SS速報R:【デレマス(デレステ)】久川颯「はーはPちゃんが好きなの」
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1: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 00:13:10.27 ID:DckViXll0

颯「Pちゃん、これって……」

凪「わーお」

モバP(以下、「P表記」)「ああ、そうだ」

P「お前らmiroirの歌を聴いてくれる人は、こんなにたくさんいるんだぞ」

颯(はーとなーの「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」がシングルランキングでTOP10入りした)

颯(はーは自分のことを完璧だって言い張って強がってきたけど、本当は自分に自信がないだけ)

颯(「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」をリリースしたあとだって、曲の順位を見るのは怖くてできなかった)

颯(だから、Pちゃんとなーに「一緒に見よ!」って言って恐る恐るランキングを見たんだ)

颯(順位がすっごく低かったらどうしよう、この曲が売れてなくてアイドルを続けられなかったらどうしよう、なんて)

颯(ついさっきまでそんな不安に駆られてた。でも……)

颯「はーたち、アイドル、続けられるんだよね」

P「?」

颯「はーたち、アイドル、続けてもいいんだよね」

P「当たり前だろ、miroirを求めてる人たちに答えるのがお前たちの仕事だ。それに――」

P「――俺はお前たちのファン1号だ。俺がいる限り、miroirは活躍しつづけるんだよ!」

凪「おやおや、P選手、ここでマンガの最終回のような台詞を言ってしまう。これはmiroir引退フラグだろうか」

P「凪……ちょっとはかっこつけさせてくれって」

颯「ははっ、Pちゃんかっこわるーい」

颯(ううん、嘘。Pちゃんはかっこいい)

颯(はーとなーがここまで来れたのだって、Pちゃんのおかげ)

颯(はー、Pちゃんがいないと……)



2: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 00:15:43.57 ID:DckViXll0

イベント走ったあとに寝ようとしたら思いついたSSです。



3: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 00:21:55.64 ID:DckViXll0

颯「Pちゃん……」

颯(なーとPちゃんを巻き込んで取った自撮りを寝る前にスマホで眺めるのが、最近のはーの日課)

颯(なーには悪いけど、なーをトリミングしてPちゃんだけにしたヴァージョンとか作ってる)

颯(もちろん、はーはなーのこと大好きだけど。だから元の写真は残してる。最近はそっちはあまり見ないかもしれないけど)

颯「……好き」

凪「はーちゃんにもとうとう春が来ましたか」

颯「うわぁっ!!!」ドテッ

凪「おー、見事な自由落下。はーちゃんのおかげで凪は万有引力を発見しました。凪はニュートンになったのです」

颯「ちょっと、なー、いつのまにそこにいたの!? てゆーか、部屋入るなら教えてよ!」

凪「凪はもう114514回くらいノックと呼びかけをしたのです。気づかないはーちゃんが悪い」

凪「はーちゃんが部屋の中で死んでないかとか色々心配になって、これはいけない、と思い突撃したのであった」

颯「そ、そうだったの……」



4: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 00:28:44.58 ID:DckViXll0

凪「まあ、それはそれとして、はーちゃん。好きな人でもできましたか、できましたよね、いやいるべき」

颯「な、なな、何言ってるの!」

凪「スマホを眺めながら、うっとりしつつ「好き」と言うだなんて、これはもう画面の向こう側にはーちゃんの好きな人がいるにきまってます」

凪「あ、画面の向こうっていうのは、2次元という意味ではありませんよ、写真を撮ったのでしょう」

颯「そんなことないって! そうそう! この前事務所の敷地内で見つけた猫が可愛くって! 思わず写真を撮ったからそれを見てたの!」

凪「必死なはーちゃん。かわいいぞ」

颯「もーからかわないで!!」

凪「まあ、そういうことにしておきますか。仕方ないな」

凪「明日は朝からPと打ち合わせだから、凪は早起きするようにリマインドに来たのです」

凪「任務完了。これより帰還する」

凪「では、さらばだ」スタスタ

颯「もう、なんなのよう」

凪「あ」

凪「明日もPと3人で自撮りしますか。なんなら、凪がはーちゃんとPのツーショットを……」

颯「でてけー!!!」

凪「やれやれ……」ガチャ



5: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 00:37:30.63 ID:DckViXll0

翌 朝

颯「ふわぁ。ねんむ~い」

颯「おはようございまーす……」

美穂「あ、颯ちゃんだ。おはよう~」

颯「朝ごはんを食べにきました……」

美穂「あはは、眠そうだね」

颯「あれ、なーがいない。昨日の夜はーに起きろっていったのに、なーは起きてないじゃん」

美穂「凪ちゃんなら、もう朝ごはん食べ終えて部屋に戻ってったよ」

颯「マジで?! なー早すぎ……」

美穂「颯ちゃんも十分早起きだよ。今日はプロデューサーさんと打ち合わせかな?」

颯「そうなの。遅れたらPちゃんに怒られちゃう」

美穂「時間を守るのは良いことだよ颯ちゃん。お仕事をもらうっていうのは、プロデューサーさんと私たちアイドルが信用してもらってはじめてできることなんだから」

颯「うん、そうだよね。よし、今日もがんばるぞー!」

美穂「ふふ、その意気その意気」

美穂「あ、でも、颯ちゃん」

美穂「打ち合わせ中にプロデューサーさんに夢中になって、話が入ってこないのはダメだよ?」

颯「う゛。美穂さん何を言ってるの?」

美穂「何って、さっき凪ちゃんに会ったときに、「はーちゃんにもついに春が来ました。今日の打ち合わせはきっとリア充臭がすごい」って言ってたから、そういうことなのかなーって」

颯「なー、覚えてろよ……はぁ」



6: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 00:42:37.15 ID:DckViXll0

美穂「颯ちゃん、プロデューサーさんのこと好きになっちゃったんだ」

颯「そ、そんなこと」

美穂「往生際が悪いぞ、もう。別に恥ずかしいことじゃないんだから」

颯「わ、笑ったり、しない?」

美穂「笑わないよ~人を好きになるってすごく良いことだと思うよ」

颯「……うん、はーはね、Pちゃんが――」


颯「――好き」


美穂「わぁ」

颯「ちょっと! 何その反応!」

美穂「ごめんごめん。なんか、うーん」

美穂「颯ちゃんってかわいいなって! えいっ!」ギュゥ

颯「み、美穂さん、苦しぃ……」

美穂「わぁいいにおいする! ちっちゃい! けどやわらかい! プロデューサー君みたい!」

颯「ぷ、プロデューサー君って、Pちゃんに抱きついたりしてるの?」

美穂「あ、いや、違うよ? 私の持ってるぬいぐるみの名前、プロデューサー君っていうんだ」

颯「そうなんだ……」ホッ

美穂「いま、私がプロデューサーさんと付き合ってるんじゃないかって心配になった?」

颯「ギクッ……そんなわけないし」

美穂「ほんと、かわいいなぁ」



7: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 00:46:58.46 ID:DckViXll0

颯(結局、あの後、美穂さんにはからかわれっぱなしだった)

颯(これじゃ打ち合わせ中に余計意識しちゃうじゃん!)

凪「はーちゃんはどうも昨日から様子が変ですね。もうすぐPがやってきて打ち合わせが始まるのに」

颯「へ、変じゃないもん!」

P「失礼します」

颯「ひぃっ!!」

P「? 颯、どうかしたのか?」

颯「にゃ、にゃんれもにゃいれす……」

凪「【悲報】久川颯が猫言葉を使い出したことにより前川みく引退」

P「こらこら、みくを勝手に引退させるなー」

凪「てへぺろ」



8: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 00:54:16.61 ID:DckViXll0

颯(それから、打ち合わせに集中しようとがんばったけど、ダメだった)

颯(Pちゃんの顔なんか見れなくって、それで目線を首元とか手に落とすと、なんだかごつごつしててかっこいいなぁなんて思っちゃって)

颯(案の定Pちゃんの話が入ってこない)

P「……そういうことなんだが、いいか? 颯」

颯「えっ?」

P「いや、この新企画、颯と凪が別々の場所で収録するんだが、二人一緒じゃなくても心配はないか? って」

颯「あ、うん。大丈夫だよ」

P「颯、俺以外のスタッフとの打ち合わせで聞いてませんでしたは通用しないぞ。これからアイドルを続けるなら、その辺にはきちんと責任を持つんだ」

P「わかったか?」

颯「は、はい。ごめんなさい」

P「よし。今度から気をつけてな。じゃあ、次は……」

颯(お、怒られちゃった)

颯(でも、なんだろう。いやじゃない。いままでPちゃんにはどこか甘やかされてきた節があったけど)

颯(もうはーたちはプロのアイドルなんだ。適当な仕事をしたら怒られるのは当たり前)

颯(また、Pちゃんのおかげで勉強になっちゃったな……)

颯(Pちゃん……)

凪「……」



9: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 01:03:35.17 ID:DckViXll0

P「じゃあ、今日の打ち合わせはこれで終了! この後昼飯にでも……といいたいところだが、これから俺は急いで美穂の現場にいかなくちゃならない」

P「すまん、5000円やるから、二人で昼飯代にあててくれ」

P「それじゃあな」ガチャ


颯「……」

颯「……ふぅ~~~」

凪「ここで久川颯、賢者モードに突入する」

颯「賢者モードってなに」

凪「はーちゃん、この世の中には知っておくべきことと知らないほうが幸せなことがあって……」

颯「あーもう、いいから、別にそこまでして聞きたいわけじゃないし」

凪「そうですか」

凪「それはそうと、はーちゃん」

凪「結局、打ち合わせ中はPに夢中になっていましたね」

颯「う゛……うん」

凪「このままでは、今後直面が予想されるPとの重要な打ち合わせではーちゃんがミスるかもしれない。これはいけない」

凪「そこで凪は名案を思いつきました」

颯「なに」

凪「はーちゃんがPと付き合えばいいのです! ちゃっちゃらー」

颯「え」

颯「ええええ!!! ちょ、ちょっと!!! なにいってんの!!!///」

颯「大体、はーたちはアイドルだよ!? アイドルは恋愛禁止って相場が決まってるでしょ!!」

凪「ここぞとばかりに正論をぶちまけますが、はーちゃんや、さっきまで恋に夢中で打ち合わせをおろそかにした人の発言ともなれば、その説得力も……」

颯「うるさいうるさい! もう、なんでなーに説教されなきゃいけないわけ!」

凪「凪ははーちゃんを思って言ってるのですよ」

颯「ゆーこちゃんみたいなこと言わないで」

凪「むう。これは、ひょっとして、史上初ともウワサされる久川姉妹の姉妹喧嘩が始まってしまうのか……」

颯「はっ、ご、ごめん。言い過ぎた。ってゆーか、悪いのは、はーだよね。なーにキレて、意味わかんないのは、はーの方だよね」



10: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 01:07:38.56 ID:DckViXll0

凪「気にすることはないのです。凪とはーちゃんは一心同体、凪は寛容な心をもってはーちゃんのヒステリーに対処するのです」

颯「うん、ありがと。……って、いまはーがヒステリックな女だって言った?!」

凪「気のせいなのです。キレすぎてストレスかかえるとおっぱい垂れるぞ」

颯「適当なこと言わないで! はーはなーよりもおっぱいが6cmもおっきいもんねーだ」

颯「グラマーなはーに嫉妬してるんでしょ」

凪「くっ……」

凪「おっと、いけない。図星をつかれたばかりに大御所に喧嘩を売るようなリアクションをしてしまった」

颯「ぷっ、なにそれ」



18: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 17:23:59.60 ID:DckViXll0

凪「ま、そういうわけなので。はーちゃんはさっさと自分に正直になって行動に移るべきだと思うのです」

颯「……そうは言ってもさ、アイドルである以上、恋愛はご法度っていうか……」

凪「それがはーちゃんの本心ですか?」

颯「ど、どういうこと?」

凪「はーちゃんは、Pに好きになってもらえるか、自分に魅力があるか自信がなくて、それでPへの思いから逃げているのではないのですか」

颯「そんなわけないじゃん! ……はーは完璧なんだから、魅力だってあるし! それにかわいいし!」

凪「凪は知っているのです。はーちゃんはそんなに強い子じゃないって。強い子じゃなくて強がりな子だって」

颯「そんな、こと……」

凪「別にいいんですよ。悪いことだって思ってません。それもはーちゃんの可愛いところだと凪は思ってます」

凪「なんていったって、生まれてからずっと、凪ははーちゃんを見ているから」

颯「なー……」



19: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 17:34:20.69 ID:DckViXll0

颯「うん、わかった。そうだよね」

颯「そうだよ、はーはね」

颯「はーはPちゃんがすきなの」

凪「そうですか。正直でよろしい」

颯「なんで偉そうなのよ」

凪「それでは、はーちゃんも素直になったことだし、Pにアタックする計画でも立てましょうか」

颯「え、ええ、そんなの考えなきゃいけないの?」

凪「考えなくて良いとお思いか?」

颯「は、はーは可愛いし、Pちゃんの前でそれとなくアピールしてれば、そのうち……」

凪「甘い、甘すぎる。しゅがーはぁとの脇くらい甘い」

颯「はぁとさんって脇甘いんだ……」

凪「失礼、腋の間違いだった」

颯「舐めたことあんの?!」

凪「てへぺろ」

颯「いや、てへぺろに舐めたっていう意味はないから!!」



20: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 17:41:11.81 ID:DckViXll0

凪「話を戻すと、はーちゃん、Pを攻略するのはそう簡単ではないと思われる」

颯「そ、そう……?」

凪「第一、Pの周りには、下は1桁から上はアラサーまで、ビジュアルでいえばボンキュッボンからキュッキュッキュッまで、選り取り見取りですよ」

颯「た、たしかに」

凪「それに、皆、Pのおかげでアイドルとして上り詰めている。Pのアイドルからの高感度は高いはず」

颯「うう……」

凪「はーちゃんがかわいいのは間違いないのです。それは絶対的な話。相対的には、アイドル界では中堅レベルが関の山ですね」

颯「ちょっと! ひどくない! てか、なーも同じ顔なんだから、それブーメランだからね!」

凪「うっ、そうだった。凪はショックのあまり死んでしまった。死んでしまうとはなさけない、と最期に言われたかった。がくっ……」

凪「まあ、そんな茶番はおいておいて」

颯「いまのところ会話が終始茶番に感じるんだけど」





21: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 17:47:50.35 ID:DckViXll0

凪「大丈夫。化粧をすればどうとでもなるものです」

颯「化粧品メーカーを味方につけるかわりに多くの女性芸能人を敵に回してる……」

颯「でもさー、あんまりケバいって思われたくないな。はーはメイク薄くても可愛い――はず」

凪「確かに、背伸びしてる感がすごくて妖艶さに欠けるかもしれませんね。それはそれで、ぐっとくる性癖の殿方はいそう」

颯「Pちゃんはそんなんじゃないよ、たぶん。目が肥えてるんじゃないかな」

凪「その可能性は否めませんね。まあ、背伸びして大人になろうとして、それでいてカブトムシ好きだったら完璧なのですが……」

颯「完璧じゃないでしょ。0点でしょ。モロかぶりだよ。誰とは言わないけどさ」



22: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 17:53:46.52 ID:DckViXll0

凪「ぴこーん。Pをオトすには、最終的なゴールを打ち立てておくのが良いと、凪は思い至った」

颯「ゴール?」

凪「そうなのです。はーちゃんはPが好き、これは揺るがないとして、具体的にはーちゃんがPと何をしたいかで考えるのだ」

颯「Pちゃんと、か……」

凪「そうですね」

颯「うーん、したいことかぁ。いっぱいありすぎるよ~」

凪「選択肢が多いのは良いことだぞ」

颯「そうだけどさ、あれもこれもって言ってるうちにPちゃんを誰かに取られるのは、その、やだ、し……」

凪「はーちゃんがPとしたいこと」

凪「はっ! セックスですね!」

颯「は、はぁぁっ!!?!」

凪「健全な思春期の少女が異性としたいこと、これはもうセックス以外にないでしょう」

颯「いやいやいや、おかしいって!! それにどちらかといえば不健全でしょそれ!!」

凪「そうですか? ちなみに凪は健全なJCですが、体はもてあましてますよ」

颯「いや知らないし! てか、なーが健全っていうところからしてもうあやしいし!」

凪「仮定から疑っていくスタイルですね、わかります」



23: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 18:01:33.36 ID:DckViXll0

颯「ま、まあ? ゆくゆくはそういうことになるかもなーなんて思うけど///」

颯「まずはデートでしょ! それからキスとかいろいろしちゃってさ。そ、その、せ……ゴニョゴニョはほんとにゴールすぎるっしょ」

凪「ん? 聞こえないなぁ。その「セ」から始まる単語を大きな声ではっきりといってもらおうか」

颯「うわっ、うざっ!」

颯「もう、そういうんじゃなくてさ! じゃあこうしよう! デート! Pちゃんとデートしたい!」

凪「おお、さっきまで恥ずかしがってたはーちゃんが積極的にそう言うなんて、凪は嬉しいぞ」

颯「誰目線よ」



25: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 18:06:53.27 ID:DckViXll0

凪「まあ、miroirの「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」の売れ行きも順調なようですし、多少のわがままをPに言っても許されるでしょう」

颯「そうかなぁ。あ、でも」

颯「これってはーとなーの2人で残した結果じゃん? 2人きりっていうのは変なんじゃ……」

凪「ちっ、こやつ、余計なことに気づきおった……」ボソッ

颯「え? なんて」

凪「勘のいいガキは嫌いだよ、と凪は言いました」

颯「いや嘘でしょ! はー、聞こえなかったふりしただけだもん! まあ、意味は一緒だけど」

颯「てか、なー協力する気ないっしょ」

凪「そそそそ、そんなことねーし」

颯「嘘臭」



26: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 18:10:52.35 ID:DckViXll0

美穂「ふぅ~今日のお仕事大変だったな。って、颯ちゃんと凪ちゃんだ!」

颯「あ、美穂さん」

美穂「ふたりで楽しそうにおしゃべり? 私も混ざっていい?」

凪「うむ、良いぞ」

颯「だから誰なのよ」

美穂「やった! で、なんの話してたの?」

颯「えっ、それは……」

凪「はーちゃんが体をもてあましてPとセックスしたいって話をしてました」

美穂「え。えぇぇぇぇ!?!?」

颯「話そこまで戻しちゃうの!?」

美穂「だ、だめだよ颯ちゃん! いくらプロデューサーさんのことが好きだからって、いきなりそんな……/// ふ、不健全だよっ」

颯「いや、はーは何にも言ってないし! 凪が適当言ってるだけだから!」

凪「やれやれ」

颯「こっちの台詞!」

美穂「あ、凪ちゃんの嘘だったんだ。なんだ、良かった……」

颯「美穂さんもすっかり慣れてきてる……」



27: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 18:18:10.61 ID:DckViXll0

