1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/06(月) 23:57:31.42 ID:6UQIraqR0
※原作最新刊のネタが含まれてます
向日葵「『尊敬する人物について作文を書きなさい』……」
櫻子「作文は向日葵の丸写しできないからめんどいなー」
向日葵「写させませんわよ」
あかり「あはは……櫻子ちゃん、宿題はちゃんとやらなきゃダメだよ?」
ちなつ「こういうのって、歴史上の偉人とか挙げればいいのかな」
向日葵「もしくは両親とか、身近な人物についてですわね」
櫻子「うーん……難しいなあ」
向日葵「櫻子は他人を尊敬とかしませんものね」
櫻子「私だって尊敬くらいするわい!」
ちなつ「そういえばさ」
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 00:00:01.68 ID:XIlrztvR0
ちなつ「尊敬とはちょっと違うかもしれないけど、皆は憧れの人っている?」
向日葵「憧れの人……ですか?」
ちなつ「うん、ちょっと気になって」
櫻子「憧れの人ねぇ……」
あかり「あかりは結衣ちゃんと京子ちゃんかなぁ」
向日葵「船見先輩と歳納先輩?」
ちなつ「幼馴染みだもんね」
あかり「うん。あかりがちっちゃい頃から、毎日いっぱい遊んでくれて……」
あかり「あかりにできないことも二人はできちゃうから、すごいなあって」
あかり「今でも二人のこと、憧れてるんだぁ」
ちなつ「あかりちゃんらしいなー」
あかり「えへへ……」
櫻子「私も先輩方のことは尊敬してる!」
あかり「櫻子ちゃんも?」
櫻子「だって船見先輩麻婆豆腐作れるんだよ!スゴいじゃん!」
ちなつ「尊敬するとこはそこなの……?」
あかり「結衣ちゃんの麻婆豆腐美味しいよねぇ~」
櫻子「あと歳納先輩は勉強できるし、杉浦先輩は仕事テキパキこなすし、池田先輩は皆のことよく見てるし、会長は落ち着いてるし!」
ちなつ「多っ」
あかり「櫻子ちゃんは尊敬する人いっぱいいるんだねー」
櫻子「あかりちゃんのことも尊敬してるよ?」
あかり「えっ」
櫻子「忘れた子のために割りばし用意してくれるとことか、毎日欠かさず教室のお花に水をあげてるとことか、あとあと――」
あかり「は、はは恥ずかしいからあんまり言わないでぇっ!」
ちなつ「……櫻子ちゃんも結構、人のことをよく見てるよね」
向日葵「見るだけで満足せずに、見習ってもらえればありがたいんですが」
向日葵「それで吉川さんは、どなたか憧れている人はいますの?」
ちなつ「うーん、結衣先輩は当然として……あとはお姉ちゃんかな」
向日葵「お姉ちゃん……」
ちなつ「とっても美人で、おしとやかでね。自慢のお姉ちゃんなの」
向日葵「たしか……茶道を始めたのも、そのお姉様の影響でしたっけ?」
ちなつ「そうそう。そのおかげで結衣先輩にも会えたし、お姉ちゃんには感謝してもしきれない!」
向日葵「…………」
ちなつ「向日葵ちゃんは?憧れの人っている?」
向日葵「えっ……ええと……」
向日葵「……両親、でしょうか」
櫻子「あと怪我した人に絆創膏あげたり、皆にチョコあげたり、それに――」
あかり「櫻子ちゃんもう許してぇっ!」
ちなつ「あ、まだ続いてたんだ」
【放課後】
向日葵(……吉川さんに、嘘をついてしまいましたわ)
向日葵(両親のことはもちろん尊敬しているけれど、私が本当に憧れている方は)
向日葵(憧れている人と聞いて、真っ先に思い浮かんだ方は――)
向日葵「…………」
ピンポーン
「はーい」
向日葵「あ、向日葵です。櫻子はいらっしゃいますか?」
ガチャ
撫子「や、ひま子。いらっしゃい」
向日葵「こんにちは、撫子さん」
撫子「ごめんね、櫻子出掛けちゃってて。すぐ帰るとは思うから上がっててよ」
向日葵「ええ、おじゃまします。これ、クッキーですがよかったら」
撫子「わ、ありがと。ちょっと待ってて、紅茶か何か用意するから」
向日葵「ありがとうございます。……花子ちゃんは留守ですか?」
撫子「うん。なんか友達に勉強教えに行くとか言ってた」
向日葵「そうですか」
撫子「せっかくひま子がクッキー焼いてくれたのにね。少し残しとかないと、帰ってきたら怒るかも」
向日葵「ふふ、それじゃあ櫻子に全部食べられないようにしないといけませんね」
撫子「うん、美味しい」
