545: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:04:09.46 ID:75qZwDTy0
前回のあらすじ
沖縄港で一時休息をとり、カムラン港へと向かう第2艦隊
カムラン海域へ進むと霧が発生する中、深海棲艦との戦闘を余儀なくされる
一時は圧倒したものの、敵の本艦隊に見つかってしまう
数による戦力差を見せつけられ懸命に逃げるが失敗
全滅かと思われたその時、敵後方から「南鎮守府艦隊」が助けに来る
南鎮守府艦隊の司令官はなんと、過去に提督を軍人へと誘った「ホモ提督」であった
546: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:05:26.02 ID:75qZwDTy0
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カムラン海域 海上
ホモ「さーて、アンタ達。さっさとこいつら片付けなさい」
卯月「はーい。うーピョンにお任せピョン!」
弥生「あんまり調子のらない方がいいよ、卯月」
利根「皆の者、吾輩を見習ってどんと構えるのじゃ」
鈴谷「はぁ……さっさと帰ってお風呂はいりたーい。髪がヌメヌメするー」
熊野「鈴谷、髪をいじるのは後にするべきですわ」」
川内「霧が少し濃くなってきたね。ちょっと夜戦ぽいかも」
明石「霧の中でも敵を確認できるようなスコープ……次の発明はそれがいいかもしれないですね」
ワイワイ
提督(あれ……なんか陣形がバラバラだけど……大丈夫か?)
────────────────────────
空母ヲ級「ヲ……爆撃機、発艦」
戦艦タ級「了解、コチラモ砲撃ヲ展開スル」
駆逐イ級「仇……討ツ!」カチャ
軽巡ヘ級「殺ス……」カチャ
ドォン ドォン ブゥゥゥン ブゥゥゥン
ヒュゥゥゥゥン チュドーーン
ザッパァァァン
卯月「わわわ!敵が攻撃してきたよ!危ないピョン」
弥生「敵なんだから攻撃してくるの当たり前……」
鈴谷「あーーー髪がちょっと焦げた!キューティクルが!」
熊野「もうっ、だから前を見ろっていったんですの!」プンプン
────────────────────────
母艦 操舵室
提督(……あの艦娘達、全然統率がとれていないじゃないか)
提督(砲撃も雷撃も全くしないし……ふざけているのか)
提督「失礼ですが……司令官。艦娘達は真面目にやっているのですか!」
ホモ「提督ちゃん、心配なの?」
提督「彼女達はどうみても本気で対応していない様に見えますが」
ホモ「そうねー。まぁそういう風に見えるよう指示をだしているもの」
提督「……え?」
ホモ「まぁ落ち着いて頂戴。せっかちな人は嫌いじゃないけど……これも戦術の内よ♪」
────────────────────────
空母ヲ級(相手……動キ……バラバラ……)
空母ヲ級(今ノウチ……コロス)
空母ヲ級(霧ノセイデ……命中精度ガ低イ戦艦隊……近ヅカセル)
空母ヲ級「戦艦隊……目標ニ前進……敵、油断シテル」
深海棲艦 戦艦隊「「了解」」ズズズ
────────────────────────
利根「……」ピクッ
利根「川内、明石、釣れた様じゃ」
川内「ん……オッケー」サッ
明石「分かりました。いつでも大丈夫です。合図はお願いします」
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戦艦タ級1「……ココマデ近ヅケバ……アトハ……外サナイ」ニヤリ
戦艦タ級2「沈メテヤルゼ……ククク」カチャ
戦艦タ級3「……ン。ナンダコノ……浮イテル丸イ物体ハ」
戦艦タ級4「ホントダ……サッキマデ無カッタ」
利根「フンっ、何も知らずノコノコと近づいてきおって……うつけが」
利根「さぁ、明石!今じゃ!」
明石「はい!」ポチッ
ピカッ
戦艦タ級1「ナッ……」
ドカァァァァァアアン
利根「よし、成功じゃ!後は砲撃あるのみ!うてぇええええい!」
卯月「やってやるピョン!」カチャ
弥生「負けない……」カチャ
鈴谷「やっと思う存分、ぶっ放せるわ!」カチャ
熊野「我慢するのも体に毒ですわね!」カチャ
ドォン ドォン ドォン ドォン
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操舵室
提督「…………」ポカーン
提督「今のは……機雷ですか?」
ホモ「ええそうよ」
ホモ「わざと前線部隊には攻撃の手を休めて油断している様に見せたの」
ホモ「そうする事で敵艦隊の主力で厄介な戦艦が前にでる事を期待してねぇん」
ホモ「後は事前にばらまいてた機雷を爆破」
ホモ「霧が濃く視界が悪いおかげで機雷も確認しづらいって事も幸いだったわね」
提督「……なるほど」
提督(後ろからの奇襲にも関わらず更に策を重ねる周到さ……この司令官、只者じゃない)
提督「気づかず余計な事を……失礼しました)
ホモ「いいのよ。知らなければ誰でも同じ事思うわぁん」
ホモ「さて……あとは」
────────────────────────
─深海棲艦 艦隊─
空母ヲ級「ク……ドウナッテイル。戦艦隊ニ何ガ起コッタ」
川内「失礼しまーす」スッ
空母ヲ級「?!」ビクッ
川内「指揮を執っているのは貴方みたいね。安全な所でキョロキョロ見回してるから分かったわ」
空母ヲ級「イツノマニコンナ近クニ……」
川内「隠密行動は得意なの。夜だったらもっとすごいんだから」
川内「てわけで、私からプレゼント。上にある気持ち悪い帽子さんの口に挟んどいたよ」
空母ヲ級「ワ、ワタシノ頭ニ……魚雷ガ……」
川内「明石が時間立てば爆発してくれるようにしてくれたんだよねー。バイバイ」ササササ
空母ヲ級「ク…取レナイ………ヤメッ」
ドカァァァン
川内「忍法魚雷爆散の術……って言ってみたりして」
利根「作戦通りじゃな」
利根「川内が敵の旗艦を落とした!一気に叩き込め!」
艦娘達「「了解!」」
ドォン ドォン パパパパパ ザッパーン
駆逐イ級「クソ……テ、撤退ダ!」スーーー
軽巡ヘ級「ニゲロ!」スーーー
卯月「あーー逃げちゃったピョン」
鈴谷「えーまだ打ちたりないよー」
利根「ホモ提督よ、追うかの?」
ホモ「追わなくていいわ。近くに敵の大艦隊がいないとも限らないし……」
ホモ「それに第2艦隊の救助が先よ。さっさと入渠室で手当てしてあげなさい」
利根「了解じゃ」
ホモ「と、いう訳でそんな感じだから艦娘の子達は任せて頂戴」
提督「……ありがとうございます」
ホモ「提督ちゃんの母艦は動く?」
提督「はい。損傷ありますが動力部に異常はありません」
ホモ「分かったわ。ここでのんびりするのは怖いし早々にカムラン港に戻りましょう」
・
・
・
・
・
─カムラン港─
提督「本当に助かりました。あと少しで全滅という所でお助けいただいて……」
ホモ「全く……増援が先にやられるなんて冗談にもならないわ」
提督「……申し訳ございません」シュン
ホモ「ウフフ、でも無事で良かった……」
ホモ「改めてお久しぶりね、提督ちゃん」スッ
提督「はい。お久しぶりです」グッ
ホモ「初めて会った時は舐め舐めしたいくらい青いオケツだったけど」
ホモ「成長してこうみると軍人らしくぺろぺろクンカクンカしたいくらい立派になっちゃって」ジー
ホモ「嬉しいわぁ」ニンマリ
提督「え……ええ(どこみてんだこいつ)」ゾッ
ホモ「それにしても増援といった割には艦娘の数が少ないようね」
ホモ「相手は100隻近くいるってお上に伝えた筈だけど……」
提督「…………」
ホモ「6隻だけなの?」
提督「……はい」
ホモ「ふーん」
ホモ「ま……その様子みる限り訳ありって事ね」
提督「察していただき助かります」
ホモ「私も元は中央にいた身だし」
提督「中央に?」
ホモ「ええ、ちょっと色々あって南に異動したけど」
ホモ「だからあそこの事情は色々知ってるわ。もちろん第2艦隊の事もね」
提督「……」
ホモ「まぁいいわ。一人でも多ければ心強いもの」
ホモ「明日辺りブリーフィングルームで現状を詳しく説明するから」
ホモ「今日はゆっくり休んで頂戴」
提督「はい……色々と、ありがとうございました」ペコッ
前回のあらすじ
第2艦隊を救う為、南鎮守府艦隊は深海棲艦と戦闘を開始するが
戦いの最中だというのに大した反撃もせずふざけあう南鎮守府艦隊の艦娘に提督はイライラを募らせる
その様子を見た深海棲艦は主力ともいえる戦艦を前線にだして勝負をしかける
だが、油断している様に見えたのは事前にばら撒いていた機雷の場所まで誘導する為であり
見事に深海棲艦を撃退した南鎮守府艦隊は大破している艦娘達を回収し入渠室で手当てをする
提督はホモと合流し、現在の戦況を聞く為ブリーフィングルームへ訪れる
─次の日─
南鎮守府母艦 ブリーフィングルーム
提督「おはようございます」
ホモ「おはよう提督ちゃん。気分はどう?」
提督「お陰様で良好です」
ホモ「そう、なら良かった」
提督「自分より艦娘……彼女達の方が心配です」
ホモ「それについては安心なさい。ちゃんとウチの入渠室で手当てしてるからねぇん」
提督「はい……」シュン
ホモ「ま、明日辺りには全員と顔合わせできるわよ……っと、それよりも」
ホモ「昨日も言ったけど今の戦況、説明するわね」
提督「……はい」
ホモ「この港から南へ結構進んだ所に奴ら深海棲艦の本艦隊がいるの」
提督「昨日の敵艦隊と同一のものですか?」
ホモ「そうね。奴らはその本艦隊の一部。恐らく周辺偵察みたいなものだと思ってるわ」
提督「あれだけいて一部……という事はやはり」
ホモ「ええ。敵艦隊の総数が100隻程いるっていうのは本当の事。昨日20隻以上倒したから今はもうちょい少ないとは思うけど……」
提督「残りでも約80隻、しかも固まってるとなると……手がだせませんね」
提督「やはりベトナム海軍や周辺国の支援艦隊と協力して」
ホモ「いないわ」
提督「え?」
ホモ「ベトナム海軍は北にある首都周辺の海域に、周辺国は自分達の海域でも守ってるんじゃないかしら」
提督「まさか」
ホモ「そうよ。ここは見捨てられたのとほぼ同意よ」
提督「そんな……あれだけの大艦隊、俺達だけでは!」
ホモ「仕方ないのよ。相手が強敵だからこそ……彼らは本当に守るべき所へ戦力を集中させてるのよ」
ホモ「深海棲艦がもし矛先を別へ向けたら……困るでしょ?対応に」
提督「…………」
提督「俺達は……ここに居る意味がないじゃないですか」
ホモ「意味はあるわ」
ホモ「私達がいれば深海棲艦を引きつけていられるし」
ホモ「それに……」
ホモ「ここを守れるじゃない」
提督「…………」
ホモ「まぁでも厳しい戦況なのはたしかだし」
ホモ「のんびりここの港を守りながら本部からの援軍を待っていたんだけど……」
ホモ「来たのはたったの艦娘6隻と軍艦1隻。こんなんどうしろってのよ」ハァ
提督「……す、すみません」シュン
ホモ「提督ちゃんを責めてる訳じゃないわ。ある程度予想はしていたしね……」
提督「予想、ですか?」
ホモ「援軍要請だしたのはかなり前よ?その時からずっと連絡こないし……」
ホモ「そもそもこの任務って大して重要じゃないのよ。上からすればね」
ホモ「友好国から要請があったとはいえ、この任務を遂行した上で利になる点が少ないのよ」
ホモ「資材収穫の海域でもないし、今後の侵攻作戦にも影響ないしね」
提督「だから本部も援軍を出し渋っているのですか……」
ホモ「ええ……とまぁこちらの事情はともかく」
ホモ「これも見て頂戴」パラッ
提督「これは?」
ホモ「敵の詳細資料よ」
提督「おお……艦種もこと細かに」
ホモ「貴方達がくる前に必死に調査して作ったの。褒めて頂戴」ウフン
提督「……戦艦が約20隻、駆逐、軽巡、重巡併せて60隻、空母5隻」
ホモ「まぁ大体だから完全に合ってる訳ではないけど……ざっとそんな感じね」
提督「この資料の戦艦に丸がついてるのは何ですか?」
ホモ「いい所に気が付いたわね。特に気をつけなきゃいけない奴よ」
提督「何をですか?」
ホモ「ええ……そいつらは艦娘の艤装で表現すると41cm連装砲を搭載しているの」
提督「41cm連装砲……長い有効射程を持つ戦艦の主砲ですね」
ホモ「それがまた厄介でねぇ。こちらの射程外から撃ってくるもんだから近づくのも大変」
ホモ「ましてや数も倍以上違うのってのに……なんとか敵艦隊の中枢に潜り込めればやりようがあるんだけど……お手上げね」
提督「これまた厳しい情報ですね……」
ホモ「てわけで貴方達には悪いけどしばらくは現状維持」
ホモ「下手に動いてもあれだし、もう一度本部に援軍を送ってもらうよう頼んでみるわ」
提督「……はい」
ホモ「説明はこれで終わり。他詳しい事は報告書類にまとめてあるから目を通してちょうだい」
提督「了解しました」
ホモ「何か質問あるかしら?」
提督「……あ」
ホモ「どうしたの?」
提督「そういえばなぜ、私達を助けた時あの場所にいたのですか?」
提督「本部からも一週間程連絡がとれなかったという事も聞いておりますが……」
ホモ「えーと」
ホモ「わ、私やらなきゃいけない作業があるんだったわ!今日はこれで解散!じゃね!」ササササ
タッタッタッタッタッタッ
提督「なんだ?」キョトン
・
・
・
・
・
・
南鎮守府母艦 入渠室前
提督(さて、大和達の様子が気になって入渠室に来てみたが)
提督(さすがに中には入れん。殆どの場合、入渠中は全裸に近い状態だからな)ウンウン
提督(まぁ……命に別状はないと聞いているし、部屋で待っているか)
スタスタスタ
鈴谷「あ、第2の司令官さんじゃーん」
熊野「お疲れ様ですわ」
提督「君達は、えっと」
鈴谷「南鎮守府艦隊の鈴谷だよ。よろしくねー」
熊野「同じく熊野と申します。よろしくお願いしますわ」
提督「うむ。中央第2艦隊所属の提督だ。気軽に呼び捨てで呼んでくれて構わない」
鈴谷「はーい。で、その提督は入渠室の前で何してるの?」
提督「怪我の様子が気になってな。中に入る訳にもいかんので部屋に戻ろうと思っていた所だ」
熊野「あら、お優しいですわね」
鈴谷「だねーウチのホモ提督なんて私達が着替えてても用があれば気にせずズカズカ入ってきて」
鈴谷「『アンタ達の裸なんて興味ないのよ!アタシが興味あるのは男の黒光りする主砲だけよ!』とか言ってさ。キショいよねー」
提督「はは……」
ガチャ
利根「む……なんじゃお主ら。こんな所でつっ立って」
熊野「あ、利根さん。今提督さんとお話ししてた所ですわ」
利根「ほう第2の司令官じゃな。話はホモ提督の方から聞いておる」
利根「吾輩は南鎮守府艦隊の旗艦を務める利根じゃ。よろしく頼むぞ!」
提督「ああ、よろしく」
鈴谷「そいや利根が入渠室で第2艦隊の看病してたんだっけ?」
利根「うむ」
提督「大和達の様子はどうだ?」
利根「ああ、それじゃな。大分よ」
鈴谷「ストップストップ。ここで話すのもいいけど、あっちでお茶でも飲みながら話そうよ。他にも色々聞きたい事あるし」
利根「それもそうじゃな。提督よ、案内するぞ。こっちじゃ」
・
・
・
・
─談話室─
提督「─────そうか。みんなもう起き上がって食事もしてるんだな」
利根「まだ入渠室にいる必要はあるがもう少ししたらいつもの状態に戻るじゃろ」
提督「良かった。敵の砲弾をもろに受けてたりもしてたから……ずっと心配だったんだ」
利根「なぁに、艦娘は艤装をしていれば鋼鉄並みに堅いからの。簡単には死なないのじゃ」
提督「ふむ。とりあえず安心だ」ホッ
鈴谷「……」ジー
提督(何やら視線を感じる)
鈴谷「ねぇ」
提督「なんだ?」
鈴谷「提督は彼女いるの?」
提督「ブハッ」
熊野「こ、こら鈴谷。急になんて事聞いてるんですの!」
鈴谷「えー、恋バナの一つや二ついいじゃーん」
熊野「今聞く事じゃありませんの!」
鈴谷「で、どうなのさー?艦娘と付き合ってたりするの?」
提督「……ない」アセ
鈴谷「えっ!ほんとに!」
提督「だが、好きな……奴はいる」モジモジ
鈴谷「なーんだ、残念」
熊野「いなかったらどうするつもりですの……」
鈴谷「えーそりゃアタックしようかなってさ。提督ってイケメンじゃん?」
熊野「そ、そんな、はしたないですよ」
鈴谷「え?熊野的には微妙なんだ?」
熊野「いえ……まぁたしかにお顔立ちはいいと思いますけどそういう問題じゃ……」
鈴谷「じゃあいいじゃーん。まぁ好きな子いるみたいだし諦めるけど」
熊野「まったく鈴谷ったら……」
利根「ハッハッハッ、そういう年頃じゃからの。男日照りのせいもあって積極的になるのもわからんでもないぞ」
利根「しかしまぁ残念がるのは鈴谷だけじゃないだろうが……」
提督「?」
利根「いやぁ吾輩らの司令官、ホモ提督の事じゃよ」
利根「奴は……よーするに同性愛者じゃ。特にお主の様な軍人は大好物」
提督「えっ」ゾクッ
利根「安心せい。襲ったりする事はない」
提督「ほっ」ホッ
利根「と思う」
提督「!?」ビクッ
利根「まぁ何せ今回お主らを助けにいく事ができた理由なんじゃが……ホモ提督の奴が」
──『増援でいい男が来る!こんな港でちんたらしてる場合じゃないわ!通ると思われる航路を巡回して守らなきゃ!』
利根「などとぬかしおって、本部に連絡も入れず出撃したんじゃよ」
提督「だから、連絡ない上にあんな所で……」
利根「それが不幸中の幸い……というとちとあれじゃがお主らを助ける事ができて本当に良かったのじゃ」
提督「ははは……」
利根「だがのぉ、ホモ提督の奴はあんなじゃが……司令官としての腕はたしかじゃよ」
利根「あれが来てから吾輩らの練度はみるみる上がっておる」
鈴谷「たしかに私達強くなったよねー」
熊野「そうですわね。ホモ提督さんが来てから大きな任務も来るようになりましたし」
利根「うむ。今これだけ戦力的に劣勢でも何とか立ち回れてるいるのは間違いなくあの男のおかげじゃ」
利根「その事だけは信じてよいぞ」
提督「……分かった」
利根「ただし」
利根「尻の穴はしっかり守っとくとよいのぉ」
提督「……」キュッ
・
・
・
・
南鎮守府母艦 甲板上
ビューー
提督(利根達との話も終わったし気分転換にちょっと外の風に当たりに来たのだが……)
提督「ふー、冷たい風が心地いい……ん?」
北上「…………」ボー
提督「北上」
北上「……お、提督じゃん。お疲れー」
提督「まだ入渠室にいるんじゃなかったのか?」
北上「ううん。私は傷が浅かったし早めにでてきたんだー」
提督「なるほどな」
北上「…………」
提督「どうした?元気がないじゃないか」
北上「んー……」
提督「何かあるなら言ってみろ」
北上「いやぁさ……怖かったなぁって」
提督「昨日の事か」
北上「うん」
提督「助けが無かったら……死んでたよな、俺達」
北上「……深海棲艦とやりあってピンチなんていくらでもあったけど」
北上「あそこまで死を覚悟したのは初めてだよ」
提督「……戦意喪失したか?」
北上「そんな訳ないじゃん」
北上「ただやっぱり……もっと力が欲しいよ」
北上「あんな奴らコテンパにできる力がさ」
提督「……うむ」
北上「提督、もっと私を強くしてよ。強い装備に戦術に……提督にやってもらう事はいっぱいある!」グワッ
提督「急に熱くなって……らしくないじゃないか」
北上「……別に」プイッ
提督「大丈夫。北上は強くなるよ。なんせスーパー北上様だからな」
北上「なにそれ、バカにしてんの?」
提督「冗談だよ。……まぁ任せろ。言われなくともそうするさ」ニコッ
北上「頼りにしてるからね……ほんとに」
北上「……んで、提督はなにしてたの?」
提督「まぁ色々だ。今から艦内をグルグル回ろうと思っているが」」
北上「へー、私もついていっていい?」
提督「別に構わんけど……少ししたら開発室へ行くぞ」
北上「ほーい」
・
・
・
・
南鎮守府母艦 開発室
提督「おーすごいな。見た事ないような艤装や道具がいっぱいだ」
北上「ウチと随分違うね。なんか本格的というか。あ、なにあれおもしろそう」タッタッタッ
提督「おーい、あんまり弄るなよ………ん?」
トンテンカン トンテンカン
提督「誰かいるみたいだな」
明石「ふー……こんなものでしょうか」
提督「何を作ってるんだ?」
明石「きゃっ!どなた……って第2の司令官さんですか」
提督「びっくりさせてすまん。ちょっと興味があって声をかけさせてもらった」
明石「はぁ……今は機銃の整備及び改造をしています。こんな風に」ジジジジ
提督「ほう、見事なもんだ。よくやるのか?」
明石「はい。ここら辺の艤装全て私が手を加えていますから」
北上「提督ー誰と話してんのー?」スタスタスタ
提督「ああ、えっと……名前まだ聞いてなかったな」
明石「あ、失礼いたしました。わたくし、明石と申しまして……」
北上「明石じゃん!何してんの?!」
明石「え……北上さん!?」
──────────────────────────────
提督「───なるほど。この前いってた資材を大量に使って問題起こしたっていうのが」
北上「そそ、この明石なんだよね」
明石「その節はほんとにご迷惑をお掛けしました」ペコペコ
北上「もう別に気にしてないから謝らないでよ。それより元気だった?」
明石「はい。色々ありましたが……こちらに来てから皆さんによくしてもらっているので」
北上「そかそか。それなら良かったー」
提督「しかし艦娘が艤装の改造か……整備までするのは良く見るが初めて見たな」
北上「明石はすごいよ。妖精達の作った艤装を自分なりにアレンジしたりするからね」
明石「いえいえ……私の技術なんて妖精さんと比べたらおまけみたいなものですから……」
提督「ふむ。今度時間ある時に色々とご教授願いたいものだな」
明石「提督さんもそういうのに興味があるのですか?」
提督「まぁ艤装の開発で知識があると便利でな。妖精達とも連携しやすいし」
明石「なるほどですね。この明石にできる事があればいつでもお声がけください」
提督「うむ。頼んだよ……さて、俺はちょっと外を回ってこようかな」
北上「りょーかい。私はもうちょい明石と喋ってるわー」
・
・
・
・
カムラン港
提督(母艦の外に来てみたが……)
提督(やはり海軍らしき部隊がいない。軍の関係者なんて港へ定着した時にいた通訳ぐらいか)
提督(ホモ提督もいっていたが……軍部に見限られているというのは本当のようだな)
提督(こと深海棲艦に対して艦娘を持たない海軍は、旧軍艦を並べて砲撃弾幕を張る戦術しかとれない)
提督(それにはかなりの数の軍艦を配置しなければならないからな)
提督(重要な首都周辺だけを守るという理由は分かる……)
提督(とはいえ日本に要請をだしておいて、任せきりにされるというのはいかがなものだろうか)
提督(俺達はここを放棄して日本に帰還してもいいくらいの理由じゃないか)
提督(…………はぁ)
提督(あとでまた考えよう……)
キャッキャ キャッキャ アハハ
提督(砂浜で遊んでいる……ここら辺に住む子供たちかな)
提督(近くに化け物が侵攻してきているという事を知ってか知らぬか……無邪気に遊ぶ姿はうらやましく思えるな)
卯月「何してるピョン」ダキッ
提督「おおっ!」ビクッ
卯月「ぷっぷくぷー!ビックリしすぎー」クスクス
弥生「卯月……いきなり後ろから覆いかぶさったら危ない」
川内「卯月は怖い者しらずだね。夜戦でそんな事したらやられちゃうよ?」
提督「君達はたしか……」
卯月「卯月だよー!うーちゃんて呼んでピョン!」スタッ
弥生「やよい、駆逐艦の弥生」
川内「軽巡用艦の川内、夜戦はお任せ!」
提督「卯月と弥生と川内か……うむ、覚えたよ」
卯月「何してるのー?」
提督「ああ、ちょっと周辺を眺めてたんだ。周辺住民の様子や地形などを知っておくのも大事だからな」
卯月「ふーん、じゃあ暇人だね」
提督「いや、暇じゃないからな……聞いてたか?」
卯月「あっちで子供たちと遊ぶピョン。提督さんも来てよー」グイッ
提督「え、いや、あのちょっと」ズズズズズ
─────────────────────────────
─砂浜─
ベトナム幼女「○△□×○△□×○」
卯月「この子と遊んでみるピョン。遊んでほしそうな顔してるピョン」
提督「いやいや、何話してるかわからんのだが」
卯月「フィーリングで分かるピョン」
弥生「なんとなくで察する」
提督「……俺はやっぱり部屋に戻る」クルッ
卯月「駄目ピョン!」グイッ
提督「俺はお前らと違って忙しいんだよ!」グググググ
川内「提督さん、観念して少し付き合ってよ。卯月は言いだすと止められないよ?」
提督「そ、そういわれてもなぁ」
卯月「周辺住民の様子を知るのも大事って言ってたぴょん。この子も周辺住民だピョン!」
提督「聞いてたんかい!」
卯月「だから一緒に遊ぶピョン!」
提督「……分かったよ。ちょっとだけだぞ」ハァ
卯月「さすが話が分かる男は違うピョン。うーぴょんが見込んだ男」
提督「いつ見込まれたんだ俺は……で、何して遊ぶんだ?」
卯月「ここは砂浜だし、砂遊びするピョン」
提督「ふむ……何か作るのか?」
卯月「丁度向かいにうーぴょん達の母艦があるからあれ作るピョン」
提督「ほう、難易度がまた高いものを」
ベトナム幼女「○△□×○△□×○」
提督「なんて言ってるんだ?」
卯月「そんなの分かる訳ないピョン。とりあえず一緒に作れば仲良くなれるピョン」
提督「さっき分かるっていったじゃないか!フィーリングはどうした!」ビシッ
川内「あはは、提督さんおもしろいなー」ケラケラ
弥生「卯月の言う事なんか無視すればいいのに」
提督「う、うるさいな。少しはお前らもフォローしろ」
卯月「ほらほら、女の子も喜んでるピョン」
ベトナム幼女「○△□×○△□×○」キャッキャッ
提督「まぁ、何いってるかわからんが嬉しそうではあるな」
卯月「提督さん連れてきて良かったピョン。うーぴょんも楽しい」ニコニコ
提督「そうかい。それなら良かったよ」ハァ
・
・
・
・
─数時間後─
ベトナム幼女「○△□×○△□×○」キャッ キャッ
卯月「暗くなってきたし終わりにするピョン」
提督「大分遊んだな」
川内「提督さん何気楽しんでたよね。途中から卯月と本気で張り合ってたし」
提督「あ、遊びにも本気で取り組むのは大事だ」アセ
弥生「大人げないです」ジー
卯月「楽しかったぁ、満足だピョン」
ベトナム幼女「○△□×○△□×○」チョンチョン
卯月「どうしたの……え?うーぴょんにくれるの?」
ベトナム幼女「……」コクコク
卯月「わーありがたく頂戴するピョン!提督にもおすそ分けする!ハイ!」サッ
提督「あ、ああ。ありがとう……これは膨らませる前の風船か」
卯月「いいものを貰ったピョン!」
ベトナム幼女「○△□×○△□×○」フリフリ
卯月「あ、もう帰るんだぁー。分かったピョン!楽しかったよーまたねー」フリフリ
提督「ふぅ……戻るとするか」
弥生「少ししたらご飯の時間」
川内「そうだね。お腹空いてきたかも」
卯月「じゃあ一旦部屋に戻るピョン!提督はオンブして連れてって!」ピョン
提督「お、おい!急に背中につかまるな!」ダキッ
卯月「出発進行ー!」
提督「ええっ……ったく、仕方ないな……よいしょっと」スッ
卯月「むふ……背中あったかいピョン…………」
卯月「ふぁあ……なんか眠くな……て……」グタァ
提督「う、卯月。おい、部屋なんてすぐ着くんだから寝るんじゃない!」
卯月「……」スピー
川内「あらら、完全に寝たね」
提督「まったく……すまんがお前らも付き合ってくれよ部屋まで」
川内「それは別にいいけど、大丈夫?」
提督「まぁ……艤装してなきゃ普通の女の子と変わらん。これくらいだったら余裕だ」
川内「さすが軍人さん。鍛えてるだけあるね」
川内「それにしても卯月が初体面の人にこんなに懐くなんて初めてみたなぁ」
弥生「私も」
提督「こいつは誰にでも慣れ慣れしいんじゃないのか?」
弥生「そんな事ない。むしろ知らない人には隠れるくらい人見知り」
提督「へぇ、意外だな」
川内「ホモ提督に最初会ったときも怖いピョン……とかいってずっと逃げ回ってたしね」
弥生「あの人は見た目が怖い。でもしゃべったらもっと怖い」
提督「……そこらへんはノーコメントだ」
・
・
・
・
・
中央第2艦隊母艦 執務室
提督(さぁ卯月たちを部屋に送り届けて時間もとれたし)
提督(ブリーフィングルームで貰った資料やらをまた見直すとするか)
提督(…………)ペラッ ペラッ
提督(敵はこちらの戦力の倍以上)
提督(中には長距離砲撃をもつ戦艦もいる)
提督(……事前に聞いていたベトナム海軍や周辺諸国の支援艦隊はアテにならず)
提督(俺達は民間漁港に定着させられている始末)
提督「どうしろってんだ」パサッ
提督「しばらくはここで待っていてもいいが」
提督「もしここへ……深海棲艦が一気に攻め込んで来たらどうする……」
提督「大量の機雷を用意して迎撃?いや、同じ様な手が通じるとは思えんし周囲には民間漁船もある」
提督「本部からの支援を待つ、とホモ提督は言っていたが……それこそアテにならんのは俺が十分知っているはずだ」
提督「……くそっ!あの狸じじい!やっぱり俺達を見殺しにする気かよ!」ダンッ
提督「…………」
提督「……戻るか」
提督「任務の遂行は無理だと判断して……」
提督「しかし、ただ逃げ戻ったらあの爺さんに何をされるか……」
提督「……でも……死ぬよりはマシ……」
提督「……うむ。ホモ提督を説得して……日本に帰還しよう」グッ
コン コン
提督「ん……誰だ?」
ガチャ
北上「やっぱりここにいたんだ」
提督「北上か。どうした?」
北上「夕ご飯の時間だよん。母艦の食堂で食べようってあっちの司令官から伝言」
提督「……そういえばそんな時間だったな。了解した。すぐいくよ」
・
・
・
・
─南鎮守府艦隊 食堂 ─
卯月「あっ!そのおにぎり!うーぴょんが狙ってたのに!」
加賀「残念でしたね。早い者勝ちです」モグモグ
日向「加賀、子供と張り合うんじゃない」ハァ
鈴谷「ん~美味しい。やっぱりカレーはいいよねぇ」パァァ
熊野「鈴谷、お鼻についてますわよ。拭きますからこっち向いてください」
伊58「ゴーヤにはこのカレーちょっと辛いでち」グムム
雪風「雪風も苦手です……」
利根「二人共、このフクジン漬けと併せて食べてみるのじゃ」
伊58「この赤いやつでちか……どれどれ」パクッ
伊58「わわ、甘くなった!これならゴーヤでも食べれる!」
雪風「ホントです!丁度良い甘さになって美味しいです!」
利根「そうじゃろそうじゃろ!吾輩もお気に入りのフクジン漬けじゃからな」
弥生「…………」モクモク
利根「弥生、しかめ面してどうしたのじゃ。お主も辛いなら使うといいぞ」
弥生「別に辛くないです。美味しいので味わってだけ」
利根「そ、そうか。相変わらず分かりづらい表情じゃな」
ワイワイ ガヤガヤ
提督「あれ?随分騒がしいと思ったら……皆いるじゃないか。まだ入渠室いるんじゃなかったのか」
大和「提督、カレーここに置いとくわよ」
提督「ああ、すまん。ありがとう」
大和「ホントは明日まで大人しくしてるつもりだったけど、中でずっと待つのもあれだし」
大和「夕食くらいみんなで食べたいと思ってでてきたのよ」
提督「なるほど」
ホモ「提督ちゃん達との交流会も兼ねてるのよ」ヌッ
提督「し、司令官。お気遣いありがとうございます(いきなりでてきてビックリした)」ドキドキ
明石「おかわりならいくらでもありますので御気軽に申し付けください。良ければお酒もあるのでいかかですか?」
提督「いやいや、職務中だから結構」
ホモ「あらーん。真面目ねぇ。ちょっとくらい良いじゃない」
提督「敵がいつ襲ってくるかも分かりませんから……」
ホモ「そういえば提督ちゃん。中央のジジイ、元気だった?」
提督「……総司令官の事ですか?」
ホモ「そそ」
提督「元気……したね。はい」
ホモ「あら残念。そろそろくたばるんじゃないかと期待してたのに」
提督「いいんですか、そんな事言って」
ホモ「いいのよ。あたしアイツ嫌いだし」
ホモ「中央に所属していた時はほんとアホみたいな任務ばっかやらされたものよ」
ホモ「現に今こんな状況なのもどうせあいつのせいだし……男は好きだけどジジイは範囲外だってのよ!」ガチャァン
提督「はは……」
提督(司令官もじーさんを良く思っていないようだな……これなら話やすいかも)
提督「……司令官、大事な話があるんです」
ホモ「え?」
提督「できれば二人きりで」ヒソヒソ
ホモ「二人きりで!?」ドキーン
提督「はい、あちらへ」グイッ
ホモ「ちょっと、ああん」ズズズ
────────────────────
─ 食堂前 廊下 ─
提督「よし、ここなら誰もいませんね」
ホモ「て、提督ちゃん。急にどうしたのよ」ドキドキ
提督(よし、日本へ帰還する提案をして……きっと司令官なら分かってくれるはずだ)
ホモ(まさか……私への愛の告白!ついに私にも春が!ホモやっててよかったぁ!)ドキドキ
提督「実はですね……」
ホモ「ええ」ドキドキ
タッタッタッタッタッタッタッタッタッ
艦娘A「司令官!司令官はどこですか!」
ホモ「……んー何よ。いい時に」
艦娘A「司令官!ここにいましたか!」
ホモ「大きな声で確認しなくてもいいわよ。で、どうしたの?」
艦娘A「それが……えっと」アセアセ
ホモ「落ち着きなさい、ゆっくりでいいわ」
艦娘A「はい……」
艦娘A「深海棲艦が……ここから北部にある町を襲ったようで」
艦娘A「多くの被害がでていると現地の住民から報告がありました」
提督 & ホモ「「!?」」
艦娘A「いかがいたしましょう?」
ホモ「……」
ホモ「第1艦隊と第2艦隊は戦闘準備でき次第、現場へ向かうわ。第3と第4は港周辺に敵がいない事を確認次第、追いかけなさい」
艦娘A「了解しました!利根さんにもお伝えします!」
ホモ「ええ、頼んだわよ」
提督「司令官、私の艦隊も向かいます」
ホモ「いえ、貴方の艦娘は残りなさい。まだ体調は万全じゃない筈。もしもの時は出撃してもらうけどね」
提督「……了解です」
ホモ「その代わり提督ちゃんは私の母艦に乗って頂戴。現場での指揮は私だけじゃ無理かもしれないわ」
提督「はっ」ビシッ
・
・
・
・
・
─カムラン海域 北部─
母艦 操舵実
ホモ「まったく……せっかく提督ちゃん達と交流会してる時にくるなんて……空気の読めない深海棲艦だわ」
提督「司令官、母艦レーダーより報告のあった周辺に敵反応ありません」
ホモ「そう。利根、そっちはどうなの?」
利根『水上偵察機でかなり遠くまで見ているんじゃが……こちらも敵は見当たらんのじゃ』※無線
ホモ「了解したわ。敵は攻撃するだけして引いたみたいね……なら」
ホモ『各艦へ、被害のあった町の近くに定着して、状況を確認するわよ』
ホモ『被害状況を確認次第、救助活動を行うわ』
────────────────────────
─ カムラン北部の町 ─
ボォォ ガシャーン ゴォォォォォ
ビェェェン キャァァァ
提督「な、なんてことだ……」
ホモ「…………派手にやってくれたわね」
利根「爆撃と砲撃の嵐をくらったようじゃの……建物が全壊して……所々火事になっておる……」
川内「……人間がいっぱい横たわってるけど……あれって……」
鈴谷「ほとんど死んでる……のかな……半身ないっぽい人もいるし……」
明石「むごいです……」
提督「……この臭いはなんだ」クンクン
熊野「鼻にこびりつく……醜悪な臭いですわ」
川内「すごい臭いだね……」
卯月「くさい……ぴょん」
弥生「…………」
ホモ「火災で色々な物が燃えた臭いよ」
ホモ「……人間とかね」
提督「……っ」
ホモ「今の所死者の数は1000人程と聞いているけど、これからもっと増える可能性があるわ」
ホモ「各艦娘は現地の住民と協力して救助活動を手伝いなさい」
ホモ「瓦礫等が邪魔であれば艤装使用も許可するわ、とにかく多くの命を救うのよ」
艦娘達「「……了解」」
提督「…………」
ホモ「提督ちゃん、私は通訳と一緒にこの町の責任者に会いに行ってくるわ、貴方もくる?」
提督「……いえ……ここで、救助活動を手伝います」
ホモ「……わかったわ。じゃあいってくるわね」
スタスタスタ
提督(…………)ボー
提督(……っと駄目だ駄目だ。こんな所で放心状態になっては)パチン
提督(俺は軍人だぞ……これくらい……この先いくらでも遭遇する可能性はある)
提督(悲しみに暮れる暇があるなら……一人でも助けなきゃ……)キョロキョロ
提督(ん……あそこの瓦礫の隙間から手が見えるな)
提督(もしかしたら生きているかも……)スッ
タッタッタッ
提督「おい!大丈夫か!」
シーン
提督(返事はない…脈は…………駄目か)
提督(…………)
提督(細く小さい手だ……まだ子供だろうな)
提督(……このままでは可哀想だし……瓦礫をどかすか)
提督「よし、落ちてたこの棒で……テコの原理を利用して……」
提督「んぐぐぐぐ……」
ガラララララ
提督「よし……ちょっと動いたぞ」
提督「これで引っ張りだせそうだ」
提督「んしょっと……」
ズサァ
提督「え……」
提督「……こ、この子は……」
卯月「提督……そんな所で何してるピョン……」
提督「う、卯月!来るな!来るんじゃない!」
卯月「何言ってるの……せっかくこのうーぴょんが手伝おうとして……」
ベトナム幼女「…………」
卯月「あ………」
提督「……」
卯月「……また、会ったピョン」
卯月「起きるピョン……こんな所で寝てたらいけないピョン」ユサユサ
ベトナム幼女「…………」
卯月「なんで何も言わないピョン」ユサユサ
ベトナム幼女「…………」
卯月「そんな意地悪したらもう遊んであげないよ」
ベトナム幼女「…………」
卯月「……お願いだから……返事して……」ユサユサ
提督「卯月……もういい。やめるんだ」
卯月「なんで……よ……なんで……」ポロポロ
提督「…………」ダキッ
卯月「ひぐっ……うっ……」ポロポロ
提督(…………)
提督(これが戦争……)
提督(俺は少し勘違いしてた……)
提督(戦争は俺達、軍人と深海棲艦の戦いじゃない)
提督(人類との戦いなんだ)
提督(深海棲艦は容赦なく攻撃してくる。例えこちらに抵抗できる力が無くても徹底的に)
─────ホモ「私達がいれば深海棲艦を引きつけていられるし」
─────ホモ「それに……」
─────ホモ「ここを守れるじゃない」
提督(そうか……あの時、司令官がここから撤退しない理由を言っていた)
提督(カムランに住む人達を守る為……だったんだ)
提督(それなのに俺は自分達だけの事を考えて日本に帰ろうと……)
提督(…………馬鹿だな、俺は)グスッ
──────
─────
────
───
──
─
前回のあらすじ
個性豊かな南鎮守府の艦娘と触れ合う提督達
異国の幼女と遊んだり、交流会と称して共に食事をする事で仲が深まっていく
一方で、厳しい戦況から「任務を放棄し日本へ撤退」という答えをだす提督
しかしそんな思いとは裏腹に、北部にある小さな町が深海棲艦の攻撃を受ける
幼女は死に、町は町ではなく、ただの瓦礫の山と化す
提督はその惨状を見て、自身の戦争観を見つめなおす事となる
─
──
───
────
─────
──────
次の日
─母艦 ブリーフィングルーム─
ホモ「町の被害原因は艦載機による爆撃と戦艦級による砲撃」
ホモ「とくに戦艦による被害が主な様ね。あいつらの砲撃は簡単なビルなら一撃で倒壊させる程の威力だもの」
提督「敵艦載機の数が少なかったおかげで……戦艦の射程外は被害も少ないかったという感じでしょうか」
ホモ「ええ……ま、報告書はこんなもんでいいでしょう。どうせこんな物を書いた所で上のやつらは見ないし」
提督「…………」
ホモ「……どうしたのよ?元気ないようだけど」
提督「いえ……あの様な惨状を見るのは初めてでして」
ホモ「ああ、そういう事」
ホモ「あれはまだ町の原型が残ってるからいい方よ」
ホモ「空母型がもっといたら悲惨だったわよ~、爆撃で平地の様にまっさらになるんだから」
提督「……そうですか」
提督「…………」
提督「私達はここで待ち続けてもよいのでしょうか?」
ホモ「……どういう事かしら?」
提督「司令官は昨日、援軍がくるまでこの港を守りながら待つといっていましたが」
提督「はたしてそれは安全策といえるかどうかです」
ホモ「……気づいちゃったのね」
提督「確証は得てませんが」
ホモ「今まではそれで良かったんだけど……ちょっと事情は変わってきたわ」
提督「やはり最近の敵の動き……」
ホモ「ええそうね。察しの通り敵は攻勢をかけ始めてるの」
ホモ「提督ちゃんが通ってきたルートあるでしょ?私達が助けに来た場所」
ホモ「あのルートは陸地に近いし、少し前までは安全だったんだけど……」
ホモ「いつのまにかあの場所まであいつらが巡回するようになってね」
ホモ「そして、昨日の襲撃事件」
ホモ「……確信したわ」
ホモ「恐らくだけど敵はこちらの戦力に気づき始めている」
提督「それで、徐々に敵の動きが活発になっているのですね」
ホモ「ええ……近々あいつらが全艦隊で攻めてくる可能性もでてきたわね」
提督「約80隻の深海棲艦が一気に攻めてきたら……そうなったら今の俺達では太刀打ちできませんね……」
ホモ「……提督ちゃん、ごめんね」
提督「……?」
ホモ「提督ちゃんにはもう少ししたら言おうと思ってたのだけど」
ホモ「こちらに来たばかりで心配をかけるのも悪いと思ってアタシの心の中に留めてたわ、ごめんなさい」
提督「いえ、お気遣いありがとうございます」
提督(ほんとゴツイ見た目とは違って優しい人だよなこの人は……ホモだけど)
ホモ「ったくどうしようかしらねぇ。結局あいつらとこの戦力でやり合うしかないのかもしれないわぁ」ハァ
提督「……なら」
提督「こちらから攻めましょう」
ホモ「え?」
提督「ここで守っていてもやられるだけです」
提督「相手が数の有利に気づき浮き足だっているならこちらから攻めるべきです」
ホモ「それは無理よ。同じ事……いえ迎撃するより悲惨な結果になるわ」
提督「はい、普通にやっては駄目でしょう」
ホモ「……何か策があるの?」
提督「ないです」
ホモ「あらっ……」ズルッ
ホモ「て、提督ちゃん。自身満々に言うからなんかあるのかと思っちゃったじゃない」
提督「これから考えます。きっと何かある筈です」
ホモ「そ、そうねぇ……まぁ考えるだけはタダだし……私も何かできる事がないか模索してみるわ」」
提督「……はい」
・
・
・
・
・
─第2艦隊母艦 甲板上─
ザザーン ザザーン
提督「はぁ……とはいったものの何も考え付かん」ブツブツ
提督「やはり敵の数がネック……艤装や練度だけでカバーするには到底及ばないしな」ブツブツ
提督「どうしたらいいやら……」ブツブツ
日向「しかめ面で独り言、どうしたんだい?」
提督「……日向」
日向「随分疲れた顔をしているな」
北上「昨日は色々大変だって聞いたけど大丈夫ー?」
雪風「しれぇ!元気だしてください!」
伊58「ゴーヤが癒してあげるでち」
加賀「甘い物でも食べれば良くなります」
提督「皆、身体はもう大丈夫なんだな」
大和「ええ、平気よ。昨日一日休ませてもらったおかげで」
提督「そうか、なら現在の状況を説明しないといけないな」
日向「いや、それは大丈夫だ。あらかた利根さんから聞いている。入渠室にいるに時にね」
加賀「敵の戦力はこちらより数という部分で有利、戦況は厳しいと聞きました」
大和「それをどうにかしようと一人で顔を歪めながら考えていた……ってのが今じゃない?」
提督「……お見通しか」
雪風「しれぇ、一人で悩まず雪風達も頼ってください」
伊58「そうでち。3人寄ればもんじゃ焼きっていうでしょ?」
日向「いやいや、もんじゅの知恵、だ」
加賀「もんじゃ焼き!どこですか!」
日向「加賀、少し黙っててくれないか?」
大和「とにかくあまり考えすぎちゃ駄目よ。また疲れがたまって倒られたら困るもの」
提督「……分かったよ。たしかに頭も煮詰まってきたし」
提督「コーヒーでも飲んで休憩してくるとするよ」スッ
スタスタスタ
日向「…………」
日向「提督」
提督「ん?」クルッ
日向「”思いもよらない物が意外な効果を発揮する。案外そういった物は身近にあったりする”」
日向「昔好きだった本の言葉だ。主人公が色々な小道具を使って逆境を乗り越えていく物語」
日向「もしかしたら今、そういう戦い方が求められているのかもしれない」
提督「……ふむ」
日向「……すまない。抽象的すぎた。忘れてくれていい」
提督「いや、ありがとう。参考にするよ」
提督(思いもよらない物……か)
提督(増援や必要以上の物資の支給が見込めない以上、幅広い視野を持ち考える必要があるのかもしれんな)
提督(ふむ……)
提督(……そいや昨日、明石にいつでも訪ねてもらっていいっていわれてたな)
提督(あそこには色々面白い物もおいてありそうだし……覗いてみるか)
666: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 16:04:26.00 ID:4/pceNVc0
─────────────────────────
─南鎮守府艦隊母艦 開発室─
提督(明石はどこかな……)キョロキョロ
明石「提督さん、お疲れ様です」スッ
提督「おお、お疲れ様。今日も艤装弄りか?」」
明石「ええ、といってもこの前の戦いで使った艤装のメンテナンスですが」
提督「そうか。ご苦労様」
明石「ありがとうございます。提督さんはどうしたのですか?」
提督「ん……ああ。何か面白い物はないかなと思ってな」
明石「面白い物……よく分からないですが、そうですねぇ」
明石「ここらへんの壁にかけてある艤装は実戦で使える様明石が手を入れました。良ければ見ていってください」
提督「了解した」
提督「…………」キョロキョロ
提督「ん……随分大きな……連装砲か?」
明石「はい。それは41cm連装砲です」
明石「敵戦艦が同じ様な艤装を持っているので司令官から作るよう頼まれたのですが」
提督「ですが?」
明石「艤装できる艦娘の方がいなくて……」シュン
明石「何せ、威力と射程は申し分ないのですが反動が強すぎるのと戦艦しか艤装できない代物でして」
明石「結局、こうやってインテリアの様になっています……」
提督「ふむ……」
明石「普通の41cmより更に射程を延ばす為に砲身を延ばしたり火薬の量を増やしたりと私なりの改造を施した自信作なのですが」
明石「しょうがないですよね……使える方がいなくては……」シュン
提督「………」
提督「明石、うちの艦娘ならいけるかもしれん」
明石「え?」
提督「この連装砲が小さく見える様な土台を持ち、35.6cmを涼しげに打ちまくる艦娘が一人いるんだ」
提督「試してみよう」ニコッ
・
・
・
・
─海上─
ドォォン
大和「ふぅ……これくらいなら大丈夫よ。もう一つ積んでも問題ないわ」
明石「……」ポカーン
提督(大和なら扱える……思った通りだ)
提督(自身の身体能力の高さと重装備を可能とする基本艤装……それが可能としているんだろう)
※基本艤装……その艦娘特有の艤装。飛行甲板などの事を指す
明石「……す、すごい」
明石「すごいですよ大和さん!!」ガバァ
大和「きゃっ!あ、明石ちゃん?」
明石「この明石……艦娘の方を多く見てきましたが……これ程まで……41cmを軽々と扱える方をみた事がありません」
大和「い、言い過ぎじゃないかしら……」
明石「そんな事はございません!!!!凄いんですよ!」グワァ
大和「ひぃ!」ビクッ
明石「しかもまだ余力があるなんて……これはたっぷり時間をかけて検証及び調整する必要がありますね」ニヤァ
大和「て、提督。なんかよろしくない展開の気がするわ、助けて頂戴!」
提督「……すまん大和。今回の任務で重要な戦力になるんだ……という訳でここは見逃させてもらう」
大和「ひ、酷い!」
明石「さあ……大和さん。身体を少し触らせていただきますので……どうぞこの明石に身をお任せください!」
大和「明石ちゃん……目が危ないけど……大丈夫かしら?」
明石「はい、明石は大丈夫です!」
キャァァァソコハダメェェ
ウゴカナイデクダサイ!
