1: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ (アウアウ Sa05-FPhQ) 2015/10/25(日) 01:14:07.83 ID:dFhd4/Hba.net
初SSです。
書き溜めておりますので、一気に投下していきます。
頑張って書き(過ぎ)ました。よろしくお願いします。
2: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:14:40.14 ID:l5TcHzsU0.net
穂乃果『にこちゃん! 希ちゃん! 絵里ちゃん! ◯◯◯◯だよ!!』
絵里(3月末の、あの最後のライブから5年が経った)
絵里(μ’sのメンバーとは、たまに会う。連絡だって取り合う)
絵里(それでも、高校の時のように、毎日会うことはもうできない)
絵里(……そのせいなのかしら)
絵里(あの時、あのライブの後、高校を卒業する私達に言った、穂乃果の最後の言葉を…)
絵里(もう私は思い出せない)
絵里「はぁ……」
?「あれ? もしかして、えりち?」
絵里「え? あ、希? 久しぶりじゃない!」
希「うん、久しぶりやね! あ、そうや。これから時間ある?」
絵里「今日は日曜日だし、私も目的無くブラブラしてるだけだし、時間はあるわよ」
希「流れるような状況説明、さすがえりちやね。じゃあ、ちょっとあそこのカフェに行かん?」
絵里「そうね、久しぶりに会ったんだし、話したいこともいっぱいあるわ」
希「うちもあるよ! 色んなところ回ってるからね」
~カフェ~
希「えりちは今、結構有名な会社で働いてるんよね? キャリアウーマンやん」
絵里「そう、なんだけどね。今の上司と、ちょっと……」
希「そっか……。上司が、ねぇ……」
絵里「えぇ。どうも合わないみたいなの……」
~回想~
上司『この書類、全部書き直しね』
絵里『なっ、なんでですか!? 内容に間違いはないと思いますけど……!』
上司『内容? あぁ、読んでないわ、そんなの』
絵里『そんなの、って!』
上司『そんなことより、書式よ書式』
絵里『書式……?』
上司『そ。まず、ウチらの会社の書式にしてから、内容を煮詰めてね。はい、やり直し~』バサァ
絵里『……』
~回想終了~
希「それはもう、合わないというか、なんというか、それ以前の問題って感じやね」
絵里「はぁ~。希に会って、改めて高校時代を思い出しちゃうわ」
絵里「あの頃は本当に楽しかったな、って」
希「楽しかったことを思い出すのは、当たり前のことやよ」
絵里「えぇ、そうね。でも、時々、楽しかっただけなんじゃないかって思うのよ」
希「どういうこと?」
絵里「楽しかっただけで、私はラブライブを経ても、何も変わってないんじゃないかって」
絵里「そう思ってしまうの」
希「……みんなと会いたいとは思わんの?」
絵里「会いたいとは思うけど、どうにも、ね。みんな忙しそうだし……」
希「穂乃果ちゃんとかは? あの子なら、会いに行ったらーー」
絵里「希。……分かってるでしょ?」
希「う。ごめん…」
絵里「あの子だけが、みんなにとって、変わらず一番近いところにいるのに」
絵里「多分、一番遠いのよね……」
希「えりち……」
絵里「はい、暗い話はここでおしまい。もっと楽しい話をしましょう」
絵里「希は今、フリーのジャーナリストだったわよね?」
希「うん。世界……、にはいずれ行く予定やけど、今は日本各地でカメラ片手に、や」
希「色んなところ回って。色んなもの見て」
希「まぁ、色んなの中にはあまり回りたくないところや、見たくないものもあるんやけど…」
絵里「楽しそうね。……私と違って」
希「えりち……」
絵里「だから聞かせて、希。あなたが体験してきた、楽しい話を」
希「……」
希「分かった! そうやねぇ、じゃあ最近行った静岡での出来事なんやけどーー」
~~~~~
希「あら? もうこんな時間」
絵里「結構、話し込んじゃったわね」
希「ごめんな、えりち。うちから声かけといて、うちの用事で……」
絵里「いいのよ、そんなこと。久しぶりに希と話せて、楽しかったわ」
絵里「じゃあね、希。また連絡するわ」
希「またね、えりち」
アリガトウゴザイマシター
希「……」スッ ピッピッ
~~~~~
絵里(久しぶりに希と話せて楽しかったけれど、余計に明日の仕事が嫌になってきたわね)
絵里「はぁ……」
??「仮にも元スクールアイドルが街中で溜息?」
絵里「え?」
??「全く。溜息ばかりじゃ、幸せが逃げていくわよ?」
絵里「もしかして、にこ?」
にこ「もしかしなくてもにこよ」
絵里「ツインテール下ろしてるんだもん、気付かなかったわ」
にこ「私の存在を、ツインテールで認識してたっていうの?」
絵里「そういうわけじゃ……」ハハ
にこ「そこで苦笑いは、肯定にしかとれないんだけど」
絵里「あはは。ところで、にこはここで何を?」
にこ「偶然時間がぽっかり空いちゃってね。散歩よ、散歩」
絵里「そう言えば、にこは今、アイドルだったわね」
にこ「見習い、だけどね。まだ全然、テレビやステージには出てないわ」
絵里「それでも忙しいんでしょ?」
にこ「まぁね。レッスンやら、裏方でメインメンバーのサポートやら、毎日大変よ」
にこ「今日は珍しく時間が空いた、ってタイミングで絵里に会うなんて」
にこ「偶然って、続くものなのね」
絵里「素直じゃないわね」
にこ「ふん!//」
絵里「……そんなに大変なのに、どうしてにこはアイドルを続けようと思えるの?」
にこ「どういう意味?」
絵里「いえ、深い意味は無いのよ? ただ……」
上司『次はこれな。あぁ、それ終わったら次はこれ』
上司『何やってんだぁ? 早くしろよ、絢瀬ぇ!』
絵里「大変なことから逃げたいと思うことって」
絵里「とても当たり前のことだと思うの……」
にこ「……」
絵里「……」
にこ「はぁ~。確かに、アイドルは大変よ。見習いで、ステージの上にも出られないのに」
にこ「それに時々、何で私はアイドルをやろうとしているんだろう、って思う」
にこ「辞めたいとも、思う」
絵里「じゃあ!」
にこ「でも、辞めないわよ、私は。絶対に」
絵里「にこ……」
にこ「高校の頃を思い出すの」
にこ「高校の、ラブライブを」
絵里「……!!」
にこ「ラブライブを経て、私は本当にアイドルをやっていたいってことを…」
にこ「アイドルがやりたいんだってことを、改めて知ることができたの」
にこ「だから、私は辞めない。私はアイドルでい続ける」
にこ「今はまだステージに立てていなくとも」
にこ「世界中のみんなを笑顔にする。それまでは、ね」
絵里「にこ……」
にこ「真面目なこと言っちゃったわね」
にこ「にこはー、アイドルだからー、もっと楽しいこと言っていかないといけないのにー☆」
絵里「やっぱりにこは相変わらずね」
にこ「それは良い意味でしょうね?」
絵里「あれ? ところでにこ、アレはやらないの?」
にこ「アレ?」
絵里「そう。何だっけ。にっこにっ……、あー思い出せないわ。あの、ちょっと寒いのよ」
にこ「それもうわざとでしょ!」
絵里「いえ、わざとじゃないの。本当に思い出せそうで思い出せないの」
絵里「あーもう。ここ、喉のここまで出かかってるの。にっこにっ……」
にこ「にっこにっこにー、よ!」
絵里「それよそれ! にっこにっこにー! あー、思い出せて良かったわぁ」
にこ「アンタねぇ……」
絵里「それで。やらないの?」
にこ「つい最近、真姫ちゃんにも同じこと言われたわ」
絵里「真姫? 真姫とは、頻繁に会ってるの?」
にこ「……っ!!!////」
絵里(聞かない方が良かったのかしら……?)
