1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 01:32:19 ID:s9jH1IKs

女「本日は取材を受けていただき、誠にありがとうございます」

剣士「とんでもない」

女「さっそくですが、剣士さんは常に七本の剣を腰や背中に携えておられますが……」

剣士「ああ、俺は七曜の力を秘めた七本の剣を持っている」

女「それぞれの能力を拝見させていただいても、よろしいですか?」

剣士「いいとも」

剣士「じゃあまず、“月の剣”からいこうか」チャキッ



2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 01:36:22 ID:s9jH1IKs

月の剣――

剣士「この剣は月の石を加工して作られた剣といわれていて――
   常に妖しげな光を発している」

ボァァ……

女「この光を見ていると、なんだか自分が自分じゃないような感覚になりますね。
  頭をこねくり回される、というか……」

剣士「その通り。この光には見る者の心を狂わせる作用がある。
   俺もこの剣を入手したての時は、今あなたが感じている感覚に襲われた」

剣士「もしも、この剣の力を最大に発揮したなら――
   おそらくあなたは発狂し、二度と元には戻れないだろう」

女「……恐ろしい剣ですね」ゴクッ



3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 01:39:50 ID:s9jH1IKs

火の剣――

剣士「この剣は、炎竜の牙を鍛えて作られたとされている」

剣士「こうして握っているだけで、手に熱が伝わってくる」ジジッ…

剣士「そして、ひとたび振れば――」ヒュッ

ボワァッ!

