204: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:28:40.02 ID:GZxekZ9a0
1
ぐだ子「このあと、アーサー王達がフランスに戦争に出向いている間に、留守を任された
モーさんが反逆するのよね?」
マシュ「そうですね。では、今回はアーサー王の死において、モードレット卿が
どのように誕生されたかから読んでいきましょうか。」
ぐだ男「うん。えーっと、円卓が成立する前まで遡るね。むかしむかし、まだアーサー王が諸侯達から認められてすら
いなかったある年の夏至の日のこと…」
205: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:29:06.95 ID:GZxekZ9a0
====キャメロット===========
粛清騎士「ヒソヒソ…」
兵士「フムフム…」
プロトアーサー(…なんだろう、この感じ?)
アーラシュ(ルーカン)「おいどうした、アーサー。怪訝な顔をして。」
プーサー「ルーカン。皆の様子がおかしくないか?どうも浮足だっているような。」
アーラシュ(ルーカン)「ああ、今ある噂でもちきりのようだぞ。」
プーサー「噂?」
アーラシュ(ルーカン)「なんでもだ、城下町にものすごく美しいご婦人がいらしてるんだってよ。」
ぐだ子「るーかん?そういえば前の話でも出てきてたわね。」
マシュ「ルーカン卿はベデヴィエール卿のお兄さんです。円卓成立以前からアーサー王に
仕えていた騎士の一人です。」
ぐだ男「ベディって弟キャラだったんだ。…そして、キャメロットにとても美しい婦人が
訪ねてきたと評判になっていたのです。」
プーサー「…うーん。どこかの間者だったりしないか?」
アーラシュ(ルーカン)「もちろんその線もあるだろうな。だが、そのご婦人は4人の子供をつれているそうだ。
従者も大勢連れているようだし密偵だとしたら、随分と悪目立ちしすぎな気もするな。」
プーサー「ちょっと気になるな。僕自身の目で確かめてこよう。」
ぐだ子「4人の子供?そして美女?ここから導かれる結論は…」
====城下町=========
ガウェイン「…ここが、キャメロット。随分と活気のあるようですね。」
酒呑童子(モルゴース)「せやなぁ。これも王様の努力の賜物かしらねぇ。」
ぐだ子「やっぱり、モルゴースかー。家族旅行?それとも留学とか?」
ぐだ男「いや、そんな穏やかなものじゃなさそうだね。」
====少し前のオークニー===============-
槍ウラド(?)「クックック…。」
酒呑童子(モルゴース)「ロットはん?どうしたん?」
槍ウラド(ロット王)「我が妻よ。異民族共の侵略もようやく対処できたところだ。
今度こそあのアーサーなる小僧と決着をつけてみせよう。」
酒呑童子(モルゴース)「せやねぇ。…でもこういう時こそ、みんなで仲良く協力せんとあかんやないの?」
槍ウラド(ロット王)「そうはいかん。そもそもあの子倅めはフランスの王達と結び、彼らを
ブリテンの覇権争いに介入させておるではないか。あのヴォーディガンのように外国の兵を
引き入れ、己のものであるはずの民を手にかけさせているようなものだぞ。断じて捨て置けん。」
酒呑童子(モルゴース)「そないゆうたら、あんさんやってゴールの妹の旦那と組んどるやんけ。」
槍ウラド(ロット王)「…ユーリエンスは我が義弟。力を借りるのはおかしくあるまい。」
酒呑童子(モルゴース)「あの子もうちの弟よ。」
槍ウラド(ロット王)「そうだ。そして実の父親の仇の子であろう。」
酒呑童子(モルゴース)「…」
ぐだ子「父の仇?」
マシュ「ウーサー・ペンドラゴンは、モルゴースやモルガンの父親、コーンウォール公の妻イグレインを妻にしようとして、
そのために侵略したといわれています。そしてコーンウォール公は争いの中で死亡し、
イグレインはウーサーの妻になったそうです。」
ぐだ男「略奪婚ってわけか…」
酒呑童子(モルゴース)「…それが世のならいやろ?」
槍ウラド(ロット王)「だからこそ、世を正せねばなるまい。無論、俺自らの手でな。」
酒呑童子(モルゴース)「あんさんの人生なんだからまぁえーけど。
…覚悟決まっとるんならうちも一肌脱がんとなぁ。」
槍ウラド(ロット王)「うむ…感謝するぞ、妻よ。」
ぐだ男「モルゴースは、ロット王のスパイとして、派遣されてきていたのです。」
ぐだ子「正義か、野心か、仇討か…でもべつにロット王も悪人ってわけでもないのね。」
マシュ「ウーサー・ペンドラゴンは死の直前、アーサーを正式な後継とされていましたが、諸侯達にも
譲れないものがあったのでしょうね。」
====城下町=========
酒呑童子(モルゴース)(この子らがアーサーを気に入ってくれたら、あの人も無理に
対抗しなくなるやもなぁ)
サンソン(ガヘリス)「ははうえ。ははうえー。」
酒呑童子(モルゴース)「あら、どないした?」
マリー(ガレス)「あっちに、りっぱなきしさまが、おはなししたいって。」
酒呑童子(モルゴース)「なんやって?」
プーサー「ごきげんよう。ようこそキャメロットにお越しくださいました。」
酒呑童子(モルゴース)「あらあら、ご丁寧に(この感じ…間違いあらへん。この子こそ、弟の…)」
ぐだ子「モルゴースと一緒に来た4人の子、明言はされてないけど多分ガウェイン達よね。」
マシュ「そうかもしれませんね。ただアーサー王は即位後、さっそく治安維持に努め、
人事を整え、数年のうちに領土を広げ堅持しました。ガウェイン卿達が幼い頃にその姿を
目の当たりにしていたら、さぞ尊敬されたでしょうね」
ぐだ子「王が亡くなり、混迷する世に突然現れた正統な後継者たる若き英雄だもんね。こんなん惚れてまうやろ~。」
マシュ「ええ。」
ぐだ男「そして、アーサー王は、モルゴースがスパイと気づかず王宮まで招き入れ、なんとエッチなことをしてしまうのでした…と。」
ぐだ子「…」
マシュ「…」
ぐだ子「台無しじゃん!」
マシュ「…ええ。この時できた子こそ、モードレッドさんである。とアーサー王の死においては記されています。」
ぐだ男「えーっと、4人の子がガヴェイン達だとして…その裏でお母さんとってなると…」
ぐだ子「うっわあ…」
マシュ「…も、もちろんアーサー王は、モルゴースが異父姉と、この時点では知らなかったはずです。」
ぐだ子「そういう問題じゃないと思う。」
ダヴィンチちゃん「さて、ではなぜこのようなことが起きてしまったのかな?」
ぐだ男「ダヴィンチちゃん!」
マシュ「…そうですね。一説によると、モルゴースとアーサー王が出会った日の巡りが関係しているといわれています。」
ぐだ男「えっと、夏至の日だっけ。」
ダヴィンチちゃん「夏至の日は、一年のうち最も昼の時間が長く、またこの日を境に
昼が短くなっていく日だね。風水的に言えば、陽の気がもっとも高まるが、
この日を境に減退していく。縁起のいい日でもあるのだが、あらゆるものが
不安定になり、揺さぶられる日だからね。特に北半球ではある変化が人々に起きやすいとされている。」
ぐだ子「ある変化?」
ダヴィンチちゃん「性欲をかきたてる。」
ぐだ男「…」
マシュ「モルゴースは、非常に美しい女性でした。特に情報を引き出すためにアーサー王にも
その…相応のかたちで接したのではないでしょうか。夏至の日の衝動もあって、さしもの
アーサー王も…というのが、この伝説でのきっかけと推察されます。」
ダヴィンチちゃん「まぁ、その日にモードレッドくんが宿ったというのも
後々意味をなしていくことになるからね。」
ぐだ子「日の巡りね…運命かぁ。」
ぐだ男「…そして、案の定モルゴースは妊娠してしまいました。」
===オークニー==============
酒呑童子(モルゴース)「うぅ…!(あかん、これは…)」
槍ウラド(ロット王)「これはいったいどういうことだ。妻よ。」
槍ウラド(ロット王)「腹の中の子は…、まさか、あの子倅めか!」
酒呑童子(モルゴース)「あっ…あんたぁ…」
槍ウラド(ロット王)「おのれ…おのれ、おのれぇぇ!」
酒呑童子(モルゴース)「ひっ」
槍ウラド(ロット王)「あの小僧め!!よくも我が愛する妻に、このような業を背負わせてくれおったなぁ!!」
ぐだ男「こうして、ロット王は、アーサー王を以前にもまして、とても憎むようになりました。」
ぐだ子「虚月館の時もそうだったけど、近親(ぴー)って悪いこととされているのよね。」
マシュ「深く妻を愛していたロット王の憎しみは推して知るべし。といったところでしょう。」
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ぐだ男「モルゴースの一件で、ロット王は怒り、アーサーと以前よりもまして、激しく争います。
ブリテンをめぐって、アーサー王は、諸侯との戦争は続いていきますが、
そして、ついに決着をつける時がやってきます。最後の戦いではマーリンの策略により敵軍の分断に
成功し、アーサー王は戦いを有利に進めていきました。」
====戦場===================-
イアソン(ケイ)「クックック…ハーッハッハッハ!いける!いけるぞ!
これでお前の天下だ、アーサー。」
プーサー「いやまて敵方の援軍が来ているぞ!先頭を走るのは…ロット王か!」
イアソン(ケイ)「ちっ、マーリンのうすのろめ、抜かったな。
合流されると、厄介だぞ。」
プーサー「仕方がない、僕が出る。」
ベオウルフ(?)「待て、アーサー。俺が行く。お前はベイリン達とともにこのまま敵の主力を叩け。」
イアソン(ケイ)「ペリノア王。」
プーサー「ロット王とは、何度も戦ってきたが、彼の僕に対する憎悪と執念は、凄まじいものだ。
僕の手で直接決着を…」
イアソン(ケイ)「アーサー。ここはペリノア王に任せるべきだ。ロット王の妻が
お前の姉ってことは知っているだろ。」
プーサー「ああ。どんな人かは知らないが。」
イアソン(ケイ)「ロット王の子供たちは、つまりお前の甥になる。将来的に味方につけることも
できるだろう。だが、お前が直接ロット王を屠ってしまえば、遺恨が残るぞ。」
プーサー「…ペリノア。お前がそれを受けるというのか?」
ベオウルフ(ペリノア)「ああ。なぜならだ、ロット王のあの怒りはお前のほろびと必ずしも
無関係でないからだ。」
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プーサー「なんだと?」
ベオウルフ(ペリノア)「いずれお前はあの憎悪と向き合うことになるから、今は俺が代わりに遺恨を背負う。
その時がきたらアーサー、絶対に目をそらすんじゃねえぞ?」タッ
プーサー「待て、ペリノア!どういうことだ!」
ぐだ男「敵対する王たちの中で特に武勇に優れるロット王は、アーサー王陣営の中でも腕利きのペリノア王が
戦いました。そして、戦いのすえ、ペリノアはロット王を見事討ち取りました。」
ぐだ子「ペリノア王って顧問監督官だっけ。この話だとガウェイン達が子供のころからアーサー王と一緒にいたのね。」
ぐだ男「そして、戦争は終わり、アーサー王の勝利に終わりました。そして、戦死した偉大なる王たちの葬儀も行われました。
ロット王の葬儀にはモルゴースと4人の子供たちも参加しました。」
===墓地================
酒呑童子(モルゴース)「あんたぁ…」
プーサー(…あの婦人。まさか…!)
マリー(ガレス)「おとうさま…おとうさまぁああ!!」(ウェーン)
アグラヴェイン「ガレス、なくな。ちちうえはりっぱにたたかわれたんだ…ぞ。」(グスン)
サンソン(ガヘリス)「…ガウェイン。あいつだ。あいつが父上の仇だ。」
ガウェイン「ええ…覚えておきましょうね。」
ベオウルフ(ペリノア王)「…ふん。」
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===オークニー====
モードレッド「なぜだ、なんでだよ!!」
粛清騎士「申し訳ございません、部屋から出すなと…」
モードレッド「ちちうえはしんだんだろ!どうしておれだけほうっておくんだよ!」
兵士「あの方を同行されないということは…やはり父親は」
粛清騎士「しっ、めったなことを言うな。」
モードレッド「どうして…おれだけ、のけものにするんだよ…」
ぐだ子「…こどもが一人増えているはずなのに4人。モーさんは連れて行ってもらえてないのね。」
マシュ「ええ。しかし、モードレッドの受難はまだこれからです。」
ぐだ男「アーサーとモルゴースとの間の不義により、ロット王は非常にお怒りになりましたが、
じつは、もう一人この件をおもく受けたものがいました。」
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???「いやー。まさか、こんなことになるとはね!」
???「さすがにびっくりだぞう!うん。」
マーリン「僕が手塩にかけて育て上げた王子様が、あんな虫に汚されるなんてね。」
ぐだ男「そう。魔術師マーリンは、二人の子がアーサーの国を滅ぼすことを知っていたんです。」
====キャメロット==========
プーサー「…ふー。」
マーリン「やぁアーサー!統一戦争の勝利おめでとう。しかし、随分と
お疲れのようだね。それとも…最近悪い夢に悩まされていたりするのかな?」
プーサー「…マーリン。君は本当になんでもお見通しだね。」
マーリン「もちろんさ。というわけで君に大切な予言をあげるとしよう。」
マーリン「5月1日に生まれた子が君の国を滅ぼすだろう。」
プーサー「…なんだって?」
ぐだ男「マーリンは滅びの予言をアーサーに告げます。
それを聞いたアーサーは思い切った手をうつことになりました。」
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=======キャメロット=======
イアソン(ケイ)「正気か?アーサー。」
プーサー「…僕は予言を受けて未来を知った。未来を知った以上
現在を生きるものとしてなさねばならない。」
子ギル(グリフレッド)「それで考えた結論が…随分とまた乱暴ですね。
仮に予言のいう未来が変わったとしても、我が王の名誉は著しく傷つくでしょう。」
アーラシュ(ルーカン)「人心が離れ別の問題に発展するかもしれない。より悪い方向に転がるかもしれない。
それでも改める気はないのか?」
プーサー「勿論だ。」
イアソン(ケイ)「…ちっ」
子ギル(グリフレッド)「はぁ。」
アーラシュ(ルーカン)「わかったわかった。任せておけ。」
ぐだ男「5月1日に生まれた子供をすべて船にのせ、追放する。それがアーサー王の結論でした。」
===港===================
モードレッド「ははうえ、ははうえー!」
酒呑童子(モルゴース)「これは一体どういうつもりや!」
イアソン(ケイ)「5月1日に生まれた子供が、この国を滅ぼす旨の予言があった。
該当する子どもは例外なく追放する!」
酒呑童子(モルゴース)「なんやって…アーサー王の騎士は、そんな命令に従うんか!」
アーラシュ(ルーカン)「ああそうだ。国に…王に仕えるということは、こういうこともひっくるめて、だ。」
酒呑童子(モルゴース)「犬どもめっ!」
子ギル(グリフレッド)「はい。どうぞお恨みください。それで直接王を恨むものが少しでも減るのなら、
これほどうれしいことはありませんよ。」
モードレッド「ははうえー!」
酒呑童子(モルゴース)「メドラウトッ!」
プーサー「…」
ベディヴィエール「…我が王、何もわざわざご覧にならなくても…」
プーサー「…これは僕の選択だ。眼をそらさず見届けなければならない。」
ベディヴィエール「…。」
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ぐだ子「うーん。この伝説だと、モーさんがらみって、ガチで王様の黒歴史ね。」
マシュ「多くの子供が犠牲になったようです。生まれて4か月くらいの赤子や、もっと幼い子も
連れていかれ、国中が悲しみに包まれたとありますね。」
ぐだ子「年齢判定なのに、ガバガバやん。」
ダヴィンチちゃん「無関係の子供も大勢巻き込まれて犠牲になったということだろうね。」
ぐだ男「子供たちを乗せた船は、ある島に向かっていきましたが、途中で船は難破し、
海の藻屑となりました。」
ぐだ子「わお。」
===ウェールズの浜辺===========
オジマンディアス(?)「嵐は去り試練の時はすぎさった。」
モードレット「…。」
オジマンディアス(?)「…。」
オジマンディアス(?)「よかろう。」ひょい。
ぐだ男「乗っていた子供たちはほぼ死に絶えましたが、ただ一人モードレットだけが
浜辺に流れ着きました。そこで、ウェールズのよき人に拾われ、育まれることになりました。」
ぐだ子「出エジプト記のリスペクトかな?」
マシュ「一命をとりとめたモードレット卿でしたが、14歳になると旅に出てオークニーに戻り、
モルゴースの子としてアーサー王の元に出仕します。」
ダヴィンチちゃん「ちなみに…キケロの占星術に曰く、夏至の日に母親の体内に宿った子は、
水によって害されることがないそうだ。」
ぐだ子「運命が、モーさんを生かしたのね。
うーん。うちのモーさんもたいがいだけど、この伝説もモーさんも結構
不憫なのね。」
マシュ「さて、モードレッドさんの出生はこんな感じで記されていましたね。
では、話をランスロット卿がフランスにもどったところに戻りましょう。」
ぐだ男「うん。アーサー王は、フランスまでランスロットをやっつけに行かねばならないとして、
甥のモードレット卿にブリテンを託すことにしました。」
23
===キャメロット==========
モードレッド「遠征にでる間、オレを宰相に?」
イアソン(ケイ)「ガウェインが遠征を主導する以上、お前以外に任せられる奴はいない。
引き受ける気はあるか?」
モードレット「見当違いの信頼がこんな事態を招いたってことを王は理解しておられるのか?」
イアソン(ケイ)「さてな。…だが、お前にとっても都合がいいだろう。」
モードレッド「…あん?」
イアソン(ケイ)「ガウェインもコンスタンチンもあの様だ。王の信頼にお前だけがこたえることができれば、
将来的に王の後継はどうなるだろうかね?」
モードレッド「…わかった。オレはオレの役目を果たす。」
モードレッド(父上は…オレのことをどう考えているんだ?)
