1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:13:26 ID:NSO23Erk

………………生徒会室

御行 「ああ。来週の月曜開催だそうだ」

ミコ 「来週の月曜!? すぐじゃないですか!」

かぐや 「まったく……。あの校長先生は困ったものです。どうしてもっと早く伝えてくれないのでしょう」

藤原 「年間行事予定に入っていないイベントを当たり前のようにぶち込んできますからねぇ」

御行 「各々不満はあると思うが、これも学校のためと思ってこらえてくれ」

御行 「中等部2年の生徒200名弱が来ることになるから、その案内をしなければならないが、」

ミコ 「さすがにこの生徒会だけでは無理ですよね。私、風紀委員に協力を要請してみます!」

御行 「いい判断だ、伊井野会計監査。しかしそれには及ばない」

ミコ 「……?」

御行 「もうすでに風紀委員の方に正式に協力を要請しておいた。快く引き受けてくれたよ」

御行 「それから、有志で協力してくれる生徒を各HR担任に募ってもらうよう依頼文を出しておいた」

御行 「明日中には風紀委員を含め、少なくとも30名ほどは確保できると踏んでいる」

ミコ 「さ……さすがです、会長!」

ミコ (やっぱりこの人はすごい人だ……! ただ目つきが悪いだけの人じゃない!)



2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:15:37 ID:NSO23Erk

石上 「………………」

石上 「……あの、会長」

御行 「ん? 何だ、石上」

石上 「それって、僕らが中等部の生徒を案内するということですか?」

御行 「端的に言えばそうなる。ふたり一組で十名以内程度の案内が望ましいか」

石上 「……あ、なら」



石上 「僕はその案内役から外してください」



御行 「ん……」

ミコ 「こら、石上! 人数が足りなくて余所に応援を要請してるのよ!」

ミコ 「サボりたいからって、そんな勝手な言い分が通ると思ってるの!!」

石上 「……違うよ」

石上 「べつに、サボりたいわけじゃない」



3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:17:03 ID:NSO23Erk

石上 「………………」

かぐや 「……石上くん。もし差し支えないなら、どうして案内役から外してほしいのか、教えてもらってもいい?」

石上 「……はい」

石上 「中等部の生徒はきっと、高等部の良いところを見にやってくるはずです」

石上 「伝統ある校風、充実した授業内容、かっこいい先輩たち……」

石上 「……そんな中等部の生徒たちを案内するのが僕みたいな奴だったら、きっと幻滅しますよ」

石上 「学校的にも、できれば高等部のいいところだけを見てもらって、中等部の生徒に良い印象を持ってもらいたいはずです」

石上 「だから、僕が案内役なんてやっても、良いことはないはずです……」

藤原 「石上くん……」

御行 「………………」

フッ

御行 「……なんだ。何か大層な理由があると思えば、そんなことか」

石上 「っ……」



4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:17:45 ID:NSO23Erk

石上 「会長にとってはそんなことでも、僕にとっては……」

御行 「……無論、人には得て不得手がある。無理にとは言わん」

御行 「だが、俺はお前ならできると思うぞ」

御行 「むしろ、お前だからこそやれる校内案内があるとすら思うがな」

石上 「………………」


―――― 『石上くんなら出来るわ』


石上 「っ……」

かぐや 「石上くん」 ポン 「……どうしますか?」

石上 (ああ、まったく……本当にこの人たちはよく似ている)

石上 (嫌になるくらい……似ている)

石上 「……弱音を吐きました。すみません。やります」

石上 「やらせてください」

御行 「よく言った。それでこそ我が生徒会の会計だ」



5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:18:19 ID:NSO23Erk

藤原 「………………」

 この良い空気の中、最低限の空気は読んで沈黙を続けている藤原であるが、

藤原 (まぁぶっちゃけ石上くんはキモいし、案内役からは外れてもらった方がいいと思うけど、)

藤原 (……良い感じにまとまったしまぁいっか!!)

 腹の中ではそんなことを考えていた。

ミコ 「………………」

 そしてもうひとり。

ミコ (……ずるい! 石上は本当に卑怯!!)

