1: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)18:01:05 ID:W54
・茜ちゃん一人称です。
・各アイドルにそれぞれのプロデューサーがいる設定です。
2: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)18:05:38 ID:W54
「ごめんな……」
「もー、プロちゃん、なんで謝るのさ」
「茜が今回に賭けてたのは知ってるのに……俺の力不足で……」
「終わったことにウジウジしてるとモテないよ? ほらほら、次のお仕事のこと、考えてよね」
そうは言ったけど、正直ショックだった。
これならプリンを食べられる方が、何倍もマシだ。
このドラマで目指した役は、今までやってきたキャラが活きる。
これを逃したら次の機会はいつ来るかわからない……
そう意気込んだのに、全然届かなかった……
出来上がった作品は、雰囲気のいい、素晴らしい作品だった。
楽しんで見られたけど、同時に何とも言えない気持ちになった。
茜ちゃんでは、代わりは務まらなかっただろうな……
次から次へとやってくる別のお仕事を、明るくこなしながら。
茜ちゃんはちょっと落ち込んでいた。
…………
「茜、お疲れ様」
「いやー、つかれたよー。がんばった茜ちゃんをなでてなでてー」
「はいはい」
あれから数ヶ月。
すっかり切り替えた茜ちゃんとプロちゃんは、いつもの時間を過ごしていた。
子どもっぽい?猫っぽい? そうかもしれないけど、これはゆずれない。
なでられてると、プロちゃんが真剣なトーンで話してきた。
「なぁ、今度の新作ドラマなんだけど」
「んー」
「俺は、茜に、主役に挑戦して欲しいと思ってる」
「へー……ってマジ?」
「ああ、本気と書いてマジだ」
「そっか、茜ちゃんがんばるよ!」
今度こそ、となでてた手に力を込めたプロちゃん。
茜ちゃんは元気に返事はしたけど、半分あきらめてた。
前回でもダメだったのに、それより大きな役なんて……
ま、ダメで元々か。
今回は楽しめればいいや。
……
「茜! 今回は行けるぞ!」
「もー、プロちゃん、まだ始まったばっかだよ」
「いや、この流れなら行ける!」
「そんなに焦るとモテないよ? もっとオトナの余裕を見せないと」
そう言いつつも、内心ソワソワしていた。
ライバルは強敵だけど、今回は行けそう。
祈るような気持ちで結果を待って……
ドラマの制作発表を迎えた。
「今回、主役に抜擢されました、野々原茜です」
丁寧語が使える茜ちゃん、なんてデキる子。
「まさか、こんな大きな役に選ばれるなんて……思ってました」
……やば。軽くスベった。
「ウソウソ。今も信じられない気持ちで、ドッキリじゃないかって、思ってるくらいです」
軌道修正できたかな。
「結果を知るのは怖くて……この日が来なければいいなって思ったりもしました」
本心を言ったら、込み上げて……やばい。
「この場にいられるのも……茜ちゃんを応援してくれてる……皆様の……お陰です。本当に……ありがとうございますぅぅ」
やっちまった。
いつも元気な茜ちゃんが泣いちゃった。
周りのみんなになぐさめられた。
本当、ステキな仲間に恵まれて、茜ちゃんは幸せだよ。
その後のライブでも、撮影がんばろうと声をかけられて、また感動して……
みんな、本当にありがとう。
そんな時……
茜ちゃんにピンチがやってきた。
PVの撮影直後。
「よし!これで売れるの間違いなしっ!」
「もちろん!ロコとアカネのパーフェクトなハーモニーなら~~」
いつものように、独特な言葉で話してくるロコちゃん。
いつもフィーリングで理解していたけど、この時は違った。
「~~」
あれ?おかしいな?
