過去作
曜「メゾン・ド・モルゲンレーテ・日の出?」鞠莉「ひどいメドレーね」
鞠莉「そのメガネって度、入ってるやつ?」曜「うん、伊達じゃないよ」
曜「巷に雨の降るごとく」
曜「鞠莉ちゃんお味噌汁理論」
鞠莉「So Close, Yet So Far」
曜「メゾン・ド・モルゲンレーテ・日の出?」鞠莉「ひどいメドレーね」
鞠莉「そのメガネって度、入ってるやつ?」曜「うん、伊達じゃないよ」
曜「巷に雨の降るごとく」
曜「鞠莉ちゃんお味噌汁理論」
鞠莉「So Close, Yet So Far」
【ようまり】鞠莉「コーヒーに付き合ってほしい?」曜「うん!」
曜「鞠莉ちゃん家にお泊まり」
鞠莉「曜ってさ」曜「うん」
1: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:21:25.21 ID:DDvjnl5W.net
ようまり
2: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:22:36.55 ID:DDvjnl5W.net
曜「鞠莉ちゃんって、レモンが好きなんだよね」
鞠莉「そうよ、よく知ってるわね」
曜「あははっ。プロフィールに書いてあるからね。でも、レモンのどんなところが好きなの?」
鞠莉「どんなところ…と、言うと?」
曜「ほら、私を含めて、好きなものにフルーツを挙げる人は多いでしょ?でも、酸っぱい果物は珍しいなって思ってて、ずっと聞いてみたかったんだ」
鞠莉「たしかに、善子はいちごが好きだし、曜とちかっち、それに花丸はみかん好きだものね」
曜「みかんとレモン。同じ柑橘系だけど、味も香りも全然違うよね。甘くて美味しいレモン、とはあまり言わないし」
鞠莉「糖度が高い品種もあるみたいだけど、私はあの酸っぱさと香りが好きかな。レモンを食べるとリフレッシュできるし、疲れた時も元気が出るでしょ」
曜「ビタミンCとか、クエン酸のおかげ?」
鞠莉「そうね。疲労回復やストレスの軽減だけじゃなく、美容や健康にも効果がある。レモンまさに良い事尽くめのスーパーフルーツなの!」
曜「あははっ。なら、鞠莉ちゃんがいつも元気で輝いていられる理由はレモンにあり、ってことかな?」
鞠莉「ふふっ、かもね。曜は、あまりレモンは食べない?」
曜「うーん、正直そんなには。最後に食べたのって、かき氷アイスに乗ってるのくらいかも。身近な割に、食べる機会が少ないよね、レモンって」
鞠莉「みかんと違って、その場で食べるようなものじゃないからね。飲み物とかに入ってることは多いけど」
曜「その他だと、料理やデザートに添えるものってイメージが強いよね。あっ、でも、レモンの蜂蜜漬けはたまに作るよ!」
鞠莉「そうなの?」
曜「うん!部活の関係で中学の頃から作っててね、結構評判いいんだ!」
鞠莉「ふふっ、それは是非食べてみたいわ」
曜「じゃあ今度作ってくるよ、差し入れする!」
鞠莉「えっ」
曜「ん?」
鞠莉「えっと、私のために作ってくれるの?みんなに、じゃなくて?」
曜「みんなの分も作ってくるけど、それとは別に鞠莉ちゃん用ってことで!腕によりをかけちゃうよ!」
鞠莉「ふふっ、そっか。なら、そのときは一緒にお茶しましょう。曜が来てくれるのを楽しみにしてるわ」
曜「うんっ!美味しいのを持って行くよ、待っててね!」
鞠莉「やっぱり曜は、笑顔がとびっきりシャイニーね」
曜「えへへっ、これもレモンのおかげ、かな?」
鞠莉「まあ。うふふっ」
曜「あははっ!」
……………………………………
練習帰り、ファミレス
曜「はい、コーラお待たせ!」
鞠莉「ありがとう。曜も疲れてるのに、お願いしちゃってごめんね?」
曜「いいっていいって!鞠莉ちゃん奥側の席だから、取りに行くのも大変だしね」
鞠莉「ふふっ、その気遣いが嬉しいわ」
曜「コーラはレモンフレーバーにしてあるけど、レモン果汁も持ってきたから、お好みで使ってね」
鞠莉「至れり尽くせりね。曜は何にしたの?」
曜「私はジンジャーエール。同じくレモンフレーバーの、ね!」
鞠莉「へえ、そういうのもあるんだ」
曜「前から気になってたんだけど、私も飲むのは初めて。ついつい試してみたくなるんだよね、こういうのって」
鞠莉「どんな味なのかしら。美味しければ、次はそれにしようかな」
曜「まずは飲んで確かめてみないと、だよね。ではでは、今日も一日お疲れ様でした。かんぱーい!」
鞠莉「ふふっ、お疲れ様。乾杯っ」
曜「さてさて、気になるお味は――おっ」
鞠莉「どう?」
曜「ジンジャーとレモンが思ったほど喧嘩しないで仲良くしてる感じ。私は好きだよ!」
鞠莉「一口もらえる?」
曜「どうぞー」
鞠莉「ありがと――ん、なかなか美味しい」
曜「でしょ!」
鞠莉「ふーむ。決めた」
曜「ん?」
鞠莉「これちょうだい」
曜「あっ、ずるい!」
鞠莉「代わりにコーラあげるから」
曜「むう、それなら…」
鞠莉「交渉成立ね」
曜「まあ、コーラも好きだしね――んぅ、結構すっぱい」
鞠莉「果汁を足したからね。きっと疲れが取れるわ」
曜「そっか、そうだね!えへへっ」
鞠莉「ふふっ。ね、お代わりお願いしていい?」
曜「もちろん!」
鞠莉「でも、よかったの?」
曜「ん、何が?」
鞠莉「今日これから食べるものよ。唐揚げセットを頼んでたけど、いつもみたくハンバーグじゃなくてよかったのかなって」
曜「ああ。今日はなんだか無性に唐揚げ気分でさ。朝から食べたい食べたいーって、ずっと思ってたんだ」
鞠莉「うふふっ、どんな気分よ」
曜「それに、このお店の唐揚げはかなり美味しいらしいんだ。ふたりでシェアして食べようね!」
鞠莉「じゃあ、私のたらこスパもシェアするわね」
曜「えへへっ。楽しみだなぁ、唐揚げ…!」
鞠莉「すっかり目をシャイニーさせちゃって。本当に唐揚げのことで頭がいっぱいみたいね、ふふっ」
――――――――
「お待たせしました、唐揚げセットです。ごゆっくりどうぞ」
曜「わぁ、待ってました!」
