1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 01:38:50.27 ID:s+MQORV60

P「えぐっ……ひぐっ……」


春香「……ね、ねぇ、プロデューサーさん、ずっと泣いてるけどどうしたのかな」

真「あぁ、フられちゃったんだってさ」

春香「フられた!? それってもしかして……」

真「小鳥さん」

春香「……本当? あんなに仲良かったのに」

P「ぞうだよぉぉ!!」

春香「うわっ、ひどい顔っ」

P「初めて出会ったときにティンときて……ちょっとずつ仲良くなっていって……
 勇気を出してプライベートでの連絡先を交換して、たまに飲みに行くくらいの仲になっていたのに……!」

春香・真「……」

P「へ、へへ……見事に惨敗したんだ……うわぁぁぁぁぁ!」ボロボロ

春香・真「うわぁ……」



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 01:50:18.03 ID:s+MQORV60

P「……俺さ。今度ばかりは本気だったんだ」

春香(なんか語り始めちゃった……)

真(ボク達はもう何度もこの話聞いたんだけどね。聞いてあげようよ)

P「これまで女性とちゃんと付き合ったことなんて無かった。
 もちろん誰かを好きになったことはあったよ。でもよくよく話を聞いていけば彼氏がいるとか、
 思い切って告白しても『君はそういう対象には見れない』とか言われて、フられっぱなし……」

春香(……なんとなくわかる気がする)

真(プロデューサー、ちょっと男らしくないところあるもんね。
  今もこうして泣きじゃくってるし……)

P「それでも今回……音無さんは本気だったんだよ!
 一目見た瞬間からこの人しかいないって思った!
 綺麗だし優しいしお姉さんだし、俺の好みにパーフェクトだったんだ!」

P「もう俺の童貞を捧げるのはこの人しかいない! 運命の人だって思ったんだ!」

春香(なんかサラっとすごいことを言っている気がする)

真(あんまり気にしないでおこうよ……)

P「それなのにぃ……! えぐっ、ひぐっ……」



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 01:57:38.30 ID:s+MQORV60

春香「……プロデューサーさん、でもそれって、ほんとに告白したんですか?」

P「えっ? どういうこと?」

真「少女漫画でもよくあるじゃないですか。本人は告白したつもりでも、
  相手からはそう思われてなくて、勝手にフられた気になっちゃってるって」

春香(プロデューサーさんがビシっと告白するシーンなんて、想像できないんだよね……)

真(悪い人じゃないんだけどね……ちょっとナヨナヨしてるところあるし)

春香(それに、小鳥さんも小鳥さんで、ちょっと鈍感だしね)

P「……それじゃあ、聞くか? 告白したときのこと」

春香「は、はい……」

P「あれはそう、昨日の皆の活動が終わったときのことだった……」

春香・真(昨日の話だったんだ……)



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 02:03:17.50 ID:s+MQORV60

【回想】

みんな「お疲れ様でしたー!」

バタン

小鳥「ふぅ……ようやく今日のスケジュールもほぼ終わり、ですね」

P「そ、そそ、そうですね!」

小鳥「ふふっ、どうしたんですかプロデューサーさん。
   さっきまであんなにビシバシ指導してたのに……そんなに縮こまっちゃって」

P「は、はは……」

P(あなたの前だからカッコつけてたんですよ! なんて言えるわけがない……)

P(でも、今日は……今日こそは……!)

P「お、おお、音無さん!」

小鳥「?」

P「あのっ! きょ、きょ今日……飲みにでもいきませんか!?」



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 02:11:12.59 ID:s+MQORV60

【居酒屋】

小鳥「すいませーん! 生ふたつお願いしまーす!」

店員「ハイよろこんでー!」

・・・

店員「おまたせしましたぁー」ゴトッ

小鳥「どうもー。それじゃあ、明日も仕事ですし、
   あまりゆっくりは出来ませんけど……」

P「は、はい」

小鳥「アイドル達みんなの、これからより一層の活躍を祈って……」

P「……かんぱい!」

小鳥「かんぱーい!」


P(本当は、お洒落なバーとかが良かったんだろうけど、
 俺なんかにそんなお洒落なことできるわけがない)

P(それに、飲みに行くなら、こういう大衆居酒屋のほうが俺達には合ってるって思ったんだ)

P(背伸びなんてしないで、いつも通りの俺達で……)



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 02:20:44.05 ID:s+MQORV60

小鳥「ふふっ、それでそのとき、伊織ちゃんったら……」

P「へぇー……」ゴクゴク


P(音無さんが喋り、俺が相槌をうつ。
 二人で飲みにいくときは、いつもこうなんだ)

P(音無さんはいつだって楽しそうに色々な話をしてくれる。
 アイドルのこと、昨日見たテレビのこと、最近趣味だっていう料理のこと……)

P(俺はそういう話を聞くのが好きだったし、音無さんも俺と同じように、
 こういう時間のことをとても大切に思ってくれているように見えた)


P「……そういえば、昨日雪歩が貴音の髪に巻きついてて……」

小鳥「えっ! それホントですか? うふふっ、雪歩ちゃんったら、
   相変わらず貴音ちゃんのことがお気に入りみたいですね♪」

小鳥「でも、いいのかしら。最近雪歩ちゃん、千早ちゃんとも……」


P(たまに俺が話題を出すと、こんな風に様々な切り口で話を広げてくれる)

P(話上手で、聞き上手。俺はそんな音無さんの姿を見て、
 より一層、この人は素敵だなぁって思った)

P(そして……)



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 02:28:31.61 ID:s+MQORV60

店員「ありがとございましたー。お気をつけてお帰りくださーい」

ピロピロピロン

・・・

小鳥「……すみません、ごちそうに……なっちゃって」

P「い、いえ! いいんですよ、男ですからこれくらい」


P(……俺自身そうしたいって思ったのもあるが、
 そうした方がアピールになるって本に書いてあったからな)

P(もちろん音無さんはおごられることを最初は拒否したけど、
 『それじゃあ、今度飲みに行くときには支払いをお願いします』と言うと、しぶしぶ了承してくれた)

P(アピールする上に今度会う約束も取り付ける。
 ここまではマニュアル通り……完璧だ!)


小鳥「うぅ……」フラフラ

P「だ、大丈夫ですか?」

小鳥「えへへ……ちょっと飲みすぎちゃったみたいです。顔が熱いわぁ……」

P「……」

P(火照ってゆるんだ顔も、綺麗だった。ああもう、音無さんはかわいいなぁ!)



