3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 19:07:44.21 ID:6/kB7wat0
――ある冬の日――
さやか「うー、寒いー。骨の髄まで凍りつきますよ~今日は」
まどか「そうだね。ちょっと寒いかも」
さやか「ちょっと? そんなに着込んでおいて何を言う! このこの!」
まどか「くすぐったい! くすぐったいよさやかちゃん!」
さやか「うりうり~……と、おふざけはここまでにしときますか」
まどか「今日はマミさんの家にお呼ばれしてるからね。遅刻はダメだよ」
さやか「休みの日にマミさん家に遊びに行くことってそんな無いからさー、楽しみっ!」
まどか「うぇひひ! 私も」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 19:12:45.10 ID:6/kB7wat0
さやか「それにしたって、今日はエラく曇ってるなぁ」
まどか「天気予報だと、雪が降るかもって言ってたよ」
さやか「何ですと!? これは一刻も早くマミさんの所で暖を取らねば!」
まどか「じゃ、急ごっか」
さやか「ちょーっとまったー!」
まどか「え?」
さやか「たまには何か持ってかないと、流石のさやかちゃんも心苦しいのだよ」
まどか「は……いはい。コンビニにでも寄る?」
さやか「そうこなくっちゃ!」
――マミさん家――
さやか「おはようございまーす」
まどか「おはようございます。マミさん」
マミ「朝から呼び出しちゃってごめんね~、忙しかった?」
まどか「いえ、特には……」
さやか「休日のさやかちゃんは特別にお暇でいらっしゃいましたよー!」
マミ「そう……。途中は寒かったでしょ。さ、上がって上がって」
まどか「お邪魔しまーす」
さやか「おじゃまー」
まどか「マミさん、こ、これって……」
マミ「うふふ、コタツ、出してみたの」
さやか「これにはさやかちゃんも大歓喜!早速スライディーング!」
マミ「あらあら」
さやか「ふわああああぁぁぁぁぁ……あったかいなりぃ……」
まどか「さやかちゃん、あんなにとろけた顔して……」
マミ「さ、鹿目さんも入って入って。私はお茶入れて来るから」
まどか「あ、手伝います」
マミ「いいからいいから」
まどか「あったかいなぁ、コタツ」
さやか「おコタの魔力からは絶対に逃れられない!」
まどか「今のとろけた顔で言われると絶大な説得力だよ」
さやか「あー、あったかいよぉー。寝ちゃいそうだよぉ……」
まどか「コタツで寝ちゃうと風邪ひいちゃうよ。さやかちゃん」
さやか「それは分かってるんだけどさぁ、ああ逃れられない!」
マミ「お茶入れてきたわよ。……美樹さんはおねむかしら?」
まどか「いや……」
さやか「おきてましゅ~」ウトウト
まどか「……あっ、マミさん! その右手のお盆は?」
マミ「冬のコタツには欠かせない……そう、必需品よ」
さやか「ひちゅじゅひん?」
まどか「えー、なんだろー?」
マミ「やっぱり熱い緑茶にみかんよねー」
まどか「このみかんは甘いなぁ」
さやか「私も眠気覚ましに一つ……すっぱ!酸っぱい!」
まどか「うぃひひひ。私の食べなよ。こっちは甘いから」
さやか「くぅーっ!みかんめ、このさやか様に牙をむくとは無礼千万!」
マミ「良く揉んでから食べると甘くなるって言うわよ」
さやか「そーなのかー」
さやか「ホントだ!揉むと甘い!」
マミ「でしょう? でもすぐに食べないと今まで以上に酸っぱくなるわよ」
さやか「うへぇ、諸刃の剣って奴ですかー」
まどか「大げさだよさやかちゃん……」
さやか「甘い甘い。もはや酸っぱさなど敵ではないわー
マミ「んー、これまた緑茶が美味しいわ」
―――― ・・・
杏子「うう~っ、今日はいつもより寒ぃんだよなぁ。流石に堪えるぞ……」
杏子「巴マミん家にでも世話になるかなー」
杏子「休みの日だし、ま、多分家にいるだろー」
ほむら「奇遇ね。私もそうしようと思ってたの」
杏子「うおっ! 急に後ろから現れんなよ! 心臓に悪い!」
ほむら「ほら、行くわよ。公園にずっと居たら体を冷やすわ」
杏子「お前は話を聞けよ! ったく」
ピンポーン
マミ「あら、誰かしらね。どちらさまですかー」
ほむら『私よ』
杏子「いや名乗れよ」
マミ「ハッ! 名乗らないという事は……まさかの『わたしわたし詐欺』!?」
杏子「違うから! いや違うから!」
ほむら『冗談が過ぎたわ。暁美ほむらよ。開けて頂戴』
杏子「おーっ、お前らも居たのかー」
さやか「おいすー」
まどか「おはよう。杏子ちゃん、ほむらちゃん」
ほむら「おはよう、まどか。ところでこれが……所謂こたつと言うものかしら?」