鞠莉「湯気までキラキラ輝いてる。まさに出来たて、揚げたてって感じね」
曜「すごく美味しそう。いや、美味しいこと間違いなしだよ!」
鞠莉「ふふっ。エキサイトしすぎると食べ頃を逃すわよ。熱々のうちにいただきましょう」
曜「うん!ではさっそく…あっ」
鞠莉「曜?」
曜「う、うーん…」
鞠莉「どうしたの。今の今までワクワクでいっぱいだったのに、突然深刻な顔をして」
曜「…ごめん。これのことなんだけど」
鞠莉「これって、お皿に添えられたレモン?」
曜「鞠莉ちゃんがレモン大好きだってことはよくわかってる。わかってるんだけど…」
鞠莉「けど?」
曜「私、唐揚げには何もかけないで食べる派なんだ。揚げたての衣がカリっとしたのが好きで…」
鞠莉「…えっ?」
曜「ご、ごめん…」
鞠莉「えっと、そんなこと?かけずに食べればいいじゃない」
曜「え、いいの?」
鞠莉「当然よ」
曜「でも、鞠莉ちゃんはレモン使う派?」
鞠莉「まあ、ね」
曜「じゃあレモン使いたいでしょ?」
鞠莉「そこはほら、自分の小皿に取ってから使うから大丈夫よ」
曜「…あ。ああ!そっか、その手が!」
鞠莉「その手もなにも、真っ先に思いつきそうなことだけど」
曜「あはは、鞠莉ちゃんと方針が分かれたらどうしようって、そっちに気を取られちゃって」
鞠莉「うふふ、大げさねぇ。急にシリアスになるからびっくりしたわ。でも、よければレモンも試してみない?」
曜「えっ」
鞠莉「レモンの酸味が加わるとまた違うわよ。その様子だと、最近試したことないんでしょ」
曜「う、うん…でも」
鞠莉「ほら、あーん」
曜「あ、あーん…」
曜(んむ、反射的に食べちゃった――って!)
曜「あっつ!?」
鞠莉「ああっ、揚げたてなんだから気をつけないと」
曜(鞠莉ちゃんがいきなり「あーん」なんてするから…)
曜「んぐ、むぐ…んっ」
鞠莉「お味はいかが?」
曜「ん…美味しい、かも」
鞠莉「何よ、かもって」
曜「熱かったし、いきなりで正直よくわからなかったから…」
鞠莉「なら、もう一度ね。今度は気をつけてよ?はい、あーん」
曜「あー、んっ」
鞠莉「カリっとした食感を残すために、レモンは控えめにしてみたわ。どうかしら?」
曜(ん…悪くない、こういうの、すごく…)
鞠莉「いい顔してる。お気に召したみたいね」
曜「うん、とっても気に入ったよ!えへへっ!」
鞠莉「じゃあ、私もいただこうかな。曜にならって何もかけずに――んっ、おいしっ」
曜「そして、揚げ物にはやっぱり炭酸だよね!」
鞠莉「時間的にちょっと罪悪感がある組み合わせだけど、今日のところは練習を頑張ったから、よしとしなきゃね」
曜「そうそう!あ、鞠莉ちゃんのたらこスパも来たみたい!」
「お待たせしました。たらこスパです」
鞠莉「はーい。あ、小皿を唐揚げで使っちゃった。すみません、取り分け用のお皿をもらえますか」
曜「ああ、私が取ってくるよ。飲み物お代わりに行くし」
鞠莉「いいの?」
曜「うん!」
「えっと、お皿はよろしいですか?」
鞠莉「はい。うちの働き者さんがやってくれるみたいです、うふふっ」
曜「えへへっ!」
……………………………………
‪曜「鞠莉ちゃん、お疲れ様!おやっ?」‬
‪鞠莉「あら曜。どうかした?」‬
‪曜「手に持ってるそれ、ラムネ?」‬
‪鞠莉「そうよ。曜も食べる?」‬
‪曜「食べる食べる!えへへ、懐かしいなぁ。子供の頃は良く食べたんだ」‬
‪鞠莉「最近ブームなんですって。ブドウ糖は脳のエネルギー源だし、リフレッシュや疲労回復効果もあるから、受験生やビジネスパーソンに大人気って、記事で見てね。大人買いする人もいるそうよ」‬
‪曜「へえ、なら鞠莉ちゃんにもぴったりだね!」
鞠莉「ところで、ラムネの語源ってなんだか知ってる?」
曜「語源?ラムネはラムネじゃないの?」
鞠莉「実はとある飲み物から変化したものなの。曜もよくご存知の、ね」
曜「ええっ、そうなの?なんだろう、私もよく知っている…?」
鞠莉「ヒントは、レモンが関係しているわ」
曜「レモン…あっ、もしかして、レモネード?」
鞠莉「正解っ!」
曜「やった!なるほどね、確かに響きが似てるかも。ラムネとレモネード」
鞠莉「レモネードがなまって呼ばれるようになり、それとともに独自の変化を遂げたものが、こんにちのラムネと言われているわ」
曜「レモネード、れぁむねーど、らむね…なるほど、ハヤシライスがハッシュから変化したのとと同じだね!」
鞠莉「あら、よく覚えてたわね」
曜「えへへっ。ちゃんと覚えてるよ!でも、名前は似てるけど、イメージはかなり違うよね。レモネードとは全然別の飲み物っていうか、ラムネって言ったら、このラムネ菓子の容器みたいな瓶を思い浮かべるし」
鞠莉「曜の言うとおり、ビー玉が栓になる独特のボトル自体が、まさにラムネ最大の特徴ね」
曜「ビー玉を押し込むときのドキドキ感が良いんだよね!開けたときのポンっていう響きと、しゅわしゅわ弾けるラムネの泡…あの音を聞くと、自然と乾杯したくなっちゃうんだ!」
鞠莉「ふふっ。わかるわ、その心躍るワクワクする気持ち」
曜「ちなみに、ラムネとサイダーってよく似てるけど、何が違うの?」
鞠莉「サイダーはラムネをベースに作られたと言われているわ。ラムネは由来のとおりレモン風味の飲み物なんだけど、対するサイダーはりんご風味なの」
鞠莉「サイダーっていう名前も、フランス語でりんご酒を意味する『シードル』から来ているそうよ」
曜「そうなんだ!でも、どっちも果物の風味はそんなに感じないね」
鞠莉「元々はそれぞれ特徴や作り方の違いがあったそうだけど、今は味や香りに大きな差はなくなってるみたいね」
曜「ってことは、やっぱり決め手はボトルってこと?」
鞠莉「そういうこと。曜がラムネと聞いてこの容器を連想したように、ビー玉ボトルに入っているのがラムネで、そうじゃないのがサイダーという分け方をするのが一般的よ」
曜「なるほど…さすがは鞠莉ちゃん先生、長年の疑問が解決して頭も気分もスッキリだよ!あ、さっき食べたラムネの効果もあるのかも!」