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 02:35:37.33 ID:s+MQORV60

P(でも、そんな音無さんの姿を見るだけで満足しちゃだめだ。
 お、俺は今日、彼女にこの気持ちを告白するつもりなんだから!)


P「……あの、音無さん」

小鳥「え?」

P「少し、あの公園で休んでいきませんか? ちょうどベンチもありますし、
 そんな足取りじゃまともに歩って帰れないでしょう」

小鳥「んー……そーですねぇー。わっかりましたぁ!」

・・・

P「……はい、水ですよ」

小鳥「ありがとーございますぅ」

ごくごく……

小鳥「……ぷはぁ。ふふっ、プロデューサーさんは、いつもお優しいんですね」

P「え!? そ、そうですか?」

小鳥「そうですよぉ。こんな……ひっく。
   アイドルでもない、それに若くもない……私にために、色々と気遣ってくれて」

P「……」



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 02:44:49.50 ID:s+MQORV60

小鳥「私……いつも思ってるんですよぉ」

P「思ってる?」

小鳥「プロデューサーさんみたいな人にプロデュースをしてもらえる、
   アイドルのみんなは、とっても幸せだろうな、って……ふふっ、いいなぁ、って……」

小鳥「私も、あのとき、プロデューサーさんに……いれば……」

P「……」

P(……きっと音無さんが抱いてる俺の印象は、本当の俺の姿とは違うんだろう。
 だって俺は、初めて見たときから音無さんに惚れていて、この人の前ではずっとカッコつけていたんだから)

P(少なくともこの人の前では、アイドル達にとって頼れる存在であろうとずっと思ってきた。
 かっこ悪い、男らしくない素の自分なんて、隠そうと思ってきた。
 そうすればきっと、いつか音無さんにも振り向いてもらえると思ったから……)

P(もちろん、真や春香を初めとした何人かは、そういう嘘にも気付いていただろうけど……
 それでも、音無さんが俺に抱く印象だけは、悪くしたくないって思っていたんだ。
 それだけ、俺の気持ちは本気だったから……!!)


小鳥「だから、私、その……ん? なんだっけ……忘れちゃった」

P「……音無さん!」

小鳥「えー? なんですかー?」

P「じ、実は俺……音無さんに、伝えたいことが……!」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 02:46:11.03 ID:s+MQORV60

 
P「お、俺……!」

小鳥「……」

P「音無さんのことが、好きなんですっ!!」

小鳥「……え?」



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 02:53:42.74 ID:s+MQORV60

P「言った……! つ、ついに言ったぞ……!」

小鳥「ぷ、プロデューサーさん、その……」

P「は、初めて会ったときからそうでした! 音無さんは優しいし綺麗だし、
 俺、765プロに入社して、あなたに会えたことに運命を感じずにはいられなかったんです!」

小鳥「う、運命!?」

P「そうです! 俺のどうて……あ、いや、違くて……」

小鳥「……?」

P「ごほん! とにかく、俺、これからもずっと音無さんと一緒にいたい!
 いえ、これまでとは違う、特別な存在になりたいって思ったんです!!」

小鳥「……そ、それってつまり……?」

P「あなたの恋人になりたいっ!」

小鳥「……!」


P(やっぱり、俺も少し酔っていたんだろう)

P(確かにこういうことは普段から考えてはいたけど、
 こうもスラスラと自分の口から想いが出てくるとは思いもしなかった)

P(……音無さんは随分驚いているようだったけど)



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 02:59:23.78 ID:s+MQORV60

小鳥「え、えぇ、えぇ……こ、こいびっ!?」

P「はい! 是非、あなたの彼氏になって、事務所で目が逢うたびに意味深な目配せをしあったり、
 たまに重なったオフにはふたりでどこか話題のスポットに遊びにいったりして、
 そして夜にはふたりでロマンチックな夜景を見ながら愛を語り合ったりして!」

小鳥「ちょ、ちょちょちょ! ちょっと落ち着いてくださいプロデューサーさん!」

P「ぜぇ……ぜぇ……」

小鳥「……も、もう。私を置いてけぼりにして話を進めないでください」プイッ

P「す、すみません……」

・・・

小鳥「……、」

P「……あの……」

小鳥「……本気、ですか?」

P「も、もちろん!」

小鳥「……そう」



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 03:04:30.35 ID:s+MQORV60

 
P(……それから、時間にして約五分間。
 音無さんはそっぽを向いてどこか遠くを見つめたまま、何か考えているようだった)

P(きっと、俺が言ったことについて考えてくれているんだろう。
 自分が俺という人間についてどう思っているか、そして、どう応えるべきか……)

P(たった五分間だ。アイドル達が一曲歌えばそんな時間あっという間に過ぎてしまう。
 しかし、このときの俺にとっては、その五分間がとても長く感じられた……)

P(そして……)



小鳥「……プロデューサーさんが言ってくれたこと、とても嬉しいです」

P「そ、それじゃあ!」

小鳥「でも、ごめんなさい」

P「え……?」

小鳥「……私、あなたの恋人になることは、出来ません」

P「……!」



P(そして、フられた……)



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 03:11:59.92 ID:s+MQORV60

【回想おわり】

P「……以上です」

春香「ええっ!? 終わり!?」

真「そ、それからどうなったんですか!?」

P「それからも何も……ここまでキッパリ断られた以上、
 どうして? とか聞くのもみっともないだろ?」

P「苦笑いしながら『そうですよね……すみません』って言ったっきり、そこで別れたよ」

春香「……小鳥さんは何か言ってこなかったんですか?」

P「……言ってたような気もする。でも、このときの俺は、
 身体にアルコールがまわっていたこととフられたショックが重なって頭がパンパンになって、
 よく聞いてなかったんだよな」

真・春香「……」

P「とにかく、これで昨日の話は終わりだ。
 春香達は俺がちゃんと告白できなかったって思ったのかもしれないが、
 俺はこうして、堂々と告白し、そしてフられちゃったんだ……はぁ」



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 03:22:06.85 ID:s+MQORV60

ガチャッ

美希「おはようなのー」

P「おお、美希、おはよう……さぁ、美希も来たし、そろそろ時間だな。
 俺もメソメソしてて悪かった。仕事は仕事でちゃんとやるから、もう今日のアイドル活動を開始しよう」