ミコ (何よこの空気! 本来やるべき仕事をやると言っただけなのに、何で会長も副会長もあんなに嬉しそうな顔をするの!?)

ミコ (これじゃ私が悪者みたいじゃない!)

ミコ (……でも)


―――― 『べつに、サボりたいわけじゃない』


ミコ 「………………」

 伊井野は良い空気の中、べつの思考を巡らせていた。



6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:19:02 ID:NSO23Erk

………………

かぐや 「中等部の生徒の班分けと案内ルートの策定はこんなところですか」

かぐや 「各班への人員の配置は明日、有志の生徒の人数が確定してからですね」

かぐや 「あとは、中等部の生徒に配るしおりのようなものも必要でしょうか」

御行 「ああ、そうだな……。タイムリミットを考えると、全部明日か明後日中には終わらせたいところだ」

御行 「それから、風紀委員と有志の生徒に簡単な手引きも必要だな」

御行 「俺たち生徒会ほど高等部に精通している生徒はそうはいないだろうからな」

御行 「明日までに大まかな骨子は考えておく。各々必要そうな説明や言葉をリストアップしておいてくれ」

ミコ 「わかりました!」 (ふふん。誰よりたくさんリストアップして、私の生徒会内でのヒエラルキーをあげてやるわ!)

御行 「それから石上、ひとつ頼みたいことがあるんだが……」

石上 「はい? 何です?」

御行 「今日アナログに起こした案内ルートをデジタル化しておいてほしいんだ」

御行 「案内が終わった後に、校内のメーリングリストで案内図を送信したら中等部の生徒が喜ぶかなと思ってな」

石上 「ああ、それいいですね。ケータイでいつでも見返せますし。わかりました。明日までにやってきます」

御行 「いつも悪いな。本当なら藤原がやるべき仕事なのに……」



7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:20:25 ID:NSO23Erk

ミコ 「………………」 (……石上は卑怯)

ミコ (自分が少しVDTが得意だからって、それを鼻にかけて……)

ミコ (会長から頼られようと必死……)

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

石上 (……なんかしらんが伊井野からの視線がヤバい)

御行 「では今日はここまでだな。遅くなってしまって申し訳ない。解散しよう」

かぐや 「おつかれさまでした」

藤原 「いやー、疲れましたね! おつかれさまでーすっ」

御行 (お前はほとんど何もしてないけどな?) かぐや (あなたはほとんど何もしていませんけどね?)

石上 (……はぁ。来週の月曜は中等部の生徒を案内か)

石上 (不安だ)

ミコ 「……ちょっと、石上」

石上 「? 何だよ」

ミコ 「……ちょっと来て」



8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:21:18 ID:NSO23Erk

………………

ミコ 「………………」

石上 「……? 廊下まで連れ出して何だよ」

ミコ 「………………」

石上 「何で黙ってるんだよ。わけがわからん……」

石上 「……僕、もう帰るからな」

ミコ 「まっ……待ちなさいよ!」

石上 「……いや、だから、何?」

ミコ 「だ……だから、その……」

ミコ 「さっきは……」

石上 「さっき?」

石上 「……ああ、案内役を外れるって話か?」

ミコ 「っ……」

石上 「悪かったよ。たしかにお前の言うとおり、生徒会としての仕事なのに、それを投げ出すなんて勝手だな」



9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:21:53 ID:NSO23Erk

石上 「でも、会長と四宮先輩にあそこまで言わせてしまったんだ」

石上 「やるよ。それに、思い出したから」

石上 「もう逃げないって、決めたんだって」


―――― 『うるせぇばーか』


ミコ (なっ……何よ……)

ミコ (これじゃ、私、本当に悪者じゃない……)

石上 「案内役外れたいなんて言って悪かった。すまん。これでいいか?」

ミコ 「ち、ちがっ……私は……」

石上 「悪い、伊井野。案内図をベクタに起こすのはさすがに時間かかるから、もう帰るわ」

ミコ 「あっ……」

石上 「PDFで大丈夫だよな……?」 ブツブツ 「いや、でも年のためJPEGデータも作っておくか」

ミコ (……行っちゃった)

ミコ (……謝ってほしかったわけじゃないのに)