美穂「それでそれで? プロデューサーさんにはどんな感じでアタックするの?」ズイッ

凪「それにしてもこの小日向美穂、ノリノリである」

美穂「恋バナが嫌いな女子なんていないよっ」

颯「とりあえず、Pちゃんとデートできたらなーって。いまはその口実を考えてるとこ」

美穂「そうなんだ」

美穂「具体的にはどんなデートをしたいの?」

颯「うーん、それなんだよね。原宿でお買い物はなーもいたけどこの前したし、見たい映画とかもないし……」

美穂「映画だったら『そらのレストラン』とかどうかな! 私は好きだよ」

凪「ああ、美穂さん出演してましたもんね」

颯「いや、あれに出てるのは小日向文世のほうだから」

凪「あ、間違えた、そらちんが経営してるレストランのことか」

颯「野々村そらちゃんでもないよ! てかそらちゃんレストラン経営なんてしてないでしょ」



30: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 18:33:19.31 ID:DckViXll0

颯「うーん、やっぱりはーも見たい映画じゃないと人を誘えないかな……」

美穂「映画以外で考えよっか」

颯「なんでデートについて考えるのに、ここまであーでもないこーでもないってなっちゃうんだろ」

美穂「やっぱり、私たちってアイドルだから、プロデューサーさんと一緒に色々なところをまわるぶん、どこかにおでかけっていうのも特別感があまりないのかも」

颯「あ、確かに」

凪「でも、miroirは2人で1つみたいなとこがあるので、はーちゃんとPがふたりきりになるような状況はまれです。凪が打ち合わせ中におしっこにいくときくらいですね」

美穂「そ、そうなんだ……。でも、そうか。双子だと城ヶ崎姉妹みたいに別々に行動するってこともあんまりないんだね」

美穂「そうだ! 先輩アイドルのライブを参考にしたいからって言ってプロデューサーさんをライブデートにさそっちゃえばいいんじゃないかな!」

美穂「双子でも凪ちゃんとは違った個性を出したいからっていって言えばプロデューサーさんも付き合ってくれるよ!」

颯「おお、それ、いいかも!」

凪「妙案ですね」

美穂「今度ピンクチェックスクールのライブがあるから、そのチケットあげるよ! それでプロデューサーさんとデートしちゃえ!」

颯「美穂さんありがとう! さっそくPちゃんにねだってみる!」



31: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 18:41:27.63 ID:DckViXll0

ライブ会場

P「いやあ、先輩アイドルから勉強したいだなんて、感心感心」

颯「ま、まあね! はーははーでアイドルとしての個性を磨かなきゃかなーって」

P「しかしピンクチェックスクールを選ぶとは、颯はどんな個性派アイドルを目指してるんだ?」

颯(え、そこまで考えてなかった)

颯「それは、その、あれだよ。響子さんみたいに家庭的で、卯月さんみたいに笑顔が素敵で、美穂さんみたいにギャップ萌えするような、そんなアイドル!」

颯(ちょっとやっつけが過ぎたかな……)

P「はは、そうか。そんなアイドルになったらあいつらの仕事は全部颯にとられちゃうかもしれないな」

颯「う、うん! 先輩アイドルだってはーのライバルだもんね。負けないんだから」

P「その意気だ。成長したな」

颯「え、えへへ」



32: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 18:47:13.14 ID:DckViXll0

ライブ終了後

颯「す、すごかった……」

P「さっきからそれしか言ってないぞ、颯」

颯「だってそれしか言えないんだもん! それくらいすごかった!」

颯「ライブってアイドルが作ってるんじゃないんだね。ファンの人たちと一緒に作り上げてるんだって、実感しちゃった」

P「そうだ。アイドルはステージの上で好き勝手やってるわけじゃない。それに、お客さんを楽しませるにはどうしたらいいかを考えるのはもちろん、お客さんが楽しいから自分も楽しいって思えるのがアイドルだ」

颯「うん、アイドル、ちょっと勘違いしてたかも。でも、これはこれで好き! はーアイドルがんばってみせる!」

颯「Pちゃん、はーをトップアイドルにして! お願い!」

P「ああ、もちろんだ。一緒に頑張っていこうな」

颯「うんっ」



33: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/09(火) 18:49:43.76 ID:DckViXll0

P「もうあたりもだいぶ暗くなってきたな……」

颯「ぴ、Pちゃん!」

P「ん? どうした?」

颯「ゆ、夕ご飯! いいとこ連れて行って!」

P「ああ、そうか。今日は勉強会兼デート、だったな」

颯「そうだよ。Pちゃんははーをエスコートしなきゃなんだからね」

P「はいはい。そういわれると思ってちゃんと考えてきてるよ」

P「近くにイタリアンの店があるんだ。ちょっとお高いお店だから、凪には内緒だぞ?」

颯「うんっ。ありがと」



38: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/11(木) 00:06:33.56 ID:PlYzuAb20

颯「んん~っ! このパスタおいしい!!」

P「はは、そうか。そういってくれると嬉しいよ。まあ、俺が作ったわけじゃないんだけどな」

颯「地元でこんなおしゃれな店行ったことなかったし、味もこんなに良くってびっくりちゃった」

颯「はー生パスタ自体食べたことなかったし!」

P「このまま東京にいたらすっかり舌が肥えてしまうんじゃないか? 地元に帰ったときに親御さんが泣くぞ」

颯「パパもゆーこちゃんも、はーたちを甘やかすことはあってもこんな大盤振る舞いはなかったもん」

颯「徳島に帰ってからゆーこちゃんたちが困ったら全部Pちゃんが悪いって言いつけちゃお」

P「おいおい勘弁してくれ。颯たちのお母さんだって心配性なところがあるんだから。俺の信用がなくなっちゃあ、お前たちのアイドル人生だってどうなるかわかったもんじゃないぞ?」

颯「うっ、それはいやかも。仕方ないからいい子にしておいてあげるね」

P「ああ、頼む」



39: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/11(木) 00:16:35.43 ID:PlYzuAb20

颯(Pちゃんとの何気ない会話が楽しい。こんな時間がずっと続けばなぁなんて思っちゃう)

颯(けど、それもはーとPちゃんの関係がただの「アイドルとプロデューサー」であるうちはすぐ終わっちゃうんだよね)

颯(でも、まだ1回目のデートだし、いきなり告白っていうのも違うよね。いや、別に告白することから逃げてるわけじゃないよ、たぶん)

颯「ね、ねえ、Pちゃん」

P「ん? なんだ」

颯「Pちゃんてさ、その……彼女とかいたりする?」

P「彼女? いまはいないけど」

颯「そ、そうなんだ」

颯(よかったぁ)

颯(「“いまは”いない」か。元カノがいるってことなのかな。まあ、Pちゃんはもう大人だし、顔も悪くないし優しいし、いてもおかしくないよね)

颯(それをいやだって思っちゃっても、仕方のないことだもんね)

P「しかしあれだな、急にこうしてデートに誘われて彼女がいるのかなんて聞かれると」

P「俺は、颯はひょっとして俺に気があるんじゃないか、なんて勘違いしちゃうかもしれないぞ」

颯「えっ……!」

颯(いや、それは勘違いじゃなくて、むしろ正解で)

颯「その、ね。なんていうか、ね」

P「?」



40: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/11(木) 00:28:44.17 ID:PlYzuAb20

颯「うぅ……」

颯「それ、勘違いじゃなかったら、Pちゃんどうするの?」

颯(告白のチャンスかもしれなかったのに、回りくどい言い方で逃げちゃった)

P「どうするって……うーん」

P「じゃあ、これは俺が勘違いをしていたわけじゃなかったという体で話すけど」

P「結論から言えば、俺は颯にそう思われてて嬉しいし、颯の思いに応えたいと心から思う」

颯「!」

P「でも、こうも思う。俺なんかと付き合うべきじゃないって」

颯「っ!! そ、そんなこと……!」

P「あるよ。まず、俺と颯は、プロデューサーとアイドルという関係だ。これだけでも十分まずい。変にスクープされれば俺も颯もこの世界を追われる可能性だってある」

P「それに、颯はまだ14歳だ。20代半ばの、10歳以上離れた俺と付き合うということがどういうことか、颯にはまだわからないかもしれないが、これは今の世じゃ必ずしも喜ばれることじゃない」

颯「誰がどう言おうなんて関係ないって!! はーの思いはPちゃんの思ってる以上かもしれないんだよ!!」

P「落ち着けって。とりあえず話を聞いてくれないか。これは一人の大人としてお前に言いたいことなんだ」

P「俺はもう大人だ。社会人だ。これは覆しようがない。社会人になった大人ってのは気にしなきゃいけないことが山のようにある。夢は寝てみろ、見なきゃいけないのは現実だ、といった具合にな」

P「これは、俺がどうしたいかではなく、社会がどうあるべきか、なんだよ。颯には難しいかもしれないけどな」

P「だから、俺と颯が付き合ったとしても、俺が社会に束縛されている以上、颯には10代特有の“自由な華々しい”恋愛はさせてやれない。どころか、颯はそういう恋愛をする機会を永遠に失いか兼ねない。いいか、颯、人生は長くても10代はすっごく短いんだ。そこで経験したことは、颯が大人になったときに跳ね返ってくる。いま俺とそういう関係になれば、颯をきちんとした大人にしてあげられないかもしれない。それは、俺が颯の親御さんと社会を同時に裏切るに等しい行為なんだ」



41: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/11(木) 00:35:58.02 ID:PlYzuAb20

颯「そんな、こと……グスッ、はーはPちゃんが好きで好きでしょうがないのに……」

P「颯……俺は、お前のためを思って……」

颯「はーのため? はーのためって何? はーの思いや願いを退けるのが思いやりだっていうの?!」

P「……」

颯「大人の人ってみんなそうじゃん! ゆーこちゃんもPちゃんも、大人の人はみんなそうだよ! はーのためじゃなくって社会のためなんでしょほんとは」

颯「Pちゃんがはーのためを思って何かしてくれるなら、はーと付き合ってよ! はーがPちゃんに振られて駄目になる可能性だってあるんだから!!」

颯「はぁっ……はぁっ……」

颯「ごめん、めちゃくちゃ言ってるかな。わがままだよね」

P「いや、お前の言いたいことはわかる。わかるからこそ辛い。自分が10代を経験したっていうだけじゃなく、お前のことは担当プロデューサーとしてよく見てるから、余計にな」

P「とりあえず、ここが個室でよかったよ。まあ、芸能人の食事だし、オープンにできないのは当たり前だが」



42: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/11(木) 00:43:08.15 ID:PlYzuAb20

P「なあ、こんなこと言うのは野暮だと思うんだが一応聞いてもいいか」

颯「……なーに?」

P「俺なんかでいいのか。それこそ、アイドルをやってればいろんな出会いがあるだろうし」

颯「ぷっ、何を聞かれるんだろーって思ってたけど、そんなことか」

颯「Pちゃんがいいんだよ。Pちゃんはたくさんのアイドルとお仕事してるからわからないかもしれないけど、はーにとってはPちゃんがたった一人のプロデューサーなんだから。あんまりはーの思いを舐めないほうがいいよ」

颯「それに、はーがこれから一途にPちゃんだけを思い続けてるかわからないっていうなら、それこそ付き合ってからいってよね。はー、めっちゃ尽くしちゃうかもしれないよ? それ以外にだって、その……はーはまだJCだから、Pちゃんの好きなように、……“教育”することだって……」

P「な、なんだか話が生々しい上に危険になってきてないか?」

颯「Pちゃんが颯を振ったら振ったで、それでもはーがPちゃんを思い続けてたら、Pちゃん結婚できなくなっちゃうよ? 全力で邪魔しちゃうもんね。メンヘラになってやるんだから」

P「そ、それは怖いな……」



43: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/11(木) 00:56:35.18 ID:PlYzuAb20

P「……わかった」

P「じゃあ、付き合おうか。俺たち」

颯「そうそう、付き合っちゃえばいいってさっきから言って……え」

颯「え、ほんと? マジ? 嘘じゃないよね?! 嘘だったらパスタについてきた伊勢海老の甲羅飲み込んで死ぬよ?!」

P「それは本当にやめてくれ。ハリセンボンを飲ますよりもひどい絵面になりそうだから」

P「ああ、嘘じゃないよ。そのかわり、後悔したって知らないし、思うように恋愛はできないぞ。それでもいいのか?」

颯「……うん。いいよ。はーのこと、Pちゃんにあげる。その代わり、PちゃんはPちゃんをはーに頂戴ね」

P「ああ」

P「ただ、付き合うにあたって条件がある。まあ、付き合う上で条件を課すなんてのはおかしな話かもしれないが」

颯「条件?」

P「これから俺たちは付き合う。恋人どうしの関係だ。ただ、どうしたって颯が中学生で人生経験が浅いのは考慮せずにはいられない」

P「そこで、こうしよう。颯は成人するまでなら俺を振ることができる。それ以降は何があっても振ることはできない」

颯「それだけでいいの? はーはPちゃんを振ることなんてないもんねーだ」

P「そういうことはいろいろな人とかかわってから言うんだな。別れたくってこういってるんじゃないんだ、ただ、お前に後悔はしてほしくないからな」

颯「はーが“20歳越したら”Pちゃんを振れないっていうのは、なんで?」

P「俺の婚期の問題だな。あと6年なら耐えられるだろう、と思う。主にメンタル面で」

颯「うーん、はー的にはいやなんだけど、Pちゃんって普通にモテると思うんだよね。そんな心配したら本当にモテない人に失礼だって思うな」

P「モテるのと結婚できるのは違うんだよ。まあ、それを知らないってだけで、颯はまだまだ子どもだってことだ」

颯「むぅ、なんかむかつく」



44: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/11(木) 01:04:47.53 ID:PlYzuAb20

P「俺が付き合うにあたって言いたいのはそれだけだ」

颯「なんか仕事の打ち合わせみたーい」

P「だから言っただろ? 普通の恋愛はできないかもしれないって。いやならいますぐ振ってくれていいんだぞ」

颯「ううん、別に気にしない。他の人からどう見えるかじゃなくて、はーはPちゃんだから良いって思えるんだし」

P「そうか。それはうれしいことを言ってくれる」

P「……」

颯「……」

P「…………」

颯「…………」

颯「~~~っっ!!」

P「ど、どうした?」

颯「いや、うれしくてやばいかも。やばすぎてやばいって感じ」

颯「だって、はーは、Pちゃんの彼女になれたんだよね」

P「ああ、そうだな」

颯「嬉しすぎて死んじゃいそう……」

P「そうか、俺は颯が途中から躊躇なく愛の言葉を叫んでくれたから気恥ずかしさと嬉しさで死にそうだったよ」

颯「あ……」

P「「誰がどう言おうなんて関係ないって!! はーの思いはPちゃんの思ってる以上かもしれないんだよ!!」」

颯「っ!!?」

P「「Pちゃんがはーのためを思って何かしてくれるなら、はーと付き合ってよ! はーがPちゃんに振られて駄目になる可能性だってあるんだから!!」」

颯「う~~~~!!! Pちゃんのばか!!!!!///」カァッ

颯「いや、何よりもはーのばか!!!!!///」

颯(せっかく恋人どうしになれたのに、これじゃPちゃんの顔見れないよ……)



45: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/11(木) 01:09:10.70 ID:PlYzuAb20

女子寮前

P「颯、ついたぞ」

颯「ありがと、送ってくれて」

P「ふっ、当然のことをしたまでよ」

颯「かっこつけるのって、かっこわると思うよ」

P「言ってくれるなぁ……」

颯「……明日はお仕事あるよね」

P「え? ああ、そうだな。明日は俺とmiroirで打ち合わせした後に、2人でテレビ出演だ。バラエティだぞ」

颯「じゃあ――」


チュッ


P「!」

颯「――こ、これなら、こんどはPちゃんがはーに夢中になって打ち合わせに集中できなくなるからっ! そんときははーが怒ってあげるね!」

颯「じゃあおやすみ! 今日はありがと!!」ガチャバタン



46: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/11(木) 01:20:03.58 ID:PlYzuAb20

女子寮玄関(内側)

颯「はぁっ、はぁっ、はぁっ」ドキドキ

颯(やば、心臓ばっくばくだし、呼吸もおかしくなりそう)

颯「~~~~~っ!!!」プルプル

颯(大胆なことしちゃったぁ!!)

颯「やばいよやばいよ、何がやばいのか説明できないけど、やばいよ」

凪「はーちゃんはご意見番ポジのリアクション芸人に方向転換ですか。特に、世界の果てまで行って拙い英語で生き抜くスタイルで」

颯「いや、はーはどちらかといえば一緒についてく女の子のポジションだから……って、なー!!?」

颯「いつからそこに!?」

凪「はーちゃんが発情期を疑われてもおかしくないレベルで息を荒くして入ってきたところから」

颯(キスしたのは見られてないみたい……よかった)

凪「そういえば今日はPとのデートの日、さてははーちゃん……」

颯(き、気づかれた?!)