にこ「ごほんっ!// もしかしてアンタ、やってほしいの?」
絵里「いえ、別に」
にこ「……絵里。アンタは私を怒らせた……」ガシッ
絵里「えっ。ちょっ。にこ!?」
にこ「見せてあげようじゃない。裏方ばかりで最近はやらなくなったけれど」
にこ「久しぶりの全力にこにー! 目を見開いて、しかと見なさい!!」
にこ「にっこにっ……!」
~~~~~
絵里(やっぱりにこは相変わらずだったわ)
絵里(あの調子なら、いつかきっと、素敵なアイドルになるでしょうね)
にこ『ラブライブを経て、私は本当にアイドルをやっていたいってことを…』
にこ『アイドルがやりたいんだってことを、改めて知ることができたの』
絵里(ラブライブを経て、か……)
絵里(あ、服屋。気晴らしに服でも買おうかしら)
~服屋~
???「いらっしゃいませ~!!」
絵里「あ」
???「え?」
絵里「こ、ことり?」
ことり「絵里ちゃん? すっごい久しぶり!!」
絵里「ここ、ことりの働いているお店だったの!?」
ことり「そうなの! 正確にはお手伝い、って感じなんだけど」
ことり「ちょっと待ってて。店長に言って、ちょっとだけ休憩もらってくるから」
~~~~~
絵里「いきなりごめんね、ことり。まさかここでことりがお手伝いしてるなんて知らなくて」
ことり「ううん。別にいいよ」
ことり「本当は、もうちょっとしてから、絵里ちゃんに会いに行く予定だったから」
絵里「え?」
ことり「あ……」
絵里「えっ、今のってどういう」
ことり「今の無し! ね! ね!!」
絵里「えっ、えぇぇ……」
ことり「そ、そういえば、絵里ちゃんは今、お仕事何してるの?」
絵里「それは聞かないで、ことり」
ことり「えっ?」
絵里「そんなことより、ことりのことを教えて!」
絵里「ことりは確か、2年ほど留学してたのよね。服飾関係で」
ことり「うん。短大で2年間、その後2年間留学して、それで今はこっちでまた服飾の仕事!」
絵里「他のみんなとは、会ったりしてる?」
ことり「海未ちゃんとは、たまに会うかな。最近はお互いに忙しいから、難しいけど……」
絵里「穂乃果とはって、聞かない方が良い、のよね……?」
ことり「うん、ごめんね。穂乃果ちゃんとは、1年前からもう……」
絵里「いいえ、こっちこそ。無神経なこと聞いちゃったわね」
ことり「全然大丈夫! 今は服飾の仕事メインで、もう集中しちゃってるから!」
ことり「新しい服のデザインを考えたりとかもして」
絵里「……」
ことり「どうしたの、絵里ちゃん?」
絵里「いえ。……ただ、ことりはいいわね。自分のやりたいことのために留学までして……」
絵里「今だって、自分の好きなことのために努力してる……」
ことり「絵里ちゃん……」
絵里「あ。ごめん、ことり。そんなつもりじゃ……」
ことり「分かってるよ、絵里ちゃん」
ことり「絵里ちゃんは、私には分からないけど、多分、辛い想いをしてきてるんだね」
絵里「……」
ことり「でも、ことりだって、絵里ちゃんには甘えに聞こえるかも知れないけど」
ことり「今の仕事、辛いって思うこともあるんだよ」
絵里「そう、なの……?」
ことり「そう。好き、ってだけじゃあ、辛い時もある」
ことり「今だって、上手くいかないことの方が多いの」
ことり「洋服のデザインだって、採用されるのはほんの少し。ほとんどはボツになっちゃう」
絵里「それは……」
ことり「でも。でもね! 辛いから、じゃあ辞めるって、それは違うと思うの」
ことり「諦めずにやり続けて、やり遂げれば、どんなに苦しくても辛くても、楽しいに変わる」
ことり「それをことりは、ラブライブを経て知ることができたから」
ことり「一度はμ’sを辞めようとしちゃった私だから、余計にそう思うのかな」
絵里「ラブライブを、経て……」
ことり「絵里ちゃんは?」
絵里「えっ?」
ことり「絵里ちゃんは、ラブライブを経て、何かを知れた?」
ことり「何か、変われた?」
絵里「私、は……」
店長「ことりちゃーん! ちょっとこっち来てくれるー?」
ことり「はーい! ごめんね、絵里ちゃん。私、行かなくちゃ」
絵里「えっ、えぇ。また連絡するわね、ことり」
ことり「うん。待ってるね!」
~~~~~
絵里「こんなにみんなに会うなんて、今日はホント、珍しい日ね」
ことり『絵里ちゃんは、ラブライブを経て……』
絵里「私は、何も……」
?「絵、里、ちゃぁあああああああああああああああん!!!!」ドンッ
絵里「ぅぇええええぇぇっ!!?」
絵里(思わず変な声が出たわ!)
絵里「って、誰!?」
?「絵里ちゃん、久しぶりぃ!」
絵里「……。いや、本当に誰?」
?「酷いっ! う~ん……。酷いにゃー! って言えば分かるのかな?」
絵里「えっ。もしかして……、凛っ!!?」
凛「そうだよ、絵里ちゃん。本当に久しぶり!」
絵里(前会った時より随分髪も伸びて、化粧もしてて、失礼に聞こえるかも知れないけど……)
絵里「可愛い……」
凛「ホント? 変じゃない?」
絵里「えぇ。ハラショーよ、凛」グッ
凛「良かったぁ。絵里ちゃんに変って言われたら、落ち込んじゃうから」
絵里「言わないわよ、そんなこと。でも、あれ? 凛はもう、にゃーとか言わないの?」
絵里「それに、一人称も私になってるのね」
凛「私だって大学4年目、来年には社会人だよ? 自分のことを凛なんて呼ばないよ~」
絵里(そりゃそうよね。でも、あれ? ことりって、確か自分のこと……)
凛「どうしたの、絵里ちゃん?」
絵里「いえ、何でもないわ」
絵里「凛は、えっと……」
凛「体育学部の大学で毎日勉強中! もう4年生だから、勉強ってよりかは就活中だけど」
絵里「あら。じゃあ、将来は体育の先生とか?」
凛「えっ!? えっと……」
絵里「違うの?」
凛「違わない、けど……。先生なんて、あんなにバカだった私には、似合わない、かな?」
絵里「そんなことない!」
凛「絵里ちゃん……」
絵里「凛の持ち前の明るさがあれば、きっといい先生になれるわ。生徒もついてきてくれる」
凛「そっ、そうかな?///」
絵里「私が言うんだから、間違いないわ!」
凛「うん。やっと絵里ちゃんらしくなってきた!」
絵里「えっ?」
凛「私がタックルする直前まで、絵里ちゃん、暗い顔してたから」
絵里「そう、かもね……」
凛「今の、ちょっと誇らしげな凛々しい顔が、絵里ちゃんらしい!」
絵里「それ、褒めてるのよね……?」
凛「ところで、絵里ちゃん」
凛「何で私が、似合わないかもって思いながらも、体育の先生目指してるか分かる?」
絵里「だから、似合わないなんてこと……」
凛「少なくとも、私は似合わないかもって考えてる。でも、目指すのを辞める気は無いよ」
凛「それはね、絵里ちゃん。ラブライブを経て、人は変われるってことを知ったからだよ」
凛「私だって……、ううん。凛だって、きっと変われる。そう信じてるの」
絵里「人は、変われる……」
凛「そう!」
凛「さて。じゃあ、絵里ちゃんは、ラブライブを経て何を知れたのかにゃ!?」
~~~~~
絵里「朝から次々と懐かしいメンバーに会うわね……」グー
絵里「/// そう言えば、もうお昼をとっくに過ぎてるのね」
絵里「何か食べよ」
~ハンバーガーショップ~
絵里「あら、ライスバーガーが新発売?」
絵里「ふふっ、この調子で花陽にも会っちゃうかも、なんて」ウィーン
イラッシャイマセー
花陽「……」
絵里「……」
絵里「あ、会っちゃったわ……」
花陽「久しぶり……、絵里ちゃん」ハムッ
絵里「挨拶交わしながらでも食べるのね、花陽」
~~~~~
絵里「……それで花陽は今、農業系の大学に通ってるのよね?」
花陽「うん。良いお米を作ろう、作ろうと思い立って……」
絵里「花陽にとても向いていると思うわ」
花陽『ご・は・ん♪ ご・は・ん♪』
絵里(大量の稲の中、笑顔で駆け回る花陽を思い浮かべたわ。何故か似合ってるのよね)
絵里「来年はどうするの?」
花陽「えっと、院に行こうと思ってて」
花陽「今、品種改良の研究を進めてるんだけど、先輩の協力もあって上手くいきそうだから」
絵里「その研究を院でも引き続きって訳ね?」
花陽「うん! 院だと、予算も多く配分されてるから、より詳しく研究できるの」
花陽「お米の研究でね、今困ってるのが……」
~~~~~
花陽「そこから逆転の発想で、配合を変えてみたの。そうしたら、なんと……!」
絵里「ごめん、花陽。もう、ついていけないわ……」
花陽「あ、こっちこそ、ごめん……」
絵里「でも、良かった」
花陽「……どうして?」
絵里「花陽達が卒業する時、凛と別の大学を選択したはいいけど、ずっと泣き止まなかったでしょ」
絵里「だから、良かった、って。今の花陽の楽しそうな顔を見て、そう思ったわ」
花陽「まだ、寂しいって思う時もあるけどね。でも、会えない訳じゃないから」
花陽「それに、私のやりたいことだったから」
絵里「花陽……」
花陽「μ’sに入った時から、ラブライブを終えるまで、私にとってそれは、勇気の連続」
花陽「私1人の勇気じゃない時もあったけど。……そこで、知っちゃったの」
絵里「……何を?」
花陽「勇気を出して見える、景色の素晴らしさ、かな」
花陽「ラブライブを経て、私は、勇気を出すことの素晴らしさを知れたんだよ」
絵里「みんな、そう言うのね」
花陽「……えっ?」
絵里「みんな、ラブライブを経て何かを知った、そう言うわ」
絵里「何かを知って。変わって。前に進んでる。進むことができてる!」
絵里「でも、私は……。私には……!」
花陽「きっとあるよ」
絵里「花、陽……」
花陽「絵里ちゃんにも、きっとあるよ」
絵里「じゃあそれって!」
花陽「でもね、それが何なのかは、絵里ちゃんにしか分からないんだよ……」
~~~~~
花陽『それが何なのかは、絵里ちゃんにしか分からないんだよ……』
絵里「そんなの、分かってるわよ……」
絵里「でも、分からないのよ……」
ザァァァァァァァァッ……
絵里「あ、雨……」
絵里(傘、持ってきてなかったわね……)
??「傘も差さずに外にいては、風邪を引いてしまいますよ?」
絵里「海未…」
海未「宜しければ、雨宿りのできる場所で、少しお話ししませんか?」
~カフェ~
絵里「髪、少し短くしたのね」
海未「えぇ。最近の稽古で、少し邪魔かなと思ったので。思い切って、切ってみました」
絵里「ふふっ。ショートもとっても似合ってるわよ」
海未「じょ、冗談は止めてください!///」
絵里「冗談じゃないのに」フフッ
