1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 17:59:15.68 ID:PjxeUkc2I
ライナー「見てみろよ、あれ」
エレン「ああ、また教官にバレないようにうまいことサボってるな」
ライナー「そうじゃねえ」
エレン「?」
ライナー「気にならねえか?あいつサボって一体何してんだってよ」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 18:01:31.36 ID:PjxeUkc2I
エレン「何って……昼寝でもしてんだろ」
ライナー「いいや、違う」
エレン「……?」
ライナー「ここ最近のソワソワした感じ……」
ライナー「ありゃ間違いねえ、男だ」
エレン「は、はぁ!?アニに男!?」
ライナー「ああ」
エレン「あり得ないって!あんな無愛想なのに!」
ライナー「だが一応年頃の女だ。恋の一つや二つするさ」
エレン「い、いや、でもよ……」
ライナー「まあ、何にせよちょうどいい。確かめてみるか」
エレン「え……」
ライナー「アニの後を尾けてみようぜ」
アニ「……」
ライナー「(かなり歩くな)」
エレン「(お、おい!さすがにこれ以上は……)」
アニ「……」
ライナー「(む、とまったぞ)」
エレン「(……?)」
アニ「……」キョロキョロ
ライナー「(周りを伺ってるぞ!ここか!)」
エレン「(でも男なんてどこにも……)」
ヒョイ
ライナー「(!?)」
エレン「(え……)」
アニ「よしよし」
アニ「いい子にしてたか?」
ライナー「(ア、アレは……)」
エレン「(うさぎ!?)」
クゥゥ…
アニ「お、そうか。お腹が空いたか」
アニ「安心しろ。昼食の残りを持ってきた」
ムシャムシャ
アニ「いっぱいお食べ」
アニ「ふふ……」
ライナー「( ……ア、アニが!!)」
エレン「(笑っ……た!?)」
アニ「うふふ……」
エレン・ライナー「(に、似合わねえ……)」
アニ「!」
ヒュン!
ライナー「おわっ!?」
エレン「ひっ!」
アニ「…………そこで何をしてる」
エレン「あ、危ねえだろ!訓練用の短刀投げんなよ!」
アニ「質問に答えろ。そこで何してる」
エレン「……っっ」
ライナー「それはこっちのセリフだ……お前こそ何やってる」
ライナー「今は軍隊格闘術の時間だぞ」
アニ「前にも言っただろう。あんなの意味はない」
エレン「……」
アニ「……」
アニ「……まさかお前ら」
アニ「さっきの見てたのか?」
アニ「……もし口外したら」
アニ「殺す」
エレン「!?」
エレン「(い、一気に殺気が……)」
ライナー「おいおい、自分の立場分かってるんだろうな」
ライナー「訓練をサボった挙句に、動物の世話……」
ライナー「見つかったら、減点どころじゃ済まねえぞ?」
アニ「……分かった。言い方を変えよう」
ライナー「?」
アニ「もし口外したら」
アニ「クリスタの似顔絵を描いてることをバラす」
ライナー「!!?」
夕食
アニ「……」ギロッ
ライナー「……」 ビクッ
エレン「(ライナーのやつ……完全に立場逆転してるじゃねえか)」
アニ「……」
ライナー「……」
エレン「(嫁の尻に敷かれるタイプだな、ありゃ)」
クリスタ「アニ、どこか行くの?」
アニ「ちょっと散歩してくる」
クリスタ「ダ、ダメだよ。教官に見つかったら……」
アニ「すぐ戻る」
エレン「……」
アニ「……」
アニ「……」
アニ「……」キョロキョロ
ヒョイ
アニ「よしよし」
アニ「晩飯だぞ」
ムシャムシャ
アニ「ふふ……」
エレン「そんなに可愛いのか?」
アニ「!!」
ヒュン!