10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:23:22 ID:NSO23Erk

………………翌日

御行 「お、おお……」

ガヤガヤガヤガヤ……

かぐや 「予想外の人数ですね。風紀委員も合わせると五十名ほどでしょうか」

御行 「こんなに人数がいるなら正直藤原とかもういらないな」

藤原 「会長は私のことを体の良いサンドバッグだと思っていますね?」

藤原 「ふーん、だ。そんなこと言う人には、萌葉に取ってもらったアンケートを見せてあげませーん」

御行 「アンケート?」

藤原 「高等部見学に来る生徒に取ってもらったんです。高等部見学に求めること、って内容で」

御行 「なっ……なんだと!?」

藤原 「ふふーん。圭ちゃんと不仲の会長にはできない芸当ですよねー?」

御行 「わ……」 ガクッ 「悪かったから、そのアンケートを俺にくれ、藤原……」

藤原 「えーっ? それが人に物を頼むときの態度ですかー?」



11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:23:53 ID:NSO23Erk

石上 (藤原先輩またアホなことやって会長を困らせてる……)

石上 「会長。有志生徒はこれで全員みたいです。説明会を始めましょう」

御行 「ああ、わかった」

キリッ

御行 「……では、ただいまより中等部向け高等部見学会の説明を始めます」

御行 「まず、高等部の代表として、ここに集まってくれた風紀委員、そして有志の皆さんにお礼を申し上げたい」

御行 「これだけの人数がいれば、中等部の生徒にきっと満足してもらえるだろう。本当にありがとう」

御行 「では本題に入ろう。まずは、手元にある案内の手引きを開いてもらいたい」

ミコ 「………………」 (どうして……?)


―――― 『それから、風紀委員と有志の生徒に簡単な手引きも必要だな』

―――― 『明日までに大まかな骨子は考えておく。各々必要そうな説明や言葉をリストアップしておいてくれ』


ミコ (昨日の今日でどうしてもう案内の手引きが完成しているの……!?)

ミコ (しかも私が考えてきて今朝会長に渡したリストも反映されてるし!!)



12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:24:26 ID:NSO23Erk

………………昨晩 白銀家

御行 「なぁ、圭ちゃん」

圭 「何、お兄ぃ」

御行 「来週の月曜日は高等部の見学会だろ? どんなところ見たい、とかあるか?」

圭 「知らない」

御行 「おふっ……。いや、知らないじゃなくて、ほら、圭ちゃんだって見たいところとかあるだろ?」

圭 「私は生徒会だから高等部には時々お邪魔してるし。特にない」

御行 「じ、じゃあ、他のお友達はどうかな? 明日それとなく聞いてくれたりとか……」

圭 「しない」

御行 「………………」

prrr……

御行 「ん……? 石上から電話……?」

ピッ

御行 「もしもし? 石上か?」

石上 『はい。すみません、こんな夜分に……』



13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:27:01 ID:NSO23Erk

御行 「それは構わんが、一体どうした?」

御行 「あ……もし案内図のデジタル化が明日までに間に合わないなら、べつに……――」

石上 『あ、いえ。そっちはもう終わりました。今ラインにJPEGにしたものを送りますね』

ピロン♪

御行 「おお……。さすがだ石上。仕事が早いな」

石上 『電話をしたのは、例の風紀委員と有志生徒のための手引きの件です』

石上 『会長、今からアナログで作成するおつもりですよね?』

御行 「ああ。そのつもりだが……」

石上 『それを口頭で僕にそのまま伝えてください。それをタイプしてデジタル化してしまいます』

石上 『来週の月曜まで時間もありませんし、できるだけ仕事は減らしておきましょう。明日配布を目標にがんばりましょう』

御行 「本当か!? それはありがたいが……」

御行 「明日、他の生徒会メンバーが手引きに加えたい文言を持ってくるかもしれん……」

石上 『それなら、明日の朝それを回収してください。そうしたら放課後までに僕がタイプして体裁を整えて手引きを作っておきます』

御行 「石上……」

石上 『やれます。やらせてください。僕も、会長と一緒にがんばりたいんです』



14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:27:41 ID:NSO23Erk

………………生徒会室

御行 「ふーっ」

ドカッ

御行 「これで高等部の生徒への説明は終わりだ。あとは手引きの通り動いてくれれば万事うまくいくだろう」

かぐや 「よくもまぁ昨日の今日で生徒の顔合わせと説明会、案内の手引き配布までいきましたね」

かぐや 「まったく、会長は本当に……」

かぐや (すごいんだから……////)

