2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:09:35.64 ID:lfThSbAg0
島村「島村卯月、17歳です。私、精一杯頑張りますから、よろしくお願いしますっ!」
P「えっ」
島村「えっ?」
P「えーっと、ここはアイドル事務所だけど・・・」
島村「えっ、はい そうですよね?私、書類選考で選ばれて・・・」
P「えっ」
島村「えっ?」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:14:11.57 ID:lfThSbAg0
P「ちょっと待ってね、ちょっと調べてみるから……」
島村「あ、はい」
P(……あー。今見てみたら、多分これ、あれだ)
P「選考ミスだわ……」
島村「えっ?今なんて……」
P「選考ミス」
島村「」
P「選考ミスっていうか……選考の通知が、本来の人じゃなくて君に届いちゃったんだよね」
島村「えっ?えっ?」
P「いや、本当にごめん!こっちのミスだから!本当にごめん!」
島村「……あ、あは、そうですよね!私、ちょっと早とちりしちゃって……」
島村「ちょっと考えればわかりますよね!私みたいな取り柄もない子がアイドルなんて」
島村「アイドルになんて……」
島村「……アイド、っぐ、アイドルになん、て、ズズッ んぐ……」
P「ちょ、泣かないで!」
P「わかった!本当は選考を通過しなきゃダメなんだけど、面接しよう。面接」
島村「んぇ……面接……?」
P「そう!面接!だから泣き止んで!!とりあえず泣き止んで!」
…
……
…………
島村「すみません、お見苦しいところを……」(ズビビー
P「落ち着いたみたいだし、面接始めようか」
P(とりあえず、本来の選考者や所属アイドル達が来る前に終わらせてしまおう……怒られるの俺だし)
P「えーっと、まず、君の事を教えて欲しいな。経歴とか」
島村「は、はい!島村卯月、17歳です。モバマス高校に通っています」
島村「あの、趣味は友人との長電話で……」
P(……この後十数分、彼女の事を聞いてみた)
P(昔からアイドルに憧れて、いくつもの事務所に応募してはいたんだが)
P(良くて書類選考通過、面接に漕ぎ着ける事も稀だったらしい)
P(その理由……俺には凄くわかる。誰の目にも止まらなかった理由)
P「島村さん」
島村「ダンスの方は……えっ、あっ、はい!」
P「君に、一つ聞きたい事がある」
P「君の長所を、ここだけは負けないという、長所を教えてくれ」
島村「個性……ですか」
P「そう、個性だ」
島村「………………」
P「少し俺の話になるが、ここの事務所は俺が独立して作った事務所だ」
P「前の事務所でも、何人かのアイドルを担当した」
P「その女の子達は、例えば歌が上手かったり」
例えば、ダンスが上手かったり
例えば、自身のビジュアルに自身があったり」
P「彼女たちには、これだけは負けないという自信が、各々にあった」
P「君には、それがないんだ」
島村「……」
P「君には、アイドルになる要素が欠けてる……厳しいことを言うけど」
P「そうだね、そろそろ面接は終わりに」
島村「 …ですか」
島村「個性が無くて、なんで悪いんですか!」
島村「私は……そりゃ、取り柄もないし、可愛くないかもしれません」
島村「でも、アイドルになりたいって、思う、気持ちは!誰にも゛!負けまぜん゛!」
きらり「……」
楓「……」
かなこ「……」
P・島村「!?」
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2966797.jpg
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2966808.jpg
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2966803.jpg
きらり「おはーしゃー☆Pちゃん真面目な話してるカンジー?」
楓「真面目な話をしているようだったので……あ、おはようございます」
かなこ「え~っと、その子が事務所の選考に受かった子ですか?」
P「えっと」
島村「あ゛い゛!!今日からお世話になりま゛す!!島村卯月です!!!」
P「!?」
楓「ほら、涙と……鼻水も拭いて」
島村「あ゛……ずみまぜん」(ズビビビビ
かな子「じゃあ、Pさんの面接受かったんですね~。おめでとうございます!」
きらり「うきゃー!じゃあ今日から仲間だにぃ!おにゃーしゃー☆」
P「ちょ、おま」
P(……!待てよ、こいつ……)
P(俺が選考ミスをした、という事実をばらされたくなければ、このまま入社させろという……脅し……?)
P(あの一瞬でこいつそこまで……もしかしてとんでもない逸材なのか……?)
島村(勢いで言っちゃった、どうしよう……昨日ワンピース読んでたからかな……)
P(その後の俺の行動は早かった)
P(流れで島村卯月を俺のプロダクションに即加入、そして本来送るはずの子に選考通過の旨を伝え)
P(選考ミスをした証拠を全て抹消、『島村卯月ともう一名が選考通過』という結果に書き換えた)
P(これで俺と……島村以外にはばれない!ばれないはず……!)
律子「プロデューサー、あの子、選考通った子と違くないですか?」
P「ドッキーーーン☆」
P「やぁ、律子!今日はいい天気だね!」
律子「瞳孔開いてますよ」
P「マジで」
律子「そんなことより、あの子ですよ。この前の書類の子と違うんじゃないですか?」
P「えっ、ん~どうだったかなぁ?そんなはずはないよねぇ~」(チラッ
島村「えっ?」
P(合わせろや島村ァァァァア!!選考ミスったと知られたらドヤされるだけじゃ済まねェェェ!)
島村(!! ここで私にプレッシャーをかけて、入社の事実をなかった事にするつもりですね!)
島村(ここまできたら引けません!私は図太くいきますよプロデュサー!)
