関連
SS速報VIP:相馬夏美「空の上で」
1: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 01:44:00.88 ID:U7VVims10
―日本・太平洋沖にて―
ザザーン……ザザーン……
夏美「海だ―――――っ!! 」
早苗「クルーザーだ―――――っ!! 」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1363106640
2: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 01:45:46.15 ID:U7VVims10
夏美「海はおっきいですね早苗さ~ん~!! 海を見てると小さい悩みとか大きな仕事とか
色々忘れちゃいますよ~!! 」
早苗「仕事は忘れちゃダメでしょ夏美ちゃ~ん!! ま、私も気分は既に旅館の晩御飯と
温泉にロックオンしちゃってるんだけどね~!! 今夜は飲むわよ~!! 」
夏美「またまたあ~!! そんな事言って早苗さん、その水着めっちゃ気合入ってるじゃない
ですか~!! プロデューサーさんもメロメロですよ~!! 」
早苗「夏美ちゃんこそバッチリ決まってるわよ~!! さっすが元スッチー!! カックイ~!! 」
夏美・早苗「「あははははははははははははははははっ!! 」」
ビョオオオオオオオオオオオオオオオオ……(気温10℃・水温12℃)
夏美・早苗「「へっくしっ!! 」」
P「早苗さ~ん、夏美さ~ん、まだ準備かかりそうですから中で待ちましょうか~」ガチャ
夏美・早苗「「早く言えっての!! 」」クワッ
―クルーザー内部―
P「いや~、二人ともすごく楽しそうだったから邪魔しちゃ悪いと思って。喜んで
いただいてる様で何よりです!」ニコニコ
夏美「そうね……夏だったら最高だったわ……どうしてこの時期にクルージングツアー
紹介の撮影なんてしなくちゃいけないのよ……」ガタガタ
早苗「お仕事はありがたいんだけどね……私も冬の寒さがそろそろキツイのよ……さっき
は寒すぎてテンションがおかしくなってたのよ……」ブルブル
P「またまたご謙遜を~♪ お二人とも若いんだから全然大丈夫ですって!夏美さんと
早苗さんの溢れる若さとパワーでこの仕事も絶対成功させましょう!! じゃ、俺は
撮影スタッフの様子を見てきます!! 」バタン
夏美「若いって褒められて殺意を覚えたのは初めてだわ……」ガタガタ
早苗「私も一瞬腰に手をかけてた…… P君に悪意がないのがやり辛いわね……」ブルブル
ポンポン
薫「だいじょうぶ夏美おねえちゃん?ココア作ったから飲んで?」ホカホカ
仁奈「早苗の分もあるですよ。寒かったら仁奈をモフモフしやがっていいですよ?」モフモフ
夏美「薫ちゃん……!! 」ブワッ
早苗「ありがと仁奈ちゃん……グス お言葉に甘えてモフモフさせてもらうわ……」ギュー
仁奈「えへへ、仁奈のキグルミは万能なのでごぜーます!寒さだってへっちゃらです!」
薫「薫たちもおてつだいするから、おしごとがんばってね!」
夏美「うん!夏美お姉ちゃん頑張る!薫ちゃんも応援しててね!」ヨシヨシ
早苗「仁奈ちゃん達はクルーザー内部での撮影だったわね。外はとっても寒いから
出てきちゃダメよ?」ナデナデ
P「夏美さ~ん早苗さ~ん、準備出来ました~!」ガチャ
夏美「よし!それじゃ全力で……」
早苗「いっちょやりますかっ!」
薫・仁奈「「がんばって~!」」
P「お、何だか仲の良い母子みたいですね!微笑ましくて良い雰囲気です!」ニコ
夏美「かは……!?」バタン
早苗「ぐふ……!?」ビタン
仁奈「夏美!? 早苗!? 大丈夫ですか!? 」ギョッ
P「ど、どうしたんですか二人とも!? まさか船酔い…… 」アタフタ
薫「せんせぇはもっとおんなごころをべんきょうしなくちゃダメだよ……」ハア
***
スタッフ「はいOK!休憩入りまーす!」
夏美「さむさむさむさむ……」バタバタバタバタ……
早苗「はいコート!それからカイロ!」サッ
夏美「ありがと早苗さん。私ちゃんと出来てました?笑顔とかひきつってませんでした?」モソモソ
早苗「問題ないわよ。さっすが夏美ちゃん、笑顔の練習の成果出てるわよ!」
夏美「ふふ、前の仕事でもちゃんと笑えるように毎日やってましたから!でも早苗さんも
スゴイですね!もうあんまり震えてないし」
早苗「あはは、元々雪国出身だしね。それに初日の出暴走取り締まりの時はもっと
寒かったし、あれに比べればこっちの方がマシよ」
夏美「前職の経験が活きてますね私達!レナさんと真奈美だったら無理じゃないですか?」
早苗「あの二人にはパッションが足りないわよ。レナちゃんも真奈美ちゃんもカッコ
つけてるから、こういう体張った仕事はボロが出るでしょ。この仕事は私達じゃ
ないと務まらないわ!」フフン
アハハ… ウフフ…
「…………」ジー
早苗「……?」クルッ
「…………」スタスタスタスタ……
夏美「どうしたんですか早苗さん?」
早苗「さっきあの子がこっちを見てた気がして…… 夏美ちゃん、あの子スタッフ?」
夏美「そうじゃないですか?いや、今朝の顔合わせの時にあんな人いたっけ?
