1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 14:41:54.84 ID:QezozXTA0

~冬の街~

あかり「ホワイトクリスマスかぁ……」

あかり「上手くいったかな、京子ちゃん」

雪がしんしんと降るクリスマス・イブ。
浮かれた恋人たちを祝福するように、街は白い薄化粧を纏い始めていた。

あかり「うぅ、さむい」ハァ

寒さに手足がかじかんで、感覚なんてとっくに朧気だ。
することも、したいことも見つからなくて、ただ通り過ぎる人々を見ていた。



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 14:43:47.19 ID:QezozXTA0

あかり「賑やかで楽しいなぁ」エヘヘ

外は溜息さえ凍りついて、冬枯れの街路樹に風が吹きつける。
それでも街には活気が溢れて、イルミネーションが聖夜の幸せを彩る。

あかり「……もう少しだけ」

行き交う人波は、私を置き去りにしていくけれど。
この赤煉瓦の停車場で、来るはずのない誰かを待っている。



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 14:45:44.28 ID:QezozXTA0

~回想 帰り道~

京子「でさ、そこでね、ミラクるんが……」

あかり「あれ、面白かったね」ニコニコ

今日は珍しく、京子ちゃんと二人で下校中だ。
ごらく部ではいじられ役になるので、京子ちゃんとの普通の会話は久しぶりな気がする。

ポタッ ポタポタ

京子「おっ、雨だ」

あかり「どうしよう、傘なんて用意してないよ」

京子「うーん、どうしよっかな」

あかり「濡れたら風邪引いちゃうよ、京子ちゃん」アワアワ



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 14:48:01.74 ID:QezozXTA0

京子「走るよ、あかり」グィ

あかり「え?」

京子「ほらっ!」

あかり「ふぁっ」

アシウゴカシテ!

