1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 04:54:05.61 ID:s/o3u4eS0

P「ああ、できないか?」

晶葉「……プロデューサー。私は発明家であって修理屋じゃないんだぞ」

P「それでも晶葉なら何とかできるだろ? 頼む! ほら、このとおりだ!!」

晶葉「とは言われてもね、君。これはさすがにプロでも修復不可能じゃないのか」

P「そこをなんとか!! 晶葉のことだ、タイムふろしきみたいな発明品もあるんだろ? それでちゃちゃっと……」

晶葉「あのね、プロデューサー。いくら万能な科学でも出来ることと出来ないことがあるんだよ。壊れた眼鏡を元に戻すなんて、非科学的な……」

P「……くっ、じゃ、じゃあ、眼鏡作ってくれよ!! それなら科学的だろ!!」

晶葉「なっ!? む、無茶言うな!! そういうのこそ私の管轄外だ! 眼鏡屋にでも任せてろ!!」

P「頼むよ、晶葉……これがないと仕事にならないんだって……なぁ、実はなんかあるんだろ? 一時的に視力の良くなる薬とか、度を自由に調整できる単眼鏡とかさ……」

晶葉「とは言われてもなぁ……んー……ん? ……待てよ、眼鏡……眼鏡か……」

P「……なにかあるのか?」

晶葉「ああ、少し、昔作った発明品で心当たりがあってな」

―――

晶葉「あった、あったぞプロデューサー! これだ!!」

P「おお、眼鏡!! ……と、なんだ、そのピンバッジ」



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 05:06:54.12 ID:s/o3u4eS0

晶葉「このピンバッジの説明はあとだ。とりあえず、眼鏡の方をかけてみてくれ」

P「ああ……お、これは……」

晶葉「どうだ? 何か不都合はあるか?」

P「いや、眼鏡にしちゃかなり重いけど……でも、度とかは問題ない。普通に使えそうだよ」

晶葉「だろうな。なにせ、君が使うのを想定して作ったものだからな」

P「え? それってどういう……ん?」

晶葉「もともとは試運転の寸前まで行った発明品でな、ちょっとした不具合が見つかって、それに対する打開策が見つかるまで放っておくつもりだったんだ。
    しかし、ただの眼鏡として使うんであれば問題はないだろう?」

P(何だろう……フレームにボタンっぽいのがついてる……押してみよう、ポチっとな)

晶葉「備えあれば憂いなし、とはこのことかな」    パタパタ

P「……」

晶葉「……ん? どうした、プロデューサー、変な顔して」   パタパタ

P「……い、いや、その……晶葉の体に……犬、かな? 犬の耳と尻尾が見える」

晶葉「……ああ、成程、さっそく起動させてしまったわけか」    パタパタ

P「起動……って、これ、もしかして」

晶葉「ああ、そうだ。それこそこの池袋晶葉の発明品の一つ! 喜怒哀楽視覚情報化装置及びに喜怒哀楽情報発信端末、通称『いぬのきもち』だ!!」   パタパタ



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 05:18:01.90 ID:s/o3u4eS0

P「……そ、それは……すごい、のか?」

晶葉「凄いぞ! なんせ、これを使えば、相手が今どんな感情なのかが一目で理解できるからな!!」   パタパタ

P「いや、それって……表情とか見ればいいんじゃ……」

晶葉「……」

P(あ、尻尾の動きが止まった……)

晶葉「ま、まぁ、言っての通り、これはいわゆるお蔵入り品だし、そんな深く突っ込まれてもな……
    そもそもが、喜怒哀楽を表情などの情報で判断できない人を対象に作ったものだし……」

P「……でも、なんで犬の耳と尻尾なんだ?」

晶葉「なんで、って……可愛いだろう」   パタパタ

P「……それだけ?」

晶葉「ああ」   パタパタ

P「……」

晶葉「……」    シュン……

P(あ、耳と尻尾が垂れた……これは……さっきまでのパタパタが『喜』なら『哀』か?)

P「……確かに可愛いよな」

晶葉「だろう?」   パタパタ



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 05:31:37.07 ID:s/o3u4eS0

――― 事務所

P(さて、とりあえず両方貰ってきたけど……)

  『説明書
   ・まず発信端末(ピンバッジ)を対象につける
   ・その後、眼鏡についているスイッチを入れる

  注意
   ・眼鏡内のバッテリーを使って動いているので長時間の使用は出来ない
   ・対象は一名のみ、無理やり二名につけても効果はない
   ・見える犬の耳と尻尾の種類はランダム                     』

P「……本当に、よく分からない発明品だな……」

P「まぁ、眼鏡として使えるだけでもありがたいか」

P「バッジの方は……ううむ、なんとも言い難い見た目だ……キモ可愛い、のか、これ?」

P「……バッジは置いておこう。大の男が付けるようなもんじゃないし」

P「さて、と……とりあえず、お茶でも淹れてくるかな」

        ガチャッ     バタン

     ・  ・  ・  ・  ・  ・

     ガチャツ

?「おはようございまーす……あれ、誰も居ない……?」



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 05:43:45.63 ID:s/o3u4eS0

?「~~~♪ ~~~♪」

        ガチャッ

P「……お?」

?「あ。おはよう、プロデューサー」

P「あ、ああ、おはよう、凛……そのバッジ……」

凛「これ? そこに置いてあったんだけど……もしかして、プロデューサーのだった?」

P「……まぁ、うん」

凛「これ、結構可愛いね。誰かへのプレゼントかなにか?」

P(……可愛いのか、あれ……女の子のセンスは分からないな……しかし……)

凛「そうだ、プロデューサー、今日の仕事だけどさ……あれ? プロデューサー、眼鏡変えた?」

P「ああ、ちょっとな……」

P(凛、か……結構表情に出にくいタイプだよな……そう考えると……
  知ってみたい気もするな、凛がどんなタイミングで、喜んだり楽しんだりしてるかってのは……)

          ピピピッ!

凛「……うーん、その眼鏡、ちょっと似合ってない、かなぁ……前の方がよかったよ」

P(……この耳と尻尾は……コーギー、か?)



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 05:54:30.15 ID:s/o3u4eS0

凛「それで、今日の仕事のことだけど」

P「ああ、今日の凛の仕事は……」

―――

P「……」

P(しばらく観察してるけど、尻尾も耳も微動だにしないな……故障、ってことはないだろうけど)

凛「……プロデューサー、どうかした?」

P(……うーん、使っても反応が見えないってのは、つまらないな……こうなったら……)

P「凛」

凛「何?」

P「ちょっと失礼」

           ぷにっ

凛「……何?」

P「……い、いや……柔らかそうなほっぺただなぁ、って思って、つい……」

凛「……ふーん、そっか」   パタパタ

P「!!」



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 06:07:05.39 ID:s/o3u4eS0

P(動いたには動いた……晶葉の時と一緒だけど、喜んでる、ってことでいいのか、これ……)

            ぷにぷに

凛「でも、そういうのってイキナリするのはどうかと思うけど」   パタパタ

P「ああ、ごめん……」

凛「謝んなくてもいいよ。っていうか、謝りながらも触ってるよね」   パタパタ

P「それは……なんて言うか、不可抗力というか」

凛「どうでもいいけど、今度から気をつけてね」   パタパタ

P「分かった、悪かったな、いきなり触ったりして」

        スッ……

凛「……」   パタパタ

P「……」

凛「……」   シュン……

P「えっ」

凛「……どうかした?」  シュン……

P「いや、その……」



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 06:17:06.90 ID:s/o3u4eS0

P「……」

凛「……」   シュン……

P「あの……凛?」

凛「何?」   シュン……

P「もう一回、触ってもいいか?」

凛「……」   ピクッ!

P(お、耳が跳ね起きた)

凛「なんで?」   パタパタ

P「いや、それは……うん……」

凛「……」   パタパタ

P(喜んでそうだから、ってのは……理由としてはアレだよなぁ……うーん……)

凛「もしかして、からかってる?」   パタパタ

P「いや、そういうわけじゃなくて、柔らかかったからもう一回触りたいなぁって……駄目か?」

凛「……そっか」   ブンブンブンブン

P(すっごい振ってる!? なに、そんなに喜んでるのか、これ!)



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 06:25:45.88 ID:s/o3u4eS0

凛「……まあ、いっつもお世話になってるしね」   ブンブンブンブン

P「いいのか?」

凛「私が断って、プロデューサーが他の人に変なことしても困るし」   ブンブンブンブン

P「そ、そうか……それは触ってもいいって受け取っても?」

凛「ん。いいよ、はい」   ブンブンブンブン

P「……じゃあ失礼して……」

凛「……」   ブンブンブンブン

P「……」

凛「……」   パタパタ

P「……」

凛「……プロデューサー」

P「……どうした?」

凛「……触らないの?」   シュン……

P「いや、なんていうか……」

P(……これ……感情が見えるって、結構面白いな……)



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 06:37:47.63 ID:s/o3u4eS0

P「ほら、そこまで凛に迷惑かけるわけにはいかないしさ。俺が我慢すればいいだけの話だし」

凛「……そっか」  シュン……

P「ごめんな、触るって言ったり、触らないって言ったり」

凛「気にしなくていいよ。触られないんならその方が楽だし」   シュン……

P「……」

凛「……」   シュン……

P「……でも、やっぱり触りたいなぁ」

凛「……」   ピクッ

P「やっぱり触ってもいいか?」

凛「……はぁ。プロデューサーさ、そういう、優柔不断なの、直した方がいいよ」   パタパタ

P「ごめんごめん。で、いいか?」

凛「いいもなにも、さっき言った通りだよ」   パタパタ

P「じゃあ失礼して」
                   ぷにぷに

凛「……」   ブンブンブンブン

P(凛は終始ほぼ無表情のまま……なのに、尻尾で感情がダダ漏れ状態か……ああ、これ、凄いわ……)



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 06:55:24.35 ID:s/o3u4eS0

          ぷにぷに

凛「……そろそろいい?」   パタパタ

P「ああ、ありがとう」

凛「他の人には、あんまりこういうこと、しちゃダメだよ?」   パタパタ

P「気をつけるよ」

凛「ホントに? プロデューサー、変なところで行動が早いから、触りたくなったらすぐに触っちゃうんじゃない?」    パタパタ

P「ハハハ……じゃあ、もし触りたくなったら凛にお願いするかな」

凛「……」   ブンブンブンブン

P「冗談だよ、冗談。そんな怖い顔するな。アイドルだろ」

凛「そんな顔してない、はずだけど」   シュン……

P「じゃあ見間違いかな……っと、そうだそうだ。凛、そのピンバッジ返してくれ」

凛「……あ、そっか。つけっぱなしだったね……そういえば、これってなんなの?」

P「新商品の試供品。ちょっと色々試すことになってるんだけど、手元にそれ一個しかなくてさ」

凛「じゃあ、追加の試供品が届いたら、私の分も貰っておいて」

P「ああ、分かった」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 07:15:02.73 ID:s/o3u4eS0

P「……凛での試運転を考えるに、これ、かなり面白い発明品だな。
  口数の少ないメンバーとか、表情に出にくいメンバーが相手でも、これを使えば相手がどう感じてるのかが一発でわかるし」

P「難点があるとすれば、眼鏡が重いのと、スイッチを入れてる間は眼鏡が結構熱くなることくらいか……
  この辺はまぁ、我慢できる範囲だし、なんとかなるか」

P「さて、せっかく面白いオモチャを手に入れたんだし、別のアイドルでも試してみたいが……
  今日事務所に来るメンバーで、こういうのが楽しそうなのは……」

―――

??「で」

P「うん」

??「その良く分からねー、キモいピンバッジを、アタシにつけろってか」

P「そうだ」

??「……あのなぁ、プロデューサー、確かに、やらなきゃなんねーことはやるっつったがな……
    そういう、『いかにもアイドル』な仕事をあえてアタシに取ってくるってのはなんだ!? イヤミか、コラ!!!」

P「まぁまぁ、落ち着け、拓海。似合うから、絶対に似合うから」

拓海「アタシに似合うとか似合わねーとかじゃねーんだよ!! こういうのは、他の奴にやらせりゃあいいだろうが!!
    アンタは、ホント、アタシにばっかこういう仕事回しやがって……!!!」

P「まぁまぁ、落ち着け、拓海。似合うから、絶対に似合うから」

拓海「言ってる内容さっきとまったく一緒じゃねぇか、バカ!!」



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 07:29:39.42 ID:s/o3u4eS0

拓海「ったく、なんでアタシがこんなの……」

   ピピピッ!