御行 「いや、俺はほとんど何もしていない。前に立ったから仕事をしているように見えるだけで、」

御行 「あの手引きの中身を考えたのは俺だが、体裁から校正まで全部石上の仕事だぞ?」

ミコ 「……!?」

石上 「いや、僕はただ、会長の言葉を文字に起こしただけですよ。でも、もし会長の役に立てたのなら、」

石上 「昨日情けないことを言ったお詫びだと思って、受けとってもらえたら嬉しいです」

御行 「何を言ってるんだ、まったく。昨日お前が何を言ったかなんて忘れたよ」

御行 「……いつも本当に助かる。お前の事務処理がなければ、うちの生徒会は成り立たないよ」

石上 「あっ……ありがとうございます」



15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:28:42 ID:NSO23Erk

………………活動終了後 廊下

ミコ 「……い、石上!」

石上 「……なんだよ、伊井野」

ミコ 「話があるの。ちょっと付き合いなさいよ」

石上 「ここで話せよ。昨日あんまり寝てなくて眠いんだ。早く帰って寝たいんだよ」

ミコ 「っ……」

ミコ 「あんた、いつ手引きの文章に私の言葉を加えたの?」

石上 「は? いつって……昼休みかな」

石上 「お前の文言、量が多くて大変だったよ」

ミコ 「っ……わ、悪かったわね」

石上 「悪いとは思わないけどな。風紀委員や有志の生徒のためを思ってたくさん書いてきたんだろ?」

石上 「それってすごいことだよ。僕には絶対できないね」

ミコ 「あっ……」 カァアアアア…… 「石上に褒められたって全然嬉しくないっ! キモい!」

石上 「……言いたいことはそれだけか。じゃあな」

ミコ 「あっ……」 (行っちゃった……。また言えなかった……)