チョットマッテ、キョーコチャーン

「雨宿りした方がいいと思う」なんて言葉が喉元までせり上がる。
それでも、手に感じるぬくもりに抗えなくて、帰り道を駆け抜けた。

雨の中ではしゃぐ京子ちゃんは楽しそうで、それが何より嬉しかった。



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 14:51:23.69 ID:QezozXTA0


ポタ…

京子「あれ?雨止んだみたい」

あかり「よかったぁ!でも、既にずぶ濡れだね」アハハ

京子「正直、すまんかった」

あかり「いいよ、あかりも楽しかったもん」

京子「そっか」ホッ

あかり「そうだよ」エヘヘ

通り雨は直ぐに止み、残されたのは水溜まりと濡れ鼠な私達だった。
それが何だか滑稽で、京子ちゃんと笑い合った。



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 14:55:14.98 ID:QezozXTA0

あかり「服が気持ち悪いけど、何か清々しい気分」ニコニコ

京子「あかりって変な感性してるよね」

あかり「えっ」キョトン

京子「服を着たままお風呂入ったりしてない?」

あかり「そんなことしないよぉー!」ムッ

水滴がプリズムとなって、光が砕け散る。
雨の匂いがしっとりした和らぎをくれて、ほっとする。

京子ちゃんと一緒にいると、そんなおセンチな感動も吹っ飛んじゃうみたい。



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 14:58:45.57 ID:QezozXTA0

京子「」クシュッ

あかり「大丈夫?」

京子「流石にずぶ濡れはやばいかな」

あかり「じゃあ、あかりの家で着替えていってよ」

京子「いいの?それじゃ遠慮なく!」ニパッ

あかり「京子ちゃんの場合、風邪の方が逃げ出しそうだね」アハハ

京子「何か言った?」ジトー

あかり「なんでもなーい」ニコニコ

想いを伝えられないまま時は流れて、ありふれた言葉が浮かんでは消えてゆく。
君があんまり素敵だから、ただ好きと言えない私は微笑んだ。



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 15:01:26.21 ID:QezozXTA0

~赤座家~

あかり「京子ちゃん、このタオル使って」ハイ

京子「これはかたじけない」

あかり「お風呂沸かしてくるねっ」

京子「待って、あかりまだ濡れてるじゃん」

あかり「えっ?」

京子「先に拭いてあげるから、こっちおいで」

あかり「でも、それじゃあ京子ちゃんが」ワタワタ

京子「いいのいいの、ほれ、はやく」

あかり「……うん」

こんな時だけ気を遣うなんてずるい。
京子ちゃんが人たらしなのは、きっとこういうギャップに好感が持てるからだ。



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 15:05:05.78 ID:QezozXTA0

京子「お団子解くよ」パサッ

あかり「うぅ、あかりの特徴が」

京子「気にすることないって」

京子「そんなのなくても、あかりは魅力的な女の子なんだからさ」

あかり「あっ、ありがと……」

京子「あっ照れた?照れた?」

あかり「もぅ、京子ちゃん!」

京子「怒らない怒らない」

何時からか、京子ちゃんは明るく振舞う人気者になった。
それでも根っこの部分は変わってないって、あかりにはわかるんだ。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 15:09:52.15 ID:QezozXTA0

あかり「京子ちゃん、お先にお風呂どうぞ」

京子「一緒にお風呂、入ろっか」

あかり「え?」

京子「だってあかり、先に入る気ないみたいだし」

あかり「お客様が先に入るものだって、確かお母さんも言ってたよ?」オロオロ

京子「たまにはいいでしょ」ガシッ

あかり「でも、」ワタワタ

京子「それに、あかりが風邪引いたら看病が面倒だし」

あかり「そういう心配!?」ガーン

気持ちは有難いけど、ちょっと身の危険を感じるかも。
京子ちゃんの裸は見慣れているから、耐性があるんだけどなぁ。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 15:13:08.30 ID:QezozXTA0

~お風呂~

京子「いい湯だなぁ……」チャポン

あかり「あったまるね」エヘヘ

京子「しかし、あかりもあんまり成長してないね」

あかり「……えっと、どこ見てるのかな」ジトー

京子「んー、この部分」ムニムニ

あかり「い、いくら自分のだからって破廉恥だよぉ、京子ちゃん」モジモジ

胸を揉むなんてえっちなこと、人前でしないでほしい。
目の前で堂々とされると、逆にこっちが恥ずかしくなる。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 15:17:32.18 ID:QezozXTA0

京子「大きくなりそうにないんだよな、これ」ハァ

あかり「あかりたちの成長はこれからだよ」

京子「揉んだら大きくなるって本当かな」ムニムニ

京子「そうだ!」ピコーン

京子「あかりの揉んであげようか?」

あかり「」ビクッ

京子「……そんなに怯えられると、ちょっと傷つく」

あかり「……京子ちゃんの冗談はきわどすぎて、あかりには難しいよ」

チャポン

あかりの中のドロドロしたものが、些細な触れ合いに過剰反応する。
京子ちゃんのくれる親愛に、よこしまな期待をしてしまう。
それはきっと、イケナイモノで。



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 15:21:49.21 ID:QezozXTA0

カポーン

京子「ところで、あかりさん」

あかり「どうしたの?」

京子「着替えどうしよう」

あかり「あっ」

京子「びしょびしょで着られないよね、私の服」

あかり「しかも乾燥機にかけておくの、忘れてた……」

京子「あらま」

そこまで考えていなかった。
どうしよう。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 15:25:32.65 ID:QezozXTA0