24
======カーディフ=========
プーサー「それで、モードレッドは?」
イアソン(ケイ)「引き受ける気はあるそうだ。」
ベディヴィエール「モードレット卿は、政治工作に秀でている方です。
彼が目を光らせれば、大きな騒動は抑えられるでしょう。」
イアソン(ケイ)「問題は、あいつ自身が野心家なことだな。そして何より欲深い。
全く、一体誰に似たんだろうな?」
プーサー「…ここは甥の手腕に期待するしかない。物資も余裕はないし兵は一体どれくらい出せるか?」
アーラシュ(ルーカン)「そうだな、国内の治安維持や防衛にもまわさなきゃならんし…」
ガウェイン「兵については問題ありません。すでに、6万の軍勢を準備しております。」
プーサー「ガ、ガウェイン!?」
ガウェイン「此度の戦はブリテンの命運をかける決戦。多少は無理をしてでもなしとげねばなりませんからね。」
イアソン(ケイ)「…六万か。維持するだけの物資があるか?」
アーラシュ(ルーカン)「当然、長引けば長引くほど負担のしわ寄せは、ブリテンにかかるな。」
ガウェイン「ええ、だからこそ早期に決着がつけられるよう頑張りましょう。」
プーサー「…ああ。」
ぐだ男「ランスロット征伐のため、アーサー王は6万の兵を率いて、艦隊で出発しました。」
ぐだ子「戦争って、お金ばかりかかってむなしいものなのね…。」
====フランス==========
ランスロット「我が王は大艦隊にて、こちら側に向かっているようだ。兵数はおおよそ数万規模といったところか。」
メドゥーサ(エクター)「とてもそんな大軍を出す余裕はないはずですが、無理をされるものです。」
ランスロット「全くだな。軍を維持するためにも、このフランス全土で彼らが略奪が行われる可能性も0ではない。
故に、諸君らは私の代わりにこの領地を治めてほしい。王と和睦できなかったのは、私ただ一人なのだから、
卿らの支配地となれば我が王も手出しはできないはずだ。」
エミヤオルタ(パロミデス)「それは願ってもない話だな。」
小次郎(ボールス)「有難い話ではある。されど拙者はランスロット卿におともしますぞ。」
ランスロット「頼りになるが、…あまり好戦的にならぬようにな。」
ぐだ男「一方でフランスを支配するランスロットは、自分の領地を協力してくれた騎士達に譲り、
守備を任せます。そして、一部の仲間とともに、アーサー王が攻めてくれるのを待ちました。」
プーサー「さて、いよいよフランスに到着するな。」
アーラシュ(ルーカン)「情報によると、ランスロットは自領の大部分を協力した騎士達に譲ったようだ。」
ガウェイン「殊勝なことですね。では未だランスロットを主と慕う愚か者共を殺し、奪い、焼き尽くしましょう。」
イアソン(ケイ)「…おい、ガウェイン。」
ガウェイン「軍を維持するためにも必要です。それに臆病なランスロットは、
いまだ女々しく我が王と和睦しようなどと考えているかもしれません。
もう我々は相容れることはないということを、知らしめましょう。」
プーサー「…やむをえないか。」
ぐだ男「そして、フランスについたアーサー王は、ランスロットの支配下にある町を焼き尽くして
荒廃させていきました。」
ぐだ子「余裕がないとはいえ、王様も体裁を気にしなくなってるわね。」
マシュ「本心で行っているわけではないでしょうが、ここは悲しいですね。」
ガウェイン「…ふっふっふ」
ガウェイン「ハハハハハ。ここまで己の領地を荒らされればランスロット卿も戦わざる
を得ないでしょう。」
プーサー「…そうだな。」
===一方====
小次郎(ボールス)「このような乱暴狼藉、黙っているわけにはいきませぬな。」
メディア(ライオネル)「待ちなさい。領民たちも覚悟のうえよ。連中に居座り続ける余裕はないのだから、
こちらは籠城していればそのうち引き上げるでしょう。」
小次郎(ボールス)「では、我らがランスロット卿はどうされるかな?」
ランスロット「…よし。」
ぐだ男「自領を荒らされたランスロット卿ですがやっぱり王と仲直りしたいので、使者を送ることにしました。」
アーラシュ(ルーカン)「おーい。我が王、ガウェイン卿。ランスロットから和睦したい
って使者がきているぞ」
ガウェイン「斬りましょう。」
プーサー「…待て、ガウェイン。お通ししろ。」
29
三蔵(使者)「今回のことで、ランスロットは自分に責任があるって認めているわ。」
三蔵(使者)「だから、あなた達がその…領地の人たちにひどいことをしたのも、
仕方がないって言っているわ。」
三蔵(使者)「これ以上あなた達にも無駄に血を流してほしくないの。
お願い、和平して。」
プーサー「ランスロットはそこまで…」
イアソン(ケイ)「懲罰的な意味合いで焼き討ちをしたわけだし、ここらで手打ちにしても
十分、面目は立つんじゃないか。」
三蔵(使者)「!それじゃ、和睦してくれるのね!」
ガウェイン「ダメです。」
プーサー「ガウェイン、その…」
ガウェイン「ダメ。」
三蔵(使者)「…そんなぁ。」
ぐだ男「アーサーは、和平を望むランスロットに感激しますが、ガウェインはどうしても
それに同意してくれなかったのでした。」
ぐだ子「それにしても、ここまでくるとガウェインも意固地ね…」
ぐだ男「交渉の決裂を受け、とうとうアーサーの軍勢はランスロットの居城を包囲し、
戦いを挑みます。」
小次郎(ボールス)「さて、ガウェイン卿、先の戦いの決着をつけようでないか!」
ガウェイン「なめるな、未熟者が!」
ズバッ
小次郎(ボールス)「グハッ」
メディア(ライオネル)「ガウェイン卿、いい加減しなさい!こんな無益な
戦いを望んでいるのは貴方だけよ!」
ガウェイン「黙れ裏切り者!!」
ドスッ
メディア(ライオネル)「きゃあ!」
32
ぐだ男「ガウェイン卿は、ランスロット卿の甥のボールス卿や、ライオネル卿など、
多くの騎士と毎日戦い、倒していきました。」
小次郎(ボールス)「やはりガウェイン卿は一筋縄ではいきませぬぞ」
メディア(ライオネル)「特に日が上っている間は、とてもじゃないけれど太刀打ちできそうになかったわ。」
ランスロット「…ここに至っては、この私が戦わざるを得ないか。」
ぐだ男「ランスロット卿は、とうとうガウェインと直接立ち会うことにしました。」
ランスロット「ガウェイン卿よ!これ以上無益な戦いはよせ!」
ガウェイン「とうとう出てきたな裏切り者め!弟の仇、取らせてもらうぞ!」
ランスロット「まて、何度でも言うが私は卿とは戦いたくない。どうか許してはくれないか?
卿が取り合ってくれれば、私と我が王は和解することができるだろう。」
33
ガウェイン「この期に及んで世迷い事を!」ギィンッ
ランスロット「私が卿や弟たちの窮地を救ったことは一度や二度ではないだろう?私に貴公等を
害する思いはないのはわかっているはずだ。」ヒョイ
ガウェイン「貴様になくとも私にはある!覚悟しろ!」バッ
ランスロット「ガレス卿の件は、本当に申し訳ないと思っている。しかし、あれはギネヴィア様を
お救いするためであり、また自分が生きるための戦いだったのだ。わかってくれ。」ヴン
ガウェイン「だから、仕方なかったとでも言うつもりか?」ペコ
ぐだ男「ランスロット卿はガウェイン卿を説得しようとしますが、ガウェインは許してくれませんでした。
そこで、ランスロットはとうとう戦うことを決心します。」
ランスロット(やはり戦うしかないか…だが、仮に勝利できたとしてもガウェイン卿を殺めるようなことがあれば王との和解は絶望的だ。
しかしガウェインは心に隙がある状況で勝てるような相手ではない。)
ランスロット(…ならば!!)
34
ランスロット「そもそもガウェインよ。卿はこの私に勝てると本気で思っているのか?」
ガウェイン「何?」
ランスロット「はっきり言っておく。卿は弱い。」キッパリ
ランスロット「貴様の活躍など、所詮その日中3倍になるという神秘の力によって勇敢な騎士達を欺くことで
なしとげられたにすぎん。」
ガウェイン「な…!裏切り者が!この私を侮辱する気か!!」
ランスロット「侮辱しているのではない、卿の不甲斐なさを指摘してやっているのだ。(よし、冷静さを失ってきたな)」
ランスロット「私は自分が最強であることを理解している。」ドヤァ
ランスロット「ただ唯一トリスタン卿だけが私に匹敵し、またラモラック卿があの若さで私に匹敵しうる素質をもっていた。
だからこそ私はどのような戦いであれ、相手には敬意をもち、欺くことなく正々堂々と戦ってきた。」
ランスロット「謀略をもって仲間を排除したり、集団で襲撃をするような卑怯な真似は
決してしなかった。非力さ故に手段を選べぬ貴公と違ってな!」ブンッ
ガウェイン「…!ラモラックのことを言っているのか。確かにあの騎士は
私が殺したが、なぜこの場で引き合いにだす?」ガンッ
ランスロット「…はぁ。まったくガウェインよ、どうしてこの期に及んで見栄を張るのだ?」
ランスロット「『私が殺した』ではなく、『私達が殺した』だろう。そうでなければ、
貴様如きがあの立派な騎士を倒すことはできなかった。」
ランスロット「研鑽を怠り、神秘の力と姦計をもってしか戦えぬ愚か者が、
王のことも顧みずただの私怨でこの私に挑むとは、恥を知れ!!」ブンッ
ガウェイン「」ブチィ
ぐだ男「ランスロット卿はガウェインの力を恐れ、あえて彼の過去の失敗をネチネチと繰り返し挑発します。
怒ったガウェイン卿は、ランスロット卿に襲い掛かりますが、それはランスロット卿の巧妙な罠でした。」
===数時間後===========
ガウェイン「ゼーハーゼーハー…まだだ、まだ終わらぬ…」
ランスロット「いや、決着はついた。ガウェインよ。」
ボコー
ガウェイン「ぐはっ!」
ランスロット「ここまでだ。少しは頭を冷やすのだな。」くるっ
ガウェイン「ま…待てランスロット…ころ…せ…私を…早く…とどめを刺せ…」
ランスロット「倒れた騎士を手にかけることはできぬ。」
ガウェイン「ふざける…な。ランスロット…逃げるな…臆病者…め…」ハァハァ
ランスロット「なんとでも言え。だが私は決して貴公を殺めることはしない。
卿が納得するまで私は何度でも受けて立つ!」
ガウェイン「ま…て…ランス…いく…な…」
ぐだ男「そしてランスロットは防戦に徹することにより怒り心頭になったガウェインの猛攻を防ぎ切り、日中3倍の時間が切れ
へとへとになったところを死なない程度にボコボコにするのでした…と。」
ぐだ子「ガウェインがガチで気の毒になるんだけど…ちょっと扱い悪すぎない?」
マシュ「うーん。アーサー王の死では、悪しざまにかかれていることが否定できません。」
ぐだ男「作者に嫌われたのかな?」
ダヴィンチちゃん「いや、どちらかというと、当時の宗教事情がかかわっているともいわれている。」
ダヴィンチちゃん「ガウェインくんは、ケルト的な性格が強すぎるんだ。」
ぐだ子「けると?」
ぐだ男「そういえば、ガウェインのスキルの説明にケルトの数字って書いてあるね。」
マシュ「はい。アーサー王の伝説が成立しはじめた頃は、ケルト神話などとうまく融合されている面が見られました。
しかし、時代が進むに従いキリスト教的な価値観が浸透する中で、そのような土着の神話的要素は邪魔なものと
なっていき冷遇され描かれるようになったといわれています。」
ダヴィンチちゃん「アーサー王の死が書かれたのは初期の伝説から3百年もたったあとだからね。
ケルト神話における太陽信仰による加護だったものが、聖人の祝福に変更されるように、
古い伝説のエピソードを新参に奪われたり、いろいろ割りをくっているということさ。」
ダヴィンチちゃん「まぁ、これはガウェインくんに限った話じゃないけどね。
特に一番ひどい扱いになっているのは、モルガンとかになるのかな?」
ぐだ子「アーサー王のお姉さんだっけ?」
ダヴィンチちゃん「そうだ。モルガンの名前の由来は、ケルト神話の女神モリガンといわれている…
というよりも、スカサハ=スカディのように同一視されているといった方が正しいかな?」
ぐだ子「え?神様なの?」
マシュ「初期の伝説ではモルガンはブリテン全土における守護女神的な存在として描かれています。
ブリテンのために様々な試練を騎士達に課していき、最後の戦いのあと瀕死になった
アーサー王を、再び世界が必要とする時まで治療するという役割を担っています。」
ダヴィンチちゃん「アーサー王の死では、異教の女神みたいなものだから、勇敢な騎士を弄ぶのが大好きな
意地悪おねえさんになっているけどね。」
ぐだ子「こっちのモルガンはどんな人なのかしらね?いずれあうことになるのかしら。」
ぐだ男「さて、話がちょっと横道にそれたけど…ガウェイン卿は敗れた後に治療を受け、
再度ランスロットに挑みますが、やっぱり負けてしまいました。」
====アーサー陣営======
プーサー「…ガウェイン」
ガウェイン「まだです…まだ、私は戦います。双方が生き残ることは決して…」
イアソン(ケイ)「た、大変だアーサー!この報せを見ろ!!」
プーサー「どうした、ケイ卿?…こ、これは!」
ガウェイン「一体どうしたと…(ひょい)。な、なんだと!」
======ランスロット陣営==========
ランスロット「はぁ、ガウェイン卿とはいつになったら分かり合えるのか」
小次郎(ボールス)「ランスロット卿、敵軍の陣営に動きが…」
ランスロット「!!我が王らが撤退している!何かあったのか?」
ぐだ男「ガウェインとランスロットの戦いは、中々終わりが見えませんでしたが、
ブリテンから、ある報せが届き、アーサー王達は撤退をすることにしました。」
===少し前のキャメロット=================-
モードレッド「父上が、出征してはや半年…いつまでかかるんだ?諸侯や、民をなだめるにも限度があるぞ。」
マタハリ(モルガン)「ガウェインばかりやる気みたいだけど、他の連中はもう飽き飽きみたいね。」
モードレッド「いくらランスロットが理不尽に強いとはいえ、父上とガウェインがいて討てないって
ことはないだろうよ。」
マタハリ(モルガン)「なりふり構わずランスロットを[ピーーー]ようなことがあれば、フランスの民に
どれほどの遺恨が残るかしらね?」
マタハリ(モルガン)「フランスとの国交が断絶したら…今のブリテンの自給率で交易が途絶えたら干上がっちゃうわよ?」
モードレッド「現在進行中で止まってるんだよ!教皇庁が和睦の仲介をしたのにすぐに戦争したって
諸外国から総スカンくらってるし…大陸のブリテン領はあてにできねえか?」
マタハリ(モルガン)「えーっと、無理ね。ゴールの宿六もなんとかしようとしてるけど、
周辺諸侯に封鎖されてて弟に合流するのも不可能よ。」
モードレッド「はぁ。どっちにしろランスロットと和睦しなけりゃ詰んでるじゃねぇか。」
マタハリ(モルガン)「でもガウェインはランスロットを決して許さないでしょうし…いっそのこと
あの子が討ち取られれば…」
モードレッド「そうなったら、それこそ父上はランスロットを許すことができなくなるだろうが」
マタハリ(モルガン)「でしょうね。それで延々とぐだぐだ消耗しつづけていると…」
モードレッド「あー!!戦果もねぇ!吉報もねぇ!補給の要請だけはある!ふざけんな!!」
モードレッド「…この状況で国の体裁を保ってんだから、俺って結構才能あるんじゃね?」
マタハリ(モルガン)「はいはい。…でも実際、あなたが弟の立場だったらどうする?」
モードレッド「あー?…少なくともランスロットとの和睦は絶対。これだけの惨事を引き起こした以上、
どこか拳の振り下ろし先がいる。戦果も必要だし武威を知らしめなきゃならねぇ。となると…」
42
モードレッド「ランスロットと速攻で和睦して、今回の出兵はブリテンとフランスと教皇庁との策略で、本当は
教皇庁の要請で悪しきローマ帝国を懲らしめるためだったって宣伝するか。」
マタハリ(モルガン)「へぇ。」
モードレッド「…んで、悪逆非道のローマ帝国をボコボコにして、仲直りにおともだち料をたっぷりせしめて、
教皇庁からお礼をもらって凱旋するかね。」
マタハリ(モルガン)「ローマもいい迷惑ね」
モードレッド「だいじょうぶだいじょうぶ。悪だくみしてないローマがローマなわけねぇし、
認めるまでぶん殴れば認めるだろ。」
マタハリ(モルガン)「もし負けたらそれこそブリテンは世界の敵になるわね。」
モードレッド「黒幕は教皇庁ってことにするからへーきへーき。」
マタハリ(モルガン)「アッティラもびっくりな蛮族っぷりね」
モードレッド「力を示して戦果をだしゃ、文句はでねぇだろ…って、冗談はともかく、
そもそも、このブリテンの自給率の低さはどうなってんだ?」
マタハリ(モルガン)「…それが弟の方針なんだから、仕方ないわよ。」
モードレッド「あん?父上に何か落ち度があるみたいに言うじゃねぇか。」
マタハリ(モルガン)「あの子のやってきたことを振り返ってみなさいよ。」
モードレッド「なんだと?父上は先王ウーサーが崩御し、内乱状態になり荒廃しきったブリテンを正統な後継者として
統一なされ、蛮族やローマのような侵略者からこのブリテンを守り切った英雄だろう。」
マタハリ(モルガン)「まぁ、そうね。」
モードレッド「父上は統治だって素晴らしいだろ。思想を異にするような異教徒であっても
功を認めれば円卓の騎士として認めたり公平、公正に統治されている。それに民衆に対しても守るべき教え
を説き教化し決してないがしろにしたりしねぇ。だからこそ、国中の誰もが父上を敬ってるじゃねぇか。」
マタハリ(モルガン)「あんた達の神の教えの是非はともかく、民衆が教化されれば治安は維持されたり、
衛生環境が向上し、インフラは整備され民力が強化されたわね。そこのところは認めてあげるわ。」
モードレッド「加えてフランスとのツテで大陸との関係を強化させたのも偉大だったな。」
マタハリ(モルガン)「大陸と交易できて食べ物が供給されれば当面の問題は解決できるわ。
でも何時までたってもブリテンはうだつがあがらない。そうよね?」
モードレッド「…確かにな。インフラが整って、食い物を余所から調達できてるんだから、
ブリテンの人口は増加する。人口が増加すればそれだけブリテンはより開発することができ、
国は豊かになっていく。…はずだった。」
モードレッド「何時まで経っても、ブリテンの生産性はろくにあがらない。目を光らせてるが中間搾取があるわけでも
民がサボってるわけでもない。…この原因はなんだ?気候か?土地柄か?」
マタハリ(モルガン)「ふーん。あんたでも知らないのね。原因は神秘よ、し・ん・ぴ。」
モードレッド「しんぴぃ?なんだそりゃ。」
マタハリ(モルガン)「魔術的なアレよ、あれ。」
モードレッド「父上の剣がピカピカ光ったり、ガウェインが日中力持ちになったりするあれか?」
マタハリ(モルガン)「そう、それよ。この星から神秘の力が失われつつあるのよ。」
モードレッド「その神秘とやらがなくなったから作物がとれなくなっているってことか?」
マタハリ(モルガン)「逆よ。世界から神秘が失われつつあるというのに、このブリテンにおいては
未だ神秘が存続してしまっている。その歪みゆえ、ブリテンの地はどんどん
朽ちてきてしまっているのよ。」
モードレッド「ブリテンが時代の流れから置いてけぼりになっているってことか。
…でも、なんで余所じゃ神秘ってのが失われてるんだ?」
マタハリ(モルガン)「そんなの、必要なくなったからに決まってるでしょ。
例えば、虫けらや畜生に神秘の力は必要かしら?」
モードレット「そりゃ、そんな奴らにはいらないだろ。」
マタハリ(モルガン)「じゃあ。虫や獣ですら必要としないものに、なぜ人間は必要とするのかしら?」
モードレット「…人間には道理がある。だが世には善が悪に蝕まれるような理不尽なことはあるだろう。
人が人として真理を守るために無力であってはならない。だから神秘は必要だ。」
マタハリ(モルガン)「そうね。だけど人は文化を築き種としての成長を重ねてきた。もはや神秘に頼らずとも
自分たちの力で人理を守れる時代になりつつあるのよ。」
モードレッド「だとしたら、ブリテンが時代の流れに取り残されているってことか?
どうやったら解決できる?」
マタハリ(モルガン)「そうね。ようするに、ある意味で世界と隔絶しているところがあるから、移民を
受け入れたりして、外部から人を受け入れるのを活発化させればいいわ。」
モードレッド「いや、それは無理だろ。ブリテンの混乱の発端はヴォーディガンが
サクソン人を引き入れたことが発端だ。」
モードレッド「ブリテンの民は異民族の入植に関しては否定的だ。父上でも二の足を踏むだろう。」
マタハリ(モルガン)「できないからやらないなんてと、あの子にあり得るかしら?