P(シェパードか……成程成程……ん?)

拓海「ったく、これからはこういうのは美世とか夏樹とかにやらせろよな」   パタパタ

P「……」

拓海「……んだよ、言いたいことがあるなら言えばいいだろ」   パタパタ

P「……拓海ってさ、そういうのつけるのって好きなの?」

拓海「嫌に決まってんだろ、なに改めて聞いてんだよ」   パタパタ

P「ホントに?」

拓海「何度も言わせんな、そりゃあ昔よりは抵抗はなくなったがな」   パタパタ

P「の割には、なんだか、嬉しそうだけど」

拓海「……ハァ?」   パタパタ

P「……だって、ほら、嬉しそうだし」

拓海「お前、とうとう目が節穴になったのか? アタシのどこが嬉しそうなんだよ」

P(耳と尻尾です! とは言えないよなぁ……しかし、拓海がああいう『可愛い女子向け』が苦手なのは昔からわかってたことだし……
  じゃあ拓海は今、何が嬉しいんだ?)



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 07:48:16.93 ID:s/o3u4eS0

拓海「……ったく、アンタは本当に、そんなんだから的外れな仕事ばっか持ってくるんだろうな」

P(尻尾の動きも止まった……なにか嬉しいことがあった、ってことでいいんだろうな……)

拓海「んで、今日のアタシの予定はどんな感じだったっけか」

P「ああ、今日はな……」

―――

P「まぁ、そんなカンジでよろしく頼む」

拓海「……アイドルってのは、ホント……ロクな仕事がねぇよな。
    やれ、ヒラヒラした服をきてライブだ、グラビア撮影だ、なんて」

P「仕事があるだけありがたいと思わないとな。それに、向こうから拓海を名指しで頼んできてる仕事だってあるし」

拓海「名指し、って……」

P「ほら、この前のグラビアで、拓海のために特集が組まれたこともあったろ」

拓海「……あー、あったな、そんなもんも」   パタパタ

P(……お)

拓海「ったく、向こうも見る目ねぇよなぁ? アタシなんかを選ぶなんて」   パタパタ

P(……具体的な仕事の話になると喜んでる……なんだかんだ言って、拓海も、仕事が貰えるのを喜んでるってことか)

拓海「ホント、なんでこんなアタシをアイドルにしようなんて思ったのか……」   パタパタ



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 08:10:10.73 ID:s/o3u4eS0

P(口では悪態ばっかりつくし、表情には出さないけど、仕事が貰えることは拓海の奴も結構喜んでたんだな。
  これはいいことが知れたな……まだ、嫌々やってるのかと思ってたが、そういうわけじゃなかったのか……)

P(しかし、仕事のことで喜んでるってなると……少し、拓海の喜びそうなことが見えてきた気がするな……)

拓海「アイドルってのはもっとこう、カワイイ奴がやるもんじゃないのか? アタシなんて……」   パタパタ

P「いや、拓海も十分可愛いだろ」

拓海「……は?」   パタパタ

P「いくらお前が否定しても、そこだけは譲らないぞ。お前が仕事を貰えるってのは、世間がそれだけお前のことを可愛いと思ってるってことだろ」

拓海「……」

P「……」

拓海「……オマエは、ホント……なんつーかさ」   ブンブンブンブン

P「!!」

拓海「そういうのを素面で言ってて、ハズカシくねーのかよ?」   ブンブンブンブン

P「またまた、可愛いって言われて嬉しいくせに」

拓海「嬉しくねぇ!! つーか、アタシとは真逆だろうが! カワイイとか、そういうのは!!」   ブンブンブンブン

P(効いてる効いてる)



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 08:29:44.71 ID:s/o3u4eS0

拓海「そもそもオマエはいっつもいっつも、根拠もナシに可愛いだの女としての魅力がどうだの!
    いい加減気付けよなっ!! アタシがそういうキャラじゃねーってよ!!」   ブンブンブンブン


P(……なんだかんだで拓海も女の子だもんなぁ……面と向かって可愛いって言われれば嬉しい、のかな?
  仕事について話すと喜ぶのも、それが関係してるのか?)


拓海「クソッ、気分悪ぃ!!」   ブンブンブンブン

P「ほらほら、アイドルがそんな顔するな。可愛い顔が台無しだぞ」

拓海「~~~~~~ッ!!! あー、もう! アンタはこれ以上喋るな!! 鳥肌立ってきた!!!」   ブンブンブンブン

P(見た目と言葉だけだと本気で怒ってるようにしか見えないのに……内面では喜んでるのか……人間って分からないもんだなぁ……)

拓海「ったく……今日はどうしたんだよ、いきなり騒ぎ出して……頭でも打ったのか?」   ブンブンブンブン

P「いいや、常日頃から思ってたことを言ったまでだ」

拓海「……ああ、そうだったな。頭がおかしいのはいつものことだったな」   ブンブンブンブン

P「そうか?」

拓海「とにかく、これからはあんまり騒ぐんじゃねーぞ。調子狂うから。
    他の奴の前でまでヘンなこと言い出したら、今度こそタダじゃおかねーからな」   パタパタ

P「はいはい、分かったよ」



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 08:42:16.04 ID:s/o3u4eS0

拓海「ハァ……もう……なんでレッスン行く前からこんなに疲れなきゃなんねーんだよ……」   パタパタ

P「拓海が騒ぎすぎなだけだろ、可愛いって言われたくらいで」

拓海「あぁ!? そもそもテメーが!」   パタパタ

     ガチャッ

ちひろ「おはよーございまーす」

P「あ、ちひろさん、おはようございます」

ちひろ「どうもー……って、あれ、拓海ちゃん? どうしたの?」

拓海「……ッ! なんでもねぇよ!」

P(お、尻尾の動きがおさまったな……落ち着いたか……)

ちひろ「あら……その胸のバッジ、可愛いわね! どこかで買ったの?」

拓海「……いや、プロデューサーの奴がつけろつけろってうるさくてよ」

P(……おや?)

ちひろ「へぇー。やっぱり拓海ちゃんくらい可愛いと、そういう小物も似合うわね。そういうお仕事の方もやってみる?」

拓海「似合わねぇし、やる気もねぇよ。そんなの」

P(……お、おかしい……拓海の奴、可愛いって言われてるのに無反応だ……仮説が間違ってたのか?)



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 09:03:10.11 ID:s/o3u4eS0

拓海「つーか、コレって可愛いのか? どう見ても狂犬病一歩手前のキモい犬じゃねーか」

ちひろ「そう? 愛嬌があって可愛いと思うけど」

拓海「……よく分かんねぇな、そういうのは」

ちひろ「あら、じゃあなんで付けてるの?」

拓海「だからそれは、プロデューサーがつけろって言ったからで……」   パタパタ

P(また喜び始めた……まさか、ランダム!?)

ちひろ「……ふーん……そっかぁ……」

拓海「……んだよ、その顔」

ちひろ「いえいえ、拓海ちゃんも女の子なんだなーってね」

拓海「ッ!!」   ブワァッ!!

P「!?」

拓海「おい、ちひろ!! 何勘違いしてるかしらないがな、これは仕事の一環であって!!」

ちひろ「はいはい、そういうことにしときますよ。あ、プロデューサー、邪魔しちゃ悪いので、私、席外しますね♪」

P「えっ? あ、はい」

P(……しまった……尻尾の変化に集中しすぎてて、会話内容を聞きそびれた……
  なんだ、なにがあったんだ……っていうか、どういう心境なんだ、今のアレ……)



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 09:19:26.26 ID:s/o3u4eS0

拓海「……」   パタパタ

P「……えっと」

拓海「ち、違うからな!!」   パタパタ

P「えっ」

拓海「アタシに、そういう考えは無ェって言ってんだ!! いいか!? 変な勘違い起こすんじゃねぇぞ!!!」   パタパタ

P「あ、はい……」

拓海「一応言っとくけど、誰にも言うんじゃねぇぞ」   パタパタ

P「モチロン」

P(って言っても、会話の内容を全く覚えてないんだけどな……)

拓海「はぁ……じゃあアタシはレッスンに行ってくるから」

P「ああ……あ、拓海、ピンバッジ。それしかないから返してくれ」

拓海「……ほらよ」

P「うん、確かに。じゃあ頑張ってこいよ」

        ガチャッ
                       バタン

拓海「……ハァ……あー、もう……」



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 09:35:43.65 ID:s/o3u4eS0

―――

P(拓海の内心が見れたのも、今後のプロデュースを行う上で、かなり役に立ちそうだ……)

P「しかし……あのブワッと広がったのはどういう感情なんだろうな……
  残ってる感情でいえば、『怒』『楽』のどっちかだけど……イメージで言えば、『怒』か?」

P「さて、と……次は誰にするかな……腹の中が分かりにくそうなのは……」

??「おはようございます……って、プロデューサーさんしか居ないんですか」

P「……」

??「どうしたんですか? ……ああ、分かりました。見惚れてるんですね、カワイイボクに!!」

P「……」

??「フフ、しょうがないですねぇ。まぁ、それも、ボクがカワイすぎるのがいけないんでしょうけど……」

P「……いやいや、これは……ないな」

??「むっ! ちょっと、ボクを捕まえておいてコレはないってどういうことですか!!」

P「……いや、でも、ほら……こっちとしても需要ってもんがあってだな」

??「それなら問題ありませんね。なにせボク、需要が常に高騰し続けていて手がつけられない状態ですし!!」

P(……これは、逃げられそうにないな)

??「で、何の話ですか? 話してみてくださいよ。聞いてあげますよ、このボクが!!」



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 12:59:21.01 ID:s/o3u4eS0

P(幸子か……幸子もまぁ、感情を表に出しにくいと言えば、出しにくいのか?
  基本的に調子に乗って手前味噌で自画自賛な発言を繰り返してるだけだし……)

幸子「ほら、話してください。いやぁ、それにしても、カワイイボクと悩みを聞いてもらえるなんて、プロデューサーは幸せですね!」

P「……別に話すほどの悩みじゃないんだがな」

幸子「構いませんよ、ボクは心が広いので!!」

           どやぁ……

P「……実は、これを付けてみた感想を集めてるんだよ」

幸子「これ、って……そのピンバッジですか」

P「ああ」

幸子「成程……つまりプロデューサーはこう言いたいわけですね。カワイイボクにそれを付けてみてほしい、と!」

P「いや、違う」

幸子「そこまで頼むなら仕方がありませんね。貸してください!
    ボクってば、こんな気持ち悪いピンバッジでさえ可愛い小物の一部として着こなしちゃいますからね!」

P(あ、コイツ話聞いてないな……もういいや、好きなようにさせよう……)

幸子「さぁ、貸してください!!」

P「はいはい」



66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 13:13:09.46 ID:s/o3u4eS0

      ピピピッ!

幸子「フフフ……どうですか? 完璧でしょう!」   パタパタ

P(この耳と尻尾は……雑種?)