女「きゃっ!」

剣士「炎を噴き出す剣となる」

剣士「今のはこけおどしのようなものだが、さらに力を込めれば、
   岩や鉄ぐらいならやすやすと溶かす炎を発することができる」



4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 01:42:07 ID:s9jH1IKs

水の剣――

剣士「この剣には、海神の力が秘められている」

剣士「ちょいと力を込めるだけで、このように水が出てくる」チョロチョロ…

剣士「これがまた美味い」ゴクゴク

剣士「飲んでみるか?」

女「い、いえっ! 結構です!」

剣士「この剣を戦いに用いたなら、たちまち水の激流が巻き起こり、
   敵を打ち滅ぼすことになるだろう」



5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 01:45:02 ID:s9jH1IKs

木の剣――

剣士「この剣は、世界樹の一部とされる」

剣士「新芽にこの剣を近づければ、たちまち生長するし、
   枯れ木にこの剣を近づければ、たちまち息を吹き返す」

剣士「バカな人間に森を焼き払われたエルフのために、森を再生したこともある」

女「今までの剣とはちがい……平和的な剣なのですね」

剣士「だが……もちろん、この剣も強力な魔性を秘めている」

剣士「凶悪な肉食植物を召喚し、敵を襲わせることもできるのだからな」



6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 01:48:15 ID:s9jH1IKs

金の剣――

剣士「キレイだろう?」キラキラ…

女「はい! 光り輝いていて……とても美しいです!」

剣士「元々、剣というものは金属で作るものだし、
   この剣には今までの剣のような特殊な能力は存在しない」

剣士「ただし――」ヒュヒュッ

女「空中に……亀裂が!?」

剣士「すぐ直るがね。この剣は七本の剣の中で一番切れ味がある。
   そう、空間をも切り裂けるほどに」



7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 01:51:01 ID:s9jH1IKs

土の剣――

剣士「大地の力を凝縮してできたとされるのが、この剣だ」

剣士「念を込めて振れば、落石を誘発させ、大地を隆起させることもできる」

剣士「さらに、この剣を地面に突き刺せば――」ザクッ

グラグラ……

女「じ、地震……!」

剣士「我々の周囲にだけ、軽い地震を発生させた。
   全力でやれば、とんでもない天変地異を引き起こすことも可能だ」



8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 01:53:31 ID:s9jH1IKs

日の剣――

剣士「ラストはこれ」

剣士「全ての生命の源である太陽の力が込められたこの剣は、
   やはり七本の剣の中でダントツの創造力と破壊力を誇る」

剣士「ただし、制御するのも非常に難しく、
   もし、使い方を誤れば……俺自身をも滅ぼしかねない剣だ」

剣士「できることなら、なるべく使わずに済ませたい」

女「なるほど……」



9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 01:56:09 ID:s9jH1IKs

剣士「――といったところか」

女「ありがとうございました!」

女「七本の剣の強さと恐ろしさ、そして、これらの剣を使いこなす剣士さんの凄さを、
  私のような素人にも感じ取ることができました!」

剣士「そういってもらえると光栄だね」

剣士「だが、これらの剣には実はさらに隠された力が――」





「グハハハハハッ!」ズシンッ…

剣士「!」ピクッ



10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 01:59:07 ID:s9jH1IKs

女「きゃああああっ! ――ば、化け物っ!」

剣士「お前か……また来たのか」

魔物「グハハハハ……お前ほどの剣士をブッ倒せば、オレの名も上がるからな。
   そうなりゃ、魔竜王様にも褒めていただけるってもんよ!」

魔物「前はコテンパンにされちまったが、今日こそブッ倒してやるぜェ!」

剣士「いいだろう、相手をしてやる」チャキッ

魔物「ガアアアアアッ!」ドドドッ



11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 02:03:44 ID:s9jH1IKs

剣士「月の剣」ボァァァ…

魔物「ぐっ!?」

魔物「ぐ、ぐぐぐ……無駄だ、無駄だァ!」

魔物「こんな光で、オレの精神をどうにかできるわけねえだろう!」

剣士「だいぶ修行を積んだようだな――ならば、火の剣」ブンッ

ゴォワァァァァァッ!

魔物「ぐおっ……!」

魔物「グハハッ! オレのぶ厚く頑丈な皮膚に、こんな炎は通用せんぜ!」



12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 02:05:38 ID:s9jH1IKs

剣士「水の剣」

ザバァァァッ!

魔物「ぐぎぎぎ……っ! こんな水鉄砲に流されるオレ様じゃねえ!」

剣士「木の剣」

ニュルニュル…… キシャァァァッ!

魔物「うおおおっ! 絡みついてきやがった!
   だが、こんな植物どもなんぞ、逆に食い散らかしてやる!」ガブッ



13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 02:08:03 ID:s9jH1IKs

剣士「金の剣」ヒュオッ

ザグゥ!

魔物「ぐおおっ! あぶねえ、あぶねえ。真っ二つにされるとこだった。
   とっとと再生しなきゃなァ」シュゥゥゥ…

剣士「この剣でも完璧には斬れんか……」

魔物「さすがにすげェ斬れ味だぜ! だが、オレの頑丈さの方が上だったようだな!」

剣士「土の剣」ザクッ

ズゴォンッ!

魔物「ぐ、ぐぐ……! たかが土くれの塊で、オレを倒せるわけねェだろう!」



14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 02:11:54 ID:s9jH1IKs

剣士「仕方あるまい……日の剣」

ズオアッ!!!

魔物「ぐおああああっ!? とんでもねぇエネルギーだ!
   だが、そっちの女をかばって……全力は出せなかったようだなァ!」

魔物「そろそろ、こっちからいくぜェ!」ブオンッ

バチィンッ!

剣士「うぐっ……!」ドサッ



女「剣士さんっ!」



15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 02:15:22 ID:s9jH1IKs

女「剣士さん、私のことはかまいません! 日の剣で、あの魔物を倒して下さい!」

剣士「そういうわけにはいかない。戦う術を持たない人を守るのが、剣士の務め。
   もし、あなたを巻き添えにヤツを倒したとしても、
   それは俺にとっては死よりも重い敗北なんだ」

女「だけど……!」

剣士「それに……この七本の剣には秘められた“裏の力”がある」

女「裏の力……!?」

剣士「これから俺はそれを使って、あの魔物を退ける。
   ただし、このことはくれぐれも記事にはしないでもらいたい」

女「わっ、分かりました! 絶対しません!」

女(裏の力……? いったいどんな能力であの魔物を倒すというの……?)



