485: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:05:34.60 ID:CV0nZ6Sa0

周子がBランクになってから2ヵ月とちょっとが過ぎた頃
あれ以来事務所の全員のモチベーションにさらに火が付き、一月経つころには私と美嘉はあるドラマのメイン役をやったときの演技が評価され、更に多くの出演依頼を受けていた
それらの仕事が評価されたのか、遂に周子と同じBランクに昇格することができた


レイジレイジ―の二人はユニットの活動だけではなく、それぞれ自分たちの持ち味を活かしたソロ活動にも精を出している
志希は高い歌唱力を活かして新曲、『秘密のトワレ』を発表
その頭が蕩けるような甘く蠱惑的な歌声に多くの人が惹きつけられたようで、CD発売記念の握手会では前代未聞の来場者数を記録したらしい


フレデリカの方は持ち前のトーク力とどんな相手とも仲良くなれるフレンドリーな気質のおかげか、バラエティ番組に引っ張りだこ
その結果、某動画サイトで自身がメインパーソナリティを務めるラジオ番組、『フレちゃん'sティータイム!』が放送開始
毎週数え切れないほどのお便りが届くらしく、ある番組のラジオ特集でも『今最もアツいラジオ番組』として取り上げられ、一躍人気番組になった



486: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:07:38.98 ID:CV0nZ6Sa0

そしてレイジーレイジーとしての活躍も目覚ましく、二人そろって『科学捜査班の女たち』というW主人公のサスペンスドラマの主役の座を二人そろって勝ち取ったわ

その仕事ぶりが影響してか二人のファンの数は2ヵ月前のおよそ倍以上に増加したらしく、つい先日二人ともBランクに昇格!

そして、一足先にBランクに上がっていた周子もその勢いをとどめる事を知らずいろんなところで大活躍している

先日レギュラーの座を勝ち取った「ぐるぐる九十九」では毎回ギリギリのところで自腹を回避する好(?)成績を収める人気レギュラーとしての立場を確立
更にもう一つ、自身が主役を務めるレギュラー番組「シューコちゃんのぶらり遊び旅」も放送を開始し、着々とファンを増やし続けている。
その上ソロ2曲目「Private Sign」も大ヒットして、周子は今や日本中のほとんどの人が知る超有名アイドルになった。



488: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:10:28.97 ID:CV0nZ6Sa0

それに、もう一つ変わったことがあった
今まで私達に熱心に指導を続けてくれていた青木さんが、ついにウチの専属トレーナーとして所属してくれることになったの
この数か月の私達の活動を見ていて再び昔の情熱が再燃したらしく、派遣だった頃以上に厳しく、そして丁寧に私たちに指導をしてくれている



設立して1年経たない内に5人という少人数の小規模プロダクションでありながら、その全員が一流アイドルの証であるBランクに上りつめたモンスター事務所として811プロそのものに取材が来たこともあった

あの時は楽しかったわね

記者さんが開幕早々フレデリカの独特な雰囲気にのまれたり、志希の研究室から得体の知れない何かが這い出てきたり、それにPさんと美嘉が大慌てしたり...そしてトレーナーさんがそんな二人を一喝で沈めつつ、未確認生物を素手で仕留めたり...
色んなみんなの一面が見れて、本当に面白い取材だった





そしてそんなモンスター事務所811プロは今...



489: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:11:20.98 ID:CV0nZ6Sa0

奏&美嘉「「HAPPY SATURDAY!!!」」

奏「というわけで、始まったわ。811プロのアイドル達がお送りする『正気のサタデーナイト!』」

美嘉「明日はみんな大好き日曜日!一週間の疲れを、今日で纏めて解き放っちゃおー!」






811プロ主催の生放送番組、『正気のサタデーナイト』を放送できるまでになったわ!



490: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:11:46.50 ID:CV0nZ6Sa0





        Chapter10 「Do you want to go to Hollywood!?」









491: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:12:31.24 ID:CV0nZ6Sa0

[特報!!]



シュウコ「決着をつけよう、カナデ」


[811プロ総出演!!]



カナデ「ええ、この銀河で私と貴方、どちらが正しいのか!」



「カナデエエエエエエエエエエエエエエ!!!」バシュウン!>シュウコ カナデ<バシュウウン!「シュウコオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」




銀河歴8100年

ミカ「カナデ総統、ご報告が」

カナデ「なにかしら?ミカ軍隊長」

世界はカナデ総統率いるカナディア連邦によって支配されていた

ミカ「先日支配下に置いたL-1992宙域ですが」

遺伝子操作を受け圧倒的な力を持った、「新世代人類」カナディア連邦の勢力

その脅威に対抗しうる、「旧人類」最後の希望

ミカ「イチバンボシと名乗るレジスタンスに、支配権を奪われました」


           \デエエエエエエエエン/
          シュウコ&フリッカ



492: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:13:36.65 ID:CV0nZ6Sa0

カナディア兵「なんだこいつ、旧人類の癖にこのスピード!ぐわぁ!」
カナディア兵「なぜこれほどまでの性能のiDOLを...ギニャア!」

シュウコ「この銀河に生きる人間は...みんな自由でいなくちゃならないんだよ」

次々と星を支配から解放していくレジスタンス
しかし、そんな彼女たちに迫る新たな脅威!



シキ「おっと、久々に楽しめそうな子が来たねぇ」

シュウコ「こいつ、強い...!」

フリッカ「シュウコちゃん、先に行って」

シュウコ「そんな、危険だよ!」




再び巡り合う因縁の敵!

フリッカ「こいつは、あたしが倒さないといけない存在なんだ」

シキ「あれぇ?フレちゃんじゃん。ダメじゃん死んだ人間が出てきちゃあ、死んでなきゃさアァ!!」



ミカ「アタシの『Iセント・アニマ』で、銀河の塵にしてあげるよ!」

シュウコ「あんた達が、あんた達なんかがいるからアァ!」




         
           仲間との別れ




シキ「これで終わりだよ!フレちゃんはもう死んだんだ!」

フリッカ「うん、あたしはここで終わり...でも、『あたし達』はまだ続く!」

シキ「....しまっ!?まさかフレちゃん、最初から自爆覚悟で!」


フリッカ「後は頼んだよシュウコちゃん...銀河に、笑顔を」




ミカ「なに、このパワー!?まさかパイロットの感情の増幅をエネルギーに変えるって言うの!?」

シュウコ「あんた達を...カナディア連邦を許さない!」
    「行けえ!FULL・ムーーーーーーン!!!!」



493: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:14:03.77 ID:CV0nZ6Sa0

そして銀河戦争は、遂に終幕へと至る



主題歌[ガールズインザフロンティアfeat塩見周子]


シュウコ「これが、FULL・ムーン最後の力!FULL・ムーン99!」

カナデ「面白いじゃない...!」
   「貴方を墜として、私は英雄になる!」
   「私と、FULL・ムーンL(ライアー)の前にひれ伏しなさい!旧人類!!」

シュウコ「ありったけをぶち込む...いくよ、FULL・ムーン!!!!!!!」

         
     劇場版 銀河戦神シュウコ Last Cinderella
      
明日、ついに全国ロードショー!