あれ?でもあの顔どこかで見たような気が……」
早苗「暗い雰囲気なのも気になるわね。何か嫌な事でもあったのかしら……?」
***
P「ああ、彼女ですか。撮影スタッフさんの知り合いらしくて、出航直前にどうしても
乗せて欲しいって頼まれたんですよ。仕事の邪魔はしないって言うし、特に断る
理由がなかったので了承したんですけど、何かありましたか?」
早苗「いや、ただ何とな~く気になるのよ。元警察のカンってヤツかな?」
P「……流石ですね。実は彼女、この辺りでは結構有名なサーファーらしいんです。でも
去年の夏に同じサーファーの親友を事故で亡くしたらしくて、それ以来サーフィンを
止めて一日中海辺をふらふら歩くようになったらしくて……」
夏美「それはちょっと目が離せないわね……」
P「すごく元気で明るい人だったらしいんですけどね。スポンサーにも契約を切られて、
サーファーを引退するのも時間の問題じゃないかって噂されてるそうです」
早苗「見るからに海の女って感じなのに、今の状態でサーフィン止めたらヤバイでしょ」
P「ええ、スタッフさんも元気付けようとして、彼女をクルーザーに乗せたそうです。
彼女は別に海が怖くなったわけではないらしいので、沖に出ればまたサーフィンを
したくなるかもしれないって思ったみたいで」
早苗「う~ん、難しい問題だね。これはあの子が自分で解決するしかないのかもね」
夏美「プロデューサーさん、あの人の名前わかる?私どっかで会った気がするの……」
P「ちょっと待ってて下さい、スタッフさんに聞いてきます」バタン
早苗「……お節介を焼くと逆効果の場合もあるわよ?」
夏美「分かってますよ。でもこのまま放っておくわけにもいかないじゃないですか」
早苗「それはそうだけど……」
P「お待たせしました、沢田麻理菜さんだそうです」ガチャ
夏美「そうだ思い出した!麻理菜さんだ!」ポン
P「彼女と面識があるんですか?」
夏美「昔旅行会社と共同で、サーフィン体験込みの国内パックを企画した事があったん
だけど、その時のサーファー側のアドバイザーに麻理菜さんがいたのよ。丁寧に色々
教えてくれて、インストラクターも引き受けてくれたわ」
早苗「へえ、奇妙な縁もあるのね」
夏美「色々お世話になったのに、全く気付かなかったわ。あの時とまるで別人みたい。
とっても明るくて、よく笑ってよくしゃべる人だったのに……」
***
カメラマン「早苗さん、こっちポーズお願いしまーす!」
早苗「あは~ん☆」
カメラマン「そこで腕を組んでくださーい!」
早苗「ちょっとだけよ~♪」
カメラマン「……その若干古いセリフはいらないんで、普通にお願いします」
早苗「どういう意味よ!? 」
ギャーギャー
麻理菜「…………」ボケー
夏美「こんにちは!沢田麻理菜さんですよね?」ヒョコ
麻理菜「ああ、確かモデルさんの……」
夏美「あはは、一応アイドルなんですけどね。新人アイドル相馬夏美です!でもアイドル
になる前はスッチーだったんですよ私!」
麻理菜「スッチー…… CAさん?」
夏美「分かりやすいようにスッチーって言ったのに、逆にCAと返されるとは……
実は私、CAの時にあなたとお会いした事があるんですけど、覚えてませんか?」
麻理菜「ごめんなさい、記憶にないわ」
夏美「そうですか…… 私って影薄かったのね……」ガックリ
麻理菜「ああ、でも前に仕事で航空会社の人と一緒になった時に、空港から現地の海岸
までランニングで視察に行った面白いCAさんがいたかしら……」
夏美「へ、へえ…… すごいバカですねそのCA……」ダラダラ
麻理菜「海岸についたらそのまま『救助―っ!』とか叫んで海に飛び込んで、足が攣って
溺れたから私と友達が助けたっけ……」
夏美「ず、ずいぶんよく覚えてるんですねそのCAの事…… もう3年くらい前の話だと
思うんだけどなあ……ハッ!」
麻理菜「ふふ、久しぶりね夏美。今朝あなたを見かけた時はまさかと思ったけど……」
夏美「お、お久しぶりです麻理菜さん…… あの時はご迷惑をおかけしました……」カアア
麻理菜「迷惑なんてとんでもないわ。私の友達はツアーの為に自分の足で現地を視察して、
いざという時の為にと全力で救助練習までしたあなたにとても感激していたのよ。
CAにしとくには勿体ないってずっと言ってたわ」
夏美「勘弁して下さい…… あの時は新人でバカでクソ真面目だったんです……」
麻理菜「でもまさかあなたがCAを辞めるとはね…… だったらあの時本気でサーファーに
勧誘すれば良かったかしら。あの子もきっと天国で悔しがってるでしょうね」
夏美「え、もしかして事故で亡くなったのって……」
麻理菜「ええ、あの時一緒にあなたを助けた子よ。ここで生まれ育って、小さい頃から
海で遊んでいて、誰より海の事をよく知っていたあの子が、この海で溺れて
死ぬなんてね―――――」
***
麻理菜「海で人が死ぬことは別に珍しくないわ。でも私は、あの子だけは死なないと心の
どこかで思ってたのよ。どんなにハードな波にも涼しい顔をして乗ってたし、
サーファーの活動と並行して何人も溺れた人を助けていた。あの子は海に
愛されて、海に守られているってずっと思ってたわ」
夏美「すごい人でしたよね…… とってもサーフィンが上手でした……」
麻理菜「あの子がいなくなってからサーフィンをする気が起きなくてさ。私が海を好き
でいれば、海はそれに応じて私を守ってくれる。海との信頼関係があったから
私はサーフィンが出来ていたんだけど、今は信頼出来なくて……ね」
夏美「じゃあどうして海辺を歩いているんですか……?」
麻理菜「信頼は出来なくても、嫌いにはなれないのよね。ただちょっと今は海とケンカ
してるの。私が一方的に怒ってるだけなんだけど。あの子を返せーって、毎日
海に向かって八つ当たりしてる感じかな」
夏美「麻理菜さん……」
カメラマン「相馬さーん!準備おねがいしまーす!」
麻理菜「安心して、別に後を追ったりしないから。いつかこの気持ちに折り合いを付けて、
のんびり生きて行くわ。その時はもうサーファーは引退してると思うけどね」
夏美「あ、あの……!」
麻理菜「ほら、行って来なさい。新人アイドルなら仕事はちゃんとしなくちゃ。私も応援
してるから、しっかり頑張るのよ」トン
夏美「わわっ…… それじゃまた……」ペコリ
***
―クルーザー内部―
カメラマン2「はいっ、撮影終了です、薫ちゃんも仁奈ちゃんもおつかれ!」
薫・仁奈「「おつかれさまでしたー!」」ペコリ
P「お疲れふたりとも!よく頑張ったな!」ヨシヨシ
仁奈「もっとほめやがれです~♪」モフモフ
薫「ねえねえせんせぇ!夏美おねえちゃんたちのところにいっていい?」
P「やめとけ。外はとっても寒いぞ。向こうももうすぐ終わるし、行くだけ無駄だ」
仁奈「でも船の中にいるのも飽きたです!せっかく海にきたのに意味ねーです!」
P「窓から見ればいいだろ。ほら、ここからでも夏美さんも早苗さんも見えるだろ?」
薫「つまんなーい!薫もちかくでみたーい!」ジタバタ
仁奈「ここから出しやがれですー!」パタパタ
P「ダメだ。どうしてさっきまで良い子だったのにだだをこねるんだ……」ハア
スタッフ「Pさ~ん、この後のスケジュールの確認ですが……」ガチャ
薫(ドアがひらいた……!! )
仁奈(今がチャンスです……!! )
P「あ、はーい」クルッ
薫・仁奈「「うおりゃ~!」」ドドドドドドドドドッ……
スタッフ「うおっ!? な、なんだなんだ!? 」ギョッ
P「マズい外に出た!すみません、あの子達をつかまえて下さい!」ダッ
―――
キャハハハハハハハハ… バタバタバタバタバタ…
カメラマン「何だ、甲板の方が騒がしいな……」
船員「子供か?向こうは濡れているから走ると危ないぞ」
ドボーン…… ドボーン……
カメラマン2「大変だーっ!子供が海に落ちたーっ!」バタバタ
夏美「子供……?まさか……!! 」ハッ
早苗「仁奈ちゃん!薫ちゃん!」ダッ
麻理菜「え?なに?どうしたの? 」ガチャ
船員「子供が海に落ちた!この水温だから早く助けないと命に関わるぞ!」バタバタバタ
麻理菜「ウソ!? 絶対ヤバイよそれ!! 」バタバタバタ
―甲板―
スッタフ・船員「「「せーのっ!よいしょっ!」」」グイーッ
薫「けほっ、けほっ……うええぇぇん……」ブルブル
船長「すぐに毛布を!! 急いで身体を温めるんだ!! 」ドタバタドタバタ
スタッフ「もういっちょ行くぞ!こっちは大人だから手を貸してくれ!」
スタッフ・船員「「「「「「せーのっ!よいしょおっ!! 」」」」」」グイーッ
P「メだ……まだ……メだ……」ガチガチガチガチ
船長「これはいかん、すぐに医務室に運べ!身体が冷え切ってる!」バタバタ
夏美「プロデューサーさん!! 」バタバタバタ
早苗「薫ちゃん!! 」バタバタバタ
船長「何とか間に合ってよかった……あと少しでも遅かったら、この子もPさんも
助からなかっただろう。おい、すぐに担架!それから海保に連絡!」
P「はな……まだ……」ズリ…ズリ…
船員「おいじっとしてろ!何考えてるんだアンタは!? 」
P「まだ……中に……」ズリ…ズリ…
カメラマン2「やめろって!あの子はもう無理だ!気の毒だとは思うが諦めろ!」
夏美「……どういうこと?あの子って誰よ!? 」グイッ
カメラマン2「落ちたのは薫ちゃんだけじゃないんだ…… 仁奈ちゃんも一緒に落ちて、
Pさんは二人とも助けようとしたんだけど着ぐるみが水を吸って……」
夏美「そんな!? じゃあ仁奈ちゃんはまだ海の中に!? 」
船員「こっちの子を引き上げる直前まで、Pさんがもう一人の子もしっかり抱えて
いたんだが、途中で着ぐるみの重さに腕が耐えられなくなって……」
P「仁奈……に……がはっ、げほっ……ぐ……くそ……」ボロボロ
早苗「スタッフさん、そのカッター貸して!」バッ
スタッフ「う、うお!? いいけどそんなの持ってどうするつもりだ!? 」
早苗「助けに行くに決まってるでしょ!! 」ドボーン!!