幸子「こんな気持ち悪いピンバッジすら輝かせてしまうなんて……ああ、我ながら自分の可愛さが恐ろしい……!」   パタパタ

P(いや、違うな……これは……柴犬か。なんとも、まぁ、幸子らしい……)

幸子「どうです? プロデューサー、褒めてくれてもいいですよ?」   パタパタ

P(しかし、犬耳と尻尾の付いた幸子か……なんていうか、こう……無性にいじめたくなるな……)

幸子「もしかして、言葉を失っちゃいましたか? あまりの可愛さに!」   パタパタ

P「いや、やっぱり似合わないなぁって……」

幸子「っ!? そ、そんなはず……そんなことあるわけないじゃないですか!! 他ならぬボクに限って!」

P「いや、似合わないものは似合わないし」

幸子「ぐっ……で、でも!」

P「いやぁ、ワンポイント入るだけでここまできれいに台無しになるもんなんだな、ファッションって」

幸子「……ふ、ふん! まぁ、こんな気持ち悪いピンバッジじゃ当然ですよね!!
    ボクに似合わないってことは、この商品の未来はもう、決まったようなもんじゃないですかね!!」   シュン……

P(お、もう凹んだのか。意外と打たれ弱いんだな、コイツ)



68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 13:26:19.79 ID:s/o3u4eS0

P「でもなぁ……他のアイドルたちには似合ってたしなぁ……」

幸子「そ、そんなはずは……だって、ボクに似合わないんですよ!?」   シュン……

P「凛がつけてた時は、なんていうか、上手くギャップを利用して可愛さを引き立ててたし」

幸子「そ、それは……まぁ、ボクってほら、ギャップなんか利用しなくても、元がいいですから!
    戦う前から完全に勝利してるボクにとっては、ギャップなんてもので伸び白を増やす必要が全くありませんし!」   ショボーン……

P(うわぁ……耳完全にへたり込んだな……尻尾も丸まって、最初の元気のかけらも見えないし……)

幸子「成程、だからボクに似合わないんだ! それなら当然ですよ! ねぇ、プロデューサー?」   ショボーン……

P「……そうだなぁ、幸子は元がいいからなぁ……」

幸子「……! そうでしょう!?」   ピクッ

P「今でさえ、服のクオリティが幸子に追いつけなくて、服が幸子に着られてるみたいな部分もあるし」

幸子「フフフ……分かってるじゃないですか、プロデューサー!! そうですよ、カワイイボクは服なんかで点数を稼がなくてもいいんですよ!!」   ブンブンブンブン

P「ホントになぁ」

幸子「はぁ……それにしても、哀れなピンバッジですね……可愛いボクに着こなしてもらえないなんて……」    ブンブンブンブン

P「そうだなぁ」

幸子「いやぁ、ごめんなさいね、プロデューサー! ボクが可愛すぎたあまりに、似合わなくて!」   ブンブンブンブン

               どやぁ……



72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 13:44:46.71 ID:s/o3u4eS0

P「それじゃあ幸子」

幸子「はい、なんでしょう!」   ブンブンブンブン

P「お前、仕事ないから帰っていいよ」

幸子「……は?」

P「お疲れ。さーて、資料整理資料整理」

幸子「ちょ、ちょっと待ってくださいよ! 今日は仕事の打ち合わせじゃ……」   シュン……

P「あ、それ、もういいや。もともとそのピンバッジのプレゼンやるメンバーの選抜兼ねての打ち合わせだったし」

幸子「そ、そんな……まさかこの可愛さがあだになってしまうなんて……」   シュン……

P「……えーっと、今度のイベントの経費が……」

幸子「……あの」   シュン……

P「……ん? 何?」

幸子「……まさか、本当にそれだけ、ってことはない……ですよね?」   シュン……

P「そう言わなかったっけ?」

幸子「……ッ! か、帰りますよ!? ホントの、ホントに、帰っちゃいますからね!! ほら、引き留めるなら今のうちですよ!!」   ショボーン……

P(ガチ凹みしながらここまで虚勢を張れるのは、尊敬に値するな……他のメンバーにも見習わせないと)



74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 13:55:38.74 ID:s/o3u4eS0

P「……」

幸子「……ふ、ふんだ! もういいですよ! お疲れさまでした!!
    ボク抜きの、華も彩りもないイベントで、盛り上がればいいですね!!」   ショボーン……

P「幸子」

幸子「はい!?」   ピクッ

P「これ、資料」

幸子「資料……? なんのです?」

P「今度のライブのだよ。幸子抜きでやるわけないだろ」

幸子「……ッ!!」

P「それに、今度のメインはお前だ。新衣装に、新たな試みもある。気合い入れていけよ」

幸子「……ふ」   パタパタ

幸子「ふふふふふ……そうですよね!! ボク抜きでライブなんて出来るわけないですもんね!!
    それにしても、いやぁ、困っちゃうなぁ!! 主役だなんて!! ボクが可愛いばっかりに、他の子が目立てなくなっちゃいますね!!!」   ブンブンブンブン

P「あ、そうそう、そのライブについてだけど」

幸子「どうしました? ボクならいつだっていけますよ!」   ブンブンブンブン

P「お前、上空数千メートルから一人スカイダイビングしつつ登場だから」



77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 14:05:19.67 ID:s/o3u4eS0

幸子「……え?」

P「知らないか? スカイダイビング。パラシュートで降りてくるアレだよ」

幸子「そ、それは……知ってますけど……ら、ライブ、ですよね?」

P「あ、出来る限り補助はなし、一人でやってもらう予定だからそのつもりで」

幸子「……」   ブワァッ!

P(お、すっごい毛が逆立った……拓海の時もあったけど……これは……もしかしてかなりの『驚き』をあらわしてるのか?)

幸子「……は、ははっ、や、やだなぁ、プロデューサーってば……またボクをからかって!」

P「資料の28ページ」

幸子「……」

          ぺら……ぺら……

幸子「……ッ!?」   ブワァッ!

P「な?」

幸子「な、ななな、な、じゃないですよ!! なんですか、コレ!! 何を思えばこんな企画が出てくるんですか!!」   ショボーン……

P「いや、天使みたいで可愛いかなぁって」

幸子「いや、確かに衣装はカワイイボクにぴったりでしょうね! でも、実際に飛ぶ必要はないでしょう!?」   ショボーン……



78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 14:20:34.89 ID:s/o3u4eS0

P(悲しみ、以外にも反応してる、って考えるべきかな……これは)

幸子「……あ、あの……まさか、やりませんよね? こんな馬鹿げた企画……」   ショボーン……

P「……もしかして、幸子、出来ないのか?」

幸子「で、出来ますよ!? 出来ますけど、これやっちゃうと他の子が目立てなくなっちゃうでしょ!?
    ライブは他のアイドルも目立たせなきゃいけないんですよ! 別に怖いとかじゃなくて……いうなれば、そう! これはボクの優しさですよ!!!」   ショボーン……

P「それなら大丈夫だ。幸子はライブの大トリだから、存分に観客の目を引いて貰って構わない」

幸子「で、でも、ですね……えっと……」   ショボーン……

P「……頼む。幸子以外には頼めない、大事な大事な大トリなんだよ」

幸子「か、な、くっ、うぅ……わ、分かりました! やりますよ! 見ててくださいよ。観客全員の度肝を抜いて、ついでに骨抜きにしてあげますから!!!」   ショボーン……

P「そう言ってくれると思ったよ。ということで、幸子。お前、イベントに向けて来週からスカイダイビングの練習な」

幸子「……あ、あの!!」   ショボーン……

P「ん? どうした?」

幸子「まさか、最初からボク一人で飛べなんて言いませんよね!? もちろん、プロデューサーはボクの方につくんですよね!?」   ショボーン……

P「……そうだなぁ、それは、まぁ……一週間くらいは一緒にいて、危険がないかとか実際にできるかとかを判断しなきゃだし……」

幸子「……そ、そうですか……一週間……それなら……べ、別に、居ても居なくてもいいですけどね! プロデューサーには、特別に、ボクの白鳥のように優雅で麗しい着地を、一番最初に見せてあげますよ!!」   パタパタ

P(お、持ち直した)



79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 14:30:10.31 ID:s/o3u4eS0

    ピーッ! ピーッ! ピーッ!

P「……ん?」

幸子「その代わり、練習の最中はモチロン、練習前も練習後も、キチンとボクと一緒にいてくださいよ!
    もし、勝手に居なくなるようなことがあったら、いくら優しいボクでも起こりますからね!」

P(……急に耳と尻尾が見えなくなった……どうして……もしかして、バッテリー切れか?
  晶葉の発明品に限って、故障ってのはないだろうけど……お蔵入り品とか言ってたしな)

P(正直、予想以上に使える道具だし、続けて使っていきたいんだが……とりあえず、晶葉のところに持っていくか)

幸子「分かりましたか? 約束ですよ!」

P「ああ、分かった。ところで幸子、そろそろそのピンバッジ、返してくれるか?」

幸子「へ? ああ、いいですよ。こんな気持ち悪いピンバッジ、こっちから願い下げです」

P「うん。じゃあ、資料に目を通しておいてくれ。俺は少し外に行ってくるから」

幸子「約束、キチンと守ってくださいね!」

P「何度も言わなくてもわかってるよ」

幸子「……それならいいんですけど」

P「じゃあ、帰ってきたら打ち合わせするからな」

幸子「分かりました、さっさと帰ってきてくださいね。今度の主役は、ボクなんですから!」



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 14:44:23.09 ID:s/o3u4eS0

    がちゃっ

P「晶葉、ちょっと頼みがあるんだけど」

晶葉「……」

        カチャカチャ……   ジジジジ……

P「……晶葉? 何してるんだ?」

晶葉「……ん? なんだ、君か……言っとくが、まだ眼鏡は直ってないぞ」

P「いや、そうじゃなくて、『いぬのきもち』の充電に来たんだけど……
  って、あれ……もしかして、眼鏡、修理してくれてたのか?」

晶葉「……じ、時間があったからな。研究がひと段落して……暇だったんだ、うん」

P「そうか、ありがとうな」

晶葉「……それで、『いぬのきもち』の充電だったか? まさか、もうバッテリーを使い切っちゃったのか」

P「ああ。結構使い勝手のいい道具だったから、つい、使いすぎてな」

晶葉「いや、もともとバッテリーの量も問題視されてたんだ。なにせ眼鏡のフレームに受信装置・視覚情報化装置・バッテリーを無理やり積み込んであるからね。
    使用できた時間は、長く見積もっても2時間ってところだろう。どうだ?」

P「確かに、合計すればそれくらいだったかな……」

晶葉「うん、予想通り! ……えーっと、充電器はどこだったかな」



83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 15:05:31.91 ID:s/o3u4eS0

晶葉「とりあえず、充電器と充電済みの予備バッテリー一個渡しておくから、それを使い回してくれ」

P「お、サンキュー」

晶葉「バッテリーの交換はだね、こう、ここの部分を開いて……」

P「……」

          スッ……
―――

晶葉「それで問題なく使えるはずだ」

P「おお、そうか。わざわざありがとな」

        ピピピッ!

晶葉「礼には及ばないさ、もともと私の発明品だしね」   ブンブンブンブン

P「おお……なぁ、晶葉」

晶葉「……? どうかしたか?」   ブンブンブンブン

P「いや、ちょっと気になるんだけど、何がそんなに嬉しいんだ?」

晶葉「へ? 嬉しい、って……それはまた、どういう……」

P「ちょっと使えるかどうか試してみようと思ったんだが、予想以上に、千切れんばかりに尻尾振ってたからな」

晶葉「わ、馬鹿! やめろ、見るな、見るな!!」   ブンブンブンブン



86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 15:21:41.22 ID:s/o3u4eS0

―――

晶葉「この……! いつのまにポケットに……まったく、油断も隙もない!」

P「ごめんごめん、今朝からちょっと気になってたんだよ」

晶葉「何がだ?」

P「他のアイドルたちは、素の状態じゃほとんど尻尾は動いてなかったのに、お前だけ最初からパタパタしてたからな。
  なにか、嬉しいことでもあったのかと思って」

晶葉「……嬉しいこと……?」

P「……なにか心当たりあるか?」

晶葉「……嬉しいこと……嬉しいこと……」

晶葉「……? ……!? ……!! ……い、いや、でも……」

P「晶葉?」

晶葉「……な、ないな! うん、全く心当たりがない! たぶん、プロデューサーが見間違えたんじゃないのか!?」

P「……いや、その言い訳は苦しいんじゃ……」

晶葉「う、うるさい! 見間違いったら見間違いだ!! ほら、用が済んだならとっとと出てけ! 私は、忙、しいんだ!!!」

P「さっき暇だって言ってただろ」

晶葉「方便に決まってるだろう! 私はいつだって発明で忙しいんだよ!」



87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 15:34:49.27 ID:s/o3u4eS0

―――

P「……さて、充電器も貰ったし……」

P「とりあえず、事務所に帰って幸子との打ち合わせを終わらせて……話はそれからだな」

―――
―――

幸子「それじゃあ、来週からよろしくお願いしますね」

P「ああ、お互い頑張ろうな」

    ・  ・  ・  ・  ・  ・

P「ふぅ……もう、こんな時間か……やっぱり、真剣に打ち合わせしてると時間が早く過ぎるな……」

P「そろそろ、午前収録のメンバーが帰ってくる時間か……」

?「……あ」

P「……ん?」

?「プロデューサー、お疲れ様です」

P「お疲れ様です。仕事の方はどうでした? 楓さん」

楓「……結構、眩しかったです」

P「そ、そうですか……」



107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 17:10:42.13 ID:s/o3u4eS0

P「……」

楓「……」

P(掴みどころがない人、だよなぁ……楓さんも。
  どことなくふわふわしてるって言うか、何考えてるか分からないっていうか……)

P(そこまで喜怒哀楽がはっきりしてないし……このバッジの本来の使い道を考えれば、これ以上ない適当な相手だよな)

P「楓さん」

楓「はい」

P「暇ならこれの試着をしてほしいんですけど……今、大丈夫ですか?」

楓「……バッジ、ですか?」

P「はい、新しい商品の試作品で、付けたカンジや見た目なんかのデータを取ってるんです」

楓「付けるだけでよければ……時間もありますし」

P「そうですか。話が早くて助かります」

―――

楓「これでどうでしょう」

P「はい、バッチリです」

P(……グレートピレニーズ……これもまた、らしいっちゃらしい、のかな?)