P・島村「選考通過して無事本日入社した島村卯月です!今後ともよろしく!!」
律子「2人とも瞳孔開いてますよ」
P・卯月「マジで」
律子「ん~……釈然としませんけど、選考の件は一任してますから私は何も言いません」
P「そうだよな!さすが話が分かるエビフライだぜ!」
律子「ブチ殺すぞ」
P「ごっめ~ん!今はパイナップルだったわ!ごっめ~ん!」
律子「実は他の事務所からヘッドハンティングされてるんですよね」
P「ごめんマジで」(額を床にこすりつけながら)
かな子「プロデューサーさん、いっつもあんな感じだよねぇ」
きらり「んにゃー!りっちゃんに頭があがらないPちゃんもかわいい!ずっきゅん☆」
楓「こんな感じの事務所だから……今日からよろしくね」
島村「あ、はい!よろしくお願いします!」
楓(まだ鼻水ついてる……)
後日の密会にて、第一次 P⇔島村共同戦線が張られる事となった――――
…
……
………
P「うづきん!初仕事とってきたぞ!」
島村「待ってましたプロデューサー!」
楓(いつのまにあんな仲良くなったんだろう……)
P「とは言っても、初仕事だからな。事務所のみんなと一緒の仕事にしておいたぞ」
島村「ありがたいです!緊張しますね~!で、初仕事の内容っていうのは……」
P「フードファイトだ」
島村「えっ?」
P「フードファイト」
島村「えっ」
…
……
………
きらり「お仕事で美味しいモノ食べれるってラッキー☆きらりん☆」
かな子「個人戦らしいですよ~。今日はよろしくおねがいしますね!」
島村「どうして……こうなった……?」
P「仕事があるだけありがたいんだからな。文句は聞かん」
P「ほら、始まるぞ」
小鳥「……さぁぁ!今回も始まりました!アイドルの血糖値が気になるこの番組!」
小鳥「題して、『アイドル・フード・サバイバル』ッ!!」
小鳥「食って食って食った奴が勝ち!早速本日のメンバーを紹介だァーー!!」
…
…
小鳥「そして、最後に新鋭、バンナム事務所からは3人!」
小鳥「ガタイもデカけりゃ胃もデカイッッ!!進撃の巨人、諸星きらりーーーーッッ!!」
きらり「おっすおっすばっちし☆」
小鳥「3度の飯よりメシが好き!!人間パックマン、三村かな子ーーーッッ!!」
かな子「今日も、がっつり頑張ります!」
小鳥「そして期待の新人、無知のポテンシャルはきらり→かな子ラインを止められるか!?」
小鳥「島村卯月ーーーーーーーーッッ!!」
島村「想像してたんと違う……」
小鳥「すでに目が死んでいるゥゥゥッーーーー!!!!」
P「小鳥さん調子いいなぁ」
小鳥「今回の品はこちら!」
小鳥「こってりとんこつラーメンに、胸焼けがしそうな生クリームその他をたっぷり乗せた……」
小鳥「一杯カロリー3000kcal!スイーツラーメンの登場だァーーーー!!!」
かな子「美味しそうですねぇ」
きらり「ん~今回はあかな子ちんにちょ~っと部があるかにゃぁ」
島村「いや、おかしいでしょ!?女性の一日の摂取カロリー2000kcalだよ!?」
小鳥「ルールはシンプル!30分でどれだけの杯をカラに出来るか!?」
小鳥「前置きは不要!早速サバイバルの始まりだァァーーー!!」
ドォォッォーーーーン!!
小鳥「ドラの合図と同時にッ!スターァァァト!」
きらり「ズゾゾゾゾッゾ」
島村「やべぇ、大口開けて流し込んでる!!」
かな子「おかわりください」
島村「早いよ!お前らアイドルよりも適任の仕事あるよ!!」
「ふふ……すいーつとらぁめんの融合、なんと面妖な……」
島村「!」
「時に……島村卯月殿、アイドルとは、なんと心得ますか」
「アイドルとは……どんな場面でも可憐で、なおかつ情熱的でなければならない」
「ファンの前に堂々とした姿で、牽引し、魅了する」
「私たちは望まれてここにいるのでは?そして、大衆が望む理想のアイドルとは」
島村「あ、あなたは――――」
デブ子「おかわりください」
貴音「――――どんな時でも、優雅に食事をするものですよ。卯月殿」
小鳥「Aランクアイドル、四条貴音ッ!既に3杯目を完食してるぅうぅぅぅう!!!」
http://uproda11.2ch-library.com/348254wRA/11348254.jpg
かな子「おかわりください」
小鳥「かな子選手4杯目突入ッ!これは壮絶な喰らい合いになるかぁぁーー!」
貴音「ふふ……新感覚 とでも言うのでしょうか。中々に、美味」
小鳥「貴音選手、4杯目完食!」
島村「…………」
島村(私だって、食べてる、食べてるけどっ)
島村「もう……食べれないよ゛ぉ……」
小鳥「おぉ~~っと!!島村選手の箸が止まるッ!まだ一杯目で脱落かぁ!」
P「…………」
P(卯月……お前にこの仕事をあてがった理由)
P(お前に足りないものの一つ……それは目立とうとする『意志』)
P(大食いの場では卯月が目立てる訳がない。それくらい俺だって解ってる)
P(そして隣には『銀色の女王』四条貴音……)
P(この状況で、どうする……?)
卯月「……うっ……う゛……っぐぅ……えぐ……」
卯月「もうこれ以上は……無理だよ……」
卯月「私には無理だったんだ……最初から……アイドルなんて……」
貴音「諦めるのですか。島村卯月」
島村「えっ……」
貴音「確かに、アイドルとは厳しいもの。大衆の前でも虚勢を張らなければいけないこともありましょう」
貴音「それでいて、凛と立ち続けなければならない……」
貴音「島村卯月、あなたはアイドルのステージにすら立てていない」
島村「……! ……そんなこと……私にだって……」
貴音「ですが」
貴音「今、卯月殿が出来る事はまだあるはずです」
貴音「カメラはまだ、回っています。あがくことすら辞めてしまうのですか」
小鳥「貴音・かな子両選手、共に10杯完食ゥゥゥッゥーーーーーー!!!」
島村(私はアイドルにすらなっていない……)
島村(この場にいるのに、カメラすら、向けられていない!)
島村「アイドルですらない、私にできること」
島村「カメラに映るために、あがくこと!」
島村「それは――――」
P「……!!!」
ビチョォァ
小鳥「島村卯月選手!突如、ラーメンに顔を突っ込んだァァァーーーーーーー!!!」
ゴッゴッゴッゴッ
P「汁を……吸ってる……!!」
島村「ゥェァ!お代わり下さい!」
島村(収録が終わったら、井が破裂したっていい!)