エレン「お、おい!今度はフォークかよ!」
アニ「……」
アニ「……何の用だ」
エレン「(……う、うぅ)」
エレン「(やっぱり怖ええ……)」
アニ「昼にも言ったが」
アニ「口外したら殺す」
エレン「だ、だからそんなつもりないって!」
エレン「俺はただ……ちょっと意外だっただけだ!」
アニ「意外?」
エレン「そ、その……お前もあんな顔するんだなってさ!」
アニ「……」
アニ「……フン」
エレン「……?」
キュゥゥゥゥ…
アニ「……」
エレン「……ケガしてるのか?そいつ」
アニ「……」
アニ「……5日前の昼」
エレン「……?」
アニ「いつものように軍隊格闘術の訓練をサボって」
アニ「適当にぶらついていた」
エレン「……」
アニ「そうしたら見つけたんだ」
アニ「こいつより一回り小さいウサギが」
アニ「キツネに喰われそうになっていたのを」
エレン「……?」
アニ「別に珍しいことじゃない」
アニ「力のない者は喰われ、強いやつが生き残る」
アニ「当然の摂理だ」
エレン「……」
アニ「それを見た私も、別に何とも思わなかった」
アニ「でもそのとき……」
アニ「もう一匹のウサギが、キツネに飛びかかった」
エレン「え……」
アニ「喰われそうになってたウサギはもう死んでた」
アニ「キツネとの体格差もかなりある」
エレン「……」
アニ「それなのに向かっていったんだ」
アニ「よせばいいものを」
アニ「案の定返り討ちになっても」
アニ「ウサギは抵抗し続けた」
アニ「虫の息になるまで」
エレン「……」
アニ「……そして気がついたら」
アニ「キツネは死んで、腕の中にこいつがいたのさ」
エレン「……!」
アニ「フン……全くおかしな話だろう」
アニ「この私が、こんな弱者を助けるなんて」
エレン「……」
アニ「……でもなぜか」
アニ「なぜかこいつを見ていると」
アニ「……」
アニ「放っておく気になれないんだ」
エレン「……なるほど、よくわかった」
アニ「?」
エレン「でもよ、やっぱり良くねえな」
エレン「こんなことして、タダで済むと思ってるのか?」
アニ「……」
エレン「黙っといてやってもいいけど」
エレン「タダで黙ってるのもな~」
アニ「……貴様」
エレン「だから条件がある」
アニ「貴様……やはり……!」
エレン「俺にも手伝わせろ」
アニ「…………は?」
エレン「お前、こいつのエサのために毎食少し抜いてるだろ」
エレン「そんなんじゃ身体もたねえぞ」
アニ「……」
エレン「だからよ、次からは」
エレン「俺の持ってけ」
アニ「……どういうつもりだ」
エレン「どういうつもりも何も、これは取引条件だぜ」
エレン「言うとおりにしなかったらバラすからな」
アニ「……」
アニ「……勝手にしろ」
3日後
アニ「……」ギロッ
ライナー「……」 ビクッ
アニ「おい」
ライナー「……な、なんだよ」
アニ「そのパン半分よこしな」
ライナー「はぁ!?お前何サシャみたいなこと……」
アニ「……」 チラッ
クリスタ「?」
ライナー「……わ、わかったよ」
エレン「……」ムシャムシャ
バン!
アニ「はい」
エレン「?」
アニ「あんたにあげる」
エレン「は?お前……」
アニ「で、あんたのを貰う」
アニ「これで文句ないでしょ」
アルミン「ど、どうしたんだろ?」
アルミン「最近のアニ、やっぱりおかしいよね?」
エレン「……」
クリスタ「ま、また散歩?」
アニ「ああ」
アニ「いつも通り上手く誤魔化しといて」
クリスタ「別にいいけど……」
ガチャッ
教官「失礼するぞ」
アニ「!!」
エレン「!?」
アルミン「きょ、教官!?」
教官「全員その場に座れ」
教官「お前たちに聞きたいことがある」
ライナー「……」
クリスタ「……」
教官「つい先ほど、この周囲を見回っていたら」
教官「……これを見つけた」
プゥ!プゥプゥ!