まどか「そうだよ。とってもあったかいんだ。ほむらちゃんはもしかして初めて?」
ほむら「ええ。病院暮らしが長くて、こういった風物詩はあまり体験したことは無いわ」
まどか「ほむらちゃん……ごめん」
ほむら「謝らなくても良いわよ。隣、失礼するわ」
さやか「さぁー! 転校生のコタツデビューですよー! ほれほれ」
ほむら「そんな公園デビューみたいに言わないで……」
ほむら「あっ……あふぅぅぅぅ。何なのこれぇ……」
さやか「うーわ、まるで別人みたいだぁ……」
マミ「これがコタツの魔力ね。みかんはどう?」
ほむら「いただくわ」
杏子「まるで極楽だな……んーっ!」
さやか「ふぁっ! 冷たい! 杏子、つま先当てないでよ!」
杏子「んだよー。しょうがねぇだろー」
杏子「うりうり」
さやか「んひゃっ! 太ももとか反則だって!」
ほむら「すぐに温まるわ。それまでの辛抱よ」
まどか「ガンバってね。さやかちゃん」
さやか「二人とも助けてよー。この薄情者ー!」
杏子「さやかー、万事休すだな」
さやか「こうなったら反撃だ! おりゃー!」
杏子「あっ、やめろって、くすぐったい。……そこはダメだって! いや、くぅ、マジでヤバいからああああああ!」
マミ「そろそろみかんが切れそうね。取ってくるわ……さむさむ」スッ
杏子「たっぷり頼むぜー」
まどか「せっかくみんないるんだし、トランプとかやりたいな」
ほむら「私が持ってるわよ」
さやか「ババ抜きで勝負しようじゃない」
ほむら「望むところよ」
さやか「最下位は罰ゲーム、というのはどう?」
まどか「えっそれは……」
杏子「おーっ! 面白そうだな、私もやるぞー!」
ほむら「いざ勝負よ」
ほむら「何てこと……何てこと……」
杏子「意外と顔に出るタイプなんだなー」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「ああっ! そんな目で見ないで! 私はまだ戦える。戦えるから!」
さやか「それはどうぞご勝手に、でも、とりあえず罰ゲームは受けてもらうぞ~」
ほむら「くっ、わ、分かったわ」
さやか「それじゃあねぇ……物まね、なんてどう?」
マミ「みかん持って来たわ」
杏子「あんがと!」
マミ「ダンボールで買っちゃって食べきれないと思ってたの、バリバリ食べてね」
杏子「おう! 食い物は粗末にできないからな!」
さやか「自分の中学では罰ゲームでぇ……『公開物まね』って言うのがあってぇ……」
杏子「えっ、何それは……」
ほむら「そんな仕来たりがあるなんて、知らなかったわ」
まどか「無いよ! そんな意味不明な仕来たり無いから! 安心してほむらちゃん!」
さやか「んじゃ、レッツトラーイ。あっ、お題は何でもいいからね」
ほむら「……QBやります」
ほむら「……きゅっぷい!」
ほむら「……」プルプル
さやか「……」
杏子「やべぇ……やべぇよ……」
マミ「これは……うん、似てたわ……似てたけど……」
まどか「ほむらちゃん。か、かわいかったよ……」
さやか「すいません許してください!何でもしますから!」
杏子「お茶も美味しいな。まどか、お代わりくれよ」
まどか「はいはい」コポポポ
ほむら「さっきは酷い目にあったわ。まったく、貴女はロクな事を考えないわね、もう」プンスカ
さやか「いや、勝負を受けたのはほむらじゃん……。みかんすっぱい!」
ほむら「バチが当たったのね」
さやか「うぅ、うるせーやい」
マミ「あっ、そろそろお昼の時間ね。みんな、簡単にうどんでいいかしら?」
杏子「おっけー! 出されたものは何でも食うぞー」
マミ「マミ特製、きつねうどんよ」
杏子「はぇ~、すっごい旨そう。いただきまーす!」
さやか「マミさん、七味ありますかー?」
マミ「鹿目さんの近くに置いてるわ」
まどか「さやかちゃん、七味かけ過ぎ……」
さやか「今日は辛いのが食べたい気分なのだ」
ほむら「そう……まどか、私にも七味を」
まどか「はい、ほむらちゃん」
ほむら「ありがと」
杏子「ごちそうさまでした!」
さやか「うわ~、見事な食べっぷり。麺のかけら一つ残って無いわ」
マミ「きれいに食べてくれて私も嬉しいわ。あっ、佐倉さん、口元にネギがくっついてるわよ」
杏子「うおっ、サンキュー」
まどか「マミさん、まるでお母さんみたいだね」
ほむら「確かに。不似合では無いわね」
さやか「まさに、良妻賢母、って感じになりそうでっす!」
マミ「こら、 まだ私はお母さんってトシじゃないわよ」
ほむら「むぅ、この問題は中々ね……」
まどか「何やってるの?」
ほむら「ナンプレよ。ナンプレ」
まどか「あの数字をマス目に埋めていく……」