16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:29:36 ID:NSO23Erk

………………高等部見学会当日

御行 「中等部の皆さん、本日は高等部へようこそ!」

御行 「今日は皆さんが高等部へ抱いている興味を刺激し、疑問を解消するような見学会になればと思います」

御行 「では、各班ごとに高等部の生徒に従って行動してください。実りの多い見学会になることを願っています」


………………見学会本部

御行 「……まぁ、中学生に対してはあんなところか? いまいち勝手が分からなかったな」

かぐや 「ふふふ。中等部の生徒に対してはやや優しい口調でしたね、会長」

御行 「からかうな。さすがに中学生に威圧的にはいけんだろう」

かぐや 「キラキラした目で会長のことを見ていましたよ? 皆さんの憧れなんですね、会長は」

御行 「よせ。物珍しいだけだろう」

御行 「……それにしても、本部は暇だな」

かぐや 「本当ですね。我々の授業は公欠扱いですけど、本部待機ではサボっているみたいです」



17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:30:21 ID:NSO23Erk

御行 「風紀委員と有志生徒だけでかなりの人数だからな。俺たちは本部にいた方がいいだろう?」

かぐや 「まぁ、緊急時のことを考えればその通りだと思いますが……」

かぐや 「会長が本部待機なのは分かりますが、なぜ私もなのでしょう?」

御行 「緊急時、ここに残る者と現場に駆けつける者が必要だろう?」

かぐや 「そうかもしれませんが、なぜ私なのですか? それこそ、他の誰かでも良かったのでは?」

かぐや 「まさか会長は、本部で私とふたりきりになりたかったのですか?」 クスクス

御行 「……ははっ、面白い冗談だな、四宮」

御行 「伊井野は実質来年の生徒会長候補だ。現場が回る様を見ておいた方が良い」

御行 「藤原は……藤原とふたりだと疲れるから嫌だっただけだ」

御行 「石上は……」

かぐや 「……石上くんは、何です?」

御行 「言わせるな。お前も同じ心境のくせに……」

かぐや 「ふふ……。本当にお優しい方ですね。会長は」 ニコッ

御行 「っ……///」



18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:31:04 ID:NSO23Erk

………………案内 石上・伊井野ペア

中学生1 「わーっ、高等部は校舎が古くてかっこいいー!」

ミコ 「え、ええ、そうですね。中等部の方が設備は新しいですが、高等部はその分伝統があるんです」

中学生2 「でも冷房がない部屋が多いね……」

ミコ 「あ……それは、たしかにそうですが……」

石上 「……一応、生徒会として理事会に申し入れはしている。その結果として、冷暖房完備の部屋がどんどん増えているよ」

中学生3 「そうなんだー! なら私たちが高等部に来る頃にはセントラル空調になってたり?」

石上 「努力はするけど、全館集中は難しいかもなぁ……」

中学生4 「授業は中等部より厳しそう……」

中学生5 「私成績低いから、心配だよ……」

ミコ 「あ……そ、そんなことありませんよ? 勉強はがんばればがんばるほど伸びる者ですから」

ミコ 「現に私は高等部に上がってからずっと学年一位です!」 バーン

スパン!!!

ミコ 「いたっ……! 何で叩いたの石上!」

石上 「バカかお前は。勉強に自信がない子にお前の一位自慢をしてどうする」



19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:31:37 ID:NSO23Erk

中学生5 「うぅ……」

石上 「大丈夫。少しくらい勉強が苦手でも、ちゃんとついていけるように授業をしてくれるよ」

石上 「現に僕は、前々回のテストで199位中197位だったけど、前回のテストでは150位近くまで上がった」

中学生5 「!? ほぼドベから150位!? すごい!!」

ミコ 「………………」


―――― 『だが、俺はお前ならできると思うぞ』

―――― 『むしろ、お前だからこそやれる校内案内があるとすら思うが』


ミコ (そっか……)

ミコ (会長は、石上のこういうところをちゃんと見てあげてるんだ……)



20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:32:29 ID:NSO23Erk

石上 「そうだろ? だから、今勉強が苦手でも、努力次第でいくらでも変われるんだ」

ミコ (石上だからこそできる案内……。すごいな……)

中学生5 「いくらでも変われる……。そっか……」

中学生5 「じゃあ学年50位台をキープしてる私なら一位が取れちゃうかもしれないんだ!?」

石上 「……50位台。へぇ」

石上 「………………」

石上 「……死のう」

スパン!!!

石上 「いてぇ!? 何すんだ伊井野!」

ミコ 「中学生の前でアホなこと言わないで! 恥ずかしい!!!」

ミコ (あーっ、もう! 少しでもこいつのこと見直した私がバカだった!!!)

中学生たち ((仲いいなこの人たち……))



21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:33:10 ID:NSO23Erk

「ん? おー、見学の中学生だー」

石上 「? あ、翼先輩」

石上 「……と、神」

柏木 「その呼び方やめてもらってもいいかな……」

翼 「おいすー。中学生のみんなー、しっかり見学していくんだぞー」

翼 「ちなみにこの根暗そうな石上さんは、こう見えてすごく頼りになるからね」

翼 「質問しておきたいことがあったらしておくといいよ」

柏木 「ほら、石上くんも伊井野さんも仕事中なんだから邪魔しないの」

柏木 「ごめんね、邪魔しちゃって。がんばってね、石上くん、伊井野さん」

トトトトト……

ミコ 「……せわしない人たち。現れたと思ったらすぐどこかに行っちゃった」

石上 「いいかい、中学生諸君」

石上 「あの人たちが、俗に言う “神ってる” 人たちだ」

ミコ 「お願いだから将来有望な中学生たちにアホなこと教えないで?」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!



22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:33:42 ID:NSO23Erk

………………その頃の藤原書記

藤原 「いいですかー、中等部の皆さん?」

藤原 「ここが高等部名物……昼寝に最適な芝生の広場です!!!」

バーン!!!!!!