船員「マジかよ、冬の海に水着一枚で潜りやがった!? 3分も保たないぞ……」
夏美「3分あれば十分でしょ!私も一緒に……!」
麻理菜「待ちなさい!」ガシッ
夏美「麻理菜さん!? 」ギョッ
麻理菜「あんた正気!? 夏でも溺れた人を助けるのは命がけなのに、どう考えても
自殺行為よ!! 分かってるの!? 」
夏美「大丈夫です!あの時しっかり麻理菜さん達に救助のやり方を教えてもらいましたし、
会社でも災害訓練はやりました!」
麻理菜「そういう問題じゃないでしょ!! あなたが死ぬのは勝手だけど、残された人達は
どうなるの!? 私達はどうすればいいのよ……!! 」ポロポロ
夏美「……安心して下さい、麻理菜さん」ニコ
麻理菜「え……」
夏美「私は海では死にません。私が死ぬのは空の上って決めてますから♪」
麻理菜「な、何を言ってるの……」
夏美「相馬夏美、全力で行っきまーっす!」ドボーン
麻理菜「ちょ……、ちょっと!! 夏美―――――っ!! 」
スタッフ「うお!? マジかよ!! 正気かあの女!? 」
船長「と、とりあえずありったけの毛布を用意しろ!それから救急病院にも連絡だ!
すぐに搬送出来る体制を整えとけ!」
薫「仁奈ちゃん…… 早苗さん…… 夏美おねえちゃん……」ブルブルブル
P「は、はなしてくれ…… 俺も助けに……」ズリ…ズリ…
船員「いいからあんたはじっとしてろ!俺達に出来る事は祈るだけだ!」
―――
シーン……
スタッフ「おい…… 何分経った……?」
船員「もうすぐ4分だ…… やっぱり無理だったんじゃ……」
麻理菜(夏美…… お願い神様、どうかあの子達を助けて……!! )ギュッ
ボコボコボコボコ……
スタッフ「お、おい見ろあそこ!! 船長!! すぐに船寄せろ!! 」
船長「わかってる!奇跡だ、こんな事がありえるのか……?」
麻理菜「あ、ああああ…………」ポロポロポロポロ
早苗・夏美「「ぷはぁ―――――っ!! 」」ザバーン
仁奈「ケホッ……」
スタッフ「やった!やりやがった!」
船員「すげえ!人間じゃねえあいつら!人魚だ!」
ウオオオオオオオオオオ!!!!
夏美「ど、どどどどどうでもいいからささささっさとひひひひきあげて……」ガタガタガタ
早苗「温泉温泉温泉温泉おんせんおんせんおんせんオンセンonsen……」ガチガチガチ
***
― 一週間後・都内某居酒屋にて―
レナ「ふ~ん、色々大変だったんだね~」グビ
夏美「軽くないですか!? アンビ○ーバボばりの奇跡の救出劇だったんですけど!? 」ガタッ
レナ「だって夏美ちゃん話大げさなところあるしぃ~ 早苗さんいないしぃ~」ポリポリ
夏美「早苗さんは時間差で筋肉痛が来たらしくて。あの人見た目は若いのに体はオバ…
いえガタが来てるんですよね……」グビ
レナ「言い直してもあまり意味ないわよ。ところで『空の上で死ぬ』ってどういう意味?」
夏美「CAになった時の私の覚悟みたいなものでしょうか。もう辞めちゃいましたけど、
私の命は空に預けたままなんですよ。そうしておけば、地上ではどんな事でも
全力で頑張れる気がして」
レナ「面白そうな話ね。教えてよ」ワクワク
夏美「そんな大したものじゃないですよ。麻理菜さんが海を信頼しないとサーフィンが
出来ないって言ってたみたいに、私も空に命を預けてCAをしていました。
空は私を守ってくれないし、優しくないですからね」
レナ「そうなの?」
夏美「だってそうじゃないですか。海に投げ出されても人間はすぐに死にませんけど、
空に投げ出されたらまず助からないでしょ?空では落ちるだけで泳ぐ事も出来ない
し、辿り着く島もない。それどころか酸素だって薄いんですから」
レナ「あ~確かに。船の沈没より、飛行機の墜落の方が生存率も低そうよね」
夏美「CA仲間が墜落事故で死んだら、次は自分の番じゃないかって怖くて眠れない時も
ありました。だから私はこう考えたんです。『空の上で死ぬかもしれない』じゃ
なくて、『死ぬ時は空の上だ!』って。そうしたら気持ちが楽になって」
レナ「違いがよくわかんないんだけど、なんだかすっごく前向きにネガティブ…… 私が
乗客だったら、そんなCAのいる飛行機に乗りたくないわ」
夏美「いいんですよ墜落しなかったんだし。命なんてくれてやる、むしろ空で死ねたら
本望だって事です!」グビ
レナ「そこまで思い詰めるならCAなんてならなきゃ良かったのに。まるで棺桶に乗って
飛んでるみたいじゃない?」
夏美「でも嫌いになれないんですよね空を。麻理菜さんも言ってましたけど、大事な友達
を奪われても、それでも憎む気持ちすら起きないんですよ。空も海もあまりにも
大きくて、私達なんてちっぽけで全然敵わなくて……」
レナ「何だか今日の夏美はロマンチックね。それでそのサーファーさんはどうしたの?」
夏美「今の話を病院でしたら爆笑されましたよ…… 麻理菜さんなら分かってくれるって
思ってたのに。でも元気が出たみたいです。『私は海に命を預けられるほど、海を
好きじゃなかったわ』って笑ってました。どういう意味でしょうか?」
レナ「ちょっと大丈夫でしょうねその人?身投げしたりしないわよね?」
夏美「大丈夫だと思いますよ。昔みたいに明るく笑ってましたし。それからうちの事務所
の事を聞いてきました。『ギャンブルアイドルがいるなら、サーファーアイドルが
いてもいいわよねっ♪』って。もしかしたらウチに来るかもしれませんね」
レナ「ギャンブルアイドルってイメージ悪いわね。『カジノアイドル』って呼んで頂戴」
夏美「違いがよくわからないんですけど、レナさんがそう言うならそうします。じゃあ
もう一度カンパイッ!」サッ
レナ「ええ。夏美達の奇跡の生還に乾杯♪」カチンッ