凪「……女子寮に入る前にPに犯されましたね」

颯「……は?」

凪「どんな感じに犯されましたか。やはりPの車の中でそれはもう気が狂うほど気持ちええんじゃって具合に盛りあってましたか」

颯「Pちゃんとはーはそんなんじゃないし! なーってばそんなことしか考えられないの!?」

凪「若い男女が暗がりでやることなんて相場が決まってる」

颯「それにしたって他にもあるんじゃない?」

凪「ほう、例えば」

颯「……それは、まあ、た、楽しくおしゃべり、とか?」

颯(我ながらちょーアホっぽい答えになっちゃった)

凪「猥談ですね、わかります」

颯「結局その方向性!?」



47: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/11(木) 01:21:55.96 ID:PlYzuAb20

凪「まあ、冗談はさておき」

颯「そろそろ冗談と本気の区別が付くようにしゃべって欲しいって妹として心配しちゃうな」

凪「今日は、楽しかったですか?」

颯「!」

颯「……うん、……うんっ!!」

颯「すっごく、楽しかったよ!」



53: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/11(木) 23:33:28.48 ID:PlYzuAb20

1ヵ月後

女子寮


颯「……」

凪「……」

颯「…………」

凪「…………」

颯「………………」

凪「ギブです」

颯「……え?」

凪「はーちゃんが難しい顔をして凪のほうを見つめていたので、何か面白い変顔の一つでもしなければ、と思ったが」

凪「沈黙には勝てなかったよ……」

颯「あ、いや、はーは別になーを見てたわけでもにらめっこがしたいわけでもないよ」

凪「ほう。じゃあどうしたというのです」

颯「その……進展が、なくて」

凪「48手をコンプリートしてしまったからとうとうマンネリ化してきたと?」

颯「いや違うから!」

颯「そりゃ、まあ、その……そういうことも、そのうち、ね?」

颯「あー! もうっ。はーが言いたいのはそういうんじゃないんだってば」

颯「Pちゃんと付き合い始めて1ヶ月、付き合う前となーんにも変わってないっ!」

颯「手もつないでない!」

凪「欲求不満な妹よ、落ち着きたまえ」

颯「いいや落ち着かない! せっかく彼氏彼女になれたのに、お仕事があるときはmiroirとしてのはーでいなきゃいけないし、オフのときは大抵Pちゃんは他のアイドルのお仕事で働いてるし! オフがかぶっても、Pちゃん疲れてたら悪いかな……なんて思っちゃって」



54: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/11(木) 23:42:31.90 ID:PlYzuAb20

凪「立場の違いを考えれば、そうなるのは必然では」

颯「そうかもしれないけどさぁ……」

颯(Pちゃんの言ってた「颯には10代特有の“自由な華々しい”恋愛はさせてやれない」って、こういうことなの? でも、これじゃああまりにも変わらなさ過ぎだよ……)

凪「もしかして、はーちゃん、そうやってPのことを考えるあまり、疲れてしまってはいないだろうか」

颯「え……?」

凪「最近のはーちゃんは、疲れを感じさせるような顔をしていると、お姉さまたる凪は思っています」

凪「もし、Pについて何か悩んでいることがあるなら、ここで言ってしまえば良いのです」

颯「なー……」

颯「……」

颯「……うん、わかった。ありがとね」

颯「その……ね、最近考えちゃうんだ」

颯「Pちゃんは、“私のことが好きだから”告白をOKしてくれたの? って」

凪「kwsk」

颯「あんまり考えたくないんだけど、いや、それでも考えちゃってはーも自分のことがいやになるんだけど」

颯「Pちゃんは、そこそこ可愛くて自分を好きでいてくれる子なら誰でも良かったのかな、なんて」

颯「たまたま告白したのがはーだからはーを選んでくれたけど、他の子が告白してもおんなじ返事をしたんじゃないかって」

凪「はーちゃん……」



55: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/12(金) 00:01:49.76 ID:0TgBqEqD0

颯「それにね、事務所とか局とかでPちゃんが他のアイドルとか女のスタッフさんと話してるのを見るとね」

颯「頭がぶわぁっってなって、それと同時に胸がきゅぅってなって、でもPちゃんは悪くないから、悪いのははーなんだなって、自分を責めちゃって」

颯「そういうことを考え始めちゃうと、もうその日は心から元気なはーを皆に見せることが難しくなって……」

颯「……ごめんね、ごめんね。こんなこと言われても、なーも困っちゃうね」

凪「っ、そんなこと……」

颯「はーが恋愛とかしたことないから、こんなこと考えちゃうのかな。もう、どうしていいのか、わからなくて……グスッ」

颯「Pちゃんのことは好き、大好き。それは変わらないよ。でもね、付き合い始めてもこうやって前と変わんないと、はーはPちゃんのことを好きでも、その逆はどうなんだろーって思っちゃうんだ」

颯「疑り深いよね、嫉妬深いよね、こんな彼女、Pちゃんだって欲しくな――」

凪「――はーちゃん!!」

颯「はーなんてっ……」

凪「っ――」


チュゥッ


颯「?!?!」

凪「――」

颯「んんっ!!! んー!」

凪 チュゥゥッ

颯「ん゛っ」ドンッ

凪「――っ」

颯「ちょ、ちょっと!! 何するn……」

凪「悪い口をふさいでやった。それだけです」

凪「凪ははーちゃんのお姉ちゃんです。はーちゃんのことは凪が一番良く知っています。Pが彼氏かもしれませんが、凪ははーちゃんを家族として愛しています」

凪「凪は……、っ、はーちゃんを悪く言うやつは絶対に許しません」プルプル

凪「たとえそれが――はーちゃん自身であっても、です……」グスッ

凪「はーちゃん、自分を悪く言うのをやめてください。自分の周りを悪く言うのを、……やめてください」

凪「自分を批判して追い込んでも、何も始まない……ぞ」

颯「なー……」

凪「はーちゃん」ギュッ

凪「大丈夫、人生はクソゲーでも、悪いことばかりではありません。はーちゃん、良いことがあると信じて、悪いことであっても良くなることを信じて」ナデナデ

颯「ぅ……ぅぅ……」ポロポロ

凪「まずは落ち着いて、なにができるかを考えよう――」

凪「――颯」

颯「ヒグッ……グスッ……ぅ……お、お姉ちゃん……」ポロポロ



56: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/12(金) 00:08:56.08 ID:0TgBqEqD0

颯「っ」ゴシゴシ

颯「ありがと。なーのおかげでちょっと落ち着けた」

颯「なんか、なーには敵わないかなーなんて思っちゃった。えへへ、柄じゃないよね、こんなの」

凪「困ったときはお互い様だから。それに……」

颯「?」

凪「はーちゃんはもっと凪のことをお姉ちゃんって呼んでくれていいんだぞ」

颯「あっ!! それ忘れて!!」

凪「なんならお姉さまでも……」

颯「いや、なーはなーだから! さっきのは聞き間違いだよ、きっと!」

凪「あなた様はまこといけずです。あ、やべ」

凪「なに、問題はない。菊池真がいけずだったってことにすれば完璧だ(適当)」

颯「もう、なーが何言ってるのかわかんないよ。あはは」


颯(ありがと、なー)

颯(ううん…………お姉ちゃん)



57: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/12(金) 00:18:05.49 ID:0TgBqEqD0

颯(それから、なーと、たまに美穂さんも交えて、Pちゃんの好意を確かめながら恋人らしく過ごす方法をいろいろ考えた)

颯(やっぱり、お仕事のある日だと、アイドルとプロデューサーとしての感覚が抜けないだろうってことで)

颯(多少強引にでもオフがかぶったときにはデートをしようってことになった)

颯(彼女になった今では、それより前ほど誘うのに勇気が要らない)

颯(遊園地、映画、ショッピング……デートスポットとしてありがちなところにはだいたい行った)

颯(Pちゃんはいやな顔一つせず、はーのわがままに付き合ってくれた)

颯(はーにとっては、デートでどこに出かけるかはただの口実で、結局のところPちゃんと一緒にいられればなんでもよかった)

颯(Pちゃんも、ただ子どもの遊びに付き合ってるだけじゃなく、はーのことを彼女として扱ってくれている、と思う)

颯(はーが髪型を変えたり新しい服装にチャレンジしたりすると、Pちゃんはそれを見て楽しそうにしながらはーを褒めてくれる)

颯(それは、すっごくすっごく嬉しくて)

颯(Pちゃんのことについて思い悩んでた頃が馬鹿らしくなるくらい幸せを感じてた)

颯(そして、ついに――)


颯(――Pちゃんのほうから、デートに誘われる日が来た)



61: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/15(月) 00:35:26.24 ID:+GC7rjKb0

颯「……ドライブかぁ……」

P「ん? いやだったか?」

颯「ううん、全然。そうじゃないけど、なんか距離感がお仕事のときみたいだなーって」

P「いや、後部座席に真っ先に座ったのは颯のほうだろ。俺おもわず泣きそうになっちゃったよ」

颯「えっ?! ご、ごめん! Pちゃんがいやだとかそういうんじゃないから!」

P「はは、わかってるよ。冗談だ」

颯「もう……」

P「座りなれてるほうになんとなく行っちゃったんだろ?」

颯「うん」

P「そろそろSAにつくから、そこからは、その、な……」

颯「っ!」パァッ

颯「うんっ!」



62: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/15(月) 00:47:11.93 ID:+GC7rjKb0

颯「~♪」

P「ごきげんだな」

颯「だって、Pちゃんのこーんな近くに、ずっといられるんだもん」

P「ぐっ、かわいい……」

颯「あったり前でしょー、はーはかわいいもーん」

颯(でも、アイドルとして活動してるときに言われる「かわいい」よりも、何倍も嬉しい)

颯(何を言われるかよりも、誰に言われるかのほうが、大切なのかもなぁって思っちゃう)

P「そうだ。音楽でも流してみるか」

P「颯。俺のiPhoneのプレイリストの一番上のやつを流してくれ」

颯「うん、わかった」ポチポチ


\LINE 小日向美穂:プロデューサーさ……/ポップアップ


颯「っ!」

颯(わわっ、どうしよ、いくら彼女でもみちゃまずいやつだよね!?)

颯(ええい、上にフリックして消しちゃえ)サッ

颯「ふぅっ……」

P「どうしたんだ?」

颯「な、なんでもないっ! プレイリスト見つけたから流すね」ポチッ

~♪

颯「これって……」

P「「Palette」だ。わりかし最近にリリースしたから、記憶にも新しいんじゃないか? ああ、miroirを結成する前の話ではあるけどな」

颯「美穂ちゃんが教えてくれた。良かったら聴いてって」

P「そうだったか。あれ、いつのまにちゃん付けで呼ぶほど仲良くなったんだ?」

颯「コミュのエピローグみたらそうなってたんだよね」

P「メタいのやめろ」



63: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/15(月) 00:55:47.31 ID:+GC7rjKb0

颯「Pちゃんってさ」

P「?」

颯「その……」

P「どうしたんだ?」

颯「あのね、こんなこと聞かれていやだったら謝るんだけど、それでも一応聞いておきたくて」

颯「はーと付き合う前に、アイドルと付き合ってたことってある?」

P「!」

颯「ごめんね、こんなこと、聞かれても困るよね」

P「いや……」

颯「やっぱなし。忘れて」

P「……付き合ってたことは、ないぞ」

颯「…………そっか」

颯「ありがと。答えてくれて。めんどくさい彼女でごめんね?」

P「あんまり自分を責めるんじゃないぞ。駄目だとわかってても、相手の過去は気になるもんだよ」

颯「うわー、なんか経験者っぽい台詞」

颯(いま、はー、ひきつった顔してるかも……)

颯「いいよ、別に。元カノと何にもないんだったら気にしないであげる」

颯(ちょっと嘘。気にしないのは、無理かも)

P「元カノっていっても、学生時代だけどな。もう数年前とかだし、連絡先も消しちゃったから、つながりすらないよ」

颯「ふーん。可愛かった?」

P「まあ、そのときはそう思ってただろうな」

P「安心しろ。こんなことは言うべきじゃないだろうが、その人は所詮一般人だ。アイドルやってる颯のほうがかわいいと俺は思うよ」

颯「ほんとっ? 嬉しい。羽生えちゃうかも!」

P「はは、飛んでいけるなら俺が車出す必要はなかったかもな」



64: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/15(月) 01:05:41.56 ID:+GC7rjKb0

鎌倉 小町通り

颯「わぁっ、良い感じ! 鎌倉着てみたかったんだよね」

P「それはよかった。あえてSAでは食べ物を買わなかったからな。ここでは存分に食べ歩きしよう」

颯「おー!」


颯「ん~っ! このクレープおいしいっ! レモンの甘酸っぱい感じが最高!」

颯「はー、原宿みたいなわいわいしたのも好きだけど、こういう落ち着いた感じで楽しむのも好きだな」

P「気に入ってもらえたようで嬉しいよ。まあ、颯とは原宿も何回か行ってるけど、あのなんともいえない独特の雰囲気は心して向かわなければならないからな……」

颯「えー、そこまで覚悟していくとこじゃないでしょ。Pちゃんがおじさんなんだよ」

P「そんなおじさんを好きなのはどこの誰なんだ?」

颯「っ! ……わ、私です///」

P「ファンのみんなも驚くだろうなぁ。久川颯はオヤジ好きだった、なんてな」

颯「ちがうもんっ! Pちゃんはおじさんって言うほど年取ってないし!」

P「矛盾って知ってるか?」



65: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/15(月) 01:12:08.41 ID:+GC7rjKb0

颯「満足満足~♪ おいしいもんたっくさん食べちゃった」

P「結構食ったな。さすが育ち盛り」

颯「あー、いまはーのこと食いしん坊だって思ったでしょ」

P「颯の歳くらいならそのほうが良いよ。うちの事務所のアイドルは痩せすぎなんだって」

颯「Pちゃんは少しぽっちゃりしてたほうが好きなの?」

P「うーん、どうだろうな。別にぽっちゃりである必要はないが、健康的なのがいいな」

P「あ、でも、颯は体型を維持してくれよ? アイドルとして活動を始めた以上、見た目はそのままじゃないと駄目だからな」

P「もちろん、プロデュースの方針によっては……」

颯「もう、お仕事の話禁止!」

P「あ……すまん。せっかくのオフなのにな」

颯「ふふっ、Pちゃんってば結構仕事人間だよね。まあ、担当してるアイドルの人数もすごいもんね」

颯「体は壊さないでね?」

P「当たり前だ。アイドルは体が資本だが、アイドルを支えるプロデューサーもまた体を資本としてるからな。営業とか、いろいろとな」

颯「いつもはーたちのためにがんばってくれてありがと」

颯「はーにできることがあったら何でも言ってね」

P「ん?」



67: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/15(月) 01:17:42.45 ID:+GC7rjKb0

P「いま何でもするって……」

颯「はっ!! 何でもって言っても、何でもじゃないし!!」

P「また矛盾してるぞ」

颯「そ、その、駄目じゃないけど、いやでもないけど、まだ早いし……」

P「なあ、颯はさ、大人と付き合ってるんだぜ? それは颯もわかってるはず」

P「ならさ、大人の付き合い方を、するべきなんじゃないか?」ギュッ

颯「っ!」ドキッ

P「俺をねぎらってくれるんだろ。何をしてくれるのか楽しみだなぁ」ボソッ

颯「んんっ、ぃゃぁ、耳元で囁くのやめてよぉ」モジモジ

P「なあ、少し歩けばちょうどいい具合に林があるだろ? そこに行けばさ……あとはわかるだろ?」

颯「ぴ、Pちゃんっ///」



68: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/15(月) 01:24:55.44 ID:+GC7rjKb0

P「でもさ、キスくらいは許されると思うんだよ。ここでしても、さ」

P「だから、目、閉じてくれよ」

颯「やだぁ、はずかしいもん……」

P「俺とするの、いやなのか?」

颯「いやじゃない……けどぉ」

P「諦めろって、目閉じろよ」

颯「~~~~~~!///」><

颯(だいぶ前の別れ際以来キスなんてしてないし! ほんとどうしよ~!)

颯(もしかして、すんごいキスされちゃったりするのかな!?)ドキドキ





P「なーんて、な」パチッ

颯「あいたぁっ!! で、でこぴん……?」

P「目つぶって口突き出してるのは面白すぎるぞ、颯」

颯「P~ちゃ~ん……」

P「ははっ、何を期待したんだ?」

颯「「ははっ」じゃないでしょ!? はーもうドキドキでおかしくなりそうだったんだよ!?」

P「いやぁからかいがいがあるなぁって」

颯「もう、怒ったから! これからはーが欲しいって言ったの全部買わせてやる!」

P「財布を攻撃するのはやめてくれ……まあ、可愛い彼女の頼み、か」



69: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/15(月) 01:30:59.64 ID:+GC7rjKb0

女子寮前

颯「Pちゃん、今日もありがと。また、デート、しようね」

P「ああ、今日は楽しかったよ」

颯「はーも楽しかったよ」

颯(やば……こんなのとき、なに話したらいいのかわかんない)

颯「じゃ、じゃあ、また今度ね! ばいばい」

P「おう、またな」スタスタ

P「……」

P「あ……」

颯「どうしたのPちゃん、戻ってきちゃって」

P「颯、耳貸してくれ」

颯「?」ズイッ

P「愛してる」ボソッ

颯「っっ!!!/////」ゾクゾクッ

P「じゃ、そういうことで」

颯「Pちゃん……」ポケー

颯(はーも愛してるよ。……って、はーも言葉に出来たらいいのにな)

颯(おやすみ、Pちゃん)



72: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/22(月) 00:11:30.13 ID:JP+xGJOM0

颯「おはよ~ふぁぁ」

凪「おはようです。はーちゃん、どうしましたか。とても眠そうですが」

颯「なんでもない……いや、ただの夜更かしだよ」

凪「ほう……」

凪「まあ、そういうことにしておいてあげます。凪は優しいので」

颯「ちょっと、なに、その含みのある言い方」

凪「まったく、はーちゃんは。まったく、まったくです。凪が事情を察して黙ってやろうというのにそれを阻止してくるとは」

颯「なによー、わけわかんないって。言いたいことあるなら言えばいいじゃん」

凪「では遠慮なく。はーちゃん、昨日、部屋でオナニーしてましたね?」

颯「っ?! な、なに言ってるのなー!! 言いがかりはやめてよ!」

凪「やはりそうでしたか。カマをかけたかいがあったというものです。やったぞ」

凪「はーちゃんのことは凪が一番理解していると言ったでしょう。徳島に住んでいたときは、夜な夜な部屋を出てトイレで自分を慰めていたのを凪は知っているのです」

颯「あばばばば」

凪「ちなみに凪はお風呂でする派なので。周りに迷惑はかけません。えっへん」

颯「そ、それもどうなの……?」



74: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/22(月) 00:17:34.84 ID:JP+xGJOM0

凪「で、したんですね?」

颯「……うっさい! 別になーには関係ないでしょ」

凪「確かに。凪のあずかり知らぬところでした。これは失敬」

凪「でも、別にいいんじゃないですかね。恥ずかしがるようなことでもないと思いますよ。いわば必要悪みたいなものかと」

颯「保健の教科書みたいなこと言われてもって感じだよ……」

凪「なにはともあれ、はーちゃん、Pとうまくいっているようですね」

颯「う、うん。まあね///」

凪「ふふっ」

颯「あっ」

凪「どうかしましたか?」

颯「いや、なーがそうやって素直に(?)笑ってるの久しぶりにみたなーって」

凪「凪は八方美人なので。どんな表情だってできますよ」

颯「怪人二十面相の間違いだと思うな」



76: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/22(月) 00:26:51.95 ID:JP+xGJOM0