シュウコ「プレゼント付き前売り券で、シュウコ&FULL・ムーンストラップをゲットしよう!」



494: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:14:59.68 ID:CV0nZ6Sa0

周子「じゃあ今日はこの辺で『しゅーこちゃんのダーツ飯』のコーナーもおしまーい。スタジオの二人に返すねー」

美嘉「はーい!周子ちゃんお疲れさま!」

奏「では、今日の放送はこれにて最後となるわ、また来週、お会いしましょう」

奏 美嘉「「HAPPY HOLYDAY!!」」



495: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:15:56.45 ID:CV0nZ6Sa0

~~~~都内の高級レストラン~~~~~~~

P「では、『正気のサタデーナイト!!』初回放送成功とその他諸々を記念して!」

全員「かんぱーい!!」



放送終了後、私達はプロデューサーさんに誘われ都内の有名なレストランへ打ち上げに来ていた



美嘉「プ、プロデューサー?メニューに書いてあるの、どれもめっちゃ高いんだけど!?」

奏「一番安い紅茶でも一杯2000円ね。午○の紅茶20杯分くらいかしら?」

P「安心しろ、もちろん全部俺の奢りだ!」
 「最近忙しくてお前らがドラマや映画の大役取ったりしても祝えてなかったからな。その分もあわせて今日は豪勢に行こうぜ!」



496: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:16:57.85 ID:CV0nZ6Sa0

周子「やったー!じゃあとりあえずあたしこの甘鯛のポワレ!(6500円)あとこの鴨のポトフも!7000円)」

フレデリカ「アタシ孔牛のローストワインソース(7500円)とイセエビのスープ・ド・ポワソン(3500円)!」

志希「あたし香草とトマトソースのピッツァ!(4000円)」

美嘉「み、みんな遠慮なさすぎじゃない?」

周子「奢りでこんな高級店なんて滅多にないからね。美嘉ちゃんも折角だからPさんに甘えようよ」

P「ああ、今日はホントに遠慮なく頼んでくれていいぞ」



奏「というか、周子は『ぐるぐる九十九』で結構こういうディナーは食べ慣れてるんじゃないの?」

周子「奏ちゃん...たしかにあの番組で美味しいものいっぱい食べてるけど、その代わり毎回心臓が止まりそうな思いしてるんだよ...?」

美嘉「ああ....いつもギリギリだもんね周子ちゃん...」

周子「とうとうこないだおみや代は払っちゃったし、そろそろマジで自腹切るんじゃないかってビクビクしてるよ...」

P「...今日は好きなだけ食え、周子....」



497: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:19:06.51 ID:CV0nZ6Sa0

美嘉「それにしても、あたし達全員でBランク...一流アイドルになれるなんてまるで夢みたいだね」

志希「ホントにねー。最近のアイドル活動はあたしの期待通り、いや期待以上に未知で溢れてておもしろーい!」

奏「私たちならこのままAランク...いやSランクにも昇り詰めることができるんじゃないかしら?」

周子「まあ油断大敵ではあるけど。本気で走ってればきっと全員でトップアイドルも、きっと夢じゃないと思うな」

フレデリカ「そうだよ!みんなと一緒なら、世界中の人達を笑顔にできると思うな♪」


見えてきたトップアイドルという夢に対し、みんな揃って決意を固める





でも、そんな中プロデューサーは少しだけ苦い顔をしていた



498: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:19:59.09 ID:CV0nZ6Sa0

P「あーお前ら、意気込んでるとこ悪いんだが、しばらくはアイドルランクの事は考えないほうがいい」

奏「えっ?」

周子「そりゃまた、なんで?」


P「お前ら、アイドルの引退時の最終ランクで多いのって何だと思う?」

周子「そりゃあ、Fランクじゃないの?駆け出しの時点で芽が出ないってパターン、一番ありそうじゃない?」

P「まあその通り、一番多いのはFランクなんだが...2番は実はBランクなんだ」

美嘉「そうなの?なんか意外、EとかDの方が多いかと思ってた」

P「理由は単純に、BからAへの壁がめちゃくちゃ分厚いから」

志希「分厚いって、どの位?」

P「一説ではFからBまで上がる時の3倍以上の努力が必要と言われている」

周子「3倍!?」

フレデリカ「シ◯ア専用なのかな?」



499: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:21:26.98 ID:CV0nZ6Sa0

P「その壁の分厚さに挫折して失速、そして引退するってパターンが多いんだ」
 「だから今はランクの事は一端置いといて、ゆっくり結果を積み重ねていくことが大事って事」

奏「...でも結局のところ、いつも通りアイドルを全力で楽しめって事、でしょ?」

P「まあ、そういう事だな。というわけで明日からも全力で楽しむために、今日はいっぱい食え!」

全員「わーい!」





店員「お会計24万4千円になります」

奏「24万!?嘘でしょ!?」

周子フレ志希「ゴチになりまーす♪」

P「キャッシュで」

美嘉「しかも現金!?大丈夫なの!?」

P「お前らのおかげで事務所も俺も儲かってるからな、全然大丈夫だよ」


だとしても、流石にそんなに落ち着ける値段じゃないんじゃないかしら...
ギャラの配、プロデューサーさんが私達を大分優遇してくれてるおかげで、事務所の取り分はそんなに高くなかったはずだけど...



500: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:22:23.77 ID:CV0nZ6Sa0

打ち上げから一週間、その日の仕事終わりに私達は重大発表があるとプロデューサーさんに集められていた

フレデリカ「重大発表って、いったい何だろうねー?」

美嘉「なんだろう、時期的に銀河戦神シュウコの事とか?中々好評みたいだし」

奏「いきなりロボットアニメに出ろって言われたたときは驚いたけど、なかなか面白い仕事だったわね」

周子「まあ、あたしは事務仕事してるときに書類見ちゃったから何の報告か知ってるけどねー」

志希「なになにー?あたしにも教えて!」

周子「慌てなくともPさんが教えてくれるよ」
  「まあとにかく大きな話って事だけは確かかな~...おっPさん来た」

P「よし、みんな集まってるな。すでに伝えてる通り今から重大発表を行う」
 「...時にお前ら、海外旅行に興味はあるか?」

奏「海外旅行?話が見えないのだけど」

志希「もう、もったいぶらずに早く教えて教えてー?」







P「...iDOL MOVIE BIGBANGって知ってるか?」


...!?
それって!?



501: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:25:28.03 ID:CV0nZ6Sa0

奏「『iDOL MOVIE BIGBANG』....去年ある映画製作会社によって行われた、ハリウッド映画の企画ね」

P「おっ、流石奏!映画好きを公言するだけはあるな」

フレデリカ「『シネマ・速水奏』はハッピーLIVEサタデーの人気コーナーだもんね!」

美嘉「それで、そのiDOL MOVIE BIGBANGってどういう企画なの?」

奏「かつて765プロアイドルが総出演して話題になった『果てしなく仁義ない戦い』という映画があってね」

P「名作だったぞ、内容はもちろんのこと主題歌の青い鳥がもうこりゃまた音楽史に残る神曲でな!」

周子「Pさん説明中だからちょっと黙ってて」

P「すまん....」

奏「続けるわね?そしてその映画がヒットして以来、売れてるアイドルを起用して製作するアイドル映画というジャンルがじわじわと人気になってきているの。そしてその人気に目を付けたある映画会社が去年、ハリウッドで色んなアイドル事務所でアイドル映画を作ろうって企画を立てた」
 「確かその時は010プロの様な勢いのあった大手事務所が、それぞれ自分たちのアイドル達をメインキャストに据えて一本ずつ映画を製作したの。どれもキャストが話題のアイドルであることを抜きにしても名作揃いだったわ」
 「それで、今iDOL MOVIE BIGBANGの話をするって事は...」



502: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:27:08.51 ID:CV0nZ6Sa0

P「ああ...今年もそのiDOL MOVIE BIGBANGが開催することになったんだが...その企画に、我が811プロが招待された!」

志希「!」

美嘉「ホント!?」

P「ああ、最近のお前らの活躍が評価されたんだ!皆何かしらのドラマや映画で主役やったりしたのと、この前の銀河戦神シュウコを製作した映画会社からの推薦でな。ぜひウチからも一本映画を出してほしいと依頼があった」
 「というわけで来週からハリウッドで海外ロケだ!気張っていくぞ!」

フレデリカ「やったー!ハリウッドだ!海外旅行だ!皆一緒に楽しもうねー♪」

志希「...うん!そうだねフレちゃん!」

美嘉「海外ロケかぁ、莉嘉にお土産何がいいか聞いてこなきゃ!」

周子「荷造りもしなきゃねー。こんなの、高校の修学旅行以来かな」

奏「ハリウッドといえば映画の聖地...ふふっ!今から楽しみね!」

P「お前ら、観光じゃなくて仕事で行くんだからな?...まあ自由時間もあるけどさ」
 「というわけ今から俺と周子が昨日作った旅のしおりを配るから、みんなそれをしっかり確認して準備を済ませておくように」

周子「結構長いロケになるから、準備怠ると悲惨なことになるから気を付けてね?」





全員「はーい!!」



503: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:27:35.49 ID:CV0nZ6Sa0

志希「ハリウッド...アメリカかぁ」
  「まさかこんな形で戻ることになるとはね...」
  






「.........パパ」



504: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:29:11.95 ID:CV0nZ6Sa0

ロケ開始日、半日ほどのフライトを満喫した私達は今、ロサンゼルス国際空港に降り立っていた


P「ハリウッドに行きたいかー!」

フレ志希「「おー!」」

周子「ていうかもう来てるやん」

美嘉「すごい!金髪の人がいっぱいいるよ!」

奏「あら、本当ね...でも、金髪はフレデリカで見慣れているからかしら、不思議と親しみがわくわね」

美嘉「確かにそう言われると、なんか金髪の人がみんなフレちゃんに見えてきたよ」

フレデリカ「フランス忍術奥義!多重影分身の術だよー♪」

周子「いやフランス関係あるかーい♪」



505: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:31:09.90 ID:CV0nZ6Sa0

P「おーいお前ら、漫才はその辺にしとけ、まずホテルに荷物とか置きに行くぞ」
  「その後は明日からの予定についてのミーティング、終わったらあとは自由時間だ。長く遊ぶためにもキビキビ動け!」

周子「そうだねぇ、Pさんもアメリカ観光楽しみにしてたもんねぇ?早く遊びに行きたいよね♪」

P「いや、俺はプロデューサーとしてしっかり引率をする必要があるだけで、決してはしゃいでなどは...」

志希「ん~?その割に旅のしおりの内容、半分以上は観光スポットの紹介だったけどなー?」

美嘉「そうそう!おかげでわざわざガイドブック買わなくて住んだよ」

フレデリカ「楽しみを詰めすぎたから国語辞典みたいな分厚さになっちゃったんだねー♪」

P「いやちがっ!?そんなんじゃないって!」

奏「ふふっ!旅行が楽しみ過ぎて眠れなかったなんて、プロデューサーさんも子供っぽいとこあるのね」

P「だって前にアメリカ来たときは観光する余裕なんてなかったし...ハッ!?」

周子「あちゃー引っかかっちゃったねPさん♪」

美嘉「プロデューサー、眠れなかったんだ♪」

P「くっ、この俺がカマかけに引っかかるなんて...」
 


渡米して早速プロデューサーさんの意外な一面を見れるなんて、幸先いいわね♪

ハリウッド映画にまで出演できるほど演技力を磨いた甲斐があったわ!



506: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:31:53.21 ID:CV0nZ6Sa0

     =========ホテル・エントランス============


P「・・・・というわけで、今日のうちに各自さっき配った台本を一度は目を通しておくこと」
  「明日は現地時間7時にこのエントランスに集合だ。夜更かしして寝坊しないようにすること」

周子「特にPさんね」

P「うるさいやい...」

美嘉「じゃあ、これでミーティング終わり?」

P「ああ、というわけでこれからは」

フレデリカ「みんなで遊びにいこー!」



507: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:33:59.55 ID:CV0nZ6Sa0

奏「ええ、折角のアメリカだもの、映画のロケ地になったような場所とか行ってみたいわ」

志希「うーん、あたしは最近まで住んでたし、もう既に粗方見て回っちゃったなあ」

P「そういえば、志希はアメリカからの帰国子女だったな」

志希「うん、ケンブリッジあたりなら案内できるよ。大学あった辺りだから」



奏「...ケンブリッジ、ですって?」

周子「どうかしたの奏ちゃん?」

奏「志希...貴方の通ってた大学ってまさか」

志希「マサチューセッツ工科大学。よくMITって言われてるとこだね」



全員「えーーーー!!??」









P「んで、どういう大学なんだそこは?」

周子「あたしも分かんない」

フレデリカ「アタシもー♪」

奏(ズコッ!)

美嘉「いや、じゃあなんで驚いたのさ!?」

3人「なんかノリで」

美嘉「ノリ!?」



508: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:35:33.22 ID:CV0nZ6Sa0

奏「...MITはアメリカ国内どころか世界でトップレベルの名門工科大学よ。ノーベル賞を取得した学生の数はあのハーバードを優に上回るらしいわ」

P「...そういや、今回の映画のロケ地の一つにケンブリッジがあったような気がするな...」

志希「そうなの?」

周子「じゃあ下見がてら行ってみようよ。志希ちゃん案内頼める?」

志希「あー、うん。いいよー、志希ちゃんに着いておいで―」

フレデリカ「わーい!志希ちゃんありがとー♪」

美嘉「ケンブリッジってなんか大きな美術館とかあるんだよね?しおりに書いてあったような」

奏「多分ボストン美術館の事ね、日本庭園もあるらしいわよ」

周子「その前にそろそろお腹すいたーん、先にどこかでご飯食べてかない?」

P「そうだな、じゃあその辺歩いてみるか」

美嘉「あっ、そういえばさっきしおりに書いてあったお店ちらっとみたよ。あそこ行ってみない?」

P「おっ、あれか!なかなか美味そうな店だと思ってメモってたんだった!」

奏「じゃあそこにいってみましょう」



509: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:36:10.56 ID:CV0nZ6Sa0

         ========街道==========

フンフンフフーン、フンフフーン♪

名探偵フレちゃん、美嘉ちゃんの後を追跡ちゅ~♪

アタシの推理によれば美嘉ちゃんの目的地はきっと....デレデレデレデレ デン!

プロデューサーさんが『おいしそー!』って目をつけてたレストランだ!

証拠は、さっき美嘉ちゃんが見つけた場所への案内を買って出てくれたから♪

えっ?それって推理じゃない?てへっ❤

アメリカのご飯、楽しみだなー♪




.....あれ?志希ちゃんどうしたんだろ?



510: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:36:47.55 ID:CV0nZ6Sa0

フレデリカ「志希ちゃーん、どしたの?UFO見つけた?」

志希「えっ、ああフレちゃん!いやーそうそう、UFOぽいの見つけたよ!」

フレデリカ「ホント?どこどこー?」

志希「あー、さっきどっかとんでっちゃった」

フレデリカ「えー!残念、宇宙人と友達になってみたかったなー」

P「おーい二人とも―!置いてくぞー?」

志希「あーごめんごめん!いこっかフレちゃん♪」

フレデリカ「うん!今行くねプロデューサー!」







フレデリカ(んー.........)



511: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:38:05.75 ID:CV0nZ6Sa0

みんなでご飯を食べた後、あたしはケンブリッジ周りとかボストンの名所を案内して回った

昔行った時は何処もあんま印象に残らなかったけど、今日は何故か楽しかったなー♪


...きっと、あの時と違って一人じゃなかったから...なのかな?



...あの時のあたしは他人に興味なかったし、一人でも全然平気だと思ってたけど
やっぱり心のどこかで、一緒に遊ぶ仲間が欲しいと思ってたんだろうか?




美嘉「いやー色々回ってみたけど、どれも面白かったねー!」

周子「いやーまさかホントにアメリカで日本庭園が見れるとはねー。しかもめちゃくちゃデカかったし、もう何でもありだったねあの美術館」

奏「トリニティ教会もとても印象的だったわ。ああいう雰囲気、私好きよ」

P「俺はアメリカにラーメン屋があったのがびっくりだったよ...しかも見るからに二郎系ぽかったぞあれ...」

フレデリカ「志希ちゃん、アタシ達を案内してくれてありがとね❤」

志希「どういたしましてー♪」



512: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:38:44.51 ID:CV0nZ6Sa0

P「んじゃ、もうぼちぼちホテルに戻るとするか」

周子「折角だしこの辺でご飯食べていかへん?さっき見つけたラーメン屋ちょっと気になるやん」

志希「うーん、あそこはちょっと行くには覚悟が要るかなぁ...」

P「明日からガチガチのスケジュールで収録なのに二郎系なんか食えるかよ...ホテルでディナーにしようぜ」

志希「じゃあまた駅まで案内しよっか、バスガイド志希ちゃんに皆着いておいで―♪」

フレデリカ「どうも!当バス運転手の、宮本フレデリカでーす!」

周子「いや徒歩やんかーい♪」

美嘉「あははっ!アメリカでもみんないつも通りだね★」

奏「ええ、そして明日からもいつも通り」

P「全力で楽しんで、収録を成功させよう!」

全員「おー!」



513: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:41:13.09 ID:CV0nZ6Sa0

皆で明日からの収録の成功を心に近い、駅の方へ足を進める



でもその時、あたしはひどく懐かしい匂いを嗅ぎ取ったんだ
懐かしくて愛おしい、でも、もう会いたくない、会うことはない
そう思っていた、あの香りを...



514: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:42:39.40 ID:CV0nZ6Sa0

フレデリカ「志希ちゃん?」

P「どうした?」

志希「ど、どうしてここに...?」

???「どうしても何も、ケンブリッジを私が歩いていてもなにも不思議な事ではないだろう」

美嘉「誰?志希ちゃんの知り合い?」







志希「...ダッド」

奏「えっ?」




志希父「久しぶりだな、志希」



515: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:43:20.20 ID:CV0nZ6Sa0

全く考えて無かったわけじゃない
大学に近いここを歩いていればばったりパパに鉢合わせる事もあるかもとは思ってたし、寧ろ、少し期待していたのかもしれない


志希「っ...」


でも、いざホントに会ってしまうと、この場の最適解を導き出してくれるはずのギフテッドなあたしの脳も、すっかり機能停止してしまっていて
何を言えばわからなくなってあたしは、パパの顔から目をそらしてしまう



516: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:44:55.27 ID:CV0nZ6Sa0

P「初めまして、わたくし、娘さんの所属する811プロダクション社長兼担当プロデューサーのPと申します。志希には本当にいつもお世話に...」

志希父「悪いが、君に用はない」

P「えっ」

プロデューサーにしては珍しく丁寧な様子でパパに挨拶するけど、そんなプロデューサーさんを無視してパパはあたしの目の前へと歩いてきた

志希父「志希」

志希「....なに?」







志希父「アイドルを辞めて、科学者に戻れ」



517: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:47:23.82 ID:CV0nZ6Sa0

志希「えっ...?」


志希父「もう十分楽しんだだろう、そろそろ自分のやるべきことを思い出せ」

美嘉「ちょっと!何勝手なこと言ってるのさ!」

奏「志希の父親だか何だか知らないけど、いきなり現れて娘の意思も関係なしに勝手すぎるんじゃないの?」

志希父「君達も、あまり志希をたぶらかさないでもらおうか」

周子「たぶらかす...?」

志希父「志希は世界の科学の歴史を変える、その力がある。そんな志希が日本でアイドルをやっているなど、世界にとってとても大きな損失だ」
   「志希、まだ大学にはお前のポストを残してある。アメリカに戻って、また研究を続けるんだ」



518: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:48:19.04 ID:CV0nZ6Sa0

志希「なに、それ...今更、そんなこと...あたし、もうあの場所に興味なんてないよ」
   「それにダッドは、科学者のあたしに興味が無くなったんじゃなかったの?興味が無くなったから、あたしが大学辞めても、何も言わなかったんじゃなかったの?」

P「..............」

志希父「志希、お前は分かっているはずだ、お前の居るべき場所が」





志希「...いこ、皆」

美嘉「志希ちゃん、いいの?」

志希「うん。今は......ここに居たくない」

志希父「...私はしばらく研究で研究室に籠ることになる。決断できたら会いに来い」
    「良い返事を、期待している」



519: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:49:09.98 ID:CV0nZ6Sa0

     =========帰り道=============


ホテルへと向かう私達
でも、観光名所を回っていたときの楽しい空気は、泡のように消えていたいた

美嘉「志希ちゃん、大丈夫?」

志希「大丈夫だよ」

美嘉「でも、さっきからずっと」

志希「ごめん、大丈夫だから。今は、ほっといてほしいにゃー?」

美嘉「志希ちゃん...」



そう笑う志希の顔は、明らかにほっとけるものでは無くて
でも、私達は志希にどう声をかければいいのか分からず、どうすることも出来ずただ口をつぐんでしまっていた






ただ一人を除いては



520: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:51:18.87 ID:CV0nZ6Sa0

フレデリカ「みんなー!さっき買ったお土産のお菓子食べよー!」

奏「ちょっ、フレデリカ!?」

フレデリカ「だってみんな顔怖いんだもん!まるでトレーナーさんみたいだよー!?折角の旅行なんだからもっと笑った方が楽しいよ!」

志希「フレちゃん.....」

周子「...せやねー♪いつも全力で楽しむのが811プロの信条だもんね!」
   「というわけでおひとつもーらい!」

美嘉「...じゃあたしもっ★志希ちゃんも一緒に食べよ?」

志希「...うん!あたしにもちょーだい!」


フレデリカ「そうだ!志希ちゃん!写真撮ろうよ!」

志希「えっ?」

フレデリカ「海の向こうでもアタシ達元気に旅行楽しんでまーす!って、ファンの人達に伝えてあげよ!」
      「ほら、笑って笑って!写真を撮るときは笑顔でピースするのが全世界共通のマナーなんだよ?」



521: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:53:10.09 ID:CV0nZ6Sa0

P「....そうだな、日本に置いてきちまったファンにちょっとはサービスしてやらねえとな!」

志希「...うん!あたし達の最高の香りを、日本のファンに届けちゃおー!」

奏「ふふっ!そうね。いつも応援してもらってるんだもの、会えなくて寂しい思いをしている皆を安心させてあげなきゃね!」

P「よし!じゃあお前ら!俺が撮るからそこに並びな!」



フレデリカの言葉によって、私たちの顔にじわじわと笑顔が戻っていく
フレデリカ、貴方はやっぱり凄いわ

どんな重い空気もたちまち明るく出来るその笑顔、それはきっとこの世でフレデリカしか持ちえない確かな才能
フレデリカ、あなたのその笑顔は811プロ一番.....いえ、きっと世界で一番優しくて元気な、ひまわりの様な笑顔ね!

そんなフレデリカと友達になれたことを、私は今日、改めて誇らしく思った





P「じゃあいくぞー?1+1は!?」

全員「にー!」


パシャッ



522: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:54:17.93 ID:CV0nZ6Sa0

ホテルで皆でディナーを食べた後、明日に備えて今日は解散ということであたし達はそれぞれの部屋に戻った

部屋に戻ってお風呂に入った後、あたしはプロデューサーさんに釘を刺された通り台本を一応流し読んでいるみた


なるほどなるほど......


どうやらあたしの役は、ある日突然アメリカ最大のギャング組織に狙われてしまうヒロインの女学生
そしてあたしの演じるその子は終盤、ギャングに狙われることになった自身の複雑な出生の秘密を知ることになる...らしい

このの映画のテーマは、ハリウッドらしい派手なアクションを盛り込んだ裏社会の戦い。そして...



523: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:55:47.41 ID:CV0nZ6Sa0

志希「『家族』、かぁ...」

家族、カゾク、かぞく....

言葉は知ってる、でも、自分にとってそれが何を意味するのかは、全く分からない


あの頃、まだママとパパと3人んで暮らしていたころは分かっていたのかもしれない
でも今は、自分がかつてそれを知っていたのかさえ思い出すことができない


あたしにとって、『家族』って何なんだろう





そして、それ以上に......



志希「結局のところ、パパにとって、あたしってなんなんだろうなぁ...」



524: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:56:48.68 ID:CV0nZ6Sa0

結局のところ、あたしはそれが一番分からなくて......それが一番知りたいこと、なんだろうな




志希「...よしっ」

それに気づいた時には、あたしはもう行動を始めていた



525: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:57:22.98 ID:CV0nZ6Sa0

ピンポーン

奏「あら、誰かしら?」

周子「あー、奏ちゃんいるー?」

奏「周子?どうしたの?」

周子「いやーやっぱり折角友達と旅行来てんだし、夜に遊びながら語り合うお決まりのやつやりたいから誘いに来たよ」
   「それに、やっぱり志希ちゃんちょっと心配だしさ。みんなで遊んだら元気になるかなーって」

奏「成程ね、確かに良い案だわ」

周子「でしょ?てなわけでこれから皆を誘いに行くんやけど、奏ちゃんはどうする?」

奏「勿論、参加させてもらうわ」

周子「よしっ、じゃあ一緒に皆を呼びに行こう」



526: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:58:04.25 ID:CV0nZ6Sa0

その後、美嘉とフレデリカも呼び出して最後に志希の部屋の扉の前へとやってきた

ピンポーン

周子「志希ちゃーん、いるー?」




シーン.....



奏「反応がないわね」

美嘉「もう寝ちゃったのかな?」

周子「あれー?志希ちゃん夜型って言ってたしまだ起きてると思ってたけど」






フレデリカ「ねぇねぇ、鍵開いてるみたいだよ?」



527: ◆FuHrdA/9sY 2019/03/31(日) 23:59:23.53 ID:CV0nZ6Sa0

奏「えっ?ここオートロックよ?」

美嘉「...見て!扉になんか挟まってるよ!?」

美嘉が指刺した所には、志希のスマホが挟まっていた

周子「これのせいで扉が閉まらなかったんやね...って、なんでスマホが挟まってんの?」

奏「志希のスマホなんだし、志希自身がやったんじゃ.....まさか!」

全員「!」




嫌な予感が頭をよぎった私達は、鍵の開いていた扉を勢いよく開け、部屋の中へ飛び込む

そこに、志希の姿はなく、代わりにあったのは...



528: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 00:00:30.84 ID:kBnx1UOd0



              『失踪します』




確かに志希の字でそう書かれた、小さなメモ一切れだけだった.....



to be continued.....



531: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:10:23.87 ID:kBnx1UOd0

P「失踪か...そういや最近やってなかったな」

美嘉「プロデューサー、まさか志希ちゃんホントにアイドル辞めたりしないよね?」

P「流石にその気なら、志希も何も言わずに出ていかないと思う。あの子は間違いなく、アイドルを楽しんでたし」

周子「タイミング的にお父さんの事関連、だよね。何も言わずに出ていくなんて...私達には、相談できなかったのかな...」

P 「さぁな、その辺は本人に聞くしかない。とにかく探しに行かにゃあならんが...」



532: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:11:21.84 ID:kBnx1UOd0

奏「でも、こんな夜に知らない街を闇雲に探し回ったら、ミイラ取りがミイラなんてことになりかねないわね...最悪、みんな揃って明日の撮影に出られなくなるかも...」

周子「一応アメリカだし、治安もよくはないもんね」

美嘉「だとしても、志希ちゃんを一人にはできないよ!探しに行こう!」

P「落ち着けって美嘉」

美嘉「落ち着いてなんていられるわけ!」


P「落ち着け!」

美嘉「っ!」

P「もしお前らの身に何かがあったら、あいつはずっと自分を責め続けるぞ!」

美嘉「でもっ!志希ちゃんの身に何かがあったら!そっちの方が取り返しがつかないじゃん!」

P「分かってるよ!だから先に志希が行きそうな場所にアタリをつけてからだな!」






周子「...あれっ、フレちゃんは?」



533: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:12:33.94 ID:kBnx1UOd0

奏「えっ?...いない!?」


辺りを見回してみると、確かにさっきまでいたはずのフレデリカの姿が忽然と消えていた


P「なっ!フレデリカまで!?」ピロンッ!


そのことに驚くのもつかの間、皆の携帯が一斉に鳴りだした


P「事務所のグループLINE....フレデリカからだ」




『みんなー!志希ちゃんの事はアタシにおまかせ!』

『名探偵フレちゃんの名推理で志希ちゃんの居場所は分かったから会いに行ってくるねー!』

『必ず連れて帰るから、皆はトランプの準備してて待っててねー!』



534: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:14:33.78 ID:kBnx1UOd0

周子「フレちゃん、居場所分かったって...」

美嘉「いやいや!フレちゃんまでいなくなったら余計マズイじゃん!二人ともどこ行ったのさ!?」

P「クソッ!どいつもこいつも!」

奏「いえ、フレデリカは適当に見えて、その実周りへの気配りは私達の中で一番上手い子よ。そして志希と一緒にユニットを組み活動している、志希にとって最も近い存在」
 
 「そのフレデリカが心当たりがあるって言ったんだから、きっと本当に思い当たる場所があったんでしょう」

P「それは...そうかもしれないが...」

周子「じゃあどうする?やっぱ心配だし探しに行く?」

P「...いや、わざわざ一人で行ったんだ、きっと何か二人きりで話さなきゃいけないことがあるのかもしれない」
 
 「それに...多分ここでフレデリカが志希を連れて帰っても、根本的な解決にはならないだろう」



535: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:15:46.65 ID:kBnx1UOd0

美嘉「どういう事?」

P「...志希の父に会いに行こう。あの時言ってたことなら本当ならまだMITとやらにいるはずだ」

奏「会いに行くって、アポもなしで?」

P「しょうがないだろ、連絡先分かんねえし」

美嘉「でも、急に行って志希ちゃんのパパに会いたいから入れてくれって言っても認めてくれるかな?」
  
  「あの時のあたし達への言動的に、あまり会ってくれそうにないよね」

P「その時はもうなんとかして忍び込んで...」

周子「ちょっ、マズイよ!無理に入ろうとして捕まっちゃったらどうすんのさ!?世界でもトップレベルの大学なら、きっと警備だってトップレベルだよ!?」

美嘉「そうだよ!プロデューサーこそ落ち着いてよ!プロデューサーが怪我しても志希ちゃんきっと悲しむよ!?」

P「うぐっ...じゃあ一体どうすれば」






奏「...ねえ、もしかしたらこの志希のスマホに連絡先入ってないかしら?」

美嘉周子「「!!」」



536: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:17:01.78 ID:kBnx1UOd0

P「それだ!ちょっと貸してくれ....あっ」

周子「どしたん?」

P「パスコードかかってる...」

美嘉「あー...そりゃそうか」

奏「4桁...何か心当たりはないかしら?」

周子「無難に誕生日...とか?」

P「確か0530...ダメだ、流石にそんな単純じゃないか...」

美嘉「じゃあ、志希ちゃんがアイドルデビューした日とかは?」

P「....ダメだ」

周子「あと一回でロックかかっちゃうね...」

P「クソッ!他に志希が設定しそうな番号は....」






4桁の数字で、他に思い当たるもの.....!
もしかして!



537: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:18:10.28 ID:kBnx1UOd0

奏「ちょっと貸して」

P「えっ、ああ...」


プロデューサーからスマホを受け取った私は、さっき思い浮かんだ数字を押し間違えないようにゆっくりと入力していく
志希...もし私達が貴方に信頼されているというのが自惚れでなければ、貴方がちゃんとアイドルを楽しめていたのなら、きっと....







奏「0、8、1、1.....」



538: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:18:38.86 ID:kBnx1UOd0

ロックが解除された



539: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:20:57.32 ID:kBnx1UOd0

周子美嘉「「!!」」

奏「0811...811プロ...」

周子「そっか...」

美嘉「ちゃんとあたし達は、志希ちゃんの居場所になれてたのかな?」

P「ああ、きっとな.....それで奏、連絡先はありそうか?」

奏「ちょっと待ってて...」


電話帳を探ってみると、『ダッド』と登録された電話番号を見つけた


奏「あったわ!」

P「でかした!じゃあ早速連絡しよう!」



540: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:23:09.90 ID:kBnx1UOd0

志希のお父さんにコールをかけ、プロデューサーさんにスマホを渡す



志希父「...志希か?」

P「いえ、先ほどお会いした担当プロデューサーのPです」

志希父「志希はどうした?」

P「生憎、現在携帯を残して失踪中でして...そちらは既にウチのアイドルが捜索しています」

 「ですが、今私が用があるのは貴方です。今からそちらまで向かいますので、一時間ほど後、お会いできませんか?」

志希父「私は君に用はないのだが」

P「それでもです。こちらは志希を預かる身として、父親である貴方には一度きちんとお話をしなければなりません。貴方も、志希の日本での動向はなんだかんだ気になっているのでは?」

志希父「...いいだろう。受付に話は通しておく」

P「有難うございます、では後程」ピッ

奏「プロデューサー、私達も」

P「いや、お前たちはここでフレデリカと志希の帰りを待っていてくれ」

 「それに、いろいろ言いたいこともあるだろ?ちゃんと帰ってきたあの子の気持ちを、受け止めてやってくれ....」



541: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:23:45.73 ID:kBnx1UOd0

フンフンフフーン フンフフーン♪

アタシは名探偵フレデリカ!

アタシの推理によるときっと志希ちゃんはここに....

あっ!志希ちゃんだ!今日も名推理だったね!





フレデリカ「おーい!志希ちゃーん♪」



542: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:26:06.43 ID:kBnx1UOd0

あたしにとって家族とはいったい何なのか

あたしはそれを調べるために、この国で唯一「親子の思い出」があったこの場所に来ていた

でも....


志希「やっぱり、わからないなぁ...」


あたしにとって分からないこと、『未知』は全部面白いことだった

でも、この『未知』だけは、何故だか面白く思えない

むしろ、意識してからずっとあたしの心の中にもやもやと渦巻いていて、まるで毒でも飲んだかのようにに苦しみを与え続けていた





「......ちゃーん!」



543: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:27:48.74 ID:kBnx1UOd0

志希「この声....まさか」


この声は、いつも、いつも、毎日のように聞いているあの声

ひまわりの様な笑顔でに関わった人皆を和ませる、あたしの大好きな、相方の声だった


フレデリカ「志希ちゃーん!やっぱりここだったんだ!」

志希「フレ....ちゃん...」

フレデリカ「それにしてもこのお店、なんか美味しそうな匂いがするね!折角だから入ってみよーよ!」

志希「えっ、ちょっと『たのもー!!』」





....どんなに頭が良くても、フレちゃんにはどうやっても敵わない気がするなぁ



544: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:29:13.05 ID:kBnx1UOd0

         ========研究室===========


夜も更け、学内の人間もいなくなり、研究に集中するには心地よい静寂が訪れている
だからこそ、その足音はハッキリと聞こえた


志希父「...来たか、少し遅かったようだが」

P「申し訳ございません。あまりに広いもんで、少し迷子になってしまいまして」

志希父「それで、話とは一体何だ?私は無駄な時間を過ごすのは嫌いでね、手短に話してもらおう」


P「では単刀直入に......何故急に、志希にアイドルを辞めろと?」

志希父「さっきストリートで会ったときも言っただろう。志希の才能を無駄にしてはならないからだ」








P「違うね」



545: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:30:49.44 ID:kBnx1UOd0

志希父「何?」

P「本当にそれが理由なら、あんたは最初から志希を大学にとどめるための努力をしたはずだ。志希が日本に帰国するのを止めなかったなんてありえない」

志希父「...では、他に何か理由があると?」
 



P「あの時のあんたの志希を見ていた目...俺はあんな目をした人間を知ってる」

 「だから、分かるよ。あんたの腹の中の淀みがなんなのか」

志希父「........」



546: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:31:25.21 ID:kBnx1UOd0

P「あんたは、志希に謝りたいんだ」



547: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:33:44.52 ID:kBnx1UOd0

志希父「ッ!!」

P「きっとあんたは、志希に対して何か取り返しのつかない事をしたんだろう。それを、あんたはずっと後悔し続けている」
 
 「正直に言うと、そのあなたの後悔について、なんとなくアタリを付けれてはいるんです。でも」

志希父「知ったような口を!」

P「ええ、何も知りません。だからこそ聞きに来たんです!!」

志希父「!」

P「俺は志希のプロデューサーです。志希をアイドルの道に引き込んだ者として、志希の抱える問題を知り解決する義務と責任がある!」
 
 「だから教えてください。志希とあなたの間に一体何があったのかを。教えてもらうまで俺はここをテコでも動きません」

志希父「............」

P「どうか、お願いします」ザッ

志希父「...!?」


そう呟いた途端、目の前の男は膝をつき、頭を床に押し付けた



548: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:34:32.05 ID:kBnx1UOd0

志希父「君....」

P「俺たちでは、あの子の抱える闇を知らない俺たちでは、あの子を縛る鎖を解くことは出来ません」
 「あの子の鎖の鍵を持つのは貴方だけなんです。どうか、お願いします.....!」

志希父「..................」













志希父「ずっと、後悔していた。研究者としても、父親としても」



549: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:35:21.54 ID:kBnx1UOd0

フレデリカ「うーん、迷っちゃうねー....志希ちゃんはどれにする?」

志希「あー...えっと、どうしようかなー」

フレデリカ「じゃあ二人でこれ食べようよ!」

志希「どれどれ....これって」

フレデリカ「志希ちゃん、なんかここずっと眺めてたし、きっと食べたいもの決まってたけどアタシのこと待っててくれたんでしょ?」

     「だったら志希ちゃん待たせるのも悪いし、アタシも志希ちゃんと同じもの食べるー!」

志希「いや、食べたかったわけじゃ...いや、どうなんだろ?食べたかったのかも、しれない」

フレデリカ「じゃあ決まりだね!店員さーんお願いしるぶぷれー!」



550: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:36:40.67 ID:kBnx1UOd0

フレちゃんが注文を済ませ、あたしと再び向き合う
その優しい翠の瞳に見つめられると、心が落ち着いてくる

けど、その優しさが、今はちょっと眩し過ぎて



...えっと、とりあえず何か話を振らなきゃ



フレデリカ「志希ちゃん、このお店好きなんでしょ?」

志希「えっ?」

フレデリカ「お昼このお店を見てた志希ちゃん、中に入りたそーな目をしてたから」



....見透かされてたんだ、すごいなフレちゃんは
というより、あたしが少し露骨すぎだったのかなー?



551: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:37:54.15 ID:kBnx1UOd0

志希「特別好きだったわけじゃないよ。ただ、ここを通ったときふと料理の匂いがしてさ、パパと一緒に来た時の事を思い出したから」

フレデリカ「てことは、お父さんとの思い出の場所?」

志希「そのはずだったんだけど...なんでかな?何も感じなかったんだ。確かに前にパパときたときは、すっごく嬉しい気持ちになった覚えがあるんだけど」

  「今回の台本読んで、あたしにとって家族って何だったんだろうって考えちゃってさ、ここに来たら何か分かるかもって思ったけど、ダメだったねー」

フレデリカ「..........」

志希「それに、仮にあたしにとって大事な思い出だったとしても、パパにとってはそうじゃないかもしれなかったのかも」
  
  「そう思ったら、あたしには本当は家族の思い出なんて無かったのかなーって、そう思ったんだ」







フレデリカ「それは違うよ」



552: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:39:19.65 ID:kBnx1UOd0

志希「えっ...?」

フレデリカ「本当に思い出がなかったら、最初からパパのこと思い出さないよ」

     「それに、志希ちゃんと志希ちゃんのパパって似たもの親子だもん!だから、志希ちゃんにとって思い出の場所なら、きっとパパにとっても思い出の場所だよ!」

志希「あたしとパパが、似てる...?」

フレデリカ「ねぇねぇ志希ちゃん!アタシ、志希ちゃんの事も、志希ちゃんのパパの事も、もっと知りたいなー!」

     「そしたら志希ちゃんともっと仲良くなれると思うし、志希ちゃんのパパともお友達になれると思うもん!」

志希「フレちゃん...」

フレデリカ「だから悩み事は、この名探偵フレデリカにドーンとお任せ!華麗に事件解決へ導いてあげる―♪」

     「だから...志希ちゃんの悩み、聞かせてほしいな?」

志希「.....フレちゃん....あのね....」



553: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:40:03.95 ID:kBnx1UOd0

志希父「志希が5つになった誕生日、一度日本の志希と妻がの住む家へ帰国したときのことだった。あの子がギフテッドだったのを知ったのは」

   「私は自分の娘が世界を変える才能を持っていたことに酷く興奮してね、その日以来私は家に帰る頻度を増やし、志希に多くの知識を与えていった」

   「志希はまるでスポンジのように知識を吸収していき、次々と新しい謎を発見してはそれを解き明かしていった」

   「そして私も、そんな志希を見ているのが楽しく、そして誇らしかった」
    




   「だが、あの国は志希の様な才能あふれる物を許さなかった」



554: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:41:05.12 ID:kBnx1UOd0

P「.....出る杭は打たれる、そんな世の中ですもんね」

志希父「ああ、小学校4年の授業参観に出た時だ」

   「小学校であの子は所謂、『いじめ』にあっていた。同級生には愚か、教師でさえ志希を腫れ物に触るように扱っていた」

   「本物の天才に同調圧力をかけ貶める...そんな国は志希の居場所じゃない。そう思った私は、志希にアメリカへの移住を提案し、志希もそれを受け入れた」



   「だが、身体の弱い妻は連れていくことができなかった...何より、本人が故郷を離れることを拒んだんだ」



555: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:42:42.36 ID:kBnx1UOd0

志希「それでも、ママはあたしを送り出してくれた。」

  「『希望』を『志す』から志希...あたしはママとパパの希望。だから向こうでパパと一緒に頑張りなさいって。だから、あたしは行った。パパと一緒に海の向こうへ」

  「海の向こうにはあたしの知らない事がいっぱいあって、気になったことを片っ端から解いていったら、どんどん飛び級しちゃって」

  「1年でジュニアスクール...日本でいう小学校を飛ばして、中学校...ジュニアハイスクールに入って、更に2年でハイスクール、更に1年でまた飛んであの大学に入ったんだ」
 
  「大学では好きなこと研究できたし、パパとも一緒にいられて楽しかった。けどね.....」



556: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:43:46.06 ID:kBnx1UOd0

志希父「自分の理解できない存在を恐れる、それはどの国の人間も同じ」

   「10代という若さにして自分たちには想像もつかなかった発見をする志希を、この大学の研究員も、そして....この私も、次第に恐れるようになった」

   「他の人間に避けられる志希を見かねて、私も志希も一度気分転換をしようと、あれ以来研究に熱を入れ過ぎて帰っていなかった妻の元へ、志希を連れて帰国したのだ」








志希父「そして帰国した先で、妻が数か月前に病死していたことを知った」



557: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:44:45.62 ID:kBnx1UOd0

P「!!?」


志希父「私達は妻を裏切ってアメリカへ飛び立ったと、彼女の遺族に酷く恨まれていたようでね。死んだことを知らされていなかった....」

   「そして、私も志希も、逃げるようにアメリカへ戻った....」



558: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:45:52.26 ID:kBnx1UOd0

志希「アメリカへ戻った後あたしは、更に研究にのめりこんだ」

  「ママの死から目をそらすためだったのかもしれない、ママに恨まれてた事を忘れたかったからかもしれない」

  「でもそれ以上に、多分、パパに元気になってもらいたかったんだと思う」

  「落ち込むパパをこれ以上落ち込ませないように、あたしは元気な姿を見せなきゃって思った。だからあたしはパパを喜ばせようと、次々と新しいことを見つけてはパパに報告してた」
  

  

  



志希「....でも、それがダメだったんだ」

  「あたしは希望なんかじゃなかった、ママを見捨てた上に、パパまで壊した」
  

  「あたしはきっと、二人にとっての癌細胞だったのに、あたしは自分でそれを分かってなかったんだ」



559: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:47:15.74 ID:kBnx1UOd0

志希父「妻の死に精神が参っていたのかもしれない。だが、そうだとしてもあの時の私は本当に愚かだった」

   「母親の死にまるで堪えていないように、私の想像のつかない程の成果を上げる志希に、私が数十年賭けてたどり着いた場所に瞬く間にたどり着いてしまった志希に」
   
   「私は志希に、怖いと、その才能が、ただただ恐ろしいと....そう言ってしまったんだ」




志希父「志希が大学を辞めると言い出したのはその次の日だった」

   「つまらなくなったから辞めるとだけいって立ち去る志希を、私は引き止めなかった」
   
   「...正直、その時はすこしほっとしていた...得体の知れない怪物が消え去ったのだと、娘に対して本当にそう思ってしまった」


P「............」



560: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:48:35.89 ID:kBnx1UOd0

志希父「だが、その安堵は月日が経つにつれ後悔へと変わっていった」

   「妻が死んで以来、私を支えていてくれたのは他でもない志希だったということ、そして愛する娘から居場所と才能を奪ったことが、痛いほどに分かってしまった」

   「だから私は、志希に償わなければならない。もう一度あの子が存分にその才能を振るい、自分のやりたいことをやれる場を返さなくてはならない」

   「志希は日本のアイドルに収まるべきではない...きっとあの時のように科学であらゆる未知を解き明かす事を楽しみにしているはずなんだ。」

「だから今度は父親として、あの子のやりたいことをさせてあげるのが....」








P「そこまで考えてるなら、なんであの子にそれをちゃんと言わないんですか?」



561: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:51:05.94 ID:kBnx1UOd0

志希父「何故って....あの子は、自分を傷つけた私の言葉など聞きたくないだろう。あの時、ストリートで会った時もそうだったように」

   「だから、私が無理に口をはさみすぎれば帰って自分を捻じ曲げてしまうかもしれない」

   「あの子は賢い子だ、私よりも....だから、きっと自分で正しい答えを...」




言いきる前に、目の前の男に胸倉をに掴まれる




志希父「!なにをするっ!」

P「違うだろ....」

志希父「...?」



562: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:51:42.23 ID:kBnx1UOd0





    P「あんた達の頭がいいのは、言葉端折って、会話を投げ捨てるためじゃねえだろ!!」








563: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:53:01.96 ID:kBnx1UOd0

フレデリカ「...やっぱり、志希ちゃんとパパは似てるよ」

志希「そう....なの?あたしにはよくわからないんだけど」

フレデリカ「じゃあ、折角志希ちゃんが思い出話をしてくれたんだし!あたしも自分の思い出、話しちゃうねー♪」

志希「フレちゃんの、思い出?」



フレデリカ「...あたしもねー、昔ママを泣かせちゃったことがあるんだ」




フレちゃんが、親を泣かせる?
...全然想像つかない、フレちゃんが人を笑顔にする姿は思い浮かべれても、泣かせる姿はどうしても思い浮かばないな



564: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:54:33.00 ID:kBnx1UOd0

志希「そりゃ、一体なんで?」

フレデリカ「うーん...あの時はまだ、アタシがおとなしくて、怖がりだったからかな?」

志希「大人しい?フレちゃんが?」

フレデリカ「そうだよー、あたし5歳くらいまでは大人しい女の子だったんだー」

     「でも、大人しくし過ぎたせいで色々ママに心配かけちゃって、その結果ママを泣かせちゃったんだ」

     「その時にアタシは分かったんだ。大好き!とか、幸せ! っていうのは、ちゃんと言葉で伝えなきゃダメだって」

志希「言葉で?」

フレデリカ「うん!だから志希ちゃんも教えてあげればいいんだよ!」

     「自分は、パパとママの子供ですっごく幸せなんだって事!」



565: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:56:23.81 ID:kBnx1UOd0

P「結局あんたはただ逃げてるだけだ...前と同じように、あの子とちゃんと向き合うことが怖いから、適当な理由をつけて逃げてるだけだ!」


志希父「逃げている...私が...?」


P「そんだけあの子を思ってるんなら、ちゃんとあの子にそれを自分の言葉でぶつけろよ!あの子の言葉をしっかり受け止めろよ!それが家族だろ!」

 「じゃないとあんた...絶対後悔する、あの時、なんで言葉にして伝えなかったんだって、ずっと、引きずることになる.....」

 「本当に大事な人への想いは...顔を合わせて、はっきりと言葉にしなきゃダメなんだよ!それをせずして伝わる心なんかねえんだよ!」

志希父「............」



P「それに....志希がアイドルをするのが認められないなら、なんであのデスク、志希のアイドルの写真が飾ってあるんですか!」

志希父「それは....」



566: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 22:59:25.65 ID:kBnx1UOd0

P「それだけじゃない、あの時街で鉢合ったの、本当は偶然じゃないだろ!?」

志希父「ッ!」


P「志希が来ることを知っていたんでしょう!?今回の海外ロケの事、知ってたんでしょう!?」

 「さっきスタッフ内でロケ地を確認したときに気付いた...ロケ地の一つに、この大学があった。この大学の人間から、是非ともウチを使ってほしいと推薦があったって」
 
 「それ、あんたのことだろう?あんたホントは、アイドルとしての志希をその目で見たかったんじゃないのか!?」


志希父「.........!」






P「そういうの全部...ちゃんと腹を割って話し合えよ...二人で本音をぶつけ合えよ!」

 「親子そろって.....逃げてんじゃねえよ!」



567: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:01:21.37 ID:kBnx1UOd0

志希父「私は.......」



トゥルルルルル.....
P「もしもし....ああ、そうか。分かった、こっちも大丈夫だ。じゃあまた後で」ピッ

 「志希が、見つかったそうです。これからホテルに帰ると」

 「...あなたは、どうします?」








志希父「...連れていってくれ、もう一度、志希と話をしなければならない」



568: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:04:35.25 ID:kBnx1UOd0

P「分かりました...ああ、それともう一つ」

 「あなたの奥さん、一ノ瀬.....ですか?」

志希父「妻を知っているのか!?」

P「10年ほど前に一度だけ会ったことがあります......俺がまだ中学生だったころ、岩手にある祖父の家に遊びに行った時の事です」

 「その時、たまたま何かのお祭りがあって、その祭りの中でのど自慢大会がありました。貴方の奥さんは、そこで優勝したんです」

志希父「妻が...」

P「遠い海の向こうにいる、旦那さんと娘さんを思って歌ったそうです。とても、素晴らしい歌声でした...一度聞いただけなのに、今でも思い起こせる...
 
 「だから、俺が保証します」








   一ノ瀬さんは、決して貴方たちを恨んでなんかいなかった。貴方の奥さんは、最期まで貴方たちを想っていたんです......



569: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:07:51.22 ID:kBnx1UOd0

ホテルに戻った瞬間、あたしは3人の女の子に抱き着かれた


志希「わっ、みんなどったの!?なんだかとっても情熱的~♪」

周子「うるさい、偶にはあたし達にも志希ちゃんの匂い嗅がせなさい」

奏「普段好き勝手されてるんだもの、偶にはあたし達も好き勝手するわ」

美嘉「勝手にいなくなって、心配したんだから!...戻ってきてくれて、ホントに良かった...」

フレデリカ「もう、皆ずるい!あたしも志希ちゃんぎゅーってしたい!ていうかする!」

志希「ちょっとちょっと、流石に苦しいよ!」

奏「だめよ、心配かけたお仕置きだもの。甘んじて受け入れなさい」

 「皆、貴方が大好きなんだから...今度からは、相談してよ....」



志希「...そっかー、ならしょうがないなあ」

  「にゃははー、心配かけてごめんねーみんな」 
  






ああ、やっぱり811プロは...



志希「それと...みんな、ありがとう。」



あたしの大事な、居場所なんだ








志希「ただいま!」



570: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:09:19.42 ID:kBnx1UOd0

P「あーお前ら、取り込み中スマンが、ちょっといいか?」

奏「あっ、Pさん...それと」



志希「....ダッド」

志希父「志希、話したいことがある。少し付き合いなさい」

志希「...うん、あたしも、一杯話したいことがあるから」



P「というわけで、しばらくお邪魔虫は退散しましょか」

フレデリカ「はーい!みんなー!終わるまであっちでおしゃべりしてよー!それそれー、超特急デリカ―!」

美嘉「ええ!?待ってよフレちゃん!あーもう、ホテルの中走らないのー!」

周子「...大丈夫なのPさん?」

P「ああ、もう大丈夫だ。あとはあの二人が、お互いを縛ってる鎖をほどくだけ」

奏「そう...なら、信じて待ちましょ。私達は志希の帰る場所なんだから」



571: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:10:03.26 ID:kBnx1UOd0

志希父「志希」

志希「なあに?」


志希父「お前が、今一番やりたいことはなんだ?」


志希「...ダッドは、あたしがアイドルやってるとこ、見たことある?」

志希父「...ある。こちらでも少しは話題になっていたからな」

志希「そっか...ねえ、ダッド。アイドルとしてのあたしを見て、どう思った?」



572: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:12:12.26 ID:kBnx1UOd0

志希父「...正直、志希の才能をあの国で腐らせておくわけにはいかない。すぐに辞めるべきだと思ったし、今でもそう思っている...だが」

志希「だが?」

志希父「それと同時に、アイドルとしてのお前の姿に、見惚れてもいた...」

   「自分の娘がステージで輝くのを見て、父親として誇らしくもなった...父親として、何もしてやれなかったというのに」

   「そんな矛盾した二つの感情を生むお前の姿に、私は少しずつ目が離せなくなっていた」


志希「へぇ...面白いね」


志希父「...志希、今さらだとは思うが、謝らせてくれ」

   「あの時、お前を拒んだこと、ずっと私を支えてくれていたのに、それを踏みにじった事」

   「何より...母を失ったお前に、何もしてやらなかったこと。お前から『家族』を奪った事...」

   「本当に、すまなかった...」


志希「ダッド...」

志希父「本当は、ケンブリッジで最初にあったときにこれを言わねばならなかった」

   「だが私は、お前と向き合うことから逃げていた...お前に拒絶されるのが怖くて、自分の伝えたいこと、伝えねばならない事...謝罪の言葉すら、吐き出すことができなかった」

   「お前は賢い子だから分かってくれると、自分の臆病さに蓋をして逃げていた」

   「愚かだったよ...言葉にせずして伝わることなど、何一つなかったというのに...」



573: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:13:57.02 ID:kBnx1UOd0

志希「...それを言うなら、あたしもだよ」


志希「あたしも、またダッドを傷つけちゃうんじゃないかって、またあたしが家族を引き裂いちゃうんじゃないかって、ずっと怖がってた」

  「あの時、ママが死んだ後もそう...ダッドに元気な姿を見せなきゃって空回りして、でも、伝えなきゃいけないことをはっきりと伝えなかった」

  「ダッド、あたしね、ママが死んじゃったとき、本当に悲しくて、悔しかった...でも、それ以上にあたしは、ダッドに元気になってもらいたかったの...」

  「だから、泣いてる姿を見せちゃだめだろうなーって...そう思った」

志希父「だから、私を慰める為に研究を....」


志希「うん、でもそれじゃあだめに決まってるよね」

  「だってあたしがあの時やるべきだった事は、ダッドと一緒に二人で一緒に泣いて...二人で乗り越えることだったんだもの」

  「なのに、自分の娘がママの死をものともしない風で、ただただ研究を進めるだけじゃ...そんなの、怖いに決まってるよね」

志希父「志希...」



574: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:15:12.48 ID:kBnx1UOd0

志希「ねぇダッド、やっぱりあたし達って、正真正銘の『親子』じゃない?」

  「だって、親子そろって同じ間違いしてるんだもの。こんな似たもの親子、そうそういないよ♪」

志希父「...もちろんだ!お前は...パパと、ママの娘だ....!」

志希「えへへっ!そうだよね!あたし達ちゃんと家族だよね!」

  「...良かった、あたしもちゃんと『家族』を知ってたの、思い出せて!」

  「パパとママと、ちゃんと家族なの、知れて良かった!」







志希「....本当に...良かった...」



575: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:15:51.65 ID:kBnx1UOd0

志希父「志希...」

志希「良かった....良かったよぉ....」







志希父「...おいで、志希」


志希「ダッド...パパ!」ギュッ







  「あたし、二人の娘で、本当に良かった...!」



576: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:16:50.28 ID:kBnx1UOd0

志希父「志希、もう一度聞きたい」

志希「うん」

志希父「お前は今、何をしたい?」


志希「...もちろん、アイドル!」

  「アイドルって、本当に面白い子との連続で、興味が尽きないんだ!全く先が読めないの!」

  「それに...あたしアイドルになって、やっと...やっと、心を許せる友達ができたんだ」

  「フレちゃん、奏ちゃん、周子ちゃん、美嘉ちゃん、そしてプロデューサー...811プロの皆は、18年生きてきた人生で初めてできた、どんなものでも代替できない大切な仲間なんだ」
  
  「それに利嘉ちゃん達...ファンの皆もたくさん、あたしを、一ノ瀬志希を応援してくれてるんだ」 
  
  「そんなあたしを受け入れてくれた人達...あたしを仲間だと呼んでくれた811プロのみんなと、あたしを認めてくれたファンのみんなと一緒に、アイドルの世界を解き明かしたい!」


志希「そして、お空の上のママにも届けるんだ」

  「ママの育ててくれた志希ちゃんは、今こんなに人生を楽しんでるって!」



577: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:17:32.59 ID:kBnx1UOd0

