1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 10:22:36.12 ID:7VtJ8l9YO



ひたぎ「ねえ、阿良々木君」

暦「なんだよ」

ひたぎ「以前交わした約束を覚えているかしら?」

暦「約束?……悪い、記憶にないな」

ひたぎ「そう、ならヒントをだしてあげるわ」

暦「ああ、頼むよ」




3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 10:26:43.25 ID:7VtJ8l9YO


ひたぎ「よいしょ……」

暦「何おもむろに木に登りだしてんだお前は?」

ひたぎ「高いところにいる必要があるからよ」

暦「なんでまた」

ひたぎ「今から阿良々木君に向かって飛びおりるわ。しっかり受け止めて」

暦「いやいや、絶対無理だから!妙な気をおこすな!」




5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 10:32:17.69 ID:7VtJ8l9YO


ひたぎ「酷いわ、阿良々木君。あのときはしっかりと受け止めてくれたのに」

暦「あのとき?」

ひたぎ「私と阿良々木君がまともに話すようになるきっかけとなったことがあったじゃない。上から落ちてきた私を、阿良々木君は受け止めると同時にどさくさに紛れて胸を揉んでくれたわよね」

暦「ああ、そのことか。それはほら、戦場ヶ原の体重がほとんど無かったからであって……って、僕は胸なんか揉んでないぞ!」





6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 10:35:18.28 ID:7VtJ8l9YO


ひたぎ「そうね。童貞にそんな大胆なことをする勇気はないわよね」

暦「ぐ……そ、そんなことより戦場ヶ原、ヒントを早くだしてくれよ。なにか約束したんだろ?」

ひたぎ「……。ここまでいって答えがわからないなんて、阿良々木君の将来が本気で不安になってきたわ」

暦「余計なお世話だ!」





8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 10:40:20.07 ID:7VtJ8l9YO


暦「カニ?そういや、そんな約束もしたな」

ひたぎ「それで、これからどうかしら?」

暦「いまからカニ食べに行くのか?」

ひたぎ「ええ。都合悪かったかしら?」

暦「いや、元々お前とデートするつもりだったんだから時間はあるよ。けど金はないぞ。僕の所持金じゃ精々カニカマ10本奢ってやるくらいしかできない」

ひたぎ「お金の心配はしなくていいわ。私が払うから」

暦「いや、でも……」

ひたぎ「遠慮しないで阿良々木君。これは私を蟹から救ってくれたお礼のようなものだから」



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 10:47:55.72 ID:7VtJ8l9YO


暦「……」

ひたぎ「想像してたのより寒くないわね」

暦「なぁ戦場ヶ原、カニを食べるためだけにわざわざ北海道まで来る必要があったのか?僕にはすごく無駄なことに思えるんだが」

ひたぎ「わかってないわね、阿良々木君。むしろ私たち2人にとってはカニより重要なイベントよ」

暦「重要なイベントねぇ」

ひたぎ「そうね、新婚旅行のカップル版とでもいえば分かり易いかしら」

暦「付き合い始めた記念に旅行するカップルなんて僕らくらいだろうよ」

ひたぎ「かもしれないわね。童貞野郎とメンヘル処女が何をハシャいでいるんだか」

暦「やめろ!哀しくなる……」



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 10:52:26.07 ID:7VtJ8l9YO


暦「待てよ……旅行?戦場ヶ原、お前いま旅行って言ったか?」

ひたぎ「言ったけれど、それが?」

暦「旅行ってことは、もしかして僕たち、宿泊するのか?」

ひたぎ「旅行は旅行でも、日帰り旅行よ。宿に泊まる予定はないわ」

暦「なんだ、そうなのか。まあ、着替えも持ってきてないし、当然か」





14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 10:56:18.16 ID:7VtJ8l9YO


ひたぎ「心なしか、気持ちが沈んでいるように見えるわね、阿良々木君。想像力豊かな阿良々木君は何を期待していたのかしら?」

暦「べ、別に何も期待しちゃいねぇよ」

ひたぎ「そう、それならいいのよ。私としても、そのほうが助かるから」

暦「あ、ああ」

ひたぎ「私、あまり卓球は得意じゃないの」

暦「僕をからかっているんだな?そうなんだろ!」





17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 11:01:51.04 ID:7VtJ8l9YO


ひたぎ「ところで阿良々木君、阿良々木君は北海道に来たのは初めてかしら?」

暦「僕は初めてだよ。戦場ヶ原は?」

ひたぎ「私もよ。お互い北海童貞だったのね」

暦「道民のみなさんに謝れ。速やかにだ」

ひたぎ「ごめんなさい、私は北海道処女でした」

暦「そっちじゃねえよ!」





19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 11:05:55.14 ID:7VtJ8l9YO


ひたぎ「見て、阿良々木君。お土産屋さんがあるわ」

暦「唐突に話題を変えやがったな」

ひたぎ「私はあそこでお父さんと神原へのお土産を買おうと思うのだけれど、いいかしら?」

暦「土産は帰りでいいんじゃないか?どうしてもっていうなら止めはしないけど」

ひたぎ「今のうちに買っておくわ。帰りに買い忘れたら事だから」

暦「そうか。なら僕は向こうのコンビニで立ち読みでもしておくよ」

ひたぎ「発情しないよう気をつけて」

暦「僕が読むのは漫画雑誌だ!」



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 11:13:47.41 ID:7VtJ8l9YO


ひたぎ「お待たせ」

暦「買い物は終わったのか?」

ひたぎ「ええ。お父さんの分も、神原の分もちゃんと買えたわ」

暦「ちなみになにを買ったんだ?キーホルダーか?ペナントか?」