美穂「ふたりともおはよ~。朝から元気だね」

颯「あ、美穂ちゃん」

美穂「楽しくおしゃべりしてそうだからまぜて!」

凪「どうぞどうぞ。凪たちは絶賛ガールズトーク中なので」

美穂「どんな話? 気になるなぁ」

颯「いや、大した話じゃ……。なんていうか、その……ちょっとお下品? っていうか」

凪「まあぶっちゃけ超下品な話してました」

美穂「そ、そうなんだ。まあ、ガールズトークだしそういうこともあるよね」

颯「美穂ちゃん……」

美穂「じゃあ私もガールズトークでお話しする! この前行ったお花畑がね~」

颯「美穂ちゃん……!」



77: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/22(月) 00:47:34.88 ID:JP+xGJOM0

美穂「あ、そうだ。颯ちゃんはプロデューサーさんとはどんな感じなの?」

颯「えっ、それは……///」

凪「はーちゃんは恥ずかしがりやさんですね」

凪「美穂ちゃん。はーちゃんはPとうまくやってるみたいですよ」

美穂「わぁ、なんだか新しいカップルって見てるこっちもドキドキするね!」

美穂「恥ずかしいなら無理しなくてもいいけど、できれば颯ちゃんからも色々恋バナ聞きたいな」

颯「でもなー、なんかこう、特別なにかしゃべることあるかなって考えるとあんまり思いつかなくて」

颯「あ、そういえば、Pちゃん、付き合い始めてからなんだかはーに対する接し方が変わったかも」

凪「ほう」

颯「なんていうか、こう、手馴れてる感じ?」

颯「はーは今まで彼氏とかいたことないからわかんないけど、案外付き合い始めたらみんなこんなもんなのかなぁ」

颯「まあ、Pちゃんも大人だからね。元カノがいるのがいやって言ったってしょうがないんだけどさ」

颯「なんか、気にし始めちゃうと、こう……」

凪「さげぽよーってなっちゃうんですね。わかります」

颯「そうなんだよねー」

美穂「……そっか」



78: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/22(月) 00:58:24.45 ID:JP+xGJOM0

美穂「颯ちゃんはさ、プロデューサーさんに何かしてあげたいなーっておもうことないの?」

颯「Pちゃんにしてあげたいこと、か。うーん」

颯「……」

颯「……なんでも、してあげたいかも」ボソッ

凪「ここに来てはーちゃん選手の大胆発言が炸裂した。こうかはばつぐんだ。敵は死んだ」

颯「ああっ、いまのっ、いまのなし!!///」

美穂「ふぅん、颯ちゃんって案外……」

颯「美穂ちゃんも余計なこと考えないで!」

美穂「余計なことなんかじゃないと思うなぁ。ねー?」

凪「ねー?」

颯「もうっ、ふたりとも知らない! べーっだ」



79: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/22(月) 01:14:57.71 ID:JP+xGJOM0

某テレビ局

P「今日はピンクチェックスクールとmiroirが一緒に出演するバラエティだ。お前らネタは用意してきたか?」

卯月「どどどどどどーしましょうプロデューサーさんっ、私、何も思いつきませんでした……。また普通だって言われちゃいますよぅ」

響子「私も緊張して来ました……」

卯月「響子ちゃんはお料理キャラがあっておいしいじゃないですか! 私なんて笑顔ですよ、笑顔! 視聴者のみなさんが笑う前に私が笑っちゃってどうするんですか!」

響子「別にキャラのためにお料理してるわけじゃ……卯月ちゃん相当まいってるね」

卯月「ぎょうごぢゃん~~~!!」

P「こいつらは大丈夫そうだな……。美穂はどうd……」

美穂「ねぇ颯ちゃんいい加減機嫌直してよ~」

凪「凪たちがテレビモードにならなければならない期限が迫っているのに機嫌悪くしてる場合じゃないですよ」

颯「つーん」

P「これはこれで、いい、のか?」





80: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/22(月) 01:27:30.38 ID:JP+xGJOM0

収録後

P「なんだかいつも以上にウケてたな。お前らは自然体のほうが笑いとれるんじゃないか。これからはバラドルとして……」

卯月「そういうのはみくちゃんにお願いすれば良いと思いますよ」<●><●>

P「……冗談だよ。怖い顔するなって、マジ怖いから。笑顔だ、笑顔」

美穂「みくちゃんも不憫……」

颯「ねえねえ響子ちゃんっ、はーもっとお料理のこと知りたいから今度教えて!」

響子「うんっ、いいよ。今度女子寮で一緒にやろうね」

颯「やったね。これではーの女子力は爆上がりしちゃうなー」

凪「はーちゃんの魅力にさらに磨きがかかりましたね」

颯「当然でしょ! はーは完璧だもん」

凪「磨きすぎて無くならないと良いのですが……」

颯「あれ、おかしくない? はーを褒める流れだったよね?」

凪「それはいいとして」

颯「いいんだ……」

凪「響子さんは好きな人に料理を作ってあげたこととかはありますか?」

響子「えっ?!」

颯「ちょっと、なー、何聞いてるの?!」

凪「いえ、今はPと我々アイドル5人しかいないですしおすし。込み入った話でもしようかと凪は思ったわけです」

響子「うーん、家族とか友だちとかに作ってあげたことはあるけど」

響子「凪ちゃんの言う「好きな人」って恋人のことだよね?」

凪「そうです」

響子「それは、ないなぁ。あったらよかったんだけどね。アイドルになってからは誰かを好きになるとかは極力考えないようにしてきたし」

響子「それに私、まだ誰かと付き合ったこと、ないから」

凪「そうですか。なんだか失礼なことを聞いてしまった気がして凪は後悔しています。すみません」

響子「あ、謝らなくていいよっ! でも、どうしてそういうのが気になったの?」

凪「だって、はーちゃんはPと付き合ってますから」

響子「ファッ!?」



81: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/22(月) 01:38:38.13 ID:JP+xGJOM0

颯「あ、これなーと美穂ちゃんにしか言ってないやつだ……」

響子「え、ふたり、付き合って、……ええっ!?」

凪「面白いくらいに動揺してますね」

颯「いや、あんまり言いふらしていいもんじゃないっしょ」

響子「そ、そうなんだ。颯ちゃんとプロデューサーさんが」

颯「うん」

響子「まだ凪ちゃんと美穂ちゃんしか知らないんだよね? いま私も知っちゃったけど」

颯「やっぱアイドルしていく上で彼氏いるってバレたらやばそーだし」

響子「うん、それはそうなんだけど……」

颯「?」

響子「私が気になるのはそこじゃないっていうか……ううん、なんでもない。気にしないで」

響子「そうだっ、今度お料理教えてあげるから、それでプロデューサーさんにお弁当作ってあげよ! きっと喜んでもらえるよ!」

颯「ほんと?! やったー! やろうやろう!」




82: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/22(月) 01:46:25.03 ID:JP+xGJOM0

女子寮

響子「じゃあさっそくやっていこうね。とりあえずお弁当に入れるようなオーソドックスなやつを練習していこっか」

颯「よろしくお願いします!」

凪「よろしくお願いしまー、と凪は小学生風に便乗していくスタイルです」

響子「ふたりとも今までお料理はどれくらいやったことある?」

颯「小学生の頃は何回かゆーこちゃんのお手伝いでしたことあるけど、一人で何か作ったことはないなー。あとは家庭科の調理実習くらい?」

凪「まったく同感です。食材を切ることはできても料理はできない、例えるなら、パソコンを買ってキーボードの打ち方をようやく覚えたかと思ったらOS関連の専門用語にボコボコにされるくらいの戦力でしかありません」

響子「そ、そっか……。とりあえず、基本は適宜教えるとして、お料理の仕方とコツに重点を置いたほうがよさそうかも」

響子「さっそくやってみよう! プロデューサーさんに喜んでもらうためにも、ね?」

颯「う、うん……/// はーがんばるよ」



88: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/30(火) 00:15:15.47 ID:nn1nXsSE0

響子「チカレタ……」

颯「お料理ってこんなに大変なんだねー……はー、正直舐めてたかも」

凪「お料理を舐めた結果、辛酸を嘗める結果になってしまうとは、凪は自分の不甲斐なさに落胆しました」

響子「いや、ふたりはよくがんばったよ。いろいろと知らないことは多かったみたいだけど」

凪「味噌汁はお湯に味噌をぶち込んでおけばできるものだと思っていました。まさか出汁を入れるとは」

響子「うん、そうだね。基本的なことを知らなかったんだと思うな」

颯「これじゃあPちゃんに何か作ってあげるとか夢のまた夢だよー。はー、自分に自信が持てなくなりそう」

颯「はーは自分が完璧だと思ってたんだけどなー」

颯(正確には、自分が完璧だと思いたかった、だけど)

響子「最初から完璧に出来る人なんていないよ。でも、少しずつなら完璧に近づいていけると思うし、そのうち完璧も夢じゃなくなるよ、きっと」

響子「とりあえず基本的な知識と技術はだいたい終わったから、今度は何か作るものを決めてやってみよう? ね?」

颯「うん、ありがとう、響子ちゃん」

凪「響子ちゃんの優しさとたまねぎが目にしみて涙がとまらなくなりそうです。うるうる」



89: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/30(火) 00:28:47.67 ID:nn1nXsSE0

響子「まあ、今日はもう休もう! 愛梨さんが作ってくれたケーキがあるから、お茶いれて食べようよ」

颯「あ! それいい! 賛成ー!」

凪「やった。凪の灰色の脳細胞は糖分を欲しているのです」


――――――


響子「それにしても、プロデューサーさんは彼女持ちかぁ。しかも担当してるアイドル」

颯「えへへ……」

凪「この笑顔、プライスレス」

響子「まあ、私はふたりの関係をとやかく言うつもりはないから安心してね。でも、アイドルの中には、プロ意識からそういうことを非難する人もいるから、他の人には言わないほうがいいよ」

颯「うん。わかってる。はーアイドルやめたくないし」

響子「あとね、346のアイドルの中には、プロデューサーさんのことが気になってる人も少なからずいるから、そういう意味でも気をつけたほうがいいかも」

颯「そ、そうなんだ」

響子「颯ちゃんと凪ちゃんよりは長くアイドルやってるから、一応、アイドル同士の人間関係みたいなものも見えてきちゃうんだよね」

響子「見ててあんまりいい気持ちにならないものもあるし」

響子「ごめんね、変な話して。でも、アイドルも楽しいことばかりじゃないから」

響子「miroirはデビューから活躍するまでが短かったけど、下積みが長い人もいるから、ね」

響子「そういえば、凪ちゃんは好きな人とかいないの?」

凪「なぬ」

颯「確かに、なーの恋バナとか聞いたことないかも!」

響子「いまいなくても、好きだった人とかさ、そういうこと考えたことはない?」

凪「それは――ありますよ」

颯「あるんだー!」



90: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/30(火) 00:37:33.52 ID:nn1nXsSE0

響子「それって昔の話? それとも今?」

凪「それは……」

響子「あ、別に言いたくなかったらいわなくてもいいけど……」

凪「いま、です、一応」

凪「ずっと好きなんです。でも、その人はすごく遠くにいるようで。凪は、心だけでも近くにいると思っていたのですが、そうでもないようです」

颯「あんまりうまくいってないの? 悩んでるなら相談してよ、はーとなーの仲でしょ」

響子「そうだよ、もし私たちでよければ、凪ちゃんが話して楽になるなら力になれるよ」

凪「いえ……心配には及びません。凪の片思いですし、この片思いは嫌いではありません。想い人は遠くにいますが、凪は現状に不満がないので」

響子「そ、そう……」

凪「なんだか変な空気になってしまいましたね。嘘っぱちの恋バナで盛り上げたほうが良かったでしょうか」

颯「いや、そんなこと……。でも、なーが恋で悩んでるなんて知らなかったな。はーはなーのこと何でも知ってると思ってたけど」

凪「はーちゃんは凪検定1級ですが、凪検定には段位があるので、はーちゃんが知らないことがあっても当然です」

颯「1級より上あったんだ?!」



91: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/30(火) 00:54:00.03 ID:nn1nXsSE0

颯「ピンクチェックスクールって3人とも仲良しだよね。仲良し女子高生3人組って感じ」

響子「そうだね、仲は良いよ。女子高生3人って言っても、私だけ1年生で、卯月ちゃんと美穂ちゃんは2年生だけどね。まあ、学年の違いはあんまり関係ないか」

颯「喧嘩とかすることってあるの?」

響子「喧嘩はないかなぁ。衝突するようなキャラじゃないしね」

颯「そっかぁ。それもそうだね。何もトラブルがないと平和でいいね」

響子「うーん、それは……」

響子「トラブル、ね……。なかったわけじゃないよ」

凪「不穏な空気を察知したので、凪は冬眠することを検討しはじめています」

響子「あ、いや、そこまで怯えなくても大丈夫だとは思うけど……。ごめんね、なんかそういうの、怖いよね」

響子「全部は話せないんだけど、簡単に言うと、美穂ちゃんに好きな人ができて、それで色々大変だった時期があったんだ」

颯「美穂ちゃんが?」

響子「うん。私と卯月ちゃんはそれを支えようと色々考えたんだけど、結局駄目で、美穂ちゃんは相手の人と別れることになっちゃった」

響子「私は人が人を好きになるのは当たり前のことだと思うし、アイドルだからって人を好きになる気持ちまで制限されるのはおかしいと思ってるから、卯月ちゃんと一緒に美穂ちゃんの助けになりたかったんだけど――」

響子「――駄目だったんだ。なんで駄目だったかは私の口からは言えないんだけどね。さすがに、美穂ちゃんが別れたときはピンチェの3人で泣いちゃったな」

響子「だから、颯ちゃんのことは応援したいんだけど、心配でもあるの」

颯「響子ちゃん……」

響子「ごめんね、中学生だし、ちゃんと恋愛したいよね。私が謝ってどうにかなることじゃないけど、でも――」

響子「――私は颯ちゃんの力になれるかはわからないよ……」



92: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/30(火) 00:58:00.01 ID:nn1nXsSE0

移動中


颯(美穂ちゃんの過去を話す響子ちゃん、苦しそうだったな……)

(響子「ごめんね、中学生だし、ちゃんと恋愛したいよね。私が謝ってどうにかなることじゃないけど、でも――」

響子「――私は颯ちゃんの力になれるかはわからないよ……」)

颯(“ちゃんと恋愛したい”か)

颯「……」

(P「俺はもう大人だ。社会人だ。これは覆しようがない。社会人になった大人ってのは気にしなきゃいけないことが山のようにある。夢は寝てみろ、見なきゃいけないのは現実だ、といった具合にな」

P「これは、俺がどうしたいかではなく、社会がどうあるべきか、なんだよ。颯には難しいかもしれないけどな」

P「だから、俺と颯が付き合ったとしても、俺が社会に束縛されている以上、颯には10代特有の“自由な華々しい”恋愛はさせてやれない。どころか、颯はそういう恋愛をする機会を永遠に失いか兼ねない。いいか、颯、人生は長くても10代はすっごく短いんだ。そこで経験したことは、颯が大人になったときに跳ね返ってくる。いま俺とそういう関係になれば、颯をきちんとした大人にしてあげられないかもしれない。それは、俺が颯の親御さんと社会を同時に裏切るに等しい行為なんだ」)

颯(Pちゃんの言ってたこと、はーはよくわかってなかったかも)

颯(はーが思ってた以上に、大変なことになっちゃってるのかな)

颯(はーはどうすればいいの?)





