1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 13:29:20.30 ID:EwRku57V0

千早「ふんっ!ふんっ!ふんっ!」

千早「ふぅー…………」

千早「今日は2000回にしておきましょう。何事もやりすぎは良くないし」

千早「汗でフローリングが腐りそうね……」

トコトコ ガチャ

千早「そして牛乳、と……」

千早「ガボゴボベバクグボゴボバボボボ」

千早「ぐぇーっぷ……げぶ……」

千早「フフ……毎日4リットルも飲んでいるのだからそろそろ大きくなったんじゃないかしら?」

ゴソゴソ   シャバー
 
千早「このシャワーが一日の疲れを流してくれる……」

チラッ

千早「!?」

チラッ

千早「…………なにこのブロック」



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 13:33:33.02 ID:EwRku57V0

千早「………………」 ゴシゴシ

千早「い、いつの間にこんなことに……」

千早「筋肉が盛り上がりすぎてお腹がつまめないわ……」

千早「見事ね……パッケージングされたみたいに独立してる」

千早「くっ……なぜ……」

千早「わざわざ成長ホルモンが混ざっていると噂の米国産牛乳を取り寄せたというのに……!」



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 13:36:08.00 ID:EwRku57V0

千早「これじゃあグラビアの仕事なんて……、あら?」

千早「どうでもいいわ。むしろ減ってしまったほうが助かるし」

千早「私は歌が歌えればそれでいいし」ウンウン

千早「それでもこれはいただけないわね……」 ドスッドスッ

千早「……ビクともしない」



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 13:42:12.20 ID:EwRku57V0

ピピピピピピピピ

千早「そろそろ行こうかしら」


早朝と朝食後の腹筋は止めておいた。

急に習慣を変えるのは落ち着かないが、その分ジョギングの量を増やした。

千早「今日は20kmは走ったわね」

危うく隣県にまで行くところだった。

あずささんじゃあるまいし笑い話にもならない。

千早「あんなものをつけているから、方向感覚が狂うのね」

口に出すとそれはひどく理に叶っているように思えた。


朝食は大豆と納豆とレーズンだ。

牛乳で流し込み、シンクに食器を置いて家を出た。



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 13:46:08.56 ID:EwRku57V0

男「おうおう、どうしてくれんだよ?」

千早「……ぶつかったのはお互い様だと思いますが」


運が悪い。

気分を変えようと普段使ってない道を通ったのがまずかった。

やはり習慣は変えるべきではないのだ。


男「そんなこと聞いてんじゃねえよ?あぁん?」

男は首を極端にかしげながら語尾を無意味に上げてしゃべっている。

ひどく不愉快だ。

千早「……では、どうしろと?」

早く切り上げたかった。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 13:49:49.06 ID:EwRku57V0

男「なに簡単なことだよ、世の中は善意と誠意で回ってる。お嬢ちゃんの誠意ってのをね?」

こんな小娘相手に大の大人が情けない。

千早「……ちっ」

男「あん?なんだって?」

千早「んあああああああああああああああああ!!!!」

カラスと鳩が羽ばたき、ネコが逃げ出し、どこかで車がぶつかった音が聞こえた。


男「」

男は気絶していた。

千早「ふん、だらしないわね」

少しだけ気が晴れた。

なので、落書きをした画像を男の携帯の全アドレスに送信するだけで許してやった。



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 13:55:20.69 ID:EwRku57V0

事務所につくと私はソファーと一体化した。

現実問題として私はアイドルだ。

グラビアの仕事を受けたくないからと言って、

千早「ひゃっほうwwwwwざまぁwwwwwwもうやってやんねえよwwwwwwwプゲラッチョwwwwww」

などと、喜べるような身分ではない。

仕事をキャンセルすれば、プロデューサーをはじめ765プロ全体に迷惑が掛かってしまうだろう。

千早「どうすれば元に戻るのかしら……」

生地の厚いシャツのおかげで目立たないが、触れてみれば確かな存在を感じる。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 13:59:38.67 ID:EwRku57V0