‪鞠莉「うふふっ、かもね。ってことで、はいコレ」
曜「えっ、くれるの?」
鞠莉「話に付き合ってくれたお礼よ。‬食べかけでごめんだけど」‬
‪曜「そんなのは気にしないけど、いいの?まだ沢山入ってるから開けたばっかりでしょ、これ」‬
‪鞠莉「心配はご無用よ。理事長室にたっーぷりとストックしてあるから」‬
‪曜「既に大人買い済み!?」‬
‪鞠莉「今食べたラムネ味のほかに、ブドウ味やコーラ味も取り揃えてあるわ。お口が寂しくなったら、いつでもいらっしゃい」
曜「うーん、さすがは鞠莉ちゃん。全てが万事、徹底してるというか…」
……………………………………
曜「今日はね、一手間かけて夏にぴったりなカレーを作ってみたよ!」
鞠莉「それは楽しみね。ん、その一手間って、この黄色いご飯のこと?」
曜「さすが鞠莉ちゃん、ご明察!」
鞠莉「違いは一目瞭然だもの。色的にはターメリックライスだけど、炒めてあって普通とはちょっと違う感じもする…あ、この香りって、もしかして」
曜「えへへっ。これはね、レモンライスなんだ」
鞠莉「レモンライス?」
曜「うん。簡単に言うと、レモン味の炒めご飯って感じかな。南インドの方で食べられてるんだって」
鞠莉「レモン味のご飯…そんなのがあったのね」
曜「レモンの皮や果汁を使ってるんだ。そのまま食べても爽やかで美味しいけど、カレーとも相性バッチリだよ!」
鞠莉「へぇ、それは期待大ね」
曜「レモン好きの鞠莉ちゃんとも、相性が合うといいけど」
鞠莉「曜のアイデアと腕前、信用してるわ」
曜「えへへっ。カレーの量はどのくらいにする?」
鞠莉「ルーは普通で、具は少し多めでお願い」
曜「了解であります!」
――――――――
ようまり「いただきまーす」
曜「さてさて、どうかなー」
鞠莉「…んっ!レモンの爽やかな酸味がカレーとすごく合ってる!」
曜「炒めたご飯がちょっと硬めで、それがまたいい感じでしょ?」
鞠莉「ええ。ニンニクとスパイスが効いてて、ライスだけで食べても美味しいけど、カレーともベストマッチね!」
曜「気に入ってくれた?」
鞠莉「気に入ったもなにも、この美味しさは想像以上。さすが曜ね」
曜「えへへっ!沢山食べてね、カレーもご飯もいっぱい作ったから!」
鞠莉「いつも美味しいカレーをありがとう。けど、曜のカレーって、美味しすぎるのが悩みなのよね」
曜「ん、って言うと?」
鞠莉「ついつい食べすぎちゃうってこと」
曜「あっはは。嬉しい悩み、ごちそうさまです」
鞠莉「割と深刻なのよ?美味しいってホント、罪よね――んーっ、デリシャス!お代わり!」
曜「早っ!?」
……………………………………
理事長室
鞠莉「むー…」
コンコン
鞠莉「はい」
「私です、曜です」
鞠莉「あら…入って、私一人よ」
曜「失礼しまーす。鞠莉ちゃん、お疲れ様!」
鞠莉「ふふ、いらっしゃい。何か用かしら。あ、ラムネ食べる?」
曜「えっへへ!今日はちょっとばかり差し入れに!」
鞠莉「まあ、そうなの?」
曜「いつもご馳走になってばかりだから、せめてものお礼だよ!って言っても、そんな大それたものじゃないけどね」
鞠莉「その気持ちが嬉しいわ。それに、見たところ、随分いっぱい持ってきてくれたみたいだけど」
曜「その時々の気分やコンディションに合うように、いくつか選んできたんだ。まずはこれ、のど飴!エアコンの乾燥した空気で喉を痛めちゃうとよくないからね」
鞠莉「喉のケアは大事よね。私たちスクールアイドルなら、なおさら」
曜「でしょでしょ!」
鞠莉「うふふっ。あ、これレモン味なのね」
曜「気分もすっきりすると思ったから!次はこれ、レモンの形をしたグミだよ、酸っぱくって美味しいんだ!」
鞠莉「へぇ、面白いわね」
曜「チョコも買ってきたよ。なんとこの商品、ほろ苦さがチョコとの相性抜群のレモンピール入り!」
鞠莉「ふふっ、さっきからレモン尽くしじゃない」
曜「まだまだあるよ。疲れにはコレがいいって聞いたんだ、レモンドリンク!」
鞠莉「まあ、飲み物まであるの?」
曜「あとあと、夏はやっぱり炭酸が美味しいよね!ってことで、レモン炭酸水!」
鞠莉「ちょ、曜?」
曜「レモンのドライフルーツなんてのも売っててさ、思わず即買いしちゃった!」
鞠莉「わ、わっ」
曜「コンビニで買ったんだけどね、探すと色々あるんだなーって思ったよ。ほらこれ、レモンケーキ!これならコーヒータイムにもぴったりだよ!」
鞠莉「えっ、えっ、まだあるの?」
曜「他にもロールケーキとか、かき氷アイスとかあったんだけど、暑さでダメになっちゃいそうだから諦めちゃった。スイーツはまた今度ね!」
鞠莉「じゃ、じゃあこれで全部…?」
曜「あ、最後にこれが残ってた!はいこれ、レモンガム」
鞠莉「あ、これ…」
曜「3個入りのうち、どれか1つがすごく酸っぱいガムだよ!遊び心も気分転換にいいかなって!」
鞠莉「あ、ありがとう。こんなに沢山…」
曜「気に入ってくれると嬉しいな!それじゃあ、またね!」
鞠莉「え、もう行っちゃうの?」
曜「渡すものは渡せたし、長居してお仕事の邪魔しちゃうわけにはいかないからね!」
鞠莉「そう言わずに、もう少しゆっくりしていっても」
曜「それじゃ、お仕事頑張ってね!でも無理は絶対ダメだよ!またね、お邪魔しましたー!」
バタン
鞠莉「あ…」
鞠莉「…ふふっ。あの勢い、まるでつむじ風ね。いきなりやって来て、こんなに沢山置いていって」
鞠莉「もうちょっと付き合ってくれてもよかったのに。このレモンガムなんて、一人で食べてどうするのよ」
鞠莉「すっぱっ」
……………………………………
夏祭り
曜「鞠莉ちゃん!ほらこっち、こっちだよ!」
鞠莉「こらこら、人がいっぱいなんだから、そんなに慌てないの。曜ったら、すっかりはしゃいじゃって」
曜「待ちに待った夏祭りなんだから、はしゃぐなってほうが無理な話だよ!」
鞠莉「うふふっ、気持ちはわかるけどね。それで、何を見つけたの?」
曜「これだよ、これ!」