むしろ、時代の流れに逆らっても神秘を維持したいと考える方が自然じゃない?」
モードレッド「…それはそれで間違っちゃいない。今はそうなるべきであっても、いずれ神秘の力に頼らなければ
ならないことが将来起きるかもしれねえ。ブリテンが神秘の最後の砦になってるのなら、
時代の流れに逆らってもそれを維持するのは正しいことだろう。」
マタハリ(モルガン)「ふーん。あなたでもそう思うんだ?」
モードレッド「…どういう意味だ?」
マタハリ(モルガン)「マーリンは全ての未来を見通すわ。だからこそ、あの子も将来的にどのような禍が
来るか知っている。」
マタハリ(モルガン)「そして、その悪しき未来が来ることを防ぐためには、より多くの善のために、
あの子は本来自分が今守らなければならないものを犠牲にすることもいとわないわ。」
マタハリ(モルガン)「そうでしょう?メドラウト。生き残った男の子。」
モードレッド「…!!」
モードレッド「…その名で俺を呼ぶんじゃねえ。俺は円卓の騎士モードレッドだ。」
マタハリ(モルガン)「…フフフ」
8
=====ブリテン領内==========
アナタスシア(領民)「ああ、今年もめっきり収穫が減ってしまったようね。」シクシク
カドック(領民)「…アーサー様も、フランスでつらい戦いを強いられているんだ。それを思えば
これくらい我慢しなきゃだめだ。アナタスシア。」
ベリル(領民)「一番つらいのは、友と戦わなければならない王様だもんな。」
カドック(領民)「それに、モードレッド宰相の統治は、思ったよりも穏やかなものだ。。
今回も戦争が続いているが、俺たち民に、無理に税を取り立てたり、賦役を課したりはしていないじゃないか。」
ベリル(領民)「そうだな。邪悪な騎士といわれていたが、案外、俺たちのことを思ってくれているのかもな。」
アナタスシア(領民)「あとはアーサー様とランスロット様が仲直りをしてくれれば、
少しは楽になるわよね?カドック。…あれ?あちらにいる方は…」
モードレッド「…」
カドック(領民)「…こ、これは宰相様!なぜこのようなところにお越しくださるとは?」
モードレッド「…つらいか、生活は?」
ベリル(領民)「いーえ、いえ!我らが王様と、ブリテンを思えばこれくらいへっちゃらですよ!ヘヘヘ」
ヒナコ(領民)「私もアーサー様がお若いころから知っているけど、あのお方は本当に、
このブリテンと私達のために、働いてくださってるわ。」
ヒナコ(領民)「…そのためにつらいであろう決断をしなければならないこともあったわ。
だから私たちも苦しいからって弱音を吐いていられないわ。」
ヒナコ(領民)「いつか、きっとブリテンは豊かな国になるわ。未来のためになるとを思えば
まだまだ私達は頑張らないと。」
モードレッド「…そうか、すまないがもうしばらくは皆にも負担を強いることになる。
だが、ブリテン宰相として、いずれ必ず貴公らの奉公に報いることは約束する。
どうか、今しばらく努めてくれ。」
カドック(領民)「ええ、勿論ですよ。」
アナタスシア(領民)「宰相様もご立派にお勤めくださいませ。」
===キャメロット==========
モードレッド「…」
マタハリ(モルガン)「民衆ってのはかわいいものよねぇ。よくもまぁあんな子を信じて頑張れるわね。」
モードレッド「…黙れ。」
マタハリ(モルガン)「本来ならば、とうに神秘は失われ、神話の時代から人の時代にと移行しているはず。
運命に逆らってまでして、あの子はどこにいくつもりなのかしら?」
モードレッド「…いい加減にしろ!だいたい、魔女のお前がなぜそんなことを口にする!」
マタハリ(モルガン)「見くびらないで。私にとってはこの大地こそが全てよ。この島に住むすべてが
神秘に頼らず生きていけるレベルに到達したのなら、私はその生命の成長を喜ぶわ。」
マタハリ(モルガン)「ケルトの神が去り聖杯も天に還った今、ただブリテンなんていうこの地に住まう人間たちの
集団の都合で、この島が捻じ曲げられているなんてことの方が馬鹿げているわ。」
51
モードレッド「…ちっ、てめえは、お前の力の源だったケルトの神がいなくなったように、俺たちの神の威光も
失われちまえばいいってだけだろうが!」
マタハリ(モルガン)「なんとでも言いなさい。でもこれだけは覚えておいて。今のブリテンは本来
あるべき運命から外れつつあるわ。ただあの子の意思によってね」
マタハリ(モルガン)「多分。あの子も間違ってはいないでしょう。悪しき運命を知りえたのなら
それを防ごうとするのは理想の王としては当然ですもの」クスクス
マタハリ(モルガン)「過去にもあったでしょう?アーサー王は滅びの子を葬るために
子供たちだけの船を送りだしたわ。」
マタハリ(モルガン)「だけどその時、アーサーは運命に勝てなかった。他の子供は全て死に絶えたけど、
滅びの子は生き延びた。」
マタハリ(モルガン)「今度こそは、弟は運命に勝てるかしらね?まぁ、どちらに転んでも
ブリテンの民たちには、同じことでしょうけどね!」
モードレッド「…」
=====ブリテン領内==========
ベリル(領民)「お…おい、大変だカドックどん!あの話を聞いたか!」
カドック(領民)「ああベリルどん!なんてことだ、アーサー王様が、ランスロット卿に
討ち取られてしまったって話じゃないか!」
アナタスシア(領民)「ああ、こんなことになってしまうなんて!悲劇だわ!」シクシク
ベリル(領民)「一体この国はどうなってしまうんだ…」
カドック(領民)「なんでも、宰相のモードレッド卿が王になるそうだ。」
アナタスシア(領民)「モードレッド卿…アーサー様が離れられてからは立派に国を治めていたけど、大丈夫かしら?」
ベリル(領民)「それに、アーサー様がころされたなら、やはり敵討ちの戦争になるんじゃないか?」
カドック(領民)「いや、モードレッド様は、先の戦いは教皇庁の和睦案を退けたうえの無謀な戦いの連続であるとして、
これ以上民に負担をかけたくないという理由で、出兵する気はないそうだ。」
ベリル(領民)「そうか…、素直に喜べはしないが…それならこれ以上生活が苦しくなることはないか。」
カドック(領民)「しばらくは民力の回復につとめたいとおっしゃっているそうだし、
期待はできるかもしれないぞ。」
アナタスシア(領民)「そうね。否定的なことを言いたくないけれど…アーサー王様の時は、常に戦いの連続だったものね。」
ぐだ男「そう。なんと宰相を任されていたモードレット卿は、アーサー王がランスロットに討ち取られてたという
書簡を偽造し、ブリテン中に流言を流しました。そしてだまされた諸侯たちは、
モードレットをブリテンの王に任命されてしまいました。」
ぐだ子「アーサーとランスロットのぐだぐだに乗じて、ここでモーさんが動くのね。」
マシュ「はい。なぜモードレット卿が、謀反をしたのかは不明ですが、書簡を偽造し諸侯達を欺いているあたり、
綿密な計画を立てていたと考えられますね」
ぐだ男「少なくとも周りから祭り上げられた、とかではなく自分の意思っぽいね。
果たして、それに大義はあったのだろうか…。」
ダヴィンチちゃん「モードレットとアーサー王の対立については、王の後継は姉の子供がふさわしいというケルトの風習をとなえる
モルガンと、近親相姦故にキリスト教的価値観によってそれを拒むアーサー王という対立軸である、とする
説もあるそうだよ。」
===一方=====
天の衣(ギネヴィア)「はぁ、今もあの人とランスロットは争っているのね。心苦しいわ。」
イリヤ(コンスタンチン)「た、大変ですギネヴィア様!」
天の衣(ギネヴィア)「コ、コンスタンチン!どうしたのよ、こんな私に会いに来るなんて…」
イリヤ(コンスタンチン)「いいから、聞いてください!アーサー様が、ランスロット卿に討ち取られた
という書簡が届いたんです!」
天の衣(ギネヴィア)「な…なんですって!そんなことはありえないわ!」
イリヤ(コンスタンチン)「はい。私もそう思います!ただ、諸侯達はこれをすっかり信じてしまっていて、
モードレット卿をブリテンの王と認めてしまったの!」
天の衣(ギネヴィア)「あの子ったら…とうとう、本性を現したわね。」
イリヤ(コンスタンチン)「それだけじゃないです!モードレッド卿は、その…」
天の衣(ギネヴィア)「?」
イリヤ(コンスタンチン)「王になるあたりに、ギネヴィア様を妻とすると表明したんです!」
天の衣(ギネヴィア)「じょ、冗談じゃないわ!」
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ぐだ男「王になったモードレッドは、なんとアーサー王のお妃さま、ギネヴィアを妻にすると宣言します。
しかし、そのことを知ったギネヴィアは、ロンドン塔に逃げ込み籠城しました。」
ぐだ子「アーサー王の奥さんと結婚しようだなんて…お母さんみたいなものよね?
こっちのモーさんもコンプレックスがありそうだけど、かなりこじれてそうね。」
マシュ「以前ギネヴィアが処刑されかけたとき、モードレットはその場に居合わせながらも、擁護しなかった
ので、愛情があったかは疑問が残ります。むしろ、アーサー王を上まわらんとする野心の表れのように見えますね。」
====ロンドン=======
モードレッド「ちっ、厄介なとこに逃げ込みやがって…」
天草(?)「やれやれ一体なんということをなさるのです。モードレッド卿」
モードレッド「カンタベリーの司教か、坊主は引っ込んでろ」
天草(カンタベリー大司教)「王の死を捏造して王の座を簒奪し、あまつさえ実父の妃を妻にしようだなど…
とても見過ごせません。悔い改めなさい。」
モードレッド「ふん。民衆と諸侯を手懐けるには、ギネヴィアを王妃にするのが一番手っ取り早いだろうが。
オレはオレのすべきことをするだけだ。」
天草(カンタベリー司教)「愚かな…しかしここにいたっては仕方ありません。」
天草(カンタベリー司教)「ベルとブックとキャンドルを。」
天草(カンタベリー司教)「鐘書燭破門式を執り行います。」
ぐだ男「モードレットはギネヴィアの対応に手をこまねいている間に、不穏を察知した
カンタベリー司教の手により、破門されてしまいます。そして、とうとうアーサー王の軍勢も
ブリテンに向かっていることを知り、ドーヴァーで迎え撃つことにしました。」
=======ドーヴァー=======
モードレッド「奴らを上陸させるな!迎え撃て!!」
ガウェイン「モードレッド…!裏切ったのは本当のようですね。
何故こんな馬鹿なことを…!」
モードレッド「ガウェインか。そうだな。
…本当に、なんでだろうな?」
モードレッド「本来ならば、お前がこうしていても可笑しくはないんだからなぁ?」
ガウェイン「貴様、狂ったか?」
モードレッド「おかしいのはお前だよ。ガウェイン。一体なんで王の甥の中で最も王に近しいテメエが
王の代理たる宰相に任じられずに前線に出て、父親も定かじゃねぇ、本来
前線で使い潰されるに相応しいオレがブリテンを任されたんだろうなぁ?」
57
モードレッド「今お前がいる場所が本来オレのいるべき場所だった。そうだろうが。」
ガウェイン「…!!」
モードレッド「テメェはアグヴェインや自分のガキを抑えることができなかった。」
モードレッド「ガヘリスやガレスを守ることすらもできなかった。」
モードレッド「挙句オレの場所まで奪っておきながら、てめぇこそ一体何がしたいんだ?」
モードレッド「…オレは別に王に疎まれ続けて、目の届く範囲で死ぬまで飼い殺されたとしても、
それならそれで構わなかったよ。これでも自分の邪悪さは理解してるからな。」
モードレッド「だが、もう手遅れだ。結局人間はやるべきことをやらなきゃならねぇってことだろう。」ジャキン
ガウェイン「…くっ」
モードレッド「…最後の最後弟の役に立てたんだ。喜んで地獄に落ちろ!」
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===数時間後======
ガウェイン「…ぐふっ」
イアソン(ケイ)「ガウェイン!しっかりしろ!本隊は無事に上陸できたんだ。死ぬんじゃねぇ!」
ガウェイン「…この傷ではもう持ちません。治療は不要です。だが、最後にまだ…やるべきことが…」
イアソン(ケイ)「なんだ?言ってみろ!」
ガウェイン「紙とペンを…ランスロットに…手紙…を…」
ぐだ男「ドーヴァーで戦いが始まります。アーサー王は無事に上陸することができましたが、
ガウェインは、モードレッドにランスロット戦で追った古傷を抉られて戦死しました。」
ぐだ子「ガウェイン…ちょっと暴走しすぎたけど、ここまでなのね。」
====ブリテン======
プーサー「…そうか、ガウェインが…」
アーラシュ(ルーカン)「ああ。…それで王よ、領民たちがお前に会いたいそうだ。」
カドック(領民)「…」
アナタスシア(領民)「…」
プーサー「諸君らが、モードレッドに欺かれていたことは承知している。それゆえモードレッドに
与したのも仕方がないことだ。だから、私は君らを罰するつもりはない。安心してくれ。」
カドック(領民)「王よ、貴方が不在の間、モードレッド卿の統治は、穏やかなものでした。」
プーサー「!」
アナタスシア(領民)「むしろ、私達はアーサー様がご存命を聞き、ある恐れが沸いてきました。」
アナタスシア(領民)「アーサー王様のもとでは、常に戦いと、争いのつづく生活が強いられるのではないか、と。」
ヒナコ(領民)「このブリテンのために、最も働かれ、戦われ、そして来るしんでいるのがアーサー王様だったということは
理解しております。だから私達も、今は皆が未来のために、苦しくても、働き続けなければならない。
それは、理解しております。…理解しておりますが…」
ベリル(領民)「それでも、俺たちは…疲れちまった。モードレッド様のもとでなら、
無理に戦い続けることもなく穏やかに、生きられるんじゃないかって…だから、俺たちは
本気でモードレッド様を応援した。」
ベディヴィエール「…そんな!あなた達は、本気で王を裏切ったと認めるのか!」
プーサー「待て、ベディヴィエール!」
アナタスシア(領民)「申し訳ありません!それでも、私達は貴方様のように強い人間ではないの!」
カドック(領民)「こう思っている人たちは少なくない。ブリテンの民は多くがモードレッド卿を支持しております。
どうか、ご容赦ください。」
ヒナコ(領民)「本当に申し訳ありません。誰よりもアーサー王様がブリテンと私達民のことを思われているのに…」
プーサー「…違う、僕は…」ボソッ
ヒナコ(領民)「?アーサー様?」
イアソン(ケイ)「ほらほら、わかったわかった。甥が死んで我らが王もお疲れなんだ。お前たちには絶対悪くはしないから
とっとと家に帰った帰った!!」
プーサー「…」
ぐだ男「無事ブリテンに帰還したアーサー王でしたが、民たちの間では、モードレッド卿は穏やかな暮らしを約束してくれるが、
アーサー王のもとでは、常に戦いの連続である苦しい生活を強いられるという世論が巻き起こっており、多くの者が
モードレッドを支持していたのでした。」
ぐだ子「うーん。民衆に見放されて不憫だけど、アーサー王の統治にやっぱり不満を思っていた人も
いたのでしょうね。」
マシュ「当時のブリテンの状況から、戦いと争いがあり、老いも若きも苦しい生活を強いられるのは仕方ないことだったと
思います。ただ、アーサー王が誰よりも働き戦ったが故に、民がそれに倣おうとして無理がたたり、
ある種の厭戦感情が高まっていたとしても無理らしからぬことです。」
ぐだ男「そして、アーサー王の死のモーさんはその感情にうまくつけいった、と。
こっちとは違った意味でやり手ではあるね。」
ぐだ男「そして、アーサー王はモードレッド卿と戦いを始めます。」
=====バラムの丘========
プーサー「モードレッド!何故だ!何故裏切った!!」
モードレッド「アンタこそ一体どこに向かっているんだ?落ち着いて回りを見てみろよ。
もうアンタを王と頂く者はこの地にはいやしない。」
モードレッド「諸侯は俺を王と認めた。そしてブリテンの王は破門された。
新しいブリテンの主は神秘を能動的に放棄した。
この地は呪われ、神秘は失われる。…いや、神秘から解放されるというべきか?」
プーサー「なんてことを!貴様、自分が何をしでかしたかわかっているのか!
この地から神秘が失われれば…」
モードレッド「勿論だ。ブリテンは取り残された時代から世界に合流することだろう。
捻じ曲げらた大地は元に戻る。そのために、アンタのたくらみが潰れたとして
なんの問題があるというんだ?」
プーサー「ふざけるな!終わらない、終わらせはしない!」
モードレッド「立派なもんだな…そのために、自分の民をも苦しめても構わなかったのか?」
プーサー「神秘を維持しつつとも、世界ととの繋がりを上手くすれば管理すれば、ブリテンの繁栄は可能だった!
貴様が余計なことをしなければ…!」
モードレッド「それは運命に逆らってまでもすべきことか。」
プーサー「いずれそれが世界を救うことにに繋がるのなら、私は運命にいくらでも抗おう。」
モードレッド「そうか。クックック…ハーッハッハッハ!
そうだ、それが、アンタの本音だ。アーサー王!!」
プーサー「…!?」
モードレッド「世界を救うためなら運命を乗りこえようとする、さぞ立派なことだろうさ!
そして、自分がそうであるように、民にもそれを強いるのだろう!」
モードレッド「だからこそ我が子にも、お前も運命を乗り越えるためこの場で[ピーーー]と
命じられたんだなぁ!!」
プーサー「モードレッド、貴様、一体何を言っている?」
モードレッド「ハハハ。今更俺をその名で呼ぶなアーサー王。モードレッドはあくまで
円卓の騎士としてのオレの名だ。国は滅び、円卓は崩壊した今それはふさわしくはない。
それとも忘れちまったのか?」
モードレッド「メドラウトの名に覚えはないか?」
プーサー「…!まさか、そんな…!!」
ぐだ男「モードレッドも食い下がりますが、アーサー王に退けられます。
双方多くの犠牲者を出したため、お互い、次こそ決着をつけるべく準備に入りました。」
65
===夜======
プーサー「うーん。うーん。」
??「我が王…我が王…私の声が聞こえますか?」
プーサー「うぅ…その声は…ガウェインか?生きていたのか!」
ガウェイン「いえ、しにました。今の私は亡霊です。」
プーサー「そうか…すまない。私が不甲斐ないばっかりにお前まで…」
ガウェイン「王に落ち度などありません。私が愚かでした。
自分の立場をわきまえず、申し訳ないばかりです。」
ガウェイン「ただしぬ寸前といはいえ、愚かさに気づけたのは幸いでした。
最後に一つだけ、自分の役割を果たせました。」
===フランス=======
小次郎(ボールス)「ランスロット卿、ガウェイン卿からお手紙でござる。」
ランスロット「なに…おお、この内容は!モードレッドめが、謀反を起こした故、
援軍を頼むだと?これは、急がねば、ボールス。すぐに出陣するぞ!」
小次郎(ボールス)「御意に。」
メドゥーサ(エクター)「…ってことだそうです。」
メディア(ライオネル)「…置いてけぼりくらったわね。いくらなんでも急ぎすぎよ。」
メドゥーサ(エクター)「はやく追いかけましょう!」
プーサー「ランスロットに手紙をだって!」
ガウェイン「はい。ランスロットと合流できれば、我が王に敵はおりません。
…ただ、モードレッド卿のことなのですが…」
ガウェイン「一度、和睦していただきたいです。」
プーサー「…彼を許せということか?」
ガウェイン「それは、王がお決めになることです。それにランスロットが援軍にくるまで
時間がかかるはずですし、今の状態のまま戦えば、恐らく皆しに絶えることになるでしょう。
合流するまでの間でも構いません。どうか、奴に一度だけ機会を与えてください。」
プーサー「…。」
ガウェイン「私が自分の間違いに気づいたときは、遅すぎました。だからこそ、我が王には
同じことをしてほしくない。」
プーサー「わかった。」
ガウェイン「ありがとうございます。それではこの国を…弟を、頼みます。」
ぐだ男「決戦を前にして、ガウェイン卿の亡霊がアーサー王の夢枕に現れます。話によると、
ガウェインはいまわの際にランスロットに援軍要請をしたということだそうで、
それまでの間、停戦してくださいということでした。」
ぐだ子「なんだかんだで、ガウェインも立派な忠臣よね。」
68
======モードレッド陣営========
モードレッド「おい、てめぇら!これは一体どういうつもりだ!」
アーラシュ(ルーカン)「何って…停戦協定を結ぶための条件だ。これで不満か?」
ベディヴィエール「コーンウォール、そしてケントの地を我が王は卿に任せるご意向です。」
モードレッド「そこじゃねぇよ!王の死後…王は、我が子に領地をすべて相続させるだと!何考えてんだ!」
アーラシュ(ルーカン)「おいおい。王の生前から全てを手中に収めなければ気がすまないのか?」
モードレッド「ふざけるな。俺の母親を、一体誰だと思っている!我が王の実の姉だぞ!」
モードレッド「ブリテンの王が、ブリテンの教えに反する罪を犯していたと、世界中に知らしめる気か!」
ベディヴィエール「破門されたあなたがそれを言いますか?…ブリテンの教えは、贖い…万能なる神と
人との和解についても説いています。」
アーラシュ(ルーカン)「今になってだが、王はかつての過ちから目をそらさず、認めるつもりだ。
そのうえで、罪を償い、全てをやり直しになさる。だからお前にもう一度機会を与えられたいそうだ。」
アーラシュ(ルーカン)「そのためならば、内外からの全ての批難をも身に受ける覚悟だが…お前はそれを受け、どうする?」
モードレッド「ぐ…が…!」
ぐだ男「アーサー王は、ルーカンとベデヴィエールの兄弟と司祭をモードレッドのもとに派遣し、休戦協定の
交渉をします。そして、モードレッドはまずコーンウォールとケントを統治し、王が崩御したら改めて
ブリテンの全てを引きつぐという内容に決まりました。」
ぐだ子「ランスロットと合流するまでの時間稼ぎのはずだけど結構思い切った条件なのね。
結局、はごにするのかしら?」
ぐだ男「そして、協定の調印のため、カムランでアーサー王とモードレッド卿は会談します。
両軍の兵が向かいあう中、話し合いが始まります。」
====カムラン=========
プーサー「モードレッドは罪を犯した。だが私にも大きな過ちがあり、それを償うためにも
私はモードレッドに対しても、その機会を与えねばならない。」
モードレッド「王は道を誤った。しかし、王は自身の否を認められた。それをやりなおしたいと
いうのであれば、私もそれに応じなければならない。」
プーサー 「だが、知っての通りモードレッドは邪悪な騎士だ。」
モードレッド「存じているとおり、アーサー王は非情なる王だ。」
プーサー・モードレッド「「会見の場で、誰かが剣を抜けば、それは和睦の失敗を意味する。
速やかに戦いにうつるように」」
両軍「「おー。おー。」」
ぐだ男「アーサー王とモードレッドは、緊張感が高まる中、会談の場で誰かが剣を抜けば、
速やかに戦えと兵士に伝え、交渉が始まります。その結果、無事和睦しました。」
ぐだ子「え、あの条件で和睦できたんだ。」
モードレッド「この和睦は、ランスロットが来るまでの時間稼ぎか?」
プーサー「そうなるかもしれないが、それはお前の態度次第だ。」
モードレッド「あとになってオレを血祭にあげたとしても…オレを自分の子と認めた事実は
変わらない。わかっているのか?」
プーサー「…偽りの土台の上に、平和を築きあげたとしてそれになんの価値がある?」
プーサー「ランスロットの一件だってそうだ。僕が理想の王であろうとしたことがゆえに、
目をそらしつづけたことが発端だった。」
プーサー「どれだけ批判され侮辱されることになっても構わない。
僕は過ちをすべて認め、最初から全てをやり直す。」
プーサー「…モードレッド、協力してくれるか?」
モードレッド「…ひとつ条件がある。」
プーサー「なんだ?」
モードレッド「…これからは…その…父上、と呼んで構わないか?」
プーサー「…ああ。もちろんだ。我が子よ。」
藤丸立香(?)「ふー。よくわからないけど、これでブリテンは平和になるのかな?」
清姫(?)「ふふ」もそっ
清姫(?)「ふふふふふっふふふふふふふふふふふふふふふふっふふふふふふふ」シュルシュル
藤丸立香(?)「わー、蛇だー。」
スパァン
清姫(蛇)「きゃあ」
プーサー「…え?」
モードレッド「…な?そこの、騎士、お前…」
藤丸立香(騎士)「あ、俺剣抜いちゃった。」
両軍「「うおー、和睦は決裂したー。戦うぞー」」
プーサー「…くそっ、今日は最悪な日だ!!」
モードレッド「・・・ハハ。そうか。やはり、こうなるか。そうだろうな。
ハーッハッハハ!」
藤丸立香(騎士)「アーサー王も、モードレッド卿も、はじかれるように自分の陣営に戻った!
