考え始めた。
 口か、顔か、それとも―――

「あの冊子にしっかり書いてあったわよ。
 男は彼女に精液を飲ませたり、顔にかけて征服感を満たしたがるって。当麻もそうなの?」

「お、お前もアレを読んだのか……!?」

「うん、がっつりスラックスのポケットに刺さってたから気になって」

「ううっ、そういや隠し忘れてた……」

「ああいうのって、ちょっとカンニング的じゃない?」

「少し参考にしようと思っただけなんだが……不愉快に思わせたら悪かった」

「怒っちゃいないわよ。こうして私も参考にしてるわけだし」

「道理で……うぁ!」

「ふふっ」



297: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 21:55:54.88 ID:2TbwG8yRo

 十分に唾で濡らした先端部を優しく撫で回すように、美琴の舌が妖しく踊る。
 膣への挿入とは全く異なる、技巧的な刺激。
 ほんの数分で美琴の舌使いは上条の感覚を完全に虜にしていた。

「先っちょからしょっぱいのが出てきてる」

「ああ……自分でも染み出してるのがわかる。気持ちよすぎてさ」

「もっとして欲しい?」

「して欲しいけど、このままだとあんまり持たねえ」

「いいわよ、イくまで沢山してあげるから」

(さっき散々いじくりまわしたから、俺にもそうする気なのかな。やべえな……)

 美琴は視線を見上げてクスクスと笑い掛けてくる。弄んでいる事を自覚している表情だ。
 男にとって一番の弱点を自在に操られ、支配される事は魅惑的であり、
 慈しみに満ちたイタズラだと上条は直感していた。

「出していいんだからね、お口の中でも、顔でも」

「マジかよ……綺麗なもんじゃねえんだぞ」

「そうして気遣ってくれる優しさも嬉しいけど、ちょっと突っ走るくらい欲深いところも
 見せて欲しいって思っちゃうの。普段の当麻ってあんまり欲がないから」

「欲がないわけじゃねえよ。ただ……この前みたいに一方的になっちまったら
 美琴を傷つける気がして嫌なんだ。そうなりたくはねえんだよ」



298: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 22:00:43.63 ID:2TbwG8yRo

 お互いに何をしたら相手が喜ぶのか、それとも傷つくのか、二人は今なお探り続けている。
 こと上条は、相手を満たすためには自分の欲を抑える必要があると思い込み始めていた。
 初体験の事も、彼にとっては自我を乱した情けない記憶となって残ってしまうのだろうか。
 いつでも彼は自分を抑えて相手の支えになろうとする……人としては素晴らしい事だが
 激しい情愛を交わしている今は、それでは物足りないと美琴は思う。

「……もう我慢なんてやめたらいいじゃない。
 お互い裸も見てセックスまでしてるのに、今更そんな部分だけ隠すのって滑稽でしょ。
 お互いにしたいことして、見たいものを見て、聴きたいこと全部聴こうよ。
 当麻のせーえきがどんな味するのか、顔にかけられたらどんな気分になるのか
 お腹の中で出されたらどんなに満たされるのか……私だって興味があんのよ」

「お、おまえ!?」

「私がしてあげたいの。私にして欲しいの。それじゃダメかな?」

「そんな事言われちまったら……俺の理性を完全にぶっ壊す気かよ」

「壊れちゃったらいいじゃない。私はもう壊れたわ。
 あんなバカでかい声でイかされて……もう私、完全に当麻の虜になっちゃったんだから」

「う、うう……!」

「だから当麻も壊れちゃいなさいよ、ほーらっ」



300: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 22:05:48.00 ID:2TbwG8yRo

 上条の葛藤を見抜いたかのように、美琴の言葉には魔の誘惑が散りばめられていた。
 健気な舌使いと、のめり込むようにして咥えてくる姿勢にも本心が込められている。

「……お、俺は……」

「当麻は、どうして欲しいの?」

「俺は……すげえ事言っちまうかもしれねえぞ」

「そ、そんな風に言われるとちょっと怖いかも」

「だ、だろ? だからやめようぜ」

「むっ。そうやって小手先でごまかすのってアンタの悪い癖よ」

「しかしだなぁ」

「……なにも言ってくれなくても、このまま出させちゃうけど」

「じゃあ……言っちまうけど、本当にいいのか?」

「くどいっ。なんでもしてあげるっての」

 脅すような口調でいながらも、舌と唇は優しいタッチで上条の欲望を舐め回してくる。
 貸し借りなどという律儀な動機ではなく、上条の理性に包まれた欲望を丸裸にして
 それを全て自分の物にしたいという、美琴なりの願望でもあった。



302: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 22:10:46.04 ID:2TbwG8yRo

 心から彼の精を求めようしている貪欲なフェラチオに、もはや上条は理性を維持できず、
 上条自身もこじ開ける方法を知らなかった欲望の扉は、遂にその錠前を打ち砕かれた。

「……全部美琴の口の中に出してえ。出した後もずっとチンポ舐めててくれ。
 生臭くて吐き出しちまいそうになるかもしれねえけど、そうして欲しいんだ」

「ふうん……アンタって実は彼女にそんな事して欲しかったんだぁ、へええ~」

「や、いや、無理ならしなくていいんだぞ! ちょっと言ってみただけだからな!」

「ばぁか、慌てんじゃないわよ。……いいよ、してあげる」

「美琴……」

「もう我慢できないんでしょ? はちきれそうになってきてるの、わかるよ」

「出すぞ、ホントに出しちまうぞ……」

「いいわよ。ほらほら、びゅっびゅーって、せーえき一杯出しちゃいなさいよ。
 全部、受け止めてあげるから」

「ううっ……!」



303: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 22:15:12.94 ID:2TbwG8yRo

 全てを許す優しい言葉で上条の理性を殴りつけ、美琴はペニスに深く咥えつくと
 あとは何も言葉を発さず、彼の射精を促すために唇を使って全力で扱き上げる。
 美琴は内心、小躍りしたくなるほど嬉しかった。
 優しく愛撫されるのも心地いいが、少し獰猛に求められるくらいの方が
 自分を必要とされている、愛されているのだと実感できる。
 御坂美琴にしかできない事、上条当麻の恋人だけができる事、
 その証明がどうしても欲しかった。

「んむぁ…んぁあ…ぬちゅ…れろれろっ…」

 先端から滴る先走りを舌で絡めとり、裏筋へ這わせるとピクリと反応する。
 それが面白くて、しつこく舌の腹で舐め回す。
 首を振りながら唇を狭めていくと、唾で湿った音が浴室に鳴り響く。

「っんん…じゅぱっ、んぽっ、ぐぽっ、ぢゅぽ…っ、じゅる…っ、ちゅぱ、ちゅぅ…」

「うあ…みことぉ…すげえよ……」

「んっ、じゅぶっ、じゅぽっ、ぢゅぽっ、じゅるるっ、じゅぷ、んぷっ、れろれろっ…」

「美琴、出すぞ、本当に出しちまう……!」

「じゅぷっ、じゅぽっ、ぶぽっ、あむっ、ぢゅぽっ、ぢゅるっ、ぢゅるるる―――っ」

「う、うあぁぁぁ―――ッッ!!」



305: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 22:20:18.67 ID:2TbwG8yRo

 美琴はただコクリと頷いて、濡れた唇をいっそうすぼめて吸い上げる。
 上条は右手で美琴の頭を強く押さえつけながら、極限まで堪えた射精感を開放した。
 濃厚な精液が尿道をつたい、びゅるびゅると音を立てて美琴の口へ侵入していく。
 ティッシュでもスキンでもなく、最愛の彼女が精を飲み込んで受け止める光景に
 ぐわんぐわんと脳を揺さぶられ心をかき乱される。
 剥き出しにされた凶悪な性欲が、爪を立てて彼女を蹂躙しているように思えて
 それがまた上条の劣情を焚きつけた。

「う、うう―――っ、みこ、美琴ォォ!」

「ん…んぶっ…んっうっ…はぷっ…えぅっ…!!」

 暖かく生臭い精液が、ドックン、ドックンと何回も脈打ちながら
 美琴の咥内に勢い良く放出されていた。
 くすぶっていた欲望が開放され、濃厚なエキスとなって喉に絡みつく。
 鼻に逆流してくる生々しい匂いに意識が混濁しそうになりながらも、
 彼の愛情と欲望の権化を少しでも逃さないようにと、
 美琴は次々と注ぎ込まれてくる精液を必死に嚥下していく。

(美琴……マジで全部飲んでくれてるのか、俺のを……)

「んっ、うぶぅっ、んぇ、うっ…えぅ…!」

(おまえ……なんでそこまでしてくれるんだよ……!)



306: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 22:25:50.41 ID:2TbwG8yRo

 苦しそうな美琴の表情を目の当たりにして、上条の欲望は急速に冷めこんでいく。
 射精直後の高揚感はたちまち消え果て、かわりに後悔の念が大きく押し寄せてきた。
 押さえつけていた右手の力を緩め、いたわるように優しく撫でる。
 だが美琴は言葉で応えずペニスを銜え込んだまま口を離さない。
 射精を終えた後も唇で扱き上げる行為を止めず、上条の精を求めていた。

「う……うく、あうっ……!」

 放出直後の敏感なペニスが美琴の執拗な舌使いに反応し、上条の腰がビクリと震える。
 彼の申し出通り、射精後にも舐め尽そうとしてくる美琴の献身的な姿を見ていると
 上条の内にある愛情も愛欲に変換されてしまう。

「あっ、うああっ、美琴、もっと、もっとだ……ッ」

「れろっ、じゅぷっ、ぐぽっ、ぶぷっ、あむっ、んぶぅっ、ぢゅるるっ……」

「あっ、あっあっ、うあ―――っ!」

 萎えかけたペニスに強度が戻り、再びそりあがって美琴の口内で膨らむ。
 尿道に残っていたわずかな精液が吸い取られる快感も上乗せされて、
 朽ち果てたはずの射精感が再び込み上げて来る。
 迷う暇もなく、欲望のままドクンドクンと二度目の精を吹き出した。



307: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 22:31:09.20 ID:2TbwG8yRo

(メチャクチャだ……気持ちよすぎて、美琴をメチャクチャにしちまってる……!)

(とうま、すごい……まだまだ一杯出してくれてる……嬉しい……)

 恍惚の笑みと涙を目に浮かべながら、美琴は再び嚥下し始めた。
 生臭い匂いを鼻から逆流させないよう、鼻息と一緒に飲み下していく。
 そうする事で上条がより強い快感と征服感を得られるという確信があった。

「ふぁっ……みことぉ……すげえ、すげえ気持ちいい……!」

「んく…ごくっ、ん…ごくっ…ちゅる、れろっ…ぢゅう…ちゅっ…」

 やがて劇的な射精も終わりを迎え、甘い吐息に満たされていた浴室に静寂が戻る。
 全ての精を吸い尽くし、赤く膨れた亀頭を目一杯舐め尽した美琴は
 ようやく身体を離し、新鮮な酸素を口から取り込む。
 達成感に胸を膨らませ、満足気な笑顔を浮かべながら上条を見上げた。

「んふ、飲んじゃった」

「ま、まずかったろ? 吐き出しても良かったんだぞ」

「やーよ、そんな事したら当麻が満足できないでしょ?」

「いや、しかしだな……」

「もう……そうやって気を遣ってばっかりじゃないの。
 結局、気持ち良かったの? 良くなかったの?」

「そりゃもう極上でした。上条さんは美琴のフェラに病み付きです」

「ふふっ、よかったぁ。私、当麻を満足させられたんだ」



308: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/24(月) 22:35:52.58 ID:2TbwG8yRo

 無邪気に喜ぶ美琴の笑顔は、漠然とした不安から開放された証明でもあった。
 『上条当麻の特別になれた自分』を実感できるならば、精液の苦さなど微細な問題だ。
 上条もその笑顔に己の罪悪感をかき消され、彼女からの深い慈愛を感じる。

「確かにちょっと苦かったけど、濃い鼻水みたいなもんよ」

「鼻水て……そのたとえはどうなんだ」

「ぷっ、そうかもね。でも慣れたら案外平気」

「ほ、ホントか? 無理してないか?」

「全然。私達、身体の相性もいいのかも」

「美琴……」

 飲精は体質や体調にも大きく左右され、人によっては絶対的に拒絶を示す行為でもある。
 冊子にも初心プレイには積極的に薦められる行為ではないと書かれていたが、
 もし達成できれば限りなく愛情を深め合える行為であるとも併記されていた。
 美琴はそれに挑みたやすく成しえ、その結果を『身体の相性』という言葉で表現し、
 肉体的にも精神的にも二人の結びつきをより強固に昇華したいらしい。
 上条も、いかにもポルノじみた願望を笑顔で受け入れた美琴に改めて深い愛情を抱く。
 汗ばんだ身体を寄り添わせ、強くお互いを抱きしめあった。

「ありがとうな、美琴。気持ちよかったし、お前の一途な優しさが嬉しかった」

「私も……ありのままの当麻を受け止められて、嬉しい」

---



335: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 20:15:31.23 ID:VuFrNS6Jo


 [21:57]

 美琴は湯で口を濯ぎながら、上条に見えない角度で手にスキンを握り込む。
 その間に湯船に入っていた彼に促されるまま美琴も浴槽に入り、
 湯冷めしかけていた身体を再び温めあう。

「はぁ……セックスって気持ちいいけど、思ったより疲れるもんなんだな。
 一回しかしてないのに実質四回くらい射精したような……」

「ねえ、当麻って一日何回くらい射精できるの?」

「そんなの数えたことねえなぁ……つーか一日に二回以上出したこと自体ないと思う」

「もう今日は無理そう?」

「わかんねえ、未知の領域ってヤツだ」

 ねだる美琴の甘えた上目遣いは、これはこれで可愛らしいと上条は思うのだが
 深層心理的には、性欲をガッツリ満たされてむしろ疲労感の方が強い。
 一方の美琴はようやく燃え上がってきた女特有の欲情に心を支配されつつあった。

「一応、枕元からこーゆーの持ってきたんだけど……ダメ、かな……?」

 心が促すまま、上条の眼前におずおずとスキンを差し出す。
 少女としての貞淑は顔を赤く染めているが、女としての愛欲は男心を揺さぶってくる。
 上条は申し訳なさそうな表情の裏に、雌豹の鋭い牙を垣間見た。



337: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 20:22:44.65 ID:VuFrNS6Jo

「いや、あの、美琴サン……?」

「アンタと一緒で、私にもヨッキューってやつがあるのよ。
 聞き届けてくれたら嬉しいなーとか思うわけ」

「えーと、もしもそれを断ったら?」

「このまま湯船の中でちょっと能力漏らしちゃうかも、てへっ」

「てへっ、じゃねえええ! そんな事されたら上条さん生命の危機です!」

「ウソウソ、しないわよ」

「お前なぁ……」

「じゃあ、聞いてくれるだけでもいいの。無理はしなくてもいいから」

「それじゃさっきと立場が逆になっちまうだろーが」

 長い時間を掛けたセックスと願望通りのフェラチオを体感した直後とあって、
 上条自身はこれ以上ない満足感を得られている。
 美琴の欲はまだくすぶっていて収まらないようだが、
 彼女の欲求など自分に比べれば微笑ましいものだろうと高を括っていた。
 自分も恥を明かして精を受け止めてもらった以上、美琴の本音も聴いておきたい。

「まぁいいさ、お前の話も聞かせてくれ」

「あ、あのね……」

 向かい合って浴槽に漬かっているため、美琴はつい怖気づいて視線を落とす。
 上条は何も言わず穏やかな微笑だけを向けて、そっと次の言葉を促した。



338: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 20:30:38.36 ID:VuFrNS6Jo

「……この間、初めてエッチした時の事なんだけどさ」

「あ、あー……あれはその、強引で申し訳なかった。色々と余裕がなくて」

「アンタは申し訳ないとか思ってたの?」

「そりゃそうだろ……猛省してるから、あまり記憶を抉らないでくれるとありがたいんだが」

「猛省って……」

「だから今日はそういう失敗をしたくなくて、ついああいう本に頼っちまったけどな」

「そうなんだ……私そこは気にしてなかったのに」

「えっ、あの事じゃなかったらなんなんだ?」

「えーと、その……」

 歯切れが悪いのが気になるが、上条が最も気に掛けていた部分に
 赦しを得られたことには安堵を覚える。
 だが美琴の次の言を聞き及び、その安堵ごと上条は卒倒した。

「あのね……、この間みたいな乱暴で激しいセックスを……またして欲しいの」

「は、はああぁ!?」



340: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 20:38:43.44 ID:VuFrNS6Jo

「そっ、そんなに驚くような事言ってる私!?」

「いや、まぁ、正直驚く」

「だって……」

 恋人同士でも合意のないセックスや乱暴な性行為はDVに当たると冊子には書かれていた。
 いや冊子以前に、乱暴な行為を恋人に向けてはならない事など人としての常識だと思っている。
 故に上条にとって初体験の記憶は恥じ入るべき過去なのだ。
 それを払拭するための努力を尽くした後に、美琴にこのような事を言われては
 何が正しいのか基準点が分からなくなってしまう。

「実はレイプ願望があるとか言わないだろうな?」

「そんなわけないでしょっ! もうっ、肝心なところで鈍感が直ってないんだから!」

「だったらなんでなんだよ」

「だって……あの時のアンタは、確かにちょっとおっかなかったけど、
 何度も私の名前を呼びながら、一心不乱に求めてくれて……それが嬉しかったの。
 私の事だけ考えて、私に熱中してるんだってのがすごく伝わってきたから……」

「美琴……」

「乱暴でもいいの。アンタが私に夢中になってくれるなら……それが私の願望なの」

「はぁー、今更なに言ってんだ、俺はもうとっくにお前に夢中だよ。まだ伝わってねえのかなぁ」

「ホ……ホントに?」



344: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 20:47:36.10 ID:VuFrNS6Jo

「ああ。そりゃまぁ、こんなの生きてて初めての事だから色々不慣れかもだけど、
 上条さんとしては、目一杯美琴さんに惚れこんでるつもりなんですけどね~」

「だったらいいの。それだけが確かめたくて、わたし……」

「だからそんな不安な顔しないでくれよ」

 美琴の憂う表情に顔を寄せて、思いを込めた口付けを交わす。
 かすかに生臭い匂いが伝わってきたが、厭わず舌を絡めて求める。
 半日キスを交わし続けた二人は、口を開いて舌を絡めあう角度やタイミングも掴み、
 もはや呼吸のように自然なキスを身に着けつつあった。

「ありがとう。と、ところでさ……その……」

「したいのは山々だけど、こればっかりはカミジョーさんジュニア次第だなぁ。
 ほら、今はちっちゃくなっちまってるだろ?」

「だったら今度は私がさっきのお返し、してあげる」

「お、おい……」

 美琴は上条の残った性欲を搾り出すため、先程彼がそうしたように、彼の首筋に吸い付いた。
 首筋や耳、乳首にまで舌を這わせ、うなじや背筋に手を寄せてさする。
 彼の愛撫を堪能した経験を生かし、自身がそうされると喜んだように
 上条の上半身のあらゆる部分を舐め尽し、彼の汗の味を舐め取っていく。
 奉仕される事、快楽を与えられる事に不慣れな上条は
 美琴になすがまま弄られながら、目を閉じて快楽に身を委ねた。



347: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 20:56:48.14 ID:VuFrNS6Jo

「ぺろっ…ちゅぷっ…れろ、ちゅっ…ちゅぱっ、ちぅ…ちゅぷっ…れろっ」

「うはぁ……っ、これ、いいな……!」

「ちゅっ、れろっれろっ…ちゅっちゅっ…ちゅぱ…ちゅ、ちぅ…ぺろ…ちゅ」

「みことぉ……」

「もっと尽くしたいの……アンタに喜んでもらえるように……」

「付き合い始める前から薄々わかってたけど……美琴って一途だよな……」

「そうじゃないと離れていきそうだから……不安なの。
 ロシアの時みたいに、目の前で当麻を失うのはもう二度とイヤ……」

「もう離れたりしねえよ。俺こそ愛想尽かされやしないかって不安がいつもあるし」

「ふふっ、お互い不安なのね」

「かもな。だからこうやって抱きしめあうんだろ」

 お互いに尽くす喜び、尽くされる幸せに深く感じ入る。
 セックスがただの生殖行為ではなく、お互いの本質をさらけ出しあって
 愛情を深める行為であることに、二人はようやく気付きつつあった。

「……大きくなってきた」

「ふふ、良かった。じゃあちょっと起き上がってくれる?」



348: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 21:00:47.24 ID:VuFrNS6Jo

 美琴に促されて上条は浴槽から上がり、浴槽の縁に座り込んだ。
 半立ちになったペニスに躊躇なくむしゃぶりつき、縦横無尽に舌と唇を這わせる。
 恥じらう少女の面影が消えていく一方で、深い性愛が心の中に息づき始めていた。

「美琴、お前エロくなりすぎだろ……」

「こんな事できるの、当麻だけなんだから。
 身も心も当麻の女になりたいから……当麻の身体に馴染みたいから……」

「ああ、もうすっかりお前の虜だよ」

「嬉しい……もっと頑張るね」

 どうにも『当麻の女』という位置付けに深い拘りを持っているようだ。
 上条としては美琴の人格を尊重し、対等な関係である事を望む。
 普段の美琴との接し方からしてそれは正しい方針のはずだが、
 彼女の本心は『お前は俺の女』といった昭和的なフレーズを望んでいるのだろう。
 どちらかといえば彼の苦手な物言いなのだが、感極まった時に一言口走ったとしたら
 彼女はどんな反応を返すのだろうか。
 悪い結果は生まないだろうという自負もあるが、そんな言葉を受け入れられてしまったら
 二人の関係性がおかしくなるのではないかという不安も掻き立てられる。
 踏み込むべきか悩ましい気持ちとは裏腹に、上条のペニスはリビドーに突き動かされ
 再びそそり立っていた。



350: >>349 明後日になる気がします ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 21:06:22.70 ID:VuFrNS6Jo

「あはっ、勃ってきた勃ってきた」

「なんでそんなに嬉しそうなんだか」

「なんでだろ……コツを掴んだ気がして?」

「疑問系かよ」

「あははははっ」

 ケラケラと笑うその幼い笑顔だけ見れば、年下の少女である事に疑いは持ちえない。
 だが肉欲の魅力溢れる女としての一面も育ちつつある。
 そのギャップに魅せられて欲情している自分がいる事を否定できない上条は
 結局のところ、御坂美琴に正しく惚れ込んでいるのだ。

「ゴム、つけてあげよっか」

「できるのか?」

「簡単よ。さっきもやり方見てたし、冊子にも書いてあったし」

「あの本どこまで便利なんだか……」

 ブリスターパックの包装を剥がし、スキンの表裏を確認すると
 精液溜まりを指で押さえつけながら、器用にくるくるとペニスに装着していく。
 上条は自分以上の手際の良さを見て、男としての自尊心が少し損なわれた。
 御坂美琴の世話焼きスキルは並大抵ではないらしい。

「なにやらせても器用だよな、美琴は」

「んふふ、でしょー」



351: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 21:11:28.72 ID:VuFrNS6Jo

「じゃあ……こっちにお尻向けてくれ」

「うん」

 美琴は従順に頷くと、浴槽の縁に手を着いて背を向け、
 小ぶりで形の良い臀部を上条にすり付けるように腰を後ろに突き出す。
 やけに素直な美琴の態度を見ていると、ことここに至って上条も
 美琴の強い惚れこみぶりを実感していた。

(俺……こんなにも可愛い彼女できちまったんだなぁ)

「とうま……?」

「あ、いや、可愛らしくて見とれてた」

「か、可愛い!? 本当!?」

「ああ。小さなお尻も、その素直なところも可愛い」

「あ、アンタにそんな風にストレートに褒められると、なんか戸惑う」

「お互い素直になるのは難しいもんだな」

「そうね。じゃあ素直ついでに私も言っちゃうけど……、
 私のこといっぱい突いていいよ。当麻のペースで動いていいから」

「いいのか?」

「うん…いいよ…その代わり、動きながら私の名前呼んでくれると嬉しい」

「ああ、何度でも呼んでやるよ」



352: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 21:16:03.40 ID:VuFrNS6Jo

 美琴の下腹部に手を差し込むと、既に粘度のある液体で濡れそぼっていた。
 言葉に出して確認を取ろうとしたが、真っ赤な顔で振り返る美琴の惚けた表情を見て
 既に心身ともに受け入れる準備ができている事を悟る。
 狭い膣穴に、いきり立ったペニスがズニュウと勢い良く突き刺さると
 浴室中に響く甲高い声で美琴が鳴いた。

「ひぃ、あ―――ッッ!!」

「だ、大丈夫か!?」

「う、うん、痛くはないから……動いていいよ」

「ああ、あんな可愛い声聞かされちまったら、俺もう止まらねえからな」

「名前……」

「美琴、いくぞ……」

「うん、来て……」

 美しい流線型を描くヒップを両側から手で掴むと、
 上条は己を尻肉に叩き付けるようにして腰を振り始めた。
 膨れ上がった凶悪なペニスで美琴の胎内を強く突き上げると、
 堰切ったように口から嬌声が溢れ出す。



354: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 21:21:31.46 ID:VuFrNS6Jo

『彼と、自分自身の性感を盛り上げるためには、Hの最中に沢山声を出しましょう。
 感じていないのに感じているかのように「演技」をする事はNGですが、
 感じている自分を「演出」する事はとても大切です』

(えっ、演技とか、演出とか……冊子の内容なんてもうどうでも良くなってくる!
 だって当麻が入ってくると本当に気持ちよくて、声なんて抑えきれない!)

