善子「ふたりのヨハネの日常」【前編】




377: 名無しで叶える物語 2018/12/13(木) 20:44:46.17 ID:depO6Fxp.net

~ミスド~


千歌「やってきたぞミスタードーナツ!」

梨子「千歌ちゃん店内で騒がないで……」

千歌「だって久しぶりなんだも~ん!」

曜「内浦の方にはないもんね」

千歌「梨子ちゃんも嬉しいでしょ? 17歳になってはじめてのミスドだよ! 感慨深いってもんだよね!」

梨子「と、特に感慨深くはないけど……そういえば、私も久しぶりかな?」

千歌「え、そうなの? 梨子ちゃん、東京にいた頃には毎日行ってるもんだと思ってた!」

梨子「そんな毎日行くほどお金はありません……」

梨子「それに、東京にはどこにでもあったから」

千歌「どこにでもあるから逆に行かないだってぇ!? 梨子ちゃんめ、沼津を田舎扱いして!」

梨子「えぇっ!? そ、そんなことは言って……」

千歌「どーせ田舎だよ悪かったなちくしょー!」

梨子「えぇぇえ……」



378: 名無しで叶える物語 2018/12/13(木) 20:45:51.03 ID:depO6Fxp.net

曜「まあまあ怒らない怒らない」

千歌「だって田舎だもん! 田舎に田舎って言うのは悪口だよ! 田舎なんだもん言い返せないよ!」

曜「田舎田舎連呼しないで……」

千歌「ぐぬぬぬ……こーなったらやけ食いだよ! 曜ちゃん、片っ端から全部買ってきて! 梨子ちゃんのおごりで!」

梨子「なんで私なの!?」

曜「はいはい、自分で買って食べようね」

千歌「ちぇー……」

梨子「もお……」



379: 名無しで叶える物語 2018/12/13(木) 20:47:15.56 ID:depO6Fxp.net

・・・


千歌「席確保ー!」

千歌「わたしはオレンジジュースとポンデリング!」

曜「わたしはりんごジュースとダブルチョコレート」

梨子「わたしはリンゴとカスタードのパイとロイヤルミルクティ……」

千歌「パイ!? パイですとな梨子ちゃん!」

梨子「えっ!? だ、だめだったかな……」

千歌「はー……梨子ちゃんはやっぱり東京っ子だね」

梨子「え、なんで……?」

千歌「だってパイだよ? ミスドの商品の中でも単価の高いパイだよ?」

千歌「それを注文できるなんて、やっぱり梨子ちゃんは東京の女だね。やっぱり東京の女はやばいね」



380: 名無しで叶える物語 2018/12/13(木) 20:48:01.41 ID:depO6Fxp.net

梨子「東京関係ないと思うんだけど……」

千歌「いいやあるね! 私たち田舎の農民達は少ないお小遣いを頑張って頑張ってせこせこ貯めて、やっとの思いでこのミスタードーナツに来るんだよ」

曜「いや私たち農民じゃないし、そこまで少なくないよねお小遣い」

千歌「だから私、ポンデリングだよ? 税込108円だよ?」

千歌「曜ちゃんのはなんだっけ」

曜「え、私はダブルチョコレート……税込129円」

千歌「ほらリーズナブルだよ!」

千歌「梨子ちゃんのアップルパイはおいくらか!」

梨子「えっと……税込216円、だね」

千歌「はー! これだからトーキョーの女は!」

梨子「そんなにだめかなあ……」

千歌「んー……じゃあ飲み物は?」

梨子「飲み物?」

千歌「その紅茶の値段!」

梨子「えっと……税込302円」

千歌「300!!」

梨子「で、でもこれは……!」



381: 名無しで叶える物語 2018/12/13(木) 20:48:55.47 ID:depO6Fxp.net

千歌「さんびゃくえんですってよーちゃん! 私たちのジュースは税込259円なのに!」

曜「あんまり変わらないような……」

千歌「変わるよ! ドーナツの差が108円! ドリンクで42円!」

千歌「合計150円! もう一個ドーナツ買えるよ!」

千歌「かーっ! やっぱトーキョーの女だねえ梨子ちゃんは! 羨ましいご身分だよ! いっつもこんないいやつばっか食べてるんだよね!」

梨子「……」

曜「ち、千歌ちゃんもうやめなって! 梨子ちゃん泣いちゃうよ!」

千歌「え、ほんと? ごめん!」

梨子「……お代わりできるもん」

ようちか『……え?』

梨子「このロイヤルミルクティ……お代わりできるもん」

梨子「そのジュースは一杯で終わりだけど……おかわり自由なんだよ。何回でも飲めるもん。一回だけの楽しみじゃないんだよ何回でも楽しめるもん!」

千歌「お、おぅ……」

曜「梨子ちゃんが怒った……」

梨子「そ、そりゃあ……久しぶりに友達と来るから嬉しくてちょっと奮発しちゃったけど……」

梨子「私だって毎回毎回高いもの食べてるわけじゃないもん……」

梨子「東京の女の子だって、少ないお小遣いを頑張って貯めたり、日々の自由な時間を削ってアルバイトして頑張ってお金貯めて、そんな自分にご褒美でちょっとだけいいもの食べてるんだもん!」

梨子「わかりましたか、千歌ちゃん!」

千歌「は、はいわかりましたごめんさい!!」

曜「……梨子ちゃんって怒るんだ」

梨子「曜ちゃんも!」

曜「え、私!?」

梨子「ちょっとくらい助けてよ……」

曜「あー……うん、ごめん」

曜「やりとり的に口を挟んだらよくないかなって……空気を読んでしまいました」

梨子「うぅぅ……」



382: 名無しで叶える物語 2018/12/13(木) 20:50:47.79 ID:depO6Fxp.net

梨子「はあ……もう、ふたりとも……」

梨子「……じゃ、食べよっか。ナイフとフォーク借りてきたから、二人にも分けてあげるね」

千歌「え、なんで!?」

梨子「え? 普通そうじゃないの?」

曜「……そんなこと考えたこともなかった」

梨子「あはは、そうなの? 3人で違うものを頼めば、みんなで分けて一緒に食べられる……かな、って思って」

千歌「……梨子ちゃん」

梨子「?」

千歌「あなたが私の女神でしたか……」

梨子「えぇっ!?」

曜「またオーバーな……」

千歌「じゃあ私のポンデリングも分けてあげるよ! モコっとしてるとこ1個!」

曜「セコいな……」

曜「でも、分けて食べたら確かに色んな味が楽しめるもんね。私のも3分の1わけるよ」

千歌「わーい!」

曜「千歌ちゃんも3等分だよ」

千歌「うっ……はーい」

曜「露骨にテンション下げないで……」

千歌「あれー?」

ようりこ『ん?』

千歌「あれ、善子ちゃんとヨハネちゃんじゃない?」

梨子「え?」



383: 名無しで叶える物語 2018/12/13(木) 20:52:35.01 ID:depO6Fxp.net

曜「あ、ほんとだ。やっと目ぇ覚ましたんだねヨハネちゃん」

千歌「昨日はまだ居なかったし、今日起きたのかな?」

梨子「流石に起きてすぐ来れないと思うし……昨日には起きてたんじゃないかなぁ」

梨子「善子ちゃん、ヨハネちゃんのことになると過保護だし。ほら……腕組んで来てるよ。まるで恋人みたいだね、同じ顔なのに」

曜「梨子ちゃんものすごいこと言うね」

千歌「まあ、どっちでもいいんだけど……よかったね、ちゃんと起きてくれて」

曜「うんうん、みんな心配だったからね。特にダイヤさんとルビィちゃんは胃に穴があくんじゃないかってくらい憂鬱そうだったし」

千歌「にしても、こんなところで二人でミスドデートですか……羨ましいですな」

曜「ここにいるのは……普通に考えたら、当たり前のことなんだけどね? 家からすぐだし」

梨子「沼津だもんね」

千歌「なに選んでるんだろう……」

梨子「あんまり見ない方が……」

千歌「えー? でも気にならない?」

曜「……なるかも」

梨子「ならないで……」



384: 名無しで叶える物語 2018/12/13(木) 20:53:31.08 ID:depO6Fxp.net

・・・

善子「なにするの?」

ヨハネ「いや……え、ほんとにいいの?」

善子「なんでそんなひいてんの……」

ヨハネ「だ、だって善子が自分から私にミスド奢るなんて……」

ヨハネ「しかも、なんでも好きなだけ!? おかしいでしょ!」

善子「いらないなら、私とママの分だけ買って帰る」

ヨハネ「いるけど!」

ヨハネ「……いいの?」

善子「いいの。……あんたがちゃんと起きてくれたから、プチ祝いみたいな感じ」

ヨハネ「……ほんとに寝てただけだから納得いかないんだけど」

善子「いいから、私がしたいのよ」

ヨハネ「……」

ヨハネ「じゃあポンデリングとゴールデンチョコレートとストロベリーリングと……」

善子「ん」ヒョイヒョイヒョイ

ヨハネ「全部2個ずつ……」

善子「よく食べるわね」ヒョイヒョイヒョイ



385: 名無しで叶える物語 2018/12/13(木) 20:54:09.79 ID:depO6Fxp.net

ヨハネ「……まだ買っていいの?」

善子「え、いいわよ?」

ヨハネ「……何か企んでるんじゃ」

善子「そろそろ怒るわよ」

ヨハネ「……」

ヨハネ「ハニーチュロ」

善子「はい」

ヨハネ「……エンゼルフレンチ」

善子「ん」

ヨハネ「アップルパイ」

善子「よく食べるわねあんた……」

ヨハネ「フレンチクルーラー、オールドファッション、チョコファッション、ハニーディップ」

善子「はいはい」

ヨハネ「……もう満足」

善子「そう? じゃあ全部持ち帰りで……」

ヨハネ「あ」

善子「ん?」

ヨハネ「……店内で、どれか食べない? せっかくふたりきりでお出かけしてるんだし」

善子「ん……そうね、じゃあ席取っといて。飲み物はホットティーでいい?」

ヨハネ「……うんっ!」テテテーッ



386: 名無しで叶える物語 2018/12/13(木) 20:55:35.38 ID:depO6Fxp.net

・・・


千歌「……」

曜「……」

梨子「……」

ようちかりこ『めっちゃ食べるじゃん……』

千歌「え、嘘でしょ……何個食べるのひとりで」

曜「か、家族で食べるのかもよ? ほら、持って帰って」

梨子「家族で食べるにも多すぎるよねあれは……しかも席取りしてるよ? もしかしてここで食べるんじゃ……」

曜「……まさかふたりで?」

梨子「……ま、まさか……」

曜「だ、だよね……あはは、ははは……ね

千歌「私たちの争いが子供の喧嘩に見えてきちゃったよ」

千歌「ごめんね梨子ちゃん……やっぱり東京の女より沼津の堕天使の方がやばいみたい」

梨子「あ、あはは……大丈夫だよ、うん」


#4.5 「やっぱり東京の女より」 完



400: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:15:10.55 ID:NXgd03UP.net

~夜中~


善子「……」ボケー

カチャ…

キイィ…

ヨハネ「おじゃまし……げっ、起きてる」

善子「ん……ヨハネ」

ヨハネ「お、おぅ」

善子「こっち来て」ポンポン

ヨハネ「……どうしたの?」トテトテ

ドサッ

善子「なんか眠れなくて」

ヨハネ「エナドリの飲みすぎじゃないの?」

善子「飲んでないわよそんなの」



401: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:15:52.29 ID:NXgd03UP.net

善子「あんたは? また夜這い?」

ヨハネ「べ、別にそんなわけじゃないわよ? ただ……なんか、人肌恋しいなー……なんて?」

善子「ふうん」

ヨハネ「ほんとに大丈夫?」

善子「もたれていい?」

ヨハネ「いいけど」

ポスッ

善子「ん……落ち着く」

ヨハネ「……」ナデナデ

善子「ねえ」

ヨハネ「ん?」

善子「もし、私がね」

ヨハネ「うん」

善子「いなくなったらどうする?」

ヨハネ「……それは、私に対する何か? 文句みたいなものを遠回しに言ってる?」

善子「そうじゃなくて、どうするのか純粋に聞きたいだけよ」

ヨハネ「……まあ、そりゃあ探すわよ。何があっても見つける。私にはあんたが必要だし」

善子「魔力の供給源だから?」

ヨハネ「愛する我が半身だから」



402: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:16:20.11 ID:NXgd03UP.net

善子「……」

ヨハネ「何かあった?」

善子「……ちょっと外散歩しない?」

ヨハネ「え、夜中なんだけど」

善子「いいじゃない。どうせこのままでも眠れないし」

ヨハネ「私も行くの?」

善子「私ひとりで行かせるの?」

ヨハネ「そりゃあ、善子ひとりにするわけにはいかないけど」

善子「……じゃあいきましょ」

ヨハネ「着替えないと」

善子「ジャージでいいじゃない」

ヨハネ「せめて防寒具。外、寒いわよ」

善子「冷たい風に当たりたいわ」

ヨハネ「冷たいの限度を考えなさいよ限度を」

善子「へーきへーき」パタパタ

ヨハネ「あ、ちょっと……」

ガチャッ

ヒュー…

善子「うっわ……さむ」

ガチャッ

ヨハネ「先に行かないでって」

ヨハネ「ほら、首出して」

善子「ん」

ヨハネ「ったく、マフラーくらい巻いていきなさいよ」ファサッ

シュッ

善子「ありがと」



403: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:17:04.85 ID:NXgd03UP.net

ヨハネ「普段はおしゃれに気を使うくせに」

善子「夜中は誰も見てないから、いいかなって思わない?」

ヨハネ「思うわよ? 思うけど……せめて、コートまでは言わないけど少しは気を使いなさいって」

善子「私が適当でもヨハネがちゃんとしてくれるでしょ」

ヨハネ「……最近私のこと頼りすぎじゃない?」

善子「そう? なんやかんや打ち解けてきたのかもね」

ヨハネ「え、今更? 打ち解ける云々って今更なの?」

善子「ただの冗談よ」

ヨハネ「いやわかってるけど……」

善子「……手」スッ

ヨハネ「んー……今日は腕を組みたい気分」ギュウッ

善子「……まあいいけど。自分より背の高い人に腕を組まれるのってバランス悪くない?」

ヨハネ「じゃあ善子が組めばバランス良くなる?」

善子「……じゃあそうする」ギュウッ

ヨハネ「ほんとに珍しいわね……大丈夫? 熱とか」

善子「ないから」



404: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:17:40.24 ID:NXgd03UP.net

ヨハネ「……まあ熱があるならすぐに帰るだけだしね。それじゃあ行きましょ」テクテク

善子「どこに行こうかしら」テクテク

ヨハネ「散歩でしょ? 別に行き先とか決めずにダラダラ歩けばいいじゃない。遠くまで行ったら、私が飛べばいいし」カチ

ピンポーン

【1階へ参ります】

ヴーン…

善子「なんかエレベーター、電球白いからちょっと怖くない?」

ヨハネ「そう?」

善子「ホラー映画のテイストを感じるというか」

ヨハネ「あー……なるほどね」

ピンポーン

【1階です】

ウィーン

ヨハネ「さてと、マンションも出たことだし」

善子「おさんぽラリーのスタートね」

ヨハネ「さて、行ける方向は……沼津駅方面と、その逆と、橋を渡って向こう側ね」

善子「そうね……じゃあ適当に」

善子「この悪魔の杖の向いた方向にでもいきましょうか!」ビシッ

ヨハネ「……そんなのどこで拾ったのよ」

善子「さっきそこで」

ヨハネ「ふうむ」



405: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:18:10.95 ID:NXgd03UP.net

善子「ヨハネ、投げて」

ヨハネ「え、私?」

善子「うん」

ヨハネ「いいけど……」ポイッ

コロコロ…

ヨハネ「橋を渡って向こう側ね」

善子「ん」

テクテク

トテトテ

善子「……マンションの裏の広場」

ヨハネ「思い出すわね。私が消える消えないって言い合いになったところ」

善子「あの後、すぐ自転車飛ばして魔法堂まで行ったのよね」

ヨハネ「懐かしく感じるわね」

善子「……」ギュウッ

ヨハネ「大丈夫よ、私はいなくなったりしないから」

善子「………………わかってるわよ」



406: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:19:04.63 ID:NXgd03UP.net

善子「夜中のこの橋、ライトが点灯してて綺麗よね。私、前に遠くからこの橋を眺めたときに見惚れちゃった」

ヨハネ「ああ……オレンジの街頭のおかげで映えるわよね」

善子「ついでに星も見えるし」

ヨハネ「何も関係ないわよねそれ」

善子「……」

ヨハネ「適当に言ったでしょ」

善子「し、知らない」

ヨハネ「……」

善子「……今ここで川に飛び込もうとしたらどうする?」

ヨハネ「止めるに決まってんでしょ」

善子「もしそれを振り切ってジャンプしたら?」

ヨハネ「すぐに私も飛んで助けるわよ」

善子「……ま、そうよね」

ヨハネ「……?」

善子「寒い……見て、ちょっと息が白い」

ヨハネ「────ほんとね」

善子「もう冬なのね……」

ヨハネ「言ってるうちにクリスマスね。我が宿敵ジーザス・クライスト……」

善子「クリスマス……Aqoursでパーティするのかしら」

ヨハネ「いいわね。私も行きたい」

善子「もちろん。心配しなくても、ヨハネの参加は決まってるから」



407: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:19:50.40 ID:NXgd03UP.net

ヨハネ「何するのかしら……まずターキーね。マリーの家のコックは最強レベルで腕がいいから」

善子「ターキー……」

ヨハネ「それにたくさんフルーツがのった大きなケーキ。イチゴにメロンにブドウに……」

善子「みかん」

ヨハネ「いらないわよ……」

善子「みかんがないと怒る人がいるもの」

ヨハネ「ああ、善子のお気に入りね」

善子「いや別に気に入ってないし」

ヨハネ「でも、あの人が堕天使ヨハネを救ってくれたのよ?」

善子「まあ……それには感謝してるわ。今も私が堕天使ヨハネとして現世に降臨できているのは、千歌のおかげだから」

善子「ほんとに、感謝してもしきれない」

ヨハネ「ふふ、あなたって心底Aqoursのメンバーが好きよね」

善子「はあ? 何よいきなり……」

ヨハネ「だって救世主の千歌に、気さくに絡んでくれる曜と果南、いつも優しく微笑んでくれる梨子、我が弟子ダイヤ、親友のルビィと花丸」

ヨハネ「そして、私たちのお姉ちゃん────鞠莉」

善子「私は別にお姉ちゃんなんて認めたわけじゃ……」

ヨハネ「いいのよ、マリーがそう言って引かないんだし」

善子「……面倒な人だわ」

ヨハネ「でも大好きでしょ?」

善子「まあ」

ヨハネ「でも、一番好きなのはヨハネよね?」

善子「うん」



408: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:20:35.37 ID:NXgd03UP.net

ヨハネ「もお、そこは、うんって答えるところ…………は!?」

善子「?」

ヨハネ「いや、そこ……普通、絶対私って言わない流れでしょ」

善子「……ああ、確かに」

ヨハネ「善子……あんたほんとに何があったのよ。素直すぎない?」

善子「……別に、今は素直なだけ」

ヨハネ「珍しいわね」

善子「スーパーレアよ」

ヨハネ「いつも素直ならいいのに」

善子「ほんとに思ってる?」

ヨハネ「うーん、いつも素直だとそれはそれで調子崩れて無理かも」

善子「無理ってあんた……ぶっ飛ばすわよ」

ヨハネ「ふふ、怖い怖い」

善子「はあ……寒い」

ヨハネ「そうね……」

ヨハネ「次、どっち行く?」

善子「悪魔の杖に聞きましょ」

ヨハネ「次は善子が投げるのよ」

善子「ん」ポイッ

コロコロ……

善子「あっち」

ヨハネ「お、やったわね。この方向にはセブンイレブンがあるわ」

善子「不幸は私たちにしては、ついてるわね」



409: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:21:38.34 ID:NXgd03UP.net

ヨハネ「そういえばあのコンビニ、花丸と二人で買い物に来たっけ」

善子「ああ、ルビィとずらまるに紹介したときね」

ヨハネ「あの時、こっそり二人で肉まん食べたのよ」

善子「は? 聞いてないんだけどそれ」

ヨハネ「内緒にしてたもの」

善子「私も食べたかった」

ヨハネ「いま食べましょ」

善子「置いてるかしら」

ヨハネ「ここなら置いてる」

ガチャッ

ピロリロリロ♪

エアロスミスー

善子「……」ギュウッ

ヨハネ「どしたの」

善子「眩しくて……」

ヨハネ「こっちよ」

善子「ん」

ヨハネ「紅茶買う?」

善子「ん……肉まん食べるならお茶がいい」

ヨハネ「じゃあお茶ね」

善子「あ、チキン」

ヨハネ「食べる?」

善子「ぐっ……夜中にチキン……暴力だわ……」

ヨハネ「肉まんとチキンと、これください」

善子「あー!?」

ヨハネ「どーもー」

ムラオコシクルスタンハンセーン



410: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:22:13.68 ID:NXgd03UP.net

・・・


ヨハネ「あち、あちち…」ムシッ

ヨハネ「はい」

善子「ありがと……あっつ」

善子「いただきます」

ヨハネ「いただきます」

善子「うわ、熱気すご……ふう、ふう……」

善子「はむ、ふほ……はふ、ほふほふ……」モグモグ

善子「んはあ……うまぁ……♡」

ヨハネ「はふ、んむ……ほふ、ふは……♡」

パキャッ

ゴクッ…

ヨハネ「ぷはあ……あったまるわ……」

ヨハネ「ほら。肉まん頬張った後にお茶飲むとやばいわよ」

善子「ん……コク」

善子「あ゛~……」

ヨハネ「ね?」

善子「あったかい……おいしすぎ……」

善子「あ、間接キス」

ヨハネ「今更でしょ」

善子「あんたとのキスに慣れてはいけない気がする……」

ヨハネ「まあ、とっておきだからね」

善子「……///」

ヨハネ「照れてるの?」

善子「あ、当たり前でしょ……///」

ヨハネ「ふふ、ウブなのね」

善子「うるさいわよっ!」



411: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:23:12.29 ID:NXgd03UP.net

ヨハネ「ヨハネお姉ちゃんがリードしてあげましょうか? 優しく、気持ちよく♡」ギュウッ

善子「囁くな息吹きかけるな腰に手を回すな~!」

ヨハネ「あ、ほっぺに餡ついてるわよ」

善子「え、ほんと?」

ヨハネ「ほんと。……ちゅぅ」

善子「……!!?」

ヨハネ「ペロリ……んふ、おいし」

善子「……ぁ、ぅ……///」

ヨハネ「あら、固まっちゃった」

善子「ぅ、あぅ、あぅぁ……」

ヨハネ「……ちゅ」

善子「ん、むっ!!?」

ヨハネ「んむ、っふ……はむ」

善子「ちゅ、む……ん、んーっ!」グイッ

ガオォォーン…!!