海未「その顔です。絵里には、笑った顔がお似合いですよ。凹んでいる顔よりは、ずっと」
絵里「海未も、冗談は止めてよ///」
海未「お返しです」
絵里「それにしても、海未のその格好。こういうカフェじゃ、ちょっと浮いちゃうわね」
絵里「海未には和服が似合うから、まぁいいと思うけど」
海未「そう、ですかね? 最近はもう、ずっとこの格好なので」
絵里「家を、継いだのね」
海未「正確にはその一歩手前、継ぐための最終稽古中、と言ったところですけど」
海未「そのせいで、最近は皆との集まりに参加できず、すみません」
絵里「それはいいのよ。仕方のないことだもの」
絵里「……でも、辛くはないの?」
海未「……そう、ですね。確かに、学生時代が終わって、格段に遊べる時間は減りました」
海未「穂乃果とは元からもうほとんど会えないのですが、ことりとも最近は会えていません」
海未「そういう意味では、辛い、ということになってしまうのかも知れませんね」
海未「だからって、家を継ぐのを止めろと、絵里は言うのですか?」
絵里「それは……」
海未「ずるいことを言ってしまいましたね。すみません」
絵里「いいえ! 謝るのは、私の方……」
海未「でも、今の辛いは、そういう側面で見ると、という意味です」
海未「私の本意とは全く別です」
絵里「そう、なの?」
海未「はい。私は今あるこの現状に、誇りを持っています」
海未「家を継ぐという、誇りです」
海未「言ってしまえば、辛いかどうかなんて見方1つ。気の持ちようなんですよ」
海未「そして、そうですね。何かをする時は、それをどんな想いでするのかが大切なんです」
絵里「どんな、想いで……」
海未「最初は、緊張ばかりしていたスクールアイドルでした」
海未「皆に追いつこうと必死で、皆と並びたくて必死で、とにかく皆と一緒にいたくて……」
絵里「それは違うわ」
絵里「海未は、グループのまとめ役として、いつだってみんなの前に立っていたわ」
海未「それも、見方1つ、ですよ。それに、まとめ役なら絵里だってそうだったじゃないですか」
海未「私は、慣れないアイドル活動に対して、必死にもがいていただけなんです」
海未「結果的にまとめ役になっていただけで……、いつだって不安だったんです」
海未「でも、9人でライブをする内に、私は変わりました」
海未「皆を楽しませようという想い。皆と楽しみたいという想い」
海未「その想いで、緊張していた私とはさよならして、なんとかやってこれました」
海未「だからこれが、私がラブライブを経て知ったこと、ですね」
絵里「また、それなのね……」
絵里「私は、不安になるわ。高校の頃を思い出すと、逆に。余計に。不安になるの」
絵里「私のその先には、何もないから……」
海未「絵里……」ダキッ
絵里「えっ、ちょっ、海未!?///」
海未「きっとあなたは、忘れているだけです」
海未「ラブライブを経て、あの1年間を経て、あなたが知ることのできたものを」
海未「だってそれは、高校時代のあなたにとって、きっと当たり前のことだったんですから」
~~~~~
ザァァァァァァァァァ…
絵里(当たり前の、こと……)
~回想~
海未『この傘、絵里に貸しますね』
絵里『えっ。それじゃあ、海未が濡れちゃうじゃない』
海未『私はいいんです。それに』
絵里『それに?』
海未『今度、この傘を返してもらうためにも、また会いましょう?』
絵里『えぇ、そうね。また会いましょう!』
~回想終了~
絵里(まだ、ラブライブを経て知ったことが何なのか、私には見えてない……)
絵里(でも、メンバーのみんなに会えただけで、元気が出てくる……)
絵里(明日を、乗り切れるって思えそう)
??「ちょっとそこのあなた」
絵里「え? 私?」
??「そう。金髪のあなたよ」
絵里「ふふっ。どうしたのかしら?」
??「ちょっとお話しない? 良ければ、だけど///」カミノケクルクル
絵里「大歓迎よ、真姫。そんな恥ずかしそうに言われたら、余計にね」
真姫「ふん!///」
~高級なバー~
絵里「……ハラショー……。こんなとこ、私初めて入ったわ」
真姫「そう? パパの知り合いがやってるお店でね」
真姫「近くにいい店も無さそうだし、貸切にしてもらったの」
絵里「しかも貸切なのね……」
絵里「あ。で、話って?」
真姫「別に。久しぶりに見かけたから、声をかけただけよ」
絵里「そ、そう。じゃあ。えーと、真姫は今、医学部だったわよね?」
真姫「そうよ。6年生だから、後2年は大学生だけど」
絵里「やっぱり、大変?」
真姫「実習が増えてきたけど、別に大したことないわ」
絵里「へぇ~。じゃあ、ピアノは? 大学に入って、もう止めちゃったとか……?」
真姫「そ、そんなことあるわけないでしょ! 続けてるわよ、ピアノも」
絵里「えっ、そうなの? 一時期は、アイドル辞めろって話まで出てたのに……」
真姫「ラブライブが終わった時、パパとママに私が言ってやったのよ」
真姫「医者への道も、ピアノのことも、全部完璧にこなしてやるんだから! ってね」
絵里「その両立は、大変そうね……」
真姫「そう? 大したことないわよ」
絵里「それはちょっと」
真姫「だって。私の好きなことなんだから」
真姫「医者への夢も。ピアノへの想いも。どっちが大事とかじゃないの」
真姫「どっちも、失くしちゃいけない大切なものだから」
真姫「ラブライブを経て、好きなものが何なのかと、それを好きでい続ける大切さを知ったわ」
真姫「私は、それをもう絶対に忘れない」
絵里「……真姫」
真姫「な、なによ?」
絵里「カッコいいわよ。惚れちゃうくらい」
真姫「ゔぇええ!?」
絵里「照れなくてもいいわよ。だって本当に、カッコいいんだから」
真姫「...からかわないで!///」
ズールイヨー ズールイヨー ホンネヲー
真姫「あ、ごめんなさい。ちょっと電話が」
絵里(真姫は凄いわね……。難しいことをさらっと言って。でも、それをやり遂げるんだから)
真姫「あ、にこちゃん?」
絵里「ん?」
真姫「私の家に服? ……あー、あのちょっとダサい奴よね、確か」
真姫「耳元でうるさい。ダサいって言って、悪かったわよ」
真姫「えーと、確か私の部屋のどこかにあったような……」
真姫「あ! ちょっと待って。今、絵里と話してて……」
真姫「そう。だから、絵里が目の前にいるから……」
真姫「え? ……もう、イミワカンナイ!///」ピッ
絵里「ふふっ。好きなものが何なのかと、それを好きでい続ける大切さ、ね」
真姫「な、何よ?」
絵里「何でもないわ」
真姫「ま。別にいいけど」
真姫「それにしても、好きでい続けるって言うなら、彼女も相当よね」
絵里「彼女?」
真姫「希よ、希」
真姫「希が、メンバー全員に声をかけたのよ」
真姫「あなたが心配だって。何とかしたい、って」
絵里「えっ……」
真姫「最初は何事かとも思ったけど、みんな乗り気だったし、私もと思って」
絵里「そっ、それ……、言って、良かったの……?」グスッ
真姫「良かったわよ」
真姫「にこちゃんのことで希もからかってきたから、その仕返しもしたかったし」
絵里「……」
真姫「それに、あなたのその顔を見たら、やっぱり良かったと思うわ」
絵里「希……」スッ ピッピッ
プルルルル プルルルル ガチャッ
希『もしもし? えりち、どないしたん? さっき会ったばっかりなのに』
希『もしかして、うちのこと恋しくなっちゃった?』
絵里「えぇ、そう。きっと、そうなのよね」
絵里「希……。私、言いたいことがあって……」
絵里「高校の時からずっと! いつだってあなたは、私のために……!!」
希『私がラブライブを経て知ったこと……。えりち、分かる?』
絵里「えっ……?」
希『えりちや、μ’sのみんなを大切だって思う気持ちと、一緒にいる楽しさ』
希『えりちのためなら、うちは何だってやるんよ?』
希『だって、えりちは大切な仲間で、友達やからね』
絵里「うん。うん……!!」
真姫「……」スッ ピッピッ
プルルルル プルルルル ガチャッ
にこ『もしもし。どうしたの、真姫ちゃん? もう私の声が聞きたくなっちゃったー?』
真姫「わざと電話してきたでしょ?」
にこ『なんのことか分からないにこー☆』
真姫「私が希のことを言うように、仕組んだわね」
にこ『……ごめんね、真姫ちゃん』
にこ『あぁでもしなきゃ、希は裏方のままだったと思うから』
にこ『でもそれは、絵里にとっても希にとっても、絶対にダメだから……』
真姫「ま、別にいいわ。許してあげる。気付いた上で乗ってあげたのも事実だしね」
にこ『ありがと。真姫ちゃん』
真姫「でも、にこちゃんは? にこちゃんだって、絵里と希のために……」
にこ『私はいいのよ。私は、アイドル見習い』
にこ『裏方のサポートは、もう慣れっこなのよ』
真姫「にこちゃん……」
絵里「真姫。ちょっとそれ貸して」
真姫「えっ?」
絵里「裏方なんて許さないわよ、にこ!」
にこ『なっ、え、絵里!?』
絵里「あなたも希も、ううん、μ’sのみんなは、大切な大切な仲間で、友達なんだから!」
にこ『絵里。……あんたって、ホント不器用ね』
絵里「うふふ。そうね。私は昔から不器用だったわ」
絵里「じゃあ、にこ。また連絡するから。希と3人で、今度飲みに行きましょ」
絵里「話したいこと、いっぱいあるから。裏方なんて言って、逃げないでよね」
にこ『分かったわよ。逃げないわ』
にこ『だから、待ってるから』
プツッ ツーツーツー
絵里「さて。あ、携帯ありがと」
真姫「これからどうするの?」
絵里「ここまできたら、最後の1人にも会ってくるわ」
真姫「それって、穂乃果のこと?」
絵里「えぇ。話ができるかは分からないけど、一目でも見ておきたいわ」
真姫「そ。じゃあ、いってらっしゃい」
絵里「いってくるわ。……それと、にこによろしくね」
真姫「……っ!!」
~~~~~
絵里(希のお陰で、みんなのお陰で、何となく見えてきたものがある)
絵里(ラブライブを経て、知ったこと……)
絵里(私には、何も無いと思っていたわ。でも、違った)
絵里(ラブライブの時からずっと……、いいえ。きっとその前からずっと)
絵里(私はいつも、不器用ながらに前を見て進んできた)
絵里(自分を押し殺して。自分を犠牲にして。周りを犠牲にして。前だけを見て)
絵里(気付けばいつだって、周りには誰もいなくなってた)
絵里(でも、ラブライブを経て、私は知った)
絵里(そんな私のやり方を、それでも正しいんだって言ってくれる仲間がいることを)
絵里(時に間違えれば、それを正してくれる友達がいるってことを!)