111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 17:24:38.40 ID:s/o3u4eS0

P「それで、付け心地とかどうですか? 違和感とかありますか?」

楓「……」

P「楓さん?」

楓(……バッチリな、バッチ……)   パタパタ

P「……えっと……付け心地……」

楓「……そうですね。外れにくそうですし、犬の絵も、見やすくて……ふふ、バッチリ、ですね」   パタパタ

P(いきなり尻尾振り始めたけど……なにがそんなに嬉しかったんだろう……)

P「絵とかはどうですか? 見た目の方もアンケートを取っていて……」

楓「人を選ぶ、んじゃないでしょうか。私は好きです……お店にあったら、ついつい買ってしまうかも……」

P「そうですか……成程、ありがとうございます」

楓「商品化するんですか?」

P「データを取り終わって、もしも売れそうだったら、するんじゃないですかね……っていうか、そんなこと聞いてどうするんです?」

楓「……流行り廃りが早いと思うから……商品化するなら早いうちに買っておこうと思って」

P「流行り廃り、ですか……それはまた、なんで?」

楓「どう見てもワンちゃんっす(one chance)、でしょう?」   パタパタ



114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 17:35:37.86 ID:s/o3u4eS0

P「……」

楓「……」   パタパタ

P「……」

楓「……」

P「……」

楓「……」   シュン……

P「よ、よく思いつきましたね! 成程なー!」

楓「……」   パタパタ

P「でも、なんにでもすぐダジャレを使うのは、どうかと思いますけど……」

楓「そう、ですか……」   シュン……

P「あ、いや、駄目ってわけじゃないんですよ? そういうところのギャップを含めて、楓さんなわけですし」

楓「……」   パタパタ

P「ただ、もう少しだけ、自重するのも、ありかなー、なんて……」

楓「……」   シュン……

P(言葉どころか表情にも出してないのに、尻尾と耳は目まぐるしく動いてる……つまりそれだけ、心の中じゃ喜んだり悲しんだりしてるってことか……
   もっと落ち着いた人かと思ったんだけど……なんて言うんだろうな、意外と変わりやすい……子どもみたいな感性って言えばいいのか……)



117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 17:52:08.34 ID:s/o3u4eS0

P(……犬と子ども、か……となると、するべきことは一つ……)

楓「……」   シュン……

P「楓さん」

楓「はい?」   シュン……

P「急で悪いんですけど、頭撫でてもいいですか?」

楓「……」   ピクッ!

P「……」

楓「私の、ですか?」

P「はい」

楓「それは、構いませんけど」

P「そうですか、ありがとうございます」

楓「いえ……撫で心地がいいかどうかは、保証できませんよ?」

P「大丈夫です」

P(最初に少し耳は動いたけど、意外と無関心だな……やっぱちょっと安直過ぎたか……)

P(しかし、こんな無茶苦茶なお願いにも嫌な顔もしないし、心も動かさないっていうのは、やっぱり、出来た大人なんだろうなぁ……
  ……いや、ただ単に、関心がないだけかもしれないな……)



122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 18:09:26.20 ID:s/o3u4eS0

P「じゃ、撫でますね。嫌になったらすぐに言ってください、やめますから」

楓「はい」

        なでなで

楓「……」

        なでなで

楓「……」

P(無反応、か。まぁ、嫌がられるよりはマシかな)

楓「……」   パタパタ

P「……ん?」

楓「どうかしましたか?」   パタパタ

P「……いえ、何も……」

楓「だったら、続けてください」   パタパタ

P「あ、はい」

        なでなで

楓「……」   パタパタ



124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 18:15:03.77 ID:s/o3u4eS0

        なでなで

楓「……」   パタパタ
                   スッ……

楓「……」   パタパタ

楓「……?」

楓「……プロデューサー?」

P「あ、はい。何でしょう」

楓「別にまだ嫌じゃないので、続けてくれて構いませんよ」   パタパタ

P「そうですか」

楓「はい、どうぞ」   パタパタ

楓「……」

楓「……?」   シュン……

P「じゃあ、失礼しますね」

        なでなで

楓「……」   ブンブンブンブン

P(……なんだろう……凄く微笑ましい……)



126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 18:34:22.03 ID:s/o3u4eS0

P(物静かな大型犬を飼うのって、たぶんこんな感じなんだろうなぁ……静かで、ゆったりとしてて、それでいて愛らしくて……
  活発な大型犬とかだと、また違うんだろうな……)

    \Pちゃーん! にょわー☆ かいぐりしてー! かーいーぐーりー!!! /

P(……あいつに『いぬのきもち』を使うのはやめておこう……見てみたい気もするが、きっと、『喜』の信号が膨大すぎて、端末がぶっ壊れるから)

      なでなで

楓「……」   ブンブンブンブン

P「楓さん、そろそろやめますね」

楓「まだ大丈夫ですよ」   ブンブンブンブン

P「いえ、俺の方で気になってたことも分かりましたし。あんまり長い間迷惑かけるのもどうかと思うので」

楓「迷惑だなんて、そんなことないですから」   パタパタ

P「いえ、あんまり時間を取るのも悪いですし。それじゃあ、ありがとうございました」

       スッ……

楓「……まだ、大丈夫ですよ」   シュン……

P「その心だけ頂いておきます」

楓「……まだ、大丈夫なのに」   ショボーン……

P(……やっぱり、どうも上下が激しいな、この人は……)



130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 18:54:46.48 ID:s/o3u4eS0

楓「……」   シュン……

P(駄目だな……これ以上垂れた耳と尻尾を見てると、また撫でたくなる……回収して、他の相手を探すか)

P「そうだ、楓さん。バッジ、返してもらってもいいですか?」

楓「じゃあ……また今度、いいですか?」   シュン……

P「……出来れば、今、返してほしいんですけど……」

楓「いえ……また今度、こうやって、撫でてもらってもいいですか?」   シュン……

P「え、それは……」

楓「迷惑なら、いいですけど」   ショボーン……

P「い、いや、撫でるくらいでいいなら、いつでもしますよ」

楓「……本当?」   パタパタ

P「こんなところで嘘なんてつきませんよ

楓「そうですか……ふふ、じゃあ、それまでのお楽しみに、しておきます」   ブンブンブンブン

P「ハハハ……期待にこたえられるように、頑張ります」

楓「……これ……発売したら、教えてくださいね?」

P「はい、確かに。それじゃあ、俺、仕事に戻りますから」



138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 19:16:38.69 ID:s/o3u4eS0

―――

P「うーん……『仕事だ』って言って出てすぐに事務所に戻るのはマズいよな……」

P「とりあえず、レッスンスタジオの方に行ってみて、少し時間を潰すか」

―――

P「……そういえば、今日このスタジオでのレッスンって誰が居たかな……確か、今日は……」

??「おはようございます、プロデューサーさん」

P「……」

??「やっと会いに来てくれたんですね……最近、ずっと一人でのお仕事やレッスンばっかりだったから、まゆ、とっても寂しかったんですよ」

P「あ、ああ、悪いな。俺も、少しまゆの様子が気になって。でも、心配無かったみたいだな! じゃあ俺、帰るから!!」

まゆ「そんなに急いでどこに行くんですか? 久しぶりに会えたんだから、もう少し、ゆっくりしていってくださいよ♪」

P「い、いや、そうは言ってもな、仕事があるし!」

まゆ「……え? 今日の分は、もうとっくに終わってましたよね」

P「えっ、なん、知っ、えっ!?」

まゆ「あ、もしかして……お仕事だって言いながら、他のアイドルのところに行っちゃうんですか? だとしたら……とっても、悲しいなぁ……」

P(ど、ど、ど、ドジこいたァァァ―――!!! 今日はここ、まゆのレッスンスタジオじゃんかよぉ!!)



264: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 05:01:35.58 ID:ai343y7U0

P(まゆ……無理だ……こいつを相手取って上手く立ち回れる気がしない……なんとか理由をつけて、この場から立ち去りたいけど……)

     ぎゅっ

P「……な、なぁ、まゆ?」

まゆ「はい?」

P「う、腕、放してくれないか?」

まゆ「どうしてですか?」

P「……どうしてって……その、動きづらいし……」

まゆ「無理に動く必要なんてありませんよ。言ってくれれば、まゆがなんでもしてあげますからね。
    それに、きちんと捕まえておかないと……ふらふらと他の子のところに行っちゃうのはプロデューサーの悪い癖ですし」

P「そ、そうですか……」

まゆ「はい♪」

P「で、でも、まゆもレッスンがあるだろ!? 邪魔しちゃ悪いし……」

まゆ「大丈夫です。だからほら、今日はこのまま、ずっと一緒に……」

P「えっ、でも……」

まゆ「……本当に大丈夫ですよ? 心配してくれなくても」

P(……なんていうか、喋ってる内容以上に『絶対に逃がさない』っていう気迫を感じる……怖いくらいに……)



267: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 05:13:19.75 ID:ai343y7U0

P「そ、そうか……なら、もう少しだけ一緒にいようかな!」

まゆ「少し、ですか?」

P「少し、で。仕事以外にもやらなきゃならないこともあるし……」

まゆ「……やらなきゃならないこと、ですか」

P「ああ、悪いな、一緒にいられなくて!! いやぁ、残念だ!!」

まゆ「ふぅん……でも、あんまり感心しませんよ? 頬をつついたり、頭をなでたりっていうのは……たとえやらなきゃいけない理由があったとしても……」

P「」

まゆ「あ、そういえば……プロデューサーさん、まゆには頼まないんですか?」

P「……い、一応聞いておくけど……なにを?」

まゆ「犬のバッジ……会う人皆に付けるようにお願い、してましたよね?」

P「……」

まゆ「あれ、違いましたか? 犬、ですよね……ちょっとデフォルメされてたけど……」

P「……な、なぁ、まゆ……なんで知ってるんだ? 誰かから聞いた、とかじゃないよな?」

まゆ「ふふ……やだなぁ、プロデューサーさん。大好きなプロデューサーさんのことを、まゆが知らないわけないじゃないですか♪」

P(……あ、終わった……)



271: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 05:24:12.28 ID:ai343y7U0

まゆ「無理に他の人に頼んだりせず、最初からまゆに言ってくれればよかったのに……」

P「い、いや、まゆ、レッスン中だったし、悪いかなって思ってな!!」

まゆ「遠慮しなくていいんですよ? プロデューサーさんのためなら、まゆ、なんでもしますから……」

P「そ、そっかー。ありがとうな! じゃ、じゃあ、さっそくで悪いけど、これ、付けてもらえるか?」

まゆ「はい」

    ・  ・  ・  ・  ・  ・

まゆ「どうですか?」

P「う、うーん……どうかなぁ……やっぱり、レッスン用のジャージだと、ピンバッジはあんまり映えないかなぁ?」

まゆ「……そうじゃありませんよ。この『眼鏡』越しに見て、です。まゆ、どうですか?」

       スッ……

            ピピピッ!

P「……ぱ、パピヨン、です」

まゆ「どうですか? まゆ、可愛いですか? 気に入りましたか? 気に入りましたよね。お好きですもんね、こ・う・い・う・の♪」

           スリスリ

P(怖い、怖すぎる……何が怖いって、行動を観察されてたことや、『いぬのきもち』のことを知られてたのもそうだけど……
  なにより、ここまで愛情満点ないつものまゆなのに、耳も尻尾も微動だにしてないっていうのが、正直言って怖すぎる……!!)



272: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 05:44:58.54 ID:ai343y7U0

P「か、可愛いよ。すごく似合ってる!」

まゆ「そうですか……とっても嬉しいです」

P(とは言いつつ、やっぱり微動だにしてない……もともと感情の起伏が乏しいのか……?)