島村(今……食べ続ける……!)
ビチョォァ
小鳥「2杯目にも即顔を突っ込んだァァァーーー!!」
グチョ…ムシャ……ムシャ……ズルルルッルル
小鳥「そのままクリームと麺とスープを啜るっ!3つの難関を一気に食べ進めるっ!!」
グチョ…ズルルルッル
「おがわりぐだざい゛っ!!」
…………
…………
…………
…………
白い天井……
薬品の匂い……スリッパの音……
ここは……
島村「病院?」
P「お、起きたか」
島村「プロデューサー……?収録は……」
かな子「それがね~、私 結局負けっちゃったよ~」
かな子「さすがはAランクアイドルだよね!」
P「別に食うのが早いからAランクなわけじゃないけどな」
島村「……」
P「そうだな、お前の事だ」
P「お前が4杯目に顔をぶち込んでた時な」
P「途中でお前の動きが止まったんだ」
P「でな、ガバっと顔をあげたと思ったらマーライオンのように」
「ゲロがな」
島村「」
P「大丈夫!後からCG処理して、口から出てるのをところてんに見える様にしたから」
島村「大丈夫じゃないですよそれ……」
P「……そうだな、大丈夫じゃない。かな子、ちょっと席外してくれるか」
かな子「あ、はい」
P「……なぁ卯月、お前は、まだアイドルしたいか?」
P「お前には酷なことをしたと思っている」
P「最初の仕事にしては……ちょっとヘビーだったな……はは……」
島村「私は、その」
P「……いいんだ、結論は焦らなくていい。病院で休んでる間に、じっくり考えてくれ」
P「正直、お前の顔を器に突っ込んだ時な、大物になると思った」
P「こいつは、もしかしたらとんでもないものを持ってたんじゃないかって」
P「でも……お前が限界なら、俺は止めないよ」
P「またな」
島村「……」
島村「……アイドルかぁ」
島村「アイドルになろうと思って、ようやくなれたと思ったら」
島村「仕事先でマーライオンになって色んな人に迷惑かけて……」
島村「あなたは、アイドルのステージにすら立てていない!」(キリッ
島村「……なーんて」
島村「私って、個性もないし、歌も、ダンスもヘタ。外見だって……」
島村「…………そういえば、私以外病室にいないなぁ。個室?」
島村「小さな事務所だけど、案外お金は持ってたりして、ね」
島村「リモコンどこだろ」
…
……
………
『はい、今度の新曲は、女性に向けてエールを……』
島村「あ、新曲出るんだ!買わなきゃ……」
島村「……私は一曲も出せなかったけどね!なんて……」
『私自身、この曲に共感する部分があって、夢を叶えるっていうことの……』
島村「夢……夢かー……」
島村「私は、アイドルになりたい……なりたかった」
島村「ダンスもできて、歌も上手くて、ファッションショーにも出て」
島村「色んな人に、笑顔を咲かせるような人になりたかった」
島村「なにの、私はいつも目立たなくて……没個性で……」
島村「アイドルになれたら、何かが変わるとでも、思っていたのかなぁ……」
島村「う……う゛ぅ……最近の私、泣いてばっか……だなぁ……っぐ……ずずっ」
『新曲、【乙女よ大志を抱け!!】聞いてください!!』
http://www.youtube.com/watch?v=nS2K5RUyT6A
コンコン
島村「!」
島村「あ、ちょ、ちょっと待って!」
島村(プロデューサーか、事務所のみんなかな?)(ズビビビー
「え、えっと、こ、こんにちはー」
島村(帽子を目深に被ってるから誰かわからない……)
「あなたの事、四条さんから聞いて、お見舞いっていうのもあるんだけど」
「そう、プロデューサーからもあなたの事聞いてるよ」
「あんまりプロデューサー、担当してる人の事は話そうとしないんだけどね」
「話してるとあなたの話もよく出てきて、プロデューサーもあなたに」
島村「ちょ、ちょっと待って下さい!あの、プロデューサーの知り合いの方ですか?」
「あ、ごめん!これじゃあわからないよね。伊達眼鏡もしてるし」
『来週リリースの【乙女よ大志を抱け!!】歌っていただいたのは――』
http://uproda11.2ch-library.com/348276Uwz/11348276.jpg
『前年度【アイドルマスター賞】受賞、天海春香さんでした!!』
「――――初めまして、天海春香です!」
島村「あ、天海 春香……さん……!」
島村(FからAまである”アイドルランク”……その中から、たった一人だけに与えられる称号……)
島村(アイドルの頂点”Sランクアイドル”その前年度受賞者が、私の目の前に……!!)