~リビング~

京子「どう?」キラーン

あかり「京子ちゃん可愛い!」

京子「うっ、なんか照れる」

あかり「本当に似合ってるよ」ニコニコ

京子「そうかな?」

京子ちゃんに私の服を着てもらった。
下着まで私のものだと悪いので、そっちは新品のものを用意した。
何故か最近は下着がなくなるので、予備を買っておいてよかった。

ピィー

あかり「あっ、やかん沸いたからいってくるね」

京子「はいよ」



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 15:30:50.41 ID:QezozXTA0

あかり「おまたせ、煎茶でよかった?」コトッ

京子「ありがと」

あかり「少し冷ましてあるから、すぐに飲めるよ」

京子「あかりはいいお嫁さんになるだろうなぁ」

あかり「それほどでも」イヤー

京子ちゃんをおもてなしすると、とっても喜んでくれて気分がいい。
上手く動かされているとも言えるけど、それでも構わないと思えるくらい。

京子「一家に一台って感じ!」

あかり「冷蔵庫の扱いだったんだ」ドヨーン

京子「あっ、いや、褒め言葉のつもりだったんだよ」

京子「それくらいあかりに居て欲しいなって」

あかり「……結衣ちゃんと、何かあったの?」

時折見せる影、最近は京子ちゃんにそれを見ることが多い。
その原因はきっと、結衣ちゃんなんだろう。



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 15:34:19.14 ID:QezozXTA0

京子「そういうわけでもないんだけど」

京子「ちょっとね」

歯切れの悪い口調で、京子ちゃんは話し始めた。

京子「最近さ、結衣を見ているとドキドキするんだ」

京子「ずっと結衣のことが頭から離れないの」

京子「胸が熱くなって、何がなんだか分からなくて、それで怖くて……」

京子「私、どうしちゃったのかな?」


「……あかり?」





22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 15:36:09.57 ID:QezozXTA0

あかり「……なんでもないよ」ニコッ

何となく、覚悟はしていたから。

京子「本当に?具合が悪いならn」


あかり「それは、恋じゃないかなぁ」


京子ちゃんを応援するって、昔から決めてたから。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 15:39:57.77 ID:QezozXTA0

京子「へっ?」

あかり「恋だよ、京子ちゃん」

京子「恋って、私も結衣も女の子だし、違うんじゃない?」

あかり「そうかな?」

京子「そうだよ」

あかり「じゃあ京子ちゃんは、恋ってなんだと思う?」

京子「ん……、わかんない」

京子ちゃんは余計な知識ばっかり仕入れて、そういうところは純粋だったりする。
いつか勘違いした人に襲われそうで、ちょっと心配だなぁ。



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 15:44:09.45 ID:QezozXTA0

あかり「あかりにも、はっきりとはわからないけど」

あかり「ずっと一緒にいたくて、離れたくない」

あかり「そういう単純な感情のことを恋って、そう呼ぶんじゃないかって思うの」

あかり「結衣ちゃんに感じる気持ちは、ただの友情とは違うんでしょ?」

京子「……うん」

あかり「焦らないで、ゆっくり考えてね」

京子「……いや、何かわかった気がするよ」

京子「私はずっと、結衣が好きだったんだ」

あかり「そっか」

明日になれば、きっと今より君を好きになる。
この胸がちくちくと痛むけど、京子ちゃんの力になれるなら躊躇わない。



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 15:49:32.91 ID:QezozXTA0

京子「結衣に顔向けできないや」ハァ

あかり「どうして?」

京子「親友が自分に恋してました、なんて普通は冗談でも笑えないよ」

あかり「……そうかもしれないね」

京子「忘れようかな」

あかり「なんでそう思うの?」

京子「だって、これは許されない気持ちだよ」

あかり「誰がそんなこと決めたの?」

京子「そりゃ、……世間とか?普通に考えたらそうなるじゃん」

それはあかりも考えたことがある。
今だって、京子ちゃんを、皆を裏切ってるんじゃないかって、悩む時もある。
それでも、想いは止められない。



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 15:52:14.96 ID:QezozXTA0

あかり「そんなこと気にするなんて、らしくないよ」

京子「……そうかも」

京子ちゃんは挑戦する前から諦めてしまった、そんな顔をしている。
見守ることを決めたあかりに言えることじゃないけど、そんなの認められない。

あかり「大丈夫だよ、京子ちゃん!」

京子「あかり?」

あかり「もうすぐクリスマスだから、その日に告白してみようよ」

あかり「きっと、上手くいくよ」ニコッ

京子「でも……」

昔のように、不安そうにぎゅっと手を握り締める京子ちゃん。
あかりが引っ張ってあげるから、勇気をだしてよ。

京子ちゃんは、いつだって元気で、笑顔じゃなきゃ駄目なんだから。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 15:56:48.34 ID:QezozXTA0