「んっ! んぅっ、ひぃっ、いいん、んぁあっ、あぅっ、くふっ、んぅっ…!」

「美琴……美琴……みこと……!」

「あんっ、んあっ、あんっ、んっ、んあっ、あんっ、あっ、あっ、あぁっ!」

「気持ちいい……美琴の中、すげえ気持ちいいぞ……!」

「わっ、わたしもぉ、んっ、とうまのっ、気持ちいいっ! んああっ!」

「なぁ美琴、今なにがお前のどこに入ってるか、大声で言ってみてくれ!」

「んあっ、ああっ、言う、言うからぁっ!
 とうまのぉ、チンっ、おちんちんがぁ、私のぉ、んぁあっ、ふぁあっ!
 とっ、とうまのおちんちんっ、わっ、私のおまんこにぃ、いっぱい入って、くるのぉ!」

「くっ、声聞いてるだけで出ちまいそうだっ! 可愛いぞ、美琴ぉ!」

「んあっ、あっあっ、嬉しいっ! とうまの、おちんちんっ、気持ちいい、のぉっ!」



355: >>84の指摘を受けてこの辺悩みました ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 21:26:21.75 ID:VuFrNS6Jo

 注挿するたびにパチュッパチュッと淫猥な水音が、美琴の下腹部から漏れ出ている。
 並ならぬ快楽を得ている性器と同じくらい、聴覚からの刺激が狂わしいのか
 もはや性癖を包み隠す事を忘れている上条は、美琴に卑猥な言葉を連呼させて
 リズミカルに腰を振りながら悦に入っていた。

「あんっ、あんっ、あんッ、んっ、あはっ、あぅんッ、あんっ、あん、あぁん!」

「はっ、はぁっ、美琴……お前……お前のおまんこも気持ちいい……っ!」

「とうま、気持ちいい?」

「ああ……良すぎてもう出ちまいそうだ。でももっと続けてえよ」

「んあっ、もっと、もっと欲しいのっ! んあっ、あっあッ、んうっ、あんッ!」

「もっと欲しいのか、美琴? じゃぁ、やらしくおねだりして、みろよっ!」

「うんっ、おっ、おねだりぃ、おねだりするからぁぁ!
 とうまのっ、おちんちんっ、私の中に、いっぱい、いっぱい欲しいのぉ!
 ガンガン突き、上げてぇぇ、私のこと、壊れるくらいぃ、愛して欲しい、のぉ!
 いっぱい名前を呼びながらぁ、中にびゅるっびゅるーって、せーえき、出して欲しいのぉ!
 とうまぁ、とうまぁ、んああっ、とうま、ぁぁあぁあぁ!!」

 美琴もまた、最愛の男の淫らな手口に服従しながら、激しい腰使いに狂わされていた。
 犯されるかのように激しく愛されたいという、彼女自身の欲望もさらけ出し、
 突き上げられるたびに上条の名を呼びながら甘い声を張り上げる。
 浴室を支配する甘美な雰囲気に、二人はもはや脳髄まで侵されていた。



359: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 21:31:24.43 ID:VuFrNS6Jo

「美琴ぉ、みことぉ、もうすぐ出ちまいそうだ、みことぉ!」

「わっ、私も、イッ、イクッ、イキそうなのぉ、んあっ、あァっ、あぁーっ!」

「出るぞっ、出すぞっ、美琴の中でっ、いっぱいっ、いっっぱいっ! 出すぞッ!!」

「んひっ、あはッ、んくぅッ、んあァ、あっ、んッ、イくっ、イくぅぅッッ!!」

「行くぞッ、一緒にッ、美琴ッ、みことッ、みこ、み……うあぁぁぁ―――ッッ!!」

「とうまっ、とうまっ、すっ、好き、だいす……イクぅぅ――――――ッ―――!!」

 欲望の全てを子宮に送り込むかのように、ペニスから怒涛の如く精が噴き出した。
 尿道が激しく蠕動し、愛と欲の詰まった液体が並々と美琴の中に注がれていく。
 極薄の膜が侵入を阻んだものの、美琴は下腹部の奥深くで上条の愛を感じながら
 快楽に犯された全身を激しく震わせ、絶大なエクスタシーに酔いしれた。
 上条は全てを放出し終えると、美琴にもたれ掛かりながらその身体を強く抱きしめ、
 脱力していく意識の中で小さく呟く。

「美琴……いつまでも、ここにいてくれよ……」

「うん……私はずっと、当麻の傍にいるよ……」

 二人の想いは強く絡み合い、血より濃い絆となって心の奥深くに刻み込まれた。

 ---



362: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 21:35:23.09 ID:VuFrNS6Jo


 [22:22]

 五度の放出を経て、抜け殻のように成り果てた上条は
 ぬるくなった浴槽に半死人のような体で横たわっていた。
 反して美琴は限りなく上機嫌な表情で、フンフフンと陽気に鼻歌を歌いながら
 持ち込んだケロヨン容器のシャンプーを使って洗髪をしている。

(10分前まであんな可愛い声でイッてたくせに、切り替え早ええなあ)

 彼女と一体感を得た後でも、些細な疑問は浮かんでくる。
 右手には使い終わって口を縛ったスキンを所在なさげに掴み持っていた。
 風呂場から上がったら、ティッシュにでも包んで捨てるつもりでいるのだが、
 激しい情愛を交わした後にこういった地味な処置が残る辺りが
 ポルノが描写しないリアリティなのだと思い知る。
 
「洗い終わったわよー。次アンタの番ね」

「あ、ああ。俺が頭洗ったらもう出ようぜ」

「そうね……なんか疲れちゃったかも」

 上機嫌な美琴の口からもそんな一言が出てくる。
 その美琴と交代で湯船を出ると、自分もいつものように洗髪を始めた。



364: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 21:40:19.85 ID:VuFrNS6Jo

「ふうん……水で濡らすとそのツンツン頭そんな風になっちゃうんだ」

「流石の上条さんも、24時間ヤマアラシしてるわけじゃありませんの事よ」

「よく言うわよ、かなりのクセっ毛じゃない」

「そりゃまぁお前みたいにサラサラのツヤツヤはしてねーけどよ」

「んふふ、そんな風に思ってくれてたんだ」

「美琴の髪は綺麗だし、いい匂いするなっていつも思ってたんだ。
 でもまさかそれを維持してるのが、こんなカエルシャンプーとは思わなかったが……」

「い、いいでしょ別に! それ結構指通りも良くて気に入ってるんだから!」

「まぁそういうトコも含めて、美琴の素敵な魅力ってことだな」

「きょ、今日のアンタ、褒めちぎりすぎよっ」

 ぬるい湯の中にいながら、美琴は顔を赤らめてそっぽを向く。
 愛欲に無縁な状態でも可愛らしい一面を晒してくれる。それが嬉しいのか、
 上条も美琴をまねてフンフフンと鼻歌を歌いながら髪を洗いだした。

(当麻だって嬉しそうじゃない)

 美琴は慈しむような笑顔を浮かべながら、洗髪に没頭する上条の姿を見つめていた。

 ---



366: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 21:45:56.89 ID:VuFrNS6Jo


 [22:37]

 二人で身体を拭きあい、髪を乾かしあったあとに脱衣場を出て、水をコップ一杯ずつ飲み干す。
 上条はリビングに戻るとティッシュを手に取り、使用済みスキンを包んでくず籠に投げる。
 普段の就寝時間より幾分早いが、今日は程よい疲労感に包まれながら眠りにつけそうだった。

「このまま寝ちゃおっか?」

「そうしようぜ。正直疲れた」

「実は私も……」

 美琴がまず先にベッドに入り、左手側の壁に身を寄せる。
 次に上条がエアコンと天井灯を消してベッドに入ると、美琴は彼の左肩に頭を預けた。
 本当は就寝時に腕枕されるのが好きなのだが、翌朝に上条の腕が痺れてしまうため
 肩に体重を預ける事で負担を軽くしている。
 同じベッドに入るのも四度目ともなると、こうした気遣いも自然と行える。
 真っ暗になった室内で、二人はお互いの顔を寄せてピロートークに興じた。

「……今日はありがとう。忘れられない一日になったわ」

「俺こそ感謝しきれねえよ。なんかすげえ満たされた」

「私だって、あんなに愛してもらえて幸せ」

「幸せ、かぁ。美琴以外にはあまり言われたことないなぁ、そんな言葉」



368: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 21:50:13.34 ID:VuFrNS6Jo

「言ったっていいじゃない。アンタの右手の事はまだまだ謎めいてるけど、
 私はあんまり、幸運を打ち消すとか赤い糸を断ち切るだなんて話、信じてないもん。
 だってアンタの言う『不幸』って、半分はアンタ自身が要領悪いのが原因でしょ?」

「う、否定できねえ……」

「それに……もしも本当に神様の幸運を打ち消してるんだとしても、
 神様の与えてくれる幸運だけに縋って生きるのが人生じゃないと思うの」

「そうだよな。お前と一緒にいるとそう思えるよ」

「今日はあの『不幸だー!』って台詞、一度も言ってないわよね」

「言ったぞ? 帰って来る前に二度ばかり」

「私が来てからは?」

「……一度言いかけたけど、言ってないな」

「ふふっ、良かった」

 それこそが上条が幸せを実感している証左だと美琴は思う。
 上条も美琴の頭を右手で撫でながら、彼女の抱きよってくる温もりの
 心地よさに眠気を誘われていた。



369: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 21:56:13.91 ID:VuFrNS6Jo

「でも―――俺は前に、ステイルってヤツに言われたことがあるんだ。
 俺の力は幻想を殺すしかできない、幻想を守る力なんかじゃない、ってな。
 俺の能力は不幸な人を不幸にしなくて済む存在なのかもしれねえけど、
 幸せになりたい人にとっては邪魔な存在でしかないかもしれねえって思ってた。
 お前に告白する時に一番怖かったのは、フラれる事じゃなくて、
 受け入れてくれたらお前の幸せを壊すかも知れないってことだった」

「当麻……」

「なぁ美琴、俺はお前の幸せをちゃんと守ることができてるか?
 お前の幸せな幻想を壊したり……してねえか?」

「うん、私は幸せよ。だってこの想いは幻想なんかじゃない、確かな現実だもの」

「ならいいんだ……お前が傷付かないでくれているなら、それでいい」

「それに、私は知ってるわ。
 当麻にとっての不幸は、本当は不幸なんかじゃないって事を。
 みんなを守るためにその右手の能力(ふこう)を受け入れている、誰よりも優しい人……」

「美琴……」

 カーテンの隙間から覗く月明かりが、二人の横顔をほんのりと照らす。
 まどろむ意識の中で、美琴は抱きしめる腕の力をぎゅうと強めると、
 告白のように恥じらいながら上条の左耳に口を寄せ、
 心の一番奥底に秘めていた想いを打ち明けた。



370: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/25(火) 22:01:10.97 ID:VuFrNS6Jo

「当麻は……絶対に不幸を招く存在なんかじゃないって私は信じてる。
 幻想を殺すためだけの存在なんかじゃない。科学とマジュツを跨ぐ災厄でもない。
 ただみんなの笑顔を守るために、いつでも『上条当麻』というヒーローであろうと
 必死に戦ってる優しい人だってことを、私は知ってるから……。
 たとえ記憶がなくなったとしても、どんな連中がその力を狙ったとしても、
 幻想殺しの力が喪われたとしても、私はずっと当麻だけを見てるから。
 だから、二人が信じる夢のために、一緒に立ち向かっていきたいの。


 ―――あなたを愛しています、当麻―――」


「美琴……ありがとう。俺はきっと今、とても幸せなんだと思う。
 誰もが笑っていられる世界の中心には、とびきりの笑顔をしたお前が居てほしい。
 それが……俺の夢の到達点なんだ」

 今日、この日、この時、この瞬間。上条当麻は知る。
 全ての不幸や災厄を相殺してなお有り余るほどの幸福を与えてくれる、
 御坂美琴という名の伴侶と出会えた事を。
 
 今になって上条は、海原光貴(うなばら みつき)になりすましていた
 魔術師の願いの意味を理解した。
 美琴を形作る周りの世界を、そして彼女自身を守り抜く事を改めて誓う。

 月明かりに照らされ、少女の与えてくれた愛に満たされながら
 上条の意識はゆっくりと眠りに落ちていった。

---



413: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 20:11:24.00 ID:Qg9WlRhFo


 [06:24]

 学園都市に静かな朝が訪れる。
 6時を過ぎても夜の帳はまだ明けきらず、放射冷却現象によって冷え込んだ外気のためか
 室内の吐息も白く染まるほどに寒い朝だった。

 上条は、開ききらない瞼の先に見える栗色の髪からふんわりと漂う甘い匂いと、
 湯たんぽのような温もりを生む存在を胸元に感じながら目を覚ました。
 寝入る美琴は子供のように高い体温を保ちつつ、上条に寄り添って未だ眠っている。
 起こさないようにそっと抱き寄せ、彼女の耳元で小さく呟いた。

「……これが幸せな目覚めってやつなのかなぁ」

「えへへ」

「!? 起きてたのかよ」

「うん、ちょっと前から」

「起こしちまったかと思って焦りましたよ」

「ほんの5分くらいよ。アンタの腕の中でじっとしてるのって幸せだもん」

「そっか。……おはよう、美琴」

「おはよ、当麻」

 お互いを強く抱き寄せながら朝の挨拶を交わし、どちらともなく口付けた。
 眠気から覚めきらない淡い意識を保ったまま、暖かい唇を重ね合わせ
 融合するような一体感に身を委ねる。
 永遠の一瞬。そんな幻想的な情緒が溢れる、至福のひと時だった。



415: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 20:17:00.17 ID:Qg9WlRhFo

「……今何時だ?」

「6時半くらい。あ、携帯取ってくれる?」

「よいしょっと」

 上条は上半身をくねらせ、食卓に置いていた美琴の携帯電話を手に取るついでに
 自分の携帯電話とエアコンのリモコンも一緒に手に収める。
 彼の携帯には着信がなく、幸いにも平穏な一夜となったらしい。
 エアコンの暖房を入れ、冷える今朝は暖かめの室温に設定した。

「あちゃー、夕べのメールが溜まってるわ」

「結構来てるのか?」

「送り主は三人だけだけどね。佐天さんと初春さん、あとは全部黒子」

「お前がいつも仲良くしてる三人組だっけか」

「うん。……ねえ、私達の関係の事、この三人には話してもいいかな?」

「俺は構わねえけど、白井は大丈夫なのかなあ」

「問題ないわ、ちゃんと真剣に話せば分かってくれる子だから」

 上条はどうにも白井の恐ろしい反応を予期してならない。
 容赦なく蹴り飛ばされた事が幾度もあるので、美琴はクスクスと笑いながら
 さもありなんといった様子で彼を宥めつつ、受信メールを次々と開いていく。



417: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 20:21:13.48 ID:Qg9WlRhFo

-----------------------------------------
【From】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 お恨みいたしますの
-----------------------------------------
 首が……痛いですの……
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-----------------------------------------
【From】ruiko-saten@sakugawa-jh.ed.jp
【Sub】 バレちゃいました><
-----------------------------------------
 ごめんなさい御坂さん、お泊りの事
 白井さんにアリバイがバレちゃいましたっ!
 それはそれとして……明日はぜひとも
 詳~しく聞かせてくださいね!
 今夜は彼氏さんとごゆっくり~(^^)/
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【From】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 本当にお泊まりのつもりですの!?
-----------------------------------------
 おねぇぇさまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
 ぁぁぁぁ!!!!!!!!
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418: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 20:26:37.48 ID:Qg9WlRhFo

-----------------------------------------
【From】kazari-uiharu@sakugawa-jh.ed.jp
【Sub】 明日の件です
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 こんばんは、夜分遅くすみません。
 明日の合流時間の件、三人で話し合って
 午後一時に会おうって決まったんですが、
 その時間まで来られそうですか?
 ところで、白井さんが妙にピリピリして
 佐天さんがニヤニヤとしてたんですけど
 二人と一体なにがあったんでしょうか?
 あっ、お返事は明日でもいいですよ~!
-----------------------------------------

-----------------------------------------
【From】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 ウケケケケケケ
-----------------------------------------
 類人猿め、もしお姉様の操に手を出したら
 コロスコロスコロスコロシタル……
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(黒子が相当ヤバいわね……)

 変わり者である事は重々承知しているが、精神的に半壊していく様子が
 まざまざと伝わってくる一連の流れは中々怖い。
 ここは上条に一言断りを入れて、ひとまず返信を返しておく事にした。
 上条は美琴がメールに熱中している間に背後から彼女を抱きすくめて
 首筋の甘い匂いに陶酔し始めた。彼も大概甘え好きらしい。



419: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 20:31:15.80 ID:Qg9WlRhFo

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【To】ruiko-saten@sakugawa-jh.ed.jp
【Sub】 おはよう
-----------------------------------------
 昨日は連絡できなくてごめんなさい。
 それと黒子の件、無理言ったのは私だし
 佐天さんが謝らなくてもいいの!
 今日はなんでも奢るから許してね。
 どこまで話せるかはわからないけど、
 聞かれた事には正直に答えるわ。
 ……でもお手柔らかにお願いね^^;
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【To】kazari-uiharu@sakugawa-jh.ed.jp
【Sub】 おはよう
-----------------------------------------
 連絡ありがとう。
 一時にセブンスミスト前でいいのかな?
 その時間に間に合うように向かいます。
 黒子の発作はいつものことだから…(^_^;
 佐天さんには色々と聞かれそうだけど、
 とにかく明日はよろしくね!
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-----------------------------------------
【To】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 おはよう黒子
-----------------------------------------
 昨日は色々無茶を言ってごめんなさい。
 今日はあなたに大切な話があります。
 佐天さんと初春さんとセブンスミストで
 合流してから、四人で話しましょう。
 午前は確か風紀委員当番よね、頑張って。
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420: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 20:37:36.95 ID:Qg9WlRhFo

 返信を打ち終えて枕元に携帯を転がすと、再び上条の身体に抱き付いて体温を重ね合う。
 起床予定は8時と決め、今はただ惰眠をむさぼりながら最高の居場所に酔いしれる。

「ふにゃあ~……幸せぇ~♪」

(気の抜けた声出しやがってまぁ)

 普段は聞けない、しかし昨日今日は幾度となく聞いた美琴の甘ったるい裏声は
 男の朝の生理現象をいっそう力強くさせる魔性の響きを持っていた。
 しかし居心地の良さに緩みきっている美琴に対しては、右手を添えていないと
 布団の中がたちまち発電所に変貌する可能性をも孕んでいる。
 美琴本人に悪意は欠片ほどもないのだが、故に難儀な体質だ。

「ねぇ」

「なんだ?」

「お腹にナニか硬いのが当たってるんだけど」

「こ、これは男の朝の生理現象なんです!」

「ふうん……」

「ですから別に朝からサカってる訳ではなくてですね……」



424: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 20:42:25.80 ID:Qg9WlRhFo

「……ただの生理現象だから、仕方のないことだって言いたいの?」

「そ、そうなんですハイ」

「…………。ふんっ」

「……えーと」

 不機嫌な沈黙が二人の間に漂い始める。
 どうやら期待と違う返事をしてしまったらしいと上条は直感した。

「……」

「あ、朝から言うのもなんだが……本当は、美琴が、欲しいんだ」

「ホントかしら」

「マジだって」

「ふふっ、もうしょうがないんだから、当麻は」

 嘘から咄嗟に出た言葉ではない。一応本心ではある。
 それはそれで即物的な一面を露呈してしまう事になるのだが。
 ところがこんな返事にも美琴は上機嫌な笑みを返してくるのだから
 事態というものはどう転ぶかわかったものではない。



425: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 20:49:00.70 ID:Qg9WlRhFo