島村「あ、あ、あ、あの、今日はどうして、こちらなんかに」
春香「そんなに緊張なんてしなくていいよ!確か私達、同い年だよね?春香でいいよ!」
島村「えー……そんなー……」
春香「あはは、あのね、今日来たのは、理由があるんだ」
春香「今日は、お見舞いと、昔の私の話」
春香「これからのアイドル、島村卯月ちゃんの話だよ」
P「やっちまったなぁー……」
律子「初回に無茶な仕事を入れるのは前からですよね。プロデューサー」
律子「だからうちの事務所、所属アイドルが増えないんですよー」
P「そうかなぁ。俺向いてないのかなぁ」
律子「今更ですねぇ……」
P「いや、今回はちょっとやりすぎたよ」
P「なんだろうな、似てたんだよ……春香に」
律子「春香に?」
P「そ。昔の春香だって、今の卯月と対して変わらなかったさ」
P「春香は先へ進んだ。でも、卯月は多分……ダメだろうな」
P「だからもう、あいつに無理強いは」
島村「おはようございます!!」
P「!?」
律子「あら、おはよう。休日なのに朝早いのね」
島村「はい 今日は、プロデューサーに伝えたいことがあって」
島村「一晩考えました。これからの事を」
島村「私、アイドルになれたら、自分が変われると思ってました」
島村「アイドルになれば、没個性で、取り柄のない自分から変われるって、そう思ってました」
島村「でも、違いました。アイドルって、そういうものじゃないって」
島村「アイドルになって、皆を笑顔にしたい。皆にエールを送りたい」
島村「私だけじゃなく、ファンになってくれた皆を笑顔にする」
島村「それが私の、アイドルになりたい理由です」
島村「プロデューサー、どうか」
島村「どうか、私を、トップアイドルにして下さい!」
P「…………」
律子「大きく出たわねぇ。で、どうするの?プロデューサー殿?」
P「……卯月」
島村「はい」
P「お前の、誰にも負けない長所はあるか?」
島村「……私は、夢を諦めそうになりました。夢を捨てて、逃げ出そうとしました」
島村「でも、そんな私に、夢を諦めるなと、もう一度夢を与えてくれたアイドルがいます」
島村「そんなアイドルに、私はなりたい」
島村「夢を与えるアイドルなる。その気持は、誰にも負けません」
P「……お前の意志は、よーく分かった」
P「全身全霊をかけて、島村卯月を、トップアイドルにしてやる。約束だ」
島村「……!ありがとうございます!!」
P「ふぅ……ほらな言ったろ?絶対うづきんは戻ってくるってさ!」
律子「うわぁ……なにこいつぶん殴りてぇ」
P「そうだ。先駆けて、お前に合わせたい奴がいるんだ」
P「ほら、卯月に選考通知が届いたのも……ゴホンゴホンだったじゃん?」
島村「あー……まぁ」
P「それでな、その子も昨日面接して、入社させることにしたんだ」
P「その相手と、卯月。2人をデュオとして、しばらくしたら正式にデビューさせようと思ってる」
島村「えっ!デュオ!?」
島村「っていうか、私まだデビューしてなかったんですか!?」
P「まぁ、この前の大食いも無理矢理ねじ込んだ感じだし」
島村「ねじ込んだ!?」
P「コネで」
島村「コネで!?」
律子「ごめんね……こういう人なのよ……」
島村「いいんです、大体分かって来ましたから……」
P「で、合わせたい子って言うのはだな」
P「しぶりんちゃんだ!」
「…………」
P「……渋谷凛ちゃんです」
凛「……あんたが私のパートナー?まぁ、悪くないかな。今日からよろしくね」
http://uproda11.2ch-library.com/348283gE8/11348283.jpg
…
……
………
凛「この前のロケ、楽しかったね。シンガポール」
卯月「あー、マーライオンの……」
凛「?」
P「ほら、今日は正念場だ。LIVEバトル、気合いれてこうぜ」
凛「わかってるんだけどさ、なんか、落ち着かなくてさ」
凛「今日は珍しく、卯月の方が落ち着いてたりするんだよ」
P「へぇ……」
卯月「へへ……プロデューサー、私だって緊張してるんですよ?」
卯月「でも今日は、プロデューサーさんの方が緊張してるんじゃないですか?」
P「ババババカってんじゃないよよよ」
凛「……いつも通りじゃない?プロデューサー」
卯月「えへへ、そうやっておちゃらけて、すぐ誤魔化そうとしてもわかりますよ」
P「あー……、まぁ、俺も緊張してる。柄にもなくな」
卯月「わかりますよ。私だって同じです」
卯月「でも、私、凄く楽しみなんです。ついに!って感じですかね!」
卯月「真冬の寒中水泳企画で体を作り、大食いでエネルギーもしっかりとって」
卯月「未開の地トカチ族に、祝福の踊りと秘伝の美容効果のある薬の作り方を教わり…」
卯月「かと思えば、ウイーン少年合唱団に1ヶ月間弟子入り……本当に充実した日々でした」
凛「卯月、ピンの仕事でそんな事やらされてたんだ……」
卯月「プロデューサーが私にくれた仕事、一つも無駄ではなかった」
卯月「アイドルという舞台に、私を立たせてくれた」
卯月「私は、このLIVEのバトルに勝ちます。買って証明してみせます」
卯月「プロデューサーが、私をトップアイドルにしれくれた事を!」
P「……時間だぞ!」
凛「行こう、卯月」
卯月「任せて、凛ちゃん!」
……ワァァァァ!
小鳥「ついにやって来ました!LIVEバトル、タッグ部門最終決戦!」
小鳥「栄光を手に入れるのは、期待の新鋭か、不動の王者か!」
小鳥「選手入場;ッ!!」
小鳥「ステージに羽撃くは幸せの蒼い鳥!【孤高の歌姫】 如月千早!!」
http://uproda11.2ch-library.com/348286ZgA/11348286.jpg
千早「久しぶりね。渋谷さん」
小鳥「静かに燃やすは不屈の闘志!【ニュージェネレーション】 渋谷凛ッ!!」
http://uproda11.2ch-library.com/348287Fja/11348287.jpg
凛「……何度でも向かいます、勝つまでね」
小鳥「言わずと知れたアイドルマスター!【王道アイドル】 天海春香!!」
「卯月ちゃん やっと、会えたね。私、待ってたよ」
「春香さん、私、あなたと勝負して――」
小鳥「ガラスの靴は砕けない!道が無いなら作ればいい!――――
――――【シンデレラガール】 島村卯月!!」
「――私、アイドルになります!トップアイドルに!」
http://uproda11.2ch-library.com/348288ytP/11348288.jpg
おわり。
元スレ
P「ちょっと待ってね、ちょっと調べてみるから……」
島村「あ、はい」
P(……あー。今見てみたら、多分これ、あれだ)
P「選考ミスだわ……」
島村「えっ?今なんて……」