志希「そして、お空の上のママにも届けるんだ」

  「ママの育ててくれた志希ちゃんは、今こんなに人生を楽しんでるって!」

志希父「そうか...なら一つ、約束しなさい」

   「必ず、頂点を取ってきなさい...一ノ瀬志希はここにありとこのアメリカにも、いや世界中に届くように」

   「お前ならきっと...アイドルとして、世界を変えられるはずだ...」

   「お前は、パパとママの希望なのだから」
   

志希「...うん!任せて!」

  「だからパパも、これからのあたしを、アイドルとしてもギフテッドのあたしを、ちゃんと見ててね!」



578: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:18:18.67 ID:kBnx1UOd0

志希「ただいまー!」

フレデリカ「おかえりなさーい!」

奏「今の気持ちはどう?」

志希「すっっっごい晴れやか!不純物全部分解しきって完全純水だよ!」

美嘉「そっか!じゃあもう安心だね!」

周子「じゃあ気を取り直してあたしの部屋でみんな遊ぼうよ!今夜は寝かさないよ?」

P「おい、明日早い...まあいいや、適当なとこでちゃんと寝ろよ」

奏「さあ、それはどうかしら?」

P「おいおい...」



579: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:19:12.06 ID:kBnx1UOd0

美嘉「そうだ志希ちゃん、あたし達志希ちゃんのスマホの中勝手に覗いちゃったんだ。ごめんね?」

志希「別に気にしなくていいけど、パスコード分かったの?」

美嘉「うん、だから変えておいたほうがいいよ」

志希「そっかー...じゃあ気が向いたときに変えとくよ」

周子「じゃあみんなシューコちゃんルームへレッツゴー!」

フレデリカ「お菓子とトランプとウノと将棋も用意してあるよ!」

奏「将棋だけすっごい浮いてるわねそれ...」

志希「将棋かーあんまやったことないからちょっと楽しみだなー、早くやりにいこっ♪」

  「でもその前に...プロデューサー、ちょっとこっち、耳貸して」

P「?」

志希「あっ、みんなは先に行って準備してていいよー♪」

美嘉「分かった、じゃあ先行って待ってるね★」

周子「ちゃんと来てよー?失踪したってどこまでも追いかけてやるんだから!」

フレデリカ「その時はまた名探偵フレちゃんが華麗に解決しちゃうもんね♪」

奏「あら、心強いわね。それじゃあ、先に行って待ってるわね」

志希「うん!また後で!」



580: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:20:37.18 ID:kBnx1UOd0

P「んで、なんの話だ?」

志希「...ママの事パパから聞いたよ、ありがとね」

P「俺は何もしてないぞ?ただ昔話をしただけだ」

志希「ううん、ママがあたし達を恨んでないって事、教えてくれたよ」

  「あたしもパパも、ママをずっと苦しめてたって思ってて、それで色々こじらせちゃってたからさ。でも...プロデューサーがそれは間違いだって教えてくれたから、あたし達、やっと自分たちに巻いた鎖をほどけた」

  「だから...ありがとうプロデューサー、そして....」




志希「これからもプロデュースよろしくね!あたしに、あたし達に、もっともっと楽しいアイドルの世界を見せてよ!」

P「...ああ!勿論だ!」



581: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:21:15.96 ID:kBnx1UOd0

あの後、皆で色んな事を語り合って絆を再確認した私達は、翌日以降のロケにもかつて無い程の集中を持って臨んだ
自分にとっての『家族』を思い出した志希の演技は飛びぬけて輝いていて、それを間近で見ていた私達もそれに呼応するかのようにお互いを高め合っていった



そして最後のシーンの収録が終わったとき、私達は確信していた




この映画は、間違いなく大成功だと...



582: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:22:27.48 ID:kBnx1UOd0

P「えーというわけでこの一週間、みんなお疲れさま!」

奏「ええ、プロデューサーもね」

美嘉「アメリカともこれでお別れかー。寂しいけど、日本に帰って家族にロケの話いっぱいしたいって気持ちも大きいかな★」

フレデリカ「志希ちゃん、パパにまたねーって言ってこなくて大丈夫?」

志希「大丈夫、もう一杯話したし!...それにこれからは、アイドルのあたしを、ちゃんと見て貰えるって分かったから!」

P「オイオイお前ら、確かに明日の今頃には日本の地面を踏んでいるだろうが...今日が終わるのはまだ早いぞ?」

美嘉「どういうこと?」


周子「....あーそっか!まだ今夜は予定があったね♪」

奏「予定?」

P「ああ、アメリカ旅行最後のシメは...あの有名ホテルで記念パーティーだ!」

全員「!!」

P「他の事務所の人達もやってくるから、色んなアイドルと関わって、存分に楽しんで来い!」

周子「ご飯は?」

P「もちろんご馳走がたんまりと出る立食パーティーさ、たんまり食って来いよ」

周子「やった♪」








フレデリカ「タッパーで持って帰れないかなー?」

美嘉「空港で止められるかもしれないから止めときなよ...」



583: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:23:16.67 ID:kBnx1UOd0

奏「このホテルが、会場...?」

周子&美嘉「「で、でっかーー!!!」」

P「国内でもトップクラスのホテルらしいからな、流石金かかってるわー...」

フレデリカ「すごーい!ウチの事務所何個分かな?」

志希「ん~...ざっと2桁後半は行くんじゃない?」

P「むしろウチどころか、010プロだってタジタジになるレベルのデカさだと思うぞ...」

 「まっ、今回企画に参加してる全ての事務所が集まるってのもそうだし、業界の重鎮達が集まって大事な商談やら意見交流をする場でもあるからな。こんぐらい豪華じゃないとダメなんだろうさ」

奏「交流ね...私達も色んな人達に顔を売っておいたほうがいいかもね。次の仕事につながるかもしれないし」

P「そういうこった、他のアイドルとも、映画業界の人達に話しておくのも悪くないと思うぞ」

 「まあ、折角だしイイもの食ったりおしゃべりしたりして楽しんでおけ」

周子「そういえば今回010プロも参加してるんだよね?てことはトラプリも...」

P「ああ、トラプリは010の映画の主演だったはずだ、きっと来てると思うぞ」

奏「あら、本当?」

周子「やった!久々に会いにいこーっと!」



584: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:24:19.92 ID:kBnx1UOd0

     ===========会場=================

P「じゃ、また後でな」

美嘉「プロデューサーはどうすんの?」

P「折角業界の偉い方々が大勢来てるんだ、プロデューサー兼社長として色々お話しに行っとかないとな」

奏「なら、頑張ってきてね」

P「ああ、んじゃ行ってくるわ」

フレデリカ「じゃああたし達も遊んでくる―!」ビューン

志希「あたしもあたしもー!」ビューン

美嘉「ちょっ、そんなに走ったらあぶないって!...行っちゃった」

周子「まあ大丈夫でしょ、あたし達も楽しもーや♪」

奏「ええ、折角のパーティーだもの。ここ一週間ロケで忙しかったし、偶には思いっきり羽を伸ばしましょ」

???「そうそう!折角の立食パーティだもん!楽しまないと損損!」




...?いま私達以外の声がしたような....



585: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:25:25.44 ID:kBnx1UOd0

奏「って貴方たちは!」


加蓮「やっほー!久しぶりだね811プロのみんな!」

凛「やっぱりみんな来てたんだね」

周子「加蓮ちゃん!それに凛ちゃんも!」

美嘉「...あれ?トラプリって3人組だよね?一人足りなくない?」

凛「ああ、奈緒ならあそこで固まってるよ」

周子「えっ?」


奈緒「すげぇ...本物のシュウコとカナデ総統と美嘉軍隊長だ!すげー!」

周子「いやそりゃ本物だけども...てか最近はあんまかち合う事なかったけどちょくちょくオーディションで対決しとるやん」


あの周子と加蓮のオーディションでの対決以来、私達とトライアドプリムスは多くのオーディションでぶつかり合ってきていた
お互い勝率は五分五分といったところだけど、トライアドプリムスとの戦いは勝っても負けても得るものが多くて、毎回貴重な経験を積むことができるのよね



586: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:27:14.08 ID:kBnx1UOd0

加蓮「いやーなんか最近奈緒ったら『銀河戦神シュウコ』に嵌っちゃったみたいでさ、DVDも全巻買っては一気見して翌日寝坊してきたこともあったし」

周子「奈緒ちゃん、ロボット物も守備範囲やったんやね」

奈緒「実はこの前の映画公開記念イベントも変装して行ったんだ...等身大FULL・ムーンに生の役者たち...めちゃくちゃ楽しかったよ!」

奏「ふふっ、ありがと!」

周子「てか来てたんなら言ってくれりゃよかったのに」

奈緒「そりゃダメだよ、他のファンもいっぱいいたんだしアタシだけ特別扱いしてもらうのも嫌だからさ」

美嘉「成程!アイドルとしてもファンとしてもプロなんだね奈緒ちゃん!」

奈緒「そういうこと!」



587: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:28:33.78 ID:kBnx1UOd0

凛「でも、私は美嘉に会えたのが一番うれしいかな」

美嘉「あたし?」

凛「私、美嘉を見てアイドルに憧れてこの業界に入ったの。その憧れはBランクになった今でも変わらない、美嘉は私の憧れなんだ」

奏「あら、気が合うわね」

周子「あたし達がアイドル目指すきっかけも美嘉ちゃんだったもんね」

美嘉「えへへ...なんか照れるなぁ」

加蓮「...ねぇ、あたし思うんだ」

  「もしこの先アイドルのてっぺんを狙う時、その時ぶつかるのはきっと811プロだろうなぁって」

奏「...ええ、私も、トライアドプリムスは最大のライバル、そう思っているわ」

加蓮「だよね!...だからお互い、ここからもっと上を目指そう!」
  「そしていつか、頂上で戦おう!」

凛「そうだね、その時は負けないよ」

美嘉「もちろん!折角みんなの憧れになれたんだもん!最高の舞台で、皆と踊りたいな★」

奈緒「あたしも、一緒に歩んできた凛と加蓮、そしてあたしに最高の夢を見せてくれてるあたし達のプロデューサーと一緒に頂点を目指す!」

周子「あたしも811プロの皆と、本気でトップを狙っていくよー♪」

トラプリ「だから」

811「だから」




全員「いつか頂上で戦おう!」



588: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:29:03.75 ID:kBnx1UOd0

加蓮「よし!じゃあシリアスなムードを出したところでパーティーに戻ろう!」

周子「さんせー♪おっ!あれ美味しそう!」

奈緒「ちょっと加蓮!お前さっきから脂っこいもん食い過ぎだぞ!?もっと栄養あるものをなぁ!?」

美嘉「周子ちゃん盛り過ぎだよ!食べられる分だけにしなって!」


奏&凛「...ふふっ!」



589: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:29:51.07 ID:kBnx1UOd0

美嘉ちゃんの忠告を無視して走ると、やっぱ危ないわけで
あたしは案の定前から歩いてきたにぶつかってしまうのでした



ドンッ!
男「ってえ!気を付けろ!」

志希「あっ!ごめんね?」


...あれ?
なんかこの顔、それにこの匂い、既視感があるような...



590: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:30:47.12 ID:kBnx1UOd0

志希「...ん?お兄さんどっかで会ったことある?」

男「!...気のせいだろう。んじゃ俺急いでるんで!」

志希「そうなの?じゃあねー!」


んー?まあ思いだせないって事は、大して興味深い人じゃなかったんだろう
...だと思うんだけど、なーんか引っかかるんだよねー


フレデリカ「志希ちゃん大丈夫?」

志希「全然大丈夫だよー!やっぱ美嘉ちゃんの言うことは聞いとくべきだったね」

フレデリカ「そうだねー、フレちゃん反省。ちょっとゆっくり歩こうか」

志希「そうだねー、じゃあ気を取り直して冒険に出掛けよー!」

フレデリカ「おー!...あれっ?早速お宝見つけたよ!」

志希「えっ、どれどれ...?」

フレデリカ「なんかのカードかなあ?よっと、カードは拾った!」

志希「これ、名刺だね。さっきの人が落としてったのかな。なになに...?」



591: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:31:15.21 ID:kBnx1UOd0





         阿苦都苦出版







592: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:31:53.77 ID:kBnx1UOd0

志希「阿苦都苦出版...?」

フレデリカ「さっきの人記者さんだったんだ!どうする?返しに行く?」

志希「....いや、貰っとこうよ!名刺だしもともと配るものでしょ!」

フレデリカ「それもそうだねー♪じゃあ次の目的地までレッツゴー!」

志希「おー♪」



593: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:39:27.86 ID:kBnx1UOd0

皆と一旦別れ、いろんな人と話しながらパーティーを楽しみながら歩いていると、プロデューサーさんが誰かと話しているのを見つけた

プロデューサーさん、随分親しく話してるみたいだけど、相手の男性は誰かしら?
結構年を取ってるように見えるし、映画業界のお偉いさんかしら?


奏「プロデューサーさん、お仕事は順調?」

P「奏か、まあぼちぼちってとこかな」

男性「確か君は....811プロの速水奏君だったかな?」

P「はい、ウチのエースなんです」

男性「そうか...P君、なかなか見る目がある様じゃないか」

P「そんな...ただ運が良かっただけですよ」


奏「それで、貴方は一体...?プロデューサーさんのお知り合いですか?」

男性「私かね?私は『891プロ』という事務所で社長をやっているものだよ」

奏「891プロって...えっ!あの891プロ!?」

P「ああ、アイドルだけじゃなく芸人、歌手、モデルと多くの芸能分野の最先端を行く、あの超大手芸能事務所の891プロだ」

 「アイドル部門以外での稼ぎも考えると、010プロの倍はでかい事務所だな」


奏「プロデューサーさん....そんな大きな事務所の社長さんとどんなご関係?」

P「んー...まあかつての仕事仲間で、恩人ってとこかな」

奏「恩人...?」

891社長「...おっとすまない!私は次の商談があるので失礼させてもらうよ。P君、またいつか会おう!」

P「はい!またいつかお会いしましょう!」





....プロデューサーって、何者?



594: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:40:28.81 ID:kBnx1UOd0

その後、それぞれでパーティーを楽しんだ私達はホテルへ戻った後、一週間たまりにたまった疲れ癒そうとすぐにベッドに沈んだ

そして翌日......


        ========空港============

全員「ただいまー!」

周子「いやー、とうとう帰ってきたねー日本」

フレデリカ「なんか今思うとあっという間だったねー♪」

志希「うん、たった一週間だったからね」

  「でも...すっごく面白い一週間だった!」

美嘉「ていうかあたし、調子に乗って家族へのお土産買いすぎちゃった★...重い」

奏「ちなみにプロデューサーさん、明日からの予定はどうなってるの?」

P「海外ロケ開けだからな、念のため明日から3日は全員オフにしてある」

 「だがオフが明けたら完成記念LIVEがあるからな、皆時差ボケとかしっかり治して、体調整えておくように」

全員「はーい!」

周子「なんかまとまった休みって久々な気がするね」

美嘉「それだけあたし達が成長してるって事だよ!」

奏「そうね、そして今回の映画出演でもっともっと、私達は階段を上ることができるはず」

 「これからもこの調子で、皆でアイドルという果てしない階段、駆け上がっていきましょう!」


周子美嘉志希フレ「「「「おー!!」」」」



595: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:41:05.19 ID:kBnx1UOd0

フレデリカ「そうだ!折角みんなお休み一緒なんだし、皆でどっか遊びに行こうよ!」

志希「さんせー!」

美嘉「じゃあ、この前渋谷の方に出来た新しいカフェとかいってみない?」

奏「ああ、あのプリンが美味しいって評判のとこね。いいんじゃない?」

周子「プロデューサーは?どっか行きたいとこある?」

P「えっ、俺?」

周子「だってプロデューサーも休みでしょ?なら一緒に行こうよ」

P「いやいや、俺はまだLIVEの打ち合わせとかその他諸々の仕事があるから休みじゃねえよ」

フレデリカ「えー!?」



596: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:42:05.30 ID:kBnx1UOd0

美嘉「どうしても駄目なの?偶にはしっかり休むことも大切だよ?」

P「ちゃんと休めるときにしっかり休んでるから大丈夫だよ」

 「それに、アイドルが集まって遊んでるとこに俺みたいなおっさんが混じって変な噂立てられても困るだろ?だから俺の事はいいから皆で楽しんできな」

周子「そっか...でも今度はPさんも一緒やからね?」

P「まあ、そのうちな」

奏「...なんか適当に誤魔化そうとしてない?」

P「気のせいだよ。んじゃお前ら、とりあえず今日は現地で解散ってことで、俺は用事あるから帰るわ」

 「お前らも気を付けて帰れよー!」

奏「..........」




....本当に、気のせいなのかしら...ね?



597: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:42:53.59 ID:kBnx1UOd0

         【速報!!】




奏「『イチノセ』め...やってくれたわね....」


iDOL MOVIE BIGBANG参加作品

奏「ミスティックエリクシル....あれは我が組織にとって『存在した』という痕跡すら残してはいけないものよ」

 「必ず、組織の総力を挙げて末梢せねばならない」

構成員「ボス!例のブツの手がかりが見つかりました!」

奏「...続けなさい」

構成員「はっ!戸籍を改変されていたので今まで発覚していなかったのですが、奴にはどうやら娘がいたようで!」

   「奴は生前、その娘に例のブツの手がかりらしきものを渡していたようです!」

奏「して、その娘の名は?」








志希「くしゅん!」

志希「んー、誰か志希ちゃんの事噂してる?」



598: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:43:31.96 ID:kBnx1UOd0

      811プロ総出演!!


黒服「イチノセシキだな?」

志希「あー、キミあんまいい匂いしないからデートの誘いならパスね」

黒服「...ついてきてもらおうか」

志希「きゃっ!ちょっと何なのさ!乱暴するようなら警察を」

黒服2「少し黙っていてもらおうか」ゴンッ

志希「ッ!.....」ガクッ

黒服「手間取らせてくれる...行くぞ」

黒服2「げへへ、これで俺たちも昇進間違いなしだな」





???「うーん?残念だけど解雇だと思うよ?」

黒服「なっ、だれd!」バキューン

黒服「」

黒服2「ア二キ!」

???「ごめんね?」ザシュッ

黒服2「がっ!そん、な...」ガクッ





???「あーあ、折角お気に入りの服だったのになー」



599: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:44:10.09 ID:kBnx1UOd0

志希「うーん...あれ、確かあたし殴られて...」

???「おはよー!」

志希「...キミ誰?」



一人の少女の平穏は今



???「というわけで!志希ちゃんはアタシが組を乗っ取るための人質になってもらいます!」

志希「人質!?ってかキミ誰!?」

???「アタシ?」
フレデリカ「アタシはフレデリカ!ふつーのギャングの女の子だよー♪」



イカれたギャングにより脆くも崩れ去る!



志希「ギャングはフツーじゃないでしょー!」



600: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:45:21.27 ID:kBnx1UOd0

美嘉「一ノ瀬志希さん、貴方は今この国最大のギャング『ヴァニタス・ファミリー』に狙われています」

フレデリカ「つまり志希ちゃんはあいつらにハチの巣にされるか、命がけであたし達の人質になるしか選択肢ないってワケ♪」

志希「ていうか警察のくせになんでギャングの仲間なの?」

美嘉「やむを得ない事情があるの!あたしだって嫌だよ!」

フレデリカ「つれないこと言わないでよー、あたし達の絆パワーは全米一でしょ?」

美嘉「あんたのせいでどんだけ痛い目見てきたと思ってんのさ!?ほんっとに不本意なんだから!...ッ!皆伏せて!」


ドカーン!!



少女を巡り暴走するギャングたち




黒服「『イチノセ』の娘を渡せ!」

美嘉「一ノ瀬さん、ここに隠れてて」

志希「でも!」

美嘉「大丈夫、あんなチンピラなんかには負けないから」



数十秒後

黒服の山 チーン

フレデリカ「お片付け終わり―!」

美嘉「アンタねぇ!あたしまで巻き込むところだったじゃん!」

フレデリカ「あははー!メンゴメンゴ!」

志希「ワーオ!...これ現実?」



601: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:47:56.05 ID:kBnx1UOd0

周子「やめときや、こいつらはあんた達にゃ荷が重いて」

黒服「アンダーボス!」

志希「アンダーボスだって!?」

美嘉「『ヴァニタス・ファミリー』のナンバー2って事ね」

周子「シュウコ・シオミいいます、よろしゅーな♪」
  「ああ、別に覚えてくれなくてかまへんよ?あんた達はここで首と体がおさらばするんやし❤」





フレデリカ「あははっ!周子ちゃんすごーい!」

周子「せやろー?どうやらあんたもあたしと同類みたいやね」

美嘉「ちょっとフレちゃん!今はこいつと争ってる場合じゃないって!」

志希「まるで映画みたいだね、美嘉ちゃんポップコーン買ってきてー♪」

美嘉「あんたも呑気なこと言ってないで逃げるよ!」


そして少女は、自らの『運命』を知る

美嘉「一ノ瀬さん、よく聞いて...」

志希「えっ...」

       

志希「このまま終わりになんてしない。パパが私に命がけでつないだこの思い...絶対に守り抜く!」

  「お願いフレちゃん...力を貸して!」

フレデリカ「....うん!分かった!」



602: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:48:52.39 ID:kBnx1UOd0

志希「なっ!あいつは!?」


周子「やっと決着がつけられるねぇ!フレちゃん!」

フレデリカ「...ごめんね?今はまじめにやらなきゃいけないんだ」

周子「つまり今まで本気じゃなかったって事...?いいじゃんいいじゃん!つまりあたしも本気でぶっ殺しに行ってもいいって事だよねぇ!!」

         



周子「ごめんね奏...負けちゃった...」

奏「いいのよ...貴方は十分役に立ったわ」チャキッ

志希「えっ?」

フレデリカ「危ない志希っ!?」

     バキューン

   

志希「ママ...ママ!」

  「ずっと、ずっとあたしを守ってくれてたんだね....」

フレデリカ「志希....大きく、なったね♪」

志希「ママァ!!!」



603: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:49:33.63 ID:kBnx1UOd0

     主題歌『PROUST EFFECT』(一ノ瀬志希)


奏「まさか、なぜ貴様がそれを!?」

志希「これが、パパとママの残してくれた最後の希望!」  
  「あたしが、全部終わらせるんだ!」


      LAST NOTE
        女神の香水

       来週ロードショー





フレデリカ「同時上映は、うえきちゃんの地球侵略物語!」



604: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:50:18.77 ID:kBnx1UOd0

      =======LIVE会場=========

奏「というわけで、来週から私達が出演する『LAST NOTE』がロードショーされるわ」

美嘉「ハリウッドでのあたし達の活躍、みんな目に焼き付けてねー!」

ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

ワーオ、すっごい熱気!
パパも、ママも、こうやってアイドルやって観客を熱狂させる志希ちゃんを見て、笑顔になってくれてるかな?

....やっぱり、アイドル続けてて良かった!

とと、そろそろ出番だよね

周子「てなわけでー、今日の主役の登場だよ!」

フレデリカ「志希ちゃん!キミに決めた!」



605: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:50:57.96 ID:kBnx1UOd0

舞台から、仲間があたしを呼ぶ声がする

どんな時でも答えてあげたくなる、あたしのかけがえのない仲間の声が

だから...期待には応えなくっちゃね!

志希「やっほー!呼ばれて飛び出て志希ちゃんだよー!」

ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

志希「今日は主題歌にもなったあたしの新曲、『PROUST EFFECT』の初披露だよー!楽しんでいってね!」

イヨッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

あたしを受け入れてくれる、たくさんの歓声に答えるために前に出る
その時、ふと優しい匂いがした



客席のど真ん中に、あたしに笑顔を向けるパパがいた

そして

その傍らに、優しく微笑むママが見えた気がした



606: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:51:44.37 ID:kBnx1UOd0

....そっか

二人とも、見に来てくれたんだね

....なら


志希「みんなー!今日は皆の視覚野に、皆の人生史上最高で刺激的な物、焼き付けてあげる!」
  「だから皆!思いっきり楽しんで!アリーナの香りを嗅ぐたびに、脳が今日の事を思い出すくらいに!」

最高のトリップ、させてあげないとね!






パパ、ママ、見ててね!

いつか二人の希望が、トップアイドルになるところを!



607: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:52:10.77 ID:kBnx1UOd0

         




          Chapter11 「My Hope Eau De Toilette」









608: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:52:50.75 ID:kBnx1UOd0

その後、記録的な成功を収めた記念LIVEの影響も相まってか、「LAST NOTE」は大ヒット!
海外でも公開され、811プロのアイドル達の名は海の向こうでも確実に広まっていった....



でも、私達はまだ気づいていなかった
このiDOL MOVIE BIGBANGに、アイドル業界に潜む真っ黒な闇が潜んでいたという事を
物語を動かす歯車が、少しずつ狂い始めているということを






それは、『私達』の物語が大きく動き始める予兆だったということを、この時の私達はまだ、知らない



609: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/01(月) 23:53:28.73 ID:kBnx1UOd0

P「369、WEST、193...あと456はシロ...か」

 「まだまだ手が届く気はしないが...あの子達のおかげで確実に近づいていることは確か」

 「...必ず、突き止める」
  
 「そして、いつか来るその時は....」


     必ず、俺の手で!








To Be Continued......



620: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 21:43:36.53 ID:Bt4dMeta0

iDOL MOVIE BIGBANGが成功してから少し後
季節は秋の中頃、段々と肌寒くなってきて外出にコートが欠かせなくなってきた頃

今を時めくカリスマギャルことあたし、城ケ崎美嘉は、かつてない危機に陥っていた

それは....


美嘉「ど、どうしよ...」

奏「これは...多分マズい...のよね?」

美嘉「うん....すっごく」







\  バアァァァァァァァン!!!!  /
(模試の結果)





大学受験である!!!!!



621: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 21:44:10.90 ID:Bt4dMeta0





Chapter12「The enemy of the White paper!!」







622: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 21:46:08.01 ID:Bt4dMeta0

美嘉「やばいって、もう完っ全にヤバいって!」

奏「落ち着いて美嘉、焦り過ぎて語彙力が無くなってるわよ」

周子「大丈夫だよ美嘉ちゃん。あたしだって大学行ってないけど何とかなってるし!」

P「いや、お前は大分特殊な例だからな...?」

 「まあ実際、ちょっとでも行く気があるなら大学はちゃんと行っといたほうがいいぞ。後から行っといてよかったってちゃんと思えるから」

周子「経験者は語るってやつ?」

P「そんなところだ。将来の選択肢が増えるって意味でも、単純な経験としても、行っておくに越したことはない」



623: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 21:46:46.76 ID:Bt4dMeta0

奏「私も来年には通る道だし、他人事じゃないのよね...」

周子「ふーん...まっ、あたしは今さら行く気はないかな。やりたいことは、ちゃんと見つかってるし」

美嘉「あたしは...やっぱり大学行っとかなきゃって思う...将来の事もそうだし、これじゃあたしのイメージ丸つぶれだし!」

P「ギャル路線ならむしろいいんじゃねえのか?『ビリギャル』とか前にあったろ」

美嘉「あたしの路線は『カリスマギャル』でしょ!学業もシャキッとしなきゃダメ!」

  「ていうかそれ最後は東大行く話じゃん!全然頭いいでしょ!」



624: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 21:48:21.83 ID:Bt4dMeta0

志希フレ「「ただいまー!」」

奏「あら、お帰り二人とも」

フレデリカ「あれれー?美嘉ちゃんどうしたの?顔怖いよー?」

周子「なんか模試の結果が悪かったらしいんよ」

志希「模試―?...あー、そういやセンター来月だっけ?興味ないから忘れてたー」

奏「志希....あなたも高3なんだからちょっとは興味持っておきなさいよ...」

志希「いやー志希ちゃん今更こっちの大学に興味ないし、べつにいいかなって」

周子「まあアメリカの大学と比べちゃあね...」




確かに、MITなんて行ってたんだから今更日本の大学に行く気なんか起きないよね

....待てよ?



625: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 21:49:22.69 ID:Bt4dMeta0

美嘉「そうだ!志希ちゃん勉強教えてくれない!?特に化学!もうあたし化学の教科書燃やしたいくらいに苦手なの!」

P「その気持ちすげぇ分かる」

志希「いいけど、あたし教えるのは凄いヘタだよ?」

周子「いっぺんやってみたら?志希ちゃん化学は得意分野でしょ」

フレデリカ「志希ちゃん頑張れー!」

志希「うーん...まあやってみるよ。それで美嘉ちゃん、どのあたり教えてほしいの?」

美嘉「えーと、この辺の化学式なんだけど」

志希「あーこれはね....」





30分後




志希「ていう事なんだ...ってアレ?」



美嘉「」チーン


せ、説明が詳細過ぎて、逆に複雑で分からない.......



626: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 21:51:03.71 ID:Bt4dMeta0

奏「あの...途中から全く分からなかったのだけど」

周子「Pさんとかもう寝てるよ」

P「Zzz......ん、終わったか?」

フレデリカ「ワーオ!志希ちゃんラリホー使えたんだね!」

志希「あー...やっぱりね。あたしパッと見て答えは浮かぶんだけど、それを言葉にして伝えるってのがなんか苦手でさー。多分ほかの教科でも一緒だよ」

  「だからあたしは教師役には向いてないかなー...ごめんね?」

美嘉「ううん、ありがとう志希ちゃん」

志希「でもこの模試の結果ならもっと志望校のランク落とせば合格できるんじゃない?赤点って程のレベルではないし」

P「確かに、最近勉強する暇ほとんどなかったはずなのにここまでは取れてるんだろ?そこまで悲観することではないと思うが」

美嘉「まあ大学に行くだけならそれでもいいんだけどさ....」



そうすれば、確かに大学に行くって『目的』だけは果たせる
けど...



627: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 21:52:47.16 ID:Bt4dMeta0

美嘉「あたし、この大学のこの科で、どうしても学びたいことがあるの。だからどうしてもここがいい」

   「それに、そうやって妥協する道を選ぶのはあたし嫌なんだ。あたしはいつだって自分に誇れるあたしでいたいから、何事も手を抜きたくないの」

フレデリカ「美嘉ちゃん...なんかカッコイイね!」

奏「ねぇプロデューサーさん、なにか一つくらい教えてあげれる教科無いの?」

P「強いて言えば英語は....ギリギリ平均点足りないくらいだった」

周子「いや足りてないんかい」



628: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 21:53:24.07 ID:Bt4dMeta0

P「うっせ、そう言う周子はどうなんだよ」

周子「あー...ぼちぼちだったけど、もう忘れてるかなー」

   「それに美嘉ちゃんの高校とあたしの学校じゃ偏差値が雲泥の差だし、そもそものレベルがね...寧ろあたしの方が教えてもらうことになりそう」

フレデリカ「美嘉ちゃんの学校、頭いいもんね♪」

志希「フレちゃんはどう?高校の勉強思い出せる?」

フレデリカ「補修常習犯だったことは覚えてるよー♪」

美嘉「つまりフレちゃんもダメって事か....」




フレデリカ「あっ!フレデリ学なら満点だよ♪」

P「俺も音楽ならいけるぞ!」

奏「どっちも大学受験には必要ないでしょ....」



629: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 21:55:07.49 ID:Bt4dMeta0

周子「...そうだ!青木さんならどうかな?」

美嘉「!!」


確かに、いつも大人っぽい雰囲気のあの人なら望みはあるかも!


P「何言ってんだ、あの人脳筋だからトレーニング以外の事はてんでダメだぞ。鉛筆転がしてテスト突破してたらしいし」

美嘉「秒で望みが断たれた!」

P「いやぁ、ゴリラが人の学問を理解できるわけないだろ?」

ベテトレ「誰がゴリラだって?」


P「えっ?......」
  「ヒィッ!!いつの間に!?」

ベテトレ「P」

P「あの、お情けを...」





ベテトレ「有罪(ギルティ)」

P「あっ、やめっ、アッーーーーーー!!!」



630: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 21:56:13.58 ID:Bt4dMeta0

Pだったもの「」チーン

ベテトレ「まったく......」

周子「ていうかベテトレさん、今日は休みじゃなったっけ?」

ベテトレ「そのつもりだったんだが、そろそろ城ケ崎が受験期だったことを思い出してな。だから、城ケ崎の力になってくれる助っ人を連れてきた」

美嘉「ホント!?トレーナーさん、折角休みだったのにわざわざありがとう!」

ベテトレ「気にするな、こういう事は学生アイドルにはよくあることだからな」

奏「それで、その助っ人っていうのは?」



ベテトレ「ああ、入って来い早苗!」

P「....今誰呼んだ!?」



631: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 21:59:21.78 ID:Bt4dMeta0

トレーナーさんの合図とともに、ドアがゆっくり....ではなくかなり大きな音を立てて勢いよく開いた


早苗「やっほー!811プロの諸君!」

  「あたし片桐早苗!警察官やってます!よろしくね♪」


ドアの向こうに立っていたのは、ものすっごいスタイルの良いセクシーお姉さん、片桐早苗さん
後にあたしの家庭教師になる人だった



632: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:00:14.24 ID:Bt4dMeta0

P「片桐さん!?」

早苗「おーすP君久しぶりっ!最近頑張ってるみたいじゃない!」

P「あ、ありがとうございます...じゃなくて、何でいるんですか!?」

ベテトレ「私が城ケ崎の家庭教師をしてもらうために呼んだんだ」

P「美嘉の受験をサポート......えっ、片桐さんが?」

早苗「何よ、なんか文句あんの?」

P「いや...片桐さんって頭良かったんですか?」

早苗「あのねぇ、一応警察官なれてるんだからそれなりに良いに決まってるでしょ。こう見えても地元の高校じゃ特進クラスだったのよ?」

美嘉「特進!?」

P「ま、まじかよ...」



633: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:01:54.39 ID:Bt4dMeta0

奏「というか、片桐さんはプロデューサーさんの知り合いなの?」

P「俺と青木さんの共通の知り合いだよ」

早苗「後、ちひろちゃんもね♪」

周子「そういや、前に警察官の知り合いがいるみたいなこと言ってたね」

美嘉「警察官の知り合いがいるって、プロデューサー何か悪いことしたの?」

フレデリカ「校舎裏でタバコ吸ったり―?それとも学校のガラス割って回ったりー?」

志希「もしかして...怪しい薬でトリップしてたりー♪ハイスクール通ってた時クラスメートがそれで捕まってたなぁ」

P「何もしてないしタバコはむしろ嫌いだ。てか志希のそれはマジで犯罪じゃねえか」
 
  「...まあ、色々あったんだよ」

早苗「そうねぇ、『色々』あったわねえ」





....『色々』?





P「.....とにかく!協力してくれるなら有り難い!どうか美嘉の事、よろしく頼みます。」

美嘉「お願いします片桐さん!!」

早苗「オッケー!お姉さんに任せなさい!」



634: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:02:48.60 ID:Bt4dMeta0

早苗「んじゃ早速...といきたいところなんだけど、その前にもう一つ話しとかなきゃいけないわよね聖ちゃん?」

ベテトレ「ああ...P、今週の『週刊スクープ』を読んだか?」

P「まだです、そういや今日発売でしたね」

奏「週刊スクープ?プロデューサーさんああいう雑誌も読むのね」

P「まあ業界の情勢とか知っとかなきゃいけないからな、芸能関係の記事が載ってる雑誌は一通り読んでるよ」

周子「あたしも一応事務員としての仕事もあるし、Pさんの買ってきたのを読んでるんだ」

   「でも...週刊スクープってゴシップ中心の雑誌じゃなかったっけ?あの雑誌がどうかしたん?」


ゴシップ雑誌って....まさか!?


美嘉「もしかして...何か811プロの悪い噂書かれてたりとか!?」

ベテトレ「いや、そう言うわけでは無いのだが...」

美嘉「あれっ、じゃあ何で?」



635: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:03:25.85 ID:Bt4dMeta0

ベテトレ「見てもらった方が早い...これだ、この記事」




 

 『369プロ、賄賂の実態!!』

 『WESTプロのあのアイドルに熱愛報道!?』

 『456プロの人気アイドル、不正だらけだった!?』








奏「......ほとんどのページが、アイドルとか芸能事務所の不祥事の記事ね」



636: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:04:22.90 ID:Bt4dMeta0

志希「でも、ゴシップ雑誌ならこれが普通なんじゃない?」

周子「いや、いくらなんでも記事がアイドル関連に偏り過ぎだよ。いつもならもっと政治家とか芸人とかの記事も多いもん」

   「それに、ゴシップ中心なだけで専門ではないからね。普通のニュース記事だってちらほらあるはずなのに....今回はそれがマジで一つもない」

フレデリカ「369プロにWESTプロ、それに456プロかー.....どっかで聞いたような気がするなー?」

美嘉「そりゃあ何処も有名な事務所だし、聞いたことくらいはあるでしょ」

フレデリカ「うーん、そうかなぁ....?」









P「...全部、iDOL MOVIE BIGBANGに参加した事務所だ」

全員『!!』



637: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:05:40.59 ID:Bt4dMeta0

ベテトレ「その通り。だが参加した全部の事務所が取り上げられている訳じゃないようで、この3つの事務所以外に関する記事はなかった」

     「だから確実にiDOL MOVIE BIGBANGへの参加が理由で狙っているとまでは言えないが...」

早苗「一応、用心した方がいいわね。最近カメラ持ってうろつく不審者が多いって話も聞くし」

奏「そうね...私達も隙を見せないように気を付けましょう」

  「それにしても、自分と関係ないものでもやっぱりこういう人を貶める記事は、あんまり見てて気分いいものではないわね...」

周子「綺麗なことばっかの業界じゃないって、分かっちゃいるんだけどね....やっぱこういうの書くやつはちょっとムカつくかな」






志希「........」

フレデリカ「志希ちゃん、これって」

美嘉「どうしたのフレちゃん?」

フレデリカ「んー、この雑誌ってどこの出版社が出してるのかなーって見てたんだけど」

奏「えーっと......『阿苦都苦出版』って書いてあるわね。これがどうかしたの?」





フレデリカ「アタシ達、あのパーティーでこの出版社の人と会ったんだ」



638: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:08:18.32 ID:Bt4dMeta0

全員『!?』

P「何だと!?」


志希「うん、確かここに...あった」


志希ちゃんのポケットから一枚の名刺が取りだされた


志希「これ、パーティーであたしがぶつかっちゃった男の人が落としていったんだ」

奏「....確かに、阿苦都苦出版って書いてあるわね」

P「阿苦都苦出版っつったら業界じゃ悪印象しかない出版社だ。そんな出版社がどうやってあの会場に入った?警備員もちゃんといたし、まず門前払いされるはず...」

フレデリカ「んー...わりと堂々と歩いてたよー?」

周子「んなアホな!だってあのパーティーはホントに沢山業界の偉い人達が集まってたんだよ?そんな場所をゴシップ雑誌の記者が堂々と歩けるわけが....」









志希「....そうだ!思い出した!」



639: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:09:30.74 ID:Bt4dMeta0

志希「....そうだ!思い出した!」

美嘉「思い出したって?」

志希「あの時ぶつかった人、どっかで嗅いだ覚えのある匂いだと思ってたんだけど、やっと思い出した!」
   「あたしとフレちゃんの初仕事の時だ!」


フレデリカ「!」

P「もしかして、あの時の偽見張りか!?」

志希「そうだよ、あの人と匂いが同じだった!」

美嘉「その見張りって、確か志希ちゃんとフレちゃんの仕事中に悪い人送り込んで邪魔しようとしたってやつ?」

志希「うん、思い出してみれば背格好とかもよく似てた。ずっと前の事だし、すぐに興味失くしたから忘れちゃってたけど...」



640: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:11:04.02 ID:Bt4dMeta0

フレデリカ「あの人、阿苦都苦出版の人だったんだねー。でも、だったらなんであの時はテレビ局でスタッフやってたんだろー?」

周子「それにさー、なんであの時阿苦都苦出版は、まだデビュー前で世に出てなかった志希ちゃんとフレちゃんを狙ったん?」

   「仮にネタが欲しくて自作自演で撮影を失敗させても、デビュー前の新人の失敗なんて大したスクープにならないよね?」

P「....分からない、だがさっきの名刺のおかげで、いくつかはっきりしたことがある」

  「今回被害にあった事務所は、間違いなくiDOL MOVIE BIGBANGへ参加したことがきっかけで阿苦都苦出版に狙われた」

  「そして....今回は無事だったが、一度狙われたことがある以上ウチも今後狙われる可能性が高い」

奏「今まで以上に警戒しろって事ね...」

P「そういう事だ。とりあえず皆今日はもう予定ないからこれで解散とするが、帰り道には十分気を付けるように」

全員『はーい!』


早苗「美嘉ちゃんはあたしと一緒に試験勉強ね。とりあえず現状の成績を確認しておきたいから通知表とか見せてもらえる?」

美嘉「はい、じゃあ家まで付いてきてもらえますか?」

早苗「分かったわ、あとそんな固い言葉使わなくていいわよ、皆もね」

美嘉「そう?分かったよ早苗さん」
 
P「あと青木さん、休みなのに悪いんですがついでにこれからの予定についてお話できますか?」

ベテトレ「ああ、いいだろう」



641: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:12:24.88 ID:Bt4dMeta0

     ~~~~~~事務室~~~~~~~

ベテトレ「話の前にP、一ついいか?」

P「なんです?」

ベテトレ「...本来入れない場所に阿苦都苦出版が入り込んでいたということは、その場に集まった誰かが協力していたということ....」

     「それはお前も気づいていただろう?なぜ言わなかった」




P「...あの子達に、余計な疑念を持ってほしくないんですよ」

ベテトレ「疑念?」

P「それを口にしてしまえば、あの子達は今回逆に被害を受けなかった事務所に疑念を持つ。その事務所の所属するアイドルとオーディションで戦う時、決して良くない影響を及ぼすでしょう」
 
  「...特に、今回無事だった事務所の中にはあの子達のライバル...トラプリが所属する010プロもあります」



642: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:13:26.15 ID:Bt4dMeta0

ベテトレ「成程な...いや、そういう理由ならいいんだ」

P「どういう理由だと思ったんです?」

ベテトレ「言わなくても心当たりはあるだろう?」

P「..........」

ベテトレ「なあ、P」




     
     


     お前はまだ、自分を許せないのか?



643: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:14:48.70 ID:Bt4dMeta0

P「...今はあの子達の事以外考える余裕はありません。だからもっとまじめな話をしましょうよ」

  「これからどういう風にレッスンを組んでいくか、美嘉の受験もそうですし、スケジュールちゃんとすり合わせとかないと」

ベテトレ「....そうだな」







P......いつかお前を縛るその鎖が、断ち切られることはあるのだろうか?

もし、それが出来る人間がいるとしたら...




ベテトレ(あの子達だけ、だろうな...)



644: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:15:51.84 ID:Bt4dMeta0

早苗「んじゃあたし達は先に帰るわ、皆またねー♪」

美嘉「またねーっ★」

周子「お疲れー」

フレデリカ「お勉強頑張ってねー♪」


軽い挨拶を交わし、美嘉と早苗さんが去っていった



さて...と

私達は私達でできることをしないとね



645: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:17:22.45 ID:Bt4dMeta0

奏「皆、これから少し時間ある?」

周子「まあ、今日は皆もう仕事終わったから大丈夫だけど...さっきの記事の事?」

奏「それもあるけど、その前に美嘉の合格祈願に近くの神社へお参りに行って置きたいなと思って」

  「ほら、やっぱり美嘉の為にできる限りの事はしてあげたいじゃない?」

志希「さんせー!」

奏「あと、その後はやっぱり阿苦都苦出版の事について、皆で対策を練っておきたいわね」

  「美嘉が受験に集中できるよう、降りかかる火の粉は私達が払えるようにしておきましょう」

周子「そうやねー、同じアイドル仲間としても、811プロの看板事務員としても、できる限りのサポートはしておきたいな」

フレデリカ「皆でおしゃべりするのー?じゃあお参り行ったらまた前みたいにしゅーこちゃんの家で鍋パしようよ!」

周子「おっ、いいねぇ。じゃあまた材料買って帰ろっか」






志希「鍋パ?そんなのした事あったっけ?」

奏「前に貴方がプロデューサーさんと一緒にトレーナーさんの説教を受けてる間にやったのよ」

志希「トレーナーさん、説教...うー...思い出そうとすると頭が...」

周子「あの時の事、よっぽどトラウマになっちゃったんやなぁ....」



646: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:18:31.45 ID:Bt4dMeta0

   =========城ケ崎家============


美嘉「ただいまー!」

莉嘉「お姉ちゃんおかえりー!...って、そっちのお姉ちゃんは?」

早苗「どうも!今日から美嘉ちゃんの家庭教師になった片桐早苗よ」

莉嘉「早苗ちゃん...あー!この前学校に交通安全講座しにきてたお姉さん!」

美嘉「あれ?莉嘉知ってたんだ」

早苗「あの学校の生徒さんだったのね。覚えててくれてありがとー!」

莉嘉「お姉さんの講座面白かったよ!ああいう講座っていつもつまんないって思ってたからびっくりしちゃった!」
   「あっ、あたし城ケ崎莉嘉!お姉ちゃんの妹やってます!」

早苗「莉嘉ちゃんね、よろしく!」

美嘉「早苗さん、そろそろ...」

早苗「そうね。じゃあ莉嘉ちゃん、お姉ちゃんの事応援してあげてね!」

莉嘉「うん!二人とも頑張ってね」



647: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:19:54.97 ID:Bt4dMeta0

  ===========美嘉の部屋============

えーっと、確かこの辺に...あった!

美嘉「はい早苗さん、通知表」

早苗「拝見させてもらうわね、どれどれ.....」


.....なんかやたら真剣な顔で眺めてる.........
もしかして、やばい...?

美嘉「えっと...どう....?」

早苗「美嘉ちゃん」







早苗「思ったより全然いいじゃない!」



648: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:21:40.41 ID:Bt4dMeta0

美嘉「えっ!?あ、ありがとう?」

早苗「いやー、あのPくんや聖ちゃんが頼んでくるぐらいだからもっと酷い成績なのかと思ったわよ!」



プロデューサーさんにトレーナーさん、一体どんな成績だったのさ....?



早苗「一年次と二年次の成績もかなり良かったみたいだし、期末試験の結果次第では推薦も全然狙えるかも!」

美嘉「ホント!?良かった...」

早苗「でも」

美嘉「?」

早苗「それは志望校が今の場所じゃなければの話、ここを狙ううんだったら正直かなり覚悟を決めないといけないわね」






早苗「でも、不可能じゃない」

美嘉「!!」



649: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:22:36.40 ID:Bt4dMeta0

早苗「幸いこの大学の推薦受験日は他の大学より遅めで12月頭。美嘉ちゃん地頭はかなりいいみたいだし、ここから一緒にスパートかけていけば決して届かない目標じゃないわ」

美嘉「そっか...」
   「ならあたし、頑張るから!よろしくお願いします!」

早苗「もちろん!絶対合格してやりましょ!!」



650: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:23:19.38 ID:Bt4dMeta0

近くの神社でお参りをした後、私達はスーパーでお鍋の材料を買って周子のアパートへと向かっていた

志希「しゅーこちゃんのお家行くのも久々―❤」

周子「前はたこ焼きパーティだったっけ?志希ちゃんとフレちゃんがBランクに上がったときの」

フレデリカ「そうそう!あの時は面白かったねー。志希ちゃんがタバスコ入れたたこ焼きを奏ちゃんが食べちゃって、ファイヤー!だったもんね♪」

周子「それで焦った美嘉ちゃんがお水渡そうとして掴んだものがまた志希ちゃんのタバスコで...ダメだ、思い出すだけで笑えてくるっ....」

奏「あの時はホントに死んだかと思ったわよ...志希、今日はタバスコ使わないでよ?」

志希「んー、それは志希ちゃんの気分次第かなー」

奏「全くもう...」



651: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:24:23.66 ID:Bt4dMeta0

そんな感じで、前回のホームパーティの事を思い出しながら、私達は周子の住むアパートのすぐそこまで歩いてきた



その時



奏「ッ!?」

周子「?どしたん奏ちゃん?」

奏「なんか、妙な視線を感じるわ」

フレデリカ「ホントに?」

志希「ハスハス....ホントだ、なんか嫌な匂いするね」



652: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:25:08.19 ID:Bt4dMeta0

私は後ろを振り返り、視線を感じた方へと目を光らせる
ここで隠れられそうな場所は...



奏「...そこの塀の裏ね!出て来なさい!」

怪しい男「チッ!」スタコラサッサー!

周子「あっ、逃げた!」

フレデリカ「すっごーい、もう見えなくなっちゃったね」


奏「さっきの男、ちらっとカメラを首から下げてたのが見えたわ」

周子「てことは、やっぱりあたし達も狙われてるって事か...」

奏「ここ、プロデューサーさんも住んでるんでしょ?報告した方がいいんじゃない?」

周子「せやね、今から電話で報告してみるよ」



653: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:27:02.27 ID:Bt4dMeta0

P『成程...確かにアパートで俺と周子が鉢合うとことかをすっぱ抜かれるとマズイな......』

  『ほとぼりが冷めるまでしばらく俺は事務所で寝泊まりするよ。報告ありがとな、以後も警戒を怠らないように』

周子「分かった、また何かあったら報告するね。バイバーイ」


フレデリカ「どうだった?」

周子「Pさんはしばらく事務所で寝泊まりするって」

志希「事務所、何気に住み心地いもんね。仮眠室のベッドも結構ふかふかだし」

奏「そういえば志希、偶に研究室に籠って帰らない時あるわね」

志希「そうそう、実験のキリがつかないと段々家に帰るのめんどくさくなってきてさー」

フレデリカ「じゃあ今度、事務所でパジャマパーティーしようよ!志希ちゃんの実験室で!」

志希「おっ、志希ちゃんラボにキョーミあるー?いいねいいねー♪」

奏「実験台にされたりしそうね...」



654: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:27:54.34 ID:Bt4dMeta0

周子「はいはいみんな、外で話し込むのもなんだしとりあえず上がって上がって!」

フレデリカ「はーい!お邪魔しまーす♪」

志希「お邪魔しまーす♪」

奏「ふふっ、じゃあ私は買ってきた野菜切っておくわね」

周子「おっけー、じゃあみんな、お鍋の準備するよー」

志希フレ奏「はーい!」






お鍋が煮えてきたことを確認すると、皆で席に付きそれぞれよそい始めた


周子「じゃあお鍋も煮えてきたところで第....何回だっけ?811プロ会議を始めるよー」

志希「いえーい!」

フレデリカ「どんどんぱふぱふー♪」

奏「そもそも数えるほどやった覚えないんだけど...」



655: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:28:57.93 ID:Bt4dMeta0

周子「というわけで議長の速水奏さん、今日の議題をどうぞ!」

奏「私?まあいいけど....」

 「今日の議題は阿苦都苦出版の対策についてよ。さっきもそれらしき人間に狙われていたみたいだし、早急な対策を用意すべきと考えるわ」

フレデリカ「異議なし!」

志希「同じく!邪魔をされたって借りもあるし、ただただ怯えてるわけにもいかないよね」

周子「それに、このままだとPさんが家に帰れないしね」

奏「あんなのにうろうろされて美嘉の受験に影響が出ても困るわ。それだけは何としても止めないといけない」



656: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:29:47.00 ID:Bt4dMeta0

フレデリカ「んー、でもどうすればいいんだろ?」

周子「手掛かりは名刺だけか...この名刺落とした人に会いに行ってみる?」

志希「アイドルがゴシップ記者に会いに行ったら袋叩きになるだけじゃない?」

周子「だよねぇ...」

奏「...手掛かりというか、ひとつ分かったことがあるわ」

フレデリカ「それって?」

奏「あのパーティー会場は関係者以外は入れなかったはず、そんな場所に阿苦都苦出版は堂々と入り込めていたのよ?」

  「まず間違いなく、パーティーの参加者の中に協力者がいる...おそらく、今週の週刊スクープによる被害を受けなかった芸能事務所からね」



657: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:31:09.72 ID:Bt4dMeta0

周子「映画会社の関係者って可能性は?」

奏「否定はしきれないけど、利害のことを考えると芸能事務所の方が可能性が高いと思うわ」

志希「まあ、芸能事務所が潰れて喜ぶのは映画会社よりも同業者、ライバル企業だよね。あたしもその可能性の方が高いと思うな」

奏「そしてきっとPさんやトレーナーさんもそれには気づいてるはず...でも、私たちに余計な心配をさせないためにわざと言わなかったんだと思う」

フレデリカ「むー.....あたし達のことを心配してくれるのはいいけど、もっとプロデューサーはあたし達を信じてくれてもいいと思うな!」

周子「まあまあ、確かにそんなこと言われたら、オーディションであの企画の参加事務所とかちあった時に相手疑っちゃうかもしれへんし、Pさんを責められないよ」



658: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:35:16.24 ID:Bt4dMeta0

志希「まっ、嫌な気持ちもってオーディションしたくはないよね」

奏「でも....他の事務所からしたら、811プロも容疑者なのよね」

周子「そっか、一応あたし達も今回被害を受けてない事務所だから」

志希「実際は一度受けてるわけだけど、記事になってるわけじゃないからねー」

奏「組織は大きいほど力の代わりに綻びも増える物。でも811プロは一般的な芸能事務所と比べて格段に人が少ない、だからこそ逆に隙が少なくて向こうも手を出しづらいのかもしれないわ」

周子「だから志希ちゃんとフレちゃんの時もわざわざ無理やり自作自演を...あれっ?でもあの時はまだiDOL MOVIE BIGBANGとか全然関係ないよね?」
   
   「じゃあ、結局なんで阿苦都苦出版は、あそこまでして二人のデビューを邪魔したんやろ?」



659: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:36:46.25 ID:Bt4dMeta0

奏「...それについて、二つ考えられる理由があるわ」

志希「一つは『あたし達じゃなくてテレビ局か番組スタッフが狙われていた』でしょ?あたしも当時それは考えた」

奏「志希の言う通り一つはそれよ。でも...私はもう一つの方の可能性が高いと思うわ。根拠は"女の勘"ってことになってしまうけれど」

周子「んで、そのもう一つの可能性ってのは?やっぱ最初から志希ちゃんとフレちゃんが狙われてたって事?」

奏「いえ、少し違うわ」






奏「狙われていたのは志希とフレデリカ個人ではなく、811プロそのものという可能性よ」



660: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:42:17.76 ID:Bt4dMeta0

周子「811プロ、そのもの?」

奏「考えてみて。まずそもそも、あの時まだ世に出てなかった志希とフレデリカには狙われる理由が薄い。大して話題にできるようなネタにならないから」

  「あのテレビ局自体を狙ったとしても、小さいローカル番組での不祥事ではそこまでのネタにはならない。番組スタッフの誰かが狙われたって言うのも、同じく話題性の面からして考えづらい。
    
  「だとすると、一番考えられるのは811プロそのものを狙ったという可能性よ。理由までは分からないけど、犯人はどうしても811プロを早いうちに潰したかったんだと思う」

周子「なるほど....」




志希「でもさー、それなら最初から話題になってたデュアルフルムーンを狙った方が早くない?」

奏&周子「「あ」」



661: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:43:29.72 ID:Bt4dMeta0

それは...そうね
話題性という理由ならあの時なら私や周子を狙った方が早いわね...


志希「それに、あの時はまだ奏ちゃんと周子ちゃんもEランクで、フレちゃんはFランク、あたしに至っては収録直前にスカウトされたド新人だよ?」

  「そんな弱小プロダクションだった811プロをわざわざ潰しにかかるのはリスクに見合ってなくない?阿苦都苦出版にとってもライバル企業にとってもさ」

奏「た、確かに...」

周子「じゃあ、やっぱりテレビ局が狙われてたのかな?」

志希「うーん、それはそれでやっぱりなんか不自然だと思うんだよねー...」

奏&周子「「うーん...」」



なんだろう、この前に進んでるようで全くその場から動いてる気がしない感覚、すごく不気味....

なにか、もっと別の考えを.....









フレデリカ「皆食らえー!究極オランジェーット!」ボチャン!

奏「....えっ!?」




662: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:44:46.12 ID:Bt4dMeta0

周子「ちょ、ちょっとフレちゃん!今鍋に何入れたの!?」

志希「一瞬オレンジ色のなにかが見えたね」


フレデリカ「皆顔が暗すぎだよー!もっと笑って笑って!」

奏「....そんなに暗い顔してたかしら?」

フレデリカ「そうだよー!アイドルがしちゃいけない顔だったよー!そんな顔してたらファンの人も、それに美嘉ちゃんも一緒に暗い気分になっちゃうよ!」

      「雑誌の意地悪なんて、皆の笑顔で吹き飛ばしちゃえばいいんだよ♪プロデューサーもいつも言ってるじゃん、逆境の時こそアイドルを全力で楽しめって!」

 『!!!』

フレデリカ「あたし達アイドルなんだからさ、あたし達を応援してくれるファンの皆の為にも、美嘉ちゃんを応援する為にも!」

      「そして、ゴシップでいじめられちゃった人達を励ます為にも、あたし達が笑顔で楽しんでアイドルやって、皆をハッピーにしようよ!」



663: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:46:05.26 ID:Bt4dMeta0

志希「...そうだね!あたしうっかりしてたよ、折角パパにもママにもあたしの楽し無姿を見せるって誓ったばっかりなのにさ!」

周子「うんうん!暗い顔で悩むなんて、あたし達らしくなかったわ♪」

奏「ふふっ、ありがとうフレデリカ」

  「811プロの社訓、『全力で楽しめ』...私達、大事なことを見失うところだったわ」

フレデリカ「えっへん!じゃあみんなでさっき入れたあたしのオランジェット食べて笑顔になろ―♪」

全員「おー!」


フレデリカの投入したオランジェットはオレンジの酸味とポン酢の酸味、それに出汁のコクが絶妙なコンビネーションを見せて

見せて....

もの凄く....








 
全員(もの凄く、マズい......)



フランス菓子は、和風出汁のお鍋に入れてはいけないと、思い知った...



664: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:47:39.52 ID:Bt4dMeta0

   ~~~翌日~~~