向日葵「お口に合ったようで何よりです」
撫子「また料理の腕が上がったんじゃない?櫻子にも見習わせたいよ」
向日葵「いえ、私なんて……」
向日葵(撫子さんと比べたら)
撫子「中学はどう?楽しくやってる?」
向日葵「ええ、仲の良いお友達もできましたし」
撫子「そっか、安心した。櫻子のお守りでいっぱいいっぱいだったらどうしようかと」
向日葵「それは、まあ、大変ですけど」
向日葵「……その、イヤではないですから」
撫子「ふふっ」
向日葵「なんで笑うんですか」
撫子「ひま子は昔から変わらないなと思ってさ」
向日葵「自分では成長しているつもりなんですが……」
撫子「うんまあ成長している部分もあるけどさ。そのむn――」
撫子「……ごめん。なんでもない」
向日葵「どうかしました?」
撫子「いや本当になんでもないから。お願いだから忘れて」
向日葵「はあ……?」
撫子「はあ……」
撫子「……それにしても、ひま子ももう中学生かあ」
向日葵「撫子さんはいま、高校3年生でしたよね」
撫子「うん、そうだよ」
向日葵「大学とかは、もう決めていらっしゃるのですか?」
撫子「んー、多分地元の大学かな。家から通えるし」
向日葵「一人暮らしとかは……」
撫子「私が家を出たら、花子はともかく櫻子が生きていけないでしょ?」
向日葵「ああ、納得です」
撫子「まあ……ひま子が櫻子の面倒見てくれるなら、それもアリかな」
向日葵「えっ……」
向日葵「それもアリって……」
撫子「ひま子が私の代わりに櫻子の世話をしてくれるなら、一人暮らしもいいかなって」
撫子「私もひま子なら安心して櫻子のことを任せられるし。まあじょうだ――」
向日葵「……嫌です」
撫子「ひま子?」
向日葵「私が、撫子さんの代わりになんて、そんな……」
撫子「ひま子……」
撫子「……ごめん。冗談が過ぎたね」
撫子「いつも櫻子が世話になってるからって……さすがにちょっと、無理を言い過ぎたかも」
向日葵「……いえ、違うんです」
撫子「違う?」
向日葵「櫻子の世話をするのが嫌なんじゃないんです」
向日葵「……撫子さんが一人暮らしして、遠くへいってしまうのが、嫌なんです」
向日葵「……その、寂しくて」
撫子「……ひま子」
撫子「…………」
向日葵「ご、ごめんなさい。変なこと言ってしまって」
撫子「ひま子、ちょっとこっち来な」
向日葵「え、でも……」
撫子「いいから。ほら、そこに座って」
向日葵(お、怒らせてしまったかしら……)
向日葵(でも、私は……)
撫子「ひま子」
ナデナデ
向日葵「……え?」
撫子「……久しぶりだね。こうしてひま子の頭を撫でてあげるのもさ」
撫子「昔はよく甘えてくれたよね」
撫子「櫻子と二人で、私のことおねーちゃんって呼んでさ」
向日葵「……はい」
撫子「さっきは昔から変わらないなんて言ったけど……いつからか私を撫子さん、って呼ぶようになって」
撫子「勉強も家事もどんどんこなすようになって、ああ、ひま子も大人になったんだなあって思ったんだ」
撫子「けど」
向日葵「けど?」
撫子「ひま子はやっぱり、甘えんぼのひま子のままだったよ」
向日葵「撫子、さん――」
撫子「大丈夫、お姉ちゃんはどこにもいったりしないよ」
向日葵(撫子さん)
向日葵(私、ずっと努力してきました)
向日葵(勉強も、家事も、なんだってこなすあなたのようになりたくて)
向日葵(憧れのあなたに、少しでも近づきたくて)
向日葵(でも、私は――)
向日葵「撫子さん」
撫子「なに?」
向日葵「櫻子が帰ってくるまで……しばらく、こうしていてくれませんか?」
撫子「なんならおねーちゃんって呼んでくれてもいいよ?」
向日葵「あ、い、いえ、さすがにそこまでは」
撫子「ふふ……」
櫻子「たっだいまー!」
撫子「おかえり。ちょっと静かにしてな」
櫻子「ん?なんで向日葵がうちで寝てんの?」
撫子「クッキー持ってきてくれたんだけど、あんた待ってる間に寝ちゃってね」
櫻子「おおクッキー!美味しそう!」
撫子「だから静かにしなってば。疲れてたみたいだから、少し寝かせといてあげよ」
櫻子「はいはい。クッキーは食べていいよね?」
撫子「いいけど花子の分は残しておきなよ」
櫻子「はいはい」
撫子(あ、これ全部食べる気だな)
ホァタァ!!デュワ!ドゥクシ!(着信音)
櫻子「ねーちゃん、携帯鳴ってるよ」
撫子「ん……ちょっと出てくる。全部食べちゃ駄目だよ」
櫻子「はーい」
