1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 14:42:12 ID:.OXK9sb2

ジリリリリリ……!

ザコ「はい、もしもし」ガチャッ

ザコ「あ、はい!」

ザコ「えぇと……ラスボス様は、ただいま外出中でして……」

ザコ「はい、はい! 必ず伝えます!」ペコペコ

ザコ「……」ガチャッ

ザコ(これは重大な用件だぞ……! ちゃんと伝えなきゃ……!)ゴクッ…



2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 14:44:12 ID:.OXK9sb2

ラスボスの部屋──

ラスボス「戻ったぞ」

ザコ「ラスボス様、お帰りなさいませ! 実は先ほど──」

ラスボス「ええい、それどころではない!」

ラスボス「中ボスだ! 中ボスのやつを呼べい!」

ザコ「は、はいっ!」スタタッ

ザコ(なんだなんだ……? えらく機嫌が悪いぞ……!?)



3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 14:46:15 ID:.OXK9sb2

中ボス「お呼びでしょうか、ラスボス様」ザッ…

ラスボス「うむ……」ギロッ

中ボス「……?」

中ボス「あの、ご用件は?」

ラスボス「実はな、我々の人気について調べてみたのだ」

ラスボス「この世界ではなく、我々の“外の世界”における人気をな」

中ボス「人気……ですか」



4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 14:48:13 ID:.OXK9sb2

ラスボス「ワ、ワシは……」プルプル…

ラスボス「ワシはっ!」バンッ!