93: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/04/30(火) 01:09:44.88 ID:nn1nXsSE0

P「颯……から……に……連……」

颯(Pちゃんのことは大好き。愛してる。せっかく付き合えたのにお別れなんていやだよ……)

P「颯、颯! 聞いてるか?」

颯「! ご、ごめん、Pちゃん。ぼーっとしちゃってた」

P「急な打ち合わせが入っちゃって今日は事務所に戻れなさそうなんだ。それで、今すぐちひろさんに連絡しないといけないんだけど、これから高速乗るんでスマホがいじれない」

P「悪いんだけど、俺のスマホ使ってちひろさんに電話してくれないか?」

颯「うん、おっけー」

P「ありがとう。俺の鞄の中にiPhoneがあるから、それ使ってくれ。俺の顔をうつせばロックは解除できるから」

颯「これかな。Pちゃん、一瞬こっち向いてもらえる?」

P「もう信号待ちで止まるからちょっとだけ待ってくれ」

P「……」

P「よし、ほら」クルッ

颯「認証完了~。もう前向いていいよ」

P「iPhoneにSlackってアプリがあるから、ダイレクトメッセージで【千川ちひろ】に用件を送信してくれ。他のメッセージとかは、秘密の内容もあるから見ないように」

颯「わかってるって。今日は急に入った打ち合わせで事務所に戻れないって言えばいいんだよね?」

P「ああ。それだけ送ればちひろさんはわかってくれるはずだ」

颯 ポチポチ

\LINE 小日向美穂:次はいつ……/ポップアップ

颯(わわっ、LINEだ。フリックで消して――)

颯(……)

颯(小日向美穂、か)





95: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/02(木) 01:42:24.85 ID:rWp5iwuH0

数日後、放送局

颯「はじめての生放送、いやー、さすがのはーも結構緊張しちゃった」

凪「凪はポーカーフェイスを保ちました。えっへん」

颯「でもなーの手震えてたよ?」

凪「はーちゃん、それは言わないお約束です。-114514点」

颯「なんか減点されてる?!」

凪「はーちゃんの査定は、……1ランク降格です」

颯「しかも降格されちゃったし?! てかなんでプレバト風? 凪“検定”だったじゃん」

颯「はぁ、今日はもうお仕事ないし、Pちゃんに寮まで送ってもらって休みたーい」

凪「Pとの甘々な時間を過ごしたいのなら、凪は別のアイドルの人と一緒に帰りますよ」

颯「いや、いいよ。そんなのなーに悪いし。今日は疲れちゃってそんな気分じゃないし」

凪「そうですか」

颯「Pちゃん、確かそろそろ別の人の収録終わってここ通るはずなんだよね」



96: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/02(木) 01:48:42.58 ID:rWp5iwuH0

颯「あ、Pちゃん! ……と、あれは美穂ちゃん」

P「お、miroirの2人とエンカだ」

美穂「ふふっ……颯ちゃん、嬉しそう、ですねっ」

P「え? あ、ああ。まあ、そうみたいだな」

美穂「颯ちゃん、お疲れ様」

颯「美穂ちゃんもお疲れ様。収録って美穂ちゃんのだったんだ」

美穂「そうなの。今日は初めて出る番組だったから、プロデューサーさんと色んな人に挨拶して回ったんだ」

颯「ふーん、そうなんだ。でも、美穂ちゃん大丈夫? なんか汗かいてるというか、体調悪かったりする?」

美穂「……そんなことないよ、ほら、最近暑くなってきてるから。私、汗っかきで」

P「水分補給はちゃんとしておけよ。アイドルは身体が資本だからな」

美穂「はいっ、気をつけますっ。それじゃあプロデューサーさん、私は凪ちゃんと寮に帰ってますから。颯ちゃんを送ってあげてくださいね」

颯「え、いいって……行っちゃった」

颯「えーと、ありがとう? なのかな?」

P「なんていうか、気の利かせ方が雑なやつだな……」



97: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/02(木) 01:57:34.24 ID:rWp5iwuH0

帰り道、車の中


颯「そういえばね、なーって好きな人いるんだって」

P「な、なにっ?!」

颯「あーでも心配しなくてもよさそう。片思いなんだって。進展させる気もないっぽい」

P「そうは言われてもな……凪もアイドルだし――って、そんなこと俺が言えたことじゃない、か」

颯「えへへ、そうだね。一番悪い子なのは、はーだもんね」

颯「あ、もちろんPちゃんもだから! 同罪だよ」

P「わかってますよ、ってな。まあ、実際、アイドルだから自由に恋愛できないだなんて、子どもであるアイドルたちにとっちゃ可哀想な話だ」

颯「はーにもそれに似たような話してたよね」

P「ああ、した気がするな」

颯「Pちゃんは、はーっていう彼女がいて、幸せ? 嬉しい?」

P「どうしたんだ、急に」

颯「なんかPちゃんの言葉で聞いておきたくって」

P「颯みたいな可愛くて自分を想ってくれる子が彼女で俺は幸せだよ」

P「言葉にして伝えるのは、なかなかどうして恥ずかしいものがあるけどな」

颯「そっか、ありがと」

颯「……」



98: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/02(木) 02:06:16.89 ID:rWp5iwuH0

女子寮


響子「……うんっ、おいしい!」

颯「っ! や、やった!」

響子「頑張ったね、颯ちゃん。この肉じゃが、おいしいよ!」

響子「肉じゃがって定番だけど、手間もかかるし味付けも繊細なものだから案外難しいの。よくがんばりましたっ、……なーんて、えへへ」

颯「ありがと! 響子ちゃん」

颯「これなら、Pちゃんに作ってあげられるかも……!」

響子「うん! きっと喜んでもらえるはずだよ!」

颯「でもこれ1つ作るだけで疲れちゃったー。やっぱり響子ちゃんはすごいなー」

響子「慣れもあると思うよ。私だって、最初からうまくいってたわけじゃないし」

颯(慣れ……最初からうまくいってたわけじゃ、ない)

颯(Pちゃんとの関係も、そう……なのかな?)

響子「あとちょっと頑張れば、プロデューサーさんにお弁当作ってあげることだってできるんじゃない?」

颯「Pちゃんにお弁当かー、なんだか彼女みたいだね///」

響子「みたい、じゃなくて、実際そうなんでしょ。もう」

響子「そうだ、颯ちゃんお弁当箱とか持ってる?」

颯「んー、持ってないかな。実家においてきちゃった」

響子「じゃあさ、いまから買いに行こうよ! せっかくお料理できるようになってきたんだから、次はお弁当に挑戦してみよっ、ねっ?」

颯「うん……がんばる!」



99: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/02(木) 02:12:56.69 ID:rWp5iwuH0

ショッピングモール


響子「ここならお弁当箱以外のお買い物もできるもんね!」

颯「ショッピングなんて久しぶりかも! いっぱい見てまわりたいな」

響子「あ、あそこのブランド、ちょっと気になってたんだ~。寄ってもいい?」

颯「奇遇だね響子ちゃん、はーもちょうど目をつけてたとこなんだよ」

響子「ふふ、私たち気が合うのかも」


颯「お弁当箱売り場に来てみたけど……いままであんまり気にしてなかっただけで、お弁当箱だけでこんなにたくさんあるんだね」

響子「うんっ。何を重視するかで決めていく感じかな! かわいさとか、機能とか、大きさとか……とにかく色々!」

颯「Pちゃんにも使ってもらいたいし、ふつーに普段はーが使うにもちょうどいいくらいだと良いかな」

響子「あ、カップルでおんなじお弁当箱使うんだ。見せつけてくれるじゃない、このこの」

颯「わわっ、べ、別にそーいうつもりじゃ、ないけど」

響子「でも、嬉しいでしょ?」

颯「それは……うん///」



100: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/02(木) 02:24:03.84 ID:rWp5iwuH0

颯「よし、これに決めた!」

響子「案外シンプルなのにしたんだね」

颯「おしゃれなやつとか、かわいいやつとか、惹かれるものはいっぱいあったんだけどねー。Pちゃんに使ってもらうものだし、小さくても困るし」

颯「Pちゃんのお腹を満たせそうなサイズで、かといってでかすぎない! これしかないってはーは思うな」

颯「まあ、はーもまだまだJCで育ち盛り食べ盛りだし! 体型維持は完璧だし、下手なダイエットはしないもんね」

響子「確かに颯ちゃん、スタイルいいよね。中学生とは思えないくらい」

颯「ふふーん、そうでしょ。小柄だけど結構ぼんきゅっぼんなんだー」

響子「ちなみにスリーサイズいくつ?」

颯「82-56-82だよ」

響子「私、81-58-80だ……」

颯「えっ、あ、ごめん」

響子「謝らないでよっ、うわーん」

響子「颯ちゃんなんてそのお弁当箱いっぱいのご飯食べ続けてボンボンッボンになればいいだよっ」

颯「ひどい言われよう?!」

颯「……てか、響子ちゃん実際もっとあるでしょ。はー、東京来る前から響子ちゃんのこと知ってたけど、おっぱいとか絶対にもっとあるよね」

響子「おっぱいが大きいだけじゃだめだもん。女子は総合的に見たスタイルだよ、颯ちゃん」

響子「私はスレンダーなほうだし、ピンチェの中じゃ卯月ちゃんとか美穂ちゃんのほうがよっぽど……」

颯「よっぽど?」

響子「……エロい、と思う」

颯「な、なるほど……」



101: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/02(木) 02:27:58.99 ID:rWp5iwuH0

響子「あ、そういえば下着買おうと思ってたんだ。ちょっと見ていってもいい?」

颯「いいよ~……って、はーもそろそろ新しいの買おうかな」


響子「……」

颯「? どうしたの響子ちゃん」

響子 ニコニコ

颯「え、怖いんですけど。なんで無言でニコニコしてるの」

響子「ちょっと、大きくなってた……!」

響子 グッ

颯「大きいだけじゃどうこうって言ってたの誰だったっけ」



103: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/02(木) 02:33:25.98 ID:rWp5iwuH0

颯「なんだかんだ色々買っちゃった……重い……」

響子「お給料で貯めたお金がいっぱいあるのがせめてもの救いだね……」

颯「……なんだろう、救いの話すら生々しすぎて全然救われた気持ちにならないよ」

響子「まあ、売れっ子ってことだよ! こういうのは素直に喜んどこ! なんてっ」

颯「そうだね……はーたちは完璧だし売れっ子で――ん?」

響子「? どうしたの颯ちゃん」

颯「いや、あれ……」

響子「あれ、って?」

颯「Pちゃんと――」



颯「――なー?」



105: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 00:19:43.65 ID:xtuYrsrn0

颯(なんで……?)

颯(なんで、なーが、Pちゃんと2人きりでいるの……?)

颯(なー……すごく笑顔。Pちゃんも楽しそうにしてる)

颯(はーだって、あんなPちゃん最近みてないよ。いつも、いつも、いつもいつもいつもいつもお仕事がチラついてて……)

颯「……」

~~~~~~

凪「ずっと好きなんです。でも、その人はすごく遠くにいるようで。凪は、心だけでも近くにいると思っていたのですが、そうでもないようです」


凪「いえ……心配には及びません。凪の片思いですし、この片思いは嫌いではありません。想い人は遠くにいますが、凪は現状に不満がないので」

~~~~~~

颯(あーは言ってたけど、もしかしてなーって……)

ドクッドクッドクッ……

颯(胸が、苦しい……)

颯(はーはPちゃんの彼女だよね? じゃあなんでPちゃんははーのことは最近誘ってくれないのになーとデートしてるの?)

颯(ただお買い物してるだけ? いや、それもデートだし。なんて言ったって、ふたりきりだし)

ドッドッドッドッ……

颯「ゃだ……」

颯(いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ)

颯(Pちゃんがなーに取られちゃう?!)

颯(そうじゃなくても、Pちゃんがはーのことを好きじゃなくなっちゃう……?!)

颯「はぁっ、はぁっ」

響子「ちょっと、颯ちゃん大丈夫?」

響子「顔色悪いみたいだし、すごい汗だよ。息も荒いし」

颯「だ、大丈夫だって、ちょっと疲れちゃっただけ」

響子「何か見つけてたみたいだけど、どうかしたの?」

颯「なんでもないっ! ……とにかく、はーは大丈夫だから、心配しないで」



106: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 00:28:10.77 ID:xtuYrsrn0

ショッピングモール内、フードコート


響子「私、アイス買って来るね。颯ちゃんのぶんも、適当に選んでくるから、そこで休んでて!」タッタッタッ

颯「……」

颯(どうしちゃったんだろう)

颯(はー、結構嫉妬深い女なのかな)

颯(なんだか、すっごく黒い何かが、心の中で暴れて、心臓を締め付けるような気分だった)

颯(よく考えてみれば、Pちゃんが女の子といることなんて珍しいことじゃないのに。だって、アイドルのプロデューサーだもん)

颯(Pちゃんの彼女ははー1人だけど、Pちゃんの担当するアイドルははーだけじゃないもんね)

颯(なのに……)

颯(しかも、よりによってなーだよ。一番信頼してるはずの、お姉ちゃん、なのに)

颯(もう、はー、どうしたらいいかわかんないよ)

颯(はーが悪いのかな、それとも……)

颯(思い出さないように思いつめるほど、なーとPちゃんが楽しそうにショッピングしてる様子が思い浮かぶ)

颯(なーは、自分でも言ってるけど、ポーカーフェイスで滅多に表情が変わらない)

颯(それなのに、今日のなーは、普通の人からすれば大きな違いじゃないけど、それでも確かに笑顔で)

颯「……」

颯(はーは、彼氏を取られちゃうかもっていう不安でなーに嫉妬して、お姉ちゃんの素顔を引き出したPちゃんに嫉妬してるのかな)

颯(はー、自分が嫌いになりそう)

颯(やっぱり、“あたし”は完璧なんかじゃない)



107: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 00:36:40.45 ID:xtuYrsrn0

颯(嫉妬ついで――ってのもおかしな話だけど――最近、美穂ちゃんがあんまり好きじゃない)

颯(美穂ちゃんはPちゃんといる時間がなんだか長い)

颯(それに、中身は見たことないけど、よくPちゃんのスマホのLINEの通知に現れてる)

颯(ひょっとしてそこにはイケないやりとりが――なんて変に考えちゃう)

颯(笑うよね。彼氏であるPちゃんも、お姉ちゃんであるなーも、せっかくできた友達であり先輩の美穂ちゃんも、はーはみんな信用してないんだ)

颯(もう、どうしたらいいのかわかんないよ。はーははーが意味不明すぎるって思うな……)

響子「えいっ」ピトッ

颯「わわぁっ!! つめt……ちょ、ちょっと驚かせないでよー」

響子「えへへ、ごめんね。なんだか思いつめたような顔してたから、なんだかいたずらしたくなって」

颯「いやーその理屈はおかしいと思うけど」

颯「……あはは、でも、ありがと。ちょっと楽になったかも」

響子「それならよかった。颯ちゃんが何で悩んでるか、私は無理に聞こうとは思わないけど、私は颯ちゃんの味方だよ」

響子「困ったときは、遠慮なく頼ってくれちゃっていいんだから!」

颯「……」

颯「…………」

颯「うん、わかった。何かあったら相談するね。今は大丈夫だから――」


颯(――嘘だけど)



108: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 00:44:58.84 ID:xtuYrsrn0

数週間後、女子寮


凪「はーちゃん、ここ最近元気がないようなのです。この前もお仕事でミスをしてしまっていましたし」

凪「よく眠れていますか? 食事は、一緒に摂っているのでまあ大丈夫かと思いますが」

颯「うん、大丈夫だよー。ありがと」

颯(嘘。全然大丈夫じゃない)

颯(あれから、Pちゃんが別の女の子といるたびに心臓が飛び出しそうになって、いっぱい汗をかくようになっちゃった)

颯(お仕事でもミスをするようになっちゃって、出演してるベテランの人に怒られたり……)

凪「そ、そうですか。でも、痩せたようにも見えますし、何か悩みでも――」

颯「……うるさいっ!!!!」

凪「ひっ……」 ビクッ

颯「あ、ごめん。怒るつもりなんてなかったの。怒鳴っちゃって、ごめんね」

颯「ごめんね、ごめんね……」ポロポロ

凪「これは……」

凪「はーちゃん、今日から凪と二人で寝ましょう。また、徳島にいた頃のように」

凪「何がはーちゃんを苦しめているのか、無理には聞きませんが、今のはーちゃんはちょっとやばめです」

颯「うん……」

颯(それから、女子寮ではなーがつきっきりになった)



109: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 00:57:24.29 ID:xtuYrsrn0

夜、女子寮、凪の部屋

凪「はーちゃん、眠れませんか?」ナデナデ

颯「うん……なんか、寝なくちゃーって思うと、心臓がドキドキしてきちゃうっていうか」

凪「さては、凪に惚れましたね? いや、惚れたにちがいない」

颯「もう、なに言ってるんだか。はーにはPちゃんっていう彼s――」

颯「――なんでもない」

凪「……」

凪「どうにもはーちゃんは不安定ですね。こんなときくらい、お姉ちゃんに甘えたらいいと思いますけどね」

凪「ほら、凪はウェルカム、ですよ」

颯「……じゃあさ」

颯「こういうこと、シても怒らない?」モミッ

凪「ひゃぅ……は、はーちゃん?」

颯「なんだ、結構可愛い声出るんだね、“お姉ちゃん”?」

凪「はぁっ、はぁっ、や、やめるのです。はーちゃん」

颯「甘えてもいいって言ったの、なーの方だし」

颯「はーは、もっと、なーに甘えたいな……」ツー

凪「っ?!?!」ゾクゾクッ

颯「はむっ」

凪「や、ゃぁ、……お、おっぱい吸っちゃ、だめ」

颯「ちゅ、ちゅぱっ……」

颯「ぷはっ……えへへ、ゆーこちゃんのおっぱい吸ってたときってこんな感じだったのかな」

颯「あ、でも、今のなーの顔すっごいエッチだから、やっぱ違うかも。こんなエッチな顔で子どもにおっぱい吸われるママはいないよね」ニコニコ

颯「れろっ、れろぉっ、んちゅ、ちゅぱっ……」

凪「い、いやぁ、はーちゃn……や、やめ……」

颯「やーめない。おっぱいいじめられるなー可愛すぎだもん」

颯「それに、なーの乳首、勃ってきてるよ?」

凪「い、言わないでください……」



110: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 01:06:17.24 ID:xtuYrsrn0

颯「はーね、まだキスもエッチもしたことないから見よう見まねだけど――」

颯「――なんだか今は、なーがすっごい可愛く思えて、なんとなくだけど、こういうことできちゃうんだー」モミモミ

凪「んんっ/// もう、ゃめてって、言ってる、のに……」

颯「なーが本気で嫌がったらはーはやめてるよ。でも、そういう感じしないし」

颯「本当は、気持ちよかったりして?」フニュッフニュ

凪「あ、あぁぁっ……」

颯「もしかしてこっちは……」

凪「ぁ……だ、だめ、だめです。そこは触っちゃ……」

ヌルッ

颯「あれー? なんか濡れてるよ、なーのパンツ」

颯「おかしいなー、お漏らしするような歳でも、ないのにね?」

凪「っ、そ、それは」

颯「えいっ」ズブブ

凪「んにゃぁぁっ///」

颯「わわっ、指、入っちゃった……」

凪「しょ、処女でも、指くらいなら入るものですよ」

颯「そうだったんだ。知らなかった……てか、なー、詳しいね」

凪「はっ、墓穴を掘りました。穴があったら入りたい」

颯「入ればいいじゃん、掘ったんだし」



111: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 01:17:40.35 ID:xtuYrsrn0

凪「凪は、いま絶賛掘られ中なので、はーちゃんに……」

颯「ん? どこが掘られちゃってるの? ねー、はー知りたいなー」クチュッ

凪「んっ/// そ、そんな安い手に乗る凪では……」

颯「おまんこって言っちゃえばいいのに」

凪「はーちゃんが言うんですか、それを。自ら安い手に乗っちゃうんですか」

颯「あ、そういえば、クリトリスってやつをコリコリすると気持ちいいんだっけ?」コリッ

凪「あぁんっ、はぁっ、だ、だめです、それは……」

颯「もしかして、ここ弱かったり?」コリッコリッ

凪「あんっ、いやぁっ、んっ……///」

颯「うわぁ、なー、すごくエッチだよ。もっといじめたくなっちゃうかも……」コリックチュ

凪「んぁぁっ、そ、そんな同時責めなんて///」ハァハァ

颯「ついでに乳首も」ハムッ

凪「ッ!!」ビクッビクッ ビクッ……

颯「……もしかして、イっちゃった?」

凪 ハァッハァッ

凪「……」クタッ

凪「……」レイプメ

凪「凪は、もう駄目です。凪の次回作にご期待ください……」

颯「なんだかはーも疲れちゃった……なー抱きしめてると安心するから、このままでいい?」ギュゥ

凪「……勝手にすれば、いいんじゃないですかね。がくっ」



112: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 01:23:19.15 ID:xtuYrsrn0