真・春香「……はーい」

・・・

春香「……ねぇ真、さっきのプロデューサーさんの話、どう思う?」

真「うーん……どう考えても、ちょっと変だよね」

春香「やっぱり? 私もそう思ってたんだ」

真「ボクと春香、そして美希のユニットは、他のみんなと違って、
  早いうちからプロデューサーの気持ちに気付いてた。
  だから色々と相談に乗ったり、二人の様子を見ながらニヤニヤしたりしてたんだけど……」

春香「正直言って、ふたりなら付き合えると思ってたんだよね。
   小鳥さんがプロデューサーさんに対して悪い気持ちは持ってないっていうのは、まるわかりだったし」

真「それなのに……」

美希「ねぇねぇ、さっきからなんの話?」

真「……実はね」



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 03:29:10.29 ID:s+MQORV60

美希「ねーねー、プロデューサー」

P「ん?」

美希「フられちゃったの?」

P「うっ」グサッ

P「……春香達から聞いたのか。まぁいいけどさ……」

美希「ミキ、今まで男の人をフってばっかりで、
   フられたことないからわかんないけど……元気出してね?」

P「あぁ……ありがとう」

美希「女の子はたーっくさんいるんだから、小鳥以外にも、
   プロデューサーのことを好きになってくれる面白い趣味の人も、きっといるって思うな!」

P「……さりげなくひどいこと言ってないか?」

美希「あはっ、気のせいなの。……でも、変だよねぇ~」

P「え? 変って……何が?」

美希「だって、小鳥、前に言ってたよ?」


美希「小鳥は、プロデューサーのこと、好きなんだって」



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 03:35:56.46 ID:s+MQORV60

 
一方その頃……765プロ事務所前


小鳥「……ひぃ、ふぅ……よい、しょっと……」

ガタン

小鳥「こ、これで全部ですか?」

律子「ええ。ありがとうございます小鳥さん、手伝ってもらっちゃって」

小鳥「いえいえ、人手が足りないんですから、困ったときはお互い様です。これくらいお安い御用ですよ
   まぁ、さすがに二人だけで衣装をここまで運ぶのは大変でしたけど……」

律子「エレベーター、早く直るといいんですけどね……」

小鳥「ふふっ、本当に」

・・・

小鳥「……新衣装、可愛いですね」

律子「……あの、小鳥さん」

小鳥「え?」

律子「もしかして、プロデューサーと何かありました?」

小鳥「……!」



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 03:41:42.45 ID:s+MQORV60

小鳥「な、なんで……?」

律子「だって、こういう力仕事はいつもだったらプロデューサーに頼むのに、
   小鳥さん、今日に限ってはものすごい勢いで拒否したじゃないですか」

小鳥「……、」

律子「……やっぱり、そうなんですね」

小鳥「……あの、律子さん。実は……」

ガチャッ

P「……あ」

春香・真・美希「あ」

小鳥「あ」

律子「あー」

小鳥「……こ、ここ、これからお仕事ですか?」

P「は、はい……テレビ局へ」

小鳥「そうですか……それでは、お気をつけて……」

P「……行って来ます」

小鳥「行ってらっしゃい……」



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 03:46:31.17 ID:s+MQORV60

 
律子「……行っちゃいましたね」

小鳥「……」

律子「今のプロデューサーと小鳥さんの様子を見て確信しました」

小鳥「うっ」

律子「まぁ、ちょっとずつ話していってくださいよ。
   竜宮小町のみんなが来るまでまだ時間ありますし」

小鳥「……律子さん、意外とこういう話好きなのかしら?」

律子「人並みには。私も女ですから」

小鳥「……実は、昨日……」



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 03:54:28.32 ID:s+MQORV60

【テレビ局】

P「……」

P(三人がステージ衣装に着替えにいったから、一人になってしまった)

P(一人になると、どうしても考えてしまうな……さっき美希が言っていたこと……)


『小鳥は、プロデューサーのこと、好きなんだって』


P(……それって、本当か? 美希が勘違いしてるだけなんじゃないか?
 きっとそうだよな……本当だとしたら、なんでフられたのか説明がつかないし……)

・・・

P「はぁ……」

「……プロデューサー?」

P「ん? この声は……千早か?」クルッ

プニッ

真美「わぁーいひっかかったぁ~!」

P「……真美か。相変わらずモノマネがうまいな」



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 04:02:29.43 ID:s+MQORV60

P(真美は、千早と雪歩と一緒にユニットを組んで活動しているアイドルだ。
 俺の担当ではないが……今日は偶然、仕事現場が重なったみたいだな)

P「千早達は?」

真美「知んないっ」

P「知らないって……同じユニットだろ?」

真美「うあうあー! だって千早お姉ちゃんとゆきぴょん、ずっとイチャイチャしてるんだもん!
   真美、ひとりぼっちでつまんなかったんだよ~」

P「い、イチャイチャ!?」

P(……いや、真美の言葉を鵜呑みにするのはやめとこう。
 この子はあまり物事を考えずに発言しちゃうところがあるからな)

・・・

真美「兄ちゃん、なんか元気ないね? どったの?」

P「……真美にはまだ早いよ」

真美「そーやってまたコドモ扱いして……真美はもう中学生になったんだかんね!
   オトナでムフフな話でもバッチ来いってカンジだよ!」

P「な、何を想像してるんだ?」

真美「んー、わかんないけど……。とにかく、話してみてよ~。
   真美、ヒマでヒマでしょうがなくて、もうバターになっちゃいそうなんだから」



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 04:10:08.90 ID:s+MQORV60

P「……じゃあさ、例えばの話な。これはあくまで俺の話じゃなくて、俺の知り合いの話なんだけど」

真美「うんうん。兄ちゃんのお友達の話だね」

P「そいつには、ずっと好きだった女の子がいるとする。
 出会ったときから一目惚れして、随分長い間想いを募らせてきたんだ」

P「そしてある日、そいつはついにその女の子に告白するんだけど……」

真美「おぉ~! ガンバレ、兄ちゃんの友達!」

P「……でも、結果は惨敗。フられちゃったんだよ」

真美「あぁ~……ザンネンだったね」

P「残念なのは確かだけど……それより変なことが起きたんだ」

真美「ヘンなこと?」

P「あとから他の人が言うには、その女の子も、実はそいつのことが好きだったらしい……」

真美「えっ!? なにそれ、じゃあなんでフっちゃったの!?」

P「わからない……わからないから、こうやって悩んでるんだよ」

真美「……友達の話?」

P「そ、そう。友達の話」



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 04:20:13.14 ID:s+MQORV60

P「……そんなことって、あると思うか?
 フったにも関わらず、実は好きだった、なんて」

真美「あり得ないっしょ~」

P「だよなぁ……」

真美「ガッコの友達のミコティも言ってたよ。自分が好きで、相手も自分のことが好きなら、
   もう年齢なんて関係ない! ガッとやってチュっと吸ってはぁーんって感じで、
   やりたいことやっちゃっていいんだって!」