撫子「もしもし」
撫子「今?うん、大丈夫……え、なんだか嬉しそうって?」
撫子「いや別に浮気とかじゃないから」
撫子「――ちょっと、可愛い妹といろいろあってね」
おしまい
【おまけ】
撫子「もっとゆっくりしてってもいいよ?」
向日葵「お気持ちはありがたいのですけど、楓を一人にしておくのも気が引けますし、今日はおいとましようかと」
撫子「そっか。じゃあしょうがないね」
花子「なんで花子の分を残しておかなかったし!」
櫻子「ちょっ、痛い!悪かったって言ってんじゃん!」
花子「問答無用だし!今日という今日は許さないし!」
櫻子「ぎゃー!」
撫子「まったく櫻子は……」
向日葵「今度おじゃまするときは、花子ちゃんに何か作ってきますわ」
撫子「ん、ありがと」
撫子「じゃ、気をつけて帰るんだよ。まあ隣なんだけど」
向日葵「はい。おじゃましました」
向日葵「あ……帰る前に、ひとつ気になっていたことがあるんですけど、聞いてもよろしいですか?」
撫子「別にいいよ。なに?」
向日葵「撫子さんって、彼女さんはいらっしゃるんですか?」
撫子「…………」
撫子「……っ!?」
向日葵「撫子さん?」
撫子「え、ちょっ……えええ?」
撫子「ひ、ひま子……誰から聞いた?」
撫子「櫻子はアホだから気付くはずないし、花子は気付いたとしても人には言わないだろうし……」
向日葵「あ、以前おじゃましたときに、電話しているのが聞こえてしまって……」
撫子「……あー」
向日葵「盗み聞きするつもりはなかったんですが……ごめんなさい」
撫子「いや、謝らなくてもいいけど。私が不注意だったのも悪いんだし」
撫子「でも、このことは櫻子や花子には」
向日葵「もちろん、誰にも言うつもりはありませんわ」
撫子「ありがと、助かるよ」
向日葵「ただ……」
撫子「うん?」
向日葵「口止め料というか、あの、その……」
向日葵「と、ときどきでいいので、今日みたいに甘えさせてもらえませんか……?」
撫子「…………」
向日葵「へ、変なこと言ってるのは自分でもわかってるんですけど」
向日葵「えっと……」
撫子「ひま子」
撫子「私はいつまでだって、あんたらのお姉ちゃんだよ」
向日葵「……!」
撫子「いつでもおいで。待ってるからさ」
向日葵「ありがとうございます。おじゃましました、撫子さん……いえ」
向日葵「撫子――お姉ちゃん」
撫子「……ふう。可愛い妹が4人もいるんだから、私も幸せものだね」
撫子「それはそうと、これって浮気にはならないよね……。妹だからセーフだよね?」
おしまい
以上で終了です
支援いただいた方々、お付き合いありがとうございました
元スレ
ちなつ「尊敬とはちょっと違うかもしれないけど、皆は憧れの人っている?」
向日葵「憧れの人……ですか?」
ちなつ「うん、ちょっと気になって」
櫻子「憧れの人ねぇ……」
あかり「あかりは結衣ちゃんと京子ちゃんかなぁ」
向日葵「船見先輩と歳納先輩?」
ちなつ「幼馴染みだもんね」
あかり「うん。あかりがちっちゃい頃から、毎日いっぱい遊んでくれて……」
あかり「あかりにできないことも二人はできちゃうから、すごいなあって」
あかり「今でも二人のこと、憧れてるんだぁ」
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 00:03:00.01 ID:XIlrztvR0
ちなつ「あかりちゃんらしいなー」
あかり「えへへ……」
櫻子「私も先輩方のことは尊敬してる!」
あかり「櫻子ちゃんも?」
櫻子「だって船見先輩麻婆豆腐作れるんだよ!スゴいじゃん!」
ちなつ「尊敬するとこはそこなの……?」
あかり「結衣ちゃんの麻婆豆腐美味しいよねぇ~」
櫻子「あと歳納先輩は勉強できるし、杉浦先輩は仕事テキパキこなすし、池田先輩は皆のことよく見てるし、会長は落ち着いてるし!」
ちなつ「多っ」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 00:05:40.73 ID:XIlrztvR0
あかり「櫻子ちゃんは尊敬する人いっぱいいるんだねー」
櫻子「あかりちゃんのことも尊敬してるよ?」
あかり「えっ」
櫻子「忘れた子のために割りばし用意してくれるとことか、毎日欠かさず教室のお花に水をあげてるとことか、あとあと――」