朝、女子寮、凪の部屋

凪「ん……朝、ですか」パチッ

凪「……」

凪「……なんだか、違和感が――って」

颯 チュウウウウ

凪「……まったくいつまで姉の乳首に吸い付いてるんですかね、この妹は」

凪「ほら、はーちゃん、起きなさい、朝ですよ」

颯「ん……あと5分……」

凪「まあ、定番ですよね」

颯「あとうっふーん……」

凪「昨日の凪のことを言ってるなら張り倒しますよ」

颯「むにゃむにゃ」

凪「寝言……? なんですかね」

颯「……」

凪 ナデナデ

颯「……き」

凪「?」

颯「……大好き」

凪「……」

凪「大好き、ですか」



116: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 14:57:08.01 ID:xtuYrsrn0

346プロ、事務所、Pの部屋


コンコン

P「ん? はーい」

颯「はーだy……久川颯です。Pさん、いますか?」

P「あぁ、颯か。俺ならいるぞ。入ってこい」

颯「うん。失礼します」

P「どうしたんだ。今日はオフの日だったと思うけど、わざわざ俺の部屋まで」

颯「オフの日にわざわざ来ちゃだめ? はーはPちゃんの彼女なんだけどなー」

P「ごめん、そういう意味じゃないんだ。悪かったよ。来てくれて嬉しい」

颯「……ほんと?」

P「本当だって。今日は事務所から出る用事ないし、たぶんこの部屋に来るのもちひろさんくらいだから、ずっといたっていいぞ」

颯「そっか……えへへ、じゃあ、ずっといようかな」

颯「そういえば、ちひろさんってはーたちが付き合ってるの知ってるのかな」

P「どうなんだろうな。でも、ちひろさんはそういうのはとやかく言わない人だよ」

颯「へーそうなんだ、意外。そういうのにはうるさいイメージだった」

P「まあ、ちひろさんは――って、これは言っちゃいけないんだった」

颯「なにそれー? ふたりだけの秘密ってヤツ? 嫉妬しちゃうなー」

P「別にやましいことはないさ。誰にだって、知られたくないことの1つや2つはあるだろ? 俺はたまたまちひろさんの秘密を知っちゃったんだよ、もう随分前の話だけどな」

P「そのとき以来口止めされてる。これは、やましいとかじゃなくって、ちひろさんと俺との信頼関係だ」

颯「ふーん、そっか。まあ、あんまり小うるさいこと言ってPちゃんに嫌がられたくないし、気にしないでいてあげる」

P「そうしてくれると助かるよ」



117: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 15:04:40.44 ID:xtuYrsrn0

颯「Pちゃんは、今日は忙しいの?」

P「忙しくはないが、暇でもないな。今日は淡々と事務仕事をこなすだけだよ」

P「いまでこそ俺はこんなに立派な部屋もらっちゃってるけどさ、正直もったいないんだよな、俺には」

P「もてあましてるのがわかるだろ? 物も全然ないしさ」

P「数年前は同期のやつらとかちひろさんとか、いろんな人と同じ部屋でデスク並べてたんだけど、その頃のほうがにぎやかで俺は好きなんだよな」

P「あ、これはここだけの話な? 頑張って昇進させてもらえたことは嬉しく思ってるから」

P「大きな部屋もらってそれでも不満言ってるって上司に知られたくないしさ」

颯「Pちゃんはすごいね。だって、まだ20代でしょ?」

P「アラサーとも言うんだな。まあ、そういわれてみると俺もまだまだ若いか」

颯「別に、はーはPちゃんがおじさんになっても好きだけどね」

P「颯はこれから綺麗になってくんだろうなぁ。俺は老いていくばかりだが」

颯「そんなこと、ないし……」

P「いやいや、そんなことあるだろ」

颯「いや、はーが言いたいのはそういうことじゃ……ん~もう! なんて言えばいいのかわかんないー!」

P「それは困ったな。俺もわからないよ」



118: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 15:15:11.31 ID:xtuYrsrn0

颯「ねえ、Pちゃん……」ギュッ

颯「Pちゃんにとってはーは、魅力的?」

P「なにを言い出すのかと思えば……魅力的だからプロデュースしようと――もっと言えばスカウトしようと思ったんだよ」

P「そんな心配、しなくていいんだ」ナデナデ

颯「それはアイドルとしての魅力でしょ? でも、はーはアイドルであると同時に、Pちゃんの彼女なんだよ?」

P「……」

颯「最近さ、デートとかあまりいけなくなったよね。はーたちのお仕事が増えてきたっていうのはわかってるけど」

颯「デートじゃなくたって、こうして2人きりになることは全然……」

P「女子寮までの送り迎えとか……凪たちは気を使って俺たちを2人きりに……」

颯「そんなんじゃいや」

颯「そんなんじゃ――だめ」

颯「Pちゃん、こっち向いて」

P クルッ

颯 チュッ

颯「ちゅっ……れろっ、んちゅ……」

颯「……はーは、こんなにもPちゃんを求めてるんだよ?」

颯「Pちゃんにも……はーを求めてほしーな」

颯「ほら、Pちゃん手貸して」ガシッ

颯「ここ、触ってみて。おっきいでしょ。JCの中じゃきょにゅーだよ、はーは」フニフニ

颯「Pちゃんにははーの全部をあげる。だから、もらって欲しいな」

颯「ねえ、いいでしょ?」



119: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 15:22:51.10 ID:xtuYrsrn0

P「……颯」

颯「ん……なに? Pちゃん」

颯「はーは大人の階段のぼりたいなって……ほら、ここ、こんなにおっきくしてんじゃん」サワサワ

P「颯っ」ガシッ

颯「!」

P「そうしたい気持ちはわかるし、俺にもあるけど……今は駄目だ」

P「俺の言いたいこと、わかるか?」

颯「……」

颯「…………か」ポロポロ

颯「……Pちゃんの……ばか」グスッ

颯「どうして……どうしてなの? Pちゃんにとってはーはアイドルでしかないの? はーの全部が欲しくないの?!」

P「欲しいさ! でも、駄目だろ……これからってときに、身体を大切にしなくちゃさ……」

颯「はーが聞きたいのはそういう言葉じゃないもん!!! ううん、言葉ですらない、はーはPちゃんに行動で示してほしいの!!!!!」

P「ま、まずは落ち着けって……落ち着いて話しあおう、な?」

颯「……っ! もう知らない!!!!」ダッ

P「あっ、おい!!! 颯!!!」


ガチャ……バタン


P「颯……」

P「……」


ガチャッ


「大変ですね、プロデューサーさんも」



120: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 15:39:51.96 ID:xtuYrsrn0

夜、女子寮、凪の部屋

凪「じゃあ、そろそろ寝ましょうか、はーちゃん」

颯「……」

凪「はーちゃん? どうかしましたか?」

颯 <●><●>ギロッ

凪「ひぅ……ど、どうしたのです。アイドルがしてはいけない顔になってます、よ……」

颯「別に! なんでもない」

凪「以前、下手に詮索はしないと言いましたが、今のはーちゃんは前にも増して切羽詰ってるように見えます」

凪「悩みがあるのなら相談に……」

颯「へー!! じゃあ言わせてもらうけどさ!!」

颯「最近のなー、やけにPちゃんにべったりだよね?! miroirとして活動してるのに、お仕事の合間はいつもいつもいつも……」

凪「そ、それは……はーちゃんがPちゃんの前だと話しづらそうに、気まずそうにするからですよ」

颯「だからはーの変わりにお話ししてあげてるっていうの?! 随分と良い身分だね!」

凪「そんな言い方ッ……いくらはーちゃんでも怒りますよ」

颯「どうせそんなのは口実で、本当はなーもいちゃいちゃしたいんでしょ?! この前も片思いしてる相手がいるっていってたけど、あれ実はPちゃんなんでしょそうなんでしょ?!」

颯「そうやってはーからPちゃんを寝取るんだ……はーは知ってるもんね! なーはすっごいエッチな子だって!」

颯「自分の恋のために妹の彼氏寝取るんだ! 大したお姉さまで……」

パァンッ

凪「っ……っ……」プルプル

颯「……いったい」

颯「いったーい!! なにすんのよ!!!! はーはアイドルなんだよ?! その顔を思い切りはたくなんて、さいってー!!」

凪「最低なのはどっちですか!! 人の気も知らないでよくもそんなことを……!!」

颯「はぁっ? なーの気持ちわかれって……そんなのわかるわけないじゃーん!!」

颯「あ、でも、なーは昔からそうだもんね。自分の思ってることは言えない、言ってもわけわかんないことを口にするだけ」

颯「口は災いのもとなんていうけど、なーにとっては口がなくたって災いみたいなもんだもん!!」

凪「……こんのガキ!!!!」ガッ

颯「おまえだってガキだろーがぁ!!!!」グッ

ギャーギャー

響子「ちょっと二人ともうるさ……て、なにしてるの!!」

響子「喧嘩なんてやめて……ってきゃっ」

響子「いたた……どうしよう。こんな大喧嘩じゃお仕事にだって支障が出ちゃうよ……」

美穂「もう……なんだか騒がしいよ」

響子「美穂ちゃん! ちょっと大人の人たち呼んできて!」

美穂「え……どうしたの……っ!!」

美穂「わ、わかった! 待ってて!」



121: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 15:51:01.80 ID:xtuYrsrn0

十分後、凪の部屋

凪「ひっく……ぐすっ……」

響子「よしよし……」ナデナデ

美穂「とりあえず颯ちゃんは愛梨さんたちとリビングにいるよ」

響子「そっか……わかった。いまはこのふたり、一緒にしておけないもんね」

響子「でも、こんな大喧嘩になるなんて……一体なにがあったの?」

凪「ぐずっ……い、いまは……言いたく、ありません……」

響子「まあ、それならいまは無理には聞かないよ」

凪「悪いのは凪です……」

響子「そ、そうなの?」

美穂「颯ちゃんも同じこと言ってたよ、悪いのははーだ、って。颯ちゃんの話聞く限り、颯ちゃんが悪いと言うか、発端みたいな気がするけど」

凪「いえ、そういうことでは、ないのです」

凪「はーちゃんは、決して凪を叩きはしませんでした……特に、顔は絶対にねらってきませんでした」

凪「でも……でも、凪は……」

凪「はーちゃんの顔を……叩いてしまって……」

響子「凪ちゃん……」

美穂「まあ、女の子の喧嘩って叩くよりひっぱったりつねったりねちっこかったりするからね……」

美穂「颯ちゃんは、それでも顔だけは……」

響子「凪ちゃんは、妹思いなんだね」

響子「優しい子、だね……」ナデナデ



122: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 16:00:07.93 ID:xtuYrsrn0

翌日、346プロ、Pの部屋


P「え?! 久川姉妹が大喧嘩?!」

ちひろ「はい……今朝響子ちゃんが事務所に寄ったついでに伝えてくれて。結構すごい喧嘩だったみたいです」

P「不幸中の幸いで、今日はmiroirはオフだな……次の仕事があるのも3日後だ」

ちひろ「その代わり、女子寮のほかのアイドルたちは今日はお仕事で出払ってしまっているんですよ」

P「え、それじゃあmiroirのふたりは誰が見てるんですか?」

ちひろ「颯ちゃんは私が面倒を見ることにしました。凪ちゃんは、女子寮で休んでいます。今日は食事も喉を通らないみたいで……」

P「凪のほうが重症、みたいだな」

ちひろ「ええ。とりあえず今日中にふたりを一緒にすることはできないと思うので、許可さえ下りれば颯ちゃんを私の部屋で過ごさせてあげたらと」

ちひろ「それで、明日まで考える時間があげられたらなって」

P「なるほど……まあ、ちひろさんになら颯を預けられますよ。それに1日なら両親の許可を取るまでもないでしょう」

P「なんて、この部屋の外で言ったら怒られそうですがね」

ちひろ「ふふっ、そうですね。では、今日は私が颯ちゃんの面倒を見ますね」

P「すみません、颯が迷惑かけます」

ちひろ「いえいえ、とんでもない。それでは……」ガチャッ

P「……」



123: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 16:06:34.90 ID:xtuYrsrn0

昼、346プロ、小会議室

颯「……」

コンコンコン、ガチャッ

ちひろ「颯ちゃん、待たせちゃってごめんね。今日はお姉さんが颯ちゃんの面倒見ることになったから」

颯「う、うん……」

ちひろ「あ、そうだ。颯ちゃんお腹空かない? もうお昼だし、ランチでもどうかな」

颯 ギュルル

颯「///」

ちひろ「ちょうどよかったみたいね。じゃ、いこ?」



124: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 16:17:55.35 ID:xtuYrsrn0

346プロ付近、洋食店


ちひろ「そっかぁ、プロデューサーさんと一緒にいる他の子が気になっちゃう、と……」モグモグ

颯「なんかね、Pちゃん好き! ――っていう思いより、Pちゃんの周りの女の子嫌い! ――っていう思いのほうがおっきくなっちゃって」

颯「Pちゃんもなんでそんなに他の子と一緒にいるのーって思っちゃって」

颯「最近、そんなのばっかりなんだー」

ちひろ「まだ中学生だもんね、恋愛っていったってお互いの距離感とかもよくわからないのかも」

颯「ちひろさんはかなり経験してるの?」

ちひろ「ストレートに聞いてくれるわね……まあ、そりゃあ20代後半の大人な女性ですし? 大恋愛の1つや2つ当然よ」

颯「なんだかうさんくさいなー」

ちひろ「聞いておいて失礼……まあ、いいけど」

ちひろ「正直に言うと、別に経験豊富ってわけじゃないわ。いままで付き合ったことがあるのも1度だけ」

ちひろ「まあ、その1度が、なかなか、ね」

颯「それははーが聞いてもいいやつ?」

ちひろ「ん~だめなやつ! ふふっ、大人の秘密ですっ」

颯「そっか」

ちひろ「でもね、私は、颯ちゃんの気持ち、わかるな」

ちひろ「この人しかいない――って一途になるのは大切なことなんだけど、それだけになっちゃって視野まで狭くなると、自分の自分の周りも巻き込んで大変なことになりかねないのよ」

ちひろ「いまは、冷静になって、すこし時間をかけて考えるべきだわ」

ちひろ「プロデューサーさんは、そういうのは待ってくれる人よ」

颯「む~ちひろさんははーの知らないプロデューサーさんを知ってるみたいで、なんか、いやー」

ちひろ「ふっふっふ、だって、新卒のときからずっと一緒に働いてますから」

ちひろ「でもね、颯ちゃん。そんな私だって、プロデューサーさんについては仕事面で見せる部分しか知らないのよ?」

ちひろ「きっと、プライベートで颯ちゃんにしか見せない一面を、プロデューサーさんは既に見せているはずだわ」

ちひろ「颯ちゃんがそれに気づいていないだけで、ね?」



125: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 16:25:51.19 ID:xtuYrsrn0

夜、某アパート、ちひろの部屋


ちひろ「ただいまー……まあ、「おかえりなさい」って声が返ってくるわけじゃないんだけどね、あはは……」

颯「はーが先に入ってれば言ってあげられたのに」

ちひろ「別にそこまでしてくれなくてもいいわよ。ふふっ、でもありがとうね。颯ちゃんみたいに可愛い子が出迎えてくれたらきっと嬉しいわ」

ちひろ「プロデューサーさんにしてあげたら、喜ぶかもよ?」

颯「そんな、なにいって……///」


~脱衣所~

颯 モジモジ

ちひろ「いつまで恥ずかしがってるの。服着たままじゃお風呂は入れないわよ」

颯「ねえやっぱり別々に入ろうよー、はーは後でいいからさ」

ちひろ「でも、後で入ったときに追い炊きされて光熱費かさむの嫌だし……」

颯「うーわけっちぃ」

ちひろ「何か?」

颯「なんでもないです……」

颯「てか、ちひろさんってすごいね。顔も可愛いし、スタイルも……」

ちひろ「そう? 82-58-84よ。颯ちゃんとそんなに変わらないわ。むしろ、颯ちゃんがスタイル良すぎるっていうか」

颯「いや……ちひろさん絶対申告してる数字よりおっきいって、なにがとは言わないけど」



126: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 16:37:57.17 ID:xtuYrsrn0

~風呂場~

ちひろ「ふぅ……向かい合って入れば案外ふたりでも大丈夫なのね」ザブン

颯「ちょっとちひろさん……足広げすぎ、ってかお股全部見えてるんですけど」

ちひろ「やーん、颯ちゃんのエッチ。わざわざそんなところ見なくてもいいのにー」

颯「そこまで全開にしてたらいやでも見えるよ……」

ちひろ「まあまあ気にしないの。私たち以外いないんだから」

颯「それはそうだけどさー」

颯「……」

颯「……」

ちひろ「凪ちゃんのこと――」

颯 ピクッ

ちひろ「――やっぱり、まだ結構引きずってるのね」

颯「はーは、はーは……なーにあんなひどいことを……」

颯「なーは何にも悪くないのに、悪いのは、はーなのに……」

ちひろ「一途になるのは大切だけど、それだけで視野まで狭くなると、自分の自分の周りも巻き込んで大変なことになりかねない」

ちひろ「昼にも同じようなことを言ったけど、いまの颯ちゃんはまさにそれなのね」

ちひろ「まずは時間をかけてよく考えることだと思うわ。そのときに大切なのは、俯瞰するってこと」

颯「フカン?」

ちひろ「高いところから自分を見下ろすの。そうすると、いままではなにが駄目だったのか、これからはどう行動すれば良いか、自ずと見えてくるはずだわ」




127: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/03(金) 16:45:07.64 ID:xtuYrsrn0