提督(………よ、よし。これでこちらも敵と同等の遠距離砲撃が可能となる……一歩前進だな)
提督(しかし、まだだ。まだ敵を叩く為の要素が足りない)
提督(あの数に対抗できる手段……何も強力な艤装や兵器じゃなくていいんだ)
提督(こちらが敵艦隊に近づくまで、攻撃を引きつける様な何かがあれば……)
前回のあらすじ
ホモ提督に改めて任務遂行の意思を伝える提督
数という戦力差をどうにかする為悩んでいると日向から
”思いもよらない物が意外な効果を発揮する。案外そういった物は身近にあったりする”という助言を貰う
様々な物を取りそろえる明石専用ともいえる南鎮守府の開発室。そこへ訪ねた提督は戦艦の主砲の一つ、41cm連装砲を見つける
敵戦艦の遠距離砲撃に対抗しうる武器になると考えた提督は明石に使用できないかどうか尋ねる
明石によると強い反動に耐える事ができる大きな艤装を持った戦艦でないと扱いは難しい、南鎮守府艦隊に扱える者はいないと答える
提督は同艦種である大和ならばどうかと試した所、難なく運用できる事が分かる
カムラン攻略に向けて一つ強みができたと喜ぶ提督だが、肝心の敵の数をどうにかする糸口が見つからない
そして考え疲れたのか知恵熱を感じた提督が頭を冷やす為に港へ訪れると……
──────────────────────────────
─港─
川内「そろそろ行こうよ」
卯月「了解っぴょん!早くいくぴょん!」サッ
弥生「卯月、あんまり暴れると花が駄目になる」
提督「何やってるんだ、お前ら」スッ
川内「お、提督さん。こんにちは」
卯月「あーーいい所にいたピョン!」
弥生「こんにちは」
提督「うむ、こんにちは」
卯月「今から北部の町へ手伝いにいくピョン。提督もいっしょにきてよぉ」
提督「ほう。まだ瓦礫は残っているもんな……お前らの力があればきっと町の人も喜ぶだろう」
提督「だが司令官には許可をとっているのか?」
川内「うん。私達3人は貰ってるよ」
弥生「そこは抜かりない」
提督「ならいい。所で気になったんだがなぜ戦闘服じゃなくて軍服なんだ?その花たばもどうしたんだ?」
卯月「……死んじゃった子達に贈る花ピョン」
川内「あのヒラヒラした戦闘服だとちょっと明るすぎるし、軍服なら少しはまともかなって」
提督「……なるほど」
弥生「昨日今日の話だからちゃんとしたお墓はできていないみたいだけど」
弥生「それでも精一杯弔いたいと思って……」
提督「ふむ、それなら俺も行こうかな。司令官には今から言っておくよ」
川内「さすが提督さん」グッ
卯月「うーぴょんが見込んだ男」
提督「ああ、見込まれてるからにはいかないとな」ニコッ
弥生「…………」ジー
提督「ん、どうした弥生。俺の顔になんかついてるか?」
弥生「卯月が気に入った理由、分かった気がする」ボソッ
提督「ん?」
弥生「……何でもない。さっさといこう」
スタスタスタ
提督「お、俺、弥生になんかしたか?怒っている様に見えるのだが」
卯月「大丈夫!弥生のあの顔は照れ隠しピョン。提督も罪な男ピョン」
提督「そうか。よく分からんが怒ってないならいい」
・
・
・
・
・
・
─カムラン 北部の町─
提督「これがあの子のお墓か?」
川内「うん。通訳の人に聞いたらここだってさ。親御さんと一緒に埋葬されてるみたい」
提督「親御さんも亡くなったのか?」
川内「……うん」
提督「……そうか」
卯月「…………」ジー
卯月「仇は取るよ」
提督「ん?」
卯月「絶対許さないもん、あいつら」
卯月「絶対に」グッ
提督「卯月……」
弥生「………お花、添える」スッ
提督「あ、ああ」スッ
川内「…………」スッ
卯月「…………」スッ
提督達「「…………」」
提督(もし天国があるなら……せめてそこで幸せになってくれ)
卯月「……っよし!黙祷終わりぴょん!いつのもの元気なうーぴょんに戻るピョーーーン!」サッ
提督「っておい、急に抱きつくなっていっただろ!ていうか切り替え早いな!」ダキッ
卯月「いつまでもメソメソはよくないもん。悲しいけど、うーぴょん達は軍人ぴょん」
卯月「ずっと下を向くより前を向いて、そんで主砲をぶっ放して深海棲艦を一隻でも多く倒す!それがうーぴょん達、艦娘だぴょん!」
川内「うんうん。卯月のいう通りだね。私もバンバン夜戦であいつらを倒さなきゃ!」
弥生「深海棲艦なんかに負けないよ、弥生達は」
提督(こ、こいつら……)ジーン
提督「むぅ」グスッ
弥生「わー、なんで涙ぐんでるぴょん!提督の泣き虫ー!」
提督「う、うるさい……ったく……お前らが変な事いうから……ちくしょう」ゴシゴシ
川内「ぷっ、あははは。何それ!」ケラケラ
弥生「……」クスッ
卯月「やーい!いい大人が泣くなんて恥ずかしいぴょん!」キャッキャッ
提督「くそ!来なきゃよかったよ!」グシグシ
川内「あははっ……はぁ、笑い過ぎてお腹いたい。私も提督さん気に入ったわー」クスクス
卯月「でしょ?うーぴょんは人を見る目があるピョン」
提督「はぁ……なんか一気に疲れた。さぁ瓦礫除去の手伝いにさっさといくぞ!」スッ
卯月「あ、待ってピョン」スッ
提督「どうした?」
卯月「これに……ふーーーーーー」
プクーーーー
提督「もしかしてあの時……この子にもらった風船か?」
※>>611参照
卯月「うん、一緒にお供えするの。できたピョン」
卯月「これを紐で結んでここに……」
卯月「あれ、おかしいピョン」
提督「どうした?」
卯月「浮かないピョン。風船は浮くはずピョン」
提督「そりゃそうだ。普通の空気を入れてるんだから」
卯月「どういう事ピョン?」
提督「空気中に浮く風船ていうのは水素やヘリウムを入れる必要があるからな」
卯月「うー、よく分からないけど口で空気いれたら駄目?」
提督「駄目だな。機械かなんかでいれないと」
卯月「残念ぴょん」シュン
川内「ふっふっふっ……残念がるのは早いよ卯月、これを見て」バッ
卯月「そのスプレー缶はなにピョン?」
川内「ヘリウムガス缶だよ。これを使って細い管でガスをいれればきっと平気だよ!」
卯月「おおお!さすが川内ぴょん!」
提督「なんでそんなもの持ってるんだ?」ジトー
川内「任務で使ったりするからねーこういう小道具は持ち歩いてるんだ」
提督「なんだ任務って……忍者かお前は」
卯月「さっそくいれるピョン」シューーーー
プクーーーーー
卯月「おおお!浮いてるピョン!」
提督「あんまり入れすぎるなよ。割れたら元もこもない」
卯月「大丈夫ピョン……あっ」
フワッ
提督「お、お前!離したら駄目じゃないか!」
卯月「あうっ……やってしまったピョン……あそこまで飛んだら取れないピョン……」シュン
提督「ドジだな」
卯月「ピョン……」シュン
提督「あ、そうだ。風船がたしか……ほらこれ」ガサゴソ
卯月「!」
提督「卯月が分けてくれたやつだ。使うといい!」
卯月「やったピョン!提督はやっぱりできる男!」ササッ
提督「もう離すなよ」
卯月「大ジョブぴょん……っとよし。これをお墓に結び付けて……完成ぴょん」
弥生「いい感じ」
川内「ゆらゆら揺れてなんか可愛いじゃん」
卯月「満足ピョン!」
提督「よかった……ん?」チラッ
提督「卯月の離した風船、もうあんな所までいってるな」
卯月「すごい高くまでいくピョン。宇宙までいくの?」
提督「その前に割れるよ。気圧とか温度の関係でな」
川内「ふーん。風があるから結構の早さで動くね」
提督「海沿いだからなぁ……」
───”思いもよらない物が意外な効果を発揮する。案外そういった物は身近にあったりする”──
提督「…………!」
提督「これ……いや……いけるか?……」
川内「提督さん、急に険しい表情でどうしたの?」
提督「そうか、材質的にも……うん」ブツブツ
卯月「ブツブツ言い始めてなんか提督の様子が変ピョン」
提督「しかし問題が……だけど、俺が覚悟を決めて……」
弥生「……何も聞こえてないみたい」
提督「よし!!!」ダンッ
川内「わっ!きゅ、急に大きな声ださないでよ」
提督「お前らすまん!俺は用事を思い出した!先に戻るよ!」スッ
タッタッタッタッタッタッ
川内「急にどうしたんだろ?」
卯月「またあとで遊ぼうピョーーン!」フリフリ
弥生「卯月はなんで誇らしげに見送ってるの?」
卯月「きっとあの様子、提督はすごい事してくれるピョン」
川内「ええ……なにそれ?」
卯月「うーぴょんが見込んだ男は、ただの優しい男じゃないって事ぴょん」
───────────────────────────
─南鎮守府母艦 開発室─
明石「ふんふふーん♪大和さんにはもっとお礼をいっておけば良かったですね。まさか41cm連装砲をあんなに軽々と扱える方に出会えるなんて……」
明石「久しぶりにやりがいがありました!」グッ
明石「なんかこう気分が上がっちゃいますねぇ……今日は踊りながら作業しちゃおうかしら、らんららーん♪」クルクル
ガチャァン
提督「明石!!!!」
明石「キャッ!て、提督さん!急に入ってこないでください!」///
提督「すまない!それよりある物を早急に作りたいんだ!協力してくれ!」
明石「はぁ……?一体なんですか」
提督「これだ!」
明石「えっと……これは」
明石「風船です?」
提督「飛ばす!」
明石「と、飛ばす?」
提督「囮!」
明石「お、囮?」
提督「爆発!」
明石「ば、爆発?」
提督「さぁ、取り掛かるぞ!」
明石「て、提督さん!!一旦落ち着いてしっかり話してください!」
・
・
・
・
・
・
明石「─────なるほどですね。風船を囮にするという作戦の為に必要、と」
提督「ああ、すまんな。気持ちが先走ってて意味わからない事をいってしまって」
明石「いえ……それより、そんな作戦上手くいくのでしょうか?」
提督「難しいと思うか?」
明石「そうですねぇ。風船をどうやって深海棲艦の所まで飛ばすという物理的な話より」
明石「そもそも深海棲艦が風船に対して反応するかどうかですね」
提督「ふむ」
明石「風船がただの浮くだけの代物だとしっていたら意味がないですよね」
提督「たしかに……だが、恐らく平気と思っている」
明石「根拠はあるのですか?」
提督「機雷だ」
明石「機雷?もしかして提督さん達を救った時の事ですか?」
提督「ああ」
明石「うーん……あれは霧が濃くてよく見えなかったおかげで成功しただけだと思いますが」
提督「そうだな。あそこまで敵を誘導できたのはそのおかげだ」
提督「しかし、どうだ。あいつらが機雷に囲まれている事に気付いた時の反応」
提督「まるで何か分からない物を見たような反応で機雷にむしろ近づくような行動だった」
明石「たしかにそんな感じはしましたが……機雷を知らなかっただけでは?」
提督「それだ。そういう事なんだよ」
提督「あいつらはこちらの文明にあるものを多く理解していないと俺は思っている」
提督「機雷しかり……恐らく風船を見てもなんなのかわからんだろう」
提督「それを利用して威力のない見せかけの爆発をする様にしたり」
提督「目を引く為わざと色合いを強くしたり色々細工をしようとは思う」
明石「そういうことですか」ウーン
提督「とはいえ、これはあくまで仮説……信用するかしないかは任せるよ」
明石「ホモ提督にはお話になりましたか?」
提督「まだだ」
明石「……分かりました」
明石「技術的には恐らく問題ない成果物ができると思っていただいて結構です」
明石「ただそれをどうするか……ホモ提督にどう説明されるかはお任せします」
提督「そうか。ありがとう明石、ではちょっと司令官の所へいってくる」
提督「許可をもらったらすぐ手伝いにいくよ。恐らく妖精の技術がないとできない事もあるだろう」
明石「はい、お待ちしております」
・
・
・
・
・
・
・
提督「────以上が、本作戦の内容です」
ホモ「……貴方、正気?」
提督「正気です」
ホモ「…………」ハァ
ホモ「死ぬかもしれないのよ?」
提督「覚悟はできております」
ホモ「そう」
ホモ「分かったわぁ。これでいきましょう」
提督「了解しました。こちらの艦娘達には私の方から上手く伝えておきます」
ホモ「そうね、それがいいわ。この作戦は人を選んで伝える事にしましょう」
提督「はい……早速、詳細の資料を作成するのでしばらく席を外します。でき次第ご報告いたします」
ホモ「ええ」
提督「失礼します」スッ
ホモ「……待ちなさい」
提督「?」ピタ
ホモ「なぜそこまでするのよ」
ホモ「提督ちゃんは気づいてると思うけど……今回の作戦、無理に遂行する必要はないわ」
ホモ「爺の命令だから仕方ないとはいえ、ここを放棄した所で大きな実害はないっていった筈よ」
ホモ「なんで撤退をしようと考えないのよ」
提督「……お言葉ですが」
提督「それは司令官、貴方だって同じです」
ホモ「え?」
提督「ここを放棄せず今まで守り続けているじゃないですか」
ホモ「そ、それは……」
提督「私は……最初撤退しようと考えていました」
提督「だけど、司令官がここを守れるといった言葉」
提督「ここに住む人々を救う為の物だと気づいたのです」
提督「恥ずかしい話ですが、それを言われるまで自分達軍人と深海棲艦だけの戦いだと思っていました」
提督「けれど、私達がここを離れる事で多くの人間が死ぬ事になる」
提督「こんな大事な事にも気づかず……」
提督「人間として情けないです」
ホモ「提督ちゃん……」
提督「私は……いえ、俺は軍人になった理由が好きな女性の為でした」
提督「こんなはしたない理由で軍人になった……ですが、それでも一人の人間として一人でも多く守る為に戦う所存です」
ホモ「……全然はしたない理由じゃないじゃない。とっても素敵だと思うわ」
ホモ「あたしが軍人になった理由なんて、好みのたくましい男共がいるからなのよぉ」
ホモ「笑っちゃうでしょ?でもあたしにはそれぐらいしか魅力がなかったのよ、軍人なんてね」
ホモ「軍に入りたての頃は嫌な事ばっかりだったわ」
ホモ「あんな化け物と対峙しなきゃいけないし、艦娘とかいう女子共に囲まれる生活」
ホモ「最初はすぐやめようと思ったのよぉん?」
ホモ「でもね」
ホモ「ある時、任務で深海棲艦から襲われてた町を救った事があるのよ」
ホモ「そしたらすごい感謝されたわ」
ホモ「貴方こそヒーローだ、ありがとう!とかもうホントおだてられちゃってね」
ホモ「良い男共も泣きながら握手しにくるのよ。最高だったわ」
ホモ「今まで疎まれる事はあっても、こんなに求められる事なんて無かったもの」
───「同性を好きになるなんて気持ち悪いなぁ」───
───「友人だと思っていたのに……もう近づかないでくれ」───
───「同性愛者?ああ、すまんが普通の人を雇いたいんだ。今回の内定は無かった事に」───
ホモ「ホモセクシャルってだけで冷たい待遇だった今までの人生が華やかになった気がしたわ」
ホモ「救ってたつもりが逆に救われたわよ。自分にもいて良い居場所があるんだってね」
ホモ「だから私はここを放棄するつもりはないわ。もしそんな事したら……私は居場所がなくなっちゃうもの」
提督「……」
ホモ「提督ちゃん。今回は貴方に棄権な役目を背負ってもらうかもしれないけど」
ホモ「やるからにはアタシも覚悟ができてるわぁん」
ホモ「一緒に深海棲艦のアナルに主砲をぶちこんでやろうじゃない!」
提督「……分かりました。共にがんばりましょう!」スッ
ホモ「ウフフ、さぁ私も今回の作戦の為に色々準備しないとね」ガシッ
シカシ、シレイカン。イチイチシモネタヲツカウノヤメテクレマセンカ?
イイジャナイ。ヘルモンジャナイシ
──────
─────
────
───
──
─
──そうして二人の司令官はとある作戦を決行する為に、数日間ではあるが合同訓練を開始する
ホモ「なにやってるのよ卯月!あんた発情期のウサギじゃないんだから落ち着いて行動しなさい!」
卯月「う、うるさいピョン!ちょっと足を滑らせただけ!」
提督「加賀、今回は航空戦で必ず有利にたたねばならない。厳しくいくが我慢してくれ」ジッ
加賀「……承知しました」
利根「ホモ提督のやつ、随分気合はいっとるのぉ」
伊58「でち……ウチのてーとくさんもいつもより怖い感じがするもん」
ホモ(何時あいつらが襲ってくるか分からないわ……とにかく少ない日数で練度を高めないとだめねぇ……)
提督(弾薬や燃料も限りがあるんだ。時間はかけれないぞ……)
── 時間も資材も余裕が無い事を気にかけながら、全力で訓練に取り組む二人の指揮官
ホモ提督はベテランとして培ってきた経験を
提督は経験不足ながらも士官学校を首席として卒業した実力と自身のカリスマ性を
それぞれ違う要素を持った指揮官が艦娘を効率よく訓練していく
利根「中々くたびれるのぉ……」グッタリ
大和「そうですね……今敵にこられたらやられちゃいますね」グッタリ
利根「じゃの……そういえば大和よ。お主、今回も旗艦かの?」
大和「はい。利根さんもですか?」
利根「うむ、ホモ提督が言うには旗艦は感情的にならず理論的に物事を考える事ができる奴が向いていると言っておってのう」
利根「それが吾輩じゃからと旗艦を外された事ないんじゃよ」
大和「そうですか。たしかにそんな感じしますよね」
利根「今回聞いている作戦、かなり無茶をすると聞いておる」
利根「だからこそどんな事がおきても平常心でいなければいけないのじゃ」
大和「平常心……ですか」
利根「そうじゃ。慌てていたりすればそれだけで正常な判断はできなくなる」
利根「人間なんて感情でいきる生き物じゃ。それを制御する事は大変な事じゃが」
利根「命を削り合うこの戦争では最も重要な事じゃて」
大和「……」
大和(平常心……か)
大和(私は結構感情を表にだすタイプだし、難しいかしら?)
────────────────────────
日向「今だ!」
ドォン
ドカァン
川内「わーーあの距離を一発で当てた!」
日向「弾着修正射撃という技術だ。艦載機を利用して敵の位置を空間的に把握する事で弾着座標を管理する事ができる」
川内「何言ってるかさっぱりわかんないけど、すごいんだねー」
日向「まぁ私の場合、静止状態を維持しないと使えないというデメリットもあるがな」
川内「それでもすごいよ!私はこれくらいしかできないし」サッ
サササササササッ
日向(なんだあれは?!……かなり早い動きにも関わらず海上での水着音がまったくしない)
日向(海上をまるで滑るようにして走っている……どうやったらあんな動きが……)
川内「これに私専用のレーダー遮断マフラーがあれば相手に気づかれずに敵に近づけたりするんだよねぇ」
日向「……」ジー
川内「どうしたの?」
日向「いや、世の中広い……と思ってね」
日向(中央の艦娘達を見ても驚いたが……こんな所にもすごい技術を持った者がいるとは)
日向(……私も負けてられないな)
──二人の指揮官の熱に感化されたか艦娘達にも気合がはいる
互いに技術を見せ合う事で競争心と一体感を生み出し
少ない期間で質の高い訓練に成功。みるみると練度があがっていく
そして──
ホモ「そろそろ……ね」
提督「……はい」
提督「今週は天候や風向きも作戦に最適と明石より報告がきています」
ホモ「わかったわ。じゃあ今日のヒトフタマルマル」
ホモ「甲板に集合するよう声をかけて頂戴」
提督「了解です」
・
・
・
・
・
─母艦 甲板上─
ホモ「みんな集まったかしらぁ?」
利根「全員揃っておる」
ホモ「ならいいわ。じゃあ……」コホン
ホモ「あんた達をここに集めた理由、各々感づいてると思うけど」
ホモ「いよいよ作戦決行する日が来たの」
艦娘達「「……!」」ザワッ
ホモ「短い期間ではあったけどこの為に必死に訓練したわ」
ホモ「正直まだまだ足りないくらいだけど……」
ホモ「時間をあまりかけていられない」
ホモ「という訳で明日の朝、深海棲艦共を叩きに行くわよ!」
利根「ついにやるのじゃな」
ホモ「ええ」
卯月「うーちゃん達が本気を出す時がきたぴょん!」
弥生「……頑張る」
鈴谷「うわー明日か。カレーでも食べて調子を整えてこ!」
熊野「今日は早めに寝るとしますわ」
川内「夜戦じゃないのが悔やまれるねー」
雪風「雪風!必ずお役に立ってみせます!」
伊58「潜水艦の凄さを見せてやるでち!」
北上「ちゃっちゃと終わらせて日本帰ろー」
日向「念入りに瑞雲の整備をしておくか」
加賀「今日はいつもより多めに食べ貯めしておきましょう」
ホモ「という訳で連絡は以上。さぁ、今日は明日の為に各自備えなさい」
艦娘達「「了解です!」」
ヘヤニモドルノジャ
デチ
デスワー
ヤセン!
ワイワイ ガヤガヤ
大和(ふぅ……いよいよね)
大和(明日の作戦書、もう一度見直しておこうかしら)
提督「大和」
大和「はい?提督じゃない、どうしたの?」
提督「今日の夜、ちょっと話があるんだ」
提督「前、ここで話た時と同じくらいの時間に来て欲しい」
大和「今話せばいいじゃない」
提督「駄目だ!今日の夜!一人できてくれ、頼むぞ!」スッ
大和「あ、ちょっと!……っていっちゃったわね」
大和「もう……」
・
・
・
・
・
・
─その夜─
大和「話って何?」
提督「…………」
大和「提督?」
提督「小さい頃の事、覚えてるか?」
大和「え、う、うん。急にどうしたのよ」
提督「俺がお前ん家の近くに引っ越してきて知り合って……大和はあの時から変わらないよな」
大和「そうかしら?まぁでも提督は変わったわよね。昔はもっと口調が柔らかかったし、素直で良い子だったわ」
提督「まるで今は素直じゃないみたいだな」
大和「あら、そういう意味だけど」クスクス
提督「ったく……そんでさ、艦娘の適性受かった事で喧嘩したよな」
大和「そうね。提督ったらすごい嫌な言い方するんだもの。あの時は怒りっていうか悲しくてしょうがなかったわ」
提督「はは……お互い子供だったという事で許してくれ」
大和「別に気にしてないわよ。提督の言う事は今身に染みてるしそれに……」
提督「それに?」
大和「提督だって今同じ場所にいるじゃない、私と」ニコッ
提督「………ああ」
大和「それで結局なんでここに呼んだのよ?何か用があったんでんしょ?」
提督「うん。そうなんだ」
提督「ええと」
提督「どうしてもお前に伝えたい事があってな」
大和「もう、もったいぶらずに言いなさい」
提督「お、俺は!」
提督「お前の事が好きだ!子供の頃から……ずっと好きだった!」
提督「も、勿論、女性としてだ」
大和「……」
大和「……へ?」
提督「返答はいらない。只、この気持ちをお前に伝えたかった」
提督「いきなりこんな事いわれて訳わからんと思うが」
提督「今まで通り一緒にいてくれれば俺はそれでいい」
提督「それだけだ」
大和「…………」ポカーン
提督「俺は先に部屋に戻る。明日の戦い、頑張ろうな」
大和「え……ええ」
提督「おやすみ」
提督(これでもう、悔いは無い)
スタスタスタ ガチャン
大和「……」
大和「私……今」
大和「告白された?」
──────
─────
────
───
──
─
─
──
───
────
─────
─次の日─
ホモ「提督ちゃん、そっちはどう?」
提督「こちら第2艦隊も問題ありません」
ホモ「了解よ」
ホモ「それではこれよりカムラン海域に遊弋する深海棲艦の殲滅及び海域奪還に向けて出発するわ!」
ホモ「各艦娘は指定の配置につきなさい!」
艦娘達「「了解!」」
ホモ(とりあえず艦娘達は問題なさそうねぇ)
ホモ(あとは)チラッ
提督「司令官、私は予定通り後ろから母艦で付いていきます」
ホモ「え、ええ。そうね」
ホモ「……今からでも止めれるわよ、提督ちゃん」
提督「大丈夫です」
提督「では準備しますので失礼します」
スタスタスタ
ホモ(酷なものを背負わせちゃったわね)ハァ
───────────────────────────────
─海上─
利根「うむ。周辺異常なしじゃな。大和、そっちはどうじゃ?」
大和(結局……提督は朝会った時もいつも通りだったし)
大和(なんだったのかしら……ほんとに)
利根「大和!聞こえておるのか!」
大和「はいっ!あ、えと……」ビクッ
利根「何をぼーっとしてるのじゃ。戦(いくさ)前だというのに」
利根「お主は旗艦なのじゃからしっかりしてくれないと困るぞ」
大和「はい……すみません」
利根「とにかくじゃ。あと少しで敵の群れと遭遇する筈」
利根「昨日も言ったがの。何があっても平常心じゃぞ、平常心」
大和「平常心……そうですね。旗艦の私がしっかりしないと駄目ですよね」
利根「うむ、その意気じゃ」
大和(そうよ大和……今はそんな事を考えてる場合じゃない)グッ
・
・
・
・
・
─数時間後─
利根「大分進んだのぉ」
大和「そうですね」
加賀「……」
加賀「……っ」ピクッ
日向「加賀」
加賀「はい……ここから先に敵艦隊を発見しました」
加賀「数は予測通り約80隻。こちらにはまだ気づいてないようです」
大和「了解よ。作戦通り私達第2艦隊は敵右方から回り込むわ」
利根「了解じゃ。ではこちらもは反対側へ回り込む準備をするのじゃ」
──────────────────────────
─深海棲艦の群れ─
空母ヲ級1「…………」
空母ヲ級1「……ヲ?」
戦艦ル級FlagShip「ドウシタ?」
空母ヲ級「アチラカラオカシナ物体ガ……フワフワト浮イテル」
戦艦ル級FS「ン……タシカニミエルナ。ナンダアレハ……?」」
空母ヲ級1「カラフルデ……ヲヲッ?!」
戦艦ル級FS「ム?」
空母ヲ級「バ、爆発シタ!アノフワフワシタ奴!敵ノ新型兵器カモシレナイ!」
戦艦ル級FS「爆発ダト?ナラバ……遠距離射撃班、砲撃ジュンビ」
深海棲艦 戦艦達「「…………」」ズズズズズ
戦艦ル級FS「フンッ……アチラカラワザワザ来ルトハイイ度胸ダ」
──────────────────────────────────
─中央第2艦隊─
加賀「っ!あれは一体……」
日向「どうしたんだ加賀」
加賀「深海棲艦の群れから更に奥の方からですが」
加賀「風船の様な物が深海棲艦に向かって流れ浮いています」
大和「風船?!」
加賀「数は200、いえ……300程はあるかと」
加賀「深海棲艦達が風船に向けて攻撃を開始しました。見てる限り少々爆発する程度で敵へダメージとなる様には見えません」
日向「ふむ……囮か?」
大和「あちらの司令官が何か用意したのかしら?」
日向「かもしれないな。敵を陽動する為に何らかのアクションをすると言っていたし」
加賀「……もう一つ情報なのですが」
加賀「私達の母艦から風船が出ている様に思われます」
艦娘達「「ええ?!」」
雪風「しれぇの母艦はもしもの時の為、後方に配置してるはずです!」
日向「いや、今瑞雲で確認したがいつのまにか提督の母艦が消えてるぞ!」
北上「ははーん、そういう事ねー」
伊58「どういう事でちか?」
北上「最近提督の様子がどうもおかしいと思ったんだよね。一人で何かしてる事が多いし」
北上「明石と一緒に開発室こもってたしさ」
大和「もしかして……」
北上「多分提督があの風船を母艦から飛ばしてるんでしょ?」
伊58「そ、そんな訳ないでち!危険すぎるよ!」
北上「大方、危険な任務だから心配させない為に私達に言わなかったんだね。まったく困った提督だぁ」ハァ
日向「まさか、そんな事!」
加賀「する筈が……」
大和「……あるわね」
雪風「しれぇ」ウルウル
北上「バカだねー、いくら母艦が固いからってあの数相手じゃどうにもなんないでしょ」
日向「……っ」スッ
北上「ちょっとちょっと。どこいくのー日向っち」ガシッ
日向「決まってるじゃないか。助けに行く」
北上「駄目だよ。作戦に背く事になるし、それに一人で行ったってやられるだけ」
日向「ならどうするというんだ!このままでは提督が!」
大和(提督……もしかして自分が危険な目にあうからって……それで私に……あんな事……)
大和(…………)
日向「離せ北上!早くいかないと!」
大和「日向!」
日向「……っ」キーン
日向「み、耳元で急に叫ぶんじゃない」
大和「落ちついて日向。作戦通りに動きましょう」
日向「や、大和!提督が危険なんだぞ!いいのか!」
大和「危険なのは私達が助けにいっても変わらないわ」
大和「下手に動いてこちらがやられたら全滅するかもしれない」
大和「風船を囮にしている今、深海棲艦に近づきつつ攻撃。少しでも多くの深海棲艦を倒して戦況を有利にするのが先よ」
日向「うっ……」
大和「日向」ジッ
日向「……分かった。すまない……取り乱してしまった」シュン
大和「分かってくれて良かったわ」
大和(旗艦はどんな時でも正常心)
大和(利根さんはこれが分かってたから言ってくれてたのね)
大和(……ありがとう、利根さん)
大和(それと……提督)
大和(私達が行くまで無事でいて頂戴)グッ
大和「皆、準備はいい?」
雪風「はい!敵を倒して早くしれぇを助けに行きましょう!」
伊58「バッチこいでち!」
北上「はいはーいこっちもいーよー」
加賀「全艦載機、発艦準備完了です」
日向「いつでも行ける」グッ
大和「了解よ!第2艦隊全速前進!敵の気が散っている間に一気に詰めるわ!」
艦娘達「「了解!」」
──────────────────────────
─南鎮守府艦隊─
利根「よし!作戦通りじゃな」
卯月「あ、あの風船は何ぴょん?なんであんなにあるの?」
利根「囮用の風船じゃ。提督が母艦から排出しておる」
弥生「聞いてない。そんな作戦」
利根「そりゃそうじゃ。一部の奴にしか言ってないからのぉ」
卯月「て、提督が危ないピョン!」オロオロ
利根「そうやって心配するから言わなかったのじゃ」
弥生「酷い。あれじゃ敵の的になる可能性がある」ムスッ
利根「……分かっておる。あんな役目を奴に任せてしまったのは苦渋の決断」
利根「今回の戦い、お主達が思っている以上に状況は悪かった。だから仕方ないのじゃ」
卯月「け、けど……」
弥生「……」ムスッ
川内「……」ジー
川内「弥生、卯月」スッ ダキッ
川内「提督はあたし達が見込んだ男でしょ?簡単に死ぬわけない」
川内「だから信じて戦おうよ。深海棲艦を一隻でも多く倒して、提督に自慢してやんないと!」
卯月「そ、そうだったピョン。提督が簡単にやられる訳ないピョン」
弥生「……いつもどおりやるだけです」
川内「うんうん。その意気その意気」
利根(すまんのぉ川内)ボソッ
川内(はいはい)
利根「ホモ提督よ。吾輩らも本格的に動くぞ」
ホモ『ええ頼んだわよぉん』
ホモ「ほんっと……あたしもバカよね」
─────────────────────────────
─>>720の回想─
提督「風船を素材にしたデコイの様な物を用意して相手の気を逸らします」
提督「その間にこちらの得意な射程内へと入り込み、敵を一気に殲滅」
提督「あちらの数は多いですが、恐らく練度からすればこちらの方が上」
提督「上手く撹乱した状態であればきっと優位に戦えるはず」
提督「簡単にいうとそういった作戦です」
ホモ「風船を……ねぇ」
ホモ「たしかに資材の限られてる今、安価で大量に生産できる」
ホモ「敵の空母が少ないのもあって有効性も増すでしょうね……」
ホモ「肝心の風船の性能がどうなのかしら」
ホモ「風船自身が方向を変えたり、高度を変える様な事をさせるのはできないでしょ?」
ホモ「ましてや大量の風船をどうやって相手の所まで運ぶのよ。母艦で運んでも上手く流すのは至難の業よ」
提督「それに関してですが、方向に関しては風の向きを把握すればある程度操作は可能です」
提督「高度に関してもこちらの技術である一定以上の高度には上がらない様に対応できます」
提督「更に攻撃されると威力はありませんが爆発して目を引かせる様に細工する予定です」
提督「そして、どこから風船を出すか……ですが」
提督「私の母艦からです」
ホモ「え?」
提督「具体的な作戦ですが、まず事前に風船を載せた母艦で敵の背後に回り込みます」
提督「そして大量の風船を特定の位置から出します」
提督「敵が風船へと目を向けている間に二つの艦隊が更に横から挟み打ち、敵はほぼ囲まれるような形になりこちらの有利な状況を作り上げる事ができる」
提督「以上が本作戦の内容です」
───回想終了────
────────────────────────────
ホモ(こんな無茶な作戦、なんで通しちゃったのかしら)
ホモ(今更ながら少し後悔ね。……でも不思議なのは)
ホモ(提督ちゃんなら成功させてくれる、よく分からないけど彼から確信めいた強さを感じたわ)
ホモ(これは私の一種の賭けだったのかもしれない)
ホモ(……彼ならやってくれると)
───────────────────────────────────────
─提督 母艦─
提督「妖精さん、次も出すよ!」
妖精A「あい」ササササ
妖精B「あいいー」ササササ
妖精C「どっこいしょー」サササ
提督「……んしょ!それっ!どんどん深海棲艦の方向にいくんだぞ!」バッ
フワ フワ フワ
フワ フワ フワ
提督(よし、あと少しで全部か)
提督(はぁ……我ながらなんて作戦考えたんだか……」
提督(敵の真っただ中に裸で突っ込む様なものだよなこんなの)
提督(まぁでもこの作戦が成功して敵を殲滅さえできれば)
提督(俺はそれで……)
ブゥゥゥゥッゥン ブゥゥゥゥッゥン ブゥゥゥゥッゥン ブゥゥゥゥッゥン
提督(っと敵のおでましか)
提督「妖精さん、シールドの展開を頼む」
──────────────────────────────
─深海棲艦側─
空母ヲ級1「謎ノ物体ヲ出シテイタ艦ヲ発見」
戦艦ル級FS「ヨシ……直チニ全艦載機デ攻撃ダ」
空母ヲ級1「了解、全機発艦及ビ謎ノ物体トソレヲ排出シテイルト思ワレル艦ヘ攻撃スル」
戦艦ル級FS「他ノ敵モ恐ラク近クニ来テルハズダ。油断スルナヨ」
─────────────────────────
─第2艦隊─
日向「ふぅ、あと少しで敵戦艦の射程範囲に入るな。皆気を付けてくれ」
雪風「大和さん?立ち止まってどうしたんですか?」
大和「遠い……でも」
大和「今こそこれを試す時が来たわね」ジャキ
北上「41cm……大和っち、実はさっきから気になってたんだけど使えるのそれ?」
大和「ええ、明石ちゃんに散々いじられ仕込まれ大変だったけど」
大和「あの敵の塊に撃ちこむくらいだったら」
大和「造作もないわ」スッ
ドォン ドォン ドォン
────────────────────────────
─深海棲艦 側─
空母ヲ級2「敵艦隊、前方ヨリ確認シマシタ」
戦艦ル級FS「ヤハリ……ハサマレタ様ダナ。シカシコノ距離ナラコチラノ戦艦ノ遠距離砲撃デ牽制ガ可能」
戦艦ル級FS「偵察部隊ニヨレバヤツラノ艦隊ニハアノ距離カラノ攻撃手段ハナイ筈」
戦艦ル級FS「陣形ガ整イ次第、駆逐及び軽巡艦隊ヲ前ニダシテ殺シツクセ」
空母ヲ級2「ワカリマ……ア!危ナイ!」
戦艦ル級1「グァ……」ドカァァァン
空母ヲ級2「テ、敵戦艦級カラノ砲撃ヲ確認。味方ガヤラレマシタ」
戦艦ル級FS「バカナ!戦艦ヲ一撃デ……ヤツラモアノ距離カラ撃テル主砲ヲ有シテイルトイウノカ?!」
空母ヲ級2「ソレドコロカ敵ノ攻撃ノ方ガホンノ少シデスガ射程ガ長イ様ニ思ワレマス」
戦艦ル級FS「ト、トニカクコンナ密集シテイテハ駄目ダ。広ガッテ回避シロ!」
────────────────────────────
─第2艦隊─
加賀「1隻に命中、轟沈を確認」
日向「この距離から届いて、更に戦艦級を一撃。すごい主砲だな」
大和「私もビックリしてるわ。こんなに威力があるなんて……明石ちゃんにお礼いっとかないと駄目ね」
加賀「報告です。敵の動きが慌ただしくかなり崩れてきています。大和さんの砲撃効果でしょうか」
日向「上からは風船、海上では私達から挟まれ、そして本来有利としていた遠距離からの砲撃戦」
日向「敵が動揺するのも分かるな」
北上「しかもあそこまで密集してるから動きづらそう。しばらくは大和っちの砲撃で撹乱できそうだね」
大和「そうね、ここが勝負時。あとゴーヤちゃん、そろそろいける?」
伊58「任せてよ。上ばっかりみてたら足元をすくわれるって事、教えてやるでち」
──────────────────────────────
─深海棲艦側─
戦艦ル級FS「落チツケ、オマエラ!」
駆逐イ級1「敵ガアッチカラキテル!早ク雷撃ヲ!」
空母ヲ級1「マテ!上空ニアル謎ノ物体ニ対空射撃ガ先ダ!」
戦艦ル級2「オイ!艦載機デアノ砲撃ヲトメロ!コッチハ動キナガラジャマトモニ打テナインダヨ!」
戦艦ル級FS「ワタシノイウ事ヲキケ!!一旦陣形ヲクズシテ広ガラント砲撃ヲヨケラレナイダロウガ!」
駆逐イ級2「グァァ」ドカァン
重巡級1「ガハッ」ドカァァン
戦艦ル級FS「クソッ……ヤッテクレル!」ギリッ
──────────────────────────────
南鎮守府艦隊
利根「ふむ。良い感じじゃのぉ。敵さんかなり焦っている様じゃ」
利根「このままこちらの有効射程まで近づき一気に攻撃にでるとしようかの」
鈴谷「やっと!ウチラの出番!」
熊野「一気に片をつけてあげますわ!」
卯月「ウーピョン達の実力見せてやるピョン!」
弥生「砲雷撃戦は任せて」
利根「気合十分じゃな」
利根「だが相手はまだ吾輩らより数は多い。敵の一斉攻撃に気をつけて、決して油断するんじゃないぞ」
艦娘達「「了解!」」
利根「うむ……さて川内、いつもの頼めるかの」
川内「了解。旗艦の位置を調べればいいんだね。とりま、いってくるー」
利根「頼んだぞ。分かり次第座標を送るのじゃ」
川内「はーい!」スッ
─────────────────────────────────────
─深海棲艦側─
空母ヲ級3「敵艦隊、敵有効射程ニハイリコミマシタ」
戦艦ル級FS「クッ……コチラガマトモニ牽制デキズ近ヅカレタカ……」
戦艦ル級FS「マァイイ!ココデ沈メテシマエバイイダケノ事!数ハコチラノ有利ダ!」
駆逐イ級1「グアァァ!」ドガァァァンン
軽巡ホ級1「ギャァァァ!」ドガァアァン
戦艦ル級FS「コ、コンドハナンダ?!
駆逐イ級3「潜水艦型ニヨル雷撃デス!」
戦艦「潜水艦カ……索敵班ハ何ヲシテイル!」
軽巡ホ級2「謎ノ物体ヘノ対空射撃ニマワシテイマス!」
戦艦ル級FS「チッ、サッサト戻ラセテ潜水艦ヲ探シダセ!」
軽巡ホ級2「了解!」
戦艦ル級FS「ドイツモコイツモ……」ギリギリ
───────────────────────
─第2艦隊─
大和「加賀、状況は?」
加賀「南鎮守府艦隊が射程内に入り込み激しく交戦中です」
加賀「敵が右往左往している様で南鎮守府艦隊が大分押しているように見えます」
大和「そう、ゴーヤちゃんの奇襲雷撃も成功したみたいだし私達も攻め時ね」
大和「みんな!いくわよ!」
艦娘達「「了解!」」
───────────────────────
─提督 母艦─
ドォン ドカァアァン
提督「熱っ!」
提督(もう持たないな。この艦は)
提督(シールドバリアも壊れたし、動力部も破損して動く事すらできない)
提督(けどこれで……)スッ
フワッ
フワッ
提督(風船は全部だ)
提督(敵が風船に釣られて来てるのを見るかぎり恐らく成功……しているようだ)
提督(…………)
提督「さて、どうやってここから逃げるかな」
提督「艦にいたら爆撃の的になるだろうし……海にでて深海棲艦に見つかったら……」
提督(……仕方ないか)
提督「ええいままよ!」サッ
ブゥゥゥゥン
ブゥゥゥゥン
ドカァアァァン
──────────────────────────────
─南艦隊 & 第2艦隊 VS 深海棲艦─
利根「打って打って打ちまくるのじゃー!!!」
ドォン ドォン
鈴谷「ヌメヌメしてるやつなんて!!さっさと沈んで!」
ドォン ドォン
卯月「ウーピョンに勝てると思うなぴょぉぉっぉぉん!!」
ドォン ドォン
日向「計算完了!ここだ!」
ドォン ドォン
北上「あらよっと!」
シュゴォォォ
伊58「でちぃいいい!」
シュゴォォォォ
駆逐イ級3「ダ……ダメデス。駆逐艦隊、ほぼ全滅デス」
戦艦ル級FS「……」
軽巡ホ級2「コチラ軽巡重巡艦隊、被害甚大。一旦、退避シマス!」
戦艦ル級FS「……クッ」
空母ヲ級3「艦載機ヲ一旦サゲル!ソノ間援護ヲ頼ム!」
戦艦ル級FS「ソンナ余裕ハナイ!」
戦艦ル級FS「ナゼダ!敵ハ我々ヨリモ圧倒的ニ数が少ナイトイウノニコノザマ!」
戦艦ル級FS「半分以上ガ殺ラレ形勢ハ逆転……」
戦艦ル級FS「結局アノ上空ノ謎ノ物体ハ威力ノナイ只ノ囮ダト分カッタガ」
戦艦ル級FS「気付クノガ遅カッタ……クソ」
川内(よし、上手く敵の近くまで近づけた……)
川内(旗艦はどれだろう……)キョロキョロ
川内(ん、あの中心にいる奴っぽいね。回りにぴったり護衛みたいのがいるし)
川内(そうとわかったら報告報告)
──────────────────────────────────
利根「────────ふむ、了解。ご苦労様じゃ。そのまま戻ってきてこい」
ピッ
利根「大和、聞こえるか!」
大和「はい、こちら大和です」
利根「敵の旗艦の場所が分かった。座標をおくるから攻撃してくれ」
大和「了解です!」
大和「ええっとこのポイントだと」キョロキョロ
大和「あれね。護衛が何隻かいるみたいだし近づいて砲撃するのは危険、か」
大和「とはいっても今はもう敵もばらけてきているから……この距離じゃ当てるのは難しいわね」
日向「大和、どうしたんだ?」
日向「旗艦へ砲撃したいのだけど当てる自信がないのよ。弾を無駄うちするのもあれだし……こうなったら加賀に頼もうかしら」
日向「加賀は風船を追っていた艦載機を対応するので手一杯だぞ」
大和「じゃあ駄目ね」
日向「……一つ試したい事があるのだがいいか?」
大和「何?」
・
・
・
・
・
日向「もう少し右だ、ちょっと身体を触るぞ」
大和「ええ」
日向「まだこっちだな」ググ
大和「まさか日向に調整されながら打つとはおもわなかったわ」
日向「私が砲撃してもいいのだが戦艦相手ではいささか威力がたらなそうだ」
日向「自分以外に弾着修正の技術を利用し砲撃を手助けする……難しいとは思うが試す価値はある」
大和「うまくいくのかしら?」
日向「やってみなきゃ分からない。とりあえずしばらく、弾着修正射撃の準備が終わるまで待っててくれ」
大和「うん」
日向「……先程の件、改めて礼を言う。ありがとう」
大和「え?」
日向「いや、取り乱してしまった件でね。あのまま突っ込んでいたら恐らく殺られていただろうな」
大和「ふふ。いいのよ。旗艦として当たり前の事。それに……」
大和「日向にああは言ったけど、私だってホントはすごい動揺してたのよ」
日向「そうだったのか?」
大和「……提督が死んじゃうなんて考えられないもの」
日向「ふむ」
日向「大和、今聞くべき事じゃないかもしれんが」
日向「提督の事、好きか?」
大和「…………」
───どうしてもお前に伝えたい事があるんだ
───お、俺は!
───お前の事が好きだ!子供の頃から……ずっと好きだった!
