1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/07(土) 23:20:24.12 ID:ACrO+sDdO

――貴音の自室
――PM23:40

貴音「あなた様…」

開けられた窓から、空を見る。空は暗く、星が輝いておりました。一人、考えてみる。

貴音「そのままの、わたくし…」

いつか、あの方が仰ってくれた言葉。

『高音は、そのままでいいんだよ』

貴音「…ふふっ。あの方は、本当に意地悪で、いけずです」

貴音「…ですが…」

わたくしとて、不安になる時は、あるのです。



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/07(土) 23:25:53.16 ID:ACrO+sDdO

開けた窓を閉じ、ベッドに横たわる。

貴音「今宵の夢、あなた様は、出てきてくれるでしょうか」

呟き、瞳を閉じる。
…おやすみなさいませ、あなた様。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/07(土) 23:27:58.84 ID:ACrO+sDdO

――次の日
――765プロ事務所

貴音「おはようございます」ガチャッ、

P「…」パラッ、パラッ

貴音「…あなた様?」トテトテトテ、

P「…」パラッ、パラッ

貴音「…む」

貴音「…」ムギュッ、ムニー

P「いてっ!誰だー!」バッ

貴音「…おはようございます、あなた様」ムスー

P「貴音か。おはよう。珍しいな?貴音が、イタズラするなんて」

…まったく、この方は…。

貴音「…気付かないあなた様が、悪いのです」ムスー

P「ははっ。悪い悪い」ナデナデ

貴音「…む。何やら誤魔化されてる気がしますが…なでなでが心地よいので、良しとしましょう」

貴音「それで、何を熱心に見ていたのです?」チラッ



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/07(土) 23:32:08.74 ID:ACrO+sDdO

P「ん?あぁ、これな。お前にも関係あることだから、見てもいいぞ?」

貴音「では、拝見させていただきます」パラッ

貴音「…」

貴音「……」

貴音「慰安…ですか?」チラッ

P「あぁ、そうだ。お前、最後に休んだのはいつだ?」

貴音「…はて、いつだったでしょうか」

P「だろ?だから、貴音にまとまった休みをやろうと思ってな」

休み、ですか。いつ以来でしょうか、まとまった休暇は。

P「でな?もし、お前が良かったら…」

貴音「?」



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/07(土) 23:36:15.43 ID:ACrO+sDdO

P「その、なんだ。俺はお前の担当プロデューサーだ」

貴音「存じ上げております。そのような当たり前、今更、何を?」

P「俺と、どこか旅行に行かないか?」

貴音「…なんと」

幻聴でしょうか。あなた様と、旅行とは。

P「嫌か?」

貴音「…わたくしの顔を、見てください」

P「?あぁ」チラッ

貴音「嫌がる顔に、見えますか?」クスクス

P「貴音は、どこに行きたい?」

貴音「…ふふっ。ならば、箱根などいかがです?ゆっくりと、温泉などは」



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/07(土) 23:42:26.29 ID:ACrO+sDdO

P「そうそう。律子と社長には全部、伝えてあるから」

貴音「もう根回しは終えているのですね?ふふっ、もう逃げられなくなってしまいました」クスクス

P「根回しって…俺は悪者か?」クスクス

貴音「いえいえ、滅相もない」

P「じゃあ、早速だけどお前は今日から休みだ。準備もあるだろ?帰って、旅行の準備をすればいい」

貴音「…あなた様は?」

P「俺は、旅館の予約と、仕事の引き継ぎを終えたら帰るよ」

貴音「分かりました。ならば、待ち合わせ先などは…」

P「あぁ、それは夜に電話する。携帯でいいよな?」

貴音「大丈夫です。…ふふっ、あなた様と旅行とは…明日が待ち遠しいです」クスクス



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/07(土) 23:46:35.95 ID:ACrO+sDdO

――貴音の自室

不思議なものです。殿方に興味など無かったわたくしが、こんなにもあなた様との旅行を楽しみにするなんて。

貴音「…洋服、どうしましょう」ガラガラ

クローゼットを開け、服を見る。わたくしとて女。好意を寄せている殿方との旅行、幾ばくかの期待をしない訳がありません。

貴音「あの方は、どのような格好がお好きなのでしょうか…」



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/07(土) 23:51:23.95 ID:ACrO+sDdO

――次の日
――箱根湯本

貴音「あなた様!あなた様!箱根ですよ!箱根!」

P「ははっ。春香のマネか?似てるじゃないか」ナデナデ

貴音「…///」テレテレ、

少し、舞い上がってる自分が珍しい。

P「舞い上がってる貴音も可愛いな。新しい魅力だ」

貴音「…恥ずかしいです」

P「ほらほら、うつむくなって!せっかくの旅行だ。楽しもうな?」

貴音「…あなた様が、いけないのですよ?わたくしを、こんなにさせるあなた様が…」ボソッ



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/07(土) 23:56:15.21 ID:ACrO+sDdO

――地獄谷
――AM12:00


貴音「…で、あなた様?これは、どのような食べ物なのです?」ジー

P「あぁ、これはな?黒玉子だ」モグモグ

貴音「面妖な…。殻が真っ黒です」モグモグ

P「でも、美味いだろ?」

貴音「はい。まことに」モグモグ

P「それ食べたら、旅館に行こうか」

貴音「…ふふっ、どのような旅館か、楽しみです」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/08(日) 00:00:31.11 ID:bHuzzUi5O

――旅館・客室内(貴音)
――PM13:00

貴音「…ふぅ。少し、疲れてしまいました」ストン

P「少し、ゆっくりしようか。なんなら、今からでも温泉に浸かってくるといい」

貴音「…あなた様とは、別々なのですね」

P「あぁ、さすがにな。アイドルと同部屋とか、色々とヤバいからな」

貴音「…わたくしは、構いませんよ?」キョトン

P「お前は少し、自分の魅力を知るといい」ハァ...