俺も戻らなきゃ…って、あれ?俺どっちの陣営だっけ?」
ぐだ男「会談の場に、蛇が迷い込みある騎士の足にまとわりつきました、騎士は驚き、剣を抜き、
蛇を切ります。しかし、それに両軍は和睦が決裂したと思い、戦いがはじまってしまいました。」
ぐだ子「あー、結局和睦はダメになるとおもったけど、どっちの意向でもなかったのね。」
マシュ「はい。ただ一触即発の場であったことは推察できますし、ある意味で必然。運命といえるかもしれません」
ダヴィンチちゃん「蛇とはキリスト教における悪魔の象徴でもある。」
ぐだ子「和睦したまま解散した場合、ランスロットがブリテンにやってきたら、
アーサー王はどうするつもりだったのかしらね。」
マシュ「…。」
====カムラン============
プーサー「…あ…あ…」
死体の山「…」
プーサー「ああああああああああ!!」
ぐだ男「両軍は激しく戦い。アーサー王とその配下の騎士ルーカンとベデヴィエール。そして
モードレッドの4人以外は皆死にました。」
ぐだ子「そういえばケイ卿は?」
マシュ「恐らくこの戦いで亡くなります。」
モードレッド「…へぇ、あんたでもそんな顔をするんだな。」
プーサー「モード…レッド…!」
モードレッド「…やれやれ。一体何を悲しんでいるんだか。どいつもこいつもブリテンを思って
覚悟を決め戦い、しんでいったんじゃないか。王ならば、悲しむんじゃなくて、ねぎらってやれよ。」
モードレッド「誰であろうと死ぬ。国もいずれ滅ぶ。全てを見通す邪悪な夢魔を従えても、運命は変わらない。」
モードレッド「運命には勝てないし、勝つ必要もない。
運命を変えようとすること自体人の領分を越えたことなのだから。」
モードレッド「だからこそ今日ここに集った騎士達は幸せ者だ。そんなちっぽけな人間の身で、
運命を悟り、そのうえ全うしたんだ。全く素晴らしい話じゃないか。」
モードレッド「自分の運命を理解する以上の幸せがあるか?自分の役目が、
国を滅ぼすような邪悪なものであったとしてもだ。」
モードレッド「子供たちが、ただ滅びの子と同じ日に生まれたというだけで理不尽な力で、
なんの意味もわからず死んでいったのに比べれば。」
モードレッド「本当に…オレは、オレはなんて幸せ者なんだろうなぁ?父上。」
プーサー「モードレッド!呪われた子め!槍をよこせルーカン!!
今この場で決着をつけてやる!」
アーラシュ「待て、アーサー!!この場は引け!」
ぐだ男「アーサー王は、モードレッドが死体の山のうえで剣を杖に休んでいるのを見つけると、ルーカンが
止めるのも聞かず槍を彼からひったくりモードレッドに襲い掛かりました。アーサー王はモードレッドを
槍で貫きますが、モードレッドの迎撃も止まらず、兜を剣で叩きつけられました。」
ぐだ子「モーさんガッツがないのが不思議なくらいタフね。」
アーラシュ(ルーカン)「…王よ、王よ!返事をしてくれ…!」
プーサー「…」
プーサー「…僕は…恐れた…」
アーラシュ(ルーカン)「…王?」
プーサー「あの子を恐れていた。滅びの運命を…僕は…知っていた。あの子がいずれ国を滅ぼすと。
だから僕は追放した。遠ざけたかった。過去の自分の失敗から…目をそらしてしまった。」
プーサー「…最初から…あの子から目を離さず向き合っていれば…こんな、仮にそれが滅びにつながったとしても、
仲間同士の争いでない…もっと…穏やかな滅びを迎えることが…できたんじゃないか?」
アーラシュ(ルーカン)「…ハハハ。まるで神様にでもなったような口をきくのは、お前の悪い癖だぞアーサー」がしっ
プーサー「…まて、ルーカン。そんな傷だらけの体で僕にかまうな。傷口が開くぞ!」
アーラシュ(ルーカン)「黙ってろ。俺の頑丈さはよく知っているだろ。」
アーラシュ(ルーカン)「…なぁアーサー。一体だれがお前を馬鹿にできる?確かにお前は、後になってみれば、間違った選択をしてしまった
こともあっただろう。だがそれでも、俺はお前が王である前に、一人の人間として、常に悩み、決断をしてきたことを
ずっと見てきた。そんなお前を、どこの誰が批判する資格がある?後の世でお前が誰に何を言われようが知らないが、俺は
今この場で言ってやる。」
アーラシュ(ルーカン)「お前は、間違っちゃいない!!」
プーサー「…!ルーカン。…ルーカン!!」ガシッ
アーラシュ(ルーカン)「…!!」ズキッ
プーサー「…?どうした、ルーカン?」
アーラシュ(ルーカン)「はは、なんでもないさ。さぁ、帰ろうぜ。アーサー。」にかっ
ぐだ男「ルーカンとベディヴィエール卿は、王を連れ撤退します。」
79
===浜辺の礼拝堂=======
プーサー「…?ここは?」
ベデヴィエール「…!王よ。お目覚めになりましたか!よかった。」
アーラシュ(ルーカン)「…」
プーサー「…ああ。私はまた気を失って…、そうかここに運んでくれたのか。
ありがとうルーカン。ベデヴィエール。」
ベデヴィエール「…いえ、そんな恐れ多い。」
アーラシュ(ルーカン)「…」
プーサー「本当に今まで苦労をかけ…おい、ルーカン。どうした…。」
ベデヴィエール「…我が王。兄上は…もう…」
プーサー「…!そうか。すまない。」
ぐだ男「円卓成立以前から仕えた騎士ルーカンは、カムランの戦いの直後に亡くなります。死因はアーサー王を
担いだ際に傷口が開いたためとも、悲嘆にくれるアーサー王に抱きつかれ絞められたたからだとも言われています。」
マシュ「死因の逸話ですがアーサー王の名前が羆に由来する点からとられています。」
ぐだ子「槍トリアの絆礼装ね。」
プーサー「…もう、ここまでだな。ベデヴィエール。僕の剣を水にお返ししてくれ。」
===水辺=========
ベデヴィエール「我が王の剣…これはいわば、今ブリテンに残った最後の神秘の欠片…これが失われれば、
王は…本当に死んでしまうのでは…」
ぐだ男「ベディヴィエールは、剣を捨てることができませんでした。」
プーサー「剣を水に投げ入れたとき、君は何を見たかな?」
ベデヴィエール「我が王…それは…」
プーサー「お願いだ。ベデヴィエール。」
ベデヴィエール「…はい。」
81
…その後…
プーサー「また。できなかったんだね。」
ベデヴィエール「…はい。」
ベデヴィエール「カムランの戦いで、皆…皆死んでしまった。
そのうえで…もしも…我が王が死に…そして剣までなくなれば…王の生きた証が…痕跡すら失われる…
それが、私には耐えられません!!」
プーサー「大丈夫だ。僕がしに、国がほろびようとも、国の中で生きた民たちがいる。
それは、必ず未来につながっていく。それこそが、何よりの僕の生きた証なんだ。」
ぐだ男「ベデヴィエール卿は、王に3回頼まれ、やっとのことで、エクスカリバーを投げ入れました。」
82
スカサハ(?)「キャッチ!!」
ベデヴィエール「…という感じでした。」
プーサー「…そ、そうか。では、僕をそこまで運んでくれ」
ぐだ男「アーサーを背負い、水辺に向かうと、貴婦人が乗った小舟がありました。」
マタハリ(モルガン)「あら?グリフレッドではないのね?まぁ、構わないけど。
出航の準備はできてるわよ。」
ベデヴィエール「…モ、モルガン!あ、貴方は、我が王をどうするつもりです。」
マタハリ(モルガン)「…それを聞いてどうするの?どちらにしても貴方にとっては同じことよ?」
マタハリ(モルガン)「アーサーは永遠の王。もし傷が癒えて生きながられたとしても、その頃にあなたは
生きてはいないでしょう。はっきり言っておくわ。貴方はもう二度とその子にあうことはない。」
マタハリ(モルガン)「だけど、最後まで貴方の手で看取るのであれば、貴方はアーサーと確かな決別を迎えることが
できるわよ。」
ベデヴィエール「…!」
マタハリ(モルガン)「もし、私の手に引き渡すのであれば、貴方はこの子の騎士の中で、最も苦しい一生を送ることになるわ。
決めるのは貴方よ。さぁ、どうするの?サー・ベディヴィエール?」
プーサー「ベディ…」
ベディヴィエール「剣を返したときに決めたことです。モルガン。王をお頼みします。」
84
プーサー「…民が僕を覚えている限り、僕は必ず戻ってくる。だが、もし誰もが僕を忘れてしまったのなら、
仕方がない。その時は、僕のために祈ってくれ。」
マタハリ(モルガン)「全く…馬鹿な弟ね。こんなに待たせてくれるんだから。
ま、そこがかわいいんだけどね。」
ぐだ男「そして、船はアーサー王を乗せ、出航しました。ベディヴィエール卿は船が見えなくなるまで眺め、涙するのでした。」
ぐだ子「この貴婦人ってモルガンなの?」
マシュ「伝説によってはモルガンなのですが、例によってケルト臭いのでアーサー王の死では名前は記されていません。」
====洋上=====
プーサー「ぐっ…」
マタハリ(モルガン)「痛みくらい我慢しなさい。それとも水に飛び込んで、あんたの神のもとに召された方が楽になるかしらね。」
プーサー「そもそも、これはどういう風の吹き回しだ姉上。ずっと僕の邪魔ばかりしたじゃないか。」
マタハリ(モルガン)「生意気。」ペシッ
マタハリ(モルガン)「貴方が馬鹿をやるからよ。あなたは未来を知ったがために、運命を乗り越えようとした。
現在だけでなく、未来をもすべて自分の手で支配し、未来の可能性を否定した。」
マタハリ(モルガン)「だから私は貴方から不死を奪った。貴方が本当に人の領分を超えることがないように。」
プーサー「アコロンの件か。あの時は、僕を殺して、王位を奪おうとしたんじゃないのか?」
マタハリ(モルガン)「ええ。もちろんよ。もしも貴方の望み通りになっていたら、どうなっていたことかしら?」
マタハリ(モルガン)「世界から切り離され、永遠の王によって、統治される神秘の国。」
マタハリ(モルガン)「きっと、人々は神に祈るのではなく、アーサー王こそが神であるとして
あんたに祈りをささげることになるでしょうね。」
86
マタハリ(モルガン)「貴方の存在そのものが、貴方の理想の最大の妨げになるかもしれないなら、やっつけてでも
止めるわよ。」
プーサー「…むぅ。」
マタハリ(モルガン)「ま、本来の伝説ならば、アルトリウスとメドラウトはカムランでしぬはずだった。
だけど、運命は貴方を生かすことにした。」
マタハリ(モルガン)「だから、いずれ世界がまたあなたを必要とする日がくる。あなたとの決着は、その時に
つけてあげるわよ。」
プーサー「…そうか。ありがとう。姉さん。」
ぐだ男「一説によれば、アーサー王はまた世界が彼を必要とするときに、戻ってくるそうです。」
====礼拝堂======
天草(カンタベリー司教)「おや、お客様ですか?」
ベデヴィエール「…はい。司教様は、お祈りの最中ですか?。」
天草(カンタベリー司教)「ええ、昨晩、ご婦人方が、ある方の埋葬をしてほしいとやってまいりましてね。」
ベデヴィエール「ま、まさか!我が王は、やはりお亡くなりになったのか!?」
====お墓======
ベデヴィエール「…やはり、モリガンでも駄目だったのか。いや…違う!」
マタハリ(モルガン)(もし、私の手に引き渡すのであれば、貴方はこの子の騎士の中で、最も苦しい一生を送ることになるわ。
決めるのは貴方よ。さぁ、どうするの?サー・ベディヴィエール?)
ベデヴィエール「…我が王が亡くなっていても、生きていても私にとっては同じことだ。
そして、私にはやらなければならないことがある!」
ぐだ男「ベディヴィエールは礼拝堂で高貴な人が埋葬されたことを知り、それがアーサー王であると思い落胆しますが、
そのまま修道士になることにしました。」
========庵============
ランスロット「久しいな。ベディヴィエール」
ベディヴィエール「…ランスロット卿!なぜこのようなところに?」カリカリ
ランスロット「我が王と、モードレッドの戦いに結局私は間に合わなかった。罪深き身故、
これからは信仰の世界にて暮らそうと思う。」
ベディヴィエール「…しかし、ギネヴィア様は…」カリカリ
ランスロット「ギネヴィア様も、同じく尼僧院に入られた。もう、私も、あの方も
二度と会うべきではないと、話し合い。納得したのだ。」
天草(カンタベリー司教)「いいでしょう、歓迎しますよ。」
ぐだ男「その後、ランスロットが庵にやってきて、一緒に修道士になりました。」
ぐだ子「結局、ギネヴィアとは別れたのね。ランスロットは。」
89
========庵============
小次郎(ボールス)「しばらくぶりでござる。」
ベディヴィエール「ボールス卿!貴方まで」カリカリ
小次郎(ボールス)「ランスロット殿を探していたのだが。まさか修道士になられていたとは。
せっかく故、拙者も世話になろうか。」
天草(カンタベリー司教)「賑やかになってきましたね。」
その後
小次郎(ボールス)「…」
ベディヴィエール「…」カリカリ
ランスロット「…」
天草(カンタベリー司教)「ギネヴィア様が、お亡くなりになられたそうですね。」
ランスロット「…我が王の墓の隣に…埋葬しましょう。」
ベディヴィエール「…ええ。」カリカリ
さらにその後
イリヤ(コンスタンチン)「お久しぶりね。ベディ。」
ベディヴィエール「コンスタンチン卿…いえ、今は王になられたのでしたね。
ギネヴィア様の葬儀以来でしょうか?」カリカリ
イリヤ(コンスタンチン)「ええ。あの後…ランスロット卿も亡くなられたわ。
ギネヴィア様が亡くなられてから、食事を一切取らなかったとか」
天草(カンタベリー司教)「彼が亡くなった時、天使が迎えにこられたくらいでしたね。そういえば。」
ベディヴィエール「そして、ボールス卿もランスロット卿が亡くなって、やはり自分は
戦いの中に生きるといって、俗世に戻られましたね」カリカリ
イリヤ(コンスタンチン)「うん。それで、ベディヴィエール卿。あなたも還俗してくれないかしら?
この地を、アーサー様が愛した国の力になってほしいの。」
ベディヴィエール「…申し訳ありませんが、それはできません。私にはやるべきことがある。」カリカリ
ベディヴィエール「いつか、何時の日か、我が王は、必ずこの地に戻ります。だからそのために私は
記されなければならない。この地に住まうものが、決して王のことを忘れないように!」カリカリ
ベディヴィエール「アーサー王の伝説を!!」カリカリ
91
ぐだ男「修道士となったベデヴィエール卿は王となったコンスタンチンからの勧誘を拒み、修道士の修行の傍ら
かつて仕えた王と、騎士達の伝説を記します。彼の手記とその他の伝説をまとめたのがこの
アーサー王の死なので、ある。byトマス・マロリー」
ぐだ子「アーサー王の死…出典はベディだったの。まぁ考えてみたらカムランの戦いを知っていて生きているのは
ベディだけだしね。」
ぐだ男「こっちのベディは、聖剣を返せないから、何年も何年もさまよった。だけど、結局会うことはできた。
アーサー王の死のベディは…結局、アーサーとまた会えたのかな?」
ぐだ子「会えなかったんでしょうね。」
マシュ「…ベデヴィエール卿は、いつも、重い役目を負われますね。」
ぐだ子「でも、面白かったわね。勿論こっちとは違う話ではあるけれど、アーサーとモードレッドが和解したりするとか。」
ぐだ男「こっちのアルトリアとモーさんは仲が悪いけど、別の話で理由はどうであれ
和睦できているのなら、いつか、こっちでも分かり合えるかもしれないしね。」
完
元スレ
====キャメロット===========
粛清騎士「ヒソヒソ…」
兵士「フムフム…」
プロトアーサー(…なんだろう、この感じ?)