大和「そうね。そうなのかもしれないわ」
日向「…………そっか」
日向「よし、弾着修正射撃の準備がととのったぞ。ここからは私と息を併せて砲撃をしてくれ」
大和「了解よ」
─深海棲艦 VS 南艦隊
戦艦ル級FS「シネ!」カチャ
ドォン
ザッパーン
鈴谷「キャッ!」
熊野「鈴谷!大丈夫ですの?!」
鈴谷「う、うん。あいつ装甲分厚くて攻撃利かないし護衛がついてて超ウザイ!」
熊野「利根さんの報告によるとあれが敵の旗艦みたいですわ」
鈴谷「こいつらのリーダー……強いわけね」ハァ
卯月「他の敵も風船がなくなったからこっちに戻ってきてるピョン」
鈴谷「……このままだとちょっと面倒ね」
熊野「完全にあちらが立て直す前に旗艦を倒したい所ですわ」
利根「無事かお主ら!」スッ
川内「やっほー!」スッ
鈴谷「遅いよ二人共」
利根「すまんすまん。ちょっと川内と野暮用を済ませてきたのじゃ」
鈴谷「ふーん。それよりあいつらなんとか何ないの?」
利根「ああ、敵の旗艦じゃな。第2の奴らに任せたから大ジョブじゃて」
鈴谷「ええっ!?平気なの?」
利根「うむ。吾輩らは他の奴らをやりにいくぞ」スッ
鈴谷「え、ちょっと!利根ー!」
────────────────────
─深海棲艦 側─
空母ヲ級1「ナンダアイツラ、攻撃シテキタカト思ッタラ他ノ場所ニ行ッタゾ」
戦艦ル級FS「キニスルナ。コチラモ後少シデ足並ミヲ揃エ状況ヲ取リ戻ス事ガデキソウダ」
戦艦ル級FS「ソウナッタラ奴ラヲ徹底的ニ……殺ル」
空母ヲ級1「アア」
ドォン
ザッパァァン
戦艦ル級FS「ドコカラダ!今ノ砲撃ハ!」
空母ヲ級1「前方ヨリ2隻。恐ラク片方ハ先程遠距離カラ強力ナ砲撃ヲシテキタ奴カト」
戦艦ル級FS(クソ、アンナ遠クカラ……私ノ主砲デハトテモジャナイガ狙エン)
戦艦ル級FS「艦載機デ迎撃シロ!」
空母ヲ級1「了解!」
────────────────────
─第2艦隊─
日向「惜しいな。あと少しで当たっていた」
大和「やっぱり難しいのかしら」
日向「……たしかに微妙な調整ができない分ズレはでてしまう」
日向「だが今の砲撃を見る限り全く意味がないという訳ではない」
日向「もう少し時間があれば細かい調整もできそうなんだが」
大和「そうはいっても相手が何もしてこない訳じゃ」
ブゥゥゥゥゥゥン
ブゥゥゥゥゥゥン
大和「言ってる傍からね」ハァ
日向「敵艦載機か。クソ……あと少しだというのに」
大和「仕方ないわね、上のをやってからにしましょう」カチャ
パパパパパ パパパパパ パパパパパ
ドカァァンン ドカァァンン ドカァァンン
日向「なんだ、敵艦載機が落ちていくぞ?」
大和「あれは……もしかして」
加賀「無事ですか、二人共」スッ
日向「加賀!お前、別の場所で空母とやりあってたんじゃ」
加賀「はい。ですが、南鎮守府艦隊の方達が応援に来てくれましたので」
加賀「利根さんにこちらを支援する様に言われましたし」
大和「利根さんが?」
加賀「はい」
大和(さすが利根さん。こうなる事まで危惧して……旗艦の鑑だわ)
大和「……じゃあ、日向。上は加賀に任せましょう」
日向「そうだな。頼んだぞ加賀」
加賀「お任せください、あなた値の上空は誰にも譲りません」
────────────────────
─深海棲艦─
空母ヲ級1「ヲ……」
戦艦ル級FS「ヲ級!マダ落トセナイノカ!」
空母ヲ級1「ソンナコトイワレテモ……敵艦載機ヲアイテニスルノデ手一杯」
戦艦ル級FS「役立タズメ……仕方ガナイ。私ハ一旦後ロニ退避スル。オ前ラハ敵ヲヒキツケテオケ」
軽巡ホ級1「オ、置イテイカナイデクダサイ!」
戦艦ル級FS「ウルサイ!」
─────────────────────
─第2艦隊─
大和「日向!」
日向「分かっている!敵が背を向けたこの瞬間がチャンス!」
日向「…………」ジッ
日向「距離、角度調整完了」
日向「姿勢制御、風向き問題なし」
日向「敵予測移動ポイントまで3秒、合図で打つんだ」
大和「了解」
日向「3」
日向「2」
日向「1」
日向「0!」
大和「あたってぇぇええええええ!」
ドォン
────────────────────
─深海棲艦 側─
戦艦ル級FS(私ダケデモ撤退シ更ニ仲間ヲツレテクル……ソノ手モアリカ)
戦艦ル級FS(今度ハモット数ツレテクレバ……ククク)
空母ヲ級1「ル級!危ナイ!」
戦艦ル級FS「話カケルナ。私ハ今カラ撤退」
ドカァァァン
戦艦ル級FS「ス……ルン」プスプス
戦艦ル級FS「ダ…………」
バチャン
空母ヲ級1「ル、ル級がやられた」
軽巡ホ級1「マサカ……ドウスレバイイノダ私達ハ」
────────────────
─第2艦隊─
大和「やったわ!あたった!」ガシッ
日向「ああ!」ガシッ
加賀「さすがです。さぁどうしましょうか」
大和「まずは北上ちゃん達と合流して残っている敵の殲滅をしましょう!」
・
・
・
・
・
北上「邪魔邪魔!北上様のお通りだってね!」
伊58「これで7隻目でち!」
北上「やるじゃんゴーヤ!まぁあたしは8隻やったけどねー」
伊58「ムムム!負けられないでち!」
北上「それにしても急に敵の動きが緩くなったけどどうしたんだろ」
伊58「でち……なんていうかさっきより更に統率がとれてない感じにみえるでち」
大和「北上ちゃーん」
北上「おっ、3人共。無事みたいだね」
大和「ええ。敵の旗艦を倒したから後は残ってる敵を倒すだけよ」
北上「旗艦を?道理で動きが鈍ってる訳だぁね」
日向「雪風の姿が見えないが」
伊58「ゆっきーなら奥の敵を倒しにいくっていって一人でいっちゃったでち」
日向「一人で大丈夫なのか?」
北上「平気平気。ウチで一番すばしっこいしね。それより南艦隊は大丈夫かな?」
加賀「はい。先程、全員無事を確認しました」
北上「そっか、じゃあ後は……」
大和「……提督」
北上「うん……きっと平気だよ。とりあえず敵も残り少なくなってきたし殲滅してから捜索しよう」
伊58「じゃあ倒してくるでち!北上さんには負けないでち!」
北上「あ、こら!抜け駆け駄目!」
日向「ったく、戦闘中だってのに呑気なもんだな」
加賀「そうですね」クスクス
大和(…………)
・
・
・
・
・
・
空母ヲ級1「グァッ……」ドガァァン
空母ヲ級1「ココ……マデ…カ……」
空母ヲ級1「……ミ……ンナ……ゴメ……ン」
バチャァン
利根「ふぅ……これで全部の様じゃな」
川内「周辺索敵Okだよー。敵はもういないみたい」
利根「了解じゃ。さて、ホモに連絡とるかのぉ」
ピッ
利根「こちら利根、敵殲滅を確認したのじゃ」
ホモ『お疲れ様よぉん。早速で悪いんだけど第2艦隊と合流次第、提督ちゃんの捜索を手伝って頂戴」
利根「分かっておる。卯月達は早速いってるのじゃ」
ホモ『よっぽど心配なのねぇん』
利根「……骨くらいは拾ってやりたいのぉ」
ホモ『……』
利根「冗談じゃよ。きっと生きておる」
ホモ「ええ、そう願ってるわ」
─────────────────────
─ 提督の母艦 周辺 ─
卯月「どこにもいないぴょん」
弥生「こっちも」
川内「しっかし酷く攻撃されたみたいだね。沈んでないのが不思議なくらい」
伊58「艦載機の爆撃で甲板が根こそぎ焼かれてるでち」
北上「こりゃ無傷ってのは無理だぁね」
日向「とりあえず中を探索したが……いなそうだな」
利根「恐らく海に飛び込んだんじゃろう。艦載機で周辺を探すといいのじゃ。泳ぎ疲れて浮いてるやもしれん」
加賀「今、全艦載機で探しています」
大和(提督、お願い……無事でいて……)ギュッ
・
・
・
・
─数時間後─
南鎮守府 母艦 甲板上
利根「…………」
利根「大和」
大和「…………」ビクッ
利根「そろそろ戻るのじゃ。もう夜になる。捜索は明日にしよう」
大和「嫌です」
利根「しかし……ぬしの気持ちも分かるがのぉ」
大和「嫌です!」
利根「……大和よ」
大和「うっ……うっ……」ポロポロ
利根「敵がまたでてこないとは限らん。一度休息を取り万全の状態で明日探そう」
大和「……はい」グスッ
日向「提督……」ツー
加賀「……」グスッ
伊58「……てーとくさん」グスッ
北上「……ふんっ」プイッ
卯月「ピョン……」シュン
弥生「…………」
川内「…………」ギリッ
大和「提督の……バカァァァァ!」
「誰がバカだ、誰が」
提督「まったくどうしたんだ。暗い雰囲気で」
大和「え……」
提督「ふーいてて。背中の火傷がまだヒリヒリする」
提督「雪風、もう一回包帯の替えたのんでいいか?」
雪風「了解です!すぐお持ちします!」
提督「悪いな」
日向「お、おい……提督」
提督「どうした日向……ってお前、泣いてるのか?というか全員泣いてるじゃないかどうしたんだ?!」
加賀「ほ、ほんとに提督ですか?」
提督「ん、ああ。どんな質問なんだそれは」
伊58「ほんとにほんと?」
提督「そうだよ。変な奴らだなぁ。作戦成功なんだからもっと喜んだりする所じゃないのか?」
北上「こういう空気を見てきづかないあたり、提督だろうね。うん」
提督「空気……?」
提督「……あ」
提督「も、もしかして……俺が戻ってた事知らなくてそれで?」
利根「のじゃ」コクリ
提督「あーーー」ポンッ
提督「えっと……まぁそのなんだ。無事だったよ。ただいま」
大和 & 日向 & 加賀 & 伊58 「「提督!!」」ガバァ
提督「お、落ち着けお前ら!いたた、あんまり強く抱きつくな。火傷が痛い」
日向「無事なら無事と何故早く伝えなかった!!」
加賀「そうですよ!心配してたんですよ!」
伊58「ゴーヤなんて海底の方まで沈んでないかっててビクビクしながら見に行ったでち!」
提督「えええ……雪風が司令官に伝えてくれてたと思うのだが」
雪風「無線でたしかにお伝えしました。しれぇは無事です!っと」
利根「誰にじゃ?」
雪風「ホモ提督さんにです」
利根「といっておるがどうじゃ?」
ホモ「えぇ?!アタシ?」
ホモ「えっと、そんな報告……」
─雪風「しれー……ザザ……見つけまし……一旦……戻ります」
─ホモ(しれーって何かしら……滑舌が悪いのと無線の調子が悪いのかききとりづらいわね)
─ホモ(まぁ一旦戻るっていってるし、その時確認すればいいわね)
─ホモ「了解よ。気を付けて戻ってきてらっしゃい」
ホモ(あれだったのねぇん。すっかり忘れてたわ)ッポン
ホモ「しらないわね」
利根「おい今、あの事かーみたいな顔してたじゃろ」ビシッ
雪風「雪風が敵を追っていたら偶然、艦の破片に隠れながら泳いでるしれぇを見つけたのです」
雪風「それからしれぇをかついで母艦に上がり、怪我の手当をしてました。背中にかなり火傷を負っていたようでして」
提督「海に飛び込む時、爆風が少し掠ったみたいでなぁ。治療に時間かかってずっと艦内いたんだよ」
雪風「とにかくしれぇが無事で良かったです」
提督「うんうん。ありがとうな雪風。さすが幸運艦だ」
雪風「えへへ」ナデナデ
大和「提督」ギロッ
提督「や、大和……」
大和「私が言いたい事わかるわよね?」
提督「……ああ」
提督「すまなかった。わざとお前らに黙ってたのはホントに悪いと思ってる」
提督「だが言ったら絶対止められると思った」
提督「俺が覚悟して決めた事だ。もし失敗して死んでも……仕方ない、と思って」
大和「っ!」
パチンッ
提督「……っ」ヒリヒリ
大和「なんでいつもそうなのよ!一人で背負うなっていってるじゃない!」
大和「勝手に納得して勝手に危険な目に合って勝手に……」
大和「私に告白して……」
大和「提督が良くても私が!私が悔いしか残らないじゃない!」
提督「す、すまん」
大和「……もうっ」グスッ
大和「返事くらい……いわせてよ」
提督「……え?」
大和「好き。私も好き。わたし、大和は提督の事が好き」
大和「今まで気づかなかったけど、私もあなたの事がずっと好きだった」
大和「失いそうになって初めてきづいたの。今なら何度でもいえる」
大和「好きよ、提督」
提督「……うん」
提督「俺もだ、大和」
鈴谷「うわっ、うわーーー」//
熊野「素敵ですわ、これが大人の恋愛という奴ですのね」ウットリ
利根「まったく見てられんのじゃ」ハァ
卯月「うらやましいピョン……うーぴょんも提督の事好きピョン」
川内「あんたのは違う好きでしょうに」
弥生「……ハレンチ」
日向「心配させた上、こんな甘い劇をみせられるとはな。大した指揮官だ」ハァ
加賀「まったくですね」ハァ
伊58「何はともあれ無事でよかったでち」
北上「ふぁ~、茶番だね茶番。さっさと部屋戻って寝よー」
ホモ「ふふ、良かったわね提督ちゃん」
ホモ「任務も恋も大成功。大した男だわぁん」
ホモ「さて、あたしは部屋に戻って報告書でもまとめようかしら」
スタスタスタ
ホモ「…………」ピタッ
ホモ「……なぁんか忘れてる気がするのよねぇ」
ホモ「うーん、なんだったかしらぁん」
ホモ「まっ気のせいね」
スタスタスタ
─その頃 開発室─
トンテン カーン
明石「いいですよいいですよ。確かに私は戦闘が苦手ですから」
明石「だからって一人だけ……艦内に残れなんて……酷い話ですっ!」トンテン
明石「戦闘以外に手伝える事を任してくれたっていいじゃないですか!」カーン
明石「大和さんの主砲だって風船の細工だって私が手伝ったんですよう!」トンテン
明石「それなのに皆さん、私の事を忘れて……」
明石「誰か一人くらい私の事きにかけてくださっても……いいじゃないですか!」カーン
トンテン
カーンコレ
──────
─────
───
──
─
前回のあらすじ
死者を弔う為、北部の町へ訪れる提督達
卯月が供え物として風船を用意すると提督はそれを見てある作戦を思いつく
「風船囮作戦」、低コストで大量に製造できる点を利用して深海棲艦の周辺に細工した風船をばら撒く
敵がそれに気が向いている間に叩こうという作戦である
しかしその為には風船をばら撒く媒体が必要であり、時間も資材も限られてる事から
提督自身が母艦に乗り対応する事を決断する
それははすなわち攻撃の的になると同意であり、とても危険な選択であった
提督は覚悟を決めると悔いの無いよう大和へ思いを伝え、自身の艦娘達には詳しい作戦の内容をしらせず戦地へと趣く
無事作戦は成功、提督も運よく生き延び大和とも想いを遂げ、一件落着となる
─中央鎮守府 本部─
本部軍人「────はい、はい。了解いたしました。帰りもどうぞお気をつけてくだされ」
ピッ
本部軍人「……まさか」
本部軍人「本当にカムランでの任務を遂行するとは……」
本部軍人「あの戦力差を一体どうやって埋めたというのだろう」
本部軍人「……っと驚いてる場合ではないか。爺督殿に報告しなければ」
・
・
・
・
・
・
─母艦 ブリーフィングルーム─
ホモ「じゃあこのまま中央に送り届けるわね、提督ちゃん」
提督「はい。お手数おかけして申し訳ございません」
ホモ「仕方ないわよ。作戦の為に提督ちゃんの母艦は壊れちゃったんだもの」
提督「……本部に怒られそうですね」
ホモ「何言ってんのよ。むしろ艦の一隻で済んだのがすごい事じゃない」
ホモ「というか今頃中央の奴らは驚いてるでしょうね、撤退すると思ってた筈だし」
ホモ「あたしも中央に着いたら驚いてるクソジジイの顔でも拝みに行こうかしら?」
提督「そういえば一つ聞きたい事があるんですが……爺督とはどういった関係なんですか?」
ホモ「え?ああーそいえば言ってなかったわね」
ホモ「何言ってんのよ。むしろ艦の一隻で済んだのがすごい事じゃない」
ホモ「というか今頃中央の奴らは驚いてるでしょうね、撤退すると思ってた筈だし」
ホモ「あたしも中央に着いたら驚いてるクソジジイの顔でも拝みに行こうかしら?」
提督「そういえば一つ聞きたい事があるんですが……爺督とはどういった関係なんですか?」
ホモ「え?ああーそいえば言ってなかったわね」
ホモ「あたしは元中央第3艦隊の司令官だったのよ。大分前の話だけど」
提督「ええっ!?」
ホモ「あたしも割と無茶な任務やらされたわよー。さすがに今回程のはなかったけど」
ホモ「だからジジイが大嫌いっていうわけ」
提督「な、なるほど」
ホモ「まぁ所属してたのはそんなに長くなかったけどねぇん。ちょっとやらかしちゃったせいで異動になったわ」
提督「そうですか……」タラーン
ホモ「まぁそんな事よりも……今回の作戦、誰も死なずに終えてホント良かったわね」
提督「実際、あそこまで効果があるとは思いませんでした」
ホモ「女子共の練度が高かったおかげもあると思うわ。敵は数が多かっただけで個々で見れば大した事なかったし」
提督「厳しい訓練にも耐えてくれた彼女達には感謝しなければいけませんね」
ホモ「ええ。帰ったら休暇を大目にとれるよう申請しといてあげましょう」
提督「はい、いいお考えだと思います」
ホモ「さて、とりあえず今日はこれで終わりにしましょう。提督ちゃんは戻っていいわよ。私はちょっとやる事あるからしばらくここにいるわ」
提督「了解しました。あまりご無理なさらずに」
ホモ「ええありがとう。それじゃまたあとでねん」フリフリ
提督「では失礼致します」ペコ
スタスタスタ
パタン
ホモ「…………」
ホモ「……艦娘のおかげだけじゃないわよ提督ちゃん」
ホモ「作戦の組み立て方や常識に囚われない戦術、妖精との連携、艦娘達からの信頼や艤装知識」
ホモ「半年そこらの指揮官が得ている能力としてはあまりにもできすぎね」
ホモ「たぬきじじい……あの子一体何者なのよ」
・
・
・
・
・
・
─母艦 甲板上─
提督(さて、一旦部屋に戻って休憩でもとるかな)スッ
卯月「あ、提督ぴょん!」
川内「提督さーん。やっほー」
弥生「お疲れ様です」
提督「お前ら3人仲良しだなぁ。何してるんだ?」
川内「そろそろ港をでるからさ。ちょと挨拶に」
提督「挨拶?」
弥生「あそこ」
バイバーイ サヨナラー
提督「ああ、現地の子達か」
弥生「提督がくる前に遊んで知り合った子達だピョン」
提督「なるほど。良かったな、見送ってもらって」
卯月「うーちゃんは大人気ピョン!」
弥生「すぐ調子にのる」
川内「ほんとだね」
卯月「でも……」
卯月「あの幼女も生きて見送ってくれてれば、もっと嬉しかった……ピョン」シュン
提督「……そうだな」
卯月「提督にはお礼をいわなきゃいけないピョン。おかげで仇討ち、できたピョン」
提督「いや、俺の力じゃないさ」
提督「きっかけはあの幼女が持っていた風船だ」
提督「それがなければ俺達だってやられてたかもしれないんだ」
提督「あの子の命の灯が、きっと風船になって奴らをやっつけてくれたんだよ」
川内「うわっなんか臭いセリフいうなぁ」ゾゾゾ
卯月「たしかにちょっと今のは体が痒くなったピョン」
弥生「…………」ポリポリ
提督「お前らさ、俺一応上官だからな?」
卯月「でも、提督はホントすごいピョン」
卯月「自分の体を張って戦ってくれたし……カッコ良かったピョン」
提督「ま、まぁ、あれはなんというか慣れ行きというかそのなんだろう」
卯月「……提督、こっちきてピョン」グイッ
提督「ん?ああ」ササ
チュッ
卯月「ありがとうピョン」ニコッ
川内「あらら、大和さんとラブラブしたばっかだってのにもう浮気かー」
弥生「……最低」
提督「ええっ!?いや、えと……その」
卯月「あの女に飽きたらうーちゃんの所にくると良いピョン。きっと飽きないピョン」
提督「あ、アホか!そんな事いわれて」
トントン
提督「ん?なん……」クルッ
大和「こんにちは。提督」ニッコリ
提督「あ……えっとどこから見てました?」
大和「卯月ちゃんからホッペにキスされてる所かしら」
川内「さぁてめんどくさい事になりそうだしおやつでも食べに行こうか弥生」
弥生「うん」
卯月「あ、うーちゃんもいくーー」
提督「お、おい!お前ら!誤解を解いてからに」スッ
大和「提督、どこいくの?」ググググ
提督「あ、痛い!肩が!つぶれる!」ミシッ
大和「とりあえずお話は部屋で聞こうかしら。しっかりね」ニコォ
提督「ヒィィィィ」
ズルズルズル
川内「ああいう所があるから憎めないよねぇ提督さんは」
弥生「同意」
卯月「ピョン」
・
・
・
・
・
─提督の部屋 個室─
提督「だからさ、あれは誤解だ」
提督「急に卯月がしてきたんだよ。今回がんばったからってさ。本人はお礼のつもり以外ないんだって」
大和「………ふんっ」ムスッ
提督「なぁ大和。相手は子供だぞ。そんなにムキになる事もないだろ」
大和「あるの!私だってまだキスの一つもしてないのに」
大和「作戦も終わってお互い気持ちも言い合ってやっとゆっくりできると思ったら……」
大和「提督のバカバカ!おばか!」
提督「わ、悪かったって。許してくれ」アセアセ
大和「フンだ」ムスッ
提督「ったく……」
提督「……じゃあさ」
提督「してみないか?」
大和「え?」
提督はそういうと大和の瞳をじっと見つめる
そしてその透き通る様な琥珀色をした瞳へ引き込まれるように顔を近づけ、大和に囁く
提督「ずっと好きだった……こういう事もしたくてたまらなかった」
大和「……う、うん」
互いの吐息がぶつかる
薄暗く決して大きいとは言えない部屋に両想いの二人
少しでも動けば唇が触れ合ってしまうんではなかろうかという距離で、互いの熱を感じ合う
提督「いくぞ?」
大和「……」コクリ
提督は腰にそっと手を回す
大和「ん……」
緊張からなのか大和の体が一瞬だけ震える
提督「くすぐったいか?」
大和「ううん。平気……」
少し恥じらう様子で答えるのを見て、たまらなく愛しく感じた提督は腰に回した手を使って強引に自分の元へ身体を引き寄せる
提督「大和……」
絞りだすように出した声。やっと思い人が自分の所にきたという達成感なのか優越感なのか。提督の中で何かがこみ上げてくる
大和「提督……」
大和が大きな瞳を閉じるのを確認した提督はその顎をそっと上向け、そして
ガチャァアン
雪風「しれぇええええ!お食事の用意ができました!」
提督「あ、あれー?口に何か挟まったと聞いたが何もないぞーー?」アセアセ
大和「えええ?ほんとーかしらー?ちゃんとみてよー?」アセアセ
雪風「そんなに近づいて何してらっしゃるんですか二人共」ジー
提督「あ、ああ。大和の奴が歯になんか挟まったいうから見てたんだーーハハ」
大和「そ、そうなのよーおほほほほ」
雪風「雪風もお手伝いしましょうか?」
提督&大和「「大丈夫!」」グワッ
雪風「は、はい?」ビクッ
──────
─────
────
───
──
─
─ 前回のあらすじ ─
無事にカムランでの任務を成功させた提督とホモはブリーフィングルームで談笑する
その中でホモ提督は中央の元第3司令官というかなりの実力者だった事が判明する
談笑を終えて一息つく為、甲板上へ向かう提督
すると卯月達3人が現地の子供たちと別れの挨拶をしている所へとでくわす
卯月が深海棲艦に殺された幼女や町民の仇をとれた事へのお礼として提督の頬にキスをする
そしてその様子は間が悪く大和に見られてしまう
嫉妬する大和の様子を見て、なんとか機嫌を直してもらおうと彼女へ口づけしようとすると
幸運艦の雪風が邪魔によりお預けとなる
それから時間が過ぎ、中央鎮守府へと帰還した提督達
第2艦隊と南鎮守府艦隊はここで別れの挨拶をする事となる
────────────────────────────────
─中央鎮守府 艦着場─
提督「ふぅ、やっと到着しましたね」
ホモ「お疲れ様よぉん」
提督「司令官はこれからどうされますか?」
ホモ「そうねぇ。とりあえずジジイん所に行こうと思ってるわ」
提督「了解です。なら私もお供します」
ホモ「あ、いいのよ気を遣わなくて。ちょっと軽く挨拶に行くだけだし」
ホモ「提督ちゃんはあの子達を早めに休ませてあげなさい」チラッ
日向「世話になったな」スッ
川内「へへーこちらこそ」ガシッ
熊野「また機会があればよろしくですわ」
雪風「はい!皆さんとまた会える事を楽しみにしてます!」
鈴谷「うんうん。暇な時こっちに遊びにきなよ。美味しいカレー作って待ってるから」
熊野「それはいい考えですの。しっかりおもてなしさせていただきますわ」
卯月「待ってるピョン!」
伊58「分かったでち!休暇もらったら遊びにいくよー」
利根「うむうむ。仲良き事は素晴らしいのじゃ」
利根「さーて吾輩ら南鎮守府艦隊は、中央から支給される資材や燃料を運ぶ為、あっちに集合じゃぞ」
南鎮守府艦娘「「はーい」」
利根「良い返事じゃ。さて吾輩も……」スッ
大和「利根さん!」ザッ
利根「ん?なんじゃ?」
大和「ホントに……色々ありがとうございました」ペコリ
利根「こちらこそじゃ。といっても吾輩は大した事しておらんが」
大和「そんな事はありません。旗艦としての心構えや作戦中に喝を入れていただいたり……それに」
大和「敵旗艦との戦闘……私達を信頼して任せてくれました」
利根「ふむ」
大和「きっと私達に経験を積ませる為、ですよね?」
利根「それは買いかぶりすぎじゃ。ただ相手が少々堅い類だったからの。攻撃力の高いお主達に任せただけじゃて」
大和「けど……」
利根「もっと自信をもて大和。お主は強い」
利根「吾輩の見立てだと将来お主は艦娘界を代表する様な存在になる」
利根「ただそれまで、一所懸命に精進し戦い抜けば良い」
利根「吾輩は応援しているぞ、大和よ」
大和「利根さん……」
大和「ありがとうございました」ペコリ
利根「うむ。達者での」フリフリ
提督「……あちらは別れの挨拶が終えた様ですね」
ホモ「じゃあアタシ達もそろそろ」
提督「はい。色々とご迷惑をお掛けしました」
提督「命を救っていただいたご恩、一生忘れません」
ホモ「いいのよ。提督ちゃんが頑張ってくれたおかげであたし達も助かったしね」
提督「いずれまた、共に戦える日がくる事を楽しみにしています」
ホモ「ええ。それまで元気でいてね、提督ちゃん」スッ
・
・
・
・
・
─中央鎮守府 食堂─
メイド「お帰りなさいませ皆さん!全員、無事生きて帰ってこれた様で良かったです」グスッ
大和「ご心配をお掛けしました。しかも帰って早々こんな豪華な食事の用意までしてくださって……ありがとうございます」
メイド「お気になさらなず。メイドができる事なんてこのくらいですから」
日向「しかしなんというか、我が家に帰ってきた様で安心するな」
伊58「同意でち」
提督「まぁ今の俺たちにとっては一番安心する場所かもしれんな」
メイド「そうですよ皆さん。ここを自分たちのお家だと思ってくださっていいんですから」
大和「じゃあメイドさんはお母さんみたいなものですね」
メイド「ええそうです!お母さんだと思っていっぱい甘えてください」ニコッ
雪風「分かりました!雪風、全力で甘えさせていただきます!」
メイド「来なさい雪風ちゃん!いっぱいナデナデしてあげましょう!」
雪風「はい!」ガバッ
メイド「っとと……よしよし」ナデナデ
雪風「えへへ」
提督「さて、せっかくメイドさんが俺たちの任務遂行祝いという事で素敵な食事を用意してくれたんだ」
提督「冷めない内にいただこう」
加賀「そうですね。気合いが入ります」グッ
日向「気合いはいらんぞ気合いは」ビシッ
伊58「なんかそのやりとり見るといつものって感じでホッとするでち……」
メイド「ふふっ、たんと召し上がってくださいね♪」
─────────────────────────────
─爺督の執務室─
ホモ「お久しぶりねぇ、総司令官」
爺督「うむ。元気そうじゃの」
ホモ「ええもう元気ビンビンで困っちゃうくらいよぉん。良ければ夜戦で試してみてもいいのよぉん?」
爺督「結構じゃ」
ホモ「フンっ。冗談よ、あたしもあんたみたいな老人は範囲外なんだから」
爺督「……して、なんの用じゃ。任務を終えてもう帰るだけじゃろお主らは」
ホモ「あらあら冷たいわねぇー。あんなアホみたいな任務を無事成功させたっていうのに」
ホモ「もっと何かこうあるでしょう?労を労う言葉が」
爺督「見あう成功報酬を用意しておる。長期休暇の受理も問題ないぞい」
ホモ「はぁ、もういいわ。いけ好かないジジーね相変わらず。……ま、別に正直そんなのどうでもいいし」
ホモ「それより」
ホモ「提督ちゃんの事なんだけど」
爺督「……」
ホモ「まだ若い子で遊んでるのね」
爺督「なんの事じゃ?」
ホモ「とぼけんじゃないわよ!まだ経験も積んでない若い男をあんな危険な任務に差し出しておいて!」ガンッ
あきつ丸「ホモ提督殿、お静かに」
ホモ「……失礼したわぁん。とにかくもう少し控えめにしてくれないとさすがに見てらんないわよ」
ホモ「昔の貴方を知ってる身として、悲しいわ」ジッ
爺督「…………」
ホモ「ごめんなさい、余計な事言ってしまったわね。そろそろアタシはお暇するわ」
爺督「うむ。気を付けて帰還するのじゃぞ」
ホモ「ええ」スッ
スタスタスタ
ホモ「そうそう」ピタッ
ホモ「もう一つだけ」
爺督「なんじゃ?」
ホモ「あの提督ちゃんって子、とんでもない才能を持ってるわよ」
ホモ「あたしなんか到底及ばない、もしかしたら貴方もね」
爺督「そうか」
ホモ「じゃね、お元気で」
スタスタスタ バタン
あきつ丸「ホモ提督殿は、少しご立腹なようですね」
爺督「あいも変わらず気持ちの悪い男じゃの」
爺督(悲しい……か)
爺督(……もうあと戻りはできんのじゃ)
爺督(なぁ、祥鳳よ)
・
・
・
・
・
・
・
──数日後──
チュン チュン
提督「ん……んん」
提督「…………」ガバっ
提督「朝、か……」
提督「顔洗い行くかな」スッ
─洗面場─
ジャーーー パシャァ
提督(今はカムランでの任務を終えて数週間の休暇をもらっている最中)
提督(なのでここ数日間は好きな時に起きて、好きな時に好きな事をして、好きなだけ寝たりしている)
提督(……あんなに壮絶だった戦場を経験してしまうと)
提督(今のこの生活が嘘や幻に思えてしまう……それくらい最近はのんびりしている)
カチャ パタン
大和「提督、おはよう」スッ
提督「おはよう、大和」
大和「もう朝ご飯食べたの?」
提督「いや、今起きたかばかりだ」
大和「そう。私も今からだし一緒に食べましょう」
提督「わかった」ニコッ
大和「ふふ」ニコッ
提督(あの告白以来、大和とはそれなりに仲良くやっている)
提督(恋人同士の様に……とまではいかないが、俺となるべく一緒にいようと努力してくれたり)
提督(前と比較すると大分距離が近く感じる。精神的にも物理的にもだ)
大和「早く行きましょう」グイ
提督「あ、ああ」
提督(今だってこうやって手を握って引っ張ってくれたり)
提督(なんていうか……いいもんだな)
北上「何にやけてるのさー提督」スッ
伊58「なんか気持ち悪いでち」スッ
雪風「しれぇ!大和さん!おはようございます!」シュッ
大和「おはよう、皆」
北上「まったく朝からイチャついてお熱いですねー」
伊58「胸焼けするでち」
提督「ほっとけ」
大和「雪風ちゃん達は今起きたの?」
雪風「はい。昨日3人でゲームしたりお話したりして遊んでそのまま一緒に寝てですね」
伊58「ゆっきーから休暇中でも規則正しく起きるのは必要っていわれて叩き起こされたでち」
北上「雪風はしっかりしてるよねぇ。でもお休みくらいはゆっくりさせてよー」
雪風「だめです!普段からしっかりしてないといざという時にできないです!」
提督「雪風らしいなぁ」
大和「うふふ」
雪風「話は変わりますがお二方にお渡ししたいものがあります」
提督「渡したい物?」
雪風「これです」スッ
提督「ん、何かのチケットみたいだが」パシッ
雪風「遊園地のチケットです」
北上「うちの会社がスポンサーしてる所でね。無料券を結構貰ったからおすそ分けって訳」
伊58「せっかくの長いお休み、二人で言ってくるといいでち」
提督「遊園地か。あまり俺の柄じゃないような気もするが」
北上「いいじゃんそういうのもたまには」
伊58「息抜きになると思うでち」
雪風「しれぇ!お土産お願いします!」
提督「……分かった。俺はいいけど、大和はどうする?」
大和「そ、そうね。そういうのはあまり行った事がないから行ってみたいかも」」
提督(……二人きりで外出か。付き合ってからは初めてだよな)
大和(今まで何度か二人で出かけた事はあるけど……こういう関係になってからは初めてね)
提督&大和「「…………」」ゴクリ
提督&大和((……初めてのデート))
──────────────────────────
─日向の部屋─
雪風「ってわけでお二人は遊園地デートにいくと思いますよ」
日向「二人で遊園地とはまた初々しいじゃないか」
北上「まぁ付き合ってからまともにデートしてないみたいだし、これで少し進展あるかなってね」」
伊58「ちょっとおせっかいだったかもしれないでちね」
日向「いや、いいと思う」
日向「あの二人の事だから手つないだり一緒にいるだけで満足とかおもってるに違いない」
加賀「そうですね。友人の期間も長いですから壁を超えるのが大変そうです」
北上「おお、二人も賛同なんだ。良かったぁ。これで心おきなくついていけるね」ニヤリ
日向「ん?ついていく?」
・
・
・
・
・
・
─ デート当日 待ち合わせ場所 ─
提督(…………)ドキドキ
タッタッタッ
大和「お待たせ提督。待った?」
提督「いや、全然。というかまだ1時間前だぞ。なんでもうきてるんだ?」
大和「え?うーん……提督なら早く来るだろうと思って」
提督「そ、そうか。なんかすまん」
大和「いいのよ。さ、行きましょう」
北上「ひぇーまさか本当に二人共、待ち合わせ時間の1時間前にくるなんて……」コソコソ
伊58「すごいでち。これが幼馴染パワーって奴なの?」コソコソ
北上「日向っちが教えてくれなかったら置いてかれる所だったよ」
日向「まぁあいつらとは長い付き合いだからな。なんとなく分かったさ。……ってそんな事より」
日向「ほんとに私達もこのまま尾行してくのか?!」
北上「うん」
日向「なんの為だ?」
北上「面白そうだから」
伊58「でち」
雪風「しれぇと大和さんの身に何かあったら心配ですから」
日向「……雪風はともかく北上とゴーヤは考えを改める必要がある」ハァ
北上「まぁまぁそんなに肩を落とさないでよ。ウチらなりに考えがあるんだから」
北上「てか日向っちと加賀っちは帰ってもいいんだよ?」
日向「いや、ついていく。お前らが良からぬ事をしないか見張る」
日向「加賀、一緒についてきてくれるな?」
加賀「いえ、私は別に…」
日向「間宮本舗の限定アイス」
加賀「行きましょう。無事に添い遂げるまで見守る覚悟です」
日向「うむ。頼んだぞ」
───────────────────────────────
提督「遊園地へ行く前に軽めに食事でもどうだ?」
大和「早めに合流したおかげで時間も大分あるしそうしましょう」
提督「うむ。あっちにいい店があるんだ。そこへいこう」スッ
北上「お、二人共異動するみたいだよ。さぁ皆これつけて」スッ
日向「な、なんだこれは?サングラス?」
北上「ばれない様にだよ」
加賀「この人数で全員サングラスして行動というのはどうなんでしょうか」
北上「だいじょぶだいじょうぶ。要はあっちにばれなきゃいいんだから」
日向「怪しすぎるだろう……」
─────────────────────
─喫茶店─
大和「随分しゃれてるわねー提督がこういう所知ってるなんて意外」キョロキョロ
提督「まぁな。さぁ好きなものを頼んでくれ。おすすめはっと……」
大和「色々あって迷っちゃうわねぇ」
伊58「雰囲気いい店でちね。周りカップルだらけだよ」
北上「こんな店よく知ってたね」
日向「たしかに提督の性格上こういう場所には疎いと思ったが」
雪風「さすがしれぇです。夜遅くまで頑張っていた成果がでていますね」
伊58「ゆっきーは何か知ってるの?」
雪風「はい。雪風はしれぇの命令で女性向けの雑誌を買いに行ったのですが」
雪風「しれぇはそれを使ってデート前日まで入念にここらへんのお店を調べていましたから!」
伊58「……ちなみにそれ、ゴーヤ達に言っていいんでちか?」
雪風「あ、そういえば口止めされていました」
伊58「ゆっきーはそういう所直した方がいいでち……」
大和「うん、美味しいこのデザート。口の中でとろけるわぁ~」ニコニコ
提督「噂に恥じない味だ。雑誌を参考にして正解だったな」
大和「雑誌?」
提督「い、いやなんでもない」
北上「いい感じだね。さすが幼馴染だけあって会話も弾んでるし自然な感じ」
伊58「最初は二人とも緊張してる感じがしたけど大丈夫みたいだね」
北上「じゃあそろそろ」
伊58「でち」コクリ
日向「?」
スタスタスタスタ
メイド「失礼いたします」スッ
店員「カップル専用ジュースです」
提督「え?頼んでないですが」
メイド「実は記念すべき1万人組目のカップルという事で当店から特別にプレゼントとさせていただきました。勿論御代は気にしないでいただいて結構です」
提督「記念?1万組目?」キョトン
ゴトッ
店員「ごゆっくりお楽しみください」ニコニコ
スタスタスタスタ
提督 & 大和 「「…………」」
提督 & 大和「「…………」」
大和「お、大きいわね」
提督「しかもこれストローがハートの形なんだが」
大和「なんか回りに見られててちょっと恥ずかしい」
提督「急にこんなの……下げてもらうか?」
大和「うーん、それも勿体ないし……飲んじゃいましょうか」
提督「正気か?」
大和「ええ。提督も一緒に飲んでね?」スッ
提督「わ、分かった」スッ
ゴクッ
ゴクッ
提督「甘いな」
大和「そうね」
ゴクッ
ゴクッ
大和「…………///」
提督「…………///」
北上&伊58「「いえーーい!」」パチン
日向「いえーい!じゃない。ハイタッチするな!というかお前らの仕業だろあれ!」
北上「ここらへん一帯のお店はスーパー北上がスポンサーしてる所だからねぇ。顔が利くんだよねー」
日向「な、なんていう無駄な権力の使い方だ。というかお前らこんな茶々いれる為についてきたのか」
北上「だからいったじゃーん。楽しそうだからって」
伊58「いい雰囲気になったから結果オーライでち」
日向「たしかにちょっといい感じにはなったが……しかしだな」
日向「加賀、お前からも何かいってやってくれ」クルッ
メイド「お待たせしました。ジャンボ戦艦パフェ5人前です」
加賀「おおこれが……やりました」グッ
北上「加賀っち、ここまで来てしっかり食べていくとはさすがだね」
伊58「お見それしたでち」
日向「……」ガクッ
カランコロン
アリガトウゴザイマシター
提督「ま、まぁなんか妙な事はあったが……とりあえ遊園地に向かうとするか」
大和「え、ええ」
カランコロン
アリガトウゴザイマシター
北上「さてウチらも遊園地に向かうとしますか」
伊58「了解でち」
雪風「はい!」
日向「まだついていく気なのか?」
北上「あたぼうよー。はい、チケット」
日向「チケットまでしっかり用意とは……」
日向「仕方ない、毒を食らわば皿までというし、ついていくか」
日向(……待てよ。遊園地も北上がスポンサーとかいっていたよな)
日向「嫌な予感が……」
・
・
・
・
・
・
─遊園地 ─
ワイワイ ガヤガヤ
提督「随分とまた大きい遊園地だな」
大和「アトラクションもいっぱいだわ。どれにしよう迷うわねぇ」
提督「うむ。まぁ時間はあるしゆっくりと……」
???「提……そこのお客さーん」
提督「ん?」
???「貴方達はこの遊園地に訪れた100万組目のカップルです」
???「なので記念に特別なプランをご用意しましたでち」
???「ゆきか……私達が考えたデートに最高なアトラクションをご案内しますのでついてきてください」
提督「こ、今度は100万組目?」
???「ささこちらへー」
???「どーぞどーぞでち」
???「こちらです!」
提督(なんか聞いたことのある声だな)
提督「大和、いいのか?この人達に任せて」
大和「いいんじゃないかしら?こんな事滅多にないでしょう」
提督「ふむ。ならいいか」
加賀「サングラスとマスクだけでも案外ばれないものですね」コソコソ
日向「やっぱりか.。あいつら、また提督達にイタズラしようとしてるな。雪風もいつのまにかノリノリだし」ガクッ
日向「仕方がない。バレてもいいから止めに」
加賀「待ってください。もう少し様子を見ましょう」
日向「いや、止めないと提督達のデートが台無しにだな」
加賀「様子を見ましょう」ジッ
日向「うっ、なんだ?何かあるのか」
加賀「……」コクリ
・
・
・
・
・
─数時間後─
提督「やっと終わった……」ゲッソリ
大和「て、提督。大丈夫?」
提督「あ、ああ……しかし、遊園地というのはこんなに恐ろしい所だったのか……」
提督「やけに回るのが早いメリーゴーランドと映画レベルの特殊メイクを使った本物そっくりなお化け屋敷に風でやたらグラグラ揺れる観覧車……他にも色々えげつないアトラクションがあったというのに」
提督「……大和は良く平気だな」
大和「うーん、ちょっと怖かったけどどれもスリルがあって面白かったわね」
提督「女性は絶叫系に対して耐性があると雑誌に書いてあったが、本当だったんだな……」グッタリ
大和「やっぱり顔色悪いわよ?ちょっとあそこのベンチで休みましょう」
提督「ああ、すまん……」
─────────────────────
─休憩室─
北上「あー笑えたね。お化け屋敷でのあの顔」ケラケラ
伊58「提督さん、結構びびってたでち」
雪風「しれぇにも苦手なものがあるんですね」
北上「驚いて大和っちに抱きついてたもんね」
伊58「メリーゴーランドで目を回してたのはちょっと可哀想だったかもだけど」
北上「あはは、大和っちは全然平気っぽかたけどねぇ」
加賀「艦娘にはあの程度の速度であれば日常茶飯事ですよ」
日向「……っ」ワナワナ
日向「なんなんだ!お前らは!」ダンッ
北上「ど、どうしたの急に大きな声だして日向っち」ビクッ
日向「どうしたのじゃない!結局、提督達の邪魔するばかりで……」
日向「加賀に止められていたから何も言わなかったが……ひどすぎるぞ」
雪風「日向さん……」
日向「あの二人はお前らだって知ってると思うが!」
日向「軍人になってやっと互いの想いを打ち明ける事ができたんだ」
日向「ここから先また命を懸けた戦いがある。今は長い休暇を貰ってゆったり過ごせているが」
日向「いつまた任務で危険な目にあうかわからんだろう!」
日向「だから少しでも多く二人の時間を……幸せに過ごしてほしい。私はそう思って提督達を応援しているんだ」
日向「それなのにお前らときたら」
北上「……分かってるよ。そんな事」
伊58「日向さん、ゴーヤ達も同じ気持ちだよ」
日向「ならなんで!」
北上「うーん……簡単にいうと嫉妬というかなんというか」
日向「え?」
雪風「ごめんなさい。本当は雪風も見守るつもりだったのですが、ちょっと羨ましくなりました」
伊58「大和さんも提督さんの事も大好きだけど……二人だけで楽しむのはちょっとばかし勿体ないなって思ったんでち」
