SS速報VIP:北上「我々は猫である」
965: ◆rbbm4ODkU. 2019/05/28(火) 04:23:22.82 ID:82eRS9qA0
小話:猫と手袋
猫に限らず主に四足歩行の生き物で足のところだけ体と色が違ったりするとまるで靴下のようだともてはやされる。
私には残念ながらなかった。
これ以外にもハートマークやら国や地域の形やらと人は模様を様々な何かに似ていると騒ぐ。
つまりは親バカ、飼い主バカということなのだろう。
966: ◆rbbm4ODkU. 2019/05/28(火) 04:23:52.93 ID:82eRS9qA0
北上「谷風、というか駆逐艦って手袋してる子が多いよね」
谷風「そーだねぇ。でも他の艦種でもつけている人は多いじゃないか。単純に駆逐艦は数が多いだけさ」
北上「それもそうか」
谷風「どうして急に手袋を?」
北上「谷風の見てたら気になってさ」
谷風「何を今更。会う度に見ているじゃないさ」
北上「だからこそだよ。だって手袋って出撃とかでもないのに付けるもんじゃないでしょ」
谷風「言われてみればその通りだけど、そうさねえ。意識した事はなかったけどもうすっかり付けてない方が違和感になってるのは否めないねえ」
北上「邪魔じゃない?」
谷風「こうして屋上に登ったり屋根を伝ったりする時には便利なのさっ」ドヤァ
盗み見盗み聞きはこの手袋に支えられていたのか。
ドヤ顔する事じゃない。
谷風「そもそも船には手がない。私だってそうさ。羽だったからね。だからか君とは手に対する考え方に差異があるのかもしれないね」
北上「確かに、私は元々素っ裸が普通だったからね。何かを身に付ける事が違和感なのかも」
谷風「元々手がない私達は自分の手が覆われていたり、極端な話手がなくても違和感を覚えないかもしれないわけだ。
うむこうして考えると何やら薄ら寒い話じゃあないか」
北上「手かあ。最も私だって正確には前足なわけだけど」
谷風「艦娘は沢山の人間とその思いの集合体だとか言うけれど、もしそうならこうして一つの意思で何かを掴み取れるというのは極々自然なようで極まりきった奇跡なのかもしれないね」
そう言って掌を太陽に翳す。
白い手袋から伸びる腕はまるで猫のように細い。
谷風「まーっかぁにぃ流~れる~僕のちぃしぃお~ってなっ」
北上「…みんなみんな生きている、か」
谷風「一度や二度死んでいても、今こうして生きている事に変わりはないってこった」
北上「生きてる。そうだね。生きてるから、寒いね」
季節は冬である。
谷風「かぁーなっさけないねえ!よし早く中入ろう!」
北上「寒いんじゃん」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
多摩「手?」
球磨「なんだクマ?急に」
北上「なんとなぁくね」
多摩「まあ便利なもんにゃ。こうしてみかんを剥いて食べれるからにゃ」
球磨「多摩は一々白いの外すのが好きだクマ」
多摩「だってこれサバサバするにゃ。いらないにゃ」
北上「コタツでミカンはこの体のおかげだねえ」
球磨「掴むってのは確かに便利クマ」
木曾「セミも捕まえられしな」
球磨「ぅ…あれは忘れろクマ」
5人も集まるとコタツはすぐ暖まる。
北上「木曾はやっぱ剣振れるから?」
木曾「そうだな。艦ってのは言っちまえば足だ。究極的には移動手段でしかない。だからこの手は俺達が艦でなく人である確かな理由だ。大事な事だよ」
北上「カッコイイもんね」
木曾「う、うん…」
そこで恥ずかしがるなよ。
北上「大井っちはどう?」
大井「私ですか?そうですねえ」
ギュッと、コタツの中で大井っちが私の手を握る。
指と指が絡み合う感覚は肉球のある体では感じ取れない暖かさがあった。
大井「こうしてまた離れないように出来るのはこの身体だからこそですね」
北上「ふふ、そだね」
多摩「おうおうお熱いにゃあ」
木曾「実際暑くないかこれ?」
球磨「温度下げるクマ?」
北上「え~丁度良くない?」
球磨「球磨はどっちでもいいクマ」
多摩「下げるにゃ」
木曾「下げよう」
球磨「下げる派二」
北上「反た~い」
大井「なら私も」
多摩「ならとか言うなら無投票にしろにゃあ」
球磨「二対二だクマ」
木曾「仕方ない。せっかく手があるんだ」
多摩「手っ取り早くいくにゃ」
北上「勝者がルールね」
大井「いいでしょう」
「「「「じゃ~んけ~ん」」」」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
提督「で、勝ったはいいけど結局暑くて抜けてきたと」
北上「コタツは温度調整が難しい」
提督「おいおい」
いつも通り部屋のソファに寝転がる。
机に向かいなにかしている提督と仰向けで寝転がる私。