ロコちゃんの声が入ってこない。
「~~!」
意味がわからないのでは、なく。
だんだん音が遠くなって……
「~~?」
全身の力が抜けた。
茜ちゃん、倒れちゃったみたい。
……
気づいたら病院のベッドの上だった。
隣に座ってくれてたのは、プロちゃんだった。
茜ちゃんが起きたのを喜んでくれた。
それからちょっと落ち着いて、茜ちゃんは聞いた。
「ねぇ、プロちゃん。茜ちゃんはどうなっちゃうの?」
「……治るが、全快までは少し時間がかかる。それまで休養しよう」
「そっか……迷惑かけちゃうね」
「そんなことない。今はゆっくり休んでくれ」
「……ドラマはどうなるの?」
「今相談中だ。どちらにせよ、時期はずれ込むのは確実だな」
「……どちらにせよって?」
「復帰を待ってくれるか……最悪、代役を立てるかだ」
「やだ! 茜ちゃん大丈夫だから、今から行く!」
「今は安静にしてくれ。俺が待ってくれるよう頼むから!」
プロちゃんは必死に茜ちゃんを止めてくれた。
落ち着いた後も、悔しくて、不安で……
寝られたのはいつかは覚えていない。
次の日もプロちゃんは来てくれて、いろいろな話をしてくれた。
ドラマの話は出なかったけど……
なんとなく察したけど、聞くと本当に終わっちゃうかもしれない。
だから、聞かずに明るく務めた。
プロちゃんのなでなでは、優しかった。
……
次の日。
プロちゃんはなでなでしながら切り出してきた。
「茜、ドラマのことだけどな」
「うん、プロちゃん。茜ちゃん、プロちゃんに任せるよ」
「え?」
「最初はなにがなんでも出たい!って、思ってたけど……迷惑かけるし、待てないなら、代わってもいいよ」
悔しいけど、仕方ない。
休養があけたら、また思いっきり暴れたらいい……
そう、自分が出した結論、だったんだけど。
「あれ?おかしいな……なんか、泣けてきちゃった」
「茜……」
「へへ、プロちゃん、どうしよう……茜ちゃん、よくわかんなくなっちゃった」
「茜、ごめんな。心配かけて」
「ううん。プロちゃん、がんばってくれてるから……茜ちゃんはどっちでも大丈夫」
「たしかに、代役の話も出した。スタッフにも、共演するみんなにも、代役候補の子にも」
「うん……」
「でもな」
「みんな、待ってくれるって言ってくれたんだ」
「本当!?」
「ああ……年を跨いでもいい、だから安心して欲しい、だってさ」
「本当に? 茜ちゃん、迷惑じゃない?」
「そう思うなら、みんなの望み通りしっかり休んで、万全の体調で戻ろうな」
「まっかしといて!絶好調の茜ちゃんになって……帰る……からぁぁ」
嬉しくて安心して、また泣いた。
プロちゃんもずっとなでなでしながら、一緒に泣いてくれた。
……
そして……
「茜、体調は大丈夫か?」
「ばっちり!もう、プロちゃんは心配性だなぁ」
今、ドラマの撮影現場に向かっている。
退院してからライブにも復帰して、もう大丈夫。
あとは大暴れするだけだよっ。
「撮影は体力勝負だからな……無理はするなよ」
「はいはーい」
「わかってる?」
「わかってるわかってる。しつこいオトコはモテないよ?」
「……そうだな」
プロちゃんが安心したような顔をする。
茜ちゃんが、いつもの茜ちゃん、ってことかな?