P「……最近の中学生って、進んでるんだね」

真美「真美はまだよくわかんないけどね。でも、そういうモンなんじゃないの?」

真美「真美がその女の子だったら……真美がその男の子のこと好きで、
   男の子も真美のこと好きだったら、彼氏と彼女になっちゃうもん」

P「お、おいおい。俺の立場上、それは聞き捨てならないな」

真美「兄ちゃんは、ダメって言うの? 好き同士なのに」

P「真美の意見を尊重してやりたいけど、真美はアイドルなんだから。
 プロデューサーとしては、賛成は出来ないよ」

真美「真美はアイドル……」

P「真美が彼氏を作ったせいでファンの皆が悲しむなんて、真美だっていやだろ?」

真美「んー、まぁ、そうだけど……」



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 04:29:13.82 ID:s+MQORV60

真美「……アイドルって、大変なんだね」

P「そういうもんなんだよ。真美は素直な良い子だから、わかってくれるな?」

真美「うん、わかった! 超わかった! 真美はハイパー良い子だからね!」

・・・

真美「……じゃあ、もし本当にその女の子が兄ちゃんのこと好きだったなら、
   なんか理由があるんじゃないかな~?」

P「理由?」

真美「うん。真美がアイドルだから彼氏を作っちゃダメっていうのとおんなじように、
   その女の子にも、彼氏を作っちゃダメって理由があったんだよ」

P「……それって、どんなことだろう?」

真美「わかんないけど……本人に聞いてみれば?」

P「本人って……また難易度が高いな」

真美「ハードモードのほうがやりがいあるっしょ!」

P「あはは、ゲームじゃないんだから……っていうか、あれ?」

P(今、真美、なんて言った?)

P(『もし本当にその女の子が兄ちゃんのこと好きだったなら』って……)



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 04:34:47.38 ID:s+MQORV60

P「お、おい真美! なんか勘違いしてないか? これは……」

<真美ー? どこにいったのー?

真美「あ、千早お姉ちゃんが呼んでるっぽい。
   んっふっふ~、そんじゃあ兄ちゃん、またね!」

P「あの、だからさ、俺の話じゃなくて……」

真美「大体、『友達の話』っていうときは本人の話なんだよね~。
   真美、いろんな友達の話聞いてるから、そういうのわかっちゃうもん」

P「……」

真美「ファイトだよ、兄ちゃんっ!」

P「……、ああ」

P(俺の思考って、中学生と同レベルなんだな……)



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 04:43:48.07 ID:s+MQORV60

P(……きっと、そういうところがダメだったんだろう)

P(年不相応に子供っぽい、男らしくない……今だってそうだ。
 友達の話なんて嘘をついて、挙句真美に見抜かれてしまった。
 よく考えなくてもめちゃくちゃカッコ悪い……)

P(隠そう隠そうと思っても、本当は音無さんは、俺のそういう部分を見抜いていたんだ。
 だから、俺とは恋人になれませんって……)


P「……」

春香「プロデューサーさーん、お待たせしました~」

P「あ、ああ。準備はバッチリみたいだな」

真「へへっ、そりゃあもう! いつでもバリバリいけますよっ!」

美希「……zzz」

真「ああっ、美希! 寝ちゃダメだってば……!」

P「あはは……」


P(……いつまでもこのままじゃダメだ。カッコ悪いとこが見抜かれているなら、それでもいい。
 俺だって、本当のことを言えば諦めきれていないんだから)

P(もう一度聞いてみよう、音無さんに……俺をフった原因を)



48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 04:51:20.70 ID:s+MQORV60

 
一方その頃……765プロ事務所

ガチャ

貴音「おはようございます……おや?」

小鳥「ぁぁ……たかねちゃん……」

貴音「ど、どうしたのですか、小鳥嬢。そのように机にへばりついて……ナメクジのようですよ」

・・・

貴音「……私のほかには、誰もいないようですね」

小鳥「ええ。さっき律子さん達もお仕事に行っちゃったわ」

貴音「それなら、聞かせてください。貴女がそのように落ち込んでいる原因を」

小鳥「……、」

貴音「ふふっ、同じ765プロの仲間ではありませんか」

小鳥「……貴音ちゃん……」


小鳥「あ、あのね、これはあくまで私の話じゃなくて……私の友達の話なんだけど」



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 05:00:35.82 ID:s+MQORV60

 
貴音「……なるほど。想いを告白されたのにも関わらず、
   自分が本当はその殿方に好意を抱いているのにも関わらず、
   その気持ちを拒絶してしまったのですか」

小鳥「……友達の話ね」

貴音「ふふっ、ええ、ではそういうことにしておきましょう」

小鳥「本当にわかってるのかしら……」

・・・

貴音「小鳥嬢。幼い頃から私の世話をしてくれていたじいやは、
   ことあるごとにこう言っておりました」

『スリルの無い愛なんて、興味あるわけないじゃない!』

貴音「と……」

小鳥「……なんの話?」

貴音「愛という感情に、障害は付き物である。
   もしその気持ちが本気なら、何も恐れることはない、ということですよ」

小鳥「……」

貴音「貴女は、何を恐れているのですか?」



52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 05:12:07.01 ID:s+MQORV60

小鳥「私、は……」

小鳥「……これからのことが、怖い」

貴音「これから?」

小鳥「うん……」

・・・

小鳥「プロデューサーとアイドルは、気持ちが繋がっていないといけない。
   それは色んな形があると思う──愛情だったり、信頼だったり」

小鳥「とにかく、プロデューサーとアイドルというのは、そういうものなのよ。
   そうでないと、いずれその関係は崩れて、
   アイドル達はみんなの記憶の中から消えていっちゃう……」

貴音「……」

小鳥「……私は、みんなが765プロに来る前から、そういう例をたくさん見てきたの。
   私は、今の765プロがだいすきよ。アイドル達がいて、プロデューサーさんがいて。
   毎日が本当にあっという間に過ぎていく」