声だけが行き交う会話だけれど、不思議と落ち着く。
北上「この部屋暖房完璧過ぎない?一応節電なんでしょ?」
提督「そこは、ほら。お前ら温度変化には強いじゃん?」
北上「うわ職権乱用かまさか」
提督「待て待て、俺が風邪とか引いたら大変じゃん?ヤバいじゃん?予防大事じゃん?」
北上「吹雪でいいじゃん?」
提督「刺さるわー冬の海風より刺さるわー」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
北上「手ってどう思う?」
提督「て、手?ハンド?」
北上「そそ」
提督「急に言われてもなぁ。あ、インクうつっちった」
北上「船って手がないじゃん。でも私達はあるから、なんかこう面白いなあって」
提督「ほぉ…」
沈黙。
考えているのだろうか。
不意に提督が席を立つ音がする。
椅子をしまいこちらに向かってくる。
私が猫なら耳がぴくぴくと動いていたことだろう。
仰向けで天井をボケっと見上げていた私の視界に突然提督の手が入る。
顔の方に伸ばされたその手に反射的に目を瞑る。
するとその手はゆっくりと私の前髪をサラサラと撫で、そのまま頭の上にゆきやさしく、それこそ猫を撫でるかのようにゆっくりと動かされた。
北上「…なに?」
提督「知ってるか?世の中にゃ色んな生き物がいて様々なスキンシップを取ってるけど、こうしてただ撫でるって行為をするのは人間だけらしいぜ」
北上「へぇ。それは知らなかった」
ゆっくりとではあるがしかし提督のガサツな撫で方は大井っちに編み込まれた髪型を崩してしまいそうなものだったけれど、
なんだか昔からずっとこの手に触れられていたような気持ちになって、とても、とても心地よかった。
北上「夕飯までそれお願い」
提督「バカ言うな」
なんて言いつつ私が寝るまでずっとそうしていてくれたようだった。
ミサイルはいっぱいあるし士魂隊や内火艇もあるし同士三人もいてテンプレ装備編成は出来てるのに燃料が十万飛ぶまで割れませんでしたが私は元気です。何かもう色々と決定的に運が悪かったんじゃないかと…
この先は御札の都合で丙になるので安心、安心?
元スレ
北上「谷風、というか駆逐艦って手袋してる子が多いよね」
谷風「そーだねぇ。でも他の艦種でもつけている人は多いじゃないか。単純に駆逐艦は数が多いだけさ」
北上「それもそうか」
谷風「どうして急に手袋を?」
北上「谷風の見てたら気になってさ」
谷風「何を今更。会う度に見ているじゃないさ」
北上「だからこそだよ。だって手袋って出撃とかでもないのに付けるもんじゃないでしょ」
谷風「言われてみればその通りだけど、そうさねえ。意識した事はなかったけどもうすっかり付けてない方が違和感になってるのは否めないねえ」
北上「邪魔じゃない?」
谷風「こうして屋上に登ったり屋根を伝ったりする時には便利なのさっ」ドヤァ
盗み見盗み聞きはこの手袋に支えられていたのか。
ドヤ顔する事じゃない。
967: ◆rbbm4ODkU. 2019/05/28(火) 04:26:09.41 ID:82eRS9qA0
谷風「そもそも船には手がない。私だってそうさ。羽だったからね。だからか君とは手に対する考え方に差異があるのかもしれないね」
北上「確かに、私は元々素っ裸が普通だったからね。何かを身に付ける事が違和感なのかも」
谷風「元々手がない私達は自分の手が覆われていたり、極端な話手がなくても違和感を覚えないかもしれないわけだ。
うむこうして考えると何やら薄ら寒い話じゃあないか」
北上「手かあ。最も私だって正確には前足なわけだけど」
谷風「艦娘は沢山の人間とその思いの集合体だとか言うけれど、もしそうならこうして一つの意思で何かを掴み取れるというのは極々自然なようで極まりきった奇跡なのかもしれないね」
そう言って掌を太陽に翳す。
白い手袋から伸びる腕はまるで猫のように細い。
谷風「まーっかぁにぃ流~れる~僕のちぃしぃお~ってなっ」
北上「…みんなみんな生きている、か」
谷風「一度や二度死んでいても、今こうして生きている事に変わりはないってこった」
北上「生きてる。そうだね。生きてるから、寒いね」
季節は冬である。
谷風「かぁーなっさけないねえ!よし早く中入ろう!」
北上「寒いんじゃん」
970: ◆rbbm4ODkU. 2019/06/04(火) 04:33:49.22 ID:1U7uDXwJ0
・・・
・・・・・・
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多摩「手?」
球磨「なんだクマ?急に」
北上「なんとなぁくね」
多摩「まあ便利なもんにゃ。こうしてみかんを剥いて食べれるからにゃ」
球磨「多摩は一々白いの外すのが好きだクマ」