北上「そーそー、そういう事。せっかく私達仲良くなれたからね。だから今後も二人だけの時間が多くなるって思うと悲しいじゃん?」
日向「………し、しかし」
北上「大丈夫。今日だけだよ、こんな事するの」
北上「あんなにお似合いの様見せられたら、諦めもついたし……ね?二人とも」
伊58 & 雪風 「はい(でち)」
日向「諦め?……ってお前らもしかして」
北上「いやいや、そんな大それたもんじゃないよ」
伊58「ちょっとした憧れみたいなもんでち。提督さんにこの艦隊へ誘われた時から尊敬してるから」
雪風「雪風はそういう感情よくわからないですが……しれぇとホントはもっと一緒にいたいとは思います」
北上「ま、普段は堅物だけど何事にも一生懸命だし責任感強いしなんだかんだ優しいし、見た目も中々いいじゃん」
北上「異性として見てしまったという結果は致し方ないかもねぇ~」
北上「そこらへんは日向っちと加賀っちのが分かるんじゃない?」
日向「ど、どういう意味だ」アセッ
北上「ふふ」
北上「て訳でそろそろ帰ろうか。これ以上の邪魔はさすがにあれだしね」
伊58「了解でち!」
雪風「はい!」
日向「……加賀」
加賀「はい」
日向「あの三人の意図に気づいていたから止めたのか?」
加賀「…………」
日向「だとしたら、私は考えが足りなかったようだな。あの三人だって一人の女性だという事に目を向けず……」
加賀「いじわるを」
日向「え?」
加賀「私もあの二人をイジワルして邪魔したかったのかもしれません」
日向「加賀、お前」
加賀「……冗談です。さぁ、日が暮れる前に帰りましょう」
日向「あ、ああ」
───────────────────────
─ 夕方 ─
提督「さぁそろそろ帰るか」
大和「ええ」
提督「それにしても楽しかったな。色々大変な事はあったが」
大和「そうね。こんなに遊んだの何年ぶりかしら」
提督「士官学校入ってから今まで遊ぶ時間なんて無かったもんなぁ」
大和「休みの日は訓練後の疲れをとる為に寝てばかりいたものね」
提督「ああ」
大和「これからどうするの?鎮守府に帰るの?」
提督「いや、ちょっと寄りたい所があるんだ。タクシー拾うから少し待っててくれ」
大和「寄りたい所?」
・
・
・
・
・
・
─海を見渡せる山─ (前スレ>>365の場所)
大和「この場所は……」
提督「久しぶりか?ここへくるの」
大和「提督、まだ覚えてたのね」
提督「うむ。忘れたことなんて一度もないよ」
提督「大和と仲直りして、軍人になるって決めた場所だから」
大和「……そう」
提督「大和」
大和「はい?」
提督「左手だしてくれ」
大和「左手?」
提督「ああ」
大和「何よ急に」
提督「いいから」
大和「?」スッ
提督「サイズ合うかどうかわかんないけど」スッ
大和「こ、これって……」
提督「一応、3か月分てやつだ」
大和「結婚指輪……」
大和「結婚指輪……」
提督「急にごめん。でもどうしても渡したかった」
提督「早いかもしれないけどさ。前も言ったけど軍人としてこれから生きていけばいつ死ぬかわからない。だけど悔いは残したくない」
大和「……私なんかでいいの?」
提督「お前じゃなきゃ嫌だ」
大和「そっか……ありがとう。すごくうれしい」
大和「だけど受け取れない。結婚はできないわ」
提督「え?」
大和「提督の事は大好きだし、長い付き合いだし本当なら結婚だって全然問題ないわ」
大和「だけど提督が今言った様にいつ死ぬかわからないから……私達は」
大和「艦娘として前線に出る以上、死という現実から目を背けられないの」
大和「だから受け取らない。私は戦いが終えるまで……結婚しない」
大和「もし私が先に死んだら……提督、気にしちゃうじゃない?」
提督「大和……」
大和「ごめんなさい」
提督「いいんだ。俺の勝手な想いだから」
提督「でもやっぱり受け取ってくれ。折角買ったんだ。結婚て捉えなくてもいいからさ」
提督「ただのアクセサリーだと思ってくれ」
大和「もう、頑固ね……」
大和「分かったわ。じゃあ……嵌めて頂戴」
提督「……うん」
スッ
スススッ
大和「ぴったりだわ……綺麗」
提督「良かった。すごい心配だったんだよサイズ」
大和「…………」
大和「……仮の結婚なら、いいわ」
提督「ん?」
大和「さっきも言ったけど本当の結婚はこの戦争が終わったらにしましょう」
大和「だからそれまではえっと……結婚の仮、ケッコンカッコカリなの」
提督「なんだよそれ。別に無理やりそうやってこじつけなくても」
大和「いいのそれで!乙女心なの!」
提督「お、怒るなよ。……分かった」
提督「ケッコンカッコカリ、か」
提督「……カッコつける必要あったか?」
大和「なんか言葉のリズムがいいじゃないそっちの方が」
提督「そうかな。まあたしかにケッコンカリよりはいいかもな」
大和「ええ」
大和「だからこの指輪をしてる時は私と提督はケッコンカッコカリ」
大和「いつか平和な時代が訪れるその時まで」
「ケッコンカッコカリ、よ」
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──────
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──
─
─前回のあらすじ─
中央鎮守府に到着した提督たちは、南鎮守府艦隊と別れ寮へと帰還する
カムランでの任務に成功した報酬として、第2艦隊全員が長期の休暇をとる事になる
休暇中、提督は雪風達から遊園地のチケットを貰い大和とデートへいく
北上たちはデートを尾行し、喫茶店と遊園地にて「付き合いの後押し」とは口だけに、提督達にいたずらをしかけていく
怒った日向は北上達に説教を始める
それに対して北上達が嫉妬心から悪戯をしてしまったと吐露し、今後は素直に応援すると約束する
日向は自身も提督へ好意を持っていた事や加賀も同じように嫉妬していた様子を見て
やるせない気持ちで鎮守府へと帰る
提督達は遊園地でのデートを終えると、町と海を見渡せる山へと向かう
そこは提督と大和にとって思い出深い場所。提督はそこで大和に結婚指輪を渡そうとする
しかし大和はそれを拒む。艦娘である自分はいつ死が訪れるかわからない、自身がもし死ねば提督を縛ってしまうのではないか
という思いから提督に指輪を返そうとする
提督は大和の言う事を理解したものの、結婚はしなくとも指輪は受け取って欲しいと伝える
承諾した大和は指輪を受け取り、この行為に結婚(仮)、もといケッコンカッコカリと名づける
かくして二人は男女としての絆を深めていきながらも、互いに軍人として命を賭けて生きていく
そして、月日は流れる
─── 数年後
─
──
───
────
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─ 中央鎮守府 一般寮 ─
先輩軍人「おい、新人。鯱組が演習やるから見てこいって上からのお達しだ」
後輩軍人「鯱(シャチ)組……ですか?」
先輩軍人「ああ」
後輩軍人「すみません。鯱組とはなんの事でしょうか?」
先輩軍人「そいやこっちに来てばかりだから知らないのか。ウチ(中央)の第2艦隊の事だ」
後輩軍人(鯱組って……なんかダサい)
後輩軍人「あはは、中央鎮守府の主力ともいえる第2艦隊が随分と面白い呼ばれ方してるんですね」
先輩軍人「まぁな。隠語というか俗称というか、うん。そんなもんだよ」
後輩軍人「そうですか。なぜ鯱なんて呼ばれてるんでしょう?」
先輩軍人「見にいけば分かる」
後輩軍人「はぁ」
先輩軍人「っと、俺はそろそろ行かなきゃいけないから離れるぜ」
先輩軍人「お前は準備でき次第、演習場に行ってしっかりトップクラスの艦娘戦を目に焼き付けておけ」
後輩軍人「は、はい。了解です」ビシッ
・
・
・
・
・
─数時間後 演習場─
ビィイイイイイイイイ
演習軍人「演習終了!第2艦隊の勝利です」
後輩軍人「すごい」ポカーン
後輩軍人(第2艦隊……なんとなくは聞いていたけど噂に違わぬ実力集団だ)
後輩軍人(足が速く回避に優れた駆逐艦。通常では考えられない潜水深度から魚雷を放つ潜水艦)
後輩軍人(射程距離と威力は優秀だけど扱いの難しい甲標的を難なく操作する重雷装巡洋艦)
後輩軍人(高度な技術である弾着修正射撃を完ぺきに扱う戦艦に、尋常とは思えない程の艦載機を運用する正規空母)
後輩軍人「そしてあの長身の美しい戦艦……見たことがある」
後輩軍人「第2艦隊の旗艦にして最高の攻撃力と防御力を持つといわれる艦娘」
後輩軍人「艦娘関係の資料に代々的に載っていた……たしか名前は──」
先輩軍人「戦艦 大和。今、海軍に所属している者ならば知らない者はいないだろう」スッ
後輩軍人「先輩、来てらっしゃったんですか?」
先輩軍人「用事が終わったからな。ちょっとだけ顔だしにきた」
先輩軍人「それよりどうだった?演習の方は」
後輩軍人「すごかったですよ。こんなにレベルの高い演習は初めてみました」
後輩軍人「特に第2艦隊は別格でした。ここ中央へ配属される前から救世主ともいえる艦隊がいると
噂には聞いていたのですが……まさかこれ程とは」
先輩軍人「そうだろう。現在こちらが深海棲艦に対して優勢であるのは彼らのおかげといっても過言ではない」
後輩軍人「なるほどです。所で鯱(シャチ)組の由来、見ても結局わからなかったのですが」
先輩軍人「ああそれはなほら、あそこにいるじゃないか」
後輩軍人「えっと……」
後輩軍人「真っ黒な軍服を着た男がいまずが、あれですか?」
先輩軍人「そうだ」
先輩軍人「危険度Aランク以上の任務を小数艦隊で遂行し」
先輩軍人「深海棲艦の行動と艦種パターンを数十種類に分類。対応策を記した全鎮守府にあるマニュアルを制作して」
先輩軍人「艦娘達の基本育成カリキュラムを提言して広く支持され」
先輩軍人「様々な名誉勲章を取得した第2艦隊の司令官だ」
後輩軍人「あれが第2艦隊の司令官……」
先輩軍人「ああ、そしてその司令官の黒い軍服と艦娘達の白い軍服」
先輩軍人「黒と白のコントラストが海の生物で最強と呼ばれている「鯱」をなぞらえてるのが由来」
後輩軍人「それで鯱組、なんですね」
先輩軍人「まぁ、昔は「喪服組」などと呼ばれ不遇だったそうだが……「鯱組」と呼ばれてるのもその名残だろう」
─────────────────────────────────
─中央鎮守府 演習場─
提督「ふぅ」
第3艦隊司令官「相変わらずの無双ともいえる強さですな」
提督「無双なんてそんな、まだまだです」
第3「ご謙遜を。しかし悔しいですな。我々の方が何年も先輩だというのに手も足もでないとは」
提督「そんな事はないと思いますが……」アセアセ
第3「いつか私の艦娘達にもご指導いただきたいですな」
提督「ええと、私から司令官の艦娘に教えられる事などありませんよ」
提督「それに自身の艦娘達を見るのに手一杯でして……」
第3「そうですか。それは残念です」
大和「提督ー準備ができましたよー!」
提督「わかった!今いく」
第3「第2艦隊旗艦戦艦 大和、いつ見ても美しい婦人ですな。羨ましい限りです」
提督「いえいえ、外面は良いですが、尻にしかれてばかりです」
第3「そうなんですか?艦娘を妻に迎える指揮官は多くいますが……皆、亭主関白気味ではあるが上手くいってるとお聞きしますが」
提督「亭主関白だなんてとんでもないですよ。私の場合は幼馴染が相手ですからね。なかなかどうして……それにまだしっかりと籍をいれていませんし」
第3「ほう?それはまた何か理由が?」
提督「まぁ色々ありまして」
大和「提督ーまだですかー?」
提督「すみません、というわけで私は怒鳴られる前に戻らせていただきます」ペコ
第3「はは、了解しました。またよろしくお願いします」ペコ
タッタッタッタッ
提督「すまん。待たせたな」スッ
大和「構いませんよ。それより寮に戻って食事にしましょう。皆さん提督の事を待ってますよ」
提督「む?演習で受けた傷はもう大丈夫なのか?」
大和「ええ。全員ほぼ無傷で勝利しましたから」
提督「そうか……第3司令官には聞かせたくないな」
大和「うふふ、第2艦隊の名に恥じない戦いをしたまでです」
提督「……なぁ」
大和「はい?」
提督「二人でいる時くらいその気持ち悪い口調止めたらどうだ?」
大和「嫌です。常に変えてないとどこかでボロがでてしまうので」
提督「なんだかなぁ。指輪を渡してからというものの」
提督「将来第2艦隊司令官の妻になる身として正しい言葉づかいや振る舞いに正すとか言いだし始めてからむず痒くてたまらん」
大和「いいじゃないですか。結果的に第2艦隊は中央の模範となる存在になったんですから」
大和「注目される以上、留意すべき点だったと思いますよ」
提督「本当に籍を入れてからでもいいじゃないか?」
大和「それじゃ遅いですし、私も今後多くの人に見られる側としてキチンとしていたいというのもあります」
提督「……わかったよ。もう好きにしてくれ」ハァ
───────────────────────────
─爺督の執務室─
あきつ丸「今回の調査の結果、アジア周辺海域において、人類側の占拠率が70%を超えたであります」
爺督「ふむ。素晴らしいのぉ」
武蔵「……あのひよっ子が立派になったおかげだな」
島風「それって第2の司令官さんの事?」
武蔵「ああ。今我々海軍の士気は最高潮」
武蔵「その理由の根端として、第2艦隊が関わっているのは誰が見ても明白だろう」
島風「ふーん」
あきつ丸「爺督殿。今後の展開はどうされるおつもりでありますか?予定としては次の段階へ行くべきところでありますが……」
爺督「そうじゃなぁ」
爺督「武蔵ちゃん」
武蔵「なんだ?」
爺督「第一艦隊全員が最後に出撃したのはいつじゃ?」
武蔵「半年前に近海の敵を掃除したくらいだな」
爺督「半年前か……随分と前のようじゃな」
武蔵「ああ。おかげで腕がなまってしょうがない」
爺督「なるほどのう」
爺督「久方ぶりに模擬訓練から始めるかのう」
武蔵「!」
爺督「ビスマルク、木曾、隼鷹にも声をかけといてくれるか?」
武蔵「……ふむ」
武蔵「了解だ」ニヤリ
・
・
・
・
・
・
─数日後
─南鎮守府 執務室─
利根「ホモ提督よ、中央から書類が届いておるぞ」
ホモ「珍しいわねこの時期に、しかも機密のやつじゃない」パサッ
ホモ「んー、ふんふん」
ホモ「…………」
ホモ「えらいこっちゃだわぁん」
利根「どうしたんじゃ?なにかあったのかの?」
ホモ「ちょっと中央にお呼ばれされたみたいなの。悪いけどしばらく鎮守府の事お願いするわねぇん」
利根「ふむ?了解じゃ」キョトン
──────────────────────────
─北鎮守府 執務室─
翔鶴「エリートさん。中央から書類が届いています」
エリート「中央だと?やっとこのエリートの功績を称える用意ができ……」パサッ
エリート「……へぇ」
エリート「おもしろい事が始まるじゃないかぁ」
翔鶴「どうしたんですか?随分嬉しそうな顔をして」
エリート「ああ、中央から呼ばれた様でね。今から向かうとするよぉ」
翔鶴「今からですか?急ですね」
エリート「しばらく鎮守府の事は君の一存に任せる。頼んだよぉ」スッ
翔鶴「承知しました。お気を付けて」
──────────────────────────
─中央鎮守府 第2艦隊寮 執務室─
提督「───ええ、分かりました。ええ、はい。ではまた後程」
ガチャ ツーツー
提督「…………ふぅ」
大和「どうしたのですか?」
提督「本部から連絡があった」
提督「ついに深海棲艦の本拠地と思われる場所の一つに」
提督「全観隊の総力をあげ打って出るとの事だ」
大和「ほんとですか!?」
提督「うむ。その為に一度全国の鎮守府の責任者を中央鎮守府に呼び出し会合をするとの事だ」
提督「もちろん俺も出席する。会合は今週末に行われるそうだから準備を手伝って欲しいとさ」
大和「本拠地って……今まで一度も話にでてなかったですよね?急すぎないかしら」
提督「いや、そうでもないさ。最近は深海棲艦の勢力も弱まってきていると聞くしな」
提督「こちらとしても連戦連勝している良い雰囲気の中で戦いに望みたいという意向だろう」
提督「タイミング的には丁度いいのかもしれん」
・
・
・
・
・
─数日後
─中央鎮守府 大広場 会合中─
爺督「えー、ゴホン」
爺督「数百年」
爺督「数百年という長い年月だ」
爺督「我々人類が深海棲艦という突如現れた謎の敵と戦い争っていた時間」
爺督「広大な地球の一部、つまり海を奪われ」
爺督「奴らの存在におびえながら過ごしてきた」
爺督「海岸線を持つ国はやつらの攻撃で領地を削られ、巻き込まれた多くの人間が命を落とした」
爺督「かつて我々日本海軍も旧式の軍艦で立ち向むかったが、ガラクタ同然に蹴散らされる程、戦力に差があった」
爺督「我々は、無力だった」
爺督「しかし」
爺督「ある時、人類は艦娘という深海棲艦に対抗しえる技術を手に入れた」
爺督「それからだ」
爺督「艦娘を主軸とした艦隊で深海棲艦に立ち向かった……結果」
爺督「攻勢は逆転した」
爺督「我々は深海棲艦に奪われていた領海を徐々に取り返していった」
爺督「深海棲艦は我々を恐れたのか最近では遊弋する海域を狭めている」
爺督「なぜなのか?」
爺督「我々が強者に、奴らを圧倒したからだ」
爺督「ならばどうあるべきか?」
爺督「答えは決まっている」
爺督「全ての深海棲艦を駆逐し、我々人類が勝利し、そして」
爺督「海を奴らから解放する」
爺督「母なる地球の一部を、何者にも侵されていなかった昔の様に」
爺督「取り戻すのだ」
爺督「そのために」
爺督「諸君の力が必要だ」
爺督「人類の代表として戦う誇り高き戦士達よ」
爺督「今一度その力を人類の為に奮ってほしい」
爺督「以上だ」
パチパチパチパチパチパチパチパチパチ
提督(…………)
爺督「どうじゃったかね?ワシの演説は」スッ
提督「素晴らしいものでした。聞き入ったすべての者に希望と勇気を与えた事でしょう」
爺督「そうかの。それならよいのじゃ」
爺督「お主もいつかワシの座に就きたいのなら戦前(いくさまえ)の士気上げ話くらいは用意しとくといいぞい」
提督「はい」
爺督「ふぉっふぉっふぉっ」スッ
スタスタスタ
提督(嫌味なじーさんだなまったく)ハァ
提督(──さて、この後は各艦隊別のブリーフィングか)
提督(日本全国の艦隊を集めて編成した大規模な戦い)
提督(艦娘に関していえば千に近い数が集まっている)
提督(深海棲艦がどれだけいるか分からないが
提督(これだけの戦力を整えればきっと……)グッ
「間抜面で何考え込んでるんだキミはぁ」
提督「ん?その声は──」
エリート「久しぶりだねぇ」
提督「エリート……癪に障る喋り方だったからすぐわかったよ」
エリート「いってくれるねぇ。少し偉くなったからチョーシのってんじゃないかと心配したけどドンピシャだったようだぁ」
提督「ああ、お前より随分偉くなっちまった。サインしてやろうか?」
エリート「キミは、ほんっっとムカつくよぉ」ギロッ
提督「そりゃすいませんね」ジロッ
提督&エリート「「…………」」バチバチ
提督「ふふ」
エリート「くく」
提督「変わらないなお前も」
エリート「君もねぇ」
提督「噂は聞いてるよ。北部の海域で大戦果をあげたそうじゃないか。さすがだな」
エリート「海軍の間で救世主ともはやされている君と比べたら恐れ多いねぇ」
提督「救世主か、誇張された表現だ。実際大した事はしていない」
エリート「大した事はしてない……か」
エリート「君の制作した艦娘訓練マニュアルを見た。……悔しいが目から鱗だった」
エリート「正直、張り合っていた自分が少しばかりしょぼく思える程に素晴らしい物だったよ、あれは」
提督「…………」ポカーン
エリート「なんだその金魚が呼吸している様に口をパクパクさせて」
提督「いや……エリートが俺を褒めるなんて……丸くなったなぁ」
エリート「あ、お、何を言うんだ君は//」
エリート「僕はちょっとそう思っただけで実際は君なんかに負けないくらいだなぁ───」
「いいわよねぇん。男の子同士の会話って。股間が熱くなってきたわぁん」ヌッ
エリート&提督「「ひっ」」ビクッ
ホモ「なにバケモノを見た様な顔をしてるのよぉん。ひどいわねぇん」
提督「ホ、ホモ司令官。いつのまに……」
ホモ「いい男の匂いがすると思って来てみたら提督ちゃんともう一人知らない可愛い坊やがいるじゃない?」
ホモ「これはもうお声掛けするしかないと思ってねぇん」
エリート「て、提督、この気色の悪いでかいおっさんは何者だ?」
提督「南鎮守府の司令官、ホモ提督さんだ」」
ホモ「よろしくねぇん♪」キャピーン
エリート「よ、よろしく(オエエエエ)」
提督「司令官もやはり呼ばれましたか」
ホモ「ジジイに言われて仕方なくねぇん。まぁでも、全国から集められた選りすぐりのいい男達がきてるみたいだしラッキーだわぁん♪」
提督「そうですか」タラー
ホモ「そ・ん・な・こ・と・よ・り」
ホモ「そこの可愛い男の子、紹介してよ提督ちゃん」
エリート「!」ギョッ
提督「ああ、こいつですか。どうぞどうぞ。エリートと言いまして優秀な奴ですから十分に相手してやってください」
エリート「あ、おい!なにをいって──」
ホモ「あらそぉん?じゃあ遠慮なく……あっちに良い感じの個室があるからお互い色んな意味でお知り合いましょ?」グイ
エリート「いや、僕はっ(なんて力だ)」グググググ
提督「私はお邪魔な様なので失礼します。エリート、がんばれよ」
マテェ!ボクヲオテイクナ!
エリートチャンハコッチヨ。タノシミマショーネ
提督「さて、明日からまた忙しくなるな」
・
・
・
・
・
─第2艦隊寮 会議室─
提督「敵の数は未知数、だが今までの実績から考えると千隻以上と推測される」
提督「それに対しこちらは日本から出撃できる艦隊のほぼ全てを有し敵艦隊を殲滅する、簡単にいえばそういう任務だ」
提督「間違いなく史上、最大規模の戦いとなるだろう」
北上「ふーん。周辺国の支援はどうなってるのー?」
提督「話によると中国とアメリカには要請を出したのだが」
提督「どうにもいい返答を貰えなかったとの事だ。まぁ場所的に手を出しづらいのと何か政治的背景があると思われる」
提督「ので今回は、日本単独での任務だ」
大和「まぁ下手に連携が取りにくい相手と組んでもやりづらくなるだけもかもしれませんし、結果的にはいいのかもしれませんね」
提督「そういう考えもあるな」
日向「今回の任務、やけに力が入っている様だが……成功したら何かあるのか?」
提督「うむ。大きく言えば二つだ」
提督「重要海域の奪還という事により苦にしていた欧米諸国へのアクセスが容易になり多大な利益を生むという事がまず一つ」
提督「もう一つはアジア海域に潜む深海棲艦が集結しているという事」
提督「しかもこれがある島を取り囲む様に……一つの地点に集まっている」
提督「つまり、これを叩く事ができれば──」
加賀「敵が集まっているそこを一網打尽。深海棲艦を効率よく倒し、数を一気に減らす事ができる」
提督「そういう事だ。奴らもだんだん余裕がなくなってきたのだろう。今までバラバラに分散していた深海棲艦が集合しているわけだからな」
伊58「一か所にあつまってくれればこっちは四方八方から囲んでボッコボコにできるでち」
北上「たしかに数がいても囲んで叩けば陣形的には有利かもねー」
雪風「しれぇ、雪風達はどんな役割なのですか?」
提督「俺達は第一艦隊と共に敵の旗艦を直接狙いにいく」
大和「第一艦隊とですか?」
提督「ああ」
日向「総司令官のお付という事か。大役だな」
提督「うむ。本任務の要ともいえる」
北上「今回の戦いが終わればまたしばらく休暇がもらえるかな?」
提督「休暇どころじゃないかもしれんぞ。この任務はアジアにおける深海棲艦の勢力を大幅に削る事ができるかもしれないんだ」
提督「結果によっては海軍の縮小もありえる」
伊58「っていうとどういう事でち?」
提督「……艦隊を解散するって事だ」
雪風「ええ?!いやです!まだみんなと居たいです!」
提督「いや、まぁ大げさに言ってだ」
提督「今後深海棲艦の勢力が弱まるとなると今の海軍……つまり艦娘達の規模というのは過ぎたものになるだろう」
提督「更にいえばそれだけ軍事費用もバカにならん」
提督「ならば既存の艦隊などの戦力を解散し費用削減の動きがでるかもしれいないという事だ」
日向「平和になれば、軍隊は不要という事か」
提督「不要とまで言わないが、今ほど必要ではなくなるだろうな」
加賀「平和……ですか。深海棲艦がいなくなれば私達はいらないですものね」
提督「艦娘としてのお前らはな。だけど、解体すればお前らは人間として生きていく事ができる」
提督「その時は第2の人生を歩めばいいさ」
大和「第2の人生……か」
提督「ああ」
日向「中々想像つかないな。私達が元の人間に戻って生活とは」
提督「何言ってるんだ。艦娘になる前はみんなそうだっただろう?」
日向「そうだが……もう10年近くこの生活をしているんだぞ。感覚を取り戻すのは大変じゃないか」
提督「たしかにな。ま、幸いに給与だってたっぷり貰っているんだ。その金で時間をかけて社会復帰すればいい」
日向「……ふむ」ウーン
提督「深く考えすぎるな。まだ任務が成功したわけじゃない」
提督「それに余剰戦力は苦難しているヨーロッパへ回すという話も上がっているから本当に軍が縮小するともかぎらん」
提督「とりあえず後の事はその時に考えよう。───という訳で、今日は解散だ」
提督「各自、しっかり作戦書に目を通しておくようにな」
・
・
・
・
・
・
・
─その夜 提督の部屋─
提督(…………)
大和「提督ー」
提督「ん?」
大和「こんな所で明かりもつけずに何をしているんですか?」
提督「ちょっとな」
大和「……?」
提督「大和」
大和「はい」
提督「今回の任務が終わったら、結婚しないか?」
大和「え……」
提督「分かってる。艦娘である以上……結婚はできないって事は覚えてる」
提督「だけど昼に話していた通り今回の任務が成功すれば深海棲艦の勢力は弱まる」
提督「ならば俺達も危険な任務へ赴く事も少なくなるだろう」
大和「……」
提督「最近では艦娘と司令官のケッコンというのも中々どうして多いようだし」
提督「駄目か?」
大和「……いいですよ」
提督「おお、なら──」
大和「ただし条件があります」
提督「……」
大和「どうですか?」
提督「いや、問題ない。けど……いいのか?大和は艦娘として生きていくと決めていたのに……」
大和「私の目的は元々深海棲艦の脅威を拭い去る事でしたから……それに」
大和「ここ数年過ごしてきてもう一つ、夢ができて……その」
大和「提督と……夫婦として生きていきたいのよ」
提督「大和……」
大和「な、なんかすごい恥ずかしい//」カァ
提督「……」ダキッ
大和「ちょ、ちょっと、急に抱きしめないでよ」ギュウ
提督「口調が元に戻ってるぞ」
大和「あ……も、もういいじゃない。こういう時は//」
提督「都合がいいなまったく」クスクス
大和「フンッ//」
大和「提督だって「後の事はその時考えよう」なんか言ってた癖に……」
提督「あれはまぁその指揮官として無責任に煽りたくなかっただけだ」アセアセ
大和「そんなの知らないわ」プイッ
提督「拗ねるなよ。まったく……」
提督「…………」
提督「一緒にその夢、叶えような」
大和「……うん」コクリ
提督「この戦いが終わって平和になったら……本当に」
「ケッコンしよう」
──────
─────
────
───
──
─
─
──
───
────
─────
──────
─大規模任務 当日 ─
メイド「ゴーヤちゃんはもっと左寄って~」
伊58「ここらへんでち?」サッ
メイド「おっけーです!北上ちゃん、制服の襟が裏返ってるから直してー」
北上「あーはいはい……どうかな?」スッ
メイド「大丈夫!じゃあちょっと皆そのままですよー」
雪風「はいです!」
提督「急に皆で集合写真を撮りたいだなんて……なんかあったのか?」
大和「もしかしたら今日で皆さんと一緒の任務が最後になるかもしれませんから、記念にと思いまして」
提督「……なるほど」
メイド「んーまぁこんなもんでしょうか」
メイド「なんかこう足りないような……んー」
メイド「そうだ、提督さんと大和さん」
提督&大和「「はい?」」
メイド「手をつないで寄り添ってください」
提督&大和「「へ?」」
メイド「手をつないで寄り添ってくださいー、せっかくですから」
提督「せ、せっかくってどういう事ですか」
大和「そ、そうですよ、恥ずかしいです」
伊58「今更なにいってるんでち。ほらほらテートクさんと大和さんは手をつないでください」
北上「いつもラブラブしてるんだからいいじゃん」
雪風「しれぇ!男なら積極的にいきましょう!」
日向「いいんじゃないか?記念の集合写真、ちょっとくらい惚気た所で誰も怒らん」
加賀「良い写真の為、お願いします」
提督「わ、わかったよ。手をつなげばいいんだろ!」ガシッ
大和「…………//」ギュ
メイド「お、いい感じですねー、よし。では撮りますよ」
メイド「3、2、1」
メイド「0!」
パシャッ
メイド「綺麗に撮れましたよ!」サッ
提督「おお、いいですね。なんか俺と大和だけ浮いてるようにみえますけど」
メイド「とっても素敵じゃないですか。その写真、提督さんにあげますよ」
※前スレ>>216の写真
提督「くれるんですか?」
メイド「はい、ネガはありますからどうぞ」
提督「そうですか。じゃあお言葉に甘えて」
提督「…………」ジー
提督「……宝物にします、これ」ギュゥ
・
・
・
・
・
・
・
─任務開始前 海上待機中─
日向「この艦娘の数……壮観だな」
伊58「ひーふーみー、えっと……何隻いるでち?」
雪風「艦娘と軍艦全部併せて、約千隻です!」
北上「作戦会議で聞いてはいたけど、こうみるとすごい数だね~」
加賀「戦いは数……だけとは思いませんが、これだけいると心強いです」
日向「うむ。それにしても大和の奴遅いな。何か用事ができたといっていたが」
提督「ああ、艤装の件で色々あってな。少し時間かかるといっていたからしばらくこないだろう」
日向「まったく……作戦当日に何をしているというのだ」
ブゥウウウウウウウウウウウウ
提督「作戦開始の合図だ。各艦指定の配置についてくれ」
艦娘達「了解」」
────────────────────────────
─中央鎮守府第一艦隊─
ビスマルク「久しぶりじゃない?第一艦隊全員があつまって任務にでるのって」
木曾「たしかにな。半年ぶりって所か」
隼鷹「ヒャッハー!なんかちょっと盛り上がってきたんじゃないのぉこれ?!んぐっんぐっ」グビッグビッ
島風「うわぁ、酒くさーーい」
あきつ丸「相変わらずでありますね隼鷹殿は」
武蔵「ふんっ。任務中に飲酒など……本来であれば許さないのだがな」
武蔵「それより爺督、今日は本気で暴れていいのだろうな?」
爺督「もちろんじゃ。弾薬も燃料の事も気にせず好きにせい」
武蔵「そうか」ニヤリ
隼鷹「へー、じゃあさ。誰が一番やれるか競争てのはどうだい?」
木曾「面白そうだな。悪いが手加減しないぜ」
ビスマルク「随分な自信ね」
島風「えーー誰が一番速いかのがいいなぁ。ねー連装砲ちゃん」
連装砲ちゃん「きゅー!」
武蔵「よかろう、そろそろ貴様らに実力の差を見せつけてやりたかった所だ」
あきつ丸「自分は遠慮させていただくであります」
爺督「うむうむ。仲良くやるんじゃぞー」
─────────────────────
─ 北鎮守府艦隊 ─
エリート(天候良好、風向き追い風、波も穏やか)
エリート(素晴らしい。艦載機による攻撃がメインである僕の艦隊としては好都合だ)
エリート「翔鶴、今日は最初から全力でいけぇ。他のやつらに獲物をとられんよう、敵座標の確認がとれたら艦載機を寄せていい」
翔鶴「珍しいですね。いつも慎重に事を運びますのに」
エリート「アホめぇ。こういう時に戦果をあげんでどうする。このエリート様の名を轟かせるナイスチャンスだというんだ」
瑞鶴「翔鶴姉にアホとかいうんじゃないわよ!」
翔鶴「瑞鶴、いいんです。確かに敵の数も多いと聞いていますしできるだけ多く倒すという意識をもつのは大事な事ですから」
エリート「そういう事だぁ。それにはお前ら正規空母がガリガリやっつけてもらわんと困るのだよぉ」
夕立「ちょっとちょっと、夕立達もがんばるっぽい!」
時雨「僕たちだってやる時はやるんだよ」
瑞鳳「そうですよ!軽空母だからってないがしろにしないでください!」
最上「エリートはもう少し言葉に気を付けてほしいな」
エリート「うるさいっ。貴様らはあくまでサポートだ。訓練通りに動いてくれさえすればそれでいい、くれぐれも邪魔だけはするなよぉ」
夕立「なんか言い方がむかつくっぽい!ぽいぽいぽーーーい!」
───────────────────────────────────
─南鎮守府艦隊─
利根「いやぁ周りにこれだけ味方がいると心強いのぉ」
鈴谷「うじゃうじゃいすぎて逆にキモーイ」
熊野「鈴谷、もう少し言い方はないんですか」
卯月「こんだけいればうーちゃん達は何もしなくていいぴょん?」
弥生「なんでそうなる」ビシッ
川内「あははたしかにちょっとサボっててもばれなそうだよね」
利根「ホモよ、そういえば明石のやつが見えんのだがどうしたのじゃ?」
ホモ「あの娘なら大和ちゃんと一緒にまだ中央鎮守府の工廠にいるわよぉん」
利根「工廠?何をしとるんじゃ?」
ホモ「んー良く知らないけど新艤装の調整に手間取ってるらしいわぁん」
利根「新艤装か……あいつも好きじゃのぉ
・
・
・
・
・
・
・
・
─ ある海域 ─
ザザーン
ザザーン
ザザーン
ズズズズ
北方棲姫 「オカーサン、キタ、敵」
港湾棲姫「……仕方無イデスネ。皆、準備シテクダサイ」
北方棲姫 「ウン」
離島棲鬼「コッチハイツデモ、ヤレマスワ」
戦艦水鬼「…………」
港湾棲姫「水鬼?」
戦艦水鬼「ダイジョウブヨ、ネーサン」
戦艦水鬼「アンナ奴ラ」
戦艦水鬼「スグニ、ガラクタニスルカラ」
番外編「不知火と犬」 その3
中途半端に残ったスレを埋める為のSS
ほのぼのギャグ、西鎮守府の日常です
─箇条書きあらすじ─
・鎮守府に突如現れた迷子犬
・電と不知火は飼い主を一生懸命に探すが一向に見つからない
・急に名前を付けようと提案した不知火
・夕ご飯時にメンバーから意見をだしあう
・不知火が圧倒的ネーミングセンスで「ボッチ丸」と提案する
・鎮守府メンバー凍りつく
・愛宕、電、金剛、犬はフォローに必死
・貧乳空母が茶化すも電の当身によって轟沈
・鋭い眼光を持つ不知火は3人と1匹の必至フォローを怪しく思い問い詰めようとする
・しかし、そこへながも……長門がボッチ丸というネーミングセンスを褒め称える。ガチで
・不知火、長門の称賛に感動する
・龍驤気絶オチ←今ここ
─食堂─
不知火「貴方は今日からボッチ丸です。良かったですね」ナデナデ
ボッチ丸「ワオン」
金剛「無事決まって良かったのデース」
愛宕「そうね。ワンちゃんも嬉しそう」
電「なのです」
長門「さすが不知火だな。この私でもこれ程のセンスを感じる名前を付けるのは無理だろう」
金剛&愛宕&電「…………」
提督「ふむ。所でボッチ丸の飼い主はみつかりそうか?」
不知火「いえ、それがまったくといって手がかりが見つかりません」
電「付近の住民の方々にもお聞きしたのですが、見た事がない犬だとおっしゃってたのです」
提督「そうか、となると、後はネットと張り紙便りという事だな」
電「なのです………」ションボリ
ボッチ丸「クゥ~ン」
不知火「…………」ナデナデ
提督「んー」ジー
提督「よしっ。じゃあ作ってやるかな」ポンッ
電「何をなのです?」
提督「犬小屋だ。いつまでも自分の寝床がないのは可愛そうだろう」
不知火「それは司令、あれですか」
不知火「正式に飼っていいという事ですか」
提督「うむ。飼い主が見つかる可能性が低い以上、責任もって飼育せねばならんだろう」
不知火「……っ!」ガタッ
不知火「ボッチ丸!これからも一緒にいれますよ!やったぁぁ!」ダキッ
ボッチ丸「ワフッ!?」ギユゥゥ
不知火「えへへ」ニコニコ
提督「し、不知火?」
不知火「!」バッ
不知火「……失礼しました。司令の心の広さに感謝いたします」
提督「あ、ああ」
愛宕(不知火ちゃん可愛いわねぇ)
金剛(キュートですネー)
電(可愛いのです)
長門(ペロペロしたい)
提督「とはいえ……散歩、食事、しつけ、諸々やってもらうが平気か?」
不知火「はい。問題ありません」
提督「ペットを飼うという事は命を預かるという事だ。それはとても大変なんだぞ」クドクド
提督「もちろん、艦娘としての訓練や任務もこなしながらだからな。疎かにしたら容赦なく俺は怒るし」
提督「場合によって、ボッチ丸には悪いが、他に飼い主を捜して飼ってもらう事になる」
不知火「分かっています。不知火が責任を持ってボッチ丸の世話をしますから安心してください」
提督「了解した。他の者も今言った事を忘れるなよ。この件に関しては連帯責任とするからな」
愛宕「大丈夫よ~」
金剛「まっかせてくだサーーイ!」
電「お世話するのです!」
長門「毎日クンカクンカしてやる!(この長門がいれば何の心配もいらない!)」
提督「一人本音と建て前が逆の奴もいる様だが大丈夫か……?」タラー
提督「とりあえず明日、俺が休みだから犬小屋の方はなんとか用意しよう」
提督「首輪や散歩用のロープも用意しとく。お前らは散歩や餌やりの当番をしっかり決めとけよ」
艦娘達「はーい」
提督「あと龍驤、いつまで寝てるんだ。早く起きろ」
龍驤「……メタ発言して悪いんやけど、ウチのSSでの扱いが全体的にひどくない?」
───────────────────────
─次の日─
トンテン カン
トンテン カン
提督「……ふぅ、こんなもんかな」
ボッチ丸「ワォン!」
提督「そうかそうか、良い感じか」ワシャワシャ
不知火「司令、ボッチ丸の家の小屋はできましたか?」スッ
提督「ああ、丁度今できた所だよ」
不知火「これですか?」
提督「どうだ?すごいだろう」
不知火「はい、2階建ての犬小屋なんて初めてみました」
提督「ふふ、普段からお前らの艤装なども作るのを手伝ってたおかげかこういうのが得意になってしまったようだ」
提督「今なら2階建てどころか10階建てでもつくれそうだ」
不知火「司令、そこまではさすがに……」
提督「冗談だよ。んで不知火、ここに来たという事は何か用があるんだろう?」
不知火「はい、約束していた当番制のリストを作成してきました、どうぞ」
提督「おっ早いじゃないかどれどれ」
提督「ん~?ほとんど不知火が当番じゃないか」
不知火「はい」
提督「大丈夫なのか?」
不知火「問題ありません。もとより一人で飼うくらいの覚悟はありましたから」
提督「ふむ、そこまでいうならいいのだが」
提督「何度も言うが訓練や任務に支障がでたら考えさせてもうらからな」
不知火「分かっています」
・
・
・
・
・
─数日後
─朝 食堂─
提督「皆、おはよう」
電「おはようなのです」
愛宕「うふふ、おはようございます」
龍驤「おはよーさん」
長門「おはよう」
金剛「グッモーニンです!提督ゥ!」
提督「ん、不知火の姿が見えないが」
電「不知火さんならボッチ丸の散歩の為、海の方に行っているのです」
提督「そうか。朝からご苦労だな」
愛宕「うふふ、最近不知火ちゃん、明るくなったわよねぇ~」
長門「うむ。笑顔でいる事もよく見かけるようになった」
愛宕「これもワンちゃんのおかげかしら?」
龍驤「せやろなぁ。あいつ随分、ワンコロにお熱みたいやで」
電「不知火さんは元々、大の動物好きなのです。最近じゃ朝起きてすぐボッチ丸の様子を見にいくのが日課になっているのです」
提督「なるほど。あまり感情を表に出さない不知火がそこまで楽しそうにしていると聞くと……ウチで飼って良かったと感じるな」
愛宕「ええ、不知火ちゃんの為にも、ワンちゃんにはずっとここにいてほしいわ」
───────────────────
─海沿いの道─
不知火「今日の海はいいですね。快晴の上、風の強さも丁度良くて気持ちがいいです」
ボッチ丸「ワウ」
不知火「でも、こんなに穏やかで、綺麗な海に……やつら深海棲艦がいるんです」
不知火「不知火の幼い頃に全てを奪った奴らです」
ボッチ丸「クゥン……」
不知火「あの時から私は一人ぼっちでした。そういう意味ではボッチ丸、貴方と私は似た者同士かもしれません」
不知火「……両親も友人もいない。一人だけの世界、悲しいです」
ボッチ丸「……」シュン
不知火「そんな顔をしないでください。今はもう平気です。鎮守府の仲間がいますから」
不知火「そしてボッチ丸には不知火がついていますから、安心してください」
ボッチ丸「ワン!」スッ
不知火「ふふ、くすぐったいですよ」ペロペロ
不知火「……ずっと一緒ですからね」
・
・
・
・
・
・
・
────数日後
─西鎮守府 執務室─
提督「さて今日は書類を片付けるか」
提督「うーん、資源の消費が増えてきたなぁ。艦娘達の成長によるものだと思えばいいのかもしれんが……」ポリポリ
提督「最近上から注意されたばかりだし、調整をしないと────」
プルル プルル
提督「ん、電話か……まさかまた資源について小言をいわれたりして」
ガチャ
提督「はい、こちら西鎮守府ですが───」
???「もしもし、すみません。少しお尋ねしたい事が」
提督(お、軍関係ってわけじゃなさそうだな。良かった)
提督「ええ、どうかしましたか?」
女性「実は張り紙を見てお電話しましてそれで」
提督「張り紙?」
女性「はい、犬を探しているという内容なのですが」
提督(ボッチ丸の事か。不知火達が張ったやつかな)
提督「ああ、そういえば張り出していますね」
女性「それを見てここへ連絡すればいいと書いてあったのでお電話させていただきました」
提督「なるほど……もしかしてあの犬は───」
女性「はい、あの写真の犬は」
女性「私の大切な家族です」
以上です
お読みいただきありがとうございました
お手数ではございますが1000埋めしていただけると幸いです
よろしくお願いいたします
元スレ
────────────────────────
カムラン海域 海上
ホモ「さーて、アンタ達。さっさとこいつら片付けなさい」
卯月「はーい。うーピョンにお任せピョン!」
弥生「あんまり調子のらない方がいいよ、卯月」
利根「皆の者、吾輩を見習ってどんと構えるのじゃ」
鈴谷「はぁ……さっさと帰ってお風呂はいりたーい。髪がヌメヌメするー」
熊野「鈴谷、髪をいじるのは後にするべきですわ」」
川内「霧が少し濃くなってきたね。ちょっと夜戦ぽいかも」
明石「霧の中でも敵を確認できるようなスコープ……次の発明はそれがいいかもしれないですね」
ワイワイ
提督(あれ……なんか陣形がバラバラだけど……大丈夫か?)