ほむら「そう。単純だけど、結構面白いのよ。まどかにもこんど冊子をあげるわね」
まどか「えー、私でも出来るかなー」
ほむら「大丈夫。私が手取り足取り教えてあげるわ」
杏子「ドロー4だぜ! どうだ!」
さやか「こしゃくな……でも、やっぱり私も持ってるドロー4.赤で」
杏子「うげ!?」
マミ「残念でした。私も、赤のドロー2。美樹さんが赤を選んでくれなかったら危なかったわ」
杏子「ああああああああああああああ!」
杏子「くっそー、もう一回だ! 今度こそ勝ってやるぞ」
マミ「何度やっても私の勝ちは変わらないわよ」
杏子「言ってろ。目にモノ見せてやるよ」
さやか「んじゃ、次負けた人は罰ゲームね」
杏子「いいのか? そんな事言っちゃって」
さやか「だいじょうぶだいじょうぶ。だって杏子ちゃんがいるもんねー」
杏子「むっきぃぃぃぃぃ! 見てろよぉぉぉぉぉ!」
杏子「……」
マミ「ふふふ、一番上がりっ」
さやか「予想通りと言うか、何と言うか……」
マミ「それじゃあ、罰ゲームね。何にしようかしら……迷うわぁ」
杏子「や、優しくしろよ」
マミ「そうねぇ……じゃあ『私の買い物についてくる』っていうのはどう?」
杏子「え?」
マミ「みんな晩御飯、食べて帰るでしょ? お鍋でも振る舞うわ」
まどか「えーっ? いいんですか? ……なら、パパに電話して来ますね」
ほむら「私もお言葉に甘えようかしら」
マミ「と、いう訳で、佐倉さん、今日のお買いもの、寒いけどついて来てね」
杏子「お、おう」
――――・・・
杏子「うぅ~っ、やっぱりクソ寒いなぁ……」ブルブル
マミ「スーパーの中はあったかいから、そこまで頑張りましょう」
杏子「ところでよー」
マミ「何かしら」
杏子「何鍋にするか決めてるのかー? さやかの奴がやたらとキムチ鍋を主張してきたが……」
マミ「えーっと、まだ決めてないわ。お店でゆっくり選びましょ」
杏子「そーだな。時間もたっぷりある事だし」
マミ「そういう事」
杏子「流石は店の中、あったけーなぁ」
マミ「でも、汗をかかないようにね。風邪ひいちゃうわよ」
杏子「へーい。さっそく、見て回ろうぜ」
マミ「確か、今日は白菜が安かったのよ」
杏子「そーなのか。んじゃ、それメインで考えるか」
マミ「美樹さんの希望で、スープはキムチ風味の奴にしたわ」
杏子「アイツ辛いの好きだったっけ……?」
マミ「まあまあ、佐倉さんも欲しい食材あったら言って。何でも入れられるのが鍋の良い所なんだから」
まどか「マミさんたち、寒くないかなー」
ほむら「大丈夫でしょ。あれだけ厚着していけば北極でも多分平気よ」
まどか「そっか。そうだよね。みかんでも食べようか……さやかちゃん」
さやか「揺らさないで! 今揺らしたら誰であっても許さない!」
ほむら「……」トントン
さやか「だから机の端を指で突くのはやめて! このトランプタワーには私のすべてが懸ってる……!!」
ほむら「そう……」トントン
さやか「ほむら! アンタ絶対楽しんでるよね、怒らないからさやか様に言ってみなさい」
ほむら「……」トントン
さやか「無言の肯定かぁ……あとマジで崩すのやめて」
さやか「酷い妨害に耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び……とうとう完成した! 特大トランプタワー!」
まどか「おめでとう! これは超大作だね」
さやか「まどかがほめてくれて嬉しいぞ~」
まどか「あっ、くすぐらないでよー、もう」
ほむら「後は崩すだけよ」
さやか「さらっと酷い事いうのやめろ! マミさんと杏子にも見せてやるのだーはっはっはー」
まどか「ウェヒヒヒヒ、二人ともびっくりするだろうね」
マミ「うん、お肉に豆腐にお野菜、必要な食材は全部揃ったわね」
杏子「待った、締めはどっちにするんだ?」
マミ「そうねぇ……うどんはお昼に食べたから、おじやにする?」
杏子「あぁ^~いいっすね~」
マミ「フフ、何なのその口調」
杏子「やってみただけだよ!」
マミ「……そうだ。お買い物について来て、ちゃんとお手伝いしてくれたからー、好きなお菓子、一つだけ買ってあげるわ」
杏子「マジか!? いやったー!」
杏子「どれにしよっかなー♪」
マミ「そこまで喜んでくれるなんて、こっちまで嬉しくなっちゃうわ」
杏子「うーん、きのこの里にするかなー、でもたけのこの里の方が可愛いし、ホワイトロリータも捨てがたい……いやいやあえての歌舞伎揚げ?」
マミ「ドーナツやバタークッキーなんてのも悪くないんじゃない?」
杏子「だぁーっ! 選択肢が増えちまってありがた迷惑だ!」
マミ「まあ、ゆっくり選ぶといいわ」
杏子「おーう」
しばらくして―――
杏子「よし、これに決めた!」