「確か、あと一枚余ってたのよね」

「あ、そうだったっけな」

 スキンの残数だ。美琴は昨日枕の下から一枚奪った時に知ったらしく、
 上条自身も一夜経って忘れかけていた事を把握していた。
 就寝時には尽き果てていた上条の精力も幾分か回復していたため、
 箱入りで買っておかなかったのは幸か不幸か判断の難しい部分だ。

「ねぇ……また咥えてあげよっか」

「ああ、して欲しい。俺もしてあげてえけどな」

「交代でするの?」

「同時にだよ」

「どうやって?」

 美琴はその名称も体位もまだ知らないが、お互いに性器を口で愛撫しあえる
 シックスナインという便利な体勢がある。
 上条は掛け布団の中に潜ると、美琴の花柄のパジャマに手を掛け
 そのまま膝上までスルリと脱がせる。
 薄暗い布団の中で、上条は寝汗で湿ったカエル柄のショーツに遭遇した。

「これまたカワイイの穿いてんだな」

「やっ、こ、これは寝る時用のだから!」



427: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 20:56:04.64 ID:Qg9WlRhFo

「別になに穿いててもお前はお前だよ……すぅぅ」

「優しい言葉吐きながらクンクンすんなぁぁ!」

 湿ったショーツの上から鼻腔を押し付け、下着ごと美琴の下腹部を愛撫すると
 かすかな寝汗の匂いと、少女らしからぬ雌の芳しい匂いが肺を満たす。
 緩やかな前戯でも少女の内側から欲情をたぎらせるには十分だった。

「っこのっ、私も反撃してやるんだから!」

 二人はベッドに寝そべりながら自然とシックスナインの体勢を取っていた。
 奉仕欲の強い美琴は対抗心を燃えあがらせて、上条のジャージに手を掛ける。
 突き出る下腹部に難儀しながら下着ごと脱がすと、張り詰めたペニスが姿を現した。

「朝から元気なんだからもう……ちゅ」

 挨拶代わりに先端部へ口づけすると、ゆっくりと口の中に飲み込んでいく。
 激しいディープスロートはまだできないが、暖かい口に含んでいる感触だけでも
 上条は言いしれぬ快楽を得られていた。

(うああ……美琴のやつ、口の中まで飲み込んでくれてるのかよ。あったけぇ)

(当麻の息が掛かってこそばゆい……なんか中からジワッと来るぅ……)



429: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 21:00:55.82 ID:Qg9WlRhFo

 膣内のように暖かく軟らかい美琴の咥内に包まれて、上条は深い溜め息を吐いた。
 腰を振りたい衝動を堪えつつ、ショーツの上から陰核らしき部分を吸い上げると
 睾丸部に熱い鼻息を感じる。美琴も同じように発情めいているのだ。

(とうまの精が……欲しいよぅ……)

 昨日の時点で要領を掴んでいるため、上下逆の体勢でもそれほど労苦は感じない。
 たっぷりと口に含んだ唾液でペニスを濡らすと、ツヤツヤと光り輝きはじめた
 亀頭の海綿体が小さな伸縮を繰り返し、尿道口から珠粒の粘液が溢れ出す。
 餓えを満たすかのように、美琴はその粘液を舌で舐め取る。
 舌に力を入れすぎないよう意識しながら、撫で回すように先端部を舐め転がすと
 上条の腰がヒクヒクと震えだした。
 その敏感な反応に満足気な笑みを浮かべながら、ペニスの根元を手で押さえて唇で扱き上げる。
 
「ちゅっ…ぢゅぽっ…ぢゅぽ…ちぅ…ぢゅる、れろっ…ぺちゅ、ちぅっ…ぢゅぽ…」

(くぅうっ、美琴さんってばフェラが上手になりすぎですよ……)

「んっ…ちゅ、ぢゅぽ…ちゅるっ…ぬぽっ…ぷぁ…だいすきぃ…ぢゅぽっ、ちゅぅ…」

(このままだとすぐイカされちまう……俺もしてやりたいってのに)



430: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 21:06:41.74 ID:Qg9WlRhFo

 しかし雰囲気を中断したくない上条は、ショーツを脱がす機をとうに逸していた。
 仕方なしに秘部を覆っている布部分だけを強引に横にずらすと、
 既に濡れ滴っている秘裂にしゃぶりつき、舌の腹で小さな陰核をねぶり上げる。
 口周りをベトベトに濡らしながら、上条は美琴の感じそうな部分を手当たり次第に
 唇と舌でこねくり回し、彼女のウィークポイントを探求した。

「ふうっ……んく…あっ……んあっ、それ…集中できなくなるぅ…うあぁっ!」

 フェラを疎かにするほど大きな声をあげたのは、膣に舌を突き入れた時だった。
 陰核でも感じる反応はするのだが、美琴は入り口で特に感じるタイプらしい。
 両手で臀部の肉を掴み上げ、歯が当たらないように気を遣いながら
 上条は舌を使って膣穴の周辺に何度も弧を描いた。

「んふ……ふぁ、ふぁぁっ…んく…やぁぁ…とーまぁ…ひぃ、んーっ…ああぁ…」

(トロトロの液体が湧いてくる……)

 酸味の強い愛液が上条の喉を潤し、咥内を雌の匂いで満たしていく。
 さえずるように鳴く美琴の嬌声に気を良くしたものの、
 舌を伸ばして舐め続けるのは顎筋への負担が大きい。
 ぬくい布団の中で穏やかな前戯に没頭するのは大変魅力的なのだが、
 カーテンの隙間から朝日の光が差し込み始めた事を考えるとそう時間は取れない。
 まさに口惜しい事だが、上条は口での愛撫を自ら止めて、布団から顔を出した。



431: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 21:10:47.88 ID:Qg9WlRhFo

「……そろそろ、いいか?」

「うん……大丈夫」

 美琴は頭を置いていた枕の下に手を伸ばし、ややあって最後のスキンを見つけ出すと
 ベッドに膝立ちしている上条のいきり立ったペニスに手早く装着した。
 スキンを自ら身に着ける事によって、ネクタイを締めるかのように姿勢を正すはずが
 これでは衣服を着せられた幼児のような気分になってしまい、どうも落ち着かない。

「このくらい俺が自分でするっての」

「私がしてあげたいの」

「尽くしすぎだよお前は」

「え……ダメ、かな?」

「別に悪いって訳じゃないから、うるうるとした上目遣いはよせよ」

「だって……」

(ああもう可愛いなこいつ)

 かねてから抱いていた、負けん気が強いワガママ電撃姫のイメージは
 付き合いだしてから緩やかに崩壊していった。
 実際のところは純粋で乙女チックな一面を持った少女である。
 ツンデレという言葉があるが、人間関係に臆病な人物の行動パターンの一つに過ぎない。
 こう見えて誰よりもナイーブで、それなのに自己犠牲的に人を救おうとするから
 上条はとにかく気掛かりなのだ。
 昨日、言い忘れた一言がこういう時に役立つかもしれないと考える。



432: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 21:17:36.74 ID:Qg9WlRhFo

「それじゃ、入れるぞ」

「うん、来て……」

 美琴はベッドに寝そべると、そっと目を閉じて相手に身を委ねる。
 上条は美琴の寝間着を下着ごと脱がせると、そのまま両足首を持って股を開いた。
 美琴は瞼を閉じる力をギュッと強めたものの、抵抗のそぶりは示さない。
 挿入直前のこの瞬間に二人の動悸は最も激しくなる。

「最初はゆっくりと入れるからな」

「うん」

「それとな、美琴」

「なに? くっ…ふぁぁ…」

 赤く熟した下腹部にそっとペニスをあてがうと、少しずつ先端を挿入していく。
 熱くきゅうきゅうと締めてくる膣の入り口に、息を吐きながら立ち向かうと
 美琴は待ちわびていた上条との結合に身を震わせながら、圧迫感を受け入れていく。

「奥まで全部入れたら、身も心も全部俺の物になってくれよな」

「もうとっくに、なってるわよ……」

「それでも、身体の芯まで刻み付けたいんだよ。お前はもう、俺の女だってことをさ」

 いざ大言を吐いてしまってから、自分らしからぬ気障な台詞だと思い直した。
 相手次第では失笑物の失言になりかねず、盛り上がった愛欲も冷めかねない。



433: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 21:20:07.58 ID:Qg9WlRhFo

 ところがそれを聴いた美琴は目を見開き、顔を赤く染めて惚けた表情をしている。
 どうにも正確に心理のツボを突いてしまったようだ。

「うん、私を当麻の女にして」

 美琴とて、他人の所有物になる発言など彼以外には絶対に許せるはずがない。
 しかし、懸命に追いかけても無意識に受け流されていた頃を思い返せば、
 上条が自分に夢中になってくれている今はどれほど幸せな事か。
 台詞としてそれが彼の口から聞けると冥利に尽きるのだ。

「ふぁっ…先っちょが、ちょっとずつ…はぁっ、はぁっ…入ってきてるぅ……」

「美琴……辛くねえか?」

「だいじょうぶ……あぁっ……私の中が当麻で満たされていくこの瞬間が、好き……」

「俺もだ」

 美琴はヒクヒクと身体を震わせながら、静かに侵入してくるペニスの感触に高ぶっていた。
 上条はその反応が心地よく感じて、先端部だけを出し入れする感触を堪能している。
 待ちきれない美琴は裏返った声でねだりだした。



434: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 21:26:41.99 ID:Qg9WlRhFo

「やっ、やぁっ……焦らしちゃやぁ……」

「でもこれ、気持ちいいんだよ」

「早くぅ、私を当麻で一杯にしてよぉ……」

「こうか?」

「くふ……あはあっ!!」

 言われるや否や、上条は腰を前に突き出す。
 膣の奥に届いた感触に震え上がり、美琴はいっそう高い声で鳴いた。

「あー、あはぁぁ……ッ! とうまが、届いたぁ…っ…!」

「奥まで、入ったぞ。すげえ締め付けてくる」

「んっ……今ちょっとイッちゃったぁ」

「なんだ、俺を置いてもうイッちまったのか」

「ごっ、ごめん!」

「ウソウソ、全然責めてねえよ。好きなようにイッていいからな」

「当麻も一緒がいい……」

「最後は一緒にイこうぜ。ゴム付きだけど、中で出すからさ」

「うん」



435: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 21:31:13.50 ID:Qg9WlRhFo

 身も心も満たされ、緩いエクスタシーに突き上げられた美琴の瞳は恍惚としていた。
 一方の上条は、うねるようにして締め付けてくる熱い膣の感触によって
 今にも射精に導かれそうな自分を懸命に堪えている。
 しかし誘惑に捕らえられて前後に動く腰の動きは抑えようもなかった。
 両足の膝を肩の上に持ちあげ、折り曲げられた美琴の身体に深い注挿を繰り返す。

(とうまの……熱くて、堅くて、おっきくて、ビクビクしてて、ぬるぬるで…気持ちいい…ッ!)

(美琴の中……あったかくて、軟らかくて、キツキツ締まって、ぬるぬるで…気持ちいい…ッ!)

「あっ、あはっ、やぁん、あんっ、くふっ、あっあっあっ、ひぁっはぁ、んあっ…」

「美琴っ……好きだ……!」

「んあっ、あっ、はあっ、あっ、ああっ奥ぅ、くるぅ、はあはっ、ふっ、ふっ…」

「美琴っ……はぁっ……みことっ……!」

「ふぁっ! あはっ! あっぁっあ! とうまの、おちんちんっ、おくにあたるぅ! はぁっ…はあっ!」

「みことぉ……っ!」

「ふぁっはっ! とうまぁ! あーはっ、ふぁっ、はあっ、あーっ! はァ、ひぃッ!」



436: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 21:38:00.13 ID:Qg9WlRhFo

 女は快楽のために声を抑えきれず、男は我慢のために声を押さえがちになる。
 上条が美琴の名前を連呼するのは、彼女自身の要望という事もあるが
 そうしていないと無言で腰を振り続ける単調作業に陥りそうだったからだ。
 自慰ではなく性交なのだから、美琴あっての行為なのだからと己に言い聞かせるように
 上条は荒い息と美琴の名前だけを交互に吐き出し続けている。

「あっ、はあっ、あーはぁ、いっ、あっ、あはっ、ふぁっ、はあっ…は、ふぁっ!」

「……姿勢、変えてもいいか?」

「ん……いいよぉ」

 両足首を握っていた手を右に下ろして離し、性器を結合したまま美琴の左側に寝そべると
 右手を下腹部に伸ばして陰核を指の腹で触り、左腕を美琴の枕にする。
 美琴は快楽に喘ぎながらも、背中に回った上条の意図を読み取り、枕から首を上げる。
 二人は行為を重ねるごとに、お互いの感じる動作や求める行為を
 無意識に汲み取りあえるようになっていた。

「んうッ、んああッ、あはっ、くふ、くあっ、あッ、とうまぁ、ひッ、ふぁあっ!」

「美琴……すげえ、気持ちいい……ッ」

「とうまのが、おくに……いいよぉ! でもっ、入り口で焦らすのも、好きぃッ!」

「どっちも沢山するからな」

「してぇ、いっぱいしてぇッ!」



438: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 21:45:09.80 ID:Qg9WlRhFo

 上条は恥骨を美琴の臀部に押しつけながら、次の体勢を考えはじめていた。
 四十八には遠く及ばないが、知っている限りの性交体位を連想する。
 正常位は初回に、対面座位と立後背位は昨日実践している。側位は今実践中だ。
 あとは騎乗位と後背位、名前は知らないが座位のような体勢が幾つか、
 冊子には絵図でしか載っていなかったため名前が浮かばないのもある。
 むやみに体位変更を繰り返すと女性に負担が大きく、精神的にも冷めやすいため
 三つ四つ迄に絞るのが良いとも記載してあった。

(騎乗位は見てみてえ、でも主導権を任せると昨日みたいになりそうな気がする……
 後背位は今と大差ないし、美琴の顔が見えねえから最後にはしたくないな。
 キスもしてえし……やっぱり上になってもらおう)

 昨日は前戯に掛ける時間を数字で意識し、今日は体位を意識することで
 上条はセックス全体のバランスコントロールを図れるようになっていた。
 ただ我欲のまま腰を振るのではなく、美琴の様子をよく観察して
 彼女の望む行為を行い、望む言葉を紡ぎ、望む結末へと導く。
 それが愛あるセックスなのだと確信している。

「んっ、あんっ、くふっ、んっんっんっ…ひぁ、あっあっ、んくっ、ああんっ!」

「声も可愛いぞ美琴っ、もっと聞きてえ」

「んんっ…ほんとぉ?」

 演技ではなく演出。それを強く意識せずとも、美琴は無意識に喘ぎ声が出てしまう。
 無理に封殺できなくもないが、こうして上条が喜んでくれるなら止める理由がない。
 美琴自身、リズミカルに飛び出てくる自分の嬌声を楽しみつつもあった。



439: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 21:51:28.48 ID:Qg9WlRhFo

「ああ。俺の動くペース、しんどくないか?」

「優しいね、当麻は。大丈夫だよ」

「じゃあ今度は美琴のペースで動いてみてくれよ」

「わ、私のって……ひゃぃん!」

「くはぅっ!」

 上条が体勢を変えようとした際に、ペニスを膣から引き抜く瞬間のニュルリとした感触が
 予想外に気持ちよく、二人は揃って間の抜けた声を出した。
 上条は、セックスの快楽はペニスを「挿し込む」動作で感じるものとばかり思っていたが、
 「引き抜く」動作も意識すればよいのだと思い至る。
 少しずつ性の知恵が付いていく事が、学校の勉強よりかは数段魅力的だった。

「上に乗っかってくれるか?」

「そ、それって……乗馬スタイルってこと?」

「そうそう」

「私が動くの?」

「そういう体勢だぜ。俺が突き上げてもいいけど」

「じゃ、じゃあ私が動いてみる。あんまり気持ちよくなかったらゴメンね……」



443: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 21:59:46.57 ID:Qg9WlRhFo

 その愛らしい断り文句も男心をくすぐるのだが、ここはあえて黙った。
 美琴の中で不安に思っているからこそ出てくる発言には、身を以て答えを示したい。
 二人は姿勢を入れ替え、美琴は恥じらいながら上条に跨って馬乗りになった。
 へそまで反り上がったペニスを手で誘導するが、美琴の愛液で濡れ光るそれは
 秘裂に沿ってツルリと滑ってしまう。

「すごいヌルヌルになってる……」

「お前のなんだぜ、それ」

「私そんなに濡れてるの?」

「それだけ感じてくれてるんだろ」

「うん……私、当麻とするセックスが大好き」

 年頃の少女にとっては壮大なカミングアウトだ。
 ただ快楽を貪るための行為ではなく、二人がお互いに労わりあいながら
 お互いを知っていこうとする共同作業だから愛おしいと思い、口にできる。
 上条もそれに同意し、美琴が挿入しやすいように下で姿勢を調整する。
 しっかりと揉み解された膣穴に、今度はたやすく侵入した。

(うわ……繋がってるところが丸見えだ。この姿勢もかなりエロいな)

「ひぁ…ぅん!」

「く……全部入ったぞ。あったけぇ……」

「い、いきなり奥まで届いたぁ……ッ!」



444: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 22:06:11.45 ID:Qg9WlRhFo

「美琴の動きたいように動いてみてくれよ」

「そうしてみる……」

 恐る恐る腰を上げ、全身を使って上下運動するが、すぐに無理がある事に気付く。
 腰だけを動かす動作には縁がないためか、いまひとつコツがわからない。

「ど、どうしよう」

「うーん……一旦腰を落としてさ、股を俺に擦り付けるみたいに動いてみろよ。
 上下じゃなくてこう、前後に動くんだ」

「やぁ、そんなやらしそうなこと……」

 言葉とは裏腹に、美琴は実に楽しそうにはにかんだ。
 未知の行為を上条に手ほどきしてもらうのが嬉しい。
 指南する彼も特段詳しいわけではないのだが、二人で模索するのもまた一興だ。

「手、どこか押さえてないと不安定だぞ」

「ど、どこを押さえたらいいの?」

「後ろに手をつくか、前なら俺の肩とか手を持てばいいんじゃねえかな」

「じゃあ当麻の手がいい」



446: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 22:11:14.20 ID:Qg9WlRhFo

 美琴は恋人繋ぎで手を握り合うのが好きで、外出デート時には常に握り合っている。
 抱きしめあうのもキスも性交も好きだが、結びつきを感じられる行為としては
 これが最も手軽で長く続けやすい。無論上条にとっても同じだ。

「ぎゅっ、てしてて……」

「ああ」

 両掌をしっかり握り合うと、美琴は陰核を上条の腹に擦り付けるように
 腰を前後に動かし始めた。
 体重の掛け方が反対になり、自分のペースで動ける事に最初は戸惑ったが
 美琴はすぐにコツを掴み、腰を動かす間隔と緩急を自在に操りだす。
 上条は最初こそ動かずに済む体勢に楽を覚えたが、それがすぐ誤りである事に気付いた。

「ふふ、段々わかってきたわ。なんか覚えてくると楽しいかも」

(やべえ、自分のペースで動けないからすぐ出ちまいそうになる)

「ねえ当麻……その、気持ちよくなれてるかな?」

「ああ、すげえよ。身悶えしちまいそうなくらい」

「じゃあもっと頑張って動くね」

 言ったが後の祭り、その言葉に美琴はますます奮起して、妖艶なグラインドを始めた。
 上条は慌てて歯を食いしばり、美琴のキツい締め付けと絶妙な腰使いのために
 襲い来る射精感と戦い始める羽目になった。



447: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 22:17:37.98 ID:Qg9WlRhFo

「とうまぁ、これ気持ちイイ、いいよぉ!」

(やっぱりこいつに主導権渡すと半端ないな……!)

「んっ…あん、あっあッ、あはっ、あん、うんっ、んっんっんっ、ア、あはっ!」

「うああ……すげえクる、キてる!」

「んっ、ンッ、ッんっ、ふぅン、んっ、あはっ、あんっ、あっ、あ、とうまぁ!」

「みこと、みことぉ……」

「んぅ、あッ、あはッ、あんっ、あん、んっ、んぅううっ、っはっ、はぁっ!」

 激しい動作で熱を帯びた額から汗が滴り落ちていく。
 小さな胸がパジャマの中で、激しい動きに合わせてぷるんぷるんと小刻みに揺れる。
 体熱にたまりかねた二人はそれぞれ上着を脱ぎ捨て、汗ばんだ身体を触れ合わせた。

「ははっ、お前の身体めちゃくちゃ熱いな」

「当麻こそすっごい汗よ」

「終わったら一緒にシャワー浴びようぜ」

「うん、また身体洗ってあげる。……その前にキスしたい」

「ああ」



448: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 22:24:26.05 ID:Qg9WlRhFo

 二人は目を閉じて口付けあうと激しく舌を絡め合い、お互いの唾液を貪りあった。
 ペニスの先端部分で美琴の入り口を引っかくように、浅い位置で絶妙に動かす。
 美琴の習得の早さは舌を巻く程だったが、その舌すらも彼女に吸い上げられていた。
 限りなく貪欲な美琴の本性は、上条の愛を渇望し追い求める強さに裏打ちされている。
 その事に気付いた自分は、気付けた自分は幸せなのだと上条は思う。
 大小様々な不幸に嘆いていても、一番の幸せだけは逃さずに済んだのだ。

(やっぱり俺にはこいつしかいねえ。美琴に出会えてよかった)

(私、当麻を好きになってよかった。当麻と一緒でよかった)

「みこと、みことっ、美琴、みこと……ッ!」

「とうま、とうまっ、当麻、とうま……ァ!」

「イくぞ、イっちまうぞ、このまま美琴の奥に全部出すぞっ!」

「出して、出していいよ、私の中に全部出してっ! 私を奪ってェ!」

「ううっ……うあぁ―――ッ!」

「イく、イくっ、私、わたし、イッ、イく、イクッ、ぁあ、あ―――ッッ!!」



449: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 22:30:08.57 ID:Qg9WlRhFo

「う…うぅ…出てる……美琴の中にびゅるびゅる出てる……!」

「ふぁ―――っ! はぁ―――ッ、ぁあーっ、はぁ…ッ! はっ、はぁっ……!!」

「あ、ああっ、まだまだ出る……う、く…ッ…!」

「ぁ、あぁ…ッ! あっ、あは…っ…!」

 上条は美琴を抱きすくめながら、腰を震わせて精を吹き出し、
 美琴は上条にしがみ付きながら腰をくねらせ、絶頂に上り詰めた。
 男女が同時に達する事は性交の中でも最も難しく、運も絡み合う要素なのだが、
 お互いを深く求め合う二人には至る事ができたようだ。
 ただ技巧による成果だけではなく、根底の部分で二人は一心同体なのだと実感していた。

「はぁ……あー、たくさん出た……」

「はぁ…はぁ…はぁっ…!」

「美琴……辛そうだな、ゆっくり呼吸しろよ」

「はぁ…うん……大丈夫……んッ! んんっ! んーっ……!」

(ま、まだイキ続けてるのか?)