絵里(かしこい? かわいい? そんなのもうどうでもいいわ)
絵里(私はいつだって前を見続ける! 不器用なりに、ね)
~穂むら~
ワイワイ ガヤガヤ
絵里「やっぱり凄い人ね……」
~~~~~
にこ「絵里は穂乃果に会えると思う?」
希「うーん。会えはするけど、話せんかもしれんね」
にこ「ラブライブ優勝グループのリーダーが住む店、ってだけでも箔がついてるっていうのに」
希「その上、穂乃果ちゃんが思いつく商品全部大ヒットで、連日大忙しやもんなぁ」
希「穂乃果ちゃん自身も正式に店を継いで、店長として日夜てんてこ舞いやし」
にこ「毎日あたふたしてる穂乃果の顔が、簡単に想像つくわ」
希「まぁでも、話せなくても大丈夫」
にこ「どうして?」
希「カードがうちにそう告げるんよ」
にこ「……そのカード、埃被ってないでしょうね?」
希「失礼やな、にこっちは」
~~~~~
絵里「な、なんとか店の前に来れたわ……」
絵里「さ。入るわよ!」ガラァッ
???「いらっしゃいませー! って、あー! 絵里ちゃーん!!」
絵里「穂乃果……っ!」
~~~~~
穂乃果『私達のライブはもうお終い。これで、正式にμ’s解散だね……』
海未『穂乃果……』
ことり『穂乃果ちゃん……』
穂乃果『でもね! この1年間、μ’sでいられて、本当に楽しかった!』
穂乃果『ラブライブで、私は本当に、歌うことや踊ることが好きなんだなって思った!』
穂乃果『そこから、みんなを笑顔にしたいって想って、実践することもできた!』
穂乃果『それもこれも、勇気を出して、変わることができたから!』
穂乃果『時には辛いことや、苦しいこともあったけど……』
穂乃果『でもそれも、みんなと一緒なら乗り越えられた!』
穂乃果『私、アイドルをやれて、μ’sでいられて、本当に良かった!!』
穂乃果『だから! ……だからね』
穂乃果『卒業しても、この1年間のこと……、絶対絶対、忘れないでね……』グスッ
絵里『穂乃果……』
にこ『忘れるなんて、できるわけないでしょ……』
希『うちもそう思う!』
絵里『穂乃果。最後に私達に何か一言くれる?』
穂乃果『えっ?』
絵里『あなたのその言葉を胸に、卒業しても、その先へ進んでも、私達頑張っていきたいの』
穂乃果『絵里ちゃん……。うん、分かったよ!』
穂乃果『にこちゃん! 希ちゃん! 絵里ちゃん! ファイトだよ!!』
~~~~~
絵里(思い、出せた……)
絵里(私が、自分から言い出したのに忘れるなんて……)
穂乃果「ごめんね、絵里ちゃん。希ちゃんからの連絡は来てたんだけど……」
穂乃果「って、あ! 希ちゃんの名前、言ったらダメなんだった!!」
絵里「もう、それはいいのよ」
穂乃果「え? そーなの?」
絵里「えぇ。穂乃果も忙しそうだし、私もう行くわね。一目見れて良かったわ」
穂乃果「もう行っちゃうの?」
絵里「ごめんなさい。でも、私、明日も仕事があるから」
穂乃果「えー! 私も絵里ちゃんとお喋りしたーい!」
穂乃果「私がラブライブを経て何を知ったか、だよね! う~ん……」
雪穂「ちょっとお姉ちゃん! 手、止めないでよ! まだまだお客さん待ってるんだから!!」
穂乃果「あ、雪穂ごめ~ん! 絵里ちゃんも、ごめんね!」
絵里「大丈夫。また連絡するわね」
穂乃果「うん。待ってるね!!」
絵里(まぁ、最初から穂乃果に聞くつもりは無かったんだけどね)
絵里(だってあなたは、いつだって、私達にそれを教えてくれる側だったんだもの)
絵里「さて。明日からまた、仕事頑張るわよ~!!」
~後日談~
希「で? 仕事はどうなったん?」
絵里「ん~? 最近は順調よ」
絵里「やっぱりなんでもかんでも考え過ぎ、っていうのはダメね」
にこ「だから、絵里は不器用なんだって」
希「え~? にこっちがそれ言うん?」
にこ「どういう意味よ?」
絵里「ホントに。真姫に聞いてみたら、なんて答えるのかしら?」
にこ「そこでなんで真姫ちゃんが出てくるの!」
絵里「なんででしょう、ね~?」
希「ね~」
にこ「もう。イミワカンナイ!///」
絵里「それ、もしかして真姫の真似?」
希「流石やわ、にこっち。今のかなり似てたで!」
にこ「もうっ!!///」
絵里(この3人で飲むのは、やっぱり楽しいわ♪)
おしまい、つけるの忘れました笑
初めてSS書きましたが、難しいですね......。
もっと人に読んでもらえるように工夫できたらと思いました。
ちなみに、自分はにこ推しのにこまき好きです。
元スレ
穂乃果『にこちゃん! 希ちゃん! 絵里ちゃん! ◯◯◯◯だよ!!』
絵里(3月末の、あの最後のライブから5年が経った)
絵里(μ’sのメンバーとは、たまに会う。連絡だって取り合う)
絵里(それでも、高校の時のように、毎日会うことはもうできない)
絵里(……そのせいなのかしら)
絵里(あの時、あのライブの後、高校を卒業する私達に言った、穂乃果の最後の言葉を…)
絵里(もう私は思い出せない)
絵里「はぁ……」
3: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:16:14.51 ID:l5TcHzsU0.net
?「あれ? もしかして、えりち?」
絵里「え? あ、希? 久しぶりじゃない!」
希「うん、久しぶりやね! あ、そうや。これから時間ある?」
絵里「今日は日曜日だし、私も目的無くブラブラしてるだけだし、時間はあるわよ」
希「流れるような状況説明、さすがえりちやね。じゃあ、ちょっとあそこのカフェに行かん?」
絵里「そうね、久しぶりに会ったんだし、話したいこともいっぱいあるわ」
希「うちもあるよ! 色んなところ回ってるからね」
4: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:16:45.15 ID:l5TcHzsU0.net
~カフェ~
希「えりちは今、結構有名な会社で働いてるんよね? キャリアウーマンやん」
絵里「そう、なんだけどね。今の上司と、ちょっと……」
希「そっか……。上司が、ねぇ……」
絵里「えぇ。どうも合わないみたいなの……」
~回想~
上司『この書類、全部書き直しね』
絵里『なっ、なんでですか!? 内容に間違いはないと思いますけど……!』
上司『内容? あぁ、読んでないわ、そんなの』
絵里『そんなの、って!』
上司『そんなことより、書式よ書式』
絵里『書式……?』
上司『そ。まず、ウチらの会社の書式にしてから、内容を煮詰めてね。はい、やり直し~』バサァ
絵里『……』
~回想終了~
5: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:17:19.33 ID:l5TcHzsU0.net
希「それはもう、合わないというか、なんというか、それ以前の問題って感じやね」
絵里「はぁ~。希に会って、改めて高校時代を思い出しちゃうわ」
