1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/10/02(水) 17:40:56 ID:ZNciR8FI
女「ち、近寄らないで!」
男「そんなに警戒しなくても」
女「だって、だって、狼人間は私たち一族にとって天敵と言っても過言では……」
男「一族?」
女「あっ、いや……なんでもないわ」
男「今はお昼だし変身したりはしないよ」
女「う、うん」
2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/10/02(水) 17:48:15 ID:ZNciR8FI
女「変身したら自我を失って私たちのことを襲ったりするんでしょ!」
男「別にしないけど……」
女「え、どうして?」
男「どうしてと言われてましても」
女「で、でも」
男「まぁ、肌が荒れたり少し気が短くなったりはするかな」
女「やっぱりそうじゃない! 気性が荒くなって敵味方問わず襲い掛かるんでしょう!」
男「そんなことしないよ」
女「じゃ、じゃあどうなるのよ」
男「うーん、伸びた爪に堪えきれなくなってすぐ爪を切りたくなるとか」
女「なによそれ!」
男「長い爪って落ち着かないんだよね」
女「お、狼の姿になった後は他に何が起こるの?」
男「お腹が空く」
女「や、やっぱり! 満たされることのない飢えを満たす為に私たちを襲うんでしょ! わ、私を食べたって良いことなんて何もないわよ!」
男「食べないよ」
女「じゃ、じゃあどうするのよ」
男「前の満月は家族で回るお寿司屋さんに行ったよ。20皿も食べたんだ」
女「そのくらい私だって頑張れば食べられるわよ! 狼人間ならもっと食べなさいよ!」
男「食べようと思うとあんまりお腹に入らないタイプなんだよね」
女「狼人間に噛まれた者は狼人間になると聞くわ」
男「あー、聞くね」
女「でしょう! ま、まさか私を噛んで狼人間にするつもりね!? 嫌よ、私は吸血き……人間で居たいの!」
男「噛まないし狼人間にもしないよ」
女「じゃ、じゃあどうするつもりなのよ」
男「昔は体の中にそういう毒が有ったらしいけど、今は毒が無いから噛んでも狼人間にはならないよ。退化しちゃったんだって」
女「そうなのね。私、ちゃんとした情報を知らないままあなたを傷つけるような事を言ったわ。ごめんなさい……」
男「気にしてないよ」
男「ところでさ」
女「何かしら」
男「さっき吸血鬼とか言ってなかった?」
女「い、言ってないわ」
男「でも『吸血鬼のままでいたいの』って」
女「へっ? 私本当に言ってたの? あ、あぁ……どうしよう、バレちゃった……吸血鬼ってバレちゃった」
男「まぁ、ここまでハッキリ言ってはないけども」
女「そうよね! 人間でいたいって言ってたわよね!」
男「うん」
女「よかったぁ……」
男「それでさ、吸血鬼と狼人間って何か因縁的なものがあったりするの?」
女「なんで普通の人間である私にそんな事を聞くのよ」
男「気になって」
女「まぁ、いいわ。教えてあげる」
男「ありがと」
女「すごい昔に吸血鬼と狼人間の間で戦争……みたいな事が起きていたらしいのよ」
男「戦争……」
女「その時に大婆さま……あ、ある吸血鬼がある狼男に」
男(まさか、食べてしまったとか)
女「誑かされ、その狼男と駆け落ちしてしまったの」
男「え、駆け落ち?」
女「あっ、大婆様からメール……ハワイ楽しそうだなぁ。見てみてこれが私の大婆様なの!」
男「わ、若い……お母さんとかじゃなく?」
女「綺麗でしょ! 自慢の大婆様なの!」
男「普通はそこまで若くは無いと思うんだけど……」
女「あ、それでね。吸血鬼のお父さん達は怒って勘当しようとしたらしいんだけど吸血鬼が身籠っていたという情報を得て、子どもが産まれた年に見に行ったらしいの」
男(もしかして、産まれた子供を……)
女「産まれた子供が可愛くてたくさん甘えさせたんだって!」
男「え、命を奪ったとかではなく?」
女「……随分酷いことを考えるのね」
男「流れ的に普通はこう考えるでしょ!」
女「吸血鬼は身籠りにくいの。だからどんな血が混じっていようと子供のことは大切に育てるわ」
男「へぇ」
女「純血だーって騒いでる人もいるけどどうせ混じってるわ」
女「けど悔しかった吸血鬼のお父さんは子供にあることを言い聞かせて育てたのよ」
男「あること?」
女「たしか、『狼人間は私達にとって天敵なのだ。怖いから近づかないように』だっけかな」
女「だから! 狼人間は怖いの!」
男「そっか……」
女「まぁ……あなたはそこまで怖くないけどね」