――――・・・
さやか「……」
まどか「……うん、誰も悪くないよ。不幸な事件だったんだよ」
ほむら「そうよ。美樹さやか……心中は察するけど、これは致し方ないわ……」プルプル
さやか「おいちょっと笑ってるだろ」
まどか「……お茶を取りに行った時に、足を滑らせて」
さやか「あの時油断して無かったら……くぅぅ~~」
ほむら「まだチャンスは……あるわよ……きっと」プルプル
さやか「わたしって、ほんとバカ。真っ白に燃え尽きたよあたしゃ……」
まどか「そんな! さやかちゃんが一気におばあちゃんみたいな感じに!」
ほむら「……雪」
さやか「え?」
ほむら「窓の外、ほら」
さやか「ホントだ! 雪じゃん!」
まどか「きれいだなぁ。明日は積もるかな」
ほむら「ええ、きっと。そして地面もきっと凍るわよ。足を滑らせないようにね、美樹さやか」
さやか「うるへーうるへー」
杏子「おっ、雪かぁ?」
マミ「寒いと思ったら、やっぱり降ってきたわ」
杏子「んま、今は雪よりこれからの鍋だ。早く帰ろうぜ」
マミ「花より団子って奴かしら?」
杏子「おう。おいしいものに勝るものなんてないぞ」
マミ「……フフ、そうね。家で皆が待ってるわ」
杏子「お鍋~お鍋~♪」
マミ「ただいまー」
杏子「ぬわあああああん疲れたもおおおおおん!」
まどか「二人ともおかえりー」
ほむら「おかえりなさい。あっそうだ、巴マミ、調理位なら手伝うわよ」
マミ「ありがと。まずは野菜を出して頂戴」
杏子「さ、私はご褒美のお菓子でも食べて待つとするかなー」
さやか「ちっちゃい子供か!」
まどか「そうだ。さやかちゃんもお菓子持ってきてたんだよね」
さやか「あわわわわ! 忘れてたー!」
ほむら「そそっかしい……」
杏子「んー、まさかのロールケーキだったとはな」
まどか「丁度5切れあってさ、良かったね」
ほむら「ええ。美樹さやかにしては良いチョイスよ」
さやか「『しては』っていうのは余計だぞ」
マミ「ご飯までは時間もあるけど、今日は何だか食べてばっかりね」
さやか「なんの! 辛い物を食べて血行を促進させて代謝を高める『カプサイシンダイエット』があるじゃないですか!」
マミ「なるほど。それで脂肪を燃やして、いっぱい食べても大丈夫って訳ね」
ほむら「ああ、合点がいったわ」
まどか「だからうどんに唐辛子をたくさんいれたりしてたんだ」
杏子「でもその分食べたら意味が……おい、さや……う、羽毛」
さやか「世の中には言ってはいけないこともあるのだよ、杏子君」
ほむら「……」
さやか「とにかく! 乙女の大敵、脂肪はカプサイシンで死亡するの!」
ほむら「……今狙った?」
マミ「スープは辛いのを買ってきたわ。やっぱり私も体重、気になっちゃって」
ほむら「ねぇ、今狙ったでしょ」
まどか「ほむらちゃってば、さっきの杏子ちゃんの惨状を見てたのに……」
さやか「だから大丈夫! 絶対に大丈夫!」
ほむら「狙ってたわよね? ねぇ、美樹さやk……う、羽毛」
まどか「(犠牲者がまた一人……)」
――――・・・
(ほむら、杏子が復活)
マミ「あら、もうこんな時間。晩御飯の準備しなきゃ」
ほむら「手伝うわ」
マミ「じゃあ、台所に行きましょ。さむむむむむ」
ほむら「あ、寒い寒い」
杏子「ポッキーうめぇなーポッキー」
さやか「それ、マミさんに買ってもらったんだ」
杏子「ああ。やっぱりこれだよなー」
まどか「ちゃっかりイチゴ味にしちゃってる、杏子ちゃんカワイイ」
杏子「う、うるせーよ」
マミ「よし、しっかり煮えたわね」
ほむら「巴マミ、貴女料理上手なのね」
マミ「まあ、長いこと一人暮らししてたら、嫌でも出来るようになるわよ」
ほむら「時々教わりに行っても……いいかしら」
マミ「ええ、勿論よ」
杏子「おっ、鍋だー! 鍋が来るぞー!」
さやか「全く、皿くらい配りなってば」
まどか「あっ、お箸こっち足りないからちょうだい」
さやか「ほいほーい」
ほむら「蓋、開けるわよ」
杏子「うひょおおおお! 旨そうな匂いだ! なぁ、食っていいか?」
さやか「もう、待ちな。逃げたりしないからさ」
マミ「私の自信作よ。具の下ごしらえもしっかりしたから、不備はないわよ」
まどか「凄いですマミさん。その、私にも料理を教えてくれたら……なんて……」
マミ「いいわよ。暁美さんと一緒に習いに来るといいわ」
さやか「ほむらとまどかだけで何やってんだ。私も仲間に入れてくれよ~」
杏子「私は食べる役で参加するぞ!」
マミ「……あらあら。もう、みんなまとめていらっしゃい」
杏子「なあなあ! 早くしないと鍋が冷めちまう。早く食べよーぜ!」
さやか「はいはい、んじゃ、手を合わせて」
いただきまーす!