ラスボス「少なくとも、悪役の中での人気ナンバーワンはワシだと思っていた」

ラスボス「──なのにどうだ!?」

ラスボス「主人公を操り、ワシらを倒す『プレイヤー』からの意見はこうだったのだ!」



5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 14:51:35 ID:.OXK9sb2

・ラスボスが空気

・ラスボスより中ボス戦のが燃えた

・ラスボスの名前忘れた

・中ボスの時は正座したけど、ラスボスの時はしなかった

・このゲームのラスボスって典型的なラスボス(笑)だよな



ラスボス「──と!」

中ボス「はぁ……なるほど」



7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 14:53:50 ID:.OXK9sb2

ラスボス「なぜだ!」

ラスボス「なぜワシよりキサマ如きの方が人気があるのだ!?」

ラスボス「ワシの方が、キサマより偉く、大きく、強いというのに!」

中ボス「……」

中ボス「そりゃあそうですよ」

ラスボス「なっ!?」

中ボス「なんだったら、お教えしましょうか?」

中ボス「オレの方があなたより人気がある理由を……」

ラスボス「むむ……いいだろう、申してみよ!」



8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 14:56:30 ID:.OXK9sb2

中ボス「まず……オレはあなたの手となり足となり、精力的に動いてますからね」

中ボス「必然的に出番も多い」

中ボス「出番が多ければ当然『プレイヤー』の印象にも残ります」

中ボス「印象に残れば、当然人気も出るというわけです」

ラスボス「うむむ……」



10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 14:58:54 ID:.OXK9sb2

中ボス「もちろん、それだけではありませんよ」

中ボス「オレは主人公と幾度も敵対し、単なる敵味方以上の因縁が出来上がっていきます」

中ボス「好敵手、といいかえてもいいかもしれません」

中ボス「主人公よりオレに感情移入してしまう『プレイヤー』も多いでしょうな」

ラスボス「ぐぬぬ……」

ラスボス「し、しかし、強さは……強さはワシの方が上だ!」

ラスボス「なのになんで、キサマの方が強かったとかいわれてしまうのだ!」



11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 15:01:01 ID:.OXK9sb2

中ボス「なぜオレの方が強いといわれるか……ですか」

中ボス「あいにくですが、それにも明確な理由があるのですよ」

ラスボス「バ、バカなっ!」

中ボス「たしかにあなたとオレで強さを比較したら、あなたの方が強い」

中ボス「体力も攻撃力も防御力も、あなたの方が上だ」

中ボス「覚えている技や術も、あなたの方がずっと多い」



12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 15:03:36 ID:.OXK9sb2

中ボス「しかし……あなたと戦う時にはすでに主人公は成長しきっているんですよ」

中ボス「しかも、ラストバトルということで準備も万端ですから」

中ボス「あなたをあっさり倒してしまう『プレイヤー』も多いんです」

中ボス「一方、オレと戦う時の主人公はまだまだ未熟だ」

中ボス「ろくな準備もできず、オレと戦うはめになることだってある」

中ボス「だから、体感的にはオレのが強く感じてしまうんですよ」

中ボス「ようは、防寒具を着込んだ-10℃と全裸の0℃、どっちが寒いかという話です」

中ボス「全裸での0℃の方が寒いに決まってますよね?」



13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 15:05:31 ID:.OXK9sb2

中ボス「──ま、そんなわけでオレの方があなたより人気が出るのは当然ですな」

中ボス「長年の苦労が報われたって感じですよ、いやホント」

ラスボス「な、な、なんだとォ~!」

ラスボス「ちょいと人気があるからといってつけ上がりおって……」

中ボス「つけ上がる? オレは事実を申し上げてるだけですよ」



14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 15:08:03 ID:.OXK9sb2

中ボス「そもそも、なんで自分に人気があるなんて思ってたんです?」

中ボス「最後の最後だけ登場して、目的もイマイチ不明瞭で、無駄にでかくて」

中ボス「エンディングとスタッフロールを見るための障害にすぎないアンタが」

中ボス「人気なんか出るわけないでしょう?」

ラスボス「キ、キサマァッ! ほ、ほざきおったな! 抜かしおったな!」

ラスボス「ワシの手足に過ぎん、前座に過ぎん中ボス風情がァ!」

ラスボス「どんなに人気があろうと、しょせんキサマは中間管理職なんだよ!」



15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 15:11:05 ID:.OXK9sb2

中ボス「うるせえっ!」

中ボス「こっちもよ……アンタみたいなポッと出にラストバトルを取られるのは」

中ボス「我慢ならなかったんだ!」

中ボス「ちょうどいい!」

中ボス「今日ここで! 下剋上して! オレがラスボスになってやる!」

中ボス「中ボスもラスボスもオレがやってやるんだァ!」

ラスボス「なんだとぉ! ワシに反逆するつもりか!」

ラスボス「よかろう……返り討ちにしてやる! キサマなどもういらん!」



ドゴォンッ!



17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 15:13:32 ID:.OXK9sb2

中ボス「オラァァァァァッ!」

ラスボス「ぬおおおおおおおっ!」

ドゴォッ! メキィッ! ズギャアッ! バゴンッ! ズドォッ!



ザコ(こ、これは……! 予想もしてなかった事態になったぞ……!)

ザコ(おっと、こうしちゃいられない! すぐにあの人を呼んでこないと!)スタタッ



18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 15:16:52 ID:.OXK9sb2

ラスボス「ぬあああああっ!」

中ボス「オラァァァァァッ!」

ズガァッ! ドボァッ! バキィッ!

ラスボス「ハァ……ハァ……」

中ボス「ハァ……ハァ……」



ザコ「お待ち下さい!」



ラスボス「む!? キサマなどお呼びでないわ!」

中ボス「ザコが出る幕はない! すっこんでろ!」



ザコ「たしかに私の出る幕はないでしょうね」

ザコ「ですが──この人なら出る幕はあるはずです」



19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 15:19:29 ID:.OXK9sb2

隠しボス「下らない争いはやめたまえ」ザッ…



ラスボス「キ、キサマは……隠しボスッ!?」

中ボス「なんでこんなところに!」



隠しボス「ザコ君に君たちを止めてくれ、と頼まれて参上したのだよ」

隠しボス「私は『プレイヤー』がクリア後に戦える存在……」

隠しボス「私の実力は、君たちよりもずっと上だ」

隠しボス「さぁ、私の顔に免じて下らない争いは──」



20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 15:22:09 ID:.OXK9sb2

ラスボス&中ボス「うるせぇぇぇぇぇっ!!!」

隠しボス「!?」

中ボス「オレはな、ある意味ラスボスよりテメェが気に食わねえんだ!」

中ボス「本編のストーリーに関わるわけでもないのにデカイツラしやがって!」

中ボス「漁夫の利でも狙ってんのか、あぁん!?」

ラスボス「そのとおり!」

ラスボス「キサマのせいで、ワシは『プレイヤー』から通過点扱いされるのだ!」

ラスボス「隠しボスなんだから、永遠に隠れていればよいのだ!」

隠しボス「な、なんだとォ!?」



21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 15:25:08 ID:.OXK9sb2

隠しボス「今のお前たちの言葉……許せんっ!」

隠しボス「隠しボスの隠しボスたる強さ、存分に見せつけてくれよう!」

中ボス「来いやァ!」

ラスボス「こうなればキサマも相手してやる!」

隠しボス「ウガアアアアアアアッ!!!」

中ボス「オラァァァァァッ!!!」

ラスボス「ぬおあああああああっ!!!」





ドゴンッ…… ズガンッ…… ズガッ…… ドゴッ…… バキィ……



22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 15:28:46 ID:.OXK9sb2

──

────

──────



ザコ「……あ、もしもし」

ザコ「ゲームプロデューサーですか?」

ザコ「実は先ほどお電話いただいた件なんですが……」



23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/10(日) 15:31:08 ID:.OXK9sb2

ザコ「はい」

ザコ「我々のゲームから、外伝として『悪役キャラのスピンオフ作品』を作る件です」

ザコ「実は……主人公候補に挙がっていたラスボス様、中ボス様、そして隠しボス様が」

ザコ「全員共倒れになって、長期入院することになりましてですねぇ~」

ザコ「……あっ、はい! かしこまりました!」

ザコ「では私が主人公になれるということですね! 分かりました!」ペコペコ

ザコ「精一杯がんばります! よろしくお願いします!」ペコペコ



ザコ「……」ガチャッ

ザコ「真の“下剋上”“漁夫の利”ってのはこういうものなんだよ」ニヤッ





END


元スレ
SS深夜VIP:ラスボス「なんでワシより中ボスの方が人気があるんだ!」