小鳥「だからそれが、なにより怖い……今の765プロが変わっていくのが、壊れていくのが、怖いのよ」

貴音「……その女性が、その殿方の想いを受け入れることによって、
   私達が変わっていってしまうと?」

小鳥「すぐにはそういうことにはならないと思う。でも、このままいけば、きっと……」



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 05:22:51.86 ID:s+MQORV60

貴音「なぜそのようにお考えなのですか?」

小鳥「プロデューサーさんは、アイドル達のことを本当に良く考えていてくれているから。
   みんなの為に汗を流して、みんなの為に笑って、みんなの為に悲しんで……」

小鳥「だからきっと、いずれ、プロデューサーさんのことを好きになる女の子が出てくると思う。
   もしそのとき、私という存在が『彼女』のジャマになってしまったら……誰も、幸せになれない」

貴音「……」

小鳥「って、もうここまで言っちゃったら、友達の話なんて嘘、意味ないわよね……
   あーあ、もうどうにでもな~れ」

貴音「……いいではありませんか」

小鳥「え? いい、って……?」

貴音「貴女の言うとおり、どうにでもなればいいのです。
   現に今、私は、貴女の考えを聞いても悲しい気持ちになどなっていません。
   むしろ、そこまで私達のことを想って下さっている貴女の気持ちに触れて、嬉しい気持ちですらあります」

小鳥「それは……まだ貴音ちゃんが、プロデューサーさんに対して特別な感情を持ってないからでしょう?」

貴音「……、小鳥嬢」

小鳥「……」

貴音「貴女が不幸せになることで、悲しい気持ちになることで、
   誰かが同じように悲しくなるかもしれないとは、考えたことはありますか?」



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 05:40:03.75 ID:s+MQORV60

貴音「経験不足故、私には、愛情という感情が持つ力についてよく存じておりません。
   誰かを想うことによって得られる活力も、それと同時に傷つく悲しみも、わかりません」

貴音「……けれど、これだけは確かなことです」

小鳥「……それって、なに?」

貴音「アイドル達は皆──少なくとも私は、貴女の幸せを願っているということ」

小鳥「……っ」

貴音「……私は、ここに来て皆と出会うまで、ずっと一人きりでした。
   成すべき使命を失った私は、それでも他に選択肢がないからただ漠然とアイドルを続け……、
   かつて目指していた頂点から見える景色を確認するためだけに、ここまで歩いてきたのです」

小鳥「貴音、ちゃん? 何を言って……」

貴音「でも、今は違う……」

小鳥「……」

貴音「信じ合う喜びを覚え、傷つけ合う悲しみを知って……。
   子供がいつしか大人になっていくように、
   私のこころは変わっていき、それと同時に大切なものを受け取りました」

貴音「それは、絆という贈り物。きっと私は、765プロの皆と巡り逢うために、
   今日までの運命を歩いてきたんだと思います」

貴音「……そしてその中には当然。小鳥嬢、貴女も含まれているのですよ」



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 05:49:32.82 ID:s+MQORV60

貴音「貴女がこれまでどのような道を歩んできたか……
   そこにどれだけの悲しみがあったか、どれだけの別れを経験してきたか、私にはわかりません」

貴音「ですから、私が恐れるなと言っても、説得力が無いかもしれません。
   でも、これだけは忘れないでください」

貴音「私達は、貴女が思うほど、弱くはないということを。
   たとえ何があろうとも、この絆があれば、乗り越えられるということを……」

小鳥「……」

貴音「……」

小鳥「……うん」

小鳥「私……もう一度、プロデューサーさんと話をしてみる。
   それで、私の考えていることを、全部伝えるわ」

貴音「ふふっ、それが良いかと」

小鳥「ありがとう、貴音ちゃん」

貴音「いいのですよ。私は、貴女だけでなく、プロデューサーにも、大きな恩義があるのですから」



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 05:52:22.20 ID:s+MQORV60

 
・・・

貴音「……」

ガチャッ

響「はいさーい! お待たせ貴音……って、どうしたんだ?」

貴音「……どうした、とは?」

響「うー……なんか、いつもより暗い気がするんだけど。
  何かあったのか?」

貴音「……響」


ギュッ


響「うぇえっ!? な、なに!?」

貴音「……今だけ、こうして、身体を貸してくれませんか」

響「……、うん……」



60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 06:01:05.43 ID:s+MQORV60

 
貴音「……私と響が765プロに来てから、どれだけの時間が経ったでしょうか?」

響「うーん、一年くらいじゃないか?」

貴音「あのとき、プロデューサーが私達を見出してくれなければ……
   私達は、ここにはいませんでした」

響「……そーだね」

貴音「貴女は、765プロのアイドルになったことを、後悔していませんか?」

響「後悔? そんなのするわけないさー!」

響「みんなと会えて、自分は本当に良かったぞ。
  ひとりでなんでも出来る! いやしなきゃいけないんだー!
  なんて昔は言ってたけど……でも本当は、そんなことなかった」

響「叱ってくれたり、褒めてくれる仲間がいるから、
  自分はさみしくないし、前を向いていられる……」

響「そーいうのってさ……えへへ、なんか良いよね!」

貴音「……そうですね」

貴音「私も、同じ気持ちです」



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 06:10:44.04 ID:s+MQORV60

響「ねぇ、貴音……」

貴音「……」

響「……ううん、やっぱなんでもない。
  言わなくても、貴音の考えてることはなんとなくわかるから」

貴音「……っ」

響「自分達は、アイドルだもんね」

貴音「……そうです、ね」


貴音(アイドルだから……だから私達は、この想いを伝えるために歌を歌う。
   この想いを、この言葉で直接伝えることは、禁じられているから……)

貴音(でも、小鳥嬢……貴女は違う。
   貴女には、まだ起きてもいない未来を憂いて嘆く必要はありません。
   ですから……月並みですが、この言葉を)


貴音「……頑張ってください、小鳥嬢」

響「ピヨコがどうかしたのか?」

貴音「ふふっ、いいえ、なんでもありませんよ。
   さぁ、レッスンへと行きましょう」

貴音「目指すは頂点。私達アイドルには、休んでいる時間など、ありません」



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 06:26:08.18 ID:s+MQORV60

 
その夜、765プロビル前


P「……よ、よし。いくぞ……今度こそ、音無さんに……!」

律子「……あっ、プロデューサー!」

P「え? ああ、律子じゃないか」

律子「お疲れ様です。今帰りですか?」

P「うん。そっちも?」

律子「ええ」

・・・

テクテク……

律子「春香達は?」

P「今日は事務所に寄らせずに、現地解散させたよ。
 久しぶりのテレビ収録だったから、疲れてるだろうし」


P(なんてこと言って、本当は音無さんと二人きりになるチャンスを作るためっていうのもあるんだけど)