547: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:08:13.02 ID:75qZwDTy0
────────────────────────
空母ヲ級「ヲ……爆撃機、発艦」
戦艦タ級「了解、コチラモ砲撃ヲ展開スル」
駆逐イ級「仇……討ツ!」カチャ
軽巡ヘ級「殺ス……」カチャ
ドォン ドォン ブゥゥゥン ブゥゥゥン
548: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:09:05.06 ID:75qZwDTy0
ヒュゥゥゥゥン チュドーーン
ザッパァァァン
卯月「わわわ!敵が攻撃してきたよ!危ないピョン」
弥生「敵なんだから攻撃してくるの当たり前……」
鈴谷「あーーー髪がちょっと焦げた!キューティクルが!」
熊野「もうっ、だから前を見ろっていったんですの!」プンプン
549: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:11:16.57 ID:75qZwDTy0
────────────────────────
母艦 操舵室
提督(……あの艦娘達、全然統率がとれていないじゃないか)
提督(砲撃も雷撃も全くしないし……ふざけているのか)
提督「失礼ですが……司令官。艦娘達は真面目にやっているのですか!」
ホモ「提督ちゃん、心配なの?」
提督「彼女達はどうみても本気で対応していない様に見えますが」
ホモ「そうねー。まぁそういう風に見えるよう指示をだしているもの」
提督「……え?」
ホモ「まぁ落ち着いて頂戴。せっかちな人は嫌いじゃないけど……これも戦術の内よ♪」
550: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:12:00.65 ID:75qZwDTy0
────────────────────────
空母ヲ級(相手……動キ……バラバラ……)
空母ヲ級(今ノウチ……コロス)
空母ヲ級(霧ノセイデ……命中精度ガ低イ戦艦隊……近ヅカセル)
空母ヲ級「戦艦隊……目標ニ前進……敵、油断シテル」
深海棲艦 戦艦隊「「了解」」ズズズ
551: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:12:48.12 ID:75qZwDTy0
────────────────────────
利根「……」ピクッ
利根「川内、明石、釣れた様じゃ」
川内「ん……オッケー」サッ
明石「分かりました。いつでも大丈夫です。合図はお願いします」
552: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:14:01.08 ID:75qZwDTy0
────────────────────────
戦艦タ級1「……ココマデ近ヅケバ……アトハ……外サナイ」ニヤリ
戦艦タ級2「沈メテヤルゼ……ククク」カチャ
戦艦タ級3「……ン。ナンダコノ……浮イテル丸イ物体ハ」
戦艦タ級4「ホントダ……サッキマデ無カッタ」
553: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:14:41.56 ID:75qZwDTy0
利根「フンっ、何も知らずノコノコと近づいてきおって……うつけが」
利根「さぁ、明石!今じゃ!」
明石「はい!」ポチッ
ピカッ
戦艦タ級1「ナッ……」
ドカァァァァァアアン
554: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:15:20.52 ID:75qZwDTy0
利根「よし、成功じゃ!後は砲撃あるのみ!うてぇええええい!」
卯月「やってやるピョン!」カチャ
弥生「負けない……」カチャ
鈴谷「やっと思う存分、ぶっ放せるわ!」カチャ
熊野「我慢するのも体に毒ですわね!」カチャ
ドォン ドォン ドォン ドォン
555: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:16:59.46 ID:75qZwDTy0
────────────────────────────
操舵室
提督「…………」ポカーン
提督「今のは……機雷ですか?」
ホモ「ええそうよ」
ホモ「わざと前線部隊には攻撃の手を休めて油断している様に見せたの」
ホモ「そうする事で敵艦隊の主力で厄介な戦艦が前にでる事を期待してねぇん」
ホモ「後は事前にばらまいてた機雷を爆破」
ホモ「霧が濃く視界が悪いおかげで機雷も確認しづらいって事も幸いだったわね」
556: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:17:56.09 ID:75qZwDTy0
提督「……なるほど」
提督(後ろからの奇襲にも関わらず更に策を重ねる周到さ……この司令官、只者じゃない)
提督「気づかず余計な事を……失礼しました)
ホモ「いいのよ。知らなければ誰でも同じ事思うわぁん」
ホモ「さて……あとは」
557: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:20:50.09 ID:75qZwDTy0
────────────────────────
─深海棲艦 艦隊─
空母ヲ級「ク……ドウナッテイル。戦艦隊ニ何ガ起コッタ」
川内「失礼しまーす」スッ
空母ヲ級「?!」ビクッ
川内「指揮を執っているのは貴方みたいね。安全な所でキョロキョロ見回してるから分かったわ」
空母ヲ級「イツノマニコンナ近クニ……」
川内「隠密行動は得意なの。夜だったらもっとすごいんだから」
川内「てわけで、私からプレゼント。上にある気持ち悪い帽子さんの口に挟んどいたよ」
空母ヲ級「ワ、ワタシノ頭ニ……魚雷ガ……」
川内「明石が時間立てば爆発してくれるようにしてくれたんだよねー。バイバイ」ササササ
空母ヲ級「ク…取レナイ………ヤメッ」
ドカァァァン
川内「忍法魚雷爆散の術……って言ってみたりして」
558: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:23:35.82 ID:75qZwDTy0
利根「作戦通りじゃな」
利根「川内が敵の旗艦を落とした!一気に叩き込め!」
艦娘達「「了解!」」
ドォン ドォン パパパパパ ザッパーン
駆逐イ級「クソ……テ、撤退ダ!」スーーー
軽巡ヘ級「ニゲロ!」スーーー
卯月「あーー逃げちゃったピョン」
鈴谷「えーまだ打ちたりないよー」
559: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:24:52.07 ID:75qZwDTy0
利根「ホモ提督よ、追うかの?」
ホモ「追わなくていいわ。近くに敵の大艦隊がいないとも限らないし……」
ホモ「それに第2艦隊の救助が先よ。さっさと入渠室で手当てしてあげなさい」
利根「了解じゃ」
ホモ「と、いう訳でそんな感じだから艦娘の子達は任せて頂戴」
提督「……ありがとうございます」
ホモ「提督ちゃんの母艦は動く?」
提督「はい。損傷ありますが動力部に異常はありません」
ホモ「分かったわ。ここでのんびりするのは怖いし早々にカムラン港に戻りましょう」
560: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:26:22.40 ID:75qZwDTy0
・
・
・
・
・
─カムラン港─
提督「本当に助かりました。あと少しで全滅という所でお助けいただいて……」
ホモ「全く……増援が先にやられるなんて冗談にもならないわ」
提督「……申し訳ございません」シュン
ホモ「ウフフ、でも無事で良かった……」
ホモ「改めてお久しぶりね、提督ちゃん」スッ
提督「はい。お久しぶりです」グッ
561: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:28:59.31 ID:75qZwDTy0
ホモ「初めて会った時は舐め舐めしたいくらい青いオケツだったけど」
ホモ「成長してこうみると軍人らしくぺろぺろクンカクンカしたいくらい立派になっちゃって」ジー
ホモ「嬉しいわぁ」ニンマリ
提督「え……ええ(どこみてんだこいつ)」ゾッ
562: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:30:33.04 ID:75qZwDTy0
ホモ「それにしても増援といった割には艦娘の数が少ないようね」
ホモ「相手は100隻近くいるってお上に伝えた筈だけど……」
提督「…………」
ホモ「6隻だけなの?」
提督「……はい」
ホモ「ふーん」
ホモ「ま……その様子みる限り訳ありって事ね」
提督「察していただき助かります」
563: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/26(水) 16:31:51.79 ID:75qZwDTy0
ホモ「私も元は中央にいた身だし」
提督「中央に?」
ホモ「ええ、ちょっと色々あって南に異動したけど」
ホモ「だからあそこの事情は色々知ってるわ。もちろん第2艦隊の事もね」
提督「……」
ホモ「まぁいいわ。一人でも多ければ心強いもの」
ホモ「明日辺りブリーフィングルームで現状を詳しく説明するから」
ホモ「今日はゆっくり休んで頂戴」
提督「はい……色々と、ありがとうございました」ペコッ
573: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 09:58:14.85 ID:aiIHOzsa0
前回のあらすじ
第2艦隊を救う為、南鎮守府艦隊は深海棲艦と戦闘を開始するが
戦いの最中だというのに大した反撃もせずふざけあう南鎮守府艦隊の艦娘に提督はイライラを募らせる
その様子を見た深海棲艦は主力ともいえる戦艦を前線にだして勝負をしかける
だが、油断している様に見えたのは事前にばら撒いていた機雷の場所まで誘導する為であり
見事に深海棲艦を撃退した南鎮守府艦隊は大破している艦娘達を回収し入渠室で手当てをする
提督はホモと合流し、現在の戦況を聞く為ブリーフィングルームへ訪れる
574: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 09:59:44.42 ID:aiIHOzsa0
─次の日─
南鎮守府母艦 ブリーフィングルーム
提督「おはようございます」
ホモ「おはよう提督ちゃん。気分はどう?」
提督「お陰様で良好です」
ホモ「そう、なら良かった」
提督「自分より艦娘……彼女達の方が心配です」
ホモ「それについては安心なさい。ちゃんとウチの入渠室で手当てしてるからねぇん」
提督「はい……」シュン
575: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:01:43.65 ID:aiIHOzsa0
ホモ「ま、明日辺りには全員と顔合わせできるわよ……っと、それよりも」
ホモ「昨日も言ったけど今の戦況、説明するわね」
提督「……はい」
ホモ「この港から南へ結構進んだ所に奴ら深海棲艦の本艦隊がいるの」
提督「昨日の敵艦隊と同一のものですか?」
ホモ「そうね。奴らはその本艦隊の一部。恐らく周辺偵察みたいなものだと思ってるわ」
提督「あれだけいて一部……という事はやはり」
ホモ「ええ。敵艦隊の総数が100隻程いるっていうのは本当の事。昨日20隻以上倒したから今はもうちょい少ないとは思うけど……」
提督「残りでも約80隻、しかも固まってるとなると……手がだせませんね」
576: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:05:10.96 ID:aiIHOzsa0
提督「やはりベトナム海軍や周辺国の支援艦隊と協力して」
ホモ「いないわ」
提督「え?」
ホモ「ベトナム海軍は北にある首都周辺の海域に、周辺国は自分達の海域でも守ってるんじゃないかしら」
提督「まさか」
ホモ「そうよ。ここは見捨てられたのとほぼ同意よ」
577: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:06:02.28 ID:aiIHOzsa0
提督「そんな……あれだけの大艦隊、俺達だけでは!」
ホモ「仕方ないのよ。相手が強敵だからこそ……彼らは本当に守るべき所へ戦力を集中させてるのよ」
ホモ「深海棲艦がもし矛先を別へ向けたら……困るでしょ?対応に」
提督「…………」
578: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:06:48.69 ID:aiIHOzsa0
提督「俺達は……ここに居る意味がないじゃないですか」
ホモ「意味はあるわ」
ホモ「私達がいれば深海棲艦を引きつけていられるし」
ホモ「それに……」
ホモ「ここを守れるじゃない」
提督「…………」
579: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:08:16.86 ID:aiIHOzsa0
ホモ「まぁでも厳しい戦況なのはたしかだし」
ホモ「のんびりここの港を守りながら本部からの援軍を待っていたんだけど……」
ホモ「来たのはたったの艦娘6隻と軍艦1隻。こんなんどうしろってのよ」ハァ
提督「……す、すみません」シュン
ホモ「提督ちゃんを責めてる訳じゃないわ。ある程度予想はしていたしね……」
提督「予想、ですか?」
580: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:10:06.86 ID:aiIHOzsa0
ホモ「援軍要請だしたのはかなり前よ?その時からずっと連絡こないし……」
ホモ「そもそもこの任務って大して重要じゃないのよ。上からすればね」
ホモ「友好国から要請があったとはいえ、この任務を遂行した上で利になる点が少ないのよ」
ホモ「資材収穫の海域でもないし、今後の侵攻作戦にも影響ないしね」
提督「だから本部も援軍を出し渋っているのですか……」
581: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:11:35.56 ID:aiIHOzsa0
ホモ「ええ……とまぁこちらの事情はともかく」
ホモ「これも見て頂戴」パラッ
提督「これは?」
ホモ「敵の詳細資料よ」
提督「おお……艦種もこと細かに」
ホモ「貴方達がくる前に必死に調査して作ったの。褒めて頂戴」ウフン
提督「……戦艦が約20隻、駆逐、軽巡、重巡併せて60隻、空母5隻」
ホモ「まぁ大体だから完全に合ってる訳ではないけど……ざっとそんな感じね」
582: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:14:39.66 ID:aiIHOzsa0
提督「この資料の戦艦に丸がついてるのは何ですか?」
ホモ「いい所に気が付いたわね。特に気をつけなきゃいけない奴よ」
提督「何をですか?」
ホモ「ええ……そいつらは艦娘の艤装で表現すると41cm連装砲を搭載しているの」
提督「41cm連装砲……長い有効射程を持つ戦艦の主砲ですね」
ホモ「それがまた厄介でねぇ。こちらの射程外から撃ってくるもんだから近づくのも大変」
ホモ「ましてや数も倍以上違うのってのに……なんとか敵艦隊の中枢に潜り込めればやりようがあるんだけど……お手上げね」
提督「これまた厳しい情報ですね……」
583: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:16:06.91 ID:aiIHOzsa0
ホモ「てわけで貴方達には悪いけどしばらくは現状維持」
ホモ「下手に動いてもあれだし、もう一度本部に援軍を送ってもらうよう頼んでみるわ」
提督「……はい」
ホモ「説明はこれで終わり。他詳しい事は報告書類にまとめてあるから目を通してちょうだい」
提督「了解しました」
ホモ「何か質問あるかしら?」
提督「……あ」
ホモ「どうしたの?」
提督「そういえばなぜ、私達を助けた時あの場所にいたのですか?」
提督「本部からも一週間程連絡がとれなかったという事も聞いておりますが……」
ホモ「えーと」
ホモ「わ、私やらなきゃいけない作業があるんだったわ!今日はこれで解散!じゃね!」ササササ
タッタッタッタッタッタッ
提督「なんだ?」キョトン
584: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:17:25.61 ID:aiIHOzsa0
・
・
・
・
・
・
南鎮守府母艦 入渠室前
提督(さて、大和達の様子が気になって入渠室に来てみたが)
提督(さすがに中には入れん。殆どの場合、入渠中は全裸に近い状態だからな)ウンウン
提督(まぁ……命に別状はないと聞いているし、部屋で待っているか)
585: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:18:19.37 ID:aiIHOzsa0
スタスタスタ
鈴谷「あ、第2の司令官さんじゃーん」
熊野「お疲れ様ですわ」
提督「君達は、えっと」
鈴谷「南鎮守府艦隊の鈴谷だよ。よろしくねー」
熊野「同じく熊野と申します。よろしくお願いしますわ」
提督「うむ。中央第2艦隊所属の提督だ。気軽に呼び捨てで呼んでくれて構わない」
586: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:19:33.20 ID:aiIHOzsa0
鈴谷「はーい。で、その提督は入渠室の前で何してるの?」
提督「怪我の様子が気になってな。中に入る訳にもいかんので部屋に戻ろうと思っていた所だ」
熊野「あら、お優しいですわね」
鈴谷「だねーウチのホモ提督なんて私達が着替えてても用があれば気にせずズカズカ入ってきて」
鈴谷「『アンタ達の裸なんて興味ないのよ!アタシが興味あるのは男の黒光りする主砲だけよ!』とか言ってさ。キショいよねー」
提督「はは……」
587: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:22:10.62 ID:aiIHOzsa0
ガチャ
利根「む……なんじゃお主ら。こんな所でつっ立って」
熊野「あ、利根さん。今提督さんとお話ししてた所ですわ」
利根「ほう第2の司令官じゃな。話はホモ提督の方から聞いておる」
利根「吾輩は南鎮守府艦隊の旗艦を務める利根じゃ。よろしく頼むぞ!」
提督「ああ、よろしく」
鈴谷「そいや利根が入渠室で第2艦隊の看病してたんだっけ?」
利根「うむ」
提督「大和達の様子はどうだ?」
利根「ああ、それじゃな。大分よ」
鈴谷「ストップストップ。ここで話すのもいいけど、あっちでお茶でも飲みながら話そうよ。他にも色々聞きたい事あるし」
利根「それもそうじゃな。提督よ、案内するぞ。こっちじゃ」
588: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:22:54.77 ID:aiIHOzsa0
・
・
・
・
─談話室─
提督「─────そうか。みんなもう起き上がって食事もしてるんだな」
利根「まだ入渠室にいる必要はあるがもう少ししたらいつもの状態に戻るじゃろ」
提督「良かった。敵の砲弾をもろに受けてたりもしてたから……ずっと心配だったんだ」
利根「なぁに、艦娘は艤装をしていれば鋼鉄並みに堅いからの。簡単には死なないのじゃ」
提督「ふむ。とりあえず安心だ」ホッ
589: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:24:27.07 ID:aiIHOzsa0
鈴谷「……」ジー
提督(何やら視線を感じる)
鈴谷「ねぇ」
提督「なんだ?」
鈴谷「提督は彼女いるの?」
提督「ブハッ」
熊野「こ、こら鈴谷。急になんて事聞いてるんですの!」
鈴谷「えー、恋バナの一つや二ついいじゃーん」
熊野「今聞く事じゃありませんの!」
鈴谷「で、どうなのさー?艦娘と付き合ってたりするの?」
提督「……ない」アセ
鈴谷「えっ!ほんとに!」
590: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:25:43.80 ID:aiIHOzsa0
提督「だが、好きな……奴はいる」モジモジ
鈴谷「なーんだ、残念」
熊野「いなかったらどうするつもりですの……」
鈴谷「えーそりゃアタックしようかなってさ。提督ってイケメンじゃん?」
熊野「そ、そんな、はしたないですよ」
鈴谷「え?熊野的には微妙なんだ?」
熊野「いえ……まぁたしかにお顔立ちはいいと思いますけどそういう問題じゃ……」
鈴谷「じゃあいいじゃーん。まぁ好きな子いるみたいだし諦めるけど」
熊野「まったく鈴谷ったら……」
利根「ハッハッハッ、そういう年頃じゃからの。男日照りのせいもあって積極的になるのもわからんでもないぞ」
591: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:26:36.50 ID:aiIHOzsa0
利根「しかしまぁ残念がるのは鈴谷だけじゃないだろうが……」
提督「?」
利根「いやぁ吾輩らの司令官、ホモ提督の事じゃよ」
利根「奴は……よーするに同性愛者じゃ。特にお主の様な軍人は大好物」
提督「えっ」ゾクッ
利根「安心せい。襲ったりする事はない」
提督「ほっ」ホッ
利根「と思う」
提督「!?」ビクッ
592: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:27:44.93 ID:aiIHOzsa0
利根「まぁ何せ今回お主らを助けにいく事ができた理由なんじゃが……ホモ提督の奴が」
──『増援でいい男が来る!こんな港でちんたらしてる場合じゃないわ!通ると思われる航路を巡回して守らなきゃ!』
利根「などとぬかしおって、本部に連絡も入れず出撃したんじゃよ」
提督「だから、連絡ない上にあんな所で……」
利根「それが不幸中の幸い……というとちとあれじゃがお主らを助ける事ができて本当に良かったのじゃ」
提督「ははは……」
593: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:29:44.46 ID:aiIHOzsa0
利根「だがのぉ、ホモ提督の奴はあんなじゃが……司令官としての腕はたしかじゃよ」
利根「あれが来てから吾輩らの練度はみるみる上がっておる」
鈴谷「たしかに私達強くなったよねー」
熊野「そうですわね。ホモ提督さんが来てから大きな任務も来るようになりましたし」
利根「うむ。今これだけ戦力的に劣勢でも何とか立ち回れてるいるのは間違いなくあの男のおかげじゃ」
利根「その事だけは信じてよいぞ」
提督「……分かった」
利根「ただし」
利根「尻の穴はしっかり守っとくとよいのぉ」
提督「……」キュッ
594: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:31:33.25 ID:aiIHOzsa0
・
・
・
・
南鎮守府母艦 甲板上
ビューー
提督(利根達との話も終わったし気分転換にちょっと外の風に当たりに来たのだが……)
提督「ふー、冷たい風が心地いい……ん?」
北上「…………」ボー
提督「北上」
北上「……お、提督じゃん。お疲れー」
提督「まだ入渠室にいるんじゃなかったのか?」
北上「ううん。私は傷が浅かったし早めにでてきたんだー」
提督「なるほどな」
595: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:32:20.98 ID:aiIHOzsa0
北上「…………」
提督「どうした?元気がないじゃないか」
北上「んー……」
提督「何かあるなら言ってみろ」
北上「いやぁさ……怖かったなぁって」
提督「昨日の事か」
北上「うん」
提督「助けが無かったら……死んでたよな、俺達」
北上「……深海棲艦とやりあってピンチなんていくらでもあったけど」
北上「あそこまで死を覚悟したのは初めてだよ」
提督「……戦意喪失したか?」
北上「そんな訳ないじゃん」
596: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:36:23.77 ID:aiIHOzsa0
北上「ただやっぱり……もっと力が欲しいよ」
北上「あんな奴らコテンパにできる力がさ」
提督「……うむ」
北上「提督、もっと私を強くしてよ。強い装備に戦術に……提督にやってもらう事はいっぱいある!」グワッ
提督「急に熱くなって……らしくないじゃないか」
北上「……別に」プイッ
提督「大丈夫。北上は強くなるよ。なんせスーパー北上様だからな」
北上「なにそれ、バカにしてんの?」
提督「冗談だよ。……まぁ任せろ。言われなくともそうするさ」ニコッ
北上「頼りにしてるからね……ほんとに」
北上「……んで、提督はなにしてたの?」
提督「まぁ色々だ。今から艦内をグルグル回ろうと思っているが」」
北上「へー、私もついていっていい?」
提督「別に構わんけど……少ししたら開発室へ行くぞ」
北上「ほーい」
597: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:37:17.61 ID:aiIHOzsa0
・
・
・
・
南鎮守府母艦 開発室
提督「おーすごいな。見た事ないような艤装や道具がいっぱいだ」
北上「ウチと随分違うね。なんか本格的というか。あ、なにあれおもしろそう」タッタッタッ
提督「おーい、あんまり弄るなよ………ん?」
トンテンカン トンテンカン
提督「誰かいるみたいだな」
598: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:41:23.74 ID:aiIHOzsa0
明石「ふー……こんなものでしょうか」
提督「何を作ってるんだ?」
明石「きゃっ!どなた……って第2の司令官さんですか」
提督「びっくりさせてすまん。ちょっと興味があって声をかけさせてもらった」
明石「はぁ……今は機銃の整備及び改造をしています。こんな風に」ジジジジ
提督「ほう、見事なもんだ。よくやるのか?」
明石「はい。ここら辺の艤装全て私が手を加えていますから」
599: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:43:02.27 ID:aiIHOzsa0
北上「提督ー誰と話してんのー?」スタスタスタ
提督「ああ、えっと……名前まだ聞いてなかったな」
明石「あ、失礼いたしました。わたくし、明石と申しまして……」
北上「明石じゃん!何してんの?!」
明石「え……北上さん!?」
600: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:43:52.66 ID:aiIHOzsa0
──────────────────────────────
提督「───なるほど。この前いってた資材を大量に使って問題起こしたっていうのが」
北上「そそ、この明石なんだよね」
明石「その節はほんとにご迷惑をお掛けしました」ペコペコ
北上「もう別に気にしてないから謝らないでよ。それより元気だった?」
明石「はい。色々ありましたが……こちらに来てから皆さんによくしてもらっているので」
北上「そかそか。それなら良かったー」
601: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 10:59:19.31 ID:aiIHOzsa0
提督「しかし艦娘が艤装の改造か……整備までするのは良く見るが初めて見たな」
北上「明石はすごいよ。妖精達の作った艤装を自分なりにアレンジしたりするからね」
明石「いえいえ……私の技術なんて妖精さんと比べたらおまけみたいなものですから……」
提督「ふむ。今度時間ある時に色々とご教授願いたいものだな」
明石「提督さんもそういうのに興味があるのですか?」
提督「まぁ艤装の開発で知識があると便利でな。妖精達とも連携しやすいし」
明石「なるほどですね。この明石にできる事があればいつでもお声がけください」
提督「うむ。頼んだよ……さて、俺はちょっと外を回ってこようかな」
北上「りょーかい。私はもうちょい明石と喋ってるわー」
602: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:01:39.62 ID:aiIHOzsa0
・
・
・
・
カムラン港
提督(母艦の外に来てみたが……)
提督(やはり海軍らしき部隊がいない。軍の関係者なんて港へ定着した時にいた通訳ぐらいか)
提督(ホモ提督もいっていたが……軍部に見限られているというのは本当のようだな)
提督(こと深海棲艦に対して艦娘を持たない海軍は、旧軍艦を並べて砲撃弾幕を張る戦術しかとれない)
提督(それにはかなりの数の軍艦を配置しなければならないからな)
提督(重要な首都周辺だけを守るという理由は分かる……)
提督(とはいえ日本に要請をだしておいて、任せきりにされるというのはいかがなものだろうか)
提督(俺達はここを放棄して日本に帰還してもいいくらいの理由じゃないか)
提督(…………はぁ)
提督(あとでまた考えよう……)
603: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:03:05.63 ID:aiIHOzsa0
キャッキャ キャッキャ アハハ
提督(砂浜で遊んでいる……ここら辺に住む子供たちかな)
提督(近くに化け物が侵攻してきているという事を知ってか知らぬか……無邪気に遊ぶ姿はうらやましく思えるな)
卯月「何してるピョン」ダキッ
提督「おおっ!」ビクッ
卯月「ぷっぷくぷー!ビックリしすぎー」クスクス
弥生「卯月……いきなり後ろから覆いかぶさったら危ない」
川内「卯月は怖い者しらずだね。夜戦でそんな事したらやられちゃうよ?」
604: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:05:35.97 ID:aiIHOzsa0
提督「君達はたしか……」
卯月「卯月だよー!うーちゃんて呼んでピョン!」スタッ
弥生「やよい、駆逐艦の弥生」
川内「軽巡用艦の川内、夜戦はお任せ!」
提督「卯月と弥生と川内か……うむ、覚えたよ」
卯月「何してるのー?」
提督「ああ、ちょっと周辺を眺めてたんだ。周辺住民の様子や地形などを知っておくのも大事だからな」
卯月「ふーん、じゃあ暇人だね」
提督「いや、暇じゃないからな……聞いてたか?」
卯月「あっちで子供たちと遊ぶピョン。提督さんも来てよー」グイッ
提督「え、いや、あのちょっと」ズズズズズ
605: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:08:00.89 ID:aiIHOzsa0
─────────────────────────────
─砂浜─
ベトナム幼女「○△□×○△□×○」
卯月「この子と遊んでみるピョン。遊んでほしそうな顔してるピョン」
提督「いやいや、何話してるかわからんのだが」
卯月「フィーリングで分かるピョン」
弥生「なんとなくで察する」
提督「……俺はやっぱり部屋に戻る」クルッ
卯月「駄目ピョン!」グイッ
提督「俺はお前らと違って忙しいんだよ!」グググググ
606: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:09:29.86 ID:aiIHOzsa0
川内「提督さん、観念して少し付き合ってよ。卯月は言いだすと止められないよ?」
提督「そ、そういわれてもなぁ」
卯月「周辺住民の様子を知るのも大事って言ってたぴょん。この子も周辺住民だピョン!」
提督「聞いてたんかい!」
卯月「だから一緒に遊ぶピョン!」
提督「……分かったよ。ちょっとだけだぞ」ハァ
卯月「さすが話が分かる男は違うピョン。うーぴょんが見込んだ男」
提督「いつ見込まれたんだ俺は……で、何して遊ぶんだ?」
卯月「ここは砂浜だし、砂遊びするピョン」
607: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:10:59.35 ID:aiIHOzsa0
提督「ふむ……何か作るのか?」
卯月「丁度向かいにうーぴょん達の母艦があるからあれ作るピョン」
提督「ほう、難易度がまた高いものを」
ベトナム幼女「○△□×○△□×○」
提督「なんて言ってるんだ?」
卯月「そんなの分かる訳ないピョン。とりあえず一緒に作れば仲良くなれるピョン」
提督「さっき分かるっていったじゃないか!フィーリングはどうした!」ビシッ
川内「あはは、提督さんおもしろいなー」ケラケラ
弥生「卯月の言う事なんか無視すればいいのに」
提督「う、うるさいな。少しはお前らもフォローしろ」
608: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:11:57.30 ID:aiIHOzsa0
卯月「ほらほら、女の子も喜んでるピョン」
ベトナム幼女「○△□×○△□×○」キャッキャッ
提督「まぁ、何いってるかわからんが嬉しそうではあるな」
卯月「提督さん連れてきて良かったピョン。うーぴょんも楽しい」ニコニコ
提督「そうかい。それなら良かったよ」ハァ
609: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:16:51.58 ID:aiIHOzsa0
・
・
・
・
─数時間後─
ベトナム幼女「○△□×○△□×○」キャッ キャッ
卯月「暗くなってきたし終わりにするピョン」
提督「大分遊んだな」
川内「提督さん何気楽しんでたよね。途中から卯月と本気で張り合ってたし」
提督「あ、遊びにも本気で取り組むのは大事だ」アセ
弥生「大人げないです」ジー
611: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:20:16.72 ID:aiIHOzsa0
卯月「楽しかったぁ、満足だピョン」
ベトナム幼女「○△□×○△□×○」チョンチョン
卯月「どうしたの……え?うーぴょんにくれるの?」
ベトナム幼女「……」コクコク
卯月「わーありがたく頂戴するピョン!提督にもおすそ分けする!ハイ!」サッ
提督「あ、ああ。ありがとう……これは膨らませる前の風船か」
卯月「いいものを貰ったピョン!」
612: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:22:10.90 ID:aiIHOzsa0
ベトナム幼女「○△□×○△□×○」フリフリ
卯月「あ、もう帰るんだぁー。分かったピョン!楽しかったよーまたねー」フリフリ
提督「ふぅ……戻るとするか」
弥生「少ししたらご飯の時間」
川内「そうだね。お腹空いてきたかも」
卯月「じゃあ一旦部屋に戻るピョン!提督はオンブして連れてって!」ピョン
提督「お、おい!急に背中につかまるな!」ダキッ
卯月「出発進行ー!」
提督「ええっ……ったく、仕方ないな……よいしょっと」スッ
613: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:23:14.53 ID:aiIHOzsa0
卯月「むふ……背中あったかいピョン…………」
卯月「ふぁあ……なんか眠くな……て……」グタァ
提督「う、卯月。おい、部屋なんてすぐ着くんだから寝るんじゃない!」
卯月「……」スピー
川内「あらら、完全に寝たね」
提督「まったく……すまんがお前らも付き合ってくれよ部屋まで」
川内「それは別にいいけど、大丈夫?」
提督「まぁ……艤装してなきゃ普通の女の子と変わらん。これくらいだったら余裕だ」
川内「さすが軍人さん。鍛えてるだけあるね」
614: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:24:25.31 ID:aiIHOzsa0
川内「それにしても卯月が初体面の人にこんなに懐くなんて初めてみたなぁ」
弥生「私も」
提督「こいつは誰にでも慣れ慣れしいんじゃないのか?」
弥生「そんな事ない。むしろ知らない人には隠れるくらい人見知り」
提督「へぇ、意外だな」
川内「ホモ提督に最初会ったときも怖いピョン……とかいってずっと逃げ回ってたしね」
弥生「あの人は見た目が怖い。でもしゃべったらもっと怖い」
提督「……そこらへんはノーコメントだ」
615: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:26:30.66 ID:aiIHOzsa0
・
・
・
・
・
中央第2艦隊母艦 執務室
提督(さぁ卯月たちを部屋に送り届けて時間もとれたし)
提督(ブリーフィングルームで貰った資料やらをまた見直すとするか)
提督(…………)ペラッ ペラッ
提督(敵はこちらの戦力の倍以上)
提督(中には長距離砲撃をもつ戦艦もいる)
提督(……事前に聞いていたベトナム海軍や周辺諸国の支援艦隊はアテにならず)
提督(俺達は民間漁港に定着させられている始末)
提督「どうしろってんだ」パサッ
616: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:27:27.88 ID:aiIHOzsa0
提督「しばらくはここで待っていてもいいが」
提督「もしここへ……深海棲艦が一気に攻め込んで来たらどうする……」
提督「大量の機雷を用意して迎撃?いや、同じ様な手が通じるとは思えんし周囲には民間漁船もある」
提督「本部からの支援を待つ、とホモ提督は言っていたが……それこそアテにならんのは俺が十分知っているはずだ」
提督「……くそっ!あの狸じじい!やっぱり俺達を見殺しにする気かよ!」ダンッ
617: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:30:11.07 ID:aiIHOzsa0
提督「…………」
提督「……戻るか」
提督「任務の遂行は無理だと判断して……」
提督「しかし、ただ逃げ戻ったらあの爺さんに何をされるか……」
提督「……でも……死ぬよりはマシ……」
提督「……うむ。ホモ提督を説得して……日本に帰還しよう」グッ
コン コン
提督「ん……誰だ?」
ガチャ
北上「やっぱりここにいたんだ」
提督「北上か。どうした?」
北上「夕ご飯の時間だよん。母艦の食堂で食べようってあっちの司令官から伝言」
提督「……そういえばそんな時間だったな。了解した。すぐいくよ」
618: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:31:45.50 ID:aiIHOzsa0
・
・
・
・
─南鎮守府艦隊 食堂 ─
卯月「あっ!そのおにぎり!うーぴょんが狙ってたのに!」
加賀「残念でしたね。早い者勝ちです」モグモグ
日向「加賀、子供と張り合うんじゃない」ハァ
鈴谷「ん~美味しい。やっぱりカレーはいいよねぇ」パァァ
熊野「鈴谷、お鼻についてますわよ。拭きますからこっち向いてください」
伊58「ゴーヤにはこのカレーちょっと辛いでち」グムム
雪風「雪風も苦手です……」
619: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:33:01.90 ID:aiIHOzsa0
利根「二人共、このフクジン漬けと併せて食べてみるのじゃ」
伊58「この赤いやつでちか……どれどれ」パクッ
伊58「わわ、甘くなった!これならゴーヤでも食べれる!」
雪風「ホントです!丁度良い甘さになって美味しいです!」
利根「そうじゃろそうじゃろ!吾輩もお気に入りのフクジン漬けじゃからな」
弥生「…………」モクモク
利根「弥生、しかめ面してどうしたのじゃ。お主も辛いなら使うといいぞ」
弥生「別に辛くないです。美味しいので味わってだけ」
利根「そ、そうか。相変わらず分かりづらい表情じゃな」
ワイワイ ガヤガヤ
620: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:33:57.92 ID:aiIHOzsa0
提督「あれ?随分騒がしいと思ったら……皆いるじゃないか。まだ入渠室いるんじゃなかったのか」
大和「提督、カレーここに置いとくわよ」
提督「ああ、すまん。ありがとう」
大和「ホントは明日まで大人しくしてるつもりだったけど、中でずっと待つのもあれだし」
大和「夕食くらいみんなで食べたいと思ってでてきたのよ」
提督「なるほど」
621: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:35:45.96 ID:aiIHOzsa0
ホモ「提督ちゃん達との交流会も兼ねてるのよ」ヌッ
提督「し、司令官。お気遣いありがとうございます(いきなりでてきてビックリした)」ドキドキ
明石「おかわりならいくらでもありますので御気軽に申し付けください。良ければお酒もあるのでいかかですか?」
提督「いやいや、職務中だから結構」
ホモ「あらーん。真面目ねぇ。ちょっとくらい良いじゃない」
提督「敵がいつ襲ってくるかも分かりませんから……」
622: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:42:37.61 ID:aiIHOzsa0
ホモ「そういえば提督ちゃん。中央のジジイ、元気だった?」
提督「……総司令官の事ですか?」
ホモ「そそ」
提督「元気……したね。はい」
ホモ「あら残念。そろそろくたばるんじゃないかと期待してたのに」
提督「いいんですか、そんな事言って」
ホモ「いいのよ。あたしアイツ嫌いだし」
ホモ「中央に所属していた時はほんとアホみたいな任務ばっかやらされたものよ」
ホモ「現に今こんな状況なのもどうせあいつのせいだし……男は好きだけどジジイは範囲外だってのよ!」ガチャァン
提督「はは……」
提督(司令官もじーさんを良く思っていないようだな……これなら話やすいかも)
623: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 11:44:14.33 ID:aiIHOzsa0
提督「……司令官、大事な話があるんです」
ホモ「え?」
提督「できれば二人きりで」ヒソヒソ
ホモ「二人きりで!?」ドキーン
提督「はい、あちらへ」グイッ
ホモ「ちょっと、ああん」ズズズ
628: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 13:35:24.58 ID:aiIHOzsa0
────────────────────
─ 食堂前 廊下 ─
提督「よし、ここなら誰もいませんね」
ホモ「て、提督ちゃん。急にどうしたのよ」ドキドキ
提督(よし、日本へ帰還する提案をして……きっと司令官なら分かってくれるはずだ)
ホモ(まさか……私への愛の告白!ついに私にも春が!ホモやっててよかったぁ!)ドキドキ
提督「実はですね……」
ホモ「ええ」ドキドキ
629: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 13:38:57.18 ID:aiIHOzsa0
タッタッタッタッタッタッタッタッタッ
艦娘A「司令官!司令官はどこですか!」
ホモ「……んー何よ。いい時に」
艦娘A「司令官!ここにいましたか!」
ホモ「大きな声で確認しなくてもいいわよ。で、どうしたの?」
艦娘A「それが……えっと」アセアセ
ホモ「落ち着きなさい、ゆっくりでいいわ」
艦娘A「はい……」
630: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 13:40:29.34 ID:aiIHOzsa0
艦娘A「深海棲艦が……ここから北部にある町を襲ったようで」
艦娘A「多くの被害がでていると現地の住民から報告がありました」
提督 & ホモ「「!?」」
631: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 13:45:49.12 ID:aiIHOzsa0
艦娘A「いかがいたしましょう?」
ホモ「……」
ホモ「第1艦隊と第2艦隊は戦闘準備でき次第、現場へ向かうわ。第3と第4は港周辺に敵がいない事を確認次第、追いかけなさい」
艦娘A「了解しました!利根さんにもお伝えします!」
ホモ「ええ、頼んだわよ」
提督「司令官、私の艦隊も向かいます」
ホモ「いえ、貴方の艦娘は残りなさい。まだ体調は万全じゃない筈。もしもの時は出撃してもらうけどね」
提督「……了解です」
ホモ「その代わり提督ちゃんは私の母艦に乗って頂戴。現場での指揮は私だけじゃ無理かもしれないわ」
提督「はっ」ビシッ
632: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 13:51:02.70 ID:aiIHOzsa0
・
・
・
・
・
─カムラン海域 北部─
母艦 操舵実
ホモ「まったく……せっかく提督ちゃん達と交流会してる時にくるなんて……空気の読めない深海棲艦だわ」
提督「司令官、母艦レーダーより報告のあった周辺に敵反応ありません」
ホモ「そう。利根、そっちはどうなの?」
利根『水上偵察機でかなり遠くまで見ているんじゃが……こちらも敵は見当たらんのじゃ』※無線
ホモ「了解したわ。敵は攻撃するだけして引いたみたいね……なら」
ホモ『各艦へ、被害のあった町の近くに定着して、状況を確認するわよ』
ホモ『被害状況を確認次第、救助活動を行うわ』
633: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 13:53:30.97 ID:aiIHOzsa0
────────────────────────
─ カムラン北部の町 ─
ボォォ ガシャーン ゴォォォォォ
ビェェェン キャァァァ
提督「な、なんてことだ……」
ホモ「…………派手にやってくれたわね」
利根「爆撃と砲撃の嵐をくらったようじゃの……建物が全壊して……所々火事になっておる……」
川内「……人間がいっぱい横たわってるけど……あれって……」
鈴谷「ほとんど死んでる……のかな……半身ないっぽい人もいるし……」
明石「むごいです……」
634: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 13:54:34.19 ID:aiIHOzsa0
提督「……この臭いはなんだ」クンクン
熊野「鼻にこびりつく……醜悪な臭いですわ」
川内「すごい臭いだね……」
卯月「くさい……ぴょん」
弥生「…………」
ホモ「火災で色々な物が燃えた臭いよ」
ホモ「……人間とかね」
提督「……っ」
635: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 13:58:15.26 ID:aiIHOzsa0
ホモ「今の所死者の数は1000人程と聞いているけど、これからもっと増える可能性があるわ」
ホモ「各艦娘は現地の住民と協力して救助活動を手伝いなさい」
ホモ「瓦礫等が邪魔であれば艤装使用も許可するわ、とにかく多くの命を救うのよ」
艦娘達「「……了解」」
636: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 13:58:55.22 ID:aiIHOzsa0
提督「…………」
ホモ「提督ちゃん、私は通訳と一緒にこの町の責任者に会いに行ってくるわ、貴方もくる?」
提督「……いえ……ここで、救助活動を手伝います」
ホモ「……わかったわ。じゃあいってくるわね」
スタスタスタ
637: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 14:00:49.39 ID:aiIHOzsa0
提督(…………)ボー
提督(……っと駄目だ駄目だ。こんな所で放心状態になっては)パチン
提督(俺は軍人だぞ……これくらい……この先いくらでも遭遇する可能性はある)
提督(悲しみに暮れる暇があるなら……一人でも助けなきゃ……)キョロキョロ
638: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 14:02:10.25 ID:aiIHOzsa0
提督(ん……あそこの瓦礫の隙間から手が見えるな)
提督(もしかしたら生きているかも……)スッ
タッタッタッ
提督「おい!大丈夫か!」
シーン
提督(返事はない…脈は…………駄目か)
639: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 14:04:16.95 ID:aiIHOzsa0
提督(…………)
提督(細く小さい手だ……まだ子供だろうな)
提督(……このままでは可哀想だし……瓦礫をどかすか)
提督「よし、落ちてたこの棒で……テコの原理を利用して……」
提督「んぐぐぐぐ……」
ガラララララ
提督「よし……ちょっと動いたぞ」
提督「これで引っ張りだせそうだ」
提督「んしょっと……」
ズサァ
640: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 14:07:40.36 ID:aiIHOzsa0
提督「え……」
提督「……こ、この子は……」
卯月「提督……そんな所で何してるピョン……」
提督「う、卯月!来るな!来るんじゃない!」
卯月「何言ってるの……せっかくこのうーぴょんが手伝おうとして……」
ベトナム幼女「…………」
卯月「あ………」
提督「……」
641: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 14:11:11.68 ID:aiIHOzsa0
卯月「……また、会ったピョン」
卯月「起きるピョン……こんな所で寝てたらいけないピョン」ユサユサ
ベトナム幼女「…………」
卯月「なんで何も言わないピョン」ユサユサ
ベトナム幼女「…………」
卯月「そんな意地悪したらもう遊んであげないよ」
ベトナム幼女「…………」
卯月「……お願いだから……返事して……」ユサユサ
提督「卯月……もういい。やめるんだ」
卯月「なんで……よ……なんで……」ポロポロ
提督「…………」ダキッ
卯月「ひぐっ……うっ……」ポロポロ
642: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 14:13:32.60 ID:aiIHOzsa0
提督(…………)
提督(これが戦争……)
提督(俺は少し勘違いしてた……)
提督(戦争は俺達、軍人と深海棲艦の戦いじゃない)
提督(人類との戦いなんだ)
提督(深海棲艦は容赦なく攻撃してくる。例えこちらに抵抗できる力が無くても徹底的に)
643: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 14:14:02.70 ID:aiIHOzsa0
─────ホモ「私達がいれば深海棲艦を引きつけていられるし」
─────ホモ「それに……」
─────ホモ「ここを守れるじゃない」
644: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/10(水) 14:16:08.43 ID:aiIHOzsa0
提督(そうか……あの時、司令官がここから撤退しない理由を言っていた)
提督(カムランに住む人達を守る為……だったんだ)
提督(それなのに俺は自分達だけの事を考えて日本に帰ろうと……)
提督(…………馬鹿だな、俺は)グスッ
──────
─────
────
───
──
─
653: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 10:21:34.75 ID:4/pceNVc0
前回のあらすじ
個性豊かな南鎮守府の艦娘と触れ合う提督達
異国の幼女と遊んだり、交流会と称して共に食事をする事で仲が深まっていく
一方で、厳しい戦況から「任務を放棄し日本へ撤退」という答えをだす提督
しかしそんな思いとは裏腹に、北部にある小さな町が深海棲艦の攻撃を受ける
幼女は死に、町は町ではなく、ただの瓦礫の山と化す
提督はその惨状を見て、自身の戦争観を見つめなおす事となる
654: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 10:24:02.16 ID:4/pceNVc0
─
──
───
────
─────
──────
次の日
─母艦 ブリーフィングルーム─
ホモ「町の被害原因は艦載機による爆撃と戦艦級による砲撃」
ホモ「とくに戦艦による被害が主な様ね。あいつらの砲撃は簡単なビルなら一撃で倒壊させる程の威力だもの」
提督「敵艦載機の数が少なかったおかげで……戦艦の射程外は被害も少ないかったという感じでしょうか」
ホモ「ええ……ま、報告書はこんなもんでいいでしょう。どうせこんな物を書いた所で上のやつらは見ないし」
655: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 11:21:20.35 ID:4/pceNVc0
提督「…………」
ホモ「……どうしたのよ?元気ないようだけど」
提督「いえ……あの様な惨状を見るのは初めてでして」
ホモ「ああ、そういう事」
ホモ「あれはまだ町の原型が残ってるからいい方よ」
ホモ「空母型がもっといたら悲惨だったわよ~、爆撃で平地の様にまっさらになるんだから」
提督「……そうですか」
提督「…………」
提督「私達はここで待ち続けてもよいのでしょうか?」
656: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 11:22:11.99 ID:4/pceNVc0
ホモ「……どういう事かしら?」
提督「司令官は昨日、援軍がくるまでこの港を守りながら待つといっていましたが」
提督「はたしてそれは安全策といえるかどうかです」
ホモ「……気づいちゃったのね」
提督「確証は得てませんが」
ホモ「今まではそれで良かったんだけど……ちょっと事情は変わってきたわ」
657: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 11:36:31.31 ID:4/pceNVc0
提督「やはり最近の敵の動き……」
ホモ「ええそうね。察しの通り敵は攻勢をかけ始めてるの」
ホモ「提督ちゃんが通ってきたルートあるでしょ?私達が助けに来た場所」
ホモ「あのルートは陸地に近いし、少し前までは安全だったんだけど……」
ホモ「いつのまにかあの場所まであいつらが巡回するようになってね」
ホモ「そして、昨日の襲撃事件」
ホモ「……確信したわ」
ホモ「恐らくだけど敵はこちらの戦力に気づき始めている」
提督「それで、徐々に敵の動きが活発になっているのですね」
ホモ「ええ……近々あいつらが全艦隊で攻めてくる可能性もでてきたわね」
提督「約80隻の深海棲艦が一気に攻めてきたら……そうなったら今の俺達では太刀打ちできませんね……」
658: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 11:40:06.35 ID:4/pceNVc0
ホモ「……提督ちゃん、ごめんね」
提督「……?」
ホモ「提督ちゃんにはもう少ししたら言おうと思ってたのだけど」
ホモ「こちらに来たばかりで心配をかけるのも悪いと思ってアタシの心の中に留めてたわ、ごめんなさい」
提督「いえ、お気遣いありがとうございます」
提督(ほんとゴツイ見た目とは違って優しい人だよなこの人は……ホモだけど)
659: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 11:42:37.39 ID:4/pceNVc0
ホモ「ったくどうしようかしらねぇ。結局あいつらとこの戦力でやり合うしかないのかもしれないわぁ」ハァ
提督「……なら」
提督「こちらから攻めましょう」
ホモ「え?」
提督「ここで守っていてもやられるだけです」
提督「相手が数の有利に気づき浮き足だっているならこちらから攻めるべきです」
ホモ「それは無理よ。同じ事……いえ迎撃するより悲惨な結果になるわ」
提督「はい、普通にやっては駄目でしょう」
ホモ「……何か策があるの?」
提督「ないです」
ホモ「あらっ……」ズルッ
ホモ「て、提督ちゃん。自身満々に言うからなんかあるのかと思っちゃったじゃない」
提督「これから考えます。きっと何かある筈です」
ホモ「そ、そうねぇ……まぁ考えるだけはタダだし……私も何かできる事がないか模索してみるわ」」
提督「……はい」
660: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 15:48:09.24 ID:4/pceNVc0
・
・
・
・
・
─第2艦隊母艦 甲板上─
ザザーン ザザーン
提督「はぁ……とはいったものの何も考え付かん」ブツブツ
提督「やはり敵の数がネック……艤装や練度だけでカバーするには到底及ばないしな」ブツブツ
提督「どうしたらいいやら……」ブツブツ
日向「しかめ面で独り言、どうしたんだい?」
提督「……日向」
日向「随分疲れた顔をしているな」
661: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 15:52:20.53 ID:4/pceNVc0
北上「昨日は色々大変だって聞いたけど大丈夫ー?」
雪風「しれぇ!元気だしてください!」
伊58「ゴーヤが癒してあげるでち」
加賀「甘い物でも食べれば良くなります」
提督「皆、身体はもう大丈夫なんだな」
大和「ええ、平気よ。昨日一日休ませてもらったおかげで」
662: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 15:53:56.36 ID:4/pceNVc0
提督「そうか、なら現在の状況を説明しないといけないな」
日向「いや、それは大丈夫だ。あらかた利根さんから聞いている。入渠室にいるに時にね」
加賀「敵の戦力はこちらより数という部分で有利、戦況は厳しいと聞きました」
大和「それをどうにかしようと一人で顔を歪めながら考えていた……ってのが今じゃない?」
提督「……お見通しか」
663: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 15:54:56.77 ID:4/pceNVc0
雪風「しれぇ、一人で悩まず雪風達も頼ってください」
伊58「そうでち。3人寄ればもんじゃ焼きっていうでしょ?」
日向「いやいや、もんじゅの知恵、だ」
加賀「もんじゃ焼き!どこですか!」
日向「加賀、少し黙っててくれないか?」
大和「とにかくあまり考えすぎちゃ駄目よ。また疲れがたまって倒られたら困るもの」
提督「……分かったよ。たしかに頭も煮詰まってきたし」
提督「コーヒーでも飲んで休憩してくるとするよ」スッ
664: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 15:56:10.66 ID:4/pceNVc0
スタスタスタ
日向「…………」
日向「提督」
提督「ん?」クルッ
日向「”思いもよらない物が意外な効果を発揮する。案外そういった物は身近にあったりする”」
日向「昔好きだった本の言葉だ。主人公が色々な小道具を使って逆境を乗り越えていく物語」
日向「もしかしたら今、そういう戦い方が求められているのかもしれない」
提督「……ふむ」
日向「……すまない。抽象的すぎた。忘れてくれていい」
提督「いや、ありがとう。参考にするよ」
提督(思いもよらない物……か)
提督(増援や必要以上の物資の支給が見込めない以上、幅広い視野を持ち考える必要があるのかもしれんな)
提督(ふむ……)
提督(……そいや昨日、明石にいつでも訪ねてもらっていいっていわれてたな)
提督(あそこには色々面白い物もおいてありそうだし……覗いてみるか)
─────────────────────────
─南鎮守府艦隊母艦 開発室─
提督(明石はどこかな……)キョロキョロ
明石「提督さん、お疲れ様です」スッ
提督「おお、お疲れ様。今日も艤装弄りか?」」
明石「ええ、といってもこの前の戦いで使った艤装のメンテナンスですが」
提督「そうか。ご苦労様」
667: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 16:06:10.10 ID:4/pceNVc0
明石「ありがとうございます。提督さんはどうしたのですか?」
提督「ん……ああ。何か面白い物はないかなと思ってな」
明石「面白い物……よく分からないですが、そうですねぇ」
明石「ここらへんの壁にかけてある艤装は実戦で使える様明石が手を入れました。良ければ見ていってください」
提督「了解した」
668: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 16:08:08.49 ID:4/pceNVc0
提督「…………」キョロキョロ
提督「ん……随分大きな……連装砲か?」
明石「はい。それは41cm連装砲です」
明石「敵戦艦が同じ様な艤装を持っているので司令官から作るよう頼まれたのですが」
提督「ですが?」
669: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 16:12:12.29 ID:4/pceNVc0
明石「艤装できる艦娘の方がいなくて……」シュン
明石「何せ、威力と射程は申し分ないのですが反動が強すぎるのと戦艦しか艤装できない代物でして」
明石「結局、こうやってインテリアの様になっています……」
提督「ふむ……」
明石「普通の41cmより更に射程を延ばす為に砲身を延ばしたり火薬の量を増やしたりと私なりの改造を施した自信作なのですが」
明石「しょうがないですよね……使える方がいなくては……」シュン
提督「………」
提督「明石、うちの艦娘ならいけるかもしれん」
明石「え?」
提督「この連装砲が小さく見える様な土台を持ち、35.6cmを涼しげに打ちまくる艦娘が一人いるんだ」
提督「試してみよう」ニコッ
670: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 16:13:23.64 ID:4/pceNVc0
・
・
・
・
─海上─
ドォォン
大和「ふぅ……これくらいなら大丈夫よ。もう一つ積んでも問題ないわ」
明石「……」ポカーン
提督(大和なら扱える……思った通りだ)
提督(自身の身体能力の高さと重装備を可能とする基本艤装……それが可能としているんだろう)
※基本艤装……その艦娘特有の艤装。飛行甲板などの事を指す
671: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 16:15:47.59 ID:4/pceNVc0
明石「……す、すごい」
明石「すごいですよ大和さん!!」ガバァ
大和「きゃっ!あ、明石ちゃん?」
明石「この明石……艦娘の方を多く見てきましたが……これ程まで……41cmを軽々と扱える方をみた事がありません」
大和「い、言い過ぎじゃないかしら……」
明石「そんな事はございません!!!!凄いんですよ!」グワァ
大和「ひぃ!」ビクッ
672: ◆vLyL7y0Zk. 2014/12/16(火) 16:17:51.97 ID:4/pceNVc0
明石「しかもまだ余力があるなんて……これはたっぷり時間をかけて検証及び調整する必要がありますね」ニヤァ
大和「て、提督。なんかよろしくない展開の気がするわ、助けて頂戴!」
提督「……すまん大和。今回の任務で重要な戦力になるんだ……という訳でここは見逃させてもらう」
大和「ひ、酷い!」
明石「さあ……大和さん。身体を少し触らせていただきますので……どうぞこの明石に身をお任せください!」
大和「明石ちゃん……目が危ないけど……大丈夫かしら?」
明石「はい、明石は大丈夫です!」
キャァァァソコハダメェェ
ウゴカナイデクダサイ!