ピピピピピピピ!!!!



周子「ん...もう朝か、おはよー...」


目覚ましを止め、布団から這い出る


周子「んー...目が覚めない、とりあえずお天道様を拝もう...」


日光で身体を無理やり起こそうと何気なくカーテンを開ける


周子「......!?」


....しかし、身体は日光によって温められることはなく、むしろ凍り付いた



665: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:49:42.04 ID:Bt4dMeta0

周子「あの人...」


アパートの外、昨日奏ちゃんが見破った場所に、カメラを持った怪しい男を見つけた

...とりあえず連絡しよう


周子「ぴ、ぽ、ぱ、ぽ、ぱっと」トゥルルルルルル....

P『.....もしもし、周子か?』

周子「うん、おはようPさん」

P『ああ、おはよう...なんかあったのか?』

周子「あのね、またアパートの前にあからさまに怪しい奴がいる」

P『なんだと?昨日の今日でまた来たのか......こりゃ完全に狙われてるな』

周子「みたいだねー、あたし普通に出勤しても大丈夫かな?」

P『いや、怪しい奴がいるって分かってて一人で出勤はさせたくないな...奏と美嘉は学校だしレイジレイジ―はこれから仕事先いかなきゃならないから...青木さんに迎えに行ってもらうからそのまま二人で現場に向かってくれ』

周子「分かった、待ってる」






人気になればこういう事もあるって分かっちゃいたけど
流石にこれは、ちょっと気分が悪すぎるなぁ...



666: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:51:57.90 ID:Bt4dMeta0

=======レイジーレイジーの撮影現場=======

志希「みんなー、今日はよろしくねー♪」

フレデリカ「よろしくしるぶぷれー♪」

イケメン俳優「よろしくお願いします。レイジレイジ―のお二方」

人気芸人「おう、よろしくな二人とも」





今日はレイジレイジ―の二人があるイケメン俳優と今流行りの人気芸人と一緒に街の名所を訪問するバラエティ番組の収録

そして、今は収録前に共演者への挨拶中


ああ、人気アイドルと俳優に人気芸人、いい並びだ

本当に、いい画が取れそうだねぇ♪

決定的瞬間を激写する為に、俺はしっかりとカメラを構える....







P「あのー」

???「!?」



667: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:53:08.94 ID:Bt4dMeta0

P「如何しましたか?これからここで番組の収録が行われるので用がないならはけてもらいたいのですが」

スタッフ?「あ、えっと、俺番組スタッフです」

P「...では、番組スタッフの証明である腕章は?」

スタッフ?「えっ?...あーえっと、さっきどっかで落としちゃったみたいで」

P「そうですか....それは妙ですね」

スタッフ?「えっ?」

P「番組スタッフの腕章なんてものありませんよ、存在しないものをどうやって失くしたんです?」

スタッフ?「えーっと...それは...」




...ちくしょう!ハメられた!



668: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:53:36.00 ID:Bt4dMeta0

ディレクター(以下D)「どうしたんだいプロデューサー君?」

スタッフ一同 ナンダナンダ?

P「どうやら、ネズミが潜り込んでいたみたいですね」

D「...なるほど、君が言っていたゴシップ記者か」

スタッフ?「あ、いやぁ...」

D「誰かこの男をスタッフルームに連れていきなさい」

ガタイのいいスタッフ1「アイアイサー!」

ガタイのいいスタッフ2「おらっ、向こうでお話ししようじゃねえか」

スタッフ?「クソッ!放せ!」






チクショーーーーーーー!!!!!!



669: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:55:08.22 ID:Bt4dMeta0

志希「終わった?」

P「ああ、一応今日は仕事付いてきて正解だったな」

フレデリカ「プロデューサー、ありがとね♪」

P「ああ、だがやっぱ俺たちは阿苦都苦出版に狙われているらしい...」トゥルルルルルル

  「青木さんだ...もしもし?」

ベテトレ『P、そっちはどうだった?』

P「やっぱり潜り込んでました、警戒しといて正解でしたね」

ベテトレ『そうか...実は、こっちにも許可されていない記者が紛れ込んでいた』

P「周子の仕事先にも?アパートに張り込んでたくせに仕事先まで張り付いてやがったのか、いくらなんでもしつこ過ぎるぞ阿苦都苦出版!」


ベテトレ『いや...それなんだが』

P「えっ、何か問題が?」



670: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:55:58.68 ID:Bt4dMeta0

D「プロデューサー君!大変だよ!あの偽スタッフ、阿苦都苦出版ではなかった!」

  「あの記者、須藤華出版の記者だ!」

P「何ですって!?」

ベテトレ『P、実はこっち出捕まえた記者も阿苦都苦出版ではない、極亜久出版の人間だ』

P「極亜久出版に、須藤華出版...!?」.

志希「どっちもあんまり面白い話聞かないけど...阿苦都苦出版じゃ、ない?」

フレデリカ「アタシ達を狙ってたのって、阿苦都苦出版じゃなかったの?」






P「...めちゃくちゃ、嫌な予感がする...」



671: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:57:12.41 ID:Bt4dMeta0

授業が終わって、校門から出ると早苗さんがあたしを待ってくれていた


美嘉「あっ、早苗さん!」

早苗「お疲れ美嘉ちゃん、これから仕事でしょ?」

美嘉「そうだけど...早苗さんは?」

早苗「しばらく有給取ってね、美嘉ちゃんに着いて回ろうかなって。ほら、移動中にも英単語とか公式とかくらいは詰め込めるでしょ?」

   「もしかして...おせっかい過ぎかしら?」

美嘉「全然!むしろ助かるよ、ありがとう!」

早苗「なら良かった!んじゃ向こうに車停めてあるから仕事先まで送っていくわ」

   「...それに、最近811プロの周りに怪しい奴がうろついてるみたいだし、一人でいるのは危険だしね。次いでにボディーガードも任せて!」

美嘉「早苗さん...ホントにありがとう!じゃあ早速現場に...」




???「おい、城ケ崎」

美嘉「!!」



672: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 22:59:51.17 ID:Bt4dMeta0

美嘉「先生!?」

早苗「先生?担任の?」

美嘉「うん、そうだけど....」


担任「城ケ崎、お前分かってるのか?もう受験まで時間がないんだぞ?」

美嘉「それは、わかってるよ!」
  
担任「本当か?だがお前の最近の成績の低下は目に余る、いい加減あんなくだらないお遊びなんか辞めて、我が校の誇りある生徒としての自覚を...」

早苗「あーはいはいそこまで!これから美嘉ちゃん大事な仕事があるからまた今度にしてちょうだい」

担任「だ、誰だ貴様は!」

早苗「美嘉ちゃんの家庭教師兼ボディーガードよ」

担任「フンッ!家庭教師なんぞが偉そうに!」

早苗「...言っとくけど、アイドルはくだらないお遊びなんかじゃないから」

担任「なに?」

早苗「外から見たらキラキラしてる世界でも、その裏では血と汗の滲む努力が積み重なってできてんのよ」

   「そして、時には理不尽な悪意にさらされる事もある...それでもたくさんの人を笑顔にする為に前を向いて戦い続ける、立派なお仕事なの」

   「だから....もしそんなアイドルを下らないなんて言うなら...」

担任「な、なんだ...?」



673: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 23:00:40.59 ID:Bt4dMeta0

早苗「シメる」

担任「ヒッ!!!」

   「....きょ、今日は見逃してやるが、いい加減にしておけよ城ケ崎!」



674: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 23:01:24.27 ID:Bt4dMeta0

早苗「チッ、ムカつくわねあいつ」

美嘉「あの、さっきはありがとう早苗さん」

早苗「いーのいーの!美嘉ちゃんもあんな奴のいうこと気にしなくていいからね」

美嘉「うん...ってヤバッ!ロケ遅刻しちゃう!?」

早苗「マジで!?美嘉ちゃん急ぐわよ!フルスロットルで飛ばして必ず間に合わせるから!」

美嘉「うん!お願い早苗さん!」











カシャッ

???(ニヤリ)



675: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 23:01:58.26 ID:Bt4dMeta0

       =======翌日=======


ピピピピピ

周子「んー...朝だぁ...」


....ダメだ、あんま寝れた気がしない
昨日ずっと外から見られてる気がして中々寝つけなかったからなぁ


周子「もしかして今日も...」カララッ


...良かった、いない
昨日スタッフに紛れてたのがばれたから流石に自重したんかなぁ?



676: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 23:02:43.35 ID:Bt4dMeta0

周子「今日は一人でも大丈夫かな...Pさんだ」トゥルルルル

   「もしもし?」

P『周子!今家か?』

周子「そうだけど、そんなに慌ててどしたん?」

P『いいか、今青木さんがそっちへ向かっているから絶対部屋から出ずに待ってろよ!』

周子「えー、今日は記者いないっぽいし一人でも大丈夫だよ」

P『大丈夫じゃねえことが起きてんだ!いいから一人で出歩くな!』

周子「えっ、何?急にどうしたのさ?」

P『詳しいことは事務所で話す!とにかく青木さんと一緒に事務所へ来てくれ!』

周子「わ、わかった」







Pさんがあんなに慌てるなんて、一体何が...?



677: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 23:04:48.20 ID:Bt4dMeta0

学校に行く前に、コンビニに寄って芸能雑誌を買いにきた

プロデューサーたちだけに負担をかけるわけにはいけないし、私自身もちゃんと今の芸能界の情勢をチェックしておかなければいけない

そんな思いで雑誌コーナーの前で商品を見定めていた





その時、私の目はある雑誌の表紙で止まる


奏「嘘でしょ...?」



678: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 23:05:16.92 ID:Bt4dMeta0

美嘉「な、なにこれ...」

なんで、なんでこんな記事が!?



679: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/03(水) 23:05:59.07 ID:Bt4dMeta0






       【城ケ崎美嘉、芸能界引退!?】





To Be Continued.....



683: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:06:01.81 ID:s50baoB30

  ======811プロ事務所=======

青木さんの車で事務所に到着するやいなや、Pさんに一冊の雑誌を押し付けられた


周子「これ、須藤華出版の『ストーKINGアイドル』?」


確か、プライバシ―ガン無視の記事も多くてあまり業界には良く思われてない雑誌のはず...



周子「....えっ?」

渡されてすぐ、表紙に書かれた内容に目を止めた





美嘉ちゃんが、引退!?



684: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:06:59.94 ID:s50baoB30

周子「Pさん!これってどういう事!?」

P「とりあえず中身を見てくれ。気分悪くなるだろうけどさ.....」


すぐにあたしは中身を開き記事の内容を確認する...



【城ケ崎美嘉が芸能界を引退するとの情報が!】

【原因は成績の低下!?教師と言い争う姿を激写!】

【芸能活動を理由に学校をズル休み!?】





周子「...なんなんこの記事!?」



685: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:08:49.05 ID:s50baoB30

P「昨日、校舎前で担任教師に成績のことについて苦言を言われていたらしい。学校まで張り付かれてるとは...」

周子「だとしても!ただそれだけのことで引退とか勝手なこと言ってはしゃぎたてるなんて、須藤華出版どんだけ暇なのさ!?」

ベテトレ「それに須藤華だけじゃない、他にも...」バサッ

周子「極亜久出版の『週刊文冬』に阿苦都苦出版の『芸能日報』.....どいつもこいつも美嘉ちゃんの記事ばっかり...!」

P「ああ、複数の雑誌が昨日の美嘉の事を取り上げてる」

周子「酷い...こんなの、ただのリンチじゃんか!」

P「ああ、クッソムカつくぜ...」


ベテトレ「そういうわけだ塩見、悪いが今日のレッスンはキャンセルだ。今日は事務員としての仕事に集中してくれ」

周子「分かった、電話対応とか大変そうだもんね」

P「俺は昨日の事を片桐さんに聞いてみるよ。昨日美嘉を学校まで迎えに行ったらしいからな」

周子「分かった。そっちはお願いね」



686: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:10:47.06 ID:s50baoB30

早苗『ええ、写真は本物で間違いないわ。......ごめん、あたしもいたのに、撮られてた事気づかなかった...』

P「いえ、片桐さんは悪くないです。むしろ美嘉を助けてくれてありがとうございます」

早苗『チクショー!もし犯人見つけたら盗撮の現行犯で逮捕してやるんだから!』

P「ははは...でも、また美嘉に悪意を持った人間が寄り付くかもしれません。しばらくボディーガード、お願いできますか?ちゃんと報酬は出しますんで」

早苗『もちろん!むしろやらせて!』

早苗『報酬なんていらないわ!自分の失態は自分で取り戻したいもの。それに、美嘉ちゃんをもうこんな目に合わせたくないし!』

P「ありがとうございます。では引き続きよろしくお願いしますね?」

早苗『任せなさい!」


早苗『......でもP君、この状況って』

P「はい、『あの時』と似ている........」

早苗『もしかして、今回も?』

P「そうかもしれません......ですが、今は美嘉を守るのが最優先です。詳しく調べるのは後にします」

早苗『そう....ならあたしも警察官として、美嘉ちゃんを全力で守るわ!もうこんなこと絶対にさせないんだから!』



687: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:12:05.76 ID:s50baoB30

P「確認取れた、少なくとも写真については本物らしい」

周子「こっちも美嘉ちゃんに電話して確認取ったよ。担任と言い争いになったのは事実だけど、アイドルはやめないから安心してって」

周子「でも美嘉ちゃん、やっぱり辛そうだった...」

P「だろうな...クソッ!見れば見るほどムカつく記事だぜ

P「................ん?」



怒り心頭のPさんが急に固まったと思うと、Pさんは3つの雑誌の美嘉ちゃんの記事を並べてじっくりと眺め始めた



周子「どしたん?」

P「妙だな...」

周子「妙って.....なにが?」



688: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:13:50.26 ID:s50baoB30

とりあえず大丈夫って言っておいたけど、やっぱり周子ちゃんにはばれちゃってるかな?

モデルの時から長いこと芸能活動やってきてるし、それなりに修羅場も潜ってきてはいるはずだけど、やっぱこういうの堪えるなぁ...





美嘉「...奏ちゃんから電話だ」ピッ

奏『大丈夫美嘉!?』

美嘉「う、うん。大丈夫だよ」

奏『それならいいのだけれど...ごめんなさい、貴方を守れなかった...』

美嘉「そんな、奏は悪くないよ!悪いのはこんな記事書いてる出版社なんだから!」

美嘉「でも、迂闊だった.....あたし達を狙ってるのは阿苦都苦出版だけじゃなかったなんて...」


奏「美嘉、それなんだけど......今日出た美嘉の記事が載ってる雑誌、少しおかしいのよ。まあそもそもデタラメ書いてるんだからおかしくて当たり前ではあるんだけど...」

美嘉「おかしい?」

奏「ええ、さっき3つの雑誌を並べてみたんだけどね....」



689: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:17:21.79 ID:s50baoB30

P「この3つの記事、出版社は違うのに使われてる写真がどれも全く同じだ」

周子「......ホントだ!映ってる物も角度も全部一緒だね」

P「違う雑誌なのに寸分違わず同じ写真だと...?一枚二枚ならまだしも、これだけの数は有り得ない」

周子「これって、出版社の間で写真を共有したって事だよね。でも、普通そんなことする?」

周子「この出版社達って一応商売敵でしょ?折角手に入れたスクープは、やっぱ自分たちで独占したいものなんじゃないの?」

P「そのはずだ。だが現実に起きている...どういう事だ?」



690: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:18:08.55 ID:s50baoB30

美嘉「3つの出版社が、同じ写真を....」

奏「美嘉、気を付けて。理由は分からないけどこの3つの出版社は今、徒党を組んで貴方を貶めようとしている」

奏「もし何かあったら、必ず私達を頼って。私たちは何があっても、貴方たちの味方だから」

美嘉「うん、ありがとう奏。またね★」




美嘉「...はぁ」





なんでこんなことになっちゃったんだろ.....



691: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:20:06.06 ID:s50baoB30

    ~~~~~放課後~~~~~~


またよからぬことが無いようにと、あたしを家まで送りに来た早苗さんが校門前で待機しているらしい

最近寒くなってきたし、待たせないようにしないと!

そう思ってあさっさと荷物をまとめて教室を出た、その時だった


担任「待て、城ケ崎」

美嘉「...何、先生?」

担任「お前、やっとアイドル引退するらしいな。ようやく現実に目を向けたか」

美嘉「はあ!?あの記事は事実無根だよ!あたしまだ引退する気はないから!」

担任「なんだと...?お前、まだ寝ぼけているのか」

美嘉「寝ぼけてなんてっ!」



担任「だが、事実アイドル活動のせいで成績が落ちているのは事実だろう?」

美嘉「ッ!」



692: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:20:57.98 ID:s50baoB30

担任「これで大学受験に失敗したらどうする?お前だけじゃない、親にも迷惑がかかるぞ」

美嘉「それは...」


そりゃあ...アイドルだって、ずっと続けられる訳じゃないけど....




担任「全く、これだからアイドルというやつは嫌いなんだ。いつもいつも夢を語るばかりで、現実を目を向けようともしない。そしてそれを見て感化された馬鹿が、同じように現実を見なくなる」
  「.....担任として、生徒の成績低下を見過ごすわけにはいかない。後でご両親に連絡しておく、お前の今後の為に三者面談をすると」

美嘉「なっ!?」

担任「そこで、はっきりと現実を突きつけさせてもらう。お前にも、お前の親にも。」

担任「話がスムーズに進むよう、しっかり親と話しておけ。それじゃあな」




美嘉「.......っ」



693: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:22:51.91 ID:s50baoB30

早苗「お疲れー美嘉ちゃん!...なんか暗くない?大丈夫?」

美嘉「大丈夫...」

早苗「...またあの担任になんか言われたのね?」

美嘉「....うん」

早苗「そっか....よし!とりあえずお家帰りましょう。その間、お姉さんに愚痴っちゃいなさい!」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


  ======早苗の車==========

早苗「成程ねぇ...あいつ、また美嘉ちゃんをバカにして!」

美嘉「でも、言い返せなかった...あの記事のせいで今もみんなに迷惑かけてるし、このままじゃ家族にも......」



694: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:23:54.11 ID:s50baoB30

早苗「...家に着いたわよ美嘉ちゃん」

美嘉「あっ...ありがとう早苗さん」

早苗「それと美嘉ちゃん、今日のカテキョはお休みね」

美嘉「えっ!?」

早苗「まずは、その悩みにケリをつけてからにしましょ。何事も自分を見失ったままじゃ上手くいかないからね」

美嘉「自分を、見失う....あたしが?」

早苗「ええ、美嘉ちゃんは今自分がどうありたいかを見失いつつある。だからまずはそれをもう一度思い出してみて。美嘉ちゃんにとってアイドルって何なのかを」
  
早苗「大丈夫!答えはすぐそこにあるわ!」

美嘉「えっ?すぐそこって、『じゃまったねー!』ちょっと!」








い、行っちゃった...



695: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:25:04.99 ID:s50baoB30

莉嘉「お姉ちゃんおかえりー!」

美嘉母「おかえりー美嘉...何かあったのね?」

美嘉「えっ....分かるの?」

美嘉母「まあさっき変な電話あったし、それに何年あなたの母親やってると思ってんの。貴方が悩んでることくらいすぐ見抜けるわよ」

美嘉母「とりあえずリビングでおやつでも食べながら話してみなさい。ちょうどお友達も来てるしね」

美嘉「...お友達?」

フレデリカ「美嘉ちゃんお帰りー!」

志希「おかえりー!」




.....えっ!?



696: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:26:09.72 ID:s50baoB30

美嘉「志希ちゃんにフレちゃん!?なんでいるの!?」

志希「雑誌で変な記事書かれて美嘉ちゃん落ち込んでるかなーって思ってさー、フレちゃんと一緒に励ましに来たんだ!」

フレデリカ「でもー、来てみたら美嘉ちゃん学校行っちゃってた♪」

美嘉母「ちょうど貴方が学校行った後に来てくれたんだけど、折角美嘉の事思って遊びに来てくれたのに帰らせちゃうのも申し訳ないでしょ?」

美嘉母「ママも美嘉のお仕事での話聞いてみたかったし、さっきまで一緒にお茶してたのよ♪」

莉嘉「学校から帰ってきたら生のレイジレイジ―がいるんだもん!あたしびっくりしちゃった!」

フレデリカ「美嘉ちゃんのママ、お料理すっごく上手いんだね!お昼ごはん美味しかったー!」

美嘉母「フレちゃんのお菓子も美味しかったわよー!それに志希ちゃんの作ったお料理もおいしかったわ!」

志希「一応、正気のサタデーナイトで料理コーナーやってるからね!」

美嘉「ていうか朝から来たの?二人とも学校は?」

志希フレ「「サボった♪」」

美嘉「えぇ....」



697: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:27:28.41 ID:s50baoB30

フレデリカ「ほらほら美嘉ちゃん、座って座ってー!あたしマフィン作ってきたんだ!食べて食べて~♪」

志希「自分の家だと思ってくつろいじゃってねー!」

美嘉「いやあたしの家だし....」

莉嘉「それでお姉ちゃん、学校で何か嫌なことあったの?」

美嘉母「もしかして、さっきの3者面談がどうのってやつと関係ある?」

美嘉「...実は」


カクカクシカジカ......


美嘉母「なるほどねぇ.....」

美嘉「あたし、どうしたらいいのかな?811プロの皆にも心配かけて、ママにも莉嘉にも...」

美嘉母「...美嘉」



698: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:27:56.33 ID:s50baoB30


   「貴方、ずいぶんくっだらないことで悩んでるわね」




699: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:29:21.07 ID:s50baoB30

美嘉「えっ?」


美嘉母「あたし達に心配かける?だからアイドル辞める?ちゃんちゃらおかしいわよ。だって貴方、アイドル楽しいし、続けたいんでしょ?」

美嘉「それは...そうだけど、でもそのせいでみんなに迷惑がかかるんなら....」

美嘉母「美嘉、私たちにとって一番つらいのはね、貴方が自分の選んだ道に後悔すること。貴方が自分のやりたいことを笑顔でやれなくなることなのよ」

美嘉母「だから、貴方は貴方のやりたいことを精一杯やりなさい。その為なら誰が何と言おうとママとパパが守るわ!」



莉嘉「そうだよお姉ちゃん!お姉ちゃんはあたしの目標なんだから!」

美嘉「あたしが、目標?」

莉嘉「あたし、将来お姉ちゃんみたいなアイドルになる!だからお姉ちゃんにはあたしが追いつくまでトップで待っててもらわなきゃ困るもん!」

美嘉「莉嘉...」



700: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:30:48.63 ID:s50baoB30

フレデリカ「美嘉ちゃんってやっぱり凄いね!たくさんの人の憧れなんだもん!」
 
志希「うん!莉嘉ちゃんも、奏ちゃんと周子ちゃんも、皆美嘉ちゃんに憧れてアイドルになりたいって思ったんだもんね!」

フレデリカ「もちろん、アタシ達もね♪」


志希「それにさ、迷惑ならあたし達の方がいっぱいかけてるじゃん」

美嘉「えっ?」

志希「あたし達いっつもフリーダム過ぎて、良く皆を困らせちゃうでしょ?でも、そんなあたしたちのフォローを美嘉ちゃんがしてくれているから、あたし達はいつだって安心してあたし達らしくいられるんだよ」

フレデリカ「だから困ったときはお互い様だよ!偶には美嘉ちゃんもあたし達に迷惑かけちゃおー!」

フレデリカ「それに、アタシ達の為に悩んで美嘉ちゃんが遠慮しちゃう方が、アタシ嫌だよ」



701: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:32:29.99 ID:s50baoB30

美嘉母「それに、今病院でリハビリしてるパパもよく言ってるわ。どんなに辛くてくじけそうになったって、美嘉が本当に楽しそうに輝いてる姿を見ているから、何度だって立ち上がれるって」

美嘉母「だから美嘉、安心して私達を頼って、美嘉が心から楽しんでいる姿を、私たちに見せてちょうだい?」


莉嘉「お姉ちゃんいっつも言ってたじゃん!いつだって本気でイチバンを目指すって!だったら遠慮なんてしないでよ!」
  
莉嘉「いつもみたいにお姉ちゃんがイチバン輝いてるんだって、ちゃんとあたし達に見せてよ!その為ならアタシ達、いつだってお姉ちゃんの力になるから!」



702: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:33:39.87 ID:s50baoB30

ああ、そうだ...
今のあたしは、061プロにいた時とは違う
あの時の、苦しみながら他人の描く道を自分の道として歩まされ続けていた時とは違うんだ


『あたし』の背中を守ってくれてる仲間が、こんなにいるんだ
一緒にアイドルとしての道を走り抜けて、一緒にアイドルのトップに立ちたいって、心からそう思える仲間がいるんだ.....


成績とか、ゴシップとか、そんなのどうでもよかった

皆の声に答えたいから、みんなの憧れでありたいから
アイドルを続ける理由なんて、それだけで十分じゃないか

どんな苦難の上でも妥協しないって決めたのは、あたし自身じゃないか!




皆の憧れとして、あたし自身が描いた夢として、一緒に歩いてきた仲間たちと一緒にトップアイドルになりたい


あたしにとって『アイドル』は、世界で一番のあたしになるために、あたし自身が選んだ道


だから、最初から悩む必要なんてなかった

どんな壁を振り切ってでもアイドル続けたい理由が、あたしにはあったじゃんか...!



703: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:36:44.67 ID:s50baoB30

美嘉「みんな......」




涙目になりながらでも決意を固め、一緒に歩いていく仲間に、伝える
あたしはもう、迷わないと





美嘉「ありがとう.......!」



704: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:37:46.48 ID:s50baoB30

美嘉母「そうだ!折角だから志希ちゃんとフレちゃん、今日は泊まっていきなさいよ!美嘉と莉嘉とめいっぱい遊んであげて!」

志希「いいの!?」

フレデリカ「やったー!美嘉ちゃん、莉嘉ちゃん、今夜は...寝かさないぜ♪」

莉嘉「わーい!レイジレイジ―がお泊りだー!やったー!」

美嘉「そうだね!折角だから遊んで行ってよ!」





美嘉「...でも、明日も学校だからあまり遅くはしないでね...?」

志希フレ「「それはどうかな!」」

美嘉「いやホントにお願い...」






でも結局、夜が更けるまで話し込んだ....



705: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:38:39.82 ID:s50baoB30

翌日、授業終わりにママと合流して面談に臨む...はずだったんだけど


美嘉「あれっ、莉嘉ァ!?」

莉嘉「やっほーお姉ちゃん!」

美嘉「えっ、なんで莉嘉まで来たの!?」

美嘉母「実はね...」


   
莉嘉『あたしだってお姉ちゃんをいじめる人に文句言いに行く!』



美嘉母「...って聞かないから、連れてきちゃったのよ。だから3者面談じゃなくて4者面談ね」

莉嘉「だって、昨日の話聞いてめっちゃくちゃムカついたんだもん!あたしだって言いたいこといっぱいあるよ!」

美嘉「だからって...」

美嘉母「まぁまぁ、味方は多いほうがいいじゃない?それじゃ早速教室まで行きましょ!」

美嘉「えぇ....」

ウチの家族は偶に、ホントに凄い行動力になるんだよなぁ....



706: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:39:54.24 ID:s50baoB30

担任「えー...そちらの子は?」

美嘉「あーっと....」

美嘉母「次女の莉嘉です、可愛いでしょう?」

担任「いや、なんで連れてきてるんですか......」

莉嘉「良いじゃん別に!お姉ちゃんの大事な話ならあたしだって聞きたいよ!」

美嘉母「まぁまぁ、話はしっかり聞きますので許してください」

担任「.......まあいいでしょう、では今回お呼び出しさせていたただいた理由についてなのですが...」







担任「というわけでして、もしこのまま成績が下がり続ければ今の志望校どころかランクの低い大学にしか狙えなくなると思われます」

担任「なので娘さんの将来の為にも、アイドルなんて遊びにかまけさせず...」




美嘉母「将来?」

担任「...?なにか?」



707: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:42:01.48 ID:s50baoB30

美嘉母「なんであんたがそんなこと語れるんですか?美嘉の事、何も知らないくせに!!」

担任「!?」

美嘉母「美嘉のアイドルへの情熱も、アイドルを続けるためにしてきた努力も、何も知らない、知ろうともしない貴方が、勝手に美嘉の将来を語らないでちょうだい!」

莉嘉「それに、アイドルは遊びなんかじゃない!志希ちゃんも、フレちゃんも、お姉ちゃんも!皆全力で戦ってるんだ!」

莉嘉「アイドルって、アタシ達が見る部分はキラキラとしたところばっかりだけれど、テレビの裏、見えないところでみんな頑張ってるの!楽しいばっかりじゃない、お姉ちゃんってアイドルやってて苦しんでたことだってあった!でも!皆の憧れになるために、ファンの皆を笑顔にするために、どんな壁があったって本気でぶつかってるの!」

莉嘉「それを、遊びだなんて言わないで!」

担任「な、何を...」





美嘉「.....先生、何を言われてもあたし、アイドルはやめないよ。でも、受験も妥協しないから安心して」

美嘉「どっちかの為にどっちかを捨てるなんて妥協した生き方、あたしはしたくない。いつだってあたしがイチバンだって宣言できるように...あたしは本気で生きたい!」

美嘉「だから、見ててよ。アイドル続けるあたしがイチバンだって、『あたし達』で証明するから!」



708: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:46:26.08 ID:s50baoB30

   ==========翌日、811プロ==========


美嘉「おはよー★」

奏「おはよう美嘉...どうやら、元気出たみたいね」

美嘉「うん、色々吹っ切れた!むしろみんなの方こそ大丈夫?変な奴に付きまとわれたりしてない?」

奏「あの記事が出てからは大分減ったわ。完全になくなったわけじゃ無いけど、とりあえずは大丈夫よ」

周子「電話対応もまあいつもよりは忙しいけど、それでも思ってたよりは大した事ないから安心して」

奏「でも気を付けて、いつも美嘉を学校まで迎えに行くときに、度々怪しい奴を見かけるって早苗さんが言ってたわ」

美嘉「そうなの?じゃああいつらあたしを集中砲火する気なのかな?」

P「大丈夫、何があっても必ず俺たちが守る。もし受験も合わせてキツイようなら、しばらく仕事とレッスンの量も減らすよう調整するが...」

美嘉「ううん、普段通りで...いや、いつも以上に頑張らせて!」




美嘉「あたし、全部妥協しないから!アイドルとして今までよりもっと輝いて、受験も成功させて、『あたしはこれからもアイドル続けていくよー!★』ってファンを安心させなきゃいけないし!」



709: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:49:20.88 ID:s50baoB30

P「そうか...なら遠慮なくスケジュールを組ませてもらおう。だから美嘉、アイドルも学業も全部物にして、自分が思う一番の自分を手に入れろ」

P「もちろん、それを成し遂げるには途方もない労力がかかるが...俺はm」

美嘉「『無茶振りはしても無理な事は言わない』でしょ?」

P「お、おう。その通りだ!」

周子「あららー、キメ台詞とられちゃったねPさん♪」

奏「ふふっ!みんなプロデューサーさんの扱いに慣れてきてるものね」

美嘉「プロデューサーって、結構素直だからねー★」

P「うっさい,,,...だが無理とは言わないが過酷であることに変わりはない。覚悟はできてるか?」

美嘉「大丈夫。だって、あたしはもう苦しんでアイドルをやっていたあの時とは違う。アイドルも楽しくて、いつだって頼れる仲間もいるから!あの時に比べたら全然平気!」

美嘉「だから周子ちゃん、もしまたあたしが引退するとかで電話かけてこられたらこう言っておいて!」


『城ケ崎美嘉はアイドルを辞めたりしない、むしろこれから今まで以上に輝けるアイドルになる』って!




周子「おっけー、まかせとき!」

奏「美嘉、辛いときはいつだって思い出してね。あなたには、どんな時でもあなたの力になりたいと、そう心から思ってる仲間がいるんだって事!」

美嘉「うん!みんなも見ててね!」







全部、あたしがイチバンだって証明してみせるから!



710: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:49:49.95 ID:s50baoB30





    Chapter13 「I'm proud of me」








711: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:50:24.14 ID:s50baoB30

その後、美嘉は今まで以上の量のアイドル活動と受験勉強を見事に両立し、期末試験も最上位へと食い込み見事志望校の推薦を手に入れた

その間、あの3つの出版社は美嘉に対して『現実逃避でアイドル活動をしている』とか『勉学に集中しないのは裏口入学が決まっているからでは』とか勝手な憶測を書き連ねてきたけど
美嘉の堂々とした姿勢と、日に日にアイドルとして成長していく美嘉の姿を見た世間の反応は、むしろ美嘉を応援する方に流れていた




そして今日は、合格発表日...



712: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:52:25.93 ID:s50baoB30

美嘉「ふぅー.....あー!やっぱ緊張するー!」

フレデリカ「大丈夫だよ!美嘉ちゃんの番号は幸運の番号だし!」

志希「そうそう、あたしのスマホのパスコードと同じー♪」

奏「志希、まだ変えてなかったのね...」

志希「だって気が向かないし。それに皆になら見られちゃっても平気だし」

周子「志希ちゃん、嬉しいこと言ってくるじゃん♪」

P「...見ろ!結果張りだされてるぞ!」

早苗「ホントだ!みんな美嘉ちゃんの番号を探せー!たとえドライアイになって目が腐り落ちたとしても見つけるのよ!!」


  『合点!!!』


美嘉「いやいや!そんなに無理しなくていいから!」



いつも通りツッコミを入れ(てしまい)つつも、張りだされた結果を見つめる

あたしの番号は......



713: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:52:59.53 ID:s50baoB30

0532
0536
0588
0652

 ・
 ・
 ・
 ・

0811



美嘉「あった..............」

  




美嘉「あったよ皆!!」

全員『いやったあああああああああああああ!!!!!!!』



714: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:54:48.91 ID:s50baoB30

そんなわけで無事合格を確認したあたし達は打ち上げをしようということになって、その場所をあたしが決めることになった
そしてあたしが選んだ場所は...


美嘉「よーし!久々に思いっきり歌うよー!」

全員「いえーい!!!」


そう、カラオケ!


P「でも、ホントにカラオケなんかでよかったのか?俺の奢りなんだからもっと高いところでも良かったのに」

美嘉「うん、ここがいい!テストから解放されたらやっぱカラオケで思いっきり歌って今までのストレス全部ぶっ飛ばすに限る!」

P「それは凄い分かる」



715: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:56:39.20 ID:s50baoB30

奏「カラオケ.....そう言えばあんまり来たことはなかったわね。中学生の時に家族で来て以来かしら」

志希「あたしもー、友達とカラオケ来るなんて初体験!」

フレデリカ「アタシはよくママとか友達とかと来てたよー!」

周子「へー、何歌ってたん?」

フレデリカ「『ウルトラリラックス』!」

美嘉「聞いたことないなー...」

フレデリカ「えー!?」

P「まあ確かにお前らが生まれるよりは前の曲だから知らないのも無理はない。でも確かにあの曲はフレデリカのイメージと合うな、今度カバーの許可取りに行ってみるか...」

フレデリカ「あと『おふくろさん』も!」

P「ごめんそれはイメージできない」


早苗「それにしても、今のカラオケってタッチパネル一つでビールまで頼めて便利ね!P君の奢りだし飲み過ぎちゃいそう!」

P「えっ?片桐さんは自分で払って下さいよ」

早苗「ひどい!年上を敬いなさいよー!」

P「....冗談ですよ!美嘉の事面倒見てくれたお礼もしたいですし、片桐さんの分も奢りますよ」

早苗「よっしゃー!じゃあとりあえず生中5本!」

P「ちょっとまてとりあえずで5本って何杯飲む気だアンタ」



716: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 22:58:16.85 ID:s50baoB30

美嘉「日曜日はダメダメよ♪もっと愛を鍛えてね♪...わたしだけをずっと愛してみてよ♪」

   デン!
  98.110点!

周子「すっご!?」

美嘉「へへーん!どんなもんよ!」

フレデリカ「美嘉ちゃん『カラオケバトル』出れるんじゃない?」

P「それいいな、今度企画持ちこんでみるか」


奏「そういえば、皆結構歌ったけどプロデューサーさんは?」

志希「そういえば、プロデューサー一回も歌ってないね」

P「えっ!?いや、俺は歌ヘタクソだしさ......それに折角現役アイドルの生歌聞き放題なんだから聞き専でいるよ」

周子「もー、遠慮しないでPさんも歌いなよ!ヘタクソとか皆気にしないしさ♪そろそろ時間だし、最後に一曲行っちゃいなよ」


そう言って周子がマイクをプロデューサーさんに押し付けるけど、プロデューサーは頑なに受け取ろうとしない


ここは...その気にさせてやる必要があるわね

プロデューサーさん実は結構音楽に詳しいみたいだし、一度本人が歌ってるとこを私も見てみたいわ♪

それじゃあ、貴方の育てたアイドルの演技力、見てもらおうかしら?