藤原 「さぁ皆さんご一緒に!! 寝転がりましょー!!!」

藤原 「寝転がったらぁ~~~!!!」

藤原 「おやすみなさい!!!!!」



23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:34:23 ID:NSO23Erk

………………

石上 「じゃあ、今から一年の教室前を通ります。今は休み時間中なので、その様子を見てください」

中学生たち 『はーい!』

ミコ 「……?」

「げっ……」

「石上じゃん」

「最悪。顔合わせちゃった」

「あれ何してんの?」

「あれじゃね? 中等部の子たちの案内をやるって……」

「うーっわ。中等部の子たちかわいそう。石上なんかに案内されてんのかよ……」

石上 「………………」

「見てらんないわ。あたしたちちょっと行ってくるね」



24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:34:53 ID:NSO23Erk

女子1 「………………」

女子2 「………………」

女子3 「………………」

石上 「……どいてくれ。通れない」

女子1 「よくあんたがそんなこと言えるね」

女子2 「中学生かわいそうだからさ、あんたもうどっか行きなよ」

女子3 「案内だけだったら伊井野で十分っしょ?」

石上 「そういうわけにはいかない。これは僕の仕事だ」

石上 「……会長と四宮先輩からもらった、大切な仕事だ」

石上 「そこをどいてくれ」

女子1 「っ……お前が失せたらどいてやるよ!」

中学生1 「ひっ……」

石上 「っ……」 (まずい。中学生が怯えている。高等部に悪印象を持ちかねない……)

ミコ 「いい加減にしてください! 中学生が怯えています!」

ミコ 「それ以上進路を妨害するつもりなら、風紀委員として取り締まりますよ!」



25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:35:43 ID:NSO23Erk

女子1 「けっ。良い子ちゃんが吼えてるんじゃねーよ」

ミコ 「何を道理に合わないことばかり……――」

石上 「――よせ、伊井野」

ミコ 「何よ! 石上だって言い返したらいいじゃない! こんなの横暴よ!」

石上 「違う。お前まで激昂したら、中学生がますます怯えてしまうだろ。それは誰にとっても良くないことだ」

ミコ 「あっ……」

石上 (このままでは……)


―――― 『だが、俺はお前ならできると思うぞ』

―――― 『石上くんなら出来るわ』


石上 (あのふたりに迷惑をかけることになる……)

石上 (それだけは……)