***
夏美「ところで真奈美はどうしたんですか?確かこの前、クールでいっぱい飲み仲間が
出来たって聞いてたんですけど。今日は誰も来れなかったんですか?」
レナ「私もよく知らないんだけど、クールには『四天王』って呼ばれるウワバミ軍団が
いるらしいのよ。おとといクールのミーティングがあったらしくて、真奈美達は
そのまま四天王と一緒に飲んで全員潰されたらしいわ。それで欠席」
夏美「二日前の話なのにまだ回復しないんですか…… 真奈美はその四天王さん達に
どんだけ飲まされたんですか?」ゾゾ
レナ「ふんっ、私をハブにしたからバチが当たったのよ。ざまあ見ろだわ。でもあの
きっちりしてる真奈美が潰されるなんて、一体どんな飲み方したのかしらね。
のあや留美はともかく、美優さんや瑞樹さんは結構強い方なのに……」
夏美「あんまり関わらない方がいいかもしれませんね。駆け出しのアイドルなのに、
そんな事で仕事無くしても嫌ですし」
レナ「そう?私はぜひご一緒したいと思ってるんだけどね。私だったらそのまま四天王の
一角を乗っ取ってやるわよ♪そっちの方が面白そうじゃない?」
夏美「お願いですから私を巻き込まないで下さいね。アルコール中毒で死ぬとか、カッコ
悪くて成仏出来ませんから。私のお墓は空の上なんですからね―――――」
END
―おまけ―
―都内某マッサージルーム―
早苗「あ~~~~~生き返る~~~~~」ヴヴヴヴ゙ヴヴ……
P「お疲れ様です早苗さん。お加減はいかがですか?」
早苗「あ、P君。サイコーだねこのマッサージチェア!事務所に置こうよ!」ヴヴヴヴ…
P「残念ながらスペースがありませんね。その代わり早苗さんのマッサージ代は経費で
落ちますから、いくらでもこちらに請求して下さいね」
早苗「いいよそんなに気を遣わなくても。この間のダメージはすっかり回復してるし、
皆無事に帰って来たんだし。仁奈ちゃんのキグルミは犠牲になったけどね」
P「しかしよく咄嗟にあの判断が出来ましたね。カッターでキグルミを切り裂いて仁奈を
引っ張り出すなんて。短時間で全く無駄のない動きだって、海保も驚いてましたよ」
早苗「一応シュミレーションはしていたからね。もしあの子達が海に落ちたら、
仁奈ちゃんは助けるのが大変そうだったし」ケロリ
P「まさかそこまで予測していたとは……おみそれしました」アゼン
早苗「これでも元警察官ですから♪でもP君が途中まで掴んでいてくれたから仁奈ちゃん
は深い所まで沈まなかったし、仁奈ちゃんもキグルミのおかげで体温が急激に
下がらずに済んだのよ?私と夏美ちゃんだけじゃなくて全員の連携プレーよ」
P「そう言って戴けるとこちらも助かります……」
早苗「そういう事♪だからP君もよく頑張った!はい!これでおしまい!」パン!!
P「本当にありがとうございました。次は暖かい海の仕事を獲ってきます」ペコリ
早苗「期待しないで待ってるわ。でも仁奈ちゃんと薫ちゃんを優先してあげてね。今回の
事で海が怖くなったりしたら可哀想だから。海は本来楽しい所なんだから♪」
P「それは大丈夫です。二人とも元々海の近くで育った子ですから、トラウマになるような
事はありません。親御さん達もこれからもよろしくと頼まれました」
早苗「それは良かったわ。ところでP君、話は変わるんだけど……」ズイ
P「ど、どうしたんですかいきなり……」ビク
早苗「いや、私が留守にしている間に大事な飲み友達がウワバミ四天王って人達に
潰されちゃったらしいのよ。それで仕事も休んじゃったみたいで、ちょっと
良くないんじゃないかな~って思うんだけど」ジロ
P「ああ、あの人達ですか…… すみません俺が注意してなかったばっかりに……」ペコリ
早苗「いや、別に仕事の外での話だしみんなオトナなんだから自己責任よ。でもそんな
危険な人達を放っておいたら、いつか事故が起きそうで心配なんだけど。今回は
無事で済んだけど、酔い潰れている所を襲われたり……てのもあるじゃない?」
P「おっしゃる通りです。彼女達には再三に渡って注意しているのですが、しかし本人達は
まるで自覚がないようで…… そもそも四天王も相手に無理に飲ませたりはしないの
ですが、彼女達の無意識の連携プレーで一緒に飲んだ相手が潰されるんですよ……」
早苗「なにそれ?ちなみにP君は?」
P「フルメンバーとは10戦10敗です…… サシでも勝率は3割切ってます…… 俺も決して弱い
方ではないんですけど……」
早苗「メンバーの名前教えてくれない?一応警戒はしておくわ」スチャ
P「はい、気を付けて下さいね。まず高橋礼子(31)。常勝無敗のキングです」
早苗「キング?クィーンじゃないの? 高橋礼子、と……」メモメモ
P「次に柊志乃(31)。体内の血液が全てワインだと言われています」
早苗「飲酒運転とかしてないでしょうね…… 柊志乃、と」メモメモ
P「それから篠原礼(27)。卑猥な言葉でなぞなぞを仕掛けてきます」
早苗「それって場合によっては捕まるわよ。篠原礼、と」メモメモ
P「最後に高垣楓(25)。発言が全てダジャレで相手を混乱させます」
早苗「どこの酔っ払いオヤジよ。高垣楓、と」メモメモ
P「気を付けて下さいね。特に4人が揃うと無事では帰れませんから…… 過去に何件もの
飲み屋を営業停止に追い込んだ化け物揃いですし、まず戦おうとしない方が良い
でしょう。いいですね?」クワッ
早苗「君子危うきに近寄らずね。了解。特にレナちゃんによく言っておかないと。
あの子は面白がって勝負しそうだし……」
おわり?
ここまで。画像さんと>>51と>>53の合いの手さんに感謝。
眠かったけどやる気が出ました。相馬さん空の女だよ相馬さんという事で。
ではまた。
>>80
ラスト感謝。さて、彼女達はいつ出そうか……?