450: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 22:36:00.04 ID:Qg9WlRhFo

 男の瞬間的なオーガズムと違い、女のそれは数分から数十分続く事もある。
 美琴の場合は一気に上り詰めてからのち緩やかに下降していく。
 その合間に上条に優しい言葉を掛けられ、頭を撫でられるだけでも
 美琴は暖かいエクスタシーを感じ続けられた。

「んーっ……あぁ……ん…っ…はぁ……」

「美琴、ありがとな」

「うん……私、当麻の女に、なっちゃったぁ……幸せぇ……」

 幸福感で満たされた言葉が、美琴からさも当たり前のように出てくる。
 それが嬉しくて上条も精神的に満たされていく。
 幸せになろうと願うのなら、こうして彼女の傍にいるだけでいい。
 それが上条の辿り着いた結論だった。

「落ち着いたなら……抜くぞ」

「うん……んっ」

 射精を果たしたペニスを引き抜くと、精液の溜まったスキンが力なく腹にしなだれた。
 美琴は上条からそっと手を離すと、愛液の滑りに苦心しながらスキンを取り外す。
 上条は恋人の面倒見が良すぎて、自分が怠惰になりそうな気がしてきた。



452: >>451 4/5くらいですかね、終盤が見えてきました ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 22:41:18.14 ID:Qg9WlRhFo

「こんなに薄いのに頑丈なのね」

「そりゃまぁ、万一破けたら一大事だからなぁ」

「もしそうなったら私の中に、当麻の赤ちゃんができちゃうんだ……」

「お、おいおい!」

「今はまだ考えられない事だけど、ずっとこうしていられたら、いつかそんな日も来るのかな」

「先の事は分からねえ。でも、ずっと一緒にいられたらいいなって思うよ」

「うん、そうありたい。……これってこのまま縛って捨てたらいいの?」

「だから、そーゆーのは俺がするっての」

「自分でできるの?」

「できるに決まって……ふぁぁ!」

 美琴はスキンの口を縛ると唐突に、精液と愛液でテカテカと光り輝く
 上条のペニスに咥えついた。
 そのまま半立ちのペニスを唇でしごき上げ、舌で亀頭を舐めまわす。
 不意を突かれた上条はまたしてもみっともない裏声を出してしまう。
 射精後の敏感なペニスをしゃぶりあげる行為、いわゆるお掃除フェラが
 上条の好みだという事は昨日の時点でバレきっている。



453: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 22:45:28.09 ID:Qg9WlRhFo

「う、くぁぁ!」

「ぺろ…ちゅぱ、ぢゅぽっ、ぢゅぷ…ちゅっ……ねぇ、これ自分でできるの?」

「いや、そっちじゃなくてだな……くぁッ!」

「こーやって、イッた直後に口で掃除してもらうのが好きなのよね、当麻は」

「ああ、メチャクチャ快感なんだぞコレ」

「そのまま口の中に出してもいいよっ」

「そーゆー魅力的な事言うなよ……そうしたくなっちまうだろ」

「していいんだってば。私、当麻のせーえき飲んであげるからさ」

「うっ……!」

 甘美な言葉理性を打ちのめしてくる美琴の誘惑に、すっかり耐性が落ちていた。
 第一、これほど丁寧に舐め弄られている状況で断れる理性などあるはずがない。
 ただ精神的に満たされる一方で、苦い精を飲ませる事には申し訳なさも募る。



455: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 22:50:18.65 ID:Qg9WlRhFo

「ちろちろ、ちゅ、れろっ、れろれろっ…ちゅぷ、ちゅっ、ぢゅる…ぺろっ」

「く、ぁぁあ……!」

「ぢゅるっ、ちゅぽっ、じゅぷ、じゅっぷ、んぷっ、ぺろっ、ちゅっ、ぢゅぷ…」

「美琴……俺、頭の中でなにかが焼ききれそうになる」

「つ、つらいの!? 止めた方がいいかな!?」

「いや、大丈夫だ。気持ちよすぎるだけだよ」

「良かったぁ。じゃあ続けるね」

「……お前だって優しいじゃねーか……」

 上条はこういう時に美琴に強いシンパシーを感じる。
 美琴も上条に尽くしている間、彼がずっと頭を撫でてくれるのが嬉しくて
 どんな願いでも叶えたくなってしまう。
 相手の喜ぶ笑顔が見たい。相手の幸せな表情が見たい。それが一番の原動力だった。



456: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 22:55:31.71 ID:Qg9WlRhFo

「ぢゅぱ、ちゅっ、ぺろ、れろ…ちぅ、ちゅ、ちゅぽっ…じゅぽっ…」

「はぁぁ……ふぁ……っ」

「んふ、とうまってば可愛い声なのね」

「つい変な裏声が出ちまうんだよ……」

「ちゅっ、ちゅぱっ…ちゅぱっ…じゅぷ…れろっ、んっ…ぷぁ」

「んくぅ……なんか込み上げて来たっ」

「出していいよ……全部、私の中に……ぴちゃ…ぺちゃ…れろっ、れろぉ…」

「みことぉ、ちょっとすげぇよその舌使い……」

「ごぽっ、ぐぽ、ごぷっ…ふー…じゅぽっ、ぐぽっ、じゅぷ、じゅぶっ…ふー…」

「うああ……奥まで……喉に当たってる」

「ぺろっ…くぽっ、ちぅ、ちゅっ、ちゅっ、ぢゅる…れろぉ…れろっれろっ」

「うあぁあ……みこ、と……出る…ぅ…!」

「ぢゅぽっ、じゅぽ、ぢゅぽっ、ちゅぱ、ぢゅぽっ、ぢゅる、ちぅっ…」

「みことっ、みことぉ!」



458: >>457 すみません、もう一日ください ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 23:00:57.48 ID:Qg9WlRhFo

 警告の意を込めて、上条は射精直前に美琴の名前を連呼したが
 美琴はひたすら激しいストロークに没頭し、口内射精を強く促してくる。
 恋人を労わる気持ちの狭間にほんの一瞬だけ凶悪な欲情が顔を出し、
 鈴口をストローのように吸い上げる美琴の動作にあわせて、上条は全ての感覚を開放した。
 
「うぁ―――ぁあっ!」

(出てる……あったかくて苦いせーえきがいっぱい出てくる……)

「どびゅーっ、どびゅっ、びゅるっ、びゅく、びゅーっ、びゅる、びゅっ、びゅ…
 ん……ごくっ…んぷ…ごくん…、ふぁ、ちゅっ…ごくっ…」

 美琴は精を吸い上げながら、小意地悪な上目遣いで上条の表情を伺う。
 目が合うと二人してゾクゾクと鳥肌を立たせ、精神的なエクスタシーを生み出している。
 美琴が精液を嚥下している間、上条は一度も目を逸らさずに美琴を見つめ続けた。

「ふぁぁ……かなり出たぁ」

「ん…ふ……っ」

 二度の放出で上条はすっかり疲れ果て、ヘロヘロとベッドに崩れ落ちる。
 美琴は口内の精液を満足気な笑顔で飲みつくすと、汗だくの上条に抱き寄り
 耳に息を吹きかけるようにして囁いた。



459: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 23:05:10.69 ID:Qg9WlRhFo

「よ、よかった、かな……?」

「ああ、すっげえ良かった。本気で昇天ってやつが垣間見えたよ」

「良かった……」

 美琴は必ず、行為の後に上条に感想をねだる。
 それは冊子の中では勧められない行為の一つに数えられていたのだが、
 美琴は自分がどれほど彼の求めに応じられたのかを確認せずにはいられない。
 上条もそこは左程気に掛けず、無意識に上目遣いで見つめてくる美琴の
 弱弱しい表情を見ていると、満足の笑顔を向けて彼女を癒す。

「ほんの一日でテクニック上達しすぎだぞ、美琴~」

「飲み込みの早さと応用力の高さがレベル5の秘密なの。……なんちゃってね」

「あれを感じた後だと、ちょっと信じてしまいそうになりますよ」

「当麻が幸せなら、私も幸せなの」

「ああ、幸せだ。美琴の、おかげだ」

「嬉しい……」

 二人は感極まって口付けを重ねたが、上条自身に生臭い味が伝わってきたのは彼の誤算だった。
 しかし御褒美を求めてペットのようにじゃれ付いてきた美琴が可愛くて仕方がなく、
 美琴の舌を弄りつくすようにしてキスを続ける。



460: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 23:10:05.22 ID:Qg9WlRhFo

「ん……またちょっと大きくなってきた」

「いや、流石にもう俺は満足しきってるぞ!?」

「でももしかしたら、この先に新境地が見えてくるかもよ?」

「ま、待てっ美琴っ、朝からいきなり三連発はさすがに……」

「ふふっ、でも当麻のココはこんなになっちゃってるけど?
 もうスキンがないんだから、口で受け止めるしかないじゃない。ねっ」

「さてはお前が飲みたいだけですか!」

「うん。なんかこの味癖になってきたかも」

「や、それはそれで嬉しいが……くぁぁ!」

「ふふーん、実は弱ったアンタをいじめるのが楽しいの」

「今度覚えとけよーお前っ……んぅ!」

(今度なにされちゃうのかな、私……わくわくしちゃう)

---



463: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 23:15:13.04 ID:Qg9WlRhFo


 [08:03]

 性に貪欲な男子学生にとって、前戯やセックスについての知識は
 放っておいても膨大に入ってくるものだが、こと後戯の知名度は低い。
 男は総じて射精をセックスの終点と考えるが、女にとってはそうではない。
 冊子が最後に役立ったのは、この後戯についての記載も網羅していた点だった。

『男性は射精を終えると性欲が急速に減退し、女性に対して冷たく接しがちになります。
 行為の直後にタバコを吸ったり、反対側を向いて寝込んだり、部屋を追い出すような
 冷たい一面をつい覗かせてしまうもの。
 しかし彼女を本当に愛しているならば、後戯こそが最も大切だと心掛けましょう。
 後戯に決まった方法はありません。ただ心のまま、相手に触れてあげてください』

 そこで上条は美琴を布団の中に引き込み、後ろから彼女を抱きすくめると
 行為中に触る事が叶わなかった胸を優しく掌で包み込み、緩慢に揉みしだいた。
 ツンと突き上がった乳首を時折優しく擦り上げると、美琴はひぃと小さく鳴く。
 気を良くして今度は右耳の中に舌を差し入れると、ビクビクと全身が震えだす。
 上条は自分が主導権を持っている方が安心できるのか、余裕を見せだした。



466: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 23:21:09.86 ID:Qg9WlRhFo

「んッ……んぁぁっ、とうまぁ、やぁー……あっ、はァ…やんっ…!」

「美琴たんは右耳と左乳首が特に弱いんだよなー」

「ねぇっ、そっ、それイィッ、んあっ、あっ、ま、またしたいのぉ!?」

「これはお掃除してくれたお返しだよ。でももう8時だし、そろそろやめなきゃだよな」

「だって……やぁんッ! こんな事続けられたら私、また当麻が欲しくなっちゃう……」

「すげえ魅力的な申し出だけど、それはまた次の機会まで我慢しなきゃだろ」

「だ、だよね……ううっ」

「あとさ、あのゴム使い勝手良さそうだから、今度は箱で買ってきてもいいか?」

「うん、あれだと当麻の温かさがお腹の中に伝わってくるから、あれでいい」

「わかった」

 美琴からスキンの買い込みに承諾を頂き、上条は心に刻み込まれていた
 極薄の二文字をかき消さずに済んだと安堵する。
 しかも極薄どころか、もう二ヶ月ほど待てば"無"の境地にまで至れるわけだが、
 それを意識すると下腹部が臨戦体勢になりかねなかったので、かろうじて押し留まった。



467: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 23:25:48.98 ID:Qg9WlRhFo

「ねぇ当麻、他になにか私としてみたい事とかある?」

「お前、このタイミングでそーゆー事聞くかよ」

「今答えてくれたら必ずしてあげてもいいけどなー」

「く、くぅぅ……しかしですね美琴さん」

「ひょっとして、ド激しいSMプレイとかご所望じゃないでしょうね!?」

「そこまでキチクじゃねーよ!
 ただちょっと……制服姿のまましてみてえな、とかは、思わないでも、ない……」

「ふっ、アンタって実はそっち側の人だったんだ」

「ち、違うっ、鼻で笑うな!」

「へーんたーい、ろーりこーん、こーすぷーれおーたくーっ」

「ぐ……ぐっ! やっぱ言わなきゃよかった……」

「で、他には?」

「しかも即却下されてるし……」



474: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 23:33:27.20 ID:Qg9WlRhFo

「ん? 制服の事なら全然OKよ」

「うええ!?」

「……で、他には?」

「く、うう……! お前は俺の理性を破壊する威力もレベル5なのでせうか」

 上条はコスプレフェチではない。ただ美琴を多様に愛したい思いの表れだ。
 くだらない事に妄想力を費やしながらも、白状を余儀なくされてしまう。
 天使のような悪魔の笑顔とでも言うべきか、美琴はにこやかに微笑みかけながら
 上条の性癖を暴き、あざ笑い、そして優しく受け入れていく。

「あとは、その……ローションを使ったりとか、目隠しとか、おもちゃ使ったりとか」

「アンタ……実は結構な量の妄想がたまってたのね……」

「ああそうだよ、可愛い恋人ができてから上条さんの欲望は溜まりっ放しです!
 自制心なんてものはお前と洗いっこした時にブッ壊されちまってるんだよ!」

(そーゆー嬉しい事をサラッと言うから、聞き届けてあげたくなるのよ)

「んっ、なんだって?」

「にゃ、にゃんでもにゃいっ!」



475: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 23:40:13.44 ID:Qg9WlRhFo

「つーか、そう言う美琴はどうなんだよ。なにか俺がしてあげられる事ってあるか?」

「わ、私はそういう具体的なイメージはないんだけど……昨日話した事くらいかな」

「あっ、ああ……あれな」

 スキンなしでのセックス。高い満足感を得られると同時にリスクを孕む行為だ。
 もちろん美琴は十分な準備を行ったうえ、計画的に考えた上で申し出ている。
 上条にとっても先の待ち遠しい話だったが、外面(そとづら)は控えめに喜ぶのみだ。

「じゃあ当麻のお願いは、次に泊まりに来た時に少しずつ叶えてあげよっかな~」

「マジですか!」

「だから、楽しみに待っててね」

「ああ。だけど……」

「だけど?」

「そういう事抜きにしても、お前が傍にいてくれるってだけで俺は嬉しいんだからな。
 相手に求めすぎないように、自然と一緒にいられるような関係でいようぜ」

「わかってる。当麻のそういうところ、信頼してるもの」

「そっか……ならいいんだけどな」



478: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/26(水) 23:45:32.77 ID:Qg9WlRhFo

「私は次に来るまでに、なにか新メニューを身に付けてみよっかな」

「ははっ、そいつは楽しみだ」

 性的な言動に関してはメリハリがある方が望ましいと相互に思っている。
 献立を思い悩むチャームな表情も美琴の魅力の一つ。
 平日はこういう姿を沢山見ていたいと上条は思う。

「じゃあ、シャワーは一緒に浴びちまおっか」

「うん。それが終わったら……」

「ああ。気持ちを切り替えて、いつもの二人に戻ろうぜ」

「そうね。……ありがとうね当麻、とても幸せな一夜だった」

「俺も感謝してる。また次の機会にも、こんな風にして過ごそうな」

「うん」

 感謝と慈愛の気持ちを込めて、二人は優しく触れるように口付けを交わす。
 その後二人で一緒にシャワーを浴びたが、お互いの洗い合いに興じすぎて
 湯上りの時間が予定より大幅に遅れてしまったのは余談である。

---



497: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 19:28:46.66 ID:yAKAx0+xo


 [09:35]

 湯上りに手早く朝食を済ませると、二人は揃って家事に取り掛かった。
 上条はまずベランダの戸を開き、濃厚な愛欲にまみれた室内を換気すると
 掃除機を使って部屋中を掃除しはじめ、ホコリの溜まった掃除機用紙パックと共に、
 くず籠の中身をゴミ袋に投げ入れる。
 肝心要なのは使用済みスキンと冊子を同居人の目に触れないよう捨てる事であり、
 他のゴミは全て巧妙なカモフラージュに過ぎない。

 一方、食器洗いと洗濯を担当する美琴は、お嬢様学校の寮生活の便利さに慣れてしまい、
 上条宅に乾燥機が設置されていない事をいささか不便に思っていた。
 仕方がないので、シーツとタオルと上条の衣類だけは肌寒いベランダに干していき、
 自分の分は濡れたままビニールに包んで持ち帰る。
 いっそ二人分の洗濯物を全てコインランドリーに任せてしまう妙手もあるのだが、
 それでは上条宅で家事をしている実感が湧いてこない。
 洗濯槽の中で、上条と自分の衣服が一緒に洗われている様子を眺めるのが好きなのだ。

 10時を過ぎて家事が一段落した後は、毎週恒例の勉強タイムとなる。
 上条にとっては一番気が重く、それでいて美琴と共同作業できるという
 妙ちきりんなジレンマが膨れ上がる一時だ。

「ほらほら、この問題は先週もやったじゃないの。
 ここの定理を当てはめたら簡単に解けるじゃないのよー」

「えっと……先週の問題ってなんだっけか」



498: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 19:35:36.18 ID:yAKAx0+xo

「ちょっとぉ、そんな事じゃ勉強の意味がないじゃない!
 もうじき期末試験だってのに、アンタの頭には記憶力ってもんがないの!?」

「うう……上条さんのバカは今に始まったことではありません」

「開き直らないの! キチンとやらないとホントに落第しちゃうわよ!
 それともいっそ二度落第して、同級生になってあげましょっか!?」

「くぅぅ、美琴センセーのお怒りが日に日に強くなっていく~」

「当たり前よクソバカ! こんな基礎問題でいちいちずっこけてんじゃないわよ!
 いーい、ここはこの定理をここに当てはめて、αの二乗をβで割って……」

「……なるほど、さっぱりわからん」

「アンタって人はー!!」

 辛辣な言葉を浴びせながらも、美琴は辛抱強く上条に教え導いていく。
 しかし制服姿に着替えた美琴が、女の香りを仄かに漂わせながら寄り添ってくるので
 上条はどうにも煩悩を揺さぶられて勉学に身が入らない。
 その体たらくが益々美琴の怒りを誘い、課題を一問解く事すら一苦労していた。

「まったくもう、全然はかどらないんだから」

「いつになく顔が険しいですよ、美琴センセー」

「当然でしょ! 私がいられるのは昼迄なんだから早く終わらせないと!」

「……抱いてる時はあんなに可愛かったのにな」

「ば、ばっ、ばっ……ばかぁぁ!! もう元に戻るって言ったでしょうが!!」

「ははっ、耳まで赤くなってるぜ」

 赤面しながら狼狽する美琴の態度が面白くて、上条はついからかってしまう。
 淫靡な女の姿はすっかり身を隠し、無垢な一面を取り戻した彼女も愛おしい。
 美琴も弄られている事は百も承知なのだが、彼の口から可愛いという言葉を聞くと
 どうにも喜ばしくなって照れ隠しに怒鳴ってしまう。



500: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 19:41:04.73 ID:yAKAx0+xo


 ピンポーン♪

 訪問者の来訪を告げるチャイム音がリビングに鳴り響く。
 それは二人だけの蜜月が終わった事を示す、刻限の鐘でもあった。

「……インデックスのヤツが帰ってきたのかな」

「た、多分そうなんじゃない?」

 上条はペンを卓上に放り出し、立ち上がって玄関に向かった。
 美琴は上条の向かい側に座り直すと、落ち着かなさそうに前髪を弄りだす。
 後ろめたさがあるのか、銀髪シスターと顔を合わせるとなるといつも落ち着かないのだ。

「よお、おかえり」

「おかえりじゃないんだよ、こんな寒い日に一人でとぼとぼ帰ってこさせるだなんて!」

 玄関の扉を開くと、修道服の上に厚手のコートを身に着けたインデックスが
 機嫌の悪そうな面持ちで上条に食ってかかった。
 その合間にコートの下からするりと走り降りたスフィンクスが、先にトコトコと
 室内に入っていくが、いち早く美琴の電磁波に気付いて微妙に距離を置く。

「わりいわりい、遅くなるようだったら迎えに行っても良かったんだけどさ」

「ふんだ、一人で勉強に集中したいとか殊勝な事言いながら、とうまは薄情なんだよ!
 大体今日だって……やっぱり今日もいたんだね、短髪」

「アンタねぇ、いい加減あだ名で呼ぶの止めなさいよ」

「私の事だって名前で呼んでくれたことないかも!」



501: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 19:45:38.89 ID:yAKAx0+xo

 コートを脱ぎながらリビングに踏み込んでくると、早速美琴の存在に気付き
 眉間に皺を寄せながら不信感に満ちた視線を向ける。
 美琴も悪態に負けじと睨み返しながら、インデックスの後ろで
 オロオロとしている上条を指差しながら呼び名の是正を求めた。
 一触即発の雰囲気を察してか、上条は慌てて二人の合間に割り込む。

「だぁあ、もうお前らぁ! なんだってそう仲が悪いんだ!
 しょうがないだろ、俺の知り合いじゃ御坂が一番教え上手なんだよ!
 俺の勉学レベルを上げるための最適な手段はこれなんだっての!」

「勉強を年下に教わってるだなんて事、あまり胸を張って言うことじゃないかも」

「すみませんでした……」

 苦しい言い訳をにべもなく蹴られた上条は、大仰にしょげてみせる。
 すかさず美琴は彼に助け舟を出し、インデックスとの対決姿勢を鮮明にした。

「アンタも、コイツが進級を掛けた大事な時期だってことくらいは知ってるでしょ?
 そうやってキャンキャン怒鳴ってないで静かにしてあげなさいよ。
 私だって自分の勉強があるのに、仕方なくコイツの勉強見てやってるんだから……」

「短髪の言い訳はもっと苦しいんだよ」

「なにが!?」

「理由はどうあれ、短髪はとうまの傍にいると嬉しそうにしてるのが見え見えなんだよ」

「ばっ、バカじゃないのアンタ! なんで私がコイツなんかと……!」



502: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 19:52:03.93 ID:yAKAx0+xo

 第三者の前では、美琴は普段どおりツンケンとした自分を見せるようにしている。
 しかしインデックスにはそれも偽装的に思えるらしく追求を緩めない。
 上条宅は早くも女の修羅場と化していた。