あかり「そうだ、一緒にマフラーを編もうよ」

京子「へ?」

あかり「プレゼントすれば、結衣ちゃんも喜ぶんじゃないかな」

京子「編み物なんてやったことないし」

あかり「あかりも京子ちゃんと一緒に頑張るから、ね?」

京子「あかり……」

あかり「やっぱりダメかな?」

京子「ううん」フルフル

あかり「頑張ってみる?」

京子「うん、今からプラン、考える」エヘヘ

あかり「よかった!」

京子ちゃんの笑顔を見てるだけで、この胸がぽかぽかしてあったかい。
あかりはこんなに幸せなんだ。



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 16:00:44.09 ID:QezozXTA0

あかり「明日は休みだし、今日は泊まっていく?」

京子「えっ、いいの」パァ

あかり「お母さんは泊まってもいいって」

京子「ちょっと電話借りていい?」

あかり「うん」

バタバタ

プルルルルル アッ、オカアサン、アノネ…

パタパタ

京子「おっけーだって!」バーン

あかり「嬉しいなぁ」ニコニコ

人を柔らかく包む風のような、そんな存在でいられるなら、あかりは本望だよ。
君が羽ばたくための翼にだって、なってみせるから。



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 16:03:32.06 ID:QezozXTA0

~就寝中~

京子「」スヤスヤ

京子ちゃんは、まるで薬箱みたい。
楽しい会話とさりげない気遣いで、私を癒してくれるの。

あかり「おやすみ、京子ちゃん」エヘヘ

今日は疲れてしまったのか、京子ちゃんが先に眠りに入った。
普段は見られない寝顔に、優しい感情が溢れてくる。

あかり「いい夢が見られるといいなぁ……」ウトウト

きっと私は、この人を守るために生まれてきたんだ。
眠った横顔に震えるこの胸は、私を何よりも勇敢にしてくれる。

だから結衣ちゃんの代役しか出来なくても、あかりは傍にいるよ。



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 16:06:32.46 ID:QezozXTA0

~翌朝~

「……り」

「…かり」

「あかり」

京子「あかり、朝だぞ」ユサユサ

あかり「ん……」モゾモゾ

京子「おはよう」

あかり「おはよぉ」ネムネム

ええと、昨日は京子ちゃんと一緒に寝たんだっけ。
たくさんおしゃべりして、その途中でぐっすり眠っていたみたい。



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 16:10:53.74 ID:QezozXTA0

京子「顔洗いに行くよ」

あかり「うん……」ポケー

京子「今日は皆で雪遊びだぞ」

あかり「そうだったね……」ゴシゴシ

京子「ほら、つかまって」

あかり「ありがと」

私に恋を教えてくれた、君のぬくもり。
このまま天使の心だって感じられるような、そんな気がするんだ。

ジャー パシャパシャ

あっ、結衣ちゃんにクリスマスの予定を空けてくれるように頼まなきゃ。



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 16:14:22.85 ID:QezozXTA0

~雪遊び~

京子「よっ、皆さんお揃いで」

結衣「ちょっと遅刻だぞ」

京子「いやー、あかりがさぁ」

あかり「のんびりしてたのは京子ちゃんだよね!?」

結衣「またか」ハァ

ちなつ「結衣先輩とお話できましたから、多少の遅刻はいいですよ」

京子「ごめんごめん」

こうして四人で集まることが、もう当たり前になってきた。
ちなつちゃんは冷たいようで実は優しい子なので、京子ちゃんとの相性も良かったりする。
そんなことをいうと照れて怒られるけど。