言い忘れてましたが、このSSは前作
三船美優「フルオーダーメイド」と
兵藤レナ「遊んで行かない?」を読んでいると
より楽しめます。おまけは読まないとわからないかも。
以上
元スレ
夏美「海はおっきいですね早苗さ~ん~!! 海を見てると小さい悩みとか大きな仕事とか
色々忘れちゃいますよ~!! 」
早苗「仕事は忘れちゃダメでしょ夏美ちゃ~ん!! ま、私も気分は既に旅館の晩御飯と
温泉にロックオンしちゃってるんだけどね~!! 今夜は飲むわよ~!! 」
夏美「またまたあ~!! そんな事言って早苗さん、その水着めっちゃ気合入ってるじゃない
ですか~!! プロデューサーさんもメロメロですよ~!! 」
早苗「夏美ちゃんこそバッチリ決まってるわよ~!! さっすが元スッチー!! カックイ~!! 」
3: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 01:47:05.46 ID:U7VVims10
夏美・早苗「「あははははははははははははははははっ!! 」」
ビョオオオオオオオオオオオオオオオオ……(気温10℃・水温12℃)
夏美・早苗「「へっくしっ!! 」」
P「早苗さ~ん、夏美さ~ん、まだ準備かかりそうですから中で待ちましょうか~」ガチャ
夏美・早苗「「早く言えっての!! 」」クワッ
5: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 01:50:37.22 ID:U7VVims10
―クルーザー内部―
P「いや~、二人ともすごく楽しそうだったから邪魔しちゃ悪いと思って。喜んで
いただいてる様で何よりです!」ニコニコ
夏美「そうね……夏だったら最高だったわ……どうしてこの時期にクルージングツアー
紹介の撮影なんてしなくちゃいけないのよ……」ガタガタ
早苗「お仕事はありがたいんだけどね……私も冬の寒さがそろそろキツイのよ……さっき
は寒すぎてテンションがおかしくなってたのよ……」ブルブル
6: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 01:51:38.13 ID:U7VVims10
P「またまたご謙遜を~♪ お二人とも若いんだから全然大丈夫ですって!夏美さんと
早苗さんの溢れる若さとパワーでこの仕事も絶対成功させましょう!! じゃ、俺は
撮影スタッフの様子を見てきます!! 」バタン
夏美「若いって褒められて殺意を覚えたのは初めてだわ……」ガタガタ
早苗「私も一瞬腰に手をかけてた…… P君に悪意がないのがやり辛いわね……」ブルブル
7: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 01:52:31.89 ID:U7VVims10
ポンポン
薫「だいじょうぶ夏美おねえちゃん?ココア作ったから飲んで?」ホカホカ
仁奈「早苗の分もあるですよ。寒かったら仁奈をモフモフしやがっていいですよ?」モフモフ
夏美「薫ちゃん……!! 」ブワッ
早苗「ありがと仁奈ちゃん……グス お言葉に甘えてモフモフさせてもらうわ……」ギュー
8: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 01:53:41.62 ID:U7VVims10
仁奈「えへへ、仁奈のキグルミは万能なのでごぜーます!寒さだってへっちゃらです!」
薫「薫たちもおてつだいするから、おしごとがんばってね!」
夏美「うん!夏美お姉ちゃん頑張る!薫ちゃんも応援しててね!」ヨシヨシ
早苗「仁奈ちゃん達はクルーザー内部での撮影だったわね。外はとっても寒いから
出てきちゃダメよ?」ナデナデ
9: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 01:54:35.36 ID:U7VVims10
P「夏美さ~ん早苗さ~ん、準備出来ました~!」ガチャ
夏美「よし!それじゃ全力で……」
早苗「いっちょやりますかっ!」
薫・仁奈「「がんばって~!」」
10: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 01:55:29.81 ID:U7VVims10
P「お、何だか仲の良い母子みたいですね!微笑ましくて良い雰囲気です!」ニコ
夏美「かは……!?」バタン
早苗「ぐふ……!?」ビタン
仁奈「夏美!? 早苗!? 大丈夫ですか!? 」ギョッ
P「ど、どうしたんですか二人とも!? まさか船酔い…… 」アタフタ
薫「せんせぇはもっとおんなごころをべんきょうしなくちゃダメだよ……」ハア
11: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 01:56:34.84 ID:U7VVims10
***
スタッフ「はいOK!休憩入りまーす!」
夏美「さむさむさむさむ……」バタバタバタバタ……
早苗「はいコート!それからカイロ!」サッ
夏美「ありがと早苗さん。私ちゃんと出来てました?笑顔とかひきつってませんでした?」モソモソ
早苗「問題ないわよ。さっすが夏美ちゃん、笑顔の練習の成果出てるわよ!」
12: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 01:58:07.55 ID:U7VVims10
夏美「ふふ、前の仕事でもちゃんと笑えるように毎日やってましたから!でも早苗さんも
スゴイですね!もうあんまり震えてないし」
早苗「あはは、元々雪国出身だしね。それに初日の出暴走取り締まりの時はもっと
寒かったし、あれに比べればこっちの方がマシよ」
夏美「前職の経験が活きてますね私達!レナさんと真奈美だったら無理じゃないですか?」
早苗「あの二人にはパッションが足りないわよ。レナちゃんも真奈美ちゃんもカッコ
つけてるから、こういう体張った仕事はボロが出るでしょ。この仕事は私達じゃ
ないと務まらないわ!」フフン
13: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 01:59:16.62 ID:U7VVims10
アハハ… ウフフ…
「…………」ジー
早苗「……?」クルッ
「…………」スタスタスタスタ……
夏美「どうしたんですか早苗さん?」
早苗「さっきあの子がこっちを見てた気がして…… 夏美ちゃん、あの子スタッフ?」
14: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:00:03.07 ID:U7VVims10
夏美「そうじゃないですか?いや、今朝の顔合わせの時にあんな人いたっけ?
あれ?でもあの顔どこかで見たような気が……」
早苗「暗い雰囲気なのも気になるわね。何か嫌な事でもあったのかしら……?」
15: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:00:59.70 ID:U7VVims10
***
P「ああ、彼女ですか。撮影スタッフさんの知り合いらしくて、出航直前にどうしても
乗せて欲しいって頼まれたんですよ。仕事の邪魔はしないって言うし、特に断る
理由がなかったので了承したんですけど、何かありましたか?」
早苗「いや、ただ何とな~く気になるのよ。元警察のカンってヤツかな?」
16: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:02:00.13 ID:U7VVims10
P「……流石ですね。実は彼女、この辺りでは結構有名なサーファーらしいんです。でも
去年の夏に同じサーファーの親友を事故で亡くしたらしくて、それ以来サーフィンを
止めて一日中海辺をふらふら歩くようになったらしくて……」
夏美「それはちょっと目が離せないわね……」
P「すごく元気で明るい人だったらしいんですけどね。スポンサーにも契約を切られて、
サーファーを引退するのも時間の問題じゃないかって噂されてるそうです」
早苗「見るからに海の女って感じなのに、今の状態でサーフィン止めたらヤバイでしょ」
17: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:03:06.60 ID:U7VVims10
P「ええ、スタッフさんも元気付けようとして、彼女をクルーザーに乗せたそうです。
彼女は別に海が怖くなったわけではないらしいので、沖に出ればまたサーフィンを
したくなるかもしれないって思ったみたいで」
早苗「う~ん、難しい問題だね。これはあの子が自分で解決するしかないのかもね」
夏美「プロデューサーさん、あの人の名前わかる?私どっかで会った気がするの……」
18: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:03:44.53 ID:U7VVims10
P「ちょっと待ってて下さい、スタッフさんに聞いてきます」バタン
早苗「……お節介を焼くと逆効果の場合もあるわよ?」
夏美「分かってますよ。でもこのまま放っておくわけにもいかないじゃないですか」
早苗「それはそうだけど……」
19: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:04:36.62 ID:U7VVims10
P「お待たせしました、沢田麻理菜さんだそうです」ガチャ
夏美「そうだ思い出した!麻理菜さんだ!」ポン
P「彼女と面識があるんですか?」
夏美「昔旅行会社と共同で、サーフィン体験込みの国内パックを企画した事があったん
だけど、その時のサーファー側のアドバイザーに麻理菜さんがいたのよ。丁寧に色々
教えてくれて、インストラクターも引き受けてくれたわ」
20: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:05:16.70 ID:U7VVims10
早苗「へえ、奇妙な縁もあるのね」
夏美「色々お世話になったのに、全く気付かなかったわ。あの時とまるで別人みたい。
とっても明るくて、よく笑ってよくしゃべる人だったのに……」
21: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:06:03.81 ID:U7VVims10
***
カメラマン「早苗さん、こっちポーズお願いしまーす!」
早苗「あは~ん☆」
カメラマン「そこで腕を組んでくださーい!」
早苗「ちょっとだけよ~♪」
カメラマン「……その若干古いセリフはいらないんで、普通にお願いします」
早苗「どういう意味よ!? 」
22: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:07:06.44 ID:U7VVims10
ギャーギャー