717: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 23:00:27.53 ID:s50baoB30

奏「ひどい...」

P「えっ」

奏「みんな、プロデューサーの歌が聞きたいのに....私達じゃ貴女の歌を聞く資格はないのね...」ホロリ

P「いやいや!別にそういうわけじゃないぞ!だから泣くなって!」


奏「じゃあ、歌ってくれる?」

P「えっ!?いや、それは..........」




ふふ、私だって人の心を掴むために色々と研究してるのよ
女の必殺、泣き落としで流石のプロデューサーさんも...








...あれ?

プロデューサー、なんだかいつになく本気で焦ってない?

というより...もしかして、怖がってる?



718: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 23:01:22.01 ID:s50baoB30

早苗「.....はいはーい!かたぎりしゃなえ、シメに『気分爽快』でいきまーしゅ!!!!」

周子「うわびっくりした!急に立ち上がらんといてよ早苗さん...」

美嘉「もう完全に出来上がってるね...」

P「えっ、あっ!どうぞどうぞ片桐さん!」

奏「あっ!もう...」

P「悪いな、また今度」

奏「......まあいいわ、今度はプロデューサーさんも歌ってね」



719: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 23:03:39.91 ID:s50baoB30

~~~~それから1週間後~~~~~~


  =====811プロ事務所=====


P「はい、ウチの城ケ崎を...分かりました!こちらこそよろしくお願いします!」

P「周子、来週フジヤマテレビのクイズ番組に美嘉が出ることになった、ホワイトボードにメモしておいてくれ」

周子「りょーかい。美嘉ちゃん最近引っ張りだこやねぇ」

P「まあなんだかんだで注目されたし、大学受験での逆転劇があの『情熱の夜明け』で取り上げられたからな。」

P「それに受験生の間で空前の美嘉ブームが到来してるらしいぞ?一般受験の受験生たちには美嘉のCDがもっぱら学業向上のお守りみたいになってるらしい」

周子「美嘉ちゃん、ついに学問の神様になっちゃったのかー....」



720: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 23:06:23.70 ID:s50baoB30

周子「それにしてもさー、受験終わってから阿苦都苦出版とかも美嘉ちゃんのデタラメ記事めっきり書かなくなったし、平和になったねぇ」

P「暴れまわってた出版社、割とバッシング貰ったらしいぞ?美嘉の件にしろ、他の事務所の記事にしろやりすぎだって」

P「あと片桐さんからうっすら聞いたんだけど、美嘉の担任もなんか謹慎食らったらしい。なんか美嘉だけじゃなく、他の生徒にもパワハラまがいの事してたんだとか」

周子「へー、因果応報やね」

P「ああ、全くだ!」









P「でも片桐さん、『警告無視したからシメたのよ♪』とか言ってたけど......大丈夫かな?」

周子「......多分それ、あんま詳しく聞かないほうがいい奴だよ」

P「警察官を怒らせると怖いんだな..........」



721: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 23:07:56.15 ID:s50baoB30

周子「まあなんにせよ、一件落着って感じだね。あいつら諦めてくれたみたいでよかったよ」

周子「あいつら受験終わりまで毎日のように美嘉ちゃん相手に勝手な事ばっか書いてたけど、こんなしょーもないネタ引きずるなんてどんだけ暇やったんかな?」







P「.......周子、その疑問は正しい」

周子「えっ?」

P「その通りなんだよ、ゴシップなんて今の世の中山ほどある。でも、今回の美嘉みたいなネタは学生アイドルにはありがちの話で、大して興味を持たれるものじゃない」
 
P「それでも美嘉は知名度があったから多少の反応もあったけど、それもすぐに止んだだろ?」

周子「それは...そうだね。むしろ毎日のように応援メッセ―ジが届くようになってた」

P「あいつらだって暇じゃないんだ、普通こんなネタ長い事引っ張り続けない」

周子「でも、実際あの3つの出版社は美嘉ちゃんのネガキャンし続けたよ?」

P「ああ...写真の共有といい、非常に不自然だ」

周子「んー...どういうことなんやろ?」



722: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 23:10:42.29 ID:s50baoB30

P「それに、美嘉は最初から集中砲火されてたわけじゃなかった。むしろ最初の方は皆に全体的に、特に周子に記者が張り付いてたよな?」

周子「あー...そうだねー。家にも仕事先にも来てたもんね」

P「多分、811プロのイメージを下げれれば誰でもよかったんだ。周子にマークが多かったのはもしかしたら同じアパートに住んでるプロデューサー...俺と一緒に映ってる写真を撮ってネタにするつもりだったのかもしれない」

P「でもウチが少数精鋭なのもあって、なかなか皆隙を見せなくて焦っていたんだろう。実際みんな警戒してたしな」

周子「そこにたまたま美嘉ちゃんを叩けそうなネタが出てきたから、小さくてもそれを引っ張り続けて必死にイメージダウンを狙ったってこと?」

P「まぁ、考えられるとしたらそれくらいだろうな...だがそれでも、やっぱりなんか違和感が残る。人気アイドルを抱えてるとはいえ、業界の中ではコネも資金も小規模のウチをこんなムリのあるやり方で狙い続けた理由もよくわからんし」



周子「.....まっ、どんな理由あれ美嘉ちゃんを傷つけたのは許せないけどね。いつかこの借り、返してやるんだから!」

P「だが気を付けろ。多分この事件、まだ終わっちゃいない」

周子「えっ?」
 
P「出版社には大したメリットもないのに、ここまで無理なリンチを決行したんだ。3つ出版社の裏に、もっとデカい何かが隠れているのは間違いない」

周子「それって所謂、『黒幕』ってやつ?」

P「ああ.......絶対につきとめて、借りは返す」






P(それにしてもこの3つの出版社、確かあの時も....)



723: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 23:12:15.42 ID:s50baoB30

周子「Pさん?」

P「!.......なんだ?」

周子「さっきからずーっと怖い顔してるけど、どしたん?」
 
P「いやなに、出版社にやられたこと思い返すとなんか凄くムカついてきてな」

周子「ふーん....」 

P「それより、仕事に戻るぞ。まだまだ処理できてない案件は山ほどあるんだからな」

周子「はーい」



724: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/04(木) 23:13:10.36 ID:s50baoB30

ようやく、ようやく、尻尾が見えてきた....

待ってろ...俺は必ずお前を見つけだして、そして.....









  この復讐を、やり遂げる...












to be continued.....



728: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 21:44:30.81 ID:pRX6uZGW0

美嘉の受験からまた時は流れて2月

もうコートなしでは外を歩けないくらいの寒さになってきたこの季節。世間は女の子の一大イベント、バレンタインが到来していた

もちろん私達もチョコを作ってプロデューサーに送ったけど、こと811プロにおいて2月14日の一番のイベントはバレンタインではない



では、一番のイベントは?

それは....








フレデリカ「みんなー!ボンジュール!」

    


    パンッ!!



『フレちゃん、誕生日おめでとー!』

フレデリカ「わー!サプライズだー♪」







811プロ一番のムード―メーカー、フレデリカの誕生日よ!



729: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 21:45:08.17 ID:pRX6uZGW0





        Chapter14「How to Make Smile」







730: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 21:47:48.01 ID:pRX6uZGW0

フレデリカ「てなわけで始まりましたー!ぱちぱちー♪」

志希「ぱちぱちー♪」

美嘉「始まったって、何が?」

奏「あら?フレデリカの持ってるそれ、カメラ?」

フレデリカ「探偵フレデリカのしるぶぷれ捜査、誕生日特別篇だよー?今日はパパから借りてきたこのカメラで、皆の笑顔をばっちり撮影するんだー♪」


周子「なるほどー、じゃあ今日の依頼は?」

フレデリカ「今日の依頼は....じゃじゃじゃん!P.N『アタシ猫辞めるよ』さんから!」

美嘉(それフレちゃんじゃ...)


フレデリカ「こんにちはフレちゃん、アタシは今あなたの頭の中に直接語り掛けています」

周子(本人だからね)

フレデリカ「早速ですがアタシは今日誕生日です、なのでとてもウキウキしながら事務所へ行くと早速皆がサプライズでお祝いをしてくれました」
     
「それでアタシは朝一番からとてもハッピーな気分になれたので、今度はアタシが皆をハッピーにしたいです!そこで、811プロ皆をハッピーにする方法を教えてください!おねがいしるぶぷれ!」
     
「『アタシ猫辞めるよ』さん!その依頼、確かにこの名探偵フレちゃんが引き受けた―!」


志希「採用されたP.N『アタシ猫辞めるよ』さんには志希ちゃん印のリラックスできる香水をプレゼント―!」

フレデリカ「やったー!ありがとー志希ちゃん!」

美嘉(やっぱりフレちゃんなんだ...)



731: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 21:50:52.51 ID:pRX6uZGW0

フレデリカ「というわけで、今日のゲストは811プロの皆!名探偵フレちゃんが、皆を笑顔にする魔法を街に探しに行くよー!よろしくねー♪」

周子「よろしくー♪あっ、これプレゼントのしゅーこちゃん特性和菓子詰め合わせセットね、自信作だよー♪」

フレデリカ「ワーオ!早速お宝ゲット~♪じゃあこれは今から皆で食べよっか!」

奏「あら、あなたのプレゼントなのに私達が食べてもいいの?」

フレデリカ「もちろん、だってみんなで食べた方がおいしいもん!というわけで、しゅーこちゃんのダーツ飯出張版!自家製和菓子編だよ!」

周子「ダーツ投げてないけどねー」

フレデリカ「そこで助手のプロデューサー君!」

P「あいよ(全部和菓子と書かれたダーツの的)」

美嘉「プロデューサーさんさっきから喋らないと思ってたらそれ作ってたんだね」

P「急ぎだから手描きだけどな、というわけで周子、いつもの奴よろしく」

周子「はーい、...よっと!」ヒュッ


ストンッ


志希「おー、ナイスBULL!」

周子「どんなもんよ!まぁ、どこ狙っても一緒だけどさ」

フレデリカ「それじゃ、しゅーこちゃんのダーツ飯探偵デリカ出張版、始まるよー!」




『いえーい!』



732: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 21:53:15.82 ID:pRX6uZGW0

フレデリカ「美味しかったねー♪」

奏「ええ、流石和菓子屋の娘ね」

周子「えへへ...皆が喜んでくれたなら何よりだよ」

フレデリカ「てな訳で美味しいおやつで皆ハッピーになったところで、次にいってみよー!」

志希「次はどうするの~?」

フレデリカ「うん!探偵フレデリカ、ゲストの皆といっしょに街へ皆をハッピーにする魔法を探しに出掛けるよー♪」


P「散歩に行くのはいいけど、お前ら人気アイドルなんだからちゃんと変装して行けよ~?騒がれたら撮影どころじゃなくなるぞ?」

フレデリカ「え~!アタシ今眼鏡も帽子もお面も特殊メイクも持ってきてないよー!」



733: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 21:54:23.11 ID:pRX6uZGW0

美嘉「そこであたしの出番だね!というわけで『カリスマ★チェンジ』出張版!はいフレちゃん、プレゼント!」

フレデリカ「わーい!中身はー......わぁ!可愛いワンピースだ!それに帽子と、眼鏡だね!」

美嘉「眼鏡は伊達眼鏡だよー★今週のあたしイチオシコーデなんだー!」
  
美嘉「フレちゃん普段街に出るときも変装とかしないでよく周りにばれてるし、これで普段から少しは隠すように心掛けること!」

フレデリカ「はーい!」


志希「なんか美嘉ちゃんって、あたし達のママみたいだよね♪」

フレデリカ「ママ―!ありがとー!」

美嘉「ちょっ、ちょっと!やめなさい///」


周子「ママ―!あそぼー♪」

奏「ふふふっ!ママは人気ものね♪」

美嘉「もうっ!二人まで!」



734: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 21:58:17.94 ID:pRX6uZGW0

P「んじゃ、行ってらっしゃい」

フレデリカ「んー?プロデューサーも行くんだよ―?」

P「えっ?」


フレデリカ「だって今日のゲストは、811プロ皆だもん!もちろん、プロデューサーもその中に入ってるんだよー♪」

周子「そうだよPさん。ご飯ばっかりじゃなくって、偶には一緒に遊びに行こうよ。この前のカラオケも結局歌って無かったしさ」

P「い、いやいや!変装して行くとはいえ、アイドルとプロデューサーが一緒に遊んでるのすっぱ抜かれたら問題だろ!?特に今はいろいろ警戒しなきゃいけないのに...」

フレデリカ「むー!行くったら行くのー!」

P「駄々こねたってダメなもんはダメ!......ていうかなんだその動き、およそ地球人の動きには見えないんだが」

フレデリカ「昨日見たうえきちゃんのダンスだよー?」

P「うえきちゃんって....えっ?あの商店街の福引でもらったよくわかんないオブジェ?あれ動くの?怖っ....」







奏「......なら、プロデューサーさんも変装すればいいんじゃない?」

P「えっ」



735: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:01:30.83 ID:pRX6uZGW0

奏「美嘉、メイク道具はあるわね?」

美嘉「そりゃもちろんあるけど...成程ね!」

周子「そういえば、ウチの衣装保管庫には色々あったねぇ...」ニヤリ

P「えっ、おい、話が見えないぞ...」

志希「まあまあプロデューサー、折角誕生日なんだしフレちゃんのお願い聞いてあげたくない?」

P「そりゃまあ、叶えられる範囲なら叶えてやりたいが.....」

志希「よし言質取れたよ」ボイレコ

P「しまった!」

周子「この業界で油断しちゃだめだよPさん♪」

P「...だが、結局変装ってどうするんだ?どう変装しようがアイドルが男と仲良く歩いてるのは.....」

奏「簡単よ、プロデューサーさんが私達の担当プロデューサーの『男性』だって分からなくすればいいのよ」






P「......おいまさか!」

フレデリカ「じゃあじゃあここで新コーナー!プロデューサー改造計画の始まりはじまりー!」

P「マ、マジかよ...」 



736: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:04:57.91 ID:pRX6uZGW0

三十分後


美嘉「よしっ、メイクも完成....したけど...」

奏「プロデューサーさん、あなた......」










奏「女装似合うわね」

P「うるさい....絶対似合って無い....」


周子「いやいや、ホント似合ってるって。美嘉ちゃんのメイクが上手いのも相まって、元がPさんって分かんないよこれ」

周子「....いやダメだ、笑えるっ......!」

フレデリカ「まさか!プロデューサーが新しいアイドル!?」

志希「あたし達に後輩ができたねフレちゃん♪」




P「嬉しくねぇ...嬉しくねえし...しかも....」











P(メイド服)「しかも!なんでよりにもよってコレなんだよ!」バァアアアーン!!



737: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:06:40.42 ID:pRX6uZGW0

周子「いや、折角だから一回本物のメイドってやつを見てみたくてさ」

P「だからって俺でやる必要あるか!?」

奏「大丈夫よ、ホントに似合ってるから」

P「こんなので褒められてもうれしくねえよ!むしろ悲しくなるわ!」

P「ちくしょう、またこれを着る羽目になるとは........」

美嘉「また、ってことは前にも来たの?」

P「....保管室のコスプレはな、全部俺の知人がスペースに困って押し付けたものか...もしくは俺に着させるためにわざわざ買ってきたものなんだよ...」

美嘉「あー...メイド服は着せられた方だったんだ...」



738: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:07:29.68 ID:pRX6uZGW0

奏「それとプロデューサーさん、しゃべる時気を付けないと声で男ってばれちゃうかもしれないから気を付けた方がいいわよ」

P「あっ、そうか。それはマズいな」

P「じゃあ...これくらいならどうだ?』ウラゴエ

フレデリカ「わー!女の子の声だ!」

志希「凄い!喉にボイスチェンジャーでも仕込んでるの?」

P『普通にちょっと高い声を出すよう意識してるだけだよ。これくらいなら全然大丈夫だが...マジでこのカッコで行くの?』

フレデリカ「もちろん!新しいアイドルも増えたとこで、調査にしゅっぱーつ!みなのものフレちゃんに続け―!」

『おー!!!!!』

P『おー....』











周子「ところでPさん、その声で『おかえりなさいませご主人様』って言ってみてくれない?」

P『誰がやるか!!』



739: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:08:39.04 ID:pRX6uZGW0

P『うう...やっぱり視線が痛い、恥ずかしい...』

奏「まあ、メイド服で街歩く人なんてそうそういないものね」

美嘉「大丈夫だってプロデューサー、まさか周りの人もまさか女装男子だとは思ってないって!」

P『それはそれで男としてどうなんだ俺....』

周子「んじゃ、まずどこ行こうか?」

美嘉「またカラオケでも行く?」

フレデリカ「んー、皆でカラオケは前に行ったし、折角なら別の場所がいいなー?」



740: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:09:44.36 ID:pRX6uZGW0

奏「じゃあ、映画なんてどうかしら?ちょうど今面白そうと思ってた映画があるのよ」

志希「『シネマ・速水奏』も出張版だねー♪」

フレデリカ「いいねー!じゃあ映画館にいこっか♪」

P『ちなみに、その映画はタイトルは何なんだ?』




奏「『シャークタイフーン』よ」

全員(!?)

P『サメ映画って、かなり地雷な気がするが...大丈夫か?』

奏「大丈夫よ、絶対名作だから!」


美嘉(そういえば事務所に置いてある奏ちゃんのDVD...)

周子(やたらB級ぽいのばっかだったような...いや割と面白かったけど)



741: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:10:23.27 ID:pRX6uZGW0

そして視聴後.....




フレデリカ「なんかすっごく面白かったねー!」

美嘉「うん、なんか予想以上に面白かった...」

周子「サメ映画かと思ったら唐突にミステリになったり恋愛映画っぽくなったりしたけど、ちゃんと最後の最後で全部つながったね......」

志希「あたしでも全然展開読めなくてワクワクした!」

P『挿入歌も流れるシーンといい感じにマッチしてたな...流石映画の為に曲丸ごと書き下ろしただけはある...』

奏「ね?面白かったでしょ?」

周子(なんだかんだ、見る目はあるんだよなぁ...)



742: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:11:31.94 ID:pRX6uZGW0

フレデリカ「そろそろ、おなかすいたーん♪」

周子「おっ、しゅーこちゃんのマネ上手いねフレちゃん♪」

フレデリカ「いつも一緒にいるからね♪」

奏「確かにそろそろお昼時ね。どこかでランチにする?」

フレデリカ「あっ!じゃあまた皆でパーティーしたい!鍋パとかタコパとか!」

志希「じゃあ、『ドクター志希の料理は化学!』も出張版!志希ちゃん式闇鍋パーティー!」

美嘉「闇鍋かぁ、やったことないけど面白そうじゃん!」

周子「じゃあそこのデパートで各自材料買ってここに集合しようか、場所は...」

P『確かこの辺にキッチン付きのフリースペースあったからそこ借りるか』

奏「じゃあ決まりね、皆また後で落ち合いましょう」

全員「了解!」



743: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:12:05.38 ID:pRX6uZGW0

数十分後



志希「ただいまー!あたしで最後かな?」

奏「ええ、みんな揃ってるわよ」

周子「フリースペースの予約はさっきPさんが取ってくれたよ」

フレデリカ「じゃあ皆!いざ決戦の地へ、いくぞー!」

全員「おー!」






奏(それにしても...一応闇鍋とはいえみんなお鍋の具を買いに行ったはずなのに)

美嘉(見事に皆違う方向に歩いてったな...結局一度も鉢合わせなかったし...大丈夫だよね?)



744: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:13:33.48 ID:pRX6uZGW0

志希「それじゃあ電気消して...ケミカルショーの始まり始まり―!」

P『じゃあ始めるぞ。各自自分がつかんだものは必ず自分で食べきる事!総員、食材投入!』



ポチャボチャポチャンピチュンズドンボチャアン!!


美嘉「....なんか今変な音なかった?」

周子「気のせい気のせい。じゃあ皆ー、一つずつ何か掴んでって」


P『じゃあ俺から...よっと、割と大きいな』

奏「次は私ね...何かしっとりしてる様な...」

美嘉「んじゃあたしもー...なんかちっちゃいの掴んだ...ていうか豆じゃないこれ?」

フレデリカ「次アタシ―!...なんかぷりぷりしてる!」

志希「あたしも行くよー!...んー?なんか軽いねー?」

周子「んじゃ最後はあたしだねー...おっ、これはアタリっぽい感触!」

P『全員とったな...よし、明かり着けるぞ』



745: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:14:49.80 ID:pRX6uZGW0

美嘉「気になるお鍋の中身は....!?」

美嘉「ちょっ!出汁の色やばくない!?」

P『どれどれ....!?おいなんだこの色!真っ赤な何かと小豆色のなにかでワケわからん事になってんじゃねえか!』

周子「小豆色ってかあたしの入れた餡子だよそれ」

志希「赤いのはあたしのタバスコだねー」

P『二つとも何でいれた!?』

志希「好きだから♪」

周子「意外とぜんざいみたいになって美味しいかもしれんやん?」

奏「鍋の色もアレだけど...お椀の中は....」



P→大根

奏→饅頭

美嘉→小豆

フレデリカ→カニ

志希→マカロン

周子→厚切り肉



美嘉「いやお鍋っぽくないの一杯あるんだけど!?」



746: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:16:28.13 ID:pRX6uZGW0

P『大根は美嘉だな、一番良識あるチョイスだし』

美嘉「おっ、プロデューサー正解★....ていうか、皆が変なもの選びすぎなんじゃない!?」

奏「私のお饅頭は...周子?」

P『いや、それは俺だ』

美嘉「プロデューサーはまともだと思ったのに!」

P「すまん....なんか目についたから食べたくなって....」

フレデリカ「プロデューサーってお饅頭好きだよね。事務所によく置いてあるし」

P『毎回ちゃんと隠してるはずなのになんでお前ら見つけられるの...そしてなんで俺の分まで勝手に食べるの....』



747: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:18:22.92 ID:pRX6uZGW0

周子「フレちゃんのもってるカニはあたしがいれた奴だね」

フレデリカ「アタシのはマカロンだよー♪」

志希「このマカロンフレちゃんのかー。ちなみにあたしはー...周子ちゃんの持ってるお肉でーす!」

周子「やったー、しゅーこちゃん大当たり―♪」

美嘉「あたしの掴んだ豆は周子ちゃんの入れた餡子の小豆か...なんか悲しくなる大きさ...」

奏「私のは誰も取らなかったのね...残念」



P『奏の入れたのは...なんだこの赤いの?』

奏「ザクロよ」

美嘉「奏ちゃんもそっち(変なもの)側かー...」



748: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:19:42.64 ID:pRX6uZGW0

周子「それじゃ実食ターイム!皆自分の掴んだものはちゃんと食べる事!」

P『まあ俺は無難なものだから大丈夫だろ...』パクッ



P『....!!!!??!???』

美嘉「ど、どうしたのプロデューサーさん!?」

P「ぢゃいきょんに、でゃいこんにめっちゃタバスコ染み込んでてぇ!カライイイイイイ!!!!」

志希「声戻っちゃったね」

P「こんなの、声変えてる余裕...!水!」

奏「私も...!!!」
 
奏「水!!」

フレデリカ「お饅頭にも染み込んじゃったんだねー」

美嘉「あたしは...うん、小豆一粒だし大したことないね。逆に良かったかも....」

志希「あたしはタバスコ平気だけど、マカロンふやけててびみょー...」

フレデリカ「アタシのカニは....ちょっと辛い、てか辛すぎ!お水ちょーだい!」

周子「そんな中しゅーこちゃんは大勝利するのであった。お肉だからタバスコの辛味もいい感じのアクセントになってるだろうしね」パクッ
  


周子「.....いやダメだこれ、餡子の味が邪魔だわ」

美嘉「自爆してんじゃん...」



749: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:21:21.06 ID:pRX6uZGW0

P『どうすんだよこれ、もう出汁の時点で崩壊しててこの先なに入ってもダメだぞこれ...』

志希「んー、ちょっと待って。この味なら...これとこれを調合して....」

志希「よしっ、プロデューサー食べてみてー」

P『えー...じゃあ奏のザクロを一つ...』パクッ


P『....美味い、だと!?』

志希「へへーん!ドクター志希のケミカルテクニック!出汁の味がいい感じに中和されてるでしょ?」

周子「....ホントだ、お肉美味しくなってる!」

フレデリカ「凄い!志希ちゃんお料理博士だね!」

奏「ええ、これでちゃんと食べられるわ。お手柄ね志希」

美嘉「元凶のタバスコをいれたのも志希ちゃんなんだけどね....」

志希「マッチポンプなんてこの業界じゃよくあることだよ♪よくヤラセ企画とかあるでしょ?」

P『そう言うのとはまた違うと思うんだが...』



750: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:22:35.35 ID:pRX6uZGW0

その後も...

フレデリカ「いっけー!フォンダン・オ・ショコラ!」


ゴロゴロゴロ......カラコーン!


志希「おー!フレちゃんナイスストライク!」


私達はいろんな場所へ行き....

奏「くっ、さっき見たあの技が出れば....」

P『甘いぞ奏』ショーリューケン!

奏「嘘っ、完封負け!?」KO!


皆で色んな遊びをして....

周子「...よっと!」

美嘉「あちゃー、先に落とされちゃった。周子ちゃんビリヤードも上手いんだね!」

周子「美嘉ちゃんも初めてなのに凄いよ、ちょっとやばいと思っちゃった」


そして....



751: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:23:12.78 ID:pRX6uZGW0

======811プロ事務所======



美嘉「いやー遊んだねー!もうこんな時間だよ」

フレデリカ「うん!皆の笑顔、一杯撮れたよ!」

志希「撮れ高すごかったねー!これは最高視聴率間違いなし!」

P「地上波公開されないから...てかさせないから....」

周子「あれ、着替えちゃったのかPさん」

奏「もったいないわね、もっと着ててもよかったのに」

P「勘弁してくれ...」



752: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:26:38.83 ID:pRX6uZGW0

P「.....あっ!そういえば俺からのプレゼントまだ渡してなかったな」

奏「私もね、じゃあ一緒に渡しましょうか」

フレデリカ「やったー!楽しみー♪」



P「俺からはこれだ」

フレデリカ「どれどれ...これって、ワイン?」

P「ああ、今日でフレデリカも二十歳だろ?折角飲めるようになったんならと思って知り合いに良いワインを見繕ってもらったんだ」

奏「あら、じゃあちょうど良かったわね。」

奏「どうぞフレデリカ、私のプレゼントはワイングラスよ。ちゃんと赤用と白用両方あるわ」

フレデリカ「わーい!二人ともありがとー!」

周子「これでフレちゃんも、大人の仲間入りだねー」

P「周子はまた来年な」



753: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:27:38.19 ID:pRX6uZGW0

P「んじゃ皆、今日はもう遅いし早い所帰りなさい。最近この辺不審者の情報も多いし気を付けて帰るんだぞ」

フレデリカ「.....まってプロデューサー。アタシちょっと残ってもいい?」

P「いいけど...何でだ?」

フレデリカ「折角お酒飲めるようになったし、一度プロデューサーと一緒に飲んでみたいかなーって」

奏「あら、良かったじゃないプロデューサーさん、美人から夜のお誘いよ」

周子「勿論断らないよねー?こんな美人と飲める機会、そうそうないよ?」

P「茶化すなって....まあ、いいぞ。でもあんまり遅くならない様にな?」

フレデリカ「やったー!」


美嘉「じゃああたしたちは飲めないし、そろそろ解散しよっか★」

志希「えー、あたしまだまだ遊びたいー!」

美嘉「ダメだよ、JKが遅い時間まで外に出てたら補導されちゃうよ。それに今何かと危ないでしょ?」

志希「ちえー、分かったよママ」

美嘉「ママ言わない!」

奏「じゃあフレデリカ、プロデューサーさん、また明日ね」

周子「ばいばーい」

フレデリカ「ばいばーい!また明日―!」



754: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:29:49.43 ID:pRX6uZGW0

皆が家に帰った後、贈ったワインを抜染し、二つのグラスに注ぐ

自分で贈った物を自分で飲んでもいいのかと躊躇ったが、フレデリカ曰く美味しいものはみんなで分けてこそらしいので、お言葉に甘えて俺も飲むことにした



P「さてと、それじゃあ二十歳の誕生日おめでとう。乾杯」

フレデリカ「乾杯!」

フレデリカ「ゴクゴク....美味しい!」

P「それなら良かった」





P「......いつもありがとなフレデリカ。」

フレデリカ「んー?」

P「テキトーな様にみえて、いつもみんなのフォローしてくれてるだろ?お前のその向日葵みたいな笑顔に、みんな元気貰ってるよ」



755: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:31:37.99 ID:pRX6uZGW0

フレデリカ「そうなの?アタシが皆を元気にできてるなら嬉しいなー♪」

P「ああ、もちろん俺もお前に元気を貰ってる一人だ。ありがとな」

フレデリカ「えへへー!どういたしまして♪」



P「......そういえば、もうそろそろ短大も卒業だよな?ファッションデザインを学んでるって聞いたけど、卒業したらどうするんだ?」

フレデリカ「とりあえずはアイドルを続けつつ、まだまだデザインも勉強する!アタシ、いつか自分のブランド立ち上げるのが夢だから!」

P「そうか、なら俺もその夢に役立てるような仕事を取ってこれるよう頑張るよ。ファッションコンテスト的なやつとか」

フレデリカ「ホント!?ありがとうプロデューサー!」

P「それにしても、ファッションデザイナーか...」



ふと、興味を持った
いつもフリーダムスタイルなフレデリカは、一体何故ブランドを立ち上げる夢を持ったのか



P「そういえば、フレデリカはなんでデザインを学ぼうと思ったんだ?」


ただ純粋な、興味だった


だが、その質問をした瞬間、フレデリカの手が少し固まって、一瞬何かを考えこんだように見えた

...もしかして、聞いちゃいけない事だったか?



756: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/05(金) 22:33:09.45 ID:pRX6uZGW0

しかし一瞬の間のあと、そんな心配とは裏腹にフレデリカは笑顔で口を開いた



フレデリカ「アタシねー?むかーしむかしパリにいた頃は大人しい子だったんだよ?」

P「そう、なのか?」


正直、想像できない
大人しいフレデリカとか、それはもはやフレデリカがモデルのただのフランス人形なんじゃないだろうか?








フレデリカ「聞きたい?」

P「えっ?」

フレデリカ「ではではー!パリジェンヌ昔話、『宮本さんちのフレちゃん』のはじまりはじまりー♪」

P「まだ何も言ってないんだが......まあいいか」

興味あるし.....な







to be continued...



760: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:24:57.49 ID:eupCA+er0

むかしむかし、あるパリにフレちゃんのパパとママがいました


仕事でパリに来ていた日本人のパパとフランスの出身のママは出会ってすぐに一目惚れをしました

すぐにママとパパは結婚しようと思いましたが、ママのパパ、フレちゃんのおじいちゃんはそれを許してくれませんでした

ママのお家はフランスで有名なお家だったから、テイサイ?とかなんか色々あったんだって



それで結婚を認められず落ち込むママでしたが、パパはそんなママに『何があっても俺が守るから一緒に暮らそう!』とプロポーズしました
パパかっこいー!

そんなパパのプロポーズを受けたママはますますパパにメロメロになっちゃって、ママとパパは一緒に駆け落ちするのでした



そして駆け落ちした先で、二人の間に可愛い女の子が生まれました♪

そしてママとパパは生まれた赤ちゃんに

ママ&パパ「「桃から生まれたから桃デリカ、略してフレデリカ!」」
と名付けました♪



P(どこを略したって言うんだ.....?)



761: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:25:57.60 ID:eupCA+er0

ママとパパはフレちゃんを大事に大事に育てながら、3人で幸せな時間を過ごしていました

その時のアタシは今と違ってあんまりおしゃべりしない大人しい子だったけど、今と同じでママとパパのことが大好きなキュートな女の子だったんだ!







でもフレちゃん5歳になったころ、とうとうおじいちゃんにお家が見つかっちゃいました



762: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:27:02.14 ID:eupCA+er0

ちろんママとおじいちゃんは大ゲンカ!
パパも仲を取り持とうとしたんだけど、おじいちゃんは聞く耳を持ってくれなかったの

結局、ママとおじいちゃんは

『絶縁だー!!!!』

ってなっちゃったの




アタシおじいちゃんにはそれまで会ったこと無くて、その時のアタシにとっては全然知らない人だったんだけどね

なんでかな、おじいちゃんがママを怒る事だけじゃなくて、ママがおじいちゃんに悪口を言うのも、なんかすごく悲しかったんだ





そんなこんなで、ママはもうおじいちゃんのいるフランスには居たくないって思ったんだって

だから宮本さんちは家族みんなでパパの故郷、日本へと渡ったんだー



763: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:28:17.61 ID:eupCA+er0

でも、日本へ渡っても暫くはまだ今みたいな明るい性格ではなかったの
幼稚園の間はまだまだ日本にも馴れてなかったし、色々不安で大人しくしてた...っていうより、ちょっとおどおどしてたかな?


だからかな?フレちゃん、クラスの皆にちょっとだけ避けられてたの
やっぱこっちだとアタシのフランス製の金髪とかおめめとか珍しかったからかな?
それに、パリにいた時からお父さんにちょっとずつ教えてもらってたけど、あの時はまだ日本語でしゃべるのにも馴れてなかったしね



だから、幼稚園ではやっぱりちょっと....寂しかったなぁ



764: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:29:01.50 ID:eupCA+er0

そして、幼稚園を卒園する時だったかなぁ

ママが、アタシに謝ってきたの

『ママの...フランスの見た目のせいでフレちゃんに苦労させて...ごめんね...』って

アタシ、その時本当に悲しかった

幼稚園でアタシに友達が出来なかった事なんかより、ママが辛そうにしてるのが....本当に悲しかった

でも、その時のアタシはまだママをどう慰めればいいか分からなくて。
ただ、『泣かないで』って言う事しかできなかったの....





そんなこんなでもやもやした気分を抱えたまま、アタシは小学生になったの



765: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:32:52.71 ID:eupCA+er0

小学生になってからは日本語で話すのにも馴れてきて、ちょっとずつ友達が作れるように頑張り始めたんだ

避けられない為に嘘の自分を被って、大人しい子じゃなくて、親しみやすい元気な子って思ってもらえるようにね

でも、最初はみんなアタシの事珍しがって話かけてくれるけど、やっぱり急に人と話すのが上手くなるわけじゃなくってさ

結局、段々皆離れていっちゃったんだよね....



766: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:34:30.54 ID:eupCA+er0

そんな感じで毎日を過ごしていた時ね、クラスの男の子が二人がケンカを始めちゃったの

そしたらその二人の友達もそれぞれ喧嘩しだして、大ゲンカになっちゃったんだ

あまりにも大きなケンカだったから、皆止めに入れなくってね

クラスの子が一人先生を呼びに行ったんだけど、向こうでもなんかトラブってたみたいで先生が来るのに時間かかっちゃってたんだ



だから長い間喧嘩が続いちゃってたんだけど、アタシ段々その空気に耐えられなくなっちゃってね


アタシ、別に喧嘩してた子達と特別仲が良かったわけじゃないの

でもなんていうか、周りがどんどん重い空気になる度に、アタシどんどん悲しくなってきて
まるで、ママとおじいちゃんが喧嘩してた時みたいだった...






だから、考えるより先に体が動いちゃったんだ



767: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:35:29.79 ID:eupCA+er0

ケンカを止めようとして、ケンカしてた子達の中に割って入ったんだ

急にアタシが出てきたからケンカしてた子もみんなびっくりして固まっちゃったんだけど、アタシも頭真っ白で飛び込んだからテンパっちゃって

でも、何か言わないととは思ってさ、パニクった頭でなんとか言葉を絞り出したんだけど、その時の言葉がね








幼フレ『はろはろー!そんなキミたちにさわやかパリジェンヌのフレちゃんはいかがー?』


もう、我ながらいろいろ無理があったよねー♪



768: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:38:08.74 ID:eupCA+er0

でも、そんなアタシの無茶振りにケンカしてた子達がツッコミを入れてくれてさ!

そしてアタシも必死にツッコミに対して頑張ってボケ倒してたら、いつの間にか皆が笑顔になっていってたんだよね♪

それを見たら、あたしもすっごく嬉しくなってきてさ.....


その時、やっと気付いたんだ

アタシはたとえどんな人でも辛そうにしてる人を見るのは嫌なんだって
自分だけじゃなくて、皆で笑いあえることが大好きなんだって!

アタシと関わった人が皆ハッピーになってくれれば、アタシすっごくハッピーになれるんだって!
そして、ママがアタシを可愛く産んで育ててくれたからからこそ、アタシは皆をハッピーにできたんだって!




だからアタシは、沢山の人を笑顔にできる、そんなパリジェンヌになりたいって思ったんだ


そしていつか、パリにいるおじいちゃんもアタシが笑顔にしたい。そう心から思ったの!



769: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:39:32.14 ID:eupCA+er0

P「良い話だな...」

フレデリカ「でしょでしょー!これがアタシのルーツなんだ♪」

フレデリカ「沢山の人を笑顔にしたい、いつだってそう思ってるから、あの日プロデューサーの名刺を拾った時、これはチャンス!って思ったんだよねー♪もしかしたらアイドル続けてる内にパリでLIVEとかやることになって、おじいちゃんも笑顔にできるかもしれないし!」


P「成程...だが、結局なんでファッションデザイナーを志したんだ?」

フレデリカ「それはねー....」



770: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:41:08.40 ID:eupCA+er0

そんな感じで将来の目標をゲットしたフレちゃんだったんだけど、その目標をかなえるためにはまず最初に笑顔にしなきゃいけない人がいたの

そう、ママだね!


ママは前にアタシがおフランスな見た目のせいで避けられてるのを悲しんでたから、どうにかしてその悲しみを取り除いてあげたかった

それでどうすればいいかなーって考えてるときにね。あの一件以降仲良くなった友達の一人がお絵かきをしていたの


その子はね、自分がおしゃれな服を着る絵を描いてたんだー
なんか、寝てるときに色んなおしゃれを楽しむ夢を見たから、それを忘れないように絵に描き起こしてたんだって


それを見てアタシはひらめいたの!ママを喜ばせる方法を!



771: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:43:00.29 ID:eupCA+er0

家に帰ったアタシはクレヨンと自由帳を取り出して、自由帳いっぱいにアタシが色んなおしゃれな服を着てる絵を描いて、それをママに見せて言ったんだ!

幼フレ『ママがかわいくうんでそだててくれたから、フレちゃんこんなにおしゃれさんになれましたー♪

幼フレ『さらにさらに~!おしゃれなフレちゃんはそのおしゃれさでともだちいっぱいつくれたよー!』ってね!


そしたらママ泣き出しちゃって!
でも、泣きながらすっごく良い笑顔で笑って!

『ありがとう』とか、『愛してる』って何度も言ってくれたんだ!




そしたらアタシもうれしい気持ちでいっぱいいっぱいになっちゃって!アタシも泣き出しちゃった♪



あの時、アタシは初めて嬉しすぎると涙が出るって事を知って、嬉しくて出る涙、は悲しい涙と違ってとってもあったかくなるって分かったんだー!



772: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:45:19.27 ID:eupCA+er0

フレデリカ「そんな感じでその後もおしゃれな自分を描いてる内に、段々ハマってきて、いつかファッションデザイナーになって自分のブランドを持つ夢を持ったんだ♪」

P「そうだったのか.....」

フレデリカ「いつも元気なフレちゃんもさー、最初は嘘で作った自分だったの。でも、あの時に自分は地味で大人しいホンネより、元気で楽しいウソの方が好きだって分かったの。だから...この楽しいウソの方を、本当にしたいなって思ったんだ」


P「地味な真実より楽しい嘘を...か」

P「そうだな、その方がきっと....正しいんだろうな...」



773: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:46:43.06 ID:eupCA+er0

P「...おっと、ワインも後一杯くらいで無くなるな...ほい、最後の一杯注いでやるよ」



ボトルの口をフレデリカに向ける
するとフレデリカもグラスを寄せてきたので、最後の一杯をグラスに注いだ

フレデリカ「ありがとープロデューサー!」

P「もう大分遅いし、これ飲んだら帰るんだぞ」





そう言うと、フレデリカは少しグラスの中身に口をつけ、グラスを置き

一呼吸おいて、口を開いた



フレデリカ「じゃあさ、アタシも昔話したんだし帰る前にプロデューサーにも質問していい?」

P「質問?...いいけど、何を聞きたいんだ?」



774: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:47:16.99 ID:eupCA+er0





「プロデューサーは、どうしたら心から笑ってくれるの?」








775: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:47:48.72 ID:eupCA+er0





Chapter15 「How can you see your smile?」







776: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:49:47.78 ID:eupCA+er0

P「ッ!」

フレデリカ「アタシ、皆がハッピーなのが一番だからさ。プロデューサーが心の底から笑えて無いのを見るといつも悲しくなるんだよ。だから皆で遊びに出掛けたり、お酒一緒に飲んでお話ししたり、色々試したんだけど、ダメだったねー」

P「そんな事...俺はいつもお前たちのおかげで毎日楽しめてるよ」

フレデリカ「アタシ、地味なホントより楽しいウソの方が好きだけど、楽しくないウソは嫌いだな」

P「......」



フレデリカ「でも、どうしても話したくないんだよね?なら、いいや。アタシもプロデューサーが辛い思いしてまで聞きたいと思わないから」

P「...すまない」

フレデリカ「ううん、大丈夫。だけど...アタシ達みんな、本当にプロデューサーに感謝してるし、みんなプロデューサーの事大好きなの。プロデューサーが辛いのは皆イヤなの」
     

フレデリカ「だから...待ってるね」



777: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:52:20.97 ID:eupCA+er0

フレデリカ「てなわけでまた明日ー、バイバイ」



いつもより少し暗めに挨拶を残して、フレデリカは事務所から出ていった


後には孤独と、静寂だけが残る




P「....コーヒーでも飲むか」



そうか、志希の時もそうだったもんな

フレデリカはあれでいて人の内心見抜くのがとても上手い
だからこそ、俺の心も見抜かれていたのか



778: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 21:57:45.24 ID:eupCA+er0

でも、ごめんな
俺はもう止まれないんだ


真実で苦しむ暗いなら楽しいウソをとる。フレデリカのその考えは、本当に良いものだと思う

でも....俺はそれが選べない。例えどれだけ苦しもうとも、俺が今やっていることが、どうしようもない間違いだと分かっていても
俺は、腐った『真実』を追い求めずにはいられない


例え、お前たちを自分の目的の為に利用して、使い捨てることになったとしても
俺は、納得できる『真実』を手に入れなければならないんだ...!



779: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/06(土) 22:01:05.29 ID:eupCA+er0

ふと空を見上げると、月が出ていない事に気づいた
どうやら今夜は新月らしい


P「夜空に月がないのは、虚しいもんだな...」

















 
P「なぁ、お前もそう思うだろ?」




コーヒーから香る思い出に語りかける

今日も、返事は無い




P「ああ、俺本当に、プロデューサー失格だなぁ...」
 
謝ったとこで許されないのは分かっている
だが、言わずにはいられなかった








P「ごめん、ごめんなぁ。みんな........」


to be continued....



782: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 20:59:44.24 ID:8V9RddM30

フレデリカ「というわけで、『プロデューサーベロンベロンでげろっちゃえ作戦』は残念ながら失敗しちゃいました...無念!」

周子「んー...早苗さんとか青木さんに連れまわされてたって言ってたし、なんだかんだ肝臓鍛えられてたのかな?」

奏「待って、その作戦初耳なんだけど」

美嘉「あたしも...」

志希「言ってくれたら前に使った自白剤渡したのにー」

美嘉「ダメだよ!?」



783: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:00:12.02 ID:8V9RddM30





      Chapter16 「What identity of the shadow?」







784: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:02:12.76 ID:8V9RddM30

夜も更け、そろそろベッドに入ろうかと考えた所、スマホが周子からのコールを告げた

あの周子が『緊急!』なんて言って集合をかけるから、一体何事かと思ったのだけど...


奏「成程、プロデューサーさんを酒盛りに誘ったのは、そんな理由があったのね...」

志希「ていうか、もしかして周子ちゃんとフレちゃん一緒にいる?」

フレデリカ「うん!今日アタシしゅーこちゃんのお家にお泊りなんだー♪」

周子「あたしも気になってたからねー、Pさんがあたしたちに何を隠してるのか。もしかしたらフレちゃんとの酒盛りで何かゲロってるかもなーって思って、飲みが終わった後フレちゃんにウチまで来てもらえるよう頼んだんだ」



785: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:04:03.38 ID:8V9RddM30

美嘉「プロデューサーの、隠し事?」

周子「そそ。いい加減気になってきたやん?あの人嘘つくのヘタだから、何かあるってのはなんとなく分かるんやけど...何なんやろうね?」

志希「まあフレちゃんの質問に対する反応的に、何か隠しているのは確定していいんじゃないかにゃー?」


プロデューサーさんが私たちに何か隠しているというのは私も感じてはいた
プロデューサーさんは時々、露骨に話を逸らす時があるから


特に....



奏「あの人はいつも自分自身の事を話したがらない...」



もしかしたら私達...プロデューサーさんの事を知っているようで、実は何も知れていないのかしら?



787: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:06:16.91 ID:8V9RddM30

美嘉「そういえば...まだあたしが移籍する前の時から感じてたことがあるんだけど」

奏「感じてた事?」

美嘉「プロデューサーって811プロを立ててからまだそんなに時間が立ってないはずなのに、なんか妙に業界に詳しいって言うか、現場に馴れ過ぎてる様な感じがするんだよね」

美嘉「だから前からプロデューサーをやってたのかなって思ってたんだけど....」

周子「でも、Pさん前に担当するのはあたしが初めてって言ってたよ?」

美嘉「そうなの?」

周子「まあPさんが嘘ついてなければやけど...わざわざそんな嘘をつく理由あるかなぁ?」



なぜプロデューサーになったのか、なぜ自らプロダクションを立てたのか
なぜトレーナーさんと知り合ったのか、どうして警察官である早苗さんと知り合ったのか
プロデューサーになる前は一体何をしていたのか...

思い返してみれば、私達はプロデューサーさんの過去を何も知らない事に気づいていく





でも...
私は何か、それに繋がる手がかりを持っていたような...?



788: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:12:07.67 ID:8V9RddM30

美嘉「...っていけない、もうこんな時間じゃん!あたし明日8時からお仕事なのに!」

美嘉「てなわけでゴメン!あたし落ちるね!」

周子「えっ...うわホントだ!もう2時回ってるじゃん!」
  
周子「しゅーこちゃんも明日は午前中からデュアルフルムーンでオーディションあるからお休みしまーす。また明日ー」

フレデリカ「じゃあアタシも寝るねー、ばいばーい!」

奏「あら、じゃあお開きにしましょうか」

志希「あたしも今日は遊び疲れたから寝るー、お休みー」


全員が通話を切ったのを確認し、私も明日に備えるためベッドに入り目を閉じる



プロデューサーさん、きっと気のせいじゃないわよね?

貴方に信頼してもらえてない気がするのは...


ねえ、もし私達がトップアイドルになれるほどの魅力的な女になれたら、貴方は自分の事を全部話してくれる?

そうだとしたら....俄然、燃えてくるけど


プロデューサーさん....いつか貴方に誓った復讐は、必ず果たしたい。でも......



それを果たすとき時貴方は、ちゃんと私達の姿を見てくれるのかしら?



789: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:12:39.31 ID:8V9RddM30