ヨハネ「ぷは」

善子「っ……な、なにすんのよぉ!!?///」

ヨハネ「え、口にもしてほしそうだったから」

善子「ほ、……ほ、ほしくなんかないわぁ! っていうか今のなんかすごい音出してた車に見られたでしょ!!」

善子「……み、見られた……ぅぅ、ヨハネにキスされたとこ見られたぁぁ……///」

ヨハネ「いいじゃない、もっと見せつけてあげれば」

善子「そ、そういうもんじゃないでしょ……きす、って」

ヨハネ「……///」キュンキュン♡

ヨハネ「善子、ほんとに可愛いわねもう……肉まんの味だったけど」

善子「ぶ、ぶっとばすわよ!?」

ヨハネ「次はもっと激しいヤツしてあげる♡」

善子「しなくていいからっ!!」



412: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:23:36.57 ID:NXgd03UP.net

ヨハネ「あ、チキン冷めちゃう」ガサガサ

善子「ちょっと話逸らさないでよ! 私はまだ怒って────」

ヨハネ「どうどう」グイッ

善子「むぐっ……」モグモグ

ヨハネ「チキンおいしい?」

善子「むぐぐ……おいひぃ」

ヨハネ「ヨハネのキスとどっちが美味しい?」

善子「黙れ」

ヨハネ「あら怖い」

善子「ん、かじっちゃったけど半分あげる」

ヨハネ「ありがと」ハム

ヨハネ「んー……ちょっと冷めてる」モグモグ

善子「夜中だし仕方ないわ」

ヨハネ「そうねえ……」

ヨハネ「ちょっと温まったらすっきりしてきた」

善子「ん、そうね。私も気分はマシ」

ヨハネ「そう? ならいいんだけど……結局なにがあったのよ」

善子「ちょっと、うん……」

善子「いや、結果的には何もなかったんだけど」

ヨハネ「?」



413: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:24:16.34 ID:NXgd03UP.net

善子「えっと……」

善子「ヨハネが、いなくなる夢見ただけ」

ヨハネ「……ああ」

善子「目を覚ましたらね……ヨハネがいないの。いつも私の隣に寝てるはずなのに」

善子「リビングにもいないし、トイレにもいないし。あんたの部屋は前の物置のまま」

善子「ママに聞いたら、また変なこと言ってって怒られた」

善子「Aqoursのみんなも、ヨハネは私だって。あんたの存在が消えた……ううん」

善子「多分……それはあんたが生まれなかった世界なのかもしれない。そこに私が迷い込んだのかな……」

善子「……なに言ってんのかしら、寝ぼけてて支離滅裂ね」

ヨハネ「……それでもいいわよ、全部聞くから」

善子「うん……」

善子「で……あんたのことを知ってる人は私だけなの。もちろん私はその世界でも堕天使ヨハネとして君臨してるんだけど」

善子「……ヨハネは私だけなの。あんたはいない」

善子「それが、とても怖くて、つらくて……寂しくて」

善子「私、あんたがいないともうダメなんだなあ……って思った」

ヨハネ「……」

善子「……」ギュウッ

ヨハネ「そう……善子はもうヨハネの魅力の虜になってしまったのね?」

善子「……そういうことみたいね」

ヨハネ「……調子狂うわ」

善子「明日にはいつも通りの善子だから」

善子「今夜は、許して」ギュウ

ヨハネ「……たまになら許してあげる」ナデナデ

善子「……」モフ



414: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:25:19.45 ID:NXgd03UP.net

ヨハネ「……あったかいわね、善子」

善子「ヨハネもね」

善子「……ねえ」

ヨハネ「ん?」

善子「そろそろ冬が来るわね」

ヨハネ「そうね」

善子「冬……ってことは、あの人たちが来る」

ヨハネ「?」

善子「北の国から、二人の刺客が」

ヨハネ「北の国から……?」

ヨハネ「……」

ヨハネ「子供がまだ食べてる途中でしょうがー!」

善子「ぶはっ……ww 似てなっ」

ヨハネ「似せる気はないわよ別に」

善子「びっくりするわ……どの部分のモノマネよ」

ヨハネ「るーるるるー」

善子「キタキツネなんか釣れないわよ」

ヨハネ「善子が釣れるなら上々」

善子「私をペットみたいに扱わないで」ムギュー

ヨハネ「……ほんとに、なんかルビィみたいに甘えん坊よ」

善子「今宵のヨハネは甘えたいモードなの」

ヨハネ「ヨハネは私よ……ったく」ナデナデ

ヨハネ「寂しそうな顔してたら、またキスするからね」

善子「……いいけど」

ヨハネ「……んー?」

善子「いいって言ったの」

ヨハネ「……」



415: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:25:59.43 ID:NXgd03UP.net

ヨハネ「……ま、まあやりすぎも良くないし!」

善子「そうなの」

ヨハネ「魔力吸いすぎて善子が倒れても良くないから!」

善子「まあ、それはそうね」

ヨハネ「だから、まあ……また、今度ね」ナデナデ

善子「……ん」

善子「ヘタレた?」

ヨハネ「っ……///」ピクッ

善子「ヘタレたんだ」

ヨハネ「へ、ヘタレてなんかないけどぉ!?///」

善子「ふうん……」

ヨハネ「ほ、ほんとよ!」

善子「そういうことにしといてあげる」

ヨハネ「ぐぬぬ……」

善子「ねえヨハネ」

ヨハネ「な、なによ」

善子「これあげる」ズイッ

ヨハネ「……なにこれ?」

善子「パワーストーンのブレスレット」

ヨハネ「……ルビィのパクリ?」

善子「そうじゃないわよ! ……結果的にはそうだけど」

ヨハネ「……紫に輝いてる」

善子「アメジスト」

ヨハネ「……アメジスト」

善子「綺麗でしょ?」

ヨハネ「うん……すごく綺麗。もらっていいの?」

善子「いらないなら川に捨てる」

ヨハネ「そういう言い方、よくないわよ」

善子「じゃあ石だけとって売る」

ヨハネ「同じじゃない……」



416: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:26:39.87 ID:NXgd03UP.net

ヨハネ「……大切にする。ありがと」ギュウッ

ヨハネ「ねえ、アメジストの効果は?」

善子「さあね」

ヨハネ「えっ……知らないのに用意したの?」

善子「さあね」

ヨハネ「……なるほどね、自分で調べろってこと」

善子「……さあね」

ヨハネ「こっちの水色は?」

善子「ラマリーって言うんだって。二つ組み合わせると、ある効果を発揮するみたい」

ヨハネ「それも調べろと」

善子「さあね」

ヨハネ「……ふふ、ありがたくいただくわ。善子が私にくれた、3つ目のものね」

善子「え、もっとあげたでしょ。ミスドとか」

ヨハネ「あれは食べたらなくなるでしょ? 無くならない、ずっと大切にできるものよ」

善子「そんなにあげたかしら」

ヨハネ「ええ、もらったわ」



417: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:27:18.40 ID:NXgd03UP.net

ヨハネ「ひとつめは、思い出ね」

善子「……」

ヨハネ「あなたがなんとなく買った鏡の魔法で生まれたから、得られたもの」

ヨハネ「Aqoursのみんなとの思い出」

ヨハネ「ママとの思い出」

ヨハネ「何より、善子との思い出」

善子「そんな大層なもんじゃないでしょ」

ヨハネ「宝物よ。あなただってそうでしょ?」

善子「……さあね」

善子「ふたつめは?」

ヨハネ「ふたつめは、私のこの身体ね」

ヨハネ「消えた私を、取り戻しに来てくれたこと。自分が死ぬかもしれないのに、その危険を冒して、並みの魔法使いでは引き起こせないくらいの奇跡を叶えてくれたこと」

ヨハネ「だから、ずっとあなたと一緒に居られる。みんなと居られる。これからも思い出を作っていけるの」

善子「……よくそんな恥ずかしいことをペラペラ喋れるわ」

ヨハネ「善子に言われたくないけどね」

善子「なによ」

ヨハネ「ふふ、だから……そうね」

ヨハネ「いつか、私もお礼しないといけないわね」

善子「……別に、私はあんたがそこにいてくれれば、それで」

ヨハネ「それなら、私も同じよ。善子のそばに居られればそれでいい……でも、あなたはわざわざ気持ちを形にしてくれた」

ヨハネ「なら、私もそれに応える形で返さないと」

ヨハネ「クリスマスは期待してなさい」

善子「……ん」



418: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:28:14.65 ID:NXgd03UP.net

ヨハネ「……むぎゅー」ギュウッ

善子「ぐぇ……」

ヨハネ「善子はあったかい……♡」スリスリ

善子「く、くるしぃ……」

ヨハネ「……善子」

善子「ん……なによ」

ヨハネ「愛してる」ササヤキ

善子「……」

善子「……はっ!!?///」

ヨハネ「うふふ♡」

善子「ちょ、なっ……いま、なに……っ///」

ヨハネ「あ・い・し・て・る」

善子「ぁ……、ぅ」

ヨハネ「そろそろ帰りましょうか! さすがにトイレに起きたママにバレたらやばいし」

ヨハネ「さっさと寝ましょ」

善子「……ぅ、ん」

ヨハネ「早く行くわよ?」グイッ

善子「ぁ、はい……行く、行くから引っ張らないで……!」

ヨハネ「じゃあ……お姫様抱っこね」ギュウッ

善子「わ、ちょっと! パンツ見える!」

ヨハネ「ジャージのくせになに言ってんの。飛ぶわよ、愛しいお姫様?」バサッ

善子「ちょ、待ってこの寒い中飛んだらめちゃくちゃ寒」


バシューン!


善子「さむいーーーーーーーーー!!」

※このあと二人でめちゃくちゃ暖かくして寝た。


#5 ヨハネと深夜徘徊 完



419: 名無しで叶える物語 2018/12/14(金) 16:28:40.62 ID:NXgd03UP.net

`¶cリ˘ヮ˚)|「しちゃった」



427: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 03:49:14.71 ID:uO6tUK6b.net

#5.5


~曜の部屋~

曜「……zzz」

着メロ『もう、受験がぁ……もうあと何日があって、あぁどうしよう本当に……』

着メロ『あら、どうしたの?』

着メロ『ぇっとその、最近受験勉強とかがあって、それでなんかもう切羽詰まってて……』

着メロ『あるよねぇそういうこと。ある、わかる。わかるけど……おい後ろうるせえぞ!後ろうるせえぞ! ……そんなに頑張りすぎても良くないんじゃないかしら』

着メロ『は、はいぃ……』

着メロ『私、自分よりすごい家庭教師の人、知ってるのよね……』

着メロ『えっ!その人は誰ですか!?』

着メロ『その人の手にかかれば、あなたの頑張りも報われるわよ……?』

着メロ『じゃあその家庭教師の人を呼んでくださいよ!』

着メロ『来てちょうだい!!!』


pi


曜「ぁぃ……」

『シャイニー☆』



428: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 03:49:46.73 ID:uO6tUK6b.net

曜「ぁい……」

『もしかして寝てた?』

曜「ぇぃ……」

『もしもーし? 曜ちゃーん? 起きてるー?』

曜「……zzz」

『おーきーてー! よーうー! よーそろー!』

曜「っ……ぁひ……おきぅ……」

『ほんとに? 私が誰かわかる?』

曜「……まぐろ」

『うん、全然違うね。最初の文字だけ合ってるけど、違うね』

『ほら、ま! ま~?』

曜「……MARVEL」

『それじゃあアメコミの会社よ! もう、寝ぼけてるの?』

曜「あぃ……」

『私よ? わ・た・し』

曜「……」

曜「……まきちゃん」

『まきちゃん』

曜「まきちゃん」

『……』

『おーい』

曜「へぃ……」

『板前っぽくなったわね……』



429: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 03:51:35.67 ID:uO6tUK6b.net

『マリーよ?マリー』

曜「まりちゃ……」

鞠莉『Yes! I'm マリー!』

曜「おやすみ……」

鞠莉『寝ないで待って!』

曜「ぁに……こんな夜中に……」

鞠莉『ねえ、ドライブしない?』

曜「しない。おやすみ」

鞠莉『えー! しよーよ、みんな電話かけたけど曜以外出てくれなかったの!』

曜「私も寝させてよ……明日も学校だしさぁ」

鞠莉『むむむ……じゃあダメ元でちかっちと梨子にもう一回かけようかな』

鞠莉『曜が遊んでくれなかったからって言って』

曜「悪いの鞠莉ちゃんだし……」

鞠莉『うぐっ……ちかっちなら引っかかってくれるのに……』

曜「後輩に絡め手を使わないで……」

鞠莉『むう……ほら、近くに善子もいるじゃない』

曜「確かに家は近いけど」

鞠莉『車出すからドライブしよ? 善子たちも起こして』

曜「やめなよ……」

鞠莉『しゅん……』

曜「……」



430: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 03:53:33.38 ID:uO6tUK6b.net

鞠莉『しゅーん……』

曜「……」

鞠莉『しゅんしゅんしゅーん……』

曜「わかったよ行くよ……」

鞠莉『ほんと!!?』

曜「ほんと。でも迎えに来てくれる? 淡島まで流石に行けないし」

鞠莉『えへへ、曜ならそう言ってくれると思ってたわ! 家の前で待ってるからすぐ降りてきて!』

曜「……え?」

鞠莉『ほら、カーテン開けて』

曜「……」

シャー

鞠莉「」フリフリ

曜「……」



431: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 03:57:44.12 ID:uO6tUK6b.net

・・・


曜「さむ……」

鞠莉「はあいおはよっ」ムギュー

曜「あぅ……くるしいよまりちゃん……」

鞠莉「眠たいところを頑張ってきてくれた曜に愛をおすそ分け♡」スリスリモフモフ

曜「うぐぅ……ぁ、ありがとぅ……」

鞠莉「hot teaも用意してあるからね」

曜「あー……寒い日にはありがたいでありますなぁ」

鞠莉「それじゃ行こっか! 新しい車買ったの~!」

曜「……」

曜「え、なにこれすごいかっこいい……!」

鞠莉「でしょ? Audi S5!」

曜「ほえー……スポーツカーって感じだね」

鞠莉「もちろん速いわよ? そのへん走ってる軽トラなんてすぐmirrorの点にしちゃうんだから」

曜「すごいね……でもこの辺でしないでね、住宅街だから」

鞠莉「わかってるわかってる。それじゃ、善子呼びに行こっか」

曜「ほんとに行くんだね」

鞠莉「すぐそこだし」

曜「私知らないからね……」



432: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 03:58:52.82 ID:uO6tUK6b.net

・・・

鞠莉「電話でなーい!」

曜「寝てるんだよ」

鞠莉「いま何時?」

曜「深夜2時」

鞠莉「絶対起きてる」

曜「……起きてるね」

鞠莉「100%起きてるよこの時間だったら」

曜「ということは?」

鞠莉「PS4のログイン履歴もないし……Switchでスマブラやってるか、善子もヨハネとお出かけかな?」

曜「うーん」

鞠莉「探しましょう!」

曜「えー……」

鞠莉「乗って乗って」

曜「お、おじゃまします……」

バタン

キュルルル

ゴオォオオオッ!!

曜「うわ、音すごい……」

鞠莉「いくわよー!」グッ

ガオォォーン!

曜「ぅっ……!」

曜「お、押し付けられるぅ……」

鞠莉「ヒャッホー!」



433: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 04:00:41.41 ID:uO6tUK6b.net

キュルルル!!

ガオォォーン!

鞠莉「橋のあたりはいないわね! じゃあそのまま橋を越えてコンビニまでレッツゴー!」グォオオオーーン!!

曜「うわぁあぁあああーーーーーー!!!」

鞠莉「そのまま内浦の方向に突っ走っていくわよー! 曜、よーく周りを見てて! 善子とヨハネを見つけたらすぐにgetだから!」

曜(あ、私死ぬ…………と思った、そんな夜でした)


#5.5 「自分よりすごい家庭教師の人」 完



434: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 04:01:32.31 ID:uO6tUK6b.net

`¶cリ˘ヮ˚)|「この音、どこかで聞いたわね」

`¶cリ˘ヮ˚)|「……気のせいかしら?」



439: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 21:05:51.43 ID:uO6tUK6b.net

~函館~


聖良「いらっしゃいませ! こちらのお席へどうぞ」

聖良「ご注文はお決まりですか? ……はい、くじら汁おひとつと白玉パフェがおひとつですね!」

聖良「それではしばらくお待ちください!」

聖良「理亞、4番さんくじら汁と白玉パフェです!」

理亞「はい!……姉様、3番あがってる」

聖良「はい、受け取ります」


パタパタパタ


聖良「お待たせいたしました、こちらがくじら汁単品と……くじら汁とおにぎりのセットになります。ごゆっくりどうぞ」

聖良「……ぉ」

聖良「ああ、はい! 私はSaint Snowをやっている……」

聖良「写真ですか? ええ、構いませんよ。でも……空いている時だけですからね♪」

理亞「姉様サービスはあとにして!!」

聖良「はいごめんなさい」



440: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 21:06:37.03 ID:uO6tUK6b.net

・・・


理亞「……疲れた」

聖良「お疲れ様です、理亞」

理亞「姉様も、お疲れ様」

聖良「はい……オレンジジュース飲みますか?」

理亞「いいの?」

聖良「はい、開いたボトルですから」

理亞「じゃあ、もらうけど……姉様も半分飲んで」

聖良「ふふ、ありがとう」


ドルルルル……カコン

ブォーーン


理亞「郵便?」

聖良「そのようね。見てきますから、入れていてください」

理亞「わかった」


パタパタパタ

カラカラ……

カチャ


聖良「……む?」

聖良「……あら」



441: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 21:07:44.67 ID:uO6tUK6b.net

・・・

理亞「……」トポトポトポ

理亞「これで半分、完璧。誰も文句は言わないはず」

聖良「理亞! 理亞!」

理亞「姉様……オレンジジュース、綺麗に半分に────」

聖良「沼津から、挑戦状です……!!」

理亞「!」


『せいんとすのーのおふたりへ。
こんにちは、お久しぶりです。
今年のクリスマス、沼津に遊びにきませんか?
もしお暇でしたら、ぜひこちらに来て一緒に遊びましょう!
チケットを添えておきますので、それで来てください。
P.S.プレゼント交換もするのでご用意いただけると嬉しいです。
あとこのP.S.ってプレステのPSと思っちゃいますよね。
でも私的にGCの方がいいと思うんだよ。DSでもいいんだけどさー? なんでSONYなんだろうね!任天堂の方が楽しいゲームいっぱいあるし持ち運びできるしこっちの方がいいよね。
聖良さんのおうちにPS4はありますか? あるなら今度遊びに行った時にハンマーで壊させてくださいね』

聖良「……ね?」

理亞「いや、普通に旅行に誘われてるだけだと思う。というか私のPS4壊されるんだけど、何この人怖すぎ……」



442: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 21:10:34.37 ID:uO6tUK6b.net

聖良「何を言ってるんです! これはもう果たし状、喧嘩です!」

理亞「喧嘩って、わざわざチケットまでくれてるのに……?」

聖良「そうです。ここを見てください」

理亞「?」

『せいんとすのーのおふたりへ』

理亞「……?」

聖良「ひらがなでしょう」

理亞「……ああ」

聖良「アルファベットで書けますよね!!?」

理亞「めんどくさかっただけだと思うけど……私もたまに書き間違えるし」

聖良「これは喧嘩です。あなたもあとでお仕置きです」

理亞「えぇ……」

聖良「ここまで舐められては行かないわけにはいきませんよ」

理亞「え、私……はこだてクリスマスファンタジー行きたかった……」

聖良「来年にしましょう!」

理亞「……」

聖良「Aqoursの方々も驚くようなプレゼントを用意して参戦です!」

聖良「というわけで明日は早朝から出かけますよ。ちょうどお休みですし」

理亞「プリキュアが見れない……」

聖良「録画しておきなさい!」

理亞「いつもしてるけど、リアルでも見たい……」

聖良「あ、仮面ライダーの録画、お願いします。井上正大さんが明日も出ますから」

理亞「仮面ライダーなんて子供っぽい」

聖良「プリキュアがいいますか」



443: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 21:11:38.42 ID:uO6tUK6b.net