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 16:17:46.97 ID:QezozXTA0

京子「今日はあかりのパンツ借りたんだぞ、いいでしょ」ヘヘ

ちなつ「は?」

結衣「」ポカーン

ちなつ「なっなな、なにをしてるんですか、京子先輩!」

あかり「その言い方は誤解を招くよ、京子ちゃん」

京子「ああ、そっか、使ってない新品のカニさんパンツだよ」

結衣「びっくりさせるな」コツン

京子「すんません」

ちなつ「カニさんパンツなんだ」ジィー

あかり「うぅぅ」

なんだろう、あかりのパンツの趣味がばれて恥ずかしいよ。



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 16:21:32.30 ID:QezozXTA0

京子「お返しに新しいパンツ買ってプレゼントするね」

あかり「いいよ、そんなこと気にしなくても」

京子「あっ、私の使用済みがよかった?」ニヤニヤ

結衣「おいこら」ガシッ

ナニスルンダヨー

コッチノセリフダ、バカ

ちなつ「……あかりちゃんも、はっきり言っていいんじゃない?」

あかり「いいの」

あかりはこれでいい、このままがいいんだ。



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 16:24:29.90 ID:QezozXTA0

京子「雪だるま作ろう!」

結衣「はいはい」

京子「ノリが悪いぞ!」

結衣「はいはい」

ギャーギャー

ちなつ「こんな感じかな」フゥ

あかり「ちなつちゃん、それ……」

ちなつ「かわいいでしょ?」ニコニコ

あかり「う、うん、かわいいね」ダラダラ

新種のエイリアンみたいで。



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 16:28:20.17 ID:QezozXTA0

京子「結衣!」

結衣「何?きょうk」

京子「ほれっ」

結衣「わっ、冷たいだろ」

京子「あはは、悔しかったらここまでおいで」

京子「…ぁ」

結衣「……ッ京子!」

ギュッ

転びそうになった京子ちゃんを、結衣ちゃんは抱き寄せた。
抱き合った二人はとてもお似合いで、まるで恋人同士のようだった。



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 16:31:18.60 ID:QezozXTA0

結衣「まったく、京子ときたらいつも注意が散漫でs」

京子「んっ」ビクッ

結衣「あ……」

京子「ど、どこ触って」ワタワタ

結衣「そのっ、ごめん」

京子「いや、その、ありがと……」モジモジ

ちなつ「なに甘い空気になってるんですか!」

あかり「二人とも大丈夫?」

結衣ちゃんには敵わないなぁ。
あかりには無理なこと、あっさりやっちゃうんだから。



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 16:35:09.77 ID:QezozXTA0

イシヤーキイモー

京子「や、焼き芋、美味しそうだから買ってくるね!」

ちなつ「あっ、私もいきます」

パタパタ

結衣「………」

あかり「結衣ちゃん、顔真っ赤だよ」

結衣「なんでもない」

あかり「……そっか」

嘘、つかないでよ。
あかりもちなつちゃんも、そのくらい分かるんだから。



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 16:39:06.57 ID:QezozXTA0

あかり「………」モグモグ

二人の小指には赤い糸が繋がっていて、それにお互いが気付くのは時間の問題かな。
……あかりがその糸を切らなければ。

結衣ちゃんはともかく、精神的に脆い京子ちゃんになら多分効果がある。
二人の仲を取り返しのつかないものにして、京子ちゃんを振り向かせることも出来るかも。

京子「焼き芋うめぇ!」

あかり「美味しいね」

結衣「確かに美味しい」

あかり「ねぇ、結衣ちゃん」

結衣「どうしたの、あかり」

あかり「クリスマスの予定、空いてる?」

でも、あかりが見ていたいのは、
京子ちゃんの天真爛漫な笑顔で、結衣ちゃんの優しい微笑みなんだ。



48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 16:45:20.46 ID:QezozXTA0

~クリスマスパーティー~

パンパーン

京子「ちょっと早いけどメリークリスマス!」

結衣「メリークリスマス」

あかり「メリークリスマス、京子ちゃん、結衣ちゃん!」

時の流れは早いもので、もう今日が24日になる。
ちなつちゃんは家の都合で残念ながら欠席だ。

京子「これ、あかりにプレゼント!」ハイ

あかり「わーい、ありがとー」

結衣ちゃんの家にお邪魔して、パーティーをさせてもらうことにした。
クリスマスの趣旨を考えれば、家族と静かに過ごすことが望ましいけど、我侭を言った。



49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 16:48:01.36 ID:QezozXTA0

あかり「あけていい?」ワクワク

京子「うん」

ガサッ

あかり「これ絵本?ひょっとして手描き?」

京子「まあね」

結衣「随分と凝ってるな」

京子「なかなか大変だったよ」イヤー

あかり「ありがとう、大事にするね」

表紙にはシンプルに、一人の女の子が描かれている。
水溜まりがあることから察するに、雨上がりのシーンかな。



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 16:50:18.40 ID:QezozXTA0

ペラッ

京子「あっ、その、恥ずかしいから、家で読んでくれないかな?」アタフタ

あかり「?うん、じゃあ今晩読むね」

こんなに慌てるなんてどうしたんだろう。