まゆ「でも、こんな機械使うなんて、プロデューサーさんも水臭いですねぇ。
    まゆに言ってくれれば、この前みたいに、どんな格好でもしてあげるのに」

P「いや、そこまで迷惑かけられないだろ!」

まゆ「うふふ……なんだったら、着せ替え人形にしてくれても構いませんよ?」   シュン……

P「えっ」

まゆ「それもいいかもしれませんね。小さなドールハウスを買って、綺麗なお洋服を集めて……
    プロデューサーさんのためだけに、プロデューサーさんの家で、ずっと……」   シュン……

P(……この耳と尻尾、今まで通りなら、悲しんでるんだよな……悲しんでる、のか? この状況で……)

まゆ「あ、でも、それじゃあプロデューサーさんの傍に居られませんね。
    プロデューサーさん、目を離すとすぐに他の女の方に行っちゃうから、ちゃんと一緒に居ないと……」   シュン……

P(なんだ、何が悲しいんだ……見た目はこんなに楽しそうなのに……)

まゆ「あ、プロデューサーさんが他の女の人に会うのがいけないって言ってるんじゃないんですよ?
    ただ……事務所は別なんです。事務所には、色々と邪魔なのが多くて……」   シュン……

P「……」



273: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 05:55:23.22 ID:ai343y7U0

まゆ「……本当に、あの事務所は、プロデューサーさんとまゆのことを、邪魔ばっかり……」   シュン……

P「……なぁ、まゆ。少し、変な質問してもいいか?」

まゆ「はい?」   シュン……

P「……何がそんなに悲しいんだ?」

まゆ「……」   シュン……

P「……」

まゆ「……」

P「……あ、ごめん……変なこと聞いたな」

まゆ「……」   パタパタ

P「!?」

P(なんだ、なんでいきなり喜び始めたんだ!? わ、分からん……やっぱり、まゆはさっぱり分からん……!)

まゆ「……プロデューサーさん」   パタパタ

P「なんだ?」

まゆ「ようやく、まゆの方、向いてくれましたね」   パタパタ

P「……えっ?」



275: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 06:16:49.04 ID:ai343y7U0

P「向いた、って……」

まゆ「はい、ようやく、向いてくれたじゃないですか」   パタパタ

P「いや、今までだってまゆの方見てただろ」

まゆ「……見てましたね。でも……向いてくれてませんでした」   パタパタ

P「……えっと……もうちょっと分かりやすく、頼めるか?」

まゆ「……まゆはプロデューサーさんのことならなんでも知ってますから。
    プロデューサーさんが、まゆと話してるときに、どんなことを考えてるのかも、だいたい分かっちゃうんです」   パタパタ

P「……」

まゆ「プロデューサーさん、ずっとまゆの方、向いてくれませんでしたよね?
    話もほとんど聞いてくれないし、一緒に居ようともしてくれない……まゆは、まゆはプロデューサーさんのこと、こんなに大好きなのに……」   パタパタ

P「……それは……」

まゆ「でも、今日は……さっき、プロデューサーさんは、まゆの方を向いてくれました。
    きちんとまゆの方を向いて、まゆのことを気にしてくれたんです」   パタパタ

P「……」

P(……ああ、成程……そういうことか)

まゆ「やっとお話ができますね。プロデューサーさん♪」   パタパタ



276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 06:27:27.11 ID:ai343y7U0

P「まゆ」

まゆ「はい?」   パタパタ

      ぎゅっ

まゆ「……!」   パタパタ

P「ごめん」

まゆ「……ふふ」   ブンブンブンブン

P(いくら迫力や凄みがあったって、まゆだって女の子なんだ……
  悲しくないわけないじゃないか……一生懸命話しかけてるのに無視されたら……
  だっていうのに、俺は……まゆと会ったらいっつも逃げようとして……)

P「今まで、本当にごめん」

まゆ「……気にしてませんよ。まゆは、プロデューサーさんのこと、信じてましたから。
   いつか、きっと……まゆの方を向いてくれるって、ちゃんと信じて待ってましたから」   ブンブンブンブン

P「でも、ごめん」

まゆ「……だったら、もう少しだけ、こうやって抱きしめてもらってもいいですか?
    そうしてもらえれば、今までの分も合わせて……プロデューサーさんのことを感じられると思うので」   ブンブンブンブン

P「それくらいでよければ」

まゆ「うふふ……♪」   ブンブンブンブン



278: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 06:44:09.30 ID:ai343y7U0

――― 5分後

P「……」

まゆ「……♪」   ブンブンブンブン

――― 10分後

P「……なぁ、まゆ?」

まゆ「……♪」   ブンブンブンブン

――― 30分後

トレーナー「……あの、まだですか?」

P「も、もう少しだけ待ってください! まゆ、休憩時間終わったみたいだぞ、ほら、トレーナーさんが迎えにきたから!」

まゆ「……」   パタパタ

P(尻尾の振り方が変わってるってことは、聞こえてて、あえて無視してるってこと、なのか……?
  このままトレーナーさんを放置ってのも気が引けるし、だからといってさっきのアレの後で俺から突き放すってのもな……どうするべきか……)

まゆ「……プロデューサーさん」   パタパタ

P「お、聞こえてたか?」

まゆ「今日はちょっと時間が来ちゃったみたいだから……続きは、また今度、お願いしますね?」   パタパタ

P「ああ、分かった。だから早くレッスンに戻ってくれ。トレーナーさんも迷惑してるから」



280: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 06:54:11.52 ID:ai343y7U0

まゆ「……じゃあ、今日はここまでで」   パタパタ

P「うん、頑張れよ」

まゆ「これ、返しますね。でも、あんまり変なことに使っちゃだめですよ?」

P「気をつけるよ」

まゆ「それじゃあ、プロデューサーさん、また今度」

P「ああ、また今度」

まゆ「~~~♪ ~~~~~~♪」

        てててててっ

P「ようやく行った……なんていうか、やっぱりまゆの愛は重いな、どうも……胃もたれしそうだ」

トレーナー「……」

P「……あ」

トレーナー「……」

P「……えっと、今のはですね……深いワケが……」

トレーナー「……別に、プロデューサーさんたちの問題に口出すわけじゃないですけど……
       大っぴらにああいうことをするのはどうかと思いますよ? きちんと、場をわきまえないと」

P「すみません……気をつけます」



285: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 07:25:26.37 ID:ai343y7U0

―――

P「……まゆには悪いことしてたが……これで少しは、おとなしくなってくれるかもな……」

P「しかし……楓さんとまゆを合わせれば、一時間くらい使ったことになるのか」

P「そうすれば……いったん事務所に帰って、バッテリーの充電状況を確認するか。
  終わってないようだったら、長時間の使用は控えなきゃならないし」

―――

P「充電は……終わってるな。よしよし」

P「いい感じに楓さんも居なくなってるし……ここで面白い反応が見れそうなメンバーが来るのを……」

      がちゃっ

??「いやー、お疲れー!! ……ってあらぁ? プロデューサーはんだけかい」

P「なんだ、不満か」

??「んー、不満ってワケやないけどもなぁ……なんちゅーかなー、ソーダイに肩すかし喰らった感じやなぁ」

P「なにを期待して入ってきたんだよ」

??「いやぁ、最近な。ドア、バーン! いって最初に目に入るのが変な格好の鈴帆っち!! 『なんやそれぇ!!』てツッコむってのが多くてなぁ」

P「笑美は毎日楽しそうだな」

笑美「フフ、おもろいもおもろくないも! アイドルんなってから、前より更に笑顔笑顔の毎日やー!」



287: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 07:38:22.81 ID:ai343y7U0

P(……笑美は良くも悪くもあけすけだし、毎日笑顔メーター振り切ってるしなあ……試すだけ無駄な気も……
  いや、でも、こういう子に限って何か隠してる部分があるのかも……)

笑美「お、なんや? お? なに、なになに? なに持ってんのん?」

P「あ、これか? これは……」

笑美「うっわ、えらいブッサイクなバッジやな……なにこれ、プロデューサーはんの私物?」

P「いや、試供品だよ。よかったら付けてみるか?」

笑美「えー……これをー? ウチがー?」

P「嫌ならいいけど」

笑美「かーっ!! そこまで言われたら付けんわけにはいかんなぁ!! 貸して貸して! ……どやっ!!」

P「おお、さすが笑美。似合うな」

           ピピピッ!         

笑美「あらありがとう! そうね、さすがブサ犬、ウチにピッタリ! ……って遠まわしにけなしとんのかい!」   ブンブンブンブン

       ビシィッ!

P「キレキレだな」

笑美「せやろ? 24時間戦えますか、って奴や! あはは!!」   ブンブンブンブン

P(チャウチャウ……まぁ、そうなるわな……)



289: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 07:58:30.74 ID:ai343y7U0

P(反応も予想通りだな……すごく楽しそうだ)

笑美「プロデューサーはんもナイスフリ! 腕上げたなー!」   ブンブンブンブン

          バンバン!

P「そりゃあ、笑美、鈴帆、瑛梨華、幸子のお笑いカルテットに囲まれてればな」

笑美「せやなー、ウチと鈴帆っちと瑛梨ちゃんと幸っちゃんと……ってなにしれっと幸っちゃん入れてんねん!!」   ブンブンブンブン

P「いやぁ……ねぇ?」

笑美「……まぁ、言わんとせんことは分かるけどもなー」   ブンブンブンブン

P(しっかし、尻尾動きっぱなしだな……逆にどうやったら止まるんだ、これ……
  ……付けたついでだ。時間もあるし、笑美の尻尾を止められないか、色々試してみるかな……)

笑美「幸っちゃんはすっごいの持ってるんやけどなー……本人が乗り気やないのがなんともなー」   ブンブンブンブン

P(とはいっても、行き過ぎるとただのパワハラ未遂だし、そこそこ……笑美がギリギリ嫌がらないようなラインで……まずは……)

P「笑美」

笑美「んー?」   ブンブンブンブン

P「頭撫でていいか?」

笑美「へぇ? 別にええけど、いきなりどうしたん?」   ブンブンブンブン



303: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 09:37:59.65 ID:ai343y7U0

         なでなで

笑美「なになに? なんか褒めてくれんのん?」   ブンブンブンブン

P(効果なし……)

         わしゃわしゃ

笑美「あ、ちょっと右の方お願いしますー……ってそれもう撫でるやなくて洗うやー!!」   ブンブンブンブン

         ビシィッ!

P(両手でひっかきまわしても嫌な顔一つしない……だったら)

         ぐにぐに

笑美「い、いひゃいいひゃい! にゃんや!? ほっへはもか!? って、ほっへたひっはりゃれると、はべれんやん!
    はべれん、はべれーん! ひもはー! はべれんかったら、とつっこみれきへーん!!」   ブンブンブンブン

P(うわぁ……すっごい楽しそう……ほっぺたいじくり回すとか、人によっちゃ怒ってもしょうがないレベルなのに……)

         スッ……

笑美「ウチが喋れんかったら、事務所の貴重なツッコミが!! って、あら、喋れる……先生、ウチ、喋れます!!」   ブンブンブンブン

P「そうか、よかったな」

         なでなで

笑美「えへへー♪」   ブンブンブンブン



305: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 09:55:18.89 ID:ai343y7U0

P(他に触ると楽しくなくなるような場所って言ったら……いや、その辺は触ったら楽しい楽しくないの前にアウトだしな……)

       なでなで

笑美「しっかし、プロデューサーはんの手ぇ、意外に大きいなぁ」   ブンブンブンブン

P「そうか?」

笑美「へへ、ウチ、結構好きやでー、プロデューサーはんの手ぇ! あったかいし、おっきいしな!」   ブンブンブンブン

P「手を褒められてもなぁ」

笑美「ホント、手首から先だけなら伊達男なんになぁ……手首の後ろ邪魔やなぁコレ」   ブンブンブンブン

P「……」

         ぐりぐり

笑美「あ痛たたたたたたたっ!! ご、ごめん! ごめんって!! 分かった、手首から後ろも必要、必要です!!」   ブンブンブンブン

P(これでもまだ楽しいのか……本当に、凄い子だな……)

         スッ……

笑美「あー痛っ……頭に穴空くかと思ったわ……ちょっとプロデューサー! 頭に穴空いたらどうしてくれんの!!」   ブンブンブンブン

P「中身空っぽだろうし、鳥の巣箱にでもすればいいんじゃないか?」

笑美「成程、これがホントのトリ頭……ってアホかい! もういいわ!!」   ブンブンブンブン



309: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 10:16:28.37 ID:ai343y7U0

笑美「いやー、久々にバチィーッと決まったな! な!」   ブンブンブンブン

P「よく食らいついてきたな」

笑美「へへへ、大阪府民の面目躍如ってカンジか!! あ、言っとくけど、プロデューサーはんの手ぇ、好きっていうのはネタやないでー」   ブンブンブンブン

P「へぇ、そうなのか」

笑美「まぁなー。そこ、嘘ついてもしゃーないしなー! 触り心地いいし、撫で方も優しいし、いつでも撫でてもらえるように持ち歩きたいくらいやわ! なんてな!」   ブンブンブンブン

P(駄目だ、完全にペースを持ってかれてる……この流れで笑美が凹むのが想像できない……)

笑美「あ、もしアレやったらもう少し撫でてくれる? どうせ暇なんやろ!」   ブンブンブンブン

P(どうやれば笑美の素のテンションを引き出せるか……まずはあの、関西圏特有の『漫才脳』をどうにかしなきゃな……)

笑美「……プロデューサーはん?」   ブンブンブンブン

P(……となると、ボケとかツッコミとかが思いつかないように……相手の思考の斜め上を行く言動で、素を引っ張り出すか……
  酷い暴言とかじゃなければ、大体のことは、後から『ネタでした!』で許してもらえるしな……ここは一発……!!)