提督(………よ、よし。これでこちらも敵と同等の遠距離砲撃が可能となる……一歩前進だな)
提督(しかし、まだだ。まだ敵を叩く為の要素が足りない)
提督(あの数に対抗できる手段……何も強力な艤装や兵器じゃなくていいんだ)
提督(こちらが敵艦隊に近づくまで、攻撃を引きつける様な何かがあれば……)
698: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 21:43:59.16 ID:7GbpuRbmo
前回のあらすじ
ホモ提督に改めて任務遂行の意思を伝える提督
数という戦力差をどうにかする為悩んでいると日向から
”思いもよらない物が意外な効果を発揮する。案外そういった物は身近にあったりする”という助言を貰う
様々な物を取りそろえる明石専用ともいえる南鎮守府の開発室。そこへ訪ねた提督は戦艦の主砲の一つ、41cm連装砲を見つける
敵戦艦の遠距離砲撃に対抗しうる武器になると考えた提督は明石に使用できないかどうか尋ねる
明石によると強い反動に耐える事ができる大きな艤装を持った戦艦でないと扱いは難しい、南鎮守府艦隊に扱える者はいないと答える
提督は同艦種である大和ならばどうかと試した所、難なく運用できる事が分かる
カムラン攻略に向けて一つ強みができたと喜ぶ提督だが、肝心の敵の数をどうにかする糸口が見つからない
そして考え疲れたのか知恵熱を感じた提督が頭を冷やす為に港へ訪れると……
699: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 21:44:45.75 ID:7GbpuRbmo
──────────────────────────────
─港─
川内「そろそろ行こうよ」
卯月「了解っぴょん!早くいくぴょん!」サッ
弥生「卯月、あんまり暴れると花が駄目になる」
提督「何やってるんだ、お前ら」スッ
川内「お、提督さん。こんにちは」
卯月「あーーいい所にいたピョン!」
弥生「こんにちは」
提督「うむ、こんにちは」
700: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 21:47:27.51 ID:7GbpuRbmo
卯月「今から北部の町へ手伝いにいくピョン。提督もいっしょにきてよぉ」
提督「ほう。まだ瓦礫は残っているもんな……お前らの力があればきっと町の人も喜ぶだろう」
提督「だが司令官には許可をとっているのか?」
川内「うん。私達3人は貰ってるよ」
弥生「そこは抜かりない」
701: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 21:52:08.32 ID:7GbpuRbmo
提督「ならいい。所で気になったんだがなぜ戦闘服じゃなくて軍服なんだ?その花たばもどうしたんだ?」
卯月「……死んじゃった子達に贈る花ピョン」
川内「あのヒラヒラした戦闘服だとちょっと明るすぎるし、軍服なら少しはまともかなって」
提督「……なるほど」
弥生「昨日今日の話だからちゃんとしたお墓はできていないみたいだけど」
弥生「それでも精一杯弔いたいと思って……」
702: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 21:53:29.48 ID:7GbpuRbmo
提督「ふむ、それなら俺も行こうかな。司令官には今から言っておくよ」
川内「さすが提督さん」グッ
卯月「うーぴょんが見込んだ男」
提督「ああ、見込まれてるからにはいかないとな」ニコッ
弥生「…………」ジー
提督「ん、どうした弥生。俺の顔になんかついてるか?」
弥生「卯月が気に入った理由、分かった気がする」ボソッ
提督「ん?」
弥生「……何でもない。さっさといこう」
スタスタスタ
提督「お、俺、弥生になんかしたか?怒っている様に見えるのだが」
卯月「大丈夫!弥生のあの顔は照れ隠しピョン。提督も罪な男ピョン」
提督「そうか。よく分からんが怒ってないならいい」
703: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 21:59:17.92 ID:7GbpuRbmo
・
・
・
・
・
・
─カムラン 北部の町─
提督「これがあの子のお墓か?」
川内「うん。通訳の人に聞いたらここだってさ。親御さんと一緒に埋葬されてるみたい」
提督「親御さんも亡くなったのか?」
川内「……うん」
提督「……そうか」
卯月「…………」ジー
卯月「仇は取るよ」
提督「ん?」
卯月「絶対許さないもん、あいつら」
卯月「絶対に」グッ
提督「卯月……」
弥生「………お花、添える」スッ
提督「あ、ああ」スッ
川内「…………」スッ
卯月「…………」スッ
提督達「「…………」」
提督(もし天国があるなら……せめてそこで幸せになってくれ)
704: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:01:26.32 ID:7GbpuRbmo
卯月「……っよし!黙祷終わりぴょん!いつのもの元気なうーぴょんに戻るピョーーーン!」サッ
提督「っておい、急に抱きつくなっていっただろ!ていうか切り替え早いな!」ダキッ
卯月「いつまでもメソメソはよくないもん。悲しいけど、うーぴょん達は軍人ぴょん」
卯月「ずっと下を向くより前を向いて、そんで主砲をぶっ放して深海棲艦を一隻でも多く倒す!それがうーぴょん達、艦娘だぴょん!」
川内「うんうん。卯月のいう通りだね。私もバンバン夜戦であいつらを倒さなきゃ!」
弥生「深海棲艦なんかに負けないよ、弥生達は」
提督(こ、こいつら……)ジーン
705: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:04:01.82 ID:7GbpuRbmo
提督「むぅ」グスッ
弥生「わー、なんで涙ぐんでるぴょん!提督の泣き虫ー!」
提督「う、うるさい……ったく……お前らが変な事いうから……ちくしょう」ゴシゴシ
川内「ぷっ、あははは。何それ!」ケラケラ
弥生「……」クスッ
卯月「やーい!いい大人が泣くなんて恥ずかしいぴょん!」キャッキャッ
提督「くそ!来なきゃよかったよ!」グシグシ
川内「あははっ……はぁ、笑い過ぎてお腹いたい。私も提督さん気に入ったわー」クスクス
卯月「でしょ?うーぴょんは人を見る目があるピョン」
706: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:05:40.11 ID:7GbpuRbmo
提督「はぁ……なんか一気に疲れた。さぁ瓦礫除去の手伝いにさっさといくぞ!」スッ
卯月「あ、待ってピョン」スッ
提督「どうした?」
卯月「これに……ふーーーーーー」
プクーーーー
提督「もしかしてあの時……この子にもらった風船か?」
※>>611参照
卯月「うん、一緒にお供えするの。できたピョン」
卯月「これを紐で結んでここに……」
卯月「あれ、おかしいピョン」
提督「どうした?」
707: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:06:31.58 ID:7GbpuRbmo
卯月「浮かないピョン。風船は浮くはずピョン」
提督「そりゃそうだ。普通の空気を入れてるんだから」
卯月「どういう事ピョン?」
提督「空気中に浮く風船ていうのは水素やヘリウムを入れる必要があるからな」
卯月「うー、よく分からないけど口で空気いれたら駄目?」
提督「駄目だな。機械かなんかでいれないと」
卯月「残念ぴょん」シュン
708: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:07:24.07 ID:7GbpuRbmo
川内「ふっふっふっ……残念がるのは早いよ卯月、これを見て」バッ
卯月「そのスプレー缶はなにピョン?」
川内「ヘリウムガス缶だよ。これを使って細い管でガスをいれればきっと平気だよ!」
卯月「おおお!さすが川内ぴょん!」
提督「なんでそんなもの持ってるんだ?」ジトー
川内「任務で使ったりするからねーこういう小道具は持ち歩いてるんだ」
提督「なんだ任務って……忍者かお前は」
卯月「さっそくいれるピョン」シューーーー
プクーーーーー
709: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:10:34.31 ID:7GbpuRbmo
卯月「おおお!浮いてるピョン!」
提督「あんまり入れすぎるなよ。割れたら元もこもない」
卯月「大丈夫ピョン……あっ」
フワッ
提督「お、お前!離したら駄目じゃないか!」
卯月「あうっ……やってしまったピョン……あそこまで飛んだら取れないピョン……」シュン
提督「ドジだな」
卯月「ピョン……」シュン
710: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:12:04.18 ID:7GbpuRbmo
提督「あ、そうだ。風船がたしか……ほらこれ」ガサゴソ
卯月「!」
提督「卯月が分けてくれたやつだ。使うといい!」
卯月「やったピョン!提督はやっぱりできる男!」ササッ
提督「もう離すなよ」
卯月「大ジョブぴょん……っとよし。これをお墓に結び付けて……完成ぴょん」
弥生「いい感じ」
川内「ゆらゆら揺れてなんか可愛いじゃん」
卯月「満足ピョン!」
提督「よかった……ん?」チラッ
提督「卯月の離した風船、もうあんな所までいってるな」
卯月「すごい高くまでいくピョン。宇宙までいくの?」
提督「その前に割れるよ。気圧とか温度の関係でな」
川内「ふーん。風があるから結構の早さで動くね」
提督「海沿いだからなぁ……」
711: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:12:46.94 ID:7GbpuRbmo
───”思いもよらない物が意外な効果を発揮する。案外そういった物は身近にあったりする”──
712: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:13:54.02 ID:7GbpuRbmo
提督「…………!」
提督「これ……いや……いけるか?……」
川内「提督さん、急に険しい表情でどうしたの?」
提督「そうか、材質的にも……うん」ブツブツ
卯月「ブツブツ言い始めてなんか提督の様子が変ピョン」
提督「しかし問題が……だけど、俺が覚悟を決めて……」
弥生「……何も聞こえてないみたい」
提督「よし!!!」ダンッ
川内「わっ!きゅ、急に大きな声ださないでよ」
提督「お前らすまん!俺は用事を思い出した!先に戻るよ!」スッ
タッタッタッタッタッタッ
713: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:14:40.00 ID:7GbpuRbmo
川内「急にどうしたんだろ?」
卯月「またあとで遊ぼうピョーーン!」フリフリ
弥生「卯月はなんで誇らしげに見送ってるの?」
卯月「きっとあの様子、提督はすごい事してくれるピョン」
川内「ええ……なにそれ?」
卯月「うーぴょんが見込んだ男は、ただの優しい男じゃないって事ぴょん」
714: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:19:06.78 ID:7GbpuRbmo
───────────────────────────
─南鎮守府母艦 開発室─
明石「ふんふふーん♪大和さんにはもっとお礼をいっておけば良かったですね。まさか41cm連装砲をあんなに軽々と扱える方に出会えるなんて……」
明石「久しぶりにやりがいがありました!」グッ
明石「なんかこう気分が上がっちゃいますねぇ……今日は踊りながら作業しちゃおうかしら、らんららーん♪」クルクル
ガチャァン
提督「明石!!!!」
明石「キャッ!て、提督さん!急に入ってこないでください!」///
715: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:20:45.58 ID:7GbpuRbmo
提督「すまない!それよりある物を早急に作りたいんだ!協力してくれ!」
明石「はぁ……?一体なんですか」
提督「これだ!」
明石「えっと……これは」
明石「風船です?」
提督「飛ばす!」
明石「と、飛ばす?」
提督「囮!」
明石「お、囮?」
提督「爆発!」
明石「ば、爆発?」
提督「さぁ、取り掛かるぞ!」
明石「て、提督さん!!一旦落ち着いてしっかり話してください!」
716: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:30:29.76 ID:7GbpuRbmo
・
・
・
・
・
・
明石「─────なるほどですね。風船を囮にするという作戦の為に必要、と」
提督「ああ、すまんな。気持ちが先走ってて意味わからない事をいってしまって」
明石「いえ……それより、そんな作戦上手くいくのでしょうか?」
提督「難しいと思うか?」
明石「そうですねぇ。風船をどうやって深海棲艦の所まで飛ばすという物理的な話より」
明石「そもそも深海棲艦が風船に対して反応するかどうかですね」
提督「ふむ」
明石「風船がただの浮くだけの代物だとしっていたら意味がないですよね」
717: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:36:00.98 ID:7GbpuRbmo
提督「たしかに……だが、恐らく平気と思っている」
明石「根拠はあるのですか?」
提督「機雷だ」
明石「機雷?もしかして提督さん達を救った時の事ですか?」
提督「ああ」
明石「うーん……あれは霧が濃くてよく見えなかったおかげで成功しただけだと思いますが」
提督「そうだな。あそこまで敵を誘導できたのはそのおかげだ」
提督「しかし、どうだ。あいつらが機雷に囲まれている事に気付いた時の反応」
提督「まるで何か分からない物を見たような反応で機雷にむしろ近づくような行動だった」
明石「たしかにそんな感じはしましたが……機雷を知らなかっただけでは?」
718: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:37:09.30 ID:7GbpuRbmo
提督「それだ。そういう事なんだよ」
提督「あいつらはこちらの文明にあるものを多く理解していないと俺は思っている」
提督「機雷しかり……恐らく風船を見てもなんなのかわからんだろう」
提督「それを利用して威力のない見せかけの爆発をする様にしたり」
提督「目を引く為わざと色合いを強くしたり色々細工をしようとは思う」
明石「そういうことですか」ウーン
提督「とはいえ、これはあくまで仮説……信用するかしないかは任せるよ」
719: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:39:27.51 ID:7GbpuRbmo
明石「ホモ提督にはお話になりましたか?」
提督「まだだ」
明石「……分かりました」
明石「技術的には恐らく問題ない成果物ができると思っていただいて結構です」
明石「ただそれをどうするか……ホモ提督にどう説明されるかはお任せします」
提督「そうか。ありがとう明石、ではちょっと司令官の所へいってくる」
提督「許可をもらったらすぐ手伝いにいくよ。恐らく妖精の技術がないとできない事もあるだろう」
明石「はい、お待ちしております」
720: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:41:25.96 ID:7GbpuRbmo
・
・
・
・
・
・
・
提督「────以上が、本作戦の内容です」
ホモ「……貴方、正気?」
提督「正気です」
ホモ「…………」ハァ
ホモ「死ぬかもしれないのよ?」
提督「覚悟はできております」
ホモ「そう」
ホモ「分かったわぁ。これでいきましょう」
721: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:43:02.07 ID:7GbpuRbmo
提督「了解しました。こちらの艦娘達には私の方から上手く伝えておきます」
ホモ「そうね、それがいいわ。この作戦は人を選んで伝える事にしましょう」
提督「はい……早速、詳細の資料を作成するのでしばらく席を外します。でき次第ご報告いたします」
ホモ「ええ」
提督「失礼します」スッ
ホモ「……待ちなさい」
提督「?」ピタ
ホモ「なぜそこまでするのよ」
722: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:44:54.36 ID:7GbpuRbmo
ホモ「提督ちゃんは気づいてると思うけど……今回の作戦、無理に遂行する必要はないわ」
ホモ「爺の命令だから仕方ないとはいえ、ここを放棄した所で大きな実害はないっていった筈よ」
ホモ「なんで撤退をしようと考えないのよ」
提督「……お言葉ですが」
提督「それは司令官、貴方だって同じです」
ホモ「え?」
提督「ここを放棄せず今まで守り続けているじゃないですか」
ホモ「そ、それは……」
723: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:48:05.40 ID:7GbpuRbmo
提督「私は……最初撤退しようと考えていました」
提督「だけど、司令官がここを守れるといった言葉」
提督「ここに住む人々を救う為の物だと気づいたのです」
提督「恥ずかしい話ですが、それを言われるまで自分達軍人と深海棲艦だけの戦いだと思っていました」
提督「けれど、私達がここを離れる事で多くの人間が死ぬ事になる」
提督「こんな大事な事にも気づかず……」
提督「人間として情けないです」
ホモ「提督ちゃん……」
提督「私は……いえ、俺は軍人になった理由が好きな女性の為でした」
提督「こんなはしたない理由で軍人になった……ですが、それでも一人の人間として一人でも多く守る為に戦う所存です」
ホモ「……全然はしたない理由じゃないじゃない。とっても素敵だと思うわ」
724: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:49:21.19 ID:7GbpuRbmo
ホモ「あたしが軍人になった理由なんて、好みのたくましい男共がいるからなのよぉ」
ホモ「笑っちゃうでしょ?でもあたしにはそれぐらいしか魅力がなかったのよ、軍人なんてね」
ホモ「軍に入りたての頃は嫌な事ばっかりだったわ」
ホモ「あんな化け物と対峙しなきゃいけないし、艦娘とかいう女子共に囲まれる生活」
ホモ「最初はすぐやめようと思ったのよぉん?」
ホモ「でもね」
ホモ「ある時、任務で深海棲艦から襲われてた町を救った事があるのよ」
ホモ「そしたらすごい感謝されたわ」
ホモ「貴方こそヒーローだ、ありがとう!とかもうホントおだてられちゃってね」
ホモ「良い男共も泣きながら握手しにくるのよ。最高だったわ」
ホモ「今まで疎まれる事はあっても、こんなに求められる事なんて無かったもの」
725: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:49:52.94 ID:7GbpuRbmo
───「同性を好きになるなんて気持ち悪いなぁ」───
───「友人だと思っていたのに……もう近づかないでくれ」───
───「同性愛者?ああ、すまんが普通の人を雇いたいんだ。今回の内定は無かった事に」───
726: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:51:02.09 ID:7GbpuRbmo
ホモ「ホモセクシャルってだけで冷たい待遇だった今までの人生が華やかになった気がしたわ」
ホモ「救ってたつもりが逆に救われたわよ。自分にもいて良い居場所があるんだってね」
ホモ「だから私はここを放棄するつもりはないわ。もしそんな事したら……私は居場所がなくなっちゃうもの」
提督「……」
ホモ「提督ちゃん。今回は貴方に棄権な役目を背負ってもらうかもしれないけど」
ホモ「やるからにはアタシも覚悟ができてるわぁん」
ホモ「一緒に深海棲艦のアナルに主砲をぶちこんでやろうじゃない!」
提督「……分かりました。共にがんばりましょう!」スッ
ホモ「ウフフ、さぁ私も今回の作戦の為に色々準備しないとね」ガシッ
シカシ、シレイカン。イチイチシモネタヲツカウノヤメテクレマセンカ?
イイジャナイ。ヘルモンジャナイシ
──────
─────
────
───
──
─
727: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:51:29.19 ID:7GbpuRbmo
──そうして二人の司令官はとある作戦を決行する為に、数日間ではあるが合同訓練を開始する
728: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:52:08.15 ID:7GbpuRbmo
ホモ「なにやってるのよ卯月!あんた発情期のウサギじゃないんだから落ち着いて行動しなさい!」
卯月「う、うるさいピョン!ちょっと足を滑らせただけ!」
提督「加賀、今回は航空戦で必ず有利にたたねばならない。厳しくいくが我慢してくれ」ジッ
加賀「……承知しました」
利根「ホモ提督のやつ、随分気合はいっとるのぉ」
伊58「でち……ウチのてーとくさんもいつもより怖い感じがするもん」
ホモ(何時あいつらが襲ってくるか分からないわ……とにかく少ない日数で練度を高めないとだめねぇ……)
提督(弾薬や燃料も限りがあるんだ。時間はかけれないぞ……)
729: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:53:45.46 ID:7GbpuRbmo
── 時間も資材も余裕が無い事を気にかけながら、全力で訓練に取り組む二人の指揮官
ホモ提督はベテランとして培ってきた経験を
提督は経験不足ながらも士官学校を首席として卒業した実力と自身のカリスマ性を
それぞれ違う要素を持った指揮官が艦娘を効率よく訓練していく
730: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:54:45.31 ID:7GbpuRbmo
利根「中々くたびれるのぉ……」グッタリ
大和「そうですね……今敵にこられたらやられちゃいますね」グッタリ
利根「じゃの……そういえば大和よ。お主、今回も旗艦かの?」
大和「はい。利根さんもですか?」
利根「うむ、ホモ提督が言うには旗艦は感情的にならず理論的に物事を考える事ができる奴が向いていると言っておってのう」
利根「それが吾輩じゃからと旗艦を外された事ないんじゃよ」
大和「そうですか。たしかにそんな感じしますよね」
利根「今回聞いている作戦、かなり無茶をすると聞いておる」
利根「だからこそどんな事がおきても平常心でいなければいけないのじゃ」
大和「平常心……ですか」
利根「そうじゃ。慌てていたりすればそれだけで正常な判断はできなくなる」
利根「人間なんて感情でいきる生き物じゃ。それを制御する事は大変な事じゃが」
利根「命を削り合うこの戦争では最も重要な事じゃて」
大和「……」
大和(平常心……か)
大和(私は結構感情を表にだすタイプだし、難しいかしら?)
731: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:55:37.30 ID:7GbpuRbmo
────────────────────────
日向「今だ!」
ドォン
ドカァン
川内「わーーあの距離を一発で当てた!」
日向「弾着修正射撃という技術だ。艦載機を利用して敵の位置を空間的に把握する事で弾着座標を管理する事ができる」
川内「何言ってるかさっぱりわかんないけど、すごいんだねー」
日向「まぁ私の場合、静止状態を維持しないと使えないというデメリットもあるがな」
川内「それでもすごいよ!私はこれくらいしかできないし」サッ
サササササササッ
日向(なんだあれは?!……かなり早い動きにも関わらず海上での水着音がまったくしない)
日向(海上をまるで滑るようにして走っている……どうやったらあんな動きが……)
川内「これに私専用のレーダー遮断マフラーがあれば相手に気づかれずに敵に近づけたりするんだよねぇ」
日向「……」ジー
川内「どうしたの?」
日向「いや、世の中広い……と思ってね」
日向(中央の艦娘達を見ても驚いたが……こんな所にもすごい技術を持った者がいるとは)
日向(……私も負けてられないな)
732: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:56:27.82 ID:7GbpuRbmo
──二人の指揮官の熱に感化されたか艦娘達にも気合がはいる
互いに技術を見せ合う事で競争心と一体感を生み出し
少ない期間で質の高い訓練に成功。みるみると練度があがっていく
そして──
733: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:56:54.10 ID:7GbpuRbmo
ホモ「そろそろ……ね」
提督「……はい」
提督「今週は天候や風向きも作戦に最適と明石より報告がきています」
ホモ「わかったわ。じゃあ今日のヒトフタマルマル」
ホモ「甲板に集合するよう声をかけて頂戴」
提督「了解です」
734: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 22:57:32.71 ID:7GbpuRbmo
・
・
・
・
・
─母艦 甲板上─
ホモ「みんな集まったかしらぁ?」
利根「全員揃っておる」
ホモ「ならいいわ。じゃあ……」コホン
ホモ「あんた達をここに集めた理由、各々感づいてると思うけど」
ホモ「いよいよ作戦決行する日が来たの」
艦娘達「「……!」」ザワッ
735: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:00:33.41 ID:7GbpuRbmo
ホモ「短い期間ではあったけどこの為に必死に訓練したわ」
ホモ「正直まだまだ足りないくらいだけど……」
ホモ「時間をあまりかけていられない」
ホモ「という訳で明日の朝、深海棲艦共を叩きに行くわよ!」
利根「ついにやるのじゃな」
ホモ「ええ」
卯月「うーちゃん達が本気を出す時がきたぴょん!」
弥生「……頑張る」
鈴谷「うわー明日か。カレーでも食べて調子を整えてこ!」
熊野「今日は早めに寝るとしますわ」
川内「夜戦じゃないのが悔やまれるねー」
雪風「雪風!必ずお役に立ってみせます!」
伊58「潜水艦の凄さを見せてやるでち!」
北上「ちゃっちゃと終わらせて日本帰ろー」
日向「念入りに瑞雲の整備をしておくか」
加賀「今日はいつもより多めに食べ貯めしておきましょう」
736: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:03:26.28 ID:7GbpuRbmo
ホモ「という訳で連絡は以上。さぁ、今日は明日の為に各自備えなさい」
艦娘達「「了解です!」」
ヘヤニモドルノジャ
デチ
デスワー
ヤセン!
ワイワイ ガヤガヤ
大和(ふぅ……いよいよね)
大和(明日の作戦書、もう一度見直しておこうかしら)
提督「大和」
大和「はい?提督じゃない、どうしたの?」
提督「今日の夜、ちょっと話があるんだ」
提督「前、ここで話た時と同じくらいの時間に来て欲しい」
大和「今話せばいいじゃない」
提督「駄目だ!今日の夜!一人できてくれ、頼むぞ!」スッ
大和「あ、ちょっと!……っていっちゃったわね」
大和「もう……」
737: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:04:50.63 ID:7GbpuRbmo
・
・
・
・
・
・
─その夜─
大和「話って何?」
提督「…………」
大和「提督?」
提督「小さい頃の事、覚えてるか?」
大和「え、う、うん。急にどうしたのよ」
738: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:06:24.60 ID:7GbpuRbmo
提督「俺がお前ん家の近くに引っ越してきて知り合って……大和はあの時から変わらないよな」
大和「そうかしら?まぁでも提督は変わったわよね。昔はもっと口調が柔らかかったし、素直で良い子だったわ」
提督「まるで今は素直じゃないみたいだな」
大和「あら、そういう意味だけど」クスクス
提督「ったく……そんでさ、艦娘の適性受かった事で喧嘩したよな」
大和「そうね。提督ったらすごい嫌な言い方するんだもの。あの時は怒りっていうか悲しくてしょうがなかったわ」
提督「はは……お互い子供だったという事で許してくれ」
739: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:07:52.95 ID:7GbpuRbmo
大和「別に気にしてないわよ。提督の言う事は今身に染みてるしそれに……」
提督「それに?」
大和「提督だって今同じ場所にいるじゃない、私と」ニコッ
提督「………ああ」
大和「それで結局なんでここに呼んだのよ?何か用があったんでんしょ?」
提督「うん。そうなんだ」
提督「ええと」
提督「どうしてもお前に伝えたい事があってな」
大和「もう、もったいぶらずに言いなさい」
740: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:09:07.99 ID:7GbpuRbmo
提督「お、俺は!」
提督「お前の事が好きだ!子供の頃から……ずっと好きだった!」
提督「も、勿論、女性としてだ」
大和「……」
大和「……へ?」
741: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:09:48.85 ID:7GbpuRbmo
提督「返答はいらない。只、この気持ちをお前に伝えたかった」
提督「いきなりこんな事いわれて訳わからんと思うが」
提督「今まで通り一緒にいてくれれば俺はそれでいい」
提督「それだけだ」
大和「…………」ポカーン
提督「俺は先に部屋に戻る。明日の戦い、頑張ろうな」
大和「え……ええ」
提督「おやすみ」
提督(これでもう、悔いは無い)
スタスタスタ ガチャン
大和「……」
大和「私……今」
大和「告白された?」
──────
─────
────
───
──
─
742: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:10:55.64 ID:7GbpuRbmo
─
──
───
────
─────
─次の日─
ホモ「提督ちゃん、そっちはどう?」
提督「こちら第2艦隊も問題ありません」
ホモ「了解よ」
ホモ「それではこれよりカムラン海域に遊弋する深海棲艦の殲滅及び海域奪還に向けて出発するわ!」
ホモ「各艦娘は指定の配置につきなさい!」
艦娘達「「了解!」」
743: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:13:11.33 ID:7GbpuRbmo
ホモ(とりあえず艦娘達は問題なさそうねぇ)
ホモ(あとは)チラッ
提督「司令官、私は予定通り後ろから母艦で付いていきます」
ホモ「え、ええ。そうね」
ホモ「……今からでも止めれるわよ、提督ちゃん」
提督「大丈夫です」
提督「では準備しますので失礼します」
スタスタスタ
ホモ(酷なものを背負わせちゃったわね)ハァ
744: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:15:31.29 ID:7GbpuRbmo
───────────────────────────────
─海上─
利根「うむ。周辺異常なしじゃな。大和、そっちはどうじゃ?」
大和(結局……提督は朝会った時もいつも通りだったし)
大和(なんだったのかしら……ほんとに)
利根「大和!聞こえておるのか!」
大和「はいっ!あ、えと……」ビクッ
利根「何をぼーっとしてるのじゃ。戦(いくさ)前だというのに」
利根「お主は旗艦なのじゃからしっかりしてくれないと困るぞ」
大和「はい……すみません」
利根「とにかくじゃ。あと少しで敵の群れと遭遇する筈」
利根「昨日も言ったがの。何があっても平常心じゃぞ、平常心」
大和「平常心……そうですね。旗艦の私がしっかりしないと駄目ですよね」
利根「うむ、その意気じゃ」
大和(そうよ大和……今はそんな事を考えてる場合じゃない)グッ
745: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:17:05.57 ID:7GbpuRbmo
・
・
・
・
・
─数時間後─
利根「大分進んだのぉ」
大和「そうですね」
加賀「……」
加賀「……っ」ピクッ
日向「加賀」
加賀「はい……ここから先に敵艦隊を発見しました」
加賀「数は予測通り約80隻。こちらにはまだ気づいてないようです」
大和「了解よ。作戦通り私達第2艦隊は敵右方から回り込むわ」
利根「了解じゃ。ではこちらもは反対側へ回り込む準備をするのじゃ」
746: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:25:16.14 ID:7GbpuRbmo
──────────────────────────
─深海棲艦の群れ─
空母ヲ級1「…………」
空母ヲ級1「……ヲ?」
戦艦ル級FlagShip「ドウシタ?」
空母ヲ級「アチラカラオカシナ物体ガ……フワフワト浮イテル」
戦艦ル級FS「ン……タシカニミエルナ。ナンダアレハ……?」」
空母ヲ級1「カラフルデ……ヲヲッ?!」
戦艦ル級FS「ム?」
空母ヲ級「バ、爆発シタ!アノフワフワシタ奴!敵ノ新型兵器カモシレナイ!」
戦艦ル級FS「爆発ダト?ナラバ……遠距離射撃班、砲撃ジュンビ」
深海棲艦 戦艦達「「…………」」ズズズズズ
戦艦ル級FS「フンッ……アチラカラワザワザ来ルトハイイ度胸ダ」
747: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:26:47.99 ID:7GbpuRbmo
──────────────────────────────────
─中央第2艦隊─
加賀「っ!あれは一体……」
日向「どうしたんだ加賀」
加賀「深海棲艦の群れから更に奥の方からですが」
加賀「風船の様な物が深海棲艦に向かって流れ浮いています」
大和「風船?!」
加賀「数は200、いえ……300程はあるかと」
加賀「深海棲艦達が風船に向けて攻撃を開始しました。見てる限り少々爆発する程度で敵へダメージとなる様には見えません」
日向「ふむ……囮か?」
大和「あちらの司令官が何か用意したのかしら?」
日向「かもしれないな。敵を陽動する為に何らかのアクションをすると言っていたし」
748: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:27:55.34 ID:7GbpuRbmo
加賀「……もう一つ情報なのですが」
加賀「私達の母艦から風船が出ている様に思われます」
艦娘達「「ええ?!」」
雪風「しれぇの母艦はもしもの時の為、後方に配置してるはずです!」
日向「いや、今瑞雲で確認したがいつのまにか提督の母艦が消えてるぞ!」
北上「ははーん、そういう事ねー」
伊58「どういう事でちか?」
北上「最近提督の様子がどうもおかしいと思ったんだよね。一人で何かしてる事が多いし」
北上「明石と一緒に開発室こもってたしさ」
大和「もしかして……」
北上「多分提督があの風船を母艦から飛ばしてるんでしょ?」
伊58「そ、そんな訳ないでち!危険すぎるよ!」
北上「大方、危険な任務だから心配させない為に私達に言わなかったんだね。まったく困った提督だぁ」ハァ
日向「まさか、そんな事!」
加賀「する筈が……」
大和「……あるわね」
雪風「しれぇ」ウルウル
749: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:28:57.82 ID:7GbpuRbmo
北上「バカだねー、いくら母艦が固いからってあの数相手じゃどうにもなんないでしょ」
日向「……っ」スッ
北上「ちょっとちょっと。どこいくのー日向っち」ガシッ
日向「決まってるじゃないか。助けに行く」
北上「駄目だよ。作戦に背く事になるし、それに一人で行ったってやられるだけ」
日向「ならどうするというんだ!このままでは提督が!」
750: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:30:53.59 ID:7GbpuRbmo
大和(提督……もしかして自分が危険な目にあうからって……それで私に……あんな事……)
大和(…………)
日向「離せ北上!早くいかないと!」
大和「日向!」
日向「……っ」キーン
日向「み、耳元で急に叫ぶんじゃない」
大和「落ちついて日向。作戦通りに動きましょう」
日向「や、大和!提督が危険なんだぞ!いいのか!」
大和「危険なのは私達が助けにいっても変わらないわ」
大和「下手に動いてこちらがやられたら全滅するかもしれない」
大和「風船を囮にしている今、深海棲艦に近づきつつ攻撃。少しでも多くの深海棲艦を倒して戦況を有利にするのが先よ」
日向「うっ……」
大和「日向」ジッ
751: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:35:21.97 ID:7GbpuRbmo
日向「……分かった。すまない……取り乱してしまった」シュン
大和「分かってくれて良かったわ」
大和(旗艦はどんな時でも正常心)
大和(利根さんはこれが分かってたから言ってくれてたのね)
大和(……ありがとう、利根さん)
大和(それと……提督)
大和(私達が行くまで無事でいて頂戴)グッ
752: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:37:03.35 ID:7GbpuRbmo
大和「皆、準備はいい?」
雪風「はい!敵を倒して早くしれぇを助けに行きましょう!」
伊58「バッチこいでち!」
北上「はいはーいこっちもいーよー」
加賀「全艦載機、発艦準備完了です」
日向「いつでも行ける」グッ
大和「了解よ!第2艦隊全速前進!敵の気が散っている間に一気に詰めるわ!」
艦娘達「「了解!」」
753: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:38:43.37 ID:7GbpuRbmo
──────────────────────────
─南鎮守府艦隊─
利根「よし!作戦通りじゃな」
卯月「あ、あの風船は何ぴょん?なんであんなにあるの?」
利根「囮用の風船じゃ。提督が母艦から排出しておる」
弥生「聞いてない。そんな作戦」
利根「そりゃそうじゃ。一部の奴にしか言ってないからのぉ」
卯月「て、提督が危ないピョン!」オロオロ
利根「そうやって心配するから言わなかったのじゃ」
弥生「酷い。あれじゃ敵の的になる可能性がある」ムスッ
利根「……分かっておる。あんな役目を奴に任せてしまったのは苦渋の決断」
利根「今回の戦い、お主達が思っている以上に状況は悪かった。だから仕方ないのじゃ」
754: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:40:22.16 ID:7GbpuRbmo
卯月「け、けど……」
弥生「……」ムスッ
川内「……」ジー
川内「弥生、卯月」スッ ダキッ
川内「提督はあたし達が見込んだ男でしょ?簡単に死ぬわけない」
川内「だから信じて戦おうよ。深海棲艦を一隻でも多く倒して、提督に自慢してやんないと!」
卯月「そ、そうだったピョン。提督が簡単にやられる訳ないピョン」
弥生「……いつもどおりやるだけです」
川内「うんうん。その意気その意気」
利根(すまんのぉ川内)ボソッ
川内(はいはい)
利根「ホモ提督よ。吾輩らも本格的に動くぞ」
ホモ『ええ頼んだわよぉん』
ホモ「ほんっと……あたしもバカよね」
755: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:45:07.83 ID:7GbpuRbmo
─────────────────────────────
─>>720の回想─
提督「風船を素材にしたデコイの様な物を用意して相手の気を逸らします」
提督「その間にこちらの得意な射程内へと入り込み、敵を一気に殲滅」
提督「あちらの数は多いですが、恐らく練度からすればこちらの方が上」
提督「上手く撹乱した状態であればきっと優位に戦えるはず」
提督「簡単にいうとそういった作戦です」
ホモ「風船を……ねぇ」
ホモ「たしかに資材の限られてる今、安価で大量に生産できる」
ホモ「敵の空母が少ないのもあって有効性も増すでしょうね……」
ホモ「肝心の風船の性能がどうなのかしら」
ホモ「風船自身が方向を変えたり、高度を変える様な事をさせるのはできないでしょ?」
ホモ「ましてや大量の風船をどうやって相手の所まで運ぶのよ。母艦で運んでも上手く流すのは至難の業よ」
756: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:46:44.22 ID:7GbpuRbmo
提督「それに関してですが、方向に関しては風の向きを把握すればある程度操作は可能です」
提督「高度に関してもこちらの技術である一定以上の高度には上がらない様に対応できます」
提督「更に攻撃されると威力はありませんが爆発して目を引かせる様に細工する予定です」
提督「そして、どこから風船を出すか……ですが」
757: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:47:54.00 ID:7GbpuRbmo
提督「私の母艦からです」
ホモ「え?」
提督「具体的な作戦ですが、まず事前に風船を載せた母艦で敵の背後に回り込みます」
提督「そして大量の風船を特定の位置から出します」
提督「敵が風船へと目を向けている間に二つの艦隊が更に横から挟み打ち、敵はほぼ囲まれるような形になりこちらの有利な状況を作り上げる事ができる」
提督「以上が本作戦の内容です」
───回想終了────
758: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:48:52.97 ID:7GbpuRbmo
────────────────────────────
ホモ(こんな無茶な作戦、なんで通しちゃったのかしら)
ホモ(今更ながら少し後悔ね。……でも不思議なのは)
ホモ(提督ちゃんなら成功させてくれる、よく分からないけど彼から確信めいた強さを感じたわ)
ホモ(これは私の一種の賭けだったのかもしれない)
ホモ(……彼ならやってくれると)
759: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:50:10.86 ID:7GbpuRbmo
───────────────────────────────────────
─提督 母艦─
提督「妖精さん、次も出すよ!」
妖精A「あい」ササササ
妖精B「あいいー」ササササ
妖精C「どっこいしょー」サササ
提督「……んしょ!それっ!どんどん深海棲艦の方向にいくんだぞ!」バッ
フワ フワ フワ
フワ フワ フワ
760: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:50:52.96 ID:7GbpuRbmo
提督(よし、あと少しで全部か)
提督(はぁ……我ながらなんて作戦考えたんだか……」
提督(敵の真っただ中に裸で突っ込む様なものだよなこんなの)
提督(まぁでもこの作戦が成功して敵を殲滅さえできれば)
提督(俺はそれで……)
ブゥゥゥゥッゥン ブゥゥゥゥッゥン ブゥゥゥゥッゥン ブゥゥゥゥッゥン
提督(っと敵のおでましか)
提督「妖精さん、シールドの展開を頼む」
761: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:54:06.48 ID:7GbpuRbmo
──────────────────────────────
─深海棲艦側─
空母ヲ級1「謎ノ物体ヲ出シテイタ艦ヲ発見」
戦艦ル級FS「ヨシ……直チニ全艦載機デ攻撃ダ」
空母ヲ級1「了解、全機発艦及ビ謎ノ物体トソレヲ排出シテイルト思ワレル艦ヘ攻撃スル」
戦艦ル級FS「他ノ敵モ恐ラク近クニ来テルハズダ。油断スルナヨ」
762: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:55:43.53 ID:7GbpuRbmo
─────────────────────────
─第2艦隊─
日向「ふぅ、あと少しで敵戦艦の射程範囲に入るな。皆気を付けてくれ」
雪風「大和さん?立ち止まってどうしたんですか?」
大和「遠い……でも」
大和「今こそこれを試す時が来たわね」ジャキ
北上「41cm……大和っち、実はさっきから気になってたんだけど使えるのそれ?」
大和「ええ、明石ちゃんに散々いじられ仕込まれ大変だったけど」
大和「あの敵の塊に撃ちこむくらいだったら」
大和「造作もないわ」スッ
ドォン ドォン ドォン
763: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:57:59.57 ID:7GbpuRbmo
────────────────────────────
─深海棲艦 側─
空母ヲ級2「敵艦隊、前方ヨリ確認シマシタ」
戦艦ル級FS「ヤハリ……ハサマレタ様ダナ。シカシコノ距離ナラコチラノ戦艦ノ遠距離砲撃デ牽制ガ可能」
戦艦ル級FS「偵察部隊ニヨレバヤツラノ艦隊ニハアノ距離カラノ攻撃手段ハナイ筈」
戦艦ル級FS「陣形ガ整イ次第、駆逐及び軽巡艦隊ヲ前ニダシテ殺シツクセ」
空母ヲ級2「ワカリマ……ア!危ナイ!」
戦艦ル級1「グァ……」ドカァァァン
空母ヲ級2「テ、敵戦艦級カラノ砲撃ヲ確認。味方ガヤラレマシタ」
戦艦ル級FS「バカナ!戦艦ヲ一撃デ……ヤツラモアノ距離カラ撃テル主砲ヲ有シテイルトイウノカ?!」
空母ヲ級2「ソレドコロカ敵ノ攻撃ノ方ガホンノ少シデスガ射程ガ長イ様ニ思ワレマス」
戦艦ル級FS「ト、トニカクコンナ密集シテイテハ駄目ダ。広ガッテ回避シロ!」
764: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/29(木) 23:58:44.16 ID:7GbpuRbmo
────────────────────────────
─第2艦隊─
加賀「1隻に命中、轟沈を確認」
日向「この距離から届いて、更に戦艦級を一撃。すごい主砲だな」
大和「私もビックリしてるわ。こんなに威力があるなんて……明石ちゃんにお礼いっとかないと駄目ね」
加賀「報告です。敵の動きが慌ただしくかなり崩れてきています。大和さんの砲撃効果でしょうか」
日向「上からは風船、海上では私達から挟まれ、そして本来有利としていた遠距離からの砲撃戦」
日向「敵が動揺するのも分かるな」
北上「しかもあそこまで密集してるから動きづらそう。しばらくは大和っちの砲撃で撹乱できそうだね」
大和「そうね、ここが勝負時。あとゴーヤちゃん、そろそろいける?」
伊58「任せてよ。上ばっかりみてたら足元をすくわれるって事、教えてやるでち」
765: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:01:22.47 ID:IFGjPYMvo
──────────────────────────────
─深海棲艦側─
戦艦ル級FS「落チツケ、オマエラ!」
駆逐イ級1「敵ガアッチカラキテル!早ク雷撃ヲ!」
空母ヲ級1「マテ!上空ニアル謎ノ物体ニ対空射撃ガ先ダ!」
戦艦ル級2「オイ!艦載機デアノ砲撃ヲトメロ!コッチハ動キナガラジャマトモニ打テナインダヨ!」
戦艦ル級FS「ワタシノイウ事ヲキケ!!一旦陣形ヲクズシテ広ガラント砲撃ヲヨケラレナイダロウガ!」
駆逐イ級2「グァァ」ドカァン
重巡級1「ガハッ」ドカァァン
戦艦ル級FS「クソッ……ヤッテクレル!」ギリッ
766: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:02:16.93 ID:IFGjPYMvo
──────────────────────────────
南鎮守府艦隊
利根「ふむ。良い感じじゃのぉ。敵さんかなり焦っている様じゃ」
利根「このままこちらの有効射程まで近づき一気に攻撃にでるとしようかの」
鈴谷「やっと!ウチラの出番!」
熊野「一気に片をつけてあげますわ!」
卯月「ウーピョン達の実力見せてやるピョン!」
弥生「砲雷撃戦は任せて」
利根「気合十分じゃな」
利根「だが相手はまだ吾輩らより数は多い。敵の一斉攻撃に気をつけて、決して油断するんじゃないぞ」
艦娘達「「了解!」」
767: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:02:49.60 ID:IFGjPYMvo
利根「うむ……さて川内、いつもの頼めるかの」
川内「了解。旗艦の位置を調べればいいんだね。とりま、いってくるー」
利根「頼んだぞ。分かり次第座標を送るのじゃ」
川内「はーい!」スッ
768: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:07:20.96 ID:IFGjPYMvo
─────────────────────────────────────
─深海棲艦側─
空母ヲ級3「敵艦隊、敵有効射程ニハイリコミマシタ」
戦艦ル級FS「クッ……コチラガマトモニ牽制デキズ近ヅカレタカ……」
戦艦ル級FS「マァイイ!ココデ沈メテシマエバイイダケノ事!数ハコチラノ有利ダ!」
駆逐イ級1「グアァァ!」ドガァァァンン
軽巡ホ級1「ギャァァァ!」ドガァアァン
戦艦ル級FS「コ、コンドハナンダ?!
駆逐イ級3「潜水艦型ニヨル雷撃デス!」
戦艦「潜水艦カ……索敵班ハ何ヲシテイル!」
軽巡ホ級2「謎ノ物体ヘノ対空射撃ニマワシテイマス!」
戦艦ル級FS「チッ、サッサト戻ラセテ潜水艦ヲ探シダセ!」
軽巡ホ級2「了解!」
戦艦ル級FS「ドイツモコイツモ……」ギリギリ
769: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:09:16.64 ID:IFGjPYMvo
───────────────────────
─第2艦隊─
大和「加賀、状況は?」
加賀「南鎮守府艦隊が射程内に入り込み激しく交戦中です」
加賀「敵が右往左往している様で南鎮守府艦隊が大分押しているように見えます」
大和「そう、ゴーヤちゃんの奇襲雷撃も成功したみたいだし私達も攻め時ね」
大和「みんな!いくわよ!」
艦娘達「「了解!」」
770: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:10:42.37 ID:IFGjPYMvo
───────────────────────
─提督 母艦─
ドォン ドカァアァン
提督「熱っ!」
提督(もう持たないな。この艦は)
提督(シールドバリアも壊れたし、動力部も破損して動く事すらできない)
提督(けどこれで……)スッ
フワッ
フワッ
提督(風船は全部だ)
提督(敵が風船に釣られて来てるのを見るかぎり恐らく成功……しているようだ)
提督(…………)
提督「さて、どうやってここから逃げるかな」
提督「艦にいたら爆撃の的になるだろうし……海にでて深海棲艦に見つかったら……」
提督(……仕方ないか)
提督「ええいままよ!」サッ
ブゥゥゥゥン
ブゥゥゥゥン
ドカァアァァン
771: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:12:57.06 ID:IFGjPYMvo
──────────────────────────────
─南艦隊 & 第2艦隊 VS 深海棲艦─
利根「打って打って打ちまくるのじゃー!!!」
ドォン ドォン
鈴谷「ヌメヌメしてるやつなんて!!さっさと沈んで!」
ドォン ドォン
卯月「ウーピョンに勝てると思うなぴょぉぉっぉぉん!!」
ドォン ドォン
日向「計算完了!ここだ!」
ドォン ドォン
北上「あらよっと!」
シュゴォォォ
伊58「でちぃいいい!」
シュゴォォォォ
772: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:16:41.32 ID:IFGjPYMvo
駆逐イ級3「ダ……ダメデス。駆逐艦隊、ほぼ全滅デス」
戦艦ル級FS「……」
軽巡ホ級2「コチラ軽巡重巡艦隊、被害甚大。一旦、退避シマス!」
戦艦ル級FS「……クッ」
空母ヲ級3「艦載機ヲ一旦サゲル!ソノ間援護ヲ頼ム!」
戦艦ル級FS「ソンナ余裕ハナイ!」
戦艦ル級FS「ナゼダ!敵ハ我々ヨリモ圧倒的ニ数が少ナイトイウノニコノザマ!」
戦艦ル級FS「半分以上ガ殺ラレ形勢ハ逆転……」
戦艦ル級FS「結局アノ上空ノ謎ノ物体ハ威力ノナイ只ノ囮ダト分カッタガ」
戦艦ル級FS「気付クノガ遅カッタ……クソ」
川内(よし、上手く敵の近くまで近づけた……)
川内(旗艦はどれだろう……)キョロキョロ
川内(ん、あの中心にいる奴っぽいね。回りにぴったり護衛みたいのがいるし)
川内(そうとわかったら報告報告)
773: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:19:22.11 ID:IFGjPYMvo
──────────────────────────────────
利根「────────ふむ、了解。ご苦労様じゃ。そのまま戻ってきてこい」
ピッ
利根「大和、聞こえるか!」
大和「はい、こちら大和です」
利根「敵の旗艦の場所が分かった。座標をおくるから攻撃してくれ」
大和「了解です!」
大和「ええっとこのポイントだと」キョロキョロ
大和「あれね。護衛が何隻かいるみたいだし近づいて砲撃するのは危険、か」
大和「とはいっても今はもう敵もばらけてきているから……この距離じゃ当てるのは難しいわね」
774: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:19:57.26 ID:IFGjPYMvo
日向「大和、どうしたんだ?」
日向「旗艦へ砲撃したいのだけど当てる自信がないのよ。弾を無駄うちするのもあれだし……こうなったら加賀に頼もうかしら」
日向「加賀は風船を追っていた艦載機を対応するので手一杯だぞ」
大和「じゃあ駄目ね」
日向「……一つ試したい事があるのだがいいか?」
大和「何?」
775: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:21:30.65 ID:IFGjPYMvo
・
・
・
・
・
日向「もう少し右だ、ちょっと身体を触るぞ」
大和「ええ」
日向「まだこっちだな」ググ
大和「まさか日向に調整されながら打つとはおもわなかったわ」
日向「私が砲撃してもいいのだが戦艦相手ではいささか威力がたらなそうだ」
日向「自分以外に弾着修正の技術を利用し砲撃を手助けする……難しいとは思うが試す価値はある」
大和「うまくいくのかしら?」
日向「やってみなきゃ分からない。とりあえずしばらく、弾着修正射撃の準備が終わるまで待っててくれ」
大和「うん」
776: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:24:06.68 ID:IFGjPYMvo
日向「……先程の件、改めて礼を言う。ありがとう」
大和「え?」
日向「いや、取り乱してしまった件でね。あのまま突っ込んでいたら恐らく殺られていただろうな」
大和「ふふ。いいのよ。旗艦として当たり前の事。それに……」
大和「日向にああは言ったけど、私だってホントはすごい動揺してたのよ」
日向「そうだったのか?」
大和「……提督が死んじゃうなんて考えられないもの」
日向「ふむ」
日向「大和、今聞くべき事じゃないかもしれんが」
日向「提督の事、好きか?」
大和「…………」
777: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:25:46.04 ID:IFGjPYMvo
───どうしてもお前に伝えたい事があるんだ
───お、俺は!
───お前の事が好きだ!子供の頃から……ずっと好きだった!