男「ほんとに?」
女「聞いてきた事とは全然違うもの」
男「ちなみにその話ってどのくらい昔の事なの?」
女「えっと、大婆さまが600歳とちょいだから……600年くらい前だわ!」
男「へ、へぇ」
女「ところで、私をこんなところに呼び出して何かあるの? もうすぐお昼休みが終わってしまけど」
男「あっ、そ、そうだった」
女「下駄箱を開けたら手紙が入っていてビックリしたけど、お話がしたいとだけ書かれてて……手紙ならもっと文字を書いてもらわないと困るわよ」
男「はい……えっとですね」
女「うん」
男「あ、あの!」
女「はやく言いなさいよ」
男「ひ、一目惚れです。入学した時から好きでした」
女「……えっ」
男「付き合って下さい!」
女「あわ、あわわわ///」
男「あと首を噛ませて下さい!」
女「くび!? やっぱり私たち一族を狙って!」
男「甘噛みです! 美味しそうで堪らないんです!」
女「あ、あぁぁぁぁ///」
女(ど、どうしよう。告白なんて初めてで何を言えばいいのか……お、大婆様、 お母様助けて……はっ!)
大婆『あたしはこの人に首を噛ませて下さいと言われて結婚したのよ。色々あったけど凄く幸せにしてもらったの』
大婆『貴女も首を噛ませて下さいと言われたら信じて噛ませてあげてみるといいわよ? ふふっ』
女(……)
男「お願いします!」
女「……」
男「……」
女「よ、よろしくお願いしましゅ」
男「やったぁぁぁぁぁ!」
女「と、取り敢えず」
女「どうやって吸血鬼って事を伝えるか考えなきゃ……!」
おわり
思い付きで書いてごめん
元スレ
女「変身したら自我を失って私たちのことを襲ったりするんでしょ!」
男「別にしないけど……」
女「え、どうして?」
男「どうしてと言われてましても」
女「で、でも」
男「まぁ、肌が荒れたり少し気が短くなったりはするかな」
女「やっぱりそうじゃない! 気性が荒くなって敵味方問わず襲い掛かるんでしょう!」
男「そんなことしないよ」
女「じゃ、じゃあどうなるのよ」
男「うーん、伸びた爪に堪えきれなくなってすぐ爪を切りたくなるとか」
女「なによそれ!」
男「長い爪って落ち着かないんだよね」
3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/10/02(水) 17:54:50 ID:ZNciR8FI
女「お、狼の姿になった後は他に何が起こるの?」
男「お腹が空く」
女「や、やっぱり! 満たされることのない飢えを満たす為に私たちを襲うんでしょ! わ、私を食べたって良いことなんて何もないわよ!」
男「食べないよ」
女「じゃ、じゃあどうするのよ」
男「前の満月は家族で回るお寿司屋さんに行ったよ。20皿も食べたんだ」
女「そのくらい私だって頑張れば食べられるわよ! 狼人間ならもっと食べなさいよ!」
男「食べようと思うとあんまりお腹に入らないタイプなんだよね」
4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/10/02(水) 18:02:50 ID:ZNciR8FI
女「狼人間に噛まれた者は狼人間になると聞くわ」
男「あー、聞くね」
女「でしょう! ま、まさか私を噛んで狼人間にするつもりね!? 嫌よ、私は吸血き……人間で居たいの!」
男「噛まないし狼人間にもしないよ」
女「じゃ、じゃあどうするつもりなのよ」
男「昔は体の中にそういう毒が有ったらしいけど、今は毒が無いから噛んでも狼人間にはならないよ。退化しちゃったんだって」
女「そうなのね。私、ちゃんとした情報を知らないままあなたを傷つけるような事を言ったわ。ごめんなさい……」
男「気にしてないよ」
5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/10/02(水) 18:08:24 ID:ZNciR8FI
男「ところでさ」
女「何かしら」
男「さっき吸血鬼とか言ってなかった?」
女「い、言ってないわ」
男「でも『吸血鬼のままでいたいの』って」
女「へっ? 私本当に言ってたの? あ、あぁ……どうしよう、バレちゃった……吸血鬼ってバレちゃった」
男「まぁ、ここまでハッキリ言ってはないけども」
女「そうよね! 人間でいたいって言ってたわよね!」
男「うん」
女「よかったぁ……」
6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/10/02(水) 18:15:21 ID:ZNciR8FI