ちひろ「私の前の恋愛はね……結論から言えば失敗だったの」

颯「失敗?」

ちひろ「うん、それも、大失敗。バッドエンド」

ちひろ「私は、最後まで自分を俯瞰することはできなかった……ちょうど、颯ちゃんと同じくらいの歳だったわ」

ちひろ「今思えば、私は恋に恋してたのよ。でも、それに気づいたのはもっと大きくなってから。それまでは俯瞰できていなかったのね」

颯「恋に恋する、か。いまのはーはそれなのかな」

ちひろ「かもしれないわね。でも、だからってプロデューサーさんのことは好きなんでしょう?」

颯「それは……うん、もちろんだよ。はーはPちゃんが大好き。愛してる」

ちひろ「それじゃあ諦めちゃ駄目だわ。粘り強くいることよ」

ちひろ「私は、颯ちゃんには私のようになって欲しくはないの」

ちひろ「だから、難しいかもしれないけど、良く考えることよ」

ちひろ「って、結局たいしたアドバイスになんてなってないわね。ごめんなさい」

颯「ううん、ちひろさんの言いたいこと、いまのはーにはわかるよ」

颯「もう少し考えてみるね、ありがと、ちひろさん」

ちひろ「ふふ、どういたしまして」



135: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/18(土) 23:35:58.44 ID:TRQkIKGX0

翌日、女子寮


ちひろ「ほら、つきましたよ。颯ちゃん」

颯「うぅ……ほんとについてきてくれるんだよね? ちひろさん」

ちひろ「本当だって。そりゃぁ、ふたりだけで仲直りできるならそれに越したことはないけど……お仕事に支障をきたしてもいけないですし、アイドルのケアもアシスタントである私の仕事ですから」

颯「……ありがと」

ちひろ「ええ、どういたしまして」ニコッ


ガチャ


颯「ただいま……」

響子「あっ、颯ちゃん」

颯「響子ちゃん……」

響子「おかえりなさい。ふふっ、もう気は晴れた?」

颯「まだ……なーと、仲直りしてないから」

響子「そっか。そうだよね」

響子「凪ちゃんは、自分の部屋にいるよ。今日颯ちゃんが帰ってくるのも知ってるから、いま行っても大丈夫」

颯「うん……」チラ

ちひろ「じゃあ、少しお邪魔しますね」



136: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/18(土) 23:42:06.42 ID:TRQkIKGX0

コンコンコン

颯「……なー」

「……」

颯「なー、はーだよ。帰ってきた……よ」

颯「入っても、いいかな?」

「……うん……いえ、はい」

ガチャ

颯「……」

凪「……」

颯「……」

ちひろ「ほら、颯ちゃん」

颯「う、うん」

颯「なー……ううん、お姉ちゃん」

颯「お姉ちゃんは悪くないのに、私のわがままで困らせて……ごめんなさい」

颯「いちゃもんつけて……いっぱい傷つけて……」グスッ

颯「ごめんなさい……」ポロポロ

凪「はーちゃん……」

凪「凪は……凪はもう怒っていません。それに――凪も同じ気持ちですから」ギュッ

颯「ううっ……ぅぅ……」ポロポロ

颯「ごめんねぇ……お姉ちゃん……」グズッ

凪「よしよし……」ナデナデ



137: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/18(土) 23:46:07.35 ID:TRQkIKGX0

颯「……あっ、だからね、その……ね」

颯「仲直り……してほしいな……って」

凪「……変なはーちゃんです。仲直りしていない姉妹は、こうやって抱き合ったりしません」

凪「ね?」

颯「……えへへ、グズッ……そうだね」

ちひろ「ふたりとも、もう大丈夫そうですかね」

颯「あ、ちひろさん……色々とありがと」

凪「妹がお世話になりました」

ちひろ「いいんですよ。私がしたくてしていることですから」

ちひろ「それじゃあ、仲直りも出来たみたいですし、私は事務所に戻るとしますね」

ちひろ「失礼します」



138: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/18(土) 23:48:50.81 ID:TRQkIKGX0

颯「そうだ、荷物、自分の部屋においてきちゃうね」スタスタ

キィィ、バタン

凪「……」

凪「……はーちゃん」

凪「……謝らなければいけないのは、凪のほうかもしれません……」

凪「……」グッ



139: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/18(土) 23:57:52.67 ID:TRQkIKGX0

昨日、夕方、女子寮(回想)


美穂「私お風呂入ってきちゃおうかな」

響子「私もそろそろ……」

凪「……」スタスタ

美穂「あ」

響子「凪ちゃん」

凪「お腹が空いたので……何か食べようかと」

響子「夕飯なら台所の近くにラップ掛けて置いてあるから、それ食べてねっ」

凪「はい」

美穂「色々あるのかもしれないけど、元気だしていこっ! ね?」

響子「そうだよ。いつまでも落ち込んでいられないし、早く颯ちゃんと仲直りできるといいね」

凪「……」

響子「あ……」

美穂「……わ、私、お風呂入ってくる!」タタタ

響子「わ、私もー!」タタタ

凪「……」

凪「……あ、美穂ちゃんスマホ忘れています。無用心ですね。しかも開いたまま……ロックすらされていないとは」

凪「……」



140: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/19(日) 00:09:18.02 ID:zoTT0UbS0

凪「人のスマホをのぞいてはいけない――でも見ちゃう、ビクンビクン」

凪「というわけで、凪は悪くありません。ポチッとな」

凪「これは画像フォルダ……」

凪「ピンチェの三人で笑顔でうつってる写真――仲良し……」

凪「……」

凪「他を見ますか」

凪「……? なんでしょう、これ」ポチッ




凪「……ッ!!?!?!!!!!」


ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ


凪「え……??????????????????????」

ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ

凪「な……なに……これ……?」

ハ ダ イ ロ ? ハ ダ カ ノ シ ャ シ ン ? フ タ リ ウ ツ ッ テ ル ? ナ ニ シ テ ル ン ダ ロ ? オ ト コ ノ ヒ ト ト オ ン ナ ノ ヒ ト ? イ チ マ イ ダ ケ ジ ャ ナ イ
ナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモナンマイモ
オ ト コ ノ ヒ ト ハ 、 ピ ー ? オ ン ナ ノ ヒ ト ハ ・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ア ホ ゲ ?
ア ホ ゲ ノ コ ア ホ ゲ ノ コ ア ホ ゲ ノ コ ア ホ ゲ ノ コ ガ ピ ー ト ハ ダ カ デ ナ ニ カ シ テ 










凪「み、美穂ちゃん……?」



141: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/19(日) 00:15:44.78 ID:zoTT0UbS0

凪「はぁっ……はぁっ……ぉぇ……」

凪「はっ……!」キョロキョロ

凪「……ふぅっ、だ、誰も見ていませんね……」

凪「こ、こんなのって……」

凪「せっかく……はーちゃんの想いが届いたと思ったのに……」

凪「P……美穂ちゃん……」

凪「とりあえず、スマホはもとの画面にしたまま置いておきましょう……」コトッ

凪「……ぅっ……ぉぇぇ……はぁっ、はぁっ」

凪「き、気持ち悪い……! 嫌悪感と言えばいいんでしょうか、これ……」

凪「食欲が吹き飛ばされてしまいました……」

凪「……」

凪「……」

凪「……ぅぅ……ぅ……」ポロポロ



142: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/19(日) 00:18:17.37 ID:zoTT0UbS0

(回想終了)



143: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/19(日) 00:29:33.51 ID:zoTT0UbS0

後日、ラジオ局


P「ふたりともお疲れ様。今日の収録も良かったぞ。トークもさまになってきたな」

颯「そうでしょー、褒めて褒めて?」

P「はは、そうだな。よくやったぞ!」ナデナデ

颯「えへへ……」

P「凪のトークも良かったぞ。レギュラーの人たちにも大ウケだったじゃないか」ナデナデ

凪「凪の手に掛かればこのくらいお茶の子さいさいです。赤子の手をひねるがごとし、です……ぉぇ」

凪 フルフル

凪「P、ちょっとトイレに行ってきてもいいですか?」

P「ああ、構わないぞ」

凪「ちょっと行ってきます」タタタ


凪「おぉぉぇぇぇぇぇ……」

凪「ペッ……はぁっ、はぁっ」

凪「だ、だめみたいですね……もうあれ以来Pに対して身体が拒絶反応を示します」

凪「でも、アイドル活動が続く限り、凪たちはPと行動をともにしていかなければならない」

凪「それに、はーちゃんはPのことが好きですから、Pは以前にもましてmiroirと一緒に動くようになっています」

凪「担当プロデューサーを変えてもらう……のは現実的ではなさそうです」

凪「……っ」グッ

凪「凪が……私が耐えれば、それでいいのだから、頑張るのです、私」

凪「はーちゃんのためにも……」



144: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/19(日) 00:40:37.73 ID:zoTT0UbS0

某日、撮影スタジオ


カメラマン「それじゃあふたりとも、身体を寄せ合って……そうそう! その感じ!」カシャッカシャッ

カメラマン「じゃあ最後に、軽き抱き合って、目線を妖艶な感じで……」

颯「んっ……なんだか恥ずかしいね」

凪「ええ」

颯「なーの匂いがする」

凪「はーちゃんの匂いがします」

カメラマン「うーん、もうちょっと! もうちょっと近づいて……そう! それだ!」カシャッ


颯「お疲れ様でしたー!」

凪「お疲れ様でした、お先に失礼します」


颯「今日のカメラマンさん、何言ってるかよくわかんなかったなー」

凪「まあ、結構褒めてくれていましたし、よかったのでは。と、凪は思います、まる」

颯「まあねー」

颯「あ、そうだ。あのさ」

颯「もしかして、なー、痩せた?」

凪「えっ?」ギクッ

凪「何故……そう思うのですか、はーちゃんや」

颯「なんかねー、前になーに抱きついたときまでは、こう、なーって華奢だけど柔らかいんだなーって感じだったんだけど」

颯「今日は、カメラマンさんの指示でなーに抱きついたときに、なんだか骨ばってる? というか硬い感じがして」

凪「……別に、いつも通りではないでしょうか」

颯「そうかなー、凪検定1級なのになー」

凪「……」

颯「ダイエットとかしてるんだったらやめたほうがいいよ? それ以上痩せたらむしろ不健康だし、ファンも減っちゃうかもよー?」

凪「それは、困りますね……」

颯「……大丈夫? なんか元気なくない?」

凪「大丈夫です。はーちゃんが心配するようなことは、何もありませんから」

颯「そう? なんかあったら遠慮なくはーに言ってね。妹だって姉の相談には乗れるんだから」

凪「はい、そうします」



145: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/19(日) 00:54:14.44 ID:zoTT0UbS0

翌日、女子寮


凪「……ん゛ん゛っ、……ん?」

凪「……」キョロキョロ

凪「……知らない天井だ」

響子「あっ、凪ちゃん。目、覚めたんだね。ここは私の部屋だよ」

凪「ここは……?」

響子「覚えてないの? 凪ちゃんさっき倒れたんだよ」

凪「……え?」

響子「なんとなくいつもよりボーっとしてるなとは思ってたんだけど……朝ごはん食べ終わって部屋に行く途中で、廊下でもどしてそのまま気を失っちゃってたの」

凪「そんな……」

響子「今日と明日はオフみたいだし、ゆっくり休んだほうがいいよ。私も今週はお仕事あんまりないから、遠慮しなくていいからねっ」

凪「すみません、汚いものを見せてしまいました」

響子「気にしないで。大丈夫だから」

凪「……! はーちゃんは、このこと……」

響子「颯ちゃんはプロデューサーさんとデートだよ。朝早くからご機嫌で出かけて行ったよ」

響子「凪ちゃんが起きてきたのはそれより後だから、颯ちゃんはまだこのことを知らないんじゃないかな」

凪「……そうですか」

響子「お仕事頑張るのもいいけど、身体壊しちゃったらそれまでだし、無理は駄目だよ」

響子「はい、スポーツドリンク。水分補給だよっ」

凪「……」

凪 ゴクゴク

凪「……」

響子「? どうかした?」

凪「美穂ちゃんと、P」

響子「!」

凪「美穂ちゃんとPの間に何が起こっているのか、と聞いたら、響子ちゃんは答えてくれますか」

響子「……ちょっと凪ちゃんが何を言ってるかわからな――」

凪「妹の……幸せがかかってるんです」

響子「――ッ」



151: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/24(金) 23:51:13.69 ID:/h25lTB40

響子「……知らない、じゃ、すましてくれないんだよね」

凪「はい」

響子「……」

響子「……はぁっ」

響子「結局、悪いことをしたら悪い結果にしかならないんだね」ボソッ

響子「わかった。話すよ、全部」

響子「プロデューサーさんと美穂ちゃんの間になにがあったのか――ね」




152: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/24(金) 23:59:51.29 ID:/h25lTB40

響子「結論から話したほうがいいよね」

響子「美穂ちゃんはね、プロデューサーさんと付き合ってたの」

響子「……ううん、正確には、美穂ちゃんがプロデューサーさんに告白して、プロデューサーさんは返事をしないまま、ずるずると――って感じだけど」

響子「私がこんなこと言うのは許されないかもしれないけど、変だと思わない?」

響子「変だと思うよね。だって、自分の人形に“プロデューサー君"なんて名前つけて溺愛してるんだもん」

響子「……」

響子「ごめんね、話、戻すね」

響子「結局、プロデューサーさんは美穂ちゃんの告白に対してはっきりとした答えは返さなかったみたい」

響子「あれでも“優秀な”プロデューサーさんだから、人道的な話をして諭したんだと思うよ」

響子「でも……美穂ちゃんは諦めなかった――諦めてくれなかった」

響子「美穂ちゃんはね、プロデューサーさんに体を許したの」

響子「プロデューサーさんってね、仕事はできるし頭もいいけど、欲に弱いところがあるんだって」

響子「いくら人道的な御託を並べても、相手から一線を越えるような誘惑を受けたら勝てないっていうかね」

響子「それも、美穂ちゃんから聞いたんだけどね……」



153: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/25(土) 00:10:28.94 ID:sYquP6QI0

響子「それから、幾度となく美穂ちゃんとプロデューサーさんは体を重ねてたみたい」

響子「卯月ちゃんは天然だから気づいてないかもしれないけど、私たち2人っていつも楽屋から早く帰されるんだよ、半ば強引に」

響子「その意味は、言わなくてもわかるよね」

響子「私はわかってた。でも、わからなくていいならわかりたくなんてなかった」

響子「美穂ちゃんはプロデューサーさんに告白してから変わった。ううん、変わったんじゃなくて、今の美穂ちゃんが本当の美穂ちゃんなのかもしれない」

響子「告白する前は、私と美穂ちゃんとでいろいろ初心な感じの恋バナとかしてたんだけどね」

響子「どうせ、初心なのは装われてただけなんだろうね」

響子「……」

響子「そういえば、颯ちゃんとプロデューサーさんのデートで、美穂ちゃんがピンチェのライブを提案したことがあったでしょ」

響子「なんでだと思う?」


響子「颯ちゃんの近くでも自分に目を向けて欲しいからだよ」


響子「ライブ前、あの2人は――美穂ちゃんとプロデューサーさんはシてた」

響子「いつも通り、適当な理由で私と卯月ちゃんを楽屋の外に出したあとに……ね」

響子「そうすれば、その後の颯ちゃんのライブデートでは、プロデューサーさんは目の前にいる美穂ちゃんを気にせずにはいられないから……」



154: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/25(土) 00:14:33.32 ID:sYquP6QI0

凪「……」


~~~~~~~~

颯「あ、Pちゃん! ……と、あれは美穂ちゃん」

P「お、miroirの2人とエンカだ」

美穂「ふふっ……颯ちゃん、嬉しそう、ですねっ」

P「え? あ、ああ。まあ、そうみたいだな」

美穂「颯ちゃん、お疲れ様」

颯「美穂ちゃんもお疲れ様。収録って美穂ちゃんのだったんだ」

美穂「そうなの。今日は初めて出る番組だったから、プロデューサーさんと色んな人に挨拶して回ったんだ」

颯「ふーん、そうなんだ。でも、美穂ちゃん大丈夫? なんか汗かいてるというか、体調悪かったりする?」

美穂「……そんなことないよ、ほら、最近暑くなってきてるから。私、汗っかきで」

~~~~~~~~


凪「……」



155: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/25(土) 00:19:07.57 ID:sYquP6QI0

響子「結局のところね、プロデューサーさん自体は颯ちゃんのことを大切に思ってると思うし、そっちが本命なんだとは思うよ」

響子「プロデューサーさんにとって美穂ちゃんは、気持ちよくなるための穴――都合の良い女でしかないんじゃないかな」

響子「だから、プロデューサーさんが颯ちゃんに手を出さない理由ってそこにあるんだと思うな。って言っても、こんなこと颯ちゃんに言えないけど」

響子「美穂ちゃんは、プロデューサーさんのこと本気だと思うけど、プロデューサーさんがそれに応えることは今のところなさそうだね」

響子「私は――それで良いと思ってるけど」



156: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/25(土) 00:27:04.71 ID:sYquP6QI0

響子「これくらいでいいかな? あの二人の関係がどんなものかは、私の知ってる範囲で話したつもりだけど」

凪「……はい」

凪「……」

凪「やはり、綺麗なところで生きていくなんて、不可能なのでしょうか」

響子「……」

凪「芸能界はそういう世界、だなんて言う人もいるかもしれませんが、少なくともはーちゃんや多くのアイドルたちのように夢を抱いて生きているのだって間違いではないはずです」

凪「でも……そう考えることにも限界を感じます」

凪「私は、はーちゃんについては、はーちゃんが幸せになれればそれで良いと思っています」

凪「はーちゃんは、この芸能界で、幸せになれるのでしょうか?」

凪「誰が、はーちゃんを幸せにしてあげられるのでしょうか」

凪「はーちゃんは賢い。頭を使えばそのうち美穂ちゃんとプロデューサーさんとの関係にだって気づくかもしれない」

凪「そうなったら、今のはーちゃんはどうなるかわかったものではない。たぶん、あの妹は少し精神を病んでいるから」

響子「凪ちゃん、私は――」

凪「凪は“この世界”が憎い!」

響子「――!」

凪「凪はPが憎い!」

凪「凪は小日向美穂が憎い!」

凪「凪は……凪は……」

凪「……凪は、凪が、憎い……!」ポロポロ



161: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/26(日) 15:04:45.43 ID:miQsWgjR0

響子「……凪ちゃん」

響子「凪ちゃんは、どうしたい?」

凪「はーちゃんが幸せになれればそれで……」

響子「どうなって欲しいかじゃなくて、凪ちゃんがどうしたいかだよ」

響子「颯ちゃんが幸せになるために、凪ちゃんはどうしたいの?」

凪「……凪は」



162: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/26(日) 15:10:17.62 ID:miQsWgjR0