「私はね、とうまの勉強の役には立ててないかも知れないけど、
 洞察力と記憶力は人並み以上にあるつもりなんだよ。
 私が短髪を好きになれないのは、そうやっていつもウソばっかり言うからかも!」

「私のどこがウソばっかりだってのよ!」

「あの、二人ともその辺でどうか……」

「キッ!」

 インデックスは上条を見上げてきつく睨み、彼の手ぬるい仲裁を制止すると
 美琴に向かって指を指し、かねてから心に抱えていた本音をぶちまけた。

「私はね、短髪に最初に会った時、一目でわかったもん!
 短髪はとうまが大好きで大好きで仕方ないってことくらい、お見通しのバレバレなんだよ!」

「なっ、なななな……!」

「なのにいつもいつも、私はコイツなんかに興味ないって口では言うんだよ!
 私今まで色んな人に出会ってきたけど、こんなにもウソつく人はいなかったかも!」

「なっ…なっ…なにを言ってんのよアンタ!? ちょっと黙りなさいよね!」

「ほらそうやって、本音がバレそうになると無理やり怒鳴る!
 短髪は人とのコミュニケーションが下手すぎるんだよ!」

「う、そ、それは……!」



504: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 19:55:11.92 ID:yAKAx0+xo

「短髪みたいな人を『ツンデレ』って言うんでしょ? すごくめんどくさい人種かも」

「う……ぐっ……!」

 ツンデレの妙を理解できないインデックスにとって、普段の美琴の態度は業腹だった。
 美琴は図星を突かれて慌てふためき、舌鋒鋭い指摘に反論できないでいる。
 場の空気をかき乱す詰問はまだまだ止まりそうにない。

「……とうまも最近はウソが増えたよね。短髪を好きなことごまかそうとしてる。
 前はそんな様子なかったのに、最近は目に見えてわざとらしくなったんだよ。
 とうまはずっととうまだと思ってたけど……そういう変化は見たくなかったかも」

「インデックス、お前……」

「改めて聞くけど、短髪はとうまのガールフレンドなの?」

 ガールフレンドという言葉の意味は、三者とも少しずつ異なって認識している。
 しかしこの状況においてインデックスが追求してくる言葉の意味を
 ありのまま受け止めた美琴は、はっきりと首を横に振った。

「……違うわ」

「お、おい御坂!?」



505: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 20:05:25.02 ID:yAKAx0+xo

「ガールフレンドじゃなくて、ステディになったの」

「ステディ?」
 
 三者の誰もが誤解を挟まない、適切な一言だった。
 言葉の意味するところは理解できているが、インデックスはその言葉を
 噛み砕いて受け入れるまでに若干の間を要してしまう。

「アンタはブリティッシュらしいから、デーティングとかの方が伝わる?」

「どっちでも言いたいことはわかるんだよ。つまり二人は恋仲になったんだね」

「そういうこと。誤解ないように言っとくけど、この事を第三者に言ったのはアンタが初めて。
 だけど二人で話し合って決めたの。もう隠さないでいようって。
 コイツはアンタの事を一番気掛かりにしてたみたいだから」

「とうま、本当なの?」

「あ、ああ、そうだ。みさ……美琴と付き合うことになったんだ」

「ふぅん。よーやく認めたんだね二人とも」

 意外にもインデックスは驚いたり騒ぎ立てたりする様子を一切見せない。
 むしろ、今更何をと呆れ返った表情で二人を見比べていた。



507: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 20:10:44.35 ID:yAKAx0+xo

「ようやくって……ひょっとして気付いてたのか?」

「鈍感ニブチンなとうまと一緒にしないで欲しいんだよ!
 クリスマスミサの直前頃から、二人の距離感がおかしいのには気付いてたもん!」

「はいはい、その通りよ。付き合うことになったのは12月からだもの」

「ふふ~ん、でしょっ!
 とうまは隠し通してるつもりだったかも知れないけど、そんな目論見は
 クリームパフェにハニーシロップと練乳ぶっ掛けたくらい甘いかも!」

「そこは胸を張って勝ち誇るとこなのでせうか……意味がわからん」

 話の論点は美琴と上条の関係性から、巧妙に仲を隠していた事を暴いた点にシフトしていた。
 なにか救われた気がして溜息を吐いた上条だったが、事態の解決にはまだ至っていない。
 美琴もここで吐露した以上は、話の折り合いを付けておかねばと考えている。

(ねぇ、この子にはどこまで打ち明けちゃっていいの?)

(インデックスは性的な事には疎いから、そこは言わなくていいと思う)

(言うわけないでしょバカ! 私が心配してるのは、今度のお泊まりの事よ)

(で、ですよねー)



510: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 20:15:53.28 ID:yAKAx0+xo

「……なにをこそこそと話してるのかな? また隠し事する気なの?」

「そういうわけじゃないわよ、頭からちゃんと話すから。
 あのね、二人で付き合い出してから、私はコイツの勉強と家事の面倒を見るために
 こうして毎週日曜に来てるわけだけどさ、その……今度からは……」

「日曜じゃなくて土曜だよね? やっぱりまたウソをつくんだね。
 こっちはこもえにそれとなくお願いして、毎週毎週気を遣ってたっていうのに!」

「あ、う……そこまでバレてたの?」

「私はとうまと違って空気をちゃんと読めるんだよ」

「読むついでにお腹一杯食べられたらもっといいのにな」

「とうま、今は真面目な話の最中なんだよ……
 あとで噛み付きの刑執行するから覚えておくといいかも!」

「うええ!?」

 真面目な話を横から茶化してくる上条に刑罰を宣告すると、苦悶の表情で
 転がりはじめた彼をスフィンクスが気だるそうに慰めていた。
 そんな上条を捨て置き、インデックスは再び美琴に向き直る。

「つまり短髪はここ最近ずっと、とうまと土日一晩過ごしてたんでしょ?
 それがどういう事を意味するかくらい、私にだってわかってるんだから!」

「そ、そこまでわかってるなら言ってやるわよ! わ、私はコイツと……!」



512: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 20:21:21.85 ID:yAKAx0+xo

「ずるいずるいずるい!! 私だって沢山食べたかったんだもん!」

「……は?」

「それで! 昨日の夕食は何を食べたのかな? 今朝の朝食は!?
 常盤台のお嬢様は一食4万円もする食事をいつも食べてるんだよね!?
 二人で合計16万だよ! とうまの数ヶ月分の食費を一晩で平らげたんだよね!?」

「……はぁ?」

「昨日の晩にステーキ肉で喜んでいた私がまるでバカみたいなんだよ!
 私知ってるもん。今のとうまみたいな人を『ヒモ』って呼ぶんだよ!」

「どうしてそんな見当違いな単語を繰り出してくるんですかインデックスさん!?」

「アンタねぇ……それで憤慨してたのかい、アホくさ」

 会話が完全に勘合しなくなり、話題から振り落とされてしまった美琴は
 呆れ果てて肩を落としたが、考えようによっては今が説得の好機だった。
 虚言は大抵見抜かれてしまうため、あくまで本当の事だけを抜粋して説明する方が
 この少女には効果があるだろうと睨む。



513: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 20:26:06.96 ID:yAKAx0+xo

「そんな訳ないでしょ。どこの情報か知らないけど、
 常盤台だってそこまでエンゲル係数を度外視した食事はそうそう食べないわ。
 昨日二人で食べたのはシチューだし、ステーキ肉に比べたら些細なもんでしょ」

「本当なのかな?」

「ホントだって。シチューはまだ沢山残ってるからアンタも食べる?」

「もちろん食べるんだよ!」

「す、素直ね……」

 インデックスの大食漢ぶりは知っていたが、元来から根の素直な少女が
 我欲に忠実に生きている様には、どこか惹かれるものを感じる。
 兎にも角にも話の論点がボヤけてきたため、美琴は立て直しを図った。

「だから別にアンタを差し置いて、二人だけで贅沢な食事してたわけじゃないわよ。
 たまには二人でゆっくり話もしたいし、勉強しなちゃならないのも確かだもの」

「それにしても、一つ屋根の下で未婚の男女が一晩二人きりだなんて……教義に反するんだよ」

「それを言ったらアンタなんて、週7でコイツと一つ屋根の下で暮らしてるじゃない!」

「私は特別だからいいんだもん!」

「なによそれ、子供の言い訳か!」

 かしましい喧嘩の方向性が更に乱れ始めたため、上条もようやく説得に腰を上げ、
 そっと二人の間に割り込むとインデックスの双眸を見つめた。



514: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 20:30:11.10 ID:yAKAx0+xo

「なぁインデックス……週7が週6になったら、嫌か?」

「少し嫌なんだよ。でもこもえも優しくしてくれるし、
 あいさやあわきと一緒にご飯を食べるのも好きだから、
 週に一日くらいなら我慢できなくもないかも」

(あわき……結標淡希(むすじめ あわき)のこと? ……まさかね)

「じゃあ決まりだな。これからしばらくは今のペースで過ごそうぜ」

「それはこもえ次第かも。私としては受け入れないでもないんだよ」

 現状の生活を維持する事を望むインデックスとしても、
 横車を押して事態の全てを壊したいと思う程の抵抗心はない。
 上条の真剣な表情と、彼の様子を不安げに見守る美琴を見比べつつ、妥協を受け入れた。

「そーだな……小萌先生には今度、菓子折り持ってお願いに行くか。
 色々無理を聞いてもらってて、すっかり頭が上がらないんだよなぁ」

「それ私も付いて行こっか?」

「いや、ここは俺がやるよ。俺のしなきゃならないことだからな」

「わかったわ」

「……確かに前よりは仲が良くなってるんだよ」

 インデックスの記憶において、上条と美琴の会話はもっぱら美琴が喧嘩腰だったが、
 こうして交際の事実が露わになって見るに、良い変化らしき物は感じとれた。
 幼い嫉妬心もあるのだが、うまく折り合いを付けようとする上条の態度を見ていると、
 居候の自分も過度の文句は言えない立場なのだと顧みる。



515: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 20:35:47.31 ID:yAKAx0+xo

「とうま。あと一つ尋ねたいんだけど……どうして短髪を選んだの?
 素直で優しい子なら、他にもとうまの周りに沢山いると思うけど」

 美琴はそれが最も辛辣な言葉だと感じた。
 自分より女性として優れている存在が幾人も彼の近くにいる事は理解している。
 目の前の少女とてそうだ。悩みだすと自我が揺らぎそうになる。

「『選んだ』んじゃねえよ。俺と美琴は表裏一体みたいなもんなんだ。
 それにこう見えてこいつ、すごく素直で優しいし一途だぞ」

(あ、当麻がフォローしてくれてる。嬉しい……)

「私、別に惚気までは聞いてないかも。私にとっては嘘つきの子だからよくわかんない」

「ウソが多いってのは、まぁ……俺達が付き合うことになるまで俺が
 こいつの気持ちに気付いてやれなかった反動みたいなもんだ。これからは減るさ」

「うん……これからはもう少し素直になるようにするから、許してね」

「本当なんだね? 私はもうお邪魔虫扱いは懲り懲りなんだよ、二人とも」

「ああ、すまなかったな」

 上条はインデックスの寛容な一面をよく知っている。
 口では文句を言いながらも、みんなが笑顔でいられるための方法を
 正しく理解し、受け入れてくれている彼女もまた愛おしいと思う。
 感謝の意を込めて、左手でインデックスの頭を撫でた。



517: >>516 ですね、見落としてました… ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 20:40:19.75 ID:yAKAx0+xo

「とうまって、私のこと左手で触ることが多いよね。短髪はいつも必ず右手なのに」

「いや、それは特に意識してないが……なんとなく無意識に左手でって思っちまうんだ」

「初めて会った時に私の霊装を壊したことを、まだ気にしてるのかな?」

「そ、そんな事もあったっけか。あったな、あったあった、ハ、ハハ……!」

「おかしなとうま」

 インデックスに記憶喪失であることを遂に打ち明けた事は、上条にとって
 一大決心の一つだったのだが、それでなくした記憶そのものが戻る訳ではない。
 しかし絶対記憶能力を持つ彼女が思うのは、彼の本質は
 記憶の有無くらいでどうこうなるような脆弱な物ではないということだ。

「基本的に右手はサッと動かせるように空けておいてるんだよ。
 けど美琴には、能力を打ち消す右手で触れてないとって考えちまうんだよなぁ」

「一応辻褄は合ってるけど、果たしてそれだけなのかな?
 とうまはその右手で短髪を、左手で私を繋ぎとめておくつもりなの?」



518: 投下の最後に誤字脱字を直します ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 20:45:19.82 ID:yAKAx0+xo

「ん……まぁ、そういう風に言わちまうと不順な動機に思われちまいそうだけど、
 お前達をそれぞれ比べてどうとか思ってるわけじゃない。
 俺にとってはもう、どちらも手放せない大切な手なんだ」

「とうま、それって……」

「……もしお前から手放されるってんなら、その時は無理に握り返したりはしねえ。
 だけど俺からは絶対に離さないから、お前はずっとここに居てくれよ。
 俺がお前の居場所を、美琴と一緒に全力で守る。俺にとってはそれだけが願いだ」

「今更そんな言い方はないんだよ! 私はなにがあってもとうまと一緒にいたいもん!
 でも短髪もとうまと一緒にいたいなら……少し悔しいけど、私は片手だけでもいいよ。
 とうまがまたどっか遠くに行っちゃう位なら、ここで二人の手をずっと握って動かないで!」

「ああ……俺はここにいるよ」

 この二人にも複雑な事情があって、離れられない理由がある。
 美琴は割り込めない世界に割り入ってしまった肩身の狭さを感じながらも、
 二人が自分の居場所を作ってくれている事に深い感謝の意を覚えた。



519: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 20:52:06.58 ID:yAKAx0+xo

「よし、これでこの話は終わりにしようぜ」

「そうね。色々揉めちゃったけど、受け入れてもらって嬉しいわ」

「あー……なら今更だけど、ちゃんとお互い自己紹介しておいたらどうだ、お前ら?」

「本当に今更なんだよ。初めて会ってから半年は経ってるのに」

「まぁまぁ、お互い呼び方が『アンタ』と『短髪』のままじゃ仲良くなれないだろよ」

「それも一理あるわね、じゃあ改めて……こほん。
 私の名前は御坂美琴(みさか みこと)よ。この街じゃ超電磁砲《レールガン》って呼ばれてるわ」

「私の名前は禁書目録(Index-Librorum-Prohibitorum)って言うんだよ。
 インデックスって呼んでくれると嬉しいな!」

 上条に促され、二人は自己紹介を交わし握手を交わす。
 上条は柔らかい笑みと共にそれを見守っていたが、やがてインデックスが自分を向いて
 鬼の形相へと変わっていく様子に、恐怖で顔が引きつった。

「それはそれとしてとうま! いよいよ刑の執行なんだよ!」

「お、覚えてたんデスカそれ!」

「私が一度覚えたことを忘れるわけがないんだよ! ガブヴヴゥ―――ッッ!!」

「あぎゃーーーっ、ふこーーーだぁーーー!!」

「ふふっ、ちょっと久しぶりに聞いたかも、この口癖」

---



521: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 20:55:45.29 ID:yAKAx0+xo


 [11:57]

「ところで話は変わるんだけどさ、インデックス」

「なにかな、みこと?」

 美琴は台所で三人分の配膳を行いながら、インデックスに話し掛けた。
 食事にありつける直前の彼女は上機嫌に返事する。
 全身に歯型を付けた上条は、美琴の電磁波避けも兼ねて
 右手を使ってスフィンクスと興じていた。

「コイツの誕生日がもうじき来る事は知ってるわよね?」

「えっ、そうなの!?」

「えっ、ちょっとアンタ同居してるのにそんな事も知らなかったわけ?」

「だってとうまは誕生日なんて一言も触れた事ないんだよ!」

「そういえば言ってなかったかもなー」

 渦中の上条は至って無頓着だった。
 美琴とインデックスは揃って溜息をつき、彼の鈍感ぶりを嘆く。
 親密な少年の生誕を祝いたいと願う乙女心は難儀なものだ。
 そんな二人の苦悩は意に介さず、上条はスフィンクスをじゃらすのに熱中している。



522: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 21:00:26.90 ID:yAKAx0+xo

「言ってなかったかもなー、じゃないんだよ! とても大事な情報なんだよ!」

「ったってなぁ、自分から積極的に言うような話でもないだろ」

「人にパスポートの事どうこう言ってた割に、自分の情報開示には疎いよね!」

「はいはい、そこで揉めないの。ホラ、アンタの分」

「いただきますなんだよ~!」

 追求を即座に投げ出し、三人分はあろうかという大盛り皿のシチューを
 掻き込む食べっぷりの良さに、美琴はつい関心を誘われる。

「相変わらずすごい食欲ねぇ」

「みことの作る食事は上品でふんわりしてて美味しいんだよ!」

「あ、ありがと」

 奇遇にも上条と同じ褒め言葉を受けて、美琴は素直に照れた。
 次に上条、最後に自分の分の皿に盛り付け、ようやく三人で食事にありつく。

「それで、来週の日曜日にコイツの誕生パーティーをやりたいんだけどさ」

「ふんふん」



523: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 21:06:05.65 ID:yAKAx0+xo

「コイツが呼びかけて誕生会に来てくれそうな面子って、どのくらいいるの?」

「とうまと親密な人って事?」

「有り体に言えばそうね」

「えーとね……」

 インデックスは一旦食事の手を止めて、指折り数え始める。
 美琴は自分の知らない面々を知るインデックスが、何を口走るかと
 不安を抱えながらもおくびに出さず数え方を待った。

「かおり、いつわ、あいさ、こもえ、せいり、まいか、ひょうか……
 オルソラ、レッサー、アニェーゼ、ルチア、アンジェレネ……」

「お前さぁ、手当たり次第に顔見知りの子の名前挙げてんじゃねーよ」

(……別に手当たり次第じゃないかも)

(コイツ一体何人とフラグ立ててるのよ! なんか聞いたことあるような名前もいるし!
 レッサーってまさかあの時の子じゃ……世間はそこまで狭くはないわよね?)

「あ、ステイルと天草式の人も声を掛けたら来るかも」

「ステイルと建宮は無理だろ……大体にして人の誕生日を祝うってガラかあいつらが」

(男少なっ、しかも人柄悪っ)

「あ、あとはアクセラレ……」

「あいつはもっとダメだ!」
「アイツはもっとダメよ!」

「二人して怒鳴る事ないんだよ……あ、おかわり欲しいんだよ!」

「はいはい」



524: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 21:10:11.70 ID:yAKAx0+xo

 上条の対人関係の一端を垣間見て、美琴は激しい焦燥感を抱いた。
 確立したはずの立場がグラグラと音を立てて揺れ動いている気がしてならない。

「つーか今名前を挙げた連中はほとんど海外にいるだろ……」

「そ、そうなんだ。現実的に、ここに来れそうなメンバーはどのくらいなの?」

 来させないでとも言えず、美琴はなるべく穏便に先を促すしかなかった。
 第一この家はそれだけの人数を収容するキャパシティを持ち得ず、
 主催者としてもそこまで大げさなイベントにしたいわけではない。

「うーん、あいさは確実に来てくれると思う。まいかは忙しいから予定次第かも。
 ひょうかにも会えればいいんだけど、いま連絡先がわからないし……
 せいりは気難しいし、こもえは担任の立場上厳しいかもだし、あとはみんな海外なんだよ」

(あ、案外と絞れるのね)

 美琴にとって舞夏は友人の一人であり、姫神秋沙(ひめがみ あいさ)という名前は
 巫女服姿の大人しいクラスメートとしてよく承知している。
 この二人なら客人として許容できそうだと踏んだ。



525: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 21:12:57.29 ID:yAKAx0+xo

「男子はいないの?」

「いつも一緒にいる二人を呼べばいいかも」

「青髪と土御門か、あの二人なら来てくれるんじゃねえかな」

「う~、土御門のお兄さんの方はちょっと苦手なんだけどな、私」

「私もあの青い人はちょっと……なんだよ」

(女の人望ねえなぁ、あの二人)

「あ、おかわりなんだよ!」

「よく食べるわねぇアンタ」

 美琴は当初、女性はなるべく呼んで欲しくないとも思っていたが、
 男友達の様子を聞くに女だらけの方が幾分マシではないかとも思ってしまう。
 インデックスも概ね同じ気分だった。



527: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 21:15:05.91 ID:yAKAx0+xo

「みことは誰かを呼ぶ予定なの?」

「うーん、私とコイツの共通の知り合いって、黒子と妹くらいしかいないのよ。
 黒子はTPOの分からない子じゃないんだけど、とにかくコイツのこと
 目の敵にしてるから……空気乱しても困るし、今回はやめとくわ」

「じゃあ御坂妹にだけでも声掛けようぜ。みんなにはお前の双子の妹だって言えばいい」

「そうね。これで8人ってとこか、ケーキを分けるには丁度良い人数になるわね」

「インデックスは別枠だろ~」

「むっ、そんな無粋な真似しないんだよ。ケーキはちゃんとみんなと同じ分食べるもん」

「アナタ様のお腹はそれで足りるんですかぁ?」

「とうま、いちいちニヤニヤしないで欲しいんだよ。
 いいもん、ケーキとは別の物でお腹を満たすんだから」

「そこでさ、食事は冬らしく鍋にしようと思ってるんだけど、どうかな」

「ジャパニーズお鍋! それならみんなで食べられて楽しいかも!」

「よしよし、インデックスの分はちゃんと一鍋別に用意してやるからな」

「とうまぁっ、いい加減にするんだよ! ガブゥ―――ッ!!」

「あいでででででででで!! い、インデックスサァン!?」

「賑やかねえアンタ達って」



529: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 21:18:20.56 ID:yAKAx0+xo

 インデックスはまたしても上条の腕に噛み付いて折檻する。
 その親密な接し方に妬く気持ちがないのかと問われれば嘘になるだろうが、
 兄妹のように絶妙な関係を育む二人の様子につい笑みを誘われてしまう。

「あがががが……」

「……ふぅ。でもみことだって時々似たような事してるかも」

「わ、私は電撃ぶつけるのは控えるようにしてるわよ」

「どうだか。一人でブツブツ妄想しながら電気を漏らしてたりするんじゃないのかな?」

「ギク……そ、それはたまにある」

「みことも結構な変人さんだよね」

「アンタが言うかぁ!」

(ははっ、仲良くなってきたな)

 仲良きことは美しき哉。上条は歯形だらけの凄惨な姿になりながら暢気にも、
 二人の距離感を限りなく良い方向に解釈していた。

「みこと、おかわり!」

「流石にもう無くなったわよ……また今度作ってあげるから」

「ぶーぶー!」

---



530: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 21:21:09.30 ID:yAKAx0+xo