16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 02:17:38 ID:s9jH1IKs

魔物「ケッ、いつまでゴチャゴチャやってやがる!? 次の一撃で終わりにしてやるぜ!」

剣士「…………」ジャキッ





女(剣士さんが、七本の剣を全て同時に抜いた!)



17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 02:20:07 ID:s9jH1IKs

剣士「月の剣」ボァァァ…

魔物「!」ピクッ

魔物「うおおおおっ! 長い一週間が始まるぅ!
   仕事したくねぇぇぇ! 魔竜王様、めっちゃ理不尽だしよォ……!」



剣士「火の剣」ボワァッ

魔物「なんとか一日を乗り越えたけど、まだまだ一週間は長い! しんどいなぁ……」



18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 02:23:18 ID:s9jH1IKs

剣士「水の剣」バシャァッ

魔物「やっと週の真ん中だ! ……ってまだ真ん中かよぉ!」

剣士「木の剣」ニュルニュル…

魔物「週末が見えてきた! ここまできたら根性だ! 乗り越えろ、オレ!」

剣士「金の剣」キラキラ…

魔物「やったぁぁぁぁぁ! 花金だぁぁぁぁぁ!」

魔物「調子こいて、飲みすぎてフラフラだぁ~……」フラッフラッ



19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 02:26:47 ID:s9jH1IKs

剣士「土の剣」グラグラ…

魔物「やっと週末! 待ちに待った週末ゥ!」

魔物「だけどなんか、案外やることなくって、結局寝てただけで一日が終わったァ!
   なんでいつもこうなっちまうんだ!」

魔物「この寝すぎた時の頭痛がまたキツイんだわ……」ズキズキ…

剣士「そして――」チャキッ



20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 02:30:15 ID:s9jH1IKs

剣士「日の剣!」サザエサーンサザエサン

魔物「うぎゃあぁぁぁぁぁっ!!!」

剣士「どうだ?」サザエサーンハ

魔物「や、やめてくれぇぇぇっ! 休みがっ……休みが終わっちまう!
   たっ、助けて……! ぐあぁぁぁぁぁっ!」

女「ああああっ……! く、苦しいっ!」
 (剣の力を直接ぶつけられてない私でさえ、こんなに心を締めつけられるなんて……!)

剣士(ぐっ……やはり、この剣は俺にもダメージがあるか……!)ユッカイダナー



21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 02:33:46 ID:s9jH1IKs

剣士「ハァ、ハァ、ハァ……」

剣士「さぁ、降参するか?」

魔物「降参します……すみませんでした……」

剣士「なら、とっとと魔竜王のいる城へと帰れ。
   おおかた、ヤツから理不尽な仕打ちを受けて、そのうさ晴らしのために、
   俺に挑みにきたのだろう」

剣士「ここで油を売っていたことは、告げ口しないでおいてやるから……」

魔物「あ、ありがとう……」ズシンズシン…

女(魔物たちの世界も、色々大変なんだなぁ……)



22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/10/09(金) 02:38:44 ID:s9jH1IKs

女「七曜の力を秘めた七本の剣……恐ろしい“裏の力”でしたね」

剣士「もちろん今のは全力ではない。もし、もう少し力を発揮させていたら、
   あの魔物はもちろん、俺たち二人の精神も崩壊していただろう」

剣士「やはり、この七本の剣は表の力だけを使用することが望ましい。
   この恐ろしい力……二度と使う機会が来ないことを祈るよ」







                                   ~おわり~



23: ◆3N2X1MjXkE 2015/10/09(金) 02:39:14 ID:s9jH1IKs

以上で終わりです


元スレ
SS深夜VIP:剣士「俺は七曜の力を秘めた七本の剣を持っている」