麻理菜「…………」ボケー
夏美「こんにちは!沢田麻理菜さんですよね?」ヒョコ
麻理菜「ああ、確かモデルさんの……」
夏美「あはは、一応アイドルなんですけどね。新人アイドル相馬夏美です!でもアイドル
になる前はスッチーだったんですよ私!」
23: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:08:11.62 ID:U7VVims10
麻理菜「スッチー…… CAさん?」
夏美「分かりやすいようにスッチーって言ったのに、逆にCAと返されるとは……
実は私、CAの時にあなたとお会いした事があるんですけど、覚えてませんか?」
麻理菜「ごめんなさい、記憶にないわ」
夏美「そうですか…… 私って影薄かったのね……」ガックリ
24: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:08:51.16 ID:U7VVims10
麻理菜「ああ、でも前に仕事で航空会社の人と一緒になった時に、空港から現地の海岸
までランニングで視察に行った面白いCAさんがいたかしら……」
夏美「へ、へえ…… すごいバカですねそのCA……」ダラダラ
25: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:09:47.89 ID:U7VVims10
麻理菜「海岸についたらそのまま『救助―っ!』とか叫んで海に飛び込んで、足が攣って
溺れたから私と友達が助けたっけ……」
夏美「ず、ずいぶんよく覚えてるんですねそのCAの事…… もう3年くらい前の話だと
思うんだけどなあ……ハッ!」
麻理菜「ふふ、久しぶりね夏美。今朝あなたを見かけた時はまさかと思ったけど……」
夏美「お、お久しぶりです麻理菜さん…… あの時はご迷惑をおかけしました……」カアア
26: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:10:51.63 ID:U7VVims10
麻理菜「迷惑なんてとんでもないわ。私の友達はツアーの為に自分の足で現地を視察して、
いざという時の為にと全力で救助練習までしたあなたにとても感激していたのよ。
CAにしとくには勿体ないってずっと言ってたわ」
夏美「勘弁して下さい…… あの時は新人でバカでクソ真面目だったんです……」
麻理菜「でもまさかあなたがCAを辞めるとはね…… だったらあの時本気でサーファーに
勧誘すれば良かったかしら。あの子もきっと天国で悔しがってるでしょうね」
27: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:12:04.07 ID:U7VVims10
夏美「え、もしかして事故で亡くなったのって……」
麻理菜「ええ、あの時一緒にあなたを助けた子よ。ここで生まれ育って、小さい頃から
海で遊んでいて、誰より海の事をよく知っていたあの子が、この海で溺れて
死ぬなんてね―――――」
29: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:13:30.79 ID:U7VVims10
***
麻理菜「海で人が死ぬことは別に珍しくないわ。でも私は、あの子だけは死なないと心の
どこかで思ってたのよ。どんなにハードな波にも涼しい顔をして乗ってたし、
サーファーの活動と並行して何人も溺れた人を助けていた。あの子は海に
愛されて、海に守られているってずっと思ってたわ」
夏美「すごい人でしたよね…… とってもサーフィンが上手でした……」
麻理菜「あの子がいなくなってからサーフィンをする気が起きなくてさ。私が海を好き
でいれば、海はそれに応じて私を守ってくれる。海との信頼関係があったから
私はサーフィンが出来ていたんだけど、今は信頼出来なくて……ね」
夏美「じゃあどうして海辺を歩いているんですか……?」
30: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:14:17.48 ID:U7VVims10
麻理菜「信頼は出来なくても、嫌いにはなれないのよね。ただちょっと今は海とケンカ
してるの。私が一方的に怒ってるだけなんだけど。あの子を返せーって、毎日
海に向かって八つ当たりしてる感じかな」
夏美「麻理菜さん……」
31: >>28thanks ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:15:44.78 ID:U7VVims10
カメラマン「相馬さーん!準備おねがいしまーす!」
麻理菜「安心して、別に後を追ったりしないから。いつかこの気持ちに折り合いを付けて、
のんびり生きて行くわ。その時はもうサーファーは引退してると思うけどね」
夏美「あ、あの……!」
麻理菜「ほら、行って来なさい。新人アイドルなら仕事はちゃんとしなくちゃ。私も応援
してるから、しっかり頑張るのよ」トン
夏美「わわっ…… それじゃまた……」ペコリ
32: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:18:02.72 ID:U7VVims10
***
―クルーザー内部―
カメラマン2「はいっ、撮影終了です、薫ちゃんも仁奈ちゃんもおつかれ!」
薫・仁奈「「おつかれさまでしたー!」」ペコリ
P「お疲れふたりとも!よく頑張ったな!」ヨシヨシ
仁奈「もっとほめやがれです~♪」モフモフ
33: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:18:49.25 ID:U7VVims10
薫「ねえねえせんせぇ!夏美おねえちゃんたちのところにいっていい?」
P「やめとけ。外はとっても寒いぞ。向こうももうすぐ終わるし、行くだけ無駄だ」
仁奈「でも船の中にいるのも飽きたです!せっかく海にきたのに意味ねーです!」
P「窓から見ればいいだろ。ほら、ここからでも夏美さんも早苗さんも見えるだろ?」
34: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:19:38.01 ID:U7VVims10
薫「つまんなーい!薫もちかくでみたーい!」ジタバタ
仁奈「ここから出しやがれですー!」パタパタ
P「ダメだ。どうしてさっきまで良い子だったのにだだをこねるんだ……」ハア
スタッフ「Pさ~ん、この後のスケジュールの確認ですが……」ガチャ
薫(ドアがひらいた……!! )
仁奈(今がチャンスです……!! )
35: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:20:14.93 ID:U7VVims10
P「あ、はーい」クルッ
薫・仁奈「「うおりゃ~!」」ドドドドドドドドドッ……
スタッフ「うおっ!? な、なんだなんだ!? 」ギョッ
P「マズい外に出た!すみません、あの子達をつかまえて下さい!」ダッ
36: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:21:10.31 ID:U7VVims10
―――
キャハハハハハハハハ… バタバタバタバタバタ…
カメラマン「何だ、甲板の方が騒がしいな……」
船員「子供か?向こうは濡れているから走ると危ないぞ」
37: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:21:56.87 ID:U7VVims10
ドボーン…… ドボーン……
カメラマン2「大変だーっ!子供が海に落ちたーっ!」バタバタ
夏美「子供……?まさか……!! 」ハッ
早苗「仁奈ちゃん!薫ちゃん!」ダッ
38: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:22:32.92 ID:U7VVims10
麻理菜「え?なに?どうしたの? 」ガチャ
船員「子供が海に落ちた!この水温だから早く助けないと命に関わるぞ!」バタバタバタ
麻理菜「ウソ!? 絶対ヤバイよそれ!! 」バタバタバタ
39: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:23:23.53 ID:U7VVims10
―甲板―
スッタフ・船員「「「せーのっ!よいしょっ!」」」グイーッ
薫「けほっ、けほっ……うええぇぇん……」ブルブル
船長「すぐに毛布を!! 急いで身体を温めるんだ!! 」ドタバタドタバタ
40: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:25:21.48 ID:U7VVims10
スタッフ「もういっちょ行くぞ!こっちは大人だから手を貸してくれ!」
スタッフ・船員「「「「「「せーのっ!よいしょおっ!! 」」」」」」グイーッ
P「メだ……まだ……メだ……」ガチガチガチガチ
船長「これはいかん、すぐに医務室に運べ!身体が冷え切ってる!」バタバタ
41: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:26:53.46 ID:U7VVims10
夏美「プロデューサーさん!! 」バタバタバタ
早苗「薫ちゃん!! 」バタバタバタ
船長「何とか間に合ってよかった……あと少しでも遅かったら、この子もPさんも
助からなかっただろう。おい、すぐに担架!それから海保に連絡!」
P「はな……まだ……」ズリ…ズリ…
船員「おいじっとしてろ!何考えてるんだアンタは!? 」
P「まだ……中に……」ズリ…ズリ…
カメラマン2「やめろって!あの子はもう無理だ!気の毒だとは思うが諦めろ!」
42: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:29:13.21 ID:U7VVims10
夏美「……どういうこと?あの子って誰よ!? 」グイッ
カメラマン2「落ちたのは薫ちゃんだけじゃないんだ…… 仁奈ちゃんも一緒に落ちて、
Pさんは二人とも助けようとしたんだけど着ぐるみが水を吸って……」
夏美「そんな!? じゃあ仁奈ちゃんはまだ海の中に!? 」
船員「こっちの子を引き上げる直前まで、Pさんがもう一人の子もしっかり抱えて
いたんだが、途中で着ぐるみの重さに腕が耐えられなくなって……」
P「仁奈……に……がはっ、げほっ……ぐ……くそ……」ボロボロ
43: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:30:33.21 ID:U7VVims10
早苗「スタッフさん、そのカッター貸して!」バッ
スタッフ「う、うお!? いいけどそんなの持ってどうするつもりだ!? 」
早苗「助けに行くに決まってるでしょ!! 」ドボーン!!