アーラシュ(ルーカン)「おいどうした、アーサー。怪訝な顔をして。」
プーサー「ルーカン。皆の様子がおかしくないか?どうも浮足だっているような。」
アーラシュ(ルーカン)「ああ、今ある噂でもちきりのようだぞ。」
プーサー「噂?」
アーラシュ(ルーカン)「なんでもだ、城下町にものすごく美しいご婦人がいらしてるんだってよ。」
206: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:29:36.05 ID:GZxekZ9a0
ぐだ子「るーかん?そういえば前の話でも出てきてたわね。」
マシュ「ルーカン卿はベデヴィエール卿のお兄さんです。円卓成立以前からアーサー王に
仕えていた騎士の一人です。」
ぐだ男「ベディって弟キャラだったんだ。…そして、キャメロットにとても美しい婦人が
訪ねてきたと評判になっていたのです。」
プーサー「…うーん。どこかの間者だったりしないか?」
アーラシュ(ルーカン)「もちろんその線もあるだろうな。だが、そのご婦人は4人の子供をつれているそうだ。
従者も大勢連れているようだし密偵だとしたら、随分と悪目立ちしすぎな気もするな。」
プーサー「ちょっと気になるな。僕自身の目で確かめてこよう。」
ぐだ子「4人の子供?そして美女?ここから導かれる結論は…」
207: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:30:08.80 ID:GZxekZ9a0
====城下町=========
ガウェイン「…ここが、キャメロット。随分と活気のあるようですね。」
酒呑童子(モルゴース)「せやなぁ。これも王様の努力の賜物かしらねぇ。」
ぐだ子「やっぱり、モルゴースかー。家族旅行?それとも留学とか?」
ぐだ男「いや、そんな穏やかなものじゃなさそうだね。」
208: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:30:38.14 ID:GZxekZ9a0
====少し前のオークニー===============-
槍ウラド(?)「クックック…。」
酒呑童子(モルゴース)「ロットはん?どうしたん?」
槍ウラド(ロット王)「我が妻よ。異民族共の侵略もようやく対処できたところだ。
今度こそあのアーサーなる小僧と決着をつけてみせよう。」
酒呑童子(モルゴース)「せやねぇ。…でもこういう時こそ、みんなで仲良く協力せんとあかんやないの?」
槍ウラド(ロット王)「そうはいかん。そもそもあの子倅めはフランスの王達と結び、彼らを
ブリテンの覇権争いに介入させておるではないか。あのヴォーディガンのように外国の兵を
引き入れ、己のものであるはずの民を手にかけさせているようなものだぞ。断じて捨て置けん。」
酒呑童子(モルゴース)「そないゆうたら、あんさんやってゴールの妹の旦那と組んどるやんけ。」
槍ウラド(ロット王)「…ユーリエンスは我が義弟。力を借りるのはおかしくあるまい。」
酒呑童子(モルゴース)「あの子もうちの弟よ。」
槍ウラド(ロット王)「そうだ。そして実の父親の仇の子であろう。」
酒呑童子(モルゴース)「…」
209: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:31:08.91 ID:GZxekZ9a0
ぐだ子「父の仇?」
マシュ「ウーサー・ペンドラゴンは、モルゴースやモルガンの父親、コーンウォール公の妻イグレインを妻にしようとして、
そのために侵略したといわれています。そしてコーンウォール公は争いの中で死亡し、
イグレインはウーサーの妻になったそうです。」
ぐだ男「略奪婚ってわけか…」
酒呑童子(モルゴース)「…それが世のならいやろ?」
槍ウラド(ロット王)「だからこそ、世を正せねばなるまい。無論、俺自らの手でな。」
酒呑童子(モルゴース)「あんさんの人生なんだからまぁえーけど。
…覚悟決まっとるんならうちも一肌脱がんとなぁ。」
槍ウラド(ロット王)「うむ…感謝するぞ、妻よ。」
ぐだ男「モルゴースは、ロット王のスパイとして、派遣されてきていたのです。」
ぐだ子「正義か、野心か、仇討か…でもべつにロット王も悪人ってわけでもないのね。」
マシュ「ウーサー・ペンドラゴンは死の直前、アーサーを正式な後継とされていましたが、諸侯達にも
譲れないものがあったのでしょうね。」
210: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:31:51.13 ID:GZxekZ9a0
====城下町=========
酒呑童子(モルゴース)(この子らがアーサーを気に入ってくれたら、あの人も無理に
対抗しなくなるやもなぁ)
サンソン(ガヘリス)「ははうえ。ははうえー。」
酒呑童子(モルゴース)「あら、どないした?」
マリー(ガレス)「あっちに、りっぱなきしさまが、おはなししたいって。」
酒呑童子(モルゴース)「なんやって?」
プーサー「ごきげんよう。ようこそキャメロットにお越しくださいました。」
酒呑童子(モルゴース)「あらあら、ご丁寧に(この感じ…間違いあらへん。この子こそ、弟の…)」
211: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:32:21.76 ID:GZxekZ9a0
ぐだ子「モルゴースと一緒に来た4人の子、明言はされてないけど多分ガウェイン達よね。」
マシュ「そうかもしれませんね。ただアーサー王は即位後、さっそく治安維持に努め、
人事を整え、数年のうちに領土を広げ堅持しました。ガウェイン卿達が幼い頃にその姿を
目の当たりにしていたら、さぞ尊敬されたでしょうね」
ぐだ子「王が亡くなり、混迷する世に突然現れた正統な後継者たる若き英雄だもんね。こんなん惚れてまうやろ~。」
マシュ「ええ。」
ぐだ男「そして、アーサー王は、モルゴースがスパイと気づかず王宮まで招き入れ、なんとエッチなことをしてしまうのでした…と。」
212: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:32:51.02 ID:GZxekZ9a0
ぐだ子「…」
マシュ「…」
ぐだ子「台無しじゃん!」
マシュ「…ええ。この時できた子こそ、モードレッドさんである。とアーサー王の死においては記されています。」
ぐだ男「えーっと、4人の子がガヴェイン達だとして…その裏でお母さんとってなると…」
ぐだ子「うっわあ…」
マシュ「…も、もちろんアーサー王は、モルゴースが異父姉と、この時点では知らなかったはずです。」
ぐだ子「そういう問題じゃないと思う。」
ダヴィンチちゃん「さて、ではなぜこのようなことが起きてしまったのかな?」
ぐだ男「ダヴィンチちゃん!」
213: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:33:20.61 ID:GZxekZ9a0
マシュ「…そうですね。一説によると、モルゴースとアーサー王が出会った日の巡りが関係しているといわれています。」
ぐだ男「えっと、夏至の日だっけ。」
ダヴィンチちゃん「夏至の日は、一年のうち最も昼の時間が長く、またこの日を境に
昼が短くなっていく日だね。風水的に言えば、陽の気がもっとも高まるが、
この日を境に減退していく。縁起のいい日でもあるのだが、あらゆるものが
不安定になり、揺さぶられる日だからね。特に北半球ではある変化が人々に起きやすいとされている。」
ぐだ子「ある変化?」
ダヴィンチちゃん「性欲をかきたてる。」
ぐだ男「…」
マシュ「モルゴースは、非常に美しい女性でした。特に情報を引き出すためにアーサー王にも
その…相応のかたちで接したのではないでしょうか。夏至の日の衝動もあって、さしもの
アーサー王も…というのが、この伝説でのきっかけと推察されます。」
ダヴィンチちゃん「まぁ、その日にモードレッドくんが宿ったというのも
後々意味をなしていくことになるからね。」
ぐだ子「日の巡りね…運命かぁ。」
214: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:33:52.81 ID:GZxekZ9a0
ぐだ男「…そして、案の定モルゴースは妊娠してしまいました。」
===オークニー==============
酒呑童子(モルゴース)「うぅ…!(あかん、これは…)」
槍ウラド(ロット王)「これはいったいどういうことだ。妻よ。」
槍ウラド(ロット王)「腹の中の子は…、まさか、あの子倅めか!」
酒呑童子(モルゴース)「あっ…あんたぁ…」
槍ウラド(ロット王)「おのれ…おのれ、おのれぇぇ!」
酒呑童子(モルゴース)「ひっ」
槍ウラド(ロット王)「あの小僧め!!よくも我が愛する妻に、このような業を背負わせてくれおったなぁ!!」
ぐだ男「こうして、ロット王は、アーサー王を以前にもまして、とても憎むようになりました。」
ぐだ子「虚月館の時もそうだったけど、近親(ぴー)って悪いこととされているのよね。」
マシュ「深く妻を愛していたロット王の憎しみは推して知るべし。といったところでしょう。」
215: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:34:22.20 ID:GZxekZ9a0
12
ぐだ男「モルゴースの一件で、ロット王は怒り、アーサーと以前よりもまして、激しく争います。
ブリテンをめぐって、アーサー王は、諸侯との戦争は続いていきますが、
そして、ついに決着をつける時がやってきます。最後の戦いではマーリンの策略により敵軍の分断に
成功し、アーサー王は戦いを有利に進めていきました。」
====戦場===================-
イアソン(ケイ)「クックック…ハーッハッハッハ!いける!いけるぞ!
これでお前の天下だ、アーサー。」
プーサー「いやまて敵方の援軍が来ているぞ!先頭を走るのは…ロット王か!」
イアソン(ケイ)「ちっ、マーリンのうすのろめ、抜かったな。
合流されると、厄介だぞ。」
プーサー「仕方がない、僕が出る。」
ベオウルフ(?)「待て、アーサー。俺が行く。お前はベイリン達とともにこのまま敵の主力を叩け。」
イアソン(ケイ)「ペリノア王。」
216: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:34:52.27 ID:GZxekZ9a0
プーサー「ロット王とは、何度も戦ってきたが、彼の僕に対する憎悪と執念は、凄まじいものだ。
僕の手で直接決着を…」
イアソン(ケイ)「アーサー。ここはペリノア王に任せるべきだ。ロット王の妻が
お前の姉ってことは知っているだろ。」
プーサー「ああ。どんな人かは知らないが。」
イアソン(ケイ)「ロット王の子供たちは、つまりお前の甥になる。将来的に味方につけることも
できるだろう。だが、お前が直接ロット王を屠ってしまえば、遺恨が残るぞ。」
プーサー「…ペリノア。お前がそれを受けるというのか?」
ベオウルフ(ペリノア)「ああ。なぜならだ、ロット王のあの怒りはお前のほろびと必ずしも
無関係でないからだ。」
14
217: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:35:33.32 ID:GZxekZ9a0
プーサー「なんだと?」
ベオウルフ(ペリノア)「いずれお前はあの憎悪と向き合うことになるから、今は俺が代わりに遺恨を背負う。
その時がきたらアーサー、絶対に目をそらすんじゃねえぞ?」タッ
プーサー「待て、ペリノア!どういうことだ!」
ぐだ男「敵対する王たちの中で特に武勇に優れるロット王は、アーサー王陣営の中でも腕利きのペリノア王が
戦いました。そして、戦いのすえ、ペリノアはロット王を見事討ち取りました。」
ぐだ子「ペリノア王って顧問監督官だっけ。この話だとガウェイン達が子供のころからアーサー王と一緒にいたのね。」
ぐだ男「そして、戦争は終わり、アーサー王の勝利に終わりました。そして、戦死した偉大なる王たちの葬儀も行われました。
ロット王の葬儀にはモルゴースと4人の子供たちも参加しました。」
218: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:36:23.50 ID:GZxekZ9a0
===墓地================
酒呑童子(モルゴース)「あんたぁ…」
プーサー(…あの婦人。まさか…!)
マリー(ガレス)「おとうさま…おとうさまぁああ!!」(ウェーン)
アグラヴェイン「ガレス、なくな。ちちうえはりっぱにたたかわれたんだ…ぞ。」(グスン)
サンソン(ガヘリス)「…ガウェイン。あいつだ。あいつが父上の仇だ。」
ガウェイン「ええ…覚えておきましょうね。」
ベオウルフ(ペリノア王)「…ふん。」
16
219: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:37:19.33 ID:GZxekZ9a0
===オークニー====
モードレッド「なぜだ、なんでだよ!!」
粛清騎士「申し訳ございません、部屋から出すなと…」
モードレッド「ちちうえはしんだんだろ!どうしておれだけほうっておくんだよ!」
兵士「あの方を同行されないということは…やはり父親は」
粛清騎士「しっ、めったなことを言うな。」
モードレッド「どうして…おれだけ、のけものにするんだよ…」
ぐだ子「…こどもが一人増えているはずなのに4人。モーさんは連れて行ってもらえてないのね。」
マシュ「ええ。しかし、モードレッドの受難はまだこれからです。」
ぐだ男「アーサーとモルゴースとの間の不義により、ロット王は非常にお怒りになりましたが、
じつは、もう一人この件をおもく受けたものがいました。」
220: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:37:59.49 ID:GZxekZ9a0
17
???「いやー。まさか、こんなことになるとはね!」
???「さすがにびっくりだぞう!うん。」
マーリン「僕が手塩にかけて育て上げた王子様が、あんな虫に汚されるなんてね。」
ぐだ男「そう。魔術師マーリンは、二人の子がアーサーの国を滅ぼすことを知っていたんです。」
221: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:38:30.87 ID:GZxekZ9a0
====キャメロット==========
プーサー「…ふー。」
マーリン「やぁアーサー!統一戦争の勝利おめでとう。しかし、随分と
お疲れのようだね。それとも…最近悪い夢に悩まされていたりするのかな?」
プーサー「…マーリン。君は本当になんでもお見通しだね。」
マーリン「もちろんさ。というわけで君に大切な予言をあげるとしよう。」
マーリン「5月1日に生まれた子が君の国を滅ぼすだろう。」
プーサー「…なんだって?」
ぐだ男「マーリンは滅びの予言をアーサーに告げます。
それを聞いたアーサーは思い切った手をうつことになりました。」
222: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:39:02.23 ID:GZxekZ9a0
19
=======キャメロット=======
イアソン(ケイ)「正気か?アーサー。」
プーサー「…僕は予言を受けて未来を知った。未来を知った以上
現在を生きるものとしてなさねばならない。」
子ギル(グリフレッド)「それで考えた結論が…随分とまた乱暴ですね。
仮に予言のいう未来が変わったとしても、我が王の名誉は著しく傷つくでしょう。」
アーラシュ(ルーカン)「人心が離れ別の問題に発展するかもしれない。より悪い方向に転がるかもしれない。
それでも改める気はないのか?」
プーサー「勿論だ。」
イアソン(ケイ)「…ちっ」
子ギル(グリフレッド)「はぁ。」
アーラシュ(ルーカン)「わかったわかった。任せておけ。」
ぐだ男「5月1日に生まれた子供をすべて船にのせ、追放する。それがアーサー王の結論でした。」
223: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:39:37.09 ID:GZxekZ9a0
===港===================
モードレッド「ははうえ、ははうえー!」
酒呑童子(モルゴース)「これは一体どういうつもりや!」
イアソン(ケイ)「5月1日に生まれた子供が、この国を滅ぼす旨の予言があった。
該当する子どもは例外なく追放する!」
酒呑童子(モルゴース)「なんやって…アーサー王の騎士は、そんな命令に従うんか!」
アーラシュ(ルーカン)「ああそうだ。国に…王に仕えるということは、こういうこともひっくるめて、だ。」
酒呑童子(モルゴース)「犬どもめっ!」
子ギル(グリフレッド)「はい。どうぞお恨みください。それで直接王を恨むものが少しでも減るのなら、
これほどうれしいことはありませんよ。」
モードレッド「ははうえー!」
酒呑童子(モルゴース)「メドラウトッ!」
プーサー「…」
ベディヴィエール「…我が王、何もわざわざご覧にならなくても…」
プーサー「…これは僕の選択だ。眼をそらさず見届けなければならない。」
ベディヴィエール「…。」
224: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:40:02.71 ID:GZxekZ9a0
21
ぐだ子「うーん。この伝説だと、モーさんがらみって、ガチで王様の黒歴史ね。」
マシュ「多くの子供が犠牲になったようです。生まれて4か月くらいの赤子や、もっと幼い子も
連れていかれ、国中が悲しみに包まれたとありますね。」
ぐだ子「年齢判定なのに、ガバガバやん。」
ダヴィンチちゃん「無関係の子供も大勢巻き込まれて犠牲になったということだろうね。」
ぐだ男「子供たちを乗せた船は、ある島に向かっていきましたが、途中で船は難破し、
海の藻屑となりました。」
ぐだ子「わお。」
===ウェールズの浜辺===========
オジマンディアス(?)「嵐は去り試練の時はすぎさった。」
モードレット「…。」
オジマンディアス(?)「…。」
オジマンディアス(?)「よかろう。」ひょい。
225: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:41:19.06 ID:GZxekZ9a0
ぐだ男「乗っていた子供たちはほぼ死に絶えましたが、ただ一人モードレットだけが
浜辺に流れ着きました。そこで、ウェールズのよき人に拾われ、育まれることになりました。」
ぐだ子「出エジプト記のリスペクトかな?」
マシュ「一命をとりとめたモードレット卿でしたが、14歳になると旅に出てオークニーに戻り、
モルゴースの子としてアーサー王の元に出仕します。」
ダヴィンチちゃん「ちなみに…キケロの占星術に曰く、夏至の日に母親の体内に宿った子は、
水によって害されることがないそうだ。」
ぐだ子「運命が、モーさんを生かしたのね。
うーん。うちのモーさんもたいがいだけど、この伝説もモーさんも結構
不憫なのね。」
マシュ「さて、モードレッドさんの出生はこんな感じで記されていましたね。
では、話をランスロット卿がフランスにもどったところに戻りましょう。」
ぐだ男「うん。アーサー王は、フランスまでランスロットをやっつけに行かねばならないとして、
甥のモードレット卿にブリテンを託すことにしました。」
226: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:41:58.17 ID:GZxekZ9a0
23
===キャメロット==========
モードレッド「遠征にでる間、オレを宰相に?」
イアソン(ケイ)「ガウェインが遠征を主導する以上、お前以外に任せられる奴はいない。
引き受ける気はあるか?」
モードレット「見当違いの信頼がこんな事態を招いたってことを王は理解しておられるのか?」
イアソン(ケイ)「さてな。…だが、お前にとっても都合がいいだろう。」
モードレッド「…あん?」
イアソン(ケイ)「ガウェインもコンスタンチンもあの様だ。王の信頼にお前だけがこたえることができれば、
将来的に王の後継はどうなるだろうかね?」
モードレッド「…わかった。オレはオレの役目を果たす。」
モードレッド(父上は…オレのことをどう考えているんだ?)
227: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:42:42.95 ID:GZxekZ9a0
24
======カーディフ=========
プーサー「それで、モードレッドは?」
イアソン(ケイ)「引き受ける気はあるそうだ。」
ベディヴィエール「モードレット卿は、政治工作に秀でている方です。
彼が目を光らせれば、大きな騒動は抑えられるでしょう。」
イアソン(ケイ)「問題は、あいつ自身が野心家なことだな。そして何より欲深い。
全く、一体誰に似たんだろうな?」
プーサー「…ここは甥の手腕に期待するしかない。物資も余裕はないし兵は一体どれくらい出せるか?」
アーラシュ(ルーカン)「そうだな、国内の治安維持や防衛にもまわさなきゃならんし…」
ガウェイン「兵については問題ありません。すでに、6万の軍勢を準備しております。」
228: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:43:15.71 ID:GZxekZ9a0
プーサー「ガ、ガウェイン!?」
ガウェイン「此度の戦はブリテンの命運をかける決戦。多少は無理をしてでもなしとげねばなりませんからね。」
イアソン(ケイ)「…六万か。維持するだけの物資があるか?」
アーラシュ(ルーカン)「当然、長引けば長引くほど負担のしわ寄せは、ブリテンにかかるな。」
ガウェイン「ええ、だからこそ早期に決着がつけられるよう頑張りましょう。」
プーサー「…ああ。」
ぐだ男「ランスロット征伐のため、アーサー王は6万の兵を率いて、艦隊で出発しました。」
ぐだ子「戦争って、お金ばかりかかってむなしいものなのね…。」
229: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:43:47.81 ID:GZxekZ9a0
====フランス==========
ランスロット「我が王は大艦隊にて、こちら側に向かっているようだ。兵数はおおよそ数万規模といったところか。」
メドゥーサ(エクター)「とてもそんな大軍を出す余裕はないはずですが、無理をされるものです。」
ランスロット「全くだな。軍を維持するためにも、このフランス全土で彼らが略奪が行われる可能性も0ではない。
故に、諸君らは私の代わりにこの領地を治めてほしい。王と和睦できなかったのは、私ただ一人なのだから、
卿らの支配地となれば我が王も手出しはできないはずだ。」
エミヤオルタ(パロミデス)「それは願ってもない話だな。」
小次郎(ボールス)「有難い話ではある。されど拙者はランスロット卿におともしますぞ。」
ランスロット「頼りになるが、…あまり好戦的にならぬようにな。」
ぐだ男「一方でフランスを支配するランスロットは、自分の領地を協力してくれた騎士達に譲り、
守備を任せます。そして、一部の仲間とともに、アーサー王が攻めてくれるのを待ちました。」
230: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:44:18.23 ID:GZxekZ9a0
プーサー「さて、いよいよフランスに到着するな。」
アーラシュ(ルーカン)「情報によると、ランスロットは自領の大部分を協力した騎士達に譲ったようだ。」
ガウェイン「殊勝なことですね。では未だランスロットを主と慕う愚か者共を殺し、奪い、焼き尽くしましょう。」
イアソン(ケイ)「…おい、ガウェイン。」
ガウェイン「軍を維持するためにも必要です。それに臆病なランスロットは、
いまだ女々しく我が王と和睦しようなどと考えているかもしれません。
もう我々は相容れることはないということを、知らしめましょう。」
プーサー「…やむをえないか。」
ぐだ男「そして、フランスについたアーサー王は、ランスロットの支配下にある町を焼き尽くして
荒廃させていきました。」
ぐだ子「余裕がないとはいえ、王様も体裁を気にしなくなってるわね。」
マシュ「本心で行っているわけではないでしょうが、ここは悲しいですね。」
231: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:45:13.01 ID:GZxekZ9a0
ガウェイン「…ふっふっふ」
ガウェイン「ハハハハハ。ここまで己の領地を荒らされればランスロット卿も戦わざる
を得ないでしょう。」
プーサー「…そうだな。」
===一方====
小次郎(ボールス)「このような乱暴狼藉、黙っているわけにはいきませぬな。」
メディア(ライオネル)「待ちなさい。領民たちも覚悟のうえよ。連中に居座り続ける余裕はないのだから、
こちらは籠城していればそのうち引き上げるでしょう。」
小次郎(ボールス)「では、我らがランスロット卿はどうされるかな?」
ランスロット「…よし。」
ぐだ男「自領を荒らされたランスロット卿ですがやっぱり王と仲直りしたいので、使者を送ることにしました。」
アーラシュ(ルーカン)「おーい。我が王、ガウェイン卿。ランスロットから和睦したい
って使者がきているぞ」
ガウェイン「斬りましょう。」
プーサー「…待て、ガウェイン。お通ししろ。」
232: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:45:45.93 ID:GZxekZ9a0
29
三蔵(使者)「今回のことで、ランスロットは自分に責任があるって認めているわ。」
三蔵(使者)「だから、あなた達がその…領地の人たちにひどいことをしたのも、
仕方がないって言っているわ。」
三蔵(使者)「これ以上あなた達にも無駄に血を流してほしくないの。
お願い、和平して。」
プーサー「ランスロットはそこまで…」
イアソン(ケイ)「懲罰的な意味合いで焼き討ちをしたわけだし、ここらで手打ちにしても
十分、面目は立つんじゃないか。」
三蔵(使者)「!それじゃ、和睦してくれるのね!」
ガウェイン「ダメです。」
プーサー「ガウェイン、その…」
ガウェイン「ダメ。」
三蔵(使者)「…そんなぁ。」
233: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:46:21.10 ID:GZxekZ9a0
ぐだ男「アーサーは、和平を望むランスロットに感激しますが、ガウェインはどうしても
それに同意してくれなかったのでした。」
ぐだ子「それにしても、ここまでくるとガウェインも意固地ね…」
ぐだ男「交渉の決裂を受け、とうとうアーサーの軍勢はランスロットの居城を包囲し、
戦いを挑みます。」
小次郎(ボールス)「さて、ガウェイン卿、先の戦いの決着をつけようでないか!」
ガウェイン「なめるな、未熟者が!」
ズバッ
小次郎(ボールス)「グハッ」
メディア(ライオネル)「ガウェイン卿、いい加減しなさい!こんな無益な
戦いを望んでいるのは貴方だけよ!」
ガウェイン「黙れ裏切り者!!」
ドスッ
メディア(ライオネル)「きゃあ!」
234: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:46:59.41 ID:GZxekZ9a0
32
ぐだ男「ガウェイン卿は、ランスロット卿の甥のボールス卿や、ライオネル卿など、
多くの騎士と毎日戦い、倒していきました。」
小次郎(ボールス)「やはりガウェイン卿は一筋縄ではいきませぬぞ」
メディア(ライオネル)「特に日が上っている間は、とてもじゃないけれど太刀打ちできそうになかったわ。」
ランスロット「…ここに至っては、この私が戦わざるを得ないか。」
ぐだ男「ランスロット卿は、とうとうガウェインと直接立ち会うことにしました。」
ランスロット「ガウェイン卿よ!これ以上無益な戦いはよせ!」
ガウェイン「とうとう出てきたな裏切り者め!弟の仇、取らせてもらうぞ!」
ランスロット「まて、何度でも言うが私は卿とは戦いたくない。どうか許してはくれないか?