「茜」
「なになに?体調は大丈夫だよ?」
「いや、それはいいから……改めて、言いたいことがあるんだ」
「んー……いいよ、聞いてあげるねっ」
「島流しおめでとう」
「……ありがと」
おわり
日付変わる前に終ってしまいました……フライングおめでとう。
#茜ちゃん絶対に島流しにするからね の威力と、継続した活動の賜物でしたね。孤島サスペンスホラー、楽しみにしています。
元スレ
「ごめんな……」
「もー、プロちゃん、なんで謝るのさ」
「茜が今回に賭けてたのは知ってるのに……俺の力不足で……」
「終わったことにウジウジしてるとモテないよ? ほらほら、次のお仕事のこと、考えてよね」
3: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)18:12:20 ID:W54
そうは言ったけど、正直ショックだった。
これならプリンを食べられる方が、何倍もマシだ。
このドラマで目指した役は、今までやってきたキャラが活きる。
これを逃したら次の機会はいつ来るかわからない……
そう意気込んだのに、全然届かなかった……
4: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)18:19:39 ID:W54
出来上がった作品は、雰囲気のいい、素晴らしい作品だった。
楽しんで見られたけど、同時に何とも言えない気持ちになった。
茜ちゃんでは、代わりは務まらなかっただろうな……
次から次へとやってくる別のお仕事を、明るくこなしながら。
茜ちゃんはちょっと落ち込んでいた。
5: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)18:26:58 ID:W54
…………
「茜、お疲れ様」
「いやー、つかれたよー。がんばった茜ちゃんをなでてなでてー」
「はいはい」
6: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)18:30:23 ID:W54
あれから数ヶ月。
すっかり切り替えた茜ちゃんとプロちゃんは、いつもの時間を過ごしていた。
子どもっぽい?猫っぽい? そうかもしれないけど、これはゆずれない。
なでられてると、プロちゃんが真剣なトーンで話してきた。
7: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)18:34:53 ID:W54
「なぁ、今度の新作ドラマなんだけど」
「んー」
「俺は、茜に、主役に挑戦して欲しいと思ってる」
「へー……ってマジ?」
「ああ、本気と書いてマジだ」
「そっか、茜ちゃんがんばるよ!」
8: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)18:40:20 ID:W54
今度こそ、となでてた手に力を込めたプロちゃん。
茜ちゃんは元気に返事はしたけど、半分あきらめてた。
前回でもダメだったのに、それより大きな役なんて……
ま、ダメで元々か。
今回は楽しめればいいや。
9: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)18:43:22 ID:W54
……
「茜! 今回は行けるぞ!」
「もー、プロちゃん、まだ始まったばっかだよ」
「いや、この流れなら行ける!」
「そんなに焦るとモテないよ? もっとオトナの余裕を見せないと」
10: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)18:45:15 ID:W54
そう言いつつも、内心ソワソワしていた。
ライバルは強敵だけど、今回は行けそう。
祈るような気持ちで結果を待って……
ドラマの制作発表を迎えた。
11: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)18:51:27 ID:W54
「今回、主役に抜擢されました、野々原茜です」
丁寧語が使える茜ちゃん、なんてデキる子。
「まさか、こんな大きな役に選ばれるなんて……思ってました」
……やば。軽くスベった。
「ウソウソ。今も信じられない気持ちで、ドッキリじゃないかって、思ってるくらいです」
軌道修正できたかな。
「結果を知るのは怖くて……この日が来なければいいなって思ったりもしました」
12: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)18:54:00 ID:W54
本心を言ったら、込み上げて……やばい。
「この場にいられるのも……茜ちゃんを応援してくれてる……皆様の……お陰です。本当に……ありがとうございますぅぅ」
やっちまった。
いつも元気な茜ちゃんが泣いちゃった。
13: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)18:58:07 ID:W54
周りのみんなになぐさめられた。
本当、ステキな仲間に恵まれて、茜ちゃんは幸せだよ。
その後のライブでも、撮影がんばろうと声をかけられて、また感動して……
みんな、本当にありがとう。
14: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)18:59:50 ID:W54
そんな時……
茜ちゃんにピンチがやってきた。
15: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)19:04:24 ID:W54
PVの撮影直後。
「よし!これで売れるの間違いなしっ!」
「もちろん!ロコとアカネのパーフェクトなハーモニーなら~~」
いつものように、独特な言葉で話してくるロコちゃん。
いつもフィーリングで理解していたけど、この時は違った。
16: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)19:06:37 ID:W54
「~~」
あれ?おかしいな?