P「選考ミス」
島村「」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:21:00.54 ID:lfThSbAg0
P「選考ミスっていうか……選考の通知が、本来の人じゃなくて君に届いちゃったんだよね」
島村「えっ?えっ?」
P「いや、本当にごめん!こっちのミスだから!本当にごめん!」
島村「……あ、あは、そうですよね!私、ちょっと早とちりしちゃって……」
島村「ちょっと考えればわかりますよね!私みたいな取り柄もない子がアイドルなんて」
島村「アイドルになんて……」
島村「……アイド、っぐ、アイドルになん、て、ズズッ んぐ……」
P「ちょ、泣かないで!」
P「わかった!本当は選考を通過しなきゃダメなんだけど、面接しよう。面接」
島村「んぇ……面接……?」
P「そう!面接!だから泣き止んで!!とりあえず泣き止んで!」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:26:43.99 ID:lfThSbAg0
…
……
…………
島村「すみません、お見苦しいところを……」(ズビビー
P「落ち着いたみたいだし、面接始めようか」
P(とりあえず、本来の選考者や所属アイドル達が来る前に終わらせてしまおう……怒られるの俺だし)
P「えーっと、まず、君の事を教えて欲しいな。経歴とか」
島村「は、はい!島村卯月、17歳です。モバマス高校に通っています」
島村「あの、趣味は友人との長電話で……」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:32:43.19 ID:lfThSbAg0
P(……この後十数分、彼女の事を聞いてみた)
P(昔からアイドルに憧れて、いくつもの事務所に応募してはいたんだが)
P(良くて書類選考通過、面接に漕ぎ着ける事も稀だったらしい)
P(その理由……俺には凄くわかる。誰の目にも止まらなかった理由)
P「島村さん」
島村「ダンスの方は……えっ、あっ、はい!」
P「君に、一つ聞きたい事がある」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:39:31.61 ID:lfThSbAg0
P「君の長所を、ここだけは負けないという、長所を教えてくれ」
島村「個性……ですか」
P「そう、個性だ」
島村「………………」
P「少し俺の話になるが、ここの事務所は俺が独立して作った事務所だ」
P「前の事務所でも、何人かのアイドルを担当した」
P「その女の子達は、例えば歌が上手かったり」
例えば、ダンスが上手かったり
例えば、自身のビジュアルに自身があったり」
P「彼女たちには、これだけは負けないという自信が、各々にあった」
P「君には、それがないんだ」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:53:20.93 ID:lfThSbAg0
島村「……」
P「君には、アイドルになる要素が欠けてる……厳しいことを言うけど」
P「そうだね、そろそろ面接は終わりに」
島村「 …ですか」
島村「個性が無くて、なんで悪いんですか!」
島村「私は……そりゃ、取り柄もないし、可愛くないかもしれません」
島村「でも、アイドルになりたいって、思う、気持ちは!誰にも゛!負けまぜん゛!」
きらり「……」
楓「……」
かなこ「……」
P・島村「!?」
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2966797.jpg
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2966808.jpg
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2966803.jpg
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:59:05.58 ID:lfThSbAg0
きらり「おはーしゃー☆Pちゃん真面目な話してるカンジー?」
楓「真面目な話をしているようだったので……あ、おはようございます」
かなこ「え~っと、その子が事務所の選考に受かった子ですか?」
P「えっと」
島村「あ゛い゛!!今日からお世話になりま゛す!!島村卯月です!!!」
P「!?」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:07:49.35 ID:lfThSbAg0
楓「ほら、涙と……鼻水も拭いて」
島村「あ゛……ずみまぜん」(ズビビビビ
かな子「じゃあ、Pさんの面接受かったんですね~。おめでとうございます!」
きらり「うきゃー!じゃあ今日から仲間だにぃ!おにゃーしゃー☆」
P「ちょ、おま」
P(……!待てよ、こいつ……)
P(俺が選考ミスをした、という事実をばらされたくなければ、このまま入社させろという……脅し……?)
P(あの一瞬でこいつそこまで……もしかしてとんでもない逸材なのか……?)
島村(勢いで言っちゃった、どうしよう……昨日ワンピース読んでたからかな……)
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:14:32.52 ID:lfThSbAg0
P(その後の俺の行動は早かった)
P(流れで島村卯月を俺のプロダクションに即加入、そして本来送るはずの子に選考通過の旨を伝え)
P(選考ミスをした証拠を全て抹消、『島村卯月ともう一名が選考通過』という結果に書き換えた)
P(これで俺と……島村以外にはばれない!ばれないはず……!)
律子「プロデューサー、あの子、選考通った子と違くないですか?」
P「ドッキーーーン☆」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:23:54.56 ID:lfThSbAg0
P「やぁ、律子!今日はいい天気だね!」
律子「瞳孔開いてますよ」
P「マジで」
律子「そんなことより、あの子ですよ。この前の書類の子と違うんじゃないですか?」
P「えっ、ん~どうだったかなぁ?そんなはずはないよねぇ~」(チラッ
島村「えっ?」
P(合わせろや島村ァァァァア!!選考ミスったと知られたらドヤされるだけじゃ済まねェェェ!)
島村(!! ここで私にプレッシャーをかけて、入社の事実をなかった事にするつもりですね!)
島村(ここまできたら引けません!私は図太くいきますよプロデュサー!)