~小樽~


聖良「来ましたね……小樽!」

理亞「疲れた……もう車も電車も乗りたくない……」

聖良「理亞は寝ていただけじゃない」

理亞「バスじゃ寝れない……おしりの肉がボロボロとれる夢を見るの」

聖良「まあ……デレクターがうなされたらしいですからね」

理亞「北海道をバスで旅するのは大泉くんたちに任せとけばいいと思う」

聖良「でも、憧れませんか道民として」

理亞「……一度して見たかったけど、もうやりたくない」

聖良「次はカントリーサインの旅ですね」

理亞「ほんとに無理……」

聖良「そうだ!」ポム

理亞「?」

聖良「沼津まで行くの、サイコロで。そう、我らが道民名物サイコロの旅です!」

理亞「絶対嫌! 勘違いされるから名物なんて言わないで!」



444: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 21:13:49.24 ID:uO6tUK6b.net

・・・


聖良「ふむ……やはり小樽のガラス細工は良いものが揃ってますね、理亞」

理亞「でも、姉様がそれにするなら私は別のにしたい……」

聖良「……じゃあなんでついてきたの?」

理亞「それはひどすぎる」

聖良「では……理亞は鮭とばにでもしておきますか」

理亞「誰が喜ぶの、それ」

聖良「黒澤家の……お父様とか?」

理亞「黒澤ダイヤかルビィが取らない限り誰も幸せにならない……」

聖良「ダイヤさんルビィさんも幸せになりませんしね……」

理亞「毛ガニ詰め合わせ……高いな」

聖良「とりあえず私は、予算2万円程でガラス細工の……ペンとインクにします」

聖良「前から私が欲しかったものですけどね」

理亞「……ぐぬぬ」

理亞「どうしよう……」



445: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 21:16:39.53 ID:uO6tUK6b.net

~沼津~


理亞「どうしよう……」

聖良「まだ悩んでたんですか!?」

理亞「姉様……これは、まずい」

聖良「いや、流石に決まってるものかと思って……え、ほんとに?」

理亞「うん……」

聖良「……近くの雑貨屋で可愛いものでも見つけたらどう?」

理亞「そうするしかない……このへんに穴場の店はないかな……」スマホスマホ

理亞「……むむむ」

聖良「どうします? バスまで、まだ時間はあるけれど」

理亞「…………このへんといえば、善子」

聖良「ああ、津島善子さん」

理亞「あいつに聞けば……このへんの店事情には詳しいはず……」

聖良「けれど、善子さんにはバレてしまいますね」



446: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 21:19:11.49 ID:uO6tUK6b.net

理亞「私は別にそこまで隠す気はないからいいけど……あいつに何かを頼むのが私のプライドが許さない……」

聖良「ここに来てそんな事を言いだすんですか……」

理亞「善子より下に思われたくない……私はあの1年たちの中で1番なんだから……」

聖良(理亞のプライドの高さには困ります……)

聖良「でも、早くしないとバスの時間に間に合わないんじゃない?」

理亞「ぐぬぬ……姉様、先に行ってて。私はひとりでこの辺りを駆け回ってみる」

聖良「……大丈夫? 迷子になったり……」

理亞「しない。私はもう沼津に2回も来てるから」

聖良「確か……アニメとドラマCDで一度ずつ」

理亞「だから平気。このあたりの地理は完璧に頭に入ってる。私は常に成長しているの」

聖良「……そう?」

聖良「分からなくなったらすぐに電話するのよ。いい?」

理亞「任せて」

聖良「それじゃあ、先に黒澤家に行っています」

理亞「うん、気をつけて」



447: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 21:19:40.95 ID:uO6tUK6b.net

理亞「……迷った」

理亞「まずい……これじゃ本当に姉様に電話をしなくちゃいけない……」

理亞「せっかく色々あれから進化した私をAqoursに見せつけるチャンスなのに……これじゃ成長してないと思われる……」

理亞「どうせなら、プレゼントも進化した私を見せられるものがいい。北海道や沼津という枠にとらわれない、スペシャルな私……」

理亞「……そのためにはまず、迷子になったこの状況を打破する必要がある」

理亞「まずは歩いてきた道を確認、反芻」

理亞「沼津駅をまっすぐ行って左に曲がったり右に曲がったり色々歩き回ったから……」

理亞「……だから迷ってるんだ私。現実を認めるのは成長の証、私えらい。前までじゃ意固地になってたはず」

理亞「じゃあ、次は見えるものの把握……大きな橋とマンション」

理亞「……確か、あのマンションは善子の家だって前に言ってたはず。なら、まだ打開策はある」

理亞「あれを目指して歩けば善子に会える……助かる」

理亞「大丈夫、まだ助かる。あれが見える範囲から出なければ迷うことはない……はず。大丈夫。大丈夫だ、私」



448: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 21:20:16.00 ID:uO6tUK6b.net

テクテク


理亞「……なんか変な道に入っちゃった。暗い……」

キョロ(・ω・`三´・ω・)キョロ

理亞「……変な路地。こういうところに隠れた名店があるってゴローさんも言ってた」

理亞「よし、何事も挑戦が成長につながる。行こう」


コソコソ


理亞「……本当に暗い。ビルとビルの間だから、光が差してない……」テクテク

理亞「……ん? なに、あれ……店?」

理亞「汚い看板……だけど、名前……ま、まほ…………ううん、だめ。汚すぎて本当に読めない」

理亞「でも善子とか好きそうな感じ……もしかしたらあいつ知ってるのかな」

理亞「まあ、いいか。色々商品あるだろうし、その中からいいものを探せば」

理亞「店内、すごく暗そう……で、でも大丈夫! 進化した私なら、成長した私なら怖くない怖くない……」

理亞「……よし、行こう」


ガチャッ

キイィ……


「ひっひっひ……いらっしゃい。ようこそ魔法堂へ」

「よほど切実な願いがあると見える────」


ネクストプロローグ 完



449: 名無しで叶える物語 2018/12/15(土) 21:23:29.64 ID:uO6tUK6b.net

ノJ(`σ_ σ´リノし「スクールアイドル鹿角理亞は日々進化中」



459: 名無しで叶える物語 2018/12/16(日) 23:08:51.78 ID:rLBQrCS2.net

count the skills

現在、ヨハネの使える魔法は?


【タイムベント】
時間を超える大魔法!ダイヤに教えることになったんだけど、ちょっと波乱だったわね。
あれから私はダイヤに魔法を教えるのはやめたわよ? まあ、あの時だけの師弟関係ってことだったし。


【ドレイン】
すでに知られているでしょう、魔力吸収の魔法よ。
自然界に存在する魔力を体内に吸収することで、私の生命活動のエネルギーにしているの。
ちなみに人からもらうのが1番効率よく魔力吸収できるわ。
ね、善子♡


【空間操作】
特定の空間を捻じ曲げることができるわ。
こう、時間と空間の間にあるちょっとしたところを魔法でちょちょいと捏ねて伸ばしてできあがり。
言っておくけど、パンじゃないわよ。



460: 名無しで叶える物語 2018/12/16(日) 23:09:48.47 ID:rLBQrCS2.net

`¶cリ˘ヮ˚)|「悪いけど、今日はこれだけ」

`¶cリ˘ヮ˚)|「煮詰まっていて書き進められていないの……」



506: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 18:02:48.61 ID:Xz0ITT8n.net

~12月23日、淡島ホテル~


千歌「走れそりよ~♪」

果南「風のように~♪」

曜「雪の中を~」

ダイヤ「軽く早く~♪」

梨子「笑い声を~」

花丸「雪にまけば~♪」

ルビィ「明るい光の花になるよ~」

鞠莉「Oh, Jingle bells, Jingle bells♪ Jingle all the way♪」

善子「なんでいきなり英語なのよ! 分からなくなるじゃない!」

鞠莉「えー?ダメ?」

果南「まあまあ、そうカッカしないしない~」ナデナデ

善子「な、撫でないでっ!」

鞠莉「ねえダイヤ? マリー、ダメだった?」

ダイヤ「まあ……ここまで日本語で歌っていたものですし、いきなり英語になるのは確かにおかしいかもしれません」

鞠莉「そっかー……」



507: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 18:03:53.71 ID:Xz0ITT8n.net

千歌「説明ありがとう曜ちゃん。その通り、元はと言えば私がやり始めました!」

鞠莉「せっかく楽しく歌ってたのに……善子のせいで」

善子「え、私のせいなの!?」

鞠莉「善子のけーち! もううちにGameやりに来ても善子だけmacaronだしてあげないからね!」

鞠莉「あとスマブラ入れてあげない!」

善子「なんでよ!後輩にそんなめんどくさい絡み方するんじゃないわよ!」

鞠莉「ふーんだ善子なんてしりませーん許してほしかったらChristmas presentいいのちょーだい! present交換とはまた別で」

善子「絶対それが目的よね!? ひとりだけ得しようとしてるわよね!」

鞠莉「むう、ああ言えばこう言うってやつ?」

善子「それこっちのセリフよ……」

ダイヤ「はいはい」パンッパンッ

よしまり『む』

ダイヤ「遊んでいないで、早く飾り付けをしてくださいな。聖良さんたち、今日こちらに来るんですからね」

ルビィ「また、聖良さんと理亞ちゃんに会えるね」

花丸「そうだねルビィちゃん。嬉しい?」

ルビィ「うんっ」



508: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 18:04:33.39 ID:Xz0ITT8n.net

善子「ククク……リトルデーモン10号……あれからどれほどの進化を遂げたか、この私が直々に確認してあげましょう」

花丸「そういえば善子ちゃん」

善子「ヨハネよ」

花丸「善子ちゃん、あのね」

善子「……はい」

花丸「どうして理亞ちゃんがリトルデーモン10号なの?」

善子「え?」

花丸「1号は千歌ちゃんで、順番にAqoursメンバーが番号をもらってるんでしょ?」

善子「そうよ」

花丸「で、Aqoursは9人でしょ?」

善子「うん。だから理亞を入れて10番目」

花丸「いや、それはおかしいずら善子ちゃん」

善子「なんで?」

花丸「だってAqoursは、善子ちゃんをのぞいたら8人ずら」

善子「……」



509: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 18:06:22.93 ID:Xz0ITT8n.net

花丸「善子ちゃんは堕天使ヨハネだから、リトルデーモンじゃないでしょ?」

花丸「だったら、リトルデーモン……9人目は、誰?」

善子「……」

善子「…………」

梨子「普通に数え間違えただけじゃ……」

善子「ち、違うわよ! 9人目……い、いるわよ」

みんな『え!?』

善子「え、えってなに!えって!」

ルビィ「……いるの? ヨハネ様じゃなくて、だよ?」

善子「い、いるわよ! 9号……すっごく小悪魔な感じの9号が! 堕天使ヨハネに匹敵するレベルの魔力を持つ最強のリトルデーモンがね!」

みんな『……』

千歌「続きやろー」

曜「そだねー」

ダイヤ「花丸さん、このフリフリをそこから掛けたいので、持っていてもらえますか?」

花丸「はぁい」

善子「ほんとなんだからー!」



510: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 18:08:23.65 ID:Xz0ITT8n.net

梨子「よしよし……」ナデナデ

善子「うぅっ……りりー……」

梨子「そのくらいにして、早く飾り付けしよう?」

善子「リリーまで信じてくれない……うわぁぁん!」

梨子「え、えっ!? よ、よっちゃ……あの、わたし……」アタフタ

千歌「あー! 梨子ちゃんが善子ちゃん泣かした!」

果南「え、何してんの梨子……どうしたの?」

鞠莉「大丈夫? マリーお姉ちゃんに言ってみて?」

梨子「そ、そんなぁ~……」メイ*´•̥ ω •̥リ

曜「梨子ちゃんまで泣いちゃった……果南ちゃん!」

果南「え、私!?」

千歌「果南ちゃんが梨子ちゃん泣かした!」

ダイヤ「果南さん何したんですか……」

果南「え、ほんとに? 嘘でしょ……」

ルビィ「全部千歌ちゃんの申告が原因だと思うんだけど……」

花丸「ここは動物園ずら……」



511: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 18:10:29.54 ID:Xz0ITT8n.net

・・・


ダイヤ「ふう……これで大方の飾り付けは出来上がりかしら」

鞠莉「Thank you! みんなのおかげでステキなChristmas partyになりそう!」

鞠莉「この階はChristmas当日まで、party用に貸切にしてあるから! 気兼ねなくのんびりしていいよ!」

果南「毎年派手だね~……」

鞠莉「中学までは果南とダイヤとルビィを呼んでやってたけど、今年はAqoursみーんなもいるからね♡」

ダイヤ「ふふ、懐かしいですわ。ね、ルビィ」

ルビィ「うんっ」

梨子「そっか、ルビィちゃんは前のAqoursでもお手伝いしてたから、鞠莉さんとも知り合いだったんだね」

ルビィ「うんっ」

ダイヤ「知り合い程度ではありませんわ」

梨子「へ?」

ダイヤ「この子、わたくしと喧嘩した時は必ずどちらかの家に家出していたんです」

ルビィ「お、ぉねいちゃん!!?」

梨子「えぇ……」



512: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 18:11:32.91 ID:Xz0ITT8n.net

ダイヤ「『ルビィ、まりちゃんがおねえちゃんのほうがいい!』(全力のモノマネ)などと言い出す始末……わたくし、追い返されて一人で泣きながら家まで戻りましたから」

ルビィ「おねえちゃ~ん……!///」

花丸「ルビィちゃん……」

善子(そういえば……誰でもお姉ちゃんにしたがる、なんて前に言ってたような……)


※前スレ参照


鞠莉「ま、そんな感じだから!」

鞠莉「今年はAqoursとSaint Snowの2人を読んで11人で楽しく過ごしましょ?」

鞠莉「みーんなの部屋も用意してあるから♡ シングルでもツインでも……ふふ、特別仲良くなりたいカップルにはダブルもご用意してあげる♡」

梨子「だ、ダブル……///」

千歌「特別仲良く???」

梨子「はわわわわわ……///」



513: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 18:12:58.73 ID:Xz0ITT8n.net

ダイヤ「鞠莉さん、あなたいい加減に……」

鞠莉「あらダイヤ! Angryはお肌の敵よ? ほんとに硬度10になっちゃうわ!」

ダイヤ「ふざけていますね? わかりました、お説教が必要ですか」

鞠莉「……ま、マリー忘れ物あったんだって☆ ちょっとおうちまで取りに行ってくるね♡」

ダイヤ「あなたの家はここでしょう!!」

鞠莉「いやーんダイヤこわーい!!」ダッ

ダイヤ「お待ちなさい鞠莉さん!!」ダッ

果南「ねえ、遊んでたら片付け進まないよー?」

鞠莉「だってダイヤがー!」

ダイヤ「鞠莉さんが!」

果南「もー……仕方ないなぁ。ルビィと花丸、2人で箒とちりとり持って床のゴミ集めてくれる?」

るびまる『あい・さー!』

果南「千歌と曜はまとめてあるゴミ袋を捨ててきて」

ようちか『はーい!』

果南「梨子は善子と次のゴミ袋の用意ね」

梨子「はい、わかりました」

善子「果南は何するの?」

果南「あそこで遊んでる2人を止める」

善子「……よろしく」

果南「いい加減にしろ~ふたりとも~!」

ダイまり『だってこの人が!』

果南「うるさいよ~! も~!」



514: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 18:21:41.92 ID:Xz0ITT8n.net

・・・


千歌「ゴミ全部捨ててきた!」

梨子「お部屋の片付けも完璧ですよ」

ダイヤ「飾り付けも完了……あとは時間を待つだけですわ」

鞠莉「楽しいね、ダイヤ」

ダイヤ「そうですわね」

鞠莉「ところでダイヤ?」

ダイヤ「なんですの?」

鞠莉「セラりんが来るのって、何時だっけ?」

ダイヤ「……ええと」

ルビィ「15時にうちに着くって連絡きてたよ!」

ダイヤ「あら、本当に? 気づいていなかったわ……そろそろお迎えに行きませんと」

鞠莉「それじゃあマリーのAudi S5を出すわ!」

曜「いやいや、あれじゃ大人数は乗れないから……」

鞠莉「むう……じゃあヴォクシーにする」

ダイヤ「それでお願いします。聖良さんと理亞さんも乗りますし……ルビィも行きますね?」

ルビィ「うん!」



515: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 18:23:07.60 ID:Xz0ITT8n.net

果南「私たちはここで待ってよっか」

千歌「うん!」

善子「あ……私はヨハネを呼びに一旦帰るわ」

千歌「電話で呼べばいいんじゃない?」

善子「あんまり電話でないのよ」

千歌「なんと……」

鞠莉「それなら、ダイヤの家まで乗る? そこから先はバスになるけど、バス代ちょっと浮くよ?」

善子「そうね……お願いするわ。それなら電話してダイヤの家まで来させるわ」

鞠莉「OK! それじゃあ行きましょ♪」

ダイヤ「では、少し失礼しますー

ルビィ「いってきまーす!」

善子「またあとで」

みんな『いってらっしゃい~』



516: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 18:27:49.03 ID:Xz0ITT8n.net

~鞠莉's car~


ブロロロ…

鞠莉「AT楽しくない……」

ダイヤ「わたくしとしては、この車の方が運転が荒くないので助かります」

鞠莉「ええ!? マリー、安全運転だよ? ちょっとアクセルの踏み込みが深いだけで」

ダイヤ「それが良くないと言っているんです!」

ルビィ「あ、あはは……」

善子「……さてと」

ルビィ「どうしたの?」

善子「ヨハネにライン入れるのよ」

ルビィ「なんて書くの?」

善子「ん……普通よ。ダイヤの家に来いって」


YOHANE:ダイヤの家で待ってるからそこまで来てくれる?


善子「よし」

ルビィ「お返事くるかなあ」

善子「さあね……来ないなら来ないでホテルまで直接来させればいいだけだし」

ルビィ「でも、善子ちゃんは一緒に行きたかったんでしょ?」

善子「え、なんで?」



517: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 18:28:41.09 ID:Xz0ITT8n.net

ルビィ「だって最初からホテル集合にすればいいのに、わざわざ迎えに行こうとしてるんだもん」

ルビィ「一緒に行きたいのかなあ、って」

善子「殴るわよ」

ルビィ「わー怖い」

ダイヤ「ひとの妹に何をするつもりですか」

善子「ルビィ可愛いなぁって♡」

ダイヤ「なんですかそのぶりっ子は……ルビィはあげませんわよ」

善子「いらないわよ!」

ダイヤ「なっ!? ルビィがいらないですって!?」

善子「めんどくさいわよ生徒会長!」

ダイヤ「な、ぁっ……ま、また生徒会長……」

ダイヤ「まだ、壁が……? わたくしと善子さんの壁は、そこまで厚く高いものだったのですか……」

善子「ち、ちがっ……本当にめんどくさいわねこの人……」

鞠莉「わかるー」

鞠莉「でも、そこがダイヤの魅力♡」

善子(よくわからん……)

ルビィ「大丈夫だよお姉ちゃん、善子ちゃんはお姉ちゃんのこと大好きだよ?」

ダイヤ「ほんとですの……善子さん?」

善子「え……」

ルビィ「ね?」

善子「……まあ、好きよ。そりゃ」

ダイヤ「ぅ、ぅう……サファイア……」

善子「いや誰」



518: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 18:30:38.26 ID:Xz0ITT8n.net

ダイヤ「ルビィ……善子さんはもうわたくしの妹、サファイアですわ。いいですねルビィ」

ルビィ「いいよ!」

善子「よくないわよ!」

鞠莉「じゃあマリーはダイヤのお姉ちゃんでアメジストね!」

ダイヤ「鞠莉さんはお友達です」

鞠莉「ひどくない?」

ダイヤ「鞠莉さんとは……そういう形の家族にはなれません」

鞠莉「む……マリー嫌われちゃった」

ダイヤ「違います。もっと……ね?」ナデナデ

鞠莉「……ダイヤ♡」

善子「……え、2人ってそういう関係なの?!」

ダイまり『違う(います)よ?』

善子「じゃあ何そのやりとり」

ダイヤ「いつもの冗談です」

鞠莉「イッツジョーク」

ルビィ「心臓に良くないよねえ、このやりとり」

善子「……そうよね」

鞠莉「ふふ♡」

ダイヤ「うふふ♡」



519: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 18:35:49.41 ID:Xz0ITT8n.net

~黒澤家~


鞠莉「とーちゃっく!」

ダイヤ「ルビィ、お着替えしてきなさい。あと荷物も」

ルビィ「はーい!」

トテトテ

善子「ダイヤはいいの?」

ダイヤ「わたくしは既に荷物を運んでありますから」

善子「そうなんだ」

ダイヤ「なので、あとは聖良さんたちを待つだけで……ああ、もうバスが来ますわね」

鞠莉「oh! ナイスタイミング!」

プー

ガシャン

聖良「あ、みなさんお揃いで」

ダイヤ「お待ちしていました。いらっしゃい聖良さん」

聖良「ええ、数日、お世話になります」ペコリ

鞠莉「あら? りあっちは?」

聖良「ああ、理亞は…………」

聖良「……あれ?」

善子「あ、お久しぶりですお姉さん」

聖良「あの、善子さん……なぜここに?」

善子「え、みんなと集まって作業してたからですけど……」

聖良「……」

聖良「少し、こちらへ」チョイチョイ

善子「?」トテトテ



520: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 18:56:32.33 ID:Xz0ITT8n.net

聖良「実は理亞、いま沼津駅周辺で買い物をしていまして」ボソボソ

善子「え……大丈夫なんですか? その、あの子……沼津はあんまり慣れていませんよね」

聖良「そうなんです。それであなたに理亞と行動してもらえないか、お願いしたかったんですが……」

善子「……なるほど」

善子「それじゃあ今から沼津の方に行ってみます」

聖良「すみません……このお礼は、必ず」

善子「いえ、そんな……理亞は私にとっても大切な友人です。それにお姉さんからのお願いなんて、断れませんよ」

聖良「……ありがとう、恩に着ます」

聖良「理亞はまだまだ小さいですし、子供っぽいところもありますから……心配で」

善子「そんなに心配しなくても……もう、理亞も高校生ですし、信頼してあげても……」

聖良「もちろん信頼しています。ですが、これはまた話が別。あの子はまだ、私がついていないとダメですから」

善子「そう……ですか」

ダイヤ「……」

鞠莉「……」



521: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 18:57:03.43 ID:Xz0ITT8n.net

聖良「あら、お二人ともどうかしたんですか?」

ダイヤ「い、いえ……善子さんに、そんな言葉遣いができるのかと意外に思っていただけで……」

鞠莉「まさに外行きのfaceね……」

善子「あ、あはは、先輩たち何言ってるんですかぁ? 私、いつもこんな感じじゃないですか~」

ダイまり『』( ゚艸゚;)

善子「何よその顔!」

聖良「とりあえず、理亞の位置情報を共有したいので、ラインを教えてくれますか?」

善子「あ、はい」

フルフル

聖良「……よし、これでいいですね」ピコン

善子「はい、きました」

聖良「では……よろしくお願いします。理亞が移動すれば、その情報も逐一更新されますので」

善子「はい、わかりました」



522: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 18:59:16.18 ID:Xz0ITT8n.net

~バス~


ブロロロ……

ルビィ「理亞ちゃんに会えるの楽しみだねっ」←ついてきた

善子「そうね」

善子(……さてと)

善子(お姉さんはマリーたちと先にホテルへ)

善子(私とルビィは理亞を探しに沼津行きのバス)

善子(ヨハネからの連絡は無い。結局自分の家まで戻らなきゃいけないのかな、なんて)

善子(若干の面倒臭さを感じつつ、理亞の現在の位置情報を確認)

ルビィ「理亞ちゃんどこにいるんだろね」

善子「今見てるわ」

善子(沼津の……特に私の家の近くにいるみたいね。バス停から降りて少し移動し、路地に……)

善子(……え?)