卿が取り合ってくれれば、私と我が王は和解することができるだろう。」
235: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:47:35.66 ID:GZxekZ9a0
33
ガウェイン「この期に及んで世迷い事を!」ギィンッ
ランスロット「私が卿や弟たちの窮地を救ったことは一度や二度ではないだろう?私に貴公等を
害する思いはないのはわかっているはずだ。」ヒョイ
ガウェイン「貴様になくとも私にはある!覚悟しろ!」バッ
ランスロット「ガレス卿の件は、本当に申し訳ないと思っている。しかし、あれはギネヴィア様を
お救いするためであり、また自分が生きるための戦いだったのだ。わかってくれ。」ヴン
ガウェイン「だから、仕方なかったとでも言うつもりか?」ペコ
ぐだ男「ランスロット卿はガウェイン卿を説得しようとしますが、ガウェインは許してくれませんでした。
そこで、ランスロットはとうとう戦うことを決心します。」
ランスロット(やはり戦うしかないか…だが、仮に勝利できたとしてもガウェイン卿を殺めるようなことがあれば王との和解は絶望的だ。
しかしガウェインは心に隙がある状況で勝てるような相手ではない。)
ランスロット(…ならば!!)
236: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:48:10.00 ID:GZxekZ9a0
34
ランスロット「そもそもガウェインよ。卿はこの私に勝てると本気で思っているのか?」
ガウェイン「何?」
ランスロット「はっきり言っておく。卿は弱い。」キッパリ
ランスロット「貴様の活躍など、所詮その日中3倍になるという神秘の力によって勇敢な騎士達を欺くことで
なしとげられたにすぎん。」
ガウェイン「な…!裏切り者が!この私を侮辱する気か!!」
ランスロット「侮辱しているのではない、卿の不甲斐なさを指摘してやっているのだ。(よし、冷静さを失ってきたな)」
ランスロット「私は自分が最強であることを理解している。」ドヤァ
ランスロット「ただ唯一トリスタン卿だけが私に匹敵し、またラモラック卿があの若さで私に匹敵しうる素質をもっていた。
だからこそ私はどのような戦いであれ、相手には敬意をもち、欺くことなく正々堂々と戦ってきた。」
ランスロット「謀略をもって仲間を排除したり、集団で襲撃をするような卑怯な真似は
決してしなかった。非力さ故に手段を選べぬ貴公と違ってな!」ブンッ
237: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:48:42.31 ID:GZxekZ9a0
ガウェイン「…!ラモラックのことを言っているのか。確かにあの騎士は
私が殺したが、なぜこの場で引き合いにだす?」ガンッ
ランスロット「…はぁ。まったくガウェインよ、どうしてこの期に及んで見栄を張るのだ?」
ランスロット「『私が殺した』ではなく、『私達が殺した』だろう。そうでなければ、
貴様如きがあの立派な騎士を倒すことはできなかった。」
ランスロット「研鑽を怠り、神秘の力と姦計をもってしか戦えぬ愚か者が、
王のことも顧みずただの私怨でこの私に挑むとは、恥を知れ!!」ブンッ
ガウェイン「」ブチィ
ぐだ男「ランスロット卿はガウェインの力を恐れ、あえて彼の過去の失敗をネチネチと繰り返し挑発します。
怒ったガウェイン卿は、ランスロット卿に襲い掛かりますが、それはランスロット卿の巧妙な罠でした。」
238: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:49:25.44 ID:GZxekZ9a0
===数時間後===========
ガウェイン「ゼーハーゼーハー…まだだ、まだ終わらぬ…」
ランスロット「いや、決着はついた。ガウェインよ。」
ボコー
ガウェイン「ぐはっ!」
ランスロット「ここまでだ。少しは頭を冷やすのだな。」くるっ
ガウェイン「ま…待てランスロット…ころ…せ…私を…早く…とどめを刺せ…」
ランスロット「倒れた騎士を手にかけることはできぬ。」
ガウェイン「ふざける…な。ランスロット…逃げるな…臆病者…め…」ハァハァ
ランスロット「なんとでも言え。だが私は決して貴公を殺めることはしない。
卿が納得するまで私は何度でも受けて立つ!」
ガウェイン「ま…て…ランス…いく…な…」
239: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:50:06.90 ID:GZxekZ9a0
ぐだ男「そしてランスロットは防戦に徹することにより怒り心頭になったガウェインの猛攻を防ぎ切り、日中3倍の時間が切れ
へとへとになったところを死なない程度にボコボコにするのでした…と。」
ぐだ子「ガウェインがガチで気の毒になるんだけど…ちょっと扱い悪すぎない?」
マシュ「うーん。アーサー王の死では、悪しざまにかかれていることが否定できません。」
ぐだ男「作者に嫌われたのかな?」
ダヴィンチちゃん「いや、どちらかというと、当時の宗教事情がかかわっているともいわれている。」
ダヴィンチちゃん「ガウェインくんは、ケルト的な性格が強すぎるんだ。」
ぐだ子「けると?」
ぐだ男「そういえば、ガウェインのスキルの説明にケルトの数字って書いてあるね。」
マシュ「はい。アーサー王の伝説が成立しはじめた頃は、ケルト神話などとうまく融合されている面が見られました。
しかし、時代が進むに従いキリスト教的な価値観が浸透する中で、そのような土着の神話的要素は邪魔なものと
なっていき冷遇され描かれるようになったといわれています。」
ダヴィンチちゃん「アーサー王の死が書かれたのは初期の伝説から3百年もたったあとだからね。
ケルト神話における太陽信仰による加護だったものが、聖人の祝福に変更されるように、
古い伝説のエピソードを新参に奪われたり、いろいろ割りをくっているということさ。」
240: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:50:51.16 ID:GZxekZ9a0
ダヴィンチちゃん「まぁ、これはガウェインくんに限った話じゃないけどね。
特に一番ひどい扱いになっているのは、モルガンとかになるのかな?」
ぐだ子「アーサー王のお姉さんだっけ?」
ダヴィンチちゃん「そうだ。モルガンの名前の由来は、ケルト神話の女神モリガンといわれている…
というよりも、スカサハ=スカディのように同一視されているといった方が正しいかな?」
ぐだ子「え?神様なの?」
マシュ「初期の伝説ではモルガンはブリテン全土における守護女神的な存在として描かれています。
ブリテンのために様々な試練を騎士達に課していき、最後の戦いのあと瀕死になった
アーサー王を、再び世界が必要とする時まで治療するという役割を担っています。」
ダヴィンチちゃん「アーサー王の死では、異教の女神みたいなものだから、勇敢な騎士を弄ぶのが大好きな
意地悪おねえさんになっているけどね。」
ぐだ子「こっちのモルガンはどんな人なのかしらね?いずれあうことになるのかしら。」
ぐだ男「さて、話がちょっと横道にそれたけど…ガウェイン卿は敗れた後に治療を受け、
再度ランスロットに挑みますが、やっぱり負けてしまいました。」
241: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:51:27.92 ID:GZxekZ9a0
====アーサー陣営======
プーサー「…ガウェイン」
ガウェイン「まだです…まだ、私は戦います。双方が生き残ることは決して…」
イアソン(ケイ)「た、大変だアーサー!この報せを見ろ!!」
プーサー「どうした、ケイ卿?…こ、これは!」
ガウェイン「一体どうしたと…(ひょい)。な、なんだと!」
======ランスロット陣営==========
ランスロット「はぁ、ガウェイン卿とはいつになったら分かり合えるのか」
小次郎(ボールス)「ランスロット卿、敵軍の陣営に動きが…」
ランスロット「!!我が王らが撤退している!何かあったのか?」
ぐだ男「ガウェインとランスロットの戦いは、中々終わりが見えませんでしたが、
ブリテンから、ある報せが届き、アーサー王達は撤退をすることにしました。」
242: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:52:17.88 ID:GZxekZ9a0
===少し前のキャメロット=================-
モードレッド「父上が、出征してはや半年…いつまでかかるんだ?諸侯や、民をなだめるにも限度があるぞ。」
マタハリ(モルガン)「ガウェインばかりやる気みたいだけど、他の連中はもう飽き飽きみたいね。」
モードレッド「いくらランスロットが理不尽に強いとはいえ、父上とガウェインがいて討てないって
ことはないだろうよ。」
マタハリ(モルガン)「なりふり構わずランスロットを[ピーーー]ようなことがあれば、フランスの民に
どれほどの遺恨が残るかしらね?」
マタハリ(モルガン)「フランスとの国交が断絶したら…今のブリテンの自給率で交易が途絶えたら干上がっちゃうわよ?」
モードレッド「現在進行中で止まってるんだよ!教皇庁が和睦の仲介をしたのにすぐに戦争したって
諸外国から総スカンくらってるし…大陸のブリテン領はあてにできねえか?」
マタハリ(モルガン)「えーっと、無理ね。ゴールの宿六もなんとかしようとしてるけど、
周辺諸侯に封鎖されてて弟に合流するのも不可能よ。」
モードレッド「はぁ。どっちにしろランスロットと和睦しなけりゃ詰んでるじゃねぇか。」
243: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:52:58.99 ID:GZxekZ9a0
マタハリ(モルガン)「でもガウェインはランスロットを決して許さないでしょうし…いっそのこと
あの子が討ち取られれば…」
モードレッド「そうなったら、それこそ父上はランスロットを許すことができなくなるだろうが」
マタハリ(モルガン)「でしょうね。それで延々とぐだぐだ消耗しつづけていると…」
モードレッド「あー!!戦果もねぇ!吉報もねぇ!補給の要請だけはある!ふざけんな!!」
モードレッド「…この状況で国の体裁を保ってんだから、俺って結構才能あるんじゃね?」
マタハリ(モルガン)「はいはい。…でも実際、あなたが弟の立場だったらどうする?」
モードレッド「あー?…少なくともランスロットとの和睦は絶対。これだけの惨事を引き起こした以上、
どこか拳の振り下ろし先がいる。戦果も必要だし武威を知らしめなきゃならねぇ。となると…」
42
244: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:53:32.06 ID:GZxekZ9a0
モードレッド「ランスロットと速攻で和睦して、今回の出兵はブリテンとフランスと教皇庁との策略で、本当は
教皇庁の要請で悪しきローマ帝国を懲らしめるためだったって宣伝するか。」
マタハリ(モルガン)「へぇ。」
モードレッド「…んで、悪逆非道のローマ帝国をボコボコにして、仲直りにおともだち料をたっぷりせしめて、
教皇庁からお礼をもらって凱旋するかね。」
マタハリ(モルガン)「ローマもいい迷惑ね」
モードレッド「だいじょうぶだいじょうぶ。悪だくみしてないローマがローマなわけねぇし、
認めるまでぶん殴れば認めるだろ。」
マタハリ(モルガン)「もし負けたらそれこそブリテンは世界の敵になるわね。」
モードレッド「黒幕は教皇庁ってことにするからへーきへーき。」
マタハリ(モルガン)「アッティラもびっくりな蛮族っぷりね」
245: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:54:13.22 ID:GZxekZ9a0
モードレッド「力を示して戦果をだしゃ、文句はでねぇだろ…って、冗談はともかく、
そもそも、このブリテンの自給率の低さはどうなってんだ?」
マタハリ(モルガン)「…それが弟の方針なんだから、仕方ないわよ。」
モードレッド「あん?父上に何か落ち度があるみたいに言うじゃねぇか。」
マタハリ(モルガン)「あの子のやってきたことを振り返ってみなさいよ。」
モードレッド「なんだと?父上は先王ウーサーが崩御し、内乱状態になり荒廃しきったブリテンを正統な後継者として
統一なされ、蛮族やローマのような侵略者からこのブリテンを守り切った英雄だろう。」
マタハリ(モルガン)「まぁ、そうね。」
モードレッド「父上は統治だって素晴らしいだろ。思想を異にするような異教徒であっても
功を認めれば円卓の騎士として認めたり公平、公正に統治されている。それに民衆に対しても守るべき教え
を説き教化し決してないがしろにしたりしねぇ。だからこそ、国中の誰もが父上を敬ってるじゃねぇか。」
マタハリ(モルガン)「あんた達の神の教えの是非はともかく、民衆が教化されれば治安は維持されたり、
衛生環境が向上し、インフラは整備され民力が強化されたわね。そこのところは認めてあげるわ。」
246: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:54:56.50 ID:GZxekZ9a0
モードレッド「加えてフランスとのツテで大陸との関係を強化させたのも偉大だったな。」
マタハリ(モルガン)「大陸と交易できて食べ物が供給されれば当面の問題は解決できるわ。
でも何時までたってもブリテンはうだつがあがらない。そうよね?」
モードレッド「…確かにな。インフラが整って、食い物を余所から調達できてるんだから、
ブリテンの人口は増加する。人口が増加すればそれだけブリテンはより開発することができ、
国は豊かになっていく。…はずだった。」
モードレッド「何時まで経っても、ブリテンの生産性はろくにあがらない。目を光らせてるが中間搾取があるわけでも
民がサボってるわけでもない。…この原因はなんだ?気候か?土地柄か?」
マタハリ(モルガン)「ふーん。あんたでも知らないのね。原因は神秘よ、し・ん・ぴ。」
モードレッド「しんぴぃ?なんだそりゃ。」
マタハリ(モルガン)「魔術的なアレよ、あれ。」
モードレッド「父上の剣がピカピカ光ったり、ガウェインが日中力持ちになったりするあれか?」
247: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:55:28.63 ID:GZxekZ9a0
マタハリ(モルガン)「そう、それよ。この星から神秘の力が失われつつあるのよ。」
モードレッド「その神秘とやらがなくなったから作物がとれなくなっているってことか?」
マタハリ(モルガン)「逆よ。世界から神秘が失われつつあるというのに、このブリテンにおいては
未だ神秘が存続してしまっている。その歪みゆえ、ブリテンの地はどんどん
朽ちてきてしまっているのよ。」
モードレッド「ブリテンが時代の流れから置いてけぼりになっているってことか。
…でも、なんで余所じゃ神秘ってのが失われてるんだ?」
マタハリ(モルガン)「そんなの、必要なくなったからに決まってるでしょ。
例えば、虫けらや畜生に神秘の力は必要かしら?」
モードレット「そりゃ、そんな奴らにはいらないだろ。」
マタハリ(モルガン)「じゃあ。虫や獣ですら必要としないものに、なぜ人間は必要とするのかしら?」
248: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:56:21.30 ID:GZxekZ9a0
モードレット「…人間には道理がある。だが世には善が悪に蝕まれるような理不尽なことはあるだろう。
人が人として真理を守るために無力であってはならない。だから神秘は必要だ。」
マタハリ(モルガン)「そうね。だけど人は文化を築き種としての成長を重ねてきた。もはや神秘に頼らずとも
自分たちの力で人理を守れる時代になりつつあるのよ。」
モードレッド「だとしたら、ブリテンが時代の流れに取り残されているってことか?
どうやったら解決できる?」
マタハリ(モルガン)「そうね。ようするに、ある意味で世界と隔絶しているところがあるから、移民を
受け入れたりして、外部から人を受け入れるのを活発化させればいいわ。」
モードレッド「いや、それは無理だろ。ブリテンの混乱の発端はヴォーディガンが
サクソン人を引き入れたことが発端だ。」
モードレッド「ブリテンの民は異民族の入植に関しては否定的だ。父上でも二の足を踏むだろう。」
249: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:56:47.55 ID:GZxekZ9a0
マタハリ(モルガン)「できないからやらないなんてと、あの子にあり得るかしら?