~~~~~~深夜、某芸能事務所前~~~~~~


怪しい男「.......」ニヤリ

ゴソゴソ.........











警備員「おい!誰だお前!」

怪しい男「!!」



790: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:15:30.08 ID:8V9RddM30

次の日、私と周子の二人、デュアルフルムーンである大型番組のオーディションに挑んだ

毎年この時期に恒例で行われるこの番組は毎回大きな視聴率をたたき出す超人気番組
その分倍率はとても高く、私達の他にも多くの事務所が人気のアイドルを参加させていた

その中にはもちろん、010プロイチオシのアイドルユニットで、私達の良きライバルであるトライアドプリムスも



そんな大一番だからか、今日はプロデューサーさんもサポートの為オーディションに付き添ってくれた

プロデューサーさんが見に来ているのなら、無様なところは見せられないわね
そう周子と意気込み、今の私達の出せる全力でオーディションに挑んだ

そして、そんなアイドル業界の猛者が入り乱れた激しい戦いの結果は....







P「嘘、だろ....?」



1位 トライアドプリムス  ★×45 010プロ

2位 デュアルフルムーン  ★×0  811プロ

2位 NO TITLE   ★×0 WESTプロ

2位 Venus      ★×0  369プロ

2位 NightJuels ★×0  456プロ

2位 キングダムガールズ  ★×0  891プロ

             ・
             ・
             ・
             ・
             ・



圧倒的な力を持って作られた、焼け野原が残るのみだった



791: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:17:30.13 ID:8V9RddM30

周子「こりゃあ完敗、だね...」

奏「ごめんなさいプロデューサーさん、折角見に来てくれたのに...」

P「いや、謝らなくていい。お前らは今回ちゃんと全力を出し切れていた、だが...」


それ以上に、今日のトライアドプリムスは圧倒的だった

私たちだけじゃない、全ての参加者が非常に高いレベルのパフォーマンスを発揮していた

でも...



P「トライアドプリムスは、それを寄せ付けないほど完成されたパフォーマンスだった...」
 
P「正直、次元が違う、そう感じさせられるほどのオーラだった.....だがまさか、全ての星をかっさらっていくとは....」

周子「トラプリの皆、最後に戦った時とは比べ物にならない技術力だったよ」

P「二人とも、あまり気を落とさずに....」

周子「大丈夫、今回はちゃんと自分を出し切っての敗北だから悔いはないよ、次勝てるように頑張るだけ」
  
周子「...ごめん嘘、やっぱりちょっと...ううん、ちょー悔しい。トラプリの皆、一体今回の為にどれだけの練習を積み重ねてきたんやろ...」

奏「それはもう、想像なんてできない程でしょうね」
 
奏「でも...」

P「でも?」

奏「審査中、ちらっとトラプリの方を見た時にね...」



792: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:18:59.92 ID:8V9RddM30

その時、オーディション会場の扉が開き中からトライアドプリムスの3人が出てきた
おそらく番組の打ち合わせが終わったのだろう
彼女たちのプロデューサーらしき人も一緒だ



周子「みんなお疲れさま。今日は完敗だったよ」

トラプリP「君たちは...デュアルフルムーンのお二人ですね。お疲れさまです」

凛「どうだった?今日の私達は」

奏「とても美しかった、正直格の違いを感じさせられたわ...」

凛「そっか、なら良かった」

加蓮「あんだけのレッスン、こなした甲斐あったね」

トラプリP「だがお前ら、いい加減オーバーワーク気味じゃないか?言えば少しは休息を入れてやるが...」

加蓮「ううん、今はあたし達が頑張らなきゃいけない時期でしょ?」
  
加蓮「...010プロダクションの為にも」






...?
プロダクションの為?



793: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:20:35.15 ID:8V9RddM30

トラプリP「いいや、だとしてもだ。お前らに倒れられたらその方がマズイ。やっぱり、今回の番組が終わったらしばらく休みを入れさせてもらう。これからの為にも一旦しっかり体力を回復しておくんだ」

トラプリP「.......それに、これからもっと忙しくなるだろうしな」

加蓮「でも!」

凛「加蓮、ここはプロデューサーのいうこと聞いておこうよ」

奈緒「そうだぞ!ただでさえここ最近加蓮は無茶し過ぎなんだから!」

加蓮「....分かったよ」


トラプリP「じゃあお前ら、下に送迎待たせてるから先に戻っててくれ。俺はまだスタッフと打ち合わせがあるから」

凛「分かった、じゃあまた後でね」

周子「またね皆、次は負けないよ!」

奈緒「こっちこそ!次も勝つからな!それじゃあ...」



加蓮「ちょっと待って」


凛「加蓮?」



794: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:21:49.38 ID:8V9RddM30

加蓮「ねえ奏、周子、聞かせてほしいんだけど」

奏「聞かせてほしいって...」

周子「何を?」


加蓮「....二人はあの噂、どう思ってる?」

奏「噂って...一体何の?」

加蓮「知らない?あたし達010プロが...」

トラプリP「加蓮!」

加蓮「っ!」

トラプリP「それを聞いたら、答えが何にしろ困らせるだけだろう」

加蓮「それは...」



795: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:23:31.57 ID:8V9RddM30

周子「...なんかよーわからんけど、今日の加蓮ちゃん達は凄かったよ」

奏「ええ、今日の貴方たちを見れば、貴方たちがとても素晴らしいアイドルであることはちゃんと分かるから」
 
奏「だから...折角オーディションに完全勝利したんだから、もっと楽しそうな顔を見せてほしいわ」

加蓮「えっ?」 

奏「一緒にオーディション受けたんだから分かるわよ...今日の貴方たちのパフォーマンスは本当に凄かった」
 
奏「でも...ちょっとだけ、辛そうに見えたから」

トラプリP(...この子達、気づいてたのか...)





加蓮「...ありがとう」

奏「いいのよ、でも次は負けないから。覚悟してなさい」

加蓮「ふふっ、望むところだよ!」
  
加蓮「.....って、なんか緊張解けたらどっと疲れが...」

奈緒「加蓮!?...あっつ!お前熱高いぞ!?」

凛「やっぱ無理してたんだね...プロデューサー」

トラプリP「ああ、事務所には連絡しておくから先に病院へ連れてってやってくれ」

加蓮「あはは...ごめんねプロデューサー」

トラプリP「いいってことよ、それじゃお前ら、また後でな」

周子「ばいばーい」



796: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:25:21.82 ID:8V9RddM30

P「ああそうだ、トラプリのプロデューサーさん、この後少しお時間あります?ちょっと話したいことがあるんですけど」

トラプリP「えっ?まあ打ち合わせまでまだ時間は........成程、分かりました。では」



奏「何を話すの?」

P「えっ!?...ああ、お前らは先に事務所に戻っててくれ。」

奏「何を話すのかって聞いてるんだけど?」

P「ちょっと大人の話だよ、お前らにゃまだ早い」


奏「...また、隠し事?」

P「別に、そういうわけじゃ........」

奏「答えて」



マチカドニソノメロディ♪

P「電話?」

奏「私のね、こんな時に一体誰から...!!」

P「どうした?」

奏「いえ、間違い電話だったみたい。切れちゃったわ。それよりもプロデューサー...」



797: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:26:38.72 ID:8V9RddM30

周子「まあまあ!なんか聞いちゃいけない話みたいだし見逃してあげよ?」

奏「....周子がそう言うなら、しょうがないわね」


周子「んじゃ帰ろっか、早く事務所戻ってPさんの分のおやつも食べちゃお?」

奏「あら、いいわね」

P「いやよくないぞ」

周子「いいでしょ?手打ち金替わりって事で」

P「えぇ...分かったよ」

周子「やった!じゃあお先―」

奏「また後でね、プロデューサー」

P「おう、またな。......それじゃあトラプリPさん」

トラプリP「ええ、こんな廊下で立ち話もなんですしあちらで...」



798: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:29:05.94 ID:8V9RddM30

P『まずは今回のオーディション合格おめでとうございます。あの気迫、やはり...』

トラプリP『ええ、『IG』の為にはどうしてもAランクに上がらねばならなかったので』

トラプリP『公になってからではさらに厳しくなりますからね...』

P『やっぱり、IGの開催は本当の事だったんですね』

P『あのIAやIU、WINGと肩を並べるアイドルの祭典......それが、よりにもよって今開催されるとは....』

トラプリP『ウチの事務所の情報網は優秀ですからね、しっかり裏も取れたそうです』

トラプリP『それで、811プロのアイドルの皆さんはどうするんです?やっぱり出場を狙うんですか?』



799: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:29:44.61 ID:8V9RddM30


P『......IGには...出場させる気はありません』




800: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:31:15.28 ID:8V9RddM30

トラプリP『えっ?』

P『今IGに出るのは危険すぎます。それに出場権を手に入れるための時間も足りない。なのにIGの為に期待を押し付け無理をさせれば、取り返しのつかない事になる』

トラプリP『....それでいいんですか?』

P『ええ、無理に目指すものではないですし』

トラプリP『....そうですか』
     
トラプリ『でも、貴方が聞きたいのはIGの話ではないでしょう?』

P『一応、IGの裏を取る目的もありましたよ。でも確かに、本命は違う』

トラプリP『...あの噂の事ですね?』



801: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:32:37.57 ID:8V9RddM30

P『ここ最近、よく耳にしますからね...010プロが、iDOL MOVIE BIGBANGの参加事務所への妨害をしているという噂』
 
P『実際のところ、どうなんです?』

トラプリP『...貴方は、どう思います?私達が不正をしてると思いますか?』

P『ぶっちゃけ、トラプリに関しては無実だと思います。今日のオーディションを見ればあの子達がちゃんと実力で戦ってるのは分かる。そしてあなたの事も、信用できると思ったから話してます」

P『だが...あんた達は無実でも、010全体がそうとは限らない』

トラプリP『そうですか...とりあえず自分たちが疑われてない事を喜ぶべきなのか、それとも事務所の無実を証明できない現状を嘆くべきか...』

P『...何か、社内で怪しい動きとかはありましたか?』

トラプリP『無い、と言いたい所ですが...私も社内全部の事を知れてるわけじゃありません』

トラプリP『それに私が入社する以前、前社長の時の話になりますが...010プロには前にも不正の疑惑が立ったことがありますし』

P『完全にシロとは断定できないって事か...』



802: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:34:13.96 ID:8V9RddM30

トラプリP『しかし最近では、010に疑惑が集中してきています。iDOL MOVIE BIGBANGに参加した事務所で被害を受けていない事務所でしたから...』
     
トラプリP『それに、おそらくこれからもっと...』

P『もっと?どういうことです?』

トラプリP『昨日の夜891プロに不審者が侵入して、警備員に取り押さえられたとの情報が入りました』
     
トラプリP『そして...それが阿苦都苦出版の記者だったと』

P『!!』


トラプリP『この情報は今夜にでも雑誌やニュースで流れるでしょう。更に、いくつかのテレビ局はこれを機に今起きてる事件...[iMB事件]の特集企画を組み始めてます』

P『なんだって!?そんなの大っぴらに報道されたら!』

トラプリP『今回の件で010プロは唯一被害を受けてない事務所.....だからこそ、一番怪しい立場になってしまった』
     
トラプリP『加蓮達も、自分たちの手で010プロは不正なんかしていないって証明すると今まで以上に頑張ってくれてでいたのですが...』

P『正直、疑いを晴らすには厳しいだろうな...』



803: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:35:59.04 ID:8V9RddM30

トラプリP『実際、この疑惑のせいでウチの所属のアイドルの何人かは仕事が減っていて、信用も失いつつあります...このままだと、トライアドプリムスにも...いや、事務所全てのアイドルに悪い影響が...』

P『なんか思い詰めてたみたいですしね。あんたのフォローがなかったら危なかったかもしれません。トライアドプリムスはプロデューサーに恵まれたみたいですね』

トラプリP『いえいえ、いいライバルに恵まれたからですよ。デュアルフルムーンの二人、上手く加蓮を励ましてくれましたし』

P『...あの子達には、この辺の暗い噂は話してないんですけどね...』

トラプリP『......っとと、そろそろ打ち合わせの時間だ』

P『すいませんお時間取らせちゃって』

トラプリP『いえいえ、また811プロの皆さんと会えることを楽しみにしてますよ』

トラプリP『ああ、それと』

P『なんです?』







トラプリP『貴方は、もう少しアイドルを信用してあげてもいいと思いますよ?』

P『えっ?』

トラプリP『....それじゃ、またどこかで』



804: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:36:32.62 ID:8V9RddM30

=====811プロ事務所======


P「ただいま」

周子「お帰りプロデューサーさん」

フレデリカ「おかえりー!」

美嘉「みんな揃ってるよー」

P「もう全員帰ってきてたのか、じゃあこの後はレッスン室で...」


志希「ああ、レッスンはトレーナーさんに頼んで少し待ってもらってるよ」

P「え?なんで?」



805: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:38:48.56 ID:8V9RddM30

奏「プロデューサー、私達いい加減頭に来ているの」

P「頭に来てるって.......俺なんかした?」
 
奏「プロデューサー、これを聞いてもらえる?」ピッ

ピピー...ガガッ!













【P『IGには...出場させる気はありません』】


P「ッ!?



806: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:40:25.24 ID:8V9RddM30

周子「驚いたPさん?」

P「一体どうやってこれを!」

周子「鞄の中見てみ?」

P「鞄?....これは!?」



P「周子のスマホ!?」

周子「実はあの時奏ちゃんにかかってきた電話、あたしからだったんだよねー。んで奏ちゃんには通話状態にしてもらっておいて、あたしは自分のスマホをPさんの鞄にこっそり突っ込んだってワケ」

美嘉「それって061社長にもやったやつ?」

周子「そっ、あの時の経験が生きたねー」


奏「というわけでプロデューサーさん、話してもらえる?あの時私達に隠したこと。もういい加減、蚊帳の外にされるのは辛いわ。だから嫌とは言わせないわよ?」

P「しかし...」

奏「プロデューサーさんが私達の事を思って色んなことを秘密にしてくれてることは分かってる。でもね、今回の事件に関しては私達だって大きな被害を受けてる」

奏「だからこそ、外野にされるのは嫌なの。だからお願い、ちゃんと話してちょうだい」

P「奏....」




奏「お願い、プロデューサーさん」

P「...分かったよ」



807: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:41:39.29 ID:8V9RddM30

P「まずは...iMB事件からか」

美嘉「名前的に、『iDOL MOVIE BIGBANG事件』って意味でいいんだよね?あの企画に参加した事務所のスキャンダルが次々発覚したってやつ」

P「ああ、そのまんまじゃ長いから業界の中では縮めてiMB事件って通称が広まってる」

志希「それで、その事件で被害を受けてない010プロが疑われているって事ね」

周子「被害を受けてないのは891プロもだったけど、それも阿苦都苦出版が侵入したから...」

P「010は唯一被害を受けていない事務所になってしまったって事だ」



志希「確かに、インターネットの情報サイトにはもうその記事いくつか上がっているね」
  
志希「...それと、iMB事件の疑惑についても」

美嘉「ていうか、なんでそんな大事な事プロデューサーは秘密にしてたの?あたし達だって一度狙われてるのに!」

P「それは...」



奏「当てて見せましょうか?私達に010に対して余計な疑いを持ってほしくなかったから」

奏「いえ...もっと言えば、私達に事件の事を考えてほしくなかったから、違う?」

P「ッ!...」

奏「図星のようね」



808: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:43:02.94 ID:8V9RddM30

P「....芸能界はテレビの上で見るような綺麗な世界ばかりじゃない...むしろその分大きな影が潜んでいるんだ。そんな影を引き受けるのが、俺の、プロデューサーという職業の人間が請け負う責務」
 
P「だから、お前たちに安心して明るいところを歩いてもらうために、そういう暗い世界の事は秘密にしていた」

奏「そう...まあいいわ、ずっと前からその辺は予想ついてたし」

P「えっ?」

奏「前にWESTプロや456プロのゴシップ記事が出た時から気づいてたわよ、あの企画の参加者の中に得体の知れない影が潜んでいたことなんて」
 
奏「そして、プロデューサーさんがその事実を隠した理由もね」




※Chapter12
(あのパーティー会場は関係者以外は入れなかったはず、そんな場所に阿苦都苦出版は堂々と入り込めていたのよ?)

(まず間違いなく、パーティーの参加者の中に協力者がいる...おそらく、今週の週刊スクープによる被害を受けなかった芸能事務所からね)

(...多分私たちに余計な心配をさせないために、わざと言わなかったんだと思う)





奏「まあ、大方予想通りだったからiMB事件の情報を秘密にしてたのは見逃してあげるわ」



809: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:44:07.79 ID:8V9RddM30

周子「そもそも隠したところで、どっちみち公に出てしまえば分かっちゃうとこだったしね。ていうかむしろなんでわざわざ隠したん?」

P「いやまあ...あははは...」

奏「大方、私達に事件の事を考えさせるわけにはいかないって考えだけが強すぎて、後でばれるって事なんか頭になかったんでしょ」
 
P「ギクッ!」

奏「....というか、前から気になってたんだけど、プロデューサーさんって妙にこの事件に執着していない?」

P「そりゃあ、美嘉が被害にあってるからちゃんと調べておかないといけないだろ?」

奏「それはそうだけど...本当にそれだけかしら?」

P「...そうだよ」

奏「........まあ、いいわ。じゃあ次の質問」
 




 


「IGって、一体何?」



810: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:45:40.94 ID:8V9RddM30

P「...お前ら、アイドルランク制定の規定でこういうルールがあるのは知ってるか?」
 
P「『通常の手段で昇格できるのはAランクまで』」

周子「いや、初耳だね。でもそれが何か...」


フレデリカ「んー?...でもアイドルランクって、Sランクまであるんじゃなかったっけ?」

周子「あれ?そういえば....」

美嘉「あっ!あたし聞いたことある!確かSランクに上がるには特別なオーディションに合格しなければいけないって」
  
美嘉「でも、そのオーディションがいつ開催されるかは分からないとも聞いたけど...」

奏「...成程、IGは通常のオーディションじゃない...Sランクに昇格するための、特別なオーディションって事ね」

P「ああ、そういう事だ。IG、正式名称IDOL OF GRATESTは、あのIAやIUに並ぶほどの大規模な特別オーディション」




 

 「Sランク認定オーディションだ」



811: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:46:49.04 ID:8V9RddM30

周子「Sランク認定オーディション...」

P「まだあくまで業界の一部界隈だけの噂で公には発表されてないが...もうじき一般にも情報が公開されるだろう」
 
P「010程の力がある事務所が本物だと判断したんなら、間違いない」

志希「んで、そんな大きなオーディションの事をキミは何で秘密にしてたわけ?」

美嘉「そうだよ!そんなオーディションがあるならその為にもっと頑張らないとダメじゃん!」


P「...それがなお前ら、IGの参加資格は来月...3月22日のIG予選開幕までにAランクであることらしいんだ」

奏「あら、だったら尚更Aランクに昇格できるように努力しなければならないんじゃない?」


周子「...あー、そういう事か」

フレデリカ「どゆこと?」

周子「ほら、前に打ち上げやったときプロデューサー言ってたやん。BからAに上がるには、FからBに上がるのにかけた3倍の時間と努力が必要ってさ」



812: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:51:48.05 ID:8V9RddM30

P「ああ、それ程までにBランクとAランクの壁は厚い。実際、Sランク認定オーディションが開催されるときは決まってBランクのアイドル達は荒れる、参加資格のAランクに昇りつめるためにな」
 
P「そして、そのせいで無茶をして怪我したり心が折れたり...そうやって引退してしまうアイドルも多く出る」
 
P「今日のトライアドプリムスくらいの成果を出せればAランクに昇格できるだろうが...実際、かなり無理して身体を壊しかけてただろ?」

周子「まあ、そうだったね」


P「それに、今の芸能界は危険だ....特に、アイドル業界は。きっとIGにも、iMB事件の黒幕が何か仕掛けてくるだろう」

奏「まあ、時期的にあの事件の犯人の本命はIGであってもおかしくはないわね」

P「それに俺は、お前たちを頂上まで連れ居ていける程優秀なプロデューサーじゃない。事務所のサポートも、他の事務所に比べたら虫みたいに小さい事しかしてあげられない。だからこそ、お前たちが無理をして壊れるようなことは絶対にさせたくないんだ」
 
P「それにほら、俺はさ....」



813: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:52:25.60 ID:8V9RddM30




    無茶振りはしても、無理なことは言わないからさ....






814: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:53:38.10 ID:8V9RddM30

奏「成程ね...理解はできたわ」




でも..........

 










『そんなの、納得出来ない!』



815: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:55:04.87 ID:8V9RddM30

P「えっ?」

美嘉「プロデューサー、今のは流石にちょっとムカついたよ」

周子「あたしも。だってそれじゃあまるで、あたし達にはトップアイドルになるのは無理って言ってる様なものじゃん」

P「そういうわけじゃない!ただ今急いで目指さなくてもってだけで...」


フレデリカ「でもそれって、今頑張らなくていい理由にはならないと思うなー」

志希「目の前にすっごい面白いものがあるのに追いかけちゃだめって言うの?それはつまんないよ、すっごくつまんない!」

P「頑張っちゃいけないって言ってるつもりじゃねえよ、でもその為に無理するようなことは!」


奏「プロデューサーさん、私達やっと分かったわ」

P「分かったって...何が分かったってんだよ?」

奏「私達にずっと足りてなかったもの。そして、貴方がずっと抱えていた影、その正体」

P「影?...一体何だってんだよ」



816: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 21:57:54.66 ID:8V9RddM30

奏「ずっと、私達とプロデューサーさんは、一緒に肩を並べて歩いているんだと思ってた」

奏「でも、それは違った。貴方はずっと私たちより少し前の方で一人離れて歩いてる。私達は今までずっと、貴方に本当の意味で信頼されてなかったのね」
 
P「!!」


奏「貴方にとって私達は守るべき存在...でも同時に、守らなきゃいけないちっぽけな存在。だから自分の影...本心を預けることができない」
 
奏「もっと単純に言ってしまえば、私達を舐めてるって事でしょ?」

P「そんな...そんな事!」

奏「無いって言える?私達を守りたいからなんて理由付けて、何にも話していなかったって言うのに」

P「ッ!」


奏「本当は、私達の事を信頼していなかったから、私たちじゃあなたの抱える荷物を背負えないから、だから何もかも秘密にしていたんじゃないの?」
 
奏「だから...IGに出場するのも無理って決めつけて、一人で勝手にあきらめをつけて、何もかも自分だけで抱え込もうとしてる。違う!?」

P「それは...」
 


奏「...いいわ、そっちがその気ならそれでいい。私達は勝手にやるわ」



817: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 22:01:09.00 ID:8V9RddM30

P「勝手にやるって...今のお前らじゃ無理だ!」
 
P「第一、Aランクに上がるにはただ大きなオーディションで勝つだけじゃダメなんだぞ!?今日のトラプリみたいに圧倒的な格の違いで勝たなきゃならないんだ!」
  

周子「でも、トラプリはちゃんと出来たよ。アイドル歴でいったらあたし達と変わんないだろうに」

P「それはそうだが...大規模事務所の010のあの子らとウチじゃそもそも環境が違う!あの子達は下積みの時から、事務所内ですら戦場だったはずだ!」
 
P「プロデューサーだってそうだ!俺とは違ってあっちのプロデューサーはいくつもの困難を潜り抜けたベテランだ!」
 
P「...言いたかないが、お前らとトラプリじゃ用意された物も、経験の質も、初めから違う!特にここまで上のランクまで登ってきたからこそその差の影響が大きくなってる!ホントは今張り合うべき相手じゃないんだ!」


周子「....Pさん、あたし今のPさんが何言ってるか分からないよ。なんでそこまで、あたし達が諦めなきゃいけない理由ばかり並べるの?」

P「分かってくれ...今そこまでする必要は『分からないよ!!』」




周子「今は環境の事を言い訳にして妥協するのが一番楽で賢いのかもしれない。今起きてる事件にも巻き込まれずに済んで安全なのかもしれない。でも、今あたし達は『アイドル』に本気なんだよ!」

周子「それなのに、ライバルは先に進んだけどあたし達には無理だから指をくわえてみてろって?.......本気で言ってるなら、いい加減マジで黙って欲しいんだけど」



818: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 22:03:46.39 ID:8V9RddM30

美嘉「プロデューサーはあたし達のプロデューサーじゃん。だからどんな理由であれ担当のアイドルであるあたし達に、『諦めろ』っていうのはどうかと思うよ」
  
美嘉「というか、そんなにトラプリと張り合ってほしくないなら、何で今までは止めなかったの?」

P「それは....」


奏「今のプロデューサーさんからはあの時...カラオケでマイクを渡されたあの時と同じ何かを感じるわ」

奏「プロデューサーさん、貴方は一体、何を恐れているの?」
 
P「....俺は!お前たちが無理して壊れるところを見たくねえんだ!」
 
P「今IGの為に無理をしたら絶対に苦しむ!そして...それでも駄目だったときに絶望する...心がポキリと折れちまう!そしたら...アイドルになったことを後悔することになる...」
 
P「別にチャンスは今回だけじゃない!わざわざ自分から苦しみに飛び込まなくたっていい!だから!」



美嘉「やらなくていい事か、やるべきことか、それはあたし達自身で決めることだよ!」
  
美嘉「だから...無理だなんて勝手に決めつけないで!あたしは妥協なんてしたくないの!」

P「!!」



819: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 22:04:46.56 ID:8V9RddM30

志希「あたしは、ただアイドルっていう未知の世界を解き明かしたい...そして、パパやママにトップアイドルになったアタシの姿を届けなきゃいけないの」
  
志希「だから、止まってる暇なんかないんだよ。どんなに興味がふらふらして失踪したりするあたしでも、未知への好奇心はいつだって全開なんだから」

フレデリカ「無理かどうかは、無理してるとこを見てから決めてもいいんじゃない?それにアタシ達、ここまで連れてきてくれたプロデューサーにもありがとうって言いたいから」
     
フレデリカ「だから...もっとアタシ達を信用してほしいな?」


P「やめろ...やめてくれ...」

P「俺はもう...あの子の様な子を見たくは....」



奏「『あの子』?」

P「ッ!?」



820: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/07(日) 22:09:33.54 ID:8V9RddM30

奏「ねぇ、『あの子』って誰の事?」

P「.......」



奏「...意地でも話したくないって顔ね、いいわ」



私はプロデューサーへと一歩踏み出し、ずっと、ずっとずっと貯め続けた想いを吐き出す


怒りも、悲しみも、寂しさも、決意も、全部!
目の前の分からず屋に叩きつける!!





奏「貴方が私達を信頼できないなら、信頼できるようにしてあげる。この一か月で、私達全員Aランクに昇格してみせるわ。」

奏「だから、私たちから逃げないで、ちゃんとその目で見ていなさい」



奏「私達が、貴方に守られてばかりの弱い存在じゃないって事を!私達が蛹から蝶になるその瞬間を!」

奏「その両目に、しかと焼き付けなさい!!」











to be continued...



825: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 19:55:48.20 ID:OvcuEMl00

必ず、あの人に認めさせる
その決意を抱え、私達はレッスンルームの扉を開ける



ベテトレ「話は済んだか?」

奏「ええ、宣戦布告しておいたわ」

ベテトレ「そうか...なら、覚悟は出来ているな?」

全員「もちろん!」

ベテトレ「よろしい、なら始めるぞ!」



826: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 19:56:15.27 ID:OvcuEMl00





    Chapter17 「We are 」







827: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 19:58:22.43 ID:OvcuEMl00

ベテトレ「まず先に今回の目標となるオーディションを伝えておく」
    
ベテトレ「そのオーディションの名は...『歌姫楽園』」


フレデリカ「歌姫楽園?」

美嘉「毎年3月に行われる大きな番組のオーディションだよ、紅白と肩を並べるくらい大きな音楽の祭典」

周子「あー!毎年春休みにやってたアレか!」
  
周子「確かアイドル、ロックバンド、演歌歌手...それぞれのジャンルのスペシャリストが集まって歌うって番組!」

奏「そういえば...何度かテレビで見たことあるわね」

ベテトレ「そうだ、お前たちには今回その歌姫楽園の『アイドル枠』を勝ち取ってもらう」
    
ベテトレ「だが歌姫楽園に出演できるのは1ジャンルにそれぞれ一枠...当然その一枠を勝ち取るために多くのアイドルが集うだろう。厳しい戦いになることは間違いない」



828: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:01:30.41 ID:OvcuEMl00

志希「ちなみにー、目標を歌姫楽園にした理由は?Aランクに上がるために人気を上げるんなら、もっと広い範囲でオーディション受けていろんなとこに顔を広めた方がいいんじゃないの?」

ベテトレ「理由は二つ、まず一つはIGの参加条件である、『既定の特別オーディションの合格経験』を満たすためだ」
    
ベテトレ「IGに参加するには、アイドルランクがAかつIR(アイドルランク協会)が定めた特別なオーディションのいずれかに合格していなければならない。今日トラプリが合格したTOP×TOPもその特別オーディションの一つだ」

美嘉「でも、IR規定の特別オーディションってまだ他にもあるよね?」

ベテトレ「ああ、今からIGの締め切りまでの間にも『HIT-TV』や『カラフルメモリーズ』、『LONG TIME』といくつか特別オーディションは存在する」

周子「特別って言う割には結構多いね」

ベテトレ「実際そこまで数が絞られてるわけじゃない、今回のように多い月には3つ4つ開催されるときもある」
    
ベテトレ「...今思えば、IGが開催されるのが決まったからこそ今月と来月の特別オーディションの開催も多くなったんだろうな」


フレデリカ「でも、どれでもいいならいっそ全部出ちゃったほうがいいんじゃないの?」

ベテトレ「特別オーディションに合格する...ただそれだけなら良い。だが、もう一つの問題のせいで歌姫楽園に絞らざるを得ないんだ」

周子「もう一つの問題?」



829: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:04:00.95 ID:OvcuEMl00

ベテトレ「今回はさらに、Aランクの昇格も同時に行わなければならないからだ」
    
ベテトレ「アイドルランクの昇格には経験値...積んできたキャリアも重視される。早い話、時間をかけて経験を積んだアイドル程昇格しやすい。だが、お前たちは驚くべき速度でスピード出世してきた分、他のアイドルと比べて判断基準となるキャリアが少ない」

美嘉「でも、あたし達にはキャリアなんて積んでる時間ないよ?」

ベテトレ「ああ、だからこそ今日のトラプリのように『格』の違いを見せて勝たなければいけない。IRが一発で『もはやBランク出収まる器ではない』と判断するほど圧勝しなければならないんだ」
    
ベテトレ「歌姫楽園を選んだのは、単純に開催までに一番時間があるからだ。他のオーディションでも絶対に勝てないとは言わないが...」

奏「圧勝は厳しい...だからこそ少しでも確率を上げるために時間を費やすということね」

ベテトレ「ああ、だがそもそも勝利することが厳しいオーディションだ。IGへ滑り込む為のチャンスだから尚更な」

志希「IGに参加したいアイドル達が、皆全力で挑みに来るわけだからね。倍率とんでもないことになるのは確実な訳だ」

ベテトレ「その上で、お前たちは圧勝しなければならない。Pにも言われたと思うが...正直かなりの無茶、というより無謀に近い」
    

ベテトレ「もう一度聞くが....それでも、挑む覚悟はあるか?」



830: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:06:00.19 ID:OvcuEMl00

トレーナーさんの問いに、私達は顔を見合わせる
誰もが、同じ顔をしていた


覚悟は、もう、とっくに決まっていると!