マミ「あ、デザートにはケーキがあるから」
まどか「えっそれは……」
ほむら「流石に胃袋が耐えられないかもしれないわね」
さやか「何の、カプサイシンパワーで!」
ほむら「無理」
さやか「ですよねー」
杏子「私が全部食ってやるから大丈夫だって平気平気」
まどか「私の分あげるね……」
その日は夜遅くまで、少女たちの笑い声が白く染まった見滝ヶ原に響いていましたとさ
終わり
元スレ
さやか「それにしたって、今日はエラく曇ってるなぁ」
まどか「天気予報だと、雪が降るかもって言ってたよ」
さやか「何ですと!? これは一刻も早くマミさんの所で暖を取らねば!」
まどか「じゃ、急ごっか」
さやか「ちょーっとまったー!」
まどか「え?」
さやか「たまには何か持ってかないと、流石のさやかちゃんも心苦しいのだよ」
まどか「は……いはい。コンビニにでも寄る?」
さやか「そうこなくっちゃ!」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 19:15:15.60 ID:6/kB7wat0
――マミさん家――
さやか「おはようございまーす」
まどか「おはようございます。マミさん」
マミ「朝から呼び出しちゃってごめんね~、忙しかった?」
まどか「いえ、特には……」
さやか「休日のさやかちゃんは特別にお暇でいらっしゃいましたよー!」
マミ「そう……。途中は寒かったでしょ。さ、上がって上がって」
まどか「お邪魔しまーす」
さやか「おじゃまー」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 19:19:09.64 ID:6/kB7wat0
まどか「マミさん、こ、これって……」
マミ「うふふ、コタツ、出してみたの」
さやか「これにはさやかちゃんも大歓喜!早速スライディーング!」
マミ「あらあら」
さやか「ふわああああぁぁぁぁぁ……あったかいなりぃ……」
まどか「さやかちゃん、あんなにとろけた顔して……」
マミ「さ、鹿目さんも入って入って。私はお茶入れて来るから」
まどか「あ、手伝います」
マミ「いいからいいから」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 19:23:13.30 ID:6/kB7wat0
まどか「あったかいなぁ、コタツ」
さやか「おコタの魔力からは絶対に逃れられない!」
まどか「今のとろけた顔で言われると絶大な説得力だよ」
さやか「あー、あったかいよぉー。寝ちゃいそうだよぉ……」
まどか「コタツで寝ちゃうと風邪ひいちゃうよ。さやかちゃん」
さやか「それは分かってるんだけどさぁ、ああ逃れられない!」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 19:27:21.06 ID:6/kB7wat0
マミ「お茶入れてきたわよ。……美樹さんはおねむかしら?」
まどか「いや……」
さやか「おきてましゅ~」ウトウト
まどか「……あっ、マミさん! その右手のお盆は?」
マミ「冬のコタツには欠かせない……そう、必需品よ」
さやか「ひちゅじゅひん?」
まどか「えー、なんだろー?」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 19:32:09.63 ID:6/kB7wat0
マミ「やっぱり熱い緑茶にみかんよねー」
まどか「このみかんは甘いなぁ」
さやか「私も眠気覚ましに一つ……すっぱ!酸っぱい!」
まどか「うぃひひひ。私の食べなよ。こっちは甘いから」
さやか「くぅーっ!みかんめ、このさやか様に牙をむくとは無礼千万!」
マミ「良く揉んでから食べると甘くなるって言うわよ」
さやか「そーなのかー」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 19:49:01.64 ID:6/kB7wat0
さやか「ホントだ!揉むと甘い!」
マミ「でしょう? でもすぐに食べないと今まで以上に酸っぱくなるわよ」
さやか「うへぇ、諸刃の剣って奴ですかー」
まどか「大げさだよさやかちゃん……」
さやか「甘い甘い。もはや酸っぱさなど敵ではないわー
マミ「んー、これまた緑茶が美味しいわ」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 19:54:22.12 ID:6/kB7wat0
―――― ・・・
杏子「うう~っ、今日はいつもより寒ぃんだよなぁ。流石に堪えるぞ……」
杏子「巴マミん家にでも世話になるかなー」
杏子「休みの日だし、ま、多分家にいるだろー」
ほむら「奇遇ね。私もそうしようと思ってたの」
杏子「うおっ! 急に後ろから現れんなよ! 心臓に悪い!」
ほむら「ほら、行くわよ。公園にずっと居たら体を冷やすわ」
杏子「お前は話を聞けよ! ったく」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 19:58:44.83 ID:6/kB7wat0
ピンポーン
マミ「あら、誰かしらね。どちらさまですかー」
ほむら『私よ』
杏子「いや名乗れよ」
マミ「ハッ! 名乗らないという事は……まさかの『わたしわたし詐欺』!?」
杏子「違うから! いや違うから!」
ほむら『冗談が過ぎたわ。暁美ほむらよ。開けて頂戴』
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 20:05:44.78 ID:6/kB7wat0
杏子「おーっ、お前らも居たのかー」
さやか「おいすー」
まどか「おはよう。杏子ちゃん、ほむらちゃん」
ほむら「おはよう、まどか。ところでこれが……所謂こたつと言うものかしら?」
まどか「そうだよ。とってもあったかいんだ。ほむらちゃんはもしかして初めて?」
ほむら「ええ。病院暮らしが長くて、こういった風物詩はあまり体験したことは無いわ」
まどか「ほむらちゃん……ごめん」
ほむら「謝らなくても良いわよ。隣、失礼するわ」
さやか「さぁー! 転校生のコタツデビューですよー! ほれほれ」
ほむら「そんな公園デビューみたいに言わないで……」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 20:12:30.45 ID:6/kB7wat0