鞠莉「あ、ラムネね」
曜「すみません、2本ください!よく冷えてて、とびっきり美味しいのを!」
――――――――
曜「えへへっ。こうやってラムネのビンを首筋に当てると、冷たくて気持ちいいんだー」
鞠莉「ふふっ、やりすぎるとぬるくなっちゃうわよ」
曜「わかってるってー。はい、鞠莉ちゃんの分!お祭りと言ったら、やっぱりラムネだね!」
鞠莉「かき氷や、焼きそばよりも?」
曜「それも大事だけど、ラムネが一番夏祭りって感じがするから!」
鞠莉「その意見には賛成。夏の風物詩、だものね」
曜「そうそう、そういうこと!ところで、ラムネのフタを開けるにはコツがいるけど、手伝おっか?」
鞠莉「多分大丈夫、いくわよ…っと」
曜「おっ、鞠莉ちゃん上手!」
鞠莉「でしょう。なんなら、曜のも開けてあげようか?」
曜「自分でできるけど、今の手際を見ちゃうと緊張するなぁ。よっ、と――うわわっ!?」
鞠莉「ふふっ、ちょっと吹き出したわね」
曜「あはは、失敗失敗」
鞠莉「はい、ハンカチ」
曜「ありがとー」
鞠莉「でも、こういうのがきっといいのよね」
曜「思い出に残るよね!それにしても、鞠莉ちゃん本当に上手だったね。どこで覚えたの?」
鞠莉「小さい頃、果南やダイヤとよく飲んだの。開け方もその時に、ね」
曜「つまり、開け方は果南ちゃんが?」
鞠莉「そういうこと」
曜「なるほどね。果南ちゃんに教わったのなら、その腕前も納得だよ!私もね、果南ちゃんがラムネ開けの先生なんだ!」
鞠莉「ということは、果南はちかっちの先生でもあるわけね」
曜「そうそう。私たちみんなの先生ってことになるね」
鞠莉「ふふっ。今頃もう一人、生徒を増やしてるんじゃないかしら」
曜「かもね!えへへっ」
曜「それじゃ、せっかくだし乾杯しよっか!」
鞠莉「ええ、今日という日に」
曜「楽しい夏祭りに!」
ようまり「かんぱーい!」
曜「んっ、冷たくて美味しい!」
鞠莉「ええ。この味、そしてお祭りの感覚…熱気も、にぎわいも、華やかさも、今ここにしかないものよね」
曜「本当にね!心も体もワクワクしちゃうよ!」
鞠莉「良いわね、お祭りって」
曜「鞠莉ちゃん。また来年も一緒に…」
鞠莉「ん?」
曜「…」
鞠莉「曜、いま何か言いかけた?」
曜(来年…鞠莉ちゃんの卒業後の進路は聞いてないけど、きっと遠いところに行っちゃうんだと思う。おそらくは、また海外に…)
鞠莉「曜?」
曜「あ…ううん、またいつか、二人で来れたらいいなって!」
鞠莉「…そうね。来ましょう、必ず」
曜「えへへ…その時は、もしかしたらアルコールで乾杯かな?」
鞠莉「ん…お酒が飲める年齢になっても、ラムネにしましょう。こうやって二人で飲むラムネは、きっとお酒にも負けないくらい、とびっきり最高のはずだから」
曜「うん、楽しみだね!」
鞠莉「ふふっ。改めて、今日の私たちに乾杯っ」
曜「乾杯!」
ラムネ瓶が、良い音を響かせた。
終わり
曜「鞠莉ちゃんって、レモンが好きなんだよね」
鞠莉「そうよ、よく知ってるわね」
曜「あははっ。プロフィールに書いてあるからね。でも、レモンのどんなところが好きなの?」
鞠莉「どんなところ…と、言うと?」
曜「ほら、私を含めて、好きなものにフルーツを挙げる人は多いでしょ?でも、酸っぱい果物は珍しいなって思ってて、ずっと聞いてみたかったんだ」
鞠莉「たしかに、善子はいちごが好きだし、曜とちかっち、それに花丸はみかん好きだものね」
3: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:24:21.07 ID:DDvjnl5W.net
曜「みかんとレモン。同じ柑橘系だけど、味も香りも全然違うよね。甘くて美味しいレモン、とはあまり言わないし」
鞠莉「糖度が高い品種もあるみたいだけど、私はあの酸っぱさと香りが好きかな。レモンを食べるとリフレッシュできるし、疲れた時も元気が出るでしょ」
曜「ビタミンCとか、クエン酸のおかげ?」
鞠莉「そうね。疲労回復やストレスの軽減だけじゃなく、美容や健康にも効果がある。レモンまさに良い事尽くめのスーパーフルーツなの!」
曜「あははっ。なら、鞠莉ちゃんがいつも元気で輝いていられる理由はレモンにあり、ってことかな?」
鞠莉「ふふっ、かもね。曜は、あまりレモンは食べない?」
曜「うーん、正直そんなには。最後に食べたのって、かき氷アイスに乗ってるのくらいかも。身近な割に、食べる機会が少ないよね、レモンって」
4: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:24:51.89 ID:DDvjnl5W.net
鞠莉「みかんと違って、その場で食べるようなものじゃないからね。飲み物とかに入ってることは多いけど」
曜「その他だと、料理やデザートに添えるものってイメージが強いよね。あっ、でも、レモンの蜂蜜漬けはたまに作るよ!」
鞠莉「そうなの?」
曜「うん!部活の関係で中学の頃から作っててね、結構評判いいんだ!」
鞠莉「ふふっ、それは是非食べてみたいわ」
曜「じゃあ今度作ってくるよ、差し入れする!」
鞠莉「えっ」
曜「ん?」
鞠莉「えっと、私のために作ってくれるの?みんなに、じゃなくて?」
5: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:25:13.79 ID:DDvjnl5W.net
曜「みんなの分も作ってくるけど、それとは別に鞠莉ちゃん用ってことで!腕によりをかけちゃうよ!」
鞠莉「ふふっ、そっか。なら、そのときは一緒にお茶しましょう。曜が来てくれるのを楽しみにしてるわ」
曜「うんっ!美味しいのを持って行くよ、待っててね!」
鞠莉「やっぱり曜は、笑顔がとびっきりシャイニーね」
曜「えへへっ、これもレモンのおかげ、かな?」
鞠莉「まあ。うふふっ」
曜「あははっ!」
6: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:26:22.40 ID:DDvjnl5W.net