ロコちゃんの声が入ってこない。
「~~!」
意味がわからないのでは、なく。
だんだん音が遠くなって……
「~~?」
全身の力が抜けた。
17: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)19:07:23 ID:W54
茜ちゃん、倒れちゃったみたい。
18: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)19:16:38 ID:W54
……
気づいたら病院のベッドの上だった。
隣に座ってくれてたのは、プロちゃんだった。
茜ちゃんが起きたのを喜んでくれた。
それからちょっと落ち着いて、茜ちゃんは聞いた。
19: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)19:18:53 ID:W54
「ねぇ、プロちゃん。茜ちゃんはどうなっちゃうの?」
「……治るが、全快までは少し時間がかかる。それまで休養しよう」
「そっか……迷惑かけちゃうね」
「そんなことない。今はゆっくり休んでくれ」
20: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)19:24:04 ID:W54
「……ドラマはどうなるの?」
「今相談中だ。どちらにせよ、時期はずれ込むのは確実だな」
「……どちらにせよって?」
「復帰を待ってくれるか……最悪、代役を立てるかだ」
「やだ! 茜ちゃん大丈夫だから、今から行く!」
「今は安静にしてくれ。俺が待ってくれるよう頼むから!」
21: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)19:34:51 ID:W54
プロちゃんは必死に茜ちゃんを止めてくれた。
落ち着いた後も、悔しくて、不安で……
寝られたのはいつかは覚えていない。
次の日もプロちゃんは来てくれて、いろいろな話をしてくれた。
ドラマの話は出なかったけど……
22: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)19:37:35 ID:W54
なんとなく察したけど、聞くと本当に終わっちゃうかもしれない。
だから、聞かずに明るく務めた。
プロちゃんのなでなでは、優しかった。
23: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)22:01:51 ID:W54
……
次の日。
プロちゃんはなでなでしながら切り出してきた。
「茜、ドラマのことだけどな」
「うん、プロちゃん。茜ちゃん、プロちゃんに任せるよ」
「え?」
「最初はなにがなんでも出たい!って、思ってたけど……迷惑かけるし、待てないなら、代わってもいいよ」
24: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)22:06:09 ID:W54
悔しいけど、仕方ない。
休養があけたら、また思いっきり暴れたらいい……
そう、自分が出した結論、だったんだけど。
「あれ?おかしいな……なんか、泣けてきちゃった」
「茜……」
「へへ、プロちゃん、どうしよう……茜ちゃん、よくわかんなくなっちゃった」
25: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)22:14:05 ID:W54
「茜、ごめんな。心配かけて」
「ううん。プロちゃん、がんばってくれてるから……茜ちゃんはどっちでも大丈夫」
「たしかに、代役の話も出した。スタッフにも、共演するみんなにも、代役候補の子にも」
「うん……」
「でもな」
26: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)22:14:48 ID:W54
「みんな、待ってくれるって言ってくれたんだ」
27: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)22:22:54 ID:W54
「本当!?」
「ああ……年を跨いでもいい、だから安心して欲しい、だってさ」
「本当に? 茜ちゃん、迷惑じゃない?」
「そう思うなら、みんなの望み通りしっかり休んで、万全の体調で戻ろうな」
「まっかしといて!絶好調の茜ちゃんになって……帰る……からぁぁ」
嬉しくて安心して、また泣いた。
プロちゃんもずっとなでなでしながら、一緒に泣いてくれた。
28: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)22:26:05 ID:W54
……
そして……
「茜、体調は大丈夫か?」
「ばっちり!もう、プロちゃんは心配性だなぁ」
今、ドラマの撮影現場に向かっている。
退院してからライブにも復帰して、もう大丈夫。
あとは大暴れするだけだよっ。
29: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)22:30:56 ID:W54
「撮影は体力勝負だからな……無理はするなよ」
「はいはーい」
「わかってる?」
「わかってるわかってる。しつこいオトコはモテないよ?」
「……そうだな」
プロちゃんが安心したような顔をする。
茜ちゃんが、いつもの茜ちゃん、ってことかな?
30: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)22:37:34 ID:W54
「茜」
「なになに?体調は大丈夫だよ?」
「いや、それはいいから……改めて、言いたいことがあるんだ」
「んー……いいよ、聞いてあげるねっ」
31: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)22:44:30 ID:W54
「島流しおめでとう」
「……ありがと」
おわり
32: 名無しさん@おーぷん 19/12/02(月)22:47:18 ID:W54
日付変わる前に終ってしまいました……フライングおめでとう。
#茜ちゃん絶対に島流しにするからね の威力と、継続した活動の賜物でしたね。孤島サスペンスホラー、楽しみにしています。
野々原茜「……ありがと」