絵里「あの頃は本当に楽しかったな、って」
希「楽しかったことを思い出すのは、当たり前のことやよ」
絵里「えぇ、そうね。でも、時々、楽しかっただけなんじゃないかって思うのよ」
希「どういうこと?」
絵里「楽しかっただけで、私はラブライブを経ても、何も変わってないんじゃないかって」
絵里「そう思ってしまうの」
希「……みんなと会いたいとは思わんの?」
絵里「会いたいとは思うけど、どうにも、ね。みんな忙しそうだし……」
希「穂乃果ちゃんとかは? あの子なら、会いに行ったらーー」
絵里「希。……分かってるでしょ?」
希「う。ごめん…」
絵里「あの子だけが、みんなにとって、変わらず一番近いところにいるのに」
絵里「多分、一番遠いのよね……」
希「えりち……」
6: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:17:51.45 ID:l5TcHzsU0.net
絵里「はい、暗い話はここでおしまい。もっと楽しい話をしましょう」
絵里「希は今、フリーのジャーナリストだったわよね?」
希「うん。世界……、にはいずれ行く予定やけど、今は日本各地でカメラ片手に、や」
希「色んなところ回って。色んなもの見て」
希「まぁ、色んなの中にはあまり回りたくないところや、見たくないものもあるんやけど…」
絵里「楽しそうね。……私と違って」
希「えりち……」
絵里「だから聞かせて、希。あなたが体験してきた、楽しい話を」
希「……」
希「分かった! そうやねぇ、じゃあ最近行った静岡での出来事なんやけどーー」
7: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:18:26.61 ID:l5TcHzsU0.net
~~~~~
希「あら? もうこんな時間」
絵里「結構、話し込んじゃったわね」
希「ごめんな、えりち。うちから声かけといて、うちの用事で……」
絵里「いいのよ、そんなこと。久しぶりに希と話せて、楽しかったわ」
絵里「じゃあね、希。また連絡するわ」
希「またね、えりち」
アリガトウゴザイマシター
希「……」スッ ピッピッ
8: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:18:52.61 ID:l5TcHzsU0.net
~~~~~
絵里(久しぶりに希と話せて楽しかったけれど、余計に明日の仕事が嫌になってきたわね)
絵里「はぁ……」
??「仮にも元スクールアイドルが街中で溜息?」
絵里「え?」
??「全く。溜息ばかりじゃ、幸せが逃げていくわよ?」
絵里「もしかして、にこ?」
にこ「もしかしなくてもにこよ」
絵里「ツインテール下ろしてるんだもん、気付かなかったわ」
にこ「私の存在を、ツインテールで認識してたっていうの?」
絵里「そういうわけじゃ……」ハハ
にこ「そこで苦笑いは、肯定にしかとれないんだけど」
9: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:19:19.20 ID:l5TcHzsU0.net
絵里「あはは。ところで、にこはここで何を?」
にこ「偶然時間がぽっかり空いちゃってね。散歩よ、散歩」
絵里「そう言えば、にこは今、アイドルだったわね」
にこ「見習い、だけどね。まだ全然、テレビやステージには出てないわ」
絵里「それでも忙しいんでしょ?」
にこ「まぁね。レッスンやら、裏方でメインメンバーのサポートやら、毎日大変よ」
にこ「今日は珍しく時間が空いた、ってタイミングで絵里に会うなんて」
にこ「偶然って、続くものなのね」
絵里「素直じゃないわね」
にこ「ふん!//」
10: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:19:52.63 ID:l5TcHzsU0.net
絵里「……そんなに大変なのに、どうしてにこはアイドルを続けようと思えるの?」
にこ「どういう意味?」
絵里「いえ、深い意味は無いのよ? ただ……」
上司『次はこれな。あぁ、それ終わったら次はこれ』
上司『何やってんだぁ? 早くしろよ、絢瀬ぇ!』
絵里「大変なことから逃げたいと思うことって」
絵里「とても当たり前のことだと思うの……」
にこ「……」
絵里「……」
11: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:20:21.81 ID:l5TcHzsU0.net
にこ「はぁ~。確かに、アイドルは大変よ。見習いで、ステージの上にも出られないのに」
にこ「それに時々、何で私はアイドルをやろうとしているんだろう、って思う」
にこ「辞めたいとも、思う」
絵里「じゃあ!」
にこ「でも、辞めないわよ、私は。絶対に」
絵里「にこ……」
にこ「高校の頃を思い出すの」
にこ「高校の、ラブライブを」
絵里「……!!」
12: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:20:51.35 ID:l5TcHzsU0.net
にこ「ラブライブを経て、私は本当にアイドルをやっていたいってことを…」
にこ「アイドルがやりたいんだってことを、改めて知ることができたの」
にこ「だから、私は辞めない。私はアイドルでい続ける」
にこ「今はまだステージに立てていなくとも」
にこ「世界中のみんなを笑顔にする。それまでは、ね」
絵里「にこ……」
にこ「真面目なこと言っちゃったわね」
にこ「にこはー、アイドルだからー、もっと楽しいこと言っていかないといけないのにー☆」
絵里「やっぱりにこは相変わらずね」
にこ「それは良い意味でしょうね?」
13: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:21:16.66 ID:l5TcHzsU0.net
絵里「あれ? ところでにこ、アレはやらないの?」
にこ「アレ?」
絵里「そう。何だっけ。にっこにっ……、あー思い出せないわ。あの、ちょっと寒いのよ」
にこ「それもうわざとでしょ!」
絵里「いえ、わざとじゃないの。本当に思い出せそうで思い出せないの」
絵里「あーもう。ここ、喉のここまで出かかってるの。にっこにっ……」
にこ「にっこにっこにー、よ!」
絵里「それよそれ! にっこにっこにー! あー、思い出せて良かったわぁ」
にこ「アンタねぇ……」
絵里「それで。やらないの?」
14: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:21:42.41 ID:l5TcHzsU0.net
にこ「つい最近、真姫ちゃんにも同じこと言われたわ」
絵里「真姫? 真姫とは、頻繁に会ってるの?」
にこ「……っ!!!////」
絵里(聞かない方が良かったのかしら……?)