笑美「おーい、どうしたー、耳詰まったかー」   ブンブンブンブン

P「笑美」

笑美「ん?」   ブンブンブンブン

P「好きだ」



313: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 10:29:21.70 ID:ai343y7U0

笑美「……」  パタパタ

P「……」

笑美「……」

P(お、止まった!!)

笑美「……~~~~~~~~ッ!?」   ブワァッ!

     かぁぁぁ……!!

P(おお、凄いことになった)

笑美「えっ、なっ……えっ、えっ!? えっ、そ、それ、それ……!!」   ブンブンブンブン

P(あれ、戻った……一瞬しか持たなかったか……)

笑美「ちょ、えっ!? ぷ、プロデューサーはん、今……今……」   ブンブンブンブン

P「笑美」

笑美「で、でも、んと、い、いや、イヤっちゅうわけやなくてな!! ああ、もう、なんて言うかな!!」   ブンブンブンブン

P「おーい、笑美ー」

笑美「は、はい!!!」   ブンブンブンブン

P「あんまり大騒ぎするな。心配しなくても冗談だから」



317: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 10:40:00.12 ID:ai343y7U0

笑美「……へ? 冗、談?」

P「さっきの仕返しをしようと思っただけなんだけど……そんなに大騒ぎするほどイヤだったか?」

笑美「し、仕返し!?」

P「そりゃあ、俺だってちょっとは傷つくわけだよ、『手首から後ろが邪魔』とか言われたらさ。だから、仕返しを、って……」

笑美「あ、ああ……成程……もう、プロデューサーはんてば、紛らわしいわ!! あー、びっくりして心臓飛び出るかと思った!!」   ショボーン……

P(えっ、尻尾が……)

笑美「しっかし、ぷ、プロデューサーはん、まだまだ笑いが、分かってないなー! さっきのは、い、イジってもらって、嬉しいって……ぐすっ」   ショボーン……

P「!?」

笑美「そんな、流れで分かってくれるかな、って……ひぐっ……」   ショボーン……

P「え、笑美!?」

笑美「な、なんやろ、ごめん……ぐしゅっ……なんか、び、びっくり、しすぎて……涙出てきた……!」   ショボーン……

P(アウト!! これはアウトだ!!! 笑美相手だからって調子に乗りすぎた!!)

P「笑美、笑美!! 嘘、嘘だから!!」

笑美「……わ、分かって、分かってるから……! 嘘やった、って、分かってるから……!」   ショボーン……

P「違う違う! 冗談って言ったのが嘘だから!!」



321: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 10:59:18.97 ID:ai343y7U0

――― 10分後

笑美「……」

P「……」

笑美「で、どうすんねん、この空気」

P「悪かったと思ってる」

笑美「ホンマになぁ……クソツマランことをマジメくさった顔で言って笑い取ろうとか、三流以下やで」

P「ごめんなさい」

笑美「……今回だけ。今回だけ、トクベツに許すから、以後気をつけるよーに!! ええな?」

P「はい」

笑美「……ったく……ホントに……期待させるだけ期待させといて……」

P(本当に許された……? クソッ、こういうときに限って、『いぬのきもち』のバッテリーは切れるし……
   しかし、まさか笑美の泣き顔なんてものを見る日が来るとは……人生って本当に山あり谷ありだな……)

笑美「……プロデューサーはん、手ぇ」

P「……」

笑美「手ぇ貸して、手ぇ」

P「あ、はい……」



324: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 11:13:54.46 ID:ai343y7U0

笑美「撫でて」

P「はい」

          なでなで

笑美「……今度」

P「……」

笑美「今度、もし、またしょーもない冗談言うたら……こ、今度は、責任、とってもらうからな!!」

P「気をつけます」

笑美「よし! じゃあ、チャキチャキ撫でる!!」

      なでなで

笑美「……んー♪」

P(よかった……ようやく笑ってくれた……)

―――

P「よ、ようやく、解放された……」

P「やっぱり、年頃の女の子にああいうネタは駄目だったか……」

P「しばらくの間は、笑美と馬鹿騒ぎするのは控えておこう……」



392: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 19:40:51.35 ID:ai343y7U0

―――

P「……」

P(今日からは、使う相手は絞っていった方がいいな。変に好奇心で動くと、笑美の二の舞になっちまうだろうし)

P(下手に手を出さず、本当に必要な相手にだけ使って……)

P(……いや、でもなぁ……それはそれでつまらないよなぁ……)

P「……とりあえず、事務所に行こう。なんにせよ、誰かに会わないと始まらないし……仕事もあるし」

―――

      ガチャッ

P「おはようございます……あれ?」

?????????「おお、来たか。プロデューサー殿」

P「えっと……合宿の打ち合わせは、まだ先でしたよね、マストレさん?」

マストレ「いや、なに……少々気になることがあったからな。
      強化合宿の打ち合わせの準備のついでに、プロデューサー殿と話をしようと思って」

P「話、ですか」

マストレ「まぁ、仕事には直接関係のない与太話だがな……少しの間、付き合ってくれるか?」

P「はい。俺でよければ」



397: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 19:57:37.95 ID:ai343y7U0

マストレ「話というのは他でもない、うちの三番目のことだ」

P「トレーナーさん、ですか」

マストレ「ああ……どうも、昨日、帰ってきてから様子がおかしくてな」

P「そうですか? 昨日の昼過ぎに別れた時はどうもなさそうでしたけど……」

マストレ「ふむ……それは本当か?」

P「ええ、まぁ……アイドルの方に気が向いてたから、見逃してたのかもしれませんが」

マストレ「だとすると……その後、か」

P「あの……様子がおかしいって、どんなカンジなんですか?」

マストレ「……なんというべきか……大きな目標を一つ失った、っていうのに近いかもしれない」

P「……」

マストレ「分かりにくかったか? ……ううむ……他には……いい例えが思い浮かばないが……」

P「いや、そういうわけじゃなくて……なにがあったんだろうなぁ、って……」

マストレ「……そうか。なにか心当たりがあったら教えてくれ。早いうちに何とかしないと、私と二番目だけじゃあ手が足りなくてな」

P(マストレさんか……感情の起伏が乏しいってワケでも、ひた隠しにしてるってワケでもないんだろうけど……どうも、取り付く島がないよな。
  今後の仕事を円滑に行うためにも、マストレさんの喜ぶようなことが『手作りスポーツドリンク関連』以外で分かればいいんだけど……)



400: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 20:13:05.01 ID:ai343y7U0

P「マストレさん、マストレさん」

マストレ「うん? どうした?」

P「これ、付けてもらえますか?」

マストレ「……それは、なんだ?」

P「ピンバッジです」

マストレ「なんで私なんだ?」

P「……それ聞かれると、ちょっと困りますね。似合いそうだから、とかじゃ駄目ですか?」

マストレ「遠慮しておくよ。そういうのは、キミのアイドルたちの管轄だからな。私は専門外だ」

P「そこをなんとか、お願いします!」

マストレ「あのなぁ、プロデューサー殿。そう軽々しく頭を下げるもんじゃないぞ」

P「下げるべき時には、キチンと下げるべきですから」

マストレ「今はその『下げる時』じゃないだろう……まったく……」

P「お願いします!」

マストレ「……」

P「……お願いします」



405: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 20:27:11.64 ID:ai343y7U0

マストレ「言っておくが、誰かが来たら外すぞ。こんなの付けてるのを見られたら……妹たちに笑われかねん」

P「ええ、大丈夫ですよ」

          ピピピッ!

P(セントバーナード……まぁ、確かに……それっぽいかな……)

マストレ「それで、これはなんの意味があるんだ? まさか、ただのたちの悪い冗談じゃないだろうな?」

P「……」

マストレ「……」

P「あ、それで、合宿の下準備の件ですけど」

マストレ「……成程、な。まぁ、キミのたちの悪い冗談は今に始まったことじゃないから、別段驚きはしないが」

P「……ははは、いやだなぁ、マストレさん。まさか、俺に限って、そんな……」

マストレ「それじゃあ、さっさと打ち合わせを終わらせてしまおうか。プロデューサー殿の悪ふざけにいつまでも付き合っていられないし」

P「悪ふざけっていうのは確定なんですか」

マストレ「なんだ? 違うのか?」

P「……ノーコメントで」

P(……凄いな……尻尾も耳もまるで動かない……『仕事は仕事』ってことかな……
  いや、でも、アイドルたちの中にも、全く動かなかった子も居たし……)



479: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 03:07:12.61 ID:fiA2DEKE0

―――

P「まぁ、だいたいはこんな感じで……詳しいことはまた今度、本格的な打ち合わせの場で決めましょうか」

マストレ「ふむ、そうだな。しかし、また私達陽の新しい衣装か……
      プロデューサー殿、キミはやはりトレーナーの仕事とアイドルの仕事を混同してないか?」

P「いやいや、いつもと環境を変えることでアイドルたちへの刺激になればと思って」

マストレ「本当に、建前を並べるのだけは上手いな」

P「建前、って……なにか裏があるとでも?」

マストレ「うん? 好きなんだろう、こういうのが」

P「……こういうの、って?」

マストレ「服だよ、服。アイドルたちの衣装にしてもそうだが、君の趣味によるところが多いんじゃないのか?」

P「……ハハハ、さて、どうでしょうね」

マストレ「まぁ、深くは追求しないよ。ただ、へんてこな衣装を着せて、フロントメンバーに私たち姉妹を入れる、なんてことはやめてほしいな。さすがに」

P「駄目ですか? 結構受けがいいんですけど」

マストレ「あまり好ましくはないな。このままだと、末のがいつか本気で『アイドルになりたい!』なんて言い出しかねない」

P(……打ち合わせがひと段落したけど……一切動かなかったな……まさかここまで微動だにしないとは……
  なんとかして動いてるところが見たいが……無茶をするとえらいことになるのは火を見るより明らかだし……)



481: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 03:25:42.59 ID:fiA2DEKE0

P「それはそれでいいんじゃないですか?」

マストレ「……いや、さすがに、それは勘弁願いたい」   シュン……

P(……ん?)