善子「この路地って……そうよね。このビルとビルの間に挟まれた場所って…………」

ルビィ「ん? どこか知ってるの?」

善子「ああ、ちょっと……」

prrrrr...

善子「!」



523: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 18:59:40.85 ID:Xz0ITT8n.net

pi

善子「もしもし、ヨハネ?」

ヨハネ『善子今どこ?』

善子「今、沼津行きのバスに乗ってるとこ。ダイヤの家あたり」

ヨハネ『わかった。沼津についたら魔法堂に来て』

善子「……え? マジ?」

ヨハネ『マジ。待ってるから』

ブツ

プーップーッ

善子「……まさか、理亞に何か……」

ルビィ「えっ!?」

善子「ルビィ……今から行くところ、騒いだらダメよ」

ルビィ「う、うん……!」



524: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 19:00:34.67 ID:Xz0ITT8n.net

~鞠莉's car~


鞠莉「街を飛び出せピーポーピーポー♪」

鞠莉「空に向ーかってぴーぽーぴーぽー♪」

ダイヤ「急なお誘いで、申し訳ありません。来ていただけて、とても嬉しいですわ」

聖良「ええ、ちょうど冬休みですし……実家のお店は、アルバイトの方々でなんとかしてくださるそうなので」

聖良「せっかくのお誘いでしたから、これからも仲良くしたいという気持ちも込めて遊びに来させていただきました」

聖良「それに……あんな風に書かれて来ないわけにはいきませんから」

ダイヤ「あんな風に……?」

聖良「いえ、こちらの話なので気にしないで」

ダイヤ「あ、はい」

聖良「……それにしても、やっぱりこちらは暖かいです」

ダイヤ「そうですね……地形と気候に恵まれていると思います。お陰で冬でも過ごしやすくて」

聖良「北海道は、この時期はもう一面雪景色ですね」

ダイヤ「雪……北海道で見た以来ね」

鞠莉「White Christmas! ちょーっと期待しちゃうわね♪」

聖良「ふふ、北海道に来れば毎年ホワイトクリスマスですよ? その代わり、雪かきで地獄を見ますけど」

鞠莉「……遠慮しときまーす」



525: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 19:01:15.03 ID:Xz0ITT8n.net

聖良「ふふ、今年はこちらにお呼ばれしているので、雪かきしなくて済みます。ありがとう」

鞠莉「それは感謝してネ♡」

聖良「わざわざこちらまでの旅費まで出していただいて……」

鞠莉「それはぁ~……遠いところからわざわざ来い、なんて言うからには、ね?」

ダイヤ「ええ、忙しい時期、なおかつ急な誘いですから……流石に旅費くらいは、という話になりまして」

聖良「……おかげで、ここに遊びに来させていただきました。ありがとうございます」

聖良「あとで理亞と合流したら、あの子にもお礼を言わせますので」

ダイヤ「ふふ、お構いなく」

聖良「お土産とプレゼント、楽しみにしていてください」

鞠莉「wao! 一体なにかしら! ダイヤ、鮭とばだったらどうする?」

ダイヤ「鮭とば……でしたら、果南さんに頼んで料理していただきましょうか」

鞠莉「アリだね……!」

聖良「え、鮭とばで喜ぶんですか!?」

鞠莉「なんで? おいしいよ?」

聖良「いえ、知っています! 知ってます……たまに我が家でも、父が食べたりしますし」

聖良「私と理亞も、少しもらいますし……」

ダイヤ「鮭とばと言えば、北海道の名産品。しかもなかなか手を出しにくいお値段です」

ダイヤ「それをいただいて、喜ばない人はいませんわ。特に、この港町沼津に暮らすのであれば」

鞠莉「曜はちょっとno thank youカモだけど」

ダイヤ「……干物が食べれるんです、おそらく平気でしょう」

聖良「鮭とばは生の鮭を干した干物ですよ……」

ダイヤ「ほら、でしたらきっと大丈夫ですわ」



526: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 19:02:39.82 ID:Xz0ITT8n.net

ダイヤ「……わ、わかっていましたよ?ええ」

聖良「え、ショック受けてますか?!」

鞠莉「ま……まっさけ~?」

聖良「動揺が隠しきれてませんよ!? 鮭が顔を出してますよ!」

鞠莉「salmon……」

聖良「やっぱり食べたかったんですね……」

鞠莉「でも、りあっちも大変だね。あとで合流するにも心配されちゃうなんて」

聖良「すみません……ひとりで買い物をすると言って聞かなくて……心配です」

聖良「理亞はまだ小さくて……あの子がちゃんと迷子にならず合流できるか、不安で仕方ありません」

ダイヤ「……そこまで心配なさらずとも、大丈夫ですよ。沼津は暖かい街ですわ。困っている人がいれば、きっとどなたかが助けてくださるでしょう」

聖良「それでも、あの子の性格を考えると……素直に助けられてくれるとは思えません。そうでなくても、おっちょこちょいで人と接するのが苦手ですし……」

聖良「ルビィさんとふたりでのライブを成功させて、確かに成長している姿を見せてはくれました。……ですが、まだまだひとりで生きていく力はありません」

聖良「優しくていい子なんですが……その分プライドも高くて、自分の世界に絶対の自信を持っていて」

聖良「……本当に、いい子なんですが」

鞠莉「……」

鞠莉「ねえ、セラりん────」

聖良「はい?」

鞠莉「ううん。りあっち、ちょっと苦しいかもね」

聖良「……え?」



527: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 19:03:17.68 ID:Xz0ITT8n.net

~魔法堂~


タッタッタッ

善子「ふう、ふう……はあ」

善子「……ついた」

ルビィ「こ、ここが……魔法堂……」

善子「そう……ヨハネが生まれた鏡を買った店」

善子(来るのは久しぶりね……いつ以来かしら)

善子(ヨハネを助けてから、2回くらいしか来てないけど……相変わらず汚い店構え)

善子(まあこの不気味な感じ、私は好きなんだけど)

善子「……入ろ」

ルビィ「う、うん」

キイィ…

「いらっしゃい。ようこそ魔法堂へ……って、なんじゃ。オマエか小娘」

善子「お久しぶり」



528: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 19:03:50.53 ID:Xz0ITT8n.net

「待っておったぞ。そっちのは誰じゃ?」

善子「友達のルビィです」

ルビィ「こ、こんにちは」

「おぉ、いらっしゃい。ようこそ魔法堂へ、よほど切実な願いがあると見える」

ルビィ「えっ!?」

善子「この子はお客じゃないですから……それで、ヨハネは?」

ヨハネ「こっち」

善子「ああ……いたの」

ルビィ「ヨハネ様!」

ヨハネ「やっほルビィ。それと、理亞もいるわ」

理亞「……」

ルビィ「理亞ちゃん!」



529: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 19:04:58.18 ID:Xz0ITT8n.net

善子「……理亞、どうしたの?」

ヨハネ「自分で喋りなさいよ、ほら」ポンポン

理亞「ぅっ……た、叩かないで」

ルビィ「理亞ちゃん……?」

理亞「……えっと」

ヨハネ「理亞?」

理亞「わ、わかってる……わかってるけど……」

よしルビ『……?』

理亞「……」

ヨハネ「帽子、とって」グイッ

理亞「!? ま、待って! これは……っ」グッ

ヨハネ「隠しても意味ないのよ!?」

理亞「わ、かっ……てるけど!」

ヨハネ「みんなに現状を見てもらわないといけないんでしょうが!」

理亞「だ、けど……こ、こんにゃの誰も……っ」

よしルビ『……にゃ?』

理亞「はっ…………」

ヨハネ「……はあ」



530: 名無しで叶える物語 2018/12/24(月) 19:05:40.43 ID:Xz0ITT8n.net

理亞「ぅぐ……」

善子「……にゃって、何?」

ルビィ「理亞ちゃん……?」

理亞「べ、別に……にゃんでも」

ルビィ「……理亞ちゃん」

理亞「……」

ルビィ「帽子とろっか」

理亞「る、ルビィ……待って」

ルビィ「待ちませんっ!」グイッ

理亞「にゃーーー!!!!」


ピョコッ


よしルビ『なっ……』

ルビィ「り、りあちゃんの……」

善子「頭の、それって……」

ピョコピョコ

よしルビ『猫耳だーーーーーー????!!!!』

理亞「っ…………///」



543: 名無しで叶える物語 2018/12/27(木) 01:48:08.41 ID:2AKvQ8NM.net

・・・

善子「……な、なに、それ……ww」

ルビィ「……り、あちゃん……コスプレ……?」

理亞「ち、違う!! ほん……もの」

善子「触っていい? ねえ、触っていい?」

理亞「だめ」

ルビィ「……理亞ちゃん」

理亞「だ、だめ!」

ルビィ「理亞ちゃんっ……」

理亞「……ち、ちょっとだけよ」

ルビィ「やったぁ!」

善子「えぇ……」



544: 名無しで叶える物語 2018/12/27(木) 01:48:40.28 ID:2AKvQ8NM.net

ルビィ「……ふむふむふむ」フニフニ

理亞「ぅ、あぅ……っ///」

善子「わ、私も」

理亞「え、ちょっ」

善子「お……おお」フニフニ

理亞「ひ、っや……ぅっ///」

ルビィ「気持ちいい……」

善子「こんな感触なのね……」

理亞「も、もういいでしょ! ほら、やめて!」

よしルビ『はぁい』

善子「……で、これってどういうこと?」

ヨハネ「それが……」

善子「?」

「うむ。それはわしが説明しよう」

善子「……はい」

「そいつが来たのは1時間くらい前でな……」

善子「あ、回想入るやつね」



545: 名無しで叶える物語 2018/12/27(木) 01:50:05.13 ID:2AKvQ8NM.net

~回想~


「いらっしゃい。ようこそ、魔法堂へ。よほど切実な願いがあると見える」

理亞(……変な店)

理亞(それに……変なものばっかり置いてある)キョロ

理亞(これは……杖か。あれは武器っぽい。ブレスレット、ペンダント、鏡……カチューシャ?)

理亞(品揃えに節操がない……ブックオフでももう少し揃えてる気がする)

「おい」

理亞(でも、ここなら何かプレゼント交換に使えそうなものがあるかも。あのブレスレットとか、割と可愛いし)

「おーいそこの小娘」

理亞(あ、これ……ハリーポッターの杖みたい。パチモン……か、転売? 胡散臭い店かも)

「おいなに無視しとんじゃ!」

理亞「ぉ」

「ぉ、ではないわ! 何度も話しかけとるのに無視するとは、まったく子供は好かん!」

理亞(……なにこの人。店員?)



546: 名無しで叶える物語 2018/12/27(木) 01:57:52.13 ID:2AKvQ8NM.net

「……まあよい。オマエ、何か願いがあるな?」

理亞(……願い? なんだろ……ニンテンドースイッチが欲しいとか?)

「それも、自分の人生に関わる重大な願い。今後のオマエの振る舞いがかかっておるな」

理亞(え……なに?)

「構わん構わん。何も言うな。まずはその、どんな願いも叶える魔法のペンダントを買うことを勧めよう」

理亞(……胡散臭い)

「それに願えば、どんな願いも必ず叶う。だが願いの大きさは考えることじゃ。大きな願いには必ず見返りが存在するからな」

理亞(見返り……)

「例えば誰かのけがを治す魔法は自分に返ってくる。呪いも同じじゃな。助ける代わりに自分が傷つき、呪いは成功すればよいが、失敗すれば己に戻る」

「このような代償が存在する。だが……それでも、そのペンダントの効果は保証するぞ? オマエの悩みであれば、そのペンダントでたちまち解決じゃ……ひっひっひ」

理亞(……私の願い)

理亞「あの」

「なんじゃ?」

理亞「私の願いって何?」

「がくっ」



547: 名無しで叶える物語 2018/12/27(木) 02:00:17.32 ID:2AKvQ8NM.net

理亞「い、いきなり……そんな風に言われても、理解できない。わ……わたしは、自分の願いとか、言われても分からない」

「……」

「本気か?」

理亞「」コクン

「……」

「なら言うが……オマエ、姉のことを鬱陶しく思っておるじゃろ」

理亞「は!?」

「自分を信じていない。いつまでも子供扱いする。ただ出かけるのですら姉がついてくる」

理亞「……!」

「気に入らんのじゃろう? 姉が自分を信じてくれぬことが。どこまでも子供扱いをしてくる姉が」

「今もきっと仲間に言っておるんじゃろうなぁ? 妹は一人で買い物するにも大変で迷子になるかもしれない、だから迷惑をかけるかも……とか」

理亞「姉様をバカにしないで! 姉様はそんなこと……」

「バカになどしておらんわ。オマエの深層意識に眠る悩み、恨み、姉を不愉快に思う気持ちを代弁してやっただけじゃ」

理亞「わ、たしは……そんなこと……っ」

「姉を見返したいんじゃろう? 姉に認められる自分になりたいんじゃろう」

「完璧な自分に、なりたいんじゃろう?」

理亞「……完璧な私に」

「そのペンダントであれば、必ずなれる。完璧なオマエにな」

理亞「……これを、使えば」

「ああ、どんな願いでも叶う。オマエが払う代償は、それに見合ったものになるがな」



548: 名無しで叶える物語 2018/12/27(木) 02:01:36.74 ID:2AKvQ8NM.net

理亞「例えば、その代償は……」

「そうじゃなぁ。例えば……完璧を求める貴様の意識と、本来の精神が摩耗を起こして廃人になる……とか」

理亞「!? そ、そんなの言われたら使えるわけがない!」

「ひひ……そうか? まあ構わんが……姉を見返すチャンスは失われてしまうな」

理亞「……いい。私は私の力で姉様を驚かせる」

「ふむ。まあ、それも人間の常套句じゃな」

理亞「私は本気」

「そうか。で……何か買っていくかね?」

理亞「……」

「ふむ、クリスマスプレゼントか」

理亞「……」

「やはりその魔法のペンダントは良いぞ。誰が手にしても嬉しいものじゃ」

理亞「きつい見返りのあるものなんて贈れない」

「願いの大きさによるんじゃがなぁ」

理亞「……善子なら喜ぶか」

「……今、なんと?」

理亞「え?」



549: 名無しで叶える物語 2018/12/27(木) 02:02:03.88 ID:2AKvQ8NM.net

「いま言ったやつの名前じゃ」

理亞「……善子?」

「…………あやつの知り合いか、オマエ」

理亞「善子を知ってる……の?」

「はぁ……そうか、そうか……」

「いらんことせんとこ……」

理亞「?」

「いや、こっちの話じゃ」

理亞「はあ」

「じゃあそのペンダントは無しじゃ。オマエには売らん」

理亞(なにこの人……意味がわからない)

「そうじゃな……あとは魔除けのブレスレットとかどうじゃ?」

理亞「……ブレスレット」

「あとは食ってもなくならん肉とか」

理亞「……うそくさ」

「くっ……なら、その自分の心を映し出す鏡なんてどうじゃ!」

理亞「……心を映す?」

「お、食いついたな?」



551: 名無しで叶える物語 2018/12/27(木) 02:14:31.11 ID:2AKvQ8NM.net

理亞「どういう意味?」

「うむ。それは小さな丸鏡だが、効果は本物でな。その鏡を己に映すと、おのれの心が現れる」

「自分の心の闇、というやつじゃな」

理亞「心の闇……」

「自分の深層意識に眠る悩み、苦しみを現実に現し、オマエに見せてくれる」

「これが本来の効果じゃが……うむ、たまに自分の心がもう一人の自分として現れたりするから気をつけるんじゃぞ」

「まあどうせ現れたところで、そのうち魔力が切れて消え去るが」

理亞「……はあ」

理亞「自分の心……」

理亞「私の、心……」キラッ

「あ、おいやめろ!いま映すな!」

理亞「え?」

カッ!