春香「あれ?千早ちゃんどしたの?眉毛が富士山みたいになってるよ?」

千早「……大したことじゃないの」

ただ腹筋がボコボコになっただけなの。

千早「……?」

春香は隣に座ると肩に頭を乗せてきた。

春香「それならいいんだけどさ……。ね?千早ちゃん」

千早「なに?春香」

彼女の持つ雰囲気が私のガードを甘くする。

春香「困ったこととか、悩んでることがあったら、いつでもなんでも聞くからね?」

千早「…………ありがとう」

私は幸運だ。

こんなにも友人に恵まれている。



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 14:04:52.73 ID:EwRku57V0

千早「春香、ちょっと見てもらいたいものがあるの……いいかしら?」

春香「うん、いいよ」

一切の躊躇なく春香は答えてくれた。

千早「これなんだけど……」

親友になら相談できる。


春香「ぶはっwwwwwwwなにこれwwwwwwwwどうなってるのwwwwwwwww」

顔見知りにランクダウンした。

春香「硬いwwwwwww硬いwwwwwwwwwちょっと写メとっていいですかwwwwwwwww」

この無個性リボン誰?


私は腹式呼吸を使って全身に気を溜めた。

千早「青ひいいいいい鳥いいいいいぃいぃぃぃっぃいぃいぃい!!!!!!」

リボンが消し飛び、ガラスは吹き飛び、音無さんが失禁した。



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 14:11:17.10 ID:EwRku57V0

千早「くっ……信じていたのに……!」

悔しくて歯軋りをした。

事務所を飛び出し全力で走り続けた脚が、酸素を求める脳の指示に従い止まった。

千早「はぁっ……はぁっ……」

膝を曲げ呼吸を整える。

髪が頬にへばりつき、汗が垂れた。

怒りに任せて壁を殴ると胸が痛んだ。

深呼吸を一つ、二つ、三つ。

千早「春香はお調子者なところがあるから……」

我ながら人がいい。

もう許す気になっていた。

ついカッとなって卑猥な言葉を体中に書き殴ったことも、いつか笑い話になるだろう。



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 14:15:06.95 ID:EwRku57V0

千早「事務所に帰るとしましょう……」

男「待て!見つけたぞ!」

千早「…………誰?」

マジックで髭をかいた愉快な男がいた。

千早「ちょっと生やし過ぎじゃないかしら……」

目から下のほとんどが黒く塗りつぶされている。

髭「お前がやったんだろうが!」

冤罪だ。私はこの男と初対面なのだ。

千早「人違いですよ、よくある顔ですから」

髭「その胸が動かぬ証拠よ!(二重の意味で)」



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 14:16:26.14 ID:EwRku57V0

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40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 14:20:40.17 ID:EwRku57V0

敵「ひぃっ……!」

千早「それで?もっと酷い目にあいたくなったとでも?」

敵「こ、この野郎……!なめるなぁ!」

男は理不尽な怒りを暴発させると、懐から包丁を持ち出した。

千早「な……」

細身の刃物が揺れて光ると、背筋が冷たくなった。

男「へ、へへ……どうだ?ビビッたかぁ?」

千早「くっ……」

こんな男に屈するのは不満だがそうも言ってられない状況だ。

千早「わかりました。では今度はちゃんと髭を描きますから……」

男「ふざけてんのか?ねぇ真面目にお話しようや?」

男は目を真っ赤にして包丁をふらつかせた。



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 14:23:03.71 ID:EwRku57V0

千早「私はいつだって真面目です。あなたのほうこそ真剣に人生を考えたほうがよろしいのでは?」

親身なアドバイスだったが錯乱状態の男には届かなかったようだ。

男「ぶっ殺しちぇやるうううう!!」

包丁を腰溜めに突進してきた。

反射的に両腕で顔面をガードする。

千早(私だってアイドルなんですもの!)