P(でも、こうして律子と出くわしてしまったことだし、そのチャンスも無くなっちゃったかもしれないなぁ……)



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 06:30:46.89 ID:s+MQORV60

 
律子「……でも、こうして律子と出くわしてしまったことだし、
   そのチャンスも無くなっちゃったかもしれないなぁ……なーんて、考えてますね?」

P「!?」

律子「ほーら正解」

P「り、律子……お前、超能力があったのか!?」

律子「超能力なんて大それたもの、必要ありません。
   貴方は案外、考えてることが顔に出やすいのよ。自分で思っている以上に」

P「……」

律子「……事務所に戻る前に、少し、二人で話をしませんか?」

P「話?」

律子「ええ。きっと、貴方と小鳥さんにとって、とても大事な話になるから」



67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 06:42:07.39 ID:s+MQORV60

【公園】

律子「……何から話したらいいかしらね」

P「……律子、さっき音無さんのことを言ってたよな? もしかして……」

律子「ええ、昨日のこと、聞きました」

P「……」

律子「小鳥さん本人は『友達の話』なんて言ってましたけど……
   今朝の貴方達の態度を見ていれば、何があったかくらい想像がつきますよ」

・・・

律子「色々と言いたいことはあるんですけど……
   とにかく、最初にこう言っておきます。余計なお世話だなんて思わないでくださいね?」

P「あ、ああ……」

律子「……小鳥さんの本心を、私は知っています。
   貴方は知らなかったかもしれないけど、
   私達は貴方の見ていないところで、色々な話をしているんですから」

P「……もしかして、美希も?」

律子「あら、聞いていたんですか? 
   そう、私と美希は、同じタイミングで小鳥さんから『それ』を聞いたんです」



71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 06:50:27.03 ID:s+MQORV60

【回想、765プロ事務所】

美希「……あーあ。メンドくさいの……」ポチポチ

小鳥「美希ちゃん、さっきから携帯いじってるけど、何やってるの? メール?」

美希「うん。今日もコクハクされちゃったから、ごめんなさいって言ってるんだ~」

小鳥「お、おぉ……私の知らない世界」

美希「知らない世界? 小鳥って、誰かをフったこと、ないの?」

小鳥「ふふ……無いわよ、そもそも誰かにちゃんと告白されたことすら……」

美希「ふーん……ねぇねぇ小鳥! それじゃあ、今好きな人、いる?」

小鳥「えぇっ!? な、何よ、急にそんなこと言って」

美希「だってだって、プロ──もがもが」

律子「ちょっと美希、余計なこと言わないの」

小鳥「……?」



72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 06:58:46.93 ID:s+MQORV60

ヒソヒソ……

律子「……プロデューサーが小鳥さんをどう思ってるかなんて見てれば大体わかるけどね、
   そういうことは本人達だけの問題にしておくべきよ」

美希「なんで?」

律子「なんでって……余計な首をつっこんで、余計に話を面倒にすることないでしょ?」

美希「でも、もし小鳥がプロデューサーを好きなら、それでいいでしょ?
   プロデューサーは小鳥のこと好きなんだから。ゼンゼン興味ないってことになったら、
   小鳥がプロデューサーをフってそれでおしまい。メンドくさいことなんてなんにもないの」

律子「あんたさっき、フるのは面倒くさいって言ってなかった?」

美希「だって、告白される数が多いんだもん……今月、これで二十人目だよ」

律子「……感覚がマヒしてるのかしら……」

・・・

小鳥「ふたりとも、さっきから何のナイショ話?」

美希「……ねぇねぇ小鳥! プロデューサーのこと、どう思ってる?」

小鳥「えっ!?」

律子「ちょっと! あんたねぇ……!」



75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 07:05:50.72 ID:s+MQORV60

美希「……プロデューサーが小鳥のこと好きだってことは言わないよ。余計なことなんでしょ?
   それに、律子……さんは気にならないの?」ヒソヒソ

律子「いや……まぁ、気になるかどうかと言えばそりゃあ……」

小鳥「ぷ、プロデューサーさん? なな、なんでそんな……」

美希「ねーねー! 好き? 嫌い?」

小鳥「いや、まぁ、決して嫌いではないというかなんというか……あわわ」

律子(この慌てよう、中学生か……!)

美希「教えて教えて! ナイショにするから~」

小鳥「あ、あの、ええと……」

律子「……」

・・・

小鳥「……まぁ、はい。ふたりが想像するとおりでございます……。
   私は、あの……プロデューサーさんのことが、その……ごにょごにょ」

律子「……」

美希「律子、結局ミキと一緒に聞いちゃったね。案外ノリノリだったの」

律子「うるさい。あと律子さん、でしょ」



76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 07:13:12.60 ID:s+MQORV60

小鳥「このことは、絶対! 絶対! プロデューサーさんにはナイショにしてね!?」

美希「うん! ミキの口は雪歩より固いよ! ゼッタイナイショにしておくの!」

律子「本当かしら……」

【回想 おわり】


・・・


律子「とまぁ、こんなことがあって」

P「あの、俺、さっき美希から聞いたんだけど……」

律子「あの子の口は亜美真美よりも軽かったみたいね。
   まぁそもそも、女の子だらけのこの事務所で、そういう話が噂にならない方がおかしいのよ」

P「……」

律子「……あっ、ち、ちなみに私は、あずささん以外には言ってませんからね!?」

P「こんなときどんな顔をすればいいのかわからない……」



78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 07:29:17.03 ID:s+MQORV60

律子「……こほん。まぁ、そんなことはどうでもいいんです。
   大事なのは、それを踏まえたうえで、どうして小鳥さんがあなたをフったかってこと」

律子「それがわからないまま小鳥さんの話を聞いたって、きっと幸せな結果は訪れない。
   小鳥さんがたとえ、自分の本心──あなたをフった理由を言って聞かせたところで、
   プロデューサーはそれを否定するだろうから」