……………………………………
練習帰り、ファミレス
曜「はい、コーラお待たせ!」
鞠莉「ありがとう。曜も疲れてるのに、お願いしちゃってごめんね?」
曜「いいっていいって!鞠莉ちゃん奥側の席だから、取りに行くのも大変だしね」
鞠莉「ふふっ、その気遣いが嬉しいわ」
曜「コーラはレモンフレーバーにしてあるけど、レモン果汁も持ってきたから、お好みで使ってね」
鞠莉「至れり尽くせりね。曜は何にしたの?」
曜「私はジンジャーエール。同じくレモンフレーバーの、ね!」
7: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:26:54.31 ID:DDvjnl5W.net
鞠莉「へえ、そういうのもあるんだ」
曜「前から気になってたんだけど、私も飲むのは初めて。ついつい試してみたくなるんだよね、こういうのって」
鞠莉「どんな味なのかしら。美味しければ、次はそれにしようかな」
曜「まずは飲んで確かめてみないと、だよね。ではでは、今日も一日お疲れ様でした。かんぱーい!」
鞠莉「ふふっ、お疲れ様。乾杯っ」
8: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:27:17.33 ID:DDvjnl5W.net
曜「さてさて、気になるお味は――おっ」
鞠莉「どう?」
曜「ジンジャーとレモンが思ったほど喧嘩しないで仲良くしてる感じ。私は好きだよ!」
鞠莉「一口もらえる?」
曜「どうぞー」
鞠莉「ありがと――ん、なかなか美味しい」
曜「でしょ!」
9: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:27:43.60 ID:DDvjnl5W.net
鞠莉「ふーむ。決めた」
曜「ん?」
鞠莉「これちょうだい」
曜「あっ、ずるい!」
鞠莉「代わりにコーラあげるから」
曜「むう、それなら…」
鞠莉「交渉成立ね」
曜「まあ、コーラも好きだしね――んぅ、結構すっぱい」
鞠莉「果汁を足したからね。きっと疲れが取れるわ」
曜「そっか、そうだね!えへへっ」
鞠莉「ふふっ。ね、お代わりお願いしていい?」
曜「もちろん!」
10: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:28:36.59 ID:DDvjnl5W.net
鞠莉「でも、よかったの?」
曜「ん、何が?」
鞠莉「今日これから食べるものよ。唐揚げセットを頼んでたけど、いつもみたくハンバーグじゃなくてよかったのかなって」
曜「ああ。今日はなんだか無性に唐揚げ気分でさ。朝から食べたい食べたいーって、ずっと思ってたんだ」
鞠莉「うふふっ、どんな気分よ」
曜「それに、このお店の唐揚げはかなり美味しいらしいんだ。ふたりでシェアして食べようね!」
鞠莉「じゃあ、私のたらこスパもシェアするわね」
曜「えへへっ。楽しみだなぁ、唐揚げ…!」
鞠莉「すっかり目をシャイニーさせちゃって。本当に唐揚げのことで頭がいっぱいみたいね、ふふっ」
11: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:29:20.11 ID:DDvjnl5W.net
――――――――
「お待たせしました、唐揚げセットです。ごゆっくりどうぞ」
曜「わぁ、待ってました!」
鞠莉「湯気までキラキラ輝いてる。まさに出来たて、揚げたてって感じね」
曜「すごく美味しそう。いや、美味しいこと間違いなしだよ!」
鞠莉「ふふっ。エキサイトしすぎると食べ頃を逃すわよ。熱々のうちにいただきましょう」
曜「うん!ではさっそく…あっ」
鞠莉「曜?」
曜「う、うーん…」
12: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:29:48.80 ID:DDvjnl5W.net
鞠莉「どうしたの。今の今までワクワクでいっぱいだったのに、突然深刻な顔をして」
曜「…ごめん。これのことなんだけど」
鞠莉「これって、お皿に添えられたレモン?」
曜「鞠莉ちゃんがレモン大好きだってことはよくわかってる。わかってるんだけど…」
鞠莉「けど?」
曜「私、唐揚げには何もかけないで食べる派なんだ。揚げたての衣がカリっとしたのが好きで…」
鞠莉「…えっ?」
曜「ご、ごめん…」
13: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:30:34.25 ID:DDvjnl5W.net
鞠莉「えっと、そんなこと?かけずに食べればいいじゃない」
曜「え、いいの?」
鞠莉「当然よ」
曜「でも、鞠莉ちゃんはレモン使う派?」
鞠莉「まあ、ね」
曜「じゃあレモン使いたいでしょ?」
鞠莉「そこはほら、自分の小皿に取ってから使うから大丈夫よ」
曜「…あ。ああ!そっか、その手が!」
14: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:31:26.94 ID:DDvjnl5W.net
鞠莉「その手もなにも、真っ先に思いつきそうなことだけど」
曜「あはは、鞠莉ちゃんと方針が分かれたらどうしようって、そっちに気を取られちゃって」
鞠莉「うふふ、大げさねぇ。急にシリアスになるからびっくりしたわ。でも、よければレモンも試してみない?」
曜「えっ」
鞠莉「レモンの酸味が加わるとまた違うわよ。その様子だと、最近試したことないんでしょ」
曜「う、うん…でも」
15: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:31:41.73 ID:DDvjnl5W.net
鞠莉「ほら、あーん」
曜「あ、あーん…」
曜(んむ、反射的に食べちゃった――って!)