あかり「は、はは恥ずかしいからあんまり言わないでぇっ!」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 00:08:59.27 ID:XIlrztvR0
ちなつ「……櫻子ちゃんも結構、人のことをよく見てるよね」
向日葵「見るだけで満足せずに、見習ってもらえればありがたいんですが」
向日葵「それで吉川さんは、どなたか憧れている人はいますの?」
ちなつ「うーん、結衣先輩は当然として……あとはお姉ちゃんかな」
向日葵「お姉ちゃん……」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 00:11:33.69 ID:XIlrztvR0
ちなつ「とっても美人で、おしとやかでね。自慢のお姉ちゃんなの」
向日葵「たしか……茶道を始めたのも、そのお姉様の影響でしたっけ?」
ちなつ「そうそう。そのおかげで結衣先輩にも会えたし、お姉ちゃんには感謝してもしきれない!」
向日葵「…………」
ちなつ「向日葵ちゃんは?憧れの人っている?」
向日葵「えっ……ええと……」
向日葵「……両親、でしょうか」
櫻子「あと怪我した人に絆創膏あげたり、皆にチョコあげたり、それに――」
あかり「櫻子ちゃんもう許してぇっ!」
ちなつ「あ、まだ続いてたんだ」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 00:14:37.72 ID:XIlrztvR0
【放課後】
向日葵(……吉川さんに、嘘をついてしまいましたわ)
向日葵(両親のことはもちろん尊敬しているけれど、私が本当に憧れている方は)
向日葵(憧れている人と聞いて、真っ先に思い浮かんだ方は――)
向日葵「…………」
ピンポーン
「はーい」
向日葵「あ、向日葵です。櫻子はいらっしゃいますか?」
ガチャ
撫子「や、ひま子。いらっしゃい」
向日葵「こんにちは、撫子さん」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 00:18:30.60 ID:XIlrztvR0
撫子「ごめんね、櫻子出掛けちゃってて。すぐ帰るとは思うから上がっててよ」
向日葵「ええ、おじゃまします。これ、クッキーですがよかったら」
撫子「わ、ありがと。ちょっと待ってて、紅茶か何か用意するから」
向日葵「ありがとうございます。……花子ちゃんは留守ですか?」
撫子「うん。なんか友達に勉強教えに行くとか言ってた」
向日葵「そうですか」
撫子「せっかくひま子がクッキー焼いてくれたのにね。少し残しとかないと、帰ってきたら怒るかも」
向日葵「ふふ、それじゃあ櫻子に全部食べられないようにしないといけませんね」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 00:22:10.12 ID:XIlrztvR0
撫子「うん、美味しい」
向日葵「お口に合ったようで何よりです」
撫子「また料理の腕が上がったんじゃない?櫻子にも見習わせたいよ」
向日葵「いえ、私なんて……」
向日葵(撫子さんと比べたら)
撫子「中学はどう?楽しくやってる?」
向日葵「ええ、仲の良いお友達もできましたし」
撫子「そっか、安心した。櫻子のお守りでいっぱいいっぱいだったらどうしようかと」
向日葵「それは、まあ、大変ですけど」
向日葵「……その、イヤではないですから」
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 00:24:51.85 ID:XIlrztvR0
撫子「ふふっ」
向日葵「なんで笑うんですか」
撫子「ひま子は昔から変わらないなと思ってさ」
向日葵「自分では成長しているつもりなんですが……」
撫子「うんまあ成長している部分もあるけどさ。そのむn――」
撫子「……ごめん。なんでもない」
向日葵「どうかしました?」
撫子「いや本当になんでもないから。お願いだから忘れて」
向日葵「はあ……?」
撫子「はあ……」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 00:33:18.06 ID:XIlrztvR0
撫子「……それにしても、ひま子ももう中学生かあ」
向日葵「撫子さんはいま、高校3年生でしたよね」
撫子「うん、そうだよ」