石上 「………………」

石上 「……わかった。僕はこれ以上中学生の案内をしない。だから――」

「――えっ。石上先輩、いなくなっちゃうんですか?」



26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:36:25 ID:NSO23Erk

石上 「えっ……?」

中学生2 「石上先輩の案内、分かりやすくて楽しいのに……」

中学生3 「っていうか、あの人たち何で生徒会の人にあんなに高圧的なの?」

中学生4 「なんかムカついてきた。ひょっとして私たち中学生だから舐められてる?」

女子1 「えっ……? い、いや、中学生はべつに、何も……」

中学生5 「1ちゃん大丈夫? 怖くないよ。生徒会の先輩が怖い先輩なんか追い払ってくれるから」

中学生1 「う、うん……!」

女子2 「なっ……だ、だったら教えてやろうか!? その石上って奴がやった悪行を……――」


「――邪魔なんだけど」


石上 「あっ……お、小野寺さん……?」

小野寺 「何で廊下ふさいでんの? 邪魔だからどいてくれない?」

女子3 「あ……いや、だから、今……」

小野寺 「邪魔だからどいてくれない? って言ってるんだけど?」



27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:37:00 ID:NSO23Erk

女子1 「っ……お、覚えてろよ石上!!!」

トトト……

石上 「……テンプレみたいな捨て台詞を残していったな」

石上 「あ……小野寺さん」

小野寺 「……何?」

石上 「ありがとう。助かった。本当に……ありがとう」

小野寺 「べつにあんたに感謝されるいわれはないし。邪魔だったらから邪魔って言っただけ」

小野寺 「……ま、生徒会活動がんばんなよ」

石上 「……うん。ありがとう」

石上 「……変な先輩に絡まれちゃってごめんね。あんな人ばっかりじゃないから」

石上 「さ、気を取り直して再出発しよう!」

中学生たち 『はーい!!』



28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:37:32 ID:NSO23Erk

………………見学会終了後

御行 「風紀委員と有志生徒の諸君、今日は本当に助かった。ありがとう」

御行 「君たちのがんばりのおかげで、中等部の生徒の満足度は概ね高かったようだ」

御行 「今後控える進学テストへの意欲もますます増したことだろう」

御行 「今日は本当にご苦労だった!」



29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:38:18 ID:NSO23Erk

………………生徒会室

御行 「皆、よくがんばってくれたようだな。会長として鼻が高いぞ」

藤原 「ふふふ、そうでしょうそうでしょう。もっと褒めるといいですよ」

御行 「うん。それはそうと、見学会中ずっと昼寝していたらしいな、藤原書記は」

藤原 「へ……?」

御行 「担任にはしっかりとその旨を伝えておいたぞ?」

藤原 「へ? へ? へ?」

御行 「怒っていたなぁ、先生。公欠を取り消すなんてことも言ってたかな?」

藤原 「へぇー!?」

御行 「……お前は今日一日無断欠席をしただけのダメ生徒だ。今ごろ保護者に連絡が行ってる頃だろうな」

藤原 「そ、そんな――」

―――― prrrr

藤原 「あ……」 ダラダラダラ 「お母様から、電話……。これは、ガチでやばいやつだ……」

かぐや 「……藤原さん」 ニコッ 「自業自得です」

藤原 「ひどいーーーー!!! あんまりだーーーーーーーー!!!」



30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:38:49 ID:NSO23Erk

石上 「………………」

石上 「……はぁ」

石上 (怖かった……)

石上 (直接的な悪意や、悪口……も、そうだけど……)

石上 (それ以上に、僕のせいで中学生に危害が加えられるんじゃないかとか……)

石上 (会長と四宮先輩に迷惑がかかるんじゃないかとか……そういうのの方が、怖かった……)

石上 (何もなくてよかった……)

石上 (小野寺さんに、明日お礼言っておかないと……)

ミコ 「………………」

ミコ 「……ねぇ、石上」

石上 「? 何だよ?」

ミコ 「……ちょっと来て」

石上 (また呼び出し? 何回目だよ……)



31: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:39:28 ID:NSO23Erk

………………廊下

ミコ 「………………」

石上 「………………」

石上 (呼び出されたかと思えば、まただんまりか……)

石上 (一体何なんだ……)

石上 (……いや)

石上 (今日に限って言えば、僕にも心当たりがあるか……)

石上 「……なぁ、伊井野」

ミコ 「ふぇっ!? な、なに!?」

石上 (何でこんな驚くんだこいつ……)

石上 「……今日は悪かった。僕のせいで、色々と迷惑をかけた」

ミコ 「えっ……」

石上 「よくよく考えてみれば、一年の教室棟を通ったらああなるってことくらい分かってたんだ」

石上 「一年の教室の案内のときだけ僕が抜ければ済む話だったな。迷惑をかけてごめん」

ミコ 「ち、ちがっ……やめてよ! そんなことで謝るの!」



32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:40:00 ID:NSO23Erk

石上 「……? いや、でも迷惑をかけたのは事実だから」

ミコ 「違うでしょ! 今回に限っては……本当に今回に限ってはだけど!!」

ミコ 「石上は何も悪くないじゃない! 生徒会の仕事をがんばってこなしていただけなのに、わけの分からない因縁をふっかけられて……」

ミコ 「私は正しくないことは嫌い! だから、謝る必要もないのに謝られたくはない!」

ミコ 「……取り消して。迷惑をかけたという言葉と、謝罪を」

石上 「いや、しかしな……」

ミコ 「………………」

ミコ 「……取り消してよ」

石上 「あー……」

石上 「……わかったよ。悪かった。 取り消すよ」

ミコ 「……うん」



33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:40:39 ID:NSO23Erk

ミコ (……そう。私は、正しいことが好き。自分が正しいと思ったことをしたい)

ミコ (だから……)

ミコ 「……あの、石上?」

石上 「ん?」

ミコ 「………………」

ミコ 「……この前は、ごめんなさい」

石上 「へ?」

石上 (……耳がいかれたか? 伊井野が僕に謝罪!?)