理亞「っっ……まぶしい……っ」


─────……



552: 名無しで叶える物語 2018/12/27(木) 02:15:27.07 ID:2AKvQ8NM.net

理亞「…………」

理亞「……ぅぅ」

理亞「……な、なに……なにも起きてない?」

「……オマエ」

理亞「え?」

「……その頭、なんじゃ……?」

理亞「え?」ピョコ

理亞「……」サワサワ

理亞「鏡……」

理亞「え!?」

理亞「なにこれ……み、耳が……ねこみみ? 猫耳が生えてる……?!」

「……オマエの心、どうなっとんじゃ……!?」

理亞「なに……どういうこと、えっ……嘘でしょ……!?」

理亞「あなた、私に何したの! 元に戻して!」ガッ

「そ、それは魔力によって作られたものじゃ! だから魔力が切れれば……消えるはず」

理亞「……まりょく?」

「と、とりあえず……あやつに連絡しておくから待っとれ。話のわかる方に……」

理亞「……?」



553: 名無しで叶える物語 2018/12/27(木) 02:17:20.41 ID:2AKvQ8NM.net

・・・


ヨハネ「……それで私が呼ばれたわけですね」

「うむ。オマエ、ちょっと見てやれ」

ヨハネ「ふむ……」

理亞「……善子」

ヨハネ「あー……私が会うのは初めてよね」

理亞「は?」

ヨハネ「私はヨハネ。善子がその鏡を使って生まれた、あの子の心の具現」

理亞「……は?」

ヨハネ「まあ、あとで善子も来るように言ってあるから見たらわかるわ」

理亞「……はあ」



554: 名無しで叶える物語 2018/12/27(木) 02:18:27.59 ID:2AKvQ8NM.net

理亞(いつも以上に善子の言ってる意味が理解できない……)

ヨハネ「とりあえず触るわよ」サワサワ

理亞「ひ、ゃんっ……」

ヨハネ「……本物ね。ちゃんと定着してる」

「どう思う」

ヨハネ「理亞の心……の、なにかが猫になりたがってるとか」

理亞「なわけない! ……猫は好きだけど」

ヨハネ「よね……」

ヨハネ「うん、私にもわかりません。まだ何らかの変化をしそうな気はするけど、今はわからないわ」

「じゃな……経過を見るしかないな」

ヨハネ「そうですね。まあ私がついていれば大丈夫でしょ」

「なら任せる」

「ところでオマエ、時越えを使ってそうじゃな。なぜわしに声をかけんかった?」

ヨハネ「……面倒なことになるからですよ。ただでさえ時間を超える魔法は禁忌なんですから、そんなものを使える人をあなたが知ったら放っておかない」

ヨハネ「私の大切な人をそんな目に合わせるわけにはいかなかったんです」

「ふぅむ……貴重な人材だというのに、惜しいことをしたもんじゃ」

ヨハネ「普通の人にとっては、魔法なんてものはない方が幸せなんですよ」

「うむ、それには同意じゃ。違いない」

「じゃが、その大切な人が帰ってこれなくなりかけてたが」

ヨハネ「結果オーライってことで」

「フン、随分と調子のいいやつじゃ」



555: 名無しで叶える物語 2018/12/27(木) 02:19:25.55 ID:2AKvQ8NM.net

理亞「……善子」

ヨハネ「なに?」

理亞「……この耳じゃ、外に出られない」

ヨハネ「ああ……そうね、キャスケット帽でも買ってくるわ。それなら耳も隠せるし」

理亞「うん……ありがとう」

ヨハネ「いいのよ。友達のピンチだし」

理亞「……善子」

ヨハネ「ヨハネよ」

理亞「いつもより否定が激しい……」

ヨハネ「最初にちゃんと言ったじゃない」

理亞「あれ、ほとんど分からなかった」

ヨハネ「そうよね……」

「なんじゃ、オマエの知り合いじゃないのか?」

ヨハネ「友達よ。 善子の、だけど」

「……知らんだけか」

理亞「なに?」

ヨハネ「えーっと……」



556: 名無しで叶える物語 2018/12/27(木) 02:20:18.81 ID:2AKvQ8NM.net

~堕天使説明中~

ヨハネ「わかった?」

理亞「善子が私と同じ鏡の効果で……心が現れて、あなたが生まれた……?」

ヨハネ「だいたいそんな感じ。だからあなたの……その耳に現れたのがどういうものなのか、分からないなってこと」

理亞「……耳」ピコピコ

ヨハネ「猫みたいにのんびり気ままに過ごしたいとか?」

理亞「私が? まさか。むしろスクールアイドルとして、より高みに登るために努力しないと」

ヨハネ「……じゃあただの猫好き」

理亞「2つ目から雑すぎ。猫は嫌いじゃないけど」

ヨハネ「だって分からないんだもの……でも、似合ってるわよ? その猫耳」

理亞「余計なお世話。私はこんなの誰かに見られたら死ぬ」

ヨハネ「……でも、善子とルビィはこっちに来てるみたいよ?」

理亞「は!? 帽子、帽子早く買って来て!」

ヨハネ「はいはい……5分で戻るわ」

理亞「もっと早くして!」

ヨハネ「これ以上は無理よ!」



557: 名無しで叶える物語 2018/12/27(木) 02:21:34.67 ID:2AKvQ8NM.net

~回想終了~


善子「……それで猫耳が」

ルビィ「でも、それなら時間が経てば元に戻るんだよね?」

ヨハネ「ええ。かつて私が消えたように、その猫耳を形成してる魔力が消えればね」

理亞「……それっていつなの?」

善子「いつなの?」

ヨハネ「魔法使いまくってた私が消えたのが2ヶ月くらいだから……理亞はもっとかかるかも」

理亞「え!? そんなの困る、早く消して!」

ヨハネ「そ、そんなこと言われても……」

「魔力を吸い出してやることはできるが」

理亞「じゃあやって!」

「それでも、あまり大きな効果はないと思うぞ? 下手をすれば小娘の体力ごと奪いかねん」

理亞「そ、それでも……それでも消えるのが早くなるなら、いい」

「ふむ……」

理亞「お願い、します」

「仕方ない。おい、オマエがやってやれ」

ヨハネ「私が? いいですけど」

「わしはそいつの魔力を吸い出したところで使い道もないんでな。オマエの方がいいじゃろ」

ヨハネ「じゃあやってあげるわ」

「それが終わったらさっさと帰れ。これ以上厄介ごとを持ってこんでくれ。それに営業の邪魔じゃ」

ルビィ「ここってお客さん来るの……?」

「余計なお世話じゃ!」

ルビィ「ピィッ!? ご、ごめんなさい……」



610: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:07:43.80 ID:Fanuq3zX.net

~バス~


ブロロロ…

理亞「……」キョロキョロ

ヨハネ「警戒し過ぎよ……」

理亞「誰が見てるか分からない……」

善子「帽子かぶってるんだから大丈夫でしょ」

理亞「何かの拍子で取れたらお笑いにもならないから」

ルビィ「可愛い帽子に猫耳さん♪ 理亞ちゃん可愛いよ~」ギュウッ

理亞「る、ルビィ……///」

善子「ちょっろ」

ヨハネ「ちょろ」

理亞「そこの双子、うるさい!」

よしヨハ『双子じゃないわよ!』

理亞「ふん」



611: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:08:21.50 ID:Fanuq3zX.net

善子「……でも、大したことないみたいでよかったわ。理亞まで2人になったら大変だったし」

ヨハネ「そうねぇ……特にその理亞が小悪魔全開でAqoursのみんなを誑かしたりしたら」

理亞「な、なに言ってんの!? そんなこと、私はしないし……そもそもしたくない!」

ヨハネ「でも、深層意識はどうか分からないわよ? もしかしたら、何か抑圧された感情が煮えくり返ってるかも」

理亞「そ……そんな、もの……ない」

ルビィ「理亞ちゃん……?」

理亞「ほんとに、本当にない。私は健全」

善子「……でも、なんで猫なのかしら」

理亞「知らない……本当に知らない」

ヨハネ「尻尾はないみたいね」

理亞「し、尻尾まで生えたら……それも困る」

善子「まるで萌えアニメじゃないんだから……変化して猫耳だけ、ってのもおかしい話でしょ」

ヨハネ「そうね。この手の変化系は中途半端に変化することはないはずよ」

ルビィ「耳だけの猫……尻尾の無い猫?」

善子「尾の無い猫……」

みんな『うーん……』



612: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:08:57.36 ID:Fanuq3zX.net

理亞「ねえ、これ本当に消える?」

ヨハネ「それは保証するわ。少し時間はかかるかもしれないけど、必ず消える」

ヨハネ「私が出来るだけ早く消えるように魔力を吸い出してあげるから」

ルビィ「き、きっすはダメですからね!!」

理亞「は、はぁあ!?///」

ヨハネ「しないわよ!?」

ルビィ「それは絶対ダメですからねヨハネさま……!」

ヨハネ「し、しないから……! 触ればそこから吸収できるから……!」

善子「は!? じゃあ私はなんで……」

ヨハネ「効率考えたらそれは粘膜接触になるからであって……」

ルビィ「ヨハネ様!」

ヨハネ「しーなーいーかーらー!」

理亞「……うるさ」



613: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:09:41.45 ID:Fanuq3zX.net

~淡島ホテル~


鞠莉「I'm home♪」

千歌「おかえりー」

曜「おかえりなさーい」

ダイヤ「さあどうぞ、入ってくださいな」

聖良「はい。失礼します」

千歌「聖良さん!」

果南「いらっしゃーい」

花丸「お久しぶりです…!」

梨子「ようこそ!」

曜「よーそろ!」

梨子「ちょっと違うよそれ」

曜「あ、ごめん」

聖良「か、歓迎されて……ます?」

千歌「もちろんですよ! さあさあどーぞどーぞ、びっぷ席へ」

聖良「VIP席!?」



614: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:10:07.69 ID:Fanuq3zX.net

千歌「そりゃあもう、わざわざ遠路はるばる来ていただきましたお二人はもうびっぷ待遇でございまして……」

千歌「あれ? 理亞ちゃんがいないね」

聖良「ああ、理亞は……」

聖良「……」

千歌「聖良さん?」

聖良「あ、いえ……理亞は別行動しているだけです。あとでこちらに来ますから」

千歌「そっか!」

聖良「……」


────セラりんは……りあっちのこと、信じてあげていないのね』


聖良「……」

ダイヤ「聖良さん」

聖良「ぁ……は、はい」

ダイヤ「善子さんから連絡がありました。合流して、こちらへ向かっているそうです」

聖良「……そうですか、よかった」



615: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:10:58.80 ID:Fanuq3zX.net

ダイヤ「理亞さんが到着しましたら、お部屋にご案内いたします。鞠莉さんが手配したいいお部屋ですから」

聖良「ありがとうございます鞠莉さん」

鞠莉「No problem! Friendが遊びに来るんだもの、最高のおもてなしをするのが沼津流なの。ね、ちかっち」

千歌「うんうん、そうだよ! 明日のクリスマスイブパーティも最高のパーティにしちゃうよー!」

曜「飾り付けも完璧だしね!」

梨子「ま、まあ……私たちだけでこんなに広い部屋を使わせてもらうのも勿体ない気もするけど……」

鞠莉「いいのいいの♪」

果南「鞠莉は昔から暴れたがるからねー」

鞠莉「あら果南? こっちだって、チキン片手に走り回ってたの覚えてるんだからね」

果南「……私も若かったなぁ」

千歌「え、そんなことしてたの!? 私もやる!明日やろう果南ちゃん!」

果南「えぇっ!? や、やるの……?」



616: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:13:30.58 ID:Fanuq3zX.net

曜「不肖この渡辺曜軍曹も参加いたします!」

千歌「よかろう! 明日は戦争だ!」

曜「チキンは全て我ら松浦軍のものだー!」

果南「私、リーダーにされちゃった……」

梨子「あ……暴れちゃダメだよぉ……」

聖良「ふふっ」

ダイヤ「騒がしいでしょう? すみません」

聖良「いえ、これがAqoursの力の源なんだなと思わされます。私たちSaint Snowにはない……団結の力、友情と呼ぶべきつながり」

聖良「まさにあなたたちの憧れたμ'sのようです」

ダイヤ「……お恥ずかしいですわ。まだまだわたくしたちは、μ'sのようにはなれません。いえ、μ'sのようになろうなどと、おこがましいにも程がありますが」

聖良「ふふ、その姿勢でいるからこそ、あなたたちは強いんだと思います」

ダイヤ「……そうでしょうか」

聖良「見習わせてもらうつもりで、私もはしゃいでみようかな……なんて、うふふ」

ダイヤ「え、はしゃぐんですか?」

聖良「え、はい……少し、やってみようかな、と」

鞠莉「みんな聞いたー? セラりんもチキン戦争に参加したいって~!」

聖良「え!?」

ダイヤ「ここでそんなことを言うと、こうなりますが……」



617: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:15:36.20 ID:Fanuq3zX.net

千歌「それじゃあ聖良さんも我ら松浦軍に入隊だね!」

聖良「え、えええっ!?」

花丸「待つずら!」

梨子「まるちゃん!?」

花丸「そっちにはもう果南ちゃんがいる……なら、聖良さんまでそっちに行ってしまったら戦力差が歴然としてしまいます! だから聖良さんは、まるたち黒澤組に入門するのがいいと思うずら!」

千歌「く、黒澤組……!」

聖良「えぇぇ……」

ダイヤ「ちょ、ちょっと待ちなさいマルちゃん! なぜわたくしが対抗組織の長みたいな扱いに……というか我が黒澤家はそのような家ではありませーん!」

鞠莉「どうしますか組長! セラりんを取られればウチらは弱体の一途をたどることになっちまいます!」

ダイヤ「鞠莉さんまで乗らないでくれますぅ!?」

聖良「え、ええと……では、私は黒澤組ですか?」

花丸「はい! まると梨子ちゃんとダイヤさん、鞠莉ちゃん、聖良さんで黒澤組ずら!」

千歌「ずるい! 私たちは曜ちゃんと果南ちゃんの3人じゃん!」

鞠莉「そっちには善子とルビィをあげるわ!」

鞠莉「理亞とヨハネはこっちね!」

千歌「戦力差!!!」



618: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:17:30.43 ID:Fanuq3zX.net

花丸「まるたちが確実にちきんをいただきます!」

曜「むむむ……果南元帥、どうしましょう!」

果南「……よし、私が全員叩き潰す」

花丸「ひぃっ……」

梨子「私まで……どうして……」

ガチャッ

善子「ただいまー…………って、何事?」

ヨハネ「?」

ルビィ「?」

千歌「あ、よしコンビ!」

善子「ヨハコンビよ!」



619: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:18:14.75 ID:Fanuq3zX.net

千歌「よしコンビも松浦軍に入隊だよ!」

善子「は?」

鞠莉「ヨハネはこっちだって言ってるのに!」

ヨハネ「はい?」

千歌「善子ちゃんとヨハネちゃんは2人で1人の善子ちゃんだからこっちだよ!」

ヨハネ「……なにこれ?」

曜「ルビィちゃんもこっちね!」

ルビィ「は、はひっ!?」

花丸「理亞ちゃん、聖良さんはこっちだから理亞ちゃんもこっちに来るよね?」

理亞「え、何が?」

花丸「ちきん戦争ずら! 松浦軍と黒澤組の両軍が戦争して勝った方がちきんを独り占めできるのです!」

理亞「えぇ……バカらしい遊び」

花丸「がーん!?」

理亞「ていうか、あなたそんなキャラだっけ……」

花丸「え、いっ……いや、それはその……」

理亞「くだらない」

花丸「うううっ……まるのこころはずたぼろずら……もう輝けない……」orz



620: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:21:42.64 ID:Fanuq3zX.net

聖良「理亞、せっかくみなさんが盛り上げてくれてるのに……」

理亞「今来たばっかりにいきにゃり言われても……」

聖良「……ん? 理亞、いま噛みました?」

理亞「はっ……ぁ、う、うん、噛んだ。噛んだだけだから気にしにゃいで」

聖良「また……」

理亞(あ、あぶっ……気をつけ……な、いと……)

ダイヤ「ともかく、理亞さんも到着したことですし、まずはお部屋へ案内してはいかがです?」

鞠莉「そーね! それじゃあセラりん、りあっち、Come on!」

聖良「いきましょう、理亞」

理亞「……うん」

理亞(帽子で隠してるけど……大丈夫? 耳……)

果南「私たちも一旦解散するよー」

千歌「はーい。今日はお部屋でゆっくり休んでね、聖良さん!理亞ちゃん!」

聖良「ありがとうございます。明日のパーティ、楽しみにしてますね」

ルビィ「ルビィたちは、あとでお部屋に遊びに行くね、理亞ちゃん!」

理亞「う、うん」



621: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:22:47.48 ID:Fanuq3zX.net

~夜、聖雪ルーム~


ヨハよしルビ『おじゃましまーす』

理亞「ん」

ルビィ「……聖良さんは?」

理亞「そっちの3年生たちと温泉に行ってる」

ルビィ「そっかぁ……」

善子「それの様子、どう?」

理亞「今は、平気。まだ姉様にもバレてにゃい」

ヨハネ「……でも、時間の問題っぽいわね」

理亞「耳は隠せても……言葉がどうしても隠せないい。時間が経つにつれて、にゃが出てくる」

理亞「……気をつけても、にゃを抑えられなくなってきてる」

ヨハネ「うーん……どうなってるのかしら」

ルビィ「ヨハネ様にもわからないんですか……?」

ヨハネ「あの鏡の効果は、使用者によって変わるから……私にもわからないの」

ルビィ「そんな……」



622: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:23:10.25 ID:Fanuq3zX.net

善子「でも、猫化が進んでるってことよね」

理亞「……私、どうにゃるの?」

ヨハネ「分からない」

理亞「……」

ヨハネ「でも、あの鏡に込められた魔力が切れれば、理亞の変化も消えるはず」

ヨハネ「だからそれまで待つしかないわね」

理亞「待つって……どれくらい待てばいいの? 明日には消える? 元に戻るのはいつ?!」

ルビィ「理亞ちゃん落ち着いて……」

理亞「……ごめん」

善子「理亞……」



623: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:24:56.16 ID:Fanuq3zX.net

ルビィ「もう、みんなに話した方が……」

理亞「そ、それはダメ!」バッ

パサッ

ルビィ「ぅゅ……」

善子「……ぁ、帽子が」

ヨハネ「……」ヒョイ

理亞「……」ピコピコ

理亞「姉様に、心配をさせるのは……ダメ。ただでさえ、姉様は私のことで心配をかけてるから」

善子「……でも、お姉さんの過保護にはあなたもうんざりしてるんじゃ……」

理亞「い、いい。してにゃいから……心配してもらえるのは、嬉しいことだから」

ルビィ「理亞ちゃん……でも、理亞ちゃんはもう一人で大丈夫だよって、思ってほしいんじゃ……」

理亞「っ……ルビィににゃにが分かるの!?」

ルビィ「!」

ヨハネ「ちょっと……」



624: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:25:26.57 ID:Fanuq3zX.net

理亞「私だって……姉様に分かってほしい。一人でもできるって、ひとりでも大丈夫だって……」

理亞「でも、姉様はそれを許してはくれにゃい……頭では分かってるんだと思う。私を独り立ちさせようと促してはくれる」

理亞「けど、言葉の端々から私を心配してる気持ちが見えてくる。今日、ひとりで沼津を歩き回るって言っただけで、すごく心配された」

理亞「迷子ににゃらにゃいか、とか……ひとりで平気か、とか」

理亞「……私だってひとりでできる。姉様に心配されてるばかりの私じゃにゃい……」

ルビィ「……理亞ちゃん」ギュウッ

理亞「……ごめん、ごめん」

善子「大丈夫よ。お姉さんは……まあ、確かに過保護なとこもあるけど、いいお姉さんでしょ?」

理亞「……当たり前。姉様は世界に誇れる最強の姉様にゃから」

ヨハネ「……」

善子「どうしたのヨハネ」

ヨハネ「いや……」

ヨハネ「理亞の猫化が一気に進んだ……ような」

善子「……え?」



625: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:26:23.67 ID:Fanuq3zX.net

ヨハネ「お姉さんの話を始めた途端、急に……じゃない?」

善子「……」

理亞「と、とにかく……そのうちにゃおるにゃら、いい。それまで帽子で隠すだけ」

ルビィ「りあちゃん……」

理亞「特に、姉様にだけは……絶対に見られるのはダメ。また、余計な心配をかけてしまう……」

理亞(そしたら、また……姉様は私を……っ)


ガチャッ


理亞「!!」

聖良「ただいま……ふう、とても広くて素敵な温泉でした。理亞も一緒に行けばよかったのに……」

聖良「…………え?」

理亞「ぁ、あ……っ」ゾッ

善子「ヨハネ、帽子!」

ヨハネ「え、い、いま!?」バッ

理亞「っ……」ギュウッ



626: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:27:20.56 ID:Fanuq3zX.net

聖良「……理亞、今の……って」

理亞「にゃ、にゃんでも……っ……」

聖良「……理亞?」スッ

理亞「や、やめて!」

聖良「理亞……」

理亞「ぁ……ごめ、姉様……っ」

聖良「……」

ルビィ「ぁ、ぁあわわわ……」

善子「あ、あの……お姉さん、今のは……」

聖良「……理亞、その帽子を取ってみせて」

理亞「っ……は」

聖良「大丈夫。私は驚きませんから……」

ヨハネ「お姉さん……」

聖良「ね……理亞、大丈夫です。私はあなたのお姉ちゃんなんですから、怖がらないで」

理亞「は……ァ、はっ……はあ、っ……はあ……っ」

理亞「嫌……っ、……嫌、イヤ……っ!」

聖良「……理亞……!?」



627: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:28:07.82 ID:Fanuq3zX.net

理亞「見せたら、また……姉様に、私は……っ」

聖良「理亞……?」

理亞「来にゃいで、姉様……」

聖良「……理亞」スッ

理亞「来にゃいで……!」バシッ

聖良「……!」

パサッ

ルビィ「あっ……帽子が……」

理亞「……」

聖良「……理亞、その、頭にあるのは」

理亞「は、あ゛っ…………ゔ、ぅ……」ザワザワ

善子「!?」

ヨハネ「なんか、やばいかも……理亞、落ち着きなさい!」ガシッ

理亞「ぅ、るさい……離して!」バッ

ヨハネ「ぐっ……!」

理亞「…………っ」バタリ

ルビィ「よ、ヨハネ様がふき飛ばされて……」

聖良「り、理亞!? 理亞……どうしたんですか!?」ガバッ

聖良「理亞、しっかりして! 起きてください、理亞!」ユサユサ



628: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:31:43.97 ID:Fanuq3zX.net

善子(姉、聖良の伸ばした腕を強く弾いた拍子に帽子が落ちて、猫耳を見られた理亞)

善子(何かを予感したヨハネが駆け寄ろうとし、しかし理亞はヨハネを強く弾き飛ばした)

善子(それと同時に、理亞は意識を失った。荒く息を途切れさせたまま、その場に……)

善子(そして、異変が起こる)

聖良「理亞、りあ…………ひっ!?」バッ

ルビィ「り、理亞ちゃんの髪が……っ」

善子(異変、変化……理亞の二つに結ばれた髪。姉と同じ濃い紫の髪が、すぅ────と)

善子(まるで血の気が引いていくかのように)

善子(まるで、生気が抜けていくかのように────)

ルビィ「真っ白になっちゃった…………っ」

善子(濃い紫から、白銀に)

善子(その髪の、色を変化させた)

善子(そして────)

理亞「……」ガバッ

聖良「!」

ルビィ「理亞ちゃん!」



629: 名無しで叶える物語 2019/01/11(金) 00:32:01.21 ID:Fanuq3zX.net

理亞「……」

善子(弾け飛ぶように起き上がった理亞────その髪は色が完全に抜け落ちて白銀に)

善子(そう、生えていた猫耳も────白銀)

理亞「……ふぅん」

聖良「り、あ……?」

理亞「おはよう、姉様……と呼んだほうがいいのかにゃ?」

理亞「やっと出てこられた。ねえ、同類。さっきはぶっ飛ばして、ごめんにゃ?」

ヨハネ「……やっぱり」

理亞「私があの鏡によって写された心……理亞の心の具現」

理亞「────よろしくにゃ♡」

善子(目の前の状況を理解できずに唖然と、呆然とする、私たちとは裏腹に)