P「否定?」

律子「そう。そんなことはありえないって言うに決まってるわ。
   そうしたらきっと、小鳥さんは心をまた閉ざしてしまう」

P「……律子は、それを知ってるんだな?」

律子「知っています、今朝聞いたから。でも、答えは言わない……」

P「……」

律子「あなたの頭で考えてください。答えが違くてもいい。
   考えるという過程……小鳥さんの気持ちを推し量ることが、何より大切なこと」

律子「もちろん、本人に理由を聞いて、何も考えずただそれに頷くだけでもとりあえずはなんとかなるわ。
   でも、それじゃあ本当に結ばれたとにはならない。そんなイージーな道、選ばないで」

P「……ハードだと思ってたんだけど、な」

律子「小鳥さんのことが好きなら、出来るでしょう? これまでの貴方は、
   たくさん小鳥さんのことを考えてきたはず。ただその方向を変えればいいだけなんです」

P「……ああ」



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 07:45:16.83 ID:s+MQORV60

 
律子「まぁ、一個だけヒントをあげるとすれば……さっき私が言ったことを、忘れないでください」

P「律子が言ったこと?」

律子「『貴方は案外、考えてることが顔に出やすい』ってこと。
   良い意味でも、悪い意味でも。第三者である私ですらわかるんですから、
   小鳥さんが『必死に隠そうとしているあなたの本当の姿』に気付いていないわけありません」

P「……!」

律子「それでも、小鳥さんの気持ちは今、あなたに向いている。
   それは、あなたが勘違いしてはいけない、最も大きなことのうちのひとつ……」

律子「変なこと言ったら、余計に小鳥さんは悲しみますからね?」

P「……なぁ、律子」

律子「なんですか?」

P「律子は、どうして俺のために、そこまで言ってくれるんだ? 背中を押してくれるんだ?」

律子「……貴方の為だけじゃありません」

P「それじゃあ、誰の為?」

律子「そんなの、決まってるじゃないですか。貴方と小鳥さんの為です」

律子「貴方と小鳥さんを含めて、私達は765プロの仲間だから。それ以外の理由なんて、必要ないでしょう?
   しっかりしてくださいね、プロデューサー殿っ!」



84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 07:54:13.76 ID:s+MQORV60

 
・・・

P(そう言い残して、律子はその場を去っていった。
 事務所に活動報告をするつもりだったんだけど、今日はもう疲れたのでそれは明日の朝に済ますと言っていた)

P(きっと、俺と音無さんを二人きりにさせようという計らいだったんだろう。
 そう聞いたら、『ご想像におまかせします』と言われてしまったが……)

P(……俺は、考えなくてはならない。律子が言っていたように、
 ただ音無さんからその理由を聞くのではダメだ。
 なぜそう答えたのかを、必死になって考えなくては……)


P(そして、今度こそ……)

P(俺は、ありのままの自分をさらけ出して、音無さんに告白するんだ……!)



86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 08:12:42.75 ID:s+MQORV60

 
765プロ事務所


小鳥「……」


ガチャッ

小鳥「っ!」ビクッ


P「……ただいま戻りました」

小鳥「プロデューサーさん……お帰りなさい」

P「……」

小鳥「あ、あの……みんなは?」

P「みんなは……先に帰っていきました」


P(あるだけの力で、俺の背中を押して……、そしてみんなは帰っていった)

P(今、この場所にいるのは、俺と音無さんだけだ。
 二人きりと言う点では、昨日と同じ。でも、その気持ちは違う……!)

P(俺は……!)



88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 08:18:56.85 ID:s+MQORV60

 

小鳥「……え、えっと、プロデューサーさん。あの、私──」

P「音無さん」

小鳥「は、はい……」

P「色んなこと、たくさん考えました。どうしてこんなことになったのか、
 貴女の気持ちが今、どんな色をしているのか……」

P「正直に言って、決して俺が自分からそう考えたわけじゃありません。
 皆が背中を押してくれたから、だから俺は、今ここに……貴女の目の前にいる」

小鳥「プロデューサーさん……?」

P「……もう、カッコ悪い自分を隠すのはやめにします。
 偽っていた俺がこう言ったところで、結局それは、嘘にしかならないから」

P「その上で、言わせてください」

小鳥「……」




P「俺は、貴女のことが、好きだ……!」



90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 08:31:08.19 ID:s+MQORV60

 
小鳥「……、」

P「お、俺、今まで、あなたに嘘をついていました」

小鳥「嘘……?」

P「……はい。昨日音無さんは、俺に対して、
 『俺にプロデュースをしてもらえるみんなは幸せだ』って言ってくれたけど……
 本当は俺、音無さんが思ってくれているほど、立派な男じゃないんです」

P「自分の本心を誤魔化したり、アイドル達の前で情けない姿を見せて呆れられたり。
 そしてなにより……フられたからってすぐにその場を逃げ出してしまうくらい、臆病者で、弱虫なんです」

小鳥「……」

P「……でも、音無さんを想うこの気持ちだけは、嘘じゃない。
 音無さん、俺は──……!」

小鳥「いいんです」

P「え……?」

小鳥「そんなこと、言われなくたって、私はわかってる。
   私がどれだけ、あなたのことを見てきたと思っているんですか?」

P「……」



91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 08:33:32.65 ID:s+MQORV60

 

小鳥「……それに、気持ちを伝えられるのは、言葉だけじゃない。
   時には言葉が余計になることもある。だから、もういいんです」

小鳥「あなたの気持ちは、ちゃんと、私のこころに伝わったから……」

P「……」

小鳥「……その上で、こう言わせてください」




小鳥「私も、貴方のことが、大好きです……!」

 



99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 08:45:21.29 ID:s+MQORV60

 
・・・

P「……結局、わからなかったんです」

小鳥「……なんのことですか?」

P「音無さんが、どうして俺をフったかってことです。
 律子に言われてたくさん考えたけど……結局、俺にはわからなかった」

小鳥「あ、あの……自分で今更こういうことを言うのもなんですけど、
   ただ単に、『私がプロデューサーさんを好きじゃなかったから』とは思わなかったんですか?」

P「もちろん、最初はそうだと思いましたけど……でも、美希と律子が」

小鳥「……──~~っ!」クルッ

P「お、音無さん? どうしたんですか、そっぽ向いちゃって」

小鳥「……見ないでください。本当にもう、恥ずかしい……!
   それに、私は音無さんじゃありません!」

P「え!? 音無さんじゃなければ、一体……」

小鳥「小鳥です」

P「……」

小鳥「せ、せっかくこうして、お互いの気持ちが裸になったんだから……
   そんなどうでもいいこと考えるより、まず一言でもいいから、名前で呼んでくださいよ」



101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 08:56:57.57 ID:s+MQORV60