石上 「ごめんって……何の話?」

ミコ 「サボる、なんて言っちゃったこと……」


―――― 『サボりたいからって、そんな勝手な言い分が通ると思ってるの!!』


石上 「あ……ああ、あのときの……」

石上 「いや、べつに謝るようなことではないと思うけど。普段の僕の行いを見てるなら」



34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:41:21 ID:NSO23Erk

ミコ 「でも、私は正しくないことを言った。だから、謝りたいの。ごめんなさい」

石上 「あー……」

石上 「……べつにいいよ。気にしてない。っていうか、忘れてたし」

ミコ 「それから、もうひとつ」

石上 「?」

ミコ 「……白銀会長のおっしゃっていた通りだった」

ミコ 「いい案内だったわ。中学生の目線に立って、興味を引くような説明ができていたと思う」

ミコ 「だから……ありがとう。私ひとりじゃ、テンパって終わってたと思う」

石上 「………………」

石上 (伊井野が僕に礼を言ってる!? さては偽物だなこいつ!?)

ミコ 「案内図も、手引きも、すごい出来映えだったし……」

ミコ 「……すごく嫌だし、悔しいけど……あんたのそういうところは、認めてあげるわ」

石上 (あ、この上からの言葉は間違いなく伊井野だ。本物だ)

石上 「……はぁ」



35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:42:25 ID:NSO23Erk

石上 「……なんか、お前に褒められても気持ち悪いだけだからいいよ」

石上 「わざわざそんなことを言うために廊下に出たのか? 暇だなお前も」

ミコ 「なっ……」

ミコ 「せ、せっかくこっちが少し折れてやったっていうのに……!」

ミコ 「あーやだやだ! だから石上は嫌なのよ! 本当に嫌い!」

石上 「そうかよ。じゃあ、もしお前が来年生徒会長になっても会計にはならないからな」

ミコ 「はぁ!? 調子にのらないで! あんたなんか絶対私の生徒会には入れないわよ!」

石上 「そうかよ。じゃあ、僕以上に事務処理が得意な奴をいまのうちに見つけておけよ」

ミコ 「私はあんたと違って友達多いし! 余裕だし!」

石上 「へー! 大仏くらいしかいないんじゃないのー!?」

ミコ 「そういうあんたなんか0人でしょ!!」

石上 「僕はちがいますー。たくさんいますー。会長と翼先輩とツンデレ先輩と、あと……」

ミコ 「先輩ばっかりじゃない! 無効よそんなの!!!」

ワイワイギャアギャア……



36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:43:00 ID:NSO23Erk

………………生徒会室

御行 「……まったく。恥ずかしげもなく大声で喧嘩をしているな」

かぐや 「聞いているとこっちが恥ずかしくなってきますね」

御行 「あれはあれで、仲が良いと言っていいのだろうな」

かぐや 「さて? 私には本気で嫌い合っているように見えますけど?」

御行 「? そういうものか?」

かぐや 「ええ」

クスッ

かぐや 「……嫌い合っているからこそ、お互いのことが嫌でもよく見えてしまうのですよ」

御行 「……ふむ」

  「もうほんっっっっっとに石上嫌い! 死ねばいいのに」

  「……同級生に死ねばいいとか言うのは正しいのか? お前にとってはそれが正しいことなのか?」

御行 「……いやまぁ、しかし……」 ハァ 「もう少し仲良くなってくれると、助かるのだがな……」



37: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:43:34 ID:NSO23Erk

………………本日の勝敗

藤原 「も、もしもし? お母様……?」

藤原 「へ? いや、それは、その……」

藤原 「!? ダメ! やめて! それだけは……!!!」

藤原 「へ……? おじいちゃんからのお小遣い? な、何の話かな~」

藤原 「もう全部バレてる……? あ……うん」

藤原 「………………」

藤原 「お小遣い全カットだけは本当に!!! ごめんなさいもうしません!!!!」

藤原 「お願い許してぇ~~~~~~~~~!!」


 藤原の敗北。色々と露見したため。



38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/17(日) 01:44:11 ID:NSO23Erk

おわりです。

読んでくださった方ありがとうございました。


元スレ
SS深夜VIP:【かぐや様は告らせたい】 石上 「中等部生徒の高等部見学会?」