余計に内容が気になったけど、そういうことなら帰ってゆっくり読もう。

パタン



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 16:55:06.44 ID:QezozXTA0

京子「それで、これ、結衣に」

結衣「ありがとう」

結衣「……このマフラー、自分で編んだの?」

京子「うん、不格好でごめん」モジモジ

結衣「そんなことない、ずっと、大切にする」

京子「そっか」エヘヘ

結衣「京子もやればできるんだなぁ」

京子「失礼な、私はいつもできる子です!」

頑張ってきた甲斐があって、やっぱりプレゼントは成功したみたい。
お姉ちゃんもあかりの編んだマフラーを喜んでくれたから、上手くいくと思った。



52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 17:01:29.38 ID:QezozXTA0

あかり「ねぇ、京子ちゃん、結衣ちゃん」

京子「ん?」

結衣「なに?」

あかり「あかりは何があっても、ずっとずっと二人の友達だよ」

京子「……何か照れくさいな」アハハ

結衣「ありがとう、あかり」

プレゼント交換も終わって、一通りの遊びは済ませた。
楽しくてこのまま居座りたくなるけど、もうそろそろ頃合かな。



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 17:05:58.79 ID:QezozXTA0

あかり「あかりは用があるから、先に帰るね」

京子「えっ?あかりも一緒に」

あかり「残念だけど、外せない用事なの」ニコッ

あかり「じゃあ行ってくるね」

結衣「いってらっしゃい」

京子「…うん、また明日」

京子ちゃん達が二人きりになるために、必要なことだから。
あかりはいない方がいい、それがきっとお互いのためになるんだ。



54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 17:08:13.95 ID:QezozXTA0

あかり「ウィンドウショッピングを楽しもうかな」

オレンジの光が街に輝いている。
不器用すぎる二人も季節を超えて、まだ見ぬ幸せな日に巡り逢ってゆくのだろう。

心配はしていない。
だって、結衣ちゃんは京子ちゃんが大好きだから。

あかり「頑張ってね、京子ちゃん」

このまま二人は結ばれるのだろう。
あかりも伊達に、二人の幼馴染をやっているわけではないのだ。

あかり「夕日が眩しいなぁ」

この胸にぽっかりと空いた穴なんて、優しい気持ちで埋めてしまいたい。
幸せを祈る気持ちが、喪失感に負けないように。



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 17:12:23.52 ID:QezozXTA0

~回想終了 冬の街~

あかり「……雪が綺麗」

赤煉瓦のタイルはいつの間にか真っ白に染まっていた。
もう数メートル前も見通せなくて、視界は白一色に染まる。

あかり「あかりの恋は叶わなかったけど」

あかり「二人の幸せが、ずっと続くといいなぁ」

聖なる鐘の音が響く頃に、私は最果ての街並みを夢に見る。
粉雪が夜空から降りて来て、春が来る前に冬の微笑みをくれたから。

あかり「………」ギュ

孤独に心が折れないように、冷えた体を抱きしめる。
辛い毎日はやがて優しいものに変わるから、希望を胸に抱いていよう。

あかり「そろそろ帰ろうかな」

時計の針は夜を指し示し、人通りも少なくなってきた。
これ以上帰りが遅くなると、お姉ちゃんに心配をかけてしまいそうだ。



58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 17:18:30.18 ID:QezozXTA0

あかり「馬鹿みたいだよね」

私の待ち人は来ない、そんなことずっとわかってた。
届かない想いで、信じても叶わない願いだって、わかってて待ち続けた。

カッコつけたって、現実はそんなものだ。
上辺では割り切っていても、どうしても心の奥の部分が納得してくれない。
これが最後だからと、有りもしない可能性に縋ってしまう。

あかり「………」

君の幸せを願うほど、この胸に我侭が増えてくよ。
あなたを癒せるたった一人になりたくて、少し我慢し過ぎたかなぁ。

あかり「結局、言えなかったなぁ」

いつだって君を見てた。君なんだってそう感じてた。
言葉になんてできないくらい、好きだった。

あかり「苦しいな……」

悪戯な瞳が焼き付いて、頭から離れない。
頬笑む君の面影が、この胸を空回りして苦しいよ。



60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 17:24:31.29 ID:QezozXTA0

「さよなら」

雪がしんしんと降る。
私の姿を隠すように、静かに降り積もる。

ちぎれた氷の欠片が風に揺られて、夜空を染めて舞い落ちる。
汚れない純白に飾られて、私の足跡もゆっくりと消えていく。

頬を伝う涙は、溢れる端から凍りついた。



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 17:26:48.00 ID:QezozXTA0

~???~

『こんなところでどうしたの?』

『……だれ?』

ペラッ

『この絵、とってもかわいい!』

『そうかな……』

ペラッ

『きょうもいっしょにあそぼうよ!』

『うん!』

ペラッ

『いたっ……』

『大丈夫?いたいのいたいのとんでいけー!』



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 17:27:51.00 ID:QezozXTA0

ペラ…

『えっと、あのね』

『なあに?』

『大きくなっても、おともだちでいてくれる?』

『いつまでもずっと、ともだちだよ!』

パタン



おわり


元スレ
あかり「言えない言葉」