ほむら「あっ……あふぅぅぅぅ。何なのこれぇ……」
さやか「うーわ、まるで別人みたいだぁ……」
マミ「これがコタツの魔力ね。みかんはどう?」
ほむら「いただくわ」
杏子「まるで極楽だな……んーっ!」
さやか「ふぁっ! 冷たい! 杏子、つま先当てないでよ!」
杏子「んだよー。しょうがねぇだろー」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 20:19:05.82 ID:6/kB7wat0
杏子「うりうり」
さやか「んひゃっ! 太ももとか反則だって!」
ほむら「すぐに温まるわ。それまでの辛抱よ」
まどか「ガンバってね。さやかちゃん」
さやか「二人とも助けてよー。この薄情者ー!」
杏子「さやかー、万事休すだな」
さやか「こうなったら反撃だ! おりゃー!」
杏子「あっ、やめろって、くすぐったい。……そこはダメだって! いや、くぅ、マジでヤバいからああああああ!」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 20:24:09.12 ID:6/kB7wat0
マミ「そろそろみかんが切れそうね。取ってくるわ……さむさむ」スッ
杏子「たっぷり頼むぜー」
まどか「せっかくみんないるんだし、トランプとかやりたいな」
ほむら「私が持ってるわよ」
さやか「ババ抜きで勝負しようじゃない」
ほむら「望むところよ」
さやか「最下位は罰ゲーム、というのはどう?」
まどか「えっそれは……」
杏子「おーっ! 面白そうだな、私もやるぞー!」
ほむら「いざ勝負よ」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 20:29:34.76 ID:6/kB7wat0
ほむら「何てこと……何てこと……」
杏子「意外と顔に出るタイプなんだなー」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「ああっ! そんな目で見ないで! 私はまだ戦える。戦えるから!」
さやか「それはどうぞご勝手に、でも、とりあえず罰ゲームは受けてもらうぞ~」
ほむら「くっ、わ、分かったわ」
さやか「それじゃあねぇ……物まね、なんてどう?」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 20:36:28.79 ID:6/kB7wat0
マミ「みかん持って来たわ」
杏子「あんがと!」
マミ「ダンボールで買っちゃって食べきれないと思ってたの、バリバリ食べてね」
杏子「おう! 食い物は粗末にできないからな!」
さやか「自分の中学では罰ゲームでぇ……『公開物まね』って言うのがあってぇ……」
杏子「えっ、何それは……」
ほむら「そんな仕来たりがあるなんて、知らなかったわ」
まどか「無いよ! そんな意味不明な仕来たり無いから! 安心してほむらちゃん!」
さやか「んじゃ、レッツトラーイ。あっ、お題は何でもいいからね」
ほむら「……QBやります」
ほむら「……きゅっぷい!」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 20:40:54.51 ID:6/kB7wat0
ほむら「……」プルプル
さやか「……」
杏子「やべぇ……やべぇよ……」
マミ「これは……うん、似てたわ……似てたけど……」
まどか「ほむらちゃん。か、かわいかったよ……」
さやか「すいません許してください!何でもしますから!」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 20:47:45.35 ID:6/kB7wat0
杏子「お茶も美味しいな。まどか、お代わりくれよ」
まどか「はいはい」コポポポ
ほむら「さっきは酷い目にあったわ。まったく、貴女はロクな事を考えないわね、もう」プンスカ
さやか「いや、勝負を受けたのはほむらじゃん……。みかんすっぱい!」
ほむら「バチが当たったのね」
さやか「うぅ、うるせーやい」
マミ「あっ、そろそろお昼の時間ね。みんな、簡単にうどんでいいかしら?」
杏子「おっけー! 出されたものは何でも食うぞー」
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 20:54:53.10 ID:6/kB7wat0
マミ「マミ特製、きつねうどんよ」
杏子「はぇ~、すっごい旨そう。いただきまーす!」
さやか「マミさん、七味ありますかー?」
マミ「鹿目さんの近くに置いてるわ」
まどか「さやかちゃん、七味かけ過ぎ……」
さやか「今日は辛いのが食べたい気分なのだ」
ほむら「そう……まどか、私にも七味を」
まどか「はい、ほむらちゃん」
ほむら「ありがと」
44: >>42 訂正 2011/12/11(日) 21:02:28.72 ID:6/kB7wat0
杏子「ごちそうさまでした!」
さやか「うわ~、見事な食べっぷり。麺のかけら一つ残って無いわ」
マミ「きれいに食べてくれて私も嬉しいわ。あっ、佐倉さん、口元にネギがくっついてるわよ」
杏子「うおっ、サンキュー」
まどか「マミさん、まるでお母さんみたいだね」
ほむら「確かに。不似合では無いわね」
さやか「まさに、良妻賢母、って感じになりそうでっす!」
マミ「こら、 まだ私はお母さんってトシじゃないわよ」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 21:10:44.91 ID:6/kB7wat0
ほむら「むぅ、この問題は中々ね……」
まどか「何やってるの?」
ほむら「ナンプレよ。ナンプレ」
まどか「あの数字をマス目に埋めていく……」
ほむら「そう。単純だけど、結構面白いのよ。まどかにもこんど冊子をあげるわね」
まどか「えー、私でも出来るかなー」
ほむら「大丈夫。私が手取り足取り教えてあげるわ」
杏子「ドロー4だぜ! どうだ!」
さやか「こしゃくな……でも、やっぱり私も持ってるドロー4.赤で」
杏子「うげ!?」
マミ「残念でした。私も、赤のドロー2。美樹さんが赤を選んでくれなかったら危なかったわ」
杏子「ああああああああああああああ!」