P・島村「選考通過して無事本日入社した島村卯月です!今後ともよろしく!!」
律子「2人とも瞳孔開いてますよ」
P・卯月「マジで」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:37:40.04 ID:lfThSbAg0
律子「ん~……釈然としませんけど、選考の件は一任してますから私は何も言いません」
P「そうだよな!さすが話が分かるエビフライだぜ!」
律子「ブチ殺すぞ」
P「ごっめ~ん!今はパイナップルだったわ!ごっめ~ん!」
律子「実は他の事務所からヘッドハンティングされてるんですよね」
P「ごめんマジで」(額を床にこすりつけながら)
かな子「プロデューサーさん、いっつもあんな感じだよねぇ」
きらり「んにゃー!りっちゃんに頭があがらないPちゃんもかわいい!ずっきゅん☆」
楓「こんな感じの事務所だから……今日からよろしくね」
島村「あ、はい!よろしくお願いします!」
楓(まだ鼻水ついてる……)
後日の密会にて、第一次 P⇔島村共同戦線が張られる事となった――――
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:43:32.01 ID:lfThSbAg0
…
……
………
P「うづきん!初仕事とってきたぞ!」
島村「待ってましたプロデューサー!」
楓(いつのまにあんな仲良くなったんだろう……)
P「とは言っても、初仕事だからな。事務所のみんなと一緒の仕事にしておいたぞ」
島村「ありがたいです!緊張しますね~!で、初仕事の内容っていうのは……」
P「フードファイトだ」
島村「えっ?」
P「フードファイト」
島村「えっ」
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:49:32.62 ID:lfThSbAg0
…
……
………
きらり「お仕事で美味しいモノ食べれるってラッキー☆きらりん☆」
かな子「個人戦らしいですよ~。今日はよろしくおねがいしますね!」
島村「どうして……こうなった……?」
P「仕事があるだけありがたいんだからな。文句は聞かん」
P「ほら、始まるぞ」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:58:31.23 ID:lfThSbAg0
小鳥「……さぁぁ!今回も始まりました!アイドルの血糖値が気になるこの番組!」
小鳥「題して、『アイドル・フード・サバイバル』ッ!!」
小鳥「食って食って食った奴が勝ち!早速本日のメンバーを紹介だァーー!!」
…
…
小鳥「そして、最後に新鋭、バンナム事務所からは3人!」
小鳥「ガタイもデカけりゃ胃もデカイッッ!!進撃の巨人、諸星きらりーーーーッッ!!」
きらり「おっすおっすばっちし☆」
小鳥「3度の飯よりメシが好き!!人間パックマン、三村かな子ーーーッッ!!」
かな子「今日も、がっつり頑張ります!」
小鳥「そして期待の新人、無知のポテンシャルはきらり→かな子ラインを止められるか!?」
小鳥「島村卯月ーーーーーーーーッッ!!」
島村「想像してたんと違う……」
小鳥「すでに目が死んでいるゥゥゥッーーーー!!!!」
P「小鳥さん調子いいなぁ」
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:09:35.73 ID:lfThSbAg0
小鳥「今回の品はこちら!」
小鳥「こってりとんこつラーメンに、胸焼けがしそうな生クリームその他をたっぷり乗せた……」
小鳥「一杯カロリー3000kcal!スイーツラーメンの登場だァーーーー!!!」
かな子「美味しそうですねぇ」
きらり「ん~今回はあかな子ちんにちょ~っと部があるかにゃぁ」
島村「いや、おかしいでしょ!?女性の一日の摂取カロリー2000kcalだよ!?」
小鳥「ルールはシンプル!30分でどれだけの杯をカラに出来るか!?」
小鳥「前置きは不要!早速サバイバルの始まりだァァーーー!!」
ドォォッォーーーーン!!
小鳥「ドラの合図と同時にッ!スターァァァト!」
きらり「ズゾゾゾゾッゾ」
島村「やべぇ、大口開けて流し込んでる!!」
かな子「おかわりください」
島村「早いよ!お前らアイドルよりも適任の仕事あるよ!!」
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:21:13.22 ID:lfThSbAg0
「ふふ……すいーつとらぁめんの融合、なんと面妖な……」
島村「!」
「時に……島村卯月殿、アイドルとは、なんと心得ますか」
「アイドルとは……どんな場面でも可憐で、なおかつ情熱的でなければならない」
「ファンの前に堂々とした姿で、牽引し、魅了する」
「私たちは望まれてここにいるのでは?そして、大衆が望む理想のアイドルとは」
島村「あ、あなたは――――」
デブ子「おかわりください」
貴音「――――どんな時でも、優雅に食事をするものですよ。卯月殿」
小鳥「Aランクアイドル、四条貴音ッ!既に3杯目を完食してるぅうぅぅぅう!!!」
63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:28:15.65 ID:lfThSbAg0
http://uproda11.2ch-library.com/348254wRA/11348254.jpg
かな子「おかわりください」
小鳥「かな子選手4杯目突入ッ!これは壮絶な喰らい合いになるかぁぁーー!」
貴音「ふふ……新感覚 とでも言うのでしょうか。中々に、美味」
小鳥「貴音選手、4杯目完食!」
島村「…………」
島村(私だって、食べてる、食べてるけどっ)
島村「もう……食べれないよ゛ぉ……」
小鳥「おぉ~~っと!!島村選手の箸が止まるッ!まだ一杯目で脱落かぁ!」
P「…………」
65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:35:24.30 ID:lfThSbAg0
P(卯月……お前にこの仕事をあてがった理由)
P(お前に足りないものの一つ……それは目立とうとする『意志』)
P(大食いの場では卯月が目立てる訳がない。それくらい俺だって解ってる)
P(そして隣には『銀色の女王』四条貴音……)
P(この状況で、どうする……?)
卯月「……うっ……う゛……っぐぅ……えぐ……」
卯月「もうこれ以上は……無理だよ……」
卯月「私には無理だったんだ……最初から……アイドルなんて……」
貴音「諦めるのですか。島村卯月」
66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:41:53.33 ID:lfThSbAg0
島村「えっ……」
貴音「確かに、アイドルとは厳しいもの。大衆の前でも虚勢を張らなければいけないこともありましょう」
貴音「それでいて、凛と立ち続けなければならない……」
貴音「島村卯月、あなたはアイドルのステージにすら立てていない」
島村「……! ……そんなこと……私にだって……」
貴音「ですが」
貴音「今、卯月殿が出来る事はまだあるはずです」
貴音「カメラはまだ、回っています。あがくことすら辞めてしまうのですか」
小鳥「貴音・かな子両選手、共に10杯完食ゥゥゥッゥーーーーーー!!!」
67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:45:06.56 ID:lfThSbAg0
島村(私はアイドルにすらなっていない……)
島村(この場にいるのに、カメラすら、向けられていない!)
島村「アイドルですらない、私にできること」
島村「カメラに映るために、あがくこと!」
島村「それは――――」
P「……!!!」
ビチョォァ
小鳥「島村卯月選手!突如、ラーメンに顔を突っ込んだァァァーーーーーーー!!!」
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:50:06.21 ID:lfThSbAg0
ゴッゴッゴッゴッ
P「汁を……吸ってる……!!」
島村「ゥェァ!お代わり下さい!」
島村(収録が終わったら、井が破裂したっていい!)
島村(今……食べ続ける……!)