 [12:28]

 食後に食器を洗い終えると、美琴はいそいそと帰り支度を始めた。
 インデックスとしても、長らくいがみ合っていた少女とやっと仲良くなれたのに、
 慌てて帰宅するさまを見ると寂しく思ってしまう。

「もう帰っちゃうの、みこと?」

「うん、私1時から黒子達と遊ぶ予定があんのよ。
 ホントはもう少しコイツの勉強見ていきたかったんだけどさ」

「俺はなんとかやっとくって。お前は白井達と楽しんでこいよ」

「そうするわ。じゃあねインデックス、誕生会の声掛けは頼んだわよ」

「任しとくんだよ!」

 美琴以上に控えめな胸を張りながら、インデックスは快諾の返事を返した。
 上条や月詠の家に篭っている事の多い彼女は、多人数でのパーティーに
 大きな期待を抱いている。
 1Kの上条宅に8人もの仲間が集まるのは壮観な光景になるだろう。

「とうま、見送らないの?」

「あ、いいわよいいわよ、外は寒いし」



531: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 21:24:54.98 ID:yAKAx0+xo

「じゃあせめて玄関までは送るぞ」

(……ギロッ)

「むぅ」

「どうした?」

「なんでもなーい」

 上条が玄関先で美琴を見送ろうとするとインデックスは何か予感が働いたらしく、
 リビングに座ったまま上条の様子を凝視している。
 見送りのキスを期待していた美琴は、その視線をインデックスの牽制と理解し、
 存外したたかな少女だと悔しがった。
 あえて見せつけたろかコラとも考えたが、時間に追われて急いでいる今
 状況をこじらせるのは悪手だろうと思い直す。
 そんな考え事をしながら、右手の指で無意識に唇を触っていた美琴はピンと閃いた。

「じゃあまた来週来るわ。誕生会の件はあとで相談のメールするからさ」

「ああ、よろしくな」

「インデックスもまたねー」

「ばいばいなんだよー」

 玄関扉を開いて外に出ようとした刹那、美琴は右手で上条の顔に触れると
 人差し指でそっと彼の唇を撫ぜた。



532: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 21:28:04.71 ID:yAKAx0+xo

「またね」

「あ、ああ」

 後ろを振り返ろうともせず、美琴は駆け出して帰って行った。
 アダルティックな行為の意味がまるで掴めず、上条は呆然と玄関に取り残される。
 中途半端な余韻を残した別れ方に、漠然とした寂しさを募らせていた。

「なんだったんだ、今の……」

「あ!」

 美琴の隠密な配慮も虚しく、行為の意味に先に気付いたのはインデックスの方だった。
 憤怒に燃えて立ち上がると上条に強く詰め寄り、彼を激しく狼狽させる。

「とうまのバカ!」

「な、なんだ、どうしたってんだインデックス!?」

「今のに気付かないのは、さすがにみことが可哀想かも」

「は?」

「今のみこと、私にバレないようにこっそりとうまに間接キスしたんだよ」

「あ、そ、そうだったのか……!」

「それを肝心のとうまが気付かなくて、私にあっさり気付かれててどうするのかな!?
 そうやって乙女心をぼんやりスルーする性格はホントひどいんだよ。
 これから一生懸命、みことにフラれないように気を配るといいかも!」

「ああ、気をつけるさ……」

 まだまだ美琴の全てを理解するには、時間も触れ合いも足りないらしい。
 上条は右手で虚空を掴み、己の鈍感を嘆きながらも
 これから沢山の時間を掛けて彼女と触れ合いたいと願った。

---



533: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 21:32:05.85 ID:yAKAx0+xo


 [12:57]

 昼食後、インデックスは数人分の食事が収まった腹をさすりながら、
 ベッドですやすやと寝息を立てて眠りに落ちていた。
 上条は、はかどりだした宿題に一段落ついたところで、陽の当たるベランダに出て頭を休ませる。
 美琴が干していった洗濯物やシーツが風に棚引くのを見ていると、
 名残惜しさと肌恋しさがぶり返してしまう。
 だが姦淫に堕落する自分達は想像したくないので、週1ペースを維持しなければと考える。

 ふと右横に視線を向けると、隣人の土御門元春がベランダに姿を現していた。

「おっ、カミやんじゃないか」

「よう土御門。お前は宿題終わったか?」

「俺は昨日のうちに終わらせたぜい……騒音のせいでなかなか集中できなかったけど」

「ふうん、大変だなお互い」

「ふうんじゃないぜよ。誰のせいで集中できなかったと思ってるのかにゃ~?」

「なんだ、お前また舞夏となにかやらかしたのか?」

「お前だッ! 明るいうちから一晩中、常盤台のお嬢さんとイチャイチャしやがって!」



534: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 21:36:39.53 ID:yAKAx0+xo

 上条の呆けた態度に苛立ったのか、土御門は感情を露わにしつつ
 上条に指を突きつけ、彼が主犯である事を明示してみせる。

「な、なにィ!? お前昨日は出かけてたんじゃなかったのか!」

「昼間はにゃあ。夕方には自宅に帰ってきて、筋トレにハッスルしてたぜい。
 そうしたら隣の部屋から別のハッスルが聞こえてきて……
 いやー、あんな絶叫が聞こえてきたらナニしてるかなんてバレバレですたい」

「おっ、お前まさかアレを聞いて……! メールの返事はそういうことか!」

「俺も間諜の仕事は色々やってきたけど、あんなヤらしい絶叫を聞いたのは初めてだぜい。
 カミやんに対する羨ましさと憎しみのあまり、血ヘドを吐いて死にそうだったにゃあ。
 しかもカミやんの声まで聞こえてきて、それがまた
 『美琴……愛してる!』なぁ~んてきたもんだにゃぁあ~!
 いやはや、ばーっちり聞かせて貰ったぜい、カミやんの一世一代の大告白!」

 してやられた、と上条は力強く頭を抱えた。
 最もバレてはならない秘密を、最も聞かれてまずい男に聞かれてしまっていた。
 あらゆる混乱を内包して、上条の血相が赤から青に、蒼白に、
 そしてまた赤にと目まぐるしく変色する。



536: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 21:41:38.23 ID:yAKAx0+xo

「わっっ、忘れろぉぉぉっ!! それだけは絶対口外するんじゃねえええぇぇ!!」

「ん~、それは今後のカミやんの心掛け次第ですたい」

「お、脅す気かよオマエ、そうですかそうなんですかそうなんですね!
 くそう、その気になればこっちだってお前の秘密の一つや二つ……!」

「カミや~ん、俺の魔法名知ってるよにゃあ?
 そんな事したら『背中刺す刃』でブスリだぜい。
 情報戦で俺に勝てるとでも思ってるのかい?」

「う……っ!」

 とかく交渉や腹芸となると、上条はこの男に張り合える器量など持ち得ていない。
 いつも言葉巧みに言い含められ、体よく利用されてしまうのだ。

「まぁそれは冗談として、まさかあのカミやんが大人の階段を登ったとはにゃあ」

「だから忘れろっつーの」

「これがねーちんや五和、姫神あたりなら応援の一つもできたんだが……
 なんでよりにもよって、渦中の超電磁砲《レールガン》なんぞを選ぶのかねぇ」



537: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 21:45:33.22 ID:yAKAx0+xo

「……どういう意味だ?」

「カミやん……今自分がどれだけの負担を抱えているのか、理解しているのか?」

 いつの間にか土御門の声色が変わり、狡猾な間諜としての表情を現している。
 魔術界のプロを自称し、市井に生きる上条を不安に陥れる顔つきだ。

「カミやん、この世界にはな……
 禁書目録の知識を利用して、世界の勢力図を塗り替えようと画策する『魔術界の女狐』がいる。
 超電磁砲のDNAを利用して魔術を滅ぼすために、科学の神を気取る『逆さ吊りの奴』がいる。
 二人はカミやんの力すらも利用して、己に都合のいい理想ばかり夢見ている真っ最中だ。
 俺はそんな二人の思惑が交差しないよう今の立場に納まっているが、それも限界が近い」

 土御門は街中のビル群に視線を向け、諦観の表情を浮かべながら語っている。
 彼がそんな表情を浮かべるのは、凡人が直視できない
 裏の世界の話をしているからだろうと上条は推察していた。



538: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 21:50:14.60 ID:yAKAx0+xo

「いずれあの二人は正面からぶつかり合う運命にあるんだろうよ。
 ……カミやん、これは俺から友人としてのよしみで言っておく、大事な忠告だ。
 悪い事は言わん、その激突が訪れる前に
 禁書目録と超電磁砲のどちらか片方だけでも手放した方がいい。
 さもなければカミやんはあの二人を同時に敵に回す事になる。
 両方共とまでは言わない。俺としては、より負担の大きい超電磁砲を手放す方を薦めるがな」

「荷物のやりとりみたいに言うんじゃねえ。お前は美琴になんの恨みがあるんだ」

「個人的な恨みはない。妹の友人だし、そのベランダの洗濯物を見れば
 甲斐甲斐しくて可愛い子だとも思うぜい。
 ……が、なまじ超能力者《レベル5》になった事があの子の不幸なのさ」

「おまえっ、その一言だけは取り消せ! 今すぐだ!!
 美琴に向かって不幸だなんて言うヤツは、俺が相手になってやる!」

 上条が最も過敏になるであろう言葉を、土御門はあっさりと使ってのける。
 土御門は、こうして挑発にたやすく揺り動かされてしまう激情家の上条が
 いつまでも素人っ気の抜けない愚者である事を改めて認識していた。

「そう熱くなるな。わかったわかった、不幸と言ったのは取り消す。
 だがな……彼女の悪夢はまだ終わったわけじゃない。解放するのは至難の業だぞ」

「なんでお前がそれを知ってるかは聞かないが、至難だろうとなんだろうと、
 今のうちから『多分辛そうだからやめます』だなんてみっともねえ事は言わねえよ!
 俺は負担を背負ったつもりはない。美琴と一緒に戦っていくと決めたんだ」



539: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 21:55:39.87 ID:yAKAx0+xo

「超電磁砲自身がそれを望んだのか……。
 彼女は超能力者だが、魔術の世界すら知らないただの一般人だぞ」

「俺だって少し前までそうだったさ。今だって魔術の世界に染まったつもりはない。
 俺達はただ、みんなに笑ってて欲しいだけだ。その幸せを壊すヤツが許せない、それだけだ」

 その言葉を語る少年は、もはや男の表情だった。
 しかしその向こう見ずな姿勢が土御門の癪に障るのか、彼の言葉も徐々に気色ばんでいく。

「目を覚ませカミやん! 今は好きな女を抱いて気が大きくなっているんだろうが、
 この世界を二分して支配する化け物達を前にして、そんな威勢張れる訳がない!」

「同じ事を二度言わせるなよ土御門。
 見えもしない不安に負けて、立ち向かう前から大切な人を見放すようなマネができるか!
 たとえ誰が相手だろうと俺は泣き言言うつもりはねえ。
 守ると誓った以上はなんとしても守るぞ、俺は!」

「それは勇気なんかじゃないぜい。無謀という、バカの考え方だ」

「……お前も俺の夢を笑うクチかよ。
 ああそうさ、俺の周りはみんな現実をちゃんと見つめてる賢い連中ばかりだよ。
 できる事には限度がある、できない事には関わらない……それが普通だよな。
 でも美琴は違う。あいつは俺の夢を大真面目に信じてる、お前の言うところのバカだ。
 それがどうしようもなく嬉しくて、俺はあいつと一緒にいたいんだよ」



540: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 22:00:00.29 ID:yAKAx0+xo

「なるほど、それが超電磁砲を選んだ理由か」

「土御門、お前だって信じるもの、守りたいものがあるんだろ?
 そのためなら魔法名の通り、必要とあらば俺の背中だって平気で刺すんだろうな。
 だけどお前が背中刺す刃なら、俺はあいつの背中を守る拳なんだよ。
 俺と美琴は二人で信じる夢のために、お互いを信じて、背中合わせで戦えるんだ」

「カミやん……」

 上条の信念は揺るぎない。
 熟慮も後退も知らない愚者ではあるが、その愚直さが最大の武器でもある。
 土御門は、己が絶対に持ち得ないものを持っているという点においては
 上条に一目置いているが、同時に交じり合えない存在だとも痛感する。


「インデックスと美琴を利用しようとするヤツ等が何者かは知らない……
 だがそいつのふざけた幻想(ゆめ)は、俺がこの右手で必ずぶち殺してやる!!」


「ふはっ、カミやんならそう言うと思ったんだぜい、この身の程知らずが」



543: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 22:05:00.54 ID:yAKAx0+xo

 土御門の嘲罵にも上条は耳を貸さない。
 どれほど険しい現実を突きつけられても、自分の夢を信じる強さを与えてくれた美琴を
 危機に挑む前から見捨てる事などありえなかった。

「なぁ、話を少し戻すけど、お前はその『二人』の事をどれだけ知ってるんだ?」

「片方についてはある程度腹の内は知っているが、今のカミやんにはまだ言えないぜい。
 コミュニケーション不調を狙って、ふざけた日本語を教えてやった程度の仲だ」

「なんだそりゃ」

「もう片方は……俺もまだ命が惜しいとしか言えないな。
 滞空回線《アンダーライン》―――奴はこの学園都市内の事象を全て掌握している。
 これ以上奴の存在について口走れば、俺もカミやんもただでは済まない。
 カミやんと超電磁砲が立ち向かう事になる相手は、そういう神の如き超越者だ」

「上等だ、俺は神様には嫌われ慣れてる。
 神様が相手だろうと、俺は二人と掴んだ両手を絶対に手放さねえ、絶対にな」

「これほど説いてもわからんかよ……頭に来るほど不器用な男だにゃあ。
 まぁそのクソ熱いところがカミやんらしさなんだろうけどな。ちょっと安心もしたぜい」

「土御門、お前……」

「できる限りサポートはするが、期待はしすぎるなよ」

「ああ、助かる」

「こんなおバカでも大事な友人だからにゃあ、死なれたら香典代が勿体無いぜよ」

「てめえなぁ!」



546: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 22:10:00.61 ID:yAKAx0+xo

 土御門元春にとって上条当麻は、任務上の『監視対象』である。
 だが彼は、友人という立場を全くの擬態に収めるつもりもなかった。
 彼に言わせれば魔術界も科学界も、誰もが見えない繰り糸に縛られている人形舞台だ。
 もしもこの、隷属を強いられた状況を打破する事ができる者がいるとすれば、
 常識から突き抜けたこういうバカなのかも知れないという淡い期待も寄せている。
 バカが二人に増えたと喜ぶ上条の言葉を、真に受けてみようと土御門は考えた。

「だから絶対に死ぬなよ、カミやん」

「ああ。制服姿の美琴を抱くまで俺は死ねねえよ、なんつってな」

「おぉっ、遂にカミやんもこっちの世界に来たにゃあ! いやはや大歓迎ですたい」

「うるせえ! 義妹とのロリメイドプレイしか興味がないお前や、
 無節操な青髪と一緒にされるのは心外だ! 俺は美琴が好きなだけだっ!」

「大差ないぜい、あがくなよロリコン高校生」

「てんめえ~!」

「にゃっはははは……!」

「あはははは……!」



547: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 22:15:01.21 ID:yAKAx0+xo

 気を置けない友人とのふざけた会話の隅で、上条当麻はふと思う。
 仲間思いの友人と、頼れる戦友と、愛らしい同居人と、いとしい恋人と、
 こうしてただ楽しく笑って過ごすだけの毎日が、ずっと続いて欲しいと。
 その日々を壊そうとする者には、たとえ何者であろうと勇ましく立ち向かってみせる。
 その覚悟をくれた恋人と二人で信じる夢は、きっと素敵な未来を切り開くと信じていた。


 クリスマスでも誕生日でもバレンタインでもない、とある平和な冬の一夜。
 上条当麻はこの日、心の中に息づく大切な伴侶(たからもの)を手に入れた。


 ―――その恋人の名は、御坂美琴という。



         - Fin -



549: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/27(木) 22:16:50.28 ID:yAKAx0+xo

投下完了です
お読みいただいた方ありがとうございました

「避妊」「ポリネシアンセックス」「後戯」「後処理」といった、
他の人の手垢が付いてない点にフォーカスしてみました
同人誌やSSではそんな部分いちいち書かないよって部分ばかりですが
この二人ならきっとこうなるだろうと考えるのが楽しかったです

あと上条さんから美琴に告白した理由を色々考えたけど、難しいですね



613: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 18:59:24.91 ID:2qH+F3eeo

改めまして、では番外編を投下します。
元々は本編の一部でしたが、冗長になったため切り離したパートです。
後日談というより同日談です。
本編ではないので台本形式に変えています。
ゆるーい気持ちでお読みください。



614: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:01:01.18 ID:2qH+F3eeo

=美琴「週末は アイツの部屋で しっぽりと」 番外編=


 [13:05 セブンスミスト正面玄関]

涙子「うーいーはーるーぅ!」

バサァ!

飾利「きゃああ、こんな寒い日にまでやめてくださぁい!」

涙子「初春ってば毛糸のパンツ穿いてやんの、ぷくく」

飾利「さーてーんーさーん!?」

涙子「あはは、そう怒るなっつーの」

黒子「何も入り口の外で待たなくとも……陽が出てても寒いですわ」

飾利「あ、御坂さーん、こっちですー」

美琴「ごめーん、ちょっと遅れちゃった」

飾利「いえいえ」

涙子「お待ちしてましたよー、にひひ」

美琴(う、佐天さんてば悪魔の笑顔してる……)

黒子「……では行きましょうですの」

美琴(黒子は黒子でなんだか機嫌悪いし)

飾利(どうしたんですかこの二人?)

涙子(ふふふ、面白い展開になってきてる)



616: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:03:15.47 ID:2qH+F3eeo

 [13:10 セブンスミスト内 婦人下着売場付近]

涙子「で、で!? 夕べはどうだったんですか?」

美琴「え、もうその話に入るの!?」

涙子「当たり前じゃないですかぁ、くふふぅ~」

飾利「え、なになに、何の話ですか?」

黒子「知らぬは初春ばかりなり、ですの。
   お姉様は昨日、はしたなくも殿方の家に外泊されてましたのよ」

飾利「ぬっふぇぇ~!! そ、そうだったんでしゅか!?
   あ、だからこの間も私の部屋に泊まった事にしてくれって……」

涙子(でしゅ?)

美琴「そ、そんなわけないじゃない!
   くっ、黒子アンタ何言ってんのよ!?」

黒子「……この期に及んで隠したがる意味が分かりかねますの」

美琴「ち、違うのよ黒子、初春さん! それは、その……」

涙子「あ、私白井さんには全部バラしちゃったんでー」

美琴「佐天さーん!? まさか言っちゃったのぉ!?」



617: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:06:28.03 ID:2qH+F3eeo

涙子「ねえねえ御坂さん、下着はこの間買ったのをバッチリ着ていきましたか?
   彼氏さんどんな反応でした!? ちゃんと彼に脱がせてもらいました?」

美琴(なんでそんなに目を輝かせて聞いてくるかなぁ)

飾利(佐天さんってば猥談が好きなんですね……)

黒子(そんな話聞きたくないですのぉぉ!!)

美琴「あああ、あのね佐天さん、ここ公共の場だから!
   そういう事話す場所じゃないから!」

涙子「またまた~、下着売り場で話す話題としては当然じゃないですか!
   せっかくこの間初春と相談に乗ってあげたんですから、ねえ」

飾利「はい、私も是非聞いてみたいです」

美琴(う、うう……ここでマイスイッチを切り替えるのは流石に戸惑うわ)

黒子「観念なさいましお姉様」

美琴「あ、あのねぇ」



619: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:09:02.47 ID:2qH+F3eeo


 [13:14 セブンスミスト内子供服売り場]

美琴「やっぱり私は普通のでいいわ。これとかこれとか……」

飾利「カエルやネコのプリント柄は果たして普通なんでしょうか」

涙子「あちゃー、逆戻りしちゃったかぁ」

黒子「所詮はお姉様ですの」

涙子「あの下着、彼氏さんには不評だったんですか?」

飾利「それともまさか、実はこーゆーのが好きな人なのでは」

美琴「ち、違うって! 違うのよ!
   アイツはその……ありのままの私がいいって言ってくれたから、その……」

涙子「うわぁ」

飾利「ナチュラルに惚気ましたね今」

黒子「昨日何があったかもうバレバレですの……」

飾利「白井さんテンション下がりっ放しですねー」



620: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:12:00.60 ID:2qH+F3eeo


 [13:19 セブンスミスト内子供服売り場]

美琴「あれ、みんなは何も買わないの?」

涙子「私は別に見せる人もいないので、しばらくは足りてます」

飾利「私もですね」

美琴「いや別に下着だけとも限らないのだけど」

黒子「……或いはひょっとして、このような下着を身に着けることで
   わたくしもお姉様と……ぶつぶつ……」

美琴「アンタは何考えてんの!」

飾利「あ、それなら薬局に回ってもいいですか?」

美琴「いいわよー」



621: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:15:27.35 ID:2qH+F3eeo


 [13:23 セブンスミスト内ドラッグストア]

涙子「初春、あんた幾つマスク買うのさ」

飾利「毎日使うから箱買いしなきゃなんですよー」

黒子「初春は冬の間ずっと風邪気味とか言ってますの」

涙子「いるよねーそういう人」

飾利「私も好きで引いてるわけじゃないですっ」

涙子「でも私も花粉症だから、春先のために一箱買っとこうかな」

飾利「佐天さん花粉症だったんですか?」

涙子「最近発症したのよー……お花の傍にいる機会が多いからかなぁ」

飾利「へ?」

黒子「ところでお姉様はどちらに……?」



623: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:18:23.46 ID:2qH+F3eeo

『新発売! 極上の安心と快楽をあなたに!
 極薄0.01ミリ! サ○ミオリジナル 12個入 税込¥2280』

美琴(あ、アイツの使ってたのってこれよね……他のに比べて高級品なんだ。
   アイツお金がないとか言ってるのに、気を遣ってくれてるのね。
   一箱買って行こうかな。あ、でももしアイツも買ってきてたらダブるかも。
   一気に24個も手に入れちゃっても、つ、使い切れないわよね……
   で、でも、私、アイツとならそのくらい……えへ、えへへ……)

ヒュインッ

黒子「お姉様、こんなところにおられましたの?
   ……ってまさかこのコーナーはぁぁ!?」

美琴「うわわぁ!? 黒子ぉ!? ち、ちちちち違うのよ!
   私が見てたのはこっち! 生理用品のほうだから!」

黒子「いつにも増してごまかしがヘタですの」

美琴「ううウソじゃないわよ、ほらほら、私来週アレの日だし! だから!」

黒子「大恥を隠す為に小恥を晒さずとも……」

美琴(べ、別の場所で買う事にしよっと)