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 21:16:09.29 ID:6/kB7wat0
杏子「くっそー、もう一回だ! 今度こそ勝ってやるぞ」
マミ「何度やっても私の勝ちは変わらないわよ」
杏子「言ってろ。目にモノ見せてやるよ」
さやか「んじゃ、次負けた人は罰ゲームね」
杏子「いいのか? そんな事言っちゃって」
さやか「だいじょうぶだいじょうぶ。だって杏子ちゃんがいるもんねー」
杏子「むっきぃぃぃぃぃ! 見てろよぉぉぉぉぉ!」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 21:23:17.66 ID:6/kB7wat0
杏子「……」
マミ「ふふふ、一番上がりっ」
さやか「予想通りと言うか、何と言うか……」
マミ「それじゃあ、罰ゲームね。何にしようかしら……迷うわぁ」
杏子「や、優しくしろよ」
マミ「そうねぇ……じゃあ『私の買い物についてくる』っていうのはどう?」
杏子「え?」
マミ「みんな晩御飯、食べて帰るでしょ? お鍋でも振る舞うわ」
まどか「えーっ? いいんですか? ……なら、パパに電話して来ますね」
ほむら「私もお言葉に甘えようかしら」
マミ「と、いう訳で、佐倉さん、今日のお買いもの、寒いけどついて来てね」
杏子「お、おう」
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 21:32:34.05 ID:6/kB7wat0
――――・・・
杏子「うぅ~っ、やっぱりクソ寒いなぁ……」ブルブル
マミ「スーパーの中はあったかいから、そこまで頑張りましょう」
杏子「ところでよー」
マミ「何かしら」
杏子「何鍋にするか決めてるのかー? さやかの奴がやたらとキムチ鍋を主張してきたが……」
マミ「えーっと、まだ決めてないわ。お店でゆっくり選びましょ」
杏子「そーだな。時間もたっぷりある事だし」
マミ「そういう事」
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 21:41:03.24 ID:6/kB7wat0
杏子「流石は店の中、あったけーなぁ」
マミ「でも、汗をかかないようにね。風邪ひいちゃうわよ」
杏子「へーい。さっそく、見て回ろうぜ」
マミ「確か、今日は白菜が安かったのよ」
杏子「そーなのか。んじゃ、それメインで考えるか」
マミ「美樹さんの希望で、スープはキムチ風味の奴にしたわ」
杏子「アイツ辛いの好きだったっけ……?」
マミ「まあまあ、佐倉さんも欲しい食材あったら言って。何でも入れられるのが鍋の良い所なんだから」
63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 21:47:27.69 ID:6/kB7wat0
まどか「マミさんたち、寒くないかなー」
ほむら「大丈夫でしょ。あれだけ厚着していけば北極でも多分平気よ」
まどか「そっか。そうだよね。みかんでも食べようか……さやかちゃん」
さやか「揺らさないで! 今揺らしたら誰であっても許さない!」
ほむら「……」トントン
さやか「だから机の端を指で突くのはやめて! このトランプタワーには私のすべてが懸ってる……!!」
ほむら「そう……」トントン
さやか「ほむら! アンタ絶対楽しんでるよね、怒らないからさやか様に言ってみなさい」
ほむら「……」トントン
さやか「無言の肯定かぁ……あとマジで崩すのやめて」
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 21:56:02.54 ID:6/kB7wat0
さやか「酷い妨害に耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び……とうとう完成した! 特大トランプタワー!」
まどか「おめでとう! これは超大作だね」
さやか「まどかがほめてくれて嬉しいぞ~」
まどか「あっ、くすぐらないでよー、もう」
ほむら「後は崩すだけよ」
さやか「さらっと酷い事いうのやめろ! マミさんと杏子にも見せてやるのだーはっはっはー」
まどか「ウェヒヒヒヒ、二人ともびっくりするだろうね」
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 22:02:23.48 ID:6/kB7wat0
マミ「うん、お肉に豆腐にお野菜、必要な食材は全部揃ったわね」
杏子「待った、締めはどっちにするんだ?」
マミ「そうねぇ……うどんはお昼に食べたから、おじやにする?」
杏子「あぁ^~いいっすね~」
マミ「フフ、何なのその口調」
杏子「やってみただけだよ!」
マミ「……そうだ。お買い物について来て、ちゃんとお手伝いしてくれたからー、好きなお菓子、一つだけ買ってあげるわ」
杏子「マジか!? いやったー!」
78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 22:11:07.93 ID:6/kB7wat0
杏子「どれにしよっかなー♪」
マミ「そこまで喜んでくれるなんて、こっちまで嬉しくなっちゃうわ」
杏子「うーん、きのこの里にするかなー、でもたけのこの里の方が可愛いし、ホワイトロリータも捨てがたい……いやいやあえての歌舞伎揚げ?」
マミ「ドーナツやバタークッキーなんてのも悪くないんじゃない?」
杏子「だぁーっ! 選択肢が増えちまってありがた迷惑だ!」
マミ「まあ、ゆっくり選ぶといいわ」
杏子「おーう」
しばらくして―――
杏子「よし、これに決めた!」
81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 22:17:37.62 ID:6/kB7wat0
――――・・・
さやか「……」
まどか「……うん、誰も悪くないよ。不幸な事件だったんだよ」
ほむら「そうよ。美樹さやか……心中は察するけど、これは致し方ないわ……」プルプル
さやか「おいちょっと笑ってるだろ」
まどか「……お茶を取りに行った時に、足を滑らせて」
さやか「あの時油断して無かったら……くぅぅ~~」
ほむら「まだチャンスは……あるわよ……きっと」プルプル