ビチョォァ
小鳥「2杯目にも即顔を突っ込んだァァァーーー!!」
グチョ…ムシャ……ムシャ……ズルルルッルル
小鳥「そのままクリームと麺とスープを啜るっ!3つの難関を一気に食べ進めるっ!!」
グチョ…ズルルルッル
「おがわりぐだざい゛っ!!」
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:52:17.46 ID:lfThSbAg0
…………
…………
…………
…………
白い天井……
薬品の匂い……スリッパの音……
ここは……
島村「病院?」
78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 00:01:32.70 ID:vmXB0azB0
P「お、起きたか」
島村「プロデューサー……?収録は……」
かな子「それがね~、私 結局負けっちゃったよ~」
かな子「さすがはAランクアイドルだよね!」
P「別に食うのが早いからAランクなわけじゃないけどな」
島村「……」
P「そうだな、お前の事だ」
P「お前が4杯目に顔をぶち込んでた時な」
P「途中でお前の動きが止まったんだ」
P「でな、ガバっと顔をあげたと思ったらマーライオンのように」
「ゲロがな」
島村「」
80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 00:12:00.46 ID:vmXB0azB0
P「大丈夫!後からCG処理して、口から出てるのをところてんに見える様にしたから」
島村「大丈夫じゃないですよそれ……」
P「……そうだな、大丈夫じゃない。かな子、ちょっと席外してくれるか」
かな子「あ、はい」
P「……なぁ卯月、お前は、まだアイドルしたいか?」
P「お前には酷なことをしたと思っている」
P「最初の仕事にしては……ちょっとヘビーだったな……はは……」
島村「私は、その」
P「……いいんだ、結論は焦らなくていい。病院で休んでる間に、じっくり考えてくれ」
P「正直、お前の顔を器に突っ込んだ時な、大物になると思った」
P「こいつは、もしかしたらとんでもないものを持ってたんじゃないかって」
P「でも……お前が限界なら、俺は止めないよ」
P「またな」
島村「……」
93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:15:16.91 ID:vmXB0azB0
島村「……アイドルかぁ」
島村「アイドルになろうと思って、ようやくなれたと思ったら」
島村「仕事先でマーライオンになって色んな人に迷惑かけて……」
島村「あなたは、アイドルのステージにすら立てていない!」(キリッ
島村「……なーんて」
島村「私って、個性もないし、歌も、ダンスもヘタ。外見だって……」
島村「…………そういえば、私以外病室にいないなぁ。個室?」
島村「小さな事務所だけど、案外お金は持ってたりして、ね」
島村「リモコンどこだろ」
94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:21:36.72 ID:vmXB0azB0
…
……
………
『はい、今度の新曲は、女性に向けてエールを……』
島村「あ、新曲出るんだ!買わなきゃ……」
島村「……私は一曲も出せなかったけどね!なんて……」
『私自身、この曲に共感する部分があって、夢を叶えるっていうことの……』
島村「夢……夢かー……」
島村「私は、アイドルになりたい……なりたかった」
島村「ダンスもできて、歌も上手くて、ファッションショーにも出て」
島村「色んな人に、笑顔を咲かせるような人になりたかった」
島村「なにの、私はいつも目立たなくて……没個性で……」
島村「アイドルになれたら、何かが変わるとでも、思っていたのかなぁ……」
島村「う……う゛ぅ……最近の私、泣いてばっか……だなぁ……っぐ……ずずっ」
96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:29:02.90 ID:vmXB0azB0
『新曲、【乙女よ大志を抱け!!】聞いてください!!』
http://www.youtube.com/watch?v=nS2K5RUyT6A
コンコン
島村「!」
島村「あ、ちょ、ちょっと待って!」
島村(プロデューサーか、事務所のみんなかな?)(ズビビビー
「え、えっと、こ、こんにちはー」
島村(帽子を目深に被ってるから誰かわからない……)
97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:36:58.70 ID:vmXB0azB0
「あなたの事、四条さんから聞いて、お見舞いっていうのもあるんだけど」
「そう、プロデューサーからもあなたの事聞いてるよ」
「あんまりプロデューサー、担当してる人の事は話そうとしないんだけどね」
「話してるとあなたの話もよく出てきて、プロデューサーもあなたに」
島村「ちょ、ちょっと待って下さい!あの、プロデューサーの知り合いの方ですか?」
「あ、ごめん!これじゃあわからないよね。伊達眼鏡もしてるし」
『来週リリースの【乙女よ大志を抱け!!】歌っていただいたのは――』
98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:39:38.42 ID:vmXB0azB0
http://uproda11.2ch-library.com/348276Uwz/11348276.jpg
『前年度【アイドルマスター賞】受賞、天海春香さんでした!!』
「――――初めまして、天海春香です!」
102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:56:20.62 ID:vmXB0azB0
島村「あ、天海 春香……さん……!」
島村(FからAまである”アイドルランク”……その中から、たった一人だけに与えられる称号……)
島村(アイドルの頂点”Sランクアイドル”その前年度受賞者が、私の目の前に……!!)