曜「あっつ!?」
鞠莉「ああっ、揚げたてなんだから気をつけないと」
曜(鞠莉ちゃんがいきなり「あーん」なんてするから…)
曜「んぐ、むぐ…んっ」
鞠莉「お味はいかが?」
曜「ん…美味しい、かも」
鞠莉「何よ、かもって」
16: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:32:25.64 ID:DDvjnl5W.net
曜「熱かったし、いきなりで正直よくわからなかったから…」
鞠莉「なら、もう一度ね。今度は気をつけてよ?はい、あーん」
曜「あー、んっ」
鞠莉「カリっとした食感を残すために、レモンは控えめにしてみたわ。どうかしら?」
曜(ん…悪くない、こういうの、すごく…)
鞠莉「いい顔してる。お気に召したみたいね」
曜「うん、とっても気に入ったよ!えへへっ!」
17: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:33:00.47 ID:DDvjnl5W.net
鞠莉「じゃあ、私もいただこうかな。曜にならって何もかけずに――んっ、おいしっ」
曜「そして、揚げ物にはやっぱり炭酸だよね!」
鞠莉「時間的にちょっと罪悪感がある組み合わせだけど、今日のところは練習を頑張ったから、よしとしなきゃね」
曜「そうそう!あ、鞠莉ちゃんのたらこスパも来たみたい!」
「お待たせしました。たらこスパです」
鞠莉「はーい。あ、小皿を唐揚げで使っちゃった。すみません、取り分け用のお皿をもらえますか」
曜「ああ、私が取ってくるよ。飲み物お代わりに行くし」
鞠莉「いいの?」
曜「うん!」
「えっと、お皿はよろしいですか?」
鞠莉「はい。うちの働き者さんがやってくれるみたいです、うふふっ」
曜「えへへっ!」
18: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:35:18.71 ID:DDvjnl5W.net
……………………………………
‪曜「鞠莉ちゃん、お疲れ様!おやっ?」‬
‪鞠莉「あら曜。どうかした?」‬
‪曜「手に持ってるそれ、ラムネ?」‬
‪鞠莉「そうよ。曜も食べる?」‬
‪曜「食べる食べる!えへへ、懐かしいなぁ。子供の頃は良く食べたんだ」‬
‪鞠莉「最近ブームなんですって。ブドウ糖は脳のエネルギー源だし、リフレッシュや疲労回復効果もあるから、受験生やビジネスパーソンに大人気って、記事で見てね。大人買いする人もいるそうよ」‬
‪曜「へえ、なら鞠莉ちゃんにもぴったりだね!」
19: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:35:39.59 ID:DDvjnl5W.net
鞠莉「ところで、ラムネの語源ってなんだか知ってる?」
曜「語源?ラムネはラムネじゃないの?」
鞠莉「実はとある飲み物から変化したものなの。曜もよくご存知の、ね」
曜「ええっ、そうなの?なんだろう、私もよく知っている…?」
鞠莉「ヒントは、レモンが関係しているわ」
曜「レモン…あっ、もしかして、レモネード?」
鞠莉「正解っ!」
20: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:36:07.89 ID:DDvjnl5W.net
曜「やった!なるほどね、確かに響きが似てるかも。ラムネとレモネード」
鞠莉「レモネードがなまって呼ばれるようになり、それとともに独自の変化を遂げたものが、こんにちのラムネと言われているわ」
曜「レモネード、れぁむねーど、らむね…なるほど、ハヤシライスがハッシュから変化したのとと同じだね!」
鞠莉「あら、よく覚えてたわね」
曜「えへへっ。ちゃんと覚えてるよ!でも、名前は似てるけど、イメージはかなり違うよね。レモネードとは全然別の飲み物っていうか、ラムネって言ったら、このラムネ菓子の容器みたいな瓶を思い浮かべるし」
21: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:36:33.00 ID:DDvjnl5W.net
鞠莉「曜の言うとおり、ビー玉が栓になる独特のボトル自体が、まさにラムネ最大の特徴ね」
曜「ビー玉を押し込むときのドキドキ感が良いんだよね!開けたときのポンっていう響きと、しゅわしゅわ弾けるラムネの泡…あの音を聞くと、自然と乾杯したくなっちゃうんだ!」
鞠莉「ふふっ。わかるわ、その心躍るワクワクする気持ち」
曜「ちなみに、ラムネとサイダーってよく似てるけど、何が違うの?」
鞠莉「サイダーはラムネをベースに作られたと言われているわ。ラムネは由来のとおりレモン風味の飲み物なんだけど、対するサイダーはりんご風味なの」
鞠莉「サイダーっていう名前も、フランス語でりんご酒を意味する『シードル』から来ているそうよ」
22: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:36:51.92 ID:DDvjnl5W.net
曜「そうなんだ!でも、どっちも果物の風味はそんなに感じないね」
鞠莉「元々はそれぞれ特徴や作り方の違いがあったそうだけど、今は味や香りに大きな差はなくなってるみたいね」
曜「ってことは、やっぱり決め手はボトルってこと?」
鞠莉「そういうこと。曜がラムネと聞いてこの容器を連想したように、ビー玉ボトルに入っているのがラムネで、そうじゃないのがサイダーという分け方をするのが一般的よ」
曜「なるほど…さすがは鞠莉ちゃん先生、長年の疑問が解決して頭も気分もスッキリだよ!あ、さっき食べたラムネの効果もあるのかも!」
‪鞠莉「うふふっ、かもね。ってことで、はいコレ」
23: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:37:04.23 ID:DDvjnl5W.net
曜「えっ、くれるの?」