84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 22:23:29.15 ID:6/kB7wat0
さやか「わたしって、ほんとバカ。真っ白に燃え尽きたよあたしゃ……」
まどか「そんな! さやかちゃんが一気におばあちゃんみたいな感じに!」
ほむら「……雪」
さやか「え?」
ほむら「窓の外、ほら」
さやか「ホントだ! 雪じゃん!」
まどか「きれいだなぁ。明日は積もるかな」
ほむら「ええ、きっと。そして地面もきっと凍るわよ。足を滑らせないようにね、美樹さやか」
さやか「うるへーうるへー」
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 22:28:15.47 ID:6/kB7wat0
杏子「おっ、雪かぁ?」
マミ「寒いと思ったら、やっぱり降ってきたわ」
杏子「んま、今は雪よりこれからの鍋だ。早く帰ろうぜ」
マミ「花より団子って奴かしら?」
杏子「おう。おいしいものに勝るものなんてないぞ」
マミ「……フフ、そうね。家で皆が待ってるわ」
杏子「お鍋~お鍋~♪」
89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 22:36:20.68 ID:6/kB7wat0
マミ「ただいまー」
杏子「ぬわあああああん疲れたもおおおおおん!」
まどか「二人ともおかえりー」
ほむら「おかえりなさい。あっそうだ、巴マミ、調理位なら手伝うわよ」
マミ「ありがと。まずは野菜を出して頂戴」
杏子「さ、私はご褒美のお菓子でも食べて待つとするかなー」
さやか「ちっちゃい子供か!」
まどか「そうだ。さやかちゃんもお菓子持ってきてたんだよね」
さやか「あわわわわ! 忘れてたー!」
ほむら「そそっかしい……」
92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 22:44:02.67 ID:6/kB7wat0
杏子「んー、まさかのロールケーキだったとはな」
まどか「丁度5切れあってさ、良かったね」
ほむら「ええ。美樹さやかにしては良いチョイスよ」
さやか「『しては』っていうのは余計だぞ」
マミ「ご飯までは時間もあるけど、今日は何だか食べてばっかりね」
さやか「なんの! 辛い物を食べて血行を促進させて代謝を高める『カプサイシンダイエット』があるじゃないですか!」
マミ「なるほど。それで脂肪を燃やして、いっぱい食べても大丈夫って訳ね」
ほむら「ああ、合点がいったわ」
まどか「だからうどんに唐辛子をたくさんいれたりしてたんだ」
杏子「でもその分食べたら意味が……おい、さや……う、羽毛」
さやか「世の中には言ってはいけないこともあるのだよ、杏子君」
ほむら「……」
95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 22:49:50.53 ID:6/kB7wat0
さやか「とにかく! 乙女の大敵、脂肪はカプサイシンで死亡するの!」
ほむら「……今狙った?」
マミ「スープは辛いのを買ってきたわ。やっぱり私も体重、気になっちゃって」
ほむら「ねぇ、今狙ったでしょ」
まどか「ほむらちゃってば、さっきの杏子ちゃんの惨状を見てたのに……」
さやか「だから大丈夫! 絶対に大丈夫!」
ほむら「狙ってたわよね? ねぇ、美樹さやk……う、羽毛」
まどか「(犠牲者がまた一人……)」
102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 22:57:18.79 ID:6/kB7wat0
――――・・・
(ほむら、杏子が復活)
マミ「あら、もうこんな時間。晩御飯の準備しなきゃ」
ほむら「手伝うわ」
マミ「じゃあ、台所に行きましょ。さむむむむむ」
ほむら「あ、寒い寒い」
杏子「ポッキーうめぇなーポッキー」
さやか「それ、マミさんに買ってもらったんだ」
杏子「ああ。やっぱりこれだよなー」
まどか「ちゃっかりイチゴ味にしちゃってる、杏子ちゃんカワイイ」
杏子「う、うるせーよ」
105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 23:01:31.07 ID:6/kB7wat0
マミ「よし、しっかり煮えたわね」
ほむら「巴マミ、貴女料理上手なのね」
マミ「まあ、長いこと一人暮らししてたら、嫌でも出来るようになるわよ」
ほむら「時々教わりに行っても……いいかしら」
マミ「ええ、勿論よ」
杏子「おっ、鍋だー! 鍋が来るぞー!」
さやか「全く、皿くらい配りなってば」
まどか「あっ、お箸こっち足りないからちょうだい」
さやか「ほいほーい」
108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 23:07:33.15 ID:6/kB7wat0
ほむら「蓋、開けるわよ」
杏子「うひょおおおお! 旨そうな匂いだ! なぁ、食っていいか?」
さやか「もう、待ちな。逃げたりしないからさ」
マミ「私の自信作よ。具の下ごしらえもしっかりしたから、不備はないわよ」
まどか「凄いですマミさん。その、私にも料理を教えてくれたら……なんて……」
マミ「いいわよ。暁美さんと一緒に習いに来るといいわ」
さやか「ほむらとまどかだけで何やってんだ。私も仲間に入れてくれよ~」
杏子「私は食べる役で参加するぞ!」
マミ「……あらあら。もう、みんなまとめていらっしゃい」
111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/11(日) 23:10:47.71 ID:6/kB7wat0
杏子「なあなあ! 早くしないと鍋が冷めちまう。早く食べよーぜ!」
さやか「はいはい、んじゃ、手を合わせて」
いただきまーす!
マミ「あ、デザートにはケーキがあるから」
まどか「えっそれは……」
ほむら「流石に胃袋が耐えられないかもしれないわね」
さやか「何の、カプサイシンパワーで!」
ほむら「無理」
さやか「ですよねー」
杏子「私が全部食ってやるから大丈夫だって平気平気」
まどか「私の分あげるね……」
その日は夜遅くまで、少女たちの笑い声が白く染まった見滝ヶ原に響いていましたとさ
終わり
まどか「あったかいなぁ……」