P「それはまた、どうして?」

マストレ「『なりたい』とか『やりたい』だけじゃどうにもならない世界だからな」   シュン……

P「……そう、ですか」

マストレ「ああ、そうだ。少し外見が良くて体が動かせる程度でアイドルになれるのであれば、苦労はしないさ」   シュン……

P「……」

マストレ「いつもの悪ふざけなのか、それとも本当に何かしらの意図があってやっているのかは知らないが……
      変に希望を持たせるのはかえって傷口を作りかねない、ということだけは覚えておいてくれ」   シュン……

P「それは……」

マストレ「……」   シュン……

P(ここは、あんまり踏み込んじゃいけない部分な気がする……
  マストレさんだって、色々と経験してきた上で、こういうことを言ってるんだろうし……)

マストレ「私の本分はレッスンだ。プロデューサー殿のアイドル育成にまで口を出す気はないが……
      トレーナーである前に一人の姉だしな、私も……妹が傷つくようなことは、出来れば避けたいんだよ」    シュン……

P「……それは、失礼しました」



482: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 03:45:08.72 ID:fiA2DEKE0

マストレ「少し過保護すぎるかな?」   シュン……

P「いえ、深く考えてなかったこっちに非がありますし」

P(表情は読み取れないし、内容も提言というよりは説教に近いけど……それでも、マストレさんはマストレさんで、思うところがあるんだろう……
  何が悲しいのかは、尻尾を見ただけじゃよく分からないけど……でもやっぱり、昔のことが関係してるんだろうな……)

P(……出来ることなら、凹んだまま帰ってほしくないが……何か方法は……)

マストレ「どうした? 着せ替え人形が減るのはやはり寂しいか?」   シュン……

P「いや、マストレさん……妹思いのいいお姉さんなんだなぁって……」

マストレ「褒めても何も着ないぞ」

P「それを言うなら出ないぞ、ですよね」

マストレ「お前の場合、これがあってるんじゃないのか?」

P「……さぁ、どうでしょうね」

マストレ「ふふ……むきになって否定しないのは、正直で好感が持てるな」

P「そうですか? じゃあ正直ついでにもう少し、無駄な話をしましょうか」

マストレ「ふむ、相談に乗ってもらったしな。少しくらいなら付き合うよ」

P「ありがとうございます……じゃあ……」

P(さて、喜んでもらうにはどうすればいいか……)



484: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 04:09:09.51 ID:fiA2DEKE0

P(なんだかんだで今までで一番尻尾を振ってもらえたコミュニケーションって『接触』なんだよな……
  かといって、さすがにマストレさんの頭を撫でたり、頬をつついたり、抱きしめたりするっていうのは無礼に値するんじゃ……)

P(感情の起伏が激しい人じゃないから、中途半端に言葉で褒めても効果は薄いだろうし……)

マストレ「それで、何を話すんだ?」

P「えっと……ちょっと待ってください、今考えてるんで」

マストレ「なんだ、話す内容も考えてないのに話そうなんて言い出したのか?」

P「い、いやぁ……はは」

マストレ「行き当たりばったりはよくないぞ、プロデューサー殿。キミの悪い癖だ」

P(……この人相手に変に遠まわしにするのは逆に悪手か……ここは……)

P「いえ、どうすればマストレさんに喜んでいただけるかなぁって」

マストレ「……なに?」

P「さっき話してるとき、少し悲しそうだったから……俺に出来ることで、なにかマストレさんが喜びそうなことがないか考えてたんですけど」

マストレ「悲しそう、だったか?」

P「なんとなく、ですけどね。少し、悲しそうというか、寂しそうというか……」

マストレ「……そうか……やれやれ、まったく……変なところで鋭いな、キミは」   パタ

P(……お)



486: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 04:24:49.24 ID:fiA2DEKE0

マストレ「まぁ、アレだよ。昔の苦い思い出って奴さ」   パタ……パタ……

P(凄くゆっくりだけど動きだしたな……俺の申し出に嫌な気はしてない、ってことか)

マストレ「悪いね、変に気を遣わせてしまったみたいで」   パタ……パタ……

P「いえ、他ならぬマストレさんのことですし」

マストレ「他ならぬ、か。どうせ誰にでもそんなことを言ってるんだろう?」   パタ……パタ……

P「誰にでもってことはありませんよ。キチンと相手は選んでます」

マストレ「……やっぱり、口が上手いな、君は」   パタ……パタ……

P「それで、俺に出来ることってありますか?」

マストレ「そうだな……それじゃあ……」   パタ……パタ……

P「……」

マストレ「ううむ。いきなり言われると困るな」   パタパタ

P(おお、速くなった! 表情は今までと変わってないけど、喜んでる、んだよな?)

マストレ「そうだな……ちょっと待ってくれるか?」   パタパタ

P「はい、いいですよ」

マストレ「……ふむ」   パタパタ



487: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 04:36:25.08 ID:fiA2DEKE0

マストレ「出来ること、っていうのは具体的にどの程度までいいんだ?」   パタパタ

P「俺に出来ることならなんでも。あ、でも、出来れば仕事に差し支えのない程度でお願いします」

マストレ「そうか……それじゃあ」   パタパタ

P「はい」

マストレ「デートでもするか」   パタパタ

P「……」

マストレ「……」   パタ……パタ……

P「えっと、デート、っていうのは……」

マストレ「……なんだ、嫌か? 出来ることなら何でもするって言っただろう」   シュン……

P「あ、いや、そういうことじゃなくて……」

マストレ「冗談だよ。週末に買い出しに付き合ってくれって意味だ」   シュン……

P(……なんか、凄く新鮮だな……こう、ちょこちょこ感情が動いてるのが分かるマストレさんってのは……)

マストレ「スポーツドリンクの材料もそうだが、レッスン用の道具も買うとなると、一人じゃ手が足りなくてな。
      プロデューサー殿なら、妹たちよりもそれなりに力があるし、なにより暇そうだしな」   シュン……

P「そこまで暇じゃありませんよ」

マストレ「そうかな? 暇そうに見えるが」



489: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 04:48:22.81 ID:fiA2DEKE0

P(それにしても、やっぱり立ち直りというか、持ち直しが早いな……)

P「週末ですか?」

マストレ「ああ、大丈夫かな?」

P「はい。じゃあ、デート、期待してますね」

マストレ「期待しているような内容にはならないと思うぞ。ただの買い出しだからな」   パタ……パタ……

P「それは残念」

マストレ「それじゃあ、今週末に……また細かい日程が調整出来たら連絡するよ」   パタ……パタ……

P「分かりました。予定は空けておきますので」

マストレ「ああ、頼む。それじゃあ……結構長居してしまったな。そろそろ帰るとするか」   パタ……パタ……

P「あ、マストレさん。ピンバッジ」

マストレ「ああ、そういえば……ほら」

P「はい、ありがとうございました」

マストレ「今度はそういう、変な趣向を凝らすのはやめてくれよ」

P「気をつけます。それじゃあ」

マストレ「ああ、それじゃあ、また今度」



490: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 05:04:08.74 ID:fiA2DEKE0

             パタン……
マストレ「……」

マストレ「はぁ……いかんな、どうも……」

マストレ(顔に出やすくなってるのか? いや、二人きりだから気が緩んでるのかも知れないな……
      気をつけないと……ただでさえ、こういうのには慣れてないんだし……)

マストレ「しかし、週末……何を着ていくかな」

―――

P「週末は……資料整理と、送迎、それに付き添いが少し、か……資料整理の方を先倒しと後回しで終わらせれば、時間は作れるかな。
  ……送迎と付き添いはちひろさんに手伝ってもらって……うん、なんとかなりそうだ」

P(しかし、マストレさんも喜んでくれたみたいでよかった)

P「さて、と。それじゃあ、週末に向けて資料整理をしておこう」

―――
―――   20分後

      がちゃっ

???「……おや、プロデューサー君。今日は仕事をしてるのか。珍しい」

P「……人聞きの悪いことを言わないでくださいよ、真奈美さん」

真奈美「ふふふ、ごめんごめん」



493: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 06:04:18.49 ID:fiA2DEKE0

P(……真奈美さんか……飄々としていて、激昂はしにくいタイプだな……
  表面に出さないだけかもしれないけど……この人の場合、他の年長組と比べても底が知れないしな……)

真奈美「おや? どうした? 私の方をじっと見て」

P「真奈美さん、少し、付けてもらいたいものがあるんですけど」

真奈美「……」

P「えっと、これなんですけど……」

真奈美「……ふぅん……成程ね……それで、これをつけて、どうするんだい?」

P「いや、見た目や付け心地の感想がいただければなぁ、と……お得意先の新商品なので」

真奈美「……そうか」

          カチャカチャ

P「……」

          ピピピッ!

P(シベリアンハスキー……らしいなぁ……)

真奈美「どうかな?」

P「……うーん、真奈美さんみたいなタイプだと、もっとワイルドな感じの方が似合いますね」

真奈美「うん、私もそう思うよ。こんな……何とも言えないのは、他の子の方がいいだろうな、やっぱり」



495: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 06:14:19.21 ID:fiA2DEKE0

P「付け心地なんかはどうです?」

真奈美「こういうのはあまり付けたりしないから、いいのか悪いのかは分からない。
      ただ、小さな飾りとしては少し重たいかな……服が引っ張られるカンジは、あまり好きじゃないね」

P「そうですか、ありがとうございます」

P(尻尾はそんなに動いてないな……見た目通りの人、ってことかな)

真奈美「それじゃあ、私の方からも質問していいかな?」

P「あ、はい、どうぞ」

真奈美「これを私に渡したっていうのは……何か思うところがあってのことなのかい?」

P「……はい? それは、どういう……」

真奈美「……少し言葉が足りなかったね。じゃあ、もう少し突っ込んだ聞き方をしようか。
     これを渡した後で、私に何かするつもりだったのか、何をするつもりだったのか、教えてほしいんだが」

P「……えっ」

真奈美「おや、他の子たちには色々したのに、私には何もなし、ってことか? それはそれで悲しいなぁ……」

P「……」

P「えっ!?」



498: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 06:27:53.71 ID:fiA2DEKE0

P「えっと……どうしてそれを……」

真奈美「まぁ、狭い事務所だ。変わったことがあれば、すぐに耳に届く。
     若い子ほどじゃないけど、私たちくらいの世代も仲がいいからね」

P「えっと……じゃあ、知ってて、付けたんですか?」

真奈美「ああ。別に困るようなことじゃないし……それに、プロデューサー君の方から私に何かしてくれるっていうのにも、興味はあったしね」   パタパタ

P「そ、そうですか……」

真奈美「それで、私には何をする気だったのかな? 聞いた話によると、抱きしめたり、頭を撫でたりと、色々やってきたそうじゃないか」   パタパタ

P「……そこまで知ってるんですか」

真奈美「……さっきも言った通りさ。狭い事務所だ、プロデューサー君が変なことをやってるとなれば、嫌でも耳に入ってくる」   パタパタ

P「ハハハ……」

真奈美「それじゃあ、そろそろ聞かせてもらっても?」   パタパタ

P「何をする気、っていうか……何かをする気はまったくないんですよ? 毎回、結果的には何かしちゃってますけど」」

真奈美「……ほう……それじゃあ私には、とりあえず付けさせた、ってことか」

P「はい。ご期待に添えなくて、申し訳ありません」

真奈美「そうか……それは少し、寂しいな」   シュン……

P(……意外と素直な人なんだな……)



500: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 06:39:53.89 ID:fiA2DEKE0

真奈美「プロデューサーから、ピンバッジを付けるようにと言われて、少し嬉しかったんだがね」   シュン……

P「……なんかすみませんね」

真奈美「いいよ。勝手に期待した私も悪いんだ」   シュン……

P(うわぁ……口ではああ言ってるけど、結構凹んでる……
  いつも通りどこ吹く風ってカンジなのになあ……)

真奈美「……まぁ、気が向いたら何かしてくれ。話のネタくらいにはなるだろうし」   シュン……

P(これは……少しくらいフォロー入れておいた方がよさそうだな……あんまり大げさにならないくらいに、適度に……)

P「真奈美さん」

真奈美「……」   ピクッ!

P「……それじゃあ……何かやっても、いいですか?」

真奈美「……」

P「……」

真奈美「……何か、か?」   パタパタ

P「はい、何か、です」

真奈美「……そうだね……まぁ、内容による、かな?」   パタパタ



502: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 06:56:53.35 ID:fiA2DEKE0

P「……たとえば、そうですね……頭を撫でる、とか……」

真奈美「……やれやれ、この歳になって、まさか『頭を撫でさせてくれ』なんて言われるとはね」   パタパタ

P「どうでしょう?」

真奈美「……まぁ、断る理由もない、か……」   パタパタ

P「はい、じゃあ失礼しますね」

          なでなで

真奈美「……」   パタパタ

P(まさか、真奈美さんの頭を撫でる日が来るなんて思ってもみなかったな……
  にしても、真奈美さん……喜んでるのか? 頭撫でられて? ……だとすると、可愛いなぁ)

真奈美「ところで、だ。プロデューサー君。一つ聞きたいんだが」

P「あ、はい……なんでしょう?」

真奈美「なんで急にこんなことをして回り始めたんだ?」   パタパタ

P「……」

真奈美「まぁ、深く詮索はする気はないが……君がこういうことをするのをよく思わないアイドルも居るんでね」   パタパタ

P「なんでって言われても……強いてあげるなら、興味本位、ですかね」

真奈美「興味本位、か……なんとも、君らしいな」   パタパタ



505: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 07:15:58.15 ID:/+ZJ13MQO

真奈美「しかし、あまり興味本位で動くのは感心しないな」

P「そうですかね」

真奈美「……例えば……そうだな……」   パタパタ

        スッ……
                 ぴとぉっ……

P「ひっ!?」

真奈美「私が興味本位でこういうことをしても、君は許してくれるかい?」   ブンブンブンブン

           つつつつつつ……

P「ま、真奈美さん!? ちょ、耳、なんで耳触るんですか!?」

真奈美「手」   ブンブンブンブン

P「へ!?」

真奈美「手が止まってる。ほら、撫でてくれるんだろう?」   ブンブンブンブン

P「は、はい……」
               なでなで

真奈美「ふふふ……それで、なんで触るか、だったかな?
      そりゃあ、興味本位だよ。私も興味があってね、プロデューサー君がどんな反応するかに」   ブンブンブンブン

P(うわぁ……すっごい楽しそう……! やられる側としては理性が凄いことになりそうだけど……!)