鞠莉「話に付き合ってくれたお礼よ。‬食べかけでごめんだけど」‬
‪曜「そんなのは気にしないけど、いいの?まだ沢山入ってるから開けたばっかりでしょ、これ」‬
‪鞠莉「心配はご無用よ。理事長室にたっーぷりとストックしてあるから」‬
‪曜「既に大人買い済み!?」‬
‪鞠莉「今食べたラムネ味のほかに、ブドウ味やコーラ味も取り揃えてあるわ。お口が寂しくなったら、いつでもいらっしゃい」
曜「うーん、さすがは鞠莉ちゃん。全てが万事、徹底してるというか…」
24: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:37:43.14 ID:DDvjnl5W.net
……………………………………
曜「今日はね、一手間かけて夏にぴったりなカレーを作ってみたよ!」
鞠莉「それは楽しみね。ん、その一手間って、この黄色いご飯のこと?」
曜「さすが鞠莉ちゃん、ご明察!」
鞠莉「違いは一目瞭然だもの。色的にはターメリックライスだけど、炒めてあって普通とはちょっと違う感じもする…あ、この香りって、もしかして」
曜「えへへっ。これはね、レモンライスなんだ」
鞠莉「レモンライス?」
曜「うん。簡単に言うと、レモン味の炒めご飯って感じかな。南インドの方で食べられてるんだって」
25: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:38:01.83 ID:DDvjnl5W.net
鞠莉「レモン味のご飯…そんなのがあったのね」
曜「レモンの皮や果汁を使ってるんだ。そのまま食べても爽やかで美味しいけど、カレーとも相性バッチリだよ!」
鞠莉「へぇ、それは期待大ね」
曜「レモン好きの鞠莉ちゃんとも、相性が合うといいけど」
鞠莉「曜のアイデアと腕前、信用してるわ」
曜「えへへっ。カレーの量はどのくらいにする?」
鞠莉「ルーは普通で、具は少し多めでお願い」
曜「了解であります!」
26: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:38:31.66 ID:DDvjnl5W.net
――――――――
ようまり「いただきまーす」
曜「さてさて、どうかなー」
鞠莉「…んっ!レモンの爽やかな酸味がカレーとすごく合ってる!」
曜「炒めたご飯がちょっと硬めで、それがまたいい感じでしょ?」
鞠莉「ええ。ニンニクとスパイスが効いてて、ライスだけで食べても美味しいけど、カレーともベストマッチね!」
曜「気に入ってくれた?」
鞠莉「気に入ったもなにも、この美味しさは想像以上。さすが曜ね」
27: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:38:52.15 ID:DDvjnl5W.net
曜「えへへっ!沢山食べてね、カレーもご飯もいっぱい作ったから!」
鞠莉「いつも美味しいカレーをありがとう。けど、曜のカレーって、美味しすぎるのが悩みなのよね」
曜「ん、って言うと?」
鞠莉「ついつい食べすぎちゃうってこと」
曜「あっはは。嬉しい悩み、ごちそうさまです」
鞠莉「割と深刻なのよ?美味しいってホント、罪よね――んーっ、デリシャス!お代わり!」
曜「早っ!?」
28: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:39:52.03 ID:DDvjnl5W.net
……………………………………
理事長室
鞠莉「むー…」
コンコン
鞠莉「はい」
「私です、曜です」
鞠莉「あら…入って、私一人よ」
曜「失礼しまーす。鞠莉ちゃん、お疲れ様!」
鞠莉「ふふ、いらっしゃい。何か用かしら。あ、ラムネ食べる?」
29: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:41:34.40 ID:DDvjnl5W.net
曜「えっへへ!今日はちょっとばかり差し入れに!」
鞠莉「まあ、そうなの?」
曜「いつもご馳走になってばかりだから、せめてものお礼だよ!って言っても、そんな大それたものじゃないけどね」
鞠莉「その気持ちが嬉しいわ。それに、見たところ、随分いっぱい持ってきてくれたみたいだけど」
曜「その時々の気分やコンディションに合うように、いくつか選んできたんだ。まずはこれ、のど飴!エアコンの乾燥した空気で喉を痛めちゃうとよくないからね」
鞠莉「喉のケアは大事よね。私たちスクールアイドルなら、なおさら」
曜「でしょでしょ!」
30: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:41:57.59 ID:DDvjnl5W.net
鞠莉「うふふっ。あ、これレモン味なのね」
曜「気分もすっきりすると思ったから!次はこれ、レモンの形をしたグミだよ、酸っぱくって美味しいんだ!」
鞠莉「へぇ、面白いわね」
曜「チョコも買ってきたよ。なんとこの商品、ほろ苦さがチョコとの相性抜群のレモンピール入り!」
鞠莉「ふふっ、さっきからレモン尽くしじゃない」
曜「まだまだあるよ。疲れにはコレがいいって聞いたんだ、レモンドリンク!」
鞠莉「まあ、飲み物まであるの?」
31: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:42:17.90 ID:DDvjnl5W.net
曜「あとあと、夏はやっぱり炭酸が美味しいよね!ってことで、レモン炭酸水!」
鞠莉「ちょ、曜?」
曜「レモンのドライフルーツなんてのも売っててさ、思わず即買いしちゃった!」
鞠莉「わ、わっ」
曜「コンビニで買ったんだけどね、探すと色々あるんだなーって思ったよ。ほらこれ、レモンケーキ!これならコーヒータイムにもぴったりだよ!」
鞠莉「えっ、えっ、まだあるの?」
曜「他にもロールケーキとか、かき氷アイスとかあったんだけど、暑さでダメになっちゃいそうだから諦めちゃった。スイーツはまた今度ね!」