奏「当然よ。私達全員IGに出場する為に、どんな困難だって立ち向かう覚悟はできてる」

ベテトレ「そうか...ならもはや何も言うまい」
    
ベテトレ「だが覚悟しておけ、ここから先のレッスンは楽しいなんて絶対に思えないきっと死んだ方がマシと思えるほどの苦難の道だ!それでも挑むと決めたのなら......絶対に、折れるんじゃないぞ!」
    
ベテトレ「...あのバカの為にもな」


『はい!』



831: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:08:13.66 ID:OvcuEMl00

....彼女達と喧嘩してから、一週間が過ぎた

奏達は目標にしている歌姫楽園の為のハードなレッスンをこなしつつ、今まで通りちゃんと仕事も行っている
だが、仕事の合間にレッスンをして、レッスンの合間に仕事をする。そんな過密スケジュールだ

...まるで、かつて美嘉がいた061プロのように



あんな事があった後だが、口を聞いてもらえないなんてことはなく、意外と皆ちゃんと俺と接してくれている

...ただ、今まで通りとはいえない


なんというか、皆俺と顔を合わせて話すことが少なくなっている気がする
どこか、今までより距離を感じるようになった



...いや、それも少し違うか


むしろあの子達は、今までこっそり俺が取り続けてきた距離を縮めるために俺に踏み込んできている
それなのに今までより距離を感じるのはのはきっと、俺自身があの子達を遠ざけているから



832: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:12:39.28 ID:OvcuEMl00

今さらになって、あの子達と向き合うのが一層怖くなった


目的の為ならなんだって投げ捨てる
あの時からずっと、その覚悟をちゃんと決めていたはずなのに

...今さらになって、迷いを感じてしまっている



...そして、今まで以上に自分自身に怒りを抱いている

『おいP。自分が支えなきゃいけないアイドルを心配させて、お前はなんて情けない奴なんだ』、と....


だが、それでも、俺の胸の中の黒い炎は消えてくれなかった

己のエゴに巻き込んでいるあの子達に、死ぬほど申し訳ないと思っていても
それが不可能だと分かった上で、それでも彼女達の輝きを見ていたい。その気持ちを強く抱いているとしても


それでも俺は、ただこの炎に我が身を委ね、身を焦がす事しかできないのだ......


ああ、こんな迷いを抱くならいっそ....









本当にあの時、何もかも壊れてしまえばよかったのに



833: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:15:07.32 ID:OvcuEMl00

翌日、奏が倒れたと電話があった



834: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:17:46.39 ID:OvcuEMl00

  =====病室=====


奏「ん.....」

P「起きたか」

奏「あら、プロデューサーさん...番組はどうなった?」

P「倒れたのが収録終わった後だったから、まあ何とかなったらしいよ」

奏「そう...良かった。収録中、意地でもここで倒れるわけにはいかないって思ってたけど、なんとか踏ん張りきれたようね」


P「途中でやばいって分かってたなら、なんで言わなかった!?」

奏「意地があるもの、アイドルとしての意地が。そして、アイドルの頂点を掴むという意思が」
 
奏「だからほら、倒れるわけにはいかないじゃない?」

P「だからって、馬鹿な事を...」

奏「あら?私は貴方が思っているより直情的...所謂馬鹿なのよ?貴方と同じでね」



835: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:19:25.19 ID:OvcuEMl00

P「...やっぱり、過労だそうだ」
 
P「そりゃそうだ、5人の中でもお前は特に無茶が目立ってた。ぶっ倒れるに決まってる」
 
P「一応、今日一日ちゃんと休めば大丈夫らしいが...」


奏「そう、なら今日一日は我慢するしかないわね」

P「....別に、一週間くらい休んでもいいんだぞ?というか俺はそうしてほしい」

奏「いいえ、一日で済むんなら一日で。というか、それ以上伸ばすんなら病室抜け出すわよ?」

P「それはマジでやめろよ...あらゆる方向に心配かけるから」

奏「なら、見逃すことね」


P「......お前、家に帰った後も練習を続けてたらしいじゃないか」

奏「それは他の皆も同じよ、私はちょっとやり過ぎてただけ」
 
奏「ちゃんとトレーナーさんは私達が倒れないように調整してくれていたわよ?自主練習のメニューも調整してくれてたけど私はそれを無視しただけよ」





P「...もう、やめろよ」

奏「.......」

P「もう、やめてくれよ...お前らが苦しむところを見ると、俺すっげぇ辛いんだよ...」
 
P「もう、無理しないでくれ...辛いなら、逃げたいなら、そうだって言ってくれ!」



836: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:19:54.11 ID:OvcuEMl00


奏「それは私達のセリフよ」




837: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:21:09.88 ID:OvcuEMl00

P「えっ?」


奏「大事な人が苦しんでいるのを見るのが辛い、それは私達も同じ。だからこそ、時折貴方が見せる苦悩が、それを一人で抱え込む姿を見るのが、いつも辛かった!」
 
奏「特に...iMB事件が起きてからはそんなあなたの姿を見るのが多くなっていたから...余計に辛かった」

P「奏...」

奏「分かる?貴方はその感情をいつも、私達に味合わせていたのよ。自分が痛めつけられるよりよっぽど辛い、そんな感情をね」
 

奏「それに...私言ったわよね?ちゃんとその目で見てろって」

P「ああ...すまないと思ってる、ちゃんとお前の体調に目を光らせておけば...」

奏「そうじゃないわよ。私達を見ていなかったってのはそういう事じゃない」

P「は....?」

奏「貴方は....」



838: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:23:03.31 ID:OvcuEMl00

その瞬間、ガララッと扉が開く音がした
空いた扉の先に立っていたのは...



美嘉「あれ、奏もう起きてたんだ」

奏「美嘉、お見舞いに来てくれたのね。でも予定は大丈夫なの?」

美嘉「うん、一発OKだしてきたからギリギリ時間開いたんだ」
  
美嘉「まあ、あんま長居は出来ないんだけどさ、みかんゼリーとか買ってきたから元気出してね★」

P「美嘉、ちょうど良かった。お前からも奏に休むよう伝えてくれないか?」
 
P「...どうも、俺が言うんじゃ逆効果みたいだしな」

美嘉「?....奏、休みたいの?」

奏「いえ、今日休めば大丈夫らしいしまた明日から復帰するつもりよ」



美嘉「じゃあいいじゃん、別に止めなくてもさ」

P「なっ!?」



839: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:24:18.02 ID:OvcuEMl00

美嘉「でも、また倒れるような無茶はしないでよ?ちゃんとトレーナーさんの組んだメニュー守ること!」

奏「ええ、流石にちょっと反省したわ...一日時間が無くなるペナルティを受けるくらいならちゃんと従った方がいいわね」

P「おいおい待てよ!」

美嘉「何?奏がそうしたいって言うならそうさせてあげた方がいいじゃん。お医者さんも一日休めば大丈夫って言ってたんでしょ?」

P「でも....美嘉、お前なら分かるだろ?今の状況はお前が061プロで受けた仕打ちと同じ、無茶に無茶を重ねてるだけ!これじゃアイドルを苦しんでやってた時と同じじゃないか...そうだろ!?」
 
P「もう...お前たちが苦しむ姿を見せないでくれよ...」

美嘉「プロデューサー....」







美嘉「やっぱり、あたし達の事ちゃんと見てないね?」

P「えっ....?」



840: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:26:46.02 ID:OvcuEMl00

美嘉「だって、061プロの時のと今は全然違うもん。同じに見えてるんなら、あたし達の事ちゃんと見えてない証拠だよ」

奏「プロデューサーさん、私達の事を見ていないってのはこういう事よ」
 
奏「だって私達は今誰一人、仕事でもレッスンでも苦しい顔は見せてないし、そもそも苦しいなんて事少しも思って無いもの」

P「そんな...だってあんなに!」


美嘉「そりゃあ疲れるしいつも以上にキツいのはキツいけどさ、あたし達それ以上に楽しんでるし、燃えてるんだよ」
 
美嘉 「ただただ事務所の悪意に流されてたあの時とは違う。今のあたしには追いかけたい夢と、その夢を目指して一緒に走ってる仲間がいるから。だからどんなに厳しい道でも、自分の夢を叶えるために走れている今は全然苦しくないんだ」 


奏「私たちだけじゃない、みんなそれぞれの目標の為に全力で走っている。だからこそ止まってなんていられない、止まりたくないわ」

P「なんで...なんだってそんな...一体何がお前たちをそこまで駆り立てるんだよ!」


美嘉「理由は...割と皆それぞれ違うんじゃない?」
  
美嘉「あたしは、あたし達がナンバーワンだって証明したいから!だからいつどんな時だって本気で挑むの!」

奏「私は、前にも言ったでしょ?貴方への復讐よ」
 
奏「復讐というか、魅了かしら?アイドルとしての頂に昇って、モノクロな世界しか知らなかった私にアイドルという煌びやかな夢を見せてくれた貴方に、心から言わせてやりたいのよ」
 






私を、アイドルにして良かった......と



841: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:29:09.13 ID:OvcuEMl00

P「お前ら...そんな事の為に」

奏「プロデューサーさんにとっては『そんな事』かもしれないわね」

美嘉「でも、あたし達にとってはそれだけで本気を出す理由になる。今を投げ出さない理由になる」
  
美嘉「だから、いい加減ちゃんとあたし達の事見てよね!」

P「美嘉...」


美嘉「って、そろそろ時間だ。じゃあ奏、ちゃんと体調直してね!」

奏「ええ、すぐに追いつくから待ってなさい」

奏「Pさんも、まだ仕事あるでしょう?私の事はいいから、こんなとこでサボってないで早くいきなさい。周子が事務仕事で忙殺されるわよ?」

P「お、おう....じゃあ、またな」



842: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:31:35.26 ID:OvcuEMl00

P「............」
 
P「俺は........」



俺は、どうしたら.....



843: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:33:30.95 ID:OvcuEMl00

奏の病室を後にした俺は、ある人に会うために010プロの事務所へと足を運んでいた


結局、今でも頭の中で色んな感情が暴れまわって、どうしたらいいのか分からなくなってる

俺はあの子達の為にどうしてやればいいのか、プロデューサーとして未熟な俺は、それが分からなくなっていて


だから、あの人に会いにきた。俺が迷った時、いつも手を取って導いてくれたあの人に




P「.......さん、久しぶりですね」


???「そうね.....こうしてちゃんと話すのは、随分無かったわね」
   
???「それで?何があったの?」



844: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:36:33.41 ID:OvcuEMl00

???「成程...そんな事が」


P「俺はずっと、あの子達には...『あの子』の事件の情報を手に入れられるようになるくらいまで有力なアイドルになってくれれば、それでいい」
 
P「その後は...『あの子』のように潰れないように、立ち止まったっていい、むしろそうしてほしかった」
 
P「全てが終わった後、きっと俺はもう皆の隣にはいられないから」

???「.....」


P「でも、今のあの子達を見て...いや、もしかしたらもっと前から、デュアルフルムーンの初めてのオーディションを見た時からそうだったのかもしれません」
 
P「この子達がトップアイドルになる、その瞬間を見たいという気持ちが芽生えてしまった...それがダメなことだと分かっているのに、俺は本当の意味であの子達のプロデューサーになりたいと願ってしまっている!」
 
P「矛盾した感情が胸の中でないまぜになって...身体がはじけ飛びそうなんです...だから、貴方をもう一度頼りにきたんです。いつも俺を支えてくれた貴方なら、この胸の痛みをどうにかしてくれるんじゃないかって...

P「情けないってのは分かっているけど、自分じゃどうしようもないんです!」


P「だから、教えてください...俺は、どうすればいいんですか...あの子達のプロデューサーとして、何をしてやれるんですか!?」

P「お願いします.......どうか、もう一度だけ力を貸してください!」












P「プロデューサー!!!」



845: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:38:24.93 ID:OvcuEMl00

???「そっか、また私をプロデューサーと呼んでくれるのね...」
   
???「なら、私もしっかり答えてあげないとね!」





ちひろ「891プロが誇る大物歌手『Q』、いや.....他ならぬP君のプロデューサー、千川ちひろとして!」



846: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:41:12.42 ID:OvcuEMl00

P「プロデューサー...!」

ちひろ「じゃあ、もう直球で言わせてもらうわね」


ちひろ「.......逃げるなッ!!」
   
P「ッ!?」


ちひろ「まず、自分自身としっかり向き合いなさい、どんな人間だろうと、自分自身から逃げている内は、何も出来ない」

P「向き合う...自分自身と?」



847: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:44:08.48 ID:OvcuEMl00

ちひろ「貴方は未だに、自分自身を許せていない。それこそ『あの子』を陥れた犯人以上に、貴方は自分自身を恨んでいる。そうやって自分への恨みに縛られて、前を見ることができていない。貴方の時間はずっとあの時から止まったまま」
   
ちひろ「そして自分自身と向き合えていないからこそ、奏ちゃん達に『あの子』の影を被せてしまう。だから自分だけでなく、あの子達と向き合うこともできない。それじゃあいつまでも、本当の意味で奏ちゃん達のプロデューサーにはなれませんよ。」
  
ちひろ 「覚えておいて。人間、一番立ち向かわなきゃいけないものはいつだって自分自身。何度も自分自身に立ち向かうことで、少しずつみんな成長していくの」

P「......」


ちひろ「失った事を嘆くのでなくて、失ってから得たものの事を考えるの。そして、得たものを守るために、何ができるのかを考えなさい。貴方にはまだ、あの子達の為にやれることがあるでしょう?」
   
ちひろ「あの子達が挑むものが歌姫楽園だって言うなら、それこそ貴方だからこそできることが残っているはずよ」
   

P「俺だからこそやれること...まさか」



ちひろ「P、貴方は歌を失ったわけじゃない。ただ自分を鎖で縛り付けた時に、一緒に封じてしまっただけ」
   
ちひろ「きっと今が、その鎖を解く時よ」



848: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:45:29.14 ID:OvcuEMl00

P「..........ありがとう」

ちひろ「.....P君、私はいつまでも貴方のプロデューサーを辞めるつもりはないわ。だから...私に、貴方が見た夢の先を、もう一度見せてちょうだい」
   
ちひろ「自分の担当が自分自身の夢を描けることが、私達プロデューサーとって最高の幸せなんだから...」



849: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:46:27.04 ID:OvcuEMl00

~~~~翌日、811プロレッスン場~~~~~


周子「奏、大丈夫なん?」

奏「ええ、安心してちょうだい」


ベテトレ「だが速水、次勝手にオーバーワークで倒れたら...覚悟しておくように」

志希「奏ちゃん、気を付けた方がいいよ。あれマジのときの目だ!」

フレデリカ「奏ちゃんもあの説教受けたら、811プロで未経験なの美嘉ちゃんだけになっちゃうね」

美嘉「なんかそう言われると、あたしもちょっと受けてみたいような気も...怖いもの見たさってやつ?」

周子「やめとき」

美嘉「えっ?」


周子「マジで、やめとき」(真顔)

美嘉「う、うん...」(周子がここまで怖がるほどなの...?)



850: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:47:33.23 ID:OvcuEMl00

ベテトレ「あー、それと一つ知らせておく事がある。今日からボーカルレッスンだけ担当が私から変更になった」

奏「このタイミングで変更?」

ベテトレ「ああ、だが安心しろ。新しい担当はボーカルレッスンだけなら間違いなく私を超える...いや、私だけじゃない。私の姉を越えるほどの腕だ.....まあ、歌以外はへっぽこだからダンスとヴィジュアルは今まで通り私がやるがな」
    
ベテトレ「ただしその分、歌に関しては私よりうるさいし、私より圧倒的に厳しいから覚悟を決めろよ?」


周子「青木さんのお姉さんって、伝説のトレーナーって呼ばれてる人だよね?それよりすごい人って、いったい誰?」

ベテトレ「お前らもよく知る奴だよ」

周子「えっ?」

ベテトレ「入って来い!」







~♪~~~♪~~♪~~♪~~.....



851: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:48:42.60 ID:OvcuEMl00

その歌声が耳に入った瞬間、私達は一瞬にしてその歌の世界に引きずり込まれた


今まで聞いたことがない程、心地よい歌声
でも不思議なことに、聞いたことがない歌声のはずなのに、なぜだかとても聞きなれた声のような気がした


歌声とともに、どんどん足音も近づいてくる
ドアの前にたどり着いた足音がドアノブをひねる音に変わったとき、私達は歌声の正体を知った



852: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:49:21.07 ID:OvcuEMl00

P「....待たせちまったな、お前ら」



853: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:51:02.32 ID:OvcuEMl00

奏「プロデューサー、さん?」
 

P「お前たちの為に何をしてやれるか必死に考えてさ...でも結局最後に残ったのは、あの時捨てたはずの、コレだけだったよ」
 
P「だから、取り戻してきたんだ。自分のルーツを」


ベテトレ「...もう、大丈夫なんだな?」

P「いやー、正直まだ完全に吹っ切ることは出来てません。今でも、歌う事を怖がってる自分、歌う事を咎める自分がいます。けど、皆が頑張ってるのをただ眺めるだけなのは、それ以上に嫌ですから」
 
P「だから...胸の黒い炎が消えないとしても、今だけは俺が皆の為に、皆のプロデューサーとしてできることを精一杯やる。そう決めたんです!だから!」



854: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:52:07.33 ID:OvcuEMl00

P「お前らの事を信じてなかった俺が、今更こんなこと言えた義理じゃないけどさ...」
 
P「俺が持ってる武器は全部くれてやる、少しづつでも自分と、お前たちと、ちゃんと向き合えるようにする!だから!」
 
 






俺を信じてくれ!!!



855: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:53:04.56 ID:OvcuEMl00

『もちろん!!』



856: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:53:44.73 ID:OvcuEMl00

P「皆...ありがとう」


P「よし!じゃあ今回の811プロの目標を発表する!まずは歌姫楽園、そして圧勝だ!」

P 「そして....」








『めざせ、トップアイドル!!』



857: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:55:27.78 ID:OvcuEMl00

P「まずお前らにはそもそもの基礎が足りてない!圧倒的な技術ってのは、まず圧倒的な基礎あっての物だ!基礎を極めてこその一流だ!」
 
P「だからまず、一週間で基礎を極めてもらう、いいな!?」


『はい!』





数時間後,,,,


全員「」チーン

ベテトレ「見事に死体の山だな.....」



858: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:56:49.22 ID:OvcuEMl00

フレデリカ「ほ、ホントにトレーナーさんよりきつかったよー...」

P「だが、思った以上に皆飲み込みが早い。もしかしたら一週間かからずに次のステップへ進めるかもな」

奏「確かに、自分の課題点がハッキリとわかって...それを乗り越えるための力が付いてくのも感じて...」

美嘉「すごい、昨日までの自分から成長した気がするね...」


周子「ていうかプロデューサーさん、歌凄い美味いし、教えるのも凄い上手いね」
  
周子「もしかして...前職はトレーナーだったの?」

P「いや、歌手だ」

『歌手!?』



859: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:58:18.84 ID:OvcuEMl00

周子「でも、Pなんて名前の歌手聞いたことないよ!?」

P「そりゃあ現役の時は芸名でやってたからな、本名の方はあんま広まってなかったと思うよ」
 
P「『Q』って名前でやってたんだけど、知ってるか?」

奏「Qって...えっ!?」

美嘉「あの『Q』!?○○とか、△△とか歌ったあの!?」

P「ああ、そのQだ」

志希「それ、あたしもアメリカにいた時に聞いたことある!」

フレデリカ「てことは、プロデューサーって実は世界レベル?」

P「あー、なんかアメリカとかヨーロッパとか、あの辺で歌ったことはあるな」



『Q』...私も知っている程の...いや、そもそもこの国で知らない人を探す方が難しいレベルで人気だった幻の歌手...


でもそんな人気絶頂だったさなか、ある日突然『Q』は、ぱったりと活動を辞めて失踪した

そんな幻の歌手の正体が、プロデューサーさん?


でもそれなら、一体なぜ...



860: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 20:59:55.94 ID:OvcuEMl00

奏「なんで、歌手を辞めてしまったの?」

P「それは...そうだな、お前らが無事Aランクに上がれたら話す。そういうことで」

周子「ってそこ焦らすんかーい!」

フレデリカ「ぶーぶー!アタシ達の事信じてくれたんじゃないのー?」


P「もちろん信じてるさ、それは嘘じゃない。だが...これについて話すのは、少し心の準備をする時間をくれないか?」
 
P「やっぱりまだ、完全に吹っ切ることができてるわけじゃないからさ、それに...」

周子「それに?」

P「そういう飴があった方が、やる気出るだろ?」

奏「...そうね。そういう『ご褒美』があるって思えば、俄然燃えてくるわ」

 
奏「なら約束よ、私達がAランクに昇ったときは、その時は必ず話して。貴方の抱えてきたもの、全部。私達も、それを全部受け止めると約束するから」
 
P「ああ、約束する。必ず全部、お前たちに打ち明ける」



861: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 21:03:33.77 ID:OvcuEMl00

ベテトレ「オホン!....大事な話のところ悪いが、そろそろ次のレッスンへ移るぞ」

志希「あーそうか...まだヴィジュアルとダンスのレッスンあるんだった」

美嘉「そうじゃん....ボーカルだけで3つのレッスン全部やったくらいに疲れてたから忘れてたよ」

P「どうした?疲れたんならもう辞めとくか?」


美嘉「...まさか!むしろ、今の話聞いて更に燃えてきたよ」

志希「あたしの知的好奇心はいつだってフルスロットル!キミという未知を解き明かす為には、失踪してる場合じゃないよね」

周子「そーやねぇ...なにより、目標に向けてどんどん突き進めている今が楽しいし!」

フレデリカ「アタシ達みんなの力でファンの皆をもっともっと笑顔にできるとこ想像できてて、すっごく嬉しい!」


奏「プロデューサーさん、ちゃんと見ていてね?」
 
奏「あなたが育てたアイドル達が、蛹から蝶へと生まれ変わる所を!」

P「ああ...今度こそ....」





お前たちが歩く道の先を、ちゃんと、この目で見届けよう....



862: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 21:04:02.89 ID:OvcuEMl00

~~~~~翌日~~~~~~


奏「どうかしら?期待してた結果は?」

P「いや、確かに一週間かからずに次へ行けるかもとは言ったが...」
 

 


P「まさか、一日で全員マスターするとはな...」



863: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 21:06:24.19 ID:OvcuEMl00

ベテトレ「どうやら、随分とやる気の出る飴だったみたいだな?お前の秘密は」

P「そのようですね....本当に俺は、お前たちを舐め過ぎていたらしい」

美嘉「へへーん!どんなもんよっ!ナンバーワン目指すんだから、これくらいちゃちゃっとできないとねっ★」

奏「分かったでしょ?私達の実力は、貴方が思っていたほど低くないってこと。それこそ、頂上を掴む程の力がるって事をね」 

P「面白い...じゃあもっとペース上げていくぞ!お前ら、振り落とされんなよ!」

『応ッ!』



864: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 21:07:45.02 ID:OvcuEMl00

~~~~さらに数日後~~~~~


ベテトレ「やはり、彼女たちはとんでもない逸材だったな。あの子達をスカウトしたお前と、あの子達に可能性を見出した私達の目に狂いは無かった」

P「ええ、まさかここまでのスピードで与える技術をモノにしていくとは.....」

ベテトレ「このままのペースで行けばオーディション合格は十分狙える所まではいくだろう。だが、圧勝するにはもう一押し欲しいところだ」

P「その事なんですが、実はずっと考えていたことがります」

ベテトレ「ほう、その考えとは一体?」

P「今まであの子達を見ていて、ずっと思っていたんですよ。この子達全員でユニットを組めば、最強のアイドルユニットが誕生するんじゃないかって」
 
P「企画草案も書いてはいたんです。ただ...」

ベテトレ「実際にそのユニットを見てしまったら、復讐心が揺らぐと考えたか?」


P「...やっぱ俺って、分かりやすいですかね?」

ベテトレ「当然だ、特に私は付き合いだけで言ったらあの子達より長いんだ。あの子達でも気づくようなことに気づけないはずがないだろう」

P「ははは...まあ、そうです。もしこのユニットが結成されるところを見てしまえば、俺は復讐よりも、あの子達を選んでしまうんじゃないかと思って...」
 
P「でも、もういいんです。今はただ、あの子達が最高に輝いている瞬間を見たいから」

ベテトレ「そうか...それで?お前にそこまで言わせるほどのアイドルユニット、その名前は?」



865: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 21:08:17.00 ID:OvcuEMl00

....『LiPPS』



866: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 21:10:08.48 ID:OvcuEMl00

そして、過酷で充実した時間はどんどん過ぎていき...

ついに、歌姫楽園のオーディションの開催日がやって来た




奏「ついに、この日が来たわね」

美嘉「長いようで、あっという間だったねー」

P「ああ、お前らよくここまで頑張った。あとは本番で持てる力全部出し切るだけ」
 
P「そして...今回は811プロの新ユニットのお披露目でもある、あらゆる意味で大事な一戦だ」

フレデリカ「じゃあここで、プロデューサーのありがたい一言をどうぞ!」

P「えっ、いきなりっすかフレデリカさん」

志希「ほらほらー、決戦に向かう女の子達の背中、押してあげてー?」


P「えーっと、急に何か言えって言われても...まあ、これだけは言っておかなきゃな」
 
P「このオーディションは、いわばIGへたどり着くための最後の切符、どのアイドル達も全力でこの切符をつかみに来るだろう。決して楽な戦いにはならない事は確かだ」
 
P「だからこそ忘れるな、811プロの社訓を!全力でアイドルを楽しむ!それさえ忘れなければ、きっと勝てる!」



867: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 21:11:29.23 ID:OvcuEMl00

周子「アイドルを全力で楽しむ...そうだね、あたし達はいつだってそうやって進んできた」

フレデリカ「だいじょーぶ!だってみんな一緒なんだもん!絶対、楽しいステージになるよ♪」

美嘉「そうだ皆!円陣組まない?こういう時のお決まりでしょっ★」

志希「いいねー!やろやろー!」

美嘉「よし、じゃあみんな肩組んで―!ほら、プロデューサーも!」

P「俺も?」

美嘉「もちろん!だって、プロデューサーもいてこその『LiPPS』だもん!」

周子「ほらほら、おいでよPさん。今なら両手に花だよー?」

P「おう、じゃあ遠慮なく...」



プロデューサーさんも輪に入り、全員で肩を組む



P「じゃあリーダー、号令頼むぞ」

奏「ええ、それじゃあ行くわよ...」



奏「811プロー!!ファイト―!!!」

『オー!!!』



868: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 21:12:06.00 ID:OvcuEMl00




Chapter17 「We are LiPPS!」







869: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 21:13:59.44 ID:OvcuEMl00

特別オーディションというだけあって、歌姫楽園のオーディションは通常のオーディションとは違うルールを採用している



まず違うのが、審査は一度きりということ

通常は3回審査があるので審査の合間に審査員の傾向や他の参加者を見て対策を取るということが可能だが、今回はそれが出来ない
星も最後にまとめて計45個が振り分けられる




もう一つは、通常のオーディションでは複数のユニットが同時に審査を行うところ、今回は1ユニットずつ個別で審査される事

そして最後は、実際に番組が収録されるドームで、観客席に座った審査員に一曲丸々披露する
しかも審査員の座る場所は固まっておらずその都度バラバラだ

ドームのどこから見ても人の目を引き付けることができるかを見る為に、あえてばらけて座っているらしい
近くの観客だけではない。端の方から見る観客、2階席にいる観客、あらゆる場所から見ても映えるアイドルがこのオーディションに合格できるのだ





だが、環境が違うからと言って調子を狂わせるアイドルは、ただの一人もいなかった



870: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 21:16:03.82 ID:OvcuEMl00

P「やっぱりどこも完成度が高い...流石に、簡単には勝たせてくれないよな」
 

P「.....だが!」

奏「私たちならやれる、でしょ?」

P「ああ!俺は無茶振りはしても無理な事は言わないからな!」



スタッフ「すいませーん、そろそろ準備の方お願いしまーす」

P「.....出番が来たみたいだな。それじゃお前ら、楽しんでおいで」

美嘉「うん、行ってくるねプロデューサー!」

周子「かるーく、大成功させとこー♪」

フレデリカ「会場にいる人みーんな、笑顔にしてくるね♪」

志希「飛び込んでくるよ、未知の世界!」



奏「プロデューサーさん、行ってきます!」

P「ああ......」  





行ってらっしゃい...



871: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 21:17:11.90 ID:OvcuEMl00

LiPPSの皆がステージに並んだ
スポットライトが、彼女達を照らし出す

後数秒で、曲がスタートする

3、2、1...

















カウントダウンが終わったその瞬間
ドームという名の世界に、一瞬にして革命が起きた


その瞬間を、この世界があの子達を中心に回る瞬間を

俺は今度こそ、この目に焼き付けた......



872: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 21:17:57.69 ID:OvcuEMl00

1位 LiPPS  ★×45 811プロ




873: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 21:18:55.38 ID:OvcuEMl00

========翌日、焼肉屋=========


P「えーそれでは歌姫楽園完全勝利、及びLiPPS全員のAランク昇格にー!」

全員「かんぱーい!」


ベテトレ「お前ら、本当によく頑張った!!」

早苗「みんな、おめでと―!」









P「....ん?待って待って待って」



874: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 21:20:48.30 ID:OvcuEMl00

早苗「どうしたのP君?」

P「青木さんはともかく、何で片桐さんまでいるんですか!?」

美嘉「いや入る前に気付こうよ...」

志希「なんかさりげなーく溶け込んできてたよね早苗さん」

早苗「いいじゃない!めでたいことは皆で祝うものよ!」
  
早苗「それに、奢りで飲むビールほどおいしいものはないからね!」

P「いや、片桐さんは自分で払って下さいよ...」

早苗「えー!ひどいひどい!もっと年長物を敬いなさい!逮捕するわよ!」

ベテトレ「まあまあ早苗、今回はPも頑張ったわけだし、偶には遠慮しておいてやれ」

P「いや青木さんも自腹ですからね」

ベテトレ「なんだと!?」

P「当たり前です!担当の子にしか奢るつもりありまっせんよ!
 
P「ていうかあんたらもいい歳した大人なんですから、年下に奢られようとしないでください!」

ベテトレ「宮本だって成人してるじゃないか!」

P「フレデリカは担当アイドルなんだからいいんです!」

フレデリカ「プロデューサー、ゴチになりまーす♪」



875: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 21:22:37.03 ID:OvcuEMl00

周子「いやーそれにしても我ながら最高の出来だったねー♪」

志希「ホント!あたしあんな感覚今まで味わったことなかったよ!もう一回やりたいなー!」

美嘉「きっと、IGでまた出来るよっ★」
  
美嘉「それにしても、IRから通達来るの早かった。まさかオーディションの翌日すぐ来るなんて」

P「それだけ昨日のオーディションの結果が評価されたって事だ、まあIGの参加資格という側面もあっただろうがな」

P「まあとにかく、これでお前たちは全員IGにエントリーができるようになったわけだ。ていうか通達着た後即エントリーしといた」

周子「仕事が早いねーPさん」

P「もっと褒めてくれていいんだぞ?」

ベテトレ「早い男は嫌われるぞ」

P「上げて落とされた!」

周子「奢りじゃなくなったから拗ねてるね.....」



876: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 21:23:52.40 ID:OvcuEMl00

奏「それでPさん、約束、覚えてるわよね?」

早苗&ベテトレ「!」



P「...ああ、覚えてる」

早苗「P君、ほんとにもう大丈夫なの?」

P「はい...もう覚悟は決めてきました。ちゃんとみんなに話したい、俺がなぜプロデューサーになったのかを」

奏「.......聞かせて」



P「あれは、今から3年くらい前の話....俺がまだ現役だったころの話だ」



877: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/08(月) 21:24:52.75 ID:OvcuEMl00

目の前に広がるのは、赤い、赤い海

でもこれはきっと、血なんかじゃない
横たわっているひしゃげた肉の塊も、きっと俺の知るあの子とは別のナニかだ

だって、さっきまで俺はあの子と話していたはずだから、これがあの子の死体であるはずがないじゃないか


だから、だから










夢なら、醒めてくれ....!







to be continued....



880: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:30:17.19 ID:K6AtmFbL0

~~~~3年前~~~~



P「あー....めっちゃ疲れた.....まあ、割と楽しかったかけど」


数年前、まだ高校生だった俺をとあるおっちゃん......891プロの社長が見つけてくれた
以来、俺はプロデューサーであるちひろさんや、屋久井のおっちゃんのサポートを受けながら歌手を続けてきた


そんな感じで歌手を続けて現在、人気のほどは...自分でいうのもなんだがかなりのもんだと思う。
891プロ歌手部門の、今最も推すべき歌手.......らしい。おっちゃんがそう言ってた

まあなんにせよ、売れっ子であろうがなかろうが、俺としては歌って飯が食えるなら何でもいいのだが

そんな感じで、普段は芸名の『Q』として活動していた俺は、大好きな歌を歌って多くの人を楽しませて自分も笑顔になる。そんな幸せで充実した人生を過ごしていた...のだが


P「流石に最近忙しすぎるよなー...今日の帰りもこんな夜になっちゃったよ.....まあでも、おっちゃんとプロデューサーのおかげで明日からしばらく休みになったし、久々に羽を伸ばすとするか!カラオケとか!」

P「でも今夜はその前に...いつものいっとくとするかねぇ!」



881: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:32:03.37 ID:K6AtmFbL0





     Chapter0 「Bad End Nightmare」







882: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:32:46.84 ID:K6AtmFbL0

ここ最近、俺はいつも日課にしていることがある
仕事終わりの夜、自販機で缶コーヒーを買い、家の近くの公園のベンチに座って月を見上げながら飲む
月見酒ならぬ、月見コーヒーというやつだ


P「こんなきれいな満月で飲まないってのは嘘だよな」


缶のプルタブを開け、唇に傾ける
たかが缶コーヒーでも、少しづつ味わって飲むのが楽しむコツだ


P「ん~!高いコーヒーも色々飲んだけど、やっぱこの缶コーヒーが一番うめぇ!」


一人で月を眺めてコーヒーを煽る、そんな1日を締めくくる安らぎの時間をいつも通り過ごす
...はずだったのだが、今日は少しいつもとは違った







P(ん...?誰か来た?)


静まり返った夜の公園に、イヤホンを付けた少女がやってきたのだ
少女はベンチの俺に気づかず、公園の中心地まで歩いていく



883: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:33:13.79 ID:K6AtmFbL0

P(女の子がこんな夜中に何で一人で公園なんか来てんだ?)


当の昔に成人した大人も来る場所ではないということは棚に上げつつ、珍しい来訪者を観察してみる


P(手に持ってるのは...なんかの木の棒?...ははーん、なるほどねぇ。)


サイズと握り方的にあの棒はマイク代わり
それを持って公園に来たということは、当然歌いに来たということだろう

見たとこと中高生っぽいし、いちいちカラオケに行くのも金銭的に厳しいのかもしれない


P(折角だし、お手並み拝見させてもらうか...)
















少女「ボエエエエエエエエエエエエ!!!!!」

P(!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?)



884: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:34:04.58 ID:K6AtmFbL0

なんじゃこりゃ!?み、耳が爆発しそうだ!!

P(ば、爆音痴じゃねえか!!)

少女「ボエエエエエエエエエエエエエ!!!」

P(お、俺の憩いの場所を潰されるわけには....)

止めに行きたい...けど、気持ちよく歌ってる女の子を止めるのは心が痛む...

てか、そもそもあまりの音波に身動きが取れねぇ!
このまま一曲終わるまで待つしかないな....

P(うごごごごごごごごご......)



885: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:35:32.99 ID:K6AtmFbL0

数分後、歌い終えたらしく少女から発せられる爆音波は止んだ

P(ま、まだ耳がピリピリする....)

1曲で満足したのか、それとも流石に遅い時間だから長居する気がないのか、少女は出口の方へ振り返っ....


少女「.....!」


た時に、思いっきり目があってしまった...



こちらに気づいた少女は、とてとてとこちらに駆け寄ってきた

少女「あの!」

P「えっ、あっ、な、何かな?」

少女「私の歌聞いてましたよね!どうでした!?」

P「どうって、感想?」

少女「はい!率直にお願いします!」


...これは、どう答えてあげればいいんだろうか

正直に『とても聞けたもんじゃない』って言う?いやそれはちょっと可哀想じゃないか?
じゃあ『良かったよ』って誤魔化す?でも率直にって言われたし、何より俺は嘘つくのヘタだからすぐにばれて逆に傷つけてしまうかも.....
無視してさっさと帰るという手は.....いやそれは感じ悪すぎるだろ!

頭の中で延々と悩みぬいた挙句、俺が出した答えは...


P「あ、あんまり上手くなかったかなぁ、あはは....」





ごめんなさい、名前も知らない少女よ..........



886: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:36:18.70 ID:K6AtmFbL0

少女「やっぱり、そうなんですね...」

P「えっ?」

少女「私、いつも歌がヘタクソって駄目出しされて、養成所のトレーナーさん達にも見放されて......青木さんは諦めずに頑張って教えてくれるけど...このままじゃ...」

P「養成所って...なんの?」

少女「アイドルです。あたし、アイドルになるのが夢なんです。でも、両親には猛反対されて、それでも説得し続けてようやく掴んだチャンスなのに...」

P「チャンス?」

少女「1年間東京の養成所に通う事を許してもらったんです、でも代わりにそ、の間にデビューできる目途が立たなかったらアイドルになるのを諦めるって条件なんです」

少女「だけど、もう後半年しか期間がなくて...」

P「ふーん...」


確かに、アイドルはなろうと思ってなれるほど甘い職業じゃないだろう

生まれ持った才能もいるし、過酷なレッスンをこなさないといけない。それでも売れなきゃ収入なんてないし、テレビに出れるようなアイドルなんてほんの一握りだ

確かに、親に反対されるのも無理は無いな...



少女「だから、今日からここで毎晩練習しようと思うんです!」

P(なんですと!?)



887: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:37:19.34 ID:K6AtmFbL0

そ、それは困る!
折角見つけた俺の憩いの場所なのに、あんな爆音波毎回聞かされてたら溜まったもんじゃないぞ!

ど、どうしよう...そうだ!


P「あーお嬢ちゃん、今から俺がいう事を意識してもう一度歌ってみてくれないか?」

少女「はい!なんでしょうか!?」

P「まず呼吸をな....」

少女「ふむふむ...分かりました、やってみます!」



数分後...



少女「すごい...人生で一番いい出来です!」

P「そ、そうか。それなら良かった」


確かに上達したな...核弾頭レベルの爆音波が、戦闘機レベルの音波になったくらいには

だが、まだまだ人に聞かせるには果てしなく遠い...このままじゃ結局俺の月見コーヒーの未来はない...
何としてでもこの音波兵器を人間に改造しなければ...



888: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:37:51.36 ID:K6AtmFbL0

P「なぁお嬢ちゃん、君さえ良ければ『師匠!』」
 
P「...へっ?」

少女「師匠!どうか私に歌を教えてください!」

P「えっ!?」

少女「お願いします!私どうしてもアイドルになりたいんです!どうか!」

P「えっ、ああ、うん!こっちこそよろしく!」

少女「本当ですか!?ありがとうございます師匠!」


P(まあ、元よりそのつもりだったし、別にいいか...)





こうして、歌手の俺とアイドル志望の少女の特訓の日々が始まるのだった...
...また忙しくなりそうだなぁ



889: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:38:21.33 ID:K6AtmFbL0

奏「夜の公園で缶コーヒー....プロデューサーさん、意外とクールな趣味があったのね」

周子「確かにプロデューサーさん、良くコーヒー飲んでるもんね。偶に調味料もらいに家に入る時も、やったらコーヒー豆多く出てくるし」

P「......周子、もしかして最近妙に醤油の減りが早いのって」

周子「気のせいじゃない?そんな事より続き、早く早く―♪」



890: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:39:10.56 ID:K6AtmFbL0

次の日、ちょうど休みを貰っていた俺は、音波兵器少女が通っているというアイドル養成所へと向かっていた

養成所の入り口、受付っぽいお姉さんに声をかけてみる


P「すいませーん!.....って子に会いに来たんですけど」

受付「あの子に?失礼ですが、どういったご用件で?」

P「あーっと...P、いや名前教えてなかったな......師匠が来たって言えば多分分かってくれると思うんですけど」

受付「師匠?」

P「あーいや、向こうが勝手にそう呼んでるだけで...」



???「ほう、お前か。あの子が言っていた師匠とは」

P「へっ?...ぐおっ!」


なんだ!?
後ろから女の声がしたと思ったら、急に首根っこを掴まれたぞ!?