アニ「!!」
エレン「なっ……」
教官「さて、誰か説明してもらおうか」
アルミン「(ウ、ウサギ!?)」
クリスタ「(誰かが黙って!?)」
ジャン「(ったく、誰だよ……いい迷惑だぜ)」
サシャ「(美味しそおおおおおおおおおおお!!)」
ライナー「……」チラッ
ライナー「(おいエレン、あれって……)」
エレン「(まずい……とうとう見つかった!)」
アニ「……!!」
教官「説明しろ!!誰だ!!」
エレン「(くそっ、こうなったらもう……!)」
ミカサ「私です」
ライナー「なっ……」
アニ「!?」
エレン「え……」
教官「アッカーマン……どういうことか説明しろ」
ミカサ「1週間ほど前、訓練に向かう途中で見つけました」
ミカサ「逃げられない程度にケガを負わせ」
ミカサ「いざという時に食べるつもりでした」
アルミン「ミ、ミカサ!?」
サシャ「ちょっとミカサ!私に黙ってずるいですよ!」
教官「アッカーマン……これがどういうことか分かってるんだろうな」
ミカサ「申し訳ありません。しかし食欲には勝てませんでした」
エレン「お、おい!お前……」
教官「……もういい、わかった」
教官「このウサギは食肉にする」
アニ「……!!」
教官「アッカーマンはあとでこいつを持って来い」
教官「……いろいろと話がある」
ミカサ「はっ!」
ミカサ「……」
ミカサ「……」
プゥ!プゥプゥ!
ミカサ「……」
アニ「待って!」
ミカサ「……」
アニ「あんた……一体どういう……」
ヒョイ
ミカサ「はい」
アニ「えっ……」
ミカサ「大分治ってる。もう自力で走れると思う」
アニ「あ、あんた……」
ミカサ「私もこっそり手当してた。だから、共犯」
アニ「……!」
アニ「……なんで」
ミカサ「アニの気持ち、少しわかるから」
アニ「……!」
ミカサ「私も同じだった」
ミカサ「この子を見てると、放っておけなくなる」
アニ「……」
ミカサ「でも、もうダメだよ」
アニ「……わかってるよ。教官に見つかったんだ」
アニ「こいつは食肉に……」
ミカサ「今すぐ捨ててきて」
アニ「えっ……?」
ミカサ「もうこれ以上は飼えない。だから別れて」
アニ「そ、そんなことしたらあんたが……!」
ミカサ「教官には逃げられたって言っておく」
アニ「そんなの減点じゃ済まないよ!」
ミカサ「大丈夫、私は日頃の行いがいいし」
ミカサ「成績も上位だから、あっちもそう簡単には手放さない」
アニ「……っ」
アニ「私に貸しを作るつもり!?だとしたら……」
ミカサ「違う」
ミカサ「私はただ、私のやりたいようにやってるだけ」
アニ「……!」
ミカサ「さあ、早く」
ミカサ「私は教官のところに行ってくるから」
アニ「……」
プゥ!プゥ!
アニ「……あんた」
アニ「足治ってるなら、さっさと逃げればいいのに」
プゥ!プゥ!
アニ「……」
アニ「……ああ、そっか」
アニ「わかった気がするよ」
アニ「あんたを放っておけなかった理由」
プゥ……?
アニ「ごめんね」
アニ「もう一緒には居られない」
アニ「早くどっか行って、いい人見つけな」
アニ「さあ、走りな」
アニ「広い世界に帰るんだ」
プゥ!
タッタッタッタッ……
アニ「じゃあね、エレン」
アニ「どうか元気で」
おわり
元スレ
エレン「何って……昼寝でもしてんだろ」
ライナー「いいや、違う」
エレン「……?」
ライナー「ここ最近のソワソワした感じ……」
ライナー「ありゃ間違いねえ、男だ」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 18:05:50.43 ID:PjxeUkc2I
エレン「は、はぁ!?アニに男!?」
ライナー「ああ」
エレン「あり得ないって!あんな無愛想なのに!」
ライナー「だが一応年頃の女だ。恋の一つや二つするさ」
エレン「い、いや、でもよ……」
ライナー「まあ、何にせよちょうどいい。確かめてみるか」
エレン「え……」
ライナー「アニの後を尾けてみようぜ」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 18:11:34.29 ID:PjxeUkc2I
アニ「……」
ライナー「(かなり歩くな)」
エレン「(お、おい!さすがにこれ以上は……)」
アニ「……」
ライナー「(む、とまったぞ)」
エレン「(……?)」
アニ「……」キョロキョロ
ライナー「(周りを伺ってるぞ!ここか!)」
エレン「(でも男なんてどこにも……)」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 18:15:46.81 ID:PjxeUkc2I
ヒョイ
ライナー「(!?)」
エレン「(え……)」
アニ「よしよし」
アニ「いい子にしてたか?」
ライナー「(ア、アレは……)」
エレン「(うさぎ!?)」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 18:22:16.22 ID:PjxeUkc2I
クゥゥ…
アニ「お、そうか。お腹が空いたか」
アニ「安心しろ。昼食の残りを持ってきた」
ムシャムシャ
アニ「いっぱいお食べ」
アニ「ふふ……」
ライナー「( ……ア、アニが!!)」
エレン「(笑っ……た!?)」
アニ「うふふ……」
エレン・ライナー「(に、似合わねえ……)」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 18:25:31.41 ID:PjxeUkc2I
アニ「!」
ヒュン!