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/08(日) 00:02:59.13 ID:bHuzzUi5O

貴音「では、わたくしは温泉に行って参ります」

P「あぁ、ゆっくり浸かっておいで」

貴音「…ふふっ。行って参ります」トテトテトテ、

――ガラガラ、バタン

P「…」チラッ

P「行ったか…」フゥ...

P「貴音、か…」

俺は、お前の事をどう思ってるんだろうな…。



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/08(日) 00:07:29.64 ID:bHuzzUi5O

――温泉

貴音「…」チャプン

…どのようなおつもりなのでしょうか。わたくしとの旅行。現役アイドルとの、二人きりの旅行。

貴音「…あなた様…」チャプン、ブクブクブク

考えてみる。いつから、気になりだしたのでしょうか。

あの方の視線、声、優しさ。

あの方を意識すると、途端に不安になってしまいます。
何故ならあの方は…素敵なのですから。



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/08(日) 00:15:05.47 ID:bHuzzUi5O

貴音「…幸せ、なのでしょうね。わたくしは」

プロデューサーとアイドル、その繋がり。今は、まだ。

貴音「…気付いてください、あなた様」

――

P「…」

思い返す。貴音が、俺の担当になった頃。

P「あの頃は、どうなるかと思ったけど…」

良く言えば、どこか浮世離れした雰囲気。
悪く言えば、世間知らず。

それが、第一印象だった。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/08(日) 00:16:07.90 ID:bHuzzUi5O

P「けど、それだけじゃなかったんだよなぁ…」グビッ

冷蔵庫から出したビールを喉に流し、考えてみる。

P「好き、なのか。やっぱり」

貴音と過ごした時間は、長い。辛い気持ちも、嬉しい気持ちも、共有して、繋げてきた。

P「繋がらないかもなぁ…今回ばかりは」

――

貴音「…この想い、繋がるのでしょうか」

――

P・貴音「「はぁ…」」



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/08(日) 00:21:44.47 ID:bHuzzUi5O

――客室内(貴音)
――夕食後(夜)

貴音「…ごちそうさまでした」

P「ごちそうさま」

貴音「…まこと、美味でありました」

P「あぁ、予約した甲斐があったよ」

貴音「…」チラッ

P「ん?貴音?どうした?」

貴音「…なぜ、わたくしなのです?」

P「えっ?」

貴音「…なぜ、わたくしを旅行に誘ってくださったのです?」

P「…」

貴音「…」

P「…」スタスタスタ、シャッ

重い雰囲気。それを紛らわそうと、俺はカーテンを開けた。

P「なぁ、貴音」



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/08(日) 00:26:38.65 ID:bHuzzUi5O

窓の外は、東京じゃ見れないような星空だった。

P「俺はな?最初、どうしたらいいか分からなかったんだ」

貴音「…」

P「四条貴音という星を、どうやって輝かせればいいか、分からなかったんだ」

貴音「…」

貴音は、俺の話を黙って聞いている。呆れられただろうか。

P「でもな?お前と一緒に活動していく内、気付いたんだよ」

貴音「…何を?」

P「…」

P「こっち、来てみ?」

貴音「…」トテトテトテ、



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/08(日) 00:32:06.60 ID:bHuzzUi5O

P「あれ、なんて星座か分かるか?」

貴音「…あれは、オリオン座ですね。それが、何か?」

P「星座ってさ、星一つじゃ、繋がらないだろ?」

貴音「…そうですね」

P「そういう事、なんだよな。つまりは」

貴音「えっ?」

P「…」

P「だから、な?一方通行じゃ、ダメだったんだよ」

貴音「…仰ってる意味が、良く分かりません…」

P「大丈夫。俺もよくわかってないから」

P「…」

貴音「…」

貴音「…ふふっ。おかしなあなた様ですね」クスクス

貴音「…でも」



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/08(日) 00:35:29.85 ID:bHuzzUi5O

貴音「ああやって、いくつかの星が集まって、形が出来上がるんだとしたら、」スッ、

――ギュッ

貴音「…いまのわたくしたちは、どのような形に…なっているのでしょうか」ギュッ

P「…」

貴音「あなた様」スッ、

P「貴音」スッ、

P・貴音「「好きだ(です)」」チュッ



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/08(日) 00:40:56.08 ID:bHuzzUi5O

貴音「…やっと、繋がりました。わたくしと、あなた様の気持ちが」

P「あぁ。繋がったな。やっとだ」

貴音「…あなた様は、さっきわたくしを星と仰いました。ですが」

貴音「…わたくしは、あなた様の傍だから、輝けるのです」ギュッ

貴音「こうやって…ふたり手を握ると、まるで星座みたいです」

貴音「…だからどうか、」

貴音「わたくしをあなた様の傍で輝かさせてください」

貴音「いま、星座のように」ギュッ

おわり



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/08(日) 00:42:23.04 ID:bHuzzUi5O

はい。ここまでありがとうございました


元スレ
貴音「…いつか、星座のように」