船員「マジかよ、冬の海に水着一枚で潜りやがった!? 3分も保たないぞ……」
夏美「3分あれば十分でしょ!私も一緒に……!」
44: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:31:28.03 ID:U7VVims10
麻理菜「待ちなさい!」ガシッ
夏美「麻理菜さん!? 」ギョッ
麻理菜「あんた正気!? 夏でも溺れた人を助けるのは命がけなのに、どう考えても
自殺行為よ!! 分かってるの!? 」
夏美「大丈夫です!あの時しっかり麻理菜さん達に救助のやり方を教えてもらいましたし、
会社でも災害訓練はやりました!」
45: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:32:11.12 ID:U7VVims10
麻理菜「そういう問題じゃないでしょ!! あなたが死ぬのは勝手だけど、残された人達は
どうなるの!? 私達はどうすればいいのよ……!! 」ポロポロ
夏美「……安心して下さい、麻理菜さん」ニコ
麻理菜「え……」
46: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:33:14.26 ID:U7VVims10
夏美「私は海では死にません。私が死ぬのは空の上って決めてますから♪」
麻理菜「な、何を言ってるの……」
夏美「相馬夏美、全力で行っきまーっす!」ドボーン
麻理菜「ちょ……、ちょっと!! 夏美―――――っ!! 」
スタッフ「うお!? マジかよ!! 正気かあの女!? 」
47: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:34:12.32 ID:U7VVims10
船長「と、とりあえずありったけの毛布を用意しろ!それから救急病院にも連絡だ!
すぐに搬送出来る体制を整えとけ!」
薫「仁奈ちゃん…… 早苗さん…… 夏美おねえちゃん……」ブルブルブル
P「は、はなしてくれ…… 俺も助けに……」ズリ…ズリ…
船員「いいからあんたはじっとしてろ!俺達に出来る事は祈るだけだ!」
48: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:35:17.09 ID:U7VVims10
―――
シーン……
スタッフ「おい…… 何分経った……?」
船員「もうすぐ4分だ…… やっぱり無理だったんじゃ……」
麻理菜(夏美…… お願い神様、どうかあの子達を助けて……!! )ギュッ
49: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:36:08.03 ID:U7VVims10
ボコボコボコボコ……
スタッフ「お、おい見ろあそこ!! 船長!! すぐに船寄せろ!! 」
船長「わかってる!奇跡だ、こんな事がありえるのか……?」
麻理菜「あ、ああああ…………」ポロポロポロポロ
50: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:36:54.18 ID:U7VVims10
早苗・夏美「「ぷはぁ―――――っ!! 」」ザバーン
仁奈「ケホッ……」
スタッフ「やった!やりやがった!」
船員「すげえ!人間じゃねえあいつら!人魚だ!」
52: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:37:37.80 ID:U7VVims10
ウオオオオオオオオオオ!!!!
夏美「ど、どどどどどうでもいいからささささっさとひひひひきあげて……」ガタガタガタ
早苗「温泉温泉温泉温泉おんせんおんせんおんせんオンセンonsen……」ガチガチガチ
54: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:38:47.38 ID:U7VVims10
***
― 一週間後・都内某居酒屋にて―
レナ「ふ~ん、色々大変だったんだね~」グビ
夏美「軽くないですか!? アンビ○ーバボばりの奇跡の救出劇だったんですけど!? 」ガタッ
レナ「だって夏美ちゃん話大げさなところあるしぃ~ 早苗さんいないしぃ~」ポリポリ
55: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:39:49.74 ID:U7VVims10
夏美「早苗さんは時間差で筋肉痛が来たらしくて。あの人見た目は若いのに体はオバ…
いえガタが来てるんですよね……」グビ
レナ「言い直してもあまり意味ないわよ。ところで『空の上で死ぬ』ってどういう意味?」
夏美「CAになった時の私の覚悟みたいなものでしょうか。もう辞めちゃいましたけど、
私の命は空に預けたままなんですよ。そうしておけば、地上ではどんな事でも
全力で頑張れる気がして」
56: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:40:49.42 ID:U7VVims10
レナ「面白そうな話ね。教えてよ」ワクワク
夏美「そんな大したものじゃないですよ。麻理菜さんが海を信頼しないとサーフィンが
出来ないって言ってたみたいに、私も空に命を預けてCAをしていました。
空は私を守ってくれないし、優しくないですからね」
レナ「そうなの?」
57: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:41:53.17 ID:U7VVims10
夏美「だってそうじゃないですか。海に投げ出されても人間はすぐに死にませんけど、
空に投げ出されたらまず助からないでしょ?空では落ちるだけで泳ぐ事も出来ない
し、辿り着く島もない。それどころか酸素だって薄いんですから」
レナ「あ~確かに。船の沈没より、飛行機の墜落の方が生存率も低そうよね」
夏美「CA仲間が墜落事故で死んだら、次は自分の番じゃないかって怖くて眠れない時も
ありました。だから私はこう考えたんです。『空の上で死ぬかもしれない』じゃ
なくて、『死ぬ時は空の上だ!』って。そうしたら気持ちが楽になって」
58: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:42:52.02 ID:U7VVims10
レナ「違いがよくわかんないんだけど、なんだかすっごく前向きにネガティブ…… 私が
乗客だったら、そんなCAのいる飛行機に乗りたくないわ」
夏美「いいんですよ墜落しなかったんだし。命なんてくれてやる、むしろ空で死ねたら
本望だって事です!」グビ
レナ「そこまで思い詰めるならCAなんてならなきゃ良かったのに。まるで棺桶に乗って
飛んでるみたいじゃない?」
59: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:44:02.98 ID:U7VVims10
夏美「でも嫌いになれないんですよね空を。麻理菜さんも言ってましたけど、大事な友達
を奪われても、それでも憎む気持ちすら起きないんですよ。空も海もあまりにも
大きくて、私達なんてちっぽけで全然敵わなくて……」
レナ「何だか今日の夏美はロマンチックね。それでそのサーファーさんはどうしたの?」
夏美「今の話を病院でしたら爆笑されましたよ…… 麻理菜さんなら分かってくれるって
思ってたのに。でも元気が出たみたいです。『私は海に命を預けられるほど、海を
好きじゃなかったわ』って笑ってました。どういう意味でしょうか?」
60: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:44:50.57 ID:U7VVims10
レナ「ちょっと大丈夫でしょうねその人?身投げしたりしないわよね?」
夏美「大丈夫だと思いますよ。昔みたいに明るく笑ってましたし。それからうちの事務所
の事を聞いてきました。『ギャンブルアイドルがいるなら、サーファーアイドルが
いてもいいわよねっ♪』って。もしかしたらウチに来るかもしれませんね」
レナ「ギャンブルアイドルってイメージ悪いわね。『カジノアイドル』って呼んで頂戴」
61: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:46:00.63 ID:U7VVims10
夏美「違いがよくわからないんですけど、レナさんがそう言うならそうします。じゃあ
もう一度カンパイッ!」サッ
レナ「ええ。夏美達の奇跡の生還に乾杯♪」カチンッ
63: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:47:27.35 ID:U7VVims10