ライナー「おわっ!?」
エレン「ひっ!」
アニ「…………そこで何をしてる」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 18:31:08.92 ID:PjxeUkc2I
エレン「あ、危ねえだろ!訓練用の短刀投げんなよ!」
アニ「質問に答えろ。そこで何してる」
エレン「……っっ」
ライナー「それはこっちのセリフだ……お前こそ何やってる」
ライナー「今は軍隊格闘術の時間だぞ」
アニ「前にも言っただろう。あんなの意味はない」
エレン「……」
アニ「……」
アニ「……まさかお前ら」
アニ「さっきの見てたのか?」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 18:35:54.72 ID:PjxeUkc2I
アニ「……もし口外したら」
アニ「殺す」
エレン「!?」
エレン「(い、一気に殺気が……)」
ライナー「おいおい、自分の立場分かってるんだろうな」
ライナー「訓練をサボった挙句に、動物の世話……」
ライナー「見つかったら、減点どころじゃ済まねえぞ?」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 18:37:59.54 ID:PjxeUkc2I
アニ「……分かった。言い方を変えよう」
ライナー「?」
アニ「もし口外したら」
アニ「クリスタの似顔絵を描いてることをバラす」
ライナー「!!?」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 18:43:38.49 ID:PjxeUkc2I
夕食
アニ「……」ギロッ
ライナー「……」 ビクッ
エレン「(ライナーのやつ……完全に立場逆転してるじゃねえか)」
アニ「……」
ライナー「……」
エレン「(嫁の尻に敷かれるタイプだな、ありゃ)」
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 18:47:57.74 ID:PjxeUkc2I
クリスタ「アニ、どこか行くの?」
アニ「ちょっと散歩してくる」
クリスタ「ダ、ダメだよ。教官に見つかったら……」
アニ「すぐ戻る」
エレン「……」
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 18:51:25.23 ID:PjxeUkc2I
アニ「……」
アニ「……」
アニ「……」キョロキョロ
ヒョイ
アニ「よしよし」
アニ「晩飯だぞ」
ムシャムシャ
アニ「ふふ……」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 18:56:08.95 ID:PjxeUkc2I
エレン「そんなに可愛いのか?」
アニ「!!」
ヒュン!