鞠莉「じゃ、じゃあこれで全部…?」
32: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:42:43.97 ID:DDvjnl5W.net
曜「あ、最後にこれが残ってた!はいこれ、レモンガム」
鞠莉「あ、これ…」
曜「3個入りのうち、どれか1つがすごく酸っぱいガムだよ!遊び心も気分転換にいいかなって!」
鞠莉「あ、ありがとう。こんなに沢山…」
曜「気に入ってくれると嬉しいな!それじゃあ、またね!」
鞠莉「え、もう行っちゃうの?」
曜「渡すものは渡せたし、長居してお仕事の邪魔しちゃうわけにはいかないからね!」
33: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:42:57.65 ID:DDvjnl5W.net
鞠莉「そう言わずに、もう少しゆっくりしていっても」
曜「それじゃ、お仕事頑張ってね!でも無理は絶対ダメだよ!またね、お邪魔しましたー!」
バタン
鞠莉「あ…」
鞠莉「…ふふっ。あの勢い、まるでつむじ風ね。いきなりやって来て、こんなに沢山置いていって」
鞠莉「もうちょっと付き合ってくれてもよかったのに。このレモンガムなんて、一人で食べてどうするのよ」
鞠莉「すっぱっ」
34: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:44:08.92 ID:DDvjnl5W.net
……………………………………
夏祭り
曜「鞠莉ちゃん!ほらこっち、こっちだよ!」
鞠莉「こらこら、人がいっぱいなんだから、そんなに慌てないの。曜ったら、すっかりはしゃいじゃって」
曜「待ちに待った夏祭りなんだから、はしゃぐなってほうが無理な話だよ!」
鞠莉「うふふっ、気持ちはわかるけどね。それで、何を見つけたの?」
曜「これだよ、これ!」
鞠莉「あ、ラムネね」
曜「すみません、2本ください!よく冷えてて、とびっきり美味しいのを!」
35: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:44:46.75 ID:DDvjnl5W.net
――――――――
曜「えへへっ。こうやってラムネのビンを首筋に当てると、冷たくて気持ちいいんだー」
鞠莉「ふふっ、やりすぎるとぬるくなっちゃうわよ」
曜「わかってるってー。はい、鞠莉ちゃんの分!お祭りと言ったら、やっぱりラムネだね!」
鞠莉「かき氷や、焼きそばよりも?」
曜「それも大事だけど、ラムネが一番夏祭りって感じがするから!」
鞠莉「その意見には賛成。夏の風物詩、だものね」
曜「そうそう、そういうこと!ところで、ラムネのフタを開けるにはコツがいるけど、手伝おっか?」
鞠莉「多分大丈夫、いくわよ…っと」
曜「おっ、鞠莉ちゃん上手!」
鞠莉「でしょう。なんなら、曜のも開けてあげようか?」
36: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:45:44.15 ID:DDvjnl5W.net
曜「自分でできるけど、今の手際を見ちゃうと緊張するなぁ。よっ、と――うわわっ!?」
鞠莉「ふふっ、ちょっと吹き出したわね」
曜「あはは、失敗失敗」
鞠莉「はい、ハンカチ」
曜「ありがとー」
鞠莉「でも、こういうのがきっといいのよね」
曜「思い出に残るよね!それにしても、鞠莉ちゃん本当に上手だったね。どこで覚えたの?」
37: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:46:04.61 ID:DDvjnl5W.net
鞠莉「小さい頃、果南やダイヤとよく飲んだの。開け方もその時に、ね」
曜「つまり、開け方は果南ちゃんが?」
鞠莉「そういうこと」
曜「なるほどね。果南ちゃんに教わったのなら、その腕前も納得だよ!私もね、果南ちゃんがラムネ開けの先生なんだ!」
鞠莉「ということは、果南はちかっちの先生でもあるわけね」
曜「そうそう。私たちみんなの先生ってことになるね」
鞠莉「ふふっ。今頃もう一人、生徒を増やしてるんじゃないかしら」
曜「かもね!えへへっ」
38: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:47:00.96 ID:DDvjnl5W.net
曜「それじゃ、せっかくだし乾杯しよっか!」
鞠莉「ええ、今日という日に」
曜「楽しい夏祭りに!」
ようまり「かんぱーい!」
曜「んっ、冷たくて美味しい!」
鞠莉「ええ。この味、そしてお祭りの感覚…熱気も、にぎわいも、華やかさも、今ここにしかないものよね」
曜「本当にね!心も体もワクワクしちゃうよ!」
鞠莉「良いわね、お祭りって」
曜「鞠莉ちゃん。また来年も一緒に…」
鞠莉「ん?」
曜「…」
鞠莉「曜、いま何か言いかけた?」
39: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:47:57.84 ID:DDvjnl5W.net
曜(来年…鞠莉ちゃんの卒業後の進路は聞いてないけど、きっと遠いところに行っちゃうんだと思う。おそらくは、また海外に…)
鞠莉「曜?」
曜「あ…ううん、またいつか、二人で来れたらいいなって!」
鞠莉「…そうね。来ましょう、必ず」
曜「えへへ…その時は、もしかしたらアルコールで乾杯かな?」
鞠莉「ん…お酒が飲める年齢になっても、ラムネにしましょう。こうやって二人で飲むラムネは、きっとお酒にも負けないくらい、とびっきり最高のはずだから」
曜「うん、楽しみだね!」
鞠莉「ふふっ。改めて、今日の私たちに乾杯っ」
曜「乾杯!」
ラムネ瓶が、良い音を響かせた。
終わり
40: 名無しで叶える物語 2019/08/24(土) 18:48:10.44 ID:DDvjnl5W.net
元スレ曜「鞠莉ちゃんのレモンな思い出」