***
夏美「ところで真奈美はどうしたんですか?確かこの前、クールでいっぱい飲み仲間が
出来たって聞いてたんですけど。今日は誰も来れなかったんですか?」
レナ「私もよく知らないんだけど、クールには『四天王』って呼ばれるウワバミ軍団が
いるらしいのよ。おとといクールのミーティングがあったらしくて、真奈美達は
そのまま四天王と一緒に飲んで全員潰されたらしいわ。それで欠席」
夏美「二日前の話なのにまだ回復しないんですか…… 真奈美はその四天王さん達に
どんだけ飲まされたんですか?」ゾゾ
66: >>64訂正 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:52:09.64 ID:U7VVims10
レナ「ふんっ、私をハブにしたからバチが当たったのよ。ざまあ見ろだわ。でもあの
きっちりしてる真奈美が潰されるなんて、一体どんな飲み方したのかしらね。
のあや留美はともかく、美優さんや瑞樹さんは結構強い方なのに……」
夏美「あんまり関わらない方がいいかもしれませんね。駆け出しのアイドルなのに、
そんな事で仕事無くしても嫌ですし」
67: >>65訂正 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:53:31.28 ID:U7VVims10
レナ「そう?私はぜひご一緒したいと思ってるんだけどね。私だったらそのまま四天王の
一角を乗っ取ってやるわよ♪そっちの方が面白そうじゃない?」
夏美「お願いですから私を巻き込まないで下さいね。アルコール中毒で死ぬとか、カッコ
悪くて成仏出来ませんから。私のお墓は空の上なんですからね―――――」
END
68: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:55:57.05 ID:U7VVims10
―おまけ―
―都内某マッサージルーム―
早苗「あ~~~~~生き返る~~~~~」ヴヴヴヴ゙ヴヴ……
P「お疲れ様です早苗さん。お加減はいかがですか?」
早苗「あ、P君。サイコーだねこのマッサージチェア!事務所に置こうよ!」ヴヴヴヴ…
P「残念ながらスペースがありませんね。その代わり早苗さんのマッサージ代は経費で
落ちますから、いくらでもこちらに請求して下さいね」
69: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:57:11.14 ID:U7VVims10
早苗「いいよそんなに気を遣わなくても。この間のダメージはすっかり回復してるし、
皆無事に帰って来たんだし。仁奈ちゃんのキグルミは犠牲になったけどね」
P「しかしよく咄嗟にあの判断が出来ましたね。カッターでキグルミを切り裂いて仁奈を
引っ張り出すなんて。短時間で全く無駄のない動きだって、海保も驚いてましたよ」
早苗「一応シュミレーションはしていたからね。もしあの子達が海に落ちたら、
仁奈ちゃんは助けるのが大変そうだったし」ケロリ
P「まさかそこまで予測していたとは……おみそれしました」アゼン
71: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 02:58:48.19 ID:U7VVims10
早苗「これでも元警察官ですから♪でもP君が途中まで掴んでいてくれたから仁奈ちゃん
は深い所まで沈まなかったし、仁奈ちゃんもキグルミのおかげで体温が急激に
下がらずに済んだのよ?私と夏美ちゃんだけじゃなくて全員の連携プレーよ」
P「そう言って戴けるとこちらも助かります……」
早苗「そういう事♪だからP君もよく頑張った!はい!これでおしまい!」パン!!
P「本当にありがとうございました。次は暖かい海の仕事を獲ってきます」ペコリ
72: >>70thanks ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 03:00:03.97 ID:U7VVims10
早苗「期待しないで待ってるわ。でも仁奈ちゃんと薫ちゃんを優先してあげてね。今回の
事で海が怖くなったりしたら可哀想だから。海は本来楽しい所なんだから♪」
P「それは大丈夫です。二人とも元々海の近くで育った子ですから、トラウマになるような
事はありません。親御さん達もこれからもよろしくと頼まれました」
早苗「それは良かったわ。ところでP君、話は変わるんだけど……」ズイ
P「ど、どうしたんですかいきなり……」ビク
73: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 03:01:45.71 ID:U7VVims10
早苗「いや、私が留守にしている間に大事な飲み友達がウワバミ四天王って人達に
潰されちゃったらしいのよ。それで仕事も休んじゃったみたいで、ちょっと
良くないんじゃないかな~って思うんだけど」ジロ
P「ああ、あの人達ですか…… すみません俺が注意してなかったばっかりに……」ペコリ
早苗「いや、別に仕事の外での話だしみんなオトナなんだから自己責任よ。でもそんな
危険な人達を放っておいたら、いつか事故が起きそうで心配なんだけど。今回は
無事で済んだけど、酔い潰れている所を襲われたり……てのもあるじゃない?」
74: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 03:03:04.60 ID:U7VVims10
P「おっしゃる通りです。彼女達には再三に渡って注意しているのですが、しかし本人達は
まるで自覚がないようで…… そもそも四天王も相手に無理に飲ませたりはしないの
ですが、彼女達の無意識の連携プレーで一緒に飲んだ相手が潰されるんですよ……」
早苗「なにそれ?ちなみにP君は?」
P「フルメンバーとは10戦10敗です…… サシでも勝率は3割切ってます…… 俺も決して弱い
方ではないんですけど……」
75: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 03:03:56.75 ID:U7VVims10
早苗「メンバーの名前教えてくれない?一応警戒はしておくわ」スチャ
P「はい、気を付けて下さいね。まず高橋礼子(31)。常勝無敗のキングです」
早苗「キング?クィーンじゃないの? 高橋礼子、と……」メモメモ
76: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 03:04:32.11 ID:U7VVims10
P「次に柊志乃(31)。体内の血液が全てワインだと言われています」
早苗「飲酒運転とかしてないでしょうね…… 柊志乃、と」メモメモ
77: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 03:05:04.56 ID:U7VVims10
P「それから篠原礼(27)。卑猥な言葉でなぞなぞを仕掛けてきます」
早苗「それって場合によっては捕まるわよ。篠原礼、と」メモメモ
78: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 03:05:50.42 ID:U7VVims10
P「最後に高垣楓(25)。発言が全てダジャレで相手を混乱させます」
早苗「どこの酔っ払いオヤジよ。高垣楓、と」メモメモ
79: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 03:06:57.53 ID:U7VVims10
P「気を付けて下さいね。特に4人が揃うと無事では帰れませんから…… 過去に何件もの
飲み屋を営業停止に追い込んだ化け物揃いですし、まず戦おうとしない方が良い
でしょう。いいですね?」クワッ
早苗「君子危うきに近寄らずね。了解。特にレナちゃんによく言っておかないと。
あの子は面白がって勝負しそうだし……」
おわり?
81: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 03:09:29.53 ID:U7VVims10
ここまで。画像さんと>>51と>>53の合いの手さんに感謝。
眠かったけどやる気が出ました。相馬さん空の女だよ相馬さんという事で。
ではまた。
82: 1 ◆SnVK5vQp2w 2013/03/13(水) 03:12:01.01 ID:U7VVims10
>>80
ラスト感謝。さて、彼女達はいつ出そうか……?
言い忘れてましたが、このSSは前作
三船美優「フルオーダーメイド」と
兵藤レナ「遊んで行かない?」を読んでいると
より楽しめます。おまけは読まないとわからないかも。
以上
SS速報VIP:相馬夏美「空の上で」