エレン「お、おい!今度はフォークかよ!」
アニ「……」
アニ「……何の用だ」
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 19:02:43.32 ID:PjxeUkc2I
エレン「(……う、うぅ)」
エレン「(やっぱり怖ええ……)」
アニ「昼にも言ったが」
アニ「口外したら殺す」
エレン「だ、だからそんなつもりないって!」
エレン「俺はただ……ちょっと意外だっただけだ!」
アニ「意外?」
エレン「そ、その……お前もあんな顔するんだなってさ!」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 19:06:40.69 ID:PjxeUkc2I
アニ「……」
アニ「……フン」
エレン「……?」
キュゥゥゥゥ…
アニ「……」
エレン「……ケガしてるのか?そいつ」
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 19:13:36.85 ID:PjxeUkc2I
アニ「……」
アニ「……5日前の昼」
エレン「……?」
アニ「いつものように軍隊格闘術の訓練をサボって」
アニ「適当にぶらついていた」
エレン「……」
アニ「そうしたら見つけたんだ」
アニ「こいつより一回り小さいウサギが」
アニ「キツネに喰われそうになっていたのを」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 19:17:10.04 ID:PjxeUkc2I
エレン「……?」
アニ「別に珍しいことじゃない」
アニ「力のない者は喰われ、強いやつが生き残る」
アニ「当然の摂理だ」
エレン「……」
アニ「それを見た私も、別に何とも思わなかった」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 19:21:46.71 ID:PjxeUkc2I
アニ「でもそのとき……」
アニ「もう一匹のウサギが、キツネに飛びかかった」
エレン「え……」
アニ「喰われそうになってたウサギはもう死んでた」
アニ「キツネとの体格差もかなりある」
エレン「……」
アニ「それなのに向かっていったんだ」
アニ「よせばいいものを」
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 19:25:37.53 ID:PjxeUkc2I
アニ「案の定返り討ちになっても」
アニ「ウサギは抵抗し続けた」
アニ「虫の息になるまで」
エレン「……」
アニ「……そして気がついたら」
アニ「キツネは死んで、腕の中にこいつがいたのさ」
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 19:31:49.25 ID:PjxeUkc2I
エレン「……!」
アニ「フン……全くおかしな話だろう」
アニ「この私が、こんな弱者を助けるなんて」
エレン「……」
アニ「……でもなぜか」
アニ「なぜかこいつを見ていると」
アニ「……」
アニ「放っておく気になれないんだ」
65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 19:38:26.87 ID:PjxeUkc2I
エレン「……なるほど、よくわかった」
アニ「?」
エレン「でもよ、やっぱり良くねえな」
エレン「こんなことして、タダで済むと思ってるのか?」
アニ「……」
エレン「黙っといてやってもいいけど」
エレン「タダで黙ってるのもな~」
アニ「……貴様」
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 19:42:27.10 ID:PjxeUkc2I
エレン「だから条件がある」
アニ「貴様……やはり……!」
エレン「俺にも手伝わせろ」
アニ「…………は?」
エレン「お前、こいつのエサのために毎食少し抜いてるだろ」
エレン「そんなんじゃ身体もたねえぞ」
アニ「……」
エレン「だからよ、次からは」
エレン「俺の持ってけ」
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 19:45:21.48 ID:PjxeUkc2I
アニ「……どういうつもりだ」
エレン「どういうつもりも何も、これは取引条件だぜ」
エレン「言うとおりにしなかったらバラすからな」
アニ「……」
アニ「……勝手にしろ」
76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 19:51:35.96 ID:PjxeUkc2I
3日後
アニ「……」ギロッ
ライナー「……」 ビクッ
アニ「おい」
ライナー「……な、なんだよ」
アニ「そのパン半分よこしな」
ライナー「はぁ!?お前何サシャみたいなこと……」
アニ「……」 チラッ
クリスタ「?」
ライナー「……わ、わかったよ」
78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 19:56:32.10 ID:PjxeUkc2I
エレン「……」ムシャムシャ
バン!
アニ「はい」
エレン「?」
アニ「あんたにあげる」
エレン「は?お前……」
アニ「で、あんたのを貰う」
アニ「これで文句ないでしょ」
81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 20:00:18.72 ID:PjxeUkc2I
アルミン「ど、どうしたんだろ?」
アルミン「最近のアニ、やっぱりおかしいよね?」
エレン「……」
クリスタ「ま、また散歩?」
アニ「ああ」
アニ「いつも通り上手く誤魔化しといて」
クリスタ「別にいいけど……」
83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 20:04:42.02 ID:PjxeUkc2I
ガチャッ
教官「失礼するぞ」
アニ「!!」
エレン「!?」
アルミン「きょ、教官!?」
教官「全員その場に座れ」
教官「お前たちに聞きたいことがある」
85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 20:11:12.74 ID:PjxeUkc2I
ライナー「……」
クリスタ「……」
教官「つい先ほど、この周囲を見回っていたら」
教官「……これを見つけた」
プゥ!プゥプゥ!