多摩「だってこれサバサバするにゃ。いらないにゃ」
北上「コタツでミカンはこの体のおかげだねえ」
球磨「掴むってのは確かに便利クマ」
木曾「セミも捕まえられしな」
球磨「ぅ…あれは忘れろクマ」
5人も集まるとコタツはすぐ暖まる。
971: ◆rbbm4ODkU. 2019/06/04(火) 04:34:22.81 ID:1U7uDXwJ0
北上「木曾はやっぱ剣振れるから?」
木曾「そうだな。艦ってのは言っちまえば足だ。究極的には移動手段でしかない。だからこの手は俺達が艦でなく人である確かな理由だ。大事な事だよ」
北上「カッコイイもんね」
木曾「う、うん…」
そこで恥ずかしがるなよ。
北上「大井っちはどう?」
大井「私ですか?そうですねえ」
ギュッと、コタツの中で大井っちが私の手を握る。
指と指が絡み合う感覚は肉球のある体では感じ取れない暖かさがあった。
大井「こうしてまた離れないように出来るのはこの身体だからこそですね」
北上「ふふ、そだね」
多摩「おうおうお熱いにゃあ」
木曾「実際暑くないかこれ?」
球磨「温度下げるクマ?」
北上「え~丁度良くない?」
972: ◆rbbm4ODkU. 2019/06/04(火) 04:35:10.82 ID:1U7uDXwJ0
球磨「球磨はどっちでもいいクマ」
多摩「下げるにゃ」
木曾「下げよう」
球磨「下げる派二」
北上「反た~い」
大井「なら私も」
多摩「ならとか言うなら無投票にしろにゃあ」
球磨「二対二だクマ」
木曾「仕方ない。せっかく手があるんだ」
多摩「手っ取り早くいくにゃ」
北上「勝者がルールね」
大井「いいでしょう」
「「「「じゃ~んけ~ん」」」」
975: ◆rbbm4ODkU. 2019/06/19(水) 03:27:50.71 ID:EliH773c0
・・・
・・・・・・
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提督「で、勝ったはいいけど結局暑くて抜けてきたと」
北上「コタツは温度調整が難しい」
提督「おいおい」
いつも通り部屋のソファに寝転がる。
机に向かいなにかしている提督と仰向けで寝転がる私。
声だけが行き交う会話だけれど、不思議と落ち着く。
北上「この部屋暖房完璧過ぎない?一応節電なんでしょ?」
提督「そこは、ほら。お前ら温度変化には強いじゃん?」
北上「うわ職権乱用かまさか」
提督「待て待て、俺が風邪とか引いたら大変じゃん?ヤバいじゃん?予防大事じゃん?」
北上「吹雪でいいじゃん?」
提督「刺さるわー冬の海風より刺さるわー」
976: ◆rbbm4ODkU. 2019/06/19(水) 03:28:19.01 ID:EliH773c0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
北上「手ってどう思う?」
提督「て、手?ハンド?」
北上「そそ」
提督「急に言われてもなぁ。あ、インクうつっちった」
北上「船って手がないじゃん。でも私達はあるから、なんかこう面白いなあって」
提督「ほぉ…」
沈黙。
考えているのだろうか。
不意に提督が席を立つ音がする。
椅子をしまいこちらに向かってくる。
私が猫なら耳がぴくぴくと動いていたことだろう。
977: ◆rbbm4ODkU. 2019/06/19(水) 03:28:47.91 ID:EliH773c0
仰向けで天井をボケっと見上げていた私の視界に突然提督の手が入る。
顔の方に伸ばされたその手に反射的に目を瞑る。
するとその手はゆっくりと私の前髪をサラサラと撫で、そのまま頭の上にゆきやさしく、それこそ猫を撫でるかのようにゆっくりと動かされた。
北上「…なに?」
提督「知ってるか?世の中にゃ色んな生き物がいて様々なスキンシップを取ってるけど、こうしてただ撫でるって行為をするのは人間だけらしいぜ」
北上「へぇ。それは知らなかった」
ゆっくりとではあるがしかし提督のガサツな撫で方は大井っちに編み込まれた髪型を崩してしまいそうなものだったけれど、
なんだか昔からずっとこの手に触れられていたような気持ちになって、とても、とても心地よかった。
北上「夕飯までそれお願い」
提督「バカ言うな」
なんて言いつつ私が寝るまでずっとそうしていてくれたようだった。
978: ◆rbbm4ODkU. 2019/06/19(水) 03:36:02.26 ID:EliH773c0
ミサイルはいっぱいあるし士魂隊や内火艇もあるし同士三人もいてテンプレ装備編成は出来てるのに燃料が十万飛ぶまで割れませんでしたが私は元気です。何かもう色々と決定的に運が悪かったんじゃないかと…
この先は御札の都合で丙になるので安心、安心?
SS速報VIP:北上「我々は猫である」