 
P「……小鳥さん」

小鳥「ん。まぁ、しばらくはそれで許してあげましょう。んふふ……」

P「あ、あの……どうでもいい、って?
 これって結構、大事なことなんじゃないですか?」

小鳥「……どうでもいいんですよ、そんなこと」



小鳥(……私は、未来のことが怖かった。
   私がプロデューサーさんの気持ちに応えることで、
   これから先、彼のことを好きになるであろうアイドルが傷つくのが、怖かった)

小鳥(でも、それは貴音ちゃんが否定してくれた。
   私自身が幸せになることを、彼女は望んでくれたから……)

小鳥(それに、なにより……)



小鳥「……今、あなたの本当の気持ちに触れたから。さっきの顔を見ることができたから、
   まだ起きてもない未来に不安を抱く必要なんて、無くなっちゃいました」

P「……」

小鳥「大事なのは、『明日』を笑顔で迎えようという気持ち。貴方と一緒なら、きっと未来はうまくいく。
   そう思わせてくれたから……『昨日』のことなんて、今となってはどうでもよくなっちゃったんです」



106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 09:08:00.59 ID:s+MQORV60

 
P「……」

小鳥「……って、ご、ごめんなさい!
   私にとってはどうでも良くても、プロデューサーさんにとってはそうじゃないんですよね!
   あんなに悲しい顔をしていましたし……」

P「……いえ、いいんです。むしろ今となっては、
 昨日フられておいて良かったんだって思えますから」

P「だからこそ俺は、小鳥さんのことを、たくさん考えることができた。
 きっとそれは、これからの未来において、とても大切なことです」


P(大切なのは、考えるという過程……
 律子が言っていたのは、つまりこういうことだったんだろう)


小鳥「……プロデューサーさんがそう言ってくれるなら、
   私は、幸せです」

P「小鳥さんが幸せなら、俺も幸せですよ」

小鳥「ふふっ……あ、でも、プロデューサーさん。
   嘘をついていたのは、貴方だけじゃないかもしれませんよ?」

P「えっ? ど、どういうことですか?」

小鳥「プロデューサーさんが思ってくださっているほど、私は良い女じゃないということです。
   私だって、その……プロデューサーさんの前でカッコつけていたところ、無いとは言えませんから」



107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 09:18:46.06 ID:s+MQORV60

 
P「カッコつけてたって……?」

小鳥「……そういうところも、少しずつ知っていけば良いと思います。
   この場で私の趣味趣向を語るのは照れくさいですし、色々と台無しになりますから」

P「台無しになるような趣味って……あはは、何言ってるんですか!
 趣味程度で引くなんてこと、ありませんよ」

小鳥「ふふふ……そう言っていられるのも、今のうちですよ?」

P「……覚悟しておきます」

・・・

P(それから俺達は、色々な話をした)

P(お互いいつから気持ちを抱いていたかとか、なぜそう感じるようになったかとか。
 いつもだったら彼女の前では口数が少ない俺も、このときばかりは饒舌だった)

P(小鳥さんが俺に言ってくれたことの内容……
 つまりなぜ俺を好きになってくれたかは、ここでは伏せておこう。恥ずかしいからな)


ボーン、ボーン……


小鳥「……あら、もうこんな時間。そろそろ私達も帰りましょうか」

P「……そうですね」



109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 09:31:22.29 ID:s+MQORV60

テクテク……

小鳥「……プロデューサーさん」

P「なんですか?」

小鳥「さっき私が言ったこと、忘れないでくださいね?」

P「さっきっていうと、どうして俺を好きになってくれたかっていう?」

小鳥「そっ、それは忘れてくれて結構ですっ! あ、いや、嘘です。
   忘れられちゃったら絶対いやですけど……
   恥ずかしいから、わざわざ話題に出さないでください……」

P(照れている顔も可愛い……)

・・・

小鳥「……おほん。つまり、昨日のことなんてどうでもいいと、
   今の私が思っているということ」

小鳥「私がプロデューサーさんに望むことは、たったひとつだけ。
   明日を笑顔で迎えようと思った私の気持ちを、消えさせないで欲しいということです」

P「……そのためには、どうしたらいいですか?」

小鳥「ふふっ、簡単なことですよ」

小鳥「毎日、事務所で顔を合わせるたびに、私に好きだと言ってください。
   それだけしてくれれば、私は前を向いていられますから……」



111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 09:43:39.63 ID:s+MQORV60

 
P「……」

小鳥「……重い、ですか? そうですよね……」

P「い、いえ! そんなことは決してありません!」

小鳥「うぅ、私ったら、調子に乗ってるんじゃないかしら……」

P「……約束します。明日から毎日、小鳥さんに気持ちを伝え続けますから」

小鳥「……本当?」

P「はい。それにそもそも、小鳥さんがそう望まなくたって、
 出来ることならそうしたいって俺は思ってました」



P(気持ちを伝えられるのは、言葉だけじゃない。時には言葉が余計になることもある。
 けれどもちろん、言葉に出し続けなければいけない想いもある……)

P(はっきりとしたことは教えてくれなかったけど、
 きっと彼女が俺をフった理由は、そういうところにあるんだろう。
 それを求めてしまうほど、彼女は未来に漠然とした不安を抱いていたんだ)

P(……それなら俺は、そんな彼女の不安を取り除いてやりたい。
 それが、彼女にとって特別な存在になった俺にしか出来ない、たったひとつの役目だから……)



113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 09:53:11.53 ID:s+MQORV60

 
P(きっとこれから、色んなことがあるだろう)

P(ケンカをしてしまうかもしれない。
 彼女を泣かせてしまうことも……もしかしたらあるかもしれない)

P(それでも、俺は、彼女にこう伝え続けよう)



P「……好きです、小鳥さん」

小鳥「……ふふっ、今じゃなくてもいいのに」

小鳥「でも……私も」



P(そうしていれば、きっと未来はうまくいくから)

P(こんな風に、これからもずっと、
 想いと想いを分かち繋ぎ、彼女と歩いていこう……)



小鳥「私も、プロデューサーさんのことが、大好きです……!」

おわり



116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/08(土) 09:54:35.44 ID:s+MQORV60

お付き合いありがとうございました
ピヨちゃんマジ天使


元スレ
P「音無さんに告白したらフられた……」