むしろ、時代の流れに逆らっても神秘を維持したいと考える方が自然じゃない?」
モードレッド「…それはそれで間違っちゃいない。今はそうなるべきであっても、いずれ神秘の力に頼らなければ
ならないことが将来起きるかもしれねえ。ブリテンが神秘の最後の砦になってるのなら、
時代の流れに逆らってもそれを維持するのは正しいことだろう。」
マタハリ(モルガン)「ふーん。あなたでもそう思うんだ?」
モードレッド「…どういう意味だ?」
マタハリ(モルガン)「マーリンは全ての未来を見通すわ。だからこそ、あの子も将来的にどのような禍が
来るか知っている。」
マタハリ(モルガン)「そして、その悪しき未来が来ることを防ぐためには、より多くの善のために、
あの子は本来自分が今守らなければならないものを犠牲にすることもいとわないわ。」
マタハリ(モルガン)「そうでしょう?メドラウト。生き残った男の子。」
モードレッド「…!!」
モードレッド「…その名で俺を呼ぶんじゃねえ。俺は円卓の騎士モードレッドだ。」
マタハリ(モルガン)「…フフフ」
250: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:57:33.05 ID:GZxekZ9a0
8
=====ブリテン領内==========
アナタスシア(領民)「ああ、今年もめっきり収穫が減ってしまったようね。」シクシク
カドック(領民)「…アーサー様も、フランスでつらい戦いを強いられているんだ。それを思えば
これくらい我慢しなきゃだめだ。アナタスシア。」
ベリル(領民)「一番つらいのは、友と戦わなければならない王様だもんな。」
カドック(領民)「それに、モードレッド宰相の統治は、思ったよりも穏やかなものだ。。
今回も戦争が続いているが、俺たち民に、無理に税を取り立てたり、賦役を課したりはしていないじゃないか。」
ベリル(領民)「そうだな。邪悪な騎士といわれていたが、案外、俺たちのことを思ってくれているのかもな。」
アナタスシア(領民)「あとはアーサー様とランスロット様が仲直りをしてくれれば、
少しは楽になるわよね?カドック。…あれ?あちらにいる方は…」
モードレッド「…」
カドック(領民)「…こ、これは宰相様!なぜこのようなところにお越しくださるとは?」
251: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:58:01.69 ID:GZxekZ9a0
モードレッド「…つらいか、生活は?」
ベリル(領民)「いーえ、いえ!我らが王様と、ブリテンを思えばこれくらいへっちゃらですよ!ヘヘヘ」
ヒナコ(領民)「私もアーサー様がお若いころから知っているけど、あのお方は本当に、
このブリテンと私達のために、働いてくださってるわ。」
ヒナコ(領民)「…そのためにつらいであろう決断をしなければならないこともあったわ。
だから私たちも苦しいからって弱音を吐いていられないわ。」
ヒナコ(領民)「いつか、きっとブリテンは豊かな国になるわ。未来のためになるとを思えば
まだまだ私達は頑張らないと。」
モードレッド「…そうか、すまないがもうしばらくは皆にも負担を強いることになる。
だが、ブリテン宰相として、いずれ必ず貴公らの奉公に報いることは約束する。
どうか、今しばらく努めてくれ。」
カドック(領民)「ええ、勿論ですよ。」
アナタスシア(領民)「宰相様もご立派にお勤めくださいませ。」
252: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:58:48.12 ID:GZxekZ9a0
===キャメロット==========
モードレッド「…」
マタハリ(モルガン)「民衆ってのはかわいいものよねぇ。よくもまぁあんな子を信じて頑張れるわね。」
モードレッド「…黙れ。」
マタハリ(モルガン)「本来ならば、とうに神秘は失われ、神話の時代から人の時代にと移行しているはず。
運命に逆らってまでして、あの子はどこにいくつもりなのかしら?」
モードレッド「…いい加減にしろ!だいたい、魔女のお前がなぜそんなことを口にする!」
マタハリ(モルガン)「見くびらないで。私にとってはこの大地こそが全てよ。この島に住むすべてが
神秘に頼らず生きていけるレベルに到達したのなら、私はその生命の成長を喜ぶわ。」
マタハリ(モルガン)「ケルトの神が去り聖杯も天に還った今、ただブリテンなんていうこの地に住まう人間たちの
集団の都合で、この島が捻じ曲げられているなんてことの方が馬鹿げているわ。」
253: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/09(日) 23:59:34.27 ID:GZxekZ9a0
51
モードレッド「…ちっ、てめえは、お前の力の源だったケルトの神がいなくなったように、俺たちの神の威光も
失われちまえばいいってだけだろうが!」
マタハリ(モルガン)「なんとでも言いなさい。でもこれだけは覚えておいて。今のブリテンは本来
あるべき運命から外れつつあるわ。ただあの子の意思によってね」
マタハリ(モルガン)「多分。あの子も間違ってはいないでしょう。悪しき運命を知りえたのなら
それを防ごうとするのは理想の王としては当然ですもの」クスクス
マタハリ(モルガン)「過去にもあったでしょう?アーサー王は滅びの子を葬るために
子供たちだけの船を送りだしたわ。」
マタハリ(モルガン)「だけどその時、アーサーは運命に勝てなかった。他の子供は全て死に絶えたけど、
滅びの子は生き延びた。」
マタハリ(モルガン)「今度こそは、弟は運命に勝てるかしらね?まぁ、どちらに転んでも
ブリテンの民たちには、同じことでしょうけどね!」
モードレッド「…」
254: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:00:11.27 ID:GAadkuo/0
=====ブリテン領内==========
ベリル(領民)「お…おい、大変だカドックどん!あの話を聞いたか!」
カドック(領民)「ああベリルどん!なんてことだ、アーサー王様が、ランスロット卿に
討ち取られてしまったって話じゃないか!」
アナタスシア(領民)「ああ、こんなことになってしまうなんて!悲劇だわ!」シクシク
ベリル(領民)「一体この国はどうなってしまうんだ…」
カドック(領民)「なんでも、宰相のモードレッド卿が王になるそうだ。」
アナタスシア(領民)「モードレッド卿…アーサー様が離れられてからは立派に国を治めていたけど、大丈夫かしら?」
ベリル(領民)「それに、アーサー様がころされたなら、やはり敵討ちの戦争になるんじゃないか?」
カドック(領民)「いや、モードレッド様は、先の戦いは教皇庁の和睦案を退けたうえの無謀な戦いの連続であるとして、
これ以上民に負担をかけたくないという理由で、出兵する気はないそうだ。」
255: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:00:46.61 ID:GAadkuo/0
ベリル(領民)「そうか…、素直に喜べはしないが…それならこれ以上生活が苦しくなることはないか。」
カドック(領民)「しばらくは民力の回復につとめたいとおっしゃっているそうだし、
期待はできるかもしれないぞ。」
アナタスシア(領民)「そうね。否定的なことを言いたくないけれど…アーサー王様の時は、常に戦いの連続だったものね。」
ぐだ男「そう。なんと宰相を任されていたモードレット卿は、アーサー王がランスロットに討ち取られてたという
書簡を偽造し、ブリテン中に流言を流しました。そしてだまされた諸侯たちは、
モードレットをブリテンの王に任命されてしまいました。」
ぐだ子「アーサーとランスロットのぐだぐだに乗じて、ここでモーさんが動くのね。」
マシュ「はい。なぜモードレット卿が、謀反をしたのかは不明ですが、書簡を偽造し諸侯達を欺いているあたり、
綿密な計画を立てていたと考えられますね」
ぐだ男「少なくとも周りから祭り上げられた、とかではなく自分の意思っぽいね。
果たして、それに大義はあったのだろうか…。」
ダヴィンチちゃん「モードレットとアーサー王の対立については、王の後継は姉の子供がふさわしいというケルトの風習をとなえる
モルガンと、近親相姦故にキリスト教的価値観によってそれを拒むアーサー王という対立軸である、とする
説もあるそうだよ。」
256: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:01:15.97 ID:GAadkuo/0
===一方=====
天の衣(ギネヴィア)「はぁ、今もあの人とランスロットは争っているのね。心苦しいわ。」
イリヤ(コンスタンチン)「た、大変ですギネヴィア様!」
天の衣(ギネヴィア)「コ、コンスタンチン!どうしたのよ、こんな私に会いに来るなんて…」
イリヤ(コンスタンチン)「いいから、聞いてください!アーサー様が、ランスロット卿に討ち取られた
という書簡が届いたんです!」
天の衣(ギネヴィア)「な…なんですって!そんなことはありえないわ!」
イリヤ(コンスタンチン)「はい。私もそう思います!ただ、諸侯達はこれをすっかり信じてしまっていて、
モードレット卿をブリテンの王と認めてしまったの!」
天の衣(ギネヴィア)「あの子ったら…とうとう、本性を現したわね。」
イリヤ(コンスタンチン)「それだけじゃないです!モードレッド卿は、その…」
天の衣(ギネヴィア)「?」
イリヤ(コンスタンチン)「王になるあたりに、ギネヴィア様を妻とすると表明したんです!」
天の衣(ギネヴィア)「じょ、冗談じゃないわ!」
257: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:02:12.99 ID:GAadkuo/0
55
ぐだ男「王になったモードレッドは、なんとアーサー王のお妃さま、ギネヴィアを妻にすると宣言します。
しかし、そのことを知ったギネヴィアは、ロンドン塔に逃げ込み籠城しました。」
ぐだ子「アーサー王の奥さんと結婚しようだなんて…お母さんみたいなものよね?
こっちのモーさんもコンプレックスがありそうだけど、かなりこじれてそうね。」
マシュ「以前ギネヴィアが処刑されかけたとき、モードレットはその場に居合わせながらも、擁護しなかった
ので、愛情があったかは疑問が残ります。むしろ、アーサー王を上まわらんとする野心の表れのように見えますね。」
====ロンドン=======
モードレッド「ちっ、厄介なとこに逃げ込みやがって…」
天草(?)「やれやれ一体なんということをなさるのです。モードレッド卿」
モードレッド「カンタベリーの司教か、坊主は引っ込んでろ」
天草(カンタベリー大司教)「王の死を捏造して王の座を簒奪し、あまつさえ実父の妃を妻にしようだなど…
とても見過ごせません。悔い改めなさい。」
モードレッド「ふん。民衆と諸侯を手懐けるには、ギネヴィアを王妃にするのが一番手っ取り早いだろうが。
オレはオレのすべきことをするだけだ。」
天草(カンタベリー司教)「愚かな…しかしここにいたっては仕方ありません。」
天草(カンタベリー司教)「ベルとブックとキャンドルを。」
天草(カンタベリー司教)「鐘書燭破門式を執り行います。」
258: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:03:05.73 ID:GAadkuo/0
ぐだ男「モードレットはギネヴィアの対応に手をこまねいている間に、不穏を察知した
カンタベリー司教の手により、破門されてしまいます。そして、とうとうアーサー王の軍勢も
ブリテンに向かっていることを知り、ドーヴァーで迎え撃つことにしました。」
=======ドーヴァー=======
モードレッド「奴らを上陸させるな!迎え撃て!!」
ガウェイン「モードレッド…!裏切ったのは本当のようですね。
何故こんな馬鹿なことを…!」
モードレッド「ガウェインか。そうだな。
…本当に、なんでだろうな?」
モードレッド「本来ならば、お前がこうしていても可笑しくはないんだからなぁ?」
ガウェイン「貴様、狂ったか?」
モードレッド「おかしいのはお前だよ。ガウェイン。一体なんで王の甥の中で最も王に近しいテメエが
王の代理たる宰相に任じられずに前線に出て、父親も定かじゃねぇ、本来
前線で使い潰されるに相応しいオレがブリテンを任されたんだろうなぁ?」
259: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:03:55.06 ID:GAadkuo/0
57
モードレッド「今お前がいる場所が本来オレのいるべき場所だった。そうだろうが。」
ガウェイン「…!!」
モードレッド「テメェはアグヴェインや自分のガキを抑えることができなかった。」
モードレッド「ガヘリスやガレスを守ることすらもできなかった。」
モードレッド「挙句オレの場所まで奪っておきながら、てめぇこそ一体何がしたいんだ?」
モードレッド「…オレは別に王に疎まれ続けて、目の届く範囲で死ぬまで飼い殺されたとしても、
それならそれで構わなかったよ。これでも自分の邪悪さは理解してるからな。」
モードレッド「だが、もう手遅れだ。結局人間はやるべきことをやらなきゃならねぇってことだろう。」ジャキン
ガウェイン「…くっ」
モードレッド「…最後の最後弟の役に立てたんだ。喜んで地獄に落ちろ!」
260: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:04:56.18 ID:GAadkuo/0
58
===数時間後======
ガウェイン「…ぐふっ」
イアソン(ケイ)「ガウェイン!しっかりしろ!本隊は無事に上陸できたんだ。死ぬんじゃねぇ!」
ガウェイン「…この傷ではもう持ちません。治療は不要です。だが、最後にまだ…やるべきことが…」
イアソン(ケイ)「なんだ?言ってみろ!」
ガウェイン「紙とペンを…ランスロットに…手紙…を…」
ぐだ男「ドーヴァーで戦いが始まります。アーサー王は無事に上陸することができましたが、
ガウェインは、モードレッドにランスロット戦で追った古傷を抉られて戦死しました。」
ぐだ子「ガウェイン…ちょっと暴走しすぎたけど、ここまでなのね。」
261: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:05:53.40 ID:GAadkuo/0
====ブリテン======
プーサー「…そうか、ガウェインが…」
アーラシュ(ルーカン)「ああ。…それで王よ、領民たちがお前に会いたいそうだ。」
カドック(領民)「…」
アナタスシア(領民)「…」
プーサー「諸君らが、モードレッドに欺かれていたことは承知している。それゆえモードレッドに
与したのも仕方がないことだ。だから、私は君らを罰するつもりはない。安心してくれ。」
カドック(領民)「王よ、貴方が不在の間、モードレッド卿の統治は、穏やかなものでした。」
プーサー「!」
アナタスシア(領民)「むしろ、私達はアーサー様がご存命を聞き、ある恐れが沸いてきました。」
アナタスシア(領民)「アーサー王様のもとでは、常に戦いと、争いのつづく生活が強いられるのではないか、と。」
262: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:07:11.62 ID:GAadkuo/0
ヒナコ(領民)「このブリテンのために、最も働かれ、戦われ、そして来るしんでいるのがアーサー王様だったということは
理解しております。だから私達も、今は皆が未来のために、苦しくても、働き続けなければならない。
それは、理解しております。…理解しておりますが…」
ベリル(領民)「それでも、俺たちは…疲れちまった。モードレッド様のもとでなら、
無理に戦い続けることもなく穏やかに、生きられるんじゃないかって…だから、俺たちは
本気でモードレッド様を応援した。」
ベディヴィエール「…そんな!あなた達は、本気で王を裏切ったと認めるのか!」
プーサー「待て、ベディヴィエール!」
アナタスシア(領民)「申し訳ありません!それでも、私達は貴方様のように強い人間ではないの!」
カドック(領民)「こう思っている人たちは少なくない。ブリテンの民は多くがモードレッド卿を支持しております。
どうか、ご容赦ください。」
ヒナコ(領民)「本当に申し訳ありません。誰よりもアーサー王様がブリテンと私達民のことを思われているのに…」
プーサー「…違う、僕は…」ボソッ
ヒナコ(領民)「?アーサー様?」
イアソン(ケイ)「ほらほら、わかったわかった。甥が死んで我らが王もお疲れなんだ。お前たちには絶対悪くはしないから
とっとと家に帰った帰った!!」
プーサー「…」
263: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:07:59.48 ID:GAadkuo/0
ぐだ男「無事ブリテンに帰還したアーサー王でしたが、民たちの間では、モードレッド卿は穏やかな暮らしを約束してくれるが、
アーサー王のもとでは、常に戦いの連続である苦しい生活を強いられるという世論が巻き起こっており、多くの者が
モードレッドを支持していたのでした。」
ぐだ子「うーん。民衆に見放されて不憫だけど、アーサー王の統治にやっぱり不満を思っていた人も
いたのでしょうね。」
マシュ「当時のブリテンの状況から、戦いと争いがあり、老いも若きも苦しい生活を強いられるのは仕方ないことだったと
思います。ただ、アーサー王が誰よりも働き戦ったが故に、民がそれに倣おうとして無理がたたり、
ある種の厭戦感情が高まっていたとしても無理らしからぬことです。」
ぐだ男「そして、アーサー王の死のモーさんはその感情にうまくつけいった、と。
こっちとは違った意味でやり手ではあるね。」
ぐだ男「そして、アーサー王はモードレッド卿と戦いを始めます。」
264: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:09:00.05 ID:GAadkuo/0
=====バラムの丘========
プーサー「モードレッド!何故だ!何故裏切った!!」
モードレッド「アンタこそ一体どこに向かっているんだ?落ち着いて回りを見てみろよ。
もうアンタを王と頂く者はこの地にはいやしない。」
モードレッド「諸侯は俺を王と認めた。そしてブリテンの王は破門された。
新しいブリテンの主は神秘を能動的に放棄した。
この地は呪われ、神秘は失われる。…いや、神秘から解放されるというべきか?」
プーサー「なんてことを!貴様、自分が何をしでかしたかわかっているのか!
この地から神秘が失われれば…」
モードレッド「勿論だ。ブリテンは取り残された時代から世界に合流することだろう。
捻じ曲げらた大地は元に戻る。そのために、アンタのたくらみが潰れたとして
なんの問題があるというんだ?」
プーサー「ふざけるな!終わらない、終わらせはしない!」
265: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:09:49.95 ID:GAadkuo/0
モードレッド「立派なもんだな…そのために、自分の民をも苦しめても構わなかったのか?」
プーサー「神秘を維持しつつとも、世界ととの繋がりを上手くすれば管理すれば、ブリテンの繁栄は可能だった!
貴様が余計なことをしなければ…!」
モードレッド「それは運命に逆らってまでもすべきことか。」
プーサー「いずれそれが世界を救うことにに繋がるのなら、私は運命にいくらでも抗おう。」
モードレッド「そうか。クックック…ハーッハッハッハ!
そうだ、それが、アンタの本音だ。アーサー王!!」
プーサー「…!?」
266: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:10:23.21 ID:GAadkuo/0
モードレッド「世界を救うためなら運命を乗りこえようとする、さぞ立派なことだろうさ!
そして、自分がそうであるように、民にもそれを強いるのだろう!」
モードレッド「だからこそ我が子にも、お前も運命を乗り越えるためこの場で[ピーーー]と
命じられたんだなぁ!!」
プーサー「モードレッド、貴様、一体何を言っている?」
モードレッド「ハハハ。今更俺をその名で呼ぶなアーサー王。モードレッドはあくまで
円卓の騎士としてのオレの名だ。国は滅び、円卓は崩壊した今それはふさわしくはない。
それとも忘れちまったのか?」
モードレッド「メドラウトの名に覚えはないか?」
プーサー「…!まさか、そんな…!!」
ぐだ男「モードレッドも食い下がりますが、アーサー王に退けられます。
双方多くの犠牲者を出したため、お互い、次こそ決着をつけるべく準備に入りました。」
267: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:11:51.29 ID:GAadkuo/0
65
===夜======
プーサー「うーん。うーん。」
??「我が王…我が王…私の声が聞こえますか?」
プーサー「うぅ…その声は…ガウェインか?生きていたのか!」
ガウェイン「いえ、しにました。今の私は亡霊です。」
プーサー「そうか…すまない。私が不甲斐ないばっかりにお前まで…」
ガウェイン「王に落ち度などありません。私が愚かでした。
自分の立場をわきまえず、申し訳ないばかりです。」
ガウェイン「ただしぬ寸前といはいえ、愚かさに気づけたのは幸いでした。
最後に一つだけ、自分の役割を果たせました。」
268: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:12:42.99 ID:GAadkuo/0
===フランス=======
小次郎(ボールス)「ランスロット卿、ガウェイン卿からお手紙でござる。」
ランスロット「なに…おお、この内容は!モードレッドめが、謀反を起こした故、
援軍を頼むだと?これは、急がねば、ボールス。すぐに出陣するぞ!」
小次郎(ボールス)「御意に。」
メドゥーサ(エクター)「…ってことだそうです。」
メディア(ライオネル)「…置いてけぼりくらったわね。いくらなんでも急ぎすぎよ。」
メドゥーサ(エクター)「はやく追いかけましょう!」
269: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:13:29.93 ID:GAadkuo/0
プーサー「ランスロットに手紙をだって!」
ガウェイン「はい。ランスロットと合流できれば、我が王に敵はおりません。
…ただ、モードレッド卿のことなのですが…」
ガウェイン「一度、和睦していただきたいです。」
プーサー「…彼を許せということか?」
ガウェイン「それは、王がお決めになることです。それにランスロットが援軍にくるまで
時間がかかるはずですし、今の状態のまま戦えば、恐らく皆しに絶えることになるでしょう。
合流するまでの間でも構いません。どうか、奴に一度だけ機会を与えてください。」
プーサー「…。」
ガウェイン「私が自分の間違いに気づいたときは、遅すぎました。だからこそ、我が王には
同じことをしてほしくない。」
プーサー「わかった。」
ガウェイン「ありがとうございます。それではこの国を…弟を、頼みます。」
ぐだ男「決戦を前にして、ガウェイン卿の亡霊がアーサー王の夢枕に現れます。話によると、
ガウェインはいまわの際にランスロットに援軍要請をしたということだそうで、
それまでの間、停戦してくださいということでした。」
ぐだ子「なんだかんだで、ガウェインも立派な忠臣よね。」
270: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:14:05.44 ID:GAadkuo/0
68
======モードレッド陣営========
モードレッド「おい、てめぇら!これは一体どういうつもりだ!」
アーラシュ(ルーカン)「何って…停戦協定を結ぶための条件だ。これで不満か?」
ベディヴィエール「コーンウォール、そしてケントの地を我が王は卿に任せるご意向です。」
モードレッド「そこじゃねぇよ!王の死後…王は、我が子に領地をすべて相続させるだと!何考えてんだ!」
アーラシュ(ルーカン)「おいおい。王の生前から全てを手中に収めなければ気がすまないのか?」
モードレッド「ふざけるな。俺の母親を、一体誰だと思っている!我が王の実の姉だぞ!」
モードレッド「ブリテンの王が、ブリテンの教えに反する罪を犯していたと、世界中に知らしめる気か!」
ベディヴィエール「破門されたあなたがそれを言いますか?…ブリテンの教えは、贖い…万能なる神と
人との和解についても説いています。」
271: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:14:40.41 ID:GAadkuo/0
アーラシュ(ルーカン)「今になってだが、王はかつての過ちから目をそらさず、認めるつもりだ。
そのうえで、罪を償い、全てをやり直しになさる。だからお前にもう一度機会を与えられたいそうだ。」
アーラシュ(ルーカン)「そのためならば、内外からの全ての批難をも身に受ける覚悟だが…お前はそれを受け、どうする?」
モードレッド「ぐ…が…!」
ぐだ男「アーサー王は、ルーカンとベデヴィエールの兄弟と司祭をモードレッドのもとに派遣し、休戦協定の
交渉をします。そして、モードレッドはまずコーンウォールとケントを統治し、王が崩御したら改めて
ブリテンの全てを引きつぐという内容に決まりました。」
ぐだ子「ランスロットと合流するまでの時間稼ぎのはずだけど結構思い切った条件なのね。
結局、はごにするのかしら?」
ぐだ男「そして、協定の調印のため、カムランでアーサー王とモードレッド卿は会談します。
両軍の兵が向かいあう中、話し合いが始まります。」
272: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:15:19.73 ID:GAadkuo/0
====カムラン=========
プーサー「モードレッドは罪を犯した。だが私にも大きな過ちがあり、それを償うためにも
私はモードレッドに対しても、その機会を与えねばならない。」
モードレッド「王は道を誤った。しかし、王は自身の否を認められた。それをやりなおしたいと
いうのであれば、私もそれに応じなければならない。」
プーサー 「だが、知っての通りモードレッドは邪悪な騎士だ。」
モードレッド「存じているとおり、アーサー王は非情なる王だ。」
プーサー・モードレッド「「会見の場で、誰かが剣を抜けば、それは和睦の失敗を意味する。
速やかに戦いにうつるように」」
両軍「「おー。おー。」」
ぐだ男「アーサー王とモードレッドは、緊張感が高まる中、会談の場で誰かが剣を抜けば、
速やかに戦えと兵士に伝え、交渉が始まります。その結果、無事和睦しました。」
ぐだ子「え、あの条件で和睦できたんだ。」
273: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:16:16.46 ID:GAadkuo/0
モードレッド「この和睦は、ランスロットが来るまでの時間稼ぎか?」
プーサー「そうなるかもしれないが、それはお前の態度次第だ。」
モードレッド「あとになってオレを血祭にあげたとしても…オレを自分の子と認めた事実は
変わらない。わかっているのか?」
プーサー「…偽りの土台の上に、平和を築きあげたとしてそれになんの価値がある?」
プーサー「ランスロットの一件だってそうだ。僕が理想の王であろうとしたことがゆえに、
目をそらしつづけたことが発端だった。」
プーサー「どれだけ批判され侮辱されることになっても構わない。
僕は過ちをすべて認め、最初から全てをやり直す。」
プーサー「…モードレッド、協力してくれるか?」
モードレッド「…ひとつ条件がある。」
プーサー「なんだ?」
モードレッド「…これからは…その…父上、と呼んで構わないか?」
プーサー「…ああ。もちろんだ。我が子よ。」
274: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:17:02.33 ID:GAadkuo/0
藤丸立香(?)「ふー。よくわからないけど、これでブリテンは平和になるのかな?」
清姫(?)「ふふ」もそっ
清姫(?)「ふふふふふっふふふふふふふふふふふふふふふふっふふふふふふふ」シュルシュル
藤丸立香(?)「わー、蛇だー。」
スパァン
清姫(蛇)「きゃあ」
プーサー「…え?」
モードレッド「…な?そこの、騎士、お前…」
藤丸立香(騎士)「あ、俺剣抜いちゃった。」
275: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:18:00.51 ID:GAadkuo/0
両軍「「うおー、和睦は決裂したー。戦うぞー」」
プーサー「…くそっ、今日は最悪な日だ!!」
モードレッド「・・・ハハ。そうか。やはり、こうなるか。そうだろうな。
ハーッハッハハ!」
藤丸立香(騎士)「アーサー王も、モードレッド卿も、はじかれるように自分の陣営に戻った!