508: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 07:30:03.65 ID:/+ZJ13MQO

P「ま、真奈美さん、ストップ!! ストップ!! これは、これはちょっと!」

真奈美「おや……自分がするのはよくて、されるのは嫌、っていうのは、少し都合がよすぎないかい?」   ブンブンブンブン

          スリスリ……

P「ひぃっ!! ちょ、ホントに……!! ヤバイですって!!」

真奈美「やれやれ、意気地がないな」   ブンブンブンブン

          スッ……

P「……あ、あぁ……うぅ……」

真奈美「仕方ない。今日はこの辺で勘弁してあげよう」   ブンブンブンブン

P「あ、ありがとうございます……」

真奈美「ただし、また、変なことをしてるって噂を聞いたら……今度は……」   ブンブンブンブン

P「分かりました! やめます!! 金輪際致しません!!」

真奈美「……こういう時ばっかり聞きわけがいいな。君は」   パタパタ

P「そりゃあ大事なものが色々とかかってますからね! そういうことなら一も二もなくですよ!!」

真奈美「……そいつは結構。それじゃあ、私もそろそろ仕事の方に行くかな。今日は、なんだか頑張れそうだよ、プロデューサー君」   パタパタ

P「そ、それはよかった……ですね」



509: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 07:35:54.47 ID:fiA2DEKE0

        がちゃっ

              バタン……

P「……」

P「……やめよう」

P「そもそも、相手の感情に合わせて行動するなんてのが間違ってたんだ。すっぱりやめよう」

P「ピンバッジも真奈美さんに持ってかれちゃったしな」

        prrrrr! prrrrrr!

P「……ん?」

          pi!

P「はいもしもし」

晶葉{もしもし? 私だ}

P「ああ、どうした?」

晶葉{眼鏡の修理が終わった、時間があるうちに取りに来てくれるか?}

P「そりゃあ好都合だ。すぐ行くよ」

―――



510: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 07:41:39.38 ID:fiA2DEKE0

―――

真奈美「……おや」

??「……あら」

真奈美「おはよう。これから事務所かい?」

??「ええ、まぁ……そっちは仕事、だったかしら」

真奈美「まあね」

??「大変ね、こんな朝早くからなんて」

真奈美「ふふ、そうでもないさ。今朝は少し嬉しいことがあってね」

??「嬉しいこと……?」

真奈美「コレだよ、コレ」

??「あら、それって……」

真奈美「楓が言ってただろう? これがあのピンバッジさ」

??「……ふぅん……それが……そう……」

真奈美「……よかったら、持っていくかい? 私はもう、充分に堪能したからね」

??「……そうね、貰えるかしら?」



513: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 07:51:35.32 ID:fiA2DEKE0

―――
           がちゃっ
P「おーい」

晶葉「ふふふ、来たか……!!」   ブンブンブンブン

P「……」

晶葉「昨日は不覚を取ったが、今日はそうはいかないぞ! これを見ろ!!」   ブンブンブンブン

P「あれ、それ……」

晶葉「昨日あれから設計図を取りだして作り上げた、ピンバッジ型発信端末2号だ!
    『いぬのきもち』は受信できる情報量に上限がある、発信端末が近距離に二つ存在すれば、情報処理が行えなくなるんだよ!!」   ブンブンブンブン

P「……」

晶葉「ふっふっふ……欠点を利用する、まさに逆転の発想だ。どうだ、なにも見えないだろう? まったく、昨日はよくもからかってくれたな!」   ブンブンブンブン

P「あー、晶葉」

晶葉「ん? どうした?」   ブンブンブンブン

P「……ピンバッジの方は、今、別の人が持ってて手元にないんだよ」

晶葉「……へ? ま、待て、待て、ということは……」   ブンブンブンブン

P「見えてるな、尻尾、千切れんほどに振ってるな、今」

晶葉「あ、わ、わわわわわ、馬鹿、見るな! くっ、このっ、は、外れない!!」   ブンブンブンブン



516: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 08:06:46.14 ID:fiA2DEKE0

晶葉「ま、待て! すぐ外すから! あっちを向いてちょっと待っててくれ!」   ブンブンブンブン

P「……」

晶葉「……うう、な、なんでこんな……」   ブンブンブンブン

           カチャカチャ

P「……」

晶葉「うぅ……だ、くっ、こ、これ以上恥を重ねるくらいなら……いっそバーナーでピンごと焼き切って……!!」   ブンブンブンブン

P「外すの手伝おうか?」

晶葉「……」   ブンブンブンブン

P「……」

晶葉「……いいのか?」   ブンブンブンブン

P「晶葉がそれでいいんなら」

晶葉「……し、仕方がないな……じゃあ、外してくれ!」   ブンブンブンブン

P「よし、じゃあこっち来い」

晶葉「ああ……い、言っておくけど、外すことにかこつけて、変なことはするなよ?」   ブンブンブンブン

P「はいはい、分かってますよ」



517: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 08:15:52.62 ID:fiA2DEKE0

P「はい、じゃあバンザイして、バンザーイ」

晶葉「……馬鹿にしてるのか?」   ブンブンブンブン!!

P「どうだろうな」
                  カチャカチャ

晶葉「だから君に頼むのは嫌だったんだ……そうやって、すぐに人をからかうから!」  ブンブンブンブン!!

P「そうかそうか、でもな、晶葉」

晶葉「なんだ?」   ブンブンブンブン!!

P「尻尾の方は今まで俺が見たことないくらいの速さで振られてるぞ」

晶葉「……」   ブンブンブンブン!!

P「……」

晶葉「……ち、近いからだ」   ブンブンブンブン!!

P「……」

晶葉「い、いや、違うな! そうだ、受信してる情報が変わってるんだ!!
    おそらく、今は君がピンバッジに触ってるから、君の感情情報が、私の耳や尻尾で表現されてるんだ!! そうに違いない!!!」   ブンブンブンブン!!

P「ハハハ」
               なでなで

晶葉「き、気安く撫でるな、この、馬鹿!」  ブンブンブンブン!!



519: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 08:25:05.07 ID:fiA2DEKE0

P「いやー、そうか。晶葉は俺がそばに居ると嬉しいのかー」

             カチャカチャ

晶葉「違う、断じて違う!!」   ブンブンブンブン!!

P「だから昨日も、朝から……」

             カチャカチャ

晶葉「違うと言ってるだろうが! 君は少し自惚れが過ぎるぞ!」   ブンブンブンブン!!

P「はいはい。ほら、取れたぞ」

晶葉「……くっ……貸せ!!」

P「ん? はい」

晶葉「こんなもの!!」

           バキィッ!

P「あらま」

晶葉「……全く、酷い目にあった……」

P「いや、自業自得じゃないのか? 勝手に二号機作ったりするから」

晶葉「うるさい!! もとはと言えば『いぬのきもち』を引っ張り出した君が悪い!!」



520: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 08:35:10.04 ID:fiA2DEKE0

P「引っ張り出したのは俺じゃないだろ」

晶葉「ふん、だ! もう知らん!! プロデューサーなんて大嫌いだ!! とっとと眼鏡を持って帰れ!」

P「分かった分かった。悪かったよ」

晶葉「気分が悪い! 今日はもう会いに来るな!! ……まったく、なんたってこう、肝心な時に……」

P「そうか、じゃあ今日はもう帰るかな……晶葉」

晶葉「……なんだ」

P「眼鏡、ありがとうな。修理してくれて」

晶葉「……ふん。言っただろ。時間があっただけだって」

P「それでも、晶葉のおかげで仕事もきちんとできたしな。ありがとう、助かったよ」

晶葉「……使えない助手の面倒をみるのも、私の仕事のうちだ」

P「そうかい」

晶葉「そうさ。それに、世話になってるのはこっちも一緒だからな」

P「じゃあ、またな」

晶葉「ああ」



521: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 08:39:05.23 ID:fiA2DEKE0

二日目終了

耳と尻尾を生やしてみたアイドル

Cu 輿水幸子(柴)
   佐久間まゆ(パピヨン)
   池袋晶葉(?)

Co 渋谷凛(ウェルシュ・コーギー)
   高垣楓(グレートピレニーズ)
   木場真奈美(シベリアンハスキー)

Pa 向井拓海(ジャーマンシェパード)
   難波笑美(チャウチャウ)
   マスタートレーナー(セントバーナード)


『いぬのきもち』 …… プロデューサーが回収
端末1 …… ??が所持
端末2 …… 大破



522: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 08:42:31.23 ID:fiA2DEKE0

―――

P「さーてと、マイ眼鏡も戻ってきたし、週末に向けて、仕事を頑張るか」

           がちゃっ

P「ただいま戻りましたー」

??「……あら」

P「……あれ、留美さん」

留美「プロデューサーさん、どこに行ってたの?」

P「いや、晶葉のところに……って、あれ? 留美さんは何をしてるんですか?」

留美「なに、って言うほどのことじゃないけど……待っていたのよ、プロデューサーさんを」

P「……? 何か約束した、っていうことじゃないですよね」

留美「そうね」

P「じゃあ、なぜ?」

留美「……これに見覚え、ないかしら?」

         キラッ

P「……あ」



524: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 08:48:11.00 ID:fiA2DEKE0

P「……えっと、ですね」

留美「ちょっと、酷いんじゃないかしら?」

P「いや、これは、ですね……」

留美「ずっと傍に居る、って言ったのに、私を置きっぱなしにして、こんなものを使って……
    挙句、色々なアイドルにいたずらをしてたらしいじゃない」

P「深い、深いわけが……」

留美「……わけ、ねぇ……」

P「そ、そうです! これには、海よりも深くて、山よりも高いわけが!!」

留美「あら、そう……わけがあるならしょうがないわね」

P「で、ですよね? ハハハ……」

留美「そうね……フフフ」

P「ハハハ、ハハ……ハ……」

          ピピピッ!

P(シェットランドシープドッグ……羊を追いかける、恐ろしい牧羊犬……!!)

留美「それじゃあ、どんなワケがあったのか、しっかり教えてもらえるかしら?」  ブワワワワワァァァァッ!!!

P(ああ、見たことないけど分かる……これ、怒ってるわ……)



525: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 08:51:31.00 ID:fiA2DEKE0

――― その後

      言い訳を続けたが、怒り心頭の留美さんには通じず    

      それから数週間の間、留美さんの機嫌を直すことに尽力するはめになった……


P「とほほ……もっと行動を抑えてれば……」

留美「あら、何か言ったかしら?」

P「い、いいえ、なにも!!」

留美「そう……それじゃあ、行きましょうか。プロデューサーさん」

P「分かりました!!」


    そういって留美さんについていく俺の姿は

    まるで首輪をつけられ、リードにつながれ、飼い主についていく犬みたいだったらしい




                        DOG END

                ファ イ ル を 消 し ま し た ・ ・ ・



526: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/28(水) 08:54:30.28 ID:fiA2DEKE0

途中たびたび居なくなってごめんね
最後急ぎ足でごめんね
笑美ちゃんごめんね

長時間、保守とか色々ありがとう

もし次があれば


『ねこまっしぐら』
猫に対するマタタビ。未成年者が酔っぱらえる薬

対象アイドル
Cu 奥山沙織ちゃん! ちゃま 智恵理ちゃん +晶葉
Co 雪美ちゃん 志乃さん  +一人
Pa 菜帆さん 薫ちゃん   +一人


『ウグイスじょう』
心の声(モノローグ)を無意識のうちに声に出してしまうようになるお薬

対象アイドル
Cu 関裕美 みくにゃん ┌( ┌^o^)┐ +晶葉
Co 奈緒ちゃん 三船さん 蘭子
Pa レイナサマ 姉ヶ崎 +一人


のどっちかか


元スレ
池袋晶葉「なに、眼鏡の修理をしてほしいって?」