男「うわああああああああああ!!!」



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 14:28:32.45 ID:EwRku57V0

男「へ、へへ……。ざまぁみろ……」

声が震えている。

威勢がいいのは口だけのようだ。

千早「……銃弾も、通さないんですけどね」

腹筋で包丁を挟んだまま、できる限り涼しい口調を作った。

男「え……?」


呆然と立ち尽くす男を一歩で射程に捉えた。


左フックで脳を揺らし

男「あがっ……」

右のショートアッパーで体を浮かす

男「ぐほぉう!」

さらに一歩踏み込んで右ストレートを繰り出し、大通りまで飛ばしてやった。


プップー  ドガッ    ダレカー キュウキュウシャヲー



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 14:34:01.81 ID:EwRku57V0

千早「素人で助かったわ……」

動脈を狙われながらの長期戦になったらさすがに無傷では済まなかっただろう。

パチパチパチパチ

千早「誰?」

路地の反対側から、妙に派手な格好をした外人が現れた。

外人「オー ブラボーブラボー」

千早「………………」

外人「ワタシー ボクシングノ スカウトシテマース」

千早「はぁ……」

外人はエディ・ファックと名乗った。

日本に来たのは、世界チャンプのいるジムを視察するためらしい。

千早「あの……それで私になんの用が?」

ファック「チハーヤ ワタシトーイッショーニ チャンピオン ナリマショウ」



60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 14:40:48.29 ID:EwRku57V0

それから3年後……

春香「プロデューサーさん!ドームですよ、ドーム!」

P「まさか千早がここまでくるとはなぁ……」

春香「あ、千早ちゃん!おーい!」


招待席に春香とプロデューサーが見える。

あれから3年。

結局私はボクシングの道に進んだ。

周囲には散々止められたが、私の決意を知ると皆こころよく送り出してくれた。

わがままな私をずっと応援してくれた人のためにも、私は今日チャンピオンになる。

世界戦のリングはとても眩しくて、初めてのライブを彷彿とさせる。

名前を呼ばれて右手を上げると

春香「千早ちゃーん!がんばってー!」

春香の声が良く聞こえた。



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 14:47:47.86 ID:EwRku57V0

試合前の国歌独唱。

私はニッコリと笑うとスタンドマイクの前に立つ。

相手の選手が怪訝な顔をしているのがおかしかった。

今わたしは世界中が見ている中で一人歌う。

それはずっと夢見ていたことだった。


きぃ~んみぃ~んがぁぁぁぁ~ぅよ~ぅは~

ちぃぅよぅに~  ぅやぁぅつぃよぅにんぃ~
       
すぁ~んずぁ~れ~  い~し~んの~
              
い~んわぁ~お~とぉ~ な~るぃてぇぇいぇぇぇ~

こぉうけぇんのぉ~   むぅ~すんぅ~ まぁあぁぁんでええぇぇぇぇ~


派手な衣装も、華美な伴奏もないけれど、心を込めて歌い上げた。

ここからは狩りの時間だ。

千早「3ラウンド以内に倒して見せます」

私のビッグマウスでドームが揺れた。



67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 14:54:21.74 ID:EwRku57V0

キリングマシーン千早

ワタナヘジム所属

ニックネーム:千の鉄板

WBAおよびWBC世界ミニマム級、ライトフライ級、フライ級、スーパーフライ級チャンピオンの4階級制覇を成し遂げる

戦績:72勝 68KO 0敗 0分け

鍛え抜かれたボディで相手のコブシと選手生命を破壊したことから、アイアンウォールと呼ばれ恐れられる。

華奢なボディに似つかわしくない抜群のパンチ力を誇りKOの山を築いた。

プロボクサーになる前はアイドルをしていたという異色の経歴を持つ。

世界戦では自ら国歌を独唱するほどの歌唱力も、その経歴を考えれば頷けるだろう。

引退後は国民栄誉賞を受賞。

765プロは鉄の胸像を飾り、いつもツルツルに磨いているそうだ。






~狂犬ボクサー千早伝~   了



69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/28(木) 14:57:10.33 ID:EwRku57V0

ありがとうございました

千早の腹筋はすごいですね


元スレ
千早「腹筋しすぎて六つに割れてしまった…………」