向日葵「大学とかは、もう決めていらっしゃるのですか?」
撫子「んー、多分地元の大学かな。家から通えるし」
向日葵「一人暮らしとかは……」
撫子「私が家を出たら、花子はともかく櫻子が生きていけないでしょ?」
向日葵「ああ、納得です」
撫子「まあ……ひま子が櫻子の面倒見てくれるなら、それもアリかな」
向日葵「えっ……」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 00:34:39.32 ID:XIlrztvR0
向日葵「それもアリって……」
撫子「ひま子が私の代わりに櫻子の世話をしてくれるなら、一人暮らしもいいかなって」
撫子「私もひま子なら安心して櫻子のことを任せられるし。まあじょうだ――」
向日葵「……嫌です」
撫子「ひま子?」
向日葵「私が、撫子さんの代わりになんて、そんな……」
撫子「ひま子……」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 00:37:39.52 ID:XIlrztvR0
撫子「……ごめん。冗談が過ぎたね」
撫子「いつも櫻子が世話になってるからって……さすがにちょっと、無理を言い過ぎたかも」
向日葵「……いえ、違うんです」
撫子「違う?」
向日葵「櫻子の世話をするのが嫌なんじゃないんです」
向日葵「……撫子さんが一人暮らしして、遠くへいってしまうのが、嫌なんです」
向日葵「……その、寂しくて」
撫子「……ひま子」
撫子「…………」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 00:39:53.89 ID:XIlrztvR0
向日葵「ご、ごめんなさい。変なこと言ってしまって」
撫子「ひま子、ちょっとこっち来な」
向日葵「え、でも……」
撫子「いいから。ほら、そこに座って」
向日葵(お、怒らせてしまったかしら……)
向日葵(でも、私は……)
撫子「ひま子」
ナデナデ
向日葵「……え?」
撫子「……久しぶりだね。こうしてひま子の頭を撫でてあげるのもさ」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 00:43:03.43 ID:XIlrztvR0
撫子「昔はよく甘えてくれたよね」
撫子「櫻子と二人で、私のことおねーちゃんって呼んでさ」
向日葵「……はい」
撫子「さっきは昔から変わらないなんて言ったけど……いつからか私を撫子さん、って呼ぶようになって」
撫子「勉強も家事もどんどんこなすようになって、ああ、ひま子も大人になったんだなあって思ったんだ」
撫子「けど」
向日葵「けど?」
撫子「ひま子はやっぱり、甘えんぼのひま子のままだったよ」
向日葵「撫子、さん――」
撫子「大丈夫、お姉ちゃんはどこにもいったりしないよ」
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 00:44:29.94 ID:XIlrztvR0
向日葵(撫子さん)
向日葵(私、ずっと努力してきました)
向日葵(勉強も、家事も、なんだってこなすあなたのようになりたくて)
向日葵(憧れのあなたに、少しでも近づきたくて)
向日葵(でも、私は――)
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 00:46:30.67 ID:XIlrztvR0
向日葵「撫子さん」
撫子「なに?」
向日葵「櫻子が帰ってくるまで……しばらく、こうしていてくれませんか?」
撫子「なんならおねーちゃんって呼んでくれてもいいよ?」
向日葵「あ、い、いえ、さすがにそこまでは」
撫子「ふふ……」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 00:50:12.88 ID:XIlrztvR0
櫻子「たっだいまー!」
撫子「おかえり。ちょっと静かにしてな」
櫻子「ん?なんで向日葵がうちで寝てんの?」
撫子「クッキー持ってきてくれたんだけど、あんた待ってる間に寝ちゃってね」
櫻子「おおクッキー!美味しそう!」
撫子「だから静かにしなってば。疲れてたみたいだから、少し寝かせといてあげよ」
櫻子「はいはい。クッキーは食べていいよね?」