善子(悠然に、泰然に、平然に)

善子(鏡によって生まれた────理亞の心が、顕現した)



647: 名無しで叶える物語 2019/01/15(火) 00:18:50.63 ID:1VvoysYq.net

・・・

理亞「にゃおん」ジー

聖良「……」

ルビィ「あわわわわ……」

理亞「ふむん」ジロジロ

聖良「な、なんですか……理亞?」

理亞「いや? 姉様、にゃあ……にゃはは、にゃるほど」ニヤニヤ

聖良「……?」

善子「……あんたが、あの鏡で生まれた……?」

理亞「さっきも言ったにゃ? 同じ説明をさせるんじゃにゃい」

善子「……そうよね」

ルビィ「は、わっ……ふぅ」バタリ

聖良「る、ルビィさん!?」ガシッ

ルビィ「ぽへー……」

ヨハネ「ルビィのキャパを超えたわね……」



648: 名無しで叶える物語 2019/01/15(火) 00:19:28.12 ID:1VvoysYq.net

聖良「……とりあえず、説明してもらえますか理亞。何がどういうわけなのか……私にはまるで理解できません」

理亞「めんどくさい」

聖良「え!?」

理亞「私は理亞じゃにゃい。だから説明はしにゃい」

聖良「り、理亞……」

理亞「にゃおん?」

善子「……」

理亞「にゃに?」

善子「あんたは理亞の、どんな心の具現なの?」

理亞「どんにゃ心、ねぇ」

善子「私のヨハネは、私の……私がもう一人いれば……って気持ちが現れた」

善子「あんたは……なに?」

理亞「────フン」

善子「?」



649: 名無しで叶える物語 2019/01/15(火) 00:24:09.13 ID:1VvoysYq.net

理亞「誰がオマエらにゃんかに喋るかよ」

善子「……は?」

理亞「理亞のことを少しでも知ってるんにゃら、わかるだろ? そんにゃことを話すわけがにゃい」

理亞「話したところで、理亞が満足するわけじゃにゃい。私が満たされるわけでもにゃい」

理亞「話す意味がにゃいんだから、話す必要性もにゃい。ずっと自分で抱え込むんだ。それがこの鹿角理亞って人間だろう?」

聖良「……」

理亞「分かってるんにゃら大人しくしといた方がいい。私がそのぶん働いてやるだけにゃ」

理亞「だから────」

ヨハネ「だから?」

理亞「私は私の使命を果たすだけだにゃん♡」バッ

聖良「!」

ヨハネ「動かないで!」バッ

善子(理亞が猫のような挙動で姉、聖良へ向かって飛びかかる。しかしその間を割るようにヨハネが飛び入り、理亞の突撃を防いだ)

善子(同時にヨハネは魔法を発動し、理亞を拘束すべく光の縄が彼女へと襲いかかる)

理亞「フン、断る」

善子(理亞はそれを難なく回避。まさしく猫と呼ぶべき軽やかさで一回転すると、ヨハネから2m離れたベッドに着地した)



650: 名無しで叶える物語 2019/01/15(火) 00:26:03.59 ID:1VvoysYq.net

ヨハネ「動くなって……言ってんでしょうが!」

理亞「チィ、めんどくさいにゃ……!」

善子(続けてヨハネが光の縄を理亞へと差しむける。しかし理亞の動きは素早く、猫のようにしなやか)

善子(無数の縄は、しかし理亞を捉えることは叶わない────)

理亞「邪魔をするのか、同類」

ヨハネ「あんたが説明しないからでしょう?」

理亞「……理亞がオマエらには知られたくにゃい、って言ってるんだけどにゃあ」

聖良「り、りあ……何を、何をするつもりなんですか……?」

理亞「……フン」

理亞「サクっと終わらせたかったんだが……仕方にゃい。また遊びに来てやるから、それまで待ってろよ」

理亞「────姉様♡」ピョン

聖良「あっ!」

ヨハネ「待っ……」

理亞「じゃあにゃ!」ピョン

バッ

聖良「理亞、りあッ……」

聖良「理亞────!!!」

善子(理亞は、不敵に微笑み────窓から淡島の闇へと消えていった)

善子(残ったのは────荒れた部屋と、木霊する聖良の声)

善子(そして、遠くから聞こえる理亞の高笑いだけだった)



651: 名無しで叶える物語 2019/01/15(火) 00:27:28.88 ID:1VvoysYq.net

・・・

ガタッ

サッサッ…

善子「……よし、部屋は元通りね」

聖良「……すみません、妹が」

善子「理亞は何も悪くないんです。悪くないから……そのように言うのはやめてあげてください」

聖良「……」

ルビィ「……理亞ちゃん」

善子「……ルビィも倒れちゃうし」

ルビィ「ご、ごめんなさい……久しぶりに、パンクしちゃって……」

ヨハネ「大丈夫よ。仕方ないもの……さすがに私も焦ったし」

聖良「……あの、善子さん……の妹さん?」

ヨハネ「……ヨハネです」

聖良「え、ええっと」

善子「理亞のこと……説明しなくちゃいけませんよね」

聖良「何か知ってるんですか!?」ガバッ

ルビィ「ぴぎゃっ!?」

善子「ぉ、落ち着いてください……っ」

聖良「ぁ……す、すみません……」



652: 名無しで叶える物語 2019/01/15(火) 00:28:05.25 ID:1VvoysYq.net

ヨハネ「私たちも多くを知ってるわけじゃない……けど、分かる範囲で説明させてもらうわ」

ヨハネ「まずは、お姉さん。私のこと、分かってましたこと?」

聖良「あ、いえ……その……ええと、善子さんって双子だったんですね。知りませんでした」

善子「違うのよ、お姉さん」

聖良「違う?」

善子「私とその子は双子じゃない、姉妹ではないの」

聖良「え……?」



653: 名無しで叶える物語 2019/01/15(火) 00:30:22.18 ID:1VvoysYq.net

ヨハネ「……お姉さんは、魔法を信じる?」

聖良「はい?」

ヨハネ「この世界には、魔法というものが存在するの」

ヨハネ「漫画やアニメに存在する魔法、ファンタジー世界を象徴する超常の異能力」

ヨハネ「魔の力、等価交換を無視した究極の現象」

ヨハネ「それが魔法」

聖良「……それが、実在すると?」

ヨハネ「ええ、実在する」

ヨハネ「私は魔法の鏡によって生まれた、善子の心の具現化。あの子自身……だから、双子でもなければ姉妹でもないの」

ヨハネ「魔法によって生み出された、もうひとりの津島善子なんです」

聖良「……はあ」

聖良「……にわかには、信じられません」

ヨハネ「証明なら……魔法を見せることで」

聖良「いえ、それには及びません。さっきのことで、もう信じるしかなくなってしまいましたから」

ヨハネ「……ありがとうございます」



654: 名無しで叶える物語 2019/01/15(火) 00:47:57.14 ID:1VvoysYq.net

聖良「それで、その魔法が……」

ヨハネ「理亞のあれは……あの、猫のような状態は、私と同じ存在なのよ」

聖良「……同じ」

ヨハネ「私が生まれるきっかけになった鏡と同じものを、あの子は使った」

ヨハネ「だからあの猫は、理亞の心が実体化した存在で……私と同類なの」

聖良「でも、あなたのように二人になったりしてないですよね?」

ヨハネ「あれは、使った人によって現れるものが違うの」

ヨハネ「私と善子の場合は二人に分かれた」

ヨハネ「けれど、理亞の場合は身体は一人のまま……人格として、現れたんだと、思います」

聖良「そう、なんですか……」

ヨハネ「……わかってもらえる?」

聖良「……認めるしか、ないんでしょう?」

ヨハネ「……そうね」

聖良「事情は分かりました。なぜあの子がそんなことに巻き込まれたのか……それはまた、あとで聞かせてもらいます」

ヨハネ「……うん」



655: 名無しで叶える物語 2019/01/15(火) 00:48:46.55 ID:1VvoysYq.net

ルビィ「理亞ちゃんは、どこにいっちゃったんだろう……ヨハネ様」

ヨハネ「わからない……魔力が探知できないの。多分、自分で消してるんだと思う」

善子「気配を消す……って、まるで猫ね」

ヨハネ「そう、猫……猫よ。あの子の心の具現は猫だった」

ヨハネ「どうして猫なのかは、知らないけど……何か目的があってお姉さんを連れて行こうとしていた」

聖良「……」

ルビィ「理亞ちゃんが……? 何か、聖良さんとお話があったんじゃ……」

善子「そんな雰囲気じゃなかったわよ……」

ルビィ「ぅゅ……」



656: 名無しで叶える物語 2019/01/15(火) 00:53:12.05 ID:1VvoysYq.net

聖良「……探さないと」

善子「え?」

聖良「理亞を探しにいきます。こんな夜中に、あの子を1人にはできません」

ヨハネ「待って、ダメよ」

聖良「なぜです!? 妹なんですよ?」

ヨハネ「……分かってるでしょ。あの子はあなたを狙った。あなたがひとりで動いたら……次はあなたがどうなるかわからない」

聖良「そんな……でも、私は……」

善子「……それより、聞きたいことがあります。お姉さん、いいですか?」

聖良「で、ですが」

ヨハネ「……なら、理亞は私とルビィで探しに行くわ。私ならあの子を捕まえる力がある」

ヨハネ「善子はここでお姉さんと居て。あいつが入れないように結界を張っておくから」

善子「わかったわ。お姉さんも、いいですね」

聖良「……わかりました」

聖良「お願いします」ペコリ



658: 名無しで叶える物語 2019/01/15(火) 00:58:06.96 ID:1VvoysYq.net

~ホテル前~


ルビィ「それで……どうやって探しますか?」

ヨハネ「地道に歩き回るしかないわ。大きな魔力は感じないから……手探りになる」

ルビィ「で、でも、この淡島ホテルの近くにいますよね……?」

ヨハネ「さあね……でも、もし魔法を使えるんだとしたら」

ルビィ「……どこにでも、逃げられる……?」

ヨハネ「……そう」

ルビィ「そ、そんな……っ」

ヨハネ「けど、そうするためにはある程度の魔力が発生する。そこまで隠し通せるわけがないから……もし遠くまで逃げようとしているなら、すぐにわかるわ」

ルビィ「ほぇ……」

ヨハネ「とにかく急ぎましょう」

ルビィ「は、はい!」



665: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 01:59:23.63 ID:Un5E3wIv.net

・・・

────夢を見る。

その夢の主人公は、今日はとても機嫌が悪かった。

心がざわついて、なんだか無性にいらいらして。

走っても走ってもすっきりしない。

海を飛び越え。

山を飛び越え。

どこまでいってももやもや、いらいら。

いらいらしながら、大きな建物をぴょんと越えて。

夜景の綺麗な街に着きました。

でも、いらいらは治らない。

そのいらいらが、少し後ろから見ているだけの私にも伝わってくる。

どうしてこんなにいらいらするのだろう。

生まれてからずっといらいらしているみたい。

いいこともあったはずなのに、それでもいらいら。



666: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:00:03.60 ID:Un5E3wIv.net

どうしてもいらいらするから、ちょっと周りに八つ当たり。

まるで猫のように、自由気ままに、八つ当たり。

気に入らないから、八つ当たり。

どうしてこんなにいらいらするのかって?

それは。

目当ての食べ物を、お預けされてしまったから。

とてもおいしそうな、お肉だったのに。

別の食べ物に邪魔をされてしまったの。

だから、おなかがすいている。

ぐうぐうおなかがなっている。

それじゃあ、食べ物を集めよう。

その子は不思議な力を持っているの。

食べ物を呼び寄せる、不思議な力。

おなかがすいた。

寄ってこい。

私の食べ物、寄ってこい。



667: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:00:39.24 ID:Un5E3wIv.net

呼ぶと、どんどん寄ってくる。

みんなみんな寄ってくる。

食べ物が寄ってくる。

だけど、いらいらは落ち着かない。

だってその子を嗤うから。

取り囲んで、けたけたと。

ただの食べ物のくせに、その子にいじわるをするから。

「────」

食べ物が嗤う。

くるくると、まるでパレードのように。

その子の周りを、愉快そうに囲んで歩いて。

けたけた嗤う。とても不快に、不愉快に。

食べ物が笑う。

それはまるで、待てをされているよう。

だけど、猫は待てを聞かない。

自由気ままな猫は、ごはんがあるなら我慢しない。

いじわるな食べ物には、罰を与えましょう。

手を叩いて、お菓子に変えてしまいましょう。



668: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:01:36.40 ID:Un5E3wIv.net

「─────!!」

逃げることは許さない。

食べ物は、食べられるためにあるのだから。

ぱちんと叩くと、食べ物は動かなくなる。

その場にうずくまって、きぃきぃ啼いている。

それを見ていると、とても気分が良くなるみたい。

さっきまでのいらいらは、もう消えていた。

食べ物が食べ物らしくしてくれる。

黙って食べられてくれる。

とても幸せ。

みぃみぃと猫は鳴く。

満足のいく食事にありつけて、とても嬉しそう。

それを見ている私も、なんだか嬉しくて。

私までお腹いっぱいになったみたい。



669: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:02:19.06 ID:Un5E3wIv.net

だけど。

せっかく食べたのに、まだ足りない。

もっともっと、たくさん食べたい。

寄ってこい。寄ってこい。

おいしい食べ物、寄ってこい。

あの子がご飯をいっぱい食べると、私も満ち足りた気持ちになる。

お腹が膨れて嬉しい猫。

だから、私も嬉しくて。

もう少し、その猫がお腹いっぱいになるところを見ていてもいいかな、なんて思っていると。

「────見つけたわよ」

また見つけた。

おいしそうな、たべものだ。

だけど、またいらいらする。

この食べ物は、いらいらする。

「さっきまで何も感じさせなかったくせに、いきなりデカイ魔力あふれさせるんだもの」

「何かと思えば────あんた、人を襲ったの?」

食べ物のくせに反抗的。

いらいらする。



670: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:05:05.62 ID:Un5E3wIv.net

人なんて、どこにいるの? これはただの食べ物でしょう?

ミートパイにスパゲッティ。ローストビーフにハンバーグ。カレーライスにオムライス。

どれを見てもただのお料理。とってもおいしい食べ物なのに。

「まさか自分から魔力を求めて街に行くなんてね……ったく、予想外よ。そんなのでその身体の持ち主が喜ぶと思ってるの?」

「……そう、あんたの意思ってわけね。それなら、いい。良くないけど」

ふぅふぅと猫が鳴いている。

とても不愉快そう。

せっかくの食事を邪魔されたから、怒ってる。

「ヨハネ様……ど、どうしよう」

「大丈夫……少し生命力を吸われただけだわ。命に別状はない、少し離れた場所へ移動させて」

「う、うん……!」

食べ物が、食べ物を盗もうとしている。

それは、ダメ。

そんなことをしたら、この子がまた────



671: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:05:51.99 ID:Un5E3wIv.net

「やめなさい理亞。その子はルビィなのよ!」

────理亞? なんでその猫に、私の名前で呼びかけるの?

理亞は私。

その猫は、私じゃない。

ただ私の夢に出てくる、おなかのすいた白い猫。

なのに、どうして。

「お姉さんが心配してる。早く帰りましょう? あなたは話さなくちゃいけない」

変な夢。

食べ物が、なぜ姉様を?

ルビィがいるって? わけがわからない。

食べ物のくせに、何を言ってるの?

わけがわからない。

わからない。

わからないから。

食べてしまいましょう。



672: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:06:51.29 ID:Un5E3wIv.net

~ホテル・聖雪の部屋~

聖良「……」

善子「……」

聖良「……理亞は見つかったでしょうか」

善子「まだ連絡はないから……まだだと思います」

聖良「……そうですか」

聖良「それで、善子さん……話というのは」

善子「……はい、理亞のことなんですけど」

聖良「はい」

善子「お姉さんは……理亞のこと、どう思っていますか?」

聖良「それは……私のパートナーです。愛しい妹であり、良きパートナー。それが理亞」

聖良「私の求めるパフォーマンスに全力で追いつこうとしてくれる、追いついてきてくれる最高の相棒ですよ」

善子「信頼しているんですね。パートナーとして」

聖良「はい。Saint Snowは私とあの子、二人でなくては完成しない……そう思っています」

善子「……」

善子「……パートナーとしての信頼は、わかりました」



673: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:07:36.88 ID:Un5E3wIv.net

善子「じゃあ……」

善子「妹としては、どう見ているんですか?」

聖良「……それは、どういう意味ですか。私があの子の姉として不満だと?」

善子「違う……違うわ。信頼の話よ」

聖良「……どういうことですか」

善子「あなたは……あの子を信頼している? 妹として……姉として」

善子「あの子をどれだけ認めているの? 人間として」

聖良「……」

聖良「……頼りない部分は、あると思っています」

善子「……」

聖良「理亞はたしかにパートナーとしては最高です。私にとって、これ以上ないくらい」

聖良「ですが……あの子は、理亞は人としてはまだまだ頼りない」



674: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:10:58.31 ID:Un5E3wIv.net

聖良「人とコミュニケーションを取るのは苦手だし、初めて一人で行った場所では迷子になる。今日だって、あんな……変なものに取り憑かれて……」

聖良「……やはり私が目を離してはだめでした。私が常にそばで見ていてあげないと、まだ理亞は……」

────セラりんは、りあっちのこと信じてあげていないのね。

聖良「……」

善子「……聖良さん」

聖良「……あなたも言うんですか?」

善子「え……?」

聖良「あなたも……私に言うんですか。理亞を信じていないと」

善子「……!」

聖良「……実は、昼間、鞠莉さんにも言われたんです。私が理亞のことを信じていない、と」

善子「マリーが……?」

聖良「そんなわけ、ないじゃないですか。私が一番あの子を理解して……あの子を信じてる。信頼しています」

聖良「けど、その言葉が私の胸に刺さって……」

善子「お姉さん……」



675: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:12:55.01 ID:Un5E3wIv.net

聖良「信じてます……信じていますよ? だけど、心配と信じることは別じゃないですか」

聖良「あの子のことは信じています。当たり前です。けど……心配になるんです」

聖良「理亞はもう高校生。ですけど、人と話すのは苦手ですし、完璧主義なところがあるから力を抜くことも上手くできない」

聖良「だから、あの子をそばで見て導いてあげないと、不安で仕方ないんです……」

善子「……あの子がひとりでも頑張ろうとしているのは、知ってますか?」

聖良「……はい。そうしようとしているのは、分かります。だから今日もひとりで、と頑なだったんでしょう」

善子「理亞は……お姉さんが卒業したら、ひとりでこれからを過ごしていかなくちゃいけない。お姉さんは北海道を離れるんですよね?」

聖良「……はい。だから、本当にあの子をひとりにしてしまいます」

善子「だから、不安」

聖良「……はい」

善子「……私が聞きたいこと、全部勝手に喋ってくれましたね」

聖良「そ、それは……」

善子「いいんですよ。話は早い方が助かります」



676: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:13:50.58 ID:Un5E3wIv.net

善子「そこまで分かってるなら、話は早いと思います。私とヨハネは多分同じ結論なんだと思うけど……あの猫が生まれたのは、あなたのせいよ」

聖良「……私の、せい」

善子「そうです。あなたが理亞に対し、心配しすぎであること」

善子「理亞のことを信頼していないのではないか、信じていないのではないか……そう感じ取られるほどに過保護であること」

善子「愛は伝わります。心も、気持ちも」

善子「それが分かってるからこそ、理亞はひとりで頑張れるところをあなたに見てもらい。あなたに信じてほしい」

善子「けれどあなたはそれを許さない。させない。心配だからと、常に自分のそばに置こうとしている」

善子「……確かに心配性の姉としては、優しくて素敵です。けれど、独り立ちを見守ってほしい、保護者としては……少し過剰」

聖良「私は、そんなつもりじゃ……!」

善子「分かってる。理亞もね」

聖良「……」

善子「だからこそ、あなたには一番に信じてほしいの」

善子「ひとりでできるというところを、信じてほしいの」



677: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:17:25.43 ID:Un5E3wIv.net

聖良「ですが、ですが……あの子はそう言って出来た試しがありません。だから、心配してしまうじゃないですか……」

善子「……それを信じて、背中を押してあげるのも姉なんじゃないかって、私は思います」

聖良「それは、分かりました。わかりましたが……私のせいだと言う、根拠は?」

善子「猫になった理亞は、一目散にあなたに襲いかかろうとしました」

善子「理亞の心から生まれた存在が最初に取った行動が、それです。その行動があなたを襲うことだったなら……あなたに襲いかかることに、意味があったんじゃ、と思ったの」

聖良「でも、ただ攻撃することが目的だったら? とにかくどんなものでも傷つけることが目的だったら」

善子「それなら、すでに気を失っていたルビィを叩けばいいじゃない」

聖良「……確かに、そちらの方が確実ですが」



678: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:21:47.98 ID:Un5E3wIv.net

善子「……猫は散歩はしても、回り道をしない。目当てのものがあるなら、それに一直線────でしょう?」

善子「だからあなたを襲うことで、きっと……今まで溜まった鬱憤を晴らそうとしたのよ」

善子「あなたが心配し続けて蓄積されたストレスを解消しようと、ね」

聖良「……信じたく、ありません。理亞が私を……」

善子「信じなくて、いいんです。どちらにせよ、そんなことはさせませんから」

聖良「……善子さん」

善子「ヨハネが理亞を見つければ、すぐに捕獲するはず。同じ魔法によって生み出された存在であっても、ヨハネが遅れを取るはずないもの」

聖良「……信じているんですね」

善子「当たり前よ。だって、私のヨハネは無敵なんだから────」



679: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:24:17.77 ID:Un5E3wIv.net

・・・


ヨハネ「────、ぐ、ぅ……っ」

ルビィ「ヨハネ様────────!!!」

ヨハネ「来ない、で……ルビィ!」

ルビィ「ぅ、ぅぅ……っ」

ヨハネ(まずった)

ヨハネ(『食事』を済ませた理亞が、これほどにまで────)

理亞「にゃはは、無様にゃ姿だにゃ同類。せっかくの魔法も打ち止めってところかにゃん?」

ヨハネ「は、っ……ふざけなさいよ」

ヨハネ(魔法が全く効かなかった。こいつと私は相性が悪すぎる……)

ヨハネ(まさか……“魔力を吸収する”能力を持ってるなんてね……!)