ひたぎ「カニよ」

暦「お前金持ちだな」





21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 11:18:00.40 ID:7VtJ8l9YO


ひたぎ「たくさん買ったから阿良々木君にもわけてあげるわね」

暦「ああ、ありがとう」

ひたぎ「そうそう、定番の白い変人も買ったわ」

暦「それ完全にパチモンだから!一体中に何が入ってんだ?ていうかパチモンを扱ってる店のカニは大丈夫なのか?実はカニカマとかいうオチなんじゃないだろうな!?」





22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 11:20:01.71 ID:7VtJ8l9YO


ひたぎ「大丈夫よ。カニも白い変人も」

暦「白い変人が大丈夫ってどういうことだよ?」

ひたぎ「ちゃんと中には白い変人が入ってるってことよ」

暦「なんか嫌だな、それ」

ひたぎ「食べてみる?」

暦「やめろ!僕にそんな趣味はない!」



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 11:25:22.19 ID:7VtJ8l9YO


暦「美味しいな、これ」

ひたぎ「だからいったじゃない」

暦「……ごめん。いや、謝る必要はないか。中身は変人じゃなくて普通のお菓子だったし」

ひたぎ「阿良々木君、ここで一つお知らせがあるの」

暦「なんだなんだ?悪い知らせはできれば勘弁してほしいんだが」

ひたぎ「お金が無くなったわ」

暦「……え?」





28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 12:24:01.60 ID:7VtJ8l9YO


ひたぎ「きこえなかったかしら?所持金がゼロになったわ」

暦「」

ひたぎ「どうしてこんなことに……一体誰が……」

暦「教えてやろうか。お前がカニを大量に買い込んだからだよ!!」

ひたぎ「福沢諭吉に樋口一葉……みんな私のもとから去っていったわ……」

暦「いや、お前がカニに魅力されたせいだからな!?」



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 12:31:00.72 ID:7VtJ8l9YO


ひたぎ「帰ってきてしまったわね」

暦「帰りのチケットは持ってたんだな。焦ったよ。ていうか、僕たちは結局何しに北海道へいったんだろうな」

ひたぎ「いいじゃない。結果的に北海童貞を卒業できたのだから」

暦「まだいうか!」

ひたぎ「何度でもいうわ。阿良々木君が望むのなら」

暦「……そういうことなら、毎日いってもらおうか」

ひたぎ「毎日?」

暦「そう、毎日。流石に飽きるんじゃないか?」

ひたぎ「かもしれないわね。でもそんなことじゃ困るから、今度声を録音できるタイプの目覚まし時計を買いにいきましょう。それがあれば毎朝私の声が聴けるわ」

暦「戦場ヶ原、恐ろしい子!」





31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 12:38:04.78 ID:7VtJ8l9YO


ひたぎ「ここまででいいわ」

暦「そうか?遠慮しなくてもいいんだぜ?」

ひたぎ「ありがとう、阿良々木君。わざわざ家まで送ってくれて」

暦「時間も時間だしな」

ひたぎ「最近は物騒だから、こんな儚げで可愛らしい女の子を一人にはできないものね」

暦「自分でいうな、自分で。あとお前は儚くないぞ」

ひたぎ「あら、可愛いというのは否定しないのね」

暦「……じゃ、僕は帰るから。またな」





32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 12:41:58.98 ID:7VtJ8l9YO


ひたぎ「待って阿良々木君」

暦「なんだよ?」

ひたぎ「今日の旅行、楽しかったわ。付き合ってくれてありがとう」

暦「僕もそれなりに楽しめたよ。カニは食べられなかったけどな」

ひたぎ「また行きましょうね」

暦「ああ。今度は本当の新婚旅行だといいな」

ひたぎ「え……?」

暦「じょ、冗談だよ。本気にするなよ?」

ひたぎ「残念、そのての冗談は通用しないの。なんせメンヘル処女だから」



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 12:53:15.04 ID:7VtJ8l9YO


暦「ま、まあ、どっちにしろまだまだ先の話だけどな」

ひたぎ「阿良々木君、盗れ」

暦「な……、いまの僕に見蕩れる要素なんてあったか?」

ひたぎ「違うわ、間違っているわよ、阿良々木君」

暦「随分尊大な物言いだな」

ひたぎ「この場合の“とれ”は草かんむりに湯のほうではなく、盗むほうの“盗れ”よ」

暦「僕に何を盗めっていうんだ?まさか僕の帰宅路に二塁ベースが用意されているのか?」

ひたぎ「とてもユニークな発想ね。35点といったところかしら」

暦「赤点すれすれじゃないか!」





34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 12:56:08.26 ID:7VtJ8l9YO


ひたぎ「盗んでほしいものは2つあるのだけれど、その内の1つは既に盗んでいるのよ」

暦「そうなのか?」

ひたぎ「ええ。阿良々木君は見事に盗んでいったわ、私の心を」

暦「」

ひたぎ「あとは私自身を盗むだけね」

暦「どういうことだよ?」

ひたぎ「戦場ヶ原家から私を盗むのよ。そして私は阿良々木ひたぎになるの」

暦「」





35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 12:58:04.12 ID:7VtJ8l9YO


暦「」

ひたぎ「阿良々木君?」

暦「なぁ戦場ヶ原、お前ちょっと急ぎすぎなんじゃないか?」

ひたぎ「そうね、そうかもしれないわね」

暦「まあでも、そういう所も含めて……」

暦「戦場ヶ原、蕩れ」


END



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/23(木) 13:01:36.13 ID:7VtJ8l9YO

終わりです。ありがとうございました


元スレ
戦場ヶ原ひたぎ「阿良々木君、盗れ」