778: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:26:13.97 ID:IFGjPYMvo
大和「そうね。そうなのかもしれないわ」
日向「…………そっか」
日向「よし、弾着修正射撃の準備がととのったぞ。ここからは私と息を併せて砲撃をしてくれ」
大和「了解よ」
779: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:27:37.56 ID:IFGjPYMvo
─深海棲艦 VS 南艦隊
戦艦ル級FS「シネ!」カチャ
ドォン
ザッパーン
鈴谷「キャッ!」
熊野「鈴谷!大丈夫ですの?!」
鈴谷「う、うん。あいつ装甲分厚くて攻撃利かないし護衛がついてて超ウザイ!」
熊野「利根さんの報告によるとあれが敵の旗艦みたいですわ」
鈴谷「こいつらのリーダー……強いわけね」ハァ
卯月「他の敵も風船がなくなったからこっちに戻ってきてるピョン」
鈴谷「……このままだとちょっと面倒ね」
熊野「完全にあちらが立て直す前に旗艦を倒したい所ですわ」
780: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:28:17.64 ID:IFGjPYMvo
利根「無事かお主ら!」スッ
川内「やっほー!」スッ
鈴谷「遅いよ二人共」
利根「すまんすまん。ちょっと川内と野暮用を済ませてきたのじゃ」
鈴谷「ふーん。それよりあいつらなんとか何ないの?」
利根「ああ、敵の旗艦じゃな。第2の奴らに任せたから大ジョブじゃて」
鈴谷「ええっ!?平気なの?」
利根「うむ。吾輩らは他の奴らをやりにいくぞ」スッ
鈴谷「え、ちょっと!利根ー!」
781: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:30:05.89 ID:IFGjPYMvo
────────────────────
─深海棲艦 側─
空母ヲ級1「ナンダアイツラ、攻撃シテキタカト思ッタラ他ノ場所ニ行ッタゾ」
戦艦ル級FS「キニスルナ。コチラモ後少シデ足並ミヲ揃エ状況ヲ取リ戻ス事ガデキソウダ」
戦艦ル級FS「ソウナッタラ奴ラヲ徹底的ニ……殺ル」
空母ヲ級1「アア」
782: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:30:43.68 ID:IFGjPYMvo
ドォン
ザッパァァン
戦艦ル級FS「ドコカラダ!今ノ砲撃ハ!」
空母ヲ級1「前方ヨリ2隻。恐ラク片方ハ先程遠距離カラ強力ナ砲撃ヲシテキタ奴カト」
戦艦ル級FS(クソ、アンナ遠クカラ……私ノ主砲デハトテモジャナイガ狙エン)
戦艦ル級FS「艦載機デ迎撃シロ!」
空母ヲ級1「了解!」
783: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:31:49.87 ID:IFGjPYMvo
────────────────────
─第2艦隊─
日向「惜しいな。あと少しで当たっていた」
大和「やっぱり難しいのかしら」
日向「……たしかに微妙な調整ができない分ズレはでてしまう」
日向「だが今の砲撃を見る限り全く意味がないという訳ではない」
日向「もう少し時間があれば細かい調整もできそうなんだが」
大和「そうはいっても相手が何もしてこない訳じゃ」
784: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:35:20.42 ID:IFGjPYMvo
ブゥゥゥゥゥゥン
ブゥゥゥゥゥゥン
大和「言ってる傍からね」ハァ
日向「敵艦載機か。クソ……あと少しだというのに」
大和「仕方ないわね、上のをやってからにしましょう」カチャ
785: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:42:23.08 ID:IFGjPYMvo
パパパパパ パパパパパ パパパパパ
ドカァァンン ドカァァンン ドカァァンン
日向「なんだ、敵艦載機が落ちていくぞ?」
大和「あれは……もしかして」
加賀「無事ですか、二人共」スッ
日向「加賀!お前、別の場所で空母とやりあってたんじゃ」
加賀「はい。ですが、南鎮守府艦隊の方達が応援に来てくれましたので」
加賀「利根さんにこちらを支援する様に言われましたし」
大和「利根さんが?」
加賀「はい」
大和(さすが利根さん。こうなる事まで危惧して……旗艦の鑑だわ)
大和「……じゃあ、日向。上は加賀に任せましょう」
日向「そうだな。頼んだぞ加賀」
加賀「お任せください、あなた値の上空は誰にも譲りません」
786: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:43:34.71 ID:IFGjPYMvo
────────────────────
─深海棲艦─
空母ヲ級1「ヲ……」
戦艦ル級FS「ヲ級!マダ落トセナイノカ!」
空母ヲ級1「ソンナコトイワレテモ……敵艦載機ヲアイテニスルノデ手一杯」
戦艦ル級FS「役立タズメ……仕方ガナイ。私ハ一旦後ロニ退避スル。オ前ラハ敵ヲヒキツケテオケ」
軽巡ホ級1「オ、置イテイカナイデクダサイ!」
戦艦ル級FS「ウルサイ!」
787: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:44:33.33 ID:IFGjPYMvo
─────────────────────
─第2艦隊─
大和「日向!」
日向「分かっている!敵が背を向けたこの瞬間がチャンス!」
日向「…………」ジッ
日向「距離、角度調整完了」
日向「姿勢制御、風向き問題なし」
日向「敵予測移動ポイントまで3秒、合図で打つんだ」
大和「了解」
日向「3」
日向「2」
日向「1」
日向「0!」
大和「あたってぇぇええええええ!」
ドォン
788: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:46:07.21 ID:IFGjPYMvo
────────────────────
─深海棲艦 側─
戦艦ル級FS(私ダケデモ撤退シ更ニ仲間ヲツレテクル……ソノ手モアリカ)
戦艦ル級FS(今度ハモット数ツレテクレバ……ククク)
空母ヲ級1「ル級!危ナイ!」
戦艦ル級FS「話カケルナ。私ハ今カラ撤退」
ドカァァァン
戦艦ル級FS「ス……ルン」プスプス
戦艦ル級FS「ダ…………」
バチャン
空母ヲ級1「ル、ル級がやられた」
軽巡ホ級1「マサカ……ドウスレバイイノダ私達ハ」
789: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:47:11.83 ID:IFGjPYMvo
────────────────
─第2艦隊─
大和「やったわ!あたった!」ガシッ
日向「ああ!」ガシッ
加賀「さすがです。さぁどうしましょうか」
大和「まずは北上ちゃん達と合流して残っている敵の殲滅をしましょう!」
・
・
・
・
・
北上「邪魔邪魔!北上様のお通りだってね!」
伊58「これで7隻目でち!」
北上「やるじゃんゴーヤ!まぁあたしは8隻やったけどねー」
伊58「ムムム!負けられないでち!」
北上「それにしても急に敵の動きが緩くなったけどどうしたんだろ」
伊58「でち……なんていうかさっきより更に統率がとれてない感じにみえるでち」
790: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:48:05.27 ID:IFGjPYMvo
大和「北上ちゃーん」
北上「おっ、3人共。無事みたいだね」
大和「ええ。敵の旗艦を倒したから後は残ってる敵を倒すだけよ」
北上「旗艦を?道理で動きが鈍ってる訳だぁね」
日向「雪風の姿が見えないが」
伊58「ゆっきーなら奥の敵を倒しにいくっていって一人でいっちゃったでち」
日向「一人で大丈夫なのか?」
北上「平気平気。ウチで一番すばしっこいしね。それより南艦隊は大丈夫かな?」
加賀「はい。先程、全員無事を確認しました」
791: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:48:34.27 ID:IFGjPYMvo
北上「そっか、じゃあ後は……」
大和「……提督」
北上「うん……きっと平気だよ。とりあえず敵も残り少なくなってきたし殲滅してから捜索しよう」
伊58「じゃあ倒してくるでち!北上さんには負けないでち!」
北上「あ、こら!抜け駆け駄目!」
日向「ったく、戦闘中だってのに呑気なもんだな」
加賀「そうですね」クスクス
大和(…………)
792: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:51:10.75 ID:IFGjPYMvo
・
・
・
・
・
・
空母ヲ級1「グァッ……」ドガァァン
空母ヲ級1「ココ……マデ…カ……」
空母ヲ級1「……ミ……ンナ……ゴメ……ン」
バチャァン
利根「ふぅ……これで全部の様じゃな」
川内「周辺索敵Okだよー。敵はもういないみたい」
利根「了解じゃ。さて、ホモに連絡とるかのぉ」
ピッ
利根「こちら利根、敵殲滅を確認したのじゃ」
793: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:51:46.26 ID:IFGjPYMvo
ホモ『お疲れ様よぉん。早速で悪いんだけど第2艦隊と合流次第、提督ちゃんの捜索を手伝って頂戴」
利根「分かっておる。卯月達は早速いってるのじゃ」
ホモ『よっぽど心配なのねぇん』
利根「……骨くらいは拾ってやりたいのぉ」
ホモ『……』
利根「冗談じゃよ。きっと生きておる」
ホモ「ええ、そう願ってるわ」
794: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:54:41.83 ID:IFGjPYMvo
─────────────────────
─ 提督の母艦 周辺 ─
卯月「どこにもいないぴょん」
弥生「こっちも」
川内「しっかし酷く攻撃されたみたいだね。沈んでないのが不思議なくらい」
伊58「艦載機の爆撃で甲板が根こそぎ焼かれてるでち」
北上「こりゃ無傷ってのは無理だぁね」
日向「とりあえず中を探索したが……いなそうだな」
利根「恐らく海に飛び込んだんじゃろう。艦載機で周辺を探すといいのじゃ。泳ぎ疲れて浮いてるやもしれん」
加賀「今、全艦載機で探しています」
大和(提督、お願い……無事でいて……)ギュッ
795: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:55:15.46 ID:IFGjPYMvo
・
・
・
・
─数時間後─
南鎮守府 母艦 甲板上
利根「…………」
利根「大和」
大和「…………」ビクッ
利根「そろそろ戻るのじゃ。もう夜になる。捜索は明日にしよう」
大和「嫌です」
利根「しかし……ぬしの気持ちも分かるがのぉ」
大和「嫌です!」
796: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:57:30.06 ID:IFGjPYMvo
利根「……大和よ」
大和「うっ……うっ……」ポロポロ
利根「敵がまたでてこないとは限らん。一度休息を取り万全の状態で明日探そう」
大和「……はい」グスッ
日向「提督……」ツー
加賀「……」グスッ
伊58「……てーとくさん」グスッ
北上「……ふんっ」プイッ
卯月「ピョン……」シュン
弥生「…………」
川内「…………」ギリッ
大和「提督の……バカァァァァ!」
797: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:57:55.82 ID:IFGjPYMvo
「誰がバカだ、誰が」
798: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 00:59:17.22 ID:IFGjPYMvo
提督「まったくどうしたんだ。暗い雰囲気で」
大和「え……」
提督「ふーいてて。背中の火傷がまだヒリヒリする」
提督「雪風、もう一回包帯の替えたのんでいいか?」
雪風「了解です!すぐお持ちします!」
提督「悪いな」
799: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 01:01:32.45 ID:IFGjPYMvo
日向「お、おい……提督」
提督「どうした日向……ってお前、泣いてるのか?というか全員泣いてるじゃないかどうしたんだ?!」
加賀「ほ、ほんとに提督ですか?」
提督「ん、ああ。どんな質問なんだそれは」
伊58「ほんとにほんと?」
提督「そうだよ。変な奴らだなぁ。作戦成功なんだからもっと喜んだりする所じゃないのか?」
北上「こういう空気を見てきづかないあたり、提督だろうね。うん」
800: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 01:02:25.13 ID:IFGjPYMvo
提督「空気……?」
提督「……あ」
提督「も、もしかして……俺が戻ってた事知らなくてそれで?」
利根「のじゃ」コクリ
提督「あーーー」ポンッ
提督「えっと……まぁそのなんだ。無事だったよ。ただいま」
大和 & 日向 & 加賀 & 伊58 「「提督!!」」ガバァ
801: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 01:03:34.57 ID:IFGjPYMvo
提督「お、落ち着けお前ら!いたた、あんまり強く抱きつくな。火傷が痛い」
日向「無事なら無事と何故早く伝えなかった!!」
加賀「そうですよ!心配してたんですよ!」
伊58「ゴーヤなんて海底の方まで沈んでないかっててビクビクしながら見に行ったでち!」
提督「えええ……雪風が司令官に伝えてくれてたと思うのだが」
雪風「無線でたしかにお伝えしました。しれぇは無事です!っと」
利根「誰にじゃ?」
雪風「ホモ提督さんにです」
利根「といっておるがどうじゃ?」
ホモ「えぇ?!アタシ?」
ホモ「えっと、そんな報告……」
802: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 01:04:08.56 ID:IFGjPYMvo
─雪風「しれー……ザザ……見つけまし……一旦……戻ります」
─ホモ(しれーって何かしら……滑舌が悪いのと無線の調子が悪いのかききとりづらいわね)
─ホモ(まぁ一旦戻るっていってるし、その時確認すればいいわね)
─ホモ「了解よ。気を付けて戻ってきてらっしゃい」
ホモ(あれだったのねぇん。すっかり忘れてたわ)ッポン
803: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 01:05:02.04 ID:IFGjPYMvo
ホモ「しらないわね」
利根「おい今、あの事かーみたいな顔してたじゃろ」ビシッ
雪風「雪風が敵を追っていたら偶然、艦の破片に隠れながら泳いでるしれぇを見つけたのです」
雪風「それからしれぇをかついで母艦に上がり、怪我の手当をしてました。背中にかなり火傷を負っていたようでして」
提督「海に飛び込む時、爆風が少し掠ったみたいでなぁ。治療に時間かかってずっと艦内いたんだよ」
雪風「とにかくしれぇが無事で良かったです」
提督「うんうん。ありがとうな雪風。さすが幸運艦だ」
雪風「えへへ」ナデナデ
804: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 01:06:46.58 ID:IFGjPYMvo
大和「提督」ギロッ
提督「や、大和……」
大和「私が言いたい事わかるわよね?」
提督「……ああ」
提督「すまなかった。わざとお前らに黙ってたのはホントに悪いと思ってる」
提督「だが言ったら絶対止められると思った」
提督「俺が覚悟して決めた事だ。もし失敗して死んでも……仕方ない、と思って」
大和「っ!」
パチンッ
提督「……っ」ヒリヒリ
805: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 01:07:28.57 ID:IFGjPYMvo
大和「なんでいつもそうなのよ!一人で背負うなっていってるじゃない!」
大和「勝手に納得して勝手に危険な目に合って勝手に……」
大和「私に告白して……」
大和「提督が良くても私が!私が悔いしか残らないじゃない!」
提督「す、すまん」
大和「……もうっ」グスッ
大和「返事くらい……いわせてよ」
提督「……え?」
806: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 01:08:14.59 ID:IFGjPYMvo
大和「好き。私も好き。わたし、大和は提督の事が好き」
大和「今まで気づかなかったけど、私もあなたの事がずっと好きだった」
大和「失いそうになって初めてきづいたの。今なら何度でもいえる」
大和「好きよ、提督」
提督「……うん」
提督「俺もだ、大和」
808: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 01:10:22.85 ID:IFGjPYMvo
鈴谷「うわっ、うわーーー」//
熊野「素敵ですわ、これが大人の恋愛という奴ですのね」ウットリ
利根「まったく見てられんのじゃ」ハァ
卯月「うらやましいピョン……うーぴょんも提督の事好きピョン」
川内「あんたのは違う好きでしょうに」
弥生「……ハレンチ」
日向「心配させた上、こんな甘い劇をみせられるとはな。大した指揮官だ」ハァ
加賀「まったくですね」ハァ
伊58「何はともあれ無事でよかったでち」
北上「ふぁ~、茶番だね茶番。さっさと部屋戻って寝よー」
809: ◆vLyL7y0Zk. 2015/01/30(金) 01:16:37.14 ID:IFGjPYMvo
ホモ「ふふ、良かったわね提督ちゃん」
ホモ「任務も恋も大成功。大した男だわぁん」
ホモ「さて、あたしは部屋に戻って報告書でもまとめようかしら」
スタスタスタ
ホモ「…………」ピタッ
ホモ「……なぁんか忘れてる気がするのよねぇ」
ホモ「うーん、なんだったかしらぁん」
ホモ「まっ気のせいね」
スタスタスタ
─その頃 開発室─
トンテン カーン
明石「いいですよいいですよ。確かに私は戦闘が苦手ですから」
明石「だからって一人だけ……艦内に残れなんて……酷い話ですっ!」トンテン
明石「戦闘以外に手伝える事を任してくれたっていいじゃないですか!」カーン
明石「大和さんの主砲だって風船の細工だって私が手伝ったんですよう!」トンテン
明石「それなのに皆さん、私の事を忘れて……」
明石「誰か一人くらい私の事きにかけてくださっても……いいじゃないですか!」カーン
トンテン
カーンコレ
──────
─────
───
──
─
822: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:15:22.25 ID:BFiWWm3K0
前回のあらすじ
死者を弔う為、北部の町へ訪れる提督達
卯月が供え物として風船を用意すると提督はそれを見てある作戦を思いつく
「風船囮作戦」、低コストで大量に製造できる点を利用して深海棲艦の周辺に細工した風船をばら撒く
敵がそれに気が向いている間に叩こうという作戦である
しかしその為には風船をばら撒く媒体が必要であり、時間も資材も限られてる事から
提督自身が母艦に乗り対応する事を決断する
それははすなわち攻撃の的になると同意であり、とても危険な選択であった
提督は覚悟を決めると悔いの無いよう大和へ思いを伝え、自身の艦娘達には詳しい作戦の内容をしらせず戦地へと趣く
無事作戦は成功、提督も運よく生き延び大和とも想いを遂げ、一件落着となる
823: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:17:17.95 ID:BFiWWm3K0
─中央鎮守府 本部─
本部軍人「────はい、はい。了解いたしました。帰りもどうぞお気をつけてくだされ」
ピッ
本部軍人「……まさか」
本部軍人「本当にカムランでの任務を遂行するとは……」
本部軍人「あの戦力差を一体どうやって埋めたというのだろう」
本部軍人「……っと驚いてる場合ではないか。爺督殿に報告しなければ」
824: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:18:53.83 ID:BFiWWm3K0
・
・
・
・
・
・
─母艦 ブリーフィングルーム─
ホモ「じゃあこのまま中央に送り届けるわね、提督ちゃん」
提督「はい。お手数おかけして申し訳ございません」
ホモ「仕方ないわよ。作戦の為に提督ちゃんの母艦は壊れちゃったんだもの」
提督「……本部に怒られそうですね」
825: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:24:31.96 ID:BFiWWm3K0
ホモ「何言ってんのよ。むしろ艦の一隻で済んだのがすごい事じゃない」
ホモ「というか今頃中央の奴らは驚いてるでしょうね、撤退すると思ってた筈だし」
ホモ「あたしも中央に着いたら驚いてるクソジジイの顔でも拝みに行こうかしら?」
提督「そういえば一つ聞きたい事があるんですが……爺督とはどういった関係なんですか?」
ホモ「え?ああーそいえば言ってなかったわね」
826: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:25:56.71 ID:BFiWWm3K0
ホモ「何言ってんのよ。むしろ艦の一隻で済んだのがすごい事じゃない」
ホモ「というか今頃中央の奴らは驚いてるでしょうね、撤退すると思ってた筈だし」
ホモ「あたしも中央に着いたら驚いてるクソジジイの顔でも拝みに行こうかしら?」
提督「そういえば一つ聞きたい事があるんですが……爺督とはどういった関係なんですか?」
ホモ「え?ああーそいえば言ってなかったわね」
827: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:27:31.34 ID:BFiWWm3K0
ホモ「あたしは元中央第3艦隊の司令官だったのよ。大分前の話だけど」
提督「ええっ!?」
ホモ「あたしも割と無茶な任務やらされたわよー。さすがに今回程のはなかったけど」
ホモ「だからジジイが大嫌いっていうわけ」
提督「な、なるほど」
ホモ「まぁ所属してたのはそんなに長くなかったけどねぇん。ちょっとやらかしちゃったせいで異動になったわ」
提督「そうですか……」タラーン
828: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:30:58.33 ID:BFiWWm3K0
ホモ「まぁそんな事よりも……今回の作戦、誰も死なずに終えてホント良かったわね」
提督「実際、あそこまで効果があるとは思いませんでした」
ホモ「女子共の練度が高かったおかげもあると思うわ。敵は数が多かっただけで個々で見れば大した事なかったし」
提督「厳しい訓練にも耐えてくれた彼女達には感謝しなければいけませんね」
ホモ「ええ。帰ったら休暇を大目にとれるよう申請しといてあげましょう」
提督「はい、いいお考えだと思います」
ホモ「さて、とりあえず今日はこれで終わりにしましょう。提督ちゃんは戻っていいわよ。私はちょっとやる事あるからしばらくここにいるわ」
提督「了解しました。あまりご無理なさらずに」
ホモ「ええありがとう。それじゃまたあとでねん」フリフリ
提督「では失礼致します」ペコ
スタスタスタ
パタン
829: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:32:13.36 ID:BFiWWm3K0
ホモ「…………」
ホモ「……艦娘のおかげだけじゃないわよ提督ちゃん」
ホモ「作戦の組み立て方や常識に囚われない戦術、妖精との連携、艦娘達からの信頼や艤装知識」
ホモ「半年そこらの指揮官が得ている能力としてはあまりにもできすぎね」
ホモ「たぬきじじい……あの子一体何者なのよ」
830: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:35:46.30 ID:BFiWWm3K0
・
・
・
・
・
・
─母艦 甲板上─
提督(さて、一旦部屋に戻って休憩でもとるかな)スッ
卯月「あ、提督ぴょん!」
川内「提督さーん。やっほー」
弥生「お疲れ様です」
提督「お前ら3人仲良しだなぁ。何してるんだ?」
831: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:36:45.31 ID:BFiWWm3K0
川内「そろそろ港をでるからさ。ちょと挨拶に」
提督「挨拶?」
弥生「あそこ」
バイバーイ サヨナラー
提督「ああ、現地の子達か」
弥生「提督がくる前に遊んで知り合った子達だピョン」
提督「なるほど。良かったな、見送ってもらって」
卯月「うーちゃんは大人気ピョン!」
弥生「すぐ調子にのる」
川内「ほんとだね」
832: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:38:28.04 ID:BFiWWm3K0
卯月「でも……」
卯月「あの幼女も生きて見送ってくれてれば、もっと嬉しかった……ピョン」シュン
提督「……そうだな」
卯月「提督にはお礼をいわなきゃいけないピョン。おかげで仇討ち、できたピョン」
提督「いや、俺の力じゃないさ」
提督「きっかけはあの幼女が持っていた風船だ」
提督「それがなければ俺達だってやられてたかもしれないんだ」
提督「あの子の命の灯が、きっと風船になって奴らをやっつけてくれたんだよ」
川内「うわっなんか臭いセリフいうなぁ」ゾゾゾ
卯月「たしかにちょっと今のは体が痒くなったピョン」
弥生「…………」ポリポリ
提督「お前らさ、俺一応上官だからな?」
833: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:40:55.24 ID:BFiWWm3K0
卯月「でも、提督はホントすごいピョン」
卯月「自分の体を張って戦ってくれたし……カッコ良かったピョン」
提督「ま、まぁ、あれはなんというか慣れ行きというかそのなんだろう」
卯月「……提督、こっちきてピョン」グイッ
提督「ん?ああ」ササ
チュッ
卯月「ありがとうピョン」ニコッ
834: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:41:46.71 ID:BFiWWm3K0
川内「あらら、大和さんとラブラブしたばっかだってのにもう浮気かー」
弥生「……最低」
提督「ええっ!?いや、えと……その」
卯月「あの女に飽きたらうーちゃんの所にくると良いピョン。きっと飽きないピョン」
提督「あ、アホか!そんな事いわれて」
トントン
提督「ん?なん……」クルッ
大和「こんにちは。提督」ニッコリ
835: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:43:44.41 ID:BFiWWm3K0
提督「あ……えっとどこから見てました?」
大和「卯月ちゃんからホッペにキスされてる所かしら」
川内「さぁてめんどくさい事になりそうだしおやつでも食べに行こうか弥生」
弥生「うん」
卯月「あ、うーちゃんもいくーー」
提督「お、おい!お前ら!誤解を解いてからに」スッ
大和「提督、どこいくの?」ググググ
提督「あ、痛い!肩が!つぶれる!」ミシッ
大和「とりあえずお話は部屋で聞こうかしら。しっかりね」ニコォ
提督「ヒィィィィ」
ズルズルズル
川内「ああいう所があるから憎めないよねぇ提督さんは」
弥生「同意」
卯月「ピョン」
836: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:44:27.57 ID:BFiWWm3K0
・
・
・
・
・
─提督の部屋 個室─
提督「だからさ、あれは誤解だ」
提督「急に卯月がしてきたんだよ。今回がんばったからってさ。本人はお礼のつもり以外ないんだって」
大和「………ふんっ」ムスッ
837: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:46:09.42 ID:BFiWWm3K0
提督「なぁ大和。相手は子供だぞ。そんなにムキになる事もないだろ」
大和「あるの!私だってまだキスの一つもしてないのに」
大和「作戦も終わってお互い気持ちも言い合ってやっとゆっくりできると思ったら……」
大和「提督のバカバカ!おばか!」
提督「わ、悪かったって。許してくれ」アセアセ
大和「フンだ」ムスッ
838: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:46:47.56 ID:BFiWWm3K0
提督「ったく……」
提督「……じゃあさ」
提督「してみないか?」
大和「え?」
839: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:49:33.44 ID:BFiWWm3K0
提督はそういうと大和の瞳をじっと見つめる
そしてその透き通る様な琥珀色をした瞳へ引き込まれるように顔を近づけ、大和に囁く
提督「ずっと好きだった……こういう事もしたくてたまらなかった」
大和「……う、うん」
互いの吐息がぶつかる
薄暗く決して大きいとは言えない部屋に両想いの二人
少しでも動けば唇が触れ合ってしまうんではなかろうかという距離で、互いの熱を感じ合う
提督「いくぞ?」
大和「……」コクリ
提督は腰にそっと手を回す
大和「ん……」
緊張からなのか大和の体が一瞬だけ震える
提督「くすぐったいか?」
大和「ううん。平気……」
少し恥じらう様子で答えるのを見て、たまらなく愛しく感じた提督は腰に回した手を使って強引に自分の元へ身体を引き寄せる
提督「大和……」
絞りだすように出した声。やっと思い人が自分の所にきたという達成感なのか優越感なのか。提督の中で何かがこみ上げてくる
大和「提督……」
大和が大きな瞳を閉じるのを確認した提督はその顎をそっと上向け、そして
840: ◆vLyL7y0Zk. 2015/02/06(金) 15:52:07.76 ID:BFiWWm3K0
ガチャァアン
雪風「しれぇええええ!お食事の用意ができました!」
提督「あ、あれー?口に何か挟まったと聞いたが何もないぞーー?」アセアセ
大和「えええ?ほんとーかしらー?ちゃんとみてよー?」アセアセ
雪風「そんなに近づいて何してらっしゃるんですか二人共」ジー
提督「あ、ああ。大和の奴が歯になんか挟まったいうから見てたんだーーハハ」
大和「そ、そうなのよーおほほほほ」
雪風「雪風もお手伝いしましょうか?」
提督&大和「「大丈夫!」」グワッ
雪風「は、はい?」ビクッ
──────
─────
────
───
──
─
859: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:32:43.09 ID:tyI2q7pAo
─ 前回のあらすじ ─
無事にカムランでの任務を成功させた提督とホモはブリーフィングルームで談笑する
その中でホモ提督は中央の元第3司令官というかなりの実力者だった事が判明する
談笑を終えて一息つく為、甲板上へ向かう提督
すると卯月達3人が現地の子供たちと別れの挨拶をしている所へとでくわす
卯月が深海棲艦に殺された幼女や町民の仇をとれた事へのお礼として提督の頬にキスをする
そしてその様子は間が悪く大和に見られてしまう
嫉妬する大和の様子を見て、なんとか機嫌を直してもらおうと彼女へ口づけしようとすると
幸運艦の雪風が邪魔によりお預けとなる
それから時間が過ぎ、中央鎮守府へと帰還した提督達
第2艦隊と南鎮守府艦隊はここで別れの挨拶をする事となる
860: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:33:33.43 ID:tyI2q7pAo
────────────────────────────────
─中央鎮守府 艦着場─
提督「ふぅ、やっと到着しましたね」
ホモ「お疲れ様よぉん」
提督「司令官はこれからどうされますか?」
ホモ「そうねぇ。とりあえずジジイん所に行こうと思ってるわ」
提督「了解です。なら私もお供します」
ホモ「あ、いいのよ気を遣わなくて。ちょっと軽く挨拶に行くだけだし」
ホモ「提督ちゃんはあの子達を早めに休ませてあげなさい」チラッ
861: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:34:51.43 ID:tyI2q7pAo
日向「世話になったな」スッ
川内「へへーこちらこそ」ガシッ
熊野「また機会があればよろしくですわ」
雪風「はい!皆さんとまた会える事を楽しみにしてます!」
鈴谷「うんうん。暇な時こっちに遊びにきなよ。美味しいカレー作って待ってるから」
熊野「それはいい考えですの。しっかりおもてなしさせていただきますわ」
卯月「待ってるピョン!」
伊58「分かったでち!休暇もらったら遊びにいくよー」
利根「うむうむ。仲良き事は素晴らしいのじゃ」
利根「さーて吾輩ら南鎮守府艦隊は、中央から支給される資材や燃料を運ぶ為、あっちに集合じゃぞ」
南鎮守府艦娘「「はーい」」
862: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:35:47.74 ID:tyI2q7pAo
利根「良い返事じゃ。さて吾輩も……」スッ
大和「利根さん!」ザッ
利根「ん?なんじゃ?」
大和「ホントに……色々ありがとうございました」ペコリ
利根「こちらこそじゃ。といっても吾輩は大した事しておらんが」
大和「そんな事はありません。旗艦としての心構えや作戦中に喝を入れていただいたり……それに」
大和「敵旗艦との戦闘……私達を信頼して任せてくれました」
利根「ふむ」
863: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:36:31.97 ID:tyI2q7pAo
大和「きっと私達に経験を積ませる為、ですよね?」
利根「それは買いかぶりすぎじゃ。ただ相手が少々堅い類だったからの。攻撃力の高いお主達に任せただけじゃて」
大和「けど……」
利根「もっと自信をもて大和。お主は強い」
利根「吾輩の見立てだと将来お主は艦娘界を代表する様な存在になる」
利根「ただそれまで、一所懸命に精進し戦い抜けば良い」
利根「吾輩は応援しているぞ、大和よ」
大和「利根さん……」
大和「ありがとうございました」ペコリ
利根「うむ。達者での」フリフリ
864: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:37:15.21 ID:tyI2q7pAo
提督「……あちらは別れの挨拶が終えた様ですね」
ホモ「じゃあアタシ達もそろそろ」
提督「はい。色々とご迷惑をお掛けしました」
提督「命を救っていただいたご恩、一生忘れません」
ホモ「いいのよ。提督ちゃんが頑張ってくれたおかげであたし達も助かったしね」
提督「いずれまた、共に戦える日がくる事を楽しみにしています」
ホモ「ええ。それまで元気でいてね、提督ちゃん」スッ
865: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:38:36.68 ID:tyI2q7pAo
・
・
・
・
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─中央鎮守府 食堂─
メイド「お帰りなさいませ皆さん!全員、無事生きて帰ってこれた様で良かったです」グスッ
大和「ご心配をお掛けしました。しかも帰って早々こんな豪華な食事の用意までしてくださって……ありがとうございます」
メイド「お気になさらなず。メイドができる事なんてこのくらいですから」
日向「しかしなんというか、我が家に帰ってきた様で安心するな」
伊58「同意でち」
提督「まぁ今の俺たちにとっては一番安心する場所かもしれんな」
866: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:39:42.18 ID:tyI2q7pAo
メイド「そうですよ皆さん。ここを自分たちのお家だと思ってくださっていいんですから」
大和「じゃあメイドさんはお母さんみたいなものですね」
メイド「ええそうです!お母さんだと思っていっぱい甘えてください」ニコッ
雪風「分かりました!雪風、全力で甘えさせていただきます!」
メイド「来なさい雪風ちゃん!いっぱいナデナデしてあげましょう!」
雪風「はい!」ガバッ
メイド「っとと……よしよし」ナデナデ
雪風「えへへ」
提督「さて、せっかくメイドさんが俺たちの任務遂行祝いという事で素敵な食事を用意してくれたんだ」
提督「冷めない内にいただこう」
加賀「そうですね。気合いが入ります」グッ
日向「気合いはいらんぞ気合いは」ビシッ
伊58「なんかそのやりとり見るといつものって感じでホッとするでち……」
メイド「ふふっ、たんと召し上がってくださいね♪」
867: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:40:39.88 ID:tyI2q7pAo
─────────────────────────────
─爺督の執務室─
ホモ「お久しぶりねぇ、総司令官」
爺督「うむ。元気そうじゃの」
ホモ「ええもう元気ビンビンで困っちゃうくらいよぉん。良ければ夜戦で試してみてもいいのよぉん?」
爺督「結構じゃ」
ホモ「フンっ。冗談よ、あたしもあんたみたいな老人は範囲外なんだから」
868: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:41:12.26 ID:tyI2q7pAo
爺督「……して、なんの用じゃ。任務を終えてもう帰るだけじゃろお主らは」
ホモ「あらあら冷たいわねぇー。あんなアホみたいな任務を無事成功させたっていうのに」
ホモ「もっと何かこうあるでしょう?労を労う言葉が」
爺督「見あう成功報酬を用意しておる。長期休暇の受理も問題ないぞい」
ホモ「はぁ、もういいわ。いけ好かないジジーね相変わらず。……ま、別に正直そんなのどうでもいいし」
869: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:41:55.90 ID:tyI2q7pAo
ホモ「それより」
ホモ「提督ちゃんの事なんだけど」
爺督「……」
ホモ「まだ若い子で遊んでるのね」
爺督「なんの事じゃ?」
ホモ「とぼけんじゃないわよ!まだ経験も積んでない若い男をあんな危険な任務に差し出しておいて!」ガンッ
あきつ丸「ホモ提督殿、お静かに」
ホモ「……失礼したわぁん。とにかくもう少し控えめにしてくれないとさすがに見てらんないわよ」
ホモ「昔の貴方を知ってる身として、悲しいわ」ジッ
爺督「…………」
870: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:42:27.48 ID:tyI2q7pAo
ホモ「ごめんなさい、余計な事言ってしまったわね。そろそろアタシはお暇するわ」
爺督「うむ。気を付けて帰還するのじゃぞ」
ホモ「ええ」スッ
スタスタスタ
ホモ「そうそう」ピタッ
ホモ「もう一つだけ」
爺督「なんじゃ?」
ホモ「あの提督ちゃんって子、とんでもない才能を持ってるわよ」
ホモ「あたしなんか到底及ばない、もしかしたら貴方もね」
爺督「そうか」
ホモ「じゃね、お元気で」
スタスタスタ バタン
871: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:42:53.92 ID:tyI2q7pAo
あきつ丸「ホモ提督殿は、少しご立腹なようですね」
爺督「あいも変わらず気持ちの悪い男じゃの」
爺督(悲しい……か)
爺督(……もうあと戻りはできんのじゃ)
爺督(なぁ、祥鳳よ)
872: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:43:50.50 ID:tyI2q7pAo
・
・
・
・
・
・
・
──数日後──
チュン チュン
提督「ん……んん」
提督「…………」ガバっ
提督「朝、か……」
提督「顔洗い行くかな」スッ
873: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:44:31.66 ID:tyI2q7pAo
─洗面場─
ジャーーー パシャァ
提督(今はカムランでの任務を終えて数週間の休暇をもらっている最中)
提督(なのでここ数日間は好きな時に起きて、好きな時に好きな事をして、好きなだけ寝たりしている)
提督(……あんなに壮絶だった戦場を経験してしまうと)
提督(今のこの生活が嘘や幻に思えてしまう……それくらい最近はのんびりしている)
874: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:45:34.22 ID:tyI2q7pAo
カチャ パタン
大和「提督、おはよう」スッ
提督「おはよう、大和」
大和「もう朝ご飯食べたの?」
提督「いや、今起きたかばかりだ」
大和「そう。私も今からだし一緒に食べましょう」
提督「わかった」ニコッ
大和「ふふ」ニコッ
875: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:46:00.80 ID:tyI2q7pAo
提督(あの告白以来、大和とはそれなりに仲良くやっている)
提督(恋人同士の様に……とまではいかないが、俺となるべく一緒にいようと努力してくれたり)
提督(前と比較すると大分距離が近く感じる。精神的にも物理的にもだ)
大和「早く行きましょう」グイ
提督「あ、ああ」
提督(今だってこうやって手を握って引っ張ってくれたり)
提督(なんていうか……いいもんだな)
876: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:47:03.66 ID:tyI2q7pAo
北上「何にやけてるのさー提督」スッ
伊58「なんか気持ち悪いでち」スッ
雪風「しれぇ!大和さん!おはようございます!」シュッ
大和「おはよう、皆」
北上「まったく朝からイチャついてお熱いですねー」
伊58「胸焼けするでち」
提督「ほっとけ」
大和「雪風ちゃん達は今起きたの?」
雪風「はい。昨日3人でゲームしたりお話したりして遊んでそのまま一緒に寝てですね」
伊58「ゆっきーから休暇中でも規則正しく起きるのは必要っていわれて叩き起こされたでち」
北上「雪風はしっかりしてるよねぇ。でもお休みくらいはゆっくりさせてよー」
雪風「だめです!普段からしっかりしてないといざという時にできないです!」
提督「雪風らしいなぁ」
大和「うふふ」
877: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:48:25.06 ID:tyI2q7pAo
雪風「話は変わりますがお二方にお渡ししたいものがあります」
提督「渡したい物?」
雪風「これです」スッ
提督「ん、何かのチケットみたいだが」パシッ
雪風「遊園地のチケットです」
北上「うちの会社がスポンサーしてる所でね。無料券を結構貰ったからおすそ分けって訳」
878: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:49:07.64 ID:tyI2q7pAo
伊58「せっかくの長いお休み、二人で言ってくるといいでち」
提督「遊園地か。あまり俺の柄じゃないような気もするが」
北上「いいじゃんそういうのもたまには」
伊58「息抜きになると思うでち」
雪風「しれぇ!お土産お願いします!」
提督「……分かった。俺はいいけど、大和はどうする?」
大和「そ、そうね。そういうのはあまり行った事がないから行ってみたいかも」」
提督(……二人きりで外出か。付き合ってからは初めてだよな)
大和(今まで何度か二人で出かけた事はあるけど……こういう関係になってからは初めてね)
提督&大和「「…………」」ゴクリ
提督&大和((……初めてのデート))
879: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:50:04.44 ID:tyI2q7pAo
──────────────────────────
─日向の部屋─
雪風「ってわけでお二人は遊園地デートにいくと思いますよ」
日向「二人で遊園地とはまた初々しいじゃないか」
北上「まぁ付き合ってからまともにデートしてないみたいだし、これで少し進展あるかなってね」」
伊58「ちょっとおせっかいだったかもしれないでちね」
日向「いや、いいと思う」
日向「あの二人の事だから手つないだり一緒にいるだけで満足とかおもってるに違いない」
加賀「そうですね。友人の期間も長いですから壁を超えるのが大変そうです」
北上「おお、二人も賛同なんだ。良かったぁ。これで心おきなくついていけるね」ニヤリ
日向「ん?ついていく?」
880: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:52:46.18 ID:tyI2q7pAo
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・
・
・
・
・
─ デート当日 待ち合わせ場所 ─
提督(…………)ドキドキ
タッタッタッ
大和「お待たせ提督。待った?」
提督「いや、全然。というかまだ1時間前だぞ。なんでもうきてるんだ?」
大和「え?うーん……提督なら早く来るだろうと思って」
提督「そ、そうか。なんかすまん」
大和「いいのよ。さ、行きましょう」
881: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:55:12.33 ID:tyI2q7pAo
北上「ひぇーまさか本当に二人共、待ち合わせ時間の1時間前にくるなんて……」コソコソ
伊58「すごいでち。これが幼馴染パワーって奴なの?」コソコソ
北上「日向っちが教えてくれなかったら置いてかれる所だったよ」
日向「まぁあいつらとは長い付き合いだからな。なんとなく分かったさ。……ってそんな事より」
日向「ほんとに私達もこのまま尾行してくのか?!」
北上「うん」
日向「なんの為だ?」
北上「面白そうだから」
伊58「でち」
雪風「しれぇと大和さんの身に何かあったら心配ですから」
日向「……雪風はともかく北上とゴーヤは考えを改める必要がある」ハァ
882: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:55:44.27 ID:tyI2q7pAo
北上「まぁまぁそんなに肩を落とさないでよ。ウチらなりに考えがあるんだから」
北上「てか日向っちと加賀っちは帰ってもいいんだよ?」
日向「いや、ついていく。お前らが良からぬ事をしないか見張る」
日向「加賀、一緒についてきてくれるな?」
加賀「いえ、私は別に…」
日向「間宮本舗の限定アイス」
加賀「行きましょう。無事に添い遂げるまで見守る覚悟です」
日向「うむ。頼んだぞ」
883: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:56:34.08 ID:tyI2q7pAo
───────────────────────────────
提督「遊園地へ行く前に軽めに食事でもどうだ?」
大和「早めに合流したおかげで時間も大分あるしそうしましょう」
提督「うむ。あっちにいい店があるんだ。そこへいこう」スッ
北上「お、二人共異動するみたいだよ。さぁ皆これつけて」スッ
日向「な、なんだこれは?サングラス?」
北上「ばれない様にだよ」
加賀「この人数で全員サングラスして行動というのはどうなんでしょうか」
北上「だいじょぶだいじょうぶ。要はあっちにばれなきゃいいんだから」
日向「怪しすぎるだろう……」
884: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:58:09.29 ID:tyI2q7pAo
─────────────────────
─喫茶店─
大和「随分しゃれてるわねー提督がこういう所知ってるなんて意外」キョロキョロ
提督「まぁな。さぁ好きなものを頼んでくれ。おすすめはっと……」
大和「色々あって迷っちゃうわねぇ」
伊58「雰囲気いい店でちね。周りカップルだらけだよ」
北上「こんな店よく知ってたね」
日向「たしかに提督の性格上こういう場所には疎いと思ったが」
雪風「さすがしれぇです。夜遅くまで頑張っていた成果がでていますね」
伊58「ゆっきーは何か知ってるの?」
雪風「はい。雪風はしれぇの命令で女性向けの雑誌を買いに行ったのですが」
雪風「しれぇはそれを使ってデート前日まで入念にここらへんのお店を調べていましたから!」
伊58「……ちなみにそれ、ゴーヤ達に言っていいんでちか?」
雪風「あ、そういえば口止めされていました」
伊58「ゆっきーはそういう所直した方がいいでち……」
885: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/02(木) 23:59:55.48 ID:tyI2q7pAo
大和「うん、美味しいこのデザート。口の中でとろけるわぁ~」ニコニコ
提督「噂に恥じない味だ。雑誌を参考にして正解だったな」
大和「雑誌?」
提督「い、いやなんでもない」
北上「いい感じだね。さすが幼馴染だけあって会話も弾んでるし自然な感じ」
伊58「最初は二人とも緊張してる感じがしたけど大丈夫みたいだね」
北上「じゃあそろそろ」
伊58「でち」コクリ
日向「?」
886: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 00:02:05.91 ID:7f6/vndbo
スタスタスタスタ
メイド「失礼いたします」スッ
店員「カップル専用ジュースです」
提督「え?頼んでないですが」
メイド「実は記念すべき1万人組目のカップルという事で当店から特別にプレゼントとさせていただきました。勿論御代は気にしないでいただいて結構です」
提督「記念?1万組目?」キョトン
ゴトッ
店員「ごゆっくりお楽しみください」ニコニコ
スタスタスタスタ
提督 & 大和 「「…………」」
888: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 00:06:14.36 ID:7f6/vndbo
提督 & 大和「「…………」」
大和「お、大きいわね」
提督「しかもこれストローがハートの形なんだが」
大和「なんか回りに見られててちょっと恥ずかしい」
提督「急にこんなの……下げてもらうか?」
大和「うーん、それも勿体ないし……飲んじゃいましょうか」
提督「正気か?」
大和「ええ。提督も一緒に飲んでね?」スッ
提督「わ、分かった」スッ
ゴクッ
ゴクッ
提督「甘いな」
大和「そうね」
ゴクッ
ゴクッ
大和「…………///」
提督「…………///」
北上&伊58「「いえーーい!」」パチン
日向「いえーい!じゃない。ハイタッチするな!というかお前らの仕業だろあれ!」
889: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 00:07:41.57 ID:7f6/vndbo
北上「ここらへん一帯のお店はスーパー北上がスポンサーしてる所だからねぇ。顔が利くんだよねー」
日向「な、なんていう無駄な権力の使い方だ。というかお前らこんな茶々いれる為についてきたのか」
北上「だからいったじゃーん。楽しそうだからって」
伊58「いい雰囲気になったから結果オーライでち」
日向「たしかにちょっといい感じにはなったが……しかしだな」
日向「加賀、お前からも何かいってやってくれ」クルッ
メイド「お待たせしました。ジャンボ戦艦パフェ5人前です」
加賀「おおこれが……やりました」グッ
北上「加賀っち、ここまで来てしっかり食べていくとはさすがだね」
伊58「お見それしたでち」
日向「……」ガクッ
890: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 00:08:59.29 ID:7f6/vndbo
カランコロン
アリガトウゴザイマシター
提督「ま、まぁなんか妙な事はあったが……とりあえ遊園地に向かうとするか」
大和「え、ええ」
カランコロン
アリガトウゴザイマシター
北上「さてウチらも遊園地に向かうとしますか」
伊58「了解でち」
雪風「はい!」
日向「まだついていく気なのか?」
北上「あたぼうよー。はい、チケット」
日向「チケットまでしっかり用意とは……」
日向「仕方ない、毒を食らわば皿までというし、ついていくか」
日向(……待てよ。遊園地も北上がスポンサーとかいっていたよな)
日向「嫌な予感が……」
891: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 00:18:25.20 ID:7f6/vndbo
・
・
・
・
・
・
─遊園地 ─
ワイワイ ガヤガヤ
提督「随分とまた大きい遊園地だな」
大和「アトラクションもいっぱいだわ。どれにしよう迷うわねぇ」
提督「うむ。まぁ時間はあるしゆっくりと……」
???「提……そこのお客さーん」
提督「ん?」
???「貴方達はこの遊園地に訪れた100万組目のカップルです」
???「なので記念に特別なプランをご用意しましたでち」
???「ゆきか……私達が考えたデートに最高なアトラクションをご案内しますのでついてきてください」
892: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 00:20:30.04 ID:7f6/vndbo
提督「こ、今度は100万組目?」
???「ささこちらへー」
???「どーぞどーぞでち」
???「こちらです!」
提督(なんか聞いたことのある声だな)
提督「大和、いいのか?この人達に任せて」
大和「いいんじゃないかしら?こんな事滅多にないでしょう」
提督「ふむ。ならいいか」
加賀「サングラスとマスクだけでも案外ばれないものですね」コソコソ
日向「やっぱりか.。あいつら、また提督達にイタズラしようとしてるな。雪風もいつのまにかノリノリだし」ガクッ
日向「仕方がない。バレてもいいから止めに」
加賀「待ってください。もう少し様子を見ましょう」
日向「いや、止めないと提督達のデートが台無しにだな」
加賀「様子を見ましょう」ジッ
日向「うっ、なんだ?何かあるのか」
加賀「……」コクリ
893: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 00:24:41.86 ID:7f6/vndbo
・
・
・
・
・
─数時間後─
提督「やっと終わった……」ゲッソリ
大和「て、提督。大丈夫?」
提督「あ、ああ……しかし、遊園地というのはこんなに恐ろしい所だったのか……」
提督「やけに回るのが早いメリーゴーランドと映画レベルの特殊メイクを使った本物そっくりなお化け屋敷に風でやたらグラグラ揺れる観覧車……他にも色々えげつないアトラクションがあったというのに」
提督「……大和は良く平気だな」
大和「うーん、ちょっと怖かったけどどれもスリルがあって面白かったわね」
提督「女性は絶叫系に対して耐性があると雑誌に書いてあったが、本当だったんだな……」グッタリ
大和「やっぱり顔色悪いわよ?ちょっとあそこのベンチで休みましょう」
提督「ああ、すまん……」
894: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 00:29:29.78 ID:7f6/vndbo
─────────────────────
─休憩室─
北上「あー笑えたね。お化け屋敷でのあの顔」ケラケラ
伊58「提督さん、結構びびってたでち」
雪風「しれぇにも苦手なものがあるんですね」
北上「驚いて大和っちに抱きついてたもんね」
伊58「メリーゴーランドで目を回してたのはちょっと可哀想だったかもだけど」
北上「あはは、大和っちは全然平気っぽかたけどねぇ」
加賀「艦娘にはあの程度の速度であれば日常茶飯事ですよ」