625: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:20:16.00 ID:2qH+F3eeo


 [13:31 セブンスミスト内ドラッグストア付近]

涙子「白井さんは何も買わないの?」

黒子「わたくし大体の消耗品は学舎の園の中で買いますので」

涙子「私も前行った時買い込んでおけば良かったかな~」

飾利「消耗品の値段じゃなかったですけどね、あれは……。
   あ、あと私、花屋さんに回りたいです」

美琴「じゃあ次はそこに行きましょっか」



626: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:22:44.38 ID:2qH+F3eeo


 [13:36 セブンスミスト内フラワーショップ]

飾利「~♪」

美琴「初春さんがお花を選んでるときって幸せそうな表情よね」

黒子「あと甘い物を選ぶ時もですわね」

美琴(私もアイツに愛されてる時は、あんな表情してたいなぁ)

涙子「でも初春の買う花って、頭についてるのとはいつも別なんですよね~
   あれは何処で買ってるんだろう」

黒子「えっ?」

美琴「えっ?」

涙子「えっ?」



627: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:24:07.74 ID:2qH+F3eeo


 [13:47 セブンスミスト内フラワーショップ]

飾利「今日はとりあえずこのくらいで」

涙子「ねえ……今日って卒業式か何かだっけ?」

黒子「花束並になってますの」

美琴「そんなに買ってどうするの?」

飾利「部屋や支部に飾って眺めるんですよ~」

黒子「だったら鉢植えを買えばいいですのに」

飾利「鉢で買ったら重いじゃないですか」

美琴「あ、あの、ちなみに頭に乗せてる分は……」

飾利「はい?」

黒子「お姉様、ここは勇気ある撤退を」

涙子「その方がいいです」

美琴(親しい二人にココまで言わせる初春さんって……)



629: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:26:16.77 ID:2qH+F3eeo


 [13:49 セブンスミスト内連絡通路]

美琴「あとは何か買う物あるかなぁ」

黒子「……さっきのアレは買わずとも宜しかったので?」

美琴「な、なんの話よ!」

飾利「私はこれで十分です~」

涙子「じゃあ電器店見に行ってもいいですか?」

美琴「いいわよ」

黒子「……」



630: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:28:22.24 ID:2qH+F3eeo


 [13:55 セブンスミスト内電器製品フロア]

涙子「新しいNP3プレイヤー欲しいんですよね~」

黒子「どれも同じように見えますの」

飾利「白井さんの家電を見るポイントは皆とだいぶ違いますから……」

黒子「どーいう意味ですの」

美琴「あれっ、二ヶ月くらい前に買ってなかったっけ?」

涙子「あれ水に濡らして壊しちゃったんですよ……
   操作感もイマイチだったし、あんまり後悔してないですけど」

飾利「佐天さんって、プレイヤーしょっちゅう買い換えてますよね」

涙子「あはは、これ結構懐が痛むのよね。
   うーん、やっぱりまた今度にしよう」



631: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:31:02.38 ID:2qH+F3eeo


 [14:06 セブンスミスト内電器製品フロア]

飾利「あ゛~~~」

黒子「……何をしてますの」

飾利「これ気持ちいいんですよ~~~」

涙子「いるよね、家電店でずっとマッサージチェアに座ってる人って……」

美琴「あ゛~~~」

黒子「お姉様まで!?」

美琴「あーこれこれ、腰の揉みほぐし方いいわぁ~~~」

涙子「中学生がマッサージされてくつろいでる……」

美琴「あ゛~~~」

飾利「あ゛~~~」

黒子「……お姉様の震える声がちょっとそそりますの」

涙子「うわあ」



633: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:34:05.54 ID:2qH+F3eeo


 [14:12 セブンスミスト内電器製品フロア]

飾利「私、食器洗い機が欲しいなぁ」

涙子「高い上に設置がめんどくさそうじゃない?」

飾利「ですけど、あると便利そうですよ。
   この時期食器を洗うのも水が冷たくて、
   春上さんも辛そうにしてるんです」

黒子「給湯器があるでしょうに」

飾利「うちのはちょっと温度加減が難しくて、
   熱湯か水しか出てこない感じなんですよ~」

黒子「だったらそこを直す方にお金をかけるべきですの」

飾利「それもそうですけど」

美琴「でも水が冷たいと洗濯とかも辛いわよね。風呂も沸かすのに時間かかるし」

涙子「それはありますね~」

飾利「常盤台の寮の洗濯は全て業者がしてくれるんでしたっけ? いいなぁ~」

黒子「そうですの。ですから風呂も洗濯も冷たい水で苦労することは特には……!?」

涙子「どうしたの?」

黒子「……なんでお姉様が冷たい水の苦労をご存知ですの?」

美琴「あ、あはははははは……なんでだろ」



635: >>634 美琴以外も全員下の名前で統一したかったので ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:37:32.56 ID:2qH+F3eeo


 [14:18 セブンスミスト内電器製品フロア]

飾利「新型パソコンも欲しいなあ」

黒子「風紀委員《ジャッジメント》の支給品で十分でしょうに」

飾利「自宅用ですよ。あとポータブルなタイプとか」

黒子「一人で何台使うつもりですの?」

飾利「サーバー、デスクトップ、ノート、スレート、ポータブル。最低五台ですね」

涙子「初春……人間の手は二本しかないんだよ?」

飾利「リモートすればマウスとキーボードは一つずつで済みますっ。
   あ、そうそうノート用のマウスも欲しいなぁ。あとデスクトップ用のマウスも」

涙子「一つずつで済むんじゃなかったの?」

飾利「ノート用はワイヤレスの高dpiなタイプ、デスクトップ用は
   レーザートラックボールタイプがそれぞれ不可欠なんですっ!」

涙子「ごめん何言ってるかわかんない」

黒子「……またお姉様がいなくなってますの」



636: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:40:12.70 ID:2qH+F3eeo


 [14:20 セブンスミスト内家電製品フロア]

美琴(確かあの冊子に、ハンディマッサージャーを使って
   スキンシップを深める行為の事も書いてあったわよね。
   アイツも小道具を使った事してみたいって言ってたし……
   これをアイツに押し当てられたら、わ、私どうなっちゃうのかな)

ヒュインッ

美琴「黒子、店内を空間移動《テレポート》で探し回るのは止めなさいよっ」

黒子「ちょっと目を離すと、すぐ離れていかれるお姉様も問題ですの」

美琴「全く……」

黒子「またマッサージ機を見てますの?」

美琴「うん、ちょっと興味が出てきて」

黒子「お姉様のコリはわたくしがいつでもお揉みいたしますの」

美琴「それが嫌でこういう道具探してるんだけど」

黒子「でもお姉様にマッサージしてもらうのも魅力的ですの……あはうはえへふひひー」

美琴(……私ノーマルで本当に良かった)



637: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:43:06.63 ID:2qH+F3eeo


 [14:20 セブンスミスト内家電製品フロア]

涙子「御坂さん、炊飯器なんて見てどうしたんですか?」

美琴「へ? いや、ただ単に最新の機器ってどんなのかなって思って」

飾利「『真空内釜圧力高性能AI付きプラチナ釜炊飯ジャー』……?
   なんかすごい謳い文句ですね、この製品」

黒子「こんな所帯じみた機器を見ても何の参考にもならないですの」

美琴(アイツの家の炊飯器って3合炊きなのよね……
   インデックスの事を考えたら1升炊きのがあった方がいいのかも。
   来週は沢山人が来るし、大きいに越した事はないわよね)

黒子「……どうしてそんなにも真剣に見てますの?」



638: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:45:18.51 ID:2qH+F3eeo


 [14:27 セブンスミスト内家電製品フロア]

美琴(アイツ、朝になったらうっすらヒゲが生えるのよね。
   T字剃刀で剃るのめんどくさそうだったし、こーゆーのがあれば……)

涙子「御坂さん、ボディシェーバーが欲しいんですか?」

美琴「う、ま、まぁ、女の子のエチケットとしてね」

飾利「でもこれって男性用のヒゲ剃りですよ?」

黒子「お姉様が何を見ているか、なんとなく分かった気がしますの」

美琴「だ、男性用の方が使いやすいのかなって思っちゃったりしただけよ」

涙子「そ、そんなに剛毛なんですか?」

美琴「うっ、ま、まぁね……」

黒子「そんな事ございませんですわよ」

美琴「アンタが答えんな!」

ぶぃ~~~~~ん

黒子「初春もいじって遊ばないでくださいまし!」



639: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:48:21.15 ID:2qH+F3eeo


 [14:31 セブンスミスト内家電製品フロア]

美琴「……」

涙子「今度は冷蔵庫見てる……」

飾利「しかも結構大型のですよアレ」

涙子「引越しでも考えてるのかなぁ」

黒子「まるで一人暮らしを始める学生のようですの」

涙子「御坂さん」

美琴「ふぇっ!?」

涙子「あの、それはどういった理由で見てるんですか?」

美琴「あ、あのこれはね、大食いの子供がいるような一般家庭では
   どのくらいのサイズが好まれてるかっていう市場調査をね」

涙子(一般家庭……学園都市なのに?)

飾利(言い訳が苦しすぎますよ御坂さーん!)

黒子(大食い? ……もしや)



640: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:51:27.68 ID:2qH+F3eeo


 [14:39 セブンスミスト内家電製品フロア]

美琴「……」

涙子「とうとう洗濯機を見はじめちゃったよ」

飾利「本気で一人暮らしを考えてるんでしょうか」

黒子「いえ、あれはむしろ……」

美琴(シーツや毛布も一気に洗える大型ドラムタイプがいいわよね……
   あとはペットの匂いも消すような消臭システム付きがいいかしら……
   白物を沢山洗うから漂白がしっかりできる機能も欲しいかも……)

涙子「商品を見る視線が真剣すぎて怖いんだけど」

飾利「もはや主婦目線ですよね、あれ」

黒子(お姉様もしや、もしやぁぁ!)



641: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:53:12.80 ID:2qH+F3eeo


 [14:47 セブンスミスト内電器製品フロア]

美琴(掃除機とテレビは今のでも足りてそうね。あと必要なのは……)

黒子「お姉様、そろそろ初春達も痺れを切らしていますので」

美琴「あ、ああごめん」

飾利「御坂さん、何をそんなに真剣に見てたんですか?」

美琴「えーと、実は誕生日プレゼント何にしようかなって思ってて」

涙子「洗濯機は誕生日プレゼントってレベルじゃないですよ!」

飾利「さ、さすがお嬢様はプレゼントの規模が違いますね……」

黒子「というか誰の誕生日の事ですのぉぉぉ!?」

美琴(クリスマスに手作りのマフラーと手袋をあげたから、
   誕生日には実用的なのをって思ったんだけど……
   よく考えたら、誕生会で披露するような物じゃないわよね。
   シェーバーなら小さいし、あれにしよっかな)



642: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:55:11.69 ID:2qH+F3eeo


 [14:51 セブンスミスト内連絡通路]

美琴「うーん、プレゼント選びって難しいわね」

涙子「ちょっと私にはその感覚分からないです……」

飾利「普通、家電どうこうでは悩まないです……」

黒子「というか、誰にプレゼントする予定ですの?」

美琴「アイツ」

黒子「言い切りましたわねお姉様!?」

飾利「アイツって、まさか彼氏さんですか!?」

美琴「うん、もうじき誕生日なの」

涙子「彼氏に冷蔵庫や洗濯機贈るんかーい!」

美琴「いや、さすがに私も家電贈ろうとか考えてないわよ!?
   もっと小さくて手軽な物を贈る事にするって!」

飾利「是非そうしてあげてください」

涙子「ならあの真剣に見てたのは一体……」

黒子「ぐぬぬぬぬ」



644: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 19:58:13.72 ID:2qH+F3eeo


 [14:53 セブンスミスト内連絡通路]

美琴「……で、あとは見て回りたいものってあるかしら?」

飾利「私はもう十分です」

黒子「私も結構ですの」

涙子「うーん、私もOKですね」

美琴「じゃあそろそろ3時だし、場所変えましょ」

黒子「絶好のティータイムですの」

涙子「うーいはるーぅ」

飾利「はい、今日は私が案内しますね」

涙子「初春がいい雰囲気の喫茶店を見っけたらしいですよ」

美琴「へえ~」

黒子「初春のセンスは少々怪しいですの」

飾利「パフェの美味しそうなお店を見つけちゃったんです~!」



645: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:00:05.22 ID:2qH+F3eeo


 [15:12 とある喫茶店]

美琴「へえ、なんだか店内がアメリカ西部風ね」

黒子「学園都市でログハウスのお店なんて珍しいですわね」

涙子「初春、ここはうちら学生の来る様な場所じゃないんじゃない?」

飾利「いいじゃないですか、ほら、店内に学生のお客さんいますよ」

涙子「ホントだ」

飾利「2階の席に予約とってあるんですよ」

美琴「2階? あ、ロフトになってるんだ」

黒子「階段が随分と急ですの……」

ヒュインッ

涙子「あ、ずっこい!」



646: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:02:04.99 ID:2qH+F3eeo

飾利「細かいところで能力に頼りますよね、白井さんって」

美琴「私達は普通にあがりましょ」

涙子「むしろ普通にしか上がれません……」

飾利「あれっ、御坂さんどうしたんですか?」

美琴「わ、私は最後に上がるからお先にどうぞー、あはははは……」

飾利「さ、佐天さんがお先にどうぞ」

涙子「う、うん」

美琴(短パン乾いてないから今履いてないのよね)

飾利(まためくられたら困りますっ)



647: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:04:57.85 ID:2qH+F3eeo


 [15:14 とある喫茶店 2階ロフト]

涙子「2階が貸し切り状態だね」

飾利「閉塞感がなくていいですね、ここ。
   ここから店内を一望できますよ」

黒子「ふむ、悪くないですの」

美琴(隠れ家的でいいなぁ。今度アイツと来てみよっかな)

飾利「ここはパフェメニューが盛り沢山らしいですよ~」

黒子「実に初春らしい選択動機ですの」

店員「いらっしゃいませ」

涙子「わぁ、イケメン店員さんだ」

店員「ご注文をどうぞ」

美琴(そしてアイツと二人で一つのパフェを食べてみよっ)

黒子「確かにデザートメニューが豊富ですのね」

飾利「今日は一気に三つ行っちゃおうっと」

涙子「いい加減にしないと太るよ初春~」

美琴(お互いに食べさせあって、後でキスで味を伝え合って、それから……)

涙子「ねえ御坂さん、そろそろ戻ってきてください」



648: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:06:39.50 ID:2qH+F3eeo


 [15:16 とある喫茶店 2階ロフト]

黒子「わたくしはこのレアチーズケーキ紅茶セットで」

涙子「私はこの世界旬味ってパフェとカフェオレをセットで」

飾利「ヨーグルトフルーツパフェと苺づくしグルメパフェと贅沢チョコパフェ」

涙子「あんたマジ太るよ」

美琴(バレンタインはちょっと気取ってチョコパフェなんてのもいいかもっ)

黒子「お姉様!」

美琴「な、何よいきなり!?」

黒子「店員がお待ちになってますので注文してくださいまし」



649: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:08:06.14 ID:2qH+F3eeo

美琴「あ、そ、そうね、私はこのマンゴーパフェと、キリマンジャロをセットで」

店員「かしこまりました」

飾利「あ、そっちの方が良かったかも」

涙子「どうしたもんかなこの子の甘党っぷりは」

美琴「じゃあみんなのパフェ後で一口ずつ交換しましょ」

涙子「さんせーい」

黒子「あ、わたくしも……」

飾利「白井さんはケーキじゃないですか」

ゴンッゴンッゴンッ

美琴「二階で顔ドラムはやめなさい」

涙子「常盤台の人ってどっかアレだなぁ……」



650: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:10:07.11 ID:2qH+F3eeo


 [15:19 とある喫茶店 2階ロフト]

飾利「さてさて、注文も終わったところで」

涙子「ではいよいよ参りますか~。御坂さん!」

美琴「は、はい!?」

涙子「詳しく聞かせてくださいよ~、彼氏さんのこと」

黒子「やっぱりその話ですの?」

飾利「はい。だって私達、御坂さんに彼氏さんがいるって聞いただけで
   どんな人かとか、どんな出会いだったとか全然聞いてません」

涙子「そこはどうしても気になるよね~」

黒子「そういえばわたくしも、あの殿方とお姉様が
   顔見知りになったきっかけは存じ上げませんわね……」

飾利「白井さんはその人の事ご存知なんですよね?」

黒子「ご存知というほど親しい仲でもありませんの。
   あんな類人猿の何がそんなにありがたいのやら」

涙子「悪そうな人なの?」

黒子「あれはただのアホですの」

美琴「あのねえ」



651: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:12:30.14 ID:2qH+F3eeo


 [15:25 とある喫茶店 2階ロフト]

店員「レアチーズケーキ紅茶セットのお客様」

黒子「はいですの」

店員「キリマンジャロとカフェオレのお客様」

美琴「あ、私キリマンジャロ」

涙子「カフェオレは私でーす」

店員「ごゆっくりどうぞ」

涙子「……えーとつまり、その上条さんって人は
   御坂さんの恩人なんですね」

美琴「そ、そうなのよ。
   (妹達の事は言えないから説明が回りくどくなっちゃったなぁ)」

飾利「誰かと思ったら、あの大覇星祭の時の人だったんですね~」

黒子「卑しくもお姉様とダンスを踊ってましたわね……」

美琴「あれは私から誘ったのよ!
   そーいやアンタのせいでグチャグチャになったっけね!」

涙子「積極的ですねえ~御坂さん」



652: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:14:01.78 ID:2qH+F3eeo


飾利「そ、それで、どちらから告白したんですか?」

美琴「あ、アイツから……」

涙子「ふわあ、常盤台のエースに告白するとか、度胸あるなぁ」

黒子「ただの身の程知らずですの」

飾利「それをOKしたんですか?」

美琴「うん……なんていうか、舞い上がる気分だった」

飾利「ふええ~、いいなぁ~」

黒子(部屋でやたらモジモジとされていたあの日ですわね、多分)



653: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:16:20.50 ID:2qH+F3eeo

涙子「その人って、能力はどんな感じなんですか?」

飾利「やっぱり高レベルの人なんですか?」

美琴「ううん、アイツの測定結果はレベル0らしいの。
   でも測定器が測れないような、強い心と能力を秘めてるのよ、アイツは」

涙子「レベル0がレベル5に告白したんだ……」

飾利「でも御坂さん、なんだか誇らしげですよね」

黒子「まぁこの都市には、噂の『ナンバーセブン』のように
   奇妙チクリンな能力者というのも少なからずいるようですし。
   それに、あの殿方の能力は何かと使いづらそうですの」

涙子「だけど何か特別な力を持ってるって、それだけで羨ましいけどなぁ」

美琴「でも、たとえ本当の本当に無能力でも、
   アイツの本質はきっと何も変わらないと思う。
   私はそんなアイツの心が好きになったんだから」

涙子「……なんだろう、このカフェオレめっちゃ甘い気がしてきた」

飾利「私まだ何も食べてないけど甘いです~」

黒子「おかしいですわね、このケーキしょっぱいですの」



655: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:18:03.49 ID:2qH+F3eeo

店員「世界旬味パフェのお客様」

涙子「あ、はーい」

店員「ヨーグルトフルーツパフェのお客様」

飾利「は~い」

店員「贅沢チョコパフェのお客様」

飾利「はーい」

店員「い、苺づくしグルメパフェのお客様……」

飾利「はい~」

店員「……ごゆっくりどうぞ」

涙子「うう、店員さんの冷めた視線が痛い」

黒子「もう慣れましたわ」

美琴「私だけ来ない……」



657: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:20:11.59 ID:2qH+F3eeo

黒子「話を戻しますが、それにしてもお姉様。
   まぁ一億歩譲ってあの殿方と交際されるのは
   一時の気の迷いとして仕方ないにしても」

美琴「何よそのトゲトゲしい言い方」

黒子「せめて外泊だけはおやめくださいまし。
   寮監のペナルティが幾つ溜まっているとお思いですの」

美琴「そ、それはわかってるけど……その……
   同室のアンタにも迷惑かけてるのは申し訳ないと思うけど……
   どうしてもアイツの傍にいたくなるのよ……」

涙子「すっごい惚れ込んでるなぁ」

飾利「白井さん的には踏んだり蹴ったりですね」

黒子「はぁ……あのド厳しい規則については、わたくしも一家言ないわけでもごさいませんが、
   それにしてもほぼ毎週のように外泊などと……常盤台のエースが嘆かわしいですの。
   ジャッジメントとして、不純異性交遊は見逃せませんわよ」



658: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:22:15.10 ID:2qH+F3eeo

美琴「だ、誰が不純だっての! 私と当麻はちゃんとした仲よ!
   都合に合わせてジャッジメントの金看板を振りかざすなっつーの!」

黒子「んまぁ! とうま、ですって……!?
   お姉様ったら、今まではほんの一度たりとも
   あの類人猿の名前を呼んだ事などございませんでしたのにィ~!」

美琴「アンタこそ、当麻を類人猿呼ばわりするのいい加減止めなさいよ!」

黒子「類人猿でダメなら馬の骨ですわ!」

美琴「アンタは私のパパかぁぁ!」

涙子「え、えーと、お二人とも公共の場ですからその辺りでどうか……」

飾利「うーん、このチョコパフェ、甘さが重すぎて全体のバランスが今一つですねぇ」

涙子「あ、こら初春逃げんなー!」

美琴「ぐぬぬぬぬ……!」

黒子「うぬぬぬぬ……!」

涙子「すごい形相だ……」



659: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:24:13.58 ID:2qH+F3eeo

黒子「大体わたくしが父親だったら、なお絶対に外泊など許しませんですわよ!」

美琴「ざーんねん、ウチはちゃんと両親公認の仲だもーん」

黒子「ぬなぁ!? ま、まさかそんな、あのお母様が……」

美琴「むしろこっちが引くくらいノリノリな人達なのよね」

黒子「ええい、御坂家の家風には負けていられないですの!
   学生たるもの学業と能力開発が本分ですの!
   常盤台の寮は無申請の外泊は認めておりませんの!
   ですから、お姉様があの類人猿と夜な夜なアハンウフンなどという羨ま……
   ごほん、けしからん事はぜっっったいに認められないですの!」