にこ「ごほんっ!// もしかしてアンタ、やってほしいの?」
絵里「いえ、別に」
にこ「……絵里。アンタは私を怒らせた……」ガシッ
絵里「えっ。ちょっ。にこ!?」
にこ「見せてあげようじゃない。裏方ばかりで最近はやらなくなったけれど」
にこ「久しぶりの全力にこにー! 目を見開いて、しかと見なさい!!」
にこ「にっこにっ……!」
15: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:22:07.93 ID:l5TcHzsU0.net
~~~~~
絵里(やっぱりにこは相変わらずだったわ)
絵里(あの調子なら、いつかきっと、素敵なアイドルになるでしょうね)
にこ『ラブライブを経て、私は本当にアイドルをやっていたいってことを…』
にこ『アイドルがやりたいんだってことを、改めて知ることができたの』
絵里(ラブライブを経て、か……)
絵里(あ、服屋。気晴らしに服でも買おうかしら)
16: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:22:35.16 ID:l5TcHzsU0.net
~服屋~
???「いらっしゃいませ~!!」
絵里「あ」
???「え?」
絵里「こ、ことり?」
ことり「絵里ちゃん? すっごい久しぶり!!」
絵里「ここ、ことりの働いているお店だったの!?」
ことり「そうなの! 正確にはお手伝い、って感じなんだけど」
ことり「ちょっと待ってて。店長に言って、ちょっとだけ休憩もらってくるから」
17: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:23:04.65 ID:l5TcHzsU0.net
~~~~~
絵里「いきなりごめんね、ことり。まさかここでことりがお手伝いしてるなんて知らなくて」
ことり「ううん。別にいいよ」
ことり「本当は、もうちょっとしてから、絵里ちゃんに会いに行く予定だったから」
絵里「え?」
ことり「あ……」
絵里「えっ、今のってどういう」
ことり「今の無し! ね! ね!!」
絵里「えっ、えぇぇ……」
18: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:23:25.75 ID:l5TcHzsU0.net
ことり「そ、そういえば、絵里ちゃんは今、お仕事何してるの?」
絵里「それは聞かないで、ことり」
ことり「えっ?」
絵里「そんなことより、ことりのことを教えて!」
絵里「ことりは確か、2年ほど留学してたのよね。服飾関係で」
ことり「うん。短大で2年間、その後2年間留学して、それで今はこっちでまた服飾の仕事!」
絵里「他のみんなとは、会ったりしてる?」
ことり「海未ちゃんとは、たまに会うかな。最近はお互いに忙しいから、難しいけど……」
絵里「穂乃果とはって、聞かない方が良い、のよね……?」
ことり「うん、ごめんね。穂乃果ちゃんとは、1年前からもう……」
絵里「いいえ、こっちこそ。無神経なこと聞いちゃったわね」
19: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:23:52.83 ID:l5TcHzsU0.net
ことり「全然大丈夫! 今は服飾の仕事メインで、もう集中しちゃってるから!」
ことり「新しい服のデザインを考えたりとかもして」
絵里「……」
ことり「どうしたの、絵里ちゃん?」
絵里「いえ。……ただ、ことりはいいわね。自分のやりたいことのために留学までして……」
絵里「今だって、自分の好きなことのために努力してる……」
ことり「絵里ちゃん……」
絵里「あ。ごめん、ことり。そんなつもりじゃ……」
ことり「分かってるよ、絵里ちゃん」
ことり「絵里ちゃんは、私には分からないけど、多分、辛い想いをしてきてるんだね」
絵里「……」
20: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:24:16.81 ID:l5TcHzsU0.net
ことり「でも、ことりだって、絵里ちゃんには甘えに聞こえるかも知れないけど」
ことり「今の仕事、辛いって思うこともあるんだよ」
絵里「そう、なの……?」
ことり「そう。好き、ってだけじゃあ、辛い時もある」
ことり「今だって、上手くいかないことの方が多いの」
ことり「洋服のデザインだって、採用されるのはほんの少し。ほとんどはボツになっちゃう」
絵里「それは……」
ことり「でも。でもね! 辛いから、じゃあ辞めるって、それは違うと思うの」
ことり「諦めずにやり続けて、やり遂げれば、どんなに苦しくても辛くても、楽しいに変わる」
ことり「それをことりは、ラブライブを経て知ることができたから」
ことり「一度はμ’sを辞めようとしちゃった私だから、余計にそう思うのかな」
絵里「ラブライブを、経て……」
21: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:24:46.50 ID:l5TcHzsU0.net
ことり「絵里ちゃんは?」
絵里「えっ?」
ことり「絵里ちゃんは、ラブライブを経て、何かを知れた?」
ことり「何か、変われた?」
絵里「私、は……」
店長「ことりちゃーん! ちょっとこっち来てくれるー?」
ことり「はーい! ごめんね、絵里ちゃん。私、行かなくちゃ」
絵里「えっ、えぇ。また連絡するわね、ことり」
ことり「うん。待ってるね!」
22: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:25:13.62 ID:l5TcHzsU0.net
~~~~~
絵里「こんなにみんなに会うなんて、今日はホント、珍しい日ね」
ことり『絵里ちゃんは、ラブライブを経て……』
絵里「私は、何も……」
?「絵、里、ちゃぁあああああああああああああああん!!!!」ドンッ
絵里「ぅぇええええぇぇっ!!?」
絵里(思わず変な声が出たわ!)
絵里「って、誰!?」
?「絵里ちゃん、久しぶりぃ!」
絵里「……。いや、本当に誰?」
23: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:26:08.99 ID:l5TcHzsU0.net
?「酷いっ! う~ん……。酷いにゃー! って言えば分かるのかな?」
絵里「えっ。もしかして……、凛っ!!?」
凛「そうだよ、絵里ちゃん。本当に久しぶり!」
絵里(前会った時より随分髪も伸びて、化粧もしてて、失礼に聞こえるかも知れないけど……)
絵里「可愛い……」
凛「ホント? 変じゃない?」
絵里「えぇ。ハラショーよ、凛」グッ
凛「良かったぁ。絵里ちゃんに変って言われたら、落ち込んじゃうから」
絵里「言わないわよ、そんなこと。でも、あれ? 凛はもう、にゃーとか言わないの?」
絵里「それに、一人称も私になってるのね」
凛「私だって大学4年目、来年には社会人だよ? 自分のことを凛なんて呼ばないよ~」
絵里(そりゃそうよね。でも、あれ? ことりって、確か自分のこと……)
凛「どうしたの、絵里ちゃん?」
絵里「いえ、何でもないわ」
24: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:26:35.15 ID:l5TcHzsU0.net
絵里「凛は、えっと……」
凛「体育学部の大学で毎日勉強中! もう4年生だから、勉強ってよりかは就活中だけど」
絵里「あら。じゃあ、将来は体育の先生とか?」
凛「えっ!? えっと……」
絵里「違うの?」
凛「違わない、けど……。先生なんて、あんなにバカだった私には、似合わない、かな?」
絵里「そんなことない!」
凛「絵里ちゃん……」
絵里「凛の持ち前の明るさがあれば、きっといい先生になれるわ。生徒もついてきてくれる」
凛「そっ、そうかな?///」
絵里「私が言うんだから、間違いないわ!」
凛「うん。やっと絵里ちゃんらしくなってきた!」
25: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:27:03.32 ID:l5TcHzsU0.net
絵里「えっ?」
凛「私がタックルする直前まで、絵里ちゃん、暗い顔してたから」
絵里「そう、かもね……」
凛「今の、ちょっと誇らしげな凛々しい顔が、絵里ちゃんらしい!」
絵里「それ、褒めてるのよね……?」
凛「ところで、絵里ちゃん」
凛「何で私が、似合わないかもって思いながらも、体育の先生目指してるか分かる?」
絵里「だから、似合わないなんてこと……」
凛「少なくとも、私は似合わないかもって考えてる。でも、目指すのを辞める気は無いよ」
凛「それはね、絵里ちゃん。ラブライブを経て、人は変われるってことを知ったからだよ」
凛「私だって……、ううん。凛だって、きっと変われる。そう信じてるの」
絵里「人は、変われる……」
凛「そう!」
凛「さて。じゃあ、絵里ちゃんは、ラブライブを経て何を知れたのかにゃ!?」
26: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:27:34.96 ID:l5TcHzsU0.net
~~~~~
絵里「朝から次々と懐かしいメンバーに会うわね……」グー
絵里「/// そう言えば、もうお昼をとっくに過ぎてるのね」
絵里「何か食べよ」
~ハンバーガーショップ~
絵里「あら、ライスバーガーが新発売?」
絵里「ふふっ、この調子で花陽にも会っちゃうかも、なんて」ウィーン
イラッシャイマセー
花陽「……」
絵里「……」
絵里「あ、会っちゃったわ……」
花陽「久しぶり……、絵里ちゃん」ハムッ
絵里「挨拶交わしながらでも食べるのね、花陽」
27: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:28:01.03 ID:l5TcHzsU0.net
~~~~~
絵里「……それで花陽は今、農業系の大学に通ってるのよね?」
花陽「うん。良いお米を作ろう、作ろうと思い立って……」
絵里「花陽にとても向いていると思うわ」
花陽『ご・は・ん♪ ご・は・ん♪』
絵里(大量の稲の中、笑顔で駆け回る花陽を思い浮かべたわ。何故か似合ってるのよね)
絵里「来年はどうするの?」
花陽「えっと、院に行こうと思ってて」
花陽「今、品種改良の研究を進めてるんだけど、先輩の協力もあって上手くいきそうだから」
絵里「その研究を院でも引き続きって訳ね?」
花陽「うん! 院だと、予算も多く配分されてるから、より詳しく研究できるの」
花陽「お米の研究でね、今困ってるのが……」
28: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:28:26.51 ID:l5TcHzsU0.net
~~~~~
花陽「そこから逆転の発想で、配合を変えてみたの。そうしたら、なんと……!」
絵里「ごめん、花陽。もう、ついていけないわ……」
花陽「あ、こっちこそ、ごめん……」
絵里「でも、良かった」
花陽「……どうして?」