895: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 00:30:06.83 ID:7f6/vndbo
日向「……っ」ワナワナ
日向「なんなんだ!お前らは!」ダンッ
北上「ど、どうしたの急に大きな声だして日向っち」ビクッ
日向「どうしたのじゃない!結局、提督達の邪魔するばかりで……」
日向「加賀に止められていたから何も言わなかったが……ひどすぎるぞ」
雪風「日向さん……」
896: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 00:34:58.27 ID:7f6/vndbo
日向「あの二人はお前らだって知ってると思うが!」
日向「軍人になってやっと互いの想いを打ち明ける事ができたんだ」
日向「ここから先また命を懸けた戦いがある。今は長い休暇を貰ってゆったり過ごせているが」
日向「いつまた任務で危険な目にあうかわからんだろう!」
日向「だから少しでも多く二人の時間を……幸せに過ごしてほしい。私はそう思って提督達を応援しているんだ」
日向「それなのにお前らときたら」
897: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 00:36:34.78 ID:7f6/vndbo
北上「……分かってるよ。そんな事」
伊58「日向さん、ゴーヤ達も同じ気持ちだよ」
日向「ならなんで!」
北上「うーん……簡単にいうと嫉妬というかなんというか」
日向「え?」
雪風「ごめんなさい。本当は雪風も見守るつもりだったのですが、ちょっと羨ましくなりました」
伊58「大和さんも提督さんの事も大好きだけど……二人だけで楽しむのはちょっとばかし勿体ないなって思ったんでち」
北上「そーそー、そういう事。せっかく私達仲良くなれたからね。だから今後も二人だけの時間が多くなるって思うと悲しいじゃん?」
日向「………し、しかし」
898: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 00:38:09.89 ID:7f6/vndbo
北上「大丈夫。今日だけだよ、こんな事するの」
北上「あんなにお似合いの様見せられたら、諦めもついたし……ね?二人とも」
伊58 & 雪風 「はい(でち)」
日向「諦め?……ってお前らもしかして」
北上「いやいや、そんな大それたもんじゃないよ」
伊58「ちょっとした憧れみたいなもんでち。提督さんにこの艦隊へ誘われた時から尊敬してるから」
雪風「雪風はそういう感情よくわからないですが……しれぇとホントはもっと一緒にいたいとは思います」
北上「ま、普段は堅物だけど何事にも一生懸命だし責任感強いしなんだかんだ優しいし、見た目も中々いいじゃん」
北上「異性として見てしまったという結果は致し方ないかもねぇ~」
北上「そこらへんは日向っちと加賀っちのが分かるんじゃない?」
日向「ど、どういう意味だ」アセッ
北上「ふふ」
北上「て訳でそろそろ帰ろうか。これ以上の邪魔はさすがにあれだしね」
伊58「了解でち!」
雪風「はい!」
899: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 00:38:36.92 ID:7f6/vndbo
日向「……加賀」
加賀「はい」
日向「あの三人の意図に気づいていたから止めたのか?」
加賀「…………」
日向「だとしたら、私は考えが足りなかったようだな。あの三人だって一人の女性だという事に目を向けず……」
加賀「いじわるを」
日向「え?」
加賀「私もあの二人をイジワルして邪魔したかったのかもしれません」
日向「加賀、お前」
加賀「……冗談です。さぁ、日が暮れる前に帰りましょう」
日向「あ、ああ」
900: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 00:45:27.91 ID:7f6/vndbo
───────────────────────
─ 夕方 ─
提督「さぁそろそろ帰るか」
大和「ええ」
提督「それにしても楽しかったな。色々大変な事はあったが」
大和「そうね。こんなに遊んだの何年ぶりかしら」
提督「士官学校入ってから今まで遊ぶ時間なんて無かったもんなぁ」
大和「休みの日は訓練後の疲れをとる為に寝てばかりいたものね」
提督「ああ」
大和「これからどうするの?鎮守府に帰るの?」
提督「いや、ちょっと寄りたい所があるんだ。タクシー拾うから少し待っててくれ」
大和「寄りたい所?」
901: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 00:48:07.40 ID:7f6/vndbo
・
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・
・
・
・
─海を見渡せる山─ (前スレ>>365の場所)
大和「この場所は……」
提督「久しぶりか?ここへくるの」
大和「提督、まだ覚えてたのね」
提督「うむ。忘れたことなんて一度もないよ」
提督「大和と仲直りして、軍人になるって決めた場所だから」
大和「……そう」
902: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 00:49:53.11 ID:7f6/vndbo
提督「大和」
大和「はい?」
提督「左手だしてくれ」
大和「左手?」
提督「ああ」
大和「何よ急に」
提督「いいから」
大和「?」スッ
提督「サイズ合うかどうかわかんないけど」スッ
大和「こ、これって……」
提督「一応、3か月分てやつだ」
大和「結婚指輪……」
903: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 00:56:36.27 ID:7f6/vndbo
大和「結婚指輪……」
提督「急にごめん。でもどうしても渡したかった」
提督「早いかもしれないけどさ。前も言ったけど軍人としてこれから生きていけばいつ死ぬかわからない。だけど悔いは残したくない」
大和「……私なんかでいいの?」
提督「お前じゃなきゃ嫌だ」
大和「そっか……ありがとう。すごくうれしい」
大和「だけど受け取れない。結婚はできないわ」
提督「え?」
904: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 00:59:43.41 ID:7f6/vndbo
大和「提督の事は大好きだし、長い付き合いだし本当なら結婚だって全然問題ないわ」
大和「だけど提督が今言った様にいつ死ぬかわからないから……私達は」
大和「艦娘として前線に出る以上、死という現実から目を背けられないの」
大和「だから受け取らない。私は戦いが終えるまで……結婚しない」
大和「もし私が先に死んだら……提督、気にしちゃうじゃない?」
提督「大和……」
大和「ごめんなさい」
提督「いいんだ。俺の勝手な想いだから」
905: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 01:01:37.65 ID:7f6/vndbo
提督「でもやっぱり受け取ってくれ。折角買ったんだ。結婚て捉えなくてもいいからさ」
提督「ただのアクセサリーだと思ってくれ」
大和「もう、頑固ね……」
大和「分かったわ。じゃあ……嵌めて頂戴」
提督「……うん」
スッ
スススッ
大和「ぴったりだわ……綺麗」
提督「良かった。すごい心配だったんだよサイズ」
大和「…………」
大和「……仮の結婚なら、いいわ」
提督「ん?」
906: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/03(金) 01:02:36.01 ID:7f6/vndbo
大和「さっきも言ったけど本当の結婚はこの戦争が終わったらにしましょう」
大和「だからそれまではえっと……結婚の仮、ケッコンカッコカリなの」
提督「なんだよそれ。別に無理やりそうやってこじつけなくても」
大和「いいのそれで!乙女心なの!」
提督「お、怒るなよ。……分かった」
提督「ケッコンカッコカリ、か」
提督「……カッコつける必要あったか?」
大和「なんか言葉のリズムがいいじゃないそっちの方が」
提督「そうかな。まあたしかにケッコンカリよりはいいかもな」
大和「ええ」
大和「だからこの指輪をしてる時は私と提督はケッコンカッコカリ」
大和「いつか平和な時代が訪れるその時まで」
「ケッコンカッコカリ、よ」
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─
923: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 10:30:39.89 ID:vGJ5CdY90
─前回のあらすじ─
中央鎮守府に到着した提督たちは、南鎮守府艦隊と別れ寮へと帰還する
カムランでの任務に成功した報酬として、第2艦隊全員が長期の休暇をとる事になる
休暇中、提督は雪風達から遊園地のチケットを貰い大和とデートへいく
北上たちはデートを尾行し、喫茶店と遊園地にて「付き合いの後押し」とは口だけに、提督達にいたずらをしかけていく
怒った日向は北上達に説教を始める
それに対して北上達が嫉妬心から悪戯をしてしまったと吐露し、今後は素直に応援すると約束する
日向は自身も提督へ好意を持っていた事や加賀も同じように嫉妬していた様子を見て
やるせない気持ちで鎮守府へと帰る
提督達は遊園地でのデートを終えると、町と海を見渡せる山へと向かう
そこは提督と大和にとって思い出深い場所。提督はそこで大和に結婚指輪を渡そうとする
しかし大和はそれを拒む。艦娘である自分はいつ死が訪れるかわからない、自身がもし死ねば提督を縛ってしまうのではないか
という思いから提督に指輪を返そうとする
提督は大和の言う事を理解したものの、結婚はしなくとも指輪は受け取って欲しいと伝える
承諾した大和は指輪を受け取り、この行為に結婚(仮)、もといケッコンカッコカリと名づける
かくして二人は男女としての絆を深めていきながらも、互いに軍人として命を賭けて生きていく
そして、月日は流れる
924: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 10:33:02.59 ID:vGJ5CdY90
─── 数年後
925: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 10:34:54.78 ID:vGJ5CdY90
─
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─ 中央鎮守府 一般寮 ─
先輩軍人「おい、新人。鯱組が演習やるから見てこいって上からのお達しだ」
後輩軍人「鯱(シャチ)組……ですか?」
先輩軍人「ああ」
後輩軍人「すみません。鯱組とはなんの事でしょうか?」
先輩軍人「そいやこっちに来てばかりだから知らないのか。ウチ(中央)の第2艦隊の事だ」
後輩軍人(鯱組って……なんかダサい)
926: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 10:36:21.68 ID:vGJ5CdY90
後輩軍人「あはは、中央鎮守府の主力ともいえる第2艦隊が随分と面白い呼ばれ方してるんですね」
先輩軍人「まぁな。隠語というか俗称というか、うん。そんなもんだよ」
後輩軍人「そうですか。なぜ鯱なんて呼ばれてるんでしょう?」
先輩軍人「見にいけば分かる」
後輩軍人「はぁ」
先輩軍人「っと、俺はそろそろ行かなきゃいけないから離れるぜ」
先輩軍人「お前は準備でき次第、演習場に行ってしっかりトップクラスの艦娘戦を目に焼き付けておけ」
後輩軍人「は、はい。了解です」ビシッ
927: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 10:39:35.60 ID:vGJ5CdY90
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─数時間後 演習場─
ビィイイイイイイイイ
演習軍人「演習終了!第2艦隊の勝利です」
後輩軍人「すごい」ポカーン
後輩軍人(第2艦隊……なんとなくは聞いていたけど噂に違わぬ実力集団だ)
後輩軍人(足が速く回避に優れた駆逐艦。通常では考えられない潜水深度から魚雷を放つ潜水艦)
後輩軍人(射程距離と威力は優秀だけど扱いの難しい甲標的を難なく操作する重雷装巡洋艦)
後輩軍人(高度な技術である弾着修正射撃を完ぺきに扱う戦艦に、尋常とは思えない程の艦載機を運用する正規空母)
後輩軍人「そしてあの長身の美しい戦艦……見たことがある」
後輩軍人「第2艦隊の旗艦にして最高の攻撃力と防御力を持つといわれる艦娘」
後輩軍人「艦娘関係の資料に代々的に載っていた……たしか名前は──」
928: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 10:41:16.63 ID:vGJ5CdY90
先輩軍人「戦艦 大和。今、海軍に所属している者ならば知らない者はいないだろう」スッ
後輩軍人「先輩、来てらっしゃったんですか?」
先輩軍人「用事が終わったからな。ちょっとだけ顔だしにきた」
先輩軍人「それよりどうだった?演習の方は」
後輩軍人「すごかったですよ。こんなにレベルの高い演習は初めてみました」
後輩軍人「特に第2艦隊は別格でした。ここ中央へ配属される前から救世主ともいえる艦隊がいると
噂には聞いていたのですが……まさかこれ程とは」
先輩軍人「そうだろう。現在こちらが深海棲艦に対して優勢であるのは彼らのおかげといっても過言ではない」
929: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 10:47:03.04 ID:vGJ5CdY90
後輩軍人「なるほどです。所で鯱(シャチ)組の由来、見ても結局わからなかったのですが」
先輩軍人「ああそれはなほら、あそこにいるじゃないか」
後輩軍人「えっと……」
後輩軍人「真っ黒な軍服を着た男がいまずが、あれですか?」
先輩軍人「そうだ」
先輩軍人「危険度Aランク以上の任務を小数艦隊で遂行し」
先輩軍人「深海棲艦の行動と艦種パターンを数十種類に分類。対応策を記した全鎮守府にあるマニュアルを制作して」
先輩軍人「艦娘達の基本育成カリキュラムを提言して広く支持され」
先輩軍人「様々な名誉勲章を取得した第2艦隊の司令官だ」
後輩軍人「あれが第2艦隊の司令官……」
先輩軍人「ああ、そしてその司令官の黒い軍服と艦娘達の白い軍服」
先輩軍人「黒と白のコントラストが海の生物で最強と呼ばれている「鯱」をなぞらえてるのが由来」
後輩軍人「それで鯱組、なんですね」
先輩軍人「まぁ、昔は「喪服組」などと呼ばれ不遇だったそうだが……「鯱組」と呼ばれてるのもその名残だろう」
930: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 10:49:17.29 ID:vGJ5CdY90
─────────────────────────────────
─中央鎮守府 演習場─
提督「ふぅ」
第3艦隊司令官「相変わらずの無双ともいえる強さですな」
提督「無双なんてそんな、まだまだです」
第3「ご謙遜を。しかし悔しいですな。我々の方が何年も先輩だというのに手も足もでないとは」
提督「そんな事はないと思いますが……」アセアセ
第3「いつか私の艦娘達にもご指導いただきたいですな」
提督「ええと、私から司令官の艦娘に教えられる事などありませんよ」
提督「それに自身の艦娘達を見るのに手一杯でして……」
第3「そうですか。それは残念です」
931: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 10:51:21.48 ID:vGJ5CdY90
大和「提督ー準備ができましたよー!」
提督「わかった!今いく」
第3「第2艦隊旗艦戦艦 大和、いつ見ても美しい婦人ですな。羨ましい限りです」
提督「いえいえ、外面は良いですが、尻にしかれてばかりです」
第3「そうなんですか?艦娘を妻に迎える指揮官は多くいますが……皆、亭主関白気味ではあるが上手くいってるとお聞きしますが」
提督「亭主関白だなんてとんでもないですよ。私の場合は幼馴染が相手ですからね。なかなかどうして……それにまだしっかりと籍をいれていませんし」
第3「ほう?それはまた何か理由が?」
提督「まぁ色々ありまして」
932: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 10:52:46.74 ID:vGJ5CdY90
大和「提督ーまだですかー?」
提督「すみません、というわけで私は怒鳴られる前に戻らせていただきます」ペコ
第3「はは、了解しました。またよろしくお願いします」ペコ
タッタッタッタッ
提督「すまん。待たせたな」スッ
大和「構いませんよ。それより寮に戻って食事にしましょう。皆さん提督の事を待ってますよ」
提督「む?演習で受けた傷はもう大丈夫なのか?」
大和「ええ。全員ほぼ無傷で勝利しましたから」
提督「そうか……第3司令官には聞かせたくないな」
大和「うふふ、第2艦隊の名に恥じない戦いをしたまでです」
933: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 10:54:40.55 ID:vGJ5CdY90
提督「……なぁ」
大和「はい?」
提督「二人でいる時くらいその気持ち悪い口調止めたらどうだ?」
大和「嫌です。常に変えてないとどこかでボロがでてしまうので」
提督「なんだかなぁ。指輪を渡してからというものの」
提督「将来第2艦隊司令官の妻になる身として正しい言葉づかいや振る舞いに正すとか言いだし始めてからむず痒くてたまらん」
大和「いいじゃないですか。結果的に第2艦隊は中央の模範となる存在になったんですから」
大和「注目される以上、留意すべき点だったと思いますよ」
提督「本当に籍を入れてからでもいいじゃないか?」
大和「それじゃ遅いですし、私も今後多くの人に見られる側としてキチンとしていたいというのもあります」
提督「……わかったよ。もう好きにしてくれ」ハァ
934: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 11:04:22.85 ID:vGJ5CdY90
───────────────────────────
─爺督の執務室─
あきつ丸「今回の調査の結果、アジア周辺海域において、人類側の占拠率が70%を超えたであります」
爺督「ふむ。素晴らしいのぉ」
武蔵「……あのひよっ子が立派になったおかげだな」
島風「それって第2の司令官さんの事?」
武蔵「ああ。今我々海軍の士気は最高潮」
武蔵「その理由の根端として、第2艦隊が関わっているのは誰が見ても明白だろう」
島風「ふーん」
935: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 11:05:45.23 ID:vGJ5CdY90
あきつ丸「爺督殿。今後の展開はどうされるおつもりでありますか?予定としては次の段階へ行くべきところでありますが……」
爺督「そうじゃなぁ」
爺督「武蔵ちゃん」
武蔵「なんだ?」
爺督「第一艦隊全員が最後に出撃したのはいつじゃ?」
武蔵「半年前に近海の敵を掃除したくらいだな」
爺督「半年前か……随分と前のようじゃな」
武蔵「ああ。おかげで腕がなまってしょうがない」
爺督「なるほどのう」
爺督「久方ぶりに模擬訓練から始めるかのう」
武蔵「!」
爺督「ビスマルク、木曾、隼鷹にも声をかけといてくれるか?」
武蔵「……ふむ」
武蔵「了解だ」ニヤリ
936: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 11:07:19.25 ID:vGJ5CdY90
・
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・
・
・
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─数日後
─南鎮守府 執務室─
利根「ホモ提督よ、中央から書類が届いておるぞ」
ホモ「珍しいわねこの時期に、しかも機密のやつじゃない」パサッ
ホモ「んー、ふんふん」
ホモ「…………」
ホモ「えらいこっちゃだわぁん」
利根「どうしたんじゃ?なにかあったのかの?」
ホモ「ちょっと中央にお呼ばれされたみたいなの。悪いけどしばらく鎮守府の事お願いするわねぇん」
利根「ふむ?了解じゃ」キョトン
937: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 11:09:06.41 ID:vGJ5CdY90
──────────────────────────
─北鎮守府 執務室─
翔鶴「エリートさん。中央から書類が届いています」
エリート「中央だと?やっとこのエリートの功績を称える用意ができ……」パサッ
エリート「……へぇ」
エリート「おもしろい事が始まるじゃないかぁ」
翔鶴「どうしたんですか?随分嬉しそうな顔をして」
エリート「ああ、中央から呼ばれた様でね。今から向かうとするよぉ」
翔鶴「今からですか?急ですね」
エリート「しばらく鎮守府の事は君の一存に任せる。頼んだよぉ」スッ
翔鶴「承知しました。お気を付けて」
938: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 11:17:04.77 ID:vGJ5CdY90
──────────────────────────
─中央鎮守府 第2艦隊寮 執務室─
提督「───ええ、分かりました。ええ、はい。ではまた後程」
ガチャ ツーツー
提督「…………ふぅ」
大和「どうしたのですか?」
提督「本部から連絡があった」
提督「ついに深海棲艦の本拠地と思われる場所の一つに」
提督「全観隊の総力をあげ打って出るとの事だ」
大和「ほんとですか!?」
提督「うむ。その為に一度全国の鎮守府の責任者を中央鎮守府に呼び出し会合をするとの事だ」
提督「もちろん俺も出席する。会合は今週末に行われるそうだから準備を手伝って欲しいとさ」
大和「本拠地って……今まで一度も話にでてなかったですよね?急すぎないかしら」
提督「いや、そうでもないさ。最近は深海棲艦の勢力も弱まってきていると聞くしな」
提督「こちらとしても連戦連勝している良い雰囲気の中で戦いに望みたいという意向だろう」
提督「タイミング的には丁度いいのかもしれん」
945: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 14:50:45.18 ID:vGJ5CdY90
・
・
・
・
・
─数日後
─中央鎮守府 大広場 会合中─
爺督「えー、ゴホン」
爺督「数百年」
爺督「数百年という長い年月だ」
爺督「我々人類が深海棲艦という突如現れた謎の敵と戦い争っていた時間」
爺督「広大な地球の一部、つまり海を奪われ」
爺督「奴らの存在におびえながら過ごしてきた」
爺督「海岸線を持つ国はやつらの攻撃で領地を削られ、巻き込まれた多くの人間が命を落とした」
爺督「かつて我々日本海軍も旧式の軍艦で立ち向むかったが、ガラクタ同然に蹴散らされる程、戦力に差があった」
爺督「我々は、無力だった」
946: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 14:52:39.36 ID:vGJ5CdY90
爺督「しかし」
爺督「ある時、人類は艦娘という深海棲艦に対抗しえる技術を手に入れた」
爺督「それからだ」
爺督「艦娘を主軸とした艦隊で深海棲艦に立ち向かった……結果」
爺督「攻勢は逆転した」
爺督「我々は深海棲艦に奪われていた領海を徐々に取り返していった」
爺督「深海棲艦は我々を恐れたのか最近では遊弋する海域を狭めている」
爺督「なぜなのか?」
爺督「我々が強者に、奴らを圧倒したからだ」
爺督「ならばどうあるべきか?」
爺督「答えは決まっている」
爺督「全ての深海棲艦を駆逐し、我々人類が勝利し、そして」
爺督「海を奴らから解放する」
爺督「母なる地球の一部を、何者にも侵されていなかった昔の様に」
爺督「取り戻すのだ」
爺督「そのために」
爺督「諸君の力が必要だ」
爺督「人類の代表として戦う誇り高き戦士達よ」
爺督「今一度その力を人類の為に奮ってほしい」
爺督「以上だ」
パチパチパチパチパチパチパチパチパチ
947: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 14:55:45.12 ID:vGJ5CdY90
提督(…………)
爺督「どうじゃったかね?ワシの演説は」スッ
提督「素晴らしいものでした。聞き入ったすべての者に希望と勇気を与えた事でしょう」
爺督「そうかの。それならよいのじゃ」
爺督「お主もいつかワシの座に就きたいのなら戦前(いくさまえ)の士気上げ話くらいは用意しとくといいぞい」
提督「はい」
爺督「ふぉっふぉっふぉっ」スッ
スタスタスタ
提督(嫌味なじーさんだなまったく)ハァ
948: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 14:57:41.92 ID:vGJ5CdY90
提督(──さて、この後は各艦隊別のブリーフィングか)
提督(日本全国の艦隊を集めて編成した大規模な戦い)
提督(艦娘に関していえば千に近い数が集まっている)
提督(深海棲艦がどれだけいるか分からないが
提督(これだけの戦力を整えればきっと……)グッ
「間抜面で何考え込んでるんだキミはぁ」
949: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 15:03:02.61 ID:vGJ5CdY90
提督「ん?その声は──」
エリート「久しぶりだねぇ」
提督「エリート……癪に障る喋り方だったからすぐわかったよ」
エリート「いってくれるねぇ。少し偉くなったからチョーシのってんじゃないかと心配したけどドンピシャだったようだぁ」
提督「ああ、お前より随分偉くなっちまった。サインしてやろうか?」
エリート「キミは、ほんっっとムカつくよぉ」ギロッ
提督「そりゃすいませんね」ジロッ
提督&エリート「「…………」」バチバチ
950: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 15:10:48.98 ID:vGJ5CdY90
提督「ふふ」
エリート「くく」
提督「変わらないなお前も」
エリート「君もねぇ」
提督「噂は聞いてるよ。北部の海域で大戦果をあげたそうじゃないか。さすがだな」
エリート「海軍の間で救世主ともはやされている君と比べたら恐れ多いねぇ」
提督「救世主か、誇張された表現だ。実際大した事はしていない」
エリート「大した事はしてない……か」
エリート「君の制作した艦娘訓練マニュアルを見た。……悔しいが目から鱗だった」
エリート「正直、張り合っていた自分が少しばかりしょぼく思える程に素晴らしい物だったよ、あれは」
提督「…………」ポカーン
エリート「なんだその金魚が呼吸している様に口をパクパクさせて」
提督「いや……エリートが俺を褒めるなんて……丸くなったなぁ」
エリート「あ、お、何を言うんだ君は//」
エリート「僕はちょっとそう思っただけで実際は君なんかに負けないくらいだなぁ───」
「いいわよねぇん。男の子同士の会話って。股間が熱くなってきたわぁん」ヌッ
951: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 15:12:51.58 ID:vGJ5CdY90
エリート&提督「「ひっ」」ビクッ
ホモ「なにバケモノを見た様な顔をしてるのよぉん。ひどいわねぇん」
提督「ホ、ホモ司令官。いつのまに……」
ホモ「いい男の匂いがすると思って来てみたら提督ちゃんともう一人知らない可愛い坊やがいるじゃない?」
ホモ「これはもうお声掛けするしかないと思ってねぇん」
952: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 15:17:42.66 ID:vGJ5CdY90
エリート「て、提督、この気色の悪いでかいおっさんは何者だ?」
提督「南鎮守府の司令官、ホモ提督さんだ」」
ホモ「よろしくねぇん♪」キャピーン
エリート「よ、よろしく(オエエエエ)」
提督「司令官もやはり呼ばれましたか」
ホモ「ジジイに言われて仕方なくねぇん。まぁでも、全国から集められた選りすぐりのいい男達がきてるみたいだしラッキーだわぁん♪」
提督「そうですか」タラー
ホモ「そ・ん・な・こ・と・よ・り」
ホモ「そこの可愛い男の子、紹介してよ提督ちゃん」
エリート「!」ギョッ
提督「ああ、こいつですか。どうぞどうぞ。エリートと言いまして優秀な奴ですから十分に相手してやってください」
エリート「あ、おい!なにをいって──」
ホモ「あらそぉん?じゃあ遠慮なく……あっちに良い感じの個室があるからお互い色んな意味でお知り合いましょ?」グイ
エリート「いや、僕はっ(なんて力だ)」グググググ
提督「私はお邪魔な様なので失礼します。エリート、がんばれよ」
マテェ!ボクヲオテイクナ!
エリートチャンハコッチヨ。タノシミマショーネ
提督「さて、明日からまた忙しくなるな」
953: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 15:22:17.74 ID:vGJ5CdY90
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・
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─第2艦隊寮 会議室─
提督「敵の数は未知数、だが今までの実績から考えると千隻以上と推測される」
提督「それに対しこちらは日本から出撃できる艦隊のほぼ全てを有し敵艦隊を殲滅する、簡単にいえばそういう任務だ」
提督「間違いなく史上、最大規模の戦いとなるだろう」
北上「ふーん。周辺国の支援はどうなってるのー?」
提督「話によると中国とアメリカには要請を出したのだが」
提督「どうにもいい返答を貰えなかったとの事だ。まぁ場所的に手を出しづらいのと何か政治的背景があると思われる」
提督「ので今回は、日本単独での任務だ」
大和「まぁ下手に連携が取りにくい相手と組んでもやりづらくなるだけもかもしれませんし、結果的にはいいのかもしれませんね」
提督「そういう考えもあるな」
954: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 15:27:31.46 ID:vGJ5CdY90
日向「今回の任務、やけに力が入っている様だが……成功したら何かあるのか?」
提督「うむ。大きく言えば二つだ」
提督「重要海域の奪還という事により苦にしていた欧米諸国へのアクセスが容易になり多大な利益を生むという事がまず一つ」
提督「もう一つはアジア海域に潜む深海棲艦が集結しているという事」
提督「しかもこれがある島を取り囲む様に……一つの地点に集まっている」
提督「つまり、これを叩く事ができれば──」
加賀「敵が集まっているそこを一網打尽。深海棲艦を効率よく倒し、数を一気に減らす事ができる」
提督「そういう事だ。奴らもだんだん余裕がなくなってきたのだろう。今までバラバラに分散していた深海棲艦が集合しているわけだからな」
伊58「一か所にあつまってくれればこっちは四方八方から囲んでボッコボコにできるでち」
北上「たしかに数がいても囲んで叩けば陣形的には有利かもねー」
955: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 15:29:29.39 ID:vGJ5CdY90
雪風「しれぇ、雪風達はどんな役割なのですか?」
提督「俺達は第一艦隊と共に敵の旗艦を直接狙いにいく」
大和「第一艦隊とですか?」
提督「ああ」
日向「総司令官のお付という事か。大役だな」
提督「うむ。本任務の要ともいえる」
北上「今回の戦いが終わればまたしばらく休暇がもらえるかな?」
提督「休暇どころじゃないかもしれんぞ。この任務はアジアにおける深海棲艦の勢力を大幅に削る事ができるかもしれないんだ」
提督「結果によっては海軍の縮小もありえる」
伊58「っていうとどういう事でち?」
提督「……艦隊を解散するって事だ」
956: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 15:31:51.87 ID:vGJ5CdY90
雪風「ええ?!いやです!まだみんなと居たいです!」
提督「いや、まぁ大げさに言ってだ」
提督「今後深海棲艦の勢力が弱まるとなると今の海軍……つまり艦娘達の規模というのは過ぎたものになるだろう」
提督「更にいえばそれだけ軍事費用もバカにならん」
提督「ならば既存の艦隊などの戦力を解散し費用削減の動きがでるかもしれいないという事だ」
日向「平和になれば、軍隊は不要という事か」
提督「不要とまで言わないが、今ほど必要ではなくなるだろうな」
加賀「平和……ですか。深海棲艦がいなくなれば私達はいらないですものね」
957: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 15:34:11.50 ID:vGJ5CdY90
提督「艦娘としてのお前らはな。だけど、解体すればお前らは人間として生きていく事ができる」
提督「その時は第2の人生を歩めばいいさ」
大和「第2の人生……か」
提督「ああ」
日向「中々想像つかないな。私達が元の人間に戻って生活とは」
提督「何言ってるんだ。艦娘になる前はみんなそうだっただろう?」
日向「そうだが……もう10年近くこの生活をしているんだぞ。感覚を取り戻すのは大変じゃないか」
提督「たしかにな。ま、幸いに給与だってたっぷり貰っているんだ。その金で時間をかけて社会復帰すればいい」
日向「……ふむ」ウーン
提督「深く考えすぎるな。まだ任務が成功したわけじゃない」
提督「それに余剰戦力は苦難しているヨーロッパへ回すという話も上がっているから本当に軍が縮小するともかぎらん」
提督「とりあえず後の事はその時に考えよう。───という訳で、今日は解散だ」
提督「各自、しっかり作戦書に目を通しておくようにな」
958: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 15:35:30.04 ID:vGJ5CdY90
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─その夜 提督の部屋─
提督(…………)
大和「提督ー」
提督「ん?」
大和「こんな所で明かりもつけずに何をしているんですか?」
提督「ちょっとな」
大和「……?」
提督「大和」
大和「はい」
提督「今回の任務が終わったら、結婚しないか?」
大和「え……」
959: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 15:40:17.68 ID:vGJ5CdY90
提督「分かってる。艦娘である以上……結婚はできないって事は覚えてる」
提督「だけど昼に話していた通り今回の任務が成功すれば深海棲艦の勢力は弱まる」
提督「ならば俺達も危険な任務へ赴く事も少なくなるだろう」
大和「……」
提督「最近では艦娘と司令官のケッコンというのも中々どうして多いようだし」
提督「駄目か?」
大和「……いいですよ」
提督「おお、なら──」
大和「ただし条件があります」
960: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 15:44:51.46 ID:vGJ5CdY90
提督「……」
大和「どうですか?」
提督「いや、問題ない。けど……いいのか?大和は艦娘として生きていくと決めていたのに……」
大和「私の目的は元々深海棲艦の脅威を拭い去る事でしたから……それに」
大和「ここ数年過ごしてきてもう一つ、夢ができて……その」
大和「提督と……夫婦として生きていきたいのよ」
提督「大和……」
大和「な、なんかすごい恥ずかしい//」カァ
提督「……」ダキッ
大和「ちょ、ちょっと、急に抱きしめないでよ」ギュウ
提督「口調が元に戻ってるぞ」
大和「あ……も、もういいじゃない。こういう時は//」
提督「都合がいいなまったく」クスクス
大和「フンッ//」
大和「提督だって「後の事はその時考えよう」なんか言ってた癖に……」
提督「あれはまぁその指揮官として無責任に煽りたくなかっただけだ」アセアセ
大和「そんなの知らないわ」プイッ
提督「拗ねるなよ。まったく……」
提督「…………」
提督「一緒にその夢、叶えような」
大和「……うん」コクリ
提督「この戦いが終わって平和になったら……本当に」
「ケッコンしよう」
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961: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 15:47:57.94 ID:vGJ5CdY90
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─大規模任務 当日 ─
メイド「ゴーヤちゃんはもっと左寄って~」
伊58「ここらへんでち?」サッ
メイド「おっけーです!北上ちゃん、制服の襟が裏返ってるから直してー」
北上「あーはいはい……どうかな?」スッ
メイド「大丈夫!じゃあちょっと皆そのままですよー」
雪風「はいです!」
962: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 15:49:23.09 ID:vGJ5CdY90
提督「急に皆で集合写真を撮りたいだなんて……なんかあったのか?」
大和「もしかしたら今日で皆さんと一緒の任務が最後になるかもしれませんから、記念にと思いまして」
提督「……なるほど」
メイド「んーまぁこんなもんでしょうか」
メイド「なんかこう足りないような……んー」
メイド「そうだ、提督さんと大和さん」
提督&大和「「はい?」」
メイド「手をつないで寄り添ってください」
提督&大和「「へ?」」
963: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 15:51:14.95 ID:vGJ5CdY90
メイド「手をつないで寄り添ってくださいー、せっかくですから」
提督「せ、せっかくってどういう事ですか」
大和「そ、そうですよ、恥ずかしいです」
伊58「今更なにいってるんでち。ほらほらテートクさんと大和さんは手をつないでください」
北上「いつもラブラブしてるんだからいいじゃん」
雪風「しれぇ!男なら積極的にいきましょう!」
日向「いいんじゃないか?記念の集合写真、ちょっとくらい惚気た所で誰も怒らん」
加賀「良い写真の為、お願いします」
提督「わ、わかったよ。手をつなげばいいんだろ!」ガシッ
大和「…………//」ギュ
メイド「お、いい感じですねー、よし。では撮りますよ」
メイド「3、2、1」
メイド「0!」
パシャッ
964: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 15:52:38.31 ID:vGJ5CdY90
メイド「綺麗に撮れましたよ!」サッ
提督「おお、いいですね。なんか俺と大和だけ浮いてるようにみえますけど」
メイド「とっても素敵じゃないですか。その写真、提督さんにあげますよ」
※前スレ>>216の写真
提督「くれるんですか?」
メイド「はい、ネガはありますからどうぞ」
提督「そうですか。じゃあお言葉に甘えて」
提督「…………」ジー
提督「……宝物にします、これ」ギュゥ
965: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 15:57:34.43 ID:vGJ5CdY90
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─任務開始前 海上待機中─
日向「この艦娘の数……壮観だな」
伊58「ひーふーみー、えっと……何隻いるでち?」
雪風「艦娘と軍艦全部併せて、約千隻です!」
北上「作戦会議で聞いてはいたけど、こうみるとすごい数だね~」
加賀「戦いは数……だけとは思いませんが、これだけいると心強いです」
日向「うむ。それにしても大和の奴遅いな。何か用事ができたといっていたが」
提督「ああ、艤装の件で色々あってな。少し時間かかるといっていたからしばらくこないだろう」
日向「まったく……作戦当日に何をしているというのだ」
ブゥウウウウウウウウウウウウ
提督「作戦開始の合図だ。各艦指定の配置についてくれ」
艦娘達「了解」」
966: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 16:00:14.62 ID:vGJ5CdY90
────────────────────────────
─中央鎮守府第一艦隊─
ビスマルク「久しぶりじゃない?第一艦隊全員があつまって任務にでるのって」
木曾「たしかにな。半年ぶりって所か」
隼鷹「ヒャッハー!なんかちょっと盛り上がってきたんじゃないのぉこれ?!んぐっんぐっ」グビッグビッ
島風「うわぁ、酒くさーーい」
あきつ丸「相変わらずでありますね隼鷹殿は」
武蔵「ふんっ。任務中に飲酒など……本来であれば許さないのだがな」
967: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 16:03:06.16 ID:vGJ5CdY90
武蔵「それより爺督、今日は本気で暴れていいのだろうな?」
爺督「もちろんじゃ。弾薬も燃料の事も気にせず好きにせい」
武蔵「そうか」ニヤリ
隼鷹「へー、じゃあさ。誰が一番やれるか競争てのはどうだい?」
木曾「面白そうだな。悪いが手加減しないぜ」
ビスマルク「随分な自信ね」
島風「えーー誰が一番速いかのがいいなぁ。ねー連装砲ちゃん」
連装砲ちゃん「きゅー!」
武蔵「よかろう、そろそろ貴様らに実力の差を見せつけてやりたかった所だ」
あきつ丸「自分は遠慮させていただくであります」
爺督「うむうむ。仲良くやるんじゃぞー」
968: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 16:05:03.32 ID:vGJ5CdY90
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─ 北鎮守府艦隊 ─
エリート(天候良好、風向き追い風、波も穏やか)
エリート(素晴らしい。艦載機による攻撃がメインである僕の艦隊としては好都合だ)
エリート「翔鶴、今日は最初から全力でいけぇ。他のやつらに獲物をとられんよう、敵座標の確認がとれたら艦載機を寄せていい」
翔鶴「珍しいですね。いつも慎重に事を運びますのに」
エリート「アホめぇ。こういう時に戦果をあげんでどうする。このエリート様の名を轟かせるナイスチャンスだというんだ」
969: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 16:07:03.02 ID:vGJ5CdY90
瑞鶴「翔鶴姉にアホとかいうんじゃないわよ!」
翔鶴「瑞鶴、いいんです。確かに敵の数も多いと聞いていますしできるだけ多く倒すという意識をもつのは大事な事ですから」
エリート「そういう事だぁ。それにはお前ら正規空母がガリガリやっつけてもらわんと困るのだよぉ」
夕立「ちょっとちょっと、夕立達もがんばるっぽい!」
時雨「僕たちだってやる時はやるんだよ」
瑞鳳「そうですよ!軽空母だからってないがしろにしないでください!」
最上「エリートはもう少し言葉に気を付けてほしいな」
エリート「うるさいっ。貴様らはあくまでサポートだ。訓練通りに動いてくれさえすればそれでいい、くれぐれも邪魔だけはするなよぉ」
夕立「なんか言い方がむかつくっぽい!ぽいぽいぽーーーい!」
970: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 16:10:00.76 ID:vGJ5CdY90
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─南鎮守府艦隊─
利根「いやぁ周りにこれだけ味方がいると心強いのぉ」
鈴谷「うじゃうじゃいすぎて逆にキモーイ」
熊野「鈴谷、もう少し言い方はないんですか」
卯月「こんだけいればうーちゃん達は何もしなくていいぴょん?」
弥生「なんでそうなる」ビシッ
川内「あははたしかにちょっとサボっててもばれなそうだよね」
利根「ホモよ、そういえば明石のやつが見えんのだがどうしたのじゃ?」
ホモ「あの娘なら大和ちゃんと一緒にまだ中央鎮守府の工廠にいるわよぉん」
利根「工廠?何をしとるんじゃ?」
ホモ「んー良く知らないけど新艤装の調整に手間取ってるらしいわぁん」
利根「新艤装か……あいつも好きじゃのぉ
971: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/13(月) 16:24:47.93 ID:vGJ5CdY90
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─ ある海域 ─
ザザーン
ザザーン
ザザーン
ズズズズ
北方棲姫 「オカーサン、キタ、敵」
港湾棲姫「……仕方無イデスネ。皆、準備シテクダサイ」
北方棲姫 「ウン」
離島棲鬼「コッチハイツデモ、ヤレマスワ」
戦艦水鬼「…………」
港湾棲姫「水鬼?」
戦艦水鬼「ダイジョウブヨ、ネーサン」
戦艦水鬼「アンナ奴ラ」
戦艦水鬼「スグニ、ガラクタニスルカラ」
987: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/26(日) 22:26:43.53 ID:KBcf4P1xo
番外編「不知火と犬」 その3
中途半端に残ったスレを埋める為のSS
ほのぼのギャグ、西鎮守府の日常です
─箇条書きあらすじ─
・鎮守府に突如現れた迷子犬
・電と不知火は飼い主を一生懸命に探すが一向に見つからない
・急に名前を付けようと提案した不知火
・夕ご飯時にメンバーから意見をだしあう
・不知火が圧倒的ネーミングセンスで「ボッチ丸」と提案する
・鎮守府メンバー凍りつく
・愛宕、電、金剛、犬はフォローに必死
・貧乳空母が茶化すも電の当身によって轟沈
・鋭い眼光を持つ不知火は3人と1匹の必至フォローを怪しく思い問い詰めようとする
・しかし、そこへながも……長門がボッチ丸というネーミングセンスを褒め称える。ガチで
・不知火、長門の称賛に感動する
・龍驤気絶オチ←今ここ
988: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/26(日) 22:27:15.60 ID:KBcf4P1xo
─食堂─
不知火「貴方は今日からボッチ丸です。良かったですね」ナデナデ
ボッチ丸「ワオン」
金剛「無事決まって良かったのデース」
愛宕「そうね。ワンちゃんも嬉しそう」
電「なのです」
長門「さすが不知火だな。この私でもこれ程のセンスを感じる名前を付けるのは無理だろう」
金剛&愛宕&電「…………」
989: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/26(日) 22:30:09.82 ID:KBcf4P1xo
提督「ふむ。所でボッチ丸の飼い主はみつかりそうか?」
不知火「いえ、それがまったくといって手がかりが見つかりません」
電「付近の住民の方々にもお聞きしたのですが、見た事がない犬だとおっしゃってたのです」
提督「そうか、となると、後はネットと張り紙便りという事だな」
電「なのです………」ションボリ
ボッチ丸「クゥ~ン」
不知火「…………」ナデナデ
提督「んー」ジー
提督「よしっ。じゃあ作ってやるかな」ポンッ
電「何をなのです?」
提督「犬小屋だ。いつまでも自分の寝床がないのは可愛そうだろう」
不知火「それは司令、あれですか」
不知火「正式に飼っていいという事ですか」
提督「うむ。飼い主が見つかる可能性が低い以上、責任もって飼育せねばならんだろう」
不知火「……っ!」ガタッ
不知火「ボッチ丸!これからも一緒にいれますよ!やったぁぁ!」ダキッ
ボッチ丸「ワフッ!?」ギユゥゥ
不知火「えへへ」ニコニコ
提督「し、不知火?」
不知火「!」バッ
不知火「……失礼しました。司令の心の広さに感謝いたします」
提督「あ、ああ」
愛宕(不知火ちゃん可愛いわねぇ)
金剛(キュートですネー)
電(可愛いのです)
長門(ペロペロしたい)
990: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/26(日) 22:32:21.12 ID:KBcf4P1xo
提督「とはいえ……散歩、食事、しつけ、諸々やってもらうが平気か?」
不知火「はい。問題ありません」
提督「ペットを飼うという事は命を預かるという事だ。それはとても大変なんだぞ」クドクド
提督「もちろん、艦娘としての訓練や任務もこなしながらだからな。疎かにしたら容赦なく俺は怒るし」
提督「場合によって、ボッチ丸には悪いが、他に飼い主を捜して飼ってもらう事になる」
991: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/26(日) 22:35:13.40 ID:KBcf4P1xo
不知火「分かっています。不知火が責任を持ってボッチ丸の世話をしますから安心してください」
提督「了解した。他の者も今言った事を忘れるなよ。この件に関しては連帯責任とするからな」
愛宕「大丈夫よ~」
金剛「まっかせてくだサーーイ!」
電「お世話するのです!」
長門「毎日クンカクンカしてやる!(この長門がいれば何の心配もいらない!)」
提督「一人本音と建て前が逆の奴もいる様だが大丈夫か……?」タラー
提督「とりあえず明日、俺が休みだから犬小屋の方はなんとか用意しよう」
提督「首輪や散歩用のロープも用意しとく。お前らは散歩や餌やりの当番をしっかり決めとけよ」
艦娘達「はーい」
提督「あと龍驤、いつまで寝てるんだ。早く起きろ」
龍驤「……メタ発言して悪いんやけど、ウチのSSでの扱いが全体的にひどくない?」
992: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/26(日) 22:39:06.01 ID:KBcf4P1xo
───────────────────────
─次の日─
トンテン カン
トンテン カン
提督「……ふぅ、こんなもんかな」
ボッチ丸「ワォン!」
提督「そうかそうか、良い感じか」ワシャワシャ
不知火「司令、ボッチ丸の家の小屋はできましたか?」スッ
提督「ああ、丁度今できた所だよ」
不知火「これですか?」
提督「どうだ?すごいだろう」
不知火「はい、2階建ての犬小屋なんて初めてみました」
提督「ふふ、普段からお前らの艤装なども作るのを手伝ってたおかげかこういうのが得意になってしまったようだ」
提督「今なら2階建てどころか10階建てでもつくれそうだ」
不知火「司令、そこまではさすがに……」
提督「冗談だよ。んで不知火、ここに来たという事は何か用があるんだろう?」
993: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/26(日) 22:39:37.27 ID:KBcf4P1xo
不知火「はい、約束していた当番制のリストを作成してきました、どうぞ」
提督「おっ早いじゃないかどれどれ」
提督「ん~?ほとんど不知火が当番じゃないか」
不知火「はい」
提督「大丈夫なのか?」
不知火「問題ありません。もとより一人で飼うくらいの覚悟はありましたから」
提督「ふむ、そこまでいうならいいのだが」
提督「何度も言うが訓練や任務に支障がでたら考えさせてもうらからな」
不知火「分かっています」
994: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/26(日) 22:43:07.48 ID:KBcf4P1xo
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─数日後
─朝 食堂─
提督「皆、おはよう」
電「おはようなのです」
愛宕「うふふ、おはようございます」
龍驤「おはよーさん」
長門「おはよう」
金剛「グッモーニンです!提督ゥ!」
提督「ん、不知火の姿が見えないが」
電「不知火さんならボッチ丸の散歩の為、海の方に行っているのです」
提督「そうか。朝からご苦労だな」
愛宕「うふふ、最近不知火ちゃん、明るくなったわよねぇ~」
長門「うむ。笑顔でいる事もよく見かけるようになった」
愛宕「これもワンちゃんのおかげかしら?」
龍驤「せやろなぁ。あいつ随分、ワンコロにお熱みたいやで」
電「不知火さんは元々、大の動物好きなのです。最近じゃ朝起きてすぐボッチ丸の様子を見にいくのが日課になっているのです」
提督「なるほど。あまり感情を表に出さない不知火がそこまで楽しそうにしていると聞くと……ウチで飼って良かったと感じるな」
愛宕「ええ、不知火ちゃんの為にも、ワンちゃんにはずっとここにいてほしいわ」
995: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/26(日) 22:43:56.23 ID:KBcf4P1xo
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─海沿いの道─
不知火「今日の海はいいですね。快晴の上、風の強さも丁度良くて気持ちがいいです」
ボッチ丸「ワウ」
不知火「でも、こんなに穏やかで、綺麗な海に……やつら深海棲艦がいるんです」
不知火「不知火の幼い頃に全てを奪った奴らです」
ボッチ丸「クゥン……」
不知火「あの時から私は一人ぼっちでした。そういう意味ではボッチ丸、貴方と私は似た者同士かもしれません」
不知火「……両親も友人もいない。一人だけの世界、悲しいです」
ボッチ丸「……」シュン
不知火「そんな顔をしないでください。今はもう平気です。鎮守府の仲間がいますから」
不知火「そしてボッチ丸には不知火がついていますから、安心してください」
ボッチ丸「ワン!」スッ
不知火「ふふ、くすぐったいですよ」ペロペロ
不知火「……ずっと一緒ですからね」
996: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/26(日) 22:47:25.95 ID:KBcf4P1xo
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────数日後
─西鎮守府 執務室─
提督「さて今日は書類を片付けるか」
提督「うーん、資源の消費が増えてきたなぁ。艦娘達の成長によるものだと思えばいいのかもしれんが……」ポリポリ
提督「最近上から注意されたばかりだし、調整をしないと────」
プルル プルル
提督「ん、電話か……まさかまた資源について小言をいわれたりして」
ガチャ
提督「はい、こちら西鎮守府ですが───」
???「もしもし、すみません。少しお尋ねしたい事が」
提督(お、軍関係ってわけじゃなさそうだな。良かった)
提督「ええ、どうかしましたか?」
女性「実は張り紙を見てお電話しましてそれで」
提督「張り紙?」
女性「はい、犬を探しているという内容なのですが」
提督(ボッチ丸の事か。不知火達が張ったやつかな)
提督「ああ、そういえば張り出していますね」
女性「それを見てここへ連絡すればいいと書いてあったのでお電話させていただきました」
提督「なるほど……もしかしてあの犬は───」
女性「はい、あの写真の犬は」
女性「私の大切な家族です」
997: ◆vLyL7y0Zk. 2015/04/26(日) 22:48:34.08 ID:KBcf4P1xo
以上です
お読みいただきありがとうございました
お手数ではございますが1000埋めしていただけると幸いです
よろしくお願いいたします
SS速報VIP:【艦これ】 提督「よろしく頼む」 その3