美琴「つーか最後のだけがアンタの本音じゃないの?」

黒子「それに、あの殿方は確かあのちびっこいシスターと
   同居されているというお話でしたわよね?
   あの方は一筋縄では行きそうにございませんが」

涙子「わ、何やら修羅場を想起させるワードが出てきた」

飾利「わくわくしますね~」

涙子「修羅場と聞いて戻ってきたよこの子」



660: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:26:02.94 ID:2qH+F3eeo

美琴「ふふん、インデックスともちゃーんと話つけてあるもんね。
   週1ならお泊まりOKだってさ」

黒子「ぐぬぬぬ……今時の若者の貞操観念は一体どうなってますの」

飾利「よりによって白井さんがそれを言うかなぁ」

涙子「うわキツッ」

黒子「では三人で一つの部屋に泊まってますの?」

美琴「ううん、その日だけインデックスが外泊してくれてるの」

黒子「なにぬぅ!? でっ、ではっ、本当の本当に二人きりですのぉぉ!?」

美琴「当たり前じゃない。誰にも邪魔されたくないし」

涙子(うはぁ、これはもう間違いなく一線越えてるね)

飾利(ほぼ確実ですね)

黒子「認めません認めません認めませんですのぉぉ!!」

美琴(はぁ……やっぱりこの子の説得には骨が折れるわ)



662: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:28:05.21 ID:2qH+F3eeo

黒子「ちなみに、その時あのシスターは何処に外泊されてますの?」

美琴「当麻の担任の先生の所らしいわよ」

涙子「うはぁ、さては爛れた教師と生徒の関係ですか!?」

飾利「ぬっふぇぇ~!?」

美琴「佐天さん、なにげに暴走してるよねあなたも」

涙子「たはは、すいません」

黒子「学園都市の風紀はいったい……」

飾利「だから白井さんがそれを言うのはちょっと」



663: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:30:06.56 ID:2qH+F3eeo

美琴「みんな何か勘違いしてるでしょ!
   当麻の担任の先生は女性よっ」

涙子「ちぇっ、残念」

美琴「なんの舌打ち!?」

飾利「というか、上条さんって人、違う女の子と同棲してるんですか?」

涙子「うん、そこ超気になるんですけど」

黒子「確かにあのシスターの存在は何かと謎めいてますの」

美琴「同棲じゃなくて居候! 同棲じゃなくて同居!
   ここ勘違いしないでよね! ねッ!」

黒子「は、はいですの……」

涙子「すごい剣幕……」

店員「……」



664: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:32:10.32 ID:2qH+F3eeo

美琴「あっ」

店員「ま、マンゴーパフェのお客様」

美琴「は、はい」

店員「ご、ごゆっくりどうぞ……」

涙子「店員さんの視線が痛い……」

黒子「ではつまり、あの殿方の担任もシスターも
   殿方とお姉さまを一つ屋根の下に泊まらせるために
   気を遣っているという事ですの!?」

美琴「うーん、ちょっとそこは色々とあるんだけど
   結果的にはそうなるのかな」

黒子「とんだ教師ですの」

飾利「贅沢チョコパフェは55点ですね。微妙だなぁ」

涙子「もうたいらげたの!?」

飾利「はい。次は苺づくしグルメパフェにしようっと。
   いっちごっ、いっちごー♪」



667: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:34:08.81 ID:2qH+F3eeo

黒子「……でしたらせめて、寮ではなくホテルに泊まったらいかがですの?
   男子寮にしけこむなどと淑女としてあるまじき習慣ですの」

美琴「アイツの家じゃなきゃ意味ないでしょ!
   私がアイツのご飯作ったり洗濯したりしてあげてるんだから!」

涙子「なるほどね、さっきのアレはそーゆー事かぁ」

飾利「御坂さん、すっかり通い妻ですね」

美琴「つ、つま!? そ、そう見えるかなエヘヘヘヘ……ふにゃあ」

黒子「おっ、お姉様っ、ここでそれは危ないですので
   おやめくださいましあばばばばばば!!」

飾利「イチゴも変に酸っぱいしクリーム味もくどいし、こっちもまるでダメですね……
   このお店けっこう期待してたのになぁ~」

涙子「何このカオス」



670: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:36:04.01 ID:2qH+F3eeo

美琴「……で、話がとっちらかったから元に戻すけど、
   色々あって、12月から彼氏と付き合ってます。
   みんなに隠しててごめんなさい。これからはオープンに交際します」

涙子「パチパチパチ」

飾利「パチパチパチ」

黒子「ううう、とうとうご自身でお認めになられましたわね……」

涙子「幸せそうでいいなぁ~」

飾利「クリスマスやお正月も一緒だったんですか?」

美琴「まぁね。帰省したら実家もたまたま近所同士だったし、
   両親達も仲良いもんだからさ、過ごしやすくて」

涙子「じゃあもうお膳立てはバッチリじゃないですか」

黒子「何のお膳立てですの……」

飾利「もちろん結婚ですよ」

黒子「ぐはぁ!!」

涙子「容赦ないなーういはるー」



674: >>669 またやってしまいました、すみません… ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:38:37.48 ID:2qH+F3eeo

飾利「ってことは、彼氏さんのご両親にもお会いしたんですか?」

美琴「う、うん……というか、大覇星祭の時に
   アイツのご両親とは一度お会いしてたんだけどね」

黒子「わたくしの知らぬ間にそんな事があったんですの……」

涙子「にひひ、ショックが累積してるね白井さん」

美琴「で、でもその頃はまだ付き合ってなかったし」

飾利「でもその頃から好きだったんですよね?」

美琴「……うん。母さんがその辺見抜いちゃってて
   色々気を利かせてくれたみたい」

涙子「いいなぁ、家族ぐるみで恋の応援なんて」

飾利「聞いてて羨ましくなりますね」

涙子「あー、あたしもこれくらい惚れ込む彼氏欲しいなー」

黒子「初春っ、呪いの藁人形ってどこに売ってるか検索してくださいまし!」

飾利「非科学的すぎますよっ!」



675: >>657-658 ×不順 ○不純 ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:40:45.73 ID:2qH+F3eeo

涙子「ところで、その彼氏さんの写真ってありますか?」

美琴「うん、今待ち受けにしてるの」

涙子「うはっ、肩を抱き合ってラブラブだ~」

飾利「あー、やっぱりあの時の人でした」

黒子「携帯のペア契約されていた時の写真ですわね」

涙子「ぺっ、ペア契約!?」

美琴「うん……あいつの連絡先を聞き出すきっかけにしようと思って
   契約を持ちかけたの」

飾利「えっ?」

涙子「それってなんか順番おかしくない?」

黒子「大胆なのか奥ゆかしいのか図りかねますの」



676: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:42:31.65 ID:2qH+F3eeo

涙子「さて御坂さん、ずばり聞いちゃってもいいですか?」

美琴「な、何を!?」

涙子「昨夜の事ですよ、うふふふふ~♪」

美琴「う……やっぱりそこを聞きたいの?」

涙子「はーい、聞きたいで~す」

飾利「はーい、聞きたいで~す」

黒子「聞きたくないですの……」

涙子「多数決で決定です!」

黒子「わが国の民主主義は死に絶えましたの!
   司法権を排除した多数決などという数の暴力によって!」

美琴「物騒な事言ってんじゃないの!」

飾利「現実から逃げるって大変なんですね~」

美琴「……で、実際どう話したらいいのかしら」



678: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:44:03.58 ID:2qH+F3eeo

涙子「どうって……彼氏さんの家に行ってから何をしたかですよ」

美琴「ご飯作って食べて、お風呂入って寝て、洗濯して勉強手伝ったわ」

飾利「ディティールがなさすぎです!」

美琴「ねぇそれって本当に必要!?」

涙子「だって……ねえ、そこだけ聞いてもラブラブっぷりは
   想像できますけど、なんかこう、ねえ」

飾利「もっと詳しく聞きたいですよね」

涙子「たとえばお風呂は一緒に入ったのかとか」

飾利「ご飯を食べさせあいっこしたのかとか」

涙子「彼氏さんと一緒の布団に寝たのかとか」

飾利「彼氏さんの下着を洗ってあげたのかとか」

涙子「そのうち一つでもあったら凄いなーって」

美琴「あううう……(全部やったとは言いづらい……)」

黒子(……あの緩んだ表情では、全部やったといわんばかりですの)



679: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:46:15.58 ID:2qH+F3eeo

美琴「具体的にどう詳しく話せばいいの?」

涙子「それはもう、下着を彼に見せるまでの一部始終を」

飾利「佐天さんはそこばかり気にしすぎです!」

黒子「はしたないですの……」

美琴「アンタなんて頼まなくても見せてくるわよね!?」

涙子「それでそれで、彼氏さんは優しくしてくれましたか?」

美琴「ふぇっ!?」

飾利「それともちょっと強引だったり!」

美琴「ふええっ!?」



680: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:48:34.48 ID:2qH+F3eeo

黒子「ちゃんと避妊はされたんでしょうね、お姉様!?」

美琴「ちゃんとしたわよっ!! ……はっ!」

涙子「したんだ」

飾利「したんですね」

黒子「致したんですのね」

美琴「しまった、ハメられたぁぁぁ」

涙子「いや、もう今更でしょ」

飾利「ハメられちゃったんですか~」

黒子「お下品ですわよ初春ッ!」



682: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:50:15.49 ID:2qH+F3eeo

涙子「あの、やっぱり最初は痛いんですか?
   今日歩きづらいとかあったりしますか?」

美琴「えーと、その……実は昨日が初めてじゃなくってさ」

飾利「えええ!?」

黒子「なるほど、お姉様はとっくの昔から
   類人猿の毒牙に侵されまくってましたのね……
   うう、一体どれほど汚されたのか……」

美琴「にっ、二回目よ、まだ二回目! なんの想像してるのよ!」

涙子「痛かったですか?」

美琴「どうしてもそこを掘るのね……
   まぁ、その、最初はちょーっと痛かったかな」



686: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:52:18.55 ID:2qH+F3eeo

飾利「ふえええ~!」

涙子「やっぱりそういうもんなんだー」

黒子「あの類人猿めぇぇぇぇぇ!!」

美琴「でも、アイツ自身はすごく優しいの。
   割れ物を扱うみたいにして接してくれてる。
   少し物足りなくて、私からグッと近付く時もあるわね」

黒子「そんな繊細な殿方には見えませんが……」

美琴「私にはちゃんと伝わってるもん」

飾利「ふぃー、ごちそうさまです」

涙子「甘々だねえ、ストロベリってるねえ」

黒子「これまたえらい死語ですの」



689: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:54:40.36 ID:2qH+F3eeo

飾利「お二人はいつもどっちがリードしてるんですか?」

美琴「普段は私だけど、二人きりのムードになるとアイツかなぁ。
   あ、でも口でしてあげてる時と、上に乗った時は私のリードかも」

飾利「それってもしかして、もしかして……ぬっふぇぇ~!!」

涙子「み、御坂さんってばだいたーん!」

黒子「聞きたくない聞きたくない聞きたくないですわぁぁ!!」

飾利「白井さん、戦わなきゃですよ現実と!
   ひょっとしたら二人はもっと過激な事してるかも!
   ○○○とか××××とか△△△△△とか!」

黒子「いやあああああああですのぉぉぉぉ!!」

涙子「キワどい言葉で追い討ちすんなっ!」

美琴(やっぱり詳細には話せないわよね……アハハハ)



693: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:56:43.95 ID:2qH+F3eeo

美琴「それとね、私明日にでも産婦人科に行こうと思うの」

黒子「がはぁ!!!」

涙子「しっ、白井さ―――ん!?」

飾利「あ、事切れた」

美琴「大丈夫、黒子だもの」

飾利「そうですね」

涙子「いいんかい!」

飾利「でも、ど、どうしてですか!?」

涙子「ま、まさかもうお腹の中に彼氏さんの!?」

飾利「ぬふぇぇ~!!」



694: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 20:58:19.74 ID:2qH+F3eeo

美琴「違う、ちーがうから!
   ただ単に避妊ピルを処方してもらおうと思って、ね!」

飾利「言ってる事の過激さはあんまり変わらないと思います」

涙子「うはぁ、避妊薬とかちょっと縁遠い感じだなぁ」

飾利「でも固法先輩も飲んでるらしいですし、
   ジャッジメントには結構そういう人いますよ」

美琴「そうなの!? やっぱり豊胸の効果もあるのかな……」

黒子「……はっ、ここはどこですの!?
   一瞬、死んだひいお婆様が向こう岸に見えたような……」

飾利「あ、戻ってきました」

美琴「ほらね」

涙子「扱いがぞんざいだー!?」



696: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 21:00:20.53 ID:2qH+F3eeo

涙子「御坂さん……その、彼氏さんとそういう関係になって、今幸せですか?」

美琴「うん、とても幸せ。
   アイツのお陰で、昨日はすごく幸せな一夜だったってはっきり言える」

飾利「だったら良かったです。
   御坂さん、一時期凄く落ち込んでたから気になってて……」

美琴「あ、あはは……あの時は色々あって一番精神的に落ちてたのよ」

黒子(お姉様が学舎の園から数日間失踪した後の事ですわね……)

涙子「うーん、正直に言うと、幸せそうなのは何よりなんですけど、
   御坂さんの恋ってちょっと前のめりし過ぎてるように見えちゃって」

飾利「仕方ないですよ。誰だって恋は盲目です」

美琴「それはあるかも知れない。でも私にとってこれは、ただの恋じゃないの。
   アイツとは、とても大切な夢を共有できる特別な間柄になれたのよ。
   そんな恋は人生のうちで二度とできない貴重な事だと思う。
   14才の小娘が何を言ってるのかって思うかもしれないけれど」

黒子(お姉様の夢見る、絵空事のように甘い世界を、あの殿方も信じているのですわね。
   思えば、二人に助けられたあの時に、わたくしはとうに知っていたはずの事……)



697: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 21:02:31.32 ID:2qH+F3eeo

涙子「すごく……本気なんですね」

美琴「うん、これが私の最初で最後の恋になって欲しいくらいよ」

飾利「最後の恋……最初の恋よりも重い言葉ですね」

美琴「あはは、私って実は重い女なのかも。
   でも良かった、アイツに想いが届いて。届かなかったら私どうなってたんだろ。
   ……アイツがあの時生きて帰らなかったとしたら、今頃私は……」

涙子「あの時?」

美琴「あ、いや、それはこっちの話なんだけどね。
   私は私の信じる世界を、壊さずに済んで良かったなぁって思ってさ」

飾利「は、はぁ」

黒子(あの約束を……ちゃんと守ってくださってますのね、上条さん)

美琴「アイツと私はすごく似てるの。一緒と言ってもいいくらいに。
   アイツが合わせてくれるわけでもなくて、アイツに合わせるわけでもなくて、
   気が付いたら二人で同じ夢を信じていたの。
   だから私はアイツが……当麻がどうしようもなく好きなんだと思う」



698: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 21:04:02.35 ID:2qH+F3eeo

黒子(悔しい事ですが……今のお姉様は心から幸せそうですの。
   お姉様は遂に、ご自身の全てをさらけ出せる伴侶を手に入れられたのですわね)

美琴「だから、私はこの想いを大切にしていきたいの。ずっと、ずっと」

黒子(……、露払いを名乗るのも潮時でしょうか)

涙子「ふええ~、さすがオトナだなぁ御坂さん」

飾利「なんだかちょっと御坂さんが遠い所に行っちゃったような……」

美琴「あ、あはは、でも普段はいつも通りこんなもんよー。
   あんまり変な距離感感じないでくれると嬉しいんだけど」

涙子「それはもう。名高い常盤台の超電磁砲は、いざ話してみたら
   ただの恋する乙女だってよーく分かりましたから」

美琴「さ、佐天さんってば、もう!」

飾利「この四人で仲良くってのは、ずっと変わらないでいたいですね」

美琴「そうね……これからも宜しくね、佐天さん、初春さん」

涙子「いえいえ、こちらこそ」

飾利「これからも宜しくです」

黒子「……」



699: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 21:06:07.38 ID:2qH+F3eeo

美琴「ねえ、黒子」

黒子「な、なんですのお姉様、改まって」

美琴「これからも末永く、パートナーとして宜しくね」

黒子「お姉様……わたくしは、これからもお姉さまの傍にいても宜しいですの?」

美琴「はぁ? 当たり前じゃない。つーか何処行こうってのよアンタ」

黒子「お姉様……愛してますわぁぁおっねぇさまぁ―――ぁあばばばばばば!!!」

美琴「まったく油断も隙もありゃしない、フン」

黒子「ちょ、ちょっと抱きつこうとしただけです、の……ガクッ」

涙子(照れ隠しだよね、あれって)

飾利(ですね、二人とも)



700: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 21:08:04.21 ID:2qH+F3eeo


 [16:33 とある喫茶店 2階ロフト]

飾利「皆さん、味的にはどうでした?」

涙子「うーん、普通かなぁ」

黒子「突出した点はありませんわね」

美琴「私、店の雰囲気は好きなんだけどなぁ」

飾利「じゃあまた次のお店をチェックしなきゃです」

涙子「4時半を過ぎたし、暗くならないうちに帰らないとだね」

美琴「じゃあ私先に会計しておくわ。
  (下から覗かれないように最初に降りようっと)」

涙子「ごちでーす!」

飾利「ごちそうさまでーす」

黒子「ごちそうさまですの」

ヒュインッ

涙子「あ、だからズルいって!」

飾利「この階段下りると急で怖いですね……」

涙子「白井さん、私達も連れてってくれたらいいのに~」



701: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 21:10:03.55 ID:2qH+F3eeo


 [16:35 とある喫茶店前]

涙子「じゃあ、私達はこっちの方角なんで」

飾利「ここでお別れですね」

美琴「うん、またね二人とも」

黒子「ごきげんようですの」

飾利「うう、両手が塞がっててバイバイできないですぅ」

バサァ!

飾利「ひい!? だからそれやめてくださぁーい!」

涙子「あんた花だのマスクだの買いすぎなのよ……。
   んじゃ代わりに私が両手でバイバーイ!」

美琴「元気ねえ、佐天さんは」

黒子「あの天真爛漫さは羨ましいですわね」



702: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 21:12:53.55 ID:2qH+F3eeo


 [16:51 常盤台中学 学生寮 入り口付近]

黒子「……」

美琴「ねえ、黒子」

黒子「はい」

美琴「今の私、おかしいのかな」

黒子「ちょっとお浮かれ気味のようですが、まぁ普通の範囲だと思いますの」

美琴「ごめん、私が浮かれてる間に一番迷惑かけてるのはアンタだよね……」

黒子「お姉様……」

美琴「今度からは、せめて外泊申請してから出掛けるようにするわね。
   寮監が納得してもらえるような理由を捻り出すのは大変そうだけど……」

黒子「そんな面倒な事しなくとも、わたくしのテレポートでちょちょいのちょい、ですの」

美琴「でもそれじゃアンタが寮監に……」

黒子「わたくしとて、咎める事に必死になるよりも
   お姉様の幸せの一助になれる方が何倍も嬉しいですわ。
   ちょっと癪な気持ちはございますけれど……わたくしもあの殿方を信じてみますの」

美琴「黒子……」



703: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 21:14:13.52 ID:2qH+F3eeo

黒子「ただ、重ねてご忠告申し上げますが、避妊だけはしっかりなさってくださいまし!
   お姉様のクラスで問題になったような、あのような事が
   お姉様自身に降り掛かるのは耐えられませんの」

美琴「そこは勿論よ。それに……」

黒子「それに?」

美琴「……もしそうなっても、アイツならきっと、いいパパになってくれると思うの」

黒子「ほねぇぇぇさばぁぁぁ―――!?
   それだけは何があっても許されませんですのぉぉぉ―――!?」

寮監「相変わらずかしましいな貴様達は」

美琴「げっ」

黒子「げっ」

寮監「ところで御坂。貴様、昨夜は無断外泊したな?」

美琴「あわわ、あわわわわ……!」

寮監「連帯責任で二人とも折檻だ」

黒子「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ……!」

グギャッ

コキャッ



704: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 21:16:08.87 ID:2qH+F3eeo


 [22:31 常盤台中学 学生寮 208号室]

美琴「くっそー、まだ首が痛い……」

黒子「二晩連続で首がががが」

美琴「ごめんね黒子」

黒子「こ、このくらい耐えてみせますの」

美琴「じゃあね、おやすみ」

黒子「おやすみなさいませ、お姉様」

美琴「……」

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 黒子達に全て打ち明けました。
 みんな受け入れてくれて感謝です。
 持つべきものは友達ですね(*´ω`*)
 寮監のことはなんとかしますので、
 再来週もまた宜しくお願いします。
 来週のパーティーも楽しみです。
 ではおやすみなさい、当麻。
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美琴「ふふっ、なんでメールだと敬語なんだろ、私」



705: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 21:18:28.46 ID:2qH+F3eeo


……

……

……

……

ゲコッ、ゲコッ、ゲコッ♪

美琴「!」

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 いい友達を持って良かったな。
 白井も根はいいヤツだよな~。
 来週のことはよろしく頼みますよっ。
 俺よりむしろインデックスの方が
 テンション高くなっちまってるし(笑)
 もちろん再来週も楽しみに待ってるよ。
 おやすみ、美琴。
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美琴(私、幸せだなぁ……でも今日は布団の中が少し肌寒い……。
   当麻、またアンタに抱きしめてもらえるの、楽しみにしてるんだからね。
   今度泊まりに…行くときは…もっと……とうまと……zzz……)



708: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 21:20:02.04 ID:2qH+F3eeo


 [06:13 常盤台学生寮 208号室]

美琴「んむ……むにゃむにゃ……
   ……んふ、とーまはイッた後に……こうやって
   ぺろぺろ~ってされるのが……好きなのよね♡……
   ……だぁーめ♡ イくまで……逃がさないんだから♡……
   やんもう……そこは舐めちゃダメ♡……やっぱり舐めてぇ♡……
   ……もっと……いっぱい動いて……いいよぉ……とーまぁ♡……
   ……んふふー……スキンはまだ沢山……あるんだからね~♪……むにゃ……」

黒子(わたくしの麗しきお姉様に何を仕込んどるんじゃコルアァァァ!?
   やっぱりあの類人猿、絶対にコロしてやりますのぉぉぉ~~~!!)


- True End…? -



709: ◆nE9GxKLSVQ 2011/01/30(日) 21:22:11.06 ID:2qH+F3eeo

投下終了です
お読みいただきありがとうございました

この後の話の構想がないわけではありませんが、
あまり水平展開するのもどうなのかなぁと思ってます

>>707
作中明記してませんが、美琴の洗濯物は
持ってるデイリーバッグの中に入ってます



725: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/30(日) 22:21:39.91 ID:+sMwGIov0


>>1に惜しみない賞賛を!



元スレ
SS速報VIP:美琴「週末は アイツの部屋で しっぽりと」