島村「あ、あ、あ、あの、今日はどうして、こちらなんかに」
春香「そんなに緊張なんてしなくていいよ!確か私達、同い年だよね?春香でいいよ!」
島村「えー……そんなー……」
春香「あはは、あのね、今日来たのは、理由があるんだ」
春香「今日は、お見舞いと、昔の私の話」
春香「これからのアイドル、島村卯月ちゃんの話だよ」
105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 03:12:18.37 ID:vmXB0azB0
P「やっちまったなぁー……」
律子「初回に無茶な仕事を入れるのは前からですよね。プロデューサー」
律子「だからうちの事務所、所属アイドルが増えないんですよー」
P「そうかなぁ。俺向いてないのかなぁ」
律子「今更ですねぇ……」
P「いや、今回はちょっとやりすぎたよ」
P「なんだろうな、似てたんだよ……春香に」
律子「春香に?」
P「そ。昔の春香だって、今の卯月と対して変わらなかったさ」
P「春香は先へ進んだ。でも、卯月は多分……ダメだろうな」
106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 03:27:15.71 ID:vmXB0azB0
P「だからもう、あいつに無理強いは」
島村「おはようございます!!」
P「!?」
律子「あら、おはよう。休日なのに朝早いのね」
島村「はい 今日は、プロデューサーに伝えたいことがあって」
島村「一晩考えました。これからの事を」
島村「私、アイドルになれたら、自分が変われると思ってました」
島村「アイドルになれば、没個性で、取り柄のない自分から変われるって、そう思ってました」
島村「でも、違いました。アイドルって、そういうものじゃないって」
107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 03:40:38.80 ID:vmXB0azB0
島村「アイドルになって、皆を笑顔にしたい。皆にエールを送りたい」
島村「私だけじゃなく、ファンになってくれた皆を笑顔にする」
島村「それが私の、アイドルになりたい理由です」
島村「プロデューサー、どうか」
島村「どうか、私を、トップアイドルにして下さい!」
P「…………」
律子「大きく出たわねぇ。で、どうするの?プロデューサー殿?」
P「……卯月」
島村「はい」
P「お前の、誰にも負けない長所はあるか?」
島村「……私は、夢を諦めそうになりました。夢を捨てて、逃げ出そうとしました」
島村「でも、そんな私に、夢を諦めるなと、もう一度夢を与えてくれたアイドルがいます」
島村「そんなアイドルに、私はなりたい」
島村「夢を与えるアイドルなる。その気持は、誰にも負けません」
109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 03:51:36.79 ID:vmXB0azB0
P「……お前の意志は、よーく分かった」
P「全身全霊をかけて、島村卯月を、トップアイドルにしてやる。約束だ」
島村「……!ありがとうございます!!」
P「ふぅ……ほらな言ったろ?絶対うづきんは戻ってくるってさ!」
律子「うわぁ……なにこいつぶん殴りてぇ」
P「そうだ。先駆けて、お前に合わせたい奴がいるんだ」
P「ほら、卯月に選考通知が届いたのも……ゴホンゴホンだったじゃん?」
島村「あー……まぁ」
P「それでな、その子も昨日面接して、入社させることにしたんだ」
P「その相手と、卯月。2人をデュオとして、しばらくしたら正式にデビューさせようと思ってる」
島村「えっ!デュオ!?」
島村「っていうか、私まだデビューしてなかったんですか!?」
110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 03:58:08.79 ID:vmXB0azB0
P「まぁ、この前の大食いも無理矢理ねじ込んだ感じだし」
島村「ねじ込んだ!?」
P「コネで」
島村「コネで!?」
律子「ごめんね……こういう人なのよ……」
島村「いいんです、大体分かって来ましたから……」
P「で、合わせたい子って言うのはだな」
P「しぶりんちゃんだ!」
「…………」
P「……渋谷凛ちゃんです」
凛「……あんたが私のパートナー?まぁ、悪くないかな。今日からよろしくね」
http://uproda11.2ch-library.com/348283gE8/11348283.jpg
112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 04:24:20.54 ID:vmXB0azB0
…
……
………
凛「この前のロケ、楽しかったね。シンガポール」
卯月「あー、マーライオンの……」
凛「?」
P「ほら、今日は正念場だ。LIVEバトル、気合いれてこうぜ」
凛「わかってるんだけどさ、なんか、落ち着かなくてさ」
凛「今日は珍しく、卯月の方が落ち着いてたりするんだよ」
P「へぇ……」
卯月「へへ……プロデューサー、私だって緊張してるんですよ?」
卯月「でも今日は、プロデューサーさんの方が緊張してるんじゃないですか?」
P「ババババカってんじゃないよよよ」
凛「……いつも通りじゃない?プロデューサー」
卯月「えへへ、そうやっておちゃらけて、すぐ誤魔化そうとしてもわかりますよ」
113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 04:37:53.78 ID:vmXB0azB0
P「あー……、まぁ、俺も緊張してる。柄にもなくな」
卯月「わかりますよ。私だって同じです」
卯月「でも、私、凄く楽しみなんです。ついに!って感じですかね!」
卯月「真冬の寒中水泳企画で体を作り、大食いでエネルギーもしっかりとって」
卯月「未開の地トカチ族に、祝福の踊りと秘伝の美容効果のある薬の作り方を教わり…」
卯月「かと思えば、ウイーン少年合唱団に1ヶ月間弟子入り……本当に充実した日々でした」
凛「卯月、ピンの仕事でそんな事やらされてたんだ……」
卯月「プロデューサーが私にくれた仕事、一つも無駄ではなかった」
卯月「アイドルという舞台に、私を立たせてくれた」
卯月「私は、このLIVEのバトルに勝ちます。買って証明してみせます」
卯月「プロデューサーが、私をトップアイドルにしれくれた事を!」
P「……時間だぞ!」
凛「行こう、卯月」
卯月「任せて、凛ちゃん!」
114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 04:58:25.98 ID:vmXB0azB0
……ワァァァァ!
小鳥「ついにやって来ました!LIVEバトル、タッグ部門最終決戦!」
小鳥「栄光を手に入れるのは、期待の新鋭か、不動の王者か!」
小鳥「選手入場;ッ!!」
小鳥「ステージに羽撃くは幸せの蒼い鳥!【孤高の歌姫】 如月千早!!」
http://uproda11.2ch-library.com/348286ZgA/11348286.jpg
千早「久しぶりね。渋谷さん」
小鳥「静かに燃やすは不屈の闘志!【ニュージェネレーション】 渋谷凛ッ!!」
http://uproda11.2ch-library.com/348287Fja/11348287.jpg
凛「……何度でも向かいます、勝つまでね」
小鳥「言わずと知れたアイドルマスター!【王道アイドル】 天海春香!!」
「卯月ちゃん やっと、会えたね。私、待ってたよ」
「春香さん、私、あなたと勝負して――」
小鳥「ガラスの靴は砕けない!道が無いなら作ればいい!――――
115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 05:00:30.69 ID:vmXB0azB0
――――【シンデレラガール】 島村卯月!!」
「――私、アイドルになります!トップアイドルに!」
http://uproda11.2ch-library.com/348288ytP/11348288.jpg
おわり。
島村卯月「私、アイドルになります!トップアイドルに!」