理亞「私の魔法、えにゃじーどれいん。いい魔法でしょ?」

ヨハネ「……ふん、エナジードレインなら私にも使えるわよ」

理亞「寝ぼけたことを言うにゃよ同類。オマエはあらゆる魔法を満遍にゃく使えるのがいちばんの武器にゃんだろうが、私の武器はこの一点特化」



680: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:26:05.95 ID:Un5E3wIv.net

理亞「とにかく吸収する。喰らうことが私の魔法。それが魔力のリソースとして扱えるものにゃら、オマエが私に差し向けた魔法だって喰らうことができる」

ヨハネ「……それで、その人たちからも魔力を奪った」

理亞「ああ、お腹が空いてはにゃんとやら、って言うしにゃ。魔力で編まれた体を持たにゃいくせに、私は燃費が悪いらしくてにゃ」

理亞「ああして食事をしにゃいと、くたびれちゃうんだにゃ。だから片っ端から魔力をもらって、命を繋がせてもらってるってこと」

ヨハネ「……けど、そこまでドレインに長けてるなら、人から奪う必要もないでしょう。大気や大地からだって」

理亞「そりゃあそうにゃんだけど────まあ、人間からもらうのが一番効率がいいからにゃあ?」

ヨハネ「……やっぱりあんたはそのままにしちゃおけないわ」

理亞「ふうん? 同類だからと奪わずにいてやったが、根こそぎ奪ってやらにゃいと我慢にゃらんって顔だにゃ。死ぬ気か?」



681: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:26:42.70 ID:Un5E3wIv.net

ヨハネ「それこそ、我慢ならないわね。本気で来なさいよ、駄猫」

理亞「……フン。もう後悔したって遅いんだからにゃ────!!!」

ルビィ(全身の毛を逆立たせて怒りを見せる理亞ちゃんが、鬼気迫る勢いで叫ぶ)

ルビィ(その次の瞬間────理亞ちゃんがジャンプしようと屈んだのと同時に吹き荒れた風に、一瞬だけ瞬きをした、その瞬間)

ルビィ(たった0.1秒も閉じていなかった瞼を開けた時には、もう理亞ちゃんはヨハネ様の首に爪を突き立てているところでした)

ヨハネ「いきなり、獲りにきたわね……!!」

理亞「回り道は嫌いにゃんでにゃ────」

ルビィ(ヨハネ様はぎりぎり、もしかしたら若干爪が首に刺さってたかもしれないけど……なんとか突撃を回避。そのまま流れるような動作で理亞ちゃんの空いたお腹を上に蹴り飛ばした)

ルビィ(勢いより蹴り飛ばされた理亞ちゃんは、そのまま空へと落ちていく)



682: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:27:29.49 ID:Un5E3wIv.net

ルビィ(ヨハネ様のような翼があるならすぐに動けるんだろうけど、理亞ちゃんにはそれがない)

ルビィ(だから空で自由なヨハネ様の次の攻撃を避けられない)

ルビィ(ヨハネ様はぶっ飛んだ理亞ちゃんにすぐに追いつくと、続けて地面に向かってかかと落としを叩き込む。ルビィはそこで、怖くなっちゃって目を閉じちゃいました)

ルビィ(なにかが地面に叩きつけられて、石畳が砕ける音がする。目を閉じているからなにが起きているのか分かりませんが、多分、理亞ちゃんが地面に落ちたんだと思います)

ルビィ(それから、ずっと目を閉じたまま、音だけを聞いています。ヨハネ様の息遣い、悲鳴。理亞ちゃんの叫び声、笑い声)

ルビィ(大きな炎の音や、電気の音。なにが起きてるのかは分からないけど……ルビィの目の前では、理亞ちゃんとヨハネ様が戦っているのです)



683: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:27:58.49 ID:Un5E3wIv.net

ルビィ(ルビィ、ルビィ、本当はこんなことして欲しくないよ……なんでお友達同士で傷つけ合わなくちゃいけないんだろう)

ルビィ(あの猫さんは理亞ちゃんじゃない……理亞ちゃんの深いところに眠っていた理亞ちゃん、なにかいらいらを抱えた理亞ちゃん)

ルビィ(でも、身体は理亞ちゃんのままなんだよ……? そんな激しいこと、したら……理亞ちゃんの身体が……っ)

ヨハネ「ぐっ……なに、ドレインの範囲って手だけじゃないわけ?」

理亞「まさか。私の全身に決まってるでしょう?」

ヨハネ「……あ、らら。これじゃあ本当に手の打ちようがないわ……」

ルビィ(ぶつかる音が止んで、二人の話し声が聞こえる)

ヨハネ「あんた……理亞には、それだけのストレスが?」

ルビィ(ストレス……?)

理亞「別に、そういうわけじゃにゃい」



684: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:28:36.19 ID:Un5E3wIv.net

理亞「まるで父でもにゃい母でもにゃい赤の他人と15年間、家に部屋も用意されにゃいまま一緒に暮らして蓄積されたストレスにゃんかと比べれば大したことはにゃい」

理亞「ぶっちゃけた話、姉様にちょっと今までの分の気持ちを込めてぶん殴りゃあ充分スッキリする程度だにゃ」

ヨハネ「……なら、どうして人を襲ったの? 私に抵抗をするの? お姉さんと話をつけるだけで足りるのなら、手荒なことをする必要はないじゃない」

理亞「分かんにゃいかにゃぁ……」

ヨハネ「……」

理亞「私だって、理亞にゃんだけどにゃあ?」

ヨハネ「……」



685: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:29:15.77 ID:Un5E3wIv.net

理亞「私も正真正銘の理亞にゃんだ。けど、魔力が切れれば私は死んでしまう。消えてしまう。せっかく自由ににゃれたのに、消滅してしまう」

理亞「オマエだって経験してるんだろう、同類。消えるかもしれにゃい恐怖と寂しさは、誰にも理解してもらえにゃいよにゃあ」

ヨハネ「……つまり、あんたは自分がまだ消えたくないから。暴れてるってこと」

理亞「そうだにゃ。理亞の心の救済にゃんて、その気ににゃりゃあすぐに終わってしまう」

理亞「けど、それで私は用無し。役目は終わる。さようにゃら。ばいばいきんだ」

理亞「────そんにゃの、納得いかにゃいだろ?」

ヨハネ「……理亞」

理亞「だから、もう少しくらい自由を満喫させて。明日はクリスマスにゃんだ、サンタさんにプレゼントを願ったってバチは当たらにゃいだろ?」

ヨハネ「……」



686: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:31:08.45 ID:Un5E3wIv.net

理亞「まあ、たしかにオマエの言う通り、人間を襲うのはもうやめといてやる。めんどくさいが、大気や大地からまにゃをいただいて食いつにゃいでおくとするよ」

理亞「私はもう行く。疲れた」

ヨハネ「待ちなさい、理亞」

理亞「にゃ?」

ヨハネ「夜は冷えるわ。私のマフラー貸してあげるから」シュル

理亞「……いいの?」

ヨハネ「あんたを心配したわけじゃないわよ。理亞の身体を心配してるの」

理亞「……フン、ありがたく受け取っていてやるにゃ」シュル

理亞「じゃあにゃ、また明日の夜にでも遊びに行ってやるから、うまそうな飯でも用意して待っててくれよ」

ルビィ(いたずらのように笑うと、理亞ちゃんは街の闇へと消えていった)

ルビィ(すでに夜中になった、沼津の闇へと────)



687: 名無しで叶える物語 2019/01/16(水) 02:31:34.53 ID:Un5E3wIv.net

ヨハネ「……ルビィ」

ルビィ「は、はい」

ヨハネ「その人たちの魔力を回復させたら、帰るわよ」

ルビィ「で、でも……ヨハネ様、怪我が……」

ヨハネ「私は平気。たくさんご飯食べて寝れば治るわ」

ルビィ「ぅゅ……」

ルビィ「りあ、ちゃんは……」

ヨハネ「明日、戻ると言った。なら……それを待ちましょう」

ルビィ「理亞ちゃん……」

ヨハネ「……はあ、お姉さんになんて言おう」

ヨハネ「憂鬱だわ……」



704: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 22:47:24.74 ID:Dsdd3Ahj.net

~翌日~


聖良「理亞と話します」

善子「お姉さん……?」

聖良「善子さん、ヨハネさんの話を聞いて……私はそうすべきだと思いました」

聖良「私の今までの行動が、あの子を知らず知らずに苦しめていたなら……話をする必要がある」

聖良「……あの子は、怒っているのでしょうか」

ヨハネ「……それは理亞にしかわからないわ。それに、猫の方もね」

聖良「……そう、ですよね」

聖良「でもあの子には会う必要があります。じゃないと……帰ってこない気がするんです」

善子「でも、一体どうやって……? 携帯は置いたままだし、魔力の追跡も……」

ヨハネ「それなら平気よ」

善子「え?」



705: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 22:48:59.02 ID:Dsdd3Ahj.net

ヨハネ「昨日、別れ際に私のマフラーを渡しといた。ちょっとしたマーカーを付けて、ね」

善子「……あんた手回し早くない?」

ヨハネ「こうなることも予測しておく。それが堕天使たるものの役目よ」

善子「ぐぬぬ……」

聖良「では、みなさんに心配をかける前に行きましょう」

ヨハネ「でも、今はやめておきましょう」

聖良「なぜですか?」

ヨハネ「お姉さんはまだ待ったほうがいい。姉なら、待っているべきよ」

聖良「それは、一体どういう」

ヨハネ「あなたが探しに行けば、また、心配をかけたって理亞は思うでしょ」

聖良「……そ、れは」

ヨハネ「あなたは何も心配していない。散歩に行った理亞の帰りを待っている……それだけでいいのよ」

聖良「……」



706: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 22:53:41.08 ID:Dsdd3Ahj.net

善子「あの」

聖良「……はい」

善子「ヨハネが言いたいのは……お姉ちゃんなんだから、どっしり構えてればいいってことだと思います」

善子「心配している……けれど、信じて帰りを待ってる……って、理亞にそう思わせてあげましょう」

善子「だって、聖良さんは……お姉ちゃんなんですから」

聖良「……お姉ちゃん、だから」

ヨハネ「そうそう、そういうこと。探しに行ったりするのは友達の仕事だもの。姉はゆっくり部屋で待ってればいいの」

聖良「……」

聖良「わかりました。では、理亞のことはお願いします。今度はちゃんと連れて帰ってきてくださいよ?」

ヨハネ「ゔっ……ま、任せといて」

聖良「ふふっ」



707: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 22:54:06.89 ID:Dsdd3Ahj.net

善子「行くとして、ルビィには連絡しなくていいのかしら」

ヨハネ「あの子はまだ家で寝てるだろうし、ラインだけ入れておきましょう」

善子「……それもそうね。昨日も帰るの、遅くてダイヤに怒られたみたいだし」

ヨハネ「あとは私たちで」

善子「……うん」

聖良「すみません、私とあの子の問題なのに……」

ヨハネ「それなら、こっちだって魔法堂が迷惑をかけたんだもの。出来るだけサポートするわ」

聖良「……はい」

コンコンコン

聖良「!」

ヨハネ「私たちは隠れとくわ!」

聖良「……」コクン



708: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 22:55:25.81 ID:Dsdd3Ahj.net

ガチャッ

鞠莉「グッモーニーン!」

聖良「ああ……おはようございます」

鞠莉「……聖良? どうしたの、その顔」

聖良「え、っと……いえ、平気です。少し眠れず」

鞠莉「それ、本当? 枕が合わなかった? それともベッドが硬い? 不満はどんどん言って、改善させるから」

聖良「あ……いえ、そうではなくて……個人的なことです。お部屋に対しての不満はひとつもありませんから、お気になさらず」

鞠莉「……そう? って、りあっちは?」

聖良「理亞は……すこし、お散歩に出てるんです。朝早くから、すこしだけ」

鞠莉「ん……そうなんだ。一人でいかせてよかったの?」

聖良「……意地悪はやめてください」

鞠莉「ふふ、そうだね。ごめん」



709: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 22:56:05.88 ID:Dsdd3Ahj.net

鞠莉「────Spare the rod and spoil the child. 大切だからこそ、ひとりで行かせてあげるのも大事なんだと思うの」

聖良「……ふふ、ひとりっこのあなたに言われるなんて」

鞠莉「あら、これでもお嬢様なんだよ? りあっちの肩身の狭さはよーく分かるつもりデス♪」

聖良「……ありがとうございます。今夜のクリスマスイブのパーティ、楽しみにしていますね」

鞠莉「of course! 明日は本番のクリスマスパーティだから、2日間続けて騒いじゃいましょーね!」

聖良「ふふ、はい」

鞠莉「それじゃあ……breakfastはどこで食べる? 部屋に運ばせるか、マリーと一緒に行く?」

聖良「では、せっかくなのでご一緒に。その、あなたがお嬢様だった頃のお話を聞かせてください」

鞠莉「む、今もお嬢様なんですけど!」

聖良「ふふ、失礼しました」



710: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 22:58:06.55 ID:Dsdd3Ahj.net

鞠莉「じゃあマリーのお部屋においでよ! とってもいい眺めなの♪ 特別に招待してあげるっ」

聖良「はい、お言葉に甘えます。すぐに支度をするので、待っていてください」

鞠莉「OK♪」

ゴソゴソ

聖良「……」

聖良(いない……消えてるのか、出て行ったのか)

聖良(理亞、あとで必ず会いに行きます。だからそれまで、待っててください。お姉ちゃんも、あなたの苦しみを知りたい)

聖良「お待たせしました」

鞠莉「全然待ってないけどね……っと、果南とダイヤも呼ぶ?」

聖良「あら、二人きりじゃないんですか? 私はてっきり、そのつもりで」

鞠莉「……じゃあデートね♪」


バタン



711: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 22:58:42.30 ID:Dsdd3Ahj.net

~部屋の外~

バサッバサッ

ヨハネ「ふー……」

善子「あぶな……」

ヨハネ「でも、いいんじゃない? 心配されまくって箱入りだったマリーと、心配しまくるお姉さん。意見交換すれば見えることもあるでしょう」

善子「そうね……きっと、そうだと思う」

ヨハネ「もうお姉さんのことは心配いらないわ。あとは……」

善子「ええ、あとは……」

理亞「私のこと?」

善子「……」

ヨハネ「……」

理亞「ん?」

よしヨハ『ぎゃぁあああーーー!!!???』

理亞「ちょ、揺らさないで! 落ちるでしょ!?」



712: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:02:01.24 ID:Dsdd3Ahj.net

ヨハネ「ひ、人の頭に乗るなって……あれ? にゃって言わない……」

理亞「は? 何言ってるの善子。バカ?」

ヨハネ「ヨハネよ! ……ごめん、ちょっと意味わからない。一旦降りるわよ」

善子「そうね、そうしましょう早く降りて早く」


・・・


理亞「おはよ」

善子「え、ええ……おはよう」

ヨハネ「……単刀直入に聞くけど、あなたはどっち? 猫なのか、理亞なのか」

理亞「半々。理亞の意識が覚醒しつつあるけど、ほとんどは私。昼間は眠たいから、省エネ」

ヨハネ「夜行性、ね」

理亞「そういうこと」



713: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:03:42.36 ID:Dsdd3Ahj.net

善子「なんで戻ってきたの? 夜に戻るんじゃなかったの?」

理亞「暇だったから」

ヨハネ「暇って……」

理亞「あのあと、ひとりで色んなところに行った」

理亞「夜景が見たくてビルを登ったり、いい空気を吸いたくて山に行ったり、お腹が空いたらお店に入ってご飯を食べた。財布があって助かった」

理亞「あとは、静岡以外の県にも少しだけ行った。けど特に面白そうなものもなかったから帰ってきた」

理亞「今まで姉様に心配されるから、と出来なかったこと、あと理亞自身の性格のせいでなかなか出来なかったことをやってきた」

善子「……それで、楽しかったの?」

理亞「楽しかった────とは、言い切れない。もちろん楽しくなかったわけじゃない。今まで出来なかったことをするのは新鮮で面白かった」



714: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:05:09.90 ID:Dsdd3Ahj.net

理亞「そういうことだから、今日の夜まで歩き回る予定だったけど、もう帰ってきた。ひとりでいても暇だから」

善子「……ストレスは?」

理亞「もう、スッキリした。明け方になるまで走り回ったから」

善子「……そう」

ヨハネ「ったく、昨日はボコボコにしてくれたわね。マフラーはどうしたのよ」

理亞「そっちもやってきたから、おあいこでしょ。なくした。ビルの屋上に登った時に落とした」

ヨハネ「嘘でしょ!?お気に入りなのに……さらにダメージを負ったわ、回復まで時間かかるわ」

理亞「そうなの? それは、ごめん」

ヨハネ「別にいいけど。じゃあもう暴れたりはしないのね」

理亞「しない。あとは、私の魔力が切れて理亞が起きれば終わり」

善子「……」



715: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:05:39.44 ID:Dsdd3Ahj.net

善子「でも、あなたも理亞なんでしょ? 心の奥底に抑圧させていた、我慢してた心」

理亞「……うん? 多分」

善子「なら、もうひとつだけやりましょうよ」

理亞「なにを?」

善子「お腹、空いてるでしょ」

理亞「……まあ、多少」

ヨハネ「善子?」

善子「みんなでモーニング行かない? ルビィとずらまるも誘って」

善子「ひとりはつまらないんでしょうけど、みんなと……友達と一緒なら楽しいわよ、きっと」

理亞「……」

ヨハネ「……ふふ、いい案ね。どうせいなくなってしまうんなら、ちゃんと楽しいことも経験してから行きなさいよ」

ヨハネ「猫。あなたも理亞なら、私たちの友達よ」

理亞「……ふ、ふん。……お礼は言わないわよ」

善子「完璧に理亞に戻ってない?」



716: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:05:59.39 ID:Dsdd3Ahj.net

理亞「も、戻ってない! ……意識っていうか、人格が表に出てるだけ。理亞のメインの心は眠ってる。猫耳だって消えてない」

善子「ふうん……まあいいわ。ほら、置いてった帽子」

理亞「……ありがと」ギュウッ

善子「あれ? いまお礼」

理亞「い、今のは違う、ノーカン!」

善子「ふーん」

ヨハネ「いいから行きましょ。ホテルのレストランでもいいけど、どうせなら阿蘭陀館でも」

善子「曜の家のそばの?」

ヨハネ「そう。いいコーヒー出すのよ」

善子「……ありね」

ヨハネ「そうと決まれば行きましょ! ……理亞」

理亞「!」

理亞「……私が表に出てる間の記憶は、理亞にはない。けど……この嬉しさだけは、残してあげたい」

善子「ふふ。覚えてなくても平気よ。何度も連れて行ってあげるから」

理亞「……うん」



717: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:06:24.83 ID:Dsdd3Ahj.net

~花丸の家~

花丸「ずら~!!?? り、理亞ちゃんに猫耳が……」

理亞「……」

ルビィ「理亞ちゃん」

理亞「な、なに? ルビィ」

ルビィ「恥ずかしがらなくていいんだよっ」

理亞「べ……別に、恥ずかしがってなんかない。何回も驚かれてるから、またかって思ってるだけ」

ルビィ「……ふふっ」

花丸「ほ、ほんもの……? 触っても……」( ・ω・)つ

理亞「や、やめたほうが……」

ビリッ

花丸「ふひゃっ!! び、びりって……なんかチクって……!」

ヨハネ「……えにゃじーどれいん、耳でも入るのか」

理亞「そ、それやめて!」

ヨハネ「自分で言ったくせに」



718: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:11:56.01 ID:Dsdd3Ahj.net

花丸「でも痛気持ちいいずら……」フニフニ

善子「低周波マッサージか……?」

花丸「な、なるほど……! じゃあちょっと肩を触ってもらって……」

理亞「こう?」チョン

ビリビリ

花丸「ぉ、ぉおお……すごい、しゅごぃじゅらぁぁああ……♡」

ヨハネ「いやいやいやどんだけなのよ」

花丸「胸が大きいと肩が凝って凝って……」

よしヨハりあルビ『……』

善子「理亞、最大出力」

理亞「ん」バチバチバチ

花丸「あ、いた、いたいよ?! 痛……ちょ、いたたたっ! な、なんで!? まる、なにか言っちゃった~!? あの、あのー!」



719: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:15:33.07 ID:Dsdd3Ahj.net

・・・

花丸「ずら……」グッタリ

ルビィ「まるちゃんの無自覚は犯罪っ! だよ」

理亞「……これだからズラ子」

善子「とりあえず沼津に行って朝ごはんでしょ? それからどうする?」

ルビィ「それなら久しぶりに水族館行きたいなっ! 理亞ちゃん……昨日はもう夜中だったし、こっちの水族館行ったことないよね?」

理亞「うん。けど、水族館なら北海道にも……」

ルビィ「沼津の水族館には、シーラカンスが!」

理亞「……ルビィーラカンスは」

ルビィ「あ、あれはダメだよ!?」

理亞「連れて帰る」ナデナデ

ルビィ「ぁぁああぁぁ力が抜けちゃぅぅう……」

善子「こらこらこらこら!」



720: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:16:17.76 ID:Dsdd3Ahj.net

~夕方~


理亞「……流石に疲れた。もうあるくきにもにゃれにゃい」

善子「だいぶ猫語が戻ってきたわね」

理亞「夜は私の時間だからにゃ」

ルビィ「にゃーにゃー?」

理亞「にゃ?」

花丸「にゃーんにゃーん」

理亞「にゃにゃん?」

ルビィ「にゃんにゃ」

花丸「にゃにゃにゃにゃーにゃんずら」

理亞「にゃんにゃーにゃにゃん」

善子「何言ってるの……」

ヨハネ「さあ……」

理亞「……」バチッ

善子「どうしたの?」

理亞「……切れかかってるだけ」

善子「……もう、なの」

ルビィ「……!」

花丸「ほえ?」



721: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:22:55.61 ID:Dsdd3Ahj.net

理亞「ズラ子には、説明してにゃかった。実は私は、理亞だけど理亞じゃにゃい。そこのヨハネと同じ、魔法で……」

花丸「わかってたよ?」

理亞「……」

花丸「聞かされてたわけじゃないけど……なんとなく、わかってた。でも理亞ちゃんに変わりないんでしょ?」

理亞「……うん」

花丸「それなら、まるのお友達ずら。今日1日、いっぱいいっぱい遊べて楽しかったですっ」

ルビィ「うん、ルビィも! ルビィも……とっても楽しかった!」

善子「ま、こんな素直な理亞はなかなか見れないし? 目が覚めた後のネタにはさせてもらうわ」

ヨハネ「あなたのことは、私たちが覚えてるわ」

理亞「……」



722: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:23:26.33 ID:Dsdd3Ahj.net

理亞「にゃら、安心。あとは……姉様と話をつけるだけにゃん」

ルビィ「それが終わったらクリスマスパーティだよ! 表には出てこなくても、理亞ちゃんの心の奥でちゃんとあなたはいるんだよね?」

理亞「もちろんにゃ。出てくるための鍵はある……から、もし魔力をもらえればいつでも出てきてやるにゃ」

ルビィ「ふふ、そっか!」

花丸「それじゃあホテルに戻ろう! バスも来ることだしっ」

善子「そうね、行きましょう。クリスマスイブのお祝いに」



723: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:24:59.42 ID:Dsdd3Ahj.net

~ホテル~

『メリークリスマスイブー!』

パンッパンッパパパーン!!