撫子「いいけど花子の分は残しておきなよ」
櫻子「はいはい」
撫子(あ、これ全部食べる気だな)
28: ※もうちょっと続きます 2012/08/07(火) 00:54:48.29 ID:XIlrztvR0
ホァタァ!!デュワ!ドゥクシ!(着信音)
櫻子「ねーちゃん、携帯鳴ってるよ」
撫子「ん……ちょっと出てくる。全部食べちゃ駄目だよ」
櫻子「はーい」
撫子「もしもし」
撫子「今?うん、大丈夫……え、なんだか嬉しそうって?」
撫子「いや別に浮気とかじゃないから」
撫子「――ちょっと、可愛い妹といろいろあってね」
おしまい
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 00:57:36.64 ID:XIlrztvR0
【おまけ】
撫子「もっとゆっくりしてってもいいよ?」
向日葵「お気持ちはありがたいのですけど、楓を一人にしておくのも気が引けますし、今日はおいとましようかと」
撫子「そっか。じゃあしょうがないね」
花子「なんで花子の分を残しておかなかったし!」
櫻子「ちょっ、痛い!悪かったって言ってんじゃん!」
花子「問答無用だし!今日という今日は許さないし!」
櫻子「ぎゃー!」
撫子「まったく櫻子は……」
向日葵「今度おじゃまするときは、花子ちゃんに何か作ってきますわ」
撫子「ん、ありがと」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 01:00:13.06 ID:XIlrztvR0
撫子「じゃ、気をつけて帰るんだよ。まあ隣なんだけど」
向日葵「はい。おじゃましました」
向日葵「あ……帰る前に、ひとつ気になっていたことがあるんですけど、聞いてもよろしいですか?」
撫子「別にいいよ。なに?」
向日葵「撫子さんって、彼女さんはいらっしゃるんですか?」
撫子「…………」
撫子「……っ!?」
向日葵「撫子さん?」
撫子「え、ちょっ……えええ?」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 01:01:19.57 ID:XIlrztvR0
撫子「ひ、ひま子……誰から聞いた?」
撫子「櫻子はアホだから気付くはずないし、花子は気付いたとしても人には言わないだろうし……」
向日葵「あ、以前おじゃましたときに、電話しているのが聞こえてしまって……」
撫子「……あー」
向日葵「盗み聞きするつもりはなかったんですが……ごめんなさい」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 01:03:03.28 ID:XIlrztvR0
撫子「いや、謝らなくてもいいけど。私が不注意だったのも悪いんだし」
撫子「でも、このことは櫻子や花子には」
向日葵「もちろん、誰にも言うつもりはありませんわ」
撫子「ありがと、助かるよ」
向日葵「ただ……」
撫子「うん?」
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 01:07:32.63 ID:XIlrztvR0
向日葵「口止め料というか、あの、その……」
向日葵「と、ときどきでいいので、今日みたいに甘えさせてもらえませんか……?」
撫子「…………」
向日葵「へ、変なこと言ってるのは自分でもわかってるんですけど」
向日葵「えっと……」
撫子「ひま子」
撫子「私はいつまでだって、あんたらのお姉ちゃんだよ」
向日葵「……!」
撫子「いつでもおいで。待ってるからさ」
向日葵「ありがとうございます。おじゃましました、撫子さん……いえ」
向日葵「撫子――お姉ちゃん」
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 01:08:33.78 ID:XIlrztvR0
撫子「……ふう。可愛い妹が4人もいるんだから、私も幸せものだね」
撫子「それはそうと、これって浮気にはならないよね……。妹だからセーフだよね?」
おしまい
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/07(火) 01:09:18.98 ID:XIlrztvR0
以上で終了です
支援いただいた方々、お付き合いありがとうございました
向日葵「憧れの人ですか?」