891: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:39:37.70 ID:K6AtmFbL0

受付「お客様!?」

???「いいところに来た、ちょっとこっちへ来てもらおうか」

P「ちょっ、ちょっと!あんた誰なんですか!?」

???「いいから黙ってついてこい!」

P「痛い痛い痛い!引きずらないでくれー!!」

ウワー!!!






受付「....行っちゃった」



892: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:40:16.43 ID:K6AtmFbL0

その後、俺は謎の女にゴリラじみた力で部屋に引きずり込まれた


P「いてててて....何なんですか!?俺はカツアゲには屈しませんよ!?」

???「違う!お前が例の師匠とかいう奴だと聞いたから連れてきただけだ!」

P「連れてきたって...」


少女「あっ、師匠!来てくれたんですね!」

P「あれっ、お嬢ちゃん!?」

???「ここはこの養成所のレッスンルーム、こいつは毎日ここでアイドルになるための研鑽を積んでいるんだ」

少女「この人はいつもあたしに付いてくれてるトレーナーさんなんです!」

ベテトレ「トレーナーの青木 聖だ、よろしく」

P「は、はい...よろしく」



893: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:41:16.65 ID:K6AtmFbL0

P「......ていうか、俺たちしかいないように見えるんですけど...他の候補生は?」

少女「他の皆は、その...私の歌があまりにもヘタクソだから...」

ベテトレ「こいつだけ一人この部屋で隔離されてレッスンしているというわけだ」

P「えぇ...それってなんか酷くないですか?」


まあ、確かに毎回毎回あんな爆音波流されてたら身が持たないだろうけど....

 
ベテトレ「たしかに気にいらない話ではあるが、逆に言えば一人でレッスンに集中できるともいえる」

少女「私、いろんなトレーナーさんに見捨てられちゃってたんですけど...青木さんだけはずっと熱心に私に指導してくれてるんです」

ベテトレ「私はこいつには大きな潜在能力が眠っていると思っている。実際、私の指導についてこれるだけの根性があるし、ダンスやヴィジュアルの技術はかなり良いペースで上達してきている」
  
ベテトレ「だが、どうやら歌だけは本当にセンスがないらしくてな...私がどれだけ手を尽くしてもなかなか成長させられなかった......どうしたものかと手をこまねいていたら、今日になって急に成長していた」

ベテトレ「何故かと聞けば、昨日歌の上手い師匠に会ってコツを教えてもらったというじゃないか。お前、一体どんな手を使ったんだ!?」



894: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:42:37.96 ID:K6AtmFbL0

P「どんな手って...普通に基礎の基礎を教えただけですよ」
 
ベテトレ「歌の基礎くらい私たちだって当然教えている、それだけでここまで改善されるわけじゃない」

P「そりゃあ基礎っつっても、そもそもその人の声や性格で歌いやすい歌い方違うんですから。一人一人に合わせた歌い方の基礎があるんですよ」
 
P「得にアイドルなら、カラオケで高得点が出せるような正確な歌い方がいいとは限りませんからね。この子声はちゃんと出せてるから、音が暴走しないように歌えるようなコツを教えたんです」

少女「師匠から教わった通りに歌ったらすっごく上手く歌えたんですよ!」

P「まだ人に聞かせられるレベルでは無かったけどな...」

少女「がーん!?」

ベテトレ「一人一人違う基礎...それを、たった一回聞いただけで?それに、こいつの歌を矯正できるほどの音楽センス...お前は一体何者だ?」

P「あーっと俺実は....」

 

P(いや、ちょっと待てよ!?)


【ちひろ「いいP君?初対面の人に軽々しく自分の正体を明かしちゃだめよ?貴方の人気は今世間に対してかなりの影響力を持ってるんだから」】

【ちひろ「それに...P君詐欺とか引っかかりやすそうですし!」】


P「俺は...P太郎です。ただの歌好きのリーマンです」

少女「P太郎...良い名前ですね師匠!」

P(......そうか?とっさに考えたとはいえ、我ながらクッソ適当だと思うんだが.....)



895: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:43:28.35 ID:K6AtmFbL0

ベテトレ「ところで、お前さえ良ければ今後もこいつのヴォーカルレッスンに協力してくれないか?手が空いてるときだけでいい」

P「いいですよ、元よりそのつもり出来ましたし。ただ...今は偶々まとまった休みが入ってるんですけど、普段は忙しくて...」

少女「じゃあ、昨日みたいに夜にあの公園でレッスンしませんか?師匠が教えてくれるんでしたら、何時だって駆けつけますから!」


この少女、また俺の憩いの場を破壊する気か...
でも、一度引き受けてしまった手前、中途半端で投げ出すわけにもいかないしな...仕方ない


P「そうだな、じゃあそうしよう。明日からはなるべく夜に時間取れるようにするよ」

少女「ホントですか!やったー!」

ベテトレ「感謝するぞP太郎。これならこいつも、ちゃんとアイドルになれるかもしれない」

P「いえいえ、お安い御用ですよ。それでは今日も早速ヴォーカルレッスンしましょうか?」

ベテトレ「その前に、こいつのレッスンを一通り見てみないか?相手の事をより理解できていた方が教えやすいだろう?」

P「それもそうですね...では折角なので」



896: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:44:01.82 ID:K6AtmFbL0

仕事柄アイドルのステージを見ることはあっても、アイドルのレッスンは見たことはなかったが......これは!


P「凄い...」

ベテトレ「彼女は他の候補生と比べて特別とがった才能があるわけでは無い、むしろ歌のセンスは最悪だ、しかし...」

P「アイドルに対する情熱っつーか.......気合が普通じゃない」

ベテトレ「そうだ、多くのトレーナーに見捨てられようと、もはや狂気といってもいいほどの執念で彼女は必死に食らいついてきた」
    
ベテトレ「その結果、短期間でほぼ素人だった状態から、少なくとも歌以外の技術はデビューしても問題ないレベルまで成長した」

P「あとは、歌さえどうにかできれば...ってことか」



面倒なこと引き受けちまったかと思ったが...

どうやらむしろ、とんでもなく面白そうな事に出会えてたみたいだな!



897: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:44:47.08 ID:K6AtmFbL0

フレデリカ「それがプロデューサーとトレーナーさんの出会いだったんだね!」

ベテトレ「あの時は私もPの正体にまでは気づかなかったが、まあ変な名前の奴だとは思ってたな」

P「ですよね!?いや考えたの俺ですけど、やっぱ変な名前ですよね!?」

ベテトレ「ああ.....ところでP」


ベテトレ「誰 が ゴ リ ラ だ っ て ?」

P「やっべ」

早苗「まあまあ聖ちゃん!まだ話の続きだし、ここは抑えて抑えて!」

ベテトレ「............チッ」

P(怖っ!!)

志希「なんかプロデューサーに死亡フラグ立ったから、回収される前に続き、早く~?」

P「お、おう......シニタクナイ....」



898: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:45:42.06 ID:K6AtmFbL0

なんだかんだで俺はその後も養成所に通い続け、あの子へのヴォーカルレッスンを続けていた

そしてある日、偶には気分転換しようということになり、何がいいかと聞いたら


少女「あたしお散歩好きなんです!師匠とお散歩したらもっと楽しくお散歩できるんです!」


ということなので、適当に二人で街をぶらぶらすることにした




でもまあ、そんな時に限って会いたくない人にエンカウントするのがお約束な訳で

早苗「あれっ、P君じゃない!元気?」

P「えっ?」

ちひろ「あら本当だ、しっかり日頃の休みは取れてる?」

P「ちょっ、早苗さんにちひろさん!?」

少女「師匠の知り合いですか?」

P「そうなんだけど...なんでここに!?」

早苗「偶々休みが合ったから、久々に女二人で飲み会しようと思ってたのよ」

P「そ、そうなんですか.....」



899: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:47:02.71 ID:K6AtmFbL0

ちひろ「...ところで、そっちの子は誰かしら?」

P「えっ!?ああこの子はですね...」

少女「私は....です!いつも師匠にアイドルになれるよう導いてもらってます!」


早苗「ふむふむ、アイドル志望の女の子がP君に言葉巧みに連れまわされていると...」
  
早苗「P君、とりあえず逮捕しようか?非番だけど一応ワッパ持ってるわよ」

P「ちょっ、違いますよ!誘拐じゃないです!」

少女「お姉さんもしかして警察官なんですか!すごい!!」

早苗「正解!昔P君をシメたことだって『あーちょっといいですか二人とも!!こっちでちょっと話しましょうよ!!』えっ?」


P「すまん、ちょっとここで待っててもらえるか?」

少女「えっ?いいですけど...」

余計なことを口走りそうだった早苗さんを遮りちひろさんと早苗さんをあの子に声が届かない様にちょっと離れる



早苗「なによ、これからいい所なのに」

P「俺のことバラしてほしくないんですよ!」

ちひろ「どういう事?」

P「実は....」


カクカクシカジカ.....



900: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:47:50.50 ID:K6AtmFbL0

P「というわけでして、あの子に正体がばれるようなこと話してほしくないんですよ!俺と片桐さんの馴れ初め話したら、いろいろばれちゃうでしょ!」

ちひろ「まあ確かに........」

早苗「でも、別に黙っててもらえば正体バラしても大丈夫なんじゃないの?」

ちひろ「そういうわけにも行きませんよ。情報はどこから漏れるか分かりませんし、それにちょっとでもマスコミに流れたらお互い言いたい放題騒がれますよ?」

早苗「そういうもんなの?芸能界って大変なのねー」
  
早苗「それにしても、聖ちゃんが目をかけてる子に会えるなんて今日はついてるかも!」

P「聖ちゃんって、青木さん?知り合いなんですか?」

早苗「そうよ、学生時代の先輩後輩みたいな関係なの。昔よく二人でよくつるんで遊んだりトレーニングしたりしてたし、今でもよく一緒に飲みに行くの」
  
早苗「それで、前飲んだ時に面白い子を見つけたって聖ちゃんはしゃいでたから、ちょっと気になってたのよねー」

ちひろ「へー...こんなとこで繋がるなんて、世界って意外と狭いのかもしれませんね」

P「ホントですねー...って、いい加減あの子を待たせるのもマズイですし戻りましょうか。片桐さん、くれぐれも余計なことは喋らないでくださいね!」

早苗「大丈夫大丈夫、安心してって!」

P「本当に大丈夫ですか....?」








案の定、また余計な事をぶちまけそうになってて焦った...



901: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:48:44.11 ID:K6AtmFbL0

美嘉「その頃から、早苗さんとプロデューサーは知り合いだったんだね」

奏「ちひろさんって、私がCランクの時、オーディションで一度会った010の事務員さんよね?あの人がプロデューサーさんのプロデューサーだったんだ....」

周子「というか、結局早苗さんとプロデューサーって何で仲良くなったん?」

P「えーっと....それは.....」


早苗「昔、P君が路上でテンション上がったからってゲリラライブ始めてね?それで人が大勢集まって騒ぎだして色々問題が起きたのよ。だから近くの交番にいたあたしが叱りに行ったってワケ」

美嘉「プロデューサー、やっぱり警察のお世話になってるんじゃん!」

早苗「しかもその数日後懲りずにまたやったから、今度はちひろちゃんと一緒にシメたわ。流石にそれで懲りたみたいだけどね」

P「その節はほんと、ご迷惑をおかけしました......」

早苗「皆も路上ライブする時はちゃんと許可とるのよ?」


『はーい!』


P「.......じゃあ、俺の黒歴史が暴かれたところで、続きいくぞ」



902: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:49:43.58 ID:K6AtmFbL0

片桐さんとちひろさんと別れた後、散歩のゴールとして向かった先は....


少女「いつもの公園に到着でーす!」

P「もうこんな時間か、随分長い間歩いてたな...そこのベンチでコーヒーでも飲んで休むか。君は何に飲む?奢ってやるよ」

少女「いいんですか?じゃあコーラで!」

P「おっけー、待ってな」






自販機で飲み物を買って公園のベンチへ戻ると、あの子はイヤホンで何かを聴いていた

少女「あっ!おかえりなさい!」

P「ただいま。なに聞いてたんだ?」

少女「聞いてみます?」

イヤホンを片方さしだしそう聞いてきたので、遠慮なくイヤホンを受け取り耳に突っ込む



これは...聞いたことない曲だな、声入ってないしカラオケ音源か?それともオフボーカルの曲なのか?

だが、なんにせよ......



903: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:50:44.79 ID:K6AtmFbL0

P「良い曲だな」

少女「本当ですか!?ありがとうございます!」

P「いや、何で君が礼を言うんだよ」

少女「だってこの曲作ったの、あたしですもん!」

P「.....なんですと!?」


えっ?この曲を、この子が?
爆音痴怪音波兵器のこの子が?

嘘だろ!?


少女「私、作曲が趣味なんです!よく自分がアイドルになれたらこんな曲歌いたいなーっていう気持ちを良くぶつけてるんです。思う様に歌えないのでまだ声は入ってないですけど、ちゃんと歌詞もあるんですよ?」

P「君...なんで音痴なんだ?」

少女「いやー、自分で歌うのはなんか曲打ち込むみたいにうまくいかなくて...」


マジで?そういうもんなの?


少女「でも最近はPさんのおかげでちょっとずつ音痴克服できてますし!きっとこれに声がつけられる日も遠くないはずです!」
  
少女「私、この曲を大きなステージで歌うのが夢ですから!」

P「!」


少女「だから、これからもご指導よろしくお願いします!」



904: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:51:20.65 ID:K6AtmFbL0

夢を語る少女の瞳は、月の光の様に眩しく輝いていて
その輝きを見ていると、俺はどうしても認めざるを得なかった

この子がステージで輝く様を、本当に見てみたいと


P「...ああ、まかせろ!」


少女が語る純粋で煌びやかな夢に、いつか自分も魅せられる日が来る
そんな日が来るような予感を、確かに俺は感じていた



905: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:52:43.57 ID:K6AtmFbL0

そして月日は流れ....

ついに、あの子のデビューの日がやって来た


あれから音痴もみるみる改善し、俺からしちゃまだまだではあるがしっかり人に聞かせることができるレベルにまではなった

その成果が認められてか、彼女はあるプロダクションにスカウトされてデビューすることになったのだ


今日、小さなローカル番組で新人アイドルとして歌うらしい。俺も知り合いに頼んで、スタッフの中に紛れてその姿を見せてもらうことにした

そしてとうとう、あの子の出番がやって来る


少女「はじめまして!108プロの...です!今日はこの場をお借りして歌わせて頂きます!いざ!」


少女「~~~♪」


まだまだ未熟な部分も垣間見える歌声

だが...

P(よしっ!)

彼女がアイドル道を歩みだした事を告げる、最高の、ハジマリの歌だった



906: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:53:31.78 ID:K6AtmFbL0

=====公園=====
デビューの日の夜、またあの公園で語り合おう
彼女と交わしたその約束通り、俺はいつもの公園で彼女を待つ

少女「P太郎さーーーん!!」

P「来たか、デビューライブはどうだった?」


聞くや否や、少女は弾丸のような勢いで俺に抱き着いてきた

少女「大、大、大成功です!!やったー!!!!」

P「だろうな、俺も見てたし」

少女「えっ!?見てたんですか!?」

P「スタッフにこっそり紛れ込んでたんだよ、気づかなかったか?」

少女「全然気づきませんでした...いたなら言ってくれてもよかったのにー!」

P「ははは、まあ後でスタッフさん達への挨拶とか色々仕事あったろ?だから邪魔しちゃいけないと思ってな」

P「それに...こいつを買いに行こうと思ってたからな」

少女「何を買ったんですか?」

P「デビュー祝いだよ、ほら」


夢の一歩を踏み出した少女に、祝福の品を差し出す



907: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:53:59.32 ID:K6AtmFbL0

少女「これは...花束?きれー!!!」

P「チューリップだよ。祝いの花を何にしようか悩んでた時に、あの曲の事を思い出してな」

少女「つまり、曲名で選んだって事ですか?」

P「す、すまん。花には詳しくなくて、つい安直な発想になっちまった...」

少女「いえいえ!すっごく嬉しいです!ありがとうPさん!」


少女は花束を抱え、月に照らされながら満面の笑みを浮かべる
ああ、そうだ...
今日一日ずっと、俺はこの笑顔が見たかったんだ....





少女「...あれ?Pさん、泣いてる?大丈夫?」

P「馬鹿、ないてねぇよ...ただ」



お前が眩し過ぎて、どうしようもなく嬉しすぎるだけだよ.....



908: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:55:35.09 ID:K6AtmFbL0

その後も、俺とあの子の交流は続いていた

俺のほうも仕事がさらに忙しくなったり、彼女も下積みを積まなきゃいけない期間だったりで、会える回数は少なくなっていたけど

それでも、時間が合えばいつもあの公園でベンチで缶コーヒーを飲みながら自分たちの近況を語り合ったり、レッスンをしたり...

そしてその度に見せるあの子の笑顔に、俺はいつも元気を貰っていた

...だが



P「今日も...日付変わっちまった...」

連日の過密スケジュールに、流石の俺も疲労困憊になっていた



...だから、間違えたんだ



909: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:56:50.29 ID:K6AtmFbL0

トゥルルルッルルル!!

P「...ん?あの子からだ」ピッ

少女『あっ、Pさん...』

P「おう、こんな夜中にどうした?」

少女『えっと...Pさん疲れてるみたいだし、いいや』

P「いいのか?」
  
少女『うん、ちょっと声聞きたくなっただけだから。でももう遅い時間だから切るね、おやすみ』

P「お、おう。おやすみ」

ガチャッ、ツーツー


P「...まぁ、次に会った時に聞いてみるか。あまり掘り出されたくないのかもしれないし」
 
P「疲れたし、もう寝よう...」



...なんかあったんだろうな、とは思った

だが、俺は日々の疲れがたまっていたから...いや、これはいい訳だな


俺は、自分があの子の最後の砦だった事を、自覚してなかったんだ

だから、あの子の最後のSOSを見逃してしまったんだ...


俺はこの夜を、この先ずっと、死ぬほど後悔する事になる



910: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:57:25.16 ID:K6AtmFbL0

P(今夜は新月か...)




ふと窓から眺めた夜空に、月はなかった

それが、これからの悲劇を告げる凶兆だったことには、気づかなかった



911: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:58:00.64 ID:K6AtmFbL0

人が一番慢心するのは、絶頂であるとき

山に上ったら下りるように、幸せというのは必ず続かないものである

そして....



大きい山を登った時ほど、転がり落ちるスピードは速いものだ



912: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:58:41.29 ID:K6AtmFbL0

P「なんだよ...これ...」


[108プロ新アイドル、枕営業!?]
[デビュー直後から不正を働くビッチ系アイドル!]
[108プロアイドル、援交の現場!?]


コンビニに並ぶ週刊誌は、皆一様に、あの子が枕営業をしたという見出しを晒していた



・108プロのアイドル枕だってよwww
・デビューしてすぐちんぽにしゃぶりつくクソビッチアイドルがいるらしいwww
・新人さん、秒速で退場の模様


ネットの掲示板を見れば、皆狂ったようにあの子を叩いていた




華々しいデビューから一瞬で、あの子は闇へと貶められた

どこの雑誌も、ネットも、テレビも
よってたかって、あの子へと悪意を向けていたッ!!!


P「一体何だってんだよ、クソが!!!!」



913: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:59:13.00 ID:K6AtmFbL0

美嘉「ヒドい!!」

P「ああ、今思い出しても怒りが収まらない.....」

ベテトレ「ッ.....!」




奏「.....それで、その後はどうなったの?」



914: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 21:59:52.56 ID:K6AtmFbL0

P「兎に角あの子に会いに行かないと...」


プロデューサーに今日の予定は全ブッチだとメールを送り、家を飛び出した
プロデューサーからのコールを無視して、あの子の番号へと電話をかける


しかし、返事はない


P「クソっ!どこだ?あの子はどこにいるんだ?」


公園、養成所、家...
心当たりがある場所は探して回るが、見つからない

この際、もう手当たり次第に探し回るしかないと街を駆け巡っていたその時だった


トゥルルルルルル!!!

P「またか!今日は全ブッチだって...!?」


プロデューサーからのコールだと思い取りだしたスマホには、あの子の名前が表示されていた



915: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:00:20.57 ID:K6AtmFbL0

P「おい!俺だ!Pだ!お前は一体どこにいるんだ!」

少女『ごめんなさい...ごめんなさい...』

P「謝る必要はねぇ、兎に角一旦あって話を『ダメ!』」

少女『それだけは絶対ダメ!そんなことしたらまた...』

P「どういうことだ!?なんでダメなんだ!?」

少女『ごめんなさいPさん...ごめんなさい!私なんかが、アイドルになっちゃいけなかったの!』

P「何言ってんだ、お前は確かにアイドル『Pさん!』」

少女『今までありがとう...さよなら』

P「さよならって、何言って...」



916: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:00:48.75 ID:K6AtmFbL0


通話が切れ、同時に誰かの悲鳴が聞こえた




917: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:01:16.77 ID:K6AtmFbL0

P(...まさか!?)


何かの間違いだとそう自分に言い聞かせ、悲鳴の方へと走った
走って、走って、走って、走って



P「どいて、どいてください!どけって!」

野次馬を押しのけ、人混みの中心部へとたどり着く

そして...

P「....え?」


たどり着いた先で、悪夢を見た
地面にたたきつけられて動かなくなった、あの子がいた



918: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:01:42.61 ID:K6AtmFbL0

P(俺が、俺が殺したんだ...)
 


俺があの子を、ちゃんと守ってあげられなかったから、あんなに近くにいたのに、守ってあげられなかったから
 
あれはあの子のSOSだったんだ、なのに俺はこの子を見殺しにしたんだ


俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ






P「あ...あ...あああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」












意識は、そこで途切れた



919: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:02:15.49 ID:K6AtmFbL0

目を覚まして最初に目に入ったのは、見慣れない真っ白な天井だった
一体ここは...

ちひろ「起きた?」

P「ちひろさん?」

早苗「あたしもいるわよ」

ちひろ「貴方が街で倒れて病院に運ばれたって聞いて飛んできたのよ」

早苗「あたしは...ほら、事情聴取。一応ね」

P「...あの子は、どうなったんですか?」


早苗「...死んだわ」



920: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:03:12.02 ID:K6AtmFbL0

P「ッ!!」

早苗「飛び降りたビルの屋上から遺書が見つかったわ。あのバッシングに心を痛めて、本気で目指していたアイドルに絶望して、それで...」

P「嘘だっ!」

早苗「っ...」

ちひろ「P君...」


P「だって、あの子はようやく最初の一歩を踏みだして、これから自分の描いた夢へとあるきだして!本当にこれからだったのに!」
 
P「いつも公園で会う時だって、本当にアイドルやるのが楽しそうで!死にたがってる様になんてどう見えなかった!」
 
P「なあ片桐さん...嘘なんでしょう?ホントはあの子は死んでないんでしょう!?そうだって言ってくれよ!?」


早苗「...ごめんねP君、あたしの警察官の誇りとして、嘘ついて誤魔化すことは出来ない」

早苗「さっき身元の確認が取れたわ...あのビルから飛び降りて死んだのは、間違いなくあの子よ」


P「そんな...そんなことって......」



921: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:04:01.88 ID:K6AtmFbL0

屋久井「P君!!無事かね!?」

ちひろ「社長!?」

屋久井「ハァ...ハァ...病院へ運び込まれたと聞いて急いで駆けつけたのだが...容体は!?」

ちひろ「ショッキングな光景を見てしまって気を失っただけなので身体に影響はありません。今目を覚ましたところですので、すぐに退院できると思います」

屋久井「そうか...それならよかった...ところで、隣のキミは?」

早苗「片桐早苗、警察官です。P君に事情聴取をさせてもらいに来ました」

屋久井「事情聴取!?P君は何か事件に巻き込まれたのか!?」

早苗「自殺の現場を目撃してしまったんです。それで目撃者の一人であるP君にも一応事情を聞かなければいけなくなりまして」
  
早苗「ただ、自殺であることは間違いないので聴取はすぐに済みます。安心してください」

屋久井「そ、そうか。ならいいんだが...だが見たところ、自殺を目撃しただけにしてはP君のダメージが大きいように見えるが...」

P「.........」

ちひろ「実は、飛び降りたのはP君の知人でして、それで...」

屋久井「大きなショックを受けてしまったと言う事か....」

ちひろ「はい...なので身体は良くても精神的には...」

P「すいません...」

屋久井「.......P君」








こういう時こそ、歌ってみてはどうかな?」



922: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:04:50.47 ID:K6AtmFbL0

P「えっ?」


早苗「ちょっと!流石に今歌える気分じゃないでしょ!」

屋久井「いや、気が落ち込んでいる時こそ、自分の好きな事をやると元気が出る物だ。君は歌が好きだろう?こういう時こそ、自分の好きな歌を歌って自分を奮い立たせるんだ」

屋久井「...死んでしまった者の分まで、生きるためにな」

ちひろ「社長...」

早苗「......」


P「...そうっすね、ちょっと一曲歌わせてもらえますか?病院の中ですけど」

屋久井「構わん、責任は私が取る!」

P「分かりました、では早速...」


いつも通り口を開き声を、声を、声を...








いつも通り?



923: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:05:31.54 ID:K6AtmFbL0

P「......!!??」



声が、声が出なかった

歌おうとすると、首が鎖で縛られたように息が詰まった

あの子を死なせてしまったという罪悪感が、俺の喉を押さえつけていた



お前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺した
お前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺した
お前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺した
お前が殺した俺が殺したお前が殺した俺が殺したお前が殺したお前が殺した俺が殺したお前が殺したお前が殺したお前が殺した俺が殺した俺が殺した俺が殺した


P(あ、あああ、あああああ!!!!)

P「ァ...アア...アアアアアアアアアアア!!!!!」

『P君!?』



924: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:06:01.51 ID:K6AtmFbL0


その日から、俺は全く歌うことができなくなった




925: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:06:43.83 ID:K6AtmFbL0

歌を忘れた後、多くの人が俺を励ましに来てくれた
プロデューサーにおっちゃん、早苗さん
...それに、俺と同じくらい心に傷を負ったはずの青木さんも、何度も俺を励ましに来てくれた


でも結局、俺は歌手を辞め891プロも退社した

おっちゃんは頑張って引き留めてくれていたけど、自分の中にもう、歌う理由が見つからなくなっていたから...


それに俺は、プロデューサーにも迷惑をかけてしまった


プロデューサーは、俺の引退の責任を自ら取る形で891プロを退社したらしい
彼女があんなに誇りを持って務めていた仕事を、俺は奪ってしまったのだ


それ以来、顔を合わせていない
合わせる顔なんか、ない


もう俺に、あの人をプロデューサーと呼ぶ資格なんかないのだから



926: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:07:17.28 ID:K6AtmFbL0

あの子を亡くした後の俺は、死人と何ら変わらなかった

美味いもんでも食えば元気が出ると言われたが、何を食っても味がしなかった

旅行でもすれば気が紛れると、色んな人が色んなとこに連れまわしてくれたが、何も感じなかった


どうやら俺は歌と一緒に味覚と、色んな事を楽しむ心まで失ってしまったらしい



住んでたマンションも引き払って、狭いアパートへと引っ越した

とにかく今までと同じ環境に居たくなかった。じゃないとあの子の事を思い出してしまうから

だが、環境を変えたところで過去は消えない

結局何も変わることはなく、毎晩悪夢ばかり見ていた



927: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:07:50.01 ID:K6AtmFbL0

そんなある日だった

食料を買い足しにコンビニに行くと、ふとある週刊誌の見出しが目に入った


[108プロ、ついに倒産を発表]


P(108プロって、確かあの子の...倒産したのか)

正直、胸のすく思いだった

まだ新人だったあの子に枕を強要する事務所なんて、さっさと潰れてほしいと思っていた
この事務所のせいで、あの子はデビューしてすぐにあんなバッシングを受けて....









デビューして、すぐに?



928: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:08:19.13 ID:K6AtmFbL0

P(待てよ...それっておかしくないか?)


頭をハンマーで殴られたような感覚だった

止まっていた思考が急に回転し始め、死んでいた心に火が灯る



P(あの子はまだFランクのド新人だったんだぞ?なのにどの雑誌も一様にあの子の枕営業を表紙にしていた)

P(そもそもあんなに同じ記事ばかり並ぶものか?いくらゴシップ雑誌だとしてもネタの内容も優先度も同じだなんて)

P(それに...デビューは成功だったとはいえ他のアイドルに比べて抜きんでて目立ってたわけじゃない。今時山のようにあるゴシップで、なんでたいした旨味のないネタをそこまで?)



頭の中でカチリと音が鳴る
手詰まりになっていたパズルのピースが見つかったような、そんな感覚がした



P「...調べてみるか」



929: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:09:26.82 ID:K6AtmFbL0

高度情報化社会というのは便利だ。週刊誌のバックナンバーすら、電子書籍ですぐに購入出来るのだから

俺は当時の、あの子のバッシングをしていた雑誌を軒並み買いあさり...

そして、気づいた





P「なんだこれ...どれも出版社が違うのに、あの子の記事で使ってる写真が全部同じじゃないか!」


独占スクープやら新鮮なネタやらが好きな出版社が、手に入れた写真をライバル企業と共有して、みんな揃って同じような記事を作る。そんなの、絶対にありえない
2つ3つならまだしも、この時期に発売された芸能界を取り扱う雑誌は、軒並み同じ写真を使ってあの子の記事を描いている


こんなの偶然じゃない、つまり...






P「...あの二人に伝えなきゃ!」



930: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:09:57.42 ID:K6AtmFbL0

==============居酒屋=====================


ベテトレ「久しぶりだなP、ちょっとは元気出たか?」

早苗「とりあえずビールとつまみ頼みましょ!」

P「いや、俺はいいです。どうせ味わかりませんし...」

早苗「じゃあ、あたしの酒を飲むのが話を聞く条件って事で!第一、折角居酒屋来て飲まないなんてお店に失礼でしょ!?」

P「えぇ...分かりましたよ」

ベテトレ「というか、ちひろは呼んでないのか?」

P「プ、...ちひろさんは、その...顔合わせ辛いっていうか...」

ベテトレ「そうか...まあいい、何かあれば私たちから伝えておこう。それで、話というのは?」

P「はい、実は..........」



931: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:11:11.96 ID:K6AtmFbL0

P「....というわけなんです」


ベテトレ「これは...確かにどれも全く同じ写真だ。寸分も違いがない。2つ3つならまだしも、これだけの数は...」

早苗「流石に不自然よねぇ...」

P「あの子は、嵌められたんです。正体不明の誰かに。それに気づいてしまった以上、俺はもう止まれない。あの子の事件についてもう一度調べてみようと思うんです」

P「その為に、お二人の力も借りることになると思います」

ベテトレ「調べるったって、どうするんだ?出版社に潜り込むのか?」

早苗「いや.......あの子の記事を書いた雑誌が多すぎて、どこに潜り込めばいいか分からないわ。それにおそらく...」

P「はい...多分この事件の真犯人は、出版社じゃない」


ベテトレ「なに?」

早苗「考えてみて聖ちゃん。そもそもこれ、出版社からしたら手間のわりにメリットが薄すぎるわ。恐らく、いえ間違いなく裏に黒幕がいる。しかも、こんなに多くの出版社を動かせるほどのとんでもない力を持った奴がね」

ベテトレ「なるほど...しかし、それなら尚更どうやって探る?黒幕の手がかりはほとんどないんだぞ?」








P「...アイドル事務所を建てようと思います」

早苗&ベテトレ「「....なんだって(ですって)!?」」



932: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:13:34.32 ID:K6AtmFbL0

P「あの子は死ぬ直後、『自分がアイドルになっちゃいけなかった』と言っていました。裏を返せば、アイドルになったからこそこんなことに巻き込まれたって事になります」
 
P「だとすれば、事件の真相はアイドル業界にあるはずです」

ベテトレ「だからって、別にイチから事務所を作ることはないんじゃないか?どこかの芸能事務所に入社すれば...」

P「いえ、それだと履歴書で俺の素性がばれてしまいます。もし入社しようとした先に黒幕がいたとしたら、あの子と関わりがあった俺を警戒するでしょう?」
 
P「これだけの出版社を動かせる力の持ち主だ。履歴を頑張って偽造したところでバレてしまうでしょう。今自ら懐に潜り込むのは、返り討ちに合う可能性が高い」
 
P「それに...入社できたとして、芸能界の深い所まで探れるほどの機会を得るまでに時間がかかり過ぎると思うんです。だから...」

早苗「そのすべてをパスするために、自ら事務所を立てて社長になるって事ね」


P「あと青木さん、事務所を立てたら一つ頼みたいことがあります」

ベテトレ「なんだ?」

P「ウチに入ってきたアイドルを指導してやってください。この作戦、事務所が業界の中で相応の地位を手に入れないと、黒幕の情報にはたどり着けないでしょう。その為には、所属しているアイドルのランクを上げることが必要不可欠ですから...」

ベテトレ「成程.....分かった、その時は必ず引き受けよう。」

P「ありがとうございます。では話が済んだので俺はこれで...お金置いてくんで、これで好きに飲んじゃってください」


テーブルに万札を3枚ほど置いて席を立つ


早苗「待ってP君、最後に一つだけ言わせて」

P「なんですか?」



933: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:14:01.12 ID:K6AtmFbL0


早苗「私に、貴方を逮捕させないでね?」




934: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:14:40.30 ID:K6AtmFbL0

ベテトレ「..........」

P「....失礼します」







分かった、とは言えなかった

俺自身、どうやっても思えなかったからだ




黒幕を目の前にした俺が、胸に灯った黒い炎を抑え切れるなんて.....



935: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:15:44.67 ID:K6AtmFbL0

その後俺は、数か月かけて芸能事務所『811プロダクション』を立ち上げた

しかし、事務所を立てれたところでアイドルがいないんじゃお話しにならない。そもそも俺一人じゃ事務の仕事も手が回らなくなる


出来たばっかの芸能事務所じゃ、求人やスカウトも中々食いついてもらえない

それ以前に、芸能界の闇を探るにはそれ相応に実力のある子を見つけないといけない
 
トップとまではいわないが、Bランクくらいまでは行ってもらわないと業界の深い所には潜り込めない

だが、そんな逸材は早々見つからない....


開始早々詰まってしまって途方にくれいた時、ふとあの公園の事を思い出した

俺があの子と出会ったあの公園にいけば、もしかしたらまたあの子の様なアイドルの卵に会えるのではないだろうか?

そんな予感はしたものの、心の中でそんな次鵜の良い事ポンポン起きるはずないだろと毒づき
それでも、俺の足はあの公園へと向かって行った









そして、俺は出会った

停滞していた世界を加速させる、運命の歯車に



936: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:16:14.33 ID:K6AtmFbL0

...あの子に背中を押された気がした

これが俺が進むべき道だと、背中を押し出された感覚だった

だからこそ、俺は躊躇わず目の前の運命に足を踏み出した



937: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:16:51.78 ID:K6AtmFbL0

P「若いくせにこんな深夜に公園で寝るなんて、どんな不良かと思えば....なかなか別嬪じゃないか」

周子「んあ?お兄さん誰?」

P「ああ、失礼。俺はこういうもんでね。ほれ、名刺だ」

周子「ん...芸能事務所811プロダクション、社長兼プロデューサー P?」

P「そうだ、しかもその名刺、作ってから初めて渡した1枚だ。大事にしてくれよ」

周子「ふーん...それで?お兄さんはこんなかよわい女の子なしゅーこちゃんに何の用なの?」

P「そりゃもちろん、スカウトさ。しゅーこちゃんって言ったか?」
 






 


アイドル、やらないか?



938: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:17:35.42 ID:K6AtmFbL0

~~~~現在~~~~~


P「...というのが、俺の隠してた秘密だ」

『.........』

想像を絶するPさんの過去に、皆一様に黙り込んでしまう






P「俺は今まで、自分の目的の為にお前たちを利用していたんだ」


P「罪悪感はあった、だが真相を追うためならどんな犠牲をも払って見せると思っていた」
 
P「...だが、お前らと過ごしていくうちに...どんどんお前らが愛おしくなった...純粋にお前らのアイドルとしての輝きを、もっと見てみたいと願うようになった」
 
P「だからこそ、打ち明けるのが怖かったんだ...お前らと過ごせば過ごすほど、真相を明かして、お前らに拒絶されるのが怖くなっていった」

 
P「すまない...俺はプロデューサー失格の男だ。いくらでも罵ってくれて構わない...」



939: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:18:50.92 ID:K6AtmFbL0

奏「いいえ、プロデューサーさん。貴方は紛れもなく、私達のプロデューサーよ」

P「えっ?」


周子「奏の言う通りだよ、だってPさんはちゃんとあたし達にアイドルの世界を教えてくれて、こんなに高いところまで引っ張ってくれたじゃん!」
  
周子「それが利用するって事なら、いくらでも利用してくれたっていいよ!」


美嘉「ていうか、水臭いよプロデューサー!そんな事件ずっと追ってたんならあたし達にも相談してよ!」
 
美嘉「あたし達の生きるアイドルの世界にそんな悪い奴がいるんなら、あたし達だって許せないし!」


フレデリカ「プロデューサー!悩むときは、一緒に悩もう?だってアタシ達、仲間だもんね♪」
     
フレデリカ「辛いときは、苦しいときは、あたし達皆で一緒に抱えよ?嬉しいとき、幸せなときは、皆で一緒に分かち合おう?その方がきっと素敵だよ!」


志希「あたし達皆どこかぶっ飛んでる人ばっかりだからさー、むしろ優等生なプロデューサーよりキミの方がずっと相性がいいんじゃないかにゃ~?」
  
志希「それに...プロデューサーはあたしとパパを縛る鎖を解いてくれたじゃん。キミがなんて言おうと、あたしたちにとってキミは、あたし達家族の恩人なんだよ」


早苗「...本当に、良い仲間を持ったわね、P君」

ベテトレ「ああ、私の見立ては正解だった。やはり、彼女たちこそがお前の鎖を解くカギだったんだ」
    
ベテトレ「...そしてきっと、私の鎖もな」



940: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:19:19.04 ID:K6AtmFbL0

奏「プロデューサーさん、私、今すっごく嬉しいの。貴方の本音を聞くことができて。貴方に信頼されているのが分かって、愛おしいとさえ言ってもらえて...本当に、嬉しいわ」
 
奏「プロデューサーさん、大丈夫。私達は何があっても、貴方の味方だから...」
 
奏「だから...謝るんじゃなくて、ね?もっと、温かい言葉をちょうだい?」







P「皆......」



941: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:20:08.73 ID:K6AtmFbL0


ありがとう..............!




942: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:20:44.11 ID:K6AtmFbL0

to be continued...



943: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:25:24.47 ID:K6AtmFbL0

Chapter0終了したとところで、今回はここまで―
....というか、この話だけ見たら完全にスレタイ詐欺じゃないか(白目)



『少女』には誰か原作のアイドルの子を当てはめようとも思ったのですが、でも死ぬしなぁ.....と思ったので結局オリジナルのまま進行しました
でも不便だから名前くらい付けてあげてもよかったかもしれない


これでようやく物語の3分の2が終わり、遂に終盤へと移ります
もちろん残り60レスくらいで終わるわけがないので、次スレ建ててきます



944: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 22:42:03.00 ID:K6AtmFbL0

【モバマス】LiPPS「虹光の花束」 2スレ目
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1554816955/


次スレ建てましたー
こっちはHTML願い出してきます


元スレ
SS速報R:【モバマス】LiPPS「虹光の花束」