俺も戻らなきゃ…って、あれ?俺どっちの陣営だっけ?」
ぐだ男「会談の場に、蛇が迷い込みある騎士の足にまとわりつきました、騎士は驚き、剣を抜き、
蛇を切ります。しかし、それに両軍は和睦が決裂したと思い、戦いがはじまってしまいました。」
ぐだ子「あー、結局和睦はダメになるとおもったけど、どっちの意向でもなかったのね。」
マシュ「はい。ただ一触即発の場であったことは推察できますし、ある意味で必然。運命といえるかもしれません」
ダヴィンチちゃん「蛇とはキリスト教における悪魔の象徴でもある。」
ぐだ子「和睦したまま解散した場合、ランスロットがブリテンにやってきたら、
アーサー王はどうするつもりだったのかしらね。」
マシュ「…。」
276: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:18:42.43 ID:GAadkuo/0
====カムラン============
プーサー「…あ…あ…」
死体の山「…」
プーサー「ああああああああああ!!」
ぐだ男「両軍は激しく戦い。アーサー王とその配下の騎士ルーカンとベデヴィエール。そして
モードレッドの4人以外は皆死にました。」
ぐだ子「そういえばケイ卿は?」
マシュ「恐らくこの戦いで亡くなります。」
モードレッド「…へぇ、あんたでもそんな顔をするんだな。」
プーサー「モード…レッド…!」
モードレッド「…やれやれ。一体何を悲しんでいるんだか。どいつもこいつもブリテンを思って
覚悟を決め戦い、しんでいったんじゃないか。王ならば、悲しむんじゃなくて、ねぎらってやれよ。」
モードレッド「誰であろうと死ぬ。国もいずれ滅ぶ。全てを見通す邪悪な夢魔を従えても、運命は変わらない。」
277: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:19:36.55 ID:GAadkuo/0
モードレッド「運命には勝てないし、勝つ必要もない。
運命を変えようとすること自体人の領分を越えたことなのだから。」
モードレッド「だからこそ今日ここに集った騎士達は幸せ者だ。そんなちっぽけな人間の身で、
運命を悟り、そのうえ全うしたんだ。全く素晴らしい話じゃないか。」
モードレッド「自分の運命を理解する以上の幸せがあるか?自分の役目が、
国を滅ぼすような邪悪なものであったとしてもだ。」
モードレッド「子供たちが、ただ滅びの子と同じ日に生まれたというだけで理不尽な力で、
なんの意味もわからず死んでいったのに比べれば。」
モードレッド「本当に…オレは、オレはなんて幸せ者なんだろうなぁ?父上。」
プーサー「モードレッド!呪われた子め!槍をよこせルーカン!!
今この場で決着をつけてやる!」
アーラシュ「待て、アーサー!!この場は引け!」
ぐだ男「アーサー王は、モードレッドが死体の山のうえで剣を杖に休んでいるのを見つけると、ルーカンが
止めるのも聞かず槍を彼からひったくりモードレッドに襲い掛かりました。アーサー王はモードレッドを
槍で貫きますが、モードレッドの迎撃も止まらず、兜を剣で叩きつけられました。」
ぐだ子「モーさんガッツがないのが不思議なくらいタフね。」
278: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:20:16.75 ID:GAadkuo/0
アーラシュ(ルーカン)「…王よ、王よ!返事をしてくれ…!」
プーサー「…」
プーサー「…僕は…恐れた…」
アーラシュ(ルーカン)「…王?」
プーサー「あの子を恐れていた。滅びの運命を…僕は…知っていた。あの子がいずれ国を滅ぼすと。
だから僕は追放した。遠ざけたかった。過去の自分の失敗から…目をそらしてしまった。」
プーサー「…最初から…あの子から目を離さず向き合っていれば…こんな、仮にそれが滅びにつながったとしても、
仲間同士の争いでない…もっと…穏やかな滅びを迎えることが…できたんじゃないか?」
アーラシュ(ルーカン)「…ハハハ。まるで神様にでもなったような口をきくのは、お前の悪い癖だぞアーサー」がしっ
279: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:21:11.00 ID:GAadkuo/0
プーサー「…まて、ルーカン。そんな傷だらけの体で僕にかまうな。傷口が開くぞ!」
アーラシュ(ルーカン)「黙ってろ。俺の頑丈さはよく知っているだろ。」
アーラシュ(ルーカン)「…なぁアーサー。一体だれがお前を馬鹿にできる?確かにお前は、後になってみれば、間違った選択をしてしまった
こともあっただろう。だがそれでも、俺はお前が王である前に、一人の人間として、常に悩み、決断をしてきたことを
ずっと見てきた。そんなお前を、どこの誰が批判する資格がある?後の世でお前が誰に何を言われようが知らないが、俺は
今この場で言ってやる。」
アーラシュ(ルーカン)「お前は、間違っちゃいない!!」
プーサー「…!ルーカン。…ルーカン!!」ガシッ
アーラシュ(ルーカン)「…!!」ズキッ
プーサー「…?どうした、ルーカン?」
アーラシュ(ルーカン)「はは、なんでもないさ。さぁ、帰ろうぜ。アーサー。」にかっ
ぐだ男「ルーカンとベディヴィエール卿は、王を連れ撤退します。」
280: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:21:50.06 ID:GAadkuo/0
79
===浜辺の礼拝堂=======
プーサー「…?ここは?」
ベデヴィエール「…!王よ。お目覚めになりましたか!よかった。」
アーラシュ(ルーカン)「…」
プーサー「…ああ。私はまた気を失って…、そうかここに運んでくれたのか。
ありがとうルーカン。ベデヴィエール。」
ベデヴィエール「…いえ、そんな恐れ多い。」
アーラシュ(ルーカン)「…」
プーサー「本当に今まで苦労をかけ…おい、ルーカン。どうした…。」
ベデヴィエール「…我が王。兄上は…もう…」
プーサー「…!そうか。すまない。」
ぐだ男「円卓成立以前から仕えた騎士ルーカンは、カムランの戦いの直後に亡くなります。死因はアーサー王を
担いだ際に傷口が開いたためとも、悲嘆にくれるアーサー王に抱きつかれ絞められたたからだとも言われています。」
マシュ「死因の逸話ですがアーサー王の名前が羆に由来する点からとられています。」
ぐだ子「槍トリアの絆礼装ね。」
281: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:22:44.88 ID:GAadkuo/0
プーサー「…もう、ここまでだな。ベデヴィエール。僕の剣を水にお返ししてくれ。」
===水辺=========
ベデヴィエール「我が王の剣…これはいわば、今ブリテンに残った最後の神秘の欠片…これが失われれば、
王は…本当に死んでしまうのでは…」
ぐだ男「ベディヴィエールは、剣を捨てることができませんでした。」
プーサー「剣を水に投げ入れたとき、君は何を見たかな?」
ベデヴィエール「我が王…それは…」
プーサー「お願いだ。ベデヴィエール。」
ベデヴィエール「…はい。」
282: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:23:16.90 ID:GAadkuo/0
81
…その後…
プーサー「また。できなかったんだね。」
ベデヴィエール「…はい。」
ベデヴィエール「カムランの戦いで、皆…皆死んでしまった。
そのうえで…もしも…我が王が死に…そして剣までなくなれば…王の生きた証が…痕跡すら失われる…
それが、私には耐えられません!!」
プーサー「大丈夫だ。僕がしに、国がほろびようとも、国の中で生きた民たちがいる。
それは、必ず未来につながっていく。それこそが、何よりの僕の生きた証なんだ。」
ぐだ男「ベデヴィエール卿は、王に3回頼まれ、やっとのことで、エクスカリバーを投げ入れました。」
283: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:23:54.52 ID:GAadkuo/0
82
スカサハ(?)「キャッチ!!」
ベデヴィエール「…という感じでした。」
プーサー「…そ、そうか。では、僕をそこまで運んでくれ」
ぐだ男「アーサーを背負い、水辺に向かうと、貴婦人が乗った小舟がありました。」
マタハリ(モルガン)「あら?グリフレッドではないのね?まぁ、構わないけど。
出航の準備はできてるわよ。」
ベデヴィエール「…モ、モルガン!あ、貴方は、我が王をどうするつもりです。」
マタハリ(モルガン)「…それを聞いてどうするの?どちらにしても貴方にとっては同じことよ?」
284: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:24:28.59 ID:GAadkuo/0
マタハリ(モルガン)「アーサーは永遠の王。もし傷が癒えて生きながられたとしても、その頃にあなたは
生きてはいないでしょう。はっきり言っておくわ。貴方はもう二度とその子にあうことはない。」
マタハリ(モルガン)「だけど、最後まで貴方の手で看取るのであれば、貴方はアーサーと確かな決別を迎えることが
できるわよ。」
ベデヴィエール「…!」
マタハリ(モルガン)「もし、私の手に引き渡すのであれば、貴方はこの子の騎士の中で、最も苦しい一生を送ることになるわ。
決めるのは貴方よ。さぁ、どうするの?サー・ベディヴィエール?」
プーサー「ベディ…」
ベディヴィエール「剣を返したときに決めたことです。モルガン。王をお頼みします。」
285: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:25:30.39 ID:GAadkuo/0
84
プーサー「…民が僕を覚えている限り、僕は必ず戻ってくる。だが、もし誰もが僕を忘れてしまったのなら、
仕方がない。その時は、僕のために祈ってくれ。」
マタハリ(モルガン)「全く…馬鹿な弟ね。こんなに待たせてくれるんだから。
ま、そこがかわいいんだけどね。」
ぐだ男「そして、船はアーサー王を乗せ、出航しました。ベディヴィエール卿は船が見えなくなるまで眺め、涙するのでした。」
ぐだ子「この貴婦人ってモルガンなの?」
マシュ「伝説によってはモルガンなのですが、例によってケルト臭いのでアーサー王の死では名前は記されていません。」
286: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:26:09.33 ID:GAadkuo/0
====洋上=====
プーサー「ぐっ…」
マタハリ(モルガン)「痛みくらい我慢しなさい。それとも水に飛び込んで、あんたの神のもとに召された方が楽になるかしらね。」
プーサー「そもそも、これはどういう風の吹き回しだ姉上。ずっと僕の邪魔ばかりしたじゃないか。」
マタハリ(モルガン)「生意気。」ペシッ
マタハリ(モルガン)「貴方が馬鹿をやるからよ。あなたは未来を知ったがために、運命を乗り越えようとした。
現在だけでなく、未来をもすべて自分の手で支配し、未来の可能性を否定した。」
マタハリ(モルガン)「だから私は貴方から不死を奪った。貴方が本当に人の領分を超えることがないように。」
プーサー「アコロンの件か。あの時は、僕を殺して、王位を奪おうとしたんじゃないのか?」
マタハリ(モルガン)「ええ。もちろんよ。もしも貴方の望み通りになっていたら、どうなっていたことかしら?」
マタハリ(モルガン)「世界から切り離され、永遠の王によって、統治される神秘の国。」
マタハリ(モルガン)「きっと、人々は神に祈るのではなく、アーサー王こそが神であるとして
あんたに祈りをささげることになるでしょうね。」
86
287: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:26:40.31 ID:GAadkuo/0
マタハリ(モルガン)「貴方の存在そのものが、貴方の理想の最大の妨げになるかもしれないなら、やっつけてでも
止めるわよ。」
プーサー「…むぅ。」
マタハリ(モルガン)「ま、本来の伝説ならば、アルトリウスとメドラウトはカムランでしぬはずだった。
だけど、運命は貴方を生かすことにした。」
マタハリ(モルガン)「だから、いずれ世界がまたあなたを必要とする日がくる。あなたとの決着は、その時に
つけてあげるわよ。」
プーサー「…そうか。ありがとう。姉さん。」
ぐだ男「一説によれば、アーサー王はまた世界が彼を必要とするときに、戻ってくるそうです。」
288: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:27:23.36 ID:GAadkuo/0
====礼拝堂======
天草(カンタベリー司教)「おや、お客様ですか?」
ベデヴィエール「…はい。司教様は、お祈りの最中ですか?。」
天草(カンタベリー司教)「ええ、昨晩、ご婦人方が、ある方の埋葬をしてほしいとやってまいりましてね。」
ベデヴィエール「ま、まさか!我が王は、やはりお亡くなりになったのか!?」
====お墓======
ベデヴィエール「…やはり、モリガンでも駄目だったのか。いや…違う!」
マタハリ(モルガン)(もし、私の手に引き渡すのであれば、貴方はこの子の騎士の中で、最も苦しい一生を送ることになるわ。
決めるのは貴方よ。さぁ、どうするの?サー・ベディヴィエール?)
ベデヴィエール「…我が王が亡くなっていても、生きていても私にとっては同じことだ。
そして、私にはやらなければならないことがある!」
ぐだ男「ベディヴィエールは礼拝堂で高貴な人が埋葬されたことを知り、それがアーサー王であると思い落胆しますが、
そのまま修道士になることにしました。」
289: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:29:24.74 ID:GAadkuo/0
========庵============
ランスロット「久しいな。ベディヴィエール」
ベディヴィエール「…ランスロット卿!なぜこのようなところに?」カリカリ
ランスロット「我が王と、モードレッドの戦いに結局私は間に合わなかった。罪深き身故、
これからは信仰の世界にて暮らそうと思う。」
ベディヴィエール「…しかし、ギネヴィア様は…」カリカリ
ランスロット「ギネヴィア様も、同じく尼僧院に入られた。もう、私も、あの方も
二度と会うべきではないと、話し合い。納得したのだ。」
天草(カンタベリー司教)「いいでしょう、歓迎しますよ。」
ぐだ男「その後、ランスロットが庵にやってきて、一緒に修道士になりました。」
ぐだ子「結局、ギネヴィアとは別れたのね。ランスロットは。」
290: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:30:14.54 ID:GAadkuo/0
89
========庵============
小次郎(ボールス)「しばらくぶりでござる。」
ベディヴィエール「ボールス卿!貴方まで」カリカリ
小次郎(ボールス)「ランスロット殿を探していたのだが。まさか修道士になられていたとは。
せっかく故、拙者も世話になろうか。」
天草(カンタベリー司教)「賑やかになってきましたね。」
その後
小次郎(ボールス)「…」
ベディヴィエール「…」カリカリ
ランスロット「…」
天草(カンタベリー司教)「ギネヴィア様が、お亡くなりになられたそうですね。」
ランスロット「…我が王の墓の隣に…埋葬しましょう。」
ベディヴィエール「…ええ。」カリカリ
291: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:30:58.20 ID:GAadkuo/0
さらにその後
イリヤ(コンスタンチン)「お久しぶりね。ベディ。」
ベディヴィエール「コンスタンチン卿…いえ、今は王になられたのでしたね。
ギネヴィア様の葬儀以来でしょうか?」カリカリ
イリヤ(コンスタンチン)「ええ。あの後…ランスロット卿も亡くなられたわ。
ギネヴィア様が亡くなられてから、食事を一切取らなかったとか」
天草(カンタベリー司教)「彼が亡くなった時、天使が迎えにこられたくらいでしたね。そういえば。」
ベディヴィエール「そして、ボールス卿もランスロット卿が亡くなって、やはり自分は
戦いの中に生きるといって、俗世に戻られましたね」カリカリ
イリヤ(コンスタンチン)「うん。それで、ベディヴィエール卿。あなたも還俗してくれないかしら?
この地を、アーサー様が愛した国の力になってほしいの。」
ベディヴィエール「…申し訳ありませんが、それはできません。私にはやるべきことがある。」カリカリ
ベディヴィエール「いつか、何時の日か、我が王は、必ずこの地に戻ります。だからそのために私は
記されなければならない。この地に住まうものが、決して王のことを忘れないように!」カリカリ
ベディヴィエール「アーサー王の伝説を!!」カリカリ
292: ◆/jG8XyHDyU 2019/06/10(月) 00:31:42.22 ID:GAadkuo/0
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ぐだ男「修道士となったベデヴィエール卿は王となったコンスタンチンからの勧誘を拒み、修道士の修行の傍ら
かつて仕えた王と、騎士達の伝説を記します。彼の手記とその他の伝説をまとめたのがこの
アーサー王の死なので、ある。byトマス・マロリー」
ぐだ子「アーサー王の死…出典はベディだったの。まぁ考えてみたらカムランの戦いを知っていて生きているのは
ベディだけだしね。」
ぐだ男「こっちのベディは、聖剣を返せないから、何年も何年もさまよった。だけど、結局会うことはできた。
アーサー王の死のベディは…結局、アーサーとまた会えたのかな?」
ぐだ子「会えなかったんでしょうね。」
マシュ「…ベデヴィエール卿は、いつも、重い役目を負われますね。」
ぐだ子「でも、面白かったわね。勿論こっちとは違う話ではあるけれど、アーサーとモードレッドが和解したりするとか。」
ぐだ男「こっちのアルトリアとモーさんは仲が悪いけど、別の話で理由はどうであれ
和睦できているのなら、いつか、こっちでも分かり合えるかもしれないしね。」
完
SS速報VIP:ぐだ男「アーサー王の死?」マシュ「はい先輩。」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1556964538/