絵里「花陽達が卒業する時、凛と別の大学を選択したはいいけど、ずっと泣き止まなかったでしょ」
絵里「だから、良かった、って。今の花陽の楽しそうな顔を見て、そう思ったわ」
花陽「まだ、寂しいって思う時もあるけどね。でも、会えない訳じゃないから」
花陽「それに、私のやりたいことだったから」
絵里「花陽……」
29: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:28:57.94 ID:l5TcHzsU0.net
花陽「μ’sに入った時から、ラブライブを終えるまで、私にとってそれは、勇気の連続」
花陽「私1人の勇気じゃない時もあったけど。……そこで、知っちゃったの」
絵里「……何を?」
花陽「勇気を出して見える、景色の素晴らしさ、かな」
花陽「ラブライブを経て、私は、勇気を出すことの素晴らしさを知れたんだよ」
絵里「みんな、そう言うのね」
花陽「……えっ?」
30: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:29:21.37 ID:l5TcHzsU0.net
絵里「みんな、ラブライブを経て何かを知った、そう言うわ」
絵里「何かを知って。変わって。前に進んでる。進むことができてる!」
絵里「でも、私は……。私には……!」
花陽「きっとあるよ」
絵里「花、陽……」
花陽「絵里ちゃんにも、きっとあるよ」
絵里「じゃあそれって!」
花陽「でもね、それが何なのかは、絵里ちゃんにしか分からないんだよ……」
31: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:30:08.85 ID:l5TcHzsU0.net
~~~~~
花陽『それが何なのかは、絵里ちゃんにしか分からないんだよ……』
絵里「そんなの、分かってるわよ……」
絵里「でも、分からないのよ……」
ザァァァァァァァァッ……
絵里「あ、雨……」
絵里(傘、持ってきてなかったわね……)
??「傘も差さずに外にいては、風邪を引いてしまいますよ?」
絵里「海未…」
海未「宜しければ、雨宿りのできる場所で、少しお話ししませんか?」
32: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:30:39.04 ID:l5TcHzsU0.net
~カフェ~
絵里「髪、少し短くしたのね」
海未「えぇ。最近の稽古で、少し邪魔かなと思ったので。思い切って、切ってみました」
絵里「ふふっ。ショートもとっても似合ってるわよ」
海未「じょ、冗談は止めてください!///」
絵里「冗談じゃないのに」フフッ
海未「その顔です。絵里には、笑った顔がお似合いですよ。凹んでいる顔よりは、ずっと」
絵里「海未も、冗談は止めてよ///」
海未「お返しです」
33: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:31:07.55 ID:l5TcHzsU0.net
絵里「それにしても、海未のその格好。こういうカフェじゃ、ちょっと浮いちゃうわね」
絵里「海未には和服が似合うから、まぁいいと思うけど」
海未「そう、ですかね? 最近はもう、ずっとこの格好なので」
絵里「家を、継いだのね」
海未「正確にはその一歩手前、継ぐための最終稽古中、と言ったところですけど」
海未「そのせいで、最近は皆との集まりに参加できず、すみません」
絵里「それはいいのよ。仕方のないことだもの」
絵里「……でも、辛くはないの?」
海未「……そう、ですね。確かに、学生時代が終わって、格段に遊べる時間は減りました」
海未「穂乃果とは元からもうほとんど会えないのですが、ことりとも最近は会えていません」
34: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:31:30.00 ID:l5TcHzsU0.net
海未「そういう意味では、辛い、ということになってしまうのかも知れませんね」
海未「だからって、家を継ぐのを止めろと、絵里は言うのですか?」
絵里「それは……」
海未「ずるいことを言ってしまいましたね。すみません」
絵里「いいえ! 謝るのは、私の方……」
海未「でも、今の辛いは、そういう側面で見ると、という意味です」
海未「私の本意とは全く別です」
絵里「そう、なの?」
海未「はい。私は今あるこの現状に、誇りを持っています」
35: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:31:57.02 ID:l5TcHzsU0.net
海未「家を継ぐという、誇りです」
海未「言ってしまえば、辛いかどうかなんて見方1つ。気の持ちようなんですよ」
海未「そして、そうですね。何かをする時は、それをどんな想いでするのかが大切なんです」
絵里「どんな、想いで……」
海未「最初は、緊張ばかりしていたスクールアイドルでした」
海未「皆に追いつこうと必死で、皆と並びたくて必死で、とにかく皆と一緒にいたくて……」
絵里「それは違うわ」
絵里「海未は、グループのまとめ役として、いつだってみんなの前に立っていたわ」
海未「それも、見方1つ、ですよ。それに、まとめ役なら絵里だってそうだったじゃないですか」
海未「私は、慣れないアイドル活動に対して、必死にもがいていただけなんです」
海未「結果的にまとめ役になっていただけで……、いつだって不安だったんです」
36: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:32:26.31 ID:l5TcHzsU0.net
海未「でも、9人でライブをする内に、私は変わりました」
海未「皆を楽しませようという想い。皆と楽しみたいという想い」
海未「その想いで、緊張していた私とはさよならして、なんとかやってこれました」
海未「だからこれが、私がラブライブを経て知ったこと、ですね」
絵里「また、それなのね……」
絵里「私は、不安になるわ。高校の頃を思い出すと、逆に。余計に。不安になるの」
絵里「私のその先には、何もないから……」
海未「絵里……」ダキッ
絵里「えっ、ちょっ、海未!?///」
海未「きっとあなたは、忘れているだけです」
海未「ラブライブを経て、あの1年間を経て、あなたが知ることのできたものを」
海未「だってそれは、高校時代のあなたにとって、きっと当たり前のことだったんですから」
37: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:32:55.15 ID:l5TcHzsU0.net
~~~~~
ザァァァァァァァァァ…
絵里(当たり前の、こと……)
~回想~
海未『この傘、絵里に貸しますね』
絵里『えっ。それじゃあ、海未が濡れちゃうじゃない』
海未『私はいいんです。それに』
絵里『それに?』
海未『今度、この傘を返してもらうためにも、また会いましょう?』
絵里『えぇ、そうね。また会いましょう!』
~回想終了~
38: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:33:22.35 ID:l5TcHzsU0.net
絵里(まだ、ラブライブを経て知ったことが何なのか、私には見えてない……)
絵里(でも、メンバーのみんなに会えただけで、元気が出てくる……)
絵里(明日を、乗り切れるって思えそう)
??「ちょっとそこのあなた」
絵里「え? 私?」
??「そう。金髪のあなたよ」
絵里「ふふっ。どうしたのかしら?」
??「ちょっとお話しない? 良ければ、だけど///」カミノケクルクル
絵里「大歓迎よ、真姫。そんな恥ずかしそうに言われたら、余計にね」
真姫「ふん!///」
39: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:33:52.27 ID:l5TcHzsU0.net
~高級なバー~
絵里「……ハラショー……。こんなとこ、私初めて入ったわ」
真姫「そう? パパの知り合いがやってるお店でね」
真姫「近くにいい店も無さそうだし、貸切にしてもらったの」
絵里「しかも貸切なのね……」
絵里「あ。で、話って?」
真姫「別に。久しぶりに見かけたから、声をかけただけよ」
絵里「そ、そう。じゃあ。えーと、真姫は今、医学部だったわよね?」
真姫「そうよ。6年生だから、後2年は大学生だけど」
絵里「やっぱり、大変?」
真姫「実習が増えてきたけど、別に大したことないわ」
40: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:34:17.37 ID:l5TcHzsU0.net
絵里「へぇ~。じゃあ、ピアノは? 大学に入って、もう止めちゃったとか……?」
真姫「そ、そんなことあるわけないでしょ! 続けてるわよ、ピアノも」
絵里「えっ、そうなの? 一時期は、アイドル辞めろって話まで出てたのに……」
真姫「ラブライブが終わった時、パパとママに私が言ってやったのよ」
真姫「医者への道も、ピアノのことも、全部完璧にこなしてやるんだから! ってね」
絵里「その両立は、大変そうね……」
真姫「そう? 大したことないわよ」
絵里「それはちょっと」
真姫「だって。私の好きなことなんだから」
41: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:36:00.28 ID:l5TcHzsU0.net
真姫「医者への夢も。ピアノへの想いも。どっちが大事とかじゃないの」
真姫「どっちも、失くしちゃいけない大切なものだから」
真姫「ラブライブを経て、好きなものが何なのかと、それを好きでい続ける大切さを知ったわ」
真姫「私は、それをもう絶対に忘れない」
絵里「……真姫」
真姫「な、なによ?」
絵里「カッコいいわよ。惚れちゃうくらい」
真姫「ゔぇええ!?」
絵里「照れなくてもいいわよ。だって本当に、カッコいいんだから」
真姫「...からかわないで!///」
42: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:36:28.66 ID:l5TcHzsU0.net
ズールイヨー ズールイヨー ホンネヲー
真姫「あ、ごめんなさい。ちょっと電話が」
絵里(真姫は凄いわね……。難しいことをさらっと言って。でも、それをやり遂げるんだから)
真姫「あ、にこちゃん?」
絵里「ん?」
真姫「私の家に服? ……あー、あのちょっとダサい奴よね、確か」
真姫「耳元でうるさい。ダサいって言って、悪かったわよ」
真姫「えーと、確か私の部屋のどこかにあったような……」
真姫「あ! ちょっと待って。今、絵里と話してて……」
真姫「そう。だから、絵里が目の前にいるから……」
真姫「え? ……もう、イミワカンナイ!///」ピッ
絵里「ふふっ。好きなものが何なのかと、それを好きでい続ける大切さ、ね」
真姫「な、何よ?」
絵里「何でもないわ」
真姫「ま。別にいいけど」
43: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:36:57.70 ID:l5TcHzsU0.net