千歌「クリスマス1日目! 付いてきてくれますCAR?」

曜「ヨーソロー!」

梨子「そ、そんなライブみたいな煽りしないで~……!」

果南「本当のクリスマスは明日なんだから、明日が一番盛り上げなくちゃいけないんだよ?」

千歌「大丈夫だよ! 千秋楽は嫌でも盛り上がるから!」

梨子「だから、そんなライブみたいに……」

ダイヤ「そうですわ! いくらパーティとはいえ、羽目を外しすぎないように! 明日になさい!」

梨子「明日ならいいんですか……!?」

曜「よーしチキン戦争だ!」

千歌「早速かー!」

ダイヤ「明日になさい」

ようちか『はーい……』



724: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:25:30.21 ID:Dsdd3Ahj.net

聖良「……ふふ」

鞠莉「セラりん」

聖良「?」

鞠莉「りあっち、帰ってきてるよ?」

聖良「……ええ、知ってます」

鞠莉「おかえりって言ってあげた?」

聖良「いえ、まだですが……あとで」

鞠莉「ふふ、そっか」

鞠莉「それじゃあchampagne持って来るから! セラりん、いっぱい飲んで素直になろー!」

聖良「えっ!?」



725: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:27:46.49 ID:Dsdd3Ahj.net

鞠莉「えー! ブレーコーでしょ、Christmasなんだから!」

ダイヤ「それでも飲酒はいけません! 二十歳になるまで待ちなさい!」

鞠莉「えー! 海外だと18歳から飲めるとこあるのに!」

ダイヤ「ここは日本です!」

鞠莉「むー、けち!」

ダイヤ「なんですって!?」

果南「はいはい落ち着いて~」

ダイヤ「だって鞠莉さんが!」

鞠莉「ダイヤが~!」

聖良「……ふふ、ふふふっ」

善子「お姉さん」コソコソ

聖良「!」

善子「……テラスに」

聖良「……はい」



726: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:28:16.37 ID:Dsdd3Ahj.net

~テラス~


善子「もう、私たちがいなくても平気ですよね」

聖良「……はい」

聖良「ありがとうございます」

カチャ

キィ……

聖良「……理亞」

理亞「……」



727: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:30:10.40 ID:Dsdd3Ahj.net

聖良「……ごめんなさい、理亞。私は今まで、あなたがどう思っているかも知らずに、ずっとずっとあなたを苦しめていたんですね」

聖良「あなたが一人で行動しようとするのを、必ず止めたり、同行したり……ほかにも、いっぱいいっぱい肩身の狭い思いをさせてしまいました」

聖良「過保護と言われても、反論できません。その通り……私はあなたに対し、過保護であったのかもしれない」

聖良「スクールアイドルのパートナーとしてのあなたにはとても厳しくしていた。その反動でも、あったのかもしれない」

聖良「理亞……もっとあなたを自由にさせてあげれば、良かったと……」

理亞「姉様」

聖良「……はい」

理亞「私は昨日の夜から、ひとりで色々にゃところに行った」

聖良「……」



728: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:30:36.98 ID:Dsdd3Ahj.net

理亞「財布があったから、ひとりでファミレスに行った。ラーメン屋にも行った」

理亞「夜景が見たくてビルにも登ったし、びゅうおとかいう水門も見に行った」

理亞「見たことにゃい景色を見るのは、楽しかった。知らにゃいことばかりで、面白かった」

聖良「そう……それは、よかったです」

理亞「でもにゃ」

聖良「?」

理亞「ひとりじゃあ、そこまで楽しくはにゃかったんだにゃ」

聖良「え……?」

理亞「私はずっとひとりで行動したい、させて欲しいと思ってた」

理亞「けど、それはそれでつまらにゃかったんだにゃ」

理亞「でも、今日、朝から善子たちとお出かけした時は……楽しかった」



729: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:32:30.73 ID:Dsdd3Ahj.net

理亞「だから、私はひとりだとにゃかにゃか楽しめにゃかったんだにゃ。いつも姉様がついてくるのは、少し不満に感じてたけど、それでも姉様と出かけるのは楽しかったんだにゃ」

理亞「……だからにゃ、姉様、これからも私と……理亞と出かけてやってくれよ。もう理亞もそれに不満を感じたりしにゃいはず」

理亞「私はもうすぐにでも魔力が切れて、いにゃくにゃる。だから最後にこれだけ伝えておきたくてにゃ」

聖良「理亞……」

理亞「昨日は悪かったにゃ。それと、いつも心配してくれてありがとう」



730: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:33:01.72 ID:Dsdd3Ahj.net

理亞「……ああ」

理亞「満足、かにゃ」

聖良「え……」

聖良「ぁっ……理亞、髪の色が……」

理亞「……」スウゥ…

理亞「お別れだにゃ。私は燃費がすこぶる悪くてにゃ……魔力を補充してもすぐに使っちまう」

理亞「だから、もう私の意識はここで終わり。本当の理亞が目覚めるにゃ」

聖良「……理亞」

理亞「ふふ」

理亞「もう心配はにゃいと思うが、あんまり理亞を心配しすぎるにゃよ? また私が出てきて、今度こそ姉様を食っちまうかもしれにゃいぞ」

聖良「……はい、もうそんなことはしません。約束します」

理亞「ん! にゃら、いい」



731: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:37:07.43 ID:Dsdd3Ahj.net

理亞「ん! にゃら、いい」

聖良「……でも」

理亞「?」

聖良「出てきた時は、姉として歓迎します。理亞」

理亞「……」

聖良「だから、今度は二人で出かけましょう。ディズニーランドでも、USJでも、富士急ハイランドでも」

理亞「ふふ、遊園地しかにゃいのかにゃん? ま、そこまで言うにゃら行ってもいいけどにゃ」

理亞「……だから姉様。これからも私のこと、よろしく」

聖良「……」

聖良「はい、もちろんです!」



732: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:39:35.30 ID:Dsdd3Ahj.net

・・・

ヨハネ「……消えたわね」

善子「……そうね」

花丸「ね゛こ゛り゛あ゛ち゛ゃ゛ん゛……」ズルズルズビーッ

善子「ちょ、号泣!?」

ルビィ「……これで安心なのかな?」

善子「ええ、きっと」

ヨハネ「大丈夫よ。だってあの子、いい顔してたじゃない」

ルビィ「……そうだねっ!」

善子「……」



733: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:40:15.69 ID:Dsdd3Ahj.net

善子(テラスでは、聖良を抱えていた。意識を失った理亞を、これでもかと力を込めて、抱きしめていた)

善子(空は、とても綺麗な星空で)

善子(ただ、ただ、聖良は)

善子(理亞が意識を取り戻すまでの10分間、ただ、ひとりで彼女の体を抱いていた)

善子(とても寒いだろう。なんせ今日はクリスマスイブ、12月24日なのだから)

善子(ここで雪のひとつでも降ればロマンチックで、天気も空気を読んだと言ってあげたくなるけれど、そんな都合の良いことはなく)

善子(だけど、だけれど)

善子(満天の星空は────しんしんと降る雪のように散りばめられた星々は)

善子(ふたりを暖めるかのように、輝いていた)



734: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:41:27.09 ID:Dsdd3Ahj.net

・・・

後日談というか、今回のオチ。

その後、目を覚ました理亞は、やはり何も覚えていなかった。

聖良さんとテラスで話した内容はもちろん、私たちと出かけたこと、ひとりで沼津の街を蹂躙しまくったことも。

ヨハネをボコったことも当然。

というか、魔法堂で起きたことすら曖昧な感じだった。

理亞「だって覚えてないものは覚えてないんだし。魔法とかありえない」

とのこと。流石にびっくりよ。



735: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:42:31.22 ID:Dsdd3Ahj.net

まあ、それはそれとして。

聖良さんと理亞の関係も、少し変化があったらしい。聖良さんからの心配のオーラがなくて逆に心配だ、とかなんとか。

これ、今度は聖良さんが猫になったりしないわよね?

まあ、そうなったらそうなったでまた対処できるとは思うけれど。

でも確信がある。もう大丈夫。

だって、ふたりが一緒にいる時の笑顔は、何よりも輝いているのだから。

ルビィ「善子ちゃん」

善子「ん?」

ルビィ「明日のパーティも楽しくなりそうだねっ」

善子「……ふふ、そうね」

花丸「あしたはちきん戦争ずら!」

善子「げ、ほんとにするの?それ」

花丸「もちろん」



736: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:45:23.64 ID:Dsdd3Ahj.net

ヨハネ「ふふ、良いじゃない。どうせ私がいる方が勝つんだし」

花丸「ぐぬぬ、魔法はずるい……」

ヨハネ「なら、理亞に猫でも出してもらえば?」

花丸「むー!」

善子「……そうね、また、みんなで出かけましょ。今度は、こっちから函館に行って、さ」

ヨハネ「……ん」

ルビィ「そうだね!」

花丸「うん!」

善子「……ふふ」



737: 名無しで叶える物語 2019/01/21(月) 23:45:37.26 ID:Dsdd3Ahj.net

そう、誰にも不満や心配はある。

だけど、それを乗り越えて……受け入れて、強くなる。

理亞と聖良さんはひとつ、強くなった。

Saint Snowは、Aqours最大のライバル。

ライバルは、一緒に高め合わないとね。

さあ、遅くならないうちに帰って明日のパーティに備えましょう。

サンタさんだって来るんだし。

そう、なんせ今夜はクリスマスイブ。

明日、目を覚ませば、クリスマスなのだから。


#6 りあキャット・せいらシスター 完



745: 名無しで叶える物語 2019/01/23(水) 18:19:12.48 ID:gC50MO+L.net

善子「あー……さぶさぶ」モゾモゾ

ヨハネ「当たり前でしょ? 12月31日なんだから」

善子「そうね……もう大晦日なのね……」

ヨハネ「早いものよね。ついこの前まで、ダイヤに魔法を教えたり理亞が猫になったりしてたのに」

善子「……」

善子「もうすぐAqoursが始まってから1年……か。厳密には4月で1年……私が入ったのは5月くらいだけど」

ヨハネ「そうね……善子、来年何年生だっけ」

善子「1年生よ」

ヨハネ「ん? 入学式は?」

善子「は? ないけど」

ヨハネ「……そっか」


※このSSはサザエさん時空です



746: 名無しで叶える物語 2019/01/23(水) 18:19:43.51 ID:gC50MO+L.net

善子「まあそれはどうでもよくて」

善子「今年一年、色々あったわね」

ヨハネ「そうね……私が生まれて、消えて」

善子「……また、帰って来て」

ヨハネ「楽しかった」

善子「……まあまあね」

ヨハネ「素直じゃないわね善子」

善子「うるさいわね。私は毎年やってた年越し生放送ができなくてモヤモヤしてるのよ」

ヨハネ「そうなの?」

善子「……別にそうでもないけど」

ヨハネ「ふうん」



747: 名無しで叶える物語 2019/01/23(水) 18:21:49.90 ID:gC50MO+L.net

ヨハネ「いいじゃない、年越しはしないけどあけおめはやるんでしょ?」

善子「時間があれば、明日の昼くらい。なかったら、出来たとき」

善子「どうせAqoursで何かやりそうだけど」

ヨハネ「ギラン!」

善子「……最近、あんたのせいで私ってどうやって堕天使やってたのかわからなくなってきてるわ」

ヨハネ「ククク、ついに私が本物の堕天使ヨハネであることを認めたのね?」

善子「何言ってんの!? 堕天使ヨハネは私、あんたはただ名前を騙ってるだけ!」

ヨハネ「ちーがーいーまーすー! 私がヨハネですぅー」

善子「……やめましょ、年末までそんな言い合いしても意味ないし。どうせあんたは私だし」

ヨハネ「……まあね」



748: 名無しで叶える物語 2019/01/23(水) 18:23:36.09 ID:gC50MO+L.net

善子「なんか……誰かと年越すって初めてかも」

ヨハネ「へ? 年越し生放送してるじゃない」

善子「違うわよ。リアルで、誰かとね」

ヨハネ「ああ……そうね。Aqoursとは……」

善子「Aqoursは、まだ一年経ってないし。年越しした後で、神社に集合ってなってるわ」

ヨハネ「みんなで初詣、楽しみね」

善子「……別に私は」

ヨハネ「まぁだ言ってる」

善子「な、なによ……堕天使ヨハネはどのようなものであれ、神という存在には祈らないのよ!」

ヨハネ「でも、楽しみなんでしょ? みんなと初詣」

善子「……うん」



749: 名無しで叶える物語 2019/01/23(水) 18:24:24.73 ID:gC50MO+L.net

善子「……そうね、楽しみよ。初めて友達と初詣に行くんだもの」

ヨハネ「ふふ、素直でよろしい」

善子「……私、みんなに感謝してるの」

ヨハネ「……うん」

善子「私、自分と同じ姿の存在が生まれるなんて、1年前は思ってもなかった。しかも、それが……堕天使ヨハネだなんて」

善子「私がずっと追い求めていた……ずっとこの身に宿していた魂が、現実に現れるなんて」

ヨハネ「……」

善子「……最初は当然驚いたし、信じられなかった」

善子「だって、堕天使なんかただの妄想。私の作り出した設定でしかなかったんだもの」

ヨハネ「……うん」



750: 名無しで叶える物語 2019/01/23(水) 18:25:54.45 ID:gC50MO+L.net

善子「一度はそれを捨てて、普通になろうとした。でも、千歌が……Aqoursが、普通じゃない私を受け入れてくれた」

善子「そして普通じゃない私から生まれた、普通じゃないあんたも、受け入れてくれた」

ヨハネ「……そうね」

善子「Aqoursは私に、私のままでいいって言ってくれた。居場所をくれたの」

善子「だから……感謝してる。みんな、みんな大切な仲間よ」

ヨハネ「うん、そうね。大好き、だもんね」

善子「……うん」



751: 名無しで叶える物語 2019/01/23(水) 18:27:30.99 ID:gC50MO+L.net

善子「でも、それでも私は素直になれないままで……照れ隠しに堕天使になったり、思ってることと逆のことを言って誤解されたり、色々あった」

善子「……でも、あんたが私のわりと素直な部分を引き受けてくれたおかげで、恥ずかしいけど、みんなが誤解せず分かってくれるようになった」

善子「いい子だね、って……言われるようになった」

ヨハネ「つまりは天使ヨハネね」

善子「……そんな、可愛いものじゃないわよ」

ヨハネ「ふふ、素直じゃない」



752: 名無しで叶える物語 2019/01/23(水) 18:33:07.65 ID:gC50MO+L.net

善子「この1年、楽しかった。ほんとのほんとに、最高に」

善子「今まで過ごしてきたなかで、いちばん」

ヨハネ「Aqoursのおかげね」

善子「あんたのおかげでもあるの」

ヨハネ「……そう面と向かって言われると、恥ずかしいんだけど」

善子「ねえ、ヨハネ」

ヨハネ「……ん」

善子「あなたは、もうどこにもいかないわよね」

ヨハネ「行かないわよ。どこかのいい子のおかげでね」



753: 名無しで叶える物語 2019/01/23(水) 18:33:36.90 ID:gC50MO+L.net

善子「……もう、Aqoursとあんたは私の中で欠けちゃいけないものになってるんだから」

善子「絶対、いなくなるなんて許さないから」

ヨハネ「はいはい、わかってるわよ。私だって、善子を幸せにするまで消えるわけにはいかないんだから」

善子「そうね。あんたがいなくなったら幸せじゃなくなるから、絶対いなくなれないわね」

ヨハネ「望むところよ」

善子「……ふふ」

ヨハネ「んふふ」



754: 名無しで叶える物語 2019/01/23(水) 18:34:36.00 ID:gC50MO+L.net

善子「さてと、そろそろ準備しましょ? 年が明けたらすぐに神社集合なんだから」

ヨハネ「でもまだ年明けてないけど?」

善子「どうせみんな、待ちきれなくて集まってるわよ。特にうちのリーダーなんかね」

ヨハネ「……ふふ、そうね。じゃあ少し早いけど行きましょうか」

善子「ちゃんと手袋とマフラーするのよ」

ヨハネ「わかってるわよ」

善子「曜も拾うんだっけ?」

ヨハネ「こんな時間にバスはないし、内浦の神社でしょ?」

善子「じゃあライン入れとく。どうせ言えばすぐに用意できるでしょ」

ヨハネ「あの人のフットワーク軽すぎ問題ね」



755: 名無しで叶える物語 2019/01/23(水) 18:35:01.54 ID:gC50MO+L.net

・・・


善子「……さて、できた?」

ヨハネ「できた」

善子「神社に着く頃に年明けかしら」

ヨハネ「間に合わせるように急ぐ?」

善子「別に急ぐ必要はないけど、任せるわ」

ヨハネ「なら間に合わせる」

善子「そ」

ヨハネ「さ、手を」スッ

善子「……ん」ギュウッ

ヨハネ「一気に飛ぶわよ」

善子「……ねえ、ヨハネ」

ヨハネ「ん?」



756: 名無しで叶える物語 2019/01/23(水) 18:35:28.56 ID:gC50MO+L.net

善子「ずっと言ってなかったけど……あの時の、あの手紙の返事────ちゃんとあなたに言うわ」

ヨハネ「手紙? 返事って……え、なになにちょっと」

善子「いいから聞きなさい」

ヨハネ「いや、だって……絶対それ恥ずかしいやつじゃない! いやよ聞きたくない」



757: 名無しで叶える物語 2019/01/23(水) 18:36:03.98 ID:gC50MO+L.net

善子「えー? せっかく年も越すんだし、精算ってことで素直な気持ちを伝えてあげようと」

ヨハネ「いい、いいから! そういうのはいい!」

善子「わがままなんだから」

ヨハネ「言わなくていいから! ほら、飛ぶから口閉じて!」バサッ

バサバサバサッ!!

ったく、素直じゃないんだから。誰に似たのかしら? ふふ♪

────ありがとう、ヨハネ。私もあなたを愛してる。


#6.5 「ありがとう」 完



758: 名無しで叶える物語 2019/01/23(水) 18:38:21.84 ID:gC50MO+L.net

`¶cリ˘ヮ˚)|「私たちの日常はこれからも続いていくわ」

`¶cリ˘ヮ˚)|「これを読んでくれたみんなにも、ありがとう」

`¶cリ˘ヮ˚)|「もともと蛇足みたいなものだし、終わり方もこんな感じで許してね?」

`¶cリ˘ヮ˚)|「それじゃ、またどこかで」



760: 名無しで叶える物語 2019/01/23(水) 18:56:48.57 ID:gC50MO+L.net

あらためて、
ありがとうございました


元スレ
善子「ふたりのヨハネの日常」