アニ「!!」
エレン「なっ……」
教官「さて、誰か説明してもらおうか」
93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 20:18:01.32 ID:PjxeUkc2I
アルミン「(ウ、ウサギ!?)」
クリスタ「(誰かが黙って!?)」
ジャン「(ったく、誰だよ……いい迷惑だぜ)」
サシャ「(美味しそおおおおおおおおおおお!!)」
ライナー「……」チラッ
ライナー「(おいエレン、あれって……)」
エレン「(まずい……とうとう見つかった!)」
アニ「……!!」
教官「説明しろ!!誰だ!!」
エレン「(くそっ、こうなったらもう……!)」
96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 20:25:46.73 ID:PjxeUkc2I
ミカサ「私です」
ライナー「なっ……」
アニ「!?」
エレン「え……」
教官「アッカーマン……どういうことか説明しろ」
ミカサ「1週間ほど前、訓練に向かう途中で見つけました」
ミカサ「逃げられない程度にケガを負わせ」
ミカサ「いざという時に食べるつもりでした」
97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 20:31:00.99 ID:PjxeUkc2I
アルミン「ミ、ミカサ!?」
サシャ「ちょっとミカサ!私に黙ってずるいですよ!」
教官「アッカーマン……これがどういうことか分かってるんだろうな」
ミカサ「申し訳ありません。しかし食欲には勝てませんでした」
エレン「お、おい!お前……」
101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 20:39:43.95 ID:PjxeUkc2I
教官「……もういい、わかった」
教官「このウサギは食肉にする」
アニ「……!!」
教官「アッカーマンはあとでこいつを持って来い」
教官「……いろいろと話がある」
ミカサ「はっ!」
103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 20:45:29.65 ID:PjxeUkc2I
ミカサ「……」
ミカサ「……」
プゥ!プゥプゥ!
ミカサ「……」
104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 20:47:00.79 ID:PjxeUkc2I
アニ「待って!」
ミカサ「……」
アニ「あんた……一体どういう……」
105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 20:51:00.51 ID:PjxeUkc2I
ヒョイ
ミカサ「はい」
アニ「えっ……」
ミカサ「大分治ってる。もう自力で走れると思う」
アニ「あ、あんた……」
ミカサ「私もこっそり手当してた。だから、共犯」
107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 20:53:17.79 ID:PjxeUkc2I
アニ「……!」
アニ「……なんで」
ミカサ「アニの気持ち、少しわかるから」
アニ「……!」
ミカサ「私も同じだった」
ミカサ「この子を見てると、放っておけなくなる」
108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 20:57:10.24 ID:PjxeUkc2I
アニ「……」
ミカサ「でも、もうダメだよ」
アニ「……わかってるよ。教官に見つかったんだ」
アニ「こいつは食肉に……」
ミカサ「今すぐ捨ててきて」
アニ「えっ……?」
ミカサ「もうこれ以上は飼えない。だから別れて」
111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 21:02:36.21 ID:PjxeUkc2I
アニ「そ、そんなことしたらあんたが……!」
ミカサ「教官には逃げられたって言っておく」
アニ「そんなの減点じゃ済まないよ!」
ミカサ「大丈夫、私は日頃の行いがいいし」
ミカサ「成績も上位だから、あっちもそう簡単には手放さない」
112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 21:06:09.82 ID:PjxeUkc2I
アニ「……っ」
アニ「私に貸しを作るつもり!?だとしたら……」
ミカサ「違う」
ミカサ「私はただ、私のやりたいようにやってるだけ」
アニ「……!」
ミカサ「さあ、早く」
ミカサ「私は教官のところに行ってくるから」
115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 21:08:49.44 ID:PjxeUkc2I
アニ「……」
プゥ!プゥ!
アニ「……あんた」
アニ「足治ってるなら、さっさと逃げればいいのに」
プゥ!プゥ!
アニ「……」
116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 21:11:37.09 ID:PjxeUkc2I
アニ「……ああ、そっか」
アニ「わかった気がするよ」
アニ「あんたを放っておけなかった理由」
プゥ……?
アニ「ごめんね」
アニ「もう一緒には居られない」
アニ「早くどっか行って、いい人見つけな」
117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/10(金) 21:15:51.86 ID:PjxeUkc2I
アニ「さあ、走りな」
アニ「広い世界に帰るんだ」
プゥ!
タッタッタッタッ……
アニ「じゃあね、エレン」
アニ「どうか元気で」
おわり
ライナー「アニの様子がおかしい」