数日後、撮影スタジオ


カメラマン「よし! 完璧だ! 今日はもう上がって大丈夫だよ」

美穂「ありがとうございますっ! それじゃあ、お先に失礼しまーす!」


美穂「ふぅ、グラビアもだいぶなれてきたかな。最初は恥ずかしかったけど、これもお仕事だし、頑張ればプロデューサーさんも喜んでくれるよね」

美穂「っ、プロデューサーさん……」

美穂「……」

ヴーッ

美穂「? 通知だ。なんだろう……」

美穂「プロデューサーさんからLINE……っ! これって!」



163: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/26(日) 15:17:40.37 ID:miQsWgjR0

事務所、小会議室

ガチャッ

美穂「プロデューサーさんっ! どういうことです……か、これ……」

美穂「あれ? プロデューサーさんは?」

美穂「なんでプロデューサーさんじゃなくて――」

美穂「――凪ちゃんがここにいるの?」

凪「……」

美穂「あれ? え? だって、私はプロデューサーさんに言われてここに……」

凪「美穂ちゃんを呼んだのは凪です」

美穂「でも、LINEはプロデューサーさんの……」

凪「LINEはロック画面からでも返信できるのをご存知ありませんか。運よくPのスマホのロック画面には美穂ちゃんからの通知が来ていたので、それで送っただけですよ、凪が」

凪「通知が来てなかったら、少し面倒だったので、よかったです、まる」

美穂「……」

美穂「なんで?」

美穂「なんで……知ってるの?」

美穂「ううん、それだけじゃない」

美穂「どこまで、知ってるの?」

凪「それを話してどうなるというのですか。凪は、いままでの話ではなく、これからの話をしたくて呼んだので」

美穂「っ!」



164: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/26(日) 15:38:32.62 ID:miQsWgjR0

凪「美穂ちゃんも……Pのことが好きなのですね」

美穂「それだけじゃないっ!! 好きなんてもんじゃない!! 愛してるもんっ!!」

美穂「私は颯ちゃんよりもプロデューサーさんのことを知ってる! プロデューサーさんのことを愛してる!」

美穂「プロデューサーさんの好物も、趣味も、性癖も――私が一番知ってるんだからぁっ!!」

美穂「いつか……いつかプロデューサーさんは私のことを見てくれる……体だけじゃなく心も私に委ねてくれるの……」

凪「それでも、凪はそれを否定しなければならないので」

美穂「なんでアンタにそんなことされなきゃいけないの!!!」

凪「凪は、はーちゃんを愛しているので」

凪「……家族として」

凪「美穂ちゃんがプロデューサーさんを愛するあまり派手な行動に出るのなら、凪がはーちゃんを愛するあまりド派手な行動に出てはいけないという道理がないと思いませんか」

凪「お互い、やってることは変わらないと思いますが」

美穂「……どうするつもりなの?」

美穂「私のことを週刊誌にネタとして売る? それとも、そのことで脅して命令でもする? どうしたいの、凪ちゃんは」

凪「凪の要求は一つです。美穂ちゃん、プロデューサーさんを諦めてください」

美穂「……」

美穂「……ふふっ」

美穂「……あははははは!! おかしい!! おかしいよ凪ちゃん!!」

美穂「いい? 颯ちゃんは14歳でプロデューサーさんはいい大人、これだけでも十分後ろめたいことなんだよ?」

美穂「プロデューサーさんの気持ちにもなってみてよ。世間体を気にしながら付き合わなきゃいけない――しかも、体の関係も持ちにくい――そんな子と、そうじゃない私とどっちと一緒になりたいかなんて、明らかでしょ!」

凪「でもそんなロリコンを好きなのは貴方ですし、そのロリコンの性欲処理の道具だってことに気づかない――もしくは気づいていないふりをしているのが貴方ですしおすし」

美穂「っ、……話にならないっ、そんなこと言われても私はくじけないもん!」

美穂「颯ちゃんにはなくて、私にはある――そういうのがいっぱいあるの。プロデューサーさんはそれをわかってくれるの」

凪「……そうですか」

美穂「プロデューサーさんってね、面白いんだよ。あの人すっごいエッチだから、自分のデスクで颯ちゃんといるときにしょっちゅう勃起してるの」

美穂「そうじゃないときだって、凪ちゃんでも響子ちゃんでも卯月ちゃんでもちひろさんでも……よく勃起してる」

美穂「でも、その高まりを伝えてくれるのは私にだけ。体温をわけてくれて、帰るべき場所に戻ったかのように私に入ってくるの」

美穂「プロデューサーさんのことを好きな子が何人もいるのだって、私は知ってる。けど、エッチは私としかしてないの」

美穂「プロデューサーさんは性欲処理の道具を愛することが出来る……ううん、そうじゃない。プロデューサーさんは愛してるからこそ私を性欲処理に使ってくれるの」



165: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/26(日) 15:47:21.56 ID:miQsWgjR0

凪「そんな美穂ちゃんに見てもらいたいものがあるので、見てもらってもいいですか?」

美穂「もう、なに? なんかばかばかしくなってきたし帰ろうと思ったんだけど……」

凪「ええと、少しばかり映像を」

凪「はい、これです」

スマホ<P「はぁっ、はぁっ……」パンパン

スマホ<颯「あっ、やぁっ、は、はげしぃっ」

美穂「ッ!?!?」

スマホ<P「で、出そうだ……顔にぶっかけてやるからな!」

スマホ<颯「う、うん、Pちゃんなら、いいよ……」

スマホ<P「うっ」ドピュッビュルルル

スマホ<颯「あぁぁっ」

美穂「うっ……なに、なんなの、これ!!」

凪 ピッ

凪「なにって、ナニですが、何か」

凪「どうやらPでも、はーちゃんのスケベな体には、結局負けてしまったようですね」

凪「まあ、ふたりとも好き合ってますし、いいと思いますが」

美穂「そんな……そんなはずない……」

凪「だから、Pを諦めてくれませんか? それがお互いのためだと思うので」

美穂「いや……」

美穂「いやぁぁぁあああっ!!」

美穂「プロデューサーさん……プロデューサー……さん……」

美穂「あぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあああ……」

凪「……」



166: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/26(日) 15:55:37.62 ID:miQsWgjR0

~回想~

数日前

颯「そういえばね、これ、なーには話しておこうと思ってて」

凪「どうかしたのですか、はーちゃん」

颯「なんと! Pちゃんとの関係に進展がありました!」

凪「おー、ぱちぱち」

凪「で、具体的には」

颯「Pちゃんと、“エッチ”しましたー!」

凪「ファッ?! うーん……これが性の乱れか」

颯「って言っても、声だけね、声」

凪「?」

颯「て、テレフォンセックスってやつ? ちょっと興味あってPちゃんに言ったら、いいよって言われて、それで///」

凪「な、なるほど」

凪「……」

凪「……ぴこん」

颯「なんの効果音?」

凪「ひらめいた音です」

凪「はーちゃん、その通話、録音させてください」

颯「はぁっ?! なんでよ! それは恥ずかしすぎるっていうか……てか、何に使うの」

凪「ちょっとオカズに困ってて……」

颯「いや、何も妹の喘ぎ声でする必要なくない?」

凪「『そう? なんかあったら遠慮なくはーに言ってね。妹だって姉の相談には乗れるんだから』」ハヤテボイス

凪「はーちゃんのうそつき」

颯「えぇ……」

凪「ねえ、いいじゃないですか、はーちゃん」サワサワ

颯「ちょ、変なとこ触んないで……やっ……」



凪「……墜ちたな」

凪「じゃ、加工しなきゃ(使命感)」



167: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/26(日) 16:02:50.72 ID:miQsWgjR0

~回想~

凪「池袋博士や、ちょっといいですか」

晶葉「久川姉か、どうかしたのか?」

凪「依頼があって来たのです」

晶葉「内容は?」

凪「動画の加工」

晶葉「それならすぐ終わるな。データと加工処理の詳細を送ってくれればすぐにでも作るが」

凪「ただ、1つ問題が」

晶葉「問題?」

凪「その、ブラックな面というか、渡すデータの内容を絶対に口外しないで欲しいのです」

晶葉「守秘義務か……いいだろう。しかし、口止め料が欲しいかな」

凪「凪は「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」で儲けた金にあまり手をつけていないので、それなりには払えますよ」

晶葉「儲けた金って言い方がな……まあいい。欲しい機材が1つあって、それが買えれば十分だ」

晶葉 ゴニョゴニョ

晶葉「これくらいの金額でどうかな?」

凪「それくらいなら払えます。凪はセレブですから」

晶葉「決まりだな」



168: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/26(日) 16:10:11.85 ID:miQsWgjR0

凪(これは本物の映像じゃない)

凪(響子ちゃんが撮ったPと美穂ちゃんとの情事――それをはーちゃんの声と晶葉さんの技術を持って加工したもの)

美穂「プロデューサーさん……プロデューサーさん……」

美穂「……こんなの嘘だ」

凪(正解)

美穂「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

美穂「このっ!!」バッ

凪「あっ、ちょっ、返してください凪のスマホ」

美穂「プロデューサーさんはもうすぐ事務所に帰ってくる! 直接聞いてこれがあってるか確かめてやるんだから!」

美穂 タッタッタッ

凪「まずい……追いかけなきゃ」タッタッタッ


美穂「はぁっ……はぁっ……プロデュー……サー……さん」タッタッタッ

凪「み……ほちゃん……はぁっ……かえして……ください」タッタッタッ

美穂「もうすぐで駐車場っ……」タッタッタッ

美穂「! プロデューサーさん!!!」キキッ

凪「や、やばい!」

P「ん? 美穂?」

美穂「プロデューサーさぁぁぁん!!!」ダダダダダ

凪「くっ……」

P「どうして走って……って、来るな!! 危ない!!」

美穂「え――」






ドォン



169: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/26(日) 16:28:22.48 ID:miQsWgjR0

十数分後、女子寮


響子「え――美穂ちゃんが、車に……?」

響子「そんな……嘘……嘘っ……!」

響子「いやぁぁっ!!」

響子「ちひろさんっ……嘘だって言ってよ!!」

響子「……美穂ちゃん……っ」

響子「……ぐずっ……」

響子「……」

響子「……はい……はい」

響子「……」

響子「! 命には、別状はないんですね!?」

響子「よかったぁ……」ポロポロ

響子「ほんとに、よかった……」

響子「……わかりました」

響子「失礼します……」ピッ

響子「……」

響子「美穂ちゃん、事務所の駐車場で車にはねられて、病院に運ばれたって。命に別状はないみたい――」

響子「――卯月ちゃん」

卯月「そう……ですか」

響子「これで、今日からしばらくピンチェも“ふたりきりになっちゃった”ね」

卯月「そうですね、“ふたりきりでがんばって”いきましょう!」

響子「卯月ちゃん……」ギュッ

卯月「もうっ、響子ちゃんはあまえんぼさんですね」ナデナデ

響子「えへへ」

響子「そういえばね、ちょっと思ったことがあるの」

響子「姉妹の絆――姉妹愛っていうのは、すごいんだなぁって」

卯月「そうかもしれませんね」

響子「たきつけたのは私だけど……凪ちゃんがここまで行動力のある子だなんて、正直思ってなかった」

響子「期待通りどころか、期待を上回ってたよ」

卯月「凪ちゃんのおかげで私たちの願いは叶ったわけですし、感謝しないとですね」

響子「うん。あと、“車の運転手さん”にも、ね」

響子 ポパピプペ

響子「……もしもし、五十嵐です。報酬はもう振り込んであると思います。はい、それじゃ」ピッ

響子「美穂ちゃんに死なれたら困るもん、ね。大事になりすぎても困るし、私たちが一番輝ける間だけリタイアしてくれればいいから」

響子「ちひろさんから美穂ちゃんの命が無事だって聞いたときには思わず涙が出ちゃった」

卯月「名演技でした!」チュッ

響子「ありがと、卯月ちゃん。ねえ、今日はお互いオフだし、皆仕事でいないし……ベッドいかない?」

卯月「奇遇ですね。私もおんなじこと考えてましたっ」

響子「ふふふっ」



170: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/26(日) 16:36:07.01 ID:miQsWgjR0

その夜、病院


P「颯、いいかげん泣き止もう。美穂は無事なんだ。怪我はしてるが、顔に目立った傷が残ることはないってお医者さんも言ってただろ。ほら、目の前にいるのは、俺たちの知ってる美穂だ。リハビリは……長い戦いになるかもしれないが……」

美穂 ピッ――ピッ――

P「……」

颯「美穂ちゃん……」グスッ

凪「……」

P「くぅっ……美穂……っ」グッ

凪(一体、誰が悪いのでしょう)

凪(Pでしょうか)

凪(Pが美穂ちゃんとセックスをしたから)

凪(凪でしょうか)

凪(凪がはーちゃんの幸せを願ったから?)

凪(もう、わかりません)

凪「……」



171: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/26(日) 16:51:19.74 ID:miQsWgjR0

数年後、某市街地


P「はぁっ……はぁっ……間に合った……お、おまたせ……」

颯「間に合ってなーい! ほら、1分遅刻!」

P「それくらい勘弁してくれないか……」ゼェゼェ

颯「社会人は時間を厳守しなきゃいけないんじゃないのー?」

P「……返す言葉もございません」

颯「わかればよろしぃっ! じゃ、いこ? Pちゃん」ギュッ

P「おまっ、変装してるとはいえもうちょっとつつしみを持った行動をだな……」

颯「遅刻した罰! 今日はいーっぱいはーといちゃいちゃしてもらうんだからね!」

P「はいはい、わかりましたよ」

颯「♪」




???「あらあら~、ここはどこかしら?」

???「すみません、この346プロダクションの事務所に行きたいんですけど、道に迷っちゃいまして……」

??「ああ、ここですか。うーん、どうやって案内すればいいかな……」

???「ごめんなさいね~」

??「いえいえっ。そうだ、地図描きますね!」ガサゴソ

???「ほんと助かるわ~」

???「それにしても、可愛らしいですね~」

??「あ、このカメラですか? これは藍子ちゃんっていうゆるふわな可愛い子に選んでもらったんですっ」

???「そのカメラも可愛いけれど、あなたも可愛いわよ」

??「ええっ!? 照れちゃうな……えへへっ」

??「はいっ、地図です。描けましたよ。どうぞっ」

???「ありがとうございます!」

???「ちなみに、カメラは趣味なんですか?」

??「そうなんです! 私、しばらくずっと入院生活で……最近ようやく外出できるようになったので、趣味の1つくらい作ろうかなって」

??「楽しそうにしてる人の写真とか、撮るの好きなんですよっ」

??「ほら、あそこにいるカップルとか……ね」カシャッ




P「あんまりくっつくなって……恥ずかしいだろ」

颯「なーにおじさんが初心な恥ずかしがり方してんのー、もう」

颯「いいのっ、だって――」


颯「――はーはPちゃんがすきだもん」








END.



172: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/26(日) 16:52:21.25 ID:miQsWgjR0

以上です。ありがとうございました。



174: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/26(日) 17:50:15.39 ID:miQsWgjR0

おまけ:『凪の日記』

―――――
はーちゃんにもとうとう春が来たようだ。そしてお相手は、たぶん、P。

まあ、わからなくはない。これだけお世話になっていて、凪もはーちゃんもPには感謝しているし、Pは仕事もできて見た目もかっこいい。

はーちゃんの思いが届くと良いですね。
―――――

―――――
はーちゃんはPとデートがしたいらしい。もっとも、最初はセ――(消した跡)――の話だったが。

それから、美穂さんが来て、3人で恋バナとやらをした。なんだか、凪はリア充みたいなことをしている(?)。

美穂さんの提案で、はーちゃんはPとピンチェのライブに行くデートをすることになった。楽しんできてね、はーちゃん。
―――――

―――――
はーちゃんがPと付き合い始めた。が、事態は深刻(?)なようで。

付き合い始めて1ヶ月経つと言うのに、何の進展もないとはーちゃんが嘆いていた。

はーちゃんは、ああ見えて結構メンタルが弱い。凪ははーちゃんを慰めてあげた。はーちゃん、がんばれ。
―――――

―――――
響子ちゃんの提案で、凪とはーちゃんは料理の練習をすることになった。まあ、凪はついでで、はーちゃんがPに手作りの料理を振舞えるようにという話。

が、しかし、料理は甘くなかった。味付けの話ではなく。

なんで味噌汁はお湯に味噌をぶち込んでも完成しないのか、理不尽だ。

そういえば。

今日も今日とて恋バナとやらが開催された。でも、まさか、凪の話になるとは思ってなかった。

好きな人はいるけど、片思いだしそれでいいと、ぼかして話した。

凪の恋は、叶わなくてもいい。それよりも、はーちゃんに幸せになってほしい。
―――――

―――――
最近、はーちゃんの元気がない。仕事でもよくミスをするようになった。

はーちゃんにそれを指摘すると、理不尽にも怒鳴られた。

はーちゃんは情緒不安定だ。しばらくは、凪がそばにいてあげることにしよう。
―――――

―――――
はーちゃんと一線を越えた。P、申し訳ない、はーちゃんの可愛さ・強引さには勝てなかったよ……。

しかも、はーちゃんったら、凪の乳首に吸い付いたままねやがりました。

朝になって起こしてあげると、寝言で「大好き」というはーちゃん。凪も、はーちゃんが大好きです。
―――――

―――――
はーちゃんと大喧嘩をした。それ以外は書きたくない。
―――――

―――――
最悪だ。最悪すぎる。美穂ちゃんとPが肉体関係にあったのを知ってしまった。

せっかくはーちゃんが幸せになれると思ったのに。

あのふたり、許せねぇ。こいつはくせえッー! ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーーーーッ!! いや、ゲロを吐いたのは凪ですが。はぁ。
―――――

―――――
凪は決断をしました。はーちゃんが幸せになれるような決断を。それが、正しいのかは、わからないけど。

明日は美穂ちゃんとの決着をつける日です。これで、ようやく……。

はーちゃん。はーちゃん。はーちゃん。

凪は――私は、はーちゃんのことを――颯のことを、

妹として、それだけでなく、一人の女の子として、

本当に本当に本当に、心から、愛しています。たとえこの恋が、叶わないものであっても。
―――――



175: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/05/26(日) 17:52:08.30 ID:miQsWgjR0

おまけこと『凪の日記』でした。


元スレ
SS速報R:【デレマス(デレステ)】久川颯「はーはPちゃんが好きなの」