男「それでさ、吸血鬼と狼人間って何か因縁的なものがあったりするの?」
女「なんで普通の人間である私にそんな事を聞くのよ」
男「気になって」
女「まぁ、いいわ。教えてあげる」
男「ありがと」
女「すごい昔に吸血鬼と狼人間の間で戦争……みたいな事が起きていたらしいのよ」
男「戦争……」
女「その時に大婆さま……あ、ある吸血鬼がある狼男に」
男(まさか、食べてしまったとか)
女「誑かされ、その狼男と駆け落ちしてしまったの」
男「え、駆け落ち?」
7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/10/02(水) 18:27:04 ID:ZNciR8FI
女「あっ、大婆様からメール……ハワイ楽しそうだなぁ。見てみてこれが私の大婆様なの!」
男「わ、若い……お母さんとかじゃなく?」
女「綺麗でしょ! 自慢の大婆様なの!」
男「普通はそこまで若くは無いと思うんだけど……」
女「あ、それでね。吸血鬼のお父さん達は怒って勘当しようとしたらしいんだけど吸血鬼が身籠っていたという情報を得て、子どもが産まれた年に見に行ったらしいの」
男(もしかして、産まれた子供を……)
女「産まれた子供が可愛くてたくさん甘えさせたんだって!」
男「え、命を奪ったとかではなく?」
女「……随分酷いことを考えるのね」
男「流れ的に普通はこう考えるでしょ!」
女「吸血鬼は身籠りにくいの。だからどんな血が混じっていようと子供のことは大切に育てるわ」
男「へぇ」
女「純血だーって騒いでる人もいるけどどうせ混じってるわ」
8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/10/02(水) 18:33:03 ID:ZNciR8FI
女「けど悔しかった吸血鬼のお父さんは子供にあることを言い聞かせて育てたのよ」
男「あること?」
女「たしか、『狼人間は私達にとって天敵なのだ。怖いから近づかないように』だっけかな」
女「だから! 狼人間は怖いの!」
男「そっか……」
女「まぁ……あなたはそこまで怖くないけどね」
男「ほんとに?」
女「聞いてきた事とは全然違うもの」
男「ちなみにその話ってどのくらい昔の事なの?」
女「えっと、大婆さまが600歳とちょいだから……600年くらい前だわ!」
男「へ、へぇ」
9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/10/02(水) 18:39:09 ID:ZNciR8FI
女「ところで、私をこんなところに呼び出して何かあるの? もうすぐお昼休みが終わってしまけど」
男「あっ、そ、そうだった」
女「下駄箱を開けたら手紙が入っていてビックリしたけど、お話がしたいとだけ書かれてて……手紙ならもっと文字を書いてもらわないと困るわよ」
男「はい……えっとですね」
女「うん」
男「あ、あの!」
女「はやく言いなさいよ」
男「ひ、一目惚れです。入学した時から好きでした」
女「……えっ」
男「付き合って下さい!」
女「あわ、あわわわ///」
男「あと首を噛ませて下さい!」
10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/10/02(水) 18:45:34 ID:ZNciR8FI
女「くび!? やっぱり私たち一族を狙って!」
男「甘噛みです! 美味しそうで堪らないんです!」
女「あ、あぁぁぁぁ///」
女(ど、どうしよう。告白なんて初めてで何を言えばいいのか……お、大婆様、 お母様助けて……はっ!)
大婆『あたしはこの人に首を噛ませて下さいと言われて結婚したのよ。色々あったけど凄く幸せにしてもらったの』
大婆『貴女も首を噛ませて下さいと言われたら信じて噛ませてあげてみるといいわよ? ふふっ』
女(……)
男「お願いします!」
女「……」
男「……」
女「よ、よろしくお願いしましゅ」
男「やったぁぁぁぁぁ!」
11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/10/02(水) 18:47:56 ID:ZNciR8FI
女「と、取り敢えず」
女「どうやって吸血鬼って事を伝えるか考えなきゃ……!」
12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/10/02(水) 18:49:19 ID:ZNciR8FI
おわり
思い付きで書いてごめん
SS深夜VIP:女吸血鬼「お、狼人間ですって……!?」狼男「あっ、はい」