真姫「それにしても、好きでい続けるって言うなら、彼女も相当よね」
絵里「彼女?」
真姫「希よ、希」
真姫「希が、メンバー全員に声をかけたのよ」
真姫「あなたが心配だって。何とかしたい、って」
絵里「えっ……」
真姫「最初は何事かとも思ったけど、みんな乗り気だったし、私もと思って」
絵里「そっ、それ……、言って、良かったの……?」グスッ
真姫「良かったわよ」
真姫「にこちゃんのことで希もからかってきたから、その仕返しもしたかったし」
絵里「……」
真姫「それに、あなたのその顔を見たら、やっぱり良かったと思うわ」
44: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:37:32.82 ID:l5TcHzsU0.net
絵里「希……」スッ ピッピッ
プルルルル プルルルル ガチャッ
希『もしもし? えりち、どないしたん? さっき会ったばっかりなのに』
希『もしかして、うちのこと恋しくなっちゃった?』
絵里「えぇ、そう。きっと、そうなのよね」
絵里「希……。私、言いたいことがあって……」
絵里「高校の時からずっと! いつだってあなたは、私のために……!!」
希『私がラブライブを経て知ったこと……。えりち、分かる?』
絵里「えっ……?」
希『えりちや、μ’sのみんなを大切だって思う気持ちと、一緒にいる楽しさ』
希『えりちのためなら、うちは何だってやるんよ?』
希『だって、えりちは大切な仲間で、友達やからね』
絵里「うん。うん……!!」
45: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:38:06.91 ID:l5TcHzsU0.net
真姫「……」スッ ピッピッ
プルルルル プルルルル ガチャッ
にこ『もしもし。どうしたの、真姫ちゃん? もう私の声が聞きたくなっちゃったー?』
真姫「わざと電話してきたでしょ?」
にこ『なんのことか分からないにこー☆』
真姫「私が希のことを言うように、仕組んだわね」
にこ『……ごめんね、真姫ちゃん』
にこ『あぁでもしなきゃ、希は裏方のままだったと思うから』
にこ『でもそれは、絵里にとっても希にとっても、絶対にダメだから……』
真姫「ま、別にいいわ。許してあげる。気付いた上で乗ってあげたのも事実だしね」
にこ『ありがと。真姫ちゃん』
真姫「でも、にこちゃんは? にこちゃんだって、絵里と希のために……」
にこ『私はいいのよ。私は、アイドル見習い』
にこ『裏方のサポートは、もう慣れっこなのよ』
真姫「にこちゃん……」
46: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:38:36.13 ID:l5TcHzsU0.net
絵里「真姫。ちょっとそれ貸して」
真姫「えっ?」
絵里「裏方なんて許さないわよ、にこ!」
にこ『なっ、え、絵里!?』
絵里「あなたも希も、ううん、μ’sのみんなは、大切な大切な仲間で、友達なんだから!」
にこ『絵里。……あんたって、ホント不器用ね』
絵里「うふふ。そうね。私は昔から不器用だったわ」
絵里「じゃあ、にこ。また連絡するから。希と3人で、今度飲みに行きましょ」
絵里「話したいこと、いっぱいあるから。裏方なんて言って、逃げないでよね」
にこ『分かったわよ。逃げないわ』
にこ『だから、待ってるから』
プツッ ツーツーツー
48: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:40:19.93 ID:l5TcHzsU0.net
絵里「さて。あ、携帯ありがと」
真姫「これからどうするの?」
絵里「ここまできたら、最後の1人にも会ってくるわ」
真姫「それって、穂乃果のこと?」
絵里「えぇ。話ができるかは分からないけど、一目でも見ておきたいわ」
真姫「そ。じゃあ、いってらっしゃい」
絵里「いってくるわ。……それと、にこによろしくね」
真姫「……っ!!」
49: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:40:47.73 ID:l5TcHzsU0.net
~~~~~
絵里(希のお陰で、みんなのお陰で、何となく見えてきたものがある)
絵里(ラブライブを経て、知ったこと……)
絵里(私には、何も無いと思っていたわ。でも、違った)
絵里(ラブライブの時からずっと……、いいえ。きっとその前からずっと)
絵里(私はいつも、不器用ながらに前を見て進んできた)
絵里(自分を押し殺して。自分を犠牲にして。周りを犠牲にして。前だけを見て)
絵里(気付けばいつだって、周りには誰もいなくなってた)
絵里(でも、ラブライブを経て、私は知った)
絵里(そんな私のやり方を、それでも正しいんだって言ってくれる仲間がいることを)
絵里(時に間違えれば、それを正してくれる友達がいるってことを!)
絵里(かしこい? かわいい? そんなのもうどうでもいいわ)
絵里(私はいつだって前を見続ける! 不器用なりに、ね)
50: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:41:34.35 ID:l5TcHzsU0.net
~穂むら~
ワイワイ ガヤガヤ
絵里「やっぱり凄い人ね……」
~~~~~
にこ「絵里は穂乃果に会えると思う?」
希「うーん。会えはするけど、話せんかもしれんね」
にこ「ラブライブ優勝グループのリーダーが住む店、ってだけでも箔がついてるっていうのに」
希「その上、穂乃果ちゃんが思いつく商品全部大ヒットで、連日大忙しやもんなぁ」
希「穂乃果ちゃん自身も正式に店を継いで、店長として日夜てんてこ舞いやし」
にこ「毎日あたふたしてる穂乃果の顔が、簡単に想像つくわ」
希「まぁでも、話せなくても大丈夫」
にこ「どうして?」
希「カードがうちにそう告げるんよ」
にこ「……そのカード、埃被ってないでしょうね?」
希「失礼やな、にこっちは」
51: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:41:59.88 ID:l5TcHzsU0.net
~~~~~
絵里「な、なんとか店の前に来れたわ……」
絵里「さ。入るわよ!」ガラァッ
???「いらっしゃいませー! って、あー! 絵里ちゃーん!!」
絵里「穂乃果……っ!」
52: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:42:28.34 ID:l5TcHzsU0.net
~~~~~
穂乃果『私達のライブはもうお終い。これで、正式にμ’s解散だね……』
海未『穂乃果……』
ことり『穂乃果ちゃん……』
穂乃果『でもね! この1年間、μ’sでいられて、本当に楽しかった!』
穂乃果『ラブライブで、私は本当に、歌うことや踊ることが好きなんだなって思った!』
穂乃果『そこから、みんなを笑顔にしたいって想って、実践することもできた!』
穂乃果『それもこれも、勇気を出して、変わることができたから!』
穂乃果『時には辛いことや、苦しいこともあったけど……』
穂乃果『でもそれも、みんなと一緒なら乗り越えられた!』
穂乃果『私、アイドルをやれて、μ’sでいられて、本当に良かった!!』
53: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:42:59.93 ID:l5TcHzsU0.net
穂乃果『だから! ……だからね』
穂乃果『卒業しても、この1年間のこと……、絶対絶対、忘れないでね……』グスッ
絵里『穂乃果……』
にこ『忘れるなんて、できるわけないでしょ……』
希『うちもそう思う!』
絵里『穂乃果。最後に私達に何か一言くれる?』
穂乃果『えっ?』
絵里『あなたのその言葉を胸に、卒業しても、その先へ進んでも、私達頑張っていきたいの』
穂乃果『絵里ちゃん……。うん、分かったよ!』
穂乃果『にこちゃん! 希ちゃん! 絵里ちゃん! ファイトだよ!!』
54: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:43:28.14 ID:l5TcHzsU0.net
~~~~~
絵里(思い、出せた……)
絵里(私が、自分から言い出したのに忘れるなんて……)
穂乃果「ごめんね、絵里ちゃん。希ちゃんからの連絡は来てたんだけど……」
穂乃果「って、あ! 希ちゃんの名前、言ったらダメなんだった!!」
絵里「もう、それはいいのよ」
穂乃果「え? そーなの?」
絵里「えぇ。穂乃果も忙しそうだし、私もう行くわね。一目見れて良かったわ」
穂乃果「もう行っちゃうの?」
絵里「ごめんなさい。でも、私、明日も仕事があるから」
55: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:44:06.04 ID:l5TcHzsU0.net
穂乃果「えー! 私も絵里ちゃんとお喋りしたーい!」
穂乃果「私がラブライブを経て何を知ったか、だよね! う~ん……」
雪穂「ちょっとお姉ちゃん! 手、止めないでよ! まだまだお客さん待ってるんだから!!」
穂乃果「あ、雪穂ごめ~ん! 絵里ちゃんも、ごめんね!」
絵里「大丈夫。また連絡するわね」
穂乃果「うん。待ってるね!!」
絵里(まぁ、最初から穂乃果に聞くつもりは無かったんだけどね)
絵里(だってあなたは、いつだって、私達にそれを教えてくれる側だったんだもの)
絵里「さて。明日からまた、仕事頑張るわよ~!!」
56: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:44:36.10 ID:l5TcHzsU0.net
~後日談~
希「で? 仕事はどうなったん?」
絵里「ん~? 最近は順調よ」
絵里「やっぱりなんでもかんでも考え過ぎ、っていうのはダメね」
にこ「だから、絵里は不器用なんだって」
希「え~? にこっちがそれ言うん?」
にこ「どういう意味よ?」
絵里「ホントに。真姫に聞いてみたら、なんて答えるのかしら?」
にこ「そこでなんで真姫ちゃんが出てくるの!」
絵里「なんででしょう、ね~?」
希「ね~」
にこ「もう。イミワカンナイ!///」
絵里「それ、もしかして真姫の真似?」
希「流石やわ、にこっち。今のかなり似てたで!」
にこ「もうっ!!///」
絵里(この3人で飲むのは、やっぱり楽しいわ♪)
57: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:45:16.45 ID:l5TcHzsU0.net
おしまい、つけるの忘れました笑
58: 1(やわらか銀行)@\(^o^)/ (ワッチョイ 8dc3-Z2gR) 2015/10/25(日) 01:46:22.07 ID:l5TcHzsU0.net
初めてSS書きましたが、難しいですね......。
もっと人に読んでもらえるように工夫できたらと思いました。
ちなみに、自分はにこ推しのにこまき好きです。
絵里「ラブライブを経て」